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【参加者名】繋ぎ・SH・ナイツ 【トリップ】◆SHbRN8u 【所属ロワ】ニコニコ動画バトルロワイアルβ 【ロワ内性別】 【外見設定】野々原渚@ヤンデレの妹に愛されて夜も眠れないCDシリーズ 【特徴その他】 【書き手紹介】 【主な作品】 【登場話:話】
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【参加者名】完全で瀟洒な繋ぎ師 【トリップ】◆jU59Fli6bM 【所属ロワ】ニコニコ動画バトルロワイアル 【ロワ内性別】 【外見設定】博麗霊夢@東方projectの服をきた十六夜咲夜@東方project 【特徴その他】 【書き手紹介】 中盤から参戦し、定期的に投下している人。 遅筆との事だがちゃんと書き上げるので、延長時にはゆっくり書いていってね!と言ってみるのも一興。 傾向は繋ぎが多いバランス型、フラグを巻きながら回収していく。 対主催を多く書いており、心理描写や葛藤、一人称視点を多く使う。 シリアル禁止令や闇AIBOを生み出した。この人も時々題名がカオス。 【主な作品】ゆっくりしていってね!!!、俺らboatさ行くぶるぁ 【登場話:話】
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繋ぎの災 SR 闇/光文明 (8) クリーチャー:デーモン・コマンド/エンジェル・コマンド/サイアクル 8500 ■災来100 ■w・ブレイカー ■ブロッカー ■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時自分の山札を見て「災来」を持つカードを1枚相手に見せてから自分の山札をシャッフルした後、それを自分の山札の1番上に置いても良いそのカードが「災の元凶」なら次の相手のターンの終わりまでこのクリーチャーはバトルゾーンを離れない。 ■相手のターン中に自分の手札が相手によって捨てられたなら次の自分のターンの初めに墓地からカードを2枚まで選んで手札に加えてもよい。 作者 かいがら 絶対に《災の元凶》を出すカードです。 評価 名前 コメント
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『A Jewel Snow』の後日談的話です。 時は12月の24日。世間がクリスマスイヴだと賑やかになり、 幸福に過ごす者、それに嫉妬する者、働くことに追われる者。 様々な人たちがいる。そして今、俺は珍しく昼から街に出ている。 つい1週間と少し前、晴れて恋人となった人と歩いているからだ。 俺と腕を組んで満面の笑顔を浮かべている美少女、涼宮ハルヒである。 「繋ぎとめる想い」 「ねぇ、キョン。次はどこ行こうか?」 満面の笑顔を浮かべながらハルヒが聞いてくる。 昼に会ってからこの調子でずっと連れまわされている。 「あ、ちょっと見てキョン!あれ面白そうじゃない?」 とハルヒが指差したのは置時計だ。中からサンタが出てくる仕掛けらしい。 随分と期間限定でしか使えない感じの時計だが、売れるのだろうか。 しかし、腕を組みながらあっちこっち歩き回るその様は目立つカップルである。 ついでに女の方はとびきりの美少女である。 何やら嫉妬のような嫌な視線をいくつも感じたのは被害妄想ではあるまい。 俺にしてみても二人でいるときのハルヒは普段と見違えるようだった。 満面の笑みを俺に向けるハルヒを心底可愛いと思ったのは初めてだ。 そんな笑顔を独り占めできている事実に、俺はけっこう浮かれていた。 とりあえずは今ポケットに入っているこれを渡すタイミングでも探すか…。 構築されかけた新世界が砕けたあの日の後、古泉から呼び出しがあった。 寒さを感じる季節だというのに、部室では言えない様な事なのか。 一体何の用だ。 「世界を救ってくれたあなたには、何かお礼が必要だと機関が考えたもので」 いつものスマイルを向けてくる古泉。嬉しくはないな、裏があるんじゃないと思うだけだ。 しかし古泉は持っていた鞄から封筒を差し出しただけだ。 これは? 「今後資金が必要になる場面もあるでしょう。是非お使い下さい」 ちょっと見た感じ諭吉さんがそこそこの人数を揃えている。 怖くて受け取れないなこれは 「そう仰らずに。我々一同の気持ちですよ」 まだ怪訝そうにする俺をよそに古泉はもう帰宅する準備をしていた。 待てよ古泉。まだ俺は受け取るとは一言も… 「あなたならそれの使い道もお分かりになっているのでは?」 いや、まぁそれはそうだが… 「涼宮さんを喜ばせていただければ我々の仕事も減ります。つまる所依頼ですよ」 「そういう形ならあなたも納得していただけるでしょう?」 「僕個人としても涼宮さんとあなたには上手く行ってて欲しいんですよ。では」 やれやれ…言うだけ言って本当に帰りやがった。 確かにあって困るものでもないが…なぁ。 とりあえずそれまでの俺からすれば大金だ。とりあえず自分の鞄にしまう。 クリスマスと世間で言われる日が近づいている今日この頃。 古泉たちの意図を読むのは簡単だ。 要するにこれで何かしらのプレゼントでも用意しろって事なんだろ? 確かにそれで閉鎖空間の発生なりが減ったりすれば向こうも助かるんだろうが。 一つの組織の意見を聞くと他の組織の意見も聞いてみたくなるのが世の常だ。 セカンドオピニオンってやつ。そんな訳で後日のSOS団活動にいつもより早く行き、 部室に居た長門に聞いてみた。 なぁ長門、ハルヒは俺が何かをプレゼントしたりしたら喜ぶと思うか? 「涼宮ハルヒはあなたから物を受け取る事によって大きな効用を得る可能性が高い。 そして人々の間で慣習化されたタイミングであれば、相乗効果によってより大きなものになる」 ようするにクリスマスに渡すって事ね。特に問題は無いわけだな。 「ある」 あるのか?何だ? 「涼宮ハルヒだけにその機会が与えられるのは不公平」 そう言うと長門は俺に視線を向けた。 あのー、長門さん?いったい何を仰ってるんですか? 「…なんでもない、忘れて」 いや、そうは言っても… 「忘れて」 わかったよ、そうする。 