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Ver. SP カードNo. SP-044 種類 インターセプト レアリティ SP 名称 月想の眠り姫 属性 紫 CP 5 アビリティ [▼2]あなたのユニットがアタックした時、あなたの紫ゲージが2以下の場合、対戦相手のユニットからランダムで2体の行動権を消費する。 [▲3]あなたのユニットがアタックした時、あなたの紫ゲージが3以上の場合、対戦相手の全てのユニットの行動権を消費する。 紫に調整されたジャッジメント。▲3で発動すれば本家よりもCPが安く済む。 ▼2の効果はCP5に見合わないが、ランダムで二体まで無力化する効果自体は強力であり、 ライフの少ない終盤ではこちらでも決め手になり得る。 初出:カードブーストEX(Ver.2.0EX1_02/2016年9月28日) フレーバーテキスト 満月の夜、少女はひたすらに眠る。周りにいる者も彼女につられて微睡む。
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IM/S30-098 カード名:映画『眠り姫』 カテゴリ:クライマックス 色:青 トリガー:1・門 【永】 あなたのキャラすべてに、パワーを+1000し、ソウルを+1。 (門:このカードがトリガーした時、あなたは自分の控え室のクライマックスを1枚選び、手札に戻してよい) ねぇ、知ってる? レアリティ:CR 14/11/14 今日のカード ・対応キャラ カード名 レベル/コスト スペック 色 輝きの向こう側へ! 千早 3/2 9500/2/1 青
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autolink IM/S14-116 カード名:“眠り姫”千早 カテゴリ:キャラクター 色:青 レベル:1 コスト:0 トリガー:0 パワー:5000 ソウル:1 特徴:《音楽》? 【永】 あなたの手札が5枚以上なら、このカードのパワーを+1000。 「……私は、いつか自分の思い描く歌を歌うことができるかしら……」 レアリティ:PR illust. 電撃大王2011年8月27日発売号付録 努力家 千早と同様の条件でパワーパンプ。 あちらは条件達成によって得られる手札アンコールにより手札を維持しにくい欠点があるが、 こちらは手札を消費する能力ではないので、幾分維持しやすくなっている。 条件達成が厳しい割に得られるのはパワーパンプだけ、とPRらしい性能である。
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ぶーん。 一晩中回ってた扇風機の音で目が覚めた。 …暑い。 目が覚めてぐったり。カラダが重い……。 …まだ3時……。 今日はおやすみだからうんとのんびりできるけど…。 ごろって転がって体を横に向ければ石川さん。 すーすーって穏やかな寝息。 やっぱりなんかちっちゃいコみたいなかわいい寝顔。 きゅって絵梨香のシャツを掴んで、あー。どんな夢、見てるのかなぁ。 あんまり蒸し暑くって、なんかかえって目が冴えて…。 だからずーっと寝顔を眺めてた。 ときどきほっぺをつんってしてみたり、ふにふにって押してみたり。 そしたら…。 「んー…」 って。 でも眉毛をむってしかめて、唇がアヒルみたいに尖がった。 ふふっ。かわいいなぁ。 だから、何度も何度もふにふに突いていたずらして。 でも、それでも起きない石川さん。 あー。よーくこれで寝られるなぁ。 蒸し蒸しした部屋。 ぶーんって回ってる扇風機のちょっと生暖かい風。 うっすらと明るくなってきた空。 「…」 眠ってる石川さんの小さな唇にそっとキスをしてみた。 きゅってシャツを握る手に力が入った。 ふわってあったかい唇が、なんかこんな蒸した部屋でも気持ちよかった。 「……ん」 声がして、そっと離れたらゆっくり開いた目。 「…」 ぼんやりと絵梨香を見つめてて、 「おはようございます」 って言ったら、ふにゃって笑った。 「おはよ」 眠り姫は、やっぱりキスで起きるんだ。 「えりか?」 くすくす笑ってる絵梨香をきょとんとした目で見る石川さん。 おでこにキスをして、そっと背中に腕を回した。 「ふふっ。なんでもないです」 「んー…」 なんかよくわかんないって顔。 でも、ぎゅって抱きしめられて、胸に顔をうずめて…。ちょっと暑いけど、でもいいの。 「まだ早いから、もうちょっと寝よう? 梨華ちゃん」 「うん…」 返事と同時にまた夢の中に帰ってった石川さんを追いかけて、絵梨香もぬくもりの中で目を閉じた。 (2005/8/24)
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0183_眠り姫アルマ能力 限界突破 必殺技:聖姫の祈り ゲームオリジナルカード 0183_眠り姫アルマ/コメント 0183_眠り姫アルマ 「神羅万象フロンティア+」先行実装カード 飛天 0183 眠り姫アルマ (ねむりひめあるま) 勢力・陣形 タイプ コスト 基本技 飛天四聖陣 魔 3 味方全体を状態異常から守る 能力 初期ステ Lv 0 HP 435 攻 310 防 310 速 120 5 10 15 20 1段階突破 20 突破後HP 突破後攻 突破後防 突破後速 25 30 35 40 2段階突破 40 突破後HP 突破後攻 突破後防 突破後速 45 50 55 60 3段階突破 60 突破後HP 突破後攻 突破後防 突破後速 65 70 75 80 4段階突破 80 突破後HP 突破後攻 突破後防 突破後速 85 90 95 100 このページの先頭へ 限界突破 限界突破 Lv上限 コスト HP 攻 防 1段階 40 4 + + +2段階 60 5 + + +3段階 80 6 + + +4段階 100 7 + + + 必殺技:聖姫の祈り 効 果 技Lv 回復量 味方全体を回復 さらに状態異常から守る 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 84 87 90 96 99 105 108 111 117 126 技ランク 補 足 S・真(コスト3) スクショがあれば貼る 編集 この技の説明 / この技の威力一覧 / この技を持つカードの一覧 このページの先頭へ ゲームオリジナルカード 「Yahoo!モバゲー」の「神羅万象フロンティア+」限定カード。 「聖龍+飛天祭」(2013年5月2日~5月9日)期間限定で 「神羅万象カード」「神羅万象カード・極」から引くことができたカード。 1116_眠り姫アルマと絵柄は同じのアナザーで、背景とステータスが異なる。 技Lvを揃えれば強化合成が可能。 フロンティア 実装日:2014年4月1日(花見祭以降再配布対象に) フロンティア+ 実装日:2013年5月2日 このページの先頭へ 0183_眠り姫アルマ/コメント このカード引いて今更気づいたけど、+のカードも排出されるんだね。 - 名無しさん 2014-04-02 08 21 21 No.0056と勘違いしてないか? - 名無しさん 2014-04-03 16 22 48 公式見て来い - 名無しさん 2014-04-03 16 44 00 今回から+のやゴールド祭も再配布対象に入ったようですね。他は区別つかないのもあるけど、0056_眠り姫アルマとこれはステが違うのですな・・・ - 名無しさん 2014-04-03 17 01 35 名前 ステータス/技威力等の追加掲載依頼は以下↓↓にご記入ください コメントの最初に、カード名として【 [[0183_眠り姫アルマ]] 】を入力(【 】内をコピペ)してください (ステータス掲載用コメントは全カードで共有します。カード名を入れないと、どのカードのステータスか判りません)。 Lv20 HP952 功624 防528 速124 - 10214_武神将ヘルマティオ 2015-02-02 18 11 01 名前 このページの先頭へ
