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私はいつから唯先輩を好きになったんだろう… 初めて会ったときから?それとも合宿のとき? こんにちは。中野梓です。 何を隠そう私は唯先輩の虜になってしまったのです。でも、そんなこと言えるわけもなく、 唯先輩にスキンシップされても他の先輩がいると恥ずかしさでつい離れてしまいます。 部室 ガチャ 唯「おぉ~まだあずにゃんだけなんだぁ~」 梓「そうみたいですね」 唯「あずにゃん?」 梓「何ですか?」 唯「ぎゅー」 梓「先輩、やめてくださいよ~」 いつも通り唯先輩は柔らかいなぁ。今は2人っきりだし、これくらい大丈夫だよね。 あぁ、幸せ… ガチャ 律「おいーっす…おぉ、お二人さん仲良いですなぁ~」 唯「えへへ~」 梓「先輩っ、離れてください!」ドン 唯「ドテッ」 ああ、いつもの悪い癖が出ちゃった。ちょっと強くやりすぎたかな…でも、いつも先輩はここから更に… …あれ? 唯「…あずにゃん、ごめんね。嫌だったよね。」 梓「いやいや、今のはですね…」 唯「りっちゃん、今日調子悪いから帰るね」タタッ 律「ちょっ、唯!」 バタン どうしよう、やってしまった。そして私は唯先輩が泣いていたのを見逃さなかった。本当ならここで私が追いかけるべきだが、体が動かなかった。 結局この日は、唯先輩抜きで練習したが私は練習が手につかず凡ミスを連発した。先輩達は心配したが、「大丈夫ですよ、調子が悪いだけです」と返した。 学校を出ても唯先輩のことが頭から離れず、夕飯もろくに食べれなかった。でも唯先輩のことだから明日は何もなかったかのように来てくれるはず… そのときは私から謝ろう。 翌日の放課後 ガチャ 梓「こんにちは~」 律「やっと梓も来たか~」 紬「梓ちゃんの分の紅茶も淹れるわね」 梓「あれっ、唯先輩はまだなんですね」 律「あ、聞いてなかったか?唯は今日学校休んでるぞ?」 嘘だ、あの唯先輩が…もしかして私のせい??いやいや、まさか唯先輩があれだけで学校を休むなんて思えないし。 きっと風邪かなんかだ。私は平静を装って続ける。 梓「えっ、そうなんですか?風邪か何かですか?」 律「それがな、ただ『休む』としか言わないんだ」 梓「そうですか…」 私の中でどんどん悪い予感が大きくなってゆく。でも、もし勘違いだったらと思うと恥ずかしくて、いざ行動を起こすことはできなかった。 素直になれない自分がもどかしかった。 澪「まぁ唯の事だから明日になったらケロッとして来るんじゃないか?」 梓「だといいですけど…」 ▽唯視点 『離れてください!』 自室で唯はその梓の言葉を思い出してはため息をつく。 体から力が抜けてしまい、学校まで休んでしまった。 「あずにゃん、ごめんね…」ポロポロ 私は入部希望として部室に来たあずにゃんを見た瞬間から彼女に惹かれていった。 いつしかそれは恋だと気づいた。少しでもあずにゃんに触れていたいと、スキンシップの頻度も増えていった。 「あずにゃん、嫌だったんだね。今まで無理してくれてたんだね。嫌われちゃったな…」 「これからどうすればいいんだろう…」 夕飯 憂「お姉ちゃん、風邪大丈夫?」 唯「少しは良くなったよ。憂の看病のお陰だよ~」 憂「もう、お姉ちゃんったらぁ」 私は憂の前では精一杯元気と笑顔を振りまいた。 いつもいろいろやってくれる憂に心配かけたくないもん。 唯「ごちそうさまでした~」 憂「お姉ちゃん?」 唯「な~に、憂?」 憂「なにか辛いことあったの?」 唯「(!!)どうして?」 憂「ご飯食べてるとき、時々暗い顔してたよ」 さすがは憂だ。どうやら私は笑顔を振りまいたつもりだったけど顔に出ていたらしい。憂にだったら相談しても良いよね? 唯「憂?もしもだよ、もしも自分が好きな人に嫌われちゃったら憂はどうする?」 憂「う~ん、原因が自分だったらまず謝ると思うよ。」 唯「そうだよね。やっぱり謝らなきゃね。 憂、ありがとう!」タタタッ 憂「おっ、お姉ちゃん?(何があったか分からないけど、頑張って!)」 翌日放課後 ガチャ 梓「こんにちは~ って私が最初か。」 今日は唯先輩来てくれるかな?今日も休みだったらすぐに先輩の家に行って謝ろう。 で、あわよくば想いを伝えられたら良いな。 いつもだったら「部室に一人」という状況はのんびりできる快適な空間だが 今日はそうは行かない。試合前のような緊張感が梓を襲う。 ガチャ 扉が開く音と共に、おそるおそると唯が入ってきた。 梓「もう、昨日はどうしたんですか?心p…」 唯「抱きついたりしちゃってこの間はごめんね、あずさちゃん。嫌だったんだよね。」 そう言うと、先輩は泣き崩れてしまった。”あずさちゃん”?そんな寂しいこと言わないでくださいよ。 私は子猫のようにうずくまっている唯先輩をそっと抱きしめた。 唯「(!)あず・・・さちゃん?」 梓「"あずさちゃん"なんて呼ばないでくださいよ。寂しいですよ。」 唯「えっ、抱きつかれるのもあだ名も嫌だったんじゃ…」 梓「"あずにゃん"でいいですよ。むしろその方が良いです。抱きつかれるのも…嫌いじゃないですよ」 唯「ふぇ?」 梓「私こそこの間はすみませんでした。急に律先輩が入って来て、恥ずかしくなっちゃって。 本当は、抱きつかれるのも好きだったっていうか、その…ええと…」 唯「あず…にゃん?」 梓「私は唯先輩が好きです!大好きです!」 唯「…!」 梓「だから泣かないでください。先輩には笑顔のほうが似合ってますよ。」 唯「えへへ、そうかなぁ。」 梓「そうですよ。」 私は唯先輩をそれまでより強く抱きしめた。この状態でどれくらいの時間が経っただろうか。 聞こえるのはグラウンドの方から聞こえる音と2人の鼓動だけ。 梓「これで、仲直りですね」 唯「そうだね。あの、あずにゃん?」 梓「何ですか?」 唯「あのね、私もその…あずにゃんのことが… …ひゃん!」 私は先輩が言い終える前にやさしく先輩の唇をふさいだ。 ただでさえふわふわした先輩だけあり、その唇はとろける様に柔らかく、そして甘かった。 唯「んっ… ぁん… 」プハー かなり長くの時間こうしていたので、呼吸が苦しくなってきた2人は 名残惜しそうに唇を離した 梓「続きは言わなくて良いですよ、唯。」ハァハァ 唯「…!今私のこと"唯"って…」 梓「ダメですか?」 唯「ダメじゃないよぅ。でも…」 梓「ならいいじゃないですか。 唯?」 唯「…なに?」 梓「もう一回しよっか」 唯「…」コクリ 2人はいつまでも貪るように唇を求めた。 その頃 澪「ははっ、そうなのかww」 律「そうなんだよwwで、キャベツ太郎がさ…」 澪「あれ?なんでムギが部室の前で立ってるんだ?」 律「お~い、ムギ~」 紬「……」ポタポタ FIN ポタポタ -- (4ℓの噴水(赤)) 2010-08-30 00 13 00 りつみおはそこで待機! -- (あずにゃんラブ) 2013-01-21 22 27 45 よかった。展開的には長編にした方がよかったかもね、贅沢言うとちょっと粗削りな所あるし… -- (名無しさん) 2013-07-29 00 47 46 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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『何であなたたちまでついてきちゃったのよ?』 旅を始めたわたしが、お供の二人に口走った最初の台詞。 魔法使いのじいはともかく、問題は…唯一の幼なじみで、 今年お城の神官になったばかりのあいつ。 頭はいいんだけど、ちょっと…ううん、正直言ってかなり頼りない。 高い所が嫌いだし、水も苦手で、おまけに犬も怖いときてるし。 触れないどころか、近づくのも嫌だっていうんだから、どうしようもないわ。 まったく、情けないわね。 そんなので、これからの長旅を乗り切れると思ってんの? 年上の子から、いつもいじめられていた弱虫のあいつ。 泣きじゃくるあいつを助けて慰めるのが、わたしの役目だった。 今回の旅でもまた、そうなっちゃうのかしら? あーあ、考えるだけでも気が重いわ。 城から出てまもなく、キリキリバッタが二匹現れた。 最近は治安が悪く、昼間からでも魔物が現れるって聞いたわ。 どうやらそれは、本当だったみたいね。 まずはわたしの正拳突きで一匹をしとめた。 バッタやスライムくらいなら、余裕中の余裕よね。 その直後、後ろから寒気を感じた。じいが何かの呪文を唱えたらしい。 