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野良最上位勢。前作野良ノーミスカンスト、野良2ノーミスカンスト実績多数。ゆーがさんの前では全てのオオモノシャケが消し炭になる。オオモノシャケの圧倒的なまでの破壊が特徴。クソ湧きシナリオの2オペクリアに挑戦するなど、超超高難易度サモランの道を極め続けている。超超高難易度サーモンランで発狂したければ、ゆーがさん募集に凸れば間違いない。当然ながら、乱獲も最上位。 投稿者:くまりら
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『どちらか選べ』 7KB 小ネタ 日常模様 野良ゆ 子ゆ 現代 独自設定 いつものあっさり小ネタです ※俺設定注意 ※作、長月です 今まで書いた作品はこちらに http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/393.html とある住宅街の路地裏。 通常この手の路地裏には野良ゆが住み着いており、ご多聞にもれず、ここにも野良ゆっくりの巣がある。 「・・・・・・・・・」 ダンボールで出来た巣の中には成体のゆっくりれいむ。 凝視する先には一つの飴玉。野良ゆにとっては貴金属にも等しい貴重品だ。 普通ならめったに手に入らないあまあまが手に入ったと、もっと嬉しそうな顔をしてそうなものだが、その顔に笑みはない。 そしてその横には2匹の子ゆっくり、子れいむと子まりさがぐったりした顔で頬を寄せてうずくまっている。 れいむはこれから選ばなければならない。 どちらかを助け、そしてどちらかを見捨てることを。 どちらか選べ れいむはしんぐるまざーの野良ゆっくりだ。つがいのまりさをなくして以来2匹の子ゆをれいむ1匹で育ててきた。 しかしここ数日その2匹の子供達の様子がおかしい。いつもは元気に跳ね回ったりお歌を歌っている2匹の元気がないのだ。 「おちびちゃん、ゆっくりしてね!!ペーろぺろ・・」 必死にぺーろぺろやすーりすりを繰り返したが全く効果がない。途方にくれたれいむは人間に助けを求めた。 「おねがいじまずぅう!!!おにいさん!!おちびちゃんがしにそうなんですぅうううう!!!」 しかし通行人からしてみれば野良ゆの頼みごとなど聞く義理などない。 皆、汚らしい野良ゆなど相手にしたくないと、目も合わさず去っていく。 「・・・どうかしたのか?」 夜になり道行く人々も少なくなり、もう駄目かと思った時、一人の男だけがれいむの話を聞いてくれた。 「あー・・・こりゃただの栄養失調による非ゆっくち症だな・・・」 れいむとともに路地裏に来た男は、即座に子ゆっくり達の病名を診断した。どうやら男はゆっくりに相当詳しい人間らしい。 「だったらこれでも食わせておけ。そうすりゃ2,3日で治る。」 男はそう言うとポケットから個包装された飴玉を出し、ビニールの包装をむいてれいむの前に置いた。 「子れいむか子まりさ、どちらか選べ。助けたいほうを、な。」 そう言い残すと男はそのまま路地裏から去っていった。呆然とするれいむと一粒の飴玉を残して。 「・・・・・・・ゆぅ・・どうしよう・・・」 助けるべきは子れいむか子まりさか。 あれから一晩、れいむは一睡もせずに迷い続けていた。目の下に出来た大きなくまがそれを物語っている。 れいむにとって2匹はどちらもかけがえのない存在だ。どちらか選ぶなんてできない。 子れいむはとても優しい子だ。 れいむのかりの腕が下手なせいでろくに食べ物が食べられない日も、けっして母れいむを責めるようなことは言わず、むしろもっと食べたいと駄々をこねる子まりさにそんなこと言っちゃだめだ、お母さんも頑張ってるんだから、と諌めてくれた。 「れいみゅ、おちょなになったらおきゃーしゃんみたいなゆっきゅりしたれいみゅになりゅよ。」 そう言っていつもれいむを和ませてくれた子れいむ。 その暖かな笑顔にどれだけれいむは救われてきたか。 きっと大人になったらゆっくりした旦那様とたくさんのおちびちゃんに囲まれた良いお母さんになるだろう。 子まりさはとても勇敢で強い子だ。 どんなものにも物怖じしない性格でかけっこやぴょんぴょんも他の子ゆっくり達より秀でており、今は亡き父まりさも大人になるのが楽しみだと言っていた。 「いちゅかどしゅになっておきゃーしゃんたちをゆっくりさせてあげるんらじぇ!!」 いつかドスになってみせる、が口癖でいつも一家のムードメーカ的存在だった子まりさ。 その無邪気な元気さにどれだけれいむは勇気づけられたことか。 きっと大人になったら狩りの名人になり、いい父親になるだろう。もしかしたら本ゆんの言うようにドスまりさになり、虐げられ続ける野良ゆっくり達の希望になるかもしれない。 できればどちらとも助けたい。どちらとも生きていて欲しい。 だが目の前にある飴玉はたったひとつ。救うことができるのは子れいむか子まりさどちらか一匹だけ。 そして今こうして悩んでいる間にも2匹とも死んでしまうかもしれない。夕べより顔色はいっそう悪くなっている。 もう一刻の猶予もないだろう。 「よし・・・きめたよ・・・」 飴玉をそっとくわえるれいむ。その顔は悲壮な覚悟に満ちている。 れいむは決めたのだ。どちらの命を助けるのかを。 「おちびちゃん・・・これをのんでね・・・・」 口移しでれいむは飴玉飲ませる。いきなり口に入れられた異物に多少驚いたようだが、それがあまあまだとわかるとぐったりしつつも嬉しそうにそれを飲み込んだ。 これでこの子は大丈夫だ。徐々に顔色も良くなっている。あの人間さんの言うとおり2、3日もすれば元気になるだろう。 しかしもう一方のおちびちゃんは・・・ れいむは向きなおる。もう1匹の助けられなかった子ゆっくりに。 どちらかを助けると決めるということは・・・どちらかを見捨てるということ。 もう二度とこの子が元気に跳ね回る姿を見ることはない。成長して立派な成体ゆっくりになることも。 自分はこの子の輝かしいゆっくりした未来を奪ってしまったのだ。そう思うと中枢餡を切られるように心が痛い。 「ごべんね・・おちびちゃん・・・ごべんねぇ・・・・・」 もう既に黒ずみ始めているおちびちゃんにれいむは泣きながら詫び続けた。 分かっている・・・ そんなことしてもこの子が死ぬことには変わりないし、自分のおちびちゃんを見殺しにしたという罪も消えるはずがない。 こんなものは罪悪感をごまかしてるだけだということも。 「ごべんね・・・・・ゆっぐりできないおかあさんでごべんねぇえええええ!!!」 それでもれいむは流れ落ちる涙と口から出る謝罪の言葉を止めることはできずにいた。 「そういやあの野良れいむ・・・結局どっちを選んだのかね・・」 一方その頃、とある職場の喫煙所で一人の男がタバコに火をつけていた。使い古したあちこち色落ちした作業着を着ており年は40代そこそこといったところか。 この男夕べれいむに飴玉を与えた男だ。まぁ与えたといってもあの飴玉は同僚の女性にもらったもので、甘いものがダメな男はいずれ捨てようと思っていたものなのだが。 「ま・・・どっち選ぼうと同じことだけどな・・・」 そうつぶやきながら男はタバコの煙を吐き、ニヤリと笑う。 「主任、車の準備できました。いつでも出発できます。」 「1班から7班の連中はもう所定の位置についているそうです。俺達8班もそろそろ行かないと。」 その時2人の青年達が喫煙所に入ってきた。2人とも男と同じ作業服を着ておりその胸には「加工所」のロゴマークが入っている。 「おう分かった。今いくよ。」 男はタバコの火を灰皿でもみ消しベンチから腰を上げる。 向かう先は駐車場に止めてある駆除道具がたっぷり入った加工所が所有しているライトバンだ。 今日は年に一度の一斉駆除の日。特に最近この町は野良ゆが増えすぎておうち宣言、ゴミ捨て場、畑、花壇など荒らされるなどの被害が深刻化している為、今年の一斉駆除は周辺の町の加工所も協力しての大規模なものが展開される予定だ。 そう例えるならこれは殲滅戦。赤ゆ一匹漏らさぬ包囲網がすでに町には敷かれている。 おそらく今日の夕方にはこの町の野良ゆは1匹として生きてはいないだろう。 もちろんあのれいむ親子も含めて。 男はそれが分かった上であえてあの飴玉をれいむに与えた。最近マンネリで退屈になってしまった日常業務への刺激として。 ちょうどあの路地裏は自分達8班が担当する区域のど真ん中だ。いやでも夕べのれいむと会うことになるだろう。 自分にアメをくれた優しい人間さんが、実は加工所の職員と知ったら。 さんざん迷い苦しんだであろう命の選択が全て無駄だと知ったら。 あのれいむはどんな顔をするのだろうか。考えただけでぞくぞくする。 「どちらか選べなんて言っちまったが・・・お前ら糞饅頭に選択の余地なんぞありゃしないんだよ・・・」 そう野良ゆに選択の余地などない。あるのは無残で無意味で無価値な死だけ。 それが男のポリシーだ。 「えっ、何か言いました?主任?」 「いやなんでもねえよ・・・車を出してくれ。」 「はい。」 男に促され青年職員はライトバンにエンジンをかける。 ワンボックスタイプの車はゆっくりと新緑の美しい町並みを走り出す。これからおきる惨劇など知らない野良ゆ達の下へ。 ゆっくりできない破滅と絶望を乗せて。 後書き れいむが選んだのは子れいむか子まりさか。この後どうなったのかは読者の皆さんのご想像におまかせします。 ご意見、ご感想、ご要望は感想用掲示板(長月用スレ)でおねがいします。URLは下にある通りです。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(長月用スレ) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907