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眠り姫を覚ますには 通いなれた廊下を進みナースステーションへと行くと、そこの看護婦が花束を持った巴を見つけて笑顔を浮かべた。 もう既に顔なじみであり、誰の見舞いに来たのかは何を言わずとも分かる。 「フォッセーさんのお見舞いですよね?」 「ええ。どうですか様子は…」 巴がそう聞くと看護婦は少し表情を曇らせて首を横に振った。 「…まだ眠ったまま。どこも悪くないはずなのにね…」 「そうですか…」 大方予想していた答えだが、それでも少し残念に思う。 その巴に看護婦は表情を笑顔に戻して口を開く。 「さ、行ってあげてください。お見舞いに来てくれる人もいないから…きっと喜んでると思いますよ」 「…はい、いつもありがとうございます」 看護婦にお辞儀をしてナースステーションからその病室へと向かう。 病室の前に来ると、一応ノックをした。返事が返ってくる訳が無いけれど。 「フォッセーさん、お邪魔します」 そう扉に声を掛けてゆっくりと扉を開く。 病室の中には、ベッドの上で目を閉じて横になっているオディールだけがいた。 巴が見舞いに来るようになってから変わることの無い光景。 巴は病室に入っていき、ベッド脇に置いてあるイスに腰掛けてオディールの顔を見る。 一見すればただ眠っているだけに見えるその穏やかな表情。 だがこの状態がずっと続いており、腕に繋がっている栄養の点滴が彼女が普通じゃない事を示している。 「また来ちゃいましたよ、フォッセーさん」 話し掛けても当然反応は無い。巴はそれを意に介さないように柔らかな笑顔で話を続ける。 「今日は外も温かくて、長袖じゃ暑いくらいです。半袖で良かったかなって思いました」 着ていたカーディガンを脱ぎ、それを床に置いた鞄の上に置いた。 それから膝の上に置いておいた花束を持って立ち上がる。 「前持って来た花枯れちゃったから、新しい花持ってきました。綺麗でしょう?」 花瓶に生けてある古い花をゴミ箱に捨てる。 持ってきたときはカラフルだった花だが、今ではしおれ色もくすんでいる。 それから花瓶の水を新しくし持ってきた花をそこに生けた。 それをしながら、巴は今までの事を思い返していた。 ―※―※―※―※― 初めて出会ってジュンの家で話をしてから、二人は家を後にすると道すがら少し話をした。 話題に上がるのは当然雛苺の事。 オディールは雛苺の事を直接あまり知っていないから巴がその事を話すと興味深そうに目を輝かせていた。 「へえ、そうなんですか…可愛いわね」 「ええ。訳あって雛苺とは別れちゃったけど…今でも雛苺の事は大切」 「そう…おばあさまもきっと同じだったのね」 「そうね…おばあさまの気持ち、分かるような気がします」 そうしていると分かれ道に差し掛かり、二人はそこで別れる事になった。 「それじゃあ私の学校はこっちだから…失礼しますね」 「私はこっちだから…また会えたら会いましょう」 「こちらこそ」 そう言って二人は別れた。雛苺が取り持つ縁だからまた会えるだろうと思っていた。 だがそれから彼女は消息を絶ち、もう国に帰ったのだろうかと思った。 せめて挨拶の一つでもしたかったが、考えれば連絡し合える物なんて無いんだから仕方が無い。 しかし、彼女の消息を知ったのは意外なところからだった。 それは学校で友達と話をしていた時のこと。 「ねえ巴知ってる? 病院に眠り姫がいるんだって」 「眠り姫?」 話を切り出したのは由奈。眠り姫なんて胡散臭い話に巴は訝しげに聞き返した。 それに満足そうに由奈は続ける。 「看護婦さんの噂話で聞いたんだけど、十階に眠り続けて入院してる人がいるんだって。何でも金髪が凄く綺麗なフランス人みたい」 「…フランス人…?」 フランス人、という単語を聞いて巴はハッとする。オディールも確かフランス人だ。 嫌な予感がして、巴はその先を急かす。 「…もっと詳しく聞かせてくれる?」 「ええ。何だか一週間ぐらいにホテルから搬送されたんだけど、どこも異常無いのに目が覚めないって…」 一週間、最後に会ったのもその時期だ。ちょうど時期的にも合う。 「怖いけど、何だか神秘的じゃない? 眠り姫なんて呼び名…憧れるわ」 「ちょっと、不謹慎よ。本人の身になってみなさい」 「あ…ごめん…」 一人うっとりする由奈を注意すると、ちょうどチャイムが鳴って二人は席に戻って行った。 教科書を準備し、先生が来るまでの間巴はオディールの姿を思い出していた。 (…まさか…フォッセーさん…) 言い様の無い不安を感じ、心臓の鼓動が早くなる。 それを落ち着かせようと深く息を吐き、学校が終わったら病院に行ってみようと決めた。 学校が終わった後、巴は部活を休んでその病院へ向かった。 病院に入り、その十階まで行くとナースステーションでその“眠り姫”の事を尋ねてみた。 「あの、すいません。ここで眠り姫って言われてる人が入院してるって聞いたんですが…」 「眠り姫…ああ、オディール・フォッセーさんですね」 「っ…!!」 嫌な予感は的中し、冷水を浴びせられたような気分がした。 前に会った時はあんなに元気だったのに、まさか本当に入院してるなんて信じられない。 その凍り付いてる巴に、看護婦は問いかける。 「…えっと、お友達ですか?」 「え…え、ええ。友達です…」 多少戸惑いながらも意識を戻すと、看護婦は笑顔で頷いた。 「そうですか…よろしかったら案内しましょうか」 「…はい、お願いします」 それから看護婦について行った先の病室で見たのは、穏やかな表情を浮かべて眠るオディールの姿。 その姿を見て巴は言葉を失う。これが病人だ何て信じられなかった。 「…フォッセー…さん…」 「安らかな表情でしょう? でもずっとこのままなのよ…体に異常は無いのにね」 巴の背後から看護婦がそう説明する。それを巴は立ち尽くしたまま聞いていた。 「…不思議でしょう? 異常が無いのに眠り続けるなんて…」 「…ええ…」 そう搾り出すのがやっとだった。 「家族の方にも連絡しようと思ったんだけど…海外の方だから連絡取れるものが無くて…あなた、分かる?」 「…いえ…私にも、それは…」 「そう…。日本の知り合いの人もいないみたいだから、お見舞いに来てくれたのあなたが初めてよ」 「そうなんですか?」 巴は体を返し、そこでやっと看護婦と向かい合った。 看護婦の表情は同情といえる物だった。 「ええ…だからちょっと不憫で…」 「そう…」 もう一度オディールの方を見る。安らかな顔が余計に辛い。 押し黙ると看護婦は巴にオディールを任せて出て行き、巴はベッド脇にあったイスに腰掛けた。 そのまましばらくオディールの顔を見て黙っていたが、巴は一つ息を吐くと口を開いた。 「…お久しぶりですね、フォッセーさん。まさかこんな形で再会するとは思いませんでしたよ…」 眠るオディールに話し掛けるが、反応は無い。 「雛苺の事色々話がしたかったのに…ちょっと残念です。まだ話はあったんですよ?」 「……」 「…とても安らかな顔ですね…どんな夢見てるんですか? …目が覚めたら教えて下さいよ…」 話をしていると、ポタリと涙が膝に零れた。居た堪れない気持ちになり、オディールの手をギュッと握る。 その手はとても温かく、確かに生きているということを示している。 でも、目を覚まさない。その矛盾が辛かった。 「…なんで…なんでこんな…! あなたは…あなたはただ、雛苺に会いたかっただけなのに…どうしてこんな目に…!」 やり場の無い哀れみと悲しみが涙となって零れ落ちていく。 出来るなら一週間前の彼女に戻って欲しい。起きても可笑しくない顔なのに…。 どれくらいそうしていただろうか。不意に病室の扉をノックされ、巴は涙を拭ってその方を見る。 それから湯気の立っている濡れタオルを幾つか持った看護婦が現れた。 「今から清拭の時間なので、申し訳ありませんが…」 「…分かりました。それでは、私はこれで…」 巴は帰ろうと、鞄を持って出口へと向かう。 だが看護婦とのすれ違い様に足を止め、彼女に尋ねた。 「…また来ても良いですか?」 「ええ。むしろ、こちらからもお願いするわ。話すことで刺激になって、目が覚めるかもしれないから」 看護婦は笑顔でそう答え、巴も微笑んで頷く。 「…ありがとうございます。それじゃフォッセーさん、また…」 オディールにお辞儀をして病室を後にし、病院を出た頃にはもう既に日は沈んでいた。 (…眠り姫…か…) 病院を見上げ、オディールがいるであろう病室の方を見た。 明日は部活が無い。明日も来よう…そう決めた。 それ以来巴は足しげくオディールの元を尋ねるようになった。 いつか目が覚めることを信じて、色々な話を聞かせて笑い掛ける…いつしか部活が無い日はそれが当然になっていた。 ―※―※―※―※― 「よし、と…綺麗な花でしょう? 私が好きな花なんですよ、これ」 花瓶に花を生け終え、満足そうな笑みを浮かべてオディールの方を見る。 当然目を閉じたままだが、巴は笑顔のままベッド脇のイスに座った。 「お金がたくさんあったら、病室を埋め尽くせるぐらい花を買ってきてあげるんですけど…。それでお花だらけの病室でフォッセーさんが眠る…」 ファンシーなその病室を想像し、まるで本当に童話の世界に入り込んだような気がした。 「…まあ、そんな事したら看護婦さんに叱られるでしょうけど。でも、本当に素敵な光景に思いますよ。本当の眠り姫みたいで」 どこかうっとりしたような表情で巴は続ける。 「そう言えば、童話の眠り姫って王子様のキスで目が覚めるんですよね。もしかしたら、フォッセーさんもそれで目覚めたりして…」 自分でそう言って、見知らぬ男…王子がオディールに口付けをしているシーンを想像してしまった。 すると、言い様の無い不快感が込み上げてきてその表情から笑顔が消える。 もし仮にそれで目が覚めたとしても、自分は素直に喜べるだろうか。…今の気持ちでは、素直に喜べるわけが無さそうだ。 血色の良い、綺麗なその唇…これを誰かに取られるのは想像したくなかった。 想像の中とは言え、思い出したくない光景だ。 (…私じゃ王子様になれないかも知れないけど…) 吸い寄せられるように顔を近付けていき、その唇をじっと見つめる。 そして意を決すると、そのまま唇を自分のそれで塞いだ。 やわらかく、温かい…そして、不思議と甘い気がした。 たっぷり数秒間その唇を味わい、口を離すと変わらない表情のオディールが目に入った。 それと同時に、罪悪感が巴を襲う。 (…何…してるんだろう私…) 相手が眠り続けてるのを良い事に、勝手に唇を奪ってしまった…。 目覚めるわけが無いのにそんな事をした自分が情けなく、恥ずかしかった。 「…ごめんなさい…」 それだけ呟くと、巴は鞄を持って早足で病室を出て行った。 それから数日後、家の電話が鳴り響いた。 部屋で勉強していた巴は誰かが取るのを待ったが、なかなか出ないので部屋を出て代わりに自分が出た。 「はい、柏葉です。…え? フォッセーさんが目覚めた!?」 電話は病院からで、その知らせを聞いて巴は思わず大声をあげた。 キスして以来お見舞いに行く暇が無かったが、まさか今目覚めるなんて思わなかった。 その次の日、巴は学校が終わると大急ぎで病院へと駆けつけた。 そして病室に入ると、これまでとは違ってオディールが窓から外を眺めていた。 オディールは巴の方を向き、優しく微笑んで軽く頭を下げた。それに巴も頭を下げて返す。 「お久しぶり…でもないわね。よくお見舞いに来てくれてたんですってね」 「フォッセーさん…」 「…ありがとう。一日会っただけなのにお見舞いに来てくれて…」 「ううん。雛苺が縁で会ったから、他人の気がしなくて…」 オディールはベッドに腰掛け、巴も病室に入って慣れた動作でベッド脇のイスに腰掛ける。 そこで改めてオディールと向かい合ったが、その新鮮な光景に巴は少しドギマギしていた。 眠っていないオディール…これが当然の姿なのに動揺している自分が可笑しかった。 「私、一ヶ月近く眠ってたんですってね。どうしてなのかしら…」 「看護婦さんも不思議がってましたよ。異常ないのにって…それで眠り姫って、みんな言ってました」 「眠り姫? 私が?」 不思議そうな表情をして尋ねてきて、巴は微笑んで頷いた。 それでオディールは少し照れたようにはにかむ。 「…何だか、恥ずかしいわね…。そんなふうに言われてたなんて」 「でも寝顔は凄く綺麗で…本当に眠り姫みたいでしたよ」 「ちょっと、からかわないで」 二人とも笑い、穏やかな空気が部屋に流れた。 それから二人は色んな話をしていった。 「…そうそう。私ずっと夢を見ていたわ」 「夢?」 「ええ。雛苺とずっと一緒にいたの。でも今思うと、何だか凄く寒くて怖いような夢だった…」 「雛苺と?」 「雛苺なのに、雛苺じゃない気がして…。ずっとそんな夢を見てた」 「そう…」 「…でも、素敵な事もあったわ」 頬を赤く染めて、少し俯いて話を続けるオディール。 それに巴も興味深げに耳を立てる。 「…王子様に、キスされた夢」 「キッ…!!」 キス、と言う単語を聴いて巴の顔に血液が集まっていくような気がした。 まさかあの時の事がばれるのではないかと冷や冷やする。 それに気を止めずオディールは話を続けた。 「暗くて寒い、偽者の雛苺がいる中で王子様がキスしてくれて…凄く温かくて幸せで…素敵だった」 「そ、そう…」 うっとりした様子のオディールとは対照的に、巴の心中は複雑だった。 王子様は自分だと気付いてもらいたいが、同時に気付かれたらどうしようという矛盾が心の中で渦巻く。 それに、王子という事は巴ではない男の姿かもしれない…認めたくないが。 「…どうしたの? 汗かいて…」 「え、いや…何でも…」 ばれるかと思ってその場を誤魔化したが、オディールはそれ以上何も追求せず二人とも話をし続けた。 ―※―※―※―※― 「もう帰っちゃうんですか…せっかく仲良くなれたのに」 「本来ならもうとっくに帰ってる予定だったから。家族にも心配掛けたから早く帰らないと」 オディールが目覚めてから数日後、退院した彼女はこれからフランスへ帰る為に空港へ来ていた。 巴もその見送りでついて来ていて、名残惜しそうにオディールと話を交わす。 「結局、雛苺はここに残る事になりましたね」 「…残念だけど、本人が決めた事だから…でも、素敵なあなたと出会えてよかった」 「素敵だ何て…でも、私もフォッセーさんと出会えてよかったです」 少し頬を染めて微笑む巴。そこでオディールは腕時計を見た。 時刻はもうそろそろ飛行機に乗り込まないといけない時間だ。 オディールは腕時計から巴へと目を移す。 「名残惜しいけど、そろそろ…」 「そうですか…」 「色々ありがとう。…私の王子様」 「え?」 王子様、と不意に言われて驚いたと同時にオディールが近付いてきて唇に軟らかい物が触れた。 それは、あの時キスしたのと同じもので…オディールが顔を離し、自分がキスされた事を理解した。 それからオディールは顔を赤くして口を開く。 「…王子様って、あなたよね?」 「…き、気付いてたんですか?」 「ええ…目が覚めて、あなたが来てくれた時からずっと」 「…嘘…」 呆気に取られている巴をオディールも名残惜しそうに見つめる。 だけど、涙が出る気配は無い。 「また夏休みになったら日本に来るわ。今度はあなたに逢いに…ね」 話し掛けられて巴も意識を取り戻し、笑顔を作って頷き返す。 「ええ。楽しみにして待ってます。色々な所、案内してあげますね」 「楽しみにしてるわ。…それじゃ。向こうに着いたら、手紙送るから」 「うん。…またね」 「またね、王子様」 そうしてオディールは飛行機に乗って行き、フランスへと帰って行った。 その飛行機を、巴はずっと見上げて見送った。 (…私が王子様か…童話みたいにいつか…一緒に…) 異国の恋人を思いながら、巴は飛行機が見えなくなってもその空を眺め続けた。 真っ青に晴れ渡った、雲一つ無い青空を。 終わり
