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屍人達が住まう国、スラヴィア。 そこでは何時終わるとも知れぬ夜の闘争劇「饗宴」が行われ、統治者達はこれによって領地拡大を図っている。 しかしそんな饗宴の中には、一風変わったものも存在する。 それが“こどものきょうえん”である。 とある紳士とその友人達が始めたそれは、文字通り屍人化した少年少女を戦わせるという特異極まりないものだった。 単純な殺し合いではなく、子供達が互いの衣装を脱がし合うそれは、特殊な嗜好を持つ紳士淑女に好評となり、今もなお行われている。 これは、そんな遊戯中の遊戯である競技に身を投じる羽目になった一人の貴族の逸話である。 (また、コレが始まるのか……) 三つ編みにした長い黒髪を片手で弄りながら、ダークエルフ型の少年は心中でつぶやく。 今、彼が立っているのは"こどものきょうえん”の会場。この為だけにとある貴族が建てた闘技場である。 そのグラウンドの向こう側に見える扉から、同じ背丈の少年が出てくるのが見えた。 見た目からして、おそらく竜人の屍人。伝統的な衣装を着崩しており、胸元が露わになっている。 「おっと、ここで挑戦者のご登場か。衣装から覗かせるあの青白い肌は実に美しい……加点しておこう」 グラウンドの隅にある審判席から、審判役の貴族が票に何やら書き込んでいる。 彼は、それが何なのか嫌な位知っている。ここでは参加する子供達のファッションの評価があり、薄着であるほど、脱がせやすいほど点数が加算されていくのだ。 そんな彼の衣装はというと、上は黒のスーツを着てはいるが……。 「でも、あの子の格好もなかなかのものよ。下にあんなピッチリとしたものを穿いてくるなんて、大胆で結構よ!」 審判の隣で、ノームの貴族が彼の服装について熱く語りだす。 彼が下に穿いているのは、地球から持ち込まれたというスパッツ。それも丈が非常に短く、殆ど下着のように見える。 「スパッツは直に穿く物」と教えられたのでそうしているが、正直落ち着かない。穿くのは初めてではないが、未だに慣れないでいるのだ。 それでも、こんな格好をしてまでこの競技に挑まなければならない。 ──何故なら、彼にはこうするより他に道はなかったからである。 彼の名は、セシル・ヴィエルディア。 外見こそ少年だが、比較的小さな地方を統治するれっきとした貴族である。 彼の配下は殆どが少年少女となっており、その様は「スラヴィアの託児所」と称される程だ。 貴族だけあって戦闘能力はズバ抜けて高いが、上記の事情により、その総戦力は心許ない。 そのせいか他の貴族達によく狙われており、彼の領地は年々縮小傾向にあった。 そんな時、ある条件と引き換えにこれ以上の侵攻を行わないという申し出を貴族達に突き付けられ、渋々これを承諾した。 その条件こそが、「自身を含めた戦士の“こどものきょうえん”への出場」である。 「いくら領民を守る為とは言え、見世物みたいな扱いを受ける羽目になるなんてな……」 虚空を見上げながら、ため息をつくセシル。 しかしこうしなければ、領民や配下がどうなっていたか。それを考えると、今は耐えるしかない。 そう自分に言い聞かせながら、地面に突き刺していた大剣を構えて向こう側の少年に対峙する。 「今回もまた、あの子の乱れる姿が拝めるといいですな」 「あれで貴族だって言うんだから、たまらないわよねぇ~」 「おら、今こちらを見ましたわね。私に気があるというのでしょうか」 観客席にいる貴族達の下心満載な歓声に色々思う事はあるが、今は眼前の敵を倒す……もとい脱がすのみ。 そう思った直後、セシルは目標まで一気に詰め寄ると、構えた大剣を振り回した。 刹那、目標の少年の衣装は瞬時に破れていったが、素早く後方に飛び退いた事で何とか下着姿を晒す事だけは避けたようだ。 「見ろ、あんな大物でああも見事に引き裂いていったぞ!」 「まぁ……見てくださいあの子の肌。あんな所もこんな所も青白くてとってキュートよ」 「やっぱり大きな得物を持った小さな子ってギャップ萌えだよね」 少年達の殺陣に、更に沸き立つ観客達。一方、その少年達は距離を置いた後、睨み合いが続いていた。 普通、この競技において大剣は不向きとされている。 「相手を脱がす」のがルールとされている“こどものきょうえん”において、その攻撃力は過剰の一言に尽きるからである。 貴族であるセシルがこれを得物としているのは、相手に対するハンデであるのは言うまでもないだろう。 (相変わらず加減するのに精一杯だ……。また一発で仕留め損なったよ) 胸中で愚痴るセシルを尻目に、今度は少年が薙刀を振りかぶりながら襲い掛かる。 薙刀の刃が次々とセシルに向かうが、大検を手放せないせいで思うように回避できず、スーツが徐々に引き裂かれていく。 「こりゃ、流石に連勝記録ストップかねぇ……」 「それでも構わないわ! セシルちゃんの恥ずかしい姿が拝めるなら!!」 「貴方……何時少年愛者になったんですの?」 相変わらず子供達のじゃれ合いに狂喜する観客達。 しかしここで避けるだけでは勝機は見えない。そう判断したセシルは思い切って少年に密着し、腰に巻きついた帯を力いっぱい掴み……。 「「「おおおおおおおおおおおおっ!!!!」」」 観客達が、今回最も凄まじいボリュームで一斉に歓声を上げる。 その後、グラウンドに残ったのは── スパッツ以外ボロボロになりながらも衣装の原型が留まっているセシルと、度重なるダメージと先程帯を解かれた事で衣装が破れ、下着姿となった少年の姿だった。 「まさに服を切らせて服を断つ。あそこで脱げない程度にズタズタにしてから一気にバラけさせるとは、流石“小勇卿”だけの事はあるな!」 「見て見て、心なしか下の方がムクムクしてるように見えない?」 「あの逆転劇の後なんだ、きっと興奮してるに違いない……ハァハァ」 勝敗は決した。 敗北感と恥辱から泣きじゃくる少年に背を向け、セシルはグラウンドの扉の奥へと向かう。 「今に見てろよ、あいつらめ……」 下心丸出しな目線を送りつける観客を見ながら、ぼそりと呟く。 「僕は絶対、ここから舞い戻ってやるからな」 なんて爛れたきょうえんなんでしょう!しかしこの先セシルが領地を守るには助っ人が欲しいところ -- (名無しさん) 2014-05-07 00 15 54 スラヴィア饗宴製作委員会はエンターテイメントの何たるかを知っておる!知っておるわ -- (名無しさん) 2014-05-09 22 36 39 ルール制限があるからただ倒すよりも難しそうだ -- (名無しさん) 2014-05-23 10 54 36 出演する者よりも観覧する側の欲求を満たすような内容が多いんだろうか饗宴 -- (名無しさん) 2015-02-03 23 47 03 名前 コメント すべてのコメントを見る
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ガルシアノ ウェイデニッツ公国最大の貴族・ダンヨゥース家が、 かつて公王から直に賜った土地……、それはダンヨゥース公領である。 この公領の支配の中心地はガルシアノと呼ばれ、 ダンヨゥース家の公爵城を中心に栄えている。 ワウスゴルム大森林とユフォーン湖という大自然に囲まれたこのガルシアノには、 公国の貴族たちの別荘が多く存在する。 全マップ ※1200px幅なのでタブレットなどでは詳細を更に拡大して確認できます <都市内施設リスト> ●よろず屋「火炎屋」 ・ザンリクシュ+2:14Cz ・ザンリクシュ+3:18Cz ・ザンリクシュ+4:20Cz ・プロドゥイン:2Cz ・カルハニムスの鍵:30Cz ・スイレンの鈴:100Cz ・ウィル・ポーの砂時計:10Cz ●酒場1「黄金宮」※夜間にしか入れない 吞んでいく:12Cz -テーブル1:フフシという男が常連の旦那の姿が見えないことを気にしている -テーブル2:その常連であるロントンというおじさんが料理をどんどん平らげている -テーブル3:エフーという男が隣のテーブルのデブーに文句を言っている -テーブル4:アファおじさんに食事の作法を注意されてしまう -テーブル5:ナツミという女性がアルカバイの王子の伝説を知っているかと聞いてくる ※初回のみどのテーブルについても次のイベントが優先的に割り込む→ロントンというにぎやかなおじさんと意気投合して…? ●酒場2「白銀宮」※夜間にしか入れない 吞んでいく:12Cz -テーブル1:ドロスという男が一見笑い話だが重要な話を教えてくれる -テーブル2:サムサが隣のドロスの話で大笑いしている -テーブル3:シシリアという女性がこの店名物の煮物をおすすめしてくれる -テーブル4:ダネンという男がひたすら酒を要求している -テーブル5:バススという男がロントンの姿を見かけないことを心配している →ドロスの話:スサノバ沈没船宝引き上げ→ウェルトリアの海賊に襲われ横取り ●宿屋「サザラーンの夢殿亭」 宿泊:10Cz ●ジ・ジマール闘技場 狩闘師「ここは、おのが肉と血を金に替える勇者の聖域だ」 ※全勝すると2000Cz稼げる ※LIFE最大値がある程度あれば背後からの急襲繰り返しで安定して稼げる ●スサノバ公爵城 公爵とマブダチになっていれば気軽に立ち寄ってお約束の漫才を繰り返すことができる <このエリアからの移動可能先> 北「セルトレ」へ 南「エリースレム」へ <住人の声・会話集> ※ストーリー進行のヒント・ネタバレが含まれています 女性系: 「エリースレムは、少女エリースがユフォーン湖に身を投げた場所として有名だわ。湖にかかる霧が濃くて、とても神秘的な土地よ」 「弟のタレニオンが家を飛び出してからもう三年になるわ。いったいどこでどう暮らしているのかしら……」 「ねえ、聞いて、聞いて……あの太っちょ公爵さまったら、ここのところ毎晩のようにお忍びで下町に現れているそうよ。ガルシアノ名物。アラフシの蒸し焼きがお目当てなんだってさ。ほんとにいやしいったらありゃしない!」 子供系: 「あーあ、ぼくも一度でいいから公爵さまのお城でおいしい料理を食べたいな」 「おいら知ってるぜ!公爵さまのヒゲはつけヒゲなんだ。前に公爵さまが石につまずいてころんだときに、ヒゲが落っこちたのをばっちり見ちゃったんだ」 夜の男性系: 「エリースレムは、いいところだぜ。ユフォーン湖のほとりの展望台から湖をながめると嫌なことがパーッと消えちまうんだ」 「けっ、またあの太っちょロントンが酒場にやってきやがったぜ。あいつがいるとどうも酒がまずくなっていけねえや。今日はとっとと家に帰るとしよう」 夜の衛兵系: 「おまえ、ちょっと待て!あまり見かけない顔だが……うむ……、よし、行っていいぞ!こんなところをふらついていないで、さっさと宿に帰りな」 「ええい……今夜も公爵さまはお忍びか……まったく困ったものだ」 特殊: 「なあ、ちょっと聞きたいことがあるんだが……いいか?」 「なんでえ言ってみな」 「あんたエリースの首飾りって知らねえか?」 「エリースの首飾りねえ……。はて?どこかで聞いたことがあるようなないような……ユフォーン湖のそばにある町はエリースレムだよな……うむむ」 「どんな小さなことでもいいんだ。心当たりはねえかな?ちょっとワケありで、そいつを探しているんだ」 「ところで、そのエリースの首飾りってのは、どんな代物なんだい?」 「どんなって……オレだって見たことねえからなあ」 「なんってこってえ!見たこともねえものを、どうやって探すっていうんだい!!おめえおれを馬鹿にしてんのか?」 「そ、そういうつもりじゃねえんだ!」 「まあ、いいさ。それより……首飾りとか腕輪とかに詳しいやつがこの街にいるのを思い出したぜ……ひひひ」 「え?ほんとか?」 「ま、逢えるかどうかは別として、名前だけは教えといてやるよ。その名も、スサノバ・ロントン・ダンユゥース……このダンヨゥース公領の領主さまだ」 「げっ!そんなお偉いさんじゃ、会えるわけねえじゃないか」 「ははは……あんたの好運を祈っているぜ」 「ちぇっ!そんなんありかよ」 特殊2: 「あなたサイアのお姫さまのお話はごぞんじかしら?」 「ああ……知ってるぜ」 「成人の儀の最中に、バハマーン神国の魔道士にさらわれてしまったんですってね……きっと今頃は、バハマーンの女王に……おお、怖い」 「………」 「サイアの都は大騒ぎだっていうじゃない。このぶんじゃ、きっと戦争がおこるに違いないわね」 「あんたそれを期待してるのか?」 「と、とんでもないわ!いつこの街だってバハマーン神国に襲われるかわかったもんじゃないんだから……そう、十数年前のサリス王国のようにね」 「サリス王国か……いまはバハマーン神国の属領……ドネイセルム神領だったかな……になっちまった国だな」 「そういえばドネイセルム神領で思い出したけど、このあいだ変な噂を聞いたわ」 「変な噂?」 「ええ……最近、元サリス城だった場所に怪しい男たちが出入りしてるって……。どうもバハマーン神国の魔道士らしいそうよ」 「なんでそんなことがわかるんだ?バハマーン神国……特にドネイセルム神領は入国検査が厳しいって話じゃないか」 「知り合いにバハマーン神国の入国許可証を持っている宝造師がいてね……ちょくちょく危ない話を聞かせてくれるのよ」 「そうだったのか……」 <このエリアの住人:登場人物> ラパウル:領主の食道楽ぶりを教えてくれる男性 パルース:同上 ソノリー:妖精の街に行ったと主張する男性 ニケムス:カルムーン帝国からの見世物一座を絶賛するおじさん レテ:公爵城で料理を食べたいと夢見る男児 オドル:同上 アスール:毛嫌いしている侯爵の噂をする女性 レッティ:エリースレムについて解説してくれる女性 ミュム:三年前に家を飛び出した弟を心配している女性 ※とあるキャラの姉のはずだが、モブ市民は複数の人物が同じカテゴリの会話をするため、姉が何人もいることに…(フレーバー要素と割り切ろう) ベイコ:お忍びで出歩いている公爵に困っている衛兵 コホー:同上
