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登録日:2012/05/22 Tue 01 01 18 更新日:2023/10/29 Sun 12 09 11NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 DM ぶっちゃけ サイキック サイキック・スーパー・クリーチャー デュエル・マスターズ ハンター ビースト・コマンド 不遇サイキック・スーパー・クリーチャー3銃士 紅蓮ゾルゲ 覚醒リンク 超次元 バンカラ大親分 メンチ斬ルゾウ ≡V≡ 火/自然文明 (24) サイキック・スーパー・クリーチャー:ビースト・コマンド/ハンター 17000 このクリーチャーが覚醒リンクした時、好きな数のハンター・クリーチャーを、自分の超次元ゾーンまたはマナゾーンからバトルゾーンに出す。 T・ブレイカー ※覚醒リンク前⇒《紅蓮の怒 鬼流院 刃》(上)《カチコミの哲》(中)《魂の大番長「四つ牙」》(下) 概要 DMX-06「大乱闘!ヒーローズ・ビクトリー・パック 燃えるド根性大作戦」に収録されたサイキック・スーパー・クリーチャー。 覚醒リンクに成功すると、なんと超次元ゾーンとマナゾーンのハンター・クリーチャーを好きな数バトルゾーンに出すという、とてつもなく豪快な能力を有している。 1回きりだが、その爆発力はかの超覚醒ラスト・ストームに匹敵、もしくは凌ぐほどのものがあり、ハンターデッキでは切札となってくれること間違いなしである。 背景ストーリー重要人物「ハンター5戦士」関連のサイキック・スーパー・クリーチャーとして申し分のない能力を持つ強力なクリーチャーである。 …そう、決して弱くは無く、むしろ強いカードである。なのだがこのクリーチャー、覚醒リンクが狙われない不遇のサイキック・スーパー・クリーチャーなのである。 対となる《弩級合身!ジェット・カスケード・アタック》や《雷獣ヴォルグ・ティーガー》と並んで、「不遇サイキック・スーパー・クリーチャー3銃士」と呼ばれることも。 と言うのもこのクリーチャー、《雷獣ヴォルグ・ティーガー》同様、覚醒前のリンクパーツがすさまじく優秀なのである。 ではその問題のリンクパーツを見てみよう。 サイキック・セル 紅蓮の怒 鬼流院 刃 ≡V≡ 火/自然文明 (7) サイキック・クリーチャー:ビースト・コマンド/ハンター 7000 自分の自然または火のハンターがバトルに勝った時、それよりコストが小さいハンターを1体、自分の超次元ゾーンまたはマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。 W・ブレイカー ハンター5戦士《若頭 鬼流院 刃》のサイキック・クリーチャーの姿。「鬼流院 刃」一族の特徴、「クリーチャーの踏み倒し」能力を備えている。 火と自然のハンター・クリーチャーがバトルに勝つと、そのクリーチャーのコストより小さいハンター・クリーチャーを超次元ゾーンかマナゾーンから出すことができ、展開力が高い。 《反撃の城 ギャラクシー・ファルコン》等スピードアタッカーを付加させるカードがあれば、呼び出したカードがそのままバトルに勝ち、また呼び出すと言った芸当が可能。 呼び出す先が超次元ゾーンとマナゾーンの2か所のため、外れることが少ないのも大きな利点である。 このクリーチャーと《偽りの名 ゾルゲ》を利用した極悪コンボが、かの有名な紅蓮ゾルゲである。つまりこのクリーチャー、単独でトップメタということ。 カチコミの哲 UC 自然文明 (3) サイキック・クリーチャー:ビーストフォーク/ハンター 2000+ 覚醒リンク-自分のターンのはじめに、バトルゾーンに自分の《紅蓮の怒 鬼流院 刃》と《魂の大番長「四つ牙」》があれば、そのクリーチャーとこのクリーチャーを裏返しリンクさせる。 ハンティング(バトル中、このクリーチャーのパワーは、バトルゾーンにある自分のハンター1体につき+1000される) 《ドラゴニック・ピッピー》と同様、バニラでハンティングを有するサイキック・セル。 まあただのバニラだが、一応進化先が優秀な種族であるビーストフォークのため、覚醒リンク以外でも使えないこともない…かな? 魂の大番長「四つ牙」 R 自然文明 (6) サイキック・クリーチャー:ビーストフォーク/ハンター 6000 自分のターンのはじめに、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置いてもよい。 W・ブレイカー 《スーパー大番長「四つ牙」》がサイキック・クリーチャーと化した姿。 ターンの初めに任意でマナゾーンにカードを1枚置くという、《紅蓮の怒 鬼流院 刃》と比べても遜色のない、超強力な能力を有している。 毎ターン、マナブースト状態と言うのは単純に強力。このクリーチャーがいるだけでデッキの回り具合が格段に違う。 このクリーチャーのマナチャージはターンの開始時なので、多色カードがマナゾーンに置かれた時、そのままアンタップして即座に使用することができる。 また、自動的に1ターンに1枚マナチャージしていることになるので、ドローした手札を温存し、疑似的なドロー能力のようにも使用できる。 さらにこのクリーチャー、コスト6のため《次元流の豪力》で呼び出せる範囲であり、もっといえば「ギフトミランダ」の効果圏内である。 そのためうまく回れば3手(ターンにして6)で登場することができ、4手目からは6マナを使用することができる。 おまけに「W・ブレイカー」持ち。打点も申し分なく、総じて強力なクリーチャーであり、自然を使う超次元ゾーンにはほぼ入る。 この通り《カチコミの哲》はまあ置いておくとしてこのクリーチャーのサイキック・セルはすさまじく優秀であり、単独で普通に強い。 そのため、無理して覚醒リンクを狙わずとも強いデッキが出来てしまうのだ。 また、専用の超次元呪文がいないのも辛い。このクリーチャーのリンクパーツを揃える為には、普通に呼び出すと3回超次元呪文を使う必要がある。 これはかの《唯我独尊ガイアール・オレドラゴン》や《絶対絶命 ガロウズ・ゴクドラゴン》と並ぶ使用回数である。 一応《紅蓮の怒 鬼流院 刃》の効果をうまく使えば揃える手間は少なくなるが、若干安定しない。 さらにこのクリーチャー、他のサイキック・スーパー・クリーチャーと比べて致命的な欠点がある。 それはなんと、 リンク解除を有していない のである。 そのため苦労して覚醒リンクに成功しても、確定除去1発で3体仲よく超次元ゾーンへ直行してしまうのだ。 まああれば《カチコミの哲》の評価も変わっていただろう。(身代り的な意味で) とはいえこのクリーチャーの能力は「出た時効果」なので、覚醒リンクに成功すればほぼ仕事は終えたも同然である。 少々発動が不安定なハンター・クリーチャーを大量召喚するバニラに、パワー17000とT・ブレイカーがついたと考えれば十分覚醒リンクの価値があると言える。 良くも悪くも活かすのはプレイヤーの構築次第ということであろう。能力は超強力なクリーチャーなので、ぜひとも活躍させてほしい。 相性の良いカード 唯我独尊ガイアール・オレドラゴン 言わずと知れたシールドブレイク専門のサイキック・スーパー・クリーチャー。大親分の効果でパーツをすべて揃えられるだけではなく、能力の「V覚醒リンク」により、即座にリンクして登場する。 大親分とオレドラゴンの2体が並べば、もう勝負は決したと言ってよいであろう。空き枠でオレドラゴンのリンクパーツを出しておけば、除去されてもすぐさま復活できる。 永遠のリュウセイ・カイザー こちらも誰もが知っているインフレドラゴン。ハンター・クリーチャーであるので大親分の効果で呼び出せ、自軍のスピードアタッカー付加により、大量展開したクリーチャーでの一斉攻撃が可能となる。 アニメ、漫画において 主人公・勝太の友達ぶっちゃけこと武家茶太郎が切り札として使用。 44話のヨーデル戦で披露し、効果で《不死身のブースト・グレンオー》、《剛腕の政》、《ゼロ・カイザー》、《ガチンコ・ピッピー》を召喚した。 背景ストーリー ハンター5戦士の自然文明代表《若頭 鬼流院 刃》が、自身の子分とともに覚醒リンクした姿。 ハンター軍の主力として活躍する。 デュエル・マスターズ プレイスでは バンカラ大親分 メンチ斬ルゾウ PS 火/自然文明 (24) サイキック・スーパー・クリーチャー:ビースト・コマンド/ハンター 17000 T・ブレイカー 覚醒リンクした時、自分の超次元ゾーンまたはマナゾーンから好きな数のハンターをバトルゾーンに出す。 T・ブレイカー (覚醒リンク前:《紅蓮の怒 鬼流院 刃》、《魂の大番長「四つ牙」》、《カチコミの哲》) 覚醒リンク前⇒《紅蓮の怒 鬼流院 刃》(上)《カチコミの哲》(中)《魂の大番長「四つ牙」》(下) スーパーデッキであるDMPS-08 「燃えよ紅蓮のガイアール」に収録された《激流アパッチ・リザード》の特典カードとして収録。 特に能力に変更はないが、カチコミの哲がP'S覚醒リンクを獲得したことで着地しやすくなった。 環境ではマナブーストから《超次元リュウセイ・ホール》《予言者ヨーデル・ワイス》等を駆使してパーツを揃え、P'S覚醒リンクから斬ルゾウを着地させ《唯我独尊ガイアール・オレドラゴン》でとどめを刺す【メンチ斬ルゾウ】が活躍した。 ぶっちゃけ、これでどうだ! ものすごい追記・修正がきたんだな!! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] たぶんデュエプレ実装までみんなの記憶から消えかけていた奴。 -- 名無しさん (2023-04-21 12 48 31) 名前 コメント
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番長グループSS ●みんなでレイド戦に参加しよう! ●みんなでレイド戦に参加しよう!2 ●みんなでチケット争奪戦に参加しよう! 影平くんの日常① 影平くんの日常② 『一三五は疑わる』 ●みんなでレイド戦に参加しよう! ザ・メガネ「よし、じゃあ今日もレイド戦やるか」 コンタクトレンズ「とにかく殴る」 「こんだけ人いてプリースト一人もいないとかww」 ザ・メガネ「ぐわーやられた」 「弱点は火属性です」 「放置するならコマリピはマナーでしょう…」 「きた!プリーストきた!」 「グループヒーリスト!グループヒーリスト!!」 「グループヒーリストがウチの生命線!!」 「あれ、いつの間にか俺のキャラ死んでる」 「誰か天使の聖杯持ってないの!?」 コンタクトレンズ「とにかく殴る」 「やばい火力足りない時間ない」 「回復ありがとうございます^^」 ザ・メガネ「今回も俺のおかげで勝てましたね!」 元ネタがわからんw 元ネタ分からんからなあ……w メガネうぜえwwww ●みんなでレイド戦に参加しよう!2 ザ・メガネ「お、感謝のオーブ手に入った」 コンタクトレンズ「とにかく殴る」 ザ・メガネ「よし、じゃあポルシャル召喚しよう。みんなで幼女と戯れよう」 コンタクトレンズ「とにかく殴る」 「解放しました^^」 「お邪魔しますー」 「人多い!」 「いいの出るかな?」 「貢献度6万ってすげーな!」 コンタクトレンズ「とにかく殴る」 「一斉攻撃だ!」 「何が出るかなー」 一方、ザ・メガネは2ターン目で状態異常喰らって寝てた。 ザ・メガネ「今回も俺のおかげで勝てましたね!!」 同上 ●みんなでチケット争奪戦に参加しよう! 番長「いいか番長Gのボンクラ共、よく聞け!」 番長「今回の貴様らの仕事は、なんとしても一 九十のコンサートのチケットを手に入れることだ!!」 番長「手段は選ばん、行って来い!!」 モブ「ねんがんのチケットをてにいれたぞ」 影平「ころしてでもうばいとる!」 鉄野「ころしてでもうばいとる!」 六角陣「ころしてでもうばいとる!」 モブ「な、なんだ貴様らグワー」 「峰内!峰内!!アタッカー来た!アタッカー来た!!」 「防いで!アタッカー防いで!!」 「峰内がウチの生命線!!」 「チケット!チケット手に入れて!!」 「家康!家康!!投げて!本投げて!!」 「ハト!ハト出して!!」 コンタクトレンズ「とにかく殴る」 「目覚めろ!大地」 「チケット!チケット!!」 「誰かプリーストいないの!?」 「フルアーマー!フルアーマー思ったほどフルアーマーじゃない!!」 「時間ない!時間ない!!」 ザ・メガネ「いやー、今回も俺のおかげで勝てましたね!!」 やっぱり元ネタわからんけどドライブ感は凄い「フルアーマー思ったほどフルアーマーじゃない!!」がスゲー面白かったw 元ネタ分からんけど面白かったw 影平くんの日常① 希望崎学園。夕方。 「かげひらー、影平居ない?」 番長小屋に1人の女性がやってくる。 番長グループ所属にして陸上部部長、鶉かなめである。 かなめは部屋の中をきょろきょろと見回すが、下校時間に近いためか人の姿はない。 「……居ないか」 返事が返ってこないことを確認し、かなめは踵を返して番長小屋から立ち去ろうとする。 かなめの死角、番長小屋の床の一部が微かに動く。 「と、見せかけて」 かなめは足を止める。 微かに揺らいでいた番長小屋の床がぴたりと動きを止める。 「そこぉ!」 肩に担いでいたハンマーを振り下ろすかなめ。 衝撃を受けた床は確かに鳴動し、急激に形を変える。 さながらそれは牢の如く。 ばりばりと床が音を立て、槍の如くはがれ柵を形作るかの如く屹立する。 かなめの陸上技、「目覚めろ大地!」だ。 床はあっという間に何かを閉じ込める檻を作った。 「どうだ!」 びしっ、と檻へとハンマーを向けるかなめ。 それに応ずるように、地面から一つの影が立ちあがる。 ……ただし、檻とは随分と離れた場所に。 「どうもこうもないですよ!」 被っていた布を畳みながら立ちあがったのは番長グループの構成員。 先ほどからかなめが呼んでいた影平 代だ。 「お、影平いるじゃん」 「居るじゃんじゃありません!この床どうするんですか!?」 「あー、すぐ直すから気にすんなって」 「というか、なんで居るの分かったんですか?……その割にボクのこと捕まえられてないし」 影平の質問に、かなめはにへら、と表情を崩し答える。 「や、お前居ても私の事無視するからさあ。ああすりゃツッコミに出てくるかと思って」 影平は呆れたように何事か言葉を吐こうとするが、幾瞬か迷ったあと肩を落として 「……とりあえず、ちゃんと直してくださいね」 とだけ言った。 「おー、もちろん!で、かわりに影平に頼みがあってさ」 「嫌です」 「そーか、嫌だけどやってくれるか!ありがとう!」 影平の抵抗も空しく、かなめは強引に話を進めようとする。 なれたやりとりなのか、影平も無理に止めようとしない。 「やー、陸上部の活動中にジャージ破れちゃってさ!直してくんね?」 「いいですよ……いいですけど。なんで毎回ボクに頼むんですか?」 影平のせめてもの反論に、かなめは不思議そうに首をかしげる? 「え?だってお前忍者だろ?」 「はい、そうですよ」 「忍者ってあれだろ。術を使ったり」 「使いますね」 「忍んだり」 「忍者ですからね」 「ダンジョンに居たり」 「……まあ、そういう仕事してる人もいますけど」 「クリティカル出したりする奴だろ?」 「………暗殺って意味なら間違ってません」 「な?じゃあつまり手芸部じゃん」 「なんで!?なんで結論がそうなるの!?手芸と忍術のどこに共通点があるんですか!?」 「え、だって手芸部の奴らみんな術を使ったり忍んだりダンジョンに居たりクリティカルだしたりするよ?」 「この学校の手芸部はなんなんだ……」 ぐちぐち言いつつも、器用にジャージの破れた部分を繕う影平。 彼の名誉のために書いておくが、別に彼が初めから手芸の技術を持っていたわけではない。 かなめをはじめとする番長グループのわんぱく連中が、事あるごとに彼に裁縫を要求していたため技術が向上してしまっただけなのだ。 「はい、できましたよ」 「お、サンキュー!おー流石。上手いな!」 褒められてもうれしくありませんけどね、と影平は呟くが、かなめの耳には届かない。 「お前いい忍者になれるよ!ありがとな!」 忍者と因果関係の見えないかなめの称賛をうけて、影平はもう一度大きくため息をついた。 おっきい女の子に頼られてる影平は爆発四散しろとおもいました。 手芸者と間違われてるうちに裁縫上手に、とか、影平くんめっさいい子! 影平くんの日常② 埼京線の魔人専用車両に揺られながら、影平はため息をつく。 希望崎は悪い学校ではない。気の良い奴が多いし、忍者の自分もすぐに受け入れられた。 だが、かなめのような勘違いをしている者が多いのはどうにも疲れる。なんとかならないものか。 ガシャン! 突如、電車の窓が割れて二つの人影が飛び込んでくる。 片方は赤黒い忍者装束に「忍」「殺」と書かれた面頬をした忍者。 そして片方は、機械化された両腕を持った怪人。 この手の事態は魔人専用車両では珍しい事でない。 というより、一般車両に危険を飛び火させないようあえてセキュリティレベルを下げてあるのが魔人専用車両だ。 起こるべくして起こった事態と言えよう。 警告音とともに魔人専用車両が一般車両から切り離されるが、忍者と怪人はそんなことも気にせず戦闘を続けている。 影平にとっては関わる筋合いの無いことだが、ここは埼玉で片方は忍者。 とすると、影平が知らないだけで埼玉忍者の関係者である可能性が高い。 このご時世クライアントを見つけるのも一苦労の時代だ。任務の失敗は埼玉忍者全体の信用にかかわる。 影平は偽装していた荷物から愛用の防火斧を取り出し戦闘態勢をとる。 それに気づいた忍者と怪人は、なぜか影平を警戒しつつ両手を合わせお辞儀の姿勢をとる。 「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」 と忍者の方 「ドーモ、ロンリーバースデーで……」 と怪人の方が挨拶をするのを無視し、影平は怪人の頭部に防火斧を叩きこんだ。 「グワー!」 大げさな悲鳴を上げ怪人の頭部が転がる。そして 「サヨナラ!」 と断末魔を残して爆発四散した。 「……」 「いや、どこの部署の方か知りませんが危ないところでしたね」 「オヌシはスゴイ・シツレイな奴だな」 忍者に罵倒をされて影平は困惑する。 失礼と言われる様なことをしただろうか? 「あ、あれ?もしかして遺体の確保が必要な任務でしたか……そ、それは申し訳ありません。出過ぎた真似を……」 「そうではない」 忍者は冷たい視線を影平に向け。 「アイサツもせずに攻撃するとは、シツレイな奴だ」 影平は相手の言っていることの意味が分からない。 「ハイ?」 「オヌシはニンジャだろう?」 「はい、忍者です」 「ニンジャならアイサツは礼儀だろう」 「え、ナンデ?」 「ナンデとはなんだ」 会話が成立しない。 使っている言葉は同じはずなのに、まるで単語の意味が決定的に異なるかのような気分になる。 「えっと、あれ?埼玉忍者の方ですよね?」 「?確かに私はサイタマでニンジャをしているが」 「え?」 「?」 遠くから鉄道警察隊のサイレンが聞こえてくる。 それを聞くと、忍者は車両から逃げようとする。 壊れた窓枠に足をかけ、最後に忍者は影平に憎々しげな視線を送り。 「次に有った時はオヌシも殺す……ニンジャ殺すべし」 そう言って去って行った。 短い時間だったが、なぜか途轍もない疲労感を感じる影平であった。 フジキドは不意打ちだったw フジキドwww やー、笑った! こんなのが「日常」とか、影平くんは大変だなあw ニンジャスレイヤーわかりませんが、魔人専用車両という発想は評価出来るものだと思います。 『一三五は疑わる』 この学園にゆとりがもたらされていた間、この番長小屋はかなり綺麗になった。無論、多少の汚さは残っているものの、歴代の番長小屋に比べれば、雲泥の差がある。 そうでありつつも、この番町小屋を現在進行形で掃除している少女がいる。 名は一三五(にのまえみこ)。当然だが、かの魔人一族、一家(にのまえけ)の一人だ。巫女装束を着こなしており、竹箒で汚れまみれの床を掃いている。掃除は趣味ではないが、癖のようなものらしい。 だが、彼女がこの番長グループにいることに対し、小首を傾げる者がいる。 それもそのはず、生徒会には二人の一家がいるからだ。一一(にのまえはじめ)と一九十(にのまえきゅーと)の二人である。 一に関して、彼は巻き込まれただけの部外者であるからともかく、九十はもとより生徒会にいた身。故に三五は生徒会にいてもおかしくないのだ。 それ故に、番長グループの中には彼女が生徒会のスパイであると疑う者がいる。誰かと帰る様子もないため、一層疑わしい。 ただし、当然ながらそうでない者もいた。誰かをスケープ・ゴートにして結束を固めるより自らのコミュ力で番長グループを固めたいと思っている蛇淵かわずと、誰にでも優しく接している逆砧れたいたぷたの両名である。 ひょんな事で意気投合した二人は、三五の無実を証明すべく一三五調査隊を結成した。メンバーはもちろん二人だけである。 放課後、いつものようにそそくさと帰っていく三五の後を追った。 三五を追う以前に九十を付けていたため、一家の居場所は既に織り込み済みである。三五も一家の一人なので、一家に行くだろうと考えていたのだ。 先回りしようとたれいたぷたは提案したが、尾行の意味が無いということでかわずに却下された。 しばらく後をつけていると、二人が予想してた方向とは真逆を行っていた。 「あれ。一家の人たちと違う方向行ってない?」 先に疑問を呈したのはかわずだった。周りに聞こえないように、声を抑える。 「ええ。九十さんを付けたときとは真逆を行っていますね」 「もしかして、尾行がバレてるのかな?」 「どうでしょう……まだわかりませんが、とりあえず後を追いましょう」 こうしてると、まるでこちらがストーカーみたいだ。かわずはそう思った。 しばらくして、二人は三五を見失いかけたが、かわずの類稀なるコミュ力で聴きこみを行なって、ようやく三五の後ろ姿を見つけた。 尾行開始から――正確には校門を出てからだが――一時間ほどして、二人は三五の行き先にたどり着いた。街からは大きく離れてしまい、周りには木々や種々が生い茂っている。 そこはどうやら神社らしく、鳥居があった。その先に、傾斜の大きな石段がある。 「まさか、あれを登るの!?」 「骨が折れますね」 だが、次に二人は信じられないものを見た。鳥居をくぐった後、三五が十数段飛ばしで階段を登っていったのだ。否、もはや登ったという次元ではなく、飛んでいると表現したほうがいい。 「はやっ! 三五さんってあんなに身体能力のある魔人だっけ!?」 「能力は存じませんが……少なくとも、学園生活で力をセーブしてる様子はありませんでした」 「じゃあ、身体強化系なのかな?」 「どうでしょう。そうであれば、校門出た時点で使用して、すぐに帰ると思います。道中で一度見失ったとはいえ、寄り道をしてる様子は伺えなかったものですから」 「うーん、たしかにそうか……まあいいや、とりあえず、追いかけるよ!」 二人は三五の能力について考察したかったが、先に三五を追うのが先決だということで中断する。 鳥居をくぐり、急な石段を二人は駆け上がる。登り始めということもあるが、先が見えない。 「ああもう、このあたり階段じゃなくてほとんど崖だよね! なんでこの石段に手をかけないと登れないようになってるの!?」 「これを軽々と飛んでいく三五さんはすごいですね……」 この石段は、後になればなるほど傾斜が大きくなっている。最初の時点でも傾斜が大きいのは確かだが、高さ六メートルほどのあたりでは、ほとんど壁となっている。 二人とも体力に自信はあるが、このようなロッククライミングもどきのことはしたことがない。そのため、登るだけでもかなり悪戦苦闘している。 石段を登ることおよそ五分。永遠にも思えるような五分だったが、ようやく二人は登り切った。 「ぜぇっ……ぜぇっ、も、もう限界。疲れた……ちょっと、休も……」 「ええ……とりあえず、ここで……休憩、し、ましょう……」 二人は完全に疲弊しきっており、顔が汗まみれになっている。そのほとんどが冷や汗であろう。 二人の呼吸が安定しないうちに、社殿の方向から声が聞こえた。 「お主ら、よもやこの石段を登ったわけではあるまいな……」 声のする方向に顔を向けると、そこには背の小さい巫女さんが立っていた。白衣の首元に見える、赤い掛け襟と白い襦袢。緋袴はしわひとつなく、 ちょうちょ結びで留められた帯の上から上指糸が覗ける。視線を下に向けると間違いなく足袋と草履を履いている。 いかにも巫女さんという格好をしている彼女こそ、二人が尾行していた一三五その人だった。 三五は二人を変なものを見るような目で見ていたが、二人を自分の部屋へと招いた。 招かれた場所は、バラックを少し豪華にしたような寂しい小屋だったが、内装はいたって普通の和室だった。テレビやゲーム機などの娯楽用品はもちろん、キッチンや洗面所、風呂など、生活に必要なものは殆ど揃っていることから、インフラは敷かれていることがわかった。 「い、意外と普通の部屋だね……」 「そう、ですね……部屋も綺麗に整頓されてるようですし……」 二人が落ち着かないで周りをキョロキョロと見回していると、三五は三人分の緑茶を淹れて二人に差し出した。 「何も無いところじゃが、ゆっくりしていくのじゃ。とりあえず、お茶でも飲むのじゃ」 「あ、ありがとう……」 差し出されたお茶を丁寧に受け取り、二人は礼を言った。 「しっかし、なぜあの石段を登ってくるかのう……ちゃんと道案内の看板があったはずじゃが」 「え?」「はい?」 二人は顔を見合わせる。 見覚えがないのは、二人には石段を登るという選択肢しかなかったからだ。なにより軽々と飛び上がっていく三五を見て、それが正規ルートだと勘違いしたということもある。 「えっと……あはは」 かわずはごまかすように笑った。 「あの、三五さんは私たちの尾行に気がついていたんですか? まるで、私達が来るのを知っていたような……」 「いや、全く気づかなかったぞ」 「え?」「え?」 二人は再び顔を見合わせる。 「正確に言うならば、この神社にお主らが入ってきてから気づいた、といったところじゃの」 「そ、そうなんだ」 そこで会話が途切れた。無粋な和室の中で、お茶を啜る音だけが聞こえる。実際のところ、気まずそうにしているのはかわずとれたいたぷたの二人だけである。 湯のみから口を離したかわずが、気まずい雰囲気を持ち直そうと口を開く。 「み、三五さんって、本当に巫女さんをやってるんだね!」 「む、自己紹介の時に『わしはしがない巫女じゃ』と言ったはずじゃが……」 「う、うん。だから、本当に巫女さんなんだなって、思っただけなんだ」 「そうか」 会話が終わり、再び無言になる。たれいたぷたが後に続く。 「あの、もしかして、こんなところに住んでたりす……」 「こんなところで悪かったのう……そのまさかじゃよ」 三五は小難しい顔をした。たれいたぷたは冗談で言ったつもりだったが、本当にそうらしい。 「あ、ごめんなさい! 悪気があったわけではないんです」 「気にせずともよい。事実、こんなところに人が住むなど、尋常ならば考えぬものじゃ」 こんな神社に住んでいると聞いて、二人の中に疑問が次から次へと湧いてきた。 「じゃあ、どうしてここに住んでるの? やっぱり、なにか理由があるんでしょ?」 三五はお茶を飲み終えると、一呼吸おいて答える。 「ふむ、すこしばかり長い話になるが、聞きたいか?」 「うん。ぜひ聞きたいね」 「私からもお願いします」 二人が頼み込むと、三五は快く了承した。 三五がこの神社に住み始めたのは、およそ十年前のことだ。くだらないことがきっかけで家出したはいいが、道に迷ってしまいこの神社にたどり着いたのが始まりである。運良く当時の神主に保護されて、しばらく彼の厄介になった。家に帰ったのは、一週間後だ。 それから、三五はしばしばその神社に遊びに行くようになった。何も無いところだったが、掃除を手伝うだけでも、当時の彼女には楽しいものだったのだ。 ある日、彼女は「もしできることなら、ずっとここに住みたい」と、冗談交じりに呟いた。半分本気だったが、出来るわけがないとも思っていた。 しかし、神主のお陰でそれが出来るようになった。彼が魔人だと知り、また、彼の能力がいわば不老不死能力だったということも聞かされた。だから、その能力があればずっと神社にいられると考えたのだ。 三五はまず「魔人能力の譲渡」が不可能だと考えた。魔人能力はその当人の認識に由るものであり、魔人化はそうして出来るものであると。結果として譲渡はできてしまったのだが、それは神主の認識によるものだと考えている。 その日から、神主は姿を消した。誰も所有者のいない神社に、三五はひとりきりとなってしまった 三五は、一家の当主と掛け合ってこの神社を一家の管理下に置くよう説得した。尤も、説得と呼べるほどのものではなかったが。それと同時に、管理者としてこの神社に住まうことになった。 それ以来、ずっと神社に住んでいる。実家に帰るのは、年に一度か二度だけだ。 「まあ、そんなわけでの。わしはずっと一人暮らしなのじゃたまにしか帰らんせいで、他の一家の連中とも会うことはほとんどないのじゃ」 二人は三五の話を聞いて、どうにもいたたまれない気持ちになった。八歳の頃からずっと一人で生活していたのだ。それがどれほどつらいことか、押して図られる。だが、それでも聞いてみたい。 「そのさ、寂しいと思ったことはないの?」 地雷かもしれないと覚悟しつつ、かわずは尋ねた。 「そうじゃの、寂しくなかったといえば嘘になる。こんな辺鄙な場所にある神社に来るものなど、殆どおらぬ。一家の連中も、ほとんど来たことはないのじゃ」 やっぱり、とかわずはすこしばかり落ち込んだ。 「じゃがの、これはわしが決めたことじゃ。後悔はしておらぬ」 「三五ちゃん……」 「あの、やっぱり番長グループにきたのも、それが理由なんですか?」 「む……まあ、そうじゃの。一家の人間とはいえ、あ奴らからすればわしは殆ど面識がないも同然じゃ。その空気に耐えられそうにも無いと思っての」 湯のみのお茶は、全て飲み干されていた。 「ともあれ、番長グループに属して後悔はしておらぬ。こうして、お主らが来てくれたのじゃからの」 「あはは……」 まさか、一家とつながりがあると疑われてたから、そうじゃないと証明しようとしてた、なんて言いづらい。悪いことをしているわけではないが、なかなか後ろめたいものがある。 「それに、こうしてわしの話を聞いてくれたものは初めてじゃよ。かたじけないの、蛇淵、逆砧」 名前を呼ばれて、二人は照れくさそうに笑った。 「よかったら、また来てくれぬかの? といっても、本当に何も無いところじゃが……」 二人は三五が喋り終える前に応諾した。それに対し、三五は礼を返す。 「そ、それと……かようなことを申すのは憚られるのじゃが、わしのことは『みーちゃん』と呼んでくれやせんかの……? その、渾名で呼ばれたことがないものでの……」 三五は顔を赤らめ、二人から目を逸らしている。 予想外の申し出に吃驚したが、それも二つ返事で快諾した。 「そのかわり、私のことも名前で呼んでね、みーちゃん」 「その、よろしくお願いします……みーちゃん」 「う、うむ……渾名で呼ばれると少し恥ずかしいの……よ、よろしく頼むぞ」 三五は恥ずかしがりつつも笑顔で、二人と握手を交わした。 『一三五は疑わる』 仲が良いのは美徳だね。ちょっと読みにくいのが気になった。 みーちゃんとか、もうなんだこのあざといブーム!w 年寄り言葉の幼女はいい。みーちゃん可愛い。
