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狛枝凪斗の幸福論 協力者の一人の供述――記録者・有冨春樹 狛枝クン? 本当に彼を参加させるつもり? ボクとしては「正気なの?」って聞きたいトコロだけど……まあキミに正気とか言っても仕方ないか。 先に言っておくけどね、ボクは絶対にお勧めしないよ。 違う違う、能力や人格なんて問題にしてないよ。 彼本人なんて雑魚も雑魚。 狂人ぶってるから大物に見えるけど、実際は小物だし雑魚キャラさ。 哀れで笑ってしまいそうになるくらいね。 ボクがお勧めしない理由はね、彼が「幸運」だからさ。 いや、「不運」だからって言い換えてもいいかもね。 ……ん? その二つは普通両立しない概念だろう、って? するんだよ、狛枝クンはね。 アイツの才能の事は話したっけ? ……うん、「超高校級の幸運」だよ。 だからどうしたって? 確かに普通にしててもアイツは幸運だよ。 リボルバーでロシアンルーレットをしたら六発中五発弾丸を詰めても当たらないし、くじ引きをすれば百発百中さ。 でもね、アイツの幸運はもっと特徴的な癖があるんだ。 アイツはね、「降りかかった不運を呼び水にして、その数倍の幸運を呼び込む」んだよ。 ちょっと実例を挙げて説明しようかな。 狛枝クンが子供の頃、両親と一緒に飛行機に乗った時の事さ。 彼の乗った飛行機はハイジャックされちゃったんだ。 身代金目的ってよりは、別の目的があったんだろうね! 他の乗客は皆殺しさ。 彼自身も殺される――、ってところで、何が起きたと思う? 隕石だよ隕石! 天文学的な確率で飛行機に隕石が直撃してね、散らばった隕石の欠片が当たって幸運にもハイジャック犯が死んじゃったのさ! おかげで狛枝クンは助かって、おまけに両親の遺した遺産を手に入れる事ができたんだけどね。 ね、「不運」で「幸運」でしょ? でもさ、この話で一番「不運」だったのは誰だと思う? 一緒に乗ってた乗客に決まってるじゃない! 殺されちゃったんだからさ! おまけにもう少し隕石が降って来るのが早ければ、生き残れたかもしれないんだよ? こりゃあもう不運も不運だよね! もう一つ話をしようか。 両親の遺した遺産のおかげで、狛枝クンは幼くしてかなりの資産家になったんだ。 当然狙われちゃうよね。 小学五年生の時、狛枝クンは不幸にも誘拐されちゃったんだよ。 それでさ、誘拐犯は狛枝クンをゴミ袋の中に押し込んだんだよね。 犯人からしたら隠してるつもりだったのかな? まあ、結局警察に捕まって無駄な努力に終わっちゃったんだけどね! そういう訳で狛枝クンは救出されたんだけど、詰め込まれたゴミ袋の中ですごい物を見つけたんだよ。 なんだと思う? 宝くじの当たり券さ! それも、3億円! すごい金額だよね! ま、ボクは100億円ポンと出せるけどね! これで狛枝クンはまた莫大なお金を手に入れた訳だけど、この話で不幸だったのは誰だと思う? 誘拐された狛枝クン? 捕まった誘拐犯? いやいや、そんなワケないよね! 「3億円の当たりくじを捨てちゃった人」だよ! 何が起こったのか知らないけど、当たりくじを捨てたりしなければ3億円はソイツの手に渡った筈なんだから! ここまで言えばわかるよね? 狛枝クンの「超高校級の幸運」は――周囲を思い切り巻き込むのさ。 巻き込むだけ巻き込んで、幸運の恩恵を受けるのは彼一人だけ。 幸運っていうのは世界には限られてるんだってよくわかるよね! それでさ、有富クン。 この話を聞いても狛枝クンを実験に参加させるつもり? 「不運」と「幸運」で周囲を巻き込む狛枝クン。 そんな彼を、「ヒグマの跋扈する島に放り込まれて殺し合いを強要される」なんて不運に巻き込んだら……。 揺り返しの幸運、そして彼自身の不運が…… この「実験」そのものを巻き込んでしまうかもしれないよ? ◆ 「HIGUMA」の遺伝子を取り込み究極羆生命体と化した男、カーズ。 彼との戦いの直後。 カズマと杏子は、ビルの壁によりかかり一息を吐いていた。 如何にアルター使いとしての新たな段階への覚醒に至ったと言えど、カズマのダメージと疲労は軽視していいものではない。 休息が必要だ、という事実はカズマも杏子も理解している。 「……流石に疲れた。 おい杏子、ちょっと休まねぇか」 「あたしも賛成だ。 道のど真ん中に座り込む訳にもいかねーし、近くのビルで休もう。 置いてきたほむらみてーな奴の様子も見ておかねーと……」 カズマの提案に杏子が賛成し、二人は道を引き返そうと踵を返す。 ――タイミングが悪かった、と言う他ない。 カーズと戦っている最中ならば、戦闘に研ぎ澄まされた神経がそれを察知できた。 そうでなくても、戦いの余波がそれを寄せ付けなかった。 逆にもう少し後ならば、緩んだ神経を再度張り詰めさせることができていた。 戦闘が終わり、周囲の危険もなく、警戒の糸が丁度緩まり切った瞬間。 そんな最悪のタイミングで。 轟音と共に、カズマと杏子は蒼の波に飲まれた。 ◆ 「……まさか津波とは。 誰かはわかりませんが、派手な事をやる物です。 ですが、これは少々困りましたね」 カーズに襲われた黒騎れいが屋上へ逃げ込み、そのまま気を失ったビル。 彼女の倒れ込む屋上の床を見下ろすように、カラスは屋上の手摺に止まっていた。 眼下に見える街並みは、建造物を残して海の中へ沈んでしまっている。 カーズの肉片を体内へ呑み込み、屋上へ戻って来たカラスが見たのは完全に気を失っているれいの姿だった。 止血は見たところ終わらせてあったが、ヒグマや他の参加者が歩く場所で倒れているのは危険だし、何より彼女にはもっと働いてもらう必要がある。 声をかけるかつつくなりして起こそうと考えた次の瞬間、この津波が街を襲っていた。 「この分では、おそらく都市部だけではなく島全体が沈んでしまっているでしょう。 れいを動かすのも難しいですね」 もちろん今までに見せたように、れいにはワイヤーを使っての立体的な移動ができる。 それを利用すればビルの屋上伝いに移動する事は不可能ではないが、逆に言えば市街地から出ていけないという事でもある。 そもそも思いっきり津波が流れてる状況でゲームが成立するかと言われると凄く怪しい。 「仕方ありませんね……れいはこのまま寝かせましょう。 あの男女も流されたようですし、今はできる事もない」 起こしたところで出来る事がない以上、無理をさせるよりは多少休ませておいた方が今後には響かないだろう。 自分が他の場所の様子を見て来る事も考えたが、気絶したれいを放置するのは危険だと思い直す。 まさか島が沈んだままという事もないだろう、動くのは波が引いてからでもいい。 判断を決めたカラスは、周囲の様子に気を配りつつ、次の思考へ―― 「……む?」 視界の中で何かが輝いた気がして、カラスは目を瞬かせた。 都市から流れ出した金属物の反射光……という訳ではない気がする。 もっと強い輝き――そう、先程究極生物を名乗った男と戦っていた男の放っていたような―― 「……まさか」 ◆ 少し時間を戻す。 海へと沈んだ街並みの上を、モーターボートが走っていた。 操縦席に座っているのは、温泉で巴マミらから逃げだした狛枝凪斗である。 「いきなり津波に飲まれるなんてビックリだよ。 流石に人生でも初めての経験だね。 ま、でも偶然水上に浮いてたモーターボートにしがみつけたのは助かったかな?」 津波に襲われるという『不幸』に襲われながらも、モーターボートを見つけるという『幸運』で難を逃れた狛枝。 津波に飲まれた為、体は上から下までずぶ濡れになっているが――彼の眼からは、焔は消えていなかった。 『希望』という名の焔。 彼はそれを信じ、そして新たな希望を探して海上をモーターボートで走る。 ちなみに今彼が乗っているモーターボートは、デビルヒグマに殺された不動明に支給されていた物がディパックから津波で零れ出した物である。 彼が殺そうとしたデビルヒグマが間接的に彼の命を救った事になる訳だが、そこは彼にとっては関係のない事だった。 (流石にこの有様じゃ人間どころかヒグマさえ影も形も見えないね。 闇雲に海面を走るよりも、どこかで引き潮を待った方がいいかな。 市街地のビルは沈んでないみたいだし、非常階段にでもボートを乗りつけて屋上で休憩しよう) 少しの間モーターボートを走らせたが、変わった物はほとんど見つからない。 焦れた狛枝が方針を切り替え、一旦津波をやり過ごそうとした時。 海面に、何かが浮かんでいるのが目に留まった。 (……封筒?) ただのゴミ。 そう判断する事もできる筈だが、やけに気にかかる。 中身を確認しなければならない、という、確信にも似た直感。 (あるいは、これも幸運の内なのかな……?) それに突き動かされた狛枝は、モーターボートを停めると水面に浮いている封筒を拾い上げる。 茶封筒の表面に書かれていたのは、『参加者各位』の文字。 (……) 濡れてくっついた紙に難儀しながら、半ば破るように封筒の口を開く。 中に入っていたのは――、一枚の便箋と、3つのアンプルだった。 躊躇無く便箋を開き、中身を確認する。 上から下まで目を通すと――狛枝は、確かな笑みを作った。 『参加者各位 以下に 主催本拠地への経路を図示する なお首輪は オーバーボディやアルミフォイル等により 電波を遮断することで エリア外に移動した際の爆発を 一時的に防止することができる 準備一切 整えて 来られたし』 「やっぱり、ボクはツイてるみたいだね……」 封筒に入っていた一枚の手紙。 それは(おそらく主催者に近しい人物からの)招待状であった。 一見罠の可能性が強い手紙。 けれど狛枝は、これを疑わない。 (主催者の目的がボク達にコロシアイをさせる事なら、こんな手紙をわざわざ書いて罠にかける意味はないし……。 何より、これがボクの『幸運』の導きだって言うのなら乗るしかないよね) 自らの推測。 そして「自らの唯一の才能」である幸運を信じる彼にとって、この程度の賭けは賭けですらない。 もし賭けに負けたのならば、それは彼の才能がその程度だったという事。 それが、彼の有する「才能」を史上とする価値観だった。 (問題は、どうやってこの経路が示す場所……つまり地下に行くかかな。 今のところ地上は完全に海に沈んでるし……引き潮が来るまで待つしかないかな? ……この津波、まさか引かないなんて言わないよね?) 手紙の内容は全面的に信用する事にした狛枝だが、今のところ本拠地への道であるマンホールは海に沈んでいた。 そもそも、狛枝一人で本拠地に行くのは幸運や不運を通り越して蛮勇だと思う。 となればやはり、どこかで津波が引くのを待つか、モーターボートを使って人を探すかのどちらかだが――。 (……ん?) どちらを選ぶかを考えていた狛枝の目に、ある物が飛び込んで来た。 それは、地上にもう一つ太陽が現れたかを思わせる、光。 ◆ 「――もっとだッ! もっと輝けぇぇぇぇェッ!」 「……お、おい、カズマっ!」 「しっかり掴まってろ、杏子ッ! このままぶち抜くッ!」 カズマの腕に発現したアルター――シェルブリットが光る。 海を割り、海を食い、海を突き進む。 「無茶すんな! さっきから無理しっぱなしだろうが!」 「無茶も無理もねぇ! 俺の前に立ち塞がるなら――吹っ飛ばすッ!」 腰にしがみつく杏子の声を後ろに流し。 前へと。 前へと。 突き抜け。 切り開き。 突破する。 まるで海を割り新天地へ進んだ聖者のように。 そして―― コンクリートのビルへ激突した。 ◆ 「……っ!?」 ビルを揺るがす轟音に、黒騎れいは目を覚ました。 体を勢い良く起こしながら記憶を探る。 顔を巡らせ状況を確認。 (そう、だ……私はあの男に襲われて……) ヒグマなのかさえも定かではない、肉体変化の能力を持つ男の姿は周囲にはない。 いやそれどころか。 (……街が沈んでる……!?) 見渡す限りの海。 そして波間から姿を見せるビル。 れいが意識を失う前からは変わり果てた光景。 「れい、落ち着きなさい。 先程下の階に参加者が突っ込みました。 すぐに階段を登ってここまで来るでしょう。 