約 4,219,020 件
https://w.atwiki.jp/83452/pages/14388.html
大学寮 晶の部屋 晶「ふぅ…今日も一日色々あったな…」 ゴクゴク 晶「ぷはぁ…やっぱ風呂上がりのポカリはサイコーだぜ!」 コンコン 晶「ん、誰だ。」 唯「あーきらちゃん!」 晶「帰れ。」 唯「まだ何にも言ってないのに!?」ガーン 晶「どうせ、今日の講義のノート写させて!とかそんなもんだろ…?」 唯「すごい!よくわかったね!」 晶「だれでも分かるっつーの。」 唯「そうかな?」 晶「だいたい、何度も私にノートを頼ってるようじゃ先が思いやられるぞ…?」 唯「いつもはちゃんとノート取ってるよ?今日はたまたま眠気に負けちゃっただけで…」 晶「いや、たまたまじゃないだろ。」 唯「そういう訳でノートをお願いします。」 晶「どういう訳だよ…」 唯「そんな殺生な!どうかここは一つお恵みを!」 晶「チッ…しゃーねーな…ほらよ。」 唯「ありがとう!ところで何ページ目までなの?」 晶「ここからここ。」 唯「って、多!」 晶「文句言うなら写さなきゃいいだろ…」 唯「…そうだ!コピーしてくれるかな!?」 晶「自分で行け。」 唯「ですよね~」 晶「もう夜遅いからあんまりうるさくするんじゃねーぞ?」 唯「わかった!行ってくるよ!」フンス ガチャン 晶「(そういえばアイツ、コピー機の場所知ってんのか?)」 唯「あれ、コピー機どこだっけ?」 ※ ここからは ①和編 ②憂編 ③梓編 ④さわ子編 の四つがあります ①和編 携帯「ふわふわタイーム~♪」 晶「うわっ!びくった~!アイツ、ケータイ置いてったのか…」 晶「勝手に出るのもマズイが、アイツどこにいるのかもわからんし…」 晶「かといって鳴ってるケータイを放置するのは私のサガじゃないし…仕方がない、私が出よう。」 晶「えっと…着信は『和ちゃん』…」 晶「誰だっけ…?」 晶「確か…」 海藻、ではなく回想 唯『和ちゃんはね~』 晶『その和って、オマエの友達なのか?』 唯『うん、幼稚園からの幼馴染で高校までずっと一緒だったの。』 晶『そりゃあご苦労なこった。』 唯『?』 晶『(十数年もコイツの面倒を見ていたのかよ。)』 晶「ま、何とかなる…のか?」 ピッ 晶『もしもし』 和『もしもし、唯…じゃないみたいね。』 晶『ああ。』 和『(もしかして誘拐犯!?)唯をどこにやったの!?』 晶『ちょ、ちょっと待て!別に誘拐とかそんなんじゃねぇから!』 和『あ、そうなんですか?すいませんでした…』 晶『気にすんな。』 晶『どうやら同い年みたいだし、そっちもタメ口で構わんぞ?』 和『はい…了解。』 晶『うい。』 和『ところで唯はどこにいるの?』 晶『ああ、アイツなら『ノート写させて!』って言うから私のノートをコピーしに行かせた。』 和『ふふ、相変わらずね。』 晶『笑い事じゃないだろ…』 和『そう言えば同じ教育学部で軽音部の友達ができたって唯が言ってたわね…もしかしてあなたの事?』 晶『ああ…って違う!友達なんかじゃ…』 和『別に照れなくてもいいのよ?』 晶『ちげぇし!』 和『これから色々あると思うけど…唯の事、よろしくね。』 晶『任されたくもねぇ…って言うかあんたは唯のお母さんか。』 晶『そう言えばあんたは幼稚園の頃から唯と一緒にいたのか?』 和『そうよ。』 晶『その…はっきり言って、迷惑だとかは感じなかったのか?』 和『もうすっかり慣れたわ。それに唯の方だって、ちゃんとこちらを思いやってくれているし。』 和『風邪で休んだ時にノートを届けてくれたりもしたわ。唯の10点のテストが一緒に挟まってたけど。』 晶『やっぱ幼馴染なんだな…』 ―――――― ―――― ―― 和『それで浴槽いっぱいにザリガニが…』 晶『うわ…』 和『たこ無しのたこ焼きが…』 晶『優しいなお前…私だったらまず間違いなくキレてた。』 晶『こっちは入学式の日からスーツによだれを…』 和『あははは、相変わらずね。』 晶『笑い事じゃねぇ!こっちは災難だったんだぞ…』 ガチャ 唯「ただいま~…ってそれ私の携帯!」 晶「ん、唯か。」 唯「なんで勝手に出てるの!?」 晶「仕方ないだろ…お前がどこにいるかわからなかったから…」 和『どうしたのかしら、唯?』 晶『どうやらコピー機の場所が分からなくてさまよってたらしい。』 和『あはは、唯らしいわ。』 晶『んじゃ、そろそろ唯に代わるか。』 晶「ほらよ、お前に電話だ。」 唯「和ちゃん?」 和『そっちはどう?』 唯『教育学部の勉強は大変だけど、新しい友達もできたし、バンドもみんなと続けているよ!』 和『それを聞いて安心したわ。』 唯『和ちゃんは?』 和『勉強はちょっと厳しいけど、友達もいるし、そこそこ充実してるわね。』 唯『よかった~』 和『あんまり和田さんに迷惑かけないでね。』 唯『はーい、わかりました~…』 唯『それじゃあそろそろ切るね。おやすみ、和ちゃん。』 和『おやすみなさい、唯。』 ピッ ツーツーツー 晶「(幼馴染ってのも悪くはねーな。)」 唯「はい、これ晶ちゃんのノート。ありがとう。」 晶「どういたしまして。」 唯「あともう一つお願いだけど、明日朝早いから起こして?」 晶「自分で起きろ!!」 ②憂編 携帯「きーみがいないと~♪」 晶「アイツ、またケータイ置いてったのか…」 晶「勝手に出るのもマズイ、しかし唯はどこにいるのかもわからん。(またかよ)」 晶「かといって前にも言ったような気がするが鳴ってるケータイを放置するのは私のサガじゃないし…仕方ない、私が出るか。」 晶「えっと…着信は『憂』…」 晶「誰だっけ…?」 晶「確か…」 改装、でもなく回想 唯『憂のご飯はね~』 晶『憂って、もしかしてオマエの妹?』 唯『もちろん!可愛くって何でもできる最愛の妹だよ!』 晶『姉として情けないとは思わんのかお前は。』 晶「どんな妹なんだろう…」 ピッ 憂『もしもし、お姉ちゃん?』 晶『もしもし。』 憂『あの…お姉ちゃんのお知り合いですか?(声が低い…)』 晶『ああ、一応。唯は今は用事があって外出中。ちょっとしたら帰ってくるよ。』 憂『あ、はい!わかりました。(もしかしたら彼氏さん!?)』 晶『…?』 憂「(でも女子大だよね?だとしたらお姉ちゃんは禁断の同性愛を!?)」 憂「(でもそれがお姉ちゃんの幸せだとしたら、私は…)」 憂『あの、その…お姉ちゃんは元気でしょうか!?』 晶『まあ一応元気だが?』 憂『よかった…安心しました。(信じていいのかな?)』 憂『これでやっと枕を高くして眠れそうです。』 晶『大げさだな…』 憂『あ、あなたはその…お姉ちゃんとはどんな関係なのでしょうか?(お姉ちゃんを任せられるのかな…?)』 晶『いや、単なる知り合いだが…(まだ友達とは認めん!)』 憂『あの、これからもうちの姉があなたにお世話になるかもしれませんが…よろしくお願いします!(あれ、そういうのじゃない?)』 晶『あ、ああ。わかった。(妙に力入ってんな…)』 憂「(でももしかしたら、まだまだこれからなのかもしれない…)」 ―――――― ―――― ―― 憂『お姉ちゃんは本当に可愛くて…』 晶『甘やかしてばっかじゃダメだぞ…』 憂『お姉ちゃんも頑張っているんですよ。ケーキ…の上にイチゴ乗っけてくれたり…』 晶『(あれ、姉というよりはむしろ子供かペットの扱い?)』 ガチャ 唯「ただいま~…ってこの子はまた!」 晶「すんません。」 唯「ぷぅ!」 晶「悪かった。今回のノートの件はチャラにするから。」 憂『お姉ちゃんだ…』 晶『それじゃあ、邪魔者の私は退散するとしようかね。』 晶『唯に代わるぞ。』 憂『了解です。』 晶「妹さんからだ。」 唯「憂?」 憂『お姉ちゃーん!!』 唯『ういー!!』 憂『元気そうで本当に良かった…』 唯『こっちこそ!憂が元気でうれしいよ!』 憂『大学は楽しい?』 唯『もちろん!毎日が新発見の連続だよ!』 憂『うん、それはよかった!』 唯『憂も軽音部は楽しい?』 憂『うん、すごく楽しい!』 唯「高校生活最後の一年、しっかり楽しむんだよ!」 憂『うん!』 唯『受験勉強も忘れずに…ってこれは私に言える事じゃないね。』 憂『ふふっ。』 唯『それじゃあ、おやすみなさい。憂。』 憂『おやすみ、お姉ちゃん。』 ピッ ツーツーツー 晶「(入り込める余地がねぇ…)」 唯「はい、ノート。返すよ?」 晶「どうも。」 唯「当然明日も起こしてくれるんだよね?」 晶「それとこれとは話が別だ!とっとと寝ろ!!」 2
https://w.atwiki.jp/praytohokuchurch/pages/106.html
東北関東大震災を覚える祈り (神奈川・まぶね教会の礼拝で毎週祈られている祈り)「信徒の友」2012年1月号、27pより 天地万物を造られた神よ 2011年3月11日、日本列島を巨大地震が襲いました。 地震により、津波により尊い命が奪われ その全貌は未だに明らかになっていません。 神よ 御元に召された方々の魂があなたの御腕で安らかに憩われますように。 また、被災地にある方々のご苦労を支えてください。 避難生活を強いられている人々、特に、お年寄りと子ども、障碍と病を抱えている人々、在日外国人をお守りください。また支援をする方々の尊い働きを支えてください。 神よ 原発事故の恐怖に私たちはさらされています。 どうぞ、犠牲を顧みず、懸命の努力を続けている作業員の方々をお守りください。 大惨事が起こりませんように。あなたの力を上より注いでください。 また、責任を担う方々にあなたの真の知恵と勇気を与え、任務を全うできますように。 神よ この未曾有の出来事の中、私たちに真の平安をお与えください。 私たちが、不安や恐怖からではなく、愛によって行動することができますように。 疑いや不信ではなく、信頼と助け合いの心が育ちますように。 私たちの社会が便利さや快適さをまず求めるのではなく、安心を求めてお互いに助け合う社会となりますように。 エゴイズムではなく、愛が勝る社会となりますように。 あなたが独り子イエスをこの世に送り、私たち皆を愛してくださっているように、その愛にならう者とさせてください。 主イエス・キリストの御名によって。アーメン
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/29464.html
【検索用 きょうあったかなしいことをおしえて 登録タグ 2014年 VOCALOID YonoP き 曲 曲か 結月ゆかり】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:YonoP 作曲:YonoP 編曲:YonoP 唄:結月ゆかり 曲紹介 曲名:『今日あった哀しいことを教えて』(きょうあったかなしいことをおしえて) 些細なことでも人と笑ってあげれる人でいたいです。(マイリスコメント転載) 歌詞 自己愛しかないのかい? 無償の愛はあるのかい? そんな風に考えなくても、誰かと居れないかい。 全部捨てて、泣いて縋(すが)って。 「ごめんなさい」と言えたらいいのになぁ。ねぇ。 困っている相手の事なんて無視してさ 気持ちだけを口にできたら良いのに。 「君の事が嫌いだ。そう思ってるのに。 嫌われたくはなかった」なんてさ。 苛つく顔、事、ばっか目について。 へらへらいつも合わせるくせに。 37.2℃、今日だけ休んでいいかな 変わらず停滞をのぞんだ今日 強くはないから進めない。 弱くもないから泣けないままで。 どこにも行けないままだよ。 街が 火を 失って 夜が 来る 「がいこつになっても好きだよ」 そんな言葉を待ってる。 僕を覚えてる人たちが みんな死んでしまうまで いつかは此処にいたことも消える。 ありふれたまま みんなの今日が終わってく いつか会えたら、その続きから 膨らんで中身のない風船みたいな心で すすきが風に揺れていた 自転車が軋み、鳴いている 「今日あった、哀しいこと教えて」 コメント 大好き -- 名無しさん (2014-06-06 20 33 26) 良曲 -- 名無し (2018-10-18 00 14 37) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/bemani2dp/pages/614.html
