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本日、今日は何の日? と聞かれて眉間にシワを寄せようものなら、そいつは話し手君によって現実とは成りえない思いを抱かさせられた操り人形になるだろう。もしくは心の中で失笑しつつ、話し手さんに付き合ってあげる賢く悪どい奴も居るかも知れない。 今俺の目線の先に居るヒューマノイド・インターフェースは恐らく前者であろう。表情など変えもしないだろうがね。一冊くらい本日を舞台にした本があったかもしれん、と思い問いかけてみた。 「長門、今日が何の日か知ってるか?」 「……」 静かに首を横に振る、やはり知らないか。ここで相手が谷口でもあろうものならこの俺の鍛えられたスキルによる最大級の虚言を吐く所だが、長門にそんな事をしてもどうなるかは分かっているので素直に教える。 「今日はな、エイプリルフールって日なんだ。宇宙的にはそういうもんはないのか?」 「……ない。そのような 日にち という概念は存在しない。」 「まぁ、そりゃそうだな。でな、エイプリルフールの日の午前中は害のないウソをついてもいいんだ。それで相手の反応を面白がったりするってのが一般的だ。まぁ高校生になってまで張り切ってウソつく奴はそうそういないと思うが。」 いや、いる。珍しく今日は俺よりも遅い我らがイベント愛好家の団長が。遅刻の理由は本日の準備といったところかもしれんな。 春休みも中盤戦に突入したもののいつもより少ない課題への焦りはなく、まして素晴らしい季節の恩恵によりSOS団がなければ一日中寝ていてもおかしくない気分の俺は部室の机に突っ伏し、団員二名と団長の出勤を待っている。 団活が秘密探索でなければ嬉しいのだが、昨日の荷物持ちで腰痛と筋肉痛が酷い。俺は腰からの要望でうーん、と背伸びをしようとする。 「……」 「んん?」 いつの間にか長門が俺の座る机の対面に立ち竦んでいた。 「どうしたんだ長門? ウソでも思いついたか?」 「郷に入れば郷に従え。」 「は?」 刹那、長門の姿を見失った。あれ? そして唇には過去味わったものに近い柔らかい感覚。 えーと、状況理解に苦しむね。OK把握した。 長門さん、何をしておいでですか? 「エイプリルフール。」 それとこれがどう繋がるというのか。勘違いしたというならなら甚だしい。 「感情を行動で表した。私は情報統合思念体に嘘をついた。」 俺との、今の行為がどう関係してるんだよ。 重い沈黙を破ったのは長門だった。 「以前から私はあなたに好意を抱き始めていた。しかしあなたと涼宮ハルヒの関係を保持するよう情報統合思念体に指示された。私の気持ちは閉ざすように。私は渋々同意した。」 ……。言葉を失う俺の姿を見て、とは違うだろうが珍しく続けて長門が話す。 「だけど今日はエイプリルフール。嘘も思念体に対し許される。でも私の気持ちは本当。」 「長門……」 あのパラレルワールドの長門の様に頬を赤らめたりはしない。しかしその瞳は澄み切っていた。 「……あなたは私以外の人に好意を抱いているのは既知。だけど可能ならば今日は私に好意を向けてほしい。」 長門がこんなにも逆接表現を使うとは。それも俺に対して。 「ダメ?」 不覚にも、長門の瞳に映る俺の顔は照っていた。 「いや、いいぞ。」 長門の頬が僅かに緩んだのを見たのは俺だけだろう。
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【ないしょごと】/れいん とぼとぼと歩く。 風は冷たくて向かい風。まるで、せつなの行く手を阻むかのようだ。 通常なら、そんな風もなんのその、脇目も振らずに走って帰っただろう。 ――――愛しの我が家へ。 けれど今日は違っていた。 (……どうしてかしら?) それは、自分自身も分からない。 ただ、何となく……足がすすまない。 きっとみんな待っているだろう。おおよその到着時刻は、あらかじめ伝えてあるのだから。 年末年始に帰ることができなかったから、「楽しみにしてるよ」と言ってくれていた。 チリリ……。 楽しみにしてくれている“彼女”の顔を思い浮かべたら、胸の奥で燻ったような煙が上がった。 (もう、本当に……なんなのこれ?) いつからこうなったかなんて、覚えてはいない。 でも、最近はずっとそうだ。 体の奥底で、チリチリチリチリ……。 焦げるような疼き。 彼女の事を考えるだけでこうなってしまうのだ。だから、実際に会って顔を突き合わせてしまったら、自分は一体どうなってしまうのだろう? それを考えると、やはり歩みは鈍くなる。 (これが……原因?) 泣きそうだ。 自分だって、今回の帰郷をどれほど待ちわびていたことだろう。 彼女にだって、会いたかった。 いや、会いたいと言う気持ちは、今も変わらないのだけれど……。 (心臓が……苦しい) 特に運動をしているわけでもないのに、鼓動が速くなって、息が苦しい。 今は寒くて枯れてしまったクローバーの丘。 せつなは堪らなくなって、その場所にしゃがみ込んだ。 (もう……イヤ) 誰か、助けて――――――。 「………………なっ!」 急に誰かが肩を掴み、ゆさゆさと揺さぶった。 「!」 驚いて顔を上げると、そこには会いたくて、会いたくて、会いたかった彼女の顔。 どうやら到着の遅いせつなを、心配して捜しに来てくれたようだった。 「せつな、だいじょうぶ!? どこか痛いの??」 心配そうに顔を覗き込んできて、よしよしと背中をさすってくれる。 その行為に、心臓が破裂しそうに激しく脈を打つ。だけど、何故だか苦しくはなくて戸惑う。 「……へいきよ。ありがとうラブ」 そう答え、ラブの支えに体を預けながらゆっくりと立ち上がった。 「ほんとうに?」 ラブは眉間にしわを寄せ、訝しげにこちらを睨む。 「……ほんとうよ」 そう言って、せつなはニッコリと笑顔をつくった。 (不思議……) 会いたくて、会いたくて、でも会うのが怖かった。 そんな気持ちが、ラブに会ったら、ウソのように溶けて消えてなくなってしまった。 その代りに、頬がポカポカと火照って、心臓が勢いよく送り出した血液が、体の中を心地よく廻る。 「じゃあなんでしゃがみこんでたのよぅ、心配になっちゃうじゃん!」 ラブは熱を測るように、せつなの額にオデコをコツンと当ててきた。 ふわっとラブらしい柑橘系の匂いが香って、鼻頭同士がかすって、少しくすぐったい。 「ふふっ、ラブの方が熱高いんじゃない?」 「あれぇ? ホントだぁ」 せつなが噴き出すと、ラブも安心したようにニカッと笑う。 「でも、具合が悪くなかったんなら、どうしてしゃがみこんでたの?」 尚も食い下がって理由を問うラブに、せつなは少しだけ困って、首を傾げた。 「さあ、どうしてかしら?」 何となく、自分ではその理由に気づき始めたのだけれど……。 ――――――でもそれは、今は誰にも教えない。
