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[完全無欠の無重力ダイブ] 【かんぜんむけつのむじゅうりょくダイブ】 [toy boxer] ハイライト発生箇所 他のBEMANIシリーズへの収録 収録作品 関連リンク ポップンミュージック eclaleで登場した楽曲。 担当キャラクターは和泉一舞。 メディアミックス企画「ひなビタ♪」のキャラクターソロCD「Five Drops」シリーズからの出典。 日向美ビタースイーツ♪の和泉一舞の担当声優が歌うソロ曲で、「日向美ちくわ姫決定戦」で登場したイベント隠し曲で追加配信曲。 完全無欠の無重力ダイブ / 日向美ビタースイーツ♪ BPM 122 新難易度 EASY NORMAL HYPER EXTRA 5 24 33 41 ハイライト EASY NORMAL HYPER EXTRA 4 4 4 4 音楽配信コンテンツ「ひなビタ♪」より、日向美ビタースイーツ♪の各メンバーのソロ楽曲集として5ヶ月連続でリリースされたCD、「Five Drops」の第2弾である「-honey lemon- 和泉一舞」の書き下ろし曲。ちなみにFive Dropsからゲームに収録された曲はトラック3の書き下ろし曲だが、例外的にこのCDは東雲夏陽とのデュエット曲が入っているためか、トラック4からの曲となる。イブ自身の感じるカッコ良さを求めてテンションが高めの曲が多い中、こういった落ち着いた曲は成長を示す証といえるだろう。作詞作曲はeclaleで公募曲が採用されたSound CYCLONEのしゃばだば、ベースに同じくSound CYCLONEの原田ソウが参加。またギター演奏でロキノン系東方Projectアレンジサークル「少女理論観測所」のテラも参加。 比較的ゆったりとしたテンポで、スライドや2個同時など、横に大きく動かす配置が多い。スライド階段を押せるかどうかが肝と思わせて、ラストで隣接階段→乱打→連打と傾向が急に変わるのでレベルの割には殺し気味。逆にテンポが遅いのを生かし、スライドが苦手な人はその練習曲にしたいところ。EXはスライドの代わりに短い隣接階段が頻発するようになり、そのほとんどが右上がりになっているのが特徴。ノート数の関係でゲージがやや伸びにくいが、スライドが苦手だと逆にやりやすいかもしれない。 ハイライト発生箇所 番号 5Buttons / EASY NORMAL HYPER EXTRA 1 2 3 4 他のBEMANIシリーズへの収録 ジャケット #ref error :画像URLまたは、画像ファイル名を指定してください。 GITADORA(GUITARFREAKS&drummania) Tri-Boostで同時登場。 jubeat propで同時登場。 REFLEC BEAT VOLZZAで同時登場。 MUSECA 第1作で同時登場。 富士見書房での小説・コミック連載も兼ねている作品・声優を起用しているということもあってか、コナミオリジナル曲ではキー音が入っていない楽曲である。 作曲にポップンの楽曲コンテストでも採用されたしゃばだば(Sound CYCLONE)、ギター演奏に少女理論観測所のテラが関わっている。いずれも東方アレンジを手がけている共通点がある。 「Five Drops」シリーズからゲームに収録された曲だが、この曲のみトラック4からの出典となっている。トラック3は東雲夏陽とのツインボーカル曲のためだろう(なお、この曲は2016/06にSOUND VOLTEXに収録された)。 ゲームには直接影響がないものの、当初曲が終わってから勝ち負けアニメーションを取るまでの時間が結構長かったためか、2016/05/31のアップデートでその時間が短縮された。 収録作品 AC版 ポップンミュージック eclaleからの全作品 CS版 関連リンク ひなビタ♪ 日向美ビタースイーツ♪ 日向美ちくわ姫決定戦 楽曲一覧/ポップンミュージック eclale
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テトロミノ(テトリスのブロック)を使用してマスを埋めるゲーム 消す操作も加えられている 作品ページへリンク 作者ページへリンク 2017 HSPTV ゲーム パズル
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【むじゅうりょくふぁんたじあ】 初演日 2018.05.13(HOME LIVE #250) 作詞 清浦 夏実 作曲 ikkubaru 編曲 ikkubaru リリース日 2018.05.15(5thシングル収録曲) 5thシングル「青空シグナル」のカップリング曲。A面曲が初披露されたHOME LIVE(奇しくもキリのいい#250)において、アンコール1曲目で披露された。表題曲とは対称的な穏やかで浮遊感漂う曲調となっており、ハイトーンを多用したヴォーカル(コーラス含め)が更に清涼感をプラスしている。 曲中のサックスはお馴染みのブラバス大脇氏(マンダムズ)によるものである。
