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提供:pon(OMANKO/6GA)、HOYA ゆい(1995年9月?日)は、普段は明るく、朗らかだが、短気な面もあり。 優しい面も見せる。 比較的プライドが高く、常に注目されたがっている。 ピコ森内では支持する仲間も多い反面、敵対する人物も多く存在している。 トリップは主に(YUI....yo.)を使用する。 ピコ森の仲間 結菜、ひよこ、美緒、野上善太郎、HOYA、ソラ、愛、春樹など... その他 常にゆいすれは上位に上がっており、何雑スレの名物の一つでもあ る。ゆいすれはすでにPart90に達している。 来歴 ピコ森暦は3年半くらい。 一番最初にピコ森に来たのは小6の夏頃。その頃はまだROM専だった。 なん雑に出始めたのは中1の夏頃。でもやっぱりその頃はROMが多かった。 頻繁に書き込むようになったのは、中1の冬頃。 ゆいすれを立て始めたのは、年明け後くらい。そろそろゆいすれを立て始め て、1年が過ぎようとしている。
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episode7 《直人目線》 走って学校から帰ってきて、玄関に愁ちゃんの靴があるのを確認したオレは愁ちゃんの部屋へ続く階段を駆け上がる。 「愁ちゃんただいまーっ! 聞いて! 今度、クラスで劇やるんだ!」 ゼイゼイと息をしながら一気に喋る。 壁にもたれながらベッドの上で勉強していた愁ちゃんは、参考書から目を話すとオレとは対照的にゆっくりと答える。 「おかえりー。劇、何するの?」 「それがねっ! 先生がオリジナルで作ったんだけど、夜の動物園のお話でっ……」 愁ちゃんに帰ったら一番に言おうと思っていたから気持ちが焦って、愁ちゃんが相槌を打つ前にどんどん説明する。 「……それで、みんな一人一種類動物のカッコでするんだよ。クジで決まったんだけど、衣装ももう用意されててね、拓也がライオンで、桜はウサギで……」 次々とクラスの子達の役を挙げていく。 オレが大きく息継ぎをした時、話すタイミングを見計らって愁ちゃんが質問をした。 「で、ナオは?」 そう! その言葉を待ってました! 「……ふっふっふ。ちょっと待ってて!」 ピュッと愁ちゃんに見えないよう扉に隠れてランドセルから衣装を取り出す。 愁ちゃんびっくりするぞー! これつけて、これ着て、これ履いて……よしっ準備万端! 「ジャジャーン! トラでーす! ガオォー!」 「……! あははっ……ははっ!」 愁ちゃんは一瞬目を丸くした後、大きな声で笑いはじめた。 あれ? なんか意外な反応? 「ぇぇー? なんで笑うの?」 オレはバカにされたみたいでちょっと悔しくて、ぷぅっと頬をふくらませる。 「あははっ……ごめん。いや、あまりにも可愛いトラだなって思って」 「むぅ。ちゃんと尻尾もあるんだよ、ホラ」 くるっと後ろを向いて、フワフワの短パンに縫いつけられた長いしっぽを見せる。 オレの今の格好は、尻尾のついた短パンに、同じ生地で出来たタンクトップ。 なんか、短くておへそ見えるから寒いけど。 それから、ピンで髪に留めるタイプのネコ耳で完成。 もうどっからどう見てもトラでしょ! 愁ちゃんはしっぽを握ってフリフリと遊ぶ。 「トラっていうより、ネコっぽいね……そもそも、縞模様ついてないじゃん」 ……そう言われれば、ただの茶色でネコと言われてもおかしくないかも。 「あ、えーと、確か先生がこれだけは家から持ってきたって言ってたよ」 「……なるほどね。先生、いい趣味してる……」 愁ちゃんはまたクスクス可笑しそうに笑い始めた。 ……? 良くわかんないけど、とりあえずトラとしては全く見てくれなさそうな感じ。 むうう……。これはトラとしての威厳を保たねば! 「愁ちゃん! 襲っちゃうぞー! ガオォ!」 引っ掻くように手を丸めてベッドの愁ちゃんにダイブした。 愁ちゃんとそのままベッドに倒れこむ。 これでもかと愁ちゃんの脇腹をくすぐる。 「っ!! あははっ……ははっ……ちょっ……ストップ!」 「キャハハ! ガォー!」 そのままジャレていると、クルンと仰向けにされていつの間にか愁ちゃんの方が上になる。 愁ちゃんの顔がいきなり近くなってドキリとする。 「逆に、襲ってもいい?」 低くて、ゾクリとするような声。 ……こういう時の愁ちゃんは、恐ろしいほど美しく見える。 ギュッと目を瞑ると唇が触れて、舌が侵入してくる。 「あっ……ふっ……」 「ね、一回ニャアって鳴いてみてー」 付け耳をフニフニとつまみながら愁ちゃんが言う。 「ゃ、だ」 フリフリと首を横に振る。 「いいじゃん一回くらい」 「は、ずかしいもん……」 「俺しか聞いてないから大丈夫」 愁ちゃんに言うから恥ずかしいのに……。 でも、どんな事でも愁ちゃんに頼まれたら最終的にはイヤとは言えなくなる。 ……だって、愁ちゃんの事が大好き、だから。 ギュと唇を噛んで少し考えてから、少し躊躇いながら小さく口を開く。 「に……にゃあ?」 「……可愛すぎ」 ギュウと抱きしめられた後首筋に強く吸い付かれる。 そのまま何回もキスを落とされる。 「にゃ、あ……ぁっ、ん……」 首筋を舐められて、鳴き声なのか、喘ぎ声なのかわからない声が出てしまった。 × × × 《愁目線》 肌にジンワリと汗を拡げながら、直人が本物の猫のような声で喘ぐ。 首筋へのキスを止め、今度はお腹へと顔を移した。 スッと短く縦線を引いたようなおへそを舌でなぞる。 「ふぁ……あっ」 背中を小さく反らせながら直人が反応する。 くびれのラインを沿うように手を滑らせると、直人はひねるように身体を揺らす。 「ゃ……ぁ、くすぐっ……たいよぅ……」 「さっき俺の事、思いっ切りくすぐったくせに」 ひねった方向に直人を回転させて、うつ伏せの状態にする。 「ナオ、四つん這いなってー」 「んと、……こう?」 直人が素直に膝を折って四つん這いの体制をとると、本物の猫のように思えてくる。 「今はネコなんだからちゃんとまだ演技しててね?」 「トラだって言ってるのに……。ぅー……わかった……」 あ、そういえばトラだったっけ。 今、完全に忘れてた。 フワフワの尻尾を手にとり、尻尾の先で背中を撫でる。 「にゃ、あんっ……」 直人が声を上げて首を上に向けると、頭につけているネコ耳がピコピコと揺れる。 ……ヤバイ。先生がハマる理由がわかるかも。 手を伸ばしてタンクトップに手を入れ胸の突起に触れる。 突起はすでにピンとすでに硬くなっていて、人差し指でクリクリと回すと直人が甘い声で応じる。 「ん、にゃ、……はあっん」 「ナオ、ここ触られるの大好きだもんね」 「はっ……ぅ……ん、気持ち、ぃ」 素直に感じてくれているのが嬉しくて、直人の背中にいくつもキスを落とす。 直人の感じている表情も声も、全て俺の物にしたい。 「にゃっ……はぁっ、愁ちゃ、ね……下も……して……?」 「えー? もう?」 しばらく愛撫を続けていると、焦れた直人がおねだりしてくる。 ……ズボン下ろすと尻尾がなくなっちゃうから、もう少し楽しみたかったんだけど。 「……ね、お、願い」 直人がユラユラと尻尾を揺らす。 可愛いさに負けて、ズボンを下ろすと直人の柔らかいお尻が現れる。 蕾がヒクヒクと誘ってくる。 「ナオー、下ってこっちも触っていいの?」 ツンツンと指で蕾をつつく。 「ぁんっ……やあっ! そこはだ、めぇ……」 蕾を隠すようにキュウとお尻に力を入れる。 ナオのものはもう反り返っていて、先を握ると透明な液で滑りクチュクチュと水音が聞こえる。 前を触っていると、そこだけに意識がいってしまうようで、直人の蕾がゆっくりとまた花開いてゆく。 あ、いい事考えた。 直人にバレないように、俺はさっきまで飲んでいたグラスを手にとる。 溶けかけの小さな氷を口に含むと、そのまま直人の蕾に舌で押し込んだ。 「ひゃ、あぁんっ!!」 直人は大きな声をあげてビクンと身体を仰け反らせる。 そのまま舌で入口をかき混ぜると中の熱で氷は急速に溶け、ポタポタと水となって流れてゆく。 俺は溶けきったところを見計らって、ゆっくりと人差し指を挿し込んだ。 「氷入れたのに……ナカ、全然冷たくなってないね」 「ふぁっぁん、やあっ、あん」 直人はまともに話せないようでガクガクと膝を震わせている。 第二関節まで指を入れると、キュウと指を締め付けられる。 ゆっくりと指を前後に動かしたり回したりしながら直人の身体と指を馴染ませ、そのまま中指も合わせて挿入する。 「んあっ、んんんっぁ!!」 「……痛い?」 「ぁっん、い、たく、んぁ、な……ぃっ、っあ」 前立腺を刺激するため、腹側の肛壁を擦るように動かす。 「やっ、はあっ、ぁっんぁ!」 ビクンビクンと直人の腰が痙攣し、ポタポタと先走りの液がシーツを濡らしてゆく。 ……このままあんまり刺激を与えちゃうと出しちゃうかも。 そう思った俺はまたゆっくりとした動きに戻す。前立腺には軽く触れるぐらいに留めて。 しばらくすると直人の呼吸も少しづつ整い、話せるようになってきた。 「んっ……はあ、愁、ちゃっ……?」 「何?」 「…………」 なかなか続きを言おうとしない。 「ナオ、何?」 「も……っ……オレ、ぁっ……イキ……たい、の」 確かに……俺もそろそろ限界かも。 