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「な、なんだよコレ」 中学生になった私は自室に足を踏み入れて驚愕した 「ん?ああ、入学祝いにと思って」 母親がニコニコしながら応える 私の目の前にあったのは以前使っていたものの二倍以上の大きさはある真新しいベッドだった 「で、デカくない?デカ過ぎるくらい…」 「あら、嫌だった?」 「いや、そうじゃないけど、何でこんな大きいの…?」 「うーん、ホラ、澪ちゃんがよく泊まりに来るじゃない?いつもいつも布団敷くの面倒臭くて♪」 「そんな理由で?!っていうかソレって一緒に寝ろってこと?!」 「嫌なの?いつも一緒に寝てるくせに」 「いやいや、そりゃそうだけども流石に同じベッドじゃ…」 「もう買っちゃったんだから文句言わず使いなさい」 「…」 * 「と、言うことで、一緒に寝ることになりました #65374;…」 「……私帰る」 「そんなこと言わないで澪しゃん!」 スタスタとドアに向おうとする澪の手を取り引き留める こうなっては意地だ! 何でこんな意地を張らなきゃいけないか疑問だけど とにかく親がせっかく用意してくれた機会を無下にするのもアレだし 私だって、ちょ、ちょっとは澪と… 「…はぁ…分かったよ、今日だけな」 「う、うん」 今日だけ、にちょっとガッカリする自分 完全に親の思う壺な気が… * 「…」 「…」 「足当たってるんだけど」 「な、こっちだって肘が…」 二人でベッドに横になり、何だかこっ恥ずかしいやり取りを繰り返す 「今度は膝が…」 ああ!もう!洒落臭い! 「うあっ?!り、律?!」 「これで当たりまくって文句も無いだろ!」 「い、意味分かんない!文句ありまくりだ!何抱き着いてんだよ離れろ!///」 「嫌だよーん」 「あああもうバカ律!」 こりゃゲンコツ来るな と思って目を伏せスタンバイするけど意外にも澪のバイオレンスパンチは飛んで来なかった 恐る恐る目を開けて澪の谷間の間から表情を伺うと 澪は顔を真っ赤にしてそっぽを向いていた 「…きょ、今日だけ、特別なんだからな///」 私の心臓の辺りが急にギューッとなって澪に絡めた腕に力を込める 「うへへ…」 「気持ち悪い笑い方するな///」 今日だけ、私だけ、特別 * 6年後 「ホラ、律、そろそろ寝るぞ」 「ふぁあ眠ぃ」 ギュッ あれから6年経ったけど、今でも特別は続いてます 終わり お母様…(・_・;) -- アクティブ (2012-03-10 12 50 51) 名前 コメント
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投稿日:2010/09/11(土) 02 13 04 最近、澪がおかしい。 ――― 「りーつぅー」ギュッ 「…おはよう、澪」 「えへへ、今日も律はかわいいなぁ」ギュー 「そりゃどうも、ところで澪」 「んー?」ギュー 「そろそろ離してくれないか?」 「やだ」ギュー 「このままだと学校行けないだろー?」 「やだ」ギュー 「馬鹿なこと言ってないで」 「やだ」ギュー 「………」ナデナデ 「…まったく、仕方がないな、律は」パッ 「いや私じゃなくて澪が」 「そんなことより律、準備は終わってる?早く着替えて朝食とらなきゃ」 「…あぁ、分かってる」 「うん、じゃあ早く」 「………」 「………」ジー 「………」 「………」ジー 「澪さん」 「なに?」ジー 「着替えたいんだけど」 「うん、早くしなよ」ジー 「あ、でも着替え自体はゆっくりでもいいよ。少しは時間に余裕あるし」ジー 「そうじゃなくて」 「なんだよ、どうしたっていうんだ」ジー 「ちょっと部屋から出てくれないか?」 「何年一緒だと思ってるんだ?恥ずかしがる間柄でもないだろ」ジー 「じゃあなんで凝視してくんの…」 「自意識過剰、だろ?…ま、まぁ律ほどのかわいさならそうなるのも…し、仕方ないって…わかるけど、さ?///」カァァ 「…うん、そうだな。とは言えそのままでいると律がいつか恥かくかもしれないし、今のうちに視線に慣れておく訓練も必要かな」 「だ、だから律!私の目なんか気にせず早く着替えを」 「着替え終わったから顔洗ってご飯たべてくる」 「ぁ…うぅぅぅ」グスン 「泣くなよ…」 ――― こんな感じだ。 ちなみに今のはもはや日常風景と化した私の部屋での朝の一場面。 かわいい幼なじみが毎朝起こしに来る、なんて人によってはたまらなかったりするんだろうけど…うーん。 まぁなんて言うかさ、二人っきりの時なら別に私は構わないんだよ。 最初はこんな澪の様子も私の部屋ぐらいでしか見られなかったしさ。 ただ、なぁ…。 ――― 「~♪」ギュッ 「みおー?さすがに学校まで手を繋いでいくのはちょっと…」 「なんだ。いつもは人のことからかうくせに、律こそ恥ずかしがり屋じゃないか」 「いや、なんかそれはズレてるような…」 「寝言言ってないで、ほら行くぞ」グイッ 「わっ、急に引っ張るな!っていうか離せ!」 「ふふ、照れてる律かぁいいなぁ」ギュッ 「ひ、人の話を聞けー!」 ――― 「結局教室まで手を離してもらえなかったでござる」 「朝からいいもの見せてもらいました」ツヤツヤ 「アツアツだね!」 「なっ…冷やかすなよ、恥ずかしいだろ///」 「どの口がいうんだよ…。大体、なんでお手々繋いで登校しなきゃいけないんだ!小学生かっ」 「まあまあ、落ち着いて?りっちゃん」 「いや、だって靴箱で靴はきかえた後までもだぞ!?なんか皆の視線が集まってたし…なんかよからぬ悪寒もしたし!」 「澪ちゃんファンクラブ大活躍だね!」 「活躍じゃねー!!」 「り、律…!」 「ん?」 「その…そんなに嫌、だったのか…?私は、てっきり、照れ隠しで嫌がってるふりしてるだけだと思ったんだけど」ウルウル 「へ?みおー?」 「ご、ごめん…!本当に嫌だったんだな…。ごめん…なさい。ぅ、う゛ぇぁぁ」ボロボロ 「わっ、え、あっ、その、別に嫌なわけじゃないぞー!ただ、うんアレだ。澪の言う通り恥ずかしくて!だから照れ隠し!な!?」 「ぅぅ…」グスン 「だ、大体私が澪を嫌がる訳無いだろー!?そうじゃなきゃ今の今まで一緒にやって来てないし!…だ、だからさ、もう泣き止めって…。本当に嫌なことなんてないし怒ってもないんだから、な?」 「……りつ!」ガバッ 「わぷっ」 「りぃつぅぅぅ」スリスリ 「澪…まったく」ナデナデ 「…結局泣かせちゃった」 「いいのよ唯ちゃん。そっとしておきましょう?」 「うん、それにしてもクラス中の視線が痛いねムギちゃん」 「気にしちゃダメよ。今を楽しむの。目に焼き付けるの。脳に刻み込むの。わかった?」 「私は別にいいや」 ――― それ以来、なぜか私は毎日澪と手を繋いで登校している。 あぁ、本当に嫌って訳じゃない。 むしろ… いや、それで…うん、もちろん部活中も。 ――― 「えっと、律先輩」 「あぁ、うん」 「いや、うんじゃなくて。私は今後一体どうすればいいんでしょうか」 「うん…なんていうかさ、ごめん。部長として謝っておく」 「………」スースー 「ほら、澪、おーきーろ」ユサユサ 「ん……りつぅ…」スースー 「練習…」 ――― ちなみにこの時は澪がソファーで擦り寄って来て、そのまま寝てしまったパターンだ。 しかもなぜか膝枕。 その後部活が終わるまで澪が起きることはなく、部活終了後は部長である私が一人最後まで残ってなんとか起こし、連れ帰った。 あと、ムギはその日完璧な笑顔を崩さなかった。 ――― 「なぁーみおー」 「ん?」 「最近どうしたんだよ」 「何が」 「いや、なんていうかさ、その…私にべったりっていうかさ…」 「へ!?え、そ、そうか?」 「うん」 「きき気のせいだろ、気のせい!」 「…そうかぁ?」 「うん、そうだ気のせいだよ。…だ、だって私はまだまだ物足りないし…///」ゴニョゴニョ 「ん?」 「ほ、ほら!馬鹿なこと言ってないで早く帰るぞ!」ギュッ 「わっ!だから急に引っ張るなって」 ――― …まぁなんていうかさ、人間の適応力ってのは侮れないもんで。 澪が私にべったりになって1ヶ月もする頃には周りにとってはそれが普通の光景になっていたみたいだ。 ――― 「なぁ律、この曲のここちょっと聴いてみてよ!あとこのお菓子すごくおいしいよ!ほら、口開けて!」 