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「録音開始、と。無重力発生装置一号を起動します。用意はいいですか」 「ああ、いつでもどうぞ」 「とはいってもクルカだしなぁ」 「主任、本当に大丈夫なんですか」 「大丈夫よ。絶食させているから吐くとすれば胃液だけのはず」 「それって掃除が大変ってことじゃないですか。あぁもう。」 「動物実験を否定するつもりはありませんけれど、本当にクルカでよかったのでしょうか」 「仕方ないだろう。近くにいたのがいたずらクルカしかいなかったんだから」 「それって体のいいお仕置きってことなんじゃないですか」 「うるさいわよ。やると決めたらやるの」 「ところで主任、なんでこの、無重力発生装置でいいんですかね。作ることになったのか、いいかげん教えてくださいよ」 「あれ、お前知らなかったっけ」 「面白いものが見られるって言われて来ただけなんですよ俺」 「おい誰だ、部外者を呼んだのは」 「ハーブさんの部署の方が六人いらっしゃるので、私が話した内容を口外して漏れたのだと思います」 「くそっ、おかげで観客席は人だらけだ。あ、リゼイちゃんに悪態ついたわけじゃないからね」 「そんなことより、これじゃどっちが見世物にされてるんだかわかりませんよ」 「事態を解決するには、主任が無重力発生装置の目的を明かして、ボタンを即座に叩くのが手っ取り早いのでは」 「手順としては、危険性が認められない限り、設定された安全装置が作動するまで起動し続けます。リゼイさん間違いはありませんね」 「ええ、主任の承諾は取り付けてありますので、そのままお願いします」 「主任がいる前で主任除け者にするってどうなのよ」 「っていっても主任が人の波に押されてボタンから遠ざかっちゃってるしなぁ」 「おい、主任の委任承諾があるんだったら、誰がボタンを押してもいいわけだよな」 「それは、確かにそうだな」 「俺が押したい」 「人類がコントロールできる無重力の第一人者になりたい奴はいるか」 「俺も」 「俺が押す」 「押させてくれー、英雄になりたい」 「ボタン一つでただでさえ狭い部屋が大混乱に陥ってますけど、貴方は押さなくていいんですか」 「いいのです。それに、これはまだ試作段階の装置なので、結果はもうわかっていますから」 「無事薄いぞ、無事に厚く張るやつはいないか」 「いやどうやったってゲロでしょ」 「おいおいリゼイちゃんを信じないのかよ。俺は無事に賭けるぜ」 「そうか、だったらゲロやめて無事に賭けよ」 「誰だゲロのほうにナットを賭け金で出したのは」 「主任、どこですか主任」 「ここよ。残念ね、もうボタンを押してしまったわ」 「いつの間に」 「お、クルカが浮き始めたぞ」 「じたばたしているな、ゲロはまだか」 「無事でいてくれー。俺の生活費がかかっているんだぁ」 「アミーカは突然体が浮いてしまったことに驚いていますね。」 「え、あれアミーカだったの」 「たしか実験動物を選定したのは主任だったよな」 「アミーカ、今度はなにをして主任を怒らせたんだ」 「そんなことはいい、無事でいてくれぇ」 「もがいてるもがいてる。天井に張り付いたぞ」 「やはり浮遊機関の暴走状態のような形態になってしまったな」 「改良が必要だ」 「本当に暴走しているわけではないという点は、セイゼイリゼイを評価すべきだろう」 「ゲロに当ててくれなきゃ困るわ」 「げ、主任。胴元を絞めに来たんですか」 「いえ。それよりも、ゲロに入れたナットはアミーカの掛け金だから」 「え、それって主任が入れたんですか」 「そうよ。それで今のオッズはゲロがちょうど二倍よね。勝ったら二つにして返してちょうだい」 「えぇ……ええ、わかりました」 「アミーカが体を張って賠償を払う、と主任が言っていましたけど、こういう意味だったのですね」 「私を怒らせると怖いわよ」 [ピュブブブブブブ] 「あ、吐きましたよ」 「やったぁ。二倍だぁ」 「俺の生活費がぁ……」 「フン、いいざまねアミーカ」 「あれ、そういえばリゼイちゃんさっき結果わかってるって言ってたよね」 「ええ、その通りですよ」 「汚ねえ。ゲロが空中に浮いたり天井に張り付いたりしてる」 「後で誰が掃除するんだよ」 「この分じゃあ、宇宙にアミーカは連れていけないなぁ」 「宇宙に行くんだったらメッツクルカじゃないとダメだろうな」 「わかってるよ」 「あれ、これってもしかして宇宙空間を再現したものだったのかな」 「むしろなんの実験に見えてたんだよお前は」 「こうなることもわかってたのかな」 「はい。