ほんとは中学生になるまで我慢するつもりだったのに、……もう、指だけじゃ満足出来ない。 「……じゃ、入れても、いい?」 「っ、ん、……な、にを……?」 首だけを後ろに向けて潤んだ瞳で尋ねてくる。 指はそのままで身体を伸ばして直人に覆い被さると、口を耳元にあてて直人だけに聞こえるように囁く。 「俺の――」 言葉に反応して、キュウと指が締め付けられる。 耳まで真っ赤になった直人はイヤイヤと頭を振る。 「やぁっ、絶対、入……んぁっない、っよ」 「いや、もう余裕で入ると思うけど」 「ひぁっん!」 人差し指と中指で左右に拡げるとトロトロにほどけた蕾はいやらしい音と共に口を開き、ピンク色の襞が覗く。 「ん……はっ……んん、ぁっ!」 「……ダメ?」 「んっ、んはっ……ふ、ぃ……痛くしない……で、ね?」 「わかった」 チュッと腰に口づけしてから指を抜き、自分のものを取りだす。 先を蕾に当てると、自身の液とも相まってヌルヌルと滑る。 「力、抜いててね……いくよ……」 「ん……っんあ、ああっぁっ……ぁあ!!」 ググッと先を入れると、想像以上にキツいし、アツい。 壁を押し拡げるようにゆっくりと奥へ進んでゆく。 「あっん、はっ、はあっ!」 「痛く、ない?」 「んゃ、は……ぁあっ、ん」 言葉にならない声をあげて、直人が頷く。 全く痛くないはずはない。 多分、無理して言っているんだろう。 「とりあえず、一番奥まで挿れたらしばらく動かないから」 「ぅ、ん、んぁぅっ……んぅ!」 「……っ、……はぁっ……」 少しずつ動く度にギュウギュウと直人の中が締め付けてきて、こっちもツラい。 ようやく一番奥まで辿りつき、下腹部が直人のお尻とピッタリとくっつく。 腰に腕を回して、直人の息が整うのを待つ。 「……はぁっ……はあっ……んぁっ……」 「ちょっとは、楽になった?」 「ぅ、ん……もうちょっと、だけ……はぁっ……ん、動かないで……」 「うん」 背中にキスをする。 ただの従兄弟から――まさか、この想いがこうして実るとは思わなかった。 何年、かかったんだろう。 ――愛してる。 たとえ、この先二人が違う人生を歩む事になったとしても、俺は、ナオを愛し続けるよ――。 「……愁ちゃ、ん」 ――直人の声に、思考が中断される。 「も、大丈……夫、っん、だと思う……」 「ほんと?」 「うん、ぁ……でも、キス……したい、よ」 「……この体制じゃ無理だよ。ちょっと待って」 直人の腰を持ち上げて、俺の上に座らせる。 すると、同じ方向を向きながら一緒に座るような体勢になる。 「ナオ、こっち向いて」 「……んっ……ふぁ、んんっ」 首に手をやり、深く口づけを交わす。 「愁ちゃ……んん……ふ……好き」 「んっ……っ……ナオ……好きだよ」 舌を絡まなせながら直人の腰を少し浮かせ、下から少しづつ突き上げると整えたはずの息がまた上がりだす。 「あっ! っゃぅ……動く、と……ぁっ……んぅ!」 腰のリズムに合わせて、直人のものに手をやると、ビクビクと痙攣をおこしている。 「も……イッていいよ」 「っああぁっ!!」 大きく突き上げると、ギュウと強く締め付けられる感覚が伝わり、俺自身にも急激に快感の波が襲う。 寸前で抜こうとしたが、締め付けが強すぎて間に合わず直人の中で果ててしまった。 直人からもドクドクと白濁液が掌に流れてゆく。 「……ゴメン、中で出しちゃった……今抜くから、ナオ腰あげて?」 直人の腰を持ち上げようとすると、まだビクンビクンと痙攣が続いている直人が甘い声をだす。 「ぁっあん、やぁっ、今、動かすと、ムリぃっ!」 「えっ、まだ気持ち良いの続いてるの?」 「こんな、の初めて……ちょ……まだ、このままでいてぇ……」 初めての経験でここまで感じてくれたら、俺も本望だよ。 「……いつまででも、こうしてあげる――」 フ、と笑いながら後ろからギュウと抱きしめた。 ――いつまでも、俺だけのものでいてくれる? × × × 《番外編 直人目線》 「じゃーみんな各自の衣装に着替えたなー。練習始めるぞー」 先生が台本を片手に指示を出していく。 先生が考えたストーリーは簡単に言うとこんな感じ。 ――人間がいなくなる夜の動物園では、動物は人の言葉を話し、オリも器用に開けて朝がくるまでは動物園の中を自由に行動できる。 そんな中、一人仕事を終わらすために園長が戻ってきてしまう。 動物達はありとあらゆる手を使ってバレないように罠を作ったり、驚かせたりしながら、園長を追い出す。 ……というストーリーで、園長役の先生は演技もしながらみんなに指示を出して大変そうだ。 「ハイ、そこで安藤吠える!」 先生が拓也に指示を出すと拓也が身体を四つん這いにさせながら吠える。 「ガオオォー!!」 「うわー!」 先生は恐がってしゃがみこむ演技をする。 「ハイ! 続いて桜井達が出てくる!」 ウサギの耳をつけた桜が他の女の子達とピョンピョンと跳ねながら登場し、園長が恐がっている間に穴を掘って落とし穴をつくる。 耳をつけた桜は本当にかわいらしい。 女の子の中でも一番似合っている。 「はー……やれやれ、ビックリしたー……。なんだかライオンがすぐ近くで鳴いた気がするなー。……って、うわあああ!」 先生は少し歩くと桜達が作った落とし穴にわざとハマる。 もうすぐオレの番……。 オレがするトラはこの後木に登って隠れていて、先生が落とし穴から這い出したところで大きく吠えて園長を驚かせる。 ドキドキしながら自分のセリフを待つ。 「ハイ、次、柊!」 先生の指示を聞いて勢いよく吠える。 「グルルル……ガオオォ!」 「ハハッ! アハハハハ……!」 「……先生ー? そこ笑うとこじゃないですよ?」 いきなり笑い始めた先生に驚いて、キョトンと尋ねると先生はゴメンゴメンと謝った。 「はー、いや、柊の声が安藤と比べると全然迫力に欠けるって言うかな……。やっぱり柊にトラは無理があったかなー」 「そーそー! 直人が鳴くとネコみたいに見えるぜ」 「拓也、うるさいっ!」 拓也が笑いながら野次を飛ばすのでキッと睨みつける。 「で……出来ます! もう一回やらせて下さい!」 慌てて先生に言うと、先生は腕組みをしながら考えている様子だった。 「いいけど……、ネコの方がやっぱりしっくりくるなぁー。でも動物園にはいないし……そうだ! サーベルキャットはどうだ?」 なんで……そんなマイナーな動物……!? 「イヤですっ! ちゃんとクジで決まったんだからオレ、トラでやりますっ!」 「わかった、わかった。じゃ、柊は後で安藤と練習でもしとけ。じゃ、次ーー」 先生はそう言ってさっさと次のストーリーへと進めてしまった。 拓也と目が合うと、拓也がニヤリと笑う。 「ニャアって言えばー? 直人君?」 「拓也……もう宿題見せないから」 「ちょっ……お前、それはズリーよ!! ウソウソ! ゴメンって! 直人~~っ!」 平謝りする拓也を無視して、オレは心の中で叫んだ。 ――ガオオォ!!! × × × 続き × × ×
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提供:HOYA、狐 あぃな(1998年6月16日-)は過去にあぃなスレでピコ森を華やかにかざっていたユーザー。 年齢は若いものの、ゆい、ソラといった常連ユーザーへの人気は高い。 一時期、ピコ森から遠ざかっていた時期もあったがここにきてようやくピコ森へ復帰した。 血液型はO型。 仲間 ゆい 結菜 ソラ ひよこ てれりこ 美緒 愛など その他 pon(OMANKO/6GA)からは嫌われているようで、 常連偏差値は10である。 登録日時:1月3日23:33
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ピコピコの森@Wikiへようこそ ここでは一部掲示板の住民表、掲示板でのルールを掲載しております。 他にもレアトリップ倉庫等もあるのでそちらのほうも覗いてみてください 当Wikiの管理人 ラオウ◆Raou/RCl9Y 累計カウンター【 - 】 今日のカウンター【 - 】 昨日のカウンター【 - 】
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ピコ【ピω゚コ】とはニコニコ動画および、メジャーで活動している男性歌手である。 人物