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語り合おうか【かたりあおうか】 クロ、加藤 「ふぅー…」 やっと週末だ ここ最近寝る時間もあまりなく連続してぶっ続けで仕事だったりもあったりして忙しかった 明日はゆっくり寝て疲れた体を癒そう 今日は飲みに行こう 「いらっしゃい」 「生」 「あいよ」 今日は今まで行った事が無かったが行ってみたいと思っていた居酒屋に来た 自宅から仕事場に向かうまでの所にあるこの店は一人で来るお客さんが多い様子だったため、仕事終わりに仲間と、という雰囲気では無かった 「はいよ」 「どーも」 「ん?」 ふと隣を見ると、1つ挟んで向こう側に見知った顔があった 「加藤?」 「あ?…ああ、黒川か」 「そうです、クロちゃんです」 声を作って裏声でお決まりのネタをする 加藤さんはそれを見て嫌そうに眉間にシワを寄せた 「その声鬱陶しいから好きじゃない」 「すまん」 今日はあまり機嫌が良くなさそうだ 「加藤は此処へはよく来るのか?」 「いや、今日初めて来た」 「そうか、奇遇だな。俺も今日が初めてだ。良い店だな」 「そうだな」 「はいよ、生一丁」 「ども」 頼んだ生中を受け取り、酒の肴として出されたものをつまむ うむ、結構いけるな 「…黒川、お前、好きな奴とか居るか?」 それは意外な発言だった 「何だ?何か機嫌悪そうだと思ったらコレが原因か」 「その指止めろ。そんなんじゃない」 「だったら何だ?」 「………」 何か言いにくい理由でもあるのか、加藤は何も言わずに酒を口にした 「…まぁいい。俺は俺を好きでいてくれる奴が好きだ」 「誰か居るのか?そういう奴が」 「…いや。そうだったらいいなと思う奴は居るが」 あぁ、居るよ と答えたいとこだが生憎片想い中だ 「へぇ。“あそこ”のメンバーか?」 「あそこ?…あぁ、あそこか。そうだ」 “あそこ”とは俺と加藤もよく行く共通の場所だった 「へぇ。お前、あそこで恋愛してるのか」 「いけない事か?」 「いや」 「加藤も恋愛すればいい」 「…いや、俺は」 「しちゃいけない理由なんてないだろう?」 「…ガキに興味ねーよ」 “ガキ” 加藤が時々口にする言葉だ それを聞いてとある人物が思い浮かんだ あぁ、そういえば今日あそこへ寄った時にあの人……… なるほど。だから加藤は機嫌が悪かったのか 「ガキに興味が無いって事は…まさか加藤俺の事…?」 「バカ言え。お前も俺より8つ下だろうよ。ガキと変わんねーよ」 加藤は楽しそうに笑っていた あぁ、そういえば今日初めて見た笑顔だ きっと加藤はずっと悩んでいたんだろう 悩んで悩んで、そして我慢して誤魔化してきたのだろう 誰にも言えずにいたのだ、気持ちを隠してきたのだ それがどれくらい辛い事なのかはよく分かる なぜなら俺も同じだから そんな辛い思い、加藤がしていていいわけがない …そうか。だったら俺がこの人を支えてあげたらいいのか 「実は誰にも相談出来なかった事があるんだ」 だから聞いてくれないか加藤 そして同じようにお前も俺に聞かせてくれないか
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318 :名無し募集中。。。:2012/08/21(火) 02 03 03.35 0 タンブリング東京公演を見に来た生田の話 ――― 「なんか、今日は大人しいじゃん」 隣から聞こえた不思議そうな声に慌てて顔を上げると、写真を撮ってくれたマネージャーさんから新垣さんがiPhoneを受け取っていた。 新垣さんは受け取ったiPhoneの画面を一瞥すると、えりなに見えるように胸の前に掲げてみせた。 画面に写るのは、笑顔で寄り添う新垣さんとえりなの姿。 「いつもならもっと……抱きついたり手握ったりしてくるのに」 少しだけ言い渋るような響きの言葉に画面から視線を上げて新垣さんを見ると、新垣さんは眉尻をちょいっと下げて、困ったようなくすぐったそうな笑顔を作った。 その表情にきゅんと胸の奥が鳴るのを自覚して、唇を結ぶ。 確かに。 確かに、新垣さんが持つiPhoneに写ったえりなは少しだけ遠慮気味だ。 笑顔もいつも以上に固い気がする。自分でも分かってる。 これは全部は緊張してるせいだ。 新垣さんとは毎日のようにメールや電話で(稽古中はあんまりかけないようにしたけど)連絡を取り合ってはいた。 いたけれど、実際に会うのは新垣さんの前の舞台を見に行って以来。 久しぶりに会う大好きな人を目の前に、えりなの心は会ってからずっと緊張状態だった。 きゅんと鳴いた後から、どんどんとどきどきが大きくなって心臓が苦しくなる。 えりなは、新垣さんから視線を外して、乾いた唇をちろりと舐めた。 319 :名無し募集中。。。:2012/08/21(火) 02 03 56.47 0 「……緊張、してるんです」 「はあ?何を今更」 「だ、だって!ひ、久しぶりに会うっちゃもん」 1ヶ月近く会えていなかったのだ。 新垣さんの顔を見る度に、その表情が変わる度に、短くなった髪が揺れるその度に、心臓が痛いくらいに高鳴ってしまうのを止める術なんてえりなにはなかった。 