約 1,444,924 件
https://w.atwiki.jp/battler/pages/354.html
第33シーズン連勝ランキング (2006年05月12日06時25分~2006年05月16日19時51分) 連勝 数☆ キャラ名/作者 勝利コメント/DATA 5 高原イヨ 放浪紅龍 「兎転舎特製秘薬の味はどう?」 体 25 攻 15 防 10 速 50 登録日 2006/05/14 14 18 5 戒塊界海壊 戒 「終わりや~」 体 24 攻 31 防 27 速 18 登録日 2006/05/12 00 20 4 高橋由伸 巨人軍ハヤト 「まあ、ざっとこんなもんさ。」 体 23 攻 29 防 29 速 19 登録日 2006/05/16 05 52 4 ルーファス ギャリック 「今回は私の勝ちですね、いい練習になりました・・・」 体 15 攻 5 防 45 速 35 登録日 2006/05/14 13 14 4 まんさんキング 桃内 「シュプレヒコールの波、通り過ぎてゆく…」 体 20 攻 20 防 30 速 30 登録日 2006/05/13 21 24 4 ルーファス2 ギャリック 「今回は私の勝ちですね、いい練習になりました・・・」 体 15 攻 5 防 45 速 35 登録日 2006/05/13 14 05 4 勇者王たかし4 タカシ 「これが絶対勝利の力だ」 体 30 攻 15 防 35 速 20 登録日 2006/05/13 11 04 4 戒塊界海壊 戒 「終わりや~」 体 24 攻 31 防 27 速 18 登録日 2006/05/12 17 46 3 新勇者王タカシ5 タカシ 「これが絶対勝利の力だ」 体 10 攻 15 防 40 速 35 登録日 2006/05/15 21 51 3 零式 瑠架 「もう少し遊びたかったかな」 体 30 攻 20 防 30 速 20 登録日 2006/05/15 11 02 3 オクラちゃん19 魔亞挫 「さて、お赤飯炊きましょうかね」 体 20 攻 18 防 33 速 29 登録日 2006/05/13 16 52 3 親を狙う狙撃者 戒 「俺の恨みを、思い知ったか!ハッハッハ!」 体 26 攻 5 防 29 速 40 登録日 2006/05/13 10 42 3 オクラちゃん18 魔亞挫 「さて、お赤飯炊きましょうかね」 体 20 攻 18 防 33 速 29 登録日 2006/05/12 21 25 3 天下勇士アルス 旅立勇者ハヤト 「おめぇらみんな敵だ」 体 20 攻 35 防 25 速 20 登録日 2006/05/11 20 53 2 ルーファス ギャリック 「今回は私の勝ちですね、いい練習になりました・・・」 体 15 攻 5 防 45 速 35 登録日 2006/05/16 13 08 2 \(^^)√ 桃内 「まあ、ざっとこんなもんさ。」 体 20 攻 20 防 30 速 30 登録日 2006/05/16 09 57 2 剣聖・聖良紅牙 剣聖・聖良紅牙 「はぅー・・・やっと登録出来たぜぇ・・・;;」 体 20 攻 30 防 20 速 30 登録日 2006/05/15 22 49 2 守り隊 ザコ兵 ほるすたいん 「姫様・・・次も必ずお守りします・・・!」 体 20 攻 15 防 35 速 30 登録日 2006/05/15 19 45 2 ルーファス2 ギャリック 「今回は私の勝ちですね、いい練習になりました・・・」 体 15 攻 5 防 45 速 35 登録日 2006/05/15 22 01 トータル勝利数ランキング 勝利 数☆ キャラ名/作者 勝利コメント/DATA 13 まんさんキング 桃内 「シュプレヒコールの波、通り過ぎてゆく…」 体 20 攻 20 防 30 速 30 登録日 2006/05/13 21 24 12 戒塊界海壊 戒 「終わりや~」 体 24 攻 31 防 27 速 18 登録日 2006/05/12 00 20 12 天下勇士アルス 旅立勇者ハヤト 「おめぇらみんな敵だ」 体 20 攻 35 防 25 速 20 登録日 2006/05/11 20 53 11 高原イヨ 放浪紅龍 「兎転舎特製秘薬の味はどう?」 体 25 攻 15 防 10 速 50 登録日 2006/05/14 14 18 10 魔界賢者アルス ハヤト 「我が覇道、このような所では終われん!!」 体 20 攻 30 防 25 速 25 登録日 2006/05/14 11 43 10 ルーファス2 ギャリック 「今回は私の勝ちですね、いい練習になりました・・・」 体 15 攻 5 防 45 速 35 登録日 2006/05/13 14 05 9 新勇者王タカシ4 タカシ 「これが絶対勝利の力だ」 体 10 攻 15 防 40 速 35 登録日 2006/05/15 11 21 9 新勇者王タカシ2 タカシ 「これが絶対勝利の力だ」 体 30 攻 15 防 40 速 15 登録日 2006/05/14 22 08 8 新勇者王タカシ5 タカシ 「これが絶対勝利の力だ」 体 10 攻 15 防 40 速 35 登録日 2006/05/15 21 51 8 守り隊 ザコ兵 ほるすたいん 「姫様・・・次も必ずお守りします・・・!」 体 20 攻 15 防 35 速 30 登録日 2006/05/15 19 45 8 メルネス様 まーしゅ 「滄我は我らと共に」 体 30 攻 10 防 30 速 30 登録日 2006/05/14 21 21 8 ルーファス ギャリック 「今回は私の勝ちですね、いい練習になりました・・・」 体 15 攻 5 防 45 速 35 登録日 2006/05/14 13 14 8 戒塊界海壊快櫂 戒 「終わりや~」 体 29 攻 20 防 27 速 24 登録日 2006/05/13 09 25 8 オクラちゃん18 魔亞挫 「さて、お赤飯炊きましょうかね」 体 20 攻 18 防 33 速 29 登録日 2006/05/12 21 25 7 高橋由伸 巨人軍ハヤト 「まあ、ざっとこんなもんさ。」 体 23 攻 29 防 29 速 19 登録日 2006/05/16 05 52 7 オクラちゃん19 魔亞挫 「さて、お赤飯炊きましょうかね」 体 20 攻 18 防 33 速 29 登録日 2006/05/13 16 52 7 高原イヨ 放浪の民青龍刀 「兎転舎特製秘薬の味はどう?」 体 25 攻 15 防 10 速 50 登録日 2006/05/13 16 21 7 勇者王たかし2 タカシ 「これが絶対勝利の力だ」 体 30 攻 25 防 25 速 20 登録日 2006/05/12 23 11 7 零式 瑠架 「・・・・・・コレゾシンバツダ」 体 30 攻 20 防 30 速 20 登録日 2006/05/12 22 35
https://w.atwiki.jp/25438/pages/3243.html
7
https://w.atwiki.jp/senjutu/pages/212.html
(2007年04月20日) 一生のテーマ
https://w.atwiki.jp/alicenight/pages/27.html