氷の刃のようなものがほとばしり、残りの一匹に直撃。 キリキリバッタはそのまま息絶えた。結局あいつの出番はなし。 あいつの実力って、どのくらいのレベルだろう? 小さい頃はよく遊んだけど、あいつが神官の学校に入ってからは 時々顔を合わすくらいしかなかったから、正直よくわからない。 ———いっそのこと、力を試してみようか。 わたしの悪戯心に、小さな火が灯った。 しばらく歩いていると、またも魔物の群れに遭遇。 今度はさっきより強そうね。ふふっ、戦い応えがありそうだわ。 大げさな気合いとともに、わたしはわざと拳を大きく振り回す。 意外と動きの素早い魔物は、難なく身をかわしてよけた。 勢い余って転倒した振りをするわたし。すかさず魔物が迫ってくる。 じいはさっきと同じように呪文を唱えている。こっちに構う余裕はないはず。 ———さあ、どう出るかしら? それはわたしにとって意外な結果だった。 攻撃を仕掛けた魔物から、あいつが身を挺してわたしをかばったのだ。 そのせいで、あいつは背中に傷を負ってしまったらしい。 痛々しいうめき声が、わたしの耳をつんざいた。 それなのにあいつは、動揺するわたしに『早く攻撃を』と発破をかける。 なんてことをしてしまったんだろう。 わたしは後悔の念に駆られながら、魔物の群れの中へと飛び込んだ。 一刻も早く終わらせなければ。 わたしの頭に一つだけ浮かんだ言葉が、それだった。 手刀打ちや回し蹴りの連続、そして極めつけのかかと落とし。 面白いように、会心の一撃が次々と繰り出される。 気がつくと、あいつに深手を負わせた魔物はあっけなく絶命していた。 最後に残った一匹は、じいが呪文で片付けたようだ。 戦闘も終わり、わたしは真っ先にあいつの許に駆け寄った。 弱っちいくせに、カッコつけて無茶なんかするから。 あれっ?背中の傷が…きれいさっぱり消えてる。 残っているのは、神官衣の切り裂かれた跡だけだ。 『大丈夫です。回復の呪文で治療しましたから』 あいつは笑いながら、さっきの戦闘でずれ込んだ帽子を直してる。 何よそれ?こっちは心臓が止まる思いだったっていうのに。 もう。心配して損したじゃない! そう、この出来事はそこで終わるはずだった。 だけど心臓の早鐘が…まだ治まってくれない。 最初は、わざと自分に気を向けさせたために、あいつがケガをしたから。 わたしはそう思っていた。 でも、何か違う気がする。あいつって、あんなに度胸あったっけ? それに、かばってもらった時に初めて気がついた、不思議な違和感。 がっしりした肩と広い胸、それに力強い両手。 おまけに傷を一瞬で治す、回復の呪文まで覚えていたなんて。 どうして気づかなかったんだろう。 あの頃よりも、あいつが強くなってたってことを。 いつの間にか追い越されたのは、背丈だけじゃなかったんだ。 何だか悔しいような、でもちょっとだけ嬉しいような…複雑な気持ち。 あいつを仲間として対等な目で見るようになったのは、きっとこの時からだ。 立ち尽くすわたしを心配そうに見つめる二人。 わたしはいつまでもここで、立ちすくんでるわけにはいかない。 『さあ行くわよ、二人とも!』 そう啖呵を切って、わたしはすたすたと先頭を歩き出した。 早足のわたしと、必死でついてこようとする二人の足でなら、 次の目的地であるテンペの村には、夕方までにたどり着くだろう。 この先どんな困難が待ち構えているかはわからない。 でも、今のわたしには頼もしい仲間がいる。今はそれだけで十分だ。 じいと…それに、強くなっていたあいつと。 (おわり)
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山崎将志「もし御社の公用語が英語になったら」(2011) もし御社の公用語が英語になったら 評価 ★★★☆ ひとこと ダンナの蔵書から拝借。 山崎将志「残念な人の英語勉強法」と併読。重なる部分もある。 こちらの方が“英語”を使ったビジネスコミュニケーションについてに重きが置かれている。 分類 エッセイ(日本人作家) ソフトカバー 目次 1章 もしも社内で英語がデフォルトになったら 「英語公用語化」の本当の意味とは社内で英語が公用語化されたとき、何が起こるのか 英語力がまちまちな多国籍チームでの悪戦苦闘 「英語公用語化」の本当の意味 ホントのトコロ、英語公用語化は必要? グローバル化から逃げきれない世代 日本人の給料が上がらない理由僕らの給与明細は、なぜ“成長”しないのか 新卒就職のライバルは「父親」? 「就職難」と「英語公用語化」の関係 グローバル市場で欲しがられない日本人 迫る「ラストチャンス」この10年で特に低下した日本人の国際的な存在感 子供をインド人学校に通わせる親たち 私たちに残された時間は5年? 2章 英語が公用語化された未来のサバイバルTips(基礎編) ベースとなる、英語の使い方・学び方Tips1 英語はこのくらい話せればいい Tips2 目の前の仕事に使える単語力を安く身に付ける Tips3 自信を持って、「チャンポン」で話そう Tips4 TOEICは受けるべき? Tips5 TOEICで何点取ればいいのか Tips6 英語以外の言語を学ぶべきか? Tips7 「読み書き中心文化」の思わぬ弊害 英語を使った会議の臨み方Tips8 世界共通! 短いセンテンスで結論から先に Tips9 困ったガイジンには「So What?」 Tips10 会議にチャットを併用する Tips11 議事録は自分で作る メール、SNSでのコミュニケーションTips12 メールは人種・言語で分けない Tips13 スペル・チェッカーは必ず使う Tips14 LinkedInとFacebook活用のススメ 3章 英語が公用語化した未来のサバイバルTips(応用編) グローバルに通用する仕事術Tips15 フレームワークを活用する Tips16 ビジネスによく使われるフレームワーク Tips17 プレゼン・ストーリーの作り方 Tips18 日本人が一番苦手な「ガイジンとの交渉」の基本 Tips19 結果の平等かプロセスの平等か Tips20 低年齢層向けの日本文化を輸出して、グローバル・スタンダードを作る Tips21 「デキる国際人」ほど大切にする日本人的な「人間力」 4章 身近にできる英語力・異文化理解力の習得術 グローバル2.0時代のリーダーに必要な英語力生き残ったら、一歩その先へ進もう 海外のニュースやTVドラマをタイムリーに見聞きする 子供と一緒に、仕事以外の世界で英語を学ぶ 「ヨコメシ」で異文化交流 最近のNHKの語学番組は、かなりイケてる 輸入品で、英語でのタグやラベルを必ず読もう 旅先でドラッグストアに立ち寄ってみる 実際に海外に出て、経験を積むもっと「アウェイの世界」に出て行って強くなろう ハーバード・ビジネス・スクールでの研修体験 出張ベースで学位が取れる海外ビジネススクール 社会人留学をもっと充実させるべきだ 5章 日本および日本人の強みを活かす、グローバリゼーション2.0 日本の強み、そして日本人の強み 日本人の特色を活かせる三つの方向性そもそも、日本人の強みとは何だろうか? 「グローカル」の意味が変わった 中国とインドの他に、日本の強みが活かされそうな地域を探す 日本の存在感を増すためにできること 「ガラパゴス」を活かす サムスンが成功した理由 「日本的品質」の普及 柔道のルールはなぜ改正されたか? したたかで文化的な調停役をこなす 和を以って貴しとなせ 気になる表現 メモ ビジネスによく使われるフレームワーク4P/4C (Customer solution, Cost, Communication, Convenience) SWOT 5C(Company, Competitor, Customer, Currency, Country) グローバリゼーション STEEP (Society, Technology, Economics, Ecology, Politics) 自社の外部環境 $APPEAL(S, Availability, Package, Performance, Easy of use, Assurance, Life cycle cost) 自社と競合との強み・弱みポイント ブローカー:外の世界をよく知っているオープン・ネットワークのハブ型人種。イノベーションが得意 クロージャー:内部のとりまとめが上手く実行力に長ける人種。画一的文化に立脚したクローズド・ネットワークを好む人物。 参考文献
