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私はかがみに“望まないキス”をした。 これから私達の関係がどう変化したとしても、その事実だけは永遠に消えないだろう。 それでも私は、前へと進まなければならない。 それが、マイナスとなってしまっている今の関係をリセットし、何も無いゼロの関係に戻る事になったとしても…。 ――今日、私はかがみに想いを告げる。 「ふとしたことで~0の関係、1の感情~」 終業式の日。全校集会での校長と生活指導の教師の無駄に長い話を耐え凌ぎ、これから始まるHRを適当にこなせば、いよいよ待ちに待った冬休みが幕を開ける。 学校中の雰囲気が冬休みムード一色に染まる中で、私は携帯電話とひらすら格闘を続けていた。 ディスプレイに表示される『送信しますか?』という文字列と、『はい』に合わされたカーソル。 『放課後、屋上まで来て』と簡潔に済ませた本文と、『柊かがみ』と表示された宛先が、私の親指にボタンを押させるのを躊躇わせる。 「…決着を付けるんですね?」 不意に背後から声を掛けられ振り向くと、優しげな表情で私を見つめるみゆきさんの姿と、複雑な表情で私を見つめるつかさの姿があった。 私は笑顔を作り、首を力強く縦に振ってそれに答えた。 みゆきさんがそうですか、と穏やかに微笑む。 「…私は、ゆきちゃんみたいに素直にこなちゃんの事を応援出来ないかもしれない」 つかさが意を決したかのように、私にそう告げる。 「私にとっては、けんちゃんも大切な友達に代わりは無いから、どっちの味方にもなれない。…でも、お姉ちゃんがどちらを選んだとしても、私はずっとこなちゃんの友達だからね」 「私もだよ、つかさ」 辛そうな顔をするつかさに、私は優しく微笑みかけた。 多分、今回の事で一番心を痛めたのはつかさなんだろうなと私は思う。 誰かを喜ばせたい、幸せにしたい。ただそれだけの思いでやったことが、逆に周りを傷つける結果になるなんて誰が想像するだろうか? 思えば、私達四人がこうして仲良くなれたのも、私とつかさのふとした出会いがきっかけだったんだ。 私はつかさに感謝したい。 あなたのお陰で、私はかがみに逢えたのだから…。 「じゃあ、押すよ」 私は二人にそう確認を取ると、携帯電話の決定ボタンを押した。 § こなたはどうして私にキスなんかしたのだろう? 最近、私はそんな事ばかり考えている。 最初は熱のせいで正常な判断が出来ず、悪戯の延長線上で起きた出来事だと決め付けていた。 でも、それならこなたはすぐに自らの非を認めて謝りに来る筈だ。 少なくとも、廊下で私とすれ違った途端に逃げ出す程、臆病な行動を取るとは到底思えない。 なら、なぜあいつは私を避けるのか? 色々考えた末に、私はある一つの仮定に辿り着く。 …もしかして、私が最初に決め付けていた「単なる悪戯」という前提条件が間違っているのではないか、と。 もしも、あれが純粋な悪戯等ではなくて、恋煩いの末の暴走行動だったとしたら――。 そこまで考えて、ありえないと私はその仮定を全否定した。 世の中にはそういう恋愛を好む人々も居るし、その事自体を私は否定しようとは思わない。 確かに、あいつは女のくせに男のオタク同然の嗜好をしている。 ただ、だからといって、こなたがそういうシュミを持っていると考えるのは、あまりにも馬鹿げてると私は思う。 ましてや、その対象が私だなんて――。 「お~い、柊。さっきからケータイ鳴ってるぞ~」 なかなか結論が出ずに難航していた私の思考は、日下部の言葉によって遮られた。 「えっ? あっ、ホントだ…」 こんな休み時間の合間に誰からだろう? そんな軽い気持ちで携帯電話を開いた私は、画面に表示された『送信者:泉こなた』の文字を見て、固まった。 『放課後、屋上まで来て』 簡潔に用件だけ書かれた本文に、私は震える手で『わかった。』とだけ、返信した。 § ――いいか、こなた。人にはな、ダメだと分かっていてもやらなきゃいけない時があるんだ。 ――でも、かがみはもう…。 ――確かに、かがみちゃんにはもう彼氏が居て、いくらこなたがかがみちゃんの事を想っていても、かがみちゃんが同じ感情を持っていなきゃ、その恋は叶わないかもしれない。でもな、今ここで自分の気持ちを伝えられなかったら、いつかきっと後悔する事になる。お前はそれで良いのか? ――いやだ。かがみに「好きだ」って伝えたい。自分の気持ちを伝えて、かがみと色んな所に行って、色んな話をして……ずっと一緒に居たい……。 ――それなら、まずは行動しないとな。 ――……うん。 あの日のお父さんの言葉で、私はようやく前に進む勇気を手に入れた。 これから私が起こす行動は、儀式のようなものだと思ってる。 私とかがみの関係を一旦全て清算して、また1からやり直す。 …いや、1に戻すだけじゃ、また同じような間違いを犯してしまう。 だから、これは0に戻す為の儀式なのだ。 0にすれば、友情という名の足し算でプラスの数字にはなるけれど、恋愛という掛け算はいくらやっても0のままだ。 だから――。 「こなた」 背後から懐かしい声が聴こえた。 その瞬間、溢れ出しそうになった感情を必死に抑止して、私は努めて穏やかに後ろを振り返った。 「久しぶりだね、かがみ」 1ヶ月ぶりにようやく直視する事の出来たかがみの顔は、緊張感からなのか、それともまた何かされるんじゃないだろうかという恐怖感からなのだろうか、普段の表情とはかけ離れた、とても強張った表情をしていて――私は改めて、自分のやってしまった事の大きさを噛み締めた。 § 「…話って、なに?」 自分でも声が震えているのが良く分かる。 久しぶりに見たこなたの表情は、以前よりも大人びていて、どこか悲しげだった。 私の脳裏に、嫌な予感が去来する。 私は何を怖がっているのだろう? もし、あの仮定が現実の物として私に直面したとしても、私にはもう付き合っている人が居ると断れば良いだけなのに…。 「うん…。話したい事は色々あるんだけどね…」 そんな私の葛藤に気付かないまま、こなたは本題に入ろうとする。 私の緊張感が一気に高まっていく。 「…一番先に、かがみに謝らなきゃいけないよね…。この前はごめんね、かがみの気持ちを踏み躙るような事をして…。本当に、ごめんなさい」 こなたはそう言うと、真摯な態度で頭を下げた。 …どうやら、この謝罪にはそれ以上の意味は無さそうだ。 それを確認した私は、軽く胸を撫で下ろした。 「うん。私の方こそごめん。熱出して倒れそうだったのに、ビンタした上に、こなたの事を放って帰るような事をして…」 「それは仕方ないよ。あんな事をした私が悪かったんだし…」 …うん、今の所は順調に話が進んでいる。 このまま、今までのように友達で居ようと私が希望して、こなたがそれに同意すれば、私の抱いていた懸念は全て解消される…。 「ううん。私の方も、あの時は感情的になり過ぎてたから…。だから、もう全部水に流して今まで通りの関係に戻ろう? …キスの事だって、ノーカンって事にしとくから――」 「そうじゃないんだよ、かがみ」 一瞬、時が止まったようだった。 絶句する私を尻目に、こなたは静かに首を横に振った。 「…もう私達は、今までの関係には戻れないんだよ。悪いけど、私もそれを望んでない」 「……何それ? なにが…言いたいの?」 嘘だ。本当は分かっている。 「…実は、もう一つかがみに言わなきゃいけない事があるんだ。多分、それを聞けば、私が思ってる事が分かると思う……理解は出来ないかもしれないけど。私ね……」 解けた筈の緊張の糸が、再び雁字搦めのようにきつく私の体を縛り付ける。 これ以上は聞きたくない。 「…あ、あのさ、こな――」 「かがみの事が好きっ!」 慌てて話題を変えようと、話しかけようとした私を無視して、こなたは禁断の言葉を告げた。 「……ははっ、何言ってんのよ、こなた。私達は女同士じゃ――」 「関係無いよ」 決定的な一言を告げられても尚、冗談だと誤魔化そうとする私に、更なる言葉が突き刺さる。 「男だから、女だからなんて関係無いんだよ…。単純に、私はかがみの事を恋愛の相手としてずっと見るんだよ。……かがみじゃないとダメなんだよ…」 一つの曇りも無い真剣な眼差しで、こなたは私の顔を見つめる。 もう、私に逃げ場は無かった。 「…私、もう彼氏が居るのよ?」 「うん、それも判ってる」 私が非情な一言を告げると、こなたの表情に更なる悲しみが帯びていく。 それでも、こなたの決心を揺るがすまでには至らなかった。 「これは私なりのけじめの付け方なんだ。だから、かがみはそれに付き合ってくれなくてもいいから…ね?」 儚げな微笑みを向けながら、こなたはそう前置きすると更に話を続ける。 「……もしも、私の気持ちに応えてくれるなら、イブの日の午後8時に、糟日部駅の近くにある中央公園に来て欲しい…」 「……」 何も答えられない私を見て、こなたの表情に申し訳無さそうな感情が混じる。 「ごめんね…。私、いつも自分勝手な行動でかがみの事を困らせるよね…。ホント。……嫌われても仕方ないって思ってる。――でも、かがみに嫌われるのはやっぱり嫌だな…私……」 「っ!?」 悲しく微笑むこなたの瞳から一筋の涙が零れ落ちた。 「…へへっ、こんなの卑怯だよね。自分が悪いのに泣いちゃったら、さ…」 制服の袖で目をごしごしと擦ると、ようやくこなたは私の顔から目を背けた。 「…じゃあ、私、待ってるから…」 そして、二度と私の顔を見る事無く、屋上を去っていった……。 …全てが終わった後、私はその場にへたり込んだ。 「……冗談じゃないわよ……」 誰も居なくなった屋上から映る風景を呆然と見つめながら、私は何度もそう呟いた。 ――全てが信じられなかった。 こなたが私に対して恋愛感情を抱いている事も、今までのような穏やかで平穏な関係をもう彼女は望んでいないという事も。 ……こなたとのやり取りを終えて間もない私の心臓が、尋常じゃない勢いでずっと高鳴っているという事にも――。 聖なる夜にへ コメントフォーム 名前 コメント (T ^ T)b -- 名無しさん (2023-06-22 07 44 05) 心に来ますねぇ… -- 名無しさん (2009-04-27 02 21 20) いや〜続きが気になる! -- 名無しさん (2009-02-28 04 25 50) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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「おーっす」 「やふ~かがみん」 B組に来た私はこなたのボサッとした髪型が気になって言った。 「何よ、その髪…だらしないわよ」 「最近、髪の手入れ全然してないからねぇ~」 「全く…あんたそれ恥ずかしくないの?」 「うん、私はそんなの全然気にならないもん」 「だめよ。休み時間の間に私が切ってあげる!」 「えぇ!?いいよ別に…今切らなくたっていいじゃん」 「何言ってるの!そんなんじゃ一緒にいる私だって恥ずかしいわよ!」 机の上に大きな用紙を広げて、ハサミを取りだす。 「…あんた毎日自分の家で鏡見てるの?」 「うん、毎日かがみは見てるヨ」 「今何か少し気になったけど…まぁ別にいいわ」 こなたの前髪をさわって、ハサミを使って丁寧に切り始める。 なかなか手際よく進めている様って、まる美容室の店員のようじゃないかって思う。 「う~ん、ここはこんな感じでいいかな。」 「そんなの適当でいいよ」 「ここもちょっと長いわね…」 「む~」 「あと、ここは…これでよし、と」 「…」 こなたは最初はいやいやそうな顔をしていたが、次第に言葉を出さなくなり、表情が 変わらなくなる。 「ここはどうしようかな~」 一方、そんなこなたの変化を怪訝に思うこともなく、私は髪を整えていく。 頬が少し赤くなっている事、お互いの顔が近い事。それによって吐息がこなたの顔に かかっていることにも、ただ夢中で作業を進めていた私は気が付かなかった。 「…」 「ここは~…と」 「だめだよかがみ…」 「大丈夫よ、ちゃんと整えてあげるから」 表情を変えることなく続ける。 「そうじゃなくてさ…」 「安心しなさい。私結構うまいんだから」 こなたに目を合わせることもなく、続ける。 「…はずかしい…」 「何よ?」 「かがみの…かお…近い」 一瞬手が止まった。 「な、バカ!またあんたはすぐ人を惑わせるようなこと言うんだから」 そう言ってかがみは作業を再開させる。 「違うよ…他の人じゃなくてさ、かがみだから…私の胸がドキドキするんだよ…」 「へ…」 また手が止まった。 「かがみ…」 明らかにいつものこなたじゃない。顔が赤くて、目が潤んでいる。でもしっかり 私のことを見つめている。 (え?それって…まさか、こいつ、本気!?どうしよう、急にそんなこと言われたって… それに、私たち、女の子同士なのよ…) でも私、顔が赤い…と思う。はっきりと熱を持っているのが分かる。どうしよう。 もう作業を続けることができなくなってしまった。 「こ…こなた…」 こなたが私の服の袖をぎゅうっとつかむ。 「かがみ、私のこと、キライ…?」 少し下を向きながら、上目で私を見て、とても寂しそうな顔をしている。この状態で 否定なんてしたらこなたが泣き出してしまうだろう。 いや、全く否定する気なんてないけど…でも…。 …こなたは親友だ。いつも元気で、私をからかうことはあるけど、実は結構気配りも できる子なのよね。 私はそういうところも理解している。こなたのそういうところを気に入っている。 私はこなたのこと…どう思ってるのかな…?こなたがくっついてきたときは、なんだか 恥ずかしくて、ついいつも抵抗しちゃうけど…。 …でも、もしかしたら…もしかしたら…私も無意識にこなたのこと…? 「かがみぃ」 今、目の前にいる寂しげなこなたはとても可愛く見えて、愛おしくすら感じる。 