GENRE TITLE ARTIST bpm notes CLEAR RATE FUNK オレはビートマニア!お前は何マニア? DANCE☆MAN 123 789 90%(2010-02-04) 攻略・コメント 終盤8小節は、連皿に気をとられて鍵盤でミスを多く出しやすい点に注意。それ以外の場所はH譜面と同じ。 -- 名無しさん (2008-07-18 21 27 54) 終盤の8小節分の皿はSPAと全く同じ数で、51~54が1P、55以降が2P、という振り分けだが、鍵盤NOTESの方は一部減っているため、皿に集中出来る。SPAの方は全くクリア出来ないが、DPAの方は赤ランプが付きました。☆7でFAILEDして、本曲をクリアする人もいるため、個人差も大きいかと思われます。 -- ISOC-7 (2008-11-18 18 14 02) 序盤が物凄く簡単なので皿が普通位に捌けるなら所見難で行けると思います。 -- 名無しさん (2010-09-02 11 27 39) DPHから37ノーツしか増えてない。 -- 名無しさん (2012-06-25 01 33 30) DPHとノーツ数が変わらず、道中がDPHと同じで最後の皿地帯が難化してるゆえ、DPHのがDJP対象になる人多数。 -- 名無しさん (2012-06-25 01 43 30) 道中同じような繰り返しばかりで、ラストだけ皿要素が襲い掛かってくる 皿は割と複雑なのでBADハマりして落ちる事もありうるのでノマゲよりはHARDのが楽かもしれない -- 名無しさん (2013-09-08 17 22 18) 皿嫌いな人にはとにかく苦痛。☆10埋めるよりこの単曲クリアの方が遅かった。 -- 名無しさん (2013-10-30 14 57 21) 要はスクラッチの頻度がラストに増えた程度。ここの耐性だけで十分DPHとの差はなさげ。言うまでもなく、スクラッチ耐性が無いと完全なラス殺しとなる。 -- 名無しさん (2016-06-30 15 55 13) 初っぱなのHAPPY SKYで詐称だらけだった☆8唯一の降格した曲。HARDクリアはそんなに問題はないけど、片手の階段が割と取りにくくEXHの障害になっている。むしろ同じシリーズのEDEN(H)のほうが降格で良かったかも。難易度自体はこれも☆7相当ではあるが、EXHはそれなりに片手の地力ないとムリ。 -- 名無しさん (2018-07-20 13 35 07) あ、間違えてANOTHERに書いてしまった… ANOTHERはラス殺しだけど、HYPERとの差は少ないので☆9の適正で十分かと思います。 -- 名無しさん (2018-07-20 13 37 01) ラス殺しだけど、HYPERとほぼ同じ。皿の枚数がラストに急増した程度。皿耐性がカギ。 -- 名無しさん (2018-10-16 17 54 42) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/orikyara3rd/pages/767.html
作者:R フェン・レン・コウ「飲み会?」 レイチェル「ええ、探索してたら意外にお酒が見つかってね。せっかくだから皆で呑もうってことになったのよ」カチャン フェン「急に呼び出したと思ったら…てかすげぇ量だな」 レイチェル「ワンちゃんはお酒、呑めるのかしら?」 フェン「フン、俺は呑み比べで負けたことはねぇよ」(人間には、だけど) アリス「えっ意外!フェンリル呑めるんだ」 フェン「意外か?」 レン「お酒か…お酒とかもうずっと呑んでないわ」 ユイ「未成年はダメだぞ、怜」 レン「いや成人して随分経ってるし」 ユイ「そうか……えっ!?」 レン「えっ!?」 ユイ(高校生じゃない!?怜のヤツ、コスプレだったのか…!?) レン(…とか、考えてんだろうな。まあ良いや) コウ「お酒か、昔ジュースと間違えて飲んだりしちゃったなぁ」 ヒヨリ「あ、あるよね、そういうこと…」 サラサ「未成年は飲んではダメです!二人ともダメですからね!」 コウ「えー」 アカネ「お前は真面目だなぁ…じゃあこれジュースな、三人で飲めよ」カチャン サラサ「すみません、ありがとうございます」 コウ(え、これって…)クンクン チラッ アカネ「…」ニッコリ コウ(あーなるほど)ニッコリ フェン「ぷはッ、思ったより冷たいな」グビッ アリス「ほんとだね!」グビッ レイチェル「冷蔵庫で冷やしといたからね」グビグビ フェン「ホラよ」スッ レイチェル「あら注いでくれるの?ありがと。 あそうだ、ワンちゃん私と呑み比べする?」 フェン「え、吸血鬼と?無理だろ」グビー レイチェル「勝負の前から尻尾を巻いて逃げ出すのかしら、臆病なワンちゃんねぇ」クスクス フェン「あ?」イラッ アリス「フェンリル、どうどう。落ち着くのだ」 レイチェル「なんなら二対一でも良いわよ?」 フェン「アリス、やるぞ」 アリス「え!?挑発に乗っちゃうの!?」 フェン「一人じゃ無理だが、二人なら勝てるだろ、頑張ろうぜ」 アリス「…わかった!その勝負、受けてたつよ!魔女をなめるな吸血鬼!」 レイチェル「かかってらっしゃい」 【二時間経過】 【フェンリルの場合】 フェン「どうしました吸血鬼、もう終わりってわけじゃないですよねぇ?」グビー ダンッ レイチェル「ぐっ、終わりじゃないわよ…!まだまだ全然ヨユーよ!」グビー ダンッ アリス「もう降参しなさい吸血鬼!」グビー ダンッ フェン「強気なこと言ってフラフラじゃないですか?吸血鬼」グビー ダンッ レイチェル「ぐぬぬぬぬ…!」バタン 【レイチェルダウン】 アリス「勝った…!」グワングワン フェン「やりましたね、アリス」フッ アリス「やったねフェンリル!」 フェン「さて、邪魔者は居なくなりました。ここからは二人きりの世界ですよ」 アリス「え?フェンリル、なんか様子が変…ひゃっ!?」オヒメサマダッコー フェン「月光でも浴びに行きましょうか、二人きりで」ニッコリ アリス「フェンリル!?なんか…大丈夫!?」 フェン「ええ、大丈夫です。私に任せて下さい姫」 アリス「いやいや色々大丈夫じゃないよ!?フェンリル!?」ジタバタ フェン「おっと…姫、大人しくしてて下さい。危ないですから」スタスタ アリス「なんか怖いよ!こんなのフェンリルじゃないよ!」 フェン「私は私ですよ。変な姫ですね」クスッ アリス「変なのはフェンリルだよ!?」 【フェン、アリス飲み場から離脱】 【怜の場合】 ユイ「ちょっと呑みすぎてしまったな、頭がぐわんぐわんする…」 レン「ゆいー」ガバッ 【結の首もとに抱き付く】 ユイ「なっ…怜!?急にどうしたんだ?」 レン「えへへ、ゆいー」ゴロゴロ ユイ「やめっ…あははは!くすぐったいだろ、やめろー!」 ユイ(なんだ、怜のやつ可愛いとこあるじゃないか) レン「ゆいー…」グルル ユイ「ん?」 (何今の、獣が獲物を見る目みたいだったぞ!?) レン「えへへー」カミッ ユイ「いっ…!?おい怜!なに噛んでんだ!」ヒキハガシー レン「はははー」ウデニガブー ユイ「ギャッ!?やめろやめろ!正気に戻れ怜!爪を立てるなああ!」 レン「ゆいゆいゆいー」ガバッ 「ギャアアアアア!」 ガダガダガッシャーン 【紅の場合】 ヒヨリ(うう、ジュースなのになんで頭ぐわんぐわんするんだろ…) サラサ(騙された…お酒は飲まないって決めてたのに茜さんの意地悪…!) コウ「…」ペッチャペッチャ サラサ「…」 コウ「…」ペッチャペッチャ サラサ「…紅さん、行儀が悪いですよ」 コウ「…」ペチャ サラサ「…」 コウ「…」ペッチャペッチャ サラサ「紅さんてば」イラッ コウ「…」バキンッ サラサ・ヒヨリ「!?」ビクッ コウ「あー…」 サラサ・ヒヨリ(なんで獣化してるの…!?)ガクブル コウ「あーあ」コップコナゴナー サラサ・ヒヨリ「」ガクブル コウ「二人も飲みなよ」ニッコリ バキンッガチャーン ビンコナゴナー オサケトビチリー サラサ・ヒヨリ(ワアアアアアア! 目が笑ってない!目が笑ってない!)ガクブル ヒヨリ(誰か助けて…!)ガクブル サラサ(逃げたいけど動けない…!)ガクブル おわり 【結果】 フェン→敬語になる、一人称変わる、タラシっぽくなる レン→屈託のない笑顔を見せる、デレデレしてきてスキンシップも多いが噛んでくる コウ→クールキチ、キレやすくなる、力の加減不可能 【翌日】 フェン「アリスが、口聞いてくれない…俺がなんかやったんだよな、何したんだろ…」ガックシ フェン「なぁアリス、俺なにした?悪かったってば…(´・ω・`)」 アリス「バカ…////」 フェン「(´・ω・`)?」 レン「えーと…ほんとごめん。自分が何したのか覚えてはいるんだ、なんでやったのかは覚えてないけど」 ユイ「まさか酒の席で、友人に噛みつかれるとは思ってなかったよ」ホウタイグルグル レン「…ごめん」 コウ「頭いたい…あ、更紗ちゃん!日和ちゃん!二人は頭痛くない?」 ヒヨリ・サラサ「!」ビクッ コウ「…(´・ω・`)?」 以上
https://w.atwiki.jp/chapterseventeen/pages/18.html
半角スペースで見出し化
https://w.atwiki.jp/chapterseventeen/pages/7.html
アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/25_171_ja.html たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL
https://w.atwiki.jp/aigisgaba/pages/18.html
録画 編集 素材 ガバりやすい要素 大討伐ガバ1編成について おりゅ部門について 録画 アマレコTV デスクトップキャプチャー https //www18.atwiki.jp/live2ch/pages/391.html PCで録画するならOBSとかも https //vip-jikkyo.net/how-to-use-obs-studio https //kurocha.jp/obs-win-capture-audio 編集 今(2022年記載)から初めて動画編集するなら断然YMM4推し https //manjubox.net/ymm4/ AVIUTLを一から導入するならこの辺 余計なものを入れるとすぐ不安定になるソフトなので常に最新情報を探すのが安牌 https //scrapbox.io/aviutl/%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97 素材 ガバ1ロゴ http //commons.nicovideo.jp/material/nc160141 公式BGM配布ページ https //aigis1000.jp/special ガバりやすい要素 録画ガバ コスト生産ユニットの入れ忘れ 投稿動画のタグガバ 投稿期間ガバ 大討伐ガバ1編成について 大討伐ガバ1では、(編成縛り等をしない限り)以下のユニットが必須。 ・コスト産出ユニット ・壁ユニット ・回復ユニット ・範囲攻撃ユニット 神級EXは開幕ラッシュに耐えられる低コスト前衛がほぼ存在しない上、 追加ボスが遠距離攻撃ユニットの場合は開幕で薙ぎ払われることもあるので、 安置マスを予測する、初手黒で薙ぎ払う、あえて序盤の数匹はスルーするなど初動を事前に決めておくことである程度のガバを防げる。 シャールちゃんは許されない 神級EXの初期コストは50なので、誰を出すのかを数手分程度決めておくと、 初期で崩壊やガバはしにくい(しないとは言ってない) なお、他人のプレイを事前に見たり、データ2などで予習したりするのはNGである。 大抵300討伐前後を目安にしておけば入賞はまず無い。 (編成縛りなどの王子もいる為、ガバ王子はたいてい100〜200討伐前後になる傾向が強い。