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自ら『保守主義者』を名乗っているアメリカ人は、事実は自由主義者である。 ~ B.クリック(英国の政治学者)『アメリカ保守主義の奇妙な探求』(1955年) 保守主義(conservatism)の概念を総合的に考察し整理・明晰化するページ <目次> ■1.このページの目的・構成 ■2.保守主義、及び関連する諸思想◆1.保守主義・関連する諸思想の説明 ◆2.保守主義・関連する諸思想の整理図 ■3.保守主義の概念定義◆1.保守主義(conservatism)の辞書的定義 ◆2.内包と外延 ■4.保守主義の内包(=内在する属性)◆1.保守主義の核心的特色 ◆2.保守主義の一般的特質 ◆3.保守主義の価値観・思惟構造 ■5.保守主義の外延(=対象となる範囲)◆1.保守主義と自由主義の関係 ◆2.伝統保守と経済保守の架橋◇1.18世紀イギリスの自由主義思想家による「伝統保守」の説明 ◇2.保守主義=「小さな政府」なのか? ◇3.伝統保守(旧保守)と経済保守(新保守)の架橋 ~ フュージョニズムと「思いやりのある保守」 ■6.保守主義と混同されやすいが別概念として区別すべきもの◆1.保守主義とリバタリアニズムの区別◇自由至上主義(libertarianism)の辞書的定義 ◆2.保守主義とコミュニタリアニズムの区別◇共同体主義(communitarianism)の辞書的定義 ◆3.保守主義とナショナリズムの区別◇1.ナショナリズム(nationalism:国民主義、民族主義、国家主義など文脈に応じて様々に訳し分ける)の辞書的定義 ◇2.ナショナリズムの発展モデル ◆4.保守・右翼・極右の区別 ■7.日本の保守主義◆1.参考:「保守主義」という用語の使用状況 ◆2.西欧保守主義・日本の保守主義の接合上の問題点と考え方◇1.保守主義と、自由主義・個人主義・デモクラシーの関係 ◇2.保守主義と、ナショナリズムの関係 ◆3.日本主義 ◆4.革新右翼(国家社会主義者)と観念右翼(伝統保守)◇参考:アジア主義 ◆5.まとめ ■8.参考図書 ■9.ご意見、情報提供 ■1.このページの目的・構成 全く正反対の政治的信条を持つ「リバタリアン(自由至上主義者)」と「コミュニタリアン(共同体主義者)」が共に「我こそ保守主義者だ」と主張していたり、「ナショナリズム」が「保守主義」と混同されています。 あるいは、「小さな政府」こそ「真の保守」だと言う人、また「国体護持」こそ「真の保守」だという人もいます。 このページでは、そうした様々に主張されている保守主義の内実をその歴史的沿革や辞書的な概念定義から、客観的に検討し、 保守主義とは、 (1) ルソーの革命思想/デカルトに始まる設計主義的合理主義/共産主義/社会主義/ファシズム等の全体主義思想に対する対抗思想として発生したものであって、 (2) その内実は、歴史の中で育まれてきた価値多元的で寛容な自由を守ろうとするもの、即ち自由主義(左翼的リベラリズムではなく真正の自由主義)である とするのが、最も整合的な理解であることを説明していくとともに、 リバタリアニズム・コミュニタリアニズム・ナショナリズムなど保守主義に部分的に類似する諸概念について、その関係を整理・明晰化していきます。 そして最後に、以上で得られた保守主義の標準的な理解をベースとして、日本における保守主義の内実の検討に踏み込みます。 ※サイズが合わない場合は こちら をクリック ■2.保守主義、及び関連する諸思想 ◆1.保守主義・関連する諸思想の説明 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※下記は全て、ブリタニカ百科事典(日本版)より引用(ただし※注はこちらで追記) 政治思想ないしイデオロギー 説明 関連ページ 保守主義、及び、保守主義の内実を成す概念 保守主義(conservatism) 既存の価値・制度・信条を根本的に覆そうとする理論体系が現れたときにこれに対する対抗イデオロギーとして形成される。「保守主義の宣言」とも言われる『フランス革命に関する省察』を著わしたE.バークは、人間のあらゆる制度の基礎は歴史であり、具体的な文脈のなかで長い時間をかけて培われてきたものだけが永続性を持つため、抽象的な哲学原理に基づく革命は座絶を運命づけられているとしている。バークは決して変化を拒絶しないが、それは既存のものの漸進的改良として果たされねばならないと考える。歴史的・有機的な社会秩序への人為的介入の排除とその漸進的改革が保守主義の思想的特徴であるが、これは現代のF.ハイエクやM.オークショットにもみられる考え方である。 保守主義とは何か 新保守主義(neo-conservatism) 1960年代後半以降、アメリカでリベラリズムや対抗文化の行き過ぎを批判しつつ登場してきた思想。I.クリストル、D.ベル、S.ハンティントンなどが代表的である。アメリカでは、ベトナム戦争の経験に伴う文化的混乱から若者を中心として性の自由や家族の解体といった急進的な主張がなされたが、反面、こうした潮流に強い危機意識をいだき、西欧的価値を擁護しながらアメリカの文化的同一性を再定義しようという試みも生まれた。これらは資本主義と自由の結びつきを強調し、共産主義に対する批判を共有するもので、現実の政策的提言においても連邦政府が過剰な役割を果たすことには懐疑的で、私的集団の活動の場を拡大する「小さな政府」への方向性を示唆している。このような主張を経済論として展開しているのが、新自由主義である。 自由主義(liberalism) 個人の諸自由を尊重し、封建的共同体の束縛から解放しようとした思想や運動をいう。本格的に開始されたのはルネサンスと宗教改革によって幕をあけた近代生産社会においてであり、宗教改革にみられるように、個人の内面的自由(信教の自由、良心の自由、思想の自由)を、国家・政府・カトリック・共同体などの自己以外の外在的権威の束縛・圧迫・強制などの侵害から守ろうとしたことから起こった。この内面的諸自由は、必然的に外面的自由、すなわち市民的自由として総称される参政権に象徴される政治的自由や、ギルド的諸特権や独占に反対し通商自由の拡大を求め、財産や資本の所有や運用を自由になしうる経済的自由への要求へと広がっていった。これらの諸自由の実現を求め苦闘した集団や階級が新興ブルジョアジーであったため、自由主義はしばしばそのイデオロギーであるとみられた。しかし各個人の諸自由を中核とした社会構造は、その国家形態からみれば、いわゆる消極国家・中性国家・夜警国家などに表象されるように、自由放任を生み、当然弱肉強食の現象を現出させることになり、社会的経済的に実質的な平等を求める広義の社会主義に挑戦されることになった。しかし、20世紀に出現した左右の独裁政治の実態は、自由主義が至上の価値としてきた内面的自由・政治的社会的諸自由などが、政治体制のいかんに関わらず、普遍的価値があることを容認せしめ、近代西欧社会に主として育まれてきた自由主義は再評価されている。 リベラリズムと自由主義 新自由主義(neo-liberalism) (1) 1870,80年代から勃興したイギリスの理想主義運動、なかんずくT.H.グリーンが主唱した社会思想。グリーンは、道徳哲学としてはJ.ロック、J.ベンサムなどの功利主義的自由主義ではなく、カントやヘーゲルの影響を受けた観念論的・理想主義的自由主義を、社会哲学としては、自由放任主義(経済的自由主義)ではなく国家による保護干渉主義(社会政策)を主唱した。しかし決して国家専制主義や全体主義に陥らず、個人の自我の実現、個人の道徳的生活の可能な諸条件の整備に国家機能が存在するとして、自由主義の中心である個人主義を継受した。この思想はイギリス自由党の労働立法・社会政策に思想的根拠を与えた。⇒※注:こちらは正確には new liberalismであり、訳すと文字通り「新自由主義」だが、現在はこちらの意味では使用されなくなったので注意が必要。 リベラリズムと自由主義 (2) 1930年代以降の全体主義国家の台頭や第二次世界大戦中から戦後にかけてのケインズ政策に反発して、再び個人の自由の尊厳を説き、政府の恣意的政策の採用を排し、法の下での自由を強調する思想。このような思想をもつW.オイケン、W.リプケ、L.ミーゼス、G.ハーバラー、F.ハイエク、L.C.ロビンズ、M.フリードマンらの多彩な人材を擁して、47年にモンペルラン・ソサエティーを結成している。恣意的・強権的権力の行使に反対する点ではかっての自由放任的自由主義と共通する面をもつため、その単なる復活と誤解されがちであるが、普遍的な法の強力な支配の必要を説き、法秩序の下での自由を強調する点で、かっての自由放任とは異なる。経済政策面でのその端的な表れは、ドイツに代表される社会的市場政策とシカゴ学派に代表される新貨幣数量説である。⇒※注:こちらが、neo-liberalism(正確に訳すと「再興自由主義」)すなわち現在使用されている意味での「新自由主義」である。 保守主義に隣接・類似するために混同されやすいが、別概念として区別すべきもの 自由至上主義(libertarianism)※注:項目なしのため、リバタリアン(libertarian)の項目で代用 福祉国家のはらむ集産主義的傾向に強い警戒を示し、国家の干渉に対して個人の不可侵の権利を擁護する自由論者。古典的自由主義と同様、リバタリアンも自由市場経済を支持するが、その論拠は自由市場が資源配分の効率性に関して卓越しているということだけではない。より重要なのは集産主義的介入(⇒コレクティビズム)が、自明の権利である個人の自然権や人権を侵害するという点である。リバタリアンの出発点は社会の理解に関する徹底的な個人主義的アプローチである。社会とは何らかの実体ではなく、自律性を権利として保障された諸個人が互いの価値の実現を目指して交流を持つ場である。経験的な意味で国家や政府による合理的計画よりも自律的な個人の活動のほうが社会的利益を最大化するというだけでなく、道徳的な意味でも個人の自律性を国家や政府の干渉によって強制的に縮小しようとするあらゆる試みは、個人の独自性を破壊し社会の目的のための手段といて扱うことになる。個人の価値の追求にはルールによる制約が課せられるべきであるが、それは各人の平等な権利を保障するというに限定されねばならない。国家や政府の役割はそこにあるのである。⇒※補注参照 中間派に何を含めるか 共同体主義(communitarianism)※注:項目なしのため、コミュニタリアン(communitarian)の項目で代用 人間存在の基盤としての「共同体」の復権を唱える一群の政治哲学者たちの総称。J.ロールズの『正義論』(1971)が政治哲学の復権に大きな影響を与え、当初その指導的立場にあったのが、ロールズに代表される福祉国家的な自由主義を主張するリベラリストと、ノージックに代表される個人の自由に対する制限を最小化しようとするリバタリアンであった。一見したところ対立するこの両陣営は「個人」の多元的対立から社会構成の原理を導出しようとする基本的枠組みでは一致している。この個人主義的な人間像・社会像に対して根本的な次元から論争に参加してきたのがコミュニタリアンである。A.マッキンタイア、M.サンデル、M.ウォルツァーらを代表とし、その主張は必ずしも一様でないが、人間的主体性を抽象的なアトム的存在の自律性としてではなく、共同体のもつ歴史・社会的なコンテクストに根付いた具体的存在として捉えようとする点では共通している。コミュニタリアンの登場の背景にはアメリカ社会が極端な個人主義の結果、公共心を衰退させ、そのことが様々な社会問題を引き起こしているという洞察がある。 中間派に何を含めるか ナショナリズム(nationalism) 民族、国家に対する個人の世俗的忠誠心を内容とする感情もしくはイデオロギー。普通、民族主義と訳されるが、国民主義あるいは国粋主義と訳されることもある。しかしこれらの訳語はいずれもナショナリズムの概念を十分に表現しているとはいえない。ナショナリズムの概念が多義的であるのは、ネーション(民族、国民)が歴史上きわめて多様な形態をたどって生成・発展してきたことに起因している。歴史的な重要概念となったのは18世紀末以後のことである。アメリカの独立とフランス革命がその端緒となったとされ、南アメリカに浸透し、19世紀にはヨーロッパ全体に広まり、ナショナリズム時代をつくりだし、20世紀に入って、アジア・アフリカで多くのナショナリズム運動が展開された。ナショナリズムはこうした諸国の独立をもたらす解放的イデオロギーではあるが、民族紛争と戦争の拡大をもたらす危険も大きい。 ナショナリズムとは何か右派・右翼とは何か ※補注:このように古典的自由主義およびその再興であるハイエクに代表される新自由主義(neo-liberalism)と、リバタリアニズム(自由至上主義)は厳密には別概念であるが、特にアメリカではliberalismが「マイルドな社会主義」を意味する言葉に変形してしまったために、ハイエク的な自由主義をも「リバタリアニズム」と呼ぶ場合がむしろ多くなっており、後述の中岡望 著『アメリカ保守革命』でも、正確には新自由主義(neo-liberalism)と呼ぶべきものをリバタリアニズムと呼称しているので注意が必要。(この場合は「リバタリアニズム」=新自由主義=経済保守 となる) ◆2.保守主義・関連する諸思想の整理図 保守主義 自由主義との関係 該当する概念(=外延) 隣接・類似するが別概念 対抗思想 (1) 伝統保守(真正保守主義) 古典的自由主義と親和的(バーク的保守主義) ・文化的保守・宗教保守(主として社会面に関心) ・共同体主義(コミュニタリアニズム)⇒中間に分類・ナショナリズム⇒右翼に分類 ・フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)・デカルト的理性主義 長い歴史の中で育まれてきた伝統的権威・文化・社会制度を破壊する思想 (2) 経済保守(新保守主義) 新自由主義と親和的(ハイエク的保守主義)即ち、リベラル右派のこと ・反福祉国家/「小さな政府」派・減税主義者(主として経済面に関心) ・自由至上主義(リバタリアニズム)⇒中間に分類 ・社会主義/共産主義/ファシズム等の全体主義・リベラル左派(福祉国家/「大きな政府」派) 資本主義経済体制とそれによって担保される個人の自由を破壊する思想 ※ポリティカルコンパス右図の「親・自由主義/開かれた社会」側の「真正保守(=伝統保守)」と「真正リベラル(=リベラル右派=経済保守)」が保守主義に該当する。 ※サイズが合わない場合は こちら をクリック。 ※政治的スタンス5分類では、「親・自由主義(開かれた社会)」側の「真正保守(=伝統保守)」と「真正リベラル(=リベラル右派=経済保守)」が保守主義に該当する。 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※サイズが合わない場合は こちら をクリック ※政治的スタンス5分類・8分類について詳しくは 政治の基礎知識 参照。 ■3.保守主義の概念定義 ◆1.保守主義(conservatism)の辞書的定義 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(conservatismの項)より全文翻訳 歴史的に発展し、それゆえに継続性と安定性の明証である制度(institutions)と慣行(practices)への愛好を表す政治的態度またはイデオロギー 保守主義は近代においてフランス革命に対するリアクションとしてエドマンド・バークの著作を通じて最初に表明された。バークはフランス革命は、その理想が、その行き過ぎによって汚された(tarnished)と信じていた。 保守主義者は、変化の遂行は最小限(minimal)で漸進的(gradual)であるべきだと信じている。彼らは歴史を愛好し、理想的(idealistic)であるよりは現実的(realistic)である。 著名な保守主義政党として、英国の保守党、ドイツのキリスト教民主同盟、アメリカの共和党、日本の自由民主党がある。 (2) オックスフォード英語事典(conservativeの項)より抜粋翻訳 (政治的文脈において)自由企業・私的所有・社会に関する保守的な理念を愛好すること (3) コウビルド英語事典(conservatismの項)より全文翻訳 1 保守主義とは、変化が社会にとって為されることが必要とされる場合において、それは漸進的(gradual)に為されるべきだと信じる政治的哲学である。 2 保守主義とは、変化や新しいアイディアを受け入れることを嫌がることである。 ◆2.内包と外延 ↓本文はここをクリックして表示 -... 保守主義(conservatism)の辞書的定義を押さえたところで、次はその内包と外延を検討します。 (1) 内包(intension) 論理学で、一概念に含まれる属性。例えば「空」の内包は、「上、青色、広い」など (2) 外延(extension) 論理学で、その概念が適用される事物の範囲。例えば、金属という概念の外延は、金・銀・鉄の類 ■4.保守主義の内包(=内在する属性) ◆1.保守主義の核心的特色 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) (保守主義とは)常に「現状(status quo)」の中に、①「守る(conserve)べきもの」と、②「改善(improve)すべきもの」を弁別し 1 「絶対的破壊(absolute destruction)」の「軽率さ(levity)」と 2 「一切の改善を拒絶する頑迷(the obstinacy that rejects all improvement)」 を共に排除しようとするもの、であり (2) そのような「保守(preserve)」と「改革(reform)」とにあたっては 1 古い制度の有益な部分が維持され 2 「改革」によって「新しく付け加えられた」部分は、これに「適合するようにされるべきであり」 3 全体としては「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」が保たれることを政治の眼目とする という所に、その顕著な特色がある。 つまり 1 「現状(status quo)」の中に常に「守る(conserve)べきもの」を見出すことを起点として政治的思惟が進行する、という思考形式と、 2 「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」への政治的志向 の2つが、E.バークに代表される保守主義の核心的特色である。 この様な保守主義的政治態度は、政治情勢により「右」へ振れる場合にも、あるいは「左」に振れる場合にも、その振幅を有限化するばかりでなく比較的にいって僅少なものにする。 なぜなら、いずれの方向にせよ、過度の振れは「守るべきもの」を放棄することを意味し、また「左」へ振れすぎるときには、進歩の連続性が切れてしまうからである。 従って、バークの保守主義の哲学は、一言にして尽くせば、文字通りの「政治的安定性(political stability)」の哲学、「政治的力学」の哲学、高度の政治的「復元力(stability)」を持つ哲学に他ならない。 ◆2.保守主義の一般的特質 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) 思想形成の反定立(antithesis)性 保守主義は既に定立(thesis)された思想の衝撃を待って初めて、その対立者として自己の思想形成を開始する。 (2) 思想内容の他者被規定性 保守主義は、思想内容が他者によって(つまり定立された別の思想によって)方向づけられ限定される。即ちバークにおいては「アンチ・フランス啓蒙思想」「アンチ・デカルト流理性主義」であり、ハイエクやポパーにおいては「アンチ・社会主義/共産主義その他の全体主義」「アンチ・リベラリズム/福祉国家」である。 (3) 高度の状況的機動性(状況適応性) 保守主義は、それが置かれた具体的状況に密着した思考形式と実現手段を提供する。つまり保守主義は、その対抗思想のように理論が先行した思考様式ではなく、常に「現状(status quo)」を前提として歴史的継続性の中で、その内容と対応策を見出す。「イギリス人は新事態が起こるたびごとにそれを如何に利用するかを心得ている」(A.ヒットラー)即ち保守主義は、①反省的判断力による個性的状況の敏速な把握と、②政治的実践へのその巧みな活用、を本領とする。 (4) 無原則的状況主義(opportunism)との区別 保守主義は、一般に「中道(mid-roader)」あるいは「中間(centrist)」と呼ばれる「無原則主義(opportunism、便宜主義・日和見主義)」と違って一定の政治的原則/政治的価値を保持する。 (5) 貴族政治的(aristocratic)志向性 保守主義は、民衆政治(democracy)を衆愚政治(mobocracy)に陥り易いものとして警戒し敬遠する傾向がある。 ※関連ページ デモクラシーと衆愚制 ◆3.保守主義の価値観・思惟構造 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) 「現状(status quo)」における「保守(conserve)すべき」内容の発見可能性の肯定 保守主義は一定形態の歴史意識(但しマルクス主義的な歴史発展法則を肯定するものではなく「過去」と「現在」との継続性という意味での歴史意識)と、そうした歴史を把握する人間の能力(つまりデカルト的な普遍的理性ではなく、歴史的に形成され、個別的に存在する広義の理性)を肯定している。なぜなら保守主義は「現状(status quo)」の中に一定の「保守すべき」(即ち一定の積極的に望ましいと評価し得る)内容を見出す思想であり、それは従って人間は歴史的な経緯のうちに「保守すべき」価値内容を弁別する能力を保有することを肯定しているからである。 (2) 政治目的およびその実現手段の「既存性(existence)」の肯定 一般に政治的思惟は、①政治的目標の設定に始まり、②その適合的な実現手段を発見し、③その手段の効果的適用による目標実現によって完了する。しかし保守主義は、①この政治的思惟の起点を「現状(status quo)」における「保守すべき」内容の発見に求め、かつ、②その実現手段をも「現状」に求めている。「真の政治家というものは、常に、どうすれば自国の現存の諸材料を、最大限度に利用することになるかということを考慮するものである」(E.バーク) (3) 「申し分なく継続的な進歩(well-sustained progress)」の肯定 保守主義は「歴史の流れに順行した」政治、言い換えると慣例を活かし「現状(status quo)」を絶えず制度的ないし観念的に過去に連結していくような政治を理想とする。政治における新奇な、あるいは革新的な企図は、保守主義の歴史意識にとっては歴史の継続性に対する撹乱要因に過ぎない。 (4) 「自然的」人間性に対する「歴史的」ないし「社会的」人間性の優位 (5) 「自然的」理性に対する「歴史的」理性の優位 (6) 「抽象的悟性(abstractive understanding)」に対する「歴史的悟性(historical understanding)」の優位 「旧い先入見prejudice」と「理由のない慣習」の尊重 ■5.保守主義の外延(=対象となる範囲) ◆1.保守主義と自由主義の関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... リベラリズムについては リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 を参照のこと。 要約すると、リベラリズムには歴史的に以下の4段階があり、このうち日本語の語感で「自由主義」に相当するのは 1 と 3 である。 リベラリズムの段階・種類・区分 時期 意味内容 1 古典的リベラリズム(classical liberalism) 16世紀~19世紀 ①個人の権利・自由の確保、②政府権力の制限、③自由市場を選好…消極国家(夜警国家) 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism) 19世紀末~20世紀 経済的不平等・社会問題を緩和するため市場への政府介入を容認→次第に積極的介入へ(積極国家・福祉国家・管理された資本主義)社会主義に接近しているので社会自由主義(social liberalism)と呼ばれ、自由社会主義(liberal socialism)とも呼ばれた。 3 再興リベラリズム(neo-liberalism) 1970年代~ スタグフレーション解決のため自由市場を再度選好。 2 を個人主義から集産主義への妥協と批判し、個人の自由を取り戻すことを重視 4 現代リベラリズム(contemorary liberalism) 現代 ①不平等の緩和、②個人の権利の拡張、を含む社会改革を志向1970年代以降にJ.ロールズ『正義論』を中心にアメリカで始まったリベラリズムの基礎的原理の定式化を目指す思想潮流で、①ロールズ的な平等主義的・契約論的正義論を「(狭義の)リベラリズム」と呼び、②それに対抗したR.ノージックなど個人の自由の至上性を説く流れを「リバタリアニズム(自由至上主義)」(但し契約論的な構成をとる所はロールズと共通)、③また個人ではなく共同体の価値の重要性を説くM.サンデルらの流れを「コミュニタリアニズム(共同体主義)」という。 補足説明 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism)と 4 再興リベラリズム(neo-liberalism)は共に「新自由主義」と訳されるので注意。もともと 1 古典的リベラリズムに対して修正を加えた新しいリベラリズム、という意味で、 2 ニュー・リベラリズム(訳すと「新自由主義」)が生まれたのだが、世界恐慌から第二次世界大戦の前後の時期に、経済政策においてケインズ主義が西側各国に大々的に採用された結果、 1 に代わって 2 がリベラリズムの代表的内容と見なされるようになり、 2 からnewの頭文字が落ちて、単に「リベラリズム」というと 2 ニュー・リベラリズムを指すようになった。ところが、1970年代に入るとインフレが昂進してケインズ主義に基づく経済政策が不況脱出の方途として効かなくなってしまい、市場の自律調整機能を重視する 1 の理念の復興を唱える 3 ネオ(=再興)・リベラリズムに基づく政策が1980年前後からイギリス・アメリカで採用されるようになった。そのため今度は、 3 を「新自由主義」と訳すようになった。 保守主義は、 ① 18世紀末のE.バークの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、 1 古典的自由主義を意味し、 伝統保守(旧保守) 対抗思想 フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)、デカルト的理性主義(設計主義的合理主義) ② 20世紀半ば以降のF.A.ハイエクやK.R.ポパーの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、 3 再興(=ネオ)自由主義を意味した。 経済保守(新保守) 対抗思想 社会主義・共産主義・ファシズム等の全体主義、 2 ニュー・リベラリズム(所謂リベラリズム…福祉国家など大きな政府による実質的な個人の自由の剥奪) ⇒「保守主義の他者被規定性」の項目参照。 ◆2.伝統保守と経済保守の架橋 ↓本文はここをクリックして表示 -... ◇1.18世紀イギリスの自由主義思想家による「伝統保守」の説明 (1) D.ヒューム(スコットランド出身の英国外交官・道徳/政治哲学者、歴史家)『道徳・政治・文学に関する随想』(1742) 「英国においては到底存在する見込みはないと思われる一政体について、これ以上論議を重ねる必要はありません。我々の間ではどの党派もそれを目的としてはいないように見えます。出来るだけ我が国の古来の政体を育て発展させるようにしましょう。大変危険な新型の諸政体に対する情熱を掻き立てないようにして。」 (2) E.バーク(アイルランド出身の英国下院議員・思想家)『フランス革命の省察』(1790) 「思慮深い警戒心、綿密周到さ、気質的というよりはむしろ善悪判断から来る小心さ、これらが最も断固たる行為をする際に我々の父祖が拠り所とした指導原理の中にありました。彼らは、あの光-つまりフランス人の紳士諸君が自分たちはそれに大いに与っていると吹聴するあの光-に照らされてはいなかったために、人間とは無知で誤りやすいものである、ということを肝に銘じて行動したのでした。」 「国家と法を聖別するにあたって、まず第一に則るべき最も重要な原理の一つは、それら国家や法を一時的に、あるいは終身で保有している人々が祖先から受け取ったものや本来子孫に属するものを忘れて、あたかも自分だけが完全な主人であるかのように行為する、といったことがあってはならない、ということです。即ち、自らの社会の根源的な構造を勝手に破壊し、それによって限嗣相続の制限を解除したり相続財産を浪費したりしても、それは自分たちの権利のうちなのだ、などと思ってはならない、ということです。もしもそうしたことが行われれば、彼らは後から来る者に対して、住むべき家の代わりに廃墟を残すことになるでしょうし、彼らが自らの祖先の諸制度を殆ど尊重しなかったのだから、彼らが考え出したものもやはりそんなに尊重するには及ばないのだ、と教えるようなものでしょう。」 ◇2.保守主義=「小さな政府」なのか? 参考サイト 本当の対立点とは何か?(「保守主義」の定義) (戦争に負けた国blog様) このサイトに見るように「小さな政府」こそ保守主義だとする主張がある。 保守主義がすべからく「大きな政府」に反対する、という意味では確かにそうだが、保守主義は「経済保守(新保守=リベラル右派)」だけではない。 伝統文化・社会的価値の維持発展に主な関心を注ぐ「伝統保守(旧保守)」は、経済政策においては一般に「小さな政府」よりも中負担・中福祉(=中規模の政府)を志向する。 従って、この命題は、半分だけ正しい。 用語 説明 関連ページ 小さな政府(limited government)※注:項目なしのため、安価な政府の項目で代用※補注参照 「小さな政府」ともいう。18世紀末頃より用いられた自由主義の財政的標語で、財政規模のあまり大きくない政府をいう。ナポレオン戦争後のイギリスでは、軍事費の削減はもとより、航海法・独占特許制度の撤廃などの自由主義施策の推進と並んで一般経費の縮減が進められた。このため1870年頃まで国家財政の規模は年々減少、または漸増するにとどまり、史上ほとんど唯一の「安価な政府」が出現した。その思想的背景にあるものは、国の役割を国防・警察などに限るA.スミスの夜警国家観である。しかし、前世紀(注:19世紀)末以降イギリスを含めて経費膨張が避けがたい傾向となったことは、帝国主義の風潮に追うところが大きい。第二次世界大戦後は、福祉の充実など各経済分野での公共部門の拡大が「高価な政府」へと拍車をかけているが、1980年代アメリカのレーガン政権、イギリスのサッチャー政権下では「小さな政府」への動きがみられた。その趣旨は、経済・社会政策の領域での政府の役割を削減し、市場機構と競争に多くを委ねることによって財政赤字・政府規制を改め、公営企業の民営化を促し、自立・自助の精神により資本主義経済の再活性化をはかることにあった。(⇒経費膨張の法則) ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 ※補注: 実際には「安価な政府(cheap government)」という政治・経済用語は英語圏には存在しない。 (cheap government は「安っぽい・みすぼらしい政府」の意味になってしまい、用語として不適切)⇒英語に疎い日本人学者の間で使用される誤った用語と思われるが、ここでは日本語版ブリタニカ百科事典の記載内容をそのまま転記する。 ◇3.伝統保守(旧保守)と経済保守(新保守)の架橋 ~ フュージョニズムと「思いやりのある保守」 フュージョニズム(fusionism) アメリカにおいて冷戦時代に「伝統保守」と「経済保守」の融合・架橋を目指した思想的立場 ※以下は、「乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~」様blog記事 中岡望『アメリカ保守革命』 より抜粋 ※なお、中岡望氏は、現代アメリカの用法に従って「新自由主義(=リベラル右派=経済保守)」の意味で「リバタリアニズム」という語を使用しているので注意が必要。 戦後のアメリカ保守主義は二つの流れに収斂されていった。ひとつは伝統主義であり、もう一つはリバタリアニズムである。だが保守主義運動の中で、この二つのグループの間に直接的な接点はなかった。二つの保守主義は共通な価値観を持っていたが、必ずしも同じ理想を求めていたわけではなかった。「大きな政府」を批判する点では一致しながらも、「個人の自由」に関する考え方は大きく違っていた。伝統主義者が倫理や宗教から「個人の自由」を理解しようとしたのに対し、リバタリアンは市場という観点から理解しようとしていた。(p.40)伝統主義者は敬虔なキリスト教徒が主流を占めていたのに対し、リバタリアンの多くは宗教には比較的無関心であった。伝統主義者は伝統を重んじ、個人主義に対して批判的であったが、リバタリアンはダイナミックに変化する社会経済をイメージし、個人の自由を最大限認める個人主義の哲学を掲げていた。(p.41) しかし、思想運動としての保守主義が発展するためには、「小異を捨てて大同につく」ことが求められた。二つの流れを融合させることが必要であった。反共主義がその接着剤の役割を果たした。 保守主義の二つの流れを融合させたのが、ジャーナリスト出身の保守主義者フランク・メイヤーである。融合された保守主義思想は「フュージョニズム(融合主義)」と呼ばれた。(p.41)伝統主義が主張する人間の“美徳”の達成は・・・リバタリアンの主張する“自由な社会”があって初めて可能になると説いたのである。メイヤーは、これによって、それまで対立していた伝統主義とリバタリアニズムを保守主義革命の大義のために“融合”させたのである。(pp.43-4)フュージョニズムが反共主義によって貫かれている・・・。冷戦が深刻化し、共産主義の世界への拡大が現実のものとなりつつあった当時の状況から、全体主義に反対する伝統主義者もリバタリアンも、反共主義にはまったく異論がなかった。その結果、反共主義はアメリカの多様な保守主義の思想を結びつける役割を果たすことになる。(pp.44-5) ここまでがアメリカ保守主義革命の第一段階である。メイヤーによる“融合”によって理論武装を終えた保守主義者は、その舞台を思想の場から政治の場へと移していく。彼らは保守主義思想を単なる思想運動に留めることなく、その理念を政治の場で実現しようとした。ここから保守主義革命は第二段階に突入する。1950・60年代、タフト、ゴールドウォーターという二人の共和党政治家は保守主義の理念を政治の場で実現することに成功しなかった。しかし、その過程で、保守主義運動の本流の流れとは別に、(伝統的な孤立主義を捨てて積極的に国際政治に介入しようとする反共主義者である)「冷戦リベラル」や(人工中絶や同性愛を宗教的な倫理観に反する現象として徹底的に批判する)「クリスチャン・ライト」といったグループが保守陣営に加わり、保守主義者は共和党の一大支持基盤を形成していく。それに伴って、共和党は保守主義を奉じる政党へと変貌していく。そして、1980年、レーガン共和党政権の成立によって、ついに保守主義はその理念を政治の場で実現するチャンスを手に入れた。 思いやりのある保守主義(compassionate conservatism) ブッシュ大統領が、冷戦終結で「反共」という共通基盤を失った後の「伝統保守」と「経済保守」を架橋するために打ち出した政策コンセプトであり、さらに「思いやり(compassion)」という言葉に象徴されるように、従来は共和党の支持者獲得のターゲットとはあまりみなされなかった社会的弱者への目配りが含意されている。英キャメロン首相も、ブッシュ政権に倣いこれを自身の政策コンセプトとして採用しているほか、安倍元首相が政権当時掲げた「再チャレンジ支援構想」もこのコンセプトの影響を受けていると考えられ、21世紀型の保守主義のあり方として注目される。 ■6.保守主義と混同されやすいが別概念として区別すべきもの ここでは、保守主義(=真正の自由主義)と全体主義の間に位置するリバタリアニズム・コミュニタリアニズム及びナショナリズムについて説明し、更にナショナリズムに関連してよく問題となる保守・右翼・極右の区別について説明します。 ※サイズが合わない場合は こちら をクリック ◆1.保守主義とリバタリアニズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 +... ◇自由至上主義(libertarianism)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(libertarianismの項)より全文翻訳 個人の自由を強調する政治思想。自由至上主義者は、各個人は、自己の行動が他人の自由を侵害しない限り、完全な行動の自由を保持すべきだと信じている。 自由至上主義者の政府に対する不信は、19世紀の無政府主義(anarchism)に起源を持つ。典型的な自由至上主義者は、所得税やその他の政府の課税ばかりでなく、社会保障(social security)や郵便サービスのような他の多くの人々が有益だと思っているプログラムにも反対する。 アメリカでは彼らの見解はしばしば伝統的な政党間の境界を横断する(例えば、自由至上主義者はほとんどの共和党支持者と同じ様に銃規制に反対するが、ほとんどの民主党支持者と同じ様に禁止薬物の合法化を支持する)。 自由至上主義者の間で愛好されている人物はヘンリー・デビット・ソローとアイン・ランドである。 (2) オックスフォード英語事典(libertarianismの項)より抜粋翻訳 市民生活に対する政府の介入を最小限のもののみとすることを唱導する極端な自由放任の政治思想。 その支持者は個人の道徳は政府の扱う事柄ではなく、それゆえ麻薬使用や売春のような異論もあるところではあるが参加者以外の誰も害さない活動は不法とされるべきではないと信じている。 自由至上主義者は無政府主義者と主張内容を共有しているが、但し自由至上主義者は一般には、より一層政治的権利と関連付けられる(主としてアメリカ)。自由至上主義は伝統的な自由を社会的正義に結びつける配慮が欠落している。 (3) コウビルド英語事典(libertarianの項)より全文翻訳 1 リバタリアンであったり、またリバタリアン的な態度の人とは、人々は自分が望むままのやり方で考えたり振る舞う自由を持つべきだという理念を信じ、また支持している人である。(= リベラル) 2 自由至上主義者とは自由至上主義の見識を持つ人である。(= リベラル) このように、正確な定義でのリバタリアニズムは、 (1) 極めて強く個人的自由の領域の拡大を希求する思想であることから「右派」の「経済保守(=リベラル右派)」に近いといえる(そのために新自由主義と混同を招いた)が、 (2) そうした姿勢は、①無政府主義(左派に近い思想と一般には考えられる)につながること、 (3) また、②政府などの公的機関の介入が最小となる社会を合理的に設計できる、としている点でデカルト以来の設計主義的合理主義(左派の根本的思想の一つ)に連なること、 から、右派・左派のどちらにも分類できない「中間派?」とするのが、最も適切である。 ◆2.保守主義とコミュニタリアニズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 +... ◇共同体主義(communitarianism)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(communitarianismの項)より全文翻訳 ①政治生活の実行、②政治制度の分析・評価、③人間のアイディンティティと安寧幸福の理解、に関する共同体(community)の重要性を強調する政治・社会思想。 共同体主義は1980-90年代に、ジョン・ロールズ等の思想家による理論的リベラリズムに対する明白な反対思想として興起した。 共同体主義者によれば、リベラリズムは非現実的なほどに原子化した抽象的個人という概念に寄りかかっており、また自由と自律といった個人的価値に余りにも重要性を置き過ぎている。 共同体主義の主要な代表者には、アミタイ・エツィオーニ、マイケル・サンデル、チャールズ・ティーラーが含まれる。 なお、集産主義を参照のこと。 (2) オックスフォード英語事典(communitarianismの項)より抜粋翻訳 1 小規模な自治的共同体に基礎を置く、社会組織に関する理論または制度。 2 共同体に対する個人の責任と、家族という単位の社会的な重要性を強調するイデオロギー・ ※コリンズ-コウビルド英語辞典には項目なし。 このように、正確な定義でのコミュニタリアニズムは、 (1) 歴史的に育まれた共同体に根付く価値観を正当に評価し維持発展させようと希求する思想であることから「右派」の「伝統保守」に近いといえる(そのために、これこそが真の保守主義であるとする誤認識を招いた)が、 (2) その姿勢は、個人の自由意志を軽視して、集産主義(左派の根本的思想の一つ)につながる傾向が強いこと から、やはり右派・左派のどちらにも分類できない「中間派」とするのが、最も適切である。 参考サイト オピニオン●保守と日本精神(細川和彦氏サイト) ※共同体主義こそ真の日本的保守主義と主張するサイトです。 ※当サイトと同様に、保守/リベラル/右翼/左翼などの政治思想・概念の定義づけと分類・整理を行っており、当サイトの考え方との差異を考察していくと色々と参考になるサイトです。 ◆3.保守主義とナショナリズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 -... ◇1.ナショナリズム(nationalism:国民主義、民族主義、国家主義など文脈に応じて様々に訳し分ける)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(nationalismの項)より全文翻訳 自己のnation(アイデンティティを共有する人々の集合)またはcountry(地理的な意味での国家)に対する忠誠(loyalty)と献身(devotion)であり、特に他の人々の集合や個人的な利害への忠実さを上回るもの。 国民国家(nation-state)の時代以前は、ほとんど全ての人々の忠誠先は彼らの直近の地域や宗教的集団だった。 巨大な中央集権国家の登場は地方的権威を弱体化させ、日々進行する社会の世俗化は宗教的集団に対する忠誠を弱体化させた。しかしながら人々に共有される宗教は-共通の民族性・政治的遺産・歴史と共に-人々を国民主義運動(nationalist movement)へと誘い入れる要因の一つとなった。 18世紀から19世紀初めにかけての欧州の初期の国民主義運動は自由主義的(liberal)で国際的(internationalist)なものだった。しかしそれは次第に頑迷(conservative:「保守的」の意味もあるがここでは「頑迷」の意味ととる)で偏狭(parochial)なものとなっていった。 ナショナリズムは第一次世界大戦・第二次世界大戦そして近代におけるその他の多数の戦争を引き起こした主要因と考えられている。 20世紀のアフリカとアジアでは民族主義運動(nationalist movements)はしばしば植民地主義(colonialism 植民地支配)に対する反対(抵抗)を引き起こした。 ソ連邦の崩壊後、東欧と旧ソ連邦の各共和国の強烈な民族主義的感情(nationalist sentiments)は、旧ユーゴスラビア地域におけるような民族的紛争(ethnic conflict)の要因となった。 (2) オックスフォード英語事典(nationalismの項)より抜粋翻訳 1 愛国的な感情・原理・尽力(patriotic feeling, principle, or efforts) 2 他の国々(country)に対する優越性(superiority)という感情によって特徴づけられた極端な形の愛国心(an extreme form of patriotism) 3 特定の国家(country)の政治的独立の主張(advocacy) (3) コウビルド英語事典(nationalismの項)より全文翻訳 1 ナショナリズムとは自分達は歴史的にまたは文化的に、ある国家(country)の中で特定の分離された集団であると感じる人々の、政治的独立への渇望(desire for political independence)である。 2 ある個人の自己のnationに対する巨大な愛情をナショナリズムと呼ぶことが可能である。ある特定のnationは他の全てのnationより優秀であるという信条と、このナショナリズムはしばしば関連付けられるが、こうしたケースは、しばしば(話者の)不承認(不快感 disapproval)を表現するために用いられる(=jingoism 偏狭的優越主義) ◇2.ナショナリズムの発展モデル ※ナショナリズムは一般に以下の3段階で発展すると考えると理解し易い。 Ⅰ.解放的ナショナリズム(パトリオティズム) → Ⅱ.国民国家の成立 → Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズム(ジンゴイズム/ショーヴィニズム) 主に他国や他民族の抑圧に対して、①国家・国民形成を図りつつ、②政治的あるいは経済的自決(民族自決)を求める動き※政治的・経済的自決を求めることから、この段階のナショナリズムは自由主義と親和的である。 → 国家の要請に適った国民を育成するために、①統一的・画一的な国民教育の実施、②歴史・文化の共有化、③「伝統の創造」(※)といった公定ナショナリズムとでも言うべき諸政策が政府主導で実施される。※英歴史学者ホブズボームの用語で、正統性に問題のある新興国家の政府が行いがちな一種のご都合主義的な「伝統」価値の捏造 → 増大していく大衆の自尊感情の現れとしてのナショナリズム(大衆の自己崇拝、ナショナリズムの市民宗教化)。Ⅱの公定(=官製)ナショナリズムの結果、政府当局のコントロールが効かない状態にまで大衆の自尊感情が昂進してしまった状態。 少数エリ-トの自覚的な活動(市民型ナショナリズムcivic nationalism)として始まり、次第に参加者を拡大していく → 国民の政治参加の意欲が高まる結果、大衆デモクラシーが成立するが、次第に衆愚化していく傾向を免れない。 → 理性よりも大衆の無定見な民族感情に流され易くなり(民族型ナショナリズム ethnic nationalism)、①国内的には排外的、②対外的には侵略的傾向を強めていく結果となる。 例1 フランス革命の最初期 → フランス共和国の建設(カルノーの徴兵制etc.) → ジャコバン政権樹立以降の「革命の輸出」~ナポレオンの侵略戦争 例2 ドイツ統一運動 → ドイツ第二帝国の建設(ビスマルク時代) → ウィルヘルム2世の世界政策から第一次世界大戦へ。さらに敗戦からワイマール共和国の混迷ののちナチス政権による侵略政策の追求へ 例3 明治維新~日露戦争・不平等条約改正 → 大正デモクラシー(男子普通選挙の導入=大衆の政治参加) → 日本の場合は露骨な対外侵略の肯定という形は憚られたが、アジア諸民族と結んで白人支配を覆すという大義(=アジア主義)が利用される形で拡張的ナショナリズムが発動してしまった。 ※韓国は、Ⅱ.の行き過ぎの結果、Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズムが発動してしまった状態と解され、また中国もⅡ.を部分的ながら過激に実行した結果Ⅲ.の歯止めが利かなくなりつつある状態と見られる。 ◆4.保守・右翼・極右の区別 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※保守・右翼・極右をどう区別するかは定義の仕方次第だが、一応の目安として以下の基準が有効である。 内容 関連ページ 保守 国内外の全体主義(共産主義・社会主義・リベラリズムなどの集産主義)の脅威から自由を守る(=自由主義) 保守主義とは何かリベラリズムと自由主義 右翼 他国・他国民の侵略的ナショナリズムの脅威から自国・自国民を守る(=解放的ナショナリズム) 右翼・左翼の歴史ナショナリズムとは何か 極右 他国・他国民に対して侵略的ナショナリズムを発動している段階。なお極右と極左は紙一重の双生児であり、極左も当然侵略的ナショナリズムを発動している段階である。 右翼・左翼の歴史 ※サイズが合わない場合は こちら をクリック ■7.日本の保守主義 以上で、①E.バーク的保守主義(伝統保守)と、②ハイエク的保守主義(経済保守)の2大類型に基づいて、英語圏で発展した保守主義の標準概念と、関連する諸思想の位置づけを説明しました。 以下では、この標準的な保守主義の解釈をベースとして、日本の保守主義及び関連する諸思想について分類・位置づけを行います。 ◆1.参考:「保守主義」という用語の使用状況 ↓本文はここをクリックして表示 -... 戦前・戦中さらに戦後も1970年代までは「保守主義」という言葉はマイナス・イメージの付きまとう言葉として日本ではこれを自称する者はほとんどいなかった。 左翼側が敵対勢力を「保守反動」とレッテルを貼って批判する場合に使用される例がほとんどであり、政治勢力としての「保守」は存在しても、政治思想としての「保守主義」を唱える者はほとんどいなかった。(明治21年に長州藩出身の軍人・政治家 鳥居小弥太が「保守中正派」と称する小政党を作り「保守」を論じていることが数少ない例外) 戦前・戦中において伝統保守的な思想的立場を表明する者の多くは、もっぱら「右翼」(とくに昭和初期には「観念右翼」ないし「精神右翼」)と他称され、また彼ら自身は後述する「日本主義」を名乗っている場合が多かった。 その後、1980年代に英サッチャー・米レーガン両保守政権が政治的・経済的に成功を収めて、「保守主義」に今度はプラス・イメージが高まり、日本でも「保守主義」を自称する者が急増し、現在に至っている。 ◆2.西欧保守主義・日本の保守主義の接合上の問題点と考え方 ◇1.保守主義と、自由主義・個人主義・デモクラシーの関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... 《問題点》 西欧保守主義の本質は、自由主義・個人主義・デモクラシーの肯定にある。⇒ ところが、日本の「保守」論客には、自由主義・個人主義・民主主義を否定的に捉える者がかなり多いように見える。変ではないか? 【考え方】 日本の「保守」論客の批判している「自由主義」「個人主義」「民主主義」の内容をよく読むと、ルソー以降に左翼によってその意味を歪曲されてしまった「(左翼的意味の)自由主義(=リベラリズム)」「(アトム化された)個人主義」「(衆愚化した)デモクラシー(=モボクラシー)」のことであることが分かる。これは、「自由主義」「個人主義」「民主主義」という言葉が、日本でも一般的に使用されるようになった大正時代(大正デモクラシー期)には、これらの言葉は、既に西欧社会においても左翼によってその本来の意味を歪められてしまっており、日本の「保守」論客たちは、それらの政治思想・概念を、本来の意味ではなく、もっぱら歪曲された意味で理解してしまったことに原因があると思われる。ハイエクやポパー、バーリンらの真正の自由主義者(本来の自由主義者)による「左翼によって歪曲された」政治思想・概念への痛烈な(そして左翼側にとっては致命的な)批判は、第二次世界大戦中あるいはその直後にようやく日の目を見たものであり、当サイトでは、彼ら(ハイエクやポパー)の必勝の論法を是非ともマスターすることを強く推奨している。しかし、これらの左翼批判を受容していない(要するにハイエクやポパーを読んでいない)日本の「保守」論客たちは、いまだに単純な(そして残念ながら余り説得力があるようには思えない)従来どおりの紋切り型の「自由主義」「個人主義」「民主主義」批判を繰り返していると思われる。この点に関する不都合は、戦前から戦後にかけての日本の代表的な保守主義者である平泉澄博士の著作についても残念ながら当てはまることである。(平泉博士はハイエク・ポパーと同時代人であることから、バークのルソー批判までは受容していても、ハイエク・ポパーの全体主義批判までは受容できなかったことに起因)従って、結論として我々は、①日本自生の保守主義の理解のみに立脚するのではなく、②西欧保守主義の伝統にも立脚し、これを左翼・全体主義を完膚なきまでに論破する最上のツールとして是非とも活用すべきである。 (参考)「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」⇒詳細は「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引きへ 真の個人主義 (→自由主義体制へ) 偽の個人主義/集産主義 (→全体主義体制へ) 主な提唱者 ソクラテス、バーク、A.スミス、ヒュームアクトン、トックヴィル、ハイエク、ポパー、オークショット プラトン、デカルト、百科全書派、ルソー、マルクス、ベンサム 制度・秩序の捉え方 自生的秩序(spontaneous order)論即ち、自由な人々の自然発生的な協力が個々人の知性が完全には理解できないほどの偉大な制度や秩序など社会的構築物を創り出すこと(A.スミスの所謂「神の見えざる手invisible hand」)を肯定し、そうした特定の人物・組織の設計に依存しない自生的秩序形成が正常に機能する仕組みを維持育成することに重点を置く立場 設計主義的合理主義(constructivist rationalism)即ち、発見できる全ての秩序は特定の個人や組織の計画的な設計の産物であるとして、個人の理性を買いかぶり、個人の理性によって意識的に設計されたものでないもの・理性にとって完全には明瞭でないものに対しては、何であれ重視しない立場。 個人と国家の捉え方 中間団体による個人の自由の保障本質的に自由な個々人によって自発的に結成され歴史的に継続・発展してきた種々の中間団体(例えば、宗教共同体・職能組織・地縁集団・血縁集団)の存在によって個人が保護され、権力(power)がこうした中間団体や個々人に広く分散されるために全能の中央集権的政府の出現は阻止され、個人の実質的な自由は保障される。 アトム化された個人の国家への隷従①各種の中間団体から切り離され原子化(アトム化 atomized)された裸の個人と、②全能の中央集権的政府が直接対峙し、政府(=国家)が全ての個人の生活の責任を負うという建前の下に社会的な絆を剥奪されて(ルソー的な意味で)「自由」となった個人は結果的に全体主義的政府に隷従する。 政治機構の捉え方 人間や制度の不完全性の前提この主義の主たる関心は、①人間が最も良い時に時折成し遂げられるかも知れないことよりも、②人間が最も悪いときに害悪を及ぼす機会を出来るだけ少なくすることにある。その体制は機能の良し悪しが、それを操作する人間を我々が見つけ得るか否かに依存しないし、全ての人間が現にあるよりも善くなることにも依存しない。従ってこの体制は、その下にある全ての人間に自由を許容することが出来、現にあるがままの人間をその多様で複雑な姿のままで(本人が利己的な動機で動くにも関わらず)社会のために役立たせ得るシステムである。 社会契約論的個人主義と「自由への強制」この主義は個人を出発点とみなし、個人が彼の特殊意思と他人の特殊意思とを形式的な契約において結合させることによって社会や国家を創ると想定する。その体制は、プラトン「哲人王」、ルソー「立法者」、ナチス「指導者」etc.の育成/出現を前提とするが、「権力は必ず腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」(アクトン)ことを免れない。この体制は自由を「善良で賢明な個人」のみに許容し、その他の人々は「自由へ強制される」。 出現する社会 開かれた社会上下にも内外にも流動性が高く、社会に常に新たな活力が導入されるために、個々人の間では所得や社会的地位や幸福度・充足度などに必然的に差異が発生しても、社会全体の経済的・文化的水準は「閉ざされた社会」に比べて圧倒的に高くなる。 閉ざされた社会社会が固定的で、指導者・エリート層と一般人民の垣根が厳格に設定される(平等を謳いながらも社会がカースト化する)傾向にあり(G.オーウエル『1984年』を見よ)、かつ悪平等の弊害として自ら努力して状況を改善しようとする動機が働かないために特に経済的・文化的に停滞してしまう。 社会の原則 「人々を平等に取り扱うこと」(=自由な社会の条件) 「人々を平等たらしめること」(=隷従の新しい形態(A.トックヴィル)) ◇2.保守主義と、ナショナリズムの関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... 《問題点》 西欧保守主義は、ナショナリズム(=右翼思想)とは区別されるのが普通である。保守主義の代表者であるE.バーク自身が、イングランド本国ではなくその統治下にあったアイルランドの出身の政治家であり、またハイエクはオーストリアからイギリスに帰化した学者であって、彼らの思想には全体主義に対する激しい批判はあっても、ナショナリスティックな発想は一切混入していない。⇒ これに比較して、日本の「保守主義者」の唱える思想には、(1)反・全体主義の主張と、(2)ナショナリスティックな主張との区別が明瞭でなく、そのままでは英米保守主義の定義とは齟齬が生じてしまう恐れが高い。また最近は、本来の意味での保守主義とはまるで関係ない思想を唱えてるにも関わらず、その言葉のもつプラス・イメージに着目した自称「保守主義者」が続出しており、思想的な混乱が甚だしくなっている。 【考え方】 「ナショナリズム」の定義を確り押さえずに、やたらに「民族主義」という言葉を使っているケースが多いように思う。普通に祖国や自国民、自国の文化・伝統・歴史などに愛着を持つことは、西欧保守主義でも当然視されており、これを「パトリオティズム」とは表現しても、「ナショナリズム」とは通常は言わないはずである(nationalismは、①patriotism と②jingoismの両方の意味を包摂するが、現代の用法ではnationalismは②排外的なマイナスの意味合いが強まっている)。日本の問題はむしろ、西洋であれば「保守」ではなく「ナショナリスト」「右翼」と呼ばれるべき主張を持つ人物・組織が、「右翼」という言葉にマイナス・イメージが定着しているために、文字通り「民族主義者」であるにもかかわらず「保守」と自称している者が非常に多く、その結果、「保守(アンチ全体主義)」と「右翼(ナショナリスト)」が著しく混同されている点にある。つまり、日本においては、①単に「パトリオティズム」である祖国愛を、「民族主義」と勘違いしている保守主義者②西欧保守主義の基準では、「ナショナリスト」「右翼」なのだが、「保守」を自称する者の二種類がおり、それらの者の主張内容を確り吟味し、「保守」なのか「右翼」なのか識別する必要がある。 ◆3.日本主義 ※次に、戦前・戦中に具体的に「保守主義(伝統保守)」に相当する概念・思想を表す言葉として多用された「日本主義」について解説します。 ↓本文はここをクリックして表示 -... ブリタニカ国際百科事典(ブリタニカ・ジャパン社)による説明。 にほんしゅぎ【日本主義】 明治から第二次世界大戦敗戦までにおける欧化主義・民主主義・社会主義などに反対し、日本古来の伝統や国粋を擁護しようとした思想や運動をいう。一定の思想体系をなしていたとはいえず、論者により内容が相違する。明治の支配層が推し進めた欧化主義への反発として三宅雪嶺や高山樗牛らによって唱えられ、政治的には欧米協調主義への反対、国権や対外的強硬策の強調となって現れた。大正や昭和になって日本の資本主義の高度化が階級対立を激化させ、社会主義やマルクス主義が流入すると、これら諸思想の対抗イデオロギーとして機能し、天皇を中心とする皇道や国体思想を強調した。(cf.神国思想) つまり日本主義には歴史的に見て以下の二段階がある。 ① 明治期の日本主義 政府の欧化主義に反発し、国粋主義/国権主義(特に政府の欧米協調路線に反対する攘夷主義)を主張した言論活動(政論的ジャーナリズム) 他国の侵略から自国・自民族を守る(解放的ナショナリズム)⇒即ち「右翼」思想 ② 昭和期の日本主義 皇道・国体思想を強調して、社会主義やマルクス主義の思想侵略の脅威への対抗イデオロギーとして機能した思想活動 全体主義の脅威から自国の歴史・伝統に根差した自由を守る(日本型保守主義)⇒即ち「保守」思想 ※「保守」と「右翼」の違いは ナショナリズムとは何か 参照 ※日本主義について、詳しくは 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 参照 ※この「(昭和期の)日本主義者」は、観念右翼または精神右翼と他称されており、これに対して、よりナショナリスティックな政治的主張を唱える者を革新右翼または組織右翼と呼んで区別した。 ◆4.革新右翼(国家社会主義者)と観念右翼(伝統保守) ↓本文はここをクリックして表示 +... 参考図書に挙げている 日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 によれば、左翼が一掃された昭和10年代の日本には、①革新右翼と②観念右翼の二大勢力があり、国内・国外の政策を巡って激しく対立したとされる。 ※ブリタニカ国際百科事典には「観念右翼」のみ項目があり、その中に「(国家社会主義者(組織右翼)」の説明もあるので引用します(革新右翼を組織右翼とも呼んだ)。 【観念右翼】かんねん・うよく 特定の右翼党派ではなく、純粋な日本精神主義を思想や行動の原理とする諸団体。上杉慎吉をその源流とする。第二次世界大戦前の右翼運動を思想形態から分類すると、国家社会主義派(組織右翼)と日本精神主義派(観念右翼)に大別される。上杉の組織した桐花学園(1913創立)、蓑田胸喜、天野辰夫、菊池利房による興国同志会(19)、平沼騏一郎の国本社、興国同志会の流れをくむ七生社(25)などが観念右翼としてあげられる。 ※革新右翼と観念右翼の理念型( 日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 より引用) ①革新右翼 ②観念右翼 国家改造 国体明徴 高度国防国家 国民精神総動員 解釈改憲 護憲(不磨の大典) 指導者原理 臣道実践 統制経済 資本制擁護 親ソ・親独 反共・反独裁 世界史的な使命 日本史的な道統 陸軍統制派 陸軍皇道派 革新官僚 財界 無産政党 既成政党(現状維持派) 国家社会主義者 自由主義者 ※②観念右翼が「日本主義」を唱えたのに対して、①革新右翼すなわち国家社会主義者は「アジア主義」の立場を説く場合が多かった。 ※以下、関連項目をブリタニカ百科事典より引用。 ◇参考:アジア主義 【大アジア主義】 だい・アジア・しゅぎPan-Asianism 欧米列強のアジア侵略に抵抗するため、アジア諸民族は日本を盟主として団結すべきであるという考え方。明治初期以来、種々の視角から展開された。植木枝盛は自由平等の原理に基づきアジア諸民族が全く平等な立場で連帯すべきことを説き、樽井藤吉や大井健太郎は、アジア諸国が欧米列強に対抗するために連合する必要があり、日本はアジア諸国の民主化を援助すべき使命があると説いた。明治20年代になると、大アジア主義は明治政府の大陸侵略政策(注)を隠蔽する役割をもつようになった。1901年に設立された黒龍会の綱領にもみられるように、その後の大アジア主義は天皇主義とともに、多くの右翼団体の主要なスローガンとされ、これに基づいて満蒙獲得を企図する政府・軍部の政策が推進された。日本人の大アジア主義的発想は、第二次世界大戦前・戦中の「大東亜共栄圏」構想を支えた。※注:ブリタニカ百科事典にも自虐史観の傾向は当然あり、上記のような「大陸侵略政策」という問題のある記述がなされている。 【大東亜共栄圏】? 第二次世界大戦を背景に1940年第二次近衛内閣以降45年敗戦まで唱えられた日本の対アジア政策構想。その建設は「大東亜戦争」の目的とされた。東条英機の表現によれば、大東亜共栄圏建設の根本方針は、「帝国を核心とする道義に基づく共存共栄の秩序を確立」しようとすることにあった。しかし実際は、東アジアにおける日本の軍事的・政治的・経済的支配の正当化を試みたものに他ならなかったといえる。第一次近衛内閣当時の「東亜新秩序」は日本・満州・中国を含むものに過ぎなかったが、南進論が強まるにつれて、インド・オセアニアにいたる大東亜共栄圏構想に拡大された。大東亜省の設置と大東亜会議の開催は、このような方針の具体化に他ならない。 ◆5.まとめ ↓本文はここをクリックして表示 -... 運動の性格 ① 明治期の日本主義 政府の欧化主義に反発し、国粋主義/国権主義(特に政府の欧米協調路線に反対する攘夷主義)を主張した言論活動(政論的ジャーナリズム) 他国の侵略から自国・自民族を守る(解放的ナショナリズム) 右翼思想 当初は国粋主義的だった在野言論人の活動は、明治末・大正期に日本が大国化したのちも反骨精神は全く変わらず、今度は次第に左翼思想に理解を示す者が出てきた(左右等価気分説(※1))。更に彼らは、戦後は進歩派・市民派左翼文化人として活発に活動した(長谷川如是閑・丸山眞男etc.)。 ② 昭和期の日本主義 皇道・国体思想を強調して、社会主義やマルクス主義の思想侵略の脅威への対抗イデオロギーとして機能した思想活動 全体主義の脅威から自国の歴史・伝統に根差した自由を守る(日本型保守主義) 保守思想 日本精神主義派(観念右翼)。日本主義的教養を武器に学生・知識人の左傾化を防止し日本精神に目覚めさせると共に、革新右翼の狙う国家改造・解釈改憲・国家経済の社会主義化、更には戦争の長期化を「護憲」の立場から制止・抑制するために奔走。いざ戦争が激化すると国防のために生死を厭わず護国のために尽くした者が多い。 ③ アジア主義 アジア諸民族を白人支配から解放するという大義を掲げ、実際にも明治期の孫文を初めインドのB.ボース、フィリピンのアギナルドらの独立運動と連動しつつ遂行された日本の勢力拡張運動。 アジア諸民族の独立を支援する(排白人主義)(拡張的ナショナリズム) 極右思想 国家社会主義派(組織右翼=革新右翼)と重なる。代表的イデオローグとして5.15事件に関与した大川周明、2.26事件に連座した北一輝。革新右翼は2.26事件暴発後に勢力を急拡大し三木清など転向左翼の多数が近衛内閣のブレーン集団を形成して国策を左右した。※詳しくは 右翼・左翼の歴史 参照 ※「保守」「右翼」「極右」の違いは ナショナリズムとは何か 参照 ※1:左右等価気分説…右傾化も左傾化も既成勢力に対する反抗という意味で基本的に同じ心情に基づくものであり、状況が変化すれば左・右転換は容易とする説。 以上、説明したように、日本においても「保守主義」と「ナショナリズム」を区別することは可能であり、かつ英米保守主義との整合性という観点からもこの区別は必要と思われる。また、戦前・戦中に「日本主義」を唱えた日本型の保守主義者の系譜は、 参考図書 にあるとおり、実は戦後も途切れておらず、現在の日本の保守主義陣営(伝統保守の側)の中核に繋がっていることに注目すべきである。(なお、経済保守についてはこの限りでない) ※日本の保守主義に関して詳しくは、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を参照下さい。 ■8.参考図書 ↓本文はここをクリックして表示 +... 『保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか (単行本)』 中川八洋(著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介これまで日本には保守主義は正しく紹介されなかった! 保守主義が真に必要な今、その真髄を初めて体系的に詳解。保守の常識が覆る!アメリカを建国した保守主義の天才、ハミルトン。“法の支配”という自由の砦を大成した、コーク。フランス革命と戦った「保守主義の父」、バーク。それらの思想について、ほとんどの日本人は知ることがない。明治以降、あれほど西欧思想が流入したにもかかわらず、英米を中心とした保守主義はほとんど排除されてきた。その結果、日本人は保守主義について、あまりに無知である。保守主義者を自称するものも、保守主義とはどういう思想かを理解していない。法曹関係者ですら、“法の支配”の真の意味がわかっていない。この保守への無理解が、ひいては現在日本のあまりの非常識と混迷を招いているといっても過言ではない。では「保守主義」とは何か? それを体系的に解説したのが本書である。上記の思想家たちの他にも、トクヴィル、ヒューム、アーレント、オルテガ、ホイジンガ、ハイエクなど数多くの思想家を紹介する。いま初めて明かされる保守主義の真髄!目次第1部 保守主義の父祖たち(「米国保守主義の父」アレグザンダ・ハミルトン、「法の支配」は復権できるか―マグナ・カルタ再生とコーク卿、「保守主義の父」バーク―「バーク・ルネサンス」を日本に祈る)第2部 全体主義と戦う「真正の自由」(「隷従への道」を歩む二十一世紀日本―アーレント解題、「赤より死!」の、反ヘーゲル―カール・ポパーの哲学、平等という、自由の敵―警鐘を鳴らすトクヴィル、反撃するベルジャーエフ)第3部 「美徳ある自由社会」を創る(人間を透視したヒューム道徳哲学、「社会正義」は“亡霊”―自由の原理とハイエク政治哲学、「高貴なる自由」―永遠のバーク哲学)★ハイエクの思想を機軸に、西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想の系譜を峻別して分かり易く解説。エドマンド・バークを初めとする西欧の正統保守思想の概略をこの一冊でマスター可能。残念ながら現在は絶品であり中古本も高額なので同著者の 正統の哲学 異端の思想―「人権」「平等」「民主」の禍毒 で代用することを薦めます。 アメリカ保守革命 中岡 望 (著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介今、世界を席巻しつつある「保守主義革命」は、アメリカで始まった。それは“アメリカ化”という形で、世界の政治、経済、文化を巻き込み、留まることのない勢いで世界の隅々まで行き渡りつつあるようにみえる。日本もその世界的な潮流の埒外に存在しているわけではない。主流だったリベラリズムと対峙しながら、最初は思想運動として始まり、やがて現実の政策へと影響力を拡大していったアメリカ保守主義の発展過程とその内実を縦横に描いた名作。目次第1章 戦後の保守主義のルネッサンス(アメリカのリベラリズムと保守主義思想、二人の保守主義思想のゴッドファーザー ほか)第2章 保守主義思想とレーガン革命(思想運動から政治運動へ、保守主義思想の政治の代弁者たち ほか)第3章 レーガン革命と冷戦後の保守主義運動(未完のレーガン革命、一九九〇年代の保守主義の思想闘争 ほか)第4章 新しいエスタブリッシュメント―ネオコンの群像(ネオコンの創始者たち、ネオコンたちの思想的変遷 ほか)第5章 ブッシュ政権と二一世紀の保守主義(ブッシュ政権の樹立と政策、ブッシュの経済政策―レーガノミックスの再現 ほか)★戦後アメリカで細々と始まった(1)ウィーバー カークによる伝統保守の思想運動と、(2)ハイエク・フリードマンらによる経済保守の思想運動の二つの流れが、メイヤー バックリーによって融和・統合され、やがてゴールドウォーター、レーガンというコミュニケーター(人気政治家)を得て遂にアメリカ政治の表舞台に立つ時がくる。そして不十分な結果に終わったレーガン革命は、クリントン政権期の試練を経て、ブッシュ子政権期に更なる前進を見せる。60年の長期に渡るアメリカ保守革命のあらましを必要十分に描きつくした好著。 日本主義的教養の時代―大学批判の古層 竹内 洋 (編集), 佐藤 卓己 (編集) 2006.2刊内容(「BOOK」データベースより)戦前「護憲」の降魔剣“日本主義”を解明。「右翼」「反動」のレッテル貼りで忌避されてきた一九三〇年代“日本主義”の大学批判。マルクス主義的教養の機能的代替となった日本主義的教養の担い手たち。来るべき時代を読み解く画期的論集。目次第1章 帝大粛正運動の誕生・猛攻・蹉跌第2章 天皇機関説批判の「論理」―「官僚」批判者蓑田胸喜第3章 写生・随順・拝誦―三井甲之の思想圏第4章 英語学の日本主義―松田福松の戦前と戦後第5章 戦時期の右翼学生運動―東大小田村事件と日本学生協会第6章 日本主義的社会学の提唱―赤神良譲の学術論第7章 日本主義ジャーナリズムの曳光弾―『新聞と社会』の軌跡★未だに自虐史観どっぷりの東大・岩波系とは距離を置く京大系の学者達による昭和10年代日本の思想状況の共同研究プロジェクト全体のガイドライン的な位置づけの本。 日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 井上 義和 (著) 2008.6刊内容(「BOOK」データベースより)国家的危機の時代における大学の使命とは何か。欧化一辺倒の東京帝国大学に学風改革を迫り、高度国防国家を標傍する政府とも命がけの思想戦を繰り広げた東大生たち。戦時体制下で宿命的に挫折した“日本主義的教養”の逆説を読み解き、日本型保守主義の可能性を探る。目次第1章 「右翼」は頭が悪かったのか―文部省データの統計的分析第2章 政治学講義と国体論の出会い―『矢部貞治日記』を中心に第3章 学風改革か自治破壊か―東大小田村事件の衝撃第4章 若き日本主義者たちの登場―一高昭信会の系譜第5章 学生思想運動の全国展開―日本学生協会の設立第6章 逆風下の思想戦―精神科学研究所の設立第7章 「観念右翼」の逆説―戦時体制下の護憲運動第8章 昭和十六年の短期戦論―違勅論と軍政批判第9章 「観念右翼」は狂信的だったのか―日本型保守主義の可能性★現代の日本会議に繋がる国民文化研究会の母体となった昭和10年代の右翼学生運動の系譜を追い、左翼が壊滅した後、国家改造を進める革新右翼(国家社会主義者・アジア主義者)と激しく対立した観念右翼(伝統保守・日本主義者)の論理と実情を具体的に論証する好著 保守主義とは何か―反フランス革命から現代日本まで 宇野重規(著)、中公新書、2016年6月刊内容(中央公論新社ウェブサイトから引用)21世紀以降、保守主義者を自称する人が増えている。フランス革命による急激な進歩主義への違和感から、エドマンド・バークに端を発した保守主義は、今では新自由主義、伝統主義、復古主義など多くのイズムを包み、都合よく使われている感がある。本書は、18世紀から現代日本に至るまでの軌跡を辿り、思想的・歴史的に保守主義を明らかにする。さらには、驕りや迷走が見られる今、再定義を行い、そのあり方を問い直す。目次序章 変質する保守主義―進歩主義の衰退の中で第一章 フランス革命と闘う第二章 社会主義と闘う第三章 「大きな政府」と闘う第四章 日本の保守主義終章 二一世紀の保守主義★2016年6月に刊行された本書の著者やその推薦者によれば・・・・本書は、対フランス革命や対社会主義革命、対大きな政府など保守主義の時代による変遷をコンパクトに纏めた好著である。「「保守」を自任する人の多くは、「リベラル」や「左翼」にについて恣意的なイメージを描き、それを藁人形のようにしてたたくことで、自らの「保守」を正当化する。しかしながら、多くの場合、それは空想上の仮想敵を相手にした空回りに過ぎないようにも見える。」という著者の指摘は重く響く・・・という触れ込みであるが、実際に本書を読んでみると、「日本の保守主義についても…(中略)…アジアの植民地化など批判すべき点の方が多い」(p.212)とか「国の基本的な枠組みを維持する根幹である立憲主義の原理も、むしろ保守主義を名乗る勢力によって破壊されつつある」(p.200)という言説が散見され、結局のところ、著者のスタンスはどれだけ中立を装うとも所詮は丸山テーゼに彩られたアジア侵略史観(自虐史観)(※丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証参照)と戦後左翼的護憲思想(※立憲主義とは何か参照)を脱し切っておらず、もし本書に何らかの意義があるとすれば、著者と同じく未だそうしたスタンスから抜け出し切れない半可通の方が、取り敢えず批判的に「保守主義とは何か?」ということを、表面的であれ、あれこれ考えてみる第一歩になる・・・といったところでしょう。とくに本書の場合、アンチ全体主義のチャンピオンであるハイエクの著作について、その初期の著『隷属への道』だけは巻末の参考図書に挙げても、彼の本当の代表作である『自由の条件』については本編で若干の言及を加えてアリバイを作りつつも参考図書から外していたり、ハイエクの盟友ポパーの名著『開かれた社会とその敵』を完全に無視している点に明らかに欺瞞を感じる(※なぜならハイエク『自由の条件』やポパー『開かれた社会とその敵』まで読者に進まれると、読者が左翼思想がそこで完膚無きまでに論破されていることをハッキリ理解してしまう怖れが高いから)。そういう意味で、本書を読了して尚煮え切れない思いを抱いた方こそ、本サイトの左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページの各ページに進んで欲しいものである。 ■9.ご意見、情報提供 ページ内容向上のためのご意見・情報提供を歓迎します。 ↓これまでの全コメントを表示する場合はここをクリック +... 元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24 以下は最新コメント表示 元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24 名前 ラジオボタン(各コメントの前についている○)をクリックすることで、そのコメントにレスできます。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 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【ヒラリー】ヒラリー・ローダム・クリントン(Hillary Rodham Clinton,1947年10月26日–) アメリカ合衆国初の女性大統領の誕生なるか!! Link free !! 自由にリンク(アーカイヴ)追加をどうぞ wikipedia (2008-02-10 15 40 17) サイト名 URL Comment free !! 自由にコメントをどうぞ 名前 News free !! 関連ニュースをフリーに情報収集 クリスマス名作映画『ホーム・アローン』のキャストがオンラインでの同窓会を計画中!一体誰が参加するの・・?いじめっ子役の俳優が主催 - tvgroove - TVグルーヴ・ドット・コム 「大統領選敗北」ヒラリー氏、幻の当選演説文を公開 - 東亜日報 レオナルド・ディカプリオほか、超豪華オールスターキャストが集結! 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Fiscal Multipliers and Policy Coordination Gauti B. Eggertsson 要約 この論文はゼロ名目金利での財政政策の効果の大きさについて論じる。私は価格の硬直性と合理期待を取り入れた確率的動学一般均衡モデルを分析し、また政府が将来の政策についてコミットできないと仮定する。実質政府支出 (real government spendingは公的部門の消費の増加によって需要を拡大させる。赤字財政支出 (deficit spending)はインフレ予想を醸成する事によって需要を拡大させる。政府支出(実質および赤字財政)の1ドルの支出がどれだけ産出をどれだけ増加させるかを表す政府支出乗数を導く。金融政策と財政政策の協調の元では、実質支出乗数は3.4であり、赤字財政乗数は3.8である。しかしながら、中央銀行が独自のゴールを持ち、政策協調のない場合には実質支出乗数に変化はないが、赤字財政乗数はゼロになる。協調失敗 (coordination failure) は日本で、大恐慌の時に較べて最近の財政政策の効果が弱かった理由を説明していると思われる。 1 Introduction デフレーションの局面と、インフレーションの局面とでは中央銀行の独立性の役割が異なる、ということを理解しておく事が重要です。インフレーションの局面において、それはしばしば政府負債の過剰な貨幣化を伴うものですが、独立した中央銀行の神髄は政府に対して拒否を突きつける能力のことです。しかしながら、長引くデフレーションの局面では極端な貨幣創造は問題になりにくく、中央銀行のより協調的なスタンスが求められるでしょう。 ---バーナンキFRB議長 2003年5月31日に本金融学界にて 協調、協調 もし金融政策がそれだけでデフレーションを終わらせる能力に欠けるのなら、答えは「あきらめる」ではなくて協調された金融・財政政策を試みることである。 ---The Economist社説 金融政策と財政政策のついての習わしとしていわれてきた事は次のようなものである*1。「不況への第一の防衛線は金融政策である。金利引き下げという中央銀行---連邦準備、ヨーロッパ中央銀行、日本銀行---の能力。実質金利の引き下げは企業や消費者が借金をし消費をすることを促し、それによって新たな雇用が生まれ、さらなる消費を刺激する、といったサイクルを生む。1930年代以来、この作戦は成功してきた。より具体的にいうと、金利の引き下げは過去30年において1975年、1982年、1991年の大きな景気後退からアメリカ経済を引き上げてきた。第二の防衛線は財政政策である。経済の落ち込みを防ぐのに金利の引き下げだけでは不十分な時には、政府は減税や自身の支出を増やすことで需要を拡大できる。この経済学者の間で共有されてきた習わしとは、ほとんどの景気後退に財政政策は不要であり、金利政策で十分である、ということだ。しかし、財政政策はいつでも武器庫には準備されているのだ。」 *1括弧内の一節は習わしについてのKrugman (2001)の要約である。 中央銀行が短期名目金利をゼロにまで引き下げた時、第二の防衛線が必要である。経済が過大なデフレーションに直面している時はなおさらである。多くの経済学者が、大恐慌からアメリカ経済を最終的に救い出したのは戦争による政府支出であったと考えている。その時には短期名目金利が数年の間、ほぼゼロであった。しかし、近年の日本の状況を見ると、財政政策の効果の大きさに疑問が持ち上がる。日本銀行は1998年に喚起名目金利をゼロに引き下げ、それ以来グロスの公的債務は今日ではGDP比150%を超えるほどに膨らんでいる。いくつかの「景気対策」をうったにもかかわらず、デフレーションは持続し失業率は高止まりしたままであった(もっとも最近のデータによれば、ついに日本経済が回復し始めたようだ。景気回復とその要因となった政策の役割についてはEggertsson and Estry (2005)を参照せよ)。標準的な財政政策および金融政策は低金利環境においてデフレを抑制し、需要を刺激するには不十分なのであろうか?日本の経験を教訓にして、何人かの経済学者が論じたように我々は伝統的なケインジアンの教えを覆さなければならないのだろうか?*2 *2例えばKrugman(2001)を参照せよ。 この論文では価格の硬直性を含んだ確率的一般均衡モデルを用いた理論的な観点から3つの疑問を論じていく。金利の下落は、金利の自然率(産出ギャップがゼロになる実質金利)を一時的に負にし、極端なデフレーションと産出の急落をもたらすような一時的な需要ショックが原因である。ここでは政府---財務省と中央銀行---が国債の発行を通じて将来の政策に対して独立にコミットすることができないと仮定する(Lucas and Stokey (1983)に従って、財務省は債務の名目額に対しては返済を保障できるものと仮定する)。この論文を通じて用いられる均衡概念はマルコフパーフェクト均衡(MPE)である。これはMaskin and Tirole (2001)が定式化して以来、ゲーム理論で比較的標準的な概念である。 この論文で、低金利環境で需要を増加させる財政政策の二つのオプションについて分析する。一つ目は実質政府支出、すなわち予算を均衡させたまま政府支出を増加させるもの。二つ目は赤字財政支出、すなわち政府の実質支出を一定にする減税および負債の増加である。この論文の中心的な結論は実質政府支出にしろ赤字財政支出にしろ、名目金利がゼロであっても、デフレを克服し需要を増加させることができるということである。二つのオプションのうち、赤字財政が、デフレを克服し産出ギャップを解消させ、社会的厚生を改善するという意味において、より効果的であることが分かった。この結論は伝統的な教えを擁護するものといえるだろう。 しかしながら、少なくとも3つの点で伝統的なケインジアンの教えと異なる点がある。まず一つは赤字財政政策は財政と金融政策が協調している時にのみ有効であること。仮に協調がなければ、効果はまったくない。これは近年の財政政策の効果が弱かった日本の経験を裏打ちするものである。財務省と日本銀行が協調したリフレーションプログラムの一環としての赤字財政の拡大を行わなかったためであると考えられる。これは大恐慌時の日本とアメリカで採られた協調的なリフレーションブログラムとは対照的なものである。第二に、政府の実質支出は、伝統的なケインジアンが考えるような「現在の支出を通じての効果」だけの効果しかないわけではないということである。将来の支出についての予測を通じても効果を発揮するのである。予測が固定された伝統的なIS-LMモデルとは対照的に、最適な財政政策の元では、現在の支出よりもむしろ将来の支出への予測の方が重要なのである。第三に、後に詳述するように、財政政策の効果の大きさは、従来の研究にみられるものに較べて遥かに大きく、金融政策と協調された場合にはより顕著である。 この論文でいう、金融政策と財政政策の協調とは何を意味するのか?制度的な構成は図1に示されている。二つの政府機関が存在する。中央銀行と財務省である。中央銀応は金利 itを決定する(もしくはマネーサプライ Mt)。財務省は政府支出 Ft と租税 T を決定する。財務省と中央銀行が共に社会的厚生を最大化するとき政策は協調された、と呼ぶ。それぞれの機関が独立に自分の目的を追求する時に政策は非協調的と呼ぶ。財務省は社会的厚生を最大化するが、中央銀行はより狭い政策目的を追求するような状況を非協調的と想定する。このような制度的な構成を中央銀行は「目標の独立性」を持つ、と呼ぶことにする。目標の独立性を持つ中央銀行はインフレーションと産出の目標からの乖離の二次関数を最小化するものと仮定するが、これはこの分野において比較的標準的な目的関数である。このモデルでの協調的・非協調的な解の最も大きな違いは目標の独立性を持つ中央銀行はその行動の財政的側面を考慮しないということである。 (はじめに引用した)バーナンキFRB議長が強調するように、中央銀行の独立性についての標準的な理解は政府の「負債の貨幣化」の望みに対して断固として拒否する能力のことである。標準的な動学的不整合性に対して、目標の独立性を持つ中央銀行が財政的側面を無視することは望ましい。なぜならば、公債の存在はインフレーションを起こそうとする非効率的なバイアスを与えるからである(Calvo (1977)を参照せよ)。このバイアスはこの論文においても成立し、名目的な状況(すなわちデフレショックがない状況)では社会的厚生よりも狭い目的を目標独立な中央銀行に与えることが最適となる。しかしながら、Bernanke (2003)が述べるように、デフレーション環境ではこのバイアスは成立せず、少なくとも一時的な協調---社会的厚生を最大化するという共通の目標をめざすこと---は利益をもたらす。実際、デフレショックを前提にすると、この論文の定量的な結果をまとめた表1と2で示されているように、協調は財政政策の効果は引き出すために決定的なものなのである。 表1と2は動的乗数の計算によって得られた財政支出の威力を要約したものである。表1の最初の列は名目金利をゼロにするようなショックを受けた場合の協調的な政策の乗数を示している。二つのシナリオでの均衡産出と財政支出を較べる思考実験を考えよう。シナリオの一つは安定化の財政政策(実質支出または赤字財政支出)を行った場合でありもう一つのシナリオは財政政策を行わなかった場合のものである。この二つの均衡を較べることで動的乗数を計算することが出来る。乗数は次の疑問に答えてくれる。(実質または赤字財政の)財政政策による1ドルは一つの均衡から別の均衡へと移る時に何ドルの産出を増加させるのであろうか?乗数の計算にあたって期待現在価値による支出と産出を求めた。これにより協調の場合には、実質政府支出の乗数は3.37であり、赤字財政支出の乗数は3.76であることがわかった。これらの乗数は伝統的なケインジアンの研究に見られるものよりも遥かに大きい。大恐慌時の財政政策についての論文で最も引用されているのがBrown (1956) である。彼の基準カリブレーションでは実質支出の乗数は0.5であり、赤字財政支出乗数は2.3である。これだけ大きな違いがある理由は古いモデルが予想の経路を無視しているからである。予想をモデル化することは政府支出の大きな効果を理解する鍵なのである。予想の経路とは次のようなものである。財政拡大が将来のインフレーションの上昇を予想させる。これが実質金利を減少させ支出を刺激する。そしてさらなる支出を刺激する将来所得の増加をも予想させるのだ。 表1の2列目には、ショックがなかった(よって金利は正である)場合の乗数を示してある。しかし、財政政策はショックが起きた時と同じ経路を辿っている。この場合、乗数は遥かに小さい。このことは財政政策は金利がゼロで、デフレーションにあるような時には極めて強力である。なぜなら金利がゼロの時には、インフレーション率と産出が社会的に望ましい水準よりも下回っているために、中央銀行はいかなる需要の増加も融通することが出来るからである。正の金利で中央銀行は逆にいくぶん財政政策を相殺する。 表2は金融政策と財政政策が協調していない場合の乗数を示している。この場合、実質支出の乗数は変わらないが、赤字財政支出の乗数は大きく変わる。協調なしでは赤字財政は効果がなく乗数はゼロになる。赤字財政はすべて未来の金利政策についての予想を通じて(すなわち未来のマネーサプライの増加の予想を通じて)機能するからである。協調された政策では、赤字財政支出は名目上の負債の増加を意味し、最適な裁量的金融政策はインフレーション予想の上昇をもたらす。なぜなら名目上の負債の増加は恒常的なマネーサプライの増加へのインセンティブと整合的だからである。しかし協調がない時には金融政策の財政的効果を考慮に入れずに狭義の目標を達成しようとするために、このリンクは切れてしまう。代わりにデフレショックがある時にはひどく部分最適な最良的金融政策の強いデフレバイアスが存在する。このことはBernanke (2003) が述べるようにデフレーションにおいては中央銀行により協調的なスタンスが求められていることを意味する。 対となる論文 (Eggertsson 2006) で、私は似ているが二つの重要な点で異なるモデルを考察した。その論文では実質政府支出の増加の効果は論じられていない。また金融政策と財政策の協調も分析されていない。関連する論文 (Eggertsson 2005) ではアメリカ経済の大恐慌からの回復を研究するために(協調に関する言及は一切ないが)ここで提示された理論的フレームワークを簡単にしたモデルを適用した。 ゼロ金利の研究には二つの流れがある。一つはゼロ金利を部分最適な金融政策と実質ショックによらない自己充足的な「悪性均衡」の一例として流動性の罠に理由を求めるものである。その解決法は自己充足的な「悪性均衡」を取り除く異なる政策ルールに政府がコミットすることである(このアプローチの主導的な例はBenhabib et al. (2002)とBuiter (2003)である)。もう一つはデフレーションとゼロ下限(zero bound)を実質的なショックへの非効率的な政策に理由を求めるものである。この場合、非効率な政策ルール(Eggertsson and Woodford (2003)を参照せよ)か、未来の政策への政府のコミットメント不足(Eggertsson (2006)を参照せよ)のいずれかがゼロ金利にいたる原因である。この論文は二番目の流れに沿っており、ゼロ金利は一時的な実質ショックに起因し、結果として得られる均衡は政府の政策的制約と未来の政策へのコミット不足のために部分最適になるというものだ。Krugman (1998)、Eggertsson and Woodford (2003)、Jung et al. (2006) 、Adam and Billi (2006)、Nakov (2006) によって強調されたように、最適な政策は目標よりも高いインフレーション率の実現へコミットすることであるが、この政策は政府が明瞭なコミットメントメカニズムを持っていなければ信認されないであろう。この論文では赤字財政支出は主に有用である。なぜならこのコミットメントの問題を解決する助けとなるからである。実質政府支出は主に効果的である。なぜなら金利がゼロに達した場合の総支出の増加による負のショックの影響を減少させるからである。Jeanne and Svensson (2004)とEggertsson (2006) はコミットメント問題を解決するための為替介入などの代替策について論じている。 物価水準と財政政策との関連を強調する研究が近年盛んになっている。この分野の研究はしばしば物価水準の財政理論(Fiscal Theory of Price Level (FTPL))と呼ばれている(Leeper (1992)、Sims (1994)、Woodford (1996)を参照せよ。初期の研究についてはSargent and Wallace (1981)を見よ)。FTPLとこの論文におけるアプローチとの大きな違いは政府の扱いである。FTPLを適用した論文は中央銀行を(時に部分最適な)金利フィードバックルールにコミットするものとして扱い、財政政策は実質政府余剰の(時に部分最適な)外生的な経路(典型的には実質政府消費のいかなる変化も除外している)として扱っている。これらの仮定においては、政府の予算制約を満たすように物価が変化しなければならないため、実質政府余剰は物価に影響を与えうる(なぜなら、政府のいかなる政策の変更も仮定(すなわち政府の政策へのコミットメント)によって除外されているからである。これとは対照的に、私の設定では、財政政策が物価水準に影響を与えることができるのは、政府の未来のインフレーション率の上昇へのインセンティブを変化させるから、もしくは実質政府支出が直接需要を増加させるからである。 6 日本とアメリカの大恐慌時代の協調 目標の独立性を持つ中央銀行を考えよう。中央銀行の総合的な目標と赤字財政の拡大によって予想を変化させることは簡単であろうか?そのようなレジームの転換は信認されるか?理論的な観点から、この疑問に対する答えは明白である。財務省と中央銀行との間の協調が---そう定義したように---社会的厚生の最大化を含むため、レジーム転換はいつでも信認される。よって主に課題となるのは、そのような政策が信認されるかどうかではなく、民間部門に対して、どのように政策の透明性、確認性を高めるか、である。このための一つの方法は中央銀行が財政政策をサポートする意図を説明し、国債の買いオペをすることである。原理的にはそのような政策は何ら効果を発揮しないはずである。なぜなら貨幣と国債は完全な代替物になっているからである。しかし、中央銀行が保有する満期となった国債の償還を財務省に請求しないというような、財政政策へのサポートを明確に発表したならば、インフレーション予想に大きな影響を与えることができるであろう。その効果は国債の購入から来るものではなく、国債の購入についての解釈の方法に起因する。よって、公開市場操作は中央銀行の目標の変更とデフレーションを終結させるために財政政策の協力するという決意のシグナルとなるのである。そのような政策の鍵となる要素は政策目標の透明性と、インフレーション予想を変化させる方法の透明性である。 過去においてレジーム転換と協調はデフレーションを克服する効果があったのであろうか?これには協調的解決法として興味深い先例が日本にある。1920年代の終わりに日本は恐慌に陥った。成長の停滞は深刻であった。GNPの成長は1929年には0.5%、1930年は1.1%、1931年は0.4%であった。同時にデフレーションは経済を不具にしていた。このことは表4に示されているように、いくつかのマクロ経済指標によって確認されている。1931年12月に高橋是清が大蔵大臣に任命された。高橋は即座に三つの行動を起こした。第一に、金本位制から離脱した。第二に、日本銀行に公債を裏書きさせることで金融政策を財政政策に従属させた。第三に、大規模な赤字財政を実施した。これらの政策は表4に見られるように劇的な効果をもたらした。全てのマクロ経済指標はこの論文のモデルによって予測された方向に変化した。財政赤字が拡大するにつれ、GNPは上昇し、デフレーションは収束した。同じ時期に、金利は歴史的に低位で、公債の金利は30年代の間ほぼゼロであった。名目利子率の引き下げに加えて、我々のモデルは他の政策の発動---公債の裏書きして賄われた積極的な赤字財政---はインフレーション予想の上昇を通じて実質収益率に大きな影響を与えたものと考えられる。この経路は大恐慌時代の日本でとられた三つの政策の成功を説明する潜在的な重要性を持つものである。1936年、高橋は暗殺され、政府の財政は軍の支配下に置かれた。これに続く軍拡は過大な政府債務の拡大とハイパーインフレーションへと導いた。高橋が暗殺されるまでは、しかしながら、1930年代の経済政策は注目に値する成功を収めたのであった。 金融・財政政策の協調のもう一つの重要な例は大恐慌時代のアメリカである。このエピソードはEggertsson (2005) でいくらか詳しく説明している。その論文から分かることは、アメリカで大恐慌を終わらせたものは、金融と財政の協調によるレジーム転換によって説明できる予想のシフトによって、その大部分を説明できる、ということである。 赤字財政と実質支出を同時に積極的に行った場合にどちらが相対的な重要性を持つか、という研究は今後の重要なトピックになるであろう。日本の近年の経験はカリブレートされたモデルで研究する価値がある。ここで論じたように、近年の日本でのデフレーションとデフレ期待の進行を見ると赤字財政がインフレーション期待に対して影響があったとは思えない。しかし、実質政府支出の増加がさらなる日本経済の悪化を食い止めた蓋然性は高い。私が提示したモデルは、実質政府支出の増加がなければ、デフレーションと経済の低迷は実際に日本で観察されたものよりもさらに悪い結果になったはずだということを示している。モデルは(経済の低迷に対応するための)日本の近年の実質政府支出の増加はもっと厳しい低迷に陥ることを防ぐ重要な役割を果たしたことを示している(もっとも、さらに支出を拡大した場合についてはオープンクエスチョンであるが)。しかし、需要喚起のための実質政府支出の積極度についての合意がないことは明記しておくべきことであろう。例えばKuttner and Posen (2001)は季節調整された実質政府支出の増加はよく言ってもわずかであったと論じている。さらにいえば、日本はここで示されたマルコフ解が要求する持続的に政策を実行しなかった(つまり、実質政府支出はゼロ金利にあるどのような状態においても増加させられなければならない)。このことは重要である。なぜなら、モデルが示唆する本質的に重要なことは現在の実質政府支出を増加させることではなく、未来のゼロ金利制約に嵌まったいかなる状況においても増加させるという予想だからである。よって、政府はデフレーション圧力がなくなるまで実質政府支出を増加させることを発表する必要があり、これはマルコフ均衡の分析によって示されたように信認される発表になるのだ。 7 Conclusion インフレーションは何十年もの間、貨幣的安定への主な脅威と看做されてきた。70年代の二桁のインフレーションの後遺症で、金融政策と財政政策を分離し、インフレーションの防止を第一の目的とする「独立した」中央銀行の手にその権限を与えようという動きが起きた。この展開は理論のレベルでの重要な貢献によって強化された。もっとも重要なものは裁量的な政府が「インフレーションバイアス」を持つことを示したKydland and Prescott (1977)とBarro and Gordon (1983) であろう。デフレーションが当たり前であった大恐慌時代の後遺症の中での政治的、理論的議論は極めて対極にあったことは忘れられがちである。ポール・サミュエルソンはデフレーションと戦う能力に欠けたために生じた不況を強調して大恐慌時代の連邦準備を「自らの独立性の虜」と評した。同じようにミルトン・フリードマンは「金融政策はセントラルバンカーに任せるには重要すぎる」と評した。本論文はデフレーション環境では財政と金融の協調にいくらかのメリットが存在することを示している。この協調の本質を見極める研究はこれから間違いなく重要なものとなるであろう。協調解は非協調解の結果に収束していくため、協調は一時的なもので十分効果的であることを指摘しておきたい 財務省との協調なしでも中央銀行は様々な方法---為替介入や民間資産の購入など---によって物価と産出を刺激することが出来ると論じる経済学者もいる。独立性のある中央銀行はこの論文での協調の元での赤字財政が示したような、未来の物価上昇へのコミットメントと同じような結果を、自身のバランスシートの拡大によって得ることができる(中央銀行は民間資産の購入や為替レートへの介入によってインフレーション予想を上昇させることができる。Eggertsson (2006)、Svensson and Jeanne (2004)を参照せよ)。その理由は次の通りである。独立した中央銀行は自己のバランスシートの価値に神経質である。なぜなら自己資本の毀損は、貨幣の増刷(これは望ましい水準よりインフレーションを高める可能性がある)または財務省による救済(これは独立性を失う結果を導く)によって賄われることになるからである。しかしながら障害は、原理的には未来のインフレーション率の上昇にコミットできるにもかかわらず、もし中央銀行が自己のバランスシートに過剰に神経質になると、サミュエルソンが指摘したような、自らの手足を縛る「独立性の虜」になってしまうことである。理由は、非標準的な公開市場操作で購入した資産は不確実な収益性を持ち、中央銀行がバランスシートの大幅な毀損と高いインフレーション率との間のトレードオフに直面する可能性が常に存在するからである。よって、仮にその他の政策を考えるにしても、財政と金融政策の一時的な協調は説得力のあるケースであると言えよう。
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改行ズレ/画像ヌケ等で読み辛い場合は、ミラーWIKI または図解WIKI をご利用ください 自ら『保守主義者』を名乗っているアメリカ人は、事実は自由主義者である。 ~ B.クリック(英国の政治学者)『アメリカ保守主義の奇妙な探求』(1955年) 保守主義(conservatism)の概念を総合的に考察し整理・明晰化するページ <目次> ■1.このページの目的・構成 ■2.保守主義、及び関連する諸思想◆1.保守主義・関連する諸思想の説明 ◆2.保守主義・関連する諸思想の整理図 ■3.保守主義の概念定義◆1.保守主義(conservatism)の辞書的定義 ◆2.内包と外延 ■4.保守主義の内包(=内在する属性)◆1.保守主義の核心的特色 ◆2.保守主義の一般的特質 ◆3.保守主義の価値観・思惟構造 ■5.保守主義の外延(=対象となる範囲)◆1.保守主義と自由主義の関係 ◆2.伝統保守と経済保守の架橋◇1.18世紀イギリスの自由主義思想家による「伝統保守」の説明 ◇2.保守主義=「小さな政府」なのか? ◇3.伝統保守(旧保守)と経済保守(新保守)の架橋 ~ フュージョニズムと「思いやりのある保守」 ■6.保守主義と混同されやすいが別概念として区別すべきもの◆1.保守主義とリバタリアニズムの区別◇自由至上主義(libertarianism)の辞書的定義 ◆2.保守主義とコミュニタリアニズムの区別◇共同体主義(communitarianism)の辞書的定義 ◆3.保守主義とナショナリズムの区別◇1.ナショナリズム(nationalism:国民主義、民族主義、国家主義など文脈に応じて様々に訳し分ける)の辞書的定義 ◇2.ナショナリズムの発展モデル ◆4.保守・右翼・極右の区別 ■7.日本の保守主義◆1.参考:「保守主義」という用語の使用状況 ◆2.西欧保守主義・日本の保守主義の接合上の問題点と考え方◇1.保守主義と、自由主義・個人主義・デモクラシーの関係 ◇2.保守主義と、ナショナリズムの関係 ◆3.日本主義 ◆4.革新右翼(国家社会主義者)と観念右翼(伝統保守)◇参考:アジア主義 ◆5.まとめ ■8.参考図書 ■9.ご意見、情報提供 ■1.このページの目的・構成 全く正反対の政治的信条を持つ「リバタリアン(自由至上主義者)」と「コミュニタリアン(共同体主義者)」が共に「我こそ保守主義者だ」と主張していたり、「ナショナリズム」が「保守主義」と混同されています。 あるいは、「小さな政府」こそ「真の保守」だと言う人、また「国体護持」こそ「真の保守」だという人もいます。 このページでは、そうした様々に主張されている保守主義の内実をその歴史的沿革や辞書的な概念定義から、客観的に検討し、 保守主義とは、 (1) ルソーの革命思想/デカルトに始まる設計主義的合理主義/共産主義/社会主義/ファシズム等の全体主義思想に対する対抗思想として発生したものであって、 (2) その内実は、歴史の中で育まれてきた価値多元的で寛容な自由を守ろうとするもの、即ち自由主義(左翼的リベラリズムではなく真正の自由主義)である とするのが、最も整合的な理解であることを説明していくとともに、 リバタリアニズム・コミュニタリアニズム・ナショナリズムなど保守主義に部分的に類似する諸概念について、その関係を整理・明晰化していきます。 そして最後に、以上で得られた保守主義の標準的な理解をベースとして、日本における保守主義の内実の検討に踏み込みます。 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ■2.保守主義、及び関連する諸思想 ◆1.保守主義・関連する諸思想の説明 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※下記は全て、ブリタニカ百科事典(日本版)より引用(ただし※注はこちらで追記) 政治思想ないしイデオロギー 説明 関連ページ 保守主義、及び、保守主義の内実を成す概念 保守主義(conservatism) 既存の価値・制度・信条を根本的に覆そうとする理論体系が現れたときにこれに対する対抗イデオロギーとして形成される。「保守主義の宣言」とも言われる『フランス革命に関する省察』を著わしたE.バークは、人間のあらゆる制度の基礎は歴史であり、具体的な文脈のなかで長い時間をかけて培われてきたものだけが永続性を持つため、抽象的な哲学原理に基づく革命は座絶を運命づけられているとしている。バークは決して変化を拒絶しないが、それは既存のものの漸進的改良として果たされねばならないと考える。歴史的・有機的な社会秩序への人為的介入の排除とその漸進的改革が保守主義の思想的特徴であるが、これは現代のF.ハイエクやM.オークショットにもみられる考え方である。 保守主義とは何か 新保守主義(neo-conservatism) 1960年代後半以降、アメリカでリベラリズムや対抗文化の行き過ぎを批判しつつ登場してきた思想。I.クリストル、D.ベル、S.ハンティントンなどが代表的である。アメリカでは、ベトナム戦争の経験に伴う文化的混乱から若者を中心として性の自由や家族の解体といった急進的な主張がなされたが、反面、こうした潮流に強い危機意識をいだき、西欧的価値を擁護しながらアメリカの文化的同一性を再定義しようという試みも生まれた。これらは資本主義と自由の結びつきを強調し、共産主義に対する批判を共有するもので、現実の政策的提言においても連邦政府が過剰な役割を果たすことには懐疑的で、私的集団の活動の場を拡大する「小さな政府」への方向性を示唆している。このような主張を経済論として展開しているのが、新自由主義である。 自由主義(liberalism) 個人の諸自由を尊重し、封建的共同体の束縛から解放しようとした思想や運動をいう。本格的に開始されたのはルネサンスと宗教改革によって幕をあけた近代生産社会においてであり、宗教改革にみられるように、個人の内面的自由(信教の自由、良心の自由、思想の自由)を、国家・政府・カトリック・共同体などの自己以外の外在的権威の束縛・圧迫・強制などの侵害から守ろうとしたことから起こった。この内面的諸自由は、必然的に外面的自由、すなわち市民的自由として総称される参政権に象徴される政治的自由や、ギルド的諸特権や独占に反対し通商自由の拡大を求め、財産や資本の所有や運用を自由になしうる経済的自由への要求へと広がっていった。これらの諸自由の実現を求め苦闘した集団や階級が新興ブルジョアジーであったため、自由主義はしばしばそのイデオロギーであるとみられた。しかし各個人の諸自由を中核とした社会構造は、その国家形態からみれば、いわゆる消極国家・中性国家・夜警国家などに表象されるように、自由放任を生み、当然弱肉強食の現象を現出させることになり、社会的経済的に実質的な平等を求める広義の社会主義に挑戦されることになった。しかし、20世紀に出現した左右の独裁政治の実態は、自由主義が至上の価値としてきた内面的自由・政治的社会的諸自由などが、政治体制のいかんに関わらず、普遍的価値があることを容認せしめ、近代西欧社会に主として育まれてきた自由主義は再評価されている。 リベラリズムと自由主義 新自由主義(neo-liberalism) (1) 1870,80年代から勃興したイギリスの理想主義運動、なかんずくT.H.グリーンが主唱した社会思想。グリーンは、道徳哲学としてはJ.ロック、J.ベンサムなどの功利主義的自由主義ではなく、カントやヘーゲルの影響を受けた観念論的・理想主義的自由主義を、社会哲学としては、自由放任主義(経済的自由主義)ではなく国家による保護干渉主義(社会政策)を主唱した。しかし決して国家専制主義や全体主義に陥らず、個人の自我の実現、個人の道徳的生活の可能な諸条件の整備に国家機能が存在するとして、自由主義の中心である個人主義を継受した。この思想はイギリス自由党の労働立法・社会政策に思想的根拠を与えた。⇒※注:こちらは正確には new liberalismであり、訳すと文字通り「新自由主義」だが、現在はこちらの意味では使用されなくなったので注意が必要。 リベラリズムと自由主義 (2) 1930年代以降の全体主義国家の台頭や第二次世界大戦中から戦後にかけてのケインズ政策に反発して、再び個人の自由の尊厳を説き、政府の恣意的政策の採用を排し、法の下での自由を強調する思想。このような思想をもつW.オイケン、W.リプケ、L.ミーゼス、G.ハーバラー、F.ハイエク、L.C.ロビンズ、M.フリードマンらの多彩な人材を擁して、47年にモンペルラン・ソサエティーを結成している。恣意的・強権的権力の行使に反対する点ではかっての自由放任的自由主義と共通する面をもつため、その単なる復活と誤解されがちであるが、普遍的な法の強力な支配の必要を説き、法秩序の下での自由を強調する点で、かっての自由放任とは異なる。経済政策面でのその端的な表れは、ドイツに代表される社会的市場政策とシカゴ学派に代表される新貨幣数量説である。⇒※注:こちらが、neo-liberalism(正確に訳すと「再興自由主義」)すなわち現在使用されている意味での「新自由主義」である。 保守主義に隣接・類似するために混同されやすいが、別概念として区別すべきもの 自由至上主義(libertarianism)※注:項目なしのため、リバタリアン(libertarian)の項目で代用 福祉国家のはらむ集産主義的傾向に強い警戒を示し、国家の干渉に対して個人の不可侵の権利を擁護する自由論者。古典的自由主義と同様、リバタリアンも自由市場経済を支持するが、その論拠は自由市場が資源配分の効率性に関して卓越しているということだけではない。より重要なのは集産主義的介入(⇒コレクティビズム)が、自明の権利である個人の自然権や人権を侵害するという点である。リバタリアンの出発点は社会の理解に関する徹底的な個人主義的アプローチである。社会とは何らかの実体ではなく、自律性を権利として保障された諸個人が互いの価値の実現を目指して交流を持つ場である。経験的な意味で国家や政府による合理的計画よりも自律的な個人の活動のほうが社会的利益を最大化するというだけでなく、道徳的な意味でも個人の自律性を国家や政府の干渉によって強制的に縮小しようとするあらゆる試みは、個人の独自性を破壊し社会の目的のための手段といて扱うことになる。個人の価値の追求にはルールによる制約が課せられるべきであるが、それは各人の平等な権利を保障するというに限定されねばならない。国家や政府の役割はそこにあるのである。⇒※補注参照 中間派について 共同体主義(communitarianism)※注:項目なしのため、コミュニタリアン(communitarian)の項目で代用 人間存在の基盤としての「共同体」の復権を唱える一群の政治哲学者たちの総称。J.ロールズの『正義論』(1971)が政治哲学の復権に大きな影響を与え、当初その指導的立場にあったのが、ロールズに代表される福祉国家的な自由主義を主張するリベラリストと、ノージックに代表される個人の自由に対する制限を最小化しようとするリバタリアンであった。一見したところ対立するこの両陣営は「個人」の多元的対立から社会構成の原理を導出しようとする基本的枠組みでは一致している。この個人主義的な人間像・社会像に対して根本的な次元から論争に参加してきたのがコミュニタリアンである。A.マッキンタイア、M.サンデル、M.ウォルツァーらを代表とし、その主張は必ずしも一様でないが、人間的主体性を抽象的なアトム的存在の自律性としてではなく、共同体のもつ歴史・社会的なコンテクストに根付いた具体的存在として捉えようとする点では共通している。コミュニタリアンの登場の背景にはアメリカ社会が極端な個人主義の結果、公共心を衰退させ、そのことが様々な社会問題を引き起こしているという洞察がある。 中間派について ナショナリズム(nationalism) 民族、国家に対する個人の世俗的忠誠心を内容とする感情もしくはイデオロギー。普通、民族主義と訳されるが、国民主義あるいは国粋主義と訳されることもある。しかしこれらの訳語はいずれもナショナリズムの概念を十分に表現しているとはいえない。ナショナリズムの概念が多義的であるのは、ネーション(民族、国民)が歴史上きわめて多様な形態をたどって生成・発展してきたことに起因している。歴史的な重要概念となったのは18世紀末以後のことである。アメリカの独立とフランス革命がその端緒となったとされ、南アメリカに浸透し、19世紀にはヨーロッパ全体に広まり、ナショナリズム時代をつくりだし、20世紀に入って、アジア・アフリカで多くのナショナリズム運動が展開された。ナショナリズムはこうした諸国の独立をもたらす解放的イデオロギーではあるが、民族紛争と戦争の拡大をもたらす危険も大きい。 ナショナリズムとは何か右派・右翼とは何か ※補注:このように古典的自由主義およびその再興であるハイエクに代表される新自由主義(neo-liberalism)と、リバタリアニズム(自由至上主義)は厳密には別概念であるが、特にアメリカではliberalismが「マイルドな社会主義」を意味する言葉に変形してしまったために、ハイエク的な自由主義をも「リバタリアニズム」と呼ぶ場合がむしろ多くなっており、後述の中岡望 著『アメリカ保守革命』でも、正確には新自由主義(neo-liberalism)と呼ぶべきものをリバタリアニズムと呼称しているので注意が必要。(この場合は「リバタリアニズム」=新自由主義=経済保守 となる) ◆2.保守主義・関連する諸思想の整理図 保守主義 自由主義との関係 該当する概念(=外延) 隣接・類似するが別概念 対抗思想 (1) 伝統保守(真正保守主義) 古典的自由主義と親和的(バーク的保守主義) ・文化的保守・宗教保守(主として社会面に関心) ・共同体主義(コミュニタリアニズム)⇒中間に分類・ナショナリズム⇒右翼に分類 ・フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)・デカルト的理性主義 長い歴史の中で育まれてきた伝統的権威・文化・社会制度を破壊する思想 (2) 経済保守(新保守主義) 新自由主義と親和的(ハイエク的保守主義)即ち、リベラル右派のこと ・反福祉国家/「小さな政府」派・減税主義者(主として経済面に関心) ・自由至上主義(リバタリアニズム)⇒中間に分類 ・社会主義/共産主義/ファシズム等の全体主義・リベラル左派(福祉国家/「大きな政府」派) 資本主義経済体制とそれによって担保される個人の自由を破壊する思想 ※ポリティカルコンパス右図の「親・自由主義/開かれた社会」側の「真正保守(=伝統保守)」と「真正リベラル(=リベラル右派=経済保守)」が保守主義に該当する。 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック。 ※政治的スタンス5分類では、「親・自由主義(開かれた社会)」側の「真正保守(=伝統保守)」と「真正リベラル(=リベラル右派=経済保守)」が保守主義に該当する。 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ※政治的スタンス5分類・8分類について詳しくは 政治の基礎知識 参照。 ■3.保守主義の概念定義 ◆1.保守主義(conservatism)の辞書的定義 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(conservatismの項)より全文翻訳 歴史的に発展し、それゆえに継続性と安定性の明証である制度(institutions)と慣行(practices)への愛好を表す政治的態度またはイデオロギー 保守主義は近代においてフランス革命に対するリアクションとしてエドマンド・バークの著作を通じて最初に表明された。バークはフランス革命は、その理想が、その行き過ぎによって汚された(tarnished)と信じていた。 保守主義者は、変化の遂行は最小限(minimal)で漸進的(gradual)であるべきだと信じている。彼らは歴史を愛好し、理想的(idealistic)であるよりは現実的(realistic)である。 著名な保守主義政党として、英国の保守党、ドイツのキリスト教民主同盟、アメリカの共和党、日本の自由民主党がある。 (2) オックスフォード英語事典(conservativeの項)より抜粋翻訳 (政治的文脈において)自由企業・私的所有・社会に関する保守的な理念を愛好すること (3) コウビルド英語事典(conservatismの項)より全文翻訳 1 保守主義とは、変化が社会にとって為されることが必要とされる場合において、それは漸進的(gradual)に為されるべきだと信じる政治的哲学である。 2 保守主義とは、変化や新しいアイディアを受け入れることを嫌がることである。 ◆2.内包と外延 ↓本文はここをクリックして表示 -... 保守主義(conservatism)の辞書的定義を押さえたところで、次はその内包と外延を検討します。 (1) 内包(intension) 論理学で、一概念に含まれる属性。例えば「空」の内包は、「上、青色、広い」など (2) 外延(extension) 論理学で、その概念が適用される事物の範囲。例えば、金属という概念の外延は、金・銀・鉄の類 ■4.保守主義の内包(=内在する属性) ◆1.保守主義の核心的特色 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) (保守主義とは)常に「現状(status quo)」の中に、①「守る(conserve)べきもの」と、②「改善(improve)すべきもの」を弁別し 1 「絶対的破壊(absolute destruction)」の「軽率さ(levity)」と 2 「一切の改善を拒絶する頑迷(the obstinacy that rejects all improvement)」 を共に排除しようとするもの、であり (2) そのような「保守(preserve)」と「改革(reform)」とにあたっては 1 古い制度の有益な部分が維持され 2 「改革」によって「新しく付け加えられた」部分は、これに「適合するようにされるべきであり」 3 全体としては「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」が保たれることを政治の眼目とする という所に、その顕著な特色がある。 つまり 1 「現状(status quo)」の中に常に「守る(conserve)べきもの」を見出すことを起点として政治的思惟が進行する、という思考形式と、 2 「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」への政治的志向 の2つが、E.バークに代表される保守主義の核心的特色である。 この様な保守主義的政治態度は、政治情勢により「右」へ振れる場合にも、あるいは「左」に振れる場合にも、その振幅を有限化するばかりでなく比較的にいって僅少なものにする。 なぜなら、いずれの方向にせよ、過度の振れは「守るべきもの」を放棄することを意味し、また「左」へ振れすぎるときには、進歩の連続性が切れてしまうからである。 従って、バークの保守主義の哲学は、一言にして尽くせば、文字通りの「政治的安定性(political stability)」の哲学、「政治的力学」の哲学、高度の政治的「復元力(stability)」を持つ哲学に他ならない。 ◆2.保守主義の一般的特質 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) 思想形成の反定立(antithesis)性 保守主義は既に定立(thesis)された思想の衝撃を待って初めて、その対立者として自己の思想形成を開始する。 (2) 思想内容の他者被規定性 保守主義は、思想内容が他者によって(つまり定立された別の思想によって)方向づけられ限定される。即ちバークにおいては「アンチ・フランス啓蒙思想」「アンチ・デカルト流理性主義」であり、ハイエクやポパーにおいては「アンチ・社会主義/共産主義その他の全体主義」「アンチ・リベラリズム/福祉国家」である。 (3) 高度の状況的機動性(状況適応性) 保守主義は、それが置かれた具体的状況に密着した思考形式と実現手段を提供する。つまり保守主義は、その対抗思想のように理論が先行した思考様式ではなく、常に「現状(status quo)」を前提として歴史的継続性の中で、その内容と対応策を見出す。「イギリス人は新事態が起こるたびごとにそれを如何に利用するかを心得ている」(A.ヒットラー)即ち保守主義は、①反省的判断力による個性的状況の敏速な把握と、②政治的実践へのその巧みな活用、を本領とする。 (4) 無原則的状況主義(opportunism)との区別 保守主義は、一般に「中道(mid-roader)」あるいは「中間(centrist)」と呼ばれる「無原則主義(opportunism、便宜主義・日和見主義)」と違って一定の政治的原則/政治的価値を保持する。 (5) 貴族政治的(aristocratic)志向性 保守主義は、民衆政治(democracy)を衆愚政治(mobocracy)に陥り易いものとして警戒し敬遠する傾向がある。 ※関連ページ デモクラシーと衆愚制 ◆3.保守主義の価値観・思惟構造 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) 「現状(status quo)」における「保守(conserve)すべき」内容の発見可能性の肯定 保守主義は一定形態の歴史意識(但しマルクス主義的な歴史発展法則を肯定するものではなく「過去」と「現在」との継続性という意味での歴史意識)と、そうした歴史を把握する人間の能力(つまりデカルト的な普遍的理性ではなく、歴史的に形成され、個別的に存在する広義の理性)を肯定している。なぜなら保守主義は「現状(status quo)」の中に一定の「保守すべき」(即ち一定の積極的に望ましいと評価し得る)内容を見出す思想であり、それは従って人間は歴史的な経緯のうちに「保守すべき」価値内容を弁別する能力を保有することを肯定しているからである。 (2) 政治目的およびその実現手段の「既存性(existence)」の肯定 一般に政治的思惟は、①政治的目標の設定に始まり、②その適合的な実現手段を発見し、③その手段の効果的適用による目標実現によって完了する。しかし保守主義は、①この政治的思惟の起点を「現状(status quo)」における「保守すべき」内容の発見に求め、かつ、②その実現手段をも「現状」に求めている。「真の政治家というものは、常に、どうすれば自国の現存の諸材料を、最大限度に利用することになるかということを考慮するものである」(E.バーク) (3) 「申し分なく継続的な進歩(well-sustained progress)」の肯定 保守主義は「歴史の流れに順行した」政治、言い換えると慣例を活かし「現状(status quo)」を絶えず制度的ないし観念的に過去に連結していくような政治を理想とする。