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FEEL YOUNG フラワーコミックス MiChao! 3周年祭 デザート さ し す せ そ さ 西園寺みちる? 西家ヒバリ? さいとう邦子? さいとうちほ 西原理恵子? 柴門ふみ 彩也? さえぐさとも? Saori? 酒井あゆみ? さかたのり子? 坂田靖子 相模ひな? さかもとみゆき? 佐柄きょうこ? 茶木ひろみ? 咲森のん? 佐久間智代? 桜井まちこ 桜井真優? 桜井美音子? さくら恵理? 桜川キオイ? 桜沢エリカ 桜沢鈴? 桜タケル? 桜田雛? 櫻千夜? 桜野なゆな? 櫻屋敷道子? 栄羽弥? 左近堂絵里? 佐々木淳子? 佐々木倫子? 佐々木みすず? ささきゆきえ? ささやななえこ? さだこーじ? さちみりほ? さとうここ? さとうひとみ? 佐藤真樹? 佐藤両々? 里中満智子 里見美代子? 真崎春望? 佐野絵里子? 百日紅ばなな? さわべきなこ? サン・スン・パク? ▲このページのTOPへ し 幸せな結婚アンソロジー? 幸せな再婚アンソロジー? JET 紫垣まゆみ? 志賀公江 紫賀サヲリ? しがの夷織? 紫築りお? 紫堂恭子? 市東亮子? 東雲水生? 篠原烏童 篠原薫? 篠原千絵 篠有紀子? 嶋木あこ? 島崎譲? しみず宇海? 志水圭? 清水康代? 志村貴子? 霜月かよ子? ジューン・キム? 庄司陽子 ジョージ朝倉? しらかわきくの? しりあがり寿? 師走冬子? SINKA? じんこ? 新條まゆ ▲このページのTOPへ す スヴェトラナ・クマコヴァ? すえのぶけいこ? 菅田うり? 杉浦圭? 杉本ふぁりな? 助知奈? 鈴木淳子 鈴木ぺんた? 鈴木有布子? 鈴木由美子 鈴里ハル? すずはら篠? 鈴虫ぎょえ? すもと亜夢? ▲このページのTOPへ せ 清野静流 瀬戸口みづき? 芹沢由紀子 千之ナイフ ▲このページのTOPへ そ 惣領冬実 曽根富美子? 曽祢まさこ ソラニユホ? ▲このページのTOPへ
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タスクとモエ ごきーん! 曇り空の日曜日、芹沢家の午後は芹沢モエの頭突きの音で始まる。 おでこにたんこぶをこしらえた芹沢家長男・タスクは、慣れた手つきでおでこを擦りながらPSPを器用に操り、 たんこぶを作った主犯者、芹沢家長女でタスクの姉であるモエに、ぐちぐちと不満をこぼしている。 「ちょ…『ダサっ』って言っただけじゃん」 「もう一つたんこぶが欲しい?」 ぷんぷんと頭から湯気を沸かし、 モエは短いスカートを気にしながらいつも履き慣れたバーバリーのソックスに履き替える。 ケモノとは言え、冬は冬で寒い。 モエはおきにのニーソックスを履いて、いざ街へとお出かけというところだったのに、 タスクの余計な一言で、気分を害し脱ぎ捨ててしまった。 八つ当たりはニーソックスにだけに及ばず、タスクにまで及んだ。 「せっかく買ったニーソ、どうしてくれるのよ」 「大根に靴下履かせてどうする気?」 タスクはPSPの画面に気を取られ、姉のお小言は上の空。その姿は、姉のスイッチを発動させるのに十分な出力。 モエは『カチッ』と憤りのリミッターが外れ、グイグイと弟の脳天に遠慮なくげんこを捻り込む。 「…何よ、もう。じゃあ、もう一つたんこぶを作るか、わたしとお買い物に付き合うか二つに一つ。さあ!どっち?」 「いきなり…」 よそ行きの服にばっちり着替えたモエは、リビングのソファーでくつろぐタスクに選択を迫るが、どちらも痛し痒し。 断れば姉型ロケット砲M-0Eの攻撃、引き受ければお嬢さまの買い物に振り回される下僕になること必至。 しかし、もうタスクのHPは限りなく0に近い(というわけではないのだが)。 尻尾をくねーっと隠して、しぶしぶよそ行きの格好に着替える覚悟を決めるタスクであった。 「タスク、モエ。出かけるんだったら、これ買ってきてよ」 母親がメモ紙をタスクに渡し、ついでのお買い物を頼み込む。くんくんと紙のにおいをかぎながら、 タスクは母親に「今晩のごはん?」とメモ紙の内容を尋ねると、母親はにっこり笑って答えた。 「そうね。きょうは寒くなりそうだからね」 遠くでは額に青筋を作った姉の声が響いている。 「タスクー!遅いよ。もう出ちゃうんだからね!」 「分かってるって!行くよ、行くよ!!」 姉弟そろって電車通りまで歩く。休みの日だと言うのに人通りは少ないのは、やはり曇天のせいか。 「姉ちゃん、寒くないの?」 モエはモノトーンのニットワンピースを羽織り、黒のミニスカートをふわりと揺らす。 足元はファー付きの流行のブーツ。 一方タスクはニット帽に厚めのパーカー、カーゴパンツとそんなに見てくれは気にせず、お気楽な格好である。 モエの小悪魔的なふとももは、すっとミニスカートから生えて、お年頃のタスクはそれに気にしてちらっと盗み見る。 「タスク!ただじゃ見せないぞ!」 「別に…見たくもないもん。大根足なんか」 街の街路樹もレベルの低い姉弟ゲンカに飽きれて、ざわざわと木の葉を落とした枝を揺らす。 街路樹になだめられたせいか、最寄りの電停にたどり着いたときには、二人ともケンカに飽きてしまった。 姉弟そろって電車に乗るなんて幾年振りだろうか。二人が幼かった頃よりずっと前から走っている路面電車、 彼は普段通りに変わることもなく、鋼の軋む音を立てながら姉弟を迎えに電停にやって来る。 意外と車内は人が多い。仕方ないので、二人そろって扉近くの立ち席に。 ネコの運転手がブレーキを緩めると、従順な市電は重い音を立てながら電停を後にしていった。 「で、何処に行くのさ」 「黙ってなさい。荷物持ちくん」 立ちくらみがタスクを襲う。なんだよ、荷物持ちか。きっと、姉のことだから沢山買い込むんだろう。 こんなことで自分の休日は費やされてゆくのかと思うと、残念でたまらない。時間を返せ。1秒10円ぐらいか。 細い目をさらに細くしながらタスクは、つり革に全体重を掛けてだらりと力なくぶら下がる。 タスクの気持ちを知って知らずか、それでも電車は二人を街へと運んでゆく。 途中の電停に止まり乗り口ががらっと開くと、姉のモエの「あっ」と言う甲高い声がタスクのイヌ耳をつんざく。 「あれ…モエ?隣の子は?」 「…リオじゃないの。あら、りんごも?」 風紀委員長であるうさぎっ娘の因幡リオと、同じくうさぎっ娘の星野りんごが乗り込んできたのだ。 二人そろって、ヒクヒクと鼻を動かすうさぎーズは、マイペースなのんびり屋さん…。 因幡リオはメガネをつんと人差し指で突き上げ、タスクの方をまじまじと見つめていた。 気の小さい星野りんごは、名前の通り頬を真っ赤にして恥ずかしそうに手すりに捕まり俯いて、 自分のふとももを締めている。 モエは、異様に恥ずかしがる弟を二人に紹介。くるっとタスクの腕にモエの細い腕が絡み付く。 「こいつ…ウチの弟だよ」 「初めまして、姉がお世話になっています。弟のタスクです」 「へえ、なかなかかわいい子だね。わたし因幡です、よろしくね」 「…星野りんご…です。よろしく…おねがいします」 元来小心者であるタスクは、一度に三人のお姉さんに囲まれ 「姉と同じ年の子なのに、どうしてこんなにおしとやかなのだろう」と、頭の上に雲形のふきだしを作る。 それに気付いたか否か、モエはつーんとふきだしを跳ね除け、タスクのおでこをデコピン。 「ウチにもタスクくんと同い年ぐらいの弟がいるけど、取かえっこしちゃいたいくらいだね」 「そっかあ、リオんちにも弟が居たもんね。