約 572,175 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/588.html
「厳しいゆっくり」 そのゆっくり一家の様子は、普通とは何かが違っていた。 一家を率いるのはバレーボールサイズのゆっくりまりさ。そこは何もおかしくない。 ついていくのはゆっくりまりさとゆっくりれいむ。数は大体半々ぐらい。そこもおかしくない。 普通とは何が違うのか…その違いは、話しかけてみて始めて分かった。 「ゆっくりしていってね!!」 ゆっくりの本能を深く揺さぶる、僕の一声。 普通なら、この言葉に反応しないわけがなかった。ところが… 「……ゆっ!」「…ゆ!」 子供たちは皆、少し声を漏らしただけ。 何か言いたげな顔はしているが、『ゆっくりしていってね!!』という元気な返事は返ってこなかった。 「おにーさん!!まりさたちはほかのばしょでゆっくりするからね!! なにもようがないなら、まりさたちはもうゆっくりいくよ!!」 先頭に立っている母まりさが、僕に向かって言ってくる。 こいつからも元気な返事はない。おかしいな…こいつら病気なのか? 試しに、もうちょっと揺さぶってみるか。 「まりさ、どこに行くのか知らないが、お兄さんはもっとゆっくり出来る場所を知ってるよ」 「ゆ!?そうなの!?ゆっくりちゅれていってね!!」「れいむもゆっくりしたいよ!!」 もう我慢できない、と言わんばかりに子ゆっくりたちが口を開いた。 そうそう、それが普通の反応である。だが、母まりさは普通ではなかった。 「ゆ!!そんなこというとゆっくりできないよ!!」 「ゆ゛!!」「びゃっ!!」 何も悪いことをしていないのに、母まりさに突き飛ばされた子ゆっくりたち。 転がるほどの勢いも、皮が破れるほどの破壊力もない、ただ痛いだけの攻撃だった。 子供たちは涙目で何かを無言で訴えてくるが、僕にも母まりさにも…何も伝わらない。 「おにーさん!!わるいけどまりさたちはゆっくりいそいでるからね!!じゃましないでね!!」 そう言い放つと、母まりさはとっとと先へ進んでいってしまった。 子供たちだけが、僕を名残惜しそうに見上げていたが… 「…ゆっくりしすぎだよ!!」 母の一言で、子供たちは飛び上がるようにして母の後を追いかけていった。 あの母まりさ、どう考えても普通じゃない。 『ゆっくりしていってね!!』『もっとゆっくり出来る場所がある』という二つの言葉。 ゆっくりの本能を最も刺激するはずの言葉に、母まりさは釣られなかった。 突然変異なのか、それとも病気なのか… 「こいつは面白そうだな…」 どちらにしても、この面白そうなネタを放っておくわけにはいかない。 僕は先ほどの一家をゆっくり追いかけることにした。 一家の巣はすぐに見つかった。木の根元に、精妙にカムフラージュされた大きな穴だ。 決して大きな穴ではないが、母まりさ+数匹の子ゆっくりなら十分な広さだろう。 僕は静かに巣穴に近づいて、隙間から中を覗いてみた。 「にんげんにはなしかけられても、しゃべっちゃだめっていったよね!!」 「ゆびゃああああぁぁl!!」 「みんな、おかーさんとのやくそくやぶってしゃべっちゃったよね!!」 「ぎゅべぇおおおおお!!」 「やくそくをやぶったわるいこはゆっくりできないよ!!おしおきだよ!!」 「あぎゅあああぁっぁ!!!」 合計5匹の子ゆっくりが一列に並んでいる。 よく見れば子ゆっくりというより、赤ちゃんゆっくりぐらいの大きさだ。 母まりさは、何か言葉を発するごとに子ゆっくりに一匹ずつ体当たりを食らわせる。 その勢いは母まりさの怒りに比例して強くなり…最後に体当たりされた子れいむは、壁にぶつかると口から 餡子を大量に吐き出してしまった。 ゆっくりにとって、命の源である餡子を吐き出すことは一大事だ。 処置を怠れば、死に至ることだってある。それは子ゆっくりもよく知っていた。 「うぶっ!!ゆべえええぇっぇぇえ゛え゛え゛ぇぇぇあ゛あ゛あ゛ぃ!!!!」 「ゆゆ!!おかーさん!!れいむが!!れいむがゆっきゅりできなくなっちゃうよ!!」 「ゆっくりたしゅけてあげてね!!ゆっくりなおしてあげてね!!」 周りの子ゆっくりたちが、必死に母親に助けを求める。 だが、母まりさは鼻で笑いつつこう言い返した。 「ふん!やくそくをまもれないバカなこは、ずっとそうしてゆっくりしてればいいよ!! みんなもやくそくやぶるとこうなっちゃうからね!!ゆっくりりかいしてね!!」 自分の仕事を成し遂げたと思っているのか、母まりさの顔は満足げだ。 それに対して、子ゆっくりたちの表情は完全に沈んでしまっている。 「子供を虐めるなんて…酷い母親だなぁ」 僕はくすくすと笑いながら、そのまま様子を観察し続けた。 母が食料を取りに出かけた後、しばらくして先ほど餡子を吐いた子れいむが目を覚ました。 「ゆ…ゆううぅぅ……!」 「ゆ!ゆっくりおきてね!!」「ゆっくりしていってね!!」 周りで見守っていた子ゆっくりたちが喜びの声を上げる。 気絶していた子れいむは特に外傷はないらしく、次第に元気を取り戻してゆっくりし始めた。 僕は母まりさがいなくなった今しかないと思い、巣穴に首を突っ込んだ。 「やあ!ゆっくりしていってね!!」 「ゆ?ゆっくりしていってね!!」 今度は5匹の子ゆっくり全員が応えてくれた。 やっぱり、普通じゃなかったのはあの母まりさに原因がありそうだ。 「さっきのおにーさん!!どうしたの!?」 「ここはれいむたちのおうちだよ!!ここでゆっくりすると、おかーしゃんにおこられちゃうよ!!」 怒られるというのは…たぶん“やくそく”のことだろう。 先ほどの様子からしてこの子ゆっくりたちは、母まりさと幾つか約束を交わしているらしい。 それらを破ると、先ほどのように罰を受ける…命に関わりかねない罰を。 つくづく理不尽な母親である。自分の都合を押し付けて、破ったら虐待だなんて。 「大丈夫だよ。すぐに出て行くからね。それより、皆に美味しい食べ物を持ってきたよ」 「ゆ!?たべもの!!ほちいよ!!ゆっくりちょうだい!!」「ちょうだいちょうだい!!」 クッキーを放り込んでやると、5匹の子ゆっくりは一斉に群がって貪り始めた。 母との約束という重圧を忘れた5匹は、本能に忠実な普通のゆっくりだった。 「ゆはっ!!うっめ!!めっちゃうっめ!!」「むーしゃむーしゃ!!しあわせー♪」 「じゃあお兄さんはもう行くからね。みんなはゆっくりしていってね!!」 って、食べ物に夢中だからたぶん聞こえてないな。 僕は食事を邪魔しないよう、追加のクッキーを数十枚放り込んで、静かにその場から立ち去った。 後ろからは、クッキーを貪り食う子ゆっくりの下品な声が聞こえてくる。 母まりさが帰ってくる頃に戻ってきて、“あれ”を実行することにしよう。 帰ってきた母まりさは、巣の中の様子に驚愕した。 一面を埋め尽くす見慣れぬ食べ物。それを美味しそうに食べている5匹の子供たち。 「ゆ!おかーしゃんおかえりなさい!!」「みんなでゆっくりしようね!!」 口の周りに食べかすをつけた子供たちが、出迎えの挨拶をする。 だが、母まりさはそれに応えない。 「これはだれからもらったの!?ゆっくりせつめいしてね!!」 母まりさの疑問は当然のものだった。子供たちが自力で食料を集められるわけがない。 しかも、5匹が食べきれないほどの量だ。母まりさだって、これだけの量を集めるのには2週間はかかる。 つまり当然の結論…『この食べ物は、誰かからもらった』 「ゆ……と、ともだちのまりさにもらったんだよ!!」「そ、そうだよ!!」 「うそをつかないでね!!にんげんからもらったにきまってるよ!!」 「ゆ゛!?」 母が真相を口にした瞬間、子供たちは固まってしまった。 “恐怖”…生まれたときから植えつけられてきた感情、たった一つに縛り付けられて。 約束を破ったことが母にバレた…その次に待っているのは、無慈悲な“罰”であることを知っているから。 横一列に、背を壁に向けて並べられた子供たち。 自分達のこれからを想像して、がたがたと震えている。 されることはいつもと同じ。だが、未だにその痛みに慣れることが出来ない。 「やくそくをやぶったらゆっくりできないよ!!」 「ゆぎゃああ゛あ゛ぁぁ!!」 「やくそくやぶるこは、おかーさんのこどもじゃないよ!!」 「ごみんあじゃあぁぁぁい゛い゛!!」 「にんげんとはゆっくりできないよ!!ゆっくりおぼえてね!!」 「もうゆるじでええぇぇぇぇえ゛!!」 「にんげんはわるいものだよ!!ぜったいゆっくりしちゃだめだよ!!」 「うがやおああおおおおぉおぉぉ!!」 壁と母まりさの身体で挟み撃ちにされる度に、悲痛な叫びを上げる子ゆっくりたち。 何度も何度も、何度も何度も、何度も何度も、何度も何度も。 繰り返し繰り返し、母まりさは5匹の子ゆっくりに順番に体当たりする。 『人間とはゆっくりできない』『人間と一緒にゆっくりしたら二度とゆっくりできなくなる』 全ては理解してもらうため。このことを理解して、覚えてもらうためだ。 自分は母に人間の危険性を教えてもらっても、すぐに忘れてしまった。 そして人間についていったばっかりに、友達を皆食べられてしまった…そんな自分の二の舞にならないように。 子供たちには忘れて欲しくない。ずっと覚えていて欲しい。だってそうしないとゆっくりできないのだから。 「がまんしてね!!がまんしてゆっくりできるこになってね!!」 「げりょうあおあおあおあおああああああ!!!」 母まりさは、何度も何度も、子ゆっくりたちに伝わることを願って…体当たりを続けた。 昼になって、例の巣に戻ってきて見ると…巣の中では再び虐待が行われていた。 母まりさが子ゆっくりに体当たりするたびに、張り裂けんばかりの悲鳴が僕の耳を突く。 「うぎゃあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁ!!!」 「ぎゅええええべべべべええ!!!」 「あばばばばあああああぁぁぁぁあ!!」 何故だか分からないが、母まりさは相当怒っているらしい。 母まりさの言葉は乱れすぎていて何と言っているか聞き取れないが…かなりノリノリである。 待てど暮らせど、虐待の嵐はなかなか止まない…痺れを切らした僕は、釣り針を握るとそっと巣の中に手を 突っ込んだ。 「……よし」 虐待に夢中になっている母まりさは、自分の帽子に釣り針が刺さったことに気づいていない。 子ゆっくりたちも、すっかり怯えきってしまって周りの様子など目に入っていなかった。 僕は、糸を思いっきり引っ張った。それに従って、母まりさの帽子が脱げて瞬く間に巣の外へ飛んでいく。 「ゆ!!まりさのぼうし!!ゆっくりまってね!!」 即座に異変に気づいた母まりさは、帽子を追って巣の外へ。 終わりなき虐待から開放された子ゆっくりたちも、安堵の表情を浮かべながら恐る恐るついてくる。 「おにーさん!!それはまりさのぼうしだよ!!ゆっくりかえしてね!!」 糸にぶら下がった帽子をぶらぶら振り回す僕。 まりさは必死にジャンプしてそれを口で咥え取ろうとするが、ぎりぎり届かない高さに調節しているので、 どんなに頑張っても…帽子まで後一歩、というところで勢いを失ってしまう。 「ゆぎゅうううぅぅぅ!!ゆっぐりがえじでね゛!!がえざないどゆっぐりざぜであげないよ゛!!」 「あっそう、じゃあ返してあげるよ、ほーれほーれ♪」 上から目線で物を言う母まりさを、僕は満面の笑みでおちょくる。 ぶんぶん振り回される帽子を目で追いながら、あんぐりと口を開けて狙いを済まして… 命と同じくらい大事な帽子を奪い返そうと、必死にピョンピョン跳ね続けている。 「うぎゅうううぅぅぅ!!!いじわるしないでね゛!!ゆっくりがえじでね!!」 ふと、巣の入り口近くにいる子ゆっくりたちに視線を移す。 さっきからじっとこっちを見ているが…母を応援する声は聞こえてこない。 普通の一家なら、『おかーさんがんばってねぇ!!』とか、『おにーさんとはゆっくりできないよ!』の 一言ぐらいあるものだが… つまり、そういうこと。子ゆっくりたちにとって、母まりさは“そういう”存在なのだ。 「お母さんまりさにひとつ提案だよ。子供の帽子かリボンを持ってきたら、この帽子と交換してあげる」 「ゆ!?」 果たして口車に乗って、子供の髪飾りの強奪に乗り出すかどうか… 僕にとっては一種の賭けだったのだが…どうやら僕の勝ちだったようだ。 母まりさは目の色を変えて、巣の入り口に集まっている子ゆっくりたちに襲い掛かった。 「ゆっくりにげないでね!!おかーさんにぼうしとりぼんをちょうだいね!!」 「おがーざんごっじごないでえ゛え゛ぇぇぇ!!!」 「ぞんなごどずるおがーじゃんどはゆっぐりでぎない゛い゛い゛い゛ぃぃぃ!!!」 子ゆっくりにとっても、帽子やリボンは大事なものだ。簡単に取られるわけがない。 母まりさに捕まらぬよう、子ゆっくりたちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。 「ゆっくりつかまってね!!にげるこはゆっくりできなくなっちゃうよ!!」 「やだあああぁぁぁぁ!!!づがまるどゆっぐりでぎないよ゛!!」 「おがーざんやめでね゛!!ゆっぐりごっぢにごないでね゛!!」 母と子には体格差があると言っても、命と等価のモノがかかっているこの状況では、子供たちはなかな捕まらない。 実のところ、先ほどのクッキーにはゆっくりの運動能力をちょっとだけ強化する薬物が入っていたのだが… 母まりさも、当の子ゆっくりたちもそのことにはまったく気づいていない。 「おがーざんにぼうしどりぼんちょうだい!!そうすればみんなでゆっぐりでぎるよ゛!!」 なかなか追いつかないので、目に涙を浮かべながら子供を説得しようとする。 しかし、そんな言葉で釣られるほど子ゆっくりは愚かではなかった。 「おがーざんうそづいでるよ!!うそづくおがーじゃんどはゆっぐりでぎないよ゛!!」 「ゆっぐりついてこないでね゛!!ゆっくりどっかいってね゛!!」 「ゆぐぐぐぐぐ…どうじでぞんなごどいうの゛!!ゆっぐりでぎなぐなっでもしらないよ゛!!」 まだまだ子ゆっくりたちには追いつきそうにない母まりさ。 僕は母まりさにもっと必死になってもらうために、ライターで母まりさの帽子に火をつけた。 ボオォッ!! 何の素材で出来ているのかわからないが、本当によく燃える。 「ゆぎゃああああーーー!!!まりさのぼうしもやざないでえ゛え゛え゛ぇぇぇ!!!」 子ゆっくりを追いかけるのを止めて、燃え上がる自分の帽子目掛けて飛びついてくる母まりさ。 だが、僕がうまく糸を動かして帽子をひょいっと遠ざけたので、母まりさはそのまま地面に激突した。 「ゆぶっ!!やめでね゛!!まりざのぼうじもやざないで!!はやぐひをげしでよお゛お゛お゛ぉぉぉ!!!」 「まぁまぁ焦るなって。結構綺麗に燃えてるじゃないか」 地面に顔から落ちて身悶えている隙に、母まりさの髪を釘に結び付けて地面に打ちつけた。 これで母まりさは、ほとんど身動きが取れなくなった。 「ひをげしで!!うぶゅ!!いだい゛!!いだいよ゛!!がみがひっばられでるううぅぅぅぅ!!!」 帽子を燃やされている悔しさと、髪を引っ張られる痛みで…母まりさの顔は涙でボロボロになる。 痛みにのたうち回ろうとすればさらに痛みが襲うので、下手に動けない状況だ。 それでも母まりさは、何度も何度も助けを求める叫び声をあげた。 「まりさをだずげでぇ!!ごのままじゃゆっぐりでぎなぐなる゛!!」 「おねがいだがら!!ごっがらはなぢでえええぇぇえ!!!あだまがいだいいいいぃぃぃい!!!」 「ぼうじ!!まりざのぼうし!!もやざないでよ゛ぅ!!」 「……らんぼうするおかーしゃんは、ずっとそこでゆっくりしてればいいよ!!」 突然、一匹の子れいむが震えながら力いっぱい言い放った。 するとそれに続いて、次々と子ゆっくりたちが母まりさに罵詈雑言を浴びせる。 痛めつけられる母まりさの姿を見て、子ゆっくりたちの心境に変化が生じたのだろう。 母まりさが動けないことに気づいた、というのもあるだろうが。 「そうだそうだ!!おかーしゃんのぼうしなんか、ゆっくりもえちゃえばいいよ!!」 「おかーさんはずっとそこでゆっくりしててね!!こっちにこないでね!!」 「ばかなおかーさんはゆっくりしねばいいよ!!」 「いや゛ああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!ひどいごどいわないでえ゛え゛え゛ええぇぇぇぇえぇえぇ!!!!」 次々に打ち明けられる子ゆっくりたちの本音が、母まりさの心を深く抉る。 今まで母まりさに虐待され続けてきた子ゆっくりの鬱憤が……ここで爆発した。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「らんぼうもののおかーさんはゆっくりしね!!」 「れいむたちにいたいことしたよね!!だからおかーさんにもいたいことしゅるよ!!」 身動きの取れない母まりさを取り囲んだ5匹は、怒りを爆発させながら集団リンチを始めた。 つい数分前まで母の虐待に怯えていた子ゆっくり…僕がちょっと手伝ってやっただけで、立場は逆転した。 「いだっ!!いだいよ゛!!ゆっぐりやめでね゛!!やめだらゆっぐりさせてあげるよ゛!!」 「うるさいよ゛!!おかーさんのいうごとなんか、もうきかないよ゛!!」 「おかーさんのせいでいままでゆっくりできなかったよ!!ゆっくりしんでいってね!!」 一体どれだけの間、母まりさに虐待されてきたのだろうか…その間に溜めてきたストレスは相当のものらしい。 容赦ない体当たりが、母まりさの身体を深く傷つけていく。 ところどころ餡子が漏れ出し、さらに傷は広がって痛みを誘発させる。 「あぎゃああああああっぁぁぁあぁ!!やめでやめでやめでやめでやめでやめでやめで!!!! じぬ゛ぅ!!じんじゃう゛!!ごのままじゃじんじゃう゛!!おねがいだがらやめでよおおおおぉぉぉ!!」 母まりさの悲鳴を完全に無視し、リンチを続ける子ゆっくりたち。 僕はそんな子ゆっくりたちに優しく話しかけた。 「そろそろ疲れてこない?お母さんの帽子が燃えてるのを見ながら、ゆっくり休憩しなよ」 「ゆ!そうだね!!ゆっくりつかれてきたよ!!」 「ゆっくりやすもうね!!みんなでゆっくりしようね!!」 「おにーさんあたまいいね!!おかーさんとはおおちがいだよ!!」 そんなことを言いながら、母まりさから離れていく。 取り残された母まりさの姿は…それはもう酷いものだった。 「ゆぶ……どぼぢで…?……まりざはっ…みんなのだめにっ…!!」 目玉は片方が抉られ、口は不細工に引き裂かれ、頬も深く噛み千切られている。 まだ生きているが…このまま餡子を漏らし続ければ、命が尽きるのは時間の問題だ。 「ゆー!きれいだね!!」「ほのおってきれい!!」「ゆっきゅりー!!」 「もえろもえろー♪」「ゆっくりもえろー♪」 炎をあげて燃える母まりさの帽子。それを見つめる子ゆっくりたちの目は輝いている。 やっと母まりさの圧制から解放される。明日からは自由にゆっくり出来る。 掴み取った明るい未来を見据えた…そんな目だ。 僕は糸を木の枝に固定して子ゆっくりたちから離れると、そっと母まりさに近づいた。 「やぁ、気分はどうだい」 「うぎゅ…だじゅげで……ゆっぐりでぎな…いよ…!!」 「でも、子供たちは今までゆっくり出来てなかったんだよ。お母さんである君が虐めていたせいでね」 「うぞだよ!……まりじゃは!…まりじゃは……みんな゛のっ…ために゛…!」 まだ悪あがきを続けている。うねうねと動く母まりさの頬の皮が気持ち悪い。 「みんなのために……ねぇ」 僕はため息をつきながら振り向いて、子ゆっくりたちに声をかけた。 子供たちは糸にぶら下がった帽子が燃えているのを、まだ楽しそうに見物している。 「なぁみんな!!このお母さんどうする?助けてあげる?」 「ゆ?そんなのほっといていいよ!!それよりおにーさんもこっちでゆっくりしようね!!」 「おかーしゃんなんかそのまましねばいいよ!!ゆっくりしんでね!!」 との返答を貰い、そのまま視線を母まりさに戻す。 「…だとさ」 僕は母まりさに向けてニコリと微笑んだ。 母まりさは、僕にとって最高の表情をしたまま…最期の叫び声をあげた。 「ゆ゛っ……ゆぎゃああああぁあぁぁぁぁぁぁぁあがえんrぎなえりおいりあがあrがにrg!!!!」 声にならない叫びをあげたが最後、母まりさは動かなくなった。 子供たちにはずっとゆっくりしてもらいたい。だからこそ、厳しく接してきた。 だが、子供たちには伝わっていなかった。それどころか家族を崩壊させる一因になってしまった。 どうしてこんなことになってしまったのか、自分は間違っていたのだろうか。 母まりさは考える。考える。考える。でもわからない。餡子が足りないからわからない。 子供たちに伝わらなかった想い。伝わらなかった願い。 一生懸命伝えたつもりだった。でも、伝わらなかった。伝えたかったのに、伝わらなかった。 そしてこれからも、その想いと願いは、伝えることはできない… 傍らで笑いあう子供たちの声が、遠くに聞こえる。 母まりさは、ゆっくりと後悔しながら…さいごのいのちを吐き出した。 あとがき この話、本当にかわいそうなのは誰だろう? 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1596.html
