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前ページ次ページゲーッ!熊の爪の使い魔 第三話 クマのいる生活 さて、部屋に戻ってきた。夜は長い。気を取り直してルイズはベルモンドに質問してみることにした。 「改めて聞くけどあんたって一体何なの?」 「? ボクはベルモンドだよ」 「それはもう聞いたわよ!私が聞きたいのは名前じゃなくてあんたが何者かっていうこと。 着ぐるみみたいな格好のくせにその上からでも契約できるしあんたもしかして変な種類の亜人か何か?」 「ルイズの言う亜人っていうのが何のことかわからないけど違うよ、ボクは『超人』だよ ところでボクからも聞きたいんだけどここの人たちってみんな魔法っていうものが使えるの? コルベールのおじさんはそんなことを言っていたし、他の子たちも空飛んで帰ってたよね」 「チョージン?聞いたこともないわね。それに魔法が珍しい?あんた何言ってんの?」 「え、でもボクのいたとこじゃ魔法なんて見たこともなかったよ。 まあ、悪魔霊術とかピラミッドパワーとかオプティカルファイバーパワーとかなんかそれっぽいのを使う人も少しはいたなあ。 そういえば月が二つもあるんだね、ここ。すごいや」 そう言ってベルモンドは考え込むポーズをとる。 ルイズはそれを聞いて頭が痛くなるのを感じていた。 着ぐるみだか亜人だかチョージンだか知らないが録に魔法も知らないとはとんでもないド田舎から呼んでしまったということか? というか月が二つってどういうことだ、頭おかしいのかこいつ? こんな常識知らずが私の使い魔として務まるのか? そう感じ、何か言ってやろうと抱えた頭を上げベルモンドを見やった。頭に手をやり考え込むクマちゃんを。 「か、かわいい…」 だが、文句の言葉が口を出ることはなかった。 「え、なにか言った?」 「言ってない、言ってない!何も言ってないわよ!」 だが口とは裏腹に眼はベルモンドから離せない。 確かにこいつは変な奴だが見た目はクマちゃんで、なんていうのかその、愛らしい。すごく。 抱きついてもふもふしてみたい。 ルイズは頭を振って今浮かんだ考えを打ち消した。 こいつは使い魔で私はその主人なのだ。もっと威厳あるしっかりした態度で接しなくては。 「こほん、まあいいわ。とにかくあんたは私の使い魔なんだからしっかりと務めを果たしてもらうわよ」 そうしてルイズは使い魔の務めを話し出した。 そうして役割を教えた後威厳たっぷりにその実行を命令しようと考えていたのだが、その目論見はあっさり外れてしまった。 感覚の共有はできないし何か探させようにもよほどの田舎から来たのかこっちのものは何も知らない。 もう期待などできなくなってしまったが、一応一通り言っておこうと思い最後の主人を守るという役目を話したとき意外な言葉が返ってきた。 「うんそれならまかせてよ。必ずルイズを守ってあげるよ」 「あのねえ、あんた、冗談はやめてよ。あんたみたいなのがそんなことできるわけないでしょ」 はっきりいってルイズにはベルモンドに戦闘力があるようには全く見えなかった。 そこいらの使用人のほうがまだこのクマちゃんよりは強そうだ。取り柄といったら可愛いことしかないんじゃないのか、こいつ。 ああ、かわいい。抱き枕にして寝てみたい。 ルイズは頭を振ってまたしても浮かんだ変な考えを打ち消した。 が、そんなルイズを気にしないでベルモンドは自信たっぷりにこういってのけた。 「大丈夫だよ。僕は正義超人だからね。みんなを守ることが使命なのさ」 いや、正義チョージンだからね、なんて言われてもちっとも理由になってない。さっぱりわけがわからない。 部屋に戻ってじっくり話を聞こうと思っていたが結局頭が痛くなるだけだった。 もう話を切るのはあきらめてせめて主人らしく振舞おうと自分を着替えさせるように命じた。威厳たっぷりに。 ……いや、本人はそのつもりだったが女の子がクマちゃんに着替えを頼むというのはほほえましい光景でしかなかった。 「はーいじゃあじゃあ脱がすよー、腕上げてー。はい、じゃあこれ。服はどこへしまえばいいのかな」 ベルモンドは案外てきぱきと着替えさせてくれた。手がボタンにかかったときこの着ぐるみの手で細かいことができるのかと気になったがそれも器用にこなしてくれた。 さて、問題は寝るときだった。ベルモンドに寝る場所として床を指したのだがさすがにこれは不満そうだった。 それでもあんたは使い魔だからと強引に押し切ったら諦めたのか床の隅に向かっていった。 そこまではいい。だがベルモンドはそのまま膝を抱えて座り込んだのだ。 「うう」 部屋の隅で背中を丸めて膝を抱えるクマちゃん。 「うううう」 なぜか心が痛む光景だった。 「うううううう……あーー!もういいわよ、あんたもこっちで寝なさい!」 「え、いいの?」 「いいのよ!でもこれは得別なんだからね。あたしが寛大なご主人様なことに感謝しなさい!」 「わーい、ありがとう」 そうしてベルモンドもベッドにもぐりこんでくる。 ルイズはさっきベルモンドを抱き枕にしたいと考えたのを思い出した。でもプライドとかが邪魔をして結局抱きつきはしなかった、起きている間は。 眠った後ルイズは自然とベルモンドに抱きついていた。 この夜、ルイズはかつてないほど安眠できたという。 少女はその中身をいまだ、知らない。 前ページ次ページゲーッ!熊の爪の使い魔
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前ページ次ページゲーッ!熊の爪の使い魔 第九話 使い魔からの期待 「ウ、ウォーズマン、それがあんたの名前?」 使い魔の新たなる名を聞いたルイズは、むしろ自分の中で反芻し確認するために彼の名を口にしてみた。 「そうだ」 「え、えーと、ウォーズマン、その、いろいろ聞きたいことがあるんだけどいいかしら」 「ああ、構わない。だが、少しだけ待ってくれないか」 「え、ええ、いいけど」 未だに調子が出ず、どうにか受け答えをしたルイズからの返事を聞くと、 ウォーズマンはもう一人のほうへ向き、話しかけた。 「シエスタ、頼みがある」 「え、あの、はい、何でしょうか?」 突然話が降られ、こちらも戸惑いながら返事を返すシエスタ。 そんな彼女にウォーズマンは脱ぎ捨てたベルモンドの着ぐるみを差し出した。 「さっきの戦いでボロボロになってしまった。すまないが修繕を頼めないだろうか? 俺はそういうことが得意なほうじゃないんだ」 「え、ええ、そういうことなら任せてください、きちんと直して見せます」 かわいいクマちゃんとの幻想をぶち壊されたし正直爪をもった黒ずくめの男ということで正直怖くもあるが、 ふと気付くと怖い手の爪もいつの間にかなくなっている、引っ込んだのだろうか? とにかく実際助けられたこともありシエスタの親切心も相まって彼女はそれを引き受けた。 「そうか、すまない。またこの礼は今度する」 「そんな、先ほど助けてくださったわけですし、この程度じゃまだまだ恩を返していませんよ。 また、何かあったら何でもおっしゃってください」 「ありがとう、その言葉に甘えるつもりはないが場合によっては頼むこともあるかもしれない」 「はい、そのときはまかせてください。それじゃ、きちんと直しておきますので」 そう言ってシエスタは着ぐるみを抱え駆けて行った。 クマちゃんじゃなくなって怖そうになっちゃったけど、 何だか優しくていい人かもしれない、そう感じられた。 「えーと、じゃあいいかしら?」 「ああ、かまわない」 話が終わったため、ルイズは中断されていた自分の質問を再開する。 「ねえウォーズマン、あんた、その、なんで、クマの格好なんかしてたの?」 「ああ、もといたところで少々正体を隠してベルモンドとして演じていたからだ」 「もといた場所の都合なら、なんで召喚されてからもずっとそんなことしてたのよ」 「ベルモンドとしてクマの姿で召喚されたからな、そうふるまうのはあたりまえだろう」 「大体さっきの決闘でクマの格好の時たくさん血を流していたのにどうして今は傷一つないのよ!?」 「それはあくまでオーバーボディの時に受けた傷だからな」 「なんか全然キャラが違うんだけど?」 「先ほど言ったようにベルモンドを演じていたからな」 「なに、それで今までくうーんとか言ってたの、変だと思わないの!?」 「すまないルイズ、お前が何を問題にしているのか、何がおかしいのか正直よくわからない」 「いやいやいや、どう考えてもおかしいでしょ!」 はっきりいって話が噛み合っていなかった。 それもそのはず、ウォーズマンが元いた世界ではそんなことを問題にするものはいなかった。 オーバーボディを着ていれば性格が変わってもおかしくはない、 例えばヒカルドという超人などは善悪すら変っていた。 それに中身が出てもそこまでショックを受けられることもなかった。 クマの中から彼や象が出ても取り立ても正体に驚かれたことはあれど、 クマから中身が出たということで騒ぎになったことはなかった。 ついでにいえばオーバーボディを脱げばそれまでのダメージがリセットされるのも当然だった。 だがこの世界では違う。 そう、このハルケギニアは「ゆでだから」の通じない世界だったのだ。 結局二人の押し問答はこの後しばらく続いたのだった。 その日の晩、ルイズたちが食堂へ行くと、なぜはウォーズマンがコックたちから熱烈な歓迎を受けた。 