約 1,067,892 件
https://w.atwiki.jp/tsvip/pages/1215.html
「なんだって? 年賀状?」 「そうそう、年賀状。兄貴もちゃんと友達とかに出しなよ〜」 女体化してからの弟は、それまでの大ざっぱさはどこへいったのか。まめなことをするようになった。 年賀状なんて、去年は一通も出してないくせに、今年は俺に強要するほどだ。 「俺は年賀状画像で済ますからいーよ。ほれ、VIPのスレに参加してるしな」 PCの画面を見せながら軽く笑う。弟もVIPPERだったはずだが、弟は最近はめっきりPC自体を触らなくなっていた。 「兄貴暗いー。もっと明るい趣味持ちなよ」 「うるさいな。お前だって女体化するまでは嬉々として参加してたじゃないか」 「ほら、来年は丑年だから緊縛プレイのロリ牛ようじょ……」 「兄貴……私はなんで兄貴が女体化しなかったか不思議でならないよ」 呆れ顔で弟は俺を見てくる。 そんなに俺が男なのがうらやましいのだろうか。 「そりゃ、そん時はまだオタじゃなかったしな。普通に彼女いたし」 「あー三木さんだっけ。可愛い人だったのにね」 「うるさい」 弟は机に向かい年賀状を書く作業を続けていた。 いっちょまえに丸文字なんか使いやがって、すっかり女気分を満喫している。 「ほい、兄貴」 「んあ?」 声をかけられて弟の方に向き直ると、弟は一枚のはがきを差し出して微笑んでいる。 「年賀状あげる」 「はぁ? 俺は兄弟だぞ——」 「——待て、そのまま動くなよ」 俺はおもむろに近くにあったデジカメで年賀状を差し出す弟をフィルムに収める。 「うわ! 何するの!?」 「いやー、いい写真が取れた。“年賀状を手渡ししてくれる美少女”って萌えるわ。せっかくだから今年の俺の年賀状はこれで……」 「何それ……バカ兄貴」 すまん。これが限界w
https://w.atwiki.jp/5kyo/pages/67.html
くろれら(2500)
https://w.atwiki.jp/ryuunabe/pages/2329.html
手編みのてぶくろ 該当ページ 名称:手編みのてぶくろ(アイテム) 評価:なし 要点:寒い日,暖かい,5本指 周辺環境:着用している人 特殊: *手編みのてぶくろのアイテムカテゴリは非消費型アイテム,着用型アイテムとしてみなす。 *手編みのてぶくろの位置づけは手芸品としてみなす。 *手編みのてぶくろの着用箇所。手指に着用するものとして扱う。 *手編みのてぶくろの効果1。手編みのてぶくろを着用すると寒いところでも手がかじかまない。 *手編みのてぶくろの効果2。手編みのてぶくろを着用していると、編んだ人の温かい心を感じることができる。 →次のアイドレス:指のサイズ(イベント) コメント てぶくろといえばクリスマ……は手編みのてぶくろの材料セットで語っているので置いておいてと、 このてぶくろの特徴としては身体も心も暖かくなるというのが徳省であろう。(効果1と2) ん、誤字だ(そしてコメント書いてるのは五時) まぁそれはともかくもこのてぶくろの特徴としては身体も心も暖かくなるという特徴である。暖かさ暖かまくりでぬっくぬく。
https://w.atwiki.jp/guild_happyday/pages/19.html
くろまめ( ΄◉◞౪◟◉‵) ギルド最強天然核爆弾 ネタ師を即効で殺っする能力で上位に食い込むのならば 恐らく知る人はまめちゃんを推薦するだろう。 天然と言う爆弾は見境もなく爆発する。 その脅威は殿様もたくあんも餌食となった..... ちなみに監督も天然なのでまめ&監督が会話をするとPT中でも突っ込みをいれたくなるような 天然会話のオンパレードなのでPT中は特に気をつけるべし 空気を読むとは漢字を読めると言うのとは全く持って意味が違うので理解が必要です。 名前の由来 白豆は無いでしょ?w茶色はww メインキャラ くろまめ*´Д`* サブキャラ 豆類全般←ここ重要!テストに出るよ! 性格 恐らく空から核の雨が降る感じ 一言 うち天然? パートナー 栄養豊富な土と水と日光 ギルメンに一言 あ?
https://w.atwiki.jp/tsukurobo/pages/105.html
マイクロクリッパー製作 data モータドライバボード 回路図 実装図 センサーボード回路図 CPUボード回路図 進捗 6月13日 前にできていたセンサーボードの写真 裏は不評なので・・・ 個人的な感想としては、これはもう作りたくないかな #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (sensorboard.jpg) 4月28日 モータドライバ基板の実装完了 一応通電は大丈夫そう出し、回路図どうりではある。素直に動いてくれるといいのだが・・・ 4月17日 新型のCAD完成。新型といてっても多少形を修正しただけ これから製作段階へ 4月5日 マウス部分のCAD完成 電池の置き方が変だって?いや仕様です。 アームハンド部分は後で設計する予定。これがかなり時間がかかりそうなので・・・ 回路図はCPUボード以外大体できた。 ボード図は・・・どうしようorz つくろうか?作らずに行くのか あとは、見栄えを良くするためにコネクタ、LEDなどにこだわってたら なかなか難しくなってきた。特にコネクタが現在の悩みって日記みたいじゃないかこれ!!
https://w.atwiki.jp/kirukodqm/pages/66.html
./ / /l / / / .| ./ / / .ヘ ./ / / /ヽ ヘ l / / ///ヘ | | / l ./////| | l / .| //////| | |\ / .| |///__|_/_ .| /| | |/ /////`ヽ | / .| / メ/////////\_____ | | / メ////////////|ー――、_` ‐ 、 .| | l ///////////./ ヘ////////` 、 \ | .| /|\//////////// |////////ー‐´ \ .| ∧ | |.l_|//ヾ/////// 二 ̄ ̄´ _, ー―´ .| ∧ |//  ̄\//_ / / ヘ`ー―‐´ .| ∧ / 、\ ー―、_/ | | ∧/ \ー ´/ / .| .| /へ // ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | //////`ヽ / /////////////////////∨ .| .|/////////\__ // /|//////////___/////∨ | ∧//////////// // ./ | , ー―´ ̄/////// ̄ーヽ 、 .| 〉//////////|/// 「 ̄/////////////////// | |∨ ∧ .∧/\//////__////\|//////////////////////|ゝ∨ ∧ ∧///// ̄ ̄//////////\_, ―´ ̄ ̄ ̄ ̄ー――、_ ∨ ∧ ∧/////////////////////∧/////////////////////| .| ∧ ∧/////////////////////∧//////////////////////| | ∧ .∧/////////////////////|//////////////////////\ | ヽ |//////////////////////| \////////////////////l/ |┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 種族 うろつく跳獣 ♂ 性格 猛攻 LV 15 HP:121/121 MP:43/43 こうげき C- ぼうぎょ D すばやさ D+ かしこさ E 【特技】 ・魔神斬り 消費:8MP 種別:斬撃 タイミング:メジャーアクション 命中率は低いが、当たれば必ず会心の一撃になる物理攻撃を単体に放つ ・ブーメランフック 消費:8MP 種別:格闘 タイミング:メジャーアクション 敵全体に物理攻撃を行う ・ジェットアッパー 消費:12MP・テンション1 種別:格闘 タイミング:メジャーアクション 命中率が下がるが、敵単体に極大ダメージの物理攻撃を行う 【特性】 ・連続攻撃 通常攻撃が2回攻撃になる ・戦士の手 通常攻撃及び【種別:格闘】の特技の攻撃による会心の一撃の確率が上昇する┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
https://w.atwiki.jp/wiki9_ra-men/pages/2650.html