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【検索用 さいていになっていく 登録タグ VOCALOID えいぐふと さ 佐冬 曲 曲さ 歌愛ユキ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:えいぐふと 作曲:えいぐふと 編曲:えいぐふと 絵:佐冬 唄:歌愛ユキ 曲紹介 えいぐふとです!インターネットをやめよう 曲名:『最低になっていく』(さいていになっていく) 動画内で使用されている絵は、佐冬氏が配布している為誰でも閲覧することができる。(→配布場所) 歌詞 (piaproより転載) さよならなんて嘘をついて アブノーマルな時間になって カリスマじみた言葉を待っている 暗視化する愛の具合によって 肩書きが痛く映ってたって 欠陥品書き換えて待ってる 愛情は冷凍中 冠婚葬祭miss you 集まればいいのに乗っかって 階乗承認欲求 起業家から逃走中 瞑想とオートチューンで誤魔化して また最低になっていく 空っぽになっていく 狭間変わってくNOを逃げ出したって消えない様な僕と 最低になっていく 理論に縋っている 頭と成功論を着飾っちゃってんのだ 勝ち組だって声を聞いて 本命が伝わらなくたって 勝手に見てもう傷がついてる 監視下の古びた鳴り物だって 書き順が少し違ってたって 拡大で違う風に舞っている 僕ら最低になっていく 空っぽになっていく 狭間変わってくNOを逃げ出したって消えない様な僕と 最低になっていく 理論に縋っている 頭と成功論を着飾っちゃってんのだ 最低になっていく 空っぽになっていく 薄まる内心ちょっと呟く精神忘れないように 最低になっていく 理論に縋っている 頭の健康対す衝動奪っちゃっても 頭と成功論を着飾っちゃってんのだ コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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・交際のもつれによるバトレボ新人実況者大会の中止 全てを簡潔に話すなら、やはりここに集約されるだろう。間接的にとはいえ、2人の生主を活動休止に追い込んだのは追及を免れえない。 また大会の参加者に対しても多大なる迷惑がかかっている。騒動から約4ヶ月後、秋はバトレボ新人実況者大会の主催者に対してのみ謝罪を行った。 ・隠ぺい体質 これも、この問題を語る上で外せない問題である。この騒動の後、秋は生放送でバトレボ新人実況者大会などなかったかのように振る舞い、 これに対して言及するリスナーはどんな人間であろうとスルー、NG、コミュ追放という手段をとって、この大会の展開や問題原因等を生放送で一切話さなかった。 加えて、謝罪行為を明記したブログの削除や移転を繰り返し、この大会で起こした問題をできる限り隠ぺいしたのである。 ・言動不一致 概ねここまで挙げた3つが、秋が問題視される理由の主要因であろう。バトレボ新人実況者大会の中止を受けて3月2日に謝罪と今後のことをブログに明記したが、 明記した謝罪を同日に修正して、しかもその同日に修正した謝罪すらも覆す行為をやってのけたことである。 当然納得のいかないリスナーが続出するが、秋はのちにブログにコメント規制をかけて放置してしまった。 その後は謝罪を完全に無視する形で、秋が自ら明記した他の配信者との交流やイベント参加を行い続けた。 ・配信外での交際者に対する常軌を逸した行動 あくまで噂の域を出ない。当然だが本人達が語る可能性はゼロ。あいつならやりかねない、というのが独り歩きした結果であろうか。 ・晒し上げ コミュニティ掲示板や放送内での184なしコメントで批判的な内容を挙げたユーザー名を秋が晒しあげたこと。 恐らく特定させることでユーザーをビビらせ批判的なコメントを封じたかったのであろう。 が、知能犯が全く関係のない他配信者の情報を載せて批判し、騙された秋と彼女のコミュニティにいるリスナーが 無関係の他配信者に迷惑をかけるという事態があった。度合が小規模だったらしくそこまで影響なし。 ・1.15事件 2012年 1月15日に秋が15勝RTA予約枠放送を行う。 その際に、Torrentの予測変換や神速マッスグマを大量所持していたため、リスナー側がTSを残すように要求した。 秋は苛立ちもあったのか放送の終了後、「アンチ代表で凸をしてこい」と発言。Twitterやコメント、外部からの軽い誘導により akuaが代表として凸をする。凸中も、秋の日本語がおかしいがために、TSを残す説得は長引く。 そして、いずれ会議通話になり、かしゅん・れいかが参戦。 「TS残しますか?」という質問に対し「見ます!!!」と1時間ごね続け、最終的にはakuaをSkypeからブロックし、逃走。 akuaはTwitterもブロックされているため、現時点では連絡手段が途切れている状態である。 ・自演、自己擁護 行為そのものはそこまで問題のないものであったが、現在秋が騒がれている大きな理由の1つである。あるユーザーが約2年前の話題をコミュ掲示板で出した際、 秋が10行以上にわたってかつての問題に対して釈明してしまい、既に2年も経って、問題そのものを忘れていたリスナーはおろか、 問題そのものを知らなかったリスナーに対しても大いに認知度を高める結果となった。後述する問題が騒ぎに拍車をかけることになる。 ・大会参加 秋の釈明によってほとんどのユーザーが2年前に起きた問題を認知することとなったが、折しも秋はこの頃別の生放送主が主催する大会動画を投稿していた。 しかもその動画で「動画投稿初心者です」と明記しており、バトレボを使った動画を20近く上げた過去をなかったかのようにするものであった。 当然のように秋が謝罪した時には大会参加を自粛する旨もあり、もはや誰が見ても炎上する状況であったが案の定半炎上した。 おまけによせばいいのに当時の問題に対するコメント、動画投稿に対しての疑問コメントなど、不都合なコメントを全て削除した上、 それを見たある別のユーザーが外部サイトを利用して秋に削除されたコメントを全て公開するという事態を引き起こした。 さらにその後も余波が続き、1月15日の秋のコミュニティで行われた生放送でも炎上した挙句、波乱も起きた。 関連項目 -PBR日和 -【ポケモンBW】秋とフワライドのふわふわ統一実況vsグラエナ【種族統一】
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…………………………… …………… …… 律「やっぱりまだ下駄箱には靴のこってたな」 紬「とりあえず部室に戻りましょう…唯ちゃんも心配だし」 梓「あぁ、澪先輩…鼻クソでもウンコでも食べますからぁ…」フラフラ 律「それで許されたらドン引きだわ」 紬「でも本当に一言でいいから今日のうちにちゃんと謝りたいわね…」 ドア「ガチャリ」 さわ子「あら、あなたたちどこ行ってたのよ。澪ちゃんさっきまで来てたわよ」 律「えぇ!!」 梓「そんな…ゆ、唯先輩!澪先輩はなんて…!」 さわ子「唯ちゃんならまだ床で泡吹いてるわよ」 唯「」グッタリ 律「放置かよ」 紬「先生…澪ちゃんは」 さわ子「これ…あなたたちに渡したいって」スッ 律「それ!澪の歌詞ノート…」 さわ子「最後に新しい歌詞書いてたんだって」 紬「澪ちゃん…こんなときにまで私たちのために…」 さわ子「ケンカでもしたの? 『直接みんなに渡しなさい』って言ったら、『もう顔合わせられないから…』って…」 梓「ううう…澪先輩~…」グスン 律「それで澪は他になんて…」 さわ子「う~ん、それだけね」 紬「家に帰ったのでしょうか?靴はまだ学校にあるみたいなんですけど…」 さわ子「う~ん? あ!そういえば『屋上行かなきゃ』って呟いていたような」 律「え、またぁ?」 梓「」ビュン カサカサカサ… 紬「梓ちゃん、速っ…さすがg…」 律「はぁ、はぁ、なんか走ってばっかりだな…」 紬「はぁ、はぁ、でも急がないと今度こそ見失っちゃう…」 律「はぁ…屋上着いた……。って、梓?」 紬「梓ちゃん、入り口で立ち尽くしてどうしたの?」 梓「あ…あ……あれを…」ガクガク 律紬「!!」 紬「澪ちゃん!やっと見つけた!」 律「っていうか…! 柵乗り越えて何やってんだあいつ!?」 梓「ま、…まさか…」 律「見てる場合じゃない!澪ぉぉおおお!!」ダッダッダッ 紬「澪ちゃん!!!」 