対処を」 聞きなれたカラスの声が耳に飛び込む。 (そうだ……下手に参加者に接触する訳にはいかない。 他のビルにワイヤーで跳び移れば……) ――飛び移れば? だからなんだ? 逃げる? 何故? 逃げてどうする? (またゲームのジョーカーとしてヒグマを進化させて、参加者を殺す?) 自分にそんな資格があるのか? 誰かを蹴落として願いを叶える資格が? 自分の為に誰かを不幸にする資格が? そんなものはないのではないか? ならば諦めるのか? 自分の世界を見捨てて? 彼女の思考はぐるぐると回り――答えを出す事ができなかった。 思考の袋小路を何度も行き来する。 その内に、 「おい、何やってんのアンタ」 ◆ 声と共に肩を掴まれ、れいは無理矢理振り向かされた。 視線の先に現れたのは、先程れいを助けた少女だ。 「大したことなさそうなのは良かったけどさ、そんな風に呆けてるのはよくないんじゃないの。 また変なヒグマが出てくるかもしれないんだし」 心配するような――あるいは呆れたような視線を向けて来る少女の向こうには、あぐらを掻いて座る男性も見える。 (……さっきカラスが言っていた参加者ね。 失敗だったわ……。 これからを考えるにしても、ここを離れてからでよかったのに) そのカラスは近くにはいない。 怪しまれないように、どこかへ隠れているのかもしれないが――。 これからどうするべきか。 れいにはその答えが出せない。 答えが出せないから、参加者に対してどう接触すべきかも決めかねる。 (……どういう道をとるにしろ、無駄に不審がらせる事もない。 接触してしまった以上、穏便に、経緯についてはある程度誤魔化すしかないわね) 「……おい? まさか口が聞けなくなったって訳じゃないんだろ?」 「……ごめんなさい、ちょっと考え事をしていたから。 そうでなくても、いきなりこんな事が起きて混乱していたし」 続けて声をかけてくる少女に答えを返す。 上手く誤魔化せたかはわからないが、今はこれ以上追及される事はなさそうだ。 「さっきは助けてくれてありがとう。 ……私は黒騎れい。 あなた達は?」 「……あたしは佐倉杏子。 こっちはカ「カズマだ」 ……そう、カズマ。 しかし、あんたも災難だね。 二度も訳わかんないのに遭遇してさ」 訳わかんないの、とは巨大化した穴持たず00と羽根男の事を言っているのだろうか。 片方はれいの行動によるものなのだが、まさかそれを言う訳にもいかないのでうなずいておく。 「……ま、あんたが参ってるのもわかるからさ。 考え事があるならしてて構わないよ。 こっちも疲れてるし、一旦休みたいんだよね」 そう言うと、杏子はカズマと名乗った男性の方に近寄ってから座り込む。 様子からして、疲れているというのは本当らしい。 「……そう。 じゃあ、そうさせてもらう」 期せずしてまた考える時間を与えられてしまった。 どうしたものか。 (……そもそも、この事態は一体どういう事なの?) 多すぎるヒグマ、謎の羽根男、そして津波。 現在この島で起きている事象は、当初有冨に話された『実験』の内容をはるかに逸脱している。 それについての有冨からの連絡もない。 (やはり、実験に何らかのトラブルが起きた……?) 数刻前にカラスに同じ疑問を聞いた時、「有冨にヒグマを制御する度量など無かったのだろう」と言っていた。 ヒグマ達が制御から外れ、脱走や暴走を始めているという可能性は低くない。 最悪の場合、有冨達の生存すら怪しいが―― (……でも、それだけでは説明できない事がある) あの羽根男の事だ。 あの男は穴持たず1――デビルの事を下等生物と呼んだ。 デビルはその番号からもわかるように、ヒグマ達の中でもかなりの古株だ。 その改造の回数も他のヒグマ達とは一線を画すし、その分有冨達の技術の枠も惜しみなくつぎ込まれている。 何かに特化した能力こそ持っていないが、その知性、戦略眼、戦闘力全てが高レベルのヒグマである。 そのデビルを取るに足らない生物と呼んだというのは――いやそもそも、あの男の肉体変化能力はデビルの物よりも更に高レベルだった。 つまり―― (……デビルの肉体変化能力は、あの男を模倣して作られた……?) だとすれば、あの男はデビルよりも古株――そもそも有冨達に作られたヒグマかも怪しい事になる。 更に大きな問題は、「私はそんな男の存在を知らされてはいない」という事だ。 そう――仮にも実験の協力者である私に、そんな重要な存在が、知らされていない。 ここから考えると、もう一つの「最悪の可能性」に行き着く。 (……私は、有冨に騙されているんじゃないの?) 考えられない可能性ではない。 所詮れいは異世界の人間だ。 彼等の身内ではないし、信用されていない可能性だってあった。 いつの間にか、彼等の実験の餌にされている可能性も―― (いや、そう考えてもおかしな点は残る……有冨は私に情報を与え過ぎている。 信用させる為とは言っても、下手をすれば致命的になるはず……) 加えて考えれば、この異常がどう実験に役立つのかがわからない。 津波とかどんなデータを取る実験なんだ。 (……推論は幾つか建てられるけど、どれも推測の域を出ないわね。 やっぱり、一度主催本拠に戻るしかないかしら……?) それをするにしても、今度はカズマと杏子をどうするかという問題がある。 うまく撒ければそれでいいのだが―― 「……なんか聞こえない?」 不意に聞こえた佐倉杏子の言葉に、れいの思考は現実へと戻った。 言われて周囲に耳を傾けてみれば、確かにモーター音らしき音が―― (……モーター音?) 弾かれたように立ち上がり、手摺まで駆け寄る。 目に映る海の上には、波紋を描きながら走るモーターボートの姿が確かにあった。 (……あんなのを支給された参加者もいたのね) このような事態にならなかった場合どう使わせるつもりだったのか有冨に問い質したいが、それはそれとしてあれに乗っているのも参加者だろう。 ヒグマならばモーターボートなど使わずとも自力で泳げる筈だ、とれいは判断する。 ――同じ頃、サーフィンをするヒグマが現れていたのは彼女が知る由もない。 「……そこのモーターボート! ちょっと停まって、こちらの話を聞きなさい!」 モーター音にも負けない音量でれいが声をかける。 声が届いたのかモーターボートは一度停止し、操縦席に座っていた人間がこちらへ顔を向けた。 「良かった、こっちで合ってたみたいだね。 ……さっきの光って、キミが出したの?」 ◆ 「ボクは狛枝凪斗。 よろしくね」 ビルに空いた穴から内部に侵入し、階段を登って屋上までやって来た狛枝は、屋上にいた三人に自己紹介していた。 礼儀正しい挨拶に三人も自己紹介を返す。 「……さっきの光って、何の事かしら?」 情報交換もそこそこに、れいが狛枝に聞く。 自らの事情を聞かれたくないれいにとって話題を自分から逸らす目的もあるが、単純に気にもなっていた。 遠くからやって来た人間に見える程強烈な光ならば他の参加者やヒグマに気付かれる可能性もあるし、そもそもそのような光を出せる存在には注意を払わなければならない。 「……気付かなかったの? さっき突然強烈な光が、このビルに突っ込んだように見えたんだけど」 (……カラスが言っていた、『下の階に参加者が突っ込んだ』時の光? 私が起きた音もそれが原因かしら……つまり) 「……それをやったのはあたし達だよ。 っていうか、こっちのカズマ」 杏子が隣に座るカズマを指差す。 指された当の本人は、気にした様子もなく「大した事じゃねぇ」と返したのみだったが―― 「素晴らしいよ! もしかしたら、君が希望なのかもしれないね!」 狛枝は目を輝かせてカズマを賞賛した。 その瞳は爛々と輝き、喜色を顔に浮かべている。 「希望ってのはどういう事だ。 オレはお前の希望になんてなった覚えはねーぞ」 「違う違う。 ボクだけじゃなくて、もっと絶対的な……そう、世界にとっての希望って言い換えてもいいかな」 「どっちにしろ同じだ。 そういうものを他人に頼るんじゃねーよ」 「頼るんでもないんだけどな……」 その狛枝を無碍にあしらうカズマだが、狛枝には改める様子もない。 (一般人さんとかなら、そーいうのを見た時にはしゃぐとか驚くとかしても無理はないけど。 ……なんかコイツ、度を越してない?) 「おっと、ごめんごめん。 ちょっと熱が入っちゃったね。 お詫びと言ってはなんだけど、ここに来る前にいいものを拾ったんだ。 ちょっと見てみてよ」 そんな様子を怪訝に見つめる杏子に気がついたのか、狛枝は一旦姿勢を直すと自らのディパックに手をかけた。 「……!」 ディパックから取り出されたそれを目にしたれいが、その場にいた三人を手で制する。 そして自らのディパックから筆記用具を取り出すと、メモ用紙に急いで書いた内容を三人に見せた。 “首輪から盗聴されている可能性がある それについては筆談で話して” 「確かに面白いけれど、今役立ちそうには見えないわ。 ……一応あなたが管理していて。 使う事もあるかもしれないし」 「そっか、残念だよ。 仕方ないから、これはしまっておくね」 続けてれいは『首輪の先にいるもの』を誤魔化す為の言葉を発する。 狛枝もその意を汲み取り、れいの発言に乗りながらディパックから筆記用具を取り出した。 欺瞞の為の雑談を続けながら、茶封筒の中身を確認する。 (……危ないわね) ――盗聴の可能性がある、とれいは表現したが、実際はれいは盗聴が行われている事は知っていた。 事前に有冨から首輪の構造を聞かされた際に覚えていたのが功を奏した。 (……でも、なんでこんな物が会場に落ちているの? まさか、本当にSTUDYに何かが起きた……?) 茶封筒に書かれている『参加者各位』の文字。 あれは布束博士の筆跡だ。 彼女がこの実験について否定的な意見を示していたのは知っているが、このような形で参加者に接触を取ろうとするというのは違和感を覚える。 STUDY内で何らかの事故が起きた可能性も、否定はできない。 “こいつはマジなのか?” “本当だと思うよ。 こんな嘘を吐いて主催がボクらを騙す必要がない” “私もそれには賛成するわ” 茶封筒の内容を確認した杏子が、筆談で質問する。 狛枝とれいは、それを肯定した。 “どっちにしろ、それを確認するのは波が引いてからになるだろうけどね。 モーターボートも4人を乗せるには小さすぎるし、アルミホイルかオーバーボディを探さないといけないからさ” 筆談を終える。 狛枝の書いた通り、津波が引いた後に市街地でアルミホイルかオーバーボディを探すのが今後の行動方針だ。 現状の方針を決めかねていたれいとしても、布束博士に手紙の真意を聞いて現状を把握する必要があると考えた為同行する。 茶封筒に同封されていた麻酔針は、2本が狛枝、1本をれいが持つ事にした。 「……そうだ。 それと、もう一つ注意しておきたい事があるんだ」 それから少しした後。 またも狛枝が口火を切った。 “これは筆談する必要はないよ”と前置きして、 「津波の起きる前に、主催者側らしい集団を発見したんだよ」 そう言った。 ◆ 狛枝の説明は端的にはこういう事だった。 《ここから南の温泉地帯にある集団がいる。 その一団はヒグマを連れていて、拘束や戦闘もしていない。 ヒグマに命令できる主催者側の人間の可能性がある》 その内容に、明らかな矛盾点はない。 ないが―― 「おい」 杏子が、狛枝を鋭く睨む。 「アンタ、嘘を吐いちゃいないだろうね?」 「ウソ? ……なんでボクが嘘なんて吐かなきゃいけないのさ」 「確かにそうだけどさ。 ……アンタの言ってる奴に、アタシは心当たりがあるんだよ。 そいつがあたしの知ってる奴なら、アンタの言ってるように主催者の手先になんてなる訳がねー」 狛枝の言う“主催者側らしき人間”の一人に、杏子は心当たりがあった。 巴マミ。 杏子の先輩魔法少女であり――一時、杏子の「師匠」だった少女。 あの「甘ちゃん」が、こんな殺し合いに加担するような事がある訳が無い。 だから、こいつの発言には嘘がある。 そう杏子は思った。 (……主催者側の人間だからと言って、無条件にヒグマに言う事を聞かせられる? そんな事はない。 そもそも、STUDYにわざわざ外に出てくるような理由はない筈だし、出てこれるような人員もいない筈) 主催者側からのジョーカーであるれいは、ヒグマについてよく知っている。 彼らは誇り高い。 そりゃまあ研究員達に普通に従うヒグマもいるが、それでもその心の中には誇りを持っているヒグマが多数だ。 そもそも先刻自分を襲ったヒグマン子爵のように、研究員の言など聞かないヒグマもいる。 そのヒグマ達が、血沸き肉躍る殺し合いの会場で大人しく他人の命令に従うだろうか? 研究員達にしたって、研究所の中でデータ取りをやる人種であって、危険な会場に出てこれるような人間でもない。 だから、彼の発言には嘘がある可能性がある。 口に出せば身元を明かしてしまうようなものだから発言はできなかったが、そうれいは思った。 「……さっきから思ってたんだけどよ。 お前の発言は胡散臭ぇな」 カズマには杏子やれいのような知識はない。 だが、感覚的に狛枝を胡散臭いと思った。 それに根拠はない。 直感だ。 だが、彼にとっては直感は信じるに足るものだ。 だから、こいつは信用できねぇ。 そうカズマは確信する。 三者三様の理由で、彼らは狛枝凪斗を怪しむ。 けれど、狛枝凪斗も確信させるには至らせない。 「……その子が本当に佐倉さんの知り合いだって言うのなら、もしかしたら騙されてるのかもしれないよ? こんな状況だし、優しく接されたら騙されてしまう可能性もあるかもしれない」 「……それは、あるかもしれねーけど」 「それに、ボクがキミ達を騙して何の得があるんだい? 同じ参加者同士だって言うのに……信用されるに足るものは、ちゃんと見せたつもりだけどな。 ……ボクは、キミ達の希望が見たいだけなんだよ」 そう。 三人から見た、狛枝が三人を騙すメリットが見えない。 確かにこの会場で起きているのは、元々は参加者同士の殺し合いだった筈である。 ただ、ヒグマの脅威はそれを更に上回るし、何より狛枝が三人を騙すつもりなら例の茶封筒を見せる必要がない。 茶封筒を見せた事により、4人のこれからの行動は「地下の本拠地へ向かう」に一致している。 そこから『主催者側の集団』の話をしたところで、せいぜい『そんな風貌の連中に気を付ける』程度だ。 茶封筒も狛枝の罠、という可能性もなくはないが、それにしたってすぐにバレる嘘である。 (ついでに言えば、れいはこれは嘘ではないと知っている) 要するに、『狛枝の目的が掴めない』のだ。 更に言えば、れいと杏子の二人には疑念を確信できないだけの理由もある。 (……確かに、マミの性格だと騙されてる可能性も否定はできないけどさ) 杏子の知る巴マミは、戦闘センスや直感、戦闘力においては有能だったが、反面お人好しの平和ボケだった。 何か人情話を聞かされて騙されている可能性はなくはない。 ゆえに、確信まで至れない。 (……STUDYが私に何かを隠している可能性は、確かにある) 直前までれいが思考していた疑念。 それが、れいの思考を鈍らせる。 STUDYが教えたのは本当にヒグマや研究員の全てなのか? 騙され、利用されようとしているのではないのか? ゆえに、確信までは至れない。 疑念と戸惑いの上に成り立つ、束の間の休息。 戸惑わず、テーブルの上に残ったのは直感と己の信念に生きる一人の男だけだった。 【F-5/市街地/午前】 【カズマ@スクライド】 状態 石と意思と杏子との共鳴による究極のアルター、ダメージ(大)(簡易的な手当てはしてあります) 装備 なし 道具 基本支給品、ランダム支給品×0~1、エイジャの赤石@ジョジョの奇妙な冒険 基本思考 主催者をボコって劉鳳と決着を。 1 『死』ぬのは怖くねぇ。だが、それが突破すべき壁なら、迷わず突き進む。 2 今度熊を見つけたら必ずボコす。 3 波が引いたら、主催者共の本拠地に乗り込んでやる。 4 狛枝は信用できねえ。 [備考] ※参戦時期は最終回で夢を見ている時期 【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】 状態 石と意思の共鳴による究極の魔法少女 装備 ソウルジェム(濁り中) 道具 基本支給品、ランダム支給品×0~1 基本思考 元の場所へ帰る――主催者をボコってから。 1 たとえ『死』の陰の谷を歩むとも、あたしは『絶望』を恐れない。 2 カズマと共に怪しい奴をボコす。 3 あたしは父さんのためにも、もう一度『希望』の道で『進化』していくよ。 4 狛枝はあまり信用したくない。 けれど、否定する理由もない。 5 マミがこの島にいるのか? いるなら騙されてるのか? [備考] ※参戦時期は本編世界改変後以降。もしかしたら叛逆の可能性も……? ※幻惑魔法の使用を解禁しました。 ※この調子でもっと人数を増やせば、ロッソ・ファンタズマは無敵の魔法技になるわ! 【黒騎れい@ビビッドレッド・オペレーション】 状態 全身に多数の咬傷、軽度の出血性ショック(止血済)、制服がかなり破れている 装備 光の矢(6/8)、カラス@ビビッドレッド・オペレーション 道具 基本支給品、ワイヤーアンカー@ビビッドレッド・オペレーション、ランダム支給品0~1 、HIGUMA特異的吸収性麻酔針×1本 基本思考 ゲームを成立させて元の世界を取り戻す 0 他の人を犠牲にして、私一人が望みを叶えて、本当にいいの? 1 ヒグマを陰でサポートして、人を殺させて、いいの? 2 今は3人について、本拠地を目指す。 決めるのは、それから。 3 狛枝凪斗は信用していいの? 4 そもそも、有冨春樹を信用していいの? [備考] ※アローンを強化する光の矢をヒグマに当てると野生化させたり魔改造したり出来るようです ※ジョーカーですが、有富が死んだことは知りません ※カラスが現在何をしているかは後続に任せます。 【狛枝凪斗@スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園】 [状態]:右肩に掠り傷 [装備]:リボルバー拳銃(4/6)@スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園 [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、研究所への経路を記載した便箋、HIGUMA特異的吸収性麻酔針×2本 [思考・状況] 基本行動方針:『希望』 0 カズマクン……キミがこの島の希望なのかな? 1 津波が引いたら、アルミホイルかオーバーボディを探してから島の地下に降りる。 2 出会った人間にマミ達に関する悪評をばら撒き、打倒する為の協力者を作る。 3 球磨川は必ず殺す。 4 モノクマも必ず倒す。 No.116 水嶋水獣 本編SS目次・投下順 No.118 邂逅 本編SS目次・時系列順 No.100 死のない男 カズマ No.134 進化の果て 佐倉杏子 黒騎れい No.107 CVが同じなら仲良くできるという幻想 狛枝凪斗
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狛枝凪斗&セイバー◆A23CJmo9LE 青い空に白い雲、青い海に白い波。これぞまさに南の島!という楽園のような光景が広がっている。 ここは世界的なリゾート地、ジャバウォック島。ウサミというぬいぐるみ?に突然連れてこられて参加者同士絆を深めろという企画……どっきどき修学旅行。 船も飛行機も迎えも連絡手段もなく、生活に必要な物資はあるけど……殆ど娯楽のないこの島で数少ない楽しみといえば 「お、育ちきったね。今回は……ゴリミかぁ」 歩数に応じて成長する電子ペットと 「それじゃあ回してみようか」 育てたペットの種類に応じて手に入るメダルで回せるガチャガチャ、モノモノヤシーンくらい。さて、今回は何が出るか…… 「あれ、これは初めて見るな」 出てきたのは赤いカード。用途もわからぬものが出てきて、どうせならもっと強い希望を感じさせてくれる物がよかった、などと考えていると 「……カードが、光っ――――?」 「狛枝のアバタ―が消失した?おいどういうことだ説明しろ苗木」 「モノモノヤシーンをやっていたところまではログが残っているけど……どうなったかわかる?アルターエゴ」 「えっと、モノモノヤシーンで引いた端末を操作して偶然どこかにハッキングしちゃったみたい……そんなもの入っているはずないし、ジャバウォック島の外に回線は繋がってないはずなのに……どこに行ったかはわからないや……ごめんねぇ」 「聖杯戦争、ねぇ」 わけのわからないところに飛ばされて意味不明な説明を受ける。あの天城という男もウサミの仲間なのかと最初は思ったが、どうやら別の催しに巻き込まれてしまったらしいことが新たに埋め込まれた知識でわかる。 そのルールの一つ、刻まれ始めた令呪を眺め一人ごちる。 「しかしこのデザインはいただけないなぁ」 左手の甲に描かれた666という三画の文字……獣の数字、悪魔の暗示。 「まるでボクの左手が絶望を宿しているみたいじゃないか」 いくらボクが劣等生でも絶望呼ばわりは勘弁してほしいなぁ、などとぼやいていると 「お前が我がマスターか。ひとまず最低限の魔力はあるようだな。私はセイバー、名を聞こうか、マスターよ」 現れる白銀の肉体に角の生えたマスクをした大男。この戦場のルールの真骨頂、一蓮托生のパートナーとの初邂逅だ。 「よろしく、ボクは狛枝凪斗だよ。幸運には自信があるけど、それ以外は誇るようなものは何もないゴミクズだよ?魔力なんて……ところでキミは英霊としてどんな才能を持っているの?」 超高校級をも超えうる伝説の英霊。マスターとしての眼力で垣間見えるスキル、そして宝具、才覚に胸躍らせる狛枝凪斗。一方、マスターの自虐を謙遜ととらえたか、問いに答えるセイバー。 「手の内はいずれ戦闘で見せるが、リングとその上で闘う技こそが全てだ。素性を言うなら超人、お前たち人間とは異なる種族……そのなかでも悪魔超人と呼ばれる一派の首領が私だ。名をゴールドマン、もしくは悪魔将軍」 「超…人?人を超えた存在……悪魔……いうなれば超人級の絶望か……」 希望を信じる彼に悪魔なる存在は受け入れがたいものだったか。いや…… 「すばらしいよ!!」 感嘆の声を上げる希望厨。死んだ異教徒はいい異教徒らしい。 「ボクは希望を信じている。最後には希望が勝つ!そう確信しているんだ!現にキミが今こうして英霊としているということは、超人級の絶望と言えど希望に敗れたってことでしょ?」 「確かに私は正義超人に破れている。しかし敗れようと屈しないのが超人というものだ」 「へーえ、察するところ聖杯には復活を願うのかな?」 「聖杯などに頼るつもりはない。手にすれば願いがかなう願望器……そんな物の存在は生きとし生けるものの繁栄において邪魔でしかない。自らを高めることを怠る存在に未来はない。怠惰、それを誘発する聖杯、偽りの希望などこの手で破壊するのみ」 「つまり、他の参加者と協力してあの天城という男に反抗すると?」 「協力者など不要。あくまで聖杯を手にし、そのうえで破壊するつもりだ」 技能、願い、方針、サーヴァントのそれらを聞き届けたマスターは…… 「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは! 超人級の英雄が力を合わせて悪魔という絶望に立ち向かう!ああ、なんて素晴らしくて美しいんだろうね!」」 高らかに笑う。その目に宿るは狂喜、狂気、正気、瘴気。己がサーヴァントの信念に触れ、その絶望的な希望に歓喜する。 「キミはとても優れたサーヴァントだね。最優のクラス、セイバーであるのに加えて自らの有利なフィールドに敵を無理やり引きずりこむことが出来る。魔力消費もボクのような劣悪なマスターでも十分なくらい扱いやすいみたいだ。英雄としての誇りもある。そんなキミが聖杯の前に立ちはだかるなんて本当に絶望的だよね……。