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季節は夏、それはバカンスである。 鏡の前に無防備に座ったゼシカは、その両手にそれぞれ色違いの小さな布キレを持っていた。 それはよく見ると、紐やらレースやらが付いている水着だということがわかる。 彼女は鏡にそれを宛がったり、覗き込んだり、真剣な顔つきで審美しているようだ。 そこでノックの音がするが、ゼシカは全く気が付かない。 「うっす、もう着替えたか?」 ノックから少し経ってククールが扉を開けて入ってきた。ゼシカに用事があるらしい。 「それがまだなのよ」 彼女はククールが部屋に入ってきてから一度も鏡から目をそらしていない。 「そうか、手が空いてたら日焼け止め塗ってもらおうと思ったんだ。ほら、オレの美しい身体が焼けたら困るだろ?」 「んーどっちにしよう…」 彼女はまだ吟味しているようで、その言葉はすっかり耳に届いていないようだ。 「水着が決まらないのか」 無視に耐えかねゼシカの顔をひょいと覗き込むと、ククールはその手から水着をすっと抜いた。 もう!と抗議の声が聞こえるが、曖昧に返しておく。 「どうかな、スポーツ系の可愛いのと、ちっちゃい感じのビキニなんだけど」 どうやらコメントを求めているようだ。 「どっちがスポーツでどっちがちっちゃいんだ??」 ククールもいくら女性に詳しくてもこの見分けは付かなかった。 「紐が付いてるのがビキニの方なの」 ゼシカはククールの右手に下がっていた黒い布を引く。 正直、露出が高ければ高いほど嬉しいのだが。この両者には布の面積に差異はなさそうだ。 どんな格好で泳いで欲しいだろうか。彼はそれを考えて結論を導き出そうとする。数秒経つ。 「そうだな………髪ブラか手ブラなんてどうかな」 ククールは布を手から下げつつ真面目な顔で言った。 「か…みぶら…? こっ、この馬鹿男お!!!」 肩を強かに打たれたククールは少しよろめく。 「あーもう早く決めないと日が暮れるぅ~」 どうやら癖のようだが、ゼシカは頭を抱えるとき結った髪の付け根を掴む。 そのまま頭を揺らす動作は子供っぽくてかわいいなあ、とぼんやり見ているククールだった。 それはバカンス、そしてロマンスである。
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「おかしなくすり3」途中からの別パターンです。正直納得いってない出来だったので、当初「ククに余裕がありすぎる」という理由で没になった展開を元に再構築してみた。しつこくてすみません。自己満を喜んでいただけてるだけで本当に感謝。そしてどなたか続きを…ッ ☆☆☆ククールはピッタリと閉じ合わされたゼシカの膝を左右に強引に割った。ゼシカが混乱しつつも羞恥におののくのがわかる。何もかもが隠すことを許されず剥き出しで、男の視界に晒される。性感を得るのもはじめてなはずなのに、異常とも言えるほど濡れそぼっている身体の中心。ゼシカは足を広げられ、はじめてそれを実感させられた。卑猥な音すらさせて蠢くソコが、なぜこんなに濡れているのか理解できない。―――ただ、晒されたこの場所を意識した瞬間、欲望の根源をそこにはっきりと感じた。「―――ッッ!!!!ククール…ッッ!!!!」「触って、ちゃんとオレに教えて」すがる声は残酷に跳ね返される。体中を狂ったように駆ける欲に羞恥心が一瞬の抵抗を試みる、が。ゼシカが躊躇した時間はほとんどなかった。それほどに高められた性欲は強烈にゼシカを追い立てた。やがてブルブルと震える指先が自らの下半身に伸び、「なぜか」水を零したように濡れているその箇所に、下着の上からおそるおそる触れた。といっても、羽根が落ちるほどそっとであるが。湿った感触と冷たさがリアルに伝わり、ゼシカはわけがわからず困惑の極限に達する。「やっ、だ、ナニコレ、やだ、もう、わかんな…ッ!ねぇおねがいクク…わたし、ここ… ここが、……ッッ! ねぇおねが…おねがい…ッ、ククール…!!」ここに さわって、と。ハァハァと激しく繰り返される息の合間に囁かれたあからさまな「おねがい」。これだけの大きさを誇りながら桁外れに高い感度を擁し、中途半端に脱がされた上着から溢れんばかりに零れて主張している両の乳房は、ククールが散々施した愛撫によって濡れ、光り、硬く膨れて切なげに揺れている。片手は頭の横に突かれたククールの腕にからみ、もう片手は怯えるように自らの秘部に触れ。そして自分を蹂躙している男に、さらに淫らな行為をねだり…―――これだけの痴態をさらしても、ゼシカの表情は完全なる処女のそれだった。感じすぎる快楽を苦痛にすら感じ、顰められる眉。はじめての性感に戸惑い泣きぬれる瞳。開きっぱなしで、もはや喘ぎも唾液も飲み込むことのできない小さな口唇からは、何度 たすけて、と聞いただろう。常に指先はすがるようにククールにしがみつき。――――――今なら引き返せるぜククールの脳内をほんの刹那、そんな言葉がかすめた。――――――黙れその一言で、わずかに残っていた罪の意識を、ククールは完全に脳内から締め出す。ここまできて。ここまでしておいて、今さら引き返せるものか。ただの女じゃない。「ゼシカ」だ。歯止めなんか、きくわけがない。おかしくなってるのはゼシカだけじゃない。オレだってもう、狂いそうなんだ。普通じゃないんだ。オレも、ゼシカも。何かがおかしいんだ。だから…そんな免罪符が浮かんで、消えた。 ククールはゼシカの指先に自分の指を重ね、濡れそぼり透き通っている布の上から、柔らかくふくらむその中心に互いの指をグッと埋めた。「イヤァッ!!!」「おま…濡れすぎ…」ククールはゴクリと唾を飲み込みながら、口唇を歪めた。待っていたように泉がさらに湧き出すのがわかる。触れるのもはじめてのその場所に襲い来るはじめての感覚に、ゼシカは小さな頂点を何度も迎えてしまう。「ああっ!!!はっ…あっ、アッ、アッ…!!!!」布の隙間から指を忍び込ませ直接触れるが、もうゼシカにはそんなことを意識している余裕などまったくない。ククールはもはや邪魔なだけの下着を思わず力任せに破り取ってしまった。そこに再びゼシカ自身の指を触れさせると、ビクッと硬直する。「…ッ、………触れよ…好きなだけ」耳元で囁くとキツく閉じられた瞳から涙がこぼれた。それでも、拒否しない。白い指先はこわごわと赤くなった入口を行き来するだけだが、ゼシカ自身もククールも、それだけで十分すぎるほど興奮した。ククールの指が一向に動き出さないことに、ゼシカが再びねだる甘い声をあげる。「ねぇ…っ、クク、クク、も…ッ、おねがい、ククール、も…」「…オレ、も?」「こんなんじゃイヤ…ぜんぜん…たりな…」「…どうして、ほしい?」「さわって…」睦言を交わしながら徐々に身をかがめ、ククールはゼシカの口唇をふさいだ。指先は、望みどおりに奥深くへと侵入しながら。蠢く内壁は狭く、それでも生まれてはじめての異物を取り込もうと貪欲に収縮を繰り返す。中を探りながらすでに主張している突起も嬲りその都度、ふさがれた口唇の間でゼシカが喘ぎを押し殺すのがわかる。エロいキス。はじめてのくせになんて妖艶に男を誘うエロい舌。無意識のくせになんてエロい。ククールは自分がもう完全に彼女の虜になっていることを自覚した。こんなゼシカを誰が知るだろうか?オレだけだ。この世でオレだけが知っている淫乱なゼシカの正体。絶対に、誰にも教えない。他の男になんて死んでも見せるものか。今夜、オレの前でだけ、その本性をすべてさらけ出せばいい。 指を3本にまで増やして突き上げながら、顔をわずかに離して溶けきっている表情をうかがう。「…ゼシカ」「はぁ…ぅん、あん、あ…ん、ククール…」「ゼシカ…」その無垢で淫乱なかわいい顔に、逆らえず吸い込まれるようにまた口づけ。「足りる…?」「んふ、ん、クク、あ、アッ、あ…」ゼシカは喘ぎながら、首をプルプルと小さく横に振る。「たりな…ッ、だめ、まだ、わたし…こんなんじゃ、たりないの…っっ!!」どうしたらいいの、と問う瞳は、際限のない快楽への恐怖。与えられても与えられても、まったく満たされることのない耐えられないほどの疼き。今、ゼシカにとって自分を助けてくれるのはククールだけだった。ククールなら私を救ってくれる。絶対に。だから、羞恥など投げ捨てて心のままに縋りつける。――――――どうにかして、と「ククール…おねがい…」ゼシカは泣いた。満たされない欲望に対する徹底的なナニカが欲しくて。「も…っと…」「…もっと?」「もっと…して…」「…なにを?」「わか、んな…ッ」いじわるしないで。そんなめでみつめないで。「もっと、して…もっと、もっと、もっと…」――――――ククールの好きなようにしてそれがきっとわたしのよくぼうでもあるから次の瞬間、ゼシカの両足は高く持ち上げられさらに開かされ、それにゼシカが身構える間もなくあまりにも性急に、ククールは潤みきったその場所に己を一度に埋めた。尾を引くのは苦痛ではなく、むしろ苦痛に勝さる快感に喘ぐ高い悲鳴。優しさや気遣いのない激しい突き上げにも、ゼシカの身体は悦び、さらに もっと、と求めた。完全に箍のはずれたククールに、その囁きはまさに媚薬だった。今この瞬間、お互いが満たされるためだけに行われたこの行為が、どれほど罪深いものなのか。少なくとも男にはわかっていた。しかし、留まることなど、もう互いにできるはずもなかった。―――――自分の本当の気持ちに気づいてしまったから