政治における新奇な、あるいは革新的な企図は、保守主義の歴史意識にとっては歴史の継続性に対する撹乱要因に過ぎない。 (4) 「自然的」人間性に対する「歴史的」ないし「社会的」人間性の優位 (5) 「自然的」理性に対する「歴史的」理性の優位 (6) 「抽象的悟性(abstractive understanding)」に対する「歴史的悟性(historical understanding)」の優位 「旧い先入見prejudice」と「理由のない慣習」の尊重 ■5.保守主義の外延(=対象となる範囲) ◆1.保守主義と自由主義の関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... リベラリズムについては リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 を参照のこと。 要約すると、リベラリズムには歴史的に以下の4段階があり、このうち日本語の語感で「自由主義」に相当するのは 1 と 3 である。 リベラリズムの段階・種類・区分 時期 意味内容 1 古典的リベラリズム(classical liberalism) 16世紀~19世紀 ①個人の権利・自由の確保、②政府権力の制限、③自由市場を選好…消極国家(夜警国家) 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism) 19世紀末~20世紀 経済的不平等・社会問題を緩和するため市場への政府介入を容認→次第に積極的介入へ(積極国家・福祉国家・管理された資本主義)社会主義に接近しているので社会自由主義(social liberalism)と呼ばれ、自由社会主義(liberal socialism)とも呼ばれた。 3 再興リベラリズム(neo-liberalism) 1970年代~ スタグフレーション解決のため自由市場を再度選好。 2 を個人主義から集産主義への妥協と批判し、個人の自由を取り戻すことを重視 4 現代リベラリズム(contemorary liberalism) 現代 ①不平等の緩和、②個人の権利の拡張、を含む社会改革を志向1970年代以降にJ.ロールズ『正義論』を中心にアメリカで始まったリベラリズムの基礎的原理の定式化を目指す思想潮流で、①ロールズ的な平等主義的・契約論的正義論を「(狭義の)リベラリズム」と呼び、②それに対抗したR.ノージックなど個人の自由の至上性を説く流れを「リバタリアニズム(自由至上主義)」(但し契約論的な構成をとる所はロールズと共通)、③また個人ではなく共同体の価値の重要性を説くM.サンデルらの流れを「コミュニタリアニズム(共同体主義)」という。 補足説明 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism)と 4 再興リベラリズム(neo-liberalism)は共に「新自由主義」と訳されるので注意。もともと 1 古典的リベラリズムに対して修正を加えた新しいリベラリズム、という意味で、 2 ニュー・リベラリズム(訳すと「新自由主義」)が生まれたのだが、世界恐慌から第二次世界大戦の前後の時期に、経済政策においてケインズ主義が西側各国に大々的に採用された結果、 1 に代わって 2 がリベラリズムの代表的内容と見なされるようになり、 2 からnewの頭文字が落ちて、単に「リベラリズム」というと 2 ニュー・リベラリズムを指すようになった。ところが、1970年代に入るとインフレが昂進してケインズ主義に基づく経済政策が不況脱出の方途として効かなくなってしまい、市場の自律調整機能を重視する 1 の理念の復興を唱える 3 ネオ(=再興)・リベラリズムに基づく政策が1980年前後からイギリス・アメリカで採用されるようになった。そのため今度は、 3 を「新自由主義」と訳すようになった。 保守主義は、 ① 18世紀末のE.バークの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、 1 古典的自由主義を意味し、 伝統保守(旧保守) 対抗思想 フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)、デカルト的理性主義(設計主義的合理主義) ② 20世紀半ば以降のF.A.ハイエクやK.R.ポパーの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、 3 再興(=ネオ)自由主義を意味した。 経済保守(新保守) 対抗思想 社会主義・共産主義・ファシズム等の全体主義、 2 ニュー・リベラリズム(所謂リベラリズム…福祉国家など大きな政府による実質的な個人の自由の剥奪) ⇒「保守主義の他者被規定性」の項目参照。 ◆2.伝統保守と経済保守の架橋 ↓本文はここをクリックして表示 -... ◇1.18世紀イギリスの自由主義思想家による「伝統保守」の説明 (1) D.ヒューム(スコットランド出身の英国外交官・道徳/政治哲学者、歴史家)『道徳・政治・文学に関する随想』(1742) 「英国においては到底存在する見込みはないと思われる一政体について、これ以上論議を重ねる必要はありません。我々の間ではどの党派もそれを目的としてはいないように見えます。出来るだけ我が国の古来の政体を育て発展させるようにしましょう。大変危険な新型の諸政体に対する情熱を掻き立てないようにして。」 (2) E.バーク(アイルランド出身の英国下院議員・思想家)『フランス革命の省察』(1790) 「思慮深い警戒心、綿密周到さ、気質的というよりはむしろ善悪判断から来る小心さ、これらが最も断固たる行為をする際に我々の父祖が拠り所とした指導原理の中にありました。彼らは、あの光-つまりフランス人の紳士諸君が自分たちはそれに大いに与っていると吹聴するあの光-に照らされてはいなかったために、人間とは無知で誤りやすいものである、ということを肝に銘じて行動したのでした。」 「国家と法を聖別するにあたって、まず第一に則るべき最も重要な原理の一つは、それら国家や法を一時的に、あるいは終身で保有している人々が祖先から受け取ったものや本来子孫に属するものを忘れて、あたかも自分だけが完全な主人であるかのように行為する、といったことがあってはならない、ということです。即ち、自らの社会の根源的な構造を勝手に破壊し、それによって限嗣相続の制限を解除したり相続財産を浪費したりしても、それは自分たちの権利のうちなのだ、などと思ってはならない、ということです。もしもそうしたことが行われれば、彼らは後から来る者に対して、住むべき家の代わりに廃墟を残すことになるでしょうし、彼らが自らの祖先の諸制度を殆ど尊重しなかったのだから、彼らが考え出したものもやはりそんなに尊重するには及ばないのだ、と教えるようなものでしょう。」 ◇2.保守主義=「小さな政府」なのか? 参考サイト 本当の対立点とは何か?(「保守主義」の定義) (戦争に負けた国blog様) このサイトに見るように「小さな政府」こそ保守主義だとする主張がある。 保守主義がすべからく「大きな政府」に反対する、という意味では確かにそうだが、保守主義は「経済保守(新保守=リベラル右派)」だけではない。 伝統文化・社会的価値の維持発展に主な関心を注ぐ「伝統保守(旧保守)」は、経済政策においては一般に「小さな政府」よりも中負担・中福祉(=中規模の政府)を志向する。 従って、この命題は、半分だけ正しい。 用語 説明 関連ページ 小さな政府(limited government)※注:項目なしのため、安価な政府の項目で代用※補注参照 「小さな政府」ともいう。18世紀末頃より用いられた自由主義の財政的標語で、財政規模のあまり大きくない政府をいう。ナポレオン戦争後のイギリスでは、軍事費の削減はもとより、航海法・独占特許制度の撤廃などの自由主義施策の推進と並んで一般経費の縮減が進められた。このため1870年頃まで国家財政の規模は年々減少、または漸増するにとどまり、史上ほとんど唯一の「安価な政府」が出現した。その思想的背景にあるものは、国の役割を国防・警察などに限るA.スミスの夜警国家観である。しかし、前世紀(注:19世紀)末以降イギリスを含めて経費膨張が避けがたい傾向となったことは、帝国主義の風潮に追うところが大きい。第二次世界大戦後は、福祉の充実など各経済分野での公共部門の拡大が「高価な政府」へと拍車をかけているが、1980年代アメリカのレーガン政権、イギリスのサッチャー政権下では「小さな政府」への動きがみられた。その趣旨は、経済・社会政策の領域での政府の役割を削減し、市場機構と競争に多くを委ねることによって財政赤字・政府規制を改め、公営企業の民営化を促し、自立・自助の精神により資本主義経済の再活性化をはかることにあった。(⇒経費膨張の法則) ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 ※補注:実際には「安価な政府(cheap government)」という政治・経済用語は英語圏には存在しない。 (cheap government は「安っぽい・みすぼらしい政府」の意味になってしまい、用語として不適切)⇒英語に疎い日本人学者の間で使用される誤った用語と思われるが、ここでは日本語版ブリタニカ百科事典の記載内容をそのまま転記する。 ◇3.伝統保守(旧保守)と経済保守(新保守)の架橋 ~ フュージョニズムと「思いやりのある保守」 フュージョニズム(fusionism) アメリカにおいて冷戦時代に「伝統保守」と「経済保守」の融合・架橋を目指した思想的立場 ※以下は、「乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~」様blog記事中岡望『アメリカ保守革命』 より抜粋 ※なお、中岡望氏は、現代アメリカの用法に従って「新自由主義(=リベラル右派=経済保守)」の意味で「リバタリアニズム」という語を使用しているので注意が必要。 戦後のアメリカ保守主義は二つの流れに収斂されていった。ひとつは伝統主義であり、もう一つはリバタリアニズムである。だが保守主義運動の中で、この二つのグループの間に直接的な接点はなかった。二つの保守主義は共通な価値観を持っていたが、必ずしも同じ理想を求めていたわけではなかった。「大きな政府」を批判する点では一致しながらも、「個人の自由」に関する考え方は大きく違っていた。伝統主義者が倫理や宗教から「個人の自由」を理解しようとしたのに対し、リバタリアンは市場という観点から理解しようとしていた。(p.40)伝統主義者は敬虔なキリスト教徒が主流を占めていたのに対し、リバタリアンの多くは宗教には比較的無関心であった。伝統主義者は伝統を重んじ、個人主義に対して批判的であったが、リバタリアンはダイナミックに変化する社会経済をイメージし、個人の自由を最大限認める個人主義の哲学を掲げていた。(p.41) しかし、思想運動としての保守主義が発展するためには、「小異を捨てて大同につく」ことが求められた。二つの流れを融合させることが必要であった。反共主義がその接着剤の役割を果たした。 保守主義の二つの流れを融合させたのが、ジャーナリスト出身の保守主義者フランク・メイヤーである。融合された保守主義思想は「フュージョニズム(融合主義)」と呼ばれた。(p.41)伝統主義が主張する人間の“美徳”の達成は・・・リバタリアンの主張する“自由な社会”があって初めて可能になると説いたのである。メイヤーは、これによって、それまで対立していた伝統主義とリバタリアニズムを保守主義革命の大義のために“融合”させたのである。(pp.43-4)フュージョニズムが反共主義によって貫かれている・・・。冷戦が深刻化し、共産主義の世界への拡大が現実のものとなりつつあった当時の状況から、全体主義に反対する伝統主義者もリバタリアンも、反共主義にはまったく異論がなかった。その結果、反共主義はアメリカの多様な保守主義の思想を結びつける役割を果たすことになる。(pp.44-5) ここまでがアメリカ保守主義革命の第一段階である。メイヤーによる“融合”によって理論武装を終えた保守主義者は、その舞台を思想の場から政治の場へと移していく。彼らは保守主義思想を単なる思想運動に留めることなく、その理念を政治の場で実現しようとした。ここから保守主義革命は第二段階に突入する。1950・60年代、タフト、ゴールドウォーターという二人の共和党政治家は保守主義の理念を政治の場で実現することに成功しなかった。しかし、その過程で、保守主義運動の本流の流れとは別に、(伝統的な孤立主義を捨てて積極的に国際政治に介入しようとする反共主義者である)「冷戦リベラル」や(人工中絶や同性愛を宗教的な倫理観に反する現象として徹底的に批判する)「クリスチャン・ライト」といったグループが保守陣営に加わり、保守主義者は共和党の一大支持基盤を形成していく。それに伴って、共和党は保守主義を奉じる政党へと変貌していく。そして、1980年、レーガン共和党政権の成立によって、ついに保守主義はその理念を政治の場で実現するチャンスを手に入れた。 思いやりのある保守主義(compassionate conservatism) ブッシュ大統領が、冷戦終結で「反共」という共通基盤を失った後の「伝統保守」と「経済保守」を架橋するために打ち出した政策コンセプトであり、さらに「思いやり(compassion)」という言葉に象徴されるように、従来は共和党の支持者獲得のターゲットとはあまりみなされなかった社会的弱者への目配りが含意されている。英キャメロン首相も、ブッシュ政権に倣いこれを自身の政策コンセプトとして採用しているほか、安倍元首相が政権当時掲げた「再チャレンジ支援構想」もこのコンセプトの影響を受けていると考えられ、21世紀型の保守主義のあり方として注目される。 ■6.保守主義と混同されやすいが別概念として区別すべきもの ここでは、保守主義(=真正の自由主義)と全体主義の間に位置するリバタリアニズム・コミュニタリアニズム及びナショナリズムについて説明し、更にナショナリズムに関連してよく問題となる保守・右翼・極右の区別について説明します。 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ◆1.保守主義とリバタリアニズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 +... ◇自由至上主義(libertarianism)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(libertarianismの項)より全文翻訳 個人の自由を強調する政治思想。自由至上主義者は、各個人は、自己の行動が他人の自由を侵害しない限り、完全な行動の自由を保持すべきだと信じている。 自由至上主義者の政府に対する不信は、19世紀の無政府主義(anarchism)に起源を持つ。典型的な自由至上主義者は、所得税やその他の政府の課税ばかりでなく、社会保障(social security)や郵便サービスのような他の多くの人々が有益だと思っているプログラムにも反対する。 アメリカでは彼らの見解はしばしば伝統的な政党間の境界を横断する(例えば、自由至上主義者はほとんどの共和党支持者と同じ様に銃規制に反対するが、ほとんどの民主党支持者と同じ様に禁止薬物の合法化を支持する)。 自由至上主義者の間で愛好されている人物はヘンリー・デビット・ソローとアイン・ランドである。 (2) オックスフォード英語事典(libertarianismの項)より抜粋翻訳 市民生活に対する政府の介入を最小限のもののみとすることを唱導する極端な自由放任の政治思想。 その支持者は個人の道徳は政府の扱う事柄ではなく、それゆえ麻薬使用や売春のような異論もあるところではあるが参加者以外の誰も害さない活動は不法とされるべきではないと信じている。 自由至上主義者は無政府主義者と主張内容を共有しているが、但し自由至上主義者は一般には、より一層政治的権利と関連付けられる(主としてアメリカ)。自由至上主義は伝統的な自由を社会的正義に結びつける配慮が欠落している。 (3) コウビルド英語事典(libertarianの項)より全文翻訳 1 リバタリアンであったり、またリバタリアン的な態度の人とは、人々は自分が望むままのやり方で考えたり振る舞う自由を持つべきだという理念を信じ、また支持している人である。(= リベラル) 2 自由至上主義者とは自由至上主義の見識を持つ人である。(= リベラル) このように、正確な定義でのリバタリアニズムは、 (1) 極めて強く個人的自由の領域の拡大を希求する思想であることから「右派」の「経済保守(=リベラル右派)」に近いといえる(そのために新自由主義と混同を招いた)が、 (2) そうした姿勢は、①無政府主義(左派に近い思想と一般には考えられる)につながること、 (3) また、②政府などの公的機関の介入が最小となる社会を合理的に設計できる、としている点でデカルト以来の設計主義的合理主義(左派の根本的思想の一つ)に連なること、 から、右派・左派のどちらにも分類できない「中間派」とするのが、最も適切である。 ◆2.保守主義とコミュニタリアニズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 +... ◇共同体主義(communitarianism)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(communitarianismの項)より全文翻訳 ①政治生活の実行、②政治制度の分析・評価、③人間のアイディンティティと安寧幸福の理解、に関する共同体(community)の重要性を強調する政治・社会思想。 共同体主義は1980-90年代に、ジョン・ロールズ等の思想家による理論的リベラリズムに対する明白な反対思想として興起した。 共同体主義者によれば、リベラリズムは非現実的なほどに原子化した抽象的個人という概念に寄りかかっており、また自由と自律といった個人的価値に余りにも重要性を置き過ぎている。 共同体主義の主要な代表者には、アミタイ・エツィオーニ、マイケル・サンデル、チャールズ・ティーラーが含まれる。 なお、集産主義を参照のこと。 (2) オックスフォード英語事典(communitarianismの項)より抜粋翻訳 1 小規模な自治的共同体に基礎を置く、社会組織に関する理論または制度。 2 共同体に対する個人の責任と、家族という単位の社会的な重要性を強調するイデオロギー・ ※コリンズ-コウビルド英語辞典には項目なし。 このように、正確な定義でのコミュニタリアニズムは、 (1) 歴史的に育まれた共同体に根付く価値観を正当に評価し維持発展させようと希求する思想であることから「右派」の「伝統保守」に近いといえる(そのために、これこそが真の保守主義であるとする誤認識を招いた)が、 (2) その姿勢は、個人の自由意志を軽視して、集産主義(左派の根本的思想の一つ)につながる傾向が強いこと から、やはり右派・左派のどちらにも分類できない「中間派」とするのが、最も適切である。 参考サイト オピニオン●保守と日本精神(細川和彦氏サイト) ※共同体主義こそ真の日本的保守主義と主張するサイトです。 ※当サイトと同様に、保守/リベラル/右翼/左翼などの政治思想・概念の定義づけと分類・整理を行っており、当サイトの考え方との差異を考察していくと色々と参考になるサイトです。 ◆3.保守主義とナショナリズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 -... ◇1.ナショナリズム(nationalism:国民主義、民族主義、国家主義など文脈に応じて様々に訳し分ける)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(nationalismの項)より全文翻訳 自己のnation(アイデンティティを共有する人々の集合)またはcountry(地理的な意味での国家)に対する忠誠(loyalty)と献身(devotion)であり、特に他の人々の集合や個人的な利害への忠実さを上回るもの。 国民国家(nation-state)の時代以前は、ほとんど全ての人々の忠誠先は彼らの直近の地域や宗教的集団だった。 巨大な中央集権国家の登場は地方的権威を弱体化させ、日々進行する社会の世俗化は宗教的集団に対する忠誠を弱体化させた。しかしながら人々に共有される宗教は-共通の民族性・政治的遺産・歴史と共に-人々を国民主義運動(nationalist movement)へと誘い入れる要因の一つとなった。 18世紀から19世紀初めにかけての欧州の初期の国民主義運動は自由主義的(liberal)で国際的(internationalist)なものだった。しかしそれは次第に頑迷(conservative:「保守的」の意味もあるがここでは「頑迷」の意味ととる)で偏狭(parochial)なものとなっていった。 ナショナリズムは第一次世界大戦・第二次世界大戦そして近代におけるその他の多数の戦争を引き起こした主要因と考えられている。 20世紀のアフリカとアジアでは民族主義運動(nationalist movements)はしばしば植民地主義(colonialism 植民地支配)に対する反対(抵抗)を引き起こした。 ソ連邦の崩壊後、東欧と旧ソ連邦の各共和国の強烈な民族主義的感情(nationalist sentiments)は、旧ユーゴスラビア地域におけるような民族的紛争(ethnic conflict)の要因となった。 (2) オックスフォード英語事典(nationalismの項)より抜粋翻訳 1 愛国的な感情・原理・尽力(patriotic feeling, principle, or efforts) 2 他の国々(country)に対する優越性(superiority)という感情によって特徴づけられた極端な形の愛国心(an extreme form of patriotism) 3 特定の国家(country)の政治的独立の主張(advocacy) (3) コウビルド英語事典(nationalismの項)より全文翻訳 1 ナショナリズムとは自分達は歴史的にまたは文化的に、ある国家(country)の中で特定の分離された集団であると感じる人々の、政治的独立への渇望(desire for political independence)である。 2 ある個人の自己のnationに対する巨大な愛情をナショナリズムと呼ぶことが可能である。ある特定のnationは他の全てのnationより優秀であるという信条と、このナショナリズムはしばしば関連付けられるが、こうしたケースは、しばしば(話者の)不承認(不快感 disapproval)を表現するために用いられる(=jingoism 偏狭的優越主義) ◇2.ナショナリズムの発展モデル ※ナショナリズムは一般に以下の3段階で発展すると考えると理解し易い。 Ⅰ.解放的ナショナリズム(パトリオティズム) → Ⅱ.国民国家の成立 → Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズム(ジンゴイズム/ショーヴィニズム) 主に他国や他民族の抑圧に対して、①国家・国民形成を図りつつ、②政治的あるいは経済的自決(民族自決)を求める動き※政治的・経済的自決を求めることから、この段階のナショナリズムは自由主義と親和的である。 → 国家の要請に適った国民を育成するために、①統一的・画一的な国民教育の実施、②歴史・文化の共有化、③「伝統の創造」(※)といった公定ナショナリズムとでも言うべき諸政策が政府主導で実施される。※英歴史学者ホブズボームの用語で、正統性に問題のある新興国家の政府が行いがちな一種のご都合主義的な「伝統」価値の捏造 → 増大していく大衆の自尊感情の現れとしてのナショナリズム(大衆の自己崇拝、ナショナリズムの市民宗教化)。Ⅱの公定(=官製)ナショナリズムの結果、政府当局のコントロールが効かない状態にまで大衆の自尊感情が昂進してしまった状態。 少数エリ-トの自覚的な活動(市民型ナショナリズムcivic nationalism)として始まり、次第に参加者を拡大していく → 国民の政治参加の意欲が高まる結果、大衆デモクラシーが成立するが、次第に衆愚化していく傾向を免れない。 → 理性よりも大衆の無定見な民族感情に流され易くなり(民族型ナショナリズム ethnic nationalism)、①国内的には排外的、②対外的には侵略的傾向を強めていく結果となる。 例1 フランス革命の最初期 → フランス共和国の建設(カルノーの徴兵制etc.) → ジャコバン政権樹立以降の「革命の輸出」~ナポレオンの侵略戦争 例2 ドイツ統一運動 → ドイツ第二帝国の建設(ビスマルク時代) → ウィルヘルム2世の世界政策から第一次世界大戦へ。さらに敗戦からワイマール共和国の混迷ののちナチス政権による侵略政策の追求へ 例3 明治維新~日露戦争・不平等条約改正 → 大正デモクラシー(男子普通選挙の導入=大衆の政治参加) → 日本の場合は露骨な対外侵略の肯定という形は憚られたが、アジア諸民族と結んで白人支配を覆すという大義(=アジア主義)が利用される形で拡張的ナショナリズムが発動してしまった。 ※韓国は、Ⅱ.の行き過ぎの結果、Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズムが発動してしまった状態と解され、また中国もⅡ.を部分的ながら過激に実行した結果Ⅲ.の歯止めが利かなくなりつつある状態と見られる。 ◆4.保守・右翼・極右の区別 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※保守・右翼・極右をどう区別するかは定義の仕方次第だが、一応の目安として以下の基準が有効である。 内容 関連ページ 保守 国内外の全体主義(共産主義・社会主義・リベラリズムなどの集産主義)の脅威から自由を守る(=自由主義) 保守主義とは何かリベラリズムと自由主義 右翼 他国・他国民の侵略的ナショナリズムの脅威から自国・自国民を守る(=解放的ナショナリズム) 右翼・左翼の歴史ナショナリズムとは何か 極右 他国・他国民に対して侵略的ナショナリズムを発動している段階。なお極右と極左は紙一重の双生児であり、極左も当然侵略的ナショナリズムを発動している段階である。 右翼・左翼の歴史 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ■7.日本の保守主義 以上で、①E.バーク的保守主義(伝統保守)と、②ハイエク的保守主義(経済保守)の2大類型に基づいて、英語圏で発展した保守主義の標準概念と、関連する諸思想の位置づけを説明しました。 以下では、この標準的な保守主義の解釈をベースとして、日本の保守主義及び関連する諸思想について分類・位置づけを行います。 ◆1.参考:「保守主義」という用語の使用状況 ↓本文はここをクリックして表示 -... 戦前・戦中さらに戦後も1970年代までは「保守主義」という言葉はマイナス・イメージの付きまとう言葉として日本ではこれを自称する者はほとんどいなかった。 左翼側が敵対勢力を「保守反動」とレッテルを貼って批判する場合に使用される例がほとんどであり、政治勢力としての「保守」は存在しても、政治思想としての「保守主義」を唱える者はほとんどいなかった。(明治21年に長州藩出身の軍人・政治家 鳥居小弥太が「保守中正派」と称する小政党を作り「保守」を論じていることが数少ない例外) 戦前・戦中において伝統保守的な思想的立場を表明する者の多くは、もっぱら「右翼」(とくに昭和初期には「観念右翼」ないし「精神右翼」)と他称され、また彼ら自身は後述する「日本主義」を名乗っている場合が多かった。 その後、1980年代に英サッチャー・米レーガン両保守政権が政治的・経済的に成功を収めて、「保守主義」に今度はプラス・イメージが高まり、日本でも「保守主義」を自称する者が急増し、現在に至っている。 ◆2.西欧保守主義・日本の保守主義の接合上の問題点と考え方 ◇1.保守主義と、自由主義・個人主義・デモクラシーの関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... 《問題点》 西欧保守主義の本質は、自由主義・個人主義・デモクラシーの肯定にある。⇒ ところが、日本の「保守」論客には、自由主義・個人主義・民主主義を否定的に捉える者がかなり多いように見える。変ではないか? 【考え方】 日本の「保守」論客の批判している「自由主義」「個人主義」「民主主義」の内容をよく読むと、ルソー以降に左翼によってその意味を歪曲されてしまった「(左翼的意味の)自由主義(=リベラリズム)」「(アトム化された)個人主義」「(衆愚化した)デモクラシー(=モボクラシー)」のことであることが分かる。これは、「自由主義」「個人主義」「民主主義」という言葉が、日本でも一般的に使用されるようになった大正時代(大正デモクラシー期)には、これらの言葉は、既に西欧社会においても左翼によってその本来の意味を歪められてしまっており、日本の「保守」論客たちは、それらの政治思想・概念を、本来の意味ではなく、もっぱら歪曲された意味で理解してしまったことに原因があると思われる。ハイエクやポパー、バーリンらの真正の自由主義者(本来の自由主義者)による「左翼によって歪曲された」政治思想・概念への痛烈な(そして左翼側にとっては致命的な)批判は、第二次世界大戦中あるいはその直後にようやく日の目を見たものであり、当サイトでは、彼ら(ハイエクやポパー)の必勝の論法を是非ともマスターすることを強く推奨している。しかし、これらの左翼批判を受容していない(要するにハイエクやポパーを読んでいない)日本の「保守」論客たちは、いまだに単純な(そして残念ながら余り説得力があるようには思えない)従来どおりの紋切り型の「自由主義」「個人主義」「民主主義」批判を繰り返していると思われる。この点に関する不都合は、戦前から戦後にかけての日本の代表的な保守主義者である平泉澄博士の著作についても残念ながら当てはまることである。(平泉博士はハイエク・ポパーと同時代人であることから、バークのルソー批判までは受容していても、ハイエク・ポパーの全体主義批判までは受容できなかったことに起因)従って、結論として我々は、①日本自生の保守主義の理解のみに立脚するのではなく、②西欧保守主義の伝統にも立脚し、これを左翼・全体主義を完膚なきまでに論破する最上のツールとして是非とも活用すべきである。 (参考)「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」⇒詳細は「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引きへ 真の個人主義 (→自由主義体制へ) 偽の個人主義/集産主義 (→全体主義体制へ) 主な提唱者 ソクラテス、バーク、A.スミス、ヒュームアクトン、トックヴィル、ハイエク、ポパー、オークショット プラトン、デカルト、百科全書派、ルソー、マルクス、ベンサム 制度・秩序の捉え方 自生的秩序(spontaneous order)論即ち、自由な人々の自然発生的な協力が個々人の知性が完全には理解できないほどの偉大な制度や秩序など社会的構築物を創り出すこと(A.スミスの所謂「神の見えざる手invisible hand」)を肯定し、そうした特定の人物・組織の設計に依存しない自生的秩序形成が正常に機能する仕組みを維持育成することに重点を置く立場 設計主義的合理主義(constructivist rationalism)即ち、発見できる全ての秩序は特定の個人や組織の計画的な設計の産物であるとして、個人の理性を買いかぶり、個人の理性によって意識的に設計されたものでないもの・理性にとって完全には明瞭でないものに対しては、何であれ重視しない立場。 個人と国家の捉え方 中間団体による個人の自由の保障本質的に自由な個々人によって自発的に結成され歴史的に継続・発展してきた種々の中間団体(例えば、宗教共同体・職能組織・地縁集団・血縁集団)の存在によって個人が保護され、権力(power)がこうした中間団体や個々人に広く分散されるために全能の中央集権的政府の出現は阻止され、個人の実質的な自由は保障される。 アトム化された個人の国家への隷従①各種の中間団体から切り離され原子化(アトム化 atomized)された裸の個人と、②全能の中央集権的政府が直接対峙し、政府(=国家)が全ての個人の生活の責任を負うという建前の下に社会的な絆を剥奪されて(ルソー的な意味で)「自由」となった個人は結果的に全体主義的政府に隷従する。 政治機構の捉え方 人間や制度の不完全性の前提この主義の主たる関心は、①人間が最も良い時に時折成し遂げられるかも知れないことよりも、②人間が最も悪いときに害悪を及ぼす機会を出来るだけ少なくすることにある。その体制は機能の良し悪しが、それを操作する人間を我々が見つけ得るか否かに依存しないし、全ての人間が現にあるよりも善くなることにも依存しない。従ってこの体制は、その下にある全ての人間に自由を許容することが出来、現にあるがままの人間をその多様で複雑な姿のままで(本人が利己的な動機で動くにも関わらず)社会のために役立たせ得るシステムである。 社会契約論的個人主義と「自由への強制」この主義は個人を出発点とみなし、個人が彼の特殊意思と他人の特殊意思とを形式的な契約において結合させることによって社会や国家を創ると想定する。その体制は、プラトン「哲人王」、ルソー「立法者」、ナチス「指導者」etc.の育成/出現を前提とするが、「権力は必ず腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」(アクトン)ことを免れない。この体制は自由を「善良で賢明な個人」のみに許容し、その他の人々は「自由へ強制される」。 出現する社会 開かれた社会上下にも内外にも流動性が高く、社会に常に新たな活力が導入されるために、個々人の間では所得や社会的地位や幸福度・充足度などに必然的に差異が発生しても、社会全体の経済的・文化的水準は「閉ざされた社会」に比べて圧倒的に高くなる。 閉ざされた社会社会が固定的で、指導者・エリート層と一般人民の垣根が厳格に設定される(平等を謳いながらも社会がカースト化する)傾向にあり(G.オーウエル『1984年』を見よ)、かつ悪平等の弊害として自ら努力して状況を改善しようとする動機が働かないために特に経済的・文化的に停滞してしまう。 社会の原則 「人々を平等に取り扱うこと」(=自由な社会の条件) 「人々を平等たらしめること」(=隷従の新しい形態(A.トックヴィル)) ◇2.保守主義と、ナショナリズムの関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... 《問題点》 西欧保守主義は、ナショナリズム(=右翼思想)とは区別されるのが普通である。保守主義の代表者であるE.バーク自身が、イングランド本国ではなくその統治下にあったアイルランドの出身の政治家であり、またハイエクはオーストリアからイギリスに帰化した学者であって、彼らの思想には全体主義に対する激しい批判はあっても、ナショナリスティックな発想は一切混入していない。⇒ これに比較して、日本の「保守主義者」の唱える思想には、(1)反・全体主義の主張と、(2)ナショナリスティックな主張との区別が明瞭でなく、そのままでは英米保守主義の定義とは齟齬が生じてしまう恐れが高い。また最近は、本来の意味での保守主義とはまるで関係ない思想を唱えてるにも関わらず、その言葉のもつプラス・イメージに着目した自称「保守主義者」が続出しており、思想的な混乱が甚だしくなっている。 【考え方】 「ナショナリズム」の定義を確り押さえずに、やたらに「民族主義」という言葉を使っているケースが多いように思う。普通に祖国や自国民、自国の文化・伝統・歴史などに愛着を持つことは、西欧保守主義でも当然視されており、これを「パトリオティズム」とは表現しても、「ナショナリズム」とは通常は言わないはずである(nationalismは、①patriotism と②jingoismの両方の意味を包摂するが、現代の用法ではnationalismは②排外的なマイナスの意味合いが強まっている)。日本の問題はむしろ、西洋であれば「保守」ではなく「ナショナリスト」「右翼」と呼ばれるべき主張を持つ人物・組織が、「右翼」という言葉にマイナス・イメージが定着しているために、文字通り「民族主義者」であるにもかかわらず「保守」と自称している者が非常に多く、その結果、「保守(アンチ全体主義)」と「右翼(ナショナリスト)」が著しく混同されている点にある。つまり、日本においては、①単に「パトリオティズム」である祖国愛を、「民族主義」と勘違いしている保守主義者②西欧保守主義の基準では、「ナショナリスト」「右翼」なのだが、「保守」を自称する者の二種類がおり、それらの者の主張内容を確り吟味し、「保守」なのか「右翼」なのか識別する必要がある。 ◆3.日本主義 ※次に、戦前・戦中に具体的に「保守主義(伝統保守)」に相当する概念・思想を表す言葉として多用された「日本主義」について解説します。 ↓本文はここをクリックして表示 -... ブリタニカ国際百科事典(ブリタニカ・ジャパン社)による説明。 にほんしゅぎ【日本主義】 明治から第二次世界大戦敗戦までにおける欧化主義・民主主義・社会主義などに反対し、日本古来の伝統や国粋を擁護しようとした思想や運動をいう。一定の思想体系をなしていたとはいえず、論者により内容が相違する。明治の支配層が推し進めた欧化主義への反発として三宅雪嶺や高山樗牛らによって唱えられ、政治的には欧米協調主義への反対、国権や対外的強硬策の強調となって現れた。大正や昭和になって日本の資本主義の高度化が階級対立を激化させ、社会主義やマルクス主義が流入すると、これら諸思想の対抗イデオロギーとして機能し、天皇を中心とする皇道や国体思想を強調した。(cf.神国思想) つまり日本主義には歴史的に見て以下の二段階がある。 ① 明治期の日本主義 政府の欧化主義に反発し、国粋主義/国権主義(特に政府の欧米協調路線に反対する攘夷主義)を主張した言論活動(政論的ジャーナリズム) 他国の侵略から自国・自民族を守る(解放的ナショナリズム)⇒即ち「右翼」思想 ② 昭和期の日本主義 皇道・国体思想を強調して、社会主義やマルクス主義の思想侵略の脅威への対抗イデオロギーとして機能した思想活動 全体主義の脅威から自国の歴史・伝統に根差した自由を守る(日本型保守主義)⇒即ち「保守」思想 ※「保守」と「右翼」の違いは ナショナリズムとは何か 参照 ※日本主義について、詳しくは 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 参照 ※この「(昭和期の)日本主義者」は、観念右翼または精神右翼と他称されており、これに対して、よりナショナリスティックな政治的主張を唱える者を革新右翼または組織右翼と呼んで区別した。 ◆4.革新右翼(国家社会主義者)と観念右翼(伝統保守) ↓本文はここをクリックして表示 +... 参考図書に挙げている日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 によれば、左翼が一掃された昭和10年代の日本には、①革新右翼と②観念右翼の二大勢力があり、国内・国外の政策を巡って激しく対立したとされる。 ※ブリタニカ国際百科事典には「観念右翼」のみ項目があり、その中に「(国家社会主義者(組織右翼)」の説明もあるので引用します(革新右翼を組織右翼とも呼んだ)。 【観念右翼】かんねん・うよく 特定の右翼党派ではなく、純粋な日本精神主義を思想や行動の原理とする諸団体。上杉慎吉をその源流とする。第二次世界大戦前の右翼運動を思想形態から分類すると、国家社会主義派(組織右翼)と日本精神主義派(観念右翼)に大別される。上杉の組織した桐花学園(1913創立)、蓑田胸喜、天野辰夫、菊池利房による興国同志会(19)、平沼騏一郎の国本社、興国同志会の流れをくむ七生社(25)などが観念右翼としてあげられる。 ※革新右翼と観念右翼の理念型(日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 より引用) ①革新右翼 ②観念右翼 国家改造 国体明徴 高度国防国家 国民精神総動員 解釈改憲 護憲(不磨の大典) 指導者原理 臣道実践 統制経済 資本制擁護 親ソ・親独 反共・反独裁 世界史的な使命 日本史的な道統 陸軍統制派 陸軍皇道派 革新官僚 財界 無産政党 既成政党(現状維持派) 国家社会主義者 自由主義者 ※②観念右翼が「日本主義」を唱えたのに対して、①革新右翼すなわち国家社会主義者は「アジア主義」の立場を説く場合が多かった。 ※以下、関連項目をブリタニカ百科事典より引用。 ◇参考:アジア主義 【大アジア主義】 だい・アジア・しゅぎPan-Asianism 欧米列強のアジア侵略に抵抗するため、アジア諸民族は日本を盟主として団結すべきであるという考え方。明治初期以来、種々の視角から展開された。植木枝盛は自由平等の原理に基づきアジア諸民族が全く平等な立場で連帯すべきことを説き、樽井藤吉や大井健太郎は、アジア諸国が欧米列強に対抗するために連合する必要があり、日本はアジア諸国の民主化を援助すべき使命があると説いた。明治20年代になると、大アジア主義は明治政府の大陸侵略政策(注)を隠蔽する役割をもつようになった。1901年に設立された黒龍会の綱領にもみられるように、その後の大アジア主義は天皇主義とともに、多くの右翼団体の主要なスローガンとされ、これに基づいて満蒙獲得を企図する政府・軍部の政策が推進された。日本人の大アジア主義的発想は、第二次世界大戦前・戦中の「大東亜共栄圏」構想を支えた。※注:ブリタニカ百科事典にも自虐史観の傾向は当然あり、上記のような「大陸侵略政策」という問題のある記述がなされている。 【大東亜共栄圏】 第二次世界大戦を背景に1940年第二次近衛内閣以降45年敗戦まで唱えられた日本の対アジア政策構想。その建設は「大東亜戦争」の目的とされた。東条英機の表現によれば、大東亜共栄圏建設の根本方針は、「帝国を核心とする道義に基づく共存共栄の秩序を確立」しようとすることにあった。しかし実際は、東アジアにおける日本の軍事的・政治的・経済的支配の正当化を試みたものに他ならなかったといえる。第一次近衛内閣当時の「東亜新秩序」は日本・満州・中国を含むものに過ぎなかったが、南進論が強まるにつれて、インド・オセアニアにいたる大東亜共栄圏構想に拡大された。大東亜省の設置と大東亜会議の開催は、このような方針の具体化に他ならない。 ◆5.まとめ ↓本文はここをクリックして表示 -... 運動の性格 ① 明治期の日本主義 政府の欧化主義に反発し、国粋主義/国権主義(特に政府の欧米協調路線に反対する攘夷主義)を主張した言論活動(政論的ジャーナリズム) 他国の侵略から自国・自民族を守る(解放的ナショナリズム) 右翼思想 当初は国粋主義的だった在野言論人の活動は、明治末・大正期に日本が大国化したのちも反骨精神は全く変わらず、今度は次第に左翼思想に理解を示す者が出てきた(左右等価気分説(※1))。更に彼らは、戦後は進歩派・市民派左翼文化人として活発に活動した(長谷川如是閑・丸山眞男etc.)。 ② 昭和期の日本主義 皇道・国体思想を強調して、社会主義やマルクス主義の思想侵略の脅威への対抗イデオロギーとして機能した思想活動 全体主義の脅威から自国の歴史・伝統に根差した自由を守る(日本型保守主義) 保守思想 日本精神主義派(観念右翼)。日本主義的教養を武器に学生・知識人の左傾化を防止し日本精神に目覚めさせると共に、革新右翼の狙う国家改造・解釈改憲・国家経済の社会主義化、更には戦争の長期化を「護憲」の立場から制止・抑制するために奔走。いざ戦争が激化すると国防のために生死を厭わず護国のために尽くした者が多い。 ③ アジア主義 アジア諸民族を白人支配から解放するという大義を掲げ、実際にも明治期の孫文を初めインドのB.ボース、フィリピンのアギナルドらの独立運動と連動しつつ遂行された日本の勢力拡張運動。 アジア諸民族の独立を支援する(排白人主義)(拡張的ナショナリズム) 極右思想 国家社会主義派(組織右翼=革新右翼)と重なる。代表的イデオローグとして5.15事件に関与した大川周明、2.26事件に連座した北一輝。革新右翼は2.26事件暴発後に勢力を急拡大し三木清など転向左翼の多数が近衛内閣のブレーン集団を形成して国策を左右した。※詳しくは 右翼・左翼の歴史 参照 ※「保守」「右翼」「極右」の違いは ナショナリズムとは何か 参照 ※1:左右等価気分説…右傾化も左傾化も既成勢力に対する反抗という意味で基本的に同じ心情に基づくものであり、状況が変化すれば左・右転換は容易とする説。 以上、説明したように、日本においても「保守主義」と「ナショナリズム」を区別することは可能であり、かつ英米保守主義との整合性という観点からもこの区別は必要と思われる。また、戦前・戦中に「日本主義」を唱えた日本型の保守主義者の系譜は、参考図書 にあるとおり、実は戦後も途切れておらず、現在の日本の保守主義陣営(伝統保守の側)の中核に繋がっていることに注目すべきである。(なお、経済保守についてはこの限りでない) ※日本の保守主義に関して詳しくは、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を参照下さい。 ■8.参考図書 ↓本文はここをクリックして表示 +... 『保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか (単行本)』 中川八洋(著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介これまで日本には保守主義は正しく紹介されなかった! 保守主義が真に必要な今、その真髄を初めて体系的に詳解。保守の常識が覆る!アメリカを建国した保守主義の天才、ハミルトン。“法の支配”という自由の砦を大成した、コーク。フランス革命と戦った「保守主義の父」、バーク。それらの思想について、ほとんどの日本人は知ることがない。明治以降、あれほど西欧思想が流入したにもかかわらず、英米を中心とした保守主義はほとんど排除されてきた。その結果、日本人は保守主義について、あまりに無知である。保守主義者を自称するものも、保守主義とはどういう思想かを理解していない。法曹関係者ですら、“法の支配”の真の意味がわかっていない。この保守への無理解が、ひいては現在日本のあまりの非常識と混迷を招いているといっても過言ではない。では「保守主義」とは何か? それを体系的に解説したのが本書である。上記の思想家たちの他にも、トクヴィル、ヒューム、アーレント、オルテガ、ホイジンガ、ハイエクなど数多くの思想家を紹介する。いま初めて明かされる保守主義の真髄!目次第1部 保守主義の父祖たち(「米国保守主義の父」アレグザンダ・ハミルトン、「法の支配」は復権できるか―マグナ・カルタ再生とコーク卿、「保守主義の父」バーク―「バーク・ルネサンス」を日本に祈る)第2部 全体主義と戦う「真正の自由」(「隷従への道」を歩む二十一世紀日本―アーレント解題、「赤より死!」の、反ヘーゲル―カール・ポパーの哲学、平等という、自由の敵―警鐘を鳴らすトクヴィル、反撃するベルジャーエフ)第3部 「美徳ある自由社会」を創る(人間を透視したヒューム道徳哲学、「社会正義」は“亡霊”―自由の原理とハイエク政治哲学、「高貴なる自由」―永遠のバーク哲学)★ハイエクの思想を機軸に、西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想の系譜を峻別して分かり易く解説。エドマンド・バークを初めとする西欧の正統保守思想の概略をこの一冊でマスター可能。残念ながら現在は絶品であり中古本も高額なので同著者の正統の哲学 異端の思想―「人権」「平等」「民主」の禍毒 で代用することを薦めます。 アメリカ保守革命 中岡 望 (著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介今、世界を席巻しつつある「保守主義革命」は、アメリカで始まった。それは“アメリカ化”という形で、世界の政治、経済、文化を巻き込み、留まることのない勢いで世界の隅々まで行き渡りつつあるようにみえる。日本もその世界的な潮流の埒外に存在しているわけではない。主流だったリベラリズムと対峙しながら、最初は思想運動として始まり、やがて現実の政策へと影響力を拡大していったアメリカ保守主義の発展過程とその内実を縦横に描いた名作。目次第1章 戦後の保守主義のルネッサンス(アメリカのリベラリズムと保守主義思想、二人の保守主義思想のゴッドファーザー ほか)第2章 保守主義思想とレーガン革命(思想運動から政治運動へ、保守主義思想の政治の代弁者たち ほか)第3章 レーガン革命と冷戦後の保守主義運動(未完のレーガン革命、一九九〇年代の保守主義の思想闘争 ほか)第4章 新しいエスタブリッシュメント―ネオコンの群像(ネオコンの創始者たち、ネオコンたちの思想的変遷 ほか)第5章 ブッシュ政権と二一世紀の保守主義(ブッシュ政権の樹立と政策、ブッシュの経済政策―レーガノミックスの再現 ほか)★戦後アメリカで細々と始まった(1)ウィーバー カークによる伝統保守の思想運動と、(2)ハイエク・フリードマンらによる経済保守の思想運動の二つの流れが、メイヤー バックリーによって融和・統合され、やがてゴールドウォーター、レーガンというコミュニケーター(人気政治家)を得て遂にアメリカ政治の表舞台に立つ時がくる。そして不十分な結果に終わったレーガン革命は、クリントン政権期の試練を経て、ブッシュ子政権期に更なる前進を見せる。60年の長期に渡るアメリカ保守革命のあらましを必要十分に描きつくした好著。 日本主義的教養の時代―大学批判の古層 竹内 洋 (編集), 佐藤 卓己 (編集) 2006.2刊内容(「BOOK」データベースより)戦前「護憲」の降魔剣“日本主義”を解明。「右翼」「反動」のレッテル貼りで忌避されてきた一九三〇年代“日本主義”の大学批判。マルクス主義的教養の機能的代替となった日本主義的教養の担い手たち。来るべき時代を読み解く画期的論集。目次第1章 帝大粛正運動の誕生・猛攻・蹉跌第2章 天皇機関説批判の「論理」―「官僚」批判者蓑田胸喜第3章 写生・随順・拝誦―三井甲之の思想圏第4章 英語学の日本主義―松田福松の戦前と戦後第5章 戦時期の右翼学生運動―東大小田村事件と日本学生協会第6章 日本主義的社会学の提唱―赤神良譲の学術論第7章 日本主義ジャーナリズムの曳光弾―『新聞と社会』の軌跡★未だに自虐史観どっぷりの東大・岩波系とは距離を置く京大系の学者達による昭和10年代日本の思想状況の共同研究プロジェクト全体のガイドライン的な位置づけの本。 日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 井上 義和 (著) 2008.6刊内容(「BOOK」データベースより)国家的危機の時代における大学の使命とは何か。欧化一辺倒の東京帝国大学に学風改革を迫り、高度国防国家を標傍する政府とも命がけの思想戦を繰り広げた東大生たち。戦時体制下で宿命的に挫折した“日本主義的教養”の逆説を読み解き、日本型保守主義の可能性を探る。目次第1章 「右翼」は頭が悪かったのか―文部省データの統計的分析第2章 政治学講義と国体論の出会い―『矢部貞治日記』を中心に第3章 学風改革か自治破壊か―東大小田村事件の衝撃第4章 若き日本主義者たちの登場―一高昭信会の系譜第5章 学生思想運動の全国展開―日本学生協会の設立第6章 逆風下の思想戦―精神科学研究所の設立第7章 「観念右翼」の逆説―戦時体制下の護憲運動第8章 昭和十六年の短期戦論―違勅論と軍政批判第9章 「観念右翼」は狂信的だったのか―日本型保守主義の可能性★現代の日本会議に繋がる国民文化研究会の母体となった昭和10年代の右翼学生運動の系譜を追い、左翼が壊滅した後、国家改造を進める革新右翼(国家社会主義者・アジア主義者)と激しく対立した観念右翼(伝統保守・日本主義者)の論理と実情を具体的に論証する好著 保守主義とは何か―反フランス革命から現代日本まで 宇野重規(著)、中公新書、2016年6月刊内容(中央公論新社ウェブサイトから引用)21世紀以降、保守主義者を自称する人が増えている。フランス革命による急激な進歩主義への違和感から、エドマンド・バークに端を発した保守主義は、今では新自由主義、伝統主義、復古主義など多くのイズムを包み、都合よく使われている感がある。本書は、18世紀から現代日本に至るまでの軌跡を辿り、思想的・歴史的に保守主義を明らかにする。さらには、驕りや迷走が見られる今、再定義を行い、そのあり方を問い直す。目次序章 変質する保守主義―進歩主義の衰退の中で第一章 フランス革命と闘う第二章 社会主義と闘う第三章 「大きな政府」と闘う第四章 日本の保守主義終章 二一世紀の保守主義★2016年6月に刊行された本書の著者やその推薦者によれば・・・・本書は、対フランス革命や対社会主義革命、対大きな政府など保守主義の時代による変遷をコンパクトに纏めた好著である。「「保守」を自任する人の多くは、「リベラル」や「左翼」にについて恣意的なイメージを描き、それを藁人形のようにしてたたくことで、自らの「保守」を正当化する。しかしながら、多くの場合、それは空想上の仮想敵を相手にした空回りに過ぎないようにも見える。」という著者の指摘は重く響く・・・という触れ込みであるが、実際に本書を読んでみると、「日本の保守主義についても…(中略)…アジアの植民地化など批判すべき点の方が多い」(p.212)とか「国の基本的な枠組みを維持する根幹である立憲主義の原理も、むしろ保守主義を名乗る勢力によって破壊されつつある」(p.200)という言説が散見され、結局のところ、著者のスタンスはどれだけ中立を装うとも所詮は丸山テーゼに彩られたアジア侵略史観(自虐史観)(※丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証参照)と戦後左翼的護憲思想(※立憲主義とは何か参照)を脱し切っておらず、もし本書に何らかの意義があるとすれば、著者と同じく未だそうしたスタンスから抜け出し切れない半可通の方が、取り敢えず批判的に「保守主義とは何か?」ということを、表面的であれ、あれこれ考えてみる第一歩になる・・・といったところでしょう。とくに本書の場合、アンチ全体主義のチャンピオンであるハイエクの著作について、その初期の著『隷属への道』だけは巻末の参考図書に挙げても、彼の本当の代表作である『自由の条件』については本編で若干の言及を加えてアリバイを作りつつも参考図書から外していたり、ハイエクの盟友ポパーの名著『開かれた社会とその敵』を完全に無視している点に明らかに欺瞞を感じる(※なぜならハイエク『自由の条件』やポパー『開かれた社会とその敵』まで読者に進まれると、読者が左翼思想がそこで完膚無きまでに論破されていることをハッキリ理解してしまう怖れが高いから)。そういう意味で、本書を読了して尚煮え切れない思いを抱いた方こそ、本サイトの左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページの各ページに進んで欲しいものである。 ■9.ご意見、情報提供 ページ内容向上のためのご意見・情報提供を歓迎します。 ↓これまでの全コメントを表示する場合はここをクリック +... 元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24 以下は最新コメント表示 元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24 名前 ラジオボタン(各コメントの前についている○)をクリックすることで、そのコメントにレスできます。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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自ら『保守主義者』を名乗っているアメリカ人は、事実は自由主義者である。 ~ B.クリック(英国の政治学者)『アメリカ保守主義の奇妙な探求』(1955年) 保守主義(conservatism)の概念を総合的に考察し整理・明晰化するページ <目次> ■1.このページの目的・構成 ■2.保守主義、及び関連する諸思想◆1.保守主義・関連する諸思想の説明 ◆2.保守主義・関連する諸思想の整理図 ■3.保守主義の概念定義◆1.保守主義(conservatism)の辞書的定義 ◆2.内包と外延 ■4.保守主義の内包(=内在する属性)◆1.保守主義の核心的特色 ◆2.保守主義の一般的特質 ◆3.保守主義の価値観・思惟構造 ■5.保守主義の外延(=対象となる範囲)◆1.保守主義と自由主義の関係 ◆2.伝統保守と経済保守の架橋◇1.18世紀イギリスの自由主義思想家による「伝統保守」の説明 ◇2.保守主義=「小さな政府」なのか? ◇3.伝統保守(旧保守)と経済保守(新保守)の架橋 ~ フュージョニズムと「思いやりのある保守」 ■6.保守主義と混同されやすいが別概念として区別すべきもの◆1.保守主義とリバタリアニズムの区別◇自由至上主義(libertarianism)の辞書的定義 ◆2.保守主義とコミュニタリアニズムの区別◇共同体主義(communitarianism)の辞書的定義 ◆3.保守主義とナショナリズムの区別◇1.ナショナリズム(nationalism:国民主義、民族主義、国家主義など文脈に応じて様々に訳し分ける)の辞書的定義 ◇2.ナショナリズムの発展モデル ◆4.保守・右翼・極右の区別 ■7.日本の保守主義◆1.参考:「保守主義」という用語の使用状況 ◆2.西欧保守主義・日本の保守主義の接合上の問題点と考え方◇1.保守主義と、自由主義・個人主義・デモクラシーの関係 ◇2.保守主義と、ナショナリズムの関係 ◆3.日本主義 ◆4.革新右翼(国家社会主義者)と観念右翼(伝統保守)◇参考:アジア主義 ◆5.まとめ ■8.参考図書 ■9.ご意見、情報提供 ■1.このページの目的・構成 全く正反対の政治的信条を持つ「リバタリアン(自由至上主義者)」と「コミュニタリアン(共同体主義者)」が共に「我こそ保守主義者だ」と主張していたり、「ナショナリズム」が「保守主義」と混同されています。 あるいは、「小さな政府」こそ「真の保守」だと言う人、また「国体護持」こそ「真の保守」だという人もいます。 このページでは、そうした様々に主張されている保守主義の内実をその歴史的沿革や辞書的な概念定義から、客観的に検討し、 保守主義とは、 (1) ルソーの革命思想/デカルトに始まる設計主義的合理主義/共産主義/社会主義/ファシズム等の全体主義思想に対する対抗思想として発生したものであって、 (2) その内実は、歴史の中で育まれてきた価値多元的で寛容な自由を守ろうとするもの、即ち自由主義(左翼的リベラリズムではなく真正の自由主義)である とするのが、最も整合的な理解であることを説明していくとともに、 リバタリアニズム・コミュニタリアニズム・ナショナリズムなど保守主義に部分的に類似する諸概念について、その関係を整理・明晰化していきます。 そして最後に、以上で得られた保守主義の標準的な理解をベースとして、日本における保守主義の内実の検討に踏み込みます。 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック ■2.保守主義、及び関連する諸思想 ◆1.保守主義・関連する諸思想の説明 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※下記は全て、ブリタニカ百科事典(日本版)より引用(ただし※注はこちらで追記) 政治思想ないしイデオロギー 説明 関連ページ 保守主義、及び、保守主義の内実を成す概念 保守主義(conservatism) 既存の価値・制度・信条を根本的に覆そうとする理論体系が現れたときにこれに対する対抗イデオロギーとして形成される。「保守主義の宣言」とも言われる『フランス革命に関する省察』を著わしたE.バークは、人間のあらゆる制度の基礎は歴史であり、具体的な文脈のなかで長い時間をかけて培われてきたものだけが永続性を持つため、抽象的な哲学原理に基づく革命は座絶を運命づけられているとしている。バークは決して変化を拒絶しないが、それは既存のものの漸進的改良として果たされねばならないと考える。歴史的・有機的な社会秩序への人為的介入の排除とその漸進的改革が保守主義の思想的特徴であるが、これは現代のF.ハイエクやM.オークショットにもみられる考え方である。 保守主義とは何か 新保守主義(neo-conservatism) 1960年代後半以降、アメリカでリベラリズムや対抗文化の行き過ぎを批判しつつ登場してきた思想。I.クリストル、D.ベル、S.ハンティントンなどが代表的である。アメリカでは、ベトナム戦争の経験に伴う文化的混乱から若者を中心として性の自由や家族の解体といった急進的な主張がなされたが、反面、こうした潮流に強い危機意識をいだき、西欧的価値を擁護しながらアメリカの文化的同一性を再定義しようという試みも生まれた。これらは資本主義と自由の結びつきを強調し、共産主義に対する批判を共有するもので、現実の政策的提言においても連邦政府が過剰な役割を果たすことには懐疑的で、私的集団の活動の場を拡大する「小さな政府」への方向性を示唆している。このような主張を経済論として展開しているのが、新自由主義である。 自由主義(liberalism) 個人の諸自由を尊重し、封建的共同体の束縛から解放しようとした思想や運動をいう。本格的に開始されたのはルネサンスと宗教改革によって幕をあけた近代生産社会においてであり、宗教改革にみられるように、個人の内面的自由(信教の自由、良心の自由、思想の自由)を、国家・政府・カトリック・共同体などの自己以外の外在的権威の束縛・圧迫・強制などの侵害から守ろうとしたことから起こった。この内面的諸自由は、必然的に外面的自由、すなわち市民的自由として総称される参政権に象徴される政治的自由や、ギルド的諸特権や独占に反対し通商自由の拡大を求め、財産や資本の所有や運用を自由になしうる経済的自由への要求へと広がっていった。これらの諸自由の実現を求め苦闘した集団や階級が新興ブルジョアジーであったため、自由主義はしばしばそのイデオロギーであるとみられた。しかし各個人の諸自由を中核とした社会構造は、その国家形態からみれば、いわゆる消極国家・中性国家・夜警国家などに表象されるように、自由放任を生み、当然弱肉強食の現象を現出させることになり、社会的経済的に実質的な平等を求める広義の社会主義に挑戦されることになった。しかし、20世紀に出現した左右の独裁政治の実態は、自由主義が至上の価値としてきた内面的自由・政治的社会的諸自由などが、政治体制のいかんに関わらず、普遍的価値があることを容認せしめ、近代西欧社会に主として育まれてきた自由主義は再評価されている。 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 新自由主義(neo-liberalism) (1) 1870,80年代から勃興したイギリスの理想主義運動、なかんずくT.H.