期待してくれたみなさんには申し訳ないのです」 「なんだぁ。でも結果を先に知っちゃうのはズルだよね」 「感慨に浸っているお前は別の部署の人間だろうが」 「というか、無事に賭けてるアホは別の部署から来た人間しかいないぞ」 「あー。もしかして私たちハメられたのかな」 「リゼイの発明だって言ったら絶対成功に賭けるだろうと思ってな」 「おかげで今日は飲み代に困らなくて済みそうだ」 「だー、くそぉ。覚えてろよぉ。生活費はいつか取り返すからなぁ」 「はいはい帰った帰った。遊びは終わりよ。胴元の貴方はさっさとナットを二つ寄越しなさい」 「無重力発生装置一号の安全装置が作動します」 「ああ、やっと静かになった」 「楽しい人たちでしたね」 「煩わしい、の間違いではないかしら」 「少なくとも、私は楽しかったですよ」 「そう。それならいいわ」 「いやあ。無重力発生装置一号、無事に失敗しましたね」 「当然だ。セイゼイリゼイが作成したといっても、ありきたりの浮遊機関を転用したものでしかない」 「それを制御された暴走状態にしているだけなのだから、無重力という現象には程遠い」 「これを軍の奴らに見せればまた金を巻き上げられるから、いいじゃないですか」 「たく、軍の連中。俺たちを何でも屋と勘違いしているんじゃないか」 「主任もこの話が来た時は驚いていましたもんね」 「ええ、打診自体は私がここに来る前からあったらしいのだけれど」 「それまでの技術では難しいものがありますよねぇ」 「でも、軍の要求した第一段階は完成ですね」 「浮遊機関暴走状態の疑似訓練に使うって、局所的すぎませんかね」 「建前だよそれ、宇宙に行くからその訓練装置くれって言っても予算院が取り合わないだろう」 「それに比べて、浮遊機関の対暴走訓練自体は、珍しいものではない。」 「これからはクレーンとワイヤがいらなくなるとすれば、大きな進歩だろう」 「ただ、私の予測でも再現できるのは疑似無重力状態ですからね。大きな期待はしないでください」 「ああ、この前話してくれたよね」 「たしか原初の浮遊機関は対無重力を主目的として開発されたとかなんとか」 「それを無重力の再現に使おうとしてるんだから、あべこべだよねぇ」 「ところで、アミーカと部屋は誰が掃除するんだ」 「賭け金が大きい強欲なやつがやればいいんじゃないの」 「嫌だぜ、後でなんかおごるから許してくれよぉ」 「端のタイル開けば排水溝があるでしょう。ホースで水ぶちまけるだけでいいわ」 「さすが主任。私刑とはいえ場所の選定は完璧でしたか」 「それで、例のデータは取れたのかしら」 「はい。浮遊機関の暴走状態に巻き込まれたクルカは、過多となった浮遊エネルギーを吸収して体の制御ができずに浮き上がるようです」 「浮遊エネルギーが人間にもたらす効果はどうかしら」 「これからの実験次第ですが、仮設では、受容体が存在しないので直接の影響は受けないという説が有力です」 「ただし、浮遊エネルギーに内包されてしまえば、受容体がなくても浮遊し、上昇しますね」 「クルカと違って、受容体の拒否反応でゲロを吐くようなことはないですけどねぇ」 「では、宇宙空間に普通のクルカを連れていくのは、土台無理と言うことね」 「訓練で克服するか、浮遊エネルギーの影響を受けない気体を摂取させれば、浮遊エネルギー中毒は収まるでしょう」 「生理反応を訓練でとは、相手がクルカとはいえ可哀そうなことを言うんじゃない」 「それに、まだ浮遊エネルギーを遮断する術も見つかっていないのでは、普通のクルカでは無理です」 「やはり、メッツクルカしかいないだろうな」 「旧文明の浮遊エネルギー爆弾の余波に適応したと噂されるクルカのことですか」 「それとアミーカを交配させれば、クルカにもメッツクルカの特性が付くという可能性はありますかね」 [ビュビ、キキキリキ……] 「あの、アミーカが助けを求めていますけど、誰か助けに行かないのでしょうか」 「今は皆考えるのに忙しい。後にしてくれ」 「研究者の悪い癖なんだ。諦めてくれ」 [キリキキ……] 「そんな殺生な、だそうですよ」 「死にはしない。報いを受けろ。いや、メッツクルカは背びれが余剰エネルギーの排出口を兼ねているために無事と推測されている」 「じゃあ、クルカに同じ背びれが生えてこないと無理ってことですねぇ」 「宇宙とかいう、運動量がほとんど減衰されない空間はやっかいですね」 「浮遊機関を使うとなれば、莫大な浮遊エネルギーを使って運動量を偏向させることになり、結果的にクルカはそのあおりでゲロ、か」 「このなかで、メッツクルカの密輸に詳しいものはいるかしら」 「主任。正攻法が詰んでいるからといって気軽に裏口を開けようとしないでください」 「ところで、クルカを宇宙に連れて行かないという選択肢はないのでしょうか」 「あー、誰だ禁句を言ったのは。