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ブログつくりました どうも、はじめまして 私は、どこにでもいる普通の学生で~す(∂∂) これまでと変わったことにチャレンジしようと、急に思い立ち Blogってやつをやってみる事にしました どんな記事を更新していくかなんてことはまだ決めかねていますが ぜひまた来てくださいね
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円城寺信胤 3進 そんな!別れなんていわないでくれよ・・・ -- バレンタイン台詞?「そんな!!別れなんて言わないでくれよ……」 --
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ある日のこと…… 唯「うい~、帰ったよ~」 憂「お帰りなさい、お姉ちゃん」 紬「こんにちは、憂ちゃん」 憂「あ、紬さんこんにちは……て、え?」 唯「へへへ~」ムギュー 憂「お姉ちゃん、何で紬さんに抱きついてるの?」 唯「だって、ムギちゃん暖かいんだもん。一家に一台欲しいくらい!」 紬「あのー、もう室内なんだし……離してくれないかな?」 唯「えー、もうちょっと~」 憂「お姉ちゃん、紬さん困ってるよ。あまり迷惑かけちゃダメだよ?」 紬 (もはや、どっちがお姉さんかわからないわね……) 憂「ほら、お姉ちゃんっ」ギュー 唯「わわ、わかったから引っ張らないで憂」 憂「もーう。ごめんなさい紬さん、お姉ちゃんが迷惑かけて」 紬「ううん、気にしないで」 唯「ふぅ……それじゃ改めて。たっだいま~、憂」ダキッ 憂「きゃっ、も、もうお姉ちゃんったら~」 紬「ふふ、それじゃ私はこれで」 憂「あれ、紬さん上がっていかないんですか?」 紬「ええ、それじゃあね唯ちゃん」 唯「うん、ムギちゃんまたね~」 憂「……」 憂(一家に一台かあ……) 憂(……抱きついてみたい、かも) …… 憂「て、こんなことがあってね」 純「いや、真顔でそんな話されても困るんだけど」 梓「憂って意外と人にスキンシップ好きだよね」 憂「うん! それに、お姉ちゃんイチオシなんだよ? 興味わくよー、やっぱり」 純「そーお?」 梓「ああ、でもわかるかも。ムギ先輩って体温高くて暖かいらしいし」 憂「梓ちゃんはムギ先輩に抱きついたことととかないの?」 梓「あ、いや、ないかな。抱きつかれたことなら……いや、というか似たようなことなら」 純「へ、へえー……進んでるんだね、梓って」 梓「そ、そんなんじゃないよ。ただ、寂しかったらしくていきなり構ってって……」 憂「で、どうだったの梓ちゃん?」キラキラ 純(憂の目がこれ以上ないくらい輝いている……!) 梓「あー、どうなんだろう……やわらかかかった、かな?」 純「や、やわらかかったって……」 憂「あー、確かに紬さんフワフワしてるもんね」 梓「うん、そうなんだよねー」 純(……あれ? なんかやらしい響きに聞こえてまったの私だけ?) 憂「あー、いいなあ! 私もやっぱり紬さんをムギューってやってみたいなあ!」 「ナニアレー?」ヒソヒソ 「ヒラサワサンガアブナイハツゲンシテルー」 純「ちょ、ちったあ声のトーン抑えなよ。周りから変な目で見られてるよ!?」 憂「ね、梓ちゃん。何かいい方法ないかな?」 純「聞いてないしっ」 梓「そうだなあ……あ、でもムギ先輩も結構スキンシップ好きだし 真正面からお願いしたら普通に抱きしめてくれるかも知れないよ」 憂「ま、真正面からなんて……は、恥ずかしくて無理だよー///」 純「私は今まさに周りの視線が恥ずかしいんですが」 梓「大丈夫だって、ムギ先輩そっちのケがあるみたいだし」 純「さりげにとんでも無いこと言ってるよこの娘! どんなケだよ!?」 憂「う、うー……それなら、大丈夫かも」 純「いや、逆にヤバイでしょ! 食われちゃうよ!?」 梓「もーう、純さっきからウルサイよー」 憂「ねえ純ちゃん? 食われちゃうってどういうこと?」(真顔) 純「……はい?」 梓「あー、私もちょっと気になるかも」(真顔) 憂「ね、純ちゃん?」(真剣) 純(な、何この娘たち~……これじゃ私が変人みたいじゃん!) 憂「じ、じゃあ真正面からお願いしてみることにするね」 梓「うん、頑張ってね憂。大丈夫、多分ムギ先輩はあっさり落ちるよ!」 純(……もう私はツッコまないぞ) 憂「あー、でもいざお願いするとなると緊張するなあ」 紬「あら、みんな」 憂「つ、つむぎしゃんっ!」 梓(噛んだ! ドジっ娘!?) 紬「あらあら、どうしたの憂ちゃん。可愛い声を出して」 憂「あ、え、あの、その……」チラッ 梓(頑張れ、憂!)キリッ 純(テキトーにがんばれー)チラッ 憂(う、うん! 私、頑張る……!) 憂「あ、あの。紬さんっ!」 紬「なあに?」 憂「あ、あー、その、だ、だ……」 紬「?」 梓(もう一息だ、憂!) 憂「だ、だ……」 憂「第2回三頭政治のメンバーは誰でしょうかっ!?」 紬「オクタヴィアヌスとアントニウスとレピドゥスね」 梓(な、何で世界史の問題出してんのよーー!?) 純(しかもムギ先輩、間髪入れずに答えた……この人、只者じゃない!) 紬「ふふ、急に問題出すなんて。面白いことするのね憂ちゃん~」ナデナデ 憂「! え、あ、ははは……///」 紬「それじゃ、私教室に戻るわね。それじゃあ、梓ちゃんと鈴木さんも」 梓「あ、はい」 純「お元気で~」 紬「ふふ、じゃあね~」トタタタ… 梓「……憂?」 憂「///」プシュー 純「あ、湯気出てる」 梓「緊張しすぎだよー。絶対大丈夫だから、次はちゃんと言いなよ」 憂「う、うんがんばるー///」プシュー 純「……なんで私はこの子らに付き合ってるんだろう」 梓「というわけで、本日二度目のチャンスだよ、憂」 憂「うん、同じ失敗はしないよ」 純「ねえ、なんで私まで付き合わないとダメなのー?」 梓「なんとなく」 純「あっそ」 憂「来た……!」 紬「♪~」 憂「あ、あのっ! 紬さん!」 紬「あら、憂ちゃん。今日はよく会うわね~」 憂「え、ええそうですね。あ、あの紬さん……」 紬「何かしら?」 憂「えーっと、あの……今日はいい天気ですね?」 紬「盛大に雪が降っているけれど……?」 憂「あ、いえそうじゃなくて……あの、寒いですよね、最近」 紬「そうね~、もう冬真っ盛りだものね~」 憂「それで、あの……寒いですし、その、だ、だき……」 紬「?」 憂「だ、だき……ダキアを平定した古代ローマの皇帝はっ!?」 紬「トラヤヌスね」 純(て、また世界史かい! しかも、またローマ時代!) 梓(どんだけローマが好きなのよ。憂!) 紬「もしかして、私の学力チェックか何か? ふふ、大丈夫よ。ちゃんと受験勉強してるから」 憂「あ、いえ、そうじゃなくて……」 紬「?」 憂「……あ、いえ。古代ローマって素敵ですよねー」アハハー 純(憂が壊れた……) 梓(そのローマにかける情熱は何……) 紬「ふふ、変な憂ちゃん」 純(……急な問題に間髪入れずに解答できるあなたも大概変です) 憂「はあ……」ドーン 梓「さて、同じ失敗を二度しちゃったわけだけど」 純「もう諦めたら?」 憂「う……でも、私だってお姉ちゃんと同じことを共有したい。 お姉ちゃんが紬さんを暖かいって言ったのなら、私だってその暖かさを味わいたいの」 梓「憂……」 純(やっぱり、さり気に危ない発言してるような気が……) 憂「私、最後にもう1回やってみる! 梓ちゃん純ちゃん、力を貸して!」 梓「憂……勿論だよ!」 純「ちょ、ちょっと、待ってよ。なんで私まで付き合わないといけないの?」 憂「お願い、純ちゃん! 純ちゃんの力が頼りなの!」ウルウル 純「う、憂……もーう、わかったよ。こうなったら、どうとでもなれだよ。最後まで付き合うよ」 憂「ありがとう純ちゃん! 私、純ちゃんのこと好きだよ!」 純「(ドキ) す、好きって……もうっ、何冗談言ってるんのよ、うーい」 憂「冗談じゃないよっ」 梓「ねえ憂、純のことどれくらい好き?」 憂「ローマの次くらいに」 純「またローマかよ! しかも私負けてるし! せめて人と比べてよ!」 放課後、部室前…… 梓「いい、憂。まずはちゃんと頑張って言ってみてね」 純「それで無理そうだったら、私たちが助け舟だすからさ」 憂「うん、ありがとう二人とも! それじゃ……」 ガラッ 憂「あ、あのっ。失礼しますっ!」 唯「あれー、憂。どーしたのー?」 澪「梓と、あと鈴木さんも」 憂「えっと、あの。紬さんにお話がありまして」 紬「まあ、私に?」 律「一体何なんだー?」 憂「あの、紬さんにお願いがありまして……」 紬「お願い、何かしら~?」 唯「憂がムギちゃんにお願いなんて珍しいねー」 澪(興味津々) 律(聞き耳) 梓「ほら、頑張って。憂」 純「しっかりしなよ」 憂「う、うん……あの、紬さん、私、その私を……」 紬「?」 憂「わ、私……私とプロレスごっこしませんかっ!?」 純「ぷ、プロレスごっこって……」 梓「むう、憂。考えたわね…… 真っ向から抱きしめてというのはやはり恥ずかしい。 でも、プレロスごっこという名目があれば無理矢理でも 相手に組み付くことができる…… まさに、パーフェクトプラン……恐れいったわ、憂……」 純「いやいや、明らかにおかしいでしょ! つーか、ムギ先輩がそんなこと了承するはずが」 紬「いいわよ~」 純「あっさり了承しちゃったよこの人!!」 紬「私、お友達とプロレスごっこするのが夢だったの~」 唯「良かったねムギちゃん、夢がかなって♪」 律「二人とも、がんばれよ」 澪「おめでとう、応援してるよ」 純「あ、あれ? なんでこの人たち普通に受け入れてるの?」 紬「それじゃ、憂ちゃん。始めましょうか♪」 憂「は、はい!」 梓「頑張ってね、憂!」 律「ムギも負けるなよー!」 紬「どんとこいです!」フンス 純(帰りたい……) 憂「そ、それでは……お願いしますっ!」 憂は思考する。 どうすれば、効率よく紬に抱きつくことが出来るか。 もしくは、紬に抱きついてもらうことが出来るか。 紬はパワーに優れており、力比べしても勝ち目はない。 それならば、自らが勝るスピードをもって一気に今の距離を詰めるのが吉。 そして、まずは相手の腰に絡みつきバックを取る。 そうなってしまえば、相手の足をとって速やかにサブミッションに移行できる そして、後はやりたい放題…… ――よし! 作戦を決めて、憂は一気にダッシュをかける。 2
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「ゆっはははは~~~~~ッ!!! 働け働けぇ~~~~~い!!!」 収納部屋から容赦無い叱咤の怒号が縦横無尽に飛び交ってゆく。 今日も一人、また一人と収納部屋に入れられたゆっくりがぱたりと倒れ、力尽きてゆく。 「むきゅ、もう無理…」 「ゆ、お前ェ、倒れたなァ~~~~~! 今日のお前の飯は抜きだ抜きィ、だっははははは~~~~~ッ!!!」 「く、くそう…! まりさたちゆっくりに包装材のぷちぷちくんを潰させるという重労働をさせやがって、お前らには血も涙も無いのか!」 「ゆははは、寝言は寝てから言うんだなァ~~~~ッ!!! お前らの運命は我らが『世界ゆっくり協会』が握っているんだからなァ~~~!!!」 「うう、こんな時にパチュリーマンが居てくれたら…!!!」 『その願い、叶えるわっ!』 「…!? そッ、その声は!」 刹那、壁際についている窓から声が聞こえた。その窓の方向を向くと、そこには正義の味方の『彼女』が居た!!! 「待たせたわね…、皆!」 「「合金戦士・パチュリーマン!!!」」 打ッち切り ぷちぷちくんをつぶすのは楽しいけど、ずっと続けたら拷問だよね。笑った。 -- 名無しさん (2010-04-21 13 57 57) 名前 コメント