「ウォーズマンさん、クマの修繕はまだですが、それとは別に昼間のお礼があるんです。 どうかこちらに来てください」 そう言ってシエスタがウォーズマンを厨房へ引っ張っていく。 それが気になったルイズは食事を後回しにして少し離れた所から様子を覗うことにした。 「おお、よく来てくれたな、我らの爪」 厨房では、コックのマルトーがそう言ってウォーズマンを迎えた。 ついで回りの者たちからも賛辞が述べられる。 それらの内容は要約すると、 シエスタを助けてくれてありがとう、同じ平民の身でありながら貴族を倒したあんたの姿に感動した、御馳走を用意したから食べてくれ、というものだった。 だが、ウォーズマンは彼らに水を差す事実を告げた。 「すまない、感謝してくれるのはうれしいが俺は平民どころか人間ですらない。 俺は超人、いわゆるこちらで言う亜人のようなものだ」 ウォーズマンは210サントの身長をもち鍛えられた大きい体格であるとは言えまだ人間の範疇と言えるし、 彼らにはマスクをかぶった平民と捉えられていたのだった。 「え、じゃあなんで貴族の使い魔がわざわざ平民を助けたんだ?」 彼らはその事実に対し、そう疑問を持った。 貴族の使い魔とはいえ同じ平民だからこそシエスタを助けたのだと彼らは思っていたのだった。 だが、そうでないのならなぜ平民の上に立つ貴族の使い魔が平民を助けたりするのか? 「確かに俺はお前たちの一員ではない。 だが俺のこの力は理不尽な者たちから弱き人々を守るためにある。 俺はずっとそうやって生きてきた。シエスタを助けるのは当然のことだ」 「で、でも今は貴族の使い魔なんだろ」 「ああ、今の俺はルイズの使い魔となった身だ。 だが、彼女に力を貸すのはそれだけが理由ではない。 まだ召喚されて日は浅いがルイズは立派な貴族になろうと志し、そのために努力している人間だ。 立派な行いによって自然に尊敬されるような、そんな真の貴族に。 俺はその手助けをしたいと思っているし、道を踏み外すようなら止めるつもりだ」 そう、当初は使い魔にならなければルイズが困るという理由で契約をしたウォーズマンだったが、 ベルモンドとして過ごしたわずかな時間の中にも、多少高慢な部分が見えたことがあるものの、 魔法の勉学にはげみ、欠点を克服して向上しようとするルイズの姿を見てきた。 だからこそ真に力を貸し、戦ってもいこうと思ったのだった。 「というわけでもし、これ以降も平民だからと言って理不尽に苦しめられるようなことがあったら遠慮せずに言ってくれ。 貴族の使い魔がどうとかいうことは関係なしにいつでも力を貸そう」 それを聞くとマルトーは感極まったように震え、再び話し出した。 「……いいねえ、感動した!亜人だか超人だか知らないがやっぱりあんたは我らの爪、だ。 ほら、あんたのために腕によりをかけたからじゃんじゃん食べてくれ」 「いや、用意してもらって悪いが、俺は食事を必要とはしないんだ」 「そ、そうなのか、残念だな」 「これだけの立派な料理を無駄にするのは忍びない、料理はみんなで食べるといい。 その代りに俺には、そうだな。酒をくれないか」 「おう、そういうことならとっておきを用意するぜ。 一緒に飲み明かそうや!」 そう盛り上がる厨房を横に、ルイズは頭を抱えていた。 ルイズはウォーズマンの先ほどの話を思い返していた。 ウォーズマンて私にとても期待してる。真の貴族を目指す立派な人間だって。 それでもって道を外したら止めるって。 ということはなにか?私が貴族だからってウォーズマンや平民に偉そうな態度をとったりしたら…… 「平民の分際で逆らうんじゃないの、貴族には従いなさいよ」 「……貴族であることを鼻にかけるなど、お前には失望したぜ、ルイズー!」 そう言ってウォーズマンはルイズに飛びかかる。そして、 グサ! ウォーズマンの爪がルイズのこめかみにつきたてられる。 数日後、ルイズは車椅子に乗り物言わぬ身となって父、ヴァリエール公の前に現れた。 「残念ですがお嬢さんは植物メイジになってしまわれたのです」 「おおルイズ、何という姿に」 数ヵ月後、そこにはマスク(霊命木製)をつけて元気に走り回るルイズの姿が。 「もう二度と貴族にふさわしくない行いはしないわ」 「……はっ、いったい何を?」 なんだか妙な未来図を幻視してしまったルイズは正気に戻ると頭を振った。 とにかく、もう今後下手な行動はとれないということだ。 かといってウォーズマンに文句をつけることもできない。 主人に、驕らず偉ぶらず向上心を持った立派な貴族であることを期待する。 素晴らしいことだ。文句をつけるべき点はない。あと反論するのも怖い。 い、いやでも大丈夫、私はまさに立派魔貴族でありそんなことだできて当然、心配することはない。 あー、でもあいつコックやメイドとも仲良くなってるし何かやってしまったらそこからウォーズマンの耳に入るわよね。 もう一時も気が抜けないんじゃ、いやいや私なら大丈夫よ、で、でももしかしたら…… 厨房で盛り上がる彼らを尻目にルイズは頭を抱えていたのだった。 前ページ次ページゲーッ!熊の爪の使い魔
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前ページ次ページゲーッ!熊の爪の使い魔 第六話 食堂の変 昼、掃除の終わったルイズとベルモンドは食堂へ来ていた。 しかし食事をするルイズとは別にベルモンドはふらふらと歩きまわり、その中に見知った顔を見つけていた。 「遊ぼ、遊ぼ」 「あの、ごめんなさい、ベルモンドさん。気持ちは嬉しいけど今お仕事中なの」 話しかけられたシエスタは配膳中のトレーを示してこたえる。 「うーん、じゃあボクも手伝うよ」 「え、そんな悪いですよ。朝も洗濯もの持っていただいたのに」 「でも今日の朝、シエスタは洗濯場の場所を教えてくれたし洗うのもやってくれたよね。 ボクはまだ一つしか返してないんだから気にしないでいいよ」 そう言われると断りにくい。 加えてこのクマちゃんと入れるということもあって、結局シエスタはベルモンドに手伝ってもらうことにした。 「キャー、かわいーー」 食堂に歓声が上がる。その中心にいるのはベルモンドだった。 ベルモンドは手伝いとして食後のデザートのケーキを配っていた。 ケーキを配るクマちゃん、その可愛らしい仕草が女生徒たちに受けていた。 授業の時とは違い、今回はルイズを馬鹿にするような声もないためひたすらベルモンドへの歓声のみが響いている。 それを快く思わないものもいた。 ギーシュである。 このクマが来てからというものすっかり自分は見向きもされなくなってしまった。 ケティもモンモランシーもほかの女の子たちもみんなあのクマ野郎を見ている。 ギーシュの(逆恨みな)怒りはどんどん膨れ上がっていった。 そして、 「あの、落されましたよ」 この一言が彼の怒りの引き金を引くことになった。 モンモランシーの香水の小瓶が見つかったことから二股がばれ、その結果少女たちに攻め立てられる。 だが、それだけではなかった。 「ギーシュ、あなたなんかよりルイズの使い魔のクマちゃんのほうがずっといいわ!」 そのあとにもいろいろ言われた揚句しまいにはぶたれてしまったがそんな中でもギーシュの脳裏にはその言葉が響いていた。 僕が、このグラモン家のこの僕があんな畜生以下…… ギーシュの中で何かが切れた。 そしてその怒りは一連の流れの引き金を引いたシエスタに向けられた。 「おい!そこのおまえ!お前のせいでレディが傷ついた揚句この僕が罵倒されたんだぞ! たかが平民の分際で何様のつもりだ貴様!いったいどう責任を取るつもりなんだね!!」 怒りのあまり普段の気障な態度も消えものすごい剣幕でつかみかかり、 あまつさえ平民とはいえ女性に対して貴様、と言い放つ。 シエスタは哀れにも全身が震え涙を浮かべていた。 謝り許しを乞おうにもうまく口も回らない。 シエスタは今まさに、死の恐怖を感じていた。 だが、そうしてシエスタに絡むギーシュの肩をつかむ者がいた。 「ねえ、もうやめなよ。このことは君のほうが悪いよ」 ベルモンドである。 そうだ、こいつだ。そもそもこいつが僕から彼女たちの心を奪っていったんだ。 もともとの怒りのほこ先であるベルモンドが現れたことでギーシュはあっさりとシエスタから顔を離しベルモンドへとつかみ掛かった。 「ああ、なんだこのクマ野郎め、畜生の分際でこの僕に意見しようというのかい!? さすがケダモノだけあってまともな脳みそも持ち合わせていないようだな!」 この暴言を聞いてまわりの女生徒から非難の声が上がる。 「何言ってるのよ、サイテー!」 「クマちゃんに謝って!」 だがそのような声もギーシュを止めることはなく逆にヒートアップさせていく。 「うるさい黙れ!大体こんな布と綿の塊の何がいいって言うんだ! それにクマ野郎、あんな平民に何か言ったところで僕の何が悪いって言うんだ! たかが平民だぞ!僕ら貴族の足元に群がるようなやつらに対して礼儀でも尽くせっていうのかい!?」 「……ええと、貴族とかそういうのは関係なしに偉い人っていうのは立派だから偉いと思うんだ。 いい事をしていけばそれでひとは偉いと認めてくれる。 すごい王様とか立派な侯爵とかみんなが話してくれるような本当に偉い人っていうのはそういう人だと思うんだ。 君は貴族っていうことで威張ってるだけだよ。 もっと、貴族の名にふさわしい生き方をしないと本当に立派な貴族にはなれないよ」 このときベルモンドの脳裏にはある一人の超人が浮かんでいた。 