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お約束事項 基本的なコト 遅刻欠席の連絡は必ずしましょう!⇒ 相手も予定を開けていますので。最悪事後でも良いです。 連絡なき遅刻は、開始時間を10分経過した場合、欠席とみなし、補充を探します 言いたいこと、気になることはその場で言うようにしましょう⇒ ためこむとロクなことになりません。言い辛いときは、まずリーダーにご相談を 酷い愚痴や暴言、誹謗中傷はやめましょう⇒ 誰も何も得をしません。 何かを指摘する際は、その原因を相手に発言してもらうよう促すと、効果的です⇒ ×:何度も鉄球でペロらないでほしいんですケド。⇒ ○:鉄球にあたってしまうみたいだけど、避けるの難しい? みたいな。 固定の連絡は、twitterのグループDMを利用します VCはdiscordを利用します 時間・補充に関して 始まりの時刻は「開始時間」です 開始5分前にサーバー間募集をリーダーが立てます⇒ 立っていない場合はメンバーが立てて、その旨をDiscordないしはtwitterで連絡してください 補充で活動する場合、早めにインできた人が募集PTを立て、その旨をDiscordないしはtwitterで連絡してください⇒ 開始時間までに補充の目途が立たない場合、クリア済み者の登用も視野に入れます メンバー間で連絡を取り合い、円滑に開始できるよう協力しましょう 予定変更に関して 予定調整が終わり、活動日が決定した後で、都合により予定が変更になることはあるかと思います。 ですので、そういった場合、下記表の考え方をベースに、メンバー間で活動要否を相談します。 予定変更が発生したのはいつか その日を中止とした場合の 週間総活動回数 実行するアクション 活動日午前中よりも前 2回以上 該当日の活動を中止 2回未満 補充を入れて活動を実施(補充が見つからない場合は中止) それ以降 - ※ なおリーダーが当日不在の場合は、都度当日限定リーダーを指名させて頂きます。 装備・トークン・等に関して 可能な限り新式装備は用意してください(換算値を見て変えないという選択肢はありです) 確定穴にハイマテリジャをはめてください(種類はお任せします)⇒ 禁断するしないは各々のご判断にお任せします⇒ あと数%クリア可能な状況が続いた時のみ、固定全体で相談します トークンは、攻略中ジョブに対し、最優先で使うようにしてください 最大効果を得られる食事を用意してください 最新の薬品を用意してください ロットについて 装備 第一希望と第二希望を設定できます 第一希望は、攻略参加ジョブ(枠)のものに限ります 第二希望は、どのジョブ(枠)でも選択できます 層別に希望を設定することはできません 第二希望の変更攻略開始後リーダーの宣言を以て、第二希望が固定されます(勝手に変更できなくなります) 攻略の都合上、ジョブ変更をした場合は無条件で第二希望を変更可能です 私的な都合で第二希望を変更する場合は、メンバー全員の相談で可否を決めます 武器・強化素材類 武器(箱含む)は、順番に均等に配布します⇒ 配布順序は、DPS → タンクヒラです 硬化薬(腰・アクセ強化素材)は、フリーロットです⇒ 取得数をカウントし、あまりにも偏りがある場合、リーダーがロット者を指定することがあります 繊維(頭胴手脚足装備強化素材)は、順番に均等に配布します⇒ 配布順序はありません 強化薬(武器強化素材)は、順番に均等に配布します⇒ 配布順序は、DPS → タンクヒラです その他 ロット権を有する人が「要らない」と宣言した場合、 装備の場合は第二希望者へ、それ以外の場合は次の方へロット権が移ります。 第二希望者も「要らない」と宣言、配布対象者がいないとリーダーが判断した場合、 そのアイテムはフリーロットとします。 攻略中のアレコレについて 野良活動 野良PTに行っての練習は推奨します(強制ではありません) 野良PTでのクリアは禁止です(当該週にクリア済みの層はこの限りではありません)⇒ 攻略進度差による軋轢が発生してしまいます 野良PTへ行く際は、できるだけ他メンバーへの声掛けをしましょう 他メンバーに対し、野良活動を強要する行為は禁止です⇒ 練習量による錬度の差が出るのはしゃーなしです⇒ そういう場合は相談し、固定回数を増やすとかそういう話をしましょう ジョブ変更 変更を迫られる要素は色々とあると思いますので、 変更したい場合は、メンバーとの相談の上、決定します。 その際、ロットをどうするかも決めます。 その他 活動日以外の野良での練習は、該当週のクリアがドロップに影響しない場合、可とします⇒ 影響する場合は、該当週の固定活動最終日以降で可とします。 活動週における野良活動は、攻略済み層は、固定活動でクリアするまで不可とします 未攻略層の野良活動はいつ行ってもよいですが、攻略中層が時間切れや最終フェーズに到達した場合は、該当週最終日まで不可とします 大規模パッチが追加された場合、活動をどのようにするかは都度相談します 極蛮神戦は可能であれば固定で行きたいです ACT等の数字はあくまで目安として利用する分にはOKです 何かあった場合は、リーダーまでご相談ください
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ここはCW動画・内戦動画などを Zoomeであげたのをはっていきたいと思います 野良2 bySinn 今回はM4のウエア 野良 bySinn 久しぶりに撮ったじぇ vsAve-lilith ずいぶん前のです vsCRy帝國~9S~ これも前のです
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『聖者の……』 19KB いじめ 飼いゆ 野良ゆ 都会 愛護人間 虐待人間 独自設定 14作目 正式タイトルは後書きに 「れいむぅ、またあえたねぇ!」 「まりさぁ!会いたかったよぉ!」 とある公園ですーりすーりと2匹のゆっくりが体を擦りつけあっている。人間からすれば気持ちの悪い光景であるが、2匹はとても仲が良さそうである。 野良ゆっくりの番だろうか、そう思って2匹を見れば明らかに身なりが異なる。 一方のまりさは明らかに野良であろう、髪や体は汚れお帽子には様々な傷が残っている。 ところがその相手のれいむは違う、つやつやの髪や体には汚れ一つ無く、綺麗にアイロンがかけられたリボンには日差しを浴びて黄金色に輝くバッジが留められている。こちらは明らかに人の飼いゆっくりにである。 そんな不釣合いな2匹が仲良くしているのだ、れいむの方は綺麗な体にまりさの汚れが移るのも気にせずすーりすーりをしている。 「まりさと会えなくてれいむは泣きそうだったよぉ!」 「まりさもだよ!れいむがきてくれなくってさびしかったよぉ!」 そう言って肌を擦り付けあう、不釣合いな2匹であるが恋ゆ同士である。 「まりさぁ、れいむはまりさとずっと一緒にゆっくりしたいよ!」 「れいむっ!まりさもだよ。でも……」 すーりすーりをしていたまりさの笑顔が曇った。それを受けてれいむの笑顔にも影が差す。 「ゆぅ、まりさ」 「れいむ、まりさはのらだよ。かいゆっくりのれいむとずっといっしょにゆっくりするのはむずかしいよ!」 暢気に逢引をしていた2匹も、やはりその問題は理解しているらしい。 「まりさ……でも、れいむは!」 「いいんだよ、れいむとあえるだけでまりさはしあわせーだよ!」 「まりさ……でもなかなか一人では公園さんには来れないんだよ」 「ゆぅ……」 「前にお兄さんにお願いしたけど、まりさのことは許してくれなかったし」 「もしバレたら、お家から出してもらえなくなっちゃうよ……」 「……いやだよっ!そんなのいやだよ!」 大人しくなった2匹は広がる沈黙の中体をくっ付け合った。 「まりさ……れいむはもう帰るよ……お兄さんが心配するから」 「ゆぅ、わかったよ……きをつけてかえってね!」 名残惜しそうに見詰め合うが、そうのうちどちらとも無しに相手から離れ、れいむは草むらに置いてあったすぃーに乗り込んだ。 「じゃあね……まりさ!」 そう言って走り出すれいむの後姿を、まりさは見えなくなるまで見つめていた。 「ただいま……お兄さん」 れいむがお家の庭に戻ると、部屋の中に人影か見えた。れいむの飼い主のお兄さんが既に帰ってきているのだ。 「やぁ、れいむお帰り。ちゃんと足を拭いて上がってきなよ!」 れいむの声に気が付いたのか、お兄さんの返事が返ってくる。すぃーを仕舞うと入り口のマットにあんよを擦りつけれいむはお家の中に入った。 「おかえりれいむってまたそんなに汚れて!どこに行ってたんだい?」 そう言ってお兄さんはれいむを抱き上げ顔をタオルで拭いてくれる。れいむは公園さんだよと答えながら悩んでいた。 お外から帰ったら優しく拭いてもらう、昔はこれが大好きだった。わざと体を汚して帰った事もある。 お兄さんがれいむに優しくしてくれるこれは、れいむにとって何よりのゆっくりだった。しかし今は違う、タオルで拭かれるとその場所からまりさのぬくもりが消えてしまう様だ。 お兄さんとまりさ、れいむはどちらを取ればいいのだろうか。 れいむのお兄さんは所謂「愛でお兄さん」でとてもゆっくりした人間さんだ。しかしれいむは知っていたお兄さんはれいむや他の人の飼いゆっくりは好きだが、野良ゆっくりは嫌いなのだ。 最近は少なくなったが、野良ゆっくりによる庭への被害やおうち宣言などは時々起こり、町の人の野良ゆっくりに対する感情は害獣に対するそれである。 お隣に住んでいる虐待お兄さんの様に嬉々として野良ゆっくりを捕らえたりはしないが、昔お庭を荒らした野良ゆっくりをお兄さんが捕らえてお隣の虐待お兄さんに引き渡すところをれいむは見てしまっていた。 お隣のお家からは常にゆっくり出来ない空気が漏れ出している、あんな所に遣られてしまったゆっくりはどんな恐ろしい目に遭わされるのだろう、あれを見た夜れいむはゆっくり出来ない夢を見てしまった。 遊びに行った公園で知り合った野良のまりさと友達になったという話をしたときお、兄さんの目に冷たい光が宿ったのも覚えている。 もし野良のまりさと番になりたいなどと言えば、れいむはまりさ共々虐待お兄さんの所に遣られてしまうだろう。仮にれいむは助かってもまりさは永遠にゆっくりさせられてしまう。 どうしよう、大好きなお兄さんと大好きなまりさ、どちらを取るべきなのか。 そんな事を悩んでいる間に、れいむを拭き終えたお兄さんはれいむを抱えて炬燵の所へ行き、れいむを座布団に乗せてくれた。 「ゆぅ、ありがとうお兄さん!」 