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ドリームキャッチャー(激) 曲名 アーティスト フォルダ 難易度 BPM NOTES/FA(SA) その他 ドリームキャッチャー アイくるガールズ 【福島】 2014 激10 208 383 / 19 STREAM VOLTAGE AIR FREEZE CHAOS 70 52 38 25 10 楽譜面(6) / 踊譜面(8) / 激譜面(10) / 鬼譜面(-) 属性 渡り、同時踏み、体力、フリーズアロー 譜面動画 http //www.nicovideo.jp/watch/sm23604213 http //www.nicovideo.jp/watch/sm23604213 (NOTE) 解説 中央密集配置が多く、踊譜面に引き続きFAによる認識難が。物量も足10にしては多いが8分は少ないので、同時やFAで体力を抑えれるかどうかで疲労度が変わるだろう。サビの片サイド4分は回転出来、FAを無視しない場合は遠距離交互の練習になり、FAを無視してもBPMが早いので途切れ難くチュンリー可能。良譜面だが足10ではロンパチ踊に次ぐ物量 -- 名無しさん (2014-05-23 04 11 30) 名前 コメント コメント(私的なことや感想はこちら) BPM208+物量で足10というのは…。8分が少ないとはいえそこまで単純な譜面じゃないから、EDPもESPと同じ足11で良いと思うんだけどなぁ。 -- 名無しさん (2014-05-24 12 06 08) 足10でSTM70もあるのか! -- 名無しさん (2014-05-25 16 53 47) BPMやノート数、譜面傾向的にもちくわパフェ激(足12)に近い。どっちも足11でいい。 -- 名無しさん (2014-05-26 23 35 30) 名前 コメント
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exotic ethnic(踊) 曲名 アーティスト フォルダ 難易度 BPM NOTES/FA(SA) その他 exotic ethnic RevenG MAX 踊7 190 258 / 13 STREAM VOLTAGE AIR FREEZE CHAOS 55 39 41 16 4 楽譜面(5) /踊譜面(7) / 激譜面(13) / 鬼譜面(-) 属性 渡り、同時踏み、リズム難 譜面 http //www.ddr.sh/steps/basic/e/exotic/8t_exotic_a_d.html 解説 BPM190という速さで、4分や8分3連での渡りが中心となる譜面。中盤は同時踏みが多く、桂馬踏みも1つおきくらいの頻度で出てくる。 -- 名無しさん (2010-09-21 21 08 00) 激と殆どノーツが変わらない上に、踊足7でありながらBPM190の8分が頻発する時点で相当な詐称。ホームポジション付近の桂馬同時ラッシュも慣れてないと踏み外しやすく、8分2連の歯抜けも厄介 -- 名無しさん (2014-09-10 04 50 07) 名前 コメント コメント(私的なことや感想はこちら) 足13の激と比較してフリーズ以外の譜面構造があまり変わらないことを考えると若干詐称気味、のような気がする。 -- 名無しさん (2011-10-23 00 38 38) 渡りあるし桂馬あるし足7は完全に詐称。足9でも違和感ない。 -- 名無しさん (2012-11-18 13 34 33) バーなしでやってきました。これがヒマワリ・サンキス(近似BPMで同足7)と同難易度とかありえません。昇格希望。 -- 名無しさん (2014-04-09 18 40 59) 名前 コメント
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MITOれて!いばらきっしゅだ~りん(激) 曲名 アーティスト フォルダ 難易度 BPM NOTES/FA(SA) その他 MITOれて!いばらきっしゅだ~りん 水戸ご当地アイドル(仮) 【茨城】 2014 激13 173 425 / 11 STREAM VOLTAGE AIR FREEZE CHAOS 79 72 50 26 41 楽譜面(6) / 踊譜面(10) / 激譜面(13) / 鬼譜面(-) 属性 渡り、ひねり、同時踏み、八分滝 譜面動画 http //www.nicovideo.jp/watch/sm23551136 http //www.nicovideo.jp/watch/sm23551136 (NOTE) 解説 同時からの8分は位置が離れており実質上下スライドに等しい配置もある為、接続及びPFC難易度が非常に高い。16分3連もBPMを考えたら脅威だが地団駄配置のみ。8分滝は序盤にアフロ配置があるが、サビの滝は非常に踏みやすい素直な配置なのが幸い。ラストの16分3連2セットから↑カズダンス…に見えて実は後ろ交差配置なので非常に踏み辛く、カズダンスで取るには16分3連後にホームポジションスライドが必要になるかなりの難所 -- 名無しさん (2014-05-16 04 20 58) 名前 コメント コメント(私的なことや感想はこちら) 普通に良譜面だから困るww -- 名無しさん (2014-05-24 11 19 33) kore -- 名無しさん (2014-07-04 11 44 56) これ良譜面って言われてるけどどのあたりが面白いの 正面乱打かな -- 名無しさん (2014-07-04 11 46 22) ラストで回れるところとか?他のアイドル譜面のが良譜面多いけど -- 名無しさん (2014-07-04 12 01 19) 名前 コメント
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雫(激) 曲名 アーティスト フォルダ 難易度 BPM NOTES/FA(SA) その他 雫 あさき X3 激12 210 379 / 45 STREAM VOLTAGE AIR FREEZE CHAOS 70 69 25 68 23 楽譜面(5) / 踊譜面(9) / 激譜面(12) / 鬼譜面(-) 属性 渡り、同時踏み、リズム難、フリーズアロー 譜面 http //eba502.web.fc2.com/fumen/ddr/x3/shizuku_8m.html 譜面動画 http //www.youtube.com/watch?v=U3MwGyDzIcE (x?.?, NOTE) プレイ動画 https //www.youtube.com/watch?v=KwIBe-XnfMo (x?.?, オプション不明) 解説 pop n music12 いろはからの移植曲。デイリースペシャルより2/24から金曜日のみプレイ可能。 -- 名無しさん (2012-02-23 15 40 50) デイリースペシャル曲のシャッフルにより、3/22から木曜日のみプレイ可能となった。 -- 名無しさん (2012-03-24 11 03 36) FAによる認識難と8分2連からの裏拍などによるリズム難、更にBPM210という合わせ難さからスコア難易度が非常に高い。配置そのものは決して難しくないが、終盤に同時8分が2箇所あり接続難要素まで兼ね備えている。が、渡り要素は薄くFAに騙されなければそこまで難しくないので難易度相応 -- 名無しさん 名前 コメント コメント(私的なことや感想はこちら) フリーズ絡みの8分の処理が難しい。 -- 名無しさん (2012-02-27 10 25 18)(2014-01-19 21 30 43) 名前 コメント
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ビューティフル レシート(激) 曲名 アーティスト フォルダ 難易度 BPM NOTES/FA(SA) その他 ビューティフル レシート Lucky Vacuum X3 激13 196 346 / 50 STREAM VOLTAGE AIR FREEZE CHAOS 65 65 25 90 20 楽譜面(7) / 踊譜面(10) /激譜面(13) / 鬼譜面(-) 属性 渡り、同時踏み、フリーズアロー 譜面 http //eba502.web.fc2.com/fumen/ddr/x3/b_recipt_8m.html 譜面動画 http //www.nicovideo.jp/watch/sm23140203 http //www.nicovideo.jp/watch/sm23140203 (x2.0, NOTE, Clap) プレイ動画 http //www.youtube.com/watch?v=Udd1SxNVc5M (x1.5, NOTE, 0 00~2 07) 解説 SPのような16分5連がなくなっている。 -- 名無しさん (2011-12-16 01 09 21) BPM196の8分さえ踏めれば後は難易度は平坦なため非常にスコアが取りやすい。 -- 名無しさん (2012-05-19 04 10 29) 楽踊から引き続きの傾向で、速度に追い付けるなら逆詐称。単→同時が多少あるのとBPMが早いので渡りがちょっと忙しいくらいで、これより難しい高BPM足12は沢山ある -- 名無しさん (2014-03-21 00 39 36) 名前 コメント コメント(私的なことや感想はこちら) SPにあった16分5連地団駄もなく、素直に交互に踏める逆詐称気味の譜面。中盤のFAが若干遠配置なので注意。 -- 名無しさん (2011-12-10 11 33 15) 13の入門にどうぞ。 -- 名無しさん (2012-01-16 14 18 13) 判定が若干?な感じもするが、気のせいですかね? -- 名無しさん (2012-03-08 00 27 09) 難易度の割には覚えやすい・・・鴨葱!? -- 名無しさん (2012-05-18 01 19 48) 13? -- 名無しさん (2015-06-06 09 33 30) 名前 コメント
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社会人倶楽部のメンバーページです No 役職 名前 好きな兵種 コメント 1 マスター k.j ポイントマン みなさんよろしく 2 オフィサー たぶんアレじゃね? ポイントマン FPS超初心者です 3 オフィサー キソニクマソ 田代さん スナイポ練習ちゅー 4 オフィサー ギ口口伍長 ポニョマン 下手なりに楽しんでます^^v 5 メンバー 嫁に逃げられた 6 メンバー とるてぃーや 7 メンバー 鉛の弾はイランですよ 8 メンバー -ハヤト- 9 メンバー 流星さやか ライフルマン 最近突っ込まなくて良い所にあえて突っ込んで自爆してますw 10 メンバー パブロフ 11 メンバー ぺろりのお時間 ポイントマン ぺろりと食べられてます 12 メンバー TY.joker スナが得意 現在プリウスにはまってます 13 メンバー 山グッチョ 14 メンバー dissecter 15 メンバー DoUbt 16 メンバー 北ロケット 17 メンバー 酔っ払いA 18 メンバー ファブリシオ 19 メンバー 最弱だぜ ライフルマン 今日もINしたお! 20 メンバー サトウ 21 メンバー ブラック微糖 戦車機銃席 VCで鼻息拾ったら言って下さい。 22 メンバー フィーリング PM なかなか一緒できなくてごめん 23 メンバー ネグセデスベンツ ポイントマンとライフルマン 24 メンバー 友達無子 25 メンバー destin ライフルマン 相手の裏をかくのが好きです 新しく「サトウ」さんと「ブラック微糖」さんが加入されました。皆さんよろしくです。 ブラック微糖氏の紹介で「フィーリング」さんが加入されました。皆さんよろしくです。 ギ口口伍長がオフィサーへ昇格しました。 編集の仕方がわからない人は下のフォームに書き込んで頂ければ編集します♪ 名前 コメント