ただ、初見殺しの有無やマップギミックなどにも影響されるため、極端に少なかったり、平均400超えなどという場合もある) うっかりガバなどの「あるあるガバ」を見て笑いあうという企画要旨なので、あんまり事前準備したり構えたりせず、とにかく一度やってみるくらいで良いと思う。 何?酷い数値になった? 大丈夫、他の王子のガバを信じるんだ! おりゅ部門について おりゅ部門と通称されているが、「未覚醒のみ」と「初期コストのみ」に分かれる。 未覚醒は「編成するユニットが未覚醒でなければならない」以外の制限はない。 編成も黒5,白5,金5でOK。 覚醒ちびユニットの使用もOKとされているため、覚醒ちびユニを軸に編成を考えることになるだろう。 初期コストのみ部門はコストを直接増加させるスキル、アビリティ、クラス特性の使用を禁止するといったもので、「白」または「金・青」を1人分削って計14人で編成する必要がある。 第27回ガバ1大討伐から黒5,白5,金5でOKになった。今後のルール変更が無いとは限らない為、毎回主催者の動画を確認する事。 撤退によるコスト回収は許されているため、撤退をうまく使ったコスト錬金を繰り返してコストを稼ぐ王子と、最初から初期コスト(50のみ)で編成する王子に分かれる。 どちらをするにしても最低コスト化が必須だったりと、準備ハードルがある印象は拭えないか。 ■未覚醒部門 未覚醒ユニットを主力に考えればいいのだが、未覚醒だとソルジャーにせよ商人にせよコスト回復能力が限定的になる点には留意の事。 金だとちびルフレ、ちび金光といった 覚醒チビユニットを 白だとクラリーテェ(エレメンが貫通持ちで相手を選ばない)、風神・雷神あたりが有望か 黒には必ず範囲攻撃ユニットを入れ、なるべく序盤のうちに配置したい。 初動の速さを利用してコスト回復役を入れるのも有り ■初期コスト部門 大討伐EXになったが、相変わらず初期コストは50である。 当たり前だが、50だと10コストのユニットを5体しか出せない訳で、 即撤退でコストを回収するユニットを専属で編成するなどといった手腕が問われる。 ★勘違いしやすい撤退の仕様について(第27回時点での仕様です) ・トークンからは回収できない ・アビリティでのコスト減(出撃コスト減少など)は最初から下がった状態になり、返却コストも下がった数値で計算する ・アビリティに特別な記載がない限り回収出来るコストは半分(小数点切り捨て)複数同時撤退でも単体ごとに計算される (初期コスト3のユニットを前衛戦術家で0コストにし、モトリーのスキルなどで2体同時回収しても2コストのみ) ・編成によるコスト減と配置コスト減は別 「配置中、他ユニットの出撃コストを×下げる」(前衛戦術家や踊り子マーニー)と、 「出撃メンバーにいるだけで出撃コストを×下げる」(オリヴィエや業火の信徒エリス)では回収できるコストが異なる。 「配置中~」の場合、元のコストを参照する。 例:12コストの輝弓士マーガレットは前衛軍師がいる場合、9コストで出して撤退時に12コスト回収可能 「出撃メンバーにいるだけで~」の場合、「下がった状態で登場する」ため、「撤退時に参照するコストは下がった数値」になる 例:前衛軍師とソラスを配置し、エリスが編成にいる場合、コスト14のウイッチは0コストで場に出せるが、 撤退で回収できるのは6コスト(配置する時点でにエリスの能力が解決され、13のユニットとして登場している) 撤退による主なコスト稼ぎの方法は以下 ・前衛戦術家 + ボウライダー、道化師 など 前衛戦術家の配置中出撃コスト減特性を利用し、 撤退時全コスト回収のユニットと組み合わせることでコストを生産する 踊り子マーニー(配置中、近接ユニットのコスト-1)などでさらに回収コストを上げることも可能。 ・ソラス + ウイッチ ソラスを配置するとアビリティによりウイッチのコストがマイナス10される。 これは金以下のウイッチは最低コスト化すればゼロコストで出せるのと同意である (ちびデスピアを除く) そのため、撤退時にコスト全回復の特性がなくてもコスト回収対象になりうる。 前衛戦術家を入れればクロノウィッチやサモナーなども回収可能。 撤退でコストを稼ぐにはコスト回収用のユニットが別に必要なため、 どうしてもある程度編成面の制約を受ける。 そのあたりを含めて編成を考えることになるだろう ■コスト錬金ループについて 上記記載の方法では、一度しかコスト回収ができず、増やせるコスト数に限界がある。 そのため、何らかの方法(主に撤退したユニットを再配置可能なスキル)で複数回回収する方法を用意する手法を指す。 大きくは以下になる。 ・モトリーのスキル「奇術 大脱出」または「クイックエスケープ」 自身も含め、周囲を撤退させるスキル。 前述の前衛戦術家 + ボウライダーなどで出撃時のコストを削減し、 モトリーのスキルで巻き込んで撤退させることでコストを回収する。 モトリー自身も最低コスト化しておけば、コスト回収対象になる。 ・プリスナのスキル「プリズムプリズン」または「イリュージョンアイズ」 モトリーとほぼ同様の運用になるが、本人は撤退しない。 撤退しないのでキホルやVガスタでのバフ対象として考える手はある。 道化師はコスト比の戦力が高めのため、サファイアと言えど侮れない火力になる。 モトリー・プリスナとも、「撤退させたくないユニット」を撤退させないため、 配置的な制限を受ける。 マップによっては安全な配置場所が無い場合もあり、かなり綱渡りになりがち。 ・前衛戦術家 + クリスマスカノン(覚醒後) 覚醒アビリティである「慌てん坊のサンタ」に運用方法はすべて書いてある。 撤退して出しなおすだけで3秒停止、3コスト回復、20秒後に再度出して回収可能 モトリー・プリスナと違い、配置位置を問わない点も評価が高い。 難点としてはクリスマスカノン自体のコストが重めであり、 序盤の立ち回りにやや難がある点か。 ・前衛戦術家 + 恋煩いの弓騎兵エメルダ(覚醒後) 覚醒後のアビリティ「奥手な一面」で撤退後再配置可能になる。 再出撃までの時間が30秒(クリスマスカノンは20秒)というのがやや難点。 ・契りの近衛騎士アリシア(スキル覚醒) + セーラ(チビ可能) + 王子(コスト10) アリシアのスキル「ハネムーン」はスキル中に撤退した王子を再配置可能。 セーラを配置することで王子を0コストで配置可能な為、 王子を撤退再出撃で5コスト稼げる。 王子再配置に30秒、ハネムーンの再動が40秒とややかみ合わない点に注意。 ・彷徨の幻獣使いツキコ or 八咫の夏陽ツキコ(覚醒後) 彷徨の幻獣使いツキコは自身が撤退した場合短時間(10秒)で再出撃が可能だが、 コストを全回収できるわけではないため、撤退させてもあまり意味はない点に注意。 スキル中のみ、HP0になった帝国出身の味方を再出撃可能(40秒)で、 かなり癖はあるものの、回収に組み込めなくはないだろう。 八咫の夏陽になると、帝国だけでなく、サマーも対象になるため、選択肢が増す。 ・ヘカティエ(通常スキル) 死亡/撤退した味方をひとり10秒後に再出撃可能にする。 一見、おりゅ部門の人権キャラのように見えるが、再動55秒はかなりきつい。 また、直前の死亡/撤退から順番に適用されていくため、 望んだユニットにならない場合があるなど、運用面は特殊である点に注意。 ・狸によるコスト錬金 「撤退によりコストを全額回収でき、再配置可能なユニット」に妖狸が化け、 妖狸を撤退させるもの。(両方とも撤退させてもよい) 最も楽なのはクリスマスカノンではあるが、魔神帝でも同様のことは可能。 妖狸はコストが低い方が望ましいが、 回収対象となる魔神帝やクリスマスカノンは「コストが高い方が望ましい」 妖狸は現状の使用上、変身先のステータスを参照するため、 撤退時に「化けた先のコストが返却される」上、狸も再配置可能。 そのため、化けた先のコスト ー 狸のコスト 分回収可能。 上記以外でも、撤退したユニットを再配置可能なスキルやアビリティがあれば、コスト錬金として利用可能
https://w.atwiki.jp/orenoimoutoga/pages/155.html
受験戦争から解放され、早めの春休みが幕を開けた二月の下旬。 緩みきった気分を締め直そうと部屋の模様替えをしていた折に、それは見つかった。 「うわっ、懐かしいなオイ」 タンスの奥の方で眠っていたそれ――派手な柄の玩具箱――を引きずり出す。 ガキの頃は、これに玩具やカードを詰め込んで持ち歩いたもんだ。 とっくの昔に処分されたとばかり思っていたが、運良くこいつだけ、お袋の目から逃れたらしい。 31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/14(日) 07 31 59.84:shp1AWvn0 さてと、作業は一時中断して、追憶に耽るとしますかね。 ついつい脇道に逸れちまうのは、模様替えのお約束だよな……と箱の留め具に手をかけたそのとき、 「朝からゴソゴソ何してんの?」 桐乃がひょこっと顔を出した。 起き抜けなのか、長い髪はくしゃくしゃで、眠そうに目を擦っている。 「わり、起こしちまったか?」 「ううん、ちょうど目が覚めたトコ……」 桐乃は覚束ない足取りで部屋を横断し、ぽすっと俺のベッドに腰掛けた。 そしてグルリと辺りを見渡し、 「ふぅん……部屋の片付けなんかしてたんだ」 微かに不機嫌オーラを漂わせて、そう言った。 さっきの言葉は嘘で、本当は物音がうるさくて目を覚ましたのかもしれねえな。 それか、単純に寝起きで機嫌が悪いだけか。 なぜか居座る様子の桐乃に、俺は発掘品を見せてやることにした。 「そういや、タンスの中を整理してる最中に、珍しいモンが見つかったんだ」 玩具箱を手渡す。 が、色好い反応は梨の礫、桐乃は眉をひそめて、 「何これ?」 「俺がガキの頃に、いつも持ち歩いてた玩具箱だよ。見覚えねえか?」 「忘れた」 と桐乃はあっさり否定し、 「てゆーか、あんたって、そういうのいつまでも捨てられない性格だったんだ?」 見下すような半眼でこっちを見てくる。 べ、別にいいじゃねーか!たまに童心に還れるアイテム残しといてもさぁ! もっとも、当時の俺が何を思って、この玩具箱を残しておいたのかは、俺自身、よく分かんねーんだけどな……。 小馬鹿にして部屋を去って行くかと思いきや、桐乃は俺のベッドにうつぶせになり、 「さっさと開ければ?」 なんだかんだ言って興味はあるのな、お前。 俺は溜息を一つ、改めて玩具箱の留め具に手をかけた。 錆びた金属同士が擦れる音が響き、上蓋が持ち上がる。 果たして箱の中に保存されていたのは、 十年近く前に流行ったカードや玩具でもなく――色取り取りの紙束だった。 「なんだこりゃ……」 俺は何気なくそのうちの一片を取り上げ、 「ダ、ダメッ!絶対読んじゃダメッ!」 猫のような敏捷さで飛びかかってきた桐乃に、紙片を奪い取られてしまった。 こいつのこの慌てようは何だ?尋常じゃねえぞ。 「読んじゃダメってことは、その紙には、何か書いてあるのか?」 「ど、どーでもいいじゃん!とにかく、この箱もあたしが預かるからっ……!」 おっと、そうはいかねえ。 玩具箱に伸びた手を払いのけ、がっちりと脇に抱え込む。 「こいつは俺の物だ。お前にどうこうする権利はねえよ」 その一枚はくれてやる。 が、この箱の中には、少なく見積もっても数十枚の紙片が残されている。 後で一枚一枚ゆっくりと検めてやるさ。 「………じゃない」 ん、今なんて言った? 桐乃は右手の紙片を握りつぶし、肩を戦慄かせながら叫んだ。 「その中に入ってるのは、兄貴の物じゃないっ!全部……全部あたしの物なのっ!」 間髪入れず、桐乃の手が箱に伸び、もの凄い力で引っ張ってくる。 おいおい、陸上部で鍛えてるのは脚力だけじゃなかったのかよ。 それかアレか、火事場の馬鹿力的な何かが発動してるのか? が、年下の妹に綱引きで負けるほど、俺はひ弱な兄貴でもねえ。 「ワケわかんねーこと言ってんじゃねえ! なんでお前のモンが、俺の玩具箱の中に入って、しかも俺のタンスの奥に仕舞われてんだよ!」 「うるさいっ!離せ、このバカ兄貴っ!」 突き出された右足を、同じく右足で辛くもガードする。 