「わ、わかったから少し落ち着け」 「今日も幸せです」ツヤツヤ 「ムギちゃん最近肌綺麗になったね」 「あの、練習は…」 「あずにゃん、一旦お茶でも飲もうよ、ね?」 「でも…」 「いつもみたいにりっちゃんが澪ちゃん説得するまで待とう?」 「…そうですね、それしかありませんよね…」 「あーずにゃん!元気注入~!!」ギュウゥ 「きゃっ!…もう、私は元から元気ですよ」 「うふふ」 「あ、そうだった。律、実は今日家に親がいないんだ。少し不安だからさ…泊まりに来てくれない…?」 「唐突だな…いいけど」 「あ、ありがとー!」ギュウゥ 「ぅおっ。まったく…」 「幸せすぎてこわいわぁ」ポワポワ ――― しかし本当にどうしたっていうんだ澪は。 なにかあったのか? なにか隠してるのか? 澪の様子が変わってから今まで何度も聞き出そうとしたけど、その度にはぐらかされてきた。 一歩進んで追及することもできたのだろうけど、なんだか複雑な表情を浮かべてそっぽを向いてしまう澪にそれは酷な気がしてそこまではしなかった。 でも今日は久々の澪の家でのお泊り。 …そろそろ本当の所が知りたい。 ――― 「あ、そうだ。ご飯はどうする?」 「んー、澪はどうするつもりだったんだ?」 「私はスーパーでお弁当買う予定だったんだけど」 「弁当かぁ。 …よし、じゃあ私がなんかつくるよ。材料買いに行くか」 「え、本当!?」パァァ 「何がいい?大概のものならなんとかなるよん♪」 「あ、じゃあ…肉じゃが!」 「ん。じゃあ行きますか」 「うん! …ふふっ」 「どうしたー?そんなに私の手料理が嬉しいかー?」ニヤニヤ 「ああ!すっごく嬉しい!」 「お…おう」 ――― 「あの…澪さん」 「なんだ律?さん付けなんてらしくないじゃないか」 「そうだな。ところでなんでこの家には箸が一組しかないんでしょうか」 「実はうち、全員My箸使っててさ。エコってやつだよ。それで、パパもママも自分の持ってっちゃったんだよ」 「前泊まりに来た時にはたくさんあったぞ」 「気のせいだ。だから律、この箸を二人で使うしかないんだよ」 「なるほどな。私割り箸買ってくる」 「ま、待って律!それじゃエコにならない!」 「そうだな、じゃあ私はエコのために帰って食べる」 「ぁ…」ジワッ 「え」 「ご、ごめんなさい…!お願いだから帰らないでよぉ…りつぅ…」グスッ 「じ、冗談だって!何も泣くことないだろ…?」 「ぅぅ…だってりつ帰るって…」 「あーもう、帰らないから!な?」ナデナデ 「んぅ…ありがと」 「帰らないから、箸出してくれないか?」 「うん…ちょっと待ってて」 ――― 「ごちそうさま」 「お粗末さま」 「おいしかったよ律」 「ん」 「洗いものは私がやっておくから」 「いいよ、ついでだから私がやっとく。澪はお風呂にでも入ってて」 「!だ、ダメだ!!」バンッ 「ぅおわ!急にどうした」 「その…半分ずつ洗おう!」 「一緒に台所で、ってか?かえって効率悪くないか?」 「いいんだ、とにかく二人でやってしまおう」 ――― 「ふぅ、終わったな」 「あぁ。…律」 「なに」 「お風呂、一緒に入ろう?」 「子供かっ」 「いいじゃないか、たまにはさ」 「…狭いんじゃないか?」 「私たちなら大丈夫!」 「その自信はどこから」 「入ろう?ね?りつ」ユサユサ 「うーん」 「きっと楽しいよ!入ろ!」 「でもなぁ」 「入ろうよ…りつぅ」 「…はいはい」 「! じゃあ早く行こう!」 「あんまりはしゃぐと転ぶぞー?」 ――― 「かゆいとことかない?」ワシャワシャ 「んーん、気持ちいい」 「よかった。それにしても律の髪は洗いやすくていいなぁ。私は長いから大変で」 「大変でも、似合ってるからいいじゃん。黒のロングが似合うのは美人さんならではっていうしさ。私は似合わなさそうだもんなぁ」 「やっぱりイメージってのがあるんだろうな。でも私は…律はどんな髪型でも、か、かわいいと思う///」 「あ、…ありがと」カァァ ――― チャポン 「ふぅ…やっぱ二人だと狭いな」 「でも入れたぞ」 「そうだな」クスッ 「………」 「………」 「………」 「…なぁ、澪」 「うん?」 「そろそろ聞かせてもらってもいいだろ?」 「何を?」 「何って、澪ここ最近少し変だったろ。その理由だよ」 「変?変だった?」 「変だよ。…私になんだかべったり、って感じで」 「…気のせいじゃないか?」 「それこないだも言ったよな。毎回聞く度に似たような感じで。でも今回は逃げられないぞ」 「………」 「なぁ、教えてくれよ。何かあったのか?不安なことでもあるのか?悩みとかあるんなら直接言ってくれよ。…私たち親友だろ?もっと、頼ってよ…」 「…わかった。ちゃんと話すよ。その前に律、こっち来て、私に背中預けてよ」 「向き合ったままでいいだろ…?」 「やっぱり不安でさ、目を見ながら言い切る自信がない…」 「…わかった。これでいい?」 「うん。ごめんねりつ…」ギュッ 「わわっ、あててるのよ現象が」 「ふふっ」 「………」 「…律」 「…うん」 「律は私の親友、なんだよね?」 「当たり前だろ?私たちは幼なじみで一番の親友だ」 「ありがとう。…でもね律、私ダメなんだ」 「ダメってなんだよ」 「親友じゃダメなんだよ」 「それは…どういう」 「………」 「え…な、なぁ澪、私何かしたか」 「………」 「そ、そりゃ確かにからかい過ぎたかなとは思うこともあったけど、そんなに嫌だったのか?」 「………」 「お願いだから何か言ってよ…。私のこと、本当は嫌いになっちゃったのか…?」ジワッ 「…そうじゃない」ギュウ 「え…じゃあなんで」 「私が律のこと嫌いになるわけないだろ?私は嫌いな相手を家に泊めて、お風呂で抱きしめるようなことできないよ」 「みお…」 「逆なんだ。律が…私のこと嫌いになるかもしれない」 「え?なんで、そんなことあるはずないだろ」 「…私のこと、気持ち悪いと思うかもしれない。いや、きっとそう思う。それからもう親友じゃいられなくなって、お互い知らない人同士みたいになっちゃうかもしれない」 「………」 「それでもちゃんと聞いてくれる?…りつ」 「…うん」 「…ありがとう」 「………」スゥッ 「…私は!律のことが好きだ!友達じゃなくて、普通なら異性に抱くような意味で好きだ!」 「……!」 「…わかってるよ、私は変だ。だから、この気持ちを無かったことにしようとした。律に異様にひっついてたのも全部そのためだった」 「律にべったりになって、これはただじゃれ合いたいだけの子供みたいな気持ちだったんだって思い込んだり!律に熱を上げる自分を客観視して気持ち悪いって思い込んだり!」 「できることなら吹っ切ってしまいたかった!でも…できなかったんだよ…!」 「………」 「律に触れるごとに、律に寄り添うごとに、やっぱり好きなんだって思い知らされて…!」 「でもそれは絶対変なんだ…、おかしいんだよ…!」 「…だからりつ…」 「……っ」ドクン 「…私のこと、嫌いになって…?」 「私のこと気持ち悪いって言って、私のこと蔑んで、一生私のこと避けて」 「お願いだから、今すぐ私の腕を払いのけて、私から逃げ出して…!」 「………」 「りつ、お願い…」グズッ 「………」 「お願い、だからぁ…」ボロボロ 「………」 「…澪は私に、澪のこと嫌いになって欲しいのか?」 「…うん、そうだよ…。嫌いになって、私のこと突き放して…」 「澪。澪は、それでいいんだな…?」 「…うん」 「…わかった」 「…あ、ははっ…」グスッ 「………」 「澪、手どけてくれよ」 「あ…ごめんなさい。あんなこと、言って、勝手に、グスッ、抱き、しめたまま、なんて、ずるい、よね、本当、気持ち、悪いよね」 「…ごめんな澪」 「悪いのは、全部、私、だから、謝ら、ないで」グスッ …スゥッ 「ばいばい、りっちゃん」 ――― 思いもよらぬ形で私の疑問は晴らされた。 ここ一ヶ月の澪の行動全てにも納得がいった。 澪は苦しんでいたんだ。…私のせいで。 それは、できることなら助けてあげたかったよ。 でも私が澪を助けてあげることなんて、最初からできなかったんだ。 そして多分これからもずっと、澪は心のどこかに苦しみを抱き続けて生きていくんだろう。 そんな澪にしてあげられる最後のこと。 それはしっかりと私たち二人の関係を終わらせることだけだ。 