約 457,099 件
https://w.atwiki.jp/83452/pages/8499.html
1 紬としずか ※けいおんの木下しずかちゃんの事です。 信代「日本一のクラス!」 1 信代和 ※けいおんの中島信代の事です。 2010/10/24 http //yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1287930311/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る 信代×和はねぇ 最後に和が信代にさらりと告白するシーンもどこをどう解釈していいやら。 内容は感動も少し入っていいにはいいんだけど、想像の余地が難しいですな。 しずか×ムギは良かったです。 -- (名無しさん) 2014-04-23 02 12 23 しずか可愛いなぁw この二人は席近いから妄想膨らむわw -- (名無しさん) 2012-10-09 20 06 12 ムギしずかは良いとして、信代和というのは… 和をモブと組ませるなら姫子とだろうな。 -- (名無しさん) 2012-07-01 22 41 29 のぶよって単語見るだけで吹き出すようになった...死にたい -- (涙) 2011-12-13 13 24 16 最近 信代が出るだけで笑ってしまう… すまん信代 -- (匿名希望) 2011-12-04 22 30 41 しずかにのぶよというとどうしてもドラえもんを思い出してしまう -- (名無しさん) 2011-07-07 16 53 31 しずかかわいいな。 信代の方も素直によかった。 だが、モブは姫子、いちご、エリ、アカネ、しずか、信代以外は名前と顔が一致しない。 -- (名無しさん) 2011-05-13 14 30 32 信代アネキ…… -- (名無しさん) 2011-05-13 10 53 30 しずか可愛い -- (名無しさん) 2011-04-10 04 30 10 信代和とかキングオブ誰得だろ… まあ良かったけど -- (名無しさん) 2010-11-17 01 25 11
https://w.atwiki.jp/tesu002/pages/986.html
唯「!!?」 唯「ギー太、どうしよう話って何かな?」 ギー太「これは奴らの謀略に違いないね」 ギー太「十分注意して行くんだよ」 ギー太「大丈夫、君が本当にピンチな時には」 ギー太「僕が宇宙船に乗って助けに飛んでくるからね」 唯「うん、ありがとうギー太」 唯「行ってくるよ!」 … 唯「和ちゃん、いらっしゃい」 和「ええ、おじゃましてるわ」 唯「えへへ、それで話って何かな?」 憂「ねえ、お姉ちゃん、今日お薬ちゃんと飲んだって言ってたよね?」 唯「うっ、うん飲んだよ…」 憂「嘘でしょ?」 唯「!!?」 和「唯、本当の事を言ってちょうだい!」 唯「の、飲んだよっ、本当だよ!」 和「じゃあ、これは何?」 サッ 唯「!!?」 唯「えっ、私のお薬……」 唯「何で和ちゃんが……?」 和「唯、これはね、澪が見つけてくれたのよ」 唯「澪ちゃんが!?」 和「そうよ、職員用トイレでね」 唯「!!?」 唯(やっぱりだ!澪ちゃんはスパイ!) 唯(やられた!くそっ、くそっ!) 唯(もう軽音部だって信用できないんだ!) 和「唯、あんた、職員用トイレでお薬捨ててるでしょ?」 唯「ううっ……」 憂「お姉ちゃんのバカっ!」 憂「ちゃんとお薬飲んでないと、学校にも行けなくなるし」 憂「私達も一緒にいられなくなっちゃうんだからねっ!?」ウルウル 唯(ばれた、こいつらにバレタっ!私は、もうお終いだ) 和「ねえ、お願いよ唯、あなたのためなのよ」 憂「おねえちゃん、言うことを聞いて」 和「明日からは私がちゃんと、お薬飲むところを確認するわね」 憂「お願いします」 唯「そんなっ!?ダメっ!!!」 唯「わーっ!!!」 ダダダダ 和「部屋に逃げたわっ!」 憂「おねーちゃーん!!!」 唯の部屋! ドンドン! 憂「おねーちゃん!開けてっ開けてよ!!!」 唯「イヤだ!あっちに行けっ!!!」 和「憂ちゃん、今はそっとしておいた方がいいんじゃない?」 和「追い詰めたら逆効果よ、話しは落ち着いてるときにしたほうがいいわ」 憂「はい……」 唯「あいつらにばれた!どうしよう、どうしようっ!!!」 唯「澪ちゃんめっ!よくも騙したなっ!!!」 唯「私は殺されちゃうのかな!?イヤだ、イヤだよっ!!!」 唯「でもなんで澪ちゃんが!?」 ギー太「それはムギちゃんのお茶のせいさ」 ギー太「唯ちゃん以外は毒を抑える飲み方を知らないし」 ギー太「アイスで解毒出来てない」 ギー太「完全に奴らに洗脳されてしまったんだね」 唯「そんなっ!?」 ギー太「もはや軽音部は君の友達なんかじゃない!」 ギー太「完全なる敵だ!!!」 唯「!!?」 ギー太「軽音部を殺せ」 唯「えっ、でも……」 ギー太「軽音部を殺せ」 唯「みんなは、私の……」 ギー太「軽音部を殺せ」 唯「大切な……」 ギー太「軽音部を殺せ」 唯「お友達……」 ギー太「軽音部を殺せ」 ギー太「軽音部を殺せ」 ギー太「軽音部を殺せ」 ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」 ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」 ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」 ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」 ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」 ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」 ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」 ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」ギー太「軽音部を殺せ」 …… 梓「ん?なんだろ、メールだ」 梓「!!?」 け い お ん ぶ を 殺す 梓「なに?これ……」ブルブル …… 紬「唯ちゃんっ!しっかり!!!」 唯(えっ?ムギちゃんだ) 紬「だいじょうぶよ、必ず助かるわっ」 唯(あれ?どうしたんだろ) 唯(また分んなくなっちゃったよ) 唯(あれ?どうして、体が熱い、動かない) 唯(でも意識だけはハッキリしてる) 唯(私、どうしちゃったんだろ?) 澪「うわぁぁぁあああっ!!!!?」 澪「何だこれぇ!!!!?」 澪「なんなんだよーっ!!!!?」 紬「澪ちゃん、落ち着いてっ」 澪「私はっ、そんなつもりじゃっ!!!」 澪「私はっ、唯がっ!!!」 澪「唯が恐がるからっ、なだめようとっ!!!!!!」 澪「違うんだっ、違うんだぁーっ!!!!」 紬「澪ちゃん、刃物を捨ててっ」 唯「……」 唯(私が澪ちゃんを恐がる?) 唯(なんで私が大切なお友達の澪ちゃんを恐がらなきゃいけないの?) 唯(あっ、そうか) 唯(澪ちゃんはあいつ等の仲間か) 唯(だから恐がってたのか……) 唯(それって、変なの) 唯(なんだか、どれが現実で、どれが妄想かわかんないや) 唯(今日はお薬のんだんだっけ) 唯(わすれちゃったな……) 澪「わあーっ!、唯ーっ!!!」 紬「唯ちゃん、寝ちゃったらダメよ!」 唯(ああそうか……) 唯(思い出したよ) 唯(私、澪ちゃんに刺されたんだった) 唯(死んじゃうのかも) 唯(でもいいよ、澪ちゃん、気にしないで) 唯(私は澪ちゃんの気持ちがわかるよ) 唯(私は高校に上がる前から病気だった) 唯(自分の妄想と、現実が分からなくなっちゃう病気) 唯(和ちゃんと憂に協力してもらって) 唯(お薬飲みながら治療してきたんだ) 唯(他のみんなには内緒にしてたけどね) 唯(でも、まさか澪ちゃんまで同じような病気になっちゃうなんて) 唯(だから、わかるよ) 唯(澪ちゃんは、病気のせいで、私達を信用出来なくなって) 唯(ココまで来たら、今度はメールのせいで、自分まで信用できなくなちゃって……) 唯(ごめんね澪ちゃん) 唯(きっと、そのメールは私が送ったんだ) 唯(出来れば最後に、みんなに謝りたいな) 唯(そして、伝えたいな) 唯(人の頭も、心も、不安定なもの、電気信号、化学物質) 唯(信用ならないものなんだ) 唯(病気になったり、そうでなくても、ちょっとしたつまらない事で) 唯(コロコロ変わっていっちゃうの) 唯(だけど) 唯(私がみんなの事を、頭で敵だと思っていた時も) 唯(私はみんなを愛していたんだよ) 唯(絶対に証明できない本当だよ) 唯(澪ちゃんだってそうだよ) 唯(私達が信用できなくなったときも、私達を愛していたんだよ) 唯(ものを忘れる病気のお年よりも、意識がなくて眠った人も、喧嘩別れした相手だって) 唯(本当は……) 唯(だから、私が死んでも) 唯(死んじゃっても……) 唯(みんな……) 一ヵ月後 唯「澪ちゃん!」 