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憂「あったかいうちにどうぞ」 さわ子「そうね」 さわ子「おいしいわ~」 憂「ありがとうございます」 唯「憂の料理はほんとにおいしいんだよ!」 さわ子「今までも何回かご馳走になってるけど、やっぱり憂ちゃんの料理は最高ね」 憂「そんな、大したことないですよ」 さわ子「一人暮らしだと食生活乱れちゃうのよね~」 憂「大変なんですね」 さわ子「まあね」 唯「大人って大変なんだね」 さわ子「憂ちゃんは大丈夫だけど唯ちゃんは大人になるの苦労しそうね」 唯「そうかな?」 憂「お姉ちゃんはやる時はやる子ですから」 唯「そうだよね、私頑張るよ!」 さわ子「憂ちゃんお母さんみたいね」 憂「先生は過大評価しすぎですよ」 憂「私だってまだまだ子供です」 さわ子「自分の事を子供だと思えるのは大人の証拠よ」 唯「子供が大人?大人が子供?なんだかよく分かんないや」 さわ子「唯ちゃんはまだそんな感じでいいと思うわ」 ――― 唯「おいしかった~」 さわ子「ご馳走様でした」 憂「おそまつさまでした」 唯「さわちゃん次は何して遊ぶ?」 さわ子「勉強しなさい」 唯「え~」 さわ子「え~じゃないの、私もあんまりお邪魔してるわけにはいかないもの」 唯「なんで?」 さわ子「仕事よ仕事」 唯「ふ~ん、忙しいんだねさわちゃん」 さわ子「そうよ、教師がこんなに忙しいとは思わなかったわ」 唯「じゃあもう帰っちゃうの?」 さわ子「そうね、ぼちぼち」 唯「つまんな~い」 憂「お姉ちゃん無理言わないの、先生にも都合があるんだよ」 唯「そうなのか~」 さわ子「私だって本音を言えば遊びたいわよ」 唯「じゃあいいじゃん」 さわ子「やらなきゃいけない事をほったらかしには出来ないの」 唯「大人だから?」 さわ子「そ、大人だから」 唯「そっか~・・・」 さわ子「唯ちゃんは勉強頑張って大学に入って」 唯「うん」 さわ子「それで大人になれば今の私の気持ちが分かる時が来るわ」 唯「そうかな」 さわ子「そうよ」 憂「ほらお姉ちゃん、先生を困らせちゃ駄目だよ」 唯「はーい」 さわ子「じゃあ帰るわね」 憂「はい」 唯「またね」 さわ子「ちゃんと勉強するのよ」 唯「分かってるよ」 さわ子「もう受験まで何日も無いんだから」 唯「はいはい」 憂「お姉ちゃんの受験日は・・・」 唯「確かカレンダーにマル付けてたような」 唯「えっと・・・」 唯「今日は1月31日だから」 さわ子(1月31日?) さわ子(あれ?もしかして今日って) 唯「あ!今日さわちゃんの誕生日!」 さわ子「えっ」 唯「朝からなんか引っかかってたんだよね、そっか誕生日か!」 さわ子「え?なんで唯ちゃんが知ってるの?」 唯「確か前に誰かに聞いたんだよ」 さわ子「あー私も前に誰かに聞かれて教えたような」 唯「それで何となく覚えてたんだけど、当日になって忘れちゃったんだね」 さわ子「そっか今日私誕生日だったんだ」 憂「先生誕生日だったんですか、おめでとうございます!」 唯「おめでとうさわちゃん!」 さわ子「あはは、ありがと」 唯「それで何歳に」ムギュ 唯「んーんー」 憂「あはは」 さわ子「・・・」 さわ子「ありがと、唯ちゃん憂ちゃん」 さわ子「それじゃ今度こそ帰るわ」 唯「うん」 憂「またいらしてください」 さわ子「ええ、ごちそうさま」 憂「はい」 さわ子「それじゃあね」ガチャ 唯「ばいばーい」 憂「さようならー」 さわ子(誕生日・・・か) さわ子(誰かに誕生日を祝ってもらうなんて久しぶりだったわね) さわ子(この歳になると誕生日とかどうでもよくなってきて) さわ子(忘れることも多くなってきた) さわ子(自分の年齢もぱっと出てこないもの) さわ子(・・・そっか、今日は私の誕生日なんだ) さわ子(昔は誕生日パーティーとかやったりして楽しかったな) さわ子(もう大人になっちゃったんだ、私) さわ子(・・・) さわ子(でも) さわ子(なんだか今年の誕生日は楽しかったわ) さわ子(まさか教え子に祝ってもらう事になるなんてね) さわ子(・・・素敵な誕生日プレゼントじゃないの) さわ子(大人になって、昔の事を思い出して寂しくなったりもするけど) さわ子(大人だから感じる事の出来る気持ちもあるのね) さわ子(私は幸せ者だわ) さわ子(唯ちゃん達だけじゃなく、クラスみんないい子で) さわ子(こんなにいい子たちに囲まれて仕事出来るなんて) さわ子(・・・) さわ子(ありがとう、みんな) さわ子(ハッピーバースデー私) さわ子「よーし、明日からまた頑張ろ!」 さわ子「あ、せっかくだから隣の神社でお願いごとして行こうかな」 さわ子「何お願いしよう」 さわ子「えーっと」 さわ子「彼氏が欲しいです」 さわ子「なんちゃって、今のは無しでお願いしますね」 さわ子「お賽銭は・・・」 さわ子「あら、一万円札しか無いわ」 さわ子「・・・ま、いっか!」ヒョイ さわ子「あの子たちが全員志望校に合格しますように!」パンパン さわ子「一万円入れたんだから絶対叶えてよね神様!」 さわ子「駄目だったら承知しないから!」 さわ子「・・・さてと」 さわ子「今度こそ帰ろ」 翌朝 さわ子「おはようございます」 掘込「おはようございます、おや?」 さわ子「何か?」 掘込「教師の貫禄が出てきたな」 さわ子「えっ」 掘込「ま、まだ学生みたいな顔だが」 さわ子(嬉しいような悲しいような) 掘込「しっかりやれよ」 さわ子「・・・はい、ありがとうございます」 教室 和「登校する子も大分減ってきたわね」 風子「そうだね」 唯「和ちゃん風子ちゃんおはよー」ガラッ 和「おはよう、唯」 風子「おはよう」 唯「あのね、昨日さ」 和「あ、もう席について」 唯「えー」 和「ギリギリに来るから」 唯「そうだけどさー」 さわ子「みんなおはよう」ガラッ 唯「おはよー」 さわ子「ほら席について」 唯「はーい」 さわ子(さて、今日も頑張ろ!) 和「起立、礼、着席」ガタガタ さわ子「それじゃホームルームを始めます」 おしまい 戻る
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30 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/06/14(金) 10 23 55.64 ID X6bJuUwV0 ダブルスタンダードと前スレの最後の流れで思い出した。 ここって卓ゲーのスレでTRPG限定じゃあなかったんだな。 ということで昔あったMTGっていうカードゲームで出会った困の話でもしてみる。 俺はビートダウン(攻撃用生物で、とにかく相手を殴り倒すタイプのデッキ)。 相手はロック(相手を何も行動できないように縛りつけるタイプのデッキ)を使ってくる奴。 ただロックは、相手を縛り付けるための中核となるカードをピンポイントで破壊されたりすると途端に弱くなるタイプのものも少なくない。 で、初戦にそいつはロックが一通り完成して俺が何もできなくなっても、ずっとこちらを嬲るように決着までゲームを進めた。 その後、サイドボード(15枚ほど用意できる二軍枠みたいなもの。一戦ごとに60枚で構成されているデッキのカードと自由に入れ替え可能) から相手の中核カードを徹底的に潰すことのできる、相性の良いカードを入れてきて再挑戦。 目論見通りそいつのキーカードを無力化し、俺の勝ちが濃厚になったその瞬間にそいつは投了した。 さらに三戦目ではカードの引きが悪く、よしんば対策カードを引いても最早それを使用できないほど完全にロックされてしまったので投了を宣言したら 「何勝手に投了しようとしてんだよ、ちゃんと最後まで戦い抜けよ」なんて言われた。 さすがに「お前が言うな」と言ってやったが 「ロックは相手へ止めを刺す手段が整うまで時間がかかり、抜け出せる隙ができる可能性がある。お前が勝てる可能性は0ではないので投了するのは間違っている」 「でも自分のロックが破られた場合は、唯一の勝ち手段を潰されるのだから、自分が勝てる可能性は0になるので投了するのは正しい」 とか言い始めた。 「二戦目であんたが土壇場で二枚目のキーカードを引いてきて、俺は対策カードを持ってないって状況になる可能性だって0じゃなかったろ。なんで投了したんだよ」 と聞いてみたら、なんかいきなりキレられた。 「屁理屈ばっかり吐くキチガイは相手しとられんわ!」 とわめいて、自分のカードをさっとリュックに放り込み、俺のデッキを掴んでこっちに力いっぱい投げ付けて、そのまま去っていった。 カードはめちゃくちゃに散らばり、その上カードが一枚無くなっていた。 31 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/06/14(金) 10 41 29.69 ID vuPKtJSBO [1/2] 乙 災難だったな…つか盗難か? 「自分は良くて他の奴は駄目」って奴はアレか、神(無論邪神とか暗黒神)に妙な啓示でも授かってるのかねぇ 32 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/06/14(金) 10 57 38.93 ID DYsL8GOf0 [1/2] 報告乙 対戦ゲームでは、勝ち負けにこだわりすぎて「相手も自分も楽しむ」って視点は欠落しがちよな 33 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/06/14(金) 10 59 49.84 ID bIIRqH/TO [1/2] 乙 TRPGでも負けたくないって奴いるしねぇ 将棋や囲碁でもいるんだろうなぁ スレ354
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_,,....,,_ _人人人人人人人人人人人人人人人_-''" `''> ゆっくりしていってね!!! <ヽ  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄ | ;ノ´ ̄\ \_,. -‐ァ __ _____ ______ | ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.__ ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、_,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7 'r ´ ヽ、ン、 rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/`7 ,'==─- -─==', ir-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' ,ゝ レリイi (ヒ_] ヒ_ン ).| .|、i .||`! !/レi' (ヒ_] ヒ_ン レ'i ノ !Y!"" ,___, "" 「 !ノ i |,' ノ !'" ,___, "' i .レ' L.',. ヽ _ン L」 ノ| .| ( ,ハ ヽ _ン 人! | ||ヽ、 ,イ| ||イ| /,.ヘ,)、 )>,、 _____, ,.イ ハ レ ル` ー--─ ´ルレ レ´ 名前:ゆっくりしていってね!!! 性別:女? 原作:東方Project二次創作 一人称:ゆっくりしていってね!!! 二人称:ゆっくりしていってね!!! 口調:ゆっくりしていってね!!! AA:2ch/元ネタ有り/ゆっくり/ゆっくりその他/ゆっくり:博麗霊夢 初出は不明ながら、いつの間にか2ちゃんねる東方スレで発生し流行していたアスキーアート。 東方Projectの霧雨魔理沙(左。ゆっくり魔理沙)と博麗霊夢(右。ゆっくり霊夢)を デフォルメして、全く別のキャラクターとなっている。亜種?もものすごく多数確認されている。 格闘ゲームツールM.U.G.E.Nとも縁が深いキャラで、当時流行していたMUGENに 「SofTalk」などの読み上げツールが用いられたキャラが投入されると、これが広く認知される。 そこからゆっくりを始めとした読み上げツール+キャラ絵実況が発展していき、 ゆっくりを使用したもの自体すら現在も一部生き残っている。 キャラ紹介 やる夫Wiki Wikipedia アニヲタWiki ニコ百 ピクペ 登場作品リスト タイトル 原作 役柄 頻度 リンク 備考 パルスィは宿を繁盛させたいようです オリジナル 12人目の常連客(?)ダイジョーブ博士によって生み出された 常 まとめ 予備予備2 wiki 安価 完結 マスターやらない夫 オリジナル 店のマスコットふらんの創造した愛玩動物 常 まとめ 予備rss やる夫Wiki 完結 できる夫がバトロワな修学旅行へ行くようです バトル・ロワイアル BR法プログラム推進委員会委員長(霊夢)と副委員長(魔理沙) 準 まとめ 完結 やる夫で学ぶJリーグの旅 学ぶ(サッカー) 作品の進行役だが、たまに役を奪われることも 準 まとめ 不定期連載 コミュ障のやんねえ香は仲間を求めるようです オリジナル モンスター、ほぼ無害だがすごくウザい 脇 R-18 完結 やる夫のダンジョンマスター ダンジョンマスター ダンジョンの食料担当モンスター、スクリーマー役 脇 まとめ 予備予備2 完結 キル穂は破壊神のようです。 勇者のくせになまいきだ ニジリゴケ役(ゆっくりゴケ)、最弱モンスターで全ての養分の源 まとめ 完結 短編 タイトル 原作 役柄 リンク 備考