主任が怒るぞぉ」 「そうだぞ。主任はなぁ、アミーカにあんなことをしても根はやさしいんだぞ」 「私が怒るのはアミーカが変なことをしたときだけよ」 「それで、今回アミーカはどんなことをしたんだ」 「それは、ええ……んふふ」 「お、リゼイちゃんが笑ったよ」 「よっぽどだったんだろうな」 「皆の前でセイゼイリゼイが思い出し笑いをするのは十日ぶり」 「定点観測によれば、リゼイは確実に人間らしくなっていると判断することができる」 「ちょっとー、こんなときまで監視役として出しゃばるんじゃないわよ」 「了解した」 「私どもはこれにて」 「あーったく、一癖も二癖もあるやつらの巣窟ねここは」 「主任がそれ言っちゃいますか」 「予算を抱え込むために、クルカと浮遊エネルギーの関係性とかいう意味不明な題目を引っ張ってきたって聞きましたよ」 「他の部署と研究がかぶるのではどうしようもないですからな。苦渋の決断、心中お察しいたします」 「でも、みなさんは宇宙へ行きたいのですよね」 「ああ、それは間違いないぜ」 「当たり前でしょう。そのために、わざわざ無重力発生装置をリゼイちゃんに作ってもらったんだから」 「誰がどんなことを言おうと、俺たちは宇宙に行くぜ」 「馬鹿いえ、俺たちの子孫が、だろ」 「夢がないわね。タマがついているんだったら私たちの世代で行くと言い切りなさい」 「うわ、毒舌」 「まあ、とりあえずの目標は月だろうな」 「なんとか今世紀中にはセレネに行きたいもんだ」 「だったら発射台の基礎に骨をうずめるくらいの働きはしなさい。月の家が私たちを待っているわ。貴方も、面識はなくとも同期のよしみで彼と会ってみたいでしょう」 「ええ。とても会いたいです」 「っていっても、彼か彼女かは俺たちも知らないんですけどね」 「野暮なことは言わないことだ」 「奴は俺たちを待ってるんだ。だったら月に直接乗り込んで助け出さないとな」 「やれやれ、これで五人目か。これ以上増えると予算に困る」 「パラドメッドは厄介者を押し付ける集積場じゃないんだぜ」 「そういうお前もここに厄介になって長いだろうが」 「いまさら増えたって変わりはしないわ。予算ならどこからでも引っぺがしてくればいいのよ」 「あるいはぁ、主任みたいに変な研究を引っ張ってくるかですね」 「喧嘩なら買うわよ」 「いえいえー、お気になさらず」 「とにかく、私たちはもう止まることはないわ。どの思惑がそう思わざるとも、秘匿すべき技術というものが減ったこの時代、暴れなければ損というもの」 「人の金で暴れるのは気持ちいいものです」 「でもそれ、二割くらいはリゼイちゃんだけで稼いだお金なんだよなぁ」 「え、別にいいですよ。どんどん使ってください」 「というわけで、俺たちは立派な厄介者のヒモ野郎になるぜ」 「そんなことより、誰か録音止めましたっけ。一度きりしか録音できない高価な鉄線を使っているので、無駄使いできないんですよね」 「あれ、録音中のライト消えてるから誰か止めたんだよね」 「勝手に止められると困るわ。実験の記録が途中で切れていたらと思うと」 「主任。私に録音機材を持ち出すよう頼んだときは、また別のことを言っていた気がしますよ」 「少なくとも、こんな騒ぎのなかで録音したからには、記録以外のことが多分に入っているだろうな」 「誰が実況係だったんですか」 「そんなん誰もいないに決まってるだろ。どうせ主任がリゼイちゃんの発明記念日ってことで記録を取ろうとしただけだろうし」 「あの、みなさん」 「なんだいリゼイちゃん」 「何度も確認したのですけれど、あの録音機、誰も手を触れていないことが確認できました」 「え、そうなの。じゃあ録音中の光が消えてるのって」 「あちゃー、白熱球の寿命か」 「あちゃーじゃないですよ。早く止めないと私たちの予算がなくなります」 「まじかよ。早くそれを言えって。あ、ちょ──」
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前ページ次ページルイズと無重力巫女さん 今まで大地を照らしてきた太陽は傾きはじめ、待っていたと言わんばかりに二つの月が天へと登り始めてから約数時間。 漆黒と月明かりが、そして一部の世界では人外が支配する様な時間、人っ子一人おらず冷たい風が吹いている中庭の片隅で灰色のローブを纏った女性が息を潜めていた。 スクッと立ち上がると辺りを見回し、ここら辺を巡回しにくる守衛がいないことを確認した。 そして次に懐から魔法を使役するメイジの証しでもあり貴族の命でもある杖を取り出すと軽くルーンを唱え宙に浮き、すぐ後ろの城壁の上に降り立った。 日中にはここに何人かの守衛が背中に弓と鉄製の槍を背負い警備に就いている夕方になれば全員が学院内の見回りをする。 