澪「唯、久しぶりだな」 唯「えへへ、なんか照れくさいね」 澪「ふふ、そうだな」 澪「それで、怪我はどうだ?」 唯「大したことなかったよ、もう治っちゃってるよ」 澪「でも、痕が残ったりしたんじゃないか?」 唯「そんな、ちょっとだけだよ」 澪「改めてすまなかった」 澪「私はお前を殺しちゃうとこだったんだ」 唯「そんなー、大げさだよー」 唯「それに、あれはワザとやった訳じゃないし」 唯「私にも責任があるから……」 澪「唯……」 唯「それに、この痕のお陰で助かることもあるんだよ」 澪「助かること?」 唯「もし私が、また大切な人を疑いそうになった時は」 唯「この傷を見て思い直してるの」 澪「そっか……」 唯「ほらっ、今日はみんなも待ってるよ」 澪「学校に行くのも久しぶりだな」 唯「澪ちゃんは、もう高校に復帰できそうなの?」 澪「ああ、しばらくは薬が手放せないだろうけど」 澪「もう直ぐ通えるようになりそうだ」 唯「そっか」 澪「唯は?」 唯「えへへ、秘密」 澪「……」 澪「焦らずにな」 唯「うん、ありがとう」 澪「ところで、あの事件の日に、倒れたお前が」 澪「私に何か言おうとしてた気がしたんだ」 澪「何を言おうとしてたんだ?」 唯「んー……」 唯「恥かしいから内緒!」 澪「なんだよっ、もう!」 唯「澪ちゃん」ダキッ 澪「わっ!急にくっ付くなよ///」 唯「いいじゃん」 唯「澪ちゃんと私は同じ病気を共にした心の友でしょ?」 澪「共にしたものが、もっとカッコいいものだったら良かったけど……」 唯「だからね、澪ちゃんにだけは教えてあげる」 澪「ん、なんだ?」 唯「実は私が助かったのは、ギー太のお陰なんだよ」 唯「私が死にかけた時、時間を止めて宇宙船でかけつけてくれたの」 唯「止まった時間の中で宇宙の医療で私を救ったの!」 澪「!!?」 澪(やれやれ、こいつはまだ時間かかりそうだな) 澪(だけど、唯は唯だしな……) 澪(まあ、いいか) 唯「ほらっ、みんな待ってるよっ」 澪「ああっ、早く行こうっ!」 お わ り 戻る あとがき ※唯は完全に統合失調症 幻覚や妄想は薬で抑えられるが、その薬を捨てていたので完全に妄想の虜になっていた 病気を知っていたのは憂と和だけ 澪も同じ病気で、微妙に迫害妄想がある こんな感じ? 278 ※で、実際の事例というのは? 277 読み直してみました タイトル間違えてた 唯実「いがぐり!」際にあった事例をもとにした けいおん!SS じゃなくて 唯「いがぐり!」実際にあった事例をもとにした けいおん!SS でした すいません単純に間違いです . 2で既に突っ込まれてるけど 私はSS書くときに、人のレスを全て非表示にしているんです 何回も見てるはずなのに、まったく気付かなかった 他の部分は思い通りに書けたと思います あと、だいぶ煽ったので叩かれまくってると思ったら みんな優しくて驚きました . 278 そんな感じです . 277 私は唯の立場でした 読んで下さった方、レス下さった方、ありがとうございました 感謝します おやすみなさい
https://w.atwiki.jp/25438/pages/4509.html
あずにゃんへ 今度の夏祭り、久しぶりに軽音部の皆で行くって約束でしたが、何でも、澪ちゃんがどうしてもりっちゃんと二人で行きたいと言ってるらしくて、集合は三人になりました。二人は今おアツいから、許してあげてね。 昨日唯先輩から送られてきた一通のメール。その最下に書かれていた待ち合わせ場所を三度反芻して、私は家を出ました。今日がその夏祭り当日。先輩方が卒業して以来、初めての再会です。夏休みの間はずっとこっちにいてくれるからいつでも会えるとはいえ、それでも再開初日というのは嬉しいような気恥ずかしいような、不思議な気分です。 夕方六時のチャイムが鳴る頃には、青空に赤い影がぼんやり滲んで、じいじいと耳をつんざくような蝉時雨も、まるで川の流れのように滑らかな音色になる、そんな時期になりました。 風も僅かながらそよそよと穏やかに流れていて、心地良い暑さが夏の終わりを、ぼんやりと連想させました。 川を越え信号を渡り歩くことおよそ十分。曲がり角を抜けた所、遠目に先輩たちの姿を確かめることが出来ました。 「あっ、おーい! あずにゃーん!」そう私が気付くや否や、唯先輩も私に気付いたらしく、こちらを向いて、手を広げながら駆け寄ってきました。 あぁ、懐かしいなぁ。唯先輩はいつも私と会えば、真っ先に駆け寄って抱き着いてきていました。しかし、今日の問屋は高めの為替。何故なら唯先輩と私の距離は、遠目と言うほどに離れているわけで…… 「これだけ離れてて、かわせないわけがないです!」 とはいえ、今身体をズラすにはいささかタイミングが早すぎて、もうちょっと近づかせないことには、唯先輩が対応できてしまいます。もうちょっと近づいてもらわないと。もうちょっと、もうちょっと…… 「梓ちゃん、久しぶりね~」 「わっ!?」 突然背後から話しかけられ、思わず後ろを振り向きました。声の通り、そこにはムギ先輩がいました。しかし、一体いつから背後に……? 「もう、ビックリしましたよムギ先輩」 「あらあら、ごめんなさい」 「……あの、どうして少し距離を置くんですか?」 「だってここがベストスポットだもの」 「ベスト……?」 言ってる意味はすぐに分かりました。 「あずにゃん久しぶり~! ずっと会いたかったよ!」 「うにゃあっ!?」 いつの間に距離を埋めた唯先輩が、後ろから思いっ切り抱き着いてきたのですから。 「半年ぶりのあずにゃん分だ~! お肌のモチモチもあったかさも変わんないねえ」 「や、やめてください唯先輩ぃ!」 そうやって言う唯先輩も、やっぱり半年前と何も変わらない。でも半年の月日が流れていたことは確かなだけに、すっかり免疫の無くなった私の心臓は、途端にばくばくと早鐘を打ちだしまして…… 「ム、ムギ先輩、助けてくださ」 「半年ぶりの唯梓分……! あぁ、どんどん癒されていくわ!」 「それどころじゃないご様子で……」 結局、これまでの空いた穴を埋めるように、私は唯先輩に思う存分味わされたのでした。 「もう。頬ずりまでしたんですから、人前でくっつくのはダメですよ」 「えぇ~。あずにゃんは手厳しいなぁ……」 唯先輩がそう不服そうに呟くのを、隣でムギ先輩が慰めていました。 ……後ろを歩いているお陰で、離れた後でも足が震えてるのはバレてない、と思いたいです。 「それにしても、あずにゃんが何も変わってなくて良かったよ~。反応は前より可愛くなってたけど」 「う、うるさいです。……でも、唯先輩もムギ先輩も、お変わりないようで良かったです」 「あ、でもねあずにゃん。ムギちゃんは大学生になってからたくさんバイト始めたんだよ」 「え、そうなんですか!?」 ムギ先輩を見ると、そうなのよ~とこくんと頷き、 「社会勉強をしたくてね。レジ打ちとか古本屋さんの棚整理とか、色々始めたのよ」 「いくつも掛け持ちしてるんですか、スゴいですムギ先輩!」 「褒めてもお茶は出ないわよ~」 スゴいと言われて、ムギ先輩はとても嬉しそうでした。お金に不自由なんてしないのに、自ら進んで働くなんて、ムギ先輩は人がよく出来ています。 「後ね、澪ちゃんとりっちゃんは別のサークルにも入ったんだよ。二人とも同じ『しいた』同好会なんだって」 「……角度同好会とは、かなりマニアックな集まりですね」 「ぷぷっ。あずにゃん、知ったかぶっちゃダメだよ~」 ムカッ。確かにダメ元で言いましたけど……。 唯先輩は得意気に続けます。 「あずにゃん、『しいた』っていうのはね、この詩のどんな所がいいかを調べたり、実際に作って見せ合いっこする所なんだよ」 「……唯先輩、その同好会、『しいた』じゃなくて、『しいか』だったりしません?」 「ほぇ?」 ムギ先輩の方を見ると、うんうんと二度首肯してくれました。 「……ま、この位すぐピンときますよ。先輩とは違って」 「あずにゃんが見下した! しどい… …」 「自業自得じゃないですか」 唯先輩がよよ、と泣き崩れるフリをしました。 「しかし、澪先輩はともかく、律先輩もそこに入ったんですね。意外っていうか……」 そう言うと、二人は示し合わせたかのように顔を見合わせて、ふふふと意味深に笑いました。 「何かあったんですか?」 「うふふ、そこにも健気なドラマがあるのよ。初めは澪ちゃんが、もっと詩の勉強をしたいってそのサークルに入ったのだけど、それを律ちゃんが聞いたら、その日の内に律ちゃんも入っちゃったの。『澪のポエムが暴走したらマズい』とか『人見知りが暴走して気まずくなった時の為に』って言ってたけど……」 「りっちゃんも素直じゃないよねぇ。二人のことはちゅーの一件で皆知ってるのに」 ねー、とまたまた示し合わせたように、二人が言いました。 