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ここは試合会場の山岳地帯。 青と白の縦じまの服に、青い髪をした少年が一人いた。 (一体ここはどんなダンジョンなんだ……?) あてもなく辺りを歩き回っているのは、大商人トルネコの一人息子、ポポロである。 少年の無垢な蒼い瞳に映るのは、どの国でも見ることが出来そうな、茶色や黄土色、焦げ茶色、時として灰色。 様々な種類の岩が混ざった山岳地帯。 しかし、ポポロは警戒心を解かなかった。 風景こそはありふれているが、いつものダンジョンと同じ雰囲気が漂っていた。 彼とてただの12歳の少年ではない。 自分でダンジョンを攻略し、魔物を倒し、時には従え、やがて父トルネコさえも石にした巨悪、ヘルジャスティスを倒すことに成功した。 (パパはいるのだろうか……ひょっとしてママも?) 歩きながら、やはり頭たびたび浮かぶのは両親の顔。 参加させられているのか、そうでないのかも分からないが、もしいるのなら是が非でも会いたい。 父なら間違いなく良き協力者になれるし、母がいるのならまた自分の手で守りたい。 (ダンジョンで困ったときは、持ち物を確認しなさい。そうすればきっと、道は開けるよ。) バリナボ村で、自分が一人で父親のたどった道を歩きたいと言った時に、父がかけてくれた言葉。 父はかつて共に冒険した冒険した勇者や戦士のように、強い力は持っていなかった。 そんな父だが、道具に対する知識や眼力は、誰よりも優れていた。 父に言われたことを思い出し、支給された鞄を開ける。 最初に出てきたのは、保存の壺とは似ても似つかぬ丸い容器と、黒と黄色の缶に入った液体が出てきた。 (これが、食料かな?) いつの間にやら鞄に入っていた食料と飲料。 いつもダンジョンに入るとき、いつの間にか大きなパンが支給されていたポポロにとって、特に受け入れがたい事実ではなかった。 ただ、受け入れがたかったのは、それが食べ物であったということだ。 (こんな干からびたモンスターの脳みそみたいなのが本当に食べられるのか?) 乾麺というものを見たことのなかったポポロは、若干の嫌悪感を催した。 (それにこの缶のマーク、18歳以下は飲めないんじゃないのか? まあ腐ったパンだって食べても大したことはなかったけどさあ……) 巻物に書かれているダンジョン文字のような、複雑な字を読めないポポロには、カップ麺の作り方は分からなかった。 食べ物と飲み物は置いといて、ほかに何か入っていないか確かめる。 最初に出てきたのは、黒い色をした日本刀。 それを見て、ポポロはすぐに鞄に仕舞った。 ダンジョンでも父が装備できるような、剣や盾は装備できないポポロに、かつての持ち主に似合った汚らしい邪剣は無用の長物だった。 (せめて爪の一つでもあれば……何かゴソゴソ動いてる?) モフモフした手触りの何かが、鞄の底で動いていることに怪しく思ったポポロは、「何か」を思いっきり引っ張る。 「ワッホ〜ン♡」 「うわっ!!」 それは出るや否や突然ポポロの顔を舐め回した。 直線状にいたからという理由で仲間のモンスターに矢で射られた経験があったポポロでさえ、出合い頭に顔を舐められるのは予想していなかった。 「キ、キミ、モンスターなの?」 ポポロの問いかけにも答えず、デッサンが狂ったような、どこかロールパンにも似たようなデザインをした生き物は、彼の蒼髪をガジガジと噛んでいる。 (うーん。モンスターじゃないのかなあ……。) 仲間のモンスターに話しかければ、鳴き声であれ人の言葉であれ何か反応があった。 髪の毛をガジガジするモンスターなんて、混乱したモンスターや、バーサーカーでさえあり得ない。 「へえ……キミ、ポチって名前なんだ。誰かに飼われていたのかな?」 よくよくモンスターを観察すると、名前が書いてあった首輪が見つかった。 「ワン!ワン!ワン!」 突然ポポロの頭から飛び降り、地面を掘り始めた。 「え?今度はどうしたの?」 『ここ掘れワンワン』というばかりに、ポチは協力を求める。 「え?掘れってこと?」 そのまま一人と一匹で穴を掘り続けると、そこから何かが出てきた。 地面から出てきたそれは、大きな下着だった。 「え!?これって……。」 それは間違いなく、家で父がよく履いていたステテコだった。 彼の世界では、多くの成人男性が家で、時としては冒険中に履いていたことを、彼は良く知らない。 (よくわからないけど、パパのステテコがあることは、パパも参加させられているのかなあ……。) 「ワン!!ワンワン!!」 再びポチが大声を上げた。 「え!?今度は何があるの?」 また何か埋まっている宝があったと思いきや、それは違った。 「GOB!」 ポチが吠える先には、見た目の醜悪なゴブリンがいた。 ゴブリンはポポロと目が合うや否やジャンプし、そのまま攻撃を仕掛けた。 「危ない!!」 ポポロは上手く躱して、その攻撃をしのぐ。 彼がいた場所に、小さな穴が開いた。 彼も魔物うごめくダンジョンを何度も潜り抜けてきた経験がある。 戦闘経験だってないわけじゃない。 倒した魔物を使役して、より強い魔物を倒すことが出来る。 「よし、ポチ!あいつを倒そう!!『バッチリがんばれ』!!」 いつものように仲間に命令を下す。 「ワンワンワン!!」 「……………。」 しかし、ポチは明後日の方向、崖の下へ逃げていった。 「おい!そっちじゃないよ!!」 しかし、ゴブリンはポチと飼い主のコントを待つほど、我慢強い生き物ではない。 「GOB!!GOB!!」 今度は爪を立てて襲い掛かってくる。 避けきれず、愛用していた服にいくつかの裂け目が出来る。 既にポチの姿は見えなくなっていた。 「こうなったら、キミを倒して、仲間にするしかないか……。」 ポポロは戦いの覚悟を決めて、ゴブリンへ拳を向ける。 爪はないが、ポポロのパンチが怪物に刺さる。 (そこまで強いわけじゃないみたいだな……。) 今度は怒ったゴブリンが攻撃を仕掛ける。 しかし、動きは単純なため、躱すのは容易……そのはずだった。 (しまった……崖だ……!!) しかし、後ろに飛びのいた先で、地面が崩れた。 「うわあああ!!」 そのまま耐え切れず、崖の上から落ちる 敵から逃げた先で罠を踏み、予想外のピンチに至ったことはダンジョンでも経験したことだった。 まだ自分はダンジョンの経験が足りないなと思うが、苦汁をかみしめている場合ではない。 落ちても受け身をとれば多少のダメージで済みそうな高さだが、落ちた先は鋭利な岩で覆われていた。 「え!?」 しかし、ポポロの背中を、尖った岩ではなく、モフモフした何かが受け入れる。 「ワン!!」 先ほど崖の下へ逃げたポチが、ポポロを背中で受け止めたのだ。 そのままポチはダッシュで進み、平地に着いた所でポポロをポイッと投げ捨てた。 「痛っ!!でも助かったよ。ありがとう!!あんな所を走ってもケガしてないなんて、凄いんだね!」 「ワホ〜ン♡」 ポポロは知らないことだが、彼は背中は柔らかく、足は頑丈だ。 つまり、外はサクっと、中はフワっとしている。 恐竜が踏んでも一発でアウトなマグマやトゲの床も、彼にかかれば問題なしである。 ポチは自分が出てきた鞄を漁り、湯も入れていないカップ麺を器ごとバリバリ食べ始めた。 「え……!?もしかして、それが欲しかったの!?」 「ワンワン!!」 しかも消化は早いのか、食べ終わると瞬く間に立派な物を、岩陰に出した。 (やっぱり大丈夫かなあ……。) 飼い主の心配は、続く。 【ポポロ@トルネコの大冒険3】 [状態]:健康、服に裂け目、精神的疲労(小) [装備]:なし [道具]:基本支給品(カップ麺なし)、邪剣『夜』@BB先輩劇場シリーズ ステテコパンツ@ドラゴンクエストシリーズ ランダム支給品×0〜1 [思考・状況]基本行動方針:殺し合いには乗らず、脱出を目指す。 1:パパ(トルネコ)やママ(ネネ)は参加させられているのかな? 2:ポチ以外にも仲間を作りたい 3:このバカ犬と呼ぶべきなのか? [備考]:ヘルジャスティスを撃破後 ※原作で巻物が読めない・書けないように、難しい漢字やアルファベット、その他難解な造語などは読めません。 【支給品紹介】 【ポチ@ヨッシーアイランドシリーズ】 [状態]:健康 思考・状況]基本行動方針:おなかいっぱい 【備考】イメージは「スーパーマリオくん」19〜21巻のポチですが、違うイメージでも問題ありません。 また、漫画版のように尻尾を引っ張ると特別な技が使えるかどうかは、別の書き手にお任せします。 ポポロに支給された犬のような生き物。 初登場した際は巨大な顔に大口、白目という中々奇抜な造形をしている。 トゲや溶岩・毒沼といったヨッシーが落ちるとミスになる場所でも物ともせずに突き進み、ヨッシーが倒せない敵(カチカチくん等)も体当たりで一方的にやっつけられる。 ただし、持ち主の思い通りに動いてはくれない。 作品によっては地面に埋まっているものを教えてくれる。 【邪剣『夜』@BB先輩劇場シリーズ】 田所家に伝わる伝家の宝刀。黒い日本刀のような姿をしている。 そのまま剣として使っても強いが、「焼いていかない」の言葉で炎を、「バッチェ冷えてますよ」で氷を、「爆砕かけますね」で爆発を出せる。 クロコダインのグレートアックスみたいなもの。 【ステテコパンツ@ドラゴンクエストシリーズ】 ポポロが持っているでかい下着。何故かバトロワ会場に埋まっていた。 彼の父トルネコをはじめ、成人男性なら装備できる。装備すると防御力はそれなりに上がるが、かっこよさがものすごく下がる。 このSSが面白かったなら……\ポチッと/ コメントはご自由にお使いください 名前 コメント すべてのコメントを見る