食べた日:2008/8/8 『くろく』で、気まぐれ限定の「クロク・スープカリィ ~麺仕立て~」(850円)を。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 今回の限定はスープカリーをラーメンに仕立てた物です。 スープカリーラーメン自体は、スープカリーのお店でもたまに見かけますが、流石はくろくで、スープカリーはスープカリーでも、何と冷たいバージョンです! 器は冷されたガラス製の皿を使用しています。 そのビジュアルからも、“スープカリーラーメン”ではなく、“スープカリーを麺仕立てにした物”という雰囲気が伝わってきます。 スープは甘味の少ないビターなカレー味。 一口目は「ちょっと薄いかな?」と感じますが、二口目からはその旨味とスパイスによる刺激がジワジワと感じてきます。 スープを飲みたびに、口の中で感じる旨味と刺激がドンドン強まってくるので、非常に後を引きます。 麺もスパイシー! #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 麺はターメリックを練り込んだ黄色いストレート中太麺。 麺を噛むと、ターメリックのスパイシーな味わいが口の中に広がります。 ザクッとした歯ごたえの麺は、スープとの相性が抜群にいいです。 具は鉄板焼きバラチャーシュー・デカメンマ・オクラ・レタス(みたいなやつ)・ピューラーセロリ&ニンジン・小口ネギ。 セロリは元々あまり得意ではないのですが、くろくの限定でたまに出るこのピューラーセロリは、クセが少なく、非常に清涼感があり、今やすっかりハマっています(笑) これはかなり美味しかったです! 創作的な面白さと純粋な美味しさが、見事に合致した素晴らしい作品です。 今年も年末にやるであろう「気まぐれ限定大賞」への投票は「太陽のトマトつけめん」に決定!と思っていましたが、このメニューを食べ、マジ迷ってしまいます。。。 住所:仙台市宮城野区榴岡2-2-12 アーバンライフ橋本1F by hiro (2008年 316杯目) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kurotoko/pages/22.html
■慣れないことをしようとしても失敗するだけ ※引く順番: 唯⇒夏希⇒ゆたか⇒みちる⇒紗霧⇒英美⇒唯 ■ ■ 昼休み。 二年Aクラスの教室、三好ゆたかの机の周辺に、少女たちがたむろしている。 ゆたかの机の上には、ばらばらで整頓されていないカードの山。少女たちの手にもカードがある。 少女たちは全員、周囲の席から拝借した椅子に腰掛けている。 「では」 「どうぞ」 英美が扇状に広げたカードたちの中から、紗霧の指が一番左端のそれをひたりと摘まむ。 「……こちら」 英美の肩がぐっと強張る。それを見て、紗霧はカードを摘まんでいた指を離し、そのひとつ隣を迷いなく引き抜いた。一拍置いて、手に取ったそれの数字を見た顔が微笑む。 「はい、あがりですね」 「なんでよー!」 数字の揃った2枚の手札を捨て山に置く紗霧は、古河みちるに続き二番手の上がりだ。 満足げな顔を悔しそうに横目で見ながら、英美は唯の手札から1枚を抜き取った。 「揃わないーなんでー」 引いたカードと手札とを照らし合わせる。が、数字は重ならない。 不揃いのカードが3枚と、先程から付き合いの切れない、不気味に笑う魔女が1枚。 昼休みのカードゲーム、ババ抜きは今日も英美が劣勢だった。 「せんぱいはすぐ顔に出ちゃうんですから」 「分かりやすいときもありますね」 「そうかなあ」 唯とみちるの言い草に、英美は不満げに眉を寄せる。 「あたしみたいに初めっから笑ってればいいんですって」 そう自慢げに言う夏希は、表情を隠すため『カードを引かれる際には常にめいっぱいの作り笑いを浮かべる』という戦法をとっていた。その成果か、勝率はそこそこ悪くない。 「それはそれで難しいと思うのよ」 「いやいや、そんなことはないですよ」 「でも、正直あの作り笑いは不気味ですよ」 「マジで!?」 さらりと差し込まれた唯の本音に、条件反射的に夏希が叫ぶ。 「すごい不自然ですし」 「それはしょうがねーじゃん! それが目的なんだし!」 「あはは」 笑いながら、唯は体を前傾に、椅子から少し身を乗り出した。そして、夏希が胸元に構えているカードに手を伸ばす。 「どれにしましょうかねー」 「ふふふふふ」 瞳をギラつかせた夏希がにやにやと笑う。作り笑いの迎撃態勢。 唯のカードは1枚、対して夏希は残り3枚。唯は相札を引ければ上がりだ。これで唯が上がれば、残るのは英美、ゆたか、夏希の3人になる。 うかうかしている場合ではないと、英美は自分の手札のシャッフルに勤しもうとして、自分の手元にジョーカーがいることに気付いた。 「(あれ? そもそもジョーカー絡まないんだから、なっちゃん作り笑いする必要ないんじゃ…)」 「これです! …よしっ、あーがりー!」 英美が顔を上げると、わーい、と唯が諸手を挙げていた。 「うぇーマジでか! そろそろやばいなあ」 言葉のわりに楽しげな夏希が引くのは、ゆたかの手札だ。 「はい、どうぞ」 「あたれー」 ゆたかが差し出した2枚から、夏希は随分と気楽にカードを抜いた。ジョーカーが英美の手札にあるのはこれまでの英美の反応からモロバレだったため、夏希は自分の当たりにだけ期待していればいい。 「うう、当たんねえ!」 はずれ。悶える夏希を、紗霧が微笑みながら眺めている。 「次は私の番ですね」 「あ、うん」 ゆたかに声をかけられ、英美はそちらに体を向けた。 ゆたかの手札は残り1枚。上がる可能性も、ジョーカーを引く可能性もある。勝負どころだ。 「それでは、いきます」 「は、はい。どうぞ」 気合の篭もったゆたかの声に、思わず英美は引き気味に手札を構えた。 ゆたかはそれを追うように、先ほどの唯と同じようにぐいっと上半身を前傾させて手を伸ばす。 英美は何気なく視線を手元から前へ向け、息を呑んだ。 「(あっ!)」 前かがみになったゆたかの襟元に空いている隙間を、英美は見た。 奥が覗ける。胸元が見えてしまっている。清楚な印象を抱かせる控えめなレースの装飾も、普段であれば絶対に見えない、鎖骨から胸骨にかけての肌色も。 致命的な先端部分までは見えないものの、それが逆に強く英美の目を惹き付けた。 「(?)」 横から視線を感じ、英美は手札を晒しながら、目だけを右へ向けた。 夏希が笑っていた。先ほども見た、あの不気味で不自然な笑みだ。 「(私を見て笑ってる? いや違う、この子……まるで“私はもう十分に堪能した”とでも言いたげな顔をしている!)」 瞬間、英美の脳裏に思い浮かんだのは、つい先ほど、今と同じ顔で不気味に笑っていた夏希と、その夏希の手元からカードを引く唯の姿だった。 不自然なまでに手元に構えられた手札。身を乗り出して前屈みになる唯。それは今現在の英美とゆたかの位置関係と、完全に一致している。 「(にまにま)」 「(か、完全に同類だと思われている)」 いやいや、と英美は内心で首を左右にぶんぶんと振った。 夏希にどんな目で見られようと、そんなことは問題ではない。 「(注意しなきゃ)」 英美がまず思ったことはそれだった。相手が気付いていないのをいいことに『この光景を堪能してしまおう』などという考えは、英美の頭には欠片も浮かばなかった。 「これです」 「あ、」 そのとき、折り悪くも英美の手元からカードが1枚抜き取られ、ゆたかの体が離れていった。タイミングを外されて、英美は口を半開きにして硬直する。 ゆたかは英美の様子をさして疑問に思うこともなく、今引いたばかりのカードの数字に目を移し、肩を竦めて手札の中に入れた。揃わず、だ。 「(えと、ええと、)」 言い出す機会を逸し、狼狽する英美。ここで言い出すか? と考えて、いやいや、と思い直す。ここで言い出したら完全に事後じゃないか。堪能した後で注意したと思われるに決まっている。『見てたんですね! 変態』とか言われるに決まっている。それは避けたい。見てない。ちょっとしか見てない。だからノットギルティを主張したい。 そうだ、次に前かがみになったタイミングで言えばいいんだ。『あ、見えそうだよ、気を付けて』と。これなら自然。まさに自然。 そうと決まれば、まずはゲームを進めることにするべきだろう。次は、英美が夏希からカードを引く番だ。 「んふ」 「……」 ギリギリ不自然にならない程度の遠い位置で、夏希が待ち構えていた。 堪えきれないといった風に、夏希は口を閉じたまま含み笑っている。エロスに濁った眼がギラついていた。 「英美先輩の順番ですよー」 「ウン、ソウダネ」 夏希の思惑通り、英美は上半身を乗り出して手を伸ばした。 ただし、自分の手札を持った左手を胸元に添えた状態でだ。ガードされた胸元に隙はなかった。 硬直する夏希からカードを引く。揃った。ペアの2枚を山に捨て、英美の残り手札は2枚、うち魔女1枚。 「無念……!」 「う、うん」 何に対してか悔しがる夏希に、引きながらも応える英美。 その2人を眺めながら、紗霧は微笑んでいた。唯は声をあげて笑っていた。みちるは含み笑いを隠すため、口許に手を当てていた。 そして三好ゆたかは―― 「……っ!」 三好ゆたかは、顔をほのかに火照らせていた。 そう。英美の様子を見て、彼女はようやく気付いたのだ。先ほどの自分の体勢と、英美と夏希の不審な挙動の意味に。 「ちぇー……次あたしですね。よしあがった。トイレー」 硬直したままのゆたかの手札を1枚引き抜いてアガリを宣言すると、夏希は席を立った。 現在ゲームに残っているのは英美とゆたかの2人のみ。次はゆたかが英美のカードを引く番だ。 「それでは、次は私が引きますね」 「(きた!)」 英美はまず、注意する際の言葉を考えた。『あ、胸元見えそうだよ。気をつけて』。これだ。さも今気付いたかのようで、かつ、いやらしくない。最初の『あ、』がポイントなのは言うまでもない。 では言うタイミングはどうか。見えそうだよと言うからには、見えそうになっていなくてはならないだろう。これは間違いない。見えそうでもないのに『見えそうだよ』などと言えば変態認定は免れない。ゆたかの胸元が見えそうな状態になったら言う。すかさず言う。これだ。いける。 状況は英美の味方をしている気がした。勝利の予感があった。 「(いつでも来なさい!)」 タイミングを見誤ってはいけない。ゆたかの胸元が見える瞬間を見逃してはいけない。 じっと。英美はゆたかの胸元を注視した。凝視した。英美は真剣だった。