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「はい、赤い靴」 その日 赤い靴の契約者が、赤い靴にチョコレートを渡してきた 明日は槍か兄貴が降るな、と赤い靴はその瞬間、そう考えて 何かを察した契約者に、盛大に殴られた 「あれだ、ロリなんだから、すぐ暴力に走る癖は治した方がいいぞ」 「あんた相手だけだから、安心しなさい」 なるほど いや、それは安心してもいいのだろうか 若干、悩むところだが 「バレンタインなんだから、別に渡してもいいでしょ?」 「まぁ、そうだが」 まさか、もらえるとはこれっぽっちも思っていなかった こちらからは、契約者にチョコを用意していたから、すでに渡しているが… 「返却は受け付けないわよ」 「返却など、しないさ」 ありがたくいただく、と 「ロリコン自重しろ」と白いチョコペンで書かれた、その大きなチョコレートを、赤い靴は遠慮なく食べたのだった 終われ 前ページ連載 - 赤い靴
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587 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/03/04(水) 22 05 48 ID ??? 584 ガンダムが頬染めるような奴でなければな 588 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/03/04(水) 23 05 37 ID ??? 587 刹那「……!応えてくれ、エクシア!トランザム!!」 ヒイロ「多少強引だが……」 ガロード「確かに赤い!」 グラハム「少年のガンダムは照れ屋なのだよ!あれでよく逃げられてしまう……」 ジュドー「(確かに時々激しいチェイスを繰り広げてるよな)」 ハワード「こじつけてまでガンダムと添い遂げようとする理由は何ですか」 590 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/03/04(水) 23 56 30 ID ??? シーブック「そういえばカミーユのZも時々人魂吸って赤くなるな」 ヒイロ「シン兄のインパルスもソードシルエットで赤くなる」 シャア「キャスバル専用ガンダムは初めから赤いぞ!どうだアムロ、羨ましかろう!」 アムロ「お、俺のガンダムだってその、大気圏に突入した時とか・・・・・って、自然に兄弟の会話に入るな!」 591 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/03/05(木) 00 02 27 ID ??? 590 クェス「元々赤いだけのことを、どうしてそんなに自慢するの?」 ぐさっ シャア「ク、クェス…君は正直すぎるのだ。時としてそれは人を 傷つけると言うことをだね…」 アムロ「クェスが正しい。当たり前のことを自慢することに意味は無いぞ」 ぐさぐさっ シーブック「僕もそう思う」 ヒイロ「異議なし」 ドビチャァァァア シャア「ララァ、私を導いてくれ…!」 ララァ『お断りします』 アムロ「だそうだ」 シャア「ぼっぴん!」 592 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/03/05(木) 00 35 21 ID ??? 591 シャア「…私が…赤くて3倍を…一番上手く使えるんだ…一番うま(オラァ!タコスッ!)」 595 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/03/05(木) 00 42 36 ID ??? 592 実写シャア「赤いMSを一番上手く扱えるのは…わ た し で す」 シャア「ぱああああああああああああああああ」 596 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/03/05(木) 00 47 36 ID ??? 595 C.A「そういや私も赤い機体に改修されたな」 デュランダル「ふむ・・・それでは私は赤いMS開発にゴーサインを出すとしようか」 コレン「俺が代わりに赤いMSを上手く扱ってやるぜ」 597 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/03/05(木) 00 55 03 ID ??? 596 コレンさん作中でも赤いカプルで通常の三倍活躍してたじゃないですか 598 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/03/05(木) 01 18 36 ID ??? シャア「まだだ、まだ終わらんよ!私には金色のMSが・・・・!」 ドモン「・・・・・?」 シーブック「あはは・・・・・」 ギンガナム「夕飯を頂きに馳せ参じたのであーるッ!」 ムゥ「いやぁ、悪いね」 クェス「正直、百式って本編でもあんまり活躍なかったよね」 シャア「うあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ」 アムロ(流石に哀れになってきた・・・・・) 599 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/03/05(木) 01 33 59 ID ??? キラ「この世界は後出しジャンケンがまかり通る世界だから仕方ないよね。 3分で12機というのがあったら、3分で25機なら2倍つおいよねうぇうぇwwwとか」 シン「いいのかアンタがそれ言って」 600 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/03/05(木) 01 35 40 ID ??? シャア「ロラン君!助け舟をくれ!」 ロラン「ええ!?僕ですか」 アムロ「ちぃ!情けない奴!ロラン、かまうことはないぞ」 ロラン「ええっと……ジャラピィ部隊を紹介しますよ」 シャア「私はかつて、シャア・アズナブルという名で呼ばれたこともある男だぁぁぁぁぁ!!」 ロラン「こうなっちゃいましたか……」 601 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/03/05(木) 01 41 44 ID ??? 598 カミーユ「何でシーブックが?と思ったけど、残像現象の時か」 ハリー「私はまごうことなき金色だ」 東方不敗「ドモンが選ばれるならワシもだ!」 チボデー「俺様もだな」 アルゴ「…うむ」 サイサイシー「当然だね」 ジョルジュ「いかにも」 シャア「うあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ」 アムロ「…分かった、一杯奢ってやるからもう泣くな」 ギュネイ「ほらっ、俺のヤクト・ドーガも!部分的だけど金色だろ?」 クェス「…ギュネイ、考えがセコ過ぎ」 ※ヤクト・ドーガの頭部、肩アーマー、脛アーマーはアニメだと都合上 黄色なんですけど、あれって本来金色だったんじゃないでしょうか?
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ぱんぷきんずぱれーど【登録タグ は 巡音ルカ 曲 柊P】 作詞:柊P 作曲:柊P 編曲:柊P 唄:巡音ルカ 曲紹介 踊ろうよ。 ハロウィンですね!ハロウィンといえば、かぼちゃですが、僕はハッパード種が好きです。ホクホクしておいしいですね。(作者コメ転載) イラストは あす缶氏 が手掛ける。 THE VOC@LOiD M@STER 18(ボーマス18) にてリリースの2ndアルバム『浪漫倶楽部』収録曲。 歌詞 西に東に暴れる光 ひとつふたつにみっつによっつ 十も数えりゃ前も後ろも南瓜(かぼちゃ)抱えた童子が笑う ただれたイチゴが3つ並んでる 中から赤い果汁が溢れて零れてる 『さあこちらにおいで 手をとり踊ろうよ 楽しいお祭りさ ほらもう全部忘れてさ』 右に左に乱れる手足 いつつむっつにななつにやっつ 遂に己も全て忘れて 今日も明日も踊り狂える 崩れた赤い南瓜(かぼちゃ)が笑ってる 惨めに踊る私を嘲笑う 『さあもっとこっちにおいで 口づけ交わそうよ ねぇほらこっち向いて 契約はこれで終わりだ』 I don't wanna frighten you, so I don't want you to be scared. もう自分が誰なのかわからない わたしはだれ?わからないわからないわからない 『さあこちらにおいで 永遠に踊ろうよ 楽しいお祭りさ 朽ち果てるまで踊るがいい』 コメント おぉぉぉぉぉ ハロウィンソングですね!! -- 望月瑠奈 (2011-10-31 21 25 20) 名前 コメント
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このページはこちらに移転しました コンプレックス・オブ・ロリータ 作詞/625スレ114 作曲/625スレ265、625スレ379 子供に向かい「可愛い」と 童貞の俺が呟いた それを聞きつけた糞ビッチが 「なにそれきめぇ。早く死ね」 そうさ俺はロリコンさ もはや嘘は つけやしねぇ そうさずっとロリコンさ 既に心は 奉げた後 コンプレックス オブ ロリータ 真実に 気付いた者 コンプレックス オブ ロリータ その道を 突き進め 子供に向かい「可愛い」と イケメンの彼が呟いた それを聞きつけた糞ビッチが 「子供好きなんだ?優しいね」 そうさ奴もロリコンさ 青い果実の 崇拝者 そうさみんなロリコンさ その美しさ 正に「ネ申」 コンプレックス オブ ロリータ 真実を 極めし者 コンプレックス オブ ロリータ その道を 突き進め 音源 コンプレックス・オブ・ロリータ(仮歌) (コンプレックス・オブ・ロリータ.mp3) コンプレックス・オブ・ロリータ(オケ) (コンプレックス・オブ・ロリータ_oke.mp3) コンプレックス・オブ・ロリータ(625スレ379ver.)(仮歌) (CompOfLol.mp3) コンプレックス・オブ・ロリータ(625スレ379ver.)(オケ) (CoLBGM.mp3) コンプレックス・オブ・ロリータ(歌:呉板) コンプレックス・オブ・ロリータ(625スレ379ver.)(歌:呉板) (上記と同一ページ)
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檻の中の遊戯 Pico Magic Reloaded←クリックで前画面に戻る 薔薇を想わせる緋色の口紅(ローズレッドルージュ) 唇には嘘吐きな約束を 昇り詰めて崩れ堕ちた その夜に花束を… 檻の中の遊戯… 寂れた洋館 追い詰めた壁際 美しき獲物 檻の中の遊戯… 軋む床 浮き上がる身体 月明かり差し込む窓辺… 細い頸に絡みついた 浅黒い指先が 食い込んでも離さないで 最期まで抱いていた… 檻の中の遊戯… 仄蒼い庭 錆付いたスコップ 花を敷き詰めた棺 檻の中の遊戯… 突然の閃光 歪んだ銃声 眩い環状の終端… あの悲鳴は(うたごえが)葡萄酒(ワイン)のように 罪は月夜より甘く 堕ちてゆく詩は狂気(ルナ)を孕んで 闇を照らし躍らせる… 煌く瞬間(とき)の宝石(いし)を 集めては打ち砕く 忘れるまで思い出して 失うまで逃がさない… 檻の中の遊戯… 歪な螺旋 幾度目かの覚醒 あの笑い声が響く 檻の中の遊戯… 早くしなければ また夜が明けてしまう もう一度この手で彼女を… 懐かしい屋根裏の調べ… 追憶は甘い果実 水面に揺れる淡い月のように 檻の外へ手を伸ばしても 滑り堕ちる針は止められない 蛹はいづれ蝶になると知り 逃げないよう羽を毟る せめて愛し合った証が欲しい 永遠に消えない傷痕を… 忘レモノハ在リマセンカ…? 法が統べる檻の中で 終われない悪夢(ゆめ)を視ている 愛しい女性(ひと)を永遠(とわ)に渡り 殺め続ける物語… その檻の中にいるのは誰…?