梓「せんぱあああい!!」 澪「うん?」 澪「…ひぃっ!!」ビク 澪「な、なんだよ…」 律「澪!早まるな!!」ガシッ 紬「澪ちゃん、ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!!」ガシッ 梓「うう…ひっく…み゛お゛ぜんばいぃぃ」ガシッ 澪「う、うわぁ!どうしたんだ」 梓「ほら、早く出してください! いくらでも食べますからぁ…」ポロポロ 澪「みんな(特に梓)は何を言っているんだ」 律「澪!自殺なんてしてどうなる!落ち着け!!」 紬「そうよ!私たちが悪かったの!澪ちゃんが死ぬことなんてないわ!!」 梓「代わりに私が飛びますからぁぁああ!!」ブーン 澪「と、飛んだぁぁああ!!?」ビクリ 澪「…ていうか、みんなこそ落ち着けよ…! 誰がじ、自殺なんてするか!」 律「へ、違うの!?」 紬「じゃあ、柵乗り越えて何してたの?」 澪「こっちに転がったペン拾ってただけだよ…ほら」スッ 梓「ぺん…だと…?」 澪「……さっきみんなに部室追い出された後…」 梓「」グサリ 澪「屋上に来て歌詞書いてたんだ…みんなに迷惑かけちゃうから…最後に何かお詫びがしたくて…」 紬「ありがとう…ノートはさわ子先生から受け取ったわ」 澪「そうか……そう、そして先生にノート預けて帰ろうとしたとき、お気に入りのペンを失くしてることに気づいてさ」 律「そんでまた屋上に探しに来てたってわけか…なんだ」ホッ 澪「うん、なんか心配させてごめんな」 律「謝るのは私たちの方だよ…本当にごめん澪…」 紬「ごめんなさい!もう好きなだけ叩いてください」バッ 澪「はぁ…。ふふ…わかってくれたならもういいよ」 梓「ごめんなふぁいです……」ペロペロ 澪「ひぃっ!? 上履き舐めるなよ!!」 律「唯なんて反省しすぎて倒れてるから…とりあえず部室に戻ってくれないか?」 澪「…うん」 唯「ああ…澪ちゃん…戻ってきてくれたんだ…さっきは…ごめんね…」ブクブク 澪「ああ、もういいよ唯。ていうか、大丈夫かおまえ…」 梓「」ペロペロペロペロ ジュルリ 澪「そして梓…もう靴舐めるのはやめてくれ」 梓「じゃ、じゃあ焼き土下座15秒しますから、許してください!」 澪「ひいいいっ!ミエナイキコエナイ…」 紬「でも…本当にお別れなのね、澪ちゃん…」 律「今までずっと一緒だったのに…」 唯「やっぱり澪ちゃんがいないとヤダよぉ…うわぁあん…」 澪「私だってみんなと離れたくないよ…」ウルッ 梓「わ、わらひも、へんふぁいほ、ははへはふはひへふ…」ペロペロ 澪「そして梓……勝手にスカートまくってお尻を舐めるのはやめてくれ…」/// 梓「じゃ、じゃあ血のマニキュアしてきますから、許してください!」 澪「ひいいいっ!コワイコワイコワイ…」 紬「いつ戻って来れそうなの?」 澪「わかんない…本当に突然に決まったことだから…」 律「突然でロシアって…でもロシアぐらい隣の国だからな!いつでも遊びに行くさ!」 唯「そうだねりっちゃん!毎日学校帰りに澪ちゃん家に寄ろうね!」 梓「いやいや、現実見ましょうよ…」 澪「ふふふ…でも嬉しいよ…ありがとう」 律「よーし!じゃあ明日は盛大にお別れ会だ!!」 紬「そうね!特別なケーキ用意するわ!!」 唯「澪ちゃんのためにお気に入りのTシャツたくさん持ってくるよ!」 梓「私も何か餞別の品を考えてきます…」 澪「みんな…」  よくじつ!! 紬「はい!特大ケーキよ!斉藤が一晩でやってくれたわ」ドーン 澪「ウェディングケーキかよ…はは(いくら掛かっててんだろ)」 紬「それ澪ちゃん一人の分よ♪ 好きなだけ食べてね」 澪「そ、そんな申し訳ないし! ていうか流石にムリだし…」 紬「大丈夫! 遠慮しないで。私達の分は同じものがほら、こっちに」ドーン 澪「ふ、二つ目…」 紬「流石に斉藤には無理させすぎちゃったけど…澪ちゃんが喜んで食べてくれれば……」 澪「た、食べるよっ……!」パクムシャ 唯「澪ちゃん、特にお気に入りのTシャツ10枚あげるね」 澪「あ、ああ…(変な文字が入ったTシャツだ…)」 唯「…毎日着てね」 澪「あ、ありがとう…ちゃんと着るよ(部屋で)」 唯「うう…ぐすんぐすん」 澪「そんなに泣くなよ…寂しくなっちゃうじゃないか…」 唯「寂しいよぉ…私のTシャツたち……」ポロポロ 澪「そっちか」  律「ほら、徹夜で作ってやったよ…澪、くまちゃんのぬいぐるみ欲しいって言ってたからさ」/// 澪「て、手縫いで一晩…だと…!?」 律「なんだよ! 欲しくないなら別にいいんだよ」 澪「そんなこと言ってないだろ~。でも律がぬいぐるみなんてな…ふふ」 律「……私だと思って、大切にしてくれよ」グスン 澪「律…泣いてる…のか?」 律「う、うるさい! 寝てないから目赤いだけだよ! あぁ~! もう澪のバカ!」 澪「な…。急になんだよぉ…バカ律……」 梓「私は澪先輩が欲しがってたアンプシミュレータを…」 澪「あ、梓!こんなに高いものを…悪いよ……」 梓「いいんです…本当に澪先輩には酷いことをしてしまったので…」 澪「もう気にしてないよ…」 梓「澪先輩……音楽、続けてくださいね」 澪「…うん」 梓「私…真面目で練習熱心な澪先輩が…大好きでした……」 澪「…梓…ありがとう」 澪「みんな本当に本当にありがとう…ううう」 律「……おし!」 律「まだまだ、宴はこれからだぜー!盛り上がろうぜ!」 唯紬梓「おー!!」 ♪ウィールシングウタウヨ~~♪ 澪「あ、私のケータイ……えーと、ママからだ…」ピッ 澪「もしもし、なあに?」 澪ママ『澪ちゃん!喜びなさい!!引越しの話無くなったわ!』 澪「」 澪ママ『なんかね~パパの赴任先の支社長がね、痴漢で捕まってゴタゴタになって…異動も全部白紙らしいわよ』 澪「」 澪ママ『何よ~嬉しくないの!?』 澪「え…う、うん、ウレシイナー、は、はは、は……」 澪ママ『そうよね~!それじゃあね!』プチ 澪「…」 律「ふぅー。しかし流石に徹夜だとフラフラだぜ……でもまぁ澪のためだしな!」 紬「そうね…ウチの斉藤も過労で倒れて入院しちゃったけど、澪ちゃんのためだもんね…」 唯「うん…T太、T助、T子……みんなお別れだね、でもこれからは澪ちゃんに着て貰えるんだからね…寂しくないよ」グスン 梓「私も…小学校の頃からコツコツ貯めてた預金が消えましたが、澪先輩が喜んでくれたのら満足です」 澪「…」 律「ところで澪。今のお母さんからか? 何だったんだ?」 澪「…」 律「ん?どうしたんだよー澪?」 澪「…」 唯「澪ちゃん?」 澪「…」 梓「先輩?」 澪「実は…」 紬「実は?」 澪「実は私、インチョンに転校する事になったんだ…」 唯律紬梓「!!!?」 お縞い 戻る
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どうしてこうなったⅠ ◆jVERyrq1dU 「残り32人……もう半数切ったのか……」 放送で右上が言った、残り半数という言葉が耳に残る。なんだか意外だった。 こんな俺でもここまで生きてこられたのだ、と無駄に誇らしい気分になってしまう。 カイトは名簿を取り出し、死者の名前に斜線を引いた。クラッシャーの名前に斜線を引いた時、心地よい達成感を感じた。 (もう、半分……もしかしたら、いけるかも……生き残れるかもしれねえ) カイトは自嘲気味に笑う。生き残ると言うのはつまり優勝すると言う事なのだが、 そのためには兄弟やアレクのような仲間も殺さなければならない。 そんなことまで考えて、カイトが『いけるかも』と考えたのかどうかは定かではない。 (残り半分。残り半分だ。いける。きっといける。今までの俺でもここまで生き残って来れたんだ。 力を手に入れた俺なら、後半戦だってきっと……!) 辺りを見回す。そういえば、クラッシャーの死体の上半身がどこかに飛んで行ってしまっている。 出来ればリンに、今まで彼女を苦しめてきたクラッシャーの死体を見せたいと思っていたので、上半身を探す事にした。 クラッシャーの無残な姿を見た時のリンの反応が楽しみだ。きっと洗脳が解けて元のリンに戻り、感謝してくれるだろう。 本当に、楽しみだ。 ▼ ▼ ▼ 得体の知れないざわめきがリンの胸を焦がした。何かが、決定的な何かがつい先ほど起こった気がする。 私の知らない所で、私の知らない間にきっと何か恐ろしい出来事が起こった。間違いない。 奇妙なくらいに嫌悪感を催すその胸騒ぎは、ロードローラーで北へと走れば走るほど、一層強くリンの胸をざわめかせる。 何かが起きたのだ。リンは胸を押さえて、確信する。