それが済めば学院長や各教師、男子寮塔と女子寮塔に各四人ずつ交代制で警備を行う。後に残った教室や食堂には一人だけ。 昼は常時警備、夜には交代制ということである。 警備についていない守衛達は自分たちの寄宿舎でポーカーに興じたり、食事をとっている。 彼女は怖れもせずに堂々と歩く。 やがて学院の中でも一番大きい本塔との距離が近い場所にまで来ると再び辺りを見回した後、フライの呪文を唱えた。 足の踏み場がなさそうな本塔の外壁だが実は大きくせり出ている壁があり、それを足場にした。 ローブを纏った女性はゆっくりと外壁の周りを歩き、一定の場所に来ると足を止めた。 「……ここか。」 そう言うと足で外壁を二、三回小突いた。 もちろんそんなもので外壁が崩れてしまえばいいのだが所詮そんなことが起こるはずもなく、小さな舌打ちをする。 そろそろ仕事に入りたいのだがここであと一時間弱は突っ立ていなければいけない。 ローブの女は少し緊張した顔でその場に待機した。 魔法学院にある女子寮塔の一室。 本来生徒一人だけ。それと二、三年生だと使い魔が一体いるがそこには二人いた。 二人の内ピンクのブロンドヘアーが特徴的な女子生徒がテーブルに積まれた様々な本を読んでは床に置き、テーブルにある新しいのを取っていく。 そしてもう一人は派手なピンクブロンドと正反対の黒いロングヘアーと腕部分の露出が若干多い紅白の服を着た少女が向かい合って座りのんびりとお茶を啜っている。 ゆっくりと過ごしている黒髪の少女。――霊夢―を見てピンクのブロンドヘアーの少女。――ルイズ―が口を開いた。 「お茶。」 「ん。」 霊夢はポットの中に入っている『緑茶』をもう一つのカップに差し出した。 そのカップを受け取ったルイズは中身を見て霊夢に突き返す。 「これじゃなくて、紅茶が欲しいのよ。」 「自分で入れなさいよ。」 すかさず霊夢にそう言われルイズは不満そうな顔をするが霊夢は気にもとめない。 「あんたって本当ノンビリしてるわね…うらやましいわ。」 ルイズにそう言われ、霊夢はカップを口から離し口を開く。 「そうかしら。…それよりもあの薔薇、どうしたの?」 彼女が指さしたタンスの上には昼にギーシュがルイズに渡した薔薇が置かれていた。 「あぁあれね。ギーシュがこの前ゴーレムでアンタを殴ったからってその謝罪に…って。」 「ギーシュ…?」 それを聞いて霊夢は首を傾げる。まさか忘れてしまったのだろうか? しかし、すぐに思い出したかのような顔をして掌をポンと叩いた。 「あぁ、自分のことを薔薇って呼んでてモグラを連れてたあのキザ男の事ね。」 「えぇ、でも今私の部屋に余っている花瓶がないのよね。どうしようかしら?」 「庭に植えてあげればいいんじゃない?私には薔薇を一日中眺めるなんて趣味はないし。」 どうやら彼が純粋な善意で渡した薔薇はルイズの予想通り、お気に召さなかったようだ。 「どっちかって言うと花を貰うのも悪くはないけど、個人的には金一封や菓子折りとかの方が良かったわ。」 「アンタ…すっごい厚かましいわね。」 とりあえず薔薇のことは明日考えるとして再び調べ始めたのだが結局見つからず。 気づけばすでに消灯時間―といっても一部の生徒はまだ起きているが――であるためとりあえずこれもまた明日となった。 場所は変わり再び本塔の外壁。ふたつの月明かりが薄くぼんやりと世界を照らしている。 そんな暗い時間に塔のぼったローブの女は手にナイフを持ち何か作業をしていた。 レンガ造りの外壁にずっと昔に出来た大きな隙間に刃の部分を差し込み上下に動かしている。しばらくするとポコッとレンガが一個外れた。 外れたレンガは地面に向かって落ちていき、下から何かが砕ける音が聞こえた。 本塔とその中にある宝物庫の扉にはセキュリティが敷かれていてスクウェアクラスでさえ突破は難しい。 しかしそれは中だけの話である。 セキュリティも扉などにしかされておらず外壁はほぼ何の施しもされていない普通のレンガ造りである。 だからこそこうして丈夫なナイフを使い、テコの原理を利用して実行に及んだのだ。 そうしていく内にレンガに出来た穴が大の大人一人分にまで大きくなると彼女は宝物庫の中へと侵入した。 宝物庫の中には明かりをともしたカンテラが均等に天井からぶら下がり辺りを照らしている。 彼女はその光だけを頼りに宝物庫を急いで探索し始める。なんせ外とは違いかなり蒸し暑い。 翌朝までこんな蒸し風呂部屋みたいなところにいると蒸しパンみたいになってしまう。 様々な貴重品や宝石、書物、金品には彼女は目にもくれず奥にあるガンメタリックカラーの箱を手に取る。 ズッシリとした重み、中身は相当の重量である。獲物の重量感じれば感じるほど達成感が沸々と沸いてくるのだ。 しばらく感傷に浸りたいがそれはこの学院を出てからにしよう。 学院から出た後もしばらくはここの関係者として生活しなければならないのだ。 