真剣な眼差しをゆたかの胸元に向けていた。その瞳には真摯な光があった。 「(たいへん凝視していらっしゃる!?)」 ゆたかの目から見た英美は、それはもう変態そのものだった。 カッと見開いた、怖いほどの迫力を宿した目が見つめる先はゆたかの胸元。一瞬を見逃すまいとまばたきをしないせいで目が充血して、その危うさに拍車をかけている。 半開きになった口が浅く呼吸を繰り返し、何か言いたげに開閉を繰り返している。 「さあ、ほら、カード引いていいよ」 息を荒くしながらそんなこと言われても困る。そんなに見たいのか。そんなにか。 ゆたかは心の中で叫んだ。 これから起こる惨劇に備え、みちるは音を立てずに椅子をずり動かして退避の体勢。 唯は『やれやれ、またか』とでも言いたげに嘲りの笑みを浮かべた。 紗霧は表面上は無表情で動向を注視している。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 【条件分岐】 Q.ゆたかの英美への好感度が70以上ある? →はい いいえ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 「……ふぅ」 ひとつ息をついて心を落ち着かせ、ゆたかはおずおずと英美の手札に右手を伸ばした。 ただし、胸元を左手で押さえた体勢で。 「あっ」 その瞬間、英美がどう思っていたかは定かではない。 胸元を見ていたことに気付かれて焦っていたのかも知れないし、ただ単純に気付いてくれて良かった、と思っていたのかも知れない。ひとつだけ確かなことは、 「(そんなに、)」 確かなことは、次の瞬間、英美の頭は真っ白になったということだけだ。 「(そんなに見たいなら……!)」 英美は自身の目を疑った。次に頭を疑った。 それでも目だけは食い入るようにその光景を見つめていた。 熱を帯びた頬。 強がり顔で恥じらいながら、窺うような視線には少しの怯えを滲ませて。 どうぞと言わんばかりに、英美だけに向けて、左手の指で摘み、広げられた胸元。 「……~~!」 数秒で我慢の限界に達したゆたかは、英美の手元からカードを一枚抜き出して元の位置に戻った。 しかし、英美の精神を沸騰させるには、その数秒だけで十分だったようだ。 「……………………ほわっ?」 しばらく放心していた英美は、自分の鼻から垂れた液体の感触で我に帰ることとなった。 それに気付いた周囲の少女たちも声をあげる。 「あら、血が出ていますよ」 「おやおや」 「い、い、今ティッシュ出しますっ」 ゆたかの暴挙が有耶無耶になっていく空気の中、ひとり唯だけは唾でも吐き出しそうな顔をしていた。 **あくまでも救い ■ ■ 謎があれば、人はそれを調べ、あるいは人に尋ねることで答えを得ようとするだろう。隠蔽された秘密があれば、人はそれを解明し、時には邪推し、またある時は暴こうとするだろう。 不明とは火種であり、好奇心は燃料だ。燃え上がった知的好奇心という名の欲望を抑え込むのは、難しい。 ■ ■ 昼休みの喧騒の中。三好ゆたかは一人、自分の教室である2-Aクラス前の廊下にいた。 昼食を終えて早めに戻ってきたはいいが、教室では折り悪く弁当組にゆたかの机を使われていたせいだ。声を掛けて机を返して貰う必要もないかと、ゆたかはこうして壁に寄り掛かっている。 「……出ませんね」 手元の携帯電話の画面を見つめながら、三好ゆたかはそう呟いた。 画面に表示されている検索サイトのテキストボックスには、『電動 丸い 玩具 ピンク』という言葉が並んでいる。 「(やはり、ただの玩具としか思えませんが)」 つい先日の話、ゆたかはある玩具を拾得した。いや、正確には、玩具と思われる正体不明の物体を、だ。 結果だけ見るなら、落とし物は無事に持ち主の手に戻ったわけで、一件落着と言えるだろう。しかしゆたかにしてみれば、自分はただあの玩具を手に持っていただけだというのに、松島英美は涙目で逃げるわ彩水唯からは汚いものでも見るかのような目で見られるわ、思い返してみれば随分と散々な目に遭ったものだ。 しかも、最も納得いかないのは、当事者に説明を求めても逃げられるかはぐらかされるかで、あの拾得物がどんな用途で使う何物なのか未だに分かっていないことだ。曰く『ただのマッサージ器だ』という説明を受けてはいたが、今となってはそれが真実だとは到底思えず、内心穏やかではいられない。 そういった事情から、ゆたかはこうして携帯電話からあのアンノウンについての調査を行っていたわけだが――商品名か通称くらい分からないことには、無理だ。結果が出ない。 「ふぅ」 「こんにちは」 「はい、こんにちは。……会長?」 いつもの癖で半ば自動的に挨拶を返しながら顔を上げ、ゆたかはわずかに目を見開いた。そこにいたのは、穏やかな微笑を湛えた奥村紗霧生徒会長だった。 「どうも。そんなため息をついて、どうかなさいました?」 「あ、いえ、大したことではありませんので」 風紀委員と生徒会の連携で顔を合わせる機会は多いが、立場を抜かせば『友人の友人』程度の関係でしかない。そんな相手に相談に乗ってもらうほどの話ではないはずだと、ゆたかは愛想笑いを浮かべた。 「大したことでないのなら、三日も前から暗い顔はしませんでしょう?」 「え? あ、あの」 「いえ、実はですね。誰とは申しませんけれど、三好さんのご様子がおかしいという話を、少し前に聞いていたものですから」 「それは……その、すみません」 ゆたかは少し俯き、顔を赤らめた。 誰かは分からないが、余計なことを話してくれたものだ。私の周囲の人間で、三年の奥村会長に相談を持ちかける人間と言えば――最も確率が高いのはやはり、秘密を隠している当事者で、かつ三年の――いや、本当に誰かは全く分からないけれど、余計なことを話してくれたものだ。全く。ほんとに。あの人は。もう。 「親しい人には相談し辛いこともありますでしょう。私で良ければ、話してみてくれませんか?」 「いえ、そこまでご迷惑をお掛けするわけには」 「そのお気持ちがあるのなら、相談に乗らせてくださいな」 「……うぅ」 微笑みが目に眩しい。相手が完全な親切心から言っているであろうこと、他の人から話がいってしまっていることなどを考えると、ノーと言うことは躊躇われた。 「本当につまらない話なんですが」 そうしてゆたかは、事の顛末を紗霧へ話し始めた。 かくかくしかじか。 「それで、こうして自分で調べてもみたのですが、一向に正体が掴めないものですから」 「そういうことでしたか」 話の大まかなところを話し終えたところで、ゆたかはふと思いついて訊ねてみた。 「そうだ、会長は心当たりはありませんか? その、あのマッサージ器のようなものの正体が何なのか、について」 「ふ、む……済みません、見当もつきません」 「そうですか、いえ、ありがとうございます」 悩むような間を置いて返ってきた返事はしかし、ゆたかの望み通りとはいかなかった。小さな落胆に、ゆたかが肩を落とす。 「けれど三好さん。貴女、ソレの正体を知って、それからどうなさるおつもりですか?」 「? どうする、とは、」 曖昧な問いに当惑しながら、ゆたかは鸚鵡返しに問い返した。紗霧の表情がやけに冷たく見える。いつの間に笑みを消したのだろう。 「例えばその正体を知ったとして、それを貴女は皆さんに話されるのですか?」 「え……いえ、その、話せ、ません」 「――――」 それきり紗霧は沈黙した。真っ直ぐにゆたかの目を見つめたまま、ゆたかの答えを待っている。 ゆたかは、紗霧の言いたいことを理解した。理解してしまった。つまり紗霧は、ゆたかにこう言いたいのだ。 『皆が自分に対して口を閉ざすのは何故?』 『ゆたかに真実を伝えない理由は?』 『それは誰のため?』 『それを考えた上で、貴女はまだ知ろうとするの?』 「……」 沈黙の視線のうちに込められた糾弾に、ゆたかは思わず視線を逸らした。自分のしていたことが急に恥ずかしく思えてきて、唇を軽く噛む。私は一体何をやっていたのか。それを、皆がどんな気持ちで見ていたのかも知らずに。 「そんなに暗い顔をなさらないで下さい、三好さん。貴女だけが悪いわけでは、決してないのですから」 「え……?」 全ての過ちを赦す慈母の微笑みに、ゆたかは逆に戸惑った。こんな悪い自分に、何故この人はこんな優しい笑みをくれるのだろう? 「秘密にされたら知りたくなるのが道理です。せめて隠す理由くらい知らないことには、三好さんが調べたくなるのも当然の話」 「そうですけど、でも、やはり秘密を無闇に暴き立てるのは」 「直接聞いてみればいいんですよ。隠す理由を」 「理由を、直接?」 「そうです。今回足りなかったのは、対話と歩み寄りです。今の三好さんの気持ちを素直に伝えれば、皆さんもきっと分かってくれるはずです」 「今の、気持ち……」 「偉そうなことを言いましたけれど、実際さして大した理由もない可能性だってありますし、ね」 最後にそう、おかしそうに笑いながら言い残して、奥村紗霧は去っていった。 残されたゆたかはその背中を尊敬の眼差しで見送りながら、彼女のことを想った。会長へ相談を持ちかけてくれたに違いない彼女へ。 そうして紗霧の言う通り、今の気持ちを素直に伝えるために、今日の放課後の予定を尋ねるメールを作成し始めた。 ■ ■ 廊下の角を曲がり、ようやく背中に感じていた視線がなくなったことを確認してから、紗霧は小さく笑った。 不明とは餌であり、好奇心は猫だ。走り出した猫を捕まえるのは難しい。しかし道を用意してやれば、その方向を誘導することは、かくも容易い。 ■ ■ 自室にて。 松島英美はテーブルの前に正座して、膝の上に置いた両手をぐっと握りしめながら、長いことその物体をじっと凝視していた。 