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前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔 この場にいる全員が驚いたのは間違いない。 しかし一番驚いたのはピカピカ光っている当人である。 「うわぁ!」思わずデルフリンガーを投げ出す。 途端光が消える。 「こら!もっと丁寧に扱え!」 床に落とされたデルフリンガーが文句を言う。 「ご、ごめん。」 康一がデルフリンガーを再び握ると、やはり手が光を放つ。 「あ、あんた。なんで光ってるの?」 ルイズが恐る恐る尋ねた。 「知らないよ!この印、ルイズがつけたんじゃないかぁ!」 「ダーリン。体はなんともないの?」 「うーん、なんともない・・・かな?」 キュルケは気遣ってくれるが、なんともないどころか体に力がみなぎる気がする。 ほかの剣を握ってもやはり光るようだ。 「へ、へぇ?最近の従者さんは光るんでございますねぇ。綺麗なことで・・・」 わけのわからない店主が無意味なお追従を言う。 タバサがぼそりと言う。 「あなたはたぶん特別。人間が使い魔になれたのも、あなたの『能力』もそう。」 じっと康一の目を見つめる。 「あなたは、誰?」 「誰?と言われても困るんだけど・・・。」 ぽりぽりと頬をかいた。 「そういやこいつは『使い手』って言ってたなぁ。」 康一は剣に聞いてみることにした。 「ねぇ。『使い手』って言ってたけど、君はぼくのこと知ってるわけ?」 「しらねぇ。でもおめーが『使い手』ってことはわかる。俺は『使い手』に使われるためにいるからな。」 店主が口を挟んだ。 「そいつの名前はデルフリンガーでさ。頑丈ではありますが、錆びは浮いてるし、口は悪いしで買い手がつかなかったんで。まったく、剣にしゃべらせるなんて誰が始めたんでしょうかねぇ。」 しかし康一は面白いと思った。どうせ剣として使う気もないんだから、しゃべり相手になればいいや。 それにこの良く分からないルーンについて、この剣は何かを知っていそうだ。 「じゃあ、ぼくはこれを買うよ。」 「おっ!分かってるなぁ!これからよろしくな相棒!」 デルフリンガーが嬉しそうにはしゃぐ。 しかしルイズは渋い顔をした。 「そんな錆ついたのより、もっと綺麗なのにしなさいよ。」 実際引き抜いて見ると、デルフリンガーはあちこちにがたが来ている様子で、正直見栄えはよくなかった。 しぶるルイズに、店主がこっそりと耳打ちをした。 「あの剣でしたら、新金貨で200・・・いや、100で結構でさ。もちろん鞘もお付けしますよ。」 とたんにルイズの態度がころりと変わった。 「しょ、しょうがないわね!コーイチがそんなに欲しがるんだったら、それでもいいわよ!」 あの2000エキューの剣をねだられて、ツェルプストーの前で恥をかくのに比べれはずっといい。 それじゃあ・・・。とキュルケが進み出た。 「あたしは、このシュペー卿の剣を買ってあげようかしら。」 「な!?」 ルイズは驚愕した。いくらツェルプストーとはいえ、2000エキューは大金のはずである。 しかし、キュルケはふふっ、と笑うと店主のいるカウンターに身を乗り出した。 大きな胸がたゆんと揺れる。 「ねぇ、ご主人?この剣を買って差し上げるわ。でも、もうちょっとお勉強していただけるとうれしいのだけど・・・」 主人はごくりと唾を飲み込んだ。 「そ、そうですねぇ。それでは、1800エキューってところでいかがでしょ。」 キュルケは店主から視線をはずさない。 「えーっと、それじゃあ1600エキューでは?」 「ねぇ、店主さん。あなたお名前は?」 「へ、へぇ。ゴドーといいますが・・・」 キュルケが人差し指で店主の頬をなでる。 「ねぇ、ゴドー。あたし、あなたはもっと出来る方だと思っていたのだけど・・・」 店主の背筋にぞくぞくとした快感が走った。 「は、はぁ。それじゃあ、なんとか1200までがんばらせてもらいます。」 「ミスタ・ゴドー・・・。ちょっと暑くなってきたと思わない?」 キュルケがブラウスのボタンをひとつはずした。 胸の谷間がさらに奥まで見えそうだ。店主は鼻の下を伸ばした。 「わ、わかりました。赤字覚悟で800までがんばります。」 次のボタンをいじりながらキュルケが店主を見つめている。ああっ!お胸のお目目が見えそで見えない!! 「400!400で!」 「ごめんなさい。あたし、新金貨しか持ち合わせがないのだけれど・・・」 さらに前傾になる。最後のボタンがはち切れそうだ。 「し、しししし新金貨で結構でございますぅー!!」 キュルケがにこりと笑った。 「あら、そう。ありがとね♪」 途端にするするとボタンを元に戻し、金をドンと置いた。 「いい取引ができたわ。また機会があればよろしくね。ダーリン。それじゃいきましょ?」 あっけにとられる店主を残し、シュペー卿の剣と康一を持って店を出て行ってしまう。 タバサはだまってそれについていく。 ルイズはまだぽかん、としていた。 生き馬の目を抜くどころの話ではない。強引に色仕掛けで毟り取っていったのだ! 「な、なんて女・・・!」 ルイズは店主(ゴドー)と顔を見合わせた。 ルイズが金を支払い、あわてて外に飛び出すと、三人がルイズを待っていた。 キュルケがひらひらと手を振る。 「ルイズ。遅かったわね。どうかしたの?」 「どうかした、じゃないわよ!何よさっきの!色仕掛けだなんて何考えてるのよ!!」 「安く買えたんだからいいじゃない。」 「恥ずかしくないのかっていってんのよ!」 キュルケは髪をかきあげた。 「そんな小さなことばっかり言ってると、いつまでも胸が大きくならないわよ?」 「な、なんですってぇー!?」 ルイズは手で胸を隠すようにしている。わたしだって・・・わたしだってそのうち大きくなるんだから! 「そんなことより、あなたが買った剣。あれでいいわけ?」 「何がよ。」 「あなた、杖を買いにきたんでしょう?あんな杖の代わりにならない剣を買っちゃったりして・・・。」 「いいのよ。どうせ魔法なんて使えないんだから。」 康一が口の前に指を立てたジェスチャーをした。いっちゃだめだよぉー! 「あ・・・。」 「へぇぇぇぇぇ。それなのになんで杖を買ってあげようなんて思ったのかしらねぇー。」 してやったりとキュルケがにやついている。 ルイズはばつの悪そうな顔をした。 「まぁ、どうせこの間ダーリンが呼び出した『ゴーレム』のためなんでしょうけどね・・・」 「な、何でそんなこと分かるのよ!」 ルイズがあまりに動揺しているので、キュルケはおかしくなった。 「だってあなたたち、分かり易すぎるんですもの!」 前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔
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おれは使い魔になるぞジョジョー!-0 おれは使い魔になるぞジョジョー!-1 おれは使い魔になるぞジョジョー!-2 おれは使い魔になるぞジョジョー!-幕間 おれは使い魔になるぞジョジョー!-3 おれは使い魔になるぞジョジョー!-4 おれは使い魔になるぞジョジョー!-5 おれは使い魔になるぞジョジョー!-幕間2 おれは使い魔になるぞジョジョー!-6前 おれは使い魔になるぞジョジョー!-6後 おれは使い魔になるぞジョジョー!-7 おれは使い魔になるぞジョジョー!-8 おれは使い魔になるぞジョジョー!-9 おれは使い魔になるぞジョジョー!-10
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380 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 22 14 28 ID ??? 相手も書き込み見てるんで怖くて実例は上げられないが、最近知り合った困PL(たち)の話。 天羅やDXをやると堕ちるの前提で俺TUEEE!を繰り返し、特に天羅にいたっては「コレって俺TUEEE!するためのゲームでしょ?」と開き直る。 仕方がないんでキャンペーンを組んでやると、キャラを使い潰しては毎回作り直す始末。 他のキャラとのバランスもあるんで初期キャラで作れ、とも言えず(高LVキャンペーンなので)、キャラ作成時間とハンドアウト作成時間だけがひたすら過ぎて行く……。 天羅WARで宿業108を大幅にオーバーした蟲使い使われたときには涙目になったわ。マジで。 381 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 22 27 06 ID ??? 380 >仕方がないんでキャンペーンを組んでやると まずこれがおかしくね? 明らかにキャンペーン向きのPLじゃないっしょソイツは 382 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 22 32 10 ID ??? 天羅って戦闘始まるがまでが肝で始まったら後は消化試合ってゲームじゃなかったっけ? 強いキャラ作ってこられると困るゲームだっけ? 383 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 22 36 35 ID ??? 380 そういうハイリスク・ハイリターンなシステムのあるタイトルにそのPLを入れるなと 普通のタイトルでも悪ノリオンリーだったら斬れとしか。 384 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 22 44 30 ID ??? 報告者がわざわざ困が暴れやすい環境を整えて上げてる感じなのがw 天羅やDX キャンペーン 初期キャラで作れ、とも言えず(高LVキャンペーンなので 385 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 22 46 35 ID ??? 「続き物であること」を理由にして、キャラの使い捨てを止めさせたかったんだろ? 逆に「高スペックの使い捨て」が増殖したっていう話なだけで。 386 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 22 48 05 ID ??? つーかキャンペーン開始時に「作り直しは初期作成」って言っときゃよかったんじゃね? 387 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 22 53 31 ID ??? 初期作成とまではいかなくても同じキャラを使い続ける事に明確なメリットを用意すべきだった PLの良心にだけ期待してちゃんとした対応をしなかったのが敗因だな 388 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 22 57 56 ID ??? キャンペーンで同じように使い捨てた後、次回セッションでも同じキャラそのまま使って 「六つ子なんだよ、名前がちょっと違うだろ」で押し通した俺は キャラ作成で時間を消費しない分、良心的プレイヤーと言えるだろう 389 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 23 08 26 ID ??? 388 審議中 390 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 23 23 45 ID ??? キャラメイクに時間取ってセッションが正面に出来ないのは問題だろうけど 俺TUEEEする為のものと卓(のPL間)でコンセンサスが取れてるなら 残念ながら報告者のスタイルとは合わなかった事故の目が大きいような希ガス 391 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 23 27 03 ID ??? 俺がGMなら「1回は仕方ないが双子までにしろ」と言うな ギャグキャンペーンならともかく他のPLだって萎えるだろ 割り切ってる分 380のPLの方が幾分マシに見える 392 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 23 32 51 ID ??? 世界観に反しない範囲でPC名をひたすら使いまわすくらいしかやったことないな 393 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 23 34 38 ID ??? 別システムで同じ名前はよくやるな 同じ名前でも全くの別コンセプトキャラになったりするけど 394 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 23 38 23 ID ??? えたーなるちゃんぴよんやろうしね 395 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 23 40 23 ID ??? 同じキャラを使いつづけるとドンドン不利になる糞キャンペーンをやらされた事がある 396 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 23 43 08 ID ??? ありおっちのいんぼうだな 398 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 00 03 11 ID ??? 388 パラノイアかよ 400 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 03 41 06 ID ??? まあ実際やられたら微妙な気分になる気もするけど、別にルールに違反してる訳でも無いってのも 確かなんだよな。 