私の胸が熱い。 この子の気持ちを否定することなんて私にはとてもできない 「べ、別に私はこなたのこと嫌いじゃないんだからね! わ、私…も、こなたのことは好きよ… で、でも、それが恋、なのかどうかはわからないけど、たぶん、今の…私は、あんたと、その… 同じ状態で…だ、だから、こなたの気持ちは…その、えと、えと…嬉しいは嬉しいんだけどさ…」 ああ、もう。しどろもどろだ。うまくはっきりと言葉で伝えられないのが悔しい。 こなたの表情は変わらない。寂しげなままだ。 「で、でも…もうちょっと、その…えーっと…なんて言えばいいんだろ…もっと、お互いの 気持ちを理解したい、って言うの、かな…?」 「そ、それに!わ、私はこなたがほんとに私の事好きなのなら、女同士の、その… 深い感情だって…否定はしないわよ!」 「だからさ、今は…その……」 「く、く、く…」 こなたが下を向いたまま声を出す。 「……?!」 かがみの心の中で暗雲が立ち始めた。 「くくく…ふ…ふ」 「ちょ…あんた…まさか…」 「あーっはっはっはっはっはっ!!!」 こなたが大笑いし始めた。 謀られた。まんまとこいつの計略にはまってしまったと思った。 「かっ、かがみ! すごい良かった! すごい良かったよ! やっぱりかがみは最高だね!! GJ!」 (こ、こいつっ…!!!! 殺意が涌くほど恥ずかしいわ!!) あれ。…ま、待てよ、でも私、こなたの言葉に結構同意するようなこと言ってなかったっけ…? こなたがニヤニヤ嬉しそうに言った。 「こなたの気持ちは嬉しいは嬉しいんだけどさ!」 「なっ!!!」 ただでさえ赤くなっていた顔がさらに真っ赤になった。びくっと硬直したように動きが止まる。 「お互いの気持ちを理解したいって言うのかな…?」 「あ、あぅあぅ…」 そういえばつかさとみゆきが登場していないのだが特に気にしないでほしい。 「…こなたが私の事好きなのなら、否定はしないわよ!!」 「ぎゃあああああああああ!!!!」 私は頭を抑えて、天井を向きながら悲鳴をあげた。恥辱も甚だしい。 「全く、もう!!! かがみんほど萌えさせてくれるキャラはいないよネ!! もう~~ 私萌え死にそうだヨ~!!!」 こなたも顔が真っ赤になって、萌え狂っている。 「いっ! 言うな!! 言うな!! 言うなぁっ!!!」 「かがみん、カ・ワ・イ・イ~~~~!!!」 学校中に響き渡る大声で言った。 「おんまぇ、声デカイわぁああああああっっっっっっ!!!!!」 (間違いない。私の方がデカイ。ビックリマークの数を見ても圧倒的だ。びっくりだ。) 「か・が・み・ん萌えええええええええええっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!」 (さらにデカイ。12個か。すごいな。) …じゃなくて!!! 「かがみ~ん!!!」 「ぅうるさいぃっ!!!!」 こうして…もはや何を言っても説得力に欠けてしまうようになった私だが、その後も 断固として否定し続けた。 もう意地シカ残ッテマセンヨ。私ハ。 帰り道になっても、こなたはずーっと私を恥辱し続けている。ていうか萌え狂っとる。 私はあまりの恥ずかしさになすすべもなく、真っ赤な顔のままただ歩き続ける。だが 何かが爆発しそうだ。 「かがみん! かがみんてすごいよネ!! 萌えの神様だよね!! 萌えのかがみサマだよね!!」 「…」 「本気で恥じらっちゃううとこが、すんごい可愛くて、可愛くて、可愛くて!!!」 「…」 「もぉ~う私どうにかなっちゃいそうだヨ!!!」 「…」 「ね~え、かがみん!」 「…」 「かがみん…好きだあぁぁぁぁーーーーーーーっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!」 「なっ…バカぁあああああああああああああああああああああああああああああああ」 (以下省略) 声質戦力統計図(!の数による被害想定) 2…教室中に響き渡る程度。 4…陵桜学園全体 8…糟日部全域被害 12…埼玉県に甚大な被害 16…関東地方壊滅 24…日本沈没(今回の話の未収録シーン) コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-20 20 43 59) みwwwなwwwぎwwwっwwwてwwwきwwwたwwwwwwwZEEEEEEE!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 24個で日本沈没なら30個でアジア滅亡ですね。 -- 名無しさん (2008-08-24 19 00 33) こなかが萌ええええっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! -- 名無しさん (2008-05-14 18 09 03)
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朝目覚めると、まだ慣れない新しい自分の部屋。 かがみは泉家の一員として、その新しい部屋に住んでいる。 着替えて、髪を結んで、準備もばっちり。 新しい朝を迎えるからには、最初からきちんとしなきゃね。 そう思いながら部屋を出て、少し緊張しながら居間に向かえばそこには・・・ 誰もいなかった。 「って、まだ寝てるの!?」 思わずこけそうになりながら階段を上り、こなたー!と大声を出しながらこなたの部屋のドアをノックすると、ゾンビみたいな顔したこなたが無防備に寝巻き姿のまま出てきた。 「・・・いやあ、かがみんや、朝早いねえ」 「早くねえよ!あんたが遅すぎんの!遅刻しちゃうわよ!大体、他の人は?!」 「お父さんは昨日徹夜だったんじゃないかなあ。ゆーちゃんはなんか用事あるとかで早く出たよ」 「じゃあ、あんたは何で遅いのよ」 「いや~、ネトゲが思った以上に盛り上がって盛り上がって、ついつい眠る時を失うのは、デフォだよ、デフォ」 「そんなデフォはお前だけだ!」 なんて生活リズムがバラバラな家族なのか、そうじろうさんは小説家だから仕方ないとは言え、もう少し考えて欲しいものだ。 朝ご飯とか、一体今までどうしてたんだろ? 「とにかく、朝ごはんくらいは作ってあげるから、さっさと着替えなさい!」 「は~い」 寝ぼけ眼で部屋に戻っていくこなた。 それを見送るかがみだったが、 ふと気になってこなたが入っていった部屋をノックしてみると、反応がない。仕方なくあけると、そこにはベッドで眠るこなたの姿があった。すやすやと完全に熟睡しております。 「寝るな!!」 「うお!?こういう時、二度寝もデフォだよね!?」 「デフォじゃねえ!そんなに寝ようとするなら、私が着替えさせるわよ」 「え、それは、勘弁してください」 いやそうなこなたの顔を見て、ふとかがみは悪戯心が湧き、こなたの服の袖を持った。 「はーい、万歳しましょうねー」 「ちょ!?かがみん、恥ずかしいって!」 「そっちが起きないのが悪いんでしょ、はい、脱いだ脱いだ」 「自分で出来るって!子供じゃないんだから!」 こなたの言葉を無視し、服を脱がせようとして悶着する、恥ずかしがるこなたが珍しくて、余計にかがみはこなたを着替えさせようと躍起になった。そのはずみで揉み合い、二人で抱き合うようにベッドの下へ落ち、かがみの唇がこなたの頬に触れる。 そして2人は至近距離で見つめあい、なんとなく気恥ずかしくなって離れた。 「もう、素直に起きないからこんな事になるのよ」 「かがみんや、顔が赤いよ」 「べ、別にそんな事ないわよ」 「朝から私の服を脱がそうとケダモノのように襲ってくるなんて、かがみんのえっち」 「違うっつの!起こそうとしただけでしょ!」 「もう・・・朝からかがみがそんなにしたいなら・・・いいよ?」 「違うっつってんだろがああああ!!」 結局、2人は少し遅刻しました。 ・・・・・・・ 「あ~、こなちゃん、お姉ちゃん、おはよ~」 いつものように休み時間になって、自然と集まる四人組。 ただつかさだけが、少し妙な、はわ~、という感じで目が点になった表情をしています。 「どったの?つかさ」 「え、こなちゃん、何でもないと言えば、何でもないんだけど・・・」 いつも一緒に住んでいた姉が、別の家に住むようになったけど学校では会う、という状況が、なんだか珍しくてはわはわしてしまうつかさなのでした。 「もう聞いてよつかさ、こいつ、朝から全然起きなくってさ~」 と、かがみが迂闊な発言をした瞬間、みゆきさんが不思議そうな顔をしました。 「あら?昨日は、泉さんの家に泊まられたんですか、そういえば、ここ数日はお2人ともお休みだったようですけど・・・・」 「え、あ、うんまあ、昨日はちょっと、こなたんちに泊まったのよね。あはは」 「かがみんったらほんと迂闊なんだから~。そういうところも萌え~」 「殴るぞ、お前」 その会話を聞いていたつかさが、不意に真剣な表情になってかがみの袖を引き、耳打ちした。 「ねえ、お姉ちゃん」 「なによ、つかさ、急に小声になって」 「ゆきちゃんには、教えないの?」 かがみはつかさのその問いに、不意を突かれた気持ちになって押し黙った。正直に言えば、これ以上誰にも自分達の秘密を打ち明けたくないような、そういう気持ちはある。みゆきを信用していない訳ではなかったが、誰彼構わず説明しなきゃいけないようなものでもないと、かがみは思っていたのだ。 「ゆきちゃんなら、大丈夫だよ」 とつかさは、なぜか確信し切った口調で言い、みゆきに打ち明けて欲しそうに、言葉ではなく、子犬のようなきらきらしたその目で懇願した。 「な、なんで、そんなに打ち明けたがるのよ」 ちょっと弱気にかがみは言う。まるで、みゆきを信用していないみたいに思われるのが、嫌だったからだ。 「だってね。どうせゆきちゃんには隠せないと思うの。これからもずっと一緒なんだし・・・そういう時に、ずっと自分だけ秘密にされてて、たまたま何かの拍子で分かっちゃったりしたら、とっても寂しいと思うから・・・」 「う・・・それは、そうね」 つかさって、なんていうか、そういう所、鋭い・・・とかがみは、妹の意外に理知的な側面を見たような気がした。 「お姉ちゃん。ゆきちゃんは絶対、こなちゃんとお姉ちゃんのことを、変な目で見たりしないよ」 何でそんなに他人を信じられるんだろう・・・とかがみは妹の事をうらやましく思う。つかさみたいに他人を信じられたら、きっと先日みたいな騒ぎを起こさずに済んだのに、と。 「分かったわよ。でも教室じゃ無理だから、お昼休みにでも屋上行こ」 姉のその言葉に、つかさは満面の笑みを浮かべて 「うん!」 と頷いたのだった。 ・・・・・・・・ 「ってな訳なんだけど、こなたは、いい?」 いざ、屋上に行く前に、こなたの了解だけは絶対にとっておく必要がある。これは自分だけの問題ではないのだから・・・ 「異議なーし、っていうか、みゆきさんにはその内話すつもりだったよ。ほんとは、小出し小出しに様子を伺って、同性愛ってどう思う?とかそういう感じで探り探りやっていく気だったけど」 具体的にはおたくジャンルの話と絡め、百合ものやBLものについて話題を振り・・・とか細かく考えていたこなたなのだった。 「あんたはあんたで考えてんのね」 自分だけが何も考えていなかったみたいで、ちょっとかがみは凹んだ。 「いやー、かがみんの事だから、誰にも話したがらないだろうなー、とは思ってたよ」 「なんでよ」 「いやほらツンデレだから、素直に話すとか出来ないタイプ?」 「ツンデレ言うな!」 2人で話しながら階段を上る、みゆきとつかさは、先に屋上で待っている筈だった。歩きながら、かがみはふと階段で立ち止まり、心中の不安を隠すため、ことさら軽い口調で言った。 「もし・・・みゆきが、私達のことやだ、って言ったらどうする?」 ん~、とこなたは、いつものように感情の分からない(≡ω≡.)みたいな顔で言う。 「それはそれで仕方ないじゃん。性格の不一致で友達付き合いはお仕舞いってことで。私とかがみの関係を認められない人と、友達付き合いしてもしょうがないよ」 「まあ、そうだけど・・・」 私だったら、今までみゆきと友達だった時間、楽しかった時間を思い出して、悲しくなっちゃうな。きっと、裏切られたみたいに思っちゃう。こなたはそういうので傷つかないんだろうか? 「みゆきが認めてくれないと、私はなんか、悲しいな」 それは、とても寂しい。 「しょうがないよ。そういうのって、無理に認めさせるもんじゃないと思うし。友達付き合いとかって、無理矢理するもんじゃないもの」 こなたってドライだ、とかがみは思う。そういえば初めて会った時は、こなたはもうちょっとクールな感じだった気がする。おたくってまあ、大体そうなんだけど、他人との関係より自分の趣味ばかり大事にして、ドライなところがある・・・ような気がする。 「みゆきは・・・」 私は、みゆきと友達じゃなくなっちゃったら、寂しいんだけどな。こなたは多分、寂しくないのか、その寂しさが平気なのか、どっちかなんだろうな。 「どったの?かがみん?」 「ううん、なんでもない」 ちょっともやもやしながらも、2人で階段を上っていく。 「あのさ、大丈夫だよ、かがみ」 「何がよ」 「みゆきさんは多分、私達を拒否したりしないよ」 つかさもそう言っていた。 こなたもそう言う。 そして、実は私も、みゆきなら私達を拒否しないと思っているのだ。 「うん、私も、そう思うよ」 「あ、やっと笑った」 「何が?」 「いや、かがみ、ずっと難しい顔してたからさ。やっぱりかがみの笑顔はいいねえ、萌えるねえ~」 「萌えるとか言うな!」 恥ずかしくなって顔を赤くしながら、足早に屋上に出る。そこでは、つかさとみゆきが先にフェンスの辺りで待っていた。二人は振り返り、とりあえずの笑顔を見せた。その笑顔に留保があるのは、みゆきの少し緊張した様子ですぐに分かる。 