窓から見える爽やかな青空とは対照的に、思いつめた顔で。気恥ずかしそうに。その目に、僅かな好奇心を覗かせながら。 まっさらなテーブルの上に、ぽつねんと小さな何かが置かれている。 その物体は、2つのパーツとそれを繋ぐ細いケーブルで構成されていた。片方は2センチ程度の小さな楕円球で、もう片方は小さなツマミの付いた長方形。2つのパーツとそれらを繋ぐ紐の色は、全て白い。色は違うが、つい先日、ゆたかが拾ったという持ち主不詳の落とし物とほぼ同型の物だ。 「……」 もちろん、と言うべきか、これは英美の私物ではない。朝起きて、自分の部屋の床にこれが転がっているのをついさっき発見したところだ。 そして持ち主は既に判明している。昨日……金曜日の放課後に遊びに来た後輩、伊織夏希だ。学校からの帰り、英美の家に寄り道をしていった彼女がこれを“置き忘れて”いった。たった今メールで本人に確認したから間違いない。 学校での件も持ち主は夏希だったのでは? と英美は推測していたが、直接夏希に訊ねてはいない。もし夏希が持ち主だったとしたら、つい『これは私の物ではありません』と言ってしまう気持ちは英美にも簡単に想像がついた。こんな恥ずかしいものを他人に拾われて、『それは私の持ち物です!』と言える人間がいるだろうか。いや、いるわけがない。 どうしたらこんなものを学校のトイレや他人の家に忘れてくることが出来るのか英美には分からなかったが、深くは考えないことにした。人には大なり小なり秘密があるものだ。うん。 しかし詳しいことの追求はしないにしても、これを夏希に返すときには、『今後またどこかに置き忘れたりしないように注意しなさい』と言っておこう、と英美は決めていた。前回と今回は運良く何事もなく終わったが、教師や他人に知られたときに困るのは夏希なのだから。 「うん?」 テーブルに置いていた携帯電話がチカチカと光を放ちながら、ポップでキュートなメロディを奏で始める。メールだ。 送信者の名前を確認して、英美は首を傾げた。夏希からだ。忘れ物の引き取りは明日にしよう、ということで先ほど話はついたはず……だが、はて、まだ何か話すことがあっただろうか? 「て、ちょ、しないよそんなこと!」 本文を確認して、英美は思わずそう叫んだ。 メールにはこうある。 『洗って綺麗にしてありますから、興味があったら使ってみて下さい! よければ!』 よければ! ではない。何も良くはない。お前は一体何を言っているんだ! 「だ、大体、話に聞いたことくらいあるけど、使い方も分からないし、それに、そんなこと出来る時間も、ないし」 今日はこれからゆたかが遊びに来ることになっている。だから、昼間は無理だ。夕方からは時間が空くけど、出来てもやらないよ。もちろん。 えっと、こういうの使うのって、風呂入ってからのほうがいいのかな……じゃなくて、どうせ汚れる? んだし、風呂入ってからのほうが――って、いやいや、使わないけどね! 「……興味も、ないし」 左手に携帯電話を持ったまま、右手がおそるおそる前に伸ばされる。テーブルの上に鎮座ましましている、未知の塊へ。 興味はないんだけども! 全然ないんだけども! 単4電池とかでいいのかな。変な形の電池だったら―― 「きゃわー!?」 左手の携帯電話が電話着信のハードロックを喚き立てる。 英美は驚いて叫びながら机上の物体Xを引っ掴んで、隠すように両手で包み込み胸元に寄せた。激しい動悸を手で押さえるように。 「び、び、っくりしたよ、一体誰、」 着信:三好ゆたか 「……あ、そっか、だよね」 当然。納得。であった。 今日は家で話をしたいとのことで、どこにも遊びに行かず英美の部屋でゆっくりする予定になっていたのだ。だから、 「ゆたかが来る前に、これはどこかに隠さなきゃ、だよね。えっと、えっと」 ぴ、と通話ボタンを押して携帯電話を耳に当てながら、英美は立ち上がった。 第一級隠匿指定物の隠し場所を求めて視線を巡らせる。 「はい、もしもし」 戸棚、ベッドの下、机、クローゼット……相応しい隠し場所かを考える。 その過程、置時計で時間を確認した。11時、ほぼ丁度。ん? 『もしもし』 受話口から聞こえてくる声。 それと同時。部屋にチャイムが響き、来客を告げる。 「ちょ、」 もしもしわたしゆたか。いまあなたのへやのまえにいるの。 「ごめん、ごめんちょっと待ってね? 今開けるから」 『はい』 右手に携帯電話、左手に大変いかがわしい物を持ったまま、英美はものすごく慌てていた。 「えと、えーと、えい!」 後で考えてみれば、机の中にでも隠しておけばよかったと思うが、この時の英美の頭の中は限りなく透明に近い白だった。 何を思ったのか、英美は左手に持ったそれをポケットにねじ込んだ。 そして入り口の鍵を開けて、ゆたかを招き入れた。 ■ ■ 「あの、英美さん」 「うん?」 部屋に招き入れられて、いつもの位置に腰を下ろして。 世間話もそこそこに、ゆたかは本題を切り出した。 「この間の、落とし物の玩具の話なんですが」 「あ、あー、うん」 英美が気まずげに目を逸らす。 「(アレがなんなのか分かっちゃったのかな……うわー、謝ったほうがいいかなあ)」 あんなものの解説をするのは恥ずかしい、というだけの理由で逃げ回っていたのが英美だ。 積極的にゆたかのことをからかおうとしていた唯ほどではないにせよ、自分にも責はある、と英美は思った。 「あのね、ゆたか、その」 「いいえ英美先輩、まずは聞いてください。私は、貴方に謝らなければなりません」 「え?」 なぜ自分が謝られなければいけないんだろうか。英美にはわけがわからなかった。 アレの正体が分かって『なんで黙ってたんですか!』とか、あるいは未だに分からなくて『なんで教えてくれないんですか!』とか、そういう話ではないのだろうか? 「私は今日まで、あれが一体何なのかについて調べていました。本日までの調査の結果として、結局、まだ何も分かってはいなかったのですが」 「……うん」 とにもかくにも、声の調子から改まった話だということだけは分かる。 ベッドにあぐらをかいていた英美は、居住まいを正して聞く態勢を取った。 「皆さんが知っているのに、私にだけ教えてもらえない。それが許せなかったんです」 ゆたかの声は落ち着いていた。言葉とは裏腹に、表情も至極穏やかだった。 少なくとも今は、怒ったり悲しんだりといった激情とは無縁のように、英美には思える。 「けれど、あの落とし物が何なのか皆さんが教えてくれなかったことにも、理由があるんですよね」 「ん……?」 英美はもぞもぞと尻の位置を直した。視線が、少し、その。 「隠し事をされるのは哀しいですが」 「う」 「皆さんのことを思えば」 「うう」 「私がしていた行為は、皆さんへの裏切りに他なりません」 「ううう」 眩しい。 信頼に満ちた瞳が。 「なので、今後は気にしないことにしようと思います」 「(そんな)」 そんなことを言われても困る。 そんな風に思われても困る。 「でも……いえ、往生際が悪いですね、すみません」 「や、」 この話はこれで終わりです、ご清聴ありがとうございました、と。 ゆたかは正座の姿勢のままで、深々と頭を下げた。 「――――」 そのお辞儀に、英美は言葉をなくした。 なんだろうこれは。なんなんだろう。私はただ。ただ恥ずかしくて。それで黙って。 「(なんで?)」 それが一体全体なんでこんな展開になるのか。 なんでこんな悟った風の笑みを浮かべさせることになったのか。いったいそしてぜんたい。 かと言って『あれはエログッズだったんだよ!』なんて今更言えるか? そんな空気か? 「こっちこそごめん!」 英美は感極まって、居ても立ってもいられず……いや、居てもいられず立ち上がり、ほとんど叫ぶようにこう言った。 先のことは全く考えていなかった。 そのしゅんかんにポケットから、ぽーんととびだす、しろいアレ。 「あっ」 勢い良く伸び上がった英美の腰のポケットから飛び出したソレは放物線を描き、床にクッションを置いて座っていたゆたかの目の前に着地した。 「あ、これ」 「はわ!?」 思わずといった風に手を伸ばすゆたかに先んじて、英美はベッドから飛び降り、落としたソレを慌てて拾い上げた。 取りこぼしそうになりながらも両手で胸に押し付けるようにソレを抱え、そのままぺたりとカーペットに腰を下ろし、猫背になって目を逸らす。 指の隙間から、白いコードがはみ出ていた。 時、既に遅し。 「英美さんも持ってたんですね」 英美の視界がぐるぐる回る。ぐるぐる。ぐるぐる。 「はわ、はう、ちゃわ」 ちがうこれはなっちゃんのでだから あれちがうゆーちゃんは知らないんだっけでも 「もしかして、流行っているんでしょうか……」 こんなのが大っぴらに流行してる街なんていやだ! 「こ、、や」 と英美は思ったが、ゆたかのほうは『流行の話を教えてもらえないなんてさみしいなあ』みたいな顔をしていた。 だから違うんだってば。大変な誤解。ほんとうにひどい誤解なんです。 「話すよ!」 「え?」 一瞬の沈黙。 英美はテンパっていて、ゆたかは普通に落ち着いていた。 無知と既知との埋められない溝がそこにある。 「え……っと、宜しいんですか?」 「い、いいよ!」 勢いに任せて、英美はそう言った。 わたしには別に隠す理由なんてないんだ。ただ、そう、話すのがちょっと、かなり、すごく、ものすごーく、恥ずかしいだけで! 「それは確かに、私としても望むところではありますが……」 できればもう少し落ち着いて、考えなおしてもらっても構いませんが、と、ゆたかの目はそう言っていた。 しかし、ここで止まって後で知られたほうが英美としてはよほど恥ずかしい。走るべし。走り抜けるべし。 「えとね、あのね、そんなに大した理由もないんだ。