――これは、ユメだとチェシャ猫は嘲笑った。 事実、そうなのだろう。 自分の住んでいた世界とは乖離した風景、行ったこともない場所。 空気のにおいも、どこか違う。 きっと此処は、深層心理が作り出した夢幻のセカイ。 巨人もいない、哀しいことも辛いこともない、ユメのなか。 ……なのに、クリスタ・レンズを待ち受けるのは――またしても、血腥い争いだった。 猫は哂った。 此処から出たけりゃ、アリスを殺せ。 このセカイに迷い込んだ、哀れなアリスを独り残らず殺せ。 そうしたらカギが手に入る。 ああ、尤も――〝帰ってもお前の居場所があるかどうかは知らねえが〟。 「…………」 その最後の一言が、まるで刺のように心へ深々と突き刺さっていた。 己は、ずっとずっと誰にも必要とされない生涯を過ごしてきた。 妾として生まれ、家から放逐され、軈て心に芽生えたのは自滅的願望。 消え去りたい、なくなりたいという弱さだけが膨れ上がっていき、気付けば兵士になっていた。 巨人を駆逐したい。 死んだ仲間の想いを果たしたい。 そんな大層な目的なんて、彼女にはない。 ただ、死にたかったのだ。 己の身を消滅させたかったのだ。 だから極めて危険、死亡率の高い調査兵団へ入った。 でも、未だ自分は生きている。 死ぬ気配なんてなく、生きている。 「…………」 どうしてだろうか。 どうして、こんなユメを見るのだろうか。 理由はわからない。 そも、チェシャ猫の言葉が真実なのかどうかも。 これが本当に出られないユメなのか、知る術などありはしない。 無知なる蒙昧。猫は、さぞや可笑しく思っていることと思う。 それとも、これもまた、自分の願いが生み出したセカイなのかもしれない。 死にたいなら死ね。 ――しかし、ユメ。 すべてユメで、虚構(いつわり)。 なんて厭なユメ。 クリスタは嘆息を零し、自嘲するように微笑む。 「ねえ、わたしは――」 足元には、小さなナイフがあった。 本来果物を切るために使うはずのそれ。 猫が、わざわざこれを残していったわけなど一つだ。 つまり、選べと云っている。 アリスを殺してユメから覚めるか。 自分自身を殺してユメに消えるか。 どちらを選んでも、チェシャ猫は笑うに違いない。 だって、どちらもクリスタ・レンズにとって都合のいい風にしかならないのだから。 墜ちた女神は、ひとり笑う。 なにを思うでもなく、笑う。 彼女は病んでいた。 元々破損していた心が、更に罅割れ崩れていく。 決壊が進む。 崩壊が淀む。 ――彼女は、ただ不運だった。 その出生から、こうして悪夢に囚われることまで、すべて。 そして。 最大の不運は、向こうからやってくる。 「あれ? 誰かいんじゃん」 クリスタが今居るのは、家の中だった。 どこか御伽噺の世界を連想させる、薬などが沢山備蓄された家。 魔女の家のよう、ともいえる。 簡素な扉が外側から開かれ、見えるのは少女の姿。 年は少し上だろう。 派手な様相に身を包んだ、桃色の髪をした可愛らしい少女。 クリスタの常識からすれば〝異装〟と呼んで然るべき、別の世界でギャルと呼ばれる人種。 男受けもそれなりにあろう整った顔立ちを微笑みに彩り、彼女はクリスタへ近付く。 「へー、可愛い顔だね。 アンタあれでしょ? あの猫が言ってた〝他のアリス〟ってやつ」 「た、多分……そういうあなたも?」 「らしいね。ま、この通りアリスなんてガラじゃあないけどさ」 髪をたくし上げながら、少女は笑う。 ……チェシャ猫の言葉が確かなら、殺し合う関係にある筈の他人。 恐れるのが当然だ。しかし、クリスタは不思議と恐怖を感じなかった。 なんといえばいいのだろう。 ――強いて言えばカリスマ、という形容が一番近しいか。 惹きつけられる。 一挙一動が、心を捉えて離さない。 「私、クリスタ・レンズっていうの。あなたは?」 「あたし? あたしは江ノ島盾子」 江ノ島盾子。 余談だが、クリスタのいた世界では東洋人は既に希少な存在と化している。 言わずもがな、彼女の名前は東洋人のそれ。 変わった名前だな、とクリスタは素朴な感想を抱いた。 「でさ、一つ聞きたいんだけど」 「いいよ、なに?」 「――アンタ、〝カギ〟が欲しい? 誰かを殺してでも、手に入れたいって思う?」 江ノ島の瞳が、クリスタの知らない感情の色彩を湛える。 誰だって生きたい。こんなユメのなかで死ぬなんて、御免だと思うのが普通。 チェシャ猫の言葉を信じるか信じないかは別としてだ。 そこで、生の欲望に従うか抗うか。 それがこの悪夢における、最大にして最重要の分水嶺。 お前はどうするかと、江ノ島は問う。 「…………私、は」 「別に咎めたりしないよ。ただ、アンタのありのままを聞きたいだけ」 やさしく、江ノ島は笑っている。 クリスタは、答えねばならないと思った。 ここで逃げてはいけないと、心の中のなにかが叫んでいた。 破滅したい。消えてなくなりたい。 そんな願いを抜きにして、考える。 殺すか、死ぬか。 セカイのカギを手に入れる手段が猫の言ったもの以外にもあると、希望的観測に縋ってみるのか。 その確率は、あまりにも低い。 そも、あるかどうかすらわからない。不明瞭だ。 だから。 クリスタ・レンズは、当たり前のように其れを選び取った。 「私は――殺さない」 破損を抱えていても、クリスタが人より遥かにやさしい心の持ち主なことは変わらない。 その彼女に、他人を傷つけ自分を最優先するなんて身勝手は選べなかった。 女神、神様、天使。 仲間から様々な形容を受けるのは伊達ではない。 優しさと愛慕の心は、生を求める黒い欲望を包み込み消し去って。 彼女に、戦う未来を選ばせた。 「難しいことだと、思う。 でも、可能性はないわけじゃない……カギを手に入れる手段が、他にも」 江ノ島は、何も言わない。 じっと、クリスタを見ている。 「だから私は、戦うよ。 ユメから覚める為に、カギを見つけ出す」 「……誰も殺さずに?」 「もちろん」 へえ。 そう言って江ノ島は、面白いとばかりに喜悦を示した。 彼女にとっては予想外だったのだろう。 クリスタが消沈しているのは一目で見分けられた、恐らく内に秘めたる願いもすべて。 なればこそ、悪徳の道を往くのは自明と考えた。 が、その憶測は外れ。 彼女はこの絶望へ反抗し、希望的観測でもってユメを出ることを宣言した。 「……あなたは、どうするの?」 「アタシは――んじゃ、飽きるまでアンタについてってみようかな。 なかなか面白いやつみたいだし、ね。気に入ったよ」 けらけらと笑い声が響く。 安堵がこみ上げてきた。 いくら何でも、やはり一人は心細い。 己の非力さなど痛いほど承知しているし、まして此処は未知のセカイ、ユメだ。 仲間は多いほうがいい。 ――探し物をするなら、なおさらの話。 「じゃあ、よろしくね。えーと……」 「盾子でいいよ、こっちこそ宜しく、クリスタ」 「うん。盾子」 〝希望〟が、花開いた瞬間だった。 チェシャ猫にとっては予想外のことか。 弱さを孕んだ少女は、悪夢で開花する。 その背中に刻んだ紋章に誓い、絶望に屈さない。 帰るんだ。 残酷なセカイに抗って、勝利し、自由を勝ち取ろう。 (だって、私達の背中には――) 〝自由の翼〟が、あるんだから。 そう、クリスタは思った。 それが最期だとも知らずに、淡い希望を胸に抱いたまま。 ――――クリスタ・レンズは、背後から放たれた凶手に胸を穿たれた。 かは、と気の抜けた声が小さな口から漏れた。 声をあげることも忘れて、目を見開きながら後ろを振り向く。 そこにあるのは、三日月の形に口許を歪めた、江ノ島盾子の顔。 なんで。どうして――疑問に答えは出されぬまま。 絶望の右手が引き抜かれると同時に、夥しい量の血潮が噴出して。 女神と呼ばれた少女は、儚くも生命の華を散らした。 【クリスタ・レンズ@進撃の巨人 死亡】 × × 噎せ返る血液の匂いが立ち込める中で、江ノ島盾子は満足げに眼前の惨状を見下ろしていた。 この手で貫いた少女は、最期まで何が起きたのか分からない、そんな顔をして朽ちている。 信じた紋章。自由の翼の中央を、魔性の腕(かいな)に貫かれて。 希望は、絶望に蹂躙され、染め上げられて死んでいった。 其れを、江ノ島は美しいと思う。 実に絶望的だ、無情で非情で甘美で美麗だ。 うっとりと。見蕩れるように見つめ、江ノ島は歓ぶ。 「やっぱり、イイなあ……やめらんないよねぇ……」 彼女の名前は、江ノ島盾子。 肩書きを、〝超高校級の絶望〟。 ひとつの世界を、己の愛する絶望で塗り潰した人類史上最大最悪の絶望的事件が首謀者。 彼女は、本来死んだ筈だった。 自身の主催したコロシアイ学園生活の最果て、学級裁判で〝希望〟に〝絶望〟は敗北したのだ。 伝播する希望。かき消される絶望。 