強く、勇敢で、友のために率先して前に出て戦った男。 弱きを助け強きをくじく、それを体現したもの。 アイドル超人軍のリーダー的存在。 自分に多くのものを与えてくれた師匠。 その立派な生きざまは正に仮面(ペルソナ)の貴公子、と称されるにふさわしい。 皆に尊敬される紳士超人。 彼を思うと、シエスタを守るだけでなく、 どうしてもギーシュに真の立派さについて語らずにはいられなかった。 ……彼が時たま奇行に走り仮面(ペルソナ)の奇行子と化していたことは無視した。 だが、そんなベルモンドの言葉もヒートアップしたギーシュには届かなかった。 「なんだ、クマごときが貴族のなんたるかを語るなんて何様のつもりだい。 ああ、さすがゼロのルイズが召喚しただけあるなあ。 魔法も使えないゼロに畜生のクマ野郎、どっちも口だけはえらそうなとこが同じってわけか。 いいだろう、しょせんは低能なクマには言葉じゃなく体に分からせてやるしかないようだね!」 「どうしようっていうの?」 ベルモンドが問いかける。 それに対し、ギーシュは、 言ってはならないことを口にしてしまった。 「決闘だ!!」 「……くうーん?」 ええと、どうしてそれで決闘になるの?」 「はは、きまってるダろう、言ってもわからない貴様に礼儀を教えて泣いて謝らせてやろうって言うのさ。 散々無礼な口をたたいたことを後悔させてやるよ。 ああ、もちろんいまサラ謝っても無駄だ。ボロ屑にしてやる」 「そんな、力ずくなんて立派な貴族のすることじゃないよ」 「なんだい、おじけずいたのかい?大体僕らは魔法が使える。 脳なしの平民の上に立つのは当然じゃないか!」 「……わかったよ、決闘を受けるよ。 でも約束してもらう、ボクが勝ったら君にシエスタ、絡まれたメイドの子と 君に馬鹿にされたルイズに謝るんだ。 それに君が二股をかけた女の子たちにも。 強いほうが偉いって言うのならかまわないよね」 「はははっ、大きく出たな!しょせんはクマか。いいだろう乗ってやるよ! じゃあヴェストリの広場に来たまえ、そこで礼儀を教えてやるよ!」 そう言ってギーシュは去って行った。先に広場へ向かったのだろう。 それと入れ替わりにルイズとシエスタがやってくる。 「あんた、なに勝手なことしてんのよ、自分が何したかわかってんの!?」 「そうです、貴族の方と決闘なんて殺されちゃいます!もともと悪いのは私なんですからそんなことしないでください」 「そんなことないよ、シエスタは悪くない。力をかさに着るなんて見過ごせないよ。 それにギーシュはルイズも馬鹿にした。あんなに頑張ってるルイズを馬鹿にするなんて許せない。 ボク、怒ってるんだ」 「え、私のため…で、でもだからって相手はメイジなのよ! ぬいぐるみのあんたがどうこうできる相手じゃ!」 「大丈夫だよ、昨日も言ったけどボク、強いんだ」 そのままベルモンドは二人に背を向け、ギーシュの向かった方へと自分も向かっていったのだった。 次回、青銅の人形とクマちゃんが激突する! 第七話 ヘルズ・ベアー へと続く。 前ページ次ページゲーッ!熊の爪の使い魔
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前ページ次ページゲーッ!熊の爪の使い魔 第五話 人気者のクマ さて、使い魔を召喚しての初めての朝、ルイズは不機嫌だった。 ベルモンドに抱きついているのに気がついて恥ずかしさの余り洗濯するよう言って追い出したのは、 いつも自分が起きる時間よりもずっと早かった。 おまけに頭に一度血が上ってしまったせいか目が冴えてしまい二度寝する気にもなれない。 ベッドに入ってもいないのにそのまま寝まきでいるのも何だったので結局自分で着替えた。 やはりあいつは床で眠らせるべきだったのだ。 そうすればこっちも朝飛び起きることはなかったしもっとちょうどいい時間にあいつに起こしてもらえて着替えもやらせておけたのに。 しかし自分のしもべである使い魔に抱きついて眠るなど何事だ。これでは主人としての威厳がないではないか。 そもそもあいつが悪いのだ。あんな、かわいくて、抱き心地がよくて、あったかくて、 ああ、昨日はほんとよく眠れたなあ…… 「ってちがーーう!!」 ずれていた思考からはっと我に返り大声でどなりルイズは再びベルモンドへの文句を考え出す。 だが結局はクマちゃんのかわいさに心を奪われ、その後またどなる。 このサイクルはベルモンドが洗濯を終え戻ってくるまで続いた。 独り芝居をしていたこともありおなかも減ったということで早速ルイズはベルモンドをつれて食堂へと向かおうと部屋を出た。 そこで、またしても不機嫌な顔になった。 「あら、おはようルイズ」 「…おはよう。キュルケ」 朝早くから不愉快な顔を見たからだ。 「いつになくかわいらしいじゃないあなた」 「どういう意味よ?」 「だってそうじゃない、こっちが噂の使い魔のクマちゃんなんでしょ。こんな大きいクマちゃんを引き連れてると小さくておこちゃまなあなたがより引き立って一層子供らしく可愛く見えるわ。ほんとピッタリの使い魔を召喚したのね」 「う、うるさい!」 そんな声を無視してキュルケは、今度はベルモンドのほうを見やる。 「でも改めて見るとほんとかわいいクマちゃんよねえ」 「おはよう、ボクベルモンドだよ」 「あら、きちんとしてるのね、主人とは大違いだわ。ルイズ、あんたにはもったいないんじゃないの?」 「なによ!うらやましがってもあげないんだからね!」 ルイズは先祖代々のいろいろなもの、特に男、を取られてきた因縁からとっさに声を上げた。 だが、キュルケはそんなルイズの危惧をあっさり否定した。 「別にうらやんでるわけじゃないわよ。別にかわいいのも嫌いじゃないけどあたしが真に求めているのは情熱。 あなたの様なお子様みたいにかわいいものにキャーキャー言うような安っぽい女じゃないの。 じゃあ、あたしの使い魔も紹介してあげる。まさに情熱にふさわしい使い魔よ。おいで、フレイム」 そう言ってキュルケは自分の召喚したサラマンダーを披露する。 そうして始まる自慢、それに対する文句。二人がぎゃあぎゃあ言っている中、 「遊ぼ、遊ぼ」 われ関せずとベルモンドは手をフレイムに差し出し話していた。 「はあ、はあ、もういいわ、行くわよベルモンドって何してんのよ、あんた!」 「何ってトカゲ君と遊んでるんだよ?ルイズも一緒に遊ぶ?」 言い合う二人が落ち着いた時にはベルモンドとフレイムはお手をしたりしてじゃれあっていた。 「するわけないでしょ!あんたもキュルケなんかの使い魔と遊ぶのなんかやめなさい!あんたもキュルケみたいに頭空っぽになるわよ!」 当然ルイズは怒鳴ってやめさせる。もともとベルモンドは賢そうにみえないと思ったのは内緒だ。 火トカゲと遊ぶクマちゃんの図というのもかわいいと思ったのはもっと内緒だ。 そんなこんなでルイズたちは食堂へ向かったのだった。 食堂ではルイズはもっと散々だった。 食堂に入るなり女子たちにベルモンドがキャーキャー言われ、やかましかったし、 今度こそ主人としての威厳を出そうと質素な食事を出したら女子たちに鬼畜外道を見るような目をむけられたり、 (正直これまでゼロと蔑まれてきたのが軽いくらいの強烈さだった) 挙句ちゃんとした食事を出そうとしたら 「僕は食事しなくても大丈夫だよ」 と言われてそもそもこんなことしなければよかったと後悔していた。 その後、ルイズの食事中ベルモンドは外に散歩に来ていた。 そこに飛来する一つの影があった。そしてそれはベルモンドの前に降り立った。 「きゅいきゅい」 それは大きい竜だった。 「わあ、おっきなドラゴンだ、すごーい」 「きゅいきゅい」 竜はベルモンドに顔を摺り寄せてくる。 「遊ぼ、遊ぼ」 そしてベルモンドも手を差し出して応える。 「きゅいー」 このまま二頭はしばらくの時間を戯れて過ごしたのだった。 その後一旦戻ったのち、 「ねえルイズ、おっきな竜さんとお友達になったよ」 「勝手に知らない使い魔と遊ぶんじゃない!」 「きゅいきゅい、おねえさま、とってもかわいいクマちゃんと遊んだのね!とっても楽しかったのね!」 「静かにして、出ないとお昼抜き」 それからルイズはベルモンドと一緒に授業へと向かった。 そこで待っていたのは、正反対の二つの反応だった。 「おい、なんだよルイズ、その使い魔は。そこらのやつに着ぐるみでも着せてきたのか?」 「キャー、かわいー!クマちゃんこっち向いてー!」 ルイズを馬鹿にするもの、ベルモンドに熱を上げるもの。 そんな中、ギーシュはそれまで話していたモンモランシーが自分そっちのけでクマに夢中になり出したことにショックを受けていた。 その後、教師のシュヴルーズによって強制的に黙らされたことでようやく授業が始まった。 そして系統やランクについての話が進み生徒たちがそれを聴く中、ベルモンドは、 「遊ぼ、遊ぼ」 他の使い魔の動物たちにちょっかいを掛けていた。 「ちょっとやめなさい、静かにできないの」 さすがに声をかけ咎めるルイズだったが、 「ミス・ヴァリエール、今は授業中ですよ。そんなかわいいクマちゃ…ゴホンゴホン、使い魔とおしゃべりしていい時間じゃありません」 それをシュヴルーズに見咎められ、そのまま錬金の魔法の実演を行わされることになったのだった。 それを聞いた瞬間生徒たちに恐慌が走った。 必死に止める生徒達。だが、シュヴルーズはそれを無視して強行させる。 生徒は遠ざかりルイズの近くにはシュヴルーズと、 「わーい、魔法?