思考の渦から浮かび上がったれいむは慌ててお礼を言った。お兄さんは笑顔でそれに応じると炬燵に入ってテレビのスイッチを入れた。 途端に騒がしくなる部屋の中、テレビはお兄さんが気を使ったのかゆっくり関連チャンネルである。今も画面の中では胴付きうどんげが新商品の宣伝をしているが、考え事をしているれいむの耳には何も入ってこない。 「なぁれいむ、お前番とか欲しいか?」 急にお兄さんがそんな事を聞いて来る、驚くれいむ。テレビの画面ではタゆントと思しきれいむとまりさの番とそのおちびちゃんが「むーしゃむしゃしあわせー!」と言って加工所の新商品のゆっくりフードをパクついている。 「ゆっ、お兄さん!」 驚かされたがれいむの中に小さな希望の火が灯る、れいむの悩んでいた問題があちらから近づいて来たのだ。ここでお兄さんにお願いすれば。 「欲しいなら今度ペットショップに見に行くか、れいむの相手なら金バッジにしような!」 一瞬立ち直りかけたれいむは、その言葉でどん底に落とされた。ダメだ、やはりお兄さんはれいむの相手にはバッジ付きを考えている、野良のまりさの事などいえるわけが無い。 「最近はお見合いをさせてくれるショップも多いからな、最初は顔だけ見に行っても……」 そう言って色々なゆっくりの話をしているお兄さんに、れいむは生返事を帰すことしか出来なかった。やはり、どちらかを選ばなければならない。 「ゆぅ、ここをれいむのゆっくりプレイスにするよ!奴隷はさっさとあまあまを持ってきてね!」 次の日、家に帰ってきたお兄さんにれいむはその言葉をぶつけた。れいむが出迎えに来たと思っていたお兄さんの笑顔が凍りつく。 「れ、れいむ……」 「何してるの、ご主人様の命令だよ!早くあまあまの準備をしてね!」 昨夜一晩寝ずに考えれいむは決断した、れいむはまりさと生きよう。お兄さんは大好きだ、でもまりさはそれよりも大好きなのだ。 金バッジであるれいむが野良のまりさと生きることは出来ない、それならばれいむが野良になるしかない。 「何言ってるんだれいむ!れいむはそんな子じゃ無いだろう!」 解凍されたお兄さんが悲しそうな顔で叫ぶ。ごめんなさい、れいむはその顔を見て泣きそうになったが顔に出すことは出来ない。 大好きなお兄さんに、まりさとずっと一緒にゆっくりしたいから野良に成ります、などと言ったらおにいさんは深く傷付くだろう。 そうしないために方法は一つしかない、れいむが捨てられればいいのだ。お兄さんがれいむに失望して嫌いになって捨てれば、感じるのはれいむに対する怒りだけだろう。 「さっさとあまあまを用意してね、れいむはすーやすーやして待っているよ!」 お兄さんの言葉に答える事無くそう言ってお家の中に引き返す、 「なっ、何だこれは!」 居間に戻ったお兄さんが悲鳴を上げる。そうだろう、今日の昼間れいむが荒らしておいたのだ。 れいむの座布団はあちこち噛まれ綿がはみ出している、お昼にと置かれたゆっくりフードが撒き散らされ、テレビの横にあった広告のチラシがちぎられ紙ふぶきの様になって部屋中に散らばっている。 「何で……何でれいむがこんな事をっ!」 部屋を見回した後、れいむの方に向き直るお兄さん。 「ゆぷぷ、れいむのおうちを都会派にこーでぃねーとしたんだよ!荒らさないでね!」 れいむが考えたお兄さんに捨てられるための方策、それは昔金バッジ教育で禁じられた、噂に聞く最低のれいむ――でいぶになる事だった。 今まで良い子だったれいむの急な行いに驚き戸惑っているお兄さん、部屋を片付けれいむを叱るがでいぶになったれいむはその程度ではやめない。 ご飯さんは「むーしゃむーしゃしあわせー!」と言って食べるし、食べ終わっても足りないと文句を言う、さらに部屋の隅にティッシュさんをひいてその上で――おトイレ以外の場所でうんうんまでしたのだ。 「れいむっ!あんまり酷いとお仕置きをするぞ!」 そう言って凄むが、優しいお兄さんが暴力を振るえない事をれいむは良く知っている。 「何言ってるの?奴隷がれいむに生意気言わないでね!」 「れいむっ!これ以上やるならゆっくりスクールに行ってもらうぞ!」 「馬鹿なの?ゆっくりスクールもれいむのゆっくりプレイスにして上げるよ!」 次の日になっても2人の問答は続いていた、お兄さんは必死になってれいむを更生させようとしてくる。 「なぁれいむ、いったい何が不満なんだ……僕が何か悪い事したのかい?」 お兄さんが悲しそうな顔をして聞いてくる。 ごめんなさいお兄さん、れいむは心の中で泣いた。しかしお兄さんを深く傷つけないためにはこれしか無いのだ。 「不満?何ってるの、れいむは不満だらけだよ、汚いおうちに嫌なじじい、れいむはこんな所に居るようなゆっくりじゃ無いよ!」 「……れいむ……そんなことを言うなら、ここから出て行ってもらうよ」 下を向いてそう告げるお兄さん。来た、れいむの待っていた言葉が来たのである。 「ふん、ならこんなお家出て行ってやるよ!れいむにはもっと相応しいゆっくりプレイスがあるからね!」 「バッジさんなんて要らないよ、れいむは自由になるんだよ!」 その言葉にれいむを見つめて黙っていたお兄さんは溜息を付くと、 「分かったよれいむ、好きにするといい。でも金バッジは着けていきなさい!」 冷静な口調でそう言った。 それはダメだ、れいむは野良ゆっくりに成るのである。金バッジが残っていてはまりさと一緒に生きることが出来ない。 しかしれいむの希望通りにお兄さんがバッジを外してくれる事は無かった。 「じゃあれいむは出て行くよ、これからは自由に生きるからお兄さんもれいむの事はさっさと忘れてね!」 「ああ、れいむ……元気でな。辛かったら何時でも帰ってきて良いんだぞ」 そう言って泣きそうな目でこちらを見つめてくるお兄さん。それを見たれいむも泣きそうになってしまう、涙を隠すように振り向くと玄関から飛び出した。 お家の門扉まで来て振り向く。ごめんなさいお兄さん、れいむはこれから野良として生きます。お兄さんはれいむの事なんて早く忘れてゆっくりしてね。 そうだ金バッジを忘れていた。もみ上げを使ってリボンを外すと金バッジを剥ぎ取る、少しリボンに傷が付いてしまった。 それを門柱の直ぐ横にある茂みに隠すとすぃーに目を向けるが思いなおす、これからは野良ゆっくりなのだ。 お兄さんに貰った物は全て置いて行こう。金バッジも玩具もすぃーも……れいむだけで出て行こう。 れいむはお家の方に振り向くと、深く頭を下げて門から道路に飛び出した。 今まですぃーで通っていた公園への道、徒歩で歩く事を考えるとゆっくりのれいむにとっては長い道のりである。 しかしれいむは野良としての、まりさと共に生きる道を歩き出したのだ、れいむの足取りは軽かった。 人間さんのすぃーにぶつからないように道の端を歩いていると、遥か遠く反対方向からお隣のお兄さんが歩いてきた。 れいむは顔をしかめる、元飼い主のお兄さんとはご近所付き合いをしていたが、ゆっくりの虐待を好むお兄さんであり、れいむにとって見ればとてもゆっくり出来ない人間である。 お隣のお家からは常にゆっくり出来ない空気が漏れ出しているのだ、今もゆっくりキャリーケースを持ってこちらに向ってきている、またどこかでゆっくりを苛めていたのだろう。れいむは目を合わさない様に他の方向を向いて、お隣のお兄さんとすれ違った。 こうしてこの日、れいむは野良ゆっくりと成った。 すぃーで去っていくれいむを見送ったまりさは悲しみに暮れていた。 れいむとは数日置きに会う事が出来たがその時間は短かいものだし、一度会えばしばらく会う事が出来ない。 愛しい相手と会えない事がこんなに苦しい物だとはこれまで思わなかった。 れいむと会える日がまりさにとって最もゆっくりした日である、れいむとすーりすーりをすればそれまでの悲しみも吹き飛んだ。 「れいむ……」 名残惜しそうに既に見えなくなったれいむの方を見ていたまりさは、しばらくそうしてから自分のおうちに帰った。 まりさのおうちは、公園の茂みの中に隠されたプラスチックケースである。町のゴミ捨て場から拾ってきたそれの穴の開いた場所をビニール袋で塞ぎ住処としていた。 おうちの中に入ると新聞紙のベッドに横たわる、れいむが来る事を期待して朝早くから狩りに出たために既に今日の分のごはんの用意はしてあり、おうちの片隅でその臭いとともに存在を主張していた。 それに目をやって思う、やはりれいむとまりさは番に成る事など出来ない。 まりさは町の野良ゆっくりだがれいむは飼いゆっくり、しかも金バッジなのだ。とても一緒に暮らすことなど出来ない。 唯一の救いはれいむとは心が通じ合っている事だが、たとえれいむがまりさと一緒に暮らすことを望んでも飼いゆっくりとしての生活に慣れたれいむにこの公園での生活は不可能だろう。 風が吹けば寒く朝露に怯えなければならないおうち、毎日危険を冒して手に入れる食料は飼いゆっくりから見ればゴミのようなものだし、常に一斉駆除に怯えなければならないのだ。 まりさは考える、やはりれいむと一緒になるためには、まりさも飼いゆっくりに成らなければ。 同じ公園に住む野良仲間など、あからさまにれいむの飼い主に頼めば良いと進めてくる。しかし違うとまりさは思う。 れいむの飼い主にしたって、いきなり野良のまりさがやってきて、自分を金バッジの飼いゆっくりの番にして飼ってくれなど言っても怒るだけだろう。 この公園で生活する中で、そうやってにんげんさんに頼んだゆっくりがどうなるかは何度も見てきた。 まりさも飼いゆっくり、それも出来れば金バッジとなってかられいむの飼い主さんにお願いしなくては。 それになる事の難しさは良く知っている。彼女達の大半はれいむの様に「ぺっとしょっぷ」という所で生まれて教育されたゆっくりで、野良からなるなどは夢のような話である。 もちろん野良達も色々と考える。先日も子ゆっくりを使って飼いゆっくりに成ろうとしたゆっくりが居たが、皆そろって「ゆっくりゴミ」という恐ろしい筒に入れられてしまった。 平穏な生活をするならこの公園で隠れて生活するのが一番良い。しかしまりさはれいむを諦められなかった、この公園で初めてれいむを見たときから心に決めていたのだ。 まりさは愛のために、これまで避けてきた危険な賭けに挑む事にした。 「おねがいします、にんげんさん!