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「あ~~~も~~~!! 何でこう面倒事ばかりおこすんや!!」 訓練場での模擬戦について報告に来たシグナムからあらすじを聞いたはやては いつになく声を荒げて持っていた書類をバシン!と机に叩きつけた。 その音に同じ部屋で仕事をしているグリフィスが一瞬身体をビクリと震わせる。 「で、知ってたんなら何で止めなかったんや?」 深呼吸をして息を落ち着けたはやてがシグナムをなじる。 少なくとも今回の件はジルグに非があるわけではない。 だが、なのに何故こうも面倒事の原因になるのか。 そして何故わざわざ面倒を抱えて歩いているような男を突く様な真似をするのか。 「ヴィータの取った行動についてはヴォルケンリッターの中では特に異論は出ていません。 ヴィータの敗北についてはあくまで勝負の結果です。 ヴィータがやらなくともいずれ他の誰かが同じ行動を取っていたでしょう」 「それはシグナムもか?」 「はい」 シグナムの言葉に再びはやては頭を抱えたくなる。 確かにヴォルケンリッターが自分に向けてくれる感情は 個人レベルで考えれば嬉しい事だし、その心情も理解できる。 だが、ここは機動六課という組織であり 個人の感情で動いて良い場所ではないのだ。 はやての考えを見透かしたようにシグナムは言葉を続ける。 「ですが、確かにヴィータの行動は性急に過ぎた感がありますし それを止めなかったことに関しての処罰は受けるつもりです」 「処罰とかは考えてへんよ……ただの『模擬戦』やったんやろ?」 疲れた顔ではやてが答える。 「はい」 シグナムははやてに答えた後、言葉を続ける。 「ですが、今後六課がジルグという戦力をどう扱うかという事について 今回の模擬戦は有意義な点もあったと思います」 「なんや? 言うてみ?」 シグナムの言葉にはやての表情が僅かに変わる。 一息ついてシグナムが話し出すが、それを聞くはやての顔はどんどん険しくなってゆく。 「これまでの行動を見る限り、 ジルグはこちらの戦力との共闘を拒んでいるとしか思えない節があります。 そして一対一、多対一の状況でも問題なく対処できる戦闘力と戦術眼を持っています。 ならば逆にこちらの作戦に影響の出ないところに単機で出撃させ、 好きに暴れさせるのが最も効果的な運用だと考えます」 つまりはジルグを鉄砲玉として扱え、シグナムははやてにそう言っているのだ。 「それは任務におけるジルグさんへの危険度が段違いに跳ね上がるっちゅう事を考えての話か?」 「はい」 即答するシグナム。 はやては過去に『闇の書』の守護プログラムとして現れたヴォルケンリッターを 従属者としてではなく家族として扱ったという経緯がある。 そんな彼女からしてみればいくら厄介者とはいえ 自分が部隊に招き入れたジルグをわざわざ死地に向かわせるような事は 初めから構想の外にあったといえる。 だがシグナムは今『八神家のはやて』ではなく『機動六課部隊長の八神はやて』として行動する事を はやてに突きつけている。 そもそも先程、私人としてではなく公人として行動して欲しいとはやてはシグナムに要求しようとした。 これではまるで立場が逆ではないか。 確かにジルグ個人の戦闘能力には目を見張るものがある。 先程の模擬戦の映像を見てもヴィータに勝利した瞬間などは 正直どうすればあんな動きが出来るのかはやてにはわからなかった。 単純な速さだけならフェイトの方が上だ。 だがあんな複雑な動きを瞬時にして行うことはフェイトですら不可能だろう。 加えて卓越した射撃能力と高空から敵中に単機特攻できる度胸 そして本人は何故か頑なとも言えるほど、他者との共闘を拒んでいる。 シグナムの言うことは一理も二理もある。 「わかった、それは『ライトニング分隊長』であるシグナムの進言として受け取れということやな?」 「はい、決定を下すのは私ではありません。 主はやてがどのような決定をされようとも それには全力で従うことをライトニング分隊長として、 そしてヴォルケンリッターの総意としてお約束いたします」 「……少し考えさせてや。後、いくら気に入らんからって下手なちょっかい出したりせんでな」 「わかりました、では失礼いたします」 一礼してシグナムは部屋を出て行った。 「なぁグリフィス君。仕事のストレスで休みとかやっぱりダメかなぁ?」 唐突に話しかけられたグリフィスは一瞬戸惑いながらも答える。 「僕個人としては休まれてもいいんじゃないかと思いますけどね。何事もなければ」 「そかー、なら考えとこかな」 力なくはやては呟き、残りの書類との格闘に戻るのであった。 そしてそういう時に限って『何事』と言うものは起こるものである。 明日ホテルアグスタにて出品されるオークションの品にレリックが混じっている可能性が高い という情報がもたらされたのは、その数時間後であった。 「情報と一緒にこんなものまで送ってくるなんて手際のええこっちゃな」 はやての前には3人分のドレスがあった。 教会のカリムから送られてきたものである。 「で、なんで私たちがこれを着るわけ?」 フェイトの疑問にはやては自嘲気味に答える。 「ひとつはわたしらがオークション会場に紛れ込むためやな。 さすがに六課の制服で入り込んだりしたら違和感あるやろし。 もうひとつはあれや。 このオークションには政財界のお偉いさん達が仰山くるから この機会に六課を売込んどけっちゅう事やろ」 はやての言葉に複雑な表情をするなのはとフェイト。 理由は分かるがわざわざ見世物になりに行くのはさすがに抵抗がある。 「まぁ任務やししゃーないやろ。 後で着てみてサイズ合ってるか確かめといてな」 そう言ってはやてはなのはとフェイトが退出した後 ホテルアグスタの建物の情報を元に、警備の配置計画を立て始めるのだった。 「さて、分隊の配置はこれでいいとして……」 キーボードを叩く手が止まる。 「ジルグをどこに配置するか、ですか?」 グリフィスの言葉にうなずくはやて。 「シグナムの言うことは確かに筋が通っとるし、有効なのも分かるんや」 それに想像に過ぎないが、むしろジルグはそういう運用のされ方を望んでいるのではないか。 「細かい指示出しても素直に命令に従ってくれるとは思えんからなぁ…」 少し考え込んだグリフィスがはやてに提案する。 「ならば警備員に偽装して、会場内と外を自由に行き来させて遊撃要員とするのはどうでしょう?」 なるほど、とはやては頷く。 「そらいいかもしれんなぁ」 ある程度自由の利く状態で待機させて、状況の変化に応じて情報を知らせ 独自の判断で動いてもらう。 これならジルグもやりやすいだろうし、隊長陣の負担も減るだろう。 「そうなるとジルグさん用の服も用意せなあかんなぁ。 グリフィス君、手配しといてくれる?」 「わかりました」 今回はトラブル抜きで終わってほしい。 そう心から思うはやてであった。 前へ 次へ
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丁重に二階へ通されたスイメイが部屋に入ると、そこには仏頂面のシキョウと、目を丸くしたガインが待っていた。ぷいと目を背けたシキョウは部屋の壁に穿たれた大穴に腰かけて外をにらみつけ、一方でガインはひたすら小さくなっている。 「恐れ入りました。さすがです」 「そうだよな。まさしく求敗の名にふさわしいってわけだ」 「し、師叔」 スイメイは倒れていた椅子を起こして座った。シキョウにちらりと視線を投げ、ガインに向きなおる。 「それでは話してもらおうか。今、ここで何が起きているのか」 「それと表にアホ共が集ってた理由もな。おかげでいらん怪我させられるところだった」 「――すべては、水妖の精なんでございます」 およそひと月前のことである。この什川郷の水源の一つに水妖が現れた。特に何か前触れがあるでもなく、この街を差配する旅館連にも心当たりのない水霊であった。水霊はトウカであると名乗り、この地の温泉はすべて自分の力によるものであると告げた。大河を納める河伯しかり、泉の主しかり、およそ人の集うような水場には力のある精霊が宿るものである。什川郷は温泉を出する土地柄でありながらこの手の水霊の姿は絶えて見えず、したがって人々は度肝を抜かれた。意のままに水を止めて見せることでわずかな疑いも瞬く間に晴れ、トウカは水源の主として公認を得るに至った。 温泉を止められては街が立ち行かぬということで、旅館連はトウカの機嫌をうかがいにかかった。どんな無理難題が飛び出すかと戦々恐々としていた旅館連は『手合わせをしたい』という要求に首をひねった。武芸者なら何でもよいということで、たまたま湯治に来ていた剣士が伝手で呼び出され、わけもわからぬまま対戦の場が設けられることとなった。 実にあっさり負けたそうである。 剣士は属する一門の中では中堅どころと見なされ、決して弱くはなかったそうである。それが手も足も出ない。これだけならば、単に水妖の気まぐれに付き合わされた剣士の顔が一つ潰れただけで終わっていただろう。だが事は、トウカの奇妙な振る舞いによって思わぬ方向にもつれ込んだ。 ――独狐求敗という女の武芸者を知っているか。 トウカはそう問い、剣士が首を振ると姿を変えた。腕と足と頭があると言った程度の曖昧な姿から、実にはっきりと狐人の女を模した姿へ。独狐求敗はこういう姿であるとトウカは伝え、存分に見て目に焼き付けるよう命じた。剣士は負けたのだから、トウカの言うことを聞かなくてはならない。そうした理屈のもと、剣士は独狐求敗探索を命じられて解放された。 これが騒ぎのもととなった。 トウカは次々武人を呼び寄せ、同様に打ち倒しては独狐求敗探索を命じた。探索の手がかりとしては自ら姿を変えて再現する独狐求敗の似姿が大いにカギを握るとトウカ自らも納得していたと見えて、姿をさらすにためらいはない。ところが、これが少々問題なのである。顔かたちや全体像に問題はなく、しかし服装に関して言えばトウカの記憶は曖昧であり、それがそのまま再現にも表れた。着ているのやらいないのやら、何とも判然としないのである。そうした姿を目に焼き付けるよう要求するのだ。 「自分も、その、相手を務めた一人でして」 巨大な体躯を可能な限り縮めて、ガインがぼそぼそと言った。 さらに、独狐求敗がなかなか見つからぬことに業を煮やした水妖の取った策が、混乱に拍車をかけた。武芸者を呼び込むだけでは飽き足らず、外に出歩くようになったのである。とにかく無差別に襲い掛かり、だが怪我をさせるでもなく、ただ求敗を探せと命じて立ち去るのだ。 たちまちのうちに、街は武芸者であふれかえった。もともと湯治に訪れる者が多い什川郷であったが、今回のそれは大半がエセ、水妖に声をかけてもらうことだけを心待ちにするただのスケベである。気持ちだけはいっぱしの侠客を気取り、獣欲に目を濁らせて殺気立ったエセ武人たちは多くのもめ事を引き起こした。 困り果てたのは旅館連である。事態の鎮静化を画策した旅館連はまず独狐求敗を血眼になって探したが見当たらず、そうする間にも水妖は出歩いて面倒の種を撒いている。熟慮の末にとられた善後策は、とにかく水妖をなだめすかして人目につかぬ場所に押し込める一方、独狐求敗を題材とした劇を演じさせることだった。あちこちの宿屋や酒家で水妖をかわるがわる引き受けつつ、それなりの武人に相手をさせて気を紛らわせる。艶笑劇は男たちの欲を適度に発散させ、また万が一には独狐求敗の名を知るものが聞きつけることも期待された。 「よかったな。もくろみ通りになってよ」 「へえ、おっしゃる通りで」 劇があくまで昔話の体裁を取ったのは、現実に水妖が出ていることを知られてはならないからである。あられもない格好でうろつく水霊などいないのだ。工夫の甲斐あって、血走った餓狼たちは次第に鳴りを潜めつつあるという。 「とはいえ、さっきの奴らみたいなあきらめの悪い連中がしつこく探り当ててきやがるわけで」 「なるほどな。てことはその水妖はここにいるってことでいいんだな」 「はい」 「なるほどな」 シキョウの表情は硬い。瞑目しているスイメイを横目で見ながら、手のひらを開き、握る。なんでもない所作に、奇妙な力がこもっている。 「一つ聞きたいことがある。水妖のところにはまだ人が送り込まれてんのか」 「そうするようにと。このところだいぶ焦れてきていまして」 「止めさせる」 「はい、求敗さまがおいでくださったからにはすぐに止むものと」 「そうじゃねえよ。俺がやる」 「は? いや、しかし」 シキョウはやおら立ち上がり、部屋に飾ってある調度の一つに目を止めた。シキョウたちが投げ込まれた時に破壊をまぬがれていた壺の一つに手を当て、小さく気合いを発する。ただ触れていただけに見えた壺に、たちまちのうちに無数のひびが走り、砕け散った。ガインが目を見開いた。福虎掌法は虎人の武術でありながら、あえてその最大の武器である爪も牙も封じる。過ぎた暴力は多くのものを傷つけ悪をもたらすという哲学によるものだが、これが問題の種となることもある。腕の立つ武術家が見るならいざ知らず、爪も牙も使わぬ虎人など世人にはただの愚か者に過ぎないのだ。徒に侮られれば、いらぬ悶着が引き起こされることは世の習いで、それゆえに福虎掌法は示威威嚇の技をも教わる。あえて力を誇示することによって場を収めるのである。施震頸はそうした技の一つである。接触により掌力を流し込むこの技は、無機物を容易に破壊すると同様に生体も容易く傷つけるが、禽獣にさえも用いればたちまち破門となる。例外は邪仙や妖獣など、この世の理の通じぬものだけである。 「さすがです、師叔」 じろり、と見返すシキョウの瞳は、底知れず濁っていた。 「その水妖を呼んで来い」 「は、しかし」 「いいからとっとと呼んで来い!」 不意の爆発から一転、シキョウの声は低く低く抑えられた。知らぬげに床の埃を数えているスイメイにきっと一瞥をくれると、今度はガインをねめつける。 「いいか、その水妖が何考えてるのかはわからん。だがはっきりさせとこう。その水妖はスイメイの姿形をしてる。それも服着てるんだか着てないんだかよくわかんねえようなのが。それで何だと? 来る日も来る日も人を引っ張り込んじゃ、その姿を目に焼き付けさせてるとこういうわけか。さぞや印象的な眺めなんだろうな。何しろお前だって一発でスイメイを当てたわけだからな」 「し、師叔」 「黙れ。