敗北した自分が味わう、死の絶望。 それにエクスタシーを感じ、召される最期の〝オシオキ〟が降り注いだ刹那。 世界は一変し。 彼女の前には、異形の案内人がいた。 江ノ島とて、童話の一つや二つは知っている。 たとえば、不思議の国のアリス。 それに登場する、チェシャ猫のような存在だと思った。 彼は江ノ島を見るなり、さぞ可笑しそうに哂った。 なんだこれはと。 こいつは、とんでもねえのが紛れ込んだと。 楽しそうに、愉快そうに。 猫の話を聞いて、江ノ島も愉快だと感じた。 ――面白い。今際の際のユメだとしても、今世の終焉に味わうだけの価値はある。 何よりも彼女をそそらせたのは、チェシャ猫に与えられたある情報。 〝超高校級の絶望〟の対極にある、〝超高校級の希望〟の才覚を宿した少年の存在。 苗木誠。この自分を破り、絶望学園から外へ歩き出した彼は、いったいどんな顔をするだろう。 考えただけで、頬が緩む。 見てみたいと思う。 その顔を。 希望を唱えた少年が、滅ぼした筈の絶望に膝をつく様を。 「うぷぷぷ……ねえ苗木くん、キミはこんなところでも〝希望〟であり続けるんだろうね。 じゃあ、アタシはいつも通り〝絶望〟であることにするよ」 平常運転。 江ノ島にとってのそれは、絶望を振り撒くこと。 絶望に染め、引っ掻き回して楽しんで、希望を潰して悦とする。 亡んだ魔物は舞い戻り。 悪夢を増長させる絶望として歩き回る。 たまたま、クリスタ・レンズはそれに行き遭ってしまった。 ただ。もし彼女が殺し、生き抜く道を選んでいたなら、未来は変わっていたかもしれない。 クリスタにとって真の幸福ではないにしろ、ここで死ぬことはなかった。 絶望の嬰児として。 超高校級の絶望に、ゆっくりと育て上げられていったことだろう。 希望を輝かせてしまったから。 その芽を摘み取り、絶望の餌となった。 ――当の江ノ島盾子でさえも預り知らぬ話だが。 クリスタ・レンズの本名は、ヒストリア・レイスという。 彼女の住んでいた世界において、重要な意味を持つ人類の最終防衛線〝壁〟。 それについての秘密を、彼女は知っていた。 紛れもなく重要なファクターになるであろう、壁の秘密。 しかし、クリスタは死んだ。 ユメの中であっても、潰れた魂は帰らない。 永遠に。 壁の秘密は、失われた。 こことは離れた、江ノ島の手の届かぬ世界に、こうしてひとつの絶望が芽生える。 これぞ、絶望。 江ノ島は楽しそうに微笑む。 悪夢は、まだ始まったばかり。 【D-3/チェルシーの祖母の家/一日目/深夜】 【江ノ島盾子@ダンガンロンパ】 [状態]:健康、気分高揚、服が血まみれ [装備]:なし [道具]:不明1、果物ナイフ@現実 [思考-状況] 基本:絶望を振り撒き、このユメを掻き回して遊ぶ。 1:生還に興味はない。 2:苗木誠との再会が楽しみ。 [備考] 死亡直前からの参戦です。 チェシャ猫から〝苗木誠の存在〟を教えられました。 ※家屋内部に、クリスタ・レンズの死体が放置されています 004 蜃気楼 時系列順 006:不味 Open the Nightmare クリスタ・レンズ Dead End Open the Nightmare 江ノ島盾子 [[]]
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/40243.html
白銀(メタル)の騎士(ナイト)レイル SR 光文明 (4) クリーチャー:メタリカ/ナイト/アウトレイジ (3300) ■このクリーチャーが出た時、お互いのシールドを手札から、1枚ずつ追加する ■自分の「ナイト」と「アウトレイジ」に「ブロッカー」を与える 「これが俺たちの自由だ!!」 光文明 (5) 呪文:ナイト ■どれか一つの能力を選ぶ ■自分の光文明を持つクリーチャーと相手のクリーチャーを1体ずつ選びその2体バトルさせる ■デッキの上から5枚を表向きにして、その中から「ナイト」か「アウトレイジ」を三枚まで手札に加える(その他のカードはデッキの1番下に送る) ■ナイトマジック 作者:?の助 フレーバーテキスト (フレーバーテキスト) 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/orirowavrc/pages/54.html
これはバトロワですか? ~はい、これが私の自称メイドです~ ――なにげない集まりが、かけがえのない時と知らずに私達は過ごしていた。 × 私はこの世界が好き。 今まで色々とネットの世界を渡り歩いてきたけど、VRCほど楽しくて幸せな世界はなかった。 普通の世界だとネカマは罪悪感を抱えてしまうけど、ここならネガティブなことは何も考えずに――みんなと楽しく自由を謳歌出来るから。 なにより――大切なお兄ちゃんとシロ姉と、いのりが居るから。 ぼっちの集いは私の居場所で、VRCは私が住む世界。 現実(リアル)なんかよりも、よっぽど大切な――私の宝物たち。 どうして私がこんなにも、みんなのことが好きなのかというと――。 × それは当時の私にとって、なにより大切な彼女と連絡を絶った後のこと。 自分勝手な理由で、私が悪いことだけど……ずっと大切に想っていた恋人を失って、私は廃人同然になっていた。 それまではただの遊びでネカマをしてたけど――彼女の存在はあまりにも大きくて。大切で。 そんな彼女だから、私の在り方を一気に変えた。……本当に心の底から、メスになっちゃった。 だから今までお遊びで付き合って、適当に別れてきた相手には何も感じなかったけど……大切な彼女と。ひなたと別れることは、本当に辛かった。 それでも連絡を絶つことにしたのは……私の弱さが原因で。当時の私はどうしようもなく弱くて、臆病だからネカマバレして捨てられることが怖かった。なにより二人の大切な思い出がひなたの中で『ネカマ野郎と過ごした苦い思い出』になるのが嫌だった。 ネカマの私は、本来の私じゃない。お前は偽りの女を演じる嘘つきだ。 世間の人たちはきっとそう言うけれど――ネカマの私こそが、本当に私……なんて、そんな昔の自分では有り得なかったことを今では心の底から思ってる。 そんな私だから。 嘘偽りなくひなたが大好きな私だから……彼女に嘘を貫き通すのが辛かった。苦しかった。 私が『本当の私』として振る舞ってるつもりでも、リアルの私は女の子じゃないから。 どれだけ私はネカマじゃない――なんて思い込んでも、世間的に私がネカマであることは変わらない。悲しいけど、それこそが不変の事実。 だから私は――連絡を絶つという手段で罪悪感から逃げ出した。 そうすることで、私とひなたの思い出は永遠になるから。二度と逢えなくなっても――この百合の花はずっと枯れずに、咲き誇るから。 そして私はひなたの元を去って、しばらく後にVRCの噂を聞いた。 誰もが好きな姿になれて、美少女アバターの男性が多い場所。VRという性質上、臨場感もあって人によっては撫でられてもいないのに、撫でられてると感じる。 そんな不思議な世界があるという情報を偶然、見掛けた。 まさか本当にそんな世界があるなんて――当時の私は、半信半疑だった。 私にとってあまりにも都合の良い世界だからこそ、そんな場所があるわけない……という思いが強かった。 ――それでも。 もしも本当に、そんな世界があるのなら。 私は迷わず……その場所に足を踏み入れる。 だから――たとえその情報に嘘偽りが紛れてる可能性があるとしても、私はVRCに行ってみたいと思った。 罪悪感を抱えることなく、ありのままの私で在りたいから。 ネカマが大手を振って歩ける。本当にそんな世界があるのなら、それこそが私にとっての楽園だから。 VRのヘッドセットを手に入れるために、まずは資金集めを始めた。 ひなたの影響でメスになってた私は、リアルの日常生活でも女装して暮らすようになっていて。そのスキルを駆使することでパパ活に手を出した。 手っ取り早く大金が欲しいなら、それが一番効率の良い手段だったから。