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投稿日:2010/11/18(木) 00 29 09 ふと、思い出した それはずっと昔の話 私と律が知り合って、1年くらいが経った頃のこと・・・ そのころに起こったとある出来事が 少なからず、今の律と私の関係を築く上で欠かせないものになっているのではないか 最近ではそんなことを思うようになった キッカケが何だったかなんて、もう記憶の片隅にも残っていない ただ、その日の私と律はえらく荒れていて 売り言葉に買い言葉、周囲が引くほどの口げんかを繰り広げていた。 そのときに・・・口をつついて出てきた一つの言葉 それを律に振りかけてしまった 「嫌い」 決して本心ではない、むしろそのとき私は既に 律に心から惹かれ、好きになっていた だから だからこそ 私の気持ちをわかってくれない律に、腹が立って 律の気持ちをわかってやれない私に腹が立って そんな言葉を口に出してしまったんだ・・・ 絶対に忘れない そのときに律が見せた表情を 先ほどまでの喧騒が嘘のように止み、そこには 自分の発言を信じきれない私と 私の発言に傷つけられた律だけが残っていた 眉毛をハの字に曲げ、強く唇を噛み、目に涙を浮かべて・・・ 不覚にも、そのあとの記憶はほとんど飛んでしまっている 思い出せないのか、思い出したくないのか・・・ その日から、私は「嫌い」という言葉を心の奥にしまい・・・ 律に向けることはなくなった。 もし、またその言葉を使うときがきても・・・ それはきっと、愛情の裏返し。その分律のことを好きっていうことになるはずなんだ だけど、私は怖い・・・嫌いという言葉が怖い。 私は、眠った横顔をこちらに向ける律の、その頬に一つキスを落とし 胸がぎゅうっと締まるような思いを引きずりながら ゆっくりと目を閉じた・・・ 名前 コメント
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ザァァァァァ 澪(梅雨はいい。カエルさんが活気付く) カエル「ケロケロ、ケロケロ」 澪「あ、また鳴いてる」 カエル「ケロケロケロケロ」ぐにぐに 澪(ふふっ、顔に落ちてきた雨露を拭いながら鳴いてる。可愛いなぁ) 律「みおー?なに見てんだよっ!」 澪「あっ!」 カエル「ゲコッ」ピョン チョプン 澪「ああ・・・」 律「??」 澪「カエルさんが逃げてしまった」 律「カエル?澪、カエルなんか見てたのかよ?」 澪「律はカエルさん嫌いなのか?」 律「うぇー、だってカエルだろ?私は苦手だな~」 澪「カエルさんは可愛いんだっ!」 律「あはは、澪がカエル好きだなんて。意外だな」 澪「そうかな?」 律「うん、意外。だって澪なんて『ひぃっ!カエル~』とか言ってそうだし」 澪「私はそんなに怖がりじゃないっ!」 律「そうかー?」 澪「そうだよ」フンス 澪「律こそカエル苦手なのが意外だよ。 律ってカエルさんを指でつまみあげてケラケラ笑ってそうなのに」 律「小2男子か私わっ!」 澪「どうして嫌いなんだよ?」 律「いや、嫌いってわけでは無いんだよ。ただ苦手なんだ」 澪「カエルさんのどこが苦手なんだ?」 律「うーん、昔は平気だったんだよ。5歳くらいの頃にはおたまじゃくしをかってたんだ」 澪「あ、いいなぁ」にやにや 律「庭のバケツにおたまじゃくしを10匹入れてかってたんだけどさ、ある日大雨が降ったんだ」 澪「今みたいにか?」 律「ううん、もっと酷い雨だったと思う」 ザァアァァァァ カエル「ケロケロ」 律「私はおたまじゃくしってカエルの子供だから、雨が大好きだと思ってな。 バケツを外に放置してたんだよ。おたまじゃくしはその方が喜ぶだろう、って」 澪「ふむふむ」 律「次の日の朝、バケツを見てみたら大雨で水が溢れたんだろうな。5匹が地面に落ちて死んでたんだ」 澪「・・・。」 律「残りの5匹はバケツの中を元気に泳いでた。 この5匹と死んだ5匹の差は何だったのか?って考えたら怖くなってさ。 それ以来カエルとおたまじゃくしは苦手なんだよ」 澪(・・・意外と深い理由だったー!) カエル「ケロケロケロケロ」ピョン チャプッ 翌日 澪(この時期は晴れた日も良い。カナヘビさんに会えた) カナヘビ「・・・。」チョロチョロ 澪「カナヘビさんはクールだなぁ。でもキリッとした表情の中にも愛嬌があるのが魅力だ」ホクホク カナヘビ「・・・。」ペロペロ 澪(・・・手を差し出したら乗っかってくれるかな?)スッ カナヘビ「・・・!」チョロチョロ ササッ 澪「ほわっ・・・!」びくっ 澪「乗った!カナヘビさんが私の手に乗ったぞ!!」ぱたぱた カナヘビ「・・・。」チョロチョロ 澪「はぁ~~。カナヘビさんはあったかい場所が好きだからなぁ」 カナヘビ「・・・。」ウトウト 澪「手に乗せるとうっとりした顔になるからたまらない」うっとり 律「・・・一人で何喋ってるんだよ、澪」 澪「ほわっ!?」ビクっ 澪「・・・カナヘビさんと話してた」 律「電波ちゃんか」 澪「違うー!いいだろちょっとくらい・・・///」 律「天然キャラは間に合ってるよ」 澪「むぅ。カナヘビさんが可愛いのがいけない」 カナヘビ「・・・。」うとうと 律「ほー。手に乗ったのか?」 澪「ああ。生まれて初めてデカイ手で良かったと思えるよ」 澪「誰がデカイ手だっ!」 律「いやいや!お前が言ったんだよ!」 澪「はぁ、可愛いなぁカナヘビさん。律はカナヘビさんは平気なのか?」 律「うーん。爬虫類はセーフかな?蛇意外は」 澪「ははっ、私も蛇はダメだな」なでなで カナヘビ「・・・。」チョロチョロ 律「そんなに好きなら家で勝ったらどうだ?懐いてるみたい?だし」 澪「それは無理だ。エサの虫が捕まえられない」 律「虫は苦手なのかよ・・・」 律「カナヘビって虫を食べるんだ?」 澪「うん。昆虫が好物だよ」 律「じゃあ澪が飼うのは無理だな」 澪「ああ、ダメだ。コオロギが嫌いだからカナヘビさんが飢えてしまう」 律「コオロギが嫌いなのか?他の虫は?」 澪「他の虫も嫌いだけどコオロギが一番嫌いだ」 律「ほぉ?何かエピソードがあるのか?」 澪「今でも忘れられない。あの小学校1年生の時だ・・・」 律「お、回想モードか」 澪「私は当時からカナヘビさんが大好き。そしてコオロギも普通に触れる女の子だった」 律「その2点でどんな女の子かはイマイチ想像つかないがな」 澪「私は虫かごに捕まえたカナヘビさんを飼う事にしたんだ。 土や落ち葉や木なんかも入れてな」 律「本格的だなー」 澪「そして当然エサのコオロギも捕まえた!」 律「その段階ではコオロギ平気だったんだもんな」 澪「ああ!