「あの、私だけ話がついていけてないんですけど……」 そう言うと、二人の動きがぎくっと静止しました。 「あ、あれ、あずにゃん、何も知らない?」 「思い当たる節はありませんけど……」 「そ、そういえば、梓ちゃんはあの場にいなかったわね」 「澪ちゃんの寮に遊びに行った時のことだもんね。どうしよ……」 「他の人には絶対言うなって言われてるけど、でも梓ちゃんだし別に……」 何をひそひそ話してるんだろう……? そう思っていると、どこからともなく古典風な笛や太鼓の乾いた音色が聞こえてきました。きっとお神輿が担がれ始めたのでしょう。 「お祭り、始まったみたいですね 「あ、ほ、ほんとだっ! 早く行こうよっ、ね、ねね!」 「そ、そうね。私も久しぶりだし、ちょっとでも長く見ていたいわ!」 「ささ、早く行こあずにゃん!」 「そこまで急かさなくても……」 結局さっきの話題は何だったんだろう、と少し気になりはしましたが、程なく気にならなくなりました。 私だってお祭り前の訳ない興奮を覚えないはずはなく、殊に二人の先輩と再会して懐かしさの渦中にいたのもあって、一刻も早く屋台の群れに入りたい気持ちの方が勝りました。ひょっとしたら、この中で一番私が、今日というこの日を楽しみにしていたのかもしれません。 夕方のふわふわした暖かさが街へ溶け出したからでしょうか、薄灰色だった雲は目を射差すような橙色に染まり、その日光と盆提灯、屋台からこぼれた白色蛍光が混ざり合って、その光景はまるで夢や思い出の一シーンのように、全景がぼんやり滲んだ、とても幻想的な風景でした。 「あずにゃん、たい焼き食べる?」 「ありがとうございま……って、いつの間にそんなに買ったんですか!?」 気付けば唯先輩は持てるだけの食べ物を買ったという風体で、さながら食べ物の着ぐるみをまとっているかのようになっていました。 「まま、好きなの選んでよ。たこ焼きたい焼きさいきょう焼き、フライドポテトにスーパーポテトもあるよ」 「豊富ですね……」 最後のは商標的に訴えられたりしないでしょうか? 「じゃあ、たい焼きを一つ」 「あいまいど! お嬢ちゃん可愛いからタダね!」 「誰ですか」 そう言って受け取った一尾のたい焼き。紙ごしでも伝わる温かさは、屋台から貰った出来上がりも同然の温もりでした。 ……もしかして、私が食べると思って、最後に買ってくれたのかな……? 「はむっ……。いつもより甘い気がします」 「ほんと? 買ってよかったぁ」 食べているのは私なのに、まるで自分事のように喜ぶのを見て、思わず私も笑ってしまいました。 たい焼きを食べ終わる頃には、唯先輩の手元にはりんごあめしか残っていませんでした。食べている最中にムギ先輩にも譲っていたのですが、それにしたって尋常じゃないスピードです。 「あずにゃん、そんなにじーっと見てどうしたの?」 「一瞬で食べ物が消えてたらじーっと見たくもなります」 そう言っても唯先輩は依然、小首を傾げて、自分の口元手元に目線をやっていました。 「あっ、分かった! りんごあめも食べたいんだ。欲しがりさんめ~」 見当違いもいいとこです。 「しょうがないなぁ~。はい」 「……はい?」 「私のアメあげるよあずにゃん。二人で分けっこしよ?」 「なっ…………!?」 とっさに私へ差し出しているアメに目を落としました。形はあまり崩れていませんが、反対側の輪郭はもうしなっと曲がり、所々が濡れて妖しい光を放っていました。いや、この濡れてるのって、もしかしなくても……! 「い、いらないです! 唯先輩の分が減っちゃうじゃないですか!」 「気にしないよ~。寧ろ食べきれるか不安だったから、あずにゃんに食べてもらえたらありがたいなぁ」 拒むどころか、大義名分が出来てしまいました。 ど、どうしよう……。でも唯先輩が困ってるって言うなら、助けてあげるべきだよね……? そう、これはあくまで人助けなんです。あくまで唯先輩を助けるために…… 「あ、ムギちゃん。リンゴあめ食べる?」 「いいの? じゃあお言葉に甘えて~」 「あっ……」 悩んでいる間に、あめはムギ先輩の口に入っていき…… 「はい、あずにゃん」 そうしてムギ先輩を経てから渡されたリンゴあめは、何の躊躇いもなく食べることが出来ました。感謝の気持ち半分、勿体ないことをされた気持ち半分で、私はムギ先輩を見つめました。 「たくさん食べたし次は遊ぼうよ!」 「もう、ちょっとは休みましょうよ」 「ダメだよ~。お祭りは無駄なく遊ばないと」 ふんすと鼻を鳴らして、唯先輩はゲームの屋台がある左の小路へと入っていきました。 「もう、唯先輩は相変わらずですね」 「そうねぇ。でも、梓ちゃんがいるから、っていうのもあると思うわ」 「私?」 ムギ先輩は頷きました。 「唯ちゃん、梓ちゃんと会えるのをすごく楽しみにしてたもの。久しぶりにあずにゃんに会える! って事あるごとに言ってたのよ」 「……どうせ、ひっつく相手がいなくて寂しがってただけですよ」 「うふふ、そうね」 そう言うと、雑踏の前から唯先輩の呼ぶ声が聞こえました。 「あずにゃんムギちゃん、人で溢れちゃってるよー……」 唯先輩が退いてきた先では、隙間も無いほどの人の群れ。ちょうど近くで神輿の掛け声が聞こえるので、きっとそのせいでごった返してしまっているのでしょう。 「これを抜けるのは大変そうね……」 人混みを一目見て、ムギ先輩はそう呟きました。 「う……」 自然、前に進む足が固まってしまいます。どうしよう。もしはぐれちゃったら、二度と唯先輩と会えないような……。折角、折角また会えたのに…… あーずーにゃん」 ふわっと、手に温もりが重なったような気がして、見ると唯先輩が、私の右手をすっぽりと包んでいました。 「これならはぐれないかなぁ、って思って……。ダメだったかな」 そう言って唯先輩ははにかむように笑いました。さっきの不安なんて霞にしてしまうような、優しい、照れくさそうな笑顔。固まった身体が徐々にほぐれていく気がしました。 「……私と会いたがってた、って聞きましたから。特別です」 そう言って、より一層手を握る力を強めました。 「えへへ、ありがとあずにゃん。あずにゃんは優しいね」 「……優しいもんですか」 「優しいよ~っ」 ……どうせ鋭いなら、私の不甲斐ない気持ちも、見抜いてくれたらいいのにな。 「じゃ、行くよ。離れないようにしっかり握っててね」 私はそっと頷いて、それを合図にゆっくりと歩き始めます。もう一つの手で唯先輩の手を掴もうか少し迷って、その手で後ろ髪の片尾をふいと払いました。 「ふぅ、どうにか抜け出せましたね」 「はぐれなくて良かったぁ……。でもムギちゃん、ごめんね、繋ぐ手の余りがなくって」 「大丈夫よ。私には百合の磁力があるもの。二人とは絶対に離れないわ」 「? 綺麗な磁力だねぇ」 人混みを脱した直後だと言うのに、ムギ先輩の呼吸も表情も、一切崩れていませんでした。 「あっ、ムギ~! 唯と梓も!」 一息ついた所で景色が開けると、偶然にも、眼前に律先輩が現れました。 「なんだ、結局放課後ティータイムは一つに集まる運命なんだな」 「運命だなんてっ……。りっちゃんロマンティック~」 「はは、澪の癖があたしにも移っちゃったみたい……」 律先輩は照れ笑いをして頭をかきました。 「そういえば澪ちゃんは?」 「あぁ、澪なら……」 そこで言葉を切り、後ろの方を指さします。澪先輩は、屋台をじっと睨んだまま、何かを投げるようなポージングで固まっていました。実際何かを手に持っているようで、それは…… 「あれ、輪投げですか?」 「そっ。だるま落としの方が簡単だって言ったのに、だるまが落ちんのは演技が悪いって聞かなくて」 そう言ってる内に、澪先輩がさっと手首をスナップさせました。輪っかは手を離れ、屋台の陰に隠れその所在は知れぬ所となりましたが、澪先輩の強張った表情が解けたと思うと次にはがっくりとうなだれて、 「外したな」 「外したね」 「そんなに欲しい物があったのかしら」 「財布と電話を出さないでくださいムギ先輩」 やがて澪先輩が、がっくりとしたままこちらへ来ました。 「律ぅ……輪っかは完全に入ってなくちゃダメだってぇ……」 「あー、私もそれで神のカード貰えなかったなぁ」 帰って来た澪先輩は、律先輩の肩にしがみついてそうぼやきます。一方の律先輩はそんな澪先輩の頭を優しく叩いてあげていて……あれ、あれ。 「あの二人、あんなに距離近かったですっけ……」 「……隠すつもりもないみたいだし、もう言った方がいいよね」 「そうねぇ。あのね梓ちゃん、今二人はアツアツなのよ~」 「アツアツ? まぁあれだけ近かったら暑そうですけど……って、唯先輩! なんでそんな可愛いものを慈しむような目で見るんですか!?」 「いや~あずにゃんは初いのぉ、純粋だのぉ。そのまま大人にならないでおくんなまし~」 「だから何キャラなんですかってば」 「もうすぐ花火だって! 折角だから五人で見ようぜ!」 澪のお礼参りと行くか~! という鶴の一声で始まった屋台巡りも一通り堪能した後、またまた律先輩の鶴の一声で、花火の見える場所まで移動することになりました。