そうしていると朝比奈さんが来た。何てタイミングがいい。 朝比奈さん? 「ふぇ?あ、キョン君おはよう」 おはようございます。近いうちにハルヒに何かプレゼントでもって考えてるんですが… 「ふぇぇ!?キョン君、アツアツですねぇ~」 最近「アツアツ」なんて言い方は久しく聞いていないな。と思ってると 「いいと思いますよ~。涼宮さんも喜びます」 どうやら問題は無いらしいな。いや、すっかりその気になってた俺は 仮にまずいからやめろって言われてもやったかもしれないが。 程なくして古泉とハルヒも来た。何で一緒に来ないかって? 普段からベタベタしてたら周囲から何言われるかわからん。 学校、それもグラウンドのど真ん中で抱き合ってキスしただけでも軽く事件なのだ。 どれだけの人間が知ったかは解らないが学校が始まっても平穏が続くとは限らない。 いや、今までハルヒに連れまわされた日々だって決して平穏じゃなかったが。 それにハルヒは普段はSOS団団長だからと言ってベタベタしない。 俺はと言うと実際それくらいで丁度いいと思っているのだ。 たまーにしか見せない一面があるから人っていうのは輝くものなのさ。 なんだかんだ言ってもハルヒだって、年頃だ。恥じらいの一つや二つあるだろうさ。 帰り道では割とベタベタしてるのはそういった意味じゃ思い切ってる。 今週の土曜も不思議探索はしないらしい。ハルヒは24日にデートをするって話に なっていたので、今日に予定を入れる事も無かった。 少し間を空けたほうが気分が出るし、探し物もできる。好都合だ。 そうして俺は今何をプレゼントしようか悩みながら街中をブラブラしていた。 ベタにアクセサリーの類にしてみるか。ハルヒは変わったもの好きだが、 プレゼントに「変わった物」なんて要素を組み込むのは簡単じゃない。 そういった意味じゃなんともやりにくい相手ではある。 別にハルヒと付き合ったことを後悔してるわけじゃない。 やりにくい中にある駆け引きを俺もどこかで楽しんでいるからだろう。 俺は近くにあったアクセサリー店に入ってみる。店員が愛想良く迎えた。 適当に品物を見ていると値段に高低差に驚愕する。高い方を買う奴の気が知れん。 店の一角にふと何かを見つける。ショーケースに入っていない物があったのだ。 俺のその視線に気付いたのだろう。店員が俺のほうに来た 「あちらの品に興味が?」 ええ、あれは何ですか?と適当に受け答えする。 「こちらはJewel Snowと言うペアのネックレスです」 そう言うと飾ってあったそのネックレスを持ってくる。ペアと言うには一つしかないが。 「このJewel Snowには面白い仕掛けがありまして」 そう言うと店員が雪の結晶を模した宝石部分に何かをしている。 形容し難い音が少ししたかと思うと雪の結晶は2枚になった。 「これは2つの結晶が重なってひとつになるんです」 なるほどね。それがペアたる所以か。 「でも、それだけでは無いんですよ」 まるでカラクリアクセサリーだな。なんて事を俺は思う。 「この結晶が重なっている時に光を当てると…」 そう言うと店員はライトの下に結晶を持って行く。 そこで俺は自分の目に写ったものに驚愕した。 あの陽を反射した世界の破片と同じ輝きがそこにはあった。 同じ物で出来ているはずは無いだろう。偶然同じ光の屈折が起きるだとか、 名前もわからんこのガラスか宝石かが同じような輝きを放っているに過ぎない。 だが、幻想的で美しい光。正直に言うと見惚れていた。 「この様に光るのは重なった時だけです。屈折の関係なんですよ」 店員が説明を続けているが耳には入っていなかった。 気が付いたら俺はこう聞いていた。これ、いくらですか? 「値札はあちらになります」と店員が指したのはその結晶が元あった場所だ。 値札を確認してみる。古泉に貰った資金に少し足せば買える金額だった。 俺一人ではどう足掻いても届かなかった代物だ。お前に初めて感謝しそうだ。 俺は店員にそれを買う旨を伝えた。店員が包装の準備をする。 ハルヒがあの雪の意味を知っているはずは無い。 だが、これは気に入るはずだ。俺には妙な確信があった。 これでプレゼントは揃った。あとは日を待つばかり…か。 おかげでまた財布には冬が訪れる事になりそうだが。 24日のデートまで節約しないとな。 そしてやってきたのが今日だ。 あちこち歩き回った為に、精神的には満たされつつも肉体は着実に疲れを貯めていた。 なぁハルヒ、どこかで少し休まないか? 「何よキョン、もう疲れたの?しょうがないわね」 可愛らしい微笑を向けてハルヒが答えた。 いやホント可愛いな。普段の破天荒さは何所へ行ったのやら、 こうしていると本当に普通の美少女である。今日限定かも知れん。永久保存版ってやつだ。 普遍的な事を嫌いながらも今日と言う日にハルヒも浮かれているのだろうか。 そんな事を考えながら歩いていたらベンチを見つけた。ハルヒと相談し、そこで休む事にする。 「今日はいろんな物見たわね。どれが良かった?」 そうだな、さっき商店街を歩いていたサンタの一団は印象深かったな。 「でもあれは不気味よ。赤い服が集団で歩いていたらまるで犯罪者じゃない」 随分極端な理論だ。しかしその言葉にいつものような棘が無い。 言ってることこそとんでもないが、悪意も不満も無く、ただ思ったって感じだ。 あの雪の日以降、ハルヒは急激と言ってもいい程に棘が無くなった様に思える。 恋心は人を変えるとはよく言ったものだが、これは極端じゃないか? それが俺と付き合う事になった結果なのか、何かの過程に過ぎないのかはわからない。 もしかしたらあの時砕けた世界にハルヒを構成していた棘が含まれてたのか? あれからSOS団の活動も平常通りのままだ。何も思いついてないのだろうか。 この時何が問題だったのか、「ハルヒらしくない」という認識が俺の中に生まれる。 今のハルヒは大切に思っているし、この可愛らしさが続けば俺も輝ける学生生活を送れる事だろう。 だが、人とは悲しくも慣れてしまうのだ。超常現象の数々に出会った俺には、 今の生活にどこか張り合いの無さを感じているのも事実だった。 なぁ、ハルヒ… 「ん?どうしたのキョン?」 ハルヒは笑顔のまま俺の声に振り向いた。 お前、変わったよな 「そうかな?