まりさをかいゆっくりにしてください!」 翌日からまりさは積極的に公園にやってくるにんげんさんに声をかけた。何としても飼いゆっくりに成る、その一念でありゆっくりしていない相手に当たってしまう危険を冒してまでである。 早朝に最低限の狩りを済ませてから夕方まで、一人一人総当りである、正に必死であった。 しかし、汚れた体の野良ゆっくりを飼ってみようなどという物好きは居ない。 大半はまりさを見ても無視するか、嫌そうな顔をしてから立ち去ってしまうが、一部のにんげんさんは立ち去る前にまりさに暴力を振るって行った。 「またかよ、本当いい加減にしてくれよ、この公園野良が多いな……!」 一度など掴まれてゆっくりゴミに捨てられそうになり、まりさが慌てて逃げ出すという事もあった。 夕方になりおうちに戻ったまりさはボロボロに成っていた。致命的な傷こそ負っていないものの、蹴られた場所には汚れと痛みが走り、お帽子はヨレヨレである。 「まりさ、きゅうにどうしたの?……あんなことして、あぶないわ!」 まりさの近くの茂みに住むありすが、まりさを心配して駆けつけたのも無理の無い話しである。 「ゆぅ……ありす。まりさはね、きめたんだよ。かいゆっくりになって、れいむとずっといっしょにゆっくりするんだよ!」 「でも、このままじゃまりさがえいえんにゆっくりしてしまうわ!」 必死で引き止めようとするありす、しかしまりさの心は動かなかった。しばらく頑張っていたありすも呆れて帰ってしまう。痛む体で食事をかき込み、まりさは明日以降の計画を練っていた。何としても、何としてもれいむと一緒にゆっくりするのだ、その為ならこんな痛みは何でもない。 まりさの希望が叶ったのはその翌日である。次の日も同じように公園にやってくるにんげんさんに声をかけていたまりさだが、 「いいよ、まりさを飼ってあげよう」 そのまりさに良い返事を返してくれたお兄さんが居たのである。 「ほ、ほんとうですか?まりさをかってくれるんですか!?」 思わず問い返してしまった、それぐらい驚いたのだ。周囲の茂みで隠れてまりさを見守っている野良ゆっくり達からも驚きの声が上がっていた。 「うん、実はねまりさが欲しかったんだ。丁度良かったよ!」 その言葉がまりさの中に染み渡った。やった、自分は飼いゆっくりに成れるのだ。 「あ、あでぃがどうございます!よろじぐおねがいじます!」 目の前の地面に顔を打ち付ける様にしてお礼を言う。正にゆっくりしたお兄さんである、まりさにとっては天の助けだ。 「ははは、じゃあ僕の家に連れて行くから、ここに入ってね!」 そう言ってまりさの目の前に下ろされたのは、まりさのおうちの半分位の大きさの箱だった。 まりさは知っている、あれは飼いゆっくりを入れて運ぶ箱である。やはり自分は飼いゆっくりに成れたのだ、その実感と感動でその箱を見つめると、お兄さんが促してくる。 まりさが箱の中に入ると、箱が持ち上げられたのか視界が高くなった。長く生活した公園ともこれでお別れである。 住んでいた茂みからありすが驚きの表情でこちらを見ている。昨日はごめんねありす、まりさは飼いゆっくりになるよ、まりさのおうちはありす達で使ってね。 ありすの方を向いて視線でそんな合図を送るが、驚きっぱなしのありすに通じたのかはわからない。 箱がゆっくりと移動を初めた、これからお兄さんのおうちへ向うのだ。まりさの心は躍っていた。 頑張ってお兄さんをゆっくりさせてあげよう、そうしてまりさは金バッジと成るのだ。 そうしたら、れいむの飼い主のお兄さんにお願いしてれいむをお嫁に貰う、まりさの心の中はこれからの輝ける未来で一杯だった。 その中では、まりさは金バッジとなっており、お兄さんとれいむの飼い主さんに祝福されれいむと番に成っている。2人の間には可愛いおちびちゃんが生まれているのだ、まさにゆっくりした家庭であった。 移動している箱の中でまりさはそんな事を考えていた。上を見上げるとお兄さんの顔が見える、まりさは再び心から感謝した。 まりさは気が付かなかった、この時大切なものとすれ違っている事に…… しばらく進むと箱の動きが止まった、お兄さんのおうちに着いたのだろうか。地面に下ろされ箱の蓋が開けられた。 「ゆぅ、ついたんだね!ここがおにいさんのおうちな……」 まりさの動きが止まった。何故だろうこのおうちからはとてもゆっくりしていない空気が漂っているのだ。 「お、おにいさん。なんだかここはゆっくりできないよ!」 困惑するまりさを他所に、お兄さんは笑顔である。 「いやぁ、良かったよ。またありすが頑張っちゃって、前のまりさが使えなくなっちゃたんだよね!」 「明日の事を考えれば今日の内に確保しなきゃいけないしさ。良かったよまりさ、タイムリーだね!」 何なのだ、お兄さんは何を言っているのだ? まりさは困惑する。おかしい、ゆっくりしたお兄さんだったのに、これではまるで…… 「ま、まさか……おにいさん"ぎゃくたいおにいさん"なの?」 そんな訳が無い、お兄さんはまりさとれいむの天の助けである。お兄さんはその言葉にニッコリと微笑むと。 「ヒャッハー!!!」 この日まりさは、お兄さんの家の飼いゆっくりとなった。 れいむが玄関から出て行ったのを見て、扉を閉めると私は深い悲しみを感じていた。 ペットショップで買って来たれいむとは、これまでずっと仲良くやってきた。れいむは金バッジのゆっくりとして少しも欠点の無い子だったし、その優しい心根は私の慰めになっていた。そんなれいむの突然の反逆である。 ゆっくりを飼うのは初めてだったが、野良なども見ているからゲスなゆっくりと言うのも知っている。 しかしそんなゲスと家のれいむだけは違うと思っていたのだが、ある日突然変わったれいむの行動はまるで話に聞いた「でいぶ」そのものであった。 いったいれいむに何があったのだろう、私の何が不満だったのだろう。 とにかく一度2人とも冷静にならなければと、出て行ってもらったが私としてれいむを捨てる気はさらさら無い。 あれは何かの気の迷いか、私に対して怒っているだけなのだ。少しの冷却期間を置けばまた話が出来るだろう。 これまで飼いゆっくりとして生活してきたれいむが野良として生きて行けるわけが無い、2~3日もすれば戻ってくるだろう、それまで危険な目に遭わないかが心配である。 その時玄関に掛けられているカレンダーが目に入った。明日の日付には大きな赤丸が付けられている。 あぁそうか、明日はアレの日だった。普段なられいむにも一応注意をするのでチェックしてあるのだが、基本的に関係の無い日である。 一斉駆除――街中の野良ゆっくりを一掃するあれである。野良ゆっくりの害は最近減っているが。公園の景観の悪化などが市民か苦情として寄せられ、市は月に1回これをやっているのである。 飼いゆっくりはそれに含まれないが、巻き込まれたりしないようにこれまでれいむはその日は外出させていなかったのだ。 まぁ、れいむは金バッジを付けているから危険は無いだろう。そうだ、外に1人で遊びに行かせるときにした迷子対策のピックアップサービス、あれには有料だがゆっくりの現在位置を教えてくれるサービスがあったはずである、2~3日して帰ってこなかったらあれを使って迎えに行く事にしよう。 心配する事なんて無い、金バッジさえ着けていれば町の中で危険などそう無いのだから。 公民あき 後書き ここまで読んでいただき、ありがとうございました。 今作のタイトルですが、オチをばらさない為にあのようにしましたが、正式には「聖者のすれ違い」にするつもりでした。 混乱を招いてしまったり、ゆっくりひじりが出ると期待してしまった方、申し訳ありませんでした。 前作は「金ゲス」をネタにしたのですが、今作は「善良だけどお馬鹿な金バッチ」になっております。 野良のまりさも比較的善良な個体でしょう、だぜ以外のまりさは初めて書いたかもしれません。 また前作へは様々なご感想ありがとうございました、色々と参考にしています。 過去作品 anko2700 そして新記録 anko2703 ゆっくり公民 ~奴隷制~ anko2720 ゆっくり公民 ~カースト制~(前編) anko2721 ゆっくり公民 ~カースト制~(中編) anko2722 ゆっくり公民 ~カースト制~(後編) anko2764 ゆっくり公民 ~農奴制~(春) anko2765 ゆっくり公民 ~農奴制~(夏) anko2766 ゆっくり公民 ~農奴制~(秋) anko2767 ゆっくり公民 ~農奴制~(冬) anko2802 ゆっくり公民 ~奴隷解放~(前編) anko2803 ゆっくり公民 ~奴隷解放~(中編) anko2804 ゆっくり公民 ~奴隷解放~(後編) anko2814 黒い穴 anko2826 とてもたくさん(300) anko2841 ゲスの連鎖 anko2849 サムライゆっくり anko2878 海に浮かぶ楽園 anko2902 イベント前の加工所 anko2913 でゅえる・ゆっくり anko2925 幸せなあまあま 挿絵:にとりあき
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2005.11.12 15 11 野良(--) ちょっと分類を細かくしました。 それぞれのシーンにありそうな展開を考えてみてください。 前のにコメントしたのと同じでもかまいません。 もう少し細かく書いてもよいかな、というところで。 分類がよくわからない場合は、まぁ適当に判断してください。 ここではラストシーンに関するネタを書いてください。 エンディングって意外とパターン無いかもしれないな。 ベタとなると特に。ほとんどがハッピーエンドだろう。 野良(--) やっぱパターンは少ないよなぁ。 死んでいたと思ってた奴がぽこぽこ現れるとか。 でもこれは、最終決戦のときとかにでてきていそうだ。11/12 15 17 abendrot 登場人物の中で、誰かと誰か(主人公とヒロインの率が最も高い)が結婚する。 とにかく、「今、幸せ」「今、平和」ということがはっきり分かるような終わり方が多いように思います。11/12 23 51 幽水晶 これからもみんな仲良く。見たいな感じですかね。11/14 20 30 野良(--) 主人公は人知れずいなくなっている、というのもありそうだ。 思い返してみると、ダイの大冒険はかなりストレートなベタファンタジーだったんだなぁ11/16 01 00