わたしもリオんとこの弟と取りかえっこしたいね」 「姉ちゃん!!」 星野りんごは空気に流され、その場しのぎの愛想笑い。 因幡リオは指を唇に当てながら、学校のモエをタスクに教える。 「きみのお姉さんは、おしゃれさんだからねえ。クラスみんなのお手本だよ」 「あはは!そんな、委員長!リオだっていつもかわいい服着てるじゃないのねえ!」 「いやいや、わたしもモエみたいにすらっとスカートを穿きこなしたいなあ。 わたしってモエのようなきれいな脚じゃないし」 星野りんごがうんうんと、因幡リオの言葉に続く。 「そうだよ。モエちゃん…流行に敏感だからね。いいなあ、イヌは耳が邪魔にならないで」 「わたしも欲しいな、そんなかわいいブーツ。タスク…買ってよ」 姉の学校での人気者振りを二人から聞いている。 タスクは会話に入り込む隙をなくし、「うんうん」と頷くしかなかった。 「ところでね…こんな都会で市電が未だに走っている理由って知ってる?実はね…。排ガスの出る自動車より、 市電のほうがケモノの毛並みが汚れないからなんだってね。 ほら…、華麗な毛並みはケモノの誇りじゃないの…、っね!!」 「へえ、さすが委員長。物知りだ」 「飛澤さん程じゃないよぉ。モエ」 因幡リオは得意気にマメ知識を披露したが、 その情報は『若頭は12才(幼女)』からのもの(第26話『都会の色』)だとは、 タスクを始め三人とも知らない。 それでも、うんうんとタスクとモエはそろって尻尾を振り、星野りんごはひくひくと鼻を動かす。 ケモノに優しい市電は彼らを乗せて走り、本通りの電停で二人のうさぎっ娘は下車して行った。 しかし、タスクは二人がさよならした後、メガネの方のうさぎが流行のアニメ絵の看板の店に、 こっそりと人目を気にしながら入って行くのを車窓から目撃したのだった。信号待ちの市電からの一こま。 ネコの運転手は信号を見ながら、くいくい顔を拭いている。くいくい…。 「姉ちゃんの友達って…面白いね。ほら、メガネの…」 「委員長のこと?…そう?…面白いのかなあ。あの子は『真面目のまー子』よ」 「ぜったい、面白いって…」 因幡リオの話題で盛り上がる、と言えない会話をしているうちに、二人を乗せた市電は町の中心部・十字街に到着。 さあ、ここからはモエの独壇場。モエは東のショップでブーツを迷い、西の古着屋でブルゾンに心ときめかせ、 そしてタスクは両手いっぱいの買い物袋をぶら下げ、はあはあと姉の軽やかな足に追いつくのがやっとであった。 「チクショー。サイフでも落としやがれよ…」 暴走お嬢さまのお目付け役は、お嬢さまに聞こえぬように毒づいた。 尻尾が激しく揺れていると言うことは、聞こえていなかったようだ。 向日葵のような笑顔のモエに対して、空は鉛色に覆われ今にもベソをかかんとしている。 街のコンクリートから雨の匂いがしてくることは、タスクにもモエにも感じているのは言うまでも無い。 しかし、怖いもの無しの女子高生モエは、タスクに人差し指を突き付けてニッと笑う。 「タスクさあ。わたしね…この後、永遠花と約束があるからさ…家までこの荷物をお願いっ!」 「!!」 「もう一度言うよ。わたしね…この後、永遠花と約束があるからさ…」 タスクは、わかってる。モエは同じことを話すことと、『ダサっ』って言われることを非常に嫌うことを…。 もちろん三度目の言葉を話すことなく、モエは街に消えて行った。 残るは、家路に戻るだけの芹沢タスク・中学生男子。 とぼとぼと、派手な紙袋を両手に人ごみを掻き分ける。電車通りまではまだまだ先…。 不運なことに、帰りの電停に急ぐタスクに雨粒が襲ってきた。予感が当った。 傘をさせない、いや…持たないタスクは、 狭い路地となっている公設市場のアーケードに雨宿りのつもりで飛び込んだ。 幅員2メートルもない路地、魚屋・肉屋・乾物屋と人々の食欲を満たす為の店がひしめき合う、この街の台所。 買い物客の渦に巻き込まれながら、慣れない市場に迷い込む少年が一人。 店からは、オヤジの威勢のよい声が飛び交い、遠慮の無い客も勉強しなさいよとそれに答える。 タスクの泣き面裏腹に、それでも市場は廻り続ける。 「やべえ…初めてきたよ…ここ。どこだよ…」 自分の街なのに、初めての光景だなんて心細い…。 イヌのクセなのに、小心者のせいでウチに帰れないなんて。姉ちゃん…。 「あれ?タスクくん?」 「あ!星野さん?」 女神だ。奇跡だ。肉屋の前で品定めのにらめっこをしている星野りんごと遭遇するとは、タスクってば! 洋食店の娘として生を受けた星野りんご。店の買出しもかねて、夕飯のためにこの市場にやって来たのだった。 タスクは、事の顛末を星野りんごに話すと、「うんうん」と彼女は何でも聞いてくれた。 気に入らないことがあったら痛い頭突きで済ます女とは、えらい違いだ。とタスクはいたく感心。 「あの…因幡さんは…」 「委員長のこと?本屋さんに行くって言って、あのあとさよならしたの。 あの子、週に一度は本屋さんに行かないと気が済まないんだって。 でもあの子、うらやましいな。だって、なんでもきっちりしてるし、いろんなこと知ってるし…。 モエさんにきっちり言える子って委員長ぐらいかな…。なんだか、カッコいいよね。委員長」 「……そうですね。でも、姉は、ああ見えて…何でもないです!」 「ふふふ。モエさんも、カッコいいよ」 尻尾をくるりとうち腿に隠したことがばれたのか、星野りんごはタスクに突っ込む。 「タスクくんって…お姉さん大好きだよね」 「ち、違います!よ…。だいっきらいです」 「うそだあ。毛並みが変わったよ!」 「……」 イヌの最大の弱点は尻尾でウソがつけないこと。弱みでもあるが、誇りでもある。 「でも…タスクくんちって、いいなあ。わたし、一人っ子だからいっつもお父さん、お母さんに怒られてた。 『おまえはお店の看板に謝りなさい』ってね…。で、いっつも一人で泣いてたの。 わたしも怒られても、いつでも甘えさせてくれるお姉さんが欲しいなあ…無理だよね。あはは」 人ごみの雑踏の中、タスクは黙って星野りんごの話を聞いていた。 『お母さん』で、思い出した。頼まれごとだ。そのことを話すと、星野りんごの目が変わった。 その目は、龍をも倒さんとするような鋭くも燃え上がる炎のようでもある。 さっきまでのおしとやかさは何処へ行った。うさぎを被っていたなんてひどい!とタスクは、口に出さず顔に出した。 「まかせなさい!一円でも安く買い物をしてみせるから、ついてらっしゃい!!」 ああ、ここでもお姉さんに振り回されるのか…、と思いつつタスクは星野りんごの後を追った。 ―――その甲斐あってか、大幅に予算を余らせて買い物をすることができ、タスクも星野りんごも快い汗を流していた。 余った予算は姉からの迷惑料だ。頂いてしまえ。誰が構うもんか。 アーケードの外に出ると、いつしか空も雨を降らすことに飽き飽きしてしまったようだった。 「いつかお店に行きます」と星野りんごに深々とお辞儀をして、自宅方面の市電に乗り帰途に着くタスク。 車窓はもう黒く塗りつぶされ、景色を楽しむことさえできなくなっていた。 きょうはもう十分。満足のいく疲れ方。 この選択も強ち間違っていなかったのかな、と車内のガラスに映る自分の顔をちらり。 ―――ようやく家に着くと、母親が晩御飯の支度をしようとしていた。 大きな土鍋をコンロに乗せて、出汁を今から取るところである。寒い冬にはぴったりのおでん。 リビングのソファーでは、先に家に帰っていたモエがうとうとと舟をこいでいる。 (だらしないなあ…。パンツが見えるぞ…) 尻尾は買い物のときと同じように激しく振っていた。 「むうぅ…。タスク、おいで…」 寝言でも、タスクのことを気にしているのか、この姉は。不覚にもタスクは姉のことが可愛くなってしまった。 そんな残念な姉を横目で見ながら、母親にきょうの戦果を差し出すと歓喜の声が上がる。 未来の匠・星野りんごが選び抜いた数々の食材。そりゃ、プロの家が選んだんだから、立派なこと間違いない。 母親もいつものスーパーでは並ばないほど上等な野菜を見て、大層喜んでいる。 「へえ!今日のおでんは豪勢になりそうだね。タスクありがとね」 「へへへ。ほら、この大根の立派なこと」 タスクがリビングに戻り、PSPをやろうとした瞬間。 目の前には宙を飛んできたモエの頭が、タスクの目の前に飛び込んだ。 ごきーーーん!! 「何が大根よ。バカタスク!」 おしまい。 関連:タスク モエ りんご リオ