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1: 名前:刻鎖 (4PE6.BwxWY)☆11/27(土) 16 18 48 わたしが、目覚めたのは。 鳥たちの美しいさえずりや、親切な目覚まし時計の音なんかじゃなくて。 ……言ってしまえば、鬱陶しいくらいの視線で。 「あ、おはよー」 「や、いろいろツッコんでいい?」 シスコンな姉と普通の妹の24時間のお話 きょとん、としている姉は、何もしないで突っ立っていれば綺麗で可愛い……人形みたいな女子高校生。 でも。 実は、実は実は、ものすごいシスコンで。 会えばいきなり抱きついてくるし、学校でだって友達に気持ち悪い呼ばわりされてるし。 しかも、今日なんて……。 「目覚ましは?」 「! ………………え?」 何をギクリとしているのだ、おーい? 「いや、だから目覚まし」 「……し、…知らないよぉ……?」 ……。 絶対何かある。思いっきり目が泳いでるし。 隠したとか? 姉に限って、そんなことはないと思うけど。 じー、と疑いの目で姉を見つめる。すると、姉は降参したのか「ごめんなさい」と早口で言うと、嫌になるほどに呆れる事実を口にした。 「こ、壊した」 (………………は?) 「壊したァァ!?」 テヘ、とか言って舌出してくるの……止めてもらえません? 滅茶苦茶ムカつくんですけど? てかよく壊せるよね、高校3年生の女子の腕力で。 「だって~、和の『睡眠タイム☆』を邪魔しようとするんだもん!」 星マークゥゥゥ? だってじゃないだろう? 絶対だってじゃないだろう? ……そのとき、わたしはお母さんの声で、危うく気絶してしまいそうになった。 「な~ご~み~、あ~か~り~! もう9時よ~、学校早く行きなさい~」 そんなのん気な口調で言われても…ね。 わたしは、このとき思いました。 『姉は凶器だ』……と。 ――――――――――――――――――――――― チャイムが鳴って、2時限目がちょうど終わっただろうころに、わたしは教室のドアを静かに開いた。 予想以上に授業は早く終わったようで。教室に入るとみんなワイワイ騒いでた。ふっと胸をなでおろし、さて、席に着こうとしたそのとき。 「和~!」 「ぐわぃぼぁらぉ!!」 し、しまった。つい変な叫び声を……。 でも、そりゃビックリするよね? 自分の机に、自分の姉が座っていて、そこら辺のクラスメイトとしゃべってるんだよ? 「お姉ちゃん!?」 「何、何?」 「何じゃねーわァァ!」 ガララララ……、音を立てて机はひっくり返り、姉は床にドスンと落ちる。 その原因はもちろんわたし……じゃなくて姉で。 でも、クラスメイトはわたしのことを何か恐ろしいものを見るかのような目で見てくる。 あら、わたし何かしたかしら? 「う~、痛いなぁ。和? 何すんの~」 痛そうではないけどな。 尻を押さえて「痛い、痛い」といいながら立ち上がる姉の顔は、痛いというよりむしろ会えて嬉しいといった感じの……そう、変態の顔だった。 「こっちの方が何してんのだ「何してんのじゃなくて何すんのだよ」どうでもいいわ!」 「和ちゃん、朱李さんにも事情が「え? アタシそんなのないよ?」……あ、すいません」 うちの姉の悪いところといえば、シスコンなところと……人の話に割り込んでくるところだろう。 ごめんね、わたしの友達こと樹乃ちゃん。 わたしの姉を庇ったのに、その姉に否定されるなんて。 なんて、いらんことを考えていると……先生登場。 きっとあれだ。机だ。騒ぎを聞きつけてやってきた『ティーチャーマン』。 騒ぎなんて起こってたっけ? ま、いいか。 「というわけで、お姉ちゃん。先生きたから帰って」 お姉ちゃんはしぶしぶ自分の教室に戻っていった。ティーチャーマンも、わたしが机を直すとさっさと行ってしまった。 これで今日の学校騒ぎは一件落着。 あー、疲れた……。 ――――――――――――――――――――――― 放課後。 わたしは帰宅部だから、野球部とかサッカー部とかが使っている校庭を横切って速やかに家に帰る。 入りたいけど……とかいう理由じゃない。 入りたいものがない、とかいう理由でもない。 ただ、入りたくない。 その理由は単純で、『姉と一緒の時間に帰宅するのはごめん』というものだ。 嫌いではないけどちょっと苦手。 好きではあるが、何か近寄り難い。 そんな感じ。 家までの道のりでは、いつも姉のことを考えている。 さすがの姉でも、部活を休めばこびっとく怒られることを知らないわけではないから。この時間の考え事は、誰にも邪魔されずに静かに考えることができる。 わたしの時間。 ――――――――――――――――――――――― 「お姉ちゃん、それつまんないから他の番組に変えて~」 夕飯を食べながらテレビを見て、わたしは向かいの席の姉に頼んだ。ただ、面倒くさそうにだけれど。 お母さんとお父さんは仕事で11時くらいまで帰ってこない。 この時間はいつも、わたしと姉の2人だけで。 「え? これ面白いじゃん?」 ……わたしは、姉ってズレてると思う。 気のせいかな。 「これのどこが?」 「全て」 「ふぅん」 やっぱり、わたしの姉は何か変だ。 妹のわたしでさえ、よく知らない。 「でも、和がつまらないんだたらいいや」 そういって、チャンネルをわざわざ変えにリモコンをとりに良く姉。 優しいんだけど……ねえ? 可愛くて綺麗で優しくて。でも、残念なことに完璧な人間はいないから。 シスコンってかレズ? っていうのが悲しいよね。 「ありがとう」 ニッと歯を見せて笑うと、姉は親指を突き立ててグッとポーズをとった。 でも、やっぱりこのチャンネル微妙だ。 姉にはとてもいえないけどね。 end. 2: 名前:刻鎖 (4PE6.BwxWY)☆11/27(土) 16 26 47 +あとがき+ はい、思いっきり短編ですが何か問題でm((うるせェ← お姉ちゃんがほしかった刻鎖の駄作、読んでいただけたでしょうか(笑) わたしは百合好きとか言ってますが、べたべたしているのは好まないんですよね、はい。 こういうさり気ないのがいいなーって。 どうでもいいこだわり、聞いてくださりありがとうございましたb 本当にこんな姉妹がいたら、めっちゃ嬉しいよね、はい。 ではノン
https://w.atwiki.jp/wuv0409/pages/66.html
通称 織田 本人がよく使う名前 織田 出没地不明(今では見かけない) 織田はロリコンである。 前に小学生の女の子に裸の写メを送るように指示したり 恥ずかしいことを命令したり メアドを交換したりしまくっていた。 しかしPCの知識に関してはかなりの上級者であり 裏入りの天才とも言われている。 G連とクンコの両方と友達であり この二つの勢力がもめてるときに 「俺はどっちにも知り合いが居るし、どうしたらよいのだ・・・。」 と嘆いていた。 ちなみに今は19歳で17歳の頃が全盛期であった。 今はほとんどチャットには現れなくなり世代交代したのだろうか 今となっては伝説のような存在である。
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番外編① テスト期間の間の話です。 多少の誤差は目を瞑っていただきたい…です(アカンやん 一時間目、数学。二時間目、現代文。三時間目、古文・漢文。 期末テスト…それは俺にとっちゃ、最大の苦痛イベントである。 今日はその最大の苦痛イベント一日目を終えた。 特に数学!! まあ、テスト勉強しなかったんだけど、コイツは厄介なんてもんじゃねえ。 古代の、確かピタゴラスとか言う賢人はどーして、こんなものやり始めたのだろう。 今日受けた数学の結果は、返ってくる前に分かってる。もうダメだこりゃ。 じゃあどうしてその数学の勉強しなかったのかって? …それを聞いたら終わりだろ。 「はぁ~…」 東館屋上、お気に入りの場所に寝転がりながら俺は溜め息をついた。 一応明日の二時間目にある科学の教科書を持って来てみたが、大して意味はない。だって見たって分からないから。 ちなみに明日の時間割は、1、英語 2、科学 3、日本史 日本史は所詮覚えるだけなので大丈夫。今まで少しだけだがやって来たしな。 英語もまあ…何とかなるだろう。 問題は科学。数学の次くらいにダメかもしれない。 俺は隣にパサッと教科書を投げ捨て、買ってきたパンをかじった。 「慎也みたいに頭良かったらいいのになぁ」 心に思ったことが、勝手に声となって発される。 言った瞬間、ちょっと…ほんの少しだけ慎也に憧れてしまった自分に嫌悪した。 「呼んだか?」 ガチャ。 立ち入り禁止のはずの屋上のトビラが開いて、慎也が入ってきた(出てきた?)。 "立ち入り禁止のはず"って、まあ俺もその屋上に居るんだけど。 慎也は弁当が入っていると思われる袋を持ったまま、当然のごとく俺の隣に座る。 と、俺は警戒するように慎也と少し間隔を空けた。 だって、こないだあんなことがあったから。 「屋上立ち入り禁止だろ。くるなよ」 「旭も、来てるじゃねえか。それにいっつもここで一緒に昼飯食べてるのに、いきなりなんだよ」 「今日は三時間で終わりなんだから、わざわざ学校で昼飯食べる必要ないだろ」 「それは旭にも言えることだろ?」 理に適った反論をされて、俺は言葉を詰まらせた。 慎也は、投げ放たれた俺の科学の教科書を手に取った。 「勉強してたのか?」 「誰かみたいに頭良くないしー、やらなきゃ欠点取るだろ」 数学は勉強しなかったけど。おそらく欠点取るだろうけど。 「そーか。じゃあ今日、俺の家に来い。隅々まで教えてやるよ」 「絶対に嫌です」 慎也に教えてもらうなんて情けないマネできるか。自力でやって見せるわ!! 「へえ? 絶対に80点以上取らせてやるぞ?」 そっぽを向く俺に、自信満々に慎也は言う。その言葉に、耳がピクリと動いた。 は…80点以上だと? 科学の平均が40前後である俺に、80点以上はオイシイ話だ。 「…本当だな? 本当に80点以上取れるんだな?」 「当たり前だろ」 確信に満ちた慎也の言葉で、俺は教えてもらうことを決心した。 家に帰って着替えると俺は、勉強道具を持って慎也と待ち合わせした場所に向かった。 そーいえば、慎也の家に行くのって初めてだな。小学校からの付き合いだってのに。 まあ、小中とさほど仲良くなかったし。 「よう、旭」 目前に、私服姿の慎也がいた。 