そしてカナヘビさんにちぎったコオロギをあげたんだ! そしたらカナヘビさんは美味しそうに食べてくれたんだよ!」 律(グロっ!) 澪「それに気を良くした私は20~30匹のコオロギを捕まえて、生きたままのコオロギを虫かごに入れたんだ カナヘビさんが自分で捕まえて食べると思ってな」 律「極端な子!」 澪「そ、そしたらっ、次の朝・・・!」ぐすっ 律「澪!?」 澪「カ、カナヘビさんが顎の一部と背骨を残して・・・ぐすっ」ポロポロ 律「う、うおぇっ!」 澪「コオロギ、肉食だって知らなくて・・・」 律「そ、それは大変だったな・・・」なでなで 澪「もうそれ以来コオロギが嫌いというより怖くてな」グスッ 律「私もコオロギ苦手になった。今」 澪「わかるだろ?」 律「ああ。それは嫌いにもなる」 カナヘビ「・・・。」うとうと 律「いやー、意外な一面ってあるもんだな」 澪「コオロギがか?」 律「それもだけど。お互いの苦手な生き物とかさ」 澪「ああ、昨日今日で意外な部分が見つかったな」 律「澪は意外と爬虫類や両生類好きなんだな」 澪「可愛いものが好きなんだよ」 律「そっか」 澪「うん」 律「私は?」 澪「可愛い」 律「へへー♪」 澪「ふふっ」 コオロギ「コロコロコロ」ピョン 澪律「ひっ!」ビクッ おしまい! これ読んで俺もコオロギは嫌いになった。 -- アクティブ (2012-06-15 18 29 35) 澪って意外と可愛いものが好きなんだ☆カッコいいものが好きかと思った♪ -- りお (2012-06-17 15 15 40) ガマガエルあたりだと苦手そう -- 名無しさん (2012-08-10 14 27 11) 名前 コメント
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投稿日:2010/11/26(金) 00 07 21 律「唯!誕生日おめでとう!」 澪「おめでとう」 ムギ「おめでとう、唯ちゃん!」 梓「おめでとうございます!」 唯「みんなありがとー!」 ムギ「というわけで、今日はショートケーキを持ってきましたー」 唯「うわああああムギちゃん大好きいいい」 律「じゃあ、早速プレゼント渡すか?」 唯「え!?皆用意してくれてるの?!」 律「当たり前だろー」 澪「ほら、唯」 唯(参考書とか…澪ちゃん空気読もう…) 澪「頑張って勉強しろよ?」 唯「う、うん」 梓「はい、唯先輩」 唯(ギター指南本…新しい嫌がらせなのですか) 梓「唯先輩はこれで練習頑張って下さい」(今日おうちに寄ってもうひとつのプレゼントあげますからそんな可愛い顔しないでください) 唯「あ、ありがと」 ムギ「私はケーキ上げたから、いらないよね?」 唯「そんな!?」 ムギ「冗談~♪はい、唯ちゃん」 唯「映画のペアチケット?」 ムギ「うふふふふ」 梓(…ムギ先輩…!) 唯「うー?まぁありがとうね、ムギちゃん」 律「じゃあ、後は私だけだな!」ゴソゴソ 律「じゃーん!ペアリングだー!」 澪「!?!?」 唯「えー!凄いよりっちゃん!高かったんじゃないの!?」 律「うははは、なんのなんの。このくらい気にすんな!」 澪(律…?唯にペアリングをプレゼント…どういうことなの?…) ムギ(百合展開の予感) 梓「…」 澪「ギリギリギリギリ」 律「ほらつけろ!んで、片方は…」 澪「駄目だ律!!!」 律「へ?」 澪「おま、お前、私というものがありながら!唯に指輪なんか…!」 律「え?お、おい澪」 澪「…私に、飽きたのか?」ポロポロ 律「……はぁ?」 澪「…やだよ!嫌だよ!私は、律とずっと一緒にいたいよぉ…!飽きないで…捨てないで…側に、いてよぉ…」ポロポロ 律「…澪。これ」 澪「……え?これ…」 律「本当は、家に帰ってから渡そうと思ってたんだけどな」 澪「指輪…?」 律「柄にもなくバイトとかしたんだぜ?ほら、お揃い」 澪「…じゃあ、唯のは」 律「片方は梓の分だよ」 唯(りっちゃん…!) 澪「…あ…私…勘違いして…」 律「ったく、早とちりめ」 澪「…ごめん…」 律「私が、澪に飽きるわけないだろ」 澪「…うん」 律「捨てるわけないだろ」 澪「うん」 律「…ずっと側にいるよ。この指輪に誓って」 澪「………うん」 律「…えへへ」ギュッ 澪「………」ギュッ 唯「今日って私の誕生日だよね?」 ムギ「いつも通りじゃない?」 梓「…」 数時間後、唯宅 唯「…あずにゃん、これは?」 梓「…もうひとつのプレゼントです。」 唯「…これは…」 梓「………ペアリングです。」 唯梓「被っちゃったよ…」 END 名前 コメント
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投稿日:2010/08/06(金) 02 15 39 〇月〇日 今日曾我部先輩が卒業した あと一年もすれば自分達もあっち側になってしまう まだみんなと一緒に居たいが子供から大人になる為に準備をしなくてはならないと思うと寂しい気持ちになった…… ×月×日 今日は進路希望の用紙を渡された また律は期限ギリギリまで書かないらしい いい加減その癖を直してほしい △月△日 進路希望の提出期限の日 案の定律は書いてない… 私に進路先を聞いてくるがそれくらい自分で決めてほしい。 中学卒業の頃は「何時までも一緒!」とは言っていたが一時の感情で律の一生を台なしにしたくなかった それに私たちのおかしな関係もそこで断ち切りたかった。 ☆月☆日 今日変な夢を見た 律が化粧をしてピアスをして女性らしい格好でこっちに手を振っている でもそれは"じゃあまたね"ではなく"さようなら"に感じた。 目覚めてから泣き疲れるまで泣いた… おかしな関係でもいいから続けたいという感情を押さえ込む為にひたすら泣いた… ◎月◎日 今日は律とケンカをしてしまった…とは言っても電話だが…明日学校に行くのが辛い… 律がしつこく私の進路を聞いてくるのでつい怒鳴ってしまった… でもこれでいいのかもしれない…… ◇月◇日 ギクシャクしたまま1週間が過ぎた頃 律が私と同じ大学を目指すらしいという噂を聞いた。 私の気持ちも知らずにそんなことする律に文句を言いに…私は嫌われる為に律の家に行った。 私だって離れたくないけどしょうがないんだ……わかってくれ……。 □月□日 ケンカの翌日なのに律が家に訪ねてきた まだ懲りないのかと思い律に罵声を浴びせようとした瞬間… 「なんだか最近の澪無理してるだろ?…そんなに嫌ってほしいのか?…私も考えた事があるんだけど…私は何時までも一緒に居たいんだよ!」 「大学卒業後は一生懸命働いて一緒に住みたい!…一人前になったら澪を養子にしてでも家族になりたい!養子が嫌なら外国にでも行く!!……それでもダメか!」 律がまるで欲しい物をねだる子供の様に号泣していた 言い訳を思いつくよりも先に感情をぶつけ抱きしめてくる もう無理だ…言い訳出来ない……。 ○月○日 終業式の後に図書館でみんなで勉強中 みんな真面目に勉強する律に驚いていた。 唯に理由を聞かれると珍しく律が顔を赤くして一生懸命話をそらしていた。 おわり 名前 コメント