グリーンが主唱した社会思想。グリーンは、道徳哲学としてはJ.ロック、J.ベンサムなどの功利主義的自由主義ではなく、カントやヘーゲルの影響を受けた観念論的・理想主義的自由主義を、社会哲学としては、自由放任主義(経済的自由主義)ではなく国家による保護干渉主義(社会政策)を主唱した。しかし決して国家専制主義や全体主義に陥らず、個人の自我の実現、個人の道徳的生活の可能な諸条件の整備に国家機能が存在するとして、自由主義の中心である個人主義を継受した。この思想はイギリス自由党の労働立法・社会政策に思想的根拠を与えた。⇒※注:こちらは正確には new liberalismであり、訳すと文字通り「新自由主義」だが、現在はこちらの意味では使用されなくなったので注意が必要。 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 (2) 1930年代以降の全体主義国家の台頭や第二次世界大戦中から戦後にかけてのケインズ政策に反発して、再び個人の自由の尊厳を説き、政府の恣意的政策の採用を排し、法の下での自由を強調する思想。このような思想をもつW.オイケン、W.リプケ、L.ミーゼス、G.ハーバラー、F.ハイエク、L.C.ロビンズ、M.フリードマンらの多彩な人材を擁して、47年にモンペルラン・ソサエティーを結成している。恣意的・強権的権力の行使に反対する点ではかっての自由放任的自由主義と共通する面をもつため、その単なる復活と誤解されがちであるが、普遍的な法の強力な支配の必要を説き、法秩序の下での自由を強調する点で、かっての自由放任とは異なる。経済政策面でのその端的な表れは、ドイツに代表される社会的市場政策とシカゴ学派に代表される新貨幣数量説である。⇒※注:こちらが、neo-liberalism(正確に訳すと「再興自由主義」)すなわち現在使用されている意味での「新自由主義」である。 保守主義に隣接・類似するために混同されやすいが、別概念として区別すべきもの 自由至上主義(libertarianism)※注:項目なしのため、リバタリアン(libertarian)の項目で代用 福祉国家のはらむ集産主義的傾向に強い警戒を示し、国家の干渉に対して個人の不可侵の権利を擁護する自由論者。古典的自由主義と同様、リバタリアンも自由市場経済を支持するが、その論拠は自由市場が資源配分の効率性に関して卓越しているということだけではない。より重要なのは集産主義的介入(⇒コレクティビズム)が、自明の権利である個人の自然権や人権を侵害するという点である。リバタリアンの出発点は社会の理解に関する徹底的な個人主義的アプローチである。社会とは何らかの実体ではなく、自律性を権利として保障された諸個人が互いの価値の実現を目指して交流を持つ場である。経験的な意味で国家や政府による合理的計画よりも自律的な個人の活動のほうが社会的利益を最大化するというだけでなく、道徳的な意味でも個人の自律性を国家や政府の干渉によって強制的に縮小しようとするあらゆる試みは、個人の独自性を破壊し社会の目的のための手段といて扱うことになる。個人の価値の追求にはルールによる制約が課せられるべきであるが、それは各人の平等な権利を保障するというに限定されねばならない。国家や政府の役割はそこにあるのである。⇒※補注参照 中間派に何を含めるか 共同体主義(communitarianism)※注:項目なしのため、コミュニタリアン(communitarian)の項目で代用 人間存在の基盤としての「共同体」の復権を唱える一群の政治哲学者たちの総称。J.ロールズの『正義論』(1971)が政治哲学の復権に大きな影響を与え、当初その指導的立場にあったのが、ロールズに代表される福祉国家的な自由主義を主張するリベラリストと、ノージックに代表される個人の自由に対する制限を最小化しようとするリバタリアンであった。一見したところ対立するこの両陣営は「個人」の多元的対立から社会構成の原理を導出しようとする基本的枠組みでは一致している。この個人主義的な人間像・社会像に対して根本的な次元から論争に参加してきたのがコミュニタリアンである。A.マッキンタイア、M.サンデル、M.ウォルツァーらを代表とし、その主張は必ずしも一様でないが、人間的主体性を抽象的なアトム的存在の自律性としてではなく、共同体のもつ歴史・社会的なコンテクストに根付いた具体的存在として捉えようとする点では共通している。コミュニタリアンの登場の背景にはアメリカ社会が極端な個人主義の結果、公共心を衰退させ、そのことが様々な社会問題を引き起こしているという洞察がある。 中間派に何を含めるか ナショナリズム(nationalism) 民族、国家に対する個人の世俗的忠誠心を内容とする感情もしくはイデオロギー。普通、民族主義と訳されるが、国民主義あるいは国粋主義と訳されることもある。しかしこれらの訳語はいずれもナショナリズムの概念を十分に表現しているとはいえない。ナショナリズムの概念が多義的であるのは、ネーション(民族、国民)が歴史上きわめて多様な形態をたどって生成・発展してきたことに起因している。歴史的な重要概念となったのは18世紀末以後のことである。アメリカの独立とフランス革命がその端緒となったとされ、南アメリカに浸透し、19世紀にはヨーロッパ全体に広まり、ナショナリズム時代をつくりだし、20世紀に入って、アジア・アフリカで多くのナショナリズム運動が展開された。ナショナリズムはこうした諸国の独立をもたらす解放的イデオロギーではあるが、民族紛争と戦争の拡大をもたらす危険も大きい。 ナショナリズムとは何か右派・右翼とは何か ※補注:このように古典的自由主義およびその再興であるハイエクに代表される新自由主義(neo-liberalism)と、リバタリアニズム(自由至上主義)は厳密には別概念であるが、特にアメリカではliberalismが「マイルドな社会主義」を意味する言葉に変形してしまったために、ハイエク的な自由主義をも「リバタリアニズム」と呼ぶ場合がむしろ多くなっており、後述の中岡望 著『アメリカ保守革命』でも、正確には新自由主義(neo-liberalism)と呼ぶべきものをリバタリアニズムと呼称しているので注意が必要。(この場合は「リバタリアニズム」=新自由主義=経済保守 となる) ◆2.保守主義・関連する諸思想の整理図 ↓本文はここをクリックして表示 -... 保守主義 自由主義との関係 該当する概念(=外延) 隣接・類似するが別概念 対抗思想 (1) 伝統保守(真正保守主義) 古典的自由主義と親和的(バーク的保守主義) ・文化的保守・宗教保守(主として社会面に関心) ・共同体主義(コミュニタリアニズム)⇒中間に分類・ナショナリズム⇒右翼に分類 ・フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)・デカルト的理性主義 長い歴史の中で育まれてきた伝統的権威・文化・社会制度を破壊する思想 (2) 経済保守(新保守主義) 新自由主義と親和的(ハイエク的保守主義)即ち、リベラル右派のこと ・反福祉国家/「小さな政府」派・減税主義者(主として経済面に関心) ・自由至上主義(リバタリアニズム)⇒中間に分類 ・社会主義/共産主義/ファシズム等の全体主義・リベラル左派(福祉国家/「大きな政府」派) 資本主義経済体制とそれによって担保される個人の自由を破壊する思想 ※ポリティカルコンパス右図の「親・自由主義/開かれた社会」側の「真正保守(=伝統保守)」と「真正リベラル(=リベラル右派=経済保守)」が保守主義に該当する。 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック。 ※政治的スタンス5分類では、「親・自由主義(開かれた社会)」側の「真正保守(=伝統保守)」と「真正リベラル(=リベラル右派=経済保守)」が保守主義に該当する。 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック ※政治的スタンス5分類・8分類について詳しくは 政治の基礎知識 参照。 ■3.保守主義の概念定義 ◆1.保守主義(conservatism)の辞書的定義 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(conservatismの項)より全文翻訳 歴史的に発展し、それゆえに継続性と安定性の明証である制度(institutions)と慣行(practices)への愛好を表す政治的態度またはイデオロギー 保守主義は近代においてフランス革命に対するリアクションとしてエドマンド・バークの著作を通じて最初に表明された。バークはフランス革命は、その理想が、その行き過ぎによって汚された(tarnished)と信じていた。 保守主義者は、変化の遂行は最小限(minimal)で漸進的(gradual)であるべきだと信じている。彼らは歴史を愛好し、理想的(idealistic)であるよりは現実的(realistic)である。 著名な保守主義政党として、英国の保守党、ドイツのキリスト教民主同盟、アメリカの共和党、日本の自由民主党がある。 (2) オックスフォード英語事典(conservativeの項)より抜粋翻訳 (政治的文脈において)自由企業・私的所有・社会に関する保守的な理念を愛好すること (3) コウビルド英語事典(conservatismの項)より全文翻訳 1 保守主義とは、変化が社会にとって為されることが必要とされる場合において、それは漸進的(gradual)に為されるべきだと信じる政治的哲学である。 2 保守主義とは、変化や新しいアイディアを受け入れることを嫌がることである。 ◆2.内包と外延 ↓本文はここをクリックして表示 -... 保守主義(conservatism)の辞書的定義を押さえたところで、次はその内包と外延を検討します。 (1) 内包(intension) 論理学で、一概念に含まれる属性。例えば「空」の内包は、「上、青色、広い」など (2) 外延(extension) 論理学で、その概念が適用される事物の範囲。例えば、金属という概念の外延は、金・銀・鉄の類 ■4.保守主義の内包(=内在する属性) ◆1.保守主義の核心的特色 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) (保守主義とは)常に「現状(status quo)」の中に、①「守る(conserve)べきもの」と、②「改善(improve)すべきもの」を弁別し 1 「絶対的破壊(absolute destruction)」の「軽率さ(levity)」と 2 「一切の改善を拒絶する頑迷(the obstinacy that rejects all improvement)」 を共に排除しようとするもの、であり (2) そのような「保守(preserve)」と「改革(reform)」とにあたっては 1 古い制度の有益な部分が維持され 2 「改革」によって「新しく付け加えられた」部分は、これに「適合するようにされるべきであり」 3 全体としては「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」が保たれることを政治の眼目とする という所に、その顕著な特色がある。 つまり 1 「現状(status quo)」の中に常に「守る(conserve)べきもの」を見出すことを起点として政治的思惟が進行する、という思考形式と、 2 「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」への政治的志向 の2つが、E.バークに代表される保守主義の核心的特色である。 この様な保守主義的政治態度は、政治情勢により「右」へ振れる場合にも、あるいは「左」に振れる場合にも、その振幅を有限化するばかりでなく比較的にいって僅少なものにする。 なぜなら、いずれの方向にせよ、過度の振れは「守るべきもの」を放棄することを意味し、また「左」へ振れすぎるときには、進歩の連続性が切れてしまうからである。 従って、バークの保守主義の哲学は、一言にして尽くせば、文字通りの「政治的安定性(political stability)」の哲学、「政治的力学」の哲学、高度の政治的「復元力(stability)」を持つ哲学に他ならない。 ◆2.保守主義の一般的特質 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) 思想形成の反定立(antithesis)性 保守主義は既に定立(thesis)された思想の衝撃を待って初めて、その対立者として自己の思想形成を開始する。 (2) 思想内容の他者被規定性 保守主義は、思想内容が他者によって(つまり定立された別の思想によって)方向づけられ限定される。即ちバークにおいては「アンチ・フランス啓蒙思想」「アンチ・デカルト流理性主義」であり、ハイエクやポパーにおいては「アンチ・社会主義/共産主義その他の全体主義」「アンチ・リベラリズム/福祉国家」である。 (3) 高度の状況的機動性(状況適応性) 保守主義は、それが置かれた具体的状況に密着した思考形式と実現手段を提供する。つまり保守主義は、その対抗思想のように理論が先行した思考様式ではなく、常に「現状(status quo)」を前提として歴史的継続性の中で、その内容と対応策を見出す。「イギリス人は新事態が起こるたびごとにそれを如何に利用するかを心得ている」(A.ヒットラー)即ち保守主義は、①反省的判断力による個性的状況の敏速な把握と、②政治的実践へのその巧みな活用、を本領とする。 (4) 無原則的状況主義(opportunism)との区別 保守主義は、一般に「中道(mid-roader)」あるいは「中間(centrist)」と呼ばれる「無原則主義(opportunism、便宜主義・日和見主義)」と違って一定の政治的原則/政治的価値を保持する。 (5) 貴族政治的(aristocratic)志向性 保守主義は、民衆政治(democracy)を衆愚政治(mobocracy)に陥り易いものとして警戒し敬遠する傾向がある。 ※関連ページ デモクラシーと衆愚制 ◆3.保守主義の価値観・思惟構造 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) 「現状(status quo)」における「保守(conserve)すべき」内容の発見可能性の肯定 保守主義は一定形態の歴史意識(但しマルクス主義的な歴史発展法則を肯定するものではなく「過去」と「現在」との継続性という意味での歴史意識)と、そうした歴史を把握する人間の能力(つまりデカルト的な普遍的理性ではなく、歴史的に形成され、個別的に存在する広義の理性)を肯定している。なぜなら保守主義は「現状(status quo)」の中に一定の「保守すべき」(即ち一定の積極的に望ましいと評価し得る)内容を見出す思想であり、それは従って人間は歴史的な経緯のうちに「保守すべき」価値内容を弁別する能力を保有することを肯定しているからである。 (2) 政治目的およびその実現手段の「既存性(existence)」の肯定 一般に政治的思惟は、①政治的目標の設定に始まり、②その適合的な実現手段を発見し、③その手段の効果的適用による目標実現によって完了する。しかし保守主義は、①この政治的思惟の起点を「現状(status quo)」における「保守すべき」内容の発見に求め、かつ、②その実現手段をも「現状」に求めている。「真の政治家というものは、常に、どうすれば自国の現存の諸材料を、最大限度に利用することになるかということを考慮するものである」(E.バーク) (3) 「申し分なく継続的な進歩(well-sustained progress)」の肯定 保守主義は「歴史の流れに順行した」政治、言い換えると慣例を活かし「現状(status quo)」を絶えず制度的ないし観念的に過去に連結していくような政治を理想とする。政治における新奇な、あるいは革新的な企図は、保守主義の歴史意識にとっては歴史の継続性に対する撹乱要因に過ぎない。 (4) 「自然的」人間性に対する「歴史的」ないし「社会的」人間性の優位 (5) 「自然的」理性に対する「歴史的」理性の優位 (6) 「抽象的悟性(abstractive understanding)」に対する「歴史的悟性(historical understanding)」の優位 「旧い先入見prejudice」と「理由のない慣習」の尊重 ■5.保守主義の外延(=対象となる範囲) ◆1.保守主義と自由主義の関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... リベラリズムについては リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 を参照のこと。 要約すると、リベラリズムには歴史的に以下の4段階があり、このうち日本語の語感で「自由主義」に相当するのは 1 と 3 である。 リベラリズムの段階・種類・区分 時期 意味内容 1 古典的リベラリズム(classical liberalism) 16世紀~19世紀 ①個人の権利・自由の確保、②政府権力の制限、③自由市場を選好…消極国家(夜警国家) 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism) 19世紀末~20世紀 経済的不平等・社会問題を緩和するため市場への政府介入を容認→次第に積極的介入へ(積極国家・福祉国家・管理された資本主義)社会主義に接近しているので社会自由主義(social liberalism)と呼ばれ、自由社会主義(liberal socialism)とも呼ばれた。 3 再興リベラリズム(neo-liberalism) 1970年代~ スタグフレーション解決のため自由市場を再度選好。 2 を個人主義から集産主義への妥協と批判し、個人の自由を取り戻すことを重視 4 現代リベラリズム(contemorary liberalism) 現代 ①不平等の緩和、②個人の権利の拡張、を含む社会改革を志向1970年代以降にJ.ロールズ『正義論』を中心にアメリカで始まったリベラリズムの基礎的原理の定式化を目指す思想潮流で、①ロールズ的な平等主義的・契約論的正義論を「(狭義の)リベラリズム」と呼び、②それに対抗したR.ノージックなど個人の自由の至上性を説く流れを「リバタリアニズム(自由至上主義)」(但し契約論的な構成をとる所はロールズと共通)、③また個人ではなく共同体の価値の重要性を説くM.サンデルらの流れを「コミュニタリアニズム(共同体主義)」という。 補足説明 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism)と 4 再興リベラリズム(neo-liberalism)は共に「新自由主義」と訳されるので注意。もともと 1 古典的リベラリズムに対して修正を加えた新しいリベラリズム、という意味で、 2 ニュー・リベラリズム(訳すと「新自由主義」)が生まれたのだが、世界恐慌から第二次世界大戦の前後の時期に、経済政策においてケインズ主義が西側各国に大々的に採用された結果、 1 に代わって 2 がリベラリズムの代表的内容と見なされるようになり、 2 からnewの頭文字が落ちて、単に「リベラリズム」というと 2 ニュー・リベラリズムを指すようになった。ところが、1970年代に入るとインフレが昂進してケインズ主義に基づく経済政策が不況脱出の方途として効かなくなってしまい、市場の自律調整機能を重視する 1 の理念の復興を唱える 3 ネオ(=再興)・リベラリズムに基づく政策が1980年前後からイギリス・アメリカで採用されるようになった。そのため今度は、 3 を「新自由主義」と訳すようになった。 保守主義は、 ① 18世紀末のE.バークの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、 1 古典的自由主義を意味し、 伝統保守(旧保守) 対抗思想 フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)、デカルト的理性主義(設計主義的合理主義) ② 20世紀半ば以降のF.A.ハイエクやK.R.ポパーの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、 3 再興(=ネオ)自由主義を意味した。 経済保守(新保守) 対抗思想 社会主義・共産主義・ファシズム等の全体主義、 2 ニュー・リベラリズム(所謂リベラリズム…福祉国家など大きな政府による実質的な個人の自由の剥奪) ⇒「保守主義の他者被規定性」の項目参照。 ◆2.伝統保守と経済保守の架橋 ↓本文はここをクリックして表示 -... ◇1.18世紀イギリスの自由主義思想家による「伝統保守」の説明 (1) D.ヒューム(スコットランド出身の英国外交官・道徳/政治哲学者、歴史家)『道徳・政治・文学に関する随想』(1742) 「英国においては到底存在する見込みはないと思われる一政体について、これ以上論議を重ねる必要はありません。我々の間ではどの党派もそれを目的としてはいないように見えます。出来るだけ我が国の古来の政体を育て発展させるようにしましょう。大変危険な新型の諸政体に対する情熱を掻き立てないようにして。」 (2) E.バーク(アイルランド出身の英国下院議員・思想家)『フランス革命の省察』(1790) 「思慮深い警戒心、綿密周到さ、気質的というよりはむしろ善悪判断から来る小心さ、これらが最も断固たる行為をする際に我々の父祖が拠り所とした指導原理の中にありました。彼らは、あの光-つまりフランス人の紳士諸君が自分たちはそれに大いに与っていると吹聴するあの光-に照らされてはいなかったために、人間とは無知で誤りやすいものである、ということを肝に銘じて行動したのでした。」 「国家と法を聖別するにあたって、まず第一に則るべき最も重要な原理の一つは、それら国家や法を一時的に、あるいは終身で保有している人々が祖先から受け取ったものや本来子孫に属するものを忘れて、あたかも自分だけが完全な主人であるかのように行為する、といったことがあってはならない、ということです。即ち、自らの社会の根源的な構造を勝手に破壊し、それによって限嗣相続の制限を解除したり相続財産を浪費したりしても、それは自分たちの権利のうちなのだ、などと思ってはならない、ということです。もしもそうしたことが行われれば、彼らは後から来る者に対して、住むべき家の代わりに廃墟を残すことになるでしょうし、彼らが自らの祖先の諸制度を殆ど尊重しなかったのだから、彼らが考え出したものもやはりそんなに尊重するには及ばないのだ、と教えるようなものでしょう。」 ◇2.保守主義=「小さな政府」なのか? 参考サイト 本当の対立点とは何か?(「保守主義」の定義) (戦争に負けた国blog様) このサイトに見るように「小さな政府」こそ保守主義だとする主張がある。 保守主義がすべからく「大きな政府」に反対する、という意味では確かにそうだが、保守主義は「経済保守(新保守=リベラル右派)」だけではない。 伝統文化・社会的価値の維持発展に主な関心を注ぐ「伝統保守(旧保守)」は、経済政策においては一般に「小さな政府」よりも中負担・中福祉(=中規模の政府)を志向する。 従って、この命題は、半分だけ正しい。 用語 説明 関連ページ 小さな政府(limited government)※注:項目なしのため、安価な政府の項目で代用※補注参照 「小さな政府」ともいう。18世紀末頃より用いられた自由主義の財政的標語で、財政規模のあまり大きくない政府をいう。ナポレオン戦争後のイギリスでは、軍事費の削減はもとより、航海法・独占特許制度の撤廃などの自由主義施策の推進と並んで一般経費の縮減が進められた。このため1870年頃まで国家財政の規模は年々減少、または漸増するにとどまり、史上ほとんど唯一の「安価な政府」が出現した。その思想的背景にあるものは、国の役割を国防・警察などに限るA.スミスの夜警国家観である。しかし、前世紀(注:19世紀)末以降イギリスを含めて経費膨張が避けがたい傾向となったことは、帝国主義の風潮に追うところが大きい。第二次世界大戦後は、福祉の充実など各経済分野での公共部門の拡大が「高価な政府」へと拍車をかけているが、1980年代アメリカのレーガン政権、イギリスのサッチャー政権下では「小さな政府」への動きがみられた。その趣旨は、経済・社会政策の領域での政府の役割を削減し、市場機構と競争に多くを委ねることによって財政赤字・政府規制を改め、公営企業の民営化を促し、自立・自助の精神により資本主義経済の再活性化をはかることにあった。(⇒経費膨張の法則) ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 ※補注:実際には「安価な政府(cheap government)」という政治・経済用語は英語圏には存在しない。(cheap government は「安っぽい・みすぼらしい政府」の意味になってしまい、用語として不適切)⇒英語に疎い日本人学者の間で使用される誤った用語と思われるが、ここでは日本語版ブリタニカ百科事典の記載内容をそのまま転記する。 ◇3.伝統保守(旧保守)と経済保守(新保守)の架橋 ~ フュージョニズムと「思いやりのある保守」 フュージョニズム(fusionism) アメリカにおいて冷戦時代に「伝統保守」と「経済保守」の融合・架橋を目指した思想的立場 ※以下は、「乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~」様blog記事中岡望『アメリカ保守革命』より抜粋 ※なお、中岡望氏は、現代アメリカの用法に従って「新自由主義(=リベラル右派=経済保守)」の意味で「リバタリアニズム」という語を使用しているので注意が必要。 戦後のアメリカ保守主義は二つの流れに収斂されていった。ひとつは伝統主義であり、もう一つはリバタリアニズムである。だが保守主義運動の中で、この二つのグループの間に直接的な接点はなかった。二つの保守主義は共通な価値観を持っていたが、必ずしも同じ理想を求めていたわけではなかった。「大きな政府」を批判する点では一致しながらも、「個人の自由」に関する考え方は大きく違っていた。伝統主義者が倫理や宗教から「個人の自由」を理解しようとしたのに対し、リバタリアンは市場という観点から理解しようとしていた。(p.40)伝統主義者は敬虔なキリスト教徒が主流を占めていたのに対し、リバタリアンの多くは宗教には比較的無関心であった。伝統主義者は伝統を重んじ、個人主義に対して批判的であったが、リバタリアンはダイナミックに変化する社会経済をイメージし、個人の自由を最大限認める個人主義の哲学を掲げていた。(p.41) しかし、思想運動としての保守主義が発展するためには、「小異を捨てて大同につく」ことが求められた。二つの流れを融合させることが必要であった。反共主義がその接着剤の役割を果たした。 保守主義の二つの流れを融合させたのが、ジャーナリスト出身の保守主義者フランク・メイヤーである。融合された保守主義思想は「フュージョニズム(融合主義)」と呼ばれた。(p.41)伝統主義が主張する人間の“美徳”の達成は・・・リバタリアンの主張する“自由な社会”があって初めて可能になると説いたのである。メイヤーは、これによって、それまで対立していた伝統主義とリバタリアニズムを保守主義革命の大義のために“融合”させたのである。(pp.43-4)フュージョニズムが反共主義によって貫かれている・・・。冷戦が深刻化し、共産主義の世界への拡大が現実のものとなりつつあった当時の状況から、全体主義に反対する伝統主義者もリバタリアンも、反共主義にはまったく異論がなかった。その結果、反共主義はアメリカの多様な保守主義の思想を結びつける役割を果たすことになる。(pp.44-5) ここまでがアメリカ保守主義革命の第一段階である。メイヤーによる“融合”によって理論武装を終えた保守主義者は、その舞台を思想の場から政治の場へと移していく。彼らは保守主義思想を単なる思想運動に留めることなく、その理念を政治の場で実現しようとした。ここから保守主義革命は第二段階に突入する。1950・60年代、タフト、ゴールドウォーターという二人の共和党政治家は保守主義の理念を政治の場で実現することに成功しなかった。しかし、その過程で、保守主義運動の本流の流れとは別に、(伝統的な孤立主義を捨てて積極的に国際政治に介入しようとする反共主義者である)「冷戦リベラル」や(人工中絶や同性愛を宗教的な倫理観に反する現象として徹底的に批判する)「クリスチャン・ライト」といったグループが保守陣営に加わり、保守主義者は共和党の一大支持基盤を形成していく。それに伴って、共和党は保守主義を奉じる政党へと変貌していく。そして、1980年、レーガン共和党政権の成立によって、ついに保守主義はその理念を政治の場で実現するチャンスを手に入れた。 思いやりのある保守主義(compassionate conservatism) ブッシュ大統領が、冷戦終結で「反共」という共通基盤を失った後の「伝統保守」と「経済保守」を架橋するために打ち出した政策コンセプトであり、さらに「思いやり(compassion)」という言葉に象徴されるように、従来は共和党の支持者獲得のターゲットとはあまりみなされなかった社会的弱者への目配りが含意されている。英キャメロン首相も、ブッシュ政権に倣いこれを自身の政策コンセプトとして採用しているほか、安倍元首相が政権当時掲げた「再チャレンジ支援構想」もこのコンセプトの影響を受けていると考えられ、21世紀型の保守主義のあり方として注目される。 ■6.保守主義と混同されやすいが別概念として区別すべきもの ここでは、保守主義(=真正の自由主義)と全体主義の間に位置するリバタリアニズム・コミュニタリアニズム及びナショナリズムについて説明し、更にナショナリズムに関連してよく問題となる保守・右翼・極右の区別について説明します。 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック ◆1.保守主義とリバタリアニズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 +... ◇自由至上主義(libertarianism)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(libertarianismの項)より全文翻訳 個人の自由を強調する政治思想。自由至上主義者は、各個人は、自己の行動が他人の自由を侵害しない限り、完全な行動の自由を保持すべきだと信じている。 自由至上主義者の政府に対する不信は、19世紀の無政府主義(anarchism)に起源を持つ。典型的な自由至上主義者は、所得税やその他の政府の課税ばかりでなく、社会保障(social security)や郵便サービスのような他の多くの人々が有益だと思っているプログラムにも反対する。 アメリカでは彼らの見解はしばしば伝統的な政党間の境界を横断する(例えば、自由至上主義者はほとんどの共和党支持者と同じ様に銃規制に反対するが、ほとんどの民主党支持者と同じ様に禁止薬物の合法化を支持する)。 自由至上主義者の間で愛好されている人物はヘンリー・デビット・ソローとアイン・ランドである。 (2) オックスフォード英語事典(libertarianismの項)より抜粋翻訳 市民生活に対する政府の介入を最小限のもののみとすることを唱導する極端な自由放任の政治思想。 その支持者は個人の道徳は政府の扱う事柄ではなく、それゆえ麻薬使用や売春のような異論もあるところではあるが参加者以外の誰も害さない活動は不法とされるべきではないと信じている。 自由至上主義者は無政府主義者と主張内容を共有しているが、但し自由至上主義者は一般には、より一層政治的権利と関連付けられる(主としてアメリカ)。自由至上主義は伝統的な自由を社会的正義に結びつける配慮が欠落している。 (3) コウビルド英語事典(libertarianの項)より全文翻訳 1 リバタリアンであったり、またリバタリアン的な態度の人とは、人々は自分が望むままのやり方で考えたり振る舞う自由を持つべきだという理念を信じ、また支持している人である。(= リベラル) 2 自由至上主義者とは自由至上主義の見識を持つ人である。(= リベラル) このように、正確な定義でのリバタリアニズムは、 (1) 極めて強く個人的自由の領域の拡大を希求する思想であることから「右派」の「経済保守(=リベラル右派)」に近いといえる(そのために新自由主義と混同を招いた)が、 (2) そうした姿勢は、①無政府主義(左派に近い思想と一般には考えられる)につながること、 (3) また、②政府などの公的機関の介入が最小となる社会を合理的に設計できる、としている点でデカルト以来の設計主義的合理主義(左派の根本的思想の一つ)に連なること、 から、右派・左派のどちらにも分類できない「中間派」とするのが、最も適切である。 ◆2.保守主義とコミュニタリアニズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 +... ◇共同体主義(communitarianism)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(communitarianismの項)より全文翻訳 ①政治生活の実行、②政治制度の分析・評価、③人間のアイディンティティと安寧幸福の理解、に関する共同体(community)の重要性を強調する政治・社会思想。 共同体主義は1980-90年代に、ジョン・ロールズ等の思想家による理論的リベラリズムに対する明白な反対思想として興起した。 共同体主義者によれば、リベラリズムは非現実的なほどに原子化した抽象的個人という概念に寄りかかっており、また自由と自律といった個人的価値に余りにも重要性を置き過ぎている。 共同体主義の主要な代表者には、アミタイ・エツィオーニ、マイケル・サンデル、チャールズ・ティーラーが含まれる。 なお、集産主義を参照のこと。 (2) オックスフォード英語事典(communitarianismの項)より抜粋翻訳 1 小規模な自治的共同体に基礎を置く、社会組織に関する理論または制度。 2 共同体に対する個人の責任と、家族という単位の社会的な重要性を強調するイデオロギー・ ※コリンズ-コウビルド英語辞典には項目なし。 このように、正確な定義でのコミュニタリアニズムは、 (1) 歴史的に育まれた共同体に根付く価値観を正当に評価し維持発展させようと希求する思想であることから「右派」の「伝統保守」に近いといえる(そのために、これこそが真の保守主義であるとする誤認識を招いた)が、 (2) その姿勢は、個人の自由意志を軽視して、集産主義(左派の根本的思想の一つ)につながる傾向が強いこと から、やはり右派・左派のどちらにも分類できない「中間派」とするのが、最も適切である。 参考サイト オピニオン●保守と日本精神(細川和彦氏サイト) ※当ページ作成時に一部参考にした保守/リベラル/右翼/左翼などの政治思想の定義づけ・分類・整理を行っているサイトで、ことに共同体主義こそ真の日本的保守主義と主張する点がユニーク。 ◆3.保守主義とナショナリズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 -... ◇1.ナショナリズム(nationalism:国民主義、民族主義、国家主義など文脈に応じて様々に訳し分ける)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(nationalismの項)より全文翻訳 自己のnation(アイデンティティを共有する人々の集合)またはcountry(地理的な意味での国家)に対する忠誠(loyalty)と献身(devotion)であり、特に他の人々の集合や個人的な利害への忠実さを上回るもの。 国民国家(nation-state)の時代以前は、ほとんど全ての人々の忠誠先は彼らの直近の地域や宗教的集団だった。 巨大な中央集権国家の登場は地方的権威を弱体化させ、日々進行する社会の世俗化は宗教的集団に対する忠誠を弱体化させた。しかしながら人々に共有される宗教は-共通の民族性・政治的遺産・歴史と共に-人々を国民主義運動(nationalist movement)へと誘い入れる要因の一つとなった。 18世紀から19世紀初めにかけての欧州の初期の国民主義運動は自由主義的(liberal)で国際的(internationalist)なものだった。しかしそれは次第に頑迷(conservative:「保守的」の意味もあるがここでは「頑迷」の意味ととる)で偏狭(parochial)なものとなっていった。 ナショナリズムは第一次世界大戦・第二次世界大戦そして近代におけるその他の多数の戦争を引き起こした主要因と考えられている。 20世紀のアフリカとアジアでは民族主義運動(nationalist movements)はしばしば植民地主義(colonialism 植民地支配)に対する反対(抵抗)を引き起こした。 ソ連邦の崩壊後、東欧と旧ソ連邦の各共和国の強烈な民族主義的感情(nationalist sentiments)は、旧ユーゴスラビア地域におけるような民族的紛争(ethnic conflict)の要因となった。 (2) オックスフォード英語事典(nationalismの項)より抜粋翻訳 1 愛国的な感情・原理・尽力(patriotic feeling, principle, or efforts) 2 他の国々(country)に対する優越性(superiority)という感情によって特徴づけられた極端な形の愛国心(an extreme form of patriotism) 3 特定の国家(country)の政治的独立の主張(advocacy) (3) コウビルド英語事典(nationalismの項)より全文翻訳 1 ナショナリズムとは自分達は歴史的にまたは文化的に、ある国家(country)の中で特定の分離された集団であると感じる人々の、政治的独立への渇望(desire for political independence)である。 2 ある個人の自己のnationに対する巨大な愛情をナショナリズムと呼ぶことが可能である。ある特定のnationは他の全てのnationより優秀であるという信条と、このナショナリズムはしばしば関連付けられるが、こうしたケースは、しばしば(話者の)不承認(不快感 disapproval)を表現するために用いられる(=jingoism 偏狭的優越主義) ◇2.ナショナリズムの発展モデル ※ナショナリズムは一般に以下の3段階で発展すると考えると理解し易い。 Ⅰ.解放的ナショナリズム(パトリオティズム) → Ⅱ.国民国家の成立 → Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズム(ジンゴイズム/ショーヴィニズム) 主に他国や他民族の抑圧に対して、①国家・国民形成を図りつつ、②政治的あるいは経済的自決(民族自決)を求める動き※政治的・経済的自決を求めることから、この段階のナショナリズムは自由主義と親和的である。 → 国家の要請に適った国民を育成するために、①統一的・画一的な国民教育の実施、②歴史・文化の共有化、③「伝統の創造」(※)といった公定ナショナリズムとでも言うべき諸政策が政府主導で実施される。※英歴史学者ホブズボームの用語で、正統性に問題のある新興国家の政府が行いがちな一種のご都合主義的な「伝統」価値の捏造 → 増大していく大衆の自尊感情の現れとしてのナショナリズム(大衆の自己崇拝、ナショナリズムの市民宗教化)。Ⅱ.の公定(=官製)ナショナリズムの結果、政府当局のコントロールが効かない状態にまで大衆の自尊感情が昂進してしまった状態。 少数エリ-トの自覚的な活動(市民型ナショナリズムcivic nationalism)として始まり、次第に参加者を拡大していく → 国民の政治参加の意欲が高まる結果、大衆デモクラシーが成立するが、次第に衆愚化していく傾向を免れない。 → 理性よりも大衆の無定見な民族感情に流され易くなり(民族型ナショナリズム ethnic nationalism)、①国内的には排外的、②対外的には侵略的傾向を強めていく結果となる。 例1 フランス革命の最初期 → フランス共和国の建設(カルノーの徴兵制etc.) → ジャコバン政権樹立以降の「革命の輸出」~ナポレオンの侵略戦争 例2 ドイツ統一運動 → ドイツ第二帝国の建設(ビスマルク時代) → ウィルヘルム2世の世界政策から第一次世界大戦へ。さらに敗戦からワイマール共和国の混迷ののちナチス政権による侵略政策の追求へ 例3 明治維新~日露戦争・不平等条約改正 → 大正デモクラシー(男子普通選挙の導入=大衆の政治参加) → 日本の場合は露骨な対外侵略の肯定という形は憚られたが、アジア諸民族と結んで白人支配を覆すという大義(=アジア主義)が利用される形で拡張的ナショナリズムが発動してしまった。 ※韓国は、Ⅱ.の行き過ぎの結果、Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズムが発動してしまった状態と解され、また中国もⅡ.を部分的ながら過激に実行した結果、Ⅲ.の歯止めが利かなくなりつつある状態と見られる。 ◆4.保守・右翼・極右の区別 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※保守・右翼・極右をどう区別するかは定義の仕方次第だが、一応の目安として以下の基準が有効である。 内容 関連ページ 保守 国内外の全体主義(共産主義・社会主義・リベラリズムなどの集産主義)の脅威から自由を守る(=自由主義) 保守主義とは何かリベラリズムと自由主義 右翼 他国・他国民の侵略的ナショナリズムの脅威から自国・自国民を守る(=解放的ナショナリズム) 右翼・左翼の歴史ナショナリズムとは何か 極右 他国・他国民に対して侵略的ナショナリズムを発動している段階。なお極右と極左は紙一重の双生児であり、極左も当然侵略的ナショナリズムを発動している段階である。 右翼・左翼の歴史 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック ■7.日本の保守主義 以上で、①E.バーク的保守主義(伝統保守)と、②ハイエク的保守主義(経済保守)の2大類型に基づいて、英語圏で発展した保守主義の標準概念と、関連する諸思想の位置づけを説明しました。 以下では、この標準的な保守主義の解釈をベースとして、日本の保守主義及び関連する諸思想について分類・位置づけを行います。 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック ◆1.参考:「保守主義」という用語の使用状況 ↓本文はここをクリックして表示 -... 戦前・戦中さらに戦後も1970年代までは「保守主義」という言葉はマイナス・イメージの付きまとう言葉として日本ではこれを自称する者はほとんどいなかった。 左翼側が敵対勢力を「保守反動」とレッテルを貼って批判する場合に使用される例がほとんどであり、政治勢力としての「保守」は存在しても、政治思想としての「保守主義」を唱える者はほとんどいなかった。(明治21年に長州藩出身の軍人・政治家 鳥居小弥太が「保守中正派」と称する小政党を作り「保守」を論じていることが数少ない例外) 戦前・戦中において伝統保守的な思想的立場を表明する者の多くは、もっぱら「右翼」(とくに昭和初期には「観念右翼」ないし「精神右翼」)と他称され、また彼ら自身は後述する「日本主義」を名乗っている場合が多かった。 その後、1980年代に英サッチャー・米レーガン両保守政権が政治的・経済的に成功を収めて、「保守主義」に今度はプラス・イメージが高まり、日本でも「保守主義」を自称する者が急増し、現在に至っている。 ◆2.西欧保守主義・日本の保守主義の接合上の問題点と考え方 ◇1.保守主義と、自由主義・個人主義・デモクラシーの関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... 《問題点》 西欧保守主義の本質は、自由主義・個人主義・デモクラシーの肯定にある。⇒ ところが、日本の「保守」論客には、自由主義・個人主義・民主主義を否定的に捉える者がかなり多いように見える。変ではないか? 【考え方】 日本の「保守」論客の批判している「自由主義」「個人主義」「民主主義」の内容をよく読むと、ルソー以降に左翼によってその意味を歪曲されてしまった「(左翼的意味の)自由主義(=リベラリズム)」「(アトム化された)個人主義」「(衆愚化した)デモクラシー(=モボクラシー)」のことであることが分かる。これは、「自由主義」「個人主義」「民主主義」という言葉が、日本でも一般的に使用されるようになった大正時代(大正デモクラシー期)には、これらの言葉は、既に西欧社会においても左翼によってその本来の意味を歪められてしまっており、日本の「保守」論客たちは、それらの政治思想・概念を、本来の意味ではなく、もっぱら歪曲された意味で理解してしまったことに原因があると思われる。ハイエクやポパー、バーリンらの真正の自由主義者(本来の自由主義者)による「左翼によって歪曲された」政治思想・概念への痛烈な(そして左翼側にとっては致命的な)批判は、第二次世界大戦中あるいはその直後にようやく日の目を見たものであり、当サイトでは、彼ら(ハイエクやポパー)の必勝の論法を是非ともマスターすることを強く推奨している。しかし、これらの左翼批判を受容していない(要するにハイエクやポパーを読んでいない)日本の「保守」論客たちは、いまだに単純な(そして残念ながら余り説得力があるようには思えない)従来どおりの紋切り型の「自由主義」「個人主義」「民主主義」批判を繰り返していると思われる。この点に関する不都合は、戦前から戦後にかけての日本の代表的な保守主義者である平泉澄博士の著作についても残念ながら当てはまることである。(平泉博士はハイエク・ポパーと同時代人であることから、バークのルソー批判までは受容していても、ハイエク・ポパーの全体主義批判までは受容できなかったことに起因)従って、結論として我々は、①日本自生の保守主義の理解のみに立脚するのではなく、②西欧保守主義の伝統にも立脚し、これを左翼・全体主義を完膚なきまでに論破する最上のツールとして是非とも活用すべきである。 (参考)「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」⇒詳細は「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引きへ 真の個人主義 (→自由主義体制へ) 偽の個人主義/集産主義 (→全体主義体制へ) 主な提唱者 ソクラテス、バーク、A.スミス、ヒュームアクトン、トックヴィル、ハイエク、ポパー、オークショット プラトン、デカルト、百科全書派、ルソー、マルクス、ベンサム 制度・秩序の捉え方 自生的秩序(spontaneous order)論即ち、自由な人々の自然発生的な協力が個々人の知性が完全には理解できないほどの偉大な制度や秩序など社会的構築物を創り出すこと(A.スミスの所謂「神の見えざる手invisible hand」)を肯定し、そうした特定の人物・組織の設計に依存しない自生的秩序形成が正常に機能する仕組みを維持育成することに重点を置く立場 設計主義的合理主義(constructivist rationalism)即ち、発見できる全ての秩序は特定の個人や組織の計画的な設計の産物であるとして、個人の理性を買いかぶり、個人の理性によって意識的に設計されたものでないもの・理性にとって完全には明瞭でないものに対しては、何であれ重視しない立場。 個人と国家の捉え方 中間団体による個人の自由の保障本質的に自由な個々人によって自発的に結成され歴史的に継続・発展してきた種々の中間団体(例えば、宗教共同体・職能組織・地縁集団・血縁集団)の存在によって個人が保護され、権力(power)がこうした中間団体や個々人に広く分散されるために全能の中央集権的政府の出現は阻止され、個人の実質的な自由は保障される。 アトム化された個人の国家への隷従①各種の中間団体から切り離され原子化(アトム化 atomized)された裸の個人と、②全能の中央集権的政府が直接対峙し、政府(=国家)が全ての個人の生活の責任を負うという建前の下に社会的な絆を剥奪されて(ルソー的な意味で)「自由」となった個人は結果的に全体主義的政府に隷従する。 政治機構の捉え方 人間や制度の不完全性の前提この主義の主たる関心は、①人間が最も良い時に時折成し遂げられるかも知れないことよりも、②人間が最も悪いときに害悪を及ぼす機会を出来るだけ少なくすることにある。その体制は機能の良し悪しが、それを操作する人間を我々が見つけ得るか否かに依存しないし、全ての人間が現にあるよりも善くなることにも依存しない。従ってこの体制は、その下にある全ての人間に自由を許容することが出来、現にあるがままの人間をその多様で複雑な姿のままで(本人が利己的な動機で動くにも関わらず)社会のために役立たせ得るシステムである。 社会契約論的個人主義と「自由への強制」この主義は個人を出発点とみなし、個人が彼の特殊意思と他人の特殊意思とを形式的な契約において結合させることによって社会や国家を創ると想定する。その体制は、プラトン「哲人王」、ルソー「立法者」、ナチス「指導者」etc.の育成/出現を前提とするが、「権力は必ず腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」(アクトン)ことを免れない。この体制は自由を「善良で賢明な個人」のみに許容し、その他の人々は「自由へ強制される」。 出現する社会 開かれた社会上下にも内外にも流動性が高く、社会に常に新たな活力が導入されるために、個々人の間では所得や社会的地位や幸福度・充足度などに必然的に差異が発生しても、社会全体の経済的・文化的水準は「閉ざされた社会」に比べて圧倒的に高くなる。 閉ざされた社会社会が固定的で、指導者・エリート層と一般人民の垣根が厳格に設定される(平等を謳いながらも社会がカースト化する)傾向にあり(G.オーウエル『1984年』を見よ)、かつ悪平等の弊害として自ら努力して状況を改善しようとする動機が働かないために特に経済的・文化的に停滞してしまう。 社会の原則 「人々を平等に取り扱うこと」(=自由な社会の条件) 「人々を平等たらしめること」(=隷従の新しい形態(A.トックヴィル)) ◇2.保守主義と、ナショナリズムの関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... 《問題点》 西欧保守主義は、ナショナリズム(=右翼思想)とは区別されるのが普通である。保守主義の代表者であるE.バーク自身が、イングランド本国ではなくその統治下にあったアイルランドの出身の政治家であり、またハイエクはオーストリアからイギリスに帰化した学者であって、彼らの思想には全体主義に対する激しい批判はあっても、ナショナリスティックな発想は一切混入していない。⇒ これに比較して、日本の「保守主義者」の唱える思想には、(1)反・全体主義の主張と、(2)ナショナリスティックな主張との区別が明瞭でなく、そのままでは英米保守主義の定義とは齟齬が生じてしまう恐れが高い。また最近は、本来の意味での保守主義とはまるで関係ない思想を唱えてるにも関わらず、その言葉のもつプラス・イメージに着目した自称「保守主義者」が続出しており、思想的な混乱が甚だしくなっている。 【考え方】 「ナショナリズム」の定義を確り押さえずに、やたらに「民族主義」という言葉を使っているケースが多いように思う。普通に祖国や自国民、自国の文化・伝統・歴史などに愛着を持つことは、西欧保守主義でも当然視されており、これを「パトリオティズム」とは表現しても、「ナショナリズム」とは通常は言わないはずである(nationalismは、①patriotism と②jingoismの両方の意味を包摂するが、現代の用法ではnationalismは、②排外的なマイナスの意味合いが強まっている)。日本の問題はむしろ、西洋であれば「保守」ではなく「ナショナリスト」「右翼」と呼ばれるべき主張を持つ人物・組織が、「右翼」という言葉にマイナス・イメージが定着しているために、文字通り「民族主義者」であるにもかかわらず「保守」と自称している者が非常に多く、その結果、「保守(アンチ全体主義)」と「右翼(ナショナリスト)」が著しく混同されている点にある。つまり、日本においては、①単に「パトリオティズム」である祖国愛を、「民族主義」と勘違いしている保守主義者②西欧保守主義の基準では、「ナショナリスト」「右翼」なのだが、「保守」を自称する者の二種類がおり、それらの者の主張内容を確り吟味し、「保守」なのか「右翼」なのか識別する必要がある。 ◆3.日本主義 ※次に、戦前・戦中に具体的に「保守主義(伝統保守)」に相当する概念・思想を表す言葉として多用された「日本主義」について解説します。 ↓本文はここをクリックして表示 -... ブリタニカ国際百科事典(ブリタニカ・ジャパン社)による説明。 にほんしゅぎ【日本主義】 明治から第二次世界大戦敗戦までにおける欧化主義・民主主義・社会主義などに反対し、日本古来の伝統や国粋を擁護しようとした思想や運動をいう。一定の思想体系をなしていたとはいえず、論者により内容が相違する。明治の支配層が推し進めた欧化主義への反発として三宅雪嶺や高山樗牛らによって唱えられ、政治的には欧米協調主義への反対、国権や対外的強硬策の強調となって現れた。大正や昭和になって日本の資本主義の高度化が階級対立を激化させ、社会主義やマルクス主義が流入すると、これら諸思想の対抗イデオロギーとして機能し、天皇を中心とする皇道や国体思想を強調した。(cf.神国思想) つまり日本主義には歴史的に見て以下の二段階がある。 ① 明治期の日本主義 政府の欧化主義に反発し、国粋主義/国権主義(特に政府の欧米協調路線に反対する攘夷主義)を主張した言論活動(政論的ジャーナリズム) 他国の侵略から自国・自民族を守る(解放的ナショナリズム)⇒即ち「右翼」思想 ② 昭和期の日本主義 皇道・国体思想を強調して、社会主義やマルクス主義の思想侵略の脅威への対抗イデオロギーとして機能した思想活動 全体主義の脅威から自国の歴史・伝統に根差した自由を守る(日本型保守主義)⇒即ち「保守」思想 ※「保守」と「右翼」の違いは ナショナリズムとは何か 参照 ※日本主義について、詳しくは 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 参照 ※この「(昭和期の)日本主義者」は、観念右翼または精神右翼と他称されており、これに対して、よりナショナリスティックな政治的主張を唱える者を革新右翼または組織右翼と呼んで区別した。 ◆4.革新右翼(国家社会主義者)と観念右翼(伝統保守) ↓本文はここをクリックして表示 +... 参考図書に挙げている日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜によれば、左翼が一掃された昭和10年代の日本には、①革新右翼と②観念右翼の二大勢力があり、国内・国外の政策を巡って激しく対立したとされる。 ※ブリタニカ国際百科事典には「観念右翼」のみ項目があり、その中に「(国家社会主義者(組織右翼)」の説明もあるので引用します(革新右翼を組織右翼とも呼んだ)。 【観念右翼】かんねん・うよく 特定の右翼党派ではなく、純粋な日本精神主義を思想や行動の原理とする諸団体。上杉慎吉をその源流とする。第二次世界大戦前の右翼運動を思想形態から分類すると、国家社会主義派(組織右翼)と日本精神主義派(観念右翼)に大別される。上杉の組織した桐花学園(1913創立)、蓑田胸喜、天野辰夫、菊池利房による興国同志会(19)、平沼騏一郎の国本社、興国同志会の流れをくむ七生社(25)などが観念右翼としてあげられる。 ※革新右翼と観念右翼の理念型(日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜より引用) ①革新右翼 ②観念右翼 国家改造 国体明徴 高度国防国家 国民精神総動員 解釈改憲 護憲(不磨の大典) 指導者原理 臣道実践 統制経済 資本制擁護 親ソ・親独 反共・反独裁 世界史的な使命 日本史的な道統 陸軍統制派 陸軍皇道派 革新官僚 財界 無産政党 既成政党(現状維持派) 国家社会主義者 自由主義者 ※②観念右翼が「日本主義」を唱えたのに対して、①革新右翼すなわち国家社会主義者は「アジア主義」の立場を説く場合が多かった。 ※以下、関連項目をブリタニカ百科事典より引用。 ◇参考:アジア主義 【大アジア主義】だい・アジア・しゅぎPan-Asianism 欧米列強のアジア侵略に抵抗するため、アジア諸民族は日本を盟主として団結すべきであるという考え方。明治初期以来、種々の視角から展開された。植木枝盛は自由平等の原理に基づきアジア諸民族が全く平等な立場で連帯すべきことを説き、樽井藤吉や大井健太郎は、アジア諸国が欧米列強に対抗するために連合する必要があり、日本はアジア諸国の民主化を援助すべき使命があると説いた。明治20年代になると、大アジア主義は明治政府の大陸侵略政策(注)を隠蔽する役割をもつようになった。1901年に設立された黒龍会の綱領にもみられるように、その後の大アジア主義は天皇主義とともに、多くの右翼団体の主要なスローガンとされ、これに基づいて満蒙獲得を企図する政府・軍部の政策が推進された。日本人の大アジア主義的発想は、第二次世界大戦前・戦中の「大東亜共栄圏」構想を支えた。※注:ブリタニカ百科事典にも自虐史観の傾向は当然あり、上記のような「大陸侵略政策」という問題のある記述がなされている。 【大東亜共栄圏】 第二次世界大戦を背景に1940年第二次近衛内閣以降45年敗戦まで唱えられた日本の対アジア政策構想。その建設は「大東亜戦争」の目的とされた。東条英機の表現によれば、大東亜共栄圏建設の根本方針は、「帝国を核心とする道義に基づく共存共栄の秩序を確立」しようとすることにあった。しかし実際は、東アジアにおける日本の軍事的・政治的・経済的支配の正当化を試みたものに他ならなかったといえる。第一次近衛内閣当時の「東亜新秩序」は日本・満州・中国を含むものに過ぎなかったが、南進論が強まるにつれて、インド・オセアニアにいたる大東亜共栄圏構想に拡大された。大東亜省の設置と大東亜会議の開催は、このような方針の具体化に他ならない。 ◆5.まとめ ↓本文はここをクリックして表示 -... 運動の性格 ① 明治期の日本主義 政府の欧化主義に反発し、国粋主義/国権主義(特に政府の欧米協調路線に反対する攘夷主義)を主張した言論活動(政論的ジャーナリズム) 他国の侵略から自国・自民族を守る(解放的ナショナリズム) 右翼思想 当初は国粋主義的だった在野言論人の活動は、明治末・大正期に日本が大国化したのちも反骨精神は全く変わらず、今度は次第に左翼思想に理解を示す者が出てきた(左右等価気分説(※1))。更に彼らは、戦後は進歩派・市民派左翼文化人として活発に活動した(長谷川如是閑・丸山眞男etc.)。 ② 昭和期の日本主義 皇道・国体思想を強調して、社会主義やマルクス主義の思想侵略の脅威への対抗イデオロギーとして機能した思想活動 全体主義の脅威から自国の歴史・伝統に根差した自由を守る(日本型保守主義) 保守思想 日本精神主義派(観念右翼)。日本主義的教養を武器に学生・知識人の左傾化を防止し日本精神に目覚めさせると共に、革新右翼の狙う国家改造・解釈改憲・国家経済の社会主義化、更には戦争の長期化を「護憲」の立場から制止・抑制するために奔走。いざ戦争が激化すると国防のために生死を厭わず護国のために尽くした者が多い。 ③ アジア主義 アジア諸民族を白人支配から解放するという大義を掲げ、実際にも明治期の孫文を初めインドのB.ボース、フィリピンのアギナルドらの独立運動と連動しつつ遂行された日本の勢力拡張運動。 アジア諸民族の独立を支援する(排白人主義)(拡張的ナショナリズム) 極右思想 国家社会主義派(組織右翼=革新右翼)と重なる。代表的イデオローグとして5.15事件に関与した大川周明、2.26事件に連座した北一輝。革新右翼は2.26事件暴発後に勢力を急拡大し三木清など転向左翼の多数が近衛内閣のブレーン集団を形成して国策を左右した。※詳しくは 右翼・左翼の歴史 参照 ※「保守」「右翼」「極右」の違いは ナショナリズムとは何か 参照 ※1:左右等価気分説…右傾化も左傾化も既成勢力に対する反抗という意味で基本的に同じ心情に基づくものであり、状況が変化すれば左・右転換は容易とする説。 以上、説明したように、日本においても「保守主義」と「ナショナリズム」を区別することは可能であり、かつ英米保守主義との整合性という観点からもこの区別は必要と思われる。また、戦前・戦中に「日本主義」を唱えた日本型の保守主義者の系譜は、参考図書にあるとおり、実は戦後も途切れておらず、現在の日本の保守主義陣営(伝統保守の側)の中核に繋がっていることに注目すべきである。(なお、経済保守についてはこの限りでない) ※日本の保守主義に関して詳しくは、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を参照下さい。 ■8.参考図書 ↓本文はここをクリックして表示 +... 『保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか (単行本)』中川八洋(著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介これまで日本には保守主義は正しく紹介されなかった! 保守主義が真に必要な今、その真髄を初めて体系的に詳解。保守の常識が覆る!アメリカを建国した保守主義の天才、ハミルトン。“法の支配”という自由の砦を大成した、コーク。フランス革命と戦った「保守主義の父」、バーク。それらの思想について、ほとんどの日本人は知ることがない。明治以降、あれほど西欧思想が流入したにもかかわらず、英米を中心とした保守主義はほとんど排除されてきた。その結果、日本人は保守主義について、あまりに無知である。保守主義者を自称するものも、保守主義とはどういう思想かを理解していない。法曹関係者ですら、“法の支配”の真の意味がわかっていない。この保守への無理解が、ひいては現在日本のあまりの非常識と混迷を招いているといっても過言ではない。では「保守主義」とは何か? それを体系的に解説したのが本書である。上記の思想家たちの他にも、トクヴィル、ヒューム、アーレント、オルテガ、ホイジンガ、ハイエクなど数多くの思想家を紹介する。いま初めて明かされる保守主義の真髄!目次第1部 保守主義の父祖たち(「米国保守主義の父」アレグザンダ・ハミルトン、「法の支配」は復権できるか―マグナ・カルタ再生とコーク卿、「保守主義の父」バーク―「バーク・ルネサンス」を日本に祈る)第2部 全体主義と戦う「真正の自由」(「隷従への道」を歩む二十一世紀日本―アーレント解題、「赤より死!」