まあ……よくわからないおじさん達に抱かれるのは苦行もあったけど、未知の快感も覚えた。 股間に電マを当てられたり、お尻を弄られるのがあんなに気持ち良いなんて……。 私という存在がおじさん達に汚されて。 白濁に塗れ、彼らに汚されることで快楽と大金を得る。……当時の私はひなたロスで本当に狂ってた。 そして遂にゲーミングPCとヘッドセットを手に入れた。 ヘッドセットは特に拘りがないからOculus Quest。ゲーミングPC無しでもVRCを楽しめる優れものだと聞いてたけど、クエスト対応アバ以外は正常に表示されないことを知ってゲーミングPCと同時に買うことに決めていた。 余ったお金でbooth経由のアバター購入。自分の好きなキャラに似たアバを買って、改変で更に似せてゆく。 個人的に満足出来る改変アバに仕上がったから――私は意を決してVRCの世界にダイブした。 初めてヘッドセットを装着した時の感想は……意外と重い。 臨場感?この重さで……? VRCの世界にアクセス完了するまでの僅かな時間、そんな考えが脳裏を過る。 けれどもそれがただの杞憂だったと、すぐに思い知らされた。 VRCにダイブして、真っ先に辿り着いたホームワールド。そこは『ホームワールド』という名前通り簡素な場所だけど……少し歩くとミラーがある。 アバを改変してる間に適当な外人プレイヤーとフレンドになって、ずっとinして放置することでランクもNew Userになってた私は、アップロードしていたアバターに着替えてミラーの前に移動した。 「す、すごい……」 私が身振り手振りする度に、ミラーの中の私も同じ動作をする。 鏡だから当たり前のことではあるけど――自分の動きとアバターが一致するというのが、本当に大事で。 ミラーを目にすることで、私は今この姿になってるんだ……と強く実感出来る。 VRCのユーザーはミラーを好む人が多いけど、私もその気持ちはよくわかる。だって私もミラーが好きだから。 ヘッドセットの重さは相変わらず気になったけど、それでも臨場感はたしかにある。 本当に自分がそのアバターになったような、そんな感覚。 どくん、どくん、どくん――。 ミラーを見てるだけでも、胸の鼓動が高鳴るのを感じる。 ホームワールドに居るだけでコレなら、他のワールドへ行ったらどうなるのかな……。 そんなことを考えた時には、コントロールを操作する指は自然と動いてた。 ……でも当時の私はVRCのワールドなんて全然わからなくて。 とりあえずjapanでワールド検索をしてみた。日本語メインのワールドじゃないと敷居が高いと思ったから。 そして適当に目に付いたJapan Shrineにワールド移動する。日本の神社のワールドだった。 「Do you know da wei?」 「My Queen!」 ……モグラみたいなよくわからないアバターの集団と遭遇した。 彼らの名前はウガンダナックルズ。集団を形成して、奇妙な言動と野太い声で人々を困らせる存在だけど……たまに彼らに悪ノリして便乗する輩もいる。 「どゅーゆー、のー、ざ。うぇい?」 「いのりちゃん。その人たちの真似はダメですよ」 そして当時のいのりは、彼らに便乗している最中だった。 後から聞いた話だけど、当時の時点で既にウガンダナックルズは絶滅危惧種で久々に見掛けから嬉しくて悪ノリしたみたい。……流行ってる時もよく悪ノリしてたみたいだけど。 「ごめんなさい、お姉ちゃん。でもこの人たち、面白いです……!」 いのりがぺこりと頭を下げてシロ姉に謝る。 シロ姉は困ったように苦笑いしながら、いのりのことを撫でていた。 「This is da wei!」 パンツの下から、野太い声が聞こえる。 いつの間にかウガンダナックルズが私のパンツの下に潜り込んでた……! ――あまりにもよくわからない状況にいきなり遭遇した私は、すぐにJapan Shrineから移動。 日本人が集まるワールドをググって、色々と巡り始めた。 結果、フレンド0人。 人々の輪の中に入ることも出来ず、仲の良い人も出来ず途方に暮れる。 やっぱり私はひなたが居ないと、何も出来ないのかな……。そんなことを考えながら、Japan Shrineに戻った。 あそこはウガンダナックルズはともかく、景観は綺麗だったから。 なんとなくあの綺麗な景観を。神社を見たくなって、再びやってきた。 「あ。お姉ちゃん、あの時の黒髪ロリっ子さんです!」 ……最悪だ、と思った。 当時の私にはいのりがウガンダナックルズと同じ害悪プレイヤーにしか見えない。初対面でいきなりウガンダの真似されたら、そうなるのが当然で。 だから私はまたすぐにJapan Shrineから移動しようとしたけど――。 「こんにちは」 「こんにちは、ロリっ子さん……!」 シロ姉といのりに笑顔で挨拶されたから、退路が絶たれた。 「こ、こんにちは……」 リアルではものすごく苦笑い。 アバターは……きっと無表情だったと思う。当時の私は、まだアバターの表情操作を全然知らなかったから。 「さっきはごめんなさい。嫌がらせをするつもりはなかったんです……」 「う、うん。気にしてないから、大丈夫」 深々と頭を下げるいのりを、許してあげた。 今でこそ、いのりと仲良く話してるけど……当時は初対面で何も知らない仲だからロリがいきなり頭を下げてきたことに罪悪感を覚える。……そして私は罪悪感が、嫌い。 それでもいのりは申し訳なさそうにしてたけど、シロ姉が頭を撫で続けることで徐々に持ち直した。 その後は三人でちょっとした雑談。本当に他愛のない、在り来りなよくある日常を三人で過ごした。 「仔猫さん。また会えますか?」 「うん。いのりが会いたくなったら、またいつでも……」 「良かったですね、いのりちゃん」 「はい。すごくうれしいです……!」 いのりは本当に嬉しそうで。 シロ姉も落ちる私を、笑顔で手を振って見送ってくれた。 そんな二人の態度が嬉しくて――。 「仔猫さん、今日も会いに来てくれたんですね……!」 「うん。いのりがまた会いたそうにしてたから……」 「わざわざぼくのために……!?うれしいです!」 「いのりちゃんのためにありがとうございます、仔猫さん」 「気にしないでください、真白さん。それに私もまた二人と会いたかったので……」 一人でVRCを徘徊していたところに声を掛けて、仲良くしてくれた二人。 まだ出会ったばかりだけど、この二人とはまた会いたいと思った。だから初日の次の日も、こうして会いに行って。 「えっ、いのりってリアルは男の娘だったの……!?」 話しているうちに衝撃の事実……! いのりは私と同じ属性だった。たしかに中性的な声だとは思ってたけど、流石に驚きを隠せない。 「ふふふ。驚きましたか、仔猫さん。ぼくはこう見えて立派なロリ☆男の娘なのですっ!」 「うーん……。ロリと男の娘って矛盾してないかな?」 「そういう細かいことはいいんですよ。ディケイドもそう言ってます」 「いのりって仮面ライダーが好きなの?」 「はい。仮面ライダーは男の娘たるもの、誰もが通る道です」 「そんなこと言いながら、昭和だけ見てなさそう」 「うぐ……。ら、ライスピなら読みましたから……」 悔しそうに言い返すいのり。 私も昭和ライダーは全然知らないから、それ以上は何も追撃しなかったけど……。 「ちなみに私はいのりちゃんと仲良くなってから何作か見ましたが、まだ数作品くらいしか見れてないですね」 シロ姉は私達のやり取りを微笑ましそうに眺めながら、そう言った。 一作、一作が長いからそれが当たり前だと思う……。 「……コホン」 とりあえず場の雰囲気をリセット。 いのりが明かしてくれたなら――私も隠す必要、ないよね。 きっとこの二人なら受け入れてくれる。実際、いのりもそういう属性だし。 「実は私も……リアルは男の娘だよ」 「仔猫さんもそうだったんですか!?てっきり女の人だと思ってました……!」 いのりが大袈裟に驚く。 VRCの人は男声が多くて、女声は希少だから無理のない反応だけど……いのりも私と同族だよ。 