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クラビウス王が公式にエイトをミーティア姫の許嫁だと認め、チャゴス王子との婚約が白紙となった段階で、近衛隊長のエイトがトロデーン王家に婿入りするであろう事は公然の事実として世に広まっていた。 しかし、そこから先に話は進んではいなかった。 当のエイトが、婚儀を執り行うには時期尚早であろうとトロデ王に進言をしたのである。 自分はサザンビーク王家の血を引く者であっても、その王子として育ってきたわけではない。 なりゆきで近衛隊長の肩書きを戴きはしたが、茨の呪いで時を止められていたトロデーン国民にこの昇格は青天の霹靂であろうし、どうあれ自分は一介の家臣にすぎない。 王位継承者たるミーティア姫の夫となるには、世間の誰もが認める「何か」が必要でありましょう、と。 「おぬしは…暗黒神を滅した英雄、というだけでは物足りないと申すか?」 トロデ王の問いにエイトは頷き、話を続けた。 「竜神族の里に参りました折に、竜の試練なるものがあると聞き及びました。つきましては、仲間と共にその試練に挑みたく存じます」 「なるほどのぅ」 「竜の試練を完遂致しました暁には、国王陛下と内親王殿下のもとに改めてご挨拶に伺わせていただきます」 こうして、暗黒神を倒した後も四人の英雄達は、竜の試練の為に日を決めてトロデーン城へと集う事になっていた。 「ミーティア姫も色々と振り回されて大変よね」 ゼシカはミーティア姫の部屋を訪れていた。 ミーティアが、ゼシカがトロデーンを訪問した際には是非とも自分の部屋を訪ねて欲しい、と希望していたのだ。 同じ年頃である二人の話は尽きることがない。 竜の試練についての話に始まり、美容のこと、美味しいお菓子のこと、面白かった本のこと、市井で流行しているもののこと。 そして、恋愛の話。 「呪いが解けてからも、確かに色々ありましたけれども」 ミーティアはピアノを弾く手を止め、話を続けた。 「今はエイトが納得できる時まで待っていればいいんですもの。辛くはありませんのよ」 「そっか。それなら良かったわ」 そう答えるゼシカの表情がほんの僅かばかり曇ったのをミーティアは見逃さなかった。 「…もしかして、ククールさんと何かありましたの?」 ゼシカはハッとした後、苦笑して顔の前で手をひらひらとさせた。 「まぁ…いつもの事だわ」 「いつもの事って…」 「こちらに来る時に何となく窓から中庭を見たら、ククールがまた女の子に言い寄っているのが見えたの」 「まぁ!そんなことが…」 ミーティアは大きな目を見開く。 「ククールさんらしいと言えばいいのかしらね」 そう言ってクスクスと笑い始めた。 「姫様ぁ、笑うなんてひどい!」 ゼシカは頬を膨らませて抗議する。 「それでそれで?」 ゼシカの抗議にも関わらず、ミーティアは瞳を輝かせながら話の続きを促した。 「…それだけ」 「あら、メラゾーマとかはなさらなかったの?」 ミーティアはさらりととんでもない事を口走る。 「さすがに三階からは距離が…って、いや、そんなことじゃなくって」 ゼシカは自らの発言に突っ込みを入れてから話を続けた。 「えっと…最近、何だかそっけない感じがするの。そのくせ他の女の子には変わらずあんな風で…」 「寂しいのでしょう?」 …図星だった。 ゼシカは驚いてミーティアを見、直後に視線を逸らして話を続けた。 「旅してた時は結構親しくなれたかもって感じてたんだけど、それって私の思い込みだったのかな?なんて思うの…」 「喧嘩したわけではないのでしょう?」 こくっ、と、ゼシカは無言で頷く。 「それなら大丈夫だと思いますわ」 ミーティアは自信ありげに微笑んでそう言った。 「わたくし、こう思うんですよ」 暫しの沈黙の後、ミーティアは語り始めた。 「ゼシカさんはきっと、ククールさんのプティのたまごなんだって」 「ブティのたまご?」 聞いた事のない言葉に、ゼシカは首を傾げた。 「ブティのたまごというのはね。ピアノの先生に教えていただいたのだけど」 ミーティアは右手の指を少し曲げ、掌でたまごを持つ動作をする。 そして瞳を閉じ、子供に語りかけるような口調で話し始めた。 「プティのたまごは見えないたまご。ピアノで素敵な曲を弾く為に無くてはならない、だいじなたまご」 見えないたまごを持ったミーティアの右手が鍵盤の上に置かれ、軽やかにメロディを紡ぎ始めた。 「でもブティのたまごはとっても壊れやすいの。だいじにしていないと、すぐに壊れて消えてしまうの」 ミーティアはわざと指を延ばし、たまごの形を潰して曲を弾き続ける。 それは同じ曲のはずなのに、まるで違う曲に聞こえた。 「いつでも素敵な曲を弾けるように、プティのたまごはだいじにしましょう」 再びたまごを持つ形となった手で、ミーティアは曲を締めくくった。 「わたくし、ずっと見ておりましたのよ」 ミーティアはゼシカの方に向き直り、話し続けた。 「馬の姿で旅をしていた時、わたくしは皆さんの姿を後ろから見ておりました」 「姫様…」 「ククールさんが他の女性と歩かれているところをわたくしも何度か拝見したことがありますけど、いつもククールさんが先を歩かれて女性が後を追っている状態でした」 「そうなの?気にしたこともなかったわ」 ゼシカは目を丸くしてミーティアの話に耳を傾ける。 「今度はメラを我慢して、気をつけて御覧になるといいわ」 「今度って…。あんまり何度も見たくは無いんだけど」 苦笑するゼシカを見てミーティアはクスクスと笑った。 「でもね。ゼシカさんだけは違っていたの」 「えっ?」 「いつの頃からか、ククールさんはいつもゼシカさんの左側にいらっしゃるようになりました。歩く時も、戦っている時も。何故だかわかります?」 ゼシカは首を横に振る。 これも気にしたことがなかった。そして、何故だかも分からなかった。 「ククールさんは剣を左手でお使いになりますからね」 「!!」 ハッとするゼシカを見て、ミーティアは微笑んだ。 「ククールさんはゼシカさんの騎士ですよ」 「…あ…!」 ゼシカの脳裏に、ククールが幾度となく言っていた言葉が鮮やかに蘇る。 「ほ…本当…だったのね…あの言葉……」 途切れる言葉とは対照的に、ゼシカの瞳からはとめどない涙が溢れていた。 (…バカね……私…ほんとに……) 涙は雪解けの清流のように清々しく、ゼシカの心を潤していった。 「そしてゼシカさんはプティのたまごなの」 暫しの沈黙の後、ミーティアは再び語り始めた。 「とっても壊れやすい、でも失ってはいけない、だいじなだいじなプティのたまご」 ゼシカは溢れる涙をハンカチで拭う。 「ククールさんは、この先ゼシカさんとどう接して行けばいいのかをじっくり考えているのだと思うの」 ミーティアはピアノの椅子から立ち上がり、ゼシカの側に座り直した。 「竜の試練が終わる時を、わたくしとっても楽しみにしてますのよ」 やや冷めたであろう卓上のお茶をミーティアは口にする。 