「新垣さんに、久しぶりに、会うっちゃもん……」 視界に新垣さんの手が見える。 小さくて細い女性らしい手には、舞台のためにいつものネイルは施されていない。 あの手を1ヶ月前は少しの緊張とどきどきと、それ以上の嬉しさをもって何の迷いもなく取る事ができていたのに。 今は、それができない。 その熱に触れたくて感じたくて仕方がないくせに。 新垣さんにも触れてほしくて、えりなを感じてほしくて仕方がないくせに。 緊張を押しのけてそうする勇気は情けないけれどえりなにはなかった。 溜息を出そうな程のもどかしさと情けなさが心を覆って、視界が滲み出して少しだけ焦る。 久しぶりに会えたのに、やっとやっと会えたのに、ずうっと今日を楽しみにしてきたのに、泣いてしまったら全部台無しだ。 新垣さんにいらない心配をかけて、きっと呆れられてしまう。 唇を噛む。なんとか涙を堪えようと眉間にぐっと力を込めた。 不意に、視界に映った新垣さんの小さな手が動いた。 それは迷うことなくえりなの方へ伸ばされて、何も言わずにえりなの左の手首を捕らえた。 慌てて顔を上げると、視線が合った新垣さんは何か言いたげに目を細めて、後ろで手帳を開いていたマネージャーさんの方を振り返った。 ちょっと生田と話してくるから、と新垣さんはいつもと変わらない声音でそうマネージャーさんに告げると、言うが早いかすぐ隣にある自分の楽屋の扉を開いた。 えりなが疑問の声を上げる前に、開いた扉へ押し込まれて、次いでえりなの身体を押すようにして新垣さんも扉をくぐった。 押し込まれた楽屋の中でたたらを踏んで振り返ると、カチャリと扉が閉まる音と扉を背にしてえりなを見つめる新垣さん。 320 :名無し募集中。。。:2012/08/21(火) 02 04 31.78 0 その瞳から、視線を外せなくなる。 色素の薄い茶色がかった新垣さんの瞳は宝石みたいにいつもキラキラしてて綺麗だ。 えりなはそのキラキラした新垣さんの色が大好きで、そこに自分が写っているというだけでこれ以上ないくらい嬉しくてたまらなくなる。 だけど、それ以上に。 二人きりになった時に新垣さんが時々見せる、熱にうかされたような、触れたら火傷してしまいそうな、新垣さんの瞳の色が好きだった。 その色に見つめられただけで、心が捕らえられて、動けなくなってしまう。 舞台の上で歌っている新垣さんとは違う、他の誰かの人生を演じている新垣さんとも違う、新垣さんの本当の心の奥底をちらりと垣間見せられたような剥き出しの熱い色に、えりなの心臓は壊れてしまいそうな程に悲鳴を上げるのだ。 そうして。 今、正に、目の前に立つ新垣さんの瞳の色は、えりなの心臓を壊してしまいそうなそれだった。 こくりと知らず喉が鳴る。 唇が乾くけれど、舌先一つ動かせない程に、新垣さんの瞳に囚われる。 新垣さんに会うのは久しぶりだ。 だけど、この瞳の色を見るのはそれ以上に久しぶりの事だった。 というよりも、新垣さんと出会ってから数える程しか見たことがない。 けれど、その数える程の経験から、この後新垣さんがどういう行動に出るのか、何となく予測がついて、それは更にえりなの鼓動と喉の渇きを加速させた。 新垣さんの手が動いたのが視界に写る。 それはゆっくりと、だけど明確な意思を持ってえりなへ伸ばされて、華奢な手のひらがえりなの頬を包み込んだ。 新垣さんの顔が近づいてくるのか、えりなが引き寄せられているのか、鼓動と渇きでそれすらもえりなには正確な判断が下せない。 321 :名無し募集中。。。:2012/08/21(火) 02 05 06.45 0 喉が鳴る。 鼻先が触れる。 新垣さんの睫毛が小さく震えた。 えりなは、条件反射のように瞼を下ろして。 唇に触れた熱と柔らかさに、脳がしびれたような感覚に、陥った。 子供のように一度強く押し付けて、次いで啄ばむように下唇を淡く吸われる。 それは、新垣さんのキスの癖。 久しぶりすぎて忘れかけていた、愛しい人の癖に、泣きそうになった。 鼓動が早まる。 甘くしびれた脳みそが、何も考えるなとえりなに叫んだ。 喉の渇きが加速して、潤いを求めるようにえりなは新垣さんを扉に押し付けていた。 新垣さんのぽてりと厚い唇を舌先でぺろりと舐めて、応えるように薄く開いたそこに少しだけ強引に舌を捻じ込んだ。 鼻にかかった甘い声がえりなの鼓膜を刺激する。 それは、ただでさえしびれた脳を蕩けさせるには十分で、―――もう、止められなかった。 怯んだように奥へ引っ込んだ新垣さんの舌を絡め取って、出来得る限り優しく舐めて、夢中で新垣さんを味わった。 気付いたらえりなの頬を包んでいた新垣さんの手のひらはえりなの首の後ろへ回ってて、離さないとでも言うかのようにぎゅっとえりなのシャツを掴んでた。 その仕草も漏れ聞こえる甘い声も手のひらと舌先で感じる熱も、全部全部、泣きそうなくらいに愛しくて仕方がなくて、お腹の奥底から湧き上がる衝動のままに、えりなは新垣さんの服の裾からそろりと手を入れた。 本番終わりでラフな上着の下はそのまま素肌。 少しだけ汗ばんだ肌がえりなの手のひらにぺたりとくっ付いて、喉の渇きが一段と強くなった。 そのまま手のひらを上へ滑らせようとしたら、いきなりぐっと肩を押された。 同時に新垣さんの服へ入れた方の手首が捕らえられる。 唇が離れて、唾液の糸がぷつりと切れた。 「……ちょーし乗りすぎ」 322 :名無し募集中。。。:2012/08/21(火) 02 05 37.27 0 拳一つ分くらい先に、眉間に皺を寄せた新垣さん。 ほんのりと色付いた目元に、胸の奥がきゅんとする。 するけれど、酷く高まった感情を中途半端に放り出された事に、新垣さん以上に眉間に皺が寄るのを抑えられなかった。 「……なんでですかぁ」 「や、なんでって、どこだと思ってんのよ、ここ」 「楽屋です!」 「仕事場です。てゆーか、これから二回目あるし」 「で、でもっ…!」 誘ってきたのは新垣さんの方じゃないか! こんな生殺し状態で突き放すのは酷すぎる! 