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キャラ名 性別 攻 防 体 精 FS 特殊能力 発 成 他 ダンゲロス男 女 20 1 6 3 0 ダンゲロスよ、ありがとう! 100 100 茅ヶ崎智沙希Mk-II 無 20 1 6 3 0 ちきちきっ! 29 100 乙部 こうき 男 20 0 7 0 3 俺は死なないけど君のためなら死ねる 79 100 ヴィオレッタ 女 19 3 5 3 0 神の丘より、郷愁の我が深淵 100 100 対魔人専用自動迎撃ロボ KIMOTO 10032号機 (通称 モト) 無 18 3 3 3 3 トルキイバ 94 100 星野千紗 女 15 2 5 4 4 『魅惑の眼光』 88 100 透晶 女 10 10 5 3 2 S.O.P(Steal Of Perception) 78 100 保村 萌 女 10 4 3 3 10 バスガスバクハツ 75 100 天海真美 女 8 1 7 4 10 プリン・ア・ラ・流法(モード) 100 100 浅草ランドウ 男 7 6 8 4 5 『吸脂』 72 100 合鴨シュウ 女 6 13 8 3 0 膝に100,000本の矢を受けてしまってな…… 85 100 阿野次きよこ 女 5 9 6 3 7 エターナル・フォース・ブリリアンツS 101 0 雨竜院畢 女 5 5 5 5 10 あまんちゅ! 96 100 アキカン(緑) 無 3 3 3 3 18 ビオランテ() 55 100 杉原昼子 女 1 1 8 5 15 カロリードレイン 100 100 毛利 勘太郎 男 0 15 9 4 2 死体蹴り 81 100 バニラ・シフォン 無 0 1 5 4 20 童話迷宮“私の白馬の王子様” 99 100 しまむらのひろし 男 0 0 7 3 20 明日へと繋がる希望の光 99 0 蝶乃 つがい 女 0 0 7 3 20 鈍色のヒンジ 96 100 一三一八 女 0 0 5 5 20 電脳妖精譚(サイバーワールド・フェアリーテイル) 93 100 骨々 柔 女 10 0 3 2 10 換骨堕体 ?? ?? 秘 モヒカンザコ先生 男 1 1 9 5 9 伝統芸能としてのモヒカンザコ ?? ?? 秘 清姫さとみ 女 0 5 13 2 5 さとみの結界 ?? ?? 秘 裸繰埜闇咲 琴美 女 0 1 8 4 12 ゴシカ ?? ?? 秘 天野 白草 女 0 0 5 4 16 魔性の扉・宿命の門 ?? ?? 秘 紅井 涙子 女 0 0 3 3 19 「色、食、触、喰、蝕、……」 ?? ?? 秘 別次元のこうい生命体 両 0 0 3 2 20 *Hallow World* ?? ?? 秘 なぞのがったいパーツ 無 0 0 3 2 20 超合体!! ?? ?? 秘 見習いヴァルキリー・エリアレル 女 0 0 2 3 20 うぉーがーる☆うぉーくらい ?? ?? 秘
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シナリオ攻略 第35話「追逃逆転」⇦ 第36話「不可視の扉」 ⇨第37話「頑鉄番長Gバンカラン」 作戦目的 出現条件 勝利条件(1) 1. 敵の全滅。 最初から 勝利条件(2) 1. ウィオラーケウムとインペトゥスのHPを20000以下にする。 敵増援出現後 敗北条件 1. ハガネの撃墜。 最初から SRポイント獲得条件 ウィオラーケウムとインペトゥスのHPを、同ターンで20000以下にする。 敵増援出現後 備考 敵15機撃墜時、南東方面に敵増援が出現。 味方ユニット 機体 メインパイロット 出現条件 備考 ハガネ テツヤ 初期配置 移動不可 出撃部隊選択×10 初期配置 敵ユニット 機体 メインパイロット 出現数 出現条件 Lv HP 最大射程(P) PP / 資金 アイテム 備考 N H N H ウィオラーケウム コンターギオ 1 1 初期配置 40 82000 83050 7(3) 18 / 18000 ハチマキ HP回復(小)、EN回復(大)、パイロットブロック ベルグランデ ミーレス 10 12 初期配置 38 6800 7700 5(3) 6 / 3400 アンゲルス ミーレス 12 12 初期配置 38 4500 5250 6(4) 4 / 2700 スカルプルム AI 18 20 初期配置 38 5300 6200 5(3) 4 / 2900 インペトゥス イグニス 1 1 敵増援 40 78000 79050 9(3) 18 / 18000 ハチマキ EN回復(小)、パイロットブロック ベルグランデ ミーレス 7 13 敵増援 38 6800 7700 5(3) 6 / 3400 スカルプルム AI 7 10 敵増援 38 5300 6200 5(3) 4 / 2900 攻略アドバイス ハガネは移動不可。SR獲得のためには、部隊を分ける必要がある。 敵増援はハガネから南東付近に出現するので、EPで増援を出してしまうと、ハガネに肉薄されて苦しくなる。 いずれにしろインペトゥス攻略部隊は突出しすぎないように。 イグニスは敵ユニットも巻き込んでMAP兵器を撃ってくるので、味方はもちろん、敵を落とされないように注意。 コンターギオとイグニスはハチマキを持っている。カイとヴィレッタを分けてマキシマムブレイクをかければ両方とも落とせる。 ウィオラーケウムのMAPWはP系武器のため、回避できる部隊を向かわせたい。 戦闘前会話 コンターギオ:イング、イルム、アクセル、リュウセイ、カイ、ヴィレッタ、ラミア、アリエイル、アラド イグニス :イング、イルム、アクセル、リュウセイ、カイ、シャイン
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515 名前:ゲーム好き名無しさん[] 投稿日:2012/09/27(木) 22 52 39.77 ID 04cPUSkKO あるコンベで下駄履きの参加者がいて、廊下とかを歩く音がえらくウルサいとかで隣の部屋からクレームが付いたなぁ。 スタッフがサンダルを買いに行ったらしいw 520 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/27(木) 23 46 00.87 ID A8oURFLU0 515 かなり背が高いなら俺の知人だが。 別フロアで即売会やってたりするとレイヤーが紛れたりするな。 KOFのバイスだかマチュアだかのレイヤーが谷間見えててけしからんかった。 視線誘導されて集中出来ん。 スレ338
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番長グループSS 番長グループSS番長グループ 木蔭サツキ タルジュ1 タルジュ2 タルジュ3 タルジュ4 出鯉舞 フジオクトパス 番長グループ 春風みどり 現番長。そのミステリアスな雰囲気と華奢な外見は、 とても武闘派魔人揃いの番長グループの長とは思えない。 言葉だけでなく、そもそも自分の意見を表す事自体が少ない彼女であるが、 自身が何も言わなくとも、周囲の魔人は彼女の意を汲み取って行動する。 彼女の存在自体がまさに番長グループの意思そのものであると言ってよい。 これまでも番長グループに歯向かった勢力はいくつも存在したが、 彼女の抗い難い魅力と物言わぬカリスマに屈服する生徒は数知れず、 現番長グループは希望崎学園を統一しかねない勢いで拡大を続けている。 常に笛を持ち歩いており、笛の音色で配下の魔人に指示を下す事が可能である。 浅宮ミズキ 見た目は可憐な美少女だが、春風みどりの右腕として最も恐れられている存在。 常に番長グループの一の手を担う切り込み隊長であり、 数多の強者達を、眉一つ動かさず次々と粛清してきた戦闘マシーン。 その雨傘は雨ではなく返り血を避けるためのものではないかとすら言われている。 しかし戦闘に関する事以外ではごく普通の少女であり、 常識的で人当たりの良い性格から、ほとんどのメンバーとは仲が良い。 その戦闘能力を勝手に恐れているのも、敵対勢力に属する人間のみである。 実際、番長配下の人間の中には彼女の隠れファンも多いという。 最近用水路で不思議なタコを拾い、その世話をするのを楽しみの一つにしている。 フジオクトパス 関西に捕らえられた仲間を救い出す協力者を求めて、希望崎学園の用水路に辿り着いた。 そこで番長グループの浅宮ミズキに拾われ、番長グループのアジトで飼われる事になる。 水棲動物と相性の良い水系統の能力を持つミズキとは特に仲が良く、 番長グループの魔人の中でも、彼女からは特に可愛がられている。 第一目的はあくまで仲間の救出であるが、ミズキに恩返しがしたいとも感じており、 タコらしからぬその板ばさみの複雑な心境に悩む、心優しいタコである。 その気になれば、腕を犠牲にして超戦略級の攻撃を放てるほど戦闘力は高い。 だがその事に気付いているのは現時点ではミズキのみであり、 他の魔人からは敵味方共に、ただの無害なタコとしてしか見られていない。 タルジュ 現番長グループの頭脳。春風みどりを協力にサポートする有能な軍師であり、 明晰な頭脳から繰り出される策略と、国家レベルの経済力で幾多の勢力を打破してきた。 完璧主義者故に、部下に対して甘すぎるみどりには苦言を呈する事も多々ある。 しかし彼がそれでもみどりに従う理由は、自国の力を魔人達に知らしめるため以上に、 彼の心が、みどりの本質にある優しさに知らず惹かれているためかもしれない。 同じ番長グループの頭脳派、百目鬼リカと並べ“左脳”と称される。 ただし彼自身は、その気紛れな研究姿勢や奔放な態度から、リカの事を嫌っている。 今回も様々な不確定要素すら戦力に組み込んだ驚異的な作戦を直ちに立案したが、 今度の敵がこれまでよりさらに危険な後ろ盾を持っている事にも、薄々気付いている。 百目鬼リカ 番長グループ内で兵器開発、強化研究等を行うもう一つの頭脳。 研究のためならば人にどんな迷惑をかけることも厭わない破天荒な性格で、 自分以外の全ての構成員を当然のように顎でこき使っている(番長の春風みどりさえも)。 番長グループに所属する目的は、無論自分の研究のため。 好物のお菓子やジャンクフードがいくらでも食べられるという理由でもあるかもしれない。 “左脳”タルジュに対し、感情とアイデアの赴くまま研究を行う姿を“右脳”と称される。 もちろん、彼女の方でも理屈屋で規則にうるさいタルジュの事は嫌っている。 今回の戦いでも、とにかく自作の秘密兵器を披露したくてたまらない。 しかし今回の敵に限ってはそうふざけてばかりはいられない事にも、直感で気付いている。 ヒッタヴァイネン 番長グループの主力構成員。他の誰よりもいかつい風貌ではあるが その実性格は温厚であり、浅宮ミズキとは対称的に敵対する者に対しても寛大である。 子供には大人気であり、深山によくイタズラされているが、まるで気にしていない。 口数もリアクションも少ないが、自分の考えている事は行動で示すタイプ。 しかしそれに伴って、彼の思考や出自等には謎が多い。 特にどう考えても高校生の外見ではない事について、周囲の生徒からは不審がられている。 帰宅する彼の後を尾けていたら森に入っていくのを見た等の証言もあり、 もしかしたら本当に森の妖精なのかもしれないという噂が流れているほどである。 彼の弾くフィドルの音色は、春風みどりのお気に入りでもある。 深山武雄 学園でも有名なイタズラ小僧だが、実は番長グループの構成員である事を知る者は少ない。 しかしそれを知らずに彼のイタズラに本気で報復してしまった者や、 彼に現体制への反乱計画を知られてしまった者は、悉く行方不明になっている。 本人は番長グループの後ろ盾のおかげで、ますます調子付いているようである。 番長グループの抗争においては、霍乱やトラップ設置等を主な任務とする。 子供らしい性格同士、百目鬼リカとは気が合うし、ヒッタヴァイネンの事も気に入っている。 基本的には能天気で、まるで何も考えていないかのようにすら見える事もあるが、 穴を掘ることだけには不可解なほどに異常な執着を見せており、 その時の目付きには普段見せる表情とはまるで違う鬼気迫るものがあったと目撃者は語る。 安井結 主に敵対勢力の離反工作を担当する、番長グループの特殊工作員。 番長グループに事前に存在を察知された敵対勢力が悉く自然消滅していったのも、 邪法を用いた離反呪術が裏で働いていたからである。 これにより、番長グループはこれまで無用な全面衝突を行わず勢力を伸ばす事に成功した。 明確な意図を持って自分の能力を間違った方向へと使っており、 とにかく人の縁を切りたいからという理由で番長グループに協力する完全な愉快犯。 隙あらばみどりの縁すら切ろうとしているらしく、ミズキやヒッタからは危険視されている。 あらゆる縁を切り続けてきた事による神の祟りは彼の体を確実に蝕んでいるが、 自分の生まれに対する彼の肥大した悪意は、その能力を使う事を躊躇させない。 翼姫 第三次ダンゲロス・ハルマゲドンの後に卵から発見された突然変異体。 彼女は第一次ダンゲロス・ハルマゲドンの際に初代番長に救出されており、 番長グループの命令に素直に従うのも、その記憶が残っているためと考えられる。 春風みどりにはよく懐いており、まるで母親を追う娘のように後をついてまわっている。 神秘的な力を用いる結にも興味を示しているのか、よく話しかけているが大抵無視される。 外見も知能も幼く、とても通常の作戦に投入できる状態ではないが、 彼女に秘められた強大な力の存在だけは番長グループの誰もが認識しており、 今回の第四次ダンゲロス・ハルマゲドンで出現した強力な敵、生徒会に対しては、 不本意ながらもその力に頼らざるを得ないだろうと判断されている。 彼女の存在は生徒会にとっても完全な不確定要素であり、 生徒会のジョーカーがアキカンならば、彼女は番長グループのジョーカーといえる。 魔山アリス狂終絶哀・闇 花園に所属する、学園最強の魔人。これまでその圧倒的な力の片鱗すら見せた事はない。 今回の第四次ダンゲロス・ハルマゲドンにおいてついに動きを見せたが、 彼女を用心棒として味方につけたのは、なんと体制側の番長グループであった。 ここに、よりにもよって学園最強の魔人が番長グループに加わり自分達に牙を剥くという、 生徒会にとっては最悪の構図が完成したといえる。 彼女の存在はまさに恐怖そのものであり、その力は転校生にすら匹敵するとされる。 本人は大した能力を持っているわけではない上に実は小心者なので、 もう本格的にどうしたらいいのか分からない。もちろん今更そんな事は言い出せず、 相談相手といえばアジトに何故か飼われているタコくらいである。 番長グループに与したのもとりあえず勢力が安定している体制側と手を組んだだけで、 とにかく転校生に出会わないよう適当にやり過ごせる事を願うのみである。 希望崎十八鋼人 十八つ子の新入生であり、全員がそれぞれの意図を持って番長グループに参入した。 十八人という数の利点を活かし、学園全体の監視や多数の暴徒の制圧など、 様々な局面で番長グループの活動を裏からサポートしている。 特に広範囲の様々な情報を収集可能である点はタルジュの作戦立案に一役買っており、 十八鋼人も事実上、春風みどりではなく彼の直属として働いている。 その不気味な外見や出自から一般生徒からは悪魔のように恐れられているが、 地下倉庫から封印を解かれて現れた学園の守護神というのは、 実は番長グループが体制を磐石なものとするために流したプロパガンダ。 情報は十八人で共有しており、よって完璧に統率の取れた情報収集が可能。 アリスが実は大した能力者ではない事を見破った、数少ない人物でもある。 誰にも知られていないはずの希望崎太郎の能力が流出したのも、あるいは彼らが…… 歩峰糸子 いつの間にかふらりと番長グループのアジトに現れ、当然のように居座っているお姉さん。 さすがに何かがおかしいと誰もが思ったが、その圧倒的暴力に逆らえる者は皆無であった。 しかし怒らなければ単なる気のいいお姉さんであり、 春風みどりや浅宮ミズキ、翼姫などの温厚な女性魔人とは普通に仲が良いので、 現在は番長グループの客分として他のメンバーからも認められつつある。 たまたま立ち寄った希望崎学園での扱いが思いのほか良かったので長居しているが、 その幸せを乱す敵対勢力の魔人達には全く情け容赦しない。むしろ笑いながら殲滅する。 指示には全く従わないものの、番長グループの中でもその戦闘能力はトップクラスであり、 タルジュの立案した作戦においてももはや暴力だけで戦略の中核を担っている。 しかし希望崎学園に立ち寄る時、同時に厄介な少女も引き連れてきた。 出鯉舞 精神に異常をきたした姉・真名を追って放浪の旅を続けていたところ、 姉の面影によく似た女性を見かけ、そのままふらふらとついて行った。 その女性、歩峰糸子が立ち寄ったのは希望崎学園。暴力と狂気が支配する世界であった。 何を差し置いても、とにかく糸子と自爆心中がしたくて仕方がなく、 糸子を見かけると直ちに自爆し、一般生徒の中にも多数の死傷者を出している。 だが、当の糸子本人はいつも上手い事被害を回避しているようである。 番長グループも彼女の対処には困り果てているのだが、 逆に考えれば自爆する生物兵器としても使えるんじゃないと百目鬼リカが提案したため、 グループの魔人に始末される事もなく、今日も元気に糸子姉さんを追いかけている。 糸子はどうして自分がこんな気違いに追いかけられているのか分からないので、本気で嫌がっている。 木蔭サツキ 前生徒会長を心から愛する少女。折れたコンパスは旧生徒会室で拾ったものである。 彼女にとっては彼を殺した番長グループも憎き相手であるが、 それよりも許せないのは勝手な理想で彼の意思を騙る、新生徒会である。 自分の命すら駒としてしか認識しない冷静な判断で、新生徒会長の命を狙う。 組織ではなく、個人のレベルで新生徒会を倒すための計画をあくまで孤独に、 淡々と進めてきた人物など、希望崎学園には彼女の他に存在しないであろう。 敢えて番長の配下についたのも、極めて当然の思考と理性的な判断に基づく行為である。 彼女にとっては、彼の存在しない世界そのものが全て価値のないものといえる。 生徒会を殲滅した後には、旧生徒会室にて前生徒会長の後を追う予定である。 木蔭サツキ 旧生徒会室に足を踏み入れた私は、懐かしくも切ない気持ちに襲われた。 「あの人の匂いがする……」 二年もの月日が流れた今でも、まだこの気持ちに揺らぎがないことに、自分でも少し驚く。 胸が締め付けられる。 軽い眩暈すら覚える。 息苦しさを感じたのは、きっと彼のことを思い出したから。 「あ……」 目の前に、ぼんやりとあの人の姿が浮かんだ。 それは私の思い込みだったかもしれない。 でも構わなかった。 たとえ錯覚でも、あの人を感じられるのなら、それでよかった。 深呼吸をして心を落ち着け、全ての感情を声に乗せる。 返事なんていらない、ただ伝えたい。 打ち明けることのできなかったこの思いを、今ここで貴方へ。 「小竹様、サツキは今でも、貴方を愛してます」 オモイ爆発、天まで届け――。 タルジュ1 オープニングSS『アラビアンナイト』 「兄さん、これは何ですか!」 扉を開けるやいなや、タルジュはそう怒鳴った。 王宮の一室。だだっぴろい部屋の奥には男が一人と、彼をかいがいしく世話する女たちが数人。 男は絨毯に寝転がったままそちらに顔を向けた。 「兄さんといわれても、お前の兄さんは12人もいるからな~…どの兄さんだ?」 「ここには貴方しかいないでしょう!ザファル兄さん!」 ザファルと呼ばれた男は心底面白そうに笑う。 「これは兄さんの仕業ですね」 つき付けた一枚の用紙。そこにはアラビア語で『希望崎学園編入届け』と書かれていた。 もっとよく見れば、編入対象者が自分、アルファルド王国第13王子タルジュ・ヴィン・ムフタール・アル=ディヤーヴであることも読み取れるはずだ。 「正解~。凄いな、何で分かった?」 「こんなことするのは貴方しかいないでしょう…」 大げさなため息とともにタルジュは言葉を続けた。 「私たち王族は幼少の頃に帝王学を学び終えています。今更学校に通って何を学べというのですか」 それも下賎の者たちと一緒になど…。 「だいたい、2年前の貴方の気まぐれな留学がどれだけ国政に影響したと思うのですか!それだけのことをして貴方はそこで何を得たというのですか!」 まくしたてるタルジュが一息ついたとき、ザファルはのんびりとした口調で言った。 「お前は~」水タバコを吸い、そして煙とともに言葉を吐く「自分に足りてないものが何か分かるか?」 まったく思い当たらない。こと貿易・税制に関することなら知識も技術もこの国で右に出るものはいないと自負している。だとすると努力ではどうしようもない「時間」だろうか。 「・・・経験ですか?」 「は~ずれ~」 用意した答えはあっさり否定された。 いぶかしむタルジュにザファルは言う。 「それが手に入るかは分からんが・・・あそこならそれが何かくらいは分かるだろう」 よいしょっと言いながらゆっくり立ち上がると、ザファルは弟タルジュを見下ろし、言う 「なにより、面白い」 ザファルが指を鳴らすと、傍らの女性たちが部屋の外に向かって花びらを撒き始める。 あっけに取られているタルジュを残したまま、ザファルは笑いながら花の道を歩いて部屋を出て行ったのだった・・・。 後日、王より留学の勅命が下った。 無論命令は拒否できない。 だが、その時彼の心には、僅かだが希望崎学園に対する興味が湧いていたのだった。 タルジュ2 我々は中々学習しない生物だ。 タルジュはため息をつきながら希望崎学園に平和を与えようとした先代番長グループを思う。 番長グループの勝利によって第三次ハルマゲドン後、希望崎は平和に満たされたか? 残念ながら答えはノーである。 生徒会残党や番長グループ下っ端と名乗るゴロツキどもの小競り合いは相変わらず絶えない。 第三次を境にここ一年の希望崎学園内の事件発生件数は過去最多であり、数字は無情にもタルジュに現実を認識させる。 「小竹様の願いはこの学園を安息の地にすること。派閥争いなんて愚の骨頂よね。」 いつの間に。 タルジュの後ろには書類を両手いっぱいに抱えた木陰サツキがいた。 木陰サツキが音もなく番長グループ専用書斎に忍び込んだ驚きよりも、無断で入室を許してしまった自分への苛立ちと侵入者への嫌悪が先立つ。 「木陰くん・・・この書斎は私が18時0分0秒きっかりまで貸しきっているはずだが?用があるにしてもノックぐらいのマナーは覚えていただきたい。」 タルジュはいかにも神経質そうにメガネのツルを中指で持ち上げてサツキを睨み付けた。 サツキはタルジュの不信感に気づかないのか、あえてそう演じているのか、なにくわぬ顔で書類を机にそっとおいた。 「それはそれは無神経でごめんなさいね。でもお生憎様。繊細な番長グループ書記さんに細かい気遣いをする余裕はないわ。番長から出動命令よ。」 「! ・・・ついに潰れかけの生徒会が攻めてきたのか。あいつらも懲りない奴らだな。」 「戦場は混乱してるわ。早く行って貴方の能力で防いできて頂戴。さっきのあたしのようにくれぐれも侵入を許さないでね。」 タルジュはメガネを外し、シルクのハンカチでメガネを磨き、再びかける。 我々は必ず野望を達成する。 そのためにはまず反乱分子の排除が必要だ。 「わかっているさ。私の能力オープンセサミ、これこそが私たちが築くべき理想国家だ。」 我々は番長グループ。希望崎学園を平和に導くために日夜戦う戦士達が所属する組織である。 タルジュ3 通常発動(トリカゴ以外)での発動率UPSS『法の壁』 とどろく轟音。広がる爆煙。 「ヒャッハー!これで番長グループも終わりだぜぇ!」 右腕を突き出した姿勢のまま、男は感極まって叫んだ。 「俺の能力は核爆発並みの破壊力を持ってんだ!全員ッ木っ端微塵ッ!会長にはわりーが首は持って帰れねぇなこりゃあ!!」 辺りに響く男の嘲笑。揺ぎ無き勝利。戦いの終結。 そして、煙が晴れる。 「・・・な・・・なン・・・ッ!?」 驚愕のあまり言葉を失う。 かくして、男の視線の先には傷ひとつ無い番長グループの面々が立っていた。 傷どころか、髪の毛一本焦がせていない。埃すら付いていない。 「大した破壊力だ」 最前列に立つ褐色の肌の男が言う。日本人では無いようだが、とても流暢な日本語だ。 「大型原子力炉1基の3時間相当の発電量といったところか。エネルギーに対する関税は10%だ・・・」 タルジュ・ヴィン・ムフタール・アル=ディヤーヴは超然と言い放つ。 「ここは我がアルファルド王国の領土。通りたいのなら法に基づき税を支払え」 タルジュ4 『トリカゴ』 「クソッタレ!何だってんだ、こっから先に進めねぇぞ!」 「見えない壁があるみたい…」 「何とかしやがれこの役立たずどもが!」 「テメーがやってみろこの腰抜け!」 慌てふためく生徒会一同の背後から、凛とした男の声が響く。 「この地は既に我が王国の領土である」 男たちが一斉に振り向くと、その先には番長グループの参謀にしてアルファルド王国代13王子タルジュ・ヴィン・ムフタール・アル=ディヤーヴが一人立っているのだった。 私は多分、ここで死ぬだろう。 ここに来るまでは、まさか自分が命を賭して誰かの為に動くなど夢にも思わなかった。 王国で貿易に携わっていたときは、脱税、密輸、賄賂、そして暗殺。 人間の本質は悪であり、その性は卑しく、欺き騙し、そして殺しあう愚かなものだと思っていた。 だから、誰も信じられぬと・・・。 兄さん、貴方の言っていた足りないものが、分かった気がする。 「その壁はオープンセサミ(開けゴマ)の言葉などで開くと思うな!!」 出鯉舞 「舞、お前はどうして魔人になった?」 「アタシには、殺したいヤツがいる……」 「行くのか、どうしても……」 「ああ……」 アタシが生徒会の方へ歩き出すと、不意に後ろから叫ぶ声が聞こえてくる。 「舞、待つんだってばよ! 番長グループに帰ってくるんだってばよ!」 深山だ。番長グループの落ちこぼれ魔人……。そのくせ、いつも「五代目番長にオレはなる」と身の程もわきまえず言っている。コイツは何故か知らないが、いつもアタシにつきまとってくる、いわゆるストーカーだ。姉のストーカーをしているアタシが言えることではないが、実に、ウザイ。 「行くぞ……」 そんな深山を無視し、アタシは新たに加えた三人の仲間に声をかける。水を操る浅宮ミズキ。キチガイツンデレ女、糸子。殺人衝動の抑えられない二重人格者、ヒッタヴァイネン。アタシの周りには、なんでこんなやつらしかいないのか……。まあいい。腕は立つ。 仲間を引き連れ、生徒会室に向かうアタシに百目鬼リカが声をかける。 「本当の魔人の才能を持つ立派な魔人であなたほどの魔人はいませんね」 フッ、当然だ……。 そして、アタシはついに姉さんを見つける。 「姉さん、アンタを殺しに来た……」 「舞。お前はアタシのスペアだ」 やっぱり訳の分からないことを言っている。姉さんは、もう、ダメだ……。アタシは姉さんに飛び掛る。 ビシッ、ドシュ、やった、姉さんを倒した! しかし、それは幻術だった。 ドシュ、ウギャ、しまった、姉さんにやられた! だが、これも幻術だ。 「フッ、幻術勝負では埒が明かないようだな!」 アタシは胸のダイナマイトに火を近づける。命を賭して姉との決着を着けようとするアタシに、後ろの方で突っ立ったままボーッと戦いを眺めていた仲間たちが次々に賞賛を送ってくる。 浅宮「たいしたヤツね」 タルジュ「たいしたヤツだ」 安井「たいしたヤツだ」 翼姫「たいしたヤツだ」 アリス「たいしたヤツよ」 ヒッタ「たいしたヤツだ」 18鋼人「たいしたヤツだ」 糸子「たいしたヤツね」 木蔭「たいしたヤツだ」 深山「たいしたヤツだってばよ!」 春風「ピーヒョ(たいしたヤツだ)」 フジ「たいした奴タコ」 ドカーン。アタシは爆発した。「ハッ、違う。これは姉さんじゃない」 スカラカーンだった。生徒会のやつらが踊りかかる。 「ガッシ! ポカッ!」アタシは死んだ。ゲンジュツ(笑) フジオクトパス オープニング『フジの冒険』 ○月○日。晴れ。 仲間を助けるため関西に向かって旅を続ける。街を歩いていると近所のガキどもに追い回された。ムカついたので光輝八叉槍(セイリオス・オクタデント)で撃退する。ガキどもが半泣きで逃げ出すのを見て、若干大人気無かったと思う。 ○月×日。曇り。 日中はマズいと思い早朝に道を行くことにした。するとゴミを漁っていたカラスに囲まれる。盛大に体をついばまれたが、光輝八叉槍(セイリオス・オクタデント)でなんとか撃退する。鳥風情が調子に乗りやがって。その後焼き鳥はおいしくいただいた。 ○月凹日。晴れ時々雨。 徒歩で行く必要も無いと考え、関西方面へ行くトラックの荷台に乗り込む。しかし運悪くクール宅急便の車であったため、あやうく凍死しそうになる。凍えながらも光輝八叉槍(セイリオス・オクタデント)でトラックを爆破する。運転手のオヤジが呆然と立ち尽くすのを見て、ドンマイ、と思う。 関西は遠い・・・。