「エイトのことももちろんですけど、終えた時に皆さんがどう変わられるのかが、とっても楽しみ」 微笑みながら言うミーティアに、ゼシカも釣られて笑みを見せた。 どうにも涙が止まらないので泣き笑いの状態ではあったが。 「私も、楽しみになってきたかも…」 照れ笑いをするゼシカを見て、ミーティアは満足げに微笑んだ。 翌日。 何度目かの竜の試練を受ける為に、一行は竜神族の里から天の祭壇を目指していた。 エイトを先頭に、いつも通りの陣形で歩を進める。 (ほんと…ミーティア姫の言っていた通りだわ) ゼシカは自分の左側を付かず離れずの距離で歩くククールを見て、ミーティアの観察力に脱帽した。 移動中の何度目かの戦闘の後、ゼシカは試しにククールの左側に立ってみた。すると…。 「どうしたゼシカ?」 歩き始めてすぐククールに問われてしまった。 「えっ?別にどうもしないけど、何?」 ククールのあまりの反応の早さに驚いてしまったゼシカは、つとめて何でもないフリを装う。 「わりぃけど、そっちにいられるとなんか調子狂っちまう。いつも通りにこっちを歩いてくれよ」 そう言いながらククールはゼシカの肩に手を添え、ゼシカを自分の右側に移動させた。 「いつも通り…ね」 ゼシカは満足げに「いつも通り」という言葉を噛み締めた。嬉しさのあまり笑みがこぼれる。 「うふふ」 「なっ…何だよ?」 「何でもなーい」 ゼシカはクスクスと笑いながら再び歩き始めた。 「ミーティア姫にね、昨日言われたの」 歩きながらゼシカはククールに語り始めた。 「姫様が言うには、私はククールのブティのたまごなんだって」 ミーティアの話がすっかりお気に入りになってしまったゼシカは、ニコニコしながら得意げに話す。 それを聞いたククールは神妙な表情を浮かべ、沈黙してしまった。 (「何だそれ?」って聞いてくる?それともこのまま?どちらにしても、この話は姫様と私の秘密だけどね。ふふ…) 横目でククールの様子を観察しながら、ゼシカはその反応を楽しむつもりだった。 それで終わらせるつもりだったのだが……。 「参ったな…。姫様も上手い例えをするもんだ」 ククールはそう言いながら、右手で髪をぐしゃぐしゃとかき回した。 「えっ……」 今何て言った?と驚いてゼシカがククールを見やると、手に隠れていてその表情は伺えなかったが、耳が真っ赤になっていた。 (まさか……!!) 絶句するゼシカの顔は既に真っ赤に染まってしまっていた。 ククールは暫くの間黙っていたが、やがてゆっくりと話し始めた。 「それ…さ。ガキの頃、修道院でオルガンやらされた時に言われた…」 「うそ……知って…たん…だ」 動揺したゼシカはその一言を絞り出すのがやっとだった。 「プティのたまごは素敵な曲を弾く為に無くてはならない、壊れやすいだいじなたまご……だろ?」 こんな展開になろうとは、ミーティアも予想してはいなかっただろう。 運命の女神の気まぐれにも程があるというものだ。 「おーい、ゼシカ!ククール!ちょっと間隔あけすぎてるよ!!」 はるか前方からエイトが大声で呼び掛けてきた。 ゼシカとククールはハッとしてエイトを見、照れ笑いを交わした後に駆け出した。 「僕のわがままにみんなを付き合わせて悪いと思ってるけど、もう少しだけ頼むね」 済まなそうに言うエイトに、追い付いたククールはいつもの調子で応えた。 「おいおい、勘違いすんなよ。オレはお前の為に来てるんじゃねぇぜ?」 唖然とする三人にククールはにやりと笑って言い放った。 「オレがやりたいから来てるんだ。こんな機会、滅多にないだろ?」 「ククールらしい言い方でげすな」 そう言ってヤンガスが笑ったのを皮切りに、全員はその場で笑い出した。 「あとは、そうだな……これから素敵な曲を弾く為、かな」 「はぁ?」 ククールの言葉を受けて再び唖然とするエイトとヤンガスの脇で、ゼシカは一瞬驚いた後に微笑んだ。 さっきまでミーティアとの秘密の話の中の言葉だったはずのものが、いつの間にかククールとの秘密の言葉になっていた。 そういうのも、妙に心地のいいものだった。 いつもの青空が、より青く見えたのは気のせいだろうか。 水晶のように輝く不思議な階段を上りながら、ゼシカは思う。 これは、みんなの未来へと繋がる階段だ。 巨大な竜の頭蓋骨をくぐり抜けるところでククールは先に階段を数段飛び下り、振り向いた。 「お手をどうぞ、マイハニー」 「……バカ!」 そう言いながらもゼシカは、差し出されたククールの手に自らの手を委ねる。 見えないたまごの存在をその手に感じながら。 そして再びいつも通りの位置へと二人は戻る。 いつの間にか当たり前になっていた位置へ……。 一行はようやく頂上へと辿り着いた。 「みんな、今日もよろしく」 エイトが振り返り言うと、三人は不敵な笑みを浮かべて無言で頷く。 それは今まで幾度となく繰り返されてきた、強敵を前にした時の四人の英雄たちの儀式のようなものだった。 「さあ!行こうぜ!」 ククールの号令がその沈黙を破り、今日もまた天の祭壇の扉が開かれた。 ~ 終 ~
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ここまで心底驚いたような顔しなくても、いいと思うの。 『悩んでることがあるのなら、私に話して』 これって、そんなに珍しい言葉じゃないわよね。ククールがどれだけ私のことを子供だと思ってるか、改めて思い知らされるわ。 でも引き下がらないわよ。仲間が何かに悩んでるって気づいたのに、知らないフリなんて絶対にしないんだから。 本当に自分が恥ずかしいわ。 暗黒神に操られてからずっと、私一人が辛いような顔をしてた。 ククールは私にずっと優しくしてくれてた。 泣き言も全部聞いてくれて、体調も気遣ってくれて、いろんなことから庇ってくれた。 今日だって先回りして、ラジュさんたちにチェルスの死の理由を説明してくれた。私がそのことで辛い思いをしないようにって。 私のこと、ずっと守ってくれてた。 そして私はそのことに甘え続けてきた。 だから気づかなかったのよ、私がこの頃感じていた不安の理由。 ククールがどこかに消えて、いなくなってしまうんじゃないかって怖かった。 だけどそれは自分の心が弱いからだと思い込んでた。ククールに頼りすぎてるから、彼がいなくなってしまうことを恐れてるだけだって。だからチェルスのことからも逃げずに、しっかりしようと思った。 自分のことしか考えてなかったんだわ。 今だって、ククールを心配して探しに来たんじゃない。目を覚ましたらククールの姿が見えなくて、おまけにアークデーモンに見張られてるみたいで私が心細くなったから、こうして起き出してきちゃったのよ。 そしてここでククールの姿を見つけて、その様子を見ていてやっと気づけた。彼が何かに悩んでイライラしてるってことに。 だから私までつられて不安になってたんだって。 ククールが私をあてにしてくれない事を不満に思うのは間違ってた。 子供扱いされて当たり前よ。悩みなんて打ち明けられるわけないじゃない。こんな自分のことで精一杯の私なんかに。 ククールは考え込んじゃって、何も言ってくれない。 いつだってポーカーフェイスで、自分で見せてもいいと思ってる部分しか見せてくれない人だから。 文句が多いようで、本当に辛いことは口に出してくれない。自分の中で処理してしまおうとする。 そりゃあ私は頼りにならないかもしれないけど、信じてもらえてないのかと思うと、寂しくて悲しくなる。 「・・・自分でも、どう解釈すればいいかわかってねえし、かなり回りくどい話し方になると思うけど・・・短気おこさずに聞いてくれるか?」 ククールのその口調から、何だか大変そうな話だってことは伝わる。だけど私に話してくれるのよね? でも私ってそんなに短気に見えるの? まあいいわ、今は話を聞くのが先よ。私は無言で頷いた。 「オレ、蘇生呪文習得したかもしれない」 ・・・蘇生呪文って、ザオラル? そんなのずっと前から使えてたわよね? でも今更、意味もなくそんなこと言うとは思えない。・・・ということは、違う呪文? 「まさか、ザオリク?」 自分で口に出しておいて、バカなこと言ったと思った。 だってザオリクって完全死者蘇生呪文よ? 