下腹の奥の熱がふつふつと燻って、どうしようもない衝動がえりなを煽る。 だけど、その熱を言葉にする事も、新垣さんの腕を振り払って続きをする事も、えりなには出来なかった。 言葉の代わりに唇から出てきたのは駄々をこねた子供のような唸り声だけ。 こんなにも近くにいるのに、こんなにも感情が昂ぶっているのに、何にもできないだなんて! ううー、と唸りながら新垣さんの肩口に額を押し付けた。 どうにか昂ぶった熱を逃がそうと、押し付けた新垣さんの肩にぐりぐりと額を擦り付ける。 気持ちを落ち着けるように深呼吸をして、腰に回した腕をよりきつくして、新垣さんにぴたりとくっ付く。 もちろん、言い付け通り腰から上にはいたずらしないようにしながら。 新垣さんはわざとやっているんだろうか。 こんな風にされればどうしたって煽られてしまうのは分かっているはずなのに。 えりなが止まれなくなってしまう事は今までの経験から、きっと新垣さんが一番よく知っているはずなのに。 323 :名無し募集中。。。:2012/08/21(火) 02 06 10.27 0 どうしようもなくなったえりなを見て、からかっているだけじゃないのかとさえ思えてきて、だけど、そう思っても強引に事を進めるだなんてえりなには絶対に出来ない。 それでもし新垣さんに嫌われてしまったらと思うと、そんな事出来るはずがなかった。 邪険に扱われるのも、鬱陶しいと振り払われるのも、新垣さんは本気ではないと分かっているから受け止められるのだけれど、嫌われるのだけは絶対に嫌だから。 顔をずらして鼻先を新垣さんの首筋へ押し付ける。 新垣さんがよく使ってる香水の匂いと汗のそれがえりなの鼻を刺激して、落ち着こうと深呼吸する度に逆に鼓動が早まってしまう。 こんなにもどきどきして、触りたくて触って欲しくて仕方がないのは、えりなだけなのだろうか。 我慢できないくらいに昂ぶってしまっているのは、えりなだけ? 新垣さんはえりなに会えなくても平気だったのだろうか。 えりなの熱を感じても冷静に制止できるくらいに、えりなの存在は新垣さんの中で軽いモノなのだろうか。 どんどんどんどんマイナスな方向へ考えが及んでしまって、鼻の奥がツンとする。 さっきまで、あんなに幸せだったのに。 悲しくて寂しくて仕方がなくなって、本格的に涙が零れる前に帰ろうと新垣さんの腰に回した腕を緩めた時だった。 ぽん、と後頭部に手のひらが乗せられる感触。 次いで髪の間に指が滑る感触がして、耳元に小さく息がかかった。 「生田」と新垣さんの静かな声が鼓膜を打つ。 「この後、仕事は?」 内緒話でもするかのような小さな声音。 どこか艶っぽさを感じさせて、鼓動が跳ねる。 「リハがありますけどぉ」 「そ。じゃあ、終わったら迎えに行く」 「はぁ、……っえ?」 思いもよらなかった言葉に間抜けな声が漏れた。 迎えにくるって、それって、つまり―――。 324 :名無し募集中。。。:2012/08/21(火) 02 07 12.63 0 慌てて顔を上げようとしたら、後頭部に置かれた手のひらに押し返された。 どきどきどきどき、鼓動が逸る。 言葉の裏で新垣さんが言わんとする事が、さすがにえりなにも分かって、知らず喉が鳴った。 腰に回した手で新垣さんの上着をぎゅうっと握る。 「……来ます、か?」 「ん」 「う、うち、今すっごく汚いですけど」 「なぁによ。ヤなの?」 「や、嫌じゃないです!」 思わず声を荒げたら、ふふふ、と耳元で震えるような笑い声。 耳をくすぐる吐息がくすぐったくて身を捩ったら、逃がさないとでも言うかのように身体に回った新垣さんの腕の力が強くなって。 「続きは、……その時に、ね」 少しだけ恥ずかしそうに落とされたその言葉に、大きく息を呑んだ。 鼓動が一つ大きく跳び抜けたような感覚に陥って、じわじわと頬から耳の辺りまでが熱く熱くなっていくのを自覚した。 「だから仕事がんばんなさいよ」と照れ隠しのようにぶっきら棒に付け加えられた言葉に胸の奥がぎゅっと締め付けられる。 たった一言で、さっきまでとは正反対の気持ちへ頭の天辺から足の先まで塗り替えられてしまった事を自覚する。 自分でも単純すぎると思ったけれど、本当に久しぶりに新垣さんと二人きりで過ごせるという事実にどうでもよくなって、こくりと一つ喉を鳴らして、えりなは、新垣さんの首元で大きく頷いた。 ――― 一緒に帰って、結局明け方まで離さなかったえりなに、次の日の仕事に遅れそうになった新垣さんが怒ったのは、また別のお話。 おわり
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. 【作品名】ぼくと魔女式アポカリプス 【名前】蘭乱爛崎寝々 【属性】《ドゥオーフ》の代替魔術師 【大きさ】身長20mに巨大化した10歳程度の少女 【攻撃力】達人並の格闘能力。 ポストを地面から力任せに引き抜けるほどの腕力を持つ。 コンクリートを粉砕する速度で人間を吹っ飛ばせる。 以上が元のスペックで、さらに巨大化している。 【防御力】 成人男性が馬乗りになって力任せにナイフを顔に刺しても刺さらない。 眉間に至近距離から拳銃弾を受けたが皮膚で止まった。 以上が元のスペックで、さらに巨大化している。 巨大化時、鉄を砕く威力の椅子を頭部に何十回も叩き付けられて無傷。 【素早さ】 約数m先から拳銃弾を撃たれた後に回避できる奴と互角以上に格闘戦可能。 踏み込みだけで足元のコンクリートが砕ける加速が出る。 約数m先から拳銃弾を撃たれた後に回避できる奴が10mぐらい先から見ていても、瞬きした瞬間には目の前に居る速度。 以上が元のスペックで、さらに巨大化している。 【特殊能力】いろいろあるけど巨大化時使用していないので省略。 【長所】大きさと素の身体能力。20mょぅι゛ょ。 【短所】巨大化時に他の特殊能力を使ってない、蘇生にかかる時間が微妙。 【戦法】格闘。 