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9516_眠り姫アルマ能力 限界突破 必殺技:聖姫の祈り 神羅万象チョコでは 9516_眠り姫アルマ/コメント 9516_眠り姫アルマ 飛天 9516 眠り姫アルマ (ねむりひめあるま) 勢力・陣形 タイプ コスト 基本技 飛天五皇陣 魔 5 ランダムに味方を回復 状態異常耐性 被ダメージダウン【回復量200】【効果量20%】 能力 初期ステ Lv 0 HP 700 攻 530 防 530 速 110 5 770 556 556 111 10 840 583 583 112 15 910 609 609 113 20 980 636 636 1141段階突破 20 1050 686 686 114 25 1120 712 712 115 30 1190 739 739 116 35 1260 765 765 117 40 1330 792 792 1182段階突破 40 1400 842 842 118 45 1470 868 868 119 50 1540 895 895 121 55 1610 921 921 122 60 1680 948 948 1233段階突破 60 1750 998 998 123 65 1820 1024 1024 124 70 1890 1051 1051 125 75 1960 1077 1077 126 80 2030 1104 1104 1274段階突破 80 2100 1154 1154 127 85 2170 1180 1180 128 90 2240 1207 1207 129 95 2310 1233 1233 130 100 2380 1260 1260 132 このページの先頭へ 限界突破 限界突破 Lv上限 コスト HP 攻 防 1段階 40 6 +70 +50 +502段階 60 7 +70 +50 +503段階 80 8 +70 +50 +504段階 100 9 +70 +50 +50 必殺技:聖姫の祈り 効 果 技Lv 回復量 効果量 味方全体を回復 状態異常耐性 被ダメージダウン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 120 125 130 135 140 150 155 160 165 180 52% 49.6% 47.2% 44.8% 42.4% 40% 37.6% 35.2% 32.8% 28% 技ランク 補 足 H・SP・極(コスト5) 画像1 画像2 画像3 編集 編集 この技の説明 / この技の威力一覧 / この技を持つカードの一覧 このページの先頭へ 神羅万象チョコでは 「神羅万象チョコオールスター人気投票」で女性部門1位となった 第一章 第1弾のNカード(No.16/1116_眠り姫アルマ) を 新たなホロ背景にて再録。 「神羅万象チョコ トップキャラクターズセレクション(TCS)」に収録され、発売と同時にフロンティアにも実装された。 フロンティア 実装日:2014年2月25日 フロンティア+ 実装日:- このページの先頭へ 9516_眠り姫アルマ/コメント 手に入れたらお気に入り設定決定 - 名無しさん 2014-02-26 23 29 12 こっちを引いちゃったら不運・極だな - 名無しさん 2014-03-02 04 47 17 理解不能 - 名無しさん 2014-03-02 09 03 47 どうせステがひくいからとか描き下ろしじゃないからとかそんな理由だろ - 名無しさん 2014-03-02 10 18 21 こっちはこっちで良さがあるのに。 - 名無しさん 2014-03-02 11 52 35 こっちの方が真性ロリっぽくていいよね - 名無しさん 2014-03-02 12 02 28 名前 ステータス/技威力等の追加掲載依頼は以下↓↓にご記入ください コメントの最初に、カード名として【 [[9516_眠り姫アルマ]] 】を入力(【 】内をコピペ)してください (ステータス掲載用コメントは全カードで共有します。カード名を入れないと、どのカードのステータスか判りません)。 Lv20 HP952 功624 防528 速124 - 10214_武神将ヘルマティオ 2015-02-02 18 11 01 名前 このページの先頭へ
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ラノで読む ◇二月四日(火) 「おーい姫音。この状況で寝られると正直困るんだが」 図書館の机で突っ伏してしまっている|姫音《ひめね》|離夢《りむ》の旋毛《つむじ》を、彼女と二人きりで対面に座っている|中島《なかじま》|虎二《とらじ》がペンの先でつんつんと突いて無理矢理起こそうとする。 「むぅ、それ地味に痛いよ……」 リムはその体勢のままシッシッと彼のペンを追い払うと、その両手で後頭部を覆い彼による追撃からガードした。 「あぁ悪かった。ていうかだから寝てないで起きてくれ。このままだとすぐ閉館時間になっちまう」 彼の言葉にリムはゆっくりと首だけを動かし壁掛け時計を見上げる。二本の針が示している現在時刻は四時ちょっと過ぎ。 「んー……もうこんな時間なんだ、ごめんね。もうちょっと頑張る」 のそりと上半身を起こすと、眠気覚ましに両頬をパンパンと叩いてみせた。 「うん、もう大丈夫」 「オーケー。じゃあ数学はまぁこんなもんで、後はせんせーさんの『初級ラルヴァ知識』だけやっとくか」 言って、彼は鞄からノートを取り出すと最近の授業での板書を写したページを開き、リムへと開いて見せた。 「……っと、この前授業でやったのは――」 事の発端は今から三時間半ほど前の、お弁当を食べ終わった昼休み中盤。教室の片隅で数人集まり雑談しているうちに、話の流れで今日の放課後は暇だという中島に、リムの親友である|相羽《あいば》|呼都《こと》が「もしよければ図書館で私とリムの勉強を見てもらいたい」と頼み出た。呼都の言葉に中島は、食後の睡魔と闘うかのように眠い目を擦りながらも頑張って会話に参加しようとしているリムをちらりと覗くと「別にかまわないよ」と了承した。 ちなみに中島の親友である|錦《にしき》|龍《りゅう》は部活があるので今回はパスだと断った。学年末テストまで日があるからまだいい、と言う彼の意見にリムも本心では賛成したかったのだが、せっかく中島と一緒に居られるということもあり、ぼんやりとした思考の中、彼女も素直についていくことにした。 そう、この時はまだ、リムはただ勉強するという二人についていって一緒にいるだけのつもりだったのに。 ホームルームが終わると中島はすぐ「先に図書館に行って三人分の席を取っとっておくから」と教室を飛び出して行った。この時期は特に受験を控えた三年生で放課後はすぐに満席となることがよくあるから、らしい。 リムと呼都は彼を待たせないよう帰り支度を素早く済ましていると、 「ちょっと相羽さん、いいかしら」 茶髪ギャル風の二人組、|田中《たなか》|雛希《ひなき》と|鈴木《すずき》|彩七《あやな》が呼都へと向かって指先で「こっちへ来い」と合図した。 「……何? 田中さん鈴木さん、私たち急いでるんだけど」 相変わらず仲が良くないのか呼都は二人に向かって露骨に嫌そうな表情で返答する。 「うん、野暮用なんだけどさ。向こうで私らの話を聞いてくれない?」 「あ、姫音さんは関係ないから先に中島君のところに行ってていいよ~」 田中は嫌々歩み寄ってきた小柄な呼都の肩に腕を回し、隣の鈴木がリムへ向かって手をヒラヒラと振る。 「ごめん、リム。先行って中島君に私だけ少し遅れるって伝えといて。すぐ行くから」 「……うん、わかった」 ――そして「すぐ行く」と言ったはずの呼都はその直後、リムへと「用ができたから先に帰る。中島君によろしく」とメールを寄越し、そして言葉通りに図書館へと姿を現さなかった。 結局、リムは意図せず中島と二人きりで勉強を教えてもらうことになってしまった。 ◇ 「あー、確かに言われてみれば……」 リムたち二人から死角となる本棚の陰。田中と鈴木に連れられた呼都は、図書館で勉強する二人を眺め小さく呟いた。 「あんた……あれだけずっと一緒にいながら本当に気づいてなかったのか」 「っていうかさっき中島君に勉強見てもらうこと頼んだのも、あの二人に関係なく本当に素の発言だったんだねぇ」 あからさまに「こいつバカだ」と言わんばかりの表情で呼都を見下す田中と鈴木に苛つきながら、呼都はリムたちの様子をじっと見つめていた。 距離があって会話は聞き取れないが、隙あらば居眠りしようとするリムを中島がこまめに起こし、決してスムーズとは言えないまでもそれなりに勉強は|捗《はかど》っている様子だった。 「で、だ。私らはあの二人にくっついて貰いたいからさ。