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20巻の巻頭の作品 廃墟にて首が投稿者(カメラマン)の方に襲ってくる おぞましい映像!
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ホムホムー ホミュー ホムッ ホミャホミャー パンガヤケタヨー …… 田舎の村の小さなお店から、今日もほむほむ達の元気な声が聞こえてきた。 店の中にいるのは小柄な人間のお婆さんと数匹のほむほむ達。 ホムホムー パンダヨー ホミュミュー パンヤサンダヨー …… ホムーッ ホムゥー ホミュミュー ヤケタヨー イイニオイシテルヨー …… ホムーッ イラッシャイマセー ホムムン♪ オイシイデスヨー …… ほむほむが働くパン屋さん。村の人達からは『ほむのパン屋』と呼ばれて愛されている。 そう。彼女達はこの小さなお店の立派な従業員なのだ。 ホムホムッ オソウジオソウジ ホミュミュッ キレイキレイ …… 釜や食器、そして陳列棚の掃除。さらに…… ホムーッ! オバアサーン ホムホムーッ パンガヤケタヨー♪ ホミィ イイニオイダヨォ …… お婆さん「はいはい。ありがとさんねぇ」ヨイショ 食いしん坊ゆえに持っている素晴らしい嗅覚を使って、キッチンタイマーを使うよりもずっと良いタイミングで、パンの焼け具合を見極めてくれたりもする。 そして、パン屋として数ヵ月の修業をつんだベテランほむ達は、 中途半端なアルバイト店員よりも遥かに役に立つ存在にまで成長するのだ。 ホムホムッ コムギコ タリナイ ホムムゥ コノバター ダメダネ …… いつも真面目で一生懸命に働くほむほむ達は、店のお婆さんに可愛がられ、そこそこ幸せに暮らしていた。 ━━店内━━ お婆さん「はい。いらっしゃいませ」 子供1「こんにちは」 ホムホムッ イラッシャーイ ホムホムー パンカッテネ 子供2「ほむほむーっ」 ホムーッ トテトテ ホムホムーッ ピョンピョン ホミャーッ♪ ほむほむは子供達の人気者だ。 天性の愛らしさと人懐っこさで、立派に接客や営業をこなしている。 母親「こんにちは。いつもの食パンを……」 お婆さん「はいよ。いつもあんがとね」 仔ほむ「ホミャァ」アンガトネ♪ 母親「あらっ?」 レジの横からちょこんと顔を出してお婆さんの真似をしたのは、 おそらく生後数日だと思われる幼いほむほむだった。 母親「うふふっ、可愛い。もうお仕事は覚えた?」 仔ほむ「ホミ…ホミャァ…」タハハ… お婆さん「正直まだまだだねぇ。でも日当分くらいなら役に立ってくれてるよ」 仔ほむ「ホミッ?」エッ? 母親「あら、小さいのに偉いわね。家のクソガキよりずっと……ハァ~……」 子供1「げっ、カーチャンヒデー……」 子供2「おれら、このチビ以下かよぉ~」 仔ほむ「ホミミッ///」ニコッ 日当分は働いている。お婆さんはそう言った。 しかし実の所、この幼いほむほむは、まだほとんど仕事を覚えていない。 だだし、店に客を呼び込むと言う点おいては、成体のほむほむを使うよりも、小さくて愛らしい仔ほむを使う方が効果が高いのだ。 しかも大抵の客は仔ほむが何かドジをして迷惑をかけても、可愛らしいからと言って笑ったり喜んだりしてくれる。 日当分(仔ほむの日当は約一円?)働いているとはそう言う意味だ。 しかし、仔ほむは珍しく主人に誉められたと勘違いして…… 仔ほむ「ホミュン」エッヘン その小さな胸を張って、小生意気な仕草をしてしまった。 お婆さん「コラッ。調子に乗りなさんな!」コツン 仔ほむ「ホミッ!」ゴメンナサイ… 仔ほむはお婆さんに軽く小突かれてしまったが、少し声を上げただけで平然としている。 お婆さんは悪戯をした仔ほむを厳しく叱りはするが、ほむほむ達が本気で痛がるような体罰は一度も使った事がなかった。 彼女は暴力ではなく、信頼関係でほむほむ達を育てているのだ。 子供A「あはは。仔ほむが怒られたー♪」 子供B「わーい。バカバカー」 仔ほむ「ホミュミューッ!!」 ウルチャーイ!! 母親「バカはアンタらだ」ゴツン ゴツン 子供A「イテッ!」 