慎也の私服なんて、中学校の修学旅行のときにちらっとみた以来じゃねーか? やっぱり学ランであろーがブレザーであろーが執事服であろーが、オトコマエが着るとなんでも似合うんだな。 ボロい布切れでも慎也の場合似合いそうだ。 それはともかくとして。 慎也のあとを俺は付いて行った。 こいつの家、どんなんなんだろう。やっぱり豪邸なのかな? 「着いたぞ」 待ち合わせたところから5分もしないうちに慎也は言った。 俺の家と近いとは知っていたが、全くその通り。 自宅から学校に行くよりも近い気がする。 「ここが慎也ん家かぁ…」 っていうかマンションかぁ。 慎也のことだから、どんな豪邸に案内されるのかと思えば、3LDKマンションの至って普通の住まいだ。 305と書かれた表札の前で慎也は立ち止まり、ドアを開ける。 「入れよ」 扉を支えたまま、俺を誘導してくれた。 「あ、お邪魔します…」 定番の挨拶をつげ、部屋内に入ると俺は靴を脱いだ。ちゃんと揃えるのも忘れていない。 「アナタが旭ね!! ハジメマシテー」 「わ、わっ」 英語なまりが取れていない、独特の喋り方をする女性が俺を見るなり抱きしめた。 多分、慎也の…お母さんかお姉さんかな? 慣れないアメリカ式の挨拶に俺は戸惑う。 ブロンドの髪で、慎也と同じ、青色の瞳をしていた。 「ワタシ、エマ・中田って言いマス。慎也のマミーです」 ハーフっていっても、ずっとアメリカ人に近いハーフだ。喋り方もそうだし。 しかし、めっちゃくちゃキレイな人だなぁ。 高校生の息子がいるとは思えなくらいの。 ハーフの人とか、アメリカ人とかは、日本人の俺から見れば大概がきれいに見えるんだけども。 慎也の母親は、更に上をいってるというか。 見たところ、化粧をしている気配もないのに、顔のしわとかが全然目立たない。 少なくとも40歳前後であるはずなのに。 お姉さん、と捉えても不思議ではないくらいだ。 この人から慎也が生まれたとなると、慎也がこんなにイケメンなのもうなずける。 それにしても"マミー"か。ホントにアメリカ人っぽいなぁ。 まあ、アメリカ人っぽいのは当たり前なんだが。 父親のことは、"ダディー"って言ったりするのかな、やっぱり。 お母様と挨拶を交わした後、慎也に連れられ、俺らは隣の部屋に向かった。 俺は慎也の言葉を熱心に拾い、科学のテスト勉強に没頭した。 本当に慎也は頭が良いんだなぁ、と思う。 だってこんなにバカである俺が、今日たった一日で科学の偏差値が5はあがったんじゃねーのってくらいに感じたんだぞ? 今ならテスト範囲内であったらどんな問題にも答えられそうな気がする。 気がするだけだけど。 「うわ、やっべ。もう7時半かよ」 基本的に放任の家であるので、別に何時に帰ろうといいのだが、お腹が空いてきた。 約7時間、ずっと何も食べずに勉強してきたから当たり前なんだけど。 「80点、取れそうな気がしてきただろ?」 なんの躊躇も無く自信に満ちた声で慎也は言った。 が、その通りだ。 まったく慎也は教え方が上手い。 でもそういうところ、腹立つ。 「慎也、勉強おわったの?」 慎也の部屋から出ると、エマさんが台所に立って夕食を作っていた。 「うん、終わった。今から旭を家まで送ってくよ」 「ええ? い、いいよ。一人で帰れるからさぁ…」 この言葉に、俺は首を振る。 女の子じゃあるまいし、男が男を送っていくなんて、何か変な話だ。 「eh、旭帰るの? ワタシ旭の分までゴハン作ったのヨ」 「そ、そんな!! お構いいただかなくて良かったのに…」 俺は驚いてそう言った。 初対面でいきなり来たヤツにご飯作ってくれるなんて…ありがたいけど、悪い気がする。 頂く訳にはいかないよな。 「ダメ。せっかく作ったから食べるのがレイギよ」 笑顔できつく言うエマさんの言葉に俺は圧倒されかけた。 「い…いいんですか?」 慎也に助け舟を出してもらうかのごとく、俺はちらっと彼を見る。 「食べていったら? 母さんの料理、美味しいよ」 俺は肩をすとんと降ろし、夕食を頂いていくことにした。 「わ…ホントに美味しいです」 おわんに入ったビーフシチューをすすりながら俺は言う。 言うっていうか、本当に美味しいと思ったから自然に声が出た。 「ソウ? thank you旭」 流暢な英語でお礼を言われた。 10分くらい経つと、玄関の扉が開く音がして、 「ただいまー」 という声が聞こえた。 するとエマさんは急いで立ち上がり、玄関に向かう。 「oh, welcome back!」 甲高い女声でその人を出迎え、たくさんキスをしているのが見えた。 「気にすんな、いつものことだ。あ、あれ俺の父さんな」 あっけに取られている俺に、慎也はシチューを食べながら言う。 そうでしょうね、どう見たってエマさんの旦那さんですね。 にしても、他人である俺の前で堂々とベロチューを交わすんだなぁ。 流石はアメリカン。と納得すると同時に、慎也の人目を気にしない性格も、このご夫婦を見ていれば分かる気がした。 「あれ、お客さんかな?」 慎也のお父さんは俺を見るなり驚いた顔つきをした。 しかし…中田家ってどうなってんだ? 何でこう、揃いも揃って容姿の整った人ばっかり。 慎也よりも少し背丈の高いお父さんは、細身でスーツが良く似合っている。 イケメンっていうか…ハンサムって感じなのかな。 髪の毛は白髪も無く、薄らいでいる訳でもなく、黒々していてつやもあってとても軽々しく"オジサン"とは言えない。 正直これほどまで出来た血筋が羨ましい。 俺はまた慎也の方をちらっとみた。そして自分の容姿を思い出し、はぁっと溜め息をつく。 「父さんお帰り。俺の友達で、雪代旭だよ」 「ああ、キミが旭くんか。慎也から話は良く聞くよ。私は中田義人と言う。よろしくね」 そっか、お父さんの方は日本人なんだな。あまりにもカッコよすぎて忘れてたけど。 慎也のお父さん―義人さんはかがんで俺と目線をあわし、俺の頭を軽く撫でた。 「雪代旭です。お邪魔してます」 容姿に見とれて挨拶を忘れていた俺は、慌てて頭を下げた。 「お前の父さんと母さん、すっげー美形だな」 結局何だかんだで慎也に送ってもらうことになった俺は、帰路中にそう呟いた。 「まーな。だから俺もカッコいいんだけど」 「な!? 何だそのイヤミは!!!」 ムカつきの感情が沸々沸き起こる。 顔が格好いいのは…事実なんだけどさ。 「っていうかさ…、何か、うーん…上手くいえないんだけど、俺のこと、"友達"って言ってくれて嬉しかったよ」 しばらく沈黙が続いた後、俺は言った。 「え、どういう意味?」 と慎也は聞き返す。 「いや…なんかさ、この前その…ヤったじゃん? しかもお前が無理矢理。 だから、俺のこと…性対象としか思ってないんじゃないかってちょっとガッカリしたって言うか…」 曖昧な表現で、自分の思っていることを慎也に告げる。 っていうか伝わっているんだろうか。 慎也はじっと俺を見つめた後、 「友達は友達だろ」 と、何かを秘めたような、切なく消え入りそうな声で言った。 「ま、性対象として見てるけどな。旭可愛いから」 次に大声でこう続ける。 「はあ!? お前…ありえねーッ」 「あっはっはッ、旭顔真っ赤じゃん」 街灯に照らされた俺の顔を見るや、慎也は腹を抱えて爆笑した。 こっちは必死で否定してるのに、こうも笑われると癪極まりない。 「とにかく…明日頑張れよ。物理もアレだったら教えてやるけど」 慎也の爆笑がおさまったころにはもう、俺の家の前に着いていた。 「あ…ああ、頑張るよ。ってかお前もな。…それと」 家のカギを取り出してから、 「物理もアレだから、おっ…教えてくれ」 慎也に頼むのはちょっと癪だ。 でも教えてもらうのには最適の人物である。 了解、という風に慎也は微笑む。 「ありがと、な。今日は色々」 彼に対しては滅多に言わないお礼の言葉を告げると、俺は自分の家に入った。 やばい。 これはマジでガチで本当にやばい。 やばいっていう言葉には二種類、意味がある。 悪い意味と、良い意味だ。 俺は今、良い意味の"やばい"を体験している。 「慎也ぁぁぁぁっ!!」 テスト終了後、帰り支度もせずに俺は真っ先に慎也のところに飛びついた。 「お前、マジですげーな!! 今日ばっかりはお前のこと尊敬するよ」 いつもは尊敬できない部分がたっくさんあるけどな。 「科学、良かったんだ?」 「良かったも何も、お前に教えてもらったところそのまま出たじゃん。絶対80いける! もしかしたら90点台目指せるかもしんねー」 「そんなの当たり前だろ。それより、」 慎也は俺の肩に手を置くと、わざとかと思うくらいに顔を近づけ、 「また俺の家来る? 明日の物理教えてやるからさ」 と耳元で囁いた。 いつもなら跳ね返すこの体制だが、俺は素直に喜んだ。 「行く! もちろん! 嫌って言われても教えてもらいます」 昨日の反応とまったくの間逆だな、と自分でも思う。 明日の時間割は、音楽・保健・物理。 音楽と保健なんて正直どうでもいいや。 また今日みたいに気持ちよくテストを受けられるのかと思うと、俺はウキウキした。 終礼が終わると俺はカバンを持って急いで帰った。 いつもなら屋上に直行するけど、今日は昼飯はどこかコンビニとかで買って、慎也の家で食べようということになっている。 聞くところによると今日はエマさんは仕事だそうだ。 俺と慎也が通っていた地元の中学の、非常勤ALTの先生をしているらしい。 