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2008.07.16 19 00 野良(--) うそつき :3 風見鶏 :0 五月雨 :0 真っ赤 :2 猫 :2 ムーンライト:2 同点は上位有利ということで。 今回のネタは『うそつき』『真っ赤』『猫』です。 『ムーンライト』は次回に持ち越し。 締め切りは7月31日までとします。 水上 える …なんか少ない…さみしいアンケート結果だなあ…しょぼん…07/19 01 32 野良(--) 三人だからな。一人一題出してった方が早い。07/19 20 54 モモと じゃあ、今回はじかんをつ、くれたら…頑張ります。07/20 20 40 野良(--) 二本しか投稿できなかったなぁ。 なんとなく自分の限界が見えてきた気がするわぃ。08/02 01 22 水上 える きゃーぼーっとしてたらしめきりすぎてたあ(+_+ 書きやすそうなお題だっただけに残念です。08/02 02 16
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『何にもなれなかったありす』 17KB 制裁 現代 俺も何になれるんだろう… 「……ふぅっ」 ありすは部屋を見回し、少なくともありすの目からしたら美しく装飾――いや、「とかいは」に「こーでぃねーと」された自分の仕事を見て一息ついていた。 今回は今までで一番うまくできた。 そう思い、今度という今度はおにいさんもありすのことを褒めてくれるだろう。 「ただいまー」 ……なんていいタイミングで帰ってくるんだろう、あのおにいさんは。 ありすは玄関へと走った。ご褒美に頭をなでてもらえるだろうかなどという期待をもって。 「おにいさん、おかえり!」 「……ありす、お前『またやった』のか?」 ? 『またやった』とは何のことだろう? 「お前がこうやっていつもより元気よく迎えてくれる時はいつも部屋を散らかしてる時だろうが……いいかげん覚えたよ」 「やめてよおにいさん、ありすはちらかしてなんかいないったら!」 「はあ……何度教えたらわかってくれるんだろう」 仕事から帰ってきたらしき男は玄関から部屋へと進み、中の惨状を見てうなだれた。 ゆうに20枚はあるであろう、部屋中に飛び散ったティッシュ。 横倒された椅子。 本棚から落とされた漫画類。 何処をどう見ても、ただ単に散らかっているようにしか見えない。 「どう?おにいさん。かんしゃしてね、ありすがおにいさんといっしょにくらしていることを!」 「……なんでだよ……」 男は愚痴を吐きながら部屋を片付け始めてしまった。 ありすは自分のしたことが台無しにされているのを見て、ひどく憤慨した。 「ちょ、ちょっとおにいさん!なにをしているの!?」 「何って、片付けてんだよ……何度言えばわかるんだ?こういうことは迷惑だからやめてくれ」 「め、めいわく、って……」 ありすは自分の芸術と呼んでもなんら遜色のないようなこーでぃねーとを一蹴され、暗い気分で玄関へと移動した。 別に玄関に何の用事があるというのでもない、ただ自分の仕事をなかったことにされるのを見ているのが辛かっただけだ。 ありすは扉を見つめる。 ここからでていけたら、どんなにすばらしいことかしら……。 ありすはこう思いながら扉を見つめるのが癖になっていた。 扉の向こうにあるのは、自由な世界。 自分の全てを理解してくれる、なにをしてもいい世界。 飼いゆっくりという狭い世界なんか捨てて、自由になりたい。 鳥籠の中で飼い殺しにされる生活はもうたくさんだ。 扉を出たい。 空を飛びたい。 その思いはありすのカスタードクリームの中に、常にあった。 「ふぅ……ありす、こっち来い」 疲れた声で、男はありすを呼ぶ。 ありすは男が呼べば、何をおいても行かなくてはならない。 自分は「飼われている」のだから。 「だからな?ありす。お前からしたら綺麗かもしれんが、俺からしたら汚いんだよ」 「どうして?どうしてわかってくれないの?ありすはきれいだとおもうのよ?」 「でも俺はそう思わないんだよ……」 ありすは目の前の男に、自分の考えを理解してもらおうと必死だった。 自分はただ、自分とおにいさんの住んでいる部屋を綺麗にしたいだけなのだ。 ただ、男にはそれが全く理解されなかった。 もうこの押し問答は4回目である。 既にありすが数えられる限界を超えているので正確に何回とはわからないだろうが、ありすももう説得するのに疲れただろう。 だから、ありすはこう結論した。 もっととかいはなこーでぃねーとをすれば、おにいさんもよろこんでくれる――と。 問題はそんなところにはない、もっと深い深い根本にあるのだが、ありすはそれを理解しようとはしなかった。 理解できはしなかった。 まさか、自分の価値観と他人の価値観が違うだなんて――思いもしなかった。 ペットショップにいた赤ゆっくりの頃に何度も言われはしていたが、最後までこれだけはいまいち理解ができなかった。 誰よりも早くトイレの場所も覚えたし、自分がゆっくりしていれば他人もゆっくりできるなんて考えたこともない。 だが、自分がゆっくりできると思うものが、他人はゆっくりできないものに見えるとは絶対に理解ができなかった。 それがありすがあと一歩で銀バッジになれず、銅バッジをおかざりにつけたままでいる理由である。 男は何を言っても、何度言っても理解できないありすに対し、罰を与えた。 「もういい!今日は晩飯ぬき!」 「と、とかいはじゃないわああああああああ!!」 ありすは男から、4回目にして始めての罰を受けた。 そのまま突然の飯抜き宣言に落ち込み、玄関でしょんぼりしていたありすは雑誌を読んでいる男に声をかけた。 「ねえ……おにいさん」 「ん?なんだ?謝る気になったか?」 「ゆ……?あやまる?なんで?」 「……いや、いいんだ。なんだ?」 当然、男はありすが一言「ごめんなさい」と言えば晩飯を食べさせてあげる気でいた。 だが、それはありすには過ぎた願いであったことを悟った。 「ありすね……あした、おさんぽにいきたいわ」 「あー……日曜だし、まあ、いいけど、なんで?」 「いえ……べつに」 ありすにとってたまに行かせてもらえる散歩は、唯一この部屋から出られるイベントであった。 そうでなくてもありすが行きたいといえば、仕事が忙しくない時であれば少しの時間なら行かせてもらえる。 番が欲しいと言ったこともあったが、やんわりと断られた。 しかし、今ありすが考えていることがうまくいきさえすれば、何もかもが解決する。 今までの散歩でも一度もうまくいったことがないことであるし――今回もあまり期待はしていなかったが、これしか現状を打破できる手段はないのだ。 ありすは明日のギャンブルに備え、眠りについた。 朝になり朝食もそこそこに部屋を出たありすは、3日ぶりの外の空気に感激していた。 風になびく草。 光る太陽。 おいしい空気。 世界はこんなにも輝いている。 「ほれありす、何立ち止まってんだ。行くぞ」 「ええ、おにいさん!」 いつものように、公園へ向かったありすと男。 そのありすの考えを、男は知る由もない。 公園についてからも、男はただベンチに座り「自由に遊んできていいぞ」と言うだけ。 ありすは男の言う「自由」という言葉が、気に食わなかった。 ――こんなの、くびにくさりをつけているのとおなじじゃない。 男は公園全体を見晴らせる位置のベンチに座っており、ありすの姿が見えなくなると、必ず移動してありすを見る。 野良のゲスと関わるとろくなことがないというのを、男は知っていた。 だからこれまで、ありすの「計画」は、うまくいったことがなかった。 今日もまた同じかと悔しげに目を閉じると、聞きなれない声が飛び込んできた。 「あらぁ、あなたもゆっくりを飼っているのぉ?」 扇子を片手に持った、妙な帽子を被った――ありすからしたらお飾りだが――女性が、男に話しかけているのだ。 「えっ、ええええっ、ええ、は、はいそうなんででですよ」 男は、ゆっくり相手にはいくらでも強気になれるが女には弱かった。 目茶苦茶に挙動不審になって、ありすのほうはいっさい見ていない。 ありすは思った。 ここだ。 今しかない。 チャンスは一度だけだ! ――ありすは全てを賭けて、野良ゆっくりがいそうな草むらに飛び込んだ。 今まで扉を見つめながら考えてきたシナリオの、第一歩。 それが踏み出せるか踏み出せないかを決める、ギャンブル。 潜めていた「計画」を、ついにありすは実行したのだ。 「ゆっ!?だ、だれ!?」 「……い、いたわ……」 ありすが飛び込んだ先には――都合よく、野良のありすがいた。 全身はボロボロ。 すぐ横にはダンボールでできた家。 しかしありすには、何もかもが煌めいて見えた。 自分にないものを持っている。 自分にあるものを捨てている。 「ね、ねえありす!かいゆっくりになるきはない?」 「……なにをいっているの?」 ありすは説明した。 今までありすが必死に考えてきた「計画」を。 そして説得した。 不自由の鎖にしばられた自分を、なんとか救ってくれと。 「ありすはのらのゆっくりよ?つらいこともたくさんあるわ」 「つらいことって……そんなの、じゆうになることからしたらへでもないわ! のらのゆっくりってすばらしいじゃない? おともだちもまわりにいっぱいいるし、じぶんのへやをどうしてもかまわない! たしかにつらいこともあるでしょうけど、そのかわり――かいゆっくりのままいっしょうをおえるしかないありすなんかとはちがう! ゆめがある!きぼうがある!なんにでもなれる! のらゆっくりは、むげんのかのうせいをもっているのよ!?どうしてありすはそれがわからないの!?」 ありすの考えたことは、上の通りだ。 そしてありすの考えた計画というのは―― 「だからありすとおかざりをこうかんして、のらゆっくりになろうっていうの?」 「そうよ!そう!そのとおり! いましかないのよ!はやくしないときづかれてしまうわ!」 ――ありすは――価値観の差というものを理解できないゆっくりであった。 