※これはfuku2126「普通に虐待」の続きです。 ゆっくりれいむは思い出の中にいた。 大切な、生涯を一緒にゆっくりしようと誓ったパートナーである、ゆっくりまりさとの思い出。 ゆっくりまりさは幼い頃人間に家族を殺され、家も潰され、ボロボロの姿になっていたところをゆっくりれいむの家族に発見された。 ゆっくりれいむの一家はまりさを家族の一員として迎え入れ、 温かいれいむ一家の優しさによってズタボロだって身も心も徐々に快復していったゆっくりまりさは、やがて家族の長女のゆっくりれいむと恋仲になった。 「ゆっ、まりさ、そっちにいったよ!」 協力して狩りをしたり、 「きゃっ、ちべた~い♪」 一緒に川で遊んだり、 「ゆぅ、ぽかぽかだねぇ、まりさぁ……」 共に草原で日向ぼっこをしたり、 「ゆぅ……ゆぅ……」 夜になれば巣の中で寄り添って眠ったりもした。 「ゆぅ、まりさぁ……」 「れいむぅ……」 夜の丘でのファーストちゅっちゅはとても甘かった。 やがて二匹とも子供を作っても死なない程までに大きくなり、遂に家を出て自立しようとした。 ゆっくりれいむとゆっくりまりさ。その二匹から始まる新たな一家の門出を、ゆっくりれいむの一家は総勢で見送った。 「おねえちゃん、ずっとゆっくりしてね!」 「まりさおねえちゃん、おねえちゃんをよろしくね!」 「いつでもかえってきちぇね!」 妹達の温かい言葉。 「まりさ。まりさはれいむがおなかをいたくしてうんだこじゃないけど、まりさもれいむのこどもだよ。 つよいつよいれいむのこどもだよ。そんなつよいれいむのこどもがふたりいれば、どんなこんなんにだってかてるよ」 母親からの、激励。 「ゆっ! ありがとう、おかあさん! れいむずっと、まりさと一緒にゆっくりするよ! ほらっ、まりさ…………」 「ゆぅ……。いってきます…………おかぁさん……」 顔を赤くし視線を逸らしながらモゴモゴと応えるまりさは、とってもかわいかった。 「じゃあね、みんな! いってきます!」 「みんなげんきでね!」 元気一杯。 湿っぽい別れではなく、明るい旅立ちで。 ゆっくりれいむとゆっくりまりさは、新しい道を二匹で駆け出した。 その日の夕方。 なかなか新しい巣が見つからず、内心不安に陥ったゆっくりれいむだったが、頬を触れて寄り添うゆっくりまりさがいればどんな困難も乗り越えられる気がしていた。 山の向こうに沈む夕日を眺めながら、ゆっくりれいむはゆっくりしていた。 「いつまでも ふたりで ゆっくりしようね、れいむ……」 「ゆぅ、ゆっくりするよまりさ……」 二匹の心は一つだった。 同体ではないけれど、思うことも、望むことも一緒。 ただゆっくりであれ、と。 巣は見つからないが、見つからなければ自分達で作ればいい。 そう閃いたれいむはその提案をパートナーに尋ねてみた。 「ねぇ、まりさぁ」 視線は共に夕日に向かいながら、頬を触れ合っているパートナーへの呼びかけ。 ……しかし、返事が返ってこない。 「なぁに?」とも、「どうしたの?」とも、身じろぎすらもなかった。 「? まりさ? どうしたの……?」 ゆっくりと視線を夕日からまりさへと移すれいむ。 そこにいるはずのまりさは、既に事切れ、ただの饅頭になっていた。 「まりさ……?」 呼びかける。だが返事は返ってこない。 「ねぇ、まりさ? ねてるの? だめだよ、おきよう。おきておうちをつくろうよ……」 体を揺すってみる。反応はない。 ただの屍だった。 「どゔじだのま゙り゙ざッ!? ゆっくりしずぎだよぉ……!!! おぎでよッばりざッ!!!」 襖の開く音で、ゆっくりれいむは思い出の世界から現実へ帰還した。 涙でぐちゃぐちゃになった面をあげる。 そこには小さな小さな、妹達に似た赤ん坊のゆっくりが、人間と共に居た。 子れいむ達を持って部屋に戻ってみると、ゆっくりれいむはまだ面を伏せて泣いていたが、襖の開く音に気づいたのか、ゆっくりと顔をあげた。 涙と鼻水でぐちょぐちょだ。気持ち悪い。 「ゆぅ……その赤ちゃんたち、なぁに?」 「あぁ、これか? かわいいだろ?」 屈んで子れいむ達をれいむの目の前まで持っていってやる。 子れいむ達はきゃっきゃと手の上で跳ね回り、れいむに向かって「ゆっくちちていってね!」と話しかけていた。 そんな子れいむ達を見るゆっくりれいむの目は、とても優しそうな、姉のような目をしていたので 「ゆぅ、ゆっくりしていっ────」 グチャッ 子れいむ達を握りつぶすことでその目をやめさせた。 潰れた子れいむ達の餡子がボタボタと畳の上に落ちる。 手の中に残った皮や髪や装飾品を、よく見えるようにれいむの目の前に置いてやった。 「お前の飯だ」 「……………………ゆっ?」 茫然自失。 何が起こったのかまるでわかってないような目でこちらを見上げるゆっくりれいむ。 ああ、それだ。さっきの気持ち悪い目よりそっちの方がよっぽど、ゆっくりらしい。 「何度も言わせるな、お前の飯だ」 「なっ、なにいってるの……? これはあかちゃんだよ? たべものじゃないよ?」 「よく見てみろ。餡子の中身。餡子を練って細くした髪。小麦粉の皮とリボン。飴の歯。寒天の目。どれも食べられるじゃないか」 そう言ってやるがまだゆっくりれいむは分かってないようだった。 「……ゆ?」と首(体)を傾げて目の前の現実を否定しているそぶりすらった。 いい加減面倒なので、間抜けに開いている口に両手をつっこみ、むりやりこじ開けさせた。 「っ!? ゆがぁぁぁ!! ばべでっ! ばべでぇぇぇぇ!!」 「やめてぇぇぇ!!」と言っているのだろう。しったことか。 こっちもお前に死んでもらっては困る。 「そうら、栄養一杯の美味しいご飯だぞ」 足で下顎を押さえ、左手で上顎を持ち上げ、右手で子れいむ達の死骸をゆっくりれいむの口の中に落としてやる。 ボタボタパタパタ。 「ばべでぇぇぇ!! ぼいぢぶばいぼぉぉぉぉ!!(やめてぇぇぇ!! おいしくないよぉぉぉぉ!!)」 「そんなわけないだろう? ほぅら、むーしゃむーしゃ」 左手で口を閉じさせる。絶対に吐き出させないように。 右手は脳天を何度も拳骨で叩き咀嚼させている。 「ほぅれ、ごっくん!!」 餡子を吐き出さないように力を加減しながらゆっくりれいむの脳天をぶったたく。 ゴクン。 そのショックでゆっくりれいむは子れいむ達を嚥下したようだ。 「うべぇぇぇ!!! べっ! べっ!」 口を解放してやるとゆっくりれいむはなんとか飲み込んだ子ゆっくり達を吐き出そうとしているが、わずかに自分の餡子が口から出てくるだけだった。 鬱陶しいので蹴った。 見事な放物線を描き壁にぶつかり、ずり落ちる。 「い゛だい゛ぃぃぃ!! どぼじでごんなごどぉぉぉ!!」 さて、食事もさせたし、あの足では逃げられないだろうし、エサの補充に行くか。 「あがぢゃんがぁぁぁ!!!」と慟哭するゆっくりれいむを部屋に残し、もう一度さっきの部屋に向かった。 蓋を開けっ放しにしていた鉄のエサ箱を覗いてみると、親ありすが親れいむの底部を治療しているところだった。 横たわり底部を親ありすに向けている親れいむの傷口に、水で溶かした小麦粉をペロペロと舌で塗っていた。 子ありすの残骸はまだ片付けられていない。 「よぅ、元気かい?」 「「ゆっ!?」」 声をかけるまで気づかなかったのか、こちらの言葉にバッ!と起き上がる親れいむ。 親ありすは視線をこちらにむけている。その視線に込められているのは憎悪や殺意のブレンドだ。 「そんな目をしているのならまだ元気だな」 毎日ちゃんとしたエサやってるしな。子ありすも栄養価高いし。ゆっくりにとっては。 私は親ありすを鉄の箱から取り出すと、いつものように底部を持って体を揺すってやる。 発情させて子作りをさせるのだ。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ」 最初は私の手が触れるのも嫌だったのか噛み付こうとしたり身を捩ったりしていたが、構わず揺すり続けてやると徐々に目がトロンとし頬も紅潮していき、体から力が抜けていった。 本当に、ゆっくりありすは発情しやすいな。 「ほい、今日もガンガン作れ」 発情した親ありすを鉄の箱に戻す。 こうしておけばたとえ親れいむが子作りを拒否しても親ありすがレイプするだろう。 だがそれは昨日までの話だったようだ。 親ありすが発情しているのにも関わらず親れいむを襲わない。 どうしたことかと訊ねてみる。 「どうした。早く子作りを始めろよ。じゃないとエサはないぞ」 「ゆっ!! ありずはもう゛あがじゃんつぐらない! おまえなんがにぐれでやるものか! おまえにうばわれるふこうなあがじゃんをつぐるぐらいなら、しんだほうがましだ!!」 と、発情したせいなのか激怒しているせいなのか分からない「ふーっ、ふーっ」とした荒い息と共に答えが返ってきた。 おお、なんという親の愛か。 抗えぬはずの本能の猛威に堪え、自らの子供の不幸を望まぬが故の反抗。 そのゆっくりありす種らしからぬ慈愛に満ちた行動に、私は心を打たれた。 いうならば、尊敬の念とでもいおうか。自らの身を差し出す親の覚悟というものを、私は感じていた。 なんてことは、まるでない。 「そうか……。お前たちはもう子供を作りたくないんだな」 「「そうだよっ!!」」 親れいむと親ありすが同時に答える。 「死んだ方がましなんだな?」 「「そうだよっ! もうごはんもってこなくても、もうぜったいにあがじゃんはつぐ────」」 「じゃあ死ね」 弾幕。 鉄の箱一杯に張られた弾幕は、一部の避ける隙間もなくゆっくり達に降り注いだ。 「「ゆ゛ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」」 心地よい断末魔とともに、親れいむと親ありすはグチャグチャのただの生ゴミになった。 「さて、新しいの補充しないとな」 鉄の箱のある部屋の押入れを開ける。そこには透明の箱が十三個あった。 そのどれもにゆっくりが詰められている。基本的にはれいむ種とまりさ種とありす種。 ぱちゅりー種は体が弱くこの保存方法ではすぐに死んでしまい、他の種類はなかなか見つからないのでここにはいない。 ここで保管しているゆっくり達には一切エサを与えていない。 そのためゆっくりのどれもが衰弱しきり、虚ろな目をしている。 あまりの空腹ゆえに眠ることもできないのだ。 八日ぶりに開けられ、射し込む光にわずかに目を細めるゆっくり達。 「さぁて、どいつに……うわっ、こいつ死んでやがる」 どのゆっくりにするか吟味していると、死んでいるゆっくりれいむを見つけた。 私はその死んだゆっくりれいむの透明の箱を取り出すと、蓋を開け、死体を原型を留めないようグチャグチャにした。 そして鉄の箱の中にその残骸をボトボトと落とした。 「よし、と。さぁて…………こいつとこいつだな」 残った十二匹の中で最も死にそうな二匹のゆっくりを取り出し、押入れを閉める。 ゆっくりまりさとゆっくりれいむだった。 既に息絶えているのかと思えるほど動かず、空腹のため皮は薄くなり中の餡子が透けて見える状態だ。 私は二匹のゆっくりを透明の箱から取り出すと、鉄の箱に落とした。 「さぁ、そこに食べ物があるだろ? お前らの飯だ。食え」 私の言葉に緩慢な動作で反応するゆっくりれいむとゆっくりまりさ。 寝たきりの老人だってもっと動く。 やがて私の言葉を理解したのかもぞもぞと動き鉄の箱一杯に広がるグチャグチャの生ゴミを食し始める二匹。 食べているのは同族だが、死にかけの状態では気づかないか。 最初は元気が無かったが食べていくうちに徐々に元気になっていった。 半分を食べ終える頃には「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~」と喜びを表せる程には快復していた。 やがてすっかり肌もむちむち、目も生気を取り戻したゆっくりれいむとゆっくりまりさ。 そりゃ四十九日ぶりに成体ゆっくり三匹と子ゆっくり四匹分を食べれば元気にもなるか。 「さて、元気になったな? ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 よしよし。 「さて、お前ら。今日からお前らはここで過ごすことになる。私は毎日お前らに仕事を言い渡す。それができれば毎日美味しいご飯をやる」 「ゆっ? おいしいごはん? やるよっ、れいむやるよっ!」 先ほど食した飯の味が忘れられないのだろう。目を輝かせるゆっくりれいむ。 その横で「まりさもっ! まりさもっ!」とゆっくりまりさが跳ねている。 「頼もしいなぁ、よし」 私は鉄の箱から二匹を取り出すと、体を揺すって発情させてやる。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ」と頬を紅潮させ発情したところで箱の中に戻す。 「まずはお前たちの可愛い子供が見たから、明日までに子供をつくってくれ」 「ゆほぉぉぉ!! でいぶっ、すっきりじよぉぉ!!」 「すっぎりするよぉぉ!!!」 ニチョニチョと体を寄せ合い粘液を垂らし始めた醜悪なゆっくりの交尾を見たくも聞きたくもないので、鉄の箱の蓋を閉じる。 部屋を後にする。 虐めていたゆっくりれいむが居た部屋に戻ると、ゆっくりれいむは部屋の外に向かってなんとか這おうとしていた。 逃げようとしているのか。 もちろん丹念に底部を焼いたので動けるわけがないのだが。 生意気なので蹴り飛ばした。 「ゆ゙っっ!!!」 再び壁に顔面から激突する。 その際壁に餡子がへばりついた。後でれいむに舐めとらせることにする。 「もうやべでぇぇぇ!! でいぶおうぢがえるぅぅぅ!!」 歩み寄る私に向かって泣き叫ぶれいむ。 どこからまだそんなに水分があるのかと涙をボロボロと流している。 「もういや゛っ!! まりざどいっしょにおうぢがえる! まりざどこっ!? ばりざぁぁぁ!!」 私の事が見えていないかのように泣き喚くれいむ。 非常に心地良いのだがこのままでは会話が出来ないので顔面を殴った後口を掴んで開けなくする。 「そうか。お前は家に帰りたいか……。分かった、一ヶ月だ。一ヶ月経ったらお前を家に連れていってやる」 そう言い手を離してやる。 「ゆぱぁ────ほんと!? おにいさん、ほんと!? でいぶおうじにがえじでぐれる!?」 「一ヶ月経ったらな」 ゆっくりを長期的に虐待するコツの一つ。 それは未来に希望を持たせておくこと。 あまりゆっくりを虐待し続けるとゆっくりは生きる気力を失ったり心を壊したりして何の反応も示さなくなる。 そうなっては面白くないので、正気を保たせるために希望をちらつかせてやるのだ。 それからゆっくりれいむにとって地獄の、 虐待お兄さんである私にとって天国のような生活が始まった。 全ての虐待を記すのは面倒なので一部抜粋する。 ある時は火をつけた蝋燭を体に刺し立てて溶けた蝋をその体に垂らした。 ある時は透明な箱に閉じ込めた状態で熱した鉄棒を敷き詰めた。 ある時は螺旋状の円錐で後頭部を抉った。 ある時は頬を切って餡子を垂れさせた常態で庭に放置し、蟻をたからせたりした。 ある時は「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ」「ド」とそれぞれ書かれた釘を脳天に刺し立て、それぞれの釘をぶっ叩いた時に出るうめき声で曲を奏でたりもした。 また全ての食事も虐待だろう。 とれたての子ゆっくりを目の前で潰して嫌がるゆっくりれいむに無理矢理食させる。 その度に吐こうとするので殴ったり蹴り飛ばしたり、釘を眉間に刺してやる。 食事といえば鉄箱のゆっくりれいむとゆっくりまりさ。 以降エサれいむとエサまりさと呼ぼう。 あいつら、あろうことか最初の子供は妊娠型出産をしたのだ。 それも両方共だ。 「ゆっ、おにいさん! ゆっくりかわいいあかちゃんできたよ!」 鉄箱を開けてみると下顎が膨れたエサれいむとエサまりさが得意気な顔で私を出迎えた。 これではエサの供給が遅くなる。 私は膨れた下顎に腕を突っ込むと、「ゆがぁぁぁ!! いだいぃぃぃ!!」 グチャグチャ内部をかき回して見つけたまだ未発達な子ゆっくりをエサれいむとエサまりさの目の前で潰してやった。 「ま"り"ざのあがぢゃんがぢんじゃっだぁ"ぁ"ぁ"!! どおじでごんなごとずるのぉ"ぉ"!! 」 「ゆぎゃ"ぁ"ぁぁ"!!! あ"がぢゃんが!! いぎゃ"ぁ"ぁ"!!」 醜く泣き喚くので髪を一割ずつぶち抜いた。 その後で発情させ子供を作らせた。 その次の日はちゃんと植物型だったが、妊娠型を最初の十日のうちに四回もしやがった。 全て同じ処置をしたらもう妊娠型はしなくなった。 妊娠型出産をした日にはゆっくりれいむのエサは無い。 潰した子ゆっくりは罰としてエサまりさ達に食べさせるからだ。 そんな時私は庭にゆっくりれいむを放り出して自力で食事を集めさせた。 底部を丹念に焼かれ全く動けないゆっくりれいむをだ。 そんな日が十日続いた。 十日続くと、流石にゆっくりれいむは生きる気力を失いはじめた。 「どうした? そんなにゆっくりしていると死んじゃうぞ? 死ぬとお家に帰れないぞ?」 「ゆぅ、もういいよ……。もうしんだほうがましだよ……」 いかんな……。 だが、まぁいい。予想の範囲内だ。 第二段階へ移行する。 地獄のような日々が続いた。 熱い。痛い。苦しい。 まるで生きた心地のしない日が、十日も続いた。 それはゆっくりれいむにとって一年にも相当する長い時間に思えた。 だが十一日目のことだった。 「ゆべっ! ……ゆぅーん、でいぶうぅぅ……」 ゆっくりまりさがお兄さんに連れてこられた。 体に太い杭が刺さっており、それは鎖付き鉄球につながれていた。 泣いているゆっくりまりさに、お兄さんがいない間に話を聞いてみた。 するとこのゆっくりまりさはパートナーであるゆっくりれいむが何故か死んでしまったところをお兄さんに連れてこられたのだという。 私と同じだ、とゆっくりれいむは思った。 このまりさも私と同じ境遇なのだと。 そう思うと、少しだけ自分の苦しみが軽減されたような気がした。 このまりさが苦しみを肩代わりしてくれるわけではないけど、自分だけじゃないと思うと、少しだけ気が楽だった。 それに、このまりさはどこかしら、自分のパートナーだったまりさに似ている部分がある。 頬の涙を舐めとって慰める。 まりさはそれに最初驚いたが、まりさもれいむの涙を舐めとってあげた。 同じ境遇の者同士により傷の舐めあい。 その夜、ゆっくりれいむとゆっくりまりさはすっきりした。 「ここまで思い通りに事が運ぶと、流石に笑えるな」 翌日、メイン虐待のゆっくりれいむとゆっくりまりさの部屋に行くと、案の定にんっしんっ! していた。 予想外だったのは二匹とも妊娠していた点だ。こいつらここが野生だったらすぐに死ぬな。 それも植物型じゃなくて妊娠型だ。 見事なまでに下顎が膨れている。 ふてぶてしく見えて潰したくなる。 「おぉ、立派なお腹(?)だなぁ」 「ゆゆっ、まりさとれいむのあかちゃんだよっ!」 ゆっくりまりさが得意げに胸(?)をそらす。 殺したい。 それからの虐待は少し控えめにしてやった。 子ゆっくりを潰さないようにだ。 ゆっくりれいむはというと、案の定生きる気力を取り戻した。 自分の子供という新たな生きる目的を作ってやったためだろう。 控えめとはいえ辛いことには違いない虐待でも 「ゆぎゃぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 「ゆぐうぅぅぅうぅ、まりざぁぁぁぁ!! じっがりじでぇぇぇ!! でいぶもじっかりずるがらぁぁ!!!」 「わっ、わがっだぁぁぁぁ!! ばりざもがんばるぅぅぅ!!」 二匹で励ましあって乗り越えていた。 食事の時は 「ゆぅ、ごべんねっ。あがじゃんごべんねっ。でいぶのあがじゃんのだめなんだよ……」 と、泣きながらも自分の子供のために子ゆっくりの死骸を自分で食した。 まぁ、とりあえず。 そのような生活が十数日経った頃、遂に出産の時が来た。 日課の虐待をしている時、下顎が開き産道が現れ、そこから子ゆっくりが顔をのぞかせるという何時見ても気持ちの悪い出産が始まったのだ。 「おっ、遂に生まれるか!」 「ごちゃごちゃうるさいよ! いまからこどもうむんだから、さっさとでてってね!!」 ここに来てから比較的軽い虐待しか受けていないゆっくりまりさが生意気な言葉を出す。 お前後でみてろよ。 「もうすぐだぞっ、がんばれがんばれ」 徐々に見える子ゆっくりの顔が大きくなる。 ゆっくりれいむとゆっくりまりさは我が子を産む苦しみに必死に耐えている。 閉じた目からは涙がポロポロとこぼれ、歯を必死に食いしばっている。 そして、 「「ゆっくり~!!」」 元気な子供が二匹生まれた。 それぞれ自分の種の子供。 妊娠型出産のためそれなりに大きい元気な子ゆっくりだ。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「「ゆっくちちていってね!!!」」 ゆっくりにとっての産声といっていい、生まれて最初の親子のやりとり。 一仕事を終えたゆっくりれいむの顔は、かつての生を放棄した時とは違って輝かしかった。 自分が生きた証。自分の分身。愛しの我が子。 これまでの苦しい生活の中でも守りきった、愛の結晶。 輝くゆっくりの涙は、虐待時のそれとは違った。 ああ、ゆっくりってこんな顔もするのか、と私は常にないことを思った。 普段ふてぶてしいゆっくりがこんなにも活き活きとした、ふてぶてしくない顔をするものなのか、と。 こんな表情をもっと見てみたい。そんな人生観を揺るがす感動を覚えた。 なんてことは、まるでない。 グチャリ ゆっくりれいむとゆっくりまりさの笑顔が凍った。 私の掌にゆっくりが潰れた感触が伝わる。餡子と皮。それに装飾品。 ゆっくりれいむとゆっくりまりさの、十数日におよぶ苦痛と愛の結晶は一瞬で壊れた。 「もういい? 満足した? じゃあ続き始めるよ」 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「まりざのっ、ばりざのあがぢゃんがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 そしてそれからまた数日、通常通りの虐待に移行した。 ゆっくりれいむにとっては忘れかけていた苦痛。 ゆっくりまりさにとっては初めて味わう激痛。 いや、当初のものより強力になっていた。 そんな二匹のゆっくりの精神が壊れ始めるのに、長い時間はいらなかった。 「ごろじで……もう、ごろじで……」 「……ゆっぐり、じだっがよ……」 二匹のゆっくりはもう見るも無惨なボロボロの姿だった。 ゆっくりれいむは片目や歯を数本、髪の半分を失っており、リボンも半分千切れかかっており、無数の焦げ目が体中についている。 ゆっくりまりさは髪の九割を失い帽子は半分焼け落ちており、体中のいたるところに抉られた傷跡がある。 そんな二匹に私は言ってやる。 「何を言ってるんだれいむ。明日は約束の日じゃないか」 「……ゆ? 約束の日……?」 「そうだ。明日はお前を巣に連れていってやる約束だろ?」 カッ、とゆっくりれいむの目に生気が戻った。 思い出したのだろう。初日に一ヶ月経ったら巣に連れていってやる、という約束を。 「ゆっ……れいむ、おうちにかえれるの……?」 「ゆゆっ……。そうだ! おにいさん、よかったらまりさもいっしょにおねがい!」 れいむによると、どうやらまりさは家を人間に壊されて帰る家が無いという。 ならば自分の家に連れていって欲しい、ということらしい。 この半月以上の間にかつてのパートナーまりさと同じぐらいの愛着でも湧いたのだろうか。 れいむの話を一通り聞いた私は 「…………よし。まりさも明日連れていってやる」 「「やったぁ! ありがとう、おにいさん!!」」 二匹のゆっくりは希望に満ちた笑顔を見せた。 その笑顔は数分後に苦痛と絶叫に染め上げられた。 そして翌日。 私は透明な箱にゆっくりまりさとゆっくりれいむを入れてれいむの道案内通りれいむの巣に向かっている。 今向かっているのは巣立つ前のれいむの実家だという。 ちなみにまりさからは鎖付き鉄球を絡ませた杭は抜いてある。 その際「ゆ゛ぅぅぅぅぅぅぅ!!!」といううめき声と共に餡子がいくらかこぼれたが治療してある。 やがて巣に辿り着いた。 それは自然に出来た洞穴を利用したものだった。 ゆっくりにしてはかなり大きい。熊も冬眠できるほどだ。 そのため私でも楽に入ることができた。 洞窟の奥に進むと、ゆっくりの一家が目に入った。 大きな親ゆっくりれいむと、虐待したれいむの妹であろう子ゆっくりれいむが三匹だ。 「やぁ、ゆっくりしていってね」 「「「「ゆ? ゆっくりしていってね!!!」」」」 家族総勢で出迎えてくれた。 私はそんな家族にプレゼントをあげようと、とりあえず抱えた透明な箱を地面に置いた。 すると流石にゆっくり一家が透明な箱の中身に気づいた。 「ゆっ!? もしかしてそこにいるのはれいむ!?」 「ゆぅ……おかあさん……ひさしぶり……」 一ヶ月ぶりになる親子の対面。 見るも無惨なボロボロの我が子の姿に、親れいむは涙した。 「ゆ゛うぅぅぅぅぅ、どうしてこんなすがたになってるのぉぉ……?」 「「「おねぇぢゃぁぁぁぁん!!!」 「にんげんに、やられたんだよ……」 悲しむゆっくり一家の疑問に答えたのはゆっくりまりさだった。 そこではじめてまりさの存在に気づいたのか、ゆっくり一家は最初驚いた顔をしたが、同じく傷ついたまりさを見て 「ゆゆっ! まりさもにんげんにやられたんだねっ!」 「かわいしょう……」 「このまりさおねえちゃん、あのまりさおねえちゃんににてるね……」 「ゆぅ、だったられいむたちのなかまだよっ!」 と自己解決で同類と認めたようだ。 「そうだよ。人間に酷い目にあわされていたところを私が連れてきたんだよ」 「ゆっ! おにいさんがたすけてくれたんだね! どうもありがとう!」 「「「ありがちょう!!!」」」 まるで見当違いの礼をするゆっくり一家。笑いたい。だが堪えろ。まだ笑うな。 私は嘘はついていない。やつらが勝手に勘違いしただけだ。 「……ゆっ、おかしゃん、ちが────」 「さぁて、そんな皆にプレゼントがあるよ!!!」 ゆっくりれいむが何か下手なことを言う前に計画を実行する。 私は懐から団子のようなものをとりだし、ゆっくり一家の前に置いてやった。 全部で十個はある。多めに持ってきたのだが、ゆっくり一家皆で食べても余りある。 「これはね、人間が作ったゆっくり専用のおやつなんだよ」 「にんげんがっ!? だったらおいしいたべものだね!」 驚愕する親れいむ。 最初に驚かれた時は警戒されたかと思ったが、どうやら逆のベクトルだったようだ。 きっとこの親れいむは人間の食べ物が、自分達がいつも食べているものより遥かに美味しいことを知っているのだろう。 だから人間の作ったもの食べ物ならば美味しいに違いないと思っている。そんなところだろう。 