遊び方として絶対無いとも言い切れないし。 ちょっと前の 320の報告も、同じことが言えるが。 401 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 05 44 25 ID ??? ただまあ、 380がにょもる気持ちもわかるぞ。 クラッシュが派手なレースゲームでレースそっちのけで ひたすらクラッシュし続けるようなもので、 そりゃまあ当人は楽しいんだろうしそういう遊び方があってもいいけど、 ゲームとしては正道とは言えないだろうっていうね。 ましてやTRPGは多人数ゲームだしねえ。 402 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 07 20 27 ID ??? どっちかーってと チキンレースでそのまま思いっきり海に突っ込んでってるような気も 403 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 08 19 08 ID ??? 「キャンペ中にキャラロストしたら参加権そのものが無くなります」って言えばいいじゃない 404 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 08 26 21 ID ??? で事故死してむぎゃおると 405 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 08 39 37 ID ??? 正直「使い捨ての駒」としてしか運用できない困のPCが事故死しても良心の呵責が起きない 向こうが率先して「使い捨ての駒」になってくれるのなら遠慮無く使い捨てるぜ、寧ろ使い捨てた厨返し野郎がここに一名 407 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 10 08 30 ID ??? 380 >天羅WARで宿業108を大幅にオーバー 零以前は初期作成時に越えてちゃダメだったはずだが・・・WARでは制限無いのか? だとしても、そのへんはGMがレギュ決めて良い部分だと思うぞ 408 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 10 27 48 ID ??? 407 まあ、PLに問題は有るがレギュレーションで回避できな問題でもあるわな。 キャンペーンの開始時点のレベルまで持ってるPL経験点を使っても良いよ。とかにしとけば良かったんじゃないかな。 415 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 13 28 35 ID ??? 395 CoCとか、成長ペースは遅いし、正気度は減る量の方が増える量より大きいし、普通に遊んでるだけでそんな感じにならないか? いや、極めて特殊な例だけどなw 416 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 13 41 11 ID ??? 重症で付加逆な能力値ダメージが増えていくストブリとか 技能レベルでは成長しても運命点の収支が赤字進行で狂気点が溜まっていくなウォーハンマーとか 417 名前:ダガー+ストライクフリーダム[] 投稿日:2010/03/06(土) 13 51 49 ID 7Lka63Ua サタスペの場合、特定カルマに偏りすぎてると 421 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 18 13 05 ID ??? 380 使い潰す気満々なのに予備のキャラシを用意しないでキャラ作成時間をもらってるPLが困だな 422 名前:NPCさん[age] 投稿日:2010/03/06(土) 20 17 36 ID ??? 初期キャラでやれ と言えないGMが困だろう 423 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 20 20 11 ID ??? 初期キャラ強制は純粋な事故で死んだ場合、PLのモチベをがっつり削りきるから推奨しないけどな 424 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 21 10 02 ID ??? まあ普通のキャンペでも、キャラロストしたら何かしらペナルティ入るのは普通に有るから、それで良いんじゃ 無いかな。アルシャードか何かのルルブで推奨されてた「他メンバーのレベル-1」とか、そんな感じの奴で。 その辺のデスペナ甘受した上で、今回の事例みたいなのをやるならゲーム的に合法だと思う。 425 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 21 10 59 ID ??? 始まる前に作っておけorお前が作ってる間先に進めておくから、でおk 426 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 21 14 21 ID ??? システムによっては、キャラが死亡すると同じ数値で同じ外見のキャラが 新たに登場する、キャラロスト対策用の特殊能力が用意されてる事もあるよな。 427 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/03/06(土) 22 12 46 ID ??? 用意されてることと、それを使うこととは別の話だからなぁ。 スレ252
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魔法使いリディア(マホウツカい~) p e 属性 雷 コスト 5 ランク B 最終進化 B+ レベル HP 攻撃 合成exp 1 387 364 ? 30 500 427 ? 最大必要exp 4,502 No. 0236 シリーズ リディア Aスキル ハードラッシュ+ 敵単体へのダメージ小アップ(10%) Sスキル 一瞬の閃き 解答選択肢を1つ削る(5turn) 売却価格 3,300 進化費用 12,000 進化元 - 進化先 召雷士リディア(B) 進化素材 キ1(C+) タ1(C+) ロ1(C+) - 入手方法 クリスタルガチャ 備考
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PC一覧 ホライゾンブレイクキャンペーンのプレイヤーキャラクター一覧。 メニューから定期的にコピペします。 PC1 PC2 PC3 PC4 神崎八重垣 PCetcetc...