まあ私もいのりの性別を知ってビックリしたから、あまり人のこと言えないけど……。 「うん。まあいのりと違って、考え方は男の娘というより女の子寄りだけど……」 「むっ。ぼくの頭もロリですが??」 「えっ、そこ張り合うの……?」 「大事なことですからねっ!」 いのりは昔から変わり者だった。 VRCには個性的な人も多いと聞くけど、いのりは間違いなく『変人』だと思う。 私もロリアバを使ってるけど、いのりみたいに『ロリで在りたい』みたいな考えはないから……。 「私はいのりちゃんと仔猫さん、どちらの考え方や性別もいいと思いますよ」 「えへへ。ありがとうございます、お姉ちゃん……」 シロ姉が笑顔でいのりを撫でて、丸く収めた。 こういうやり取りは今も昔も、変わってない気がする。 それにしてもこう、人前でもデレデレ全開のいのりは見てるだけで恥ずかしい。……別に羨ましいとかじゃない。 「それにしても、まさか仔猫さんがぼくと同類だとは思いませんでした。お互いロリアバというのまで一致してます……!」 「うん。……いのりと違ってロリアバはそういう性癖じゃないけど……」 「何を失礼なっ。ぼくもロリコンというわけじゃありません。やっぱり時代はおねロリですよね。 あ、でもロリロリはそれはそれで悪くないと思いますが決してロリコンじゃないです。どちらかと言えばお姉さんが好きです。そしてお姉ちゃんは世界一です!」 「そんなめちゃくちゃ早口で言わなくても……」 「妹はお姉ちゃんが好き過ぎて早口になってしまうものなのです。えっへん」 「そんなドヤ顔されても、誰も褒めてないよ……」 それにしても、お姉ちゃんか……。 当時の私はシロ姉と姉妹になってるいのりが眩しくて、羨ましくて。 もしかしたらそういう関係性に憧れてたのかもしれない。 私の使ってる改変アバターのモチーフも、姉じゃないけど……血の繋がりのない兄がいる妹キャラだし。 「いのりを褒めてるわけじゃないけど……優しいお姉ちゃんがいて、いいね」 「仔猫さん……?」 いのりが心配そうに私の顔を覗き込んでくる。 この二人は優しい姉妹で、私が入り込む余地なんてない。……それを強く実感してしまう。 「大丈夫ですか?」 シロ姉も心配そうに、私をじぃっと見つめてきた。 どくん、どくん、どくん――。 そんなふうに見られると……心臓の鼓動が高鳴る。 私が二人の間に入り込む余地なんてないのに。それでも心臓のバクバクは止まらなくて。 「だ、大丈夫です……」 平静を装うけど、明らかに声が上ずった……。恥ずかしい……。 そんな私の心境を察したのか、シロ姉は私に手を伸ばして――。 なでなで。 笑顔で私の頭を撫でてくれた。 それがあまりにも嬉しくて。 VRなのに、リアルじゃないのにこんなこと言うのはおかしいかもしれないけど……暖かくて。 「あの、真白さん……」 「なんですか?」 だから。 そんなにも幸せで、暖かいから。 私は遂に、シロ姉に本音を打ち明けた。 「あの……わ、わたしも真白さんのこと、お姉ちゃんって呼んでいいですか……?」 「ちょっと待ってくださいね」 その後、シロ姉はポータルを開いていのりと別のワールドへ移動した。 私はどうしようか迷ったけど、シロ姉の言葉を信じて待ち続ける。いのりも色々と複雑な心境かもしれないけど……きっと帰ってくるはず。 しばらくして、二人が戻ってきた。 「おかえりなさい」 「ただいまです、仔猫ちゃん」 この時、初めてシロ姉が私を『さん付け』じゃなくて『ちゃん付け』してくれた。 「むぅ……。新たな波乱の予感です……」 一方いのりは、少しだけ不服そうで。 じーっと私の方を見ると―― 「仔猫さんを私たち姉妹に迎え入れます。……でもお姉ちゃんをお姉ちゃんって呼んでいいのは、ぼくだけです」 「うん、わかった」 それはきっと自分だけの『お姉ちゃん』で居てほしいっていう、いのりなりのワガママ。 そんな気持ちがあるのに私にもシロ姉をお姉ちゃん扱いしても許すのが、いのりの優しさでもあった。 「改めて……。これからよろしく、シロ姉」 「シロ姉!?シロ姉ってなんです……!?」 「はい。よろしくね、仔猫ちゃん」 「あれ?ぼくの言葉は無視ですか、仔猫さん……!?」 そうやって私たちはどんどん仲良くなっていく。 そんな他愛のない日常が。二人のことが私は大好きだった。 そして、ある日。 三人で仲良く遊んでたら、いのりが「仔猫さんに会わせたい人がいます」と言ってきた。 「それはどんな人なの?」 「シエルさんっていう、不良アバの人です。ちなみにアバター以外は言うほど不良じゃありません。卍がトレードマークなので最初はちょっと怖いかもしれませんが……」 卍がトレードマークって……。今どき、リア小でもやりそうにない設定だった。 「どうしてそんな人に会わせたいの?」 「きっと良いお友達になれると思ったからです」 「私とその不良が……?」 「不良っぽいのはアバターだけで、本人はいい人ですよ」 私はいのりのことを信じてる。大切な親友だから。 でも、不良アバを使うような人が『いい人』とは思えない。しかも今どき、卍は流石に……。 昔のメイプルでは名前被りを回避するために卍を名前に入れる文化があったけど、アレも今思うと痛々しい……。 「シエルさんはいい人ですよ」 シロ姉もニッコリ微笑んで、援護射撃。 変わり者ないのりはともかく、常識人のシロ姉までいい人判定するって、もしかして本当にいい人なのかな……? 「でも。いくらいい人でも、不良アバは……」 不良。 当然だけど、その二文字に良いイメージはない。 きっとリーゼントとか、パンチパーマとか、ちゃんとメンテナンスしてなさそうな汚らしい金髪とか。ピアスとか。そういうガラの悪い男に違いない。 VRCは自分の理想の姿になれる世界。 そんな世界でガラの悪いDQNアバを使うなんて……やっぱり頭がおかしいと思う。 「たぶん仔猫さんが想像してる不良とは、ちょっと違いますけどね……。それと実はもう呼びました」 「え?」 「もうすぐこのワールドに来ると思います」 「え?え?」 いのり、いつの間にそんなことを……!? いくら二人の知り合いでも、DQNは流石にちょっと……。 「へ~。このロリっ子ちゃんがいのりと真白の新しい友達?」 ――そして不良男は。 今は私がお兄ちゃんと慕ってるその人は、本当にすぐにワールドに来た。 「……あれ?思ったより、全然いかつくない」 「まあ、そりゃね。VRCで無駄に厳ついアバなんて使っても、みんなに威圧感与えるだけじゃん」 お兄ちゃんが飄々とした態度で、私の方へ近付いてくる。 たしかにいのりの情報通り、あまり不良らしい要素はなかった。学ランは羽織ってるけど、本当にそれくらいで。 「じゃ、じゃあその学ランは何?」 「あー、これ?大したことねえよ。これくらい羽織んなきゃ、チームまとめらんねぇだろ?」 「チーム……?」 「そ。ぼっちの集いのコトだよ」 「ぼっちの集い……?なにそれ??」 「あれ!?いのり、まだ教えてなかったの!?」 「あっ、完全に忘れてました……」 「仔猫ちゃんも招待するんですか?シエルさん」 いのりはバカ。 シロ姉は……いのりと違って、そこら辺の話を聞いてなかったというか。 いのりとお兄ちゃんで企んでたことだから、仕方ない。 「んー。それは今から決めるっ!」 「意味不明。やっぱり頭おかしいの……?」 「仔猫ちゃん、それは流石に口が悪いですよ」 「う……。ご、ごめんなさい」 そんなふうにシロ姉に注意されたら、謝るしかない。 「大丈夫だよ、真白。俺はこんなロリっ子にブチ切れるなんてダサいことしねえからさ」 「ロリっ子、ロリっ子って私は……」 「男の娘、だろ?ここはVRCなんだし、俺はそんなこと気にしないよ。ロリっ子はロリっ子で、仔猫ちんはロリっ子だ」 「こ、仔猫ちんって……」 「仔猫ちゃんだから、仔猫ちん。わかりやすいっしょ?」 「それならいのりも『いのりちん』になるんじゃないの?」 「んー。いのりは『いのりちゃん』って感じがしないからなー」 「えっ!?ぼくみたいなロリにその扱いは酷くないですか!?」 