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唯「澪ちゃん…実はね、私のアソコが…」 澪「なんだトイレか?早く行って来いよ」 唯「違うよ!見てよこれ」ボロン 澪「うわっ」 唯「×××生えてきちゃった…」 澪「ふーん」 唯「反応薄いよ!?」 澪「大変だな」 唯「…えっと、これのせいで最近凄くえっちな気分になっちゃうの…」 澪「病院行ったら?」 唯「………あー!なんだかムラムラしてきたなぁ…」澪「梓ー唯が呼んでるぞー」 唯「………ひゃあ!大きくなっちゃった!痛い!痛いよ!」アイタタタ 澪「おー立派だなぁ」 唯「………い、いっぱい出したら治るかもぉ」 澪「梓ー出番だぞー」 唯「………澪ちゃんお願いー!」 澪「無理」 唯「なんで!?ここは同人世界だよ!さっきからノリが悪いよ!」 澪「だって私は律のものだし…」 唯「り、律澪は商業的に需要は少ないんだよ!」 澪「知ったことか」 唯「………み、見て!これ見てたら、だんだんえっちな気分にならない?」 澪「キノコにしか見えないんだよなぁ」 唯「………ね、澪ちゃん」 澪「無理」 唯「お願い!」 澪「無理」 唯「みおちゃ」 澪「無理」 唯「………餃子もつけなきゃ?」 澪「無理」 唯「…じゃー私どうすれば…」 澪「梓に相談してみたら?」 唯「分かったー」 紬(澪ちゃん、同人によくあるフラグをことごとくへし折ってる…) 梓(さりげなく私の純潔を代わりにしようとする澪先輩怖いです) 律の場合 律「澪…実はな、私のアソコが…」 澪「なんだトイレか?一緒に行ってやるぞ」 律「え、いや遠慮するけど…い、いやこれを見てくれ」ボロン 澪「!!」 律「×××が生えてきちゃったんだ…」 澪「り、りつ…」 律「最近こいつのせいかムラムラしてき 澪「私を妊娠させる気だな!」パァッ 律「えっ」 澪「もう、馬鹿りつ///高校生で赤ちゃん作るのは早いよ///モラルを考えろよな///もう少し二人の時間を過ごしたいとか思わないのか/////」テレテレ 律「えーっと」 澪「あっ、違うぞ律、嫌じゃないぞ。赤ちゃんとか全然考えてなかったから、さ。」 律「………」 澪「ほんと、律はいつもそう。私の諦めてたことを簡単に叶えてくれるんだ。律のことを好きな私に赤ちゃんなんてできる訳がなかったのに」 律「み、澪…」 澪「律と一緒にいられればそれでいいと思ってたけど、どこかでそういう夢を見ている私がいたんだ」律「あー…」 澪「男の子か女の子かワクワクしたり、名前で悩んだり、親との修羅場とかに憧れてたりしたんだ」 律「最後のは御免だ」 澪「いつも律は、私の望みを叶えてくれるんだ…うん、私も律の望み、叶えなきゃな」 律「……………」 澪「…うん、覚悟決めたよ」 律「澪…」 澪「…いいよ、律。私たちの赤ちゃん、つくろ?」 律「ごめん、萎えた」 澪「なんでだよ!?」 律「ほんと、すいません。軽い気持ちでした。まだそこまでの覚悟はできていませんでした。すいません。」 澪「むー…じゃあ、それどうするの?」 律「あ、えと、一人で処理して…」 澪「だめだ!」ダキッ 律「ひぃっ」 澪「全部私の中に出してくれなきゃだめ!」 律「ちょ、澪…!」 澪「…大丈夫、今日はちゃんと危ない日だから確実に出来るよ///」 律「うわあああ」 澪「子供は5人くらい欲しいな///」 律「まてまて!」 澪「幸せな家庭つくろうな///」 律「そうしたいけども!」 澪「それじゃあ、いただきます」 律「アッー!」 澪ちゃんww -- 名無しさん (2012-01-05 22 06 46) キャー(≧▽≦) -- アクティブ (2012-03-10 12 48 52) これはひどい -- 名無しさん (2012-08-16 11 57 52) 強気な澪しゃん… -- 名無しさん (2012-12-11 21 25 47) 名前 コメント
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軽音部でパーティーをするのは、とても楽しい。 最高に楽しい。 でも、律と二人っきりの時間が減っちゃったのは、少し残念だったかな。 中学三年まで、ずっと二人だったんだから。 こんな事言ったら、バチ当たるよな……。 最低だな、私。 ■ 「ほら梓ー、お前も何かやれよ!」 「いいですよ私は!」 「あずにゃんの一発芸見たーい」 「もう止めてください! ああちょっと唯先輩!」 いつものように。毎年のように開かれるクリスマス会。 ただいつもは25日に開いていたのだけど、今年は24日に行っている。 唯の家のリビングのコタツ。皆がそれに入って、騒いでいた。 コタツの上には丸いケーキと、憂ちゃんの作った豪華すぎる料理が並ぶ。 私はそれを度々口にしながら、律たちが騒ぐ様を見ていた。 一年の時はエアドラム。 二年生の時も、いろんなことをやって皆を笑わせていた。 私も律のそんな姿はとても微笑ましかったし、面白かった。 今年は三年生で、本当なら受験勉強しなきゃいけないけど。 一日ぐらいならいいかって思って、私も律もクリスマス会に参加する。 もう来年からは、ここに揃っているメンバー全員は集まらない。 梓だって一年間、私たち三年とは会えないわけなのだから。 だから、厳密軽音部の最後のクリスマス会だ。 受験もあるし、ここで気持ちを切り替えるのも大切だ。 だから目一杯楽しもうって、皆思ってる。 私だって、楽しむぞってプレゼントも持って来てるし。 パーティー自体も、すごく楽しい。 それは、いいんだけど……。 でも、あんまり律が構ってくれないな。 いや、いいんだけど。律が楽しければそれでいいんだけど。 でも。 胸が痛い。 もし軽音部じゃなければ、律と二人っきりだったかも。 そしたら、もっと私に構ってくれたかもしれない……。 ああ、もう何考えてるんだよ私は! そんなの駄目だろ。軽音部は最高だろ。最高に楽しいだろ。 高校時代を彩ってくれた宝物だろ! それなのに……なんでこんなことばっかり考えちゃうんだ。 ■ 「それじゃあ皆、気をつけて帰ってねー!」 「おー、おやすみ」 「おやすみなさーい」 「おやすみー」 唯の家から出て、別れの挨拶をする。 ムギと梓と別れて、夜の道を律と二人きりになった。 「いやー楽しかったなあ!」 