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「メ・・・ッセージ・・・で・・・す・・・これが・・・せい・・・いっぱい・・・ですジョースター・・・さん 受け取って・・・ください・・・つたわって・・・ください・・・」 あのとき僕は死んだ。僕は確かにエジプトでDIOに殺されたのだ。 なのになぜ、僕はこんなところにいるのだ! 法皇は使い魔~プロローグ~
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浮かぶ雲によって太陽が遮られた草原の真ん中で、少女は呆然と目の前の地面を見つめていた。 周りからは先程までの喧騒が消え、異様な静寂で満ちている。 何回も失敗を重ね、他の生徒に嘲笑されながらもやっと「サモン・サーヴァント」に成功した その少女、ルイズ・フランボワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの前には、彼女が今召喚したばかりの使い魔がいた。 しかしその使い魔は、彼女が望んでいたドラゴンやサラマンダーなどの幻獣の類ではない。 また、烏や梟、猫や大蛇などの普通の動物でもなかった。 彼女が使い魔として呼び出したもの、そう、それは―――― 植木鉢に植えられた、一本の『草』だったのだ。 「…………何なのよ、これ」 彼女の呟きは、静寂の中を悠々と横切る風に流されていった。 使い魔はゼロのメイジが好き 第一話 何故使い魔を呼ぶ神聖なる儀式「サモン・サーヴァント」で単なる『草』が召喚されたのか、 そしてこれは、一体何なのかというルイズの疑問は、 「…………ぶあっははははははははは!!」 彼女の召喚を見ていた生徒の一人が発した笑い声によってかき消された。 ガラガラ声で笑い続ける彼はその手でルイズを指さし、可笑しくてたまらないというような声で喋り出す。 「流石は『ゼロ』のルイズだぜ!召喚の儀式でただの草を呼び出すなんてよ!」 その声で我に返ったほかの生徒は、彼に同調するように笑い出す。中には、ルイズに罵声を浴びせる者までいた。 「そうよ、珍しく成功したと思ったらこれだもの」 「使い魔ぐらいきちんと呼べよ、ゼロのルイズ!」 「どういう事だよッ!クソッ!草って、どういう事だッ!魔法ナメやがってクソッ!クソッ!」 「……ちょっと間違っただけよ!失敗なんかしてないわ!」 彼らの嘲笑混じりの罵声に、彼女は耳まで真っ赤にして反論する。 そして後ろを振り返り、儀式の監督を行っていた教師に叫んだ。 「ミスタ・コルベール!召喚のやり直しをさせて下さい!」 すると、生徒達の間からローブを纏った頭髪が寂しい男が姿を現した。その表情は困惑しきっている。 彼こそが儀式を監督していた教師、コルベールだった。 「うむ……これは……」 滅多に見ない彼の困った表情を見て、ルイズはもう一度チャンスが貰えるかもしれないという淡い期待を抱いた。 だが、その期待は次の言葉により砕かれることになる。 「いや、それは駄目だ。どんなものを呼び出そうと、召喚だけはやり直す事は出来ない」 その返答に、ルイズは少し苛立つ。やり直せないならどうすればいいのだ。こんな草が使い魔になっても、一体何を してくれるというのだろうか。 いつのまにか出てきた太陽に照らされて、強く輝く彼の頭。それを見るも無残な事にしてやろうか、そんな事を考えている間も コルベールの話は続いていた。 「君も分かっているだろうが、今回呼び出した使い魔で今後の……」 そこまで話したところで、唐突に彼の言葉が止まる。 想像の中で彼の頭の焼畑農業を行っていたルイズも、それに気付いて顔を上げた。 「どうかしましたか?ミスタ・コルベー…」 「み、ミス・ヴァリエール!君、あの『草』に何かしたか?」 その視線はルイズの方には向いていない。ルイズの後ろ、さっき召喚した草の方に向けられていた。 コルベールの顔からはさっきまでの困惑が吹っ飛び、ただ驚きと狼狽の色だけが浮かんでいる。 「『草』ですか?別に私は何もしてませんけど」 急に変わった彼の表情を、彼女は訝しみながら質問に答える。あんな草の何に驚いているんだろう、この人は。 「ならッ!ならあれは何なんだミス・ヴァリエール!答えなさい!」 彼の表情が「驚き」から「焦り」に変わった。まるで、信じられないものでも見たかのように。 その表情に圧倒され、ルイズも後ろを振り返る。半分はこの男に対する呆れの気持ちで、そしてもう半分は恐れの気持ちで。 そして彼女は、本当に信じられないものを見る。魔法を自由に扱うメイジでさえ、思わずうろたえるものを。 後ろを振り返って草を見たルイズ、その鳶色の瞳が瞬時に驚きと困惑、そして恐怖に塗り替えられた。 彼女が呼んだ『草』――――さっきまで確かに萎れて土の上に倒れていたはずの『草』が、起き上がっていた。 言葉さえも出ないルイズとコルベール、そして事の異常さに気付いた生徒達が見守る中、その草はゆっくりと起き上がる。 乾いた地面に水が染み込むように、ゆっくりと、だが力強く。 そして完全に起き上がった『草』は、一度大きく震えると、人間でいう『頭』のような部分を持ちあげる。そこには、猫のような 目と口が存在していた。 不意に、生徒達の一群がどっと崩れた。未知の植物に恐怖した生徒が、この場から逃げ出そうとしたらしい。 逃げようとした生徒と留まろうとした生徒が入り乱れ、たちまち辺りは混乱した。 そんな混乱を愛らしい二つの瞳で見つめながら、この世界に召喚された『猫草』は、そんなの関係ないねとでも言うように 小さな欠伸をして、ウニャンと鳴いた。 To Be Continued...?