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年度 頭 タイム 1着 騎手 2着 騎手 3着 騎手 1着馬の父 成績 1994 2 55.2 ムッシュシェクル 藤田伸二 センゴクシルバー 田中勝春 ダンシングサーパス 熊沢重文 アンバーシャダイ ◆ 1995 3 08.2 ナリタブライアン 南井克巳 ハギノリアルキング 武豊 タマモハイウェイ 四位洋文 ブライアンズタイム ◆ 1996 3 04.9 ナリタブライアン 武豊 マヤノトップガン 田原成貴 ルイボスゴールド 坂口重政 ブライアンズタイム ◆ 1997 3 07.2 マヤノトップガン 田原成貴 ビッグシンボル 南井克巳 ギガトン 熊沢重文 マヤノトップガン ◆ 1998 3 09.3 メジロブライト 河内洋 シルクジャスティス 藤田伸二 ユーセイトップラン 松永幹夫 メジロライアン ◆ 1999 3 13.5 メジロブライト 河内洋 スエヒロコマンダー 四位洋文 シルクジャスティス 藤田伸二 メジロライアン ◆ 2000 9 3 09.2 テイエムオペラオー 和田竜二 ラスカルスズカ 武豊 ナリタトップロード 渡辺薫彦 オペラハウス ◆ 2001 3 02.5 ナリタトップロード 渡辺薫彦 エリモブライアン 藤田伸二 ホットシークレット 武幸四郎 サッカーボーイ ◆ 2002 3 07.9 ナリタトップロード 渡辺薫彦 ジャングルポケット 小牧太 エリモブライアン 藤田伸二 サッカーボーイ ◆ 2003 3 06.6 ノーリーズン 小牧太 マイネルプレーリー 村本善之 エリモシャルマン 池添謙一 ブライアンズタイム ◆ 2004 3 08.8 ナムラサンクス 渡辺薫彦 ヒシブリザード 幸英明 ユウワンプラテクト 福永祐一 サクラチトセオー ◆ 2005 3 06.6 サクラセンチュリー 武幸四郎 ハイフレンドトライ 熊沢重文 エプソムボス 小牧太 サクラローレル ◆ 2006 4 3 09.4 トウカイトリック 芹沢純一 ハイフレンドトライ 池添謙一 チャクラ 小牧太 エルコンドルパサー ◆ 2007 6 3 08.3 トウカイトリック 池添謙一 アマノブレイブリー 小牧太 ハイフレンドトライ 熊沢重文 エルコンドルパサー ◆ 2007 6 3 08.7 アドマイヤジュピタ 岩田康誠 トウカイトリック 四位洋文 ドリームフライト 西田雄一郎 フレンチデピュティ ◆
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年度 頭 タイム 1着 騎手 2着 騎手 3着 騎手 1着馬の父 成績 1994 3 19.7 センゴクシルバー 田中勝春 ジャムシード 柴田政人 ホクセツギンガ 小屋敷昭 リアルシャダイ ◆ 1995 3 17.8 ステージチャンプ 岡部幸雄 シュアリーウィン 的場均 ユーワテイオー 横山典弘 ◆ 1996 3 18.4 ユウセンショウ 柴田善臣 オースミベスト 藤田伸二 ホッカイルソー 岡部幸雄 ラグビーボール ◆ 1997 3 18.4 ユウセンショウ O.ペリエ ビッグシンボル 南井克巳 タマモハイウエイ 田中勝春 ラグビーボール ◆ 1998 3 17.6 ユーセイトップラン 河内洋 トキオエクセレント 吉田豊 タイキフラッシュ 岡部幸雄 ミルジョージ ◆ 1999 3 19.7 タマモイナズマ 小原義之 ロングワールド 郷原洋司 マジックシンガー S.サンダース タマモクロス ◆ 2000 3 17.5 ユーセイトップラン 後藤浩輝 ジョーヤマト 田中勝春 スエヒロコマンダー 岡部幸雄 ミルジョージ ◆ 2001 3 18.0 イブキヤマノオー O.ペリエ メジロランバート 蛯名正義 トシザブイ 岡部幸雄 ロドリゴデトリアーノ ◆ 2002 3 19.8 キングザファクト 後藤浩輝 トシザブイ K.ファロン ケイエムチェーサー 吉永護 Known Fact ◆ 2003 3 23.7 イングランディーレ 小林淳一 ハッピールック 横山典弘 ホットシークレット 柴田善臣 ホワイトマズル ◆ 2004 3 31.9 ナムラサンクス 渡辺薫彦 ミッキーベル 柴田善臣 タニノエタニティ 岡部幸雄 サクラチトセオー ◆ 2005 8 3 33.5 ハイフレントトライ 小林淳一 チャクラ 後藤浩輝 ラヴァリージェニオ D.バルジュー アンバーシャダイ ◆ 2006 10 3 30.8 トウカイトリック 芹沢純一 ハイフレンドトライ 小林淳一 フサイチアウステル O.ペリエ エルコンドルパサー ◆ 2007 11 3 30.6 トウカイトリック C.ルメール エリモエクスパイア 横山典弘 アドバンテージ 松岡正海 エルコンドルパサー ◆ 2008 6 3 33.6 アドマイヤモナーク 安藤勝己 レーザーズエッジ 大野拓弥 テイエムプリキュア 酒井学 ドリームウェル ◆
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概要 主な登場人物メイン サブキャラ ショップキャラ プレイするには 関連資料公式設定資料集 副読本 関連項目 概要 「セベク・スキャンダル」と呼ばれることになった、御影町の事件より3年後。 海に面した大都市である珠閒瑠市では、とある噂がまことしやかに流れていた。 主人公が通う高校である「七姉妹学園(通称:セブンス)」の校章を身に付けていると 顔が崩れてしまう。 自分の携帯電話から自分の携帯番号へ掛けると、夢を叶えてくれるという怪人・ジョーカーが 背後に現れる。 更には、街に流れている根も葉もない噂までもが現実化してしまう。 「ジョーカー様」と呼ばれる儀式を行ったことがきっかけで、自分たちがジョーカーに 深い恨みを抱かれていることを知った主人公たちは、彼に恨まれる原因となった過去を 思い出すため、ジョーカーから差し向けられる悪魔たちと戦っていく。 主な登場人物 メイン 周防 達哉 天野 舞耶 リサ・シルバーマン 三科 栄吉 黛 ゆきの 黒須 淳 サブキャラ 星 あかり(イシュキック) 吉栄 杏奈 片山 典子 上田 知香 荻嶋 未歩 柴田 麻美 華小路 雅 芹沢 うらら 周防 克哉 パオフゥ 園村 麻希 桐島 英理子 レイジ(城戸玲二) ショップキャラ ピースダイナー店員(ござる口調の人) 香さん(アロマセラピーショップ「kaori」の店長。未亡人) マヌカン(アニマ・ムンディ店員) プレイするには PSPでリメイクされて発売されている。媒体を考えると、此方の方がプレイしやすいだろう。 ペルソナ2 罪 - PSP 原作をなぞるだけならばPS版でもいいが、PSP版の方が追加要素や修正点があってお得だろう。 関連資料 公式設定資料集 ガイドブック ペルソナ2 罪 公式パーフェクトガイド (アトラスファミ通) 副読本 ペルソナ倶楽部2 INNOCENT SIN World 関連項目 女神異聞録ペルソナ(セベク・スキャンダルの概要) ペルソナ2 罰 名前 コメント すべてのコメントを見る