躊躇なく股間を狙ってくるあたりに、桐乃の本気度がうかがえる。 罵倒と足蹴りを浴びながらの引っ張り合いがしばらく続き、 果たして先に折れたのは、俺でも、ましてや桐乃でもなく――箱の掛け金だった。 バキン、と嫌な音が鳴り、上蓋がはじけ飛ぶ。 「あっ」 と俺と桐乃の声が重なり、次の瞬間には、箱の中に入っていた大量の紙片が、ひらひらと部屋中に舞っていた。 必死の形相で舞い散る紙を追う桐乃を余所に、 俺は妙に醒めた頭を働かせ、箱の底に残っていた紙片を手に取った。 どれどれ……。 『だいすきなおにいちゃんへ』 一瞬、脳裏を過ぎったのは『おにいちゃん』って誰のことだ、というなんとも間抜けた思考だった。 理解が追いついて、目眩がしたね。 お兄ちゃんって、俺のことじゃねーか! しかも俺のことを兄貴呼ばわりできるヤツは、世界中で一人だけ、 今まさに目の前で、烈火のごとく怒り狂っている俺の妹、桐乃だけだ。 「……見た?」 「お、おう」 「……………」 「……なあ、これ全部……その……お前から俺に……」 スン、と洟を啜る音が、俺の言葉を遮った。 ちょ、なんでお前が泣きそうになってんの!? オロオロする俺に向かって、桐乃は集めた紙束を投げつけてきた。 どう足掻いても無駄だと観念したのだろうか。 確かめるまでもなく……これらは幼い桐乃がしたためた、俺宛の手紙に違いない。 「箱の中身はあたしの物!」という意味不明だった理屈も、今なら合点がいく。 「ハァ……」 俺は散らばった手紙を集めて、上蓋の無くなった玩具箱に詰め直し、 今やすっかり威勢を失った桐乃の目の前に置いてやった。 「持ってけよ」 「…………なんで?」 「ガキの頃の手紙をネタにして、お前をいびる趣味はねえよ」 こいつはお前が預かるなり、焼いて捨てるなり、好きにしろ。 それに正直な話、俺としちゃあ『だいすきなおにいちゃんへ』の一文だけでお腹いっぱいなんだよな。 あれ以上の甘味は、きっと毒になる。 全部に目を通した暁には、今の桐乃にも、あの頃のような可愛げを求めてしまいかねん。 桐乃は箱を小脇に抱え、脱兎のごとく部屋を飛び出す――かと思いきや、上目遣いに俺を見つめ、 「………気にならないんだ?」 「あん?」 そりゃ手紙の内容が気になるかならないか、と尋ねられたら、 「気になるに決まってるだろーが」 「あ、兄貴がどうしても読みたいって言うなら……読ませてあげないこともない……ケド?」 やれやれ、こちらが押せば全力で引き、こちらが引けばおずおずと押してくる。 天の邪鬼と呼ぶべきか? にわかに現れた選択肢に、俺は混乱していた。 去年の春、桐乃がアメリカにスポーツ留学する前夜にも、似たような状況があった。 桐乃のアルバムを、見るか、見ないか。 あのときの俺は後者を選択し、果たしてそれが正解だったかどうかは、未だもって分からない。 が、しかし、あの日以来、後悔というほど強くもなく、未練というほど弱くもない、 妙な不完全燃焼感が胸中に渦巻いていたのは確かで、轍を踏むのは躊躇われた。 俺は……。 1.嫌な予感がする。やめておこう。 2.手紙を読もう。忘れていた思い出が蘇るかもしれない。 手紙を読もう。忘れていた思い出が蘇るかもしれない。 「本当にいいんだな?」 と念を押すと、 「うん……ただし、読めるの一回限りだから。読み終わった手紙は没収だかんね」 「後で何度も読み返したりしねーよ」 親父じゃあるまいし。 桐乃は丸顔をぷくっと膨らませて言った。 「ほら、さっさと読む!」 なんでぇ、さっきまではあんなに読まれるのを嫌がってた癖によ。 俺はついさっき読みかけた手紙を手に取り、チラと桐乃の様子をうかがった。 うっすらと顔を赤らめ、そわそわと身じろぎしている。 やはり手紙を読まれることへの、抵抗や羞恥心がなくなった、というワケではないらしい。 まあ、桐乃の真意なんざ、俺の知っちゃこっちゃねえけどさ。 俺は「コホン」と空咳を一つ、 「えー、だいすきなおにいちゃんへ。きょうはいっしょにあそんでくれてありが――ぶはっ」 「何勝手に口に出して読んでんの!?殴るよ!?」 もう殴ってるよ! いい右ストレートもらっちゃったよ! 「あ、ごめ……じゃなくて!読むのは心の中で!あとニヤニヤするのも禁止!分かった?」 「分かりました」 さすがに音読はNGだったか。 俺は気を取り直し、左頬をさすりさすり、一枚目に目を通す。 ひらがなだらけの文章をそのまま再現しても分かりにくいだけなので、適度に変換すると、以下のようになる。 『大好きなおにいちゃんへ。 今日はいっしょにあそんでくれてありがとう。 はじめてブランコにのれてうれしかった。またせなかをおしてね。キリノ』 ――― ―― ― 『あっ、お兄ちゃん、どこ行くの?』 『公園』 『お家の外にでるときはねぇ、お母さんかお父さんと一緒じゃなきゃダメなんだよぉ』 『俺もう小学生だぜ。母さんも一人で行ってきていいってさ』 『………ずるい。お兄ちゃんだけなんて、ずるい。桐乃も行くっ!』 『しかたねーなー。母さん、桐乃も連れてっていい?』 リビングの方から、若かりし頃のお袋の声が聞こえた。 『目を離さないようにしなさいよー。桐乃まだ小さいんだから』 『分かってるって。じゃあ、行くか』 『うんっ』 俺は桐乃の手を引いて歩き出す。 寂れた公園に人影はなく、蝉の合唱が逆に虚しかった。 『お兄ちゃん、桐乃ねぇ、ブランコで遊びたい!』 言うや否や、桐乃は風に揺れる台座を捕まえ、腰掛ける。 『こうやるんだよ。見てな』 俺は隣の台座に腰掛け、お手本を見せてやった。 『わ……すごいっ!上手いねえ、お兄ちゃん』 『さ、桐乃もやってみ』 『うん……』 よいしょ、よいしょと足を交互にぶらつかせるが、 桐乃の体は小刻みに前後に揺れるばかりで、悲しいほどに加速がつかない。 『下手だなあ』 『……ふぇ……』 泣き出しそうな気配を察知して、俺はブランコを降り、桐乃の背後に回った。 『押してやるから、じっとしてな』 『うんっ』 一回、二回と背中を押すごとに、桐乃の体の振れは大きく、桐乃の表情は笑顔に変わっていった。 『お兄ちゃん、桐乃ねえ、空を飛んでるみたい』 その言葉を聞いて、俺は疲れて腕が動かなくなるまで、桐乃の背中を押してやろうと思った。 ――― ―― 「お前も昔は素直でいい子だったんだよな……」 ポツリと漏らした一言に、"現在"の桐乃が敏感に反応する。 「どういう意味?今は捻くれてて憎たらしい子だって言いたいワケ?」 「誰もそこまでは言ってねえよ!」 でもお前も自覚はあるんだろ? 今のお前と昔のお前の性格には、天と地ほどの差があるってことには。 まったく、何がどう間違って、こんな風になっちまったんだか……。 「ハイ、その手紙は没収ね」 ピッと桐乃が俺の手元から、一枚目の手紙をかすめ取る。 『ごめんなさい、お兄ちゃん。 お兄ちゃんが学校にいっているあいだに、 キリノはお兄ちゃんのぶんのプリンをたべてしまいました。 そのかわりに、つぎのおやつはキリノのぶんをお兄ちゃんにあげます。ゆるしてね』 ――― ―― ― 小学校から帰ってくると、桐乃の様子がおかしかった。 『おっ、おかえりなさい、お兄ちゃん』 『ただいま。あれ、母さんは?』 『お母さんは、お家のうらで、隣のひととお話してる』 『ふぅん。あー、お腹すいた。 そういや、今日のおやつ何だった?』 『…………』 『どうして黙るんだよ?桐乃はもう食べたんだろ?』 『……あ、あのね……キリノ……キリノ、お兄ちゃんのぶん……』 『はぁ?ハッキリ喋れよ』 『………ふぇ……ひくっ……ごめ……っ……ごめんなさい……』 そのとき、タイミングよく裏口のドアが開き、お袋が帰ってきた。 『ちょっと京介!あんたまた桐乃のこと泣かせたの!?』 『ち、違うって、俺にも何がなんだか……』 『うわあぁぁあぁぁん!!』 ――― ―― ― 「あの時は参ったな。 お前は大泣きして訳を話さねーし、お袋は端からお前の味方だったし」 落ち着いた頃に、桐乃が俺にこの手紙を渡してきて、 やっと桐乃が泣いていた理由が分かった覚えがある。 「なんで初めから正直に話さなかったんだ?」 そりゃ俺も小言の一つや二つは言っただろうが……。 「そんなにあの頃の俺は怖かったのか?」 桐乃はジト目で俺を睨み付け、 「"怖かった"のは間違ってないケド……あたしは別に、あんたに怒られるのが怖かったワケじゃないしィ」 「じゃあ、何が怖かったんだよ?」 「じ、自分で考えれば?」 プイ、とそっぽを向く桐乃。少し自信を無くすぜ。 あの頃の俺は桐乃にとって、必ずしも『優しくて頼れるお兄ちゃん』じゃなかったということか? 手紙は抜け目なく没収され、俺は考えるのを諦めて、三枚目を手に取った。 三枚目は手紙……というよりは絵日記の体裁で、 拙い文字の羅列の下に、色鉛筆で酷く抽象的な絵が描かれていた。 緑一色の大自然(?)を背景に、肌色で描かれているのは俺と桐乃……だろうか? とにかく、文章を読んでみないことには始まらない。 『今日はお兄ちゃんといっしょに虫をとりにいきました。 お兄ちゃんは虫をつかまえるのがとても上手です。 でも、遊ぶのにむちゅうになっていると、帰りみちがわからなくなりました。 キリノはこわくなって、ころんでしまいました。 お兄ちゃんはキリノをおんぶしてくれました。 『だいじょうぶ、だいじょうぶ』とお兄ちゃんはなんどもキリノに言ってくれました。 夜になるまえに、お兄ちゃんとキリノはお家に帰ることができました。 こわかったけど、たのしかったです』 ――― ―― ― 親父に急な仕事が入るのは、昔から珍しいことじゃなかった。 その日も早朝から親父は仕事場に呼び出されていたらしく、 虫取りを楽しみにしていた俺と桐乃は、朝起きて初めて、お袋からそのことを聞かされた。 『俺たちだけで行ってくる』 『ダメに決まってるでしょ、あんたたちだけで行くなんて』 『じゃあ母さんがついてきてよ』 『あたしは家事仕事があるから無理よ。それに虫は苦手なの』 『やだぁ、桐乃、虫取り行きたいー!』 『わがまま言わないの、二人とも。 また今度、お父さんが休みの日に連れて行ってもらいなさい』 俺たちは渋々引き下がるそぶりを見せ、しかし腹心では一計を案じていた。 公園に行ってくる、と昼過ぎに家を出て、向かった先は未開発の雑木林だった。 一歩踏み入れば、そこは虫の宝庫だった。 『あっ、カブトムシ!大っきいねぇ!』 『こっちにはクワガタがいるぜ』 『ねぇお兄ちゃん、このクワガタはなんていう名前なのぉ?』 『ノコギリクワガタだよ。ほら、ここがノコギリみたいにギザギザになってるだろ?』 俺たちは虫取りに夢中になるあまり、日の届きにくい、鬱蒼とした奥地にまで迷い込んでいた。 しかも間の悪いことに、桐乃が転び、膝をすりむいた。 俺は桐乃を負ぶってやらなければならなかった。 『お兄ちゃん、ここ……どこ?』 『知っている場所だ』と嘘も言えず、『迷った』と打ち明けて不安がらせることもできず、 俺はただただ『大丈夫だ』と、自分と桐乃に言い聞かせていた。 そうして、当て所なく歩き続けること十数分、 奇跡的に方角は元来た道に向いていたようで、俺たちは再び、夕暮れの町並みを拝むことができた。 ちょっとした冒険の記憶だ。 ――― ―― 「結局、黙って虫取りに行ったことは、親父やお袋にはバレたんだっけ」 「ううん。あんたが言ったんじゃん、このことは二人の秘密にしようって。 虫は全部逃がして、あたしの膝の擦り傷も、公園で転んだことにしてさ」 さっきから思ってたが、やけに物覚えいいな、こいつ。 俺なんか手紙を見てやっと思い出してるくらいなのに……単純に年の差が原因か? 「あの雑木林、今も残ってんのかな」 「なワケないじゃん。今はすっかり住宅地になってるよ」 「そっか。じゃあもうお前と虫取りに行けねーな」 「残ってても行かないし!虫を手づかみするとか、死んでもゴメンだから!」 言うと思ったよ。 でも、不思議だよな、なんであの頃は大好きだった虫が、今見ると気持ち悪く見えたりするのかね? 「あたしに聞かれても分かるワケないでしょ。ヤなものはヤなの」 桐乃は唇を尖らせてそう言い、手紙を奪い取る。 次の手紙を読もうとしたところで、ぐきゅるる、と情けない音が鳴った。 断っておくが、音の出所は俺じゃない。 