だからこそ、希望の象徴と言える超人級の英雄が聖杯をとるための踏み台に相応しいとも言える」 己が敗北の可能性を語られようと白銀の悪魔は余裕を崩さない。むしろ目の前の男を試すように語りかける。 「踏み台、か。お前自身は聖杯を求めないと?それだけ希望を求めるというのに。ましてや正統なる英雄が悪魔に敗れるのも、私が敗れお前が消えても構わないというのか?」 「それなら仕方ないよ。なにせボクは決定的に最低で最悪で愚かで劣悪な何をやってもダメな人間なんだ。敗退するのは仕方ないし、所詮、ボクらという踏み台を乗り越えられない程度でしかない英霊なんて希望足り得なかったということなんじゃあないかな?ボクらが手にできるということは、キミの言う通り聖杯は偽りの希望でしかないんだろうね。そんなものに興味はない。破壊されたところでなんということはないね」 自己犠牲はおろか他者の命すらなんということはないと語る。希望のためならいかな生贄でも捧げるといわんばかりだ。 「正義の味方の活躍には悪役が欠かせない、そして勝者こそが正義、というわけか。その歪み、なかなかの悪魔の才覚だ。運が良かったな、マスター。この時点で揉めていれば私はお前を殺していたぞ?」 「言ったでしょ?幸運には自信があるんだ。なにせボクは超高校級の幸運だからね」 彼がこの地を訪れたのは幸運なのか、不運なのか。それはきっと幸運の女神のみぞ知る…… 【クラス】セイバー 【真名】ゴールドマン(悪魔将軍)@キン肉マン 【パラメータ】筋力B 耐久E+++ 敏捷C 魔力E 幸運C+ 宝具EX 【属性】混沌・悪 【クラス別スキル】 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。悪魔サタンや完璧超人始祖と深いつながりを持ち、自身も悪魔霊術という特異な呪術の使い手であるため、魔なる者には強い耐性を持つ。 ただし悪性のものであり、また神の加護を捨てているため本来のものより低くなっている。 騎乗:C+ 騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、野獣ランクの獣は乗りこなせない。ただし悪魔に類する魔獣ならば乗りこなせることもある。 【保有スキル】 恐怖の将:B+ 対峙するものに恐怖を抱かせ、敏捷をワンランク低下させる。またファンブル率を上昇させる精神干渉スキル。 属性:悪のものには同ランクのカリスマを、中庸および善のものには同ランクの反骨の相を発揮する特殊スキル。 超人レスリング;A+++ 超人として生まれ持った才覚に加え、たゆまぬ鍛練と実践経験を重ねたリング上で闘う格闘技能。Aランクでようやく一人前と言えるスキルでありA+++ランクともなれば宇宙でも指折りの達人の域。 リングの上では全ステータスがワンランク向上し、スキル:戦闘続行を得る。 魔術:E- 悪魔霊術という特異な呪術様式。将軍復活、地獄のキャンバス、ブラックウィザードなど様々な呪いを習得していたが、セイバークラスで現界しているため最低限しか扱えない。せいぜいNPCや霊地から効率よく魔力を奪える程度である。 神性:- 神霊適性を持つかどうか。高いほどより物質的な神霊との混血とされる。超人の神に最初に同朋として選ばれ、その力の一部を分け与えられたゴールドマンは高位の神性を持つのだが、彼自身が神を嫌い、悪魔に身を落としたためこのスキルは失われている。 【宝具】 『金剛よりも固きもの、金剛よりも砕けぬもの(ダイアモンドオアスネークボディ)』 ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人 肉体の超人硬度を0~10まで自在に変える。超人硬度10のダイアモンドボディならサファイアの鎧も容易く切り裂き、あらゆる打撃をはじく。硬度0のスネークボディなら頭さえ通るならどんな隙間も抜ける軟体となり、どんなサブミッションも効かない。 またスネークボディになり体の組成を組み替えることで物理的なダメージはリセットすることも出来る。 この宝具によりステータスの耐久値を自在に変換でき、耐久を低下させることで魔力消費を大きく抑えることが出来る。 『地獄の断頭台』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 ゴールドマンがセイバーとして呼びだされた所以であり、悪魔超人界最強にして最恐の刃と言える彼のフェイバリット。 スピン・ダブルアームで相手が垂直になったところ上空に投げ飛ばし、逆さになった相手の首にダイアモンドボディとなった自分の膝を落とし、そのままリングに叩き付ける技。この技を止めるにはダイアモンドボディとなったゴールドマンを上回る神秘に加え、彼とわたり合える格闘技能が必要となる。 この技を受けたものはスキル:恐怖の将による影響をより強く受け、ファンブル率が大きく上昇する。 『正義と悪魔の決戦の地(ジェネラル・パラスト・デスマッチ』 ランク:B 種別:対陣宝具 レンジ:0~10 最大捕捉:15人、NPCのみ上限なし 生前に考案したリング、ジェネラル・パラストを魔力によって形成・再現する固有結界とは似て非なる大魔術。リング上の赤コーナーにゴールドマン、青コーナーに敵サーヴァントを置き、各々のマスターはセコンドコーナーに配置される。セコンドコーナーにはリング上からの攻撃は結界により基本的に通らず、例外としてリングコーナーの鉄柱を投げつけるなどリング上の設備を利用した攻撃のみが可能である。ただし外部からリング上への攻撃および乱入に制限はない。 最大で3対3の変則タッグマッチ、6人参加のバトルロイヤルまでが可能である。この場合リング外にいるサーヴァントもセコンドコーナーには攻撃できない。 闘う者以外にレフェリーと実況、解説を1人ずつ固有結界内に取り込むことも可能。このポジションは捕捉範囲内のマスターやサーヴァントはもちろん、会場内のNPCをランダムに連れ込んだりすることも可能。またパラストによっては観客席が存在するものがありNPCをそこに大量に連れてくることも可能。NPCは宝具の射程に依存せず、どこからでも連れてこられる。 レフェリーや観客を守る結界などはないが、リング上では精神干渉の効果があり何となく攻撃しちゃいけない雰囲気になる。この精神干渉に抵抗するには精神系スキルではなくルールを無視できる悪辣さが必要になる。 なお各ジェネラル・パラストは出入り口が存在し、属性が混沌または悪の者ならばパラストへの侵入も脱出も自由。ただしパラストの鍵を使えば誰でも通行可能になる。現実世界での出入り口はゴールドマンが結界を発動したところにどこでもドアのように扉だけポツンとある。 なお逃亡したものはスキル:恐怖の将の影響を今後強く受け、ファンブル率が大きく上昇する。 決着のゴングが鳴り響いた場合サーヴァントの生死を問わず解除される。 パラストの外にモニターのようなものを表示し、中での闘いを外に知らしめることも可能。 再現できるパラストは以下の通り。 〈悪魔の涙(ジェネラル・ラクリマ)〉 満天の星空の下にリングがある。特に仕掛けはない。出入り口は青コーナー後方。 〈悪魔の尊顔(ジェネラル・フェイス)〉 海上の孤島に存在するリング。リングの外で水上戦、水中戦が可能。泳いで島から離れる事ことで脱出可能だが、ある程度進むとゲートバリアーにより先述の条件を満たす者以外通れない。 〈悪魔の脚部(ジェネラル・フット)〉 多数の階段を上った先に存在するリング。リング外との高低差を利用した闘いが可能。また魔界の嘘発見器「鬼だしの窯」が設置されており、対戦者以外のものに対し使用可能。階段の一番下が出入り口になっている。 〈悪魔の五角形(ジェネラル・フィンガー)〉 岩盤でできたリングであり、リング上の人数に応じて大きさの違うリングが使用できる。多人数戦ならばこのリングがいいだろう。また観客席の存在するパラストである。リングから離れることで結界からの脱出可能。ただしゲートバリアーは存在する。 〈悪魔の肋骨(ジェネラル・リブ)〉 リング上に肋骨を模した岩のオブジェが存在する。また観客席が存在する。出入り口は青コーナー後方にあるが、船を漕がなければ出られないためある意味最も脱出困難なパラスト。 〈悪魔の胎内(デーモン・ウゥーム)〉 ゴールドマンが殺害してきた超人に加え、これまでに命を落としたNPCおよび参加者が文字通り人柱となった脊柱の上に設置されたリング。脊柱による高低差を利用することも出来るが、脊柱内に囚われた死者たちの断末魔こそがこのリングの真骨頂。ひょっとしたら死した者たちの協力を得ることも出来るかもしれないが……。脊柱を降りて進んだところに出入り口がある。 この宝具の発動及び維持を行っている間はそれに魔力を消耗することはなく、結界が閉じたときに徴収される。そのときにゴールドマンに敗北、または逃亡を行った敵がいる場合その消耗を等分する。 シングルマッチで勝ったなら敵と半分ずつ負担し合い、タッグマッチで勝てば自身と敵二人で三等分することになる。 【weapon】 なし。鍛え上げた自らの肉体のみが超人の武器である。ただしリングの鉄柱やパイプ椅子の使用は超人レスリングではよくあること。 地獄のメリー・ゴーラウンド?あれは技だ。ウォーズマンのベアークローやロビンマスクのアノアロの杖よりは能力っぽいだろう。 【人物背景】 生まれついて卓越した力を持つ種族、超人であり、その中でも悪魔超人と呼ばれる一派の首領にして最強のファイター、悪魔将軍。 その正体は太古の時代、神による超人の大粛清の際に、かつて神だった超人によって救われた十人の「完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)」の一人「完璧・壱式(パーフェクト・ファースト)」である超人、ゴールドマン。しかし完璧超人らは自分たちこそが特別であるという妄想の下で増長し、本来あるべき進化を止めたと考え、決裂。弟のシルバーマンと共に地上に降り立ち、大魔王サタンと手を組み悪魔将軍となった。 正義超人と幾度も争っており、一時的に地球の支配に成功したこともあった。この際に処刑と娯楽を兼ね備えた様々なデスマッチリングを遺跡として残している。 何度目かの争い、正義超人キン肉マンらアイドル超人との闘いに敗れ命を落とすも、キン肉マンをもってしても彼の必殺技は破れず、強烈なトラウマを刻んだ。部下の離反や黄金のマスクの改心などがなければキン肉マンでも勝利は難しかったと考えられる、作中最強の悪行超人候補。 幾度も生と死を繰り返す亡霊超人であるため、一応死んでおり英霊として召喚された。自力で再生はできるため聖杯に復活を願うつもりは微塵もなく、むしろ「願いをかなえてやる」などという傲慢さに完璧超人たちと同じものを感じ、反発している。 【サーヴァントとしての願い、方針】 まやかしの希望など不要。聖杯は破壊する。 ただし正義超人やそれに類する者どもと手を組むつもりは一切ない。気に入ったものは部下にしてやってもよいし、協力も考えるが基本聖杯戦争を勝ち抜くつもりで行く。 【基本戦術、運用法】 出会ったサーヴァントに片っ端から『正義と悪魔の決戦の地(ジェネラル・パラスト・デスマッチ』で超人レスリングを挑む。維持に魔力を消費することはないため縛りなく闘うことが出来る。 リング上ならアサシンやキャスターはまず完封できるだろう。他のクラスは個人差があるだろうが、ステータスでは負けないだろうし、超人レスリングの達人としてうまく観客を味方につけよう。武器を持ってるやつに「空気読めー」と空き缶を投げたり、パラストから逃げようとしてる敵に「空気読め-」とごみを投げたりする原作さながらのマナ悪な観客がいれば精神的に優位に試合を運べるかもしれない。 モニターやパラストのカギは誰かを誘い込んだり決闘を挑んだりするのに使えるだろうが、戦略的にはあまり賢くない。でもこの主従なら使う機会はあるんじゃないかと思う。 消耗を抑えるためリング上での闘いでは敵を消滅させず、試合での勝利を狙い殺害は試合終了後リングの外で行うのが賢明。