私は膝を抱えてうずくまる澪に向き合った。 澪は少し顔を上げて、まるで光のない目を私に向ける。 そして私は最後の言葉を 「ばいばい、みおちゃん」 ――くちづけと共に。 ――― 「…っ 離して…」 「嫌だ」 「お願い…!」 「嫌だよ」 「なんで…よ…」 「仕返し」 「…! ご、ごめんなさい」 「なんで謝るんだよ」 「だ、だって、私がり…あなたのことを、勝手に…好きになって…、それで散々振り回して、そのせいで、あなたに嫌な思いをさせて、怒らせたちゃったから」 「私はそんなこと気にしてない」 「でも…仕返しって…」 「…!本当にわかってないんだな…!」 「な、何が…」 「…私は、私が怒ってるのは!お前が私の気持ち全部を無視して勝手に話を終わらせたことについてだ!」 「なんで自分のことばっかりなんだよ!なんで私の気持ちは汲んでくれないんだよ!」 「大体、一ヶ月もあんな状態が続いて!普通なら気味悪がって少し距離を置こうだとか考えるだろう!」 「それで私がお前と距離を置いたかよ!接し方をかえたりしたかよ!そうしなかったのはなんでだかわかってるのかよ!」ポロポロ 「あ…」 「好き、なんだよ…?私だって澪と同じ気持ちで…それが知られたら、嫌われるなんて思って、それを、抑え込んでさ…!」 「だから、仕返しだ。澪は私に嫌われたいって言ったけど、そんなの知らない…」 「私は勝手に澪のこと好きになる」 「嫌いになんかなってやんない」 「親友としての関係は終わっちゃったけど、澪はおかしいって言ったけど、そんなの、知らない。私は、新しい関係が欲しい…!」 「…ぁ…」 「だから澪、こっから先はちゃんと私と向き合って聞いてくれ」 「…うん」 「私は、澪のことが好きだ。大好きだ。だから澪…私の恋人になってくれ」 「……っ」 「…これから先、絶対不幸になるよ?」 「私にとっては澪といられなくなる方が不幸だ」 「皆から変な目でみられて、居場所がなくなるかもしれない」 「その時は私たちが一緒になれる所をさがそう。それが見つからない時は無人島でも探して暮らせばいい」 「そんなこと、できる訳ないよ…」 「わかんないだろ。なんせ私たちなんだから」 「なんだよそれ、ばか…ばかりつ」 「うん」 「ばか…ばか、ばか、ばか」 「うん」 「……っ」グスッ 「…りつ、大好きだ!」 「私の全部をあげるから、律の全部をちょうだい…!」 「うん。…ぅん」ポロポロ 「嫌だって言っても、私はもう絶対に律から離れないから…!」 「うん、絶対だぞ…!ぅああぁぁぁ」ボロボロ 「…泣き虫」グスッ 「だって、だって…!それに、み、おも、人の、こと、言えない、だろ?」グスン 「あ…ふふ」 「エグッ…えへへ」 「…それにしても、ちょっと温まりすぎたかな」 「でも、本当、に、よかった」グスッ 「…うん。ほら律、涙拭いて?」 「…スンッ」ゴシゴシ 「もう、大丈夫?」 「…ん。大丈夫」 「じゃあ、あがろっか」 「そう、だな。でもその前に」 「え?ぁ…」 ――終わりと始まりは、澪の味。 おわり いちゃいちゃしてるなぁと思ってたら泣ける話だったでござる。 -- 名無しさん (2010-11-20 23 30 18) 萌え&感動とか卑怯だお・・・良作乙!! -- 名無しさん (2010-11-21 22 36 42) な、なんだこの萌えパワーは・・・ -- 名無しさん (2011-08-14 18 17 02) なにこれ泣いた -- 名無しさん (2011-08-14 20 24 14) 良い話しだー!!(ただし二人は全裸です) -- 名無しさん (2012-11-13 10 30 40) 名前 コメント
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投稿日:2010/09/26(日) 16 28 21 香りのいい紅茶を楽しみながら、特に何をするということもなく、 私たちはいつもの放課後を過ごしていた。 仮にも軽音部という看板を掲げている以上、差し迫った目標が無くとも練習するのが 当然なのだけれど、お茶の合間に気が向いたら練習という毎日に、 いつの間にか身体が慣れてしまっている。特に今日は、普段から率先して練習に励む梓が、 クラスの用事か何かで、まだ部室に顔を見せていない。つまり、だらけた雰囲気に 歯止めを掛ける人間がいないのだ。故に、常にフリーダムな律や唯はもちろん、 それを諫める役目などとっくに放棄したムギと私までもが、楽器にさわりもせず、 各自思い思いに時間を費やしている、というわけだ。 律は持ってきた雑誌を読むのに夢中らしい。唯はといえば、鏡や手帳やその他の小物を、 出したり片付けたり並べたりぶちまけたり、私には意味不明に見える作業に没頭していて、 部室の中はそこそこ静かだ。私は、ちょうど書きかけの詞があったことを思い出し、 今のうちに書けるなら書いておこうと、取り出したノートを広げている。 なんとなく書けそうな気はするものの、ぴったりのフレーズを探しきれずに ひとり悶々としてきた頃、お茶のお代わりの準備にムギが席を立った。その動きにつられたのか、 手を止めて入り口の方を見ていた唯が呟く。 「あずにゃん遅いね。今日はもう来ないのかなあ?」 「そのうち来るだろ? ああ見えても、お茶とお菓子大好き人間だからな、梓は」 雑誌から顔も上げずに返答する律に、「それはそうだけど」と曖昧に微笑みながら、 唯は頬杖を突いた。あ、なんか浮かびそう。イメージ通りの言葉の欠片が、 すぐそこまで降りてきてる。私は、気合いを入れ直すべく、カップに残った紅茶を飲み干そうとした。 と、そのとき、おもむろに私の方を見て、唯が言ったのだ。 「ねえ澪ちゃん、――恋ってどういうものなの?」 「ぶーーーーっ!!」 口に含んだ紅茶も、手が届きそうだった詞の欠片も、すべてが一瞬にして飛び散った。 私の正面にいた律は、「きたねーな、おい」と、呆れて自分の顔にかかった紅茶を拭っている。 ごめん律、悪気は無かったんだ。 「で、どうしたんだ唯、いきなり。澪に恋愛相談でもしたいのか?」 律が話を向けると、小首を傾げて唯は、 「んー、だって澪ちゃん、かわいい詞とかいっぱい書いてるでしょ? その澪ちゃんを、 恋愛のエクスポートと見込んで、相談したいことがあるんだー」 エクスポートって何だエクスポートって。それを言うならエキスパートだろ、輸出してどうする。 「ていうか、唯、確認なんだけど」 ようやく、お茶と歌詞の噴出ショックから立ち直った私は言った。 「もしかして私をからかうために聞いてるのか? それとも本気で?」 「からかうつもりなんかないよ? 私の周りにいる人では、澪ちゃんが 1番恋愛関係に詳しそうだから、いろいろ聞いてみたかったんだけど……」 そこで律が、余計な茶々を入れてきた。 「唯、おまえ全然わかってないなあ。澪はこう見えても、恋愛経験なんかないんだぞ? だから、相談しても参考になる答えなんか返ってこないぞ?」 何を知った風な口を利いているのか、いつものことながら呆れてしまう。 律だって、恋愛経験なんか今までないくせに。 「唯、律の言うことなんか真に受けるなよ?」 軽く律を睨んだあと、私は唯に向き直り、 「場所変えるか? ここじゃ、誰とは言わないが邪魔が入りそうだからな」 有効なアドバイスができるかどうかはともかく、もし唯が真剣に何かを相談したいのなら、 こちらも真剣に応えないと失礼だ。それに、恋愛話に関するなら尚更、ここではやりにくい。 ちょうどムギが戻ってきたので、唯と話があるからと簡単に事情を告げ、ついでに、 律が邪魔しに来ないよう見張り役もいっしょに頼む。ふたつ返事で引き受けてくれたムギに 感謝しつつ、私たちはゆっくり話せる場所を求めて部室を出た。 実は律よりもムギの方が興味津々な顔をしていたという事実には、気付かなかったことにしておこう。 ■ 帰宅部組が残っているかと思ったけれど、3年2組の教室は無人だった。 内緒の話をするには好都合だ。 唯は自分の席に、その前の和の席に私が座り、取りあえず話を聞く体勢を取る。 「で、唯はどういうことを知りたいんだ? もしかして、……誰かに恋した、とか?」 「うーん、それがわかんないから澪ちゃんに聞きたかったんだよぅ」 迷子の子供のような情けない顔をしている唯がおかしくて、私はつい吹き出しそうになる。 