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■セイクリッドセブン 作画監督補佐 8(岡・鳥) 10(大倉・須・友) ■関連タイトル Blu-ray セイクリッドセブン 豪華版 Vol.01 初回限定生産
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読み エンドウ ナオヤ 生年 1989年 出身 鳥取県 所属事務所 http //www.goodish.co.jp 提供リスト 2021年7月14日 11という名の永遠の素数(22/7 1st album) 共編曲 交換条件 Tweets by na_o0_ya_1213 グディッシュ
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■山田くんと7人の魔女 脚本 2 6 7 8 ■うどんの国の金色毛鞠 脚本 3 9 ■モンスターハンターストーリーズ RIDE ON 脚本 14 ■関連タイトル 山田くんと7人の魔女 上巻BOX 初回生産限定版
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ここを編集 ■PLUTO 動画検査補佐 ■関連タイトル 『PLUTO』オリジナルサウンドトラック rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 053df7e0.7c451bd1.0c852203.190c5695 ;rakuten_items= ctsmatch ;rakuten_genreId=0;rakuten_size= 468x160 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= on ;rakuten_auto_mode= on ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ; 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Switch ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom Switch 世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER Switch ピクミン 4 大友克洋 Animation AKIRA Layouts Key Frames 2 小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女 1 ONE PIECE FILM REDデラックス・リミテッド・エディション 4K ULTRA HD Blu-ray Blu-ray 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ 完全生産限定版 Blu-ray 映画『ゆるキャン△』 Blu-ray 【コレクターズ版】 Blu-ray ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! Blu-ray 天地無用!GXP パラダイス始動編 Blu-ray第1巻 特装版 天地無用!魎皇鬼 第伍期 Blu-ray SET 「GS美神」全話いっき見ブルーレイ Blu-ray ソードアート・オンライン -フルダイブ- メーカー特典:「イベントビジュアル使用A3クリアポスター」付 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5th Live! 虹が咲く場所 Blu-ray Memorial BOX 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Blu-ray BOX 特装限定版 地球へ… Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 神風怪盗ジャンヌ Complete Blu-ray BOX HUNTER×HUNTER ハンター試験編・ゾルディック家編Blu-ray BOX BLEACH Blu-ray Disc BOX 破面篇セレクション1+過去篇 完全生産限定版 MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版 アニメ・ゲームのロゴデザイン シン・仮面ライダー 音楽集 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー 完全版 EPISODE No.1~No.98 MOVIE リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション ヤマノススメ Next Summit アニメガイド おもいでビヨリ アニメ「魔入りました!入間くん」オフィシャルファンブック 『超時空要塞マクロス』パッケージアート集 CLAMP PREMIUM COLLECTION X 1 トーマの心臓 プレミアムエディション パズル ドラゴンズ 10th Anniversary Art Works はんざわかおり こみっくがーるず画集 ~あばばーさりー!~ あすぱら画集 すいみゃ Art Works trim polka-トリムポルカ- つぐもも裏 超!限界突破イラスト&激!すじ供養漫画集 開田裕治ウルトラマンシリーズ画集 井澤詩織1st写真集 mascotte 鬼頭明里写真集 my pace 内田真礼 1st photobook 「まあやドキ」 進藤あまね1st写真集 翠~Midori~ 声優 宮村優子 対談集 アスカライソジ 三石琴乃 ことのは 亀田祥倫アートワークス 100% 庵野秀明責任編集 仮面ライダー 資料写真集 1971-1973 金子雄司アニメーション背景美術画集 タローマン・クロニクル ラブライブ!サンシャイン!! Find Our 沼津~Aqoursのいる風景~ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版] 梅津泰臣 KISS AND CRY 資料集 安彦良和 マイ・バック・ページズ 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』編 氷川竜介 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 Blu-ray THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th Anniversary Celebration Animation ETERNITY MEMORIES Blu-ray おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 Blu-ray 映画 バクテン!! 完全生産限定版 アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~ Blu-ray BOX 初回生産限定版 はたらく細胞 Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 Blu-ray 長靴をはいた猫 3作品収録 Blu-ray わんぱく王子の大蛇退治 Blu-ray 魔道祖師 完結編 完全生産限定版 魔道祖師Q Blu-ray Disc BOX 完全生産限定盤 にじよん あにめーしょん Blu-ray BOX 【特装限定版】 Blu-ray 鋼の錬金術師 完結編 プレミアム・エディション Blu-ray付き やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。完 限定版【同梱物】オリジナルアニメ Blu-ray「だから、思春期は終わらずに、青春は続いていく。」
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ここを編集 ■ろぼっ子ビートン 作画監督 17B 22A 24B 31B 40(加) 44A 49B ■サイボーグ009 ストーリーボード 4 12 20 30 33 37 42 45 49 原画作監 4 ■科学冒険隊タンサー5 作画監督 19 23 ■とんでも戦士ムテキング 演出 17(吉) 21(吉) 22(香) 30(吉) 35(津) 54(香) ■Dr.スランプ アラレちゃん 絵コンテ 5 9 14 24 25 29 31 35 38 42 48 53 57 60 63 67 69 75 81 85 90 92 95 97 103 104 105 109 112 114 117 118 122 123 126 128 132 134 137 139 143 145 154 242 ■まいっちんぐマチコ先生 演出 7(田) 9(田) ■ときめきトゥナイト 絵コンテ 21 ■タイムボカンシリーズ イタダキマン 絵コンテ 3 15 ■スプーンおばさん 絵コンテ 31 44 82 90 121 ■プラレス3四郎 絵コンテ 26 ■パーマン 絵コンテ 268 274 276 294 295 302 310 312 323 334 339 340 341 342 ■GU-GUガンモ 演出 43 46(堀) 49(堀) 絵コンテ 8 13 32 ■超力ロボ ガラット 絵コンテ 20 25(網) ■六三四の剣 絵コンテ 5 10 15 23 32 37 42 46 53 58 62 64 66 70 ■ハイスクール!