そういうおふざけも今日で終いだ。俺が水妖をぶちのめす。そして下らねえ求敗探しもやめさせる。お前を含む間抜けどもには思いつきもしなかったことだろうが、俺は、今日、ここで、水妖をぶんなぐって何もかも終わりにする。いいな!」 シキョウの怒鳴り声に追い立てられるようにして、ガインが這う這うの体で姿を消した。そうして、二人の間に残されたのは沈黙である。 「許せねえ」 シキョウが口を開いた。 「そうか」 「こんなバカな話はねえ」 「そうか」 「何が水妖だ。おれが一発で片づけてやる」 「そうか」 「そうか、じゃねえよ!」 シキョウが拳を振り回した。 「なんだその他人事みたいな態度は? 見世物にされてるのはお前なんだぞ! 涼しい顔してる場合か?」 「まさしくその他人事にそこまで怒ってくれて、こちらとしては痛み入るばかりだ」 「寝ぼけたこと言ってんじゃねえよ。とっとと片付けるぞ」 「一つ不思議なことがあってな」 「なんだ」 「さっきから聞いていると、お前が手を貸してくれるかのような言いぐさだな」 「はあ?」 シキョウが背筋を伸ばして眉を逆立てた。スイメイが浮かべる嫣然たる笑みも、その心をとろかすには至らない。 「どういうことだ」 「トウカの件はこちらの身に覚えがある。あとで気が向いたら説明してやるが、すべて私の不始末から起きたことだ。見世物になっているのも私。だから私が片づける。これほど筋の通った話もないと思うが?」 「……いやだ、と言ったら?」 スイメイは眉をひそめた。 「お前が手を出すということか」 「お勧めしません、てか」 「ああ。何しろ――何しろ私のあられもない姿が拝まれてしまうからな」 わずかにシキョウがひるんだ。その機を逃すスイメイではない。甘やかな言葉が滑らかに流れ出した。 「ガインの話によれば、トウカはそれはもう私に似ているそうだな。着ている服以外は、ということだが。そういう相手をじろじろ見るのはいかがなものか、と本人である私としては思うわけだ」 「じろじろなんかみねえよ」 「目をつぶって戦う気か」 「俺はただ、水妖を叩きのめすだけだ」 「それは私がやるといった」 「けどよ」 「シキョウ、お願いだ。私の気持ちも考えてくれ」 蚊の鳴くような声が途切れ、スイメイの目は伏せられた。しおれきったスイメイの様子に、さすがのシキョウも動揺を隠さない。苛立たしげに歩き回り、シキョウはスイメイを指弾した。 「じゃあほっとけってか。そんなのありかよ。そりゃお前だって愉快じゃないだろうが、俺だってはらわた煮えくりかえってるんだぞ。どこの馬の骨とも知らない屑どもに――これが黙ってられるか? それに」とシキョウは何かを思い出したかのようにぽんと手を打った。 「それにだな、お前は裸みられたぐらいでうろたえるタマじゃないだろうが。いつぞの山の中を忘れたか? 俺に隙を作るためだけに脱いでたあのスイメイさんはどこ行ったんだ」 「あれは――あれは、お前しかいなかったからな」 「じゃあ俺に見られる分にはべつにいいってことになる――とにかくだな、俺は水妖をぶちのめす。何もかもその水妖のせいだからな。それとも何か、お前のほうにゃ、俺が出張ってこられると困る理由でもあるってのか」 スイメイは眉ひとつ動かさず、身じろぎもせず、ただゆるりとシキョウを見返すのみである。だがこの瞬間には、両者の間にはっきりと伝わるものがあった。シキョウがいきり立った。 「そらみろ! 何か隠してやがるな? どうも俺とそのトウカって水妖と戦わせたくない理由がありそうじゃねえか! いったいどういう――は!?」 シキョウの怒りが凪いだかに見えた。口を閉じ、背を丸め、血走った眼でスイメイを穴のあくほど見つめる。さしものスイメイも居心地悪さに身をよじり、それをきっかけにシキョウが再び爆発した。 「お前まさか、俺がその水妖に負けると思ってんじゃないだろうな!」 ほとんど悲鳴である。ひっくり返りそうになりながら金切り声をあげるシキョウの有様に、スイメイはあっけにとられ、ついで小さく笑い出した。一方のシキョウはと言えば、火がついたように怒り狂うばかりである。 「だからか? 何だか知らんがそれなりにやるみたいじゃねえかその水妖ってやつは。俺が負けでもしたら大惨事だって思ったのか? そうでなくてもスイメイさんに手も足も出なくてくさってるところに負けが込んじゃ話がこじれるってか? 余計な世話だ!」 ぴたり、とシキョウが動きを止めた。 「こうなりゃ、どうあっても俺がやる。スイメイさんよ、お前の方こそ引っこんでろよ。俺がやる。俺がやるんだ。邪魔するなら容赦しねえ。水妖とお前と、片付ける順番が変わるだけだからな」 無制限に放出されていた怒気は今や抑制され、圧縮され、シキョウの全身を対流している。鬼気迫る様相である。 一方でスイメイもまた、たたずむことを止めている。雪解け水の如く背列な気をまとい、超然とシキョウを見下ろして胸をそらす。わずかな笑みを貼り付かせて、スイメイは剣に手を掛けた。 「実を言うと、お前が考えているような理由ではない。だがトウカと顔を合わされると少々困ったことになるのも事実だ。説得されてくれれば、お互い面倒はなかったのだがな」 「抜かせ」 シキョウが構えを取った。両の掌をだらりと下げる、福虎掌法である。柄から手を離しかけたスイメイに首を振り、そのままでいいと促す。音もなく剣を引き抜いて、スイメイは切っ先を泳がせた。 「一つ、言っておくことがある」 シキョウが片眉を上げた。 「恥ずかしいのは事実だ。前の山の中のことだって、今は後悔している。それだけだ」 シキョウがもう片方の眉を上げたが、構えは解かない。何事もなかったように両者とも動かず、じっと機会をはかる。二人の間に埃が一つ落ち、二つ落ち、三つ目が床に触れようとしたときである。床に落ちた木端が震えはじめた。決して作りの甘くはない建屋が、迫りくる何かに揺さぶられている。震動のもとは動きを伴って徐々に近づき、二人のもとへ迫っていることをうかがわせた。 そうして―― 「スイメイ! ほんとうにスイメイなの?」 水妖、トウカが部屋へ飛び込んできた。 【清霞追風録・独狐求敗 五】 但し書き 文中における誤りは全て筆者に責任があります。 独自設定についてはこちらからご覧ください。 また、以下のSSの記述を参考としました。 【続・その風斯く語りけり】 【大延故俗集積】へ戻る シキョウとスイメイの温度差とシキョウの思わぬ独占欲っぽい面に人間味を感じた。 今編は数話構成にしたことでそれぞれまとまりができて順序立てて事件を追えるのも嬉しい。なるほどどうなる水妖 -- (名無しさん) 2014-11-04 21 58 14 1から読んでみたけど水妖がどうってのが半分でもう半分はシキョウとスイメイとその関係者の紹介みたいなお話。ちょっとした台詞の中にも大延国が詰まってる -- (名無しさん) 2014-11-05 13 35 51 加熱する二人のやりとりがなんとももどかしいむずがゆい。 思い切った分かり易い引きで次回読まずにいられない -- (名無しさん) 2014-11-07 01 00 11 名前 コメント すべてのコメントを見る -
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ゆたぼんの活動が大手メディアに取り上げられ、多く世間に認知され始めた当初から、「ゆたぼんは本当は学校に行きたいのに行かせてもらえず、一種の親の虐待を受けているのではないか」「ゆたぼんがロボットになるなと言っているが、ゆたぼんは操り人形で、親のロボットになっているのではないか」「親が子供をダシにして金稼ぎをしているのではないか」と多くの有名人をはじめ、問題視する人も少なくなかった。 当ページでは世間が指摘している、虐待疑惑について掲載する。 親の義務教育の放棄疑惑 数々の専門家等から「ゆたぼんは本当は学校に行きたいのに、行かせてもらえず、父親の中村幸也氏は教育をゆたぼんに受けさせる義務を放棄しているのではないか」と問題視されており、心理学者で家庭問題カウンセラーの山脇由貴子は、もし事実であれば児童虐待に相当し、児童相談所が介入・保護する対象になると述べていた。 また、弁護士の藤吉修崇は、子供を学校に通わせないことは、親として学校教育法に違反するとして「ゆたぼんの親が逮捕される可能性がある」と指摘している。 虐待の可能性が指摘されるYouTube動画 不登校に関する見解についての動画 ゆたぼんの「学校に行かなくていい」等、不登校に関する見解関連の発言は、父 幸也氏のTwitterのコメントと同じ内容であり、幸也氏に言わされている、幸也氏の操り人形・ロボットになっているのではないかとYouTuberのシバターをはじめ、多くの有名人などから指摘されている。また、前にアップした動画と全く同じ内容の動画を上げていることに関しても同様に指摘されている。 募金活動の動画 ゆたぼんが9歳の頃の2018年では、リアルポルカといった寄付アプリを使って募金活動を行っており、児童労働ではないかと批判が殺到している。また、2022年には「スタディ号で日本一周」のクラウドファンディングで支援のために多くの有名人に電話をかけて金銭要求をする動画も配信しており、こちらも児童労働の疑いが指摘されていた。 「路上でナンパ」「コンドームプレゼント」の動画 渋谷の路上でゆたぼんがナンパする行為やゆたぼんの12歳の誕生日プレゼントに、AV女優からコンドームをプレゼントされており、ゆたぼんは、嫌悪感を抱いているようで、さらにコンドームプレゼントの動画では、AV女優も引きつった表情を浮かべており、幸也氏の考案によるもので性的虐待ではないかと指摘されている。 卒業証書を破る動画 ゆたぼんが小学校を卒業した時に渡された卒業証書を破った動画をアップしていたが、証書を破って捨てたときに一瞬困惑した表情を浮かべており、虐待ではないかと疑う声が上がっていた。 ボクシング関連の動画でのゆたぼんの体重について ボクシング関連の動画で、当時中学生のゆたぼんの体重が32kgと痩せており、一般の中学生としては体重が低く、食事を十分に与えておらず栄養失調と疑う声があった。 日本一周の動画 大阪編では、支援者でバイクの指導者の下でゆたぼんがバイクを操縦し、バランスを崩して横転した動画では、撮影者である幸也氏が特に救助などしておらず、笑っているだけであり、ゆたぼんを見世物にしており、虐待に当たるのではないかと批判が寄せられている。 和歌山編では、ホテルでブランデーがかかったアイスをゆたぼんがスプーンでブランデーを掬って賞味していたが、ゆたぼんは酒であることを知っており、引きつっていた表情を浮かべていたことから、支援者にゆたぼんに味見をさせるよう指示を与えていた疑惑が持たれている。ゆたぼんは4歳の頃に急性巣状細菌性腎炎を患っており、腎臓を悪化しかねない行為でもあり、虐待に当たるのではないかと批判が殺到している。 その他虐待の可能性が疑われるTwitterなど アンチ煽りをやめようとする発言に対する幸也氏の反論 ゆたぼんがTwitterで「アンチの言うことも大事」と路線変更を仄めかすツイートを行うも、「アンチの言うことは聞かないほうがいい」と返信し、ゆたぼんの成長を阻害するようなものと捉えかねないものであった。また、スタディ号で100万円支援があったとき「アンチを煽ることはもうしない」とゆたぼんが発言していたが、再びアンチを煽る発言を行っており、幸也氏がゆたぼんのキャラクター路線を変更させないように強要していた可能性が考えられる。ゆたぼんの路線変更を仄めかす内容とされるが、アンチを敵視する言動を行っており、幸也氏からキャラクターを変えないように強要していた可能性が考えられやすい。 ゆたぼんの直筆 ゆたぼんが書いた色紙のサインは、字が汚く、スタディ号のデザインで描かれた日本列島の絵は四国と九州が繋がっているフニャフニャでかなり適当なもので、まともな教育を受けさせていないものとみなされるものであった。 言論統制疑惑 日本一周の期間中でゆたぼんのTwitterはアンチを煽るものばかりであるが、実際には幸也氏のコメントのものであり、隠れ蓑としてゆたぼんのアカウントを使って書き込んだ、あるいはTwitterの投稿をゆたぼんに強要していた可能性が指摘されている。 車中泊について ゆたぼんはスタディ号内で車中泊をしているが、エアコンなどの空調設備が一切設置されておらず、熱中症のリスクが高まる劣悪な環境のため、児童虐待ではないかと専門家が指摘している。 日本一周でのゆたぼんの食事について スタディ号で日本一周中にゆたぼんが各地の高級料理を堪能し、ゆたぼんの身体が肥満になっていること、高級料理以外はカップラーメンなどの質素な食事であり、バランスの取れた食事を与えていないのではないかと指摘されている。 ゆたぼんに撮影指示 ネットニュースでゆたぼんが父親から「ここで撮影する。ここで喋れ」と指示されているという目撃証言がある。 ゆたぼんに暴言を吐いた疑惑 とある入浴施設前の駐車場に停車しているスタディ号内で「だからテメェはダメなんだよぉ!」と罵声が聞こえてたという証言がTwitterで載せられており、幸也氏がゆたぼんに罵声を浴びせて八つ当たりをしているのではないかと疑惑の声が寄せられている。この他にも千葉県に訪れた時には千葉市内で見えない場所で幸也氏がゆたぼんに「テメェが稼がねぇからだろ!」などと罵声を浴びせていたなど数々の目撃証言がTwitter上で報告されていた。 募金活動 スタディ号で日本一周の中で、PayPayのQRコードで募金活動をさせていたり、日本一周の資金不足のため続行不可能となり、ゆたぼんがスーパーチャットで金銭要求を行うことが、児童労働にあたると批判が殺到している。