それにこの箱を何処に保管しておくか…時間的余裕はほぼ無いのである。 箱を両手に持ち、そのまま元来た道を辿って帰ろうとするが一つやり残したことを思い出した。 「おっとと…忘れるところだったわ。」 その場で箱を冷たいレンガ造りの床に置くと腰に差していた杖を取り出し先ほど箱が置かれていた床にルーンを唱えた。 杖をしまい再び箱を持つと穴をくぐり外へと出た。 外のすずしい風が顔全体をなで、肌にべっとりとまとわりつく汗を払おうとしてくれる。 そんな自然の息吹に包まれながらもルーンを唱え地上へ降りていった。 ローブを被った女は小さな声で笑い、あっさりと仕事が終わったことに少し安心感を覚えた。 地面に足をつけたとき、ふと空を見てみると人影が見える。彼女は箱を背中に担ぐと急いで何処へと走り去っていった。 「ふぅ~…やっぱり夜中に空を飛ぶってのも良い物だわ。」 霊夢は月明かりが照らすトリステインを一人ブラブラと飛んでいた。 先ほどまでルイズと同じベッドで寝ていたのだがちょっとした悪夢にうなされ無理矢理叩き起こされたのだ。 当分饅頭とかの御菓子は食えそうにない。 夜中にはあまり散歩したことはないがやはり夜は昼とは違う一面を見せてくれる。 昔から草木も眠る丑三つ時とか…深夜二時から五時の間、霊が――しかし偶に午前から神社に来てる半霊や亡霊もいるが――――彷徨ったり。 人よりも賢く、長寿である妖怪達が活発な時間帯である。特に吸血鬼や悪魔などが。 そんな時間帯を彼女は周りを気にせず飛んでいる。画家が見ればすぐさまそれを絵に写そうとするほど優雅であった。 このまま森に行こうとしたがふと学院の隅っこにある倉庫みたいな建物に目を止めた。 何故か興味を惹かれた霊夢はそこへと降り立った。 ポツンと寂しく木造の大きな掘っ立て小屋が経っており。 食堂や他の建物と比べればえらく貧相である。 そして入り口らしき場所からは大量の物が乱雑に出ている。 霊夢から見てみればどうみてもそれはゴミ捨て場であった。 (ただのゴミ捨て場か…。) あっという間に興を削がれた霊夢は踵を返し今度こそ森に行こうとするが入り口からまた新たに物が一つ転がり落ちてきた。 それはコロコロと転がり霊夢の靴にコツンと当たって動きを止めた。 足下に転がった筒の装飾を見て彼女は少し驚いた。 それはやけに長い黒筒であった。 長さは丁度霊夢の身長と彼女の頭一つ分を足した程度の長さである。 筒の上部分と下部分はベルトでつながっており、体に巻き付けて背負う物らしい。 建築士が建造物の設計図を入れるときに使う筒に似てはいるがそれにしてはやけに美しく作られていた。 それが気になったのか霊夢は筒を手に取り、真ん中に線が入っていることに気づく。 どうやらこれは中に何か入っているらしい。そう思った彼女はゆっくりと筒の上部分をはずした。 そして中に入っていた「杖」に似た物が入っていることに気づき。霊夢の体は硬直した。 それは霊夢が知っている物で、この世界に持ってきてなかった物である。 前ページ次ページルイズと無重力巫女さん
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前ページ次ページルイズと無重力巫女さん 「無礼な!私の足を踏んだのは貴君であろう!」 「なにを…!?罪を着せるのはやめていただきたい!」 大量の人が行き来する狭い道の真ん中で二人の貴族が喧嘩をしている。 そのせいでまわりにいる平民達や他のメイジ達が足止めを喰らっていた。 貴族は平民とは違いプライドも高く、止めさせようにも二人より格下のメイジや平民ではどうしようもない。 とばっちりをくらうだけだ。 二人が言い争い始めてから数分が経過した時、杖を持ったピンクヘアーの少女と小瓶をたくさん持っている黒髪の少女が前から歩いてきた。 右側にいる大量の小瓶を両手で大事そうに持っている少女が無垢な笑顔を当たりに振りまきながら。 「そもそも貴君がそうやって堂々と道の真ん中を歩いているから……ん?……ぉぁ!?」 「なにをいうか!貴君が私の横を通ったから……はん?……ぬぉっ!?」 それに気づいた二人が少女達を見るとサッと右端に引いた。少女達はそのまま人混みの中へと消えていった。 そのあと周りで喧嘩を見ていた者達も道を行き来し始め喧嘩が起こる前の状態に戻った。 「……………。」 「………。」 右端に移動した二人の貴族は互いを見合うと握手をした。歓喜の表情を浮かべて。 数分前――― 「緑茶」という東方から来た品を売っていた屋台の前で嬉しそうな表情を浮かべて立っていた霊夢を見つけ、問いただしたところ。 この緑茶は霊夢が元いた世界にあった大好きな物らしい。 それを聞いたルイズは… 「へぇー…、ちょっと私も飲んでみたいわねぇ?…少し約束してくれる。」 「いいけど、服を着せろとか四六時中私の側にいなさい。