奇面組 絵コンテ 60 64 69 75B 80B ■ドラゴンボール 絵コンテ 7 ■トゥインクルハート 銀河系までとどかない 監督 絵コンテ ■からくり剣豪伝ムサシロード 絵コンテ 11 ■楽しいムーミン一家 冒険日記 絵コンテ 5 ■キン肉マン キン肉星王位争奪編 絵コンテ 6 ■クッキングパパ 絵コンテ 5 ■ジャングルの王者ターちゃん 絵コンテ 11 ■忍たま乱太郎 (1期) 絵コンテ 15 20 ■剣勇伝説YAIBA 絵コンテ 33 ■るろうに剣心 絵コンテ 63 ■グランダー武蔵RV 絵コンテ 10 15 ■サイボーグクロちゃん 絵コンテ 60 ■ぐるぐるタウンはなまるくん コンテ 25A 29A 33A 35B 37A 44A ■天使な小生意気 絵コンテ 47 ■なるたる 絵コンテ 7 12 ■名探偵コナン 構成 356(三) 366 367 絵コンテ 353 356(三) 360 366 367 374 ■すもももももも ~地上最強のヨメ~ 絵コンテ 10 16 ■関連タイトル サイボーグ009 1979 Blu-ray COLLECTION VOL.1初回生産限定 rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 053df7e0.7c451bd1.0c852203.190c5695 ;rakuten_items= ctsmatch ;rakuten_genreId=0;rakuten_size= 468x160 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= on ;rakuten_auto_mode= on ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ; 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Switch ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom Switch 世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER Switch ピクミン 4 大友克洋 Animation AKIRA Layouts Key Frames 2 小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女 1 ONE PIECE FILM REDデラックス・リミテッド・エディション 4K ULTRA HD Blu-ray Blu-ray 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ 完全生産限定版 Blu-ray 映画『ゆるキャン△』 Blu-ray 【コレクターズ版】 Blu-ray ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! Blu-ray 天地無用!GXP パラダイス始動編 Blu-ray第1巻 特装版 天地無用!魎皇鬼 第伍期 Blu-ray SET 「GS美神」全話いっき見ブルーレイ Blu-ray ソードアート・オンライン -フルダイブ- メーカー特典:「イベントビジュアル使用A3クリアポスター」付 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5th Live! 虹が咲く場所 Blu-ray Memorial BOX 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Blu-ray BOX 特装限定版 地球へ… Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 神風怪盗ジャンヌ Complete Blu-ray BOX HUNTER×HUNTER ハンター試験編・ゾルディック家編Blu-ray BOX BLEACH Blu-ray Disc BOX 破面篇セレクション1+過去篇 完全生産限定版 MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版 アニメ・ゲームのロゴデザイン シン・仮面ライダー 音楽集 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー 完全版 EPISODE No.1~No.98 MOVIE リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション ヤマノススメ Next Summit アニメガイド おもいでビヨリ アニメ「魔入りました!入間くん」オフィシャルファンブック 『超時空要塞マクロス』パッケージアート集 CLAMP PREMIUM COLLECTION X 1 トーマの心臓 プレミアムエディション パズル ドラゴンズ 10th Anniversary Art Works はんざわかおり こみっくがーるず画集 ~あばばーさりー!~ あすぱら画集 すいみゃ Art Works trim polka-トリムポルカ- つぐもも裏 超!限界突破イラスト&激!すじ供養漫画集 開田裕治ウルトラマンシリーズ画集 井澤詩織1st写真集 mascotte 鬼頭明里写真集 my pace 内田真礼 1st photobook 「まあやドキ」 進藤あまね1st写真集 翠~Midori~ 声優 宮村優子 対談集 アスカライソジ 三石琴乃 ことのは 亀田祥倫アートワークス 100% 庵野秀明責任編集 仮面ライダー 資料写真集 1971-1973 金子雄司アニメーション背景美術画集 タローマン・クロニクル ラブライブ!サンシャイン!! Find Our 沼津~Aqoursのいる風景~ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版] 梅津泰臣 KISS AND CRY 資料集 安彦良和 マイ・バック・ページズ 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』編 氷川竜介 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 Blu-ray THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th Anniversary Celebration Animation ETERNITY MEMORIES Blu-ray おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 Blu-ray 映画 バクテン!! 完全生産限定版 アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~ Blu-ray BOX 初回生産限定版 はたらく細胞 Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 Blu-ray 長靴をはいた猫 3作品収録 Blu-ray わんぱく王子の大蛇退治 Blu-ray 魔道祖師 完結編 完全生産限定版 魔道祖師Q Blu-ray Disc BOX 完全生産限定盤 にじよん あにめーしょん Blu-ray BOX 【特装限定版】 Blu-ray 鋼の錬金術師 完結編 プレミアム・エディション Blu-ray付き やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。完 限定版【同梱物】オリジナルアニメ Blu-ray「だから、思春期は終わらずに、青春は続いていく。」
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出演回 2014/12/21 ゴッドタン プロフィール 誕生日:1992/11/21 出身地:大分県 サイズ:B78W58H83(2018) グラビアアイドル リンク https //ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%A0%E8%97%A4%E4%B8%89%E8%B2%B4 名前 コメント
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節分祭り05(1/28~2/4) チームバトル:鬼神山 ■キャッシュアイテム LV51 頭:トラみみ 胴:トラふく 脚:トラぱんつ 右: 左: LV62 頭:トラみみ(桃) 胴:桃トラレディ(上) 脚:桃トラレディ(下) 右: 左: LV62 頭: 胴: 脚:桃トラアンク 右: 左: ■レアアイテム LV60 頭: 胴: 脚: 右:斬鉄剣 左: ■チームバトルアイテム LV34 頭:鬼アフロ 胴:鬼スーツ(上) 脚:鬼スーツ(下) 右: 左:
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意味 12年のオリンピック開催地がロンドンに決まった時、ヤクルツが劣勢だったためロンドンと連呼するロンドン祭りが開かれた。しかし、願い届かず首位のしっぽが遠ざかる敗戦となる。 758 名無しなんだな 05/07/06(We)20 54 ID ???ロンドンロンドン叫べば勝てるかもしれないロンドン -
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■ 陸前高田市 2009陸前高田市産業まつり 高田町うごく七夕全山車一覧 高田町うごく七夕まつり 第9回高田松原花火大会 チャオチャオ道中踊り画像ⅠーⅢ ■ 気仙町 タピック45七夕山車特設展示場 気仙町けんか七夕祭り ■ 米崎町 第19回米崎町ふれあいりんごまつり開催 copyright © 2009-2013 陸前高田市探訪 all rights reserved.