「小休止にして、昼飯食べに行こうぜ。お前、朝も何も食ってねえんだろ?」 桐乃は顔を赤くして頷くと、次に自分がパジャマ姿で、 しかも顔も洗っていないことに気づいたのか、大慌てで部屋を出て行った。 昼飯を終え、ぼんやりワイドショーを眺めてから自室に戻ると、 シャワーを浴びて衣装替えし、淡いメイクを決めた妹が、またしても俺のベッドを席巻していた。 勝手に読み始めたら怒られるだろうから、部屋に呼びに行こうと思ってたのに。 「遅いっ!」 「おめーの準備が良すぎるんだよ」 そんなにガキの頃の手紙を俺に読んで欲しいのか?あん? 「キモ。あたしはただ単に、早く終わらせたいだけだし」 さいですか。 俺は妹の刺すような視線をを頬に感じながら、四枚目の手紙を手に取った。 どーでもいいが、今の部屋の惨状をお袋に見られたら、説明するのが面倒だな……閑話休題。 『大好きなまなちゃんへ。 きのうはあそんでくれてありがとう。 おかし、とってもおいしかったです。 まなちゃんはキリノのお姉ちゃんみたい。 これからもなかよくしてね』 ――― ―― ― 夜、寝ようと思っていたところに、ノックの音がした。 ドアを開けてやると、眠そうな桐乃が立っていた。 『これ、この手紙ね……』 『俺にか?』 『ううん……明日ね、学校でねぇ、まなちゃんにわたしてほしいの』 『どんな手紙なんだ?』 桐乃は手紙を挟んだ両手を、もじもじと体の前で擦り合わせつつ、 『今日、お兄ちゃんとキリノ、まなちゃんのお家に遊びに行ったでしょ?』 『ああ』 『でもねえ、キリノ、まなちゃんにちゃんとお礼言えなかったから……』 小さい頃の桐乃は人見知りが激しく、 田村家の一家総出の歓待に目を回していた。 麻奈実の部屋で、俺、麻奈実、桐乃の三人で話す時は普段通りなのだが、 帰りがけ、田村一家の面子を前にすると、俺の背中に隠れて、 小さな声で『あっ……ありがとう、ございました』と言うのがやっとだった。 真奈美に直接礼を言えなかったことを、桐乃は心のどこかで、悔やんでいたに違いない。 『桐乃の気持ちは分かったよ。手紙、麻奈実に渡しとく』 俺は手紙を預かり、桐乃の頭をなでてやった。 『ありがとう、お兄ちゃん。おやすみなさい』 『おやすみ、桐乃』 俺は階段を下りる小さな妹の背中を見送り、手紙をランドセルの中に仕舞った。 ――― ―― ― 「懐かしいなー。 確かあの頃、桐乃はまだ親父やお袋と一緒に寝てたんだよな」 さりげなく話題を反らそうとしてみたものの、 「なに誤魔化そうとしてるわけ?」 あっさり軌道修正される。桐乃は冷えた声音で訊いてきた。 「ね、なんでこの手紙が、今もあんたの手元にあんの?」 「これには深いワケがだな……」 「へぇー?聞かせてもらおうじゃん。 言っとくケド、あたしが納得できるような理由じゃなきゃ、怒るよ?」 既に怒ってるじゃねーか!怖ぇよ顔が! 「小学生っつったら、アレだ……くっだらねーことで、誰かのことをからかったりするもんだろ?」 心当たりがないでもないのか、「それは言えてるカモ」と桐乃は頷く。 「お前から手紙の配達を安請け合いしたはいいが、 学校で麻奈実に手紙を渡すとなると、周りの視線が気になってよ」 小学生の狭い世界である。 高坂が田村にラブレターを送った!と上から下への大騒ぎが数日続くことは目に見えていた。 今でこそ「俺と麻奈実は幼なじみだ、色眼鏡で見るんじゃねえ」と淡泊にあしらえる自信があるが、 当時の俺は、そういった噂を立てられることが気恥ずかしかったのさ。 「分かってくれたか?」 「はぁ?全然分かんない! 学校で渡すのが恥ずかしいなら、帰り道とか、誰も見てないところで渡してくれれば良かったじゃん!」 正直に言おう。 「帰る頃には忘れてた」 「バカじゃん!?」 ベシ、と頭頂部を叩かれた。 いやマジで悪いことしたと思ってるって。 あの頃の俺も深く反省しながら、ランドセルの奥の方でぐしゃぐしゃになった手紙を、この玩具箱に仕舞ったんだ……と思う。 「にしても、あの頃のお前って、麻奈美にホントよく懐いてたよな。まなちゃん、まなちゃん、ってさ」 「昔の話でしょ」 「麻奈美のことが嫌いになったのはいつからだ?」 「憶えてない……ってゆーか、別にあたしは地味子のこと、嫌ってるワケじゃないし! あんたと地味子がいつまで経っても小学生のノリで、 ベタベタくっついてるのがキモくて、見てたらイライラさせられるってだけ」 それを世間では嫌ってるって言うんじゃねえの?俺とセットで。 が、これ以上追求しても喧嘩の種になるだけだと思った俺は、手紙を桐乃に渡し、五枚目の手紙を手に取った。 そのときだった。 ピンポーン。 「誰か来たみたいだな」 俺たちは無言で顔を見合わせ、いったん右手を背後に隠してから、つきだした。 こっちはチョキで、桐乃はグー。 しかたねーなー。俺は重い腰を上げて、一階に下りていった。 今更だが、現在、親父とお袋は連休を利用し、一泊二日の小旅行に出かけている。 玄関を開けると、そこにいたのは――。 あやせだった。 天使と形容すべき美貌がほんのり朱に染まっているのは、 道中、俺への想いが募ってきたせいで、あとはほんの少し、木枯らしにも理由があるかもしれない。 「こんにちは、お兄さん」 「おう、いらっしゃい、あやせ」 勝手知ったる、という風にあやせは門を開け、ととと、と俺の目の前に歩み寄る。 挨拶代わりのキスをしてくれるのかと思いきや、 そのまま隣を素通りし、玄関の扉を開けて親父やお袋の気配がないことを確認すると、 「今日と明日、お家にお兄さんと桐乃が二人きり、というのは本当だったんですね」 と背を向けたまま聞いてきた。 よく知ってるじゃねーか。桐乃が言ったのか? あやせは無言でハンドバッグをあさり、振り返りざまに素早く手を動かした。 カシャシャン、と小気味よい金属音が鳴り響き、気づけば、俺の手には罪人の証がはめられていた。 「なんて不用心な……お兄さんのような変態を、桐乃と一つ屋根の下に置いておくだなんて」 慨嘆に堪えません、と親父やお袋に苦言を呈すあやせ。 俺はお前の施錠スピードの速さに驚嘆だよ。 家に上がり、階段を駆け上るあやせの後を、拘束具の取り付けられた手でやっとこさ靴を脱ぎ、追いかける。 案の定桐乃の姿を見つけたあやせは、 「大丈夫?お兄さんに何も変なことされてない?」 と桐乃の安否を確かめていた。 あやせと知り合って早二年、一度失った信頼の回復は難しいことを思い知らされる光景だ。 「もうっ、大丈夫だってば。わざわざ家に押しかけてくるなんて、大げさすぎィ」 「だってわたし、桐乃のことが心配で……」 もはや説明不要だろうが、あやせの中での俺の認識は、 近親相姦上等の変態鬼畜兄貴である(自分で言ってて泣きたくなってきた)。 俺が部屋に入ると、あやせは敵愾心剥き出しの視線を俺に向け、 「出て行ってください」 いやここ俺の部屋だからな? 出て行くのはむしろお前と桐乃の方だっつーの。 「お兄さんの部屋に桐乃を監禁して、何をしていたんですか? ご両親がいないのをいいことに、い、いかがわしいことを強要していたんじゃないですか?」 「脳内妄想はそこまでにしとけよ。あと桐乃、おめーも少しは否定しろ」 すると桐乃はにわかに愉快げな表情を作り、しかし声音は恥ずかしげに、 「だってさァ……さっきまであんたが、あたしにしてたことって……一種の羞恥プレイと言えなくもないじゃん」 「詳しく聞かせてもらいましょうか?」 あやせは撮影用の華やかな笑みを顔に貼り付け、 「返答の如何によっては――しますよ?」 桐乃からは見えない角度で、ライターの炎をちらつかせた。 手錠炙りの刑を一度体験している身としては、なんとしても誤解を晴らさなければならないところである。 「――というワケで、俺たちは桐乃が書いた手紙をきっかけに、昔のことを思い出してたんだよ。分かったか?」 「それは分かりましたけど……ねぇ桐乃、読まれたくない手紙まで、見せなくてもいいんだよ? 中には……ううん、手紙のほとんどが、お兄さんに送ったことを、深く後悔している手紙でしょ?」 「それは……まぁ……そうだけど……」 言葉を濁す桐乃に、あやせは苛立ちを露わにするかと思いきや、 「そうだよね。 ここでお預けにする方が、先のことを考えると危ないよね」 ハイハイ、全手紙強制焼却ルートを想像した俺がバカでした。 つーか妹からの手紙を読み返してガス抜きするシスコンて何だよ! 娘の結婚後に何年も経ってからアルバム見返す父親よりキモいわ! 「それがお兄さんでしょう?」 「…………」 否定する気力も失せたね。 俺は不自由な両手を使い、五枚目の手紙を開いた。 『こんやくしょ。 キリノとお兄ちゃんはしょうらい、けっこんします。 なぜなら、キリノはお兄ちゃんのことがだいすきで、 お兄ちゃんもキリノのことがだいすきだからです。 キリノ キョウスケ』 ――― ―― ― 暑い夏の昼下がり。 リビングで二人してアイスを頬張っていると、不意に桐乃が言った。 『ねぇねぇ』 『どうした、桐乃?』 『キリノねぇ、お兄ちゃんとけっこんしたい』 俺はむせながら、 『どうしてお兄ちゃんと結婚したいんだ?』 『だってねぇ、お母さんが言ってたんだもん。 けっこんは、本当にだいすきな人どうしがするものだって』 『へ、へぇ~』 『それでねぇ……キリノがせかいでいちばんすきな人はねぇ、お兄ちゃんなの』 『…………』 そのとき、俺はガキなりに、どうやったら「異性の好き」と「兄妹の好き」の違いを教えられるか、必死に考えていた。 アイスが溶けて、冷たい感触が手のひらを伝った。桐乃は続けて言った。 『お兄ちゃんが、せかいでいちばんすきな人はだれ?』 『か、考えたことないから、分かんないな』 『じゃあ、今かんがえて』 俺が黙っていると、桐乃は消え入りそうな声で言った。 『…………まなちゃん?』 『なっ、なんで麻奈美の名前が出てくるんだよ?』 『だって、まなちゃんとあそんでるときのお兄ちゃん、すっごく楽しそうだもん。 キリノとあそんでるときよりも、楽しそうにしてるもんっ』 桐乃の大きく円らな瞳を、うっすらと涙の膜が覆う。 兄貴は、妹の涙に弱い。その法則に、年齢は無関係だ。 俺はアイスで汚れていない方の手で、桐乃の頭を撫でてやりながら、 『お兄ちゃんが世界で一番好きなのは、桐乃だよ』 『……ほんと?』 『ああ、ほんとだ』 『じゃあ、しょうらいキリノとけっこんしてくれるの?』 『ああ、してやるよ』 『じゃあね、じゃあね……ちょっとまってて!』 キリノはぱぁっと顔を輝かせると、リビングを飛び出して行った。 戻ってきた桐乃の手には、鉛筆と、折り紙があった。 そうして桐乃は時間をかけて、「こんやくしょ」を作り始めたのだった……。 ――― ―― こ、これはまずい。 あやせに見せたらシャレになんねーことになる。 無反応の俺を逆に不審に思ったらしい桐乃が言った。 「何書いてたの?あたし」 「ん、ただの落書きだよ。こいつは後で捨てとくから、次行こうぜ、次」 紙を折り曲げてポケットに仕舞おうとしたところを、 「待ってください。その玩具箱に入っていたものは、全て桐乃のもの、という約束でしたよね?」 とあやせ保安官に差し止められる。 手枷をはめられた俺に抵抗できるワケがなく、あっさりと「こんやくしょ」を没収された。 終わった。 俺のプロファイリングが正しければ、あやせはほぼ確実に、 「お兄さん幼少期から桐乃を洗脳していた」という妄想を肥大させ、俺に一心不乱の打擲を加えてくることだろう。 俺はじっと目をつむり、刑罰執行の時を待った……のだが、しかし。 「……………」 あやせは無表情で視線を紙上に滑らせると、 凝視していなければ分からないほど微かに頬をひくつかせて、「こんやくしょ」を玩具箱の奥底にしまった。 「あやせ、今の、本当に落書きだったの?」 「うん。お兄さんの言うとおりだった」 何事もなかったかのように桐乃に言い、あやせはこちらに顔を向けて、唇の動きだけでこう言った。 ……"あんなもの、絶対に認めませんから"と。 や、あんなのに法的拘束力があるなんて、これっぽっちも思っちゃいねーって。 それに第一、桐乃が全力で婚約取り消しを求めてくるだろうよ。 とにもかくにも、窮地は脱したようである。 