キョンが言うならそうなのかも」 いや、変わったよ。大人しくなったって言うか… 「そうね。確かに色んな事をしなくてもいいって思うようにはなったわ」 「だって…今はキョンと居たい。二人で」 そう言うと少し照れたように顔を伏せる。俺はと言うと複雑な心境だった。 「どうしたの?いきなりそんな事言い出すなんて」 いや、なんでもないさ。ふと思っただけだよ 「でも…今のキョン、何か考えてる顔してる」 驚いた。ハルヒが俺の顔をじーっと見ている。 その表情にさっきまでの明るさが残っているが、曇りはじめてきている。 俺がそんな顔をしていた事もそこそこに驚いたが直ぐに見抜いたハルヒに驚いた。 「何か心配事でもある?例えば来年の進級とか?」 ハルヒが少し不安を浮かべながら聞いてくる。そう言って欲しいのだろうな…。 大丈夫。本当になんでもないんだ その回答にハルヒは頷いた。しかしその顔には明確に不安の色が浮かんでいた。 そろそろ行こうか。という俺の言葉で俺たちは席を立ち、また歩き出す。 しかし今度はハルヒが腕を組んでくることはなかった。 「あたし…行きたいところがあるんだけど、いい?」 ああ、いいぞ。表情を作り直しつつ答える。 ハルヒに付いていくように歩くと公園についた。 日が日なのでそこそこに人が居る。 外灯のある場所の下に座れそうな場所があったので、ハルヒはそこに座った。 この公園に何かあるのか? 「ううん、別に。ただ、あんなに人が多いのが嫌だっただけ」 表情を曇らせたままハルヒが答える。俺はとりあえずハルヒの隣に座る。 「ねぇ、キョン」 ハルヒが俺の方を見て言った。 「話してよ。さっき何を考えていたの?」 いや、だから大したことじゃ… 「嘘よ、だってキョンあの時残念そうな顔してた」 そんな顔してたのか。俺は。 「あたしとこうやってデートするの、楽しくないの?」 いや、それは見当違いだ。あれが楽しくないなんて思う奴がいたらここに来い。 思いっきり殴ってやる。 いや、楽しいさ。本当に楽しいと思ってる 「じゃあ、どうして…」 隠さないほうがいいな。とこの時に確信した。 俺はな、ハルヒ。人の話も聞かないで勝手に引っ張るお前も好きだったんだ。 今のハルヒはこの上なく可愛らしいし、そんなハルヒと居られるのが嬉しい。 だが、いつものようなハルヒじゃないとどこか空虚な感じになるんだ。 勝手な話だよな。今までだってお前が何かを言い出せば反対してたのに。 ハルヒは黙って俺の話を聞いていた。考えているのか、一言も発しない。 しばらくの沈黙の後、ハルヒが口を開いた。 「キョンは…あたしにどうして欲しいの?」 それが問題なのだ。今のハルヒは魅力があると思う。だがいつものパワーも持っていて欲しい。 言ってしまえば相反する要素だ。共存させろなんて無理な注文だとわかっている。 俺自身も解らないんだ。だから考えていたのさ。 「そっか…」 それっきりまたハルヒもだんまり。 あぁ、なんだってこんな日にこんな暗いムードになってしまうのだ。 俺のわけわからない矛盾がハルヒに伝わり、それでこんな状況になった。 最低だ。俺は。 すまん、ハルヒ 「え?」と俯いていたハルヒがその一言で俺を見る。 ちょっと頭冷やしてくる。そう言って立ち上がった。 正直どこに行くか全く考えてはいないのだが、これ以上ハルヒと居て ハルヒの気分を損ねるわけにも行かない。 だが、数歩歩いた時に後ろから声が飛んできた。 「待ってよ、キョン!」 その声に少し驚いて俺は振り向いた。ハルヒも立ち上がってる。 ついでに泣きそうな顔をしている。俺の罪悪感はそこで3割増くらいになった。 「キョンがそう思うのも、仕方ないわよ…あたしは…今までキョンを引っ張ってきたんだもん…」 「でも今はキョンと居たいって気持ちがあるから…あたしが勝手に引っ張るんじゃなくて」 「キョンが自分であたしと居る事を選んで欲しかったから…」 そこまで言って、ハルヒの目から涙が落ちた。 本当にごめん。ハルヒ 「あたしはキョンが来なかったあの1週間、毎日待ってた」 「待つだけの事なんてしたくなかったのに、何もできなかった」 「本当にキョンが死んでいるって思うのが怖かったから」 「今も怖い…キョンが離れてる感じがする。もう…待ちたくない…」 「行かないで……」 今俺の目の前に居るのは弱弱しい女の子の姿だった。 そうだ。いくら力があったって、普段人を無理やり引きずるようなハルヒだって、 女の子なのだ。誰にも頼ることなく生きてきたハルヒが初めて頼った相手、それが俺だ。 俺はそんな事を考えず、身勝手な不満で今を楽しむことすらも忘れていた。 何を悩んでいたんだ。俺のバカ。 今まで何を言っても自分を曲げなかったハルヒだ。俺はそれに今まで付き合ってきた。 これからだってそれが変わるわけじゃない。ハルヒが出来ない時には、俺が手伝う。 それでいいじゃないか。ハルヒが思いつかないなら俺が考えればいい。 何でそんな事も思いつかなかったんだ。 俺はハルヒの方に戻った。俯いて泣いているハルヒを抱きしめる。 「………キョン?」 すまん、ハルヒ。俺がバカだった。 「バカ……わかればいいのよぉ」 そう言うとハルヒも俺に抱きつく。 いつぞやの展開と似ている気もするが、気のせいだろう。 自分に学習能力が無いとは認めたくないしな。 俺はハルヒが泣き止むまでその頭を撫でていた。 ハルヒも泣き止み、俺たちはさっきまで座っていた外灯の下に戻った。 「いいの?キョン。あたしはどうすればいいかまだわからない…」 いいんだ。二人で考えればいいんだって気付いた。 「キョン……」 時間ならあるじゃないか。慌てて何かを求めたってしょうがない。 最初から解ってればよかったんだけどな。 そう言うと俺は自分がおかしくなった。ふっと笑い声が漏れる。 「…バカキョン」 そう呟いたハルヒにも笑顔が戻っていた。 …やっぱり笑ってるのが一番だよ。ハルヒ。 「うん。ありがとう…」 「でも、あたしを悲しませたんだから、埋め合わせはしないとダメよ!」 あ、ああ…どうすればいいかな? ハルヒはその質問に答える代わりに俺のほうに顔を向けて、目を閉じた。 一応、ここ人通りあるところなんだが… 「ダメ、あたしを泣かせた罰よ」 いたずらっぽくハルヒが言う。