とかは抜きよ?」 霊夢にそう言われ、ルイズは「あぁ、それでも良かったかなぁー?」と薄々思っていた。 「違うわよ、帰りの際もしも荷物が多くなったら少しだけ持ってよ。そしたらこの『緑茶』を買うわ。」 と言った 。 杖を修理した後、おやつや紅茶の茶葉とか書物等を買おうと思っていたのだ。 霊夢はそれを聞き、あっさり承諾してくれたのだが…茶葉が入った小瓶を十個くらい買うのは予想外だった。 しかも値段が普通の紅茶より少し高かったので財布のダメージも大きい。 まぁ実際ルイズも少し飲んでみたいという気持ちはあったので 損にはならないだろう。と思うしかなかった。 ルイズは横でにやついている霊夢と共に、まず最初の店に到達した。 ここは杖を売ったり買い取り、修理などをしている店で他とは違い看板にデカデカと綺麗な文字が書かれている。 さらにここはその中でも最高良質の杖を売っていたり杖を修理する者達は超一流などと。いわゆるセレブ専用の店なのだ。 「これがその店?なんか周りの店と比べてかなり派手ね。」 「まぁ貴族とかメイジしか来ないしね。とりあえずあんたは入れないから近くにいて。」 それを聞き、霊夢が怪訝な顔をして首を傾げる。 「なんで?」 「ここは従者とか使い魔の出入りは禁止なの。それにその服装じゃ芸人か貧民に間違われるわよ?」 「何よそれ、まぁ興味ないから別に良いけど。じゃあここら辺の近くを適当にぶらついてるわ。」 霊夢はそう言うと踵を返し人混みの中へ行くのを見たルイズは店の中へと入っていった。 ここブルドンネ街は時間が経つごとに人が増えていく。 王宮やあちこちの店で働く人たちが通りに並ぶ色んな飲食店へと足を運ぶ。 子供達はおもちゃの剣や鉄砲を手に持ち嬉しそうに噴水の周りを走っている。 若いカップルがショーケースに並べられた服を欲物しそうに見ていた。 そんな様子を、霊夢は落書きがある塀の上に腰掛け眺めていた。 ふと空を見上げてみると太陽が丁度十二時の方角にまで上っていた。 「もうお昼か…。」 霊夢はポツリとぼやくと勢いよく塀から飛び降り、着地した後何事もなかったかのように歩き始める。 ルイズが店に入ってからもう一時間を超えている。一体あの棒きれ一本にどれくらいの時間を掛けるのだろうか? そんな事を思いながら霊夢は次は何処をほっつき歩こうかと考えていた時である。 「おぉ、ひょっとして君は…ミス・レイムではないか?」 誰かが自分の名前を呼んできた。 振り返るとそこにいたのは金銭的な問題と頭髪の少なさで苦しんでいるミスタ・コルベールであった。 「確か…コルベールでしたっけ?」 霊夢も最初この世界へ来たときに言っていた彼の名前を思い出して言った。 「いやぁ、奇遇だね、こんな所で会うなんて。」 コルベールはそう言うと背負っていた革袋を地面に置くと霊夢の方へと近づいた。 「実は森の方で研究材料を探していて、丁度今から昼食を食べに行こうとした矢先だったのさ。」 そういってコルベールは先程足下に置いた革袋を嬉しそうに指さした。 袋の形状からして恐らく石の様な物が入っているのだろう。 「ふーん、研究材料ねぇ…。」 霊夢は興味なさそうな目で革袋を見た。 「待たせてゴメン、ちょっと直すのに時間が掛かったわ…!料金も必要以上に取られちゃったし!」 そんな時、後ろから誰かが霊夢に声を掛けながら走ってきた。 振り返ると新品同然になった杖を腰に差したルイズがピンクのブロンドを揺らしながらこちらへやってきた。 「随分と時間が掛かったわね。お陰で随分と暇をもてあましたわ。」 霊夢はやっと来たルイズに少々うんざりしながらも声を掛けた。 「うぅ、だって店の人が新しい杖に買い換えろって言って来るのがしつこくって……あら?」 ふとルイズは霊夢の横に見知った顔の人物が居ることに気が付いた。 「やぁミス・ヴァリエール。君は杖の修理に来ていたのかい?」 「ミスタ・コルベールじゃないですか!こんな所で逢えるとは奇遇ですね。」 ルイズはそれが教師だと知るや頭を下げ挨拶をした。 「ホラホラ、挨拶はそれくらいでいいからそろそろ何処かで昼食でも食いに行きましょう。」 後ろにいた霊夢はそう言うと頭を下げていたルイズの肩を掴みズルズルと引きずり始めた。 「ちょっ…!あんた何してるのよ!?」 それに気づいたルイズは霊夢の手を振り解くと少し怒った顔で怒鳴った。 「アンタ今何時だと思ってるの?もうお昼の時間よ。」 まるでどちらが主人なのかわからない強気な口調で霊夢はそう言った。 そんな風に二人がいがみ合っているのを見てすかさずコルベールが臨時の仲介となった。 「まぁまぁ二人とも、お昼がまだなのなら私と共に食べに行きませんか?まだ私は食べていないので。」 コルベールはそう言って軽く一呼吸すると――だけど、と言い足した。 「食費は自費で頼むよ?なんせ私の財布のそこは結構浅くてね。」 