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第24話 夏祭り 後編 イエロー・・ 空が暗くなってきた。 夜の7時を越えた今の時刻は、太陽が沈みかけという時機らしく、さきほどまで青かった空がだんだんとオレンジ色 から灰色になっていった。今は木が邪魔をして見えないが、おそらく西の空には鮮やかな夕焼けが広がっていること だろう。夕焼けはいつ見ても綺麗だと思う。それがクラブ帰りで疲れている時や、生徒会で疲れた時や、買い物をして いる時や、遊んでいる時など・・・どんな状況・場所で見たとしても、それは感じられる。 イエローは、ポイとおわんがなくなって空になったダンボールをたたみながら、そんな空を仰ぎ見ていた。 祭りは、もう始まって久しい。広大な敷地を持つ緑地公園の中に、所狭しと夜店が立っている姿はとても壮観で、1 度バタフリーで空を飛んでみて、それが実感できた。 ぼんぼりや街灯、電球が薄暗い中に光っている景色は、100万ドルの夜景とは言えないが、1万ドルはありそうな 気がした。 綺麗だったなあ・・・ ダンボール箱を整理しながら、その時の景色を思い出していたイエローは、にやつき顔をこらえながら、素直にそう 思っていた。 「イエロー、新しいダンボール取ってくれ」 「あ、はい」 ヨシアキから声をかけられ、イエローは新しいダンボール箱を持ち上げた。その中には、金魚すくいに必要な道具が いっぱいに詰まっている。 ――お、重い―― ひとつひとつの道具が軽くても、それが500個以上入っていると結構な重さになる。 腕が抜けそうになるのを必死に押さえながら、イエローはそれをなんとか屋台のそばまで運んでいった。 「お、そこに置いといてくれ」 ヨシアキの指定した場所にダンボールを置くと、イエローはダンボールの蓋を開けた。こうすればヨシアキが取りや すくなるだろう、という心遣いのつもりだった。 イエローは指示された仕事が終わると、ふと屋台の前に群がる、たくさんのお客さんを眺めてみた。 金魚すくいなのに、結構なお客さんが屋台の前に集まってきている。年齢の層もさまざまで、5歳位の小さい子供 いれば、学生ぐらいのカップル、そして老人までも。 皆、水の中にいる金魚を楽しそうに狙っている。 楽しそうだなあ・・・・ そんなことを考え出しそうになった頭に気付き、イエローは頭を振ってそこから視線を外した。まだ今も仕事中だ。す ぐに先程いた場所に戻って、残っている仕事をやらなければならない。 しかし、元の場所に戻ろうとすると、人ごみの中に視線が止まった。 ――・・・レッド先生だ・・―― 人ごみの間、結構遠くだが、そこには手を拝み合わせて、何か頼み込んでいるレッドの姿があった。 いったい、何をしているのだろう?と思いながら、少しの間静止して眺めてみると、今度はレッドの目の前に、ブルー とグリーンの姿が見えた。どうやら、レッドが頼み込んでいる相手とはグリーンとブルーらしかった。 それを見て、イエローは少し笑ってしまった。レッドが何に頼み込んでいるか、なんとなく分かったからだ。 それは、ブルーの手に、からあげが入っている紙コップがあるのを見れば、簡単に推測できる。 ――お金持ってきてない、ってレッド先生言ってたもんなあ・・・―― お金を持ってきていないのなら、屋台で何かを買う事もできない。今はちょうど晩御飯時なので、レッドもお腹が空い ているのだろう。しかしお金がないので、ブルーに頼み込んで、なんとかしてからあげを貰おうとしているのだ。なんて レッドらしいことだろうか。 しかし・・・ ――・・・・だけど、レッド先生がそんなことをするのも私のせいなんだ・・・・・―― 祭りに来るという行為は、レッドにとっては渋々、仕方の無いことなのだ。本人は否定しているもの、そうに違いな い。 そしてその原因は、自分が緑地公園に到着した時、自分のドードリオがレッドの自転車を壊してしまったことにある のだ。故意ではないにしろ、レッドの自転車を修理不可能なまでに壊してしまった。ここからレッドの家があるマサラタ ウンまでは、歩いてだと2時間以上はかかってしまい、しかも、レッドは今日プテラを持っていない・・・・ そうしてレッドは家に帰れなくなってしまい、しかも、トレーニング目的で来たらしいので、お金も持っていない。だか ら、あんな風に人に頼まなければならないのだ。 「・・はぁ・・」 イエローは、自分がした事に対して、とても深い溜息をついた。 またしても、レッドに迷惑をかけてしまった。合宿の時に多大な迷惑をかけたのに、今もまた。しかも、今回は実害 まで及ぼしてしまったのだ。 もちろん、レッドには謝った。地面に頭がつきそうなぐらいにまで頭を下げた。自転車も、何回かに分けてちゃんと弁 償すると約束した。 しかし、それでも罪悪感は消えない。胸の中に黒々と潜んでいるそれは、自分の身体を蝕んでいく。 ――・・・だめすぎるよ・・わたし・・・―― 涙が出そうになっていた。 「あ!イエローさん!」 急に後ろから声をかけられた。名前も呼ばれて、しかもその声に聞き覚えがある。 イエローは、目尻から出そうになっている涙を袖で拭き取り、後ろを振り向く。 するとそこには、綺麗な赤色の浴衣を着て笑みを浮かべているクリスと、どこかを見つめて立ち止まっているゴールド と、仏頂面なシルバーがいた。 「みんな・・・・・どうしてここに・・」 「どうしてって・・・・俺らが祭りに来ちゃ、だめなのかよ?」 「あ、そうか・・」 ゴールドの言葉でイエローは気が付いた。この公園は今祭りをやっていて、3人はその祭りに来ているだけなの だ。当たり前のことに、今さら気付いてしまった。 イエローは、はにかみながら話を続ける。 「みなさんも来てたんですね」 「ここのお祭りは、毎年来てますから。イエローさんはここで何を?」 「私はこのお店でアルバイトをしているんです。おじさんの店なので」 クリスに軽くアルバイトの経緯を話していると、ふと横から声が聞こえてきた。シルバーとゴールドの声だ。 「俺は、もうやらない・・・・」 「いいじゃねえか、シルバー。だいたい、お前は俺と勝負してる途中だろうが。あん時もかたがつかなかったし、いい 所にこれがあるしな」 勝負とは何のことだろうか? クリスと喋りつつ、そう思って2人の方をちらりと見てみると、ゴールドがシルバーの手を引っ張って、金魚すくいの 屋台へと近寄っている姿があった。シルバーはかなり嫌そうにしているが、無理に振り払おうとはしていない。 いったい、何をしようとしているのだろうか? イエローは思い切ってクリスに尋ねてみる事にした。 「・・クリスさん・・・・2人はいったい・・?」 「え?ああ・・・ゴールドとシルバーは、2日ぐらい前にポケモンバトルをしたんです。だけど、途中で雨が降ってしまっ て勝負がつかなくなって、今日のお祭りで勝負しようってことになった、というわけです。シルバーは嫌がってましたけ ど」 「勝負?」 「ほら、始まりますよ」 クリスに促されて、イエローは金魚すくいの屋台に目を向けた。 