前列の唯先輩達の会話を手持ちぶさたに聞いていたら、 「ぶつ、ぶつ……」 「み、澪先輩……?」 一緒に後ろを歩いていた澪先輩が心なしか、いや明らかにどんよりした様相で歩いていました。 「あぁ、梓。いや、皆とこうしてまた集まれたのは嬉しいんだけど、今年こそ律と二人で夏祭りに行こうって意気込んでたから、ちょっと複雑な気持ちで……」 苦笑いをする澪先輩の気持ちが何となく分かるような気がしました。それと同時に、とても意外な気がしました。 私の知る澪先輩は、こうやって心にひっかかるような、何となく分かる微妙な気持ちを、自然な会話の流れで口に出来るような人ではなかったはずです。 「澪先輩は、大学生になってから変わりましたね」 「そ、そうかな?」 「そうですよ」ふとさっきのやり取りを思い出して、「特に律先輩関係は、前よりずっと積極的じゃないですか。何かあったんですか?」 「!? べ、別に何もない! 何もないぞ!」 慌てて手を振って否定する澪先輩でしたが、何か思い直したように、照れくさそうに頬をかきました。 「……いや、うん。あった。ほんとは。」 「ですよね! 澪先輩と律先輩、今までの幼馴染って感じよりもっと深い関係になってるような……」 「わーっ! それ以上はダメだぁ!!」 澪先輩は真っ赤になって私の口を押えました。 「……というより、十年一緒にいた今までが変わらなさすぎたんだよ」 紅潮しきった頬を掌で押えて、澪先輩は続けます。 「でも勢いとはいえ、変えるきっかけが出来た。そのチャンスを逃したくなくてさ、もう少し自然に近づいてみよう、素直になれるよう頑張ってみようって思って」 最近までは凄く恥ずかしかったけどね。とおずおず付け加えます。 「……皆、新しい環境になって、変わっているんですね」 そう呟いた時、お祭りの人混みに飛び込む前にした近況報告をふと思い出しました。 ムギ先輩も律先輩も、澪先輩も変わっていく。成長。それを喜ぶのは至極当然な感情であるはずなのに、皆が私の知らない所で変わっていく。それがとても寂しくてしょうがない。 いつか皆、葉桜が紅く染まっていくように、私の知らない先輩達となってしまうのでしょうか。あの優しくてほんわかと温かい唯先輩も、もしかしたらきっと……嫌。そんなの、絶対嫌だ……! 身体が震えそうになっていることに気付いて、私は慌てて考えを薙ぎ払いました。よそう、こんなのただの気の迷いだ。一人で考えるから変な穴にハマるんだ。私と澪先輩はよく似ている。変わりたいと思えるきっかけを訊けたら、きっとこんなモヤモヤもすぐ晴れてくれる。 「……澪先輩」そう思うが早いか、言葉のまとまらない内に、私は澪先輩の名前を呼んでいました。 「? どうした?」 「あの、みお、澪先輩は……」 それから先の言葉が舌をつかず、澪先輩は首を傾げて私の言葉を待ちます。 「あの、澪先輩はどうして……!」 何でもいいから何か言ってしまおう。後で補足を入れたらいい、そう思い声を出しました。が、 「おーい! 着いたよーっ」 そう決心した瞬間、唯先輩が大きな声で私たちに呼びかけました。 「ラッキー! ちょうど橋の端っこになったぞー!」 「りっちゃん、それは寒いよ……」 「わざと言ったんじゃないやい」 そう言う内に、前を歩いていた先輩達の歩みが止まりました。ちょうど、何の妨げもなく花火を一望できる場所です。 「ごめん梓、何か言った?」澪先輩が再び私に尋ねます。 「…………花火なら、二人きりで見られるんじゃないですか?」 「……! そうだなっ。おーい、律~!」 クールなイメージと相反して、うきうきと音の出そうなステップで律先輩の元へ向かって行きました。 「言わなくてよかった……」折角コンプレックスを払拭しようと頑張ってるのに、私の気の迷いで足を止まらせては申し訳が立ちません。自分の悩みを人に丸投げなんてしては、解決なんて夢のまた夢です。 「……チャンス、かぁ」 その一語が、余計な重みを持ってのしかかってくるような気がしました。 もし私に変わるチャンスが訪れても、それを受け入れることが出来るだろうか。 ……ただ一人変わらずにいてくれている唯先輩にも、もしその日が訪れたら、私は笑って見送らなければならないのだろうか…… 「あーずにゃん」 「わっ」 物憂げに星を見ていたら、空っぽになっていた右隣に、いつの間にか唯先輩がやってきていました。 「良かったぁ。一人で見に行っちゃうのかと思ったよ」 「そんなことしませんよ。花火は誰かと見た方が良いに決まってます」 「そうだよね。私もあずにゃんと見る花火が、一番綺麗に見える気がするよ」 「わ、私は別に唯先輩と、とは言ってないです!」 心を見透かされたような気がして、一瞬ヒヤっとしました。お神輿近くの時といい、唯先輩はその時の気持ちをズバッと見透かしてくるくせに、それがどんな意味を持っているかには酷く鈍感なのがズルいです。いっそそこまでバレてくれたら……なんていうのは贅沢な話だよね。 二人とも無言のまま、花火は刻一刻と迫っていきます。心の中で手持ちぶさたを言い訳に、唯先輩の横顔を眺めました。 「……唯先輩は変わりませんね」 「えぇ~そうかなぁ。私、大学生になったんだよ?」 「じゃあ何か変わったんですか?」 「えーっと……アイスを三口で食べれるようになった」 「あ、それはちょっとスゴいかも……」 憎まれ口を叩きながら、内心ほっとしている自分がいました。 「……あずにゃん、がっかりした?」 唯先輩が不安げに私の方を覗き見ました。 「……何言ってるんですか。唯先輩はその方が良いです。唯先輩は、大学生になっても、ずっとそのままの方が良いです」 つとめて明るいイントネーションで呟いたつもりでしたが、自信はありません。 「あずにゃんがそう言ってくれるなら嬉しいよ」 唯先輩はほっとため息をついて笑いました。 「私さ、ちょっと不安だったんだ。ムギちゃんはバイトを始めて、りっちゃんも澪ちゃんも他にやりたいことを一緒に始めて、私だけ何もかも高校生のままで、それでいいのかな、って。でも、あずにゃんがそのままで良いって言ってくれるのなら、それだけで安心だよ」 「唯先輩……」 それでも、少ししょんぼりしている唯先輩を見ていたら、いてもたってもいられませんでした。 「……きっと唯先輩はまだチャンスが来てないだけです。前に進みたいと思う、その気持ち一つだけで十分素晴らしいです!」 少なくとも、時間に背中を押されて、ただ転ばないように前へ足を出しているだけの私なんかより、ずっと、ずっと…… 「……あずにゃん、ありがとっ!」 「ぎゃふっ!?」 ぎゅっとまた抱き締められました。さっきは確かめる余裕が無かったけど、唯先輩から伝わるのは懐かしい温かさ。とても幸せな、だけど何故か切ない温もりでした。 「もう、離してくださいってばぁ」 「ダメだよあずにゃ~ん。花火が始まるまでだよっ」 そう言うや否や、どこかのスピーカーからざらざらした女の人の声が、後五分で花火が上がることを告げに来ました。 「あずにゃん、もうすぐ花火が上がるって!」 パッと唯先輩の身体が離れました。 「……始まるまでって言ったのに」 「? 何か言った?」 「な、何も言ってないです!」 ほとんど無意識にそう呟いていました。……参ったなぁ。本当に唯先輩への耐性が無くなっちゃったみたい。 花火のしらせはやがて群衆のざわめきに変わり、それが最高潮になった瞬間、一つの大きな花にまとまり、ドンとお腹に響く音と共に空へ打ち上げられました。赤や黄色、緑や青、めいめいの花が咲いては消え、でも夜空を空白のままにしないよう、次々連なって昇っていきました。 時には二つの輪が半分以上重なり合い、混じって派手な円模様と、多色混合の彩り豊かな火花が散り、かと思えば次の瞬間、二輪はどんどん離れて行き、ついには壁でも出来てしまったかのように、妙な距離が出来てしまいました。 あぁ、もっと近づけたなら鮮やかな景色になるのに。寄せては返す花火の距離がもどかしくて、もっと、もっと右に行けたなら……。と思いながら、くい、くいと身体を右に傾けていたら、こつん、と右手が何かにぶつかってしまいました。何が当たったんだろうと右を向いた時、唯先輩と目が合いました。 「あっ、ごめんなさい唯先輩」邪魔をしちゃったな、とすぐ悟りました。 そう言うと、唯先輩はくしゃっと顔を崩して、さりげなく、まるでさっきからそこにあったかのように、自分の左手を、私の右手の中へ滑り込ませていきました。 「これなら邪魔にならないよっ」 無垢な笑顔で私にそう言いました。 私は返事代わりに、うつむくように頷いただけでした。 それでも唯先輩は満足げに笑って、再び夜空に目をやりました。私もつられて顔を上げると、右腕にとん、と唯先輩の肩がもたれかかってきました。 「あずにゃん」 そう呼びかけられなかったら、私はまた横を向いて、何をしてるんですか!? なんて身構えたかもしれません。