なるほど。つまり、誰か気になる人が現れたのだが、それが恋と呼べる感情かどうか わからない、というところか。おいしいものとかわいいものが大好きで、 年令相応の浮いた話なんて唯には無縁だと思っていただけに、驚くというよりは 感慨の方が大きい。そうか、唯も立派に成長したんだ。 「そうだなあ。初めのうちは、恋かどうかなんて意識する必要ないんじゃないか? 私の場合は、その人に対する『好き』がどんどん大きくなっていったあとで、 ああこれが恋なんだ、恋に違いない、って思ったけどな」 「あ、やっぱり!」 頼りなさげな顔から瞬時に花が咲いたような笑顔に変わった唯が、身を乗り出して私に迫った。 「さっきりっちゃんが、澪ちゃんは恋愛経験ないって言ってたけど、ちゃんとあるんだよね?」 「そりゃあもちろん――」 ある、と言いかけて止まる。私がその人に抱く感情は、私自身は恋と信じて疑わないのだけれど、 世間一般の基準から見れば大きくずれている。だから語尾は曖昧になる。 「と、とにかく今は唯のことだろ」 わざとらしいのは承知の上で、私は話を元に戻した。 「唯自身はどうしたいんだ? その人を好きなことは確かなんだろ?」 「うん、好き。大好きだよ。笑顔とか仕草とか見てるだけで、すっごく食べちゃいたいくらい」 「食べたい……のか?」 まさか唯、人肉に興味があったのか? 神様、さっき「唯も立派に成長したんだ」と思ったことは 撤回します……。 「それとねえ、ずっと抱きついたり頬ずりしていたい、かな?」 「聞いてると、なんだかペットに対する愛情みたいだな」 「ペットかあ。うん、そうだね。強がったりもするけど、実は淋しがり屋な猫みたいな子なんだもん」 その人のことを思い浮かべているのか、唯は、見てる方が幸せになれそうな顔で笑っている。 「けど、猫をかわいがるのと恋とは、ちょっと違うんじゃないか?」 「じゃあ澪ちゃんは、好きな人のことどんな風に思ってたりするの?」 「私か? 私は、そうだなあ……」 目を閉じてその人のことを考えてみる。いつも適当で、強引だったり 子供みたいなところもあったりするけど、私のことは常に気に掛けていてくれる。 私の先に立ったり後押ししたり、憎らしいくらいに私のことがわかっている、 それでいて押しつけがましいわけでもない。 「何かをしてあげたいとかしてほしいとか、全然思わないわけじゃないけど……、 そばにいてくれるだけで満足かな」 「うんうん、それわかるよ。私も、いつもそばにいたいと思うなあ。 いるべき場所にその子がいないだけで不安になっちゃったりするし」 「その人といっしょなら、無理に構えたり虚勢を張ったりする必要なんかないんだ。 何ていうか……そう、私を肯定してくれるんだ、どんなときも。月並みな言い方だけど、 その人がいなかったら今の私はないと思ってるよ」 扉を開くことをためらう私に、世界は怖くなんかないと教えてくれた。 音楽も、音楽を通じて知り合った仲間も、その人の存在なくしては巡り会えなかった。 「だから、いつになるかわからないけど、次は私がその人の役に立てたらいいなって―― いやいやいや、だから、私のことはどうでもいいだろ」 気が付けば、語りすぎた私の顔を、にやにやしながら唯は見ている。 「いいなあ。大人の恋って感じだね、澪ちゃん」 「ち、違うだろ、今は唯の話をするのが目的なんだから。唯は、何かしてあげたいとか 思ったりするのか?」 「私? んー、何ができるかなんて考えたことなかったし、恋かどうかもわかんないのに 偉そうなことは言えないけど……」 虚空を見上げて数秒、唯の笑顔は子供っぽいものから緩やかに変化し、 思い浮かべているであろう人に向かって、愛おしむような視線を向ける。 「私は、壁になりたい、かな。好きな子にはいつでも笑っててほしいから、すぐ近くで、 その子を悲しませるものを跳ね飛ばすような壁になれたらいいな」 一瞬、唯の顔や手足が生えた壁が、「ふんすっ!」と鼻息荒く向かい風に立ち向かう姿を 想像してしまった。そんなシュールな絵も似合う反面、独特の感性で表現される唯の想いは、 春のように柔らかく暖かで、包み込まれる人を幸せにするに違いない。 ――唯、それは紛れもなく恋だよ。 「ねえねえ澪ちゃん、結局、私の『好き』は恋だと思う? 違うかなあ?」 「その答えは、唯のすぐ目の前にあるよ」 私は、既に決まっている私なりの回答を敢えて口にはしなかった。 他人に言われるより、自分で気付いた方がいいに決まってる。 「目の前……」 比喩表現を真面目に受けたのか単なるボケか、唯は視界のごく近いところを 凝視している。そして、さらりと言うのだ。 「澪ちゃんも、想いが通じるといいね」 「……」 私は1度も、自分の恋が片想いだなんて言ってないのに、しっかり唯にはバレているらしい。 まったく、唯の洞察力にはいつも敵わない。 「唯はまず自分のことに専念しろ。……私は、一方通行のままでいいよ」 告白なんてするつもりない。基本的に私を肯定してくれる人だから、想いを伝えても 完全に拒絶することはないだろう。逆に、そんな人だからこそ、私をあからさまに拒絶できずに 思い悩むという、苦しい立場に追いやってしまうだろう。私の大事な人を、 そんな目に遭わせるわけにはいかないのだ。 「澪ちゃん人気あるんだしさあ、片想いなんてもったいないよ? ていうか、 澪ちゃんが好きだってこと、その人もう気付いてるんじゃないのかなあ」 「まさか。いくら余計なとこだけ鋭い律でも、さすがに気付いてな――」 あ。……ちょっと待て。ナニヲイッタノ、ワタシ? 慌てて口を押さえたがもう遅い。 聞こえてしまっただろうか、ごまかすかしらばっくれるか。耳鳴りがしそうなくらい 頭に血が上ったまま恐る恐る唯の方を窺うと、満面の笑みで私を待ち受ける瞳に捉えられた。 「ゆ……い? なんか聞こえたか……?」 「はいっ、しっかりと聞こえましたー」 ……マズい。これは最高にマズい。背筋やこめかみやいろんなところを、 冷や汗が流れていく。 「頼む、唯、律には言わないでくれ。いや、律じゃなくても、誰にも言わないでくれっ」 「別にいいよ? そだよね、どうせなら自分の口でちゃんと言いたいもんね」 「そうじゃなくてっ!」 きょとんとした顔の唯を前に、言いたいこと、言わないといけないことが頭の中で整理できない。 「と、とにかく、律は関係ないんだ。あ、いや、関係ないっていうのは、私が一方的に想ってるだけで、 律はそういう趣味じゃないってことだぞ。だっておかしいだろ、同性が好きだなんて。 律はそんなんじゃないぞ、断じて。私がおかしいだけだからな?」 「澪ちゃん、落ち着いて」 「律に知られたらダメなんだ。今までどおりの友達ではいられなくなるし、もしかしたら、 律までみんなに変な目で見られるかもしれない。だから、頼む――」 「落ち着いてってば」 パニックのスパイラルに巻き込まれた私とは対照的に、唯は緩やかな動作で私の手を握る。 「大丈夫だよ、澪ちゃん。誰にも言わない。約束するよ?」 「……ホントか?」 「うん。それにね、――私も同じだから」 1度、更に力を込めて私の手をギュッと握り、 「そろそろ部室戻ろっか? あんまり遅いと、りっちゃんたち心配するよね」 唯は、私の不安も何もかも包み込むような穏やかな笑みで、私の手を引いて立ち上がった。 ■ 私たちが部室に戻ると、遅れていた梓は既にギターを抱えて練習に励んでいた。 唯を見るなり、「自分だけが練習しないならまだしも、澪先輩まで巻き込んで……」と、 少々ご立腹のようだ。まあ、その程度のお叱りで唯が動じるはずもないが。 唯が誰にも言わないと約束してくれた以上、私はそれを信じるしかないけれど、 そこはやっぱり気になるのが当然で、ベースを持っても練習に身が入らない。 そんな私の様子を見てとったのか、普段よりは早めの時刻に、律が「今日はもう解散!」の号令を発し、 部活終了となった。 ベースを片付けながらも、ついつい唯を気にしてしまう。律にバレては困るのはもちろん、 唯自身も私のことを異常者だと思ったかもしれない。 「あ……れ?」 ふと、さっきは自分がパニクっていたせいで聞き流したやり取りを思い出した。 確か唯は、「私も同じ」だと言ってなかったか? あれはどういう意味だ? 