だから野良のありすが飼いゆっくりはどういうもので、野良ゆっくりはどういうものと認識しているかを知らなかったし、考えもしなかった。 当然、野良のありすの答えはイエスだった。 「ありがとう!ありがとう!いつかぜったい、おれいはするからね! ありすはのらからぷろでゅーさーさんにすかうとされて、ふぁっしょんでざいなーになるの! かいゆっくりだったら、おにいさんにかわれたままだったら、ぜったいにむりだわ!」 「そう。ありすにはゆめがあるのね。がんばってね」 「ええ!あなたもかいゆっくりはすごくきゅうくつなせいかつだけど、がんばって!」 ありすは知らなかったし、考えもしなかった。 野良がどういうものなのかを。 「うふふ……ここが、きょうからありすのいえになるのね……」 無事銅バッジ付きのおかざりを交換できたありすはダンボール製のおうちを外から眺め、ほれぼれしていた。 ちなみに元野良のありすは「おにいさん、からだがよごれちゃったわ」と言い、男のところへしれっと擦り寄っていた。 意外と演技派だったのかもしれない。 しかし眺めているうちに、ありすの顔はだんだん曇ってきた。 「さっきはこうふんしてたからきづかなかったけど……いがいとせまいわね、ここ」 ありすが今まで暮らしていた部屋は六畳一間の家。 人間からしたら狭い家だが、ゆっくりからしたら十分に大きい家。 しかし今のありすの家は、ただのダンボールの箱。 ありすが入り、もう一匹成体ゆっくりが入れば、それで限界。 「で……でも!こーでぃねーとをすれば、りっぱなおうちになるわ!」 ありすは周りに生えていた草を引っこ抜こうとしたが、飼いゆっくりの貧弱な力ではそれは不可能だった。 せめてまりさ種であれば飼いゆっくりでもできたかもしれないが、ありすにはできなかった。 「じゃ、じゃあ!ちぎればいいのよ!」 ありすは草の中腹あたりを咥え、引きちぎろうとしたが…… 「ゆぎゃああああああああ!!いぢゃいいいいいいいい!!」 草で口元を切ってしまった。 今までゆっくりふーどしか食べたことのない、もちろん怪我なんてしたこともないありすの皮に、生まれて初めて傷がついた。 ゆっくちしていっちぇにぇと産まれて2ヶ月。経験のない鋭い痛みがありすを襲った。 「いぢゃいい、いぢゃいいい!!おに、おにいさああああああああああん!!」 男を呼ぶが、当然誰も来ない。 男は今頃元野良のありすと一緒に家に帰り、のんびりと午後を過ごしている。 「そ……そうだったわ、ありすは……のらだったわ」 口元は痛いが、自身が「野良」ということを思い出すと、不思議と力がわいてきた。 その野良というありすが思い描いていたヒーローのような、ワイルドな響きを持つ物になれたのだと思うと、諦めずに落ち葉などで装飾しようという気がわいてきた。 「ゆふぅ……で……できたわああああ!!」 今まで部屋のこーでぃねーとに使ったことも、ましてやろくに触ったこともない素材をふんだんに使い、ありすは部屋のこーでぃねーとを終わらせた。 外側には唾液でしめらせた落ち葉をいくつかくっつけ、中にはふかふかした土を少し入れ、四隅にはどんぐりを置いた。 人間からしたらただ汚れて不潔なだけのダンボールの箱だが、ありすはそれを「豪邸」だと感じた。 「これが……これが、じゆうってことね!」 ありすは野良生活を満喫していた。 ――この時までは。 「さて……おにいさん?ありすはひとしごとおえて、おなかがへったわ! なんでもいいから、てばやくできるものちょうだい!」 またもや、男を頼るありす。 「あっ……だめね、かいゆっくりのころのくせがぬけなくて。 でも、……ごはんって、のらゆっくりはなにをたべているのかしら?」 ありすはのらゆっくりを、自身の想像でしか知らなかった。 当たり前のことだが、ペットショップでは飼いゆっくりとしてのマナーやルールなどは教えられたが、野良ゆっくりのマナーやルールは一切教わらなかった。 しかし、ありすはここでひとつ思いつく。 「そうだわ!おともだちにきけばいいじゃない! ここはこうえんよ!のらゆっくりがいっぱいいるはずだわ!」 喜び勇んで、すぐ横の草むらに野良ゆっくりを求めて飛び込んだ。 「ゆ……ありす。どうかしたのぜ?」 そこにはまりさが子供と共にいた。 「ありすおねーしゃん、どうかしちゃにょ?」 まだ小さな赤れいむ、いわゆるれいみゅである。 ありすは成体になってから、始めて赤ゆっくりを見た。 小さいころは周りはみな赤ゆっくりばかりで、自身もそのもの赤ゆっくりであったはずなのに、成体になってから見ると輝きが違う。 「お、おちびちゃん、かわいいわあああああああ!!」 つい、叫んでしまった。 しかし、これがきっかけで予想外のことが起きる。 「だ、だまるのぜえええええええ!!」 「ゆびゃああああああああ!!」 ――まりさが体当たりをしたのだ。 どうしてだ!? 子供をけなしたならまだしも、子供をかわいいと褒めたのに!? 「そんなでっかいこえだしたら、にんげんさんに「くじょ」されるのぜえええええ!!」 「く……くじょ?」 ――ありすは、「駆除」さえも知らなかった。 野良ゆっくりを100匹単位で殺す行為。 野良ゆっくりが100匹単位で殺される事件。 戦争といってもよいかもしれない。 ありすは、何も知らなかった。 まさか野良ゆっくりが、命がけで生きているなんて。 「そ……そんなことがあるの!?なんで?どうして!? どうしてにんげんさんは、のらゆっくりをころすの!?」 「まりさにきかれても……こまるのぜ。 ただ、これだけはわかるのぜ。 『にんげんさんは、まりさたちのことなんかなんともおもっていない』」 しかし、まりさは知っていた。 「えええええええええ、こ、これがごはんさんなのおおおおおおおお!?」 「……だから、でっかいこえだすなってなんどいったらわかるのぜ。 きょうのありす、おかしいのぜ?おおきいこえだしちゃいけないって、まりさにおしえてくれたのはありすなのぜ」 「ゆぐぅ……」 ありすはまりさが貯めていたどんぐりや草や花などを見て、どこか、見てはいけないものを見た気分になった。 それは現実。 ありすの夢とは真逆の存在。 野良ゆっくりの真実。 まさかありすが「道具」だと思っていたものが――食べ物だったなんて。 ありすからしたらとても食べられたものではないが、目の前の野良ゆっくりであるまりさは、それを大事そうに貯めている。 そこに、まりさの番いが帰ってきた。 「ただいま、まりさ!きょうはねぇ……ゆふふ……なまごみさんがてにはいったよおおおお!!」 「れいむうううううう!!よくやったのぜえええええ!!」 「ゆげええええええ!!くさいいいいいいい!! はやくどこかにやってよおおおおおおお!!」 「……ありす?」 野良ゆっくりのご馳走は、野菜の皮、賞味期限切れの弁当、黄色くなった米。 人間はおろか、野良以外のゆっくりからしたら「汚れ」としか見えず、畏怖の対象となるものだ。 さっきの花やドングリなどは、「食べ物には見えない」ものだったが、これは「食べ物ではなくなった」ものだ。 どちらも、ありすからしたら食べるなんて考えつかない。 考えられない。 「たくさんとれたから、ありすにもちょっとわけてあげるねっ!ふだんのおれいだよ! ほら、ごはんさんをあげるよ!ゆっくりたべてね!」 れいむはそのもみあげで、少しだけ青くカビが生え、蝿がたかりそうな半分どろどろに溶けた米を渡した。 「ゆ、ゆげええええええええええええええええ!!」 そのすえるような臭いに耐え切れず、ありすは嘔吐しかけた。 しかし他ゆんの家を汚すわけにはいかないというプライドで必死に耐え、自分の家に戻った。 綺麗にこーでぃねーとされた自分の家に。 ――しかし。 ありすは全てを失っていた。 「……ゆ、ゆん?どうしてありすのこーでぃねーとしたおうちさんのなかにいるの?」 「はあああああああああ!?ここはまりささまのおうちなんだぜえええええええええ!?」 ゲスな野良ゆっくりに、おうちせんげんされていたのだ。 おうちせんげんされてしまえば、力のないゆっくりに抗うすべはない。 それなりに実戦経験のある野良なら戦って、力で取り戻すのだが。 結局のところ、おうちせんげんとは、強奪以外に利用方法はないのだ。 だが、それを誰も気づかない。 ありすも当然、知らなかった。 考えもしなかった。 「お、おねがいでずうううううううう!!ありすはもとかいゆっぐりだっだんでずううううううううう!! どなだがあでぃずをがっでぐだざいいいいいいいいいい!!」 ありすは結局、野良ゆっくりとしての初夜は公園の隅で野宿することとなった。 飼いゆっくりだったころのふかふかのクッションとは違い、冷たく、そして痛く、ろくに眠れたものではなかった。 そして、ありすはやっと気づいたのだ。 野良ゆっくりは、自由なんかじゃない。 確かに野良ゆっくりは何にでもなれるが――何にでもなれるということは、何にもなれないかもしれないということなのだ。 そして大多数の野良ゆっくりたちは、何にもなれず、ただ産まれて死んでいくだけだということを。 やっと知った。 考えついた。 しかしありすに限らず、ゆっくりに限らず。 人間ですらそうなのだ。 気づいたときは、なんでも遅い。 ありすはもう、もう一度飼いゆっくりに戻る以外生きる選択肢は残されていなかった。 とてつもなく低い確率。 不利すぎるギャンブル。 飼いゆっくりでいたころの駄目でも次があるギャンブルとは違い、駄目ならもう先はない、一寸先は断崖絶壁の命がけのギャンブルだった。 この賭けを打ち勝った野良ゆっくりは、今まで数えるほどしか居ない。 しかしありすはしなければいけない。 賭けに勝ったと思っていたのはありすだけで、それは実は賭けに負けていたのだから。 ありすはルールを理解していなかったのだ。 飼いゆっくりが勝ちで、野良ゆっくりが負けだというルールを。 ありすは、知らなかった。 考えもしなかった。 しかしそこに、何も知らなかったありすに、光が見える。 「お……おにいさあああああああああん!」 「ん……なんだ、野良のありすか。行くぞ、ありす」 「ええ……でも、ごめんね、おにいさん。ちょっとだけ、ほんとにちょっとだけ、おはなししてきてもいい? もちろんみょうなくちぐるまにのったりはしないわ」 「ああ……まあ、一昨日部屋を散らかしたこと謝ったし、いいぞ」 「ありがとう、おにいさん」 なんと、ありすを飼っていた男が元野良のありすを連れて、偶然に現れたのだ。 