「バカみたいで面白いだろ?こいつ」 「そういうあなたも大概、バカみたいな服装してると思うけど……」 「まあそれは、違いねぇかもな。俺はこの特攻服(トップク)みたいな学ラン気に入ってるけど、世間的にそういう目で見られやすいのも理解してる」 お兄ちゃんは服装に反して意外と理性的だった。 私の言葉を否定せず、真っ向から受け止めて青空を見上げる。 「仔猫ちんの改変アバってあのロリアニメに寄せてるんだろ?有名キャラだしデザインくらい見たことあるから、それくらいわかる」 「……それがどうかしたの?」 boothで買ったアバを改変して、特定のキャラクターに似せる。 VRCでは割とよくあることで、本格的にそのキャラに寄せる人や色だけ意識してる人、よく見れば似てるというレベルの人……そこら辺は好みで変わってくる。 だからその時のお兄ちゃんみたいなことを言ってくる人は、この世界だと意外と珍しくない。 だけど当時の私はまだVRCにあまり慣れてない上にいのりとシロ姉くらいしか友達がいない、ぼっちにも等しい状態だったからそんなこと知らなくて。からかわれてるような気がして、眉をひそめた。 「俺も仔猫ちんと同じだよ。このアバさ、俺の好きな漫画のキャラに寄せたんだ」 「え……?」 「まだアニメ化もされてない漫画だけどさ。俺はそのキャラみたいに仲間思いでかっけえ総長(リーダー)になりたいってワケ」 さっきまでとは違う、芯の通った声でわかる。 お兄ちゃんは私をからかうどころか、嘘偽りない本音を零していた。 「それにぼっちの集いって、コンセプト的に馬鹿にされることも多いんだよね。みんな色々と事情があったり、変わり者だったり、コミュ障だったりするだけなのに。 それを指さしてダセーとか、負け組同士の傷の舐め合いって言ってくるやつも居る」 そんなふうに語るお兄ちゃんの声は、真剣そのもので。 「でもさ。みんな一生懸命に生きてんだ。俺の知る限り『ぼっちの集い』には他人に迷惑掛けるような奴なんて、誰もいない。 みんなそれぞれの事情や個性を背負いながら、必死に生きてる。 そんな奴らにダセーって喧嘩売ってくるなら、そいつら全員オレが潰す――なんて言ったら、仔猫ちんはどう思う?」 お兄ちゃんの瞳が私に真っ直ぐと向けられる。 それはVRC上の出来事で、ヘッドセット越しに見るものだけど――VRの臨場感も合わさって、本当に目の前で真っ直ぐとした視線を向けられてるようで。 だから私は――。 「私もあなたと同じでシロ姉やいのりを馬鹿にする人が居たら、真っ向から立ち向かうと思う。だから……あなたの言葉を否定する気にはなれない」 本音を話した。 シロ姉もいのりも、大切な存在だから。 二人を侮辱するような人が居たら、その時は私が――。 「いいね。100点満点の答えじゃん!」 お兄ちゃんは上機嫌に笑って、私に手を差し出した。 「――気に入った。仔猫ちん、ぼっちの集い(俺のチーム)に入れ」 シロ姉はその様子を笑顔で見守って、いのりは「良かったですね、仔猫さん……!なんだか、ぼくもうれしいです」と喜んでた。 「その提案はうれしいけど……ぼっちの集いって何?」 私が首を傾げるとお兄ちゃんが「そういえばまずそこだったな」と妙に納得したような声を出す。 お兄ちゃんが語ってくれた言葉の数々は私の心にも響いたけど、まずは『ぼっちの集い』がどんなものか知りたかった。 「ぼっち達を集めて、その居場所になる。それがぼっちの集いってチームだ」 ぼっちの集いは、名前通りのチームだった。 この時点で私がぼっち扱いされてることが明確になったけど、シロ姉といのりしか友達がいなかったから否定出来ない。 そもそもこの二人に出会えてなければ、間違いなくずっとぼっちだったと思う。 「わかった。そういうことなら、私も入る。……きっとシロ姉やいのりも入ってるんだよね?」 「真白は創設メンバーだし、もちろんいのりも入ってるよ」 それを聞いて、嬉しい気持ちになった。 大好きな二人と同じチームに入れた。それは私にとって、すごく大きな一歩だったから。 「あと仔猫ちんはロリっ子だから俺のこと『お兄ちゃん』って呼ぶことを許可する!」 「シエルさん、ほんとに懲りないですね……」 お兄ちゃんがいきなり意味不明なことを言い出して、いのりが呆れてる。 後から聞いた話だけど、お兄ちゃんはいのりにも同じことを言ってたらしい。私が『お兄ちゃん』と呼ぶようになってからは、もう誰にも言わなくなったけど……。 「俺だって『お兄ちゃん』って呼んでくれる可愛い妹がほしーの。そこら辺が自由なのもVRCの魅力だろっ!」 「まあそれは否定出来ませんね。おかげでぼくはお姉ちゃんと百合百合♡お砂糖姉妹ライフを楽しめてるわけですし」 「俺にはあんまり百合の良さはわかんないけどなー」 お兄ちゃんはいのりの惚気話を一蹴する。 いのりはリアルだと男の娘だけど、それでもお兄ちゃんはシロ姉といのりの関係が百合であることは否定しなかった。 それは優しさなんかじゃなくて、本当にこの世界を楽しんで、いのりのことも受け止めてるなによりの証拠だと思う。 「妹と言われても、私はリアルだと……」 「リアルなんてどーでもいいだろ?ここはVRC。リアルとは違う世界だぜ、楽しめよ」 リアルなんて、どうでもいい。 お兄ちゃんの言葉を聞いて少しだけ気持ちが楽になった気がする。 いのりも、シロ姉も、お兄ちゃんも。この世界ではみんな私を私だと認めてくれる。 「……うん。わかった」 だから私は――この世界を満喫したい。 自由に翼を広げて、みんなと手と手を取り合って。 もしそうしたら――雲の上さえ歩ける気がする……なんて。 「みんなが私のことを受け止めてくれるなら――もうリアルのことなんて、気にしない」 ネカマであることに罪悪感があった過去と、新しい世界で翼を広げた仮想現実(いま)を見つめて――その全てを受け止める。 そうしたらきっと、私も進める気がするから。 昔の私には翼がなかった。 それでも今の私には――ありのままの私を見てくれる翼(友達)がある。 だから神様――どうか一つだけ、願わせて。 世界が平和でありますように。 「良かった良かった。それじゃこれからよろしくな、仔猫ちん」 「うん。よろしく。……お兄ちゃん」 最後にボソリと、誰にも聞こえないような声で呟く。 でもお兄ちゃんにしっかりと聞こえてたみたいで、満面の笑みで――。 「よし。仔猫ちん、これで今日からぼっちの集いのメンバーで――俺の妹なっ!」 「はいはい」 こうして私とお兄ちゃんは兄弟みたいな関係になった。 シロ姉とは姉妹で、お兄ちゃんとは兄弟。なんだか急に家族が増えた気がする。 「仔猫さん、ぼくもいのりさんと何か家族になりたいです……!」 「いのりは親友でしょ?それかお姉ちゃんの妹同士だから、姉妹……?」 「親友、姉妹。いい響きですね……!」 よくわからないけど、いのりが喜んでるから良いかな。 こうして私たちは仲良くなって、みんなで平和な日常を楽しんだ。 それはごく当たり前の日常だけど――この世界で過ごす日常が、私は大好きで。 みんなのことも、すごく大好き。 × 私のスタート地点は神社だった。 雪が積もって、幻想的にすら見える綺麗な景観。殺し合いの場じゃなければ、みんなで来たかった。 きっといのりが喜んで自撮りを始めそうな――そんな場所。 一歩、一歩と歩く度に雪に足跡が刻み付けられる。 その感覚がすごくリアルで、本当に今の自分はアバター自身が肉体になってると再認識した。 この殺し合いで私がやるべきことは、もう決まってる。 アバターを肉体にして現実世界に帰る。――それは本当にすごく理想的だけど、優勝を狙う気にはなれない。 罪のない人々を殺すなんて嫌だし、なにより――ぼっちの集いのみんなが巻き込まれてるから。 みんなであの日常(せかい)を取り戻すためにも、私は殺し合いに抗う道を選ぶ。 その過程で優勝狙いの危険人物や――まさかVRCにそんなユーザーは存在しないと思うけど、快楽殺人者が居た場合は、出来る限り倒す。