何百年も前、それこそ賢者の時代には使える人もいたって書いてある本はあるけど、半分おとぎ話のようなもので、そんな呪文が本当にあったなんて信じてる人、多分いないわ。 死んでしまった人が生き返ったりするはずないじゃない。そんな魔法が本当にあるなら、誰も大切な人を失って悲しい思いすることも無いのに・・・。 「さすがゼシカ、知ってたか。話が早くて助かった」 なのに、ククールはあっさりと私の言葉を肯定した。 私は今の話をどう受け取っていいのか、わからない。 「・・・やっぱり、信じられないか?」 困ったような、寂しそうなククールの声。 私は慌てて首を横に振る。 「信じるわよ、決まってるじゃない」 ククールは涼しい顔して嘘つくし、軽口ばっかり叩いてるけど、こんなことで嘘や冗談は言わない。 命が失われる痛みは、誰よりもよく知っている人だから。 だったら、どんなに信じられない話でも、信じるしかないわ。 不意に手をとられた。あんまりスムーズな動きなんで、何をするつもりなのか疑問に思う 間もなく、顔の位置まで上げられる。 そしてククールの唇が、私の手の甲へと当てられた。 一気にその部分に全神経が集中する。身体が固まってしまう。 「ありがとな、ゼシカ」 その声も瞳も穏やかで、下心なんて微塵も感じさせない。 ククールは、ただ感謝の意を示しただけなのよね。やり方がキザってだけで。 暗くて良かった。きっと私、赤くなっちゃってると思う。この程度のことで動揺してるのには気づかれたくないわ。 「で、ここからが困ったとこなんだけど、どうやら、その呪文は使えないらしい。唱えられないんだ」 話が続いてるんだけど、手をとられたままなことが気になって集中して聞けない。 こんなことじゃダメだわ。自分から話してって言っておいて失礼よ。 「唱えられないって、使ってみたことないの?」 確かに新しい呪文が使えるようになった時って感覚でわかるけど、大抵の場合は覚えた魔法は使ってみて、威力や効果を確かめてみる。 ああ、でも死者蘇生呪文ともなると、そう簡単に試してみるなんて出来ないわよね。他の呪文なら実験台になってあげてもいいけど、ザオリクの場合は死なないといけないから、ちょっと無理だわ。 ククールを信じないわけじゃないけど、ザオリクが伝えられてるような完全な蘇生呪文じゃなかったら困るもの。 「もちろん使ってみようとしたさ。でも出来なかった。さっき唱えられないって言ったけど、そういうレベルじゃないんだ。その言葉自体、口に出せない。呪文として唱えようとせずに普通に言おうとしても、喉にひっかかって声にならないんだ」 ・・・言葉の意味がわからない。 私だって当然ザオリクなんて使えないけど、声に出すくらいは出来る。 「それさえ無ければ、自分の願望から、ありもしない呪文を覚えたような思い込みに囚われたんだって解釈で済むんだが、声にも出せないなんて不可解すぎるんだよな。そんな話、聞いたことないしな」 私も聞いたことないわ。魔法に関する本はそれなりに読んできたつもりだけど、似た話すら見たことがない。 「そのくせ、何か魔法を使おうとすると、頭の中でその言葉が鳴り響きやがる。オレの使う呪文は博打性の強いのが多いから、呪文を唱える時に集中できないのは迷惑以外の何ものでもない。 初めは何か耳鳴りがする位にしか思ってなかったけど、段々頭の中の声がでかくなってきやがった。特にザオラル使う時なんて最低だな。ついうっかりザオ・・・」 ククールが顔をしかめる。さっき言ってたように言葉が喉につかえたみたい。 「・・・一応は、あてにならない呪文に頼って、使えない魔法を覚えたと思い込むほど落ちぶれちゃいないつもりだから、何かあるとは思うんだが、それが何かはわからない。ホント、ムカつくんだよな」 軽い調子で話してるけど、明らかにイライラしてるのがわかる。 それなのに私、つい思ったことを口に出してしまった。 「ククールって、賢者みたいよね」 ククールは面食らった顔して私を見る。 どうして私って、こうなんだろう。思った次の瞬間には、もう言葉にしてるのよ。 「だって普通、僧侶がルーラやマホカンタ覚えたりしないじゃない。その上、ザオリクでしょう? だから、ちょっとそう思っちゃったのよ」 慌てて言い訳めいたことを言ってしまう。 「確かに修道院でもルーラ使いは変わり種とは言われてたけど、オディロ院長だって使えてたぜ? 僧侶だからって絶対使えないってもんじゃねえんだろ」 「だって、オディロ院長は賢者の末裔じゃないの」 ・・・何だろう、今の言葉。自分で言ったことなのに、何かとても重要なことのような気がする。ククールも同じように感じたみたい。黙り込んで何か考えている。 でもククールはその考えを振り払うように頭を振って、いつもの調子に戻った。 「まあ、あれだ。オレが言いたかったのは、その言葉のせいで呪文を唱える時の集中力が落ちてるってことだ。だから回復のタイミングが遅れたりして、皆を危険に晒すかもしれない。 一応真面目にやってはいるんだが、そのことを踏まえてオレのことはあんまり当てにしないでほしい。 ほんとはもっと早く話しておくべきだったんだろうけど、例の言葉を使わずにどうやって説明するか考えてて遅くなった。悪かったよ。ゼシカが博識で助かった。エイトたちに話す時にも補足してくれると助かる」 ・・・ククールは本当に強い・・・。もっと早く話すべきだったって言葉は、それなりの時間、一人で抱え込んでたって意味になる。なのに全然気づかせてくれなかった。気づけなかった私が未熟だっただけかもしれないんだけど・・・。 それに、私なんてついさっきまで、ククールが私をあてにしてくれないことにスネてたのに、こんなにあっさりと『自分をあてにするな』なんて言い切っちゃう。誰に何と思われても揺るがない自分を持ってる人なんだ。 「私に、何か出来ることある?」 ククールが私にしてくれたようには出来ないかもしれない。でも、どんな小さなことでもいい。力になりたい。 再び手を持ち上げられて口づけられた。今度は指先。またまた私は硬直してしまう。 どうしてこの人、こんなこと恥ずかしげもなく出来るの? それとも意識しちゃう私がおかしいの? 「そうだな、ゼシカには楽しいこと考えててほしい」 ククールの言葉は意外すぎて、咄嗟に意味がわからなかった。 「身近な人間がイライラしてると、つられて不安になったりするだろ? オレの苛立ちがゼシカを巻き込んでたことは何となく気づいてた。 だから今度はゼシカが楽しい気分をオレに分けてほしい。杖を封印した後、何をするかとかがいいかな。キツい戦いの後の楽しみは必要だろ?」 ・・・ドルマゲスとの戦いの前、ククールは私に何度も言ってくれていた。敵討ちが終わった後のことを考えろって。あの時はその言葉の意味を考えなかった。だからドルマゲスを倒しても虚しさしか残らなくて。そして、そこを暗黒神に付け込まれた。 「うん、考えてみる」 また同じことを繰り返すわけにはいかない。せっかくの忠告、今度こそ無駄にしないわ。 「・・・今日は有意義だったな。何事も考えてないで実行してみるもんだ」 ククールの声から苛立った感じが消えている。話してみたことで、少しでも気が楽になってくれてると嬉しいんだけど。 「真面目な顔さえしてれば、ゼシカは結構ガードがユルいこともわかったし」 ・・・? 「さすがに二度目は『調子に乗るな!』って怒鳴られると思ったのに、振り払おうともしないんだもんな」 そして、三度目のキスが手の甲に贈られた。 私はやっと、からかわれてたんだって気づいた。深刻な話の最中に随分な余裕じゃないの! 「離してよ、バカ!」 私はククールの手を振り払う。ククールはいかにも可笑しそうに笑ってる。 まったく! どこまで本気で、どこまで冗談なのかサッパリわかんないわ。 ・・・でもいい、このくらいなら。真剣な話の後ほど、こうやって軽口でごまかそうとするんだって、知ってるんだから。いつまでも、その手にはのらないわよ。 それにちょっと考えたの。戦いが終わった後の楽しいこと。 いろんな所を旅してきたけど、戦うことに精一杯で、ゆっくり町を歩いたり、キレイな景色を眺めたりなんて、ほとんど出来なかった。 だから皆でゆっくりと世界を回りたい。 船に乗って地図にない島を探したりするの。そう思うと本当に楽しい気持ちになってきた。 ・・・さっきのことは許してあげるから、その時にはククールも一緒に来てね。 そうしたら、どんな辛い戦いでも、私きっと勝てる気がする。 <終> 強さ-前編