子供B「いってぇーっ……」 仔ほむ「ホミューッ ホミュミューッ」ヤーイ オコラレター♪ お婆さん「コラッ。おバカ! お客さんをからかうんじゃないよ!」コツン 仔ほむ「ホミャッ!」イタッ! 今はまだ来店した子供達とじゃれ合う事だけが、この仔ほむに出来る仕事なのだろう。 しかしいずれは、この小さな店の大きな戦力として働いてくれる日が来るのかも知れない…… お婆さん「本当におバカだよ。全くねぇ……」 お婆さんが、お調子者の仔ほむを見ながら笑っている。 母親「うふふ。早く一人前になりなさいな」 仔ほむ「ホミュン♪」ハーイ♪ お婆さん「やれやれ。返事だけは、もう一人前なんだがねぇ」 仔ほむ「ホミュミュー」エッヘン♪ お婆さん「褒めとりゃせんよ!」コツン 仔ほむ「ホミッ」ゴメンナサイ… 母親「うふふ。素敵なまどまどと結婚出来るように、頑張ってお金儲けしなさいね」 仔ほむ「ホミュミュゥ、ミャロカァ///」…… ウットリ この母親は、仔ほむに早く立派なパン屋さんになりなさいと言うつもりでこう言ったのだろう。 仔ほむもきっとそういう意味に受け取って、まどまどと幸せに暮らす自分の未来を夢見て顔を赤らめたのだろう。 しかし子供達は…… 子供1「半額セールの時が狙い目ダゾー」 子供2「500円くらいで買えるカラナー」 仔ほむ「ホミュゥ?」ナアニソレ? 母親「このドアホ」ゴツン ゴツン 子供1「イダッ!」 子供2「イデッ!」 お婆さん「…まあ、間違った事は言ってないわな…」 仔ほむ「ホミィ?」ワカラナイ? 実際にこの村のペットショップでは、婚期を逃したと思われるほむほむが、 500円玉(給料半年分?)を大事に抱えてペットショップに向かう姿がちょくちょく目撃されている。 自分の嫁を金の力で買うといった行為は、例えほむほむと言えども誉められた事ではないのかもしれない。 しかし、ほむほむと言う小動物にとって、愛するまどまどと結ばれる事以上に重用な事と言えば、それは自信と仲間達の命以外にはありえないのだ。 もっとも…… →その2
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ep.520 一人娘が妹を抱えて井戸に飛び込み焼け◯ぬ←この意味わかる人凄い。「怖いことわざ」 放送内容 参加メンバー Tomo Kimura K-suke その他 名前 コメント すべてのコメントを見る
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ヘクマは嵐や怪物を寄せつけないが、双陽の熱は何をもっても防げない。 The Hekma may repel storms and monsters, but nothing holds back the heat of the suns. アモンケット 【M TG Wiki】 名前
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脱毛中は日焼けは禁句です。 日焼けしてしまったことで脱毛に失敗することもあります。 脱毛サロンへ行くと必ず日焼けしたかどうかを聞かれます。 それはせっかく脱毛しても日焼けによってきちんとした効果が発揮されずに失敗に終わることがないようにするためです。 しかし日常生活を普通に送っているだけでも紫外線を浴びているため、私たちは多少日焼けをしています。 どの程度の日焼けが脱毛にとって驚異となるのか、日焼けについて考えてみたいと思います。 日焼けレベルの確認をする上でのポイントは、外にでて日光に浴びたか、紫外線対策をきちんとしていたかです。 春や冬などの比較的紫外線の弱い時期ならば、2ヶ月以内に外に出る機会があったけれど、日焼けをしていない場合には脱毛はできます。 しかし2ヶ月以内に日焼けをした場合には、脱毛ができませんから1ヶ月後に脱毛することになります。 夏や秋など紫外線の強い時期ならば、日焼けをしたときから3ヶ月間は脱毛ができません。 3ヶ月以内に外に出る機会はあったけれど日焼けをしていないと思う人で紫外線対策をしていなかった人は1ヶ月後から脱毛を開始してください。 紫外線対策を常にしていた人は脱毛ができます。 期間に関係なくあまりに日焼けの跡が肌に残っている場合には、脱毛できないと断る脱毛サロンもあります。 脱毛中に日焼けをすると、肌トラブルの原因となることもあるため、紫外線対策をしっかりとして日焼けを防がなければいけません。 お手軽「鍋料理」