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第一回放送までの死亡者 ※このページには本編のネタバレが記載されています。閲覧の際にはご注意ください。 時間 死亡者 殺害者 死亡話 凶器 死因 OP ななし GM リンクスタート 首輪起動 爆死 深夜 ルナティ 秋月 天魔・血染月 串刺し公(カズィクル・ベイ)@創造武具 串刺し 黎明 しろくママ 秋月 深淵 串刺し公(カズィクル・ベイ)@創造武具 首切断 真二 マキシム アサルトリリィ -猫に寄りそう乙女の作法-アサルトリリィ -青い果実-アサルトリリィ -Sacred world-アサルトリリィ -BOUQUET- ブラッディ・ハンド@スキル 頭蓋骨粉砕 レオンハート エクスキューショナー 死闘の果てに 素手 首へし折れ 早朝 タケピィー 真白 Justiφ s ―それでも―Justiφ s ―Burst Dream― 純白の剣@創造武具 一刀両断 アルカード セイントヴァルキリー・フレイヤ Justiφ s ―それでも―Justiφ s ―Burst Dream― 砕けぬ熱き魂(ヒートソウル・エンブレム)@スキル 焼死 最期の言葉 死亡者 言葉 ななし 「まだ、動ける!」 ルナティ 「それなら貴方の『本性』に聞いてみましょうか。――『今夜は月が綺麗ですね(ゲッコウジョウレイ)』」 しろくママ 「貴方を……すくって……あげられ、なくて、ごめん……ね……」 真二 「ぐ、ァ……!」 レオンハート (なかなか楽しいゲームだったぞ……) タケピィー (あ、俺――死ぬ、のか……) アルカード 「ゆ、るさん!呪ってやる!この、偽善者がァ!」
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赤い普段着 (アカイフダンギ) 【水干】 基本性能 価値 重量 防御力 耐久度 1 6.9 2 16 命中補正 回避補正 物理耐性 妖術耐性 +2 +2 -15 -20 装備可能 全職 装備区分 胴装備 必要Lv 2以上 付与効果 魅力+3 備考
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「闇があるから光がある。」 そして闇から出てきた人こそ、一番本当に光の有難さが分るんだ。 世の中は幸福ばかりで満ちてゐるものではないんだ。 不幸といふのが片方にあるから、幸福つてものがある。 小林多喜二 「書簡集」 ◇ (魔力?) 『あぁ、その可能性がありえる』 東京都葛飾区に構える不動高校の教室にて。 午後の授業を受ける巽は、セイバーと念話を交わしていた。 巽があれから下した判断は――セイバーに搬送された生徒を追跡させる。 もし、生徒がセイバーの察知から逃れたサーヴァントの攻撃を受けたならば。 今後、不動高校内で被害が拡大するのでは? そう考えたまでで。 少なくとも、安藤家に向かう放課後までは追跡を続けて欲しいと巽は頼んだ。 搬送されてから多少時間が経過したが、生徒は病院で動きがないらしい。 まだ気絶しているのだ。 生徒――否、巽も生徒の名を把握している――遠野英治は、マスターなのか? 彼のサーヴァントが現れるかもしれない…… 様々な展開を予想していた中。 セイバーが一つの可能性を巽に告げた。 それは極度の魔力消費。 未だ、その感覚を巽は理解していないものの。 サーヴァントが魔力の消費を多く行えば、マスターも魔力を消費し。 疲労感、脱力感、体調不良……といった症状を招くのだとか。 魔力消費による気絶なのか、定かではないが可能性はありえた。 実際、不動高校でサーヴァントの攻撃らしき事件はコレ以外発生していないのだから。 『どうやらこのまま自宅に帰るようだ。そちらに戻る様子はないだろう』 (早退って奴だな……そのまま追ってくれ) 体調の悪化を理由にそのまま不動高校には戻らず…… セイバーからの報告によれば母親が迎えに現れ、何らかの薬を処方されたらしい。 巽がふと考える。 かなり魔力消費を必要とし、英治本人の周辺にはサーヴァントはおらず。 こうして見れば、ある可能性が浮上した。 (セイバー。遠野……先輩が、刺青のバーサーカーのマスターって事があると思うか?) 刺青のバーサーカー。 マスターを放置し、東京という世界を蹂躙しようと殺気立つ悪魔的なサーヴァント。 先ほどの魔力の話を合わせると、あのバーサーカーが活動するたびにそれ相応の魔力が必要となるはず。 倒れ伏すほどの魔力。 そして、マスターの傍らにいないサーヴァント。 これは強ち妄想ではないはず。 セイバーは少し唸ってから、巽に返答した。 『それは全てのバーサーカーに通じる部分だ。何よりバーサーカーが、あの刺青の男だけとは限らない…… しかし、刺青のバーサーカーのマスターと同様。聖杯戦争を把握すらしていない可能性は十分ある』 (そっか……もし、そうだったら俺が行くべきだな) 計画としては――放課後、安藤の家へ様子を伺った後。遠野英治の家へ向かう…… 文字で並べるだけなら、何ら問題が見当たらない。 ……が。 遠野英治の件のような『予想外の事態』が起こりえる以上。 安藤がマスターだったら、そこで最悪戦闘に発展しかねない……と、巽は不安を抱く。 巽は再び欠伸をかいてしまう。 眠気ばかりはどうしようもなかった。 授業に集中も出来ない。夜に備えて、ここで寝てしまおうと巽は決める。 (何かあったら念話で教えてくれ、セイバー) 『わかった』 向こうでしっかりとセイバーが頷いたのを幻視した巽は、教師の話を聞き流しながら机に顔を伏せる。 セイバーも一晩中動き回った主を思い、必要以上に会話を長引かせぬよう注意を払っていた。 一方で。 密かに、セイバー自身は遠野英治のサーヴァントは刺青男ではないと察していた。 理由としては、現在さほど町が騒がしくないから。 千代田区の日比谷公園では、男性(アダムというマスター)が弓矢で射られ。 文京区のランドセルラントでは、バーサーカー(これこそ英治のサーヴァント)が暴れ。 渋谷区では、トド松のアルバイト先が光の魔法使い(キャスター)に襲撃され。 セイバーたちのいる葛飾区では、カラ松が『カラ松 A GO GO !』を暴走させ。 といった具合に。 あの刺青男が再び暴れ始めれば、東京にいる全市民に何らかのアクションが生じるはずだ。 「また刺青男が事件を起こした」など噂にされたり。 だが、セイバーが感じるにソレはなかった。 何より――他の主従よりも大々的に取り上げられている刺青男が、少しでも犯行に及べば 現在の東京では瞬く間に話が広まる。 セイバーは遠野英治が自宅に到着したのを見守りながら、過去の過ちを思い返す。 迷い、戸惑い、最悪の一手を選択してしまう。 助けを求められなかったから、見捨てようとする。声なき声を無視しようとする。 醜悪で、邪悪な………そんなものは『正義』では断じてない。 彼のマスター・巽の意志。聖杯戦争を止める。即ち――命を助ける。 単純で、純粋な。ありふれた正義の為に、セイバーはどうするべきか『考えた』のだった。 ◇ 遠野英治は、息をつまらせるほどの苦痛を感じていた。 体を休ませているにも関わらず、体調が良好へ向かう愚か悪化に転じている。 ただならぬ容体に母親も心配していたが、先ほど医者が『寝不足』と診断した為。 それを信じ、薬を飲んで。一先ず眠りに就くべきだ。 母親が薬を差し出したものの、英治はそれを『飲み込んだフリ』をする。 薬は自らの為ではなく――これから不動高校で起こす予定の事件に使用するのだ。消費する訳にはいかない。 その原因は、英治のサーヴァント・ジェイソンの行動にある。 ジェイソンはこの時間帯、ランドセルランドで刺青のバーサーカーとその他のサーヴァント・マスターに戦いを挑んでいた。 皮肉な話だが、英治が望んだ通り。刺青のバーサーカーらと交戦し、最終的には最悪の結果を出してしまう。 二度目の死には至らなかったものの。 見事にボロボロの有様で、一度死んで蘇った方が良いくらいなほどギリギリで生きていた。 とはいえ、ジェイソンもとい英治は幸運だったのだ。 刺青のバーサーカーは、『直感』や彼自身の経験を生かし、ジェイソンが『普通』の手段で殺しきるのは不可能だと 判断したが、彼はそこに魔力を考慮してはいなかった。 ジェイソンの復活に魔力が必須な事を。 刺青のバーサーカー達が、ジェイソンの嬲り殺しを続け、幾度も復活する化物を幾度も滅ぼし続ければ。 英治が限界を達し、死に絶えるシナリオが想像出来る。 だが、ジェイソンは素直に行動はしない。 折角見逃されたと云うのに、幾ら酷い手傷を負い腕が切断され、魔力が限界に近付いたとしても。 霊体化である程度の移動をし、次の殺戮現場へ向かうだけだった。 日本の中心都市と称しても良い『東京』。 ここは作られた仮想空間で、隣接する他県は存在しないも同然だが、設定として海外赴任した人間や 観光にきた外国人、上京してきたばかりの人間、遊びに来た設定の人間など。 様々な理由で配置された人間が数多におり、常に人に溢れていた。 故に。 人々が集中する場所に到着次第、ジェイソンは無差別な虐殺を繰り返していた。 