「考えたら、落書き、結構混じってるかもね。 じゃあ、次、読んで」 水面下の攻防を知らぬ妹は、無邪気に七通目の開封を促してきた。 今度の手紙も三通目と同じく、日記風味の体裁で書かれていた。 『キリノはきのうのよる、とってもこわいユメをみました。 よなかにおきて、でも、お父さんもお母さんもおきてくれませんでした。 キリノはお兄ちゃんのへやにいきました。 お兄ちゃんは「いっしょにねるか」といって、キリノは「いっしょにねる」といいました。 でも、キリノはユメをみるのが怖かったので、なかなかねむれませんでした。 お兄ちゃんはキリノをぎゅーっとしてくれました。 そうしたら、キリノはあんしんして、ねむることができました』 そこで終わっていれば、いい話だった。 しかし、ああ、なんであやせが来てからというもの、スリリングな内容が連続するんだろうな、 手紙には続きがあった。 『きょうのあさ、おれいに、お兄ちゃんにちゅーをしました』 ――― ―― ― 深夜、ドアの向こうから物音が聞こえて、最初に想像したのは幽霊だった。 一人で二階で寝るようになってからというもの、 誰もいない廊下に幽霊が徘徊しているという想像は、常に頭の隅にあって、 しかもちょうど昨日の夜、怖い夢を見たばかりだった。 『誰だ?』 『…………』 誰何に答える声はなくとも、気配は依然としてそこにある。 俺が勇気を振り絞ってドアを開けたのと、桐乃が飛び込んできたのは同時だった。 『お兄ちゃんっ』 『なんだ、桐乃かぁ……どうしたんだ、こんな時間に?』 『あのね、キリノねぇ、とってもこわいユメを見てねぇ……ねむれないの』 普段なら『怖がりだなぁ、桐乃は』と馬鹿にしているところだが、 前日、怖い夢を見て、ついさっきまで寝付けなかった手前もあり、 『じゃあ、お兄ちゃんと一緒に寝るか』 『うんっ、キリノ、お兄ちゃんといっしょにねる!』 布団に入り、電気を消す。 たとえ俺が隣にいても、眠ってしまうことに抵抗があるのか、なかなか桐乃は目を瞑ろうとしなかった。 俺は桐乃を抱きすくめながら、 『お兄ちゃんがぎゅーってしといてやるから、桐乃は安心して眠りな』 『うん。お兄ちゃんの体、あったかいねぇ……』 桐乃が寝息を立て始めた頃、俺にも眠気が訪れた。 俺は桐乃の髪を撫でてやりながら、昨日見た悪夢のことなどすっかり忘れて、深い眠りについたのだった。 ――― ―― ― ここまでは思い出せる。ここまでは。 が、どう記憶の糸を辿っても、俺が桐乃にちゅーされた場面を思い出せない。 何かの間違いなんじゃねえか、と手紙を見直すと、 「何かの間違いですよね」 と背面から手紙を覗き見ていたあやせが、震えた声で言った。 死の冷たい指先が首筋に纏わり付く錯覚がしたね。 俺は純粋な好奇心と、保身のために桐乃に尋ねた。 「なあ……この『おれいに、お兄ちゃんにちゅーをしました』ってのは……マジなのか?」 「ホントだけど?」 しれっとなんて爆弾発言しやがる!? 桐乃、お前分かってんのか?文字通り俺の生死がかかってんだぞ! ここはマジでも冗談で書いたことにしといてくれよ! 「あんたが憶えてないのは、あたしが……寝てるあんたにキスしたから」 おい待て、それ以上の語りはやめろ。 さっきから「嘘、嘘嘘ウソウソウソウソ」という呪詛にも似た響きが聞こえてきて、現在進行形で俺の寿命が縮んでるんだが。 そのときの俺は、よほど深刻な顔つきだったのだろうか、 髪を指先で弄っていた桐乃は、ふと俺の方を見て、表情を硬くすると、 「ま、まさかあんたってば、あたしが唇にキスした……とか思ってないよね?」 「え?違うの?」 「あーキモいキモい。いくら小さな頃のあたしが……その……あんたに気を許してたからって、 唇にキスするワケないじゃん。あたしはほっぺにキスしたの。勘違いすんなっ」 なんだ、本当に俺の考えすぎだったのか。 まあ、ほっぺのちゅーくらいなら、ぎりぎり、兄妹のスキンシップの範疇に入るよな、きっと……。 「だから、あやせも安心して」 と桐乃が言い、 「そうだったんだぁ」 とあやせが答える。 が、あやせの笑顔に、安堵感から来るものとは違う、作り物めいたぎこちなさが見て取れたのは、 ラブリーマイエンジェルの信奉者たる俺だけだろうか? 一瞬、桐乃は嘘をついていて、あやせはそれに気づいているんじゃないか――という憶測が脳裏を掠め、すぐに消えていった。 『お兄ちゃんへ。 キリノはお兄ちゃんとあらいっこするのが大好きです。 でも、さいきん、お兄ちゃんはいっしょにおふろに入ってくれません。 どうしてまなちゃんとキリノがいっしょに入るのはよくて、 お兄ちゃんとキリノがいっしょに入るのはダメなの? 今日はゆぶねに、ゆずをうかべるとお母さんが言っていました。 ひさしぶりに、お兄ちゃんといっしょに入りたいです』 ――― ―― ― 浴室に入ってからしばらくして、脱衣所の扉が開いた。 『ねえ、お兄ちゃん、どうしてお風呂に行くとき、キリノに何も言ってくれなかったの?』 『……忘れてたんだよ。ごめんな』 『いい』 いいって何が、と聞くと、衣擦れの音が返ってきた。 『おい、ちょっと待てって。俺、もう少ししたら出るから……』 『ダメ。キリノはお兄ちゃんのせなか、流してあげるんだもん』 当時、俺は小学五年生、桐乃は小学二年生で、俺は朧気ながらに、性の知識を持ち始めていた。 だから桐乃と一緒に風呂に入ることを避けるようになったのだが……。 脱衣所と浴室を隔てる仕切りが開き、起伏のかけらもない桐乃の裸身が露わになる。 『えへへ』 と桐乃は無垢な笑顔を浮かべて、俺が浸かっている湯船に、体を滑り込ませてきた。 子供二人といえど、一緒に入れば湯船は手狭で、 楽な体勢を追求すると、俺が桐乃を後ろから抱きかかえる格好になる。 『いい匂いだねぇ、お兄ちゃん』 ツンツン、と湯に浮かんだ柚子をつついて遊ぶ桐乃。 『ああ、そうだな』 と適当に相づちを打ちながら、俺は可能な限り、妹の裸体から意識を反らしていたように思う。 体が温まった頃、俺たちは湯船から出て、バスチェアに腰掛けた。 『じっとしててね、お兄ちゃん』 桐乃はボディタオルにソープを染みこませ、よく泡立ててから、俺の背中を擦ってくれた。 『気持ちいい?』 『ああ。すげー気持ちいいよ』 『えへへ、桐乃、上手でしょ』 あまりの心地よさに目を瞑る。 ……まだ、もう少し一緒に入ってもいいんじゃないか? 甘い誘惑が、思考に靄をかける。俺はかぶりを振って、 『交代しようぜ。桐乃、後ろ向け』 少し経ってから振り向くと、そこには白くすべやかな妹の背中があった。 タオルを受け取り、柔肌を傷つけないよう、優しく擦ってやる。 『んっ、お兄ちゃん、もっと強くしてもいいよ……?』 『どうだ、これくらいか』 『うん……すごく気持ちいい……』 別に妹の体に、性的な魅力を感じているワケじゃない。 そんなのは、これから先もありえねー……と思う。 でも、そう断言できる今だからこそ、きっぱりと線引きしておく必要があるんじゃないか。 それが、ガキの俺が出した結論だった。 『桐乃、一緒にお風呂に入るのは、これっきりにしよう』 『えっ?なんで?』 『お兄ちゃんは男で、桐乃は女だ。男と女は、一緒にお風呂に入っちゃダメなんだ』 『嘘っ。だって、今までずっと、お兄ちゃんと入ってても、だれにもおこられなかったのに……』 『体が小さいうちは良くても、大きくなってきたらダメなんだよ』 『キリノはまだ子供だもんっ!キリノの体、まだ小っちゃいもんっ!』 『キリノの体がそうでも、俺の体が――』 最後まで言い終わらないうちに、桐乃が体ごとこちらに振り向く。 俺は咄嗟に目をそらし、きっとそれが、桐乃の目には拒絶のポーズとして映ったのだろう。 『やだ……お兄ちゃんのバカぁ……キリノに……いじわるしないでよぉ……』 泡のついた指で目を擦る桐乃をあやしながら、 『ごめんな。でもお兄ちゃん、桐乃に意地悪してるワケじゃないんだ』 『じゃあ、なんでそんなこと言うの……?』 『いつか桐乃にも、俺の言ってることが分かる日が来るから』 『分からない。分からなくていいっ』 『桐乃……』 それから俺は、お袋が長風呂を心配して様子を見に来るまで、桐乃を宥め続けた。 ――― ―― ― 今回ばかりは、あやせに責められる謂われはないはずだ。 なんてったって、どんなに国語能力が欠けているヤツが見ても、 この手紙は、『桐乃』が俺と一緒に風呂に入りたがっていることを示しているんだからな。 あやせは目頭を押さえつつ、 「刷り込み教育の成果ですね。桐乃はこんな時から洗脳を……」 文盲がここにいた! 「桐乃、お兄さんとお風呂に入っているときに、悪戯されたりしなかった?」 「するわけねーだろ!小学生の頃の話だぞ!」 「こ、子供だからこそ犯してしまう過ちもあるじゃないですか!」 「たとえば?」 「お医者さんごっこで、桐乃の体に触診とか……って、何言わせてるんですか変態ッ!」 即そういう発想に至ったお前が変態だよ! くそう、やはり何を言ったところで、あやせの心証を悪くするだけだ。 「こんやくしょ」、「ちゅー」、「いっしょにおふろ」の怒濤の三連撃で、いよいよ俺のライフは残りわずかである。 「聞いて、あやせ」 と、突然桐乃が、よく通る声で言った。 あやせはオイルライターと俺宛の殺意をいったん仕舞い、 「どうしたの?」 「手紙、見てもらったら分かると思うんだケド……。 小さい頃のあたしらって、結構……ううん、かなり、仲良かったんだよね。 だから、あたしが兄貴と一緒にお風呂入りたがってた、っていうのも本当だし」 そこで桐乃はチラ、と俺の方を盗み見て、 「お風呂は別々に入ろう、って言い出したのも、兄貴の方なんだ。 あたしはそれが嫌で、お風呂で大泣きしちゃってさぁ」 俺はあやせへの身の潔白の証明と、思い出話を兼ねて言った。 「あ、あの時はあの時で、またお袋の誤解を解くのが大変だったよな」 風呂場で子供が泣いていたら、転んで怪我をしたのでは、と疑うのがフツーだが、 お袋はまず第一に、桐乃が俺に悪戯されたことを疑った。 まあ、予め一緒に入ることをお袋に伝えていなかったことも、原因の一つだが……今から考えると酷い誤解だよな。 「しかもその後、あたしが怒って、しばらく兄貴と口聞かなかったんだよね」 「どれくらいだっけ。三日くらいか?」 「一週間くらいじゃなかった?」 「いや、そんなに長くなかっただろ」 割とすぐに、お前の方から話しかけてきてくれた覚えがあるぞ。 控えめに俺の部屋のドアをノックして、『お兄ちゃん、学校のしゅくだい、おしえて?』ってさ。 あの頃、お前は体育が苦手でも、勉強の方は余裕で、 だからあれはきっと、俺と仲直りするためのきっかけ作りだったんだろうな。 「あはっ、バレてたんだ」 「あのときの俺はすっかり騙されてたよ。 お前が口聞いてくれたことが嬉しくて、バカ丁寧に算数を教えてやってた気がする」 俺は笑った。桐乃も笑った。 アレ、なに俺たちフツーに談笑してんだ?と冷静になったそのときだった。 「帰ります」 すっくとあやせが立ち上がった。 「え、もう帰っちゃうの?」 「お前、泊まってくつもりじゃなかったのか?」 てっきり「俺と桐乃を一晩二人きりにできない」とかなんとか理由をつけて、 親父とお袋が帰ってくる明日まで居座るとばかり思っていたんだが。 「両親と外食する予定があるので。……お邪魔しました」 「待って。家の外まで送るから」 「外、すっごく寒いからここでいいよ。じゃあね、桐乃」 それからあやせは、俺に複雑な感情を宿した一瞥を投げかけ、静かに部屋を出て行った。 やがて玄関の扉が開き、閉まる音が聞こえた。 いやいや待て待て。 なんで急に帰っちまったんだろうな、とか。 最後にくれた一瞥の意味はなんだったんだろうな、とか。 んなことがどうでもいいと思えるくらいに、あいつは重大な忘れ物をしていきやがった! 呆気にとられる妹を部屋に残し、俺は全速力であやせを追いかける。 玄関を飛び出し、自転車は……ダメだ、ハンドルをまともに握れねえ。 道に出ると、遠くの方に白い人影が見えた。 「あやせ!」 近所迷惑も顧みずに叫ぶ。 声は届いたようで、あやせは立ち止まった。が、何を思ったか再び家路を歩き出す。 