わかったよ 俺も目を閉じ、ハルヒと唇を重ねる。 そう、今の俺にはそこにある幸福だけでも十分だ。 これ以上を求めるなんざ天罰が当たる。 どれくらいの間唇を重ねていたかはわからない。 お互いに頃合だと思ったのか、ほとんど同時に唇を離す。 ハルヒの顔には笑顔が戻っていた。涙の跡が少し残っていたが、 それはそれで可愛さを引き立てるものだった。贔屓目じゃないぞ? 「…それじゃ、行きましょ!キョン!」 そう言ってまたハルヒは俺の腕に組み付く。 でも、その前に重要な事があるんだよな。俺には。 ちょっと待ってくれ。そう言って俺はポケットに手を入れて、 包装紙にくるまれた物を取り出し、ハルヒに差し出す。 ハルヒはそれを受け取ると期待と嬉しさをブレンドした特上のスマイルを俺に向けた。 「開けてもいい?」 俺が頷くと包装紙を丁寧に解いていく。中から出てきたのは箱だ。それも開ける。 中には二つの雪の結晶が付いた二つのネックレスがあった。 「これって…ペアって事?」 俺は店員から得た知識を有効に使わせてもらった。 ただのペアじゃないのさ。これは一つでも中々綺麗なもんだが、 重ねて光に当てると… そう言って俺は結晶を重ねると、頭上の外灯にそれをかざす。 その結晶が放つ光にハルヒは見惚れていた。 「すごい…」 しばらくかざすとまた二つに戻し、片方をハルヒに渡す。 「こういう時は彼氏が彼女にかけてあげるものでしょ」 ハルヒが笑いながら言ってくる。俺はその通りにした。 その後、ハルヒが俺の首にネックレスをかける。 正直俺には過ぎたもののような気がするのだが。 「あたし、とっても嬉しい…こういう時、何て言えばいいのかな?」 嬉しさのあまりなのか、ハルヒも混乱気味なのか?プレゼント効果とでも名づけよう。 さぁ、ハルヒが思うまま言えば良いんじゃないか? 「うん…ありがとう…キョン。あ、そうだ。あたしからも渡さないとね」 そう言ってハルヒは持っていた紙袋からごそごそと何かを探した。 今日ずっと持ってたのはそのためだったのか。 ハルヒが取り出したのはマフラーだった。そこ、ベタって言うな。 ハルヒが俺の首にマフラーをかける。かけた後にふっと笑ってこう言った 「これじゃせっかくのペアネックレスが隠れちゃうね」 かまわないさ。人に見せるためにこれはあるんじゃないからな。 俺たちの繋ぎとめる想いを誓う為の物。それがこのJewelSnowの役割だ。 これからもハルヒを大切にしていこう。俺は自分の首にかかっている結晶にそう誓うと、 ハルヒの手を握って、俺はまた歩き出した。二人の未来に向かって――― FIN...
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主な仕掛け、キャラクター 左 →電柱 下 →アパート その他
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一人の巫女が富士山をバックに歩みを進めていた。 そんな巫女をスカート姿の人間が追う。 「あら、◆CqqH18E08c……いえ大変な支給品さん。初めましてでいいのかしら?」 いつでも完全で瀟洒にそれが彼女のポリシー。 そのポリシーにの通り彼女は後ろを見ることなく瀟洒に後ろに歩みよる男なのか女なのかよく分からない物体の名を呼ぶ。 呼ばれた物体は一瞬ビクリと震え足を止めた。 「なぜ初対面の俺の名前を知っている?」 物体――大変な支給品は警戒するように身構えながら声を絞り出す。 しかし彼女は身構える大変な支給品とは対照的に瀟洒に答えを返した。 「私は完全で瀟洒。知らないことなんてあんまりないわ。」 「まさか……あんた完全で瀟洒な繋ぎ師……◆jU59Fli6bM!?」 彼は畏怖と尊敬を同居させた視線を彼女に向ける。 ニコロワβに置いて繋ぎを多く書く彼からすればニコロワで燃える繋ぎを書いた彼女は偉大なる先人。 目指すべき存在なのだ。 彼女はそんな羨望の視線を受けながらも飄々とした態度を崩さない。 「あなたがこのロワで望むものを聞いても良いかしら?」 「個性……個性だな対主催になるにしてもマーダーになるにしてもなんか個性を出したい 個性さえ出せるならどうなろうと構わない」 大変な支給品がどこか熱く自分の望みを語るがそれに対する瀟洒な繋ぎ師の答えは冷たく…… 「そう。頑張ってね。」 それだけ。ただ一言だった。 別に個性を出す場までの繋ぎは私がしてあげましょうと言った応援の言葉もなにもない。 冷たい一言。その一言でしばらく場の空気が凍る。 しばらくは沈黙が続くがそれに耐えきれなくなった大変な支給品が口を発する。 「あなたの目的はいったい何なんだ?」 「私の目的……?そうね、場を繋ぎ続けることかしら、瀟洒にね。 普通の名探偵やガチムチの素敵な兄貴のような他の書き手が動きやすいように場を整えるのが私の仕事 それは私がロワの参加者になろうと変わらないわ、逆にいえばそれ以上のことをしようとは思わないわね」 彼女は瀟洒にそう答えた。 場を繋ぐことにかけてのプロ意識。それが彼女が完全で瀟洒な繋ぎ師と呼ばれる所以だった。 「そういえば個性を出したいとかさっき言ってたけどその格好十分に個性的じゃないかしら?」 「言わないでくれ。この格好は個性的すぎて自分でも恥ずかしいんだ」 【一日目・深夜/山梨県】 【完全で瀟洒な繋ぎ師◆jU59Fli6bM@ニコロワ】 【状態】健康 【装備】 【道具】支給品一式、不明支給品1~3 【思考】基本:ロワの場を瀟洒に繋ぐ 1:場を繋ぐ以上のことはしない 【備考】 ※外見は博麗霊夢の服をきた十六夜咲夜 【◆CppH18E08cは大変な支給品を出していきました@ニコロワβ】 【状態】健康 【装備】 【道具】支給品一式、不明支給品1~3 【思考】基本:個性を出せるならどうなってもいい 1:個性を見せたい 【備考】 ※外見ミクの格好をした馬岱です 時系列順で読む Back ミセシメミステリック Next KOOLな味方 投下順で読む Back ミセシメミステリック Next KOOLな味方 完全で瀟洒な繋ぎ師 105 (過激な)愛ゆえに…… ◆CppH18E08cは大変な支給品を出していきました 105 (過激な)愛ゆえに……