「ほれ、帰るぞ澪」 軽く後頭部を叩かれ我に返った。見れば私以外のみんなは帰り支度を済ませている。 「う、うん。ごめんごめん」 慌てて手早く片付けを済ませ、みんなを追うように私も部室を後にした。 とりとめのない話をしながら歩くみんなから遅れること数歩、私は無言で考えていた。 唯は、私の恋する相手が律だとバレて慌てていたときに言ったのだ。 「私も同じ」だと。ということは、まさか唯も律のことを? 「いやいやいや、それは違うだろ」 そうじゃないとすれば、唯の好きな相手も同性、女の子だということか? そういえば唯は、「実は淋しがり屋な猫みたいな子」と言っていた。今になって考えれば、 その表現は女の子に対する形容である方が無理がない。 では、やはり……そうなのか? 前を行く唯の、華奢な後ろ姿を見つめた。日頃から悩みなんて無さそうな顔をしているのに、 唯は唯なりに、いろいろなものに立ち向かって生きてるのかもしれない。 ――もちろん、実際には何も考えてないという可能性もあるけれど。 いつもの信号で、私たち5人は二手に分かれた。 「また明日なー」 「はい、お疲れ様でした」 明るく手を振る唯たちを見送り、律と私は再び歩き出す。 「で、唯の恋愛相談はうまくいったのか?」 前置きなしに、律が言った。唯と私が部室に戻ってもその話題に触れてこなかったから、 忘れてるんだとばかり思っていたのに、敵はしっかり覚えていたらしい。 「しっかしあの唯がなあ。まあ高3にもなれば色気づいても無理ないか」 「おまえ、おもしろがってるのか真面目に心配してるのか、どっちなんだ?」 「それはもちろん、おもしろがってますわよ?」 口ではいい加減なことを言ってるくせに、いざというときには頼りになる律だから、 唯の恋も実は応援したいのだろう。 「……あ」 しかし、厄介なことがひとつ。もし唯の好きな相手が同性だと知ったら、 それでも律は変わりなく唯のことを応援するだろうか? 嫌ったり仲間はずれにまでは しないにせよ、偏見を持たずに唯を見守ってくれるだろうか? 心持ち足取りが重くなった私は、律の後ろ姿を見つめて歩いた。律なら大丈夫だと思うけれど、 冷静に考えれば、大丈夫と言い切る確証なんてどこにもないのだ。 「澪、どしたー? 唯の相談相手で疲れたのか?」 遅れ気味の歩調に気付いたのか、律は振り向いてこちらを見る。しばらく無言で、 私も律の顔を見つめた。さりげなく私を気に掛けてくれるから、 不安なときはいつも律に頼ってしまうんだ、私は。 「なあ律」 「んー?」 「あのさ、……唯のことなんだけど」 律がどういう反応を見せるか怖くて、私は視線を逸らして言った。 「もし――もし唯の好きな相手が、ホントは好きになっちゃいけない人でも、 律は反対しないか? 唯のこと信じて応援してやれるか?」 「は? なに言ってんだ?」 「だから、唯の相手がどんな人間でも、律は唯を否定したりしないか?」 我ながらわかりにくいと思うけれど、洗いざらい真実をぶちまけるわけにいかず、 結果として質問のピントが曖昧だ。それでも、私は律にすがりたかったのだ。唯を否定しないでと。 そして――これは言ってから気付いたのだが――唯と同じく同性を好きになった私を否定しないでと。 しばらく不得要領な表情で私を見ていた律は、ふっと柔らかな微笑みを見せた後、 勢いよく笑い飛ばした。 「なーにバカなこと言ってんだよ。ほれ、行くぞ」 私の肩をポンポンと叩き、続く動作でそのまま私の手を握る。 「否定なんかするわけねーし? 危なっかしいことばっかしてるけど、ああ見えても唯は、 間違ったことはしないってわかってるさ。それに、相手の方だって十分しっかりしてるしな」 「……そっか」 律に手を引かれ、私もゆっくりと歩き出した。そっか。聞くまでもなかった。 人一倍みんなのことを見てる律が、仲間を否定するわけなんてないんだ。 と、引っ掛かる台詞が律の口から出たことが気になった。 「あれ? 律、唯の相手が誰だか、唯から聞いてるのか?」 「ん? いや、唯からは聞いてないけどな。んなもん、誰でも知ってるだろ? 知らないのは澪と、あとは相手本人だけじゃねーのか?」 え……。そんなに知ってて当然の秘密だったのか? もしかして知らない私がおかしいのか? 「じゃあムギも知ってるのか?」 「そりゃあ知ってるだろうな」 「梓も?」 「あ……?」 虚を突かれたような表情で、律の足が止まる。そして思い切り吹き出して言った。 「あー、梓は知らねーだろな、うん」 何がおかしくてたまらないのか不明だけれど、律は笑いをこらえるのに必死だ。 「なんだ律、『誰でも知ってる』なんて大げさなこと言ったくせに、 梓だって知らないんじゃないか」 「ごめんごめん、まあとにかく、澪が思ってるよりずっと、実はみんな恋をしてるってことさ」 「意味がわからん。っていうか無理にいい話系に持って行こうとしてるだろ?」 私は、呆れた風を装いながら、律の横顔を見た。命短し恋せよ乙女というけれど、 確かに命と比べたら、恋が成就するまでの時間は果てしなく長い。そしてもちろん、 成就するとは限らない。 ――ま、しょうがないか。好きになったのは私の勝手だからな。 取りあえず今は、横に並んで歩けるだけ歩いていこう。それではダメだと自覚したときに初めて、 私の恋は恋と呼べるものになるのかもしれない。 -終- 澪が本当に律の事が好きだっていうのが凄く伝わってきた… -- 名無しさん (2010-12-15 00 36 50) 名前 コメント
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今日は大好きなあいつの誕生日! というわけで、ちょっとしたプレゼントをもってそいつんちに突入したわけだ 「みーおー!」 「ん。どうした?」 どうした?って!まさか忘れてるわけじゃあるまいなー 「これだよ、これこれ!」 これ見よがしに綺麗に包装された箱を見せてやると 「え?なんだそれ」 なんてごまかそうとしちゃってる けど、顔が真っ赤で口調も覚束なくなって・・・ 照れてるのがバレバレなんだなこれ。わかりやすい子でちゅね そんなこんなで澪の部屋にお邪魔して プレゼントを見せてやることにした。 「ほい!じゃあ開けていいぞ」 「うん。その前にお茶入れてくるな」 「何いってんだ!今日は澪の誕生日だぞー!私が入れてくる!」 「そうか?」 澪の家で私がお茶入れるってのもなんか変だけどな。 二人分お茶を用意したらまた澪の部屋に戻り、プレゼント発表のコーナーに戻る 「そいじゃーこのプレゼントをー」 「ちょっと待て・・・律」 「なんだ?」 「んと・・・こっちおいで。」 言われたとおり澪に近づくと、あろうことか私を抱きかかえ膝の上に置きやがった! 私は子供か! 「おいー!なんだー、なにすんだよー!」 「えっとね・・・今日はなんか、律がほしい気分。」 な、なにを言い出すか!自分じゃわからないけど 顔が真っ赤になるような感覚に襲われる 「困るってそんな・・・プレゼント用意したのに」 「ごめんごめん、それじゃ開けて?」 「え?」 「お前を抱きかかえてるから両手ふさがってるの。だから開けて?」 なんだろうこれ・・・澪にあげるプレゼントを、澪の膝の上で私が開けるって 私がもらっちゃったみたいでいささか恥ずかしい。 仕方ないのでそのまま箱の中身 澪の最近はまってるアーティストのアルバム、ピック3枚、んでもって安物だけどペアリングを渡してやった 「結構気の利いたプレゼントだなぁ」 「その鼻にかかる言い方、すなおじゃないねぇ」 「なんだよ?すっごく嬉しいぞ!」 そういって私を抱きしめる手を強めた。 なんというか・・・今日の澪おかしいというか・・・誕生日で舞い上がってるのか? 機嫌良すぎる感じがする 「そうだ、パパが買ってきたケーキ、律も一緒に食べよ!」 「え、いいのかー」 「うん!結構あって三人じゃ食べきれないから!あ、それじゃ・・・」 「このペアリングも付けて・・・律も付けてるか?」 「お、おう!ほれ!」 「おー!これでおそろいだな!じゃ、早く下いこ!」 そういって私の手を引き部屋を後にする・・・ やっぱりおかしいけど、たまにはこういう澪を見てるのも楽しいかな。 彼女が一つ大人になっても、その子供のような笑顔をいつまでも見ていられる 私はきっと幸せ者なんだろーな -------------------------------- 澪ママ「パパ?このケーキちょっとお酒入ってない?」 澪パパ「そういえば確かに・・・弱い人は酔っ払っちゃうかもしれないな。」 澪ママ「澪ちゃん大丈夫かしら」 澪パパ「はは、酔っ払ったってりっちゃんがいるじゃないか。」 澪ママ「それもそうね。うふふ」 おわり 名前 コメント