根拠なんて何もないが『予感』で分かる。 もうすぐ途方もない悲しみが私を襲うはずだ。 そして放送が流れる。リンは首を傾けて、夜空に浮かんだ右上の姿を涙を流しながら睨んだ。 放送が流れ終わり、リンはロードローラーを止めひとしきり泣いた。 身分の低いクラッシャーのために涙を流すなど、過去の自分からは考えられない事だった。 この殺し合いに放り込まれてから、リンの価値感は劇的に変化した。ここは誰もが同じ立場に立ち身分関係なしに殺し合う世界。 その世界でリンは痛みを知り、自分はどんな人間も逆らう事が出来ない高貴な王女などではなく、一人の娘だと言う事と 拷問されれば苦しいし、処刑されれば死んでしまう下劣な奴隷どもと自分は同じという事に気付いた。 ちっぽけな自分に気づいてからは、クラッシャーの存在がとても愛おしく思えるようになった。 気付くまでは高貴な身分であるリンを守るのは当然の事だとクラッシャーに欠片も感謝していなかった。 そうではないのだ。クラッシャーは、リンが高い身分に位置する人間だから守っていたわけではない。 リンという一人のちっぽけな娘を有り難い事に大切な存在と見なしてくれて、非力なリンを守っていたのだ。 無償で、優しく、文句を言われても決して離れずにいてくれた。 駅での戦いの間、ずっと私の事を最優先に考えていてくれた。 かつて愛しかったあの人は、早々に私を見捨てたと言うのに…… かつて王女だった少女の価値感は完全に崩壊し、残ったのは一人の娘。 死ぬ事に、苦しい事に、悲しい事に身分なんて関係ない。刺されれば痛いし、殴られたら骨が折れるし、切られれば死ぬ。 この世界はそんな世界。非力なリンが殺し合いを制する事など今考えてみれば到底出来るはずもない。 心の底から信頼出来て、頼れる存在は、レンを除くとクラッシャーしかいない。 この世界では自分を守ってくれる人間とは、当然のようにいるものではなく、代わりのきかないかけがえのない存在なのだ。 それなのに、それなのにクラッシャーは死んでしまった。勝手に私の言いつけを破って勝手に死んだ。 「どうして……!どうして私を置いて逝くのよクラッシャー……!レンとはいつまで経っても会えないし、私はこれからどうすればいいのよっ!」 ロードローラーのハンドルに顔を埋めてリンは泣き叫んだ。絶望に身を震わせ、自暴自棄になりハンドルに額を何度もぶつける。 子供のようにわんわんと泣き叫び、彼岸へと逝ってしまったクラッシャーの名前を何度も叫んだ。 助けて、助けてクラッシャー。貴方がいないと私は死んでしまう……!他の参加者達は誰も私に優しくしてくれないわ……! 貴方だけが、貴方だけが私を王女様として扱ってくれたのに──── 「リ、リンか!?そこで泣いているのはリンなのか!?」 ふと気付くと、目の前にリンを見捨て、保身に走ったかつての思い人が立っていた。 リンはロードローラーの運転席に座ったまま、泣きはらした目でカイトへと視線を向けた。 「カイト様……」 未だに『様』とつけてしまったのは、単なる習慣でそう呼んでしまったのか、 それとも未だに自分はカイトの事を愛しているのか、リンにははっきりと判断できなかった。 「な、泣き声が聞こえて、もしかしたらと思って来てみたんだ。無事で良かった!本当に」 ロードローラーの正面に立って声をかける。カイトの目には涙が滲んでいた。 「本当に心配していたんだ。俺がお前を元に戻す前に、お前に死なれたらどうしようかと……俺は……俺は」 リンは何故か懐かしい気持ちになった。カイトは自分の事を思ってくれている。 今までずっと愛してきたカイト様のように、私の事を思ってくれている。 (なんだ。今まで通りじゃない。カイト様優しいし、下劣な奴隷は傍にいない) もしかして、あの駅での一件は全て夢だったのではないだろうか…… 本当はクラッシャーなんて初めからいなくて、カイト様だって本当は優しく接してくれていたのに、 私が勝手に混乱してあのような酷い妄想をしてしまったのではないだろうか…… 「来てくれ、リン。お前に見せたいものがあるんだ。今までお前を苦しめ続け来た極悪人の、なれの果てを見せてやる」 カイトが歩き出す。リンは少しの間、カイトを信じていいのかどうか逡巡したが、 カイトの「来いよ!」という自信に満ちた声に押され、流されるままアクセルを軽く踏みゆっくりとカイトの後を追った。 「駅では少し情けない姿を見せちまったけど、これからは心配しなくていいぜ? これからは俺が守ってやる。今までカッコ悪いところばっかり見せてきたけどさ、安心していい。 なんつったって俺はお前の兄ちゃんだもんな!」 違う。貴方は私の兄などではない。相変わらず私達の間には何らかの食い違いがあるようだ。 しかし、違和感こそあれど、今のカイト様の言葉には、駅の時とは違う、安心感のようなものがあった。 この人ならきっとどんな逆境にも負けない。そう感じさせるほど、今のカイト様は自信に充ち溢れている。 そんなカイト様の言葉に耳を傾けながら、私はふらふらと後を追う。 今のカイト様を見ていると、本当に駅での一件は夢だったのではないかと思えてくる。 妄想染みた馬鹿な考えだとは自分でも気づいている。けれど、本当にそう感じてしまうのだ。 カイト様が元に戻ったからなのか、あるいは駅での一件を、クラッシャーの存在をなかったことにしたいから、 私はそんな妄想に取りつかれているのかもしれない。 カイト様が先導して辿り着いた所には、三人の人間が転がっていた。 一瞬死体かと思い、ギョッとしたが、すぐにただ気絶して寝転がっているだけだと言う事に気づく。 「カイト様、いったい何があるんですか?見せたいものとは、この気絶している三人の事ですか?」 私の言葉を聞き、カイト様は僅かに顔をしかめた。 「……様をつけるのはもうやめろ」 「…………」 無言の私を放置して、カイト様はある方向へと指をさした。指示した先には、人間大の何かが二つ転がっていた。 暗くてよく分からないが、ぴくりとも動かないと言う事だけは何故か分かった。 アレを見た瞬間、なにか、とてつもなく嫌な悪寒が私の全身に走った。 「あれは何ですか?」 「……分からないのか?」 「暗くて、分かりません」 「近づいて見ればいいじゃないか」 カイト様は至極当然の事を言った。確かにその通りだが、私の体はあの物体に近づく事を何故か頑なに拒否している。 「早く見に行けよ」 カイト様が苛立ち紛れの声で私を急かす。 私はカイト様と二つの物体を何度も交互に見比べる。額には、いつの間にか汗が滲んできている。 「いや、です」 漸く絞り出した言葉。 「どうしてだ?」 「なんとなくです」 嫌だった。どうしても近づきたくなかった。あの物体の正体は何なのか、確かめる事が恐ろしかった。 「心配しなくてももう動かないよ」 「嫌……いやよ……何かいや」 私は首を振る。何度も何度も首を振る。 カイトは薄く笑った。本当に優しい笑みだった。まるで兄が妹をからかうかのような…… 「お前、アレがなんなのか、実は分かってるんだろ?分かっていないふりをしているだけだ」 「…………」 「正体に気づいているけど、確認するのが怖いんだな。弱虫だ、リンは」 「…………」 「そう。御察しの通り、アレは死体だ。誰の死体だと思う?」 その言葉を聞いた途端、私の体は硬直した。死体を怖がる妹を可愛がるかのように、 カイト様はロードローラーに近づき、私に手を差し伸べた。 「怖いなら一緒に見に行こう。お前はあの死体が誰なのか確認しなければならない。 多分、確認したその時、お前の洗脳は解けて、お前は元に戻るはずだ」 カイト様は私の手を握る。これから確認する事実を予感し、恐怖で足が萎えてしまった私を強引に引っ張る。 私は引かれるがまま、ロードローラーから半ば無理やりに下ろされ、二つの死体へと引っ張られた。 「どうせ放送でもう知ってるんだろ?誰が死んだかって事を」 カイト様が私の顔を覗いてにやりと悪戯っぽい笑みを浮かべた。 「誰があいつを殺したと思う?誰がハクとお前の仇を取ってやったと思う?アレクじゃないぜ。実は俺なんだ」 近づく。近づく。ゆっくりと、しかし確実に二つの死体へと距離を詰める。 相変わらず、私の全身はあの死体に近づく事を拒否していた。出来る事ならば一生確認したくないと思っていた。 確認さえしなければ、もしかしたら生きているかもしれない、という希望に縋る事が出来るからだ。 しかしカイト様は確認しない事を許してはくれない。私に確認する事を強いる。 全くの善意で、妹を喜ばせようと、カイト様は私にこれ以上ない苦行を強いる。 