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カングロブームの頃、ある女子高生が、毎日のように日焼けサロンに通っていた。 その女子高生は、早く肌を焼くために1つの店では満足せず、日焼けサロンを何店もはしごをするほど熱心だった。 しかし、自分の望みどおりの小麦色の肌を手に入れた頃から彼女をたびたび腹痛が襲うようになる。そして、ついには自分のお腹から変なにおいがするようになった。 これは日焼けどころではないと思った彼女は病院へ飛び込んで診察を受けた。 「非常に珍しく、あなたにとってはつらいお話ですが・・・」 医者はそう切り出した。 「残念ですが、あなたのお腹の中は半分焼けてしまっています。そう、まるでオーブンか何かで、体の中を焼かれたような状態です。何か心当たりでもありますか?」 そう、彼女は日焼けサロンに通って、長時間肌を焼きすぎたために、皮膚だけではなく、内臓まで焼いてしまったのだ。 一度焼けた肉を元の状態に戻す方法があるはずもなく、しばらくして彼女は亡くなってしまったという .
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焼けちゃいました。まだアトは消えてないです・・・。 もどる
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彼女が投げる小さな炎は彼女の記憶を呼び覚まし、自らが炎の中で死んだときの謎をつなぎ合わせる。 Each small blaze she sets jogs her memory, letting her piece together the mystery of her own fiery end. ギルドパクト モダンマスターズ2017 【M TG Wiki】 名前
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imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (CeaselessSearblades.jpg) 炎族の火は、彼らの気が変わるまでは冷たく燃えている。 Flamekins' fires burn cool until they decide otherwise. ローウィン 【M TG Wiki】 名前
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【白雪姫は、真っ赤に焼けた掌で横面を叩かれる】 あの日、私は本当の意味で正義という言葉を知ったんだと思う。その時になってやっと悟るなんて情けないって思ったよ。 正義ってね、口に出して言うと案外恥ずかしいものなんだ。唇の動きは三つで合っているのに触れ合わない、だからかな? だってだって男の子の専売特許だったし、クラスの連中だってもう言わなくなったし。 だけど、私は今日も正義の名を叫ぶ。……叫ばなければいけないんだ。 あの日を、あの時を、忘れたことはない。 誰もいない駅、いやアイツがいた雪の日だ。私は、朽ちた駅の構内で迎えが来るのを待っていた。 その日は近づくにつれてもう少しでお父さんに会えると思うと、どうしてか憂鬱になっていた。会ってみれば、そんなことはないのにどうしてか不思議。 駅名を示す、錆びついた表示板が気になって手袋ごしに擦ってみた。濡れてしまったことを後悔する。ちょっと考えてみれば当然のことだったからなおさらだ。錆の赤っ茶けた色が手袋を汚すことは幸いなくて、毛糸の繊維に乗っかったくらいだ。この色なら混じることはないなってそう思ったんだ。 だからさ、真っ赤なマフラーたなびかせ元気に走れるんだ。颯爽としていてカッコいいって奇常ちゃんは言ってくれたからそれに応えたい! そうだよ。