「なんだか、秘密のお話があるとか・・・」 みゆきは、そぅ言って私達三人を見回した。 「私から言おうか?」 とそれに答えて、こなたがすすんで前へ出た。なんとなくこなたに任せてしまいたい、甘えた気持ちが一瞬浮かんで、それを心の中で打ち消す。私はあえて何も考えず、えいやっと口から放り出すみたいに言った。 「あのね、みゆき、私とこなた、付き合ってるの」 心の奥底から勇気を振り絞って、眩暈さえ起こしそうな気持ちで、私はみゆきに目で訴えかける。みゆきはぱあっと笑顔を浮かべて、いつものように頬に手を当て、まあ、と小さく声をあげた。 「お2人とも、おめでとうございます、うふふ」 拍子抜けするくらい簡単に、みゆきは私達を祝福した。それが余りに簡単だったので、私はつい、言ってしまう。 「あの・・・みゆきは、その、私達のこと・・・変に思わないの?」 「変、ですか?」 「いやその、何ていうか・・・」 たずねた私の方がしどろもどろになってしまう。みゆきはまた、うふふ、と笑って言った。 「かがみさん。私は、知識を蓄えるのを良しとする人間なんですよ。知識は正しく使えば、概ね変な偏見を持たないで済むようになる力がある、と私は信じているんです。色々なものを見て回れば、世の中には様々な方がいる事が分かりますし、その方々の立場や意見も、ある程度は分かるようになります。日本にも同性愛の方々のコミュニティと言うのはありますし、かがみさんも、よろしければ一度、そういう方々のホームページなども見てみてはどうでしょうか?」 不意にそう言われ、私は動揺した。 「え、いや、私は別に同性愛って訳じゃ、その、こなたが、好きなだけで・・・って何言ってるんだ私は!?」 自分で言った台詞で真っ赤になるのを、みゆきは少し微妙な表情で眺め、こなたはにやにや笑った。 「可愛いこと言うねえ、かがみん。私のことが、なんだって?ん?ん?」 べったべたとまとわりつき、抱きつくこなたに私は恥ずかしくなり、ついでにさっきの余りにも恥ずかしい台詞を思い出し、逆切れするしかなかった。 「うるさーい!もう!ひっつくな!!」 「ツンデレなんだからかがみったら~、嬉しいくせに~」 もう、殴るしかなかった。だからがつんと行かせてもらいましたよ。グーで。 「いた~い、かがみったらきょ~ぼ~」 「うるさい!離れろと言ったのに離れないからだ」 しかし、そんな様子を何故かみゆきさんは、少し真顔でじっと、何か言いたそうに見ていて、それに何かを察したこなたがすばやく言った。 「私は、同性愛者ってことでもいいよ。かがみの事好きだから」 「ちょ!?おま!?」 みんなの前で恥ずかしいこと言うなよ!? 「うふふ、泉さんったら・・・本当にかがみさんのこと、好きなんですね」 「そりゃそうだよ~。かがみんは俺の嫁、ってなもんだよ」 「ちょっとこなた!」 自分でも顔が赤くなっているのが分かる。なんだこれ、新手の拷問か? 「うふふ、末永くお幸せに」 「なんかやめてよ!?その結婚を祝福するみたいなの!」 「あ、そんでね、みゆきさん、かがみはいま、私と暮らしてるんだ」 その言い方だと、二人だけで同棲してるみたいに聞こえるだろ?!わざとか!?わざとなのか!? 「あら~、そうだったんですか」 スルー!?聞かないの詳しく!? 「あ、お姉ちゃん、そろそろチャイム鳴りそうだね。降りよう」 「誤解を解く機会無し!?」 なんだかみゆきが誤解をしてそうな気が、ひしひしとする。いいのかこれで? みんなで階段を降りる時に、何故かみゆきは、私にこう尋ねた。 「女性しか好きになれない女性の同性愛者の方のこと、かがみさんは、どう思いますか?」 その問いに、私はみゆきだけにしか聞こえないように気をつけて、こう答えたのだった。 「いや、ほんと、私は、こなたの事が好きなだけだから」 と・・・。 ・・・・・・・・・・・・・ 「よ~う、ひぃらぎ~、お前何日も休んで何してたんだよ~う」 日下部が肩をバシン、と叩いて私に言ってくる。そういえば、峰岸や日下部にはどうしようか・・・でも打ち明けはじめると切りがないし、こなたの意見も聞いてないし・・・私は2人にはこなたとの事は秘密にすることにした。 「ちょっと風邪よ、長引いちゃったの」 まるっきり嘘でもない。湖に落ちたら風邪くらいは引く。 「風邪~、この時期にすげえな~。私、あんまり風邪引いたことないぜぇ~」 確かに日下部は風邪を引かなそうだ。 「あ、ひぃらぎ、いま私のこと馬鹿だと思ったろ!?」 「まさか」 よく分かったな、日下部。そう思っていると、峰岸が言った。 「でも、柊ちゃんが元気になってよかったわ。みさちゃん、とっても心配していたのよ。携帯でも連絡つかないし」 その携帯は電源オフのまま湖の底へお亡くなりになりました。環境破壊への第一歩だ。 「あ、携帯、壊れちゃって。もうすぐ、新しい携帯買うから、そしたらまた登録しなおしになると思う。ごめんね」 「ん~~」 日下部が腕を組んでうなりだした。なんだろう、まさか考えごとって事はありえないから、新手の体操だろうか。 「なんか、柊、変だぞ」 「何がよ」 「なんつーか、なんか、なんか変なんだってヴァ!」 「変な事言ってるのはお前だろ・・・」 ちょっと呆れて私が言うと、峰岸が助け船を出した。 「柊ちゃん、何か、私達に隠してない?急に何日も学校休むし、携帯は壊れたっていうし、今日のお昼も、いつも行かない屋上に行ってたみたいだし・・・ってことを、みさちゃんは言いたいんだと思うの」 「そう!あやの!まさにそれだってヴぁ!」 「峰岸は日下部の通訳かよ・・・」 力の無い突っ込みをしながらも、峰岸や日下部が、私の変化に敏感に反応していることだけは、間違いなく分かった。いつまで誤魔化せるだろう・・・一瞬、2人に打ち明けたい誘惑に私はかられた、だがこなたの許可もとっていないし、みゆきの時のように、2人は絶対大丈夫と太鼓判を押してくれる誰かも居なかったのだ。 「学校休んだのは風邪だし、携帯は洗濯しちゃったの。屋上に行ったのは、たまたまそういう気分だっただけよ」 「ん~~なーんか納得いかねー、なーんか腑におちねー」 じろ~、と横目で見てくる日下部に、峰岸がやんわり注意した。 「みさちゃん、柊ちゃん困ってるじゃない。あんまりしつこくするんじゃないの」 「え~、だってあやの~、ひぃらぎ冷たいぜ~、私らとの方が付き合い長い筈なのに、ちびっこ達との方ばっかり大事にしてる気がするじゃんか~」 う・・・日下部はなんだか鋭い。最近は、妹や日下部の鋭さを再発見して驚くばかりだ、なんていうか、バカだけどバカじゃない。でもつかさは日下部と一緒にしたら怒るかな?日下部のバカさは、筋金入りだから。そういうバカさも、なんというか、私から見ると羨ましいというか、愛せるというか、まあ、要は友達ってことだ。 しかし、日下部より、こなたの方を大事にしてる、と来たか・・・。 「別に、そんな事ないわよ。あんたらの事だって大事な友達だと思ってる・・・」 言いながら、胸が痛い。そんな事を言いながら、隠し事をしている自分を意識せざるを得ないから・・・こなたと相談して、峰岸や日下部に打ち明けていいかどうか決めなきゃ・・・。 でもこうやって、打ち明ける相手を広げているうちに、いずれは不特定多数に私達のことがバレていくのかも知れない。特に日下部なんかバカだから、つい誰かに喋っちゃいそう。 「柊ちゃん、何か困った事があるのなら、いつでも言ってね」 そう言って峰岸が話を打ち切り、話題は全く別の事へ移っていった。しかし休憩時間の終わりに、日下部は念を押すように私に、珍しくまじめな顔で、少し不満そうに言うのだった。 「私は柊のこと、大親友だと思ってるかんね!そっちがどう思ってるか知んないけど!」 私だってそう思ってるわよ。バカ。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 「ねえ、日下部達に、打ち明けていいかな?」 いつもの四人で下校中に、私はこなたに相談した。やっぱり峰岸や日下部は親友だから・・・。 「別にいいよ。かがみが打ち明けたいなら」 こなたは軽い調子で、まるで興味がないみたいに言う。なんだか、こなたは時々クールだな、と思う。 「でもそうやって打ち明けていくうちに、いろんな人に広まっていくのよ?日下部なんかバカだから、誰かに喋っちゃうかも知れないし」 「みさきちは、多分誰にも言わないよ」 不思議と、こなたは静かにそう断言した。 「何で分かるのよ」 「勘。それにね、かがみん、隠しおおせなくてもしょうがないよ。学校中にバレたとしても、それはそれ、だよ。学校中にバレたら、みゆきさんやつかさは、私達と距離を置く?」 「そんな筈ないよ!」 と予想外な強さでつかさが言い、みゆきさんもまじめな顔で、「泉さんもかがみさんも、何があっても大事なお友達ですよ」と言った。 「ほらね、問題ないよ」 「でも・・・」 バレたらきっと、影でこそこそ色々言われるんだろうな。興味本位で不愉快な事をいっぱい言われるかも知れない。男子なんか特に無遠慮だから、無神経なこと、いっぱい言われそうで・・・ 「他人の目、やっぱり気になる?かがみん?」 「そりゃあね・・・」 でも・・・前ほどじゃない。分かってくれる人がいるって事、今は知ってるから。 「かがみの事は絶対私が守るからさ。辛い事とか、あったら私に言うといいよ」 とこなたは、珍しく真剣な顔で言う。 「バカね。平気よ。そんな弱くないわよ、私」 もし、こなたとの関係が学校の噂として流れたら・・・つまり、柊はレズで、泉と付き合ってるんだぜ、などという噂として、口さがない連中が話題として弄ぶなら・・・私はそれをただ無視するだろう。そういう話題を喜ぶのは恐らく私の知らない人たちで、親友や近しい人、日下部、峰岸、つかさ、みゆき・・・私の大事な友達であれば、むしろ何も言わずとも理解してくれる気がした。 でも一体、誰かが同性愛であるとかないとか、そんな事がどうして口さがない噂として喜ばれるのだろう。人々は一体、そんな噂で何を求め、何を得たというのだろうか。 ともあれ、私は明日には、日下部達に打ち明けようと思った。 後日談的な何か (後編)へ
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34 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/02/25(月) 23 20 35 1Uv/OP2l アニ研部室 こなた「こうちゃんいるー?」 こう「あ、先輩方。どうしました」 こな「今月のコンプ無いかなと思ってさー。」 こう「ありますよ。あー、ひよりんのオリキャラですか」 こな「そうそうそう。かがみんも見て見て」 かが「・・・はー・・・オリキャラってか何と言うか・・・」 こな「まあ、私的には全然アリだけどね」 かが「こんな感じでずっとほのぼのと話が続くのなら健康的だわね」 こう「まあ、その辺はお察しで・・・。あ、このキャラの同人も一冊ありますよ、どうぞ」 こな・かが「(うっ・・・)」 ボソボソ かが「(ちょっと!覚えがある内容じゃない!)」 こな「(いやー、こんな事細かに見られてたとは・・・)」 かが「(だから学校ではやめようって言ったんでしょ!)」 こな「(えーかがみんもノリノリだったじゃーん)」 こう「アレ、不評でした?キャラのセリフとか高1が描いたわりに臨場感あると思うんスけど」 こな「いや・・・よ、よ、良くできてると思うナー」 かが「そ、そ、そうね。キャラ愛が感じられるわにゃ(噛んだ)。じゃあ、私達これで失礼するんで」 こな「あ、ありがとね、こうちゃん」 こう「いえいえ、いつでもまた来てください」 こう「…(でも学校では控えた方がいいですよ、先輩方)」 380 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/03(月) 00 36 06 4OByLZlc ほっかいどーGJ! そして真夜中の一発ネタ行きます。 「はあ?こなたファイトぉ?」 帰り道、こなたは突拍子も無い事を言い出した。まあいつものことだけど。 「そう、四年に一度世界各国のこなたが一堂に会して戦うんだよ」 「そういえば、今年はオリンピックイヤーですよね」 「こなちゃん凄いね~♪」 いや、あんたらおかしいだろその反応は。慣れたけど。 「でね、戦って戦って戦い抜いて、最後に勝ち残った一人がかがみを嫁にできるんだ」 「どこから出て来た設定だよ!」 「ちなみにあたしはネオサイタマ代表の、シャイニング・コナタなんだよ。 あたしのアホ毛が光って唸る!かがみを奪えと輝き叫ぶ!」 「はいはい」 軽い脱力感に見舞われながら、私は適当に相槌を打つ。 その時、前方に大勢のこなたが立ち塞がった。文字通りこなたがいっぱい居る、冗談抜きで。 おお神よ、ここはわたしのパラダイス? 「ふっ・・・遅かったね」 ニヤリと笑うこなた(ネオサイタマ代表)の拳に浮かぶのは毎度御馴染みカドカワの紋章。 コートとカバンが高々と宙に舞う。 「こなたファイトォーーーーー!!!レディーーーGO!!!」 戦えこなた、地球がリングだ! ・・・多分。 「俺の・・・俺のネタなのに・・・」 そして、電柱のカゲで某店長が泣いているのを私は見逃さなかった。 どうでもいいけど。 387 名前:14-586 投稿日:2008/03/03(月) 01 26 24 4EOruEYZ 380 「思いだして、こなた。 あの陵桜祭で見た境地・明鏡至粋…… 曇りのないかがみちゃんへの気持ち、性別も邪魔な常識も取っ払った、本当の気持ち……」 「本当の、気持ち……!」 大丈夫よ、別に。 こなたはもう近寄らないで。 こなたと一緒にいると、辛いのよ!だって、私…… ……こなたぁ…… 「そうだ、あの時かがみは私を拒絶した。