出来ればあんたも協力してくれない?」 「協力?」 頭の上にクエスチョンマークを浮かべた呼都が、目線をリムから田中へと向ける。 「そう。訳あってこっちからは直接干渉しないよう釘刺さ……っと、今は二人の行く末を見守るポジションにいるんだが……」 「そろそろバレンタインも近いじゃん? ちょっとくらい後押ししてあげても罰《ばち》は当たらないんじゃないかなぁって」 「そっか。バレンタインか……」 「あぁ、年明けて学校が始まってすぐに|眠り姫《ひめねさん》が私に聞いてきたんだ。『ヒナキさんってお菓子とか作るの得意だよね?』ってな」 普段は人を見下すような口調の田中が急に、目上の人へと猫を被って相手するときの声へと変えてリムのモノマネをした。似てない上に気持ち悪いことこの上ない。 「……とまぁ、時期的なものもあったし、私だって洋菓子屋の娘だ、すぐにピンときた。あぁバレンタインの手作りチョコのことだな、とね」 田中はすぐに普段の表情へと戻し、顎に手を当て首を捻り、 「だけどそれっきり。約一ヶ月待ってはいるんだが|眠り姫《ひめねさん》からは全くその話題に触れようとしなくてな」 「……リムのこと想ってくれるんなら、そんな回りくどいことしないでも善意で手伝ってあげればいいのに」 「あのな。こういうのは本来なら自分から言い出さなきゃダメだと私は思ってるんだ。それに言ったろ、『訳あって』って」 「そうそう、私ら神楽さんの賭けに……ごふっ!」 突如、田中の肘が鈴木の鳩尾《みぞおち》にクリーンヒットし、鈴木は前屈みに床へと膝を着いた。 「…………ったぁ、ヒナキ酷いよぉ!」 「ねぇアヤナ。私らはただ単に『訳あって』あの二人を見守ってるだけなんだよね?」 田中は、うずくまる鈴木の肩に手を添え、スイーツ&ベーカリーTANAKAで見せる営業スマイルで彼女へと小さく囁きかけた。 「……神楽さんがなんか関係してるの?」 「ううん。気のせいだよ、そんなことないよぉ!?」 「そう。そっちは相羽さんに関係のない話だから」 田中による笑顔のプレッシャーに押された鈴木が慌てて否定する。呼都は小さく首を傾げ、再びちらりとリム達を覗き見る。こっちで一騒動あったが運よく二人には気付かれなかったらしい。中島がノートを指差しながらリムへとあれこれ説明をし続けていた。 「……で? 「あぁ。できれは|眠り姫《ひめねさん》本人が動いてくれるのが理想だがバレンタインまでもう時間がない。いつも一緒にいるあんたが、ばれない程度にけしかけてくれ」 田中の言葉に、いったい誰に「ばれない程度に」なのかを、呼都はあえて訪ねなかった。鈴木が言い零した誰かの名前はきっと気のせいか聞き間違えだろう。 ほどなくしてこの三人が図書委員から「室内では静かにしてください」と注意されたのは言うまでもない。 ◇ 「……っと、この前授業でやったのは『基本カテゴリー外のラルヴァについて』だったか」 中島はノートに書き込まれた日付から該当ページを開きリムへ差し出す。そして記載部分を手のひらで覆い隠すと、 「基本カテゴリーの三種はわかるよな?」 まずは簡単な問題をあげてみた。 「えっと、人型のデミヒューマン、人型以外のビースト、あと非実体のエレメント」 リムは一、二、三と指を折り数え解答する。中島はうんうんと頷くとノートを隠していた手を|退《の》け、板書の写しを指でなぞりつつ解説を始めた。 「そう。けどその三種にカテゴライズ出来ないラルヴァも存在するわけだ」 「うん。うーん……?」 そして、早速首を傾げるリムに苦笑する。 「で……だ。この前の授業でせんせーさんが例に挙げたのが――――」 あいかわらずリムはうつらうつらと居眠りを交えながら、中島は眠る彼女を根気よく起こしながら、そんな二人だけの勉強会は図書館の閉館時間までゆっくりと続けられた。 【眠り姫と、眠り姫の見た現《うつつ》】 ◇二月五日(水) 突然の地響きによって椅子から転げ落ち、 「うわっ、何、何なの?」 リムは勢いよく飛び起き、真っ白な霧に覆われた教室内でにたじろいだ。 長年の居眠り癖からか感覚的にHR前後まで時間が経過していると察する。案の定、時計の針はHR終了から十数分過ぎを指していた。 しかし。 「いったい、何……なの?」 様子がおかしい。見慣れたはずの教室がいつもと違う。 不思議な霧に覆われていることは元より、冬の放課後という季節的時間的に強い西日が差し込んでいてもおかしくないはずなのに、窓の外は太い蔓状の植物が絡み合うようにみっしりと生えているため、その隙間から辛うじて白い零れ陽が覗く程度となってしまっている。 「何? この蔓……。なんでこんな外が見えないくらいに、ギチギチに生えてるんだろう」 リムは鍵を開け窓に手をかける。しかし案の定蔓が引っかかっており、彼女の腕力ではその窓をどうにも開けることができなかった。 異変はそれだけではなかった。その上さらに、先程の地響きによるものか机や椅子が酷く散乱しており、そして何よりも、リムを除く全てのクラスメートが床に倒れ込んだ形で眠っているのだ。 「みんなが眠ってて、私が起きてて……。これじゃいつもと、逆、だなぁ」 辺りを見回したリムは「これは困った」と、首を傾げた。 醒徒会書記の加賀杜紫穏は誰かと通話中だったのか学生証を手に握ったまま眠っていた。他にも、コトも田中も鈴木も、肩を揺すってみても頬をペチペチと叩いてみても一向に起きる気配がない。黒板の近くでは、本日最後の授業の板書を消している最中に眠ってしまったのか、可哀相にチョークの粉まみれになってしまった日直の子が静かに寝息をたてている。 リムの思考の根底から『おかしな事態=誰かの夢の中』といういつもの公式が浮かび上がったが、しかし、 「私は、私のままだしなぁ……?」 爪も牙も鋭く伸びていないし髪型もいつもの黒いストレートという現実の自分のまま。『獏の能力』を意識してみてもそれらが変化する様子もない。 リムは試しに転がっていたシャープぺンをかじってみたが夢の中のように食べて消すことは出来ず、カチリと硬いプラスチックが歯に当たるだけだった。 「うーん。これ、うちのクラスだけじゃないよね。まさか、学園中がこんな事態に?」 連絡を取ってみようと学生証を手に取ってみたがまさかの圏外表示。学園内はもとより島内において通信不可になるような事態などこれまでほとんど起こったことなどなく、リムは再び首を傾げた。 外部と連絡を取ることもできず、更に少なくとも教室を見渡す限り高等部一年B組は自分以外全滅だ。しかし、他のクラスなら自分のように目を覚ましている者がいるかもしれない。 そのままの姿で放置してしまうクラスメート達に申し訳なさを感じながら、リムは急いで教室と同じく深い霧の立ちこめた廊下へと駆け出した。 ◇ 地響きによってリムが目を覚ましてから約十分程、深い霧に覆われた高等部棟内を小走りに一通り見て回ったが、誰ひとりとして目を覚ましている者と遭遇することもないまま、リムは一階下駄箱前へ足を運んだ。 その中でひとつわかったのは、六時間目の授業が終わり帰りのHRを待つ間――大体今から約四十~四十五分程前――おそらく誰もこの異変に気付かないまま倒れ込んだのか、突如それまでの日常を断ち切るかのように皆揃って眠りについてしまったのだろう、ということ。 廊下で横になって眠っている女子にいたっては、スカートがめくり上がり可愛い下着が丸見えになってしまっている。 「あーあー、これじゃ風邪ひいちゃうよ」 リムは彼女の脇にしゃがみ込むとめくれたスカートを元に戻してやった。 昇降口へ辿り着くも、大きく開いた扉の向こうはやはり窓の外と同じくそれはまるで一枚の壁で立ち塞いだかのように緑の蔓がびっしりと生え揃っている。 「あれ。この蔓、バラの茎みたいに凄いトゲトゲがいっぱいだ」 リムは、開かれた扉へ歩み寄ると棘を避けながら力いっぱい蔓を引っ張ってみる、が、獏の能力を得た夢の中でならまだしも現実世界での非力な彼女では深く折り重なった蔓を数ミリ動かすことすらできず、 「うーん、無理だぁ。これってつまり、バラみたいな植物の茎で、校舎全体が塞がれてる?」 思い返してみると、一年B組の教室からこの昇降口に至るまでの全ての窓がこの蔓によってきつく塞がれていた。 