超人たるものリング上では紳士に振る舞うこともあろう、ただしだからと言って殺さないとは限らないのがこの男の恐ろしいところだが。 ほか二つの宝具、というか技はほぼ魔力消費もなく使えるので普通に戦って普通に使おう。 マスターは魔力供給に関して優秀とは言い難いが、燃費は良く、実力も十分。連戦は厳しいが、敵サーヴァントやNPCを利用して消耗を抑えれば十分に戦える。 【マスターステータス】 【名前】狛枝凪斗@スーパーダンガンロンパ2 【参加方法】 モノモノヤシーンからなぜかテレカが出てきて参戦してしまった。 【マスターとしての願い】 聖杯戦争の過程でより強く輝く希望を見る。聖杯にはあまり興味がないつもり。 【能力・技能】 幸運EX 超高校級の幸運。不運の引き換えに幸運が、幸運の引き換えに不運が訪れるプラマイゼロの幸運。不運が大きいほど幸運も大きなものが訪れる。逆もまたしかり。幸運だが、幸福とは限らない。いつか必ず訪れる揺り戻しは良くも悪くも幸運EX スキル:信仰の加護A+++ 一つの宗教観に殉じた者のみが持つスキル。彼の場合希望への絶対的信仰と、絶望への病的なまでの嫌悪。 加護とはいうが、最高存在からの恩恵はない。あるのは信心から生まれる、自己の精神・肉体の絶対性のみである。……高すぎると、人格に異変をきたす。 自身を幸運以外誇るところのないゴミクズと自虐するが、推理力・洞察力は優れている。 電脳のアバタ―という異常な形での参戦が幸いしてか維持程度の魔力供給は辛うじてできている。原作士郎がアルトリアを従えていた程度の最低限。 テレカでの脱出が出来るかは不明。 【weapon】 なし。しいて言うならゴミクズのような自身の唯一の才能、幸運。 【人物背景】 超高校級の才能の持ち主のみが入学を許可される希望ヶ峰学園に抽選枠である「超高校級の幸運」として招待された少年。これは他の候補生と違い才能が買われたためでなく、完全にランダムの枠に幸運にも選ばれたものである。 性格はのんきでマイペース。驚異的なポジティブシンキングで、どんな状況でも「絶対的な希望」を信じ、自身の持つ「超高校級の幸運」に関しては絶対の自信を持つ。その反面、自身のことは優れた才能を持つ者と比べると「所詮ただの幸運」とネガティブに低く評価し、極めて自虐的で卑屈な態度をとる。 しかしその幸運はバカにできたものではなく、生まれついてすさまじい強運をもつ。 不運にも飛行機テロに合った。しかし幸運にも隕石が落ちてきてテロリストは死んだ。しかし不運にも隕石のせいで飛行機は墜落し、両親含む乗客は自分以外全滅した。しかし幸運にも両親の遺産が一生食うには困らないだけ転がり込んだ。しかし不運にも遺産目当ての誘拐にあった。幸運にも逃げ出せたが、不運にも逃げついた先はゴミ箱の中。そのゴミ箱の中で握りしめていたゴミが幸運にも当たりの宝くじであり、さらに金銭面には困らなくなった。制御の難しい自らの才能に翻弄され続ける人生を過ごしていたため、「絶対的な希望」に対して異様な執着を見せるなどその価値観には少なからぬ歪みがある。どんな不運も乗り越えれば幸運が必ず待っている=絶望を乗り越えた先にはより強い希望があると信じ、また生まれ持った才覚である幸運を乗り越えられるのは同じく生まれ持った才覚のみであると信仰するようになっており、いわゆる才能至上主義者、本人風にいうなら「超高校級の超高校級マニア」である。 そのため才能を持ち合わせない者には冷たく当たり、才能ある者に対しては極めて自虐的に接する。そしてより強い希望を見るためなら一切の犠牲を考慮しない。自身の命はもちろん他者の命の犠牲にすることもいとわない狂信者。 彼が召喚されたのは希望ヶ峰の卒業生が企画したどっきどき修学旅行の最中。赤いテレカを引き当て、聖杯戦争に参加し、ゴールドマンという超高校級ならぬ超人と出会ったのは幸運かはたまた不運か。 【方針】 希望の踏み台になるためなら手段は択ばない。暗殺、襲撃、謀略なんでもやる。 戦闘は完全にサーヴァントに任せ、希望の踏み台になってもらう。優勝してしまったなら自身とそのサーヴァントで偽りの希望、聖杯を破壊する。 なお、より強い希望を感じるものがあるなら他のサーヴァントに乗り換えることも当然いとわない。
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青い空に白い雲、青い海に白い波。これぞまさに南の島!という楽園のような光景が広がっている。 ここは世界的なリゾート地、ジャバウォック島。ウサミというぬいぐるみ?に突然連れてこられて参加者同士絆を深めろという企画……どっきどき修学旅行。 船も飛行機も迎えも連絡手段もなく、生活に必要な物資はあるけど……殆ど娯楽のないこの島で数少ない楽しみといえば 「お、育ちきったね。今回は……ゴリミかぁ」 歩数に応じて成長する電子ペットと 「それじゃあ回してみようか」 育てたペットの種類に応じて手に入るメダルで回せるガチャガチャ、モノモノヤシーンくらい。さて、今回は何が出るか…… 「動くこけしかぁ……」 底部のスイッチを押すと震えだすこけし人形。どうやら子供のオモチャのようだが、使い方はよく分からない。……よく分からない。正直言ってはずれである。 どうしようかな、と手の内で弄ぶ。スイッチを入れたり消したり、クルクルと回してみたり放り投げてみたり。無作為な操作を繰り返していると…… 「……こけしが、光っ――――?」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「狛枝のアバタ―が消失した?おいどういうことだ説明しろ苗木」 「モノモノヤシーンをやっていたところまではログが残っているけど……どうなったかわかる?アルターエゴ」 「えっと、モノモノヤシーンで引いた端末を操作して偶然どこかにハッキングしちゃったみたい……そんなもの入っているはずないし、ジャバウォック島の外に回線は繋がってないはずなのに……どこに行ったかはわからないや……ごめんねぇ」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 召喚されるとすぐに狛枝凪斗は記憶を取り戻した。彼の周囲に超高校級と呼べる才能の持ち主は誰一人としていなかったからだ……幸か不幸か。 そして校舎を散策しつつ、刻まれ始めた令呪を眺め一人ごちる。 「しかしこのデザインはいただけないなぁ」 左手の甲に描かれた666という三画の文字……獣の数字、悪魔の暗示。 「まるでボクの左手が絶望を宿しているみたいじゃないか」 いくらボクが劣等生でも絶望呼ばわりは勘弁してほしいなぁ、などとぼやいていると 「おっと」 躓いてしまった。足元不注意。 転んだ頭上を黒い一撃が通り過ぎる 「ほう、俺の一撃を避けるとは勘の、いや運のいいやつだな」 黒いローブに白い仮面の男、異形のサーヴァントが奇襲を仕掛ける。 「サー…ヴァント?」 「令呪の気配はするが、サーヴァントはいまだに現れていないようだな。早々に片付けさせてもらう。他愛なし。空想電―――――」 「『正義と悪魔の決戦の地(ジェネラル・パラスト・デスマッチ)』!」 飛び込んでくる声。その声とともに世界が浸食され、塗り替えられていった。そして…… 「……これは?」 見上げるとそこは満天の星空。かつていた南国の太陽も、今まで見ていた学校の天井でもない。そしてその下には 「なんでプロレスリング?」 青コーナーには先ほど襲撃をしてきた黒衣の男。赤コーナーには白銀の体に角の生えたマスクをした迫力ある大男。そして赤コーナーのセコンドコーナーに事態についていけない少年。 「ハァ!」 短刀をリング上から投げつける黒。しかしそれはセコンドコーナーには届かず、結界に弾かれる。 「なんだと!?」 「ほう、ゴングのなる前から攻撃を、よりにもよってセコンドに仕掛けるとはお前もなかなかの悪行超人だな。だが、このジェネラル・パラストにおいてセコンドへの攻撃は適わん」 余裕綽々と述べる白銀のサーヴァント。 混乱が加速するようにさらに増える登場人物。 「さあ、聖杯戦争はいまだ始まっていませんが、サーヴァントやマスター同士の駆け引きはすでに始まっております。そして今、ついにサーヴァント同士の闘いの火蓋が切って落とされようとしています。実況は私ルーラーのサーヴァント。解説は」 「カレン・オルテンシア」 「で、お送りしたいと思います。それでは試合開始!」 カァン!と高らかにゴングが鳴り響く。 それを合図に白銀が黒に突撃を仕掛ける。一方的な攻撃で黒は避けるのに精いっぱいだが、どうにか応戦しようとする。 「愚かね、アサシン。〈悪魔の涙(ジェネラル・ラクリマ)〉に特異な仕掛けはない。背後に出口もあるというのに、よりにもよってセイバーのクラスと真っ向から打ち合うとは」 やけに露出した修道服の女性……カレン・オルテンシアがぽつりと呟く。 「あの、カレン、さん?」 「なにかしら、駄け……セイバーのセコンド」 暴言を吐きそうになり、訂正する監督役。それでもマスターでなくセコンドと呼ぶのは空気を読んでいるのか、単なる性分か。 「なぜアナタたちはここに?というかここがどこか、教えてもらってもいいですか?」 「ポルカミゼーリア。自身のサーヴァントの能力も把握していないのですか、この駄犬」 突然の夜空、剣を振るわず拳を振るうセイバー。全く事態が把握しきれず、問いを投げるセイバーのセコンドもといマスターとなる少年、狛枝凪斗。 対して一切の解説をしてくれない解説席の少女、カレン。 「まあまあ、そう手厳しいことは言わずに。ここはセイバーの固有結界の中。彼の固有結界は対戦相手を引き込み、さらにレフェリー、実況、解説のいずれかには私たちを呼び寄せることができるのです。同意があれば、ですが。今回は多数のNPCに危害を加えているアサシンにペナルティを加えるために応じたのですが……その必要はありませんでしたかね」 優しくフォローを入れるルーラーだが 「おおーっと、話している間にも試合は大きく進んでいたーっ!セイバーがアサシンを捕え、振り回している!何というパワーでしょう!さすが最優のクラスは伊達じゃない!」 実況に戻るとテンションが妙に上がっている。調停者とはこんなキャラなのか?狛枝の脳内に[コトダマ]が駆け巡る。 [エイプリルフール企画] [語尾にワン] [キャラ崩壊] [ゆでだから仕方ない] 推理は繋がっ……たのだろうか。 狛枝の疑問と煩悶をよそに状況は動いていく。 「アサシンを上空に投げ上げ、自らもそれを追うセイバー!これは、出るか!?セイバーの伝家の宝刀が!?」 逆さになって落下してくるアサシンの首元めがけ、足を振り下ろすセイバー。そして彼のセイバーたる所以、その刃が抜き放たれる―――――! 「『地獄の断頭台』―っ!!」 「ギャアーッ!」 カンカンカンカンカァーン!! 試合開始の時と同じように響き渡るゴングの音。それとともに少しずつ崩壊を始める固有結界。 「決着ゥゥー!!アサシンVSセイバー、〈悪魔の涙(ジェネラル・ラクリマ)〉にて行われた試合は大方の予想通りセイバーの勝利で―――――」 「もういいでしょう、ルーラー。業務を終え、退散しますよ」 「お、オホン、アサシン。多数のNPC及びマスター候補への攻撃は本来ペナルティの対象です。ですが今回の試合で負ったあなたのダメージは甚大なものであり、これ以上の罰則は不要と判断。今回は警告だけにとどめます。ただし今後も不正行為を続けるようでしたら容赦はしません。そしてセイバー。開戦前のサーヴァント同士の戦闘行為は禁じられていますが、リング上の試合であった点、アサシンを殺害していない点、マスターを襲撃された正当防衛であるなどの事情を考慮し、今回は不問とします」 では、と連絡を終え、一礼する二人。固有結界が解けてみるとそこにはセイバーとそのマスターしか残っていなかった。 「ふん、アサシンめ。逃げたか。硬度5のアパタイトボディでは加減が過ぎたか」 まあいい、とセイバー。