だから私は苛立って、あやうくお父さんの罠に…… でも、別れ際の泣きそうな顔、あれは嫌いだから避けたんじゃなくて…… そっか、見えたよっ、かがみの愛のひとしずくっ」 「(ええ、それこそ正しく真の百合百合もーどですっ!!)」 「むぅっ、なんだこの気迫はっ!?今までのこなたのモノとは違う……まさかぁっ!?」 「そうだよ、女同士だからって諦めてたけど、私決めた!!」 「ぬおおおおっ、お父さんも狙っていたのに、キサマがかがみちゃんとケコーンする気かぁっ! だがつけ上がるなよこなたっ、かがみちゃんと神前で」 「ごちゃごちゃうるさいっ、しゃぁーいにんぐっ、うぃざぁーーどっ!」 「ぐぼぁっ!!なっ、こんな馬鹿なぁっ!?この俺がっ、当方腐敗マスターファーザーがっっ、 手も足も出せんなどということがあってぇぇぇ、たまるかぁあああぁぁぁっ!!」 「……諦めが悪いですよ、そう君。あなたはあなたの娘に敗れたんですっ」 ……はっ、まてよ、ということは、最後は恥ずかしい告白の後こなたとかがみんが!! きさまあっ、一体なんてものを想像させるんだあああっ!! 437 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/03/03(月) 22 59 45 I97ln1Ut こねた 「私がいちばん幸せな時ってどんな時か知ってる?」 「んー限定グッズを手に入れたときとか?」 「ふふ、正解はかがみが隣にいる時だよ」 「…それじゃあ私がいちばん幸せな時も教えてあげよっか」 「どんな時?」 「こなたが私の隣にいる時よ」 459 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2008/03/04(火)01 22 58 x8BJHZgd じゃあ、ちょっと小ネタでも 「ねぇ、かがみん。」 「んー?何よ。」 「やっぱさぁ。」 「だから何よ。」 「かがみんのフトモモは気持ちいいね~。」 「こ、こら!なんてこと言うんだアンタは!」 「だってさぁ、気持ちいいんだもん。この柔らかさがたまんないよ。プニプにしてるしさ。」 「ほ~う、それは私の太腿に脂肪がついてるってことをいいたいのね。って、頬擦りするな!」 「照れてるかがみんの顔をこう、下から見上げるのもまた格別だね。」 「ホント発言がオヤジだな。」 「でも、照れてるかがみの顔が好きなのは本当だよ?」 「え、あ、う、、、うん。」 「あ、えっと、そのぉ、か、かがみんの膝枕が気持ちいいから、なんか眠くなっちゃったよ。」 「ネットゲームのやりすぎじゃないの?」 「最近はちゃんと寝てるよ!かがみんのひざが気持ち良過ぎるの。じゃオヤスミ。」 「はいはい。」 (あ~、ヘタレだなぁ。私って) 585 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/06(木) 19 30 21 toPp/vAV 「こなたー。 ……。 ……こーちゃん。 …………いずみん。 こな……たん? こなこな……。 私の嫁? ……こなた様。 ご主人様……」 「かがみさんや、さっきから私の写真相手になに「ひゃっほう!?」」 こなたに聞かれました。 588 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/06(木) 19 58 49 toPp/vAV 585の続き 「かがみんは私の呼び方を考えてたの? ふ~ん(ニヤニヤ)」 「な、何よ! 何か言いたい事があるならはっきりと……!」 「いやいや~、な~んにもないですよ? 未来の旦那様?」 「またあんたは人を馬鹿に……え?」 「期待してるよ?」 「え? ちょっ、待っ……えぇ?!」 「さてと、どこか遊びに行こっか?」 「こなた、今あんた私の事を……」 「ケーキバイキングでも行こうか? さあ行こ行こ~♪」 「こらっ! 待ちなさい!」 後ろから見ても耳が赤いのまるわかりよ、ばか……。 …………まぁ。 あたしも、なんだけどね……/// 654 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/07(金) 07 30 03 BvZIjsv6 「こなたー」 「どしたの、かがみ様?」 「ううん、ちょっと呼んでみただけ」 「かがみん」 「どうしたの、こなた」 「何でもないよ。 ちょっと呼んでみただけ」 チュッ 「ん……」 「急にキスしてくるなんて、どうしちゃったのさ?」 「え? ああ、こなたの頬が柔らかそうだなーって思ったら自然に、ね」 チュッ 「はむ……」 「あんただってキスして来たじゃないの」 「いや、かがみの横顔が綺麗だなーって思ったら自然と、ね」 「ふふふ……」 「えへへ……」 「夜ね」 「夜だね」 「一緒に寝よっか、夜だし」 「そうだね。 夜だし、仕方ないよね」 「じゃあ部屋まで手を繋いで行きましょ」 「うんっ」 ……。 「……お母さん達、仲良しだよね」 「お姉ちゃん、眠いよぅ……」 「相変わらず可愛いよね、我が妹よー」 「きゃっ! どこ触ってるのよ、お姉ちゃん!」 「私達も一緒に寝よっか」 「うん……」 655 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/07(金) 07 41 05 BvZIjsv6 「朝ね」 「朝だね」 「コーヒーにしましょうか、朝だし」 「そうだね。 モーニングコーヒーだね」 「砂糖はいる?」 「ううん、いいよ」 「苦いわよ?」 「かがみと一緒なら甘くなるよ」 「そっか」 「うん」 ゴク……ゴク…… 「苦いわね」 「苦いね」 「あ……」 「? どうしたの」 「コーヒーのおひげが付いてるわよ」 「え?」 ペロッ 「ん……取れた」 「あ、ありがと……」 「甘いわね」 「甘いね」 ……。 「お姉ちゃん、砂糖いる?」 「あ"ー、お母さん達見てたから甘いのは食傷気味だわ。 ブラックで貰える?」 「うん、わかった」 「……ところでさ」 「何? お姉ちゃん」 「やっぱり可愛いわよね、我が妹よー」 「お姉ちゃん、それ3回目ー」 656 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/07(金) 07 53 12 BvZIjsv6 「朝ご飯美味しいわね」 「うん。 でも……」 「何?」 「さっきからかがみん、梅干し食べ過ぎじゃない? もう7個目だよ?」 「……」 「何か隠してる?」 「実は……」 ……。 「妹、聞いた?」 「どうしたの? お姉ちゃん」 「私達に弟か妹が出来るって!」 「ホント!?」 「妹、急いでもち米買ってきて! あと小豆とゴマ塩!」 「どうするの、お姉ちゃん?」 「決まってるじゃない、お赤飯を炊くのよ!」 「ラ、ラジャー!」 「あ、ちょっと待った!」 「な、何? どうしたの?」 「可愛いわね、我が妹よー」 「それ朝から通算25回目!」 「行ってきますのチューは?」 「う……」 チュッ 「……やっぱり可愛いわねー」 「……帰ってきたら絶対仕返しするんだから」 「楽しみにしてるよ、我が妹よ」
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私はこの青いアホ毛のちびっ子、こなたが大好きだ。 しかしそれを口に出せずにいる。 「かがみーん♪かがみーん♪ぎゅう~♪」 こなたがいつものように抱き付いてきた。 私はこの瞬間が嬉しくて嬉しくて仕方ない。 「ちょ、ちょっと!何で抱き付いてんのよ!」 だけど素直になれない私。 嬉しくて仕方ないのに。 「えー!だってかがみと私の仲じゃーん♪」 そうやって一層密着してくる青いアホ毛の女の子。 こんなことをされて私の気持ちが揺さ振られないはずがないのに。 でも、だけど私の手がこの女の子を包み込むことはなかった。 いっその事『私もこなたの事が大好きだよ』と、言ってしまいたい。 そんな衝動をいつも抑えている。 だって、もし私からこの子を抱き締めることがあったら、この子は私のことをどう思ってしまうだろう? 「か、かがみ?!もしかしてそんな趣味だったの!?」…なんて、引かれてしまうかもしれないじゃないか。 いや待て待て。じゃあなんでこの子は私に抱き付く? …ああ、うん、多分からかってるだけ。間違いなくそうだ。 もし私がガチ(?)だと分かればもう引かれて嫌われてしまうかも。 「かがみ~ん大好きー♪」 ぎゅう、と抱き付いてくるこなた。 ああ、もうだめ。ヤバイって。私も抱き締めてしまいそう。 こなた、お願いだからもう私を戸惑わせないで…。 「かっがみーん♪かっがみーん♪」 頬と頬をぺったり合わせてくる。 もう、…だめだって。 「こなたぁー!!私、私も… こなたの事が大好きなのー!!!」 ぎゅぅうううっ!!と抱き締め返してしまった。 あー、 やってしまった…、、。 もう、どうすればいいのかわかんない。 ただ、こなたが好き過ぎて、抱き締めてるのが嬉しくて、、。 私は泣いていた。 何故だか分からないけど。 涙が出るのを抑えられなかった。 ……。 一体どれくらいの時間が過ぎただろう。 こなたは何も言わなかった。 私も何も言えなかった。 あまり働いていない頭の片隅で、 この手を離せば二度と元には戻れないんだろなー、 などと考えていた。 最後の抱擁かもしれない。 温もりを、ずっと忘れたく無かった。 もっとこのまま、感じていたかった。 こなたが正気に戻って私を突き放す瞬間、 それが私の最後の瞬間なのだろう。 「かがみ…」 …来た。 私の夢の終わりが。 「大好き……」 ああ、私はなんでこなたを抱き締めたりしてしまったのだろう。 我慢していればこなたの方から冗談混じりに抱き付いてくれてた毎日が送れたのに。 ほんのちょっとした欲望でそれを棒に振るって私バカじゃないの?! ああもう、私のバカバカバカ… ってあれ?! あ、幻聴か。 って!なんかこなたの方から強く抱き締められてるし?! えっ、何どういう事ー!!? 「かがみぃ…大好きだよ」 ぎゅううぅ~…。 The End. コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-04-23 09 41 40) これいい。これ好き。 -- 名無しさん (2013-02-03 12 40 16) キターーーーー(・∀・) -- 名無しさん (2012-10-24 16 41 45) 自分もかがみんの告白ききたい! -- かがみんラブ (2012-09-20 23 17 58) こ〜の〜バカップルがぁvV(笑) -- チハヤ (2008-08-02 23 48 42) 萌えました (*´Д`) -- ハルヒ@ (2008-06-29 13 17 25)
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何気ない日々:梅雨晴れのち夕立“二人の気持ち” 「かがみは私に、あんな事絶対言わないのに・・・どうして?」 公園から駅まではそんなに距離は無かった。全力で走ったのだから、後ろにかがみの姿は無いのも当然だ。 丁度私が駅に着いたとき、バケツをひっくり返した様な土砂降りの雨。そろそろ追いついて来ても良さそうなのに、かがみが追いかけてくる様子は無い、かがみは大丈夫だろうか。まだ、呆けてあのままだったら、もうずぶ濡れになってる。心配だけど、走って戻る勇気が無かったし、傘も無いしね。駅の購買の傘なんて雨が降った瞬間に完売だから。 「私は、かがみがあんな事を言うのを望んでいなかったのかな・・・ううん、違う、望んでいたはずなのに。でもそれは映画のワンシーンの言葉としてじゃなくて、本当の気持ちで、でもそれはありえなくて・・・」 ぶつぶつと呟く私の横に座っていた男性は、それが嫌だったのか立って遠くの椅子へと向かった。どうでも良い事だった、今の私には、かがみが心配だった。心配なのに、拒絶したような行動をとってしまったことが怖くて、携帯で電話をかける事も出来ない。意気地無しすぎるよね、私。 でも、どうしても走って戻る勇気が無くて、ただ椅子に腰掛けていることしか出来なかった。頬を流れる涙にも気がついていた。けれど、恥ずかしさを感じることも無く、また拭う気にもなれなかった。 かがみが私を好きになるはずが無い、そう決め付けていた。私はそうする事でこの気持ちが親友への裏切りであったとしても許されるものだと信じていたかった。 「かがみが私を好きなはず・・・」 無いなんてどうして私は、決め付けられるのだろう。そこで、お父さんが言っていた事を思いだした。“イメージや思っていた姿、想像していた虚像と違う”つまりは、気持ちはコインの裏と表とは違って、嫌いと好きに二分するだけではないという事だ。私はかがみが好きだけど、かがみは絶対にそんな気持ちを私に抱かない。それは臆病な私が想像して願っていた姿、思い込んでいた虚像。 かがみが同じ思いを持っていてくれるかも知れないと思う事は怖くて、想像しなかった可能性。でも、それも考えてよかったんだ・・・いや、考えておかなければいけなかったんだ。あんな風に突き飛ばしてしまったんだ。かがみは、私に拒絶されたと思っただろうか、嫌われてしまったと思っただろうか。かがみが傷ついた分だけ私の心も傷ついていく様に胸が痛かった。でも、きっとそれは、かがみが受けた傷の痛みの何分の一でしかないんだ。 「かがみ・・・」 私はホームから見える雨を落とし続ける、灰色の空を見つめて呟いた。そして心の中で謝り続け、涙が溢れてしゃくり上げて泣く姿を見られていても、涙を、気持ちを抑えることは出来なかった。 ◆ 「寒い・・・わね」 このまま、凍えてしまえたらこの気持ちも凍えてくれるかしらね?そんな事を思い、馬鹿な考えだと泣きながら笑い飛ばした。きっと凍えてもこの気持ちは凍えないだろうから。 駅にはまだこなたがいる。今は何て言って冗談にすればいいのかわからない。