「おかぁしゃん、これおいちいの?」 「そうだよっ! にんげんのたべものはとってもおいしんだよ!」 「ゆっ、はやくちゃべよう!」 すっかり目の前の食べ物に熱中のゆっくり一家。 その様子を見て箱の中のれいむが「みんな、まって……」と呟いていたが、虐待によって体力の無いれいむの小さな声は熱狂しているゆっくり一家に届かない。 ちなみに、れいむとまりさの飯は昨日から抜きだ。 昨日エサれいむとエサまりさが「子供作らない宣言」をしたため、殺して新しいゆっくり二匹を入れたばっかだからだ。 「「「「ゆっくりいただきます!!!」」」」 ゆっくり一家の唱和の後、皆一斉に団子のようなものに噛り付いた。 ゴボッ 底なし沼が泡立ったかのような音と共に、子れいむは一斉に餡子を吐き出して絶命した。 「「「………………ゆ?」」」 残されたゆっくり三匹。 目の前で起こったことがまるで理解できていないようなので、説明してやる。 「お前らが今食べたのは『ゆっくりコロリ』っていうゆっくりにだけに効く猛毒餌だ。食べたゆっくりは餡子を吐き出して死ぬ」 ポカン、とした顔をしていた親れいむだったが、私の言葉を聞いてその顔を阿修羅のような憤怒の表情に染めた。 「よぐも゛っ!! よぐも゛でいぶのあがじゃんをごろじだなぁぁぁぁ!!! よぐもだまぢたなぁぁあ!!! ゆっぐりじね!! ゆっぐりじねぇぇぇ!!!!」 おぉ。なかなかゆっくりにしては理解が早いな。 だがな、親れいむよ。 「私は嘘はついてないし、騙してもいない」 「ゆっぐりぢね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!!!」 親れいむの怒涛の体当たり。 それはまるで猛牛を彷彿とさせる、子供を失った親の乾坤一擲の一撃。 ゴボッ だが届かない。 子れいむに比べて毒が回るのが遅かったようだが、所詮ゆっくり。 ゆっくりコロリの猛毒によって親れいむを餡子を吐き出して絶命した。 全滅だ。 箱の中のゆっくりに目を向ける。 さっきまでようやく家族と一緒に暮らせる、と希望に満ち溢れていた目は、絶望に染まっていた。 「おがぁぁぁぁざぁぁぁぁぁん!!!! でいぶのいもうどぉぉぉぉ!!!」 「どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉ!!!!」 「だって、家に連れていってやる、とは言ったけど、家族を殺さないとは言ってないじゃん」 キッパリ、と事実だけを伝える。 その私の言葉にれいむとまりさはもはや怒りも忘れて呆然としていた。 そんな二匹を箱から出して家族の亡骸の側においてやる。 「おがあさん……みんな゛……」 「ゆぅ、れいむのおかあさん……」 グズグズ泣きながら死んだゆっくりに哀悼の意を捧げるゆっくり二匹。 さて、この二匹。 このまま放って置いていったらどうなるだろうか? まずゆっくりれいむは底部を焼かれているため動けない。すると餌集めは自動的にゆっくりまりさが担当することになる。 だが虐待によってボロボロの体のゆっくりまりさでは集める餌の量にも限界があるだろう。 すると食べるものはゆっくりの亡骸しかなくなる。 きっと泣きながら、謝りながら食べるに違いない。両親の呵責に責め立てられながら、生きるために仕方ないと自分に言い訳をして。 そしてゆっくりの亡骸も全部食べ終えたら? たとえゆっくりまりさが虐待のダメージから回復しても、動けないゆっくりれいむがいる限りどうあがいても幸せな生活は送れないだろう。 子供を作るなんてもってのほかだ。 ああ、なんて心地よい未来だろうか。 そんなこいつらの行く末を想像するだけでお腹一杯だ。 なんてことは、まるでない。 私は全てのゆっくりが苦しむ様をこの目で見なければ気がすまない。 私はいい加減泣いているゆっくりれいむとゆっくりまりさを引っつかむと、再び透明の箱に入れた。 そして箱を持って巣から出て行く。 「ゆっ!? なにずるのっ!? れいむだちをかえじてぐれるんでしょ!?」 「やくそくはちゃんとまもってね!!」 「はぁ? 何言ってるんだお前ら。私は〝巣に連れていってやる〟とは言ったが、〝自由にしてやる〟とは一言たりとも言ってないんだが」 その一言でシンと黙る二匹。 やがてガタガタと涙をこぼしながら震えはじめた。 恐らく頭の中にはこれまでの虐待風景が去来しているのだろう。 「いや゛だぁぁぁぁぁ!!! やべでぇぇぇぇ!!! ゆっぐりじだいぃぃぃ!!!」 「どう゛じでっ!!! ゆっぐりでぎないよおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」 ガタガタと透明の箱の中で泣き叫ぶ二匹。 きっと先ほどまで、これで自由になれると思っていたのだろう。 家族を失ってしまって悲しいが、ようやく苦痛の日々から解放される、と。 だがな、ゆっくりよ。こんな言葉を知ってるかい? 「希望は絶望を二乗させる」 誰の言葉だったか思い出せないが、なかなかいい言葉じゃないか。 「もう゛いやだぁぁぁぁ!!! がえじでよぉぉぉ!! がえぜぇぇぇ!!!」 「ゆっぐりぢだいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 「お前ら、そこまで今までの生活が嫌か?」 「い゛や゛だぁぁぁ!!! も゛う゛い゛や゛だぁぁぁ!!!!」 「ゆゅぐりざぜでぐだざい゛ぃぃぃぃぃ!!!!!」 「そうか、そこまで言うならそうしてやろう」 「「…………ゆ?」」 突然の私の手の平を返したような発言に驚いたのだろう。 それまで泣き叫んでいたれいむとまりさはピタリと泣きやみ、私の言葉の意味を図りかねているようだ。 「だから、お前らの言うとおりにしてやるって。れいむは自由の身に。まりさはゆっくりさせてやるんだよ」 「おにいさんほんとう!?」 「またうぞじゃない!?」 「ああ、本当さ。嘘だったら閻魔様に舌を引っこ抜かれてもいいよ」 「「やくそくだよ!!」」 「ああ、約束だ」 「ゆ゛がっ……ゆ゛がっ、べっ……あ゛がっ……」 目の前のれいむの状態にガタガタと、透明な箱の中で震えているまりさ。 今のれいむの状態は、頭には数十本の釘がまるでハリネズミのように刺さっており、頬には無数の切り傷があり餡子がポタポタと流れ落ちており、焼かれた底部にも数十本の釘が頭と同じように刺さっている。 さらには体中に有刺鉄線がグルグルとまったく身動きできないように絡められ、木の枝に吊られている状態なのだ。 それに加えて体中にまた新たな火傷が無数にできて黒焦げの饅頭のような様子になっており、また装飾品は糞尿などの汚物にまみれていた。 「さぁ、れいむ。こえでお前は自由の身だ。私はもうお前になにもしない。お前はこれから何をしてもいいんだ」 「ゆごっ、がっ……げぶべっ……」 まるで言葉になっていない音を口から漏らすゆっくりれいむ。 だがまだ生きている。木の枝にぶら下がった状態だから他のゆっくりに食べられることもないだろう。 仮に他の捕食種や鳥に食べられようとしても、有刺鉄線が邪魔で少しずつ啄ばまれるしかない。 「そうかそうか。喋れないほど嬉しいか」 そう言い残すと私は足元に置いたゆっくりまりさが入った透明な箱を持ってその場を立ち去った。 最後までれいむの行く末を見たかったが、約束は守らなければな。 「さて、次はまりさとの約束を果たさないとな」 その言葉にまりさは、涙と鼻水を垂れ流し、ガタガタと震えることで応えた。 「ばりざぁ…………だづげで……」 最後に聞こえたれいむの言葉は、果たしてかつてパートナーだった者にあてたのか、箱の中のまりさにあてたのか、私には分からなかった。 私は家に帰ると、鉄エサ箱のある部屋の押入れを開けた。 「さぁ、ここがお前がこれからゆっくりする場所だ」 そう言い聞かせながら透明の箱に入れられたゆっくりまりさを入れてやる。 まりさは押入れを開けた時、中に居たほかのゆっくりの生きているか死んでいるか分からない状態を見て「いや゛だぁぁぁぁぁ!!!」と泣き叫んだ。 「どうだい? みんなゆっくりしてるだろう? ここならゆっくりできるよ」 「ぢがうぅぅぅぅ!! ゆっぐりできな゛い゛ぃぃぃ!!!」 「はっはっは…………何言ってるんだ。黙れグズ饅頭」 ドスを効かせた声で脅しかけるとピタリ、と泣き止んだ。 今日までに植えつけた恐怖が頭の中に蘇ったのだろうか。 「お前はそこで一生、ゆっくりしていってね!!!」 ピシャン、と押入れを閉める。 久しぶりの押入れ組補充だからな。あれぐらい元気じゃないともたない。 押入れの中身を確認したが、まだ死んでいるゆっくりはいなかった。 鉄のエサ箱を開けて確認する。 新たに入れたゆっくりまりさとゆっくりありすは、ちゃんと植物型で子供を作っていた。 「さて、と」 新しい虐待用ゆっくりを捕まえてくるか。 以下無限ループ 続き? このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2833.html
※極めてぬるいどころか虐待がないに等しい感じです ※登場するゆっくりはれいむ1匹です ※読むときはれいむの言動から表情や仕草を想像して下さい ※作者はゆっくりボールマンです れいむのすれ 1:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 09 03 02 ID Yukkuri427 かわいいれいむがすれをたてたよ ゆっくりなんでもきいてね1 2:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 09 22 04 ID DoSnoOneE3 クソスレ乙 氏ねよ! 3:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 09 41 11 ID Yukkuri427 れいむかんじさんよめないよ ゆっくりひらがなさんでかいてね1 4:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 09 59 39 ID Manjubenki かんじもよめないのにすれたてなんて・・・ おお、ゆっくりゆっくり(わらい) 5:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 10 08 01 ID Yukkuri427 わらいはやめてね ゆっくりできないよ1 6:レイパーギネス 2008/12/16(火) 10 19 26 ID Kimexemaru じゃあ、そのかわいいれいむくんにしつもんしていいかな? れいむくんはいっしゅうかんになんかいすっきりしているのかな? 7:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 10 31 00 ID Yukkuri427 ゆゆっ、いきなりえっちなしつもんだね おねーさんにすっきりきんしされてるからぜんぜんすっきりしないよ1 8:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 10 37 09 ID DoSnoOneE3 うそつくなよ!ほんとうはかくれてすっきりしてるんだろ? ゆっくりごときがやくそくをまもるなんてりっぱなことできるわけがねぇ 9:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 10 55 08 ID Yukkuri427 どうしてそんなこというの れいむもうおこったよ、ぷんぷん1 10:餡子Blood 2008/12/16(火) 11 02 42 ID Raperuzexe ID DoSnoOneE3はどうしてそうも 1に絡むんだ? 11:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 11 13 55 ID Manjubenki もうおこったよだって おお、こわいこわい(わらい) 12:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 11 30 48 ID Yukkuri427 わらいはやめてっていったでしょおおお ゆっくりできない11はゆっくりしんでね1 13:教会バイト 2008/12/16(火) 11 33 02 ID NechonoNo1 つうほうしますた 14:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 11 52 01 ID Yukkuri427 ゆゆっ、つうほうってなあに 15:Red Princess 2008/12/16(火) 11 57 30 ID Petta/nnko れいむつかまる かこうじょおくり おねえさんもつかまる ひどいめにあう ぜんぶれいむのせい 16:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 12 14 05 ID Yukkuri427 やめてねつうほうしないでね れいむもっとゆっくりしたいよ1 それとおねえさんにひどいことしないでね1 17:レイパーギネス 2008/12/16(火) 12 17 17 ID Kimexemaru おじさんとすっきりしたられいむとおねえさんをたすけてあげるよ! 18:餡子Blood 2008/12/16(火) 12 22 03 ID Raperuzexe 17 レイパーは氏ね じょうだんだかられいむはきにしなくていいよw 19:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 12 32 57 ID Yukkuri427 ゆゆっじょうだんなんだね れいむびっくりしたよ 20:チョコレート 2008/12/16(火) 12 40 21 ID Tundereotu ・・・わたしもれいむにしつもんしていいかな? 21:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 13 01 59 ID Yukkuri427 なんでもきいてね ゆっくりこたえるよ1 22:Red Princess 2008/12/16(火) 13 10 02 ID Petta/nnko じゃあ、ゆっくりがいちばんくるしむぎゃくたいをおしえてね! 23:教会バイト 2008/12/16(火) 13 11 00 ID NechonoNo1 わたしもしつもん! こどもをころされたときってどんなきもちなのかおしえてね! 24:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 13 27 29 ID Yukkuri427 ゆっくりできないこときかないでね れいむもうおこったよ、ぷんぷん1 25:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 13 33 33 ID DoSnoOneE3 こたえるっていったのに、れいむはうそつきなんだな さいていのゆっくりできないげすのくそのくずのゆっくりなんだな!! 26:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 13 37 08 ID Manjubenki おお、うそつきうそつき(わらい) 27:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 13 51 47 ID Yukkuri427 れいむうそつきじゃないよ どうしてそんなこというの1れいむゆっくりできないよ1 28:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 13 55 20 ID DoSnoOneE3 http //www~(なんかのアドレス)~ これをみたかんそうをゆっくりおしえてね! 29:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 14 13 44 ID Yukkuri427 そういうのはさわっちゃだめっておねーさんにいわれてるからだめだよ ゆっくりごめんね 30:チョコレート 2008/12/16(火) 14 17 31 ID Tundereotu し、しつもんをしてもだいじょうぶかしら? 31:チョコレート 2008/12/16(火) 14 19 24 ID Tundereotu ごめん、誤送信しちゃった・・・ ちじんへのくりすますぷれぜんとでなやんでいるんだけどなにがいいとおもう? そのひとはゆっくりがすきみたいだかられいむのいけんをさんこうにしたいんだけど 32:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 14 33 03 ID Yukkuri427 それならかわいいゆっくりのあかちゃんをあげればいいよ みているだけでゆっくりできるからすごくよろこぶよ1 33:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 14 40 29 ID DoSnoOneE3 それならしんしょうひんのまめゆっくりとかどうだ? せいたいでもぴんぽんだまサイズだからかいやすいし、むちゃくちゃかわいいぞ きっと、かわいいれいむ(わらい)なんかよりずっときにいってもらえるはずだ 34:チョコレート 2008/12/16(火) 14 47 39 ID Tundereotu まめゆっくり・・・そんなのもいるのね 33ありがとう、さんこうになったわ 35:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 14 59 59 ID Yukkuri427 れいむにありがとうは・ 36:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 15 07 34 ID Manjubenki かんしゃこじきとはあつかましい おお、みのほどしらずみのほどしらず(わらい) 37:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 15 19 02 ID Yukkuri427 わらい、はやめてね ぜんぜんゆっくりできないよ1 38:餡子Blood 2008/12/16(火) 15 23 00 ID Raperuzexe まあまあ、しんこきゅうしてゆっくりしろw 39:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 15 39 01 ID Yukkuri427 ゆっくりしんこきゅうするよ ゆっゆっゆー1ゆっゆっゆーっ1 40:教会バイト 2008/12/16(火) 15 42 41 ID NechonoNo1 ところで、いまさらだけど・・・ かわいいれいむはほんとうにゆっくりなの? 41:Red Princess 2008/12/16(火) 15 44 53 ID Petta/nnko だれもがあえてつっこまなかったことを・・・ 42:かわいいれいむ 2008/12/16(火) 15 56 57 ID Yukkuri427 れいむはゆっくりしたかわいいれいむだよ ゆっくりしんじてね1 43:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 16 00 02 ID DoSnoOneE3 しょうこもなしにしんじられるわけないだろ! しょうこがだせないならうそつきもどうぜんだよ! うそつきれいむはありすにでもれいぷされてしまえ!! 44:レイパーギネス 2008/12/16(火) 16 00 28 ID Kimexemaru おっと、そのやくめはわたしがいただいた! さあ、れいむくん!おじさんとどろどろになるまですっきりしようね! 45:Red Princess 2008/12/16(火) 16 00 44 ID Petta/nnko もうゆっくりなんてみんなしねばいいのに 46:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 16 11 11 ID Yukkuri427 どうしてそんなひどいこというの1 もうやだ、おうちかえる11 47:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 16 30 04 ID Raperuzexe あーあ、お前らがいじめるから・・・ 48:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 16 33 49 ID DoSnoOneE3 大丈夫、どうせ今頃何もかも忘れてるから 40 一応証拠を提示してみる (YOUTUBEに投稿された動画。鉛筆を咥えたれいむが一生懸命キーボードを叩いている) 49:餡子Blood 2008/12/16(火) 16 42 38 ID Raperuzexe 48 ID DoSnoOneE3 アンタが飼い主かよwwwひっでぇwww 50:Red Princess 2008/12/16(火) 16 44 17 ID Petta/nnko その発想はなかったわ 51:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 16 48 03 ID Manjubenki おお、酷い酷い(笑) 52:レイパーギネス 2008/12/16(火) 16 52 31 ID Kimexemaru なんと言う肌艶のよい美ゆっくり・・・ 飼い主さん!お願いだ、れいむたんとすっきりさせてくれ!! 53:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 16 56 38 ID Tundereotu 一体何がしたくてこんなことしたのよ(苦笑) 54:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 16 59 56 ID DoSnoOneE3 いや、ちゃんと言いつけを守っているかなぁ~・・・と 一応守れているみたいだし、今日は何か手料理でも振舞ってやろうかな? ってことで 60、料理指定してね 55:レイパーギネス 2008/12/16(火) 17 00 00 ID んほおおおおおおお!おじさん、れいむとすっきりしたいよおおおおお! 56:Red Princess 2008/12/16(火) 17 00 55 ID Petta/nnko すっきりより虐待でしょ、常識的に考えて・・・ 57:餡子Blood 2008/12/16(火) 17 02 09 ID Raperuzexe 虐待や変態に常識もクソもあるか! 58:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 17 02 50 ID Manjubenki 赤ゆっくりの踊り食い 59:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 17 03 18 ID Kimexemaru おじさんのイチモツ 60:教会バイト 2008/12/16(火) 16 04 01 ID NechonoNo1 串赤ゆっくりのわさびだく 61:名無したんはゆっくりしてるよ! 2008/12/16(火) 16 05 50 ID DoSnoOneE3 60把握した 62:餡子Blood 2008/12/16(火) 16 10 02 ID Raperuzexe 言いつけを守った結果がこれかよw ‐‐‐あとがき‐‐‐ 以前、ゆっくりに虐スレを見せるネタをやったので、それを発展させてみた ゆっくりなら多少の妄言は笑って許せる自信があるぜ!いや、寧ろそこが魅力?