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La receta(激) 曲名 アーティスト フォルダ 難易度 BPM NOTES/FA(SA) その他 La receta Carlos Coco Garcia X2 激11 130 316 / 29 STREAM VOLTAGE AIR FREEZE CHAOS 61 48 18 47 37 楽譜面(5) / 踊譜面(7) / 激譜面(11) / 鬼譜面(13) 属性 渡り、遠配置、リズム難 譜面 http //eba502.web.fc2.com/fumen/ddr/x2mf/lareceta_8m.html プレイ動画 https //www.youtube.com/watch?v=xwy0d2mlwfY (x2.0, NOTE) 解説 16絡みのリズムが難しい上に配置が遠く、足11は詐称気味。 -- 名無しさん (2010-08-14 15 42 11) サビに1P側で大きく右を向く箇所があるが、落ち着いて交互に踏もう -- 名無しさん (2011-05-15 10 34 35) BPMを落とした代わりに、革命の渡りスキップに8分振り回しを追加されたような詐称譜面。上ビジ含む16分捻りスキップもあり、慣れてないと踏み外しやすく特にスコア難易度が高め。因みにリズム難度外視しても、この曲そのものが辛判定だったりする -- 名無しさん (2013-11-25 21 29 52) 転調後サビ2回目の縦2連はFAホームポジション以外の箇所でスイッチすると交互に踏めるので、綺麗に踏みたい方は是非 -- 名無しさん (2015-06-13 23 29 02) 名前 コメント コメント(私的なことや感想はこちら) 名前 コメント
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519 :名無しさん(ザコ):2013/03/17(日) 05 50 32 ID 6vWfio2Y0 ユミナ(紋章)(ファイアーエムブレム紋章の謎) まずパイロット面でレベル1から覚える祈りが目につくシスター。 同フォルダのエリス同様オームの杖使いだからだが、消費減少はないので普通にポイントが必要分に届くまで成長させなければならない。 逆にポイントが届けば即蘇生可能ということでもあるが。 それまでは主に信頼を飛ばすことになるだろうが、他のSPは案外歪つで、努力は直接戦闘できない前期型では意味が無い、威圧は技量が低いので対象が限られる。加速とひらめきは有用だが、習得が遅い点がネックか。 ユニット面に目を移すと、遅いわ脆いわで脆弱極まりないユニット性能はさておき、2種類の回復アビリティは同フォルダ杖使いでは高水準。 クラスチェンジした後期型では、P付き遠距離回復のリブローや術PM全のリザーブの追加で、前線から離れた位置を保ちつつ回復可能。 (同フォルダでは、リブローはシスターからクラスチェンジする女性司祭の標準装備であり、珍しいものではないが。ニーナ除く) 攻撃面では『一応』書物の武器クラスとファイアーが追加される。回復系はすでに充分だが、SPで補助できない攻撃面も無理して補強する必要はない。 ちなみに原作でもう一つの専用杖であるレスキューの杖は持っていない。 引属性のバグは恐ろしいが、味方を引き寄せるという効果は原作同様戦術を一変させかねない強力ぶりが予想される。 ぶっちゃけるとコレ、実装されると回復係としての使い勝手が大幅に引き下げられそうなレベルに便利なのである。
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L:保育園 = { t:名称 = 保育園(施設) t:要点 = 子供たち,保育園,保母さん t:周辺環境 = BALLS t:評価 = 住みやすさ0 t:特殊 = { *保育園の施設カテゴリ = ,,国家施設。 *保育園の位置づけ = ,,{建築物,教育施設,生産施設}。 *保育園の面積 = ,,500m2。 *保育園の授業付与 = ,,<保育園>を設置する藩国が保有する全職業アイドレスに<保育園の授業>を付与する。 *保育園の犬士・猫士増加 = ,,(生産フェイズごとに){犬士または猫士}+1機、食料-1万t。 } t:→次のアイドレス = 小学校(施設),花嫁養成学校(施設),お料理教室(施設) } L:保育園の授業 = { t:名称 = 保育園の授業(定義) t:評価 = なし t:特殊 = { *保育園の授業の定義カテゴリ = ,,能力補正。 *保育園の授業の知識補正 = ,,知識、評価+2。 } } #旧記述 「おはよーございまーす」 子供たちの元気な挨拶が響き、一日が始まる。 ここはよんた藩国保育園『わかばの里』 /*/ 7歳くらいまでの小学校に上がる前の子供たちが、遊び学ぶ場所である。 最近は保育士さんと呼ばれることもある、保母さん。 登園してきた子供たちに挨拶しながら、子供たちにいつもと違うところがないか様子を窺う。 もちろん、子供達には気付かれないように。 顔が赤くないか、いつもより饒舌だったり無口だったりしないかなどなど。 子供たちは体調の変化をうまく伝えられないことが多い。 ちょっとした様子の変化も見逃さないように気を配らなくては、手遅れになりかねないのである。 実際はとても優しい目をしているのだが、そういう意味では保母さん達の眼は鷹の如く鋭い。 一方子供たちは、そんなことを気にされているとは知らずに元気に走り回る。 走る走る、どこでもどこまでも。 あたふたする新米な保母さんがいようとお構いなしで。 ベテランの保母さん達はその程度でうろたえることはない。 さりげなく危ないものを移動したり、外へ走り出たりしないようさえぎったり。 その動きは、さながら戦場を渡り歩く英雄のようである。 違いは、倒すためでなく守るために動いている、というところであろう。 保母さん達は、今日も子供たちの危険という敵を排除する戦場を渡り歩いている。 /*/ 全国でおよそ2000人に一か所の割合で診療所の設立が進んでいる。 よんた藩国でもちらほらと診療所は出来始めていた。 軽い傷病であれば診察することのできるこの施設には、当然ながら医師がいる。 子供の様子がおかしいなどは保母さんでもわかるが、詳しい病名などは医師でなければ判断がつかない。 保母さん達が異常を発見した場合、速やかに医師に相談するようになっている。 もちろんながら最寄の医師が保育園へ駆けつけることになる。 ほかにも、定期的な健康診断に来てもらったり、保護者の健康相談の手助けをしてもらったりしているという。 /*/ 保育園で表だって働いているのは保母さん達であるが、実際は非常に多くの人手が必要である。 建物の補修や花壇などを造園するような力仕事は保母さん達だけでは大変なため、いわゆる用務員さんが雇われている。 他にも、少し離れた場所から通う子のためのバスの運転手や、給食を作る調理師さんが雇われている。 また月に一度くらいの頻度で、清掃業者による園内の徹底清掃が行われている。 保母さん達や有志によってこまめな掃除はされているのだが、やはり少しずつ汚れはたまっていくもので、 良い衛生状態を保つためには徹底的に掃除してしまうのが手っ取り早いのである。 /*/ よんた藩国で子供にかかわる施設と言えばもうひとつある。 ゆきしずく荘と呼ばれる、いわゆる孤児たちを守るための寮のことである。 ゆきしずく荘の子供たちは主に国のメードさん達が見ているのだが、たくさんの子供がいる以上手が足りなくなることもある。 そんなとき保育園の保母さん達が手伝いに行くこともある。 もっとも寮から保育園へ通う子もいるため、単に様子を見に行っているだけだったりする。 わかばの里 の一日AM8:00/登園 AM9:00/体操 AM9:15/自由あそび AM10:45/近くをお散歩 AM11:30/昼食 PM13:00/歯磨きの後、お昼寝 PM15:00/おやつ PM15:30/紙芝居や絵本の読み聞かせなどの保育・終了後、自由あそび PM16:50/順次降園 わかばの里 の一日 AM8:00/登園 「おはよーございまーす!」 保育園の入口に保護者に手をひかれた子供たちの姿が現れるたびに、元気な声が響いている。 入口の前では保母さん達が数名出迎えており、彼女たちにに挨拶しているのであった。 「はい、おはようございます。りっくん、今日も元気いっぱいでえらいね。」 当のりっくんはすでに連れてきた母親の手を離し、友達の所へ駆けだしていた。 「こら、りく。ちゃんと先生にご挨拶しないとダメでしょ!」 「ふふふっ。いいですよ、お母さん。ちゃんと自分から挨拶できるようになったじゃないですか。」 保育園に入ったころは、やりたい放題で挨拶さえまともにできなかったのだが、 最近、自分から挨拶することを覚えたのは進歩だと、保母さん達はよく話していたのだった。 「そうなんですけどね、まったくあの子ったら…。」 「それはそうと、お母さん。時間大丈夫ですか?」 「え。あらやだ、もうこんな時間? りくー、おかーさん行くからね。いい子にしてるのよー!」 すでに遊びに夢中になっている彼には聞こえているのかどうかわからなかったが、他の子たちと遊んでいる表情は無邪気そのものであった。 「それじゃ先生。今日もよろしくお願いします。」 「はい。お母さんもお仕事がんばってください。いってらっしゃい。」 ふふ、行ってきます。と笑顔のまま、りっくんのお母さんは近くの商店へパートに出かけるのであった。 AM9:00/体操 「はーい、みんなー。体操の時間です。お遊具は片づけてね。」 聞き分けのいい子供たちはそそくさと片付けを始め、呼びかけた保母さんの元へと集まってくる。 が、一部の聞き分けのない、というか遊ぶのに夢中になっている子供たちは別の保母さんに諭されながら、しぶしぶ準備を始める。 5分ほどして子供たちが集まったのを確認した保母さんが音楽をかける。 『こどもたいそー はーじまるよー』 流れ始めたのは、子供向けの音楽乗せて体を動かすリズム体操である。 『いっちっにっさーんしっ にーにっさーんしっ』 楽しげな音楽と声に合わせて、子供たちが体を動かす。 体操、とはいっても厳密にストレッチをやったりするわけではなく、楽しく体を動かすことが目的である。 もちろん、危なくないように保母さん達が見守っている。 『それではさいごに おーきくしんこきゅー』 『いきをゆーっくりすってー …はいてー もいちどすってー …はい はいてー』 「はーい、みんな。良くできました。今日も一日、怪我しないように元気に遊びましょう。」 保母さんの掛声代わりの言葉を聞き、一斉にそれぞれの遊びへと戻る子供たち。 AM9:15/自由あそび 「せんせー、りっくんが またいたずらしてるよ」 報告にきた女の子は、まったくしょうがないんだから、と言わんばかりの顔をしていた。 今度は何かしら、と思いながらも保母さんは笑顔で、「知らせに来てくれてありがとう」と言ってから教えられた場所へと向かう。 やってきたのは遊具倉庫。 ここでなにかをやっていると言うことなのだが…。 ふと足元を見ると、小さな黒いものが転がっていた。 