の、反ヘーゲル―カール・ポパーの哲学、平等という、自由の敵―警鐘を鳴らすトクヴィル、反撃するベルジャーエフ)第3部 「美徳ある自由社会」を創る(人間を透視したヒューム道徳哲学、「社会正義」は“亡霊”―自由の原理とハイエク政治哲学、「高貴なる自由」―永遠のバーク哲学)★ハイエクの思想を機軸に、西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想の系譜を峻別して分かり易く解説。エドマンド・バークを初めとする西欧の正統保守思想の概略をこの一冊でマスター可能。残念ながら現在は絶品であり中古本も高額なので同著者の正統の哲学 異端の思想―「人権」「平等」「民主」の禍毒で代用することを薦めます。 アメリカ保守革命中岡 望 (著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介今、世界を席巻しつつある「保守主義革命」は、アメリカで始まった。それは“アメリカ化”という形で、世界の政治、経済、文化を巻き込み、留まることのない勢いで世界の隅々まで行き渡りつつあるようにみえる。日本もその世界的な潮流の埒外に存在しているわけではない。主流だったリベラリズムと対峙しながら、最初は思想運動として始まり、やがて現実の政策へと影響力を拡大していったアメリカ保守主義の発展過程とその内実を縦横に描いた名作。目次第1章 戦後の保守主義のルネッサンス(アメリカのリベラリズムと保守主義思想、二人の保守主義思想のゴッドファーザー ほか)第2章 保守主義思想とレーガン革命(思想運動から政治運動へ、保守主義思想の政治の代弁者たち ほか)第3章 レーガン革命と冷戦後の保守主義運動(未完のレーガン革命、一九九〇年代の保守主義の思想闘争 ほか)第4章 新しいエスタブリッシュメント―ネオコンの群像(ネオコンの創始者たち、ネオコンたちの思想的変遷 ほか)第5章 ブッシュ政権と二一世紀の保守主義(ブッシュ政権の樹立と政策、ブッシュの経済政策―レーガノミックスの再現 ほか)★戦後アメリカで細々と始まった(1)ウィーバー カークによる伝統保守の思想運動と、(2)ハイエク・フリードマンらによる経済保守の思想運動の二つの流れが、メイヤー バックリーによって融和・統合され、やがてゴールドウォーター、レーガンというコミュニケーター(人気政治家)を得て遂にアメリカ政治の表舞台に立つ時がくる。そして不十分な結果に終わったレーガン革命は、クリントン政権期の試練を経て、ブッシュ子政権期に更なる前進を見せる。60年の長期に渡るアメリカ保守革命のあらましを必要十分に描きつくした好著。 日本主義的教養の時代―大学批判の古層竹内 洋 (編集), 佐藤 卓己 (編集) 2006.2刊内容(「BOOK」データベースより)戦前「護憲」の降魔剣“日本主義”を解明。「右翼」「反動」のレッテル貼りで忌避されてきた一九三〇年代“日本主義”の大学批判。マルクス主義的教養の機能的代替となった日本主義的教養の担い手たち。来るべき時代を読み解く画期的論集。目次第1章 帝大粛正運動の誕生・猛攻・蹉跌第2章 天皇機関説批判の「論理」―「官僚」批判者蓑田胸喜第3章 写生・随順・拝誦―三井甲之の思想圏第4章 英語学の日本主義―松田福松の戦前と戦後第5章 戦時期の右翼学生運動―東大小田村事件と日本学生協会第6章 日本主義的社会学の提唱―赤神良譲の学術論第7章 日本主義ジャーナリズムの曳光弾―『新聞と社会』の軌跡★未だに自虐史観どっぷりの東大・岩波系とは距離を置く京大系の学者達による昭和10年代日本の思想状況の共同研究プロジェクト全体のガイドライン的な位置づけの本。 日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜井上 義和 (著) 2008.6刊内容(「BOOK」データベースより)国家的危機の時代における大学の使命とは何か。欧化一辺倒の東京帝国大学に学風改革を迫り、高度国防国家を標傍する政府とも命がけの思想戦を繰り広げた東大生たち。戦時体制下で宿命的に挫折した“日本主義的教養”の逆説を読み解き、日本型保守主義の可能性を探る。目次第1章 「右翼」は頭が悪かったのか―文部省データの統計的分析第2章 政治学講義と国体論の出会い―『矢部貞治日記』を中心に第3章 学風改革か自治破壊か―東大小田村事件の衝撃第4章 若き日本主義者たちの登場―一高昭信会の系譜第5章 学生思想運動の全国展開―日本学生協会の設立第6章 逆風下の思想戦―精神科学研究所の設立第7章 「観念右翼」の逆説―戦時体制下の護憲運動第8章 昭和十六年の短期戦論―違勅論と軍政批判第9章 「観念右翼」は狂信的だったのか―日本型保守主義の可能性★現代の日本会議に繋がる国民文化研究会の母体となった昭和10年代の右翼学生運動の系譜を追い、左翼が壊滅した後、国家改造を進める革新右翼(国家社会主義者・アジア主義者)と激しく対立した観念右翼(伝統保守・日本主義者)の論理と実情を具体的に論証する好著 保守主義とは何か―反フランス革命から現代日本まで宇野重規(著)、中公新書、2016年6月刊内容(中央公論新社ウェブサイトから引用)21世紀以降、保守主義者を自称する人が増えている。フランス革命による急激な進歩主義への違和感から、エドマンド・バークに端を発した保守主義は、今では新自由主義、伝統主義、復古主義など多くのイズムを包み、都合よく使われている感がある。本書は、18世紀から現代日本に至るまでの軌跡を辿り、思想的・歴史的に保守主義を明らかにする。さらには、驕りや迷走が見られる今、再定義を行い、そのあり方を問い直す。目次序章 変質する保守主義―進歩主義の衰退の中で第一章 フランス革命と闘う第二章 社会主義と闘う第三章 「大きな政府」と闘う第四章 日本の保守主義終章 二一世紀の保守主義★2016年6月に刊行された本書の著者やその推薦者によれば・・・・本書は、対フランス革命や対社会主義革命、対大きな政府など保守主義の時代による変遷をコンパクトに纏めた好著である。「「保守」を自任する人の多くは、「リベラル」や「左翼」にについて恣意的なイメージを描き、それを藁人形のようにしてたたくことで、自らの「保守」を正当化する。しかしながら、多くの場合、それは空想上の仮想敵を相手にした空回りに過ぎないようにも見える。」という著者の指摘は重く響く・・・という触れ込みであるが、実際に本書を読んでみると、「日本の保守主義についても…(中略)…アジアの植民地化など批判すべき点の方が多い」(p.212)とか「国の基本的な枠組みを維持する根幹である立憲主義の原理も、むしろ保守主義を名乗る勢力によって破壊されつつある」(p.200)という言説が散見され、結局のところ、著者のスタンスはどれだけ中立を装うとも所詮は丸山テーゼに彩られたアジア侵略史観(自虐史観)(※丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証参照)と戦後左翼的護憲思想(※立憲主義とは何か参照)を脱し切っておらず、もし本書に何らかの意義があるとすれば、著者と同じく未だそうしたスタンスから抜け出し切れない半可通の方が、取り敢えず批判的に「保守主義とは何か?」ということを、表面的であれ、あれこれ考えてみる第一歩になる・・・といったところでしょう。とくに本書の場合、アンチ全体主義のチャンピオンであるハイエクの著作について、その初期の著『隷属への道』だけは巻末の参考図書に挙げても、彼の本当の代表作である『自由の条件』については本編で若干の言及を加えてアリバイを作りつつも参考図書から外していたり、ハイエクの盟友ポパーの名著『開かれた社会とその敵』を完全に無視している点に明らかに欺瞞を感じる(※なぜならハイエク『自由の条件』やポパー『開かれた社会とその敵』まで読者に進まれると、読者が左翼思想がそこで完膚無きまでに論破されていることをハッキリ理解してしまう怖れが高いから)。そういう意味で、本書を読了して尚煮え切れない思いを抱いた方こそ、本サイトの左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページの各ページに進んで欲しいものである。 ■9.ご意見、情報提供 ページ内容向上のためのご意見・情報提供を歓迎します。 ↓これまでの全コメントを表示する場合はここをクリック +... 元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24 以下は最新コメント表示 元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24 名前 ラジオボタン(各コメントの前についている○)をクリックすることで、そのコメントにレスできます。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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改行ズレ/画像ヌケ等で読み辛い場合は、ミラーWIKI または図解WIKI をご利用ください 自ら『保守主義者』を名乗っているアメリカ人は、事実は自由主義者である。 ~ B.クリック(英国の政治学者)『アメリカ保守主義の奇妙な探求』(1955年) 保守主義(conservatism)の概念を総合的に考察し整理・明晰化するページ <目次> ■1.このページの目的・構成 ■2.保守主義、及び関連する諸思想◆1.保守主義・関連する諸思想の説明 ◆2.保守主義・関連する諸思想の整理図 ■3.保守主義の概念定義◆1.保守主義(conservatism)の辞書的定義 ◆2.内包と外延 ■4.保守主義の内包(=内在する属性)◆1.保守主義の核心的特色 ◆2.保守主義の一般的特質 ◆3.保守主義の価値観・思惟構造 ■5.保守主義の外延(=対象となる範囲)◆1.保守主義と自由主義の関係 ◆2.伝統保守と経済保守の架橋◇1.18世紀イギリスの自由主義思想家による「伝統保守」の説明 ◇2.保守主義=「小さな政府」なのか? ◇3.伝統保守(旧保守)と経済保守(新保守)の架橋 ~ フュージョニズムと「思いやりのある保守」 ■6.保守主義と混同されやすいが別概念として区別すべきもの◆1.保守主義とリバタリアニズムの区別◇自由至上主義(libertarianism)の辞書的定義 ◆2.保守主義とコミュニタリアニズムの区別◇共同体主義(communitarianism)の辞書的定義 ◆3.保守主義とナショナリズムの区別◇1.ナショナリズム(nationalism:国民主義、民族主義、国家主義など文脈に応じて様々に訳し分ける)の辞書的定義 ◇2.ナショナリズムの発展モデル ◆4.保守・右翼・極右の区別 ■7.日本の保守主義◆1.参考:「保守主義」という用語の使用状況 ◆2.西欧保守主義・日本の保守主義の接合上の問題点と考え方◇1.保守主義と、自由主義・個人主義・デモクラシーの関係 ◇2.保守主義と、ナショナリズムの関係 ◆3.日本主義 ◆4.革新右翼(国家社会主義者)と観念右翼(伝統保守)◇参考:アジア主義 ◆5.まとめ ■8.参考図書 ■9.ご意見、情報提供 ■1.このページの目的・構成 全く正反対の政治的信条を持つ「リバタリアン(自由至上主義者)」と「コミュニタリアン(共同体主義者)」が共に「我こそ保守主義者だ」と主張していたり、「ナショナリズム」が「保守主義」と混同されています。 あるいは、「小さな政府」こそ「真の保守」だと言う人、また「国体護持」こそ「真の保守」だという人もいます。 このページでは、そうした様々に主張されている保守主義の内実をその歴史的沿革や辞書的な概念定義から、客観的に検討し、 保守主義とは、 (1) ルソーの革命思想/デカルトに始まる設計主義的合理主義/共産主義/社会主義/ファシズム等の全体主義思想に対する対抗思想として発生したものであって、 (2) その内実は、歴史の中で育まれてきた価値多元的で寛容な自由を守ろうとするもの、即ち自由主義(左翼的リベラリズムではなく真正の自由主義)である とするのが、最も整合的な理解であることを説明していくとともに、 リバタリアニズム・コミュニタリアニズム・ナショナリズムなど保守主義に部分的に類似する諸概念について、その関係を整理・明晰化していきます。 そして最後に、以上で得られた保守主義の標準的な理解をベースとして、日本における保守主義の内実の検討に踏み込みます。 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ■2.保守主義、及び関連する諸思想 ◆1.保守主義・関連する諸思想の説明 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※下記は全て、ブリタニカ百科事典(日本版)より引用(ただし※注はこちらで追記) 政治思想ないしイデオロギー 説明 関連ページ 保守主義、及び、保守主義の内実を成す概念 保守主義(conservatism) 既存の価値・制度・信条を根本的に覆そうとする理論体系が現れたときにこれに対する対抗イデオロギーとして形成される。「保守主義の宣言」とも言われる『フランス革命に関する省察』を著わしたE.バークは、人間のあらゆる制度の基礎は歴史であり、具体的な文脈のなかで長い時間をかけて培われてきたものだけが永続性を持つため、抽象的な哲学原理に基づく革命は座絶を運命づけられているとしている。バークは決して変化を拒絶しないが、それは既存のものの漸進的改良として果たされねばならないと考える。歴史的・有機的な社会秩序への人為的介入の排除とその漸進的改革が保守主義の思想的特徴であるが、これは現代のF.ハイエクやM.オークショットにもみられる考え方である。 保守主義とは何か 新保守主義(neo-conservatism) 1960年代後半以降、アメリカでリベラリズムや対抗文化の行き過ぎを批判しつつ登場してきた思想。I.クリストル、D.ベル、S.ハンティントンなどが代表的である。アメリカでは、ベトナム戦争の経験に伴う文化的混乱から若者を中心として性の自由や家族の解体といった急進的な主張がなされたが、反面、こうした潮流に強い危機意識をいだき、西欧的価値を擁護しながらアメリカの文化的同一性を再定義しようという試みも生まれた。これらは資本主義と自由の結びつきを強調し、共産主義に対する批判を共有するもので、現実の政策的提言においても連邦政府が過剰な役割を果たすことには懐疑的で、私的集団の活動の場を拡大する「小さな政府」への方向性を示唆している。このような主張を経済論として展開しているのが、新自由主義である。 自由主義(liberalism) 個人の諸自由を尊重し、封建的共同体の束縛から解放しようとした思想や運動をいう。本格的に開始されたのはルネサンスと宗教改革によって幕をあけた近代生産社会においてであり、宗教改革にみられるように、個人の内面的自由(信教の自由、良心の自由、思想の自由)を、国家・政府・カトリック・共同体などの自己以外の外在的権威の束縛・圧迫・強制などの侵害から守ろうとしたことから起こった。この内面的諸自由は、必然的に外面的自由、すなわち市民的自由として総称される参政権に象徴される政治的自由や、ギルド的諸特権や独占に反対し通商自由の拡大を求め、財産や資本の所有や運用を自由になしうる経済的自由への要求へと広がっていった。これらの諸自由の実現を求め苦闘した集団や階級が新興ブルジョアジーであったため、自由主義はしばしばそのイデオロギーであるとみられた。しかし各個人の諸自由を中核とした社会構造は、その国家形態からみれば、いわゆる消極国家・中性国家・夜警国家などに表象されるように、自由放任を生み、当然弱肉強食の現象を現出させることになり、社会的経済的に実質的な平等を求める広義の社会主義に挑戦されることになった。しかし、20世紀に出現した左右の独裁政治の実態は、自由主義が至上の価値としてきた内面的自由・政治的社会的諸自由などが、政治体制のいかんに関わらず、普遍的価値があることを容認せしめ、近代西欧社会に主として育まれてきた自由主義は再評価されている。 リベラリズムと自由主義 新自由主義(neo-liberalism) (1) 1870,80年代から勃興したイギリスの理想主義運動、なかんずくT.H.グリーンが主唱した社会思想。グリーンは、道徳哲学としてはJ.ロック、J.ベンサムなどの功利主義的自由主義ではなく、カントやヘーゲルの影響を受けた観念論的・理想主義的自由主義を、社会哲学としては、自由放任主義(経済的自由主義)ではなく国家による保護干渉主義(社会政策)を主唱した。しかし決して国家専制主義や全体主義に陥らず、個人の自我の実現、個人の道徳的生活の可能な諸条件の整備に国家機能が存在するとして、自由主義の中心である個人主義を継受した。この思想はイギリス自由党の労働立法・社会政策に思想的根拠を与えた。⇒※注:こちらは正確には new liberalismであり、訳すと文字通り「新自由主義」だが、現在はこちらの意味では使用されなくなったので注意が必要。 リベラリズムと自由主義 (2) 1930年代以降の全体主義国家の台頭や第二次世界大戦中から戦後にかけてのケインズ政策に反発して、再び個人の自由の尊厳を説き、政府の恣意的政策の採用を排し、法の下での自由を強調する思想。このような思想をもつW.オイケン、W.リプケ、L.ミーゼス、G.ハーバラー、F.ハイエク、L.C.ロビンズ、M.フリードマンらの多彩な人材を擁して、47年にモンペルラン・ソサエティーを結成している。恣意的・強権的権力の行使に反対する点ではかっての自由放任的自由主義と共通する面をもつため、その単なる復活と誤解されがちであるが、普遍的な法の強力な支配の必要を説き、法秩序の下での自由を強調する点で、かっての自由放任とは異なる。経済政策面でのその端的な表れは、ドイツに代表される社会的市場政策とシカゴ学派に代表される新貨幣数量説である。⇒※注:こちらが、neo-liberalism(正確に訳すと「再興自由主義」)すなわち現在使用されている意味での「新自由主義」である。 保守主義に隣接・類似するために混同されやすいが、別概念として区別すべきもの 自由至上主義(libertarianism)※注:項目なしのため、リバタリアン(libertarian)の項目で代用 福祉国家のはらむ集産主義的傾向に強い警戒を示し、国家の干渉に対して個人の不可侵の権利を擁護する自由論者。古典的自由主義と同様、リバタリアンも自由市場経済を支持するが、その論拠は自由市場が資源配分の効率性に関して卓越しているということだけではない。より重要なのは集産主義的介入(⇒コレクティビズム)が、自明の権利である個人の自然権や人権を侵害するという点である。リバタリアンの出発点は社会の理解に関する徹底的な個人主義的アプローチである。社会とは何らかの実体ではなく、自律性を権利として保障された諸個人が互いの価値の実現を目指して交流を持つ場である。経験的な意味で国家や政府による合理的計画よりも自律的な個人の活動のほうが社会的利益を最大化するというだけでなく、道徳的な意味でも個人の自律性を国家や政府の干渉によって強制的に縮小しようとするあらゆる試みは、個人の独自性を破壊し社会の目的のための手段といて扱うことになる。個人の価値の追求にはルールによる制約が課せられるべきであるが、それは各人の平等な権利を保障するというに限定されねばならない。国家や政府の役割はそこにあるのである。⇒※補注参照 中間派について 共同体主義(communitarianism)※注:項目なしのため、コミュニタリアン(communitarian)の項目で代用 人間存在の基盤としての「共同体」の復権を唱える一群の政治哲学者たちの総称。J.ロールズの『正義論』(1971)が政治哲学の復権に大きな影響を与え、当初その指導的立場にあったのが、ロールズに代表される福祉国家的な自由主義を主張するリベラリストと、ノージックに代表される個人の自由に対する制限を最小化しようとするリバタリアンであった。一見したところ対立するこの両陣営は「個人」の多元的対立から社会構成の原理を導出しようとする基本的枠組みでは一致している。この個人主義的な人間像・社会像に対して根本的な次元から論争に参加してきたのがコミュニタリアンである。A.マッキンタイア、M.サンデル、M.ウォルツァーらを代表とし、その主張は必ずしも一様でないが、人間的主体性を抽象的なアトム的存在の自律性としてではなく、共同体のもつ歴史・社会的なコンテクストに根付いた具体的存在として捉えようとする点では共通している。コミュニタリアンの登場の背景にはアメリカ社会が極端な個人主義の結果、公共心を衰退させ、そのことが様々な社会問題を引き起こしているという洞察がある。 中間派について ナショナリズム(nationalism) 民族、国家に対する個人の世俗的忠誠心を内容とする感情もしくはイデオロギー。普通、民族主義と訳されるが、国民主義あるいは国粋主義と訳されることもある。しかしこれらの訳語はいずれもナショナリズムの概念を十分に表現しているとはいえない。ナショナリズムの概念が多義的であるのは、ネーション(民族、国民)が歴史上きわめて多様な形態をたどって生成・発展してきたことに起因している。歴史的な重要概念となったのは18世紀末以後のことである。アメリカの独立とフランス革命がその端緒となったとされ、南アメリカに浸透し、19世紀にはヨーロッパ全体に広まり、ナショナリズム時代をつくりだし、20世紀に入って、アジア・アフリカで多くのナショナリズム運動が展開された。ナショナリズムはこうした諸国の独立をもたらす解放的イデオロギーではあるが、民族紛争と戦争の拡大をもたらす危険も大きい。 ナショナリズムとは何か右派・右翼とは何か ※補注:このように古典的自由主義およびその再興であるハイエクに代表される新自由主義(neo-liberalism)と、リバタリアニズム(自由至上主義)は厳密には別概念であるが、特にアメリカではliberalismが「マイルドな社会主義」を意味する言葉に変形してしまったために、ハイエク的な自由主義をも「リバタリアニズム」と呼ぶ場合がむしろ多くなっており、後述の中岡望 著『アメリカ保守革命』でも、正確には新自由主義(neo-liberalism)と呼ぶべきものをリバタリアニズムと呼称しているので注意が必要。(この場合は「リバタリアニズム」=新自由主義=経済保守 となる) ◆2.保守主義・関連する諸思想の整理図 保守主義 自由主義との関係 該当する概念(=外延) 隣接・類似するが別概念 対抗思想 (1) 伝統保守(真正保守主義) 古典的自由主義と親和的(バーク的保守主義) ・文化的保守・宗教保守(主として社会面に関心) ・共同体主義(コミュニタリアニズム)⇒中間に分類・ナショナリズム⇒右翼に分類 ・フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)・デカルト的理性主義 長い歴史の中で育まれてきた伝統的権威・文化・社会制度を破壊する思想 (2) 経済保守(新保守主義) 新自由主義と親和的(ハイエク的保守主義)即ち、リベラル右派のこと ・反福祉国家/「小さな政府」派・減税主義者(主として経済面に関心) ・自由至上主義(リバタリアニズム)⇒中間に分類 ・社会主義/共産主義/ファシズム等の全体主義・リベラル左派(福祉国家/「大きな政府」派) 資本主義経済体制とそれによって担保される個人の自由を破壊する思想 ※ポリティカルコンパス右図の「親・自由主義/開かれた社会」側の「真正保守(=伝統保守)」と「真正リベラル(=リベラル右派=経済保守)」が保守主義に該当する。 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック。 ※政治的スタンス5分類では、「親・自由主義(開かれた社会)」側の「真正保守(=伝統保守)」と「真正リベラル(=リベラル右派=経済保守)」が保守主義に該当する。 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ※政治的スタンス5分類・8分類について詳しくは 政治の基礎知識 参照。 ■3.保守主義の概念定義 ◆1.保守主義(conservatism)の辞書的定義 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(conservatismの項)より全文翻訳 歴史的に発展し、それゆえに継続性と安定性の明証である制度(institutions)と慣行(practices)への愛好を表す政治的態度またはイデオロギー 保守主義は近代においてフランス革命に対するリアクションとしてエドマンド・バークの著作を通じて最初に表明された。バークはフランス革命は、その理想が、その行き過ぎによって汚された(tarnished)と信じていた。 保守主義者は、変化の遂行は最小限(minimal)で漸進的(gradual)であるべきだと信じている。彼らは歴史を愛好し、理想的(idealistic)であるよりは現実的(realistic)である。 著名な保守主義政党として、英国の保守党、ドイツのキリスト教民主同盟、アメリカの共和党、日本の自由民主党がある。 (2) オックスフォード英語事典(conservativeの項)より抜粋翻訳 (政治的文脈において)自由企業・私的所有・社会に関する保守的な理念を愛好すること (3) コウビルド英語事典(conservatismの項)より全文翻訳 1 保守主義とは、変化が社会にとって為されることが必要とされる場合において、それは漸進的(gradual)に為されるべきだと信じる政治的哲学である。 2 保守主義とは、変化や新しいアイディアを受け入れることを嫌がることである。 ◆2.内包と外延 ↓本文はここをクリックして表示 -... 保守主義(conservatism)の辞書的定義を押さえたところで、次はその内包と外延を検討します。 (1) 内包(intension) 論理学で、一概念に含まれる属性。例えば「空」の内包は、「上、青色、広い」など (2) 外延(extension) 論理学で、その概念が適用される事物の範囲。例えば、金属という概念の外延は、金・銀・鉄の類 ■4.保守主義の内包(=内在する属性) ◆1.保守主義の核心的特色 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) (保守主義とは)常に「現状(status quo)」の中に、①「守る(conserve)べきもの」と、②「改善(improve)すべきもの」を弁別し 1 「絶対的破壊(absolute destruction)」の「軽率さ(levity)」と 2 「一切の改善を拒絶する頑迷(the obstinacy that rejects all improvement)」 を共に排除しようとするもの、であり (2) そのような「保守(preserve)」と「改革(reform)」とにあたっては 1 古い制度の有益な部分が維持され 2 「改革」によって「新しく付け加えられた」部分は、これに「適合するようにされるべきであり」 3 全体としては「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」が保たれることを政治の眼目とする という所に、その顕著な特色がある。 つまり 1 「現状(status quo)」の中に常に「守る(conserve)べきもの」を見出すことを起点として政治的思惟が進行する、という思考形式と、 2 「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」への政治的志向 の2つが、E.バークに代表される保守主義の核心的特色である。 この様な保守主義的政治態度は、政治情勢により「右」へ振れる場合にも、あるいは「左」に振れる場合にも、その振幅を有限化するばかりでなく比較的にいって僅少なものにする。 なぜなら、いずれの方向にせよ、過度の振れは「守るべきもの」を放棄することを意味し、また「左」へ振れすぎるときには、進歩の連続性が切れてしまうからである。 従って、バークの保守主義の哲学は、一言にして尽くせば、文字通りの「政治的安定性(political stability)」の哲学、「政治的力学」の哲学、高度の政治的「復元力(stability)」を持つ哲学に他ならない。 ◆2.保守主義の一般的特質 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) 思想形成の反定立(antithesis)性 保守主義は既に定立(thesis)された思想の衝撃を待って初めて、その対立者として自己の思想形成を開始する。 (2) 思想内容の他者被規定性 保守主義は、思想内容が他者によって(つまり定立された別の思想によって)方向づけられ限定される。即ちバークにおいては「アンチ・フランス啓蒙思想」「アンチ・デカルト流理性主義」であり、ハイエクやポパーにおいては「アンチ・社会主義/共産主義その他の全体主義」「アンチ・リベラリズム/福祉国家」である。 (3) 高度の状況的機動性(状況適応性) 保守主義は、それが置かれた具体的状況に密着した思考形式と実現手段を提供する。つまり保守主義は、その対抗思想のように理論が先行した思考様式ではなく、常に「現状(status quo)」を前提として歴史的継続性の中で、その内容と対応策を見出す。「イギリス人は新事態が起こるたびごとにそれを如何に利用するかを心得ている」(A.ヒットラー)即ち保守主義は、①反省的判断力による個性的状況の敏速な把握と、②政治的実践へのその巧みな活用、を本領とする。 (4) 無原則的状況主義(opportunism)との区別 保守主義は、一般に「中道(mid-roader)」あるいは「中間(centrist)」と呼ばれる「無原則主義(opportunism、便宜主義・日和見主義)」と違って一定の政治的原則/政治的価値を保持する。 (5) 貴族政治的(aristocratic)志向性 保守主義は、民衆政治(democracy)を衆愚政治(mobocracy)に陥り易いものとして警戒し敬遠する傾向がある。 ※関連ページ デモクラシーと衆愚制 ◆3.保守主義の価値観・思惟構造 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) 「現状(status quo)」における「保守(conserve)すべき」内容の発見可能性の肯定 保守主義は一定形態の歴史意識(但しマルクス主義的な歴史発展法則を肯定するものではなく「過去」と「現在」との継続性という意味での歴史意識)と、そうした歴史を把握する人間の能力(つまりデカルト的な普遍的理性ではなく、歴史的に形成され、個別的に存在する広義の理性)を肯定している。なぜなら保守主義は「現状(status quo)」の中に一定の「保守すべき」(即ち一定の積極的に望ましいと評価し得る)内容を見出す思想であり、それは従って人間は歴史的な経緯のうちに「保守すべき」価値内容を弁別する能力を保有することを肯定しているからである。 (2) 政治目的およびその実現手段の「既存性(existence)」の肯定 一般に政治的思惟は、①政治的目標の設定に始まり、②その適合的な実現手段を発見し、③その手段の効果的適用による目標実現によって完了する。しかし保守主義は、①この政治的思惟の起点を「現状(status quo)」における「保守すべき」内容の発見に求め、かつ、②その実現手段をも「現状」に求めている。「真の政治家というものは、常に、どうすれば自国の現存の諸材料を、最大限度に利用することになるかということを考慮するものである」(E.バーク) (3) 「申し分なく継続的な進歩(well-sustained progress)」の肯定 保守主義は「歴史の流れに順行した」政治、言い換えると慣例を活かし「現状(status quo)」を絶えず制度的ないし観念的に過去に連結していくような政治を理想とする。政治における新奇な、あるいは革新的な企図は、保守主義の歴史意識にとっては歴史の継続性に対する撹乱要因に過ぎない。 (4) 「自然的」人間性に対する「歴史的」ないし「社会的」人間性の優位 (5) 「自然的」理性に対する「歴史的」理性の優位 (6) 「抽象的悟性(abstractive understanding)」に対する「歴史的悟性(historical understanding)」の優位 「旧い先入見prejudice」と「理由のない慣習」の尊重 ■5.保守主義の外延(=対象となる範囲) ◆1.保守主義と自由主義の関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... リベラリズムについては リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 を参照のこと。 要約すると、リベラリズムには歴史的に以下の4段階があり、このうち日本語の語感で「自由主義」に相当するのは 1 と 3 である。 リベラリズムの段階・種類・区分 時期 意味内容 1 古典的リベラリズム(classical liberalism) 16世紀~19世紀 ①個人の権利・自由の確保、②政府権力の制限、③自由市場を選好…消極国家(夜警国家) 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism) 19世紀末~20世紀 経済的不平等・社会問題を緩和するため市場への政府介入を容認→次第に積極的介入へ(積極国家・福祉国家・管理された資本主義)社会主義に接近しているので社会自由主義(social liberalism)と呼ばれ、自由社会主義(liberal socialism)とも呼ばれた。 3 再興リベラリズム(neo-liberalism) 1970年代~ スタグフレーション解決のため自由市場を再度選好。 2 を個人主義から集産主義への妥協と批判し、個人の自由を取り戻すことを重視 4 現代リベラリズム(contemorary liberalism) 現代 ①不平等の緩和、②個人の権利の拡張、を含む社会改革を志向1970年代以降にJ.ロールズ『正義論』を中心にアメリカで始まったリベラリズムの基礎的原理の定式化を目指す思想潮流で、①ロールズ的な平等主義的・契約論的正義論を「(狭義の)リベラリズム」と呼び、②それに対抗したR.ノージックなど個人の自由の至上性を説く流れを「リバタリアニズム(自由至上主義)」(但し契約論的な構成をとる所はロールズと共通)、③また個人ではなく共同体の価値の重要性を説くM.サンデルらの流れを「コミュニタリアニズム(共同体主義)」という。 補足説明 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism)と 4 再興リベラリズム(neo-liberalism)は共に「新自由主義」と訳されるので注意。もともと 1 古典的リベラリズムに対して修正を加えた新しいリベラリズム、という意味で、 2 ニュー・リベラリズム(訳すと「新自由主義」)が生まれたのだが、世界恐慌から第二次世界大戦の前後の時期に、経済政策においてケインズ主義が西側各国に大々的に採用された結果、 1 に代わって 2 がリベラリズムの代表的内容と見なされるようになり、 2 からnewの頭文字が落ちて、単に「リベラリズム」というと 2 ニュー・リベラリズムを指すようになった。ところが、1970年代に入るとインフレが昂進してケインズ主義に基づく経済政策が不況脱出の方途として効かなくなってしまい、市場の自律調整機能を重視する 1 の理念の復興を唱える 3 ネオ(=再興)・リベラリズムに基づく政策が1980年前後からイギリス・アメリカで採用されるようになった。そのため今度は、 3 を「新自由主義」と訳すようになった。 保守主義は、 ① 18世紀末のE.バークの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、 1 古典的自由主義を意味し、 伝統保守(旧保守) 対抗思想 フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)、デカルト的理性主義(設計主義的合理主義) ② 20世紀半ば以降のF.A.ハイエクやK.R.ポパーの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、 3 再興(=ネオ)自由主義を意味した。 経済保守(新保守) 対抗思想 社会主義・共産主義・ファシズム等の全体主義、 2 ニュー・リベラリズム(所謂リベラリズム…福祉国家など大きな政府による実質的な個人の自由の剥奪) ⇒「保守主義の他者被規定性」の項目参照。 ◆2.伝統保守と経済保守の架橋 ↓本文はここをクリックして表示 -... ◇1.18世紀イギリスの自由主義思想家による「伝統保守」の説明 (1) D.ヒューム(スコットランド出身の英国外交官・道徳/政治哲学者、歴史家)『道徳・政治・文学に関する随想』(1742) 「英国においては到底存在する見込みはないと思われる一政体について、これ以上論議を重ねる必要はありません。我々の間ではどの党派もそれを目的としてはいないように見えます。出来るだけ我が国の古来の政体を育て発展させるようにしましょう。大変危険な新型の諸政体に対する情熱を掻き立てないようにして。」 (2) E.バーク(アイルランド出身の英国下院議員・思想家)『フランス革命の省察』(1790) 「思慮深い警戒心、綿密周到さ、気質的というよりはむしろ善悪判断から来る小心さ、これらが最も断固たる行為をする際に我々の父祖が拠り所とした指導原理の中にありました。彼らは、あの光-つまりフランス人の紳士諸君が自分たちはそれに大いに与っていると吹聴するあの光-に照らされてはいなかったために、人間とは無知で誤りやすいものである、ということを肝に銘じて行動したのでした。」 「国家と法を聖別するにあたって、まず第一に則るべき最も重要な原理の一つは、それら国家や法を一時的に、あるいは終身で保有している人々が祖先から受け取ったものや本来子孫に属するものを忘れて、あたかも自分だけが完全な主人であるかのように行為する、といったことがあってはならない、ということです。即ち、自らの社会の根源的な構造を勝手に破壊し、それによって限嗣相続の制限を解除したり相続財産を浪費したりしても、それは自分たちの権利のうちなのだ、などと思ってはならない、ということです。もしもそうしたことが行われれば、彼らは後から来る者に対して、住むべき家の代わりに廃墟を残すことになるでしょうし、彼らが自らの祖先の諸制度を殆ど尊重しなかったのだから、彼らが考え出したものもやはりそんなに尊重するには及ばないのだ、と教えるようなものでしょう。」 ◇2.保守主義=「小さな政府」なのか? 参考サイト 本当の対立点とは何か?(「保守主義」の定義) (戦争に負けた国blog様) このサイトに見るように「小さな政府」こそ保守主義だとする主張がある。 保守主義がすべからく「大きな政府」に反対する、という意味では確かにそうだが、保守主義は「経済保守(新保守=リベラル右派)」だけではない。 伝統文化・社会的価値の維持発展に主な関心を注ぐ「伝統保守(旧保守)」は、経済政策においては一般に「小さな政府」よりも中負担・中福祉(=中規模の政府)を志向する。 従って、この命題は、半分だけ正しい。 用語 説明 関連ページ 小さな政府(limited government)※注:項目なしのため、安価な政府の項目で代用※補注参照 「小さな政府」ともいう。18世紀末頃より用いられた自由主義の財政的標語で、財政規模のあまり大きくない政府をいう。ナポレオン戦争後のイギリスでは、軍事費の削減はもとより、航海法・独占特許制度の撤廃などの自由主義施策の推進と並んで一般経費の縮減が進められた。このため1870年頃まで国家財政の規模は年々減少、または漸増するにとどまり、史上ほとんど唯一の「安価な政府」が出現した。その思想的背景にあるものは、国の役割を国防・警察などに限るA.スミスの夜警国家観である。しかし、前世紀(注:19世紀)末以降イギリスを含めて経費膨張が避けがたい傾向となったことは、帝国主義の風潮に追うところが大きい。第二次世界大戦後は、福祉の充実など各経済分野での公共部門の拡大が「高価な政府」へと拍車をかけているが、1980年代アメリカのレーガン政権、イギリスのサッチャー政権下では「小さな政府」への動きがみられた。その趣旨は、経済・社会政策の領域での政府の役割を削減し、市場機構と競争に多くを委ねることによって財政赤字・政府規制を改め、公営企業の民営化を促し、自立・自助の精神により資本主義経済の再活性化をはかることにあった。(⇒経費膨張の法則) ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 ※補注:実際には「安価な政府(cheap government)」という政治・経済用語は英語圏には存在しない。 (cheap government は「安っぽい・みすぼらしい政府」の意味になってしまい、用語として不適切)⇒英語に疎い日本人学者の間で使用される誤った用語と思われるが、ここでは日本語版ブリタニカ百科事典の記載内容をそのまま転記する。 ◇3.伝統保守(旧保守)と経済保守(新保守)の架橋 ~ フュージョニズムと「思いやりのある保守」 フュージョニズム(fusionism) アメリカにおいて冷戦時代に「伝統保守」と「経済保守」の融合・架橋を目指した思想的立場 ※以下は、「乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~」様blog記事中岡望『アメリカ保守革命』 より抜粋 ※なお、中岡望氏は、現代アメリカの用法に従って「新自由主義(=リベラル右派=経済保守)」の意味で「リバタリアニズム」という語を使用しているので注意が必要。 戦後のアメリカ保守主義は二つの流れに収斂されていった。ひとつは伝統主義であり、もう一つはリバタリアニズムである。だが保守主義運動の中で、この二つのグループの間に直接的な接点はなかった。二つの保守主義は共通な価値観を持っていたが、必ずしも同じ理想を求めていたわけではなかった。「大きな政府」を批判する点では一致しながらも、「個人の自由」に関する考え方は大きく違っていた。伝統主義者が倫理や宗教から「個人の自由」を理解しようとしたのに対し、リバタリアンは市場という観点から理解しようとしていた。(p.40)伝統主義者は敬虔なキリスト教徒が主流を占めていたのに対し、リバタリアンの多くは宗教には比較的無関心であった。伝統主義者は伝統を重んじ、個人主義に対して批判的であったが、リバタリアンはダイナミックに変化する社会経済をイメージし、個人の自由を最大限認める個人主義の哲学を掲げていた。(p.41) しかし、思想運動としての保守主義が発展するためには、「小異を捨てて大同につく」ことが求められた。二つの流れを融合させることが必要であった。反共主義がその接着剤の役割を果たした。 保守主義の二つの流れを融合させたのが、ジャーナリスト出身の保守主義者フランク・メイヤーである。融合された保守主義思想は「フュージョニズム(融合主義)」と呼ばれた。(p.41)伝統主義が主張する人間の“美徳”の達成は・・・リバタリアンの主張する“自由な社会”があって初めて可能になると説いたのである。メイヤーは、これによって、それまで対立していた伝統主義とリバタリアニズムを保守主義革命の大義のために“融合”させたのである。(pp.43-4)フュージョニズムが反共主義によって貫かれている・・・。冷戦が深刻化し、共産主義の世界への拡大が現実のものとなりつつあった当時の状況から、全体主義に反対する伝統主義者もリバタリアンも、反共主義にはまったく異論がなかった。その結果、反共主義はアメリカの多様な保守主義の思想を結びつける役割を果たすことになる。(pp.44-5) ここまでがアメリカ保守主義革命の第一段階である。メイヤーによる“融合”によって理論武装を終えた保守主義者は、その舞台を思想の場から政治の場へと移していく。彼らは保守主義思想を単なる思想運動に留めることなく、その理念を政治の場で実現しようとした。ここから保守主義革命は第二段階に突入する。1950・60年代、タフト、ゴールドウォーターという二人の共和党政治家は保守主義の理念を政治の場で実現することに成功しなかった。しかし、その過程で、保守主義運動の本流の流れとは別に、(伝統的な孤立主義を捨てて積極的に国際政治に介入しようとする反共主義者である)「冷戦リベラル」や(人工中絶や同性愛を宗教的な倫理観に反する現象として徹底的に批判する)「クリスチャン・ライト」といったグループが保守陣営に加わり、保守主義者は共和党の一大支持基盤を形成していく。それに伴って、共和党は保守主義を奉じる政党へと変貌していく。そして、1980年、レーガン共和党政権の成立によって、ついに保守主義はその理念を政治の場で実現するチャンスを手に入れた。 思いやりのある保守主義(compassionate conservatism) ブッシュ大統領が、冷戦終結で「反共」という共通基盤を失った後の「伝統保守」と「経済保守」を架橋するために打ち出した政策コンセプトであり、さらに「思いやり(compassion)」という言葉に象徴されるように、従来は共和党の支持者獲得のターゲットとはあまりみなされなかった社会的弱者への目配りが含意されている。英キャメロン首相も、ブッシュ政権に倣いこれを自身の政策コンセプトとして採用しているほか、安倍元首相が政権当時掲げた「再チャレンジ支援構想」もこのコンセプトの影響を受けていると考えられ、21世紀型の保守主義のあり方として注目される。 ■6.保守主義と混同されやすいが別概念として区別すべきもの ここでは、保守主義(=真正の自由主義)と全体主義の間に位置するリバタリアニズム・コミュニタリアニズム及びナショナリズムについて説明し、更にナショナリズムに関連してよく問題となる保守・右翼・極右の区別について説明します。 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ◆1.保守主義とリバタリアニズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 +... ◇自由至上主義(libertarianism)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(libertarianismの項)より全文翻訳 個人の自由を強調する政治思想。自由至上主義者は、各個人は、自己の行動が他人の自由を侵害しない限り、完全な行動の自由を保持すべきだと信じている。 自由至上主義者の政府に対する不信は、19世紀の無政府主義(anarchism)に起源を持つ。典型的な自由至上主義者は、所得税やその他の政府の課税ばかりでなく、社会保障(social security)や郵便サービスのような他の多くの人々が有益だと思っているプログラムにも反対する。 アメリカでは彼らの見解はしばしば伝統的な政党間の境界を横断する(例えば、自由至上主義者はほとんどの共和党支持者と同じ様に銃規制に反対するが、ほとんどの民主党支持者と同じ様に禁止薬物の合法化を支持する)。 自由至上主義者の間で愛好されている人物はヘンリー・デビット・ソローとアイン・ランドである。 (2) オックスフォード英語事典(libertarianismの項)より抜粋翻訳 市民生活に対する政府の介入を最小限のもののみとすることを唱導する極端な自由放任の政治思想。 その支持者は個人の道徳は政府の扱う事柄ではなく、それゆえ麻薬使用や売春のような異論もあるところではあるが参加者以外の誰も害さない活動は不法とされるべきではないと信じている。 自由至上主義者は無政府主義者と主張内容を共有しているが、但し自由至上主義者は一般には、より一層政治的権利と関連付けられる(主としてアメリカ)。自由至上主義は伝統的な自由を社会的正義に結びつける配慮が欠落している。 (3) コウビルド英語事典(libertarianの項)より全文翻訳 1 リバタリアンであったり、またリバタリアン的な態度の人とは、人々は自分が望むままのやり方で考えたり振る舞う自由を持つべきだという理念を信じ、また支持している人である。(= リベラル) 2 自由至上主義者とは自由至上主義の見識を持つ人である。(= リベラル) このように、正確な定義でのリバタリアニズムは、 (1) 極めて強く個人的自由の領域の拡大を希求する思想であることから「右派」の「経済保守(=リベラル右派)」に近いといえる(そのために新自由主義と混同を招いた)が、 (2) そうした姿勢は、①無政府主義(左派に近い思想と一般には考えられる)につながること、 (3) また、②政府などの公的機関の介入が最小となる社会を合理的に設計できる、としている点でデカルト以来の設計主義的合理主義(左派の根本的思想の一つ)に連なること、 から、右派・左派のどちらにも分類できない「中間派」とするのが、最も適切である。 ◆2.保守主義とコミュニタリアニズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 +... ◇共同体主義(communitarianism)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(communitarianismの項)より全文翻訳 ①政治生活の実行、②政治制度の分析・評価、③人間のアイディンティティと安寧幸福の理解、に関する共同体(community)の重要性を強調する政治・社会思想。 共同体主義は1980-90年代に、ジョン・ロールズ等の思想家による理論的リベラリズムに対する明白な反対思想として興起した。 共同体主義者によれば、リベラリズムは非現実的なほどに原子化した抽象的個人という概念に寄りかかっており、また自由と自律といった個人的価値に余りにも重要性を置き過ぎている。 共同体主義の主要な代表者には、アミタイ・エツィオーニ、マイケル・サンデル、チャールズ・ティーラーが含まれる。 なお、集産主義を参照のこと。 (2) オックスフォード英語事典(communitarianismの項)より抜粋翻訳 1 小規模な自治的共同体に基礎を置く、社会組織に関する理論または制度。 2 共同体に対する個人の責任と、家族という単位の社会的な重要性を強調するイデオロギー・ ※コリンズ-コウビルド英語辞典には項目なし。 このように、正確な定義でのコミュニタリアニズムは、 (1) 歴史的に育まれた共同体に根付く価値観を正当に評価し維持発展させようと希求する思想であることから「右派」の「伝統保守」に近いといえる(そのために、これこそが真の保守主義であるとする誤認識を招いた)が、 (2) その姿勢は、個人の自由意志を軽視して、集産主義(左派の根本的思想の一つ)につながる傾向が強いこと から、やはり右派・左派のどちらにも分類できない「中間派」とするのが、最も適切である。 参考サイト オピニオン●保守と日本精神(細川和彦氏サイト) ※共同体主義こそ真の日本的保守主義と主張するサイトです。 ※当サイトと同様に、保守/リベラル/右翼/左翼などの政治思想・概念の定義づけと分類・整理を行っており、当サイトの考え方との差異を考察していくと色々と参考になるサイトです。 ◆3.保守主義とナショナリズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 -... ◇1.ナショナリズム(nationalism:国民主義、民族主義、国家主義など文脈に応じて様々に訳し分ける)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(nationalismの項)より全文翻訳 自己のnation(アイデンティティを共有する人々の集合)またはcountry(地理的な意味での国家)に対する忠誠(loyalty)と献身(devotion)であり、特に他の人々の集合や個人的な利害への忠実さを上回るもの。 国民国家(nation-state)の時代以前は、ほとんど全ての人々の忠誠先は彼らの直近の地域や宗教的集団だった。 巨大な中央集権国家の登場は地方的権威を弱体化させ、日々進行する社会の世俗化は宗教的集団に対する忠誠を弱体化させた。しかしながら人々に共有される宗教は-共通の民族性・政治的遺産・歴史と共に-人々を国民主義運動(nationalist movement)へと誘い入れる要因の一つとなった。 18世紀から19世紀初めにかけての欧州の初期の国民主義運動は自由主義的(liberal)で国際的(internationalist)なものだった。しかしそれは次第に頑迷(conservative:「保守的」の意味もあるがここでは「頑迷」の意味ととる)で偏狭(parochial)なものとなっていった。 ナショナリズムは第一次世界大戦・第二次世界大戦そして近代におけるその他の多数の戦争を引き起こした主要因と考えられている。 20世紀のアフリカとアジアでは民族主義運動(nationalist movements)はしばしば植民地主義(colonialism 植民地支配)に対する反対(抵抗)を引き起こした。 ソ連邦の崩壊後、東欧と旧ソ連邦の各共和国の強烈な民族主義的感情(nationalist sentiments)は、旧ユーゴスラビア地域におけるような民族的紛争(ethnic conflict)の要因となった。 (2) オックスフォード英語事典(nationalismの項)より抜粋翻訳 1 愛国的な感情・原理・尽力(patriotic feeling, principle, or efforts) 2 他の国々(country)に対する優越性(superiority)という感情によって特徴づけられた極端な形の愛国心(an extreme form of patriotism) 3 特定の国家(country)の政治的独立の主張(advocacy) (3) コウビルド英語事典(nationalismの項)より全文翻訳 1 ナショナリズムとは自分達は歴史的にまたは文化的に、ある国家(country)の中で特定の分離された集団であると感じる人々の、政治的独立への渇望(desire for political independence)である。 2 ある個人の自己のnationに対する巨大な愛情をナショナリズムと呼ぶことが可能である。ある特定のnationは他の全てのnationより優秀であるという信条と、このナショナリズムはしばしば関連付けられるが、こうしたケースは、しばしば(話者の)不承認(不快感 disapproval)を表現するために用いられる(=jingoism 偏狭的優越主義) ◇2.ナショナリズムの発展モデル ※ナショナリズムは一般に以下の3段階で発展すると考えると理解し易い。 Ⅰ.解放的ナショナリズム(パトリオティズム) → Ⅱ.国民国家の成立 → Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズム(ジンゴイズム/ショーヴィニズム) 主に他国や他民族の抑圧に対して、①国家・国民形成を図りつつ、②政治的あるいは経済的自決(民族自決)を求める動き※政治的・経済的自決を求めることから、この段階のナショナリズムは自由主義と親和的である。 → 国家の要請に適った国民を育成するために、①統一的・画一的な国民教育の実施、②歴史・文化の共有化、③「伝統の創造」(※)といった公定ナショナリズムとでも言うべき諸政策が政府主導で実施される。※英歴史学者ホブズボームの用語で、正統性に問題のある新興国家の政府が行いがちな一種のご都合主義的な「伝統」価値の捏造 → 増大していく大衆の自尊感情の現れとしてのナショナリズム(大衆の自己崇拝、ナショナリズムの市民宗教化)。Ⅱの公定(=官製)ナショナリズムの結果、政府当局のコントロールが効かない状態にまで大衆の自尊感情が昂進してしまった状態。 少数エリ-トの自覚的な活動(市民型ナショナリズムcivic nationalism)として始まり、次第に参加者を拡大していく → 国民の政治参加の意欲が高まる結果、大衆デモクラシーが成立するが、次第に衆愚化していく傾向を免れない。 → 理性よりも大衆の無定見な民族感情に流され易くなり(民族型ナショナリズム ethnic nationalism)、①国内的には排外的、②対外的には侵略的傾向を強めていく結果となる。 例1 フランス革命の最初期 → フランス共和国の建設(カルノーの徴兵制etc.) → ジャコバン政権樹立以降の「革命の輸出」~ナポレオンの侵略戦争 例2 ドイツ統一運動 → ドイツ第二帝国の建設(ビスマルク時代) → ウィルヘルム2世の世界政策から第一次世界大戦へ。さらに敗戦からワイマール共和国の混迷ののちナチス政権による侵略政策の追求へ 例3 明治維新~日露戦争・不平等条約改正 → 大正デモクラシー(男子普通選挙の導入=大衆の政治参加) → 日本の場合は露骨な対外侵略の肯定という形は憚られたが、アジア諸民族と結んで白人支配を覆すという大義(=アジア主義)が利用される形で拡張的ナショナリズムが発動してしまった。 ※韓国は、Ⅱ.の行き過ぎの結果、Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズムが発動してしまった状態と解され、また中国もⅡ.を部分的ながら過激に実行した結果Ⅲ.の歯止めが利かなくなりつつある状態と見られる。 ◆4.保守・右翼・極右の区別 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※保守・右翼・極右をどう区別するかは定義の仕方次第だが、一応の目安として以下の基準が有効である。 内容 関連ページ 保守 国内外の全体主義(共産主義・社会主義・リベラリズムなどの集産主義)の脅威から自由を守る(=自由主義) 保守主義とは何かリベラリズムと自由主義 右翼 他国・他国民の侵略的ナショナリズムの脅威から自国・自国民を守る(=解放的ナショナリズム) 右翼・左翼の歴史ナショナリズムとは何か 極右 他国・他国民に対して侵略的ナショナリズムを発動している段階。なお極右と極左は紙一重の双生児であり、極左も当然侵略的ナショナリズムを発動している段階である。 右翼・左翼の歴史 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ■7.日本の保守主義 以上で、①E.バーク的保守主義(伝統保守)と、②ハイエク的保守主義(経済保守)の2大類型に基づいて、英語圏で発展した保守主義の標準概念と、関連する諸思想の位置づけを説明しました。 以下では、この標準的な保守主義の解釈をベースとして、日本の保守主義及び関連する諸思想について分類・位置づけを行います。 ◆1.参考:「保守主義」という用語の使用状況 ↓本文はここをクリックして表示 -... 戦前・戦中さらに戦後も1970年代までは「保守主義」という言葉はマイナス・イメージの付きまとう言葉として日本ではこれを自称する者はほとんどいなかった。 左翼側が敵対勢力を「保守反動」とレッテルを貼って批判する場合に使用される例がほとんどであり、政治勢力としての「保守」は存在しても、政治思想としての「保守主義」を唱える者はほとんどいなかった。(明治21年に長州藩出身の軍人・政治家 鳥居小弥太が「保守中正派」と称する小政党を作り「保守」を論じていることが数少ない例外) 戦前・戦中において伝統保守的な思想的立場を表明する者の多くは、もっぱら「右翼」(とくに昭和初期には「観念右翼」ないし「精神右翼」)と他称され、また彼ら自身は後述する「日本主義」を名乗っている場合が多かった。 その後、1980年代に英サッチャー・米レーガン両保守政権が政治的・経済的に成功を収めて、「保守主義」に今度はプラス・イメージが高まり、日本でも「保守主義」を自称する者が急増し、現在に至っている。 ◆2.西欧保守主義・日本の保守主義の接合上の問題点と考え方 ◇1.保守主義と、自由主義・個人主義・デモクラシーの関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... 《問題点》 西欧保守主義の本質は、自由主義・個人主義・デモクラシーの肯定にある。⇒ ところが、日本の「保守」論客には、自由主義・個人主義・民主主義を否定的に捉える者がかなり多いように見える。変ではないか? 【考え方】 日本の「保守」論客の批判している「自由主義」「個人主義」「民主主義」の内容をよく読むと、ルソー以降に左翼によってその意味を歪曲されてしまった「(左翼的意味の)自由主義(=リベラリズム)」「(アトム化された)個人主義」「(衆愚化した)デモクラシー(=モボクラシー)」のことであることが分かる。これは、「自由主義」「個人主義」「民主主義」という言葉が、日本でも一般的に使用されるようになった大正時代(大正デモクラシー期)には、これらの言葉は、既に西欧社会においても左翼によってその本来の意味を歪められてしまっており、日本の「保守」論客たちは、それらの政治思想・概念を、本来の意味ではなく、もっぱら歪曲された意味で理解してしまったことに原因があると思われる。ハイエクやポパー、バーリンらの真正の自由主義者(本来の自由主義者)による「左翼によって歪曲された」政治思想・概念への痛烈な(そして左翼側にとっては致命的な)批判は、第二次世界大戦中あるいはその直後にようやく日の目を見たものであり、当サイトでは、彼ら(ハイエクやポパー)の必勝の論法を是非ともマスターすることを強く推奨している。しかし、これらの左翼批判を受容していない(要するにハイエクやポパーを読んでいない)日本の「保守」論客たちは、いまだに単純な(そして残念ながら余り説得力があるようには思えない)従来どおりの紋切り型の「自由主義」「個人主義」「民主主義」批判を繰り返していると思われる。この点に関する不都合は、戦前から戦後にかけての日本の代表的な保守主義者である平泉澄博士の著作についても残念ながら当てはまることである。(平泉博士はハイエク・ポパーと同時代人であることから、バークのルソー批判までは受容していても、ハイエク・ポパーの全体主義批判までは受容できなかったことに起因)従って、結論として我々は、①日本自生の保守主義の理解のみに立脚するのではなく、②西欧保守主義の伝統にも立脚し、これを左翼・全体主義を完膚なきまでに論破する最上のツールとして是非とも活用すべきである。 (参考)「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」⇒詳細は「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引きへ 真の個人主義 (→自由主義体制へ) 偽の個人主義/集産主義 (→全体主義体制へ) 主な提唱者 ソクラテス、バーク、A.スミス、ヒュームアクトン、トックヴィル、ハイエク、ポパー、オークショット プラトン、デカルト、百科全書派、ルソー、マルクス、ベンサム 制度・秩序の捉え方 自生的秩序(spontaneous order)論即ち、自由な人々の自然発生的な協力が個々人の知性が完全には理解できないほどの偉大な制度や秩序など社会的構築物を創り出すこと(A.スミスの所謂「神の見えざる手invisible hand」)を肯定し、そうした特定の人物・組織の設計に依存しない自生的秩序形成が正常に機能する仕組みを維持育成することに重点を置く立場 設計主義的合理主義(constructivist rationalism)即ち、発見できる全ての秩序は特定の個人や組織の計画的な設計の産物であるとして、個人の理性を買いかぶり、個人の理性によって意識的に設計されたものでないもの・理性にとって完全には明瞭でないものに対しては、何であれ重視しない立場。 