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「オーダー入りまーす! ペペロンチーニ1、カフェオレ2、棒棒鶏(バンバンジー)1、熊肉の卵とじ丼1、ちゃんこ鍋1、みっくちゅじゅーちゅ1、ロイヤルミルクティー3!」 「っだぁぁぁぁっ!?誰だこの真夏に喫茶店でちゃんこ鍋なんぞ頼むバカはっ!?」 「うるせぇよ、どこの誰かわからん奴にケンカ売ってるヒマがあったら手ぇ動かせ柊」 「キュウリ千切りして、ミルク蒸気であっためて、カップ出して―――うぉぉ、俺がもう3人くらいほしいっ!」 「黙れ隼人、ハヌマーンだったら自力で分身してみせるくらいの根性を見せやがれ」 「……上月、お前なんか無駄に達観してないか?」 「触れてやるなよ柊。司がこういう性格になったのにはこいつの兄貴に原因があってな……」 「兄貴のことは言うなぁぁぁぁっ!?」 ……とまぁ、柊が現れてから―――というか永斗が消えたその日から、毎日がこんな感じで元気なキッチン。 かといってフロアにその喧騒が伝わることはない。 基本的にキッチンは隼人・柊・司の三人と、あとたまに誰かが入るくらいでなんとか上手く回っていっている。 フロアに出ているメイドたちとウェイターはあちこち忙しく動き回る。 そんな中で、一人。新人のメイドは一際異彩を放っていた。 メイド喫茶とはいえども、従業員はほとんどが日本人。髪を染めている人間はいても、そうそう派手な人間はいない。 その中で。長い銀の髪をツインテール風味に結び、赤い瞳をきらきら輝かせ、右へ左へ笑顔を振りまくメイド服の小柄な少女がいた。 また一人客が入る。少女が笑顔でお客に挨拶する。 「お帰りなさいませでありますよ、ご主人様っ!」 ……口調のギャップも含め、あらゆるところにあるギャップがギャップ萌えとして彼女を人気キャラクターにしているので、これも結果オーライというべきなのだろうか。 住み込みで働いている彼女の名は、ノーチェといった。 回想 <魔法使いたちの再会> 鏡は古来より洋の東西を問わず不思議な力を持つとされてきた。 西においては姫の継母である魔女の相談役として遠見の予言を行い、東においては魔の存在を暴く聖なる力として妖狐退治に用いられた。 また、鏡は異界を映すものとしても知られてきた。時間を見計らい合わせ鏡を行えば、自身の未来や前世、知らない世界を映すこともあるという伝承もある。 その伝承を形にしたのが魔導具・『水銀鏡』。当然世界結界で阻害される類の力であり、『魔法』である。 能力は『異世界や平行世界、並列世界などを映す』こと。 映すだけしかできないために基本的に無害な魔導具であり、遠い昔に観賞用に作られていたが、世界結界の圧力に対抗する力を持たないほどの無力さを誇るため、 いつしか一つまた一つと消えていき―――現存するものは片手で数え切れると言われるような骨董品魔導具。 が、しかし。ここに一つの仮定が生まれる。 見ることしかできないというのは、観測者が鏡に映るのでこれは『鏡でしかない』という認識が発生するためである。 では、『鏡に映らない』ものがこれを覗いたらどうなるか。 『水銀鏡』に映るのは通常の鏡としての能力の正面にいるものと、水銀鏡そのものの能力である他の世界の映像のみである。つまり、通常の鏡の法則は適用される。 吸血鬼と呼ばれる存在は流水を触れず、日光に当たれば灰になり、にんにくの臭いに弱く、木の杭で心臓を貫かれれば死に―――鏡に映らないという伝承を持つ。 流水と日光については種として強靭になることで乗り越え、にんにくはもとは民間信仰の魔よけであって、そんなものに屈する夜の王はそもそも数は少ない。 杭に心臓を貫かれれば確かに死ぬが、そもそもそんなことされれば人間も死ぬ。 しかし―――自身への強化では成しえない、存在の外界干渉である鏡の映像については対策を行う意味も特にないため行われなかった。今でも吸血鬼は鏡に映らない。 吸血鬼にとって、『水銀鏡』は異界の存在を映すものでしかない。『鏡』であるという認識がないのである。 映すことができる、というのはつながりが生まれるということ。その意味を魔法的に解釈、意味づけをして、『水銀鏡』を異界とつなぐための『門』と見なす。 「……ということなのでありますが―――って、蓮司ー。ついてきてるでありますか?」 柊が喫茶『ゆにばーさる』の住み込みのバイトを終えた一日目。 へとへとになりつつも、とりあえずマンションの一階のフロアにあるサロンでノーチェに紙コップのコーヒーを渡しながら話を聞いている。 まず聞きたいことだった「なんでお前がここにいる?」という質問に返ってきた答えがこれだ。 正直な話、魔法の世界に住んでるくせに魔法関連の話に疎い前衛職の柊にはちょっと厳しい話だった。 「すまんノーチェ、もうちょっとわかりやすく頼む」 「どのくらいにすればいいでありますか?」 「三行で」 「短っ!?」 あまりの耐性のなさに、ノーチェが思わずいつもの口調を忘れるほどだ。 ともあれ、話を理解してもらわないと意味がない。しばらく考えた後、彼女は柊に言った。 「えーと……つまりでありますな。 家計の傾き加減がえらいことになってきたので売れるものを家捜しした時に、 使えない魔導具を発掘して、それをじーっと見てたらなんか面白い術式が思いついたので試してみたらなんと本当に色んな異世界にいけることが判明。 バカンスの時には異世界に逃げ込むという、誰にも邪魔されない完っ璧な方法を確立した、ということであります」 「納得した。っつーかそれは純粋にうらやましいぞ。俺もアンゼロットに邪魔されない休みがほしいぜ……」 哀愁に満ちたため息を吐く柊。 ノーチェはその様子を見て、苦笑しながら同情するように言った。 「蓮司は本当に休みもらえてないみたいでありますからなぁ。とはいえ、休みがあってもトラブル勝手に吸い寄せるのでありましょうが」 「人をなんだと思ってやがるっ!?休みの日は普通に過ごしてるっつーの!」 「聞いた話だと休みの日でも自分の部屋に女の子が落ちてきたそうではありませんか。 前回も実家に帰省する途中で昔の知り合いに協力頼まれて2週間ほど住み込みバイトさせられる羽目になってましたし、今回も休日に侵魔に狙われたのでありましょう?」 ぐ、とうめいて黙る柊。 ノーチェが悪気のない様子でそう言うため、柊としても強く言えない。事実だし。 それで、と彼女は柊にたずねた。 「蓮司はなんでこんなところにいるのでありますか? ここ、ファー・ジ・アースの系列とはまったく違う世界系列でありますよ?しかもえらく遠い感じの。 たまたまゲートが繋がるような距離にはないでありますし、狙って来るにしてもわたくしみたいに特別な方法を使わないとなると、 人何人かを全部プラーナに変換しないといけないくらいエネルギーが必要なのでありますよ?」 「偶然だ偶然。月匣でエミュレイターと戦ってたら、次元の歪みが出てきてそれに虚属性魔法がぶち当たって暴走して気づいたらここだったってこった。 ……って、そういえばアンゼロットが俺がここに飛ばされたのは自分のせいとか言ってたっけ?」 それを聞いて首を傾げるノーチェ。 「アンゼロットと話したのでありますか?」 「いや、なんか勝手に人の携帯にホログラフの投影機能つけてテレビ電話とかできるようにしてたらしくてな。それで一方的に連絡受けただけだ。 確かその時にその詳細について後でメールよこすとか言ってたな……」 呟きながら、柊は携帯を取り出す。 軽く何度か操作すると、『送信者:あなたのあんぜろっと(はぁと)』と書かれている新着メールを発見する。 ……そんな風に登録した覚えはないので後で通常のものに変えることを固く心に誓いつつ、メールを開くと『長くて本文に収まらないのでファイル添付します』とのこと。 ファイルを開くと、嫌がらせのように専門用語だらけの報告書。 戦闘要員としての<ウィザード>という意味なら優秀な部類に入る柊も、一般的な<魔法使い>としての能力に長けているわけではない。 っていうか、その手の知識は門外漢にもほどがあったりする。ある程度の知識も詰め込む時間を与えられない状況下だったともいう……可哀想なことに。 