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番長グループSS2 番長グループSS2歩峰糸子 魔山アリス狂終絶哀・闇1 魔山アリス狂終絶哀・闇2 魔山アリス狂終絶哀・闇3 翼姫 春風みどり 希望崎十八鋼人1 希望崎十八鋼人2 歩峰糸子 糸子「ウチなぁ ファミレスのバイトで稼いだ金でこないだまで中国旅行いっとってん」 浅宮「へー いいなぁ」 春風「ぴょろぴよぴろ~(私も海外に行ってみたいです)」(笛の音) 深山「ねーちゃん 土産は?」 バキィ!!(深山は殴られた 硬いので大した傷はないようだ) 糸子「旅行って楽しいよ ウチの爺さんも旅行好きでなぁ」 世間話をしながらも多少機嫌が悪そうにみえる タルジュ「そうですか 是非今度 我が祖国にもおいで下さい」 空気を読んだタルジュが丁寧に語る言葉を聴いて糸子の顔が輝く 機嫌が直ったようだ 糸子「ええのん? 泊まるトコとか世話してくれる?」 タルジュ「はい それは勿論 多少やかましい兄がいますが 良い所です ご案内致しますよ」 糸子「そら ええわぁ このしょうもない喧嘩終わったら皆で行こか」 アリス「いいですねー さっさと生徒会始末して楽しみましょう」 翼姫「ぴぃぴぃw(私も行きたいですw)」 出鯉「お姉ちゃんいるぅ?」 番長G女性陣は楽しそうに騒いでいる 糸子「そうそう 皆にお土産があったんやった 忘れとったわ」 深山「ぷぷー 毒入り餃子だろ 当たりだろ? 当たりだろ? うひゃw」 バキィ!!ゴキ!!(深山は殴られた 硬いので大した傷はないようだ) あきらかに糸子が不機嫌そうになる タルジュ「いや 異国の品は実に興味深いです 私もぜひ見せていただきたいものです」 ヒッタ「頂けるんですか ありがとうございます」 すかさず空気を読んでフォローを入れる 糸子の機嫌は多少和らいだ 糸子「それでな コレがその…」 18人「な なにしてるんですかー 敵が来ます!! ちくしょー!!」 糸子「…」 タルジュ「私の領域に進入してきたのですか?」 木陰「仲間の死に我を忘れて突撃してきたんです 手が付けられません」 糸子「ウチの…」 ヒッタ「春風番長どうします?」 春風「ぴょろりぴぴ~…(攻撃範囲外からの牽制か…)」(笛の音) 生徒会メンバー「死ねえ うひゃははは!! ココまで攻撃が届くのならなー!!」 糸子「ウチの楽しいお喋りの時間を…」 バキ! ドカ!!(深山は意味も無く殴られた 硬いので大した傷はないようだ) 生徒会メンバー「うひゃひゃひゃはや~」 糸子「邪魔するんやない!!」 立ち上がった糸子が天を指差す!! 糸子「あ!!UFO!!」 生徒会メンバーが指差す方向を見た瞬間 落書きのようなチャチなUFOが天に出現した 糸子「まったく ここの生徒は想像力が貧困な奴ばっかりや…」 溜息をつきながら言葉を続ける 糸子「それに押しつぶされたら ウチに殴られんのと同じくらい痛いでぇ ウチのパンチの威力は知ってるやろ?」 生徒会メンバーの絶叫が響き そして うんこを漏らして泣き叫ぶ生徒会メンバー その後ろに控えていたもう1人の生徒会メンバーは明らかに恐怖している 糸子「サツキちゃん 後任せたで ウチはちょっと休ましてもらうわ」 バキィ!!(深山はついでに殴られた 硬いので大した傷はないようだ) 魔山アリス狂終絶哀・闇1 プロローグ『ダンゲロス学級新聞2月号掲載』 第4回を迎える、好評の特別インタビュー企画『ようこそ先輩……そしてさようならだ』。 今回私がインタビューするのは、読者からの要望が最も多かった魔山アリス狂終絶哀・闇先輩。 学園最強の中二力を持つとすら言われる、あの魔山先輩の秘密を探る。 ――こんにちは、魔山先輩。 さすが学園最強、噂に違わない美しさと高貴さ。私も羨ましいです。 報道部の木村と申します。本日はよろしくお願いします。 「っふ……御機嫌よう、木村さん。 貴女と私がお会いできた事も、因果(うんめい)のうちの一つですわ……」 ――特別インタビューに応じて下さってありがとうございます。 部活動の上とはいえ、まさかあの学園最強のお方にインタビューの許可がいただけるとは、 私も全く予想していませんでした。 「有限にして幽玄、悠久の時空の中では、あなたと私の刹那(ひととき)の会話など、 所詮情報という言霊(スペル)により紡がれるただの虚像(カオス)――― 気になさる事ではございませんわ」 ――冒頭から素晴らしい中二力ですね。私、少し感動してしまいました。 それはそうと、質問へと入らせていただきます。 先日、『生徒会』を名乗る新勢力が出現し、 現体制派である番長に宣戦布告を行った事は、先輩の記憶にも新しいと思いますが。 「そうね……ふふ、生意気な子達……嫌いではないわ……」 ――それだけでなく、我が部ではあの長谷部の奴……いえ、長谷部先生が 再び転校生を呼び出したとの未確認情報も入手しており、 学園最強の魔山先輩と転校生の直接対決も近いとか…… この件に関して、魔山先輩本人からの表明を聞きたいと言う要望が多数ありました。 「そう…… ところで木村さん。あなたは夜闇には輝く光(ほし)が欲しいと願うタイプかしら?」 ――は?……さあ? 「ふふ……貴女が理解できないのならば、私はそれでも構いませんわ。 とにかく―――そういう事よ」 ――はぁ。とりあえず参戦はするという事でよろしいですか。 「簡潔に私の意志(こころ)を現すとすれば、そういう事かしら」 ――ですが、どちらの勢力に組するかはまだ分からないと。 「私は、言うなれば裁きを待つソドムの群衆の上で揺れる危うい天秤(リーブラ)…… 気紛れな神(デウス)の思慮は、まさに量子(シュレディンガー)の領域…… うふふ、予測するだけ無駄というものですわ……」 ――分かりました、次の質問に参りたいと思います。 当初魔山先輩は、転校生との対決には消極的姿勢を見せていましたが…… 周囲からの声で、ようやく対決を決めたという経緯があります。 学園最強の実力を持つ先輩が何故、という声が寄せられていますが。 「…………。 そうね、それは……そう、命を刈るに値しない相手だと思っていただけですわ……本当に…… でも、気紛れでやっぱり倒す事に決めましたの…… ほら、その、運命の天秤は気紛れですから……」 ――分かりました。行動理由が気紛れなところが学園最強らしいですねー。 では、好きな食べ物は。 「ふふふ……好きな食べ物ですわね…………え?食べ物?」 ――あ、読者からの質問ですけど。 「た、食べ物…………? え……………………えっと、あー…………………血とか……」 ――『ち』? 「ちっ、あの―――せ、鮮血に染まる紅血薔薇(ブラッディローゼス)の魔力と言いたいのですよ!! 美しい処女(おとめ)の死体のみを苗床として禍々しく育つ死の薔薇からしか得られぬ極上の精気…… これこそ地上に降り立った小さな地獄(ディストピア)、悪魔的な至福の味ですわ!!」 ――さすがは学園最強ですね(笑)。 では次の質問……と、 おっと! そういえば先輩のお母さんから手紙を預かっているのを忘れていました! 「!!!!!!!!」 ――先日報道部が行った『学園アンケート』の結果へのコメントですね。 『学園最強』部門で一位になった魔山先輩へのメッセージが届いてますよー。 「な……な、何を言っているのか……私に両親などおりませんわ……! 両親は幼き頃、私自らの手で葬り去りましたの。しかも殺した後犯しましたのよ……」 ――へぇ、なるほど。 なら、これは霊界からのスピリチュアルメッセージという事にしましょう。読ませていただきます。 “アリス狂終絶哀・闇へ 学園最強の称号おめでとう、アリスちゃん。また一歩、第VII選別創界者(ズィーベン・デル・ゴット)に近づきましたね。 お母さんは(正確には【虚(zero)】と【法(law)】の狭間に揺蕩う最終概念存在としてのワタシは)、とても嬉しいです。 (勿論、本来ならば人間という生物の認識の延長上に表現すべきでない状 「ホッキョアァァァァァァァァ!!」 ――あれあれ、どうしました? 突然夜叉猿みたいな声出して。 「ひ、ひぃぃ……お母さ……やめ……」 ――ああ、どうやら凄まじく強大な敵がこの応接室まで迫ってきている模様です(笑)。 謎の敵にインタビューを台無しにされてはかないませんね。すぐに終わらせるとしましょう。 “(勿論、本来ならば人間という生物の認識の延長上に表現すべきでない状態ではありますが、 便宜的にこのように表しています――)思えば、アリスちゃんの現世干渉体がこの世に構成されてから今まで、 どれだけ【世界】からの試練が 「ヒェ―――ッ!!! おだまんなさいよーッ! あんたッ! そ、それ! おやめなさいよ――ッ!!!!」 ――なんと。それほどまでに恐るべき敵なのですね……私程度の魔人能力では到底太刀打ちできないでしょう。 震えが止まりません。恐ろしすぎます。 あっ、そういえば魔山先輩、さっきから台詞にルビが見当たりませんが? 「うぐっ……!? あ、あんたら…………報道部は、ささ、最初からこれを……」 ――やれやれ。何の事でしょうか(笑)。 では手紙の続きを…… 「あ――――! あ――――! もう! うぁ―――――っ!! 殺す! この場でぶっ殺すッ!!」 ――おっと危ない! この私も、さすがに学園最強には勝てる気がしません! これはもう、逃げるしかありませんね☆ それでは、次回の特別インタビューもお楽しみにー! 今回のインタビューでは、残念ながらこれ以上の情報を得る事はできなかった。 読者の方の中には、私がインタビューの途中で自発的に取材を中断してしまった事について、 あるいは意見がある方も居るかもしれない。 だが、ちょっと待ってほしい。 あなたがこの記事を読んでいられるのも、私の命が永らえているからであり、 記事を書く記者が死んでしまっては、正確な情報を報道する事自体が不可能なのである。 残念ながら、これ以上のインタビューは記者の命に関わるため、継続する事ができなかった。 このダンゲロスまで来たあなた達ならば、辿りつく事はそう難しい事ではないだろう。 真実は、あなた自身の目で確かめて欲しい―― そう付け加えて、今回の特別インタビューを終わる事にしたい。 魔山アリス狂終絶哀・闇2 『ダンゲロス・マヤマサン・シティ』 ――私は希望崎学園に感謝している 魔人学生にならなければ、猟奇的上級神威闇妖魔族に転生していたから……―― 「くそっ……もうこんなところにまで生徒会が!」 「撤退!! 撤退だー!!」 番長グループの一般生徒達が怯えてる…… 生徒会だ。ついに生徒会が攻めてきたんだ。 あんな凶暴な人達に殺される前に、私も早く逃げないと…… 「お、おい……あれ見ろよ…… あれ、もしかして魔山先輩じゃないか……!?」 え……!? 「本当だ……あのゴスロリ眼帯ファッション……間違いないぜ! 魔山先輩だ!!」 「学園最強が俺達番長グループについたっていうのは、噂じゃなかったんだァー!」 しまった……この流れだと、絶対に私だけ逃げ遅れる…… ここはどうにかして誤魔化さないと。 「そ、そんな……まま、魔山先輩なんて、私……し、し……」 「うぉぉ――! 今2回も『死』って言ったぞ!! 本物の魔山先輩だ~~~~!!」 「ス、スゲェ 俺達の戦いが本物の魔山先輩を幻想亜空次元から呼び出したんだ……!」 そんな……! 私はそんなつもりで言ったんじゃないのに! 『死』なんて軽々しく扱っちゃいけないんだよ…… どうしていつも私だけこんな……こんな扱い…… 「魔山先輩――ッ! 醜い生徒会の連中を美しき鮮血細工へと変えてくださ~~い!」 「魔山先輩! 今夜の邪神降臨の生贄は何百人の予定なんですか!?」 「う……」 私が――私がやりたかったのはこんな学生生活じゃないのに!! 「「「「ゴートゥDMC! ゴートゥDMC! ゴートゥDMC! ゴートゥDMC!」」」」 「魔山先輩!」 「魔山様」 「クルエンゼアーさん!」 「超現世干渉体アリス様!」 「う……う……」 私は早く逃げ出したいのに…… この人たちの前じゃ…… この人たちのせいで…… こいつらが…… この…… この――― 「……有象無象の死すべき者共(ニンゲン)ごときが……!」 「私が現在この地に存在(ある)理由を教えてさしあげます――― 全ての生徒会をその血の一滴に至るまで鏖殺し……! その恐怖と絶望の思念(カルマ)を礎に、さらなる破壊と混沌の時空を現世にもたらすためなのです……! その圧倒的な終末的未来(アポカリプス)を前にして、血に酔い浮かれ騒ぐなど……恥を知りなさい!!」 「うわぁ―――! 今夜の魔山先輩は本気だぁ~~~~~!」 「これはもう、都市一つくらいじゃ済まされねぇぞ~~~~!」 「やはり魔山先輩が羅漢の魔人学生を発狂させて関西を滅ぼしたってのは本当だったのか……」 こうなったのも、全部生徒会みたいなのが出てきたせいだ……! 毒蟲共……! 生徒会の下等生物共……! 貴様ら全員の穢れし魂――煉獄(インフェルノ)へと叩き落してやる!! 「魔山先輩がトランプを取り出したぞ」 「いや、あれはただのトランプじゃない……伝説の53枚ジョーカートランプだ!!」 「フォーカードどころじゃねぇ、掟破りのフィフティスリーカードだぁ~~~~!」 「よし、今宵は特別ですわ!! 最もグロテスクな、月夜の悪夢の世界……あなた方の魂にブチ込んでさしあげましょう!!」 『♪目覚めよ狂気の冥界魔神 鮮血の暗黒禁術詠唱が聞こえる 無垢なる赤子の泣き声 グロテスク軍隊爆破 グロテスク人類とびちり グロテスク魔光気噴射 グロテスク多次元とびちり グロテスク世界崩壊 全ての者達 統一根源構成体に魂を売れ~~~~~!!』 「アリス先輩――!」 「うぉぉ魔山先輩様ァァァ!!!」 「やっぱり学園最強だぜ~~~!!」 「恐怖のあまり精神0になりましたァァ――!!」 「「「「ゴートゥDMC! ゴートゥDMC! ゴートゥDMC! ゴートゥDMC!」」」」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ その頃、報道部の仕掛けた監視カメラで一部始終を目撃していたアリスの母は叫んだという―― 「オーイエス!! マザーファッカー 私のコカンは大洪水よ!!」 魔山アリス狂終絶哀・闇3 生徒会を壊滅させて以来、やりたい放題の番長G。Gはガッツリ引きこもりのGだ。生徒会棟を占拠し、各々パソコン、ホームシアターセット、ラジコンなどを個室に持ち込み、一心不乱に引きこもる。 そんな折、番長Gが施行した「ドッヂボール禁止条例」に不満を持つ生徒の行動を決起させる事件が起きた。何者かが、希望崎太郎の上履きを隠してしまったのである。希望崎太郎は「自称生徒会(自らを番長と称する者によって被害を被った生徒による集会の略)」の雄であり、かつては魔球「敵に当たって跳ね返ったボールを最大4回空中でキャッチして、弾丸のようなパワーで投げつける命がけショット」の使い手としてその雷名をとどろかせていた(やったら死ぬので、誰も見たことが無い)。 「希望崎君の靴隠したの、絶対半ズボン(深山)だよ!」 「落ち着け、まだそうと決まった訳ではない」 「絶対そうだね!こないだも落とし穴の上に、スカラ君の体育館シューズをセットして喜んでたじゃん」 果たして、希望崎上履き紛失事件の犯人が深山である事が判明した。明らかにそれと分かる落とし穴の上に、件の上履きが据えられていたのである。 「な、なんてこった。あの半ズボン野郎、又やりやがった」 「あの半ズボン、自分の落とし穴に誰も引っかからないからって、こんな汚いマネを……!」 「おんなじネタを2回も繰り返すなんて、流石は番長G意外性NO.1といったところか。大した奴だ」 「しかし、それはそれ、これはこれ。我らからドッヂボールのみならず、上履きまで奪う番長Gの暴虐、もはや捨て置けん!」 「希望崎は、急いで職員室に上履きを借りに行け。外履きでは校舎に入れないし、上履きが無いと靴下が汚れてしまう。番長Gを血まちゅ、血祭りにしてやるぞ!半ズボン野郎の右側だけゆるゆるになったブリーフをわが校の校旗にしてくれるわ!!」 片足けんけんで職員室へ向かう希望崎以外の精鋭9名が生徒会棟になだれこむ。 見事なコンビネーション攻撃によって、瞬く間に番長Gを包囲、大打撃を与える事に成功した。 エロウイルス感染によって、鼻血と腹痛が止まらないという非常事態にあって、それでも春風は動じない。 「ピーヒョロ~ピッ(フォーメーションBだ!)」 慌てず騒がず、皆を紅茶室に迎える。 「ピーピー、ヒョロヒョロ(何人か足りないが、まぁいい。まずは紅茶でも淹れようか)」 フォーメーションB!番長G不敗のアルティメットフォーメーション「自宅待機」をさらに改良した究極の超強気布陣である。 「ピー(では、余興として演奏会と手品ショーを始めよう。演奏曲目は『またここで会おうぜ』、手品はトランプマジックや、籠の魔術など3つ用意した。あ、そうそう、私は来年から、憧れのダンヘロスフランス校へ留学予定なんだ。それと、今さっき、妹の目の手術が成功したらしく、午後から会いに行く予定だ。そして、お母さんの出産が無事に終わったので、弟の顔も見に行くつもりだ。さらには、3年ぶりにお父さんがモロッコから帰ってくる。また一緒に暮らせる日が来るなんて。ま、全部この戦いが終わったら、の話だけどね……)」 春風の笛にヒッタヴァイネンが続く。 タルジュは考えていた。 「番長の演奏が聴けるのも、顔が見れるのもあと僅かだなぁ。いや、正確には明後日までさ。俺はもう、祖国に帰らないといけないからね。それまでに、この想いを番長に伝えたいと思っていたんだが、この戦いを前に決意が固まったんだぜ。それにしても、さっきまではあんなに晴れていたのに、今にも泣き出しそうなこの空模様はなんだい?安心してくれ、太陽さんよぅ。俺の能力で、一足早い春の風だけは守ってやるからよ」 隣室で手品の準備をしていたアリス。手品師は人の感情を読む術に長けている。たやすく、タルジュの様子から「死亡フラグ」を読み取った。そして、いつもより物悲しい春風の演奏に「もう手遅れなくらいの死亡フラグ」を感知していた。 「なんて事、番長がもうすぐ過労死するなんて!」 番長の方は死亡フラグが多すぎて、もう絶対助からない。しかし、タルジュの方はまだ助かるかもしれない。タルジュの運命を変えるべく、アリスは一世一代の大奇術をタルジュに試みた。 翼姫 わたしは春風番長がすき。 番長はね、やさしくっていいにおいがするの。 それにね、夢にでてくるおかあさんにいっぱい似てるんだよ。 わたしはひったばいねんのこともすき。 番長となかよしだしわたしにもやさしいの。 みんないっぱい戦ってる。 死んじゃうともうみんなと会えなくなるって教えてもらったよ。 さびしいよ。 だから私はひったばいねんが死なないように力をあげるの。 誰よりも速くここ、番長Gに帰ってきてほしいから。 わたし、みんなとおしゃべりできるようになったらあの日の約束を果たすね。 ありがとう。 春風みどり 君は世界に繋がっている。先生はそう言っていた。 音楽の時間。私は見てるだけ。 皆が楽しい歌を歌えば、私も楽しくなった。 皆が悲しい歌を歌えば、私も悲しくなった。 うらやましかった。 私には、できなくなったことだから。 小学生になって、リコーダーの吹き方を習った。 これなら私にもできる。 ホントはピアノがよかったんだけど、お金が無かった。 近所迷惑なんのその。毎日毎日練習した。 いつの間にか、笛の音が私の声になった。 「ここにいたのか。皆待ってるよ。」 今行きます。 そう答える代わりにうなずく。 私の歌は世界に響く。私の気持ちが皆に届く。 だから私は笑顔でいよう。皆が笑顔でいられるように。 いってらっしゃい。 世界に歌が響いた。 希望崎十八鋼人1 しょんぼりと輪になって落込んでいる18人の下へ、つかつかと歩み寄る一人の少女の姿があった。少女は俯いてしょげっていた18人に気安く声をかけると、18人は覇気のない顔を上げ、少女と目を合わせた。 「あ、糸子さん……」 「どないしたんや、あんたら。もう戦闘は始っとるんやで。みどりちゃんが困っとったで。はよう行きぃや~」 「いや、それが……」 「オレたち……」 「ちょっと……」 「どないしたんや。悩み事があるんやったら姉さんが聞いたるさかい、言うてみぃ」 「あの、実はオレたち、今更だけど……」 「オレたち、魔人じゃねえんじゃねえかって思うんです」 「攻撃力とか防御力とかアキカンより低いし」 「オレたち、母ちゃんから『あんたらは魔人よ』って言われたら」 「ずっとそうだと思ってたけど……」 「ホントはただの18つ子なんじゃないかって、ふと思ったんです」 「なんや。なんで突然そないなこと思ったん?」 「だって、ハルマゲドンが始ってから、みんなスゴイ能力を使いまくってるのに」 「オレたちだけ、みんなで取り囲んで殴るとか」 「こんなん魔人の能力じゃないって思ったんです……」 「自己嫌悪です、オレたち。ハァ……」 「オレたち、こんなところにいてイイのかな、ホントに……って」 「なに言うとんのや。あんたら間違いなく魔人やで。この糸子姉さんが保証したる!」 「はあ、元気付けてくれてるのは嬉しいんですけど」 「やっぱり、いきなりそんなことを言われても……。なぁ?」 「だよな……。根拠もないのに、な……」 「ええか、あんたら! 根拠ならあるで。そもそも考えてみ。18つ子って、あんたらなんやねん。おそ松くんの3倍やで? そんな異常な兄弟、マンガでもおらへんわ! あんたらの存在そのものが魔人の証拠やんか!」 「いや、でも、そうだとしても……」 「オレたち、取り囲んで殴ることしかできないんすよ?」 「それは、ちょっと、なぁ……」 「ちょい待ちぃ。あんたら、さっきの姉さんの言うことよう聞いとった? ええ? あんたらは存在自体が魔人の技なんやで? ほんなら、あんたらが18人で相手タコ殴りにするのも立派な魔人能力やんか!」 「……ん。まあ、理屈の上では、そうかもしれませんけど」 「でもなあ、なんかイマイチ……」 「納得できないよなあ。物証とかあればいいんだけど」 「なんや、あんたら物証があればええんか。ちょいな、あんたら姉さんが魔人ってことくらいはわかっとるよな?」 「え? そりゃ、もちろんですよ。姉さんは魔人ですが……」 「ほなら、あんたら。魔人だけが学園からもらえる『魔人バッジ』のことも知っとるよな、もちろん?」 「へっ? 魔人バッチ??」 「なんや、忘れとんのか? まあ、ええわ。見せたるで。ええ? 姉さんが、今から『左ポケット』から魔人バッチ取り出すさかい、よう見とるんやで。『左ポケット』から、出すさかいな。……ほれっ!」 糸子の左ポケットから現れたものは、ずいぶんとチープな模様のバッジだった。中心に「あんたはまじん」と書かれている。 「これが、魔人バッジ……」 「あ、確かに。オレの思ってたのと同じバッジだ……」 「オレもオレも。こういうバッジ、確かにあった気がする……」 「何言うとんのや。ほら、あんたらも自分の胸見てみぃ。ちゃあんとバッジ付けとるやろ?」 「え? ……あ、ホントだ!」 「……あ、ある! オレの胸にもバッジがあるよ!」 「何で今まで気付かなかったんだ!? 姉さんと同じバッジ付けてますよ!」 「じゃあ、オレらやっぱり魔人だったんだな!」 「ちゃんと学校から認められた魔人だったんだ!」 「ほら、もうええやろ。分かったらさっさと前線行きぃ。みどりちゃんもタルジュも、おどれらの能力発動、ずっと待っとったんやで」 「あ、ありがとうございます! 糸子姉さん!」 「ありがとうざいましたー!」 18人は糸子に礼を述べて次々に前線へと向かっていった。糸子は18人の姿が視界から消えたのを確認し、 「フン! しょーもないバッジやな。あいつら、ホンマにデザインセンス言うもんが皆無やわ!」 といって、自分の魔人バッジをポイと投げ捨てる。 「はぁ……。やる気のない魔人の説得とか面倒くさいわぁ。アタシの能力はこんなアホなことに使うもんやないんやけど。ま、精神の低いやつらは簡単に騙せて楽やからええけどなー」 希望崎十八鋼人2 1「我々も残り3名となった、覚悟はいいな?」 2「おうよ、兄弟!」 3「サツキちゃんの無念、晴らしてやろうぜ!」 1、2、3「てめえに生徒会長を名乗る資格はねえぜぁーーーっ!!」 番長グループ、最後の悪あがきである だがしかし、この結果も全て小竹の計画のうちだったのである
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番長GSS 【番長G合計63点】※8/17(水)20 05 無題1 【1点】 ε:うんこにも口あんのか… 無題2 【5点】 無題3 【4点】 無題4 【3点】 ~~小袖袴SS 九割の愛と一割の歪んだ愛~~【50点】最後、ゾクって来た…! これは面白い、先が気になる。 月読十萌SS「トモエちゃんの何でもないいちにち」【10点】 ~~小袖袴SS 夢追中と愉快な仲間達とその日常~~【10×3=30】 【番長G合計63点】※8/17(水)20 05 無題1 【1点】 ε:うんこにも口あんのか… 聖靴「うんこ!!うんこはどこ行った!?」 舞葉「裏で吐いてます」 聖靴「またか」 うんこ「ハア、ハア、ハア、もうやめます…!!」 聖靴「誰でも一度はそう思うもんだ」 うんこ「毎日思ってます!! うっ!おえっ …………学園統一まで続けられません… いっつも怒られて、 能力は弱いし、 他の魔人たちの足手まといになるだけだ」 聖靴「………口を拭え……」 うんこ「自分はただうんこなだけだって陰口叩かれてるのも知ってる」 聖靴「…………!!」 聖靴「この聖靴フォーファルサフブーツが昇降口に置かれて20年―― 初めて我が番長Gの中心になれる女を得たんだ。 それはお前だ「うんこ・オブ・うんこ」 うんこなだけ?結構じゃないか。 技術やフィジカルは与えることができる… だが…お前をうんこにすることはできない。 たとえオレがどんな名コーチでもな。立派な才能だ」 無題2 【5点】 「わはははっそこの少女よ!何か悩みを抱えているようだね!」 「え、あ、その、どちら様…ですか?」 「私を知らないってことはキミはもしかして転入生かいっ?私は偉大なる夜の王、吸血鬼の舞葉志姫っていうんさっよろしくねっ。」 「はあ。えと、私は天白飛っていいます……多分……。」 「多分?」 「えと、その、私実は、記憶喪失になってて…ここに転入する以前の記憶が…ないんですよ…。学生証には天白飛って書いてあるので、それが名前だとは思うんですけど…。」 「そうなのかー。それは難儀だね。」 「はぁ、でも、まぁ、生活は普通にできるで問題ないと言えばないんですけど…」 「でも、それじゃあちょっと寂しくないかい?よかったら私が飛ちゃんの記憶を取り戻す手伝いをしてあげよっか?」 「ええ!?できるんですか?」 「勿論さっ。夜の王たる吸血鬼に不可能なんてないんさっ。」 「ど、どうやるんですか?」 「まずあたしが飛ちゃんの血を吸うんさっ」 「血を!?なんでですか!?」 「血って言うのは、魂の通貨であり命の貨幣なんさっ。その血を吸うってことはその人の全てを知るっていうのと同義なんさっ。」 「するとどうなるんですか?」 「飛ちゃんの記憶を失う以前のこともわかるしっ。どうすれば記憶喪失を直せるかもわかるよっ」 「ホントですか!ぜひ、ぜひお願いします!」 「了解さっ。ちょっと痛いけど我慢してねっ」 「ちょ、ちょっと待ってください!」 「ん。どうしたのさ?」 「えと…その…」 私の全てがわかるってことは私が実は貧乳だってこともバレちゃうわけで。 あ、でも記憶喪失の直し方がわかるってことは美乳になる方法もわかるかも。 でもでも、やっぱり貧乳ってことがバレるのは… っていうかお風呂入ってるときの記憶まで覗かれたら… 「あ……その……ごめんなさい……。」 「だ、大丈夫かい?」 「や、やっぱり……やっぱり無理ですううううううぅぅぅぅぅぅぅぅ!」 「ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!???」 「ごめんなさいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ!!」 「あ、ちょっとー!飛ちゃーん!あたしはこの学校の番長Gに入っているからさー!血とかはどうでもいいから、よかったら今度遊びにきなよー!みんな優しいからきっと友達になれるよー!」 無題3 【4点】 三上由香子には夢があった、いつか自分の本来の性が暴かれオカマ野郎と罵られながら 学校中の肉便器になる事である!! だが、それには問題があった。この夢を達成するには自分以外に本来の性が男の人物が いてはならない。彼女の夢は学園唯一の肉便器、オンリーワンなのである。 幸い自分には元男だった女性を数分だけ男にする能力がある。 これでそしつらにちんちん生えさせていじめ切った後自分が男だとばれたならば 自分以外の元男達も怒り狂って自分を犯す側に回るだろう。 彼女の能力は自分自身を含めないので三上由香子は何とかして自分が男に戻る手段を講じなければならないが それはまあ第一目標を達成してから考えよう。 「さあ、一人目を見つけたわよ桂あJ素!私は女になって学校に堂々と通っている奴の正体を暴き お仕置きするのが趣味の三上由香子!正体暴かせてもらうわ!」 「へ、変態だー!わーん死ねー!」 桂あJ素は時よ止まれと叫びながらナイフを全力で投げる。時は止まってはいないが ナイフは全部由香子の頭にブスブス刺さった。 「残念、この程度で私は死なない!」 「相手がおぞましすぎて判断ミスったー!普通に殴ればよかったー!」 「さーあ、その正体を現せこの変態オカマ野郎め!」 桂あJ素スカートをめくりあげ、股間に顔をうずめて舌を這わす。 「ちゅばっ…ぴちゃっ…ちゅばっ…、ほーら懐かしい物が股間から出てくるよ」 「こ、こんな『最初のジムでイシツブテとイワークで勝負してきそうな顔』あるいは 『麻雀大会でライバル校の部長に次々振り込んで泣いちゃいそうな顔』の女にクンニされるなんて… でも気持ちいいっ!くやしいっ!(ビクンビクン)」 ブスということは無いが余りにモブ顔すぎて校内でももてない部類の由香子だったが、 こうしてクンニしろオラァ状況で見てみると上手い具合に地味な顔が隠れスタイルのいい ボディラインだけが目に留まる。 女性にしては多少背が高く肩幅や腰回りが男っぽいが胸ボーン尻ドーンのダイナマイトボディ、 こんな女にクンニするぞオラァされたら肉体に男の記憶を呼び覚まされるしかない。 「フぅ…ほーら、正体が出てきた」 「げ、げーっ。懐かしいものがー!!」 由香子が顔を離すと桂あJ素の股間にはフルボッキしたちんちん、胸はいつの間にか無乳と化し 完全な男になっていた。 肉体の変化に慌てふためく桂あJ素を抱きあげ由香子は廊下で絶叫する。 「キャー!こんな所に女に化けて女子高に潜入していたけれど正体が暴かれて男に戻っている 変態がいるわー!」 「なんだってー」「なんだってー」「なんだってー」「なんだってー」「なんだってー」 男子に餓えた生徒と教師(校内の99%)が声の場所に一瞬で集まる。 「本当だ、ちんちんがあるし男の臭い!」「こりゃ性的に考えてお仕置きが必要だね」 「クンニしろオラァ!」「キャハハハ、わたしキンタマ踏みつぶしたーい」 能力効果時間が終わり体が元に戻っていくまで桂あJ素は皆に遊ばれ尽くした。 だが、三上由香子の野望は終わらない。行け由香子、学園内の全ての元男を同じ目にあわすまで! そしていつか自分が唯一の肉便器になる為に! (ちんちん) 無題4 【3点】 三上由香子には悩みがあった。 「自分のちんちんシコシコしたいよー!!」 この学校に入ったばかりの頃は自分に使えていた性転換能力が 最近では全く使えないのである。 『飛び級で教師になった少女が連れて来たウサギ』の様な顔のせいで 体育や部活の時間に体を男に戻しても誰も注目してくれなかった事、 そしてここ最近学校内に女性化して堂々と通っている男子が複数確認されたせいだろう。 