よく見てみると名前を書く時に使う油性マジックのキャップだった。 なんでこんなところに? と思いながら周りを見渡すと、隅の方でキュッキュッと音がしていた。 「りっくん、こんなところで何をしてるのかな? みんなお外で遊んでるわよ。」 りっくんは後ろを振り向き、にこーっと無邪気な笑顔を見せる。 「せんせー、みてみて」 りっくんは抱えていた何かを楽しげに見せた。 それは体操の時間に使う白いゴムボールであった。 ただ、2本の黒いギザギザ線が書きこまれていた。 「えへー、ぐらんぱー」 グランパ…ああ、子供の間で人気があるテレビ番組の登場キャラクターね。 確か、BALLSとかいう丸いロボットでヒゲが書いてあったわね。 タイトルは…そうキャプテン・タルクだったかしら。 そんな事を考えながら、ボールに落書きしたことを叱ろうかどうか迷っていると、りっくんはマジックを放り出してボールを抱えたまま走り出した。 「ときはみらい。ところはうちゅう。おとこのたびは おわらないー。」 楽しげな声に微笑みながら、保母さんはマジックを拾い上げ、今日は多めに見ることにした。 AM10:45/近くをお散歩 保母さんを先頭に、外に出るとき用の上着を羽織って少しもこもこした子供たちが列をなして歩いていく。 その様子は親に連なる鳥のヒナを連想させる。 今日の行き先は近くの公園である。 公園と言っても、砂場とすべり台あとはベンチくらいしかないのだが、そこそこ広さがあるため大勢の子供が走り回っても問題がない場所であった。 「はい、とうちゃーく。みんなお外で遊ぶ時の約束、覚えてるかな?」 「「「かってに こーえんからでないことー。あぶないあそびはしないー。よばれたらすぐにあつまるー」」」 いつも保母さん達が言い聞かせている注意を口々に言う子供たち。 「正解です。よく言えました。じゃあ、お昼まで思いっきり遊びましょう」 「「はーい!」」 元気のいい返事とほぼ同時に駆けだす子供たち。 一部、返事もせずにさっさとあそび出す子供もいるにはいるが。 子供たちが飛び出していかないよう、保母さん達は出入り口付近に常に気を配っている。 当の子供たちはそんなこと気にせずに、飛び跳ねまわっている。 当然ながら普通の公園なので、他にも利用者はいる。 と言ってもこの時間に公園にいるのは、そのほとんどが近所の奥様方である。 保育園に入っていない子供を連れた若いお母さんや、すでに小学校にあがり手が空いたお母さんもいる。 普段から公園での井戸端会議を開催しているのである。 保母さんはそのほとんど全員の顔と名前を知っている。 ふと、その中に珍しい顔を見つけ、歩み寄る保母さん。 「こんにちは。あゆむくんのお母さん、珍しいですね」 「あ、先生。こんにちは。主人が『たまには息抜きしてこい』なんて言ってくれましてね。全く急にどうしたのかしら」 あゆむくんは去年卒園した子供で、この子の家は近くで八百屋をやっていた。 「ご主人の優しさじゃないですか。それに息抜きするのも大切ですよ」 「そうなんだけどね。急にそんなこと言われても何していいか分からないのよ。ほんと、雨でも降らないといいんだけどね」 あははは。と笑いながら何気なく空を見上げる奥様方。 …さっきまでは見えていた太陽が雲に隠れ始めていた。 「…あらやだ。ほんとに降ってきそうね。洗濯物取りこんどいた方がいいかしら」 「予報では夕方からって言ってましたけど、この様子だと昼過ぎには降りそうですね」 「今日は布団取り込んでおいた方がよさそうね。お昼の準備もしないといけないしそろそろ帰りましょうか」 一人、また一人と公園を後にする奥様方。自分の子供を呼び寄せて手をつないで家へと向かう。 いつの間にやら、ちょうど保育園に帰る時間にもなっていた。 「はーい、みんな。帰る時間です、集まってー。」 保母さんのもとに駆け寄る子供たち。走り回って息が上がっている子もいる。 「それじゃあ、しゅっぱーつ。」 行きと同じように、子供の行列が行きかう人々を和ませていた。 AM11:30/昼食 散歩から帰った子供たちを待っているのは、楽しい楽しい給食の時間である。 「クツを脱いだら、手をキレイに洗いましょう。うがいも忘れないようにねー。」 子供たちが風邪をひかないよう、うがい手洗いの習慣をつけさせるのは基本です。 準備ができた子から順番に教室へと入り、自分の席へと向かうように促す。 子供たちが散歩に出ている間に残った職員が子供たち用の机とイスを並べており、机の上にはすでに昼食が用意されている。 『ごはんはすわってたべましょう。いただきます、はみんなでいっしょに』 というのは、園に入った頃にまず教えることである。 食べ物に感謝し、みんなでおいしくいただく精神を育てるためである。 そうこうしているうちに、すべての席が埋まり子供たちは今か今かと『いただきます』を待っている。 「手を合わせて、みんな一緒に…」 「「「いただきまーす」」」 わーんと元気な声が教室に響き、収まるとすぐにわいわいとした声が広がる。 ちなみに今日の献立は、 主食のパンにたくさんの野菜が練り込んであるプチよんた饅(子供サイズ)、近くの農家でとれたリンゴと牛乳だった。 献立は栄養管理に詳しい医師に相談して決められている。 とはいえ、好き嫌いがある子も当然のようにいる。 出来るだけ好き嫌いがなくなるよう食べさせるのは、調理師さんと保母さんの腕の見せ所である。 「あれ、みつきちゃん。リンゴ食べないの?」 「…」 様子を見にきた保母さんに話しかけられた女の子は、リンゴを残していた。 うつむいたまま、じっとしている。 みつきちゃんがいくつかの果物を苦手にしており、その中の一つがリンゴであることは当然保母さんは知っている。 アレルギーがあるわけではなく、単に苦手なのである。 「みつきちゃん、今日こそちょっとだけがんばってみない?」 「…」 みつきちゃんは今にも泣きだしそうだ。 保母さんは不意にみつきちゃんをぎゅーっと抱きしめる。 少ししてから離して、優しく話しかける。 「じゃあ、先生と半分こしようか」 「……うん」 まだ少し納得しきっていないようだが、ぎゅーに負けたのであろう。 先生がリンゴを二つに割り、みつきちゃんは片方を受け取った。 「それじゃ、一緒に『いただきます』するよ。はい。いただきます」 「いただきます…」 かき消えそうな小さい声ではあったが、みつきちゃんはちゃんと言ってから目をつぶってリンゴをほおばる。 もぐもぐと何度が口が動いてから飲み込む。 それを確認してから、保母さんは自分が持っていた欠片を食べる。 「よくできました。えらいよー」 保母さんはご褒美と言わんばかりにもう一度抱きしめる。 二度目に保母さんの手が離れた時、みつきちゃんは笑っていた。 PM13:00/歯磨きの後、お昼寝 しゃかしゃかしゃか…… 水道の前で子供たちが軽快な音を立てながら、歯磨きをしている。 大人にとったら何でもない歯磨きも、子供にとってはなかなかうまく出来ないことのひとつである。 歯磨きの終わった子供は保母さんに磨き残しがないか見てもらう。 「はい、上手にできました。次はだれかな?」 「はーい」 「あ、ちょっとゴシゴシが足りないかな。歯ブラシ貸してね」 子供の持っている歯ブラシを使い、磨ききれていない部分を優しく磨き上げる保母さん。 「はい、出来ました。口をゆすいでから教室に行ってね」 「はーい」 水道へと走って戻っていく。 一方そのころ教室では、早くに歯磨きが終わった子供たちが敷かれた布団の上で転げまわっていた。 お昼寝のために敷かれているのだが、当然のように子供たちのテンションは上がっている。 「ちょっと通してねー。あ、暴れちゃダメよ」 ちょこまかと動き回る子供たちがいては、布団を敷く方は大変である。 「よーし、捕まえたっ」 保母さんは布団を敷く手を止め、走り回っていた子を捕まえた。 このまま横にならせ、寝かせてしまう作戦である。 「さー、おとなしくお昼寝するのよー」 これですぐに寝てくれれば手はかからないのだが、なかなかそう上手くは行かないものである。 その光景を見ていたほかの子供たちがどんどん寄ってきて、添い寝を始める始末だった。 わいわいきゃっきゃっと集まってくる子供たち。 とはいえ保母さん達もそこは手慣れたもので、1人がそうやってひきつけている間に他の保母さん達がどんどん布団を敷きつめていく。 あっという間に布団の海が出来上がり、子供たちが自由に泳ぎ始めている。 …が、午前中にいっぱい遊びまわり、おなかもいっぱいになっているためか、ひとり、また一人と眠り始める。 眠った子は順番に保母さんに布団をかけられ、すやすやと寝息を立てている。 徐々に静かになっていく部屋の中、保母さん達は子供たちを起こさないように見守っていた。 PM15:00/おやつ 少しずつお昼寝から目覚める子が出てくる頃に、おやつの時間が待っている。 おやつは基本的に保母さんや調理師によって手作りされている。 とはいえ、あまり手がかかるのは時間的に難しいため、クッキーやパンケーキのような焼き菓子や、フルーツやヨーグルトなど準備の簡単なものがほとんどである。 材料の小麦粉や果物は農家から安く譲り受けたものが使われている。 おおよそ15時にはほとんどの子が起き出すのだが、当然ながら起きない子もいる。 夜に眠れなくなるといけないので出来る限りは起こすことになっているが、午前中の様子などで起こすか、そのまま寝かせるかの判断が行われる。 なお、寝たままおやつを食べそこなった子の分は、ラップでくるんだり、容器に入れて持ち帰りできるようにしている。 「せんせー、おはよー」 「おはようございます。もうすぐおやつの時間だから、手を洗ってきてね」 「はーい」 まだ眠いのか、トロンとした目をしている。 しかしおやつの誘惑は強いもので、おとなしく手を洗いに行っている。 保母さんはというと、人数分のおやつを皿にのせ運ぶ準備をしている。 準備が終わると、子供たちがお昼寝しているのとは別の教室に運び、イスと机を手際よく並べていく。 早く起き出した子の中には、保母さん達を手伝うようにイスなどを運ぼうとする子もいる。 真似がしたいだけなのか、早く食べたいからなのかは分からないが、自発的な手伝いはいいことなので危なくないよう見守りながらやりたいようにさせている。 「あー、クッキーだー」 今日のおやつに気づいた子が歓声を上げる。 皿に何枚かずつに取り分けられたクッキーは、星やハートや動物といった様々な形に焼き上がっていた。 「はい、じゃあ『いただきます』しようか」 ほとんどの子が起き出しておやつの準備が整ったころ、保母さんの言葉で一斉に自分のイスに座る子供たち。 「手を合わせて、みんな一緒に…」 「「いただきます!」」 楽しい楽しいおやつタイムの始まりである。 一口ごとに笑顔になってゆく子供たち。 サクサクと軽快な音を立てつつ、ポロポロとこぼしながらも食べている。 そんな教室の中に、まだ昼寝している子の様子を見てきた保母さんが入ってくる。 「みんな、まだ起きませんか?」 「さっきみんな起きてきましたよ。今、手を洗いに行ってます ただ、ゆいちゃんが少し熱があるようで」 「午前中、いつもより妙に声が大きかったようだけど、風邪かしら」 「恐らくは。念のため、お母さんには連絡入れておきました。 これから迎えに来られるそうです」 ちなみに、この会話は子供たちに聞こえないよう、入口付近でのひそひそ話である。 「ひどくならないといいんですけど」 「本当に…」 十数分後、ゆいちゃんのお母さんが迎えに来て家へ連れ帰った。 ゆいちゃんは3日ほど大事をとって休み、元気になったという。 PM15:30/紙芝居や絵本の読み聞かせなどの保育・終了後、自由あそび 『おおむかし、ひとがまだ、そらをみあげるしかなかったころ。 