柊が苦い顔をしているのに気づいたのか、横から携帯の画面を覗きこむノーチェ。 「なるほどなるほど。万魔節の世界結界の強化儀式に巻き込まれたのでありますか。それはまた不幸でありますな」 「不幸言うなっ!?って、まてノーチェ。お前この報告書意味わかるのか?」 「当たり前ではないですか。ウィザードならこのくらい……と、いうのも失礼でありますね。わからないなら代わりに読むでありますよ?」 「俺がその手の知識ないのは俺のせいだけじゃねぇ。けどまぁ、読んで解説してくれると助かる」 言って、案外素直に携帯を手渡す柊。自分一人ではできないことが多すぎるということを知っているからだ。 そしてノーチェの魔法知識と情報収集能力については前回の事件で身にしみて知っている。意地を張ることに意味はない。 わかったでありますよ、と言って彼女は携帯を柊から奪い取る。 しばらく添付ファイルを読んでいた彼女は、報告書を噛み砕いて解説しだす。 柊が戦っていた時はちょうど万聖節前日の万魔節。ハロウィンとは、世界の内外に関わらず『異界』との境界の薄れる日(=世界結界が効果を薄くする日)。 当然侵魔による侵略が増えるが、ウィザード達も黙っちゃいない。10月31日深夜から、11月1日に日付が変更される瞬間、世界結界の一斉補修を行う。 要は信じる心が力になるんだから、『魔』に対する心理防壁が薄くなってるハロウィンから変わる瞬間に、祭りの終わり―――日常への回帰を信じさせることにより 世界結界の強度を一気に引き上げることでその日から一週間くらいは雑魚魔王なんぞ入ってこれないくらいの超☆強力世界結界が誕生するのである。 なお、これは世界結界を形成しているイノセントの『信じる心』、その形成余剰分を全人類一年分使用しての大掛かりな対抗手段であるため、そうそう連発はできない。 全ては10月31日に起きる世界結界の弱体化を後の世界に持ち込まないための対策である。(これをハロウィンをふっとばせ!作戦という) なお。まったくの余談になるが、日本では侵魔の出現率が他国に比べ異様に高いため世界結界の消耗が局地的に異常に早い。 11月1日の年に一度だけだと絶対的に足りないため、半年に一度の頻度で同じ規模の補修作業が行われる。 閑話休題。 また、月匣も異界の一つである。しかし世界結界が強いと常識に反するものは弾かれるため、作戦実行時までに月匣から出ないと月匣にさまざまな異常をきたす。 当然知っている人は知っているが、知らない人は知らない。しかも月匣内に入ると外の世界がどうなっているかはわからないため、それに気づかないことも多い。 この異常に、毎年十数人程度のウィザードが巻き込まれるわけである。 世界規模のこの作戦を主導するのは世界魔術協会会長という立場であるアンゼロットであるため、柊との通信で彼女も自分の責任、という表現をしたわけだ。 ちなみに月匣ごと吹っ飛ばされてもだいたい主八界のどこかに落っこちるため、作戦終了後ロンギヌスにより追跡調査がなされる。 すぐさま発見して現地のロンギヌスメンバーに捕まえてもらい、転送陣のあるところまで移動、おおむね2、3日で帰ってこれる。 が。しかし。……戦ってた侵魔が苦し紛れに撃った魔法がちょうどそこに開いてしまった次元門に直撃。 そのまま大人しく飲み込まれていればファー・ジ・アースか、それ以外の主八界のどれかの世界に落ちるだけで住んだのだろうが、侵魔の放った魔法により門が変質。 それがとんでもないところまでねじくれてねじくれてこんな(概念的に)遠い場所まで偶然にたどりついてしまったのだという。 頭から煙を出しはじめた柊にだいじょーぶでありますかー?と頭をつんつん突っつきつつ、ノーチェはそれを噛み砕いて説明する。 「つまりでありますな? ハロウィンの日は、弱ってる世界結界を全世界的に強化する日で、その関係上空間が不安定になってるわけであります。 ファー・ジ・アースに存在するあらゆる結界の外側に位置する世界結界が強化されるその時間に月匣内にいると他の世界に飛ばされる可能性が高いわけでありましてな。 蓮司はたまたまその時に月匣内に取り込まれてた上、色んな偶然が関係してここに飛んだわけでありますな。 ……それにしても大変でありますなぁ、蓮司」 「そうか?命があるんだし、世界的に指名手配されるわけでもなし、衣食住が保障されてるわけだし、かなりラッキーなところに落ちたもんだと思ってるけどな」 今まで行った先での苦労が忍ばれる発言をする柊。 戦う度に生死判定の憂き目にあったり、見知らぬ世界で見知らぬ勢力に追い回されたり、お尋ね者として旅生活をしなければならなかったりな異世界生活。 ……本人が気づいていなくても、端から見るとそれはもう力いっぱい不幸である。 ノーチェはそんなことには気づくことなくさらなる事情を彼につきつけた。 「え?でもこのファイル読む限り、エミュレイターを倒しても蓮司は迎えに来てもらえないでありますよ?」 「なにぃっ!?なんだそりゃどーゆーこったっ!?」 「だってそう言う風に書いてあるでありますよ?ほらここに『すべてが終わった後、自力で帰還せよ』って」 いきなり告げられた事実に柊が驚く中、ノーチェは淡々と説明を続ける。 「そうでありますなぁ。 蓮司にも分かるように噛み砕いて言うと、まずここがファー・ジ・アースから遠すぎることが理由に挙げられるでありますな。 一つ道を繋ぐのに、とんでもないプラーナ量と、正しい道を分析・解析するための人材がいるのでありますよ。具体的にいうと一つのチームが必要になるくらい。 もう一つは、蓮司と一緒に来た侵魔以外の他のエミュレイターがここを狙わないようにでありますな。 向こうから道を繋ぐとなると、その道を使って二度の世界移動が行われるのであります。 そうすると、世界と世界の間に強い魔法的なつながりの跡が残って……わかりやすく言うと、侵魔にこっちとあっちを行き来する手がかりを作ってしまうのでありますよ」 「アンゼロットの奴はこっちのお偉いさんと知り合いみたいだぞ?」 「なにが原因で知り合ったのかまでは知らないでありますが、通信機器での会話のやり取りと人間一人を通すのでは行きかう情報質量がダンチなのであります」 つまり何億と会話のやり取りをしても、概念的にこれだけ遠ければほとんど影響を与えないが、 人間を通すだけの大きさの穴を向こうから開け、そこを柊が通ってしまうと跡がどうしても残ってしまって侵魔にも便利な道になってしまうのだという。 これでは向こうとしてもおいそれと柊を助けには来れない。 それに納得したあと、彼は首をかしげた。 「ノーチェ、お前の移動法はどうなんだよ。その理屈だとそれもかなり危険なんじゃねぇのか?」 ノーチェの作った術式も、転送の魔法陣と形は違うとはいえ魔法の一種。 世界の間に強いパイプを作ってしまえばファー・ジ・アースからの侵略の危機があることを知っている彼女が、そんなことを理解できていないわけがない。 そう思ってたずねると、彼女は薄い胸をとん、と叩いて自慢げに答える。 「問題ないのでありますっ! わたくしのは、行きたいところを指定しないかぎり完全にランダムで行くことになりますゆえ」 「……つまり、出るところは完全に運任せってことか?」 年齢に意味のない不死者の吸血鬼であるとはいえ、気の長い話である。 半眼になった柊に、しっけいな、と彼女は腰に手を当てて答える。 「ちゃんと行きたいところの指定もできるでありますよっ。蓮司、これまだ持ってるでありますか?」 そう言って彼女が月衣から取り出すのは、小指の爪ほどのサイズの水晶球だった。 これは彼女の持つ先祖伝来の『叡智の水晶』とのリンクを持ついわば子供のような存在であり、これがあればいつでもノーチェの親水晶との間のリンクで話ができる代物だ。 ノーチェは、友だちになった人にこの子水晶を作っては渡しているのだ。柊も前回の事件の際にご飯をおごった礼としてこれを受け取っている。 柊が頷くのを見て、彼女は説明を続ける。 「わたくしの親水晶とこの子水晶は魔法的なリンクがありましてな。 子水晶の位置を親水晶から補足して親水晶をさらに術式にリンク。 