「いやよ……いやよ……いや、いやぁ」 恐怖で歯がかちかちと音をたてる。震える唇から漏れたか細い私の声は、妹を喜ばせようと躍起になっているカイト様の耳には届かない。 「いや、いや……いや」 「見ろ。クラッシャーの死体だ。アレクじゃなくて、俺がクラッシャーをぶっ殺したんだ」 その死体はクラッシャーだった。この世の時間が凍結したかのような気分に陥る。 私の顔は唖然とした表情のまま固まり、声一つ漏らす事が出来ない。 目の前の凄惨な光景、変わり果てたクラッシャーの姿が私の心と全身を揺さぶる。 クラッシャーは死んでいた。間違いなく死んでいた。カイトに殺され死んでいた。 上半身と下半身が真っ二つに別れ、それぞれ黒こげになり、クラッシャーは死んでいた。 無残にも残酷なまでに強力な力で殺されていた! カイトに────! 「上半身がどっかに飛んで行って、見失ってたんだが、 お前に上半身下半身揃ったクラッシャーの死体を見せたくて探し回ったんだよ。結構苦労したな」 「…………」 「お前に正気に戻って欲しくて俺は精一杯頑張ってこいつを殺したんだけど、 何故か知らないけどアレクの奴が訳の分からない理論で俺にキレてな。 正直、認められなくてイライラしてたんだ。でもリンは喜んでくれるよな?もう正気に戻ったよな?」 リンは何も喋らない。カイトが一方的に話した言葉も、彼女の心をただ素通りしていくだけだった。 光の失った眼で変わり果てたクラッシャーを見下ろす。クラッシャーは動かない。どれだけ待ってももう二度と動かない。 このゲームは残酷だ。王女であり、かつて暴虐の限りを尽くした悪ノ娘ですら、バトルロワイアルに放り込まれればただの一人の少女と化す。 王女である時は庇護者など腐るほどいたが、この世界ではそうはいかない。 この世界では、慈愛と憧れの象徴であったカイトは駄目人間と化してしまい、かつての召使とはいつまで経っても再会できない。 リンにとって、この世界での唯一の庇護者はクラッシャーのみだった。そのクラッシャーは死んでしまった。 かつての思い人によって殺された。無残に、呆気なく、理不尽に…… ▼ ▼ ▼ ゆっくりと瞼を開く。どうやら俺は気絶してしまっていたらしい。 いったい何があったのだろうか。トキがカイトに何かしようとするのを止めようとして、それから…… どうも記憶が曖昧だ。何かが起こり、自分は気絶してしまったのだが…… 覚醒しつつある意識と並行して、不明瞭だった視界も次第にはっきりしてくる。 目の前に広がる凄惨な光景を目の当たりにして、俺は言葉を失った。 人が沢山転がっている。見覚えのない人間達。その中にトキが含まれているのに気付いた時、俺はますます混乱した。 しかし、そんな混乱をさらに上塗りするような、吐き気を催す光景に俺は気付いた。 転がった人間達のちょうど真ん中のあたり、トキの死体のすぐ傍に、カイトとリン、そしてクラッシャーの死体があった。 「どうしたんだよ、リン。見ろ!クラッシャーは死んだんだ!もうお前を困らせる奴はいない! 洗脳は解けたよな?何か喋ってくれよ……頼むから、頼むから喋ってくれよ!」 リンの肩を強く掴んで、必死に呼びかけるカイト。カイトはリンの不穏な様子に不安と焦燥を感じ、泣きそうになっていた。 やってしまったか……。俺はその光景を見ただけで、カイトが何をしたのか容易に想像が出来た。 無知とは罪なものだ、俺はどこか他人事のような気持で呟く。 立ちあがって、カイト達の元へ向かわなければならない。トキが何故死んだのか、俺のすぐ傍で気絶している男女はいったい何者なのか。 気になる事は沢山あるが、今何よりも最優先すべきなのは、カイトとリンを落ち着かせる事だ。 俺は倦怠感漂う体に鞭を入れ、立ち上がろうとするが、思うようにいかない。どうやら俺は脳を揺さぶられて気絶したらしい。 思うように力が入らず、そして頭が働かない。とにかくカイトの所に向かいたい。 その思いをばねにして、俺はやっとの事で立ち上がり、二人の元へととぼとぼと歩み寄る。 カイト、声を出して呼びかけたが、小さな声しか出ない。全身が鉛のように重い。近づくだけで精いっぱいだ。 「なあリン! リン!どうしたんだよいったい!」 リンの肩を揺さぶりながら、カイトは必死に叫んだ。リンの目に光がない。 底なし沼のような深い虚無を携えたその瞳が、俺の目に留まった。かつてないほどにリンは傷ついている。 俺の想像が及ばないくらいに、リンの心は深く抉られてしまったようだ。 「なんでだよ……クラッシャーを殺せば元に戻るんじゃないのか……? どうして、どうして……」 カイトは頭を抱えている。その時、リンが小さく呟いた。 「クラッシャー……」 リンのか細い声を聞き、カイトはわなわなと震え、呆然とした顔をクラッシャーへと向ける。 リンとクラッシャーを何度も交互に凝視し、何を思ったのか、カイトはクラッシャーの死体を踏みつけ始めた。 「…………ひっ!!」 リンが短い悲鳴を上げたのを無視して、カイトはクラッシャーを何度も何度も踏みつけた。 「こいつが!!こいつが全部悪い!!死んでからもリンを洗脳し続けやがる!! さっさと堕ちろ!!地獄に堕ちろ!!」 「やめて……お願いだからやめて……もう許してあげて下さい……!」 リンがカイトの体に飛びつき必死に止めようとするが、たかが少女が成人男性であるカイトを止められるはずがなかった。 カイトが上半身を振るうと、リンは簡単に跳ね飛ばされ、地面にべしゃりと叩きつけられる。 「どうだ!!思い知ったかクラッシャー!!くたばれ!!もっとくたばれ!!永遠に死ね!! いい加減リンに纏わりつくのはやめろ!!」 跳ね飛ばされたリンはすぐに立ち上がる。泥だらけになっても構わず、再びカイトに飛びついた。 しかしまたもや跳ね飛ばされる。それでもリンはクラッシャーの死体を守るために立ち上がる。 何度も何度もカイトの邪魔をして、その度に跳ね飛ばされ、彼女の体は泥泥に汚れた。 「いい加減にしろ……!いい加減にしろカイトォォ……!」 俺は今出せる最大の音量の声でカイトに呼びかける。 しかし声は届かない。脳震盪によって力が入らない全身を、俺は心の底から恨めしく思った。 「もうやめてあげて────お願い、お願いしますから……」 リンがカイトの一瞬の隙を突き、カイトとクラッシャーの間に潜り込んだ。 クラッシャーの死体の上に覆いかぶさり、クラッシャーの盾となる。 カイトは顔を歪ませ、リンを睨んだ。 「やめろ……!クラッシャーを守るなんてやめろ……! そいつは悪い奴だったんだろう?人を殺してお前を誑かした悪人じゃねえか…… どうしてそんな屑を守るんだよ。お前がそんな事したら、俺の方が悪者みたいじゃねえか……!」 やめてくれ、やめてくれと言いながら、カイトはリンの服を掴み、クラッシャーから引きはがそうとする。 しかし、リンはクラッシャーの死体に必死に抱きつき、離れようとしない。 「カイト……」 俺はカイトのすぐ後ろから声をかける。カイトはぴたりと動きを止め、どうしてもクラッシャーから離れないリンから手を離し、後ろを振り向く。 カイトの顔は不安と焦燥と後悔で、ぐちゃぐちゃに歪んでいた。元の整った顔立ちの面影はどこにも見られない。 「なんだ、起きてたのかよアレク」 今にも壊れてしまいそうな顔をしていながら、俺に対しては未だに強気だ。 カイトは虚勢を張っている。俺はすぐに気付いた。 「素っ込んでろよ雑魚が……!今から俺がリンを元に戻すんだ。クラッシャーから救うんだよ。 こんなところでしゃしゃり出て、邪魔するんじゃねぇ!」 カイトは啖呵を切りながら、俺を間近から睨みつける。俺はふらふらする体に精一杯力を込めて、声を出す。 「目を覚ませ……何度も言ってるだろうが。クラッシャーはリンの味方だったんだ…… クラッシャーが死んで、リンが悲しむのは当り前だろう……? 現実から目を離すな……!逃げるな……!自分の過ちを認めてしまえ……!」 俺はカイトの頬を平手打ちした。パン、という乾いた音が響く。 「てめえ……!」 その直後、俺の腹に衝撃が走る。カイトに思い切り殴られたのだ。俺を嗚咽の声を上げる。 カイトは変身を解いている。しかし生身とはいえ、重傷の、そして無抵抗の俺にとって、カイトの拳は酷くきいた。 ごほごほと咳きこみ、酷い吐き気を感じた。立つのは到底無理だった。その場に中腰になって、必死に腹を押さえる。 痛い。苦しい……畜生、俺はいつもこんなんだ。土壇場になるといつも駄目なんだ、俺は……。 「お、俺が現実逃避しているだと……そんな馬鹿な事があるかよ。