ただ、そんないつも通りを過ごすには、唯先輩の仕草が、私に語りかける、真剣な響き故に小さくなってしまった声が、それが私にしか聞こえない奇跡みたいな状況が、あまりに特別過ぎました。 「……どうしましたか、唯先輩」 空を見上げたままそう尋ねました。 「あずにゃん、私、やりたいことを見つけたよ」 ほら、こうして良かった。その一言に思わず強張った横顔は、花火が昇る今ならきっと、唯先輩に見えていないでしょう。 「私、ここに戻って来て、あずにゃんとこうやって一緒に夏祭りを楽しんで、ちょっと分かった気がするんだ。変わらなかったのは、やりたいことをもう既に見つけてるからじゃないのかな、って。でもそれを始める引き金が、まだ私に無かっただけなんじゃないかのかなって。あずにゃん。私はもっとギターをやりたい! 放課後ティータイムとしてだけじゃなくて、もっと、もっと!」 どどどん、と一段大きな音がしました。でも、その花火がどれだけ立派だったのか、私は知る由もありませんでした。だって…… 「だからあずにゃん! 大学生になったら、私と二人で、一緒にギターをしてください!」 その瞬間、唯先輩は私の手を両手に包んで、まるで告白まがいなことを大真面目に言うのですから…… 「な、なな、何をいきなり言うんですかぁ!?」 突然の途方もない誘いを受け入れられる度量も無く、とうとう我慢できず悪い癖が出てしまいました。でも、 「…………唯、先輩……」 慌てふためいた拍子に揺れた身体も、唯先輩にがっちりと包まれた右手だけは微動だにしませんでした。 「あずにゃん、お願い……」 真剣だけど、どこか甘えんぼで哀れっぽい口ぶりと表情。こんな顔されて、私にどうこう出来るはずなんてないわけで…… 「……もう、唯先輩は勝手です。私の都合なんて知らんぷりであずにゃんあずにゃん、って……」 「あぅ……」 唯先輩の両手がびくっと引っ込んだ気がしました。違う、こんなのが私の気持ちじゃないのに……。唯先輩が勝手なら、私だってよっぽどワガママだ。 ……でも、同じワガママなら、背伸びでも屈みでもして唯先輩と目線を合わせることだって出来るはずだ。 私は息を一つ吸って、言いました。 「……半年です」 「ほえ?」 「私の受験が終わって、唯先輩と同じ大学に入って、その時にも唯先輩の気持ちが変わらないなら、また誘ってください。……私の気持ちは、絶対に変わりませんから」 唯先輩の顔に、パッと笑顔の花が咲きました。 「あずにゃん、ありがと~!」 唯先輩がまた抱き着きました。 「ゆ、唯先輩、こんなに人がいる所でっ……」 「だいじょーぶ、皆花火に夢中で見てないよ」 「……もう」 それもそうだなぁ、って納得してしまった私は、余程重症なのでしょう。 変わること、先に進むこと。それはまだどうしようもなく怖い。大切な物がふいになってしまう位なら、ずっと今のままで居続けていたい。 でも、これでまた四年の間は先輩の背中を追いかけていられる。答えは唯先輩と一緒に見つけていこう。見た事のない世界をたくさん見せてくれた、この人とならきっと見つけ出せる。 もしその道程で何かが変わってしまっても、その目の前に変わらず唯先輩がいてくれるのなら、大事な物は、そのままでいてくれる。そうに決まってる。 三度、私は空を見上げました。花火は終盤に差しかかったのか、間髪入れず次々打ち上がり空に咲き乱れて行きます。色とりどりの、輪郭がぼやけた花が空高く咲き乱れ、その下では菜種色の炎が控えめな花を咲かせ、水面にたゆたう葉のようにはらはらと花弁を散らしていくのでした。そこに無粋な余白など、どこにもありはしませんでした。 夏が終われば、何かが変わる。そんな移ろう季節の真ん中は、全てが鮮やかに輝いていました。 あとがき ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました。楽しんでいただけたら幸いです。 読みづらい文章だったらごめんなさい。これが今のところの、文章力の限界です。 次に投稿する時は、もっと文章力や見せ方を向上させてきます。 再度、ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました! そしてあずにゃん、お誕生日おめでとう! 戻る
https://w.atwiki.jp/ritsuss/pages/515.html
787 名前:ss[sage] 投稿日:2009/07/16(木) 00 14 37 ID dRjG65p9 772に先越されちゃったけど、いいよね。 さ「みんな、いる?」 澪「あ、先生。見ての通り全員いますけど、どうしたんですか?」 さ「みんなお待ちかねの新しい衣装が出来たわよ!」 律「……誰も待ってないって」 さ「りっちゃん何か言った?」 律「何も」 梓「それで今回はどんなの作ったんですか?恥ずかしいのは嫌ですよ」 さ「よくぞ聞いてくれました。ジャーン、ロリータよ!」 律「おお……、これまたさわちゃんワールド炸裂してるな」 さ「澪ちゃんの考えるあまーい歌詞をオマージュして作ったのよ。 それじゃ、さっそく誰かに試着してもらおうかしら。 今回は……そうね、りっちゃんに頼もうっと」 律「えっ、私!?やだよ、こんなの。絶対着ないぞ」 さ「フフフ、それはどうかしら。今よ、唯ちゃん!」 唯「ラジャー、さわちゃん!」ガバッ 律「なっ!?唯、いつの間にバックに!?」 さ「よくやったわ、唯ちゃん。さあ、りっちゃん、観念なさーい」 律「やめろ!おい、澪、梓、ムギ、助けてくれ!」 澪「ゴメン。律のロリータ姿、全く想像できないから少し楽しみにしてる自分がいるんだ」 梓「確かにこんな機会がないと律先輩あんな格好絶対しませんもんね」 紬「りっちゃん、あきらめるのもひとつの勇気よ」 律「裏切ったな!うわ、やめてくれ、うわああああぁぁぁぁ……」 751 画像404の為、補完している方いらっしゃいましたら提供願います。 律「うう……、一生の恥だ……、ぜってーおかしいし!」 さ「なんだ、結構いけるじゃない」 唯「りっちゃん、かーわいいー!」 澪「おお、意外と似合うな」 梓「律先輩の新たな一面発見です」 紬(パシャ、パシャ) 律「ああ!もうやだ、着替える!あとムギ、無言で写真撮らない!」 出典 【けいおん!】田井中律はポロシャツ可愛い41【ドラム】 このSSの感想をどうぞ 名前 コメント すべてのコメントを見る 誰か画像うpキボンヌwwww -- (名無しさん) 2009-07-31 20 44 19
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/877.html
梓「チクショオオオオ!くらえ憂ー!やってやるです!」 律「さあ来い梓!実は私は一回抱き付かれただけで倒せるぞー!」 ギュッ 律「グアアアア!こ この、ザ・デコと呼ばれる四天王の私が……こんな泥棒猫に……バ、バカなアアアア」 ドドドドド 律「グアアアア」 澪「律がやられたようだな…」 憂「フフフ…奴は四天王の中でも再弱…」 紬「猫ごときにやられるとはけいおんの面汚しね…」 梓「くらええええ!」 ギュッ 三人「グアアアアアアア」 梓「やった…ついに四天王を倒した…これで唯センパイの居る音楽室へのドアが開かれる!!」 ギイイイイイ 唯「よく来たねあずにゃん…待ってたよ…」 梓「こ…ここが音楽室だったの…!感じる…唯センパイの気配を…」 唯「あずにゃん、戦う前に言っておくね あずにゃんは私を倒すのに『猫耳』が必要だと思っているみたいだけど…別になくても倒せる」 梓「な、何だって!?」 唯「そしてむったんはペロペロした後スタンドに立てておいた 後は私を倒すだけだね…」 ゴゴゴゴ 梓「フ……上等です…… 私も一つ言っておくことが 誰か同級生を一人忘れてる気がしていたけど、別にそんな事はなかったです!」 唯「そっか」 梓「ウオオオいくぞオオオ!」 唯「さあ来いあずにゃん!」 梓の性欲(ゆうき)が世界 を救うと信じて……! ご愛読ありがとうございました! 梓「……って、なんですかこの寸劇は!」 唯「いやあ、こうしたらあずにゃんから抱き付いてくれるかなぁ、って」 梓「あ……//」 おわり 律先輩弱!? -- (あずにゃんラブ) 2013-01-12 08 37 39 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18726.html