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データ町の外 町-中央通り 町-北東部 町-南東部 町-北西部 町-遊郭 真鹿城 仲間凛 才蔵 剛毅 データ ※攻撃力()は妖刀Lv.MAX(+444)装備時のもの ※緑字は、二十人以上斬った状態で町に入ると出現する人々 町の外 計7人(除・田吾作) 所在 名前 タイトル ステータス 所持品 備考 Lv 体 気 攻 防 特技 滝 田吾作 百姓 10 55 20 (466) 23 - - 墓地→自宅 大造 おじいさん 12 65 24 (469) 39 ツバメ返し にぎりめし 峠道 きよ 僧侶 9 50 18 (465) 35 瞑想 数珠 峠→自宅 のり おかみさん 8 45 16 (463) 26 往復びんた 三色団子 峠→自宅 きぬ おかみさん 9 50 18 (465) 30 往復びんた みたらし団子 峠 ほたる 茶屋の娘 7 40 14 (462) 28 - 320文 ※1 神社 最海 僧侶 14 75 28 (472) 37 瞑想 数珠 神社 弥生 巫女 30 140 100 () 62 祈祷 ※2 ※1 戦いを仕掛けて逃げると一回だけ串団子をくれる。体を替えればまたくれる。 ※2 ?後、神社に戻る 町-中央通り 計5人 所在 名前 タイトル ステータス 所持品 備考 Lv 体 気 攻 防 特技 由良介 侍 12 65 24 (469) 38 上段の構え 下段の構え - 瓦版じい おじいさん 12 65 24 (469) 48 - 印籠 千代 おばあさん 3 35 12 (460) 29 - - はる 音楽家 8 45 16 (463) 29 鼓舞 - 新之助 役人 18 95 36 (484) 44 片手平突き - 町-北東部 計9人 所在 名前 タイトル ステータス 所持品 備考 Lv 体 気 攻 防 特技 屋外 右京 ゴロツキ 14 75 28 (472) 52 拳打 - 屋外→酒場 ゆき うぇいとれす 9 50 18 (465) 26 営業すまいる ★かんざし 屋外 武彦 百姓 9 50 18 (465) 22 振りおろし 鍬 屋外→ かすみ 町娘 7 40 14 (462) 25 - 40文 屋外 ごん太 商人 8 45 16 (463) 27 - 500文 よろず屋 りょう よろず屋店主 20 105 40 (481) 39 滅多切り 460文 兄弟の家 もも 女の子 4 25 8 (457) 17 ぶちまける ★こけし 心太 男の子 6 35 12 (460) 20 - - 屋外 幾多郎 役人 17 90 34 (477) 36 居合斬り 十手 町-南東部 計13人 所在 名前 タイトル ステータス 所持品 備考 Lv 体 気 攻 防 特技 屋外 士郎 侍 15 80 30 (474) 41 上段の構え 下段の構え - 屋外 六助 謎の男 23 120 46 (486) 61 呪怨 瞑想 - ※ 弥太郎 スリ 7 40 14 18 26 盗む 300文 酒場 剛毅 槍使い 30 252 60 () 49 気合い 拳打 宝物蔵の鍵 酒場 平八 商人 9 50 18 (465) 28 - 400文 酒場→北西部屋外 頓兵衛 百姓 10 55 20 (466) 23 振りおろし - 酒場→峠道 小次郎 侍 13 70 26 (471) 39 上段の構え 下段の構え - 酒場→北東部屋外 十兵衛 侍 14 75 28 (472) 41 上段の構え 下段の構え 魚の骨(酒場で斬った場合) 酒場→城1F客間 吉衛門 家老 15 80 30 (474) 47 ツバメ返し 扇子(酒場で斬った場合) 湯屋 たゑ 高座 12 65 24 (469) 35 - - 湯屋 ひで おじいさん 5 30 10 (459) 31 - - 湯屋→自宅 あかね 町娘 8 45 16 (463) 26 - 手ぬぐい(自宅で斬った場合) 屋外 徳太郎 役人 17 90 34 (483) 43 片手平突き - ※100文以上持った状態で酒場の入口前に立つと現れる。追いかけて追いつめて乗り移ったり殺したり。 町-北西部 計10人 所在 名前 タイトル ステータス 所持品 備考 Lv 体 気 攻 防 特技 屋外 佐助 侍 15 80 30 (474) 42 上段の構え 下段の構え - 屋外→自宅 みつ おかみさん 6 35 12 (460) 24 往復びんた 80文 屋外 見世物屋 虚無僧 14 75 28 (472) 47 怪しい尺八 瞑想 柿 屋外 賀介 ゴロツキ 13 70 26 (471) 51 拳打 瓢箪 長屋 左近 ゴロツキ 13 70 26 (471) 51 拳打 煙管 一軒家 亀次郎 おじいさん 5 30 10 (459) 31 - - つる おばあさん 4 25 8 (457) 22 - - 一軒家 勘太 百姓 11 60 22 (468) 24 振りおろし にぎりめし 屋外 遊左衛門 役人 19 100 338 (480) 38 居合斬り 十手 屋外 喜一 役人 16 85 32 (481) 42 片手平突き - 町-遊郭 計10人 所在 名前 タイトル ステータス 所持品 備考 Lv 体 気 攻 防 特技 屋外 昌 侍 14 75 28 (472) 41 上段の構え 下段の構え にぎりめし 川 勇之進 商人 8 45 16 (463) 27 - 200文 遊郭1F 金造 商人 8 45 16 (463) 35 - 招き猫 遊郭2F 清助 家老 13 70 26 (471) 45 - - さくら 禿 5 30 10 (459) 19 - - 朝雲 遊女 8 45 16 (763) 7 誘惑 小町紅 夕霧 遊女 7 40 14 (462) 6 誘惑 小町紅 紫 遊女 6 35 12 (460) 5 誘惑 奥の間の鍵 由美 遊女 8 45 16 (463) 35 誘惑 - 屋外 九郎 役人 17 90 34 (477) 36 居合斬り 十手 真鹿城 計26人(除・殿) 所在 名前 タイトル ステータス 所持品 備考 Lv 体 気 攻 防 特技 城門 五右衛門 役人 18 95 36 (478) 37 居合斬り 提灯 玄関 凛 剣士 30 155 60 76 46 見切り 唐竹割り 牢獄の鍵 1F廊下 正光 武者 17 90 34 (477) 89 上段の構え 下段の構え - 大輔 武者 18 95 36 (478) 90 上段の構え 下段の構え - 伝次郎 武者 16 85 32 (475) 88 上段の構え 下段の構え - 源三郎 武者 18 95 36 (478) 90 上段の構え 下段の構え - 甚五郎 武者 17 90 34 (477)89 上段の構え 下段の構え - はな 武者 15 80 30 (474) 87 上段の構え 下段の構え - 書庫 小夜 おばあさん 14 75 28 (472) 36 連続突き - 家老の間 春明 家老 14 75 28 (472) 46 ツバメ返し - 彦麻呂 家老 16 85 32 (475) 47 - 扇子 時家 家老 15 80 30 (474) 46 - - 裏庭 道経 僧侶 16 85 32 (475) 36 瞑想 数珠 宝物庫 薫 くノ一 25 130 50 (489) 55 影縫い 鎌鼬 ★紅苦無 腰元の間 たけ 腰元 7 40 14 (462) 29 - 腰元のおび うめ 腰元 6 35 12 (460) 28 - 腰元のおび 牢獄前 茂吉 おじいさん 18 95 36 (478) 46 連続突き - 牢獄 うめ 腰元 7 40 14 (462) 29 - 腰元のおび 法蓮 僧侶 15 80 30 (474) 43 瞑想 数珠 静 奥方 18 95 36 46 36 堅牢の構え 祈祷 紙切れ 2F廊下 竹蔵 武者 16 85 32 (475) 88 上段の構え 下段の構え - 義勝 武者 18 95 36 (478) 90 上段の構え 下段の構え - 屋根裏 影丸 忍者 20 105 40 (481) 50 手裏剣 兵糧丸 鬼丸 忍者 20 105 40 (481) 50 手裏剣 巻物 ハヤテ 忍者 19 100 38 (480) 49 手裏剣 - 寝てる 才蔵 忍者 30 180 60 70 59 火遁 まどろみの術 殿 城主 25 130 50 57 - 仲間 二十人以上(?)斬ってしまうと、仲間にできない 仲間が加わると、以後辻斬りはできなくなる 名前 タイトル ステータス 所持品 備考 Lv 体 気 攻 防 特技 凛 剣士 30 155 60 76 46 見切り 唐竹割り 牢獄の鍵 才蔵 忍者 30 180 60 70 59 火遁 まどろみの術 剛毅 槍使い 30 252 60 88 49 気合い 拳打 宝物蔵の鍵 凛 方法1 剛毅を仲間にして、殿の間の前にいる凛に話しかける 方法2 排水溝から城に潜入して落とし穴から牢獄に落ち、凛に乗り移らずにポチを倒して静を救出 方法3 剛毅をつれて牢獄の静を救出 才蔵 方法1 静から「紙切れ」を入手し、静の部屋から屋根裏に侵入。殿の部屋を覗き見た後、戦闘で逃走。 方法2 排水溝から城に潜入して才蔵を一時的に仲間にし、彼について屋根裏を渡りきる。 真鹿城屋根裏 ← ← ← ↑ ← ← ← ↑ ← ↓ ↑ ← ← ← ← ← ↑ ↓ ↑ ← ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ → ← ← ↓ ↑ → → ↓ → → ↑ ← ↓ ↑ ← ← ← ← ↑ ↓ ↑ ↓ ← ← ↓ ← ↑ ↓ ↑ ↓ → → → ← ← ← ↑ ↓ → ← ← ↑ ↓ → → ← ← ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ← ← ← ↓ ← ← ← ← ↓ ← ← ← ← ↓ 剛毅 方法1 牢獄の静を救出して城を出る 方法2 酒場にいる剛毅と戦い、ワインを投げつける
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【一日目・9時30分/日本・神奈川の商店街】 【キャプテン・マーベラス@海賊戦隊ゴーカイジャー】 【状態】健康 【装備】モバイレーツ@海賊戦隊ゴーカイジャー、ゴーカイサーベル@海賊戦隊ゴーカイジャー 【道具】支給品一式、レンジャーキー(ゴーカイレッド、たこやきマントマン・レッド、ウェザーレッド、アイ・カミカゼ) 【思考】 基本:仲間と合流して主催を倒し、宇宙最高のお宝を手に入れる 1:倒れている人たちからお宝の情報とルカの家族を聞き出す 2:情報を集め終わったら大樹達と合流する。 3:ラハールを連れていくかどうかはまだ未定 【巡音ルカ@VOCALOID】 【状態】健康 【装備】ヴァッシュの銃@トライガン 【道具】支給品一式 【思考】 基本:家族を助けたい 1:マーベラスを手伝い、倒れている人たちから情報を集める 2:情報を集め終わったらラハールにキャプテン・マーベラス達についていくように提案する ※8期までのルカとは何も関係ありません。 ※人間です。 ※他の支給品はレンジャーキー(@海賊戦隊ゴーカイジャー)でした。 他に支給品無いって書いて無かったからいいよね 【一日目・9時30分/日本・神奈川の街中】 【海東大樹@仮面ライダーディケイド】 【状態】健康 【装備】ディエンドライバー@仮面ライダーディケイド 【道具】支給品一式 【思考】 基本:宇宙最高のお宝を手に入れる。 殺し合いには乗らない 1:ラハールと一緒に街からお宝を物色する 2:その後マーベラス達と合流 【ラハール@魔界戦記ディスガイアシリーズ】 【状態】健康 【装備】秘剣カブラステギ@風来のシレンシリーズ 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考】 基本:主催者をぶっ殺して魔界に帰る 1:海東大樹と一緒に街からお助け料を徴収する 2:その後マーベラス達と合流 3:ルカが着いてくるのは構わん、だがムチムチした女は苦手だ! 4:知り合いも一応探してやる。 【一日目・9時30分/日本・神奈川県付近】 【ロム・ストール@マシンロボ クロノスの大逆襲】 【状態】健康 【装備】不明 【道具】支給品一式、不明支給品(0~1) 【思考】 1:ロワに蔓延る悪を倒す ※支給品の一つはゴーカイサーベル(@海賊戦隊ゴーカイジャー)でした。 【モヒカンA@北斗の拳 成敗確認】 【モヒカンB@北斗の拳 成敗確認】 【エリート兵@スーパーロボット大戦F完結編 成敗確認】 死因:天空宙心拳による撲殺 「えぇ~?もう敵のボス倒しちゃったの!?」 というわけで今回もまた話に絡めず目立てなかったあかりであった。 頑張れ!負けるな!あっかりん!! 「今度こそは悪党倒して目立つんだから!」 【一日目・9時30分/日本・神奈川県付近】 【赤座あかり@ゆるゆり】 【状態】健康 【装備】なし 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考】 1:主人公相応に目立ちたい 【Tバック男爵@クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王 死亡確認】 【ジェイル・スカリエッティ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】 【レオモン@デジモンクロスウォーズ 死亡確認】 死因:不明だがあっかりんの手によるものであることは確か 【ハイグレ魔王@クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王 死亡確認】 死因:とどめがラハールの魔王玉だから直接の殺害者はラハールってことで。 「都知事にアグ○スにネオ・アルカディア、そしてハイグレ魔王・・・・・・結局はこの程度か」 名簿にボールペンを走らせて名前に横線を引いていく。 バトルロワイアルにて援助を行っていた組織の名前を記した物だ。 今呟いた組織以外にも多くの組織が存在していたが、それらも前述同様潰されている。 「たっく結局あいつら何もできないじゃねえか」 黒服の男が椅子に踏ん反り返りながらため息を吐いた。 偉そうにしているがこの男自身の地位はそれほどでもない。 