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ぱにスレ600の奇蹟 倉庫 声優 門脇舞以について ぱにカルタ 勇気部 流れを変える芹沢ホームラン 明日の俺の一日はこれだ! オナニーでいったとき マホー退屈だね 三大勢力 R-20エロゲ 「ぱにぽに。」攻略法 C組を犬で表したら 急募! 教室でぱにぽに読んでたら これがぱにスレ住人だ! なんてこったい 宮本「おい地味女」 ベッキーは成長しない 最終話 希望を胸に すべてを終わらせる時…! ぱにぽに第10巻は、発売未定です。 氷川へきる 最終話 動物達を胸に すべてを終わらせる時…! ぱにぽに第10巻は、発売未定です。 氷川へきる ときにスレ住人 65号文章 蟹食った。 さつばつだっしゅ! メソウサの頭にカメラ付けてみました 俺ぱにぽに見たことないんだけど ツンデレメイド喫茶 修の奇妙な一日 ぱにぽにだっしゅ!第27話「青天の霹靂」 悪い6号さん 桃月vs絶望 第4回戦 痴漢に対する反応・・・ひだまり編 ベッキーに死ねって言われたい 「ぱにぽにすと」略してぽすと ぽてまよ 公式ですか?公式かもしれません 覗いちゃだめ マホT当たる! ↑この人たちの漫才だNE! http //www.nicovideo.jp/watch/sm1045635 あとで裏ね 綿貫かわいいよ綿貫 31取り lol ねりけしだっしゅ! 公式 南米版公式 避難所 もずく酢スレ総合 寿司食いてぇぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ええいああ、君から もらいゲロ ヴぇああげほっげえええええ 魅!クロまティ高校 夏休みキャンペーン中いつもよりボリューム20%増量の大チャンス 何の事か分からないけど とりあえず96年の開幕オーダー貼っておきますね 1(遊) 野村 2(二) 正田 3(中) 前田 4(三) 江藤 5(左) 金本 6(一) ロペス 7(右) 緒方 8(捕) 西山 9(投) 大野 H19.7.20 とうとうぱに見沢症候群L5患者が解き放たれた ××県桃月市VIP村はどうなってしまうのか なにこの自由すぎるページ
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年度 頭 タイム 1着 騎手 2着 騎手 3着 騎手 1着馬の父 成績 1994 2 12.1 スターマン 藤田伸二 ナリタブライアン 南井克巳 エアダブリン 岡部幸雄 ワイズカウンセラー ◆ 1995 2 11.4 ナリタキングオー 藤田伸二 マヤノトップガン 田原成貴 オートマチック 加藤和宏 Wild Again ◆ 1996 2 14.2 カシマドリーム 的場均 メイショウジェニエ 河内洋 サンキョウシュート 芹沢純一 ダンスホール ◆ 1997 2 13.1 マチカネフクキタル 南井克巳 パルスビート 四位洋文 メジロブライト 松永幹夫 クリスタルグリッターズ ◆ 1998 2 15.1 キングヘイロー 福永祐一 メジロランバート 幸英明 スエヒロコマンダー 小池隆生 ダンシングブレーヴ ◆ 1999 2 12.3 ナリタトップロード 渡辺薫彦 メジロロンザン 幸英明 タヤスタモツ 石橋守 サッカーボーイ ◆ G2 ⇒ G3 2000 2 00.3 マルカミラー 川原正一 タップダンスシチー 四位洋文 イングランドシチー 藤田伸二 グルームダンサー ◆ G3 ⇒ G2 2001 1 59.8 テンザンセイザ 幸英明 エイシンスペンサー 熊沢重文 オースミステイヤー 四位洋文 トニービン ◆ 2002 2 12.5 キーボランチ 安藤勝己 マイネルアンブル 渡辺薫彦 ナムラサンクス 石橋守 キンググローリアス ◆ 2003 2 15.4 マーブルチーフ 池添謙一 チャクラ 小林徹弥 トリリオンカット 幸英明 チーフベアハート ◆ 2004 2 13.2 マイネルマグナート 四位洋文 シンメイセレリティ 大西直宏 ヒシルーシッド 藤田伸二 ペンタイア ◆ 2005 2 13.0 コメディアデラルテ 幸英明 シルクネクサス 松永幹夫 コンゴウリキシオー 池添謙一 ホワイトマズル ◆ 2006 4 2 15.5 エリモエクスパイア 佐藤哲三 セレスケイ 秋山真一郎 タニノディキディキ 武幸四郎 スキャターザゴールド ◆ 2007 7 2 13.5 タスカータソルテ 岩田康誠 フェザーケープ 武豊 バンブーソクラテス 柴原央明 ジャングルポケット ◆ 2008 11 2 18.4 ロードアリエス 鮫島良太 マイネルローゼン 藤岡佑介 ブラストダッシュ 武豊 シンボリクリスエス ◆
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年度 頭 タイム 1着 騎手 2着 騎手 3着 騎手 1着馬の父 成績 1994 14 2 14.1 マチカネタンホイザ 柴田善臣 フジヤマケンザン 蛯名正義 ステージチャンプ 岡部幸雄 ノーザンテースト ◆ 1995 2 14.4 サクラチトセオー 小島太 ホクトベガ 加藤和宏 ステージチャンプ 蛯名正義 トニービン ◆ 1996 2 15.0 カネツクロス 的場均 ウインドフィールズ 東信二 ロイスアンドロイス 横山典弘 タマモクロス ◆ 1997 2 14.9 シグナスヒーロー 蛯名正義 オフサイドトラップ 安田富男 スプリングバーベナ 吉田豊 イナリワン ◆ 1998 2 15.3 メジロブライト 河内洋 マイネルブリッジ 岡部幸雄 マウンテンストーン 蛯名正義 メジロライアン ◆ 1999 2 17.4 メジロスティード 後藤浩輝 メジロランバート 吉田豊 コスモブレイザー 田中勝春 メジロアルダン ◆ 2000 2 13.4 マチカネキンノホシ 岡部幸雄 ゴーイングスズカ 芹沢純一 ダイワテキサス 柴田善臣 Seattle Slew ◆ 2001 2 13.8 アメリカンボス 江田照男 ロードプラチナム 蛯名正義 コスモブレイザー 岡部幸雄 Kingmambo ◆ 2002 2 13.7 スパークホーク 後藤浩輝 マチカネキンノホシ 横山典弘 メジロロンザン 吉田豊 Silver Hawk ◆ 2003 2 12.5 マグナーテン O.ペリエ グラスエイコウオー 吉田豊 ホットシークレット 柴田善臣 Danzig ◆ 2004 8 2 15.5 ダンツジャッジ 藤田伸二 ウインジェネラーレ 蛯名正義 グラスエイコウオー 吉田豊 ウォーニング ◆ 2005 8 2 11.4 クラフトワーク 横山典弘 アクティブバイオ 田中勝春 グラスポジション 柴田善臣 ペンタイア ◆ 2006 6 2 13.2 フサイチアウステル 藤田伸二 グラスボンバー 勝浦正樹 オペラシチー 佐藤哲三 Stormin Fever ◆ 2007 6 2 13.7 シルクネクサス 松岡正海 ジャリスコライト 北村宏司 ラッキーブレイク 田中勝春 ブラックランナー ◆ 2008 6 2 13.8 トウショウナイト 武士沢友治 トウカイトリック 蛯名正義 シルクネクサス O.ペリエ ティンバーカントリー ◆