それだけは、汚したくはないんだから。 「こんばんわ」 でも。夜の中、待っていたのはそいつも同じだった。 真っ赤なダッフルコート、その下にはどこかの制服。まったく聞き覚えのない声――。 顔は見えない。ちらりとしただけで色づきの良い膝裏から腿にかけて――がよく見える。 要は線路からぷいと目を背けているわけで、青いプラスチック製の椅子も濡れているのを知った上で、私とおんなじなのか? 立ったまま座ろうとしていない。 何かがおかしいと思った。 けれど、それがなにかを探す暇はなくて慌てて挨拶を返す。 「こ、こんばんわ」 「そ」 一音、それだけが寒風と共に駅の構内を駆け巡る。私の脳内を駆け巡る。 そうだ、なんでこの人は初対面の私に挨拶なんてしたんだ? 声も聞いた覚えはないし、顔を覗き込むのも失礼だ。 慌てて鏡を探す。早く列車が来てくれたらいいのに。 とん、とんと靴は霜の降りた地面を叩く。寒気に負けないよう、体を動かしておきたかったというのもあるけれど、そいつに気取られないよう少しでも距離を離しておきたかった。 私の体温は少し下がっていたんだ。理由を教えてあげようか? ……そいつは裸足だった。この寒いのに? 雪の中を歩き続けてきたの? そしてね、季節外れなことに蝶が何頭かやってきていたんだ。わけがわからない? 安心して、私にもわからないから。だけどね、思ったんだ、ああコイツは魔人だって。 今は、私も魔人だからこういう言い方は慣れないけれど、私にとってそいつはいつだって絶対的な怪物であり続けていた。 それこそ人間に対する魔人への恐怖のように、心に焼き付いていた。 「そうそ……、うん。大丈夫よ、誰も死なないわ(・・・・・)。みぃんな、私たちの中で生き続けるの。素敵でしょう?」 「死ぬ前に殺すなんて粋なことをするのね、姉さん」 「だいじょうぶ。××町の人たちは死ぬことになっているからいずれゆっくり死んでいってもらうわ……」 「一体何をしたんでしょうね、あの人たち」「さ」 言っていることはさっぱりわからなかったけれど、独り言にしてはあまりに意味が通り過ぎていた。 あの先に誰かいるのかしらと思って、その人を目線から外しながら追ってみるのだけれどそこにやっぱり誰もいなくてぞっとする。××町っていうともう、ここだ。 『悪』、お父さんが口を尖らせて言う言葉、いつかきっと私も正反対の『正義』になりたいと思っていた。 けれど、先延ばしに先延ばしにしていたことも確かだ。 その時の選択を私は後悔と思っていないけれど、ふがいなかったことも情けなかったことも確かで、結局私は間を取ってそれから泣かないことにしている。 「行きがけの駄賃……違ったかしら?」 「違わないわ、姉さん。私はこの子の名前と顔を覚えてる。拳条(けんじょう)さん家の朱桃(しゅもも)ちゃん、だっけ。『ね』、なんで逃げるの?」 確定的だった。後ろを見ずに駆けだしていた。 ぱきぱきと踏み砕いていったことを覚えている。足がもつれてしまって転びそうになったことを知っている。 だけどね、自分の手で踏ん張ったんだ。階段を駆け上がるまでの僅かな距離、蝶にぶつかりながら走り抜けたんだ。 どうしてだろう、心が痛かったんだ。跳ね上がった心臓があちこちにぶつかって体が軋みを上げる気がしたんだ。 心が痛ければ、体も痛む。それは逃げ出すことに対して? わかんない。 だから当たり前のことに気づいてしまった。そんな気がした。 だけど。違ってた。 五〇メートルのグラウンドを知っていて、転んだ痛みは知っていた。 勢いよく踏み出した靴の裏がなにかを踏みつける感触と、ばちりと弾ける不快な音、続いて作用に続く反作用。 膝の皿が不揃いな段差に打ち付けられる、同じように弧を描く何かを掴もうとして丸まった右手も同じように打ち砕かれてしまう。 終わった後だから言える。まるで皮の中で水風船がはじけたような気がしたよ。 熱と痛みは骨を伝わって頭を支配する。心は痛いと言う思いで支配される。辛うじて、骨が折れたのかもしれないってことがわかった。 それと、それもわかったんだ。背後から何者かが、あいつが近づいてくるってことも。 