戻る その他系 唯ちゃんもムギちゃんも可愛い!! ほのぼのですなぁ… -- (名無しさん) 2012-09-18 22 17 34 ムギは天使ですなぁ。 溢れんばかりの母性、優しさ、包容力がムギという人そのものだね。 無邪気で子供っぽい唯にはぴったりだね! -- (名無しさん) 2012-09-19 01 21 43 唯もムギちゃんも可愛過ぎる!! 読んでいて、心が和みました。 -- (名無しさん) 2012-09-19 02 26 55 唯紬のゆったり感が良い。 はのぼの系には外せない。 -- (おすし!) 2012-09-20 23 57 03 唯ムギが数と勢いを得つつあるな。 でも、もっと読ませる長編が増えてほしい… -- (名無しさん) 2012-09-21 23 46 14 このシリーズは二人の愛情の深さと二人ならではの和みをしみじみと感じますな。 前半ちょろっとだけでてきた仄かな律澪もナイス! -- (名無しさん) 2014-04-25 01 54 23 いいなこれ -- (名無しさん) 2014-08-27 01 51 59 ほのぼのですな -- (名無しさん) 2015-02-21 00 14 36
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18787.html
唯「このきんつば美味しぃねー」モグモグ 梓「和菓子に紅茶って意外と合いますねー」モグモグ 澪「うっ……」 紬「澪ちゃん、どうかした?」 澪「な、なんでもないよ」 紬「そう? それならいいけど」 この際だからはっきり言ってしまおう。 ムギは性格が悪い。 今だって、私にだけ苦い紅茶をいれておいて、白々しいやりとりをする。 二ヶ月ほど前、私は律に告白した。 しかしあっさり断られてしまった。 「澪のことは大切だと思ってるけど、女の子に恋愛感情は持てない」という簡潔な返答。 告白することを軽音部のみんなに伝えていたから、振られたことも周知の事実になってしまった。 そこまではいい。 だけどその一ヶ月後、律の机で自慰をしているのをムギに見られてしまったのだ。 それからというもの、私はムギの言いなりだ。 「いい加減にりっちゃんのことは諦めて私を見て」というのがムギの言い分だ。 自慰をしているのを見られた後、私は首根っこを捕まれ、ムギにキスされた。 ムギのことを恋愛対象として見たことはなかったけど、好きだと言われて悪い気はしなかった。 だけど、それからというもの、私が律のことを考えている度、意地悪をするようになった。 今回の紅茶だってそのひとつだ。 私が律を見てぼーっとしてたから、こんな苦い紅茶をいれたのだ。 紬「じゃじゃーん。今日はもうひとつお菓子をもってきました?」 唯「なになにー?」 紬「とらやのどら焼きなの?」 あっ、私が前に食べたいって言ってやつだ……。 律「……うん。皮がもっちりしてて、餡もしっかりしてて普通に美味いな」 梓「ええ、正統派どら焼きって感じがします」 澪「……美味しい」 このようにムギは私が食べたいといってものを学校に持ってくるようになった。 お客さんからもらったものではなく、自分で買ったものだろう。 正直、ちょっと嬉しい。 唯「なにこれおいし~。ムギちゃん大好き」 紬「///」 あっ、唯に大好きと言われて照れてる……。 帰り道のこと。 紬「嫉妬してくれたの?」 澪「そんなんじゃない」 紬「なぁんだ……」 澪「でも不公平じゃないか」 紬「じゃあ、今度から唯ちゃんに『大好き』って言われても照れないようにするね」 澪「……」 なんだこれ。 これじゃあまるで私がムギに嫉妬してるみたいじゃないか。 ……面白くない。 紬「ごめんね」 澪「なんでムギが謝るんだ」 紬「なんとなく、かな」 澪「はぁ……」 紬「ねぇ、澪ちゃん。今日はどうする?」 最近、部活が終わってからムギと遊びに行く事が多い。 こうやってムギが誘ってくるからだけど、提案についつい乗ってしまう私もいる。 澪「今日は……」 財布の中にボーリングの半額券があるのを思い出す。 そういえばムギ、ボーリングやってみたいって言ってたっけ……。 澪「ボーリングなんてどうだ?」 紬「ボーリング!!?」 澪「うん。どうかな」 紬「行く行く! 澪ちゃん大好き!!」 澪「じゃあ行こうか」 紬「うんっ!」 ムギは性格が悪い。その考えを訂正するつもりはない。 だけど、嫌いにはなれない。 ボーリング場はお客さんでいっぱいで、店員さんに20分待ってくださいと言われた。 だけど実際には40分も待つことになったんだ。 でも退屈はしなかった。ムギがいたおかげだ。 ムギはとても上手に私の話を聞いてくれる。 こういうところは律と全然違うんだ。 私は、律に対してなかなか素直になれないんだけど、ムギに対しては素直になれる。 梓や和と話してる時に近いかもしれない。 でも、それとも、少しだけ違う気がする。 梓や和は対等な友達って感じだけど、ムギはなんと言えばいいのかな……そう、ママみたいな感じがする。 何を話しても大丈夫、そんな気がするんだ。 紬「澪ちゃん?」 澪「……」 紬「澪ちゃん!!」 澪「ど、どうかした?」 紬「考え込んでたみたいだったから」 澪「ちょっと考え事をしてたんだ」 紬「そう。それならいいけど……」 澪「……律のことを考えてたとは思わないんだ?」 ちょっとだけムギに意地悪がしてみたくて、こんな言葉が飛び出した。 だけど、やっぱりムギは私より上手だった。 紬「う?ん。私のこと考えてたんじゃない?」 澪「えっ」 紬「そんな気がしたの~」 澪「……実はそうなんだ」 紬「本当に私のこと考えてくれてたんだ」 澪「うん。ムギってママみたいだなって」 紬「お母さん? 私が?」 澪「うん。ムギにはなんでも話せる気がするんだ」 紬「……そっか」 澪「……ムギ?」 ちょっとムギが寂しそうな顔をした気がした。 理由を聞こうと思ったら、店員さんに遮られてしまった。 やっとレーンが空いたみたいだ。 澪「ムギははじめてなんだよな。じゃあ、まずは私が投げるよ」 紬「澪ちゃんがんばって?」 澪「それっ」 投げたボールはピンに向かってまっすぐ向かっていき――ピンをなぎ倒した。 紬「一本だけ残っちゃった」 澪「じゃあ二投目」 紬「すごい、あたった!!」 澪「よしっ、スペアだ」 紬「スペア?」 澪「二回投げて全部のピンを倒すこと、一回で倒すと――」 紬「あっ、それ知ってる! ストライクね!!」 澪「うん、そうだよ」 紬「次は私の番でいいのかな?」 澪「うん」 紬「えいっ」 ムギの投げたボールは勢い良く転がっていき、端っこのピンを倒した。 紬「これはどうなのかしら?」 澪「二本倒れたみたいだな。初めてならこんなもんじゃないか」 紬「そう? じゃあもう一回行くね」 澪「がんばれ」 紬「えいっ!!」 ボールは勢い良く転がっていった。……斜めに。 もちろんガーターになってしまう。 紬「澪ちゃん……」 澪「まぁ、初めてだからなぁ」 紬「どうすればいいのかな」 澪「うーん。ちょっと私の投げ方を見てくれる?」 紬「うん」 私はボールを投げる。狙い通りの場所にボールは転がり、見事ストライクになった。 紬「凄い凄い!!」 澪「ああ、上手くいったよ。で、見ててくれた?」 紬「うん。投げる前に腕を後ろに大きく振ってたね」 紬「ちゃんと見ると、澪ちゃんすっごくかっこよかったよ」 澪「そ、そうかな」 紬「うん」 澪「じゃあ、見ててあげるからムギ、投げてみてよ」 ムギは私の真似をして、大きく後ろに腕を振り上げてボールを投げた。 しかし、またガーター。 紬「……あれっ」 澪「うーん」 紬「やっぱりいきなり上手にはならないのかな」 澪「いや、ムギのフォームはまだ悪いところがあるんだ」 紬「えっ」 澪「手を振り上げる時、ボールが放たれてから当たるまでのコースを想像するんだ」 澪「ムギの場合、振り上げる線と、投げる線が一致してない」 私は説明した後、エア投球をしてみせた。 ムギも真似をする。 紬「こんな感じかな」 澪「うん。ムギは力が強いから、どうしても強引に手の力で投げにいっちゃうんだと思う」 紬「そうかも」 澪「そこをぐっと堪えると良くなると思うよ」 紬「えいっ!!」 ムギが投げる。 私の言ったことをきちんと守ったおかげで、フォームはとても綺麗だ。 ボールはほぼ真っすぐ進み、6本のピンを倒した。 紬「やったわ! 澪ちゃん! 沢山倒れた!!」 澪「あぁ、上手くいったな」 ムギは子供のようにはしゃぐ。 あまりにも純粋に喜んでくれるから、こっちまで楽しい気分になってしまう。 澪「じゃあ次は私の番だな……」 ムギに教えてる手前上手く投げたかったところだ。 だけど、リリースする瞬間手元が狂い、ボールはあらぬ方向へ……。 澪「ガーター……」 紬「ど、どんまいです!」 澪「はぁ……かっこわるい」 紬「だけど投げてる時の澪ちゃんはかっこいいよ」 ムギが必死にフォローしてくれる。 こういうとき、愛されてるなって感じる。 正直、悪い気はしない。 それから色々あって帰り道のこと。 紬「あとちょっとで100点に届いたのに」 澪「でも初めてで92点なら凄いと思うよ」 紬「そうなの?」 澪「あぁ」 紬「そう言う澪ちゃんは122点もとっちゃったね」 澪「まぁまぁかな」 紬「師匠と呼ばせてください!!」 澪「大袈裟だよ。まぁムギは力が強いし、ちゃんと練習すればすぐに上手くなると思うよ」 紬「そうかな」 澪「そうだよ。また今度一緒にいこ」 紬「また今度、か……」 澪「ムギ?」 紬「ねぇ澪ちゃん、今日何の日か知ってる?」 