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8月21日。今日は私の誕生日。 みんなが澪の部屋でパーティーを開いてくれてお開きになった後、私は澪の部屋でみんながくれたプレゼントを眺めていた。 「りつー」 私の後ろで寝転がってるはずの澪の声がする。 「りつってさー」 「んー?」 「私に会えてよかった?」 なんだ?ノロケか?それともめんどくさい病か? ちらりと振り返ると顔をうつぶせにしてる。どうやら後者らしい。 「どゆこと?」 「私は律に会えて本当に、心からよかったと思ってる。神様が私にくれた、最高のプレゼントだって思う」 「律に会えなかったら、人見知りで内向きで、本ばっかり読んでて、外にもほとんど出ない暗い子になったと思う」 「そうか?」 「律のおかげで180度人生を変えられたんだ。ありがとう」 なんともむずがゆい。どう反応したらいいのか分からなくて黙ってると、 「でも」 と続いた。 「律は、私に出会えてよかった?」 とりあえず全部聞こうと思って、黙っておく。 「律は小さなころから明るくて、元気で、友達がいっぱい居て。ムードメーカーで。誰にでも話しかけられて、かっこよかった」 「人を惹きつける力があって、一緒にいたらとても楽しくて。私もすごく楽しくて・・・・・・。 でも、私はそんな律に、何をしてあげられたのかな」 「私が側に居なかったら、違う出会いがあったんじゃないかとか」 「私のせいで・・・我慢したこともあったんじゃないかって」 そこまで言ったところで泣き出した。 やれやれ。ホントめんどくさい。まあ、そこが大好きなんだけど。 「忘れたのかー?好きな子にちょっかい出したって。私から澪に近づいて言ったんだから澪は何にも悪くないじゃん」 「明るくて元気があるのは認めるけどさ、それは澪が側に居てくれたからだし。澪がいなかったらみんなとバンド組めなかったんだぞ?」 「それに、ほら。勉強とか。めっちゃ澪に頼ってたし。受験勉強だって自分のことそっちのけで教えてくれただろ。おかげで一緒の大学行けたんだ。澪には感謝してる。なっ?澪のおかげで私の人生いい事尽くめじゃん?」 澪の背中をさすってやると小さく震えた。 「澪を不安にさせたことは謝る。でも、澪だってそうだぞ?いつも私ばっかり・・・」 そこまで言って気がついた。もしかして・・・。 「もしかして、澪のほうから言ってくれなかったり、シてくれなかったのも・・・・・・」 「・・・・・・律の足手まといになりたくなかった」 マジかよ。別れること考えてたなんて・・・。最低な誕生日だ。 「ちょっと、ほら。起きろ!」 嫌がる澪を無理やり座らせてこちらを向かせる。 「私は澪の側に居たい。誰よりも好きだって言い切れるし守りたいし。それが私の本音だし、夢であって、何を捨てても叶えたいって思ってる。 でも、それが一方通行だったらどうしようもないよ。叶いっこないんだから。 気持ちを聞かせてよ。澪は私のためだったら、私と別れてもいいって思ってるの?」 「ちがう」 大きな瞳からぽろぽろ涙をこぼしながら首を振った。 「ちがうよ。私も律と一緒に居たい。いつまでも、いつまでも。毎晩、そう願って眠ってた。でも、怖かった。ずっと怖かった。女の子同士だもん。もう私たちも大学生だよ?いつまでも社会の目を背けていられるわけにはいかないってわかってる。唯たちが認めてくれても世間はそうじゃないよ。私のせいで律が傷つくかもしれないなんて耐えられないよ」 「耐えられる!」 澪の目を見て叫んだ。必死だった。驚いた彼女の瞳から涙がパッ飛び散った 「澪が側に居てくれたら耐えられる。私を信じろ」 そのまま澪を思いっきり抱き寄せた。いつの間にか汗だくで、彼女の体はすごく熱かった。 「世間知らずの私だけど、この気持ちは絶対に変わらない。澪が好きだ。本気だ。」 届いてよ。一番伝えたい想い、もっと早く伝えなきゃいけなかった想いなんだよ。何度でも言ってやる。 どうして、今日澪がこんなこと言い出したのか、今わかった。 今までのズルズルした関係を清算して、ゼロから考えたかったんだと思う。 文字通り、生まれ変わるかのような。未来に向けて。 背中に手が回った。 「すき・・・大好き、だよ。律。生まれてきてくれて、本当にありがとう」 キスしてるときよりもシてるときよりも、本当の意味で今この瞬間、澪とひとつになれた気がした。 神様。ありがとう。最高のプレゼントをありがとう。 名前 コメント
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「はー…なにやってんだろ」 もう今日だけで数え切れないほどのため息と、繰り返す罪悪感。 今週立て続けに自分の凡ミスのせいで仕事が回らなくなった。 せっかくの週末を喜ぶ気力もなく、来週明け早々取引先に頭を下げに行かないといけない。 「学生時代に戻りたいなぁ」 勉強しなかったら自分に降りかかってきただけなのに、今は職場のみんなと取引先、さらに向こうに広がるお客様にまで広がる、プレッシャー。 アパートに帰る間に一人また一人と同じような背中の会社員たちと別れてく。 いつの間にかすっかり体に馴染んだスーツからぶら下がる鞄には、持ち帰った仕事。片手にはせめてもの慰めで買ったケーキ。 ダメだダメだ。 アパートの階段を登る直前、気合いを入れなおす。家には笑顔で帰るんだ。 「ただいまっ」 「おっかえりー!」 エプロン姿の律がいそいそと迎えてくれて、靴を脱いでる間にかばんを持ってくれた。 「お疲れ様。お風呂温めなおしてくるから休んでて」 「うん」 顔に出さないようにしてたけど、やっぱり律にはバレちゃう。今は律の出来立てのご飯よりも、心を切り替える時間が欲しかった。 湯船に浸かりながら盛大に大きな息を吐きながら、週明けの段取りを考える。これ以上職場の仲間の足を引っ張っちゃダメだ。自分で何とかしないとな。 上司に叱られて、同僚に励まされて…。 ポツッ 誰にも見られてない環境になった途端急に溢れてきた。 浸かっている湯船よりも熱い涙が、頬を伝って落ちていく。 律に聞かれないよう湯船にお湯を足しながら、心の整理をする。 がんばらないと。律のためにも。 誓ったんだ。律が側にいるならがんばれるって。 鏡で目が赤くなってないことを確認して時計を見ると、もう少しで日付が変わる時刻になっていた。今日最後のつもりで大きく息をついてキッチンに戻る。 テーブルに律が突っ伏して寝むたそうにしていた。 「…おっ出てきた」 と、立ち上がってコンロの火をつけようとする。 「いいよいいよ、自分でするよ」 「すぐにできるから」 と、冷蔵庫からタッパーを取り出してくる。 「…先に寝てて良かったのに」 「まだ食べてないもん」 絶句する私にニコッと振り返る。 「澪、ひとりでご飯食べるのさびしいだろ?」 この時、私に起こった感情をどう表現したらいいのかわからない。 どんな慰めや励ましよりも律の言ってくれたその一言が、私の胸をいっぱいにして、涙が止まらなくなった。そんな私を、律がぎゅっと抱きしめてくれた。 「みーおっ。だいじょうぶだよ」 律が愛おしい。おそらく今日始めてかもしれない笑顔を浮かべて私は頷いた。 終 澪には律が必要で律にも澪が必要なんだよねー -- 名無しさん (2012-10-28 16 06 14) 名前 コメント