すでにアサシン如きは眼中になく、見据えるのは己がマスター。 「すでにルーラーに聞いていたようだが、お前のサーヴァント、セイバーだ。アサシンに殺される寸前でこの私を召喚するとは悪運の強い奴よ。魔力も潤沢、優れたウィザードであるようだな。名を聞こうか、マスターよ」 「よろしく、ボクは狛枝凪斗だよ。幸運には自信があるけど、それ以外は誇るようなものは何もないゴミクズだよ?ウィザードなんて……ところでキミは英霊としてどんな才能を持っているの?」 超高校級をも超えうる伝説の英霊。マスターとしての眼力で垣間見えるスキル、そして宝具、才覚に胸躍らせる狛枝凪斗。一方、マスターの自虐を謙遜ととらえたか、問いに答えるセイバー。 「手の内は先ほどの戦闘で見せた。リングとそのうえで闘う技こそが全てだ。素性を言うなら超人、お前たち人間とは異なる種族……そのなかでも悪魔超人と呼ばれる一派の首領が私だ。名をゴールドマン、もしくは悪魔将軍」 「超…人?人を超えた存在……悪魔……いうなれば超人級の絶望か……」 希望を信じる彼に悪魔なる存在は受け入れがたいものだったか。いや…… 「すばらしいよ!!」 感嘆の声を上げる希望厨。死んだ異教徒はいい異教徒らしい。 「ボクは希望を信じている。最後には希望が勝つ!そう確信しているんだ!現にキミが今こうして英霊としているということは、超人級の絶望と言えど希望に敗れたってことでしょ?」 「確かに私は正義超人に破れている。しかし敗れようと屈しないのが超人というものだ」 「へーえ、察するところ聖杯には復活を願うのかな?」 「聖杯などに頼るつもりはない。手にすれば願いがかなう願望器……そんな物の存在は生きとし生けるものの繁栄において邪魔でしかない。自らを高めることを怠る存在に未来はない。怠惰、それを誘発する聖杯、偽りの希望などこの手で破壊するのみ」 「つまり、他の参加者と協力してルーラーに反抗すると?」 「協力者など不要。あくまで聖杯を手にし、そのうえで破壊するつもりだ」 技能、願い、方針、サーヴァントのそれらを聞き届けたマスターは…… 「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは! 超人級の英雄が力を合わせて悪魔という絶望に立ち向かう!ああ、なんて素晴らしくて美しいんだろうね!」」 高らかに笑う。その目に宿るは狂喜、狂気、正気、瘴気。己がサーヴァントの信念に触れ、その絶望的な希望に歓喜する。 「キミはとても優れたサーヴァントだね。最優のクラス、セイバーであるのに加えて自らの有利なフィールドに敵を無理やり引きずりこむことが出来る。魔力消費もボクのような劣悪なマスターでも十分なくらい扱いやすい。英雄としての誇りもある。そんなキミが聖杯の前に立ちはだかるなんて本当に絶望的だよね……。だからこそ、希望の象徴と言える超人級の英雄が聖杯をとるための踏み台に相応しいとも言える」 己が敗北の可能性を語られようと白銀の悪魔は余裕を崩さない。むしろ目の前の男を試すように語りかける。 「踏み台、か。お前自身は聖杯を求めないと?それだけ希望を求めるというのに。ましてや正統なる英雄が悪魔に敗れるのも、私が敗れお前が消えても構わないというのか?」 「それなら仕方ないよ。なにせボクは決定的に最低で最悪で愚かで劣悪な何をやってもダメな人間なんだ。敗退するのは仕方ないし、所詮、ボクらという踏み台を乗り越えられない程度でしかない英霊なんて希望足り得なかったということなんじゃあないかな?ボクらが手にできるということは、キミの言う通り聖杯は偽りの希望でしかないんだろうね。そんなものに興味はない。破壊されたところでなんということはないね」 自己犠牲はおろか他者の命すらなんということはないと語る。希望のためならいかな生贄でも捧げるといわんばかりだ。 「正義の味方の活躍には悪役が欠かせない、そして勝者こそが正義、というわけか。その歪み、なかなかの悪魔の才覚だ。運が良かったな、マスター。この時点で揉めていれば私はお前を殺していたぞ?」 「言ったでしょ?幸運には自信があるんだ。なにせボクは超高校級の幸運だからね」 彼がこの地を訪れたのは幸運なのか、不運なのか。それはきっと幸運の女神のみぞ知る…… 【クラス】セイバー 【真名】ゴールドマン(悪魔将軍)@キン肉マン 【パラメータ】筋力A 耐久E+++ 敏捷B 魔力D 幸運C+ 宝具EX 【属性】混沌・悪 【クラス別スキル】 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。悪魔サタンや完璧超人始祖と深いつながりを持ち、自身も悪魔霊術という特異な呪術の使い手であるため、魔なる者には強い耐性を持つ。 ただし悪性のものであり、また神の加護を捨てているため本来のものより低くなっている。 騎乗:C+ 騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、野獣ランクの獣は乗りこなせない。ただし悪魔に類する魔獣ならば乗りこなせることもある。 【保有スキル】 恐怖の将:B+ 対峙するものに恐怖を抱かせ、敏捷をワンランク低下させる。またファンブル率を上昇させる精神干渉スキル。 属性:悪のものには同ランクのカリスマを、中庸および善のものには同ランクの反骨の相を発揮する特殊スキル。 超人レスリング;A+++ 超人として生まれ持った才覚に加え、たゆまぬ鍛練と実践経験を重ねたリング上で闘う格闘技能。Aランクでようやく一人前と言えるスキルでありA+++ランクともなれば宇宙でも指折りの達人の域。 リングの上では全ステータスがワンランク向上し、スキル:戦闘続行を得る。 魔術:- 悪魔霊術という特異な呪術様式。将軍復活、地獄のキャンバス、ブラックウィザードなど様々な呪いを習得していたが、セイバークラスで現界しているためこのスキルは失われている。 神性:- 神霊適性を持つかどうか。高いほどより物質的な神霊との混血とされる。超人の神に最初に同朋として選ばれ、その力の一部を分け与えられたゴールドマンは高位の神性を持つのだが、彼自身が神を嫌い、悪魔に身を落としたためこのスキルは失われている。 【宝具】 『金剛よりも固きもの、金剛よりも砕けぬもの(ダイアモンドオアスネークボディ)』 ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人 肉体の超人硬度を0~10まで自在に変える。超人硬度10のダイアモンドボディならサファイアの鎧も容易く切り裂き、あらゆる打撃をはじく。硬度0のスネークボディなら頭さえ通るならどんな隙間も抜ける軟体となり、どんなサブミッションも効かない。 またスネークボディになり体の組成を組み替えることで物理的なダメージはリセットすることも出来る。 この宝具によりステータスの耐久値を自在に変換でき、耐久を低下させることで魔力消費を大きく抑えることが出来る。 『地獄の断頭台』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 ゴールドマンがセイバーとして呼びだされた所以であり、悪魔超人界最強にして最恐の刃と言える彼のフェイバリット。 スピン・ダブルアームで相手が垂直になったところ上空に投げ飛ばし、逆さになった相手の首にダイアモンドボディとなった自分の膝を落とし、そのままリングに叩き付ける技。この技を止めるにはダイアモンドボディとなったゴールドマンを上回る神秘に加え、彼とわたり合える格闘技能が必要となる。 この技を受けたものはスキル:恐怖の将による影響をより強く受け、ファンブル率が大きく上昇する。 『正義と悪魔の決戦の地(ジェネラル・パラスト・デスマッチ』 ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:0~10 最大捕捉:15人、NPCのみ上限なし 生前に施工したリング、ジェネラル・パラストを固有結界として再現する。リング上の赤コーナーにゴールドマン、青コーナーに敵サーヴァントを置き、各々のマスターはセコンドコーナーに配置される。セコンドコーナーにはリング上からの攻撃は結界により基本的に通らず、例外としてリングコーナーの鉄柱を投げつけるなどリング上の設備を利用した攻撃のみが可能である。ただし外部からリング上への攻撃および乱入に制限はない。 最大で3対3の変則タッグマッチまでが可能である。この場合リング外にいるサーヴァントもセコンドコーナーには攻撃できない。 闘う者以外にレフェリーと実況、解説を1人ずつ固有結界内に取り込むことも可能。このポジションは捕捉範囲内のマスターやサーヴァントはもちろん、会場内のNPCをランダムに連れ込んだり本人の同意があればルーラーや監督役を呼び込んだりすることも可能。またパラストによっては観客席が存在するものがありNPCをそこに大量に連れてくることも可能。レフェリーや観客を守る結界などはないが、リング上では精神干渉の効果があり何となく攻撃しちゃいけない雰囲気になる。この精神干渉に抵抗するには精神系スキルではなくルールを無視できる悪辣さが必要になる。 なお各ジェネラル・パラストは出入り口が存在し、属性:悪の者ならば固有結界への侵入も脱出も自由。ただしパラストの鍵を使えば誰でも通行可能になる。現実世界での出入り口はゴールドマンが結界を発動したところにどこでもドアのように扉だけポツンとある。 なお逃亡したものはスキル:恐怖の将の影響を今後強く受け、ファンブル率が大きく上昇する。 決着のゴングが鳴り響いた場合サーヴァントの生死を問わず固有結界は解除される。 固有結界の外にモニターのようなものを表示し、中での闘いを外に知らしめることも可能。 再現できるパラストは以下の通り。 〈悪魔の涙(ジェネラル・ラクリマ)〉 満天の星空の下にリングがある。特に仕掛けはない。出入り口は青コーナー後方。 〈悪魔の尊顔(ジェネラル・フェイス)〉 海上の孤島に存在するリング。リングの外で水上戦、水中戦が可能。泳いで島から離れる事ことで脱出可能だが、ある程度進むとゲートバリアーにより先述の条件を満たす者以外通れない。 〈悪魔の脚部(ジェネラル・フット)〉 多数の階段を上った先に存在するリング。リング外との高低差を利用した闘いが可能。また魔界の嘘発見器「鬼だしの窯」が設置されており、対戦者以外の何者かが侵入してきた場合使用可能となる。階段の一番下が出入り口になっている。 〈悪魔の五角形(ジェネラル・フィンガー)〉 岩盤でできたリングであり、リング上の人数に応じて大きさの違うリングが使用できる。多人数戦ならばこのリングがいいだろう。また観客席の存在するパラストである。リングから離れることで結界からの脱出可能。ただしゲートバリアーは存在する。 〈悪魔の肋骨(ジェネラル・リブ)〉 リング上に肋骨を模した岩のオブジェが存在する。また観客席が存在する。出入り口は青コーナー後方にあるが、船を漕がなければ出られないためある意味最も脱出困難なパラスト。 〈悪魔の胎内(デーモン・ウゥーム)〉 ゴールドマンが殺害してきた超人に加え、これまでに命を落としたNPCおよび参加者が文字通り人柱となった脊柱の上に設置されたリング。脊柱による高低差を利用することも出来るが、脊柱内に囚われた死者たちの断末魔こそがこのリングの真骨頂。ひょっとしたら死した者たちの協力を得ることも出来るかもしれないが……。脊柱を降りて進んだところに出入り口がある。 【weapon】 なし。鍛え上げた自らの肉体のみが超人の武器である。ただしリングの鉄柱やパイプ椅子の使用は超人レスリングではよくあること。 地獄のメリー・ゴーラウンド?あれは技だ。ウォーズマンのベアークローやロビンマスクのアノアロの杖よりは能力っぽいだろう。 【人物背景】 生まれついて卓越した力を持つ種族、超人であり、その中でも悪魔超人と呼ばれる一派の首領にして最強のファイター、悪魔将軍。 