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結論から言うと私は外で食事をさせられた。周りには他の生徒の使い魔がいる。 外に出された理由は私が食事中に吐いたからだ。初めての食事を胃が受け付けなかったらしい。 ルイズはすぐさま私を外に追い出した。その後。何とか我慢して食事を食べる。パンも流動食だと言えるほど噛んで食べれば吐くほどではない。が、やはり体の中に違和感があるのは禁じえない。これからは人間が何をしなければいけないか考えなくてはいけないな。 いつまでも幽霊の常識じゃいけないってことだ。 食事が終わる頃生徒たちが食堂から出てくる。私の方をみて笑う生徒もいる。さっきのことだろう。 そう思っているとルイズが出てきた。 「あんた何してんのよ!恥かいちゃったじゃない!」 会った瞬間怒鳴ってくる。 「調子が悪かったんだ」 当たり障りのないことを言う。食事をしたことがないと言ったら二度と食事させてもらえなくなるだろうな。 「あんたの体調なんて聞いてないわ!罰として昼食抜きね!」 まぁ昼食だけならさして問題はないだろう。 そして教室へ向かう。ルイズと私が教室へ入ると既にいた生徒が一斉にこちらを見る。 そしてクスクス笑い始めるた。特に気にするようなことではない。 教室を見回す。石で出来た大学の講義室みたいだな。 生徒を見るとやはり使い魔を連れている。 フクロウ、ヘビ、カラス、猫、目玉、六本足のトカゲ、蛸人魚etc、、、 ルイズが席に座る。私も席に座り帽子を取る。ルイズが睨んでくるが無視する。どうせ私は床に座れとか言うのだろう。 ルイズが何か言おうとする前に扉が開き中年の女性が入ってきた。ローブは紫色で帽子を被っている。きっと彼女が先生なのだろう。 彼女が春の使い魔召還の祝辞を述べる。先生はシュヴルーズというらしい。 「おやおや。変わった使い魔を召還したものですね。ミス・ヴァリエール」 シュヴルーズは私を見てとぼけた声で言う。教室が笑いに包まれる。 ルイズは俯いている。シュヴルーズは笑いを取るために言った冗談なのだろうがルイズが傷つくのは考慮に入れてないようだ。 「ゼロのルイズ!召還できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」 誰かがそう言う。するとルイズが立ち上がり怒鳴り返す。 そこから言い争いが始まる。また『ゼロのルイズ』だ。どうやら誹謗中傷の類らしいな。 シュヴルーズが杖を振ると、言い争っていた二人は席に座り静かになった。魔法は便利だな。 シュヴルーズが二人を叱る。 「ミセス・シュヴルーズ。僕のかぜっぴきはただの中傷ですが、ルイズのゼロは事実です」 マリコルヌと呼ばれていた彼ががそう言うと笑いが漏れる。 シュヴルーズがまた杖を振ると笑っていた生徒の口に赤土の粘土が張り付いた。 「あなたたちは、その格好で授業を受けなさい」 シュヴルーズは厳しい顔でそういった。 しかし発端を作ったのはお前だろう。 「では授業を始めます」 話しを聴く限りだとこの世界では魔法が科学技術らしい。ゆえにそれを使える貴族が権力を持つということか。 いや、魔法が使えるから貴族か…… こいつらが魔法が使えなくなったらどうするんだろうかね? シュヴルーズが杖を振ると石が光る。光が治まると石は金属に変わっていた。 つくづく魔法は何でもありらしい。 6へ
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前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔 ゼロのルイズの使い魔。広瀬康一のハルケギニアでの一日は、桶に水を汲んでくることから始まる。 水場で自分の顔を洗い、水を汲む。この水でルイズに顔を洗わせる。 次はルイズを制服に着替えさせるわけだが、最近ルイズは康一に手伝うように要求してこなくなった。 相変わらず背を向けて待つ康一から隠れるように、もぞもぞと着替える。何かの拍子に目が合うと、顔を赤くして怒る。 以前は裸になっても恥ずかしがらなかったのに、謎である。 朝食の頃合になると、康一はルイズからバスケットを受け取って外に出る。 最近は内容がかなり豪勢になっている気がする。 というか、ハルケギニアの朝食は総じて重いことが多いうえに、厨房のマルトー親父が「たくさん食べて大きくなれよ!」との愛をこめて、どんどん料理を豪勢にし、さらに肉をてんこ盛りにするので、康一はちょっとげんなりしてしまう。 質素でもいい、母さんが作ってくれた味噌汁が恋しい。 だから、食べきれない分は、最近仲良くなった他の使い魔たちに分けてあげることにしている。 先日タバサやキュルケを乗せていた青い竜(風竜というらしい)と偶然会った際に食べきれない肉をあげたら、他の使い魔たちもわらわらと寄ってくるようになったのだ。 最近の食事は、厨房の裏手にある使い魔たちのたまり場でとることも多い。 授業の時間は、康一もルイズに付き添って出席することにしている。 使い魔である康一は本来出てもしょうがないのだが、何気なく聞いているうちに面白くなってきたのだ。 