一時的に霊体化する為、手傷が回復しているかもしれないが、常に実体化を保っているに等しい。 これでは魔力消費は嫌がおうにも継続される。 結果として、英治の寿命は延長されたに過ぎないのだ。 「―――」 それを知らぬ英治は、ただ一人苦しみ続ける。 偽りの母親に訴えたところで、もう一度医者を頼ったところで、何も変わらない。彼は救われない。 この世界で聖杯戦争を知っているのは――マスター、サーヴァント。それらだけなのだから。 「―――るか」 そもそも、英治は個人的な体調不良と今のところは判断している。 ジェイソンが英治の健康を害すような――そのような類か問われれば、否。 刺青のバーサーカーを倒しきれないのは、逃しただけなのだろう。英治は思った。 「大丈夫か、気を確かに持て」 !? 見知らぬ声に英治が飛び起きようとしたが、肉体は悲鳴をあげ、コントロールが効かない。 だが、動かざる負えない。 何時の間にか――英治の前に全身を鎧で身を包む青年・セイバーが存在しているのだから。 自身を隠蔽しようと事件を計画していた英治だが、やはり時はすでに遅し。 不動高校には、やはりマスターがいたのだ。 そして、英治を始末しようとしている………! 「セイバー……! くっ……」 「驚かせたようで、すまない。だが、このままでは貴方の命に関わる」 「……?」 「簡潔に言おう。貴方のその症状は魔力消費によって引き起こされているものだ」 魔力? 摩訶不思議な単語に英治は戸惑う。 否、聖杯戦争自体が幻想のような話だった。魔力なんてのは当然ある。 セイバーは話を続けた。 「サーヴァントが実体化し、能力などを使用すれば魔力は使われるものだ。そして、マスターも魔力を使う事になる」 「………じゃあ、その魔力が……失い続ければ………」 「とにかく、このままでは危険だ。魔力が回復するまで霊体化するようサーヴァントに伝えてくれないか」 セイバーの話が真実であれ、理性のないバーサーカーに伝えるなど。 英治はバーサーカーに念話を出来ているかも怪しい。 どうする? 英治は苦痛の中、何とか思考を巡らせる。 「む、無理だ………僕の話を聞かなくて……どうしたら」 マスターに逆らっているサーヴァントに偽装しようと、英治は曖昧に答えた。 それにセイバーもどうするべきか考え、伝える。 「令呪の存在は知っているか?」 「は、はい……」 「そうか、なら令呪を使えば問題ない。 魔力が回復するまで霊体化をするよう命じればいい。受けたダメージも、消費した魔力も回復する」 なんだと……? ただでさえ半信半疑だった英治は、セイバーに不信感を抱く。 令呪を使えなんて、無駄に消費させようと企んでいるんじゃないか? と。 本当に体調不良は魔力消費によるものなのか? あのクラスメイトの女子は、魔力消費なんて一つも言わなかった。 英治が、彼女をよほど信頼している訳ではなく、魔力消費も重要な点であるからこそ教えてくれているはずだ。 そう思っただけで、彼女はソレを知らなかった可能性もありえる。 ならば、バーサーカーを令呪で呼べば……いや。 先にセイバーに殺されるのでは……… どちらにしろ、英治の状況は危機的だった。 決断を迫られる中、英治は恐る恐るセイバーに問うた。 「どうして、僕を助けてくれるんですか。だって……聖杯が欲しいはずじゃ………」 「俺も、俺のマスターも聖杯は望んでいない。俺達は――聖杯戦争を止めに来た」 ◆ 東京都板橋区。 設立当時は、現在の練馬区も含まれた場所であり『東京の満州』なんて異名があった。 かつては、あちらこちらで地下水が湧き出ていたらしく。その名残はどこかで残されている。 都内有数の住宅団地。都営住宅や集合住宅も多く点在。 ちなみに、聖杯戦争のマスター・松野兄弟の自宅があるのもここだったりする。 時刻はおおよそ夕方。 文京区から板橋区の長旅でありながら、人目に注意しながら至ったのは。 神原駿河。 そして、アイザックことザック。そのマスターのメアリーは駿河におんぶされている。 人喰いの『梟』と、彼が引きずるスーツケースの中にいる桐敷沙子。 メアリーと沙子は真昼間だというのに眠りに就いていた。 実際、この五人しかいないように見えるが――霊体化し、傍らに存在する世間を騒がす刺青男・アベルもいる。 ところが、神原駿河は最悪の弟が居ようがおかまいなしに語っていた。 「驚いてしまったぞ。やはり第一印象で物事を捉えるのは早計というか…… てっきり私は、バーサーカーさんよりもザックさんの方が早くアベルさんと出会っていたと思っていたのだ」 「マジでどうでもいいだろ、その話」 ザックが幾度目かも分からない突っ込みをする一方、駿河は語った。 「執着度の違いというか。ザックさんの確固たる意志に、私も感服せざるおえない。 しかしだ。ザックさん……殺してやる、と約束をするのは正直良くないと思う。 様々なシュチュエーションが想像できるが、最終的に殺さなかったり、殺せなかったり。 殺してしまっても生き残った方が絶望し、不幸を覚えてしまう事が多い。 あまりオススメしたくはないのだが……」 「お前、さっきからどういう視点で語ってるんだよ。俺は普通にそう宣言しただけで、 アレコレ説得されて諦めろって話になってんだ。バカか! 殺さなかったら嘘つくのと同じじゃねぇか」 「多分、ザックさんは後悔してしまう。私はザックさんの為を思って助言しているのだ」 「だから! 何でアベルを殺したら俺が不幸になるんだよ! 意味不明だろ!!」 恐らく、神原駿河は彼女の趣味趣向で物を語っている。 駿河の性癖を知らぬザックからすれば、意図が見えない内容であり、奇跡的なほど意志疎通が出来ていない。 会話が成立しているようで、全く成立していない。 隣でケラケラと笑う梟を横目に、ザックは駿河に言う。 「話がしてぇなら、そっちの人喰いに聞けよ。元はと言えば、コイツがアベルと一緒にいたからな」 「バーサーカーさんは寡黙というか、必要以上に話したがらない方だと思ったのだが」 「んなことねぇよ。ベラベラ喋るぜ」 ザックはそう言うが。 駿河は、梟とはあまり言葉を交わしていない。 彼女も積極的に話しかけているものの。ザックの方が喋るせいで、そう錯覚しているだけなのだろうか? 釈然としないまま、駿河が試しに話しかけた。 「バーサーカーさんは、そもそもどうしてアベルさんと一緒に?」 「アベルくん、おいしいから」 「うん?」 「ザックきゅんが殺したがってるけど。俺はずっと前からアベルくんが喰いてぇんだよなァ」 対して、それを耳にしたザックは無言で人喰いを睨む。 駿河は改めて唸った。 「これはこれで困った事になってしまったな……」 どうせ下らない事を抜かすのだろうとザックが思った矢先、駿河は真剣な顔つきで続ける。 「つまり三角関係ではないか!」 沈黙。 「おい、人喰い。やっぱりコイツ殺すぞ」 「了解~~~~~っす」 「着いた! 嘘ではない、本当に私のマンションに着いたぞ!! 長旅御苦労さまだ!!!」 本気で殺されたかもしれない寸前で、彼らは目的地に到着した。 神原駿河のマンションは大したものではない。 二階建て。 部屋数も限られた、築数十年経過しているだろう外観。 何より「少し散らかっているが」と駿河が扉を開けた瞬間。漫画やら小説やら、本が雪崩の如く外に飛び出してきた有様。 初対面な上、今にも殺されそうな相手を、よくまぁこの部屋に通せたものだ。 服も脱ぎ散らぱなし、本という本も読みっぱなし。 一応、上京してきた女子高校生という設定らしく引越しで使われただろう段ボールが、山積みのまま。 ゴミというゴミも放置。ビニール袋にまとめてある(本人なりに)だけで、捨ててない。 ぶっちゃけると男性が目にしてはならぬ類の代物も、平然と転がっている。 最早、本当にここで生活しているのか疑わしい。 悪質な環境で育った過去を持つザックも、しばしの間を置いた。 「今まで見た中で最悪かもな」 「いやいや、それほどのものではない」 「誉めてねぇよ! つーか、邪魔だから踏むぞ!!」 ズガズガと先に進むザックと後追いする梟。 彼らが踏みつけるだけならまだしも。梟の持つスーツケースが完膚なきまでに本を引き殺した。 「あぁ……」と悲しみの声を漏らす駿河だったが。 実際、家にある本物のコレクションがあるんだ。大丈夫と自分に言い聞かせ。 本を部屋に入れ直し、中へ入った。 何であれ(ゴミ屋敷の中だが)周囲を警戒するような状況下ではない。 どうしたものかと考えた駿河。記憶を頼りに彼女はザックに言う。 「ザックさん、今立っているところに恐らく布団があるはずなんだが……」 「あぁ?! どこだよ、見えねぇ」 「本を掘り起こせば分かる……そうだ。ザックさん、日本では土足で家に上がるのは」 「土足じゃねぇと駄目だろ、ここ」 「……うむ。反論の余地がない。私は片づけ後片付け、始末後始末みたいな行動は不得意なのだ」 実際、本当の駿河の部屋もこの有様だ。 それこそ駿河の取り柄は、バスケットボールくらいしかないだろう。 彼女自身自覚はしていた。 埋もれていた布団を引っ張り出した駿河は、それを敷くスペースを強引に作り出す。 メアリーをそこで横にさせれば、漸く一安心できた。 梟も適当な本の上にスーツケースを置いて、中身を開けた。 