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ククゼシをくくるの流れから も~ククール!だから変なとこ触らないでって言ってるでしょ!」 「だーーーかーーーらーーー、こんな状態で触れないって何度…」 「うそっ、確かに触ったわ!私の…その…、お…おし………、とにかく絶対触ったわよ!」 「あのな、こんなガチガチに括られてたら触りたくても触れないっての」 「触りたくても?ククール、やっぱり触りたいって思ってたのね?!」 「今のは物の例えだろ、例え!本気で触りたいとかじゃなくて……いや、そりゃまあちょっとは、 てかかなり、触りたいけど…とにかく触れないもんは触れないんだよっ」 「その動揺の仕方怪しすぎるわ。こんな状況だからこそますますククールしかありえないじゃない」 「はあ…。俺はとにかく触ってない。不可能だ」 「だっておし……り…の辺り…に、柔らかいものがっ」 「じゃあそれが本当に俺の手の感触なのか後でちゃんと確かめてくれよ」 「確かめる…?」 「この状況脱したらじっくりたっぷりゼシカに触れてやるよ。 それで本当にその感触が俺のと同じかゼシカ自身で判断しろよ」 「な…!ななな…何言ってるのよ!このっ、セクハラ僧侶ー!」
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暗い天井。 ふと目を覚まし初めに目に入ったのはそれだった。部屋の外からは波の音が聞こえる。 古代船を手に入れドルマゲスを追いエイト達一行は西の大陸を目指す航海の途中だった。夜になってしまったので錨を降ろし海上に留まっていたのだ。 夜明けにはまだ時間がある。何度か寝返りを打つが目が冴えてしまって眠ることが出来ない。 仕方なく起き上がりゼシカは甲板に出る。 海は穏やかで心地よい風がゼシカの頬をなで、解かれた髪を揺らした。 「あれ?まだ交替の時間じゃ・・・」 ふいに声を掛けられ振り返るとランタンを片手に間抜け面のエイトが立っていた。 「ゼシカか・・・ヤンガスかと思ったよ」 「あ、ごめんね」 「どうした?眠れないのか?」 「・・・うん」 「船、落ち着かない?あ、それともオレが起こした?」 「うぅん。違うの」 「夜風は冷えるから良くないよ?」 「・・・うん」 「・・・・・・」 どうも会話が続かない。ゼシカは黙って海を見つめている。 「ゼシカ、どうした?・・・オレで良ければ話を聞くよ」 「え・・・」 エイトの申し出に少し驚いたゼシカだったが、一瞬考えエイトになら自分の素直な気持ちを言える気がして、コクリと頷いた。 「・・・みんなには内緒にしてくれる?トロデ王にもミーティア姫にも言っちゃダメよ」 「うん」 ゼシカは躊躇いながらも話し始めた。 「・・・あのね、最初に会った時は嫌いだったの。なんて軽薄なヤツ、って思ったの。女好きだし、イカサマポーカーはするし。でも本当は心に傷を抱えてて・・・その事で悩んでるみたいだし、本当は優しいヤツだし・・・」 ゼシカは名前は言わなかったが、ククールの事であるのはエイトにも容易に想像がついた。 両手の指先を合わせモジモジしながらゼシカは話し続ける。 「イライラするのよ。アイツが女口説いてんのも私が口説かれるのも。・・・こう、胸の辺りがキュッて痛くなるの」 ゼシカは胸の辺りを両の手で押さえ襟元をクシャと掴んだ。そんな彼女をエイトは黙って見つめている。 「ごめん・・・なんだか変な話よね」 話が上手くまとまらない。「そんな事無いよ。ゼシカね場合とは違うけど・・・オレもその気持ちわかるような気がする」 「・・・え?」 驚くゼシカにエイトは優しく微笑みかけた。 そんなエイトの笑顔がなんだか眩しい。彼はこの気持ちが何だか知っていて、その気持ちに素直に向き合っているように見える。 「なんて・・・」 俯きつぶやく。 「なんて言うの・・・?」この気持ち。 アイツの事を考えるとイライラする、苦しくなる。でも同時に胸が暖かくなる。この気持ちの答えが知りたくてエイトの顔を見ると相変わらずの人懐こい笑顔で優しく肩を叩かれた。 「ゼシカ、本当はわかってんだろ?」 「・・・・・・」 そう言うとエイトはヤンガスとの交替の時間なのだろう、オヤスミと一言残し言ってしまった。 ゼシカは暫らくその後ろ姿を見送っていた。エイトは死んだ兄とどこか似ている。 そしてゼシカは思い出す。彼女をこんな気持ちにさせた一件を。 サーベルトが笑っている。その前には自分がいて、頻りにこれまでの旅の話を聞かせている。 サーベルトは何も言わずに唯笑っているだけ。 ゼシカは構わずに話を続ける。 兄さん、あのね・・・。 そこで目が覚めた。 目の前には焚き火があり、辺りはまだ暗い。 まだ眠れる、ともう一度目を閉じた時突然背後から声を掛けられた。 「ゼシカ!」 急に呼ばれたことに驚きぼんやりした頭が次第にハッキリしてきた。 振り返り声の主を認める。開口一番。 「ククール・・・アンタ何してんのよ」 ククールの態勢に怪訝そうに眉をひそめる。 ククールは脚を開いて座りゼシカはその胸に背中を預けて眠っていたようだ。 「まさか、アンタどさくさに紛れて・・・!」 殴ろうと拳を振り上げるがククールに適うはずもなくアッサリ止められてしまった。 「ストップストップ!なんか勘違いしてんだろ、お前」 「なにがよ?」 「・・・ったく、覚えてねーねか。オレ達モグラの落し穴に落ちたんだよ」 「・・・・・・」 そういえば、月影のハープを取り戻しにモグラのボスと戦って、その帰り道だったはず。 あまり記憶がハッキリしない。考え込んでいるゼシカを見兼ねてククールが続けた。 「ヤンガスのおっさんの重みでひびが入った地面にオレ達乗っかっちまったんだよ。で、この通り」 両手を広げてみせるククール。それを見ていたら、ある事に気が付いた。 四つん這いになりククールに詰め寄る。 「ほかの二人は?」 「はぐれた」 「・・・うそ・・・痛っ!・・・」 さらりと言ってのけるククールに言葉を失い呆然と座り込むと足首に痛みが走った。どうやら穴に落ちたときに怪我をしていたようだ。見ると足首に血が滲んでいる。 苦痛に顔を歪めているとククールの手が延びてきてゼシカの足首に触れた。 「血よ肉よ傷を塞げ・・・ベホイミ」 ククールの掌が緑色に光り出したかと思うとチラチラと消えてしまった。 「ありゃ、MP切れだ」 「え?私の傷なんか大丈夫なのに!アンタも怪我してたらどーすんのよ!」 ゼシカは怪我の有無を確かめるためにククールの体を触り始めた。 「怪我はないみたいね。足の方は大丈夫なの?」 心配そうに聞くゼシカに対してククールはニヤニヤしている。 「なに?なに笑ってんのよ?」 「ゼシカってばエッチだなぁ」 ゼシカの手はククールの胸の上に置かれていた。かぁーと顔が熱くなった。 「もうっ!バカ!」 堪らず笑いだすククールに自分の軽率さを呪った。 「いい加減笑いすぎよ!」「悪い悪い。ところで、足大丈夫か?」 「ん・・・大分痛みが引いたみたい。ありがと」 「いや、オレのMPがもう少し残ってれば完全に治してやれたんだが」 「大丈夫よ。こんな傷。それよりも、どうするの?出口探す?」 「いや・・・。今はヘタに動かずエイト達が来てくれるのを待った方がいい」 確かに怪我をしてまともに動けないゼシカとMP切れのククールでは魔物に襲われたとき明らかに不利だ。二人はその場に留まる事にした。 ゼシカはククールと少し離れた所で焚き火にあたっていた。 ククールは相変わらず壁に保たれ掛かり目を閉じている。 エイト達を待ってからどのくらいの時間がたっただろうか。外はきっと夜になっているだろう。 「くしゅっ・・・!」 「寒いのか?そういえば少し冷えてきたか。」 「大丈夫」 そう言ってゼシカは消えかかった焚き火にくべる物を探しだした。しかし、こんなモグラの穴の中ククールが集めた木の枝や根以外あるわけもなく、諦めて座り込んだ。 もうすぐ焚き火もきえるだろう。心なしかゼシカは震えているように見える。 