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/4668.html
『げすなゆっくり』 36KB 観察 野良ゆ 子ゆ ゲス 現代 ぬるいじめ…てすらない 過去作 anko4613 福笑いゆっくり anko4602 ゆっくり自殺してね!!! anko4585 散歩した雪の夜に anko4575 ゆっけん 「ゆっくり…ゆっくり…ゆっくりいそぐよ……」 一匹の小さいゆっくりが、道路を這い進んでいた。 その小さなゆっくりは、子ゆっくりのまりさだった。小さなあんよを一生懸命に使って、道路の脇、壁に沿うかのように進んでいる。 道路の端っこを進んでいれば、人間に危害を加えられることもない。だがしかし念のため、時折振り返り、周囲を警戒する。 そういう具合にゆっくりゆっくり進んで、子まりさはようやく己の帰る場所へと戻った。 うらぶれた路地裏の、人も寄り付かぬ片隅に、ひっそりと構えられている段ボール。 帽子の中に在る確かな重みをもう一度確認し、子まりさは笑顔を作って、己が帰ってきた事を中の者たちに伝えた。 「おかーさん! いもーとたち! まりさがかえってきたよ!」 げすなゆっくり 子まりさは、生まれた時から野良だった。 それは子まりさの父親であるまりさもそうだったらしいが、子まりさにとってはあくまで聞いた話に過ぎなかった。 実ゆっくりの時、満身創痍で帰ってきて、そのまま看護もむなしく死んでしまった。 だから子まりさは父親の顔を覚えていない。ただ立派なおうちと、山と遺した食料から察するに、充分に有能なゆっくりだったのではないか、と思っている。 何しろそれがなければ、子まりさ達はここまで成長する事もなく、そろって餓死していただろうからだった。 子まりさにとっての見知った親は、母親たるれいむだった。 彼女は優しく、善良な親だった。少なくとも子まりさはそう信じている。 そして残念なことに、優しい以外に美点を見出せない母親でもあった。 それはおそらく、れいむ自身が純粋な野良ゆっくりではなく――つまり捨てられた、元飼いゆっくりである事が原因ではないか、と子まりさは考えている。 れいむはとにかく、何もできない。 子まりさがようやく赤ゆっくりから子ゆっくり程度に成長した時、ほぼ底をついた食料を見て、おっかなびっくりれいむは宣言した。 「れいむがかりにいくよ!」と。 そして翌日、子まりさ達が迎えたのは、意気消沈した母親と、あまりにも少ない量の、何かよくわからない植物の葉だった。 その日一日、れいむは泣き暮らして過ごした。 自然な結果として、子まりさも狩りを手伝うことになった。 子まりさは家族の中で唯一のまりさ種であったし、長女たるもの妹たち――ふたりの子れいむ――を助けてやらねば、とも思っていた。 そして何より、泣き伏すれいむが横目でチラチラとこちらを伺う事に気付いていたからだ。 狩りを手伝う旨を伝え、れいむは躊躇いながらもどこか嬉しげにそれを受け――そうして子まりさは、連日狩りに出かけていた。 「おねーしゃ、おきゃりなしゃ!」 「ゆっくちぃ!」 「ゆっ! おちびちゃん、かえってきたんだね! ゆっくりおかえり!」 段ボールのおうちから二匹の妹れいむとれいむが顔を出す。 子まりさはそれを確認しておうちに入ると、帽子を外してその中のものを床に撒いた。 「ゆわぁ! くしゃしゃんだぁ!!」 「おいちしょう~」 「ゆゆ! すごいよ! きょうはごちそうだよ!」 子まりさの今日の成果は…今日の成果も、帽子パンパンに詰められた柔らかい雑草の葉っぱだった。 喜ぶ母親や妹たちの反応も、昨日とまったく同じもの。 「おちびちゃん、こんなにたくっさんのごはんさんをみつけてくるなんてすごいよぉ!」 「ゆん、きょうはうんがよかったんだよ」 些か興奮した様子のれいむの賛辞を、子まりさはいつものように受け答える。 運が良かったという謙遜は、三日前にも子まりさの口から出ていた。 れいむにとって、三日以上前の事を覚えているのは難しい。だから最低三パターンの答え方を用意すれば良かった。 必要以上にれいむを傷つける事はない。 はしゃぎまわる子れいむ達を眺めながら、ややあって子まりさはれいむに訊ねた。 「……おかーさん、おかーさんのぶんのごはんさんは?」 「…ゆ゛っ」 くしゃり、とれいむの顔が歪む。 ああしまった、と子まりさが思う間もなく、れいむの涙腺は決壊していた。 「ゆぐっ…うぐっ…ごべんねぇ…だべなおがあざんでごべんねぇ…!」 ボロボロと泣き出すれいむを前に、子まりさは胸の内で嘆息した。 どうすれば母親を悲しませずに、狩りの成果を聞き出せるのか。 だが聞かなければ聞かないで、不意にれいむは泣きだし、己の不甲斐なさを詫びてくるのだ。 子まりさは優しくすり寄って、れいむを慰めだした。 「おかーさん、だいじょうぶだよ。おかーさんのぶんのごはんさんは、どこ?」 「ゆぐっ…あ、あれ…」 れいむが指したもみあげの、その先を視線で辿る。 おうちの端っこに、何かよくわからない植物の葉っぱが、一枚あった。 「ごべんねおちびちゃん……すーりすーりぃ……」 「ゆん、いいよ……ごはんさんにしよーね、おかーさん」 さめざめと泣く母親のすりすりを受けながら、子まりさはゆっくりと食事を促す。 これが連日の、食事前の風景であった。 * 「ゆゆ-ん! はっぱしゃん、むーちゃむーちゃ!」 「おいちーにぇ! おにぇーちゃん!」 柔らかい草に舌鼓を打つふたりの妹――二匹の妹れいむ達を見ながら、子まりさはゆっくりと何かよくわからない草を咀嚼していた。 「ゆゆ、おちびちゃんたち、そんなにあせらないで、ゆっくりかんでごっくんしてね」 同じように妹れいむ達を見るれいむは、微笑みながらそんな事を言っている。 その顔は幸せそうで――実際、子供たちの幸せそうな顔を見る事はれいむにとって至上の喜びなのだろう。 「ゆっ、おちびちゃん、おちびちゃんもごはんさんをたべなきゃ…」 「ゆん、まりさはかりのとちゅーでたくさんたべてきたから、だいじょーぶだよ」 嘘は言っていなかった。 ただ、付け加えるとするならば、その行為は半ば食べられる草を見分ける為の毒見に近いものであった。 子まりさは狩りの知識が殆どなかった。 その知識を教えてくれるはずの父は既にいなかったし、母のれいむに至っては、何をか言わんや、という有様だった。 だから、食べられる物を見分ける為の知識は、狩りの途中で、実際に食べていく事で学んだ。 過去に数回、「外れ」に当たって子まりさは死にかけている。 「ゆ……ごはんしゃん、なくなっちゃったぁ……」 「ゆぅ……じぇんじぇんおにゃかいっぴゃいじゃにゃいよ……」 子まりさの小さな帽子では、とても家族が満足に食べられるほどの量を運んでくる事は出来ない。 妹れいむ達は、子まりさに視線を向けたあと、れいむを――正確には、れいむの分の食料をじっと見つめだした。 当然、それにれいむが気付かぬ筈はない。 「ゆっ! おちびちゃんたち、おかーさんはもうおなかいっぱいだから、のこったごはんさんをなかよくわけてたべてね!」 「ほんちょ? いーの?」 「ゆっ! やっちゃー!」 言うが早いか、妹れいむ達は争うように差し出された草を食べだした。 あっという間に草は妹れいむ達の腹の中へと消えていく。 それを見計らって、子まりさは苦みばしる草を腹の底へと飲み落とした。 「ゆっくりごちそうさま! おかーさん、おいしかったよ!」 「ゆっ、おちびちゃん、どういたしましてだよ!」 子まりさが完食とともに告げた感謝の言葉に、れいむは満更でもない表情を浮かべながら受け返す。 れいむ一家の、いつもの光景だった。 妹れいむ達は、既にご飯を食べ終えてウトウトし始めている。 腹を満たしたら次は睡眠。欲求に率直なゆっくり、しかも子ゆっくりは尚更その傾向が強い。 他にすることも無いので、子まりさたちは寝ることにした。 「ほらおちびちゃん、ちゃんとおふとんさんのうえでねんねしようね!」 「ゆぅ、わかっちゃよ…」 「れいみゅ、ねーみゅねーみゅだよ……」 おうちの中に敷かれた古びたタオルの上に、妹れいむ達が体を横たえた。 そのまますやすやと眠り込む。まったく早い寝つきだった。 その様子を、子まりさとれいむが見守っている。 「……おちびちゃん、おちびちゃんもおふとんさんのうえに……」 「ゆん、おふとんさんはいもーとたちだけでいっぱいだよ。まりさはあそこでおねむするよ」 「ゆ、わかったよ……」 遠慮がちに訊いてくるれいむに、子まりさはいつもと同じように返事を返した。 古タオルはそれほど大きくなかった。妹れいむ二匹が使えば、それで定員ギリギリだ。 だから子まりさは自分の定位置――おうちの奥まった端っこに座り込んだ。 れいむとは妹達を挟んで向こう側にいる。おうちの構造上、そういう位置取りのみが、四匹全員を収容できる方法だった。 剥き出しの段ボールの上で直に寝る。起きている時はともかく、子ゆっくりである子まりさにとってその状況は少々辛いものであった。 だが、不平不満などはこぼさない。 そんな子まりさの様子を見ていたれいむが、また一滴、涙を目から零した。 「ゆび、ご、ごべんね、おちびちゃん、おがーざんがだめだがら……」 「ゆん、おかーさん、まりさはへーきだよ。それに」 またも泣き出す気配を見せたれいむを、子まりさは宥めながら続ける。 「たすけあうのはとーぜんだよ。まりさは、みんなでなかよくゆっくりしたいよ」 「お、おぢびぢゃん……」 「いもーとたちがゆっくりすれば、まりさも、おかーさんもゆっくりできるよ。だからみんなでなかよくゆっくりするよ」 「ゆ、ゆん…!」 そうだ、助け合うのはゆっくりとして当然の事。「みんなで仲良くゆっくりする」というのは当たり前のことだ。 子まりさのその考えは、ほぼ唯一、れいむが子まりさに教える事が出来たものだった。 生まれる前に、母親の餡子から流れ込んできた大切な教え。 だからこそ子まりさは、「みんなでゆっくりする」事を何よりも大切にしていた。 「だからおかーさんも、なかないでね。おかーさんがゆっくりしないと、まりさもゆっくりできないよ」 「ゆ……わかったよ、おちびちゃん!」 涙の後に、大輪の花が咲いた。 れいむの笑顔を見て、子まりさも笑顔を向ける。 「それじゃ、れいむもおねむするから…おちびちゃん、ゆっくりすーやすーやしてね」 「ゆん、わかったよ」 「ゆ、おちびちゃん、ゆっくりおやすみなさい」 そうしてやがて、れいむも眠りについた。 子まりさはそれを、まんじりともせずにじっと見つめていた。 そう、そうだ。 「みんなで仲良くゆっくりする」というのは当たり前の事。 何もおかしい所はない。みんなで助け合うのは当然じゃないか。 ましてや相手は親や姉妹たち。助ける事に何も不思議な事なんて、ない。 思いやりを失くしたら……自分は、自分達は、ゲスなゆっくりという事になる。 そんな事、認めるわけにはいかない。 だから、子まりさは気付かない振りをした。 三匹いる姉妹のうち、なぜ自分だけが狩りをしているのか。 なぜ二匹の妹たちだけ、あんなに幸せそうにゆっくりを甘受するだけなのか。 そもそも何故――れいむは、自分が狩りから戻るより早くおうちの中に居たのか。 そうした事を、気付かない振り、知らない振りをして……子まりさは、暗い眠りの中に、落ちていった。 * 野良ゆっくりの世界は、厳しい。 それは悪意があるという訳ではないが――殊更厚意などは存在せず、この上なく不寛容な世界だった。 「ゆっ、ゆっ、ゆっくり…いそぐよ…」 今日もまた、道路の端っこを、子まりさは往く。 アスファルトの地面は子ゆっくりのあんよにとって好ましいものとは言えず、迂闊に飛んだり跳ねたりすれば怪我を負ってしまう。 だから、あんよを傷つけないように這って、それでものんびりする訳にもいかずに体を動かす。 「ゆっくり急ぐ」と云うのは何も矛盾ではない。 子まりさは、出来うる限り安全に、素早く、道路を進んでいた。 れいむは連れていない。 かつて子まりさがれいむについて行った時に、彼女の無様を思う存分見たせいであった。 食料を探すつもりでぐるぐると周囲一メートルを回り出し、何もない平坦な場所で派手に転ぶ。 そんな母親を、こんな遠出に付き合わせるわけにはいかない。 半分は思いやり、もう半分は余計なアクシデントを回避したく思う心が、れいむの同行を許さなかった。 ふと、目に入るものがあった。 子まりさの進む反対側の端っこに、ポツンと、ゴミの収集所。 そしてその脇に、一体のゆっくりが居る。 ゆっくりようむだった。 ゴミ収集所の脇に佇み、何をすることもなく、ただそこに居る。 しかし眼光は刃物のように鋭い。 時折動くその瞳は、周囲を睨め回し、他者が見れば間違いなく威圧されるだろう様だった。 子まりさは、そのようむの事をよく知らない。 ただ、過去に彼女を初めて見かけた時は、野良ゆっくり数匹からゴミ収集所を守るべく、戦っている場面だった。 いや、あれは戦いと呼べるのだろうか。 あっという間に野良ゆっくり達を斬り斃し、平然とそれをゴミ収集所に運んでいくようむを見て、子まりさは恐怖に震えた事を覚えていた。 ゆっくり、ゆっくりと慎重に、子まりさはようむの前を通過する。 それをようむは、ただ黙って眺めていた。 害意を向けるならば容赦はしないが、こうして手出しをしなければ、ようむが向かってくる事もないのを、子まりさは学習していた。 「ゆっくり…! ゆっくり、いそぐよっ!」 通り過ぎるや否や、子まりさは小さく跳ねてようむから急いで離れた。 脅威がない事は知っていても、やはり恐ろしいものは恐ろしかった。 ようむもそんな子まりさに興味はなく、視線を外すとまた周囲を油断なく警戒し始めていた。 子まりさは、生ゴミ――所謂、人間の食べ残しというものを口にする機会がなかった。 初めて狩りに出て以来、あのゴミ収集所にはいつもようむや、他のゆっくりが傍に居た。 小さな子ゆっくりである子まりさには、彼女たちと戦って勝つような運動能力も、力もない。 だからこのゴミ収集所を素通りして、別の場所へと向かうのが子まりさの常であった。 ゆっくりしていない。子まりさはあのようむの事を、そう思っていた。 あの目、あの表情――何もかもが恐ろしい。 ただ単に怖いという訳じゃない。あれには、何ら温かいものが感じられなかった。 ゆっくりは、みんなで助け合うものなのに。 ようむ自体の脅威よりも、その関係を断絶させるような雰囲気こそが、子まりさにとって耐えがたいものであった。 自分の求めるゆっくりを否定されたような気分になって、子まりさは進む。 ゴミ収集所を通り過ぎ、道路の脇を進んで、人間に注意しながら、時には車の往来を見計らって――子まりさが辿りついたのは、公園だった。 ゆっくりと周囲を眺めまわし、人間が居ないかを確認する。 これはもう子まりさの癖になっていた。 「おちびちゃん」 「ゆ゛っ」 不意に、後ろからの声。 子まりさが振り返った先には、一匹のぱちゅりーが居た。 さらにその後ろの植え込みには、何匹かのゆっくりの気配。 毎度のことながら、子まりさはこのぱちゅりー――ひいてはこの公園に住むゆっくりの雰囲気が、好きではなかった。 「今日もきたのね? それじゃ、約束はおぼえているわね」 「ゆ、ゆ゛ん」 敵意はない――ないが、それ以外にも何も感じさせる事のない、冷えたぱちゅりーの視線。 何故だかそれが、子まりさの身体を震えさせる。 「あそこにある、花壇さんのお花はむーしゃむーしゃしちゃだめよ。ほかの場所ならいくらでも取っていいから」 「ゆ、ゆっぐりりがい、しでるよ」 「そう」 それだけ言うと、ぱちゅりーはにこりともせずに子まりさから離れていった。 ぱちゅりーが指した先には、おそらく人間が作ったのであろう花壇の中に、美しい花が咲いていた。 何度目かの狩りで初めてこの公園に迷い込んだ時も、あのぱちゅりーは即座に現れて、それだけ言って去っていった。 それ以外には何も言う事はないと言いたげに。 実際、公園には雑草がそこかしこに、余所者の子まりさがいくら取っても余りあるほど生えていた。 「ゆっく…ゆっくり、あじみするよ…」 子まりさは密集して生えている雑草の一群に向かい、そっとその葉先を噛んだ。 口の中に広がる、やや青臭い味。しかし飲み込めなくはない。 子まりさは長く伸びた雑草の一本をゆっくりと齧りつつ、まだ柔らかいものを見繕って、草をむしっていった。 草をむしる子まりさは、植え込みの向こうからいくつかの視線が自分を捉えている事に気が付いていた。 そっと横目で窺い見れば、そこにはおそらく、何体かのゆっくりが子まりさを監視しているのだろう。 監視、そう、監視だ。 万が一、子まりさが花壇へと向かえば、たちまちゆっくり達は飛び出し、子まりさを押さえつけ――或いはそれ以上の暴力を行う。 そういう意図を、隠そうともしない視線だった。 子まりさはそういう視線に傷つき、何とも言えない悲しみを覚える。 別に何かをして欲しい訳じゃない。 ただ、子まりさの前に出てきて、話題なんて何でもいいから会話くらいはして欲しかった。 これでは、ゆっくりなんて欠片もなかった。 結局のところ、子まりさは誰にも自分が必要とされていないことを理解していた。 世界は――少なくとも子まりさが知る世界は、子まりさを置いて閉じており、そこに入り込む余地などはなかった。 ゆっくりは助け合い、みんなでゆっくりする事だと子まりさは思っている。 ただ、彼らは子まりさの助けなんて望んでいないし、よって子まりさを助けるつもりもないという事を知っていた。 唯一の例外、子まりさにとっての縁は、己の家族だけ。 だから、子まりさは今日も家族のために働き続けていた。 「ゆっくり…しまうよ…」 収穫した草を、帽子の中に詰め込んでいく。 誰も何も言わぬ公園に、その宣言だけがむなしく響いていく。 「ゆっくり…おじゃま、しました……」 子まりさは草を詰め終えると、誰にともなく頭を下げて、そのまま公園を出て行った。 無論、それを見送る者など誰もいなかった。 みょんも、ぱちゅりーも、他のゆっくりも、誰一人として。 子まりさとゆっくりしたがる者は居なかった。 * 「やべ……やべでね……!」 帰途についた子まりさが路地裏の手前で聞いたのは、母の悲痛な叫びだった。 思わず、身を隠す。 植木鉢がぞんざいに置かれていた木箱の裏に隠れ、子まりさはそっと裏路地の様子を窺った。 「やべでっ、いだいっ! なんでっ、どぼじでっごんなごどっ、ずるのぉ!!」 「うるっさいのぜ! お前も、もう観念するんだぜ!」 それは、一体のまりさだった。 成体の、それもれいむよりやや大きいまりさが、一方的な暴行をれいむに加えていた。 「こんなところに勝手に住みついて…迷惑なの、ぜっ!」 「ゆ゛ぁっ! れいむの゛おうちぃ!!」 まりさの体当たりを食らって、段ボールのおうちはほんの少しだけひしゃげた。 既に顔を赤く腫らしたれいむが、悲痛に迫った声で叫ぶ。 「ゆんやああぁぁぁ! きょわいいいぃぃっっ!!」 「おがーじゃ! おがーじゃ、だぢゅっ、だぢゅけちぇええぇぇっ!!」 おうちの中に居る妹れいむ達は、もっと悲惨だった。 体当たりの衝撃は、おうちの中にまで伝播し、妹れいむ達はあちらこちらに吹っ飛んでいる。 「おぢびぢゃんん!!! どぼっ、どぼじでごんなひどいっ、ごどぉ!!」 「さっきから言ってるのぜ。さっさと、ここから出ていくんだぜ!!」 「ぁぎっ!! いだい!! おぢびぢゃ、だずげ、だずげでっ!!」 子まりさは、恐怖に凍りついていた。 なにが原因で、一体どうしてそうなったのは分からないが、ともかく現状は、一体のまりさが家族に危害を加えている。 明らかに自分より大きく、そして強いだろう。 ここで出ていっても、まりさに敵う事はないと、はっきりと確信をもって言えた。 だが、それでどうするのか。 このまま家族が嬲りものになる様を、見ているしかないのだろうか。 「おちびぢゃあああん!! おちびぢゃ、だずげっ!! だずげええぇぇぁぁぁああああ!!!」 れいむの引き絞るような声で、子まりさは我に返った。 見れば、れいむはまりさにもみあげを噛まれ、そのまま引っ張られていた。 もう、このままじっとしている事は出来なかった。 勝算が低い事も、無視した。 大事な家族を助ける為に、子まりさは、半ば捨て鉢になっていた。 子まりさは帽子の中から、護身用の木の枝を取り出した。 そのまま、ゆっくりと、音を殺してまりさの背後に忍び寄る。 相手は未だれいむとの格闘に忙しい。気付かれる恐れは、ほぼ無かった。 正面から戦えば間違いなく負けるが、不意をついての攻撃ならば、まず間違いなくまりさの機先を制す事ができる。 れいむ達はその間に逃がせば良いし、上手くすれば自分も生き延びる目があった。 「早く出ていかないと、もっと痛いめ見るんだぜ!」 子まりさは、息を殺してまりさの背後を取った。 あとは背中をひと突きすれば、まりさの注意はこちらに向く。 子まりさは、木の枝を縦に銜えこんで、あんよに力を入れた。 「ゆぅっ!!」 果たして、子まりさの奇襲は完璧だった。 ただ、それ以上にまりさの行動が常軌を逸していた。 「ゆんっ!?」 死角からの攻撃に、まりさはどうやって反応したのか、そのまま横っ飛びに避けた。 子まりさの枝先が、空を切る。 そのまま転がり、距離を取る。立ち上がった時にはどうやってか、既にまりさの口には木の枝が銜えられていた。 一動作にて、この挙動。明らかに戦い慣れしたゆっくりのみがこなせる技であった。 「ゆへぇ、びっくりしたのぜ……どうなってるのぜ?」 完璧に不意を討たれ、しかしそれを見事に回避したまりさを見て、子まりさの心は絶望が占めた。 もとからこの一撃のみを加え、その後逃げ出す算段だった。 だがそれも、こうまで意図を挫かれてはもうどうしようもない。 子まりさは、自身の死を予感した。 「ゆっ、そこのチビがまりさに手を出したのぜ? よくやるのぜ」 「おっ、おちびぢゃああああん!!!」 「おがーざんはいもーどだぢをづれでにげでね!! おがーざんだぢはまりざがまもるよ!!」 自身の死を確信して、だが子まりさは退かなかった。 れいむの前に立つよう回り込み、まりさに枝を突き付けて相対した。 もうこのまりさを前にして、自分が逃げられるとは思わなかった。 だがせめて、れいむや妹達を逃がすための捨石くらいにはなれると思っていた。 「チビ、そんなのふりまわしてちゃ危ないんだぜ」 悠々とまりさが近寄ってくる。 そして子まりさが反応できないほどの速度で、枝を振った。 口元に衝撃が走る。 気付けば子まりさは、枝先を絡み取られ、弾き飛ばされた己の木の枝を眺めていた。 「ゆん、つかまえた」 「ゆぎっ!」 「おちびちゃ、おちびちゃあああん!!!」 大きなまりさのおさげが、子まりさの身体を地面に押しつける。 抵抗する事すらままならず、子まりさは地面に這いつくばる。 気絶していた妹れいむ二匹をおうちから運び出していたれいむが、大声で叫んだ。 「おちびちゃんになにするのぉ!! はやくはなしてあげ…」 「やかましいのぜ」 「ゆひぃっ!!」 大声でわめくれいむを一睨みして黙らせて、まりさは子まりさに向き直る。 その眼には、僅かながらも賞賛の色が浮かんでいた。 「ちっちゃいのによくやるのぜ。チビのくせに胆っ玉がすわってるのぜ」 「ゆぎっ、ゆぎぎぎぎ……」 そのように褒められても、子まりさは全く嬉しくなかった。 力の限りにまりさのおさげを払い除けるべく、暴れ続ける。 その拍子に、子まりさの帽子が外れた。地面に落ち、つばを支点にころころと転がり、中に詰め込まれた草がこぼれる。 「ゆん? 何なのぜ、これ」 「ゆっ、かえしてね! まりさのおぼーし! かえしてね!!」 「言われなくても返してやるのぜ。でもチビ、これは一体何なのぜ?」 さも不思議そうに地面に落ちた草を舌で拾い上げ、子まりさに突きつけるまりさ。 「ゆっ、それはっ! まりさがかりであつめた、ごはんさんだよっ! たべないでね! おぼーしかえして!」 「ゆん?」 今度こそまさしく怪訝な顔で、まりさは再度子まりさに訊ねた。 「どういう事なのぜ? なんでチビが、ご飯さんなんて集めてるのぜ?」 「まりさはおかーさんのおてつだいをしてるんだよ! それはこうえんさんであつめてきたごはんさんだよ! おぼーしかえして! ごはんさんとらないで!」 帽子を返してもらいたい一心と、命乞いの意味も兼ねて、子まりさは正直にすべてを叫んだ。 れいむが「ゆぎぃっ」と呻いたが、そんな事はこの事態に当って、子まりさの考慮の外にあった。 「公園さんっていうのは、もしかしてあっちの方にある公園さんなのぜ?」 「そうだよ! まりさはそこにいってかりをしてきたんだよ!」 「ゆへぇ……」 子まりさの返答に、まりさは驚嘆の表情を浮かべていた。 