その位置情報を道標にして、子水晶を持っている人がいるところなら移動できるように調整すればいいのであります。 これなら毎回同じところに同じ道はできないでありますからな」 「……正直理屈はさっぱりよくわからんが、お前がファー・ジ・アースに問題なく帰れることはわかった。 でだ、ノーチェ。本題はこっからなんだが、その術式とやらで俺も一緒にあっちに戻ることってできるか?」 さっきの話を聞いたところだと吸血鬼以外は難しそうな気がするんだが、と柊は続けつつ彼女に尋ねる。 ノーチェの話によれば、彼女の世界移動とは彼女が吸血鬼であるからできるものらしい。 ならばウィザードであってもただの人間である自分では無理だろう、という考えのもとにダメ元で聞いてみた柊だったが、それにノーチェは意外な答えを返す。 「できなくはないでありますよ」 「ほんとかっ!?」 「えぇ。世界移動の魔法を発動させることができるのは吸血鬼だけでありますが、発動した魔法で移動するものが吸血鬼だけなら、お土産持って帰れないでありましょう?」 当たり前じゃないか、というように首を傾げるノーチェ。 ……なお、そのお土産の一部はファー・ジ・アースに帰るたびにとある居酒屋に送られているとかいないとか。 ただ、と彼女は困ったように続ける。 「エネルギーの問題があるのであります。 わたくしだけや、+お土産くらいならわたくし一人でもなんとかなるのでありますが、人一人となるとそうもいかないのでありますよ。 さっき言ったでありましょう?世界移動を個人で行うには、ソレ相応のエネルギーを必要とするのであります。 わたくし一人の移動でも結構消耗してエネルギー補給が必要になるのに、もう一人分なんて無理でありますよー」 「エネルギー補給って、お前―――」 知らず、眼光の鋭くなる柊。 ノーチェは吸血鬼、血を吸う鬼だ。 ウィザードとして働く吸血鬼は、基本的に自力で吸血衝動を抑えられることを最低条件とした上で背教者会議で研修を受けた後、ウィザードとして働くことを許される。 それが吸血鬼と呼ばれる他種族が、人間の社会に出て働くための最低条件。 けれど、あくまで衝動は衝動。人間でいう本能のようなものだ。ふとした拍子にそれが頭をもたげることもある。 実際ウィザード同士であり、両者合意の上での吸血行為であるのならある程度黙認されてもいる。 それで命を救ってもらったウィザードもいるのだから黙認せざるをえないとも言うが。 けれど勝手に血を吸う行為は認められていない。 そんな(吸血鬼視点で)無粋なことをすれば背教者会議の方から追っ手がかかるし、他のウィザードからも日常を壊すものとして認定される。 しかし。吸血行為は、彼らにとって甘美なまでの衝動であり、これ以上なく効率的なエネルギー補給の手段でもあるのだ。 そんな柊の勘ぐりをまったく無視し、彼女は話を続けた。 「もうお腹減ってしかたなくなるのでありますよう。 だから移動終了したすぐそばにあったこのお店で思う様食べてしまいましてな、後でお財布の中身に気づいて冷や汗かいたであります。 なんとか頼み込んで結希に食べた分は体(ろうどうりょく)で払うからって雇ってもらえてよかったでありますよー」 ノーチェの言葉にしばし呆気にとられる柊。 そうだ。この娘はこういうヤツだった、と実感すると、苦笑しながら彼女の頭をわしわしっと撫でた。 「そうだな、悪ぃノーチェ。お前はお前なのに、ひどいこと言っちまった」 「わ、悪いって謝ってる割に扱いがぞんざいでありますよっ!?頭!頭ぐちゃぐちゃにしないでほしいでありますー!」 「なんだよ、これから寝るだけだっつーのに頭気にしてどうすんだ」 「やめるでありますよー!せっかくあの時間が終わったのでありますのに―――」 「ノーチェ!」 ノーチェが全部言い終わるよりも早く、サロンに駆け込む影があった。 赤みの強い茶髪。邪魔にならないように、というのを最優先にさせたかのようにところどころまとめた髪。生真面目そうな美人。 彼女の名は玉野椿(たまの・つばき)。UGNのチルドレン出身で今は一人前にエージェントとなり、幾多の事件を解決してきたオーヴァードで、隼人の相棒でもある。 チルドレン時代から隼人とセットで徴用されることが多く、日本各地を飛び回る生活なのだが、現在は結希の霧谷への要望でしばらく秋葉原支部に留まることになっている。 椿はノーチェを見つけると微笑み、彼女の腕を掴んだ。 「もうそろそろ寝る時間だよ。子どもは早く寝なくちゃダメでしょう」 「だから、わたくし見た目より子どもじゃないでありますってばー!だいたい、結希はこの時間でもまだお仕事してるじゃないでありませんかっ」 「薬王寺支部長はあなたとは違うの。支部長としてのお仕事があるし、休ませる時間になったら智世さんがお仕事を代行してくれるから。 それで……柊蓮司さん、でしたか?」 「あぁ。あんたは椿だっけ?なんか高崎がそう呼んでたような気がする」 「玉野椿です。きちんとした挨拶が遅れたみたいなので、これからよろしくお願いします」 その堅苦しい挨拶に、ちょっと苦手意識を持ちつつもこっちこそよろしくな、と答える柊。 不良学生は優等生が苦手なもんである。柊もう学生じゃないけど。 閑話休題。 椿はノーチェと柊をしばし見比べた後、柊にたずねた。 「ノーチェとお知り合いなんですか?」 「おう。同郷っつーか、戦友っつーか……詳しくはこいつか支部長さんに聞いてくれ。たぶん俺が説明するよりはわかりやすい」 はぁ、とうまく納得いかないような椿の声。 彼女はノーチェの方を見て、優しく頭を撫でる。 「髪の毛、せっかく梳いたのにぐちゃぐちゃになっちゃったね。話を詳しく聞かせてもらいながら、もう一回梳こう」 「う~……、またじっとしてるのでありますかぁ?」 「女の子なんだから髪の毛はきちんとしないと。お客様の前に出るんだし」 悪意のない彼女の様子に、ノーチェは諦めたようにため息をついた。 椿は柊に向けてきちんと一礼すると、ノーチェをその<肉体>10の腕力でずるずると引きずっていった。それで後衛キャスターなノーチェが抗えるはずもない。 一人取り残された柊は、あいつじっとしてんの苦手そうだもんなー、と呟いて踵を返す。 とりあえずエネルギー問題さえなんとかなれば元の世界に戻れることがわかったのだ、絶望するには早すぎる。 とにかく今日は疲れた。考えるのは後回しにして、明日も早いんだし、さっさと寝ることにしてしまおう―――。 ……なんか、喫茶店のバイトとしての日常にもう順応しているような気がするが、気にしないことにした。 ← Prev Next →
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完結編・その4 <月下 -after-> 「……まったく、お別れ私も言いたかったんですけどね」 「あの子たちも唐突にいなくなるんだから困ったものねぇ」 「フッ、せわしない連中だ」 正確に言うと、中に入れる人間が3人だけだったというだけで、月匣の外には「ゆにばーさる」の面々が集まっていた。 中には月匣が消えた後も名残のように振るきらきらと輝く光の粒子を名残惜しそうに見つめる者や、彼らの残したものをじっとみつめるものもいる。 と、その時。 「なんだなんだ今の光はっ!?敵襲かっ!?そうか俺を狙ってきたんだな上等じゃねぇかタマとったらぁー!」 ……空気をまったく読まない声。 全員がそちらを向くと、そこには黒いコートの男がいた。胸ポケットに、血のように赤いバラを挿している。 男は「ゆにばーさる」の人の群れから知り合いを見つけたらしく、声をかけた。 「お、支部長じゃないか。元気そうでなによりだ。っていうかなんでこんなところに?」 「……永斗、さん?」 黒いコートの男の名は上月永斗(こうづき・ながと)。 司の兄であり、「ゆにばーさる」の料理長をしている伝説の暗殺者である。 コートの中から免税店で買ったらしい土産をごそごそと取り出しつつ、彼は言う。 「あ、そうそうとりあえずこれお土産。テキーラとメキシコば奈々。 いやーよかったよーメキシコ。俺のコルトがずきゅんどきゅーんって火ぃ吹いてさー、やっぱ打ち放題っていいよネっ」 お前今度はメキシコでなにやらかしてきたんだ。 