もっともこのバトルロワイアルに置いてはある意味絶対的な立場にいるとは言えるが。 「しゃあねえだろ、参加者が化け物揃いなんんだから」 男の後ろに別の黒服の通りすがり、自分の席に着席する。 彼ら以外にも黒服を着た男達が自分のディスクに座ってモニターと睨めっこをしている。 帝愛グループ、それが彼らが所属する組織の名前だ。 「まあそりゃそうだけどよぉ・・・・・・あいつら一体何処から連れてきたんだよ?」 男が疑問に思うのも無理はない。 バトルロワイアルを盛り上げるためにといくつかの組織に援助を行っていたが、 それらは一瞬にして次々と崩壊していった。 いずれも小国以上の軍事力を持った組織であるにも関わらずだ。 「なんか異様に強かったり空飛んだり変身したりそもそも人間じゃなかったりどうやって捕まえたってんだ」 倒した勢力が同程度の集団ならまだいいし、黒服の常識からしてもそれ以外は考えられなかった。 ところが対抗戦力はレジスタンスと呼ぶのすら躊躇われるほどの少人数、むしろ単独の参加者だったのである。 銃より早く剣を振るって一騎当千を平然と行う人間など、黒服は知らない。 戦車砲を耐えて玩具で軍を壊滅させる人間など、黒服は知らない。 人間を遥かに超える巨躯を持って豪腕を振るう生物など、太古の恐竜以外には考えられない。 別にこの混沌たる世界ならばいてもおかしくはないとは思っている。 今更宇宙人を見たところで特に何の感傷も抱くことは無い。 ただ、何故彼らが首輪をつけて飼い慣らされてしまうのか、黒服にはそれが理解できなかった。 「そんなこと気にしたって仕方ないだろ。 俺達は兵藤様の命令に従って動くだけだ。 それともお前もあの中に混ざりたいのか?」 「冗談じゃない」 参加者達が映るモニターを指差され、椅子にもたれ掛っていた黒服は強く首を振って否定する。 帝愛グループが何故こんな催しをしなければならないのか、いやできるのかを考えた人間は他にもいた。 金儲けを目的とする悪徳企業がどうしてこんな金にもならないことを始めるのか。 趣味の悪い富豪達への見世物にするのかと思えば、彼らも参加者として会場内に放り込まれている。 悩んでいるド壺に嵌ったのか、上に直接問い合わせに行く者さえいた。 好奇心は身を滅ぼすとはよく言ったもので、あの時に上役の部屋の扉を叩いた男はまだ戻ってきていない。 一瞬彼によく似た顔をモニターで見かけたのは気のせいとは思えない。 「じゃあとっとと働け」 「へいへい」 「それと先ほど聞いた話だが、もう他の組織に加担はしないそうだ」 「こんだけ潰されちゃ無理はないからな・・・・・・さて仕事仕事」 愚痴ってた黒服は姿勢を整え、他の黒服同様モニターと睨めっこを始める。 感情を押し殺すのは慣れているのだ。 役員となった以上は黙って働くだけ。 生き残りたければ余計なことを考えるな。 昔から続いていた暗黙の掟は今になっても変わらない。 バトルロワイアル一日目、今日も彼らは機械のように仕事に没頭するだけだ。 【一日目・9時30分/???・主催者本部】 【黒服達@逆境無頼カイジ破戒録】 【共通思考】 1:バトルロワイアルを運営する ※もう別の組織を援助するつもりはないようです。 もし次に組織が出てきても主催とはなんの関係もありません。 P.S 黒幕の機嫌によってもしかしたら変わるかも知れない。
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眞一郎と比呂美、それに朋与が教室に戻ってきたのは昼休み終了直前である。 そして、戻ってくるまでに、食堂での「事件」は既に先行して広まっていた。 「おい、眞一郎。どこ行ってたんだよ?」 「どこって・・・・比呂美のところだよ。謝って来いって言ったのお前じゃないか」 「食堂の話、お前らより先に教室に入って来たぞ」 「な!?どんな話だよ?」 「昨夜湯浅が寝言で4番の名前言って、それでお前が嫉妬して、挙句湯浅が逆ギレした ことになってる」 眞一郎の口が四角く開かれ、そのままの形で教室を見渡した。目の合った同級生が ことごとく顔を背ける。 「なんだ・・・・それは」 やっと言葉を吐き出した。 食堂を出た後、体育館に入った比呂美を追ったが、朋与に 「謝るにしても作戦を練り直して」 と追い返され、行き場もなく地べたの小屋に向かったのだった。 これで乃絵に出くわしたら最悪だな、とも思ったが、幸いこの雨では乃絵も来てはいなく て、そこで時間を潰していたのだった。 「とにかくだ。この昼休みでお前らの痴話喧嘩は恐らく学校中に広まった。みんな第二ラ ウンドがいつ始まるかを楽しみに待ってる。校内で2人っきりで話すチャンスはもうないぞ」 眞一郎はもう一度教室を見渡した。自分を見るものもいれば、比呂美をチラチラと見て いる者もいた。比呂美は完全無視だった。 眞一郎は自分の行動を激しく後悔した。比呂美と4番の事は、1年半前には校内最大の スキャンダルだったのだ。当時を知るものはもう3年生だけになっているが、今4番の名前 が出るというのは、少なくとも3年生にとっては格好のゴシップだ。 「なんてこった」 「早めに仲直りしろ。噂を消すにはそれしかない」 「だからどうやって――」 「それがわかりゃもう教えてる」 教師が入ってきて、そこで話は中断された。 朋与は授業が終わると、 「はぁ~」 と大きく息を吐いて突っ伏した。空気に耐えられない。 教室に戻ってすぐ、雰囲気のおかしさには気付いた。 授業中に聞こえるヒソヒソとした会話から内容は察した。 全く冗談じゃない、と毒づく。 比呂美は一見何事もないかのように平然としている。平気なはずはないのだ。1年生の 時だって気丈に振舞いながら、その実ギリギリのところで辛うじてバランスを保っている 状態だった。 (全くなにやってるのよ、仲上君は) 朋与の怒りの矛先は親友の恋人に向けられる。 思えば1年の時だって、比呂美がおかしくなっていったのは眞一郎が石動乃絵と接近し てからだった。何故好きな男を4番などと嘘をついたのかは今もって不明だが、少なくとも 眞一郎がはっきりした態度を取っていれば、それほどややこしい話にはならなかったはずだ。 (今日だって、仲上君がもっと気をつけてれば、こんな事にならなかったのに) 親友を悲しませる存在に対して、朋与はどこまでも厳しい。 そのギリギリの比呂美が心の支えにしたのもまた、眞一郎への想いなのだが、それと ても朋与に言わせれば 「比呂美が想っていたのであって、仲上君が直接支えたわけじゃない」 のである。 「朋与、部活行こっ」 比呂美が声をかけてきた。雰囲気はいつもとそれほど変わらない。 しかし、朋与は 「比呂美、どうしたの?顔色悪いじゃない」 「え?別に、どこも悪くないけど」 「自覚してないの?それは尚更悪いわ。今日はバスケ休み。練習は私に任せて今日は 帰りなさい、ね」 「大丈夫だよ、私、どこも――」 「駄目、主将命令。今日は帰る。いい?」 「・・・・・・」 「一人で帰れる?誰か付き添ってもらった方がいいかな・・・・」 そう言いながら朋与は周りを見回した。三代吉と目が合う。 「眞一郎、お前もう何もないだろ、送っていってやれよ」 アイコンタクトによる絶妙な連係。今度は眞一郎が慌てる。 「ちょっ、俺は――」 「お・く・っ・て・い・く・よ・な?」 「は、はい」 三代吉に凄まれ、眞一郎が思わず返事をする。 「いいよ、一人で帰れるよ」 「よかったぁー!それじゃあ仲上君荷物もお願いね。家まで送ってあげて」 比呂美の抗議を無視して眞一郎に比呂美のカバンを渡す。渡す瞬間小声で 「これで上手くやりなさいよ」 と脅す事も忘れない。 半ば強引に2人を教室から追い出すと、朋与と三代吉は入り口から教室に振り向いた。 そしてさっきまでとはまるで別の、お互い親友にも、恋人にも見せない顔貌を見せ、 「あ゛ぁ!?見世物じゃねえそゴラ」 と一喝した。 帰り道、2人は会話を交わさなかった。 眞一郎は朋与に押し付けられた比呂美のカバンを、そのまま持ち運んでいる。比呂美も 自分の荷物を取り返そうとはせず、そして眞一郎から離れようともせず、隣に並んで歩いていた。 なにか言わなければならないことは2人ともわかっていた。しかし、眞一郎は比呂美を怒 らせることなく謝る言葉がまだ見つからず、比呂美は思いと逆の言葉が口を突くことへの 警戒から無口なままだった。 もう最後の信号だった。これを渡ればアパートはすぐそこだ。もう時間がなかった。 「昨日、眠れた?」 なにか言わなきゃ、と眞一郎が訊いたのがこれだった。 「眠れたよ」 比呂美が前を向いたまま答えた。 「・・・・そうか、よかった」 「あの程度で眠れなくなるなんてこと、ないよ」 嘘である。ほとんど寝てはいなかった。 「比呂美、4番の事・・・・疑ってた訳じゃないんだ。ただ、・・・・その――」 「わかってるよ」 「え?」 「先につまんないやきもち妬いたの、私だもん。眞一郎くんは弾みで言い返してきただけ。そう でしょ?」 「いや・・・・弾み、て言うか・・・・」 「そういう時って自分でも驚くようなこと言っちゃうのよね。なんでそんな事言っちゃうんだろうって 感じ。私もよくあるから」 「比呂美・・・・その・・・・」 「そういう時に、自分の気付いてない気持ちに気がついたりもするのよね」 「違う!それは違う、比呂美!」 「ありがとう、ここでもう大丈夫」 いつの間にか部屋の前に着いていた。比呂美は眞一郎の手から荷物を取り返すと、玄関に立った。 「それじゃあ、また明日ね」 「比呂美、もう少しだけ――」 「ごめんなさい」 比呂美は少し悲しげに微笑んだ。 「今は、これ以上話して、嫌な女の子になりたくない」 そう言って、ドアを閉めた。 ドラマや映画なら靴をドアに間に差し込んででも、強引に話を続けただろう。 しかし、眞一郎はそんな強引さも、そして話を続ければわかってもらえるという自信もなかった。 眞一郎はアパートを後にした。比呂美が泣いているだろうという予感を、必死に払いのけていた。 続 ノート 終わらなかった。 本当は帰り途、迷子の子供と出会って、一緒に親を探してるうちに昔を思い出して・・・・で仲直りさせようと思ってたんです。それなのに、前編で眞一郎が騒ぎを大きくしてくれたおかげで、それで収まらなくなってしまった。比呂美も得意の自爆技「相手の話を遮って、わかってるようで誤解したまま」発動です。なんとかしないと・・・・。 僕の文体についてですが、・・・・と――を併用していますが、・・・・は沈黙、――は話を続けようとして割り込まれる時に使っています。必然的に比呂美の相手は――が多くなります。 朋与はアニメのスタンスを崩さずに書こうとするとプラトニックな百合が一番書きやすいねw
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登録日:2011/02/26(土) 20 47 31 更新日:2023/09/30 Sat 20 17 08NEW! 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 20世紀最大の魔術師 アレイスター・クロウリー クロウリー サディスト ペテン師 マスターテリオンの元ネタ マゾヒスト 世界最大の悪人 変人 学園都市統括理事長←ではない 東洋通 登山家 神秘家 詩人 ここで説明する彼は実在の人物であって、窓のないビルで液体漬けになってる学園都市統括理事長ではないし、エクソシストな吸血鬼でもない。 汝の意志するところを行え。これこそ<法>のすべてとならん Aleister Crowley 魔法名 Perdurabo (ペルデュラボー) (0°=0□, G∴D∴およびA∴A∴) - ラテン語で「われ耐え忍ばん」 ΟΥ ΜΗ (オミクロン・ユプシロン ミュー・エータ) (7°=4□, A∴A∴) Vi Veri Vniversum Vivus Vici (8°=3□, A∴A∴) - ラテン語で「われ、真理の力もて生きながらに宇宙を征服せり」 To Mega Therion (ト・メガ・セリオン) 〔Τ Μεγα Θηρον (ト・メガ・テーリオン)〕 (9°=2□, A∴A∴) - ギリシア語で「大いなる獣」。 Baphomet (バフォメット) (X°, MMM およびO.T.O.) 変人(サディストかつマゾヒスト、しかも世渡りベタで悪口大好き)だが、20世紀最大の魔術師にして登山家・詩人・世界最大の悪人・東洋通・ペテン師・神秘家。 魔術師エリファス・レヴィの生まれ変わりを自称していた。 《略歴》 1875年10月12日にイングランドのビール酒造業者の家(つまりボンボン)に生まれ、エドワード・アレグザンダー・クロウリーと名づけられる。 1885年に寄宿学校に入れられるが、厳格なキリスト教教育に反発して退学。このことを切っ掛けにオカルトを志向するようになる。 1887年、父死亡。多額の遺産を相続し、以後は遺産のみで生活する。 1898年、大学卒業間際に黄金の夜明け団に入団。たちまちに頭角をあらわして「不滅の人」の称号を得るが、教団を分裂させる。 1900年6月、団内のいざこざに便乗して脱退。 世界一周の旅に出る。アメリカ→メキシコ→ハワイ→日本→香港と流れてセイロンにたどりつき、仏教徒になる。 1902年、ヒマラヤ山脈のK2(世界で二番目に高い山)登頂に挑戦。失敗に終わるが、記録を塗り替える。 1904年、結婚。世界一周ハネムーンで訪れたエジプトで、 クロウリーの守護天使にして《秘密の首領》アイワスが口述したとされる霊界通信文書「法の書」The Book of the Lawを授かる。 これが《テレマ主義》の元になる。 1905年、ヒマラヤのカンチェンジュンガ遠征。世界初の本格的挑戦をするも、雪崩によって4名が死亡、失敗に終わる。 1907年、「獣666」を名乗り、神秘主義結社・銀の星(A∴A∴)を開設。 団員は、彼と分析化学者で錬金術の研究も行っていたG.C.ジョーンズのみ。 1920年、アラスター・ド・ケルヴェルと名乗り、<エイワス教団>を結成。 シシリー島のチェルファーにテレーム僧院と名付けた祭儀場を設け、ここで麻薬やセックスを応用した儀式を行っていたが、 ある男性信者がジステンパーにかかった猫の血を飲み、感染・死亡したため、1924年にムッソリーニ政権に国外退去を命じられる。 