律が空を仰いで切り出した。 私は少し遅れて律の後ろを歩いている。 息が白い。 後ろからだから、律の口元は見えないし表情も見えない。 だけど喋り出すのがわかるくらい、冷たく張り詰めた静寂だった。 「見たか? あのムギの一発芸!」 「……ああ」 「なんか一昨年の奴よりすごくなってたよなー」 楽しかったはずなのに。 なんでこんなに心がモヤモヤするんだろう。 寒さじゃない震えが、心から湧き上がってくるんだろう。 律は時折振り返って笑う。 私以外のことで、そんな顔……――。 「あ、そうそう澪――」 「……」 「……どうした?」 振り返った律。話しかけようとしていたみたいだ。 でも私の表情から察してか、様子を尋ねてくる。 無邪気で、悪戯な笑顔の律。 私は、抑え切れなかった。 叫んだ。 「そんなに皆と一緒がいいなら、みんなと一緒にいろよ!」 「……澪?」 律が驚いてビクッと表情を強張らせた。 だけど私も止められなかった。 「なんなんだよ! さっきから嬉しそうにさ……! 私の気も知らないで、勝手なことばっかり……! 梓と仲良くやってろよ。ムギと楽しくやってればいいんだよ! 唯と一緒に笑いあってればいいんだよ!」 言い終えて、走り出した。 律は追い掛けてこなかった。 帰って寝た。 律は悪くないのに、怒鳴ってしまった。 申し訳なくって、布団に潜って泣いた。 いつの間にか眠ってしまっていて。 朝になっていた。 目を覚ましたら、ベッドの横に律がいた。 ■ 「澪ー……ごめん」 「うるさい」 「……ごめんってばー」 「うるさいうるさい!」 謝りに来た律は、ベッドの横に座ってる。 でも、私の視界は灰色だ。私は布団の中に潜っている。 薄暗い世界の中で、ただ律の言葉を遮ってばかりいた。 こんなことしたって、何にもなら無いのに。 でも、律を否定したい思いだけが募っていた。 律のしたことは、悪いことでもないのに。 でも、悪い事だって反省はしてほしくて。 自分の矛盾が、とても恨めしい。 最低だ、私は。 「……澪、別に私――」 「うるさい。どーせ私なんか、どうでもいいんだ」 どうしても憎まれ口を叩いてしまう。 どうでもいいと、思って欲しくはないのに。 数秒、沈黙があった。 そして。 「……澪、今日は何日?」 ふっと気の抜けたような爽やかな声が聞こえた。 さっきまで謝ってたくせに、何を思いついたんだろう。 私は布団の中で薄暗い世界をみながら、返事をする。 「25日……」 「そうだぜ。今年は受験だから、いつもより一日だけクリスマス会を早く行うことにしたんだよ」 「……だから、なんだよ」 「日付の提案をしたのは?」 「……律」 「だろ?」 だから、なんだよ。日付なんか、何になるんだよ。 私は布団を握り締め、二度と顔を見せてやるもんかって身構えている。 でもそんな私の意地も、律の優しい声の前じゃ馬鹿みたいだった。 「なんでかわかる? 一日早くしたの」 「……受験だからって、さっきも言っただろ自分で」 「それだけじゃ、ないんだ。いやむしろそれは嘘なんだ」 ――何が、言いたいんだろう。 私は布団の中途半端な温もりと、律の声の温かさにも包まれてもいる。 だけど律が何を言いたいのか、さっぱりだった。 「昨日はクリスマスイブ。今日はクリスマス」 「……だから、なんだよさっきから」 「じゃあ今日が本番だって事だろ」 本番って……。 際立って響く声が、心で反響した。 「今日は澪のために空けたんだ。クリスマスは澪と二人って決めてた。 だから受験の為なんて都合よく言って、パーティーを一日早めたんだ。 そうすりゃ、クリスマスは澪と一緒にいられるからって。 毎年、クリスマスは……軽音部でパーティだったじゃん。 だから、高校最後のクリスマスは……25日は澪といたくて」 不安が、胸の高鳴りにいつの間にか変わってる。 私は、律にどうしたいんだ。律に、どうされたいんだ? 高揚する熱が指先に、そして顔にまで伝わっているのが自分でもわかる。 「澪、顔見せて」 「……」 私は、結局律には敵わないと諦めて、布団から顔を出した。 まだ布団から顔を出しただけで、枕に頭を乗せたまま寝ているけど。 ずっと暗い中にいたので、朝の光が眩しかった。 細めた視界に、律がいる。 「おはよう、澪」 「……おはよう、律」 「知ってるか澪? クリスマスの朝は何があるか」 律はベッドの横に頬杖をついて、悪戯っぽく笑う。 クイズかなぞなぞか。それともしょうもない冗談か。 でも私は、律の魅力的な表情に見惚れてしまっていた。 考える暇も無いまま、律は言う。 「目が覚めた子供の枕元に、プレゼントがあるんだぜ」 ――『おはよう澪』。 つまり私は、今目覚めたも同然だ。 律が今頬杖をついてるのは、何処だ。 私の枕元だ。 今日は、何の日だ? 決まってるよ。 クリスマスだろ。 「律……」 「澪……不安にさせてゴメン。でも、澪が一番だから」 「……私もごめん……怒鳴ったりして」 「ああいいよいいよ。 だけど、私の気持ち知ってるんだろ? あんまり不安になるなよな。私はずっと澪が好きなんだからさ」 恥ずかしいことを平気で言ってのける。 不安だった反動か、私は泣き出してしまった。 「……馬鹿律ぅ……」 「な、何ー! 謝っただろー?」 絶対許してやるかって。顔見せてやるもんかって思ってたのに。 こいつの言葉だけで、好きって言葉だけで。 こんなに簡単に、心って晴れるもんなのか。 「澪、こっち向いて」 「……?」 「プレゼントは、私」 律は私の頬に手を添えて、ゆっくりキスをした。 驚いたけど、嬉しかった。 顔を離した律の顔は、ほんのり赤かった。 「今日の私は――いや、もうずっとこれからも、澪のもんだからな」 「……ありがとう、律」 「ほら、澪。キスでもエッチなことでも、お使いでもなんでもいいぞ」 律は臆面もなくそう言った。 なんだよ、どれも今までしたことのあるやつばっかりじゃん。 「じゃあさ、律」 「よしこい澪」 「一緒に、布団入って」 「え、いきなり『する』のかよ?」 「違うよ」 今日一日だけじゃなくて、ずっと一緒にいられるんだから。 さっき律が言った事以外に律とやりたいことなんてたくさんある。 八年一緒にいたけど、私はまだ律に飽きてなんかいないのだ。 一生飽きなんか来ないと断言できるぐらい、好きなんだから。 一生一緒にいるうちの、今日一日。 もう一回のキスもエッチもお使いも、また後でやればいいや。 「律と一緒に、もうちょっと布団に入ってたい」 「……澪」 「寒いから。律も、寒いだろ?」 「……寒いな。寒くて仕方ない。だから、遠慮なく入るぜ」 律は笑顔で私の布団に入ってきた。 「律、もうちょっと向こう行って。私がはみ出る」 「なんだよ、これ以上行ったら私もはみ出る……」 二人でごそごそする。 そのとき、律が思いついたように顔をパッと輝かせた。 「そうだ」 「なんだ、いい案でも思いついたか?」 「その通り」 私は横を向いて寝ている。 律は私と向かい合う。 そして律は、私を抱きしめたのだ。 「なっお前っ……」 「こうすりゃ暖かいし、面積狭くなるから、二人とも布団を被れるな」 「……そ、そうだな」 馬鹿律。 これじゃあ、暖まるどころか熱が出ちゃうだろ。 私の理性が壊れないか心配だよ。 「メリークリスマス! 澪!」 「め、メリークリスマス…律」 「なんだよもっとしゃっきり言えよー」 「……あはは!」 私にとって、律はサンタさん。 律にとって、私はサンタさんなんだ。 メリークリスマス。 ■終■ いい -- 名無しさん (2012-01-16 17 21 40) 名前 コメント