実は」 「そうなん、ですか……?」 ゆたかの目が眇められる。 怖い。 「ちょ、あ、違う、言い方まちがえました。じゃなくてその、」 まって。わかって。いま言うから。いま。そしたらわかるから。 「その、あの、その」 「……」 100%菩薩だった笑みに、若干の陰りが見えてきた。 まずい。早く言わねば。一秒ごとに危険指数が上昇していく。 「びっくりしないで聞いてください」 「これは」 「その」 ■ ■ 「……なことに使う道具なの」 「え?」 俯いて、目を逸らして、小声で、赤面しながら。 もごもご、と口の中でだけ呟いた言葉は、当然のようにゆたかには聞き取ることができなかった。 「だから、その、もごもごで」 もにゅもにゅ。 妙に身をくねらせながら、英美の態度ははっきりしない。 ゆたかも、そろそろ苛立ってきた。 「すみません、もう少し大きな声で言って頂けませんか?」 ずずいと身を寄せ、耳をそばだてるゆたか。 英美の顔の赤みが増す。 「だから、その……えっちなこと」 ん? 「え?」 なんだって? 「だから、えっちなこと! えっちなことに使うの!」 今度はゆたかが赤くなる番だった。 絶句。赤面。戦慄。羞恥。 「なっ、なっ、なっ」 目を閉じたままがーっと言って、やり尽くした感のある顔で英美は思いっきり顔を逸らした。 ゆたかはあまりの衝撃から少し仰け反った姿勢で、英美の手元からちらりと見えるそれを思わず凝視。 赤い顔がふたつ。 「黙っててごめんね……!」 「そこで謝られても困ります!」 むしろ黙ってて欲しかった! 言わなくてもいいって言ったのに! と今更ながらに、本当に今更ながら思うゆたかだった。 「だからその、説明できなかったのは、そういうわけで」 「へ、へえー」 今度のもごもごは、ゆたかにもよく理解できた。 あの日よく分からなかったアレコレも。あの小娘はあとで説教。 「ということでした……」 観念したのか、それとも秘密を共有する人間ができて少しは楽になったのか、英美は固く握っていた両手を広げ、ゆたかの眼前に差し出すようにして、その全貌をあからさまにした。 「へ、へえー」 その事実を知ってから見ると、物の見え方も全く違ってくる。 「そうだったんですか。これが。はあー……」 ゆたかは興味津々にそれを観察した。 これが、その、そういうアレコレに使うものなのか。言われてみれば、 「いえ、しかし、玩具にしか見えません、よね」 「ん、うん、だね……」 結局、ただの丸くて震えるだけのものだ。 露骨に怪しい形をしているわけでもないし。色も清潔感の溢れる白。 「……」 「…………」 少しの沈黙のあと。 「……どうやって使うんでしょう?」 ゆたかは頭の中に浮かんだその疑問を、そのまま口に出していた。 尋ねるでもなく、自問自答でもなく。思わず。 「そ、それはほら、えっと、」 英美も使ったことはない。あるわけがない。 けれど話には聞いたことがある。局部に押し付けて使うのだ。確か。 「なんかこう、そういうところに、さ、ほら」 「あ、あぁ、はい、その、そういう所にですよね。ええ」 お互いが、お互いの『そういうところ』を、ちらちらと盗むように見る。 「こ、こうかな……なんて」 乾ききった笑みを浮かべながら、英美は試しにローターの球体部分を自らの右の胸に押し当ててみた。 電池が入っていないから、当然動かない。にも関わらず、英美は自分の鼓動が早まっていくのを自覚した。 そして、そんな英美を止めるでも咎めるでもなく見つめるゆたかも、同じような心持ちでいた。 「試しに、ですけど」 「うん」 新しい世界、知らない世界。 一人じゃないから、怖くない。一人じゃないから、いつでも笑い話にできる。覗き見るくらいなら。たぶん。 この時点ではまだ、二人とも、そんな風に思っていた。 「使って、みます?」 「……っ」 言ってしまった。言われてしまった。 まだ大丈夫。笑い飛ばしてもいい。 でも、じゃあ――どうする? 「…………でんち」 「あ、」 ぎこちなく英美は立ち上がり。 「でんちとってきます」 ゆたかはその背中を、無言で見送った。 **落ち葉を蹴っ飛ばしたりはしない。 昨晩の話になるが。 三好ゆたかは天気予報で明日の最高気温を確認していたから、寒いのは分かっていた。明日は大分冷え込むようだからと、厚い上着を出しもした。だが、 「……」 風を見ていなかった。手袋を持ってきていなかった。 ダウンジャケットで確かに体は温かいが、鞄を持つ右手は言わずもがな、ポケットに入れている左手もどんどん冷たくなってきていた。 放課後の帰り道。 「えっと、ゆたか」 「はい、なんでしょう」 温かそうなニットのポンチョとグローブをモフモフと見せびらかしながら(ゆたかの主観である。念のため)、ゆたかの左側に並んで歩く松島英美は、言いにくそうにだがこう尋ねた。 「暗い顔してるけど、どうかしたの?」 「……いえ、別に」 横目で英美を見ながらの返答は、今のゆたかの手と同じように冷たかった。 「そ、そっか。ごめんね、変なこと聞いて」 あはは、と愛想笑いを浮かべる英美。 その一瞬前に悄然としていたのを横目でしっかり目撃して、ゆたかは狼狽えた。 「あ! いえ! そうではなくてですね!」 「う、うん?」 ゆたかは八つ当たり気味に黙秘しようとしていた自分を恥じながら、左手をポケットから出して英美の目の前でぶんぶんと振る。 「つまらない事なんですが、手袋を持ってこなかったものですから」 「あ、そっか、そうだったの」 目の前でひらひら動く手が寒そうに震えているのを見て、英美はさっとそれを両手で包んだ。 「(はわっ)」 思わず立ち止まるゆたかに合わせて、英美も足を止める。 「あ、ごめん、痛かった?」 「い、いえ」 公衆の面前でんなになにを、などとゆたかが考えているうちに、英美が手袋を外す。 今度は手と手が直接触れ合った。 「わー、すごい冷えてる」 「え、ええ、まあ、それは、そうでしょうね」 ほう、と安心してしまう内心を押し隠して、ゆたかはあくまで冷静を装った。 素っ気ない返事にもめげず、英美の手の動きは優しい。 「あったかい?」 「それは、ええ」 さすりさすり。 「……」 「…………あの」 さすりさすりさすりさすり。 「うん?」 「もう大丈夫です。行きましょう」 心地良さよりも恥ずかしさと申し訳なさが先に立って、ゆたかはそう言った。 と言いつつも、手を振りほどきはしないわけだが。 「でも、まだもう片方あるし」 「いいですから」 両手やるつもりだったのか。 ゆたかは空いていた右手で英美の手をそっと押しのけて、さっさと歩き出すことにした。 「あ、右手も今すごい冷たかったよ!」 「それほどでもありません」 つかつかと歩くゆたかに追いすがり、英美が食い下がる。 「手袋貸すよ」 「それでは英美先輩の手が冷えます」 「私はいいよ」 「よくありません」 「じゃ、じゃあ半分こ」 「……はあ」 善意を断り続けるのも疲れる。落ち込まれる前に観念して、ゆたかは差し出されていた手袋を受け取った。 そして、それを右手に装着する。 「(あ、あったかい)」 まだ残っていた英美の温もりが、かじかむ右手を包む。 右手がだいぶ楽になった。ありがたい。 「さあ、行きましょう」 「待って待って」 顔が弛緩していないか左手で確かめながら、ゆたかが先を歩く。 それを英美が慌てて追いかける。 「あ」 「わ」 英美が追い付いて隣に並ぶのと、ゆたかが左手を下ろしたのはほぼ同時だった。 英美の右手とゆたかの左手――互いに手袋をしていない手が触れ合って声をあげたのも、ほぼ同時だった。 「えっと、」 『いい?』と、窺うような視線。 視線を外してそっぽを向いて、ゆたかがこくりと頷く。 両手を温かくして、2人は帰宅した。 **あるものしりとり 夏希ばーさす遥 「あるものしりとり?」 「そ。今ここにある物の名前だけしか使えないっての」 「へえー。オモシロソだね。それじゃ、最初どうしよっか」 「『り』スタートだろ。んじゃーあたしからな。『理科』」 「『か』かあ。か、か、か、かー……あ、『カラス』」 「『水曜』」 「う、『ウノ』」 「『の』ってなんだ、なんかあるか、ないだろ、の、『のり』」 「あらビック! えと、んーーー『リフ』!」 「なにそれ音楽的な意味でか。グレーゾーンだなあ」 「大丈夫、問題ないさ」 「んじゃあ『フェルマータ』。教科書のどっかにはある。多分」 「むむ。『たくわん』」 「胃袋の中にか。ていうかアウト」 「しまった、1落ちした!」 「残機制なのかよ!?」 「『たまごやき』でー」 「……これで残機ゼロだからな。『教科書』」 「『しょ』? 『よ』?」 「どっちでも」 「『賞状』」 「うn――じゃなくて、『運動部』」 「なんで言い直したの?」 「深い意味はない」 「ほむ。『部活』」 「んー…………つち、『土踏まず』」 「おお」 「ふはは」 「『ず』ってむずかしいなあ」 「降参か。いいぞ降参で」 「『ずらし押し』」 「あたしの体を押すな! ってかそれ名詞じゃねーし!」 「(ふんっ)」 「ドヤ顔をするな。まあいいや、『しま』」 「パンツが?」 「どう見てもソックスだろーが!」 「すとっぷばいおれんす!」 「次、『ま』」 「まnモゴモゴ」 「別のにしろ!」 「んじゃあ、えーと、『万札』」 「あるのか今」 「あ、あるよ!」 「確かめていいか?」 「と、友達に噂とかされると恥ずかしいし!」 「じゃあしょうがねーなー。あー、と、『土』」 「『ちんこ』!」 「ねーだろ!」 「じゃあ出す」 「いややめろださなくていいコラやめろやめろやめろ」 「えー」 「あたし降参!」 「なんと!」 「帰るぞ!」 「よしわかった!」 **ニャーさまをぼんやり鑑賞するの会 文房具屋に行ってきた、その帰り道のこと。 