「待てよっ……はぁ……はぁ……」 あやせの背中に追いつく頃には、不自然な体勢で走ったことも祟って、ヘロヘロになっていた。 「どうしたんですか、お兄さん?」 と、恐らくは心当たりがあるくせに、澄まし顔で宣うあやせ。 「手錠だよ、手錠!外すの忘れて帰っただろ」 「別に、忘れて帰ったつもりはないんですけど」 おま……手錠つけさせたまま俺に日常生活送らせるつもりだったの? どんな罰ゲームだよ畜生。 「外して欲しいですか?」 「ああ、さっさと外してくれ」 「…………」 「外してくださいお願いします」 カシャカシャン。 施錠したときと同様、目にも留まらぬ早業で、あやせは解錠を済ませ、手枷をバッグにしまった。 両手を解放されて調子に乗った俺は、余計なことを言った。 「お前さ、桐乃と俺を二人きりにするのが嫌だからって理由で家に来たのに、 こんなに早く帰っちまって良かったのか?」 「わたしが帰る理由は……さっき言ったとおりです」 というと、マジであやせの親父さんとお袋さんと、外食に行くからか? あやせは俺の言葉には応えずに、 「お兄さんは、今日は部屋のお片付けをされていたんですよね」 「ああ。あと二ヶ月もすりゃあ俺も大学生だし、気分を一新しようと思ってさ」 「やっぱり……」 あやせは物憂げに目を伏せ、 「だから桐乃は……それならわたしも……」 などとブツブツ呟いていたが、不意に、一投足で距離を詰めてくると、 「お兄さん。 こんなこと、わたしが言うまでもなく、分かっていることだと思いますけど。 ――桐乃と過ごす時間を、大切にしてあげてください」 そして俺が何か言う前に、 「さよなら!」 踵を返して、たたた、と走っていってしまった。 俺は小さくなるあやせの背中に語りかけた。 なあ、率直な感想を言ってもいいか?……ワケが分からん。 お前、ついさっきまで、俺と桐乃が過ごす時間を思いっきり危険視してたよな? いったい全体、どんな心境の変化だよ。 家に帰ると、玄関に立った時点でイヤ~な予感がした。 回れ右をして田村さん家に緊急避難した方がいい、と第六感が訴えかけてくる。 杞憂だと信じて扉を開けると、 「あ、おかえり兄貴。 先に夕ご飯作り始めてるケド、兄貴も手伝ってくんない?」 ホント、イヤな予感に限ってよく当たるよなあ。 居間に赴くと、台所は惨状の一歩手前の様相を呈していて、 桐乃の料理の腕が、まるで上達していないことを思い知らされる。 「ちょっと色々失敗しちゃってさぁ、でも、まだまだ修正きくと思うんだよねー」 『ちょっと』と『色々』が矛盾していることに気づけバカ。 あと、修正するのはお前じゃなくて俺だからな……。 三十分後。 「おいしい?」 「さも自分が作ったみたいに言うな」 「ハァ?あたしとあんたの合作でしょ?で、味は?」 「ん……、うまいよ」 桐乃の作りかけていた料理が、カレーだったから、まだ味付けの修正が効いた。 付け合わせのサラダも酷い切り方だったが、こちらも見た目を気にしなければ、普通に食える。 「兄貴ってさ、なにげに料理できるよね」 「なんだよ、いきなり」 「だって、子供の頃からそうだったじゃん。 特に練習してたワケでもないのにさぁ」 「お袋によく手伝わされてたからな。 でも、最近は自分なりに、レパートリー増やそうと頑張ってんだぜ」 「ふぅん、なんで」 料理ができる男はモテるぞ、と赤城に触発されたからだとは言えず、 「いや、まあ、なんとなくな」 「…………」 桐乃は煮込み足りない具材でも噛んだような顔になり、それからは黙ってカレーをかき込み始めた。 夕飯を食い終わると、自然と俺が食器洗い、桐乃が風呂の準備と役割分担が決まった。 食器をすすぎながら考えるのは、別れ際の、あやせの一言だ。 ――『桐乃と過ごす時間を、大切にしてあげてください』―― 別に桐乃となんざ、普通に生活してるだけでイヤというほど顔を合わせるってのに。 まるで、桐乃と俺が離ればなれになってしまうみたいじゃないか……ほら、桐乃がアメリカに行っちまったときみたいに。 「あ」 ごとん、と食器が手から滑り落ち、音を立てた。 これってもしかしなくても、もしかするんじゃないか? 実は桐乃は俺に隠れて、スポーツ留学に再挑戦しようと考えていて、 それをあやせは知っているから、遠回しに俺に忠告してきたのでは……。 んなワケねーだろ、と一笑に付したい自分と、 ここ最近、様子がおかしい桐乃を顧みて、真剣に疑い始めている自分が、俺の中に同居していた。 時間が経つにつれて肥大してくのは、やはり、後者の思考だった。 だって、冷静に考えてみろよ。おかしいだろ。 あの気位が高くて、自分の恥部を晒すことを何より厭う俺の妹が、 常日頃から『嫌い』と公言している兄貴に向けた手紙を、当の本人に読ませてるんだぜ? 賭けてもいい。これには絶対裏がある……。 「兄貴、お風呂入れといたから」 「あ、ああ。ありがとな。こっちも今終わったところだ」 手の水気をタオルで拭き取り、桐乃と向き合う。 湯船がいっぱいになるまで、20分。 普段なら銘々の部屋にいき、別々の時間を過ごすところだが――指先に髪を巻き付けながら、桐乃が言った。 「あんたの部屋行こ。……手紙、まだたくさん残ってるでしょ?」 階段を上がり、俺の部屋の前に来ると、 桐乃はこちらに向き直り、 「兄貴はしばらくここで待ってて。 良いって言うまで、入ってきちゃダメ。分かった?」 「別に構わねーけどさ……」 これ言うの二回目だが、ここ、俺の部屋だからな? なんで部屋主の俺が閉め出し食らってんの? 寒い廊下で待たされること数分、 「いいよ」 部屋に入ると、散らばった手紙の片付けでもしてくれているのかと思いきや、 惨状はそのまま、別段何か変わったというところも発見できなかった。 「何やってたんだ?」 「な、何だっていいじゃん。さ、次の手紙選んで」 と言われて、素直に従えるほど俺は単純でもなかった。 怪しい。桐乃が俺を閉め出している間に、何か細工をしたことは間違いない。 エロ本チェック……はねえか。お袋じゃあるまいし、そもそも桐乃はエロ本を見るのも嫌がるからな。 俺の部屋から何か持っていった……というのも考えがたい。 ここに桐乃が欲しがりそうな物はねえし、桐乃の性格を鑑みれば、 「これ貸して(=ちょうだい)」と正々堂々申し出てくるはずである。 となれば、残る可能性はひとつ。……桐乃は何かを仕込んだのだ。 俺は改めて、辺りを見渡した。 机の上、コンポの上、棚の中、ベッドの下と、一通り何か隠せそうなところを見てみたが、やはり、何かが増えた様子はない。 が、そのとき、頭の中に閃くものがあった。 昔の人は言いました。――木の葉を隠すなら森の中、と。 俺は立ち上がり、"森"を見下ろした。 すると、折り重なった手紙の合間に、ひとつ、真新しい色合いの便箋が混じっているのが分かった。 「なあ、この手紙って……」 「……………」 うつむき、前髪で表情を隠す桐乃。 覗いた耳が、見る間に赤く染まっていく。 俺は黙って便箋を拾った。 それはこれまで読んできたものと同じように、桐乃から俺に宛てられた手紙だった。 ただ、それを書いたのは小さなキリノではなく、現在の、目の前にいる桐乃だった。 『兄貴へ。 今まで、たくさん優しくしてくれて、ありがとう。 ワガママで、可愛くない妹で、ごめんなさい。 もう、一緒に過ごす時間が残りわずかなので、この手紙を書きました。 兄貴はあたしと喧嘩したキッカケを憶えてる? たぶん、忘れてると思うから言うね。 六年前、あたしと公園に出かけた兄貴は、あたしをひとりぼっちにして、男の友達とどこかに行ってしまいました。 あたしはそのとき、あたしが女の子だから、仲間はずれにされたと思ったの。 でも、兄貴はまなちゃんとは、それまでどおりに遊んでた。 どうして兄貴があたしを避けるのか、あたしには分からなかった。 兄貴に構ってもらえなくなったのが悲しくて、いつも公園に置いてきぼりにされることが悔しかった。 それで、あたしは、兄貴に嫌われるくらいなら、あたしの方から嫌いになってやろう、って思ったんだ。 きっと、あれが兄貴とした、初めての喧嘩だったよね。 それから、仲直りできないまま何年も過ぎて、 あたしは本気で兄貴から嫌われちゃったんだと思ってた。 だから、二年前、兄貴があたしの趣味を守ってくれたときは、本当に嬉しかったよ。 でも、あたしは素直になれなかった。 友達を作ってくれたり、アメリカに迎えに来てくれたり、 兄貴があたしのことを思ってくれてるのは、痛いほど分かるのに、あの頃のあたしに戻れなかった。 あの頃みたいな自分に戻れば、また兄貴に避けられちゃうんじゃないかって、怖かった。 結局、あたしは今でも、兄離れできていないんだと思う。 兄貴が妹離れした年になっても、それから三年経った今でも、 あたしの兄貴への気持ちは、小さいときから全然変わってないんだ。 兄貴のことを困らせたくないから、もう、あの頃のあたしには戻らないけど、 最後にひとつだけ、ワガママを聞いてください。 あたしと仲直りして。 桐乃より』 ――― ―― ― 『お前、妹つれてくんの?』 『ありえねー』 『ジャマになるからおいていこうぜー』 小学六年の夏休み。 公園に妹の手を引いて現れた俺を、友達は口を揃えて非難した。 俺は桐乃の手を離して言った。 『桐乃はここで待ってろ』 『どうしてぇ?キリノも、お兄ちゃんたちといっしょにあそぶ』 『ダメだ。後で迎えに来てやるから、良い子にしてな』 『やだ……キリノもいっしょにいくっ!キリノをひとりにしないでよぉ!』 友達は『泣いた、泣いた』と囃し立て、公園の出口に駆けだした。 俺はTシャツの裾をつまむ桐乃を振り払い、友達の後を追った。 『お兄ちゃんっ!』――桐乃の悲痛な泣き声に、必死で耳をふさぎながら。 その出来事以来、俺は妹を避けるようになった。 きっと、どうして俺がお守りをしなくちゃならないんだ、という苛立ちと、 妹に愛情を注ぐ姿を家族以外の誰かに見られることへの気恥ずかしさが、俺にそうさせていたんだろう。 『ねえ、どうしてお兄ちゃんは、キリノとあそんでくれないの?』 『キリノが女の子だからダメなの?』 『どうしてまなちゃんとはあそぶの?』 『お兄ちゃんは、せかいでいちばん、キリノのことがだいすきなんでしょ……?』 ――もういい。お兄ちゃんのことなんて、嫌い。 ある日、桐乃がポツリと漏らした一言は、深く俺の胸を抉った。 桐乃を公園にひとりぼっちにしてから、俺は散々、桐乃に嫌われるようなことをしてきた。 桐乃の心境の変化は、当たり前だ。 なのに、俺は心のどこかで、桐乃はいつまでも無条件で自分を慕ってくれると信じていた。 もしそのときに、『ごめんな、桐乃。もうお前のことを邪険に扱ったりしないから』と抱きしめていたら、 俺と桐乃の関係は、元の温かなものに戻っていたのかもしれない。 しかし俺は素直になれなかった。桐乃が言った『嫌い』の一言が、二の足に釘を刺していた。 一番言いたい言葉はいつしか、絶対に言えない言葉に変わっていった。 ――― ―― ― 自然に、唇が動いていた。 「ごめんな、桐乃」 「あたしの方こそ、ゴメン。 あの頃のあたしってさぁ、今から思い返してもちょっと引いちゃうくらい、お兄ちゃん子だったよね。 兄貴に依存しすぎてて、自分が兄貴の負担になってることにも、気づいてなかった」 「妹が兄貴に迷惑かけて、何が悪いんだよ」 悪かったのは俺の方だ。 友達に笑われるのが恥ずかしいから、 お守りをするのが面倒だから、妹をひとり置いてきぼりにした? 挙げ句、幼い桐乃に『嫌い』と言われていじけてたとくれば、当時の俺は百点満点の大バカ野郎だ。 助走をつけてぶん殴ってやりたいね。 俺はおそるおそる聞いてみた。 「お前は、あのとき俺がしたことを、もう、許してくれてるのか?」 桐乃はこくん、と頷いて、 「あのときの兄貴と同じ年になって、分かったんだ。 仲の良い友達ができて、やりたいことができて、 そんなときに妹に付きまとわれたら、鬱陶しいだろうな、って……」 「じゃあ、お前に人生相談されるまでの、冷戦期間は?」 俺が意地を張りつづけたばかりに、俺とお前の関係は、長いこと冷え切っていたんだぜ。 「アレは別に、兄貴だけのせいじゃなくない? 