そこには、駿河も見た眠り姫のような沙子が綺麗に収められている。 沙子もメアリーと同じく疲れているのだろうか、と思う駿河。変な事に、奇妙な点に視線が向かう。 梟の手。 彼が履いていただろうサンダルが掴まれていた。 (え? あれ??) ザックに指摘する以前から、梟はそうしていただろうか? 分からない。 廃退し切った外見では想像しにくいが―――ひょっとしたら『日本人』かもしれない。 駿河が妙な間を置いた為、ザックと梟の双方から睨まれる。 我に帰った彼女は、再び喋り始めた。 「メアリーちゃんや沙子ちゃんの為に夕食の準備をしておこう。 冷凍食品はまだ残っているはずだ。ザックさんはどうする? 色々あるぞ」 「あのよ。サーヴァントはな、飯必要ねぇ」 「な、なんだと!? 初耳だ、アヴェンジャーも教えてくれなかった……」 「どうでもいいから言わなかったんだろ」 「いやいや。一般常識的に飲まず食わずは死活問題だ。教えてくれなければ、私はその辺りを考慮しなければならなかったぞ。 ……ところで、そのー……バーサーカーさんは、色々と美味しくいただいているようだが?」 名前を挙げられた梟は、鳥のような瞳で駿河を睨みながら首を傾げる。 一向に返答しない彼の代わりに、ザックが適当に言う。 「喰うのが趣味なんじゃねぇか」 「なるほど」 少しは納得できるので、駿河は頷いた。 話題を持ち上げられたからか、指を咥えた梟が駿河に接近する。 普通の人間ならば、臆して後ずさり、部屋の隅で体を震わせる場面だが、神原駿河は違った。 冷蔵庫から物色していた冷凍食品を手にした状態だったので、何か食べたいのかと察する。 「バーサーカーさんは何が食べたいのだ?」 「ジャム」 「ジャム? 恐らくパンにつけたいところだろうが、生憎パンは――」 「ジャムっつってんだろ」 「あぁ、すまなかった。ジャムだけ食べたいのだな。ええと、何のジャムだ?」 「アベルくんのジャム」 瞬間。 駿河が手にしていた五分ほどで解凍される冷凍パスタを、一面のゴミの床へ落とす。 舗装されていた袋とゴミの入ったビニール袋が衝突する音。 それだけで、訳の分からない静寂が流れた後。 神原駿河は――――混乱した。 とんでもない発言に対し、駿河は混乱する他なかったのだ。 「ば、バーサーカーさんっ! バーサーカーさん!? あ、あああ、アベルさんの?! アベルさんの何だって!?」 「ジャムジャムジャムジャム……」 「待て! 冷静になれ、そうだ。まだ決まった訳ではないぞ、神原駿河!! ジャムってなんだ。哲学の類ではない。本当の本当にジャムとは一体何なのだ!? 駄目だ……! どう考えてもいやらしい単語にしか聞こえない!! 謎のアベルさんのジャムの正体とは!?」 コイツは興奮するだけで卒倒して、そのまま死に絶えるんじゃないのか。 なんてザックが顔をしかめる。 梟は相変わらず呪詛のように「ジャムジャム」と繰り返しので、そろそろ人肉が惜しい頃合いなのだろう。 「いかん、このままでは夜が眠れない」とうなされる駿河に、ザックが気付いた。 「コイツがいつも喰ってんの『脳みそ』だぜ」 「え」 「だから『脳』」 「あ………あぁ……あぁ、そういう」 「んだよ! その反応!!」 折角、正解をザックが教えてやったと云うのに、駿河の様子はどこか残念そうだった。 仕方なく取り出した冷凍パスタを電子レンジへ入れる駿河に、念話がされた。 相手は言うまでもない。彼女のサーヴァント・アヴェンジャーである。 ◆ 東京都葛飾区不動高校。 ここでは聖杯戦争のマスターである來野巽が授業中居眠りし、アイリス=トンプソンが今後の計画を立てている。 彼らの知らぬ間に脅威が迫ろうとは知る由もないだろう。 気配遮断を纏ったアヴェンジャーが、学校内に侵入しているとは―― だが。彼は目立つような派手な真似はしない。 そのような危険を冒さずとも安藤兄弟の住所を把握できるから。と表現した方が良い。 適当にタバコを吸いに職員室から移動していた教師の一人を幻術にかけ、学校内の異常などの情報を引きずり出した。 元生徒会長・遠野英治が倒れた以外、学校内では何もない。 しかしそれは、今日一日の事だけ。 他にも生徒が神隠しと噂されている行方不明事件に巻き込まれた、というのもあった。 正直、行方不明が真の神隠しによる犯行という確証は得られなかった。 駿河と同行している人喰いと同じく、全てを平らげてしまえば死体は残らない。 何より――落ち着いたところで駿河がアヴェンジャーに報告した、謎の死体消滅があった。 それが発生すると分かった以上、行方不明は殺害され死体が消失するまで発見されていない人物が含まれる可能性もありえる。 一先ず。 欠席したのは安藤兄弟と神原駿河。早退をした遠野英治。 彼らの住所と連絡先は把握する。アヴェンジャーは、それ以上の散策はしない。 これは駿河も意見したように、安藤たち以上に、聖杯戦争のマスターが不動高校に集中しないと判断したのだ。 さて――これから安藤の家に向かうのかと問えば、否。 安藤は利用するのは間違いないのだが、アベルの一件をわざわざ説明する必要性がなかった。 教えれば、逆に安藤が意見を申し出るに違いない。 だったら安藤を本格的に幻術をかけてしまえば良い話だが、問題は彼のサーヴァント・カイン。 彼の能力が逸話通りならば、『彼を殺す者には七倍の復讐を与えられる。彼が殺されない為の刻印がある』。 攻撃を跳ね返す類。殺害に転じなければ、意味がないのか。 果たして幻術も通用するのか、定かではない。 とにかく安藤を差し置いてアベルと交渉する。 所謂――同盟。 それが叶わぬならば、消すしかない。 駿河はある程度対話ができるようだと証言したが、それでも狂戦士だ。 間違いなくアレは闘争しか求めない戦士でしか在れない類のものだった。 カインの存在に釣られ、渋々従う程度ならばそれで良い。 ――恐らく、安藤は弟の方にも俺の存在を伝えている…… 兄弟が揃ってマスターというのは、運命を感じられるほどだ。 だからこそ、兄弟で聖杯戦争を生き抜こうと、そして裏では生々しい読み合いが繰り広げられている。 ……そんな具合か。 アヴェンジャーはまだ、安藤兄弟たちがマスターだと告白し合っていないのを知らない。 「マスターだと認識している前提」が危険だからこそ、その視点を優先させたのだ。 アヴェンジャーも断定はしない。故に、可能性を考慮する。 「…………」 不動高校から様子見程度に葛飾区内を移動していたアヴェンジャーは、ある者を目撃した。 不審者もとい露出狂である。 それこそが聖杯戦争のマスター・松野カラ松。 警察にお世話になるべき彼の周囲には、アサシンが二騎。女子中学生が一人。 不思議だが、他の通行人はいないようだ。 あまりの滑稽さに「何だアレは」とアヴェンジャーさえ呆れている。 アレと比較すれば神原駿河の方がありがたいマスターだ。むしろ、アレが自分のマスターでなくて良かったとすら思える。 警察は一時的に退散しているのは、サーヴァントの能力なのだろうか。 アヴェンジャーと同じく幻術の類……精神操作の能力を保有しているはず。 あの二騎のサーヴァントを支配下に置いて、神原駿河の元へ向かえば良いのでは? マスターと思しき女子中学生や、露出狂のその後なんて知った事ではない。 ……いや、それもどうか。 あんな行動(犯罪行為)に及ぶ時点で積極的に聖杯を獲得したい意志が感じられない。 どちらが露出狂のサーヴァントか不明だが……マスターの行動(犯罪行為)を横目に制止しない者だ。 底が知れている。 何より彼ら(アサシンら)が幻術に対抗可能なスキルを保有している場合もある。 駿河に危機迫る中、戦闘へ発展させる訳にはいかない。 良くも悪くも捕捉は出来たから、一応の収穫としてアヴェンジャーは受け入れ。彼らを一瞥し、立ち去る。 『神原駿河。まだ生きているか?』 (奇跡的に生きているぞ。私の部屋に到着し、皆くつろいでいるところだ) 『アベルはいるのだろうな』 (姿は見えないが恐らく……いや、アベルさんも安藤先輩の情報が欲しいはずだ。寛大な精神で命を逃してくれている) アヴェンジャーにかましたあのトークを、霊体化しているアベルの前で繰り広げているなら。 確かに菩薩並の精神力で耐えているな、とアヴェンジャーも理解した。 アヴェンジャーは話を続ける。 『他はどうだ』 (ザックさんとバーサーカーさんは実体化したままだ。メアリーちゃんと沙子ちゃんは眠っているぞ。 深夜帯に都内を動き回っていたらしい、余程疲れているはずだ) 駿河の余計な情報を聞き流しつつ、アヴェンジャーは板橋区へ足を向かわせる。 その最中。 アヴェンジャーは酷く冷静に念話をした。 『良く聞け、まずは俺が集めた情報だ。安藤の住所も記憶しておけ』 (少し待ってくれ! せめてメモでも……あぁいや、それだとアベルさんに勘付かれてしまう。 とはいえ、いきなり覚えるのは難しい。電話番号だけなら何とかなる) 『ならば、もう一人。遠野英治という奴の番号も記憶しろ。奴はマスターであるという確証がないが念の為だ。 葛飾区にいた二人の主従についてもだ。分かったな』 (う、うーん……努力する) 無茶振りも何も、最悪な状況を作り上げたのは言うまでも無く駿河本人だった。 彼女なりに責任を感じているのだろう。「無理だ」なんて弱音は吐かない。 