さむさにふるえてやりをにぎっていたそのころ。 ひとはおおかみやらいおんのえさでした。 ひとはきのみやくさをたべていました。 まわりはたべるか、たべられるかだったのです。』 保母さんの読む絵本に魅せられ、子供たちは食い入るように見つめている。 今日のお話は『いぬかみさまのおはなし』 有名な絵本の一つである。 『わかものはかなしいこころでこきょうにかえります。 こきょうではあいかわらずたべるかたべられるか。 わかものはばかだと、いわれていました。』 子供たちは悲しそうな顔をしている。 心はすでに『わかもの』自身になっているようだ。 『おおかみはいいました。 おまえのかちだ。おれをたべろ。 わかものはながくながくかんがえたあと、じぶんはばかではないとおもいました。 そうしてもっていたたべものをこわいこわいおおかみにわけてあげました。』 子供たちの顔がにわかに明るくなる。 一部の子は、うんうんと頷いている。 『どこにいても、いつにあっても、とおくまでいかないでも、こころがそうおもうのなら、そこにはなにかがあるのです。なまえもない、なにかが。 これはそういうおはなしです。 おわり。』 ぱちぱちぱちと、かわいい拍手が教室にあふれる。 「今日のお話は『いぬかみさまのおはなし』でした。 みんなもいろんな友達がいっぱいできるようにがんばろうね」 「「はーい」」 PM16:50/順次降園 「遅くなってすみません」 午後5時50分頃、やってきたのはりっくんのお母さんである。 「あ、おかえりなさい。大丈夫でした?」 りっくんの4つ上のお兄ちゃんが熱っぽいとのことで、 学校を早退し、パートのあと病院に連れて行っていたのである。 連絡をしていたため、保母さんは事情を知っていた。 「ええ、風邪だろうとのことでしたので。ご心配おかけしました」 「いえいえ。そんなことよりりっくんが待ってますよ」 教室では数名の子供が遊んでいる。 いつもなら元気いっぱい走り回っているりっくんが、少しおとなしい。 「りっくんーお母さん迎えに来たよー」 保母さんの声に駆けだすりっくん。 「りくー遅くなってごめんね」 「おかーさん、おにーちゃんは?」 「お兄ちゃんは風邪だって。すぐ良くなるから大丈夫」 その言葉に安心したのか、りっくんは笑顔になる。 その横で、保母さんがりっくんのカバンと上着を持ってきていた。 「はやくかえろう。きゃぷてんたるくがはじまっちゃうよ。」 キャプテンタルク 夕方6時半より絶賛放送中、である。 #以下製作者名を追記(20090313) イラスト:小野青空 テキスト:雷羅来
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隔壁を破壊した陸戦大隊の面々は薄暗い通路をゆっくりと進んでいく。彼らが入った通路はかなり大きく、 二十メートルクラスのPMが縦や横にに三機入ったとしても悠々に動けた。 だが、先の見えない暗闇がなんとも言えない重苦しさをかもし出していた。 リーシェンは黄龍のカメラを動かし、辺りを見渡してみる。デライトもバイラムもどこにも見えなかった。ソナー やレーダーは静かに沈黙を保っており、取るに足らない小さな機械が時折蠢いているだけであった。 ここは格納庫ではないのか? そう考えるのも無理は無かった。先ほどの隔壁からデライトが出てくる姿は確 認できていたがあれ以来、全く姿が見えない。トラップも無い上に奥深く進んでも障害となる物は何一つ存在 しなかった。 このことがリーシェンの不安をさらに加速させてくる。他の隊員たちを見るとみな口には出さないが焦燥感 がひしひしと伝わってきた。宇宙という要素を差し引いてもこの静寂は不気味であった。外ではいまだに戦闘 が行われているのにここには動く物が何一つ無い。 気を取り直し、再び視線を通路の奥へと向ける。虚無の闇から黒い手が伸びているように見えた。 もっと奥に行かなければいけないのか? 言いようの無い不安が胸を締め付けてくる。 そんなとき、先頭を歩いていたコウシュンの玄武が足を止めた。 「通路が二つか……」 右へ行く通路とさらに奥へと進める通路。薄暗い二つの通路には希望と絶望が分かれ道の先にあるように見えた。 どうするんだ? リーシェンはコウシュンの方へと視線を送る。下手な事をすれば時間をとられ軍が壊滅する。 「右へ行くぞ、これ以上奥に進んでも出にくくなるだけだ」 隊長の言葉に全員が頷くと右手の方向にゆっくりと進み始めた。天井には電灯が付いていたが光が弱く、自 分たちが進むたびに点滅を繰り返していた。通路は区画が違うのか、ラインがほんの少しだけ変わった。と言 っても変わったのはそれ位であり、何もない簡素な通路であることには変わりない。 「……それにしても……不気味ですね……」 新兵のチャンが辺りを見渡しながら歩みを進めていく。手には汗が滲んでおり、膝が軽くではあるが震えていた。 ここに来るまでトラップらしいトラップが無い、隔壁を壊せば何かが飛び出してくると思ったがそうでもない。 仮にも本拠地だというのにこの手薄さはなんだ? まるで何かに誘い込まれた気分だ。警備をしている人間 すら見受けられない。そんな時、ふと足を止めた。 「!? これは……」 小さな扉を見つけた。人間大の大きさであったがまるで隠れるかのように小さく、PMのカメラで見つける のは拡大をしたとしても苦労しそうであった。薄暗い事がさらにそれに拍車をかけている。 「隊長、扉を発見しました!」 画像をコウシュンに送るとコウシュンはその扉を拡大し、軽く一瞥すると全員に向かって指示を飛ばした。 「良くやった、リーシェン。他の者はその場で待機だ」 「了解」 PMの一団がその場で待機すると、コウシュンはコックピットのハッチを開いた。そして辺りを注意深く見 渡しながら慎重に扉へと近づく。そして扉の前に来ると腰に備え付けられているハンドガンを手に取った。扉 は音を立てて横にスライドしていった。電源が生きている事にいぶしげな顔をしつつ、部屋の様子をみる。入 り口にはトラップのような物は無い。慎重に中に入ると薄暗い空間に飛び出た。物陰に隠れながら一つ一つ確 認していく。そのとき、影が動くのを目撃した。 「動くな!」 コウシュンは影に向かって拳銃を突きつける。 影――ことアルフェアは少し驚いた表情をしながら両手を挙げて抵抗の意思がないことを示した。 「……お前は?」 「えっと……その……と、捕らえられた人でーす」 アルフェアの言葉は空を舞った。額には冷や汗が浮かんでおり、表情は凍りついたままであった。 誰がどう聞いても無理がある言葉であった。コウシュンは銃を下ろすことなく冷めた視線を彼女にぶつけなが ら身体をつぶさに見つめていた。気まずい沈黙が続く中、やむなしと言わんばかりに懐に手を伸ばすと拳銃を 取り出し、発砲しようとする。 だがコウシュンはそれよりも早く彼女の手を蹴り飛ばした。当たった衝撃で銃が軽い音を立てて床を滑っていった。 すぐさま拾いに行こうとする彼女だったがコウシュンはそのまま飛び掛り、彼女の手を後ろに廻すと手錠をかけた。 アルフェアは手錠を振り払おうと力を入れようとするが特殊なゴム製の手錠は彼女の力を相殺し動かすたびに両手が拍手 を繰り返した。その間に今度は足にかせを付け、その場に寝転がらせた。 ジタバタする彼女を見て身動きが取れないことを確認すると通信機に向かって呟いた。 「こちらコウシュン、一人の女性を確保した。尋問をしたいので応援を頼む。リーシェン以下の者は他を回ってくれ」 「了解」 一部のパイロットたちはアサルトライフルを背負い込むとコウシュンが先ほど入った扉へ向かっていく。 一方のリーシェンを始めとする者たちは辺りを見渡しながら、別の通路を探し始めた。 「あーっと……すみませんが放してくれませんかね?」 アルフェアはコウシュンにに願い出るが彼は再び彼女を一瞥すると冷たい態度で尋ねてくだけであった。 「では、もう一度聞こう。お前は何者だ?」 「何者と申されても……」 眉間に皺を寄せて睨みつけてくるコウシュンにアルフェアは苦笑いを浮かべたまましどろもどろに口を濁した。 だが、コウシュンから見ればいかにも口が軽く見えてしまう。その証拠に黙っていればこちらは不利になる と言うのに彼女は口を聞いてもいないのに口が落ち着き無く動いていた。 「ならば、この部屋はなんだ?」 「この部屋? 書いてあるじゃないですか」 「書いてある? どういう意味だ?」 コウシュンの言葉にアルフェアは一瞬青ざめた顔をした後、そっぽを向いて調子ハズレな口笛を吹き始めた。 書いてあるという言葉に首を傾げたが扉の方に視線を送るとその言葉を理解した。そして、先ほど入ってき た扉から続々と隊員たちが入ってくる。手に持っているライフルをアルフェアに向けて取り囲むと一人の隊員 がコウシュンに問いかけた。 「隊長、これは一体……?」 戸惑いの声を上げながらコウシュンを見る。深いため息を付いた後、彼らに言い聞かせるかのように淡々と した口調で事実を述べた。 「恐らく異星人だろう」 「異星人? これが!?」 驚く隊員たちに対し、彼女は幾度と無くポーズをとった。見た目は人間と変わらないという事実は誰にとっ ても驚愕であった。多少の差異は覚悟していたがここまで人間そっくりである事に誰もが動揺していた。 無論、経労省を襲撃した際、彼らも政府の”計画”が知っていたがいざ、本物を目の前にすると事実がどう にも受け入れらない。ましてや自分たちが最初に拿捕した存在がごく普通の一般女性である。 「これがとは失礼ですね! 全く、いきなりやって来て――」 そして視線が冷静さを取り戻すとアルフェアはブーイングを上げながら床に転がりだした。 止まるところの無いまま喋り倒すアルフェアを隊員たちに任せると コウシュンは再び辺りを見渡した。 大小のモニター。地球とは違ったキーボード。机の上にはなにやら模型がおいてある。 そして後ろにある巨大な部屋。PMが自由自在に動けそうな空間が広がっている。元々通路自体が大きいの だが、この部屋の奥にある部屋は二百メートルは軽く超えていた。 コウシュンはモニターを覗き込むとそこには良く分からないデータが表示されている。図面が人型であるこ とからこれがPMであることは理解できた。エンジンの場所、武装の数と種類、PMの所属。などが事細かに 載っている。その中にはリーシェンの黄龍のデータも存在した。 だが、コウシュンたちが欲しいのは機体のデータではなく内部構造である。早速、キーをいじってみるが動 く様子はない。そんな時、リーシェンが外から通信をしてきた。 「こちらリーシェン、部屋の回りこんでみたところ前方に大きな隔壁があります」 「隔壁だと?」 送られてきた映像は重い壁が表示された。入る前の隔壁とほぼ同じ大きさだ。 奥には恐らく何かが入っているのだろう。どの国かわからないが黄色の三重丸マークが大きく描かれている。 核のマークではないがなにやら重要な物が入っているのだろう。そばにカードリーダーとナンバーロックが 備え付けられている上にそれを入力する赤外線受信装置が付いていた。 「そちらから解放は出来ませんでしょうか?」 「やってみよう」 キーを叩いて文字を見つめる。が、出てくるのはPMのデータばかりであった。どうやらこれではないらしい。 三度、部屋の中を見渡した。薄暗い中に小さな光を見つけた。近づいて良く見るともう一つ端末がこじんま りと存在していた。電源が入っているらしいので適当にボタンを押す。するとと隔壁が重い音を立てながらせ り上がって行った。ただし――。 「隠し扉!?」 リーシェンの目の前にある隔壁ではなく横にある通路の壁だと思っていた場所がゆっくりと開いていく。 そして扉の奥には無数のデライトが立ち並んでいた。数にして百を超えており、無機質な目玉が右に左にと 動いている。