このことから「世界最大の悪人」というイメージが定着する。 1947年12月1日 - イギリスの片田舎で72歳で死去。死因は心筋退化及び慢性気管支炎。 最後まで残った弟子達によって異教式の葬儀が執り行われたが、これは一大スキャンダルにまで発展した。 このとき、当時の法務大臣は「大英帝国の全史を通じ最も下劣かつ倒錯した人物の死」と評している。 《その他》 クロウリーの魔術は”MAGICK”と書かれる。その理由は、それまでの「見世物」や盲信、トリック、錯覚を利用した「魔術=magic」 と、純粋に心理的であり「不可視だが存在する力、精神的、学的」な「魔術」を区別するため。 クロウリーの別荘のボレスキンハウスはジミー・ペイジが買い取った事でも知られているが、いつの間にかジミー・ペイジの手を離れて今はホテルになっているんだとか。 ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のアルバムジャケットの、上の左から2番目の人物が、実はクロウリー。 「トートタロット」の制作者としても知られている。 クロウリーは一般で信じられているような悪魔崇拝者ではなく、むしろ反キリストの悪魔崇拝は「結局キリスト教の補完でしかない」と断言している。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] いろいろ批判あったけど、最後まで誓った事を貫いたすごい人。 -- 名無しさん (2013-08-07 21 28 45) 実在したということを初めて知ったぜ!!! -- ジョニィ (2013-08-07 22 14 11) まぁ自分を貫いたと言えなくも無かろうが、実態は親の遺産食い潰しただけだからな… -- 名無しさん (2013-11-28 12 14 43) エクソシストの吸血鬼の方は孫だな -- 名無しさん (2014-08-28 22 21 33) 真・女神転生2でも登場。マスターテリオンになるけど、速攻で蹴散らされる。 -- 名無しさん (2014-10-04 22 56 42) イギリスの麻原彰晃 -- 名無しさん (2017-04-08 11 06 05) ↑ 別に世界征服・国家転覆を狙ったわけではないし、テロや大虐殺を起こしたわけでもないからその評価はクロウリーに失礼 -- 名無しさん (2017-04-08 12 19 06) 中世とかその辺の人と思ってたけど意外と最近の人だった -- 名無しさん (2017-08-12 00 27 07) イギリス人はほんとオカルト好きだな。日本も人のこといえん、島国はオカルト好みになる土壌でもあるんか -- 名無しさん (2018-07-11 11 21 03) 悪魔召喚合戦もしたって聞いたことある。奥さんが悪魔に取り憑かれた男に襲われたから報復として…本当かどうかわからんけど、意外と奥さんのこと大事にしてたのかもしれない -- 名無しさん (2019-06-17 12 04 53) モモタロス頭に浮かべながらこの人見てたら爆笑した -- 名無しさん (2019-06-17 12 10 22) ↑とあると間違えて誤爆した -- 名無しさん (2019-07-05 15 56 17) 遊戯王のペガサスもこの人がモデルらしい -- 名無しさん (2020-01-28 00 48 15) 厨ニ病を生涯こじらせ続けた痛い男。だから厨ニ病は中学生の内に治しておけとあれ程…… -- 名無しさん (2020-02-26 14 58 56) ジョディという孫がいた話が…… -- 名無しさん (2021-06-10 13 19 48) ↑3 さらにこの人をモチーフにしたカードまで出る始末…しかも強い! -- 名無しさん (2021-06-10 14 07 23) 創作だとこの人を元にしたキャラはちょくちょく出る、カードキャプターさくらのクロウリードとか幻想水滸伝のクロウリーとか遊戯王だと召喚師アレイスターとかもか -- 名無しさん (2022-02-06 16 13 07) 「多額の遺産を相続し、以後は遺産のみで生活する。」…羨ましい -- 名無しさん (2022-02-06 16 49 02) 名前 コメント
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「あー……やるもんじゃねぇですわ」 育ちの悪いチンピラが口にするようなガラの悪い言葉と、徹底したマナーや情操教育を幾年も施した人物が口に出せるような丁寧な言葉が入り混じった、非常に違和感のある言葉を、その女性は呟いた。 大輪を咲かせる赤牡丹が花を開いていると、遠目からその姿を見た者は錯覚するであろう。 見事なまでに緋色に染まったその長髪が、紅い牡丹のイメージを見る者に与えるのかも知れない。 しかし近付けば解るだろう。彼女の髪は、東の空に沈みゆく太陽に追従するかの如く染まって行く茜色の空よりもなお紅く、そして、美しい事に。 だがそれよりも目を引くのは、血管に流れる血液が透けて見えんばかりに白く透明感のある肌と、男を誘惑する為だけに神が定規と鑿を取り出して自ら作り上げたような、 豊満な胸部と括れた腰、魅惑的な弧を描く臀部であろう。少し栄えた市井を歩けば、男は勿論の事、女性ですら彼女の方に目線を投げ掛けよう。 それ程までに、彼女は完成されていた。世の女性が凡そ意識し、理想とする、美しいプロポーション、その究極系。人界における、人間の女が目指すべき、女性美の答えの一つ。これらを彼女は、神/魔王から与えられていた。 何を身に纏っても、その美は褪せないだろう。 奴隷や乞食が身に纏うような襤褸切れですら、この美の前では、劣情を催させるファクターの一つにしかなり得ない。 そんな、何を着ても間違いはないとすら言える美と身体の持ち主であると言うのに、この女性――紅葉と呼ばれるこの女は、何もその総身に付けていなかった。 生まれたままの姿を、彼女は白日の下に、恥ずかしげもなく晒していた。陽の光を浴びる紅葉の肌は、それ自体が淡く輝いているかのように、陽光を薄らと跳ね返していた。 紅葉の今いる場所は、美を誇示するような場所ではとてもない。 舞楽を披露する高舞台の上でもなければ、色気だけをひけらかす事を目的とした踊りを見せ付ける為の品の無いお立ち台ですらない。 冬木市は深山町の、何処にでもある極々普通の市民公園。その中央で、彼女は裸身を披露していた。 厳密に言えば、何も無い所で裸になっている訳ではない。正確に言えば、水飲み台の近くで、あられもない姿をしていると言った方が正しい。 上向きに水が飛び出る水栓から水を飛び出させ、その水で紅葉は身体を洗っていたのだ。そう、彼女は汚れていた。 妖怪変化の見世物小屋となっていた、無人の武家屋敷。其処での戦いを経て身体中に付着した血液を、彼女は公園の水で洗い流していたのである。 其処での戦いを経た紅葉の身体は、紅く汚れていた。 別に、血液で体中が汚れる事に対して忌避感を覚える程、紅葉は箱入り娘ではない。 それ所か生前は行く先の山々で山賊や妖怪共をこの手で八つ裂きにし、その度に総身を血や臓物で塗れさせていたものだ 犬の血や蛇の体液で身体が汚れる事など、何を今更と言った話である。が、それはあくまでも直に洗い落とるのなら、の場合だ。 身体を血でいつまでも汚れさせて、平然としている程紅葉は身だしなみに無頓着な訳ではない。一時的に身体が血で汚れるのなら兎も角、永続的には御免なのだ。 彼女が生きていた時も、戦いで汚れた後は手ごろな清流で身体の汚れを自ら、或いは配下の妖怪や鬼達に落とさせていた。 要は、近くに水浴びが出来る程の、手ごろな水源がある時に限り、そう言った身体を血で汚す戦い方をしていたのだ。 そして昔、つまり千年以上前の日本には、そんな水源が沢山あった。そんな感覚で戦ったせいで、こんな所で汚れ落としをせざるを得なくなった。 ちょっと車を走らせた所に山間や森林が存在する冬木の街ではあるが、此処は日本全体の都市で見れば十分都会に位置する所である。 紅葉が生きていた時代の日本のように、少し歩いた所に川が、と言う訳には行かないのだ。況して今彼女がいる所は、住宅街の真っ只中。猶更ある訳がないのであった。 血と言うのは直に乾く。全身に引っ付いた、パリパリに乾燥し始めた血液がとても気持ち悪かったが為に、目的地である音石のアパートまで我慢が出来なかった。 その結果が、こんな公園の水飲み場で身体を洗う、と言った今日日のホームレスですらやりそうにない真似と言う訳なのだった。 「全く、どうせ撒き散らすなら砂か煙にして欲しいものね」 ぶつくさぶつくさと、独り言を誰に言うでもなく口にし続ける紅葉。 あの武家屋敷で見て来た怪物達は、どれも生前の紅葉が知らなかった者達である。日本とは異なる国の化生ではない。 この国が産んだ怪異の一つである事は気付いている。妖怪がまだ当たり前だった時代、その妖怪達を戯れに殺していた紅葉だから解る。 発散される気風が、彼女の生まれた日本由来のそれに近い事を、あの戦いで彼女は見抜いていた。となれば、あれらの怪物は、紅葉よりも後に成立した者達と言う事になる。 とは言え、こんな考察を紅葉自身が巡らせるまでもなく彼女は、武家屋敷で戦った者達の正体について、凡そのアタリを付けていた。 彼らの正体は、テクノロジーや科学の発達によって旧世代の迷信の殆ど全てが一掃された現代世界における、 妖怪変化や怪異共の、新しい世代(ニュー・ジェネレーション)。当世の日本の民は、この新世代の妖怪達を『都市伝説』、と呼ぶらしい。 都市、と言う所がバンカラでセンスが良いなと、紅葉は評価している。彼女がこの都市伝説の怪異を知ったのは、聖杯戦争が正式に開催される前の事である。 紅葉自身、聖杯戦争がスタートされるまでのモラトリアムを無為に過ごしていた訳ではない。 暇な時間――深夜0時~翌24時までの事を指す――にマスターである音石からスマートフォンを借り、聖杯ではカバーしきれない雑学の事を調べていたのだ。 無論この女の性格である。真面目に調べると決意したその一分後に心変わりを起こして、冬木のレジャー施設についても調べる事など何食わぬ顔で行うが、 其処は聖杯戦争に招かれたサーヴァント。シッカリと、現代の魔術や怪異についても調べられる範囲で調べていた。それを調べる内に辿り着いたのが、都市伝説と言う訳だ。 二十一世紀と言う、前時代的な迷妄の殆どが解体され、神秘の濃淡の天秤が淡の方に大きく傾いて久しいこの時代に、妖怪変化が幅を利かせる。 タチの悪い冗談にしか聞こえないが、珍しい事ではない。無数の人間が雑居雑踏し、怪異の入り込む間隙と空隙のない、人の世界。 そんな世界にも、人智を超越した怪現象は勃発する。科学の名が煌めき、迷信の類が薄れて久しいこんな世界であるが故に、一層神秘が秘の翳を帯びるのだ。 都市伝説のルーツを辿る事は最早容易ではないが、都市伝説の起こりは何て事はない。伝えた側の無知蒙昧や見間違いであったり、語り部の語った内容を、 馬鹿な聞き手が変に勘違いしてしまった、そもそも嘘が真と信じられてしまった、と言うケースが殆どである。後は、その話を人から人に伝えるだけで、尾鰭が付け足されて行く。 初めの内は、取るに足らむ呆気ない噂の一つに過ぎなかったのだろう。 だが、情報の伝達が古とは比較にならない程早く、そして情報の共有も極めて簡便になったこの時代であるからこそ、都市伝説は新しい世代の怪異として成立した。 情報の共有(シェアリング)が可能になったと言う事は、それだけ多くの人間が当該伝説の事を知る機会が多くなると言う事に等しい。それは即ち、神秘の強度の度合いを増させる、と言う事でもあるのだ。後は誰かが後ろからほんの一押しするだけで、伝説は実体を伴ってしまうと言う寸法だ。 どれだけ人が時代の先端を往こうとも、魂と心に刻印された始原的な恐怖までは、人である限り滅却する事は出来ない。 都市伝説とは、その始原の恐怖を利用し、煽る事で生まれた新しい妖怪や怪異である。 情報の共有が容易になった今の世界の情勢を利用する事でその力を蓄えた、最新の世界に生れ落ちた神秘の形の一つなのだ。 ――昔とそんなに変わりませんわねぇ―― そして、紅葉の生きた時代でも、上記のような経緯で新しく妖怪の類が生まれる事は珍しくなかった。 百年を経た器物が怪異に昇華されると言う、付喪神など最たる例であろう。時代と共に物も新しく生まれ、そしてその都度、物に関わる胡乱な話が噂が生まれて行く。 今日では付喪神の種類など、多すぎて数えられない位だ。紅葉ですら、「こんなガラクタすら曲りなりにも八百万の神の一柱の恩恵を受けられるのですね」、 と口にするような物が平気で怪異に変ずる。これだけの数の付喪神が確認されているのはひとえに、人間の想念が彼らを産み出すのに極めて重要なファクターだからだ。 所詮物など、百年経とうが千年経とうが、物に過ぎない。ひとりでに命が宿る訳がない。だが其処に、人の想念が宿る事で初めて、神秘が強さをまし、命が産まれ得る。 そうであるからこそ付喪神と言う妖怪は無数に生まれ、妖怪と呼ばれる存在も無数に生まれた。想念――即ち信仰は、彼らを形作る上で重要となる要素なのである。 噂や伝承とは、言ってしまえば空の桶である。これ自体に意味がある訳ではない。 だがその空桶に、人の信仰や想念と言う水を注ぎ込む事で、初めて彼らは伝えられたイメージ通りに動ける『かもしれなくなる』。 必ず動く訳ではない。此処まで行う事で、漸くお膳立てが整った、と言う段階である。其処から更に後押しが必要なのだが、その後押しがこの時代では難しい。 古の昔、神秘の濃度がまだ濃かった時代であれば、そんな真似も出来た事であろう。だが、今の時代にそんな事が、只人の手で成し遂げられるとは紅葉には思えない。 物の怪、妖怪、怪異が娑婆に姿形を伴うには、このように迂遠なプロセスを経る必要がある。しかし今の時代の祈祷師や陰陽師共に、そんな事は出来ぬだろう。 