昨日で慎也の家を覚えた俺は、着替えずにパンだけ買ってその家に向かった。 「お邪魔します」 カギを開けてあるから勝手に入って来い、と言われていたので俺はチャイムを鳴らさずに入ったが、一応礼儀なので挨拶はする。 慎也の部屋に入ると、荷物を降ろしてコンビニの袋を机に置く。 そしてパンを取り出し、おもむろに食べ始めた。 慎也も同じようにパンやらおにぎりやらを食べる。 屋上での光景と同じだ。 隣に慎也が居て、お互いに食べている間は殆んど何も話さず、ただ食べることに没頭する。 違うのは、ここが慎也の部屋だってことだけ。 なのに俺は緊張して、上手くパンを食道へ通せない。 慎也は横で、長いまつげを備えた目を瞬かせながら黙々と食べている。 コチコチ、と時計の秒針を刻む音が聞こえた。 「何見てんだ? 旭」 どれだけ慎也のことを見ていたのか、俺は彼に言われるまで分からなかった。 「え? 俺の食べる姿に惹かれたとか?」 からかうように慎也は言う。 「ち、違うって」 本当に何で慎也のこと、ずっと見てたんだろう。 俺は焦る気持ちを隠すように残りのパンを口の中へねじ込んだ。 昼食を済ませると、慎也は物理の教科書と問題集を持ってきた。 「じゃあ、やりますかー」 「ふぅー」 終わったーって感じで俺は深呼吸した。 5時半か。昨日よりは少ないが、充実した勉強時間だったなぁ。 「お疲れ、旭」 慎也はペットボトルを俺に渡した。 カルピスのラベルが貼ってある。 「お、ありがとな」 俺はカルピスを受け取ると礼を言った。 エマさんも義人さんもまだ帰っては来ていない。 「じゃあ俺、帰るよ。ありがとう。明日もいける気がする」 荷物をまとめようとした時、 「ダメだ。"お礼"が済んでない」 と慎也が俺の手首を掴んだ。 「は? だ、だからありがとうって…」 動揺する。だって意味分からないし。 「言葉じゃない。俺がしてほしいお礼はこっち」 慎也が、掴んだ手首をぐいっと引くと、俺はバランスを崩して倒れこんだ。 俺が起き上がる前に慎也は腰にまかれてあるベルトを外した。 「???」 「勉強教えてやったお礼にフェラ、頼むな」 「はッ!? ふざけんな!!」 俺は、顔を青ざめた。 またこの前の屋上でのことと同じことが起こるのだろうか。 「ふざけてない。昨日からずっと楽しみにしてて、お前に触れるの我慢してたんだぞ」 知るかよそんなことーッ!! ったくやっぱり変態だな。最終的にはコレかよ!! ちょっと尊敬した俺が間違いだったよまったく。 「誰がするか。んなもん自分でしろっての」 俺より慎也の方が愛撫上手いのは分かりきってることなんだから。 気持ちよくなりたいなら自分で扱けばいいだろ。 「自分でしたら、お礼の意味なくなるだろ?」 慎也は例のごとく俺の下あごを持ち上げる。 「俺はな、旭が俺の下半身をしゃぶるところが見たいわけ。何も本番ヤるなんて言ってないんだから、それくらいしろよ」 「い…嫌に決まってんだろ」 「何ならオマケで、俺が旭の扱いてやってもいいぜ?」 意地悪っぽく言うと、慎也はズボンの上から俺の性器に触った。 「や…やめろッ」 服の上からなのに、俺の身体は反応を見せる。 「もう俺、下ガチガチなんだよ。早く抜いて欲しいんだけど。旭に」 そう言いながら慎也は俺の下半身を撫で続けた。 「あ…あっ、し…るかよっ」 心の中では拒絶しているのに、顔は紅潮させ、身体は抵抗することもしない。 快感を欲しているのだ。 「…シて?」 慎也はまたもや俺に依頼する。 「勉強、教えてやったじゃん」 「あ…ぁん…っ」 「俺のおかげで科学上手くいったんだろ?」 「やめろよ…ッもぉ…」 性器の形をなぞられ、それは更に硬くなっていく。 「わ…わかったから、やるから…やめて」 慎也に触れられると、本当に頭と身体がおかしくなりそうだ。 俺は結局慎也のゴリ押しに負け、再び彼の言いなりになってしまった。 やっぱ情けないな…俺って。 ぴちゃ…くちゅ… 卑猥極まりない水の音が響く。 俺は慎也の肥大した陰茎の根本を持ち、先端を口に含んだ。 「ん…ぅ」 これ絶対全部入りきらねえよ。 勃起したそれは次第に俺の唾液と慎也の体液で潤んできた。 「旭…っ、歯…立てんな」 くしゃりと俺の髪の毛を掻き撫でて慎也は言う。 歯を立てるなとか言われたって、こんなことどうやってすれば良いかわからねえんだよ! とりあえず、アイスクリームを舐める感覚で舐めてみる。 っていうか俺、何でこんなこと…してるんだろう。 意地でも嫌だっていう旨を貫き通せばよかったものを。 「ッ…旭…」 自分のベッドに座っている慎也は、頬に汗を浮かべながら顔を赤らめている。 「ん…っは、」 慎也はまた俺の頭を撫でた。 なんかムカつく。癪に障る。 絶対に気持ちよさ味わってもらうぜ! 俺の手でな。 意味無く俺は意気込んで、慎也のモノを扱く手の速度を速めた。 「…ッん」 慎也の顔色を伺っていると自分の下半身もうずいてきた。 …え、俺って慎也の今の顔見て興奮してるのか? だとしたら俺も変た…いや違うんなワケあるか気のせいに決まっている。 「…ふぅ」 やがて陰茎の先端から白い精液が飛び出して、俺は手を止めた。 「はぁ…はぁ」 顔に飛び散った白濁とした液体をふき取る。 慎也は目を瞑って顔を紅潮させ、息を整えていた。 「まあまあ良かったよ、旭」 ベルトを締めながら慎也はサラッと言った。 あ、そーですか。そりゃようござんした。 俺は黙って荷物を取り、部屋から出て行こうとする。 「お前は、抜かなくていいのか?」 「別にいいよ。お前じゃあるまいし」 振り向かずに言うと、慎也が寄ってきて、俺の身体を抱きしめた。 「やってやるけど」 「い…いらねぇ」 わざとチクビ部分に指を置く慎也。それにいちいち反応する自分が情けない。 「じゃ、帰るよ。勉強教えてくれてありがとうな」 「送らなくて大丈夫?」 「いらん。出来ればお前と今一緒にいたくねえ」 「あっそ。じゃあまた明日」 逃げるように玄関の扉を開けると俺は、 「お邪魔しました」 と言って出て行った。 慎也の家を出ると、俺は出来るだけ早足で家へ向かった。 下半身が…気持ち悪い。 慎也に扱いてもらうのはまっぴらだが、さっさと抜きたいです。 「旭くん、おかえりー」 いつものようにみぞれが出迎えてくれる。 俺はただいまと短めに返し、自分の部屋に向かった。 カバンを下ろす。ついでに部屋のカギを閉める。 「はあーもう、慎也のヤツ…信じらんねぇ」 服を脱ぐと、俺はベッドの上に横たわった。 番外編①終わりです。 何か旭も慎也のこと気にしだしている?的な感じで書きたかった。 でも残念な結果に。 旭の自慰行為は省略(笑 続き
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番外編① とある休日の昼下がり、リビングから聞こえる二人の声。 「愁ちゃん……動いちゃ、ダメだからね?」 愁がぎゅっと目を瞑りながら、直人の服を握りしめて答える。 「……っ……あんまり奥まで入れないでね」 「大丈夫だよー。優しくするから」 直人は愁の言葉にクスクスと揶揄うように笑ったが、すぐに真剣な表情に戻して愁のものを見つめる。 そろり、そろりと壁を擦るように奥へと直人は進めると、愁の肩がピクリと震える。 「ここ、気持ちいいの……?」 「うん、でも……あんまり激しくすると、痛いかも……」 愁は気持ち良さからか、それとも緊張からくるものなのか自身でも判らないまま小さく息を吐くと、直人の膝にそっと手を置いた。 「もうちょっとだけ……奥まで……」 「痛っ!ちょっ……ナオ、今、奥当たった!」 もうダメ! と、愁が慌てて直人の手を掴んで動きを止めると、直人は残念そうに潤んだ瞳で愁を見遣る。 「むぅ。もうちょっとだったのに……。じゃあ、最後にこれだけ!」 そう言って、直人は愁の耳にふーっと柔らかい息を吹きかけた。 ――耳掃除、終了! 番外編② ※コラボネタです。文:かずい様 コラボ作品:「どうして 変態 なんですか」 《慎也目線》 俺の名は中田慎也。 中田の"田"は濁るぞ。そこが重要だ。 なぜ重要なのかというと、俺の名の最後二文字を取って読むと分かると思う。 お、前方に旭発見。今日は遅めに登校してよかった。 「おはよ」 後ろから声をかけるが、返事がない。 「無視するなよ、旭」 無視されたお返しにお前の尻、触ってやろ。 「なぜケツを触る!?」 顔を赤らめて旭は言った。 (可愛いなー) 俺は心の中で笑う。彼を苛めることが今、一番楽しいかもしれない。 ふと後ろを振り返ると、小学生くらいの男の子が歩いていた。 (おー、可愛い子発見!) 早速その子の元へ向う。 そしてしゃがんで目線を合わし、「名前、何て言うの?」と聞いた。 「え…柊…直人…です」 直人くんは一線を引きながらも答えてくれた。 「へぇー、可愛いな。抱きしめてもいいか?」 「え…え?」 そうやって戸惑っている様子もまた可愛い。 俺は返事を待たずしてその小さい身体を抱き寄せた。 あー、若いと柔らかくて抱き心地がいいな。 「や、やだッ! 愁ちゃん!!」 直人くんはそう叫ぶと俺の腕の中で暴れ始めた。 「愁ちゃん、助けてっ!! 助けてーー!!」 「何やってるんだよ!? ナオを放せ!!」 直人くんの叫び声を聞き、恐らく愁ちゃん、と呼ばれた青年がやって来た。 彼は俺の胸倉を掴んで直人くんから引き剥がした。 「お前、誰だ?」 