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262 傷 (その11) sage 2009/01/27(火) 05 45 46 ID nYGyqu3v 「冬馬くんが壊れたって……葉月ちゃん、あなた一体、何を言っているの?」 携帯電話を片手に弥生は困惑していた。 電話越しに泣きじゃくる妹の声はまるで聞き取ることが出来ず、何を言っているのか、どういう事態が起こったのか、サッパリ要領を得ない。 正直な話、弥生は、ここまで取り乱した葉月の声を初めて聞いたと言ってよかった。 兄との“初体験”をしくじったというだけで、ここまで恐慌状態になる葉月ではない。 あの、常に沈着冷静な――というより、およそ物に動じるという神経をどこかに置き忘れて生まれてきたような怜悧な妹が、ここまで平静さを失うなど、よほどの緊急事態が発生したと考えねばならない。 「いいから葉月……葉月ちゃん……分かったから……お ち つ き な さ い!!!」 その声は、いま弥生が立っている女性用トイレに響き渡った。 無論、ただの大声ではない。 聞く者を制するに足る鋭い意思を込められた声だ。 かつての生徒会時代。誰もがより多くの部費を求めて紛糾する予算委員会で、汗臭いラグビー部の男子生徒や、パンクファッション的厚化粧に身を包んだ軽音楽部の女子生徒を、たちまちの内に黙らせたという、鉄鞭のごとき一喝。 さすがの葉月も一瞬パニックを忘れ、息を飲まざるを得ない。 「いまからすぐに帰ります。話の詳細は家で改めて聞くから、とりあえず泣きやむこと。――いい?」 鼻をすすりながら「はい……」と呟く葉月の返事を確認すると、素早く電話を切る。だが携帯を握った手は下ろさない。ボタンを操作して、自室のパソコンと接続し、監視映像を画面に呼び出す。 葉月からのメールで弥生は、彼女が風呂場で冬馬と何をするつもりだったか、一応のことは知っていた。 液晶ディスプレイに展開するバスルームの生映像。そこには今、誰もいない。 ならば回線を切り替えてみる。 リビング……やはりいない。 葉月の部屋……そこも無人だ。 冬馬の部屋……ここも違う。 弥生の部屋……いるわけもない。 そして、両親の寝室で、ダブルベッドに横たわった弟の姿をようやく発見し、弥生は肩の荷を下ろしたようにホッと一息ついた。 なるほど、確かに浴室で冬馬が倒れたのなら、担ぎ込むのに一番近い空間は、リビングの隣にある両親の部屋だ。葉月の体格と体力では、二階に並ぶ三つの子供部屋に高校生男子を運搬することなど出来るはずがない。 電話では狼狽しまくっているように聞こえたが、それでも、やるべき事をキチンと済ませてから連絡を入れた事からしても、葉月は最低限の理性をギリギリ保持していたようだ。 そしていま、リアルタイムの監視映像によると、妹の姿は、穏やかに寝息を立てる冬馬の傍らにある。 携帯の液晶画面では解像度が荒すぎてよく分からないが、葉月の様子からして、確かに今しがたまで泣き喚いていたのは事実のようだった。 とりあえず冬馬が無事なのは分かったが、逆に言えば、分かったのはそれだけだ。 弥生は、ふたたびバスルームの映像を呼び出す。だが今度はリアルタイムではなく録画分だ。その映像を数分前まで巻き戻す。 ――そして、弥生は知った。 「…………なに……これ……!?」 何を言っているのか全く解読不可能だった、葉月の『冬馬が壊れた』という言葉が、実に的確かつ正確な状況報告であったことを。 「急用!! 緊急!!」 それだけ言い放ち、トイレから長瀬の待つ個室に戻るや、上着とカバンを引っ掴み、テーブルの上に千円札を二枚叩きつけ、弥生は足早に外に出た。 呆気に取られる長瀬にかける言葉は何もなかった。 申し訳ないと思わぬでもないが、詫びも説明も、すべては後回しだ。弥生にとって、冬馬と葉月以上に優先すべき事など、この地球には存在しないのだから。 そもそも弟が妹と近親相姦未遂の挙げ句、幼児退行を起こしましたなどと、言えるわけもない。 そして、自転車のペダルを満身の力で漕ぎつつ、家路を急ぐ弥生の心に、もはや長瀬のことなどいささかも存在していなかった。弥生はいま、怒りと後悔で一杯だったのだ。 無論、怒りの対象は他の誰でもない。自分自身だ。 263 傷 (その11) sage 2009/01/27(火) 05 47 10 ID nYGyqu3v (何故この事態を予想しなかったんだろう……私ともあろう者が……!?) 知っていたはずだった。 理解していたはずだった。 冬馬がセックスに対し多大なトラウマを抱えている可能性があることを。 そんな彼に対し、まともに色仕掛けを振ることがいかに危険な行為であるかを。 だが、弥生は安心してしまった。 弟に於けるトラウマの顕現が、勃起不全だと聞いて、油断してしまった。 素直に考えるなら、心的外傷がインポテンツという形をとって表層化している以上、この場合、冬馬のトラウマが肉体に与えた最大の問題は、単なる男根の機能障害ではなく、もっと精神的な――性欲そのものに対する減退と解釈するべきだ。 そして、いかに葉月がクールな相貌をたたえた美少女だとしても、13歳の“おんな”とも呼べぬボディを前にして、冬馬の不能が反応するとは弥生には思えなかった。弥生ならともかく、葉月の肉体ごときに心因性の性欲減退に影響を与えるだけの魅力があるはずがない。 つまり、異性の裸身を前にしても、精神が興奮を感じられないという現実こそが、冬馬が治療すべき真の病根であり、インポテンツなどそれら精神疾患の一症状でしかないのだ。 逆に言えば、冬馬の精神が『女体に反応できない自分自身』に耐えられなくなるほどの性的魅力を所有した女体を前にしなければ、彼の心的外傷が全面的に疼くことはないだろう。 それと、もう一つ。 芹沢事件の顧客どもは、みな普通のプレイに飽きた政財界の男女が主だったと聞く。ならば彼らの平均年齢は、普通に考えても中年・熟年・初老といったところだろう。 つまり、どこからどう見ても第二次性徴前のオンナノコでしかない葉月の肢体が、芹沢家時代の忌まわしい記憶を冬馬に回帰させるキッカケ足り得るかどうかは、疑問だと言わざるを得ない……。 今から考えれば迂闊もいいところだ。 人のトラウマが何に反応するかなど、心理学者でも精神分析医でもカウンセラーでもない弥生に、予測できるはずがない。――というのは言い訳だ。 予想できなかったはずがない。たとえば幼児期に監禁されたトラウマを持つ者が、閉所や暗闇や孤独に恐怖を抱かないはずがないのだ。ならば――、 『セックスに関するトラウマを彼が抱えているらしい』 何も詳細は必要ない。 この一文で、彼に対する許されざる行為全般は、すべて説明がつくではないか。 13歳の未成熟な女体が相手とはいえ、裸形の愛撫がセックスを喚起させないはずがない。 だが弥生は、そうは考えなかった自分自身に殺意に近い怒りを抱く。 不能という彼の現在を小賢しく考察した挙げ句、弟が幼児退行するほどの事態をむざむざ座視してしまうなど、あっていいことではない。 (もし、冬馬くんがずっとこのままだったら……) そう考える弥生を、身の毛もよだつほどの戦慄が包んだ。 (もし、冬馬くんがずっとこのままだったら……) (もし、冬馬くんがずっとこのままだったら……) (もし、冬馬くんがずっとこのままだったら……) (もし、冬馬くんがずっとこのままだったら……) 「……答えなんか……出るわけないじゃない……!!」 誰に言うでもなく呟いた弥生は、ペダルを漕ぐ足に更に力を込めた。 「どうしました、ごしゅじんさま? ぼくがごほうしするのはおいやですか?」 にじり寄る兄の手を反射的に振り払った葉月に、彼はあどけない表情で尋ねた。 いや、ただあどけないだけではない。 よく見れば、その目には精一杯の媚態と、それ以上の怯えが入り混じっている。 「もしぼくが、ごしゅじんさまのおきにさわるようなことをしてしまったのなら、えんりょなくばつをおあたえください。いかなるおしおきでもかまいません。――ですから」 「ですから……?」 おそるおそる葉月が冬馬の言葉に合いの手を入れる。 「このおすいぬのそそうを……おとうさまとおかあさまにほうこくなさるのだけは……どうか、ごかんべんください……おねがいします……!!」 そう言って、浴室の床に額をこすりつける冬馬の表情は、葉月には見えない。だが、小刻みに震えるその肩が、言葉以上の雄弁さで、彼の心理を説明していた。 264 傷 (その11) sage 2009/01/27(火) 05 48 40 ID nYGyqu3v ――なるほど……。 葉月は、事態の超展開に愕然としながらも納得せずにはいられない。 顧客を不快にさせた。 そこにいかなる理由があろうとも、この私娼窟を取り仕切る芹沢夫妻が、彼ら“養子”という名の商売道具たちに折檻を与える名分としては、その事実だけで充分なのだろう。 当時の恐怖を、かつて現役の“養子”だった冬馬が忘れるはずがない。おそらく骨の髄にまで、客の機嫌を損ねることへの怖れを刻み込まれているはずだ。 「兄さん、顔を上げてください。お願いですから」 「いいえ、いいえ、ごしゅじんさまがぼくをおゆるしくださるまでは」 「許します! 許しますから! だからもう――」 「ほんとうですかっっ!?」 そう言って顔を上げた冬馬の貌は、まさしく一片の曇りさえない歓喜に満ち溢れたものだった。その、あまりにあけっぴろげな笑顔に、思わず葉月は、圧倒されたように息を飲む。そして、妹が仰け反った分、兄はずいっとにじり寄り、距離を詰めた。 「――では、おゆるしいただいたおれいに、せいいっぱいごほうしさせていただきます」 悲鳴を上げる暇さえなかった。 バスチェアに乗った葉月のほっそりとした腰。そこから伸びる両脚を掴み、広げ、股間に優しいキスをする。その間一呼吸とかかってはいない。そして、クリトリスへのキスの感触が消えぬ内に、葉月の神経を更なる高圧電流が走る。 「――かはっっっっ!!?」 一瞬だった。 まさしく一瞬の内に、すさまじい快感が葉月の局所を中心に全身に発信されたのだ。 葉月はまだ13歳だ。その肉体は前述の通り、お世辞にも豊満とは言いがたい。 しかし、知識はある。 思春期真っ盛りの少女としては恋愛と同様に性愛にも興味を持つのは当然の事だ。そういう意味では、いかに天才を謳われようが、しょせん葉月も年頃のオンナノコとしての範疇をはみ出す存在ではない。 オナニーの経験も少なからずある。 連日連夜というほどの頻度ではないし、感じるエクスタシーもお粗末なものだが、別にその事実に絶望する気は葉月にはない。女体としての自分の完成度を誇るには、まだまだ時期尚早だということを葉月は知っていたからだ。 だが――違う。 この心地良さはまさに、想像を絶するものだった。 冬馬が――かつてセックスのプロとしての生活を余儀なくされてきた彼から与えられる快感は、これまで葉月なりに知っていたつもりの常識をあっさり覆すものだった。 「ッッッッッッッッ!!??」 何も考えられなかった。 肺の中の酸素は残らず消費され、排出されるCO2の量は一瞬にして数倍以上になった。だが息を吸い込もうにも、身体がそれを許可しない。圧倒的過ぎるクンニリングスの快感を前に、彼女の理性は消滅し、呼吸器は排気以外の行動をまるで許さない。 あと数分、この舌技の前に身を晒せば、葉月は間違いなく失神していただろう。未熟な女体に与えられた過度の快感と、その喘ぎと悶えがもたらす呼吸困難によって。 だが、性に不慣れな彼女の肉体は、凄絶なまでの刺激を前に、おとなしくそれを甘受するという選択をさせなかった。この現状に一分の抵抗を示す意思が、まだ彼女には残っていたからだ。 弥生による説得という過程を踏んではいるが、すでに葉月は自分が冬馬に抱く感情が、愛情であったことを歴然と意識している。かつては必死になって否定したものだが、いまでは、以前の自分の愚直さに苦笑することさえ出来るだろう。 眼前の男は、そんな葉月が慕ってやまぬ意中の想い人である。 しかも、そのテクニックはあまりに圧倒的だ。 その彼が、跪くように自らの不浄の器官に奉仕する姿に、喜びを覚えぬわけがない。 ――とは、葉月は考えなかった。 いまの冬馬は、葉月が愛した兄ではない。 いまの冬馬の愛撫は、葉月を愛するがためのものではないのだ。 何故なら、ここにいる兄の魂は、柊木家で自分たちと出会う以前の――数年前に彼と千夏がいた頃の芹沢家に回帰してしまっているのだから。 『ごしゅじんさま』と呼ばれ、奉仕を受ける自分は、いまの冬馬にとって金を払って服従を請求するかりそめの主――名もなき顧客の一人に過ぎない。 その事実は、葉月にとっては死に等しいほどの孤独だったのだ。 しかし、嫌悪感と寂寥感に苛まれながらも、葉月の抵抗はまるで儚い。目的のための合理的な動作を意図して足掻くには、冬馬の舌が与える快楽は、あまりにも圧倒的過ぎた。 265 傷 (その11) sage 2009/01/27(火) 05 54 49 ID nYGyqu3v 暴風雨のような快楽の海を漂う一枚の木の葉と化した葉月の全身。 だが、波にもまれ、押し流され、声を上げることはおろか呼吸さえままならない彼女が取れる抵抗は、せめて意図せぬままに四肢を動かし、じたばたと暴れることしかなかった。 そして、肉体が限界を迎えようとしたまさにその瞬間、いまだ動きを止められない右膝が、冬馬の肩を打った。いや、攻撃はそれで終わらない。やもりのようにピタリと張り付いていた葉月の股間から、たまらず離れた冬馬のこめかみを、彼女の左膝が正確に捉えた。 そのまま壁に激突する兄の側頭部が立てた音は、予想以上に大きく浴室に響き渡り、冬馬は苦痛に顔を歪めることさえなく、その場に崩れ落ちた。 葉月が荒れ狂う鼓動と混濁した意識を抑え、何とか我に返ったのは、さらにそれから数分が経過してからだ。 「……あの……にいさん……?」 そして冬馬は、 そのまま眠るように意識を失い、 目を覚まさなかった。 冬馬の寝顔は、いつもと変わらない。 葉月は、布団に覆われた彼の下半身に目をやってみる。 意識を失ってなお硬度を保っているペニスは、ベッドの上に小さなテントを形作っていた。 もし、あのまま冬馬の為すがままに快感に身を任せていたなら、おそらく今頃、自分は処女ではなかっただろう。 だが、それは――それだけはいやだった。 求めてやまぬ兄の愛撫といえど、男娼としての冬馬に、単なる客の一人として身体を触れられることなど、葉月にとって到底ガマンできることではなかった。 『ごしゅじんさま』ではない。 家族として、妹として、そして女として、せめて葉月が何者であるかも認識していない今の冬馬にだけは、抱かれたくなかった。それは葉月の心の奥底にあった、女としての最後のプライドだった。 (恥かしげもなくよく言うわ、まったく……) ここへ来てなお、矜持を振りかざすワガママっぷりには、我ながら嘲笑するしかない。 冬馬を壊したのは、他ならぬ自分なのだ。 もう涙も出ない。 まったく要領を得ない説明ではあったが、一応、姉に連絡は入れた。 まもなく戻ってきてくれるだろう。 だが、両親が帰ってきたら、なんと報告したらいいのか、もはや葉月には分からない。 いや、――そんなことはもはや、どうでもいい。 (わたしのワガママが……兄さんを壊してしまった……わたしが……兄さんを……) もしも今、冬馬が意識を回復させ、何事もなかったように笑うためには葉月の命が必要だと言われれば、おそらく彼女は躊躇なく死を選ぶだろう。だが、そんな都合のいい話は存在しない。人間一人の命ごときで、過ぎ去った時間を巻き戻すことは出来ないのだから。 柱に掛かった時計を見る。 まもなく時刻は午後九時を回ろうかというところだ。 葉月は服の袖で涙を拭った。 罪悪感に打ちひしがれるのは簡単だ。今この場に於ける最も手軽な時間潰しだと言える。 だが、そうではない。 兄が愛してくれた柊木葉月は、そんなブザマな暇人ではないはずだ。 冬馬のために、いま一番やらねばならないことは何だ? いまのうちにやっておける事はあるか? (……ある) それは考えることだ。 彼の意識が数年前まで退行を起こしたのは何故か? それを考察し、せめて姉が帰宅したときには、全てを説明できるようにしておく必要がある。なにしろ葉月は当事者なのだ。 何が起こったのか、どういう過程で兄が自壊を起こしたのか知っているのは、葉月しかいないのだから。 葉月は、こんこんと眠りつづける兄の額にそっとキスをすると、そのまま立ち上がり、彼の携帯を手にとった。そしてアドレス帳を開き、その名を捜す。 ――景浦千夏という名を。 266 傷 (その11) sage 2009/01/27(火) 05 56 43 ID nYGyqu3v 「じゃあ、異変が起こったのは、冬馬くんのお尻に指を突っ込んだ時なのね?」 「はい」 「他には?」 「兄さんに……言葉責め?……をしていました」 「具体的には?」 「気持ちよければ、素直に気持ちいいと言えと強要しました」 「…………」 弥生が帰宅したとき、葉月はすでに冷静だった。 そこに悪意がないのは分かる。 だが、まるで台詞を言うように淡々と状況を語る妹に、さすがの弥生も険しい目をせずにはいられない。 だが、葉月はそんな姉を前にしてもなお、顔色を変えることはなかった。パニックになって電話をしてきたのは、本当に妹だったのだろうかと疑わせるほどに、葉月は平静さを保持している。それはもう、落ち着きなさいと怒鳴りつけたはずの弥生が、気分を害するほどに。 「兄さんが芹沢家で、女性だけではなく男性の相手も勤めていた事実は、姉さんが帰宅する前に、景浦千夏さんに連絡を取って確認を取りました。おそらくは、わたしの行為によって、その瞬間の記憶が回帰し、兄さんの意識を当時に退行させたのでしょう」 その一言に、弥生は思わず息を飲んだ。 「確認って……千夏に話したの……今夜の出来事をッッッ!?」 だが、葉月の表情は変わらない。 「すべてを話したわけではありません。現在の兄さんの症状を告げ、対策を訊いただけです。何といっても、兄さんの過去を実際に御存知なのは、あの方だけですから」 それは分かる。 確かに冬馬の精神が芹沢家時代に退行してしまった以上、その当時を知る人物のサジェスチョンは絶対に不可欠だ。だが弥生としては、この件に自分たち姉妹以外の人間が絡むことは最大限回避したかった。それが姉妹の両親であってもだ。 そして何より、冬馬がこうなった過程をすべて聞いた上で、千夏という少女が黙ってこちらに協力するとは、弥生にはとても思えなかった。 なにしろ現在、戸籍的にも冬馬と葉月は実の兄妹ということになっている。そんな二人が浴室でしようとしていた行為は、世間的には充分にタブーの範囲内だし、感情的にも千夏が、その情報を心穏やかに聞いたとは考えにくい。 かつて千夏からサシで話を聞いた経験を持つ弥生には、それが分かる。 千夏が冬馬の話をするときに浮かべた瞳は、とてもではないが、彼女を弟に近寄らせるのは危険だと弥生が判断せざるを得ない輝きを宿していたのだから。 だが葉月は、そんな弥生の思考を先読みしたかのように話を進めた。 「大丈夫です。すべてを話したわけではないと言ったでしょう? わたしは今朝、兄さんがいきなり幼児退行を起こしたと言っただけです」 (今朝いきなりって……いくら何でも、そんなムチャクチャな話が通じるわけがない) ――とは、弥生は思わなかった。 確かに、冬馬はいつPTSDの症状が発症してもおかしくないほどのトラウマを抱えているからだ。何故そうなったのかのプロセスなど理解できないと言った方が、むしろ話に信憑性が出るかもしれない。 「で、千夏は何て言ったの?」 「千夏さんは、とりあえず兄さんが目覚めてもまだ、精神退行を続けたままだったなら、むしろ自分の出る幕はないと仰っていました。つまり兄さんの記憶と意識の整合性を元に戻したいなら、柊木家に引き取られて以降の兄さんの記憶を喚起させるしかない、と」 「それが道理……よね」 弥生としては頷かざるを得ない。 千夏の記憶さえも冬馬にとって芹沢家を連想させる可能性は充分にある。 ならばここで必要とされるものは、あくまで彼が、芹沢家と縁を切って以降の記憶だ。 しかし、問題はまだ残っている。というか、そもそも、この問題を無視して情況は何も先に進めない。 すなわち―― 「冬馬くんは、本当に目覚めるの? いつまでもこの昏睡状態が続くようなら、どうすればいいの?」 267 傷 (その11) sage 2009/01/27(火) 05 58 50 ID nYGyqu3v だが、その問いかけにも、葉月の視線はまるで揺るがなかった。 「兄さんがこのまま眠り続けるということはない。――そう千夏さんは言ってくれました」 「その根拠は?」 「兄さんは、警察に保護されてからも、食欲減退や悪夢に悩まされたりすることもなかった、極めて強靭な精神の所有者であり、何が原因で退行を起こしたかは分からないが、このまま安眠に逃避することを選ぶような細い神経は持っていないと、彼女は太鼓判を押してくれました」 「それを信じろって言うの?」 あまりに脳天気な言い草に、弥生の拳がさらに固く握り締められる。 そもそも冬馬が本当に悪夢や不眠症、食欲減退といった心因性の諸症状に悩まされていなかったと、なぜ千夏が保証できる? 彼は密かに苦しみ、それでも苦しんでいる自分を見せなかっただけかも知れないではないか。 冬馬が、弱音や弱味を他人に気安く見せない人間であることを、千夏が知らないはずがない。なのに、何故そんな気休めのような言葉を吐くのだ? 「信じるしか……ないじゃないですか……ッッッ」 その瞬間、初めて葉月の顔を覆う、理性の仮面が剥がれ落ちた。 「葉月ちゃん……」 カタカタと振るえる小さな肩を両手で抑え、潤んだ瞳から雫がこぼれ落ちるのを懸命にこらえながら、兄を見つめ続ける13歳の少女は、計り知れぬほどの後悔や罪悪感と戦いながら、なおも気丈に振舞いつづけていたのだ。 弥生はとっさに、そんな葉月を思いっきり抱き締めずにはいられなかった。 そう、信じるしかない。それ以外の選択肢はない。 千夏の言葉も実際のところ、その事実に基づいた気休めだ。 結局、冬馬の精神力にすがりつく以外に、自分たちにできることなどないのだ。 「……ねえ……さん……わたし……」 「黙って」 「……ごめん……なさい……ッッッ!!」 