近くで見せて、見せて」 いつの間にか他の使い魔と戯れるのを止めていたベルモンドだけだった。 そしてルイズが呪文を唱えた瞬間爆発が起きた。 「ああーっっ!ルイズが錬金を失敗!いつも通りの爆発を起こしたー! 爆煙でよく見えないが彼女たちは無事なのかー!?」 出番だとばかりに「実況」の二つ名をもつ生徒が声を上げる。 「あ、あれ?なんともなってない。それになんだかあったかいものに包まれているみたいな」 だが、そんな心配をよそにルイズとシュヴルーズは無事だった。煙が晴れることで生徒たちにもその様子が見えてくる。 「ベ、ベルモンドだー!ベルモンドが二人を抱えてかばっているー!まさに使い魔の鏡だーー!」 二人を腕で抱え、背中が穴があいたりして少しばかりボロボロになったベルモンドを。 そんな様子にルイズも気付く。 「あ、あんた大丈夫なの?」 しかしそんなルイズの様子をよそにベルモンドは、 「くうーん」 と鳴くだけだった。 次の瞬間教室は生徒たちの声に包まれる。いつものように失敗して爆発を起こしたルイズを責める声、そして身を呈して二人をかばったベルモンドへの歓声や怪我を心配する声だった。 シュヴルーズも、 「な、なんてお利口で立派で勇敢なクマちゃんなんでしょう……」 とベルモンドに熱い視線を送っていたのだった。 結局騒ぎが落ち着いた後、爆発の片づけを罰としてルイズとベルモンドが行うことになった。 シュヴルーズはベルモンドも働くことになることが不満な様子だったが使い魔と主人の関係を考えしぶしぶ指示を下していた。 そうして二人で片付けをする中、ルイズは口を開き、話し始めた。 自分をいつもこのように魔法に失敗して爆発を起こすこと。 そのため成功率ゼロということでゼロのルイズと呼ばれるようになったこと。 これまで必死に勉強してきたこと。 それでもどうにもならなかったこと。 さらに話を進め、笑わば笑えと自虐的になってきたルイズに対して、珍しく静かに話を聞いていたベルモンドが口を開いた。 「魔法のことはよくわからないけどルイズは今まで頑張ってきたんだよね、ならこれからも頑張っていくべきじゃないかな」 「そんな知った風な口を利かないで!今までずっとやってきて、でもだめだったのよ!それをそんなに軽々しく!」 「じゃあ、なんでルイズはこれまで頑張ってきたの?ずっと成果が出なかったのに。 ルイズ、君も分かってるんじゃない、それでも今の自分を変えていくのに自分に出来ることはもっと勉強してもっと頑張ることだって。 そうやって前に進もうとすることだって。 だから今まで結果が出ていなくてもずっと頑張ってきたんでしょ。 だったらこれからもがんばっていこうよ」 「そんなの」 奇麗事だ、とは言えなかった。ベルモンドの言葉にはなぜだか強い説得力があった。 ステカセのかませにされ、牛のかませにされ、体内をリングにされ、真っ先にマスクを狩られ、象にはウギャアされ、 それでも進み続けて20年余り、ルイズの人生よりも長い年月を経てようやく扱いも良くなり人気投票も一位になった経験からくる説得力が。 結局ルイズは続きは口にできず、代わりにもっと前に言うべきセリフを口にした。 「あの、さっきはかばってくれてありがとう。背中もそんな穴が空いちゃって」 「気にしないで、ルイズ。さっきも言ったけど僕は平気だよ、鍛えてるからね。そんなことより怪我がなくてよかった」 そんな風に答えるのを聞いてルイズは、可愛らしいからとか愛玩的な意味ではなく初めて、 ベルモンドを召喚できてよかったと感じていた。 前ページ次ページゲーッ!熊の爪の使い魔
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前ページ次ページゲーッ!熊の爪の使い魔 第十三話 破壊力の方程式 フーケ討伐隊の一行は馬車でフーケの隠れ家へと向かっていた。 そして馬車の中は、強大なゴーレムを作り出せるフーケとこれからやりあいに行くというのに、 それを感じさせないかのように雑談で盛り上がっていた。 緊張を紛らわすためということもあったが、それ以前に沈黙が怖かったからだった。 狭い馬車の中で響いてくる、コーホー、コーホーという呼吸音。 馬車の走る振動だけではその音を掻き消すには足りなかったのだ。 それゆえ、ロングビルがなぜ今は貴族ではないのかと聞いたり、それをたしなめたり、 なぜクマの格好をしていたかを質問したり答えたりと喋っていた。 キュルケにとっては意外なことにタバサすらも積極的に参加していた。 まあ、幽霊といったホラーなものが苦手な彼女にとっては幽霊などではなく 目の前の人物が発するものとは言え会話もなくコーホーと響くホラーな状況はひときわ耐えられなかったからであるが。 そんなこんなで無口なウォーズマンや御者のロングビルですらが質問をされた時には喋り、会話に参加していた。 ただ一人、「実況」の二つ名をもつ生徒のみが沈黙を守っていた。 そして移動を続けること数時間、一行は森の中の小屋の前、少し離れて影になったところに立っていた。 「ここがフーケの隠れ家なの?」 「ええ、昨晩遅くにこちらへ入っていくフード姿の人影を見たという情報があります」 それを確認して一同は考え込む。 「じゃあ、一気に突っ込んで倒しちゃいましょう」 「馬鹿ねえ、ルイズ。相手はあのフーケなのよ。 一気に突っ込んであの大きいゴーレムなんて出されてごらんなさい、 私の炎やこの子の氷が盗賊風情に後れを取るとは思わないけど、 わざわざ真正面からぶつかっていくのも優雅じゃないんじゃなくて?」 「何言ってんのよ、正々堂々と正面から行くのが貴族ってものでしょ! それを盗賊ごときを相手に真っ向から行かないなんて、さすがはツェルプストーの家系ね」 「一回取り逃がしてるルイズに言われたくないわね、 って言うか一人相手にこの人数で攻めて正々堂々もないでしょうに」 「う、うるさいわね!」 と、ルイズとキュルケがいつものように口論を始めた中、タバサが口を開いた。 「そもそもフーケが今あの中にいるのか分からない、……あまり人がいる感じがしない」 これまでも家の任務でたびたび戦いに身を置いた経験からさまざまな状況、 この場合についてはそこにフーケがいないこと、についてもタバサは考えていた。 そして実際、小屋には人の気配が感じられなかった。 そしてウォーズマンも続いた。 「ああ、俺もあそこからは人の気配は感じない。もっともそういうことは得意じゃないんで断言はできないが」 これまでウォーズマンは主にリング上で一対一、もしくはタッグマッチで二体二、で向かい合って戦うことが多かった。 それゆえ、相手を探るということに関してもせいぜいリングやその周辺に限ったことであり、 離れた小屋の中を気配で探るということに関してはこれまで多くの任務をこなしてきたタバサのほうが勝っていた。 そのタバサでも、この静かな状況でははっきりとまではいないということはできなかった。 「結局いるかいないかわかんないのね」 「はっきりとはな。 気配を感じないのも場合によってはすでにこちらに気づいて気配を殺して待ち構えているからかもしれない」 「じゃあどうするのよ?」 それに対しタバサが意見を出す。 それはだれか一人が小屋の様子をうかがい、残ったものは周りに待機して援護するというものだった。 問題はだれが小屋に向かうかだが、 「それは俺が引き受けよう」 と、ウォーズマンが名乗りを上げた。 「あんたが強いのは知ってるけど、大丈夫?」 「ああ、心配するな、ルイズ。それに俺はおまえたちと違って魔法や飛び道具は持っていない。 どっちみち援護役にはなれないからな」 「気をつけてね……、あ、あんたは私の使い魔なんだからこんなところでやられちゃだめよ!」 「ああ、分かった」 ルイズの素直でない気遣いを受けてウォーズマンは小屋へと歩いて行った。 「じゃあ、わたしはあたりを見てきます」 「私は空から見ている」 そしてロングビルはあたりへ偵察に行き、タバサはシルフィードに乗って上空に待機した。 周りを見に行ったロングビル以外の皆が見守る中小屋のドアが開けられるが、 「……どうやら、誰もいないようだ」 「えっ、そうなの?」 「ああ、隠れられるようなスペースもないし本当にどこかへ出かけているか、それとも周りで待ち伏せているか、だ」 「こ、怖いこと言わないでよ」 「常に最悪は想定しておけ、ルイズ。でなければ足元をすくわれることになりかねない。 現実にはさらに想像もしないようなことが起こることもあるんだ。 せめて自分の思いつく範囲だけでも覚悟は決めておけ。 おれも一度痛い目にあったことがあるからな」 そういうウォーズマンの脳裏には苦い記憶が浮かんでいた。 まさか、うめーうめーと蛍石を食い出すとは思わなかったよ、あのメシウママンモス。 まあ、そんなことはさておき、フーケはいないようなので上空にタバサを監視に残して家探しをしてみた。 「それにしても汚い小屋ね、ええと、なんだろ?これかしら」 そして探していると、ルイズは一つの箱があるのを見つけた。 古く汚れた小屋の中、その箱だけがきれいでしっかりとした見た目をしていた。 そして中身を確かめようとしたその時、 ゴゴゴゴゴゴゴ! と轟音が響いてきた。 皆がそれを聞き外に飛び出すと、そこには巨大なゴーレムが現れていた。 ルイズとキュルケが一瞬気を呑まれている中ウォーズマンはとっさにフーケの姿を探す。 