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向こうの世界に行ってみよ!(WenWen 2006/09/01 19 36) 【絡まる糸(実験)】
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「書き手ロワ4thか……」 仮面ツナイダー1号の名を持つ男は、ハットに手をかけながら呟いた。 彼は変身ロワイアルで「繋ぎ」となる作品を書いた書き手である。 序盤から分割話のドカ盛ばかりで、最悪の場合、四分割で五人死ぬSSや、単品で分割話が出るほど、読むのがしんどい変身ロワにおいては、繋ぎは確実に必要な要素である。 他の主要書き手がいずれも四分割を書いたのに対し、彼はそれをしようとはしなかった。 彼の最大は二分割。 すなわち、他の書き手の半分────ハーフ・ボイルドと呼ぶのは失礼だが、彼が最も登場話を書いた「左翔太郎」にちなんでそう呼ぶのが相応しいだろうか。 「……ここでも俺は繋ぎくらいが丁度よさそうだな。分割話には出ずに、繋ぎだけを担当する────」 この初登場SSにおいても、あくまで一人。 そう、他の書き手との合流さえ描かれることなく、あくまで一人。 とりあえず話を進ませるのだ。 「とりあえず、変身アイテムは支給されてるみたいだな」 彼の手にはダブルドライバーが握られている。 「変身」がコンセプトのロワなのだから、やはり変身ができないとまずい。 いまどき、多ジャンルロワもオーズロワも仮面ライダーが参戦していて、その変身者がいるのだ。 それらのロワの書き手には変身道具が支給される確率も高い。だが、変身ロワである自分の手に変身道具が無ければ、変身ロワ書き手の名が廃る。 ……ただ。 ダブルドライバーで一人で変身できるんだろうか? ダブルドライバーは本来、フィリップとともに使用する道具。……変身ロワでは、フィリップは主催者が監禁している状態での変身という特殊ルールが設けられていたが、このロワもそうなのだろうか? もしいるとするなら、もう一人の繋ぎである仮面ツナイダー2号ことF3/75Tw8mw氏あたりか。 だが──── (そういえば、俺も最初にSSを書いたとき──) 彼が書いた翔太郎の初登場話では、変身することでフィリップの現状を確認するという作業をしていないのである。 それに倣うならば、今ここで変身するのは避けるべきだ。 あくまで、自分の繋ぎ方は、すべてを書かない繋ぎだ。あまり迂闊に情報を開示しすぎて後続の書き手が書ける領域を狭めてはならない。ささやかに生きていくのが丁度いいのだ。 だから、今現在はあえてこのベルトを使わない。 「まあいいか……俺はあくまで繋ぎ書き手。あまり前に出すぎずに、ロワを支える……それが俺の書き手としての在り方だ。今はまだ、これに関するルールを詳しく明かしてしまう段階じゃない」 彼が、そう呟きながら、歩き出したその時──── 『あたしは…対主催として行動しようと思ってます!』 近くから、デカい声が聞こえた。 女の子の声だ。 馬鹿だろうか。 (対主催、だって……?) ツナイダー1号は自分の耳を疑う。 対主催が拡声器を使って呼びかけたら、どうなるのかなんて書き手の間では周知の事実ではないか。 拡声器は死亡フラグ。これは原作の時点で知られる拡声器のジンクスだ。 何故、ロワに精通する書き手がいきなりそんなことをするのだろう? ツナギはその少女の言葉に疑念を感じながらも、もう一つの可能性を考えた。 「……もしや、変身ロワの書き手か?」 説明しよう。 変身ロワイアルで拡声器を使ったキャラは二名いた。 そのいずれも、拡声器に寄って集まった参加者をブチのめすという行動に出ているのだ。 つまり、変身ロワにおいては、拡声器とは死亡フラグなどではなく、俺TUEEEEEEEフラグなのだ。 原作や他のロワではテッカマセランスと呼ばれたモロトフですら、変身ロワでは拡声器のお蔭で大活躍の女子中学生キラーだった。 つまり、他ロワの書き手ならば絶対に避ける支給品である拡声器も、変身ロワの書き手ならば、この状況下で拡声器を使う可能性が高い。 変身ロワにおいては、マーダーばっかり使ってたが、彼女の場合は対主催だと宣言している。その言葉を信じるか信じないかはともかく、一応、原作の設定では左翔太郎は女性に弱いハーフボイルド。この状況下で行かないわけがない。 (となると、行動は決まったな……とりあえず、分割話に出ないようにプリンセスのもとに向かうか) ────仮面ライダーツナギは、この時、自分の外見設定に捕らわれたせいで忘れていた。 彼が唯一書いた死亡話では、知り合いを信用して共闘した後、その知り合いに殺されるSSだったということを……。 【一日目・深夜/E-5 街】 【仮面ツナイダー1号(◆OmtW54r7Tc)@変身ロワイアル】 【状態】健康 【装備】ダブルドライバー+ジョーカーメモリ@変身ロワ 【持物】基本支給品、不明支給品0~2 【思考】 基本:あまり前に出すぎず、繋ぎを担当する 0:放送の声のほうに向かう 1:繋ぎを担当する 2:ダブルドライバーについては後続の書き手にお任せする ※外見設定は左翔太郎です。 ※ダブルドライバーのソウルサイドにあたるキャラは不明。そもそも、そんな人物がいるのか不明。 010 諸君、私は○ロワと漫画ロワが大好きだ ◆時系列順に読む 012 途上の物語 010 諸君、私は○ロワと漫画ロワが大好きだ ◆投下順に読む 012 途上の物語 仮面ツナイダー1号 089 Cな瞳/一蓮托生
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お題「恋人繋ぎ」 『彼女じゃなくて』rQNOXuDYO 『寒い冬の朝に』sXPt7ifQ0 『この手を離さないで』/POXZiLY0欝展開あり 『気持ちの伝え方』yXsfZQJQ0