話が終わったところで、駿河は尋ねた。 (これから具体的にはどうするのだ?) 『奴と交渉する。失敗もしくは話にならなければ、その時次第だ。 そして――神原駿河。全てが失敗に終われば、お前は死ぬと思え』 駿河は無言だった。 とっくの昔に死んだようなものだが、いよいよ以て死を覚悟しなければならない瞬間が来る。 聖杯戦争は夢物語ではない。現実味の帯びた戦争だ。 ファンタジーが入り混じっていようが、血肉と生死が一面に転がるような世界。 暴力に支配された空間。 アヴェンジャーが駿河のマンションに到着した。 彼はまだ霊体化したまま部屋に侵入したが、そこでは少女二人が眠り姫状態で。 駿河が冷凍オムライスを解凍し、ケチャップで模様を描いている所だった。 包帯男のザックが、それを呑気に眺めており。梟は指を咥えたまま、沙子を眺めている。 先ほど深刻に念話をしていた傍らで何をしている事やら。 アヴェンジャーが、似合わぬほど満喫している彼らの前で霊体化を解いた。 意外にも真っ先に梟が反応し「アヴェ公」と狂い気味に呟く。 つられてザックもアヴェンジャーの方を振り向いた矢先、アヴェンジャーの『瞳』が変化する。 宝具『写輪眼』による幻術。 決して生贄に過ぎないNPC達だけではなく、マスターやサーヴァントにも通用する。 魔力をハッキリと溜めれば正確に効果は発揮される。 幻術は間違いなく発動した。 が、梟はアヴェンジャーと視線を交えた瞬間、小さく舌打ち「オイ」とドスの効いた声を漏らす。 いつものような気狂った様子ではなく、バーサーカーでありながら正気の籠った声色だった為。 わずかに駿河とザックは驚きを見せた。 一方のザックは、何にも反応せず状況が飲み込めていない。 狂気に身を投じている梟はまだしも、ザックも対精神干渉系のスキルを保有しているのは明白。 『写輪眼』の幻術をものともしない時点で、高ランクのスキルだ。 アヴェンジャーとしてはザックの方は幻術で足止め出来ると踏んでいた為、思わず言う。 「無能なせいで幻術が効かぬか」 「……あ? そう言う事かよ! なんかしたな、テメェ!」 「しかも、今気付いたのか。無能を通り越してただの馬鹿か……」 今更反応するザックに呆れるアヴェンジャー。 困惑する駿河が恐る恐る問うしかなかった。 「ええと……今、何が起こったのだ? 私にはサッパリなのだが……??」 当然だ。 サーヴァント達はただ視線を交えたに過ぎない。 視線だけの静かな攻防なんて、魔術の類では凡人の神原駿河の理解の外である。 このゴミ屋敷の中。漸く『彼』が現れる。 それだけで――空間は戦場にあるワンシーンのように映し出されていた。 日常的なゴミにありふれているここが、一瞬にして廃墟のソレを連想させる情景になっている。 アヴェンジャーも、実際にその戦士を前にし。納得する。 根本が狂っていようが、紛れもない強者であると。 現在、舞台である『東京』を恐怖に陥れている刺青男は目を伏せていた。 先ほどのアヴェンジャーの『瞳』を理解したからか、わずかな動作すら目視しようとはしない。 威圧感が肌身に感じるほどの彼が、静かに口を開いた。 信じられぬほど穏やかな声色だった。 「少し――場所を変えよう」 「……?」 空気を震わせる言葉に、アヴェンジャーすら沈黙する。 ザックは無神経に「何でだよ」と聞き返した。刺青男は首を横に振る。 「アイザック、君や『君たち』には言っていない。私は『彼』だけに話をしている」 「………」 ―――――コイツは。そうか、コイツは『そういう』つもりなのか。 アヴェンジャーは彼の言葉と意志を理解した。 思考回路が読みとれずとも、彼の決断は先読む事が容易であった。 何故なら、アヴェンジャーも根本は彼と『同じ』なのだから………… 無言の取引を経て、アヴェンジャーが答えた。 「よかろう」 返事を得た刺青男は再び霊体化をする。 それを見届けたアヴェンジャーは、駿河に対し言った。 「『先ほど』述べた通りだ。精々大人しくしているんだな」 「う、うむ」 梟は指を咥えたまま睨み、ザックは顔をしかめたまま、アヴェンジャーが消えるのを見送る。 駿河だけが分かっている。――これから何が起きるのかも、どこかで察していた。 ◆ 偽りの空間であっても、時間の概念は存在する。 夕方。 東京の空は『赤』で塗りつぶされている。 遠くの方は雨雲らしき『黒』の雲で覆われ、彼方は星が煌く夜空が広まり始めていた。 かつて―――世界は『黒』と『白』だけで構成されていた。 現代を生きる人々にそれを訴えても、信用されないだろう。だが、事実である。 それは『財団』によって元から色彩にありふれた世界に隠蔽されてしまったのだ。 何故そのような事に? 『財団』は失敗したのだ。これ『収容』に。 本来あった『黒』と『白』の『美しい』世界は失われ、『下劣な色彩の』世界に変わった。 夕焼けは目を酷使するような痛々しい『赤』となり、木々は下品な『緑』へ染まり、海は一面に汚された。 ひょっとしたら、彼の刺青の殺戮者――アベルはかつての『美しさ』を記憶しているのかもしれない。 だが、アベルは語らないだろう。それこそ人類を嫌悪する彼なら尚更。 妖怪桜『西行妖』の影響により不安定な空模様を描いている頭上を、アベルは眺めていた。 駿河の部屋から共に移動したアヴェンジャーに背を向けている。 敵に背を向けるなど、隙が生じて良くないはずだ。 しかし、アベルには完璧な程、隙がない。 アヴェンジャーも攻撃をしかけようものなら、直ぐに対応されるのが目に浮かんだ。 「お前は、殺したがっている『奴』の居場所を知りたいのだろう」 話を切り出したのはアヴェンジャーだった。 「教えて欲しければ、まず――……」 「君は私と戦いに来たのだろう? 何の話をしているのかな」 交渉以前のアベルの発言に、アヴェンジャーは眉を潜めた。 まるで意志疎通が出来ていない。 そうだとしても、アヴェンジャーも心のどこかで理解している。 理解していながら、アヴェンジャーは再度問い詰めていただけに過ぎないのだ。 アベルは続けた。 「私は戦士である君を待ちわびていた。君も、戦士の一人として私を心待ちしている。違わないはずだ」 「……オレの交渉に応じるつもりは、無いか」 「利用された時代はあったとも。しかし私は飽きたのさ」 かつて『財団』の狗として自ら利用されていた頃も、既に過去の栄光。 アベルは飽きてしまった。もはやアレでは退屈を満たされないと理解してしまったからこそ。 有象無象を自らの手で終わらせてしまった。 何度やったって同じだ。 利用されて忌々しい兄弟を抹消したとしても、退屈な作業である。 アベルは視えていた。高ランクの『直感』によるものか、ただの狂った思考回路が奇跡的に正解を導きだしたのか。 元より交渉なんて応じない。利用されない。 最終的に――アヴェンジャーとの戦闘を強いられる。 この瞬間の為だけに霊体化を続け、魔力を温存したのだ、と。 戦闘狂の話を聞きいれたアヴェンジャーは言う。 「ならば―――うちはマダラは、それに応えよう」 アヴェンジャーの言葉と共に火蓋が切られた。 ◆ 東京都板橋区は物々しい雰囲気に包まれていた。 警視庁のある千代田区から移動してきたであろう無数のパトカーの群れが、動物の集団移動の如く区内で蠢く。 神原駿河は彼女なりに警戒していたつもりだったが、現実は上手くいかない。 彼女が注意していたのは警察だけ。 その他、一般市民は違う。 「もしかして、刺青男と一緒にいたフードの男?」と思ったNPCが面白半分に遠くから写真を取り。 SNSなどで画像を上げていた。 同時に、善良な市民は警察に通報をしていた。 いたずらどころではないほど板橋区からフードの男(梟)と同行する包帯男、女子高校生と金髪の少女の目撃情報が相次いだ為。 本格的に捜査員を派遣させたのである。 しかも、女子高校生らしき少女は同じ不動高校の関係者から本名や住所まで明かされる始末。 相手は犯罪者の一味なのだからプライバシーなんて知ったものではない、と言わんばかりに祭り状態だ。 先ほどまで葛飾区の露出狂で盛り上がっていたネットは「刺青様バンザイ!」な具合に あっという間に方針転換している。 中には、現地へ向かい刺青男を目撃したい者や神原駿河の自宅に乗り込もうとする輩まで。 その為、珍しいほどに板橋区は人で溢れていた。 警察としては避難して欲しいので、市民に注意を呼びかけ続けている。 「なぁ! そいつの家燃やしに行こうぜ! どーせ犯罪者の家だから問題ねーだろ!!」 「SNSでアップするか?」 「ぎゃははは! それサイコー!! あっ―――?」 悪意に溢れる若者たちが何人かいる。 そんな彼らの一人を踏み潰し、着地した存在がいた。 調子に乗っていた彼らが一瞬にして顔色を変え、悲鳴を漏らした。 殺戮の帝王――アベルだ。 対峙するアヴェンジャー・うちはマダラが到着し、アベルはブレードを振りまわした。 マダラが超人的な速さで対応する。 『写輪眼』は常時発動を続けていた。人間には理解できぬ思考をするアベルの手順は梟と同じく『出鱈目』。 確かに『写輪眼』でアベルの攻撃を見切れるが、見切ったところで対応できるのは個人の能力に委ねられる。 『写輪眼』を開眼したばかりの者が、無理して体を酷使させるのは良くある。 