「何も言わなくていいの。何も謝る必要なんてないの。あなたからメールを貰ってすぐに帰らなかった私だって同罪なんだから」 「ごしゅじんさま、どうざいとはなんのことですか?」 そこには、子供のような顔をして、罪のない瞳を二人に向ける冬馬がいた。 「……兄さん……ッッッ」 「冬馬くん……あなた……!?」 姉妹は絶句していた。 このまま起きないのではないかと危惧した冬馬が目覚めた。 ――それはいい。 だが、一眠りすれば元に戻る。そんな儚い希望を姉妹が抱かなかったわけではない。 分かっている。現実は、特撮ヒーローものの洗脳とは違うのだ。怪人が死んだからといって、悪の組織に操られていた人々が、そうそう都合よく正気に返ったりはしない。 だが、それでもなお一縷の望みを、二人は抱かずにいられなかったのだ。 そして、その希望はいま、明確な形で姿を消した……。 「ごしゅじんさま、きゅうそくをとらせていただいてありがとうございました。このおれいに、いっそうのごほうしをさせていただきます」 目を輝かせて葉月に向き直る冬馬。 そんな兄から引きつった表情で仰け反る葉月。 だが、弥生は目を逸らさなかった。 「――待ちなさい」 声を掛けられ、ぽかんとした顔を弥生に向けた冬馬だが、ややあって、屈託のない笑顔を彼女にも見せた。 「ああ、こっちにもあたらしいごしゅじんさまがいらっしゃったんですね。では、どちらのごしゅじんさまをさきにおあいていたしましょうか。なんなら、おふたりどうじでも、ぼくはかまいませんよ?」 268 傷 (その11) sage 2009/01/27(火) 06 00 44 ID nYGyqu3v 一瞬、傷ましいものを見る顔になった弥生だが、次の瞬間、彼女は反射的に息を飲んだ。 上体を起こすのと同時に、冬馬の下半身を覆っていた布団がはらりとめくれ上がり、そこにあったもの――石のような硬度と蛇のようなサイズを誇る“それ”を、まじまじと見てしまったからだ。 (こっ、これが……冬馬くんの……っっ!?) だが、今は完全体となった弟のペニスに眼を奪われている場合ではない。 この、見るも無残な想い人を、ふたたび毅然とした柊木冬馬に戻さねばならないのだ。 「冬馬くん、頭を打った場所は大丈夫? 頭痛がしたり吐き気を感じたりはしない?」 その言葉に、冬馬の瞳がまたも戸惑いの色を浮かべた。 無理もない。彼を有料の性欲処理具として扱っていた者たちは、決してこういう気遣いを冬馬に見せなかったはずだからだ。 だが、ならばなおさら付け入る隙はある。弥生はそう判断せざるを得ない。 「私が――この御主人様がコーヒーを振舞ってあげる。プレイはそれからでも遅くはないでしょう?」 ケトルが低い音を立て始めた。 そろそろ湯が沸いた。 弥生は三個並んだマグカップにインスタントコーヒーを入れ、その上からクリープ、そして角砂糖を放り込む。弟のカップには一つ。妹は二つ。そして自分のコーヒーには三つ。その上から熱湯を注ぎ込んだ。 そして、最後に白い錠剤を取り出すと、冬馬のカップにだけ、それを数錠落とした。 ――それは、かつて彼女が七万円で購入した洗脳用の導入剤であった。 これは賭けだった。 コーヒーを入れてくると言って、キッチンへ行こうとする弥生を、葉月は、姉が何を言っているのか分からないという顔をして見送っていたが、当事者たる冬馬の意識が目覚めてしまった以上、説明をしている暇もない。 弥生には確信があったのだ。 冬馬の精神状態を、芹沢家から現在に回帰させるためには、もはやこの薬を使用するしかないと。 かつて弥生は、通販でこっそり買ったこの薬物を使って、冬馬に自分への愛情を人為的に植え付けようとしたことがある。 結果から言えば、その目的は失敗した。 薬を一服盛られた翌日からも、冬馬が弥生に対して何ら態度を変えることはなかったからだ。だが、それは、この薬が単なる失敗商品だったことを意味するのかと言えば、それは違う。 その場に於いては、弟は姉のマインドコントロールの通り命令に従い、彼女の股間に舌で奉仕させることに成功していたからだ。 いま考えれば、その時点で弟が精神退行を起こしても仕方ない程の、危険極まりない行為だったと弥生は慄然とするが、しかしその事実は、このドラッグがただのボッタクリでなかった事を歴然と証明している。 千夏も言っていたではないか。冬馬を回復させるためには、むしろ柊木家の記憶を喚起させよと。 ――つまり、弥生には成算があった。 「ねえ冬馬くん、コーヒーのお味はどう?」 「……はい……とても……おいしいです……」 冬馬は明らかに眠気をこらえている。 大したものだ。もう効き始めた。 (さすがにマニュアルの倍以上の量を投与したら、こうなるか) あまりにあからさまな兄の異変に、不審げな表情を見せる葉月を放置して、弥生はほくそ笑んだ。 以前、この薬を使った時は、効果が現れるまで20分近くかかったが、いまはもう、二口三口カップに口をつけただけで、冬馬が舟を漕ぎ始めたのだ。 だが、安心するのはまだ早い。 むしろ本番はこれからなのだから。 「冬馬くん、私の声が聞こえたら、はいと返事してください」 「……はい」 「いま、あなたはどこにいるの?」 「……おうちです……」 「おうち?」 「……ぼくの……せりざわとうまの……うちです」 「そう。で、冬馬くんは今、お幾つになったのかな?」 「……ことしのたんじょうびで……きゅうさいになりました……」 269 傷 (その11) sage 2009/01/27(火) 06 04 42 ID nYGyqu3v 「姉さん、これは?」 さすがに葉月ももう黙ってはいられなくなったのだろう。 だが、それを説明する時間は弥生にはない。 冬馬の意識は、薬の効果のおかげで半ばトランス状態にあるとはいえ、完全な忘我の境地に在るわけではない。余計な会話を挟めば、それは当然彼の耳に入り、冬馬の催眠を妨げる雑音と化してしまう。 弥生は妹に目で合図する。 詳細は後で説明してあげるから、とりあえず今は静かにしなさいと。 「では冬馬くん、私が手を一つ叩けば、あなたは一つ歳を取ります。いいわね?」 ぱん。 ぱん。 ぱん。 「さて冬馬くん、あなたはいま何歳になったの?」 「……12歳……です」 「で、いまどこにいるの?」 「……せいわえんとかいう……孤児院、です……」 (孤児院?) 弥生はその言葉に疑問に持ったが、しかし即座にその問いは氷解した。 今から4年前、当時12歳だった彼らは、芹沢孝之夫妻の逮捕によってようやく解放され、育児施設に保護されていたはずだ。その一年後に柊木家の両親が彼を“発見”するまでは。 納得した弥生はふたたび手を打った。 「また一年経ったわ。ここはどこかしら?」 「……ここは」 「ここは?」 「ここは……柊木という家です……おれの三度目の里親の……」 冬馬の言葉遣いが変わった。 心なしか表情も先程より大人びている気がする。 (うまく行ってる。ここまでは) 弥生は合格発表を見るような心持ちで、いよいよ最後の指示を弟に出した。 「さて冬馬くん、あなたはこれから、あと二年歳を取るわ。そして顔を上げて私を見た瞬間、すべてを思い出すの。いい、わかった?」 ぱん。 ぱん。 弥生は息を飲んだ。 葉月も固唾を飲んだ。 そして、冬馬がゆっくり顔を上げた。その瞳に年齢相応の知性の輝きが戻る。 「……あれ、姉さん?」 その瞬間、弥生と葉月は、弾かれたように冬馬に抱きついていた。 無論、下心の為せる業ではない。 歓喜と安堵が、二人に取らせた行動であった。 柊木冬馬は、こうして帰還した。