個人と国家の捉え方 中間団体による個人の自由の保障本質的に自由な個々人によって自発的に結成され歴史的に継続・発展してきた種々の中間団体(例えば、宗教共同体・職能組織・地縁集団・血縁集団)の存在によって個人が保護され、権力(power)がこうした中間団体や個々人に広く分散されるために全能の中央集権的政府の出現は阻止され、個人の実質的な自由は保障される。 アトム化された個人の国家への隷従①各種の中間団体から切り離され原子化(アトム化 atomized)された裸の個人と、②全能の中央集権的政府が直接対峙し、政府(=国家)が全ての個人の生活の責任を負うという建前の下に社会的な絆を剥奪されて(ルソー的な意味で)「自由」となった個人は結果的に全体主義的政府に隷従する。 政治機構の捉え方 人間や制度の不完全性の前提この主義の主たる関心は、①人間が最も良い時に時折成し遂げられるかも知れないことよりも、②人間が最も悪いときに害悪を及ぼす機会を出来るだけ少なくすることにある。その体制は機能の良し悪しが、それを操作する人間を我々が見つけ得るか否かに依存しないし、全ての人間が現にあるよりも善くなることにも依存しない。従ってこの体制は、その下にある全ての人間に自由を許容することが出来、現にあるがままの人間をその多様で複雑な姿のままで(本人が利己的な動機で動くにも関わらず)社会のために役立たせ得るシステムである。 社会契約論的個人主義と「自由への強制」この主義は個人を出発点とみなし、個人が彼の特殊意思と他人の特殊意思とを形式的な契約において結合させることによって社会や国家を創ると想定する。その体制は、プラトン「哲人王」、ルソー「立法者」、ナチス「指導者」etc.の育成/出現を前提とするが、「権力は必ず腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」(アクトン)ことを免れない。この体制は自由を「善良で賢明な個人」のみに許容し、その他の人々は「自由へ強制される」。 出現する社会 開かれた社会上下にも内外にも流動性が高く、社会に常に新たな活力が導入されるために、個々人の間では所得や社会的地位や幸福度・充足度などに必然的に差異が発生しても、社会全体の経済的・文化的水準は「閉ざされた社会」に比べて圧倒的に高くなる。 閉ざされた社会社会が固定的で、指導者・エリート層と一般人民の垣根が厳格に設定される(平等を謳いながらも社会がカースト化する)傾向にあり(G.オーウエル『1984年』を見よ)、かつ悪平等の弊害として自ら努力して状況を改善しようとする動機が働かないために特に経済的・文化的に停滞してしまう。 社会の原則 「人々を平等に取り扱うこと」(=自由な社会の条件) 「人々を平等たらしめること」(=隷従の新しい形態(A.トックヴィル)) ◇2.保守主義と、ナショナリズムの関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... 《問題点》 西欧保守主義は、ナショナリズム(=右翼思想)とは区別されるのが普通である。保守主義の代表者であるE.バーク自身が、イングランド本国ではなくその統治下にあったアイルランドの出身の政治家であり、またハイエクはオーストリアからイギリスに帰化した学者であって、彼らの思想には全体主義に対する激しい批判はあっても、ナショナリスティックな発想は一切混入していない。⇒ これに比較して、日本の「保守主義者」の唱える思想には、(1)反・全体主義の主張と、(2)ナショナリスティックな主張との区別が明瞭でなく、そのままでは英米保守主義の定義とは齟齬が生じてしまう恐れが高い。また最近は、本来の意味での保守主義とはまるで関係ない思想を唱えてるにも関わらず、その言葉のもつプラス・イメージに着目した自称「保守主義者」が続出しており、思想的な混乱が甚だしくなっている。 【考え方】 「ナショナリズム」の定義を確り押さえずに、やたらに「民族主義」という言葉を使っているケースが多いように思う。普通に祖国や自国民、自国の文化・伝統・歴史などに愛着を持つことは、西欧保守主義でも当然視されており、これを「パトリオティズム」とは表現しても、「ナショナリズム」とは通常は言わないはずである(nationalismは、①patriotism と②jingoismの両方の意味を包摂するが、現代の用法ではnationalismは②排外的なマイナスの意味合いが強まっている)。日本の問題はむしろ、西洋であれば「保守」ではなく「ナショナリスト」「右翼」と呼ばれるべき主張を持つ人物・組織が、「右翼」という言葉にマイナス・イメージが定着しているために、文字通り「民族主義者」であるにもかかわらず「保守」と自称している者が非常に多く、その結果、「保守(アンチ全体主義)」と「右翼(ナショナリスト)」が著しく混同されている点にある。つまり、日本においては、①単に「パトリオティズム」である祖国愛を、「民族主義」と勘違いしている保守主義者②西欧保守主義の基準では、「ナショナリスト」「右翼」なのだが、「保守」を自称する者の二種類がおり、それらの者の主張内容を確り吟味し、「保守」なのか「右翼」なのか識別する必要がある。 ◆3.日本主義 ※次に、戦前・戦中に具体的に「保守主義(伝統保守)」に相当する概念・思想を表す言葉として多用された「日本主義」について解説します。 ↓本文はここをクリックして表示 -... ブリタニカ国際百科事典(ブリタニカ・ジャパン社)による説明。 にほんしゅぎ【日本主義】 明治から第二次世界大戦敗戦までにおける欧化主義・民主主義・社会主義などに反対し、日本古来の伝統や国粋を擁護しようとした思想や運動をいう。一定の思想体系をなしていたとはいえず、論者により内容が相違する。明治の支配層が推し進めた欧化主義への反発として三宅雪嶺や高山樗牛らによって唱えられ、政治的には欧米協調主義への反対、国権や対外的強硬策の強調となって現れた。大正や昭和になって日本の資本主義の高度化が階級対立を激化させ、社会主義やマルクス主義が流入すると、これら諸思想の対抗イデオロギーとして機能し、天皇を中心とする皇道や国体思想を強調した。(cf.神国思想) つまり日本主義には歴史的に見て以下の二段階がある。 ① 明治期の日本主義 政府の欧化主義に反発し、国粋主義/国権主義(特に政府の欧米協調路線に反対する攘夷主義)を主張した言論活動(政論的ジャーナリズム) 他国の侵略から自国・自民族を守る(解放的ナショナリズム)⇒即ち「右翼」思想 ② 昭和期の日本主義 皇道・国体思想を強調して、社会主義やマルクス主義の思想侵略の脅威への対抗イデオロギーとして機能した思想活動 全体主義の脅威から自国の歴史・伝統に根差した自由を守る(日本型保守主義)⇒即ち「保守」思想 ※「保守」と「右翼」の違いは ナショナリズムとは何か 参照 ※日本主義について、詳しくは 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 参照 ※この「(昭和期の)日本主義者」は、観念右翼または精神右翼と他称されており、これに対して、よりナショナリスティックな政治的主張を唱える者を革新右翼または組織右翼と呼んで区別した。 ◆4.革新右翼(国家社会主義者)と観念右翼(伝統保守) ↓本文はここをクリックして表示 +... 参考図書に挙げている日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 によれば、左翼が一掃された昭和10年代の日本には、①革新右翼と②観念右翼の二大勢力があり、国内・国外の政策を巡って激しく対立したとされる。 ※ブリタニカ国際百科事典には「観念右翼」のみ項目があり、その中に「(国家社会主義者(組織右翼)」の説明もあるので引用します(革新右翼を組織右翼とも呼んだ)。 【観念右翼】かんねん・うよく 特定の右翼党派ではなく、純粋な日本精神主義を思想や行動の原理とする諸団体。上杉慎吉をその源流とする。第二次世界大戦前の右翼運動を思想形態から分類すると、国家社会主義派(組織右翼)と日本精神主義派(観念右翼)に大別される。上杉の組織した桐花学園(1913創立)、蓑田胸喜、天野辰夫、菊池利房による興国同志会(19)、平沼騏一郎の国本社、興国同志会の流れをくむ七生社(25)などが観念右翼としてあげられる。 ※革新右翼と観念右翼の理念型(日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 より引用) ①革新右翼 ②観念右翼 国家改造 国体明徴 高度国防国家 国民精神総動員 解釈改憲 護憲(不磨の大典) 指導者原理 臣道実践 統制経済 資本制擁護 親ソ・親独 反共・反独裁 世界史的な使命 日本史的な道統 陸軍統制派 陸軍皇道派 革新官僚 財界 無産政党 既成政党(現状維持派) 国家社会主義者 自由主義者 ※②観念右翼が「日本主義」を唱えたのに対して、①革新右翼すなわち国家社会主義者は「アジア主義」の立場を説く場合が多かった。 ※以下、関連項目をブリタニカ百科事典より引用。 ◇参考:アジア主義 【大アジア主義】 だい・アジア・しゅぎPan-Asianism 欧米列強のアジア侵略に抵抗するため、アジア諸民族は日本を盟主として団結すべきであるという考え方。明治初期以来、種々の視角から展開された。植木枝盛は自由平等の原理に基づきアジア諸民族が全く平等な立場で連帯すべきことを説き、樽井藤吉や大井健太郎は、アジア諸国が欧米列強に対抗するために連合する必要があり、日本はアジア諸国の民主化を援助すべき使命があると説いた。明治20年代になると、大アジア主義は明治政府の大陸侵略政策(注)を隠蔽する役割をもつようになった。1901年に設立された黒龍会の綱領にもみられるように、その後の大アジア主義は天皇主義とともに、多くの右翼団体の主要なスローガンとされ、これに基づいて満蒙獲得を企図する政府・軍部の政策が推進された。日本人の大アジア主義的発想は、第二次世界大戦前・戦中の「大東亜共栄圏」構想を支えた。※注:ブリタニカ百科事典にも自虐史観の傾向は当然あり、上記のような「大陸侵略政策」という問題のある記述がなされている。 【大東亜共栄圏】 第二次世界大戦を背景に1940年第二次近衛内閣以降45年敗戦まで唱えられた日本の対アジア政策構想。その建設は「大東亜戦争」の目的とされた。東条英機の表現によれば、大東亜共栄圏建設の根本方針は、「帝国を核心とする道義に基づく共存共栄の秩序を確立」しようとすることにあった。しかし実際は、東アジアにおける日本の軍事的・政治的・経済的支配の正当化を試みたものに他ならなかったといえる。第一次近衛内閣当時の「東亜新秩序」は日本・満州・中国を含むものに過ぎなかったが、南進論が強まるにつれて、インド・オセアニアにいたる大東亜共栄圏構想に拡大された。大東亜省の設置と大東亜会議の開催は、このような方針の具体化に他ならない。 ◆5.まとめ ↓本文はここをクリックして表示 -... 運動の性格 ① 明治期の日本主義 政府の欧化主義に反発し、国粋主義/国権主義(特に政府の欧米協調路線に反対する攘夷主義)を主張した言論活動(政論的ジャーナリズム) 他国の侵略から自国・自民族を守る(解放的ナショナリズム) 右翼思想 当初は国粋主義的だった在野言論人の活動は、明治末・大正期に日本が大国化したのちも反骨精神は全く変わらず、今度は次第に左翼思想に理解を示す者が出てきた(左右等価気分説(※1))。更に彼らは、戦後は進歩派・市民派左翼文化人として活発に活動した(長谷川如是閑・丸山眞男etc.)。 ② 昭和期の日本主義 皇道・国体思想を強調して、社会主義やマルクス主義の思想侵略の脅威への対抗イデオロギーとして機能した思想活動 全体主義の脅威から自国の歴史・伝統に根差した自由を守る(日本型保守主義) 保守思想 日本精神主義派(観念右翼)。日本主義的教養を武器に学生・知識人の左傾化を防止し日本精神に目覚めさせると共に、革新右翼の狙う国家改造・解釈改憲・国家経済の社会主義化、更には戦争の長期化を「護憲」の立場から制止・抑制するために奔走。いざ戦争が激化すると国防のために生死を厭わず護国のために尽くした者が多い。 ③ アジア主義 アジア諸民族を白人支配から解放するという大義を掲げ、実際にも明治期の孫文を初めインドのB.ボース、フィリピンのアギナルドらの独立運動と連動しつつ遂行された日本の勢力拡張運動。 アジア諸民族の独立を支援する(排白人主義)(拡張的ナショナリズム) 極右思想 国家社会主義派(組織右翼=革新右翼)と重なる。代表的イデオローグとして5.15事件に関与した大川周明、2.26事件に連座した北一輝。革新右翼は2.26事件暴発後に勢力を急拡大し三木清など転向左翼の多数が近衛内閣のブレーン集団を形成して国策を左右した。※詳しくは 右翼・左翼の歴史 参照 ※「保守」「右翼」「極右」の違いは ナショナリズムとは何か 参照 ※1:左右等価気分説…右傾化も左傾化も既成勢力に対する反抗という意味で基本的に同じ心情に基づくものであり、状況が変化すれば左・右転換は容易とする説。 以上、説明したように、日本においても「保守主義」と「ナショナリズム」を区別することは可能であり、かつ英米保守主義との整合性という観点からもこの区別は必要と思われる。また、戦前・戦中に「日本主義」を唱えた日本型の保守主義者の系譜は、参考図書 にあるとおり、実は戦後も途切れておらず、現在の日本の保守主義陣営(伝統保守の側)の中核に繋がっていることに注目すべきである。(なお、経済保守についてはこの限りでない) ※日本の保守主義に関して詳しくは、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を参照下さい。 ■8.参考図書 ↓本文はここをクリックして表示 +... 『保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか (単行本)』 中川八洋(著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介これまで日本には保守主義は正しく紹介されなかった! 保守主義が真に必要な今、その真髄を初めて体系的に詳解。保守の常識が覆る!アメリカを建国した保守主義の天才、ハミルトン。“法の支配”という自由の砦を大成した、コーク。フランス革命と戦った「保守主義の父」、バーク。それらの思想について、ほとんどの日本人は知ることがない。明治以降、あれほど西欧思想が流入したにもかかわらず、英米を中心とした保守主義はほとんど排除されてきた。その結果、日本人は保守主義について、あまりに無知である。保守主義者を自称するものも、保守主義とはどういう思想かを理解していない。法曹関係者ですら、“法の支配”の真の意味がわかっていない。この保守への無理解が、ひいては現在日本のあまりの非常識と混迷を招いているといっても過言ではない。では「保守主義」とは何か? それを体系的に解説したのが本書である。上記の思想家たちの他にも、トクヴィル、ヒューム、アーレント、オルテガ、ホイジンガ、ハイエクなど数多くの思想家を紹介する。いま初めて明かされる保守主義の真髄!目次第1部 保守主義の父祖たち(「米国保守主義の父」アレグザンダ・ハミルトン、「法の支配」は復権できるか―マグナ・カルタ再生とコーク卿、「保守主義の父」バーク―「バーク・ルネサンス」を日本に祈る)第2部 全体主義と戦う「真正の自由」(「隷従への道」を歩む二十一世紀日本―アーレント解題、「赤より死!」の、反ヘーゲル―カール・ポパーの哲学、平等という、自由の敵―警鐘を鳴らすトクヴィル、反撃するベルジャーエフ)第3部 「美徳ある自由社会」を創る(人間を透視したヒューム道徳哲学、「社会正義」は“亡霊”―自由の原理とハイエク政治哲学、「高貴なる自由」―永遠のバーク哲学)★ハイエクの思想を機軸に、西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想の系譜を峻別して分かり易く解説。エドマンド・バークを初めとする西欧の正統保守思想の概略をこの一冊でマスター可能。残念ながら現在は絶品であり中古本も高額なので同著者の正統の哲学 異端の思想―「人権」「平等」「民主」の禍毒 で代用することを薦めます。 アメリカ保守革命 中岡 望 (著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介今、世界を席巻しつつある「保守主義革命」は、アメリカで始まった。それは“アメリカ化”という形で、世界の政治、経済、文化を巻き込み、留まることのない勢いで世界の隅々まで行き渡りつつあるようにみえる。日本もその世界的な潮流の埒外に存在しているわけではない。主流だったリベラリズムと対峙しながら、最初は思想運動として始まり、やがて現実の政策へと影響力を拡大していったアメリカ保守主義の発展過程とその内実を縦横に描いた名作。目次第1章 戦後の保守主義のルネッサンス(アメリカのリベラリズムと保守主義思想、二人の保守主義思想のゴッドファーザー ほか)第2章 保守主義思想とレーガン革命(思想運動から政治運動へ、保守主義思想の政治の代弁者たち ほか)第3章 レーガン革命と冷戦後の保守主義運動(未完のレーガン革命、一九九〇年代の保守主義の思想闘争 ほか)第4章 新しいエスタブリッシュメント―ネオコンの群像(ネオコンの創始者たち、ネオコンたちの思想的変遷 ほか)第5章 ブッシュ政権と二一世紀の保守主義(ブッシュ政権の樹立と政策、ブッシュの経済政策―レーガノミックスの再現 ほか)★戦後アメリカで細々と始まった(1)ウィーバー カークによる伝統保守の思想運動と、(2)ハイエク・フリードマンらによる経済保守の思想運動の二つの流れが、メイヤー バックリーによって融和・統合され、やがてゴールドウォーター、レーガンというコミュニケーター(人気政治家)を得て遂にアメリカ政治の表舞台に立つ時がくる。そして不十分な結果に終わったレーガン革命は、クリントン政権期の試練を経て、ブッシュ子政権期に更なる前進を見せる。60年の長期に渡るアメリカ保守革命のあらましを必要十分に描きつくした好著。 日本主義的教養の時代―大学批判の古層 竹内 洋 (編集), 佐藤 卓己 (編集) 2006.2刊内容(「BOOK」データベースより)戦前「護憲」の降魔剣“日本主義”を解明。「右翼」「反動」のレッテル貼りで忌避されてきた一九三〇年代“日本主義”の大学批判。マルクス主義的教養の機能的代替となった日本主義的教養の担い手たち。来るべき時代を読み解く画期的論集。目次第1章 帝大粛正運動の誕生・猛攻・蹉跌第2章 天皇機関説批判の「論理」―「官僚」批判者蓑田胸喜第3章 写生・随順・拝誦―三井甲之の思想圏第4章 英語学の日本主義―松田福松の戦前と戦後第5章 戦時期の右翼学生運動―東大小田村事件と日本学生協会第6章 日本主義的社会学の提唱―赤神良譲の学術論第7章 日本主義ジャーナリズムの曳光弾―『新聞と社会』の軌跡★未だに自虐史観どっぷりの東大・岩波系とは距離を置く京大系の学者達による昭和10年代日本の思想状況の共同研究プロジェクト全体のガイドライン的な位置づけの本。 日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 井上 義和 (著) 2008.6刊内容(「BOOK」データベースより)国家的危機の時代における大学の使命とは何か。欧化一辺倒の東京帝国大学に学風改革を迫り、高度国防国家を標傍する政府とも命がけの思想戦を繰り広げた東大生たち。戦時体制下で宿命的に挫折した“日本主義的教養”の逆説を読み解き、日本型保守主義の可能性を探る。目次第1章 「右翼」は頭が悪かったのか―文部省データの統計的分析第2章 政治学講義と国体論の出会い―『矢部貞治日記』を中心に第3章 学風改革か自治破壊か―東大小田村事件の衝撃第4章 若き日本主義者たちの登場―一高昭信会の系譜第5章 学生思想運動の全国展開―日本学生協会の設立第6章 逆風下の思想戦―精神科学研究所の設立第7章 「観念右翼」の逆説―戦時体制下の護憲運動第8章 昭和十六年の短期戦論―違勅論と軍政批判第9章 「観念右翼」は狂信的だったのか―日本型保守主義の可能性★現代の日本会議に繋がる国民文化研究会の母体となった昭和10年代の右翼学生運動の系譜を追い、左翼が壊滅した後、国家改造を進める革新右翼(国家社会主義者・アジア主義者)と激しく対立した観念右翼(伝統保守・日本主義者)の論理と実情を具体的に論証する好著 保守主義とは何か―反フランス革命から現代日本まで 宇野重規(著)、中公新書、2016年6月刊内容(中央公論新社ウェブサイトから引用)21世紀以降、保守主義者を自称する人が増えている。フランス革命による急激な進歩主義への違和感から、エドマンド・バークに端を発した保守主義は、今では新自由主義、伝統主義、復古主義など多くのイズムを包み、都合よく使われている感がある。本書は、18世紀から現代日本に至るまでの軌跡を辿り、思想的・歴史的に保守主義を明らかにする。さらには、驕りや迷走が見られる今、再定義を行い、そのあり方を問い直す。目次序章 変質する保守主義―進歩主義の衰退の中で第一章 フランス革命と闘う第二章 社会主義と闘う第三章 「大きな政府」と闘う第四章 日本の保守主義終章 二一世紀の保守主義★2016年6月に刊行された本書の著者やその推薦者によれば・・・・本書は、対フランス革命や対社会主義革命、対大きな政府など保守主義の時代による変遷をコンパクトに纏めた好著である。「「保守」を自任する人の多くは、「リベラル」や「左翼」にについて恣意的なイメージを描き、それを藁人形のようにしてたたくことで、自らの「保守」を正当化する。しかしながら、多くの場合、それは空想上の仮想敵を相手にした空回りに過ぎないようにも見える。」という著者の指摘は重く響く・・・という触れ込みであるが、実際に本書を読んでみると、「日本の保守主義についても…(中略)…アジアの植民地化など批判すべき点の方が多い」(p.212)とか「国の基本的な枠組みを維持する根幹である立憲主義の原理も、むしろ保守主義を名乗る勢力によって破壊されつつある」(p.200)という言説が散見され、結局のところ、著者のスタンスはどれだけ中立を装うとも所詮は丸山テーゼに彩られたアジア侵略史観(自虐史観)(※丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証参照)と戦後左翼的護憲思想(※立憲主義とは何か参照)を脱し切っておらず、もし本書に何らかの意義があるとすれば、著者と同じく未だそうしたスタンスから抜け出し切れない半可通の方が、取り敢えず批判的に「保守主義とは何か?」ということを、表面的であれ、あれこれ考えてみる第一歩になる・・・といったところでしょう。とくに本書の場合、アンチ全体主義のチャンピオンであるハイエクの著作について、その初期の著『隷属への道』だけは巻末の参考図書に挙げても、彼の本当の代表作である『自由の条件』については本編で若干の言及を加えてアリバイを作りつつも参考図書から外していたり、ハイエクの盟友ポパーの名著『開かれた社会とその敵』を完全に無視している点に明らかに欺瞞を感じる(※なぜならハイエク『自由の条件』やポパー『開かれた社会とその敵』まで読者に進まれると、読者が左翼思想がそこで完膚無きまでに論破されていることをハッキリ理解してしまう怖れが高いから)。そういう意味で、本書を読了して尚煮え切れない思いを抱いた方こそ、本サイトの左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページの各ページに進んで欲しいものである。 ■9.ご意見、情報提供 ページ内容向上のためのご意見・情報提供を歓迎します。 ↓これまでの全コメントを表示する場合はここをクリック +... 元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24 以下は最新コメント表示 元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24 名前 ラジオボタン(各コメントの前についている○)をクリックすることで、そのコメントにレスできます。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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改行ズレ/画像ヌケ等で読み辛い場合は、ミラーWIKI または図解WIKI をご利用ください 自ら『保守主義者』を名乗っているアメリカ人は、事実は自由主義者である。 ~ B.クリック(英国の政治学者)『アメリカ保守主義の奇妙な探求』(1955年) 保守主義(conservatism)の概念を総合的に考察し整理・明晰化するページ <目次> ■1.このページの目的・構成 ■2.保守主義、及び関連する諸思想◆1.保守主義・関連する諸思想の説明 ◆2.保守主義・関連する諸思想の整理図 ■3.保守主義の概念定義◆1.保守主義(conservatism)の辞書的定義 ◆2.内包と外延 ■4.保守主義の内包(=内在する属性)◆1.保守主義の核心的特色 ◆2.保守主義の一般的特質 ◆3.保守主義の価値観・思惟構造 ■5.保守主義の外延(=対象となる範囲)◆1.保守主義と自由主義の関係 ◆2.伝統保守と経済保守の架橋◇1.18世紀イギリスの自由主義思想家による「伝統保守」の説明 ◇2.保守主義=「小さな政府」なのか? ◇3.伝統保守(旧保守)と経済保守(新保守)の架橋 ~ フュージョニズムと「思いやりのある保守」 ■6.保守主義と混同されやすいが別概念として区別すべきもの◆1.保守主義とリバタリアニズムの区別◇自由至上主義(libertarianism)の辞書的定義 ◆2.保守主義とコミュニタリアニズムの区別◇共同体主義(communitarianism)の辞書的定義 ◆3.保守主義とナショナリズムの区別◇1.ナショナリズム(nationalism:国民主義、民族主義、国家主義など文脈に応じて様々に訳し分ける)の辞書的定義 ◇2.ナショナリズムの発展モデル ◆4.保守・右翼・極右の区別 ■7.日本の保守主義◆1.参考:「保守主義」という用語の使用状況 ◆2.西欧保守主義・日本の保守主義の接合上の問題点と考え方◇1.保守主義と、自由主義・個人主義・デモクラシーの関係 ◇2.保守主義と、ナショナリズムの関係 ◆3.日本主義 ◆4.革新右翼(国家社会主義者)と観念右翼(伝統保守)◇参考:アジア主義 ◆5.まとめ ■8.参考図書 ■9.ご意見、情報提供 ■1.このページの目的・構成 全く正反対の政治的信条を持つ「リバタリアン(自由至上主義者)」と「コミュニタリアン(共同体主義者)」が共に「我こそ保守主義者だ」と主張していたり、「ナショナリズム」が「保守主義」と混同されています。 あるいは、「小さな政府」こそ「真の保守」だと言う人、また「国体護持」こそ「真の保守」だという人もいます。 このページでは、そうした様々に主張されている保守主義の内実をその歴史的沿革や辞書的な概念定義から、客観的に検討し、 保守主義とは、 (1) ルソーの革命思想/デカルトに始まる設計主義的合理主義/共産主義/社会主義/ファシズム等の全体主義思想に対する対抗思想として発生したものであって、 (2) その内実は、歴史の中で育まれてきた価値多元的で寛容な自由を守ろうとするもの、即ち自由主義(左翼的リベラリズムではなく真正の自由主義)である とするのが、最も整合的な理解であることを説明していくとともに、 リバタリアニズム・コミュニタリアニズム・ナショナリズムなど保守主義に部分的に類似する諸概念について、その関係を整理・明晰化していきます。 そして最後に、以上で得られた保守主義の標準的な理解をベースとして、日本における保守主義の内実の検討に踏み込みます。 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ■2.保守主義、及び関連する諸思想 ◆1.保守主義・関連する諸思想の説明 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※下記は全て、ブリタニカ百科事典(日本版)より引用(ただし※注はこちらで追記) 政治思想ないしイデオロギー 説明 関連ページ 保守主義、及び、保守主義の内実を成す概念 保守主義(conservatism) 既存の価値・制度・信条を根本的に覆そうとする理論体系が現れたときにこれに対する対抗イデオロギーとして形成される。「保守主義の宣言」とも言われる『フランス革命に関する省察』を著わしたE.バークは、人間のあらゆる制度の基礎は歴史であり、具体的な文脈のなかで長い時間をかけて培われてきたものだけが永続性を持つため、抽象的な哲学原理に基づく革命は座絶を運命づけられているとしている。バークは決して変化を拒絶しないが、それは既存のものの漸進的改良として果たされねばならないと考える。歴史的・有機的な社会秩序への人為的介入の排除とその漸進的改革が保守主義の思想的特徴であるが、これは現代のF.ハイエクやM.オークショットにもみられる考え方である。 保守主義とは何か 新保守主義(neo-conservatism) 1960年代後半以降、アメリカでリベラリズムや対抗文化の行き過ぎを批判しつつ登場してきた思想。I.クリストル、D.ベル、S.ハンティントンなどが代表的である。アメリカでは、ベトナム戦争の経験に伴う文化的混乱から若者を中心として性の自由や家族の解体といった急進的な主張がなされたが、反面、こうした潮流に強い危機意識をいだき、西欧的価値を擁護しながらアメリカの文化的同一性を再定義しようという試みも生まれた。これらは資本主義と自由の結びつきを強調し、共産主義に対する批判を共有するもので、現実の政策的提言においても連邦政府が過剰な役割を果たすことには懐疑的で、私的集団の活動の場を拡大する「小さな政府」への方向性を示唆している。このような主張を経済論として展開しているのが、新自由主義である。 自由主義(liberalism) 個人の諸自由を尊重し、封建的共同体の束縛から解放しようとした思想や運動をいう。本格的に開始されたのはルネサンスと宗教改革によって幕をあけた近代生産社会においてであり、宗教改革にみられるように、個人の内面的自由(信教の自由、良心の自由、思想の自由)を、国家・政府・カトリック・共同体などの自己以外の外在的権威の束縛・圧迫・強制などの侵害から守ろうとしたことから起こった。この内面的諸自由は、必然的に外面的自由、すなわち市民的自由として総称される参政権に象徴される政治的自由や、ギルド的諸特権や独占に反対し通商自由の拡大を求め、財産や資本の所有や運用を自由になしうる経済的自由への要求へと広がっていった。これらの諸自由の実現を求め苦闘した集団や階級が新興ブルジョアジーであったため、自由主義はしばしばそのイデオロギーであるとみられた。しかし各個人の諸自由を中核とした社会構造は、その国家形態からみれば、いわゆる消極国家・中性国家・夜警国家などに表象されるように、自由放任を生み、当然弱肉強食の現象を現出させることになり、社会的経済的に実質的な平等を求める広義の社会主義に挑戦されることになった。しかし、20世紀に出現した左右の独裁政治の実態は、自由主義が至上の価値としてきた内面的自由・政治的社会的諸自由などが、政治体制のいかんに関わらず、普遍的価値があることを容認せしめ、近代西欧社会に主として育まれてきた自由主義は再評価されている。 リベラリズムと自由主義 新自由主義(neo-liberalism) (1) 1870,80年代から勃興したイギリスの理想主義運動、なかんずくT.H.グリーンが主唱した社会思想。グリーンは、道徳哲学としてはJ.ロック、J.ベンサムなどの功利主義的自由主義ではなく、カントやヘーゲルの影響を受けた観念論的・理想主義的自由主義を、社会哲学としては、自由放任主義(経済的自由主義)ではなく国家による保護干渉主義(社会政策)を主唱した。しかし決して国家専制主義や全体主義に陥らず、個人の自我の実現、個人の道徳的生活の可能な諸条件の整備に国家機能が存在するとして、自由主義の中心である個人主義を継受した。この思想はイギリス自由党の労働立法・社会政策に思想的根拠を与えた。⇒※注:こちらは正確には new liberalismであり、訳すと文字通り「新自由主義」だが、現在はこちらの意味では使用されなくなったので注意が必要。 リベラリズムと自由主義 (2) 1930年代以降の全体主義国家の台頭や第二次世界大戦中から戦後にかけてのケインズ政策に反発して、再び個人の自由の尊厳を説き、政府の恣意的政策の採用を排し、法の下での自由を強調する思想。このような思想をもつW.オイケン、W.リプケ、L.ミーゼス、G.ハーバラー、F.ハイエク、L.C.ロビンズ、M.フリードマンらの多彩な人材を擁して、47年にモンペルラン・ソサエティーを結成している。恣意的・強権的権力の行使に反対する点ではかっての自由放任的自由主義と共通する面をもつため、その単なる復活と誤解されがちであるが、普遍的な法の強力な支配の必要を説き、法秩序の下での自由を強調する点で、かっての自由放任とは異なる。経済政策面でのその端的な表れは、ドイツに代表される社会的市場政策とシカゴ学派に代表される新貨幣数量説である。⇒※注:こちらが、neo-liberalism(正確に訳すと「再興自由主義」)すなわち現在使用されている意味での「新自由主義」である。 保守主義に隣接・類似するために混同されやすいが、別概念として区別すべきもの 自由至上主義(libertarianism)※注:項目なしのため、リバタリアン(libertarian)の項目で代用 福祉国家のはらむ集産主義的傾向に強い警戒を示し、国家の干渉に対して個人の不可侵の権利を擁護する自由論者。古典的自由主義と同様、リバタリアンも自由市場経済を支持するが、その論拠は自由市場が資源配分の効率性に関して卓越しているということだけではない。より重要なのは集産主義的介入(⇒コレクティビズム)が、自明の権利である個人の自然権や人権を侵害するという点である。リバタリアンの出発点は社会の理解に関する徹底的な個人主義的アプローチである。社会とは何らかの実体ではなく、自律性を権利として保障された諸個人が互いの価値の実現を目指して交流を持つ場である。経験的な意味で国家や政府による合理的計画よりも自律的な個人の活動のほうが社会的利益を最大化するというだけでなく、道徳的な意味でも個人の自律性を国家や政府の干渉によって強制的に縮小しようとするあらゆる試みは、個人の独自性を破壊し社会の目的のための手段といて扱うことになる。個人の価値の追求にはルールによる制約が課せられるべきであるが、それは各人の平等な権利を保障するというに限定されねばならない。国家や政府の役割はそこにあるのである。⇒※補注参照 中間派について 共同体主義(communitarianism)※注:項目なしのため、コミュニタリアン(communitarian)の項目で代用 人間存在の基盤としての「共同体」の復権を唱える一群の政治哲学者たちの総称。J.ロールズの『正義論』(1971)が政治哲学の復権に大きな影響を与え、当初その指導的立場にあったのが、ロールズに代表される福祉国家的な自由主義を主張するリベラリストと、ノージックに代表される個人の自由に対する制限を最小化しようとするリバタリアンであった。一見したところ対立するこの両陣営は「個人」の多元的対立から社会構成の原理を導出しようとする基本的枠組みでは一致している。この個人主義的な人間像・社会像に対して根本的な次元から論争に参加してきたのがコミュニタリアンである。A.マッキンタイア、M.サンデル、M.ウォルツァーらを代表とし、その主張は必ずしも一様でないが、人間的主体性を抽象的なアトム的存在の自律性としてではなく、共同体のもつ歴史・社会的なコンテクストに根付いた具体的存在として捉えようとする点では共通している。コミュニタリアンの登場の背景にはアメリカ社会が極端な個人主義の結果、公共心を衰退させ、そのことが様々な社会問題を引き起こしているという洞察がある。 中間派について ナショナリズム(nationalism) 民族、国家に対する個人の世俗的忠誠心を内容とする感情もしくはイデオロギー。普通、民族主義と訳されるが、国民主義あるいは国粋主義と訳されることもある。しかしこれらの訳語はいずれもナショナリズムの概念を十分に表現しているとはいえない。ナショナリズムの概念が多義的であるのは、ネーション(民族、国民)が歴史上きわめて多様な形態をたどって生成・発展してきたことに起因している。歴史的な重要概念となったのは18世紀末以後のことである。アメリカの独立とフランス革命がその端緒となったとされ、南アメリカに浸透し、19世紀にはヨーロッパ全体に広まり、ナショナリズム時代をつくりだし、20世紀に入って、アジア・アフリカで多くのナショナリズム運動が展開された。ナショナリズムはこうした諸国の独立をもたらす解放的イデオロギーではあるが、民族紛争と戦争の拡大をもたらす危険も大きい。 ナショナリズムとは何か右派・右翼とは何か ※補注:このように古典的自由主義およびその再興であるハイエクに代表される新自由主義(neo-liberalism)と、リバタリアニズム(自由至上主義)は厳密には別概念であるが、特にアメリカではliberalismが「マイルドな社会主義」を意味する言葉に変形してしまったために、ハイエク的な自由主義をも「リバタリアニズム」と呼ぶ場合がむしろ多くなっており、後述の中岡望 著『アメリカ保守革命』でも、正確には新自由主義(neo-liberalism)と呼ぶべきものをリバタリアニズムと呼称しているので注意が必要。(この場合は「リバタリアニズム」=新自由主義=経済保守 となる) ◆2.保守主義・関連する諸思想の整理図 保守主義 自由主義との関係 該当する概念(=外延) 隣接・類似するが別概念 対抗思想 (1) 伝統保守(真正保守主義) 古典的自由主義と親和的(バーク的保守主義) ・文化的保守・宗教保守(主として社会面に関心) ・共同体主義(コミュニタリアニズム)⇒中間に分類・ナショナリズム⇒右翼に分類 ・フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)・デカルト的理性主義 長い歴史の中で育まれてきた伝統的権威・文化・社会制度を破壊する思想 (2) 経済保守(新保守主義) 新自由主義と親和的(ハイエク的保守主義)即ち、リベラル右派のこと ・反福祉国家/「小さな政府」派・減税主義者(主として経済面に関心) ・自由至上主義(リバタリアニズム)⇒中間に分類 ・社会主義/共産主義/ファシズム等の全体主義・リベラル左派(福祉国家/「大きな政府」派) 資本主義経済体制とそれによって担保される個人の自由を破壊する思想 ※ポリティカルコンパス右図の「親・自由主義/開かれた社会」側の「真正保守(=伝統保守)」と「真正リベラル(=リベラル右派=経済保守)」が保守主義に該当する。 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック。 ※政治的スタンス5分類では、「親・自由主義(開かれた社会)」側の「真正保守(=伝統保守)」と「真正リベラル(=リベラル右派=経済保守)」が保守主義に該当する。 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ※政治的スタンス5分類・8分類について詳しくは 政治の基礎知識 参照。 ■3.保守主義の概念定義 ◆1.保守主義(conservatism)の辞書的定義 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(conservatismの項)より全文翻訳 歴史的に発展し、それゆえに継続性と安定性の明証である制度(institutions)と慣行(practices)への愛好を表す政治的態度またはイデオロギー 保守主義は近代においてフランス革命に対するリアクションとしてエドマンド・バークの著作を通じて最初に表明された。バークはフランス革命は、その理想が、その行き過ぎによって汚された(tarnished)と信じていた。 保守主義者は、変化の遂行は最小限(minimal)で漸進的(gradual)であるべきだと信じている。彼らは歴史を愛好し、理想的(idealistic)であるよりは現実的(realistic)である。 著名な保守主義政党として、英国の保守党、ドイツのキリスト教民主同盟、アメリカの共和党、日本の自由民主党がある。 (2) オックスフォード英語事典(conservativeの項)より抜粋翻訳 (政治的文脈において)自由企業・私的所有・社会に関する保守的な理念を愛好すること (3) コウビルド英語事典(conservatismの項)より全文翻訳 1 保守主義とは、変化が社会にとって為されることが必要とされる場合において、それは漸進的(gradual)に為されるべきだと信じる政治的哲学である。 2 保守主義とは、変化や新しいアイディアを受け入れることを嫌がることである。 ◆2.内包と外延 ↓本文はここをクリックして表示 -... 保守主義(conservatism)の辞書的定義を押さえたところで、次はその内包と外延を検討します。 (1) 内包(intension) 論理学で、一概念に含まれる属性。例えば「空」の内包は、「上、青色、広い」など (2) 外延(extension) 論理学で、その概念が適用される事物の範囲。例えば、金属という概念の外延は、金・銀・鉄の類 ■4.保守主義の内包(=内在する属性) ◆1.保守主義の核心的特色 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) (保守主義とは)常に「現状(status quo)」の中に、①「守る(conserve)べきもの」と、②「改善(improve)すべきもの」を弁別し 1 「絶対的破壊(absolute destruction)」の「軽率さ(levity)」と 2 「一切の改善を拒絶する頑迷(the obstinacy that rejects all improvement)」 を共に排除しようとするもの、であり (2) そのような「保守(preserve)」と「改革(reform)」とにあたっては 1 古い制度の有益な部分が維持され 2 「改革」によって「新しく付け加えられた」部分は、これに「適合するようにされるべきであり」 3 全体としては「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」が保たれることを政治の眼目とする という所に、その顕著な特色がある。 つまり 1 「現状(status quo)」の中に常に「守る(conserve)べきもの」を見出すことを起点として政治的思惟が進行する、という思考形式と、 2 「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」への政治的志向 の2つが、E.バークに代表される保守主義の核心的特色である。 この様な保守主義的政治態度は、政治情勢により「右」へ振れる場合にも、あるいは「左」に振れる場合にも、その振幅を有限化するばかりでなく比較的にいって僅少なものにする。 なぜなら、いずれの方向にせよ、過度の振れは「守るべきもの」を放棄することを意味し、また「左」へ振れすぎるときには、進歩の連続性が切れてしまうからである。 従って、バークの保守主義の哲学は、一言にして尽くせば、文字通りの「政治的安定性(political stability)」の哲学、「政治的力学」の哲学、高度の政治的「復元力(stability)」を持つ哲学に他ならない。 ◆2.保守主義の一般的特質 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) 思想形成の反定立(antithesis)性 保守主義は既に定立(thesis)された思想の衝撃を待って初めて、その対立者として自己の思想形成を開始する。 (2) 思想内容の他者被規定性 保守主義は、思想内容が他者によって(つまり定立された別の思想によって)方向づけられ限定される。即ちバークにおいては「アンチ・フランス啓蒙思想」「アンチ・デカルト流理性主義」であり、ハイエクやポパーにおいては「アンチ・社会主義/共産主義その他の全体主義」「アンチ・リベラリズム/福祉国家」である。 (3) 高度の状況的機動性(状況適応性) 保守主義は、それが置かれた具体的状況に密着した思考形式と実現手段を提供する。つまり保守主義は、その対抗思想のように理論が先行した思考様式ではなく、常に「現状(status quo)」を前提として歴史的継続性の中で、その内容と対応策を見出す。「イギリス人は新事態が起こるたびごとにそれを如何に利用するかを心得ている」(A.ヒットラー)即ち保守主義は、①反省的判断力による個性的状況の敏速な把握と、②政治的実践へのその巧みな活用、を本領とする。 (4) 無原則的状況主義(opportunism)との区別 保守主義は、一般に「中道(mid-roader)」あるいは「中間(centrist)」と呼ばれる「無原則主義(opportunism、便宜主義・日和見主義)」と違って一定の政治的原則/政治的価値を保持する。 (5) 貴族政治的(aristocratic)志向性 保守主義は、民衆政治(democracy)を衆愚政治(mobocracy)に陥り易いものとして警戒し敬遠する傾向がある。 ※関連ページ デモクラシーと衆愚制 ◆3.保守主義の価値観・思惟構造 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) 「現状(status quo)」における「保守(conserve)すべき」内容の発見可能性の肯定 保守主義は一定形態の歴史意識(但しマルクス主義的な歴史発展法則を肯定するものではなく「過去」と「現在」との継続性という意味での歴史意識)と、そうした歴史を把握する人間の能力(つまりデカルト的な普遍的理性ではなく、歴史的に形成され、個別的に存在する広義の理性)を肯定している。なぜなら保守主義は「現状(status quo)」の中に一定の「保守すべき」(即ち一定の積極的に望ましいと評価し得る)内容を見出す思想であり、それは従って人間は歴史的な経緯のうちに「保守すべき」価値内容を弁別する能力を保有することを肯定しているからである。 (2) 政治目的およびその実現手段の「既存性(existence)」の肯定 一般に政治的思惟は、①政治的目標の設定に始まり、②その適合的な実現手段を発見し、③その手段の効果的適用による目標実現によって完了する。しかし保守主義は、①この政治的思惟の起点を「現状(status quo)」における「保守すべき」内容の発見に求め、かつ、②その実現手段をも「現状」に求めている。「真の政治家というものは、常に、どうすれば自国の現存の諸材料を、最大限度に利用することになるかということを考慮するものである」(E.バーク) (3) 「申し分なく継続的な進歩(well-sustained progress)」の肯定 保守主義は「歴史の流れに順行した」政治、言い換えると慣例を活かし「現状(status quo)」を絶えず制度的ないし観念的に過去に連結していくような政治を理想とする。政治における新奇な、あるいは革新的な企図は、保守主義の歴史意識にとっては歴史の継続性に対する撹乱要因に過ぎない。 (4) 「自然的」人間性に対する「歴史的」ないし「社会的」人間性の優位 (5) 「自然的」理性に対する「歴史的」理性の優位 (6) 「抽象的悟性(abstractive understanding)」に対する「歴史的悟性(historical understanding)」の優位 「旧い先入見prejudice」と「理由のない慣習」の尊重 ■5.保守主義の外延(=対象となる範囲) ◆1.保守主義と自由主義の関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... リベラリズムについては リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 を参照のこと。 要約すると、リベラリズムには歴史的に以下の4段階があり、このうち日本語の語感で「自由主義」に相当するのは 1 と 3 である。 リベラリズムの段階・種類・区分 時期 意味内容 1 古典的リベラリズム(classical liberalism) 16世紀~19世紀 ①個人の権利・自由の確保、②政府権力の制限、③自由市場を選好…消極国家(夜警国家) 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism) 19世紀末~20世紀 経済的不平等・社会問題を緩和するため市場への政府介入を容認→次第に積極的介入へ(積極国家・福祉国家・管理された資本主義)社会主義に接近しているので社会自由主義(social liberalism)と呼ばれ、自由社会主義(liberal socialism)とも呼ばれた。 3 再興リベラリズム(neo-liberalism) 1970年代~ スタグフレーション解決のため自由市場を再度選好。 2 を個人主義から集産主義への妥協と批判し、個人の自由を取り戻すことを重視 4 現代リベラリズム(contemorary liberalism) 現代 ①不平等の緩和、②個人の権利の拡張、を含む社会改革を志向1970年代以降にJ.ロールズ『正義論』を中心にアメリカで始まったリベラリズムの基礎的原理の定式化を目指す思想潮流で、①ロールズ的な平等主義的・契約論的正義論を「(狭義の)リベラリズム」と呼び、②それに対抗したR.ノージックなど個人の自由の至上性を説く流れを「リバタリアニズム(自由至上主義)」(但し契約論的な構成をとる所はロールズと共通)、③また個人ではなく共同体の価値の重要性を説くM.サンデルらの流れを「コミュニタリアニズム(共同体主義)」という。 補足説明 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism)と 4 再興リベラリズム(neo-liberalism)は共に「新自由主義」と訳されるので注意。もともと 1 古典的リベラリズムに対して修正を加えた新しいリベラリズム、という意味で、 2 ニュー・リベラリズム(訳すと「新自由主義」)が生まれたのだが、世界恐慌から第二次世界大戦の前後の時期に、経済政策においてケインズ主義が西側各国に大々的に採用された結果、 1 に代わって 2 がリベラリズムの代表的内容と見なされるようになり、 2 からnewの頭文字が落ちて、単に「リベラリズム」というと 2 ニュー・リベラリズムを指すようになった。ところが、1970年代に入るとインフレが昂進してケインズ主義に基づく経済政策が不況脱出の方途として効かなくなってしまい、市場の自律調整機能を重視する 1 の理念の復興を唱える 3 ネオ(=再興)・リベラリズムに基づく政策が1980年前後からイギリス・アメリカで採用されるようになった。そのため今度は、 3 を「新自由主義」と訳すようになった。 保守主義は、 ① 18世紀末のE.バークの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、 1 古典的自由主義を意味し、 伝統保守(旧保守) 対抗思想 フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)、デカルト的理性主義(設計主義的合理主義) ② 20世紀半ば以降のF.A.ハイエクやK.R.ポパーの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、 3 再興(=ネオ)自由主義を意味した。 経済保守(新保守) 対抗思想 社会主義・共産主義・ファシズム等の全体主義、 2 ニュー・リベラリズム(所謂リベラリズム…福祉国家など大きな政府による実質的な個人の自由の剥奪) ⇒「保守主義の他者被規定性」の項目参照。 ◆2.伝統保守と経済保守の架橋 ↓本文はここをクリックして表示 -... ◇1.18世紀イギリスの自由主義思想家による「伝統保守」の説明 (1) D.ヒューム(スコットランド出身の英国外交官・道徳/政治哲学者、歴史家)『道徳・政治・文学に関する随想』(1742) 「英国においては到底存在する見込みはないと思われる一政体について、これ以上論議を重ねる必要はありません。我々の間ではどの党派もそれを目的としてはいないように見えます。出来るだけ我が国の古来の政体を育て発展させるようにしましょう。大変危険な新型の諸政体に対する情熱を掻き立てないようにして。」 (2) E.バーク(アイルランド出身の英国下院議員・思想家)『フランス革命の省察』(1790) 「思慮深い警戒心、綿密周到さ、気質的というよりはむしろ善悪判断から来る小心さ、これらが最も断固たる行為をする際に我々の父祖が拠り所とした指導原理の中にありました。彼らは、あの光-つまりフランス人の紳士諸君が自分たちはそれに大いに与っていると吹聴するあの光-に照らされてはいなかったために、人間とは無知で誤りやすいものである、ということを肝に銘じて行動したのでした。」 「国家と法を聖別するにあたって、まず第一に則るべき最も重要な原理の一つは、それら国家や法を一時的に、あるいは終身で保有している人々が祖先から受け取ったものや本来子孫に属するものを忘れて、あたかも自分だけが完全な主人であるかのように行為する、といったことがあってはならない、ということです。即ち、自らの社会の根源的な構造を勝手に破壊し、それによって限嗣相続の制限を解除したり相続財産を浪費したりしても、それは自分たちの権利のうちなのだ、などと思ってはならない、ということです。もしもそうしたことが行われれば、彼らは後から来る者に対して、住むべき家の代わりに廃墟を残すことになるでしょうし、彼らが自らの祖先の諸制度を殆ど尊重しなかったのだから、彼らが考え出したものもやはりそんなに尊重するには及ばないのだ、と教えるようなものでしょう。」 ◇2.保守主義=「小さな政府」なのか? 参考サイト 本当の対立点とは何か?(「保守主義」の定義) (戦争に負けた国blog様) このサイトに見るように「小さな政府」こそ保守主義だとする主張がある。 保守主義がすべからく「大きな政府」に反対する、という意味では確かにそうだが、保守主義は「経済保守(新保守=リベラル右派)」だけではない。 伝統文化・社会的価値の維持発展に主な関心を注ぐ「伝統保守(旧保守)」は、経済政策においては一般に「小さな政府」よりも中負担・中福祉(=中規模の政府)を志向する。 従って、この命題は、半分だけ正しい。 用語 説明 関連ページ 小さな政府(limited government)※注:項目なしのため、安価な政府の項目で代用※補注参照 「小さな政府」ともいう。18世紀末頃より用いられた自由主義の財政的標語で、財政規模のあまり大きくない政府をいう。ナポレオン戦争後のイギリスでは、軍事費の削減はもとより、航海法・独占特許制度の撤廃などの自由主義施策の推進と並んで一般経費の縮減が進められた。このため1870年頃まで国家財政の規模は年々減少、または漸増するにとどまり、史上ほとんど唯一の「安価な政府」が出現した。その思想的背景にあるものは、国の役割を国防・警察などに限るA.スミスの夜警国家観である。しかし、前世紀(注:19世紀)末以降イギリスを含めて経費膨張が避けがたい傾向となったことは、帝国主義の風潮に追うところが大きい。第二次世界大戦後は、福祉の充実など各経済分野での公共部門の拡大が「高価な政府」へと拍車をかけているが、1980年代アメリカのレーガン政権、イギリスのサッチャー政権下では「小さな政府」への動きがみられた。その趣旨は、経済・社会政策の領域での政府の役割を削減し、市場機構と競争に多くを委ねることによって財政赤字・政府規制を改め、公営企業の民営化を促し、自立・自助の精神により資本主義経済の再活性化をはかることにあった。(⇒経費膨張の法則) ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 ※補注:実際には「安価な政府(cheap government)」という政治・経済用語は英語圏には存在しない。 (cheap government は「安っぽい・みすぼらしい政府」の意味になってしまい、用語として不適切)⇒英語に疎い日本人学者の間で使用される誤った用語と思われるが、ここでは日本語版ブリタニカ百科事典の記載内容をそのまま転記する。 ◇3.伝統保守(旧保守)と経済保守(新保守)の架橋 ~ フュージョニズムと「思いやりのある保守」 フュージョニズム(fusionism) アメリカにおいて冷戦時代に「伝統保守」と「経済保守」の融合・架橋を目指した思想的立場 ※以下は、「乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~」様blog記事中岡望『アメリカ保守革命』 より抜粋 ※なお、中岡望氏は、現代アメリカの用法に従って「新自由主義(=リベラル右派=経済保守)」の意味で「リバタリアニズム」という語を使用しているので注意が必要。 戦後のアメリカ保守主義は二つの流れに収斂されていった。ひとつは伝統主義であり、もう一つはリバタリアニズムである。だが保守主義運動の中で、この二つのグループの間に直接的な接点はなかった。二つの保守主義は共通な価値観を持っていたが、必ずしも同じ理想を求めていたわけではなかった。「大きな政府」を批判する点では一致しながらも、「個人の自由」に関する考え方は大きく違っていた。伝統主義者が倫理や宗教から「個人の自由」を理解しようとしたのに対し、リバタリアンは市場という観点から理解しようとしていた。(p.40)伝統主義者は敬虔なキリスト教徒が主流を占めていたのに対し、リバタリアンの多くは宗教には比較的無関心であった。伝統主義者は伝統を重んじ、個人主義に対して批判的であったが、リバタリアンはダイナミックに変化する社会経済をイメージし、個人の自由を最大限認める個人主義の哲学を掲げていた。(p.41) しかし、思想運動としての保守主義が発展するためには、「小異を捨てて大同につく」ことが求められた。二つの流れを融合させることが必要であった。反共主義がその接着剤の役割を果たした。 保守主義の二つの流れを融合させたのが、ジャーナリスト出身の保守主義者フランク・メイヤーである。融合された保守主義思想は「フュージョニズム(融合主義)」と呼ばれた。(p.41)伝統主義が主張する人間の“美徳”の達成は・・・リバタリアンの主張する“自由な社会”があって初めて可能になると説いたのである。メイヤーは、これによって、それまで対立していた伝統主義とリバタリアニズムを保守主義革命の大義のために“融合”させたのである。(pp.43-4)フュージョニズムが反共主義によって貫かれている・・・。冷戦が深刻化し、共産主義の世界への拡大が現実のものとなりつつあった当時の状況から、全体主義に反対する伝統主義者もリバタリアンも、反共主義にはまったく異論がなかった。その結果、反共主義はアメリカの多様な保守主義の思想を結びつける役割を果たすことになる。(pp.44-5) ここまでがアメリカ保守主義革命の第一段階である。メイヤーによる“融合”によって理論武装を終えた保守主義者は、その舞台を思想の場から政治の場へと移していく。彼らは保守主義思想を単なる思想運動に留めることなく、その理念を政治の場で実現しようとした。ここから保守主義革命は第二段階に突入する。1950・60年代、タフト、ゴールドウォーターという二人の共和党政治家は保守主義の理念を政治の場で実現することに成功しなかった。しかし、その過程で、保守主義運動の本流の流れとは別に、(伝統的な孤立主義を捨てて積極的に国際政治に介入しようとする反共主義者である)「冷戦リベラル」や(人工中絶や同性愛を宗教的な倫理観に反する現象として徹底的に批判する)「クリスチャン・ライト」といったグループが保守陣営に加わり、保守主義者は共和党の一大支持基盤を形成していく。それに伴って、共和党は保守主義を奉じる政党へと変貌していく。そして、1980年、レーガン共和党政権の成立によって、ついに保守主義はその理念を政治の場で実現するチャンスを手に入れた。 思いやりのある保守主義(compassionate conservatism) ブッシュ大統領が、冷戦終結で「反共」という共通基盤を失った後の「伝統保守」と「経済保守」を架橋するために打ち出した政策コンセプトであり、さらに「思いやり(compassion)」という言葉に象徴されるように、従来は共和党の支持者獲得のターゲットとはあまりみなされなかった社会的弱者への目配りが含意されている。英キャメロン首相も、ブッシュ政権に倣いこれを自身の政策コンセプトとして採用しているほか、安倍元首相が政権当時掲げた「再チャレンジ支援構想」もこのコンセプトの影響を受けていると考えられ、21世紀型の保守主義のあり方として注目される。 ■6.保守主義と混同されやすいが別概念として区別すべきもの ここでは、保守主義(=真正の自由主義)と全体主義の間に位置するリバタリアニズム・コミュニタリアニズム及びナショナリズムについて説明し、更にナショナリズムに関連してよく問題となる保守・右翼・極右の区別について説明します。 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ◆1.保守主義とリバタリアニズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 +... ◇自由至上主義(libertarianism)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(libertarianismの項)より全文翻訳 個人の自由を強調する政治思想。自由至上主義者は、各個人は、自己の行動が他人の自由を侵害しない限り、完全な行動の自由を保持すべきだと信じている。 自由至上主義者の政府に対する不信は、19世紀の無政府主義(anarchism)に起源を持つ。典型的な自由至上主義者は、所得税やその他の政府の課税ばかりでなく、社会保障(social security)や郵便サービスのような他の多くの人々が有益だと思っているプログラムにも反対する。 アメリカでは彼らの見解はしばしば伝統的な政党間の境界を横断する(例えば、自由至上主義者はほとんどの共和党支持者と同じ様に銃規制に反対するが、ほとんどの民主党支持者と同じ様に禁止薬物の合法化を支持する)。 自由至上主義者の間で愛好されている人物はヘンリー・デビット・ソローとアイン・ランドである。 (2) オックスフォード英語事典(libertarianismの項)より抜粋翻訳 市民生活に対する政府の介入を最小限のもののみとすることを唱導する極端な自由放任の政治思想。 その支持者は個人の道徳は政府の扱う事柄ではなく、それゆえ麻薬使用や売春のような異論もあるところではあるが参加者以外の誰も害さない活動は不法とされるべきではないと信じている。 自由至上主義者は無政府主義者と主張内容を共有しているが、但し自由至上主義者は一般には、より一層政治的権利と関連付けられる(主としてアメリカ)。