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『A Jewel Snow』の後日談的話です。 時は12月の24日。世間がクリスマスイヴだと賑やかになり、 幸福に過ごす者、それに嫉妬する者、働くことに追われる者。 様々な人たちがいる。そして今、俺は珍しく昼から街に出ている。 つい1週間と少し前、晴れて恋人となった人と歩いているからだ。 俺と腕を組んで満面の笑顔を浮かべている美少女、涼宮ハルヒである。 「繋ぎとめる想い」 「ねぇ、キョン。次はどこ行こうか?」 満面の笑顔を浮かべながらハルヒが聞いてくる。 昼に会ってからこの調子でずっと連れまわされている。 「あ、ちょっと見てキョン!あれ面白そうじゃない?」 とハルヒが指差したのは置時計だ。中からサンタが出てくる仕掛けらしい。 随分と期間限定でしか使えない感じの時計だが、売れるのだろうか。 しかし、腕を組みながらあっちこっち歩き回るその様は目立つカップルである。 ついでに女の方はとびきりの美少女である。 何やら嫉妬のような嫌な視線をいくつも感じたのは被害妄想ではあるまい。 俺にしてみても二人でいるときのハルヒは普段と見違えるようだった。 満面の笑みを俺に向けるハルヒを心底可愛いと思ったのは初めてだ。 そんな笑顔を独り占めできている事実に、俺はけっこう浮かれていた。 とりあえずは今ポケットに入っているこれを渡すタイミングでも探すか…。 構築されかけた新世界が砕けたあの日の後、古泉から呼び出しがあった。 寒さを感じる季節だというのに、部室では言えない様な事なのか。 一体何の用だ。 「世界を救ってくれたあなたには、何かお礼が必要だと機関が考えたもので」 いつものスマイルを向けてくる古泉。嬉しくはないな、裏があるんじゃないと思うだけだ。 しかし古泉は持っていた鞄から封筒を差し出しただけだ。 これは? 「今後資金が必要になる場面もあるでしょう。是非お使い下さい」 ちょっと見た感じ諭吉さんがそこそこの人数を揃えている。 怖くて受け取れないなこれは 「そう仰らずに。我々一同の気持ちですよ」 まだ怪訝そうにする俺をよそに古泉はもう帰宅する準備をしていた。 待てよ古泉。まだ俺は受け取るとは一言も… 「あなたならそれの使い道もお分かりになっているのでは?」 いや、まぁそれはそうだが… 「涼宮さんを喜ばせていただければ我々の仕事も減ります。つまる所依頼ですよ」 「そういう形ならあなたも納得していただけるでしょう?」 「僕個人としても涼宮さんとあなたには上手く行ってて欲しいんですよ。では」 やれやれ…言うだけ言って本当に帰りやがった。 確かにあって困るものでもないが…なぁ。 とりあえずそれまでの俺からすれば大金だ。とりあえず自分の鞄にしまう。 クリスマスと世間で言われる日が近づいている今日この頃。 古泉たちの意図を読むのは簡単だ。 要するにこれで何かしらのプレゼントでも用意しろって事なんだろ? 確かにそれで閉鎖空間の発生なりが減ったりすれば向こうも助かるんだろうが。 一つの組織の意見を聞くと他の組織の意見も聞いてみたくなるのが世の常だ。 セカンドオピニオンってやつ。そんな訳で後日のSOS団活動にいつもより早く行き、 部室に居た長門に聞いてみた。 なぁ長門、ハルヒは俺が何かをプレゼントしたりしたら喜ぶと思うか? 「涼宮ハルヒはあなたから物を受け取る事によって大きな効用を得る可能性が高い。 そして人々の間で慣習化されたタイミングであれば、相乗効果によってより大きなものになる」 ようするにクリスマスに渡すって事ね。特に問題は無いわけだな。 「ある」 あるのか?何だ? 「涼宮ハルヒだけにその機会が与えられるのは不公平」 そう言うと長門は俺に視線を向けた。 あのー、長門さん?いったい何を仰ってるんですか? 「…なんでもない、忘れて」 いや、そうは言っても… 「忘れて」 わかったよ、そうする。 そうしていると朝比奈さんが来た。何てタイミングがいい。 朝比奈さん? 「ふぇ?あ、キョン君おはよう」 おはようございます。近いうちにハルヒに何かプレゼントでもって考えてるんですが… 「ふぇぇ!?キョン君、アツアツですねぇ~」 最近「アツアツ」なんて言い方は久しく聞いていないな。と思ってると 「いいと思いますよ~。涼宮さんも喜びます」 どうやら問題は無いらしいな。いや、すっかりその気になってた俺は 仮にまずいからやめろって言われてもやったかもしれないが。 程なくして古泉とハルヒも来た。何で一緒に来ないかって? 普段からベタベタしてたら周囲から何言われるかわからん。 学校、それもグラウンドのど真ん中で抱き合ってキスしただけでも軽く事件なのだ。 どれだけの人間が知ったかは解らないが学校が始まっても平穏が続くとは限らない。 いや、今までハルヒに連れまわされた日々だって決して平穏じゃなかったが。 それにハルヒは普段はSOS団団長だからと言ってベタベタしない。 俺はと言うと実際それくらいで丁度いいと思っているのだ。 たまーにしか見せない一面があるから人っていうのは輝くものなのさ。 なんだかんだ言ってもハルヒだって、年頃だ。恥じらいの一つや二つあるだろうさ。 帰り道では割とベタベタしてるのはそういった意味じゃ思い切ってる。 今週の土曜も不思議探索はしないらしい。ハルヒは24日にデートをするって話に なっていたので、今日に予定を入れる事も無かった。 少し間を空けたほうが気分が出るし、探し物もできる。好都合だ。 そうして俺は今何をプレゼントしようか悩みながら街中をブラブラしていた。 ベタにアクセサリーの類にしてみるか。ハルヒは変わったもの好きだが、 プレゼントに「変わった物」なんて要素を組み込むのは簡単じゃない。 そういった意味じゃなんともやりにくい相手ではある。 別にハルヒと付き合ったことを後悔してるわけじゃない。 やりにくい中にある駆け引きを俺もどこかで楽しんでいるからだろう。 俺は近くにあったアクセサリー店に入ってみる。店員が愛想良く迎えた。 適当に品物を見ていると値段に高低差に驚愕する。高い方を買う奴の気が知れん。 店の一角にふと何かを見つける。ショーケースに入っていない物があったのだ。 俺のその視線に気付いたのだろう。店員が俺のほうに来た 「あちらの品に興味が?」 ええ、あれは何ですか?と適当に受け答えする。 「こちらはJewel Snowと言うペアのネックレスです」 そう言うと飾ってあったそのネックレスを持ってくる。ペアと言うには一つしかないが。 