元々自分対象だった能力は入学後しばらくしてから他人への能力へと変化したのである。 この効果範囲の変化によって自分以外の元男を肉便器化してから自分の本性をばらし 学校唯一の変態オカマ肉便器となる野望に非常に有効に働いたのだが…。 「もう半年も男に戻って無いわぁー!ちんちーん!」 何も無い空中に手を構え腰を振る由香子。 完全にオナ中の禁断症状を発していた。 (ちんちん) ~~小袖袴SS 九割の愛と一割の歪んだ愛~~【50点】最後、ゾクって来た…! これは面白い、先が気になる。 時は2014年、所は私立妃芽薗学園。 本来、乙女の花園であるはずのこの場所が、どうしたことであろう、今、まさにハルマゲドンを迎えんとする戦場となっていた。 かつて学園に響いていた女生徒達の柔らかく涼やかな挨拶の声が、今や剣戟の固く冷たい音となっている。 かつて学園に舞っていた色鮮やかな花壇の花びら達が、今や赤茶にくすんだ戦塵となっている。 「……もう少しで番長グループの陣営だね」 そんな、退廃の薗と化したこの学園の中を一人、静かに歩く少女の影。 小袖袴の出で立ちで、からりころりと下駄を鳴らして歩くこの少女、名は夢追中(ゆめさこ かなめ)という。 魔人の巣窟と言われる、悪名高き希望崎学園からやってきた、奇跡と呼ばれる物事や魔人能力をこよなく愛する少女である。 「……結局、魔人能力はひとつも見れなかったね」 なぜ部外者である少女がこんな時期にこんな所へいるのか。理由は単純明快。ハルマゲドンに参戦し、思う存分魔人能力を見学するため――つまりは趣味のためである。 大勢の魔人達がぶつかりあうハルマゲドンは、少女の趣味である魔人能力の堪能には最適の環境であると言えよう。 山乃端一人失踪の噂を聞きつけた少女がこの学園に侵入し、今に至るという現状は、つまり、少女を知るものにとって当然の帰結であった。 「ねぇ、社(やしろ)」 少女は立ち止まり、誰もいない空間へ向かって声をかける。 いや、誰もいないわけではない。少女は自身の纏う服に声をかけたのだ。 少女が纏う服は年を重ね付喪神となった存在であり、名を社という。 少女の守護者として、常に少女に寄り添い、支え、助けてきたこの―― 「もう元気でたからさ。ナレーションっぽくおどけてなくてもいいよ。ありがとう」 ――これは失敬。 ――それにしても、せっかく生徒会陣内の第4遊戯場まで足を運んだというのに、収穫はありませんでしたね。 ご主人様をここへ導いた死者の未練を確認に、なんて言って、結局、見られたのは生首ひとつですからね。 番長の晒し首……あんなもの、年若いお嬢さんの見るものじゃありませんよ。 「うーん、番長さんとは面識が無かったから、やっぱり直接見にいっても仕方なかったかな」 それに、生徒会のメンバーにも見つかってしまうし。あれは結構危なかったんですよ。三人を一度に相手するなんて。 ……などと言ったところで……あなたにとってはむしろ絶好の機会と言うべきだったのでしょうね。 「ねー。せっかく生徒会の人と会えたのに何も凄いことが見れなかったのは残念だったな」 ……本当にご主人様は……曲がらないですね。 ―― 「はじめまして!希望崎学園から来ました夢追中と申します! えーっと根本悠里さん、歌琴みらいさん、裸繰埜夜見咲らちかさん……でよろしいでしょうか。 あ、こちらの学園の生徒会メンバーについては、事前に写真を用意させてもらったので顔はわかるんです。 それであの、いきなりで申し訳ないのですが――皆さんの魔人能力を見せていただけませんか?」 ―― あれで罠だと思わない人もいないでしょう。 肉弾戦が不得手そうな人達でしたから良かったものの……。 「でも話はちゃんと聞いてくれたし、うまくいけば能力発動を見られたと思うんだけどなぁ」 まあ能力の制約が満たせなかった以上、どうしようもないですね。 根本さんは何でしたっけ。先陣切って行動している相手には使えないのでしたか。 一人で敵陣に歩いてきた人にはそりゃあ使えないでしょうね。 「まさか行動力が仇になるなんてね……残念」 歌琴さんは男性のみ、でしたね。 これはもうご主人様に効くはずもない。 「うーん……社の土蔵に性別変更能力って取ってあったっけ?」 謹んでお断り申し上げます。 「えー」 あとは裸繰埜夜見咲さん……好みじゃないから無理ってなんですか! こんなに可愛らしいお嬢さんを捕まえて! まったく失礼極まりない! 「落ち着いて社、社の声は私にしか聞こえないんだから」 ああ、これは失礼しました。 能力を使われなかったことに対して憤慨するなんて、私としたことが取り乱しました。 ……まあ、どうせ能力を使われたところで、ご主人様に危害が及ぶ前に私が全て対処しましたがね。 「えー、いつもみたいにちょっとだけ見逃してくれないの?」 ご主人様が元気な時分なら考えもしますが、今みたいに万全の体調でないときに守りを疎かにすることはありませんよ。 それにこの学園は魔人の力を抑えるフィールドが張られていますからね。 私が『忘失』を使っていないとご主人様の身体に悪影響があるかもしれない危険な場所なのですよ。 「あぁ、高二力フィールドだっけ?」 私の『忘失』と原理はかなり違うようですが、効果は似たようなものですね。 こういった場所での警護も考えての『忘失』能力を用意した私もたいしたものでしょう。 「そういえば社の中の神社って、他のと違って社が自分で見つけてきたんだよね。あれがいきなり建っていたときはびっくりしたよ」 おかげで建物の統一感が一切なくなりましたけどね。 でもご主人様には気に入ってもらえているようですし、能力もこうして役に立っていますし、万事めでたしですね。 「さすが社だね。いつもありがとう」 いえいえ、わざわざお礼を言っていただくなど恐悦至極。 私もご主人様を助けるのが好きだからやっていることです。 ご主人様は気にせずに真っ直ぐ進んでくださいな。 そりゃあ忠告くらいは時々しますけれど、最後はいつでもご主人様の味方をさせていただきますよ。 「えへへ、ありがとう」 ご主人様の花の咲いたような笑顔を見せていただけるだけで私はいつでも元気になれますからね。 それに愛嬌のある仕草や可憐な身のこなし、煌く流星のような走り姿に安穏が形を成したかの如き寝姿、ご主人様のもっとも近くにいられる私はいつでもこれらを見られるのですから、むしろ私のほうこそご主人様にお礼を言いたいくらいです。 「ちょ、ちょっと待って。あんまりそんなこと言われるとくすぐったいよ」 まだまだ言い足りないくらいですが、 「社ってやっぱり思っていること全部私に伝えるよね。伝わっちゃう訳じゃないんだよね?」 そうですね。全部伝わってしまったらご主人様の寝姿を愛でる私の声で、毎夜安眠を妨げてしまいますからね。 「も、もう!そういうのはいいから!本当に何でも言っちゃうんだから!」 素敵な笑顔、頂きました。 申し訳ありません。夢追中お嬢様。 あなたは私があなたに対して何でも言うとおっしゃりますが、私には隠し事があります。 私は強欲なのです。 私はあなたを独占したいと常々思っております。 私はあなたとひとつになりたいと思っております。 私はあなたの喜びと楽しみを護るため、あなたの命を護っております。 しかし同時に、 私は――あなたの死を願っております。 私があなたの警護を、あなたに頼まれたときといえ、疎かにすることがある理由に気付いてらっしゃるでしょうか。 私が住居の中になぜ祭る神のいない神社を私の一部としたか、真意に気付いてらっしゃるでしょうか。 私は――あなたを私の中に住む神として祭りたいのです。 神社である私と、神社に祭られる神であるあなたと、永劫に同じ場所で過ごしたいのです。 そのために――私はあなたの死を願う心を、時に隠しきれなくなるのです。 申し訳ありません。夢追中お嬢様。 あなたは遠からずご自身の終着駅へと到着する方。 悠久の時を過ごし、付喪神となった私でありながら、そんなわずかな時を待ち切れない私をお許しください。 ただ、せめて、 あなたの短いその生に、 決して悔いなど残させぬよう、 病で身体の動かぬ時に、あなたを決して死なせない。 キャラクター名:小袖袴(付喪神である社の一部) 所持武器:病気の少女(社の主人である夢追中) FS名:所持武器への愛 FS:18 月読十萌SS「トモエちゃんの何でもないいちにち」【10点】 「うーん、今日もいいお天気☆」 あたし、月読トモエ!ごく普通の女の子だよ☆ うーん、しいて他のコと違うとこがあるといえば… 並行世界の行き来が自由に出来ることくらいかナ♪ あっ!これ、他のみんなには内緒だよっ! 「う~ん、ともえちゃん?おはよ~う」 「もう!お母さん、ご飯は作って置いとくからね! あとあたしのプリン勝手に食べたでしょ!ちゃんと買っといてね!行ってきまーす☆」 お母さんったらちょっと不死身だからってだらしないんだから! あたしの大好物のプリン勝手に食べちゃうし… でも、プリンおいしいから食べちゃう気持ちもわかるかもっ(笑) 「おっと」 「あっ!」 どし~ん♪ 「ごっごごごめんなさいっ!お怪我はありませんでしたか!?」 「いやあ、大丈夫だよ…君こそ大丈夫かい?」 「は、はいっ…きゃーっ!」 知らない人に人にぶつかっちゃってもう朝からついてないな~↓↓ 勢いあまってぱんつ見えちゃったかも… 今日はくまさんのぱんつだからちょっと恥ずかしいナ…/// 「いやあ、こちらも悪かったよ。立てるかい?」 「は、はい!」 よく見たら素敵なおじさま…☆ …だ、ダメよトモエ!あたしには心に決めた人がいるんだから…! いつかどこかの並行世界で見たあの人…そう、一目見ただけで「強そう!」って人だったな… 確か名前は、「だいぎんがちょーいちろー」だったかな? ああ…またあの人に会えるかな…☆ 「…み。君。ちょっといいかな?」 「え、はい!(ヤダ、もしかしてナンパ?///)」 「私こういうものなんだけど、君、カッターナイフなんて振り回して危ないじゃないか」 「え?…は、はい…」 「こういうものはちゃんとしまっておきなさい。ちょっとそこで話聞くから」 「あ、あの…これは能力を使うときに…」 「え?何?」 「はぅ…すみません…もうしません…」 「まぁ~たお主は人に迷惑をかけておるのか…」 「うう…だってぇ…」 この子は転校生のカグヤちゃん! 本当はすごい力を持ってるんだけど、楽しそうだから普通に学校に通ってるんだって! 同じ番長グループのトモダチだよっ! 「お主も、平行世界の扉を開くなどという大層な能力を持っておる割には要領が悪いのう」 「の、能力は関係ないでしょー!っていうかカグヤちゃんなんで知ってるのー!?」 「え?ああすまんすまん。というか、皆知っておると思うがのう」 「ええーーーーーーーっ!?」 ひそひそ・・・ひそひそ・・・ 「あ、ああ。アレね。知ってるわよ。カッターナイフで空間切り裂くんでしょ」 「でも使い勝手悪いよねw」 「ちょ、ちょっとー!!!やめてよぅ…!ヒミツにしてたのにぃー!!!」 「いや、普通に連絡網で回ってきてたよ」 「ええええええーーーーーーー!」 「ていうか能力使った後アンタまで他の世界に行く必要なくない?w」 「あ、あれは…!あれは…!だって誰か一人が代わりに向こう側行かないと…!」 「じゃあ死体を代わりに置いてこればいいじゃんw」 「む、むぎぎぎぎぎー!!!!」 「まあその…何じゃ。お主も大変じゃのう」 「もうやだー!大銀河さーん!」 ~~小袖袴SS 夢追中と愉快な仲間達とその日常~~【10×3=30】 ○秘めた想い ~夢追中の住処、社の在りし日~ ご主人様は今日も自室で読書ですか。 おや、雑誌をお読みになってらっしゃる。 何を読んでいるのでしょう。 「んー?美容と健康の特集。『食生活で健康な身体に生まれ変わる』って……さ」 ……なるほど。 今は夏の庭の果樹園が良い時期です。ちょうど食べ頃の美味しい桃を差し上げますよ。 美味しいものを食べれば、心はすぐに元気になりますよ。 「わ!桃!やった!ありがとう社!やっぱり夏は桃の季節だよね。 本当、この特集に載ってるものより桃を食べたほうが元気になれそうな…………へぇ」 どうしました?何か目新しい情報でも載っていましたか? 「『人体の細胞は90日で入れ替わる』だって。まあ誇張表現かもしれないけど、食べ物が人の身体になるのって早いんだね」 ………………ほう。 ――次の日 ご主人様。世の中には穀物や野菜、果物だけを食べて健康になろうという手法があるそうですね。 幸い、そういったものは私の菜園で全てまかなえますし、試してみてはいかがでしょう。 私の菜園で採れるものは他所のものより秀でていると自負していますし、昨日の雑誌にならって90日間、試してみては。 「うーん……90日間も治らないままっていうのは想像したくないけど、体が動くようになるまでは試してみるのもいいかも」 お早い決断、流石です。 それでは、はりきって美味しいものをたくさん作りますよ。 ――これで90日後には、お嬢様の身体は私の身体の一部で出来上がっているということに―― 「うん?何か言った?」 いえ、さっそく桃を用意いたしましょう。 90日後が……楽しみですね。 「そうだねー」 ○負けぬ想い ~夢追中の親友、オウワシの在りし日~ 「んんー!桃はやっぱり美味しいね!」 「桃好きだもんね(喜んでるなぁ)」 「なんだか三食桃だけで満足できちゃいそう」 「うん……(社の中で出来た食べ物ってことは、社は自分の身体を分け与えているようなものだよね)」 「桃ってどうしてこんなに美味しいんだろう」 「うん……(献身……だなぁ)」 「夏以外でも桃が出来ればいいのにねー」 「うん……(負けたくないなぁ)」 「でも桃ばっかり食べてたら夏バテになっちゃうかな」 「そうだね……(私にも何か出来ないかなぁ)」 「最近暑いし、何か力のつきそうなもの食べたほうがいいかな」 「!」 「?」 「あ、あのさ」 「うん」 「力のつきそうな物、なんだけど」 「何かあるの?」 「えっと、その、ね、よかったら……」 「うん」 「わ、私の卵!食べてみる!?」 「えっ」 ※卵を食べた夢追は非常に難しい顔をした後、「誰にも負けないぞ!ってくらいに強く自分を訴えかけてくる味だね。うん、力は本当につきそう」との感想を述べた。肉食鳥の卵は食べるものじゃないね! ○この想い、夜空に届け ご主人様、この際確認しておきたいことがあるのですが。 「なあに?」 あの鳥もご主人様を常に護っていますし、私もご主人様を常にお護りしております。 私とあの鳥と、お互いに補い合い、ご主人様を助けております。 どちらも負けじと、全力でお救いしております。 「うん、いつも助けてもらってる」 私の決してあの鳥には負けていないと思ってはおりますが、鳥の献身もまた確かなものであると思っております。 ですから―― ご主人様にとっての一番の守護者――その者の名前を教えていただきたいのです。 「ええ!?社にはいつも護ってもらっているし、オウワシには助けられっぱなしだし、一番なんて決められないよ。 ……なんて言っても納得しないんだよね?うーん……………… ひとりだけ……選ぶなら……」 選ぶならば? 「師匠、かな」 ※社の武道場に住む、夢追のお目付け役兼身辺警護兼武術指南役のこと ―― 「ちょっとちょっと!私の寝床をいつまでもゆらさないでよ! 私はあなたの言葉はわからないんだから一方的に絡まれたって何が言いたいかわからないよ! どうしたのさ!何かあったの!?いい加減に寝かせてよ! ……かなめー!かなめちゃーん!!カナー!!! ちょっと社のことどうにかしてー!」
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目次 あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行 用語 説明 あ行 悪魔契約 文字通り悪魔と契約する事。グールは総じて悪魔契約をしている イイネバト 生きたマッチングアプリ。初出1-7 育成 キャラ画面左下に設置されているボタン。キャラクターの育成を行う事が可能。アイコンのSDキャラはホーム画面に設置しているキャラに準拠する 一括装備 キャラクターに装備や守護霊を設置する時に纏めて設置するボタン。尚、装備画面が表示されている時は装備が、守護霊の画面が表示されている時は守護霊のみ一括対応となる 一括排除 キャラクターの装備や守護霊を一括で外す為のボタン。基本的な操作は一括装備と同じである 一般寮生 スティグマを持たない、グールでは無い生徒の事。どのようにして入学しているかは不明 IP(インスピレーションポイント) サボり場によって生産されるポイント。各教室から生産されるレポートが強化される ヴァガストロム 七つの寮のうちの一つ。支給される制服のメインカラーは黄。パーソナルストーリーでの寮アイコンは鎖 ウィルオウィスプ 鬼火の一種。俗称人魂 受取BOX ホーム画面下メールアイコン。配布された闘技場報酬を受け取る場所 泡沫マッチ 一般市民から記憶を消す為の道具。グールや呪いを受けた人には無効。初出プロローグ-9 占い猫 毎月一日から五日の間に発生するデイリーショップイベント。水晶玉をタップするとダイヤ購入時石が%分増加する。数値によって小吉、中吉、大吉が設定されている お買い物ボーナス 毎月一日から五日の間に発生するショップ内イベント。期間中毎日一定数の有償石を購入する事でR絵札を一種類獲得可能 オブジェクト 学園内に建設出来る種類の一つ。建築レベルに応じて各キャラクターのステータスを上昇させる オブスキュアリ 七つの寮のうちの一つ。支給される制服のメインカラーはマゼンダ。パーソナルストーリーでの寮アイコンはコウモリ か行 ガーラ 正式名称ダークウィック・ガーラ。その年最も優秀な寮に贈られる「栄冠賞」を与える為の儀式。去年から中止になった。初出4-4 怪異 世間では常識とされる道理や法則では無い生物や現象の事。オカルトやUMA等もこれに含まれる 怪異魚の水槽 「星くずの釣り場」で釣った魚を鑑賞する為ギルドに設置されている物。「不思議な猫たち」が居なくなると同時に消える 怪異薬 怪異にやられた怪我を治す薬。初出3-25 外交役 ギルド内における役職の一つ。一人のみ配備可能 怪具 グールが持つ能力行使の為の道具。固有道具の他、支給される銃もある 開発プラン 潜在能力を上げる際に選ぶ事が出来るプラン。能力薬と連動している他、ダイヤを用いるプランもある 学園行事 ホーム画面左下にあるボタン。開くと各種ショップが開ける 学園経験値 学園Lvを上げるのに必要な経験値。上昇方法は様々ある 学園収益 放置していた時間に応じて得られた報酬の事。学園画面に切り替えると確認可能 学園Lv ゲーム内におけるプレイヤーレベルの事。上昇するとストーリー攻略で恩恵を受けやすくなる 覚醒 二枚目以降の重複したカードを用いて行うカード強化の事。最大四つまで★の数が増える カジノ シノストラが経営する寮内施設。約半年前に星喰が寮長と経営権を持つ形でオープンした。初出4-10 狐の羽衣 黒いローブのようなもの。羽織って自身がなりたい者を想像するとその恰好に着替えられる怪具。主に潜入捜査の際に使用。初出2-14 CATSMO(キャツモ) 「銀河鉄道」に乗れる交通系ICカード。初出1-8 キャラ会話 学園画面においてキャラの頭上に表示される三点リーダ吹き出しをタップすると見られる特別な会話の事。初閲覧でリンゴを獲得可能 キャラカード キャラクターカードの事。主にガチャで獲得可能 キャンペーン 学園画面左上カレンダーと時計のボタンをタップで表示される、曜日毎に得られる恩恵 教室 学園内に建設出来る種類の一つ。建築レベルに応じて経験値とマネーを獲得可能 ギルド ゲーム内でプレイヤーが組める組織の事。役職が最大六つあり、必要に応じて任命される。主な仕事は釣りと怪異猫の撮影 ギルドショップ ギルド画面にあるギルド専用ショップの事。育成アイテムの他、箱の鍵も獲得可能 ギルドチャット チャット画面にあるチャットの一種。所属するギルドメンバーのみ参加可能 ギルド報酬 一日一回、盟主/副盟主/外交役の何れかから配布される報酬の事。中身は無償ダイヤ(受け取れる個数はランダム) ギルドレベル ギルド員に応じて上昇するレベルの事。上昇すると人員上限増加の恩恵を得られる ギルドメダル ギルドにログインすると貰えるアイテムの事。ギルドショップにて利用可能 銀河鉄道 任む中の主な交通手段。ゲーム内ではメインストーリーを攻略する為の戦闘入り口として存在する。初出プロローグ-5 グール 悪魔を喰らった人間に対する総称。強靭な体力と特殊な能力を持つ。寮長、副寮長はグールしかなれない クロスワールド チャット画面にあるチャットの一種。現在はボタンのみ存在、実装時期未定 軍師 ギルド内における役職の一種。一人のみ配備可能 経験の果実 通称リンゴもしくは赤リンゴ。キャラクターのレベル上げに使用 継承システム 魔除けの絵札と一部装備に実装されている、絵札及び装備付け替えの際に発生する引き継ぎシステム。任意でどれを継承するか選択可能 契約ガチャ 所謂ガチャ。絵札とキャラを入手可能 ケミストリー 最大まで覚醒させたキャラ、絵札を条件の下複数種類集める事によって得られるボーナスの事。一定量のアイテムの他、ステータス上昇の恩恵を得られる。尚、絵札によっては獲得条件が限られている物があるため注意が必要 限界突破の果実 通称虹リンゴ。キャラクターのレベル上げ上限解放に使用。レイド報酬の他、任務達成や学園施設のレベル上げ報酬にて確保出来る 賢者の祝福 魔除けの絵札、一部装備に設定されているステータス上昇ボーナスの一つ。上昇には「賢者の小瓶」が必要 コイン 『東京ディバンカー』の世界における通貨。ゲーム内では絵札の各種レベル上げに使用 国際怪異研究機関 DAを運営、管理する機関 さ行 サボり場 学園内に建設出来る種類の一つ。建築レベルに応じてIPを生産する 指南役 ギルド内における役職の一つ。何人でも配備可能 シノストラ 七つの寮のうちの一つ。支給される制服のメインカラーは赤。パーソナルストーリーでの寮アイコンはトランプ ジャバウォック 七つの寮のうちの一つ。支給される制服のメインカラーはオレンジ。パーソナルストーリーでの寮アイコンは四葉のクローバー 終焉の聖堂 特待生が学園内で寝泊まりしている場所。初出1-2 守護霊 「守護霊ショップ」で獲得出来る怪異。各キャラ三体まで装備可能 守護霊ショップ 学園行事内におけるゲーム内ショップの一つ。ショップの中にあるが購入要素は殆ど無い。現状守護霊の獲得出来る唯一の場所でもある 所持品 育成ボタン左側上ボタンをタップで表示される。現段階で所持している全ての宝箱、アイテム、装備品を確認可能。装備の売却はここから行う ショップ 有償石を購入する場所 親密度 特定の行動によって得られる、特待生とキャラとの絆の事。合宿の参加、星くずの釣り場、キャラカード限界突破、キャラカードの覚醒で上昇する。親密度に応じてパーソナルストーリーが解放される スティグマ グールが使える能力に対する総称 セットボーナス 魔除けの絵札及び一部の装備を特定の組み合わせでキャラクターに装備させる事で発生するボーナスの事 潜在能力 「能力薬」を用いて行う、キャラクターのステータスを強化させられるボタン 戦力値 キャラクターカードが持つ戦力の合計値。ページによっては切り上げ数値が表示される場合がある 装備 キャラクターに装着可能なアイテム。ステータス上昇が出来る。イヤリング(火のみ)、ネックレス(水のみ)、指輪(木のみ)、香水(全属性)、ブローチ(全属性)の五種類存在しており最大三種装着可能 た行 ダークウィックアカデミー 通称DA。特待生が居る学園の名前。怪異全般に対する研究や教育をする世界的組織の隠れ蓑にして教育施設。初出プロローグ-6 ダークウィック基金 VIP2にて解放される還元の一種。1000個石を消費する事で以降学園レベルが一定数到達する毎に無償石を貰える ダークマター デイリー任務30ptで得られるアイテム。コツコツ溜め続けるとプレミアムショップで育成アイテムと交換出来る タイムスリップ合宿 通称合宿。指定のキャラを合宿させる事で親密度上昇の他、学園経験値やマネーの獲得が可能 ダイヤが沸く井戸 毎月一日から五日の間に発生するショップイベント。600→1200の順番で石を投げられる。1200から先は月によって異なる チーム キャラクターを編成する画面。一班六人、キャラクターカード数に応じて班が増えていく。ステージによって潜入可能な班数が限られている為注意が必要 注目カード 学園行事内にあるゲーム内ショップの一つだがショップ要素は全く無い。その時行われているPUガチャの片方が設定されており、最大覚醒による恩恵をお知らせする場所 調査 一度クリアしたステージをもう一度、戦闘スキップで報酬を得られるゲームシステム 調査報告書 学園にとってとても大事な機密文書。グール達の任務によって作成される、機関の重要な情報源。初出1-8 DAちゃんねる 学園の生徒が利用可能な掲示板。初出2-9 デイリーショップ その日限定アイテムが並ぶショップ。ホーム画面真ん中付近にあるGのタグマークのボタンをタップで開く事が可能 闘技場 ヴァガストロム寮の地下にある施設。ゲーム内ではプレイヤー同士で対戦する場所。一日五回まで挑戦可能 な行 ナイトメアレイド 通称レイド。12 45と19 45から一時間開催される。最大で一部屋三人まで入って強力な敵を倒すイベント。どの時間帯でも三回勝利で参加権利を失う にゃんこウォーズ ギルド間バトルの名称。ボタンに表示される猫はホーム画面に置いているキャラに準拠する。近日実装予定 任務 ホーム画面契約ガチャ上にあるリストアイコンをタップすると表示される。 猫図鑑 ギルド画面左下肉球の冊子ボタンタップで表示。ギルドに訪問してきた猫を一覧で見られる。 猫のお土産 不思議な猫たちがギルドに来た時に貰える。「魔王のプリズム」の他、指定された訪問回数に到達すると育成アイテムも貰える 能力薬 潜在覚醒を行う際に使用。能力薬A、B、Cがあり一番強力なのはA。一定%に到達すると低い能力薬は使用不可になる。 は行 パーソナルストーリー キャラクターから特待生宛のメッセージとして閲覧出来る親密度上昇報酬シナリオ バルーンネコ 偶に学園画面を飛んでいる怪異。連続タップすると大量のコインを獲得可能 VIP 所謂課金者特典。有償石の購入額に応じてランクアップしていく。最大12 百科事典 所謂カード図鑑。キャラ画面左、顔の横文字の入ったカードアイコンをタップすると表示される。現時点で実装されている全てを閲覧可能 副盟主 ギルド内における役職の服長。最大二人まで配備可能 不思議な猫たち ギルド内にある水槽の魚に応じてやってくる猫。撮影成功するとチャットスタンプとして利用可能 プレミアショップ 学園行事内にあるゲーム内ショップの一つ。無償有償関係無く各種アイテムを石で購入可能。デイリー30p報酬の一つであるダークマターの唯一の使い場所は此処 フロストハイム 七つの寮のうちの一つ。支給される制服のメインカラーは青。パーソナルストーリーでの寮アイコンはチェスの駒 鳳凰ショップ 学園行事内にあるゲーム内ショップの一つ。ガチャ画面内デイリーで貰える緑色の羽は勿論、ガチャを回して得られた重複分の羽も利用可能。ショップ内は育成アイテムやSSRキャラの他、此処でしか獲得出来ない絵札もある為注意が必要 ホームキャラ ホーム画面に置けるキャラの事。レア度SR以上のキャラのみ配置可能 星くずの釣り場 一日一回ギルド画面にて行える釣りの事。不思議な猫を呼ぶ為の魚を釣れる ホタルビ 七つの寮のうちの一つ。支給される制服のメインカラーは紫。パーソナルストーリーでの寮アイコンは扇子 ホッジ 学園内に居る右手の怪異。赤いリボンが特徴的。人間観察が趣味。初出プロローグ-7 ポッジ 学園内に居る左手の怪異。黒レースの手袋が特徴的。人間観察が趣味。初出プロローグ-7 ま行 Milestone(マイルストーン) 学園の施設上げ報酬画面の名称。学園画面右側、猫耳と尻尾の生えた宝箱をタップで開く事が可能 魔王の祝福 魔除けの絵札、一部装備に設定されているステータス上昇ボーナスの一つ。上昇には「魔王の光」「魔王のプリズム」が必要 魔石 魔除けの絵札及び一部装備に付けられるアイテム。それぞれ最大三つまで付けられる。魔石ショップにて獲得可能 魔石ショップ キャラ画面右下石のボタンを押すと出てくる、魔石の欠片を魔石に交換可能の画面。レベルに応じて欠片の要求数が変化。レベル4以上でコインも要求される為交換の際は注意が必要 マネー 学園画面で獲得出来るアイテムの一つ。建物関係のみに利用可能 魔力ランク 魔除けの絵札、装備に設定されているもの。学園レベルに応じて上限が設けられている。強化するとステータス上昇される 魔除けの絵札 通称絵札。キャラクター毎に設定出来るステータス上昇アイテム。各キャラリンクボーナスが設定されており、ボーナスを得たキャラはステータス上昇される。キャラクターと属性が一致していないと装備不可 三日月ガチャ 学園行内にあるゲーム内ショップのうちの一つ。一日一回無料でガチャが引ける。月の絵具の主な獲得場所である他、ランダムで一部育成アイテムも獲得可能 Mr.モグの金脈 学園行事内にあるゲーム内ショップのうちの一つ。一日一回無料でガチャが引ける。装備錬成に必要な鉱物の主な確保場所。学園レベル40達成でレア度R以上の装備を作る事が可能 ミステリーダイナー 学園内に存在しているダイナー。店自体も怪異であり、店長も怪異。初出1-17 盟主 ギルド内における役職の一つ。ギルド長 メンバー ギルドに所属してはいるが、役職を得ていない人の事 モルトクランケン 七つの寮のうちの一つ。支給される制服のメインカラーは水色。パーソナルストーリーでの寮アイコンは三角フラスコ や行 ユニークスキル キャラカードが個別に持つスキルの事。覚醒を増やす毎に強化され、最大覚醒すると名称が変化する ら行 ランキング 各画面における表彰台のボタンにて確認可能。開く場所によって各種ランキングが表示される 理事長いいね ギルド員がどれだけ活動に貢献しているかを示す指標。貰う為の基準がある リンクボーナス キャラクターに特定の魔除けの絵札を装着する事で発生するステータス上昇の事。特定のキャラカードのみに対応 レポート 学園で建設した教室に配置されたキャラが自動的に生産するアイテム。猫耳宝箱ボタンの上、教室の強化に使用 わ行 ワールドチャット チャット画面にあるチャットの一種。所属するサーバー内の全てのユーザーが利用可能