そんな心の声が聞こえてきそうな中―――結希は笑顔でその話をうんうん、と聞いて、一通り止まったところで、一言告げた。 「なるほどなるほど、大変だったんですねぇ永斗さん。 ―――それで。言い残したいことはそれだけですか?」 「……し、支部長?」 笑顔の圧力。よく見れば、彼はなんだか大量の「ゆにばーさる」の店員に囲まれているのに気づく。 しかも全員名前持ちオーヴァード。シャレになんねぇ状況過ぎる。出来たてPCならはだしで逃げ出す面々がぞろっとそろっているのだ。 結希は、笑顔で続ける。 「トイレはいきました? 神さまにお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする心の準備はOKですか?」 ま、ここ屋外ですけど、と絶望の言葉を口にする結希。 え?え?とじりじり迫る絶望の壁を前にしながら、結希は言った。 「皆さんっ!今ここに集まった全てのみなさんっ!あの地獄を生き抜いてきた真の勇者たちよっ! この一月の恨みも疲れもいらだちも。すべてすべて、こちらの大魔王が引き受けてくださるそうですっ!さぁ、思う存分に殺ってしまってかまいませんっ! 遠慮なし、配慮なし、手加減なしの―――大盤振る舞いでおねがいしますっ!」 あ、最期は司さんですからその分だけはとっておいてくださいねー。と気楽に言いながらワーディング。 直後。 浜辺に殺戮の宴が開幕した。 結論。みんな、じぶんのしたことにはせきにんもとーね? <エンディング・司の場合。> 仕事を終え、帰ろうとした彼の足元に、わんっ!と小さなかたまりがまとわりつく。 ため息をついて抱きかかえると、尻尾をぶんぶか振ってご満悦。 「こら、ボタン。あの部屋から出てくんなって言ったろうが」 椿と隼人があの慰安旅行からすぐに任務に直行してしまい、双枝市に戻れなくなってしまったボタン。 わざわざわんこ一匹のためにUGNが車を出してくれるわけもなく、今ボタンは懐いている司のいるアキハバラ支部預かり、という形になっているのだった。 なお、ボタンをお願いね、と言う椿の横から入ってきた永斗が、 『おぉ、司。いいなこの子犬、うまそうだな?』と無神経な発言をして椿にスペシャルお仕置きされることになったのは完全な余談である。 閑話休題。 あまり変わらない毎日と言えば毎日だが、ちょっと前まではこのぬくもりは彼にはなかったものだ。 そのぬくもりに触れるのを怖がっていたのは彼の方で、そのぬくもりは触れてみれば意外に強く、暖かかった。 そうだと気づくことができたのはあの夏の日々のおかげで、彼がボタンと短い間とはいえ一緒にいられるのはこの街があるおかげで。 そんな他愛もないことを思いながら、部屋に戻る。 と。 なんだか、玄関の前からして焦げ臭い。 またトラブルのもとか、とため息をついて意を決して一度ボタンを下ろし、ここでおとなしくしてろよ?と言い含めると、思い切りドアを開いて叫ぶ。 「うぉいこらバカ兄貴ぃぃぃっ!今度は何しやがったっ!?」 「つつつつ司っ!?い、いやこれはけしてちょっとスプレー缶しゅーってしながら髪の毛を整えていたとかそういうわけでは―――」 「100%それが原因だっ!?つーか火ぃついてるだろうがバカかあんたはちったぁ反省しろっ!」 がしゃーん、ぱきーん、<ブレインコントロール>+<氷の塔>! ……ここ、敷金とかどうするんですか?日本支部長。 ともあれ、天井まで衝く巨大な氷の塔にくすぶる火と兄貴を閉じ込めた後、彼は一つため息をついて支部長の部屋に向かった。 今月もあのバカの給料を全額カットするくらいですめばいいのだが、と思いつつ歩き出すと、ボタンがその後をついてくる。 こんなのも悪くないか、と内心思い―――彼はボタンを抱き上げると、足を速めた。 <エンディング・ノーチェの場合> 「ただいま戻りましたでありますよ」 「―――君は今何月かわかってるかね?」 絶滅社の上司のところにでかでかと『お中元』と書いた紙を張ってある東京土産の東京ば奈々を渡して返ってきたその返答に、首を傾げるノーチェ。 意外に季節感、しかも日本の季節のことを知っている上司だった。 ともあれ、彼は胃が痛そうにノーチェに言った。 「まったく……君はこれでも結構優秀な傭兵なんだ。『休暇をいただきます』の一言で半月も休まれては困るんだよ。わかってもらえるかね?」 「イタリア人の傭兵に何期待してるでありますか?」 「全イタリアンに謝りたまえ」 ヘタリアアニメ化らしいですね。おめでとうございます。 閑話休題。 「まぁ、休んだ分は働くでありますよ。お金ほしいでありますしな」 「うむ……さっそくだが、君には日本に飛んでいただきたい」 日本でありますか?と尋ねるノーチェ。うむ、と唸って上司は告げる。 「あの世界の危機大国でまた魔王が観測されたらしくてな。現地要員の斉堂一狼、その所有物の姫宮空とともになんとか世界の危機を救ってきてほしい」 「帰ってくるなり世界の危機でありますか……もう少し神さまはわたくしにお休みをくれてもいいような気がするのでありますが」 「待ちたまえ吸血鬼」 もっともである。 ともあれ、いつまでもへこんでいるのは彼女のキャラではない。すぐに元気に笑顔になると、告げた。 「任務了解でありますよっ。……っていうか、所有物ってスゴい響きでありますな」 「上ではそういうことになっているが、彼女自身の自意識はある。その辺りは配慮するように気をつけてくれ」 「別にいいでありますけど……って、日本のどのあたりに行けばいいので?」 「世界の危機は彼らの修学旅行先で起きようとしているようだ。具体的に言うと京都だな」 「ワーオマイーコ、ゲイーシャ!」 「いきなり似非外国人にならないでくれたまえイタリア吸血鬼」 胃が痛い、という表情をする上司に気のない返事を返し、彼女は部屋を出ようとして……一言だけ、聞いた。 「質問があるであります」 「―――ほう、なんだね?事件の概要についてはそちらにメールで送るが」 「いえ。お土産は木刀でいいでありますか?と聞こうと……」 「いらんっ!」 「え。だって今日本の木刀が外国人の間で大流行とこの間新聞で……」 「それは洞爺湖の話だっ!」 洞爺湖の木刀ならほしいのか、名もなき絶滅社上司よ。サミット効果すげー。むしろ銀魂効果すげー。 <エンディング・柊の場合> 「……まぁ、マシになったと思うべきなのかね、こりゃあ」 柊はファー・ジ・アースに帰還。 どうやらノーチェは場所指定までして転移してくれたらしく、東京の秋葉原にこれたまではよかったものの、上から某ポケットに入るモンスターのカプセルが襲来。 人一人入るサイズのそれにぱっくん、と食われた彼はなす術もなくアンゼロット宮殿へとご招待されたのだった。 ともあれ、今度は京都でなぜかは分からないが飛騨(現在の岐阜県飛騨地方)の大鬼侵魔が復活し、それを魔王が写し身の体にしようとしてるみたいなんでなんとかしてこい と言われて珍しく一人新幹線に乗ることになっていた。 なぜ電車移動なのかと聞くと、 『最近公共交通機関でぽこぽこ姿を確認されてる魔王がいるそうです。Suicaまで持ってるとのこと。もし見かけたら駆除しといてください』とのこと。 駆除とか言われても魔王は魔王、そもそも柊一人に任せていいようなものではないはずなのだが。殺られる前に殺れってことだろう。たぶん。 世界の守護者の横暴に頭を痛めるのは今に始まったことではないが、もう少しあの娘は使われる側の気持ちを考えてくれないだろうか、と思うのは悪いことではないだろう。 たぶん落下よりもなお心臓に悪い列車の旅を送りながら、彼はあいにくの曇天を見る。 今から行く先の状況の困難さを暗示するような空色を一瞥してすませると、彼は車内販売のお茶とパンを買って、一息つく。 その時、柊の0-Phoneにメールの受信を知らせる音が鳴った。 電車内はマナーモードにしておくのが基本なのだが、久しぶりの交通機関移動で切るのを忘れていたらしい。あわてて操作しマナー設定して、メールを開く。 差出人は隼人。 世界を超えてメールが届くのはちょっと嬉しい。 なんだろうな、とメールを開いて、添付ファイルを開いて―――知らず、口元に笑みが履かれた。 ファイルは二つ。