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投稿日:2010/11/03(水) 16 40 59 律が風邪をひいた。 「今日の練習どうします?」 人一倍、元気で明るい律。 だけど、その実アイツは身体が弱い。 「りっちゃんいないとつまんなーい」 「じゃあ、今日はお休みにした方がいいかしら。澪ちゃんもあんな状態だし」 「今日は澪ちゃん、心ここにあらず! って感じだったもんね」 「唯先輩、その言葉の意味分かって言ってますか?」 「失礼な。それぐらい私にだって分かるもん!」 特に、こんな寒い日。 どこか、心がセンチメンタルになるような、こんな日。 「……結局、中止になっちゃったな」 『澪ちゃん、これりっちゃんに持っていってあげてね』 ―――えっ。みんな来ないのか? 『律先輩にとっての一番の元気の源は澪先輩ですから』 『それに、みんなで行ったらりっちゃんも落ち着けないだろうし』 『澪ちゃん、りっちゃんによろしくー!』 そういえば、一人で帰るのは久しぶりだな。 いつも隣に喧しい奴がいたからな。 そんなことを考えているうちに、目の前には田井中家。 勝手知ったる第二の私の家。そう言っても過言ではないだろう。 けど、親しき仲にも礼儀あり。 お邪魔しまーす。と、一言。 「あれ、澪姉」 「よ、聡。早いな。部活は休みか?」 「ああ、今日は父さん遅いからさ。姉ちゃんの看病をしようと思ってサボってきた」 「そうか。お姉ちゃん思いだな。聡」 「いや……まあ、あんなんでもたった一人の姉ちゃんだしな!」 聡のこういうところはよく姉の律と良く似ている。 正面からの素直な褒め言葉には弱いのだ。 ふふ、何だか微笑ましいよな。 「けど、澪姉が来てくれたなら大丈夫だね。俺、今からでも部活行ってくるよ!」 「ああ。いってらっしゃい」 少しドタバタと忙しなく部活へ行く準備をする聡。 それだけ、部活が好きなんだな、というのが伝わってくる。 でも、そんな部活をサボってでも看病をしようとした聡は、 本当に姉のことが好きなんだろうな。 トントントン……。 階段を静かに上がって、律の部屋の目の前まで来た時。 『みおー?』 どこか気だるそうな、そんな声が聞こえた。 「超能力者か」 「分かるよぉ。澪の足音は」 「……このやり取り、一年前にもやったよな」 「んー?忘れた」 「おい」 まだ体調が本調子じゃないせいか、重たそうな瞼を半開きにしながら、 疲れの抜けていない表情をしていた。 「よく寝れたか?」 「……いや、少しも寝れなかった」 ……そんなことだろうと思ったよ。 それから少し、他愛のない話をした。 「みんな心配してたぞ」 「ん、そっか。悪いことしたな」 「だから、しっかり寝て早く治せよ。今日、泊まってってやるから」 「……みおー?」 「ん?」 「へへ、呼んだだけ」 「りつ、」 「なに?」 「呼んだだけ」 「……へへへ、そっか」 「そうなの」 「……なあ、澪?」 「何だ?」 「……キス、して」 い、いきなり何を! 「あ、風邪移っちゃうかもだから、今のなし! 忘れてくれ!」 「……」 「み、みお? んっ…」 「これでいいか?」 「お…おう。ばかみお…」 リクエストに応えてやったのに、馬鹿と何だ、馬鹿とは。 わ、私だって恥ずかしいんだぞ。ばかりつ。 「さ、キスしてやったんだから少し寝なさい」 「へへ、澪、お母さんみたい」 「……馬鹿なこと言ってないで寝ろ」 「はーい、澪お母さん」 「ばか」 「ん、ちょっと寝るわ」 「そうか、おやすみ」 「おやすみー」 数分もしないうちに、すうすうと静かな寝息。 くしゃ、とカチューシャのない前髪を撫でる。 甘えたい時には、甘えて、寂しい時には、私を頼ってくれよ。 りつ、そこがお前の悪い癖だ。自分の弱いところは見せない。 起きたら、少し叱ってやらなきゃな。 「………ん…、み、お」 寝言、か。 ったく、ばかりつ。 さて、夕食の準備でもしますか。 ……あ、そうそう、言い忘れてたよ。 律―――。 「あいしてる」 名前 コメント
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その朝、りっちゃんが私のお家に来ました。りっちゃんは私の顔を見ると「メリークリスマス、澪ちゃん!」と言いました。 私は不思議に思ってカレンダーを見たけれど、やっぱり日付は12月26日で、クリスマスは昨日です。 実際に、昨日の夜私はパパとママとツリーの飾りつけをしたり、ケーキを食べたりしました。 朝起きると、今年もサンタさんはちゃんと私のお家に来たらしく、枕元にはプレゼントが置いてありました。 だから私はりっちゃんが「メリークリスマス」なんていうのがとても不思議でした。 私はりっちゃんに聞きました。 「りっちゃん、クリスマスは昨日だよ?りっちゃんは昨日の夜、パパやママとクリスマス会やらなかったの?」 するとりっちゃんは「やったよ」と答えました。 私はますます不思議になってしまい、その表情が顔に出たのかもしれません、 りっちゃんは「ちょっと待っててね」といい、背負っていたリュックサックを床におろし、中から何かを引っ張りだしました。 それは白い小さな箱でした。それがテーブルに置かれた瞬間、私の方に甘い匂いが漂ってきました。 「りっちゃん、これは?」私はききました。 「開けてみて」りっちゃんは言いました。 私はうなずき、箱に手を掛けそっと蓋を開けました。 蓋を開けると、その甘い匂いははっきりとした形となって私の目に映りました。 ケーキです。苺のショートケーキ。それは解りました。だけど、 「りっちゃん、これケーキだよね?」 「うん?そうだよ?」 「ぐちゃぐちゃ……」 そう、リュックサックに入れ、私のお家に来るまで歩いたり、もしかしたら走ったりしたのかもしれません、 動かしたから、その二切れのケーキは横倒しになって、箱の内側で互いにぶつかり、形が崩れてしまっていました。 「うわあ、本当だ!ごめんね澪ちゃん……」 りっちゃんは本当に申し訳なさそうに掌を合わせ、私に謝りました。 「ううん、形が崩れても大丈夫、きっと美味しいよ。でも、どうして?」 するとりっちゃんは少し気恥ずかしそうに笑い、いいました。 「うぅんと……澪ちゃんとはクリスマス会してなかったから、さ。1日遅れたけど、二人でお祝いしたいなあ、って思ったんだ」 「私のためにケーキをとっておいてくれたの?」 「うん、だって澪ちゃんとお祝いしたかったんだもん!」 りっちゃんはニコニコ笑っていました。 その様子はちょっと気恥ずかしそうで、でもとても嬉しそうで気が付くと私もつられて笑っていました。 「りっちゃん、ありがとう」 それから二人でケーキを食べました。 見た目はぐちゃぐちゃだったけど、そのケーキは私がいままで食べたどのケーキよりも美味しく、かけがえのないもののように思えました。 「ねえ、りっちゃん」 「なに?」 ケーキを食べ終えた後、私はふと思いだしてこう言いました。 「メリークリスマス、りっちゃん」 fin ほんわかしますなぁ… -- 名無しさん (2012-11-01 12 50 33) 名前 コメント
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秋山邸 澪ママ「澪が喜びそうな事?」 律「はい、澪から何か聞いてませんか?律に何がして欲しいとか何が欲しいとか」 澪ママ「うーん、そうねえ、もうちょっと自分で宿題をやる努力をして欲しいとか、もう少しだけ真面目に練習をして欲しいとか?」 律「いつもの定番じゃないですか・・・ほんと澪は何で私と付き合ってるんですかねぇ」 澪ママ「でも澪って、いつもりっちゃんの話ばかりしてるのよ?りっちゃんのパワフルなドラムとりっちゃんの小さい胸が大好きなんだって」 律「ホンとですか?」 澪ママ「だから私言ってあげたの。りっちゃんのブラを付けるなら普通にはサイズが合わないから、マスクとして使用するといいわよ?って」 律「ああ・・・って何て事言ってるんですか!」 澪ママ「私が冬に産んじゃったからね、毎年のプレゼントにピッタリだと思ったんだけど・・ そういえば、りっちゃんのビックリ箱のプレゼントは毎年私が貰ってるから」 律「え!何でですか?」 澪ママ「部屋に置いておくと気になって何度も開けて自家発電しちゃうらしいの。あと底に入ってる手紙も私が貰ってるわ」 律「澪に渡してないんですか?道理で何年も思いが通じないと思った・・・」 澪ママ「『澪、12歳の誕生日おめでとう。今年は澪に身長も抜かされたし胸も大きくなって、ロリコンの私としては嬉しいような寂しいような気がしています』」 律「書いてないし!!」 