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番長GSS 番長GSS【マークツー・フォー・セール】 雨竜院畢プロローグSS 【ゼロ・トレラント・フリースキル】 蝶乃つがいプロローグ【ドアーズデイ・ディバイス】 かってにちきちきしてもいいぜ 【ジ・アフタースキヤキ】 天野白草の妄想ノートより『花と華』 天野白草の妄想ノートより『萎花』 天野白草の妄想ノートより『全次元の統率者』 天野白草の妄想ノートより『刀と剣』 決めろ! キラメキファッション ~THE SUPER FASHION THE KIRAMEKI~第5ファッション 運命のダンゲロス本戦始まる!の巻 ダンゲロスよ、ありがとう! 弟を虜にする318の方法 【なんか番長陣営ってメカ多くない?】 Chocolate Rain バレンタイン・鬼吸 メタポイド RETURN OF DANGEROUSMAN 『ダンゲロス男になった翌日』 紅井涙子SS 「惨劇の記憶」 【マークツー・フォー・セール】 「…………っ……! かっ……あ、はあっ……!」 放課後の部室棟に響く、途切れ途切れの苦しげで少し甘やかな悲鳴と、甲高い機械音。 廊下を進んでいた一人の生徒が足を止め、教室の方をチラと見る。 『科学部』。 プレートに刻まれたその三文字を認識すると、生徒は何事もなかったかのように 元の進路へと消えていく。 超常的な力を持つ『魔人』たちの巣窟、私立希望崎学園。 『戦闘破壊学園ダンゲロス』の名で恐れられるこの学校の科学部で、人体改造や 人体実験が行われていないほうが、むしろ非日常なのであった。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 茅ヶ崎智沙希は、どこにでもいる普通の女の子であった。 気が早く、その割に押しが弱いところがあるが、真面目で心優しい性格をしている。 唯一、機械じみた耳だけが異質ではあったが、やや伸ばした髪で隠そうとする程度に 少女は自身の『普通じゃなさ』を厭い、また折り合いをつけてもいた。 生身の人間でありながら希望崎学園に入学したのは、コンプレックスだった自分の耳も、 そこでなら『普通』に映るかもと考えたからだった。 もしかしたら、異能への憧れも、少しはあったかもしれない。 異質な耳は「魔人なのでは」という疑いを呼び、少女には親しい友はいなかった。 単身臨んだ入学式で、少女はとりあえず、友達を作ることを目標にさだめた。 まだ見ぬ友達との楽しい学園生活……そんな淡い夢は、間もなく打ち砕かれるのだった。 「Mk-II、醤油とってくれ」 「…………」 「おい、Mk-II」 「私だって、届かないよ」 「伸ばせば届くだろう」 時刻は、午後八時ごろ。 娘の前腕の一部がスライドし、中から一本のケーブルが伸びる。 ふよふよと億劫そうに進んだそれは、テーブルの上の醤油に巻きつき、持ち上げ、 彼女の対面に座る父の元へと運んだ。 「ありがとう、Mk-II」 父の礼を、智沙希は無視した。 違う料理を運んできた母に無愛想を咎められるが、それも無視した。 ――――私は、そんな名前じゃない。 「やだわ、この子、反抗期かしら」 「難しい年頃だからなあ。Mk-IIはずっと良い子だったんだから、少しくらいひねた方が 可愛げがあるというものだ」 茅ヶ崎智沙希Mk-IIは、『普通』でも、『女の子』でもなかった。 入学初日、彼女は科学部に拉致され、そこで自分を機械と勘違いした部員たちによって、 解析的な、実験的な、口では言い表せないようなあんなことやこんなことをされた。 予測したデータとの食い違いに首を捻る部員たちを、智沙希は熱く潤んだ瞳で睨んだ。 ――――当たり前だ。私は、機械じゃない。 もっと調べる必要がある、などと話すこの人たちに、明日は文句を言ってやるんだ。 それは少女にとって、コンプレックスだった己の耳との戦いだったのかもしれない。 智沙希はそれからほとんど毎日科学部へ足を運んだ。 自分から進んで向かったこともあったし、部員に連れ去られたこともあった。 意地に突き動かされるように部員たちの前へと進み出、しかし肝心の押しは弱い。 故に言葉はたどたどしかったが、それでも精一杯の文句をぶつける日々。 そして、そんなことは意に介さず実験台の上へ転がされる日々が続いた。 「……な、なにこれ…………」 二年生に進級し、少しばかり経った、ある日。 けたたましく鳴り響く目覚まし時計を止めようとして手を伸ばすと、皮膚が開き、 腕から謎のケーブルが伸びて目覚ましを止めたのだった。 眠気は完全に吹っ飛んでいた。 「お、お母さんっ! 大変、私の手から、なんか変なのがっ!」 寝起き直後の着崩れたパジャマ姿で居間へと駆け込む少女に、両親はいつもと 変わらぬ調子で、呆れたように笑っていた。 「おはよう、Mk-II。どうした、怖い夢でも見たのか?」 「だらしない格好しちゃって、早く着替えてらっしゃい、Mk-IIちゃん」 「……えっ」 『智沙希』『ちさちゃん』と呼んでいた両親の認識も。 笑い合った友達や、叱ったり褒めたりしてくれた教師の認識も。 挙句、学校の書類や公的な記録も、なにもかも。 「――――これっ、あのっ、あなたたちの仕業じゃっ、」 「ヤッター! 茅ヶ崎智沙希Mk-IIの完成だー!」 「ちょっ……は、話を聞いてってばーっ!!」 もちろん、科学部の面々も含め、世界の総てにおいて。 茅ヶ崎智沙希は、茅ヶ崎智沙希Mk-IIとなっていた。 変わってしまったのは、少女か、それとも世界か。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 「なんなのよ、もうっ……!」 帰宅後、智沙希は制服のまま倒れ込むようにベッドにダイブした。 彼女を不可解な改名イベントが襲ってから一ヶ月が経った今も、彼女の心は 未だささくれだっていた。 「あいつら、ひとの話も、ろくに聞かないでっ……あっ、あんなこと……!」 思い出し、智沙希の頬がかあっと朱に染まる。 一体何をされてしまったのか筆者には皆目見当もつかないが、読者諸氏のなかに その博覧強記を以て看破された方がいた場合は、是非とも皆に教えてあげてほしい。 「なんで、私ばっかり……ううぅーーーっ……!」 頭から布団を被り、智沙希は機械じみた耳の後背部を、何かを探すように指でまさぐる。 微かな快楽の甘噛みに肩を震わせること数秒、少女はお目当てのものへと辿り着く。 それは端子の挿入口のような穴だった。 「…………んっ……」 確かめるように指を這わせ、固く閉じた智沙希の口から熱を帯びた吐息が漏れる。 と、少女は手首付近から一本のケーブルを引き出し、先端のコネクタ部分を慎重な 手つきでその穴へと導き、呼吸をひとつ、カチッと押し込んだ。 「…………っ!」 チチッ……チチチキッ……! 生理的な嫌悪感を掻き立てるような機械音が生じ、智沙希はより一層身体を震わせる。 「んっ……んあっ……! ふっ、ぅんんっ……!」 顔は紅潮しきり、目尻にはじわりと涙が滲む。 枕をぎゅうと抱き締め、耐えるように、甘受するように、智沙希は悦楽の波間に漂う。 「あっ……やっ、んんっ……!」 片手を制服の中に滑り込ませ、細い指が控えめな胸の上で躍る。 止め処ない快楽の怒涛に決壊する寸前、少女は抱えた枕を思い切り咥えた。 「……ん、んんんんっ――――っっ…………!!」 一際大きく少女の身体が跳ね、震える。 欲求かなにかを読み取って作動していたのか、同時に機械音も停止した。 「はあっ……はあっ……!」 しばし余韻に浸りながら、しかし真っ白な脳は不思議に回転する。 このひと月、彼女なりに調べ、考え、出した仮説がある。 まず、茅ヶ崎智沙希の身に起きた異変は、十中八九、魔人能力による現象であろう。 能力者の『認識』を他者に、世界に押し付け、定着させ、書き換える。 不服な『Mk-II化』の正体は、そのような『認識』で世界が上書きされたと推測できる。 では、『Mk-II化』は誰の魔人能力により引き起こされたものか? それは魔人能力の発現の特徴を考えれば、自明であった。 魔人能力の多くは『なりたい自分』を『なった自分』へと昇華するものである。 血統的に魔人覚醒する者など、例外もないではないが、今回のケースについては 大多数の魔人の同じ、自我の肥大化の結実と考えて差し支えなかろう。 すなわち――――、認めたくはないが、原因は、他ならぬ――――、 「Mk-IIちゃーん! そろそろ御飯よー!」 びくんっ! と布団を撥ね飛ばす勢いで跳び上がる。 幸い母の声は部屋の外から叫んだもので、己の『行為』についてはバレていない、ハズ。 「……明日、あいつらに、訊いてみよう、かな」 ――――忌々しい科学部の連中に頼るのは癪だが、認めてしまうのは、もっと嫌だ。 部員の誰かが能力で智沙希の存在情報が書き換えた可能性もある……かもしれないし。 とにかく、明日も尋ねよう。決意とともに、少女はケーブルを優しく抜いた。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 「よ、よし……今日こそ、頑張れ、私っ!」 科学部、部室。 その扉を前にして、智沙希は再三の気合を入れた。 決意を秘めた眼差しで少女は扉を開け、中へ。 「おお、Mk-II君! 良いところに来た! 実は新しい実験方法を思いついてだな、」 「あのっ!」 智沙希の発した大声に、研究意欲を露わにしていた科学部部長も思わず口を噤む。 イニシアチブをとることができた。 ――――これは、いけるんじゃないか? 智沙希は己を奮い立たせる。 「えーーーっと……。その、今日はですね、お、お話、というか……」 口を開けば、相変わらず語気は弱弱しかったが。 ・ ・ ・ 「……つまりMk-II君が魔人かどうか、魔人だった場合は能力を、解析すればいいのだな」 「はい……」 期せずして話はすんなりと通った。 科学部の面々は智沙希自らの実験の申出に「ようやく部員としての自覚が……!」と 瞳を潤ませていたが、否定するのも面倒なので智沙希は放っておいた。 (これで分かる、のかな……) 本当を言えば、智沙希は、既に自身の能力と、その背景について見当がついていた。 機械じみた耳は人を遠ざけ、少女には『居場所』と呼べるものが、自宅以外になかった。 そんな己のコンプレックスを恐れることなく、「良い」と、「素晴らしい」と。 そう認めてくれた科学部に、いつしか少女は安らぎを覚えていたのだった。 (だから、『こう』なのかも) 『Mk-II化』。身体からはケーブルが伸び、性別も無くなった。 科学部に溶け込むために機械化、というのは、我ながら単純な思考回路である。 苦笑し、いつもは無理やりに乗せられていた実験台に、初めて自分の意志で横たわる。 「よい、しょ……っと」 不安は、やはりある。ずっと、表面的には嫌悪感を露わにしていたのだから。 これが終わったら、少し恥ずかしいけど謝って、ちゃんと仲間に加えてもらおう。 取り付けられる器具にしばしば微かな声を漏らしながら、遂に実験が開始される。 「魔人能力は術者のリビドーが発現に関わることが多い。したがって、Mk-II君の メモリーの中で大量のリビドーが検出されたデータを抽出してみるが良いだろう」 「よろしくお願いしま……ん?」 ――――大量の、りびどー? 「おっ! ちょうど昨日の夕刻に膨大なリビドーの反応があるじゃないか! 能力のヒントがあるかもしれん! 早速モニターに映してみよう!」 ――――それってもしかして、いや、もしかしなくて、 「あの、部長、あのですね、ちょっと待、」 「出力!」 果たして全部員が見守る巨大モニターに、制服を乱し、胸元とスカートの中に 手を差し入れた智沙希を俯瞰するイメージ映像が映し出された。 途端に顔を真っ赤にする智沙希と、対照的に怪訝な表情でモニターを見つめる部員たち。 『んっ……ああっ……! やあんっ……! そっ、らめっ……!!』 スピーカーからも、桃色の大音量が流れ出す。 「んん? なんだねこれは……」 「や、やめてえええーーーっ! 見ーーーなーーーいーーーでーーーーーっっっ!!」 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 結局、この日の解析ではそれらしいデータは見つけられず、智沙希がただ恥をかいた だけで終わった。 「科学の発展に失敗は付き物! トライアル・アンド・エラーが肝要なのだ! 明日も、共に励もうではないか! Mk-II君っ!!」 「っ……、ぜ、ぜえーーーーーったい! 嫌!! です! もう来ませんからっ!!」 さっきまでの決意はどこへやら、そんなことを言い放った智沙希だったが、翌日以降の 放課後も、科学部室からは少女の苦しげで、甘やかで、楽しそうな声が響いたという。 おしまい 雨竜院畢プロローグSS 冷たい雨が朝の街を濡らしている。東京を焼いた核の炎を運良く免れたこの街にも、放射性物質を含んだ「黒い雨」は降り注ぎ、住民を怯えさせた。しかしそれも核の投下後せいぜい数日の話で、今降る雨はそれ以前のものと変わらない。 道行く人々の多くは、どこか憂鬱めいた顔で傘を差していた。放射性物質や重金属を含有する、しないに関わらず、現代日本では多くの人間に雨は疎まれる。それは雨を司る一族が居を構えるこの街でも変わりない。 大きく、古めかしい日本家屋の門を傘を差した男がくぐった。門には力強い書体で「雨竜院」の名を記された表札が掲げられている。平安時代の雨乞い師に端を発する、雨を司る一族・雨竜院家の屋敷だ。 玄関まで来た男は傘を畳むと、それを骨組みが視認できなくなるほど高速で回転させた。遠心力は傘が纏っていた無数の雫を引き剥がし、濡れる前の状態に戻す。 「ただいま」 2mを軽く超える巨躯を窮屈そうに縮めながら、男は自分の家の敷居をまたぐ。彼は雨竜院家の長男で、名を雨弓(あゆみ)といった。魔人警官の職に就いており、夜勤を終えて今帰宅したところだった。 「あら、お帰りなさい」 廊下にいた雨弓の母が彼を出迎える。とはいっても、「あら」という言葉やお盆を抱えているところからすると、何か別な用があってたまたまそこに居合わせたのだろう。 「金雨(かなめ)が風邪引いたのか?」 お盆の上に乗っているスポーツドリンクとアイスノンを見て、雨弓が問う。彼には2人妹がいるが、下の妹・金雨は身体が弱く、体調を崩して寝こむことも多かった。 その問いに対し、母は小さく首を横に振る。 「金雨じゃあないの……」 ✝✝✝✝✝ 「おかえりなさい……お兄ちゃん」 「ただいま、起こしちまったか?」 「ううん。もういっぱい寝たから、眠れなくて起きてたよ」 雨弓の上の妹・畢(あめふり)は自室でベッドに横になっていた。ドアの開く音にちらりと視線を向け、兄の姿を認めると上半身を起こしてやや苦しげに笑う。雨弓は母から受け取ったスポーツドリンクと、溶けたものに替わる新たなアイスノンを彼女に手渡した。 「熱は?」 「さっき計ったら、8度5分だって」 熱に頬を紅潮させ、大きな瞳を潤ませた妹を見て雨弓は不謹慎だが愛らしく思うと同時に、懐かしさを覚える。いつも元気なこの妹が学校を休むほど体調を崩すなどここ数年無かったような気がする。身体の弱い金雨は元気に登校したらしいのに、だ。 「他に欲しいもの、あるか?」 「ん……じゃあ漫画とって欲しいな。読みたいの」 そう言われ、本棚から漫画を数冊取り出す。その際、それらと同じ棚の端に並んだやや古い1冊の本の背表紙が目に留まった。この本棚に収まった数少ない活字のうちの1つであるそれは、「金子みすゞ童謡全集」と題されていた。 「じゃあ、俺は寝るわ。起きたらまた来るから、お前も眠くなったら寝ろよ」 「うん、ありがとうね」 畢に漫画を渡し、溶けたアイスノンを回収すると部屋を後にする。ドアを閉めた後、雨音に混じってやけに大きな鳥の羽音が聞こえたような気がした。 自室で部屋着に着替え夜勤に疲れた大きな身体をベッドに横たえると、やがて襲い来る睡魔に抗うことも無く、雨弓は眠りの世界へと落ちていく。その直前まで彼の頭にあったのは本棚の「童謡全集」のことだった。 そして雨弓は夢を見た。とても懐かしい夢だった。 ✝✝✝✝✝ 広い和室の中心に敷かれた子供用の小さな布団に、幼い畢が寝かされていた。熱に潤んだ瞳で天井を見上げていたが、フスマの開く音に、視線をそちらへと向ける。 「お兄ちゃん」 「ただいま、畢」 無作法に足でフスマを開けて入ってくるのは学校帰りの雨弓だった。大好きな兄が現れて、彼女は虚ろ気味だった顔に笑みを浮かべる。 着崩した学生服の下の体は屈まなければ鴨居に頭をぶつける程背が高く普通の大人よりずっと逞しいが、顔つきのあどけなさは彼がローティーンの少年であることを示している。 雨弓はどっかりと妹の布団の横に腰を下ろすと、抱えていた洗面器と長襦袢を脇に置き、彼女の汗に濡れた前髪をかきあげ額に手を当てた。まだ熱は引いてないことが、その掌を通じて伝わってくる。 「熱あって辛いだろうけど、汗拭いて着替えなきゃな。起きれるか?」 「無理……起こして」 甘えた声でそう言って天井に向けすっと手を伸ばす妹に、雨弓は苦笑いしその手を優しく掴んで体を起こしてやる。汗で肌に貼り付いた襦袢を脱がせ、洗面器に入れてきた濡れタオルで丁寧に身体を拭いていく。 「お兄ちゃん、雨止まないね……」 「ん、そうだな」 背中を拭いている最中、畢の発した言葉に雨弓が答える。 この日は朝方からずっと雨が降っていた。雨脚の強さには時間によって波があったが、絶えることなく屋根を叩き、屋敷中に音を響かせている。 「嫌いか? 雨」 「……」 雨弓の問いに、畢は沈黙する。 雨を司る雨竜院一族では、古来雨に感謝し雨を乞う神事を執り行い、風流なものとして詩歌を詠んできた。しかし、現代日本において雨は疎ましいものと捉えられがちである。幼い畢もそうした影響を受け、素直に雨を愛でようという気持ちにはなれなかった。 「……男の子は雨だと体育が潰れるって嫌がるし、傘差しても濡れちゃうし。それに、今日畢がおねしょした布団だって、雨だから外に干せないでしょ?」 「はは、そうだな。困るなあ雨は」 妹の言葉を否定するでも無く、雨弓は笑った。 背中を拭き終えると腕や脇の下にもタオルを這わせながら、「ん~」と何か思案するように唸った後、言う。 「でも、雨が降らなきゃ、生き物は生きていけないだろ?」 「……うん……」 「なんたって、世界で一番最初の雨は何百年も振り続けてそれが海になった、らしいぜ」 「ホント!?」 「親父が言ってた。その海から、生き物はみんな生まれたんだってさ」 半分ほど閉じられていた畢の瞳が驚きに見開かれる。くるりと振り向いて自分の顔を見る妹に、雨弓は口角を釣り上げた。 肩で結ばれた髪を解き、汗で蒸れたそれを梳くように拭いてやりつつ、雨弓はさらに雨の話をし続けた。古来、寝物語は最も幸福な会話形式である。それは恋い慕う男女間に限らず、親子間でも、兄妹間でも。 兄の口から語られる、神代の昔からの雨の物語、例えばイザナミの漏らした尿から生まれた雨の神の話だったりインド神話の雨を司る竜神の話だったり、に畢は夢中になっていた。古の王のように、眠りに就く前のあらゆる子どもたちのように。 新しい襦袢に着替えて布団に入った畢の頭上から言葉が雨のように降ってくる。 「ほこりのついたしば草を雨さんあらってくれました。 あらってぬれたしば草をお日さんほしてくれました。 こうしてわたしがねころんで空をみるのによいように」 (金子みすゞ「お日さん、雨さん」より) 雨弓が1つの雨の詩を読み終え、開かれた「童謡全集」へと落としていた視線を畢へ向けると、見るからにうとうとした様子で彼はフッと笑みを零す。彼が次の「睫毛の虹」を読み始めたとき、畢はもう眠りの世界へと落ちていた。 「雨弓君……畢ちゃん、寝た?」 「姉ちゃん、大丈夫?」 ススッとフスマが開いて、少年と少女が顔を出した。雨弓や畢の弟・時雨と従姉妹の雨雫だ。数分前、雨雫が畢の見舞いに来て一緒に部屋に入ろうとしたのだが、中で雨弓が畢に本を読んでやっている声に気づき、フスマのごく僅かな隙間から様子を伺っていた。 「本を読んであげるなんて雨弓君、畢ちゃんには優しいねぇ」 「俺は全方位に優しいっつーの! 時雨にも読んでやろうか?」 「お、俺もうそんな年じゃないよ! 姉ちゃんじゃあるまいし……」 畢の眠る部屋で、彼女を起こさないようにではあるが楽しげに談笑する。 その後、時雨と雨雫が部屋を出て行っても、雨弓は持ってきた漫画を読むなどしながら、畢の傍に付き添っていた。しかしやがて退屈さからか眠気に襲われ、あぐらをかいたまま船を漕ぎはじめる。 「お兄ちゃん、起きて!」 「……ん? 寝てたのか、俺」 数時間後、畢に肩を揺すられて雨弓は目を覚ました。その直後、漂う甘い匂いに寝ぼけ気味だった彼の意識は一気に覚醒する。 「赤飯……?」 開け放たれたフスマの向こう、居間に置かれた大きな机には夕食の献立が並んでいたが、中でも大皿に盛られ、湯気と共に美味しそうな匂いを発する赤飯が目を引いた。 「そう、お祝いでおばさんが炊いてくれたんだ」 いつのまにか和室に戻って来ていた雨雫がそう言うと、雨弓は彼女の顔をじっと見つめた後で合点がいったような顔をし、そしてだいぶぎこちない笑みを浮かべて言った。 「お、おめでとう雨雫」 「君は何か勘違いしてないか!?」 顔を赤らめて声をあげる雨雫。「勘違い」の方の理由で赤飯が炊かれるのはこの3ヶ月後のことだった。 「ボクね、魔人になったんだ!」 大きな明るい声で、そう言う。雨弓の目が大きく見開かれた。 「畢が魔人に……本当か?」 「うん! 夢を見たんだ。雨降りのときに傘を差してお散歩してる、すっごく楽しい夢! それで、起きたら『ああ、ボク魔人になったんだなあ』ってわかっちゃった。ほら、アレ!」 畢が指さした先。窓から見える外の風景――夜の帳が降りた中、ほんのりと浮かび上がる小さな光が降無数に降りそそいでいた。つい先程畢が覚醒した魔人能力『あまんちゅ!』により、雨に混じったゆとり粒子が闇の中でだけわかる程度に薄く光っているのだ。 雨を司る一族・雨竜院家だが、長男たる雨弓の魔人能力は降雨に関わる類では無い。だから畢の降雨能力への覚醒は非常にめでたいことなわけだが、雨弓にはそんな家の伝統などはどうでもよかった。 「それに、ほらお兄ちゃん凄いでしょ!」 畢はその場で跳びはねると、くるりと宙返りを決めて軽やかに着地する。数時間前まで熱を出していたはずの身体で。魔人覚醒は、病弱な少女に健康な肉体も与えたのだ。 「ああ、凄い! 良かったなあ畢」 妹の頭に手を乗せて、柔らかな髪をくしゃくしゃと撫でてやる。 雨弓は単純に嬉しかった。雨を厭いていた妹が雨を降らせる能力に目覚めて、それを彼女自身喜んでいることが。 この日が、魔人「雨竜院畢」の生まれた日となった。彼女は活発な性格になり、翌日には髪を短く切った。武傘「ウパナンダ」との出会いはまた少し先の話である。 ✝✝✝✝✝ 朝から続く冷たい雨が街を濯いでいた。現代日本では疎まれがちな雨であるが、今傘を差して外を歩く人々が憂鬱めいた様子かと言えばそうでもない。むしろどこか楽しそうにさえ見えた。 そんな中、一際楽しそうな様子で道を往く2人がいた。大男の差す大きな傘に小柄な少女が入り、手を繋いで歩いている。男の傘に入る少女の左手にもどういうわけか傘が握られているが。 「えへへ、ボク不良だねえ」 「そうだなあ、お袋に知れたら怒られそうだ」 「全く、雨弓さんは……」 夕方になり、すっかり熱が引き体調の回復した畢を雨弓は外に連れ出していた。畢があるところに行きたいと零したからだが、学校を休んだ病み上がりの妹を「もう学校終わってる時間だからいいだろう」と連れ出す警察官の兄というのは褒められたことではなく、畢の持つ「ウパナンダ」もぶつくさと言っている。 「あ、見えたよ」 「おお、久しぶりだなあ」 2人の視線の先には、神社が建っていた。畢は毎週参拝に来ているが、雨弓が来るのはこれが3度目である。そこは雨竜院家ゆかりの神社などでは無く、畢も初めて訪れたのは前年のことだ。 境内には社殿のみならず住居や道場、庭園もあって昔の武家や貴族の屋敷を思わせる広さだ。庭の石や池の水面、屋根瓦を叩く雨音が2人の耳を楽しませる。 「あ、オオワシちゃん!」 キョロキョロとあたりを見回した畢は、屋根の下で雨宿りする大きな猛禽を見つけるとウパナンダを差して駆け出す。「彼女」は、雨弓が眠っている間に畢のもとを訪れた客人(?)で、畢がここへ来たがった理由でもあった。 楽しげに話す2人を見ながら、雨弓は1時間程前のことを思い出していた。 具合のよくなった畢が自分に嬉しそうに話す。 「オオワシちゃんが帰った後、眠くなって寝たら夢を見たんだ! お兄ちゃん覚えてる? 小さい頃、ボクが魔人になった日の夢!」 雨弓は驚いた。自分が先程見ていたものと恐らく同じ夢。 昔の出来事を夢に見ること自体珍しいのに、兄妹揃って同じ日に同じ日の夢をとは。 (都合良すぎだろ……こういうの、なんて言うんだ? シンクロニシティ? ていうか――) 「奇跡」という言葉に思い至ったとき、脳裏をある少女の顔がよぎった。 奇跡を、夢を愛し、先程畢を訪ねたというオオワシに跨っていた1人の少女。妹と同じように、周囲を振り回す奔放な少女。 だから畢が「今日は無理だろうけど、お礼に行きたいな」と言ったときには、「じゃあ今行こうぜ」と連れ出した。実際奇跡なのかどうかなどわからないが、もしもこの奇跡を起こした存在がいるなら、恐らくそれはこの社にいるのだろうと雨弓は考える。 柏手を打つ音は雨音に掻き消されることもなく境内に響いた。 「みんなとずっと仲良くいられますように」 隣で妹が願い事を唱えるのを聴きながら、雨弓は神妙な顔つきで拝殿に向かっている。その横顔に、畢はかつてこの神社を訪れた日を思い出していた。 雨弓は夢に見たあの日から今までのことを思い返していた。 畢が魔人になったあの日から9年程になる。その間に当然だが色々なことが変わった。 時雨は魔人となって一家に貰われて行き、金雨が魔人になり、希望崎では友人も何人か失い、級友にも手をかけ、雨雫と付き合い出し、皆に驚かれながら警察官になり、雨雫を失った。血雨は十束学園を出て恋人を作り、恋人を失った。貰われてきた娘の涙も命を落とした。魔人の宿命なのか、得たもの以上を失ったのではとも思われる。 (あの子も、失くしたものの1つかな……) 少女の顔が再び雨弓の脳裏に浮かぶ。 かつてこの神社を訪れたとき、一番に祈ったのは雨雫の死後の平安だった。無論今もそれを願う気持ちはあるが、しかし今一番に思うのは……。 「お兄ちゃん、そろそろ行こっか?」 「おう、そうだな」 自分を見上げる妹の頭にポンと手を置く。 恋人さえ守れなかった男が願うことでは無いのかも知れないが、この妹が、悪意と敵意に塗れたあの戦争へ臨もうとしている妹が、命を落とすことの無いように、と。 畢が望むような慈雨が、その未来に降りそそぐように、と。 神事に携わる家に生まれながら殆ど信じていない神なるものに、そう祈った。 「ねえお兄ちゃん、小さい頃の夢見たって言ったでしょ?」 「ああ」 神社を出るとき自分より小さな少女とすれ違い、そちらにちらりと目を向けながら畢は問う。 「今日さ、その頃みたいに一緒に寝て……いい?」 「…………畢、お前」 「もうすぐ高校3年生でしょ?」 呆れる兄とウパナンダに、畢がシュンとする。すると、雨弓はボソリと呟くように言った。「今日だけな」と。今更言うまでもないだろうが、彼は妹に甘かった。 「えへへ、ありがとう! お兄ちゃん大好き―っ」 「雨弓さん……」 「寝小便すんなよ」 「し、しないよっ!」 優しい雨音をBGMに、兄妹とウパナンダは仲睦まじく会話しながら帰路につく。 騒がしい参拝客の帰った神社で、話す声があった。 「お参りの人来てたんだ?」 「ええ、よく来てくださる方です」 小さな少女――リズの問いに、灰を人型に固めたような、奇妙な物体――社が答える。「彼」は、この神社に棲まう、否、この神社そのものたる付喪神だった。 「いい人?」 「ええ、とても」 言葉を交わしながら、社は心中で詫びていた。自らが祀るもう一柱の神に。 (申し訳ありません、お嬢様。参拝客を、お友達を、事の次第によっては、私は殺すかも知れません) 愛し合う者達、憎しみ合う者達、敵対する者達、皆に遍く降りそそぐ雨はいつまでも止む気配を見せなかった。 【ゼロ・トレラント・フリースキル】 番長グループ所属、二年生の凛々島トウナは、良くも悪くも『真面目』であった。 おのれの欠点を恥じることなく晒し、平気でいられる者たちが我慢ならなかった。 ホーミング系の能力を持ちながらも苦手な投擲技術を鍛えんと努力し、手にマメすら 出来なくなるほどに繰り返した投擲特訓は、そんな彼女の人となりをよく表している。 風紀委員たちですら、彼女の前では襟元を正す。 核が落ち――――あるいは冥王星が衝突し、混乱を極める希望崎学園において、 トウナが所属する番長グループは学園の覇権を握るために、生徒会との決戦に臨む。 第十次ダンゲロスハルマゲドンの開幕である。 学園坂正門など、軽薄な者を多数擁する生徒会。 トウナは彼らを打倒する決意を固め、義憤の炎を瞳に宿す。 この頃、生徒会は戦力拡充のために役員の席数を増やしている。 番長グループ古参たちも、生徒会に対抗するための新戦力の補強に打って出た。 トウナも古参のひとりとして、優秀なる魔人のスカウトに奔走する日々が続いた。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 「うふふ、いいお天気……。きっと、素敵な一日になりますわねっ」 「ヒャッハー、その種籾をよこせー!」 「私のサイバネ蝶番は閉じたお前のロックごと扉を解錠してアバカム重点なんだよォー!」 新顔たちは、みな個性と強さを兼ね備えた猛者ばかりであった。 だが、そんな新顔たちの中に、トウナにとって我慢のならない連中がいた。 「……この服? 別に、目立ってもいいの。どうせみんないつか死ぬんだし」 ヴィオレッタ。『緋より紅し藍より蒼し(リンガーヴァイオレット)』の異名を持つ、 暗殺者の少女である。 ゴシックでロリータな服装を好んでおり、制服着用違反を犯していながら自分には 何らの『罪』もないと公言してはばからないその態度がトウナには我慢できなかった。 「校則違反は、明確な『罪』よ! いい加減認めなさい!」 「ふふっ……私は暗殺者よ。校則違反どころじゃない、多くの人間を殺めてきたわ。 でも罪悪感なんてないの。所詮は俗人の理だし、結局、みんな死ぬんだもの」 はぐらかすヴィオレッタに怒り心頭のトウナ。 そして、彼女たちの後方に聞こえる別なる『軽薄なる者』の声に振り返る。 「メカーッ! どうしてもヒーロー部に入れてもらえないメカよ! こんなときは ヤケSpriteに限るメカ!」 「えっ……それって、共食、」 「うるさいメカよ新入り! 新入りは新入りらしく、新しいSpriteでも買ってくるメカ!」 「うう、分かりました……」 茅ヶ崎智沙希Mk-II。科学部所属の、目も当てられないほど押しが弱い機械少女だ。 そもそも彼女が番長グループに所属しているのも、勧誘を断りきれなかったことに 端を発する。