「おっちゃん!俺とこいつで2回ね!」 「お!お前達はイエローの友達か?がんばれよ~」 ゴールドとシルバーは、ヨシアキからそれぞれ1つずつポイを貰っていた。それは明らかに今から金魚すくいをやる つもりに見える。 イエローは驚いて、再びクリスの方に振り返った。 「もしかして・・・勝負って・・」 「ええ、そうです。あれが勝負ですよ」 金魚すくいが? 不思議に思いながら見ていると、ゴールドとシルバーがそれぞれ金魚が泳いでいる水槽の傍に座った。ゴールドは とても真剣そうな顔だ。(もう1人はそうでもないが) 「おりゃ!」 ゴールドが声をあげながら、勢いよくポイを水につけた。そして一瞬後、彼が手に持つおわんの中には、金魚が1匹 入れられていた。 「へえ~やるねえ、あんた」 「へへ!これでも色んな祭りで鍛えたからな!」 ヨシアキの誉める言葉に、ゴールドは自信満々に答えた。腕を組み、胸を張っている。どうやら、かなり金魚すくいに は自信があるようだ。 一方シルバーは、水槽の中をじっと見つめたまま動かない。何をしているのかよく分からなかったが、彼の目が水 槽の中をせわしなく動いているのに気が付いた、どうやら金魚の動きを見ているようだった。 「・・・・・・・」 シルバーは、まったく動こうとしない。横では、ゴールドが大きい動作で金魚を取っているのに対し、その動きはあ まりに対照的だった。 と、ふと、シルバーの口が動いた。 「水面に対する入射角は、入れる時は40度・・・出す時は20度・・・・・」 ブツブツと何かを呟いている。おそらく金魚すくいに関しての内容なのだろうが、シルバーが何故こんなことを知って いるのだろうか?と、イエローは少し疑問を覚えた。 数分間、シルバーの挙動を見つめてみた。 「・・・・・これだ」 シルバーの手が動いた。 だが、あまりにも彼の手の動きが速かったため、どのような動きをしたのかまったく分からなかった。凄いスピード だ。 そして、瞬く間に、シルバーのおわんの中に2匹の金魚が入れられた。しかも、ポイはまったく破けていない。完璧 な動作だった。 一方隣のゴールドは、数こそ集めてきているし、動きもダイナミックだが、彼が使っているポイはすでに半分ぐらい破 れていた。無駄な動きが多すぎるのだろう。 イエローはそこまでの状況を見て、絶対にシルバーが勝つ、と判断した。2人の技術の差は明らかだ。だんとつで シルバーの能力の方が高い。 しかし、 ――シルバーさんって・・・・よく分からないなあ・・・―― イエローはシルバーのことが良く分からなくなってきていた。先程までまったくやる気を示していなかったシルバー なのに、今は水槽の中を物凄い集中力で見つめ続けている。こんな遊びなんてやりそうに無い彼が、何故、達人級 の技術を持っているのか・・・まったく分からない。 どうもシルバーは内面が掴みにくかった。 「だあ~!また俺の負けかよ!」 「・・・・・ふう・・・」 どうやら決着がついたようだ。 2人のおわんの中には、ゴールドは5匹、シルバーは7匹の金魚が入っていた。しかも、ゴールドのポイが完全に破 れているのに対し、シルバーの物はまだ全ては破けていない。明らかにシルバーの完全勝利だ。 ゴールドは、フレームだけとなってしまったポイを、乱暴な動作でヨシアキに突き返した。子供みたいに地団駄を踏 み、「くそ~!!」と叫んで負けたことを悔しがっている。 シルバーもポイをヨシアキに返した。まだ完全に破けていないのに返している。これ以上やっても無駄、とでも思っ ているのだろう。 そこまで見ると、横にいたクリスが口を開いた。 「またシルバーの勝ち。これでゴールドは3戦全敗ね」 「他にもやってたんですか?」 「ええ。この前には、輪投げとくじ引きをやりました。輪投げは、ゴールドが何も取れなくて、シルバーはクマの人形 を。くじ引きは、ゴールドがスーパーボールに対して、シルバーが車のプラモデルを。2つ共、シルバーの勝ちでした」 イエローはそれを聞いて素直に驚いた。シルバーは輪投げの技術もあり、運もいいのか。 しかし、シルバーがそこまでお祭り男とは・・・なんだか意外だった。 ゴールドとシルバーが金魚の屋台から戻ってきた。ゴールドの手には、1匹の金魚が入ったビニール袋がある。そ れに対して、シルバーは何も持っていない。おそらく持ち帰りを断ったのだろう。 「また負けちまったぜ・・・」 ゴールドが、悔しい、という思いを一杯にした言葉を呟いた。表情も暗い。 「・・・・・これでいいだろう。もう俺はたくさんだ・・・・」 シルバーがうんざり、といった顔で言う。しかし、言葉と裏腹に、何故あんなにも金魚すくいが上手なのだろうか? 「嫌だ!まだ俺が勝ってねえ!」 「・・・・はあ・・・・」 ゴールドが駄々っ子のように我儘を言うと、シルバーはこれ見よがしに溜息をついた。その溜息の種類は、イエロー にも理解できた。おそらく、もうやっても無駄だ、とでも言いたいのだろう。シルバーは、他のどんなものでも勝ってしま うに違いない。だからゴールドがいくら勝負を挑んだとしても、結局はシルバーの勝利という結果になるのだ。 それはゴールドも薄々気付いているはずなのに・・・・彼に残っているのは、少しプライドと、シルバーに負けたくない という気持ちなのだろう。 「それじゃあ・・・・次はどうするの?ゴールド」 「う~ん・・・・・・」 クリスの問いに、ゴールドは腕を組んで周りを見渡し始めた。何か勝負できるものを探しているのだろう。その横で は、シルバーが嫌そうな顔をしているが、ゴールドはそんなことなど気にしていないようだ。 ある程度周りを見渡していたゴールドだったが、突然、「あ!」と声をあげて、ある方向に指を指した。 イエローはそれにつられて、その方向を見てみる。するとそこには、こちらに近づきつつあるジェルブの姿があった。 イエローはさっそく彼に声をかける。 「ジェルさん」 「よう、イエロー。そしてその他の面々達♪」 人ごみを掻き分けて目の前まで来たジェルブは、イエロー達に挨拶をし、他のメンバーにも一応声をかけた。 そのジェルブの挨拶に1番に反応したのはゴールドで、「他の面々達」というのに不満を持ったらしく、「おまけみたい に言うな!」と声を荒げる。 しかし、ジェルブは悪びれもしないような笑顔を返すだけだった。 「みなさん、おそろいで。どうしたんだ?難しい顔してるけど」 「いえ、ちょっと・・・・・」 イエローはことの経緯を話し始めた。要点だけを掴めるように、なるべく少ない言葉で説明する。ジェルブはそれを、 うんうん、と頷きを返しながら聞いていた。 そして話し終えた時、ジェルブが最初に見せた表情は、面白いものを見つけたという種類の、満面の笑顔だった。 「よし、それじゃあいいものがある。俺についてきてくれ」 ジェルブはそう言って、緑地公園の内側に向かう道を歩き始めた。もちろん、人で賑わっているで、それを掻き分け ながら。 ゴールド、シルバー、クリスは、不思議に思いながらも、彼についていく事にしたらしい。そのままジェルブの後を歩 いていった。 