「ゼシカ、こっち来いよ」「大丈夫よ」 それだけ言うとゼシカはプイとそっぽを向いてしまった。彼と出会ってから二ヵ月ほどしか経っていないため少々警戒心が働く。 「ゼシカ、寒いんだろ?なにもしねーから、こっち来いよ」 「・・・本当に?本当になにもしない?」 「しねーよ。いくらオレでもこんな状態で何かする程バカじゃねーよ」 それでもまだ疑いの眼差しで見ているゼシカに胸の前で十字を切って見せた。 「神に誓って・・・」 そこまで言うならと立ち上がり、まだ少し痛む足を引きずりチョコンと彼の左側に座る。 ククールは自らのマントを外しゼシカの肩に掛けてやりながら、まだ少し距離のあるゼシカの肩を引き寄せた。 「ちょっ・・・なにもしないって言ったじゃない!」「ちげーよ、しねーよ。・・・こうした方が暖かいだろ?」 「・・・・・・」 確かに暖かい。基本的に男女の体温の違いの所為だろう。 ゼシカは少し安心した。暫らく経ってもククールは何もして来なかったからだ。「・・・本当に何もしないんだ?」 「・・・誘ってんのか、拒否されてんのか、どっちなんだよ?」 「フフ、感心してんのよ」呆れ顔のククールを見てゼシカはクスクスと笑った。「少し、眠れよ」 「うん・・・」 こういうところの女の扱いは流石だと思う。体力の違いを気遣ってくれているのだ。ゼシカはそれに甘えて目を閉じる。 目の前に緑色の光が広がる。その光にゼシカは目を覚ますとエイトがにっこり微笑んでいた。 「・・・エイト」 ククールに抱えられて眠っていたゼシカは慌てて身を起こす。足に痛みが走る。「痛っ・・・」 「遅くなってゴメン。出口に近い所に居たから、ここまで来るのに時間掛かって」 言いながらエイトはゼシカの足にベホイミをかけている。 どうやら落し穴はアジトの奥に続いていたようだ。 エイトのかけてくれているベホイミの光を見ながら、アレ?と思う。目を覚ます前に感じた光もホイミ系のものだった。自分の足の治療は今行なわれている。 と、言うことは。振り返り立ち上がっているククールを見上げる。 「ククール!怪我してたの?」 そこに空かさずヤンガスが割り込む。 「そうなんでがすよ。ククールのヤツ右肩に・・・ガフッ!」 間髪入れずにヤンガスにボディブローが決まる。 「つまんねー事言ってんじゃねーよ」 腹を抱えてうずくまるヤンガスを見下ろし冷たく言い捨てる。 治療の終わったゼシカはククールの右肩に手を添える。 「本当に大丈夫なの?ねぇ?」 心配そうに顔を覗き込むとポンポンと軽く頭を叩かれた。 「ゼシカの足の傷に比べれば大した事ないよ。さ、帰ろうぜ」 そう言いさっさと先に行ってしまった。 礼を言いそびれて立ち尽くすゼシカの背をエイトは優しく押し先を促した。 「帰ろうか。ヤンガスも大丈夫か?」 「ゲボゲボ・・・大丈夫でかす。ククールの野郎・・・」 ククールに続いて三人は歩き出した。 後日、エイトに教えてもらった話によると、落し穴に落ちたのはゼシカ一人でククールは自ら穴に飛び込んだというのだ。 肩はその時に怪我したのだろう。エイト達が来てくれるのを待とうと言ったのは『動かない方がいい』ではなく『動けなかった』からだ。 自分を心配して後を追ってきてくれたククール。彼は自分が思うよりも軽薄な男ではないのかも知れない。ゼシカは思い出していた。トロデーン城で祈りを捧げていた姿、モグラのアジトでの彼のさり気ない優しさ。 エイトに言われなくても、きっとわかっていた。自分のこの気持ちはきっと・・・。 ひとつ息を吐いて空を見上げる。夜が明けるにはもう少し時間が掛かるだろう。ゼシカは部屋に戻り、もう一度眠る事にした。 ベッドに潜り込み何もない天井を見つめ考える。 兄の夢を。 最後に自分は何を言おうとしていたのだろう。兄は唯笑っていただけだった。 あの時自分が何を言おうとしていたかはわからない。でも、次は― 次に兄に会った時はきっと伝えられる。 この胸の気持ちを。 終
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かなり長い間 野宿が続いていた。久々の宿屋で取れた部屋は4人一緒の大部屋。何はともあれ、モンスターに襲われる心配のない場所でぐっすり眠れるのはありがたいことだ。「……ちょっ、クク、なに―――」「シッ。…あいつらに気付かれる」しかし、夜中に襲ってくるのはモンスターだけとは限らない。むしろモンスターより何倍も厄介な男に、ゼシカはベッドの上に組み敷かれていた。「気付かれるって…当たり前でしょ!何やってんんんんっ」「だから静かにしろって。じっとしろ」「んんん!?」手で口をふさがれ、ゼシカは目を丸くして目の前の男を見上げる。男の目は本気だ。この「本気」の凶悪さを、ゼシカは何度か身をもって味わっている。…………嫌な予感しかしない…………。 *それからしばらくすると、小さく小さく押し殺したような呻きが断続的に聞こえ、盛り上がった布団の中で、2人分の身体がモゾモゾと動いているのだった。「んんんん…ッ、…ん、ふぅ…っ」大きな手の平でガッチリと口を押さえられているので、ゼシカは鼻からもれる息だけで必死にわきあがる喘ぎをやり過ごしていた。横抱きにされ、背中から回された腕。その指先はもうずいぶん長いこと胸の頂きをなぶり続けていて…。「あぁ…ホントにたまんねぇわ…お前の胸だけは」ククールのため息混じりの囁きは、恍惚とすらしている。ゼシカを悦ばすためだけではなくて、単にククールはゼシカの胸を意味もなく延々と触るのがもともと大好きだ。曰く「感触が至高」、らしい。もちろんゼシカがその快楽に特別に弱く、いじればいじるほどイヤらしさを増すことも、もう一つの大きな目的ではあったが。おかげでゼシカは息苦しさで意識が朦朧としてきた。普段は自分のあられもない喘ぎを恥じるのに、今はせめて思う存分声が出せればと切に願っている。声を出せないことがこんなに苦しいとは思わなかった。そして声を押し殺すということが、禁じられた行為を強いられていると強烈に実感させ、それがさらに快楽のスパイスとなってゼシカを乱れさせる。仲間が、いるのだ。すぐそこに。自分達がこんな淫らな行為をしていることがバレたら…「苦しい…?…ごめんな。でも、ゼシカが望んだんだから仕方ないだろ?」そう告げるククールの表情は、謝罪とは程遠い欲望に満ちた笑みで満たされている。背後からの囁き声に、ゼシカは羞恥を噛みしめた。確かに、…望んだ。「抵抗したってヤる」。「エイト達が起きたってかまわずにヤる」「アイツらにお前のグチャグチャに感じてる姿見せつけて、あいつら追い出してでもヤる」「死んでもヤる」…とまで言われ、獰猛な肉食獣に対面したウサギのように身体が竦んでしまった。その隙を、男は決して見逃さない。本気で嫌なら、それでも断固として抵抗すればよかったのだ。『お願いだから口をふさいで』などと懇願する前に。 「…ッ!ぅふ…っん!」後ろから拘束された身体は狭いベッドの上でろくに動けず、されるがまま。胸の硬い尖端をそれはもう器用にもてあそぶ指先が、それまでの優しくぬるい刺激から打って変ったように、キツく、強く、ギュッと力を込めてそれを絞り、角度をつけてつねった。ゼシカは目を見開いてビクン!と身体を跳ねさせる。それを押さえつけ、ククールは自らの下半身の滾りを、彼女の片足だけ曲げられた太ももとお尻の間の、キワどい場所にグリ、とこすりつけた。ズボン越しでもハッキリと伝わる、その火傷しそうな熱さ。「…………イけよ」明らかな揶揄の含まれたひどいセリフだ。ククールはこの状況が楽しくてたまらないらしい。ゼシカの目に急激に涙がたまり、シーツに顔を押し付けて必死で首を振った。今だってこんなに苦しいのに、口をふさがれたままで絶頂に達するなんて、あまりに辛い。ククールはきっと、私に声を出させたいのだ、とゼシカは思う。それで仲間に知られてしまうことなんてどうでもいい。ただ、私に恥辱を味あわせたいだけなのだと。いつの間にかズボンの中から引きずり出されたククールの欲望が、直にゼシカの下半身を這い回った。ぬめりを持ったその熱い塊に、否応なしに股間がひくつく。行為が久々なのは、ゼシカも同じだ。度合いは違えど、飢えているのはククールだけじゃない。