俺は何も間違ってなんかいないんだ」 「クラッシャー……クラッシャー……」 カイトの目に、涙を流しながらクラッシャーの死体を抱きしめるリンの姿が目に留まった。 俺はやばい、と直感した。 カイトがライダーへと変身し、リンの体を蹴りあげる。 リンの体は紙屑のように宙を舞い、クラッシャーから離れそして地面に激突する。 どうやら腹を蹴られたようだ。青い顔をして、リンは胃の中のモノを吐瀉した。がはがはと咳きこみながら、全て吐瀉する。 鼻からも吐瀉物が飛び出している。彼女の顔立ちもまた、カイトと同じようにかつての面影を残していない。 カイトはリンが離れたクラッシャーの死体に向けて、殺した時と同じように電撃を放つ。 空気を切り裂く炸裂音と共に、クラッシャーの死体に火が灯り、燃え盛る。 「あ、、ああああああああああああああああああああああああ!!!」 リンが悲鳴を上げながら、燃えるクラッシャーへと這って近づく。 「カイト……やめてくれカイト……」 俺に出来る事はただカイトへと制止の言葉を叫ぶだけだった。 燃えるクラッシャーの体へ飛びこもうとするリンを、カイトは襟首を掴んで引きとめる。 カイトの制止を引きはがそうと必死に暴れ回り、子供のように恥も外聞も気にしない様子で泣き叫んでいる。 時折クラッシャーという言葉が聞こえてくるが、それを除けば、彼女の叫び声のほとんどが理解不能の獣のような唸り声だった。 リンは壊れてしまうのだろうか。このままでは、実の兄の善意によって、彼女は壊されてしまう。 「どうだ!これで元に戻ったか!?いつものリンに戻ってくれるか!?」 「やめてくれ、カイト……もう充分だろう……?まだ暴れ足りないのか……!」 俺は苦しみで喘ぎながら、燃え盛るクラッシャーの前に佇むカイトに声をかける。 カイトは返事を返さない。ただ黙ってクラッシャーを見ている。 俺は暴れ回るリンをカイトの手から奪い、抑え込む。このままでは自分から炎の中に飛び込んでしまう。 「クラッシャー!クラッシャー!!」 がっちりと抑えつけられたリンは身動き一つとれない。 それでも相変わらず暴れ回り、クラッシャーの名前を叫んでいる。 「カイト……!クラッシャーの死体を燃やして、何か好転したか!?」 「…………」 「自分の過ちを認める事は、何も恥ずかしい事なんかじゃない!」 カイトは黙っている。じっとクラッシャーを見つめている。 「やめて……許してあげて……」 カイトはクラッシャーから目を離し、光を失った眼で静かに呟くリンを凝視した。 放心した表情から、さらに血の気が消える。カイトの目から力が消え、ライダーの状態から普通の状態へと戻る。 カイトは両膝を付いて、項垂れる。どうやら気づいたようだ。 クラッシャーを殺しても、彼の死体を燃やしても、リンはカイトの知っているリンに戻らなかった。 そしてリンは相変わらずクラッシャーを慕い、リンのためを思って行動しているカイトに、悪魔を見るような視線を向ける。 さすがのカイトも気付いたようだ。リンにとってクラッシャーは大切な人だったと言う事。 カイトがクラッシャーを殺した直後にした俺の話は、怒りに任せて否定していいような、そんな軽々しい話ではなかったと言う事。 あいつは俺にも勝る力を手に入れ、正義の力を手に入れたと錯覚し、自分の全てが正当化されたような心地に陥っていた。 クラッシャーを殺す事も正義。自分の全てが正義。俺のように、異議を唱える者は悪。 自分が正義などではなく、クラッシャーがリンを洗脳しているなどという話は全て自分の思い込みだったと言う事を自覚した時、 カイトは地面に手を付き、項垂れ、大粒の涙を落した。 カイトは何も変わっていなかった。自分の事をヒーローだと錯覚していただけなのだ。 夕日が落ち、辺りに夜の帳が下りる。俺は項垂れているカイトをひとまず放置して、リンの介抱を行った。 リンの顔に着いた吐瀉物や泥をペットボトルの水で洗い流す。その間、リンはずっと無言だった。 目の焦点が合っていない。一連の悲劇に、放心してしまっているようだ。このまま壊れてしまわなければいいが…… 俺は悪い予感を無理やり拭い捨てて、ペットボトルの水を飲む。 地面に座り込み、リンと同じように放心しているカイトに目をやる。 俺にはカイトを正気に戻す義務がある。ハクやクラッシャーが死に、 リンやカイトが傷つくのを今まで目の前で見てきたにも拘らず、俺は何も出来なかった。 このままではまさに、いつかカイトに言われた役立たずのヒーローになってしまう。 俺は死んだハクが為そうとした事の続きを、俺の手で成し遂げたい。カイトに勇気を授けてやりたい。 何故なら俺はヒーローだからだ。ハクにもカイトにも、かつて俺はヒーローと呼ばれた。 本物のヒーローなら、カイトに勇気を授けてやる事だって、きっと出来る。 薄暗闇の中、燃え盛る死体が爛々と輝く。夕暮れ特有の涼やかな風が背中を流れたが、心地よさはない。 正面にあるクラッシャーの死体から感じる熱気が、心地よさの全てを奪い去っている。 カイトはひたすら沈黙を保っている。ここまで大暴れしたが、リンは何も変わらなかった。 この結果を見て、カイトが何を思っているのか、俺には想像できなかった。 「お前が何を思い、クラッシャーを殺したのかはよく分かっているつもりだ」 俺はぽつりと話を切り出す。カイトが聞いているのかどうかは分からないが……とにかく落ち着いた声を出そうと努めた。 「お前はただ、リンと自分を救いたかっただけなんだ」 「……お前がクラッシャーを殺した直後、お前の事を頭ごなしに悪いと言ったのは本当に後悔している。 お前がクラッシャーを殺害したのは、事態が好転すると思って、良かれと思ってやった事だ」 しばらくの間、沈黙し続けたカイトだが、俺の言葉を聞いた後、小さく「そうさ」と呟いた。 「全部良い事と思ってやったんだよ。クラッシャーは悪者だと信じたかったんだ。 クラッシャーを殺せばリンは元に戻る、危険人物も減る、そう信じ込みたかったんだよ。 そう信じて俺は暴れた。力を手に入れた時は本当に嬉しかった。 クラッシャーを殺した時は何かをやり遂げたかのような気持ちのいい達成感を感じた。俺は……」 俺は溜息をつく。カイトの体が、なんだかいつもよりとても小さくなっているように見えた。そして俺は口を開く。 「……クラッシャーは悪、自分は正義。お前はそう信じ込んで暴れたわけだ」 「そうだ。だが、事態はそんな善悪の二層構造なんかじゃなかった。そんな単純なものではなかった」 「違う……!クラッシャーは悪人じゃないわ……あんたが悪よ。悪悪悪悪……!信じられない、あんな酷い事……!」 リンが焦点の合っていない眼をカイトの背中に向けて、罵る。カイトの背中が、ますます小さくなる。 クラッシャーを殺し時の、俺を罵っていた時のかつての威勢は感じられない。 「そうさ。リンの言うとおり、見方を変えれば俺の方が悪人だったんだ! なんつったってクラッシャーはリンの事を守っていたんだからな! しかもアレクの話からすると、 クラッシャーは改心の余地ありだったらしいじゃねえか。こいつにとって、俺が正義であるはずがない!」 「その通りだ。お前は正義の味方なんかじゃない。だが、反対にお前を悪と厳密に決める事も出来ない。 お前はなんといっても、殺し合いに乗った危険人物の一人を排除したのだから……」 カイトは涙こそ流していないようだが、背中からは、これ以上ないほどの悲しみが感じられた。 「リン……お前はクラッシャーに洗脳されていたわけじゃないのか?」 ぽつりと言ったが、リンはカイトの事をひたすら罵り、時折クラッャーを懐古して悲しむばかりで、質問に答えようとはしない。 「どうしてクラッシャーがこんな目にあわないといけないの?どうしてクラッシャーが殺されなきゃいけないの? どうして私からクラッシャーを奪うの?どうしてどうしてどうしてどうして────」 狂ったように同じ言葉を繰り返すリンを、固く抱きしめた。リンはもう暴れていない。 深く深く傷つけられたリンの事が、どうしようもなく哀れに思えて、とてもとてもやるせない。 「……お前とリンの話に食い違いが生じるのは、洗脳だとかそういう特殊なものじゃなくて、 ただ単にリンがお前の知っているリンじゃないと言う事なんじゃないか……?」 「どういう意味だ……」 「同姓同名のよく似た他人……いや、それだとリンがカイトを『様』付けして慕うのはおかしいな……」 「…………わかんねえ。どうしてリンはこうなったんだ……?」 「あんたの、方こそよ……」 リンの目に僅かに力が戻り、強烈な憎悪をこめてカイトを睨む。 