澪ママ「うそうそ、澪に返そうと思ったんだけど手紙ごとうっかりバザーに出しちゃったのよ」 律「見ず知らずの人に毎年私のラブレター見られたって事?!!」 澪ママ「ごめんなさい。でもバザーに出す前にりっちゃんの熱い思いは私が受け止めたから。 そうだ、今日家で澪の誕生日会するんでしょ?今から料理作ろうと思うんだけど、親子丼でいいかしら」 律「そのメニューはチェンジでお願いします・・・」 数時間後 律「と、いう訳で!」 唯「澪ちゃん誕生日!」 全員「おめでとーーー!!」 澪「みんなありがとう////」 紬「はい!澪ちゃん、私からのプレゼント!」 澪「入浴剤セットだ!気持ち良さそうだな。ムギありがとう」 梓「私からはこれです」 澪「バスローブ?高そうだな、梓大丈夫か?ありがとう大切に使うよ」 唯「じゃじゃん!私からはコレ。大人の香水と大人の本だよ!澪ちゃんも一つ大人になったし、お風呂上がりも大人っぽくするといいよー」 澪「大人の本・・・///ありがとう唯。これで色々チャレンジしてみる事にするよ」 律「最後は私だな!ででーん!」 澪「おい、またビックリ箱じゃないか。」 律「いや、今年はちょっと違うぞ。早く開けてみ!」 澪「う、うん・・」ハ゜カッ「これは、ブラジャー?」 梓「律先輩。私達がこれだけお膳立てしたのに、また服を着せちゃってどうするんですか・・」 唯「その期待を裏切る感じ、さすがだよ、律っちゃん」 紬「どんまい・・」 律「そんな哀れみの目で見なくても・・ けどそれはブラジャーじゃなくて私の使用済みブラジャーを改造したマスクだ!私が居ない時にも自家発電出来るように、な」 梓「へ、変態!澪先輩が喜ぶ訳が・・・」 澪「そうだぞ。こんなの嬉しいわけ//ないんだからな///」スンスン 梓「嗅いでる・・・」 唯「なんだかわからないけど大成功だね!律っちゃん!」 紬「キース!キース!キース!」 澪ママ「ヤーれ!ヤーれ!」 澪律「どこまで!?っておばさん(ママ)!」 誕生日会の後 律「いやー楽しいけど疲れたなー。澪お疲れさま」 澪「うん、でもありがとうな。おかげで素敵な誕生日になったよ。マスクにはビックリしたけど」 律「今回はリサーチをして決めたんだけど、特別だからな。付けるのは家だけにしろよ?」 澪「うん」///「あのね、律。もう一つ欲しいものがあるんだけど・・あとこれからの誕生日で欲しいものも今書いたの」 律「どれどれ」 18歳「律」 19歳「婚約指輪」 20歳「結婚指輪」 21歳「結婚首輪」 律「澪しゃんは何回私と結婚したいのかな?」 澪「毎年・・・///」 律「くぅー!かわいい!今年は私って事だから//澪!食べちゃうぞー!」 キャーキャードタバタ 澪ママ「今日も長い夜になりそうね・・」 終わり ちょw親子丼チェンジって(笑)www -- 名無しさん (2012-03-02 04 41 36) 結婚首輪www ドMな澪ちゃんもかわいい! -- 名無しさん (2012-03-04 16 37 20) 名前 コメント
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投稿日:2010/11/03(水) 18 25 50 「私はヒモりっちゃんだ!」 今の生活が始まってから律はよくこんなことを言う。 同棲を始めた頃は共働きだったんだけど私の仕事が軌道に乗って二人で 生活する分には十分なお給料がもらえるようになったことと二人でいる 時間をできるだけ増やしたいということで仕事は私、家事は律ということ で律に家庭に入ってもらった…なんかこの言い方は照れるな。 ……実は家事全般は完全に律の方が得意というのもある…屈辱だ… 律は変に照れ屋なとこがあるから主婦じゃなくてヒモだなんていう。 「それじゃ律いってきます」 「いってらっしゃ~い。ほら、早く行った行った。私はヒモだから今日も 家でのんびりだ」 ん?なんか律の様子が変だな。ヒモなんて軽口はいつものことだけど。 まあいいか。仕事に遅れる訳にはいかない。私のヒモさんのために頑張ろう。 いつものように律が持たせてくれたお弁当を食べる。今日もおいしい。 お礼のメールしとこ。律はお嫁さんにもらうなら最高かもしれないな。 全く毎朝早く起きて朝食つくってお弁当まで用意してくれて家事も全部 やってくれるヒモがどこにいるんだか。まあ私も実際のヒモなんて見たこ とないけんぐっ!!なっなんでシュウマイが一個だけこんなに辛いんだ! …前言撤回…ちょくちょくお弁当にイタズラする律はいい嫁にはならない。 あれ?今日はメールの返信こないな。さては昼寝してるな。しょうがないやつ。 ふぅ。やっと家についた。今日の晩御飯は何かな。あ、先にお風呂入ろうかな。 律も一緒になんて…は、恥ずかしい… でもその前に一発殴ろう。お弁当のお返しに。デコに嫁って書くのもいいかな。 「ただいま~」 あれ?律が出迎えにきてくれない…電気もついてないしどうしたんだ? 「律~晩御飯は…って寝てるのか?」 「ううん…澪?おかえりー。晩御飯の用意サボった。どっかで食べてきて~」 …ばか律…そんなちょっと赤くなったしんどそうな顔でいわれたら気付くよ。 「風邪引いたのか。律本当は今日の朝もしんどかったんだろ…」 「そんなことないぞ~私はヒモだからだらけてただけ~」 「はいはい。今お粥つくってきてやるから待ってろよ~」 キッチンで手早くお粥をつくり律に食べさせてあげる。うん食欲はあるから 大丈夫だな。食べ終わったら水とタオルを持ってこよう。 「今日が金曜でよかったな。付きっ切りで看病してやるぞ」 「うぅ~ごめんなみおーせっかくの週末なのに…」 「いいからほら!」律のベッドの脇に座り手を握ってやる。 「みおーずっとここにいたら風邪うつっちゃうぞ…」 「大丈夫だよ。それにいつだったか寝るまで側にいて欲しいって甘えん坊が いたしな」 「うぅ………ありがとみお…」 くっ、かわいいなこいつ。いつかの日も思ったけど… しばらく手を握っててやると律が寝息をたてはじめた。本当ならここで自分の 部屋に戻ったほうがいいんだろうけど。うん、やっぱ律の寝顔をみていよう。 明日は土曜だしもし風邪がうつっても月曜までにはなんとかなるだろ…ってなん か暴走気味だな私。まあつきっきりで看病するって約束したし… 熱のせいか少し顔を赤くしながらも安心しきった律の寝顔が少しかわいい。 「…おやすみのキスでもしよっかな」 って何考えてんだ私!そんなことしたら完全に風邪うつるだろ!………でも… 「……律が悪いんだからな……」 ああ、私完全に暴走してしまった…少し赤い君の寝顔がかわいくてちょっと暴走 しちゃう今日の私…あ、なんかいい詩が書けそう………でも……明日にしよう…… ううう…ダルい…やっぱり風邪うつってしまった… 「なんだー澪、やっぱ風邪うつっちゃったのか。ごめんなー」 全然悪いと思ってるように見えないぞ。 「よーし!土日は私がフルコースで看病しちゃうぞ~」 なんで嬉しそうなんだよ。 「とりあえず昨日のお返しにお粥つくってくるなー」 律が土鍋を持ってベッドに戻ってくる。ひと目見て昨日私がつくったお粥より 手が込んでいるのがわかる。…ちょっと悔しい… ってなんで満面の笑みでお粥を私に口元に近づけてるの? 「はーい澪しゃ~んあーん」 「…自分で食べられるよ…」 「あーん」 風邪ひいてるときくらい甘えてもいいよな。ここには律しかいないし。 「ごちそうさま。ありがと律。とってもおいしかった」 「わ、私はヒモりっちゃんだからな。澪が働けないと困るからちゃんと看病するのだ」 「なんだよ、私がお金稼げなくなったら律は私を捨てちゃうのか?」 「……そんなわけないだろ…ばかみお…」 昼休み。いつものように私は律弁当を食べる。 律の看病のおかげで体調はいい。まあ元々私が風邪ひいたのは律が悪いような気も するけど。でも、風邪ひいて寝込んでたのになんか幸せな土日だったな。 私が弱っている時、律は本当にやさしい。たまには風邪ひくのもわるくはんぐっ!! なっなんでタコさんウインナーが一個だけこんなに辛いんだ… 「見た目全然変わんなかったのに…どうやってつくったんだこれ…」 私はひとりごちる。どうやら私はヒモりっちゃんにはどうやっても敵わないらしい。 ほんとこのシリーズ大好きだ -- 名無しさん (2012-06-12 00 17 52) 名前 コメント