服が濡れて体に吸い付いて気持ちが悪い。そして、胸が痛かった。 「こなた・・・」 呟いた言葉が白いもやになって消えていく。私も一緒に消えてしまいたかった・・・あれ程、思っていたじゃないか。気持ちを暴走させてはいけないって、言ってはいけない気持ちだと。なのに、私は映画のラストシーンに託けて言おうとしてしまった。そして結果がこれだ、笑うに笑えないなら、泣き笑うしかない。学校への待ち合わせ、どうしよう。一緒に登校するのはまだ許されるのだろうか、せめて友人でいたいな。 雨に打たれながらそんな事を考えていた。体温が急激に奪われていく、寒いわね。でも、どこに行く気にもなれず、公園にある、錆付いて惨めな姿になったジャングルジムに背中を預けて、両手で体を抱くようにして、立っているのがやっとだった。 見上げれば雨が目に入る。それが涙と交じり合って、私の目から零れていく。何時までこうしているつもりなのだろう。このまま、雨に打たれて溶けてしまうまでだろうか。 私は、拒絶されたんだ。でも、こなたは、嫌いだとか気持ち悪いとかそんな言葉は言わなかった。まだ、きっと間に合う。 「わかっていたのに、気持ちを表に出しちゃいけないって、私って馬鹿ね」 乾いた笑い声が、公園の中で響く。けれど、その笑い声は、誰の耳に入る前に雨音に消されていった。 少し体が冷えすぎたのか、立っているのもなんだか辛くなってきた。どうしよう・・・電車が出るのは、私の記憶に間違いがなければまだまだ先だろう。駅に行くわけにも行かず、ここに居続けるわけにもいかない・・・では、どこへ行けばいいのだろう。 「かがみ先輩!?」 どこかで聞いたことがある声。髪が水分を吸って頭が重いが、声の方へ顔を向けると、そこには、ゆたかちゃんが居た。髪と同じ色の可愛らしい傘を差して、その後ろには、髪と同じ色をした傘を差したいつもゆたかちゃんの傍らにいる・・・そう、みなみちゃんだったかしら、頭が上手く回らないわね、二人が立っていた。 「・・・どうしたんですか?」 「ちょっとね。電車に乗るなら早く駅に行った方がいいわよ?この雨だと、座るスペース所か立つスペースだって危ういと思うしね」 震える唇が喋ったにしては何時も通りの声だった。二人は、ただ私の事を見ていた。どうして、こんな所で雨に打たれているのか、どうして、自分は駅に行かないのか、その答えを探すように。 「私は、まだ駅にはちょっといけない・・・用事が・・・あってね。だから、ほ、ほ、放っておいて、大丈夫よ」 上手く言葉が出ない。雨が降る前はそんなに寒くは無かったのに、今は体の底から、心の底から凍りつくように寒い。どちらも冷え切っているみたいだから。たった一つの想いを除いては。 「・・・ゆたか、傘をかがみ先輩に」 みなみちゃんがそう言う。ゆたかちゃんの事を何時も気にかけている彼女が、そのゆたかちゃんに傘を私に差し出せというのだ。私はかなり驚いた。もっともそれを表情に出せる程の余裕は無かったけれど。それに、もう傘を差しても意味がないくらいに濡れている、だから断らなくちゃいけないわね。 「気にしなくて・・・いいのよ?身長が違うと、どちらか濡れてしまうし」 それは経験に基づいた事からの言葉だった。たった十二センチ違うだけでこなたの背中はびしょびしょになっていたのだから。 そして、今の私には、雨を凌ごうという気分でもなかったし、このまま打たれ続けていたいとさえ思う。 ゆたかちゃんの傘を受け取ろうとしない私を見るに見かねたのか、みなみちゃんは、私に自分の傘を傾けた。そんな事をしたら貴女が濡れてしまう、それに・・・私が泣いていることが知られてしまう。 私は強がりで見栄っ張りなのに、その癖本当は寂しがり屋で。泣いていることが知られてしまったら事情を話さなければならないだろう。ゆたかちゃんと違ってみなみちゃんはみゆきの知り合いという事もあって、ある意味鋭い。それはつかさやみゆきの鋭さとは違うけれど、でも、この拒絶された想いをもう誰にも知られたくなかった。だけど、もう寒さと胸の痛みで動けなくて・・・。 「どうしたんですか・・・?」 涙が頬を伝わる感触がまた戻ってきた。言いたくは無い。言わなければみなみちゃんはずっと傘を私に傾けたままかもしれない。ゆたかちゃんは、そんなみなみちゃんの事を心配そうに見ている。・・・その視線が私にも向けられているという事には気づけなかったけれど。 「なんでもないのよ」 精一杯の虚勢だった。必死に仮面を被って笑ってみせるけど流れる涙は止まらなくて、もうどうしていいのかわからなかった。 本当は叫びたかったんだと思う。それが例え八つ当たりだとしても、こなたに拒絶されたんだって、もう友人ですらいられないかも知れなくて、それが怖くて泣いているんだって・・・喚き散らしたかったのかもしれない。けれど、それは強がりで見栄っ張りな私には出来なかっただけの事。 その言葉に、聞いてはいけないのか、聞くべきなのか戸惑ってしまっているみなみちゃんは、優しい人なんだなと思う。ゆたかちゃんが言っていた以上に、優しくて気遣いの出来る人。私の好きな人も、そんな気遣いが出来るのよ?そんな事を思ってしまう。誰よりも元気でマイペースなのに、どこか、誰にも気づかれない所で気を使っているあいつ。そんな優しくて大好きな“親友”を私は、この想いで裏切って、この想いで傷つけて・・・ああ、駄目だ、お願いだから、傘をどけて。涙はもうどうしようもなく流れ続けていて、止まりそうも無くて、どうしていいのかわからないのだから。せめて、もう涙を見るのはやめて・・・お願いだから。 「本当になんでもないのよ、だから、もうしばらく・・・このままで居させてくれないかしら」 寒さなんて、もうわからない、だから唇も震えなかった。 「みなみちゃん、かがみ先輩・・・」 ゆたかちゃんは、みなみちゃんがわかり辛いが凄く戸惑った表情を浮かべているのに対して、私が涙を零しながら笑顔で放っておいてくれてという状況が上手く飲み込めずに戸惑っていた。とにかく、傘をどけて欲しかった、涙を流している姿を見られたくはなかった。 「お願いだから放っておいてっ!」 私は笑顔という仮面が剥がれた顔で、悲鳴にも近い叫び声を上げた。もう我慢の限界だったのもあるが、みなみちゃんが濡れていくのをゆたかちゃんに心配させたくなかったし、自分勝手な行動で友人の心を傷つけてしまったのに、それで涙を流しているのをゆたかちゃんからこなたに伝わるのも怖かった。傷つけた人間に泣く資格など無いというのに、私の目からは未だ涙が止まらない。もうどれくらいの時間流れているのだろう、どうして涸れてくれないのだろう。 二人はそんな取り乱した私の姿に虚をつかれたのか、目を丸く開いて固まっていた。その隙に傘を傾けているみなみちゃんの手を彼女が濡れない様に動かす。 「ゆたか~?みなみちゃ~ん、車近くまで持ってきたよ~」 聞き覚えのある元気な声。こなたがそういえば、前に元気に動き回るイメージがあるから、豹って言っていた気がする。さっきから私の考えの中心はこなたがいる。だからなのか、傷つけてしまった痛みが、傷つけてしまった事への心が零す血液が涙に変わって零れ落ちていくのだろうか。 「私は、そろそろ行くね」 そう言ってこの場から去るつもりだった。駅へ向かおうとしたのに、私の目に映ったのは砂利の混ざったむき出しの地面と水溜りで、体には衝撃が走った。それなのに、不思議と痛みはわからなくて、何が起こったのだろう、頭が上手く回らないのは寒さの所為だろうか。 「かがみ先輩!?」 「・・・大丈夫ですか?」 二人の言葉に、あぁ、私は転んだんなぁと言うことにやっと気がついた。お気に入りの服も私も泥水を浴びて泥や砂利まみれで惨めだった。それでも立ち上がる気になれなくて、今の私にはその姿が、相応しいとさえ思えてならなくて・・・。 二人は手を伸ばすべきかどうかを凄く迷っていて、私は私で起き上がれないでいると、不意に片腕を引っ張り上げられて立たされた。 「大丈夫かな?あ~あ、折角のお洒落さんが台無しになっちゃってるねぇ」 明るい声、私に言っているのだろうか。何時の間にか側に来ていたゆいさんに私は起こされたらしい。あのまま雨の中で泥のように解けてしまいたかったのに。 「すみません、ありがとうございます」 お辞儀をしようとしてふらついてしまう。寒さで色んな感覚が麻痺している気がする。それなのに、傷つけた痛みだけはズキズキと心を針で刺すような痛みを出し続けていた。 「んー、電車は行っちゃったみたいだねぇ。かがみちゃんだったねー、一緒に乗っていく?お姉さんが送って行っちゃうよー」 ゆいさんは、優しく聞いてくれる。でも、こんなにびしょ濡れで泥まみれの私が車に乗せてもらうのは申し訳ない気がする。 「かがみちゃん、遠慮することはないよ~。さぁ、おいで」 ゆいさんが手を掴む。その手はぎゅっと強く掴まれていて振り解くことが出来なかった。もっとも、ぎゅっと掴まれていなくても今の私には振り解く力は無くて。手を引かれるままに歩いた。 どうしてだろう、誰も掴まない手。それは、あの日にバスで繋いだ手、あの日にお見舞いで涙味の口付けの味を感じた時に繋いでいた手。今は、泥で汚れてしまった手・・・あの温もりも想いも何もかも、全てはあのバスの日から始まった。いや、きっとそうじゃないんだ、あの日に私は知っただけの事。一体何時、こなたに想いを馳せたのか何て理由、わかりはしない。でも、もう始まってしまった、動き始めてしまった想いを消してしまう事なんてきっと出来ない。なら、私はどうすればいいの?誰も答えはくれない。 「さぁ、乗った、乗った~。ゆたかとみなみちゃんはちょっと荷物で狭くなっちゃってるけど二人で後部座席の方にお願いするね~」 何時の間にか、ゆいさんの車の前まで連れて来られていた。空けられた助手席のドア、後部座席が狭くなっているのは、きっとここに物が積んであったからだろう。座席に座ってもよいものだろうか、泥水に濡れた服、きっと座席を汚してしまうだろう。 「シートの事は気にしなくていいから、乗った、乗った~。お姉さん、警察官だからね~。ほっとけないしさ」 半ば強引に助手席に押し込まれた。シートを汚してしまったな、そんな事しか思い浮かべられなかった。心配してくれたことを感謝するとか、そういう事を思いつけない程に私は消耗していたらしい。 「シートベルトをしてくれたまへ~。よし、じゃぁいくよ~」 私がシートベルトをしたのを確認すると、ゆいさんは車を発進させた。髪から水滴がたれてくるのか、膝の上においた手の甲が濡れている。 「何があったのかな?お姉さんでよければ相談に乗るよ~」 「友人を傷つけてしまったんです・・・」 私は、言いたくないのに言葉を口にしていた。誰かに聞いてもらいたいと思ったのかもしれないし、このゆいさんの雰囲気に口を動かしていたのかもしれない。 「きっと仲直りできるよ。そんなに泣かなくったってさ」 手の甲を濡らしているのは、どうやら私の涙らしかった。そういえば、まだ目から顎に温かい水滴が流れるのを感じる。 「そうだと良いんですけど・・・凄く傷つけちゃったから、どうしたらいいのか、わからなくて」 同性に告白されそうになるのはどんな気持ちなのだろう。しかも、信用している友人から。どれだけ、こなた、あんたは傷ついたのかな?それを考えると涙の量が増えるばかりだ。 「そういえば、今日、こなたお姉ちゃんが出掛けてたからもしかして・・・」 「・・・ゆたか」 「あ、ご、ごめんなさい」 私は言わなくていい事ばかり口にしそうだった。想いを支える堤防は決壊しかけているようで、口にしてしまう。 「そう、私はこなたに酷い事を言って傷つけちゃったのよ、ゆたかちゃん」 後は言葉にならなくて、泥に汚れた手で涙を如何にか止めようと、嗚咽をどうにか堪え様と頑張ったが、どうにもならなかった。 「こなたと喧嘩しちゃったわけだ、しかし、あのこなたが友人と喧嘩だなんて、お姉さんびっくりだ」 ゆいさんは相変わらず明るい声で言う。それが気遣いだという事には気がつけるくらいになっていた。涙が零れるほど、私の頭は冷静になっていくのに涙だけは止め処無く溢れ続ける。 「ごめんなさい、でも、止まらなくて・・・。私が悪いのに、私が泣いてちゃいけませんよね」 「かがみちゃんだけが悪かったのかな。こなたには、悪いところ無かった?」 あるはずが無い。きっと怖かったのだ、友人が言うはずの無い言葉を口にする事が。 「喧嘩って言うのは、お互い悪い所が無いと出来ないものだからねぇ」 そもそも、喧嘩というのが私の嘘だから。だから、一方的に私が悪いの、こんな気持ちを持ってしまった事が。 「本当は、喧嘩したんじゃないです。こなたに・・・友人が言っちゃいけない事を・・・」 「何をって聞いたら野暮かな?」 何時の間にか、家の近くまで来ていた。言ってしまって気味悪がられて、車から降ろされても何とか歩いて帰れるだろう。どの道、こなたから聞くことになるだろうから、私が今ここで言ってしまっても、結果は同じ事。気味悪がられるのが早いか遅いかの違いに過ぎない。 「こなたに・・・す・・・」 嗚咽で上手く喋れなかった、何とか抑える。もう誰かに聞いて欲しかった、みゆきに聞いてもらうだけじゃ足りなくて、母に聞いてもらうだけじゃ足りなくて、私の不安の海はどこまでも果てが無い程に広かった。 「こなたに好きだって・・・伝えようとしたんです。二人でみた映画のシーンの説明に託けて、告白しようなんて卑怯な真似をして、こなたを凄く傷つけてしまったんです」 車内の空気が張り詰める、当然だろう。想ってはいけない気持ち、異端視される気持ちなのだから。 「かがみちゃんは、こなたが好きなんだねぇ」 張り詰めた空気なんてなかった、ゆいさんは事も無げにそう言った。どうして、どうして受け入れられるの? 「お姉さんそう言うのは良くわからないけど、でも、それはきっと悪い事じゃないとないと思うよ」 「そうなの・・・かな・・・」 敬語を使うことも忘れて、呟くように言う。