男はありすを無視しようとしたが、元野良のありすは近寄ってきてくれた。 「ありがどおおおおおお!!あじがどおおおおお!!かわってぐれるのねええええええ!!」 「いいえ。かわるわけないじゃない」 「どぼじでええええええええ!!もうのらはいやだあああああああ!!がいゆっくりになりだいいいいいい!!」 「あなたがいったんじゃない。みょうなこといわないでね? のらからふぁっしょんでざいなーになるんでしょ?」 「だっでええええええ!!ぜんぜんじゆうじゃなかったんだものおおおおおお!!」 ありすは元飼いのありすを、見下すように見つめる。 「あのね。あなたはむしがよすぎる。 なんにもしらないくせに、なんにもかんがえようとしないで、じゆうをほしがるなんてありえないわ。 きけばあなた、へやをめちゃくちゃにちらかしたあげく、あやまりさえしなかったらしいじゃない? ひとがいやがることをしてはいけないだなんて、のらのありすでもしってたわよ。 なんにでもなれるとかいってゆめをみて、のらゆっくりになって…… まともなかいゆっくりにもなれないくせに、なにかになろうだなんてばかみたい。 あなたはいったい、なにになったつもりでいたの?」 「ほら、ありす。行くぞ」 「ええ、おにいさん。いきましょう」 残されたありすはしばらくそのまま下を向いていたが、やがて起きだして川のほうに向かっていった。 「え……えへへ……あでぃすは……じゆうなんだ…… じゆうにそらをとぶ……とりなんだ…… なんにでもなれるし……どこにでもいける……」 飼いゆっくりだったころに、帰り道でよく見た川へ。 ありすの目線からも、けっこうな高さがある川だ。 「ありすは……おおぞらをかれいにまうとりさん……おそらをとんでるみちゃいいいいいいいい!!」 鳥籠を抜けだしたはずの鳥は―― 空を飛べない、ただの饅頭だった。 終正あき 挿絵:
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『伝染に注意』 6KB 観察 不運 駆除 群れ 現代 独自設定 20作目 ちゃんと冬の話 「ぱちゅりー!またおちびちゃんが!」 とある住宅地の裏にある空き地、放置された粗大ゴミの影にあるぱちゅりーのおうちへれいむが駆け込んできた。 新しい感染者が出たのだ、数日間ほとんど寝ることが出来なかったぱちゅりーは疲れた体を押して指示を出す。 「むきゅ、びょういんにはこんでちょうだい!」 れいむに続いてこの空き地の「びょういん」――穴の空いたカラーケースに足を運ぶ。 その中には地獄が広がっていた。 「ゆぎぇふ、ゆぎぇふ!ぐるじいよお!」 「おかあしゃん、あちゅいよお!ごーきゅごーきゅさせちぇね!」 「あんよがいちゃいよぉだれかまりしゃをたすけちぇ!」 その中に敷かれた布と枯れ草の中には顔を赤くして苦しむ子ゆっくり達が居る。 それだけでは無い、声こそ出していないが奥にはぐったりした成体ゆっくりが並んでいる。 口に葉っぱを貼り付けたゆっくりが数匹そんな病ゆんを必死で看護している。 新たに感染した子ゆっくりが親によって寝かされる、ぱちゅりーとれいむは必死で子ゆっくりにぺーろぺーろをしている親ゆっくりを引き剥がして外に連れ出す、気持ちは分かるがこの病気は感染すると成体でも危険なのだ。 「ゆんふるエンザ」その病気のよってこの野良ゆっくりの群れは危機に瀕していた。 ゆんふるエンザはこの冬初めて流行りだしたゆっくりの病気である、元々冬にはゆ風邪などが流行していたが被害ではそれを上回るのだ。ゆ風邪を遥かに上回る高熱だけでは無く、吐き気や強い体の痛みががあり、最大の特徴はその感染性の高さだ。 初めは1匹の子ゆっくりから始まった感染は、今では群れの成体ゆっくりにまで広がっていた。成体が感染すると働けなくなりさらに衰弱もするため群れで面倒を見なくては成らない。その事がこの野良の群れの負担を増やしていた。 「ぱちゅりーもう"ますく"がたりないよ!」 「むきゅう……なんとかさがしてちょうだい!」 びょういんの中にいるゆっくりだけでは無くぱちゅりーやれいむも着けている口の葉っぱ、この「ますく」こそがゆんふるエンザ感染防止の切り札だった。 しかしゆっくりの口を塞げる大きさの木の葉など町中にはそうそう無い、早くも争奪戦が起きその奪い合いで負傷するゆっくりや危険を冒して人間さんの庭に忍び込んで駆除されるゆっくりが耐えない。 (むきゅうごめんなさい、ぱちぇがもっと早く対策をしていれば) ぱちゅりーは対策が遅くなったことで自分を責めていた、しかしぱちゅりー自信も最初は信じていなかったのだ、あのお兄さんと会った時は。 「むきゅう、おにいさん!かわったおかざりね!」 「ん、なんだ!?野良ゆっくりか?」 空き地の横を通った1人のお兄さん、そのお兄さんが顔にしていたお飾りが気になって思わず声を掛けてしまったぱちゅりー、拙いと思ったときには遅かったがお兄さんは怒るでもなく教えてくれた。 「これか?これはなマスクって言うんだ、インフルエンザって知ってるか怖い病気だ、それに罹らない為に着けてるのさ。ほらあっちの人だって着けているだろう」 その言葉を聞いて指された方を見るとそちらのお姉さんも着けている。 お兄さんはごほごほと咳き込み、 「まぁちょっと面倒くさいけど、弱った状態でインフルエンザに罹ったら最悪死んじゃうしな……仕方が無いよ」 お兄さんはその恐ろしい病気インフルエンザについて色々教えてくれた。。確かに町中にはますくを着けた人間さんが多い。 毎年冬になるとゆ風邪で永遠にゆっくりするものが群れでも出るのだ、そんな恐ろしい病気が群れに広がったら大変だ、慌てて群れの集会でその恐ろしさについて注意しておいたがその後ぱちゅりーも忘れていた。 しかし、1匹の子ゆっくりがゆ風邪に罹った事で状況が変化したのだ、その子ゆっくりは昔優しいお兄さんに貰った特効薬――風邪薬を使っても治らなかったのだ。 ゆんふるエンザだ、ぱちゅりーは確信した。薬が効かない恐ろしい病気、あのお兄さんの言ったとおりだ。 すぐさま群れの皆にそう伝えたが、ぱちゅりーにしたって対策が有る訳では無い、あれよあれよと言う間に群れに感染が広がり、今はますくで何とか新しい感染者を抑えている状態だ。 しかしますくの準備は芳しくない、どうやら近くも群れにも感染が広がりつつあるようでこの群れからますくの話を聞いた野良ゆっくり達が集めだしている様なのだ。 そうなれば町全体で前述のような騒ぎが起きてしまう。今もびょういんの中には苦しんでいるゆっくりが多数いる、既に永遠にゆっくりしてしまった者も少なくない。 「むきゅう……こうなったらにんげんさんにおねがいするしかないわ!」 ぱちゅりーは悩みに悩んだ挙句、一つの策を思いついていた。このゆんふるエンザはどうやってもゆっくりに治せるものでは無い、危険だがこうなったら人間さんにお願いするしかない。 一斉駆除など普段は天敵ともいえる人間さんだがゆっくりとは隔絶した技術をもっているのだ、それに以前のお兄さんの様に優しい人間さんも居る。 「ぱちゅりー!たいへんだよ、にんげんさんがいっぱい!」 「む、むきゅー!」 悩んでいるぱちゅりーに更なる問題が襲い掛かった。びょういんから飛び出していれば空き地の入り口には灰色の服を着た人間さんが数人居る。 ぱちゅりーはこれまでの野良経験からその人間さんが何者か分かった、加工所だこれは一斉駆除だ。 しかし僅かながらも希望はある、もしかしたらゆんふるエンザのために来てくれた人間さんかも知れないのだ。 元々少なかった希望である、頼んでみる価値はある。 決意して人間さんに向うぱちゅりーしかしそれに答えたのは、 「ゆがぁ、やめるんだぜええええ!」 「やめてね!れいむにはおちびちゃんがいるんだよおお!」 「こんなのとかいはじゃないわぁああ!」 「わからないよー!」 人間さんの差し出した大きな筒とそれに吸い込まれる仲間達だった。 「むきゅう、にんげんさんやめてね、ぱちゅりーはおはなしがあるのよ!」 「ゆ、ゆがああああああ!」 必死に話しかけるが隣に居たれいむが吸い込まれる。ぱちゅりーに筒を向けようとした人間さんが奥のびょういんに気が付いた。 「おい、奥に巣が有るみたいだぞ!」 「や、やめてぇそこにはびょうきのゆっくりがいるのよ!」 その言葉に人間さんの動きが止まる、これは……やはりゆんふるエンザ対策に来てくれた人間さんだったのだろうか。 「お、本当だこいつらあの病気に罹ってるのか……仕方が無いか」 「そうよゆんふるエンザなのよ、にんげんさんはやくたすけてあげてね!」 「こいつらは研究が欲しいらしいから別に回収だな、箱もってこい!」 そういった後人間さんはぱちゅりーに筒を向けた、強い引力でぱちゅりーは暗い穴に吸い込まれていった。 ぱちゅりーは知らなかった、この後人間さんが呟いていた言葉を。 「ゆんふるエンザか、何かここらの野良が皆言ってるんだよな……」 「この辺りでしか発病してないみたいだし、一体何なんだ?ゆっくりまで人間の真似する必要は無いってのに」 「まぁどうせ思い込みかなんかで発病したんだろう、不思議生物めこっちも忙しいってのに!」 この日空き地の野良ゆっくりは一掃された。 やっとマスクを外す事ができて、顔に当たる冷たい外気の爽快感を私は楽しいんで居た。 先々週罹った風邪は性質が悪く長引いたため、世間のインフルエンザの流行とあってマスクを外すわけにはいかなかったのだ。 個人的にあの湿気が篭る感覚は好きになれない。 その時視界の端に粗大ゴミが放置された空き地が映った、そういえば前にあそこで野良ゆっくりに会ったっけ。 丁度風邪の罹り初めだったんで野良ゆっくりとインフルエンザの話をしてしまった。 あの野良ぱちゅりー元気にしてるかな、噂によるとこの辺りの野良ゆっくりに原因不明の病気が広がりゆっくりを飼っている人たちがぴりぴりしているらしい。加工所が対策と研究に乗り出したった話もある。 粗大ゴミの隙間を覘いてみるがゆっくりが居る様子は無い、この時間だし狩りにでも行っているのかも知れない。 その時冷たい風が吹いた、あの野良ぱちゅりーにはまた会えるだろう。 私は再び風邪を引かないようにコートの前を合わせると急いで家に帰った。 終わり 公民あき 後書き 最後まで読んでいただきありがとうございました。 今回もゆっくりの病気に絡む小ネタです短くてごめんなさい、これで全季節そろったはずです。 ちなみにこのお話の設定はこの話の中だけの物です。 過去作品 http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/2942.html