32スレ目 229 :イラストに騙された名無しさん:2008/09/27(土) 18 39 05 ID 68cdtK4C 再考候補の蘭乱爛崎寝々の考察 巨大生物の壁から 『怪物』以下には勝ち ×榛原舞美 移動は勝ってる、だが硬くて倒せない、 相手は反応も高いしホイッスルが邪魔 △○ジャンボ・マックス・一号 こちらは速いので有利か分けぐらい ○ヴォール 勝ち、てかヴォールもっと下では? 速いけど攻撃手段が丸呑みしかないから巨大生物の壁では勝ちが難しい。 ○ザ・キュアー 死ぬ前に人間殴って勝ち ×△?阿修羅王 見えないので不利 ○GODZILLA 格闘で勝ち △メデューシン でかい、体当たりは避けれる ×ダイダラボッチの左腕 相手見えないし攻撃が強い、いずれ負け ×ゾーラギ 電撃負け アリス、老山龍、億年亀 速いので簡単には負けないが、倒せない ダイダラボッチの左腕>メデューシン=蘭乱爛崎寝々>GODZILLA> 29スレ目 修正 26スレ目 231 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2007/01/11(木) 21 45 53 ID 8YqwI0Lc 230 巨大化時より通常時で拡縮魔法使わせたほうが強くないか? 774 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2007/01/29(月) 23 48 57 ID pa9Zifm8 蘭乱爛崎寝々考察じゃねぇの 不快逆流>グラビモス>シジミカイメン(改)>ギタイ=シュガー>T-1000 空幻>式森和樹>六脚移動砲台>センチュリオン>灼熱竜 キングコング>緑>鷹月敏江>古猟琥依>ワイヴァーン>書記アニ ○書記 軍隊蹴散らして勝ち ○ワイヴァーン 蹴散らして勝ち ○古 同上 ○鷹 2倍の大きさの差で勝ち ○ミドリ 大きさの差で勝ち ○キンコン 同上 ×灼熱 溶岩弾負け ×センチュリオン 対戦車ミサイル負け ×六脚 滑空砲負け △式森 触れられない ×空幻 刀負け ×T-1000 倒せない消耗負け ×シュガー 触れられない、戦法負け ×ギタイ スピア弾連射負け ×シジミ 吸い込み負け ×グラビ ブレウ負け ×不快 逆流負け .
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くだびれたオサーン2人 店屋物で各自遅い夕食を終える。署に泊まるのもこれで五日目だ。追い込みのかかった捜査本部は段々と殺気立った気配を漲らせてきている。 その張り詰めたような空気が嫌で、安藤はわざと唸り声のような溜息をついた。爪楊枝を吐き出し、ごみ箱めがけて投げる。それは小さな金属製のごみ箱のふちに跳ね返り、無残に床に落ちた。安藤は片目を細めて舌を打つ。 安藤は斜め向かいのデスクで書類を書いている横山に向かって声をかけた。 「外行くか」 屋内禁煙。押し寄せる嫌煙の波に、警察署とて無縁ではない。取調べ室すら禁煙とされて現場の刑事は不平を漏らしたものだが、あるか無きかの抵抗は果たして無駄に終わった。今では皆、この寒空に屋外で情けなく煙をくゆらすことしかできない。 「ん…おお、ちょっと待て」 横山は眉間に皺を寄せて、つたない指づかいでキーボードを叩いている。未だにタイピングタッチの出来ない同僚を見て安藤は小さく笑う。太い指にノートパソコンの小さなキーボード。熊がレース編みをしているような奇妙な眺めだった。 「先行くぞ」 「いやいやいや、ちょっと待て、もう終わる……ん、終わっ、た、と」 言葉に合わせてとん、とん、とん、とキーを叩き、横山はにやりと笑って立ち上がる。 五年ほど前に購入した黒いトレンチコートは、とうに色はあせて青とグレイを混ぜたような奇妙な色になっている。生地はよれてところどころ裾が擦り切れてしまいそうだ。しかしこのコートが一番自分の身体に馴染んでいる。雨上がりの空気は清冽で、澱んだ部屋の空気に慣れた肺には心地いい。水溜りを踏まないように気をつけながら署の裏手に回った。 安藤はごそごそとポケットを探ってライターを出す。オイルが少なくなっているのか、何度か石を鳴らしても火花が散るばかりだ。 「ほらよ」 隣からライターが飛んでくるのを辛うじて受け止めた。 「おう」 二人で肩を寄せ合い、薄ぼんやりとした宵闇の中で煙草を燻らせた。寝不足で不明瞭な頭には、苦い煙草の煙すら何の刺激にもならない。 「そろそろ帰りてえよなあ」 「全くだ」 建物の壁にもたれ、上を向いて煙を吐き出した。背を丸めて煙草を吸う横山の後姿を見る。彼も似たり寄ったりのくたびれたコートを身に着けている。 「なあ」 声をかける。横山は煙草を咥えたまま振り返る。疲れたような顔で笑って見せると、横山もゆっくりと頬を緩めた。薄暗い闇、建物の裏手、見る者は誰もいない。 指に煙草を挟んだまま、横山のコートを焦がさないように気をつけながらその襟を掴んで乱暴に引き寄せる。指にかかった抵抗はほんの僅かで、横山はすぐに安藤に身体を寄せてきた。 自分よりも随分高い上背と拾い肩幅。今でも柔道をやっている彼の身体に余分な肉は少しも無い。 「煙草、邪魔だ」 言うと、横山は苦笑して咥え煙草を指に持ちかえる。 顔を寄せる。自分からは口付けない。少し待つと、身をかがめるようにしてゆっくり横山が口付けてきた。 自分のものとは違う煙草の味。伸びてきた髭がお互いの皮膚にちくちくと痛い。薄っすらと唇を緩めると横山の舌が忍び込んできた。 指から力なく煙草が落ちる。まだ随分と長いそれは上手いこと水溜りに落ち、不平を言うようにじゅっと鳴った。 パティシエの恋