悪い事じゃないのかな、でも良い事でもないはずだ。その後は会話も無く、私の家の前で車は止まった。 シートを汚してしまったこともあり、私は母を呼んで一緒に謝罪した。謝罪した後の会話はただ聞いていただけだったが、ゆいさんは特に気にした風も無く、それじゃまたね~と明るく行ってしまった。失礼にも、その姿を私は、あまり関りたくなかったんじゃないだろうかと思ってしまった。 雨の中、家にも入らず呆然と立っているだけの私を、母は脱衣所に連れて行き、お風呂は沸くのに時間がかかるからとりあえずシャワーで温まってきなさいと告げた。私はといえば言われるがままに頷いて、シャワーを浴びた。お湯が肌に当たるたびに走る痺れる様なジンジンとした感覚、最初温かいとは感じなかった。それほどまでに冷え切っていた事に驚いたが、黙ってシャワーを浴び続けた。 温まって外に出ると着替えが用意してあり、それを着て、私は自分の部屋に向かう。中に入った所で操り人形の糸が切れてしまったかのようにフラフラとして、ベッドに座り込んだ。寝転ぶ気にはなれず、ただ座っていただけ、涙も何時の間にか止まっていた。 しばらくの沈黙の後、不意に遠慮がちなノックの音、そして、つかさが入ってきた。 「お姉ちゃん、大丈夫?」 「よく、わかんない・・・」 大丈夫と聞かれて大丈夫と答えられる状態でもなかった。心の中はグチャグチャで、想いだけが先走りそうで、また泣きそうになって・・・。 「お姉ちゃんが帰ってくる前にね、こなちゃんから電話があったの。お姉ちゃんの携帯繋がらないからって。その、さっきはごめんって伝えて欲しいって」 「こなたが謝ることなんて何にも無いのに、どうしてあいつは謝るんだろう」 私の言葉はもう、うわ言の様だ。目に映るつかさの姿でさえ夢の中の様で、ふわふわしたおかしな思考感覚だった。 「お姉ちゃんは、こなちゃんに・・・言ったの?」 つかさも知っているのか。こなたから電話があったのなら知っていてもおかしくは無いか。 「最後までは言えなかったわ。でも、もう友達でもいられないかも知れないわね。つかさにも迷惑掛けるかもしれない、ごめん」 「だ、大丈夫だよ。こなちゃんだって、その、お姉ちゃんの事、好きだって悩んでたんだから!!」 言い終わってから、つかさはしまったという顔をした。どういう事だろう、こなたが私の事を好きで、悩んでいた・・・? 「意味がわからないわよ、つかさ。私はあいつに好きと言おうとして突き飛ばされたのよ、拒絶されたのよ?それなのに、こなたがどうして私を好きなのよ」 「えっと、それはその、あの、お姉ちゃんがこなちゃんを好きなのも私知ってて、あの、うーんと・・・」 言葉を探しているつかさに立ち上がって肩を持って、問いただしたかったが。肩を持った所でどういう言葉を言えばいいのかが、わからなくなってしまった。 「あのね、だから、お姉ちゃん・・・と、とにかく大丈夫なんだよ」 「意味がわからないわよ」 疲れていた所為だろうか、急に体から力が抜けて、転びそうになったのを何とか堪え様として、結局つかさを押し倒す形でベッドに倒れた。 「ごめん、すぐ退くから」 そうは言ったものの体に力が入らない、何だか凄く疲れてしまって、動く事が出来ない。涙が出てきた、まだ仲直りの出来る可能性に、拒絶されてはいないかもしれない可能性に。 「お姉ちゃん、たまには私を頼ってよ。頼りないかもしれないけど、頑張って力になるから!」 「じゃあ、少しだけお姉ちゃんをやめてもいい?」 「えと、うーんと、それは困る・・・かなぁ」 「ほんの少しだけ・・・いいかな?」 「ほんの少しだけならいいよ」 つかさの胸に顔を押し付けるようにして泣いた。声を上げて、感情をさらけ出して、それは姉としての強さを外す事だから。 そんな泣きじゃくる私の頭をつかさは優しく撫で続けていてくれた。 ◆ どうやって家に帰ってきたのか良く覚えてない。けれど、家に着いてすぐにかがみに謝ろうと思って携帯にかけたが、繋がらなかった。直接の方がいいと思ったけど、拗れる前に謝っておきたかったから、つかさにメールを送る事にした。 「イメージと現実かぁ」 電話を終えて呟く。かがみが私を好きになるなんてありえないと思った。でも、どうやら現実は違うらしかった・・・確信は持てないがあの時の私が突き飛ばしてしまった、かがみの反応を思い出すともしかすると、あの言葉は本当の気持ちだったんじゃないのかという可能性もあるかな、なんて思い始めていた。 「でも、かがみはあんな事思わないし、そんな事言わないはずなのに」 私は冷えた体を温めようとコーヒーでも飲もうと思い、そんな事を呟きながら居間に入った。テーブルには、曖昧な表情をしたお父さんがいた、私の独り言は聞こえていたらしい。 「絶対そうだって事は無かっただろう?」 「でも、かがみがあんな事を言うなんて思わなかったし、そんな可能性無いと思ってたよ」 「それで、こなたはどうしたんだ?」 「かがみを突き飛ばして逃げただけ・・・」 「そうか。しかし、こなたとしては、かがみちゃんが好きなんだろ?お父さんは、認めていないわけじゃぁないし、同じ気持ち同士で良かったじゃないか、どうして突き飛ばしてしまったんだ?」 「わかんない・・・でも、かがみがあのまま、雨に打たれていたらどうしよう」 かがみがあのまま、傷ついたまま、あの場所にいたらどうしよう。今からでも戻るべきなのだろうか・・・わからない。 「そういえば、偶然ゆい達が、かがみちゃんにあったらしくて、かがみちゃんを送ってくれてるらしい電話があったな」 「そっか、ゆい姉さんが・・・良かった」 心から良かったと思う。あのまま、かがみが雨に打たれていたらと思うだけで胸が締め付けられる気分だった。それだけ好きなのに、私は・・・かがみを突き飛ばして逃げたのだ。 卑怯じゃないだろうか、いくら信じられなかった事で取り乱していたとはいえあれでは、拒絶されたと思う以外には無いのだから。 まぁ、座ったらどうだ、こなた。そう告げられ、私の前には湯気を立てて入る熱めのコーヒー。座って一口飲むと、また思っていたのと味が違った。朝飲んだコーヒーとは明らかに違う、いや・・・これは何時ものインスタントコーヒーの味だ。 「味が戻っただろ。実は朝の分はな、こなたが飲んだので丁度最後だったんだよ。で、あのメーカーを飲んでいる近所の人が同じ福引で、うちがいつも買っているメーカーのインスタントコーヒーを貰ったたらしくてなぁ、その人はお父さんが、自分が買っているインスタントメーカーのコーヒーを福引で当てたのを見てたらしくてだ。電話をくれて、交換する事になったんだよ」 「でも、何か変な感じだネ。朝と味が違うだけなのに、元の味に戻っただけなのに、逆に変な違和感を感じるよ、まぁ、飲みなれてるからいいけどさ」 二口目には、さっきの違和感が嘘の様に無くなっていた。違和感・・・かぁ。かがみが私の耳元で愛の言葉を囁く・・・そういうシチュエーションが既に違和感だらけで信じられなかった。 「こなた、今朝のイメージと現実の話なんだが・・・」 「うん」 「イメージはイメージでしかないと思うんだ。現実とは違う、まぁ、そこはオタクとして生きてきた中で学びとっていると思うが・・・これをかなたが聞いたら激怒するに違いないな。と、話が逸れたな。つまりだ、こなたにとってかがみちゃんは女の子を好きにはなったりしない、ましてや自分に対してそんなことはありえない、というイメージがあったんだよな?」 「そうだよ。かがみは私なんか好きになったりしない、そんなことありえないって思ってた」 でも、そうじゃなかったらって考えられていたら今日の事を受け入れられていたのかな。わからない・・・いや、たぶん、そうじゃなかったら何て、思えていてもきっと受け入れられなかった。きっとかがみは決意を、私のような弱い決意じゃない、もっと強い決意を固めていたのかも知れない。 「かがみは、きっと勇気を振り絞ったんだよね・・・それを私は踏みにじった」 「いや、そうとも限らないぞ。かがみちゃんが今日、本当にそういう事を話すつもりだったかどうかは、かがみちゃんにしかわからないんだ。そこが既にイメージになってしまうんだよ。予測とも言えなくは無いが、恋愛感情となるとそこはその場の勢いもあるからな」 確かに、あの時に私があの映画のラストシーンの事を聞かなければ、かがみは口にしなかったかもしれない。それは、お父さんの言う通り、かがみにしかわからないけどさ。 「私はどうしたらいいかな?」 「そうだな、よく考える事じゃないかな。かがみちゃんは今日突き飛ばされて、拒絶されたと思ったはずだ。きっと、こなたを傷つけてしまったと酷く落ち込んでいるに違いない。ゆいの話だと、あまりにも目が虚ろだったから、警官として放っておけないと言ってたからなぁ」 どうして、私を傷つけたと思ってしまったんだろう。悪いのはわたしなのに、かがみじゃないのに・・・どうして? お父さんは私の表情から心のうちを読み取ったのか言葉を続ける。 「かがみちゃんも、こなたと一緒で、絶対にそんな気持ちを抱かないと思っていたからじゃないかな。前に遊びに来たことがあったときに感じた事なんだが、しっかりしているけれど芯が少し弱い子なんじゃないか?かがみちゃんは」 どうだろう。つかさを守って生きてきたのだから、強いんじゃないかな・・・でも寂しがり屋で強がりだから・・・本当は脆く弱いのかもしれない。それは、私も同じようなものだけど。 「お父さんはさぁ、どうして変だとか思わないの?私の気持ちとか・・・」 「ま、お父さんとしてはだな、こなたが幸せならそれでもいいんじゃないかと思っただけだが・・・」 冷めたコーヒーを一口飲んでから続ける。 「普通に恋愛して、普通に結婚したほうが無論幸せになれる確率は高いだろうな。世間からは冷たい目で見られるわけだし・・・でもなぁ、こなたには強い味方がいたろう?つかさちゃんってさ。普通は姉に想いを寄せている、それがたとえ友人であっても同性愛に関して味方になるって決意を固めるのは簡単な事じゃ無いと思うんだよ。だから、つかさちゃんをみて、あえて反対する気は無くなったんだがなぁ」 「そんな事で決めちゃっていいの?」 「いや、それはかなり大きい事だと思うからなぁ」 私も冷めたコーヒーを飲む、するとカップは空になった。つかさは、かがみと双子で、私と親友で、味方だけど・・・どうしてつかさは味方になるって言い切れたんだろう。そして、かがみには味方はいるのだろうか。 「お父さん。私、部屋に戻るね」 「まぁ、よく考えるんだぞ」 よく考えるか・・・どうすればいいのかわからない事だらけだ。 部屋に戻って、首にかがみがつけてくれたチョーカーを指でなぞる。金属のひんやりとしたハートの感触。 「かがみ、ごめん・・・ごめんなさい」 その声はもう、かがみには届かない。お互いに傷つけてしまったと思い込んで涙する。何だ、わたしとかがみはどこまでも同じ道を歩いていた事に気がつかなかっただけなんだ。 だからこそ、決めなくてはいけないと思うんだ。かがみと世間の茨道を歩くのか、この想いを封印してかがみの心を傷つけてでも、違う相手を見つけてもらうか。 ―選ばなくちゃいけないんだ。 私はもう一度チョーカーについた金属のハートをなぞる。かがみがつけてくれる時、こんな可愛いものは私には、似合わないと思った。けれど今ははずす気になれない。考えが纏まるまでは着けていよう、そう思いつつ、バルーンニット帽を乱暴に脱ぎ捨て、ベッドに倒れこんだ。 何気ない日々:想い流るる前日“互いに違う答え”へ コメントフォーム 名前 コメント 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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架神恭介 Mr.スカー MCヒロシ ニカイア・カルケドン 流樹苗 服部あすか モヒカンザコ太郎 モヒカンザコ先生 清水おしるこ 無神月ルカ 架神恭介 性 学年 攻 防 体 精 FS 発 成 男性 その他 0 0 3 2 20 100 100 範囲:世界全体 効果:精神力増加2点 範囲:世界全体※ 時間:一瞬 消費制約:永続戦線離脱 非消費制約1:女子高生のみ 非消費制約2:敵味方区別なし 非消費制約3:1ターン目のみ使用可能 ※MAP全体+ベンチにいるキャラクターも含める ※1ターン目先手でも発動できる Mr.スカー 性 学年 攻 防 体 精 FS 発 成 男 その他 0 0 10 1 14 100 0 効果:DP2獲得 範囲+対象:ルール 時間:一瞬 タイプ:瞬間型 スタイル:アクティブ 消費制約:ゲーム終了時にDP3消失 ※ GK注:消費制約は、仮にゲーム終了前にこのキャラクターが死んだとしても支払わなければならない。 ※ GK注:消費制約を支払う段階でDPが3よりも少なかった場合、特殊処理としてDPはマイナス扱いとし、相手陣営の所持DPが0だった場合は敗北する。 