本来は勉強が好きではなかったのだが、こちらの世界のことを少しでも知りたいという『必要性』が康一の意欲を支えていた。 「もう床はいいから、椅子に座りなさいよ!」 とルイズが言うので隣に座らせて貰っているが、他の生徒たちも何も言わない。 ただ、キュルケがタバサを連れてやってきて、康一をルイズと挟む形で座ってしまうので、キュルケに恋する男たちの視線が背中に突き刺さるのが最近の悩みの種である。 どうしても納まりきらない男が、康一に嫌味を言ってきたり、もっと直接的に侮辱してきたりすることもある。そういうときは、だいたいキュルケの合図で、フレイムがこんがりと焼いてくれる。 ただ、キュルケが居ないときに、一度数人の貴族に囲まれたことがあった。 「平民の癖に・・・」「ゼロの使い魔の分際で・・・」と詰る男たちの前に、かわりに立ちはだかってくれるものがいた。 あの決闘で因縁のあったギーシュである。 ギーシュは言った。 「ミスタ・コーイチは僕を相手に、立派に自らの実力を証明してみせた。その彼を平民と侮るなら、それは僕への侮辱と見なす!」 文句があるなら「青銅」のギーシュが相手になるぞ!そういってギーシュが見栄を切ると、男たちは鼻白んで退散していった。 所詮貴族相手に本気で対立するほどの覚悟はないのである。 康一が礼を言うと、ギーシュは照れくさそうに鼻を掻いた。 「君はこの『青銅』のギーシュに打ち勝った男だからね。その君が馬鹿にされるのが我慢できないだけさ。」 そして改めて、ルイズを皆の前で侮辱したことに謝罪した。 潔い謝りっぷりに「なんだ。以外といいやつじゃあないか。」とその謝罪を受け入れた康一は、ギーシュとそれから機会のあるごとに話す仲になった。 実は、あの鼻っ柱をへし折られた決闘の後、一気にカリスマ性を失ったギーシュを哀れに思ったモンモランシーが戻ってきてくれ、よりを戻したらしい。得なやつである。 そんな風にしてギーシュといろんな話をしていると、ギーシュの友人達とも自然と仲良くなっていった。 こうして、召喚されてから二週間もすると、康一の周りには常に人が集まるようになっていった。そして、康一の隣にはいつもルイズがいた。 それまでいつも一人だったルイズである。急にクラスメイトたちで賑やかになった学校生活に、最初ルイズは戸惑い気味だった。 しかし、みんなから好かれる康一と一緒にいると、わだかまりのあったクラスメイトたちとも自然と打ち解けることができた。 こうして一日を終え、二人揃ってルイズの部屋で寝る前には、ベッドのうえでいろいろな話をするようになった。 ルイズはハルケギニアのことを康一に教え、康一は杜王町のことをルイズに話した。 話が由花子さんの段になると、ルイズはしかめ面をして、疑わしそうな目で見た。 「あんた、前から時々恋人がいる、恋人がいるって言ってたけど、まさか本当なわけ?」 見栄張ってるんじゃないでしょうねー、と言わんばかりである。 「まさかって、まだぼくがうそついてるとか思ってたの~!?」 大仰に目をひん剥いてみせると、ルイズはなぜか目をそらした。 「・・・あんたの恋人ってどんな人?」 康一は目を閉じて、由花子さんの顔を脳裏に描いた。 すらっとした体型。整った鼻筋。きめの細かい肌。長く艶やかで、きらきらと光を放つ黒髪。そしてなによりも、あの強くまっすぐな瞳。 由花子の容姿を話して聞かせると、ルイズはどんどん不機嫌になっていった。 「男より頭ひとつ分大きい彼女なんて、似合わないわ。」 ルイズはそっぽを向いたまま、ネグリジェの裾をぎゅっと握り締めた。 「それをいうと、ぼくと付き合ってくれる女の人なんてほとんどいなくなっちゃうなぁ~。」 康一が笑うと、ルイズは口を尖らせた。 「別に・・・あんたより小さい女の子なんてそこら中にいるわよ。」 それだけ言って毛布に包まった。 「そうかなぁ~。」 康一は知り合いの女性たちの身長を思い出してみたが、自分より低い人は思いつかなかった。 こっちではタバサが自分より低いだろうが、あれは明らかに子どもだからノーカウントである。 でもルイズがこうやって毛布を被るのは、これで話を打ち切りにするという合図だと分かってきた康一も、そろそろ寝ることにした。 部屋の明かりを消す。 明日あたりオールド・オスマンに会いに行ってみようかな。 杜王町に帰る方法をそろそろ本格的に探してみよう。 そう心に決めて、目を閉じる。 静かになった部屋で、毛布から頭だけ出したルイズが、何か言いたげに見つめているような、そんな夢を見た。 前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔
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魔法学院の朝① 窓から差し込む日の光で間田は目を覚ました。 固い床に寝転がっていたせいで体中が痛む。ストレッチでもして体をほぐそうかと思っていると、右手に何かを握り締めていることに気付 く。 それは、昨日ルイズに洗濯しておいてと投げつけられたシルクのパンツだった。 昨日はこれのおかげで固い寝床でもなんとか寝ることができた。パンツに感謝しつつ、間田は他の洗濯物をかき集め、外に出―――ようと したところで、どこで洗濯すればいいのか、いや、そもそもどうやって洗うのかわからないことに気がついた。 昨夜、ルイズを質問攻めにした際に返ってきた答えを聞いた限りでは、この世界には機械なんてものは存在せず、医療や土木といったあら ゆる分野で魔法の力を利用しているのだという。洗濯機なんて便利なものはなさそうだった。 となると、やっぱり洗濯板かなんかでゴシゴシこするしかないだろう。 力仕事が苦手な間田は、想像しただけで気が滅入った。 「魔法って便利なモンがあるんなら、わざわざ俺に洗濯させなくてもいいんじゃねーかなぁ・・・?」 そう呟いて、枕に顔をうずめているルイズを見やる。 よく考えれば、こいつらメイジは様々な分野に応用できる魔法の力を使えるというではないか。なぜ魔法も使えない(間田はスタンドが使 えるが)平民にわざわざ洗濯なんかさせるのだろう。 魔法なら腕力に頼る必要もないだろうし、ずっと効率もいいはず・・・。 まあ、考えていても始まらない。 とりあえず洗濯場の場所を突き止めて、洗濯物を片付けよう。 ルイズを起こすとうるさそうだったので、サーフィスでルイズをコピーし、そのコピーから洗濯場の場所を聞き出すことにした。 そーっと、細心の注意を払いながら、ベースの人形の手の先をちょん、とルイズの頬に触れさせる。 サーフィスは粘土細工のように形を変え、ネグリジェ姿のルイズへと変身した。 「朝から何なのよ? まさかまた変な真似する気じゃないでしょうね?」 コピールイズは不機嫌そうに言う。 「うるせぇぞサーフィスッ! とっとと洗濯場に案内しろや」 「何よその口の利き方は。 ご主人様に対してそんな口利いていいと思ってるの?」 「クキィーッ! な、ナメやがってえ!」 サーフィスはコピーした人間の性格がそのまま反映される。今までコピーした中には命令を聞かなかったり反抗するヤツもいたが、ルイズ のコピーはズバ抜けて言うことを聞かない。 口で命令するのは諦め、スタンドを『操作』し、無理やり案内させることにした。 クローゼットからルイズの制服を拝借し、サーフィスに着せると、一人と一体は部屋を出た。 サーフィスの案内のおかげで、洗濯場はすぐに見つかった。 間田は最後まで(魔法の力で動く洗濯機みたいなのがあればいいなー)とか淡い期待を抱いていたが、井戸の傍にタライと洗濯板がぽつん と置いてあるのを見てげんなりしている。 ため息をついて、タライに水を入れようとロープを引っ張っていると、後ろから足音が聞こえた。 「おはようございます、ミス・ヴァリエール」 「ん、おはよう」 女の子の声だ。コピーを本物のルイズと勘違いしたらしい。 額のネジに気づかれないようにしろよ、とサーフィスにこっそり命令しようとちらりと振り向いた刹那、固まった。 そこには。 『ある嗜好』を持つ者たちの憧れの存在がいた。 ヘッドドレス。黒い服。フリルがついた純白のエプロン。 そいつの名は。 『 メ イ ド 』 ッ ! ! 「(う、うおおおおおおぉぉぉッ!? マジか! マジでかァーッ!!)」 自他共に認めるオタク、間田。『ある嗜好』すなわち、彼はメイド萌えな男だったのである! 初めて見る本物のメイドに、彼はヤバイくらい興奮していた。 「(すげぇ・・・コスプレなんぞとは訳が違う! 本物は『良い』ッ!! なんて清楚なんだッ!)」 黒髪に東洋人的な顔立ちも間田の興奮を上昇させるのに一役買っていた。要するに、彼女は間田のタイプだったのである。 「あの・・・・ミス・ヴァリエール? あちらの方は一体・・・?」 血走った目で自分を見つめる陰気な男を見て、若干おびえた表情をサーフィスに向けるメイドさん。 サーフィスは「やれやれだわ」と呟き、間田を彼女―――シエスタに紹介する。 「あいつは私の使い魔のトシカズ。たまにああなるけど、悪い奴じゃないわ」 「は、はぁ・・・」 何事かブツブツ呟きながらギラついた目でこちらを見ている間田は、悪い奴どころかアブナイ奴なのだが、貴族の言うことなのでシエスタ は信じることにしたらしく、間田に近づいていくとペコリとお辞儀をし、自己紹介をした。 「初めましてトシカズさん。私、シエスタと申します」 「ど、どーも! 間田敏和ッス!」 子供のようなニコニコ顔で元気良く名を名乗る間田に、シエスタはクスッと笑う。 つい先ほどまでは明らかにヤバそうな奴に見えたのだが、意外とまともそうだ。 それから二人は、それぞれが持ち寄った衣服を洗濯した。 洗濯板を使って衣服を洗うのは間田にとって初めての経験だったので、シエスタに教えてもらいながら洗った。 その間、間田はずーっとシエスタを鼻の下を伸ばして見ていた。 全ての洗濯物を洗い終えると、間田が持ってきた分も干しておくと言い、シエスタは去っていく。 その後姿を、間田は涙ぐみながら見つめる。 「か・・・感動だッ! やっぱり本物のメイドさんは優しい上に気が利く!」 もうトリステインに永住しちゃおっかなぁ、と早くも故郷を捨てる気になっている間田の頭を、後ろにいたサーフィスが小突く。 「あんた、メイドごときに良くそこまで感動できるわね」 「だってメイドだぜメイド! 日本なんかにゃ一人としていねーんだぜ!? あ、待てよ。