しかし、イエローは行けなかった。今はこの金魚すくいの屋台のバイト中なのだ。ここを放り出して、他の所に行くわ けにはいかない。もちろん勝負の行く末は気になるが、仕事に私情を挟んではいけない。 そうして、イエローは4人を見送ろうとしていた。 と、 「行ってこいよ、イエロー」 「おじさん・・・!」 店でお客の相手をしていたヨシアキが、急にこちらを向き、微笑みながら言った。 しかも、一緒に行ってこいと言っている。 ヨシアキは、自分が友達と一緒に行きたいであろう心情を察してくれたようだった。彼らしい優しさにイエローは驚き つつも、それに甘えようかと一瞬思った。 が、やはりこれは仕事だ。正式で、お金を貰う。だからここで甘えてはいけないのだ。 「だけど・・・・やっぱり、仕事中ですし、行けませんよ・・」 そう言って、最初はヨシアキの好意を遠慮しておいた。 しかし、 「気にすんな。少しぐらいならお前がいなくても何とかなる。お前だって、あの2人がどうなるか、気になるんだろ?」 ヨシアキはやはり微笑みながら、そう言った。 ここまでされると、断るのも失礼なものだった。 イエローは、迷いながらもヨシアキの好意に受ける事にした。仕事は、2人の勝負の結果がどうなるかを確認した後、 すぐに戻ってくれば、席を外していた分は取り戻せるはず。 それに、何かをたくらんでいそうなジェルブの微笑みが、どうしても気になってしかたがない。ここは・・・ヨシアキの 行為に甘えよう。 すみません、と言いながら、イエローは首にかけていたタオルを取り、人ごみの中に入っていった。 ヨシアキは微笑みながら自分を見ていた。 ※ 道に出ると、ほとんど身動きができない状態だった。周りには、人、人、人ばかりで、少しでも無理をすると、見ず知 らずの人の足を踏んでしまいそうになってしまう。おそらく、満員電車などはこんな風なのだろう。 しかし、イエローはそれでも先に行った4人を追いかけようと、精一杯の速さで歩いていた。もしかしたら、もうゴール ドとシルバーの勝負が始まっているかもしれない。どこで何をやるのかさっぱり分からないが、あの勝負を見逃すと 後々後悔しそうだ。 と、ふと、人ごみの間から、ジェルブの特徴ある長髪ともう1つ、赤い帽子が見えた。遠くからでも分かる。あれはレ ッドの帽子だ。 ――合流したのかな・・?―― イエローはそう思いながら、歩き続けた。人と人との間からしか見ることができないので確信はできないが、おそら く、ゴールド達の団体とレッド達の団体がそれぞれ偶然合流したのだと思われた。この広い緑地公園で知り合いに出 会える事なんて珍しい。 彼らがいた距離までは、そんなに遠くない。 まだ追いつけそうだった。 レッド・・ 「で・・・・・・ここで決着をつけよう、ってことか・・・」 「そういうことっス!レッド先生!」 祭りの会場を徘徊している中、ブルーとグリーンに遭遇したレッドは、その後、今度はゴールド達と出会っていた。 ジェルブ、ゴールド、シルバー、クリスといった面々が、なぜか真剣な面持ちで歩いていたのだ。 そして、彼らと合流し、色々と話を聞いていたのだが・・・・・ゴールドたちの「勝負」の話を聞いた時、レッドは、おもし ろい、と思った。 なぜなら、今目の前にある屋台が「射的」と書いてあるからだ。 ゴールド達が勝負するのは『射的』。見ているだけでも充分面白そうだが、どうせなら・・・ 「よし・・・・・俺もやるぞ!」 参加する事にした。 「ええ!?」(クリス) 「レッド、何考えてんのよ・・・・」(ブルー) 「お前はもう、射的をするような子供では・・・」(グリーン) 「これは俺とシルバーの勝負っスから・・・」(ゴールド) 「・・・・」(シルバー) 「ふ~ん・・・」(ジェルブ) 自分の言葉を聞いた周りは、十人十色な反応を返していた。 レッドは、その反応のほとんどが否定の言葉なのに、少し不満をもった。 「なんだよ・・・・いいじゃん。あ、それとグリーン、金貸してくれよ?俺財布持ってねえし」 「お前なあ・・・・」 「あの・・・レッド先生・・」 急に、後ろから女の声で呼びかけられた。振り向くと、そこには金魚すくいの屋台でアルバイトしていたはずのイエ ローがいた。息を切らし、少しかがんで疲れた様子を見せていた。 「イエロー・・・どうしたんだ?バイトは?」 「アルバイトは、少し休憩を貰いました。それよりも・・・・これを・・・」 そう言ってイエローは手のひらを差し出してきた。その上には、500円玉が1枚・・・・ どうやら、これを使えと言っているらしい。 しかし、さすがに生徒にお金を借りるわけにはいかないと、レッドは思った。 「い、いや、お前に貸してもらうのはさすがに・・・・」 「レッド先生がお金を持ってきていないのは私のせいですから・・・・返すのはいつでもいいですよ?」 やはりイエローは責任感が強いな、とレッドは思った。 確かに、自転車を壊されたから自分は家に帰れないのだし、お金を持っていないのもそれに繋がるかもしれない。 だが、別に自転車を壊された事は不可抗力なのだから、イエローはそれほど気にしなくていいのだ。なのに、彼女は ここまでする。 ――・・・・・・さすがイエロー、って感じだな・・・―― イエローの性格を考えれば、当然なのかもしれない。責任感があるからこそ、ポケバト部の部長が務まるのであり、 生徒会の会長が務まるのだろう。 そんなイエローを微笑ましく思いながら、レッドは、彼女の好意を受け取る事に決めた。もちろん、お金は後日、礼と 共にちゃんと返すつもりだ。 「それじゃあ・・・・借りとくな。絶対返すから」 レッドはそう言って、イエローから500円玉を受け取った。 そして、今一度、ゴールド達の方を向いた。これで射的ができる。 「これでいいだろ?」 ゴールドを見て、そう言ってみた。 するとゴールドは、溜息をつきながら答える。 「しょうがないっスね・・・・・レッド先生も入れてやりますか・・・」 「俺もやっていいか?」 突然そんな事を言い出したのは、ジェルブだった。今まで自分達の話を静観していたジェルブだったが、ここにきて 急に口を開いた。しかも、それは自分も加わるという内容のもの。 「な、いいだろ?」 ジェルブがゴールドに乞うようにして言う。 「・・・・レッド先生も入るし・・・・・もう誰が入っても、変わらない・・・よな?」 ゴールドが、何故か周りに向かってそう言うと、レッドとジェルブ以外の全員が、戸惑いながら頷いた。 それで決めたのか、ゴールドはジェルブの参加も許可した。 「兄ちゃん達・・・・・・やるなら早くやってくれねえか?」 今まで、ずっと屋台の前で喋っていたためか、店の店主が青筋を立てていた。 結局、射的をすることになったのは、ゴールド、シルバー、レッド、ジェルブの4人。だれが勝つかは分からないが、 レッドは楽しげに、店主から銃を受け取った。懐かしいな、と一瞬思った。 そして、ゴールド、シルバー、ジェルブの順で銃を受け取り、それぞれ構えを取ろうとすると・・・・ 「でさ、射的ってなんだ?」 