「あら」 車のほとんど通らない、住宅地の隙間を縫うような小道で。 三好ゆたかは猫を見かけた。 「ニャー」 誰とも知れない他人の家の駐車場のど真ん中に、首輪のない猫がくてりと転がっている。車はない。どこかに出掛けているのだろう。 あらん限り背伸びをするように体を捻って伸ばしながら、こちらを向いて我が物顔でニャーと鳴いた猫の頭は上下が逆で、明後日の方向を向いた後肢はなんと卑猥に90度まで開脚していた。 今日はぽかぽかといい陽気で、程よく温もったコンクリートがいかにも気持ち良さそうである。 ゆたかはしゃがみ込み自分の足に頬杖をついて、その猫をぼんやりと眺めた。 遠くの公園から小さな子供のはしゃぐ声が聞こえてくる。 温かな陽射しでゆたかの頭もほくほく温もる、日曜午前11時のこと。 **もちのきもち 1-Aの前方窓際には、白くて大きなヒーターが据え置かれている。 教師最優先で暖気を提供する小憎らしいやつだが、そのパワフルさには定評がある。あまりにもパワフルすぎるため、目の前に立っていると即座に尻が焼ける。 「――――」 それでも付き合いようはある。今まさに伊織夏希がしているように、横からもたれ掛かるのが彼と上手に付き合う最良の方法だった。 ヒーター脇にある丁度いい高さの石の棚に腰を掛け、上半身全部をヒーターに預けるように横になる。ペタリと頬に付けた鉄の箱は、ほんのり暖かい。 「ぐぅ」 片方の耳を白い彼に押し付けて、こうこうと乾いた風の音を耳の奥で聴いていると、先ほど満たしたばかりの腹が眠気をもりもり作り出す。 倦怠感に身を任せ、夏希の意識がゆっくりと沈んでいく。 「すぅ、すぅ」 吐息は徐々に規則正しく、大きく深く。 クラスメイトたちの雑談をBGMに、夏希はそのまま夢の世界へ 「モフり」 「……んぅ」 は、入れなかった。 背中に重り。モフり。誰。 「あれ、反応にぶいです」 「んん」 彩水唯は不満そうな声色で不満顔を浮かべたが、夏希は頓着しない。 「つまんなーいでーすよー」 「んん」 抱きつくように密着されても、耳元で囁かれても、頬の肉をむにむにと引っ張られても、夏希は無反応を貫いた。なにしろ眠い。眠いのだ。 あと実は、適度な重みも密着されるのも、耳元に息がかかったり顔をぺちぺちされたりするのもイヤじゃなかった……というか気持ちよかった。 「あ? んー、ナツさんの体あったかいですね。んー」 睡眠に入る直前は、最も体温が高まるという。 腰から首すじまでぺたりと密着してみると、人肌の温もりが唯の眠気も誘う。 「んー、なんか、ねむ……」 「んん」 1名様入りました。 「追加で1名様はいりまーす! いらっしゃいませー!」 その光景を発見した春咲遥が、迷いなく両手を広げて飛び込んだ。 「はわっ?」 「ぐぇえ!?」 2人分はさすがに重すぎた。 潰れた両生類のような鳴き声をあげて、夏希が悶絶する。唯を背負ってもまだ許容範囲内だったヒーターの角が、夏希の脇腹にメリメリと食い込んでいる。痛い。超痛い。マジで。 「痛てぇっつーのぉおお!」 あまりの痛みに一瞬で覚醒。 枕にしていた両腕をフル活用して、背中に乗っていた2匹の小動物を跳ね飛ばした。 そして丁度いい位置にあった教壇に座り込んだ遥をビシッと指差して、ツッコむ。 「重いわ! さすがに!」 「てへ」 「反省の色がねぇ!」 「あはは……」 鏡餅の一番下の気分を味わって、すっかり眠気が飛んでしまった。 しょうがないので適当に雑談をして過ごした。 あと、遥のことは1回殴った。 **余計なことを言わないこと 『Yeah!』 ――何が悪かったのか。 松島英美は自問する。何故こんなことになってしまったのか。初めはただ、借りてきた映画のDVDを一緒に見ようという、ただそれだけの話だったはずなのに。 真っ先に思い浮かぶのは、先日この部屋に遊びに来た妹の顔だ。 『Oh……Ah!』 しかし、妹に落ち度はない。あの自分なんかより綺麗でカッコよくて頭が切れて要領のいい妹は、しっかりとクギを刺しておいてくれたではないか。それこそまさに、『うっかり誰かに見られないように注意してね』と。 『Yes! Come! Come on!』 悪いのは、こんなモノが入れてあるのをうっかり忘れて、そして間抜けなことに『あれ、何のビデオが入ってたんだっけ?』などと再生ボタンを押してしまった自分のほうだ。 だからこの状況は、誰のせいにすることもできない。 「…………」 隣で黙り込んでいる三好ゆたかも。 『――Please!』 『こっくぷりーず!』などと(なんだろう、この味噌汁を作ったのは誰だ!的な……?)全裸で叫んでいる白人の美女と、その美女に噛み付いて食べようとしている(そうとしか見えない)やたら筋肉質な白人の男性を映し出しているうちのテレビも。 自分でなんとかしなくてはならないのだ。 ■ ■ まず何よりも先に行うべきは、この膠着した状況からの脱却だ。 今この部屋に横たわっている“気まずい沈黙”は長ければ長いほど重圧を増し、また三好ゆたかの怒りは加速度的に増していくだろう。怒り心頭に達したゆたかのアクションを固まって待つだけの人形になるのは愚策でしかない。 英美は萎縮した自分を奮い立たせリモコンに手を伸ばした。停止ボタンを確認し、押す。 『Oh, Ple――』 ぷつん、と。音が消える。肌色多めだった画面が黒で占められる。これで第一段階はクリアした。次は今回の件についてしっかり話し合う。 ごめん、と謝るだけでは勿論ダメだ。しっかり事情を説明し、悪いのは英美なのだと理解してもらう。嘘もつかないし誤魔化しもしない。常に真摯たれ。正直こそ美徳なのだ。 「あのね、」 すぐ隣に座るゆたかに、英美はまず微笑みを向けた。 そのあと。 押し倒された。 ■ ■ 天井が見える。仰向けになっている。背中には少し固い感触。毛の深い絨毯。目の前には端正な顔。眼鏡がややズレている。瞳を閉じて、頬は紅潮していた。 「(あわ、ぅわ)」 英美は動揺していた。動揺する以外のことをする余裕がなかった。 悲鳴もあがらなかった。より正確には、あげられなかった。 「……ん」 口を塞がれていた。 「(うわわわわわわ)」 やわらかなモノが意識の大半を塗り潰してゆく。 ほとんど何も考えられないのに、唇の感触だけがやけにハッキリしている。 「……っ」 わずかに残った英美の理性が思い至ったのは、『突然だからって拒んだら傷付けちゃう』だった。イヤじゃないよという言葉に代えて、床に放り出していた両手をゆたかの背中にそっと添える。 「はぅ」 返ってきたのは鈍い快感だった。英美の両足の間に割り込んできた膝頭が、ショーツの上からアレな場所をぐりぐりとこね回してくる。 緩慢で大雑把な刺激だが、自分で位置を調節すればその限りではない。英美は腰の位置を調節し、気持ちのいい場所をゆたかの膝頭に押し付ける。 「ど、どうですか?」 「……ふへ?」 すっかり惚けた表情をしていた英美は、ゆたかの問い掛けで我に返った。 「その……欲求不満、だったんですよね?」 「――――」 その問い掛けで、英美は停止した。 「最近あまりこういったことが出来ていませんでしたし、それであの、あんなモノを購入してまで遠回しな要求を!」 「……」 ふにふにと乳房を揉み上げられながら、英美は沈黙した。 「そんなに不満を抱えていたことに気付かなくて、本当にごめんなさい」 「……………………う、うん」 そして、申し訳なさそうに謝罪するゆたかに、英美は頷き返した。 嘘が相手を幸せにすることもある。正直なだけでは世間は回らないのだ。 「気にしてないよ、大丈夫。こっちこそごめんね、あんな変なもの見せちゃって」 言いながら英美は、ゆたかの腰を抱き寄せた。 ボロが出ないうちに会話を切り上げ、なし崩し的に誤魔化そうという魂胆だった。平穏を守るために、隠しておかなければならない現実もあるのだ。 「そ、そんなことより、ゆたかも、ね」 「あっ」 ゆたかを横にころりと転がして体勢を入れ替える。 潤んだ瞳で見上げてくる可愛い恋人に、英美は覆い被さった。 **柚瀬吉佳チュートリアル ■ ■1.エッチウーマン 賑わうカウンター、押し寄せる生徒達の行列から少し離れたところ。 観葉植物の大きな鉢の端に腰掛け、唯と五十鈴は人を待っていた。 「むー」 まだそれほど待ってはいないが、焦りは強い。こうしている間にも席はどんどん埋まってゆく。 食堂組にとって、昼休み開始直後の一分一秒の価値は平常の三倍なのだ。 「腹が減ったぞーい」 「そうですねー」 五十鈴がぼやく。唯は立ち上がり、混雑の中から先行組を探してみた。 すぐに発見できた別働隊の四人は、丁度空いている席に座るところだった。こちらの不遇も知らず楽しそうな笑顔が並んでいる。 背中を撫でさする五十鈴の手を払いながら自問する。なぜ、なぜチョキを出した。 「おぉお待たせしやしたァ!!」 「んきゃーっ!」 侠気溢れる挨拶と共に背後から自分の胸を鷲掴みにされ、衆目も鑑みず彩水唯は泣き叫んだ。 一見乱暴なようで繊細、露骨に露骨なその手付きに犯人をぴたり特定し、唯が身をよじる。 「やーです! 離してください柚瀬先輩!」 「うんしかしね三好くん、育ち盛りのこの蕾を手ばいでっ?!」 足の甲に踵を落とし、怯んだ隙に手の内から逃げ出す。 抱きしめられて苦しかったのか、唯は妙に赤い顔をしていた。 「遅っそいです先輩。もうみんな先に行っちゃってます」 「ごーめんごめん待たせちゃったかなー! ね! メンゴ!」 片手を謝罪の形にして唯に笑いかけているのが、三年の柚瀬吉佳だ。 八重歯が覗く笑顔は、爽やかと言うより豪快に感じられる。背は高く肉付きのいい体つきをしていて、トレードマークのウルフカットは背中まである金髪だ。 