……私が命を落としたら意味が無いから、無理のない範囲で。 そのために私は、みんなを守るための創造武具を手に入れたから……。 「――創造。『見上げた夜空の星座たちに誓うよ(カレイドスコープ)』」 試しに魔法少女に変身してみる。 肉体が軽やかで、身体能力(スペック)が向上したことを実感出来る。 「形態変化(エンダァン・ゲシュタルテン)。モード――シュヴェルト」 私が唱えると、ステッキが剣に変化する。 その場の状況や相手に合わせて任意の武器に変えられる。 それが私の創造武具――『見上げた夜空の星座たちに誓うよ(カレイドスコープ)』の強み。 名前は完全に私の趣味。……アバターの見た目的にもわかる人はすぐにわかるかもしれない。 そして私は久しぶりにやってきた神社で。 厳密にはここはJapan Shrineじゃないけど――始まりの場所に似たこの雪降る神社で誓う。 この殺し合いを止めて、みんなと一緒に帰ると――。 「あっ、ふぁああ♡これは、素晴らしい♡♡」 ――真面目に誓いを立てる私とは真逆の、快感の波に襲われてるような声が神社内で聞こえた。 どうしてこんな状況で……? なにがなんだかわからないけど、とりあえず私は声のする方へ向かう。一応、武器はステッキに戻しておく。 「あ、ん♡女性の身体ってこんなにも……♡♡」 「……なにしてるんですか?」 銀髪のメイド服の人が鏡の前でオナニーしてた。おまんこに指を突っ込んで、くちゅくちゅと。 しかも……いや、別に私は偏見があるわけじゃないけど……。この人は声からして、明らかに男の人だった……。 「あ♡まだ幼い少女に、こんな痴態を見られては……♡」 どうしよう、この人……。 オナニーをやめるつもりがないなら、無視した方がいい……? でも無視した結果、惨殺でもされたらそれはそれで気分が悪い。私が見殺しにしたのと、同然だから。 「とりあえず落ち着いて話し合いませんか?」 「そんなことを言われても♡気持ち良すぎて、指、止まらなくて♡」 この人……状況がわかってないのかな。 「形態変化(エンダァン・ゲシュタルテン)。モード――シュヴェルト」 ステッキを剣に変化させて、突き付ける。 強引な方法だけど、頭のおかしい人を止めるにはこれしかないと思った。 × 「イッタイ ボクハ ダレ?」「ナンノ タメ イキル?」 ウソの笑顔……誤魔化してた そんな時~天使~ 僕は出遭ったよ カラダに血が通い出した × 「ごめんなさい、仔猫ちゃん。私がどうにかしてました……」 「落ち着いたみたいで良かったです」 とりあえずオナニーメイドの人はオナニーをやめて落ち着いた。 衣服が乱れてたから、正してあげる。……流石にこのままだとレズレイプしたと誤解されそうだから。 「仔猫ちゃんはまだ幼いのにしっかりしていますね」 「それは別に、アバターが幼いだけですから……」 「心はアバターに引っ張られるものです。それにVRCの世界では実年齢なんて関係ないかと」 それはそうだけど……私がロリ扱いされるのと実年齢関係ないことに、何の因果関係が……? 「私の名前はタチバナ。見ての通り、メイドをやっています。仕える相手はまだ見つかっていないですが……」 殺し合いに巻き込まれていきなりオナニーするメイドを雇う人がいないのは、当然じゃない……? そう言いたいけど、タチバナさんを深く傷付けそうだからやめておく。 「……それで、どうしていきなりあんなことをしたんですか?」 「偶然にもミラーを見付けて、今はこのメイド姿が肉体だと聞いたのでつい出来心で……。 それとタメ口で大丈夫です、メイドなのに敬語を使われるのはむず痒いので」 つい出来心でオナニーを……? それにしてもメイドを自称してる割に、よくわからない注文をして、この人はなんなんだろう? 「普通の人はミラーがあっても出来心でオナニーしないと思う」 「それは……VRCのユーザーなら誰でもわかるんじゃありませんか?仔猫ちゃんは女の子だからわかりませんか?」 「私はリアル男だけど、それはちょっと……」 「オトコノコなのに女の子みたいな声で羨ましいですね。でもオトコノコならわかりませんか?」 「タチバナさんと違って頭がおちんぽで出来てるわけじゃないから……」 「私の心はおちんぽじゃなくて、おまんこですよ」 「な……なるほど……」 「仔猫ちゃんもその幼い割れ目に指を入れたいと思いませんか?」 「私は別にそういう趣味があるわけじゃないから……」 どうして殺し合いの中でこんな会話してるんだろう……。 「それなら私がご教授して差し上げます」 「いや、そんなことしなくて……~~♡」 タチバナさんの指が、私の中に――! 「どうしましたか?頬が赤いですよ?」 「この……変態……!」 急いでタチバナさんに殴り掛かる。 だけど彼女はあっさりと回避して、微笑んだ。 「メイドたるもの、戦闘技術くらいは身に付けてます♡ ……それで、女の子初体験はどうでしたか?」 ねっちょりと糸を引いた指を舐めて、タチバナさんは艶めかしく笑う。 初遭遇の相手がこんな変態だなんて……運の悪さを嘆きたい……。 「最悪の気分だよ……。タチバナさんはこんなことをして、何がしたいの?」 「え?気持ち良くなかったですか?私はメイドなので、良かれと思ってご奉仕しただけですが」 「そんなベクター並の良かれと思っては、相手の反感を買うだけだからやめて……!」 「そ……そうですか。承知致しました」 タチバナさんの反応的に、この人はほんとに良かれと思ってあんなことをしてきた可能性が高い。 ……頭がおかしいのかな?天然とか、そういうレベルじゃないと思う。 「ところで仔猫ちゃん」 「?」 「私にメス声の出し方をご教授お願いしたいのですが」 「これは地声だから、他を当たって」 「それは残念です……」 タチバナさんがしょんぼりとする。 ……わかった。この人、VRCで完全にそういう沼にハマったタイプの人だ。 「それでタチバナさんはこの殺し合い、どうする?」 「もちろん反逆一択です。VRCをこんなことに使われて、頭に来ますよ!」 「……タチバナさん、何歳?」 「40歳です。結構なおじさんですが、メイドやらせていただいてます……♡」 いきなり淫夢語録を使ってくるしホモガキのキッズだと思ったら、まさかの40歳……。 メイドプレイは否定しないけど……40歳でも淫夢語録を使うことに驚きを隠せない。 「何故に引いてるんですか?おじさんメイドは嫌ですか?見た目は美少女ですよ?」 「それ自体はVRCはそういう世界だからいいと思う。私も人のことを言えないし。……その歳で淫夢語録はちょっと引いたけど」 「でもそれを聞いて語録とわかった仔猫ちゃんもホモですよね♡」 「うっ……。そ、それはまあ……」 そう言われると、何も言い返せない。 「さて。これからどうしましょうか?情報交換でもします?」 「うん」 そして私たちは情報交換をした。 私が渡した情報は主にぼっちの集い関係。みんなが信用出来るいい人たちだと教えた。 タチバナさんから貰った情報は、タチバナさんが元々執事だったこと。そして……お嬢様を殺されたという重い過去。 「まさかタチバナさんにもVRCにハマった事情があるなんて……」 「はい♡一応これでも執事だった頃は、よく一流って言われてたんですけどね。今やただのぼっちメイドです」 メイドなのにぼっちって、何かすごい矛盾してる気がする……。 「まあ私自身がちょっと人間不信だから、仕方ないんですけどね」 「え?あまり人間不信には見えないけど……」 「それは――」 タチバナさんは、なんとも言えない複雑な表情でニッコリと笑って。 「――それは仔猫ちゃんの見た目が、お嬢様に少し似ていたからです♡」 さっきまでと同じ声色だけど。 そこには色々な感情が込められてる気がした。 「タチバナさん……」 「そんなにも悲しい顔しないでくださいな、仔猫ちゃん。可愛い顔が台無しですよ?」 ――なで、なで。 タチバナさんが優しい手つきで私の頭を撫でる。 「ふふっ。昔はこうしてよくお嬢様のご機嫌を直していたものです。