しかし森の木々にでもまぎれているのかフーケの人影をとらえることはできず、 それは上空にいるタバサにとっても同様だった。 そんな中、戦いの始まりを告げるように「実況」の二つ名をもつ生徒の声が響いた。 「さあ、とうとうフーケのゴーレムが現れました! 迎え撃つのはわがトリステイン魔法学園の生徒たち! いったいどのような戦いを見せてくれるのかーー!? なお、実況はこの私が、解説はこの前私が購入したインテリジェンスソードのデルフリンガーさんでお送りします。 彼は6000年もの時をすごしてきているそうなので、その解説には期待してください」 「え、いや、俺は剣だぜ、せっかく買ったんだから武器として使ってくれよ」 「おおーっ、ゴーレムに魔法が撃ち込まれていくーーっ!」 デルフリンガーの言葉を無視して発せられた実況の言葉通りに、ルイズたちは一斉に魔法を打ち込み始めた。 しかしそれらの攻撃を意に介さずにゴーレムは地上にいるルイズたちへと拳を叩き込んだ。 「巨体ゆえの剛腕がうなるー!これは万事休すかーー! い、いや、これはっっ!」 「スクリュードライバーー!」 とっさにウォーズマンが前へ出て回転しながら突っ込み、ゴーレムの腕を粉砕した。 「へー、結構やるじゃねえか、あのウォーズマンってのも。今のも見た目だけじゃなく理にかなってやがるぜ」 「と、いいますと?すごい技だとはわかるんですが具体的にはどういう理屈なんでしょうかデルフさん?」 「いいか、小僧っ子。前進する力と回転する力ってやつを組み合わせるとすげえ貫通力が生まれんだ。 今みたいな勢いで回転しながら突っ込んで、しかもあんな爪までつけてりゃあそりゃあ土の塊でできたゴーレムの腕くらい砕けらあ」 「なるほど、そうだったんですか、これはフーケの敗北は必至か!? い、いや、これは!」 不利と叫ぶ実況を無視してゴーレムは砕けた腕の部分を地面に押しつけた。 そしてそのまま腕を再生してしまったのだ。 「なんと、地面の土を失った腕にしてしまった!これは勝負が分からなくなってきた!」 それを見たウォーズマンは上空のタバサに視線をやった。 それを受けたタバサはすかさず地上に降り立った。 「ルイズたちを頼む」 「わかった。私たちは上から、あなたは下から」 そうしてルイズとキュルケを乗せてシルフィードは再び舞い上がった。 腕を再生し、姿勢を立て直したゴーレムがそこを狙って拳を振るうが、 再度のスクリュードライバーで足を破壊され、パンチは空を切ることになった。 「おおっ、今度は足を狙いました。これなら破壊だけでなく体勢を崩すこともできてより効果的ですね」 「いや、そうでもないぜ、よく見て見な」 その言葉通り、ゴーレムは砕かれた脚で膝をつくとあっさりと足を再生して立ち上がった。 その様子を、さっき嫌がっていた割にはしっかりとデルフが解説する。 「ほれ、やつは地面につきゃあすぐに自分を直せんだ。いまみたいにしたって脚だか膝だかをつきゃあすぐに元通りよ。 足とかを狙ったところで姿勢を崩してぶっ倒れるってのは難しいぜ」 その言葉通りさらにウォーズマンのスクリュードライバーが加えられ、 体の一部を破壊されても多少姿勢を崩す程度ですぐに再生し、地上のウォーズマンへ攻撃していく。 また、上空からの魔法攻撃も最初の時のように表面を少し削る程度でほとんど効果がない。 なお、このような激しい戦いの中でも実況の声は「実況」の使う魔法による風に乗って皆の耳に響いていた。 戦闘が始まって少したち、状況はこう着状態に陥っていた。 ゴーレムには上空からの魔法はあまり効果がなく、ウォーズマンのスクリュードライバーのダメージもすぐに回復される。 しかしゴーレムの攻撃も、シルフィードは上空の届ない高さにおり、 地上のウォーズマンに対してもその動きを捉えきれずにいた。 だが、 「だめ、このままでは私たちが負ける」 と魔法を放つ合間にタバサが言った。それに対してキュルケが異を唱える。 「えっ、なんでよ!?悔しいけどこっちの魔法は効いてないけど向こうだって攻撃が当たってないじゃない」 「今はそうだけど、このまま続けばウォーズマンの体力がいずれ尽きると思う」 「ウォーズマンが?確かに戦いが始まってからスクリュードライバーって技を連発してるけど、 それならゴーレムを再生させ続けているフーケだって先に精神力が切れてもおかしくないじゃない。 そもそもウォーズマンが前に戦ったのってギーシュの時だけでしょ? あんなんでウォーズマンの限界なんてわかる分けないじゃない、どうしてそんなことが言えるの!?」 と、今度はルイズも問い詰める。 「戦い方の問題」 「戦い方?」 「そう、例えば今の様に魔法を打ち込むというのはメイジである私たちにとって当然の戦い方、何もおかしくない。 フーケにしても同じ、学園の件から考えても巨大なゴーレムを用いるというのはフーケの得意な手段と思われる。 でもウォーズマンは違う」 「どうして?前の決闘でも今やってるスクリュードライバーでギーシュを倒してたじゃない」 「でも、それだけじゃなかった。クマちゃんの時に彼は様々なプロレス技を使っていた。 そう、彼の戦い方はプロレス殺法」 「そ、そういえば……」 「だけどそれは基本的には対人の技、あのゴーレムには通じない。 プロレスの投げ技も組み技もあの巨体相手では使うことができない」 「た、確かに……、じゃあ、それってつまり」 「そう、ウォーズマンはつなぎの技もなくいきなり大技だけを出し続けるという不自然な戦い方をしていることになる。 これでは必要以上に消耗する」 そう断言するタバサにルイズはショックを受ける。そんな彼女に追い打ちをかけるようにさらに実況の声が響いてきた。 「ああーーっっと、これはどうしたことか!?ウォーズマンがスクリュードライバーを打つ間隔が鈍ってきたーー! 一部とはいえゴーレムを砕くほどの攻撃、やはり連発するのは無理があるのかー!?」 そんな、どうしよう。このままではウォーズマンがやられてしまう。何か手はないの? その時ルイズはふと、懐に抱えた箱のことを思い出した。 小屋の中で見つけた、破壊の爪が入っていると思しき箱だ。 そうだ、これを回収したのだからもう戦わないでもいいんじゃないだろうか? ……しかし、貴族が背中を見せるわけにもいかない、でもこのままじゃウォーズマンが、 いや、そうだ、この破壊の爪をウォーズマンが使えば何とかできるんじゃ? 杖とかロッドとか言う名前じゃなくて爪、という名前だったから メイジの自分にとって武器として使うという発想は出てこなかったがウォーズマンなら話は別だ。 今だってベアークローという爪、本人は自分の一部と言っていたが、を使って戦っているじゃない。 そう思いルイズは箱を開けると確かにその中には爪が収められていた。 しかし、それはルイズにとって意外であり、また見覚えのあるものだった。 「え…こ、これは……、いいわ、お願い、ウォーズマンに近づいて!」 「何言ってんのよ、ルイズ、この状況じゃ悔しいけど近づいて援護しようにも邪魔になるだけよ!」 「でも、この爪をウォーズマンに渡さなきゃ!」 「わかった」 それを聞くとタバサはシルフィードを翻した。 そしてゴーレムがウォーズマンへの拳を空振りさせた一瞬に合わせウォーズマンに近づいた。 その時に合わせルイズは破壊の爪をウォーズマンに投げつけた。 「ウォーズマン、これを受けとってーー!」 それを見たウォーズマンはすかさずキャッチし右手にその「破壊の爪」、いや、 左手に装着したものと同じ爪、ベアークローを装着した。 そしてルイズに向かって叫んだ。 「ルイズよ、ベアークローは投げるものではなく腕につけるものだーー!」 「イ、 イエッサ!」 ってなんで私は叱られているのかしら、思わずイエッサなんて言っちゃったし。 でも迫力あったしなんだかウォーズマンの背後にモップかぶった男のオーラまで見えたし。 そんなルイズの思いとはたぶん関係ないがウォーズマンは続けた。 「だが、ありがたい、ルイズ」 「ベ、別にどうってことないわよ」 そんな言葉にルイズはあっさりとうれしくなった揚句、照れ隠しの言葉を返していた。 「おおーっ、なんと!破壊の爪とはウォーズマンのベアークローと同一だったーー!!」 「でもよ、爪が一本から二本になったくらいで何か変わるのかよ?」 「そ、それはどうなんでしょうか?さあ、これでいったいどのような展開になるのかー!?」 それを受けるかのようにウォーズマンは言った。 「俺の超人強度は100万パワー、このままではやつに決定打は与えられない。 しかし、二本のベアークローで100万パワー+100万パワーで200万パワー!! いつもの2倍のジャンプがくわわって200×2の400万パワーっ!! そしていつもの3倍の回転をくわえれば400×3の、 ゴーレムマン(超人強度580万パワー)、おまえをうわまわる1200万パワーだーっ!!」 なに、100万って数大きすぎじゃない、単位どうなってんの? って言うかゴーレムマンって誰? そんなルイズの疑問をよそに、飛びあがり両手の爪を突き出して回転し突っ込んでいくウォーズマンの体が光に包まれていった。 「ウォーズマンが1200万パワーの光の矢となったーー!!」 実況の声を受けそのままゴーレムへまっすぐに突っ込んでいった。 ズガガガガアァァァンンッ!!!! そして、ゴーレムを木端微塵のミジンコちゃんに粉砕してしまったのだった。 もはや、ゴーレムが再生することはなかった。 「こ、これはすごい!!なんとあのゴーレムをただの一撃で完膚なきまでに破壊してしまったーー!! これはとんでもない技だーー!」 「そうか、そういえば聞いたことがあるぜ」 「今の技について何か知っているんですか、デルフさん?」 「いいか、世の中には「二刀流×高さ×回転=破壊力」っつー方程式ってのがあってよ、今のはそいつを利用したわけよ。 しかし、おでれーた、ここまで完璧な形で破壊の方程式が見れるとは長く生きてみるもんだぜ」 「なるほど、それならば今の威力も納得というわけですね」 そんなわけあるか! ルイズは今の流れに納得できずにいた。 何が、というかすべての理屈がおかしい。無理があるというかもう無茶苦茶だ。 でも口にしたらなんだか負けな気がして結局ルイズは内にため込んだままだった。 未だ、ルイズには「ゆでだから」は受け入れられずにいたのだった。 前ページ次ページゲーッ!熊の爪の使い魔