ジェルブが朗らかな笑顔で言ったその言葉に、周りは完全停止してしまった。 イエロー・・ 「このコルク銃で、あの的代わりの商品を当てる。当てて、その商品が落ちれば、それを貰える、ってわけだ」 「へえ~結構、面白そうだな」 現在、ゴールドがジェルブに射的の仕方を教えている最中だった。身振り手振りで、普通なら誰でも知っているよう なことを、ゴールドは教えている。ジェルブの方は、興味津々、といった様子だ。 ――射的を知らないって・・・・・・もしかして、ジェルさんってお祭りに来た事ないのかな?―― そうとしか思えない。 金魚すくいや射的は、お祭りに行ったら、ほとんどの確率で開いているものだ。1度でもお祭りに行ったことがある のなら、絶対に知っているはず。 前々から、ジェルブはこういうことに疎い部分があった。 遊園地に行ったことが無い、と話していたし、ずっと前にゲームセンターに行った時など、UFOキャッチャーを見て、 「なんだこれ!マジックハンドか!?」と、よく分からない事を言っていた。 ――・・・・・・まあ、いいや。人それぞれだしね・・・―― 気にしていてもしょうがない。 イエローは、とりあえずその事は保留にしておき、射的をやっているであろう4人の方を見てみる事にした。 パン パン 4人それぞれが、目当ての商品を狙って引き金を引く。当たっているものもいれば、まったく見当外れのものもい た。 ――うわあ~・・・・―― その状況をひと目見れば、慣れていなさそうなジェルブが、1番下手だと思うだろう。 実際、イエローはそう思った。ジェルブは、銃身にコルクをセットする動作も1番遅いし、どこの引き金を引けば発射 するかも分かっていなかったのだ。 だから、おそらくジェルブが最下位になると思った。 だが・・・ パン・・・・・・ポト 「お、やった!」 見事、小さなぬいぐるみに命中させて、それを落としたのは・・・・・ジェルブだった。 一同、唖然としている。 一方、ジェルブに射的の仕方を教えたゴールドは・・・ 「あ~!!なんで当たらねえんだ!!」 いくら撃っても、まったく当たらない。 というより、何故?と思うほどに見当違いのところを撃っている。店主のおじさんにも1発当たってしまった。 「ゴールド・・・・・お前、下手すぎ」 そう言うレッドは、キャラメルの箱に命中させて、それを獲得している。 「・・・・・・・」 シルバーは無言でコルク銃を撃ち続けている。その腕はやはり達人の域に達していて、30センチ強のぬいぐるみ を、たったの2発で落としてしまった。 イエローはそれを見て、こういうのも、ポケモンバトルと同じく、センスが必要なのかもと思ったのだった。 ※ 結局、射的の順位は、1位がジェルブとシルバー、3位がレッドで、最下位がゴールド、になってしまった。(シルバ ーとゴールドの勝負も、当然、シルバーの勝ちになった) 特に、ジェルブは奇妙なぐらいに上手だった。初めてやったにしてはかなり上手い。あのシルバーに張り合ったのだ から。 何故ここまで上手なのか? それに関してジェルブは、「まあ、こういうのは慣れてるから・・・」とか話していた。 ――慣れてる・・・ってどう言う意味だろう?―― 射的もやったことがないのに、慣れている、というのは少々おかしい。 まさか本物の銃を使い慣れてるとか? ――・・・・まさかね―― イエローはダンボールを畳みながら、自分の考えを笑った。あのジェルブに限ってそんなことはないだろう。 ダンボールを1つ畳み終え、それを横に置いてさらにもう1つ、他のダンボールを畳む。さっきからこれの繰り返しだ った。 射的が終わった後、イエローはすぐに皆と別れ、金魚すくいの屋台まで戻ってきていた。さすがに、何時間もサボっ たままではまずいし、ヨシアキにも悪い。 レッド達はそのままどこかに行ってしまい、それからどうしているか知らない。もしかしたらゴールド達の勝負がまだ 続いているかもしれないが、それはもう知り得ることではなかった。少々寂しいような気分にも襲われたが、アルバイ トをちゃんとしないと、後々苦しくなるのは自分だ。それは我慢するしかない。 「お~い、イエロー。そっちは終わったか?」 「あ、はい。終わりました」 最後のダンボールを畳み終えて、イエローはヨシアキの所にそれを持っていった。金魚すくいの屋台はすでに終わ っており、さらにはお祭り自体、終盤を迎えている。時刻は午後9時。もう少しすれば、お客も帰っていく時間だった。 ――・・・・もう終わり、か・・・・―― イエローはなんとなく、喪失感というか虚脱感というか・・・・・そういう寂しい感情が身体に残っているのを感じてい た。「祭りは準備している時が1番楽しく、終わりになれば1番寂しい」という言葉はよく聞くが、まさしくそれと同じだ った。祭りの準備や本番の忙しさに燃え尽きてしまい、後片付けの時間になって真っ白になったような感じだった。 しかし、それでも今年は、いつもの夏と違って楽しい経験ができたと、イエローは思った。お祭りを楽しむ側ではな く、楽しませる側へと移ったこと。お客さんが金魚をすくった瞬間の笑顔や、1回水につけただけで紙が破れてしまっ た時の悔しい表情は、見ていて楽しい気分になるものだった。 今日の今日まで、サービス業をやった事はなかったが、こういう仕事をすれば自分も楽しくなるのかもしれない、とイ エローは思った。 なんだか、来年もやってみたいという気持ちにもなってしまう。 またヨシアキに誘ってもらおうと思いながら、イエローは自分の荷物をまとめて、ヨシアキと合流しようと周りを見渡し た。 ――・・・・・・・あれ?おじさんは?―― いつのまにか、ヨシアキの姿がなくなっていた。先ほど声をかけられたばかりだ。近くにいたはずなのに・・・・ どこかに行くのなら自分に声をかけていくはずだし、先に帰っているとも考えられない。何か急な用事でもあったのだ ろうか・・・ 「イエロー?」 急に後ろから声をかけられた。振り返ると、そこには片手に大きなぬいぐるみを抱えて、トレードマークの帽子を外し たレッドが、笑顔を浮かべて立っていた。 イエローは不思議に思った。レッドは確か、他の皆と遊んでいたはずだ。なのにどうして今ここに? 「先生・・・・どうしたんですか?みんなは・・・」 「どうしたもなにも・・・・・お前が俺を家に送ってくれるんじゃないのか?」 「え?」 急に変なことを言い出すレッドに、イエローは訝しげな表情をした。レッドとそんな話をした覚えはないし、何も聞いて いない。確かに、レッドがここから帰るには徒歩では時間がかかりすぎるので、ここの片付けが終わったら1度電話を して、送っていくと言おうと思ってはいたが、まだそれはヨシアキにしか話していない。そのため、レッドが知っている はずは無いのだが・・・ イエローはそこまで考えて、ハッ!とした。まさか・・・ 1つの疑いを持ちながら、イエローはレッドに顔を向けた。 「あの・・・・・レッド先生・・・・それって誰から聞きました?」 「へ?お前のおじさんから聞いたんだけど?」 レッドの言葉を聞いて、イエローはガンと頭を打たれたかのような感覚を覚えた。