手前にはデライトの武装がライフルから始まり、いたる所に並んでおり、これを手に出撃しよう としているのだろう。 「どうします?」 「決まっている、全部叩き潰せ」 「了解!」 陰に隠れながらゆっくりと近づいていく。命令が入っていないのか、デライトは動く様子は無かった。近くに あるデライト用のライフルを手に取り、彼らに向けてみても微動だにしなかった。銃口がライトの光を彼らの 顔に当てるが認識をしないのか、不気味な機動音のみを響かせている。 リーシェンは大きく息を吐き出すと通信機に向かって指示を飛ばした。 「おい、ここにある武器を全部持ち出しておいてくれ」 「了解!」 チャンを筆頭に青龍や朱雀たちが壁に備え付けられているデライトの武器を手に取り、通路へと無造作に置 いていく。そして、リーシェン自身はコックピットから降りるとデライトの顔へ飛びついた。そして丹念に調べ始める。 頭部、カメラアイ、排気口、僅かながら見える配線にバイパス。それらを丹念に調べていくと耳の後ろ辺り に手動用開閉装置の取っ手が付いていた。それを手に取るとおもむろに回し始めた。重苦しい手応えと共にデ ライトの顔が開いていく。 「これがデライトか……」 見た目は地球のPMとは差ほど変わらなかったが中にある構造は進んだものである事はリーシェンでも理解 できていた。顔の周りにある配線やバイパスは少ない本数であり、たこ足配線的な地球製とは違いかなりスマ ートであった。巨大な瞳のカメラは予備を含めて九つあり、ガトリングのように頭の周りについていた。 一つが壊れたら二つ目、三つ目と切り替わるらしい。センサー類を見ると光学センサーから始まり、ソナー やレーダーといった物まで備わっている。 リーシェンは懐からカメラを取り出すとデライトの内部構造を撮影し始めた。そして、撮影を終えるとプラ スティック爆弾を仕掛け始めた。装甲自体は厚そうだったが内部自体はそうでもないと結論付けた。 「武器の持ち出し、完了しました!」 「よし、それならお前たちも爆弾の取り付けをしてくれ」 「了解」 今度は後ろにある機体の胴体を開こうとする。ナンバーロック式らしく胸元に小さなボタンがいくつも付いていた。 懐から拳銃を取り出すとにロックの方に向けるとトリガーを引いた。銃口から煙を噴きながら鉛の弾丸がロッ クを貫くと軽い火花が飛び散った。そして胸部の装甲がゆっくりと開いた。銀色の配線とともに思っていた以 上に小さいエンジンが静かに鼓動を携えている。エンジンの周りには自爆装置が付いており、有事の際には自 爆をするのだろう。 再びカメラで撮影をするとエンジンにプラスティック爆弾を仕掛けた。頭部とは違ってエンジン周りは何ら かの防護をしているのか粘土質のプラスティック爆弾が張り付く事が無かった。やむなく腰のポシェットに入 っていた針金を取り出すと無理やり縛り付けた。 他の隊員たちも同じようにデライトに爆弾を仕掛けていく。慎重な者は頭部や胸部だけではなく、脚部にも プラスティック爆弾を仕掛けていた。一瞬、センサーに触れてしまったものが居たがデライトは振り払うことはなかった。 「少尉、爆弾の設置、完了しました」 「よし、全員搭乗! 後に爆破開始!」 「了解」 リーシェンの言葉と共に蜘蛛の子が散るかのようにそれぞれのPMへ向かっていく。そして、搭乗をし終え るとリーシェンたちは起爆ボタンを押した。夕陽のような橙色の火花が飛び散るとキレイに整列していたデラ イトも続けざまに爆発を引き起こした。黒煙が辺りに広がり、徐々に治まるとデライトたちは静かにスクラッ プへ成り代わった。一つ目の顔は既に形を成しておらず、無造作に手足が床に散らばる。 「あっああああ……」 腕についていた通信機からもその映像が送られてきた。 その様子を見ていたアルフェアは手足を乱雑に動かし抵抗する。だが縛られている以上、何も出来なかった。 そして、意を決したかのようにこれ以上ないくらい身体を左右に揺すり始める。 「……こうなったら仕方ありませんね……ポチッとな」 手足をもぞもぞと動かすと携帯電話のような小さな機械が床に転がった。そして自身の舌でそのボタンを押した。 すると先ほどの隔壁が軽く震えながら徐々に上へ、上へと上っていく。そして、奥のほうにいる何かに火が入った。 ローターが回転を始め、瞳が輝きを増していく。部屋全体に水蒸気を撒き散らすと”それ”は前進を始めた。 「な、なんだ?」 何かがやってくる。宇宙であると言うのにコックピットへ地響きが伝わってくる。歩兵をした者なら理解できた。 無論、リーシェンにもこの振動は理解できた。この地響きは間違いない、アレだ。PMがやって来る地響きだ。 訓練の一環として銃器を背負いつつ、砂漠を、山を、密林を、駆け抜けた際にゆっくりと迫り来る巨人の足音だ。 だが、今の自分たちはPMに乗っている、それなのに感じると言う事は……。ゆっくりとリーシェンは振り向く。 「どうした、リーシェン。爆破は成功したのか?」 通信機からコウシュンの声が聞こえてくる。そしてもう一人の人物――。 「おー、動いちゃいましたね」 ノイズ交じりの中、あっけらかんと言うアルフェアの声も聞こえてきた。 狭い通路をこすり合わさったせいか火花が飛び散っている。いや、無理やり通ったせいで通路自体がひしゃ げているのだ。薄暗い通路をから現れたPMは――。 「山?」 そう、山だった。単なる緑青色をした山ではない、ミサイルやビーム兵器を積んだ金属の山、巨大なPMであった。 その証拠に摩天楼を思わせる腕が付いていた。PMの全高が太ももの辺りであり、よっぽど上昇をしなければ 顔が全くと言っていいほど見られない。足元にいるリーシェンたちが小人のように感じる。カメラでズームア ウトをしても全体が見渡せない。巨体によって天井にあるはずのライトが遮られ、辺りは先ほどよりもかなり 暗く感じた。巨大なレンズがこちらを見つめると蛇に睨まれた蛙らしく、背筋に悪寒が走った。 そして影が迫ったと思った次の瞬間、隣に居た朱雀が巨大なPMに踏み潰された。まるでスクラップ工場の ようにまっ平らになったPMは黒いオイルと人が乗っていた証である宇宙服の腕が小さく見えていた。 「うああああああああああああああああああああああああああ!」 誰かの絶叫によってリーシェンは我を取り戻す。このままでは不味い。 そしてそのままペダルを踏み込むと山から距離を取ろうとする。 「総員撤退! ここから脱出するぞ!」 声が届いてないのがほとんどの者が棒立ちであった。先ほどの行為に頭が追いついていないのだ。 「返事をしろ!」 「りょ、了解!」 全員、堰を切ったかのように巨大PMに背を向けると一目散に飛び立ち始めた。 だが、それはあまりにも悪手であった。”山”はその巨大な身を震わせると上部にある千に達するほどハッ チが一斉に開いた。銀色の槍、ミサイルが一斉に白の煙を撒き散らすと一斉にリーシェンたちのほうへと飛んできた。 そしてこのミサイルはリーシェンたちが知っている物とは違った。 「は、速い!」 煙を撒き散らしながら飛び立つミサイルはPMを後ろからあっという間に追い抜くとそのままUターンをし、 正面を切って向かってきた。突然の事に避けようとするがただでさえ早いミサイルに対応が出来ず、そのまま 撃墜されてしまう者たちが居た。チャンもその一人であった。 「くぅ!」 すぐさま計器をチェックする。燃料計もダメージ計算機も問題ないらしくランプはすべて緑色の光を放っている。 確認を終えるとすぐさまペダルを踏み込むがだが、一瞬の動きの遅さが命取りとなってしまった。山もまた 動いているのだ。その証拠と言わんばかりに腹部から眩い閃光が放たれるとチャンの乗るPMが跡形もなく消 え、彼が居た場所に黒い痕しか残らなかった。 事態に対し、戸惑いつつもミサイルと閃光を避けながら通信機に向かって叫び続ける。 「こちらリーシ――! 謎のPMに――ています。」 しかしコウシュンに聞こえてくるのはノイズ交じりの報告だった。先ほどまで聞こえていた通信は突如ノイ ズに塗れてしまい、辺りに雑音を振りまいていた。 「リーシェン! どうした! 報告をしろ!」 今までと明らかに状況が違う事に戸惑いつつも、事実を確認するためにコウシュンはリーシェンに向かって問 いかける。だが、必死の叫びは無駄に終わり、先ほどまで聞こえてきた青年の声はしゃがれたノイズに飲まれ、 耳へと通ってくるのみであった。 通信機の電源を切り、視線をアルフェアのほうに向けると彼女はしたり顔で見つめ返してきた。 「おい、貴様! どういうことだ!」 「どういうことって……こういうことですが?」 「なんだと!?」 思わず彼女の胸倉を掴み、思い切り立たせるが彼女は怯む様子はなく、すっとぼけた顔で平然と言い放った。 こういうこと。罠に嵌められた、という意味なのだろう。その事実に対し手に力が入ってしまう。 だが、今はこんなことをしている場合ではない。 「我々はリーシェン隊の救援へ向かう! 各員続け!」 「了解!」 隊員たちの声と共にコウシュンはアルフェアを肩に担ぐとそのまま足早に自身のPMへと向かっていく。 彼女の身体は普通の女性より重かったが鍛えられたコウシュンにはとても軽いのかあっという間に玄武のコ ックピットへと座らせる……というより投げ捨てた。 「きゃぁ! 何をするんですか!?」 「貴様にも来て貰うぞ!」 そういうや否やペダルを思い切り踏み込み、バーニアを光らせる。リーシェンが行ったと思われる通路を辿 って、ひたすら突き進む。各員共に逼迫した表情で進んでいるが不安が隠せないのか額に汗が浮かんでいた。 距離にしてみればそう遠くはないが辺りの暗さがひときわ目立った。電灯がついているのに却って闇を深め たのか、黒がやたらとくっきりと見えている。そして、目的地にたどり着くと目の前の光景に言葉を失った。 「こ、これは……」 破壊されたPMの破片が転がっていた。朱雀を始め、白虎、青龍の手足が無造作に打ち捨ててられていた。 また、壁も何かを引きずったかのように拉げており、何かをプレスしたかのような青いペンキが塗られていた。 「リーシェン、応答しろ!」 通信機に向かって怒鳴ってみるがリーシェンからの応答は無かった。辺りからは静寂に包まれており、暗闇 の中には動く物も声を出す者も無かった。 「近くにいるはずだ、各員捜索を開始しろ」 コウシュンがそういうと後ろにいるアルフェアが激しく動き始めた。手足が拘束されているためのた打ち回 るといった方が正しかったが……。 「五月蝿いぞ!」 「上!」 「上だと?」 視線を上げるとそこに居たのはリーシェンが対峙した巨大PMだった。視線を玄武に合わせると腹部にある 銃口がこちらを向いた。舌打ちをし、すぐさまバックステップを踏むと同時に火花が飛び散った。鉛の弾が音 速で向かってくるが寸での所で避けた物の先ほど居た場所から跳ね返って玄武の装甲に当たった。傷の付いた 程度だ済んだことに安堵しつつ顔を上げるとPMはこちらを睨みつけたまま微動だにしなかった。 「リーシェンたちはこいつにやられたのか?」 不安が募る中辺りを見渡す。そこには生存者は誰一人いなかったが骸となったPMが自分たちに教えてくれ た。あいつに、あの”山”にやられたのだと。 「この化け物め!」 一機の朱雀が巨大PMに向けてアサルトライフルを構えるとその巨体向けて鉛玉を放った。 だが案の定効果はなかった。弾は巨大PMの装甲を貫くことはなく、そのまま天井や壁に向かって飛んでいった。 お返しとばかりにPMも反撃に移ろうとする。下腹部の部分が開くと機銃が飛び出し、先ほどの朱雀へ向けられる。 「うっ!」 素早く逃げようとバーニアを吹かせるが遅かった。そう、朱雀は機銃――ではなく巨大PMの”手”によっ て叩き潰された。