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俺がその事に初めて気がついたのは、春も終わり、季節が変わろうかというくらいの事だった。 その日は朝から雨で仕事も無く、家で手前の大工道具を整備していた時の話だ。 自分以外誰もいない部屋の下から、何やら物音がする。 最初は猫か犬やらの類かとも思ったが、よくよく耳を澄ましてみればどうにも人間の会話である。 泥棒が暢気に床下に潜んで……などと言うことはあるまい、それならば思いつく生き物はひとつしかない。 気づかれぬようそっと縁の下を覗いて見れば、案の定そこにいたのはゆっくりだった。 「ゆっくりまにあったね!」「ここならあめもはいってこないね!」「ちばらくゆっくりまってようね!!」 どこにでもいるようなゆっくりれいむの家族が、床下に入り込んで雨宿りをしているようだった。 ……まぁ、雨宿りくらいなら別に構わないだろう。 俺自身は、特にゆっくりと言う生き物に嫌悪感などを持っている訳ではない。 親父も俺も、大工として生計を立てていたので、畑を荒らされたりした経験も無い。 「家に入って荒らされた」なんて話も、俺から言わせりゃ間抜けと不用心の極みだとしか思えなかった。 空き巣ならまだしも手も足も無い生き物に侵入されるなんて、戸締りのひとつでもしときゃ済む話、単なる自業自得だ。 命を粗末にするなと言う親父の教えもあったかも知らんが、そうでなくとも生き物を殺していい気分になんてとてもじゃないがなれやしない。 仕事仲間の、昨日はたまたま見つけたゆっくりどもを何匹潰しただの、腹いせに踊り食いしただのなんて話は、正直聞いていて不愉快で仕方が無い。 野生には野生の、人間には人間の領分はあるだろうし、それを犯したものが何らかの反撃や報いを受けるのは仕方ないだろう。 だが、基本的に向こうが何もしてこない限り、こちらも何もしない。 何かされたとしても、できることならさっさと逃げるか逃がす。 野生の生き物だけでなく、人間以上の力を持つ妖怪や妖精なんてものがごろごろいるこの幻想郷で生きていくにはその方が都合がいい。 だから、俺は餌をやることも存在を示すことも無く、そのまま放っておく事にした。 何日か過ぎてから、ふと思い出して床下を見ると姿は無く、住処にしようとしている形跡も無かった。 それからしばらくは天気が良く毎日仕事があった事もあって、俺はその存在を半ば忘れかけつつあった。 そして時間は過ぎて、今度は梅雨に入ったくらいの時。 大工にとって、この時期ばかりはどうにもならぬ。 瓦を乗せる所まで行っていればまだ何とでもなるのだが、今年はそうは行かなかった。 普通なら棟梁も梅雨に入る時期は余裕を見て早めに仕事にかかるものだが、今回は古いお得意様からの急な依頼と言う事で、やむなく予定を割り込ませて始めたのだ。 そのためにぎりぎりで瓦を乗せる所まで間に合わず、今の有様になっている。 降るのか止むのか、長いのか短いのか。 お天道様には敵わないのでどうしようもないし、いつまで続くかも分からんので無駄に金も使えない。 そんな時だ、床下からあの声が聞こえてきたのは。 おいおい、まさかまた来たんじゃないだろうな。 いつぞやのように覗いて見れば、そこにいたのは成体になったくらいのゆっくりれいむとゆっくりまりさだ。 ……正直な所、ゆっくりの個体の見分けなんざまったくつかんので、れいむの方があの時の奴と同じ奴かどうかまでは分からんが。 考えてみれば、この家の場所は山と草原の間くらい。 遊んだり餌でも取りに来たりしたゆっくりが山から草原へ、あるいはその逆へ。 雨に打たれて住処へと慌てて戻ろうとするのなら、真ん中くらいのここは雨宿りするのにはちょうどいい場所なのだろう。 ま、しょうがねぇか。 雨が止めばこの前のようにどっかに行くだろう。 それよりも、とっとと止んでくれねぇモンかな。 俺の頭を占めるのは、そいつらのためではなく俺の給料のためにいつ雨が止むかということだった。 幸いにも今年の梅雨は短かったらしく、いつもよりは早く夏の日差しが照りつけ始めた。 瓦を乗せられなかった所為で生じた遅れを取り戻すため、俺は何時にもまして働きづめの毎日を送っていた。 朝から日が暮れるまで働き、終わった後は皆で飯と酒。 家に戻れば疲れもあって風呂もそこそこに即寝床行き。 なかなか雨が降る事も無く、定期の休みも疲れて寝ているか、外で時間を潰すかだったので、俺は床下で起こっていた事にまるで気づかなかった。 それは、今にして思えば俺の一生を大きく変える出来事だったのだ。 「それ」に気がついたのは全くの偶然だった。 ある休みの昼前、飯を外に食いに行こうか家で済ませるか、縁側でぼーっと考えていた時だった。 視界の端、玄関の方で何かの影が動いたように見えたのだ。 立地条件もあり、連れくらいしかあまり訪れる事も無い家だが動物か何かだろうか。 もし客人なら対応せねばなるまいと、億劫ながらも草履を履いて玄関に向かう。 だが、そこには誰もいない。 見間違いかな、と思った時だ。 今度ははっきりと黒い何かが見えた。 ありゃあ……ゆっくりまりさか? にしてもこんな所で見るとは。 ここらあたりに畑は無いし、真っ昼間から単独行動とは珍しい。 興味を持った俺は、音を立てぬようにそっと隠れると、角から顔だけを出して行き先を探った。 するとそのまりさは、さっき俺が居た縁側とは反対の場所から床下に入って行ったではないか。 今抱いた興味なんぞ一瞬でどこかへ吹っ飛んでった俺は、慌てて床下を覗きこむ。 ……やられた! そこには判りにくいが、まりさの他にゆっくりれいむまで居た。 今は晴れている、よって雨宿りなどではない。 恐らく梅雨時のあいつらだろう、いつの間にか住み着かれていたのだ。 それを示すように、れいむの周りには藁などが集められており、あからさまに住居の態を成している。 しかも、れいむの頭の上には蔓が伸び始めているではないか。 縁の下ならばすぐに気がついて追い出したかもしれないが、最近の忙しさに加え、家の奥手、普段長居する事の無い部屋の下だったので発見が遅れたのだ。 さて、どうしたもんか。 とは言え、さすがに子供までこさえた所を追い出すのも気が引ける。 だが、家の中にこいつらをあげようなどという気にまではならない。 上げたら最後、その餡子脳で愚かにもここが自分の家だと主張するに決まっている。 そうなったらば、俺の方が我慢できるか保障はねぇしな。 しょうがねぇ、子供が生まれるか害が出るまで現状維持か。 それから俺とゆっくりの奇妙な共同生活が始まった。 一応上に人間がいる事には気がついているらしい。 不思議と表に出る所を見ないので、わざとあちらに見えるように足を下におろし、棒の先に鏡をつけて覗いて見ると毎回ちゃんと俺が居る所の反対側から出て行くのだ。 1日中のんびりと見ていると、まりさは何度も餌や水を運び、甲斐甲斐しく動けないれいむの世話をしていた。 どうやらこの2匹、つがいになったのが今年なら、子供が出来るのも初めてらしい。 大工道具の整備も終わり、やる事も無くなった俺は出て行くでもなく真上の部屋でゆっくりの会話を聞いて時間を潰していた。 これが意外と面白い。 人間でも同意できる事、突拍子も無い事。 ゆっくりの餡子脳とは言えそれなりの考えはあるらしいが、大抵間が抜けているものばかりで下手な笑い話より笑いをこらえるのに我慢しなきゃならん。 「あかちゃんはやくおおきくなるといいね!」 「そうだね! ゆっくりしないではやくあいたいね!」 「れいむあかちゃんにおうたうたってあげるよ! ゆ~ゆゆ~♪ ゆっゆ~ゆ~ゆ~♪」 そうしているうちに、調子外れな歌まで歌いだした。 こいつら隠れているって自覚はあるんだろうか。 それともお決まりの「ここはわたしたちのおうちだよ!」なのだろうか。 ふむ、それだと困るな。 生まれるまでは待ってやると決めたものの、味を占めてこれからずっと住み着くというのはさすがに困る。 俺がそのつもりでも、向こうがどう思っているかは判らない。 ……判るかどうかはさておき、一度話くらいはしてみるか。 俺は部屋の畳を移動させると、真上の床板を一気に捲りあげる。 頭上からの音に警戒していたのだろう2匹と真正面から見詰め合う形になった。 しばらく呆然としていた2匹だが、思い出したようにまりさが俺かられいむを守るようにその前に移動した。 「お、おじさんだれ!? ここはまりさとれいむのおうちだよ! はやくここからでていってね!!」 おお、これだこれだ。 なるほど、実際に面と向かって言われてみれば確かに腹が立つな。 しかしまぁ、判ってて住み着かせてやっていたのは俺だから、ある意味仕方ないといえば仕方ないか。 「あのな、お前そうは言うが、上に俺が住んでいるって分かってはいたんだろ? 毎回律儀に俺の足が出てない方から外に行ってたよな?」 その俺の言葉に、まさか見つかっているとは思ってもいなかったのだろう、2匹の顔が一気に青ざめる。 あんだけ普通にしゃべったりしてて見つかっていないと思うとか、やっぱりおっそろしく緩い頭だなこいつら。 「で、でもまりさたちがきたときここにはだれもいなかったよ! おじさんじゃこんなせまいところはすめないからやっぱりここはわたしたちのおうちだよ!!」 子供を守ろうにも蔓があるため動けず、震えるだけのれいむの前に立ちながら、まりさが必死に自分の居場所を主張する。 なんだ、ゆっくりにしちゃマトモな感じじゃないか。 だがゆっくりよ、お前らには判らんだろうがそこには基礎や上まで通った柱があってだな、それも含めて「家」っていうんだ。 だからそこの空間の事を「床下」って言うんだぜ? おっと、それは置いておいてだ。 れいむの方よ、そんなに震えてたら蔦が折れるか子供が落っこちちまうぞ。 そもそもだ。 「あのな、話をちゃんと聞け。俺はお前らを追い出しに来た訳じゃないんだ」 「ゆ! にんげんはしんようしちゃいけないっておかあさんがいってたよ! どうでもいいからゆっくりどこかにいってよね! まりさたちのこどもにはてをださないでね!!」 しかし俺の言葉にまりさはまるで耳を貸さない。 これも子を守る親の愛情って奴かね。 まぁそれも命の瀬戸際まで追い込んでやればあっさりと裏切るって言うが。 とはいえ、それは俺がやりたい事じゃあない。 それに信用できないとか言うなら、その人間と思いっきり生息圏が重なる場所に住むなよ、その、とにかく色々危ないじゃねぇか。 「だから、そいつの話だってんだ。子供が居るのに追い出すなんて俺ぁしねぇよ。俺は、お互いがここで暮らすための約束の話をしに来たんだよ」 下はともかく、上は人間がいる場所だという認識はあるらしいので、これはれっきとした共同生活だ。 俺はゆっくりにも分かる様に時間をかけてなるべく丁寧に説明してやる。 ひとつ、床下は少なくとも子供がちゃんと生まれるまでは使わせてやる。ただし、上の家には絶対に上がらない事。 ふたつ、子供が生まれた後も育つまでは様子を見て待ってもいいが、住み続けるのはやめてもらう。 みっつ、喋る位は構わんが、むやみやたらと騒ぐな。特に夜。 よっつ、虫や野生の動物が寄ってこられても困るから、できる範囲でいいしゴミを散らかすな。 「もし破ったら……そうだな、お前らを殺したりはしないが、1回破るごとにお前らの頬を1つまみずつちぎりとって、ついでにその頭の子供も1匹もぎ取る」 やはり子供は大事なようだ、その言葉に2匹は震え上がりながら必死で頷く。 さて、これじゃああいつらに押し付けばかりだ。 約束とはお互いがするものだから、俺からもその分何かをせねばなるまい。 その代わり、お前達が約束を守る限り、絶対に子供やお前達を痛めつけたりも追い出したりもしないし、俺が家に居るときくらいは守ってやる。 俺自身もその事を約束して、床板をそっと元に戻していった。 これで上手くいけばいいんだがな。 ゆっくり相手に理性的な話はどこまで通じるんだろうか。 とりあえず、不安ばかりだ。 それからしばらくはやはり忙しくゆっくりに気を回す余裕などなかったが、ゆっくり達はちゃんと約束を守っていた。 そもそも戸締りをしている事もあって家の中には入られなかったし、夜は夜で俺よりも早く眠りについている。 不安定な樹上に子供が居るからか盛ることも無かったし、餌も昆虫や植物など口に入りきるものがほとんどなので、口移しで綺麗に食わせられるようだ。 あまりしっかりと見る機会も無かったが、8匹の子供はゆっくりと、だがしっかりと大きくなっているようだった。 それなら、いい。 たまに俺が覗いたりするものの、それ以外はほとんど干渉する機会も無く、それでも上手く生活できていた。 だが、ある日からまりさの姿を見かけなくなった。 どうにもおかしいと気がついたのはこれまたしばらく雨が降り続いた日だ。 床下を暇つぶしに覗いてみると、れいむだけしかいなかった。 体が濡れるとふやけて崩れてしまう恐れのあるゆっくりは、雨の時はまず外に出たりはしない。 また畳と床板を剥がして話を聞いてやると、一昨日の夕方に餌を採りに行ったまま戻ってきていないと言う。 「案外お前よりかわいいゆっくりを見つけて一緒にどっか行ったんじゃねぇの?」 