その正体は太古の時代、神による超人の大粛清の際に、かつて神だった超人によって救われた十人の「完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)」の一人「完璧・壱式(パーフェクト・ファースト)」である超人、ゴールドマン。しかし完璧超人らは自分たちこそが特別であるという妄想の下で増長し、本来あるべき進化を止めたと考え、決裂。弟のシルバーマンと共に地上に降り立ち、大魔王サタンと手を組み悪魔将軍となった。 正義超人と幾度も争っており、一時的に地球の支配に成功したこともあった。この際に処刑と娯楽を兼ね備えた様々なデスマッチリングを遺跡として残している。 何度目かの争い、正義超人キン肉マンらアイドル超人との闘いに敗れ命を落とすも、キン肉マンをもってしても彼の必殺技は破れず、強烈なトラウマを刻んだ。部下の離反や黄金のマスクの改心などがなければキン肉マンでも勝利は難しかったと考えられる、作中最強の悪行超人候補。 幾度も生と死を繰り返す亡霊超人であるため、一応死んでおり英霊として召喚された。自力で再生はできるため聖杯に復活を願うつもりは微塵もなく、むしろ「願いをかなえてやる」などという傲慢さに完璧超人たちと同じものを感じ、反発している。 【サーヴァントとしての願い、方針】 まやかしの希望など不要。聖杯は破壊する。 ただし正義超人やそれに類する者どもと手を組むつもりは一切ない。気に入ったものは部下にしてやってもよいし、協力も考えるが基本聖杯戦争を勝ち抜くつもりで行く。 【基本戦術、運用法】 出会ったサーヴァントに片っ端から『正義と悪魔の決戦の地(ジェネラル・パラスト・デスマッチ』で超人レスリングを挑む。本来固有結界は世界の修正力を受けるためかなりの消耗があるのだが、『原典世界の力(ゆで時空)』がすさまじいため、あまり魔力を消耗しない。そのため結界内で問題なく闘うことが出来る。 リング上ならアサシンやキャスターはまず完封できるだろう。他のクラスは個人差があるだろうが、ステータスでは負けないだろうし、超人レスリングの達人としてうまく観客を味方につけよう。武器を持ってるやつに「空気読めー」と空き缶を投げたり、パラストから逃げようとしてる敵に「空気読め-」とごみを投げたりする原作さながらのマナ悪な観客がいれば精神的に優位に試合を運べるかもしれない。 モニターやパラストのカギは誰かを誘い込んだり決闘を挑むのに使えるだろうが、戦略的にはあまり賢くない。でもこの主従なら使う機会はあるんじゃないかと思う。 並のサーヴァント相手なら何連戦でもできるかもしれないが、三騎士をはじめ一流のサーヴァント相手の連戦はいくらゴールドマンでも厳しいだろう。引き際、休み処が肝心になる。 ほか二つの宝具、というか技はほぼ魔力消費もなく使えるので普通に戦って普通に使おう。 マスターが幸運にも優秀なウィザードだとムーンセルに勘違いされたので戦闘において魔力不足に陥ることは考えにくい。燃費は良く、実力も十分。あとは相手をどれだけゆで時空に取り込むことができるかが勝敗のカギになるだろう。 【マスターステータス】 【名前】狛枝凪斗@スーパーダンガンロンパ2 【参加方法】 モノモノヤシーンからゴフェルの木片が出てきて、そのうえ偶然ハッキングに成功、ウィザードとして参戦してしまった。 【マスターとしての願い】 聖杯戦争の過程でより強く輝く希望を見る。聖杯にはあまり興味がない。 【能力・技能】 幸運EX 超高校級の幸運。不運の引き換えに幸運が、幸運の引き換えに不運が訪れるプラマイゼロの幸運。不運が大きいほど幸運も大きなものが訪れる。逆もまたしかり。幸運だが、幸福とは限らない。いつか必ず訪れる揺り戻しは良くも悪くも幸運EX スキル:信仰の加護A+++ 一つの宗教観に殉じた者のみが持つスキル。彼の場合希望への絶対的信仰と、絶望への病的なまでの嫌悪。 加護とはいうが、最高存在からの恩恵はない。あるのは信心から生まれる、自己の精神・肉体の絶対性のみである。……高すぎると、人格に異変をきたす。 自身を幸運以外誇るところのないゴミクズと自虐するが、推理力・洞察力は優れている。 【weapon】 なし。しいて言うならゴミクズのような自身の唯一の才能、幸運。 一応モノモノヤシーンから出てきたゴフェルの木片製らしい動くこけしはあるけど…… 【人物背景】 超高校級の才能の持ち主のみが入学を許可される希望ヶ峰学園に抽選枠である「超高校級の幸運」として招待された少年。これは他の候補生と違い才能が買われたためでなく、完全にランダムの枠に幸運にも選ばれたものである。 性格はのんきでマイペース。驚異的なポジティブシンキングで、どんな状況でも「絶対的な希望」を信じ、自身の持つ「超高校級の幸運」に関しては絶対の自信を持つ。その反面、自身のことは優れた才能を持つ者と比べると「所詮ただの幸運」とネガティブに低く評価し、極めて自虐的で卑屈な態度をとる。 しかしその幸運はバカにできたものではなく、生まれついてすさまじい強運をもつ。 不運にも飛行機テロに合った。しかし幸運にも隕石が落ちてきてテロリストは死んだ。しかし不運にも隕石のせいで飛行機は墜落し、両親含む乗客は自分以外全滅した。しかし幸運にも両親の遺産が一生食うには困らないだけ転がり込んだ。しかし不運にも遺産目当ての誘拐にあった。幸運にも逃げ出せたが、不運にも逃げついた先はゴミ箱の中。そのゴミ箱の中で握りしめていたゴミが幸運にも当たりの宝くじであり、さらに金銭面には困らなくなった。制御の難しい自らの才能に翻弄され続ける人生を過ごしていたため、「絶対的な希望」に対して異様な執着を見せるなどその価値観には少なからぬ歪みがある。どんな不運も乗り越えれば幸運が必ず待っている=絶望を乗り越えた先にはより強い希望があると信じ、また生まれ持った才覚である幸運を乗り越えられるのは同じく生まれ持った才覚のみであると信仰するようになっており、いわゆる才能至上主義者、本人風にいうなら「超高校級の超高校級マニア」である。 そのため才能を持ち合わせない者には冷たく当たり、才能ある者に対しては極めて自虐的に接する。そしてより強い希望を見るためなら一切の犠牲を考慮しない。自身の命はもちろん他者の命の犠牲にすることもいとわない狂信者。 彼が召喚されたのは希望ヶ峰の卒業生が企画したどっきどき修学旅行の最中。ゴフェルの木片を引き当て、聖杯戦争に参加し、ゴールドマンという超高校級ならぬ超人と出会ったのは幸運かはたまた不運か。 【方針】 希望の踏み台になるためなら手段は択ばない。暗殺、襲撃、謀略なんでもやる。 戦闘は完全にサーヴァントに任せ、希望の踏み台になってもらう。優勝してしまったなら自身とそのサーヴァントで偽りの希望、聖杯を破壊する。 なお、より強い希望を感じるものがあるなら他のサーヴァントに乗り換えることも当然いとわない。
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「きみがぼくのマスターなの?」 バニーガールのような姿をした、上半身裸で白髪の男がボクに問いかけた。 突如彼が現れて黒い影を蹴散らしたかと思えば、ボクたちはいつのまにか見たこともない礼拝堂の中にいた。その状況に驚きつつも、彼に質問を返す。 「そういうキミは、もしかしなくてもサーヴァントだよね?」 彼はこくんと頷き、再びこちらを見る。 「じゃあ間違いない。初めまして、ボクがキミのマスター・・・ってことになるのかな、”超高校級の幸運”狛枝凪斗だよ。よろしくね」 サーヴァントは圧倒的な才能を持つ存在であり、くだらない才能しかないボクとは次元の違う、絶対的な希望だ。にもかかわらず、こうして相まみえるだけでなくマスターになれるとは。まだ聖杯戦争について正確に把握しているわけじゃないけど、それでもとんでもない幸運であるのは明らかだ。 「まあ、ボクなんかがキミのマスターだというのも、なんだか申し訳ない気はするけどね」 苦笑しつつ、彼に目を向ける。彼は相変わらずぼんやりした表情でこちらを見つめたままだ。 「で、良かったらキミが誰なのか、教えてくれないかな?」 ボクがそう言うと、彼はおもむろに口を開いた。 「”卯”の戦士。『異常に殺す』憂城」 彼——憂城クンは、口の端を歪めてニヤリと笑った。その無邪気だけどどこか壮絶な笑顔は、憂城クンが常識を超越した存在であること、そんな彼を生み出す聖杯なるものが確かに存在することをボクに直感させるのに十分なものだった。 憂城クンは高い足音を鳴り響かせて歩み寄ってくる。 「きみの願いはなに?」 呟いたあと目の前で立ち止まり、こちらに顔を寄せて囁く。 「僕の夢はね、世界中のみんなとお友達になることだよ。だから聖杯にお願いして、夢を叶えてもらうんだ~。いいでしょ? いいでしょ?」 憂城クンは、心底楽しそうに目を細めた。そしてボクはその願いを聞いて肩を震わせる。 「素晴らしいよ! 凡人とは比べ物にならないほどにスケールの大きい願いだ! それを聞いた後にボクのようなクズの願いを言うのは少し恥ずかしいな…」 そう言いつつ、ボクは喜々として想いを語る。 「キミはさ、”希望”って何だと思う?」 文字通り目と鼻の先にある彼の顔に向けてほほ笑む。 「ボクが思うに、”希望”というのは、前向きな意志と才能…それらによって生み出される絶対的な『良きもの』なんだ。そして聖杯戦争は、才能ある人たちが、どうしても叶えたい願いをかけて争い合う場…。つまり希望と希望がぶつかり合って、より強い希望が残っていくわけでしょ? そうして、最後まで残った"最も強い希望"を……ボクはこの目で見てみたい。できることなら、そこに至る手助けをしたい。そのためならボクの命なんていくらでも差し出すよ」 「だから、ボクの願いはこの聖杯戦争で希望と希望の科学反応を見届けること・・・。だから、聖杯にかける願いなんて無いんだよね。まあ強いて言えば、世界をもっと希望に溢れたものにすること、かな」 ボクは恍惚とした表情をしながらそう話を締めくくった。 「うんうん。何事も前向きが一番だよねぇ」 憂城クンは1歩後ろに下がり何度もうなずく。そして、すっと手を差し出した。 「じゃあさ、お友達になってよ。友情の証として握手しよう? 握手」 「喜んで! ははっ、キミのような素晴らしい人と友達になれるなんて光栄だなあ!」 ボクは当然差し伸べられた手を握ろうとして——コケた。 直後、頭上を大鉈が走る。驚いたボクはとっさに床を転がって距離を取る。 「あれあれあれ、おかしいなあ。なんで避けれたの?」 数メートル先で、憂城クンは大鉈を上下に振りながら、首を傾げている。 確かにあの一撃を意識して避けるなんて芸当、ボクなんかには絶対できない。ただ、今のは—— 「“たまたま”だよ」 「ボクの才能忘れちゃった? まあくだらない才能ではあるけどさ、これでも”超高校級の幸運”なんだよ? だからさ、さっきの攻撃も避けたんじゃなくて、大鉈が振るわれたタイミングで”偶然”転んだだけなんだ」 「……攻撃したんじゃないよ? ただちょっと驚かせようとしただけだよ? 本当だよ? 信じて?」 憂城クンはさも心外だとでも言うように反論する。 「いや、それは流石に嘘でしょ」 ボクはわかりやすすぎる嘘に苦笑いする。 「キミの希望のためなら殺されるのは大歓迎さ。…けど、ボクの幸運は役に立つし、考え事も得意だから勝ち抜くためのプランも作ってあげられる。だから殺すなら、キミが聖杯に願いを叶えてもらってからの方が、より大きな希望に近づくんじゃないかな」 「…それもそうだね。お友達になってからじゃあ、扱いづらそうだし。じゃあ、殺すのは後にするよ」 しばらく沈黙した後、そう言って大鉈を背中の尻尾にしまう。 良かった。殺されてもいいというのは本当だけど、できれば聖杯戦争で希望の輝きを目に焼き付けてからがいい。 「話し合いは終わったか?」 背後から声が聞こえる。この世界にきた直後に聞こえた、壮年の男性の声だ。 「さあ、始めよう。ボクたちの、希望に溢れた聖杯戦争を」 ボクは期待に胸を躍らせながら、憂城クンに呼びかけた。 