「ややや遅かったですな。謝罪はいりませんが謝ってください!」 元気良く挙手をしながら、五十鈴が得意げにそう要求する。 明城五十鈴は時たまこうして矛盾した日本語を使いたがる悪癖があった。 「メンゴメンゴ」 「おっおぅっ」 手刀で頭をびしびし叩かれ、五十鈴がよろける。 「ほら、遊んでないで早く並ぶよ。唯ちゃん、先行こっか」 「あ、はい」 「待ちたまえよ!」 先行組から五分遅れで、ようやく三人も列に加わった。 ■ ■2.メニューはいつも三種類 「なーに食べよっかなー」 「Aランチ! A!」 「ほう、アタシの唐揚げと勝負するのかい」 じりじりと進む列の中から、三人は掲示されたメニュー表を見上げる。 唯はBランチのムニエルの残数を気にしながら、今日のAランチは人気筆頭ハンバーグであり、唐揚げ定食は出ていないことに気付いて疑問符を浮かべた。 「あれ、先輩。今日は唐揚げないですよ。ハンバーグです」 「なに!? いやいや、あるじゃないか。ほれあれ」 吉佳が指差すのは、固定メニュー側のカウンター、その一角にあるカレーコーナーだった。 カレー。チーズカレー。唐揚げカレー。 消え入るような声でやっぱりカレーなんだ、と呟く唯。 ああ、この人にはもう見えていないのだ。カレーコーナー以外のメニューは何一つ。 「カレー定食があったらねえ」 「カレー定食ですか?」 唯は想像してみる。今日のAランチのハンバーグ部分をカレーに置き換える。 「(……それはただのカレーライスでは)」 味噌汁とサラダ付きの。 「か、考えてみると、吉佳さんとお昼を一緒に食べるのって初めてなんですよね!」 「あれ? そうだっけ?」 「たぶんですけど」 カレー定食の話題をなんとか避けたところで、すぐ隣から奇声が発せられて、二人は言葉を止めた。 「ぬおおーっ」 五十鈴が気の抜ける雄叫びをあげながらぴょこぴょこ跳ねている。 Aランチの残数が気になっているのだろう。何しろAのハンバーグ定食は絶品と名高く、あっという間に売り切れるレア定食なのだ。 「たかいたかーい!」 「ぬおおお!? 高い! 高い!」 その必死な姿を見かねた吉佳が五十鈴の脇に両手を差し込み、体をぐいと高く持ち上げる。 五十鈴は二メーターほどの高みから、人垣の向こうのカウンターの奥にあるハンバーグの残数を覗き見た。 「見えました! 感謝です!」 そう言って吉佳のほうへ顔を向ける五十鈴。しかし、 「…………」 「も、もういいですよ! 下ろしてくださって!」 吉佳は動かない。爽やかな笑顔で五十鈴の体をより高く持ち上げ、言い放つ。 「たかいたかーい!」 そこで、周囲の視線が自分に集まっていることに気付き、五十鈴が慌て始める。 手足をばたばたと動かしてみるが、その手足はどこにも触れない。 「おろしたまえ! おろしたまえ!」 間抜けな光景に、人ごみの中からくすくすという笑いが漏れる。 知った顔がいたのか一層強くもがき始める五十鈴を、吉佳はようやく地上へ下ろした。 「これは虐待ではないかと思いますよ!」 「やーだな、ただのスキンシップじゃん。楽しかった? たかいたかーい」 吉佳がぽんぽんと頭を撫でる。 思わず笑った唯に対しても、五十鈴はびゅーびゅーと抗議の声を張り上げた。 ■ ■3.それは宇宙レベル なんとか空いている席を見つけ、三者三様の挨拶と共に昼食が始まる。 「いただきます」 「いただきまーす」 「いただきません」 「あ、じゃあソレもらうよ。いやーアリガトウ五十鈴くん」 「ああ! やめたまえ!」 お盆を持って騒ぐ二人をよそに、唯はさっさと魚の切り身を口に運んだ。 二人には悪いが、自分はさっさと昼食を済ませてあっちに合流したいのだ。 もくもくと小さな口を動かしながら視線を送るその先には、松島英美の姿がある。 そのテーブルには、英美、ゆたか、夏希、小夜が座っていた。 彼女らは既にほとんど食べ終えてしまっていて、残すはデザートのみといったところだ。 急げば、あちらがダベっているうちにこちらが追い付くのも不可能ではないはず。 「んぐんぐ」 唯があまり噛まずに三口目を嚥下したところで、なぜか吉佳が席を立った。 持ち上げた盆の上にあるカレー皿は、なんと既に空。 「え? ええ?」 「アタシちょっとあっち行ってくるねー」 英美達のいるテーブルを親指で差し示し、吉佳が席を立つ。 「やっぱりもう一杯……いや、ダメだ、ダメ、金が」 ぶつぶつと何事かを呟きながら食器を返し、英美達のところへ歩いてゆく背中を、唯は呆然と見送った。 **おや、ゆたかのようすが…… 放課直前、帰りのSHR中。 ぴんと背を伸ばして担任教師の話す連絡事項に耳を傾けていた三好ゆたかは、ぱたぱたと忙しない足音に反応して廊下へ目を向けた。 出入り口の小窓から一瞬だけ見えたその3つの横顔は、どれもゆたかの知り合いだった。1年の3バ……彩水唯、伊織夏希、春咲遥の3人だ。 姫室小夜か明城五十鈴あたりに用事があるのだろう、足音はゆたかのクラスを通り過ぎ、隣のBクラスのあたりで停止した。 「はい、先生からは以上です」 「きりーつ」 ゆたかが廊下に意識を傾けている間に、AクラスのSHRは終わりを迎えていた。 ガタガタと机を鳴らして生徒たちが立ち上がる。壁を挟んだ隣のクラスからもほぼ同時に机と椅子の動く音が聞こえてくる。 うっかり机に伏して眠っていた数人が寝ぼけ眼で顔を上げたあたりで、日直の号令が掛かる。 「礼」 静かにしていた鬱憤を晴らすかのように、弾ける勢いで生徒たちが動き出す。 いち早く教室を出ようとする者と、他のクラスから雑談のために外から入ろうとする者。出入り口周辺は激しい出入りが引きも切らず、とても外へ出られたものではない。 一度ゆたかは自分の席に座り直して、混雑が収まるのを待つことにした。 「やい小春、終わったわよ!」 「終わったね。今日もお疲れ様ー」 「帰るよ! そんでアタシ、今日は大福が食べたい!」 「うーん、ごめんねしーちゃん。今日は部活に顔を出そうかと思うんだ」 「ぎゃー!?」 他クラスの生徒も加わって、いくつかのグループがさっそく騒ぎ始めている。 ゆたかはかしましいお喋りたちに背を向けて、何も書かれていない黒板をぼんやりと眺めた。 「ゆたかさんゆたかさん」 「はい?」 古河みちるだ。 首だけだったのを体ごと向き直り、ゆたかは話を聞く体勢を整える。それを待ってから、みちるは人差し指を立ててこう提案した。 「もし時間があったら、一緒にBクラスに行ってみませんか?」 廊下を通る3人に、みちるも気が付いていたらしい。 特にこれから用事もないしと、ゆたかはホイホイとみちるに付いてBクラスの教室へ行くことにした。 Bクラスでは、見知った顔が姫室小夜の席の周囲に群がっていた。先ほど廊下にいた唯、夏希、遥の1年3人に、2年Bクラスの姫室小夜と明城五十鈴で合計5人。 引き戸を開けて教室内に踏み入ったところで、彼女たちの話し声が聞こえてくる。 「だぁって、あんなおっきいなんて思わなかったんですもん!」 「んだね、あたしも一番初めのときは大変だったよ」 「口に入れてみると意外と大きいんだよね」 前を歩くみちるの歩きがよれた。昼間のしかも学校で、楽しそうな顔をしてこの人たちはなんの話をしているのか。 怒っているであろうゆたかを宥めようと、みちるが振り向く。 「?」 「……」 向けられた視線に小首を傾げるゆたかは、一見冷静そうに見えた。 が、みちるは誤魔化すように笑って前に向き直った。怒気は隠せていなかった。 「なかなかうまく飲み込めぬのですよね!」 「でも、噛むのはよくないわ。危ないもの」 「気を付けないとですね」 もちろん、内心ゆたかは憤慨していた。 例の薬のことはゆたかも既に知っている。あんな破廉恥でいかがわしい薬を使って得られるものなんて、得られるものなんて―― 「(……、…………はっ!?)」 さっさとあの話を中断しないといけない。 ゆたかは若干赤面しながらつかつかと歩を進め、唯と夏希の後ろで立ち止まった。 みちるは無言で、半歩引いた位置に控える。 「こんにちは」 「はい? あ、先輩。おつかれさまです」 「うわ、っと。どもです」 場にいる5人が口々に挨拶をしてくるのにまとめて「はい、こんにちは」とだけ返しながら、ゆたかは唯たちの自然体っぷりに困惑していた。 今まで自分たちがしてきた話への羞恥心はないのだろうか。 「な何の話をしていたのですか?」 どもった。 気にせず、夏希がさらりと回答をする。 「唯ちゃんがカプセル薬を飲み込めないって話をしてたんですよ」 「え?」 ゆたかは思わず聞き返した。 それをどう思ったのか、当の本人が口を挟んできた。 「飲み込めないことはないですよう」 「代わりに水でお腹いっぱいになったみたいだけどね?」 「むぐぐ」 「かぷ……?」 かぷせるやく。 確認するように口の中で呟く。 「あの、先輩はどうです?」 「……ぁゎ」 恥ずかしいのは自分のほうだった。こんな昼間のうちからそんな自分の想像していたような話なんかするわけがないではないか。常識的に考えて! 皆がカプセルがどうの話している間に自分はなんてなんてなんてことを―― 「先輩?」 「な、なんでしょう、か」 呼び掛けられてゆたかが我に返ると、唯が顔を覗き込んでいた。 なんとか澄ました顔を作って返事をしてはみたが、うまく出来ているかどうかはゆたか自身かなり疑問だ。 「だから、ゆたか先輩はカプセルのお薬がばっと飲める人ですか? って」 「それは勿論。当然です」 なんだそんなことかと、ゆたかはさらりと答えて見せる。 落ち着いてきた。冷静だ。 「じゃあ、みちる先輩は?」 「すみません、右に同じです」 「むー」 不満げな唯を、周囲の声が茶化す。 