MCヒロシ 性 学年 攻 防 体 精 FS 発 成 男 0 17 7 3 3 85 100 •効果:即死 -100 •範囲:半径2マス 0.9 •対象:範囲内敵全員 0.7 •時間:瞬間 1倍 •効果付属:なし •補正1:DP5消費 125 •補正2:最終ターンのみ使用可 100 •ボーナス:なし ニカイア・カルケドン 性 学年 攻 防 体 精 FS 発 成 男 1年 18 0 5 5 2 87 0 効果1 •1ターン後死亡・条件達成により解除可能:75(精神即死に準拠) •範囲対象 同マス敵:0.8 •時間 1ターン:1倍 75×0.8×1=60 効果2(バステ「契約」に含む カウンター条件を自動で満たすので純粋なカウンターではない) •死亡カウンター付与:75(時間補正大) •範囲対象 同マス敵:0.8 •カウンター範囲 周囲2マス:+1.0 •カウンター対象 ランダム1体:+0.1 •時間 3ターン:3倍 •カウンター待ち受け時間 1ターン:0.7倍 •カウンター回数 1回:1倍 75×(0.8+1.0+0.1)×3×0.7×1=299.25 バステ「契約」効果数値 60+299.25=359.25 FS2:1.2倍 制約 直接通常攻撃で殺せる相手にのみ有効:0.45倍 精神攻撃:+100 カウンター条件後手死亡(敵からの攻撃を除く):+65(半減32.5) 調整 対象が死亡しても効果継続:10 術者が死んでも効果継続:10 精神攻撃ボーナス:+10 国籍ボーナス:名前など3、能力4、キャラ説5:+12 {100-(359.25×0.45)+100+32.5}×1.2-10-10+10+12=87.005≒87 発動率87% 成功率0% 能力の流れ 1 能力発動 2 同マスの対象に対して通常攻撃判定 3 失敗時には何も起きない 4 成功時(=敵死亡時/ただし、敵は死なない)に精神攻撃判定 5 精神攻撃判定成功時に相手にバステ「契約」付与 6 「契約」者は自軍フェイズに味方を殺さなければフェイズ終了時に死亡 7 「契約」者は敵に殺される以外のいかなる死因においても「契約」が周囲2マスの味方キャラにランダムで移動する 8 「契約」者は通常攻撃か特殊能力の直接効果によって味方を殺した場合のみ「契約」が解除される 流樹苗 性 学年 攻 防 体 精 FS 発 成 女 2年 0 8 6 3 13 77 100 •効果:移動封印 35 •タイプ:付与型 •スタイル:アクティブ •範囲+対象:隣接2マス敵全員 2.2 •時間:1ターン 1 •消費制約:制約無し 15 •付属効果:壁貫通 10 •FS:13 服部あすか 性 学年 攻 防 体 精 FS 発 成 女 1年 0 0 3 2 20 95 100 効果1:2マス強制移動相当:110% 範囲:同マス味方全員:1.4倍 時間:一瞬:1倍 制約:1ターン遅延発動:0.98倍 制限:道連れ死亡あり:0.92倍 制限:味方女性にしか効果が無い:0.75% 効果2:単体で意味のないバステ「いんもーたるα」「いんもーたるβ」付与:3% 範囲:同マス味方全員:1.4倍 時間:永続(実質2ターン):1.5倍 制限:道連れ死亡あり:0.92倍 制限:「いんもーたるα」は味方女性キャラ(服部あすか含む)にのみ付与可能「いんもーたるβ」は味方男性キャラにのみ付与可能:0.75% 消費制約:永続行動不能:40% モヒカンザコ太郎 性 学年 攻 防 体 精 FS 発 成 男 3年 20 0 4 3 3 41 100 スタイル:パッシヴ 効果:初期配置から前方4マス目へ登場 ※GK註1 対象:自分 時間:一瞬 制約1:3ターン目開始時に登場する ※GK註2 制約2:スタメンでなければ効果発動しない ※GK註1:壁を越えて登場はできない。壁があるマスが初期配置の場合、壁の手前で登場する。 ※GK註2:登場タイミングは3ターン目の自軍フェイズ開始(後手の場合は3ターン目後手)である。 モヒカンザコ先生 性 学年 攻 防 体 精 FS 発 成 男 その他 1 1 9 5 9 100 100 効果1:敵リザーバー召喚 効果対象:同マス一人 時間:一瞬 効果2:敵特殊能力強制発動 オプション:陣営変更なし※1 効果対象:同マス一人 時間:一瞬 ※1 •操作してる間も所属陣営は変わらない(敵のみの能力は元々敵のキャラにしか使えない、味方のみも元々味方のキャラにしか使えない) •制約などは普通に操作した時と同様操作してる側が支払う 消費制約:自分死亡(凄惨な死) 非消費制約1:敵か味方かで効果値が変わるような効果は能力使用後巻き戻しが起こり、なかったことになる ※2 非消費制約2:敵味方無差別が付いている能力は使えない 非消費制約3:単体を対象にする能力の場合は基本対象が範囲内全員の方の陣営しか選べない ※2 戦線離脱や強制移動の効果を発揮して、モヒカンの能力発動処理が全て終わった後で その戦線離脱や強制移動を巻戻して、なかったことにします。 複数の効果を組み合わせた能力で、非消費制約1に該当しない方の効果は 巻き戻されずにそのまま残りますが、そのために何かおかしな処理になってしまう場合は その都度GK判断で処理します。 清水おしるこ 性 学年 攻 防 体 精 FS 発 成 女 2年 17 0 5 2 6 100 100 効果1:1マス移動 55 対象:自分 0.75 時間:一瞬 1.0 効果2:通常攻撃 30 対象:同マス敵全員 1.2 時間:一瞬 1.0 制約:自分永続行動不能 40 FS:6 無神月ルカ 性 学年 攻 防 体 精 FS 発 成 男 2年 0 13 9 5 3 79 100 効果: DP1獲得 110 タイプ: 瞬間型 範囲+対象: ルール 1.0 時間: 一瞬 1.0 非消費制約1: 最終ターンのみ 0.65 非消費制約2: 死体のあるマスでしか使えない 0.9 非消費制約3: 消費制約: 防御5消費 +25
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ジリリリリリリリリリリリリリリリリリ バンッ 前者は私の耳元で喧しく喚き散らす目覚まし時計の音。 後者は私が目覚ましのスイッチを叩いた音。 「ん……んんっ」 もそもそと布団から手を出して目覚まし時計を見ると、7時を少し過ぎたところだった。 二度寝する気満々のつかさと違って、即布団から出て身支度を始めるのが私の普段なのだが、 「ん~~」 昨夜は遅くまでレポートを書いていたせいで、今朝の睡魔は随分と強力だった。 おまけにこの季節はまだまだ朝夕と寒い日が多く、お布団の温もりは強烈に私を誘惑し、抜け出すのは困難を極めた。 私は枕元に置いておいた大学の時間割を手にとり、今日の講義は昼からという現実を確認する。 ―ま、たまにはいいわよね。 私は布団を被り直し、再びぬくぬくのお布団に包まって夢の世界へと旅立とうとした。 ところが、 「起きろー!」 がばっ 「ひゃうっ!!!」 無情にもお布団は剥ぎ取られ、たちまち私はお布団天国から極寒の寒空へと放り出された。 「極寒って…大げさだよかがみん」 「地の文にツッコミを入れるな!だいたいなんであんたがここにいるのよ!」 「スペアキーを郵便ポストに入れておくのは考え物だよかがみん。防犯上よくないよ。一人暮らしの基本だよ」 「うるさい!それより布団、早く返しなさいよ」 せっかくの貴重な朝の時間を二度寝で過ごすと決めたのだ。 こんな防犯協会の回し者にかまっている暇などない。 「だめ。今すぐ起きて顔洗ってきて」 「はぁ?!勝手なこと言ってないで返しなさい!」 私は布団をひったくるように奪い返し、こなたに背をむけるようにして被り直す。 「ちょwwかがみぃ~」 ―ふん、無視だ無視。 ―だいたいなんでこんな朝早くにこなたが家にいるのよ。 「かがみ~起きてよぉ~」 こなたが私の身体をゆさゆさとゆするが、私は沈黙を返す。 布団の中は少し冷えてはいたが、まだ先ほどの温もりが残っていてすぐにあのぬくぬくの空間を再現できそうだった。 「ねぇ~かがみってばぁ~」 ゆさゆさ ゆさゆさ どれだけ揺らされても一向に気にしない。 再度布団を取られないようにしっかりと握り締め、放さないようにする。 これで防御は完璧だ。 「う~」 とうとうこなたは私を揺さぶるのを止め、悔しそうにため息をついた。 「むぅ~眠りについたお姫様を起こすには……コレしかないよね」 なんだ?またなにかたくらんでるのか? 私が身構えた、そのとき、 「ちゅっ」 ほっぺに柔らかくて温かい“何か”が触れた。 「っ????!!!!??!!!」 その瞬間、私は弾かれたように飛び起きた。 「わーい、かがみん起きたー」 「なっ!ななななな!!??」 「おはよー」 「なにしとんじゃー!!」 「王子様からのキ・ス☆」 「キッ!キキキキキキスって!」 「眠り姫を起こすのにキスってのはデフォだよね」 「だよねじゃねぇ!大体だれが王子様だ!」 「かがみぃ、声大きすぎるよ、隣の部屋に迷惑じゃない?」 「誰がそうさせていると思っているんだ……まったく、すっかり目が覚めちゃったじゃない」 私は盛大にため息をつきながらお布団天国に別れを告げた。 「おはよう、かがみん」 「おはよう。ところで、その格好はどうしたのよ」 よく見ると、こなたはエプロンを身につけ、片手にお玉を握っていた。 さらに台所からはなにやらいい匂いが漂ってくる。 「むふふ~裸エプロンのほうが良かったかな?」 「なワケあるか!」 「とりあえず顔洗っておいでよ。その間に準備しておくからさ」 なにか釈然としなかったが、とりあえず言われるがままに洗面所へ向かい、顔を洗って歯を磨いた。 戻ってくるとテーブルの上には美味しそうな朝食が湯気をたてて並んでいた。 「ちょっと、これ全部アンタが作ったの?!」 「そだよ~遠慮せず召し上がりたまへ~」 ほっかほかの白いご飯、焼きたての鯵、季節の野菜の浅漬け、きんぴらごぼうにほうれん草のごまよごし、極めつけは豆腐とわかめの味噌汁。 くうぅぅ~ と、空気を読まない私のお腹が目の前の光景に感動の鳴き声をあげた。 「っ!」 ぼっと顔が赤くなるのを感じ、こなたを見るといつもの猫ような口でニマニマといやらしい笑みを浮かべていた。 「くっくっくっ、遠慮はいらないよ、思う存分召し上がってくださいな♪」 私の中でプライドと食欲が対峙するが、テーブルにならんだごちそうの前にあっさりと食欲の勝利に終わった。 悔しいがこのような完璧な朝食の前ではプライドなど吹けば飛ぶような軽いものなのだ。 「……いただきます」 こう見えて案外私は料理にはうるさい。 お母さんはとても料理が上手だったし、専門学校に進学したつかさに至っては調理師の卵だ。 この私の肥えた舌を満足させることがこなたに可能かしら? ずずぅ~と味噌汁をすする。 「…………」 濃厚に香るかつおダシの風味と味噌の味が見事に調和していた。 ご飯は一粒一粒が立っていて、とてもいい香りを放っている。よほど上手く研がなければこうはいかない。水加減もバッチリだ。 きんぴらも和え物も素材を生かした薄味で、ご飯との相性も素晴らしい。 ご飯といえば浅漬けだ。 これほどご飯と合う食べ物もそうはあるまい。 気付いたらお椀のご飯がなくなっていて、こなたがしゃもじをもってスタンバイしていた。 極めつけは鯵だ。 パリッと焼けた皮の下にはふっくらと脂ののった身が!どれほど焼き加減を見切ればこれほどの絶品ができるのだろうか。 夢中になって朝食を平らげる様子を、こなたはずっと笑顔で見守っていた。 「かがみ、そんなに急がなくてもご飯は逃げないよ~」 「んぐっ!」 「あ~あ~ほら、今お茶淹れてあげるから」 差し出されたお茶で喉に詰まりかけたご飯を流し込む。 「ぷはっ!」 「まぁ美味しいと感じてくれるのは嬉しいけどさ」 「ええ美味しいわよ。こんな朝食なら毎日でも食べたいくらいよ」 「それはなにより」 「ところでこなた、なんで急に朝ごはんなんて作りにきたのよ」 「いやね、この春からかがみん一人暮らしじゃん。ちゃんと食べてるのか心配になってさ」 私は一瞬言葉に詰まった。 あまり家事が得意ではない私は、早くも自炊の大変さに音を上げ、インスタントラーメンやレトルトカレーに逃げるようになっていた。 「かがみ、今日は出発の日だよ。 新生活のスタートの時期に合わせ、忙しく乱れがちな生活もリズムを整えるために、朝食を摂ることを提案する味の素株式会社が制定した 記念日だよ。 日付は新年度のスタートの時期であり、4と8で「出発(しゅっぱつ)」と読む語呂合わせからきてるんだって」 「へぇ~それで来てくれたってわけか。なんとも押しかけ女房的な発想だな」 嬉しいけどさ。という言葉はすんでのところで飲み込んだ。 「女房とはねぇ~かがみは俺の嫁、じゃなくて私がかがみの嫁?」 「嫁とか言うな!」 「ぷくくっ、私をお嫁さんにしたら毎日ご飯作ってあげるよ」 「こ、このご飯を毎日……」 「(私よりごはんのほうが魅力的なのかねかがみんや)」 「でも、ま」 「?」 「心配してくれてありがとね」 「あ、今デレた?デレた?いいとも!毎日でも通いつめてあげるよ!まずはかがみんの胃袋を鷲づかみにしてみせよう。 これがツンデレかがみんを嫁にする第一歩……」 ない胸を張って力説するこなたを他所に、この朝ごはんが私達二人の関係の新しい出発になればいいな、と思うのだった。 「かがみんに『君の作った味噌汁を毎日飲みたい。』と言わせてみせる!」 「言わん!」 コメントフォーム 名前 コメント (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-10-10 12 50 27) かがみの方が飲みだい -- かがみんラブ (2012-09-18 22 49 35) 餌付けと書くと聞こえは悪いが…上手く行ってるw -- 名無しさん (2010-04-12 00 15 18) ↓激しく同意 -- 名無しさん (2010-04-11 15 17 10) 俺なら簡単に言うぞ!! -- kk (2010-04-10 22 09 10) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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カナカナカナ…… 蜩の鳴き声が聞こえる、初秋の夕暮れ。 畳敷きの和室。外の風を取り入れるよう大きく開かれた窓の外は紅く染まった縁側になっている。その縁側に座り、南中から黄昏へと移ろう空を見上げる女性が一人。 紅が差し込む世界でその女性の髪の色は果たして異端に映るだろうか? 