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前ページ次ページゲーッ!熊の爪の使い魔 第七話 ヘルズ・ベアー その日の昼、コルベールはオールド・オスマンにベルモンドについての発見を報告するため学院長室を訪れていた。 そして報告する。現れたルーンは特別であり、古文書によるとそれが伝説のルーンであると。 「見てください、ベルモンド君のルーンはあのガンダールヴのものなのです! 素晴らしい、あんなに愛らしいだけでなく伝説の使い魔でもあるなんて! このコルベール、この魔法学院で教師をしてきたかいがありました」 「まあ、少し落ち着きたまえ。それで間違いはないんじゃな」 「はい、ベルモンド君にいい加減なことを伝えるわけにはいきませんからね、 何度も確認しました」 それを聞いてオスマンは思案する。もし本当ならいったいどう扱うものやら。 そのときドアがノックされ、オスマンの秘書ミス・ロングビルがやってきた。 なんでも決闘をしようとしている生徒がいるらしい。そのうちの一人はギーシュ、 そしてもう一人は今話に上がっていたベルモンド。 それを聞くとコルベールは飛び上がりオスマンに向かってまくし立てた。 「お願いです、今すぐ眠りの鐘の使用を! ああ、決闘などと、ベルモンド君が殺されてしまう! 躊躇している場合ではありませんぞ、早く眠りの鐘を。 いやそれでは生ぬるい、いっそギーシュ君には実力行使で」 「……さっき自分で言ったことを忘れたのかの? 伝説のガンダールヴじゃなかったのかの、あの使い魔は」 「だってクマちゃんなんですよ!!あんなかわいいクマちゃんが戦うなんて。 ああ、ベルモンド君……」 「いいから落ち着きなさい」 オスマンはロングビルを下がらせるとヒートアップするコルベールをなだめながら、 杖を振ると鏡に広場の様子を映し出した。 ベルモンドがヴェストリの広場に到着すると、そこにはすでに大勢の生徒がギャラリーとしてたむろしていた。 そしてその中心にいるギーシュがベルモンドを見ると口を開く。 「やあ、逃げ出さずによく来たね。ボロ屑になる覚悟はできているようだな。 じゃあ始めよう。諸君、けっと」 「さあ!ついにこのヴェストリの広場に両雄が揃いました。 いよいよ決闘が始まります! 立ちはだかるのはドットクラス、土のメイジ、 「青銅」のギーシュ・ド・グラモンーー!! 対するはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔、 「かわいいクマちゃん(チャーミング・ベアー)」ベルモンドォー!」 「実況」の二つ名をもつ生徒が皆に渡る声を響かせる。 なお、彼の使い魔はすでに彼とは反対側に位置し、「実況」本人が見聞きできない位置をカバーすべく待機している。 「……まあいい、そういうことだ。始めさせてもらうよ」 口上を途中で邪魔をされて憮然としながらもギーシュは早速行動を開始する。 ギーシュが薔薇の花を振ると花びらが一枚宙に舞い、 甲冑を着た女戦士の形をした人形が現れる。 「先ほど言われたように僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」 ギーシュはこれを見てあのふざけたクマ公も震え上がるだろうと考えていた。 だが、ベルモンドの行動はそんな彼の想像を超えたものだった。 「わあーい、お人形さんだー。なーんだ、決闘なんて言うから何やるのかなって思ったけどお人形遊びしてくれるんだ。 遊ぼ、遊ぼ」 そう言って手を差し出してワルキューレに近づいていく。 「ふざけるな、行け!」 それを見てギーシュは怒りとともにワルキューレを突進させていく。 「うわっと」 さすがに無防備にそれを受けはせずベルモンドは突き出された拳をよけようと身をひねる。 その結果、 ガシャーーン! 「あーっと、ベルモンドとワルキューレ、もつれ合ってともに地面に倒れたてしまった! が、単に倒れただけなのだろう、ベルモンドはすぐに起き上がる。 しかしワルキューレも起き上がろうとするがうまく立ち上がれずまた倒れてしまった。 「なんだ、どうしたんだ!?」 「おい、何やってんだよ!」 「お、おい、見ろよ、足のところを」 ギーシュやギャラリーが混乱する中一人の生徒が異常に気付く。 すかさずそれを「実況」が続ける。 「なんと!ワルキューレの足が歪んでしまっている!! 先ほどの転倒で変にひねってしまったのかーー!?」 「なんだよ、手抜きなんじゃないのか?」 「おいギーシュ、ろくにきちんとした錬金もできないのかよ!」 それを聞いた周りから馬鹿にした声が上がる。 「う、うるさい、これならどうだ!!」 ギーシュはそう言うと、立ち上がれないワルキューレをおいて、新たに二体ワルキューレを呼び出しベルモンドへと向かわせる。 「うわーい、今度は二人だー」 しかしベルモンドはまたしてもてってっと近づいてゆく。 そんなベルモンドにワルキューレが拳を突き出すが、それはむなしく宙を切った。 「おおっ、ベルモンド、巧みに二体の間をすり抜けたあっ!」 そして背後に回ったベルモンドは二体の腰にそれぞれ手を回すと、 「楽しーなー、楽しーなー」 スキップしながら二体と一緒にくるくると回り始めた。 「きゃー、かわいーー!」 そんな、クマと青銅の人形が戯れるようにしか見えない図に女生徒から黄色い声が上がる。 しかしギーシュにとっては馬鹿にされているようなものであり、離れようとワルキューレの足を動かす。 だが、それが地面を蹴ることはなかった。 「ああーーっ、いったいどこにそんな力があるのか、ベルモンドに抱えられたワルキューレが宙に浮いているーー」 なんと、ワルキューレは二体ともべとモンドに回されながら持ち上げられていた。 ワルキューレは腕を動かしベルモンドを振りほどこうとするが、 「おっと、いけない」 そのせいでバランスを崩したのか、ベルモンドが転んでしまい、 ドガアァッ!! 「あーーっと、体勢を崩したベルモンドから二体のワルキューレ、 投げっぱなしジャーマン気味に投げ飛ばされ頭から地面に叩きつけられたーー!!」 その二体のワルキューレは、金属製の体からくる体重を受けたことにより、頭部が完全にひしゃげてしまっていた。 無論、もう起き上れはしなかった。 「あれー?お人形さん、動かなくなっちゃったー」 そんな様子を見てベルモンドは残念そうな声を上げる。 「おい、見た目だけじゃなく作りにも凝れよ」 「真面目にやれよ、ギーシュ!」 再び男子生徒から囃し立てる声が起こる。 が、彼らとも黄色い声を上げる女生徒とも違う者たちもいた。 「珍しいわねえ、タバサがこんなのに興味を持つなんて、やっぱりあのクマちゃんがかわいい?」 「確かにかわいいけどそういうわけではない、でもあの使い魔には興味がある」 「なによ、もって回った言い回しねえ。 でもギーシュも情けないわねえ、あんな倒れただけでダメになるようなゴーレムしか出せないなんて」 「倒れただけ、そう見えた?」 「見えたもなにも実際そうじゃない。転んで足ひねったりクマごと倒れて頭打ったり」 キュルケが見たままの感想を述べる。しかしそれに対してタバサは、 「違う、最初はあのベルモンドが倒れるときにワルキューレの足をつかんで しっかりとアンクルホールドに固めていた。 次の二体も投げ飛ばされるまで見事なジャーマンスープレックスのブリッジを描いている。 倒れた拍子にもつれたとか転んだ際に投げ出されたとかではない」 「えー、ちょっと待って。その前にアンクルホールドとか「実況」も言ってたけど ジャーマンなんとかってなに?」 「プロレス技の一種」 プロレス、そういえばキュルケも聞いたことがあった。 確か平民の中で現在はやっている格闘のスポーツだったか。 でも、それは、 「プロレス、あれって見せもののショーなんじゃないの?そんな物の技が本当に効くの?」 だがタバサはすかさず反論する。 「確かに基本的には見せもの。でも技の威力は種類によっては本物。 むしろ本気で技をかけると危険だからこそ真剣勝負ではなく 筋書きに沿ったショーとして見せているという部分もある」 祖国ガリアでの立場上危険な任務にたびたび駆り出されるタバサは単純な魔法の知識、技術だけでなく 他の戦闘技術にももしもの対策のため一応の知識を持つようにしている。 それゆえプロレス技の危険性についても分かっていた。 「ええっと、じゃあワルキューレが壊れたのは ギーシュの作りが悪いからでも打ち所が悪かったわけでもなくて あのクマちゃんがそのプロレス技ってのを掛けたからって言うこと?」 