「このJewel Snowには面白い仕掛けがありまして」 そう言うと店員が雪の結晶を模した宝石部分に何かをしている。 形容し難い音が少ししたかと思うと雪の結晶は2枚になった。 「これは2つの結晶が重なってひとつになるんです」 なるほどね。それがペアたる所以か。 「でも、それだけでは無いんですよ」 まるでカラクリアクセサリーだな。なんて事を俺は思う。 「この結晶が重なっている時に光を当てると…」 そう言うと店員はライトの下に結晶を持って行く。 そこで俺は自分の目に写ったものに驚愕した。 あの陽を反射した世界の破片と同じ輝きがそこにはあった。 同じ物で出来ているはずは無いだろう。偶然同じ光の屈折が起きるだとか、 名前もわからんこのガラスか宝石かが同じような輝きを放っているに過ぎない。 だが、幻想的で美しい光。正直に言うと見惚れていた。 「この様に光るのは重なった時だけです。屈折の関係なんですよ」 店員が説明を続けているが耳には入っていなかった。 気が付いたら俺はこう聞いていた。これ、いくらですか? 「値札はあちらになります」と店員が指したのはその結晶が元あった場所だ。 値札を確認してみる。古泉に貰った資金に少し足せば買える金額だった。 俺一人ではどう足掻いても届かなかった代物だ。お前に初めて感謝しそうだ。 俺は店員にそれを買う旨を伝えた。店員が包装の準備をする。 ハルヒがあの雪の意味を知っているはずは無い。 だが、これは気に入るはずだ。俺には妙な確信があった。 これでプレゼントは揃った。あとは日を待つばかり…か。 おかげでまた財布には冬が訪れる事になりそうだが。 24日のデートまで節約しないとな。 そしてやってきたのが今日だ。 あちこち歩き回った為に、精神的には満たされつつも肉体は着実に疲れを貯めていた。 なぁハルヒ、どこかで少し休まないか? 「何よキョン、もう疲れたの?しょうがないわね」 可愛らしい微笑を向けてハルヒが答えた。 いやホント可愛いな。普段の破天荒さは何所へ行ったのやら、 こうしていると本当に普通の美少女である。今日限定かも知れん。永久保存版ってやつだ。 普遍的な事を嫌いながらも今日と言う日にハルヒも浮かれているのだろうか。 そんな事を考えながら歩いていたらベンチを見つけた。ハルヒと相談し、そこで休む事にする。 「今日はいろんな物見たわね。どれが良かった?」 そうだな、さっき商店街を歩いていたサンタの一団は印象深かったな。 「でもあれは不気味よ。赤い服が集団で歩いていたらまるで犯罪者じゃない」 随分極端な理論だ。しかしその言葉にいつものような棘が無い。 言ってることこそとんでもないが、悪意も不満も無く、ただ思ったって感じだ。 あの雪の日以降、ハルヒは急激と言ってもいい程に棘が無くなった様に思える。 恋心は人を変えるとはよく言ったものだが、これは極端じゃないか? それが俺と付き合う事になった結果なのか、何かの過程に過ぎないのかはわからない。 もしかしたらあの時砕けた世界にハルヒを構成していた棘が含まれてたのか? あれからSOS団の活動も平常通りのままだ。何も思いついてないのだろうか。 この時何が問題だったのか、「ハルヒらしくない」という認識が俺の中に生まれる。 今のハルヒは大切に思っているし、この可愛らしさが続けば俺も輝ける学生生活を送れる事だろう。 だが、人とは悲しくも慣れてしまうのだ。超常現象の数々に出会った俺には、 今の生活にどこか張り合いの無さを感じているのも事実だった。 なぁ、ハルヒ… 「ん?どうしたのキョン?」 ハルヒは笑顔のまま俺の声に振り向いた。 お前、変わったよな 「そうかな?キョンが言うならそうなのかも」 いや、変わったよ。大人しくなったって言うか… 「そうね。確かに色んな事をしなくてもいいって思うようにはなったわ」 「だって…今はキョンと居たい。二人で」 そう言うと少し照れたように顔を伏せる。俺はと言うと複雑な心境だった。 「どうしたの?いきなりそんな事言い出すなんて」 いや、なんでもないさ。ふと思っただけだよ 「でも…今のキョン、何か考えてる顔してる」 驚いた。ハルヒが俺の顔をじーっと見ている。 その表情にさっきまでの明るさが残っているが、曇りはじめてきている。 俺がそんな顔をしていた事もそこそこに驚いたが直ぐに見抜いたハルヒに驚いた。 「何か心配事でもある?例えば来年の進級とか?」 ハルヒが少し不安を浮かべながら聞いてくる。そう言って欲しいのだろうな…。 大丈夫。本当になんでもないんだ その回答にハルヒは頷いた。しかしその顔には明確に不安の色が浮かんでいた。 そろそろ行こうか。という俺の言葉で俺たちは席を立ち、また歩き出す。 しかし今度はハルヒが腕を組んでくることはなかった。 「あたし…行きたいところがあるんだけど、いい?」 ああ、いいぞ。表情を作り直しつつ答える。 ハルヒに付いていくように歩くと公園についた。 日が日なのでそこそこに人が居る。 外灯のある場所の下に座れそうな場所があったので、ハルヒはそこに座った。 この公園に何かあるのか? 「ううん、別に。ただ、あんなに人が多いのが嫌だっただけ」 表情を曇らせたままハルヒが答える。俺はとりあえずハルヒの隣に座る。 「ねぇ、キョン」 ハルヒが俺の方を見て言った。 「話してよ。さっき何を考えていたの?」 いや、だから大したことじゃ… 「嘘よ、だってキョンあの時残念そうな顔してた」 そんな顔してたのか。俺は。 「あたしとこうやってデートするの、楽しくないの?」 いや、それは見当違いだ。あれが楽しくないなんて思う奴がいたらここに来い。 思いっきり殴ってやる。 いや、楽しいさ。本当に楽しいと思ってる 「じゃあ、どうして…」 隠さないほうがいいな。とこの時に確信した。 俺はな、ハルヒ。人の話も聞かないで勝手に引っ張るお前も好きだったんだ。 今のハルヒはこの上なく可愛らしいし、そんなハルヒと居られるのが嬉しい。 だが、いつものようなハルヒじゃないとどこか空虚な感じになるんだ。 勝手な話だよな。今までだってお前が何かを言い出せば反対してたのに。 ハルヒは黙って俺の話を聞いていた。考えているのか、一言も発しない。 しばらくの沈黙の後、ハルヒが口を開いた。 「キョンは…あたしにどうして欲しいの?」 