マダラは既に本気の速さだった。そしてアベルも。 これに関しては互角。 ただ力はアベルが上回っている。 圧倒的な筋力による攻撃を受け流し続けるのはマダラにとっては、肉体の酷使と同義だった。 その調子で彼らは64m範囲内を蹂躙し続け、板橋区で一騒ぎ起こそうとしていた人間は巻き込まれて排除される。 面白半分に現れた暴徒は一瞬にして冷水を浴びされたように逃げ惑う。 お祭りのような活気は、悲劇へと変貌した。 「ひぃいぃぃいっ! 助け――」 先ほどまで犯罪行為に及ぼうとしていた若者が、ここで命乞いしたところで何なのか。 マダラが受け流すのを止め、アベルと距離を取る為、ジャンプをするのと同時に。 マダラが交わしたアベルのブレードが、若者を頭部を横に裂いた。 [容疑者発見! 包囲しろ!!] パトカーが舞台に遅れて到着し、間を置いたアベルとマダラの周囲を取り囲む。 ドタゴダと車内から現れた警察官は拳銃や盾を構え、呼びかけた。 「武器を捨てなさい!」 マダラは、エキストラに過ぎない彼らを横目に「数が多いな」と鬱陶しい様子でぼやく。 だが、アベルもマダラも、心底どうでも良かった。 彼らは再び戦闘を続けるだけなのだ。 先ほどと同等レベルの体術を繰り広げられるだけで、暴風に等しい風圧が警察に襲いかかる。 「うおおおおぉおおぉぉぉぉぉっ!!? な、なんだコイツら――――!?!?」 彼らが間抜けな反応するのは無理もない。 人間を凌駕した闘争を繰り広げる彼らは間違いなく笑っていたのだ。 アベルは無論、暴力を擬人化させたような戦闘狂だ。 そして、うちはマダラも同じく戦闘狂だった。 彼は確かに平和を求めていた。忍世界を変えようとし、彼なりの行動を起こした。 真の平和を求め、争いの概念を排除しようと奔走していた。 しかしながら―――本能的に戦いを求める人格者なのである。 目的の為の戦いではなく。戦う事自体が楽しいと感じてしまうのだ。 平和を求める人間にとって、これほど矛盾した本性はありえないだろう。 「ハハハハ! アベル!! 『本気』になれないのが非常に残念でならん!! だが―――今のオレの『全力』でお前の相手をするしかあるまい!!」 「!」 僅かな隙を見切ったマダラは、跳躍で一度離脱をした。 警察もそれを見逃さず「今だ! 撃て!!」と取り仕切っていたリーダーらしき人物が掛け声を上げる。 取り残されたアベルに銃弾の嵐が襲いかかった。 が、何もない。 サーヴァントには通用しない。 だからこそアベルも構える事なく、平然と立ちつくすだけであった。 一方の警察官たちは絶望する。まるで化物を眼前にしたかように。 「火遁―――」 マダラが距離を取った先で魔力を込めたのに、アベルが反応する。 その判断が遅いとマダラが思う矢先。彼は術を発動させた。 「豪火滅失」 ただの地獄が、灼熱地獄になった。 ◇ 東京都葛飾区不動高校に場面は移る。 (本来良くはないが)授業中睡眠を取ったお陰で、巽の目は冴えていた。 やはり無理するのは良くないな、と判断し。睡眠時間を考慮しようと計画を練っている。 巽に声をかける友人。 本来の友人ではなく、この東京においてそういう設定の人物。 「これから遊びに行かね?」と笑みを浮かべ尋ねるが、巽は丁重に断った。 代わりにアンダーソンと共に、下駄箱まで移動する。 「來野さん。自宅はどちらでしょうか」 「俺? 世田谷だけど……」 「安藤さんの自宅は江戸川区の方でして……電車で向かおうと思うんですが、お金はありますか?」 「あぁ、大丈夫だ。それより早めに向かおう。夜になると現れるらしいな、例の……」 「刺青のテロリスト、ですよね。一刻も早く捕まって欲しいものです」 アンダーソンの顔も不安に帯びていた。 警察ならば何とかしてくれるはず……そう願っているのだろうが、相手は普通のテロリストではなくサーヴァント。 マスターである巽は、一層使命感を胸にする。 先ほどセイバーに念話で情報を共有したところ。 どうやら、彼は遠野英治の安否を気にかけ、接触をしてしまったらしい。 だが――結果として、英治は令呪によりサーヴァントを霊体化させ、魔力の消費を抑えたとの事。 英治のサーヴァントに関する情報は彼が眠りに就いた為、得られていないものの。 これはこれで大きな進展だ。 上手くいけば、遠野英治と同盟が組めるかも知れない。 (セイバー。俺は安藤のところへ寄ってから、遠野先輩の家に行こうと思う。それまで先輩を守ってて欲しい) 『心得た。……マスター、いくら彼を救う為とはいえ無断で実体化してしまったのは、申し訳ない』 (むしろ助かったよ。これが『切っ掛け』になると思うし――やっぱり、セイバーは違うな) 『何が?』 (いや、こっちの話) セイバーは、巽とも覆面の正義の味方とも違う。 本物の正義を貫く英霊とは、まさしく彼のような存在なのだと巽は感じ取る。 果たして……自分にそれが出来るのか? いや、出来るかの問題じゃない。しなくちゃいけない。聖杯戦争を止めるとは、そういう意味なのだ。 「うわっ! おい、アレ!!」 生徒たちがざわめくのに、巽とアンダーソンは気付く。 彼らが指差す方面に視点を向ければ、夕焼け空に不気味な黒煙が立ち上っていたのだ。 葛飾区から視認できるソレは遠い位置ではない事が、容易に理解できる。 ―――まさか、火事!? 呆然とする巽の傍らで生徒たちが色々と噂する。 板橋区で火災が起きている。刺青男がそこに現れた。不動高校の一年生がテロリストの仲間だ。 などなど、信憑性は定かではないが。板橋区で何かが起きている。 どうする? 本当に刺青男がいるのか……!? 巽は必死に考えた。 安藤の家へ行く……そんな必要はない。安藤は逃げないだろうし、明日、もしかしたら学校で会える。 優先させるのは、やっぱりコッチだ! 早くしないと、酷い事になる……!! 「ごめん! アンダーソン!! 火事がある方…… もしかしたら俺の親戚がいるところかもしれない。心配だから行きたいんだ!」 「そ、それは……わかりました! 行ってあげて下さいっ、來野さんの事は僕が伝えておきます」 「ありがとう!!」 伝えてくれるなら、それはそれで安藤に自分のアピールが出来ると巽はアンダーソンに任せた。 急いで巽は現場へ向かう。 セイバーと同じく独断で巽は向かっていたが、セイバーとは異なり、無謀に等しい行動だった。 分かっていても、動かずにはいられない。 巽は最寄りの駅へ走り出していたが、近くにタクシーが停車していたのでハッと足を止めた。 どうやら、板橋区の火災の他、様々な理由で電車は運転を見合わせているらしい。 何だっていい。 巽は、身近で正確な交通手段に頼ったのだった。 ◇ 「………」 ジークはレジカウンターで一人、胸に手を当て、感じ取る。 昼間頃、この英霊の心臓が大きく反応を示した瞬間があった。しばらくして、それは止む。 以降、心臓に反応は見えられないが……見当がつく。 アレは電車で感じた疼きとは異なる。すれ違い、近くにいたような感覚ではなかった。 『黒』のセイバーが実体化したのでは――ジークはそう判断している。 葛飾区内で事件らしい事件は起きた様子もない。 戦闘とは限らず、何らかの理由で一時的に実体化をした可能性がある。 心中思い詰めているジークに対し、店長が声をかけた。 「ジークくん」 「はい」 今度はちゃんと返事ができたとジークは確かな感覚を掴む。 しかし、店長が告げたのは意外なものだった。 「もうあがっていいよ。後片付けは私がやっておくから」 「……? まだ閉店の時間では……」 「しばらく早めに店を閉めようと思うんだ。例のテロリストは夜に現れるって言うし……お客さんも来ないからね」 どこか悲しげに店の表に出していた商品棚を移動させる店長。 「ジークくんも寄り道しないで、家でゆっくり本を読んでいるといいよ。 大丈夫さ。いつか犯人も逮捕されると思うから」 「……わかりました」 ジークは帰宅の準備をする。 店長からオススメされた本『黒山羊の卵』を鞄にしまいながら、ジークは思う。 周囲の様子や雑誌・新聞記事。ラジオやテレビ番組から感じられる異様さ。目に見える変化を感じざる負えない。 つい最近まで芸能人のゴシップを取り上げていた三流雑誌も、刺青男関連の記事を渋々取り上げており。 新聞のどこを捲っても、刺青男やそれに関連するかもしれない政治的話題。 テレビ番組もアイドルや芸能人関係のものは、刺青男の特集番組や。 日本のテロ対策問題を中心とした番組。 悲惨な犯行現場と、それに巻き込まれた被害者の声を取り上げる番組など。 CMも最近の飲食品やゲームの宣伝ではなく、公益社団法人のCMが頻繁に流れる。 ……中には予定通りアニメを放送するテレビ局があった。そこは流石クールジャパンと称するべきか。 とにかく、全体的に活気のあるモノは「不謹慎だ」と罵られ、自粛を余議なくされている。 これが……変わって行くということなのだろう。 深夜に家まで送り届けたあの老女の悲しげな表情と、店長の表情がよく似ていた。 ジークは実際の日本を知らない。 再現された通りの世界なのか、分からなくとも。元は活気のある、明るい世界なのだと思える。 少なくともNPCであった頃の記憶のような。あれが本来の『東京』……… あるべき『東京』を取り戻したい。 