澪「えっ」 ムギの思わせぶりな態度に私は考えを巡らせる。 まさかムギの誕生日……はこの前過ぎたし、ムギと出会ってから一年……でもないし。 あっ……! 紬「気づいたみたいね」 澪「あぁ、ムギにキスされてから一ヶ月か」 紬「うん。私が無理やり澪ちゃんにキスしてから一ヶ月」 澪「もうそんなに経つんだな」 紬「私ね、決めてたの」 澪「何を?」 紬「一ヶ月頑張って澪ちゃんを振り向かせられなかったらすっぱり諦めようって」 紬「澪ちゃんを縛り続けるのはやめようって」 紬「私ね、分からなくなっちゃったの」 紬「澪ちゃんは相変わらず部活の時間はりっちゃんのことばかり考えてるし」 紬「私のことは相変わらず恋愛対象外みたいだし」 紬「でも、私と遊んでるときの澪ちゃんは結構楽しそうだし」 紬「この恋をどうするべきなのか、自分じゃ分からないの」 澪「ムギ……」 紬「だから澪ちゃんに決めてもらいたいなって」 紬「このまま澪ちゃんのことを好きでいていいか、諦めるべきか」 紬「もちろん諦めたくなんてないけど……」 紬「澪ちゃんが諦めずにりっちゃんにアタックするつもりなら、私は邪魔になるだけだと思うから」 澪「……」 ムギの告白に私はしばらく沈黙した。 ちょっと意外だった。 ムギはもっと恋愛に対して飄々としてて、不安や悩みとは無縁な存在だと思ってた。 彼女が私に弱みを見せたのはこれが初めてかもしれない。 私の言葉を怯えるような目で待ち続けるムギはとても小さく見えて、 ちょっとかわいいな、と思ってしまった。 私は勿体つけてから、こう言った。 澪「ムギにキスされてから面白くないことも沢山あった」 紬「……っ」 澪「でもさ、面白くないことも沢山あるけど」 澪「それでも楽しいのほうが勝ってる」 紬「本当?」 澪「あぁ、本当だ」 澪「だからムギは……いや、私がこんなこと言うのも変か」 紬「うんう。言って欲しい」 澪「……そうだな。私のこと好きでいてくれていいよ」 その言葉を聞いてムギの顔がぱぁと明るくなった。 さっきまでの不安そうな顔はどこへやら。 満面の笑顔にかわってしまった。 そして一言。 紬「澪ちゃん、大好き!!」 この時私は、ムギと付き合ってしまうのも悪くないかもしれないと思っていた。 律は振り向いてくれそうにないし、ムギと一緒の時間はとても楽しかったから。 しかしそんな甘い考えは次の日の朝、粉々に砕かれることになる。 最低かつ最高の形で。 発端は下駄箱。 登校中に偶然ムギと出会った私は、一緒に学校に来たんだ。 そして、私の下駄箱から一通の手紙が見つかった。 ただのファンレターだと思ったんだ。 だから、ムギが読みたいと言ったので、読ませてあげることにした。 ムギは最初楽しそうな顔で封を開いたけど、だんだん顔から感情が消えていったんだ。 「澪ちゃん、これ」と言って私に手紙を返してくれたときには、真っ青な顔をしていた。 文面はとても簡潔。 「放課後、屋上で待ってる。律」 私は授業中しきりに律とムギの様子を確認した。 律は平常運転だ。 ムギはほとんど感情を表に出さない。 たぶん意図的に隠しているのだろう。 律の呼び出しについて、私は様々な可能性を考えた。 悩みの相談だとか、そういう可能性も捨て切れない。 でも、普通に考えれば、ごく普通に考えれば、告白だと思う。 告白されたことで、恋愛対象じゃなかった人が恋愛対象になる。 少女漫画によくある展開。 最近の律を思い出す。 そんな素振りなんて全く見せたことなかったのに……。 必死に私に対する感情を押し殺している律を想像すると、ますます律のことが愛おしくなった。 でも、律の告白を受ける前に私はやらなきゃいけないことがある。 だから放課後、律に会う前にムギを部室に呼び出した。 2
https://w.atwiki.jp/ikenuma-yui2/pages/16.html
池沼唯SS 連載中作品 池沼唯は、放っておきたい一匹豚 (その2) New! 完結作品 短編 唯「どら〇え!」 世界の終わった後で 池沼追放令 池沼唯の欲しいモノ 池沼唯の出生 憂はいらない子 唯の短い一生 池沼唯のトイレ 中編 失踪 失踪(真相) 失踪(真相 その2) 失踪(真相 その3) 失踪(真相 その4) 大ブブブー事件 (その2) 唯「おたんじょうび!」 (その2) 池沼唯のサイドビジネス (その2) 池沼唯のハロウィン (その2) (その3) (その4) 練り歩く池沼唯 (その2) 4-2=2 一人ぼっち (その2) (その3) 池沼唯を臓器売買 (その2) 長編 セレブの池沼唯 (その2) (その3) (その4) (その5) (その6) (その7) 池沼唯とムギの恋 (その2) (その3) (その4) (その5) (その6) 池沼唯とリベンジ (その2) (その3) (その4) (その5) (その6) (その7) 池沼唯の海水浴 (その2) (その3) (その4) (その5) (その6) (その7) (その8) (その9) (その10) (その11) (その12) (その13) (その14) (その15) (その16) カウンター 今日 - 昨日 -
https://w.atwiki.jp/83452/pages/11630.html
第六章 ライブ!! ついにライブ当日。 午後5時半、ライブハウスが開場となった。 新人バンドの常で、「放課後ティータイム」は一番手での出演だ。 客が入り始めた。 最前列には和や憂、さわ子の姿が見える。 唯「澪ちゃん、学校でのライブと違って緊張するねぇ」 唯はライブハウスの客の入りを見渡しながら澪に笑いかける。 澪「あ、ああ、そうだな・・・。」 しかし、緊張でガタガタ震えている澪から見ると、どう見ても緊張しているようには見えない唯だった。 律「うおぅ!気合い入るなー。いっちょ、かましてやろうぜ!」 しかし、律や唯の物怖じしない態度は澪にとっては救いだった。 (うん、大丈夫、大丈夫。始まってしまえばいつもと同じだ。私は、私のやってきたことを全部出せればいいんだ。) リハーサルでの照明効果はメンバーは初体験だった。 色とりどりの光線の演出はみんなの心を高揚させた。 ライブハウスのステージでの演奏は、やはり学校の講堂のそれとは違う。 アンプやスピーカーから鳴る音の迫力も桁違いだった。 梓「私も緊張してきました。予想以上にお客さんが多いですね」 律「他のバンドの客もいるからな。」 澪「100人以上は軽くいるな。」 紬「こんなところでみんなと一緒に演奏出来るなんて・・・。」 律「お!BGMが止んだぞ。みんな出番だよ!頑張ろうぜ!」 全員「おー!」 メンバーはステージ上でそれぞれの位置につく。 律は中央奥のドラムセットに座り、ムギは左奥のキーボードの前に。 澪は向かって左、唯はステージ中央前に。 ステージ右には梓。 澪はベースの感触を確かめながら精神を集中した。 ここしばらくは、自分でも頑張ったと思う。 お客さんにはもちろんだけど、他のメンバーにも私の演奏を聴いてもらうんだ。 唯「こんばんわぁ!放課後ティータイムです!!私たち、実はライブハウスで演奏するの、初めてなんですよぉ。」 唯のMCでライブは幕を開けた。 (やっぱり唯はすごいな。どうしてあんな沢山の人前で普通に喋れるんだ。) 澪は自分には出来ないことを平然とやってのける唯に今更ながら驚いた。 それと同時に頼もしさも感じる。 唯「えへへ・・・って言うか、私がこんな所でギターを弾いて歌うことになるなんて夢にも思っていませんでした。あ、そうそう、実はですねぇ、私、もともと軽音楽ってのは、軽い・・・・」 ドドン! ドラムの音に振り返る唯。 律「いつまで喋っとるんだ!」 このままでは、軽音部への入部のきっかけから現在の歴史までを話しかねない唯を律が急かす。 唯「えへへ。急かされちゃった。では、さっそく一曲目を聞いて下さい!私の恋はホッチキス!!」 律「ワン、ツー、ワン、ツー、スリー、フォーッ!」 唯はペロッと一度唇を舐めてからピックを弦に振り下ろした。 唯の楽しくてキュートで、そして奇想天外なオリジナリティ溢れるギターフレーズが虚空へ向かって放たれる。 照明を受けて虹色に輝く唯のレスポール。 その音色はくるくると表情を変えてライブハウスの空気を包み込んでいく。 ムギのキーボードが音曲に更に彩りを添える。 梓の小気味よいリズムギターが程よくサウンドを締める。 律のドラムも走ることなく、しっかりとみんなのメロディを支える。 澪は唯の新しいギターフレーズにあわせて、ベースラインを変えた。 考えに考え抜いたベースラインだった。 以前より元気のよいベースが唯のギターリフに噛みついたり、じゃれあうようにユニゾンしたり、遊び心たっぷりに軽快に鳴る、走る。 素晴らしい演奏! メンバー同志、みんなが笑顔で目配せする。 「私たち、すごいじゃん!!」 そしてサビでの唯と澪のハモり。 唯のやわらかな歌声に澪の硬質の低音がからみあう。 今までにないほど調和する二人の声。 ジャーン!! 一曲目が終わった。 