【サーヴァント】 【CLASS】 アサシン 【真名】 憂城 【出典】 十二大戦 【性別】 男 【ステータス】 筋力C 耐久D 敏捷B 魔力B 幸運B 宝具EX 【属性】 混沌・悪 【クラス別能力】 気配遮断:D サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 【保有スキル】 戦闘続行:B 死体となった自分を能力により活動させた逸話が昇華されて獲得したスキル。 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。 人間観察:D 人々を観察し、理解する技術。 心眼(真):D 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。 【宝具】 死体作り(ネクロマンチスト) ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:2 最大捕捉:3人 死体を使役できる。使役できる死体は、自分が直接殺すか、既に使役している死体が殺したものに限られる。死体はバラバラになっても活動できる。体のリミッターが外れるため、筋力のパラメーターが一段階上がる(一般人の死体ならD相当)。 マスターの死体を操る場合、死んだ直後に能力を使えば令呪及びサーヴァントとの契約関係は維持され、死体を通じて間接的に令呪を行使できる。使役状態の維持には一定の魔力が必要。 対象の生前の記憶・技術・スキル・魔力・宝具などは死体になってからも有効であり、十全に用いることができる。ただし意思や知能はほとんどない。死体は焼かれると使役状態が解除されるほか、凍結によって動きを封じることができる。使役者は、使役される死体と五感を共有できる。 常時発動型であり、真名解放は不要。 【weapon】 『三月兎』『白兎』 【人物背景】 第12回十二大戦に参加した「卯」の戦士。巧みな戦術で参加者を次々と殺害した。 殺した相手と本人に曰く「お友達」になれる(使役できる)能力『死体作り(ネクロマンチスト)』の使い手。 突飛な言動をするが、コミュニケーションは取れる。 失井と妬良の即席タッグと交戦し「生きている人間同士が信頼を結べる」という憂城にとってあり得ない光景を見たこともあり、殺される寸前に自殺を選び、自身の能力の対象下に自身を置くことで死体となった後も脱落することなく十二大戦を継続する。 自殺直後の段階で失井によって細切れにされるも、砂粒を操作して筋線維や小腸、歯といった人体のパーツを使って無茶苦茶な設計を無理矢理体を修復した上で、奇襲のために砂粒をその内部に潜ませた。 かくして奇襲は成功し、失井を押さえつけることに成功するが無茶な計画のために崩壊した体を修復している隙に寝住が回収した必爺の「醜怪送り」によって消滅した。 【サーヴァントとしての願い】 世界中の人とお友達になること。 【方針】 聖杯を手に入れるためならば手段を選ばない。 【マスター】 狛枝凪斗 【出典】 スーパーダンガンロンパ2 【性別】 男性 【能力・技能】 “超高校級の幸運” 確率が大きく絡む事柄において良くも悪くも狙った目か最良の目を確実に引き当てる。 ただし、前段階として何らかの不幸に見舞われるという難儀な制約がある。 【weapon】 無し 【人物背景】 南国でのコロシアイに巻き込まれた人物。 推理力が高く、学級裁判においても重要な発言をすることの多いポジション。 常に仲間が持つ希望の力、そして自分の肩書である「超高校級の幸運」という才能を信じている。特に前者への信頼は盲信に近いほど強い。 仲間が殺人をするよう誘導するなど、希望という目的のためなら手段は選ばない。 自身の幸運をゴミのような才能と嘲っている。 自分を含めたクラスメイトたちが超高校級の絶望だったと知り、絶望を根絶やしにするためにトリックを用いて自殺し、超高校級の絶望の全滅を狙った。 【マスターとしての願い】 聖杯戦争における希望と希望のぶつかり合い及び、結果として残る最も強い希望を見ること。 希望のために尽力すること。 聖杯にかける望みは特に無いが、強いて言えば希望に溢れた世界にしたい。 【方針】 希望と希望のぶつかり合い(殺し合い)を促進する。 絶望は希望の踏み台として利用。 才能ある者の望みを最大限尊重する。 【ロール】 高校生 【把握媒体】 ゲーム
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キャラの基本情報 ダンガンロンパ3 コラボキャラクター 情報提供求
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ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園-〈絶望編〉 狛枝凪斗(緒方恵美)/絶対希望バースデー ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園-〈絶望編〉「絶対希望バースデー」(Amazon) 発売元・販売元 発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント 販売元 発売日 2016.08.03 価格 1200円(税抜き) 内容 絶対希望バースデー 歌:狛枝凪斗(緒方恵美) 残桜 -zanka- 歌:狛枝凪斗(緒方恵美) 絶対希望バースデー [Instrumental] 残桜 -zanka- [Instrumental] 備考
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◆Y8r6fKIiFI の作品 作品数 5本 No. タイトル 登場人物 107 CVが同じなら仲良くできるという幻想 巴マミ、穴持たず1、球磨川禊、狛枝凪斗、碇シンジ、モノクマ 117 狛枝凪斗の幸福論 カズマ、佐倉杏子、黒騎れい、狛枝凪斗 120 野生の(非)証明 言峰綺礼、モノクマ、穴持たず4 130 アイデンティティ・クライシス・研ぎ澄ました刃を鞘からゆっくり引き出す 暁美ほむら、球磨、ジャン・キルシュタイン、星空凛、巴マミ、碇シンジ、球磨川禊、穴持たず1、相田マナ 139 絶望シスター 灰色熊、シバ、シロクマ、穴持たず428、穴持たず312、駆紋戒斗、デデンネ、デデンネと仲良くなったヒグマ、穴持たず696、扶桑、モノクマ 名前
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――あははは ――あははは、あははは ――あははははははははははは!! 夜の闇に、少年の哄笑が響き渡っていた。 色素の薄い頭髪の天辺に特徴的なアホ毛がある、見かけだけなら少し冴えないだけの、普通の少年に見える。 だが、この状況下においてこんな風に笑っていられるなんて――どう考えても異常としか思えない。 少年の名前は、狛枝凪斗。 『超高校級の幸運』と称される、ただそれだけの取り柄しかない人物だ。 狛枝はどろどろと濁った、悪意の渦巻く瞳に彼なりの『希望』を灯して笑う。 「なんて絶望的なんだろうね……!」 自分は全ての『絶望の残党』を抹殺するために、その身を挺して正真正銘の不可能犯罪を起こした筈だった。 いや、正確には『起こさせた』という表現が正しいだろうか。 命を落としたのは他ならぬ狛枝凪斗――彼は、自らも絶望的な存在であることを理解した上で、その自分もろとも蔓延る絶望を焼き尽くさんと事件を起こした。 顛末がどうだったかは、彼には分からない。 しかし、ただ一つ言えることはある。 ――狛枝凪斗と絶望の残党どもは、またも絶望的なゲームに巻き込まれたのだ。 前のコロシアイ修学旅行のように、誰かと悠長に話し合っている暇さえ与えられない。 要求されるのは実力行使。如何にして、自分以外の全てを抹殺するか。 なんて絶望的で――なんて最悪なゲームなんだろう。 狛枝は身震いを抑えるように、恍惚とした表情のままでその身を抱き締める。 「いや、でも希望はある……! よく考えてみれば、これはすごく希望に満ちたゲームじゃないか……!!」 結論から言って、狛枝凪斗は生き残る気など毛頭なかった。 幸運なこと意外に何の取り柄も持たない自分のようなクズが、どうして他の人間の上に立とうと思うのだ。 おまけに、『狛枝凪斗』は自分が最も嫌う絶望の一人。 いっそここで命を散らしてしまう方が、安心できるというものだった。 そして、真実を知る以前はあれほど憧れていた『希望ヶ峰学園』の同郷達についても、生かしておく必要はない。 彼らは絶望的な存在だから。 希望の芽を摘み取ってしまうような、生きていることが罪深いような連中だからだ……! 「く、くく――聖杯なんてものが、本当にあるかはボクみたいなクズには分からないけど……」 ただし、この殺し合いゲームの賞品はあまりにも巨大だ。 願いを叶える道具なんてお伽噺の中でしか聞いたことがなかったが、絶望的な男――スカリエッティの口振りから推察するに、どうも嘘を吐いているようには見えなかった。 それなら、その『聖杯』を正しい願いを抱く、希望に満ちた存在に与えればいい。 奇跡の力で成就された希望――ああ、そのあまりに甘美な響きに、思わず震えてしまいそうだ! 更に、こんな自分でも新たなる希望の芽生えに一役買えるという事実が、とてつもなく愛おしい! 「最後の一人まで、『超級の希望』の肩書きに相応しい参加者を残せれば、それは間違いなく希望だよ!」 その為には、狛枝凪斗も殺人に手を染めなければならないだろう。 以前のような間接的な手段ではなく、直接手を下すことも視野に入れなければならなくなる筈だ。 絶望の片棒を担ぐのはやはり、どうしても嫌悪感を覚えてしまうが――世の中、時には我慢も必要。 希望を応援することを我慢して、絶望に徹するように努力すれば、最後に待っているのは希望のフィナーレ。 努力は報われる。小学生でも知っているような、当たり前の『希望論』が、狛枝をまた一段と悦ばせる。 「さぁ、そうと決まったら動かないとね……せめて人生の最後くらいは、良いことをしておかなきゃ」 狛枝は一頻り高揚した後に、徐にどこかへと歩き出す。 やるべきことは二つ。 一つ、『超級の希望』が生き残れるように、他の参加者を間引くこと。 もう一つは、ゲーム終了までに聖杯を託すに相応しい『超級の希望』たる存在を見極めることだ。 からからと笑いながら、『超高校級の幸運』は人生最後の一大イベントに取り組むべく進む、進む。 ――歪んだ希望論を。 ――悪意に淀んだ希望論を暴走させながら。 【一日目/深夜/F-1 海】 【狛枝凪斗@スーパーダンガンロンパ2-さよなら絶望学園-】 [状態]健康、気分の高揚 [装備]なし [所持品]基本支給品一式、ランダム支給品×3 [思考・行動] 0:『超級の希望』と呼べる存在を探し、優勝させる 1:『超級の希望』になり得ない存在を間引く 2:『絶望の残党』たちは優先的に排除。ゲーム終盤になり次第、自分も頃合を見て自害する ※死亡後からの参加です 時系列順で読む Back よくわかる?魔術体系 Next Ch,Ch,Ch,Changes キャラを追って読む 実験開始 狛枝凪斗 [[]]
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狛枝凪斗(超高校級の希望) アカウント:http //twitter.com/Nagito_KIBOU 愛称:希望、希望枝 通信簿 チャプター0登場の狛枝凪斗(絶望) 特記 超高校級の幸運
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狛枝凪斗@孤独なゲス アカウント:http //twitter.com/gesueda_ksra 愛称:げす枝 通信簿 狛枝凪斗に変態毒舌SMヤンデレという設定が加わったなりきりです。 特記 超高校級の幸運