まるで飛んできた蚊を叩き潰すかのように無慈悲で躊躇が無い動作であった。 手を挙げるとそこには朱雀”だった”物が赤いペンキと手足だけを残して消え去った。全てあの中に人の身 体も、朱雀の部品も全て入っているが恐らく、神で無い限り取り出すのは不可能だろう。 そして巨大PMが辺りに視線を送ったのか、黄色の目玉がせわしなく動き始める。 「まずい!」 コウシュンはすかさず玄武の手を大きく後ろに振った。撤退の合図であった。 「隊長!?」 「こんな狭い場所で戦うのは帰って不利だ!」 狭い場所、というのは理由があった。大きければ小回りが効くこちらが有利だと思われるがこの場ではそう ではなかった。通路の狭さが逆にネックになり、動き回ろうにも向こうの攻撃範囲が広いため、逃げ回ること も出来ずにやられるだけだ。僅かな隙間を突っ込んで背面を取る事も出来そうにない。下手に立ち止まれば機 銃の餌食になるかそれとも手や足で踏み潰されるかのどちらかだけだ。 素早く巨大PMに背を向けるとスモークグレネードを投げつけた。煙が振りまくと同時に彼らは来た道を戻 り始めた。一方の巨大PMは撤退していくコウシュンたちを追いかけようとするが巨体が邪魔らしく、動きは とても遅かった。方向転換をするにも壁を壊し、何度も地団駄を踏みながらやっとの事で正面を向き直った。 撤退をしながら後ろにいる彼女に問い詰めるが彼女は一向に表情を崩す事はなかった。 「あれは一体なんだ!?」 「大きいPMですけど何か?」 「何かじゃない! 止める方法は?」 「倒せばいいんじゃないですか~」 手足を縛られているが顔には緊張感が無く、口からは真面目さのかけらが何一つ無かった。 考えてみれば元々は敵だ。素直に止め方を離すとは到底思えなかった。それならば――。 「このままではお前も死ぬぞ」 「そうですね~」 「怖くは無いのか?」 「え? 何で死ぬのが怖いんですか? 痛いのは分かりますけど……」 死ぬのが怖くない、という単語にコウシュンはかつて中東で戦った兵士を思い出した。彼らは神に対して真 摯的であり、死ぬことは誉れであって恐怖はないと言い放った。自分は死んで天国に行くとかたくなに信じて いる。尤も、その意思も肉の塊の前では無残に飛び散ったこともコウシュンは知っている。 そんなやり取りをしている間にPMの腕が伸びてきた。だが殿を勤めるコウシュンは腕の位置を把握すると 右に左にと小刻みに避けていく。その様子を見て、PMはさらに早く腕を伸ばしていくものの一向に捕まる様 子はなかった。 暗い闇を越えると通路が左右に分かれていた。右も左に言っても碌な事が無さそうだとコウシュンは思った。 だが、現状においてやるべきことは一つだけだ。 「各員、自身の安全を確保! 後に例の部屋へ!」 通信機に向かって叫ぶと皆、それぞれ二手に分かれて逃げていく。が、そんなことをしている間に巨大PM が迫ってくる。重かった足取りが徐々に速くなっていく。地響きが一つ、また一つと近づいてきた。 「ここは私が時間を稼ぐ! お前たちは自分の安全を最優先にしろ!」 そう言ってる間に後ろから巨大PMが追いかけてきた。先ほどとは違い、徐々に加速をしていく。まるで転 がる岩のように勢いが増していった。壁が摩擦熱で火花飛び散っているがPMは一向に気にせず向かってくる。 「ちぃ!」 腰についているチャフグレネードを巨大PMの目の前に投げつける。白い煙と共に金属の破片が雪のよう に散らばると瞳の色が変わった。センサー類が聞かないのか辺りを見渡している。 「ああ、そんなことしちゃ駄目ですよ!」 「五月蝿い! 黙っていろ!」 PMは見るのをやめると静かにその場にたたずんだ。そして身体を震わせるとヤケになったのかビームをいた る所に撃ち始めた。激しい稲妻が玄武の身体をすんでのところですり抜けていく。壁は熱でチーズのように溶け、 床には大きな穴が開いた。直接当たれば玄武もあのようになる事は確実だろう。 舌打ちをすると腰の部分の弾倉から粘着性の液体が入った特殊弾頭を取り出し、ライフルに取り付けた。 PMに向け、トリガーを引こうとするがアルフェアは拘束具を無理やり引き伸ばし、そのまま体当たりをし て発射を阻止してきた。 「貴様! 何をする!」 「私の作品をこんな物で汚すなんて許せません!」 やむなくコウシュンはアルフェアの拘束具のレベルを上げ、背中で交差するように枷を絡ませると再びシー トに座り直す。だが、先ほどのやり取りをしている間にPMの視界は晴れ、敵を再認識したようだった。 そして、再びスピードを上げてコウシュンたちのほうへと向かってくる。悪魔のような鉄骨が目の前に迫ってくるが 素早く右へ避けると腰に付いていたグレネードを手に取り、至近距離から叩き付けた。手は格闘専用のガー ダーが付いていたが、いくらなんでもグレネードを直接ぶつけると言う無謀な行動には対処できなかったらし く赤い爆発と共に砕け散ってしまった。 だが、お互いの手は砕けた様子はなく、PMのアームは静かに後ろへ下がっていく。そして今度は勢いを付 けてその体ごとぶつけようと迫ってきた。 「おおおおお!」 「うわわわわ!」 スライディングの要領で僅かな間隙に玄武を滑り込ませる。巨大PMはそのまま壁を破壊し、奥のほうへ身 体を横たわらせた。その際、飛び散った破片が当たり、凹みを作るが一向に気にしない。 そしてそのままライフルに火を噴かせる。だが、ビームの発射口は強固なのか弾丸が貫通しなかった。むし ろ壁に跳ね返ると弾丸自体がひしゃげて床に転がった。 PMが身体を起こしてこちらに視線を向けると再びビームの閃光が走ろうとする。 だが、一足先といわんばかりに玄武は僅かな隙間から身体をぬけ、ブースターに火をともすとあっという間 に離れていった。PMはそれを見送るとエネルギーを発射口に送るのをやめ、ゆっくりとした足取りで追いかけ始めた。 大きく深呼吸をする彼女と共に巨大PMを背後にしながらコウシュンは通路をひたすら走った。 「ダメージが通らんとはな」 「あー、びっくりした」 気が付けば玄武は宇宙へ飛び出していた。逃げることばかりにかまけていた為、どうやら戻ってしまったらしい。 遠くではまだ戦闘が続いているのかいくつもの光が見えた。アルフェアはそんなコウシュンに嫌味……とは 言えないものの恐らく彼女の中で最大限の皮肉をたっぷりに言ってくる。 「出ちゃいましたね、あなたたちの行いは単なる徒労――」 だが、そんな事に耳には入っていなかった。顔に手を当て、これからどうするかと思い悩んだ瞬間――コウ シュンは殺気を感じ、思わず振り返ってみる。アルフェアもコウシュンの態度が気になり同じように振り返る。 すると巨大PMがハッチまで迫っていた。そしてそのまま宇宙出ようとその巨体を傾けるが、コウシュンたち が入ってきたハッチは通路よりも若干小さく作られていたらしく、PMはその巨体さゆえにハッチから出られずに居た。 「残念だが流石にあそこから出れるわけが……」 無理やり通ろうと何度も体当たりを繰り返す。身体を捻り何度も通ろうとする。その度にハッチが歪み、 周りの壁が盛り上がっていく。途中、ビームで溶かすという手段を思いついたのか、一度離れると発射口に光 が灯り、激しい閃光はほとばしると周りの壁を溶け始めた。そして再びハッチを突き破ろうと体当たりを繰り 返す。上半身がハッチから抜け出るもののの溶かした穴が小さかったらしく、見事にハマってしまった。 コウシュンはその間にと言わんばかりに先ほど使い損ねた弾頭をPMへ向ける。そしてトリガーを引くと弾 頭は体当たりを繰り返しているPMと壁の間を埋めるかのように奇麗に接着をした。 「これでいいはずだ」 「が、がんばってぇ!」 アルフェアは応援するがPMはさらに身動きが取れなくなったことにより、手足をより乱暴に動かし始めた。 ビームを撃とうとするが粘着の場所が絶妙なのか、天井や壁を破壊しただけに終わった。 もしも子供ならばこの状況でべそをかくだろうな。とコウシュンは心のどこかで思ってしまった。後ろのア ルフェアは顔を真っ赤にしながら「がんばれ」や「もうちょっとだから!」とか叫んでいる。 玄武はそんなPMに背を向け、新たな隔壁を探そうとする。だが置いて行くなと言わんばかりにと上部ハッ チが開き、ミサイルが飛んできた。真っ直ぐに玄武をめがけ飛んでくるが広い宇宙では場所が広いので楽に 避けていた。そのまま近くの暗礁にミサイルをぶつけさせると爆発が巻き起こリ、他のミサイルも飲み込まれていく。 「やれやれ、このままにしておけば味方に被害が出兼ねんな」 コウシュンはPMを睨みつけると少しの間、思考を張り巡らせた。目の前の巨大なPMに対しては絶対に手 段を講じなら無ければならないが、現在の玄武では決め手となる物がない。バイラムやデライトとは勝手が違 い過ぎた。一番ネックなのは巨大さもさることながらビーム兵器やミサイルといったものが切れる事がないと いうことだった。発射口を潰そうにも接近する事自体が難しい。 だが、そんな考えをさせる暇は無いとPMは何度ももがいていた。ハッチ自体は通路よりも頑丈に作るのは 当然である。下手をすれば空気が噴出し、死に到るからだ。だがそれを理解していないのかPMはひたすら 足掻き続けている。身動きが取れない現状では動くのやめて一度引っ込めばいいのだがそんな考えすら思いつ かないらしく、ただ身体を揺すってハッチから出ることを目的としていた。 何度も足掻いてるうちにハッチに亀裂が入り始めた。PMは渾身の力を込めて粘着性の液体ごと宇宙へと飛 び出そうとする。足についている宇宙用のブースターに灯が点る。薄い膜を突き破るかのように全重量をかけ て、外へ出ようとする。そして、ヒビが大きくなり、細かな破片が中を舞い始めると小さな通路の破片と共に ついにハッチごと突き破った。 「お、おおおおおおおおおお!」 興奮のあまりまな板の魚のように飛び跳ねる。PMの方は完全にバランスを崩したらしくそのまま前転しな がら遠くへと飛んでいく。一方のコウシュンは舌打ちをしながら辺りを見渡すと雪の結晶の隔壁に沿って飛び始めた。 「な、何をするつもりなんですか?」 「決まっている、こいつを破壊させてもらう」 回転をやめ、バランスを取り直した巨大PMは玄武を補足するとその巨体らしくゆっくりとした足取りで 追いかけて来た。だが、玄武のほうがスピードが上らしくみるみるうちに距離が離れていく。そして足止めと いわんばかりに多数のミサイルが発射された。玄武は壁に足をつけてその場で一時停止するとミサイルはその まま雨のように真上から降り注いだ。だが一発目があたると同時に素早く飛び退いた。他のミ サイルもとっさの事に対処出来ず、そのまま連鎖するかのように次々とミサイルは丸い花火となった。壁の一 部が破壊されたのを確認すると再びPMから距離を取り始める。命中精度と速さがあだとなった結果であった。 「あ、あああああ!?」 先ほどとは違ってアルフェアが青ざめた顔でその場にのた打ち回った。コウシュンの方は開いた穴をじっと 見つめるが出てくる物は居なかった。 直径七十メートルの穴からは小さな機械だけが飛び散っただけであり、 PMと思われる物は何一つ無かった。 「ここではないか……」 小さく呟くと再びPMに背を向け、飛び始めた。その間にPMがコウシュンを捉えると今度は腹部のビーム が放たれた。だが発射までに手間を取ったらしくビームは大きく横にそれた。そしてそのまま雪の結晶から大 きく離れ、遠くにある暗礁空間が奇麗な黒が出来上がった。 「まさか、ここまでとはな……」 コウシュンは正直な想いを口にした。もしも当たっていれば自分は影も形も残らず消え去っていただろう。 再び後ろに居るPMに視線を送ると悔しいのか、手を大きく廻していた。どうやらコイツも宇宙が主戦場らしい。 