やられた。まさか、こんな手を使っ てくるとは・・・・・ ヨシアキは一応、自分がレッドを好きだ、ということを知っている。教えたのではなく、感づかれてしまったのだ。1年 程前、自分がレッドと喋っているのを目撃された時に。 ヨシアキはそれを嬉しく思ったらしく、それからは色々と相談に乗ってもらったりした。レッドの誕生日の時、どんな手 袋をプレゼントすればいいか助言してくれたのも、彼だ。 ヨシアキは常々、「イエローには積極性が足りないんだよ。積極性が。もう少し強引によっていったって、相手は嫌 がらないって」などと言い、もっと頻繁にレッドと喋れとアドバイスしてきていた。そうすれば、相手もその気になる、 と。 しかし、自分にはそんな勇気はないし、レッドに気付いて貰っては困るのだ。あまりにも恥ずかしすぎるし、レッドが 受け入れてくれるとは思えない。もちろん、他の生徒よりかは仲が良いとは思うが、恋愛が絡んでくるとなると・・・・ と、いつも弱気になっていたのだ。 ヨシアキはそれを聞くたび、まどろっこしそうな表情をしていた。何か手助けしてやろうか、と申し出た時もあったが、 それも丁重に断ると、ヨシアキは悔しそうな表情をした。 だが、どうやらヨシアキは諦めていなかった様だ。なんとかして、自分の姪を助けたいと思ったのだろう。 しかし、まさかレッドと二人っきりにするのに、こんな直接的な方法を使うとは・・・。 嬉しいようやら、おせっかいなようやら・・ イエローが、はぁ、と気付かれないようにため息をつくと、レッドは「あっ」と何か思い出したような様子を見せた。 「そういや、おじさんから伝言だ。『屋台の荷物は置いといてくれ。軽くなったから、俺のポケモンでも運べる』だって さ」 「そうですか・・・・・」 軽くなったから自分のポケモンでも運べる・・・・ヨシアキが自分のポケモンを持ってきていたなんて、知らなかった。 今日は何も持ってきてないと、ヨシアキ自身が言っていたのだ。 何て用意周到な・・・・もしかしたら、今回屋台のバイトに自分を誘ったのは、これが目的のひとつだったのかもしれ ない。 そう思いながら、イエローはしょうがないと割り切って、レッドを送っていくための用意しようと、横に置いてあった荷 物を手にとった。 「それじゃあ・・・・・行きましょうか・・」 「おう、頼んだぜ」 レッドは、まばゆいばかりの笑顔を浮かべながらそう言った。 それを見たイエローは、心の隅で少しばかりヨシアキに感謝し、一方では恨みながらも、公園の出口に向かって歩 き始めていた。 ※ 「なあ、イエロー。この祭り、今年は花火も打ち上げるって知ってたか?」 「そうなんですか?全然知りませんでした」 現在、ドードリオの背中の上。 イエローとレッドは、激しく移りゆく景色と、夜になって少しばかり涼しくなった風を受けていた。その風で、イエロー の麦わら帽子が飛びそうになるが、レッドが咄嗟に頭を帽子を押さえており、その心配はなくなっている。イエローに とっては物凄く恥ずかしい事だが、レッドの心遣いの1つなのだから無下にはできず、何もいわないままドードリオの 手綱を取っている。 イエローは少しだけ首を後ろに動かした。 「それじゃあ、その花火を見てから帰ったほうが良かったですね」 「ん~・・・・確かにそうだな・・・・・」 話の中で出てきた打ち上げ花火の事は、イエローはまったく知らなかった。だいたい、今日、緑地公園で祭りがあ ること自体を知らなかったのだから、それも当然だろう。 レッドの話によると、近年祭りにくるお客さんが増えてきたため、何もないまま祭りが終わるのも興冷めする。フィナ ーレにバーン!と花火を打ち上げて、最後の最後まで盛り上げてしまおう、という企画が町内会であがったらしく、そ れが通り、今回の祭りで実現されたとのことだった。 イエローは花火が好きだった。あの、暗い夜空というキャンパスの上に、花の絵が描かれたように打ち上がる花火 は、綺麗で、とても幻想的なものだ。花火がある日には、空をいつまでも見上げていたいと思う。 そういえば、毎年どこかの花火大会に行っていたのに、今年は怪我や金欠が重なって1つも行っていなかった。夏 休みのメインイベントの1つなのに、それが抜けていては寂しい。 正直、今、このお祭りで花火が見たかった。 ――でも・・・・・レッド先生を送られないといけないし・・―― イエローはそう思って、首を横に振った。今はレッドを家に送り届ける途中だ。もともと、こうなったのは自分のせい だし、これ以上自分の都合にレッドを巻き込むわけにはいかないのだ。 イエローは、花火が見たいと思いつつも、それを心の奥底にしまい、今やるべきことに専念しようと心に決めた。 「イエロー?」 声をかけられ、イエローはハッ!とした。どうやら、花火のことを考えすぎて、ずっと黙ったままだったようだ。不自然 極まりない。 イエローは少しだけ後ろを向いて、レッドに「はい?」と答える。 するとレッドは、笑顔を浮かべながら、言う。 「たぶん遠くからでも見えるだろうからさ、1度、見晴らしのいい所で見ないか?花火」 「え?」 イエローは一瞬耳を疑った。レッドが、あまりにもこちらの欲求を突く提案をしてきたからだ。都合が良すぎる。 しかし、花火を見たいという欲求には到底勝てないイエローは、少し答えにくそうにしながらも、「・・・・・そうですね」 と、レッドの提案を受ける事にした。いくら都合が良すぎようが、レッドが自分の気持ちを当てていようが、結局花火を 見れるのならそれでいい。他の事は目を瞑ろう。 周りを見渡してどこかいい場所はないだろうか、探してみると、近くにちょうど見晴らしがいい丘を見つけた。地面が 大きく盛り上がっているが、坂は緩やかで障害も少ない。これならドードリオでも楽に登っていけるだろう。 イエローは、その丘の方に向かって、ドードリオを走らせた。 ※ ピュ~・・・・・バン!! その瞬間は一瞬だけ。 地面から光の玉が上がり、それが尾を引いて光の線へとつながりながら、黒い空へと上がっていく。まるで地面か ら空へと落ちる流星のようなその光は、一定の高さへと上がると急にその様子を変化させる。 そして、瞬間に開く、光の花。 光の玉を中心にして爆発し、一瞬にして空に一輪の花を咲かせる。 どこにでもある表現だが、それ以上も、それ以下でも言い表せる事ができないのは、それがあまりにも感動的で、 言葉で言い表す事なんて到底できないからだろう。 「わあ~・・凄い・・・」 だからこそ、凄い、の一言しか言えない。 イエローの視線の先には、先ほどからさまざまな色をした花火が打ちあがっていた。1つの花火が開くたびに轟音 が鳴り響き、しかしそれは不快なものでは決してなく、反対にひびけばひびくほどに心地いい気分になってくる。 そして、音に比例して辺りが明るくなっていき、また暗くなった頃に次の花火が打ち上がる。 ピュ~・・・・バン!! この付近では1番大きな祭りなためか、打ち上げ花火も盛大だった。時には連続して上がったり、ナイアガラ花火の ようなものも上げられている。 