それを直さず、漫然としているのが鼻持ちならない。 「ちょっと、Mk-IIさん! 貴女もいい加減、嫌なことは嫌と、はっきり言いなさい!」 「ち、ちゃんと言ってるよっ。でも、みんな強引なんだもん……」 あくまでも自分に非はないと言う、その厚顔無恥が許せない。 ついでに言えば軽薄な百合原理が気に食わない。彼女は百合に一家言持っていた。 鉄球でぶん殴ってやろうかと思っていると、突如として周りの者たちが騒ぎ出す。 「や、『矢』が来るぞォーーーッ!!」 番長小屋の扉やら窓やらから、恐るべき量の矢が超自然的な軌道を描いて飛来する。 「きゃーっ!」「ふ、伏せろォーッ!」「危ねえッ!」 「ウギャアーーーーーーッ!!」 グサグサグサーッ!! と、矢は過たず、全て合鴨シュウの膝に突き刺さった。 一定範囲内で放たれた『矢』を自分の膝に引き寄せるパッシヴ能力『矢鴨事件』を 持つシュウは、しばしばこのように矢を誘引し、その度に番町小屋は阿鼻叫喚となる。 「合鴨先輩! いい加減にそれ、なんとかしてください!」 「い、いつも迷惑かけるわね、凛々島……。お詫びのしるしにこれを……ウグッ!」 そう言って、膝から抜いた矢をトウナに手渡す。 トウナは血の滴るそれを「要りません!」とすっぱり切り捨て、相手が先輩だろうと 構わず説教を始める。 「こんなんじゃ全く寛げませんよ! 誰ですか貴女をスカウトしてきた人は! 大体、」 「まあまあ、そこまでにしなされ」 と、仲裁に入る者あり。 彼――――否、彼女はダンゲロス男。名前と爺口調が紛らわしいが、女子高生だ。 元はダンゲロスが大好きな人間であったが、死後魔人として覚醒し、女子高生として この世界に転生したのだ。 クールビューティな風体からの爺口調がどうにもアンバランスだ。趣味も盆栽とかだし。 「わしらが出逢えたのも、全てはダンゲロスのおかげ……感謝を忘れてはならん……」 何事にも不平不満を言わぬ、その達観した態度すらトウナには不快に映った。 いやもちろん彼女自身ダンゲロスに携わる万物への感謝を忘れたことはないしそんなのは 当たり前だけれど、それ(本音)とこれ(ゲーム処理)とは話が別なのだ。 「もうこんなところにいられるか! 私は抜けさせてもらいます!!」 ――――こうして凛々島トウナは出奔した。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 「――――まさか、君と肩を並べて歩く日が来るとはね」 一時は敵対した二人。 彼女は彼を惰弱と断じ、彼もまた圧倒的不利と知りながら彼女と戦う決意をした。 凛々島トウナと学園坂正門。 クラスメイトである二人は、放課後、こうして生徒会室への道を並んで歩いている。 「勘違いしないで。私はまだ貴方を認めてはいない」 「手厳しいなあ。まあ、宜しく頼むよ」 正門だけでなく、生徒会にも不届き千万な輩は多い。 だが、トウナは学園の秩序を守らねばならない。 そのためには、かつて同じ釜の飯を食った仲である者たちをも倒す覚悟である。 「あ、学園坂せんぱい、凛々島せんぱい! お疲れ様です! ……凛々島せんぱい、今日も特訓、お願いできますか…………?」 「ええ。行きましょうか」 「はいっ!」 衿串三(えりくし まふてぃーなびーゆえりん)。 彼女は銃を武器として使うが、その才能はからきしだった。 故に、投擲において血の滲むような努力を重ねたトウナに弟子入りを志願し、 こうして特訓の日々を送っている。 鉄球と鉛球。投擲と射撃。FS1とFS0。 得物は少し異なるが、その胸に秘めた思いは同じ。 トウナと生徒会。そして、番長グループ。 決戦の日は近い。 蝶乃つがいプロローグ【ドアーズデイ・ディバイス】 「あははははは! 何それ! あはははははは!」 ドアノブ少女は門をくぐって現れた相棒の姿を見るなり、身をのけぞらせて爆笑した。 ――なお、読書の諸兄は御存じとは思うが、ドアノブ少女とは、三度の飯よりドアノブが好きな少女である。ドアノブかよと軽んじるなかれ、彼女は魔人でありながら雑誌のモデルをつとめたこともあるほどの美少女なのだ。 そのドアノブ少女が、笑い転げている。久しぶりに出会った『友人』の姿に。 「うふふふははは! 頭おかしい貴方! その腕! どうしたのよ!」 「開く」 少女――蝶乃つがいは、ドアノブ少女の目を真っ直ぐに見返した。 「もっと開く。開ける」 蝶乃つがいはドアノブ少女を見た。それから壁に向き直った。 そして腕を開いた……ナムサン! 異形のサイバネ腕を! 少女の上半身側面に増設された無数のジョイント部。そこに繋がれているのは、少女の肩上から、実に足元にまで達する、縦一メートル七十センチ、横幅五十センチ、厚み五センチ近くの、巨大な一対の蝶番(ヒンジ)なのだ! その扁平な腕部がために、蝶野つがいのシルエットの横幅は以前の二倍以上に見える事だろう。長身とは言え、スレンダーな少女の肢体に、この腕は残酷なまでにアンバランスであった。だが、これこそが彼女の望みであったのだ。 「……イヤーッ!」 彼女は右の蝶番で、壁に平行に触れる。 スゥーッ! 壁の一角が長方形に切り取られて外れ、少女の腰のひねりに合わせ、滑らかに九十度回転! 中空に留まる! 核ミサイルにすら耐えた希望崎学園の壁が、さながら超高級マンションの自動クローズ式ドアの如くに、呆気なく道を開く! 実際これは危険なことである――事実、彼女はここに来るまでに、核シェルターの壁を三コミュニティ分、銀行の金庫を七つ、魔人警官の戦車車両を三ケタ、高層ビルの大黒柱を数え切れぬほど――全てこの能力によって開閉してきている! 開閉すること、それだけが彼女の望みであり、彼女自身は盗みや直接的な破壊活動は行わないが――それによってどれほどの被害が生じたのかおよそ見当もつかない! 「あははッ! なんでも開けるのね、その腕!」 ドアノブ少女が笑った。手にしたドアノブを妖艶にねぶる。 「そう。開くだけ」 蝶乃つがいは頷き、蝶番(ちょうつがい)めいたサイバネ指の関節を、愛おしそうに舐めた。時刻はウシミツ・アワー。 「行こう」 「ねぇ、あのさ」 ドアノブ少女が蝶乃つがいを見上げた。 「楽しみ? ハルマゲドン」 ……蝶乃つがいは微笑んだ。 かってにちきちきしてもいいぜ 部室棟の廊下を小さな影が滑る。傘部の部長を務める2年生・雨竜院畢だ。この日傘部は休みで、彼女も弟の一四九〇と部室に寄って備品の整理をした後、友人と遊びに行くという彼と別れ帰ろうとしていた。 「んっ……あ、そこは恥ず……ふぁあっ」 「……!」 静かなはずの廊下に響く声。悲鳴と嬌声が入り混じったようなそれに畢は足を止める。前にもこんなことがあったような、と彼女は「アサルトファック研究部」の部室を覗いた夜とその後の自身の痴態を思い出し、頬を赤らめる。しかし、今この声が漏れ出すのはその部室ではない。 畢の視線の先にある部室はドアが僅かに開いていて、「科学部」の名を示すプレートがかかっている。彼女はこの甘い悲鳴の主に心当たりがあった。 「畢……ちょっと、また……」 ウパナンダに咎められながらも、ドアへ近づき、恐る恐る隙間から中を覗く。そこには畢の予想通りの光景が広がっていた。 ✝✝✝✝✝ 茅ヶ崎智沙希Mk-Ⅱは最近、自身の内から湧いてくる欲求に悩んでいた。そしてそれは性欲の類である、と自覚していた。無論彼女も思春期であるから、機械耳というだけの少女だったころからそれを鎮める行為を知っていたし、不本意に今の体になっても形を変えて残るそれにどうにか折り合いをつけていた。 ただ今湧いてくる性欲は今までとはどうも違うのだ。これまでは自分を慰めるとか、科学部で「ちきちき」されるとか、自身の体のみで完結していた。しかし今は自分以外の他者――それもある特定の人物に対して性欲を発散したいと思っている。無論押しの弱い彼女にそんな行為を迫る気にはなれないのだが、心中では快楽に翻弄されるその人物を浮かべながら自分を慰めた。 昼休みに校舎の屋上で、智沙希は自分の右手首を見つめる。思いつめた顔で手首を見つめる少女というのは傍目にはなかなかに危ないが、直後彼女の手首はガションと横にスライドし、手首の代わりに赤と緑のケーブルがウネウネと伸びてくる。 「岡田さん、ちきちきしたいよお……」 少女は呟く。 恋と呼ぶには些か怪しいが、焦がれる相手が少女にはいる。岡田さん――異世界からやってきたという編入生だ。八の字眉で困ったような表情の多い彼女、涙目の彼女、優しげに笑う彼女。そういった表情に惹かれ、そしてもしも自分が「ちきちき」したら一体彼女はどんな表情になるのだろうと思わずにはいられなかった。 この身体になったからなのか、元の身体でもそう思っていたかはわからないが、とにかく今の智沙希は岡田さんをちきちきしたいのだ。 「岡田さんをちきちき?」 頭上から声がして、ハッと顔を上げる。声の主が着ているレインコートが風で捲くれ上がり、座り込んだ智沙希と背の低い彼女の股間――パンツにプリントされたカエルさんが至近距離で対面すると形になった。 「畢……」 「お待たせ、智沙ちゃん」 弁当箱を抱えた友人の姿がそこにあった。 「それで……その岡田さんをちきちき、したいの?」 「う、うん……」 口に出してしまっただけに否定も出来ず、恥ずかしげに頷く。 畢は自分を軽蔑するのでは、と内心怯えていた。見た目も言動も幼い彼女はこうした性的なことに疎いと思ったからだ。それも、「ちきちきしたい」などと言うアブノーマルな願望。 入学当初、非魔人にも関わらずこんな耳の自分に積極的に話しかけてくれ、今も「智沙ちゃん」と呼んでくれ(畢も本名は「Mk-Ⅱ」と認識していたが)、一緒に番長グループに入ってくれた友人を失うのが彼女は怖かった。 「そっか……」 箸を置いて虚空を見つめ、思案するように沈黙する。智沙希が不安な気持ちで見つめていると、ポッと顔を赤らめ、そして再び口を開いて言った。 「智沙ちゃん、ボクのことちきちきしてみない?」 ✝✝✝✝✝ 部室棟にはもはや使われていない部屋がいくつもあり、施錠もされていないそれらは犯罪やいかがわしい行為に利用されていたのだが、その1つで智沙希は畢を待っていた。20分前まで科学部で「ちきちき」されていた火照りは未だ冷却されていないが、部室自体の温度は低く、科学部から借りてきた小型ストーブの電源を入れる。 (畢に見られてたなんて……しかもあの子が) 昼休みの屋上で、畢は科学部で智沙希がちきちきされるのを覗いてしまったこと、そしてそれを見て自分がいけない気持になってしまったことを告白する。智沙希のイメージと違い、畢は性欲が強かった。性に目覚めたのは遅く最近のことだが、目覚めたてだからこそか快楽に貪欲であった。 畢の申し出に驚き、戸惑いながらも発情した瞳でそんなことを言う友人に智沙希もまた劣情を催す。 今思い出しても息が荒くなり、ただでさえ敏感な耳の感度が上昇していくのがわかる。かつて女性器であった部分の温度もまた。 そうしているうちにドアが開き、部活を終えた畢が姿を現した。傘は持っておらず、エサをねだる子犬を思わせる表情をしている。ちょうど部屋は暖まったところだった。 「……じゃあ、その、よろしく」 「畢、本当にいいの?」 床にタオルを敷き、その上に座る。あれだけ積極的に来たにも関わらず、畢はここに来て妙にしおらしい様子を見せた。畢に経験は無いが、なんだか処女を捧げる前のようだ。実際、近しい行為と言えなくも無いが。そんな彼女を可愛らしく思いながら、智沙希はだからこそ躊躇してしまう。 「……うん、大丈夫! ちょっと恥ずかしくなってきちゃったけど、してほしいってのは変わらないから。智沙ちゃんは嫌?」 「う、ううん。でも……」 「智沙ちゃんがしないなら、ボクがくすぐっちゃうよ?」 そう言って、畢は手を伸ばす。智沙希の髪に隠れた、生来の機械耳に。耳の縁を、畢の小さな手がツツ……と撫でた。 「ひゃうっ……!」 性感帯を刺激され、電流のような快楽が智沙希を襲う。自分や科学部員達以外では初めての人からの、不意打ちの愛撫にビクンっと大きくその身を悶えさせた。智沙希が「や、やめっ」と拒絶しても畢は止まらない。 「……も、もう!」 両手首がガションガションとスライドし、それぞれの中から先端に別なパーツの付いたケーブルが伸びてくる。右のケーブルが畢の脇の下へ、左は脇腹へと這う。 (そう、それでいいんだよ智沙ちゃん……) 「アッハハハハハハハハハハ! ヒャッ!! アフン! ハッハハハハハハハハ!!」 畢は敏感なようで、くすぐりが始まると、すぐに笑い出した。涙を流し、座っていられなくなったのか床にごろりと崩れて笑い転げる。そして痒みはすぐに快楽へと摩り替わってゆく。 「アッヒャ、ンン……ッ!! ら、らめえ……アアっ!」 頬が上気し、笑い声にも嬌声が交じる。ケーブルがくすぐる白い腿の付け根には湿り気が生じ、下着に染みをつくってゆく。膨らみの無い胸の先端も固く尖り出していた。そして畢を責めながら、智沙希も端子の付いたケーブルを股間の「挿入口」へと伸ばし、慰め始めたのだ。 以下は、畢の10分程続くちきちきへの反応のダイジェストのようなものである。 「ンアーッ!! もう、やめ! ボクおかしくなっちゃうううううっ!」 「ひぐっ……やめて、やめてよぉ智沙ちゃん、らめなのぉ……ボク、もう」 「出る……出ちゃうよぉぉぉっ!! 智沙ちゃんにかけ……あああああっ」 「だめなのぉ……そこは、そこされたら、ボク……」 「アッ…………ひ……フヘ……へ……」 ✝✝✝✝✝ 「……」 「……」 降りそそぐ熱いシャワーが2人の体に付いた色々なものを洗い流していく。畢が前に雨は心の重たいものも洗い流してくれると言っていたが、今智沙希に降りそそぐ雨にそんな効果は無いようだ。 畢が発狂寸前なところで智沙希はやっと我に返り、彼女が正気に戻ると部室棟に備え付けられたシャワールームへ一緒に来たのだ。2人の間の沈黙が智沙希には痛かった。いつもお喋りな畢が今は一言も発さず、ただシャワーを浴びている。空間に響くのは水音のみだ。 いつも押しの弱い性格だったから、その反動で抑えが効かなかったのだろうか。しかし、そんなことは被害者には何の言い訳にもならない。 「ごめんなさい、畢。やめてって言われたのに……怒ってるよね?」 仕切りの向こうの友人に詫びる。数秒の沈黙の後、声がかえってきた。 「そりゃあ……」 その答えに智沙希はビクリとするが、畢はさらに続ける。 「凄く、苦しくて恥ずかしかったよ……お腹も顔もつっちゃうし、おしっこはまだしも……」 一度洗った小さなお尻に、畢はまたシャワーを当てた。 「でも、智沙ちゃんにもかけちゃったし、それに最初の方はね、すっごく、その……気持ちよかったし、楽しかったよ」 その言葉にハッと顔をあげ、仕切りの向こうにいるだろう畢に目を向ける。畢はシャワーを止めるとピョンと飛び跳ねて仕切りの縁に掴まり、上から顔を出した。シャワーを浴びる智沙希の裸体を見下ろす形になる。 「畢……」 「だからね、ちゃんとやめてくれるなら、ボクは平気。元々ボクがしてって言ったんだし、さ」 引きつり気味な顔の筋肉で畢は笑う。智沙希は彼女が優しいな、と変態だな、と思って目頭を熱くした。 「岡田さんにも優しくちきちきして、気持ちよくなって貰えるように頑張ろうよ! ボク応援するよ」 「うん、ありがとう……」 シャワーを浴び終えて、身体を拭いた2人は全裸で固い握手を交わした。畢は右手、智沙希は右ケーブルで。 智沙希が思いを寄せる少女――岡田さんが属する生徒会とのハルマゲドン開戦が決まるのはこの少し後の話である。 【ジ・アフタースキヤキ】 どうして おなかが へるのかな けんかをすると へるのかな なかよししてても へるもんな かあちゃん かあちゃん おなかと せなかが くっつくぞ 核爆発によって壊滅した東京。 その荒れ果てた地に歌が響く。 時折とぎれる合間に耳を澄ませば、 ガリガリ ゴリゴリというような音が聞けるだろう。 その歌その音の主は荒野には似つかわしくない10歳程度の少女だった。 頑是無い少女、杉原昼子は崩れたビルの壁らしきものに腰掛け、 歌いながら時折、そこらの鉄骨やコンクリートを口に運び、 ガリガリ ゴリゴリと齧っている。 こんな所に少女が一人でいるのも不自然だが、 金属やコンクリートをいとも平然と齧り飲み下す様は、 いっそ不気味だ。 こんな荒野にも人はいる。核爆発の僅かな生き残りが逞しくも生きている。 だがその多くは大人で、群れている。 幼い少女が一人で生きられる土地ではないのだ。 まれに通りかかる者も、 何か見てはいけないものを見たような顔で、 遠回りして避けていく。 そんな昼子に話しかける女子高校生の声、 「こんばんは素敵なおチビさん。お隣いいかな?」 言うだけ言って、返事は待たずに天海真美は隣に腰掛ける。 そして、それ美味しいそうだね。などと言いながら、 手にしたスプーンで鉄骨をひとさじすくい口に運ぶ。 鉄骨のその一欠けはふるり ふるりと揺れ、 ガリガリともゴリゴリとも音を立てずにするりと喉を過ぎていく。 「うん、やっぱりプリンは最高だよね!あなたも食べる?」 見た目は鉄骨の欠片だがその柔らかな揺れ、微かに漂うバニラ、 それは間違いなくプリンである。 子供にとってプリンの魅力は絶対。 いつの間にか開いていた口の端からよだれがつぅと垂れる。 それを見た真美はプリンを口に含むと昼子と唇を合わせ、 プリンをそっと送り込み舌と舌を絡め味蕾の一つ一つにしっかりとなすりつける。 「ん、ふ……」 口を塞がれた昼子はたまらず鼻で息をつき、鼻腔にバニラが満たされる。 ファーストキッスはプリン味。 「ふふ、いきなりでごめんね。 スプーンが触れたとこがプリンになっちゃうからあーんしてあげられないんだ」 そう言ってまたひとくちキスをする。 ふたくちみくちとキスをして、鉄骨一本消える頃。 「あなたひとり?だったら、ねえ、一緒に来ない? 私ね、希望崎学園ってとこにいるの。 ずっと向こう、海の上にあるから壊れなかったんだよ!」 だが昼子は俯き、そしてコンクリ片を拾うと、 ゴリ とひとくち齧って齧り跡を見せる。 「ん?……ん?ん?あー!大丈夫だよ!! うちは誰もそんなの気にしないよ! 変なのがいーーーーっぱいいるからね。そんなの超普通だよ?」 言ってずばりと左手を差し出す。 その手をじっと見つめる昼子。 右手のスプーンを口に運ぶ真美。 見つめる昼子。 口に運ぶ真美。 昼子。 真美。 「あ、そっか、知らない人に付いて行っちゃダメだよね。 私は真美、天美真美。あなたのお名前は?」 そういう問題ではないのだけれど、つい勢いに押されて、 「昼子」 と答えてしまう。 「いい名前だね。なんだかぽかぽかするよ!」 そうして真美は、これで問題は無くなったものと昼子の手を取り歩き出す。 左手はあったかい女の子、右手はおいしいプリンをすくう。 プリンの味のキスを重ねてふたりの少女が希望に向かって歩いていく。 食べても食べても満たされないけど、なんだかとてもずっとしあわせ。 嬉しくなってぴょんっと跳んでふたりあわせて歌いだす。 どうして おなかが へるのかな おやつをたべないと へるのかな いくらたべても へるもんな かあちゃん かあちゃん おなかと せなかが くっつくぞ 天野白草の妄想ノートより『花と華』 =========== 縄張り争いに負けたホストの乙部こうきは敵対勢力の手に堕ち、凌辱されてしまう。 凌辱を手掛けたのは希望埼学園内遊郭の首魁・神田六馬。 彼の手管によって乙部の精はあの手この手で絞りつくされた。 干からび、素っ裸でゴミ捨て場に投げ捨てられた時、乙部は復讐を誓った。 「俺は死なねぇが…テメェは死ねッ!」 ―――――時は満ちた。 いざ、決戦のバトルフィールドへ!! 天野白草の妄想ノートより『萎花』 =========== 幼き日、毛利勘太郎は気味の悪い雰囲気をネタにいじめられていた。 幼き日、麦田しげるは気の弱さをネタにいじめられていた。 殴られ、蹴られ、罵られ。 そんな永劫とも思える苦痛の日々を過ごすうち、毛利は卑屈な気持ちに飲み込まれてしまった。 いじめっこの死体をぶちのめす妄想にふけり続け、ついには魔人として覚醒したのだ。 一方麦田は、どんなに打たれても、踏まれても、アスファルトに咲く花のように挫けず、ついには不屈の能力を持つ魔人として覚醒した。 それから時は過ぎ、二人は出会った。 片や未だに不良のサンドバック、片や不良も恐れる鋼のバンカラ。 その明暗は綺麗な程にくっきりと分かれていた。 卑屈に腰を曲げて揉み手を繰り返す毛利と、胸を張り威風堂々と闊歩する麦田が同じ背丈だと気づく人間がどれだけいるだろうか。 故に毛利は麦田が許せなかった。 毛利には麦田の存在が眩しすぎたのだ。 「昔はワシもいじめられとった…、がっ! 今はご覧の通りじゃ お前さんも男だったらしゃんとせい そうすりゃあ、今日みたいなことにはならん!」 厳しい語調ながらも、勇気づけようという気持ちを乗せて麦田は言った。 「へっへっへ、すみませんすみません」 できっこない、誰もがお前のように強く生きられると思うな。 そんな想いを噛み殺して、毛利はへこへこと受け流した。 毛利には麦田の存在が眩しすぎる。 『もし、自分も不屈の心で立ち向かっていたならば、あんな風になれたのだろうか?』そんな考えが頭をよぎる度、今の自分とのギャップに悶え苦しんでしまう。 できっこない、できるはずがない。 遥か高みから見下ろしてくる太陽のような「理想」にジリジリと炙られて、麦田の心の花は萎れていく。 『奴を消さないと……。オレは…… オレはッ――――― ―――――時は満ちた。 いざ、決戦のバトルフィールドへ!! 天野白草の妄想ノートより『全次元の統率者』 =========== 兎守 境は次元の旅人である。 1つめの世界で彼はパートナーである兎と次元を渡る能力を得、家族を失った。 まもなく、その世界は滅びた。 2つめの世界で彼は旅人としてのスキルを得、親友を失った。 まもなく、その世界は滅びた。 3つめの世界で彼は新しい家族と新しい幸せを得、その世界で得たもの全てを失った。 まもなく、その世界は滅びた。 そして4つめとなるこの世界、希望崎学園で、彼はまたしても出会ってしまう。 全ての滅びの元凶に。 「(……ははっ、覚めない悪夢みたいだ)」 もう4度目の遭遇だというのに、その不気味な気配に慣れることは無い。 全身から水分という水分が夥(おびただ)しい勢いで噴出する。 足が震え、恐怖のあまり胃液が逆流しそうになる。 声を出すことはおろか、視線をそらすことすらできない。 限界まで高鳴った鼓動はしかし、体を動かすには至らない。 「「ギューーッ!」」 重苦しい呪縛を裂く、パートナーの兎の鳴き声。 その声に勇気づけられて彼は言葉を絞り出す。 「もうっ…逃げない……お前をこの世界で……倒すッ!」 少年・兎守の必死の宣戦布告に対し、 男のような、それでいて女のような、 若者のような、それでいて老人のような、 そんな声でその存在、『別次元のこうい生命体』は発した。 「ハルマゲンドンで決着をつけよう」 ―――――時は満ちた。 いざ、決戦のバトルフィールドへ!! 天野白草の妄想ノートより『刀と剣』 =========== 「ヒャッハー! 種籾をよこせー!!」 希望崎学園にこだまするモヒカンザコお手本のような恐喝文句。 それを受け、か弱き民の涙の血と涙を見逃せない世紀末救世主様がどこからともなく颯爽と駆け付け、モヒカンザコに対してオーバーキル気味な殺人拳法をくらわせる。 奇天烈な断末魔をあげ、水風船のように顔面を破裂させ息絶えるモヒカンザコ。 ここまで、教科書通り。 救世主様が立ち去った後、しばらくして、爆散したモヒカンザコを取り囲むように別のモヒカンザコ達が集結しはじめた。 「ヒャッハー!(先生ッ 今日も素敵な死にっぷりでした!)」 「ヒャッハー!(先生、このタオルよかったら使って下さい!)」 「ヒャッハー!(先生!どうやったらあんなに上手に死ねるんですか!)」 先生と呼ばれたモヒカンザコはむくりと立ち上がり、受け取ったタオルで自らの血と脳漿を拭って言った。 「ヒャッハー!(洗練されたモヒカンザコは日々の精進によってのみ成る。鍛錬を怠らないことだ。)」 「「「ヒャッハー!(せっ、先生!)」」」 彼こそは『モヒカン先生』 伝統芸能としてのモヒカンザコを後世へ伝えることこそが彼の使命である。 先生を湛えて賑わうモヒカンザコ達の前にエストック(鎧刺しの剣)を構えた少年が現れた。 それをいち早く察知したモヒカン先生は優しく生徒たちに言った。 「ヒャッハー!(教科書56Pに載っている問題の類題だ。簡単だろう?)」 それを受け、モヒカン生徒達は思い思いの台詞でもって闖入者を口汚く煽りたてる。 「ヒャッハー!(そうだ、いいぞ。なかなか形になってきたじゃないか。)」 生徒たちの成長を喜ぶ先生のモヒカン言語を理解していたかは定かではないが、少年は大きく舌打ちをした。 次の瞬間、先生以外の十数人のモヒカン生徒達は、少年の放った閃光のような剣技によって肉塊と化した。 「アヒィ 頼む、殺さないでくれェ~~!」 その事態を受けて、型通りの命乞いをするモヒカン先生に少年はまた大きな舌打ちをした。 腰から砕けて地べたにへたりこみ、小便を漏らすモヒカン先生の足元にカシャリと音を立て、何かが落ちた。 それは一振りの日本刀であった。 「剣士としてお手合わせ願えないだろうか、モヒカン先生……いや、『白金翔一郎』さん」 少年こと学園坂正門はフェンシング部に所属する魔人である。 彼は、『剣の魔人』の号で恐れられた希望崎学園を代表する魔人剣士・白金翔一郎に憧れ剣を手にし、以来真面目な性格に由来する弛まぬ鍛錬によって確かな実力を持つに至った。 そんな彼の最終目標は白金翔一郎と切り結び勝利を収めることであったのだが、しかし。 「ヒィィィ~~~~ッ!」 お目当ての白金翔一郎はご覧の有様である。 少年はひときわ大きな舌打ちをした後、 「今のあなたを殺す気にはなれない 来るハルマゲドンで、『白金翔一郎』としてのあなたを殺したい」 そう言い残して去っていった。 残された先生は周囲に人のいないことを確認した後、日本刀に手をかけた。 スラリと引き抜かれた刀身に映った瞳は「剣士」の、「白金翔一郎」のものであった。 ―――――時は満ちた。 いざ、決戦のバトルフィールドへ!! 決めろ! キラメキファッション ~THE SUPER FASHION THE KIRAMEKI~第5ファッション 運命のダンゲロス本戦始まる!の巻 アオリ文:キメてやる! 青春のしまむらファッション ≪オレことしまむらのひろしはBAD BOYの服を着るのをやめた… そしてついに俺たちの夢の一歩となる開戦の笛がなった。≫ ピィーッ! ワーワー バタン! しまむらのひろし「え!? 何だ!? GKが倒れたぞ!?」 浅草ランドウ「ひろし…GKは…」 ひろし「ダメだ…死んでる」 ランドウ「そんな! 試合は始まったばかりなのに!」 ひろし「ん? 何かダイイングメッセージを残している… これは殺人事件だ…!! この『ε』の文字に手掛かりがあるはずだ!」 アキカン(緑)「よく考えるメカ ひろし君!」 【ひろしの相棒アキカン(緑):とっても愛らしくて人気者】 ダンゲロス男「これは えらいことじゃぁ~~~っ 儂、怖くて死にそうじゃぁ~~~っ」 ひろし「ゲロ男 心配するな 犯人はオレが必ず見つけてやる!」 ゲロ男「ひろし君…儂 ずっと前からひろし君のことが…」 ひろし「(も…萌え…!!)」 別次元のこうい生命体『*Hallow World*』 ひろし「お…おばけが出た!!」 乙部 こうき「チクショー ダンゲロスなんてくだらねぇ遊びやってられっか!」 ドカッ ひろし「グアアーー! いきなりなにすんだ乙部!」 乙部「やめてやる! ダンゲロスなんてやめてやるぜ! 誰も俺のことなんてわかってくれねぇんだ!」 ゴゴゴゴゴ… ひろし「(な 何てことだ… 乙部がグレやがった こんな時に…!! これじゃ試合にならない! クソッ やるしかないのか… 仲間だけには使いたくなかったあの技を!)」 ミョミョミョミョミョ… 乙部「 !! な 何だ!?」 ブシュウ ブシュウ 乙部「グ…グワアアーーー!! 何かが…何かが俺をしめつける! これは一体…!」 ひとし「俺の能力はどんなピンチでもあきらめない俺を見た相手を意のままに操ることができる『明日へと繋がる希望の光』 乙部…悪いがおとなしくしてもらうぜ!」 アオリ文:これがひろしの能力!! バトルが始まる…!! 第5話おわり →3月号は、乙部の恐るべき能力が明らかに!?そして真犯人とお化けと恋の行方は……必見! ダンゲロスよ、ありがとう! 1人の老人が今生涯を終えようとしていた。ベッドの上、全身を機械に繋がれた彼はヒューヒューと喘鳴音を漏らしている。 人工呼吸器の下、酷く苦しげにではあるが何か言おうとして口をパクパクと動かす。 「こ……ダ……無し……」 死を目前にして彼が思うのは妻子や孫、曾孫のことでは無かった。 そもそも彼は生涯独身、92歳童貞。医師や看護婦の他にこの病室にいるのは、兄弟やその子、孫である。 彼が童貞なのは、モテなかったからでは無い。ある種、宗教者のそれに近い感情からである。 神仏に仕える僧のように、彼はダンゲロスに生涯をかけて仕えた。少年時代、ダンゲロスに出会ってからダンゲロスのキャラクター以外に欲情したことは無い。 ビッチに逆レイプされるのを、触手に犯されるのを想像して自慰に耽った。 3桁を超える数のキャンペーンを主催し、書いたSSの字数は億を超え、本戦のスタメンを逃したことは1度も無い。 先輩だったメンバーや、創始者の架神恭介が鬼籍に入ってもその情熱は色褪せず、生涯1プレイヤーであり続けた。 安楽死が法で認められていながら、彼は激痛に耐えながら最後のキャンペーンに参加した。今病室の外には彼を慕う多くのプレイヤーが集まっている。 脳内を走馬灯のように駆け抜ける、ダンゲロスプレイヤーとしての数え切れない思い出。 「何か言いたいのか、大叔父さん?」 親族の1人が呼吸器越しに彼の最期の言葉を聴き取ろうと耳を近づける。 蚊の鳴くような声で、残り僅かな命を振り絞って、老人はその言葉を吐いた。 「この先……DANGEROUS……命の、保証、なし……!」 直前まで苦悶の表情を浮かべていた顔に、その瞬間だけは穏やかな笑みが浮かんだ。 心拍数を示すグラフの小さな振れ幅が、完全に0になる。老人は「この先」へと旅立っていった。 ✝✝✝✝✝ 「この先、DANGEROUS! 命の保証なし」 彼の目の前では立て看板が血のように赤い字で「この先」の危険性をそう警告している。 その下には矢印が添えられて、「私立希望崎学園この道を400m先」と。 「な……あ……こ、ここは……?」 何が起こっているのかわからなかった。 自分はあの時、あの病室で死んだはずだ。死後の世界とやらに行くのか、現世を霊となって彷徨うのか、無に還るのか――今目の前に広がる光景は、そのどれとも噛み合わない。 この立て看板、これではまるで。 