どぎつい視線を飛ばしながら愁くんは怒り心頭で俺を睨む。 「通りすがりの男子高生…かな? 直人くんがあまりにも可愛かったから」 当の直人くんは、愁くんの後ろに隠れて様子を伺っている。 「…は? ふざけんなよ」 「ふざけてはいない。本気で抱きしめたかったんだ」 すると後方から旭がやって来た。 「何やってんだよおおおおっ!」 …すごい形相。 「本当にごめんなさい、このアホのせいですよね。言わなくても分かります。 後で殴り殺しておきますのでどうかお許し下さい」 旭が何度も謝ると、怒っていた愁くんの顔が元に戻っていった。 「あ…いえ。そんなに謝っていただかなくても…」と必死で謝る旭に対して遠慮がちに言う。 「お前も謝れよ」 旭は俺をつついた。 状況を把握する。…俺が悪いな、ごめん直人くん。 「すみませんでした」 俺は二人に向って頭を下げた。 「本当にお前はアホだな。普通は顔見知りでない男の子を抱きしめたりはしないんだぞ?」 わかっているか? という風に旭は俺の方を見た。 「旭も可愛いよ」 俺が呟くと、旭はカッと顔を赤らめた。 やっぱり可愛いなぁ、お前は。 老若男女、俺はみんな好きだけど、旭は別格。 俺は嫌がる旭を無視し、直人くんとは違う気持ちでぎゅっと抱きしめた。 番外編③ ※リクエストで書いたBLではなく普通ver.。 愁が直人や千秋と出会う前、中学の時付き合ってた彼女との話です。 書いてて恥ずかしくなったので色々省略したのを読み返しながら思い出しました。 《彼女目線》 「愁ちゃんっ! お待たせ!」 「ん、行こっか」 駅前での待ち合わせ。 私は余裕を持って出たはずなのに、待ち合わせ場所にはすでに愁ちゃんがいた。 腕を組んで歩いているとチラチラと周りの女の子の視線を感じる。 ……すみませんね。不釣り合いな彼女で。 愁ちゃんとは小学校からの同級生。 私はずっと愁ちゃんの事が好きで、中学からは別々になってしまう事を知って卒業と同時に勇気を出して告白をした。 まさかOKしてもらえるなんて……本当に夢みたいだった。 学校が違うからなかなか会えないけど、今日は休日だからずっと一緒にいられる。 それに……今日はちょっと私にとって勝負の日なんだもん。 × 約束していた映画を一緒に観てから映画館を出て時計をみてもまだ4時だった。 「この後、どうしよっか? 買い物でもする?」 「……あのさ、愁ちゃん。今日、お母さん達いないんだ。……私の家、来ない?」 私の意外な提案に、愁ちゃんは少し驚いたようだった。 私達が付き合ってもう3ヵ月。 ……多分この台詞で愁ちゃんは察してくれたと……思う。 女の子からこんな事を言うのは恥ずかしくて声が震える。 「……いいの?」 「うん、特に何もおもてなしできるような物はないけど……」 「全然いいよそんなの。ありがとう」 そう言って愁ちゃんは私の手を握って歩き始めた。 × 「……お茶、煎れて来たよ」 「ありがと」 私の部屋に横ならびに座ってお茶を飲んでいても、なんだかぎこちなくて話す会話が見つからない。 ……女の子の部屋に男の子を呼ぶなんて初めてだし。 「……」 「……」 なんか……何もしてないのにどんどん緊張してきちゃった……。 「あ、なんか暑いねっ……窓でも開けよっか……ゎゎっ!」 そう言って立ち上がった瞬間、スカートに足が引っ掛かって前につんのめる。 愁ちゃんは倒れそうになる私を抱き止めてくれた。 「ご……ごめんっ」 「大丈夫?」 愁ちゃんの顔が近すぎて心臓が高鳴る。 何も言えずに愁ちゃんの目を見詰めていると、愁ちゃんはクスリと微笑んでから顔を近づけ唇を重ねてきた。 「ん……ふっ……ぁっ」 最初は軽い触れるだけのキス。 それから徐々に舌が入ってきて、自然と甘い声が漏れてしまう。 「んん……ふ、愁ちゃ……ん」 息が続かなくなって苦しくなってきた。 トントンと愁ちゃんの胸を叩いて唇を離してと合図を送る。 愁ちゃんはやっと顔を離して、また見詰めてくる。 多分……今、私の顔尋常じゃなく赤い気がする。 「続き……していいの?」 ……愁ちゃんの言ってるこの意味は、キスの続きって事じゃなくて、その、いろんな意味の続きの事だよね……? 私はギュッと目を瞑ってコクンと頷いた。 すると愁ちゃんは私の頭を寄せて唇を耳に当てると、耳元で囁いた。 「じゃあ、一つお願いがあるんだけど」 「な、なに……?」 「今から俺の事、愁って呼んでくれる?」 耳元で囁かれてゾクリとした感覚が襲う。 「……しゅ、愁……」 「―――」 震える声で私が愁の名前を呼ぶと、耳元で私の名前を囁きながらゆっくりとベッドに倒された。 ――それだけで、どこまでも堕ちていけそうな優しい声で。 番外編④ 《執事×御主人様》 「あー……疲れた」 ボスンと直人がベッドに身を投げると、愁が微笑む。 漆黒の燕尾服に、白いシャツ。 胸には高級そうな金の飾りピン。 そして何よりもそれらをサラリと着こなす美しい顔立ち。 愁は姿勢良く直人の横に立つと、恭しく一礼をしてから静かに直人に声を掛けた。 「何かお飲み物でも飲まれますか、直人様」 「それより早くこの煩わしいドレスとコルセットを外せ」 「……かしこまりました」 愁は直人をベッドから起こすと、背中に周り、一枚ずつ慣れた手つきで脱がしてゆく。 直人の着ている服装は正装ではあるがタキシードでは無く、フリルたっぷりのドレス。 黒が基調とした布地に花やレースがあしらわれた、所謂ゴシック調の服装である。 当主である直人の父親の方針で、舞踏会に女装して紛れ込み、男の前で猫を被らないような花嫁候補を探す、 ……というのが建前で、本当は父親の吐き気のするような趣味によるようで、直人はうんざりと言った顔で頭に着けていたカツラとヘッドドレスを投げ捨てた。 直人の身体を締め付けていたコルセットの紐を弛めながら、愁はゆっくりと訊ねた。 「今夜はいいお嬢様は見つかりましたか」 「オレは……お前がいればいいと言っているだろう」 コルセットを弛める愁の手を直人が掴み振り返ると、真剣な面持ちで愁を見上げてじっと見詰める。 愁は微笑のみを浮かべてその言葉には返答しない。 スッと自分を掴んでいた直人の手を外し、横に用意していた服を手に取る。 「……早くお着替えを済ませないと風邪を引いてしまわれます。さ、こちらの御召し物をどうぞ」 「要らない」 パシリと差し出された服を払う。 パサッと床に落ちた服を拾い上げようと、愁が膝をついて屈む。 直人はそんな愁を見下げながら口を開く。 「愁……お前はオレの事が好きか?」 「……ええ。直人様は私の命より大切な存在です」 膝をついた状態で顔だけを上げると、愁は端正な顔を直人に向けて、表情を崩さず答えた。 「……なら、……お前がオレを愛していると言う証明を」 直人が愁の頬に触れながら静かに命令を下す。 愁はクスリと笑い立ち上がると、ゆっくりと直人に自身の唇を重ねた。 「仰せのままに、御主人様」 番外編⑤ ※コラボネタです。 文:かずい様 コラボ作品:「護ってやります」 《直人目線》 中学に入って、初めての夏休みになった。 朝一番で送られてきた、桜からの"会えないか"というメール。 今日は何も予定がなくて、愁ちゃんは夏季講習で昼まで学校だ。 だからオレは、桜にいいよって返事した。 拓也も誘ったけど、どうやら部活で無理みたいだ。 「おはよー」 朝8時、待ち合わせた公園で桜と出あった。 「直人…。え、えーっと、…来てくれてありがとう」と桜はやけに困ったような顔をして手を振る。 「どうしたの?」 「実はその~、知り合いのお姉ちゃんが直人に会わせてくれって言って…」 おずおず桜は答えた。言いにくいかのように。 何だろう? 別に会うくらい全然構わないけどな。 「じゃ、じゃあ電話するからちょっと待ってくれる?」 「うん」 オレは公園内の遊具に座って待った。 「あー…奈央だよ、うん。直人来てくれたんで…はい」 電話を切ると桜はおもむろにオレに頭を下げた。 「ホントごめん、直人! 私が不甲斐ないばかりに…」 「え? ごめん、全然わかんないんだけど…」 理由も聞かずに頭を下げられても、どうしたらよいのか分からない。 桜はなおも困った表情を浮かべる。 「ね、どうしたの桜? 怒ったりしないから、教えて?」 逆上させないように優しい声をかけたつもりだ。 「…来たら分かると思う……」 結局理由は教えてくれず、桜の言う"知り合いのお姉ちゃん"がやって来た。 「さーくらんッ! ごめんね待たせちゃって~」 恐らくその、"知り合いのお姉ちゃん"がやって来た。 「この子がナオくん!? きゃはッ、想像以上に可愛らしいわぁ」 長い茶色の髪の毛に、ゆるくかけられたパーマ。 その女の人はスタイルも良くて、化粧している甲斐もあるだろうけど結構美人に見えた。 「直人、この人は妹尾雀華さんって言ってね、私の学校のOGでね、私と同じクラスの子のお姉ちゃんなの」 「妹尾雀華ですっ! 早速で悪いんだけど~、さくらんと一緒にあたしの家に来て欲しいの! あ、全然遠慮はいらないからね。あたしのことも"雀姉ちゃん"なんて呼んでくれると嬉しいかも」 「雀姉ちゃん?」 初対面の人なのに、馴れ馴れしく呼ぶのってどうなんだろ。 オレは恐る恐る言ってみた。すると。 「きゃーーーッ、いいな、ナオくんって!!! 素直ねぇ。萌えるわ」 雀姉ちゃんは頬に両手をあてて喜んだ顔をしていた。 萌え? 