「すごいな・・・」 隣で座って見ているレッドが声をあげた。その中にも、感嘆と感動の意が入っているが、やはり自分と同じく、この 花火に対する感想を言葉で言い表せないほど感動しているようだった。 イエローは、ちらっとレッドの方を見てみた。レッドの方が座っていて、こちらは立っているので斜め上から見る事に なるが、それはそれで新鮮なものだった。 レッドの横顔を見ていると、この夏休みの事が段々と思い出されてくる。 最初はレッドの誕生日から始まった。 どんな風にしてプレゼントを渡せばいいか散々迷ってしまい、プレゼントを用意したらしたで、今度はどうやって渡せば いいか悩んだ。一時期は渡せないかもと思ったこともあったが、ゴールド達の協力のお陰で誕生日は大成功。一緒 に乗った観覧車のことは、今でもはっきり覚えている。 そういえば、今レッドがつけている手袋は、自分があげた手袋だということに、イエローは今更ながらに気がつい た。今までレッドがその手袋をつけているところを見たことがなかったため、それは感動的だった。 ――ちゃんと着けてくれてるんだ・・・・・―― 少し照れくさかったが、とても嬉しい。 イエローはその間にも夏休みのことを色々と思い出されていった。 次に印象的だったのは、クラブを潰してプールを行ったこと。レッドが自分達のことを考えてくれて、計らってくれたの だが・・・あれは凄かった。別の意味で。 グリーンの暴走から始まったあの出来事は、結局、最後にプールの後片付けをするはめになり、帰ったのは10時 を過ぎてしまったのだ。 グリーンのあの暴走は・・・・・2度と見られないだろう・・ そして、やはりこの夏、1番の出来事は合宿だった。 山に向かい、普段はできない練習を行ったものはいいものの、特別行事で自分が山で遭難してしまうという事件が 起きてしまい、そのせいで色々な人に迷惑をかけてしまった・・・・あれだけは後悔するべきことだ。 レッドが助けにきてくれて一安心してしまったものの、結局は幽霊ポケモンの攻撃で、レッドの方が危ない目にあっ てしまった。あんなことは、2度と起こしてはならない。 ――・・・・・・・・・・そういえば・・―― イエローはある事を思い出した。 山で遭難してレッドに助けられたものの、幽霊ポケモンの技のせいで催眠状態になってしまったレッド。彼を助ける ために、自分はあの時、幽霊ポケモンの姿を探していた。 が、どれだけ探してもどこにいるか分からず、半ばあきらめかけた時だった。 どこかからか声が聞こえたのは。 『前に敵がいるよ!』 姿も何もない、ただの声。 あれはいったい誰の声なのだろうか? 救助に来てくれたワタルとは考えられない。もし彼なら、もっと早くに姿を見せてくれるだろうし、姿が見えないはず もない。 だいたいにして、あの声は今まで聞いたこともない声だった。いや、声というのも変なのだろう。耳、つまり聴覚で感 じているというよりも、どこか、頭の端っこ辺りで「感じて」いるような・・・・まるでテレパシーでも送られたかのよう な・・・・そんな感じが、あの声にはしたのだ。 声を聞いた時は、無条件にそれを信じていたが、いったいあの声の主はだれなのだろう・・? バン!バン!バン! と、一層大きい音が、辺りに響き渡った。 イエローは、とっさに空を見上げてみる。すると、そこには空が光で埋めつくされてしまうほどの大きな花火があり、 そのあまりの光の明るさのため、辺りを昼間のようにしてしまっていた。 「・・・・」 イエローは言葉をなくした。それはあまりにも感動的で、今ここにいることが現実と思うことが出来なくなるほど、凄 いものだったからだった。 「おい!イエロー、見たか今の!すげえなあ・・!」 レッドが興奮した口調で捲くし立て、振り向いた。 レッドの顔が、花火の光でよく見える。 その顔は、今だ辺りを明るくしている花火の残光で薄く光っていて、とても・・・・・・・・・とても綺麗だった。 「イエロー?」 「あ、はい・・・そうですね・・すごかったです・・・」 あまりにも幻想的な光景と、綺麗なレッドの顔を見たために、頭の奥がポ~ッとしながらも、イエローはなんとか言 葉をつむぎ出した。レッドはそれを満足そうに聞き、頷く。 「それじゃあ、帰ろうか?」 「そう・・・ですね・・」 レッドの提案にイエローは同意し、ドードリオの方へと行き始めた。 が、イエローは突然立ち止まった。レッドが先々に歩いていく一方、丘の上、傾斜の真ん中に立ち尽くし、じっと、レ ッドの後ろ姿を見つめる。 そして、イエローは思った。 本当によかった、と。 思い出されるのは、合宿でレッドが死んでしまうと思った時。幽霊ポケモンの攻撃を長く受けすぎたために体力は激 減し、いつ危険な状態になっておかしくなかった、あの時。あの時ほど、多大な絶望感と喪失感を味わった事は無か った。 レッドの後ろ姿を見つめると、今も涙が出そうになってしまう。顔が見えず、ただレッドが離れていく姿を見てしまう と、レッドが、どこかに行ってしまうのではないか?と思ってしまうからだ。 そして、今も涙が1滴、流れ落ちた。 だが、今となっては、それは悲しみの涙ではなかった。嬉しさと安堵。その2つが充分に詰まった、レッドの存在を 喜ぶ涙だった。 レッドが、振り向いた。 「イエロー、どうした?」 「い、いえ・・・・行きましょう」 目の端に溜まってきた少しの涙をぬぐい、イエローは歩き始めた。 辺りは花火も終わり、帰る人が多くなってきた。お祭りの会場である緑地公園の中も、屋台の光が消え、ずっと響 いていた太鼓の音も、もう聞こえない。 太陽が無くなり、月が出ている今の時間は風も冷たくなりつつある。 しかし、それは夜になってきただけのせいでもなかった。8月の後半。9月に近づけば近づくほど、徐々に、秋になっ ていく。 涼しくなるなっているのは、秋が近い証拠・・・ 盛夏は、もうすぐ終わろうとしているのだ。 イエローの日記・・ 今日は・・・・疲れた~ おじさんの屋台を手伝ったり、みんなとお祭りを楽しんだりしたから、結構疲れたなあ。 だけど、アルバイト探していたから、叔父さんの手伝いは、本当にタイミングが良かった。アレが無かったら、これから どうなっていたか・・・ そういえば、結局、ゴールドさんとシルバーさんの勝負は、シルバーさんの勝ちになったみたい。まあ、シルバーさん は、やけに上手だったからなあ・・・金魚すくいとか。多分、何回もやったことがあるんだろうなあ・・・ それと!またレッド先生に迷惑をかけちゃった・・・・まさか自転車を壊しちゃうなんて・・・ ちゃんと、おじさんと一緒に弁償するように言ったけど・・・先生怒ってないかなあ・・ 花火を一緒に見た時は怒ってなかったから、多分大丈夫だろうけど・・・・ そうそう、花火と言えばあれは凄かった。最後の花火。辺りが昼間になっちゃたんだもん。もう一度見たいなあ・・・ そろそろ、夏休みも終わり。宿題はあとちょっと残ってるけど、多分間に合うでしょう! では、そろそろ寝ましょう。 明日もいいことがありますように。