メイドさんて他にもいる?」 「まあ、あの子がいるんなら他にもいるでしょうね」 「・・・・う、うおぉおおぉ! 今日は人生最良の日だァーッ!!」 雄叫びをあげる間田に、サーフィスはもう何も言うまいと、寮へ向けて歩き出した。 「ほら、置いてくわよ!」 「おーう! 今行く!」 スキップしそうなほどルンルン気分の間田を見て、サーフィスは深いため息をついたのだった。 ルイズの部屋につくと、本物のルイズはまだ気持ちよさそうに眠っていた。 コピーに着せていた制服をクローゼットにしまったところで、サーフィスが口を開いた。 「この時間になったら起こしてくれる? そうしないと朝食に間に合わなくなるから」 「わかったよ。そんじゃ、戻れサーフィス」 コピーは瞬く間に元の木の人形へと戻り、力なく床に倒れる。 人形の関節を折りたたみ、ナップザックへ押し込むと、間田はルイズを起こしにかかった。 「おーい、起きろー」 「・・・・うー・・・・」 肩を揺する。起きない。 「ルイズ、早く起きないと遅刻するわよ!(裏声)」 「・・・・むー・・・・」 頬をつつく。そっぽを向かれた。 この女、幸せそーに寝やがって。今さらながら、自分を差し置いて暖かいベッドで寝るルイズにムカついてきた。 自分は固い床に寝転がるしかないというのに。 「早く起きろコラァー!」 なんとなく腹が立ってきた間田はルイズの毛布を引っぺがし、どさくさ紛れにルイズの頬をつねる。 ルイズは夢でも見ていたのか、何か叫びながら飛び起きた。 「いいい、いだいいだい! ごめんなさいお姉さま! ごめんなさ・・・アレ?」 「おはよーございます、お嬢様ーッ」 「・・・あ、あんた誰よ!?」 「マジで頭がカワイソーなことになってんのか? 間田敏和だ」 「へ・・・あ、ああ、使い魔ね。そっか、昨日召喚したんだっけ」 ルイズはひとつ欠伸をすると、ベッドに腰掛ける。 「服ー」 「ほい」 ダルそうに命令するルイズ。眠そうな目をこすりつつ足をブラブラさせる姿はなんとも可愛らしい。 思わず間田は微笑んでしまう。世話の焼ける妹ができたようなものだと思えば、この命令口調も気にはならない。 服を渡すと、今度は下着を取るように言われる。 ネグリジェを脱ぎ始めたルイズを見ないようにしながら、クローゼットの一番下をあさる。 「・・・チッ、ハデなのはねーなぁ」 「何か言った?」 「いや、何も。ほい」 後ろを見ずにパンツを投げる。あとはルイズが着替え終わるまで彼女に背を向けていればいい。 しかし、女の子が自分の真後ろで着替えているというのは・・・何というか、その・・・フフ・・・・。 間田が『チラッと見るだけならバレないかなぁ~』とか邪な思考を巡らせていると、ルイズが再び声をかけてきた。 「服ー」 「・・・あ? 今渡しただろ」 「着せて」 時間が止まった。間田の周囲だけ。 「ごめん、もっかい言って」 「だから、服。着せて」 「おま、なっ、何言ってんの! 自分で着ればいいじゃねーか!」 「平民のあんたは知らないだろうけど、貴族は部屋に下僕がいるときは自分で着替えたりしないのよ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 振り向くと、下着姿のルイズが早くしろよとばかりに間田をねめつけていた。 「(い・・・いいのか!? 本当にいいのか、俺ッ! こんな展開マンガでしか見たことがねえぞ・・・!)」 心臓は早鐘を打つように激しく鼓動し、額には脂汗。 順子やアニメキャラなどで似たような妄想は腐るほどしてきたはずの間田だったが、それを本当に実行するとなるとさすがに尻込みしてし まう。 「ほら、早く! 朝食に間に合わなくなるでしょ!」 「は、はいィ~ッ! ただいま~!!」 間田はルイズに怒鳴りつけられ、慌ててブラウスを手に取るとルイズの元へ近づき―――そして落胆した。 何せルイズの体は凹凸というものがなかったのである。 見事なまでの幼児体系に、間田は先ほどまでテンパッていた自分を情けなく思った。 「(うん、俺はペッタンコには興味ねえんだ)」 ルイズに服を着せ終わり、外へ出ようとするルイズだが、ドアノブに手をかけようとしたとき、間田が何かを肩に背負っているのが目に入 った。 見れば、それは昨夜の木の人形が入った荷物である。 ルイズは当然のごとく顔をしかめ、荷物を指さす。 「・・・・あんた、それ持ってくの」 「え? ダメ?」 「いや・・・まあ、いいけどね」 ルイズは気味悪げに間田と荷物を見やり、再びドアに向かう。 ドアを開き、外に出ると同時に隣の部屋のドアが開き、中から褐色の肌と燃えるような赤毛を持つ美女が出てきた。 ルイズとは正反対とも言えるほどのナイスバディである。 「あら、おはようルイズ」 「・・・・おはよう、キュルケ」 キュルケと呼ばれた赤毛の美女はニヤリとした笑みを浮かべ、反対にルイズは露骨に嫌そうな顔をする。 ―――そして、我らが間田はというと。 「(す、すっげぇ・・・。おっぱいがルイズの頭蓋と同じくらいの大きさじゃねえか・・・)」 マンガでしか見たことのない爆乳に、再び感動を露にしているのだった。 .....To Be Continued →