萌えるって、秋葉原とかで使われるあの言葉…だよね。 桜はテンションハイな雀姉ちゃんを横に、顔が曇っていた。 まぁ…確かに変な人だけど、別にそんなに困ることないんじゃあ? オレはこの時の桜の気持ちがよく分からなかった。 桜と一緒にオレは、雀姉ちゃんのあとを着いて行った。 というかあとに着いて行くのは公園の外まで。 そこからは駐車場に止めてあった雀姉ちゃんの車に乗せてもらった。 ポルシェだ。すっごく高いんだろうな。ボディは赤くてピカピカで、カッコよくて。 オレも男だから、車とか見るとちょっと興奮する。 「ナオくん、来てくれてありがとうね。実はね、ナオくんに着て欲しい服があるんだ~」 雀姉ちゃんはハンドルを握りながら天真爛漫にそう言う。 すると傍らで桜が「ねえ直人、本当にいい? このまま着いて行っちゃって後悔しない??」と不安そうに聞いた。 オレは首をかしげた。着て欲しい服とは何か、とも疑問に思ったけど、やっぱり桜の不安そうな声が第一に不思議だった。 「ちょっとぉ、さくらんてば。それどういうことよ? 大丈夫よナオくん。あなた可愛いから絶対似合うわ」 「そういうことじゃないよ、雀華さん! 似合う前に直人が嫌がるよ」 「嫌がらないかもしれないじゃない。ねえ、ナオくん?」 "ねえ"ってオレに振られてもなぁ。どう答えたら良いのか。 オレは雀姉ちゃんの問いかけに愛想笑いで返した。 だってさ、まず服って何のことかわかんないし、桜がどうして雀姉ちゃんを止めようとしているのか分からないし…。 「着いたわよ、二人とも」 20分くらいしてオレと桜は、車から降ろされた。 目の前に広がっていたものは、びっくりするくらいの豪邸だった。 住宅街で、この目前の家だけ物凄く目立っている。隣の家でさえ、遠くてかすむほどだ(ちょっと大袈裟だけど)。 オレの家ふたつ分は確実にあるな。普通にオレの家も一戸建てで、充分広いと思っていたのだけど。 雀姉ちゃんは玄関の隣のバカでかいガレージに、ポルシェを器用に駐車した。 よく見ると、いやよく見なくてもまだ車が何台か置かれてあった。 ベンツにフェラーリ、ランボルギーニ。高級車ばっかりだ。 「びっくりしたでしょ? 雀華さんって社長令嬢なんだって。しかも超大手の食品メーカー会社らしいよ」 桜がこっそり耳打ちした。 社長令嬢かぁ。道理でこんなにリッチな家なわけだ。 「てことは行く末は社長なのかな?」 カッコイイな、だとすれば。 「うふふ、あたしはバカだから社長は無理ね。でも弟は賢いから、あとを継ぐとすれば弟だと思うわ」 車を止め終えた雀姉ちゃんに聞かれていたようだった。 不謹慎なことを言ってしまったかと思い、オレはすみませんと小さく謝る。 「気にしなくていいってば。じゃ、入ろ。たぶん弟たちもいると思うけど、無視してていいからね」 中も広くて豪華で、オレは息を呑んでばっかりだった。 ザ・金持ちって感じのツボやお皿や絵などが、ポイントポイントに飾られている。 オレがそれに差し掛かるたびに目をきょろきょろさせていると、 「ごめんね。パパがこういう骨董品みたいなの、好きなの。あたしは金持ちアピールしてるみたいですごく嫌なんだけど…」 雀姉ちゃんが申し訳なさそうに言った。 「あたしは愛と漫画とペラ本があれば生きて行けるッ! ってあ、」 二階に上がるとちょうど良いタイミングで、部屋からこれまたカッコイイ男の人が出てきた。 「うわ、雀華!」 「こう! ただいまぁ。っていうか"うわ"って何なのよ」 「頼むからやめろよ、勉強すんだからな!!」 「わかってるわよぅ。今日は可愛いお客さんが来てくれたもんっ」 金髪で背の高いその男の人はオレらの方を一瞥して、哀れんだような目をした。 「奈央ちゃん…新たな被害者連れてきちゃって、まぁ…」 「そうなんです、虎汰さん」 「被害者ってなによ! こう、あんた後で覚えてなさいよ?」 怒声で雀姉ちゃんは言うと、その男の人は負けじと罵声を浴びせて階段を降りていった。 「あ、ナオくん。今のがさっき言ってた賢い弟で、名前は虎汰(こうた)っていうの。あたしはこうって呼んでるけど…」 オレはまだ見える虎汰さんの姿を見た。 金髪…なのはさっき言ったけど、ピアスもあけててスウェット姿で、失礼だけど…ヤンキーみたい。 「全然賢そうに見えないでしょ? でも真面目で頭良いの。世の中変だよねえ」 そういえば、"勉強する"って言ってたな。 夏休みでもちろん、テスト期間中でも何でもない。受験なのかもしれないけど。 「雀姉ちゃん、さっきの被害者ってどういうことですか?」 虎汰さんの嫌がり方と言い、何かただならぬことなのかも。 どうしても気になったオレは、不躾ながら聞いてみた。 「被害者なんてとんでもない! こうが大袈裟に言ってるだけ」 「大袈裟じゃないわ! えっと…そこの、男の子!! 早く逃げなさいッ、雀華の魔の手から!」 今度は背後から女の子の声が聞こえた。 桜もオレも雀姉ちゃんも振り返る。と、そこにいたのはオレと同い年くらいの女の子だった。 「あ、亀依(きい)ちゃん」 桜がぼそりとその子の名前と思しきことを言った。 「どうも奈央ちゃん。そしてそこの男の子、はじめまして妹尾亀依です。奈央ちゃんと同じクラスでありまして、友達でありまして…。ってそんなこと言ってる場合じゃないわ! 男の子、早く帰ったほうが良い! あ、年上かもしれないよね。そこの殿方、早く帰った方が身のためでございますのよ」 「変でしょ? 亀依ちゃんっていつもこうなの」 「のんびり言ってる場合やあらしませんで!」 エセ関西弁? 確かに変な子だな…。桜の友達なんだから、良い子ではあると思うけど。 「キッキ。うるさいからどこかに行ってくれるかしら?」 「キッキじゃなーい! あたしは猿じゃないのよ、ヒューマンよ、ザットイズヒューマン!」 「ハイハイハイ、簡単な英語も使えないダメヒューマンのキッキにはバナナをあげるからさっさと立ち去ってね?」 「だからキッキって言うな! 亀依なのよ!? 北乃きいちゃんの亀依よ!? もー雀華なんか…あれよ、シェンロンに食べられちゃえばよろしいじゃないの!」 「ナオくん、キッキは一切無視しなさい。じゃあ行こうか、あたしの部屋に」 亀依ちゃんに突っ込むのが面倒くさくなってしまったのか、雀姉ちゃんは次の瞬間には無視してオレの手を引いて奥に進んだ。 「あ、ちょっと! 男の子か殿方ッ!! もうしらなーい、もん。雀華に何されるかわかんないからね!?」 背後からオレを呼び止めるけど、雀姉ちゃんに引っ張られてどうしようもない。 桜が亀依ちゃんに手を振り、やっとオレらは雀姉ちゃんの部屋に入った。 「ねえ桜、亀依、ちゃんが言ってたこと…」 それに、虎汰さんに桜も。オレは段々不安になってきた。 「…亀依ちゃんはちょっと大袈裟だけどね。雀華さんのこと嫌ってるみたいだから」 「もお。キッキのことは良いじゃない。それよりコレ!」 雀姉ちゃんはクロゼットの中の、紙袋の中から服を取り出した。 これは…。 何だかわからないけど、セーラー服? みたいだ。 「あ、これは涼宮ハルヒのコスね。で、こっちはナルトとかー、リボーンとかー、何でもいいから好きなもの着てみて!」 ズラーッと並べられた衣装の数々。中にはオレの知っているキャラの衣装もあった。 「え、着て欲しいものって…これ? ですか?」 「そうそう。前にさくらんにナオくんのトラ姿見せてもらったの。…で、着て欲しいなーって思って」 小学校の学芸会でやったあのトラ役。思い出すと、そんなこともあったなぁという感傷と、ちょっと恥ずかしいという思いでオレの胸は満ちた。 「やっぱ、ダメかなぁ? こうもキッキもさくらんも皆嫌がるのよ…」 「そりゃそうだよ…」 ガッカリしかけている雀姉ちゃんを、桜は肩をすぼめて見ていた。 どうしよう? 別にオレは、こんな服を着ることなんて全然厭わない。 それに、折角家にまで招待してくれたのだから…。 「着ますよ、オレ」 「ホントに!?」 案外あっさりした答えが返ってきた、と思ったのか雀姉ちゃんはすごく嬉しそうな声を上げた。 「じゃ、じゃあまずコレ着てみて!」と言って渡されたのは、巫女さんが着ていそうな服だった。 「何でもいいって言ったのに…」 桜はそういったけど、オレは着替えることにした。 正直言うと、スカートがない分全然ましである。 「じゃあ、あたし達は外にいるからね」 そういって二人は出て行く。広い部屋にオレ一人になった。 衣装は着るのが難しいかと思われたが、コスプレ初心者でも着ることが出来るようになのか、オレ一人でも充分簡単に着られた。 外へ通ずる扉をノックして二人に伝える。 「っっっかわいいいいッ!!!」 まず第一声は、雀姉ちゃんの黄色い声だった。 いつからか持っていたデジカメでいきなりオレの姿を写し出す。 「確かに……似合って…る…」 桜はどこに何の気持ちをぶつけてよいかわからない様子で、赤くなったまま目を逸らした。 「さくらん、こういう気持ちを"萌え"というのよ」 雀姉ちゃんはにこにこ顔で桜に言うと、またオレを向いて、肩に手を置いてこう言った。 「今度はナオくんが選んで! あたし達は隣の部屋にいるから、じっくり選んでね」 広い部屋で、多数の衣装を目の前にしながらオレはまた一人になった。 選んでっていわれても…。ナルトやブリーチなんかはオレも知ってる。 知っているヤツを選んでも面白くないよな…。