「おい、姉ちゃん!」 背後から野太い声が飛んでくる。自分のこととは思わなかったが、反射的に振り向くと学生服を着た男子高校生数名がウンコ座りをしてタバコをふかしていた。 彼らの視線は明らかに自分に向いており、周囲を見回しても、自分以外に人の姿は見当たらない。 「『姉ちゃん』というのは、ひょっとして儂のことか?」 「はあ? 他に誰がいんだよ!?」 自分の身体を見下ろしてみる。スカートの裾から覗く、白い脚。白魚のような手。 シワだらけで老人斑が浮き出ていた手足に、今は10代のハリとツヤが戻っている。髪は黒く、長い。 「何が、いったいなにが起こったのじゃ……まさか」 「その先に行ったってろくなこたあねえぜ。書いてあんだろ? 『この先、DANGEROUS! 命の保証なし』ってよお。この先は魔人の巣窟、『戦闘破壊学園ダンゲロス』だ」 「そんなとこ行くよりよお、俺らと遊ぼうよ。いっぱい気持ちいいことしたげるからさあ」 軽薄な口調で、男達が言う。それ自体はどうでも良かったが、1人目の男が、決定的なことを口にしていた。 「おい、小僧! 貴様今言ったな? 『魔人の巣窟』と。魔人がおるのか? あの希望崎なのか、ここは」 「そりゃあ、何をいまさら。近所どころか日本中誰でも知ってるぜ? 日本一の魔人学園希望崎のことはよ」 「あんたみたいな可愛い子が踏み込んだら2秒でレイプされちゃうよ? 俺らならもっと優しく……うぉっ?」 驚かれるのも無理は無い。突如、目の前の美少女の頬を涙が伝った。自分たちが怖かったにしても、他には怯える様子1つ見せず突然泣きだしたのだから異様である。 しかし彼らにとって驚くべき事態はこれに留まらない。 ――ジョロロロロロロッ―― スカートの裾から、黄金の液体が勢い良く流れ落ちたのだ。途切れ途切れになったり、脚を伝ったりすることも無い。一切の迷いの無い失禁。 美少女の失禁に彼らの1人が股間をふくらませた直後、今度は少女の上の蛇口が開く。口から吐瀉物が溢れだした。 身体を折り曲げたり口を抑えたりすることも無く。 「ひぃっ!」 彼らの中で生まれた恐怖が急速に増大する。希望崎近隣の不良達はそこの魔人に過剰な恐れを抱いている。 希望崎に近いこの場所で、突然理解できない現象が起これば、彼らの中では即ち魔人の仕業という図式なのだ。 少女が尿溜まりに膝を付き、今度は秘所から透明な液体を迸らせたときには、全員背を向けて走り去っていた。 「ここは……ここは……ダンゲロスの……魔人の世界……」 初めて彼、否彼女は声をあげた。涙が後から後から溢れてくる。ずっと夢見ていた世界に、自分はやってこれたのだ。 先達が、自分が、後進が形作ってきた愛おしい世界に、今自分は立っているのだ。 「うおおおおおおぉぉっ! おおおおおおおおぉぉんっ!」 彼は狂喜し、泣きながら転げまわった。吐瀉物を尿を愛液をまき散らしてあたりを汚しながら。 描写は割愛するが、うんこも漏らした。 「ワシは……ダンゲロス世界の住人……」 撒き散らした汚物の上で大の字になり、空を見上げる。 神か悪魔かわからないが、自分をこの世界に転生させてくれた存在に、ダンゲロスを生み出した架神恭介に、ルールを教えてくれた先輩プレイヤーに、ダンゲロスに生涯を捧げた過去の自分に、ダンゲロスに関わる全てに……。 「ありがとう!」 海よりも深い言葉を、彼は呟いた。 希望崎の制服に身を包み、準備を整える。改めて看板の前に立ち、警告の赤い文字を見据えた。 「この先、DANGEROUS! 命の保証なし」 「望むところじゃ、さあ行こうぞ儂よ、『この先』へ――」 ダンゲロスに全てを捧げた男――ダンゲロス男はこうしてダンゲロスの1キャラクターとして一歩を踏み出したのだった。 まずはこの処女を、どこの触手かレイパーに捧げようか、などと思いながら。 ✝✝✝✝✝ 「ここがゲームの世界で、生まれ変わった?」 「そんなことあり得ませんわ、ファンタジーやメルヘンじゃあ無いんですから」 話を聞いた番長グループの者達は多くが呆れて笑った。 まあ、無理も無いとダンゲロス男は特に責めもしない。バニラ・シフォンには言われたくないとは思うが。 今こうしてダンゲロス世界の一員となり、ハルマゲドンに参戦しようという事実が、何よりも嬉しい。 徹底的に、この第二の生を満喫しようと彼はあの日誓ったのだ。 「私は信じる。だから、私を犯して――」 虎のぬいぐるみを抱いた幼い少女が、熱っぽい瞳でそう言う。 「おうおう! 犯してやるとも涙子嬢! ビッチとレイプはダンゲロスの華じゃ!」 勢い良く制服を脱ぎ捨てると、やや肉付きに欠けた裸体を踊らせ、涙子に襲いかかる。その日の午後は番長グループ全員で楽しく涙子を輪姦した。 ダンゲロス男のダンゲロス人生は、まだ始まったばかりである。 弟を虜にする318の方法 バレンタインも迫ったある日の希望崎学園パソコン部の部室。 放課後になり、部員たちが会話をしたり各々のパソコンに向かい、思い思いの作業をしている。 そんな中、部屋の中央の椅子に座り、部長用と書かれたパソコンの画面を見つめるひとりの少女。 長く伸びた真っ青な髪。情報分析用のサングラス。ノースリーブのサイバーファッション。 まるでボーカロイドが現実に現れたような、あるいはサイバーパンク小説から抜け出してきたような姿の少女――彼女の名は一三一八。パソコン部の部長である。 彼女が見つめるパソコンの画面には「バレンタイン特集」とか「彼を虜にするチョコレートのつくり方」と書かれたページ。 そのパソコンが置かれた机の上には二枚の写真。 写真に写っているのは三一八の弟である一一と一四九〇である。 「ふふふ、一君も四九〇君もかわいい」 瞳がサングラスに隠れて表情は完全には伺いにくいが、口元は明らかに緩んでいる。 ほかの部員の目がなければ今にその場で悶え転がりそうな雰囲気だが流石に周囲の目があるのかそうした行動には出ない。 尤も、そうしたところでパソコン部の部員はいつもの発作が始まったとしか思わないだろうが。 ショタコンでさえなければよかったのにというのがパソコン部部員の総意であり、彼女を知る大抵の人間の評価である。 なお本人は否定してるし、そのようなイメージが広がるのは報道部あたりの陰謀であると主張するが、彼女がショタコンであることは事実なのだから仕方がない。 さて、そんな彼女が何をしているのかといえばバレンタインに向けて弟たちに渡すチョコを準備をしようといったところである。 いかにチョコを渡せば劇的になるか。どうすればチョコを上手く作れるか。 それを彼女の情報網を駆使し考えているところである。 「チョコに関してはこれでいいでしょう。問題は…」 マウスを操作し、画面を切り替えると映し出されたのはプロフィールつきの少女たちの写真。 三一八がライバルになりそうな相手をその技術や能力を駆使し集めたものである。 様々な少女たちが映し出されては次々と切り替えていくが、ふとその内の一枚で手を止める。 そこに写しだされていたのはまるで外観こそは幼いが中世から抜け出してきた魔女のような風体の少女。 一千四五。 三一八と同じ一家の一人であり、チョコレート作りの腕前も絶妙な三一八の可愛い妹である。 可愛い妹ではあるのだが、彼女は三一八のことを目の敵にしている。 理由は明白。千四五も三一八と同じようにブラコンであり、一を愛するお兄さまと慕っているからだ。 では彼女の何が問題なのか。 チョコレートの腕前。そんなことは問題ではない。 チョコレートの腕前が問題だというのならプロのパティシエに勝てなくなってしまう。 だからそんなことは問題ではない。 問題は千四五が何をしてくるかわからないということだ。千四五は愛するお兄様のためなら手段を選ばないところがある。 ゆえに姉妹だから大丈夫などと高をくくってはいられない。 むしろ姉妹という一に近い存在だからこそ危険であるとも言えるのだ。 「学校で渡してしまうのが一番安全でしょうけど」 学内には一のクラスメイトを始め、ライバルが多い。下手をするとスレ違う可能性もある。 三一八のパソコンを媒体にすればどこへでも簡単に移動することはできるが、行き先にパソコンがなければ自らの足で移動するしかない。 それに千四五が生徒会に協力しているという情報もある。 ひょっとするとハルマゲドンに乗じて自分を抹殺するのが目的なのではないかと疑いたくなるところだ。 だとするとやはり一家に戻ってから? しかし、その場合でも千四五が問題となる。 いっそ目の前で渡してしまうべきか。 暫しの沈黙。そして三一八が再び口を開く。 「もう少し計画をねる必要がありますね」 決戦の地は近い。それまでにいかに完璧な作戦を練ることができるか。 三一八は机の上の弟たちの写真を見て微笑むと、再び思考の海に飛び込んでいった。 【なんか番長陣営ってメカ多くない?】 「ダンゲロスーッ!! かがみ先生ーッ! GMの皆さんーッ! 参加者のー! SS陣のーっ! 絵描きのーッ! みんなァァァァァァアアアアアア!! いつも!!!!!!!!!!! ありがとおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 雄叫びが、響き渡る。 屋上で叫び声を上げる少女に驚き、があがあとカラスが離れていく。 ――その建物は、戦闘破壊学園ダンゲロスのどこかに存在した。 外壁には無数の矢が突き刺さり、ところどころ、どこかカラメルやプリンじみた毒々しい色に変わっている。 上空に魔王の城の如く局所的に生じた暗雲からは、謎の粒子混じりの雨が間断なく降り注ぐ。 その周囲には、有事の際の為にと敷かれた、超広範囲無差別無節操殺戮光魔法のセーフティモード破滅魔法陣。 第十次ハルマゲドン、番長陣営アジト――『入口のない校舎』。 『この校舎に入れない程度の魔人では、そもそもダンゲロスに参加する資格なし』――そういう意味を込めて、前ハルマゲドン番長陣営によって選ばれた場所である。 しかし幸いにというべきか、今回の参加者はその試練を鼻歌交じりに突破していた。 現在の『入口のない校舎』は、とある開閉フェチの魔人によって百を超えるドアが作られ、 とあるプリン好きの魔人と雑食性の魔人によって虫食いだらけにされている。 既にメンバーは全て揃っている。 ここでは今日も、来るべきハルマゲドンに備え、おぞましき魔人達が、今日も生徒会を殲滅すべく邪悪な集会が開いているのだ――。 ◆ ◆ 「前から思っていたんだが――なんか番長陣営って、メカ多くないか?」 星野千紗が、机に頬づえをつきながら、そう切り出した。 薙刀に眼帯の、凛とした雰囲気を持つ美少女。 武術に志した過去を持ち、一方で今はそれを反省し、彼氏を作る為に奔走しようとしている少女である。 「そ、そうかな? そんなことないと思うけど」 「ピガーッ! 対魔人専用自動迎撃ロボKIMOTO10032号機通称モトは強く賢イ!」 「(゚_。)?(。_゚)?」 「……私は開くだけ」 「お前たちのことを言っているんだが!?」 アンテナ受信機のような形をした耳からコードを生やした少女が首を傾げ、 剣呑極まりないキラーマシンが硬質な声で答え、 宙に浮かぶ無数のがったいパーツが顔文字を模して疑問を表現し、 天井に開いたドアからぶら下がる両腕蝶番の少女が、逆さ釣りの無表情で千紗を見下ろす。 ずどーんと千紗の薙刀の石突が床を砕いた。 「全くもう……こんなことで生徒会陣営に勝てるのか?」 「ロボだから、問題あるってわけじゃないと思う……よ?」 「それはそうだが……どうもメカは苦手でな……」 千紗は幼い頃から薙刀の道場で育てられた武門の身である。 家柄も純和風であり、機械オンチというほどではないが、苦手意識があるのだった。 「つうか、多いっつったら女が多すぎだろ……あーウゼーウゼー」 「何か文句があるのか? 乙部」 「……ってランドウが言ってたんスよ! 嫌だなー千紗サン!」 「乙部、貴様な……って違うぞ星野! こちらを睨むな!」 くたびれた派手なスーツの少年――乙部が、隣にいる吸血鬼めいた男を指差す。 乙部こうき。人に負担をなすりつけることに定評のあるダメホストである。 一方、彼に指差された吸血鬼めいた男、ランドウは――千紗の鋭い視線に晒されて、慌てて、手にしたマヨネーズを両手にぶんぶんと振る。 千紗が、予想外に強い拒絶に僅かに仏頂面を深めた。 「む……そこまで言わなくてもいいだろう」 「もー千紗ちゃん、そうやって怖い顔するから皆ビックリするんだよ」 「私はこれが素なんだ……」 傘を持ったボーイッシュな少女が、ぽんぽんと千紗の肩を叩く。 雨竜院畢(うりゅういん・あめふり)。 基本的に表情の険が強く、避けられやすい千紗相手にも臆せず接する、ムードメーカー的な明るい少女だ。 ……参考までに述べると、生徒会陣営は男12女11無性5両性2、男5女18無性5両1である。 ゆえに今回の番長陣営、ちょっと女性勢力が強い。 「やれやれ……というか、ロボなら生徒会にも居ただろう」 ランドウは、食堂からパクってきたと思われるドレッシング類を机の上に大量に置いている。 彼は、血ではなく脂分しか摂取出来なくなった突然変異の吸血鬼である。 見ているだけで胸やけがしそうなこの光景も、彼にとってはいわば輸血パックの血を摂取するようなものなのだ。 「確か……α? などという波動砲が」 「!! _| ̄|○」 「ああっ! 合体パーツくんが落ち込んだ!」 「ピガーッ! ランドウ、はやくあやまッテ!」 「何故だ!?」 「だめだよランドウくん! 合体パーツくんは昔ね、が、……あ、えと、その、が、」 耳からコードを生やした少女が、フォローをしようとして――頬を赤く染める。 何やら言い淀んでいる少女は、茅ヶ崎智沙希Mk-II。 機械めいた耳を生まれつき持って生まれてきてしまい、興味を持たれた科学部に改造される内に本当に機械になってしまった悲劇(?)の少女である。 あうあうと言い淀んでいた智沙希が、ランドウの疑問の視線に耐えかねるように、思い切って声を張り上げる。 「……が、合体する仲だったαくんが! 生徒会陣営にさらわれてからずっと落ち込んでるの!」 α。大きな砲門を背中に抱える亀のような外観のロボットである。 番長陣営に拾われ、一時期は懐いていたのだが、現在は諸事情で生徒会陣営にある。 「というか、彼も含めれば今回のハルマゲドンにおけるロボ枠は全部こっちにいたわけか……やっぱり多いじゃないかロボ」と千紗。 「可愛かったのになあ、あのコ」と畢。 その時、天井からぶら下がった、両腕を巨大なちょうつがいに機械化した少女が朴訥と口を開いた。 「トウナと言い、私たち、奪われすぎ。――ガバガバ?」 彼女の名前は蝶乃つがい。 ちょうつがいフェチの少女で、この『入口のない校舎』を入口だらけにした主犯である。 トウナというのは番長陣営に愛想をつかして生徒会に寝返った少女の名だ。 「つ、つがいちゃん、恥ずかしい言葉大きな声で言わないで!」 「……? それがなんで恥ずかしいんだ? わかるか畢?」 「え? ボクわかんない。なんで、智沙ちゃん?」 「ふへ!? あ、あう……////」 「ピガーッ! ……ピガ?」 不意に武装だらけのキラーマシン……対魔人専用自動迎撃ロボKIMOTO10032号機通称モトが、首を傾げる。 落ち込みのサインを作っていたはずの、なぞのがったいパーツが、彼の回りを飛び回っていたのだ。 やがて、ぴかーん、と光る。 「(T-T)人(T-T)ガッタイシーケンスヲカイシシマス」 「ああっ! がったいパーツくん、悲しみのままに、超合体するつもりだよ!」 「なんだと!? ヒャッハー! 合体だァーっ!」 智沙希の悲鳴じみた声に、にわかに数少ない男性陣が聞き付ける。 どこからともなく現れたモヒカンザコ先生を筆頭に、毛利勘太郎、しまむらのひろし、ランドウや乙部までもが喝采を上げる。 合体はやはり男の永遠のロマンなのだ。たぶん。 ランドウ「シクレ能力者のなぞのがったいパーツの能力か! これは注目だな!」 乙部「がったいパーツくんのー、ちょっといいとこ見てみたい! ヘイ一気! 一気!」 ひろし「な……!? これが、ダンゲリウム合金の、力……!?」 毛利「へへへ、こりゃあ見逃せませんぜ……」 モヒカンザコ先生「ヒャッハー! 合体! 合体!」 「……なんで男はあんなのに盛り上がるんだかな」 「科学部の人に似てるかも……」 「……なんで男はあんなのに盛り上がるんだかな」 「科学部の人に似てるかも……」 やたら盛り上がりながら遠くへと行ってしまった男性陣を放置しつつ、千紗が残りの面々に向き直る。 「何の話だったか。……そうそう、こんなことじゃ生徒会に勝てないだろうということだ。つまり必要なのは」 「ドアの開閉」 「く、くすぐる……?」 「あーめあーめふーれふーれ」 「ふふ、昔は私もダンゲロスの戦術家だったんだが、膝に矢を受けてしまってね……」 「……トウナの気持ちがほんの少しだけ分かった……」 千紗が肩を落とし、――そして、最後に割り込んできた声の主に気付く。 「つがい! ドアを閉めろ!」 「ん。がってんしょうち。――イヤーッ!!」 割り込んできた台詞の主に気付いた千紗の号令に応じ、蝶乃がそこら中に開いていたドアを一瞬で閉めていく。 カカカカカッ! その裏側に無数の矢が突き立つ音がした。 だが―― ドゴォン! ひと際巨大な物体――『その他の危険』と書かれた交通標識が、ドアと蝶乃を吹っ飛ばして、話に参加してきた少女の膝に直撃する! ……直撃する! ……直撃する! ……が、それだけだ。 「いやあ、ココは過ごしやすくて助かるよ。おーい蝶乃くん、大丈夫かい?」 「……なんとか」 「お前が今から生徒会に特攻すれば一網打尽に出来るんじゃないか……?」 膝に、更に二、三本の矢が突き刺さった少女が、にこやかな表情で会釈した。 彼女は合鴨シュウ。一定範囲内で放たれた『矢』を自分の膝に自動的に引き寄せる能力『矢鴨事件』の保有者であり、 そして、生徒会陣営の一人である『危険度の高い存在を、距離を度外視して交通標識で狙撃する』能力者のターゲットにもなっている。 どう考えても不幸極まりない少女だが、膝に最大100,000本の矢を受けてもなお平然と動く、他と隔絶した魔人耐久力はそれを周りに感じさせない。 「(T-T)人(T-T)ダイニガッタイシーケンスヲカイシシマス」 ランドウ「何だとっ、また合体するつもりか!」 乙部「へへへ、対魔人専用自動迎撃ロボKIMOTO10032号機通称モトじゃ満足出来ずに、あっという間に乗り換えやがったぜこのロボビッチ!」 モヒカンザコ先生「今度の狙いはアキカン(緑)様だ! シクレ能力の超合体が発動だーっ!」 毛利「金属なら何でも見境なしですかい! こりゃあちーとばかしまずいですぜ旦那ァ!」 ひろし「フフ、なんてやつだ、なぞのがったいパーツ……俺の相棒に相応しい!」 「あっちも楽しそうじゃないか」 「ボクも参加してこよーかな!」 「やめろ頼むから」 「は、はれんちです……!」 「……開閉、終了」 標識によって天井から吹っ飛ばされた蝶乃が、今更ながらにいそいそと近づいてくる。 相も変わらず頬に手を当てて首を振る智沙希を見て、千紗が首を傾げる。 「? だから、何で合体が破廉恥なんだ?」 「え!? いやその……あの……!」 「…………智沙希は、耳年増」 「もう! つがいちゃん!」 「?」 「…………分からないなら、それで、いいと思う」 「そう言われると尚更気になるな……」 「ねえねえ、合鴨さん! ボクが傘術教えてあげよっか? 矢くらい防げるよ」 「気持ちは嬉しいけど、大丈夫だよ畢。私の矢鴨事件は実は因果歪曲系能力でね。水際で防ぐのは難しいんだ。穴が開いてしまう傘が可哀想だ」 「いんがわいきょくー?」 楽しげに雑談を始める千紗、シュウ、智沙希、蝶乃、畢。 ハルマゲドン準備中とはいえ、穏やかな時間。 だが、それも長くは続かなかった。 ドドドド、という足音と共に――いや、それに先んじて――不意に、智沙希の周囲に合体パーツが展開したのだ。 「(T-T)人(T-T)ダイサンガッタイシーケンスヲカイシシマス」 「え!?」 びく、と立ち上がる智沙希。その周囲には光を放つ無数のがったいパーツ! ざざざざざ、と更にその周囲に展開する男五人組! モヒカンザコ先生「ヒャッハー! 次は茅ヶ崎智沙希Mk-IIだァー!」 ランドウ「次はどんな合体を見せてくれるか! 見物だな……」 乙部「智沙希ちゃんか! いいね、ほーら、パージ! パージ!」 ひろし「良い合体相手を見つけるまで諦めない精神! 俺も見習いたいくらいだぜ!」 毛利「ひひひ……コリャア永久保存版ですよ……!」 茅ヶ崎智沙希Mk-II「え、あう、……あう、あうあうあ……が、合体ってぇ……!」 ぐるり、と一つずつ回転するパーツ! 一回転を終えると、平坦だった部分からはマイナスドライバーネジめいた無数の結合パーツが顔を覗かせている! 無数のオプショナルパーツ! ガルーダじみた二対の翼! 砲塔手甲! 射撃反動制御用アンカースカート! 日輪めいた飾りつき兜! そして奇怪なことに――その変化は、少女の体にも同様に起きていた。 科学部の設計した秘匿機構か? 或いは少女の体が、知らずのうちにかの無骨な挿入物を求めているのやもしれぬ。 事実、少女は狼狽しながらも、自らの体の奥が、火が灯ったように熱くなっていることに気付いていた。 その肩に、腕に、――耳に! 螺子込まれるのを待つかのように裂け目が生じる! マイナスドライバーの受け入れ口めいた挿入部! ――パァン、と邪魔な制服が光のリボンとなり、吹き飛び始める! きゃあ、と体を隠そうとするも、その動きすら新たな挿入部が開く予備動作にしかならない! 肩甲骨部にクーラーのような排熱口が! 「合体!「合体」!ヘイ合体!「合体!「いけいけ合体!「合体!」合体!」「合体!「合体」!」 少女の回りを囲んだ男たちが、謎のテンションでやんややんやと囃したてた。 ぷるぷると震える茅ヶ崎智沙希Mk-II――否、これからの展開次第では、その名が更に変化するであろうことは想像に難くない! 頬を真っ赤に染め、目尻には羞恥に涙を溜め、ぷしゅうぷしゅうと排気口から白い息が漏れ出る。 「お、おい、いい加減に――」 ぽかーんとしていた星野千紗が、今更ながらに止めようとするが、あまりに遅い! ぎゅる、とがったいパーツの接合部が回転する! ひ、と智沙希が息を呑んだ。体を抱いて、内またに身を締めて、 「やっ、やめ、まってお願い、いいけど、ゆっくり、優しくして――」 ―― 合 ☆ 体! 「あっ、あぁぁあァああぁああああああん……っ!!」 ざきゅざきゅざきゅざきゅ、と露わになった少女の素肌に無骨な接合部が捻子込まれる。 少女は全身を襲う莫大な異物感に耐えようと身を固め、しかし耐えきれない。 かふ、と息を吐いて、大きく身をのけ反らせて――悲鳴とも嬌声ともつかない叫び声を上げ、 「やめてええええーーー!!」 ――その全身から、幾千幾万にも及ぶ無数のコードが伸びて、周囲を襲った。 ランドウ「やっやっtゴハァ!」 モヒカンザコ先生「流石なぞのがったいパーツッ! 俺達に出来ないことを平然とやってのけrひでぶ!」 ひろし「完成していたのか……! 茅ヶ崎智沙希Mk-Ωの誕生dガハッ!」 乙部「能力発動! 不利転――俺は死なないけど君のためなら死ねrうげぇ!」 毛利「旦那ァ人を壁にするとかそりゃああまりにも殺生jオウフ!」 快哉を上げかけた男勢五人が、一瞬にしてコードの濁流に弾き飛ばされ、穴だらけの外壁を外へと吹っ飛んで行く。 彼女のコードは、男性への干渉を否定するのだ。 そして、次に来たのは無論、遠目に見守っていた女子勢である。 「全員、退避ーっ!」 「あ、こりゃ無理だねー」 「智沙ちゃん……わ、すごい。……どれだけ、気持ちいいかな……」 「! ――!」 逃げようとしたのは、星野と、蝶乃だけだった。 合鴨シュウは、理不尽に対する慣れと諦めから。 そして雨竜院畢は――外見からは意外なことに――純粋な『くすぐり』へのあこがれから、抵抗なくコードに全身を絡め取られた。 「――――!」 蝶乃つがいは、一目散に逃げ出す。純粋な危機感であった。 何故なら――茅ヶ崎智沙希Mk-IIのコード、及びその魔人能力の名は『チキチキ』。 詳細は伏せるが、いわばそれは、アンドロイド、サイボーグ系女子に対する特攻だ。 少女の背後から、コードが数本襲い掛かる。 蝶乃は咄嗟に、両腕のちょうつがいでそれを払い落そうとして――肩。 するりと。 眼を見開く。肩の接合部に入りこんだコードから――『ちきちき』と音がした。 「ひ、にゃあっ!?」 可愛らしい悲鳴が上がる。口を抑えようとしても、肝心の腕は『ちきちき』されて制御が出来ない。 かくん、と足が脱力し、うつ伏せに倒れた蝶乃は、一瞬で驚くほど乱れた表情のまま――濁流に飲み込まれる。 「蝶乃! 合鴨! 畢! ――くふっ、あ、あは、あははは、ひん、ひゃあっ!」 壁際に追い詰められた星野千紗。愛用の薙刀で振り払うにはあまりに数が多すぎる。瞬く間に制服の袖やスカートの裾から侵入され、こちょこちょとくすぐられる。 こそばゆい感触にたまらず薙刀を取り落とし、尻もちをつき、更に全身をコードに群がられる。 切り裂いた濁流の遠くに、翼から生えたジェットエンジンで宙に浮かぶ智沙希の姿が見えた気がした。 「ああもう! やっぱり、メカは、苦手だーーーーーーーっ!!」 ◆ ◆ 遠くから、ダンゲロスの一般生徒がヒソヒソと言葉を交わしていた。 「おい見てみろ」 「なんだ?」 「第十次ハルマゲドンの番長陣営アジト――『入口のない校舎』。空に浮かぶ暗雲が一層濃くなってやがる」 「なんだありゃ……あそこだけ集中豪雨を受けてるみてえだ」 「よく見てみろ、キラキラ輝く粒子が混じってる……ありゃあ魔人能力に違いねえ」 「コジマ粒子か? カラテ粒子か? どっちにしろ物騒な代物に間違いないぜ」 「――うおっ! 今のは、雷か? 地響きも……」 「中で何が起きてるか、考えるだけでも恐ろしいぜ……くわばらくわばら」 ◆ ◆ 「うわーん、また漏らしちゃったよう……外、きっとすごく雨降ってる……」 「ごめんね、ごめんね畢ちゃん……辛かったよね?」 「んーん! 智沙ちゃんこそ大丈夫? でも、ぁのね……ちょっと、耳貸して」 「?」 「……また後で、二人だけで、しよ?」 「!!! …………ん、んぅ……///」 「くー、ふ、う。……あ、う、うう。うぐう……」 「はっはっは、随分やられたね千紗くん。大丈夫かい? ホラ、畢ちゃんのゆとり粒子の混じったジュースだよ、飲みなさい」 「あ、ありがとう……。……一生分、くすぐられた、気がするよ……」 「そういう感覚なら、いやあ、千紗君は健全だね」 「なんでそんなに元気なんだ、合鴨は……」 「これも矢鴨事件のちょっとした応用さ。ほら、つがいくんは……あちゃー、こっちは完全にグロッキー入っちゃってるなあ」 「………………」 「つがい……ん? あれは、智沙希から剥がれた、がったいパーツか」 「…………(T-T)人(T-T)ダイサンガッタイシーケンスヲ」 「やめろォ!!?」 畢と智沙希が無邪気ながらも淫靡なひそひそ話をする。 星野千紗が薙刀で、がったいパーツを追い払う。 合鴨が蝶乃を介抱する。 外へ吹き飛ばされた男たちが、今更のように戻って来る。 ――第十次ハルマゲドン開催まで、あと二日。 【終了】 Chocolate Rain 「ギブミーチョコレート」 荒廃した東京の治安維持に当たっていた米軍の女性兵士はある日の任務中、1人の少年にそう言われた。 有名な言葉である。第二次大戦後、軍人だった彼女の祖父は焼け野原の東京に進駐していた際、ボロボロの服を着た子供に実際そうねだられたと言う。 (グランパから聞いてたけど、70年経って私が言われるなんて……) 不謹慎な感動を覚えつつ、彼女は胸ポケットからスニッカーズを取り出す。 彼女は知らない。少年の言葉には単に菓子への欲求以上の意味があることを。その日が何の日なのか、クリスチャンの彼女は当然知っていたのだが、日本においてどういう意味を持つかまでは知らなかった。 「ヒャッハー! 女ぁッ! チョコレートを寄越せー!」 数十m先から改造バイクに跨ったモヒカンザコが1人、メイスをブンブンと振り回して突っ込んでくる。このモヒカンザコは射殺されるという、モヒカンザコには不名誉な死を遂げることとなる。 この日は2月14日――バレンタインデーであった。 ✝✝✝✝✝ ――話は少しだけ前に遡る。核が投下されてバレンタインどころでは無さそうな希望崎だが、魔人の巣窟だけあり逞しいもので、その日が近づくと生徒達の間には浮ついた空気が漂い始める。それは近々死闘に臨もうという生徒会・番長グループのメンバーでさえ例外では無い。 部室棟の廊下は暖房が効いておらず、外とそう変わらない寒さだ。だから雨竜院畢は「パソコン部」のドアを開けたとき、中の暖かな空気が自分を迎えてくれることを期待していた。 「こんに……寒っ!」 ぶるり、と小さな身を震わせる。漏れ出して来たのは、彼女の予想に反して冷気であった。 「どうしました? 何か御用ですか?」 近くのデスクに座っていた部員と思しき男子生徒が立ち上がり、側に積まれた毛布を手に取って声をかける。畢は礼を言って毛布を受け取り、羽織ると部長はいるかと訪ねた。彼女が入学してから初めてこの部室へ来たのはその部長に会うためであった。 「部長ですか。ちょっと待ってくださいね」 彼は部室の奥の方にある、一番大きなデスクへと向かった。少しスペースを置いてそのさらに奥には数台のスーパーコンピュータが鎮座している。パソコン部部室はスパコンの稼働中冷却のために季節に関わらず冷房をガンガンに効かせており、部員は皆厚着をしていた。来客用の毛布やどてらも用意されている。 男子部員がそのデスクに置かれたPCのキーボードを素早くタイプすると、3つのモニタのうち、中央の最も大きいものが青白い光を放った。 (な、なんだろう……) 床を這うケーブルを踏まぬようにしながら、畢も好奇心に背中を押されてデスクに近づく。目が眩む程の発光。PCなどよく知らない畢にも異様だとわかった。長方形の光源を、目を細めながら見つめる。そして、予想だにしない現象が目の前で始まる。 映し出されたのは、左の掌だった――白魚のような、という形容の似合う、恐らくは女性の。それだけでもちょっとした驚きだが、そんなのは序の口の更に取っ掛かりでしかない。 「わっ……あっ!」 青白い光に包まれて、左手はモニタの外の世界へと顕現した。立体映像などではない。明らかに質量を持った実在として。 手首の下には当然白くほっそりとした腕が伸びている。肘から先がモニタの外へと這い出し、デスクの縁をがっしりと掴むと、今度は右手が映し出され、同じように外世界へと這い出してデスクを掴んだ。 「さ……さい……」 次に映し出されたのは、恐らく人間の頭。長く垂れた群青色の髪が邪魔してどんな顔かは窺い知れないが、畢にはその人物が誰かわかっていた。 しかし、そんなことよりも目の前の現象が恐ろしかった。海馬の奥底に眠ったトラウマ――超有名なホラー映画の中でも最も有名な一場面――が脳内で再生される。