「ふふ、やっぱり唯ちゃんだけみたいね~」 「しょうがないしょうがない」 「んはは」 「ぷー! 彩水後輩、ぷー!」 「うわあ納得いかないです! 特に最後の人!」 五十鈴に馬鹿にされたのがそんなにショックだったのか、唯はその場にいる人間をざっと見回したあと、夏希に頭から抱きついた。 「ナツさあん、あの変態がいじめるんですよう……」 「よし、おまえが悪い!」 「そうね、悪いわね~」 「これはもう悪いですね」 「よくわかんないけど悪いね!」 「この変態! ちび! メガネ!」 「こんなに責められるほど悪くないと思うのですが!?」 計算ずくの訴えで形勢はあっという間に逆転した。 びゅーびゅー喚く五十鈴を見かねてか、ゆたかが口を開いた。 「さっきから見苦しいですよ彩水さん。子供ですか、全く」 「んなっ」 泣き真似をやめて図々しく五十鈴を罵っていた唯の顔が衝撃に歪む。 どう言い返してやろうか考えて、そこで唯は先ほどゆたかの様子が変だったことを思い出した。思い出して、閃いてしまった。 「そういえばー、さっき先輩なんか様子変じゃありませんでしたかー?」 「そうですか?」 平静を装ってはいるが、顔を作っているのが唯にはバレバレだった。理由は分からないが、明らかに動揺している。 唯の頭の中に早くもファンファーレが流れ出す。 「ほんとにお薬きちんと飲めるんですかあー?」 「なんで飲めない貴方にそんなことを……飲めます、当たり前じゃないですか」 「それじゃあ実演して見せてくださいよう。今、ここで」 「今……?」 そこで唯はくるりと振り返って、夏希の顔を仰ぎ見た。 意地の悪い笑みでしきりにウィンクをして、夏希に何かを訴えかけている。 「ナツさん、あれ1粒貰えませんか?」 「アレって?」 「ほら、ダイエットサプリあったじゃないですか。この前飲んでたやつ」 「この前って……アレは」 「1粒くらいいいじゃないですか。いっぱいあるんですから。ダイエットサプリ」 「わっ、とと、おいおい」 唯は勝手に夏希のカバンに手を突っ込み、赤と黒のカラーリングのカプセルの詰まった小瓶を取り出してしまった。 「さあ三好先輩。飲んでみてくださいよお。それともまさかやっぱり?」 「……」 暫しの沈黙の後、ゆたかはやれやれといった調子で頷いた。 「言い掛かりもいいところですが、よいでしょう。たかが薬ひとつです」 「あ、水はお持ちですか?」 「都合よく。すみませんがひとつ頂きますね、夏希さん」 「あー、えー、あー、はい、どうぞ」 夏希は投げやりに頷いた。もうどうにでもなーれ。 「ではいざ。んむ」 唯はゆたかのことを本当に『実はうまく薬を飲めるなんて嘘なのではないか?』などと疑っているわけではない。ただ意識を逸らせればよかった。 ダイエットサプリなどでは断じてない、その薬の効用から。 「……飲みましたよ。納得いきましたか?」 唯が隠れて取っていたガッツポーズは、ゆたかの位置からは見えなかった。 「えーはい、了解です。疑ってしまってすいませんでしたどうも」 「はい? ま、まあ分かって頂ければ私としては別にええ」 あっさり身を引いた唯に拍子抜けしてか、ゆたかの言葉もどこか上滑りだ。 「サプリですか」 「サプリねえ~」 物言いたげに自分を見る小夜とみちるの視線を意識しないようにしながら、聞いてもないのに夏希は言い訳がましくサプリの解説を始めた。 「ええはい、どっかの薬屋で衝動買いしちゃったやつでして」 実際は買ってなどいない。 「効果はあったんですか?」 「ええまあ、ある程度は」 体の一部が目に見えて変わる。 「飲むだけでいいんですか?」 「それでもいいけど、適度な運動をすると効果が高まる、らしいよ」 そ知らぬ顔で訊ねてくる唯に、これが厚顔かと夏希はやや引きつった笑みで答えてやる。 「(運動……)」 運動と聞いて、ゆたかは近くにいた遥の顔を見た。 「?」 「(……いやいや)」 やはり思いつく顔はひとつだけだ。 「そろそろ私は失礼します」 「そうですか? それじゃあ」 「お疲れ様でした」 「また明日」 「ういすー」 運動について軽く訊ねるだけ。あるいは一緒に少しくらいジョギングとか―― そんなことを目論みながら、三好ゆたかは教室を去った。向かう先はグラウンド、部活をしてる彼女の元へ。 その後。 「唯! 唯ちゃん! どうすんのアレ!」 「だーいじょぶですようナツさん。家に帰る頃に効果が出て、朝起きたらなくなってる感じですよ。ね」 「まあうんそりゃあそうなんだけど、明らかにうちらの仕業だってバレるよね」 「怒られるのは誰なのかしら~」 「……ナツさん?」 「よくわかってるね? 唯ちゃんのせいなのにね? なんであたしなんだろうね?」 「わたしそろそろかえらなきゃいけないんですそれじゃあさよn」 「待てコラ。さて唯ちゃん、きみに個人的な制裁を加える。手伝えハル」 「あいわかった!」 「に゛ゃーっ!」
https://w.atwiki.jp/wiki9_ra-men/pages/2940.html
食べた日:2009/1/16 『くろく』で、気まぐれ限定の「Wスープの濃厚醤油ラーメン」(850円)を。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 今回は「鯖節+豚骨」と「鰹節+野菜」のWスープのラーメン。 これだけ聞くと、一見「別に珍しくないじゃん!」と思ってしまいそうですが、流石はくろくで、そんな普通には仕上げてはこず、今回のラーメンも奥が深い仕上がりです。。。 あくまでも「こってり」ではなく、「濃厚」というスープは、ドロッとした粘度の高い豚骨魚介スープ。 非常に濃厚なスープなのですが、不思議とクドさは皆無で、いくらでも飲めてしまうようなスープです。 この時点で、このドロッとした粘度は、油の乳化によるものではないだろうと推測 ( ̄∀ ̄*)ニヤリッ 店主に聞いたところ、この粘度は動物系によるものではなく、野菜をペースト状にした物を加えて出しているとのこと。 作るところを見ていると、甘露レードル一杯分くらい、ドロリとした野菜ペーストを加えていました。 麺は加水低めの中細ストレート麺。 最近は、豚骨魚介には太麺と合わせるお店が多いですが、くろくでは、濃厚豚骨系には細麺を組み合わせる場合がほとんどです。 具は鉄板焼きバラチャーシュー・デカメンマ・ザク切り白ネギ・小口ネギ・節粉。 特濃系の豚骨魚介のような粘度を誇り、かつ重たさのないスープは、かなり衝撃的でした。 豚骨の濃度は全然高くないそうなので、濃度を上げるのに、こういう方法もあるんだなぁと感心です、、、 これは私だけだと思いますが、くろくで食べると店主の圧倒的な想像力に感動のする反面、自分の発想力はホントちっぽけだなぁと少々自暴自棄になります(笑笑) 住所:仙台市宮城野区榴岡2-2-12 アーバンライフ橋本1F by hiro (2009年 25杯目) マイドッす。 今日、いただいてきました。 店主の腕前に感服すると同時に、私のお口と小腹の正直さに笑笑でした。 何って、私のお口と小腹はトンコツスープ全然得意じゃないんですが、なんとなくZUZU~なんとなくZUZU~なんとなくZUZU~、結局、スープ全部飲んでしまってたから。 店主とお話しできなかったんですが、hiroさん情報を見て、納得納得。ウンウン。 私にとっては、本能を再確認した一杯でした(笑)。 -- ちょび (2009-01-17 17 57 56) ちょびさん、まいど~です。。 かなり濃厚なのに飲みやすいという不思議で美味しいスープでしたね~。 私も年齢を重ねるにつれクドイのが苦手になってきたのですが、これはもちろんスープまで完飲でした! -- hiro (2009-01-17 20 14 03) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/coharu/pages/728.html
「ふっふっふ、私の名はくろチアキ。 千秋の悪なる心が生み出した者だ! 今の私はもはや天下無敵のお利口さんなどではない。 すべてのものを欲望のまま貪り尽くしてくれるわー」 「まずはハルカ姉様だ。 一日の疲れをいやす入浴の時間など与えない。 ただでさえ私やバカナの世話で忙しいのにお風呂の時間でさえ私の世話をさせるんだ。 勿論わたしは指一本動かさないぞ。 髪の毛から指の先までハルカ姉様に洗ってもらうんだ。 湯船につかる時もハルカ姉様ゆったり足を伸ばす事も出来ない。 常に私の重みを感じながら動けなくなる。 おぉ、神をじゅーりんするに相応しいこの悪事。我ながら恐ろしい。」 「次に藤岡だ。 奴にはいつも私の椅子代わりにするという人権を蔑ろにする行為をしているが今回はわけが違うぞ。 夕食の時にも藤岡は私の椅子になるんだ。 お行儀が悪いってハルカ姉様に怒られるだろうが聞かないぞ。 なんといったって今の私は悪人なんだ。おぉ恐ろしい。 勿論私は箸を使わない。すべてを藤岡にやらせるんだ。 自分も食べたいであろうハルカ姉様のご飯を藤岡の手で食べさせるんだ。 ふっふっふ、もはやお利口さんなどとは言わせないぞ」 「最後にカナだ。 こいつには普段から散々な目に合わされてるから特別にいやな目に合せてやる。 怠け者のこいつにとっての最大の仕打ち、それは睡眠時間の奪取だ。 カナが寝静まったらまずは布団の中に潜り込んで陣地を奪ってやる。 そして足を絡めて動きを封じて私の熱や重みでもはや安息の睡眠時間など ありはしないんだ。 朝までくるしめばかやろー」 「千秋は本当に可愛いなぁ」ナデナデ 「そうね、本当に可愛いわね」ナデナデ 「うんうん、可愛いよ千秋ちゃん」ナデナデ 「やめろぉー」 名前 コメント 11-541氏 11スレ目 スレ別 保管庫