ふと、子まりさの身体を抑えていたおさげの力が弱まる。 再び力を込めて暴れると、あっけないほどに拘束は解かれた。 子まりさはおさげを振り解き、そのまま帽子を取って距離を取る。 「なるほどなのぜ……あの時の……」 まりさはブツブツと、何事かを呟いていた。 こちらに注意を向ける様子はなく、ゆんゆんと得心したように頷いたりしている。 子まりさは、チャンスだ、と思った。 一体何の奇貨か、まりさは油断しきっていて、こちらを見ていない。逃げ出す機会は今しかなかった。 ゆっくりと後ずさる。後ろに控えているれいむは、二匹の妹を抱えてまだぶるぶると震えていた。 あとは、どうやってれいむを連れてここから逃げ出すか…… 「ゆっと、待つのぜ」 そうした考えを、あっさりとまりさの制止が差し止めた。やはり、まりさは自分達を逃がすつもりはないらしい。 子まりさは、いよいよ進退窮まったと思っていた。 今の自分に武器はなく、身長、体重、運動能力、そしておそらく戦う術も遥か格上の相手。 そんなまりさを相手取り、れいむや妹達を無事に逃がす事ができるだろうか。 そんな焦燥を知ってか知らずか、まりさは子まりさを見ている。 不意に、何かの違和感が子まりさを襲った。 今までとは何かが違う、この感じは、一体何なのか。 「おちび」 そして子まりさは、気付いた。 まりさの口調が変化していた。 子まりさを見つめるまりさの瞳には、もはや敵意が見つけられず、代わりに別の感情が浮かんでいる。 それは―― 「まりさたちの群れに、入る気はないのぜ?」 それは、ゆっくりだった。 子まりさが求めてやまぬ、ゆっくりとした思いやりの色だった。 * 子まりさにとって、ゆっくりとは、誰かと一緒に共有するものだった。 だからこそ、子まりさは唯一自分とゆっくりしてくれる家族を大切にしていた。 「まりさたちは、公園さんに…ゆん、おちびの行ってた公園さんに住んでる、地域ゆっくりなのぜ。 野良ゆっくりからゴミ箱さんを守ったり、人間さんから隠れて住んでる野良ゆっくりを追いだしたりして、 まちのけーかんって奴を守って、人間さんからお礼をもらったりして暮らしてるのぜ」 本当の事を言えば、家族以外ともゆっくりしたい。 しかし、それは許されなかった。 家族以外のゆっくりは、子まりさに興味すら持ってくれなかったのだ。 だから、子まりさはそういう事を既に諦めていたのだ。 自分がゆっくりするためには、家族を大切にしなけらばならないと。 「でもやっぱりこのお仕事は大変だから、ゆーのーなゆっくりじゃないとつとまらないのぜ。 でもゆーのーなゆっくりはいつも足りなくて、まりさたち困ってるんだぜ。 だから、ゆーのーそうなゆっくりを見つけたら“すかうと”するようにしてるのぜ」 子まりさには、常に疑問と不安と不信感を抱えていた。 家族を大切にして、それで何があるのか。いっそ、自分ひとりで生きていく事の方が楽ではないか。 時折浮かぶその考えを、子まりさは噛み殺し、気付かない振りをしてきた。 家族を見捨てて自分ひとりだけゆっくりするなど、それはゲスなゆっくりだと思っていたから。 「おちび、おちびってけっこーすごいゆっくりなんだぜ? まりさたちの住んでる公園さんは、ここからだとすっごく遠くにあるのぜ。おとなのゆっくりでも、苦労しないといけないんだぜ。 でもおちびは、おちびなのによくそこまで行けるのぜ。 ぱちゅりーの言ってた“変なおちびちゃん”って、おちびのことだったんだぜ」 子まりさには知り得ぬことだったが、子まりさのおうちから公園までの距離は、軽く百メートルを超えていた。 まりさの眼には、紛れもない、驚きと敬意の色が浮かんでいる。 家族以外のゆっくりが見せる、初めての感情。 子まりさの胸中には、言い知れぬ感動と、それを上回る困惑があった。 「おちびはまだチビだけど、これから絶対ゆーのーなゆっくりになるんだぜ。 まりさがほしょーするんだぜ。群のみんなはいいゆっくりばっかりなんだぜ。 だからおちび……まりさたちの群れに、入る気はないかぜ?」 要するに子まりさは、諦めていた可能性を示されて、ひどく戸惑っていた。 本当の、「みんなでゆっくりする」という事に。 「ゆっ…ゆっ…! すごいよぉ、おちびちゃああん!!!」 突如、素っ頓狂な歓声が響き渡る。 子まりさが振り返れば、そこにはれいむが、喜色を満面に張り付けた顔で小躍りしていた。 「おちびちゃん! ちいきゆっくりだよ! あの! ちいきゆっくりぃ! もうこんなばしょで、まーずまーずなくささんをたべたりしなくても、へいきなんだよぉ!! おかーさんは、はながたかいよぉ!! おちびちゃんは、れいむのたからものだよぉ!! ねっ、そうおもうでしょ!? おちびちゃんたちぃ!!」 「ゆっきゅちぃ!!」 「れいみゅたち、ゆっきゅりできりゅんだにぇ!!」 いつの間にか起きていた妹れいむ二匹とともに、喜びに沸くれいむ。 そんなれいむを、子まりさは未だボーっとした様子で見ていた。 展開の速さに、餡子が追い付いていないのだ。 れいむの喜びはひとしおの様であった。 飼いゆっくりから身を落とし、苦しみの中で過ごす毎日を送っていた。 だが地域ゆっくりになれれば、少なくともその待遇は大幅に改善されるだろう。 れいむの喜びようは、無理もない。 「なに言ってるのぜ?」 「ゆっ?」 「ゅゅっ?」 「ゆっきゅ、ち?」 だから、一転して冷たい口調のまりさの横槍に、れいむ達は思わず硬直してしまった。 「お前らなんかうちの群れには入れないのぜ。まりさが欲しいのは、そこのおちびだけなんだぜ」 静寂。 硬直したれいむ達と、呆気にとられた子まりさと、冷やかにれいむ達を見下すまりさの間に流れいく時間。 たっぷり一分ほど経ってから、れいむは爆発した。 「どっどぼぉっ!! どぼっどぼっどっぼぉじでぇええええぇぇえ!!?」 「まりさは言ったのぜ? ゆーのーなゆっくりが欲しいって。お前らはどうなのぜ?」 「ゆぎぃっ……!!」 泣き喚くれいむは、まりさにあっさりと切り返されて、そのまま黙った。 自身の能力について、少なくともれいむは自覚があった。 だからまりさの痛烈な返しに、そのまま黙らざるを得なかった。 まりさは子まりさを見る。 「おちびはすごいのぜ。さっきのお帽子の中、ちゃんと食べやすい草さんばかり入っていたのぜ。 すごい遠くを行ったり来たりしてるのぜ。怪我もしていないし、あんぜんにも気をつかってるのぜ。 それに、さっきのこーげき、おちびなのに大したもんだぜ。まりさは避けられたけど、普通のゆっくりなら当たってたのぜ。 おちびはゆーのーなゆっくりなんだぜ」 「ゆ、ゆぅ……!」 子まりさは、なんだか急に泣きたくなっていた。 自分の頑張りが初めて正当に評価されたような気になって、どうにも堪え切れなくなっていた。 「……それに比べて、」 まりさはれいむ達を見る。 子まりさを見つめていた時の表情は消え去り、そこには侮蔑もあらわな、冷たい色が滲んでいた。 「お前はどうなのぜ? ゆーのーなら、そもそもおちびを狩りに行かせたりしない筈なのぜ。 おまけになんで、おちびを狩りに行かせてるのにお前はおうちの中でゆっくりしてたのぜ? もしかして、おちびに狩りを任せっぱなしにしてたんじゃないかぜ?」 「ゆっ、ゆぎっ……!!」 れいむは呻いた。 図星を指されたれいむには、それしかする事がなかった。 「それに、そこのチビれいむもおかしいのぜ。 おちびと同じくらいの大きさなのに、赤ちゃん言葉まるだし過ぎなんだぜ。 どーせ同じれいむだからって、散々甘やかしたせいなんじゃないのぜ?」 「ゆうぅっ!!?」 「ひぢょいよぉぉぉ!!」 まりさの呵責ない指摘は、妹れいむ達にまで及んだ。 実際に甘やかされて育った妹れいむ達は、泣き喚く以外の方法を知らなかった。 「お前らなんて、どうせお仕事も覚えられないようなむのーなゆっくりなんだぜ。 まりさが欲しいのは、おちびだけだぜ。お前らなんていらないのぜ。 勝手に勘違いするのは構わないけど、それで群れに押し掛けられて来ちゃ迷惑なんだぜ!」 まりさの激昂に、結局れいむ達は沈黙した。 再び、路地裏に静寂が訪れる。 子まりさは、先ほどからずっと困惑しっぱなしだった。 方や自分を見る時の温かい眼差し、方やれいむ達を罵る際の侮蔑の表情。 まりさというゆっくりが分からなかった。 「おちび」 「ゆぅっ!!?」 そのまりさに呼ばわれて、子まりさは飛び上がる。 「今まで大変だったろうけど、もう大丈夫なのぜ。こんな奴らの世話をする必要なんてないのぜ。 まりさたちの群れに来て、一緒にゆっくりするのぜ」 「ゆ……いっしょに、ゆっくり……!」 一緒にゆっくり。 諦めていた、家族の間でさえ欺瞞を通さねば見つけられなかったその言葉が、子まりさの心を揺らす。 「だべだよぉ……」 それに横槍を入れるものが、一匹。 「…ゆっ、おかー、さん」 「だべ! だべだよぉ! おぢびぢゃん!! そいづのいうごどをきいだらだべぇ!! そいづ! そいづはぁ!! げずなゆっぐり!! げずなゆっぐりだよぉ!!」 子まりさの心をかき乱したのは、よりにもよってれいむの叫びだった。 見れば、れいむの顔はまりさへの敵意で溢れ返っている。 何を思ったのかは定かではないが、れいむにとって、既にまりさは我が子を奪おうとする憎い敵だった。 「ゆ゛、げすな、ゆっくり」 「そうだよぉ! おちびちゃん!! おぢびぢゃんいづもいっでたでじょお!!? みんなでゆっくりじようねっで!! こいづは! じぶんだぢだけじかゆっぐりじようとじないよぉ!! やさしいおちぢぢゃんとちがって!! ごいつは!! げすなんだよぉぉ!! だがらっ! おちびぢゃんっ! れいぶをみすでないでえぇ!!」 ゲスなゆっくり。 それは子まりさが忌避するものだった。 他者を踏みつけにする、許しがたいゆっくり。 だがれいむの怒りに満ちた弾劾を、まりさは嘲笑で切り捨てた。 「ゲスなゆっくり? それはお前の事なんじゃないかぜ? 今そうやっておちびを引きとめてるのも、本当はご飯さんが取れなくなるからじゃないのぜ? おちびの事が大切だとか、みんなのゆっくりが大切だとかいう振りをしてるのぜ。 お前みたいなむのーなゆっくりは、自分のことしか考えてないもんなのぜ」 「うっ…うるざああぁぁいい!! だばれだばれだばれええぇぇっっ!!!」 激しく頭を振り、まりさの言葉を否定するれいむ。 その光景は子まりさにとって、察するに余りあるものがあった。 信じていたかったものが、急速にひび割れ、失われていく。 やはり母にとって、自分とは…… 「見たのかぜ、おちび? あいつ、本当のこと言われたからって怒ってるのぜ。 やっぱりあんなむの―なゆっくり、おちびが世話してやる必要なんてないんだぜ。 まりさたちの群れに来て、おちびも一緒にゆっくりするんだぜ」 「うそだあぁぁ!! おばえはげすだあぁ!! げすなんだああぁぁぁ!!! おちびぢゃああん!!! げすにっ、げすにだばされないでええぇぇ!!」 優しく諭してくるまりさ。 涙を撒き散らし、髪を振り喚き散らすれいむ。 子まりさの天秤が、両者を載せて揺らめき動く。 「人間さんだって、けっこう優しいのぜ? まりさたちが人間さんのために働けば、人間さんはまりさたちを悪いようにはしないのぜ。 こんなれいむのそばに居て、ゆっくりを捧げ続けて、使い潰されるより絶対におちびは幸せになれるのぜ」 「うぞだああぁぁっ!! にんげんはひどぐでっ! ごわぐでっ!! ゆっぐりじでないんだああぁぁ!! れいむをすでだっ、あのにんげんなんかがっ、ゆっくりしてるわげないいいいぃぃ!!!」 子まりさは、自分の心が既に決まっている事に気付いていた。 だが、あえて今まで、それを無視していた。 だって、心のままに従えば、自分はきっと――― 「おちびにもいつかがんばってもらう時は来るけど、その時はみんなもがんばってるのぜ。 おちびだけに苦しい思いはさせないのぜ。おちびはみんなを、みんなはおちびをゆっくりさせるのぜ。 それにもし、家族が恋しいなら……まりさが、おとーさんになっても、いい、のぜ」 まりさ。 「やべでっ!! だべぇっ!! いっぢゃだべえええぇぇっ!! げすにならないでえぇ!! おがーざんを、かぞぐを、みずでないでええぇぇっ!! みんなゆっぐりでじょおおおっ!! おがーざんと、おちびぢゃんといっじょに、ゆっぐりじでよおおぉぉぉっ!!」 れいむ。 子まりさは、ゆっくりと、口を開いた。 「まりさ、まりさは―――」 「げす!! げすぅっ!! よぐもれいぶをぉ!! がぞぐをっ、うらぎっだなぁ!! おばえなんでもうおちびぢゃんじゃないいいぃ!! げすっ!! げすううぅぅ――――」 まりさに連れられて、子まりさは裏路地を出る。 背後からは、恨みがましいれいむの声。 「ゆん、おちびに免じて、今日はお前らのことを見逃してやるのぜ! でも明日になったらまた来るのぜ! それまでにさっさとそこから出ていくのぜ! ―――さ、行こうか、おちび。あそこにまりさのすぃーが駐めてあるのぜ」 「………ゆん」 子まりさは小さく頷いた。 路地裏からの声は、まだ響いている。 「今からおちびは、群れの一員なのぜ。まだおちびは小さいから、みんなとっても優しくしてくれると思うのぜ。 今夜はかんげー会なんだぜ、おちび………だから、そんなに気にしなくて、いいんだぜ」 「ゆん………」 まりさの慰めに、小さく頷く。 子まりさに届く、母の声。 子まりさは、まりさを選んだ。 れいむ達を支えてゆっくりするより、まりさ達と一緒にゆっくりする事を選んだ。 家族を見捨てて、見知らぬ誰かとのゆっくりを選んだのだった。 子まりさの餡子の奥に、チクリと、小さい痛みが走る。 まりさのスィーに乗せられて、路地裏から離れていっても、れいむの声は離れなかった。 * それから、しばらくの時が過ぎ去って。 「おとーさん、こっちだよ。早く来てね」 「ゆっ! ゆゆ、待つのぜおちびちゃん。ゆっくりなんだぜ、あんぜんうんてんじゃないと、危ないんだぜ」 二匹のまりさが、それぞれスィーに乗って歩道を進んでいく。 子まりさは成長し…亜成体ほどの大きさの、若いまりさとなっていた。 後ろに続くまりさは、結局そのあと義父となった、あのまりさだ。 若まりさは、すっかり群れに馴染んでいた。 既に子供の頃から能力も大きく成長し、群れの若手として大きく期待されている。 群れの一員だったようむも、ぱちゅりーも、若まりさに対して一目置くようになっていた。 義父まりさは、すっかり子煩悩になって、あれやこれやと若まりさにつきっきりだった。 時には厳しい事もあるが、それも若まりさのことを思えばこそだった。 無論それを理解している若まりさも、義父を敬愛している。 二匹の絆は強く、結び付いていた。 今二匹は、人間さんに貰ったスィーで、街のパトロールをしているところだった。 街のどこかに潜む野良ゆっくりを見つけ出し、追い出す――最悪の場合、永遠にゆっくりさせる。 それが地域ゆっくりである、若まりさたちの仕事の一つだった。 スィーの後部には、簡易的にゆっくりを持ち運べるように、コンテナが連結してある。 「ゆっ」 「ゆ? なにか見つけたのぜ、おちびちゃん?」 「ゆん」 不意に、若まりさが何かを見つけた。 自動販売機の脇に、薄汚れた三つの塊。 野良ゆっくりの死体だった。 一目見れば分かるほどに、汚れに汚れて、傷ついている。 「ゆひゃあ、こんなところで死んでるのぜ。もうちょっと場所を選んでほしいのぜ……」 「………」 うんざりといった義父まりさの愚痴を横に、若まりさはじっと、それらを見ていた。 大きな一つのゆっくりと、小さな二つのゆっくり。 おそらく親子だろうそれらは、折り重なって倒れ伏していた。 ガリガリに痩せ細って、中身が透けるほどに皮の薄くなった相貌は、苦痛の一語で埋め尽くされていた。 髪の毛は毟られ、むしろ残っている部分の方が少ない。 体の方も、凄まじい衝撃を受けたのか、べっこりと窪んだ痕と、青痣が体中に浮かんでいる。 今わの際にひり出されたであろううんうんは、硬そうな雑草と共に、砂利や石などが混ざっていた。 野良ゆっくりの末路として、ありふれた死に様であるところのゆっくり……れいむ。 若まりさは、なぜかこの三つの死体から、目を離せなくなっていた。 不自然なほどに小さい二匹の子れいむ――そのうち一匹はお飾りすらなく、禿饅頭と化している。 目をくりぬかれ、そこに枝が何本と刺さっていた。苦痛に歪む死相は、末期の痛みを語りかけてくる。 もう一匹は口がズタズタに引き裂かれていた。 絶望に大きく顔を引き攣らせ、そのままパックリと大きく口を開けたまま死んでいる。 親れいむの死体は、そんな二匹の死体を悲しむかのように、天を仰いで、歯を食いしばったまま事切れていた。 その表情は、絶望、後悔、悲哀、恐怖……さまざまな負の感情のモザイクで占められていた。 若まりさは、この三匹を知っていた。 知っているような気がした。 「おとーさん」 「ゆ? 何なのぜ?」 「ここはまりさに任せて、おとーさんは先に見回りしてきてね」 ふと、若まりさの口から、そんな台詞が勝手に飛び出した。 「ゆゆん? おちびちゃんがそう言うなら……それじゃ、まりさは先に行くのぜ」 さして疑問にも思わずに、義父まりさはスィーを走らせ、離れていった。 残されたのは、若まりさと、死体が三つ。 若まりさは、じっと、死体を見続けていた。 それで何が変わる事もない。 死者は、そんなことでは生き返らない。 「……ゆ、お片づけ、しなきゃ」 地域ゆっくりである若まりさには、ゆっくりの死体清掃も仕事の一つだ。 そのためにスィーのコンテナがある。 のろのろと、いつもとは比べ物にならないほどの緩慢さで、若まりさは仕事を始めた。 若まりさは、死体の端っこに噛みついて、そのまま引っ張りだした。 あとはこれを、コンテナに収めれば終わりだ。 だのにそれが、今日の若まりさにとっては何よりも過酷な作業だった。 歯の先から伝わる、死の冷たさ。 慣れているはずだった。 他のゆっくりの死体は、何なく片づけられたのに、何故。 「ゆっしょ、ゆっしょ……」 渾身の力を込めても、死体は少しずつしか動かない。 何度も何度も引っ張って、その度に体を止めようとしている自分に、気がついた。 ふと、思い出す。 あの時から、ずっと若まりさを苦しめ続けていた言葉を。 『げす!! げすぅっ!! よぐもれいぶをぉ!! がぞぐをっ、うらぎっだなぁ!! おばえなんでもうおちびぢゃんじゃないいいぃ!! げすっ!! げすううぅぅ――――』 若まりさは、義父まりさの群れに入ってから、幸せだった。 皆は優しい。 困難はあっても、それを解決するべく、皆が一丸となって事に当っている。 皆が他者のことを考え、一緒にゆっくりしていた。 それは、若まりさの理想である「みんなで仲良くゆっくりする」事である。 それは間違いない。 間違いないが、ただ一つだけ云える事がある。 その幸せは、家族を見捨てて手に入れたものなのだ。 若まりさは、もう踏ん切りが付いている筈だった。 若まりさは自分の幸せを手に入れる為に当然のことをしたのであり、そこに非はない。 義父まりさにも、群れの皆も責めるべきところなど何一つない。 だから、目の前のこの光景も、受け入れていた筈なのだ。 そうなる事は、ごく自然の摂理だと。 だというのに、何故だろうか。 何故、自分はこんなにも――― 「……まりさはゲスだよ。もう、ゲスでいいよ」 若まりさ……子まりさは、頬に伝わるものをあえて無視し、作業を続けた。 おわり 俺は愛で派だから、野良ゆっくりも割と牧歌的な生き方してるよ! 死ぬ奴はすぐ死ぬけどね!
https://w.atwiki.jp/tepotan/pages/17.html
ノドン発射台擬人化 【愛称】 ・初音くん 【身長】 ・120nm 【体重】 ・禁則事項です☆ 【髪型】 ・ベリーショート 【チンコのサイズ】 ・そ、そんな事言えるわけないじゃない!!このバカチンが!! 【服の系統】 ・パーカー短パン 【好きなNBAのチーム】 ・サガントス 【趣味】 ・SMプレイ(M側)・戦争ごっこ 【その他】 ・発射時にノドたんとキスすることで一時的に130cmぐらいの大きさになれる・夜になると美少女になる・鍵厨
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/48914.html
登録日:2021/08/12 Thu 13 33 32 更新日:2024/05/23 Thu 10 29 56 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 BT21 EXILE Fate/EXTELLA PUI PUI モルカー R2-D2 おでんくん ぐでたま たまごっち はねるのトびら イーブイ エヴァンゲリオン コラボ サンリオ スター・ウォーズ ツイステッドワンダーランド ドラえもん バンダイ ヘキサゴン ポケットビスケッツ ポケットモンスター モスラ 中村玉緒 北京原人 呪術廻戦 玩具 育成ゲーム 鬼滅の刃 1996年の発売当時熱狂的なブームを巻き起こし、幾度か断続しつつも現在もシリーズを展開しているたまごっち。 その中には本家シリーズ以外にも様々な他社の作品や芸能人とコラボしたものも多数ある。 近年では一月一作品のハイペースでコラボたまごっちの発売が予定されている。 最近のコラボ系たまごっちは「nano」と公式呼称されており、本家シリーズの特徴である「カラー画面」や「通信要素」などはオミットされた元祖に近い作りになっているのが特徴。 また、タイトルによっては(世界観や版権の都合上)死亡演出が無かったり別の描写に差し替えられていたりする。 本項では、それらコラボたまごっちを紹介する。 【他作品のキャラクターを育成するもの】 他作品のキャラクターまたは、他作品のキャラクターをモチーフにしたオリジナルたまごっちを育成するもの 原人っちのたまごっち 1997年発売。映画『北京原人 Who are you?』とのコラボ。 化石から生まれたDNAっちを育成し原人まで進化の歴史を辿っていく。 モスラのたまごっち 1997年発売。映画『モスラ』とのコラボ。 たまごから生まれた「ベビモスラ」を成虫にまで育てるコンセプト。バトラやシークレット枠で小美人やゴジラなどにも育つ。 ちなみに初代デジタルモンスターのver.5は登場するデジモンのドットがまんまゴジラ怪獣で、本作の基板を流用して制作されたという説が有力視されている。 ポケットビスケッた 1997年発売。バラエティ番組『ウッチャンナンチャンのウリナリ』とのコラボ。 本体はビスケット型の特殊な形状。 同番組の音楽ユニット、ポケットビスケッツを育成する。 玉緒っち 1997年発売。女優の中村玉緒とのコラボ。 たまごから生まれた「あしっち」のマネージャーとなり大女優玉緒っちになるまで育てるというコンセプト。 「ごはん」と「おかし」に加え「れたあ」から選択して休憩。 ミニゲームは「スロット」だが、それとは別におけいこモードに「あどりぶ」、「おどり」、「しばい」が存在している。 死亡ではなく引退していなくなるが玉緒っちまで育てると引退しなくなる。 ドラえもんっち 1998年発売。アニメ『ドラえもん』とのコラボ。2006年には『のび太の恐竜2006』公開に合わせて復刻。 機体はドラえもんの顔をした特殊な形状で首輪には本物の鈴も付いている。後にドラミちゃん版のドラミちゃんっちも発売されている。 未熟なお世話ロボットのドラえもんを一流に育てるというコンセプト。のび太、ジャイアンなど主要な登場人物もたまに現れる。 ごはんはそのままだが、おやつは「どら焼き」。 ミニゲームは登場人物の顔合わせスロット。 うんちではなくネズミが出現する。 コンセプト上育てられるのはドラえもんだけだが育成やミニゲームで手に入れた10種類のひみつ道具を使うことでドラえもんの姿を変えられる。コロ助にもなるナリ。 はねるっち 2005年発売。『はねるのトびら』とのコラボ。 本体は緑と赤の2種。 『はねるのトびら』の出演人物を育成する。 2006年はねるっちの人生をコンセプトとしたバージョンアップ版のはねるっち2も発売された。 おでんくんのたまごっち 2007年発売。『おでんくん』とのコラボ。 本体はおでんくんバージョンとたまごちゃんバージョンの2種。 おでんくんのキャラクターを育成する。 ミニゲームは「おでんキャッチ」、「しみこみ」、「もちとび」の3種。 Tamagotchi P’s 2012年発売の本家たまごっち。 別売りの「たまデコピアス」を差し込みデータを追加でき、『おさわり探偵 なめこ栽培キット』、サンリオキャラクター、ちゃおキャラクター、『アイカツ!』