「ま、サーヴァントでしょう」 紅葉でなくとも、真っ当な聖杯戦争の参加者ならマスターですら想到する結論だろう。 何処の誰ぞが、サーヴァントにすらなれないか弱い幻のような噂話に、形と動機を与えている、と見るのがこの場合妥当な線か。 誰がやったのか、と言うのがこの場合次の問題になる。噂に形を与える行為は、器用な芸当である。この時点でバーサーカークラスは除外される。 真っ当に考えるのならば、本命はキャスター、対抗馬にライダーと言う所だが、宝具と言うのは多様性に富むもの。 意外なクラスが仕掛け人、と言う可能性もゼロではない。よって、どのクラスの誰が、あの武家屋敷を程度の低いお化け屋敷にして見せたのか、と言う事を推理するのは止めた。どちらにしても、解る事は一つだけ。 「ロクデナシ、なんでしょうね~。あ~いやですわ」 これもやはり、真っ当な人物であるのならば直に思い抱ける事であろう。 人間の居住地の真っ只中に、あんな物騒な代物を建て捨てる輩だ。普通に考えて、まともな主従ではあり得ない。 紅葉が屠った都市伝説の怪物共は皆、人殺しに躊躇がないと言うよりは、人間に対してある種の悪意を抱いていた。 元々都市伝説に出てくる怪異とは、害意を以って人に仇名す物が多い。何故ならその性情は、人が彼らに与えたキャラクターだからだ。 そんな存在を野に放つのだ。ロクデナシ以外に評価しようがない。一歩間違えれば、討伐令ものであろう。 ……或いはもう、水面下で討伐令が下される動きが起っているのかも知れないが。 「もっと調べなきゃいけません、か」 と、口にしながら、水を手酌で溜め、それを胸と尻とに持って行き、身体を洗う。本人は何も意識していないのだろうが、余りにも扇情的な動作だった。 後で旦那様――と言っておけば気を良くしてくれるのでチョロい――こと音石明にスマートフォンを貸してもらって調べてみようか、と思った紅葉だった、が。 そう言えば数日前、音石から手渡してくれたスマートフォンでアプリゲー――音ゲーとか言う奴だった――で負けが込んで身体が温まり、 液晶部を勢いよくタッチしたら液晶どころかスマホを嵌めていたケースごと人差し指で貫いた事に音石がブチ切れて、「絶対にもう貸さないからな!!」と言い渡された事を思い出す。全く、男根も小さいと心も小さいのだろうかと紅葉は思う他ない。あんなピカピカ光る薄い板など何処にでも売っていたではないか。一枚二枚壊した程度で、今更何が変わろうか。 ――そしてその音石であるが、この公園にはいない。その訳は単純な話で、紅葉自身が追い払ったからだ。 裸を見られるのが嫌だったからではない。と言うより、つい最近当のマスター相手にベッドを共にした彼女が、今更裸を見られる恥じらう余地などある筈もなく。 服を買いに行かせたのである。サーヴァントとして召喚された当時に身に纏っていた、最早和服なのかすらも解らないあの改造和服は、 紅葉のお気に入りの一着であるが、流石に血に濡れた状態のそれを纏う訳にも行かない。無論霊体化を行っていれば目立ちはしないのだが、彼女はそれを嫌う傾向にある。 だったら尚の事、血塗れの和服など着用出来る筈がない。なので、代わりの服を音石に買いに行かせていた。元々新しい物好きの紅葉である。 当世風のファッションにも、それなりに興味を抱いていた。丁度良い機会であったので音石を、『此処で旦那様が選ぶ服のセンスで、今後の付き合い方の方針を決めますわ』と低い声音で恫喝して尻を叩く事で、強制的に彼の『持ち』で買いに行かせた。要は、マスターをパシリにしたのである。 現在この公園には、人はいない。紅葉を除いて、一人もいない。 冬木は今、聖杯戦争のあおりをモロに受ける形で、様々な不穏な事件が随所で起っている。 聞くだに身の毛もよだつ人喰い事件、センタービルの爆破。緊張は最大限まで高まっている。 オフィスビルの多い新都の方面は兎も角、住宅街の多い深山町は、時間の割に人の通りが少ない。 だがそれにしても、公園で裸になっている美女がいると言うのに、誰もこの事を気に留めないと言うのも不思議な話である。 しかし、タネを明かせばそんな疑問は即座に潮解する。何て事はない、紅葉が人払いの結界を展開したのだ。 公園に向かおうにも、ある者は辿り着けず、ある者は心変わりを起こして別の所に行こう、と言う気持ちになっている事だろう。 但し、それはNPC及び聖杯戦争のマスターレベルなら、の話。敏いサーヴァントであれば、紅葉の張った結界に気付くであろう。 そうなったら……まぁ、その時だ。紅葉は自分の事を、それはもう強いサーヴァントだと自負している。大抵の相手なら捻り潰せると増上慢を隠しすらしない。だからこそ余裕綽々で、こうして優雅に水あみをしていたのであった。 猫の鳴き声が、聞こえた気がした。 mew、mewと。生れ落ちて数年は経過したであろう、成体の猫の鳴き声。 それを聞いて、身体を今洗い終えた紅葉の動きが、止まった。ゆっくりと彼女は、鳴き声の方向に顔を向けた。 やはり、猫がいた。墨を塗った様に見事な色艶をした黒猫である。今時の野良猫は、運が良ければ餌を与えてくれる親切な人間によって餌付けされる事もある。そんな類としか思えない程、野良とは思えぬ見事な猫であった。 「ミャー」 猫が鳴いた。愛嬌のある、声であった。 さくさく、と、公園中に積もった雪の中を、黒猫がゆったりとした動きで歩いている。 この公園には今の所、紅葉のものである足跡以外、地上に堆積した白雪に刻まれていない。本当に、この街の住民が外出を控えている事がよく解る証拠だった。 天皇誕生日と言う国民の祝日であると言うのに、子供が公園で遊んでいた形跡すら刻まれていない。 本来今の時間なら、年端のいかない子供達が雪だるまを作っていたり、雪合戦に興じている微笑ましい光景が見れた筈なのだ。 どうしても外に行かねばならぬ事情がある時に限り外出をし、それ以外であれば極力外出を行わない。そんな事を、徹底しているようであった。 とは言え、人間社会のしがらみや事情など、知った事じゃあない、今日と言う日を気ままに生きる生物の代表格。それが猫だ。 きっと、人の通りがやけに少ない街の中を我が物顔で闊歩し、堆積した雪を不思議そうに思いながら、肌寒い冬木の昼を過ごすのであろう。 ――バレないと思ってんのか、このスケベ猫は―― だが、これがただの猫じゃない事に気付いたのは、流石に紅葉と言うキャスターである。 彼女は知っている。器物が悠久の時を経れば命を得るように、長年を生きる畜生もまた、物質世界に影響を与える程の神通力を得ると言う事を。 猫が変じた妖怪である所の『猫又』などその代表格である。彼らもまた、狸や貉、狐のように、数十年を生きると人語を解し、変身する力を獲得すると言う。 勿論紅葉がその事を知っているのは、生前の経験からである。山中に行けばそう言った、化生と化した山猫がよく見られたのだ。 この黒猫からは、その猫又と同じ類だと紅葉は看破している。 自身が何処にでもいる猫であると、紅葉の前では振る舞っている。しかし、発散される微かな魔力の残滓を見逃す程、彼女は愚かではない。 何よりも、猫の動作からは、特有の柔らかみが感じない。ギクシャクとして、ぎこちない。紅葉が持っている、第六天魔王の因子。 異国に根付く神秘の精とは言え、時に荒ぶる神としても恐れられる第六天魔王、或いは他化自在天の因子は、彼らにとっては恐怖その物として映るのである。 この黒猫の正体は、ケットシー。この冬木の聖杯戦争に招かれた魔術師のサーヴァント、パトリキウスによって呼び出された妖精猫である。 紅葉はこのケットシーが、日本由来の妖怪ではなく、海を隔てた向こう側の国に由来する妖怪――みたいなものだと認識していた。 臭いである。この黒猫は猫又などとは違い、上品と言うか、嗅いだ事が全くない草木の香りがするのだ。異国の植生の中を生きていた事が解る。 要するにこの黒猫は、この街で散々見て来た、日本で確認されるにはとても似つかわしくない、西洋の妖精(フェアリー)の一種だ。 自分の魅力に釘付けになってる――実態は恐れから来る凝視だが――と思い込んでいる黒猫を見て、紅葉は考える。 この街に来てから、霊体化した回数の方が紅葉は少ない。常に実体化して遊びまわっていた。 早い段階で自分がサーヴァントであると、この妖精達の元締めは知っている事だろう。別に、それが知られる事自体は、この際良い。問題となるのは、此処で『カードを切るか』、と言う事。 紅葉と言うサーヴァントの操る魔術体系は鬼道と呼ぶ。 これはシャーマニズムの系譜を汲む魔術体系、に近い。霊や神霊、死霊に精霊の類と交信し、諸々の奇跡を地上に引き起こす事が出来る。 要するにやっている事は、上位存在や霊的存在に対する『お願い・依頼』だ。この魔術体系の欠点は正にその依頼する所である。 単純な話で、依頼であって『命令ではない』。つまり、上位存在や霊的存在にはそのリクエストに対して拒否権を発動させられる。 当然、依頼を拒否されれば奇跡は起きない、魔術も発動出来ない。依頼に使った魔力だけを無駄に消費する形に終わるのだ。 しかし、紅葉に限って言えばその拒否される可能性が著しく低い、と言うより殆どゼロだ。彼女の身体に宿る第六天魔王の因子の故にだ。 彼女の行う鬼道とは、この恐るべき神格の血を利用して、霊的存在や上位存在に『依頼』をするのではなく、奇跡を起こせと『恫喝・命令』するのだ。 要するに、親の七光をフルに利用した脅迫である。第六天魔王は時に大黒天、つまりはヒンズー教における破壊の神、シヴァとしての相も持つ恐るべき魔王である。 この恐るべき魔王の因子を前にすれば、大抵の霊的存在は恐れおののき、上位存在であっても後の報復を恐れると言うもの。彼女の鬼道スキルの異様な高さは、こう言った事情に起因する。 そして紅葉は、鬼道による脅しを、この異教(ベイガン)の妖怪達にも応用出来ると踏んでいた。 つまり、本来の主から支配権を強奪する事が可能なのだと考えているのである。但し、出来ても一度きりだ。次は対策されて難しくなるだろうとは思っている。 向こうは自分がサーヴァントだと理解はしていても、何が出来るのかまでは分からないだろう。対策されていない今がチャンスだとは思う。 とは言え、今は別に下すべき命令もないのではないか? と言う思いがフツフツと湧き上がって来た。実際に何を言い渡そうかと思索を巡らせても、何も思い浮かばないのである。 「……」 ブンブンと、頭を横に振るって、燃えるような緋色の髪に付着していた水を弾き飛ばす紅葉。その動作はまるでずぶ濡れになった犬や猫のやるものだった。 警戒するケットシー。妖精猫が軽く身の毛を逆立てかけているのをよそに、紅葉は足元の雪を掬い、それに力を込めて丸め始めた。 「えいっ」 そう可愛らしい掛け声を上げて、紅葉は手首の軽い力だけで、手づから作り上げた雪玉をケットシー目掛けて放り投げた。 ――但し、その放り投げたの前には、時速六十㎞で、と言う冠詞が付くのだが。 手首の軽い力だけで、矢のような速度を得た雪玉に意表を突かれた妖精猫。紅葉の投げた白い雪玉は、ケットシーの胴体部分に直撃。 「フギャッ!!」 予期せぬ衝撃に、そんな声を上げるケットシー。それを見てケラケラと紅葉は笑う。完全に性格の捻じ曲がった毒女――事実――そのものだ。 とは言え、紅葉にしては寛大かつ穏便な処置であると、生前共に過ごしていた者が見れば驚くだろう。紅葉が本気で固めた雪玉を勢いよく投げていたら、この妖精猫の胴体に風穴があいていたのであるから。 普段ならば何をするのか、と抗議するような動作もしたのであろうが、流石に相手が悪い。 一目散にケットシーは、紅葉から逃げ出し、公園から飛び出して行った。その様子を紅葉は、おかしそうに眺めた後、大きく一呼吸する。 「見世物じゃなくってよ」 と、身体を洗う為に髪を纏めずにいた紅葉は、己の後ろ髪をポニーテールに纏め直しながらそんな事を口にした。 目線だけを、自分から見て左の方向に向ける。そして、その人物がいる事を確認すると、紅葉は目線を向けている方向に身体の前面を向けだした。 「いや、見世物にならない方があり得ないだろ。姐さん」 変人をでも見るような光を瞳に宿し、呆れきった表情でそう口にしながら、黒いドレスを着こなす黒髪の美人は、銀雪が敷き詰められた公園の只中に佇んでいるのであった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 聖杯戦争の参加者の一人である安部菜々がバイトしている喫茶店は、控えめに言って客入りが少ない場所であった。 モーニングセットを頼む客もいないのは勿論、日によっては稼ぎ時である筈のランチタイムにすら人が入らない事がある。 飲食店としてそれは拙いのでは?と、彼女の従えるサーヴァントである長兵衛が思う事も少なくない。彼女の生きていた時代に存在した、田舎の茶屋よりも客足がないと言うのは流石に駄目であろう。 そんな客足であるからこそ、仕事に対する心構えもルーズでいられる。バイトである菜々のみならず、喫茶店を営んでいる店主ですらも。 時刻はじきに正午を回ろうとしている。昼の休憩の時間にはまだ早すぎるが、店主が早めの休憩を菜々に言い渡していたのだ。 いつもは店の奥でテレビを見ている年老いた店主であるが、流石にテレビばかり見ているだけの事はある。 聖杯戦争の開始に伴う、冬木の異変についてもニュース経由で理解していた。どうせこれだけ不穏な空気が漂っていれば、普段以上に客足がないとは思っていたらしい。それを思えば、早めかつ長めの休憩バイトに与える事位、訳はないと言う事だ。 バイトがある日の菜々の昼休憩の過ごし方は、二つ。 店に備えられた食材を使ってまかないを自分の手でつくるか、外をぶらつくがてらに何か昼食を買って食べるかの二つだ。 菜々は後者を選んだ。否、正確には菜々が選んだのではなく、長兵衛がこうしろと言ったから外に出ていた。 夢のとっかかりを掴み順調にシンデレラになろうとしている者。努力をしているのに、夢の遠景さえ現れない者。 菜々は後者の方であった。どれだけ前に進んでも、シンデレラへの麗姿、その姿形が幻としてすら見えて来ない。 だが、つい先程まで喫茶店で会話をしていた高垣楓と白菊ほたるには、シンデレラは幻ではなかった。