ジークの想いを叶えるには、やはり不安の元凶である刺青男をどうにかしなければ。 その時。 再びジークの心臓が脈動を始めた。 店の外には誰の姿もない。マスターらしき姿や、霊体化している『黒』のセイバーがいる事は無い。 そうであれば、もう既にジークの前に登場しているだろう。 心臓を頼りに『黒』のセイバーを捜索出来るだろうか? ランサーと共に…… 「ランサー?」 ジークの呼びかけに答える声が――なかった。 ◇ 聖杯戦争を止める――― そんな正義の味方ごっこのような発言に、遠野英治はふざけるなと罵倒したくなった。 だが、発言を抑え、令呪を使用したのである。 馬鹿げた方針であったものの。遠野は捕捉されてしまった以上、セイバーとそのマスターを利用しようと企んだ。 もし、セイバーのマスターに隙が生じればあの女子と同じく殺害してしまえばいい。 何より、聖杯戦争において場違いな行動方針を持つセイバーの話は、嘘ではないと推測できた。 貴重な令呪一画の消費。 しかし、効果は明らかなものだった。 少し休む感覚でベッドに横になっただけで、日が暮れる夕方まで熟睡してしまった英治。 しまった。と思う反面、これは魔力が重要だと理解する。 だが、魔術に関しては一般人と変わらぬ遠野が、どうやって魔力を確保すればいいのだろうか? 「せ……セイバー、さん?」 姿はないが、オドオドしく英治が言葉を発すると鎧のセイバーが実体化をした。 「調子の方はどうだ?」 「あぁ、大分よくなりました。ありがとうございます」 皮を被ったまま英治は、話を続ける。 「ごめんなさい。セイバーさんを疑ったりして…… 怖かったんです。令呪が現れた時、他のマスターにいきなり襲われた事があって……」 「不信感を与えてしまったのだな、すまなかった」 「いえ。魔力の事を教えていただき感謝しています」 「サーヴァントの様子はどうだろうか」 「分かりません。念話もなくて……もしかしたら、向こうも魔力の事を察したのかもしれません」 英治がバーサーカーの存在を明かすか迷っていた。 いづれにしろ、バーサーカーを呼び出せばクラス名は判明してしまう。 ギリギリまで情報を隠すか? とはいえ英治はバーサーカーの宝具や能力を把握していないのだが。 セイバーに中々話を切り出せない英治。 が、セイバーは感じる。 こちらへ接近をするサーヴァントの気配に―― クラスの象徴でもある大剣を手元に出現させたセイバーは、英治に告げた。 「サーヴァントが一騎、こちらへ向かっているようだ」 「えっ!?」 「貴方は身を潜めてくれ。俺は、なるべく相手をこちらに接近させないよう心がける」 「わ……わかりました!」 こんな時に……いや、むしろ都合が良い。 ここで魔力を回復させたバーサーカーを弱ったセイバーたちにけしかければ…… などと英治が企む中、セイバーは窓から外へ飛び立ち。住宅の屋根を飛び越え、移動した。 現れるは憂いを帯びた女性のランサー。 幻想による最高峰の美で構成された彼女は、魔銀(ミスリル)の槍を携えている。 ここは閑静な住宅街の一角に過ぎない。 聖杯戦争を知らぬ人間が目撃すれば、巷で話題のコスプレの撮影かと誤認するだろう。 「あぁ、そんな。……ごめんなさい」 唐突に謝罪を申すランサー。 彼女は分かっていたのだ。こうなってしまう事を、理解しておきながらも。 マスターであるジークがセイバーと邂逅を果たそうとしていた。故に、いづれかは出会う事になる。 だが、セイバーの気配を感じ取り、ランサー自ら赴いた故に果たした。 状況が変化しただけ。 恋に落ちると知り、恋人の全てを奪うと予言されたのにも関わらず。 恋に落ち、全てを奪った。 かつての彼女そのものであった。 結末は予想できたはず。だけども――ランサーは、どうしてもセイバーを一目見ようとした。 そして、やはり。 『あの人』に凄く似ている。そう思ってしまった。駄目だと分かっても、止められない。 幾度も謝罪を述べたランサーは 「ごめんなさい……とってもごめんなさい」 殺し―――ますね。 大槍『死がふたりを分断つまで』を大きくセイバーへ振り下ろしたのだった。 全ては、愛がために。 ◆ 「アイツら一体なんなんだよ」 ザックが苛立って一面に敷かれる本(主にBL系の)を蹴り飛ばす。 アベルとマダラが立ち去ってから、しばしの時間が経過したが一向に戻ってくる気配がない。 梟の方も、先ほどのマダラの攻撃に苛立ちを覚えているのか、忙しなく部屋を徘徊している。 まさか逃げたのか? とザックは疑うが。 マスターである駿河を殺人鬼と人喰いに囲われたまま放置はしないだろう。 「マジで何しに行ったんだ? なぁ、おい。念話でアヴェンジャーの奴に聞いて――」 ザックが駿河をチラリと目にすると、彼女らしくなく無言でどこか放心とした様子だった。 というか。 事ある度にベラベラと話題を提供する神原駿河が、どういう訳か一言も喋らないのは異常である。 先ほどの場面ならば「アベルさんとアヴェンジャーはデート中なのだろうな」……なんて話そうだ。 「オイ!」とザックが強めに呼びかければ、体を大きく跳ねて駿河は正気に戻る。 「あ、あぁ。すまない、ザックさん……どうやら疲れてしまったようだ。少し休ませて欲しい」 「おーそうか。思いっきり裂いてやるぜ」 「……うむ、それは勘弁して欲しい。本気で体がダルイというか……何と言うか。 メアリーちゃん達と同じように、自覚がない疲労を溜めこんでいたのかもしれない……」 何時になく元気のない反応をする駿河。 ザックでも、かなり疲れているようだと察せられるほどの雰囲気だった。 彼女の様子を眺め、ザックは不思議にもある考えに至る。 「まさか、魔力減ってるのか。お前」 「魔力? 私は魔力が減る――という感覚が分からないのだ。むしろ、これは減っているのだろうか?」 「…………あー! やっぱりか!! アベルの野郎がやる事なんざ知れてるじゃねーか! 何で気付かなかったんだよ!」 舌打ちをしてから、ザックは霊体化をしてしまう。 突然の展開にボーっとしていた駿河も、目を大きく見開いて「ザックさん!?」と呼びかけるが。 反応はない。 まさか外へ? 駿河も念話でアヴェンジャーに伝えようかと悩んだ。 そこで、一人の少女が目を覚ました。 開けっぱなしのスーツケースに収められていた桐敷沙子である。 バチリと不気味なほど鮮明に起床を果たした彼女がいるのは――どう見てもゴミ屋敷だ。 どういう状況なのか飲み込めない沙子に、梟が「おはようございます」と挨拶をしている。 つられて沙子も会釈だけして、冷静に確認をした。 「ここはどこ?」 「あぁ、沙子ちゃん! ここは私――神原駿河の家だ」 沙子の嫌う『ちゃん』付けで声をかける神原駿河に、少々戸惑いを覚える沙子だったが。 そんな彼女を差し置いて、駿河は話を続ける。 「色々あって今晩は沙子ちゃんたちを私の家に泊めようとなったのだ。 バーサーカーさんと沙子ちゃんは宿や家がないのだろう? 遠慮はしなくていいぞ」 「………」 「沙子ちゃん?」 「………ええ、そうね」 ゴミ屋敷で泊まれなんて遠慮もクソもない話だが、実際のところ、梟と沙子に休める場所は無い。 かつて居た病院には居られない。 あそこは全て梟が食べ尽くしてしまったのだから。 往く宛もなく『東京』という殺戮の街を徘徊するのは、愉快である。 沙子は心のどこかで安らぎを感じていた。 だが、安全に眠りにつける場所は見つからない。あれからどうやって神原駿河の部屋に到着したのかも、沙子は知らない。 「アベルさんと一緒に行動しているだけで正直大変だったと思うが。 恐らく、沙子ちゃんが眠った後はバーサーカーさんが頑張って守っていたはずだ」 駿河の話に、沙子は意外そうな表情をする。 まぁ、スーツケースの扱いは乱雑で、本気で沙子を守るつもりかは分からないが。 最低限努力はしていたのだろう。それを駿河は大げさに言うだけだ。 指を咥え、虚空を眺める梟を一瞥した沙子は、駿河の言葉から重要な名前を引出す。 「……アベル。もしかして、刺青の?」 「ああ、そうだとも。沙子ちゃんは、アベルさんの名前を知らなかったのか?」 ひょっとして本物なのでは? 沙子はそう思った時がある。あの人間を憎悪する暴力の化身。なかなかどうして沙子は惹かれていた。 少女らしくない、どこか大人びた雰囲気を醸す沙子の表情だったが。 冷静のようで心の中は不気味な色合いでかき回されていた。 心配した駿河は、可愛い少女を前に疲れを隠して話を続ける。 「大丈夫だ、アベルさんは今はいない。少しアヴェンジャーたちと出かけてしまったものでな。 私でよければ何だってするぞ、沙子ちゃん。私の胸に飛び込んで泣いても一向に構わない」 むしろ、して欲しいと言わんばかりの駿河。 漆黒の瞳で駿河を見つめた沙子は、少し間を置いて、本当に駿河の胸へ飛び込んだ。 冷静を装っていたが、聖杯戦争という過酷な状況で不安を抱いていたのかもしれない。 少なくとも、駿河は最後まで彼女を疑いもしなかった。 沙子に、首筋に牙を突き立てられる瞬間まで。 ◆ 走る、奔る、奔る。 赤い赤い空の下、漆黒の殺人鬼は騒がしい方へ走り続けていた。 阿鼻叫喚の地獄では無差別な死が巻き起こり続け、遠く彼方では炎が揺らめく。 炎。 