自由至上主義は伝統的な自由を社会的正義に結びつける配慮が欠落している。 (3) コウビルド英語事典(libertarianの項)より全文翻訳 1 リバタリアンであったり、またリバタリアン的な態度の人とは、人々は自分が望むままのやり方で考えたり振る舞う自由を持つべきだという理念を信じ、また支持している人である。(= リベラル) 2 自由至上主義者とは自由至上主義の見識を持つ人である。(= リベラル) このように、正確な定義でのリバタリアニズムは、 (1) 極めて強く個人的自由の領域の拡大を希求する思想であることから「右派」の「経済保守(=リベラル右派)」に近いといえる(そのために新自由主義と混同を招いた)が、 (2) そうした姿勢は、①無政府主義(左派に近い思想と一般には考えられる)につながること、 (3) また、②政府などの公的機関の介入が最小となる社会を合理的に設計できる、としている点でデカルト以来の設計主義的合理主義(左派の根本的思想の一つ)に連なること、 から、右派・左派のどちらにも分類できない「中間派」とするのが、最も適切である。 ◆2.保守主義とコミュニタリアニズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 +... ◇共同体主義(communitarianism)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(communitarianismの項)より全文翻訳 ①政治生活の実行、②政治制度の分析・評価、③人間のアイディンティティと安寧幸福の理解、に関する共同体(community)の重要性を強調する政治・社会思想。 共同体主義は1980-90年代に、ジョン・ロールズ等の思想家による理論的リベラリズムに対する明白な反対思想として興起した。 共同体主義者によれば、リベラリズムは非現実的なほどに原子化した抽象的個人という概念に寄りかかっており、また自由と自律といった個人的価値に余りにも重要性を置き過ぎている。 共同体主義の主要な代表者には、アミタイ・エツィオーニ、マイケル・サンデル、チャールズ・ティーラーが含まれる。 なお、集産主義を参照のこと。 (2) オックスフォード英語事典(communitarianismの項)より抜粋翻訳 1 小規模な自治的共同体に基礎を置く、社会組織に関する理論または制度。 2 共同体に対する個人の責任と、家族という単位の社会的な重要性を強調するイデオロギー・ ※コリンズ-コウビルド英語辞典には項目なし。 このように、正確な定義でのコミュニタリアニズムは、 (1) 歴史的に育まれた共同体に根付く価値観を正当に評価し維持発展させようと希求する思想であることから「右派」の「伝統保守」に近いといえる(そのために、これこそが真の保守主義であるとする誤認識を招いた)が、 (2) その姿勢は、個人の自由意志を軽視して、集産主義(左派の根本的思想の一つ)につながる傾向が強いこと から、やはり右派・左派のどちらにも分類できない「中間派」とするのが、最も適切である。 参考サイト オピニオン●保守と日本精神(細川和彦氏サイト) ※共同体主義こそ真の日本的保守主義と主張するサイトです。 ※当サイトと同様に、保守/リベラル/右翼/左翼などの政治思想・概念の定義づけと分類・整理を行っており、当サイトの考え方との差異を考察していくと色々と参考になるサイトです。 ◆3.保守主義とナショナリズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 -... ◇1.ナショナリズム(nationalism:国民主義、民族主義、国家主義など文脈に応じて様々に訳し分ける)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(nationalismの項)より全文翻訳 自己のnation(アイデンティティを共有する人々の集合)またはcountry(地理的な意味での国家)に対する忠誠(loyalty)と献身(devotion)であり、特に他の人々の集合や個人的な利害への忠実さを上回るもの。 国民国家(nation-state)の時代以前は、ほとんど全ての人々の忠誠先は彼らの直近の地域や宗教的集団だった。 巨大な中央集権国家の登場は地方的権威を弱体化させ、日々進行する社会の世俗化は宗教的集団に対する忠誠を弱体化させた。しかしながら人々に共有される宗教は-共通の民族性・政治的遺産・歴史と共に-人々を国民主義運動(nationalist movement)へと誘い入れる要因の一つとなった。 18世紀から19世紀初めにかけての欧州の初期の国民主義運動は自由主義的(liberal)で国際的(internationalist)なものだった。しかしそれは次第に頑迷(conservative:「保守的」の意味もあるがここでは「頑迷」の意味ととる)で偏狭(parochial)なものとなっていった。 ナショナリズムは第一次世界大戦・第二次世界大戦そして近代におけるその他の多数の戦争を引き起こした主要因と考えられている。 20世紀のアフリカとアジアでは民族主義運動(nationalist movements)はしばしば植民地主義(colonialism 植民地支配)に対する反対(抵抗)を引き起こした。 ソ連邦の崩壊後、東欧と旧ソ連邦の各共和国の強烈な民族主義的感情(nationalist sentiments)は、旧ユーゴスラビア地域におけるような民族的紛争(ethnic conflict)の要因となった。 (2) オックスフォード英語事典(nationalismの項)より抜粋翻訳 1 愛国的な感情・原理・尽力(patriotic feeling, principle, or efforts) 2 他の国々(country)に対する優越性(superiority)という感情によって特徴づけられた極端な形の愛国心(an extreme form of patriotism) 3 特定の国家(country)の政治的独立の主張(advocacy) (3) コウビルド英語事典(nationalismの項)より全文翻訳 1 ナショナリズムとは自分達は歴史的にまたは文化的に、ある国家(country)の中で特定の分離された集団であると感じる人々の、政治的独立への渇望(desire for political independence)である。 2 ある個人の自己のnationに対する巨大な愛情をナショナリズムと呼ぶことが可能である。ある特定のnationは他の全てのnationより優秀であるという信条と、このナショナリズムはしばしば関連付けられるが、こうしたケースは、しばしば(話者の)不承認(不快感 disapproval)を表現するために用いられる(=jingoism 偏狭的優越主義) ◇2.ナショナリズムの発展モデル ※ナショナリズムは一般に以下の3段階で発展すると考えると理解し易い。 Ⅰ.解放的ナショナリズム(パトリオティズム) → Ⅱ.国民国家の成立 → Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズム(ジンゴイズム/ショーヴィニズム) 主に他国や他民族の抑圧に対して、①国家・国民形成を図りつつ、②政治的あるいは経済的自決(民族自決)を求める動き※政治的・経済的自決を求めることから、この段階のナショナリズムは自由主義と親和的である。 → 国家の要請に適った国民を育成するために、①統一的・画一的な国民教育の実施、②歴史・文化の共有化、③「伝統の創造」(※)といった公定ナショナリズムとでも言うべき諸政策が政府主導で実施される。※英歴史学者ホブズボームの用語で、正統性に問題のある新興国家の政府が行いがちな一種のご都合主義的な「伝統」価値の捏造 → 増大していく大衆の自尊感情の現れとしてのナショナリズム(大衆の自己崇拝、ナショナリズムの市民宗教化)。Ⅱの公定(=官製)ナショナリズムの結果、政府当局のコントロールが効かない状態にまで大衆の自尊感情が昂進してしまった状態。 少数エリ-トの自覚的な活動(市民型ナショナリズムcivic nationalism)として始まり、次第に参加者を拡大していく → 国民の政治参加の意欲が高まる結果、大衆デモクラシーが成立するが、次第に衆愚化していく傾向を免れない。 → 理性よりも大衆の無定見な民族感情に流され易くなり(民族型ナショナリズム ethnic nationalism)、①国内的には排外的、②対外的には侵略的傾向を強めていく結果となる。 例1 フランス革命の最初期 → フランス共和国の建設(カルノーの徴兵制etc.) → ジャコバン政権樹立以降の「革命の輸出」~ナポレオンの侵略戦争 例2 ドイツ統一運動 → ドイツ第二帝国の建設(ビスマルク時代) → ウィルヘルム2世の世界政策から第一次世界大戦へ。さらに敗戦からワイマール共和国の混迷ののちナチス政権による侵略政策の追求へ 例3 明治維新~日露戦争・不平等条約改正 → 大正デモクラシー(男子普通選挙の導入=大衆の政治参加) → 日本の場合は露骨な対外侵略の肯定という形は憚られたが、アジア諸民族と結んで白人支配を覆すという大義(=アジア主義)が利用される形で拡張的ナショナリズムが発動してしまった。 ※韓国は、Ⅱ.の行き過ぎの結果、Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズムが発動してしまった状態と解され、また中国もⅡ.を部分的ながら過激に実行した結果Ⅲ.の歯止めが利かなくなりつつある状態と見られる。 ◆4.保守・右翼・極右の区別 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※保守・右翼・極右をどう区別するかは定義の仕方次第だが、一応の目安として以下の基準が有効である。 内容 関連ページ 保守 国内外の全体主義(共産主義・社会主義・リベラリズムなどの集産主義)の脅威から自由を守る(=自由主義) 保守主義とは何かリベラリズムと自由主義 右翼 他国・他国民の侵略的ナショナリズムの脅威から自国・自国民を守る(=解放的ナショナリズム) 右翼・左翼の歴史ナショナリズムとは何か 極右 他国・他国民に対して侵略的ナショナリズムを発動している段階。なお極右と極左は紙一重の双生児であり、極左も当然侵略的ナショナリズムを発動している段階である。 右翼・左翼の歴史 ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ■7.日本の保守主義 以上で、①E.バーク的保守主義(伝統保守)と、②ハイエク的保守主義(経済保守)の2大類型に基づいて、英語圏で発展した保守主義の標準概念と、関連する諸思想の位置づけを説明しました。 以下では、この標準的な保守主義の解釈をベースとして、日本の保守主義及び関連する諸思想について分類・位置づけを行います。 ◆1.参考:「保守主義」という用語の使用状況 ↓本文はここをクリックして表示 -... 戦前・戦中さらに戦後も1970年代までは「保守主義」という言葉はマイナス・イメージの付きまとう言葉として日本ではこれを自称する者はほとんどいなかった。 左翼側が敵対勢力を「保守反動」とレッテルを貼って批判する場合に使用される例がほとんどであり、政治勢力としての「保守」は存在しても、政治思想としての「保守主義」を唱える者はほとんどいなかった。(明治21年に長州藩出身の軍人・政治家 鳥居小弥太が「保守中正派」と称する小政党を作り「保守」を論じていることが数少ない例外) 戦前・戦中において伝統保守的な思想的立場を表明する者の多くは、もっぱら「右翼」(とくに昭和初期には「観念右翼」ないし「精神右翼」)と他称され、また彼ら自身は後述する「日本主義」を名乗っている場合が多かった。 その後、1980年代に英サッチャー・米レーガン両保守政権が政治的・経済的に成功を収めて、「保守主義」に今度はプラス・イメージが高まり、日本でも「保守主義」を自称する者が急増し、現在に至っている。 ◆2.西欧保守主義・日本の保守主義の接合上の問題点と考え方 ◇1.保守主義と、自由主義・個人主義・デモクラシーの関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... 《問題点》 西欧保守主義の本質は、自由主義・個人主義・デモクラシーの肯定にある。⇒ ところが、日本の「保守」論客には、自由主義・個人主義・民主主義を否定的に捉える者がかなり多いように見える。変ではないか? 【考え方】 日本の「保守」論客の批判している「自由主義」「個人主義」「民主主義」の内容をよく読むと、ルソー以降に左翼によってその意味を歪曲されてしまった「(左翼的意味の)自由主義(=リベラリズム)」「(アトム化された)個人主義」「(衆愚化した)デモクラシー(=モボクラシー)」のことであることが分かる。これは、「自由主義」「個人主義」「民主主義」という言葉が、日本でも一般的に使用されるようになった大正時代(大正デモクラシー期)には、これらの言葉は、既に西欧社会においても左翼によってその本来の意味を歪められてしまっており、日本の「保守」論客たちは、それらの政治思想・概念を、本来の意味ではなく、もっぱら歪曲された意味で理解してしまったことに原因があると思われる。ハイエクやポパー、バーリンらの真正の自由主義者(本来の自由主義者)による「左翼によって歪曲された」政治思想・概念への痛烈な(そして左翼側にとっては致命的な)批判は、第二次世界大戦中あるいはその直後にようやく日の目を見たものであり、当サイトでは、彼ら(ハイエクやポパー)の必勝の論法を是非ともマスターすることを強く推奨している。しかし、これらの左翼批判を受容していない(要するにハイエクやポパーを読んでいない)日本の「保守」論客たちは、いまだに単純な(そして残念ながら余り説得力があるようには思えない)従来どおりの紋切り型の「自由主義」「個人主義」「民主主義」批判を繰り返していると思われる。この点に関する不都合は、戦前から戦後にかけての日本の代表的な保守主義者である平泉澄博士の著作についても残念ながら当てはまることである。(平泉博士はハイエク・ポパーと同時代人であることから、バークのルソー批判までは受容していても、ハイエク・ポパーの全体主義批判までは受容できなかったことに起因)従って、結論として我々は、①日本自生の保守主義の理解のみに立脚するのではなく、②西欧保守主義の伝統にも立脚し、これを左翼・全体主義を完膚なきまでに論破する最上のツールとして是非とも活用すべきである。 (参考)「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」⇒詳細は「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引きへ 真の個人主義 (→自由主義体制へ) 偽の個人主義/集産主義 (→全体主義体制へ) 主な提唱者 ソクラテス、バーク、A.スミス、ヒュームアクトン、トックヴィル、ハイエク、ポパー、オークショット プラトン、デカルト、百科全書派、ルソー、マルクス、ベンサム 制度・秩序の捉え方 自生的秩序(spontaneous order)論即ち、自由な人々の自然発生的な協力が個々人の知性が完全には理解できないほどの偉大な制度や秩序など社会的構築物を創り出すこと(A.スミスの所謂「神の見えざる手invisible hand」)を肯定し、そうした特定の人物・組織の設計に依存しない自生的秩序形成が正常に機能する仕組みを維持育成することに重点を置く立場 設計主義的合理主義(constructivist rationalism)即ち、発見できる全ての秩序は特定の個人や組織の計画的な設計の産物であるとして、個人の理性を買いかぶり、個人の理性によって意識的に設計されたものでないもの・理性にとって完全には明瞭でないものに対しては、何であれ重視しない立場。 個人と国家の捉え方 中間団体による個人の自由の保障本質的に自由な個々人によって自発的に結成され歴史的に継続・発展してきた種々の中間団体(例えば、宗教共同体・職能組織・地縁集団・血縁集団)の存在によって個人が保護され、権力(power)がこうした中間団体や個々人に広く分散されるために全能の中央集権的政府の出現は阻止され、個人の実質的な自由は保障される。 アトム化された個人の国家への隷従①各種の中間団体から切り離され原子化(アトム化 atomized)された裸の個人と、②全能の中央集権的政府が直接対峙し、政府(=国家)が全ての個人の生活の責任を負うという建前の下に社会的な絆を剥奪されて(ルソー的な意味で)「自由」となった個人は結果的に全体主義的政府に隷従する。 政治機構の捉え方 人間や制度の不完全性の前提この主義の主たる関心は、①人間が最も良い時に時折成し遂げられるかも知れないことよりも、②人間が最も悪いときに害悪を及ぼす機会を出来るだけ少なくすることにある。その体制は機能の良し悪しが、それを操作する人間を我々が見つけ得るか否かに依存しないし、全ての人間が現にあるよりも善くなることにも依存しない。従ってこの体制は、その下にある全ての人間に自由を許容することが出来、現にあるがままの人間をその多様で複雑な姿のままで(本人が利己的な動機で動くにも関わらず)社会のために役立たせ得るシステムである。 社会契約論的個人主義と「自由への強制」この主義は個人を出発点とみなし、個人が彼の特殊意思と他人の特殊意思とを形式的な契約において結合させることによって社会や国家を創ると想定する。その体制は、プラトン「哲人王」、ルソー「立法者」、ナチス「指導者」etc.の育成/出現を前提とするが、「権力は必ず腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」(アクトン)ことを免れない。この体制は自由を「善良で賢明な個人」のみに許容し、その他の人々は「自由へ強制される」。 出現する社会 開かれた社会上下にも内外にも流動性が高く、社会に常に新たな活力が導入されるために、個々人の間では所得や社会的地位や幸福度・充足度などに必然的に差異が発生しても、社会全体の経済的・文化的水準は「閉ざされた社会」に比べて圧倒的に高くなる。 閉ざされた社会社会が固定的で、指導者・エリート層と一般人民の垣根が厳格に設定される(平等を謳いながらも社会がカースト化する)傾向にあり(G.オーウエル『1984年』を見よ)、かつ悪平等の弊害として自ら努力して状況を改善しようとする動機が働かないために特に経済的・文化的に停滞してしまう。 社会の原則 「人々を平等に取り扱うこと」(=自由な社会の条件) 「人々を平等たらしめること」(=隷従の新しい形態(A.トックヴィル)) ◇2.保守主義と、ナショナリズムの関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... 《問題点》 西欧保守主義は、ナショナリズム(=右翼思想)とは区別されるのが普通である。保守主義の代表者であるE.バーク自身が、イングランド本国ではなくその統治下にあったアイルランドの出身の政治家であり、またハイエクはオーストリアからイギリスに帰化した学者であって、彼らの思想には全体主義に対する激しい批判はあっても、ナショナリスティックな発想は一切混入していない。⇒ これに比較して、日本の「保守主義者」の唱える思想には、(1)反・全体主義の主張と、(2)ナショナリスティックな主張との区別が明瞭でなく、そのままでは英米保守主義の定義とは齟齬が生じてしまう恐れが高い。また最近は、本来の意味での保守主義とはまるで関係ない思想を唱えてるにも関わらず、その言葉のもつプラス・イメージに着目した自称「保守主義者」が続出しており、思想的な混乱が甚だしくなっている。 【考え方】 「ナショナリズム」の定義を確り押さえずに、やたらに「民族主義」という言葉を使っているケースが多いように思う。普通に祖国や自国民、自国の文化・伝統・歴史などに愛着を持つことは、西欧保守主義でも当然視されており、これを「パトリオティズム」とは表現しても、「ナショナリズム」とは通常は言わないはずである(nationalismは、①patriotism と②jingoismの両方の意味を包摂するが、現代の用法ではnationalismは②排外的なマイナスの意味合いが強まっている)。日本の問題はむしろ、西洋であれば「保守」ではなく「ナショナリスト」「右翼」と呼ばれるべき主張を持つ人物・組織が、「右翼」という言葉にマイナス・イメージが定着しているために、文字通り「民族主義者」であるにもかかわらず「保守」と自称している者が非常に多く、その結果、「保守(アンチ全体主義)」と「右翼(ナショナリスト)」が著しく混同されている点にある。つまり、日本においては、①単に「パトリオティズム」である祖国愛を、「民族主義」と勘違いしている保守主義者②西欧保守主義の基準では、「ナショナリスト」「右翼」なのだが、「保守」を自称する者の二種類がおり、それらの者の主張内容を確り吟味し、「保守」なのか「右翼」なのか識別する必要がある。 ◆3.日本主義 ※次に、戦前・戦中に具体的に「保守主義(伝統保守)」に相当する概念・思想を表す言葉として多用された「日本主義」について解説します。 ↓本文はここをクリックして表示 -... ブリタニカ国際百科事典(ブリタニカ・ジャパン社)による説明。 にほんしゅぎ【日本主義】 明治から第二次世界大戦敗戦までにおける欧化主義・民主主義・社会主義などに反対し、日本古来の伝統や国粋を擁護しようとした思想や運動をいう。一定の思想体系をなしていたとはいえず、論者により内容が相違する。明治の支配層が推し進めた欧化主義への反発として三宅雪嶺や高山樗牛らによって唱えられ、政治的には欧米協調主義への反対、国権や対外的強硬策の強調となって現れた。大正や昭和になって日本の資本主義の高度化が階級対立を激化させ、社会主義やマルクス主義が流入すると、これら諸思想の対抗イデオロギーとして機能し、天皇を中心とする皇道や国体思想を強調した。(cf.神国思想) つまり日本主義には歴史的に見て以下の二段階がある。 ① 明治期の日本主義 政府の欧化主義に反発し、国粋主義/国権主義(特に政府の欧米協調路線に反対する攘夷主義)を主張した言論活動(政論的ジャーナリズム) 他国の侵略から自国・自民族を守る(解放的ナショナリズム)⇒即ち「右翼」思想 ② 昭和期の日本主義 皇道・国体思想を強調して、社会主義やマルクス主義の思想侵略の脅威への対抗イデオロギーとして機能した思想活動 全体主義の脅威から自国の歴史・伝統に根差した自由を守る(日本型保守主義)⇒即ち「保守」思想 ※「保守」と「右翼」の違いは ナショナリズムとは何か 参照 ※日本主義について、詳しくは 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 参照 ※この「(昭和期の)日本主義者」は、観念右翼または精神右翼と他称されており、これに対して、よりナショナリスティックな政治的主張を唱える者を革新右翼または組織右翼と呼んで区別した。 ◆4.革新右翼(国家社会主義者)と観念右翼(伝統保守) ↓本文はここをクリックして表示 +... 参考図書に挙げている日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 によれば、左翼が一掃された昭和10年代の日本には、①革新右翼と②観念右翼の二大勢力があり、国内・国外の政策を巡って激しく対立したとされる。 ※ブリタニカ国際百科事典には「観念右翼」のみ項目があり、その中に「(国家社会主義者(組織右翼)」の説明もあるので引用します(革新右翼を組織右翼とも呼んだ)。 【観念右翼】かんねん・うよく 特定の右翼党派ではなく、純粋な日本精神主義を思想や行動の原理とする諸団体。上杉慎吉をその源流とする。第二次世界大戦前の右翼運動を思想形態から分類すると、国家社会主義派(組織右翼)と日本精神主義派(観念右翼)に大別される。上杉の組織した桐花学園(1913創立)、蓑田胸喜、天野辰夫、菊池利房による興国同志会(19)、平沼騏一郎の国本社、興国同志会の流れをくむ七生社(25)などが観念右翼としてあげられる。 ※革新右翼と観念右翼の理念型(日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 より引用) ①革新右翼 ②観念右翼 国家改造 国体明徴 高度国防国家 国民精神総動員 解釈改憲 護憲(不磨の大典) 指導者原理 臣道実践 統制経済 資本制擁護 親ソ・親独 反共・反独裁 世界史的な使命 日本史的な道統 陸軍統制派 陸軍皇道派 革新官僚 財界 無産政党 既成政党(現状維持派) 国家社会主義者 自由主義者 ※②観念右翼が「日本主義」を唱えたのに対して、①革新右翼すなわち国家社会主義者は「アジア主義」の立場を説く場合が多かった。 ※以下、関連項目をブリタニカ百科事典より引用。 ◇参考:アジア主義 【大アジア主義】 だい・アジア・しゅぎPan-Asianism 欧米列強のアジア侵略に抵抗するため、アジア諸民族は日本を盟主として団結すべきであるという考え方。明治初期以来、種々の視角から展開された。植木枝盛は自由平等の原理に基づきアジア諸民族が全く平等な立場で連帯すべきことを説き、樽井藤吉や大井健太郎は、アジア諸国が欧米列強に対抗するために連合する必要があり、日本はアジア諸国の民主化を援助すべき使命があると説いた。明治20年代になると、大アジア主義は明治政府の大陸侵略政策(注)を隠蔽する役割をもつようになった。1901年に設立された黒龍会の綱領にもみられるように、その後の大アジア主義は天皇主義とともに、多くの右翼団体の主要なスローガンとされ、これに基づいて満蒙獲得を企図する政府・軍部の政策が推進された。日本人の大アジア主義的発想は、第二次世界大戦前・戦中の「大東亜共栄圏」構想を支えた。※注:ブリタニカ百科事典にも自虐史観の傾向は当然あり、上記のような「大陸侵略政策」という問題のある記述がなされている。 【大東亜共栄圏】 第二次世界大戦を背景に1940年第二次近衛内閣以降45年敗戦まで唱えられた日本の対アジア政策構想。その建設は「大東亜戦争」の目的とされた。東条英機の表現によれば、大東亜共栄圏建設の根本方針は、「帝国を核心とする道義に基づく共存共栄の秩序を確立」しようとすることにあった。しかし実際は、東アジアにおける日本の軍事的・政治的・経済的支配の正当化を試みたものに他ならなかったといえる。第一次近衛内閣当時の「東亜新秩序」は日本・満州・中国を含むものに過ぎなかったが、南進論が強まるにつれて、インド・オセアニアにいたる大東亜共栄圏構想に拡大された。大東亜省の設置と大東亜会議の開催は、このような方針の具体化に他ならない。 ◆5.まとめ ↓本文はここをクリックして表示 -... 運動の性格 ① 明治期の日本主義 政府の欧化主義に反発し、国粋主義/国権主義(特に政府の欧米協調路線に反対する攘夷主義)を主張した言論活動(政論的ジャーナリズム) 他国の侵略から自国・自民族を守る(解放的ナショナリズム) 右翼思想 当初は国粋主義的だった在野言論人の活動は、明治末・大正期に日本が大国化したのちも反骨精神は全く変わらず、今度は次第に左翼思想に理解を示す者が出てきた(左右等価気分説(※1))。更に彼らは、戦後は進歩派・市民派左翼文化人として活発に活動した(長谷川如是閑・丸山眞男etc.)。 ② 昭和期の日本主義 皇道・国体思想を強調して、社会主義やマルクス主義の思想侵略の脅威への対抗イデオロギーとして機能した思想活動 全体主義の脅威から自国の歴史・伝統に根差した自由を守る(日本型保守主義) 保守思想 日本精神主義派(観念右翼)。日本主義的教養を武器に学生・知識人の左傾化を防止し日本精神に目覚めさせると共に、革新右翼の狙う国家改造・解釈改憲・国家経済の社会主義化、更には戦争の長期化を「護憲」の立場から制止・抑制するために奔走。いざ戦争が激化すると国防のために生死を厭わず護国のために尽くした者が多い。 ③ アジア主義 アジア諸民族を白人支配から解放するという大義を掲げ、実際にも明治期の孫文を初めインドのB.ボース、フィリピンのアギナルドらの独立運動と連動しつつ遂行された日本の勢力拡張運動。 アジア諸民族の独立を支援する(排白人主義)(拡張的ナショナリズム) 極右思想 国家社会主義派(組織右翼=革新右翼)と重なる。代表的イデオローグとして5.15事件に関与した大川周明、2.26事件に連座した北一輝。革新右翼は2.26事件暴発後に勢力を急拡大し三木清など転向左翼の多数が近衛内閣のブレーン集団を形成して国策を左右した。※詳しくは 右翼・左翼の歴史 参照 ※「保守」「右翼」「極右」の違いは ナショナリズムとは何か 参照 ※1:左右等価気分説…右傾化も左傾化も既成勢力に対する反抗という意味で基本的に同じ心情に基づくものであり、状況が変化すれば左・右転換は容易とする説。 以上、説明したように、日本においても「保守主義」と「ナショナリズム」を区別することは可能であり、かつ英米保守主義との整合性という観点からもこの区別は必要と思われる。また、戦前・戦中に「日本主義」を唱えた日本型の保守主義者の系譜は、参考図書 にあるとおり、実は戦後も途切れておらず、現在の日本の保守主義陣営(伝統保守の側)の中核に繋がっていることに注目すべきである。(なお、経済保守についてはこの限りでない) ※日本の保守主義に関して詳しくは、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を参照下さい。 ■8.参考図書 ↓本文はここをクリックして表示 +... 『保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか (単行本)』 中川八洋(著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介これまで日本には保守主義は正しく紹介されなかった! 保守主義が真に必要な今、その真髄を初めて体系的に詳解。保守の常識が覆る!アメリカを建国した保守主義の天才、ハミルトン。“法の支配”という自由の砦を大成した、コーク。フランス革命と戦った「保守主義の父」、バーク。それらの思想について、ほとんどの日本人は知ることがない。明治以降、あれほど西欧思想が流入したにもかかわらず、英米を中心とした保守主義はほとんど排除されてきた。その結果、日本人は保守主義について、あまりに無知である。保守主義者を自称するものも、保守主義とはどういう思想かを理解していない。法曹関係者ですら、“法の支配”の真の意味がわかっていない。この保守への無理解が、ひいては現在日本のあまりの非常識と混迷を招いているといっても過言ではない。では「保守主義」とは何か? それを体系的に解説したのが本書である。上記の思想家たちの他にも、トクヴィル、ヒューム、アーレント、オルテガ、ホイジンガ、ハイエクなど数多くの思想家を紹介する。いま初めて明かされる保守主義の真髄!目次第1部 保守主義の父祖たち(「米国保守主義の父」アレグザンダ・ハミルトン、「法の支配」は復権できるか―マグナ・カルタ再生とコーク卿、「保守主義の父」バーク―「バーク・ルネサンス」を日本に祈る)第2部 全体主義と戦う「真正の自由」(「隷従への道」を歩む二十一世紀日本―アーレント解題、「赤より死!」の、反ヘーゲル―カール・ポパーの哲学、平等という、自由の敵―警鐘を鳴らすトクヴィル、反撃するベルジャーエフ)第3部 「美徳ある自由社会」を創る(人間を透視したヒューム道徳哲学、「社会正義」は“亡霊”―自由の原理とハイエク政治哲学、「高貴なる自由」―永遠のバーク哲学)★ハイエクの思想を機軸に、西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想の系譜を峻別して分かり易く解説。エドマンド・バークを初めとする西欧の正統保守思想の概略をこの一冊でマスター可能。残念ながら現在は絶品であり中古本も高額なので同著者の正統の哲学 異端の思想―「人権」「平等」「民主」の禍毒 で代用することを薦めます。 アメリカ保守革命 中岡 望 (著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介今、世界を席巻しつつある「保守主義革命」は、アメリカで始まった。それは“アメリカ化”という形で、世界の政治、経済、文化を巻き込み、留まることのない勢いで世界の隅々まで行き渡りつつあるようにみえる。日本もその世界的な潮流の埒外に存在しているわけではない。主流だったリベラリズムと対峙しながら、最初は思想運動として始まり、やがて現実の政策へと影響力を拡大していったアメリカ保守主義の発展過程とその内実を縦横に描いた名作。目次第1章 戦後の保守主義のルネッサンス(アメリカのリベラリズムと保守主義思想、二人の保守主義思想のゴッドファーザー ほか)第2章 保守主義思想とレーガン革命(思想運動から政治運動へ、保守主義思想の政治の代弁者たち ほか)第3章 レーガン革命と冷戦後の保守主義運動(未完のレーガン革命、一九九〇年代の保守主義の思想闘争 ほか)第4章 新しいエスタブリッシュメント―ネオコンの群像(ネオコンの創始者たち、ネオコンたちの思想的変遷 ほか)第5章 ブッシュ政権と二一世紀の保守主義(ブッシュ政権の樹立と政策、ブッシュの経済政策―レーガノミックスの再現 ほか)★戦後アメリカで細々と始まった(1)ウィーバー カークによる伝統保守の思想運動と、(2)ハイエク・フリードマンらによる経済保守の思想運動の二つの流れが、メイヤー バックリーによって融和・統合され、やがてゴールドウォーター、レーガンというコミュニケーター(人気政治家)を得て遂にアメリカ政治の表舞台に立つ時がくる。そして不十分な結果に終わったレーガン革命は、クリントン政権期の試練を経て、ブッシュ子政権期に更なる前進を見せる。60年の長期に渡るアメリカ保守革命のあらましを必要十分に描きつくした好著。 日本主義的教養の時代―大学批判の古層 竹内 洋 (編集), 佐藤 卓己 (編集) 2006.2刊内容(「BOOK」データベースより)戦前「護憲」の降魔剣“日本主義”を解明。「右翼」「反動」のレッテル貼りで忌避されてきた一九三〇年代“日本主義”の大学批判。マルクス主義的教養の機能的代替となった日本主義的教養の担い手たち。来るべき時代を読み解く画期的論集。目次第1章 帝大粛正運動の誕生・猛攻・蹉跌第2章 天皇機関説批判の「論理」―「官僚」批判者蓑田胸喜第3章 写生・随順・拝誦―三井甲之の思想圏第4章 英語学の日本主義―松田福松の戦前と戦後第5章 戦時期の右翼学生運動―東大小田村事件と日本学生協会第6章 日本主義的社会学の提唱―赤神良譲の学術論第7章 日本主義ジャーナリズムの曳光弾―『新聞と社会』の軌跡★未だに自虐史観どっぷりの東大・岩波系とは距離を置く京大系の学者達による昭和10年代日本の思想状況の共同研究プロジェクト全体のガイドライン的な位置づけの本。 日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 井上 義和 (著) 2008.6刊内容(「BOOK」データベースより)国家的危機の時代における大学の使命とは何か。欧化一辺倒の東京帝国大学に学風改革を迫り、高度国防国家を標傍する政府とも命がけの思想戦を繰り広げた東大生たち。戦時体制下で宿命的に挫折した“日本主義的教養”の逆説を読み解き、日本型保守主義の可能性を探る。目次第1章 「右翼」は頭が悪かったのか―文部省データの統計的分析第2章 政治学講義と国体論の出会い―『矢部貞治日記』を中心に第3章 学風改革か自治破壊か―東大小田村事件の衝撃第4章 若き日本主義者たちの登場―一高昭信会の系譜第5章 学生思想運動の全国展開―日本学生協会の設立第6章 逆風下の思想戦―精神科学研究所の設立第7章 「観念右翼」の逆説―戦時体制下の護憲運動第8章 昭和十六年の短期戦論―違勅論と軍政批判第9章 「観念右翼」は狂信的だったのか―日本型保守主義の可能性★現代の日本会議に繋がる国民文化研究会の母体となった昭和10年代の右翼学生運動の系譜を追い、左翼が壊滅した後、国家改造を進める革新右翼(国家社会主義者・アジア主義者)と激しく対立した観念右翼(伝統保守・日本主義者)の論理と実情を具体的に論証する好著 保守主義とは何か―反フランス革命から現代日本まで 宇野重規(著)、中公新書、2016年6月刊内容(中央公論新社ウェブサイトから引用)21世紀以降、保守主義者を自称する人が増えている。フランス革命による急激な進歩主義への違和感から、エドマンド・バークに端を発した保守主義は、今では新自由主義、伝統主義、復古主義など多くのイズムを包み、都合よく使われている感がある。本書は、18世紀から現代日本に至るまでの軌跡を辿り、思想的・歴史的に保守主義を明らかにする。さらには、驕りや迷走が見られる今、再定義を行い、そのあり方を問い直す。目次序章 変質する保守主義―進歩主義の衰退の中で第一章 フランス革命と闘う第二章 社会主義と闘う第三章 「大きな政府」と闘う第四章 日本の保守主義終章 二一世紀の保守主義★2016年6月に刊行された本書の著者やその推薦者によれば・・・・本書は、対フランス革命や対社会主義革命、対大きな政府など保守主義の時代による変遷をコンパクトに纏めた好著である。「「保守」を自任する人の多くは、「リベラル」や「左翼」にについて恣意的なイメージを描き、それを藁人形のようにしてたたくことで、自らの「保守」を正当化する。しかしながら、多くの場合、それは空想上の仮想敵を相手にした空回りに過ぎないようにも見える。」という著者の指摘は重く響く・・・という触れ込みであるが、実際に本書を読んでみると、「日本の保守主義についても…(中略)…アジアの植民地化など批判すべき点の方が多い」(p.212)とか「国の基本的な枠組みを維持する根幹である立憲主義の原理も、むしろ保守主義を名乗る勢力によって破壊されつつある」(p.200)という言説が散見され、結局のところ、著者のスタンスはどれだけ中立を装うとも所詮は丸山テーゼに彩られたアジア侵略史観(自虐史観)(※丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証参照)と戦後左翼的護憲思想(※立憲主義とは何か参照)を脱し切っておらず、もし本書に何らかの意義があるとすれば、著者と同じく未だそうしたスタンスから抜け出し切れない半可通の方が、取り敢えず批判的に「保守主義とは何か?」ということを、表面的であれ、あれこれ考えてみる第一歩になる・・・といったところでしょう。とくに本書の場合、アンチ全体主義のチャンピオンであるハイエクの著作について、その初期の著『隷属への道』だけは巻末の参考図書に挙げても、彼の本当の代表作である『自由の条件』については本編で若干の言及を加えてアリバイを作りつつも参考図書から外していたり、ハイエクの盟友ポパーの名著『開かれた社会とその敵』を完全に無視している点に明らかに欺瞞を感じる(※なぜならハイエク『自由の条件』やポパー『開かれた社会とその敵』まで読者に進まれると、読者が左翼思想がそこで完膚無きまでに論破されていることをハッキリ理解してしまう怖れが高いから)。そういう意味で、本書を読了して尚煮え切れない思いを抱いた方こそ、本サイトの左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページの各ページに進んで欲しいものである。 ■9.ご意見、情報提供 ページ内容向上のためのご意見・情報提供を歓迎します。 ↓これまでの全コメントを表示する場合はここをクリック +... 元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24 以下は最新コメント表示 元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24 名前 ラジオボタン(各コメントの前についている○)をクリックすることで、そのコメントにレスできます。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 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人物 / 新自由主義 / NPO法人:万年野党 + クチコミ検索〔岸博幸〕 #bf + ブログサーチ〔岸博幸〕 #blogsearch + ニュースサーチ〔岸博幸〕 コロナ禍で苦境つづく居酒屋チェーン、ぶっちぎりの落ち込みをみせた「鳥貴族」の復活に迫る!『坂上&指原のつぶれない店』SP - music.jpニュース さらば森田「脱力タイムズ」起業家特集に登場、スタジオの裏で絶叫(お笑いナタリー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 山善、機工マーケティング部を再編ほか(22年4月1日付) - AdverTimes(アドタイ) THE RAMPAGE吉野北人が初挑戦!「喉がカラカラになるくらい緊張」 - テレビドガッチ 【三遠南信】8信用金庫がしんきんサミットをオンライン開催「イノベーション起こせ」 - 南信州新聞 King&Princeの岸優太が“麵打ち”でキレキレの肉体美を見せた「蘭州拉麺」の老舗店とは? - 日刊大衆 脳卒中、心筋梗塞などの脳・心血管疾患をゼロにしたい! 「遠隔診療サービス」という新しい解決策 血圧計の累計販売台数3億台突破、オムロン ヘルスケアの次なる挑戦 - PRESIDENT Online JAHISが2022年新春講演会をオンラインで開催 - インナビネット 森田望智『脱力タイムズ』現場に感激「ものすごい労力を費やしてらっしゃる」(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 第14回三遠南信(8信金)しんきんサミット「三遠南信、新時代の幕開け!~ポストコロナに向けて~」を開催します - PR TIMES 【1月21日(金)、12時~開催】政府が進める脱炭素、カーボンニュートラルの全貌!政府が後押しする補助金と共に専門家が解説。 - PR TIMES King & Prince永瀬廉&高橋海人がギネス世界記録を更新 - テレビドガッチ 経済学者 岸博幸氏との特別合同セミナー『令和4年の日本経済と不動産投資を語る』~インフレ・生産緑地・FIREについて~ - PR TIMES 【桐谷広人氏・岸博幸氏】など登壇!「お金の貯め方・増やし方」が学べる70本の無料セミナーを開催 - PR TIMES 「ごきげんはイノベーションを生み出す」──岸 博幸、佐賀文宣、三浦瑠麗、宇賀なつみが語った「今のビジネスに一番必要なこと」 - Forbes JAPAN 安田顕、初出演の『脱力タイムズ』で大事件発生!? - テレビドガッチ こんなにもおかしい、岸田首相のオミクロン対応「4つの問題点」 科学的根拠なき「決断」の連発は国民にダメージ与えることに(1/5) - JBpress 経済学者・岸博幸氏特別合同セミナー「デジタル庁・NISCの取組とDX経営戦略、今後の不動産投資の展望」 - PR TIMES 岸博幸氏 熊田曜子夫に率直疑問 警察“高圧的”主張に「高圧的な態度だと認めちゃうのかな?」 - スポニチアネックス Sponichi Annex 岸博幸氏、官僚時代にスパイに「接触されてます」宮根も仰天「スパイって分かるの?」 - デイリースポーツ 岸博幸氏 18歳以下10万円相当給付に「出来悪い政策」「未来を応援なら、なんで大学生入ってないんだ」 - スポニチアネックス Sponichi Annex DX推進を支援するオンラインイベント「両備共創DX2021」 <いよいよ明日11月10日スタート>協賛企業9社DX事例も紹介 - アットプレス(プレスリリース) サステナブルシンポジウム~投資家が未来を見据える世界へ向けて~ - モーニングスター サイバーセキュリティのタニウム、オンラインイベント「Converge(コンバージ)Japan 2021」を11月に開催 - PR TIMES 「“成長は要らない”と言う大学教授は、自分の給料を100万、200万にしてから言え!」橋下氏&岸博幸氏が“脱成長”論を猛批判 | 経済・IT - ABEMA TIMES 「気候変動問題、“学級委員”的な人たちが理想に燃えているが、それほどヒステリックにやるものなのか?」CO2削減目標に橋下氏が懸念を示す理由 | 経済・IT - ABEMA TIMES RIZINアドバイザー岸博幸氏、武尊VS天心戦消滅報道にコメント「完全に無くなったということはない」 - スポニチアネックス Sponichi Annex 経済学者の岸博幸氏との特別合同セミナー「衆院解散・総選挙後の経済政策と、今後の不動産投資の展望」会場・オンライン同時開催! - PR TIMES 関ジャニ∞・横山裕、7MEN侍・本高克樹と告知展開!? - テレビドガッチ 岸博幸氏「そもそもレジ袋有料化は間違ってる」「もういらない政策」 - デイリースポーツ 内閣官房参与、今井・飯島両氏ら8人再任 岸田首相 - 日本経済新聞 総裁選での論戦に「決定的に」欠けているもの コロナ対策は当たり前、いま提示すべきはアフターコロナの成長戦略(1/4) - JBpress 船橋商工会議所青年部、内閣官房参与・岸博幸さん招き講演会 - 船橋経済新聞 経済学者の岸博幸氏との特別合同セミナー「世界経済と日本の金融政策、今後の不動産投資の展望」オンラインで同時開催! - PR TIMES 岸博幸参与がトンデモ助言「相手に言質を与えないことが大事」で“すれ違い答弁”推奨の大暴論|日刊ゲンダイDIGITAL - 日刊ゲンダイDIGITAL 【慶應義塾大学教授 岸博幸氏に質問が出来る】 第三回補助金活用サミット8月30日(月)開催決定。 - PR TIMES 岸博幸氏 菅首相に「ダメっすよ」とダメ出し、記者会見でかみ合わない答弁に - デイリースポーツ 船橋商工会議所青年部が講演会 講師に内閣官房参与・岸博幸さん - 船橋経済新聞 「九州デザイン経営ゼミ」開講記念のオンラインセミナーを開催いたします - kyushu.meti.go.jp 最近よく聞く「内閣官房参与」って何者? 総理に助言する“日給公務員”…たびたび在り方が議論されています|まいどなニュース - 神戸新聞社 「コロナ禍を機に中小企業の選別が始まった」と岸 博幸氏が断言するわけ - 日経 xTECH Active SDGsをわかりやすく、身近な事柄として解説・実践するYouTube番組「内田篤人のSDGsスクール! Supported by LIXIL」が7月30日(金)より配信開始 - PR TIMES 日経スペシャル「関西リーダー列伝~キーパーソンの成功秘話~」 テレビ大阪 2021年7月31日(土) 午後4時~5時放送(予定) - PR TIMES 首相動静(7月13日) - 時事通信ニュース 内閣官房参与に岸博幸・慶大大学院教授 経済など担当 - 朝日新聞デジタル 政府 岸博幸氏を内閣官房参与に任命 - nhk.or.jp 岸博幸氏、CM初出演で「ランドネット」の歌も披露!「ランドネットって何ですか? 」シリーズCMを7月5日(月)から放映開始 - PR TIMES 元経産省官僚・岸博幸氏 五輪巡る政府の水際対策に「呆れた。あまりにもひどすぎる」 - デイリースポーツ 経済学者の岸博幸氏との特別合同セミナー「東京オリンピック後の日本経済と、今後の不動産投資の展望について」オンラインで同時開催! - PR TIMES 「ふざけんなよバカ野郎!OKした諮問会議の民間議員4人は辞めるべきだ」政府の『骨太の方針』に岸博幸氏が激怒 | 経済・IT - ABEMA TIMES 立憲・枝野代表発言に「ふざけるな!」「政治家として論外」…岸博幸氏が怒り - デイリースポーツ 経済学者の岸博幸氏との特別合同セミナー「ウイズコロナ時代の日本経済と今後の不動産投資の展望」オンラインで同時開催! - PR TIMES 「まん防」開始、飲食店の時短営業に意味があるのか再考すべき理由 - ダイヤモンド・オンライン 小池都知事のグローバルダイニングへの「命令」は暴挙だと断言できる理由 - ダイヤモンド・オンライン 総務省接待問題、NTT「ドコモ完全子会社化」の経緯が歪められた可能性 - ダイヤモンド・オンライン 岸博幸氏 「鬼滅」2期の副題めぐる批判に指摘「『遊郭』を丸く説明するなんていくらでもできる」 - スポニチアネックス Sponichi Annex 岸博幸氏、山田内閣広報官を「持ち上げすぎ」 - ニッカンスポーツ 「菅首相の息子」接待疑惑は、ワキが甘すぎる総務省こそ問題だ - ダイヤモンド・オンライン 元官僚の岸博幸氏、接待問題に「単価が1人7万円というのは異常」 - スポーツ報知 コロナ禍を理由にした東京五輪の中止・再延期論が無責任と言える根拠 - ダイヤモンド・オンライン 期待裏切り続ける菅首相 岸博幸氏が「今でも適任」と考える理由 - NEWSポストセブン コロナとトランプ政権で明らかになったマスメディアとSNSの偏向 - ダイヤモンド・オンライン 経済学者の岸博幸氏との 新春特別合同セミナー「令和3年の日本経済と不動産投資を語る」オンラインで同時開催! - PR TIMES 白石麻衣が岸博幸に好意を寄せる!?番組初の緊急事態にキャスターフワちゃん! - フジテレビュー!! 半年後は「アフターコロナ」で日本経済が回復するといえる根拠 - ダイヤモンド・オンライン 原発再稼働に岸博幸氏「死活的重要」 - 福井新聞 経済学者の岸 博幸氏との特別合同セミナー 「デジタル改革と不動産投資」オンラインで同時開催! - アットプレス(プレスリリース) 「大きすぎる大阪市」の運営手法から、大阪都構想の意義を改めて考える - ダイヤモンド・オンライン 菅政権発足3週間で見えてきた「良い兆候」と「悪い兆候」 - ダイヤモンド・オンライン 菅政権の改革の鍵を握る二つのポイント - ダイヤモンド・オンライン 次の総理大臣には、やっぱり菅官房長官がベストと考える理由 - ダイヤモンド・オンライン 【ミッツ・マングローブと一服 T-Lounge】ものを考えなくなったのは、たばこを吸わなくなったから? 慶大大学院教授・岸博幸 - ZAKZAK 【ミッツ・マングローブと一服 T-Lounge】慶大大学院教授・岸博幸氏「今の安倍政権が好きになれない。日本人はもっと怒るべき」 - ZAKZAK 岸博幸氏、政府のコロナ対策の無策ぶりをバッサリ「こんなことでは国民がしっかり行動できるはずがない」 - スポーツ報知 岸博幸氏、アメリカ人の彼女と結婚を考えるも…「40年一緒に過ごしたら4万回謝る」 - ENCOUNT 地獄はこれから、飲食・小売りに「ソーシャルディスタンス禍」がやってくる - ダイヤモンド・オンライン 検察庁法改正に勝るとも劣らない、国家公務員法改正の大問題 - ダイヤモンド・オンライン 元経産官僚・岸博幸、杉村太蔵に「だから太蔵君ダメなんだよ」と再びダメ出し - ザテレビジョン 岸博幸氏、三重県知事が夏のボーナス全額返上し「国会議員の皆さんには、ぜひ見習ってほしい」 - スポーツ報知 岸博幸氏、知人の銀座レストラン廃業に悲痛「事情を聞いて涙出た。早く賃料補助を政策として実現してほしい」 - スポーツ報知 岸博幸氏、安倍政権は「与党に責任を投げてる」…宮根誠司氏「僕も『与党』って言葉に違和感」 - スポーツ報知 国民の痛みに疎い安倍政権に至急求めたい「3つの追加経済対策」 - ダイヤモンド・オンライン 元経産官僚・岸博幸、政府の緊急経済対策に持論「まず安心を作らないとダメ」 - ザテレビジョン 新型コロナウイルス「緊急事態宣言」に伴い経済学者の岸 博幸氏と、特別合同セミナーをWEBで生配信! - アットプレス(プレスリリース) コロナ「緊急事態宣言」は使い物にならない、K-1強行開催で見えた現実 - ダイヤモンド・オンライン 日本を過剰な「コロナ自粛」に追い込んだ2つの原因 - ダイヤモンド・オンライン 政府の新型コロナ対策が信用できない背景に見える「人災」 - ダイヤモンド・オンライン 元経産省官僚の経済学者「岸 博幸」氏(慶應義塾大学大学院教授)が、株式会社ランドネットの「不動産運用顧問(Private Realtor)アドバイザー」に2020年2月1... - アットプレス(プレスリリース) 韓国がアカデミー賞をとって日本がとれない「根本的な差」 - ダイヤモンド・オンライン 岸博幸教授に聞く「オリンピック恐慌」 | Jukushin.com - 慶応塾生新聞 ヒロミ 情報漏洩の前総務次官に「バカヤロー」 元官僚・岸博幸氏に同調 - スポニチアネックス Sponichi Annex 企業の競争力は「AI人材」にあり! 経済学者・岸博幸氏とNECのデータサイエンティストが語る人材育成論 - PRESIDENT Online 戦略特区WGをめぐり「勘違い」の暴走、野党議員の呆れた無責任 - ダイヤモンド・オンライン 岸博幸がメガネ ベストドレッサー賞経済界部門受賞「受賞の理由は『脱力タイムズ』?それとも忖度?」【GLAFAS(グラファス)】 - GLAFAS(グラファス) 毎日新聞が執拗に続ける「イジメ報道」について考える - ダイヤモンド・オンライン 「市名変更は必要」「AKBはイノベーション」 岸博幸氏が地方創生語る - 丹波新聞 岸博幸教授に学ぶ スマホ依存に潜む危険 | Jukushin.com - 慶応塾生新聞 【加計学園問題】岸博幸・慶大院教授インタビュー 「加計学園問題は改革つぶし」「前川は官僚のクズ」 - 産経ニュース 「面従腹背という前川前次官は官僚のクズ」と岸博幸教授が批判 面従腹背 とは? - ハフポスト日本版 農業改革はどこまで実現するか - ダイヤモンド・オンライン ● 岸博幸〔Wikipedia〕 ● 岸博幸(@hiroyukikishi)| Twitter .
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「 人類の歴史上、最大の貢献だ 」 ストロスカーン(IMF専務理事) 【関連】中川昭一辞任の裏側 http //www.nicovideo.jp/watch/sm6186259【G7】中川昭一財務大臣の怒涛のイタリア訪問記【IMF】 (※コメントを非表示にする場合は右下のヒヨコマークをクリックしてください。) http //www.nicovideo.jp/watch/sm6177448中川昭一財務・金融相のG7会見(ノーカット) http //www.nicovideo.jp/watch/sm6166733酔っぱらったまま記者会見をしたのは中川(酒)だけではなかった (コメントを消して動画を見る場合は、右隅のヒヨコのマークをクリックしてください。) | 2007年6月のG8記者会見の模様 参考ブログ1・参考ブログ2 ニュースキャスター 「次に、フランス共和国大統領ニコラ・サルコジ氏の、サミットでの記者会見の模様をお伝えします。 ウラジミール・プーチン大統領との会談を終えての会見ですが、みたところサルコジ氏は水しか飲んでいない、というわけではなさそうです。」 サルコジ大統領 「メダム、メッシュー、遅れてしまい大変申し訳ありません。ハァハァ。プーチン氏との会談が長くなってしまいました。 ハァ、ハァ。どうしましょうか?質問にお答えしましょうか?では・・・質問はありますか?」 <目次> ■中川氏、天皇陛下より祭粢料が供えられる ■実はG7で大絶賛されていた麻生、中川氏 ■青山繁晴氏が会見時の真相を暴露 ■当サイトによる評価 ■反日勢力が最も敵視する人物の一人 ■朝日新聞が中川昭一議員を貶めようとしたNHK番組改編問題 ■盟友"ANA"がマスコミから受けた被害安倍晋三への攻撃(1)TBSのプライミング効果 (2)年金問題の責任を負わせられる 麻生太郎への攻撃(1)椿事件の再来 (2)『麻生クーデター説』を捏造 (4)実績を隠蔽 (5)経済政策を隠蔽 ~報じたのは定額給付金だけ~ (6)その他たくさん。続きは別ページにて。 ■辞任について、テレビが報じていない情報麻生の不安的中 盟友、中川財務相が倒れた瞬間(産経新聞) 中川大臣が辞めるなら、小沢党首は国会議員を辞めなければならない(衆議院議員 土屋正忠 ブログ) これだけ言っておく(二階堂ドットコム) 中川昭一が気に入らなかった韓国とアメリカ 「中川辞任劇」はマスメディアの自作自演 中川昭一氏に応援の葉書を送るスレより 当サイトの見解 ■拉致被害者家族と北朝鮮の監視役を切り離す ■中川夫人より支援者の方へ メッセージが届いております ■中川昭一先生の弔い選挙をインターネットの力で勝ち取る準備 ■マスコミに殺されたとも言い切れなくはない ■中川氏の件でマスコミに意見したい方はコチラ ■【支援表明】中川昭一本購入イベント【追悼】 ■【お知らせ】著書『飛翔する日本 特別版 』、『一意専心』販売のお知らせ ■参考書籍 ■ブログランキング応援クリック ■中川氏、天皇陛下より祭粢料が供えられる | 中川氏、天皇陛下より祭粢料が供えられる(日本の底力 (Core Competency of Japan)内) 忠臣中川 天皇陛下より御香典 | ▼中川氏哀惜の会 悲しみ 地元にあふれる(10/16 十勝毎日) 祭壇には笑顔を浮かべた中川氏の大きな遺影が飾られ、遺骨と位はい、天皇陛下からの香典に当たる「祭粢料(さいしりょう)」が供えられた。 | ▼中川昭一氏 哀惜の会 “盟友”が弔辞(10/16 十勝毎日) 「死せる中川生ける保守を走らす」。これがあなたが最も望んでいることだろう。残されたわれわれは歯を食いしばって頑張る。(麻生太郎) | ▼一人の尊皇家逝く(靖嶺記) ■実はG7で大絶賛されていた麻生、中川氏 | IMF拠出で署名=過去最大の1000億ドル-中川財務相(時事通信) 【ローマ13日時事】中川昭一財務・金融相と国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は13日、 日本政府がIMFに最大1000億ドル(約9兆円)を拠出する取り決めに正式に署名した。 IMFの資金基盤を強化し、金融危機を受けた加盟国への資金提供などを後押しする。 日本政府は昨年11月の主要20カ国・地域(G20)金融サミット(首脳会合)で、 麻生太郎首相が提案の目玉として表明していた。 加盟国支援が必要になった場合、要請を受けた日本が約100兆円の外貨準備からIMFに貸し付ける形で拠出する。 加盟国による資金提供としては過去最大で、ストロスカーン専務理事は「人類の歴史上、最大の貢献だ」と謝意を表明。 財務相は「有効活用を期待したい」と述べた。(了) (2009/02/14-10 03) | ローマでG7開幕 中川大臣がアメリカを強くけん制(ANN) G7=主要7カ国財務大臣・中央銀行総裁会議がローマで開幕しました。本会合に先立って日米財務大臣会談が行われ、 中川財務大臣が、アメリカの保護主義の動きを強くけん制しました。 中川財務大臣:「バイ・アメリカンとかいう保護主義的な動きがあるようですけれども、 我々としてもやるべきではないし、アメリカもやるべきではないと」 中川大臣は、ガイトナー長官との初会談で、アメリカの景気対策に盛り込まれた「バイ・アメリカン」= アメリカ製工業品の購入を義務付ける条項など、保護主義の動きに反対する姿勢を強調しました。 これに対して、ガイトナー長官は「WTO=世界貿易機関のルールに従ってやる」と一定の理解を求めました。 また、会談では、景気対策のための債券の増発が見込まれることから、財政規律を維持していく重要性を確認しました。 (2/14 07 33) | 伊メディアのG7論調:日本が保護主義けん制の先頭に立つと高評価(NNA) 地元メディアのAnsa通信は、イタリアと同様、対米輸出に大きく依存している日本が先頭に立って、 G7各国の間で保護主義的な動きに走ることがないよう牽制する姿勢に注目。 La Repubblica紙とIl Giornale紙も、イタリア首脳は国内産業を過剰に守る動きに反対することを明確に表明し、 米国の自国製品の優先購入を規定した「バイ・アメリカン」条項やフランスの自動車の本国生産を唱えた業界支援策を批判的に報道している。 (2月15日4時51分) ■青山繁晴氏が会見時の真相を暴露 http //www.nicovideo.jp/watch/sm6243870 ■当サイトによる評価 | ①衆議院議員で次期総選挙に立候補する者、及び、②新人・元職の立候補者 :自民党1 対立候補1 対立候補2 都道府県 選挙区 前回 氏名 評価 政党1 政党2 愛国度 Wikipedia 主な愛国実績(主導者は★印、準主導者は●印が付いています) 氏名 評価 政党 氏名 評価 政党 北海道 11区 当選 中川昭一 愛国度 SSS+、真正保守(正統史観)(※参照) 自民公認 伊吹派 愛国度 SSS+ 中川昭一 - Wikipedia 人権擁護法案反対、外国人参政権反対、真・保守政策研究会会長、拉致議連顧問(前会長)、日本会議議員懇談会加盟正統史観 石川知裕 売国度 A 民主公認 ■反日勢力が最も敵視する人物の一人 | 中川昭一議員は、麻生太郎・安倍晋三と同様に、反日勢力が最も嫌う人物です。 麻生・中川・安倍の三人を通称"ANA"とも呼ばれています。 ■朝日新聞が中川昭一議員を貶めようとしたNHK番組改編問題 朝日 NHK番組改編問題でコテンパンv1 朝日 NHK番組改編問題でコテンパンv2 | 保守・愛国議員である安倍晋三議員や中川昭一議員を貶めようと捏造記事を書いた朝日新聞。 捏造点を指摘され、まともに反論できずに逃げ回る卑怯な会社体質をご覧ください。 朝日新聞が狙い撃ちして攻撃した証拠 NHK番組改編問題 ~朝日新聞と北朝鮮~ その1 NHK番組改編問題 ~朝日新聞と北朝鮮~ その1 | 朝日新聞は、他の国会議員もNHK関係者と会っていたにもかかわらず、 中川昭一議員と安倍晋三議員だけを狙い撃ちして捏造記事を書いたことが分かっています。 ■盟友"ANA"がマスコミから受けた被害 安倍晋三への攻撃 http //www.nicovideo.jp/watch/nm4946352安倍晋三 【安倍政権崩壊の真実】 (コメントを消して動画を見る場合は、右隅のヒヨコのマークをクリックしてください。) (1)TBSのプライミング効果 マスゴミによる安倍さんイジメ(「プライミング効果」の例) (動画) #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (with=600) (写真) | 731部隊の報道で、番組と全く関係のない安倍晋三議員の写真を「ゲリラ活動!?」というテロップに合わせて挿入し、 人間の潜在意識に植えつける、いわゆる「プライミング効果」を使ったTBS。 悪意のレベルを超えた、まさに報道テロ行為。 TBSが731部隊報道で安倍晋三ポスターを意味無く出して印象操作 痛いニュース(ノ∀`) TBS映像“洗脳”手法…「プライミング効果」狙う? ZAKZAK TBSが21日放送した「イブニング・ファイブ」での偏向映像が波紋を広げている。 TBSはかつてコンマ1秒単位という短いカットで潜在意識に訴えるサブリミナル効果が問題となったが、 今回は安倍晋三官房長官が約3秒にわたりはっきりと映っていた。 専門家は、同様の潜在意識を植え付ける「プライミング効果があった」と指摘している。 「プライミング効果」とは心理学の専門用語で、一度受けた刺激が後に受ける刺激に影響を与えるというもの。 「ピザを10回言って」と相手に言わせ、ひじを指さして「ここは?」