昼間は意識もしない性欲が、ククールのしつこい愛撫によって久方ぶりのあの絶頂を思い出し、いつもより何倍もゼシカの体を敏感にしていた。股間はずっとひどく、ひくついている。だけど。ゼシカは経験上、嫌というほど知っている。だけど、まだまだ延々と快楽の地獄は続くのだ。こんな、絶対に声も上げられない状況で、それでも無理やり幾度となくイかされ、焦らされ、あの熱い塊に貫かれても、なお…「あっつ…」布団の中の狭い密室は異常に暑くなっていた。ククールはふぅ、と息をついて汗を拭う。ゼシカが嫌がっているのは重々承知の上で、強引にイかせてやりたかったのだが、彼女がギリギリのところでなんとかこらえているのを感じ、ククールは苦笑した。(ぶっちゃけ、アイツらにはもうバレてんじゃねーかなー…なんて)今のところ可能性は五分五分というところか。邪魔さえしてくれなければ、ククールにとってはバレてようがバレてまいが、正直どっちでもいいのだが。それでも必死な努力を続けるゼシカが可愛くて可愛くて、…イジメたくてたまらない。硬く張りつめている己自身を取り出して、ゼシカの腰やお尻や太ももになすりつけた。自分の快感を得ると同時に、コレの存在を強調することでゼシカの興奮もいや増すはずだ。ゼシカはいやいやをするように、小さく顔を振った。小刻みに震える身体。…ふと気付くと、ゼシカの瞳から涙がこぼれ、彼女の口元を覆うククールの手の平にまでツッ、と雫が伝ってきていた。「…ゼシカ」内心少し焦って、愛撫の手を止める。後ろから前髪をかきあげなだめながら目尻に口付けて、ゆっくりと手を離し、塞いでいた口唇を解放した。「…大丈夫…か?」今さら過ぎてなんだか情けないが、聞かざるを得ない。やりすぎたか。ククールは若干の不安を抱いて、身を乗り出し、彼女の顔をのぞきこんだ。はぁ、はぁ、と荒い息。飲み込めない唾液が赤い口唇から滴り落ちてシーツに染みを作る様がいやらしい。涙は生理的なものだったようで、嗚咽が聞こえてこなかったことにククールは安堵した。しばらくすると、ククール、と吐息のような呼びかけ。続いて紡がれた言葉に、ククールは息をのんだ。「――――…………もう…ッ、……入れ、て…」 ゼシカに与えられた選択肢はあまりにも少なくて、それは苦渋の決断だった。自らそんな風にねだることも。誰かがいる場所でセックスすることも。声を押し殺して達することも。したことなんてない。全て、今唐突に突きつけられ、強要されているようなもので。ぜんぶ、死にたいほどに恥ずかしい行為で。それでも、選ぶしかなかった。「…もう…いい、から…ッ。…いいから今すぐ…入れて……」顔を真っ赤にしながらそんな懇願をする恋人の姿に、男が欲情を煽られない方がおかしい。ククールは即座にその意図を悟って、下卑た笑みを浮かべ、横抱きの体をキツく抱きしめた。「…まだ指も入れてねぇけど?…ココ」「いいからッッ!!早く…ッ」早く―――“終わらせて”。口走ったその言葉に、ククールはさらに口角を釣り上げた。そういうことか、と。「オレ、さすがに今夜はかなりデカいけど」卑猥な言葉は羞恥を煽るばかりで、聞きたくなくてゼシカは目をつぶり身を固くする。ククールはほくそ笑み、痺れるような低音を彼女の耳に直接吹き込んだ。「………いいの?突っ込んで。………………痛いよ?」恐らく大丈夫だろうと、ククールは考える。胸が敏感なのは百も承知だし、十分いじりまくって感じさせたあとだ。直接触れていなくても、挿入に問題ないくらいに濡れていることは間違いない。だけど、そんなことゼシカには判断のしようがないだろう。痛みを感じる時と感じない時の区別がつくほどの乱暴な扱いをした覚えは、ククールにはない。…ただ、卑怯な男の脅しに怯えるゼシカが見たかっただけだ。案の定ゼシカはビクリと反応し、泣きそうな顔で押し黙った。どうするだろうと反応を見ていると、しばらくして、ゼシカはおずおずと、片足を自分の腹に付くほどに深く折り曲げた。必然的にさらけ出されるのは、まさに「入れて」と願ったその場所。柔らかい双丘の狭間にのぞいたその淫らな光景を後ろから見せつけられて、ククールは思わずゴクリと生唾を飲み込んだ。…いいから、と、蚊の泣くようなゼシカの声。「…………もう…濡ら、さない、で……ぃぃ…」痛みなら、いい。痛いのは我慢できるから。でも、こんな状況で、発散できない快楽はもはや苦痛だ。気持ちよくなくていい。痛くてもいい。ただ、ククールが欲望を満たせるなら。早く入れて。早くイってしまって―――羞恥に顔をゆがませ、自ら秘所をさらけだしてそう懇願する様のなんと健気なことか。そう、そういうことだ。彼女は自分の快楽は打ち捨てて、オレが一刻も早く果てることだけを優先した。ここは要望通りに早く終わらせてやるのが、優しさというものだろう。頭ではそう思いながら、笑いがこみ上げるのを押さえきれないのは、どうしてだ―――。「…そんなこと言われたら」「!?」ふいに、ククールの指が、火照った割れ目にピタリと当てられた。「―――濡らしたくなる」「…ッ!!!やめ、―――んぅ――っっ……!!!!!」驚いたゼシカの口を再び手の平で覆って、ククールの指がその中にズルリと侵入した。思った通り、問題なく濡れて、キツく張り付いてくる。ゼシカの瞳は動揺のあまり涙を浮かべ、こみあがる声を抑えることで必死だ。なるべくゆるい刺激で、とは思うが、知り尽くした性感帯と敏感な内壁は、お互い無意識に気持ちいいところを貪ってくる。ゼシカの腰がじりじりと揺れた。イイ所を擦るたびに、ビクビクと身体が跳ねる。苦しそうな表情はククールの困った性癖をやたらとくすぐって、どうしようもなく興奮させた。…痛みで快楽を軽減なんて、させてやるわけがない。…死ぬほど気持ち良くして、もっとオレとのセックスに堕落させてやる。今どういう状況でこんなことをしているのかもすっかり忘れ、ククールはそんなことを考えながらゼシカが嫌がりながらも自分で腰を振って、ひどく感じている淫らな様に夢中になった。 「…っやべぇ…限界…。…ゼシカ…入れる、から…」「―――ッッ!!」「…足あげて…」ゼシカが後ろを振り返るのと同時に、折り曲げた太ももに手をかけ持ち上げ、ひっくり返される勢いでククールの欲望がのめり込んできて、思わず悲鳴があがった。「ひゃ、あ、あぁぁっ――――あっ、ダメ…!!」「大丈夫たぶん…そんなにもたないから…」「いやあ、あっ、あっ…んうぅ、んん…」「ごめん、ちょっと強くするけど…我慢して」「んんん―――ッッ!!ん、ふ…っう…んう…」また同じように口を塞がれ、枕に顔を埋めて指の間から漏れる息を抑え込む。律動は激しく、最初から絶頂に向かう動きでお互いを一気に追い詰めた。ゼシカは涙と唾液で口を覆うククールの指を濡らした。綴り泣きのような声を漏らしながら、シーツにしがみついて、彼が自分の中で達するのを待った。自分の下半身はもうバカみたいになっていて、ジンジン痺れた感覚が身体の中心に広がり霧散するのだけが、ひたすらに繰り返されるのみだ。息ができなくて、苦しくて、早く終わってと祈りながら、高まっていく最後の快感に思考回路がめちゃくちゃになっていく。イって。イかせて。苦しい。叫びたい。キモチイイ。もっと。もっと。早く。イって…イかせて。…あと数回突かれたら、気を失っていたかもしれない。そんな瀬戸際で、ククールの手がゼシカの口をそっと解放した。いつのまに終わったのか。ゼシカは多分何度も達していて、いつが最高潮だったのかもわからない。気がつくと内股とお尻が彼の放ったもので汚されていて、あとには2人分の荒い息だけが響いていた。ようやく息を整え、あまりの暑さにふとんをめくってしまって、ゼシカの体を仰向けにし覆いかぶさり、久方ぶりにその顔を正面から見る。「……ゼシカ。……大丈夫か……?」未だ胸を荒げて大きく息をしつつ、ゼシカが呆けた顔で見上げてくる。「…マジごめん…やりすぎた…辛かっただろ…」囁いて優しく口付けすると、ゼシカの顔が徐々に歪み、またたくまに大粒の涙を流し始めた。「――――っひ…っ、…ば、かぁ…っう、ひぅ…」「うわ、ごめんごめんホントに…よしよし」ククールは大焦りで顔じゅうにキスの雨を降らせ、泣き声を抑えるためにもぎゅっと抱きしめた。「風呂入ろうな。キレイにしてやるから」「クク、の…ばか…きらい…ぅぅ…」「ごめんごめんごめんごめん…」 **その後数日かけてククールはゼシカのご機嫌をとる羽目になるのだが…と同時に、すっかりバレていることを「ゼシカには黙っててやる」という条件の元、仲間たちの精神的苦痛の慰謝料を、パシリという形で支払うことにもなる色男だった。