兄貴はあたしとの喧嘩が長引いた原因が、自分にあると思ってるのかもしれないケド……。 それを言うなら、あたしが素直になれなかったのも、喧嘩が長引いちゃった原因でしょ? あたしはさ……こうやって、兄貴と仲直りできて……それだけで良かったの」 嘘だ。こんな仲直りの儀式ひとつで、桐乃を苦しめた罪が、購えるワケがない。 小学三年生の夏から、中学二年の春まで。 俺と桐乃が初めて喧嘩した日から、俺が桐乃から人生相談を受けた日まで。 約五年間ものあいだ、俺は兄貴の仕事をほっぽり出して、妹と向き合うことを避けていた。 「どうすれば、埋め合わせができる?」 滑稽だ、という自覚はある。 とっくに自分を許している相手に、贖罪の方法を尋ねるなんてな。 桐乃はしばし黙考し、ふと口を開きかけ、喉元まで来ていた言葉を飲み込んだ。 「なんだ?」 「う、ううん……やっぱり、やめとく」 「遠慮すんな。できる限りのことはするつもりだぞ」 「ほ、ホントに何もしなくていいから。 あたしも、兄貴と喧嘩してたときは、兄貴に何もしてあげられなかったワケだし……」 「兄貴と妹じゃ、責任の重みが違うんだよ。ほら、言ってみ」 「…………」 それから、長い沈黙があり。 やがて、桐乃は窓外の木枯らしにも負けそうなほど小さな声で言った。 「今日一日だけ……あの頃みたいに甘えてもいい?」 妹萌えは二次の話だけ、三次で妹萌えとかありえねー。 ……そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。 俺はしどろもどろになりながら言った。 「あ、甘えてもいいかって……俺は何をすりゃあ……」 「兄貴は何もしなくていいから」 桐乃は四つん這いで距離を詰め、ちょこんと俺の隣に座った。 「そのままじっとしてて」 と言いつつ、頭を俺の肩に乗せてくる。 ああ、そういや昔はこうしてよく、二人でテレビを見ていたっけ。 映画を観ながら眠ってしまった桐乃を、何度寝室に運んでやったことか……。 「ねえ、兄貴……あたしが今、兄貴のコトとどう思ってるかは、手紙に書いたとおりだケド……。 兄貴はあたしのこと、どう思ってるの?」 「俺も、お前と同じだよ。 お前は手紙に、俺が妹離れしたって書いてたけど、あれは間違ってる。 俺はまだまだお前のことが心配で、ほっとけなくて……その……アレだ」 「アレ?」 ここで、俺は皆さんに深いお詫びをしなければならない。 今まで散々、妹のことが大ッキレーだの、ムカツクだの言ってきたが、ありゃ嘘だ。 俺は言った。 「……大好きだぞ、桐乃」 ああ、近場に鏡がなくて助かった。 今の俺の顔面は、直視に堪えないレベルに成りはてていただろうからな。 そして、昨日までの桐乃なら 「自分からシスコン宣言するとか超キモいんですケドぉ~。 真顔で妹に『大好き』とかマジ通報レベルだしィ。死んだ方がいいよ?」 と容赦なく罵声を浴びせかけてくるところが、今日に限っては、嬉しそうにクスッと笑い、 「……あたしも」 と囁きかけてくるデレっぷりである。 それから他愛もない会話を続けること数分、 階下から、湯船がいっぱいになったことを知らせる音が聞こえてきた。 身を離し、「桐乃から先に入れよ」と言いかけたところで、何かを期待するような碧眼に射貫かれる。 脳裏を過ぎるは、桐乃に背中を流してもらった思い出の数々。 いや、さすがにそれはマズくね? いくら兄妹でも、立派に成長した女の裸見て、冷静でいられる自信はねえ。 俺は咄嗟に、階下からの音が聞こえなかったフリをして尋ねた。 「手紙に書いてあった、『一緒に過ごす時間が残りわずか』ってのは、どういう意味なんだ?」 俺は続けて訊いた。 「スポーツ留学に再挑戦するのか? それとも、エタナーの専属モデルの話を受けることにしたのか?」 「えっ……誰から聞いたの、そんな話?」 呆気にとられた様子の桐乃。 どうやら両方とも違うらしく、俺に、その二つ以外の心当たりはない。 「じゃあ、何のために家を出るんだよ?」 と言うと、桐乃は目をぱちくりさせて、 「ちょ、ちょっと待って。なんであたしが家を出るって勝手に決めつけてるワケ? てゆうか、家を出るのは兄貴でしょ? 大学入ったら、家を出て一人暮らしするって、この前お母さんと話してたじゃん」 「お前、盗み聞きしてたのか?」 「リビングに入ろうとしたら、聞こえてきたのっ」 そこでドアに聞き耳を立てるのが、世間では盗み聞きという。 俺は勘違いしているらしい妹に、事の顛末を聞かせてやった。 「結論から言うと、俺が一人暮らしする話はナシになったんだよ。 親父に、そんな贅沢をさせる金はない、ってバッサリ切り捨てられちまってさ」 「じゃあ……」 「春からも、俺は家から大学に通う」 ぽかんと口を開けたままフリーズした桐乃を余所に、俺はあやせの ――『桐乃と過ごす時間を、大切にしてあげてください』―― という言葉を思い出していた。 あやせはきっと、麻奈実から『俺が一人暮らしするかもしれない』という話を聞かされて、それを鵜呑みにしたんだろう。 一人暮らしの話が御破算になったのはつい昨日のことだ。 食い違いは避けようがなかった。 掠れた声で、桐乃は訊いてきた。 「じゃあ、朝、部屋を片付けてたのは……?」 「ただの模様替えだ」 「最近、料理を練習してたのは……?」 「友達に、料理が上手い男はモテるって言われてな」 俺は朝、桐乃が俺の部屋に入ってきた場面と、夕食の場面を思い出す。 そういえば、部屋の模様替えに奮闘している俺を見て、 料理のレパートリーを増やそうとしている、という俺の話を聞いて、桐乃は機嫌を損ねていっけな。 あのときは何が不愉快なのか、見当もつかなかったが……。 「もしかしてお前、模様替えを引っ越す準備と、料理の練習を自炊の訓練と勘違いしてたのか?」 桐乃は首筋まで肌を赤く染めて、コクリと頷く。 「でも、結果的には、勘違いしてよかったのカモ」 「なんでだ?」 「こんな風に追い込まれなきゃ、あたし、兄貴に昔の手紙を見せようなんて思わなかった。 手紙を読み返しているうちに、小さい頃のこと……喧嘩の理由を兄貴が思い出して、 自然に仲直りできたらいいなって……それが、兄貴に手紙を見せた理由」 「そうだったのか……でも結局、俺が思い出せたのは、今のお前が手紙を書いてくれたお陰だよな」 「あ、あれは、兄貴が全然肝心なコト思い出してくれなかったから、仕方なく!」 桐乃が俺の腕に抱きつき、こちらを見上げて八重歯を剥く。 その仕草がぴったりと、幼少の桐乃と重なり、 俺もつい、あの頃と同じように、ふっくらした頬を親指の腹で撫でてやる。 いつまでも、こんな時間が続けばいいと思った。 が、階下から響く二度目のコールサインが、兄妹団欒の空気を破った。 「あっ、お風呂わいたみたい」 「お、おう、そうみたいだな……」 なあ、桐乃。 さっき、今日一日限りであの頃の俺たちに戻る、とは言ったが、 さすがにこの年で、風呂に一緒に入るのは……。 「ねえ、久しぶりに、背中流してあげよっか?」 ああ、この純真無垢な問いかけに、どうして邪念を言い訳にして首を横に振れようか? 結局――その夜、俺は実に六年ぶりに妹と同じ湯を浴び、同じ布団で眠った。 その間、どんなやりとりがあったかは想像にお任せするが、 断じて妹に手を出すような真似はしなかった、と言っておく。 散々妹のことが嫌いだと断っておきながら、ついさっき妹に「大好きだ」と宣言した俺が言っても、信憑性は皆無だろうけどさ。 さて、一応この話にはオチがある。 翌朝、俺たちは派手に寝坊した。 理由は単純、桐乃は久々に俺と一緒に寝たことで熟睡し、 俺は隣に桐乃がいることで深夜まで寝付けなかったからであり、 結果として俺たちの同衾風景は、午前中に帰宅したお袋と親父に、バッチリ目撃されることになった。 そして今、俺がどんな状況に立たされているかというと……。 「京介」 親父はハンカチで目元を拭うお袋を横目に据えつつ、悲しみに暮れた調子で言った。 「俺は真剣に、お前の一人暮らしを考えることにした」 おしまい!
https://w.atwiki.jp/sorasouyo/pages/253.html
685 代打名無し@実況は野球ch板で 2009/09/15(火) 10 21 02 ID MTpadxZvO デイリー『岡田の法則』より もうだから(新作どん語が)豊作やろって言うてんねん! 阪神は3位に上がり、クライマックスシリーズ進出の可能性が高まってきた。 とはいえ4位ヤクルトとは0.5差、5位の広島と1.5差でまだまだ予断を許さない状況だ。 本紙客員評論家・岡田彰布氏(51)は15日からの9連戦で一気に突き放すことを求めた。 (本日もゴルフとのことで約束の3時すぎに携帯へ電話。 本紙改発編集局長も一緒と言ってたが、一応前振りとして聞く) ― 今日は調子のほう、どないでした? 「まあまあよ」 ― なるほどです。で早速、阪神ですが、やっとヤクルトを抜きました。 もう追いついたら勝ち、と言うてはりましたが? 「いやもうこれでこっからは絶対抜かれたらあかんよ。パーンともう一気に行かんとな」 ― 確かにヤクルトも広島もまだまだチャンス十分のゲーム差です。 「うん、だから相手をどっちも早よあきらめささんと。ほんま(15日からの)9連戦が勝負よ。 ヤクルトにしても後ろ(林昌勇)が戻ってくるやろ。 ずっと連敗してるけど、1つでも2つでも勝ったら立て直すゆうか、今までみたいなことはないゆう あれになってくるかも分からんしな」 686 代打名無し@実況は野球ch板で 2009/09/15(火) 10 22 58 ID MTpadxZvO ― それほどクローザーが戻ると大きいと? 「そら、ちゃうちゃう。 ヤクルトからしたらそれでもう一回抜き返したりしたら、ごっついやる気なってきよるしな。 ゆうても1ゲームとか1.5でももう全然差ないんと一緒やからな」 ― 赤星の離脱は痛すぎますが、だれかポイントになる選手いますか? 「いやカギはもうみんなよ。もうこっからはだれがどうとかやなしに日替わりヒーローでええよ。 直接対戦とか、相手は見たりせんでええし、もうどこに勝っても一緒よ。 ほんで何とか残りを14勝6敗でいって貯金つくることよ。 だから先発はもう岩田や能見も中4日でいったらええねん。十分いかしてええよ」 687 代打名無し@実況は野球ch板で 2009/09/15(火) 10 24 31 ID MTpadxZvO ― なるほどです。 「うおうよ」 ― えっ? 「ちっ、だからうおうって言うてんねん!」 ― もっと分かりませんが、あっ、えっまさか、でもそうか、 やっぱり野手では、か…葛城がポイントになってくると? 「ちゃうやろ。もうほんまお前はいっつも全部説明せな分からんやっちゃな。 ゴルフぼろぼろでまた右行って左行って 右往左往しとったって言うてんねん、局長は!」 ― そんなん分かるやつ絶対いませ…います。 はっ、なるほどです。 ★まあまあよ ★パーンともう一気に行かんとな ★そら、ちゃうちゃう ★うおうよ ★ちっ、だからうおうって言うてんねん! ★ほんまお前はいっつも全部説明せな分からんやっちゃな。 ★右往左往しとったって言うてんねん、局長は! 688 代打名無し@実況は野球ch板で 2009/09/15(火) 10 34 13 ID 8pDcB+OJ0 法則デイリーちゃんは毎週何よ?(乙) それにしても ★うおうよ ★ぞうよ ★うろこよ この破壊力はエグいよ。 おお、もう・・・ 707 代打名無し@実況は野球ch板で sage 2009/09/15(火) 14 17 23 ID YbhbjFnP0 ★うん、だから相手をどっちも早よあきらめささんと。 ★ヤクルトからしたらそれでもう一回抜き返したりしたら、ごっついやる気なってきよるしな。 ★直接対戦とか、相手は見たりせんでええし、もうどこに勝っても一緒よ。 ★だから先発はもう岩田や能見も中4日でいったらええねん。十分いかしてええよ ★ゴルフぼろぼろでまた右行って左行って右往左往しとったって言うてんねん、局長は! ☆もっと分かりませんが、あっ、えっまさか、でもそうか、やっぱり野手では、か…葛城がポイントになってくると? ☆そんなん分かるやつ絶対いませ…います。