とコラボしていた。 『おさわり探偵 なめこ栽培キット』はなめこっち、まめっちとくちぱっちがなめこ化けしたまめなめこっち、ぱっちなめこっちが出現。 『サンリオ』はまめきてぃなどたまごっちとサンリオキャラの融合体が出現。 『ちゃお』はたまごっちがののっちなどちゃおたまごっちに変化する。 『アイカツ』は蘭、いちご、あおいがたまごっち化して出現。 また当日全国各地に設置されていたP's Stationと連動することでご当地キャラクター。特設サイトとの通信でウルトラマンギンガなどのゲストも現れた。 ぐでたまたまごっち 2017年12月発売。サンリオキャラクターの「ぐでたま」とのコラボ。 本体はいろいろぐでたまver.とぐでたま?ver.の2種。 ぐでたまを育成し姿違いのぐでたまに成長させる。 ごはんは「しょうゆ」。 ミニゲームは無数のたまごからの「ぐでたま当て」。 寿命ではなく料理されて食べられる。バリエーション豊富でシークレット料理も存在している。 イーブイ×たまごっち 2019年1月発売。『ポケットモンスター』とのコラボ。 本体はだいすきイーブイver.とカラフルフレンズver.の2種。 ポケモントレーナーになってイーブイのお世話をする。成長すると進化系8種やロケット団の帽子など衣装を着たイーブイに変化。正体がメタモンだったりすることも。 ミニゲームは「(リンゴ)ゲット」と「ダンス♪」。 うんちではなく毛玉が溜まる。 死亡ではなくモンスターボールから居なくなる。 汎用卵型決戦兵器エヴァっち 2020年6月発売。映画『新世紀エヴァンゲリオン』とのコラボ。 本体は試験初号機、アスカ、レイモデルの3種が発売。後にマリ、カヲル、黒レイモデルも追加された。 胎児期から使徒を育成し人類補完計画の達成を目指す。シークレット枠で綾波レイや渚カヲルも育成可能。モニターが混線し他の主要人物も時々映る。 ENERGY(食事)はS2ENGINEとスイカ。 SIMULATION(ミニゲーム)は、ロンギヌスの槍とN2爆弾を避ける「BATTLE TRAINING」と「目標をセンターに入れてスイッチ」。 うんちではなくLCLが汚染される。 世話をサボるとATフィールドが展開される。 死亡すると十字の光の柱が立つ。寿命は人類補完計画達成。 きめつたまごっち 2020年10月発売。アニメ『鬼滅の刃』とのコラボ。 本体は炭治郎と禰豆子カラーの2種が発売。後に伊之助、善逸、プレバン限定で柱9種が追加された。 鬼殺隊の癸階級の隊士を炭治郎達や柱に育てる。ある人物からの派生で禰豆子も育てられる。 ごはん・おやつは「おにぎり」と「玉露」。 訓練(ミニゲーム)は「全身訓練」、「岩持ち上げ」、「全集中・常中」。 うんちではなく鬼が現れる。 世話をサボると負傷して寝込んでしまう。 死亡は隠に処理される。 えくすてらっち 2021年2月発売の『Fate/EXTELLA』限定版の特典。 あくまで特典であり、一般販売されていないため公式サイトのコラボたまごっちには記載されていない。 エラーが発生したムーンセルで聖杯戦争に挑むためにサーヴァントを育成する。 ごはん・おやつは「焼きそばパン」と「ロールケーキ」。 うんちではなく、ムーンセルのバグが発生。 死亡ではなく座に変える。寿命は無し。 ツイステっち 全本体プレバン限定で発売。2021年6月より発送。『ディズニー ツイステッドワンダーランド』とのコラボ。 本体は各寮(ハーツラビュル、サバナクロー、オクタヴィネル、スカラビア、ポムフィオーレ、イグニハイド、ディアソムニア)カラーの7種。 キーチェーンには寮章を再現したチャームも付属。 主役はプレイヤー自身。体験入学中、グリムの面倒を見ているうちに共に過ごすことになった生徒の誰かがモニターに映る。 (グリムの)ごはん・おやつは「ツナ缶」と「マカロン」。 授業(ミニゲーム)は「魔法史」と「錬金術」。 うんちではなくグリムのイタズラに対処する。 死亡の代わりに去って行く。寿命は無し。 BT21 Tamagotchi 2021年9月発売。LINE FriendsのBT21とのコラボ。 本体はSpace Color ver.とBaby Style ver.の2種。 最初にVANとふれあい、彼に連れてこられたBT21 BABYのお世話を。 ごはん・おやつは「ミルクorバーガー」、「キャンディorドーナツ」。 ミニゲームは「ダンス」、「お菓子作り」、「宇宙飛行」、「シャッターチャンス」の4種とのこと。 PUI PUI モルカっち 2021年10月発売。『PUI PUI モルカー』とのコラボ。 本体はオレンジカラーとクリームカラーの2種。 ベビモルカーを様々なモルカーに育てる。一部のモルカーは更に派生するとのことでゾンビシロモなどの姿も確認できる。 ごはん・おやつは「にんじん」と「レタス」。 ミニゲームは「救急搬送」、「追跡!」、「洗車」の3種類とのこと。 R2-D2 TAMAGOTCHI 2021年11月発売。『スター・ウォーズ』とのコラボ。 R2-D2を育て、様々なスキルモードに変化させる。 ごはん・おやつではなくお世話遊びは、エネルギーの「チャージ」と「クリーニング」。 基本となるミニゲームは「消化活動」と「デジャリック」の2種だが、各スキルモード限定の7種も存在するとのこと。 仮面ライダーっち プレバン販売(*1)で2021年12月発送。『仮面ライダー』シリーズとのコラボ。 本体は1号をイメージした「ジェネシスグリーン」、最終形態でよく使われている金色の「レガシーゴールド」の2種。 少年仮面ライダー隊を育て仮面ライダーに変身させる。ライダーマンを除く昭和ライダー、平成・リバイ含む令和の1号ライダーなど総勢40キャラ以上の登場が告知されている。 ミニゲームは「ライダーキック」と岩を避けながらバイクで走る「チャレンジライド」。 うんちではなくショッカー戦闘員が現れる。 少年を改造したり死んで生き返らせたりヘルヘイムの果実しか食べられない体にしたり世界で初めてバグスターウイルスに感染させたり記憶を消して顔を作り変えたりするゲームと発表直後にネタにされた。 死亡描写はお世話をサボった場合にショッカーに占拠され追い出される。寿命は成長後一定期間経過した場合にバイクに乗ってどこかに旅立つ本編では死亡退場が稀によくあるのにボカされている。 じゅじゅつっち 2021年12月発売。『呪術廻戦』とのコラボ。 本体は虎杖、伏黒、釘崎、五条カラーの4種とAmazon限定の宿儺カラー。 見習い呪術師を東京校・京都校生徒や教師などに育て呪いを祓う。五条悟には限定モードも用意されているとのこと。 ごはん・おやつは「おにぎり」と「喜久福」。 ミニゲームは「宿儺の指キャッチ」、「呪骸寝かしつけ」、「呪具の訓練」。 うんちではなく呪霊が現れるとのこと。 Tamagotchi Smart 本家たまごっち。 「たまスマカード NIZOOフレンズ」でデータを追加するとNiziUのマスコットNIZOOを育てられる。 全人類兎化計画ぺこらっち こちらも仮面ライダーっちと同じくプレバンで販売。ホロライブプロダクションより三期生の兎田ぺこらとのコラボ。 本体は「うさだホワイト」と「うさだブルー」の二種類で、オマケでぬいぐるみも付いてくる。 ごはん・おやつは「アーモンド」と「牛乳」牛乳がおやつとは……また、うんちの代わりとして「チキン」が出てきて、放置しているとチキンが冷める。 そのままチキンを放置するか条件を満たして5時間30分を過ぎるとぺこらが寝込む。 死亡描写は無いが、その代わりとしてぺこらが星に帰ってしまう。 出てくるのは事実上ぺこらだけなので、お世話すると進化ではなくぺこらの衣装(初期→衣装チェンジ→ミス特級呪物るしあを除いた三期生コラボ)が変わっていくのだが、従来のたまごっちと違い一定時間進化条件を満たさなかった場合退化してしまう。 【他作品のキャラクターがゲストとして登場するもの】 お世話するのはたまごっちだが、他作品のキャラクターがゲストとして登場するもの。 EXILE えぐもっち 2008年発売。EXILEとのコラボ。 ベースはたまごっちプラスカラー。 EXILEファンクラブサイトで発行されるパスワードを入力するとEXILEメンバーやオリジナルキャラクターの「エグモちゃん」がゲストに登場した。 ヘキサゴンっち 2009年発売。クイズバラエティ番組『ヘキサゴン』とのコラボ。 本体はホワイトとレッドの2種。 ベースはたまごっちプラスカラー。 時々現れる紳助っちのクイズに正解していくことでスペシャルステージに突入する。 Tamagotchi m!x サンリオキャラクターズ m!x ver. 2017年発売。サンリオとのコラボ。 Tamagotchi m!xに、サンリオキャラクターのゲストとサンリオにちなんだお出かけ先やアイテムが追加されている。 たまごっちみーつ サンリオキャラクターズみーつver. 2020年発売。サンリオとのコラボ。 たまごっちみーつに、サンリオキャラクターのゲストとサンリオにちなんだお出かけ先やアイテムが追加されている。 追記・修正は好きな作品がたまごっち化してからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 仮面ライダーっちでアマゾンネオ育てよう -- 名無しさん (2021-08-12 14 03 33) 少年を改造したり絶望させたり兵器に… -- 名無しさん (2021-08-12 14 58 59) アイカツは? -- 名無しさん (2021-08-12 16 05 48) 少年仮面ライダー隊が仮面ライダーになる作品って初めてなのでは?オーマジオウにもなれるのかな -- 名無しさん (2021-08-12 17 06 12) 流行り物への乗っかり具合が凄い… -- 名無しさん (2021-08-12 18 49 41) プレバンの進化表見ると珍しくシンもいる…フォーム違いはあっても分からなさそう(モノクロドット絵だし) -- 名無しさん (2021-08-12 18 59 36) 最初に買ってもらったたまごっちがはねるっちだった -- 名無しさん (2021-08-12 20 54 20) 2019年以降どんどん間隔が短くというか節操なくなってる気が -- 名無しさん (2021-08-12 22 20 34) デジモン5はこれのボツ企画の再利用とも言われてる -- 名無しさん (2021-08-13 00 19 30) 「うんちではなく何とか」は大事なんだなって -- 名無しさん (2021-08-13 00 29 40) お世話サボった時にどうなるかは割と大事。 -- 名無しさん (2021-08-13 06 37 42) 毎度毎度コラボっちが出るたびに「馬鹿じゃないの?」と思ってしまう損な性分 -- 名無しさん (2021-08-13 14 34 33) ↑3煉獄さんのうんち楽しみに買った子がうんちしなくて落ち込んだら可愛そうだろ? -- 名無しさん (2021-08-13 23 29 25) その内ゾンサガも出そうな気がするな。 -- 名無しさん (2021-08-14 00 48 43) ↑5 そりゃ一部を除いて推しの排泄なんて想像したくもないでしょ。「アイドルはウンコしない」と同じ理屈。 -- 名無しさん (2021-08-14 10 22 33) ↑本山版マリオでやったパロネタで本人無許可で「ピーチっち」を作られたピーチがそう言って嫌がってたな -- 名無しさん (2022-01-16 12 23 56) 来年2月4日にたまスマでピクサーフレンズ発売決定 -- 名無しさん (2022-12-04 16 03 40) 特集性癖でもなけりゃ女の子の排泄なんてそりゃ見たくないもんな… -- 名無しさん (2023-05-06 12 41 48) 初代たまごっちが大好きだから、2期になって女児向けになってから解釈違い起こして離れたけど、今のたまごっちって死後の世界が無いらしいし、輪廻転生も無いらしい。じゃあ今の世界にいなくても、死後の世界があって天使になれて、役目を果たしたらまたたまごっちに転生できる昔のたまごっちの方が優しくて好きだなあ。今のたまごっちは死んだらそれで終わりで、魂も消滅して天使にもなれないし、天国に行けないんでしょ? 死後の世界設定については、昔(1期)の方が優しかった。コラボでも死後設定の天使のたまごっち、育てられないかなー。 -- 名無しさん (2024-03-10 16 54 02) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/tesu002/pages/1001.html
―――――――――――――――――――― 律「女子の風呂ってのはどうしてああ長いのか…」ヌギヌギ 律「おかげで寝ちまって入れなかったじゃねーか…」 ガラッ 律「おわっ広っ…さすがムギの別荘」チャプ 律「これだけ広いと独り占めするのも申し訳ないな~……」 唯「………」 律「………」 律唯「…………」 律「うわああああああああああっ!?ひっひひひ平沢!?」 唯「り、りっくん!?な、なんで…む、むこう向いててぇ!//」 律「す、すまん…って、なんでこんな時間に風呂入ってるんだよ!」 唯「な、なんだか寝付けなくて…」 唯(ほんと、なんでなんだろう) 唯(りっくんと一緒にいるって考えたら全然眠れないや…) 律「ほ、ほんとすまん…すぐ出てくから…って」チラリ 律(…ひ、平沢の濡れた髪…うなじ…)ゴクリ 唯「り、りっくん?」 律(…息子が) 澪『律~?唯どこいったか知らないか~?』 律「!?」バシャ 唯「み、みおちゃ…!?」ハッ 澪『ゆ、唯の声!?唯、中にいるのか?』 律(やばいやばいやばいやばい!!!)ガクガク 唯(ど、どうしようりっくん!!)ヒソヒソ 澪『唯、空けるぞ!』 ガラッ 唯「……」 澪「あれ…唯だけ…?」 唯「ど、どうしたの澪ちゃん」 澪「律が風呂に入るっていってたんだけど…」 唯「わ、私が入ってたから多分やめたんじゃないかな?」 澪「そ、そうか…」 澪「唯は見つかったし、ムギを起こしにいこうかな…」 唯「う、うん、そうしなよ!」 澪「それにしても律はどこに行ったんだ…」ピシャッ …………ザバァ 律「っぷはぁ!!息が続かなくて死ぬかと思った!!」 唯「あ、危なかったあ…」ホー 律「澪に見つかってたら殴られるどころじゃすまなかったぜ…」 唯「り、りっくん近いよぉ…///」 律「あ、わ、わりー!すぐ出るから!!」バシャバシャ 唯「……はぁ//」 唯(私、今すっごく顔赤いよぉ…///) ―――――――――――――――――――― ~数日後~ ジャランッジャランッ 唯「あ痛っ!」 律「どーしたー?」 唯「指の皮むけちった…」シクシク 澪「見えない聞こえない見えない聞こえない」ガクブルガクブル 律「だ、大丈夫かよ、待ってろ、絆創膏もってくる!」ダッ 唯「えっ、りっくん…」 律「ちょっと待ってろー!すぐ戻ってくるからなー!」ダダダダダ 唯「う、うん…」 澪「……」 唯「りっくんどこまで行っちゃったんだろう…」 澪「…なあ、唯」 唯「なあに~?澪ちゃん」 澪「律のこと、どう思う?」 唯「ふぇっ!?ど、どうって…?」 澪「好きとか、嫌いとか…」 唯「す、好きだよ!澪ちゃんもムギちゃんも!」 澪「…そ、そうか…」 唯「…でも、りっくんのはなんか違うかも…」 澪「……え……?」 唯「澪ちゃんやムギちゃんといるときはすごく楽しいよ」 唯「でも、りっくんはちょっと違うんだ」 澪「違う?」 唯「最近、りっくんと一緒にいるとドキドキするんだよぉ」 唯「それでね、りっくんがいなくなると急にせつなくなるの」 澪「唯……」 澪(やっぱり、唯は律のこと……) 唯「なんでだろ~?澪ちゃ~ん」 澪「ええぇぇぇえええええ!!?」 唯「こんなことはじめてだから全然わかんないよぉ」 澪(こ、これが天然の恐ろしさ…) ガラッ 唯「あ、ムギちゃん!どこ行ってたのぉ?」 紬「学園祭のステージを借りるための申請にいってたんだけど…」 澪「お疲れ、ムギ。それで、どうだったんだ?」 紬「軽音部はまだちゃんとした部として認められてないって断られちゃった…」 唯澪「…へ!?」 唯「部員が4人集まってれば大丈夫じゃなかったのぉ…?」 紬「そのはずなんだけれど…」 澪「と、とにかくどうして認められないのか聞きに行こう!」 ―――――――――――――――――――― ガラッ 唯「たのもぅ!」 澪「変な入り方するな!」 和「あれ?唯?」 唯「へ?和くん!なんでここにぃ?」 和「なんでって…生徒会だからだけど?」 澪「唯…、こ、この人は…?」オトコノヒトコワイ… 澪「じゃあ、和くんと唯は幼なじみなんだ…」 唯「そうだよぉ」 和「家が近所だからよく家族ぐるみで交流があってね」 和「まあ、唯は妹みたいな感じかな」 唯「ぶ~、生まれたのは私のほうが早いよ!」フンス 澪「あはは、仲いいんだな」 澪(まるで、本当の兄妹みたいだ…) 澪(私と律も、こんなふうになれたらよかったのにな…) 和「う~ん…やっぱりリストには載ってないなあ」 唯「そんなぁ…」 和「…もしかして、部活申請用紙が出てないんじゃないかな?」 紬「部活申請用紙?」 澪「あれは確か律が書いてたはず…ってことは」 ガラッ 律「平沢あぁぁぁああ!絆創膏もってきたぞぉぉぉ!!」 澪「お前のせいかぁああああ!」ゴチンッ 律「ぶべらっ!!」ドサッ 和「…なんていうか、軽音部って唯にぴったりだと思うよ…」 唯「ふえ?」 律「あれ?真鍋!?」 和「やあ田井中、キミ軽音部なんだってね」 律「なんで真鍋が知ってるんだ?」 唯「私が教えたんだよぉ~」 律「んヴぇ!?」 律「唯と真鍋が幼なじみ………!?」 唯「そうだよ~」 和「相当驚いてるね」 律(平沢…まさか真鍋のことが好きだとか…?)ゴクリ 律(ま、まさかね~…) 和「…しょうがないな」 和「僕がなんとかしてあげるよ」 唯澪紬「本当っ!?」 唯「ありがと~和く~ん!」ダキッ 律「!?」 澪「ゆ、唯!なに和くんに抱きついてるんだ!」 和「唯、くるしい」 唯「あっ!ごめんねぇ、つい癖で」 律(癖!?癖がつくほど普段から抱きついてるってこと!?) 律「嘘だろ……」ズーン 紬「どうしたの?りっくん」 律(なんだよ…はじめっから勝ち目無かったのか……) 紬「りっくん?」 律(そりゃそうだよな……。真鍋のやつ、頭いいし、顔も悪くないし) 律(やっぱり俺なんかじゃ釣り合わないよなぁ…) 和「軽音部…っと。で、顧問は?」 唯澪紬「こもん?」 和「…キミ達って…」 ―――――――――――――――――――― 唯「山中先生~!」 さわ子「あら、平沢さん。どうしたの?」 唯「軽音部の」 澪紬「顧問になってください!」ニュッ さわ「ごめんなさい、なってあげたいのはやまやまだけど」 さわ「私、吹奏楽部の顧問してるから、掛け持ちは……」ハッ 律「な、なんすか…」 さわ「………」 さわ(いい男………) ―――――――――――――――――――― ジャンジャンジャンジャンジャーン… 澪「…って感じのオリジナルなんですけど…どうですか?」 さわ「…そうねえ…いろいろ気になることはあるけれど…」 さわ「とりあえず、ボーカルはいないの?」 律唯澪紬「……あ」 さわ「…じゃあ、歌詞もまだとか…?」 澪(う~ん、歌詞か…) ―――――――――――――――――――― ~翌日~ 律「歌詞ができたぁ!?」 澪「あ、ああ…」 唯「見せて見せて~!」 澪「え、も、もう!?」 紬「私も見たいわ~」 澪「で、でも…恥ずかしいし…//」モジモジ 律「じれってええぇぇぇ!!」バシッ 澪「あ、あああああ!///」 君を見てるといつもハート DOKI☆DOKI 揺れる思いはマシュマロみたいに ふわ ふわ(ハート 律さわ「せ、背中がかゆいぃぃぃ…!」 澪「私としては、いいかんじに書けたと思うんだけど…」モジモジ 律「う…」 澪「やっぱり、ダメかな…」 律(そ、そんな瞳で見つめられるとおおおお) 律「い、いいんじゃないかな!?ね、さわちゃん!」 さわ「え!?え、ええ…そ、そうね!ちょっとイメージと違ったけれど!」 唯「すごくいいよぉ…」キラキラ 紬「ほおおおお…」ウットリ 律「じゃ、じゃあこの歌詞でいくか…」 唯「おお~」パチパチ 紬「よかったわね、澪ちゃん」 澪「う、うん…」 律「じゃあ澪がボーカルな~」 澪「む、無理無理無理!こんな恥ずかしい歌詞なんか歌えないよぉ!」 律「おい作詞者」 さわ「秋山さんがダメとなると…」 唯「はい!私歌いたいです!」 律「おお、じゃあとりあえず歌ってもらいますか!」 ―――――――――――――――――――― 唯「ギターを弾きながら歌が歌えない…」シクシク 律「ダメじゃん…」 さわ「仕方ないわねぇ、先生が特訓してあげる」 唯「せ、先生…!」 さわ「振り落とされないようについてきな!」ダダダダ 唯「ラジャー!!」ダダダダ 澪「唯、大丈夫かな…」 紬「心配だわ…」 ―――――――――――――――――――― 唯「りっくーん」 律「おー、どした平沢~?」 唯「いっしょに帰ろうよぉ」 律「そうだな、今日はみんな用事があるみたいだし、先帰ろうぜ」 唯「うん!」 律「さわちゃんとの特訓はどうなんだ?」 唯「うん、あれから毎日放課後に猛練習してるよ!」 律「そうか~、期待してるぜ~?」 唯「まかせてよ!」フンス 律「歯ギター」 唯「それは習ってないよぉ!」 律「あははははっ」 テクテク 律「…なあ、唯」 唯「なあに?」 律「真鍋と付き合ってんの?」 唯「ふぇっ!?ど、どうして?」 律「…この前さ、真鍋に抱きついてたじゃん」 唯「う、うん」 律「あれ見たときさ、なんか唯と真鍋がすごい仲良さそうに見えて」 律「二人がすごいお似合いに見えたんだよなぁ」 唯「りっくん…」 律「だからさ、二人がもし付き合ってるんなら、隠さないで教えてくれよ」 唯「…」 律「ほら、俺達って会う機会多いだろ?もしそうなら、真鍋に遠慮しなきゃって思って」 唯「………」 唯「りっくん、私と和くんは小さいときからいっしょで、兄妹みたいなものなんだ」 律「…うん」 唯「だから、抱きつくのはスキンシップみたいなもので、恋愛とかそういうのじゃないんだよぉ」 律「…そうなのか……。ごめん、変な勘違いしちゃって……」 唯「だからね、りっくんは遠慮なんかすることないんだよ」 ギュッ 律「……え……」 律(平沢に………抱きつかれた……?) 律「ひ、ひひひひひらひゃわっ!?」 唯「和くんの次は、りっくんに抱きついてあげる…///」ギュ 唯「りっくんも、和くんと同じくらい、私にとって大切な人だから…」 唯(……ううん、本当はそれ以上だよ) 唯(自分の気持ちに気付いちゃったから………) 唯(―――――私、りっくんのことが好きなんだ) 律「………唯………」 唯「!?り、りっくん…!?///」カアア 律「あっ違、ご、ごめんなんかつい!//」 唯「い、いいよ……」ギュッ 律「え……?」 唯「唯で………いいよ………///」 律「……うん………」 ―――――――――――――――――――― 4
https://w.atwiki.jp/tesu002/pages/1003.html