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『そのれいむを僕は知らない』 8KB 小ネタ 飼いゆ 野良ゆ 希少種 愛護人間 独自設定 小ネタです お暇な時にどうぞ ※俺設定注意 ※作、長月です 今まで書いた作品はこちらに http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/393.html ご意見、ご感想、ご要望は感想用掲示板(長月用スレ)でおねがいします。URLは下にある通りです。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(長月用スレ) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907/ 「ゆゆっ!!まってたよおにいさん!!」 会社から家に帰ると庭から一匹のれいむが僕の前に飛び出してきた。 髪はボサボサ、体は薄汚く、生ゴミのシミなどが目立つリボンには飼いゆである事を示すバッジがない。 どう見ても野良ゆっくりである。 「おにいさん、れいむをもういちどかってね!!」 なぜか馴れ馴れしくもう一度飼ってくれと頼むれいむ。僕はれいむなど飼った覚えはないのだが。 「悪いけど僕はお前なんて知らないよ。それよりここは僕の家だ。とっとと出て行ってくれ。」 そう言うと僕はれいむを蹴飛ばし家に入った。後ろでれいむがなにか喚いているようだが無視する。 だって僕はこんな野良れいむのことなど知らないのだから。 そのれいむを僕は知らない 「おかえりなさい、おにいさん。おしごとおつかれさまでした。」 玄関でさなえが出迎えてくれた。このさなえ、僕の飼いゆで金バッジのゆっくりだ。 下手な人間より礼儀正しく手もかからない僕の自慢の飼いゆっくりである。 「ところで・・さっきからおそとのほうがさわがしいですけどなにかあったんですか?」 心配そうに玄関のドアをさなえは見ている。さっきの野良れいむのことを言っているのだろう。 「おにいさぁあああああああんんん!!!あけてぇええええええ!!!」 相変わらずれいむはドアの外で騒いでいる。いいかげん近所迷惑なのだが。 「いや表で野良れいむにからまれちゃってね。困ったもんだよ。」 アメリカ人のように僕は大げさに肩をすくめるしぐさをする。 そのまま台所に行き、さなえの餌皿にゆっくりフードを入れた。 「おにいさぁああああああんん!!!!れいむのことわすれちゃったのぉおおおお!!!!」 「・・・なんだかおにいさんのことしってるみたいですけど?」 「知らないよ、あんなれいむ。どうせ誰かと人違いしてるんだろ。」 「・・そうですか。」 腑に落ちない顔をしながらさなえは餌皿のゆっくりフードを食べ始めた。 「えーとタウンページどこだったかなー・・・」 僕は僕で電話帳を探し始める。確か電話機近くのマガジンラックに入れておいたはずだ。 「おにいさぁあああああああんんん!!!あけてぇええええええ!!!。」 玄関からはまだれいむの喚き声が聞こえる。もう夜ふけだというのに全く回りを気にする様子はない。 「まったく・・・あいつは何も変わってないな・・・」 さなえに聞こえないよう僕はぽつりとつぶやいた。 本当は僕はあの野良れいむの事を知っている。 だって赤ゆの頃あいつを拾ってあそこまで育てたのは僕なのだから。 おそらく人間にケンカを売って踏み潰されたのだろう。 靴跡のついた両親らしきゆっくりの死骸のそばで泣いていたのを会社帰りに見かけたのがれいむとの出会いだった。 別に無視しても良かったのだが、このままじゃこいつ死んじゃうんだろうなと思うと放っておけなかったのだ。 れいむを育てるのは大変だった。 まず人の話を聞かない。聞いても全く飼いゆのルールというものが理解できていない。そんなのゆっくり出来ないと反発する。 周りの者の事など考えず、声だけはでかくてすぐ癇癪を起こし、自分に都合の悪いことはごまかすことしか考えない。 トイレの場所、餌の食べ方、人間への言葉遣い、マナー、他の飼いゆっくりへの接し方などなど。 なだめすかしてなんとか理解させてもすぐ忘れて同じ失敗を繰り返すのだ。 あまりの反省のなさに捨ててやろうかと思ったこともあるくらいである。 それでも根気強く、時には体罰も辞さない躾を行った結果、ようやく人前に出せる程度にはなっていた。 このまま頑張れば金は無理でも銀バッジ位は取れるかもしれない。 そう思っていた矢先の事だった。 「おにいさん、れいむはこのまりさとけっこんっするよ!!」 れいむが野良まりさを連れて来て、ここを出て行く言ったのは。 当然僕は引き止めた。出来の悪い奴ではあったがそれなりに愛着もあったのだ。 野良ゆの世界がいかに過酷でゆっくりできないものか説明し、つがいが欲しいのなら銀バッジに合格したら自分がゆっくりショップから買ってきてやると、かなり譲歩した提案までした。 しかしれいむは必死で説得する僕を鼻で笑い、こう言い放ったのだ。 「わるいけどおにいさんにはもうようはないよ。これからはこのまりさにゆっくりさせてもらうから。おにいさんはくちうるさくてぜんっぜんっゆっくりしてなかったしね!!」 ショックだった。れいむがそんな風に思っていたなんて。 確かに僕は口やかましくゆっくりできない奴だったかもしれない。でもそれは全てれいむを思っての行動だったのに。 なのにれいむは僕を利用することしか考えていなかったのだ。まるで寄生虫のように。 呆然とする僕をおいてれいむ達は2匹で寄り添うように跳ねていく。 後には主を失った赤茶色の銅バッジが寂しそうに転がっているだけだった。 あの日から僕はれいむのことを完全に忘れることにした。 あんな恩知らず記憶の隅に置いておくのも腹立たしい。 れいむの餌皿、クッション、買ってやった玩具を全てゴミに出し、れいむの映っている写真も全て焼き捨てた。 その上で金バッジさなえを大金はたいてゆっくりショップから購入したのだ。 全てはあの忌々しい存在を僕の脳内から消し去るために。 そう僕はあんなれいむの事など知らない。 最初から僕らは出会ってなどいなかったのだ。 「ゆゆっ。やっとでてきてくれたんだね、おにいさん。ゆっくりしすぎだよ!!」 玄関のドアを開けるとれいむが目を輝かせて僕の方へ跳ねてきた。 「・・・・・・・・・・」 「・・・あれっ?おにいさんもしかしておこってるの?」 無表情で無言な僕を見てれいむは必死にぼくのご機嫌を取ろうとする。 「ちがうんだよ、あのまりさとはただのあそび、ほんとうにいっしょにゆっくりしたいとおもってるのはおにいさんだけだよ!!」 「・・・・・・・・・」 「もうっ!!おにいさんおかおがゆっくりしてないよ!!もっとゆっくりわらってね!!れいむはおにいさんのえがおをみるといちばんゆっくりできるんだから!!」 「・・・・・・・・・」 不思議なものだ。本来なら発狂しそうなれいむの言葉も見知らぬゆっくりの戯言だと思えばまるで腹が立たない。 だいたい僕はこんな見知らぬ野良れいむの与太話を聞くために外に居るわけではない。 そろそろあれが来るはずだから出迎えねばならないのだ。 そんな僕の心を見透かしたように家の前に一台の白いライトバンが止まる。 「まいどー。加工所のゆっくり回収サービスでーす。」 運転席から作業着姿の中年男性が出てきた。手には透明な箱を抱えている。 最近は便利になったものだ。こんな夜でも加工所がゆっくりを回収しに来てくれるのだから。 「どぼじでかこうじょがくるのぉおおおおおお!!!!」 思わぬ天敵の乱入にれいむはもみ上げをわさわさ上下させて取り乱す。 なんで加工所が来たのかって。簡単なことだ。僕がさっき電話帳で番号調べて呼んだからだ。 だってそうだろう?見知らぬ野良ゆっくりが僕のうちの敷地に勝手に入った挙句、玄関の前で大声で喚き散らしているんだから。 どう考えても駆除対象のゲスゆっくりだ。 「おにいさんたすけてぇええええええ!!!!」 加工所がゆっくりできないと言うのを本能的に知っているのだろう。れいむは僕に泣きついてきた。 「もうにどとのらになるなんていいませんっ!!!おにいさんのいうことぜんぶききますぅ!!!だからゆるじでぇえええ!!!かこうじょは・・・かこうじょはいやぁあああああ!!!!」 泣き喚きながら僕の足にすがりつくれいむに向かって僕は真顔で答える。 「許すも許さないも、僕はお前の事など知らないよ。」 「ゆぅうううううう!!!?どぼじでぞんなごどいうのぉおおおおお!!!!!?」 最後の希望があっさり崩れ、れいむは目を白黒させて絶叫している。 「・・もしかしてこのれいむとは知り合いですか?」 いぶかしげに職員の男は僕とれいむの顔を交互に見た。どうやら僕が捨てたのではないかと疑っているらしい。 「いいえ。僕はこんなゆっくり知らないです。」 嘘ではない。僕はこんなれいむ知らないのだ。 まぁ正確には「知らない」と言うより「知ったこっちゃない」と言った方が正しいが。全く日本語という奴は難しいものだ。 「あーそうですよね。時々いるんですよ、こういう妄想と現実の区別がついてない奴が。」 「でいぶはうぞづぎなんかじゃないぃいいいい!!!ぼんどうにおにいざんのかいゆっぐりなのぉおおおおお!!!!」 「はいはい。野良ゆはみんなそう言うんだよ。」 男は手馴れた様子で暴れるれいむを透明な箱に押し込め、車に乗り込む。 「じゃ、確かに野良れいむ一匹回収しましたんで!!!」 ブロロロ・・・・ 僕に一声かけるとそのままれいむを乗せて発車した。 「・・・さようなら。見知らぬ野良ゆっくりのれいむ・・・」 僕は加工所のライトバンを見送りながらそうつぶやく。 まだそれ程深まっていないはずの秋の夜風がやけに冷たく身にしみた。