「やっぱりこれ、悪いラルヴァの仕業なのかなぁ」 現実世界では何の役にも立たない|異能者《ねむりひめ》の自分だけではどうしようもない、と一人ごちる。 リムは何とか外部と連絡が取れないかと、今一度昇降口のドアに手をかけ―― ――その瞬間、 「うっわ、わわわっ」 彼女へ二度目の地響きが彼女に襲いかかった。 ◇ 「わっわっ……!?」 長く続く激しい揺れにリムはバランスを保てず尻餅をつく。ガタンガタンと大きな音を立て、まるでドミノ倒しのように下駄箱が横倒れになっていく。 そして、蔦の隙間から零れていた日差しが陰り、暗がりとなった校舎内を非常口灯の緑の光だけが薄ぼんやりと照らした。 どくん 訪れた周囲の異変に同調するかのように、突如リムの心臓が強く脈打った。 どくん、どくん、どくん 「えっ……そんな、何で……?」 体が熱い。 頭から顔から胸から腹から手足の先端から、現実世界では起こり得ないはずの力《・》が全身に漲《みなぎ》ってくる。 「そんな……ありえない。これは、誰かの夢なんかじゃ、ない……。さっきまで確かに現実世界、だったはず……!!」 そして、本人の意思などお構いなしにリムの肉体へと変化が起きた。 鋭い牙が生え爪が尖り、髪が徐々にうねりを伴って赤黒く染まっていく。骨が軋み肉が膨らみ制服を引き裂いていき、露わとなった白い肌には赤黒い体毛が生える。更にはどこからともなく現れた弁財天の羽衣がスカーフ状にその首へと巻き付いた。現実のリムの肉体に獏の性質が現れていくという、激しい鼓動と共に夢の中での変身とは比べられないほどの異様な感覚が体中を駆け巡った。 「ぐぁ……ぁ……あぁぁぁあ!!」 地響きが収まり辺りの薄暗がりに目が慣れる頃、リムの肉体は数メートルを越える赤黒い巨躯の霊獣『獏』へとその姿を変えていた。 (――いったい、何が起こったんだろう。何が起きているんだろう) 獏化したリムは天井ぎりぎりの頭を竦め、辺りを見回しながら考えた。そもそも獏という存在が夢の霊獣である以上、現実世界でこの姿になることなど物理的に絶対不可能なはずだ。実際、過去において夢の中以外で異能力が使えたらと考えたことはあったがそれは叶わぬ願いであり、現実の自分が獏の能力を扱えたり、また獏そのものに変身すことなどこれまで一度もできなかった。 (うーん、私じゃ何故かわからない、よぅ……) ぶんぶんと長い鼻を振り回しながらリムは首を横に振った。 (そうだ。これはやっぱりこの霧が原因なのかなぁ) 校舎内に深く立ちこめている、何故か自分にだけ影響がない白い霧。今の姿でなら使えるだろう獏の能力で吸い込んで消せるのではないか。 リムは深く深呼吸して、獏の肺活量をもって周囲の霧を一気に吸い込んでいく。しかし、一瞬だけ辺りの濃度が薄まるに留まり、数秒と経たずに他と大差ない状態に戻ってしまった。結局、何度か連続で試してみるも努力に見合った効果も現れないままだった。 (うぅむ……いけると思ったんだけどなぁ) リムは獏の姿のまま小さくため息をつくと、続けて割れたガラス戸とその穴を密閉するほどに絡み合う棘付きの蔓に覆われた暗がりの昇降口をまっすぐ見据え、 (あ、そうだ。今なら、この姿ならあそこを突破して外へと助けを呼びに行ける、かも?) 彼女にとってこの姿を他人に見られてしまうのはとてもとても嫌なことなのだが、今更そのようなことを言っていられる状況でもないことは重々承知していた。 (ここまでみてきた限り、動けているのは自分だけなんだ。ここは、何としてでも私が救援を呼んでこなければ……) 「オォォォォォォォォォオオオオオ!!」 リムは激しく雄叫びをあげ低く身を屈めると、その赤黒い獣毛で覆われた太い四肢で一気に廊下を蹴る。彼女の両前脚の爪で蔓を引き裂き、その大口で咬み千切り、作りだした隙間からすでに割られた昇降口を抜け校舎の表へと飛び出した。 (………………え!?) 高等部棟の外へと助けを呼びに行ける、というリムの期待は一瞬にして絶望へと切り替わった。 (何、これ…………いったい、どういうこと?) 彼女の視界の先にはいつもの見慣れた双葉島の姿は影も形もなく、高等部棟と同じく島全域が深い霧に覆われ、地も壁も建物もそのすべてが緑色に染め上げられていた。 (島民全員……眠らされてるってこと……?) 頭の悪いリムでも瞬時に事態を理解できる状況だった。一しきり島内をを駆け回ってみるも皆地面に突っ伏して寝息をたてている。高等部棟内と同じく、リムを除いて誰ひとり目を覚ましているものは見当たらなかった。 (そうだ、島の外なら…………) 現状をどうにかしなければ、という観念に心を奪われ、リムは「獏の姿で島外に出て、この状況を誰にどう説明して助けてもらうのか」という基本的な問題点――島外ではラルヴァや異能といった超常現象については秘匿とされている――を完全に失念していた。 そして、リムは獏の姿のまま海岸線へと向かって深く霧がかっている双葉島を大急ぎで走り――そして更なる絶望に見舞われた。 視界の向こう、海の途中か先が存在していなかったのだ。 それはただ霞んで見えない、などという問題ではない。ひたすらに延々と広がる闇の中に、巻き付いた蔓によって緑色の固まりと化した双葉島がぽっかりと浮かんでいる、ただそれだけしか存在してないという不可思議な風景だった。 (どうしよう、双葉島以外の世界がなくなっちゃって、る……?) 考え、そして瞬時にこの不思議な状況と自分自身の異変から、その結論が根本的に間違っていることに気づいた。 リムの脳裏に、お茶とお菓子をご馳走してもらったアリスとグリムレアのいた謎の館や、正月に偶然訪れた七福神の聖域といった、夢とは異なる別の世界、別の次元へと以前に迷い込んだ記憶が浮かんだのだ。 つまりこれは外の世界がなくなったんじゃない。この双葉島だけが現実とは異なる別の世界、別の次元へと飛ばされたのではないか……? もしそうであれば以前の例のようにこの状況で獏の力が解放されている現状も納得できる。 (でも……こんな大規模に異次元へと飛ばせるような|現《・》|象《・》なんてどうやって…………!!) |現《・》|象《・》。 何気ない一つの単語が、彼女の中で『先日の図書館での会話』を思い起こさせた。 ◇前日 図書館にて 「この前の授業でせんせーさんが例に挙げたのがこれ、『カテゴリー・グリム』ってラルヴァ」 中島はノートに赤字で書かれた部分を指差しリムへと説明しながら授業の復習を始めた。 「ぐりむ……ってグリム童話のグリム?」 「まぁ実際確認されてるのはグリム童話だけじゃないけど、そんなところか。人の心に干渉して童話や民話をベースとした|現《・》|象《・》を引き起こすラルヴァ」 「……現象??」 さっそく小首を傾げたリムへ、中島は授業の板書を移したノートの記述を指でなぞりながら解説を続けた。 現象ラルヴァ、カテゴリー・グリム。 ――物語は現実になりたがっている。それは人の心と結びつき、実体となる。欲望を叶え、自らが世界となるために。 霧は現実と幻想の境界を曖昧にする。そしてそこから彼らは現れる。 これには明確な意思も自我もない、しかし歪んだ悪意である。 この現象体ラルヴァは、人の願いを歪んだ形でかなえるもので、童話や古典文学、都市伝説に噂話といった、人間の心象を投影する形でその願望を成就させる。そして広範囲にわたりその狂った法則で現実を歪ませるという――。 「――っていうことなんだけど、姫音。わかった?」 「うーん、何となくわかった、のかなぁ……?」 「そうか、困ったな。じゃあ例えば……」 理解出来たのか出来なかったのか未だに首を傾げ続けているリムに、中島は「ちょっと待ってて」と席を立つ。そして童話コーナーからグリム全集を取ってくると、索引からとある作品を選び出しそのページを開いた。 「例えば、ここにグリム『眠り姫』ってラルヴァがいたとする。茨の城で百年の眠りにつくお姫様の話だな。この場合だと……そうだな、姫音のように『いつでも寝たい眠りたい』って感情に取り付くんじゃないかな。そしてグリム『眠り姫』に取り付かれた人の願望が周りに影響を与えて、最終的に全ての人間が、時間が止まったかのように眠り続けている、茨によって囲まれた世界に書き換えられる、と」 一息ついて中島はリムへと向き直る。リムは明後日の方向を見上げながら、 「うーん、そうなったら私的には大変になる、のかなぁ」 小声でぶつぶつと呟いた。 