両方とも画像ファイルだった。 一つは最終日のお祭りに行った後従業員全員で撮った写真。 テレーズに右腕を掴まれ、ミミズクに羽で打たれ、司の逆側で隼人にヘッドロックされ、マーヤに慈愛のまなざしで見られている柊。 椿とエミリアと狛江に三箇所からぎゅっと抱きしめられ、応理にそっぽ向かれて目をぐるぐる回しているノーチェ。 なつやすみの思い出、とタイトルをつけたくなるような写真。 そして、もうひとつは――― <エンディング・隼人の場合> 「隼人」 呼ばれて、ん?と彼は名前を呼んだ相棒―――椿の方を向く。 どこかの路地裏。あまり記憶力もなければ覚える努力もしない隼人にとってはここがどこかなんてことはどうでもいい。 それまで張り詰めた表情をしていた椿は、呆れたように表情を厳しくした。 「わかってるの?今は任務の待機中でしょ?」 「へいへい。わかってますよ」 相変わらずお堅い相棒にため息が出る。 「……ったく、ノーチェと会って少しは柔らかくなったかと思えば」 「なにか言った?」 「いや何も」 必死に首を横に振って否定する隼人に、椿はため息をついた。 とはいえ、任務中とはいえ待機中である。そこまで確かに意味もなくぴりぴりしていても仕方がないか、と思い直し、隼人にたずねた。 「それで、どこにメール送ってたの?隼人はそんなにメール送れる知り合いいた覚えがないけど」 「失礼なこと言うなよっ!? ……ちょっと前にヒカル支部長からメールが来て、その写真画像を送っただけだ」 実物は送れないからな、と彼はそれでもどこかうれしそうに言った。 あぁ、とその話を聞いた覚えのある椿は声を出した。 「あの事件の時、ヒカルさんが秋葉原全域を衛星カメラからジャームの位置を捕らえてくれてたんだっけ。 その時の偶然撮れたって例の写真?」 それに肯定の意を示す隼人。 偶然の産物であるそれは、しかし実によくに撮れている、と隼人は思う。 おかげで胸ポケットの定期入れに一枚プリントアウトした写真が増えたくらいには。 見せてよ、と言われて隼人は定期入れを取り出して広げる。 そこにいるのは、ぼろぼろの四人組。 血に汚れ、焼け焦げ、それでも満更でもない表情で、笑顔で、拳を打ち合わせている、四人の少年少女の姿が―――。 同時に鳴る隼人と椿の携帯。 いつものとおりに話を聞いて、いつもの通りに軽口を言って、いつもの通りに目で打ち合わせ。 そして彼らは戦場に赴く。 約束を守るために。あの、魔法使いが落ちてきた夏と、騒がしい「ゆにばーさる」の面々の思い出を胸に。 fin ← Prev Next →
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▼こちらのボタンをクリックすればランク別ページへ移動します html2 plugin Error このプラグインで利用できない命令または文字列が入っています。 風使い レラ 風使い レラ 風使い レラ ランク A レベル 1 10 最大Lv50 Aスキル サンダーヒール++ 進化素材 月光のドライアド? - コスト 17 HP - 482 - Sスキル 妖精の癒し 雷石のロシェ? - 属性 雷 攻撃力 - 430 - 進化費用 170000 サンダヌキ? - 進化元 - 売却価格 13950 ピカダケ・ルーキー? - データ編集 進化先 ???? 備考 - 出現クエスト・入手方法 クリスタルガチャ コメント コメント すべてのコメントを見る
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(こうせんのまほうつかい)【Laser Wizard】 魔法使いの一人。手や目からレーザー状の魔法を出す。 ※注意※作品内容に関するネタバレ記述あり 『戦え!魔法使い大会』に参加。(#31-B) ブフォ・森の魔法使いと共に“魔法使いの秘密結社”を結成し悪巧み中、企みを目撃されたアイスキングに襲い掛かった。(#51-B) 再びブフォ・森の魔法使いと共に暗躍。アブラカダニエルを生贄にする魔術的な企みを画策していた。(#65-B) タグ:キャラクター・敵キャラクター
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特性判定 書き込み直後1の位でコンマ判定 家系+素質が10以下の場合、特性判定5以上で特性付与 家系+素質が11以上の場合、特性判定7以上で特性付与 判定値 特性 能力 ? 【流動】 ??? 7 【転換】 『宝石魔術』を取得可能 『宝石魔術』を取得していれば発動判定を無効 6 【強化】 初回のみ補正:+1 7 【転移】 『魔眼』を取得可能 安価で魔眼選択 8 【万能】 自身に掛かる全ての補正:+1 8 【姉妹】 エーデルフェルト家が選択可能 【転換】と同等の能力を得る 8 【吸収】 『蟲使い』を習得可能 ? 【繁栄】 ??? ? 【停止】 ??? 9 【未来】 『未来視』を取得可能 0 【剣】 『投影』『無限の剣製』を取得可能 ? 【???】 『心象風景』を取得可能
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教師な使い魔 平民との決闘-原因は女絡みだった。 二股がばれたギーシュはモンモランシーに謝罪しに行った。 泣きながら怒るモンモランシーは何の謝罪も聞かずにどこかに行ってしまい、捜すのに一苦労した。 こんな危機は初体験ではない、今までだって乗り越えてきた。・・・が、今回はさらなる危機が訪れていた。 男がモンモランシ―の傍に居た。それも平民が。しかも・・・・・ 『口説いていた』ッ!!!! 男-シーザーにとって当然の行為だった。 一人寂しそうにしている女性を見れば相手をするもんだと思い、そのために吐く嘘は正しいと思っているほどだ。 そしてシーザーは、目を潤わすモンモランシーを慰めて(口説いて)いた。 何とか二人の間に入ったギーシュがモンモランシーに謝罪をするが、中々聞き入れてくれない。 「なによ、別にいいでしょ私のことはほっといてよ」ギーシュの弁解にモンモランシーはわざと突き放す態度をとり、シーザーの腕に抱きついて見せる。 「私にも浮気する権利が有るわよ。 あっ、アンタとは分かれたから浮気じゃないか」 「なななな、モンモランシー彼は平民だぞ。それも、ゼロのルイズの使い魔だぞ」 「『ゼロ』、か」シーザーはその言葉に一瞬冷たい態度をとる。 「あんたより、優しいし、ルックスも頼れる感じがして素敵じゃない。浮気する誰かさんとは大違いね」モンモランシーはそう言ってギーシュを冷たい目で睨む。 「ふふふ、そうか、分かったよモンモランシー」ギーシュは何かを吹っ切った陰のある目で二人を見た。 「えっ」モンモランシーはその言葉に焦りを見せる。 「決闘だ!! ゼロの使い魔君、僕と決闘したまえ!! そうすればどちらがモンモランシーに相応しいか分かる!!」 シーザーは怒っていた。 自分の主人-ルイズの性格は大体察していた。 彼は彼女の悲しい性質を見抜いた。 魔法が使えないコンプレックスから、他人と厚い壁を作り、虚栄を見せる。 せめてと貴族としての義務を全て背負い、愚直なまでに貴族らしく有る。 擦り切れていくのは、彼女の道だ。その道が擦り切られ続ければ、いずれ他の道との接点が無くなり、抜け出せない孤独に囚われるだろう・・・。 そのルイズをさらに傷つける言葉-「『ゼロ』のルイズ」 それを軽々しく使う奴をぶちのめす事で、その後ルイズにどんな影響を与えるかシーザーは知っていた。 主人の味方であることを示すため、「主人を侮辱した」という名目で決闘を受けた。 そして決闘。 噂を聞きつけてやってきた血気盛んな学生達はギーシュの圧勝だと思っていた。 だが男は不思議な呼吸音を響かせながら、ワルキューレを一体潰し、武器-剣を奪いその後錬成した七対のワルキューレを圧勝してみせた。 ―ゼロのルイズは面白い奴を召喚したな…。 ギーシュは突きつけられた剣をじっと見る。自分の中で「足りなかった感覚」が戻ってくる。 (ギリギリの! 死と隣り合わせの! こんな状況がぁぁ!! 僕を強くする!!) 