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ハイライト前で力尽きた俺w だが、こんな屈折した関係って、好きなんだw ナディア、ひさしぶり。(3) 大椅子は、かつての王座とは違う。 ミノール=マルクスは、綿入れの当てものに背を預け、膝には掛けものをかけてある。額は広くなり、髪は白くなり、髭もまた同じだった。何より覚えている昔の顔より、痩せて小さく見えた。変わらぬのは、かすかにひそめられた眉と眉間のしわ、そして鋭く見つめる瞳だった。 軍人の歩調で歩くマルクスを、ミノール=マルクスはじっと見つめている。その瞳の二歩前で、マルクスはかかとを合わせる。 ミノール=マルクスは、黙って古人マルクスを見つめていた。 「何をしている」 彼は不意に言う。 「椅子の左に来よ」 「はい」 再び、軍人の歩調でマルクスは歩み、ノイナの立つべき間合いを残して、まわれ右をした。かかとを合わせて立つ。 「休め」 ミノール=マルクスに言われるままに、足を肩幅に開き、手を後ろへとまわす。ミノール=マルクスは何も言わなかった。だからマルクスも黙っていた。顔を向けることも求められておらず、ただ前を向いていた。 広間の壁は、漆喰画に彩られていた。淡く青い空、遠く淡い山並み、緑の野、畑、そして川の流れ。鳥が飛び、船が行く。美しい絵だった。それが南方なのだろうということは、マルクスにもわかった。だが今の彼の故郷ではない。 描かせたのは、レオニダス宗家ではない。屋敷をレオニダス宗家に下げ渡した時の皇帝だ。この間は、下げ渡されてからほとんど手を加えられずに使われてきた。 鼓動とともに、時は静かに流れてゆく。 「軍務はどうだ」 不意の声に驚いた。ミノール=マルクスの声だと、刹那に気づかなかった。思っていたよりも老いて、かすれた声だった。応えが遅れそうになる。 「おかげさまで、滞りなく」 真っ直ぐ、正面を見たままで応えた。我ながら間の抜けた受け答えだと思う。 「滞りなどあってなるものか」 「はい」 「これから後も、だ」 「精勤します」 「あたりまえだ」 彼の声が少し大きくなる。それでも思い出の中の、声には届かない。 「お前の道は、レオニダス家の男らが倒れながらも開いた道なのだからな」 「心します」 「軽々しく答えるでない」 「はい」 ミノール=マルクスの声は途絶えた。かすかな懼れと共に、マルクスは横目で彼をうかがった。ミノール=マルクスは静かに息をつき、目を閉じていた。うつむく彼に差す影は、顔に刻まれた皺を浮き立たせる。 彼の老いた姿に、いまさらのように気づいて、マルクスは、息さえ忘れていた。息苦しさよりなお苦しい何かが、静かに胸に満ちてくる。 思い出の中のミノール=マルクスは、ただただ恐い、大きな人だった。あの姉でさえ、ミノール=マルクスと相対する時には、少し身を固くしていたものだ。 扉をたたく音が響く。打具の音だ。 救われたような思いで、マルクスは正面の扉を見た。大扉の片方が、引き開けられ、踏み出してくるのはノイナの姿だ。 「お爺様、ヴァロ、フィネスのお二人をお連れしました」 ミノール=マルクスの応えは、やはり少し遅かった。 「連れておいで、ノイナ」 「はい、お爺様」 彼女は振り返り、廊下に向かってうなずきかける。
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(投稿者:マーク) 1943/7/23 アルトメリア西部地方 男はほろ酔い気分で路地を歩いていた。取引も成功しあとはこのアタッシュケースに入ったものを手土産に海外に逃げるだけ 浮かれた気分に千鳥足もあいまってふらふら歩いていると、前方に人影が見えた それは一人の女、 吸い込まれるような紫の瞳。 夜の闇に映えるルビーレッドの髪。 自己主張の激しい肢体にそれを包むスリットの入ったドレス 唇が何処までも蠱惑的な孤を描き、男をゆっくりと見た 「どうかしたのかしら?」 その声色は毒のように甘い 男はその女に見入ってしまった自分を、その時初めて自覚した 「・・・・あんたは?」 「ジュリア」 声を聞くだけで脳裏がくらりと目眩を起こす。 酒のせいかとも思ったが、違う。 酷く、 魅惑的な声音のせいだ。 甘く、毒のようで麻薬のようなその声は一度聞いてしまったら、耳について離れない。 そして声音を聞きたくて、つい声をかけてしまう。毒のように身体を蝕んでゆく、そんな危険を感じるのに、どうしても聞きたくなる 「一杯、どうだい?」 思わずそう問うと、いいえ、と彼女は首を振る、どうすればいいのだろうか。 どうすれば、彼女の声を聞けるのだろう。酔った頭で巡らせていると、くっ、と彼女が喉を鳴らした。 「残念そうね」 「・・・・まぁな」 嘲笑されたというのに、何故か不快に感じなかった、そんな男を彼女は興味深そうに見やると、そうね、と呟く。 「お酒はいらない、でも・・・・、」 つ、と細い指が頬をなぞる、全身の毛という毛が総立ち、身動きできなくなる 次の言葉を魅入るようにして待った男に、ジュリアは官能的な動きで身体を押しつける、しなだれかかるその肉体を間近に感じ、男はやっとの事で腕を動かす だがそれは彼女の身体の動きにそうすることを誘われた感じだった。まるで催眠術にかけられたかのように。 「ベッドの中でなら、あなたと話をしても良い気分」 直截な言葉に男はかくん、と頷く。 彼女の腰を抱いたまま、彼女の導くままに宿へと向かう。そうすることが当然であるかのように 部屋にはいるなり男はいきなりジュリアを抱きしめ口付ける 「シャワー、お先に・・・・・」 それをするりと抜け出てジュリアは浴室へとはいり、やがて水の音が部屋に響き始めた 男は異常な高揚感に包まれていた、あの美しい女を自分が抱くのだ、ある種の征服欲といったものも芽生えていた キィ・・・と浴室のドアが開く音がする、男が振り向く、そこに立っていたのは女神だった、 鎌の代わりに装飾銃を構え冷たい目をした死の女神が 「さよなら」 底冷えする声でそうつぶやくと驚愕の表情を浮かべた男の眉間を正確に撃ちぬく 男はその表情のまま床に仰向けに倒れる、ジュリアはそれを無感動に見つめるとおもむろに口をぬぐい、つばをはき捨てる そして机に置かれた男のアタッシュケースを開ける、そこにはエターナルコアが三つ、部屋の光に反射し七色に鈍く光った 「よかった・・・・・」 ジュリアはそこで初めて心からの笑みを見せた、愛しげにコアをなで再びアタッシュケースを閉じる それを持って部屋を出る直前、ジュリアは男の死体を振り返り 「いい夢見れたでしょう? 私の“毒”は」 そう言って部屋に手榴弾をほうり投げ、窓から飛び降りる 部屋は一瞬で爆発に包まれ、宿は一瞬で火に飲まれた