見る者を吸い込みそうな美しい蒼は。 女性は、小柄だった。小柄な体にその体の半分以上の長さの蒼い髪。碧色の目は、時折、誰かを探すように座敷の奥に向けられる。 しかし、待ち人は、来ない。 だから待ち続ける。ただ、茜色が黄金に変わり、それが闇を孕んで宵に沈もうとも、待ち続けるのだ。 風が、そっと、女性の髪を弄んだ。 ひゅう、となる音は、果たして風の音か、彼女の溜息か。 カチ、カチ、カチ……時計が、時を刻む。 すでに耳に飽いたその音、後、どれだけ待てばいいの? 尋ねても、丁度ゼロを刻んだその針は、何も教えてくれない。 一体後どれだけ待てば、私は、あの人に会えるの? 彼女の眼が伏せられ、そこから透明な雫が落ちようとした。 その時だった……。 「こなたっ!」 すでに闇に蝕まれ光を嫌ってその存在を希薄にしていた座敷の奥。そこから、その闇を切り裂くような鋭い声が飛んだ。 それは、まさに闇を切り裂き、彼女の耳を塞ぐ時計の音を壊した。 彼女は、ハッと振り返る。 そこには、彼女の待ち人――想い人が、立っていた。 息を、切らして。 「かがみ……」 彼女は、呟く。その人の名を。 彼女の待ち人は、また、女性だった。 本来、腰まで届く長い髪を後頭で側頭に向けて縛る髪型――ツインテール、彼女の、お気に入りの髪型だった。少し釣り上った眼。いつも優しく微笑む唇は、走ってきたことと彼女の焦りを表わすように、今は半開きになっていて、微かな吐息がそこから漏れている。 蒼髪の女性は、立ち上がった。ツインテールの女性は歩み寄る。 部屋の中央で、二人は、向かい合った。 「お待たせ、こなた」 「待ったヨ、かがみ」 「う……ごめん」 蒼髪の女性の遠慮会釈ない物言いに、少し怯んだツインテールの女性。だが、すぐに立ち直ると、両の掌を勢いよく合わせて、深々と頭を下げた。 「ホント、ごめんっ!! 今日に限って委員会が長引いて……」 そこまで言ってそっと瞳を上げる。蒼髪の彼女は両の頬を膨らまして、あらぬ方向を向いて視線を合わそうともしない。拗ねているのだ。 その様子が年不相応に見え、しかし彼女の身長を考えたらやっぱり相応に見え、思わず、噴き出しそうになったのを堪える。 「ねえ、こなた、怒ってる、よね? やっぱり」 「怒ってないよ」 ぷすぅ、と益々に頬を膨らませる蒼髪の女性。ツインテールの女性はどうしたら彼女の機嫌をとれるだろう、と必死で頭を捻り、思考をめぐらした。 その様子をちら、と横目で見て、蒼髪の女性は、こっちは堪え切れずに噴き出した。 ハッと見上げるツインテールの女性。蒼髪の女性は、微笑んでいた。 「怒ってないよ、かがみ」 天使のような笑顔でこう言った後、急にいたずらを思いついた少女のような顔で付け加える。 「でも、遅れたことは許してあげない」 「えっ? えっ!?」 ツインテールの女性は焦った。蒼髪の女性は、何かを求めている。私が、彼女との待ち合わせに遅れてしまったこと、それを許せる何かを、求めているのだ。 だけど、思いつかない。そもそもさっきからそれを考えているのだ。彼女は、それを分かって言っているに違いない。 蒼髪の女性の、底意地の悪さが、ちょっと恨めしかった。 「どうする? かがみ」 「えっと……」 さて困った、ちっとも頭が働かない。こんな時に限って。 しかも、彼女は効果音のつもりか、カッチコッチと口で時計の擬音を奏でる始末。 ツインテールの女性は、必死になって何かを探した。彼女のくれた、埋め合わせのチャンスに足りうるものを。 そして気づく。彼女の眼に一筋、光るものがあることを。 黄昏から浅闇へ、天照が休息に着く直前、彼女に与えた最後のヒント。 蒼髪の女性は、寂しかったのだ。 ツインテールの女性はふっと微笑むと、蒼髪の女性に向かって歩みを進めた。 元々2、3歩の距離。すぐにそれはゼロになった。 「待たせてごめんね、こなた」 蒼い髪を撫でながら、ただひたすらに、己の謝意を、温もりを、彼女に伝えようとした。ゆっくり、ゆっくり。 抱きすくめられ、撫でられ、最初は憮然としていた蒼髪の女性も、やがては、段々とその表情を緩めていった。 なんとも言えないその表情を見てツインテールの女性は、胸の奥が甘く疼くのを感じた。そしてそれは、蒼髪の女性も同様に。 ――やっぱり私、この子のことがどうしようもなく好きみたいだ。 完全に日が没し、辺りに濃い闇の匂いがむせ返っても、二人は、しばらくの間離れることはなかった。 「かがみ、今日は、何の用だったの?」 秋風吹いて、寒くなってきたため窓を閉め、明かりを灯し、食卓にはほんのりと湯気の立つ質素でいて、温かい料理が並んでいる。 蒼髪の女性は、割烹着を着たまま頓着せずに、ツインテールの女性の膝の上に乗り、甘えている。 そんな彼女を愛しく想いながら、ツインテールの女性は箸を動かしていた。 ふと、箸の動きが止まる。 「こなたに、渡したい物があったのよ」 「渡したい物?」 「そう」 頷き、スカートの中から二枚の紙を取り出す。 「これ、こなたと一緒に見に行きたいと思って」 「映画の、チケット?」 ツインテールの女性は再び頷くと、蒼い茂みに顔を埋めた。 「全然、こなたの趣味に合わないかもしれないけど、でも、とってもいいお話だから。絶対、こなたと一緒に行きたい。ずっとそう思ってた。でも、中々渡す勇気がなくて」 語尾が震えた。蒼髪の女性はそれに気がついた。そうして、ぎゅっとツインテールの女性の体を抱きしめる。 「でも、かがみは誘ってくれたじゃん。勇気、出せたね」 「こなた……」 「でも、今のままだと一緒に行ってあげない」 「え?」 思いもかけない言葉にツインテールの女性は狼狽する。蒼髪の女性はニコッと笑って。 「まだ私、かがみのこと許してないよ」 「じゃあ、どうすればいいのよ」 しょうがないな――蒼髪の女性は言った。 ――ここまで鈍いなんて、まったく、かがみは―― ――じゃ、じゃあ、どうすればいいのよ―― ――んふふ~、かがみ、キスして。それでチャラにしてあげる―― ――えっ!?―― ――お願い、かがみ―― 蒼髪の女性が目を閉じた。ツインテールの女性は一瞬、天を仰ぎ、そうして覚悟を決めた。 「こなた、愛してる……」 そうして、二人の距離はゼロからマイナスへマイナスからプラスへ…… 「ちょっと待ったぁ!!」 と、その時、バンと音をたてて扉を開いて入ってきた人物があった。薄い紫色の髪をツインテールで纏めて、少し釣り上った瞳は瞠目し、息は今の本人の心理状態を表すように上がっている。 突然の闖入者に唇を重ねようとしていた二人は体を離すと、 「何で止めるのよ、かがみ」 ツインテールの女性、柊みきは不満そうに唇を尖らせた。 「止めるわよ! かなたさんも、調子に乗らないでください!!」 かがみに怒鳴られて蒼髪の女性、泉かなたは少し舌を出して照れ笑いを浮かべた。 「ちょっと成り切っちゃいました」 「そうよね、かなちゃん、本当に可愛いんだもの。かがみがこなたちゃんを大好きなのも分かる気がするわ~」 「みきちゃんだって」 キャッキャ、ウフフと盛り上がっている母親‘sを見て、かがみは、はぁ、とため息をついた。 「で、お母さん、髪形変えてまで私に成りきった今の茶番は、一体何?」 「こなたちゃんを誘おうと映画のチケットを買ったはいいが、渡す勇気がなくて中々渡せないかがみがどうやったらこなたちゃんにチケットを渡せるかのシミュレーション」 「な、何で、私がチケット買ったって……」 誰にも知られていないはずの秘密がこうもあっさりばれていた事と、渡せない事に図星をさされて、狼狽率を120%まで上昇させたかがみ。その顔の赤さは夕日よりも赤く、朝焼けよりも鮮やか。 「あの、怒らないでくださいね、かがみちゃん」 「何ですか……」 「実は私、夜のお散歩中に見ちゃったんです。かがみちゃんがペアチケット片手に携帯電話を開いては閉じ、開いては閉じ」 「あぁぁぁぁぁ//////」 「ため息をつきながら‘こなた、こんな映画好きじゃないよね……’」 「あぅ、あぅぅ//////」 「夜空を見上げながら両手を組んで‘お星様、私、どうしたらいいのでしょうか’」 「そ、そこまではしてません!!」 否定するように怒鳴り散らすかがみだが、語尾が震えて、しかも顔が真っ赤なのでどこまでがかなたの脚色なのか分からない。 「ま、そんなわけで、悩める娘の相談、お母さんが乗ってあげるから、大船に乗った気でいなさい」 「かがみちゃん、大丈夫。私も、背後霊で応援してあげるから」 やっぱりキャッキャウフフしているお母さん‘sに呆れるやら、なんやらでかがみは大きくため息をつくと、窓をそっと開けて夜空を眺めた。 (お母さん達にも困ったものよね……二人とも私とこなたにそっくりなんだから、ちょっと気合入れて真似されたら、私とこなたが、き、キ、キス、してるみたいじゃない) 熱くなった頬に夜風が、心地いい。 (な、何考えてるの、私! そ、そりゃあこなたは嫌いじゃないけど私達は、その、女の子同士だし、そんな、愛してる、なんて言えるわけないじゃない!!) キャッキャウフフが妙に意識されてしまう。 (あぁ~、なんでこんなに意識してるのよぉ、もう~!!!) かがみは煩悶としながら、みきとかなたははしゃぎながら、柊家の夜は更けていった。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(^_-)b -- 名無しさん (2023-05-15 17 09 27) なん…だと… -- 名無しさん (2017-04-04 23 39 18) 文章がヤケに文学的なのは これは母が娘達を演じてて 芝居がかってるってことか -- ななし (2011-06-03 12 42 11) うはぁ! 見事にだまされたorz さすが巫女w かなたさんが見えるとわwww 母'sGJ -- 白夜 (2009-10-12 23 50 30) 面白いです! 凄く笑ってしまいましたどうなるかと思ったけど…、まさかここでお母さん達が出て来るとはあながち思ってもいなかった。 見事に騙されましたね -- 名無しさん (2009-05-02 02 59 42) 俺も見事に騙されましたorz… GJ! ちなみに… 頷き、スカートの中から二枚の紙を取り出す。 ↑ の部分で変な想像をしてしまったのは俺の汚点… orz -- にゃあ (2008-10-10 02 26 35) よく読みかえすと、地の文では「こなた」「かがみ」だけじゃなく、 「少女」とか「女の子」みたいな、遠回りにもこなかが二人を指す言葉は使ってないんだな。 これは作者さんの罠にまんまと嵌められたぜGJ! -- 名無しさん (2008-10-09 23 45 01) つーか、かなたさん!柊家に出張ですか? 夜のお散歩(徘徊霊)に背後霊ってあなたは。。。 -- kk (2008-10-07 20 52 21) くっ…ww ふつうにかがみとこなただと思って読んでたじゃないか!!www -- 名無しさん (2008-10-07 10 11 47) あまりの、展開のどんでん返しにビックリしました!!! 最初は普通に、こなたとかがみだと思ってたのが、あんな展開になるとは(笑) -- チハヤ (2008-10-07 05 31 41)
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「あんたさあ、私達以外にリアルの友達って居たことあるの?」 「えっ」 それまでもきゅもきゅとコロネを貪っていたこなたが、びくっとその動きを止めた。 「? ちょ、ちょっとこなた……?」 「…………」 何気ない一言のつもりだった。 飄々としたこなたのこと、どうせ何かしらのネタで返してくるに違いない…… かがみはそう思っていた。 「………うっ」 こなたが嗚咽を漏らすまでは。 「!? こ、こなた!?」 予想外の展開に、かがみは動揺した。 「……えぐっ、うっ……」 こなたは泣いていた。 小さな肩を震わせ、ぽろぽろと涙を零していた。 「あ、あっと、えっと……」 困惑し、狼狽するかがみ。 どうすればいい? 否、頭ではわかっていた。 このいたいけな少女を泣かしたのは他でもない自分なのだ。 今すぐにでも、自分は心の底から謝罪をしなければならない。 しかし、それを伝える言葉が浮かんでこない。 ごめんなさい? 悪かったわ? 冗談だったのよ? 違う、違う、違う。 そんな言葉じゃないんだ。 今眼前ですすり泣いている親友に向けるべきものは、そんな言葉じゃなくて―― 気が付くと、かがみはこなたを抱きしめていた。 「……かがみ……?」 ふと顔を上げ、きょとんとするこなた。 「…………」 かがみは何も言わず、黙ってこなたを抱きしめる。 ぎゅっと、強く。 「……かがみ……」 こなたの表情が和らいでいく。 「……ごめんね」 「ううん」 「ごめん……」 「もういいよ、かがみ」 こなたは笑った。 すっかり、涙は枯れていた。 あの頃の自分。 泣いてばかりいた自分。 そんな自分も、今度こんな風に抱きしめてやろうと、こなたは思った。 コメントフォーム 名前 コメント oh...sogood -- 名無しさん (2024-03-07 23 41 50) GJ! -- 名無しさん (2022-12-18 11 35 21) 完全なギャグかと思ったら、意外と真面目な話だったな。 -- 名無しさん (2012-11-23 10 49 44) 口を尖らせて涙をこらえるこなたを想像すると 萌え死にそう -- 名無しさん (2011-10-23 18 25 41) えと・・んと・・ -- 名無しさん (2010-01-15 22 20 38) いやいや、俺の嫁。 -- 名無しさん (2010-01-15 07 12 35) こなたは俺の嫁 -- 名無しさん (2009-12-07 19 56 20) ★★★★★ -- マヨラ (2008-10-05 02 52 30)