「……なにがどう大変なんだ?」 中島に問い質《ただ》され、リムは慌てて彼へと微笑んで誤魔化した。 「え、ううん、こっちの話。でも、中島君の説明だと……それって変じゃない?」 「変って何が?」 「えっと、『眠り姫』のお話って、お姫様の誕生パーティに招かれた十二人魔法使いたちがいるでしょ?」 「あぁ、そうだな」 中島はグリム全集のページをパラパラとめくっていく。そこには赤ん坊のお姫様の周りに王様と女王様、そして何人もの魔法使いたちが寄り添っている挿絵が描かれていた。 「そして、そのパーティに招かれなかったもう一人の魔法使いが怒って、そのお姫様に『十五歳になったら死んでしまう』って呪いをかけて……」 「そうか、それで別の魔法使いが『死ぬのではなくて永い眠りにつくだけ』って魔法で上書きするんだよな」 中島がリムの言葉からその童話の続きを思い出して口を挟んだ。リムは彼にうんうんと頷くと、 「そう。だから……呪いとか魔法とかによって無理矢理眠らされてるんだから、なんていうか、お姫様自身は眠りたくて眠ってるんじゃないんじゃないかなぁ、って」 「まぁ、言われてみればそうだなぁ。じゃあ例えばカテゴリー・グリム『眠り姫』なら、|姫音《ひめね》はどんな願望が原因によるものだと思う?」 「えっと。うーん、私は難しいことはあまりよくわからないけど……」 急に中島から問われ、リムは頬を赤らめ少し照れながら彼へと微笑むと、 「うん、やっぱり、ずっとずっと眠りながら、いつか自分と結ばれる王子様、えっと、自分を目覚めさせてくれる王子様が訪れるのを待ってるんじゃないかな」 「あー……なるほどねぇ」 中島は再びグリム全集のページをめくる。茨の城へと訪れた王子様がお姫様へと口付けをする挿絵がそこにあった。 数秒の間。中島は何かに魅入られたかのようにジッとイラストを覗いたまま微動だにせず、 「中島……君? どうしたの?」 その時リムに声をかけられるまで虚ろな目で陶然となっていた。 ◇現在 暗闇の双葉島 「………………――――――…………」 前日の中島との会話、そしてグリム全集のイラストに魅入られていた彼の表情を思い出し、音にならない獣声が獏の口からこぼれる。リムはきびすを返し、直接高等部棟一年B組の窓へと駆けだした。 そして立ち塞がる茨の蔓をその長い牙と鋭い爪で引き裂こうとしたその瞬間、 「――――!?」 それはまるでモーゼの立つ前で割れた海の如く蔓が左右に大きく動き、人ひとり通れる程の隙間が作られた。 何事かと一瞬戸惑ったが難しいことを考えてる場合じゃないと、リムは獏への変身を解除した。素肌の上へとに直接、|弁財天《べんざいてん》から貰った薄手の羽衣《はごろも》をまとい、獏の能力を宿した赤い巻き毛の人型姿へと戻ると、教室の窓へと手をかけた。 偶然にもそこは、数十分前に彼女が目覚めた際に何とか開けられないかと試みた窓であり、あの時に鍵を開けたままの状態になっていた。 動いた蔓といい開け放たれた窓といい、それらは全て運命とも呼べるほどに、まるで何もかもが全て彼女を受け入れるかのように。 窓から教室へと潜り込む。中の様子は二度目の地響きによって先ほどよりも更なる惨状となってはいたが、見渡してみる限り酷い怪我をしている人は目に付かず、リムは安堵のため息をつく。 そして、キョロキョロと教室内を見回すと、 「…………|ト《・》|ラ《・》君…………!!」 |リム《おうじさま》は薄手の羽衣を|翻《ひるがえ》し、床に寝ころんだままの|中島《おひめさま》へと駆け寄った――――――。 ◇ 「おい、トラ。いい加減に起きろ」 中島虎二は親友の|錦《にしき》|龍《りゅう》によって上履きで脇腹を突かれ、半分寝ぼけた状態で薄眼を開けると、 「……んぁー?」 教室の床に寝転がって眠っている自分の姿に疑問を感じながら、中島は目を|擦《こす》り起き上がる。 「……なんで俺、床で寝てるんだ?」 「お前だけじゃねぇ。なんかな、聞いた話じゃどうやら双葉島全域が突然ラルヴァに襲われて中のみんなが眠らされてしまっていたらしいんだわ」 「へぇ……、ってうちのクラスってか高等部だけじゃなくてこの双葉島全部がこんな事態だったってことかよ……」 言って、中島は辺りを見回す。机や椅子は酷く散乱し、クラスメイトの三割くらいはまだ眠り続けているようだったが、今の錦と中島のやり取りのように、先に目を覚ました者が次々と起こし上げていた。このペースでいけばあと数分としないうちに全員が目を覚ますだろう。 中島はふと、学生服姿のクラスメイトの中ただ一人、学校指定のジャージ姿でいる人物を見遣る。 姫音離音《ねむりひめ》だった。 彼女は親友の|相羽《あいば》|呼都《こと》から「どうしてあんな薄い浴衣みたいなだけの半裸すがただったの、制服はどこへやったの」と攻め立てられている。姫音本人はバツが悪そうにへらへらと笑みをこぼしているだけ…………と、中島は不意に彼女と目が合った。 すると、姫音は頬を赤らめながら、中島へとニコりと微笑んだ。 中島は何故か自分の唇《くちびる》に、温かく柔らかい感触が残っているような不思議な気持ちを感じた。 ◇二月十四日(金)朝 約一週間前に双葉島全域を襲った事件はラルヴァ「|カテゴリー・グリム《ねむりひめ》」によるものであるとの報告書が――その解決手段が何によってもたらされたものかについては未だ調査中と注釈がなされたままであったが――とあるラルヴァ学者によって提出された。 実際にそのラルヴァ研究者自身も含め島内にいたほぼ全ての人間がラルヴァの影響で眠らされてしまっていた以上、その原因と解決を究明することは困難を極めていた。また、それがラルヴァ研究者の推測通りであるならばプライバシーの観点から考えても、該当する人物からの自己申告が為されるという可能性は限りなく低いだろう。 高等部棟昇降口前に黒いロングヘアの長身の少女が一人。数日前の火曜祝日に、スイーツ&ベーカリーTANAKAにて田中を中心に鈴木と呼都に手伝って貰って(一波乱はあったものの)彼女は綺麗にラッピングされた手作りチョコレートを鞄に潜め、寒空の下、目当てのクラスメイトが登校するのをじっと待っていた。 あの日、ラルヴァが消え去り高等部棟が戻ると同時に、彼女自身におこった現実での肉体が獏化したという異変も消えてなくなってしまった。結局のところこれまで通りに獏化できるのは夢の中だけで、現実ではあいかわらず眠ってしまうことばかり。 この前のことは恐らくはグリムによって異世界へ飛ばされたからこそ変身することが出来たという偶然――いや運命だったのだろう、とリムは考えていた。 程なくして彼女の前に、中島虎二と錦龍の二人が歩み寄った。 「お……おはよう、中島君……と、錦君」 いつもなら何も気にすることなく言うことのできるような簡単な挨拶一つに今日に限って心臓が飛び出るほどに勇気を要し、少女は既に耳まで真っ赤になっていた。 「おぅ、おはよう。姫音」 「おはよう。あー……っと、そうだ。俺さ、昨日部室に忘れ物しちまったからちょっと取りに言ってくる、悪いな」 リムの様子に何かを察した錦が二人に手を振ると、きびすを返して運動部々室棟へと走り去っていった。 気まずい沈黙が二人の間を通り去る。日付が日付だけに一組の男女が一緒にいるという状況は、周りの人間からの視線を集めるのに十分だった。 そして、先ほど交わした挨拶の数十倍もの勇気を要し、リムは校舎裏を指差しながら声を絞り出した。 「――あの、えっと、中島君。ちょっといい、かな?」 昇降口を避けて角を曲がった校舎の影。二人の沈黙は移動後もなお続いた。リムは頬を真っ赤に染めたまま、不安と妄想と緊張によって今にも泣き出しそうな表情でオロオロとしていたが、意を決して鞄の中の|そ《・》|れ《・》を取り出した。 「あの…………トラ|君。これ……」 そして、俯いたまま言葉を続ける。 「今日、その、バレンタインだから……。えっと、田中さん達に手伝って貰ったんだけど、チョコレート作ってきたから……」 腕の先をぷるぷると震わせながらラッピングされたチョコレートを中島へと差し出すと、きゅっときつく目を閉じ、 「あの……えっと。私、も、トラ君のことが――だから…………」 「…………うん」 チョコの包みを持ったまま震えるリムの手を、中島の温かい両手がそっと優しく包み込んだ。 【眠り姫と眠り姫の見た現《うつつ》】終 【眠り姫の見る夢】シリーズ 結 トップに戻る 作品投稿場所に戻る