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十代の性欲なめんなよ!? 先生好きです愛してます、なんて言葉も冗談だと思っていた。 真面目で優秀な生徒会長も、そんなおちゃらけた冗談を言うんだなあ、と。軽く考えていた。 だから今までずっとハイハイ、とかわしてきたのだけれど、どうやら彼は本気だったようで。 教材室で書類整理をしていると、その、なんだ。……押し倒された。 「前野っ、てめ、離、せっ!」 「やだ、絶対やだ。先生が本気で考えてくれるまで離さない!」 いつのまにやら敬語も解除されていた。眼鏡越しの瞳はまるで獣のようにぎらついていて、正直怖い。 通常時に力比べをしたら確実に勝てる自信はあるけれど、机の上に倒された状態にくわえ、 身体全体で覆いかぶさってくれば、流石に無理だ。身長は目の前のコイツのほうが高いし。 灰色のデスクに縫い付けられた手も動かない。前野は切れ長の瞳でじっと見つめてくる。 目をそらしたら負けな気がしてじっと睨みつけていると、何かに耐えかねたのか、わざとらしい舌打ち。 「……なんだよ」 「……あんた、ずっとずっと俺が好きだって言っても冗談だと思い続けてきただろ?」 「そりゃ、まあ」 苦い笑み(というより引きつった笑い)を浮かべた前野を見ながら、唇を尖らせて返す。 すると、また舌打ちをして、ああもう! と唸った。 「冗談で男に好きとかいえるわけねーじゃん!冗談で泣きそうになるわけねーじゃん! バカじゃないの本当に!授業中お前は集中してて偉いなっていってくれるけどさ?! ぶっちゃけんなことねーよ?!アンタが黒板書くたびにケツ見てムラムラしてるし、 髪柔らかそうだな触ってみたいなって思うし、肌綺麗だな顔綺麗だなって思ってるよ! ぶっちゃけアンタ泣かせるくらいヤりてーと思ってるよ!十代の性欲なめんなよ?!」 ほぼノンブレスで、捲くし立てるような言葉。内容が内容じゃなきゃ、……状況が状況じゃなきゃ、 拍手を送ってやりたいほどだ。なんだか論点が大幅にズレているように思えるけれど。 ……それはきっと、彼に余裕がないことを、あらわしている。俺は何かリアクションをしなきゃ、と思うけれd、 うまくまとまらない。だってそうだろ。ハッキリと同性に『お前は性欲の対象だ』と言われた。 気持ち悪い、と一蹴するのは簡単だ。簡単、だけどさ。俺の顔、すっごい熱い。 内心がすぐさま表に出てしまう自分をこのときばかりは恨みたい。 考えるまでもない。俺の顔はおそらく真っ赤だ。前野は息を乱したまま、俺の顔を見て眉間に皺を寄せた。 深く深く息をついて、手首の拘束を解いたかと思えば、俺の顔の横に頭を置いた。 「なん、まえの、なに」 「……先生、可愛すぎ……」 「なっ……!」 16歳だか17歳くらいの男に可愛いと言われ、嬉しいと思う今年31歳の男がどこにいるだろうか。 ……申し訳ない、ここにいる。 「すっごい可愛いよ、今の先生。ただでさえキレーな顔してるのに、目うっるうるで顔真っ赤で。襲いたい」 「前野、お前、こんなにバカだったのか」 「バカにもなるよ。それくらい、先生のこと好きだっつってんの……」 すぐ隣で、大きな溜息が聞こえる。 多分このバカは気づいていない。今の一言が、どれだけ俺の心を揺り動かしたのか。 気づかなくても、いいけど。 移り気
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ゆっくりが泣きます。鳴き声ではなく泣き叫ぶ声です。 聴きたくない人は見ないほうがいいです。 ペットを飼う場合、当然果たさなければならない義務がある。 それが例えそのペットにとって嫌なことであったとしても、飼い主としてやらねばならん事なのだ。 俺は読んでいた『予防接種のお知らせ』と書かれたチラシを読みながら溜息を吐いた。 なんでもゆっくりを経由して感染するウイルスが発見されたとのことで、飼っているゆっくりにワクチンを打たせねばいけないらしい。 幸せそうにご飯を食べているれいむを見て、俺はもう一度溜息を吐いた。 人から聞いた話なので本当かどうかはわからないのだが、野生のゆっくりと違って飼われているゆっくりというのは痛みに対しての耐性が全くないらしい。 なので注射やら治療の為に病院へいくと… 当然暴れるわけだ。ここら辺は猫や犬等とあまり変わらない。 だが、ゆっくりは喋るのだ。 大切にしている家族同然のれいむの泣き叫ぶ声など俺はできれば聞きたくない。だが、ワクチンは絶対に打たねばならない。 「おにいさんどうしたの?」 ご飯を食べていたれいむが不安そうな顔をして俺の方にやってきた。 どうやら心配してくれたようだ… とりあえず俺はれいむに正直に話す事にした。 どっちにしろ注射はしなくてはいけないし、何も知らないで行くよりは事情を知っておいた方がいいだろうと思ったからだ。 「あのな、れいむはこれから病院へいって注射しなくちゃいけないんだ。注射は何かわかるよな?」 「れいむはちゃんとわかるよ!! ほそいあれだよね!!」 「そうなんだ。それをなれいむは体に刺さなくちゃいけなんだが、我慢してくれるか?」 嫌がるかなって思ったが、れいむの返事は違った。 「れいむがまんするよ!! ちゅうしゃしなきゃいけないならちゃんとちゅうしゃするよ!!」 「いいのか? 少し痛いかもしれないぞ?」 「うん、おにいさんといっしょなられいむだいじょうぶだよ!!」 「そっか、じゃあ行こうか」 れいむの言葉に涙が零れそうになったが、ここで泣いてしまうのはみっともない。 「おにいさんはやくいこうね!!」 「はいはい、すぐ行こうな」 れいむをお出かけ用の籠の中へ入れて車の助手席へ置いて俺も乗る。 