―――――――――――――――――――― 律「ったく、誰だよ、平手打ちで起こしやがったのは…」ヒリヒリ 紬「ねえ、りっくんと澪ちゃんて幼なじみなのよね?」 律「そうだよ~」 紬「澪ちゃんて、小さいころから恥ずかしがりやさんだったの?」 律「そうだぞぉ~、小学校のとき髪の毛のことほめたら真っ赤になって俯いちまったりしたな~」 紬「…それは恥ずかしがりやさんとはちょっと違う気が…」 律「?」 律「…てゆーか、なんで唯は部室のスミにうずくまってるんだよ」 唯「り、りっくんのせいだよぉ……//」 律(…俺、何かしたか!?) ガラッ 澪「機材運ぶの終わった?」 紬「あ、澪ちゃん」 唯「おかえり~」 紬「澪ちゃん、はいお茶」 澪「ありがと、ムギ」 律「お、なんか落ち着いてんな~、あんなにボーカルするの嫌がってたのに」 澪「あはは、そんな子供じゃないんだし」カタ… 澪「いつまでも、動揺していられないだろ~」カタカタカチャカチャ… 律唯紬(め、めちゃくちゃ動揺してるし…) ―――――――――――――――――――― ガヤガヤ… 『以上、合唱部でした~』 ワイワイ… 唯「うわぁ、人がいっぱいいるよぉ!」 紬「本当ね~」 唯「とうとう私達の出番だね!」 律「いまこそ練習の成果を見せるときだぜ!」 唯紬「うん!」 澪「ちょ、ちょっと律…」 律「おお、どした澪」 澪「やっぱり、こんな格好で出なきゃいけない…?」ゴスロリー 律「我慢しろよ、俺だって着たくもない執事服着てるんだから」 唯「澪ちゃん、すっごくカワイイよ!」 澪「で、でもぉ…」 『次は軽音楽部によるバンド演奏です!』 律「ん」 唯「あ」 律「よーし、みんな行くぞぉー!」 唯紬「おーーーーー!」 澪「…ぉ、ぉーー…」 ―――――――――――――――――――― ウィイイイイ… パチパチパチパチ… モブ「なにあれ、かわいー!」 モブ2「ひ、平沢のゴスロリ…」ゴクリ モブ3「すっげー衣装だなぁ」 さわ(ふふふ、なかなか好評のようね…!) 澪(……ぁ、ぁあ……) 澪(や、やっぱり…だめ……) 澪(こんな大勢の前で、歌えないよぉ……)グス 唯「澪ちゃん!」 澪「!!…ゆ、唯……」 唯「みんな、澪ちゃんががんばって練習してたの、知ってるから!」ニッ 澪「…唯…」 律「そうだよ、澪」 紬「澪ちゃん!」 澪「…みんな…」 澪「………」コクッ 唯「絶対大丈夫だよ、がんばろ!」 澪「……うん!」 律「…ワンツースリーフォー、ワンツースリー!」 ジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカ♪ 澪「―――君を見てると――― ジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャーーーーン… 澪「………」 パチパチパチパチパチパチパチパチ!!! モブ「すごーい!」 おまいら「平沢ー!俺だー!結婚してくれー!」 モブ2 「すげーぜ軽音部!!」 ワアアアアアアア… 澪「……!」 澪「…みんな、ありがとーーーーー!!」 律(………これで澪も、恥ずかしがり屋卒業できるかね……) ビーン 澪「っきゃぁ!?」ズルッ 律(コード!?) 律「澪、危ないっ!」 ガシッ 澪「…あ……」 律「大丈夫か?」 澪「う……うん……」 唯「危なかったねぇ~」 澪「…ありがと、律」 律「どういたしまして」 唯「ぶー、いつまでくっついてるのさぁ!」 律「おっとそうだった」 澪「律」ボソッ 律「ん?」 澪「あとで、話しがあるんだ」 律「…ん、わかった」 『以上、軽音楽部による演奏でした~』 ワアアアアアアアア… ―――――――――――――――――――― 律「久しぶりだな、澪から話しがあるなんて」 澪「そうだっけ?」 律「そうだよ。大抵は俺が澪を呼び出してた」 澪「そうだったのか……。言われるまで、気づかなかったよ」 律「それで澪、話って何なんだ?」 澪「……うん」 澪「………律………」 澪「私は、律のことが好きだ」 律「……!」 澪「ふわふわタイムの歌詞はね、本当は律のことを思って書いたんだよ」 澪「言葉にする、ずっと前から、私は律のことが好きだったんだ………」 律「………澪………」 律「……………ごめん」 澪「………唯のこと、好きなんだろ?」 律「……!な、なんで……」 澪「当たり前だろ、私はずっと前から律と一緒だったんだから」 律「澪…」 澪「でも、私の気持ちだけは伝えておきたかったんだ」 澪「行きなよ、唯ならまだ部室にいるから」 律「え、こんな時間にか?」 澪「私が、用があるから待っててくれって言ったんだ」 律「おま……!」 澪「私はもう、自分の気持ちを伝えちゃったから」 澪「次は、律の番だよ」 律「澪……」 律「…………行ってくる!」 澪「ああ、ちゃんと伝えるんだぞ」 ダッ 律「サンキュ、澪!」タタタ… 澪「………」 澪「がんばれよ、律………」 ―――――――――――――――――――― ダダダダダ 律「はぁ、はぁ」ダダダ ガラッ 律「唯!!」 シーン… 律「……帰っちゃった……のか……?」 ガラッ 唯「あれ?どうしたの?りっくん」 律「!唯!」 唯「りっくん、澪ちゃん知らない?探しにいったけど見つからないんだよぉ」 律「………唯、悪い。唯に待っててくれって頼んだの、本当は俺なんだ」 唯「ほへ?そうなのぉ?」 律「ああ。…ずっと、唯に伝えたかったことがあるんだよ」 唯「なになにぃ?」 律「唯」 律「俺、唯のことが好きなんだ」 唯「…………え?」 律「笑ってる唯も、泣いてる唯も、怒ってる唯も、全部好きだ」 唯「え?え?///」ボッ 律「水着の唯も、ゴスロリの唯も、制服の唯も全部」 唯「………………///」 律「この地球上全人類の中で、誰よりも唯が好きだ」 唯「り、りっくん……………」 律「………唯」 律「俺と、付き合ってくれ」 唯「………………ずるいよ、りっくん………」 唯「りっくんだけじゃないよ………」グス 唯「私だってぇ、りっくんのことが大好きだよぉ…………」ポロポロ 律「…なんで泣くの…」 唯「……だって、嬉しくて……」グス… ギュッ… 唯「……ぁ……」 律「泣いてる唯もかわいいけど、笑ってる唯はもっとかわいいよ」 律「俺と一緒にいるときは、いつも笑顔にさせてやるから」 唯「………うん………!」 ―――――――――――――――――――― 唯「うわぁ、外は寒いねぇ」 律「秋だしな、夕方はもうこんなもんだよ」 唯「でも、くっついてれば寒くないよぉ」ギュー 律「唯さん、いきなり積極的ですね…」 唯「りっくんのせいだよぉ」 律「なんでやねん!」 唯「ここまで好きにさせた、りっくんがいけないんだよぉ………///」 律「唯………//」カアア 唯「えへへ……//」 律「……唯」 唯「なあにぃ」 律「キスしよう」 唯「ええぇ!む、ムリだよぉ!///」 律「どうして?」 唯「は、恥ずかしくてりっくんの顔見れないよぉ………///」 律「…………寝てるときにしたくせに」ボソッ 唯「!?///」 律「和に聞いた、講堂に来てたんだろ?」 律「唯のにおいがしたと思ったら、唇にやわらかい感触が……」 唯「い、言わないでぇぇぇぇ!///」 唯「ほ、本当はほっぺにしようと思ってたんだよぉ……」 唯「でも、我慢できなかったんだもん………///」 律「和に見られてたぞ」 唯「う、嘘ぉ!?」カアアアア 律「嘘だよ」 唯「り、りっくんのいじわるぅぅぅ!///」 律「あはははは」 唯「……………もぉ……」 律「………」 ピタッ 唯「……りっくん?」 律「……」 唯「か、顔ちかいよぉ……///…………ん…………!」 律「…ん………」 唯「………………………っ、はぁ、はぁ///」 律「…………これで、おあいこだ」 唯「…………やっぱりずるいよ、りっくん…………///」 唯「りっくん、手、つなご?」 律「ん」 ギュ 唯「えへへ……」 律「…帰るか!」 唯「うん!」 唯「………りっくん、大好きだよ!」 おわり 戻る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3207.html
ゆっくりいじめ系1921 ダメな子 4より続く 我が家には不釣り合いの大ぶりで立派な火鉢と、三日ごとに割ってためている薪を一 抱え。ちなみに、炭は我が家にとっての貴重品だ、少量しかない。 火鉢にごうごうと火をおこしたところで、一度囲いの中へ戻したありす種を再び取り 出す。 「今の内に、逃げ出さないのか、まりさ?」 「ゆっ!? に、にげないよ! 逃げるわけないよ! まりさは最初から約束を守って いたんだから、お兄さんも約束を守ってゆっくりしないでまりさをここから出してね!」 「約束を忘れてるぞ〜、まりさ」 「ゆゆ!?」 「そこから出られるのは、ゆっくりしたカップルだけだ」 「ゆぅ〜〜……」 囲いの蓋を戻し、火鉢の隣──土間へと座り込んで、ありす種を足を使って固定する。 逆さまの体勢で。 「ゆゆっ!? お兄さん!? とかいはのありすは、髪の毛もおつむも超一流なのよ! それを足で触るなんて! お兄さんの足臭いわね!」 「言われるほど臭くはない!」 「ゆぎぁあああああっ! じめづげだいでぇええええ!」 「これくらいで叫ぶな。これからもっと凄いんだから」 「や、やめなさい! やめ……やめてね! お願いだから許してね! ありすはとかい はなのよ! いなかものが酷いことをしていい存在じゃないのよ!」 「ありすは田舎者だろう? 山に住んでたんだから」 「あでぃずばどがいばよぉおおおおおお!!」 ありす種の怒りの咆吼を聞き流し、暴れる体を足でしっかりと押さえたまま、火鉢か ら燃え盛る薪を一本、慎重に火箸で掴み上げた。 まりさ種が、囲いの中から目を見開いて、ガタガタ震えている。何が起こるか想像出 来ているのか、言葉一つ発しない。 ぱちゅりー種は、仰向けの体勢で、しかも俺が座り込んだものだから、視界に入りき っていないらしい。炎が上がっていることくらいは、察しているだろうが……元々、あ りす種とは仲が悪かったようだし、特に庇う必要も感じていないのかもしれない。静か に押し黙ったままだ。 俺自身も、言葉数が少なくなる。うっかり手を滑らせれば、自分が大火傷をするのだ から。 「んな゛……!? だ……だにずるぎだどぉおおおおおおお!?」 唯一、元気に声を張り上げているのは、ありす種だ。まぁ、それも当然だろう。 「ゆびぎゃっ!? ゆががががぎがぐげがぎゃぎゅぁああああああ!!!!!!?」 ありす種の、体の裏──こいつらにとって、足──に、燃える薪を置き、素早く上か ら火箸で押さえる。 「ふぅ……うまくいった」 置いた瞬間に暴れられたら、薪が跳ねて俺の脚の上へと落ちてきたかもしれない。そ うなれば、大火傷に苦しむのは俺の方と言うことになる。 うまく火箸を開いた形で燃える薪の両端の側を押さえられたので、もうありす種が体 を震えさせようがくねらせようが、ずりずりと薪はズレる程度の動きしか出来ない。 火にあぶるのなら、上にかざした方がよく、火の下はそれほどでもないという話を聞 いたことがある。 だが、土に魚を埋めてその上で焚き火をして蒸し焼きにする料理があるそうだ。 何より、燃えてる薪を素手で掴むなんて、荒行の修験者でもなかなかやらないだろう。 熱いものは、熱いのだ。 「ゆびぃい!!! ゆぎゃ!! ぎゅぐぎぎぎぎひぃいいいいいいい!!!!!」 燃える薪がズリ動くということは、ありす種の底面で焼け爛れていく部分が増えると 言うことでもある。 「ゆびゅびべぇえええええ! ぶぎゃぁああああああ! ゆっぢゅぢげぎゅぢゃばぎゃ ひぃいいいいい! ぶびゅひぃいいいいいいい!」 「ぶひぃ? ありす、『ぶひい』は豚の鳴き声だぞ?」 「あっ、あでぃず……! あでぃずは、ぶだざんじゃぎゅひあっ!? ゆぎぐぎゅう!? ひぶふううううううっ!?」 「今度は『ひぶふぅ』か。まりさも豚のようだと思わないか?」 「ゆぎゃぁああっ!!!? ゆるしてね!!! まりさはゆっくりゆるしてね!!!」 「質問に答えろ〜、まりさ。ありすは、豚みたいだよな?」 「あっ、あり……ありすは……ありすは今、熱いのでゆっくりできないから、まりさは ゆっくりしたいから、ありすみたいなのは……」 「こっちに来るか、まりさ?」 「ゆぁあああああっ!? いかない! ゆるしてね! ゆるしてください! ありすは ぶたさんです! ありすはぶたさんです!」 「ばぁああ……!? ばでぃ、ば、ばがががががががっが!」 ガクガクと、痛みのためか怒りのためか、ありす種が震え続ける。 火の勢いも弱くなって、ほとんど消えかかってきた薪を、火箸で持ち上げて火鉢へと 戻した。 「あ〜らら。汚く斑に焦げちゃって」 「ぁああああぁああああああありすのとかいはなあんよがぁああああ!!!!」 「ゆぁあぁあぁあ……あ、ありすぅ……」 「むきゅぅ……燃えちゃったの? ありすのあんよは、燃えて……歩けなくなったの? ねぇ、まりさ?」 「わ、わかんないよぉ、ぱちゅりー……ま、まりさは、ありすじゃないから……わかん ないよぉ……」 じくじくと、底面に近いありす種の前面から、汁が滲み出している。その手の穴や器 官がゆっくりにもあるらしいが、これは一体……どれだろう? 「おい、ありす。ここは、ありすのなんだ?」 火箸で突いてやると、これまで以上にありす種が暴れ出した。 「やべでぇええええっ!! ぞごは! ぞごはだいじな゛……だいじな゛ありずのべに べによぉおおおおお!!!」 「べに……? ああ、ぺにぺにってお前達は言ってるんだっけ。そりゃ火箸で突っつく ものじゃないな」 火箸をありす種の体から離し、火鉢へ突っ込む。がさがさと薪を動かすと炎の勢いが 増し、それを見たまりさ種が甲高い悲鳴を上げた。 「そ……そぉよぉ……ぺにぺには大事なのよぉ……」 火箸が離れたためにいくらか落ち着いたのか、取り乱したダミ声ではなく落ち着いた、 しかし弱々しい声でありす種が抗議し始める。 それを聞きながら、火箸で薪の一つを選んで、慎重に突き崩す。よく燃えて、割れて 崩れかけているものを、さらに細かくしていく。 「あっ……ありすのあんよに酷いことをした、いなかものの……クソジジイが、触って いいものじゃないのよぉ……ありすのペにペには、まりさをとかいはな愛で……満たし てあげるためにあるんだからぁ……」 抗議の声ではなく、罵りと独りよがりだったらしい。 「いらないよ! まりさは、ありすのぺにぺになんてほしくないよ! とかいはな愛と か、わからないこと言わないでね!」 「どぼじでぞんだひどいごどをいうのぉおおおおおっ!?」 「むきゅ……ありすは……はぁ……はぁ……れいぱーだからよ」 「ぢがうわぁあああああ! あでぃずはどがいばなれでぃーよぉおお! いだがもどど ばちゅでぃーはだばっでねぇええええ!」 脚を焼かれて衰弱したかと思ったありす種は、まだまだ元気なようだ。 一方で、いくらか回復したかと思ったぱちゅりー種は、声もすっかり弱々しくなり、 呼吸するのも大変そうだ。 「ぱちゅりー、もうお終いか?」 「おし……まい……? むきゅ……そうね……ぱちぇは、低脳なあなたに殺されて…… 最悪のえいえんなゆっくりを迎えそうだわ……」 「えいえんのゆっくり……ね。じゃあ、その前に聞くが、ありすのペにペには……必要 か? 不要か?」 「ひづようよぉおおっ!? なにいっでるの、ごのおじんばぁあああああっ!?」 「……むきゅ……不要ね」 「ぱでゅでぃいいいいい! ゆっぐじじないでざっざどじねぇえええええええ!」 「まりさは?」 「ひづよぉでじょおお!? ひづようなのよぉおお! までぃさ、ずっぎでぃじだいで じょぉおおおおお!?」 「ゆあぁあ……! ま、まりさ……! まりさはぁ……まりさはぁああ……!」 「までぃざあああ! あいじでるっでいっでえええ! どがいばなあでぃずとずっぎじ じだいっでいっでぇえええええ!!!」 「まりさは! そんなありすとはゆっくりできないよ! れいぱーのぺにぺにはゆっく りしないでさっさとしんでね!」 「だってさ。多数決ってヤツだ」 「ゆぎがぎゃぁあああぉおおあぁおおおおおおおほぉおおおあうぉおおおお!!!!?」 細かに砕き、半ば炭化しながらも真っ赤に燃えている薪の一欠片……大人の人差し指 ほどの長さと太さの火の固まりを、火箸でつまんでジクジクと液を滲ませているありす 種の「穴」へと突き立てた。 「ゆぼぉおおおお!? ぎゅぉおおおおおお!? ひゅぉおおおおおおおお!?」 今までとはまるで違う悲鳴を上げながら、ありす種はその丸い体を、前後にがっくん がっくんと振るわせた。 「ぁあああああぁあありぁりずのべにぃいいいいべにべぬべべべべべべべべ!!!!! ぐぎゅげ!!!!」 ひときわ大きな声で叫ぶと、ありす種は奇妙にくぐもった声とともに、びくりと一度 体を震わせてから動かなくなった。 見てみると、苦痛に歪んだ口の中がカスタードクリームで満たされている。さらにそ こから、ぼたぼたと頭へ……俺の足先へも、零れ落ちている。 「派手に吐いたのか……もしかして、死んだのかな?」 これまでも、責め続けているうちに中身を吐いて死んだヤツは多い。 人間は穴という穴から、糞尿だろうが涎鼻水だろうが垂れ流すと言うが、ゆっくりの 場合はぽっかりと空いた一番大きな穴……口から、垂れ流すのかもしれない。 ぺにぺにと言っていた場所からまだ煙をくすぶらせているありす種の体を起し、髪の 毛を掴んで持ち上げる。 まだ火にくべてない薪を二本、もう一方の手に取り、囲いへと近づいていく。 「ゆぁぁ……! ゆぁあああ!! ゆひぁああ! ゆじゅじでぐだだい! ばでぃざば わるぐないんでず! ゆるじでぐだだいぃいい!」 蓋の上に一旦薪を置いて、ズリ空ける。隙間から見ると、ガタガタと震えながら見上 げていたまりさ種と目があった。 「いぎゃぁあああああああ!!? どぼじでごんだごどにだっだのぉおおおおお!!? ばでぃざをゆっぐじざぜでぇええええええ!!!!」 「ほれ、まりさが一緒にゆっくりしたいと言った、とかいはのありすだぞ」 「ゆぎゃぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ!! ぎだだいぃいい! ぞんだぎだないもの、 ゆっぐりでぎだいよぉおおおお!」 「お前、みんなに虐められて泣きながら怒ってたれいむを汚いって言って、怪我をした ぱちゅりーを汚いって言って、今度はこのありすを汚い……か?」 「だっで、ぎだだいんだぼんんんんっ!!!!!」 「はいはい、俺から見れば、お前らは三匹とも汚いよ」 ふと、こいつらを一纏めにするときの勘定が『四匹』から『三匹』に変わっているこ とに気が付いた。 ──まぁ、あのれいむは……外してやっても良いか。良く出来たお母さんに免じて。 「だずげでぇええええ!! おにいざんん!!! ばでぃざをゆっぐじじだいではやぐ だずけでねぇえええええええ!!!!!」 「他に言うことはないのか……ありすよりも、さらにバカで語彙が貧困だな」 「へんだごどいっでないで、はやぐだずげろ、ぐぞじじぃいいいいいい!!」 「むきゅ……ぱちゅりーは……もう、ふぅ……はぁ、はぁ……もう、人里には、近づか ないわよ……」 息も絶え絶えの、か細い声が割って入る。 ぱちゅりー種を注視すると、裂傷まみれの顔で器用に表情を作りながら、ゆっくりと 言葉を紡ぎ続けた。 「そして……お……おかあさんと……ゆっくりした、優しいお母さんと……カップルに なるわよ……」 浮かべている表情は、自信か……いや、勝ち誇っているのか。 ──俺のことを見下している……が、一番正しそうだな。 なるほどなるほどと頷いて見せてやると、さらにぱちゅりー種は得意げに続けてきた。 「ぱちぇは……ちゃんと聞いていたし……わかっているのよ……こういえば……低脳な お兄さんは、助けるしかないんでしょう? あ……あんな……ダメで、役に立たない、 れいむでも……」 「でも、今のぱちゅりーは怪我だらけで、まともに歩けないだろ? まずは体を治さな いとな」 「むきゅ……愚かな人間にしては……よく気がついたわね、むきゅん……ぱちぇが…… 元気に、なるために……手当てをして……美味しいご飯を、用意なさい……」 「はいよ」 ありす種を持ち上げ、蓋の上にそっと置く。視界から「汚いもの」が消えたからか、 まりさ種は大袈裟なほどの音を立てて深呼吸を繰り返した。 「今のぱちゅりーは食べるのにも苦労する大怪我だ。食べやすいように手伝ってあげな いとな」 「むきゅぅ……気が利くわね……ぱちぇの奴隷にしてむぎゅあががが!?」 薪を二本、縦に並べてぱちゅりー種の口へと突っ込み、並行の状態を維持したまま横 へ広げる。『ミチチッ』と裂けたような音がしたが、今更気にするほどのことでもない だろう。 「元より、大怪我してるんだしな」 「ふひゅー!? ふひゅぅううん!?」 例の鳴き声を上げているのだろうか、大口を開けたまま固定された状態では、間抜け な音とともに空気が、か細く漏れるだけだ。 大きく四角く開かれたぱちゅりー種の口内は、ちょうど三等分されているように見え る。太い薪が左右と、その間にうっすらとクリーム色の、口内本来の色。 「こうして見ると……薪の割れ口より、いくらか白いって程度か? 濁ったクリームな んだな、ぱちゅりーの中身は」 「ふひゅー!? ふひゅぼっ!? ごぼぼぼっ!?」 大口を開けたままなので、咳き込んだところで“咳”という感じの音が出ない。ただ 不気味に喉がなり、体をびくんびくんと跳ねさせるだけだ。 「ほらよ、あま〜いご馳走だ」 「ゆぎゃぁああああああっ!!!!?」 「ふひゅぶぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼふごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼ!!!!!!」 まりさ種の悲鳴を、ぱちゅりー種の上げた奇妙な音が掻き消す。 動かなくなったありす種の口を、ぱちゅりー種の開きっぱなしの口の真上へ持ってき て、ありす種を絞ってやったのだ。 ぱちゅりー種の口に、カスタードクリームの池が出来上がっていく。体力を失ってい る体は、起き上がることも寝返りを打つことも出来ず、薪で空けっぱなしにされた口を 閉じることも出来ない。 「ぶぼぼぼっ!!!! ごぼぼぼぼばぼばぼばぼばぼごぶごぶごぶごぶごぶ!!!!」 ぱちゅりー種が咳き込んでも、吐き出そうとしても、上を向いて大きく開けた自分の 口、そこに出来た黄色い池が、不気味にゴボゴボと泡立つだけだ。 ありす種がビロビロとした皮だけになるまで、絞り上げ続けた。ぱちゅりー種の口だ けではなく、体中にカスタードクリームが降り注ぎ、どろどろと黄色く薄気味の悪い塊 にしか見えなくなった。 「ついでに、傷口も塞がるかもな。元気になれよ、ぱちゅりー」 その黄色く気味の悪い固まりに、優しく毛布でも掛けてあげるような手つきで、あり す種の皮を被せる。絞り上げられて、ボロボロになった皮だが、広げればなんとか判別 はつく。 「ほぉら、まりさ。大好きなぱちゅりーと、一緒にゆっくりするって言ったありすが、 一つになったぞ」 「ゆっ……! ゆが……! ゆぁあ……!?」 「れいむは居なくなったし、もう迷う必要はないかな?」 「ゆぎやぁあああああああ!! だじでぇええええ!!! ごごがらだじでぇえええ!! ぞのぎぼじわるいのがら、までぃざをだすげでぇえええええええええ!」 ふと、何かが聞こえた気がして顔を上げる。耳を澄ます。 「ひびゅべぇえええ!!! おにいざああんん!!!! ぎいでるどぉおおおお!!?」 「黙れ。お前も絞るぞ」 「いやぁあああああああああ!!!!! ありずはいやぁああああああああああ!!!」 「黙れ!!」 まりさ種を掴み出し、土間へと叩き付け、踏みつける。 「ぶびゅびゃばばばば!」 顔を土間に押しつけられたまりさ種が、ぶっ、ぶっとしか言わなくなって、ようやく かすかにだが、聞こえた。 「めーりんっ!?」 「ぶぶべーびんばっっばびょび、ばびばぼ……!」 「煩い!」 再びまりさ種を持ち上げ、囲いの内側へ叩き付けた。 蓋を戻し、後も見ずに駆け出す。 「めーりんの声だった……! ゆっくり休めって言ったのに!!」 それでも、めーりんは畑を見張っていたのだろう。そして、よりによってこんな日に、 野良ゆっくりが畑へ侵入した。 『責任感の強い、自慢のうちの子』にたいして褒めてあげたいような、だが休むよう に言ったのに……と叱りたいような、そんな気持ちまで混乱したままの状態で、とにか く走った。 ゆっくりいじめ系1923 ダメな子 6に続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/435.html