「どうして貴方はそんなに駄目なの?どうしてそんなにクズになってしまったの? かつての貴方はどこに行ってしまったのよ……優しくて勇敢で完璧だったカイト様はどこに消えたのよ!返してよ!」 リンの言葉は、何故か俺の胸にまで突き刺さった。罵られている本人はもっと深く傷ついただろう。 「わかんねえよ……もう自分が分からない。どうして俺はこんなにクズ野郎なんだ?俺は普段からこんな奴だったのか? クズで卑怯で臆病で、俺は本当にどうしようもない奴だ……これが俺の本性なのか……?」 一陣の風が吹き、クラッシャーの死体の炎を一瞬だけかき消した。 炎から垣間見えたクラッシャーの死体は、すでに真黒に炭化していた。 カイトの問いかけに応えてやる事が出来ない。辺りはしんと静まりかえり、死体が燻る音だけが響く。 どうしてこうなったのだろう。誰が悪いのかと言えば、勿論主催者なのだが…… 俺達はこの惨劇を食い止める手段がどこかにあったのではないか? 俺がもっと頑張っていれば、こんな事にはならなかったではないか…… 今回の惨劇を生み出したのは、リンを傷つけたのは、紛れもなくカイトだ。俺がなんとかすれば止められたかもしれないが、今回は無理だった。 カイトが精神的に復活しなければ、どうしようもない。 「誰だって死ぬ事は怖い。肉体的な意味でも、精神的な意味でも…… だから人は自分の身を守るし、自分の心を守るために、自分を正当化しようとする。 カイト、お前はそれが、自分を正当化しようとする心の働きが、特に顕著だったんだよ。 言っちゃ悪いがお前は臆病者だ。だから……な」 カイトは反論一つせず、俺の話に耳を傾けている。 「だが、どんな臆病者でもヘタレでも、成長できる可能性はあるはずだ。 いや、例え可能性がなくても、俺がお前を成長させてやる。お前を勇敢にさせてみせる。 ハクが生きていたら、きっとお前を見捨てはしないだろう。同じように、俺もお前を見捨てない」 死体の炎が燻り、火力が次第に弱まっていく。カイトは項垂れたまま、何も反応しない。 俺の言葉を聞いているのか聞いていないのか、はっきりしない。 「自分の気持ちに正直になれ。リンとクラッシャーに対して、何か思う事があるはずだ。 俺はお前の事を根は優しい奴だと信じている。妹のために殺人鬼に立ち向かう兄などそういない。 だからこそ、自分の本当の気持ちに気づいてほしい。実は後悔しているんだろ……? ────リンに謝れ。クラッシャーを殺してすまないと、心の底から謝罪しろ」 俺の声が虚空に空しく響く。カイトは無反応だ。辺りは静まり返っている。 リンの涙ぐむ声を除くと、辺りは静まり返っている。俺、カイト、リン、三人が三人ともどこか空虚な気分だった。 やるだけやって、これ以上なくらいに悲しい気持ちになって、もうどうでもいい。 ついそんな、投げやりな気分になってしまう。どうしてこうなったんだ。俺は、俺達はどこで道を間違えた…… カイトがゆっくりと立ち上がり、俺の方へと顔を向ける。 悲しみと屈辱と後悔にまみれたカイトの表情は、見るに堪えないものだった。 「俺は……俺は悪くない!」 「まだ、言うのか……確かにお前だけが悪かったわけじゃない。だが、リンには謝れ」 「俺は悪くない。悪くないんだ!仕方がなかったんだ……」 「カイト!」 般若のように顔を醜くしかめながら、カイトは必死に主張した。本当に、どうしようもなく弱い男だ…… 「謝ってくれなくても結構ですわ」 「リン……何を……」 リンがぎらついた眼をカイトに向ける。 「そんな見え透いた見当違いな謝罪、そんなものはいらない。 どれだけあんたが謝っても、クラッシャーはもう二度と帰って来ないのよ!」 「リン……し、仕方がなかったって言う事が分からないのかよ!俺にどうしろっていうんだよ!」 「もう消えてよ!あんたなんかもう二度と見たくない!消えて!二度と私の前に現れないで!」 「おい、リン……」 カイトの顔がさらに歪んだ。 「何よ……あんたって本当に口だけ。口では私の事を大切に思ってるだとか、自分は兄だから守るのは当たり前だ、 なんて言っておきながら、土壇場になったらあんたはいつも逃げるじゃない!いつも私を見捨ててばっかり! その上、私があんたの思う通りに動かなかったら、構わず私を殴るじゃない!蹴るじゃない! その点、クラッシャーはそんな事しなかった!いつも私を第一に考えてくれた!」 リンは罵りながら、カイトに掴みかかろうとする。俺は何とか、寸前のところでリンを止めた。 「もうやめろリン!」 叫ぶ。だが、リンの罵りは止まらない。カイトは何も口が出せないでいる。ただ、わなわなと震えているだけだ。 「どうしてクラッシャーが死んであんたみたいなクズが生き残ってるの!?生きていて恥ずかしくないの!? クラッシャーに申し訳ないと思わないの!?クラッシャーに殺されれば良かったのに!」 「あ、ああああああ……アレク、俺はどうすれば……どうすればいいんだ……どうすれば!!」 リンの一言がトドメだった。カイトは痙攣をおこしたかのようにわなわなと震え、地面に四つん這いになる。 その間もリンはカイトに向かって消えろ!と繰り返し叫んでいる。 「謝れ!何でもいいからさっさと謝っちまえ!!許してくれるまでリンに謝り続けるんだ!!」 カイトの心に積もりに積もった罪悪感は、ついにここで決壊する。 その時、カイトは思い切り吐いた。吐瀉物には血が混じっている。 呻きながら、涙を流しながら全てを吐き出すカイトに、リンは驚いたのだろうか、沈黙する。 あり得ない量を吐き終えたカイトは地面に頭をぶつけ始める。何度も何度も執拗に頭をぶつけ、ついに額から出血した。 ────壊れてしまった! 目の前の光景を見て、俺はそう直感した。 「カイト!カイトォォ!!」 「リ…ン。俺が悪い!俺が悪いんだ!!」 「やめろ!」 俺はリンの傍から離れ、頭を打ち続けるカイトを止めに入る。 「もう嫌だ……どうしてこうなったんだ……どうしてこんなに悪い事ばかり起こるんだ」 「カイト!悪いのは主催者なんだ!気をしっかり持て!お前は悪くないんだ!」 このままでは取り返しがつかなくなってしまう。お互いがお互いを憎み、また死人が出てしまう。 この状況を、右上や左上は楽しそうに見ているのだろうか。そう考えると本当に腹が立った。 「クラッシャー!ああ、ここにいたのねクラッシャー!」 リンが地面に落ちている刀を拾い、相変わらず焦点の定まっていない眼で凝視している。 訳の分からない光景に、俺とカイトは目を疑った。 「何を、しているんだリン」 「ああああああああああ……!クラッシャ……ああああ」 奇声を上げて刀を抱きしめるリン。かろうじてクラッシャーという単語だけは聞きとれる。 よくよく刀を見てみると、ある事に気づく。あれはクラッシャーが愛用していた刀だ。 まさかリンはあの刀をクラッシャーと錯覚しているのか?そんな馬鹿な話、本当にあり得るのか? 「どうしてなんだよ……ああ、どうして俺はこうも馬鹿なんだよ!畜生」 「そうよ。レンを見つけるのよクラッシャー。クラッシャー!早くあのバカな召使を探しなさい! こんなになるまで私をどうして放っておいたのよ」 「お前ら落ち着け!!!」 リンとカイトはそれぞれ独り言を叫んでいる。生憎俺の体は一つだ。 どちらか一方しか止める事が出来ない。俺一人ではこのカオス過ぎる状況を鎮静させ事は出来ない。 「レン……助けてレン……クラッシャーが死んでしまったわ……」 リンがぶつぶつ言いながら、ロードローラーに向かって歩いていく。 俺はカイトから離れ、リンの前に立ちふさがる。 「何をする気だ」 「レン……」 sm189 魔法少女十字軍 -Magic girl crusade- 時系列順 sm190 どうしてこうなったⅡ sm189 魔法少女十字軍 -Magic girl crusade- 投下順 sm190 どうしてこうなったⅡ sm182 悪ノ娘 鏡音リン sm190 どうしてこうなったⅡ sm185 Food war ブロリー sm190 どうしてこうなったⅡ sm186 ―――世紀末 紅美鈴 sm190 どうしてこうなったⅡ sm186 ―――世紀末 相良左之助 sm190 どうしてこうなったⅡ sm186 ―――世紀末 アレックス sm190 どうしてこうなったⅡ sm186 ―――世紀末 KAITO sm190 どうしてこうなったⅡ
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デビューして間もない頃?