彼女らにとっては、それはもう目に見える距離なのだ。 その事を認識させられ、菜々は泣いた。アイドルになる為の厳しいトレーニングですら泣いた事はなかったのに、事実を認識すると言う事が、菜々の心に与えた一打。これは、痛烈な威力を秘めていた。 菜々の心は腐っている。菜々と運命共同体の関係にある長兵衛でなくとも、今の菜々のテンションを見れば誰だってそう思う。 見かねた長兵衛は、丁度昼休憩で良い機会だからと、外を歩き回って気分転換をしようと提案したのである。 今の菜々の精神の均衡は、とてもではないが聖杯戦争に臨むマスターのそれは勿論、日常生活を送る上でも全く褒められたものではない。 菜々が今抱えている悩みは、時間が解決してくれる類のものではあるが、その解決するまでの時間が惜しい。故に、直に慰められてもらう必要がある、と言う訳だ。 商店街を歩く、メイド服を着ている浮かない顔の菜々と、彼女と並んで歩く、黒ドレスのランサー長兵衛。 積もっていた筈の雪は既に、人が歩き、車が走る所ではない所に除けられており、今朝程歩くのが難しくなっている訳ではなくなっている。 地方の商店街は大型のショッピングモール等に客を取られ、閑古鳥が鳴いていると言う所も少なくないらしいが、この冬木に限って言えば、そうではない。 独自の強みのような物を持っている店が多いらしく、新都の方に建てられている多くの建物に客を取られ続け、シャッター街になってしまって……、 と言う、悲惨な境遇にはなっていなかった。普段であれば昼のこの時間には、人通りがそれなりに多く見られる筈だった。 が、既に述べた通り、聖杯戦争が落とす暗い翳の影響で、この商店街――と言うより深山町が全体的に、外出している人間が少ない。 天皇誕生日、国民の祝日であると言うのにだ。活気のない街を歩くのは、どの時代も寂しい。長兵衛もまた同じである。 今の深山町を歩くのはまるで、日の落ちかけた山道を歩いているような感覚を彼女は憶えていた。 「あたしアレ食べたいな、あんていくの……」 「間猿(まえん)バーガーですか?」 「そう、それ。正直バーガーの名前で猿は最悪だけど、味は美味かったからさ」 あんていく、とはこの深山町の商店街で開店されている喫茶店だが、昭和風の内装が居心地の良い菜々のバイト先の喫茶店とは違い、 今風と言うか、東京に店を出していても通用する洒落た内装が特徴的な店である。コーヒーも、豆を厳選しているのは勿論、淹れる技量も高い為か、とても美味しい。 長兵衛の言っている間猿バーガーとは、その店で働くウェイターが開発した新メニューであり、一週間の試験販売を経、正式に店のメニューに加わった、 と言う経緯付きの商品である。お持ち帰り可。ちなみに初期案では魔猿バーガーだったらしいが、ただでさえ猿と言う字がバーガーに適さないのに、 其処に更に魔と言うこれまた、そもそも食べ物に付けるには適さない字の組み合わせは駄目だと店長から指摘され、妥協して同じ読みの『間』の字にしたと言うらしい。どうでもいい。 とは言え、名前は兎も角味の方は良い。パンズに挟まるハンバーグも然る事ながら、ソースを長兵衛は気に入っている。照焼き風のソースとの親睦性が高いのだ。 これを食べて二人で駄弁って、適当に昼の休憩を終え元の鞘である喫茶店に戻る頃には、ある程度見れる顔になっているだろうと、長兵衛は踏んでいた。 ――人通りの極端に少ない商店街を歩く、女性二人。そんな彼女らの前を、一匹の黒猫が、車の通っていない車道をゆっくりと悠然と歩いて横切りながら、二名の前を通り過ぎて行った。 「人がいないかわりに、猫が我が物顔で歩いてますね、長さん」 町の野良猫は、人通りの多い商店街には余り姿を見せず、裏路地や、少し離れた住宅街の入り組んだ狭い所にたむろしているものである。 だが、人の気配が少ない事を、特有の感覚で感じ取るや、此処は自分の町であるとでも言うように、本来なら人が歩いて然るべき所を闊歩する。 これもまた、聖杯戦争が冬木の町に落とす、影の一つなのであろうか。 「……今の猫」 「? 気になりました? 少ししか見れませんでしたけど、良い毛並みでしたよね。飼い猫かも――」 「追うよ」 「え?」 そう言うや、それまで菜々の足並みに合わせて横並びに歩いていた長兵衛が、彼女を追い越し、路地へと消えて行った猫を追い始めた。 迷いのない長兵衛の行動に一瞬面喰い、混乱する菜々だったが、横道に消えて行った女傑の背中を、慌てた様子で彼女も追った。 今の猫を、長兵衛は知っていた。 つい先程、つまり、菜々があの喫茶店で高垣楓と白菊ほたると話し合っていた時の事である。 あの時長兵衛は喫茶店の外にいて、その時に、見たのだ。黒い猫を捕まえようと路地を走る、男にも見えるが女とも捉えられる中性的な容姿をした、金髪のサーヴァントを。 あれは間違いなく、あの時のサーヴァント――ガレス――が捕まえようとしていた黒猫であり、ヘチマみたいな服装をした優男のサーヴァントが使役する斥候。 あの猫がヘチマ――パトリキウス――の使役する使い魔、のような存在である事は、盗み聞きしていた二人の会話の内容からして確定である。 思えばあの時長兵衛は本当に唐突に、パトリキウスの展開する結界の中に入り込んでしまった形になり、そのせいで少なからず当惑してしまった。 もっとあの結界の中を具に観察し、二人の挙措や性質を見極めるべきだったが、時間的にも状況的にも恵まれていた、とは言えず、芳しい結果は得られなかった。 これは、またとないチャンスだと長兵衛は思った。 あの黒猫を追えば、あの緑衣のサーヴァントについてのヒントを得られると思ったのだ。 長兵衛は英霊全体から見れば贔屓して二流、辛目に評価して三流のサーヴァントだ。直接的な戦闘を行って首級を上げる、と言う事は端からしない。悪手だからだ。 黒猫――ケットシーは明らかに戦闘向けの使い魔ではない。恐らく緑衣のサーヴァントが召喚する使い魔の中には、より戦闘向けのものもいるだろう。 それを差し向けられれば、如何に三騎士のクラスで召喚された長兵衛とて、如何転ぶか解らない。其処で必要になるのが情報だ。 長兵衛と言うランサーは、先ず下準備で集めた情報を吟味し、その情報をもとにプランニング(立案)。 そしてその計画の通りに動き、相手が不意を見せれば、宝具を以って急所を一突きし、葬り去る、と言うのが常套手段だ。 あの黒猫を追えば、パトリキウスの手札を確認出来るかも知れない。いやそれどころか、だ。 あの時パトリキウス及びガレスは、自分が結界に迷い込んでいた、と言う事実すら認識していなかったフシがある。 情報を得るのは確かに長兵衛にとって必要なプロセスではあるが、そもそも初めから隙だらけの存在相手には、計画を立案する必要性すらない。友好的なフリをして近付き、心臓をブチ抜いてやれば良いだけなのだから。 どちらにしても、長兵衛にとって、あの黒猫を追わないと言う選択肢はなかった。 サーヴァントならばいざ知らず、一回の畜生の使い魔風情に、自分の変装及び諜報を見破れるとは思えない。事実、彼女の変装や諜報は、それ程までの水準に在る。 自分がサーヴァントだと露見しないのであれば、追った方が良い。当たり前の選択なのであった。 猫に気付かれないよう尾行する、と言っても、野性の獣の感覚と言うのは人間よりもずっと鋭い。 況してや相手は猫である。五m、十mの距離から付けたとしても、向こうからすれば誰かが追っていると直にバレるだろう。 だから長兵衛と菜々は、ケットシーに常に大きく先を行かせた。彼我の距離を三十m程、常にキープ。 向こうが曲がり角を曲がったら、曲がってから五~六秒程経ってから、二名も角を曲がり始める。 そんな事を繰り返している内に、二名は既に商店街を離れ、住宅街の方まで足を運ぶ事になった。 戸建からアパート、江戸の時代から存在すると説明しても信じてしまいそうな武家屋敷風の建物など、深山町の住宅街はバリエーションに富む。 この辺りはまだ、住宅街に比べて雪が除けられていないのか。足跡も疎らで、轍も刻まれていない雪が道路にまだ積もっていた。 其処を菜々が歩き難そうに、危なっかしい歩き方で移動している。最早ケットシーを追っていると言うよりは、長兵衛の背中に追い縋っていると言う様子である。 だが、流石にサーヴァントである長兵衛の方は逞しい。歩きなれた平地を歩く様な感覚で、積雪が色濃く残る道路をズンズンと進んでいた。 そうこうしている内に、二名は、商店街からも大分離れた、深山町の住宅街、その只中に存在する市民公園近辺へと足を運んだ。 最低限子供が退屈しない程度の数の遊具と、数台のベンチ。公衆便所に水飲み場と、全国の何処にでもあるような平均的な公園。 狭い所もそうだが、人のいない空地も、猫の溜まり場になる。その例に漏れず、ケットシーも園内で漸く移動を止め、其処にいたのだった。 ――ケットシー一匹だけなら、どれ程良かった事か。 其処にいたのは、黒い毛並みの妖精猫一匹だけではなかった。猫の他にもう一人、予期せぬ人物がいたのである。 黒猫を相手にチェイスを繰り広げていたガレスでもなければ、その黒猫の元締めであるパトリキウスでもない。長兵衛が初めて見る容姿をした、新たなサーヴァントであった。 サーヴァントの気配自体は、此処に来る前からも既に感じていた。 しかし、誰のものなのかは長兵衛は理解していなかった。当初はそれを、長兵衛はパトリキウスが発散する気配なのではと考えていたのだ。 だが違った。長兵衛の視界の先二十m程の所にいるのは、そもそも性別からして違う。燃えるような緋色の髪が眩しい、遠目から見ても見事な肉付きとプロポーション。 そして、美しい顔立ちの持ち主だと解る、全裸の美女だ。雪の敷き詰められたその公園に、一人佇むその様子は、ぽつねんと一厘だけ咲き誇る彼岸花を連想させた。 【ちょ、長さん……あれ】 【サーヴァント、だね。拙い事に、向こうの方も気付いてる】 長兵衛はランサークラスとしての召喚の為、アサシンのクラススキルである気配遮断を持たない。 だが、彼女と隠密性は切っても切れない関係であり、それに纏わるスキルを持っていないと言う事はあり得ない。 故に彼女は、その代替となるスキルを、ランサーとして召喚されても保有している。それが、諜報である。 このスキルの最大の特徴は、相手が長兵衛を見たとしても、敵と認識させない事にある。 竹馬の友だと思わせる事も出来る。子供の頃から親しい間柄の恋人だと思わせる事も出来る。都会の喧騒をすれ違ったきりの赤の他人だとも思わせる事も出来る。 人畜無害な田舎娘を装い、天下人に王手をかけていた光秀を討ち取ったエピソードを象徴するようなスキルであるが、気配遮断と比較して明白に劣る所が一つある。 簡単だ、『サーヴァントとしての気配までは消せない』のである。この点で長兵衛は、暗殺を旨とするアサシンに劣る。 長兵衛がサーヴァント相手に白星を付けるには、リスクを承知で相手サーヴァントの下まで近づき、信頼に足る人物だと思わせて油断した所を、と言うのが定石。 長兵衛と言うサーヴァントは、取り立てた武勇伝を持っている訳ではない。一番有名なエピソードにしても、光秀の闇討ちと言う事がそれを如実に表している。 この点が、彼女を二流足らしめる理由であった。直接的な戦闘能力を期待される三騎士のクラスで召喚されたにも関わらず、 どちらかと言うとアサシンを運用する様な、変則的な使い方が求められる。これでは、中途半端なサーヴァントと言う謗りは免れない。 戦闘能力がそれ程でもない彼女が、武勇伝の一つ二つを当たり前に有しているサーヴァントの下まで近づき、コミュニケーションを取る。 それがどれ程のリスクを孕んだ事なのかは、説明するべくもないであろう。況して、彼女のマスターである安部菜々は、自衛手段を持たない。 サーヴァントがサーヴァントを対処するのは当たり前の事だが、非力な菜々に対して何かしらの力を持ったマスターが暴力に訴えかければ、其処で決着が着く。 ――百姓って奴の限界かね―― ガシガシと頭を掻きながら、長兵衛は考える。 一振りで十人の胴体を宙を舞わせる名刀とかの類が、自分にも宝具として備わっていれば良かったのにと夢想する。 そうすれば、菜々に危機が舞い込んだとしてもある程度は対処出来ると言うのに。尤も、今思った所で叶うべくもない。貧乏くじを引いてしまったと、この場は割り切る事にした。 【首級を上げてくる】 念話で菜々に告げ、ズイ、と長兵衛は一歩前に進んだ。 【長さん……】 心配そうに、先程まで馬鹿みたいに泣いていた菜々が返事をする。 【あんたはそこで待機。そこなら丁度、あの色狂いのサーヴァントにも気付かれない良い位置だ。絶対、ここから動くな】 と指示する長兵衛。彼女の指定した位置は、丁度公園を取り囲む道路に出る為の曲がり角で、この位置からだと、緋色の髪のサーヴァントは菜々の姿が見れなくなる。完全な、死角になるのだ。 【ヤバくなったら逃げる。あたしが公園の敷地から出たら、それはもう、ダメだったって合図だと思って、あんたは働いてるサテンの方まで逃げな。あたしも追って、そこに駆けこむ】 【あ、あの……!!】 【心配するなって。百姓って奴はネズミみたいなもんだ。拙い、と思った時の逃げ足だけは、あたし含めて皆自信があった。あたしの事気にするよか、自分の身体に傷付かない事の方を考えてな】 さく、さく、と、雪の踏みしめ歩きながら、一歩。中村長兵衛は前に出た。 【なりたいんだろ? アイドル、って奴にさ】 菜々の息を呑む声を後にしながら、長兵衛は公園の方に臆する事無く進んで行く。 公園の敷地に入った時、緋色の髪の女――紅葉は、明らかに紅葉に対して臆した様子だったケットシーに、雪玉をぶつけてケラケラと笑っていた。 予想よりもやべー奴だったかも知れない、と。長兵衛が後悔したのは、その瞬間であった。 「見世物じゃなくってよ」 髪を後ろに纏めながら、紅葉が口にした。この口ぶりは知っている。 武士共が、取るに足らない百姓を相手に言葉を交わすような。路傍の小石にでも話しているような声音だ。 「いや、見世物にならない方があり得ないだろ。姐さん」 虎穴に入ったと、今認識しながら長兵衛が返事をする。自分の身体が、目の前の女の心臓を抉る、一本の槍に変じて行くような感覚を、彼女は憶えたのであった。