「ま、まりさはそんなことしないよ! いままでずっといっしょにいきてきたんだもん!! そ、それにあかちゃんだってはじめてなのに!!!」 冗談めかして言ったつもりだったんだが、えらい剣幕で怒られた。 おいおい、これじゃなんか俺が悪役じゃねぇか。 餌はどうしたと聞くと、「食べてない」 蓄えも、約束を律儀に守ってか単にまだ夏だからか判らないが、準備していないらしい。 しまったな。 雨が続いた時の事を完全に失念していた。 「雨が降り始めたのも……一昨日の夜くらいだったな。もしかしたら戻ってくるのが間に合わなくてずっと雨宿りしてるだけかもしれねぇしさ、ゆっくり待ってろよ、な?」 そうは言ってみるが、まるでれいむの表情は晴れない。 もしもいぬとかれみりゃとかにあってたらどうしよう、れいむのごはんさがすのひっしになっちゃってあめにぬれてたらどうしようなどとと喚くばかりだ。 とりあえず明日も雨が降るようなら朝から、止んだら仕事から戻ったあと探してやる。 正直早く寝たかったので、静かになるようそれだけ言って俺はまた床を元に戻した。 ……悪いな、今日の夜で雨は止むよ。 天気が仕事に関わる以上、こういう事には自然と聡くなる。 それに、だ。2日とはいえ戻ってこない時点で普通は覚悟はしとかなきゃならないもんだろうが。 案の定その日の朝には雨は止んでいた。 久しぶりの仕事だ、俺にだって生活はある。 それに、ゆっくり達の面倒まで見てやるとまでは言っていない。 仮にまりさがなんらかの理由により死んでいたとしても、それは野生に生きている以上仕方の無い事だ。 むしろ、森より安全な人間の所に住めている事、その人間にたまたま殺されない事、それが既に幸運であるというのをこいつは理解しないといけない。 野性のもの、違うものとはお互い不必要に干渉し合わない、それが俺の生きていく中でのルールだ。 だから俺は、お前らの事よりも俺の暮らしのために仕事に行く。 ……それの何が悪いんだ。 何故朝っぱらからこんな憂鬱な気分にならねばならないのか。 その日はただ仕事に行った、それだけだったように思う。 いつもより若干急ぎで戻った俺は、家に入るよりも先に床下を覗く。 こちらを見ているれいむと目が合った。 まだ、戻ってきていない。 どうすんだよ。 飼ってる訳じゃねぇし。 片親が死ぬなんざ、よくある話だろ。 そんで残った方も死んじまうったってしょうがないさ、餌が無いんだから。 ……ああ、しょうがねえよなぁ。 荷物を玄関に投げ捨てると、俺はそのまま適当に走り出した。 ゆっくりの餌場なんざ知る訳が無い。 だから、手当たり次第に走る。 それしかできない。 だが、明かりを持ってこなかった俺は、日が沈みはじめ、辺りが暗闇に包まれだした時点で戻る事しかできなかった。 れみりゃ程度ならどうでもいいが、妖怪や野犬の群れに襲われたら俺の方が危ない。 家に戻った時にはもう完全に日は落ち、床下を覗いてもはっきりとは見えない。 しかし、何の声もしない時点で結果は明白だ。 俺とすれ違いで帰ってくるなんて、世の中そんなに上手い話が早々あるはずが無い。 俺だって探したんだ。 仕方、ねぇだろ。 今日何度目だろうか。 自分でも分かる、明らかに力の篭っていない声が漏れた。 そのまま部屋に戻ると床板を上げる。 れいむと目が合う。 俺は何も言わずにれいむをそっと抱き上げた。 頭の上の蔦は多少細くなっているが、まだ大丈夫そうだ。 だが、こいつはそれ以上に痩せて乾いている。 とりあえずあの部屋には置いておけないので、隣の部屋に移り座布団の上にそっとおろしてやる。 「……この部屋だけなら使わせてやるよ。戸締りも出来るから安全だし、飯も仕事ある日は朝と夜だけになっちまうけど俺がちゃんと食わせてやるし、な?」 「う……う、う、う゛…………い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!!」 俺のその言葉で、ようやく現実を受けいれざるを得なくなったのだろう、れいむが泣き出した。 居なくなった日も、その次の日も、昨日も、今まで一度も泣かなかった分全てが一気にあふれ出たように泣き続ける。 「どうじで!? なんでまりざがぞんなひどいめにあうの!? ちゃんとやぐぞぐだっでまもっで、まりざ、やざじぐで、がじごぐで!! ぜっがぐ、れいむどあがぢゃん、やだ、そんなのやだ!!! おじざんどうじで!? みんななんにもわるいごどじでないのに!!! はじめでの、あがぢゃん、まだみでないのに!!!! なんで!? どうじで!? おじざん、れいむこんなのやだよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!!!!」 悲壮で、あんまりにも悲痛だ。 犬猫やら鳥だのだって家族を亡くした時にそういう行動をする事はあるが、なまじっか人語なだけに余計強烈だ。 畜生、何だよ、俺が悪いのか。 ハナっから俺が家に上げてやりゃ良かったってのかよ。 ひたすらに責められているような気がして、俺はその部屋を飛び出して自分の部屋に戻るなり酒を煽った。 今更飯を食う気にもなれねぇし、のんびり風呂に入る気にもならねぇ。 耳をふさごうがどこに居ようが、この声が聞こえない場所はこの家には無いだろう。 なにより、胸糞悪さで今日は素面ではいられそうもなかったのだ。 「……おじさん! おじさん、おきてね!!!」 それからどれほど経ったのだろうか。 酒を散々煽りようやくうとうとし始めた俺は、れいむの切羽詰った声に意識を呼び戻された。 泣きつかれたら腹でも減ったのだろうかと、どこか刺々しい感情で思う。 襖を開けると、あれからどれだけ泣いたのだろうか、顔はふやけ、座布団からも滴るほどの涙を流したれいむがそこに居た。 「おじさん、そこのまどをあけてね! おねがいだからはやくあけてよね!!!」 一体こんな時間になんだって言うんだ。 いっそれみりゃに食ってもらいたいとかそういうんじゃねぇだろうな。 別に開けるくらいいいけどよ、と、開け放った外には夜の闇が広がっている。 時計を見ると時間はちょうど日付が変わったところだ。 「まりさーーーーーっ!!! ま・り・さあああ あ あ あ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 突然。 れいむが大声を上げた。 先ほどの泣き声よりも、大きかったかもしれない。 頭の蔓がびりびりと震えて落ちそうになるほどの、体全体で発する声。 「おい、止めろ、せっかくの子供まで落ちちまうぞ!」 食事もずっと取らず、先ほどまでひたすら泣いていたこの生き物の、どこからこれだけの力がやってくるのだろう。 急速に酔いが醒めていく心のどこかでそんな場違いな事を思いつつ、慌てて静止するがれいむは叫ぶのをやめようとしない。 こいつなりの、別れの儀式のつもりだろうか。 それとも、こいつは何かを感じているのだろうか。 俺には何も見えない。 何も聞こえない。 何も、分からない。 れいむはひたすら叫び続ける。 俺は止める事を諦め、ただれいむと外とを見つめ続ける。 「まりさー! まりさ!! まーりーさーーーーー!!!」 その時だ。 れいむの声質が変わる。 叫びから、呼びかけへと。 そして、俺の目にも。 暗闇の中、ぼんやりと動く何か。 れいむの声に押されるようにして俺は走り出す。 近づいていくにつれて少しずつ浮かび上がる、白いリボンを巻いた黒の帽子のシルエット。 泥やらなにやらでぐちゃぐちゃに汚れ、さらに濡れたせいか三角の形も保っておらず所々破れているが、まりさ種の帽子に間違いない。 生きていたのか。 ……生きていてくれたのか! だが、その動きは普段の大きく跳ねるものではなく、ずるずると、地べたを這いずる弱々しい動きだ。 「よーしよしよし、よく帰ってきたなぁ!」 思わず俺の声も弾む。 だが、近づくにつれ判別できてくる様子を見て俺は息を呑んだ。 なんだこりゃあ。 まりさの全身は何かに引きちぎられたような傷だらけになっていた。 そのうちいくつかの場所は、はっきりと中身が露出してしまっている。 その中身の餡子も雨に濡れたのかどろどろになり、こうしている間にもじわじわと流れ出ていく。 這いずるようにして戻ってきたためか底も石と傷だらけで、その様子は皮というよりはまるで石畳のようだ。 ……ああ、でも。 そうまでして、それでも帰ってきたかったのか。 ……そうだな、家族がいるからな。 ここには、お前の帰る場所があるものな。 「れぇむ、あかちゃん、まりさ、もうすぐ、かえるからね…………」 もういい、喋るな。 動かなくてもいいよ。 俺が連れて行ってやるから。 連れて帰ってやるからな。 俺は上着を脱ぐと、これ以上動かして負担をかけぬように、その中に包み込むようにしてまりさを抱きかかえる。 家に飛び込むと、座布団を並べて重ねた隙間に顔を下にして置く。 邪魔だから帽子も取りたいのだが、なんか頭の飾りはあんまり取っちゃいかんとかだったか、面倒な話だ。 苦しいかも知らんが、顔が一番損傷が少ないから我慢してくれ。 動けないれいむが何かを聞いてくるが、済まんけど後だ後。 石を取るか傷を塞ぐかで迷うが、石の部分はとりあえずは固まっている。 塞ぐのが先だ。 台所に駆け込み、小麦粉を練り始める。 まりさ種は大福だとか言う話を聞いた覚えはあるが、そうだとしてももち米をのんびりやってる暇は無い。 取り合えず餡子が流れるのを止めるのが先だ。 逸る気持ちを抑えてしっかりと小麦粉を練り上げると、それを急いでまりさの傷の上に貼り付けていく。 目立つ大きな傷を粗方埋め終えると、次は石の除去だ。 一応大工をやってる身だ、細かい事や手先の感覚やらには自信がある。 箸と細い鑿を使い、丁寧に、できるだけ素早く石を取り、また小麦粉で埋めていく。 石に触れるたびに痛むのか「ゆっ、ゆ……」と僅かにうめくが、それも弱々しいものだ。 そして全ての傷を埋め終わると、湯で温めた布巾をよく絞り、包帯代わりに巻きつけてやる。 全ての作業が終わったのは、夏の太陽が空を白く染め始めた頃だった。 そこまで終えてから、ようやく俺はれいむをまりさの所へ連れて行ってやった。 布でぐるぐる巻きのまりさを見たれいむは、最初はそのあまりにひどい様子に絶句したもののとりあえず生きていた喜びに涙した。 だが、俺が傷の状況を伝えると、今度は悲しみに涙する。 やはり、無駄にしぶといらしいゆっくりでもアレは相当酷い状態らしい。 とりあえずまた泣き続けるれいむを宥め、砂糖水でいいから飲ませてあげて欲しいと言うのでその通りにしてやった。 僅かではあるが、飲んでくれただけの事に俺はやけにほっとした。 それかられいむは、自分がこのまま見ていると言ったが、子供に障るといけないとなんとか説き伏せた。 自分の空腹に、れいむにも食事を与えていない事を思い出し、ふやかした煎餅と砂糖水を与えたが、疲労からかれいむはそれを食べきる前に眠ってしまった。 自分の部屋に戻った俺は、朝焼けの空を見ながら適当な菓子を摘む。 酒に焼けた胃が痛い。 仕事はあるだろうが、ろくに眠れていないこの状態ではまともに働けそうもない。 棟梁になんと言って休みをもらおうか。 襖に寄りかかりながら、れいむと同じように俺は眠りに落ちていった。 「……じさん、おじさん……!」 誰かから呼ばれている。 誰だよ。 俺はまだ20代だってのにおじさんはねぇだろ。 それに俺はゆっくりの所為で徹夜しちまってまだ眠いんだよ。 ……………………ん? ゆっくり? そういや仕事は? そこまで思い浮かべて唐突に覚醒する。 仕事! ゆっくり! 棟梁!! 目覚めて見る風景はもう夕暮れだ。 仕事は……まずいな。 とっくに今日の分は終わっているだろう。 もうどうしようもない。 そっちは後で何とかするとして、とりあえずはゆっくりだ。 俺を叩き起こした張本人はまだ俺の名前を呼び続けている。 「あんまり騒ぐんじゃねぇよ、まりさがゆっくりできないだろ」 ゆっくりと違って分別ある俺は、一応声を潜めて注意しながらそっと部屋に入る。 「おそいよおじさん! れいむおなかへったからずっとよんでたのに!!」 ……あ、そ。 