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受験を終えた三年生は、それぞれアンケートというものに答えるように言われている。 例えば、『志望校を決めたのはいつ頃でしたか?』『一日の勉強時間は?』 『受験に際して何か心掛けたことはありますか?』というような質問群だ。 三年生の回答は、来年の三年生――つまり今の二年生の進路指導に役立てられるとか。 私もその一つ上の先輩が答えたアンケート結果を読んだ覚えがある。 そんなわけで、今日の最後の授業は一時間使ってこのアンケートに答えるというものだった。 三年生は自由登校なのだけど、卒業式も近いので今日は全員登校している。 律は退屈そうに一番前の席に座っているし、唯もムギも皆揃っている。 質問自体は三十問ほどあって、なかなかに大変そうだと私は思った。 すでにN女子大に私を含む軽音部メンバーは合格している。 そんな受験の体験を、私はなんとか思いだしながら質問に答えていくことにした。 第一問。得意教科は何ですか。 第二問。苦手教科は何ですか。 第三問。部活は何をやっていましたか。 第四問。本格的に勉強を始めたのはいつ頃からですか。 第五問……―― 何気ない質問ばかりだけど、私は結構真面目に答えていっていたので、時間を割いてしまった。 ふと時計を見ると、残り二分。やばい、放課後に提出しなきゃいけなくなる。 私はあと八問ほど残っていることを悟ると、急いで鉛筆を走らせた。 二十四問。面接の時……――あ、これは私には関係ない。 二十五問。赤本は何冊使いましたか。えっと、三冊だったかな。 テキパキと答える。よし、この調子だと全部答えることができそう。 二十六問。 受験生活で、支えになった人はいますか。それは誰ですか。 手が止まった。 同時にチャイムが鳴った。 ■ 書き終わったら職員室に持ってきてねと先生に言われた。 放課後になったので、教室はがやがやと騒がしくなる。 「なんだ澪ー、終わらなかったのか?」 「け、結構真面目に書いてたからなっ」 律が近寄ってきてからかうようにそう言った。 私は律の顔を見ると急にドキッとして、ちょっと言葉が安定しなかった。 いつも通りかもしれないけど、ちょっとぶっきらぼうに返事をしてしまう。 唯とムギも近くにやってきて、笑いかけてきた。 「結構難しいものね」とムギ。 「じゃあ部室には先に行ってるね」と唯が言った。 「じゃーな澪。早く来いよー」と最後に律が付け加える。 私は三人の――律の後ろ姿が教室から出て行くのを、ちょっとモヤモヤしながら見ていた。 溜め息を吐いてアンケート用紙に目を落とす。 支えになった人。 受験生活で、支えになった人はいますか……。 支えに……。 考えれば考えるほど、律の顔が浮かんでくる。 教室は、帰ろうとする人や部室へ顔を出してみると言う人で溢れてる。 皆ほとんど受験が終わってるから、心持穏やかだった。 会話が弾んでるのもその証拠。 でも私は一人だけ席について、頬杖を突いて唸っている。 この二十六問目だけが、悩ましかった。 受験生活で私を支えたのは、家族や友達……。 だったらそう書けばいい。きっとそういう答えを学校は望んでる。 だけど、本当に私を支えたのは――律だったんだ。 律は私を頼ってばかりだったけど、でも私は楽しかった。 律が点数上がって喜ぶのを見ると嬉しかったし、何より律の笑顔は本当に可愛くて。 一緒に勉強したり、一緒に学校に行ったり、お泊まり会で二人だけで勉強したり。 別に受験生活じゃなくて、年がら年中そうだけど、でも。 本当に、律がいてくれてよかったって思うんだ。 ……でも、そう思うのは、私の心の中だけにしよう。 先生や学校のアンケートに、律の名前を書くの、ちょっと忍びないものな。 心の中で思っておけば、それで……。 私は自分に言い聞かせるように笑い、二十六問目に『友人』と書いた。 ■ 質問に全部答え終わって、職員室へ赴いた。 ところがさわ子先生はいなかった。 まあ直接じゃなくても、先生の机の上に置いておけばわかるかな。 そう思って先生の机に行き、アンケートを机の上に置こうとした。 が。 「ん……?」 先生の机の上には、当たり前だけど、さっき回収した皆のアンケートがまとめて置いてあった。 ――律は、最も支えてくれた人、誰って書いたんだろう。 そんな疑問が湧き上がった。 キョロキョロ辺りを見回す。先生はたくさんいるけど、誰も私を気にしていない……。 見ちゃ駄目だ。大切なアンケート……見るべきじゃない。先生がいないからって! と心では思っているのに、私の指はゆっくりそのアンケートの束に伸びていた。 名前のところだけ見ながらペラペラとめくり、律の分を探す。 もう収まりがつかなかった。 あった……。三年二組、田井中律。 ――息を呑んで、ゆっくりと二十六問目に目を落とす。 『澪』 数秒。いや数十秒、息が止まった。 そして、自分でもわかるぐらい顔が熱くなってきたのがわかった。 ば、ばばばばば、馬鹿馬鹿、もう恥ずかしい! 馬鹿律! 誰もいないのに私一人恥ずかしくなって、口をわなわなさせ始めてしまった。 なんで私の名前堂々と出せるんだよ……う、嬉しいけど……。 「秋山さん」 「えっ、あ、はい!」 いきなり名前を呼ばれたので、驚いて条件反射にアンケートの束を机に戻す。 振り向くとさわ子先生が立っていた。 「何してるの?」 「あ、いえ。なんでも、ないです」 どうやらアンケートを盗み見ていたのはバレてないみたいだった。 しかし、律が私の名前を二十六問目に出してくれていたことへの嬉しさで、高揚している。 先生が「何をニヤついているの?」と聞いてきた。どうやら顔に出ていたらしい。 なんでもないですとまた言うと、先生は首を傾げた。続けて先生は言う。 「アンケート出しに来たんでしょう?」 