見たこともない衣装着てみようかな。 って、オレ結構乗り気だなぁ。 座り込んでいろいろ考えていると、突然ドアがガチャガチャ鳴りはじめた。 何だろ、雀姉ちゃんかな? ビックリしつつも扉が開くのを待ってみる。雀姉ちゃんでも桜でも無かった。 そして虎汰さんでも亀依ちゃんでもない。知らない、オレよりも確実に年上の男の人だった。 黒い髪の毛。背が見上げるほどに高い。 それに、カッコイイ。愁ちゃんがイケメンだとすれば、この人は男前って感じかな。 雀姉ちゃんのご兄弟の人かな? だとすれば妹尾家って美形揃いだなぁ。 「あ…、こんにちは」 その人は見知らぬはずのオレが部屋の中にいるのに特に驚きもせず頭を下げた。 「こ、こんにちは」 オレもつられて頭を下げる。 「雀姉ちゃんは?」 男の人はオレに聞いた。 「あ、えと…隣の部屋です」 「そっか。コンパス知らない? …あ、知る訳ないよな。ごめん」 いきなり質問されていきなり謝られて、オレには何が何だかよく分からなかった。 とりあえず、いえいえと顔の前で手を振ってみる。 見ず知らずの人同士で気まずいはずなのにその人はオレの目の前に座り込んだ。 「雀姉ちゃんに…着せられたんだな。俺もよくコスプレされたよ。今もだけど」 「そ、そうですか」 別に曖昧な返事をしようなんて思っていないけど、それしか言う言葉が見つからない。 「あの、オレ柊直人って言います。お邪魔してます!」 と、オレはその人に頭を下げた。今日、初対面の人が4人もいたけど、名乗ったのはこれが初めてだ。 「直人くん。俺は妹尾龍真(せのおたつま)です。よろしくね」 龍真さんは微笑んでオレに握手を求めた。それにきっちりとお答えする。 雀姉ちゃんも亀依ちゃんも変な人だけど、この人は良い人、だな。 「これ着たらたぶん、雀姉ちゃん喜ぶと思うよ。俺に着てっていう服は大抵これだから」 そういうのと同時に、龍真さんはある一セットの衣装を俺に渡して部屋から出て行ってしまった。 手渡された服を見てみる。角みたいなものが生えた赤い皮製の帽子。バッジがついてある半袖シャツ。で、半ズボン。 オマケにゴーグルと黒いリストバンドが付いていた。 指示通りその服を着ると、オレは隣の部屋にまたもや二人を呼びにやった。 「ボッスンかぁ。良いわ、ナオくん最高!!」 オレはありがとうございます、と言ってデジカメのシャッターをしきりに切っている雀姉ちゃんをボーっと見ていた。 最高って言われても、ただオレは龍真さんに着るように言われただけなんだけどな。 まあいいか。結果オーライってことで。 「あ、もしかして龍に会ったの?」 写真を撮る行為を一時停止して雀姉ちゃんはオレに尋ねた。 龍って、龍真さんのことだよね? 「はい。さっき部屋に入って来られて…」 「そっか!」 気のせいかそうでないのか、雀姉ちゃんの顔が最高に嬉しそうに見えた。 「うふふ、龍ってすごくいい子でしょ? コスプレもしてくれるし、あたしの望みどおり"雀姉ちゃん"って呼んでくれるし、第一恋人が男の子だもんね!」 恋人が男の子…ってことは、オレと愁ちゃんみたいな感じなんだ。 大分前に会った中田さんって言う人といい、オレが思っているよりそういう人、いるのかな? 「雀姉ちゃん、中学生に変なこと教えちゃだめだよ」 オレたちが喋っている後ろから、というかさっき虎汰さんが出てきた部屋から、コンパスを持った龍真さんが出てきた。 「何言ってんのよ。あたしなんか小学生のとき腐女子デビューしたもん」 「大体佑聖とは恋人と決まったわけじゃ…」 「もう、きゅーちゃんの名を出すってこと自体、龍がきゅーちゃんを好きってことじゃない」 「……」 言葉が見つからず、龍真さんは黙るしかないようだった。 一つ疑問に残ったオレは桜に聞いてみた。 「腐女子って何?」 もちろん"佑聖"って名前も気になったけど、それは桜に聞いても仕方ないと思う。 「直人は知らなくていいと思う…よ」 すると桜ははぐらかすようにそう言った。 どういうこと? そんなにはぐらかすようなことなの? 疑問は晴れないままだけど、深入りしてはいけないという空気を読み、あえてそれ以上聞かないことにした。 「っていう事があったんだー」 オレは家に帰ると早速愁ちゃんに今日あったことの一部始終を話した。 「へぇ~。オレも見たかったな、ナオのコスプレ」 頭を撫でつつそう愁ちゃんに言われると照れる。自分でも分かるくらい顔が赤かった。 「なあ、明日は講習休みだし、一緒に遊園地でも行かないか?」 「え、ホントに!?」 愁ちゃんの誘いにオレは素直に喜ぶ。 今日は今日で楽しかったけど、やっぱりオレは愁ちゃんといると楽しくて一番幸せだ。 明日を楽しみにして、今日も愁ちゃんと一緒の夜を過ごす。 × × × ××× 番外集2
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497: 名前:+椎名+☆2012/01/05(木) 15 53 21 ~雪奈side~ 『キーンコーンカーンコーン』 私が屋上のドアの前まで行くと授業開始のチャイムが鳴る。 でも、関係ないんだよね。 サボるから! 『ガチャ…』 屋上の扉を開けると風が一気に校内に入り込む。 髪が後ろにさらさらとなびいている。 寒いくらいがちょうどいいんだよ…きっと。 私は扉上へと続く梯子を登る。 先生とか来てもばれないように… いや、バーチャルだからバレてもいいのかな? でもサボるって言っちゃったし… 今帰ったら遅刻でもあるし… うん、やっぱりサボるのが一番かな。 「ふぅ…」 私はその辺に寝そべる。 空が青い。 …そういえばこの学校はどこにあるのかな? 風も吹いてるし…空も透き通るような青さ。 これをバーチャルなんかで作れるのかな? うーん… 『ガチャ…』 「えっ?」 だ、誰か来た! 先生かも…バレたらどうしよ… ばれないとは思うが人間いざという時になって慌ててしまう。 そういうものだ。 「ど、どうしよ…!?」 突然誰かに口を塞がれる。 て、敵!? 「静かに…気づかれちゃうよ?」 私は声の通りにじっと息を殺した。 しばらくすると入って来た人は何かを囁き、戻っていく。 せ、セーフ? じゃなくて… この人誰!? 私はぱっと離れて後ろを向いた。 498: 名前:+椎名+☆2012/01/05(木) 16 02 11 「ふふ、君もサボりに来たんだね」 …! この人は…… 「十六夜…とかいう人…」 「覚えててくれたんだね?雪奈ちゃん」 そういえばこの人敵だ… それもやばいって聞いたし… 私は帰ろうと橋子に近づく。 「待ちなよ」 が、十六夜に手を捕まれた。 「せっかくなんだし、サボりなよ?そのつもりだったんでしょ? 大丈夫、今は何もしないよ」 うー…本当かな? でも…うんと言わないかぎり手を放してくれないだろう。 「う…わ、わかったよ… 本当に…今は殺しあいとか…なしだよ?」 「約束するよ」 この人…約束なんてちゃんと守ってくれるのかな? 私はとりあえず十六夜の隣で寝そべる。 まさか…敵チームで一番危ない人とサボることになるなんて… 499: 名前:+椎名+☆2012/01/05(木) 16 14 01 「…はぁ、やっぱり学校はいいね」 「え…?」 「こんなにいいとこでサボれるから」 「あぁ…」 そういう意味なんだ… 一応ここは勉強を教わるところで サボれる場所では…… あ、そうだ。 「ねぇ、十六夜…さん」 「はは、さんなんて堅苦しいなぁ」 「じゃあ…十六夜…君」 「ん?何?」 何か調子狂うな…… 「あの…この学校とか空は作り物なの?」 「いいや、いくらなんでも空をこんなに再現出来ないよ。 この学校も空も本物だよ」 本物なんだ… 久しぶりの風… 前回のゲームでは硬く閉ざされた部屋にいたから… なんだか懐かしいな。 …出来れば…真波達ともう一度来たかったな… 「雪奈ちゃんは友達想いなんだね?」 「え?」 「…みんなと来たかったって…」 え? どういうこと? 何でわかるの? 頭が混乱している。 「僕は人の心が読めるんだ」 「え?な…」 「生まれつきそうだったんだよ。 人の過去も分かる…これも生まれつきの能力なんだ」 そんな人がいるなんて… アニメから飛び出した人みたい。 500: 名前:+椎名+☆2012/01/05(木) 16 23 17 「…はぁ」 ため息をついて十六夜君は空をじっと見つめている。 …こうしていれば…普通の…男の子なのに… 普通の…かっこいい男の子なのに… あれ?か、かっこいい…? そ、そんな風に思っては… 「かっこいい…ね、ありがとう。雪奈ちゃん」 う、読まれた… なんでかっこいいなんか浮かんできたんだろう… 「ねぇ」 「…?」 「雪奈ちゃんはさ…『愛』って分かる?」 愛…!? この人から意外な言葉が…! 「僕さ、愛とか友情とか…嫌いなんだよね」 …え? 「どうして…?」 「いつまでも友達とか言ってさ、 結局は先にいなくなっちゃったりするだろ? いつかはいなくなるんだよ…」 この人… 過去に何かあったのかな…… 今すごく悲しそうな目をしてる。 「私も…『愛』は嫌い」 「…!へぇ…意外だね?」 あれ? 愛が嫌いなんてなんで言っちゃったのかな… 本当は…友達とか友情とか愛とか好きなのに… 私は…愛が嫌い…? 保健室のこともそうだけど… 時々自分の気持ちがわからなくなる。 何故…私は保健室も愛も嫌いなのかな…