今朝のアレはなんだったんだ、一体。 喉元過ぎればとかいう短絡的な頭の出来なのか、こいつらは。 ……それはいい、まりさだまりさ。 包帯団子のような有様(やったのは俺だけどよ)のまりさを見てみる。 まだ意識を取り戻してはいないようだ。 今朝の状態とまったく変わらぬまま静かに眼を閉じている。 本気でぴくりとも動いていない。 気になってそっと触ってみる。 心臓の鼓動が伝わってこない。 そっか。 そりゃ動かなくてもしょうがないな。 ………………おい、待てよ。 待て待て待て待て。 せっかく連れて帰ってきたってのにあっけなく終わりかよ。 いや、それよりもだ、この事を隣のれいむに知られたらまたまずい事になるぞ。 どうする、どうしようか。 とりあえず傷の治療とか言って持ち出して捨てるか? それとも別の部屋に分けてだな、忘れるまで待ってみるとか。 いやいや、いっそ2匹仲良くしてもらうためにだな、れいむの方も殺っちまうか!? どんどん危ない思考にはまり込んで行く俺。 ……ん? そういやこいつらって心臓あんのか?? 餡子だのしか入ってない生き物?に心臓??? ?????????? そうだ、ちょうどいい所に見本があるじゃないか。 隣のれいむをちょっと観察。 ん、無視して飯持ってこないからかなんか膨れてるな。 これで一応怒ってるつもりなんだろうか。 おもむろにその膨れた頬に触ってみる。 …………そのままじっとする事しばし。 まるきり反応無し。 うん、人間だったら死んでるな。 と言う事は別に心音が無くても大丈夫って事か。 れいむに念のために聞いてみる。 「あのよ、聞きたいんだがお前ら体の中に心臓とかってあんのか?」 「ゆ? しんぞうってなに? おじさんしらないの? れいむのなかみはぜーんぶおいしいあんこだよ!」 …………へー。 そうなんだ。 いや、餡子が入ってるのは知ってたがな。 ほー。 ……待て、なんかそれっておかしく、いや、やめよう。 そもそも餡子しか入ってないくせに人語を解し、あまつさえ頭から蔦が生えて増えるような非常識な生き物?なんだ。 まじめに考えるだけ馬鹿馬鹿しいだろ。 それによく見てみると生きている証か、かすかに、非常にゆっくりと膨らんだり縮んだりしている。 ……呼吸、だよな。 心臓は無いし餡子だけなのに呼吸はする……だから止めだって、考えるのは止めると決めた所だろ。 とりあえず飯だ、飯。 こいつも俺も腹が減った。 そんで、それからまたまりさの手当てをしてやろう。 それから、とりあえずは棟梁に謝って…………これが一番の難題だな。さて、どうするか。 考えすぎだか寝不足だかで、まだどこかぼーっとしている頭の中で俺はこれからの予定を考えてみた。 しまった。 そんな矢先、いきなり壁にぶち当たった。 予定では、今日の帰りにでも食材を買いに行くつもりだったが、生憎寝ちまったので何も無い。 しょうがないので干物や漬物などで我慢だ。 れいむはまた菓子類、まりさには砂糖水で我慢してもらおう。 れいむは動くたびに蔦が揺れるのが危なっかしいので、直に口の中に入れてやる。 まりさの方はまだ意識は無いようだが、砂糖水をゆっくりと口元に注いでやると少しずつ減っていく。 昨日は飲んでいるのだと思ったが、よくよく考えると飲んでいるのか皮にしみこんでいるのか判らんな、これは。 だが、れいむは特に何も言わず、むしろ感謝の意を示しているのでこれでいいのだろう。 ゆっくりと時間をかけて今日最初にしていきなり最後のマトモな食事を済ませる。 はぁ、なんかすっきりしないぜ。 れいむの方はとりあえずの空腹が癒されたので満足したらしく、やたらつやつやしている。 回復早いな、こいつ。 まりさは……今の状態だとよく判らんな。 そして、食器の片付けついでにまた小麦粉やらタオルを持ってくる。 昨日巻いた布ごと皮がはがれないように、一旦濡らしたタオルを当てた後慎重に剥がしていく。 剥がし終わった後に出てきたのは、やっぱり傷だらけの大福。 小麦粉も、大半が乾いててぼろぼろ崩れ落ちていったが、端の方はなじんでいるのかくっついたままだ。 ……これならなんとかなるかもしれねぇな。 傷がくっつくって事は、まだ治しにかかるだけの体力やら生命力があるってことだ。 治療に役立つ事が他に何かあるかと聞くと、餡子があれば大丈夫だとさ。 ……饅頭が餡子をとか、いいのかそれは……よし、考えるのは止めだよな、俺。 一応の手当てを終え、まりさの状態が大丈夫そうなのを確認すると、俺は出かける用意を始めた。 「お、おじさんどこいくの!? れいむたちをおいてかないでね!!」 普段なら引き止めるどころか、これ見よがしに出て行けだの自分の家だの言うのだろうが、さすがにこの状況では俺が命綱だと言うことは理解しているらしい。 放置されれば死ぬしかないれいむが慌てて俺を呼び止める。 「大丈夫だって。お前達の面倒見れるようにするためにやらなきゃならん事を片付けてくるだけだ」 俺は適当に答えて目的地に向かうことにした。 とは言うものの、置いていくつもりは無いのだが、帰ってこれなくはなるかもしれん。 ……さて、棟梁になんて言い訳すりゃしようか。 殴り倒されるくらいは覚悟してるが、動けるくらいで済めばいいんだが。 結局そんな事ばっかでマトモな言い訳も思いつかぬままに、俺は棟梁の家に着いてしまった。 ……さてどうしたもんか。 家に通されたはいいが、正直何も思いつかなかった。 親父が死ぬ前から面倒を見てもらっている相手だ、今も昔も頭が上がらん通り越して恐怖の対象だぜ。 ……結論だけ言おう。 休みは10日ほどもらえた。 事情は言えないが休みをくれと正面突破を図ったらば、散々説教と鉄拳の嵐を浴びせられて倒れた所に次は蹴りの嵐。 それで腕を痛めたと見るや、腕を怪我するようなヘボは治るまで来るんじゃねぇだとさ。 幾らまだ現場組だからって、あのジジィどんだけ元気なんだよ。 だが、過程はどうあれ理由も聞かずに休みをくれたことは感謝だ。 こうして、俺とゆっくり達との本格的な同居生活が始まった。 続く 作・話の長い人 ジジィかっこよすぎるだろ・・・jk -- 名無しさん (2009-03-10 09 03 23) なぜか棟梁の愛を感じた -- 名無しさん (2010-06-08 23 27 07) これだから体育会系はいやなんだ・・・ -- 名無しさん (2010-11-28 02 10 45) ゆっくりは結構かわいいのに棟梁だけうざい -- 名無しさん (2011-09-02 00 58 21) 棟梁いい人すぎる -- 名無しさん (2011-09-16 23 46 14) そりゃ理由も言わなかったからしょうがない。他のやつに示しつかないし理由作るしかないじゃない -- 名無しさん (2012-02-28 20 07 43) じーさんテライケメン -- 名無しさん (2012-12-12 17 45 19) 名前 コメント
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『まりさ、ゆっくりしていってね!!! 下』 24KB いじめ 制裁 これにて完結。拙文ですが、ゆっくりしていってね… 「んっほぉおおおお!きもぢいいわああああ!」 「ゆっひいい!たまらないんだぜええええ!」 「やめでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!れいむずっぎり゛じだぐないよぉお゛お゛お゛お゛お゛!」 そこには、あのゲス2匹にれいぽぅされる母れいむの姿があった。 2匹は全身からぬらぬら光る粘液を分泌させ、執拗に体ごと母れいむにこすり付けている。 「こ…これって…」 「やだやだやだぁああ!あがぢゃんづぐりだぐないいいい!」 「ゆぁ~ん!?やかましいのぜえ!あのまりさがわるいのぜえ!?」 「そうよぉ!うらむならあのげすをうらみなさい!んっほおお!」 2匹が同時にすっきりー!するために、この方法をとったのだろう。 しかし、醜く、また赤く紅潮した顔で全身から粘液を出しているその姿は、形容しがたいものであった。 対して母れいむはれいぽぅの恐怖からか身動きが取れないようだが、全身で嫌悪感を表現している。 望まぬすっきりー!であるが故か、粘液の分泌も見られない。それが逆に、さらなる苦痛を母れいむに与えていた。 しばし呆然としていたまりさだが、はっと我に返り、動き出す。 「ゆぅうううー!」 『ドンッ!』 「ゆべぇええ!?」 「ゆぅううっ!」 『ドスッ!』 「ゆひい!?」 すっきりー!に集中していた2匹は、自分よりも体の小さい子まりさの、全力の体当たりを食らい転がってゆく。 「おかあさん!ゆっくりしてね!ゆっくりしてね!」 「あ、ありがとうおちびちゃん…ゆぐっ…」 「な…なんでこんな『ボグッ!』」 命に別状はないようだが、それでも受けたダメージは大きいようで、息も絶え絶えの母れいむ。 必死で母れいむを気遣う子まりさに、突然鈍い衝撃が走り、壁に激突する。 顔をあげた先にあったのは、2匹の憤怒の表情であった。 「やってくれたのぜ…このげすゆっくり!」 「せっかくわたしたちがにんっしんさせてあげようとしたのに、なんてことをするのかしら!?」 「れいむはにんっしんなんてしたくないよ!」 「だまるのぜ!そんなゆっくりできないできそこないのかわりに、 まりささまとありすのおちびをつくってあげようとしたのに…」 「そうよ!おやこそろってなんていなかものなのかしら!」 「「せいっさいだよ!」」 「ゆ、ゆぅうっ!」 2匹が逆切れし、母れいむと子まりさを制裁しようとする。 子まりさも、最近狩りで使うようになった長い枝を帽子から取り出し、身構える。その時だ。 「むきゅ!なんだかさわがしいわ!これはなんのさわぎなの!?」 「なにをしてるみょん!」 「「「「お、おさ!」」」」 たまたま母れいむの家を訪問した長ぱちゅりーと側近のみょんが、家の中の騒ぎを聞きつけて飛び込んでくる。 ついに、他人に知られてしまった。しかしもう親れいむももう被害を受けている今、誰にもそれを隠す必要はない。 長は、騒がしいことには気づいたようだが、何が起こったまでは把握できていないようだ。 ならば、早くこの2匹の悪行を長に報告しよう。そうすれば長による断罪が始まる。しかし… 「だれかせつめいしてちょうだい!」 「ゆ…ゆわぁああああああん!おさぁ!こわがっだんだぜええええ!」 「あのまりさが、まりさがあああ!とかいはじゃないのよおお!」 ゲス2匹は突然泣き出し、長ぱちゅりーに泣きつく。 「あのまりさが、じぶんのおかあさんをれいぽぅしてたんだぜ!」 「わたしたち、とってもこわかったわ!それでもゆうきをだしてなんとかとめたの!」 「そしたらまりさたちをえいえんにゆっくりさせてやるとかいってあのえだでぷーすぷーすしようとして…」 「ゆ、ゆうう!?まりさそんなことしないよ!」 『ぽいっ』 「そ、そうだよ!れいむのかわいいおちびちゃんはそんなことしないよ!」 「むきゅう…こんがらがってきたわ…」 ゲス2匹の狂言に、慌てて咥えていた枝を捨て、身の潔白を訴える子まりさ。 母れいむも子まりさを必死で庇う。 長ぱちゅりーは食い違う両者の証言に混乱している。 「ひどいことをされていたのはれいむでしょう?」 「そうだよ!おかあさんがまりさとありすにれいぽぅされてたんだよ!」 「そのれいむがおちびちゃんがわるくないっていってるのだったら…」 「おさ!そんなのあのれいむがじぶんのおちびをかばっているだけなのぜ!」 「そうよ!…それともおさ、あんなゆっくりしてないゆっくりのいうことをしんじるつもりなの!?」 「むきゅ!?」 「そうだぜ!あんなののいうことをしんじるなんて、おさはどうにかしてるのぜ!」 「おさ!まりさそんなこと…」 「むきゅう、まりさ、すこしだまるのよ。」 ゲス2匹の言葉を聞き、はっとした表情になる長ぱちゅりー、 そして子まりさの言葉を遮り、しばし考え込む。そして導き出した結論は 「みょん、れいむのおちびちゃんをせいっさいしなさい。」 「ゆっくりりかいしたみょん。」 子まりさへの断罪であった。 