「感謝するぞ平民!! こんな状況を待っていたんだ僕は!! さぁここからが本番だァァ!!」 狂ったか? まぁこんな状況だ。平民に剣を突きつけられ敗北しそうなわけだ、貴族として死にたくなる状況だな。と周りが好き勝手思っている頃。 (カエルを車に轢かせるのを楽しむ糞ガキかと思っていたが・・・。 こいつの目、『生き返り』やがった!! こいつにはここから逆転する『強さ』が有る・・・)今シーザーは止めを刺せない。いや刺してはいけない。ここからだ、ここから決闘は始まるんだ。 二人はそれを知っていた。 ギーシュは突きつけられた剣を、「握り締める」。 その手からは「血が流れない」 コオォォォォォ シーザーと似た呼吸音を発しながらニヤリと笑うギーシュ。 「どうした、君のチャンスだぞ?」 「マンマミヤ~。 仕切りなおしだ、ミスタ・ギーシュ。 ・・・まさか君が『波紋』を使えるとは、師匠の名前を教えてくれないかい?」 「『リサリサ』、僕の尊敬する師匠の名だ! 心に刻みたまえ」 「なっ、なんだとッ!?」 ギーシュは昔従者と散歩してた時に賊に襲われた事が有る。 歳が十に届くかどうかってぐらいのガキだった。 乗馬の練習の成果を確かめたくての散歩だった。近くの湖に向かって調子よく馬を操っていた。 その時茂みの中から矢を射られる。賊がギーシュ達を包囲する。 そんな時のために従者がいた、従者はギーシュの馬の手綱を奪い、馬を二頭操りながら駆けた。 もと来た道を振り返り、屋敷に向かった。逃げ道はそこしかない。 賊も行動を起こす、飛び掛った者もいたが従者の魔法でやられてしまった。 しかし彼等は数で攻めれば、メイジ一人には勝てると知っていた。 手を休めず、矢を射る。 矢はギーシュの馬に当たった。 ギーシュは馬から投げ出された、地面を転げ、顔に擦り傷を作り、見た。 一人逃げ続ける従者を。 従者も知っていた、メイジとはいえ自分一人で賊には勝てないと。 「待って! 待って! 待ってよぉ!!」頭もぶつけたので、視界が少しぼやけている、それが逆に想像を掻き立てた。 従者が養豚場の豚を見るような目でこっちを見たと思った。 -可哀想だけど、貴族の息子に生まれるってのにはリスクもあるってこと。政敵に命を狙われんのね。 って目だ。 ギーシュは一瞬、「戻ってきて助けてくれるのでは?」と思っていた。しかし希望は粉微塵になった。 振り返り賊を見る、自分がどんなめに遭うかは全く解らない。ただ夢の世界の終わりを知った。 行き過ぎたパニックを敵に見せるのを嫌い、それを押さえる。 そうすると不思議な冷静さが現れた。 -自分は想像の付かない、酷い目に会うんだろう? うん、解った・・・。生き延びるには、戦うしかない!! 一人になり、一切の庇護の無い状態になり、 少し闘志が沸いてきた。 「グラモン家三男、ギーシュ・ド・グラモン。 反逆者の相手をしようではないか!!」 この言葉は誰にも聞こえないような小さなものだった。さすがに啖呵を切るほどの度胸も経験も無い。 しかし戦う意思は動き出す。 震える手でバラを取った、彼自慢の護身用の簡単に携帯できるサイズの杖だ。 攻撃魔法なんてまだ知らない、格好付けるために持ってるだけだ。 しかし一つだけ魔法が使える。 サモン・サーヴァント 使い魔召喚 この魔法の話を聞き、是非自分にぴったりの使い魔を召喚したく新しい呪文を子供心で考えていた。まさかほんとに使う日が来るとは・・・。 杖を上げ、敵を睨み、微塵になった希望の先にある、闘志に火をつける。 「尊厳の中佇む、美しき覇者!! 月に照らされる悪魔を駆逐する、追放者!! 永遠を生きる愚者を刈り取る、狩人!! 僕が君を望む!!」 「サモン・サーヴァント」の魔法が形になっていく。 ギーシュの望みを何かがプッシュした。魔法は成功した!! 光が現れる。見慣れない魔法に賊は思わず動きを止め、身を潜める。 光は形を作り出す、使い魔が現れる。 できれば移動能力が高い奴に来て欲しい・・・。 現れたのは・・・一人の女性。 腰に届く長い髪、目を見張るナイスバディの美しい女性。 「ここは?」 女性は辺りをゆっくり見渡す。動きに色っぽさが有るが、その動きは戦闘者のそれだった。全く無駄の無い、どんな奇襲にも対応できる動き。 しかし敵は複数人いる。一人の武術家の登場で、状況は好転するだろうか? 「すいません。私が貴方を召喚しました」 「召喚? 聞きたい事は山ほど有るけど・・、それどころじゃないわね」辺りに充満する殺気を目でなでる。 「ええ、賊に襲われています。しかし貴女は無関係だ・・・」その先に言うことは「貴女は逃げて下さい」だ。 唯一の魔法は最悪の失敗。無関係の人間を危険に巻き込んでしまった。 貴族としてのグラモン家の人間としての最後の義務、最後の一言・・・、しかしそれを言う前に女性は言った。 「逃げる? それは勝てない戦いのときと、犯罪者のすることよ。 勝てないのも、犯罪者もあっちよ」 女性には息子がいた。息子が知り合いの石油王と一緒に誘拐されかけた事がある。 彼女にとって、この事件は他人事では無い。 ギーシュはこの奇妙な格好をした女性がおこしたその時の活躍を生涯忘れない。、そして自分の目標にした。 女性は奇妙な呼吸音を響かせながら歩き出した。 向かってくる敵を叩き伏せ、止めの一撃の時に一瞬光を発する。あれが彼女の能力なのだろう・・・。 辺りには意識を失った賊が散乱している。 ギーシュは劇を見終えたように錯覚した。女神が風のように敵をなぎ倒し、無力な少年を助けてくれる劇だ。 そして勝利した女神は舞台挨拶のため観客の前に再び現れる。 「終わったわ、行きましょう」女性は賊の馬を二頭を引き連れている。 ギーシュは近づき感謝の言葉を捧げる。何とかありきたりなお礼を言うことができた。 「貴方を何とお呼びすれば良いですか?」 「リサリサ、と呼んで頂戴」 ギーシュはリサリサをまばゆい太陽の女神だと思った。 屋敷までの道中に、「異世界」から来たことや、「使い魔」の話をした。 今後のことを相談し、暫らく屋敷で雇いリサリサが帰るための手段を捜すことにした。 ギーシュは何かを思い、リサリサと契約はしなかった。 (今思えばテレていたのだろう・・・。) 先に逃げた従者は屋敷から追い出された。 罪に問うこともできたが、あえてそれはしなかった。 無力さが原因だと知っているギーシュは、彼を罪に問うことに反対した。 自分の無力さから目を逸らすためか、彼に同情したのかは分からない。多分両方だろう。 リサリサを屋敷に新しい召使として雇い入れ、二年間共に過ごした。 その二年でギーシュは変わった。 リサリサに戦い方を何度も教えるよう頼んだ。そのたんびに断られたが、リサリサが一人で訓練してる様子を盗み見しながら、技術を亜流だが体得しようとした。 どうしても「波紋」の力が欲しかった。 メイジとしての訓練もしたが、何よりもリサリサに近づきたかった。 彼女の気高い姿に近づきたかった。 暫らくそんな事を続けていると、訓練中にリサリサから声をかけられた。 なんでも「波紋」の力は「生命のエネルギー」を扱うものだから、間違った方法で身に付けると自分の体に重大な欠陥ができてしまうそうだ。 そこで二つのことを提案した。 「波紋」の修行を止める道。 「波紋」の修行を本格的に始める道。 後者の辛さも説明されたが、ギーシュに迷いは無かった。 ギーシュはリサリサから波紋の修行受けることが出来るようになった。 リサリサは一度教えるとなったら、本質の全てを体得させようと厳しい訓練を課した。 いずれ帰る方法を見つけてすぐ帰るのだ。その時にギーシュの修行が半端になってしまってはいけない。とくに心構えについては、スパルタで仕上げられた。 リサリサが帰る手段を探しに旅に出るとき、ギーシュは家に残るように言われた。しかし何時もこっそり付いて行っては合流していた。 両親もリサリサが良い師匠だと解っていたのでそこは黙認していた。 リサリサとの旅は身を焦がす充実感があった。 オークの群れに囲まれたこともあった。 竜の巣に入らないといけないこともあった。 とても満たされていた。 そして・・・。 リサリサが帰る瞬間はあっという間に来てしまった。 ある村に残された書物に可能性が書いてあった・・・。 