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諸君、私はククゼシが好きだ 諸君、私はククゼシが好きだ 諸君、私はククゼシが大好きだ 美男美女でお似合いな所が好きだ 頭一つ分ある身長差が好きだ ベクトルの違うプラコン同士なのが好きだ 息の合った漫才が好きだ 何よりもあの微妙な距離感が好きだ 空で 海で 大地で 町で 迷宮で この地上に存在するありとあらゆるククゼシが大好きだ さりげなくゼシカを庇っているククールが好きだ ゲモンの自爆からゼシカを庇った時など心がおどる ククールの内面をちゃんと理解してるゼシカが好きだ ベルガラックの兄妹対決のイベント後で突き放した発言をするククールに「それがあんたの本心じゃないくせに」と突っ込むゼシカなど胸がすくような気持ちだった 気が強くても、女の子らしい優しさがあるゼシカが好きだ ゴルドでマルチェロが去った時に、ククールに駆け寄る姿など感動すらおぼえる ヘコんでる時でも、他者への気遣いを忘れないククールなどもうたまらない 煉獄島脱獄時に、ゼシカの手を取ってカゴからおろしてやったのは最高だ EDでのトロデーン城で、ククールが女性を侍らせているのを ゼシカが怒りまくっていた時など絶頂すら覚える くっつきそうでくっつかない所が好きだ それなのに「結局くっつかなかったじゃないか」と言われるのはとてもとても悲しいものだ あそこまで絡みの描写があれば、準公式と解釈してもOKと思えるのが好きだ 「でもはっきりした描写はどこにもない」と言われるのは屈辱の極みだ 諸君 私はククゼシを 誰もが認める公式カップルの様なククゼシを望んでいる 諸君 私に付き従うククゼシ好きの諸君 君たちは一体何を望んでいる? 更なるククゼシを望むか 糞の様なククゼシを望むか? ケンカするほど仲が良くて、いざという時にはお互い息が合ってて、大人の色気と子供の初々しさを兼ね備えた、見てる方が恥ずかしくなるバカップルのようなククゼシを望むか? ククゼシ!! ククゼシ!! ククゼシ!! よろしい ならばククゼシだ だが、一年近くもククゼシスレが復活しない中でもう誰もこの二人に萌えてないんじゃないかという不安に耐え続けて来た我々には ただのククゼシではもはや足りない!! 大ククゼシを!! 一心不乱の大ククゼシを!! 我々はわずかに小数 ドラクエに恋愛描写は不要派に比べれば物の数ではない だが諸君は一騎当千のククゼシ萌えだと私は信じている ならば我らは諸君と私で総兵力100万と1人のあらゆる妄想力を駆使して、ククゼシの幸せな未来を作り上げる集団となる 我らを忘却の彼方へと追いやり、恋愛要素はキモいとほざく奴らを叩きのめそう 髪の毛をつかんで引きずり下ろし 眼(まなこ)をあけて思い出させよう 連中にDQ1だって、ローラ姫と結婚したことを思い出させてやる 連中にDQ5なんて、花嫁を選ぶイベントがあったことを思い出させてやる ククゼシには奴らの哲学では思いもよらない見てる方がじれったくなるような、はがゆさがある事を思い出させてやる 1000人のククゼシ萌えの集団で 世界をククゼシへの愛で埋め尽くしてやる 目標 DQ8を過去の作品を葬ろうとしてる連中 DQ8の新しい楽しみ方を教えます。一緒にククゼシ萌えしましょう作戦 状況を開始せよ 逝くぞ 諸君
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宿屋。 夜まで休むの時間、ゼシカとククールの二人だけがそこに居た。 二人は机を挟んで呪文書に目を通していた。 おもむろにゼシカが口を開く。 「ククールってさ・・・」 「ん~?」 間の抜けたような声でククールは返事を返す。 ゼシカは次の言葉を言わないまま、じっと雑誌を持ったククールの手を見つめる。 その視線に気付いたククールは、ぱたんと呪文書を閉じ、身を乗り出した。 「何?」 「・・・手、おっきいよね」 「手?」 「うん。だって、ほら」 ゼシカはククールの手をとると、自分の手と合わせた。 「こんなに違うよ?」 ゼシカの指はククールの指の第一関節くらいまでしかなかった。 確かに、ククールの手は大きい。 大きいというか、前まで弓術をしていたせいもあって、指が長いのだ。 手だけ見るとよくサルの手とからかわれ、昔は悩みの種になったものだ・・・ 「あたし、手が大きい人、好きなんだよね」 「・・・ふ~ん」 「あたしの手ってさ。何か不揃いなんだよね。指だけこんなに細くってさ・・・」 「いいじゃねーか。、ゼシカの手、好きだぜ?」 ゼシカがはっとしたように顔を上げる。 そこには頬杖をつきながら柔らかい顔でゼシカを見つめるククールが待っていた。 「そ、そんな・・・冗談やめてよ」 「冗談なんかじゃ、ないぜ?」 そっとゼシカの手をとる。 触れた瞬間、少しびくついた。 ゆっくりと手を撫でながら、指と指の間にそっと指を差し込んだ。 「あ・・・」 ゼシカの呟きも無視して、包み込むようにぎゅっと握る。 少し戸惑いながらも、ゼシカの指が握り返す。 「ゼシカの手、冷たくて気持ちいいぜ・・」 「ククールの手、あったかいね・・」 お互いの手の感触に、しばし意識を任せる。 まるで手から二人の心が伝わってくるようだった。
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住人の萌え語りの流れから 見られている。ひたすら見られている。ゼシカはとうとう隣に座るククールを振り向く。「~~~いい加減にしなさいよッ!!」「だってゼシカが本当に可愛いから」「それはもういいわよッ早く朝ごはん食べなさいってばッ!!」「可愛すぎて目が逸らせない」「逸らせて」「嫌だね」呆れと、羞恥で、ゼシカは目をつぶり押し黙る。頭痛がしそうだわ、と呟く。それでも頬は赤い。このバカはテーブルについてから、朝食にまったく手を付けていないのだ。向かいにはとっくに朝食を終えて、音を立ててコーヒーを啜るエイトとヤンガスが。2人とも何も言わないのが余計に嫌だ。死んだ魚のような目で遠くを見ないでほしい。「……ククール。時間がないの。さっさとご飯食べて」「いらねぇよ。お前見てると胸いっぱいで苦しいんだ」「苦しいなら見なけりゃいいでしょうがっ」「恋は苦しいものさ」ついにゼシカはおでこに手を当ててうつむいてしまう。どうしたらいいのだろう、この浮かれポンチを。「……」ゼシカは考え、決心する。ふいに顔をあげてククールの目線と真っ向から向かい合うと、「わかったわ、好きにしなさい。私も好きにするから」そう言って、ククールの前に用意された朝食に、フォークを豪快に突き刺した。ずいっと突き出されるそれに、ククールが軽く身を引く。ゼシカの気の強い瞳。断固として曲げない時の少しわがままな表情。言われたとおりにそれを間近にじっと見つめて、ククールはますます相好を崩して呟く。「…かーわいい」その途端開いた口の中に押し込まれるフォーク。ククールはごく自然にそれを咀嚼しながら、さらにニヤけた顔でゼシカを見つめ続ける。ゼシカは次から次へと彼の口に朝食を詰め込むことに専念した。だって目が合えば、こちらが負けることはわかっていたから。ゼシカの差し出す山盛りのフォークを躊躇なくパクリとくわえるククールは、必死で目を逸らし続けるカワイイ恋人の赤い頬が愛しくて仕方なかった。なんとか全てを食べさせたゼシカは、はあっと疲労に近いため息をつく。「やっと食べたわね…まったく、子供じゃないんだから…」そう言いかけたゼシカの腕を、ククールが強引に引っ張り思い切り顔を近づけた。「まだ食べ終わってないぜ」「な、なんでよ…ちゃんと全部…」「見てるだけじゃ、我慢できない」一気に顔を真っ赤にさせたゼシカの頬に口付けながら、「ちゃんと残さず食べなきゃ…」ククールの口唇が、ゼシカの口唇を丸ごと食べた。仲間の鉄拳制裁がくだるまでの間、2人はおいしい朝食をむさぼったのだった。