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0056_眠り姫アルマ能力 限界突破 必殺技:聖姫の祈り ゲームオリジナルカード 0056_眠り姫アルマ/コメント 0056_眠り姫アルマ 飛天 0056_眠り姫アルマ (ねむりひめあるま) 勢力・陣形 タイプ コスト 基本技 飛天四聖陣 魔 3 味方全体を状態異常から守る 能力 初期ステ Lv 0 HP 410 攻 300 防 300 速 115 5 10 15 20 1段階突破 20 突破後HP 突破後攻 突破後防 突破後速 25 30 35 40 2段階突破 40 突破後HP 突破後攻 突破後防 突破後速 45 50 55 60 3段階突破 60 突破後HP 突破後攻 突破後防 突破後速 65 70 75 80 4段階突破 80 突破後HP 突破後攻 突破後防 突破後速 85 90 95 100 このページの先頭へ 限界突破 限界突破 Lv上限 コスト HP 攻 防 1段階 40 4 + + +2段階 60 5 + + +3段階 80 6 + + +4段階 100 7 + + + 必殺技:聖姫の祈り 効 果 技Lv 回復量 味方全体を回復 さらに状態異常から守る 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 84 87 90 96 99 105 108 111 117 126 技ランク 補 足 S・真(コスト3) 編集 この技の説明 / この技の威力一覧 / この技を持つカードの一覧 このページの先頭へ ゲームオリジナルカード 「飛天祭」(2012年9月13日~9月20日9月25日)期間限定で 「神羅万象カード」「神羅万象カード・極」から引くことができたカード。 現在は入手不可。 1116_眠り姫アルマと絵柄は同じのアナザーで、背景の色とステータスが異なる。 技Lvを揃えれば強化合成が可能。 フロンティア 実装日:2012年9月13日 フロンティア+ 実装日:2013年7月25日 このページの先頭へ 0056_眠り姫アルマ/コメント デバフ防御役にもってこいではあるか?神具よりは万能に防げるがこちらからバフデバフを打ちにくくなる - 名無しさん 2012-09-13 15 09 10 飛天陣だと対人で意外と機能する。回復はオマケだがこれで勝ちを拾うこともなくはない - 名無しさん 2012-09-28 21 14 32 名前 ステータス/技威力等の追加掲載依頼は以下↓↓にご記入ください コメントの最初に、カード名として【 [[0056_眠り姫アルマ]] 】を入力(【 】内をコピペ)してください (ステータス掲載用コメントは全カードで共有します。カード名を入れないと、どのカードのステータスか判りません)。 Lv20 HP952 功624 防528 速124 - 10214_武神将ヘルマティオ 2015-02-02 18 11 01 名前 このページの先頭へ
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9517_眠り姫アルマ能力 限界突破 必殺技:聖姫の祈り 神羅万象チョコでは 9517_眠り姫アルマ/コメント 9517_眠り姫アルマ 飛天 9517 眠り姫アルマ (ねむりひめあるま) 勢力・陣形 タイプ コスト 基本技 飛天五皇陣 力 5 ランダムに味方を回復 状態異常耐性 被ダメージダウン【回復量200】【効果量20%】 能力 初期ステ Lv 0 HP 720 攻 530 防 530 速 115 5 792 556 556 116 10 864 583 583 117 15 936 609 609 118 20 1008 636 636 1191段階突破 20 1078 686 686 119 25 1150 712 712 120 30 1222 739 739 121 35 1294 765 765 123 40 1366 792 792 1242段階突破 40 1436 842 842 124 45 1508 868 868 125 50 1580 895 895 126 55 1652 921 921 127 60 1724 948 948 1283段階突破 60 1794 998 998 128 65 1866 1024 1024 129 70 1938 1051 1051 131 75 2010 1077 1077 132 80 2082 1104 1104 1334段階突破 80 2152 1154 1154 133 85 2224 1180 1180 134 90 2296 1207 1207 135 95 2368 1233 1233 136 100 2440 1260 1260 138 このページの先頭へ 限界突破 限界突破 Lv上限 コスト HP 攻 防 1段階 40 6 +70 +50 +502段階 60 7 +70 +50 +503段階 80 8 +70 +50 +504段階 100 9 +70 +50 +50 必殺技:聖姫の祈り 効 果 技Lv 回復量 効果量 味方全体を回復 状態異常耐性 被ダメージダウン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 120 125 130 135 140 150 155 160 165 180 52% 49.6% 47.2% 44.8% 42.4% 40% 37.6% 35.2% 32.8% 28% 技ランク 補 足 H・SP・極(コスト5) 画像1 画像2 画像3 編集 編集 この技の説明 / この技の威力一覧 / この技を持つカードの一覧 このページの先頭へ 神羅万象チョコでは 「神羅万象チョコオールスター人気投票」で女性部門1位となった 第一章 第1弾のNカード(No.16)/1116_眠り姫アルマを 新規に描き下ろしした特別カード。 「神羅万象チョコ トップキャラクターズセレクション(TCS)」に収録され、発売と同時にフロンティアにも実装された。 フロンティア 実装日:2014年2月25日 フロンティア+ 実装日:- このページの先頭へ 9517_眠り姫アルマ/コメント 幼さより、お嬢ちゃん感が上がったなぁ… - 名無しさん 2014-02-26 10 42 38 アレックスさん何してはるんですか・・・ - 名無しさん 2014-02-26 17 00 25 この一言のせいでアレックス(幼)の女装にしか見えなくなったw どうしてくれるんだ! - 名無しさん 2014-02-26 19 54 26 でも雰囲気変わってこれじゃない感はある、かわいいけどね(支離滅裂) - 名無しさん 2014-02-27 01 39 36 じゃっかん成長してる感じは受けるよね。姫の方が好きだからいいけど - 名無しさん 2014-02-27 14 56 34 性能は力属性のクリエール。力属性バフやリーダーが限られる関係上マスターには魔貫通が少なく使いやすい。薙貫通の魔兄妹あたりが当面の難敵になりそう。 - 名無しさん 2014-03-08 14 49 52 0271_眠り姫アルマで強化可能な模様 - 名無しさん 2014-04-05 02 11 37 大全のアルマちゃんは恐らく神具復活が付くな - 名無しさん 2014-07-18 19 25 43 名前 ステータス/技威力等の追加掲載依頼は以下↓↓にご記入ください コメントの最初に、カード名として【 [[9517_眠り姫アルマ]] 】を入力(【 】内をコピペ)してください (ステータス掲載用コメントは全カードで共有します。カード名を入れないと、どのカードのステータスか判りません)。 Lv20 HP952 功624 防528 速124 - 10214_武神将ヘルマティオ 2015-02-02 18 11 01 名前 このページの先頭へ