私はまだ自分の分のアンケートを手に持ったままだった。 はい、と先生が手の平を差し出してきた。渡せば私はもう用はない。 ただ、私はすぐに先生にそのアンケート用紙を渡すことができなかった。 高揚は冷めて、冷静すぎるくらいに自分の回答を見直す。 もう恥ずかしさもなくなっていた。 律は、私が支えになったと堂々と恥ずかしげもなく書いてくれたのに。 私は……私は、恥ずかしいからって友人って濁しちゃうの? 本当に律が支えになってここまでこれたのに、それも隠しちゃうのか私。 『澪』――。文字が頭に思い浮かぶ。 律は、あの質問に、間髪いれずに私の名前を書いてくれたんだろうか。 何の迷いもなく、私の名前を書いてくれたんだろうか。 学校側は望んでないとか、心の中でとか言い訳してた私が恥ずかしい。 支えになった人はいますか。います。それは誰ですか。 誰ですか――。 それは。 「先生、鉛筆貸してください」 「いいけど、何するの?」 「回答、一つだけ書き直します」 ■ アンケートをまとめなきゃいけない。 澪ちゃんが一番最後だったから、これで全員ね。 私は一人一人のアンケートを整理し始めた。 ……―― 【第二十六問】 受験生活で、支えになった人はいますか。それは誰ですか。 A、澪 「りっちゃんったら、ここでも澪ちゃんの名前を……まあ当たり前か」 【第二十六問】 受験生活で、支えになった人はいますか。それは誰ですか。 A、律 「さっき書き直したのこれね。もう、ラブラブじゃないの」 おわる。 二人の絆が伝わる -- アクティブ (2012-02-10 17 32 20) 名前 コメント
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12月25日。今日はクリスマスだ。 街は色とりどりの電飾で綺麗にライトアップされ、プレゼントを待ちわびる子供達と愛を育む恋人達で賑わっている。 しかし、私は全くそんな浮かれた気分にはなれなかった。 「一人で過ごすクリスマスってこんなに寂しいものなのか…」 大学を卒業してから東京の企業に就職した私は、上京してアパートで一人暮らしを始めた。 以前の私なら一人暮らしをするなんて到底考えられなかった。 だけど律やみんなのおかげもあってか、大学生活の4年間を通じて私は成長した。 なんだかんだで都会での一人暮らしにも慣れて、そこそこ充実した毎日を送っていた。 でも、クリスマスに家で一人っきりという初めての経験は中々つらい。 そうか…私、高校1年の時から大学を卒業するまでクリスマスはいつも軽音部のみんなと過ごしてた。 律とは小学生の時からだから軽く10年くらいは一緒にクリスマスを過ごしてきたことになる。 あまりに当たり前過ぎて毎年気にしてなかったけど、みんなと過ごしたクリスマスは本当に楽しくてかけがえのないものだった。 それなのに、いきなり一人っきりのクリスマスだもんな… 「はぁ…。楽しかったなぁ…」 みんなでプレゼントを交換したりしたっけ。さわ子先生に当たるプレゼントはいつもひどかったよなぁ… ムギの一発芸もすごかったし、憂ちゃんの作る料理もおいしかったよな… それに何よりも律が楽しそうに笑っていた顔が忘れられない。 私達は大人になった。だから、もうあんな風にふざけたり、馬鹿騒ぎしたりすることはできないんだろう… ワンルームの狭い部屋でただテレビの音だけが賑やかに鳴り響いている。 会社帰りに何となくコンビニで買ってきたショートケーキも全く食べる気がしない。 もう一度あの頃に戻りたい…もう一度みんなと一緒に騒いでクリスマスを過ごしたい… 「…っ……」 あれ…?私、泣いてる…? なんで…? 一人っきりで寂しいから? 馬鹿だな、私… せっかく一人暮らしに慣れてきてしっかりしてきたと思ってたのに… 今更ホームシックにかかるなんて… ―――こんなんじゃ駄目だ 分かってるのに涙が全然止まらない。 なんで…だよ… やっぱり私、一人じゃ駄目なのかな… 律… 「…ううっ……りつぅ…りつぅ…」 ―――ぴんぽーん 「……へ?」 ―――ぴんぽーん 突然、部屋のインターホンが鳴った。 な、なんだ…? 誰だよっ…こんな時間にっ… どんどんどんっ!!! 「ひっ!」 「おい!こらっ!澪っ!いるんだろっ!あけろっ~!」 え…嘘だろ… この声って… 私は驚きと信じられないという気持ちとで玄関の扉を開けた。 「じゃじゃ~ん!りっちゃんサンタだぞ~!澪~、ひさしぶりー!」 夢…じゃないよな… 扉の前にはサンタクロースのコスチュームに身を包んだ律が満面の笑みで立っていた。 「あれ…?澪…もしかして泣いてた?目が真っ赤だけど…」 あ…しまった… 「あ~!!もしかして澪しゃん、一人で過ごすクリスマスが寂しすぎて泣いちゃってたのかな~?」 「そ、そんなわけないだろっ!!馬鹿っ!!それよりもなんなんだお前!こんな時間にいきなりっ!」 「だからさっきも言ったじゃん。私はりっちゃんサンタ。一年間いい子にしてた澪にプレゼントを持ってきたってわけ」 「なんだそれ!?意味がわから… 「ちょっと澪!寒いから中に入れろよ!」 律は私の横を通り抜けて部屋の中へするりと入り込んでいった。 そんな…嘘だろ… 私はまだ自分の目を疑っていた。でも、部屋の中に勝手に入り込み、勝手にくつろぎ始めているあいつは律以外の誰でもなかった。 「澪~、このケーキすげーうまい!」 「うわっ!なに勝手に食べてるんだ!」 とりあえず鉄拳制裁。 「いたい…澪ぉ…」 「…ったく。…ていうか全然意味が分かんないからさ。ちゃんと説明してくれよ。それになんなんだよそのカッコ…」 私の中のセンチメンタルな気分は突然の来客によって吹き飛ばされた。 それどころか、久々に見る律があまりに変わってなくて… 私は弾む気持ちを出来るだけ抑えて律に問い詰めた。 「ん…、まぁさ…。なんて言うか、久々に澪の顔が見たくなったから…かな…」 「え…」 「へへっ!…ていうか私達毎年一緒にクリスマス過ごしてたじゃん?それが突然無くなるのもなんか……な?」 あ… 律も私と同じこと思ってたのか… あの気持ち…私だけじゃなかったんだ。 「律…実は私もそう思ってたんだ。…律が来てくれて良かったよ」 「あ!やっぱり!…澪、寂しくて泣いてたんだ!?ふふっ、かわいいなー、澪はー!」 …なんか無性に腹が立つ。 …こいつには何でもお見通しってわけか。 でも、本当に良かった…。律が来てくれて…。 「そうそう、澪!それで、りっちゃんサンタからのプレゼントがあるんだけど」 「えっ、なに!?」 「これ」 律が嬉々とした顔で何かを差し出してきた。 こういう場合、まともなプレゼントであった試しがないけど… …とりあえず乗ってあげることにした。