懇意にしているゆっくり専門の病院ゆっクリニックは家からだと結構遠いのだ。 「終わったらお菓子買ってやるからな」 「ほんと? おにいさんありがとう!!」 れいむと約束をして、俺は車を走らせた。 「いやだああああああああああああああああああああああああはなじでえええええええええええええええええええええええええええ!!!!」 ゆっクリニックの入口を開けて俺の耳に飛び込んで来た叫び声に、俺は思わず立ち止まってしまった。 ここは個人で運営している病院の為、入り口からすぐに治療室にいくことができる。 だから、治療室からの音も良く聴こえてしまう。 今の悲鳴は間違いなくゆっくりの声で、俺と同じようにワクチン注射に来た飼い主がいるのだろう。 治療室からは今もまだ「おにいざんだずげでよおおおおおおおお!!!!」だの「いだいよおおおおおおおおおおおおおお!!!!」と聴こえてくる。 どうやらかなり怯えているようだ。注射をするのも初めてなんだろう。 籠に入っているれいむの様子を伺うと、顔を青くし体を震わしていた。 家ではああ言っていたものの、やはり怖いのだろう… 「れいむ大丈夫か?」 とりあえず受付を済まし終えた俺はれいむに声を掛けてやる。 「れ、れいむはだいじょうぶだよ!! ぜんぜんこわくなんてないよ!!」 狭い籠の中でブルブル震えても、心配かけまいと笑顔を俺に見せてくる。 本当に健気な奴だ… 俺とれいむは治療室のゆっくりの悲鳴をBGMに待合室で順番がくるのを待っていた。 まだゆっくりを飼う人間はこの街では少ないからか、待合室に他のゆっくりはいない。 待っている間にずっと怯えているれいむの気を紛らわせようとしたのだが、聴こえてくる声に集中してしまいやはり無意味であった。 それでも、俺が「今度にしようか?」と聞いても、れいむは頑なに拒んだ。 れいむとしては遠いここへ何度も連れてきてもらうのが悪いと思ったのだろう。 それから10分ほど経っただろうか? やっと治療室から飼い主と飼い主の腕に抱えられたゆっくりまりさが出てきた。 どうやら散々抵抗したらしく、抱えられているまりさは所々皮が破け涙の後で少しふやけていた。 それと、「どうしてたすけてくれなかったの…」とボソボソ呟いていた。れいむもあんな風になってしまうのだろうか… 「次の方入ってきてくださ~い」 「あ、はい!!」 先生に呼ばれた俺はれいむの入っている籠を持って治療室へ入った。 「今日はお注射ですよね?」 「はい、そうです」 籠から出したれいむを台の上に載せながら答える。 先生の声は穏やかだが、注射を持っているのでれいむは益々怯えてしまっている。 「れいむ、ちゃんすぐ終わるからね~」 注射の尻を押して中の薬品を少し押し出す先生。れいむはもう余裕がないのか、ただ体を縦に振るだけだ。 「飼い主さんはれいむちゃん押さえてあげて下さいね」 「あ、勿論です」 れいむを後ろから左右の頬を手で掴む。すぐ終わるから頑張れよ、れいむ… 「少しチクッとしますから我慢してね~」 注射の先端からまた薬品が飛び出す。そのまま先生は注射をれいむに近づけていく。 徐々に近づいてくる針を見て、れいむはとうとう目を瞑った。 とうとう針はれいむの眉間に迫り、俺はこの後響くであろうれいむの絶叫を覚悟して目を瞑る。 1秒、2秒、3秒… どれ程経ったのか分からないが、まだれいむの絶叫は響かない。 恐る恐る目を開けると、先生は注射を置いて綿でれいむの眉間を拭いていた。 「せ、先生? 注射は?」 「もう終わりましたよ~ れいむちゃんはおとなしい子ですね~」 「へ?」「ゆゅ?」 本当に終わったのか? さっき響いていたまりさの悲鳴はなんだったんだ? 「じゃ、お疲れ様でした。れいむちゃん元気でね~」 「あ… どうもありがとうございました」「せんせいありがとうございました!!」 先生の言葉で、俺達は部屋から出た。 結局、れいむが泣く事はなかった。 車の中でれいむに注射がどうだったのかを聞いても、「ちょっとチクってしたけどぜんぜんいたくなかったよ!!」と、元気一杯だ。 まあ、あのまりさが泣き虫なだけだったのかもしれない。 「じゃ、お菓子買ってやるからな~」 「おにいさんありがとね!!」 とりあえず今は、行くときにした約束を果たそう。今日はケーキでも買ってやるかな… 最後まで読んでいただき本当にありがとうございます!! イヌとかを飼っているならば絶対に打たねばならない注射があります。 聖者の途に登場したゆっくり黒ウイルスがあるのならば、ゆっくりも打たねばいけないでしょう。 そんな風に考えて書かせていただきました。 単純な理由でごめんなさいorz 最後にもう一度、こんな駄文を最後まで読んでいただきありがとうございました!!本当にお目汚し失礼!! SS作者は皆神様。着眼点もいいし、愛が感じられる小説・・・良かったです! -- ine (2008-09-23 18 43 34) まりさがなんであんなに喚いてたのかがよく分からないんですが・・・ -- 名無しさん (2008-10-03 22 42 01) 歯医者に行けば同じような光景見れるよ、先入観で異様に痛がって泣き叫ぶ子供。 -- 名無しさん (2008-10-03 22 45 16) 俺もガキの頃には歯医者を怖がって逃げようとしたっけな -- 名無しさん (2008-10-03 22 59 49) イメージできる痛みはすごい痛いのにな、車にはねられたときは全然痛くなかった -- 名無しさん (2009-01-03 21 10 26) なにサラッと凄い事言ってんだwww -- 名無しさん (2009-05-25 03 36 06) 乙 -- 名無しさん (2010-06-06 03 55 23) 私も車にはねられました。 -- 名無しさん (2010-06-07 23 40 51) さらっとすごい事をいいまくっているような・・・ 痛いと思うから痛いんじゃないの? -- ちぇんとぱちゅりーとれみりゃ飼いたい (2012-03-21 19 20 59) 名前 コメント