と質問すると「ひざ」と答えてしまう、 昔流行した「10回クイズ」もプライミング効果の影響と言われている。 国際医療福祉大教授で精神科医の和田秀樹氏は 「日本が中国に悪いことをしたという先行刺激の中で安倍さんをみせ、関連が高いという効果をもたらす。プライミング効果は起こりうる」と指摘する。 「一般論でいえば視聴者にどれだけ影響を与えたかとなると、それほど多くはない」と、世論調査に影響を及ぼす可能性は低いとみられるが、 「ただ、敏感な人には強い反応を起こしたのは確か。だからこうしてニュースで取り上げられることになった」と話す。 和田氏は続けて、「不用意であったのは確か。むしろ本来的には、こういう時期に『中国に対して悪いことをしているんだ』と、ことさらに取り上げるというメディアの政治的意図のほうがずっと大きな影響がある」と話している。 一方、TBSの井上弘社長は26日夜、東京・赤坂の同社内で行われた放送担当記者との懇親会の席上、 「こんなみっともないことをして申し訳ない」と頭を下げた。 この日は、同社役員など幹部と記者との懇親の席だったが、幹部らからは 「意図的ではなく、安倍氏を陥れるという意識はなかった」との説明が相次いだ。 記者側からは、映り込んだ時間が長かったことへの指摘もあったが、 「チェックしきれなかった」とその甘さに恐縮する姿勢を見せていた。 (2)年金問題の責任を負わせられる 民主党・相原久美子議員(自治労幹部)が「年金問題」を語る 高森アイズ「年金問題の隠された構図」 | 年金問題の主犯である自治労は民主党の支持母体です。 しかしマスコミはこの事実に触れず、あたかも安倍政権のせいであるかのように捏造・偏向報道をし続けました。 2007年参議院選挙で多くの国民は完全に騙されて民主党に投票し、 元年金相談員・自治労幹部の相原久美子(民主党)を当選させてしまいました。 年金記録漏れに対する批判のつもりで民主党に投票した方は、 完全にマスコミに騙された人です。 自治労の詳しい実態は [[自治労の正体]] 年金問題の詳しい実態は [[年金問題の正体]] 民主党の詳しい実態は [[民主党の正体]] をご覧ください。 麻生太郎への攻撃 (1)椿事件の再来 http //www.nicovideo.jp/watch/sm5558690『椿事件』 現麻生内閣に当てはめてみる (コメントを消して動画を見る場合は、右隅のヒヨコのマークをクリックしてください。) (2)『麻生クーデター説』を捏造 | http //www.nicovideo.jp/watch/sm4631325 いまさらだが『麻生・与謝野クーデター説』を振り返ってみる■解説■08総裁選が終わっても、真偽不明の情報やらそれを基にした憶測やら印象操作やら、各所、理性を疑わんばかりの世論誘導っぷりですなー ( ゚Д゚)y─┛~~ というわけで、今は “椿事件”検索推奨です。水面下の動きを追うと伝聞調の「物語」になってしまうので極力除外し、公に出てきた主要な発言と、そのときの情勢などを柱にして作ってみました。自称評論家の方々の発言もめんどくせーから除外してますw (コメントを消して動画を見る場合は、右隅のヒヨコのマークをクリックしてください。) (4)実績を隠蔽 http //www.nicovideo.jp/watch/sm5962020日本前向新聞12月第3号~麻生内閣の前向きニュース (コメントを非表示にする場合は、右隅のヒヨコのマークをクリックしてください。) (5)経済政策を隠蔽 ~報じたのは定額給付金だけ~ 「定額給付金」を批判している野党・マスメディアだが・・・ 景気対策 雇用対策 ↑クリックするとpdfで見れます。プリントアウトしてビラ配りに使うのにもお勧め (6)その他たくさん。続きは別ページにて。 | 量が多すぎるので、詳しくは以下をご覧ください。 麻生太郎潰しの正体 悪意の写真集 麻生政権の実績 定額給付金の真実 IMFの真実 ブルーリボンの意味 広告税導入の是非 などをご覧ください。 ■辞任について、テレビが報じていない情報 ※情報量が増えてきたので、中川昭一辞任の裏側に一括してまとめましょう。以下は移管予定 麻生の不安的中 盟友、中川財務相が倒れた瞬間(産経新聞) 「何だ、この会見は…」 15日夕、首相、麻生太郎は首相公邸のテレビに映し出された財務相兼金融担当相、中川昭一の映像を見て首をひねった。 ろれつは回らず、目はうつろ…。「また鎮痛剤を大量に飲んだのか…」。首相は渋い表情を浮かべた。 中川は麻生の懐刀の一人だった。 東京大法学部卒で旧日本興業銀行出身だけに経済・金融政策に明るく、 麻生が平成19年秋の自民党総裁選で前首相の福田康夫に敗れた後、 「まもなく大変な恐慌が世界を襲う。早く手を打とう」と経済政策のとりまとめを持ちかけたのも中川だった。 これが麻生が中川を財務相兼金融担当相に起用した理由だったが、1つ不安があった。 腰痛持ちの中川は時々強い鎮痛剤を服用する。 体調を崩したり、わずかな酒や別の薬と併用すると激しい副作用に見舞われ、酩酊(めいてい)状態となるのだ。 中川は過去に酒にまつわる“前科”を残してきただけに「薬の副作用」とはなかなか信用してもらえない。 麻生は昨年秋の組閣の際も中川に「重要な仕事なので体調に十分気をつけてほしい。酒はほどほどに…」とクギを刺したほどだ。 だが、1月の国会攻防を通じて中川は次第に体調を崩し、不安は現実に変わっていった。 麻生は16日朝、中川の酩酊会見が風邪薬や解熱剤、鎮痛剤の大量摂取に起因することを確認すると周囲にこう指示した。 中川大臣が辞めるなら、小沢党首は国会議員を辞めなければならない(衆議院議員 土屋正忠 ブログ) G7の会議終了後の記者会見で、中川財務金融大臣が体調不良でシドロモドロの記者会見になった。誠に残念だ。 先週の予算委員会に私も出席したが、間近で見た中川財務大臣の顔色はすぐれず、同僚の議員と体調は大丈夫か、と話したばかりだった。G7の会議はともかく、記者会見は白川日銀総裁に任せてもよかったのではと悔やまれる。 民主党はカサにかかって追求しているが、自らを省みなければならない。 小沢党首が、国会審議をサボって、大阪知事選挙をはじめ各地の民主党の候補者の応援に行くことをどう説明するのか。 インドの大統領との会談を、直前になってキャンセルした非礼はどう責任をとるのか。 1月26日は、第二次補正予算をめぐって、衆参両院協議会が開催される予定だったが、結局開催できなかった。その理由は、その日の昼の本会議を欠席した小沢党首が、民主党候補の応援のため富山県に行って、帰るのが遅れたからだという。結局、両院協議会は翌日に持ち越された。(1月28日ブログ参照) こんな国会軽視を許してよいのか。 それとも、行政職の大臣の職務は重く、国権の最高機関である国会は軽いのか。 国会の欠席は、公務出張か病気しかないはずだ。 国会議員としての職務より民主党党首の日程を優先するというのなら、国会議員を辞めて党首に専念すべきだ。 国民をバカにした所業であると言わざるを得ない。 これだけ言っておく(二階堂ドットコム) 中川大臣の「会見前不自然飲酒合コン」を開催し、強い酒を飲ませたのは 玉木林太郎(財務省国際局局長)。 財務省から麻生内閣に向けられた刺客、か・・・。そりゃそうだよな、自民党は麻生だと選挙は負ける。 小沢一郎も、なんだかんだいって麻生のまま選挙してもらいたい。 鳩山に変わって、ダイナミックな政策出されて、大人気になったら困るからな。よって、財務省も麻生本人は狙わないわな。 中川昭一が気に入らなかった韓国とアメリカ 反日人物の仕業??薬物をお酒に入れられた??? いくらなんでもこの時期に不自然だと思われている方も多いと思います。反日野郎はこのぐらいするでしょう。 某掲示板より 韓国に経済援助を引き出すか。中川元大臣が邪魔でしかたなかったんです。 あの会見は良くなかったかもしれないけど、薬物疑惑だってささやかれてます。そこまでして、中川元大臣を潰したいのでしょう。 中川元大臣は韓国の4月末以降の通貨スワップ拡大を阻止できるたった一人の人だったから。 韓国経済壊滅状態 ↓ アメリカとスワップ(今190億ドル、今年10月末までに返済しなければいけない。けど、あと110億ドル借りられるが返済できないのは明らか) ↓ 日本は今年4月末までは300億ドルをウォンとスワップしてあげる約束(それ以降は一応70億ドルまで) ↓ アメリカの借金返済が間に合わなければ、日本からスワップしたらいいという考え ↓ アメリカのスワップは返済し、日本は踏み倒したいので、今年4月末以降も300億ドルの上限を守りたい韓国。国家による自転車操業状態。 韓国に借金を踏み倒されると(=ウォンが紙屑同然の場合)日本は2兆8千億円ぐらいの損失になります。 わかりにくいでしょうか?確かに上の方のおっしゃるように、バイアメリカン条項を批判したことも気に入らなかったのでしょうね。 これを知ってて、中川元大臣を批判しているのは何割ぐらいなんでしょうか。 「中川辞任劇」はマスメディアの自作自演 【朝日社説】財務相辞任―政権の体を成してない http //www.asahi.com/paper/editorial.html 【読売社説】中川財務相辞任 予算成立へ態勢を立て直せ http //www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090217-OYT1T01062.htm 【毎日社説】中川氏辞任 やはり麻生政権は末期的だ http //mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090218k0000m070156000c.html 【産経社説】中川財務相辞任 首相の統治能力問われる http //sankei.jp.msn.com/politics/situation/090218/stt0902180330002-n1.htm 【日経社説】経済危機に政治は何をしているのか(2/18) http //www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20090217AS1K1700117022009.html 中川財務相:G7昼食会抜け出し、同行記者とワイン 「薬の飲み過ぎ。酒の影響ではない」--。ローマG7での「もうろう会見」で17日引責辞任した中川昭一財務・金融担当相は、最後まで原因はカゼや腰痛など薬の併用だったと強調した。しかし、G7閉幕後の内外記者会見の直前、同行の記者らと会食してワインを口にしていた事実も判明するなど、疑惑は深まるばかりだ。 中川氏はG7出席のため13日昼、羽田発の特別便に搭乗。同行筋によると、機内のファーストクラスの席でカゼ薬などを多めに飲んだ上、酒も飲んだという。 約13時間のフライトを経て同日夕(現地時間)にローマに到着。直後のガイトナー米財務長官との初の日米財務相会談やG7夕食会は無難にこなした。その後、中川氏は男性新聞記者など「親しいひとたち」(中川氏)とサンドイッチをつまみながら、ジントニック3~4杯を飲んだ。その際、睡眠薬を服用したという。 深酒のためなのか、睡眠薬のせいなのか。同行筋によると、翌14日午前8時15分からイタリア経済・財務省で始まったG7会合の際には、体調がひどく悪い様子だったという。 G7昼食会でもワインが出たが、中川氏は「口はつけたが、ゴックンはしていない」と説明している。 ただ、中川氏は午後1時50分まで予定されていた昼食会を1時ごろに途中退席し、宿泊先の高級ホテル「ウェスティン・エクチェルシオール」に戻った。 予想外の行動に財務省同行筋は対応に追われたが、中川氏はホテルの1階のイタリアレストラン「ドニー」に移動、財務省の玉木林太郎国際局長や日本から取材で同行した女性記者、イタリア人通訳など数人で会食した。 レストランの支配人によると、中川氏らは午後2時ごろから、ビッフェ形式のサラダとパスタとともに赤のグラスワインを注文。中川氏はここでの飲酒について「本当に口をつけた程度」と話す。 中川氏は、女性記者らとの会食について「たまたまそこにいて、話を聞かれたから」と説明したが、中川氏は昨年9月の財務相就任以降、G7などの海外出張では同行の女性記者を集めて飲食を行うことが恒例化していた。今回のG7でも、中川氏と麻布高校の同期で、東大法学部の同窓でもある玉木局長が一部の女性記者を招いたという。 「約30分ほど」(レストランの支配人)だった飲食後に中川氏は午後2時50分から約15分、同ホテル内でロシアのクドリン財務相と日露財務相会談に臨んだ。この際、麻生太郎首相を「麻生大臣」と言い間違えるなど、言動に不安定さもみられた。 その後、部屋に戻り30分ほど財務省幹部らと打ち合わせをした。中川氏は「打ち合わせは仕事であり、酒を飲むことはない」としている。だが、午後3時45分からの内外記者会見の前にはすでにろれつが回らない状態だった。政府・与党からも「あんな状態の中川氏になぜ会見させたのか」と財務省の対応を疑問視する声も出ているが、「G7という世界が注目する会合であり、すでに会見の時間も設定されていた。欠席させればよかったというのは後知恵で、とうていできる状態ではなかった」(幹部)と財務省は説明している。 毎日新聞の記者は、中川氏との会合には、いずれも出席しなかった。 http //mainichi.jp/select/seiji/news/20090218k0000m010139000c.html 「同行記者とワイン」ですか、あきれました。 驚くべきことに、この記事は中川氏が「1時ごろに途中退席し、宿泊先の高級ホテル「ウェスティン・エクチェルシオール」に戻」り、「ホテルの1階のイタリアレストラン「ドニー」に移動、財務省の玉木林太郎国際局長や日本から取材で同行した女性記者、イタリア人通訳など数人で会食」した事実を暴露しているのです。 中川氏が「G7などの海外出張では同行の女性記者を集めて飲食を行うことが恒例化していた」というのです。 なんのことはない、マスメディアの記者相手に一杯ひっかけていたのであります。 なんで毎日がこの暴露記事を堂々と書いているのかといえば、それは記事の結語につながります。 毎日新聞の記者は、中川氏との会合には、いずれも出席しなかった。 毎日さん、お願いだからこんな低レベルなことでえばらないでほしいです(苦笑 ・・・ 自分達で酒を飲ましておいて、社説では「薬の飲み過ぎなのか、アルコールのせいなのかは定かでない」(【朝日社説】)と、しらっとのたまい、挙句は「当人は否定しているが、アルコールが入っていたのではないかとの憶測も消えない」(【日経社説】)ですか。 中川昭一氏に応援の葉書を送るスレより 132 名前:エージェント・774 本日のレス 投稿日:2009/02/19(木) 00 48 18 wAc/05QP <<< マスゴミによる中川潰しの証拠隠滅まとめ・コピペ拡散推奨 >>> 2/14、中川元財務・金融担当相はG7昼食会を1時ごろに途中退席し財務省の玉木林太郎国際局長や日本から取材で同行した女性記者など数人で会食 画像キャプチャ ここでの「日本から取材で同行した女性記者」とは、 読売新聞・編集局経済部の記者である「越前谷 知子」氏である。 この件がネットで暴露されてから、読売新聞は自社サイトから越前谷氏の情報を削除している。 ●削除前;越前谷氏の写真とリンク有り。 画像キャプチャ ●2009/02/18 12 55;ここらで慌てて越前谷氏の情報を削除 ●現在に至る 画像キャプチャ (中略) 日頃は声高に「報道の自由」「国民の知る権利」を叫ぶ彼らが、 今は「報道しない自由」「国民に知らせない権利」を堂々と行使中なのだ。 147 名前:エージェント・774 本日のレス 投稿日:2009/02/19(木) 04 53 39 KKQM7H+c 中川大臣に慰労会と称して酒を大量に飲ませ泥酔会見をロイターに予告した「会見は面白いことになるわよ」 読売新聞記者 越前谷 知子さん 1年目(1996年4月)宇都宮支局。宇都宮中央署などを担当。 6年目(2001年7月)東京本社地方部。地方版のレイアウトを担当。 7年目(2002年5月)経済部。夕刊経済面などを担当する「エコノMIX」や、経済産業省を担当。 8年目(2003年6月)第一子出産のため、産休、育児休暇を取得。 10年目(2005年4月)職場復帰。育児短時間勤務制度を使い、エコノMIXで夕刊経済面など担当。 11年目(2006年8月)流通クラブ担当。 現在(2008年9月)5月に日銀クラブへ。銀行担当。 PRIVATE TIME 趣味は溺愛中の息子(5歳児)。平日会える時間が少ない分、土日はたっぷり一緒に。 遊園地に動物園、プールではしゃぐ息子の姿を見ると、こちらも気分がリフレッシュ! 最近は庭でバーベキューが定番です。 越前谷 知子さん 日本の国益を損なう泥酔記者会見で責任の一端があるあなたが、何故、説明責任を果たさないのですか? 念のために聞きますが薬とか盛ってないでしょうね? 疑惑の目で見られてますよ。 越前谷 知子さんの顔みんな覚えとけよ! http //s02.megalodon.jp/2009-0217-1651-34/www.weblets.jp/interview2007/21.html ↑リンク切れのため http //image.blog.livedoor.jp/avex893/imgs/3/f/3f399f19.png http //image.blog.livedoor.jp/avex893/imgs/d/c/dc9dddfe.png 当サイトの見解 中川財務相 あのぉふぅ~表明 | 確かにあれだけみっともない姿を世界に晒した責任は重いと言えるでしょう。 薬とお酒の副作用であったとしても、体調が悪いのであれば、会見を欠席するなどの対応も出来たはずです。 また、誰かに嵌められた、という説も浮上していますが、もしそうだとしても細心の注意を怠った責任はあると思います。 自己管理能力を問われるのは当然です。猛省をしていただきたいです。 | しかし、マスコミはそれだけを取り上げて徹底的に中川議員を叩きますが、 彼の功績などは報じようとしません。 フランスのサルコジ大統領もかつて同様の事件を起こしていることなど報じません。 | 麻生総理の漢字の読み間違い、中山成彬前国交相の日教組発言もそうですが、 政策とは全く関係のないことばかりを取り上げてバッシングするという、 今のマスコミの報道姿勢は明らかに間違っています。 政治家は芸能人ではないのです。 政治家にとって重要なことは、どのような政策を成すか、であるはずです。 そして、マスコミに洗脳されているとはいえ、この重要な視点を持たない国民にも責任があると思います。 | 当サイトでは今回の事件を理由に故中川昭一氏を応援しなくなるということはありませんでした。 そして故中川昭一氏を全力で応援していました。 ■拉致被害者家族と北朝鮮の監視役を切り離す 拉致問題で活躍された中川会長の功績です。 帰国した拉致被害者家族を監視し、再び北朝鮮に連れ戻す目的で来日したと思われる北朝鮮政府の監視役二人の写真を公開し、拉致被害者らを守ったのです。 (拉致)被害者家族を乗せたチャーター機は午後二時十九分に羽田空港に着陸し午後二 時三十三分に五人が機内から出てきた。家族五人が走り寄り、三百台近いカメラがそれ を取り巻いた。 (中略) いつの間にか、拉致議連のメンバーもカメラのなかに混じって移動していき、チャータ 機の下には中川会長と私だけが残された。 (中略) 私は、会長と申し合わせてチャーター機の下にとどまり、まだ出てくる者がいるはずだ と待ち受けた。果たして滑走路から人がいなくなったのを待っていたかのように、二人 の人物が機内から出てきた。私は、彼らを写真に撮った。そして、直ちにプリントして 会長に渡し、会長からマスコミ各社にその二人の人物の説明と共に顔写真が配られた。 (中略) これによって北朝鮮の監視役と帰国した被害者を切り離すという中川会長と私の計画は 成功したのである。これは、痛快な思い出である。 引用元:前衆議院議員 西村眞悟「かけがいのない同士を失った」WILL 09年12月号 ■中川夫人より支援者の方へ メッセージが届いております 中川夫人よりメッセージ更新 ■中川昭一先生の弔い選挙をインターネットの力で勝ち取る準備 「選挙の神様小沢様」の神話を奈落の底に突き落とすことができる、絶好の補欠選挙が近々公示されます。その選挙区は、北海道第11衆議院選挙区です。 その選挙区は、故中川昭一先生の選挙区で、民主党石川知裕容疑者が、一部容疑を認めている以上、起訴されると議員辞職に追い込まれますので、補欠選挙になります。 下記URLをご覧ください 尚途中経過は水間条項トップページにて更新されます 参加希望の方は 1日一回程閲覧してください http //mizumajyoukou.jp/?News%2F2010-01-27 あと北海道のローカル局にも民主党の危険性の報道周知を要望してください 周知が進めば次期衆院選で鳩山由紀夫も叩き潰せます http //dir.yahoo.co.jp/Regional/Japanese_Regions/Hokkaido/News_and_Media/Television/?q=%A5%C6%A5%EC%A5%D3%B6%C9 http //dir.yahoo.co.jp/Regional/Japanese_Regions/Hokkaido/News_and_Media/Newspapers/?q=%BF%B7%CA%B9%BC%D2 ■マスコミに殺されたとも言い切れなくはない http //www.nicovideo.jp/watch/sm8422502 http //www.nicovideo.jp/watch/sm8537073 | ■中川氏の件でマスコミに意見したい方はコチラ https //www1.ntv.co.jp/staff/form.html http //info.yomiuri.co.jp/contact/ http //www.ytv.co.jp/bangumishinsa/index_set.html https //cgi.tbs.co.jp/ppshw/contact/0030/enquete.do http //wwwz.fujitv.co.jp/response/index.html https //wws.tv-asahi.co.jp/apps/free_present/present.php?cat_id=contact theme_id=1642 ■【支援表明】中川昭一本購入イベント【追悼】 2009/10/4、中川昭一氏死亡のニュースが全国を駆け巡りました。 不当なマスゴミバッシングに屈せず、最期まで日本を想い続けた彼の為に 何かできないかとこのスレを立ち上げました。 著作購入を通し中川氏支持を表明するイベントのスレです。 ◆中川氏が書かれた本◆ [飛翔する日本] 中川 昭一 (著) amazon.co.jp その他、下記の著作物があります。 1.日本を守るために日本人が考えておくべきこと(PHP研究所) 2.どうした、日本 ― 中川昭一と宋文洲の不愉快な対話 (ダイヤモンド・ビジネス企画 (ダイヤモンド社)) ランキング1位をとりました 在庫切れで飛翔する日本を購入希望の方は 中川事務所と講談社インターナショナルの方へ 「飛翔する日本」再生産の要望書を手紙かFAXで出してください 現在中川事務所と講談社はEメールでも要望を受け付けていますこちらにもお願いします http //www.nakagawa-shoichi.jp/office.html http //www.kodansha-intl.com/ja/contact-us/ 是非お願い致します ■【お知らせ】著書『飛翔する日本 特別版 』、『一意専心』販売のお知らせ 中川昭一書籍販売のお知らせ 一周忌に際し、中川事務所が「飛翔する日本」にご挨拶を追記し数量限定で増刷しました。 さらに、中川昭一の座右の銘であった「一意専心」という書籍を発刊しました。 「飛翔する日本」 発行所:講談社インターナショナル ¥1,680 送料別 購入ご希望の方は下記公式サイトより注文しご購入ください http //nakagawa-shoichi.jp/?page_id=1360 ■参考書籍 日本を守るために日本人が考えておくべきこと 飛翔する日本 ■ブログランキング応援クリック | 真実を国民に知らせるために ブログランキング応援クリックをお願いいたします。(一日一回のみ有効) ⇒#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (人気ブログランキングへ)
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498 名無しさんの主張 04/04/24 17 26 このような状況は日本だけ。あるいみ最も進んだ国でありイラクより心貧しき国になり __________________________________ ホームレス推定 36万7千人 (内訳:路上生活者7万5千人、車上生活者23万6千人、空家・廃屋生活者5万6千人) ひきこもり 160万人 刑務所収容者数 8万2000人(現在収容率113%でパンク状態) 完全失業者 348万人 中絶 30万件/年間 失業予備者 455万人 生活保護世帯数 88万3千世帯述べ146万人 精神疾患・鬱病患者 387万人 自殺者 3万6500人 痴呆症者 269万人 自己破産 24万2000件/2003年 パラサイト・シングル 1000万人 フリーター 417万人 (476万人/2010年推定) 派遣・契約 511万人 パート 1196万人 15-29歳までの29.2%が失業状態 65歳以上人口(人口の19%) 2431万人 (男 1026万人・女性 1405万人) 14歳以下 (人口の14%) 1790万人 フリーターと正社員との生涯賃金格差 1億5000万円以上(終身計算) 150 + 1:名無しさんの主張[sage] 2012/02/07(火) 17 37 32.85 ID ??(1) イギリス 年間勤務時間1700時間 平均年収410万円 2411円/h ドイツ 年間勤務時間1350時間 平均年収355万円 2629円/h フランス 年間勤務時間1350時間 平均年収350万円 2592円/h イタリア 年間勤務時間1350時間 平均年収315万円 2333円/h オランダ 年間勤務時間1300時間 平均年収385万円 2961円/h ルクセンブルク 年間勤務時間1250時間 平均年収480万円 3840円/h アメリカ 年間勤務時間2300時間 平均年収495万円 2152円/h オーストラリア 年間勤務時間1800時間 平均年収320万円 1777円/h 日本 年間勤務時間2650時間 平均年収430万円 1622円/h 155:名無しさんの主張[sage] 2012/02/07(火) 18 24 38.75 ID ??(1) 実際はもっと差が大きいよ。 それ見ると日本はルクセンブルクやアメリカに次ぐ経済強国だと錯覚するけど、 IMFの一人あたりGDP(購買力平価換算、ドル、2010年)では 81,383 ルクセンブルク 47,284 アメリカ 40,765 オランダ 39,699 オーストラリア 39,057 カナダ 36,033 ドイツ 34,920 イギリス 34,077 フランス 33,805 日本 29,392 イタリア この通り、日本人は働きまくっているのに先進国ではイタリアの次に経済的に貧しい。 税金が国民に還元される割合は先進国で最も低いから自己負担が多く、 塾が事実上必須だから教育費も世界一高く、労働時間は当然、世界一。 通勤時間だって他国に圧倒的な差を付けて世界一。 http //blog-imgs-43.fc2.com/c/a/f/cafenextlinkage/201107312219079c9.jpg だから日本人は中流家庭でも涙が出るようなカツカツの惨めな生活w 現時点でも既にギリシャ以下の生活水準なのに財政破綻したらどうなるのかね? 992 名無しさんの主張 2010/10/25(月) 01 59 10 ID ??? 世界各国主要株価指数の成績 (2009年8月末~2010年10月21日現在) 日本株 -11% アメリカ株 +17% ドイツ株 +21% イギリス株 +17% ブラジル株 +23% 中国株 +21% 韓国株 +18% 144 名無しさんの主張 2011/12/18(日) 22 44 14.50 ID ??? どっちでもない。ただただ、自分の浮かんだ疑問に、かわいそうと 思った愛情に正直になれず、空気の流れに従おうとした結果、一方通行 的に自滅したということ。空気や風邪という大自然の流れに従うのは、 まったく問題ないのだが、毒気の人為的空気を無自覚に吸ってしまうのが なんとも。 商人国家まい進で国防をゆだね、その分経済大国というのもすでに幻想だ。 20年間の経済成長はだんとつで低迷。 http //philnews.up.seesaa.net/image/GDP20G7.jpg 1人あたりのGDPは17位 http //ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.html 今年の国際競争力比較では一体どれぐらい下位なのか? 20位以下の圏外 アジアのトップなんてのもすでに幻想。 1位 米国と香港 3位 シンガポール 6位 台湾 19位 中国 http //www.imd.org/news/IMD-announces-the-2011-World-Competitiveness-Rankings-and-the-results-of-the-Government-Efficiency-Gap.cfm 146 名無しさんの主張 2011/12/18(日) 23 31 10.03 ID ??? 2011年 韓国22位 日本26位→アジアの二流国でしかない罠 http //www.mri.co.jp/NEWS/report/economy/__icsFiles/afieldfile/2011/05/18/dep20110518-01.pdf#search= 今年の国際競争力比較 2011 372 妻夫木似 ◆K5WjQ6ib2U 2012/07/08(日) 09 54 37.68 ID qdjmITPk [6/23回発言] 日本がGDPで中国に抜かれた! ↑何気に、これはかなりの大事件のはずなんだけどねwww 個人的には、日本=世界第二位の経済大国、というのが当たり前だったのにwww まさか中国に抜かれるなんてwwww 唯一の精神的拠り所まで奪われたような感覚だと思うけどねwww 日本のマスコミ、実に見事にスルーしましたねプップ 379 妻夫木似 ◆K5WjQ6ib2U 2012/07/08(日) 10 22 53.46 ID qdjmITPk [9/23回発言] 日本がGDPで中国に抜かれる リーマンショック勃発 東日本大震災勃発 ↑この三本柱で日本がかなりの打撃を受けたんだろうねww 2008年後半辺りから確実に日本はおかしくなり始めたしwww 加えて、教育がずれたままなので、文明の利器も歪んだ使い方しか出来ない! にっちもさっちも逝きませんねこれはプップ 781 名無しさんの主張 2012/07/13(金) 18 15 51.00 ID ??? 日本は人口が1億2千万人いるから分かりにくいんだよ。 だから世界第3位の国だとか錯覚する。 欧州の国は人口が6千万ぐらいの国が多い。イギリス、フランス、イタリアなど。ドイツはちょっと多いけどね。 だから日本に関する数値は2で割って、欧州の国と比較すると実態がよく分かる。 790 名無しさんの主張 2012/07/13(金) 18 37 44.17 ID ??? 国全体で見ると、EU、アメリカ、中国、日本の順。 しかもインドにも抜かされるのはほぼ確実。 ブラジル、ロシア、インドネシアに抜かされる可能性もある。 1人当たりGDPで見ると北米、西欧諸国には完敗。 アジアの中で見てもシンガポール以下。 購買力平価で見ると香港、台湾よりも下であり、韓国にも抜かされそう。 いや東南アジアにも抜かされるかもな。 マレーシアとか発展が著しいしな。 48 名前:脱日本人 投稿日: 2013/05/04(土) 12 05 04 ID 49qReKG. http //cdo.iftlog.com/2011/03/gdp-dataimf-weo.html を見る限り、現在の世界経済はEU、アメリカ、中国の3強なのは間違いない。 GDPが大きい順にEU、アメリカ、中国となる。 G3という捉え方が一番妥当だな。 日本は15年近くGDPが停滞している。 にも関わらず、クソ生意気にも日本経済は最強だとか三橋貴明みたいなゴミがほざいているんだよな。 日本が長期停滞に入ってからのほうがジャップホルホル本が増えてきた。 本当に頭にくるわ。 3956 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 42 37 ID ??? それにしてもネトウヨとは正反対に世界は動いていく そういう意味では大予言者だな 3969 :脱日本人:2013/06/08(土) 13 40 40 ID ??? ゴールドマン・サックスによる2050年GDP予測(2007年公表) 順位 国名 2050年GDP予測 1位 中国 70.710兆ドル 2位 アメリカ 38.514兆ドル 3位 インド 37.668兆ドル 4位 ブラジル 11.366兆ドル 5位 メキシコ 9.340兆ドル 6位 ロシア 8.580兆ドル 7位 インドネシア 7.010兆ドル 8位 日本 6.677兆ドル 9位 イギリス 5.133兆ドル 10位 ドイツ 5.024兆ドル 11位 ナイジェリア4.640兆ドル 12位 フランス 4.592兆ドル 13位 トルコ 4.200兆ドル 14位 韓国 4.083兆ドル 15位 カナダ 3.375兆ドル 16位 ベトナム 3.375兆ドル 17位 フィリピン 3.010兆ドル 18位 イタリア 2.950兆ドル 19位 イラン 2.663兆ドル 20位 エジプト 2.602兆ドル 21位 パキスタン 2.085兆ドル 22位 バングラデシュ 1.466兆ドル 3962 :脱日本人:2013/06/08(土) 13 05 10 ID ??? シティグループによる2050年GDP予測(2011年公表) 1 中国 205,321 2 インド 180,490 3 アメリカ 83,805 4 インドネシア 45,901 5 ナイジェリア 42,437 6 ブラジル 33,199 7 ロシア 19,697 8 日本 16,394 9 フィリピン 14,738 10 イギリス 13,846 3963 :脱日本人:2013/06/08(土) 13 09 32 ID ??? プライスウォーターハウスクーパース(PwC)による2050年GDP予測(2011年公表) 1 中国 59,475 2 インド 43,180 3 アメリカ 37,876 4 ブラジル 9,762 5 日本 7,664 6 ロシア 7,559 7 メキシコ 6,682 8 インドネシア 6,205 9 ドイツ 5,707 10 イギリス 5,628 11 フランス 5,344 12 トルコ 5,298 13 ナイジェリア 4,530 14 ベトナム 3,939 15 イタリア 3,798 16 カナダ 3,322 17 韓国 3,258 18 スペイン 3,195 19 サウジアラビア 3,039 20 アルゼンチン 2,549 3943 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 19 39 ID ??? 世界株式時価総額ランキング 1 中国石油天然気ペトロチャイナ 中国 エネルギー 40.11兆円 2 エクソンモービル アメリカ エネルギー 32.70兆円 3 チャイナモバイル 中国 通信 20.05兆円 4 マイクロソフト アメリカ IT 19.92兆円 5 ウォルマート・ストアーズ アメリカ 売り 18.50兆円 6 中国石油化工シノペック 中国 エネルギー 17.38兆円 7 BHPビリトン 豪英 鉱物資源 16.74兆円 8 ジョンソン&ジョンソン アメリカ 日用品 15.99兆円 9 P G アメリカ 日用品 15.40兆円 10 ロイヤル・ダッチ・シェル 英蘭 エネルギー 15.23 3965 :脱日本人:2013/06/08(土) 13 19 36 ID ??? シナとジャップは似てるが、国が経済だけは整えている点ではシナのがまし ジャップには何もない 3950 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 33 25 ID ??? この20年こんなに経済成長しなかった国って日本だけだしな。 消費税の導入以来成長は完全に止まった。 中国に抜かれるのはわかってたけど今の経済政策を続けてたら 他の国にもどんどん抜かれるよ。 3954 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 39 52 ID ??? 飯田泰之 駒澤大学准教授 「もう消費したいものがない」「資本主義は行き詰まった」「もうこれくらいでいいじゃないか」 云々というお話も、どんなもんだろうと思います。 日本以外はどうなっていますかというと、まったく成長しているし、まったく消費したくて しょうがないんですね、みんな。例えば90年代以降の20年間で、だいたいOECD加盟国 の名目のGDPは倍になっているんですよ。 それに対して日本は横ばいなんですよね。 「もう発展するだけ発展したから成長できないんだ」というためには、世界中で日本だけが 成長できない理由を言ってもらわないと困る。「世界中で日本だけが成長できない」 っていう凄い極論を主張しているんだというのをもう少し自覚して欲しいです。 みんな何か身の回り10メートルぐらいだけを見て「世界中が成長しない」ような感覚に なっているんですが、そんなことをやっている間に、とうとう2016年に韓国、2017年に 台湾に日本は抜かれます、1人当たりGDPで。 今の状態でも、一人当たり国民所得水準でアメリカの7割、8割程度の国が資本主義の フロントランナーって、笑かすなという話ですよ。もはや、日本はフロントランナーでは ありません。ここ10年、停滞を続けたせいで、日本の1人当たりの所得水準であるとか、 生活水準のポジションが、英米の下、韓国、台湾の上という感じになっています。 http //business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100216/212780/ 3947 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 27 22 ID ??? 産業革命以前、世界のGDPは人口分布とほぼ一緒。 個人消費が経済の大部分だったから。 17世紀は中国とインドで世界のGDPの3分の2を占めていた。 それが産業革命によって情報と技術が一部の欧米諸国に集中し 世界の富も中国やインドからこちらに一気に移動した。 ところがインターネットが普及したことで、 今度は情報も技術も世界中で格差が無くなった。 結果として人口分布が再びGDPを決定する時代になる。 中国が世界の経済大国になるのは、 なにも中国が特別なことをしているというわけじゃなくて 単に人口がよそよりも多いというだけのこと。 4千年の歴史の中で中国はほとんど世界でナンバー1の経済大国で 18世紀後半に始まった産業革命から現代までの約250年間が例外なだけで GDP世界1位になるとしても、それは悠久の歴史の流れの中では 普通の状態に戻るというだけ。 3747 名前:脱日本人 投稿日: 2013/05/24(金) 02 01 03 ID ??? 歴史的に見ると、中国の世界のGDPの30%を占めていただけらしいじゃん。 そんななかで日本が独立を維持してこれたのは地理的条件に恵まれていだだけ。 それを自分の実力だとカン違いして、力への信仰に明け暮れているのが日本人。 3944 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 21 55 ID ??? 世界が均質化していったら、国土や人口と言った普遍的な ポテンシャルを持つ国が有利なのは当然だな。 日本が数十年間世界2位の経済大国でいられたのも、先進国で アメリカに次ぐ人口があったから。 巨大なポテンシャルを持つ国々が、共産主義・社会主義の 堕眠を貪っていた冷戦時代は、日本にとってはラッキーな 期間だった。 3748 名前:脱日本人 投稿日: 2013/05/24(金) 02 04 07 ID ??? 古代~現代の国別GDP推移 http //nicoviewer.net/sm2272334 古代~現代の国別GDP推移のBGMを変えてみた http //nicoviewer.net/sm3049721 3分でわかる200年間の世界の経済成長 http //nicoviewer.net/sm17736275 GDP_おい!イタリアに抜かれたで。。 http //nicoviewer.net/sm5662646 西暦2050年の世界予測GDP(国内総生産)ランキング http //nicoviewer.net/sm14523548 2000年間の国別人口順位の変遷 http //nicoviewer.net/sm8637328 歴史上の推定都市人口ランキング http //nicoviewer.net/sm9089094 世界の平均身長ランキング http //nicoviewer.net/sm7138126 3942 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 14 18 ID ??? 中国バブル崩壊厨って、何を期待してるんだろうな。 たとえ中国のバブルが崩壊しても、10%以上の高成長がなくなるだけで、 日本みたいな経済成長0で人口が減る衰退国家にはならないから、 中国の地位が日本以下になることはないぞ。 アメリカみたいに、成長→減速→成長を徐々に繰り返していって、 日本のような、バブル崩壊→大減速→成長0→少子高齢化で経済崩壊にはならない。 3948 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 29 03 ID ??? そもそもバブルなんていろいろな国で何度も弾けてる。 ギリシャは過去に3度あったというし、 アメリカなんてこの10年でITと住宅の2つが弾けてる。 そして今はまだその混乱から抜け出していない。 ただ・・ 日本はあの90年代初頭のバブル崩壊からずっと抜け出していない。 だから日本人は、バブル崩壊=全ての終わりと思うだろうが、 他の国は、バブルが弾けた=またかよ・・じゃあこれから伸びるわ、程度の事。 この差が大きい。 3952 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 36 09 ID ??? ソ連が崩壊したのは財政支出に占める軍事費の割合が 異常に高い上経済成長が停滞したから 中国の場合財政支出に占める軍事費の割合は 大きく変化してないからソ連みたいに崩壊することはないだろうね 3946 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 25 24 ID ??? 人民元の切り上げで、中国国内中に大消費ブームが起こる可能性が高いけどな。 内需の拡大には元高が必須の条件となるから、人民元切り上げがかつてのプラザ合意後の日本のような 景気拡大をもたらすだろ。 3953 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 38 21 ID ??? 俺は逆にサバ読んでると思ってる 付き合いがある何人かの富裕層中国人子弟に 親の所得について聞いた話だと 実際の所得は数億だが 表向きの所得は一般中国人の3倍程度 主要な収入であるブラックマーケットでの稼ぎは計上されないわけ 3955 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 41 30 ID ??? ポスト冷戦下で何も出来なかったどころか、日本の最大の強みであった常識的で教養ある中間層と ある程度均質な社会をぶち壊してくれたのが自民党で。 上がりは自民関係者のポケットに入ったようなので、やつら何かあったら逃げ出すんだろうな。 それ相応の社会的制裁を食らわしてーな。 3958 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 45 02 ID ??? 日本は人口ピラミッドが崩壊してるのも問題やけど ろくな産業をここ20年生み出しておらん アメリカ衰退論をいう馬鹿がたまにおるけど 日本からGoogleのような企業って出たっけか? アメリカは新しい産業を生み出す力があるぞ あんたらMicrosoftのOSでGoogleの検索で情報みっけて Amazonで買い物してるやないかw 3959 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 46 44 ID ??? おれもいま大学で中国語を必死に勉強中 宗主国の言語ぐらいマスターしておかないとな これからは、英語と中国語の時代だよ 3951 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 34 16 ID ??? お前の目は節穴か? 国内市場しか見てないアホか? 家電・PC関連・テレビ・携帯とサムスン・LGにことごとく負け 最大の外貨獲得企業であるトヨタですらサムスン一社に売り上げで追いつかれ 原発や高速鉄道や浄水施設などのインフラ受注も根こそぎもっていかれ 映画や音楽などのエンターテイメント分野でも圧倒的に遅れをとり いったい何を以って日本が韓国に勝てると? 3945 :脱日本人:2013/06/08(土) 12 22 36 ID ??? まあ最近の話題で一番ショックだったのは、 LGがアメリカに、どでかいリチウムイオン電池工場を建てる式典に、 オバマ大統領が時間を割いて出席した事かな・・ 電池も韓国に抜かれるのはやばいぞ・・ 28 名無しさんの主張 2012/06/28(木) 01 28 40.20 ID ??? まあ、土人が西洋人に追いつくなんて遠い夢、夢のまた夢だということだ。 他を犠牲にして経済だけを追求してきたのに、それもシンガポールに抜かれ、 香港に抜かれ、台湾に抜かれ、あと数年で韓国にも抜かれる。 何もいいところがない、アジアの中でもダメ扱いされる国になるだろうよ。 今でも既に日本は問題山積みで詰んでると言ってるアジア人が多いしな。 630 :名無しさんの主張:2012/08/02(木) 14 24 03.33 ID ??? 欧米は年間1800時間しか働かないのに、日本は2千数百時間も働く なにこれ http //news020.blog13.fc2.com/blog-entry-217.html 89 :ピンセット(長野県) :2010/01/29(金) 22 37 09.76 ID 7S+otPSM 100の価値を創造するのに100の労働をするのが欧米。 100の価値を120の価値にするために200の労働をするのが日本。 付加価値だと言うが、人間にとって実は20程度の差なんてどうでもいい。 117 :マジックインキ(鳥取県) :2010/01/29(金) 22 46 45.38 ID a/FbRvI6 スペインの職場はこんな感じ。 自称早朝(ただし10 00)出勤 昼飯は当然自宅で。何があろうと自宅に帰って飯。 飯の後は昼寝。昼寝がないと働いてられねーよ、と。 午後はワイン(しかもボトル)でも引っかけながら陽気にお仕事。 職場がアルコール臭。 遠くから歌声が聞こえてきたかと思ったらこっちも負けては居られないと熱唱。仕事そっちのけ。 土日どころか、かったるい日は全般的に休み。 夏休みは7月から9月まで。でもなぜか仕事よりマメにバカンス先の写真を律儀に送る。 でも 22位 日本 35,650.850 25位 スペイン 33,385.028 一人当たりのGDP殆ど変わらないんだよなw 1位 日本 82歳 8位 スペイン 80歳 平均寿命もかわらねーw 631 :名無しさんの主張:2012/08/02(木) 14 25 24.56 ID ??? 749 名前: 名無しさんの主張 [sage] 投稿日: 2012/07/24(火) 05 47 58.13 ID ??? 一人当たりGDP(購買力平価、ドル) IMF推計(2010年度) 24 日本 33,805 25 韓国 29,836 26 スペイン 29,742 28 イタリア 29,392 29 ギリシャ 28,434 World Bank推計(2009年度) 24 イタリア 32,430 25 日本 32,418 26 スペイン 32,150 29 ギリシャ 29,617 33 韓国 27,100 欧米人の間で財政破綻のダメ豚だとからかわれてる PIGS(ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン) http //ja.wikipedia.org/wiki/PIIGS 日本人は「世界第二の経済大国だ!」なんていう自慢を好むが、明らかにPIGSの仲間 全てを犠牲にしてPIGSの二倍近くの時間働いてボロボロになってるのに同レベルだから終わってる しかも韓国にすぐ下まで接近され、IMF予想では2018年に逆転らしい 標準が「北朝鮮よりマシ」としか言えなくなる日も近いな 434 :名無しさんの主張:2012/10/18(木) 17 02 37.38 ID c8aDODXS GDPについて言えば、日本だけが20年近く停滞しているわけだ。 労働生産性においても日本は低いし。 これのどこが世界最強なんだ? もしかして円高のことを言っているのか? 三橋貴明みたいなゴミの本じゃなくてちゃんとした経済学者の本を読めよ。 716 :名無しさんの主張:2012/10/25(木) 22 51 54.57 ID ??? ずっと日本経済最強を連呼してる標準だろ 日本は経済くらいしか誇るものがないのはわかるけど、 1人あたりGDPはシンガポール、香港、台湾に抜かれ、 韓国にも抜かされそうなレベル 2050年は 35と悲惨 730 :名無しさんの主張:2012/10/25(木) 23 52 46.21 ID ooZoE3/7 http //tak-tak-world.txt-nifty.com/log/2009/01/gdp19802007-7a7.html 731 :名無しさんの主張:2012/10/26(金) 00 02 01.22 ID vtaP2/LP http //www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4541.html http //ecodb.net/country/JP/imf_gdp2.html http //www.meti.go.jp/report/tsuhaku2011/2011honbun/html/i1110000.html 151 :名無しさんの主張:2012/11/04(日) 09 41 40.42 ID ??? GDPランキング 100年 1000年 1500年 インド 33750 インド 33750 明 61800 漢 26820 宋 26550 インド 60500 ローマ帝国 22000 イスラム帝国 21640 --------壁--------- 壁-------- --------壁-------- オスマン帝国 10495 日本 1200 日本 3188 日本 7700 1600年 1700年 1820年 明 96000 インド 90750 清 228600 インド 74250 清 82800 インド 111417 スペイン帝国 20789 スペイン帝国 23867 フランス 38434 フランス 15559 フランス 21180 ロシア帝国 37710 壁-------- --------壁-------- --------壁-------- 日本 9620 日本 15390 日本 20739 1870年 1913 1950 イギリス帝国 265000 イギリス帝国 570406 アメリカ 1455916 清 189740 アメリカ 517383 ソ連 510243 インド 134882 中国 241344 イギリス 347850 アメリカ 98374 ドイツ 237332 ドイツ 265354 ロシア帝国 83 646 ロシア 232351 中国 239903 壁--------- ----------壁--------- --------壁------- 日本 25393 日本 71653 日本 160966 125 :名無しさんの主張:2012/11/04(日) 00 09 53.25 ID ??? 携帯電話 世界シェア 2009年Q3 括弧内は前年 韓国勢のシェア 29.9% 1位 ノキア 36.7% (38.2%) 2位 サムスン 19.6% (17.1%) 3位 LG 10.3% (7.8%) 4位 モトローラ 4.5% (8.0%) 5位 ソニエリ 4.3% (8.1%) http //techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20091113/177571/ DRAM 世界シェア 2009年Q3 韓国勢のシェア 57.2% 1位 サムスン(韓) 35.5% 2位 ハイニックス(韓) 21.7% 3位 エルピーダ(日) 16.9% 4位 マイクロン(米) 12.7% http //headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091125-00000014-yonh-kr NAND型フラッシュメモリー 世界シェア 2009年Q3 韓国勢のシェア 47.2% 1位 サムスン(韓) 38.5% 2位 東芝(日) 34.8% 3位 マイクロン(米) 9.4% 4位 ハイニックス(韓) 8.7% http //japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2009/11/06/0200000000AJP20091106000900882.HTML 126 :名無しさんの主張:2012/11/04(日) 00 10 51.30 ID kmG7YQYq 最新2009年度 主な製品の世界シェアランキング パソコン 1位HP(米) 2位Acer(台) 3位デル(米) 携帯電話 1位ノキア(フィン) 2位サムスン電子(韓) 3位LG電子(韓) 液晶テレビ 1位サムスン電子(韓) 2位ソニー(日) 3位LG電子(韓) 液晶パネル 1位LGディスプレイ(韓) 2位サムスン電子(韓) 3位友達光電(台) プラズマTV 1位松下電器産業(日) 2位LG電子(韓) 3位サムスン電子(韓) 時計 1位スウォッチ(スイス) 2位リシュモン(スイス) 3位セイコー(日) デジカメ 1位キャノン(日) 2位ソニー(日) 3位サムスン電子(韓) プリンタ 1位HP(米) 2位キャノン(日) 3位エプソン(日) DRAM 1位サムスン電子(韓) 2位ハイニックス(韓) 3位エルピーダ(日) USB 1位サムスン電子(韓) 2位ハイニックス(韓) 3位ミクロン(米) 太陽電池 1位Qセルズ(独) 2位FirstSolar(独) 3位サンテックパワー(中) 自動車 1位トヨタ自動車(日) 2位ゼネラル(米) 3位フォルクスワーゲン(独) 粗鋼 1位アルセロール(ルク) 2位新日本製鉄 3位JFEスチール 127 :名無しさんの主張:2012/11/04(日) 00 11 39.31 ID ??? ■電機各社のここ10年ほどの純損益累計 パナソニック 日立 ソニー 東芝 サムスン電子 2008年度 ▲3789億 ▲7873億 ▲989億 ▲3436億 5兆5526億W 2007年度 2818億 ▲581億 3694億 1274億 7兆4210億W 2006年度 2171億 ▲327億 1263億 1374億 7兆9260億W 2005年度 1544億 373億 1236億 782億 7兆6400億W 2004年度 584億 514億 1638億 460億 10兆7900億W 2003年度 421億 158億 885億. 288億 5兆9620億W 2002年度. ▲195億 278億 1155億 185億 7兆0530億W 2001年度 ▲4278億 ▲4038億 153億 ▲2540億 3兆0550億W 2000年度 415億 1043億 168億 962億 6兆0030億W 1999年度 997億 169億 1218億 ▲329億 3兆1750億W 合計. 688億 ▲1兆284億 1兆421億 ▲980億 64兆5776億W 172 :名無しさんの主張:2012/11/04(日) 20 52 42.21 ID ??? ■電機各社の売上高 推移■ パナソニック ソニー 日立 サムスン電子 公式予測 7兆3500億円 7兆3000億円 8兆7000億円 09年 136兆2900億W 08年 7兆7655億円 7兆7299億円 10兆0003億円 121兆2940億W 07年 9兆0689億円 8兆8714億円 11兆2267億円 98兆5080億W 06年 9兆1081億円 8兆2956億円 10兆2479億円 85兆4256億W 05年 8兆8943億円 7兆5105億円 9兆4648億円 80兆6295億W 04年 8兆7136億円 7兆1913億円 9兆0270億円 81兆9600億W 03年 7兆4797億円 7兆5306億円 8兆6324億円 64兆8200億W 02年 7兆4017億円 7兆4763億円 8兆1917億円 58兆4000億W 01年 7兆0738億円 7兆5782億円 7兆9937億円 46兆4400億W 00年 7兆7805億円 7兆3148億円 8兆4169億円 43兆5280億W 52 : 名無しさんの主張[age] : 投稿日:2012/11/02 03 40 04 ID ??? 標準は弱肉強食の社会が好きなのに、市場メカニズムみたいなものはなぜか認めないんだよな。 標準は官僚による統制経済が好き。 54 : 名無しさんの主張[sage] : 投稿日:2012/11/02 03 45 32 ID ??? 52 自分が強者でい続けるため 何時も押さえつけられるところからと事のさえつける 56 : 名無しさんの主張[age] : 投稿日:2012/11/02 03 51 15 ID ??? 54 なるほど。 市場メカニズムや実力主義が徹底してしまうと、今まで弱者だった人間に逆転される危険が出てきてしまうからね。 64 : 名無しさんの主張[sage] : 投稿日:2012/11/02 09 07 38 ID ??? 56 弱肉強食を認めてるからこそ、弱者が自分を追い越して自分が弱者にされると思って 抑えつける 強い人強いうちは何をしたっていい その代り追い越されたら何されるか分からないので 押さえつければいい それがルール 平等がルールの人は弱い人を助ける 97 : 名無しさんの主張[sage] : 投稿日:2012/11/03 09 52 19 ID ??? 52 これが理由だと思う。旧日本人=標準的日本人。 ↓ 丸山真男と日本の外骨格 番外編 「自由競争」について http //www.ne.jp/asahi/shin/ya/desk/masao1/25.htm これは、丸山真男の『忠誠と反逆』の中に出てくる一節ですが、自由主義市場経済をかたくなに拒絶する人々の 意識はこの辺にあるのではないかと思えて、非常に興味深い指摘なので以下に引用します。 さきに、明治末年における組織の硬化からくる青年学生の疎外感についてのべたが、実は資本主義の急激な発展と、 それに伴う日本型の都市化に伴って、ほとんどあらゆる集団と組織の内外に、連帯性の欠如からくる疎外感が蔓延して行った。 本来「ルール」の確立なしには考えられない自由競争のイメージは、ここでは、あらゆる手段と方法で 他人または競争集団をはねのけて一歩でも先へ出ようとする「修羅場」と同義であった。 私は、基本的に旧日本人が上意下達の共同体的生き方をありがたがっているのは、彼らはまったくもって、 社会性に関する感覚が幼稚であり社会不適応ですらあるからだと思っています。 丸山の考察によれば、共同体志向の強い人々が「自由競争」という言葉に抱くイメージは、まさに弱肉強食、なんのルールもなく、 強い者が弱い者から一方的に収奪するというものだということがわかります。実に稚拙な社会認識といえるでしょう。 旧日本人は、秩序は権威によって守られると理解しています。つまりお上や力の強い者がにらみを利かしているからこそ、 彼らのタコツボ型の社会は成り立っているのです。でもほんとうは旧日本人はお上に収奪されていると思いますがね。 (続く) 98 : 名無しさんの主張[sage] : 投稿日:2012/11/03 09 55 08 ID ??? (続き) 自由競争が行われる社会では、秩序はルールによって維持されなければなりません。 上位のものにも下位のものにも等しくチャンスは与えられなければならないからです。 つまるところ、旧日本人は自分たちの社会の慣習や、極端な場合は親分が「ルールを破ってもよい」と 黙認した場合や、みんなが暗黙のウチにルール破りを談合した場合には、定められているルールを 破ってもよいと考えていることがわかります。 また、旧日本人は「自分たちの社会では成功のチャンスはより強いものに多く与えられ、 弱い者はチャンスは少なくとも従容として従うべきである」と認識しています。 これは、「生産性を最大化するよりも、秩序を守ることの方が重要だ」という価値観に基づいた認識でしょう。 というわけなので、旧日本人の社会観においては、ルールやら契約などという 人的な担保のないものに基づいた自由競争は、極端な勝利か、身ぐるみはがれるかしかない 博打のような不安定で恐ろしいものだと思われているのだと思います。 これは最低限の生活を保障する憲法の「基本的人権」すらも眼中にない(そりゃそうでしょう。 憲法など、彼らがまさに信用しないルールの親分ですから)、非常に偏狭で自分たちの流儀のみに とらわれた「偏見」としか言いようがない社会観だといわざるをえません。 しかしそれが多くの日本人がいまだにとらわれている発想であるということを 否定することもむつかしいでしょう。やれやれ 827 :名無しさんの主張:2014/04/11(金) 10 53 49.76 ID ??? もう一つ言えば、戦後間もなく産めよ(笑)増やせよ(笑)と これが戦後復興の政策ってねw 高度成長期とは、原始的にいや不自然に増えた標準猿達を駆使しての 原始的な人海戦術でしかなかったw しかしバブルが終わったら実は国土面積に対して異様に増えてた日本の人口に 現実は途方に暮れてると言ったとこだろう。 しかも日本は敬老の国w 無駄に老人を長生きさせる技術だけは確かに世界屈指なんだろうw 少子化は必然、寧ろ今も若者の子作りに問題が無かったら 流石に日本のマスゴミを隠せない位の人口問題に今頃なってただろうよw まあそうなってたらかえって国が若者の海外の移住を 半分位はサポートしてくれたかもしれな…そんな訳ないかw