その映画の幽霊と同様に、その青い髪の女・一三一八(にのまえ さいばー)の頭部もまた、現実へと飛び出す。艶やかな青髪がさらさらと揺れた。 電脳世界から現実世界へ、2次元から3次元へ、情報から物質へ――今眼前のモニタは、2つの世界を繋ぐ門と化している。三一八の魔人能力『電脳妖精譚』(サイバーワールド・フェアリーテイル)……物理法則を安々と超越する魔人能力の中でも、一際奇跡めいた奇跡が目の前で展開されていたのだが、今の畢にはただただホラーであった。 邪魔にならぬようにと、部員がデスクの椅子をどかす。デスクを掴む両手に力を込めると、三一八の首から下が水面を跳ねる魚の如くに一気に飛び出す。そして勢いをそのままに、両手を軸にしてその体はぐるりと弧を描いて、リノリウムの床に音もなく着地した。 如何にもサイバーパンクな衣装に身を包んだ細い肢体が青白い後光を受けて直立している。青い髪を輝かせ、幻想性と未来性が同居した彼女はサングラスの奥の怜悧な瞳で畢を見下ろす。 「部長、こちらがお客さんですが……」 「はい」 部員が困った様子で言う。 2人に見下された畢は床にへたり込み、黄色い水たまりを尻の下に広げていった。 ✝✝✝✝✝ 「ごめんね、三一八ちゃん。部室の床汚しちゃって……」 「いえ、貴女の失禁癖は聞いていたのに、『アレ』を見せた私が悪かったです」 畢はシュンとして、三一八は冷静な様子で、お互いに詫びる。雨も降っていないのに雨合羽の畢とサイバーファッションの三一八が共に歩いているとなかなかに目立つようで、すれ違う人の多くが2人を横目で見ていった。 戦闘破壊家族・一家と雨を司る一族・雨竜院家は魔人一族同士、それなりに歴史ある縁を結んでいた。今、「四九〇」(しぐれ)の名で一家に属する少年が魔人覚醒までは雨竜院家の子として育てられ、現在でも畢達と兄弟姉妹の交流があることがそれを示している。 とはいえ、圧倒的な子沢山を誇る一家で畢が四九〇以外に親しくしている者は片手で足りる程度で、一家でも基本PC内にいる三一八など番長グループで一緒になるまで存在は知っている程度だった。 「普段は回線上を移動しているので、長距離を歩くというのはなかなか疲れますね」 「へー、凄いねえ。パソコンの中ってどんな感じなの?」 取り留めのない会話をしながら歩く内、2人は雨竜院家の屋敷へと辿り着く。 家にあがり、畢の母に挨拶すると台所に案内される。そこには、エプロンを着けた1人の少女が待っていた。 「はじめまして、妹の金雨(かなめ)です」 (妹さん……いるとは聞いてましたが、いくつなんでしょうか) 三一八も自己紹介し、互いにペコリと頭を下げる。お下げにした長めの金髪、顔立ちは姉妹だなと思わせるものがあるが色白で畢に比べるとおとなしそうな印象を受けた。外見だと畢のそれより少し年上、11、2歳くらいに見えるが、姉が「ああ」なことを考えると妹も実年齢より幼い外見なのかも知れない。 「かなちゃんは見た目通り11歳だよ」 「……っ!」 「お姉ちゃん」 一度自室に戻った畢がいつの間にか三一八の背後にいて不意にそう告げる。驚く妹と三一八にいたずらっぽく笑って見せた。 学校では何故か雨合羽を着ている畢も家ではそうでないらしく、パーカーベストにショートパンツとカジュアルな私服に着替えていた。金雨と同様にエプロンを着る姿を見ながら思った。短い髪、幼い顔立ちに性徴の感じられない身体つき、今の服装……まるで。 (可愛い男の子にも見えますね……) 「三一八ちゃん、顔赤いよ?」 「な、なんでもありませんっ!」 頭に疑問符を浮かべた畢からさっと目を逸らし、自分もエプロンをつける。三一八は所謂ショタコンだった。 全員がエプロン姿になると、畢が「始めよっか」と宣言する。目線の先には流し台に並べられたボウルにカップや型抜きなどの調理器具とチョコレートや生クリームなどの材料。読者諸氏にはもうおわかりだろう、彼女らはバレンタインデーのチョコレートを作るために集まっているのだ。 「お料理なんて家庭科の授業くらいでしか経験がありませんけど、大丈夫でしょうか?」 「平気平気! パティシエさんみたいな難しいことはボクも出来ないけど、手順を守れば美味しく作れるのを選んだから」 そう言って、お菓子作りの本をパラパラと捲り、付箋の貼られたページを開いてチョコレートを使った比較的簡単なレシピを三一八と金雨に見せていく。 「私は……これ、作りたいです」 「私はこれかな……」 「じゃ、作ろう!」 2人が指さしたレシピを見て畢がにんまりとしたのが作業開始の合図となる。 自身でも作業をこなしつつ調理経験の乏しい2人に指示を出す畢の姿に、三一八は感心していた。ベーキングパウダーをこぼしてしまった金雨を甲斐甲斐しくフォローする姿など、学校での危なっかしい彼女とは違う「姉」としての顔にも。 「三一八ちゃんは、誰にチョコあげるの?」 計量する三一八の横で刻んだ板チョコを湯煎にかけながら、畢が問う。 「……弟の……」 「しーくんと、一ちゃん? ボクもあげるよ!」 あげる相手が一致していたことが畢には嬉しかったようでまたにんまりとする。しかし三一八にはそれが些か面白く無かった。 畢は三一八のことを最近までよく知らなかったが、三一八は以前から畢を意識していた。それは嫉妬によるものだった。ショタコンである三一八は弟の一や四九〇を溺愛している。 しかし、一はともかく、四九〇に関しては畢の方が圧倒的に多くの時間を共にしているのだ。今も同じ傘部に所属し、高校生の姉弟とは思えない程仲がいい。 簡単に作れるチョコのレシピなどネットに頼ればすぐなのに、付き合いの浅い彼女にチョコ作りを教えてもらえないかなどと申し出たのは、半分が大げさではあるが敵情視察めいた理由からだった。 「どうして、私も一君や四九〇君にあげると嬉しいのですか?」 「ん? 自分の好きな人を、自分以外も好きでいてくれるんだよ。嬉しいじゃない?」 きょとんとした顔で、そう言う。サイバーサングラスに表示された畢の体温・脈拍の数値は彼女の言葉に嘘が無いことを示していた。 綺麗事だ、と三一八は思う。そんなことを平然と受け入れられる人間がどれだけいるだろうか、と。 畢が持ったパンで溶けていくチョコレートのように、ドロリと絡みつくような、触れれば火傷するような、制御できない嫉妬の念を抱く人種もいるのだ。雨竜院家までチョコを作りに来た理由のもう半分は「彼女」が家にいた場合、作るところがの目に入ることを恐れたからだった。 「ヘクシュッ……」 「風邪? 2月だし、気をつけなきゃね」 羽山莉子の隣を歩く、つい先程知り合った少女は可愛らしく鼻を鳴らし、大きな三角帽子を上下に揺らした。 「……いえ、きっと噂してるのよ、お兄様が私のこと……」 「そ、そう……」 チョコレートのような恋心と憎悪を抱えた小さな魔女は、ふふふ……と幼い美貌に笑みを浮かべ、それを見た莉子はやはりあまり関わりたくないな、と思った。 魔女ほどでは無いが、今の自分もこうして嫉妬に動かされている。いるはずなのだが、畢の無邪気な笑みを見ていると、彼女にはそんな気持ちを抱くのもバカバカしいような気がしてくる。 (それでも、四九〇君と部活が一緒なのはやはり羨ましい……) 手や顔を粉やチョコレートで汚しながら、彼女らの作業はその後1時間半ほど続き、そして……。 「これが……」 「スゴイ……」 「頑張ったね―2人共」 大げさに拍手しながら、畢が2人を称える。 生チョコにトリュフチョコ、チョコレートブラウニー……出来上がったお菓子を見つめる少女の瞳は、クリエイターが作品を見るようなそれだ。 「後は箱とか袋に詰めて渡すだけだね! 三一八ちゃん、初めてなのに上手だね」 「”ラ・フェ・リュミエール”(光の妖精)ですから、物理肉体でもこのくらい余裕です。でも、ありがとうございました」 「ボクも楽しかったよ! 三一八ちゃんとも仲良くなれたし、ね」 避難と敵情視察のために来たはずなのに、3人で作っているのが楽しくて、三一八はこれまでほぼ無表情だった顔を初めて綻ばせた。 ✝✝✝✝✝ ――バレンタイン当日。 「ヒャッハー! チョコを寄越せぇっ! 寄越さねえなら消毒だあっ!」 火炎放射器を持ったモヒカンザコ先生が吠える。 モヒカンザコ先生――本名白金翔一郎は学生時代はイケメン剣道部部長であり、毎年バレンタインデーには食べ切れない程のチョコを貰っていた。モヒカンザコとなった今、彼にチョコを渡す者は皆無である。しかし彼は貰うのではなく奪い取るこの暮らしに満足していた。 噴き出す炎が次々に汚物(チョコレート)を消毒し、消し炭に変えていく。教え子のモヒカンザコ達も先生に倣い、校内の各所で汚物を見つけては奪われるか消毒かの二択を迫っていた。頑張れモヒカンザコ達よ。謎の拳法家に消毒されるその時まで。 「んっ……」 「……」 2人の少女――天海真美と杉原昼子が口吻を交わしていた。傍目には舌を絡ませたディープキスのようにも見えるが、今はまだそんな関係では無い。 天海に咀嚼され、流動食のようになったプリンが昼子に流し込まれる。天海の唾液とプリンの甘さが混じった極上の甘露。しかし、今日のそれは少しばかり特別であった。 (これって……) 2人の唇が離れると、ツツ……と甘い銀の糸が引いた。 「バレンタインだから、ね」 天海が笑う。いつもとは違うチョコレート味のプリンに、昼子は顔を真っ赤に染め上げる。 「一君……」 「三一八姉さん」 ある階段の踊場にて。 一は既にいくつかのチョコレートを抱えており、どういうわけか制服があちこち傷ついている。それを見て「やはりモテるのだな」と三一八は心中で溜息をつく。 「逆にいっぱい貰ってた方が三一八ちゃんもなんかあげやすいでしょ!? ゴー!」 三一八のインカムから漏れて来る聞き覚えのある声に一は首を傾げるが、直後彼女が抱えている物を認めて、言った。 「姉さん、それってもしかして……」 「これはその……一君にと作りました。受け取って貰えます?」 「うん、もちろん」 一がすっと近寄ると、三一八の方が小柄な彼を見下ろす形となって、見上げる子犬のような瞳にドキリとする。リボンで小奇麗にラッピングされた透明な袋にはトリュフチョコが可愛らしく詰まっていた。 姉の細い指からその袋を受け取ると、一は少女のような顔に可憐な笑みを浮かべて礼を言う。 「一君……撫でてもいいですか?」 「ふぇ? あ、姉さん恥ずかしいよぉ……」 柔らかな髪を恐る恐るといった様子で撫でられて、一は声をあげるも拒絶する気持ちにはなれない。それに、くすぐったいけれどとても心地よいと感じたから。 「へえ……」 「あ、四九〇君」 一がパッと三一八から離れる。いつのまにか一の後ろで2人の時間を見つめていた四九〇を、一は振り返るとじとっとした目で睨む。 「酷いよ四九〇君……」 「わ、悪い……。姉ちゃんに言われてここに来たんだけどさ、三一姉ぇ……その」 やや恥ずかしげに四九〇が言う。一もそうだったが、彼の赤らめた顔もまた三一八には素晴らしく魅力的だった。 「受け取って貰えますか? チョコレート」 「うん、ありがとう」 四九〇もチョコレートを受け取ると、三一八は彼の頭にすっと手をかざそうとする。撫でられるのが恥ずかしい四九〇は身を引きそうになるが、背後からガシッと肩を掴まれた。振り向けば、一が珍しく意地の悪い笑みを浮べている。四九〇も諦めて、姉の掌に頭を委ねた。いやいやだった割には、それは酷く心地よかった。 ✝✝✝✝✝ 写真の中で優しげに微笑む恋人。その前に、頑張って焼いたガトーショコラを切り分けた皿を置く。 「私達、クリスマスもバレンタインも一緒に過ごせなかったから……」 雨竜院血雨は亡くした恋人の遺影を前に寂しげに笑った。 「辛気臭いかな? お供え物って感じだし……」 同じベッドに腰掛けている取飲苦さば子に問う。その笑みは自嘲的だ。 「いいと思いますよ。辛いときは辛気臭くても……」 さば子がマグカップを持って後ろを向くと、汚い音が数秒響いた後、甘く優しい香りがただよい始める。 「私からのバレンタインチョコです。辛気臭くても、辛くなりすぎないように……」 マグカップの中ではホットチョコレートが湯気を立てていた。 自分用に切り分けたガトーショコラをフォークで口に運び、咀嚼し、ホットチョコレートで流し込む。似たような甘さが重なってあまりいいとは言えない組み合わせだが、なんだか優しさが染み渡るように思われた。 「ありがとう、さば子ちゃん」 ガトーショコラを切り分けた皿をさば子にも差し出す。さば子は自分ではコーヒーを飲んでいて、一瞬手が止まった。 ✝✝✝✝✝ 一家の食卓はいつも喧騒の中にある。 「このカレー、ちょっとだけチョコレートの匂いがするね」 「ホントだ~」 暴走双子姉妹・刹那と模糊は夕食のカレーについての発見に声をあげると、∞がそれに答える。 「一君がバレンタインだからって作ってくれたんだ。最後にチョコレートを隠し味に入れてあるんだよ」 「バレンタインのカレー! 一お兄凄いねえ」 「凄い凄―い。お風呂もお湯がチョコレートだったりするのかなあ」 「しないわ」 模糊の言葉に二六(テルマエ・ロマエ)が突っ込む。いつも通りの、騒がしい一家の食卓。 「あれ? その一お兄は?」 「私達もお兄ちゃんにチョコ用意してたのに~」 「ああ、それはねえ……名誉の負傷と言ったところ、かな」 ∞が笑う。 一は自室のベッドの中でうんうんと唸っていた。机の上には今日貰ったチョコが並んでいる。その中の1つは既に食べた形跡があり、綺麗に開封された黄色と黒の包装から闇より黒い塊が覗いていた。 ✝✝✝✝✝ ドルンドルンと音を立てて、透明なグラスに琥珀色の液体が満ちてゆく。 雨弓は大きな手でチョコレートを1つ摘み、口に放り込んだ。噛み砕けばチョコレートと、それにコーティングされた洋酒漬けのさくらんぼ、2つの風味が口中に広がっていく。数秒置いてグラスの酒を一口で飲み干し、満悦といった様子で小さく息を吐く。 「お酒にチョコって、変な感じ」 畢は兄の晩酌にジュースで付き合いながらそんなことを言う。 「合うもんだよ、酒によるけど。畢と金雨がくれたのも美味かったぜ。ありがとな」 「えへへ、良かった。……ところでさ、そのチョコは誰にもらったの?」 兄からチョコレート、また兄へと視線を移し、問う。今兄に向けるのは疑いの目だった。対して雨弓は苦笑しつつ答えた。 「お前が疑ってるようなのじゃねえよ。くれたの結婚してる人だし」 「……そっか」 安堵とがっかりが半々の気持ちで、畢は少し目を伏せた。 雨弓に恋人が出来たら雨雫はどう思うんだろうか。自分は同じ人を好きな人がいたら嬉しいけれど、死んでしまった雨雫には、共に愛することも叶わない。 彼女にしては複雑な思いを抱えながら前髪を何気なく指で弄んでいると、今度は雨弓の方から言葉をかけてくる。 「お前こそ、今年は本命の相手とかいたのかい? この前のお参りじゃ秋みたいに『恋が出来ますように』とか言わなかったしな」 雨弓の言葉はからかい半分であった。しかし、言われた畢は少しばかり驚いた顔をした後、女狐めいた笑みを浮かべる。 「んふふ……去年まではいなかったけど、今年はどうだろうね。お兄ちゃんには内緒」 雨弓がピタリと固まる。 畢は「ボクだっていつまでもお兄ちゃんにベッタリじゃないんだからね!」と宣言して、ジュースを飲み干し、グラスを持ってタタタッと駆けて行った。 石像のようになっていた雨弓だが、畢がいなくなるとハッと我に返り、そして項垂れる。 「え……マジで? いるの? いや、いるともいってねーけど……うぇええ……」 そのまま頭を抱えて暫く呻いていた。畢はブラコンだが、雨弓もあまり人のことを言えないようだ。四九〇はその晩、雨弓に「畢の周辺にそれらしい男子はいるか」と電話で散々聞かれることとなる。 降り頻る淡い光の群れが街を包んでいる。恋が実った者、実らなかった者、実りに近づいた者……全ての人の頭上に、遍く輝いていた。 バレンタイン・鬼吸 その日、浅草ランドウが教室へ入るといつもと様子が違っていた。 正確には男子の様子が違っていた。 どこかそわそわとしてそれでいて何でもない風を装い、 周囲の隙を見て机のなかに手を入れては、 殆どの者が失望を隠そうとしつつも隠しきれていない。 席に着いたランドウは自分も密かに、 それでいて確信をもって机に手を入れる。 そこには思ったとおり大量に何かが詰まっていた。 何かとはチョコレートだ。 男子諸君はすでにお分かりだろう。 そう、今日はバレンタインデーなのだ。 今日、ランドウは勝ち組だ。 心に大いなる喜びが湧き上がる。 しかし彼は誰にも見せつけない、誇らない。 それは「彼女たち」への裏切りだ。 彼、浅草ランドウは突然変異の脂肪を吸う吸血鬼だ。 その力で女子たちのダイエットを密かに請け負っている。 女子というものは太っているという事を知られるのを嫌うものだし、 人には言えないような方法でダイエットを行っているなどとは、 口が裂けても言えないだろう。 このチョコは彼との繋がりを知られぬよう密かに贈られた表には出せない感謝だ。 だから彼も誰にも見せないのだ。 さてこのように、これらのチョコは本命ではない。義理だ。 それでも彼は嬉しい。 もちろんそれは彼女たちの感謝の気持ちが嬉しいのでもあるが、 純粋にチョコそのものが嬉しいのだ。 なにしろチョコの主成分はココアバター、油だ。 前述したとおりかれは脂肪を吸う吸血鬼なのだが脂肪以外のものは殆ど吸収できない。 それで普段の主食はマヨネーズだ。 あるいはもこみちばりにオリーブオイルをどばどばかけた料理だ。 だが、あれらはあまりよろしくない。 うまいのはうまいが、普通の人間にとっての旨み調味料だばだば料理とでも言おうか、 何か本能のみで反応する味。料理人たちが苦闘し編み出したレシピたちを否定する味。 人間らしい理性で味わう料理ではない気がしてなんだか情けなくなるのだ。 だがチョコは違う。油たっぷりなのに不自然に追加したのではない完成系なのだ。 バレンタインにはチョコ以外にも洋菓子類を貰う事もあるが、 それらもバターをふんだんに使っていることが多い。 もともとの正しいあり方として油たっぷりなのだ。 後ろめたさと無縁のうまさなのだ。 それが、感謝の証として贈られるのだ。 だから、浅草ランドウは、バレンタインデーが好きだ。 メタポイド RETURN OF DANGEROUSMAN まぶしい光に包まれて、ダンゲロス男は目を覚ます。 彼はさっきまで戦場にいた。 そして敵の刀で首を刎ねられ死亡した。 だが、ここは戦場ではない。 だが、彼の首は何事もなく胴体と繋がっている。 すらりと伸びた手足も、小ぶりだが形のいい胸も綺麗なものだ。 セーラー服を着た、いつも通りの女子高生ぶりだ。 いつも通りといえば、 【この先、DANGEROUS!命の保証なし】 の看板も見慣れたものだ。目覚めたとき大抵はこれが目の前にある。 今回も舞台は希望崎学園。通称「戦闘破壊学園ダンゲロス」だ。 次いで彼はポケットを探る。 携帯電話を見つけ日時を確認する。2015年××月××日。 その日付を記憶の中の膨大なキャンペーン情報と照合する。 大銀河一のダンゲロスマニアである彼の脳内には、 ダンゲロスに関するあらゆる情報が詰まっているのだ。 照合の精度を上げるため周囲をチェック。 希望崎学園の建つこの夢の島から橋を渡った向こう、 東京本土が爆撃でも受けたように荒廃している。 これは……第十次ダンゲロスハルマゲドン! 瞬間的にそのキャンペーンの全情報が脳内を駆け巡る。 その結末さえも。 だがそれがどうした。 それはそれ、これはこれだ。 勝つにせよ負けるにせよ、かつてのキャンペーンをなぞって何が楽しい。 どう楽しんだっていい、ダンゲロスは自由なのだ。 「よし、それじゃあ今回も楽しんでくるかのう」 そうして彼は何万回、何億回目かも分からぬ戦いへ、 しかし初めと変わらぬ新鮮な喜びと感謝に満ちて歩き出した。 ダンゲロスよ、ありがとう! 『ダンゲロス男になった翌日』 ダンゲロス男になった翌日、私は番長Gとともに散歩に出かけた。 もう冬だというのに木は青々としている。 モヒカンザコの表情は希望と活気に満ち、額から流れる無辜の村民の血が太陽光を反射していた。 「人間が憎しみあう時代は終わったのだな」 昨日とある一流企業に足切りされた白川さんが、ほっとしたように私たち番長Gに言った。 「ええ、これからは人が人をチキチキし合う時代なんですよ」 普段は滅多に話に加わらない智沙希が、白川さんの肩に手を置いて優しく言った。 「合鴨という人を御覧なさい。二本の矢が膝に貫通しているじゃないですか」 別次元のこうい生命体がそう言って微笑んだ。 白金翔一郎は長年使ってきた日本刀を質に入れ、トゲ付き棍棒を購入した。 「剣術はもう不要だ。これからは日本中に断末魔を響かせよう」 一仕事終えたモヒカンザコの表情で男は言った。 青空のなかをを冥王星が横切っていった。 紅井涙子SS 「惨劇の記憶」 2013年、1月――。 その日、紅井涙子は数年ぶりにウキウキとした気分でいた。 こんな気持ちになるのは、両親がクリスマスのプレゼントを買ってきてくれると言った、 あの日以来かもしれない、そう思っていた。 涙子は今、映画館の椅子に座っている。館内は満員だ。 上映前から周囲の熱気のようなものが伝わってくる感じがして、 そんな雰囲気に触発されて、更に気分が高揚してくる。 そう、今日は国民的人気漫画が、遂に映画化され、公開される日なのだ。 涙子は、小さいころからその漫画の熱心なファンだった。 彼女の両親がまたその漫画の熱狂的なファンで、単行本が発売されては、 家族で内容について語らったりした。 その漫画は涙子にとって、両親との大切な思い出の一つだった。 けれども彼女の両親はもういない。両親の死により、孤児となった彼女の生活はすっかり貧しくなり、 楽しく漫画を読むこともできなくなった。この映画も、見ることはできないと思っていた。 今の彼女は映画の入場料を払う、お小遣いすら貰えないのだ。 ところが、今年は違った。なんと彼女の今の育ての親が、「今年は特別だ」と言って、 2000円ものお年玉をくれたのだ。 「これで好きなものを買いなさい」 普段は自分に酷く辛く当たっていた彼らが見せた優しさに、涙子は涙して喜んだ。 (今にして振り返れば、その時に見せた彼らの微笑みには、まったく別の意味が込められていたのだが) 手にした2000円によって、涙子は映画を見るだけでなく、映画館でジュースやお菓子を買うこともできた。 涙子は中学生なので学生料金で、映画館には1000円で入れた。1000円もの豪華な食事は、普段は貧しくてカップ麺付けの 涙子にとっては久々の豪華な食事だ。 「まるでお姫様になったみたい!」 まったく一般的なことをしているだけの今の状況が、涙子にはしかし、たまらなく嬉しいひと時であった。 涙子は、手の中に両親の形見、紅い虎のぬいぐるみを抱えて映画が始まる時を楽しく待っていた。 「虎ちゃんも楽しもうね。パパとママの分まで……」心の中でぬいぐるみに語りかける。 不思議と虎の顔も微笑んでいるように見えた。 ビィィィ――――、と開幕のブザーが鳴り響く。遂に始まるのだ――。 涙子だけでなく、会場全体が自然と厳粛な雰囲気に包まれる。 スクリーンの前を覆っていた幕が、ゆっくりと開いていき……。 静寂が、館内を支配した。 それからの二時間の記憶が、その後の涙子にはあまりない。 ただただもう、辛くて、悲しくて、寂しくて、喚きたくて、泣きたくて、叫びたくて、 泣きたくて、叫びたくて、泣きたくて、叫びたくて、哭きたくて、 そんな気持ちだった。 世の中にはなんでこんなに酷いことをする人がいるのだろう、こんなに辛いことが世の中にあるのだろうか、 神様ごめんなさい、私なんて生まれてこなければ良かったのかな、そう思った。 恐るべきことにその映画を見ていた二時間の間に味わった精神的な辛さは、 彼女がこれまでに受けた全ての苛めや虐待を合わせても、両親が死んでしまったあの時の辛さよりも、 そしてその後に起こった惨劇よりも、なおいっそう酷いもののように感じられた。 涙子がその二時間の記憶だけを忘却の彼方へ無意識に沈めてしまってのも無理のないことである。 ガタッ……。突如、涙子の隣で音がした、涙子が目を向けるとセーラー服姿の女性が倒れている。 黒髪ロングの眼鏡をかけた女性だ。口からは白い泡を吹き、目からは涙がとめどなく流れ、全身が激しく痙攣している。 「なんで、なんで、ダンゲロス世界にアレが……。あんまりだ。そんな……。嘘だぁーーーー!!」 と、涙子の耳によく分からない、うわ言のような叫びが聞こえてくる。 だが、こんな風になってしまうのも無理はないな、と涙子は思う。 皆、あまりのことにこれまで味わったことのない精神的なショックを受けたのだ。 「しっかりしてください!」涙子はその女性を起こそうと、近寄って声をかけた。その時、 「ウギャオオーーーーーーーー!!!」 突如、館内の中心からも大きな叫び声が響いた。 涙子が驚き振り返ると、男の人が立ち上がり、全身から大きな叫び声を上げていた。 「あの人もあの映画で心を……!」そう思った涙子の目に次の瞬間信じられないものが目に映った。 男の体色が緑色に変化していき、体型が大きく変わっていく、 皮膚が膨れ上がり、服が破け、みるみるうちに、巨大な……巨大な触手へと変化した!! 「ウルォォォ……」男は、いや、巨大な触手は、たちまち近くいた数人の女性客に絡みつき、その体を舐り始めた。 「キャァァーーー!」館内からたちまち悲鳴が上がる。戸惑う涙子。だが、悲鳴の中に一つ異質な叫びが含まれていることにすぐに気付いた。 「ヒャッハー!犯せ!殺せ―――!」突如、今度は館の隅の席から愉快な叫び声が響いた。 そこでは、頑強な体躯に、大きな、トサカのような頭をした男が、何故か右手に大きな棍棒を持って暴れまわっている。 「あそこに座っていたのも普通の男性だったはず――!」涙子は思ったが、瞬時に理解した。 「あの男性も変化してしまったんだ! あの映画の、あまりの精神的ダメージによって!」 周囲を見回すと、もはや、まともな状態でいる人間は一人もいないようだった。 触手へと変化した人間、体格と髪型が変化し、暴れまわる人間が約半数、そして残りの人間も自暴自棄になったか、 いや、やはり精神を破壊されてしまったのだろう。男性は「もうどうにでもなっちまえー!」と周囲の女性へと襲いかかり、 そして女性の側もまた、「犯して―!!私を犯して―!!」と悲鳴のような嬌声を上げて、 むしろこの状況を喜んでいるような状況にまでなっている。 館内は、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図となっていた。 ちなみに。 この状況となったのは、涙子のいる映画館だけではない。 関西中の映画館でこれと同じような状況が起きていた。 そして、巨大な触手と暴徒の群衆は、映画館の外に溢れ、関西中の人間にこの症状は感染していく。 彼らに接触した人間も脳内に「あの映画の映像」が流れ込み、精神を破壊され、 やはり触手か暴徒へと変形していくのである。 このパンデミック現象は後に、あの映画のタイトルをもって呼称されるが、それはまた別の話である。 (なお関西以外の土地ではこの事態を事前に察知した、魔人公安の活躍によって映画公開が差し止められ、 惨劇が未然に防がれていた。関西方面だけは魔人コバヤシの暗躍により、 公開が差し止められなかった) 涙子にはもはや訳が分からなかった。だが、暴れている皆が、表面上はこの宴に酔っているように見えて、 心には深い絶望で支配されていることが伝わってきた。 「もう止めてみんな! こんな、こんなことをしても!」 無駄と分かっても、叫ばずにはいられない涙子。その目に涙が溢れる。だが、その姿によって、むしろスイッチを入れてしまったことに彼女は気付かなかった。 周りの触手達、暴徒達、はその瞬間、全て涙子に目を向けた。そして涙する少女を前に、彼らの精神は大きく刺激された。 「ウォォォ、獲物、エモノだぁぁぁーーー!!」 そしてたちまち彼女へと皆が襲いかかっていく! 一番手は最初に館内中央で暴れ出した触手だった。まず先端から黄色い体液を吹き出して、涙子へと振りかける。 涙子の身に着けた服は、その体液によって、たちまちところどころ溶けて行った。 涙子の手から、抱えていた紅い虎のぬいぐるみが零れ落ちる。絶望感に支配される涙子。 そして触手が涙子の、まだ幼さを残す体へと這いより……。 (編者注:ここからのシーンを詳細に描くことはやろうと思えばできますが、 あまりに悲惨なのと、健全な青少年諸君も目にしていることから差し控えさせていただきます。 あまり夜中までエッチな話題のラジオを続ける大人は良くないと思います) 凌辱は、終わりなく続くかと思われた。 かわるがわる、触手と暴徒が涙子を犯しぬいた。涙子という餌によって、館内のこの狂ったパーティータイムは絶頂を迎えていた。 手番が一巡したのか、今涙子には最初に襲い掛かった触手が再び纏わりついていた。 なお、館内ではこの狂宴の発端となったあの映画がまだ繰り返し流れていた。 「俺、○○になら裏切られてもいいよ!」スクリーンから明るい少年の声が空しく場内に響き渡る。 「裏切りか……。皆、私を裏切ったな。プレゼントをくれるといって、死んじゃったパパもママも、友達も、あの新しい親達も、 そして、あの映画も」 既に虚ろな目となっていた涙子。その頭にこれまでの人生がフラッシュバックしてゆく。 「裏切られてもいいなんて嘘。辛くてもいいなんて嘘。皆忘れたいんだ。本当に辛いことは。あんな映画のことは!」 涙子の目に光が戻る。 「なら、私が忘れさせる!」 涙子は、自ら進んで触手へと手を伸ばし、その体を抱擁した。 「良いんだよ……全て、忘れて……、今は皆で嬉しいことを考えれば」 そして、触手へと口づけした。 オオオオオオオオ……。場内から歓声が上がる。まるで全てを祝福するかのように。 涙子が座っていた席に残された紅い虎のぬいぐるみの目が怪しく光った。 翌日。 映画館内に踏み込んだ魔人公安によって涙子は救出された。 いや、救出という言い方は正しくないのかもしれない。 映画館内には涙子以外に生きた人間は残っていなかったのだから。 魔人公安達が目にしたのは、おびただしい量の血に溢れた館の中心に、ただ一人、1本の触手と戯れていた少女の姿である。 少女は涙し、笑いながら、「みんな、みんな、忘れよう。楽しもう」と触手に絡みつかれていた。 救出を担当した公安の証言によると、不思議なことに最初は少女を憐れむ気持ちがあったが、次にはこの少女と一緒に楽しみたい、 少女をどうにかしたい……という気持ちが湧いたという。 なお、館内の人間は全てが肉片一つどこから骨すら残らない惨状であったが、一番惨たらしく感じられたのは映画館のスクリーンだったという。 そこには巨大な獣が数百回にも渡って爪を立て掻き毟った跡が残されており、更にこれも巨大な獣のものと思われる牙によって、 無数の巨大な穴が開いていたという。 無論、スクリーンの表面は紅い血にまみれており、巨大な憎しみの跡が感じられるようだったという。