私はやけに綺麗に包装された紙を開けた。 「なんだ、これ…」 「あ、これウサミミとバニースーツ。ほら、来年うさぎ年だから澪に着てもらおうと思って!」 「お前はいつからさわ子先生みたいになったんだよ…」 「それに寂しがり屋の澪しゃんはうさぎみたいにかわいいしね!」 「あほかっ!」 鉄拳制裁。 「いたー…」 ―――ぴんぽーん 律と少し話をしているとまた家のベルが鳴った。まったく今日はいったいなんなんだ… 「…ったく誰だよ、こんな時間に!変質者とかじゃないだろうな…」 いや、お前もさっきこんな感じで来たんだぞ… でも本当に誰だろう…? 「えへへー、私も来ちゃったよ~!澪ちゃーん!」 「どうも、こんばんわ澪先輩律先輩。遅くにすいません…」 「まんぼうのまね~~」 …ってなんで唯と梓とムギまで来てるんだよ! 「ああー!そういえば私が誘っといたんだったー!これで全員集合だー!」 やっぱり律の仕業かよ! そういうのは普通私に連絡してからやるもんなんじゃないですか… それにワンルームのこの部屋じゃちょっと狭いし、あんまり騒ぐと苦情も来かねない。 …でも今日は怒るのはよしておこう。これも律なりの私への気遣い…だよな? 多分。 「おい、澪。澪は一人じゃないからな。私がいるし、それにみんながいる。ずっと一緒だぞ!」 「うん、わかってるって」 ありがとうな、律…。 「律先輩なんなんですかその衣装気持ち悪いです…」 「あずにゃーん!こんなところにうさみみがあるよ!これつけて~!」 「まんぼうのまね~~」 おわーりーめりーくりー 名前 コメント
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「なぁみおー明日どっかでかけようぜ」 「あっごめん律、明日も撮影なんだ」 「そっか、あれ明日だったか。じゃあしょうがないな」 最近澪は撮影とかの仕事で忙しい。最後に二人で遊べたのはいつだったかな… でも仕方ないよな。HTTの人気があるのはいいことだ。 HTTの中で澪の人気は高い。まあ学生時代からFCがあったくらいだしな。 こい…親友の私としても鼻が高い。ちなみに私はというと残念ながらそれほど 人気はない。まあとくにかわいいってわけじゃないししょうがない。 だからツーショットの撮影なんかだと澪、唯、梓の中の二人という組み合わせが多い。 澪は当然ながら、唯はやっぱりあのぽわぽわした感じが癒されるっていうか、人気が 出るのはうなづける。梓だって小さくてかわいい。あのツンデレっぽいっていうのか? 私から見てもかわいいと思う。やっぱ絵になると思うよ。私なんかじゃ… こんなこと考えちゃダメだ。でも考えちゃうよな。私と澪じゃ釣り合わないかもってな。 くだらねー。今日はもう寝るか。 あーあ。せっかく律が誘ってくれたのにな。 でも、しょうがないよな。撮影も大事な仕事だ。でもどうせなら律と一緒に写りたいな。 最近律とゆっくり会えてないし…そうだ!明日律も撮影スタジオにこないか誘ってみよ。 撮影終わったら一緒にどこか行きたいな。よしメールメール。 ドンナニサムクテモ~♪ ん?澪からメール?一緒にスタジオ行って終わったら遊びに行く、か…どうしよ…うん せっかく澪が誘ってくれたんだから行くか。 澪と待ち合わせしてスタジオへ。今澪は控え室で今日の撮影用の衣装に着替えている。 今日は梓と撮影だったな。梓、またかわいくなってたな。二人ならぶとホント絵になるよ。 あ、澪が出てきた…って、え?水着?梓も…。まあいまさら水着で撮影なんて驚くこと でもないんだけど。でもちょっと待てよ、寝そべった梓に澪が上から覆いかぶさるとか ちょっと際どすぎないか?やめてよ…そこは私の…ははっ何考えてんだ私。みっともな。 「いいわよいいわよ~澪ちゃんも梓ちゃんも輝いてるわ~」 カメラマンがシャッターを押していく。女性でもカメラマンっていうのかな? 確かに二人とも輝いてる。今の私にはちょっと眩しいかな。 「やっぱりあの二人は絵になりますね。リーダーとしても鼻が高いでしょう」 スタッフの一人が話しかけてきた。 「そうですね。HTT自慢の美女二人ですから。リーダーとしても親友としても自慢です。」 チクリ…胸が痛んだ。 撮影の途中だけど私はスタッフのみんなに挨拶してスタジオを出た。 「あーりっちゃん!」 「あれ?唯、どうしてここに?」 「あずにゃんを迎えにきたんだ~。撮影が終わったらごはん食べに行くの」 せっかくだからと唯と近くの喫茶店で一緒に撮影が終わるのを待つことにした。 「りっちゃん聞いて聞いて~次のポスターは私とあずにゃんで撮れることになったんだ~」 「知ってるよ。よかったじゃないか」 「りっちゃんと澪ちゃんもツーショットの撮影の仕事くるといいね」 「あー私は無理だろ、澪や唯と比べると人気とか全然だし」 「えーりっちゃんかっこいいのに」 「ははっ…ありがとな唯」 「りっちゃん?」 「ところでさ~」 唯と二人で他愛もない話で盛り上がっていると 「あっいたいた。唯先輩!律先輩!」 「もーなんでスタジオで待っててくれなかったんだ?」 「おじゃましますね。」 澪と梓、それからさっきのカメラマン?の人がやってきた。 「せっかくだからみんなで昼食でもってことになったんだ。」 なるほどね。こういう付き合いも大事だと思うし。いいことだと思う。 先ほどの撮影の話題で盛り上がる3人。唯なんか目輝かせてわー澪ちゃんとあずにゃんの セクシーピンナップとかたのしみーとか言ってる。 私はちょっと会話に取り残されてる。 「そういえば律!なんで私にもメールくれないだよ」 「え?いや、唯が梓にメールしてたからいいかなって」 「なんだよ冷たいな。撮影中だって途中で出てっちゃうし…寂しいだろ…」 「え?あ?ごめん」 「お二人は本当に仲がいいんですね。」 「まあ、私と澪は幼馴染でこ……親友ですから…」 「律?」 「そーそー。高校の頃なんて学祭の劇で二人がロミオとジュリエットやったんだよ~」 「あれは凄かったですね。観てて本物のロミオとジュリエットかと思いました。」 「たくさん練習したからな。それにジュリエット役が律だったし」 「そうなんですか?私はてっきり澪ちゃんがジュリエットかと」 「あはは、よくいわれますよ。やっぱり私がジュリエットとか似合いませんよね」 「そうですか?けっこう似合うと思いますよ。本当にお二人はいい関係ですね」 「ええ。律は昔から私を支えてくれてる幼馴染で親友で…一番大事な人ですから」 澪…ありがと。私、何一人でグズグズ考えてたんだろ。澪のその一言で私の心が一瞬で 晴れ渡った。我ながら単純だ。呆れるね。 