「そう、あの使い魔は明らかな確信を持って技をかけている。 見た目通りのかわいいクマちゃんではない」 「くそっ、もうお遊びは終わりだ!」 そんな中、ギーシュはそう叫ぶと今度は今出せる限界である 4体のワルキューレを一度に呼び出した。 しかも今度は素手ではなくそれぞれ剣、槍、斧、ハンマーを手にしている。 「ボロ屑にしてやれっ!」 そう言うと一斉に突撃させていく。 四つの武器による一斉攻撃、先ほどのようなくぐれる様なスペースもなく、 今度こそベルモンドを捉えられると思われたそれもやはり宙を切った。 「なんだあーー!ベルモンドが消えたーー!? い、いや違う、ボールだ、ワルキューレに交じって茶色いボールのようなものが見えるっ! なんとベルモンド、自分の身をボール状に小さく丸めて一斉攻撃をかわしていたーー!」 「くうーん」 「くそっ!」 ギーシュも手を休めずさらに攻撃を繰り返していく。 だが、ベルモンドはボール状に丸まったままころころと転がり、 ぽんぽんと跳ねて迫りくる攻撃をかいくぐっていく。 「かわいー、クマちゃーん頑張ってー!」 そんな光景にまたしてもベルモンドへ黄色い声が上がり、 「ちゃんとやれよ下手くそー!」 ギーシュを囃すが上がる。 ギーシュはさらに激しく攻撃を行うが逆に冷静さを欠いた結果、 ガスガシャァァッ!! ベルモンドを攻撃しようとしてかわされ、勢い余って後ろのワルキューレを攻撃してしまった。 「これは痛い!斧を持ったワルキューレ、 他の三体の攻撃を受けてぐしゃぐしゃになってしまったーー!」 「なんだよ、ギーシュ、ばっかじゃねーの!」 「ぎゃはははは」 もはやギーシュへの声は嘲笑へと変わっていた。 ギーシュは唇を噛みしめ倒れたワルキューレを見つめる。 かろうじて人型を留めているだけのぼろぼろのワルキューレ、 これが逆にこちらの攻撃力を証明してもいたがどうしても当たらない。 もっと広く攻撃できるような方法があれば。 土の属性の魔法なら、石つぶてを飛ばすというものがあり、それなら条件を満たしている。 しかし、自分の得意とするのはワルキューレの錬金だ。 それを7体全部出し、しかも先ほど激しい攻撃を行ったため かなり精神力を食ってしまっている。 この状態で、広範囲に十分な威力で石つぶてを飛ばせる自信はギーシュにはなかった。 くそっ、何か方法は。 その時ギーシュに閃きが舞い降りた。 飛ばすものならあるじゃないか。 「おい、こっちを見ろクマ公!!」 「くうーん?」 ギーシュは剣と槍をもつワルキューレに武器を捨てさせると、 先ほど同志討ちでボロボロになったワルキューレを両脇から抱えあげる。 「青銅の力を見せてやるっ!!」 そして、最後のハンマーを持ったワルキューレがハンマーを大きく振りかぶり、背後から叩きつけた。 ドガァッ! すでにボロボロになっていたワルキューレはこの一撃でばらばらに砕け散り、 正面のベルモンドへと飛び散っていた。 ガスガスガスガスッ!! 「うわーー!」 多少時が戻るがそのころルイズとシエスタはまだ食堂にいた。 決闘に向かうと告げるベルモンドの、これまで見せたことのない迫力に気圧されてしまっていたのだ。 そして、出遅れてタイミングを逃すと一層足が重くなってゆく。 どうしよう、自分のせいで。 行ってどうなる、もうベルモンドはやられてしまっているのではないか。 いやな想像が頭に次々と浮かび、今向かえばそれを現実に 目の当たりにしてしまうのではないのかという恐怖が足を留めてしまっていた。 しかし、真の貴族は立派な行いをするから偉いんだ、 そのベルモンドの言葉がルイズを奮い立たせる。 そうだ、私もそれを目指していたじゃない。 魔法が使えなくても、貴族として立派であろうって。 こんなことをしている場合じゃない。 「行かなきゃ、ほら、あなたも行くわよ。 私たちのために戦ってくれてるベルもん簿をほおっておくつもり?」 「そ、そんなことしません、待っててくださいベルモンドさん」 そうしてシエスタにも声をかけ二人は広場へと向かった。 しかしそこで二人が見たものは、 全身穴だらけになって立ちすくむベルモンドだった。 「そ、そんな、ベルモンド……」 「い、いやーー!」 そんな二人に何があったかを教えるように「実況」からの声が上がる。 「なんと、ギーシュ!傷ついたワルキューレを打ちすえ、破片として飛散させたーー! これはまさに、青銅の散弾だーーー!! これは効いたか!?ベルモンド、微動だにしないー!」 「はははははっ!貴族であるこの僕にたてつくからこうなるんだ、この畜生め!」 そう、高笑いを上げるギーシュに対して、ルイズとシエスタ以外の女生徒からも非難の声が上がる。 「ひどい、なんてことするの!」 「死なないで、クマちゃん!」 一方キュルケ達は、 「あーらら、結局やられちゃってるじゃない。 ドットのギーシュにも負けるんじゃあ、 あのクマちゃんが強いなんてのはやっぱりタバサの思い過ごしだったわね」 「だと、いいのだけれど」 だが、タバサにはまだこれで終わりだとは思えなかった。 これまで死地をくぐった経験が告げている。 あのクマちゃんの中にはまだ何かがあると。 そんなタバサの内心を知る由もなくギーシュは続ける。 「所詮は低能なケダモノにすぎなかったようだね、 ああ、まさに「ゼロ」のルイズの使い魔にふさわしいよ」 「……!」 自分の口上に酔っていたギーシュは気がつかなかった。 このとき、ベルモンドの目に力がこもったことを。 「やめなさい、これ以上私の使い魔を侮辱することは許さないわ!」 そんな中、ルイズは自分の使い魔を救おうと声をかける。 「ああ、無能なご主人様のお出ましかい? だが悪いね、これはこのクマ野郎も認めた決闘だ。 例え主人であっても口出しはできないよ。 そこでこのクマ公が布と綿のボロ屑になるところを見ていたまえ、 行け!とどめだワルキューレ!」 そう言ってハンマーを持ったワルキューレが一撃を加えようと前に出てハンマーを振りかぶる。 「やめてーー!」 ルイズの悲鳴が響き渡る。 が、その時、 「グギャワアーン!」 突如ベルモンドが叫びをあげワルキューレに飛びかかった。 しかも足の筋肉は隆起し、着ぐるみの上からでも足の形がはっきり分かるほどに肥大していた。 バギャ! そしれそのままワルキューレを蹴り飛ばす。 そのままワルキューレは10メイルは吹っ飛んで行った。 「ああーーっ!ベルモンド、突如生気が戻りワルキューレにドロップキックを叩き込んだー!! なんという威力だ!青銅製のワルキューレがまるでおもちゃの人形であるかのように軽々しく吹っ飛んでいくー!!」 もちろんこれだけでは終わらなかった。 「グギャワアーン!」 ベルモンドは残る二体のワルキューレのもとへも向かっていく。 その二体は先ほどボロボロになったワルキューレを抱えるため武器を置いてしまっていたため、 拳での攻撃を繰り出すがあっさりかわされると一体が懐に潜り込まれる。 ガスッ! そして腹部へのひざ蹴りを食らって片膝をついた所に、 ドガアアァッ! その膝を踏み台にして飛び上がったベルモンドからの強烈な飛び膝蹴りが頭部に叩き込まれた。 「おおーっ、これはすごい、膝をつかせたところへ流れるようにシャイニングウィザード (相手の膝などを踏み台に飛び膝蹴りを仕掛ける技) が叩き込まれたー!!」 これは先ほどのドロップキックと違い斜め上からの攻撃であったためそこまで吹っ飛びはしなかったが、 それでもワルキューレは2-3メイルは地面を転がって行った。 ゴスゥッ! さらに残る一体へと襲いかかるとラリアットを叩き込む。 倒れたところにすかさず両足を取ってわきに抱えるとそのまま自分を軸に振り回した。 ミスミスミスミス…… そして勢いが付いてくると、何とそのまま上へと向かって投げ上げた。 「うわあーー!!これは信じられない!! ラリアットで倒したワルキューレをジャイアントスイングにとらえたかと思うと、 なんと横ではなくて上に!投げ飛ばしたぁーーー!!!」 「う、うあわああぁー!」 次々と、もはやだれの目にもわかるような力でワルキューレを倒されたギーシュは恐慌状態になり、 自分を守らせようと先ほどシャイニングウィザードを受け倒れたワルキューレを立ち上がらせた。 が、その瞬間ベルモンドが正面から組みついてベアー・ハッグで締め付ける。 「くそっ、振りほどけ、ワルキューレ!」 ギーシュはそう命令を与えるが、そのかいもなく、 ミシミシミシミシッ!! 「うわああぁぁー!!なんということだ! ベルモンド、ベアー・ハッグで青銅製のワルキューレを腕だけでなくボディまでもへし折っていくーー!!!」 「ゴギャアアアアアァァァーーーーッ!」 一体どれだけのパワーが必要なのか、 投げ飛ばしたり蹴り飛ばしたりというように勢いをつけるわけでもなく密着状態から締め上げているだけで、 ワルキューレの体は軋み、歪み、ねじ曲がっていった。 「ね、ねえ、クマちゃんが元気だったのはいいけど、なんだか変じゃない?」 「う、うん。私も思う、何だか怖いような……」 そんな様子にベルモンドに黄色い声をあげていた女生徒たちも違和感を感じ始める。 が、そんなものは無視して、 「うおおーーっ、いくぜーー!」 そう、アグレッシブな声を上げると、ワルキューレをベアー・ハッグに捉えたまま、 「ゴギャア!」 上空へと飛びあがった。 さらにその上からは先ほど投げ飛ばされたワルキューレが頭を下に落下してくる。 