〝ゆっくりしてないゆっくり〟これが決定打となった。 その場の状況や、両者の証言を全てすっ飛ばし、子まりさが悪と決めつけるには十分すぎる理由であった。 〝ゆっくりしてないゆっくり〟これは普通ゆっくりの世界において、何においても悪なのだ。 「なんでえええ!?ぱちゅりいいいい!?」 「むきゅ…れいむ、おちびちゃんがかわいいのはわかるわ…それでもね、わるいことをしたら ちゃんとせいっさいされないといけないのよ?わかってちょうだい。」 「やだやだやだあああ!おちびちゃんなんにもしてないのにいいい!」 「むきゅ!?まりさ!ありす!れいむをおさえるのをてつだってちょうだい!」 「ゆっくりりかいしたぜ!」 「ゆっくりりかいしたわ!」 暴れる親れいむを必死で押さえつける長ぱちゅりーとゲス2匹。 「みょん。おねがいね。」 「やめでええええ!おぢびじゃあああああん!」 「れいむ、しっかりみておくのよ。おやとしてのぎむだわ。」 「ゆ、ゆわぁあ…やめてよぉ…こわいよぉお…」 「ころしはしないみょん。さぁ、いくみょん。」 『バァン!』 「ゆぶえっ!」 未だかつて味わったことのない激痛が子まりさを襲う。 ゲス2匹による暴行も、所詮は子ゆっくりのもの。しかもある程度手加減していたのだ。 しかし、これは大人の、しかも長の側近を務めるほどのみょんの一撃だ。威力は桁違いである。 一撃打ち据えられるごとに体中の餡子が震える。そして、何度も何度も木の枝で打ち据えられた。 「ゆぼぉっ!」 『びちゃびちゃ』 「そのくらいでいいわ、みょん。」 ついに餡子を吐き出してしまう子まりさ。それを見た長ぱちゅりーは頃合いと判断し、みょんを制止する。 子まりさは打ち据えられながらも、その目は一つ所を見つめていた。 それはゲス2匹のいる場所。 2匹は子まりさを卑しく、満面の笑みで見つめながら、母れいむに向かって腰をヘコヘコと動かしれいぽぅの真似事をしている。 決して、長ぱちゅりーや側近みょんからは見えないように注意を払いながら。 本当に少しだけだが、ぽつり、と子まりさは心の中で、己が身を苛む灯火が灯るのを感じた。 「それじゃあみんないきましょう。まりさ、あなたをおかあさんからひきはなすことまではしないわ… でも、つぎにこんなことがあったらついっほうもしかたがないとおもいなさい。」 「そうだみょん。れいむもなにかあったらえんりょなくだれかにいうみょん。」 「ゆっへっへ…じゃあせいっさいのつづきはまりさたちが…」 「むきゅう。だめよ、まりさとありすもかえるのよ。」 2匹は続けて子まりさを制裁しようとするが、長ぱちゅりーに止められ、仕方なく家を出ようとする。 その時、何か思い出したかのように急いで子まりさに駆け寄ると、ひそひそと耳打ちをする。 「まりさがちゃんときてればこんなことにならなかったのにねぇ…」 「あしたもあそこにいるのぜ…こなかったらつぎこそにんっしんさせるのぜぇ…?ゆひひひひ…」 その言葉をうつむいて聞く子まりさ。 先程心に灯った灯火が、音もなくかき消えてゆくのを感じていた。 そして、家の中には子まりさと母れいむだけが残った。 「ゆぐ…ごべんねえおがあざん…」 「おちびちゃんはわるくないよ…ゆ!もしかしておぼうしも…」 「……」 『コクリ』 「ぐすっ…こんなときまりさがいてくれたら…」 「ゆ、ゆええええ…」 「ゆわぁああああん…」 母子は、だれにも頼ることのできない絶望に打ちひしがれ、ただただ泣き続けた。 どうして帽子がゆっくりしてないだけでこんな仕打ちを受けるのか? 子まりさが何か悪いことをしたのか? それとも、母れいむが何か悪いことをしたのか? その答えを見つけることはできない。 しいて言うならば、〝ゆっくりに産まれた〟これに尽きる。 身も心も知能も、脆く弱く儚い。 善悪だって、お飾りひとつでいとも簡単に決められてしまう。それがゆっくり。 そんな存在は、ゆっくりしていると言えるのだろうか?なぜ人はこんなゆっくりをゆっくりと呼ぶのだろう? それでもこの場で唯一、ゆっくりしている、と言えるのは、この母子の間に結ばれた親子の絆のみであろうか。 「ゆぅ、ゆっくりいってきます…」 「おちびちゃん、どこにいくの…?」 「み、みんなのところだよ…」 「あのまりさとありすのところじゃ、ないよね…?」 「ち、ちがうよ!とにかくゆっくりいってきます!」 母れいむの言葉を振り切り、家を飛び出す子まりさ。 今朝は、いつもに増して食が細かった母れいむ。昨日の出来事で心身が弱っているのは明らかだった。 そして、行くところなんて決まっている。あの2匹のところだ。 子まりさはまた食料を集め、あの洞窟へと向かう。 「ゆ!ようやくきたのぜ!」 「おそいじゃない!またれいぽぅしにいってあげてもいいのよぉ~?」 いつものように子まりさの持ってきた食料を平らげる2匹。 そして今日もまた虐めが始まるかと思ったが、少し違うようだ。 「ついてくるのぜ。」 「ゆ…?」 今日は洞窟ではない、別の場所で虐めを行うようだ。 2匹に連れられ、後をついていく子まりさ。 すると、だんだんと景色が見覚えのあるものに変わっていくのがわかる。 「ついたのぜ!」 そこは、奇しくも父まりさとの思い出の、あの崖だった。 「こ、ここは…」 「ゆぁあ?きたことあるのぜ?」 「な、ないよ…はじめてきたよ。」 ここが父まりさとの思い出の場所であることなど、口が裂けてもいえない。 もし言えば、2匹はうんうんやしーしーをまき散らすなどして、嬉々としてこの場所を、思い出を、穢すだろうから。 「きのうのかえりにみつけたのぜ!」 「きょうはここでたのしくあそぶわよぉおお!」 最も、言わなかったとして、穢されるのがましになるだけだ。 「さぁ、そこのはしっこにたちなさい!」 「ゆぅ…」 「はやくするのぜ!」 2匹の指示通り、崖の端に立たされる子まりさ。 (よくここから、おとうさんととおくをながめたっけ…) 父まりさとの思い出に浸る子まりさ。 『ドンッ』 いきなり突き飛ばされた。 流石に突き飛ばされるとまでは想像していなかった子まりさは、頭が真っ白になる。 そして、子まりさの足元から地面が消える直前… 『ガシィ!』 2匹に両端からあんよをつかまれる。 つかまれていなかったら。確実に落ちて永遠にゆっくりしていたことだろう。 そして2匹は子まりさを崖から逆さづりにする。 「ぶ~らぶ~らなのぜ~♪」 「とってもとかいはねえ~♪」 「ゆわぁああああ!こわいよおおおおおおお!」 眼前に広がるのは遠く離れた地面。 もしこの2匹が子まりさを離せば、確実に落ちるだろう。 その時、一陣の風が吹き抜けた。 「ゆ、ゆんやぁああああああああああああ!」 いつもは嫌な気持ちを吹き飛ばしてくれる爽やかな風も、今は恐怖を助長することしかしない。 そして… 『ふわり』 「ゆ…?ゆぁあああ!まりさのおぼうしいいいいいいいいいいいいいい!」 風に吹かれて、子まりさの帽子が崖下へと落ちていった、 どんどん遠ざかり、小さくなっていく帽子。 「ゆがらぁあああっ!」 『ブォンッ!』 「ゆひっ!?」 「どがいばっ!?」 何処にそんな力があったのか、あの状況から無理矢理体を起こし、2匹を振り払う。 そして、駆けだす。2匹の怒号と罵声と笑い声を背に浴びながら。 子まりさは今、崖下に来ていた。 探せども探せども、落ちた帽子は見つからない。 辺りも薄暗くなり、危険な時間帯になってきたが、構わず帽子を探し続ける。 そんな子まりさの思いが天に届いたのか、帽子が見つかった。まさに奇跡だ。 「ゆわぁ…まりさのおぼうし…おかえりなさい!」 帽子をかぶるまりさ。さぁ、家に帰ろう。そう思った時、ふと、何者かの声が聞こえた。 「うー。」 思わず辺りを見渡す子まりさ。初めて聞く声ではあるが、本能がその声は危険だと警告を発する。 手近に落ちていた長い木の枝を咥え、辺りを見渡す。 「うっぅー。おいしそうだどー。」 何処から声が聞こえてくるか子まりさは確信する。真上だ。見上げると、そこには 「いただきますだどー。」 「れ、れみりゃだああああああ!」 捕食種、ゆっくりれみりゃが飛んでいた。 まりさはその場に固まってしまう。そして今までのゆん生の走馬灯がまりさの餡子脳を駆け巡る。 (おとうさん、おかあさん、ごめんね…) 頭をよぎるのはかつての記憶。 おねしょした時、母れいむがやさしくおしめを取り換えてくれた時のこと。 父まりさと追いかけっこをした時、こけて泣きわめく自分を見て、おろおろする父まりさの顔。 親子3匹で、くっついて眠った夜。 思い出のあの崖で、父まりさから狩りの仕方や、野宿の仕方、そして戦いの仕方を教わった事… 戦いの仕方…戦いの仕方…!? 「ゆぅうっ!」 「うーっ!」 『ゴォッ!』 思わずその場から飛び退く子まりさ。 その脇を、れみりゃがものすごい勢いで通り過ぎていく。 れみりゃが起こした風が、子まりさの頬を乱暴に撫でる。 「ゆっ!」 そして、れみりゃに向かって枝を構える。 ゆっくりの攻撃は、基本的に直線だ。その為、相手に向かって枝を突きつけるように構えるだけで、 十分有効な戦法となりうる。 「うぅううー…やりにくいんだどぉー…」 事実れみりゃは攻めあぐねている。 どこから攻めようとしても、自分の方をあの枝が向いている。 しかし、れみりゃも伊達に捕食種ではない。 「うっうー!」 子まりさの周りを、円を描くように飛ぶれみりゃ。 次第に子まりさはその動きについていけなくなる。そして、ついにれみりゃが子まりさの背を捉える。 「ううう!」 『ドガッ!』 「ゆーっ!?」 れみりゃの攻撃は子まりさを掠めただけだったが、それでもバランスを崩すことはできたようだ。 そして、ゆっくりにとって一番反応しにくい、真上からとどめを刺そうとする。 しかし、子まりさは諦めてはいなかった。父まりさの教えがよみがえる。 敵の姿が見えなくても、声の聞こえる方向に武器を向けること。そして、絶対に諦めないこと。 「うううううー!しねぇっ!」 「ゆぅううー!」 れみりゃの声が真上から聞こえる。 それに反応し、子まりさは枝を強く噛みしめ、あおむけになった。 『ずぶっ』「う…うー。もっと…ゆっくり…」『どさっ』 そして、奇跡はまた起こった。れみりゃは自ら枝に刺さりに行ってしまったのだ。 子まりさの枝はれみりゃの中枢餡を的確にとらえ、れみりゃは力なく地面に落ちる。 一撃で、れみりゃは絶命していた。 「ゆはっ、ゆはっ、ゆはっ…」 何とか死線を乗り越えた子まりさ。 最初はれみりゃとの戦いの余韻が残っていたが、時間がたつと、それも冷めてきたようで 「ゆ、ゆひいいいいいいいい!」 出来る限り後ずさり、れみりゃの死体から距離を置く。 今更になって、恐怖が襲ってきたのだ。 「ゆゆぅ、しかたないよ…」 そう、仕方ない。 同族殺しは禁忌とはいえ、それは捕食種以外での話。 通常種は捕食種の餌でしかなく、互いに決して相容れない存在。それは子まりさにも分かっていることだ。 しかし、相容れない存在とは言え、姿形が似通っているのもまた事実。 枝を咥えていた子まりさの口に今も残る生々しい感触は、捕食種だから仕方ない、で片づけられるものでもなかった それを理解するのに、子まりさの心ははまだ幼すぎたのだ。 必死で、自分を正当化する子まりさ。 やらなかったらやられていた。だから仕方ない。 ああするしかなかった。だから仕方ない。 先に仕掛けてきたのは相手の方だ。だから仕方ない。 やられたら、やりかえす。そうだ、そうなんだ。 自分を正当化し続けた末に、ようやくれみりゃを殺した感覚もましになってきた頃、子まりさはあることに気が付く。 そう、先に仕掛けてきたのは相手。やられたら、やりかえせばいいんだ。 その考えに思い至った子まりさの目の光は何処までも昏く、澱んでいた。 子まりさは、自分の心の中に再び灯火が灯る音を確かに聞いた。 そしてそれは炎となり、激しく燃え上がるのを感じていた。 (くらくなってきたよ…きょうはもうおそとでねるよ。) 子まりさはれみりゃの死体に近づくと、枝を引き抜く。 そして、その枝を帽子にしまい、捕食種に見つからないように茂みに身を隠し、眠りについた。 時は昼頃。