そう思うとゆっくりとしていられなくなってきた。自分一人だけでは分が悪い。 再び壁に沿って飛び始めると今度は狙いを外さないらしくかなり早めにビームを撃ってきた。 だが、却って読みやすかったのか、玄武は上昇をして光の柱を避けた。 放たれた閃光は先ほどのミサイルのように壁に大きな穴を開けた。だがそこからには誰の姿も見えない。 「ここでもない」 先ほどと同じように見えてくるのはせいぜい機械の破片のみ。ならば仕方ないと再び壁を滑空し始めた。 「あ、あなた一体何をするつもりですか!?」 とうとう痺れを切らしたアルフェアが聞いてきた。だが、彼は無視をしてペダルを踏み続ける。 壁に沿って滑空する玄武に狙いを定めるとミサイルとビームが止まる事無く振りそそいだ。 だが、コウシュンは慌てることなく操縦桿を丁寧かつ素早く動かす。するとまるで玄武は想いに答えるかの ようにミサイルやビームのわきをすり抜けていった。雪の結晶の壁をブレーキにしつつ、器用に方向転換をし ながら目的の場所へと向かっていく。自分を狙っていると考えればたやすい事であった。 「ここか!?」 辺りを確認しながらその場に居座るとPMは再びビームを放った。閃光はこれまでの物とは違い、かなり速 かった。いつものようにとっさに避けるがあちらも学習を積み重ねたのか、ビームの命中精度はあがっており、 玄武の左腕は光と共に消え去った。舌打ちをしながら再び巨大PMに視線を送る。まだ遊び足りないのかミサ イルのハッチが開いたままであった。さらにもう一撃加えようとする。だが、そのPMの背後で爆発が起こった。 「隊長!」 通信機から隊員声が聞こえてきた。一部、別れた者達が帰ってきたのだ。 そのまま巨大PMの背後から朱雀を筆頭に砲撃を開始した。キャノン砲が何度も火を噴き、熱を帯びた砲弾 が装甲に当たるが焦げ跡が付く程度で怯む様子もなければ動きを止めることもしなかった。最初の印象である ”山”がそこにあった。 「くそ、こんだけ攻撃しても無駄か!」 「タイミングを一度そろえろ! 間合いももう少し取っておけ! 一点集中を心掛けるんだ!」 「了解」 隊員たちが一斉に距離を取り始める。その間に再び銃器に弾を装填し、再計算のために操縦桿を軽く動かした。 手に持っている大型のキャノン砲が巨大PMを正面に捉えるとモニターについているサイトが攻撃可能のサ インを出す。軽い手ごたえと共に安全装置が解除されると――。 「各員、攻撃用意! ……撃て!」 コウシュンの声と共に一斉に砲撃が開始された。無数の炎が流星の様に巨大なPMに降り注ぐ。だが――。 「止まらない……か」 巨大PMにはダメージが通らなかった。爆発が消え去るとその装甲には思ったほど傷が付いていなかった。 おまけに背後の奴らよりも玄武のほうが気になるのか、ずっととこちらへと視線を送っていた。その動きを 観察するかのように世話しなく目玉が動いている。そして再び、玄武のほうへと向かってきた。 分かりきっていた事だ。先ほど自分もライフルとグレネードで攻撃をしたのだ。それが効果がないということは――。 「コイツの出番か」 自分の棒を取り出すと軽く振るってみる。片腕しかないが勢いさえつければダメージは通るはず。 呼吸を整え、肩を軽く上下に動かして精神を落ち着かせるととペダルを踏み直す。そして玄武のブースター が炎を吐き出すと遊び相手が欲しがっている巨大PMを睨み付けた。 「うおおおお!」 距離を一気に詰めると玄武はその手に持っていた棒を思い切り振るった。玄武の手から重い手応えが 伝わってくる。だが、PMはあまりにも巨大過ぎたためダメージは通らなかったらしく、棒で叩いた場所は軽 くへこんだだけであった。だが仰け反らせるには十分だったらしく、PMは大きくバランスを崩した。しかし、 このままでは終わらせないと下腹部の機銃が火を噴く。装甲はまるでトタン板のようにあっさりと穴があく がコウシュンは気にしない。そのまま畳み掛けるかのように蹴りを繰り出した。突然の事にPMは宇宙である というのに溺れたかのように手足をばたつかせた。だがバランスを整える前に玄武の棒がPMの胸を真っ直ぐ 貫いた。するとPMは大きくその場で回り始めた。完全にバランスを崩してしまい、玄武を捉える事も他のP Mを攻撃する事も出来ない。 そんな状況にPMは怒りのままビームやミサイル、機銃を一斉に放ち始めた。ミサイルが、ビームが、弾丸 が、無秩序に飛んでくる。すぐさま隊員たちは離脱をし、近くの物陰へと隠れる。だが、コウシュンは他のP Mが持っている盾を要求するサインを送った。持っていた隊員は少し戸惑った顔をしたがすぐさま玄武のほう へ投げつけた。盾を受け取るとビームや機銃、ミサイルの間を縫いながら一気に近づく。避けられない部分は 盾によって防ぐものの損傷は免れる事は出来なかったが気にしない。 だが、それはあまりにも浅はかであった。 突如、コウシュンの目の前に鉄の柱が生えて来た。いや、鉄の柱ではない。PMの足であった。下から突き 上げるカのように一気に上昇してきた。とっさに横に避けようとするがスピードが付いた状態であったため、 回避が遅れた。機体をかすった程度であったが玄武には致命傷であった。今度は腕だけ済まずに左足ごと持っ て行かれた。コウシュンは自身の迂闊さを呪った。すぐさま体制を整えようとするが振動のせいと左足を失っ たせいで上手くバランスを取り直すことが出来ず、その場で立ち往生する形になった。 その隙を逃さないと言わんばかりに止めの鉄の腕が唸りを上げて目の前に迫る。 もはやこれまでか……そう思った矢先、背後から来た飛んできた別のPMが素早く抱き上げるとそのまま一 気に離れた。 荒い息を整えながら背後に居るPMへ視線を向ける。PMは黄龍だった。 「リーシェン、無事だったか!」 「ご心配をおかけして申し訳ありません! ですがデライトはほとんど駆逐しました!」 「ええ~!?」 あまりのことにあいた口がふさがらないのか、アルフェアは素っ頓狂な声を上げた。 「で、デライトってかなりの数、居たんですよ? それをほとんどって……」 「待機中にしっ放しだったおかげだ。おかげで倒すのにはそう苦労はなかったぞ」 巨大PMを尻目に玄武を物陰に隠れさせているとリーシェンは自分が何をしていたかを報告し始めた。 巨大PMから逃れたリーシェンはコウシュンたちと合流せず、他のデライトを探す事を優先した。 理由は簡単、部隊の全滅を避けるという理由と他にもデライトがいるという可能性を配慮し、別行動に到った。 だが、皮肉にもリーシェンたちが新たなデライトを捜索している最中、コウシュンの部隊が巨大PMと遭遇。 後から合流した者に聞いた話だがこれにはリーシェンも驚きを隠せなかった。 だがデライトの捜索を続行、破壊を続けた。 内部構造を知れた時点でデライトの破壊は容易になっており、バイラムの装甲で作った槍は焼き鳥のように 次々にデライトを貫いていった。そして、破壊した数が三百を超えた所で大きな揺れが起こった。状況を確認 しようと部屋から出ると逃げてきたコウシュンの隊の者が隊長が巨大PMと戦っていると告げた。リーシェン たちはすぐ様外へ出ようとする。その際、壁に大穴あいておりそこから出て行くと丁度コウシュンが突っ込も うとしている時であった。 「そうか……よく来てくれた」 リーシェンを含む他の隊員たちも合流し、再び攻撃を開始する。火線は増大し、巨大PMはさらに燃えあがった。 だが、数が増えた所で一向に巨大PMはダメージを負うことは無かった。槍で攻撃しようにもコウシュンほ どの技術が無い為、近づくことすら叶わなかった。時折、ミサイルが発射されるがすぐさま近くの暗礁や物陰 に隠れてやり過ごした。だがミサイルの数が多いため一度隠れた場所は瞬く間に完全に粉砕され、隠れる事が 出来なくなってしまった。 「くっ、流石といったところか」 少しも一変しない状況にコウシュンは苦虫を噛み潰したかのような顔をした。 診断プログラムを走らせる。フレームの部分にはヒビが入っており、左のパーツはほとんど復旧不可能と表示された。 ほかの隊員たちも体力が限界に迫りつつある。近接戦闘でダメージを与えられるらしいがこちらはあまりに も貧弱すぎる。おまけに現在、ダメージを当たられる存在がリーシェンの黄龍のみ。もはや手段は尽きたよう に思える。そんな様子を見ていたアルフェアが鼻息を荒くしながら言い放った。 「当然です! 私の子供は負けませんよ!」 そんな彼女に冷たい視線を向けるとコウシュンは精一杯の皮肉を込めた言葉を吐き出した。 「子供か……便宜上、アトとでも呼んでおくか」 「……アト……バカ殿という意味ですね」 「ひっどーい!」 やむなく左のパーツのほとんどを切り離し、バランスを若干右に寄せる。ここに来るまでは五体満足だった 玄武は半身を失ったため、その歪な姿に成り果ててしまった。だが、コウシュン自体は気落ちをすることも なく、むしろ闘志にあふれていた。眉間に皺を寄せると意を決したかのように再び操縦桿を握りなおす。 「行くぞ、リーシェン!」 「はい!」 ペダルを思い切り踏み込むと銀と金の弾丸が真っ直ぐに向かっていく。PMもそれに気づいたのか、玄武た ちの方へ身体を向けた。 「隊長たちの援護をしろ!」 コウシュンたちの背後から支援砲撃を開始する。一般的に弱いといわれる間接部分、開いたミサイルハッチ、 センサーなどが密集している頭部。そこに目掛けてひたすら攻撃を仕掛けていく。だが、案の定、アトはびく ともしなかった。だが、そこに玄武たちが素早く近接攻撃が可能な間合いへと入り込んできた。それに気が付 いたPMがミサイルのハッチが開いた。 「このタイミングならば!」 開いた瞬間を狙って自分たちのグレネードとマシンガンを叩き込む。だが、ミサイルは銃弾を跳ね返しなが らそのまま進んできた。雨のように降り注ぐが二機は素早く離脱をする。が蛇のようにミサイルは大きく曲線 を描くとそのままコウシュン達のほうへと突き進んできた。 「か、固いだと!?」 驚きを隠せなかった。飛んでいったミサイルはコウシュンたちの傍をすり抜け、砲撃をしている後方の部隊 へと飛んでいった。突然の事に青龍のパイロットの顔が引きつった。破壊されるかと思いきやぶつかる直前に シールドを持った朱雀が前に出てきた。赤い爆発が起こり、二機が炎に包まれる。共有結合で作った盾が吹き 飛んでしまったが機体は両方無事であった。 「何てことだ……」 おまけに事態はさらに悪化した。PMの周りに見たことのある物が護衛についてきたのだ。 誰もが見たことのある一つ目のPM――。デライトだった。彼らはアトの周りにデライトが取り付くとその 武器をこちらに向けてきた。それぞれ自身の武器を構え、コウシュンたちと対峙する。 そんな光景に気を良くしたのか、アトがミサイルを発射した。だがミサイルはそのまま真っ直ぐ飛んでいく と近くにいるデライトに当たり、そのまま撃墜されてしまった。あまりの光景に呆然としてしまうコウシュン たちであったがアトは気にせず、そのまま機銃で周りにいる者たちも破壊しながら玄武へと向かっていった。 辺りにいるデライトたちは援護をしようと攻撃準備に移るが目障りなのかアトの手が大きく振るわれるとその 身体は真っ二つに引き裂かれた。別のデライトがトリガーに指をかけようとするが通行の邪魔らしく巨体に突 き飛ばされた。背後にいたデライトも邪魔をするなといわんばかりにミサイルを叩き込まれた。前面にいる者 はビームによって消し炭と成り果て、横にいればミサイルや機銃の餌食となった。 「ああ、やっぱ、調整が足りませんでしたね」 軽く唸りを上げるアルフェア。責任を感じる素振りも無く、彼女の顔から読み取れるのはせいぜい”後で直して おかないと”だけであった。