そして、 「ロンリー・テディー・クラッシャーーー!!!」 ガッグゴオオォォンン!!!! 「あああぁーーっ!こ、これはなんという凄まじい大技!! 投げ上げられ落下してくるワルキューレとベアー・ハッグに捉えて上昇させたワルキューレの頭部同士を 空中で激突させたーー!! これはもはや「かわいいクマちゃん(チャーミング・ベアー)」などではない、 これはまさしく、「地獄のクマ(ヘルズ・ベアー)」だあぁぁーーーっっ!!!」 そのまま、完全に破壊された二体のワルキューレはギーシュの手前に落下し、 先ほど投げっぱなしジャーマンで倒された二体に折り重なるように倒れた。 「ゴギャ」 そしてベルモンドもその後ろに降り立つと、 ドバドバドバ! 突如体から何かを放出した。 「うわっなんだ!?」 それは一部観客にまで降り注ぎ混乱を呼んだが、 タバサはそれと風で防ぐとキュルケと二人で飛んできたものを見つめた。 「青銅の破片」 「それにこっちの木片ってルイズが授業で吹っ飛ばした机とかの破片? じゃあ、あのクマちゃんはルイズの起こした爆発で吹っ飛んだ破片も ギーシュがハンマーで飛ばした青銅の散弾も体に通さなかったて言うこと!?」 「そうなる、恐るべき頑強な肉体」 この事実を前にタバサの声にも珍しく感情がこもる。 しかしそんな考察などしている余裕のない者がいた。 ギーシュである。 この間に、さきほどドロップキックで遠くへ吹っ飛んだワルキューレをようやく自分のもとへ戻すことはできていたが、 たかが一体ではこのクマを相手に何の役にも立たないことはもはや明らかだった。 そんな彼を睨みつけるベルモンド。 「ゆ、許してくれ、僕の負けだ!」 半ば無意識にギーシュはそう言っていた。 「ほんと?」 「あ、ああ。約束通りキチンと謝りもする」 「そう、じゃあみんなに謝りに行こう」 そう言うとベルモンドの目も穏やかになりギーシュのもとに近づいていく。 確かにこの降参にうそ偽りはなかった。ギーシュの理性はこの実力差に間違いなく敗北を認めていた。 しかし感情はそうではなかった。 ゼロのルイズの使い魔のクマ公ごときに負けを認めることを受け入れられずにいた。 そしてその想いが、折り重なって倒れる4体のワルキューレをベルモンドがまたごうとしたときにある閃きを与えたのだった。 「そ、そうだ、これだ!くらえクマ野郎!!」 そう言うや否やギーシュは残る精神力を振り絞り、ベルモンドの足元のワルキューレを足に絡みつく青銅の塊に変えた。 「ク、クゥーン」 ベルモンドは当然ふりほどこうとするものの、さすがにワルキューレ4体分の重さに完全に足は固定されてしまっていた。 「ははは、どうだクマ公!これが偉大なる魔法の力だ! メイジであるこの僕にたてついた愚かしさを思い知るんだよぉっ」 ガスゥッ! そう言うと最後に残ったワルキューレがベルモンドに正面からハンマーを叩きつけた。 「キュウーン」 しかもこれだけでは終わらず、 ガスッ!ガスッ!ガスッ!ガスゥッ! 何度も何度もハンマーを叩き込んでいく。 「あああー!これは残酷!足を固められたベルモンドに対して、 さきほどワルキューレを散弾に変えたハンマーの一撃が、直に! しかも何度も叩き込まれるーー!!」 その一撃一撃はベルモンドの着ぐるみを破り、綿と血しぶきを舞わせていく。 「クゥーンクゥーンクゥーン!」 これにはベルモンドも悲鳴を上げる。 「卑怯よー、ギーシュ!」 「やめてー!クマちゃんを殺さないでー!」 非難の声が上がるも、食堂の時のようにまたしてもそれらは逆にギーシュをヒートアップさせていく。 「うるさい!黙れ!こんなクマ野郎にさっきからキャーキャー言いやがって! こんなボロ屑の畜生が何だって言うんだ。こんなやつ所詮は血にまみれた布と綿に過ぎないことを教えてやる!」 そう、普段は決して口にしないような言葉を吐くとさらにベルモンドを打ちすえる。 ガスッ!ガスッ!ガスッ!ガスッ! 「いやーー、もうやめてーーー!!」 その惨状にルイズはひときわ大きな声を上げる。 それすらも無視して打ち続けるギーシュにベルモンドの弱弱しい声が掛けられた。 「ね、ねえ、さっき自分の負けだって……みんなに謝るっていたのはウソだったの……?」 「はははっ、そんなの当たり前だろう。 どうしてこんな畜生ごときに約束など守らなければいけないんだい!」 「ど、どうしても謝ってくれない……?」 「まだ言うのかい?そんなの当たり前だろうがーー!」 そう言ってワルキューレはひときわ大きくハンマーを振りかぶる。 「………………そうか、もういい」 ザグ! だが、次の瞬間、ベルモンドの胴体を突き破って回転する漆黒の何かが飛び出した。 そして、 ギュガガガガガガガ! それはそのままワルキューレの胴体をえぐり飛ばすとギーシュの目の前に着地した。 そこには、左手の甲に4本の鋭い爪をもち、表情のない仮面をつけた、 鍛えこまれ抜いた肉体をもつ漆黒の戦士が降り立っていた。 この出来事を前に誰一人として声を上げられるものはいなかった。 ギャラリーも「実況」もシエスタもギーシュもルイズでさえも。 その静寂の中、 コーホーー 彼の呼吸音だけが広場に響いていた。 前ページ次ページゲーッ!熊の爪の使い魔
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使用者 シャオメイ シン 赤兜熊の剣牙 装飾品:首 効果: これを装備した者が練技【マッスルベアー】を使用した時、 追加で筋力ボーナスを+6します。 この効果は〈小熊の爪/熊の爪〉や〈熊王の牙〉のものと累積します。 詳細: 強大な力を持っていた熊の牙。 マッスルベアーの効果を飛躍的に高めることができます。 関係するアイテム 熊女神のアミュレット
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モンスター>種類別>動物 に戻る 熊系 画像 名前(熊) 詳細 スキル ドロップ 出現地域 LV 捕獲 スキル名 説明 ベア 13 可 - - 熊の肉(33G),熊の毛皮(30G),熊の上質な毛皮(51G)熊の牙(27G),熊の大牙(44G),熊の爪(29G),熊の大爪(48G) ホーリーウッドアネフタス - - グリズリー 22 可 - - 熊の肉(33G),熊の毛皮(30G),熊の上質な毛皮(51G)熊の牙(27G),熊の大牙(44G),熊の爪(29G),熊の大爪(48G) モーネリアイストニア - - 可 - - - - 可 - - - - 画像 名前(梟熊) 詳細 スキル ドロップ 出現地域 アウルベア 13~14 可 - - 梟熊の羽根(10G),梟熊の毛皮(27G),梟熊の嘴(33G),梟熊の爪(26G)巨大な棒状の骨(27G),巨大な円盤状の骨(32G),巨大な頭骨(36G) ホーリーウッドアネフタス - - ストレインアウルベア 15 可 - EXP167 梟熊の羽根(10G),梟熊の毛皮(27G),梟熊の嘴(33G),梟熊の爪(26G)巨大な棒状の骨(27G),巨大な円盤状の骨(32G),巨大な頭骨(36G) ホーリーウッドアネフタス - - ファントムベア 21~22 可 - - 梟熊の羽根(10G),梟熊の毛皮(27G),梟熊の嘴(33G),梟熊の爪(26G)巨大な棒状の骨(27G),巨大な円盤状の骨(32G),巨大な頭骨(36G) モーネリアトリネイ - - ストレインファントムベア 24~25 可 - - 梟熊の羽根(10G),梟熊の毛皮(27G),梟熊の嘴(33G)梟熊の爪(26G),巨大な棒状の骨(27G),巨大な円盤状の骨(32G),巨大な頭骨(36G) トリネイ - - イーグルベア 38~39 可 - - 梟熊の羽根(10G),梟熊の毛皮(27G),梟熊の嘴(33G)梟熊の爪(26G),巨大な棒状の骨(27G),巨大な円盤状の骨(32G),巨大な頭骨(36G) 南イシリア - - グレーターベア 52~53 可 - - ルプトリア - - 可 - - - -
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使用者 シン ニーナ シャリオ 熊女神のアミュレット 装飾品:首 魔法の品 効果:これを装備した者が練技【マッスルベアー】を使用した時、 追加で筋力ボーナスを+8します。 この効果は〈小熊の爪/熊の爪〉や〈熊王の牙〉の効果とは累積しません。 詳細:赤兜熊とよばれる凶悪な熊の変異種の牙と、 通常の熊の爪や牙などを組み合わせたアミュレット。 マッスルベアーの効果を爆発的に高める効果がある。 関係するアイテム 赤兜熊の剣牙
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鋭爪 レシピ名 必要クラフトスキル 材料 数量 熟練度 lv 販売額 備考 羽虫の鋭鎌 生物材料加工 羽虫の鎌(1) 1 ~10.0 梟熊の鋭爪 生物材料加工 梟熊の爪(1) 1 ~17.0 熊の鋭爪 生物材料加工 熊の爪(1) 1 ~23.0 豹の鋭爪 生物材料加工 豹の爪(1) 1 ~30.0 虎の鋭爪 生物材料加工 虎の爪(1) 1 ~34.0 獅子の鋭爪 生物材料加工 獅子の爪(1) 1 ~38.0 竜の鋭爪 生物材料加工 竜の爪(1) 1 飛竜の鋭爪 生物材料加工 飛竜の爪(1) 1 鋭爪に関しての情報 名前