場所はあの洞窟。普段なら子まりさが食料を持ってやってくるような時間帯なのだが、 未だ子まりさの姿は見えない。 ゲス2匹は痺れを切らし、また制裁と称し母れいむをれいぽぅしにいこうか…そんなことを話していた。 「ゆぁあ~おっそいのぜぇ!」 「ありすたちがこわくなったのかしらぁ?」 「ゆひひひ!それならこんどこそにんっしんさせてやるのぜ!」 「んっほぉおおおお!」 「それじゃあさっそ『ドスッ!』」 「な、なにが『ドムッ!』」 と、不意に2匹の体に衝撃が走る。訳も分からず転がる2匹。 そして事態を理解するよりも早く、2匹のあんよに焼けたような激痛が走る。 「ゆんやぁあああああ!いたいのぜええ!?」 「と、と、と、とかいはじゃないわああああ!?」 2匹のあんよには、真一文字に大きな切り傷ができており、そこから餡子が漏れ出していた。 もうこの2匹は傷が癒えるまで移動することはできないだろう。 「ゆっ。まりさはきょうもちゃんときたよ。」 それを為したのは子まりさだった。 「ゆぎぃいい!なにをしてるんだぜ!」 「これはもしかして、まりさのしわざなのかしらぁあ!?」 「……」 子まりさは答えない。無言でゲス子ありすに近づくと、その頭からカチューシャを奪い取る。 「な、なにをしてるのこのげす!ありすのおかざりをかえしなさい!」 「ゆっ。」 『ベキャッ』 「…ゆ?」 「ゆっゆっゆっ。」 『ベキッベキベキッ』 「ゆ、ゆわああああああああああ!ありすのおかざりがああああああ!」 ゲス子ありすのカチューシャを執拗に踏みつける。 それが2つに割れても、4つに割れても、6つに、8つに割れてもひたすら踏みつける。 やがて、カチューシャが粉々に砕け、原形をとどめなくなった時点でようやくそれは終わった。 「あ、あぁ…ありすのゆっくりしたおかざりがぁ…」 「なにやってるのぜええええ!せいっさいしてやるからはやくここにくるのぜええええ!」 「…ゆんっ。」 『ぱしっ』 「…ゆ?」 次はゲスまりさの番だ。淡々と帽子を頭から払い落す。 「ゆっ。ゆゆゆっ。」 『ぶちっぶちっぶちっ』 「な、ななななにやってるのぜええ!?」 「ゆんっ。」 『ぶちっ』 「や、やめるのぜえええええええ!」 「ゆんゆんゆん。」 『ぶちぶちぶち。』 ゲス子まりさの帽子もカチューシャ同様ばらばらに引き裂く。 やがて、すべての破片がこま切れと呼べるくらい小さくなった頃、子まりさはそれらを口に運ぶ。 「むーしゃむーしゃ。」 「おねがいでずうううう!やめでえええええ!!」 「むーしゃむーしゃ、さいあくー。」 『ごくん』 「ゆあああああああああああ!」 ゲス子まりさの目の前で、咀嚼する様を見せつける子まりさ。 そして、それを飲み下す音までを、しっかりとゲス子まりさに伝えた。 「ゆ、ゆぐっ…どぼじでごんなごどに…」 「なんでぇえ…ありすなんにもしでないのにいいい…」 「まりさ、ありす。」 「ゆがぁっ!?」 「なんなの!?このげす!」 「いまから、まりさとありすであそぶよ。がんばってね。」 「「…ゆぅ?」」 子まりさはそれだけ告げると、帽子の中から木の枝を取り出した。 「ぷーすぷーす。」 『ずぶっ』 「ゆっひいいいいいい!」 「ぬーきぬーき。」 『ずぶぶ…』 「ひぃいいいいいん!」 「ぷーすぷーす。」 『ずぶっ』 「ゆがばああああああああ!」 ゲス子ありすの体に、何度も枝をつきたて、抜き、またつきたてる。 木の枝は当然自然のものだ。人工物のように滑らかな形状をしているはずもなく、 いたるところに突起やささくれが見られる。 それらが、体内をかき混ぜる。その激痛はいかほどのものなのだろうか。 「…ゆっ!」 『ゴガッゴンッゴグッ』 「ゆっびぃえええええええ!」 「す~りす~り。」 『ゴリゴリッ』 「ぎゃぁああああああああああ!」 次は、枝で歯を砕く。何度も、何度も砕く。 そして、あらかた砕き終わった後、歯の根元、神経が集中しているであろう場所を、 枝で執拗に削り取る。 ゲス子ありすは、もはやゆっくりらしからぬ悲鳴をあげている。 「ありすはあきたよ。つぎはまりさにするよ。」 『ずぶぶ…』 「ゆぎ…いぃいいい…」 「ぷーすぷー『こつん』…ゆ。」 「ゆ、ゆぴぃっ!」 ゲス子ありすの体内にゆっくり、ゆっくりと枝を差し込んでゆくと、 やがて何かにぶつかる感じがあった。そう、中枢餡だ。 子まりさは、枝の先端を中枢餡から逸らすと、枝の側面で中枢餡を削り始める。 「ごーりごーりするよ。」 『ごりっごりっ』 「hすhfdぁうgだふぁ!?」 「ごーりごーり。」 『ごりごりっ』 「しklfjぉyfぃ!」 中枢餡を傷つけられ、まともに言葉もしゃべれなくなったゲス子ありす。 枝を通じて子まりさに、ゲス子ありすの命を削る感覚が確かに伝わってくる。 しかし、子まりさは止めない。 いつしか、子まりさは一つの言葉だけを繰り返していた。 「しかたない、しかたない…」 『ごりごりごり』 「sんヴj…いうhヴsdhvmヴぁ…」 「しかたない、しかたない…」 『ごりごりごり』 「……」 ただひたすら、ゲス子ありすが事切れたのにも気づかず中枢餡を削り続ける。 そして枝を引き抜いたかと思うと、ゲス子ありすの死体を枝で何度も何度も切りつける。 やがて、我にかえったときにはぐちゃぐちゃの饅頭がそこにあるだけだった。 「つぎはまりさであそぶよ…」 「ゆっひぃ!ごべんなざいなんでもじまずが『ドスッ』ゆぎゃああああ!まりざのおめめがあああ!」 「ぐーりぐーりするよ。」 『ぐりぐり』 「ゆばばばばばばぁ!」 ゲス子まりさの謝罪など全く意に介さず、その右目に枝をつきたてる。 つきたてた後は、枝を回し、かき混ぜる。 そして、勢いよく枝を引き抜いたかと思えば 「ゆっ!」 『ドスッ。ぐりぐり』 「ゆんやあああああああ!」 次は左目に枝をつきたてる。そしてかき混ぜる。 そして枝を引き抜いたとき、ゲス子まりさの世界は、闇に包まれていた。 「ごべんなざい、ごべんなざい、ごべんなざい…」 「……」 『ブチュッ』 「ゆひゃあああ!」ごべんなざいごべんなざい!」 「……」 『プチッ』 「ゆるじでえええ!もうゆるじでよぉおおおお!あやまっだでじょおおお!? だがらはやぐまりざざまをゆるぜえええええええ!」 謝罪をし、ただひたすら助けを請うゲス子まりさの体に、少しだけ枝を刺す。 枝を刺されるたび、ビクリと震え、さらに大きな声で助けを請う。 しかし、子まりさは絶対に助ける気などなかった。 長い時間をかけた後、ゲス子ありすと同じ場所に送るのだ。 「ゆっ!」 『ドスゥッ!』 「ゆぎゃあああああああああああああん!いぢゃいよおおおおお!」 「ゆゆゆ…」 『ぐりぐりぐり』 「ゆっぼぼぼぼぼぼ?!」 今度は体に枝を深々とつきたて、かき混ぜる。そして抜く。そしてつきたてまたかき混ぜる。 決して中枢餡を傷つけたりはしない。 どのくらいの時間それを繰り返しただろうか、ゲス子まりさはもう息も絶え絶えだ。 「ゆひぃい…じにだぐない、じにだぐないよぉおお…」 「ゆっ。」 『ずぶぶ…こつん』 「ゆびゃあああ!?」 ゲス子ありすの時と同じように、中枢餡に枝の先端が触れる。だが、今度は先端を逸らしたりしない。 下手に傷つけるとしゃべれなくなることが分かったから。 子まりさは、ゲス子まりさは死の間際まで徹底的に怖がらせようと思っていた。 「まりさ…」 「ゆ、ゆひぃっ!?」 「このえだをね…もうちょっとだけぷーすぷーすしたらね、まりさはしんじゃうんだよ。」 「や…やだやだやだあ!しにたくないんだぜええええええ!」 「しにたくない…?」 「ごべんなざい!ゆるじでえええええええ!」 「……」 じゃあ何に謝っているのか、ゲス子まりさにそれを尋ねようとしたが、止めた。無駄だ。 子まりさは返事の代わりとして 「まりさ…えいえんに、ゆっくりしていってね!!!」 『ズグッ!』 「も…ぢょ…ゆっぐり…しだか…だ…」 思いっきり枝を押し込んだ。 ゲス子まりさの断末魔を聞いた子まりさは、目を閉じて、大きく息を吸い込み…ふぅ、と吐いた。 そして次に子まりさが目を開いたとき…その目には、何の光も宿っていなかった。 底が見えないほどの暗闇が、その目の中にあった。 子まりさの足は、自然とあの場所へ向かっていた。 子まりさは、父まりさとの思い出の崖に立っていた。 父まりさとの思い出がよみがえる。が、それだけだった。何も、感じなくなっていた。 崖の端に立ち、遠くを見渡す。その時、さぁ、と風が吹き抜けた。 子まりさは目を閉じ、風に吹かれていた。風に吹かれていると、全てが赦されるような、そんな気持ちになる。 つ、と子まりさの頬を涙が伝う。涙の訳は子まりさにもわからない。そして、その涙を振り払うことはしない。 しばらく、子まりさはそのまま風に吹かれていた。やがて、子まりさは… 崖 か ら 身 を 投 げ | 『ぐしゃ』 後に残ったのは、子まりさだったもの。その時、また風が吹き抜ける。 子まりさの帽子は風に乗り、高く、高く高く舞い上がる。 そして風に運ばれ、やがて川に落ちた。 川に落ちて、沈んでいった。 そして子まりさは、いなくなった。 子まりさが群れからいなくなって数日経った。あれからいろいろあった。 あのゲス2匹がいなくなったと、群れでは小さな騒ぎが起きた。 2匹の死体は洞窟で発見されたが、誰も元々それがゆっくりとは分からず、群れのゆっくりの食料となった。 子まりさもいなくなったが、それに関して騒いだのは母れいむだけで、他のゆっくりは全く関心を払わなかった。 そして今、母れいむは 「ゆぅう~ん!きもちいいよぉ~!まりさぁ~!」 「ゆふぅう!れいむのまむまむ、さいっこうなのぜ!」 家で、新たな夫であるまりさと交わっていた。 「「すっきりー!」」 母れいむのお腹がポッコリと膨らむ。新たな命の誕生だ。 「ゆわぁ…おちびちゃんゆっくりうまれてきてね…」 「まりさとれいむのおちびちゃんなのぜ。ゆっくりしてるにきまってるのぜ!」 子まりさが、2日も続けて帰ってこないことに違和感を覚え探し回った母れいむは、その中でこのまりさと出会う。 群れの誰もが、れいむの子供がゆっくりしてないことを知っており手を貸さなかったが、このまりさだけは別だった。 れいむと一緒になって子まりさを探してくれたのだ。 そして、2匹で探し回った結果、まりさがある結論を導き出した。 「きっと、れいむのおちびちゃんはひとりだちしたのぜ!」 「ゆ、ゆぅうう!?」 あの子が…と母れいむは最初こそ仰天したが、よくよく考えたら自分で狩りもできるくらいに成長していたのだ。 独り立ちしたっておかしくない、そう母れいむは確信した。 実際は、親に何も告げずに独り立ちするなど、ゆっくりの世界においても普通有り得ないのだが、 そこは自分の都合のいい解釈をする餡子脳。あっさりとそう結論付け、子まりさ捜索は打ち切られた。 そしてそのまま2匹は夫婦となり、こうして子作りをするに至ったのだ。 母れいむは、夫を失った悲しみを新たなまりさで埋め、子供は立派に独り立ちした…何も心配することはない。 そう思うと、体に元気が湧いてきた。そして何日かですっかり体調も戻り、子作りできるほどに快復した。 「ゆっゆっゆっ。」 母れいむは身重の体を引きずり、家の外に出る。太陽の柔らかな光が母れいむの体に降り注ぐ。 そして空を見上げ、高らかに言い放つ。今はもういない子まりさに届くようにと願いを込めて。 「まりさ、ゆっくりしていってね!!!」 完 紅玉あきの過去の拙作達 anko2610 禁句 anko2624 最強の人間 anko2667 ぐるぐるわーるど anko2668 ぐるぐるわーるど before anko2699 ゆんやモンドは永遠の輝き anko2707 紅玉は月下に舞う 誤字修正版 anko2810 ドスまりさが あらわれた! anko2856 おこた でっけぇ! anko2873 お山の大将 anko2874 お山の大将 dream anko2875 おうたのはこ anko2883 ひじりしんどろーむ anko2888 廃教室の怪 anko2909 いつまでも続けばいいな anko2914 奪・ゆっくり