一切の足音をさせないまま、影が覆いかぶさってくるんだ。 消えかけの蛍光灯が余程いい仕事をしたのか、それとも私の恐れがなせることかわからなかったけど。 うずくまる私の何倍も、それこそ階段の横幅を占領するくらいの広さの暗闇がかかっていたことは確かだった。 頭が鷲掴みにされて持ち上げられる。ぶちぶちと幾本かの髪の毛が千切れる音を耳より先に脳に叩き込まれて夢見心地を許さない。 叫ぼうとした口は小さな拳に塞がれて呼吸さえ苦しくさせる。痛い痛い痛い。 すべてが痛みに満ちていた。無数の手が私の身体を持ち上げる浮遊感は、高揚感とは程遠くてただ不気味だった。 「綺麗な髪だから有象無象と一緒にするのは惜しいと思います。これだから過疎地は始末に負えません」 「きれいなおめめね。くり抜いて、私たちを飾り立てる玉(ぎょく)としましょう。おてては……折れてしまったから必要な分だけいただいていきましょう」 「……そちらをお先に」 拘束された全身の中で、殊更に掲げるようにして右手が持ち上げられた。 折れてねじ曲がった指先が痛々しくて熟熟とした気持ち悪い熱と共に肉を腐らせていくような気がした。 バチリという音、それは薬指が永遠に切り離された記しだった。 痛みは吐き気に似ている。やっと、理不尽に遭っているんだとわかった。べりべりと剥がされていく肌の色は紅い。 「丈夫で、色も形もよくて、ひょっとすると食べてしまいたくなるわ。そうだわ、私の物にしましょう」 「姉さん、もうそっちは間に合ってなかった? それとも足りなかった?」 「薬指って二本あるんでしょう? ならいいじゃない、いいでしょ? 『ね』」 「じゃあ左も――」 もう、私はこの指に指輪をはめられないんだぞ……どうしてくれるんだ。お父さんに自慢してやることが出来ないんだぞ……どうしてくれるんだ! 「どうしてくれるんだ!」 叫びを聞かせてやるだけの魔人能力なんていらない。だからこれは錯覚。 必要なのはこいつらをぶちのめすだけの力、腕が一本折れたくらい笑い飛ばせるような絶対的な力が必要だ。力だけじゃない、数も必要だ、きっと手が足りない。 悪が多すぎる、目に余る、手が足りない! 「ん?」 そいつの横面をはたく感覚はしなかった。殴り飛ばす音、それだけが響いていた。 その瞬間に私は魔人になっていた。新しい力の名前はもう決まってある。 『ハンドレッドハンド』、私のために新しい腕は百本ある。不可視でないのはきっと返り血が欲しかったからだ。 折れて砕けた腕を庇って、泣きながら腕組みをする。胸を張れ、お前は、私は、拳条朱桃は正しいことをしている! 「私が――正義だ!」 掠れながらも言えたんだ。魔人覚醒に伴う全能感は普段言えないことを言わせてくれる。 実際、百本も腕があれば何でもできる。紅く、透けてて、大きくて、それは輝いているように見えたんだ。精神は肉体を置き去りにする、痛みなんていらないと思わせる。 だけど。だけどだけどだけど! 「やれやれ……ひどいことをするのね。お嬢さん」 「顔が潰れてしまったわ、お転婆ですこと。まぁいいわ、時間切れよ。帰りましょうか」 早く大人になりたいと思った。頭をぽんぽんと叩く仕草はお父さんだけの特権だった、上を見上げるのは私の憧れだけだった。 幸い背は高い方だったけれど、馬鹿にされたくなかった、早く早く正義をやりたかった。 だから痛快、と言えただろうか。背の高さでは勝てても奇常ちゃんには勝てる気がしないように。年上の女の影を上回っていたのだから。 そっか、首切るとかすれば勝てるよね。だけどね。 ……アイツには、顔が無かった。 ぽっかりとそこに闇が当てはめられたように、首から上が無くなっていても問題なく生きてる、動いてる、喋ってる。 呆然とする私を他所に、私を包む巨大な影は健在で――、頼もしい新しい腕で振り払ったなにかが空を走って、余波は冷たい風となって柔らかい肌を撫ぜる。 「私は、何を見てるんだ!?」 叫びは打ち消される。コンテナを積んだ貨車が風を切りながら金切り音を上げる。 錆びついた金属音が火花を伴ってやってくる。 「三等客車より寝心地は悪いと思うけど、お暇させていただくわ」 「さ・よ・う・な・ら」 首のない女はひらりと箱のひとつに飛び乗ると、途端鉄の貨車は動き出そうとする。 