~ゆっくりパチュリーの生涯~ 「むきゅうぅぅぅ・・・」 木の洞(うろ)の中から弱々しい声が聞こえてくる。 声の主はゆっくりパチュリーだ。今にもその命の灯が消えようとしていた。 ゆっくり種というのは頭は悪いが、生命力だけはあるというのが特徴である。 しかし、ゆっくりパチュリー種だけは違う。とても体が弱いのである。 生まれたときから喘息(ぜんそく)を患っているため、満足に獲物(昆虫など)を追いかけることが出来ない。 また、木の実などを食べていると、ゆっくり魔理沙や霊夢がどこからともなくやってきて、 「さっさとどいてね!」 「私達がゆっくりするよ!」 と体当たりされ、 「むきゅうー!」 と泣きながら転がっていく。もちろん食べ物は横取りされてしまう。 こうして食べる物は辺りに生えている雑草くらいしか無くなってしまうのである。 このようなことは野生のゆっくりパチュリー種において珍しいことではなく、栄養不足によって死んでしまう ことはよくあることであった。 「むきゅぅ・・・」 先ほどよりもさらに弱々しい声を上げるゆっくりパチュリー。もう動くだけの体力は残っていない。 薄れゆく意識の中、足音のようなものが聞こえた気がした。 「むきゅ?」 見知ぬ一室のふかふかなベッドの上でゆっくりパチュリーは目を覚ました。 周囲を見回す。窓とドアが一つずつ、とても清潔な感じの部屋だった。 キョロキョロとしているとドアが開き金髪の女性が部屋へ入ってきた。 「むきゅ!」 警戒するゆっくりパチュリー。野生のゆっくりパチュリーはとても警戒心が強く、人里の畑などを荒らすゆっ くり霊夢や魔理沙と違い、人間の前にはめったに姿を見せないのであった。 「あらあら、そんなに警戒しなくていいわよ。あなたを治療したのは私なのよ?」 そう言うと金髪の女性はゆっくりパチュリーの前に色とりどりのお菓子を置いた。 最初はむきゅーと警戒してお菓子を口にしようとしなかったが、空腹に耐えかねてすぐにお菓子に飛びついた。 「むきゅっ、むきゅっ、おいしいよおねえさん!」 いつも食料を横取りされていたゆっくりパチュリーにとってまさに天国だった。 置かれたお菓子を食べ終わるとゆっくりパチュリーはむきゅー!っと元気のよい声を上げた。 そして金髪の女性は話し出した。 「森を散歩していたら木の洞の中から弱々しい声が聞こえてきて覗いてみたらあなたが今にも死にそうだったの よ。急いで家までつれて帰って治療したってわけ。」 金髪の女性に言われ、ゆっくりパチュリーの脳裏にはあの時の状況がよみがえる。そして感じた死の恐怖を思 い出し、ガタガタ震え涙を流す。 「大丈夫よ、ここにいればゆっくりできるわ。」 「あ゛りがとおぉぉぉ、おね゛えさぁぁぁん。」 「私の名前はアリス・マーガトロイド、アリスでいいわ。今日はゆっくりと休みなさい。」 そう言うとアリスは部屋から出て行った。 お腹がいっぱいになったゆっくりパチュリーはゆっくりと眠りについた。 次の日、目を覚ますと目の前には笑顔のアリスが立っていた。 「おはよう、ゆっくりできたかしら?」 「むきゅー、ゆっくりできたよ!ありがとうありす!」 満面の笑みでお礼を言うゆっくりパチュリー。 「あなたにお饅頭を食べさせてあげようとしたんだけど失敗してばらばらになってしまったの。見た目は悪くて も味はいいはずよ。食べてもらえるかしら?」 「むきゅー!たべたい!たべたい!」 普段からまともな物を食べることが出来ないゆっくりパチュリーにとって見た目などどうでも良かった。 アリスは部屋から出ると餡子と皮がぐちゃぐちゃになった物を皿の上に乗せて戻ってきた。 普通の人間だったら口に運ぶのさえ敬遠する形状であったが、おかまいなしにむきゅーとばらばらになった饅 頭(?)に飛びつくゆっくりパチュリー。 「かわったあじだけどとってもおいしいよ!ありがと!」 食べながらアリスの顔を見てお礼を言うゆっくりパチュリー。アリスの笑顔が目を覚ました時見たものとは若 干異なっていた気がしたが目の前のばらばらの饅頭を食べるのに夢中ですぐに忘れた。 アリスの看病のおかげでゆっくりパチュリーはみるみると元気になっていった。 「そろそろお家に帰っても大丈夫そうね。」 アリスはゆっくりパチュリーを野生へ返そうとしていた。しかしゆっくりパチュリーはそれを聞くと震え、 「おうちいやだぁぁぁ!こわいよぉぉぉ!」 ついには泣き出してしまった。 「あらあらどうしたの?」 ゆっくりパチュリーは説明した。 おいしいそうな木の実や果物を見つけるとなぜかすぐにゆっくり魔理沙や霊夢が現れていつも横取りされてし まう。それでもなんとか生きていく分の食料は得ることができていた。そうあの時までは。 秋が終わりに近づきゆっくり種の中では頭の良いゆっくりパチュリーは巣に食料を蓄えていた。 冬は食べ物が少なくなり、こうしなければ体の弱い自分は生き残ることができないとわかっていたのだ。 そしてぎりぎり冬を越せるぐらいの食料を蓄えた数日後、事件は起こった。 いつものようにせっせと食料を集め巣に持って帰る(ほお袋に入れて)ゆっくりパチュリー。 「むきゅ~♪」 最近はゆっくり魔理沙や霊夢に邪魔されず順調に食料を蓄えることができてご機嫌である。 しかし巣に戻ると驚愕した。巣の中でゆっくり魔理沙と霊夢の2匹が自分が一生懸命集めた食料をむさぼって いた。 「むぎゅー!なにじでるの゛ー!」 普段はおとなしいゆっくりパチュリーであったが顔を真っ赤にして怒り、果敢にも2匹に体当たりをする。 しかし、 「おおこわいこわい。むぎゅー!だってさ。」 「いまはれいむとまりさがゆっくりしてるの!じゃましないでね!」 あえなく返り討ちにあうゆっくりパチュリー。目の前で自分の食料がどんどん減っていくのをただ見つめるこ としかできなかった。 「じゃあね!またくるよ!」 「ちゃんとたべものあつめておいてね!」 2匹が去り、巣に残ったのは集めた食料の残骸(2匹の食べ残しや食べかす)だけであった。 「むぎゅうぅぅぅ、むぎゅうぅぅぅ」 ゆっくりパチュリーはただ泣くことしかできなかった。 本格的な冬を迎え、食料を失ったゆっくりパチュリーはだんだんと衰弱していった。 「そう、そんなことがあったの。つらかったわね。」 そう言うとアリスはゆっくりパチュリーの頭をなでてあげた。 「それなら違うお家に引っ越してみない?私の家のすぐ近くの木にも大きめ洞があるわよ。何かあったら私が助 けてあげるわ。」 恐る恐るゆっくりパチュリーは聞いた。 「そこはゆっくりできるところ?」 「えぇゆっくりできるわよ。」 「むきゅー♪」 うれしそうに声を上げるゆっくりパチュリーであった。 「ここよ。」 ゆっくりパチュリーはアリスに案内され木の洞の前までやってきた。 「どう?気に入るといいのだけれど。」 ゆっくりと洞の中へ入っていくゆっくりパチュリー。入り口は小さかったが、中は以前自分が住んでいた洞の 2~3倍の広さはあった。ここなら十分ゆっくりできそうであった。 「きにいったよ!きょうからここがぱちぇのおうちだよ!」 「そう、よかったわ。今は冬で食べ物も少ないでしょうからプレゼントするわ。」 アリスの後ろを二匹の人形が大きな包みを抱え飛んでいた。アリスが指示すると二匹は洞の中へ入って行き、 包みの中身を中へ広げ戻ってきた。 「私が作った特別製のお菓子よ。痛みやすいから今日中に食べなさい。」 アリスはゆっくりパチュリーの前に洋菓子を置いた。 「そろそろお別れよ、さようなら。」 アリスは手を振りながらもと来た道を戻っていった。 「むきゅー、ありすありがと~」 飛び跳ねながらアリスを見送るゆっくりパチュリー。アリスがくれたお菓子を食べると巣の中へ入っていった。 目の前に山いっぱいの食料が広がっていた。以前の巣で冬越し用に蓄えた食料の量をゆうに超えていた。 さっそく食べようとしたが、急に眠気がおそってきて意識はまどろみの中へ消えていった。 次の日、ゆっくりパチュリーはなぜか巣の外で目を覚ました。しかも体にいくつか傷を負っていた。 巣の方からはなにやら音が聞こえてくる。急いで巣に戻ると言葉を失った。 ゆっくり霊夢、魔理沙さらにアリスまでもが自分の食料をむさぼっていた。 「む゛、む゛、む゛ぎゅー!」 ゆっくりパチュリーの声を聞いて3匹が振り返る。 「またむぎゅー!だってさ、こわいこわい。」 「やくそくどおりまたきたよ!」 「こんなぜいたくなたべものはいなかもののぱちぇにはもったいないわ。とかいはのわたしたちがたべてあげるわ。」 前回と同じように果敢にも体当たりするが相手が3匹では当然敵うはずもなく、 「まりさたちのじゃまをしないでね!」 「ここはもうれいむたちのゆっくりぽいんとだよ!」 「いなかもののぱちぇがいるだけでゆっくりできないのよ、でていって!」 トリプル体当たりをくらい「むぎゅー」と泣き転がって巣の外へ追い出されてしまった。 「どうじで、どうじで、ゆっぐりざぜでぐれないの~。」 涙が滝のようにあふれてくる。 「あらあらどうしたの?そんなに泣いて?」 振り向くとそこにはアリスが立っていた。 「あ゛、あ゛、あ゛りずぅぅぅ~。ゆっぐりでぎなぐなっちゃだよぉぉぉ。」 「そう、また食料を横取りされてしまったのね。」 「あ゛、あ゛りずだずげでぇぇぇ。」 「それじゃ食料を横取りしたゆっくり達をゆっくりできなくすればいいのかしら?」 「おでがい、ありずぅぅぅ。」 「えぇ、も・ち・ろ・ん・よ!」 アリスは見たものを恐怖に陥れるような笑顔で笑い、ゆっくりパチュリーをおもいっきり木の洞目掛けて蹴った。 「む!むきゅぅぅぅ!」 何が起こったかまったくわからなず転がるゆっくりパチュリー。食料をむさぼっていた3匹が再び入ってきたゆ っくりパチュリーに気が付く。ゆっくり霊夢が先陣を切ってゆっくりパチュリーに体当たりを仕掛けようとする。 「わたしたちのゆっくりぽいんとだってわからないの!」 しかし次の瞬間、 「ゆ゛!、ゆ゛ぅぅぅぅ!!! 」 悲鳴を上げ、八つ裂きにされるゆっくり霊夢。 「「れいむぅぅぅ!」」 ゆっくり魔理沙とアリスは絶叫した。 ゆっくり霊夢を八つ裂きにしたのはアリスの操っている上海と蓬莱人形だった ゆっくりパチュリーは目の前で絶命したゆっくり霊夢の光景を見て一気に顔が青ざめた。 もともと体が弱く臆病なゆっくりパチュリーにとって(いやゆっくり達にとっても)悪夢のような光景だった。 しかし、その悪夢はまだまだ続いた。 その光景を見るや否や我先にとゆっくりアリスを置いて洞から脱出しようとするゆっくり魔理沙。 もちろん二体の人形は見逃さない。上海がゆっくり魔理沙の体を壁に押し付けると蓬莱が金槌とごっすん釘を取り 出す。それを見たゆっくり魔理沙は必死に、 「あ、ありすがここでゆっくりしようっていったんだよ!、ま、まりさはわるくないよ!、ゆっゆっゆっくりしてね!、 こ、こっちにこないでね!、い、いや゛あ゛ぁぁぁぁぁ!」 ゆっくり魔理沙の必死の懇願もむなしく額にぐっすん釘が打ち込まれる。 「いだい、いだい、や゛め゛でぇぇぇ!」 ごっすん釘を打ち込みゆっくり魔理沙を動けなくなった。2体の人形を見てゆっくりアリスはガタガタ震えている。 「ご、ごめんなざいぃぃぃ、あ゛りずはどがいはじゃないのぉぉぉ、ほんとうはいながもののゆっぐりなのぉぉぉ!」 ゆっくりアリスの願いが届いたのか2体の人形は洞から出て行った。 「た、たすかったの?」 ゆっくりアリスは急いで洞から脱出を計る。 (もうゆっくりパチュリーをいじめるのはやめよう。新しいゆっくり魔理沙をさがしてゆっくりしよう。) 暗い洞の中から光あふれる外へ勢いよく飛び出すゆっくりアリス。 「ゆ゛!?ゆ゛う゛ゔゔあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 悲鳴を上げながらゆっくりアリスの体は3枚におろされ、黄色のどろっとしたものを回りに撒き散らす。 ゆっくり霊夢や魔理沙の中身は餡子だがゆっくりアリスの中身はカスタードクリームなのだ。 「あら、逃げられるとでも思ったの?」 笑いながら冷たくあしらうアリス。 ゆっくりパチュリーの青ざめた顔はもう真っ白になっていた。そして涙を流しガクガクとおびえていた。 巣の外からアリスの声が聞こえる。 「約束通り助けてあげたわよ。うれしいでしょう?」 「ひ、ひどいよありす!や、やりすぎだよ!」 「あら、何言ってるの?食料を横取りしたゆっくり達をゆっくりできなくすればいいのかと聞いたらあなたがお願い と言ったのよ。私はあなたのお願いを聞いてあげただけ。しかも特別に新たな食料まで用意してあげたのよ。」 ゆっくりパチュリーは周囲を見回すが、あるのはゆっくり霊夢の成れの果てとごっすん釘で固定されたゆっくり魔 理沙だけであった。 「あなたの、目の前にある残骸とゆっくり魔理沙よ。」 「む、むぎゅぅぅぅ、た、たべられないよ!」 「何言っているのかしら?私の家でたくさん食べていたじゃない。変わった味だけどおいしと言って。」 ゆっくりパチュリーは目の前に広がるゆっくり霊夢の成れの果てを見て、アリスの家で自分が食べた物とそっくり なのに気が付く。 「い、いや゛あ゛ぁぁぁぁぁ。ゴ、ゴホ、ゴホッゴホ、ゲホ、ゲェェェェェ。」 自分が食べていた物がゆっくりの残骸だと気づくと悲鳴をあげ持病の喘息が発症し、むせ返るゆっくりパチュリー。 「そうそう、あなたがもう邪魔されずにゆっくりできるように入り口に特製の糸を張っておいたわ。もし誰かがあな たの邪魔をしようと巣の中へ入ればさっきのゆっくりアリスの様に3枚におろされるわ。もちろんあなたも例外では ないから気をつけなさい。」 「あ゛りず、どうじでごんなひどいごとするのぉぉぉ。ゲホッゲホ。」 しばらくの沈黙の後アリスは答えた。 「あなたがあの紫もやしと同じ名前だからよ!」 吐き捨てるように言うとアリスは家へ帰っていく。 「ごごがらだじでぇぇぇ!ゴホッゴホッ。」 ゆっくりパチュリーの泣き声はアリスに届くことはなかった。 -アリス邸- 「あの紫饅頭最後まで私のことを呼び捨てにしてたわね。今思い出すだけでも腹が立つわ!」 アリスは椅子に座り紅茶を飲んでいた。 「それにしてもあの紅白と黒白饅頭思っていたより使えたわね。ゆっくりアリスまでいたのはびっくりしたけど。」 -1ヶ月半前- 「おーいアリスー。」 上空から手を振るのは霧雨魔理沙、アリスが好意を寄せる人間だ。 「いらっしゃいお茶の用意をするわ、あがって。」 「おう、遠慮なくあがらせてもらうぜ。」 何か特別なことをするわけでもなく、アリスは魔理沙との何気ないお茶会と雑談を楽しんでいた。 しかしそんな楽しい雰囲気も魔理沙の一言で終わりを告げた。 「そうそう、昨日図書館に行ったらパチュリーが古い魔導書を見つけたらしいんだ、しかも複数!」 「へ、へぇそれはすごいわね。」 (なんで私の目の前であの紫もやしのことなんて話すのよ) 「それでな、けっこう昔の文字らしく解読が必要で泊りがけで一緒に解読しないかって誘われたんだ。」 パリン アリスの握っていたカップが床に落ち割れた。 「おいおい、気をつけろよ。」 「ご、ごめんなさい。」 動揺するアリス。 (な、泊りがけですって!あの紫もやし魔導書をエサに魔理沙をつるなんてなんて卑怯なの!) 「そ、それで魔理沙はどうするの?」 「もちろんいくさ!」 その瞬間アリスの心は絶望のどん底に叩き落された。 「・・・どのくらいの期間なの?」 「パチュリーは最低でも1ヶ月近くはかかるんじゃないかって言ってたぞ。」 (1ヶ月!ダメよダメよ!魔理沙!行っちゃダメよ!) 「というわけでしばらくアリスには会えないんだ、悪いな。」 「え、えぇ私のことは気にしなくても大丈夫よ。」 (何言ってるのよ私、ここで止めないと1ヶ月も魔理沙に会えなくなっちゃう!) 「そうか、それじゃ雲行きが怪しいしそろそろ帰るかな、またくるぜ。」 「見送るわ。」 外に出ると魔理沙はほうきにまたがり、 「またなー。」 と言って帰っていった。 雨が降ってきた。アリスの心を反映しているかのようだった。 「ま゛り゛ざぁぁぁ、どうして私じゃだめなのぉぉぉ!あのもやしなのぉぉぉ!」 アリスは雨に打たれながらその場に泣き崩れた。 数日後、アリスは椅子に座ってボーっとしていた。まだショックから立ち直れていないようだ。 庭からなにやら音がする。窓から覗くとそこにはゆっくり霊夢2匹、魔理沙1匹が花壇の花をムシャムシャと食べ ていた。普段なら追い返すが今のアリスにとってどうでもいいことだった。 しかし次の瞬間アリスの頭の中にある計画が思いついた。再び生気が宿ったアリスはすぐさま人形達に森に住むゆ っくりパチュリーを気づかれないように探し出すよう命令した。そしてアリスは庭に出て行った。 「おねぇさんだれ?」 「ここはまりさたちのゆっくりぽいんとになったんだよ!」 「じゃまするならでていってね!」 なんてふてぶてしいゆっくり達だろう。勝手に人の庭に入ってきて自分の場所だと主張するなんて。 「1匹には見せしめとして死んでもらいましょうかね。」 そう言うと手をゆっくりの方へ向け、詠唱を始める。 そして出現した火の玉がゆっくり霊夢に命中し一瞬で消し炭となる。 悲鳴を上げながらゆっくり霊夢と魔理沙は一目散に逃げ出すが人形達が押さえつける。アリスが近づくと、 「わ、わるいのはあのしんだれいむだよ!れいむがここをゆっくりポイントにしようっていったんだよ!」 「おねがいゆるしてぇぇぇ」 泣き叫ぶ2匹のゆっくり。そこへ先ほどゆっくりパチュリーを探しに行った人形達が帰ってきた。 「これで役者がそろったわ。」 そう言うとアリスはかがみこみ2匹のゆっくりに話し出す。 「私の言うことを聞くなら助けてあげてもいいわよ。そのかわり、少しでも逆らったらあの死んだゆっくりの様になる わよ。」 「わ、わかったよ、いうこときくよ!」 「いうことききます!だからたすけてぇぇぇ!」 -時は戻って再びアリス邸- 「私の指示通りきちんと紫饅頭のエサを横取りしていたようね。」 ゆっくりパチュリーがエサを横取りされたのも餓死しかけたのもすべてアリスの計画だった。 「わざとエサを集めさせて蓄えたエサを一気に食べられたときの紫饅頭の顔と言ったら最高だったわ。睡眠薬入りのお 洋菓子も何の警戒もなく食べちゃうし、本当にばかな紫饅頭ね。」 -閉じ込められて3日後- 「おでがい、ゆるじでぇぇぇ。」 弱々しく泣き叫ぶのはごっすん釘で固定され、動くことができないゆっくり魔理沙だった。ゆっくり種は中の餡が 無くならない限り死ぬことはない。だがそれが仇となりゆっくり魔理沙は苦しみ続けていた。 ゆっくりパチュリーはと言うと空腹に犯されていた。目の前にはゆっくり霊夢の成れの果てが散らばっていたが口 にはしていなかった。 「おなかへったよぉぉぉ、ぱちゅりーがたべないならまりさがれいむをたべるうぅぅぅ。」 「むぎゅぅぅ、しずかにしてね。」 ゆっくり魔理沙がわめき散らしていたが体力を消耗するだけなのでゆっくりパチュリーは無視して目を閉じた。 次の日、ゆっくりパチュリーが目を覚ますと空腹がおさまっていた。 目の前に散らばっていたゆっくり霊夢の成れの果てが無くなっているのに気が付いた。 「ひどいよ、ひとりでぜんぶたべちゃうなんて、ぱちゅりーのいじわる!」 「むきゅ?なにいってるの?」 「とぼけないでよ、まりさのめのまえでれいむをたべてたじゃない。」 ゆっくりパチュリーは固まった。ゆっくりまりさはごっすん釘で固定されていて動くことができない。唯一の出入 り口はアリスによって封鎖されている。そうなるとゆっくり霊夢を食べたのは・・・。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 突然悲鳴を上げるゆっくりパチュリー。死んでいたとはいえ無意識にゆっくり霊夢を食べてしまったことを信じた くはなかったのだ。 「ぱちぇじゃない、ぱちぇじゃない、ぱちぇはたべてない。」 自らに言い聞かせるように何度も繰り返すゆっくりパチュリー。 「まりさのめのまえでおいしそうにぱちゅりーがたべてたよ。」 「うそだーーーーー!」 普段はおとなしいゆっくりパチュリーの大きな悲鳴を聞いてゆっくり魔理沙は口を閉ざした。 ゆっくりパチュリーはゆっくり魔理沙から一番離れた壁に顔を張り付けひたすら、 「ぱちぇじゃない、ぱちぇじゃない、ぱちぇはたべてない。」 と次の日も次の日も言い続けた。 -閉じ込められて6日後- ゆっくりパチュリーが目を覚ますとまた空腹が収まっていた。恐る恐るゆっくり魔理沙の方へ振り返るとごっすん 釘に固定されたゆっくり魔理沙はいた。白目を見開いて体を痙攣させ体の半分が無くなっているゆっくり魔理沙が。 「む゛、む゛、む゛ぎゅう゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 これまでにないほどの悲鳴を上げるゆっくりパチュリー。そして、 「おっまんじゅう~♪おっまんじゅう~♪」 と歌いながら残りのゆっくり魔理沙をむさぼる。ゆっくりパチュリーの目はうつろで生気が消えていた。 餓死しようとしていたときの恐怖。やさしかったアリスの変貌。目の前で起こった虐殺。 そして無意識にゆっくり霊夢と魔理沙を食べてしまったのを認めることができない自分。 短期間にゆっくりパチュリーに降りかかったその惨劇はついにゆっくりパチュリーの精神を破壊してしまったのだ。 「あら、もう壊れちゃったの?せっかくもっといたぶってあげようと思ったのに面白くないわね。」 アリスは洞の中から聞こえるゆっくりパチュリーの声を聞くと残念そうに言った。そして入り口の糸をはずす。 「上海!蓬莱!」 命令されると2体の人形は洞の中へ入りゆっくりパチュリーを引きずり出す。 「おっまんじゅう~♪おっまんじゅう~♪おっいしっいな~♪」 「これは完全にダメね、しかたないわ。」 アリスはゆっくりパチュリーに糸を巻きつけると上海と蓬莱にゆっくりパチュリーを木の上へ固定させる。 「そのうちゆっくりを捕食するゆっくりにでも食べられるでしょ。」 そう言うとアリスは家へ帰って行った。 その夜、まだゆっくりパチュリーは歌っていた。 「おっまんじゅう~♪おっまんじゅう~♪」 その声を聞きつけてか遠くから丸い物体が飛んできた。 「おまんじゅうだ~♪いっただっきま~す♪」 大きな口をあけてむかってくる饅頭を食べようとするが次の瞬間ゆっくりパチュリーは真っ二つになり地面へぐ ちゃっと音を立て落ちた。 「うー♪うー♪」 ぐちゃぐちゃになったゆっくりパチュリーを食べているのはゆっくりれみりゃ。スピードを利用し羽で真っ二つに したのだ。 こうして、運悪くアリスの標的となってしまったゆっくりパチュリーの生涯は閉じたのであった。 End 作成者:ロウ 後書き 最後まで読んでくださった方々、まずはお礼を申し上げます。 ゆっくり達の生涯シリーズ(?)第4弾『ゆっくりパチュリーの生涯』はいかがでしたでしょうか? 今回のコンセプトは精神的いじめです。過去3作は意外と頭の中に文章がポンポンと浮かんできたのですが、今作 はなかなか文章や内容が思い浮かばず苦労しました。気が付くとけっこうな長文となってしまいました。 ちなみに、私にはSSを書くとき一つのポリシーがあります。それはなるべく幻想郷の人物を登場させるというこ とです。加工場の設定を使わせていただくときは職員を登場させなければなりませんが、オリジナルのキャラクタ ーをなるべく登場させないようにしています。 理由は単純で、東方が大好きだ!というだけです。 (旧作はやっていませんが紅魔からの作品はすべて持っています) オリジナルのキャラクターが登場する作品が嫌いなわけではありません。むしろ最近はさまざまなSSが投稿され てうれしいくらいです。誤解のないようお願いいたします。 (最近のSSではゆっくりきゃっちゃーがお気に入りです) 次回作は既に頭の中に浮かんでいます。最近はやり(?)のゆっくり一家に登場してもらう予定です。 毎回言うようですが私は文章を考えるのが苦手&遅いのでゆっくりと書かせていただきます。 そういえば、私は幻想郷のキャラいじめ板の頃からSSを投稿していますが、その頃から読んでくださっている方 はこのスレにもいるのかな? ↓今回のおまけは後日談です。 -後日談- 次の日朝早くから扉をたたく音がしてアリスは目を覚ました。 「もぉ、朝っぱらから誰よ。」 扉を開けるとそこに立っていたのは魔理沙だった。 「よぉ、アリス久しぶりだな、元気だったか?」 あまりの出来事に声が出ない 「どうした?体調でも悪いのか?なんなら出直すが。」 「だ、だ、だ、大丈夫よ、全然体調なんか悪くないわ。それにしてもどうしたの?こんな朝早くから。」 「1ヵ月半もかかったけど魔導書の解読が大体終わってな、アリスに読ませてやろうと思ってパチュリーが寝ている隙 にかっぱらってきたぜ!あと、しばらく泊まらせてもらうぜ!」 「え!と、泊まる!?」 「いやなら別に帰るが、ダメか?魔導書の量もあるし、アリスは昔の文字なんて読めないだろ?」 「ま、魔理沙がどうしてもって言うなら泊めてあげてもいいわよ。」 (何言ってるのよ私!素直に泊まってってどうして言えないのよ!魔理沙が帰ったらどうするのよ!) 「そうか、それじゃ遠慮なく泊まらせてもらうぜ!それよりアリス、それ寝巻きか?なかなかかわいいじゃないか。」 アリスは一気に顔を赤くして、 「魔理沙のばかぁぁぁ~。」 と言いながら急いで着替えに戻って行った。 「なにあいつ赤い顔なんてしてるんだ?」 こうしてアリスは魔理沙とゆっくりと楽しい時間をすごした。 目を覚ましたパチュリーは目の前に置かれていたメモを見ていた。 (魔導書を持ってアリスのところへ遊びに行ってくるぜ。) 「む、むきゅ~~~~~!」 パチュリーの声は紅魔館中にこだました。 おまけEnd