それが問題なのだ。今のハルヒは魅力があると思う。だがいつものパワーも持っていて欲しい。 言ってしまえば相反する要素だ。共存させろなんて無理な注文だとわかっている。 俺自身も解らないんだ。だから考えていたのさ。 「そっか…」 それっきりまたハルヒもだんまり。 あぁ、なんだってこんな日にこんな暗いムードになってしまうのだ。 俺のわけわからない矛盾がハルヒに伝わり、それでこんな状況になった。 最低だ。俺は。 すまん、ハルヒ 「え?」と俯いていたハルヒがその一言で俺を見る。 ちょっと頭冷やしてくる。そう言って立ち上がった。 正直どこに行くか全く考えてはいないのだが、これ以上ハルヒと居て ハルヒの気分を損ねるわけにも行かない。 だが、数歩歩いた時に後ろから声が飛んできた。 「待ってよ、キョン!」 その声に少し驚いて俺は振り向いた。ハルヒも立ち上がってる。 ついでに泣きそうな顔をしている。俺の罪悪感はそこで3割増くらいになった。 「キョンがそう思うのも、仕方ないわよ…あたしは…今までキョンを引っ張ってきたんだもん…」 「でも今はキョンと居たいって気持ちがあるから…あたしが勝手に引っ張るんじゃなくて」 「キョンが自分であたしと居る事を選んで欲しかったから…」 そこまで言って、ハルヒの目から涙が落ちた。 本当にごめん。ハルヒ 「あたしはキョンが来なかったあの1週間、毎日待ってた」 「待つだけの事なんてしたくなかったのに、何もできなかった」 「本当にキョンが死んでいるって思うのが怖かったから」 「今も怖い…キョンが離れてる感じがする。もう…待ちたくない…」 「行かないで……」 今俺の目の前に居るのは弱弱しい女の子の姿だった。 そうだ。いくら力があったって、普段人を無理やり引きずるようなハルヒだって、 女の子なのだ。誰にも頼ることなく生きてきたハルヒが初めて頼った相手、それが俺だ。 俺はそんな事を考えず、身勝手な不満で今を楽しむことすらも忘れていた。 何を悩んでいたんだ。俺のバカ。 今まで何を言っても自分を曲げなかったハルヒだ。俺はそれに今まで付き合ってきた。 これからだってそれが変わるわけじゃない。ハルヒが出来ない時には、俺が手伝う。 それでいいじゃないか。ハルヒが思いつかないなら俺が考えればいい。 何でそんな事も思いつかなかったんだ。 俺はハルヒの方に戻った。俯いて泣いているハルヒを抱きしめる。 「………キョン?」 すまん、ハルヒ。俺がバカだった。 「バカ……わかればいいのよぉ」 そう言うとハルヒも俺に抱きつく。 いつぞやの展開と似ている気もするが、気のせいだろう。 自分に学習能力が無いとは認めたくないしな。 俺はハルヒが泣き止むまでその頭を撫でていた。 ハルヒも泣き止み、俺たちはさっきまで座っていた外灯の下に戻った。 「いいの?キョン。あたしはどうすればいいかまだわからない…」 いいんだ。二人で考えればいいんだって気付いた。 「キョン……」 時間ならあるじゃないか。慌てて何かを求めたってしょうがない。 最初から解ってればよかったんだけどな。 そう言うと俺は自分がおかしくなった。ふっと笑い声が漏れる。 「…バカキョン」 そう呟いたハルヒにも笑顔が戻っていた。 …やっぱり笑ってるのが一番だよ。ハルヒ。 「うん。ありがとう…」 「でも、あたしを悲しませたんだから、埋め合わせはしないとダメよ!」 あ、ああ…どうすればいいかな? ハルヒはその質問に答える代わりに俺のほうに顔を向けて、目を閉じた。 一応、ここ人通りあるところなんだが… 「ダメ、あたしを泣かせた罰よ」 いたずらっぽくハルヒが言う。わかったよ 俺も目を閉じ、ハルヒと唇を重ねる。 そう、今の俺にはそこにある幸福だけでも十分だ。 これ以上を求めるなんざ天罰が当たる。 どれくらいの間唇を重ねていたかはわからない。 お互いに頃合だと思ったのか、ほとんど同時に唇を離す。 ハルヒの顔には笑顔が戻っていた。涙の跡が少し残っていたが、 それはそれで可愛さを引き立てるものだった。贔屓目じゃないぞ? 「…それじゃ、行きましょ!キョン!」 そう言ってまたハルヒは俺の腕に組み付く。 でも、その前に重要な事があるんだよな。俺には。 ちょっと待ってくれ。そう言って俺はポケットに手を入れて、 包装紙にくるまれた物を取り出し、ハルヒに差し出す。 ハルヒはそれを受け取ると期待と嬉しさをブレンドした特上のスマイルを俺に向けた。 「開けてもいい?」 俺が頷くと包装紙を丁寧に解いていく。中から出てきたのは箱だ。それも開ける。 中には二つの雪の結晶が付いた二つのネックレスがあった。 「これって…ペアって事?」 俺は店員から得た知識を有効に使わせてもらった。 ただのペアじゃないのさ。これは一つでも中々綺麗なもんだが、 重ねて光に当てると… そう言って俺は結晶を重ねると、頭上の外灯にそれをかざす。 その結晶が放つ光にハルヒは見惚れていた。 「すごい…」 しばらくかざすとまた二つに戻し、片方をハルヒに渡す。 「こういう時は彼氏が彼女にかけてあげるものでしょ」 ハルヒが笑いながら言ってくる。俺はその通りにした。 その後、ハルヒが俺の首にネックレスをかける。 正直俺には過ぎたもののような気がするのだが。 「あたし、とっても嬉しい…こういう時、何て言えばいいのかな?」 嬉しさのあまりなのか、ハルヒも混乱気味なのか?プレゼント効果とでも名づけよう。 さぁ、ハルヒが思うまま言えば良いんじゃないか? 「うん…ありがとう…キョン。あ、そうだ。あたしからも渡さないとね」 そう言ってハルヒは持っていた紙袋からごそごそと何かを探した。 今日ずっと持ってたのはそのためだったのか。 ハルヒが取り出したのはマフラーだった。そこ、ベタって言うな。 ハルヒが俺の首にマフラーをかける。かけた後にふっと笑ってこう言った 「これじゃせっかくのペアネックレスが隠れちゃうね」 かまわないさ。人に見せるためにこれはあるんじゃないからな。 俺たちの繋ぎとめる想いを誓う為の物。それがこのJewelSnowの役割だ。 これからもハルヒを大切にしていこう。俺は自分の首にかかっている結晶にそう誓うと、 ハルヒの手を握って、俺はまた歩き出した。二人の未来に向かって――― FIN...