今は考えるな。考えると逃がす! 悪を逃がすな、その一心で壊れた膝を動かして追いすがると考える。間違った、一手遅れた。 私にはもう立派な腕が百本もあるじゃないか。 「させない! 『ハンドレッドハンド』!!!」 一手遅れようが、差し引き九十九本の腕が取り返すだろう。そう信じていたのに、本当はなにもかも手遅れだったんだ。 「がつん」「あげるわ」 赫赫と燃える拳は闇に遮られる。 おどけた声が妙に耳に障った。そう言えば、あの巨大な影を忘れていた。 蠢くなにかを見渡すには、涙がきっと邪魔になる。泣かずにはいられなかったんだ。 「お父……さん?」 闇から切り離された顔、見知った顔が抜けて、落ちた。 大好きだった掌がなくなっても、固く閉じられた瞼が私の泣き顔を写すことがなくなっても忘れない。 それは、間違いなく私の憧れたお父さん、日夜悪と戦っている警察官、大きな掌だったあの人に他ならなった。 走り去っていく鉄の塊。どうして、あんなに早いんだ。せめて貴様らの棺桶になってしまえ、意味のない精一杯の呪詛を吐き出す。 でも、ここにいてくれる。まだ、ここにいてくれる、そのことを信じて決死で呼びかける。 半身が千切られて、千切られた先は見たくなくて、一抱えにするほどに小さくなって、それでも息を吐いてくれた。 軽くなっていた胴からは心臓を抜き取られていたらしい、だけどもう幾ばくも無い命を、肺に込められたわずかな空気を吐き出してくれた。 「朱桃……お前の……信じる道をいき……な――」 最期の言葉は吐く息とともに。生きていた人は死んでいた。 「―――――!!!!!!!」 言葉にならない叫び、それは頭より先に魂が叫んでいたということだろう。 そして、その日、あの町は滅んだ。悲鳴が訃報の代わりだった。 電報よりも電話よりも、生の音のほうがずっと早いってその時になってはじめて知ったんだ。 目撃者も生存者も誰一人いなかったけれど、お父さんは勇敢に戦ってそして死んでいったと私はそう信じている。 ここは闇の中。 閉じられた空間で、誰一人見る者はなくとものそのそと蠢く何者かがあった。 ぎっこんばったんと跳ね飛ばされる妄想をして、でも足下がぎっちぎちに詰まってれば問題ないわと思い直す。 寝心地はとっても悪かったけど。 自動車のサスペンションが懐かしい。ここは未舗装を走るカボチャの馬車か、妹は戯れに思うが、笑って打ち消す。 一緒にいてくれるのは意地悪な義理の姉さんなんかじゃない、血だけじゃない肉でも心でも繋がった正真正銘の二心同体だ。 「姉さん、愛しているわ」 「どうしたの弓ちゃんねぼすけなの……? もちろんよ」 「死ぬときは、一緒ですよ」 「うん、そうね……。でも、がんばって生きましょうか……」 目覚まし時計がけたたましい。ニワトリを詰め込んでおけばいいかと思った。 目覚めに、王子様のキスなんていらない。 私たちは生きている。 屍姦趣味(ネクロフィリア)の変態に恋い焦がれるわけはなかったから。 ガラスの棺なんてこっちから願い下げだと思う。 臨海学校の伝手で手に入れた名簿を上から下へ手早く見る。 ふたつ、よっつ、目を通すなら何人分がいいかしら? ある名前で目が留まる。 そっか、白雪姫の夢を見たのはこのせいか。私たちって案外少女趣味。 「拳条朱桃ちゃん、そっかー、来てたのか―」 懐かしい名前をなぞっていると姉さんから訊かれたので答える。 とてもいいお父さんだったから、娘さんも覚えていたの。そう答えると興味をなくしたのか、再び可愛らしい寝息を立てくれた。 これで起きているのは私だけだ、姉さんも聞かなかったととぼけてくれるだろう。 「『正義』、正義ねー。なるほどー」 頭の悪い子、そう言って赤い斜線を引く。頭のてっぺんは気になったケド。 ん、すべては姉さんのお気に召すまま、赤は虹色のひとつだからきっと欲しがることでしょう。 晒と弓、ふたりはとっても欲張りだ。生きるために腕二本、足二本、心臓ひとつで満足できないのだから。 そんな裸繰埜を号するひとつ、巨大な怪物を動かす無数の心臓のそのまたひとつ。古びた心臓は鼓動を立てて、「正義」を為した男の、生の名残を示していた。