「まー澪しゃんはホント手間がかかる子でしたからね~」 「うるさいな」 「澪は~私がいないと~ダメダメで~すぐ泣いちゃうし~」 「調子に乗るな!」 ガツン 「あーあまた始まったよ~ほんとあきないよね~あずにゃん」 「ほんとですよね。あと唯先輩離れて下さい。」 「この二人…いいかも…」 みんなと別れて二人で歩く。 「さー澪しゃん。これからどこいこっか」 「律」 「んー?」 「律は私の大事な大事な恋人だからな。変なとこで寂しがるなよ」 「もー澪しゃんたらどったの急に。恥ずかしいこといって~」 「茶化すな」 ゴチン 「あてっ」 わかってるよ。ありがと澪。だいすき。あと、ごめんな。 ぎゅっ。私は澪の手を握った。 「律///」 「さっデート行こ!今日はとことん遊びまくろうぜ!」 今日は絶対この手を離してやんないんだからな。 一ヶ月後 リツミオデドウダ♪ ん?律から電話だ。どうしたんだろ。 『みおー、澪にまた撮影の仕事がきたぞー』 「またか…今度はどんな撮影なんだ?」 『ふっふっふ~よろこべ!私と澪のツーショットだ!!』 「ほんとか!久しぶりだな!」 『おっ澪、うれしそうだな~』 「そっそんなことないぞ」 『私は嬉しいよ』 「えっ」 『大事な恋人と二人で写れるんだからな!楽しみだな!じゃあな!』 「あっちょ律!」 きれちゃった…。まったく恥ずかしいこといって…。でも、私は顔がにやけ てしまうのをこらえることができなかった。 律とのツーショット、楽しみだな。 その撮影が何故か私がタキシード、律がウェデングドレスで何故かHTTメンバー が全員見学にきてて二人で全力で照れて撮影にとんでもない時間がかかったのは また別の話。 ムギがナチュラルにハブられてるな -- 名無しさん (2011-01-18 00 15 58) 名前 コメント
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838 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/06/30(火) 05 10 06 ID ykuBE/ON 「ゆうえんち!」 1/2 (にちようび、遊園地にやってきたけいおん部一同) 律&唯「うおー!でっけぇー!!」 律「ごわぁー!人がごみのようだー!」 唯「りっちゃんみてみて!私ぜったいあのパンダ乗りたいっ!」 梓「そんなことしてないでさっさと入りましょう。パンダもそれからですよ、せんぱい。」 (皆順番に入場を終えてそろそろと園内を歩き出す。) 律「いやぁー、ついに来ちゃったねー、ゆーうえんちっ!」 澪「律が急に来たいって言い出したからだろー。それに唯が行く行くって駄々こねるから仕方なく・・・」 律「まぁまぁみおさま~、そんなこと言って、内心来てみたかったんでしょう?」 澪「わ、わたしは律が来たいって言わなきゃ来なかったもんっ!」 律「ほほぉー、いやぁ~そう面と向かって言われちゃうと照れるな~」 澪「あ、こら律、そういう意味じゃなーい!待てー!」 唯「仲がよろしゅうござんすわねー」 紬「まったくだねー」ニコッ 澪「そういえばさ、紬はこういうトコ初めて?すごく楽しみにしていたみたいだけど」 紬「ええ、そうなんですっ。だから今日はみんなと来れてうれしくって」 律「うはー、まじかよっ、さっすがお嬢様は違うねぇー。遊園地は世俗で満ち満ちておりますっ!」 唯「ええ゛っ!?ってことはジェットコースターとかおばけ屋敷とか、むぎちゃん入ったことないの?」 紬「ええ・・・まぁ一回くらいだったらあるんだけど・・・」 澪「ん?でもさっき遊園地来たことないって言ってたよね?」 紬「うーん・・・えーとね、以前お父様がこの遊園地を貸し切りにしてお誕生日をお祝いしてくれたんだけど」 律&唯(ビクッ!!) 紬「そのときはもう暗くなってしまっていて、他のお客さんもいなかったから・・・ 真っ暗なゆうえんちってほら、怖いじゃない? それに私その頃まだ小さかったし、だからよく覚えてないの・・・」 律&唯(びくびくッ!) 澪「ああ、それで昼間に来てみたかったってことなのね」 紬「そうなの・・・それでね、今日はみんなも一緒だし、それで私としては初めてなのかな、って」 梓「みなさんがいれば安心ですもんね」 律「よ、よーしっ!じゃあ今日はめーいっぱい楽しんじゃおーぜぇ!」 唯「そうだね!そうしよう!じゃあまずはーアレから入っちゃおう!」 考えなしに前方を指差す唯。 その先にはお化け屋敷。 839 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/06/30(火) 05 10 59 ID ykuBE/ON 「ゆうえんち!」 2/2 澪「ひゃわっぁ・・・」 唯「あれ?そっかみおちゃん怖いの苦手だっけーそれじゃ何かべつのにしよっかー」 律「そうだなーさすがの澪ちゃんもあれだけは攻略不可能だかんn」 紬「私アレ入りたい!」 一同(えっ・・・?) 紬「ゆ、夢だったの、おばけやしきっ!」 澪「な、ならししかたがないな、よし、ははいろう」 唯「みおちゃんだいじょーぶ?気絶とかしない?」 律「・・・よ、よーしっ!私にどーんとまっかせなさーい!」 二人ずつペアになって、おばけ屋敷へと吸い込まれて行くけいおん部。 澪「りつー、りつー」 律「わーかってるって、ちゃんとここにいるよ私は」 澪「ひゃあうわんっ!!」 律「どっ、どうした澪!」 澪「わかんないけどなんか地面がガタって鳴ったよぉ~こわいよぉ~」 律「いやそれ単なる老朽化だから・・・」 どんどん二人は深へと進んでいき、ついにおばけ屋敷は佳境へとさしかかる。 お化け女「ドロドロドロドロドロ・・・お皿はいらんかねぇ~」 律「あははは!ばかみたい!足りないのにお皿をあげちゃだっめじゃーん」 お化け女「・・・あっ・・・ドロドロドロドロ・・・お皿が足りんかねぇ~」 律「あれ?そういえば澪は?やばっ!もしかしてはぐれた?」 律「みおー。みおー!みーおー!」 澪「・・・グスン・・・・ぐすん」 律「お、いたいた、駄目じゃんかー探したんだぞー」 澪「きゃあっ!誰だよ私の手を触ったのっ!うわぁ!」 律「おいちょっと人の話を聴けって」 澪「うわぁっ!今度は冷たいこんにゃく状の何かが!」 律「もう」 澪「きゃっ・・・今度はまた手に・・・わわわあわわわたすけて!たすけてよりつぅー!」グイッ ギュッ あれ・・・?・・・この手あったかい・・・それにどこかで・・・ 澪「・・・り、律?」 律「・・・うん、もう、ずっと一緒にいたのに。澪のばか」 出典 【けいおん!】田井中律は姉御肌可愛い31【ドラム】 このSSの感想をどうぞ 名前 コメント すべてのコメントを見る