ある場所で扉が現れるらしい。 とにかくそこに行ってみる・・・。 偶然・・いや運命が、その日は扉が開かれる条件を満たしている日だった。 そしてそこに辿り着いた。 扉は開かれていた。そこは目に見えないが風の流れ方が違った・・・。 その前に佇むリサリサ。 別れの時が来た・・・! ギーシュは、リサリサに行って欲しくなかった。 しかし貴族のプライド、男の意地がそれを止める。 -今ここで引き止めたら、マンモーニじゃないかッ!! 「ギーシュ、立派になったわね・・・」 ギーシュはその声に体を強張らせる。終わりを悟った。 「前にも言ったけど、私は前の世界にやり残したことがあるの。柱の男達の復活は近づいている、帰ったらもうすでに復活しているかもしれない・・・」 -行って欲しくない。 「人には運命が有るわ、私には私の運命、やるべき事が。 彼方には、彼方の運命が何時か来るわ。 それに立ち向えるだけの力を彼方は持っている。 彼方が学んだことの全てが輝く日が来るわ」 -行かないで。 「さようなら、ギーシュ。 どんなに離れても愛してるわよ・・・」 リサリサも二年間を共に過ごした弟子に愛情を持っていた。 -行かないで。 逃げる奴には簡単に使える言葉なのに、何でいえないんだ? リサリサはすでに背を見せている。 始めてリサリサを見た時から変わらない、ずっと見続けてきた、ギ-シュの追ってきた姿。 -ああ、これが戦士の出陣だからだ。 止 め れ る 訳 が 無 い !! 「先生!! 有難う御座いました!! ギーシュ・ド・グラモンはリサリサ先生から焼き付けられた、 『勇気』を生涯忘れません!!」 リサリサは振り返らない。満足そうに足を進めた。 ・・・それからリサリサに会った事は一度も無い。生涯の別れになっただろう。 たまに悲しくなるけど、それでもいい。 リサリサとの出会いはギーシュの心を熱くした。 もう無力感が立ち塞がったりしない。 熱い情熱がこの身を動かす。 -また旅に出よう!! 「えっ駄目ってどゆこと?」 旅に出ようとしたら、両親に止められた。 リサリサがいたから、旅を黙認していたのだ。一人旅なんて、子供が大事な親なら反対して当然だった。 それにメイジとしての勉強も滞っている。 結局理由をつけて旅は却下された。 ギーシュも親に逆らうわけには行かないと思い、言いつけを守った。 自分の情熱に苦しめられる二年を送った。 その後トリスティン魔法学校に入学して、平民と決闘するまで、彼の魂はくすぶり続けていた。 シーザーとギーシュの決闘。 勝敗は付いていた。 ギーシュが殴りかかってから攻防が続いたが、ギーシュが圧倒されていた。 レビテーション、落とし穴、ワルキューレ、波紋、全て使って応戦したがシーザーの波紋を練った肉体に止めとなる攻撃には到らなかった。 波紋の訓練は続けていたが、シーザーの命がけの訓練とは質も量も違いすぎた。 それでも戦っていた、戦っていたかった。 「なかなかやるな、だがもう止めたらどうだ? その右腕もう動かないんだろ? 誰も君を責めたりしないさ、大健闘じゃないか・・・」シーザーが言う。 「君が僕と同じ状況で、自分から降参するかい? 腕をもがれようが、足を吹き飛ばされようが、後もうちょっとで勝てる相手に勝利を譲るなんてさ!!」 吼えるギーシュ。垂れた血がズボンを染めている。顔も血の線が入り、いい感じに男前になっている。 そして力の入らない利き腕を上げ、ひびの入った足を庇うのを止める。 「波紋」の呼吸も乱れているので、全身の痛みがよく解ってしまう。 最後の攻撃 残った波紋を込めてギーシュが攻める。 間合いを一気につめ、蹴りを放つ。 ギーシュの捨て身の攻撃を警戒してシーザーは素直にブロックする。 しかしその蹴りは目の前を通過していく。この一撃はフェイント。 蹴りの加速を利用し、口に咥えたバラを飛ばす。メイジの命とも言える、杖を捨てる攻撃。 「ヌヌウッ・・・!」シーザーの喉にバラが刺さる、ブロックの隙間を縫って。 「ふふ、波紋入りの薔薇のトゲは痛かろう」 喉をやられ呼吸を乱したシーザーの体は一瞬波紋のガードが解ける。 ギーシュはさらに体を回転させ、蹴りを放つ。 -この隙に一撃を入れねば勝機は無い!! 一撃は・・・入った!! シーザーは蹴りで飛ばされる。波紋のガード無しでくらってしまった。 -マンマミヤッ! とんでもない奴じゃないか!! 力の差を感じながらも、果敢に向かってくる。間違いなく好敵手!! シーザーが急ぎ喉からバラを取り出す。 か細い波紋の呼吸で喉の治療を開始する。全体の波紋は弱くなってしまった。 目の前にギーシュは佇んでいる。来る!! 「・・・」ギーシュはシーザーを見下ろし続ける。 「ギーシュ・・・!?」 「・・・」 「こ・・・こいつ。 ・・・気絶している・・・!」 さっきの攻撃で全ての波紋を使い切った。ギーシュは体を動かすエネルギーを出し切っていた・・・。 久しぶりの戦いだった。 惨敗だったが気分が良い。勝ってたらもっと良かったんだろうが、負けて良かったんだろうとギーシュは思う。 決闘の数日後、二人は親友になっていた。 二人は波紋の訓練を共に積み。よく一緒に行動した。 話したいことも、聞きたいことも山ほどあった。 (ちなみにギーシュの方が兄弟子になる。シーザーはリサリサが四年前に帰った後の弟子。) ただそれを快く思わない人も・・・。 「このバカ犬ーー!!」 「最低よギーシュ!!」 ルイズとモンモランシーである。 シーザーとギーシュこんなたらしな組み合わせが有るだろうか? 今回も見に覚えが有りすぎるどれかを目撃されたのだろう。二人の名誉のために言っておくが、二人は決してとっかえひっかえ遊んでいるわけではない。 シーザーはさびしそうな女性に話しかけ、元気付けてるだけだし(ちゃんと美味しいめにあってる。) ギーシュも女性を傷付けるのは酷い事と知っている。(女性にバラを振り撒いているだけだ) ・・・だめだ・・二人の名誉を守んのは無理だ。 その日、二人が保健室に一泊した。 一人は全身火傷と擦り傷を作っている。 もう一人は何かの薬品のせいか時折痙攣を起こしている。 そして二人とも何故か首輪を付けられていた・・・。 ルイズ 決闘の活躍で少しシーザーの評価を改める。がすぐにその本性がスケコマシで有ることに気づき、この奇妙な使い魔の女癖の悪さを直すために調教の日々を送っている。 シーザー 主人の名誉のために戦い少し良好な関係を築くが、すぐに台無しになる。 ギーシュとは友人として付合い、共に波紋の修行をしている。 ルイズのことは妹のように思い、大切にしている。 (ちなみに決闘では、殺傷力の高い波紋カッターなどは使わなかった。このことをギーシュに言うと、波紋で必殺技が作れることに驚き、自分の必殺技を考えるようになった) ギーシュ シーザーとの決闘に敗れる。その後友人になる。リサリサが無事に帰った話を聞き安心する。 当面の目標はシーザーに勝つこと。情熱の行き場を見つける。 たまにモンモランシーに怒られるが。なんとか上手いことやっている。 モンモランシー 決闘のギーシュを見て、結局よりを戻した。 ギーシュの女癖の悪さに苛立ち、惚れ薬の調合を始める。
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(しんしのまほうつかい)※作中では言及されていません【Gentleman Wizard】 『戦え!魔法使い大会』に出場しようとした男性の魔法使いの一人。 ※注意※作品内容に関するネタバレ記述あり 「プリンセス・バブルガムのキス」という大会優勝者の褒賞の内容を聞いて離脱しようとした。魔法使いの長老の怒りを買い、魔法でネコ化させられた。(#31-B) タグ:キャラクター・敵キャラクター