ワッと客が湧く。鳴り止まない拍手。 「澪ちゃん!ベースすごいよ!!」 唯が驚いた顔で振り向いた。 梓「私も演奏しながら思わずベースに聞きいっちゃいました!」 ムギ「演奏することがこんなに気持ち良いなんて・・・!」 律「よっし!この調子で突っ走るぞ!」 放課後ティータイムで呼んだ客も他のバンド目当ての客の方も、この新人バンドには驚いたようだ。 メンバーは全員タイプの違う美少女で、演奏の実力は確かなものだ。 しかも聞いたことが無いようなオリジナリティーに溢れている。 そこにいた誰もが 「このバンドは将来、有名になる!」 と予感した。 観客の熱気は高まる一方で、曲を重ねるごとにライブハウスは盛り上がっていった。 そして曲順は澪のボーカル曲である「ふわふわ時間」。 澪「こ、今度はえーっと私が歌います。」 ピー!!ピー!! 男の客から口笛が飛んだ。 「可愛い!!」 「彼氏いんのー?」 只でさえ病的なほど恥ずかしがり屋の澪である。 澪「・・・・。あ・・・。」 男達のヤジで一気に不安定になってしまった。 そういえば「ふわふわ時間」は、ステージで転倒して公衆の面前で下着を晒してしまったという苦い思い出のある曲であった。 澪「あ、あの、あの・・・」 澪はまっ赤になって完全に舞い上がってしまっている。 (そういえば演奏に集中していたから気付かなかったけど、私、こんな所で演奏するの初めてなんだ~。お客さんもうちの生徒じゃないし・・・) そんな澪の様子を見て会場がざわつき盛り上がっている。 ドドドドン、ギュイ~ンッ 律と唯が音を出して会場を静める。 唯「みんなぁ!萌えるのも分かるけど、って言うか、私も澪ちゃんにはいつも萌えてるんだぁ。だけど、静かに聞いてあげて!曲は『ふわふわ時間』だよ!」 律のドラムと唯のリフで演奏が始まった。 澪は緊張のあまりそこから先をあまり覚えていない。 律と唯のフォローでなんとか澪は歌うことが出来たようだ。 途中、男性客からの声援がすごかったが。 やはり澪のルックスは人目を惹くらしい。 それからまた唯がメインボーカルとなって歌ったラストの曲では会場の手拍子が鳴り止まず、アンコールもまで入った。 「放課後ティータイム」はアンコールには 曲を用意していなかったので、「翼を下さい」のコピーを演奏した。 唯「大成功だったねっ!!りっちゃんっ!!」 楽屋で大はしゃぎで律と抱き合う唯。 律「私たちすごくね??」 二人は抱き合ったままぴょんぴょん飛び跳ねる。 紬「はぁ~・・・」 胸に手を当て目を閉じる紬。 唯「???ムギちゃんどうしたの?」 紬「ごめんなさい、私、ちょっと余韻に浸ってしまって」 梓「それにしても澪先輩のベース進化し過ぎですよ!」 律「いやぁ、さすが澪だな。ここ一番はやってくれるよなぁ!」 梓「唯先輩のギターと澪先輩のベースがすんごくあってるんですよ!本当に素 敵!!」 梓は頬を紅潮させ感動を訴える。 紬「お二人のボーカルも素晴らしいわ!」 唯「澪ちゃん!!やっぱ澪ちゃんは澪ちゃんだねぇ~。さすが澪ちゃんだねぇ~。」 唯が澪の手をとり握手する。 澪「そ、そんなに騒ぐことでもないだろっ?」 唯の握手に手をぶんぶん振り回わされながら、澪は顔を赤らめ、視線をそむける。 唯のまっすぐの視線はどうも苦手だ。 近頃は、唯への友情や好意と嫉妬や羨望がどうにも消化出来ない。 でも、なんとかまた唯と対等になることが出来たんだ。 自分の努力が実を結んだことに対して澪は満足と安堵を覚えていた。 和「すごかったよ!みんな!ほら!これ差し入れ!」 和、憂、さわ子が楽屋に入ってきた。 憂「おねぇちゃん!!びっくりした!ほんとにかっこ良かったよ!澪さんも!みんなみんなかっこ良かった!」 いつもは控えめな憂も珍しくテンションが高い。 演奏の素晴らしさが伝わったのだろう。 さわ子「あんたらいつのまにこんな凄いバンドになってたの?まったく気付かなかったわ!」 唯「さわちゃん先生ぇ~!」 さわ子「特に唯ちゃん!あんた何?演奏聞いてびっくりしちゃったわ!」 唯「ふふふ。さわちゃん先生。人は常に成長するものなのですよ」 憂「お姉ちゃん、頑張ってたものねぇ。」 憂がうっとりした表情で唯を見る。 さわ子「澪ちゃんも上手くなったわね。澪ちゃんは完成されていた感があったから、あれ以上上手くなるなんて思わなかったわ。」 澪「!!」 さわ子はたまに遠慮なくズバッと真実を言うときがある。 (そ、そうかも知れない・・・。唯のギターの成長がなければ、私は上手くなれなかったかも知れない・・・。) 自分がいつのまにか唯に引っぱられていたなんて・・・。 みんながわいわい盛り上がる中、澪は愕然としていた。 私はみんなをまとめてきた・・・。 お尻をたたいて練習させたり、時にはしかったりして。 唯にはギターも教えてきた。 でも、今、本当にバンドをひっぱっているのは唯だ。 唯はサウンドでバンドのリーダーシップをとっている。 いままであんなに遊びほうけていていたのに。 私がもっと練習しろって言ってもなかなか言うことを聞かなかったのに。 それが・・・、少し前に唯が本気宣言をしてからあっという間に「放課後ティータイム」は唯を中心としたバンドになってしまった。 勉強も、楽器も唯に負けた。 そして、バンドのリーダー的な立場まで唯に変わってしまうのだろうか。 第七章 澪と唯 ここで澪と唯のことを少し考えてみよう。 澪は常識的な人間だ。 何事を判断するにも常識という物差しを利用する。 常識から外れたことはしてはならないし、それは恥ずかしいことだ。 そして、ときには自分の常識を人にも押し付けてしまう。 まだ自分の常識が崩れていくのは恐怖であり不快なことだ。 これは順応力がさほど高くないということである。 新しい事態が起これば、澪は頭で対処方法を考える。 そして事態を理解し、把握してやっと安心出来るのだ。 この場合、リーダー的な立場に固執しているのではなく、昨日までの常識が崩れていくのが怖くて、不快なのだ。 そして原因であるはずの唯という人間がさっぱり分からない。 今までのように、唯をたしなめ、世話を焼いて、アドバイスをして・・・ そんな立場ならストレスもそうは感じなかっただろうが、 今や唯は勉強でも楽器でも澪を上回り、ひょっとしたら軽音部での立場さえも奪われるかも知れないという、いわば澪よりも出来た人間だった。 そんな唯にこれから々接すればいいのだろう? 澪は途方に暮れた。 一方、唯。 唯に言わせれば 「そんなの今まで通り、澪ちゃんの思い通りにすればいいんだよ」 こう言うだろう。 唯の行動基準は自分の気持ちだけだ。 したいことをしたいようにする。 したくないことはしない。 人の気持ちもあまり考えない。 興味のあることを目の前にすると人の話しは聞かなくなるし、唯の抱擁から逃げ惑う?梓にはそれでも、抱きつくし、あるときは、散々世話になっているはずの澪を、ギターのメンテナンスと引き換えにさわ子に売り飛ばそうとした。 そのときは澪は梓に助けられたのだが。 だから唯は何ごとにも極端な結果が生まれる。 興味のあるものと無いもの。 やる気のあるときと無いとき。 唯は同一人物かと思うほど結果に差が出る。 唯は思い通りに生きている。 それなのに唯は誰からも愛されている。 唯は澪がコンプレックスを抱いて当然の性格だったのだ。 ただ、今までは澪の方が唯よりも大人の立場で接することが出来ていたのでそれが表面化することがなかっただけなのだ。 更に続けると、別に澪が自分の中に持っている「常識」が澪自身の性格というわけではない。 心と常識は違う。 常識的な行動が澪を大人にしている面もあるが、常識という皮を一枚剥ぎ取ると、逆に軽音部で一番子供なのは澪かも知れない。 人はときには心を常識や理性で抑え、ときには押さえきれず心のままに動くものだ。 澪はすぐに泣く。 よく恥ずかしがる。 ときにいっぱいいっぱいになってしまって、 「やだ!やだ!」 と、まるで子供みたいにだだをこねるのも澪だ。 母親のことをママと呼んでいるのも澪だけだ。 しかしほけーっとしている唯は決していっぱいいっぱいにはならないたくましさを持っている。 「常識という判断基準があってこそしっかり出来る澪」 「心のままに行動し、順応出来る野生児の唯」 という見方が出来る。 その澪が常識的に比べられる部分、勉強も、楽器の演奏も唯に負けた。 そして、バンドのリーダー的な立場まで唯に奪われるかも知れない このケースの澪の不安や不快さを理解出来るだろう。 5
https://w.atwiki.jp/1224134/pages/12.html
放送日程 月曜日 18時~19時・20時 火曜日 18時~19時・20時 水曜日 19時~20時 木曜日 18時~19時 金曜日 定休 土曜日 20時~20時半(不定期) 日曜日 18時~19時・20時 臨時放送について けいおん!からの重大なお知らせや、らじおん!最新版うpの際は、金曜・指定時間以外でも臨時で放送を行う場合があります。