何故か、炎に恐怖を覚えるのだけは相変わらずだった。 無意識に殺人鬼・ザックは足を止めてしまう。 もはや本能的に炎を嫌悪しており、何ともないと分かっていながらも、臆してしまう。 体が石像のように固まり、ピクリとも動かなくなる。 間違いなく、この先にアベルとアヴェンジャーが居るというのに。 避難する人々を尻目に、ザックは炎を眺めているだけである。 ―――ザック。 ふと、どこかで聞き覚えある声がした。 つまらない、何の感動や感情も込められていない、淡白な声色を持つ少女は一人しか存在しない。 金髪碧眼の容姿はメアリーを連想させるが、その少女はメアリーではなく。 本来、この『東京』には存在しない少女だった。 ―――早くしないと。 急かしているのか、何がしたいのか。サッパリ読めない表情で呼びかける少女に、ザックは鼻先で笑う。 「うるせーな。わかってんだよ」 何でお前がここにいやがるんだ。今が『あの時』と似ているからか? 考えたところでわかんねーけどよ。あー……そうだな。 しいて言うなら、アベルの野郎はお前よりか殺し甲斐があるぜ。 どうだ? 少し悔しいか?? ……ったく、ホントつまんねー反応しやがって。 殺人鬼は一歩を踏み出した。 少女に振り返る事は無い。殺人鬼も、その少女が幻影に過ぎないと心で理解していたからだ。 数多の歴戦の英霊たちの中でも、ちっぽけで、威厳もなく、純粋に狂っているだけで殺人鬼と呼ばれた――― そんな男は、赤い赤い炎の中へと奔って消えた。 時系列順 Back 世界 止めて Next 生と死を別つ境界の東京 投下順 Back 世界 止めて Next 生と死を別つ境界の東京 ←Back Character name Next→ 014 ハイリスクハイスクールの交錯 來野巽 025 生と死を別つ境界の東京 セイバー(ジークフリート) ジーク ランサー(ブリュンヒルデ) 019 おうるビレイグ メアリー アサシン(アイザック・フォスター) 桐敷沙子 バーサーカー(オウル) バーサーカー(SCP-076-2) 018 楽団は朝礼で前から順に眠りに落とされた 遠野英治 019 おうるビレイグ バーサーカー(ジェイソン・ボーヒーズ) 神原駿河 アヴェンジャー(うちはマダラ)
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赤い月のロゼ 赤い月のロゼ(あかいつきのろぜ、Red Moon Rose)は、エレボニア帝国で出版された小説。全14巻。 閃の軌跡の作中で収集出来る書籍であり、同作とその続編「閃の軌跡II」、「閃の軌跡III」、「閃の軌跡IV」、「創の軌跡」で読むことが出来る。 概要 七耀暦1000年代前半のエレボニア帝国の帝都ヘイムダルを舞台に、主人公である若き帝国軍の兵士アルフォンスが、”吸血鬼狩り”のロゼと共に帝都市民を恐怖に陥れる連続殺人事件《吸血鬼事件》の真相に迫る物語。 閃の軌跡でエマ・ミルスティンから存在が語られていた彼女の祖母、続編閃の軌跡IIIにて初めて登場した、帝国の《魔女の眷属》の長、緋のローゼリアが題材となっている。 なお、彼女の本作に対する反応から、物語自体は多々脚色されているが登場人物は概ね現実に基づいていると考えられ、本作の主人公アルフォンスに関しては彼女から実在が語られており(但し200年近く前の人物なので既に故人ではあるが)、少なくとも書籍化された事を恥ずかしがる程度には親しい関係であったと推察される。 登場人物 アルフォンス(帝国軍兵士・帝都の治安維持を担う《ガラード隊》に所属する) ロゼ(吸血鬼狩りの女性) ガラード(《ガラード隊》の隊長) エルロイ(《ガラード隊》の兵士) ルッカ(アルフォンスの幼馴染・宿酒場《アレグリア》のウェイトレス) マスター(宿酒場《アレグリア》のマスター) 各巻リスト 巻数 題名 1巻 第1回 赤い月 2巻 第2回 吸血鬼を狩る者 3巻 第3回 嫌な予感 4巻 第4回 黒い吸血鬼 5巻 第5回 別れの挨拶 6巻 第6回 血濡れのロゼ 7巻 第7回 決別 8巻 第8回 正体 9巻 第9回 愚か者 10巻 第10回 暗への追走 11巻 第11回 地下墓所での決闘 12巻 第12回 高位の吸血鬼《エルダー・ヴァンパイア》 13巻 第13回 真祖 14巻 第14回 朝日の向こうへ このページに登録されているタグ 《魔女の眷属》 エレボニア帝国 小説 用語 赤い月のロゼ
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《赤い星座》 ゼムリア大陸西部最強の猟兵団のひとつとして知られる。その起源は古く、暗黒時代の《ベルセルグ》オルランドに始まるという。同じく大陸西部の猟兵団《西風の旅団》とは宿敵の間柄。団長は《闘神》の異名を持つバルデル・オルランドだが、《西風の旅団》の団長である《猟兵王》との対決で相打ちとなり、命を落とした模様。最強の猟兵同士の一騎打ちで、《闘神》の弟シグムント・オルランドの話では「兄貴も悔いはないだろう」という。 「零の軌跡」「碧の軌跡」のメインキャラの一人、ランディ・オルランド(本名:ランドルフ・オルランド)は、この《闘神》バルデルの息子。9歳の頃から部隊を率い、自らも強化ライフル《ベルセルガー》で数多の敵を屠り、《闘神の息子》《赤い死神》の異名で恐れられた。その後、《赤い星座》を離脱してクロスベル警備隊に入隊。しかし、トラウマとなったライフルの使用を頑なに拒んだことで、当時の警備隊司令に疎まれ、ソーニャ・ベルツ副司令にクロスベル警察に新設される《特務支援課》と課長のセルゲイ・ロウを紹介される。 一方、《赤い星座》は、S1203年にカルバード共和国の東方人街に侵出し(cite:【3rd】星の扉12)、東方人街を本拠とするマフィア組織《黒月》(ヘイユエ)と抗争するも撤退。その動向については、リベール王国軍のカシウス・ブライト准将や、R&Aリサーチ社のアラン・リシャール退役大佐も気にかけており、リシャール所長みずから共和国まで調査に出向いている。(cite:【3rd】星の扉12/※【碧】その後、リシャールはカルバード共和国西端のアルタイル市まで自ら出向いて、クロスベル市内で諜報活動を続ける社員レインズと連絡を取り合っている。) 最新作「碧の軌跡」では、《赤い星座》の副団長を務めるランディの叔父のシグムント・オルランドと、その娘で部隊長のシャーリィ・オルランドが、帝国政府と約1億ミラの契約を結び、西ゼムリア通商会議中の《鉄血宰相》を狙う貴族派テロリストの抹殺を請け負った。任務完遂後は、クロイス家と契約を結び、「碧の零の計画」に協力。 武装 《赤い星座》の猟兵は、大剣や、導力式よりも火力の高い火薬式の重火器で武装し、ブレイドクーガーなど装甲された軍用魔獣を使役する。特に陸戦での練度は、《結社》の《強化猟兵》を軽く凌駕する一方で、飛空挺を使った空戦の経験はまだ浅い。 資金源 《赤い星座》は、猟兵団の運営・装備・作戦行動の資金源として、《クリムゾン商会》というダミー会社を持ち、帝都で高級クラブ《ノイエ=ブラン》を経営している。この《ノイエ=ブラン》、S1204にクロスベル市にも進出しており(【零】クロスベルタイムズ誌にも紹介記事あり)、グノーシス事件後には、親会社の《クリムゾン商会》も旧《ルバーチェ商会》の跡地を買い取って、クロスベル進出の拠点としている。 また、特定商人による詐欺行為を伴う不動産転売も《赤い星座》の資金源のひとつになっているようだ。のちに《カプア特急便》を立ち上げることになる、帝国北部のカプア男爵家もこの被害に遭い、空賊に身をやつす憂き目にあったが、「碧の軌跡」でもアルモリカ村の土地の権利書が「ミンネス」と名乗る同一犯に危うく詐取されそうになっている。 関連事項 《闘神》バルデル・オルランド(【碧】渾名と名前のみ。) 《闘神の息子》《赤い死神》ランディ・オルランド(【零】【碧】バルデルの息子。) 《赤い戦鬼》シグムント・オルランド(【碧】) 《血染めのシャーリィ》シャーリィ・オルランド(【碧】) ガレス(【碧】《赤い星座》部隊長。狙撃の名手。《闘神》バルデル生前は、その右腕を務めた。) ザックス(【碧】副部隊長。元々は部隊長時代のランディの部隊に所属。) 猟兵団《西風の旅団》 《猟兵王》(【碧】姓名未詳。渾名のみ。《西風の旅団》団長。《闘神》との一騎打ちで相打ち。故人。) 《黒月貿易公司》 《白蘭竜》ツァオ・リー(【零】【碧】クロスベル支社・支社長。) 《東方人街》(qt【FC】【SC】【3rd】【零】) エレボニア帝国 《鉄血宰相》ギリアス・オズボーン(【SC】【零】では名のみ。【3rd】【碧】エレボニア帝国宰相。) レクター・アランドール(【3rd】【零】【碧】帝国政府・二等書記官/帝国軍情報局・特務大尉。) クロイス家/IBC/クロスベル独立国 ディーター・クロイス(【零】【碧】IBC総裁→クロスベル市長→クロスベル独立国・大統領) マリアベル・クロイス(【零】【碧】IBC役員→IBC総裁代行) R&Aリサーチ社(【3rd】。【碧】でも名前のみ登場。) アラン・リシャール(【FC】【SC】【3rd】) 合計: - 今日: - 昨日: -