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龍の使い アイドレスWiKiの該当ページ 名称:・龍の使い(職業) 要点:・龍の描かれた服・顔の隠れる帽子(傘) 周辺環境:・宮廷 評価:・体格(評価4)・筋力(評価4)・耐久力(評価2)・外見(評価2)・敏捷(評価4)・器用(評価0)・感覚(評価0)・知識(評価0)・幸運(評価0) 特殊: *龍の使いの職業カテゴリは派生職業アイドレスとして扱う。 *龍の使いは白兵戦行為ができ、この時、選択によって白兵戦の攻撃判定は評価+2出来る。補正を選択した時は燃料1万tを必ず消費する。 備考: →次のアイドレス:カール=ドラケン(ACE)、ターニ=キルドラゴン(職業)、ドラゴンロード(職業)、龍爆拳(絶技)、レクス(イベント)、ウォータードラゴン(I=D)の獲得(イベント) コメント ターニの職業も気になるけど、ドラゴンロードも気になる。龍爆拳もいいなぁ 能力としてはもう、白兵戦特化型だよねぇ、この辺りの職業は……。 派生前 拳法家→剣士または月光ほろほろ→月華陽子 ドラゴンシンパシー→ユウタ(AD枠)
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契約! クールでタフな使い魔! その① 「あんた誰?」 日本とは思えないほど澄んだ青空の下、 染めたものとは思えない鮮やかなピンクの髪の少女が彼を覗き込んでいた。 黒いマントをまとい手には杖。まるで魔法使いのような格好だ。 いぶかしげに自分を見つめるその表情に敵意の色はない。 だから、とりあえず周囲を見回した。 ピンクの髪の女と同じ服装をした若者達が囲むように立っていた。 共通する事は全員日本人ではない事。欧米人が多いようだ。 するとここは…………ヨーロッパのどこかだろうか? なぜ、自分はこんな所にいる。 そう疑問に思ってから、ようやく自分が草原の中に仰向けに倒れていると気づいた。 ヨーロッパを舞台にした映画に出てくるようなお城まで遠くに建っている。 「…………」 事態がいまいち飲み込めず、しかし警戒心を強めながら彼はゆっくりと起き上がった。 少女は、男が自分よりうんと背が高く肩幅も広い事でわずかにたじろぐ。 「……ちょ、ちょっと! あんたは誰かって訊いてるのよ! 名乗りなさい!」 「やれやれ……人に名前を訊ねる時は、まず自分から名乗るもんだぜ」 「へ、平民の分際で……ななな、何て口の利き方!?」 少女が顔を赤くして怒り出すのとほぼ同時に、周囲に群がっている連中は笑い出した。 「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」 誰かが言う。笑いがいっそう沸き立ち、少女は鈴のようによく通る声で怒鳴った。 「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」 どうやら、この少女の名前はルイズというらしい。 ルイズ……名前から察するにフランス人だろうか。という事はここはフランス? となると、この訳の解らない状況にも説明がつくような気がしてきた。 あのトラブルメーカーの友人が関係しているかもしれない。それはさすがに被害妄想か。 (しかし……スタンド攻撃にしては妙だ。 俺をここに瞬間移動させたのはこのルイズという女らしい……。 だが周りにいる奴等の言動を見ると、どうにもスッキリしねぇ) とりあえず彼は、一番近くにいるルイズを見下ろして訊ねた。 「おい、ここはどこだ。フランスか?」 「フランス? どこの田舎よ。それに使い魔の分際で何よその態度は」 「使い魔……?」 先程聞いた『サモン・サーヴァント』という単語を思い出す。 そして、見渡してみれば黒いマントの少年少女達の近くには、様々な動物の姿があった。 モグラであったり、カエルであったり、巨大なトカゲであったり、青いドラゴンであったり。 「………………」 ドラゴン? 集団から少し離れた所で、髪が青く一際年齢の低そうな少女がドラゴンの身体を背もたれに読書をしている。 ファンタジーやメルヘンでなければありえない光景だ。 もし、これが夢や幻でないとしたら、つまり……現実に存在するファンタジーといったところか? 約五十日ほどの旅でつちかった奇妙な冒険のおかげで、非現実的な事に対する耐性ができたというか、 そういうものを柔軟に受け入れ理解し対処する能力を磨いた彼は、 持ち前の冷静さと優れた判断力のおかげもあって取り乱すような事はなかった。 周囲をキョロキョロ見回している平民の姿に腹を立てたルイズはというと、 教師のコルベールに召喚のやり直しを要求していた。しかしあえなく却下される。 「どうしてですか!」 「二年生に進級する際、君達は『使い魔』を召喚する。 それによって現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、専門課程へ進むんだ。 一度呼び出した『使い魔』は変更する事はできない。 何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ」 「でも! 平民を使い魔にするなんて聞いた事がありません!」 ルイズとコルベールの会話をしっかり聞いていた彼は、ある仮説を立てる。 つまり自分はルイズの能力によって、元いた場所からここに『召喚』された。 そしてそれは周囲にいる全員が行っているようであり、スタンド能力ではなさそうだという事。 さらにここはドラゴンがいる事からヨーロッパどころではなく、 ファンタジーやメルヘンの世界だという……突飛で奇抜で冗談のような話。 『召喚』されるのは本来――動物やあのドラゴンのような神話の生物等であり、人間ではない。 しかし彼女ルイズは人間を『召喚』してしまった。 『召喚』された生物は、『召喚』した人間の『使い魔』であるらしい。 『使い魔』という単語からだいたいどのようなものかは想像できる。 (俺が……この女の使い魔だと? やれやれ、冗談きついぜ) とにかく、彼にとって今必要なのは現状把握をするための情報だ。 話をするのに一番適しているのは……少年少女達を指導しているらしいハゲ頭の中年。 さっそく彼に声をかけようとしたところで、彼と話をしていたルイズがこちらを向いた。 ルイズは自分が召喚した平民を見た。 身長は190サントはあろうか、黒いコートに黒い帽子をかぶっている。 顔は……なかなか男前だが、それ以上にとてつもない威圧感があって、怖い。 でも、自分が召喚したんだから。自分の使い魔なんだから。 だから、しなくちゃ。 「ね、ねえ。あんた、名前は?」 恐る恐るもう一度訊ねてみる。まただんまりかと思った矢先、男は帽子のつばに指を当てて答える。 「承太郎。空条承太郎だ」 「ジョー……クージョージョータロー? 変な名前ね」 本当に変な名前だった。聞いた事のない発音をする名前だ。 ルイズは彼の奇妙な名前を頭の中で暗唱しながら、彼に歩み寄り、眼前に立つ。 そして彼の顔を見上げて、届かないと思った。承太郎は鋭い双眸で自分を見下ろしている。 やる、やってやる。こうなったらもうヤケだ。 ルイズは、ピョンとジャンプして承太郎の両肩に手をかけて自分の身体を引っ張り上げ――。 CHU! 一瞬だけ、ついばむようなキス。 さっきから鉄面皮を崩さない承太郎もこの行動には驚いたようで、目を丸くしている。 ストン、とルイズは着地した。ほんの一秒かそこらの出来事。 心臓がバクバクする。だだだだって、今のはファーストキスだったから。 頬が熱くなる。周囲の視線が気になる。 承太郎はどんな顔をしてるんだろうと思って、見上げて、ヒッと息を呑んだ。 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ なんだろう、これ。承太郎はただ立っているだけなのに、地響きが起きているような錯覚。 あまりのプレッシャーに、ルイズは思わず一歩後ずさり。 その瞬間、承太郎が叫んだ。 「いきなり何しやがる、このアマッ!」 「キャッ!」 重低音の怒鳴り声のあまりの迫力にルイズは尻餅をついた。 続いて、承太郎も膝をつく。左手の甲を右手で覆い隠しながら。 「グッ……ウゥ!? こ、これは……」 使い魔のルーン。 承太郎の左手に刻まれたものの正体を、ルイズは恐る恐る教えた。 こうして――ルイズは奇妙な服装をした奇妙な平民を己の使い魔としたのだった。 今日召喚された使い魔の中で一番クールでタフな使い魔がこの承太郎だとも知らずに。 目次 続く