あの時は執事で、今はメイドですけどね♡」 暖かみのある微笑み。 今のタチバナさんは最初の――あのオナニーメイドとは思えないほど、優しいメイドだった。 「……コホン。出来るかわかりませんが、試してみますか」 「……?」 「仔猫ちゃんは可愛いから、私が守ってあげちゃいます♡」 ぎゅ♡ タチバナさんが私の体を抱き寄せて――謎の女の人の声が聞こえた。 「あれ、今の声って……?」 「ふふ♡驚きましたか?私です、タチバナです♡」 ――タチバナさん、まさかの女声に覚醒。 「以前、女声講座で見た要領で試しにやってみましたが……意外と出来るものですね♡ 今までは失敗が怖くてやらなかったですけど、仔猫ちゃんを見てると私も女声が出したくなりました……♡」 ……もしかしたらタチバナさんが一流というのは、意外と間違いじゃないのかもしれない。 一流のタチバナさんというと……ちょっと別の人も思い浮かぶけど……。 「ふふ♡それにしても仔猫ちゃんの体、柔らかくて小さくて暖かいですね……♡」 「タ……タチバナさんも、暖かい……」 タチバナさんに抱き寄せられて……体温が伝わる。 柔らかな大きめの胸が私に当たって……少し恥ずかしい。 「顔が赤くなってますよ♡かわいい……♡」 「そ、そんなこと……」 「ふふ♡じゃあ、ミラーの前に行きましょうか♡」 タチバナさんに手を引っ張られて、鏡の前に移動する。 逆らうことなら出来たけど……私はあえて逆らわなかった。 タチバナさんが嬉しそうだったし……私もあまり悪い気分じゃなかったから……。 「ほら♡仔猫ちゃんの可愛いお顔が赤く染まって、もっと可愛くなっていますよ♡」 「そ、それは……」 たしかに私の顔は赤くなってる……。 そして今度はタチバナさんが座って、微笑んだ。 「私の膝の上に座ってください♡」 「うん……」 鏡を前でタチバナさんの膝の上に座る。 当たり前だけどミラーが私とタチバナさんを写す。タチバナさんは優しく微笑んで、頬をつんつんと触ってきた。 「仔猫ちゃんのロリほっぺた、柔らかくて可愛いですね♡」 「そ、そんなこと言われると……恥ずかしい……」 「そうやって恥ずかしがる姿も……すごく可愛いですよ、仔猫ちゃん♡」 「タ……タチバナさんはどうしてこんなことを……?」 「私も最初はこんなふうに可愛がるつもりはなかったのですが……仔猫ちゃんがお嬢様みたいに可愛かったので♡」 お嬢様。 タチバナが守れなかった、大切な人……。 二次元と三次元の違いがあるから、そこまで似てるはずじゃないけど……髪型や雰囲気が似てたのかもしれない。 でも、私は私だから。 タチバナには可哀想だけど……これだけは言わなきゃ。 「私は仔猫。その『お嬢様』じゃない……」 「それは……わかってますよ。仔猫ちゃんは仔猫ちゃんですからね」 タチバナさんの声が急に真面目なトーンになる。 「お嬢様の代わりはいない。そんなこと――私が誰よりも理解しています。 それでも私は……執事を解雇された後も、メイドとして誰かに仕えたいと願うようなダメなメイドなのです。 そうでも考えないと……苦しいんです……」 ――それがタチバナさんの本音だった。 私は執事でも、メイドでもないからあまり深く理解は出来ない。……でも大切な人を失う苦しみは元カノで味わってるから、わかる。 タチバナさんと違って私はただ逃げただけで……そんな私なんかよりも、タチバナさんはよっぽど苦しいと思うけど……。 「ごめんなさい、タチバナさん……」 「大丈夫ですよ、仔猫ちゃん。もう少し……仔猫ちゃんのことを撫で続けても、いいですか?」 「うん」 それでタチバナさんの苦しみが和らぐかわからないけど……。断る理由もないから、頷いた。 タチバナさんは私を『お嬢様』の代替品じゃなくて、ちゃんと仔猫として見てくれてる。 それは嬉しいけど……タチバナさんの悲しみは、いつか埋まることがあるのかな……。 「ありがとうございます。仔猫ちゃんは本当に可愛くていい子ですね」 タチバナさんは嬉しそうに微笑んで、私の頭を撫でた。 優しくて、暖かみがある手つき。不思議と安心する。 「タチバナさん……。タチバナさんが私のことをちゃんと私として見てくれるなら。……私がタチバナさんのご主人様になってもいいよ」 「ふふ、可愛らしいご主人様ですね♡ でも仔猫ちゃんはご主人様というより、お嬢様という呼び方の方が似合うと思います」 「お嬢様だと、昔のお嬢様と被らない?」 「そうですね。だから仔猫ちゃんとは主従関係になっても、ずっと仔猫ちゃんと呼び続けます♡」 「それだと何か、主従感が薄いような……」 「呼び方なんて重要じゃないですよ。主従で大事なのは信頼と愛です♡」 「愛……!?」 「ふふっ♡愛というのは、冗談ですよ♡ ……私が誰かとそうなるなんて、高望み過ぎますからね」 タチバナさんはたまにネガティブなことを言う。 きっとお嬢様を守れなかった一件で、自己嫌悪が多少あるのかもしれない……。 「タチバナさんなら、きっといつかそういう縁もあると思う……」 「優しい言葉をありがとうございます♡ でも、そうですね……。そういう縁があるなら、仔猫ちゃんみたいな可愛い子がいいです♡」 「……可愛いって、性格も?」 私の性格って、可愛いのかな? 「はい♡私は別に見た目だけで判断してるわけじゃないですからね。 仔猫ちゃんは内面も可愛いというか……好みです♡」 まさかそんなことを言われるとは思わなかった……。すこし、照れる。 「そうやって照れるところも、可愛いですよ♡」 タチバナさんは優しく微笑んで――私の頬にキスをした。 キス……っ!? 「この殺し合い、色々と危険が伴うと思いますけど――仔猫ちゃんは私が守りますね♡」 「あ、ありがとう……」 「はい♡メイドさんにお任せください♡」 タチバナさんはニッコリと笑顔で、後ろから私を抱き締めた。 ――世界が平和でありますように。 【F-1・神社/一日目/深夜】 【仔猫】 [状態]:健康 [装備]:見上げた夜空の星座たちに誓うよ(カレイドスコープ)@創造武具 [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考・状況]基本方針:殺し合いを止める 1:とりあえずタチバナさんと一緒に居る 2:ぼっちの集いのみんなを探す 3:危険人物や快楽殺人者は倒す [備考] 【タチバナ】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考・状況]基本方針:仔猫ちゃんは私が守ります♡メイドさんにお任せくださいっ! 1:仔猫ちゃん可愛い♡ 2:仔猫ちゃん可愛い♡ 3:愛?……そんな高望み、私には出来ないです [備考] 施設紹介 神社 雪が降り積もってる神社。VRCのユーザーが大好きな鏡がいっぱい置いてある 前話 次話 008 水星魔性 投下順 010 凶人同士理解(わか)りあう 008 水星魔性 時系列順 010 凶人同士理解(わか)りあう 前話 登場人物 次話 GAME START 仔猫 アサルトリリィ -猫に寄りそう乙女の作法- GAME START タチバナ アサルトリリィ -猫に寄りそう乙女の作法-
https://w.atwiki.jp/ancelina/pages/15.html
テストで作ってみた
https://w.atwiki.jp/ancelina/pages/7.html
アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/25_171_ja.html たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL
https://w.atwiki.jp/tvsponsor/pages/1653.html
これが定番 ! 世代別ベストソンク ミュージックジェネレーション 2023夏(2023.07.18)
https://w.atwiki.jp/25438/pages/3246.html
10