一方のデライトはパイロットが乗っていないことが幸いしたのか無表情のまま次々 に破壊されていく。後ろを振り向く事も飛んでくるミサイルも避ける事はなく、味方に撃墜されると言う考え は一切ないらしい。その証拠に向けている視線はコウシュンたちのみであり、アトの行動を諌める者は誰一人いなかった。 「各員、デライトが居なくなるまで身を伏せていろ!」 コウシュンの言葉に従い多くの者が物陰に隠れ始めた。 正直に言えばデライトとアトを相手にしながら様子を伺うしかなかった。尤もデライトについてはアトが壊 してしまうため、恐ろしさは半減しているがその数はいまだに健在といわんばかりに攻撃を仕掛けてくる。特 にアトに近づいている玄武と黄龍の二機は真っ先に狙われていた。だが乱戦ということもあり玄武はそのしな やかな動きで一機ずつデライトの喉元を貫き、頭部を殴りつけ、腰を思い切り薙ぎいた。バイラムの装甲で作 られた棒はその効果を存分に発揮し、多くの一つ目を骸へと変えていった。 一方のリーシェンも負けてはない、黄龍の拳がデライトの腹部を貫いた。そのまま横に投げ捨てると刀を構 え、近くにいるデライトを斬り捨てていく。盾で防御するものも居たがその前に斬り捨てられてしまい、気が つけば四機以上居たデライトが八つに分けられていた。 だが所詮は二機。デライトが攻撃を仕掛ける前にアトによって破壊されてしまうことが多かったがその数は いまだに減る様子はない。 そんな中、一機のデライトがリーシェンの背後に回り込んだ。まるでスローモーションのようにデライトの 銃口がこちらに向けられる。 「くっ! まずい!」 操縦桿を倒して素早く機体を下げるとデライトのビームは黄龍に当たらず、向こう側にいるアトに当たった。 その際、表面だけとはいえアトの頭部装甲が溶けた。僅かではあるが溶けた装甲がドロのようにこびり付 いている。その光景を見たリーシェンの頭に何かが思い浮かんだ。 「そうだ……」 あの武器を使えば……。そう思うやいなやリーシェンはアトに背を向けると雪の結晶へと向かっていった。 「リーシェン!?」 「隊長、時間稼ぎをお願いします!」 突然のことにコウシュンは驚きを隠せなかったが黄龍の後ろ姿を見送るとすぐさま火力支援の命令を送った。 背後に隠れていた青龍たちは援護射撃を開始し始める頃には黄龍は雪の結晶にたどり着いていた。 そのままハッチを通りぬけると薄暗い闇の中をひたすら突き進んだ。マッピングはしてあるが巨大な迷路と も言えた。もしかしたらデライトが残っているかもしれない。と不安がそう騒ぎ立ててくるが彼はその不安を 跳ね除けようとペダルを思い切り踏み込んだ。あの場所へ行くだけだ。右に左にと曲がる際、一秒も無駄にで きないので、機体を最高速度を保ったままドリフトの要領で無理やり曲げた。衝撃がコックピットに降り掛か ってくるが気にしている場合ではない。そしてマップが示した場所に到達するとブレーキペダルを思い切り踏 み込む。赤い火花が足元に飛び散ると黄龍はその場に止まった。 「あった……」 チャンに指示をして持ち出しをしていたのが功を賞した。おまけにアトに踏み潰された様子はどこにもない。 リーシェンが探していたもの、それはデライトの武器であった。持てるだけ持とうと黄龍に乗せつける。 だがライフルも、バズーカも重かった。それでも乗せられるだけ載せようとする。もともと黄龍の重量自体 かなりのものであるうえに更にデライトの武装を載せたのだ。バランスはギリギリの上で成り立たせると踵を 返して元きた道を引き返した。重量が増えた分、先ほどとは違いかなり速度が落ちていた。時折、デライトの 武器が落ちそうになるがとっさにバランスを整え、落ちないようにする。 そして暗い闇を突き抜けるとそのまま近くに居る仲間にデライトの武器を投げつけた。 「使え!」 デライトの武器を手に取る。隊員たちは眉間にしわを寄せるが命令通りにアトに狙いをつける。そしていつ も通りトリガーを引いてみると小さな銃口から光が放たれた。アトも同じようにミサイルを一斉に発射するが、 青龍たちから放たれた光は飛んでくるミサイルを貫き、大きな爆発を巻き起こした。 「こ、こりゃあすげぇ!」 銃を手渡された物は次々にミサイルの迎撃へを向かった。大きく距離を取りつつ引き金を引くと次々にミサ イルは爆発していく。ビームを撃とうと腹部に閃光が集まりだすとすぐさま散開し、やり過ごした。デライト が時折やってくるがリーシェンとコウシュンによって撃破されたり、デライトの武器によって花火に成り代わ るだけであった。 だが、徐々に押しつつあったがいまいち決め手にかけるという状況であった。 理由は簡単。肝心のフレーム部分や五体満足の身体であった。デライト武器が通用するとはいえ向こうは手 数が多いうえに装甲が厚かった。おまけにコウシュンの玄武はダメージが大きい為、止めとは程遠い。他の者 もアトと戦えるほどの技量が無い。 もうあいつを倒す手が欲しい、もう一つ! そんな考えをリーシェンが張り巡らせていると目前にアトの手が迫った。 「しまった!」 操縦桿をきろうとするが既に遅く、腕は黄龍の目前まで伸びていた。だが、横から来た玄武が体当りをし黄 龍を突き飛ばした。突然のことに目を白黒っさせているリーシェン。その彼の目の前で身代わりとなった玄武が アトの手により大きく凹んでいく。人の形から徐々に単なる鉄の塊へと変貌していった。 「ぐぉぉぉぉぉぉぉ!」 「きゃぁぁぁぁぁぁ!」 近くから軋んだ音が聞こえてきた。損傷を知らせるランプが一気に真っ赤に染まる。頑丈に作られているとは いえ、もはや玄武は戦うことができなくなってしまった。その証拠に棒を掴んでいた腕が身体を離れ、付いて いたブースターはもう火を吐かなくなってしまった。そして普通とは思えない振動の凄まじさと長時間の戦闘 の疲れによりコウシュンの手が操縦桿から離れ、そのままコンソールに叩きつけられた。玄武の瞳は光を失い、 その場にうなだれるかのように漂い始めた。そしてそれを待っていたかのように再びアトの手が玄武に迫る。 「まずい!」 リーシェンは先ほどと同じように救援に向かおうとするがバランスが上手く持ち直せずにいた。 操縦桿を倒して、何とか持ち直す頃にはアトの腕は玄武の目と鼻の先にあった。 そのまま握りつぶされるかと思いきや、横から何かが飛んできた。飛んできた何かはアトの手に突き刺さった。 腕は玄武まであと少しという所で動きを止める。飛んできた者はブリューナクであった。アトとリーシェン は飛んできた方向へ視線を向ける。するとそこに居たのはビスマルクであった。S型装備である大型のウィン グを背負ったビスマルクは 「間に合った!」 ファルは荒い息を整えながら目の前の巨大PMを睨みつける。装甲表面には若干ダメージを受けているもの の五体満足であった。アトの方は突然の来訪者に目を白黒させているのか、攻撃が一時的に止んだ。 「お前は……ユニオンの!」 「さて、大暴れさせてもらおうかしら!」 ビスマルクは武器を構えると一気に近づいてきた。アトもまた応戦しようと腕を伸ばしてきた。だがビスマ ルクは蝶のように小刻みに左右へ移動すると腕に刺さっているブリューナクを引き抜いた。そして損傷が激し い朱雀から「お願いします」という言葉と共にデライトのライフルを受け取ると一気に加速をしていく。 一方のリーシェンはそのまま玄武を回収し、物陰に隠れるとコックピットのハッチを無理やりこじ開けた。 「隊長!」 リーシェンが呼びかけるとコウシュンは力ない腕を軽く振った。表立ったケガは見当たらないが腕を押さえ ていることから骨折だけで済んだらしい。だが当の玄武は完全にシステムダウンしており、その役目を終えた かのように爆発もせず、眠っているようであった。後ろにいるアルフェアはケガらしいケガは負っておらずむ しろ「私の子はどうなりました!?」など口やかましく騒いでいた。 リーシェンは手動でコックピットブロックを手動で切り離すとそのまま他のPMに手渡した。 受け取った隊員は敬礼をするとコウシュンの手当てを開始した。それを尻目で見つめると再びアトへと向かっていく。 「損傷が酷い者は隠れていろ! 戦える者は間隙から援護を頼む!」 腕に当て木を当てるとコウシュンの指示が飛び交う。損傷が低い者が前面に出るとシールドを構え、アトの 攻撃を防がせる。手足を失った者、損傷率が高い者は物陰に隠れながら徐々に離れていった。 ビスマルクがアトに接近するとそれをミサイルで迎撃を開始した。ファルは後の下を潜り込むかのように脚 部へとむかった。そしてそのまま暗礁空間に突っ込むと後ろにいたミサイルが爆発を繰り返しながらビスマル クを追いかけて来た。一部のミサイルが暗礁空間の隙間を潜り抜け、ビスマルクの脇を通り抜け、目の前に立 ちはだかった。一直線に飛んでくるミサイル。だがビスマルクは何を思ったか思わず手に取ってしまった。 本人もこんな事が出来るとは思っても見なかったのか眼を白黒させている。そしてそのまま暗礁空間を抜け ると下腹部の機銃がビスマルクに向けられた。 「パス!」 手に取ったミサイルを投げつける。近くの下腹部の機銃にぶつかると小さい物の機銃は黒い後を残し、 使い物にならなくなった。そしてそのまま一気に上昇するとそのままブリューナクを振るった。ビームの発射 口はそれをはじき返すと正面にいるビスマルクへと照準を合わせた。だが、今度はこちらの番だといわんばか りに黄龍がデライトのバズーカを放った。炎が巻き起こるとビームの発射口がついに潰れた。 「ありがと!」 「レイはコイツを倒してからだ!」 ミサイルのハッチが一斉に開く。もう見飽きたとばかりにコウシュンの叫びが響き渡る。 「いまだ! 全機、叩き込め!」 朱雀が、青龍が、黄龍が、ビスマルクが、それぞれ手にした武器を一斉に発射した。 発射される前にビームなどがミサイルを貫いた。まるで花畑のようなオレンジの爆発が広がると緑青した山 が黒一色に染め上がった。ミサイルの発射口が潰れ、アトが持つ武器は自身が持つ身体のみとなった。 「上部攻撃が不能になった、一気に叩きこめ!」 「了解!」 だが、両腕は生きていると言わんばかりに向かってきた。特に近づいてくる二機を両腕で潰そうと伸ばしてくる。 しかし二機ともアトの腕から離れると一気に近づいてきた。右に左にと奇麗な放物線を描くように近づく。 そしてスライドするかのように腕に攻撃を仕掛けていった。指の装甲がはがれ、腕が煙を上げ始めた。 痛みのない巨人には何が起こったのかわからないのかただ腕の崩壊を眺めているだけであった。 そしてアトの目の前にたどり着くと――。 「これでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 「止めだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 ビスマルクの剣がアトの額を貫くとそのまま顔の装甲にありったけの弾薬を撃ち込んだ。 煙が立ち昇り二機は白い雲とオレンジの火花に包まれる。 アトは自身の手足を大きく痙攣させると身体全体に火花が飛び散った。身体を包んでいた者が剥がれ落ち、 中にある機械が丸出しになる。そして誰も見たことないような巨大な火の玉に包まれるとアトはその短い命を終えた。 「ああああああああ……」 炎に包まれていくアトを見て、アルフェアはその場に崩れ堕ちた。といっても手足が拘束されているため、 力なく寝転がったといった方が正しい。コウシュンは炎に包まれる後を見ながら一つの戦いが終わった事を実感した。 「わ、私の最高傑作が……」 「……倒される物だったのだ、未熟なものを出した時点でな」 「……うっ、うううう……長い時間をかけて作ったのに……」 アルフェアは顔をくしゃくしゃにしてなき続けた。