それなりに美味しい店で昼食を食べた後。 そこに連れてってくれたコルベールと別れ、ルイズは次に霊夢を連れ、街ではかなりの大きさを誇っている書店へと足を運んだ。 中に入ってみると端から端まで本棚だらけでその本棚には様々な書物が入っている。 「へぇー…結構たくさんあるのね。」 「でしょ、ここは魔法学院の教科書の原本もあるのよ。」 そういってルイズが天井からつり下げられた沢山の看板から「初心者魔法講座」―勿論霊夢には読めなかったが―の真下にあるエリアへと歩を進めた。 霊夢もルイズの後に続いた。 辿りついたそこは本棚と天井の隙間が数十センチ程しか無く、棚にはビッシリと様々な色の書物が置かれている。 紅魔館の魔法図書館程ではないが、本屋というより図書館を思わせた。 「そこで少し待ってて…。さてと、まずは右端の一番下から…。」 そういってルイズは屈み、本棚の一番下の列に置かれている本のタイトルを見始めた。 興味がない霊夢は完璧に置いていかれ、ただルイズの行動を見ているだけしかできなかった。 「あら、ルイズと紅白少女じゃない?」 そんなとき、後ろから声が掛けられたので振り返るとそこには赤い髪と大きな胸が特徴の『微熱』のキュルケと、 青い髪と透き通るほどの白い肌が特徴の『雪風』のタバサがそこにいた。 「誰が紅白少女だ、というかなんであんた達がこんな所にいんのよ?」 霊夢はキュルケを嫌な目で見るとキュルケを指さして言った。 「あら、いたら悪いのかしら?タバサと一に本を買いに来ただけよ。」 そう言ってキュルケは顔をタバサの方に向けた。 「いっつも男の子としか考えていないあんたが本を買いに来るなんて珍しいわね?」 続いてルイズが嫌みたっぷりに言った。 「ふふ、もてる女は辛いわ…。こんな小さい娘に嫉妬されるなんてね。」 それにカチンと来たルイズが思わず杖をキュルケに向けた。 「よしなさいルイズ。今あなたの財布の中身少ないんでしょ?今ここで爆発を起こせば弁償代が凄いわよ?」 キュルケはそれを鼻で笑う、タバサはそんなこと気にせずずれたメガネを手でクイッと直した。 霊夢は大きくため息を吐くと安全そうなタバサの側に寄った。 「あ、あらーらららららぁ?こここ香すすす水の買いすすすぎぎで財布が底につつきそうなあなたも人のこと言えないんじゃないかししら?」 ルイズは杖をしまうと顔をピクピクさせながら所々噛みながらそう言った。 「ルイズ…そんなに噛んでたら何を言ってるかわからないわ。」 キュルケは微笑み混じりのあきれ顔で言った。 そんなルイズに思わず霊夢は額に手を当て盛大にため息を吐いたとき、外から声が聞こえてきた。 タバサ以外の3人が外の方を見てみると一人の給士が貴族に手を掴まれていた。 「あれ?あの子、何処かで見た気が…。」 霊夢にはその給士にほんわりと見覚えがあった。 それは以前、ギーシュとの決闘があった日に紅茶を入れてくれた女性であった。 前ページ次ページルイズと無重力巫女さん
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英名:The Drifting Zero Gravity Island レアリティ:C 絵師:つかぽん 番号:BS11-070 収録:星座編2弾-灼熱の太陽 コスト:4 軽減:2 シンボル:黄 種類:ネクサス 0-LV1-2:『自分のアタックステップ』 系統:「戯狩」を持つ自分のスピリットが疲労したとき、自分はデッキから 1枚ドローする。 2-LV2:『お互いのアタックステップ』 系統:「戯狩」を持つ自分のスピリットすべてに“『聖命:このスピリットのアタック時』 このスピリットのアタックによって相手のライフを減らしたとき、 ボイドからコア1個を自分のライフに置く”という効果を与える。 フレーバー 空中に浮いた島であり、その周囲では空を泳ぐことができる。 溺れることはないが、離れすぎると落下するので要注意。 ―放浪者ロロ『異界見聞録』名所千選227― 備考/性能 戯狩サポート/聖命付加/ハンドブースト:ドローソース参照:ハンドブースト 公式Q&A/ルール エピソード/キャラクター ここを編集 BS11-黄へ戻る
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無重力 SINKER 曲名 無重力 SINKER (むじゅうりょく・シンカー) 原曲 『G free』 作曲 ZUN (上海アリス幻樂団) 作詞 ichigo 編曲 岸田 収録 『.JP』 歌詞 一瞬だけの真空が作るほろ苦い記憶の中で 美しいカタチで落ちる琥珀色の雫みたいに 無重力の中で君の重みだけ感じられるなら それでいいから サテライトの矛盾が ふたりを近づける 気圧の低下だって関係ない 壊れる寸前でとどめてくれたら 君の疑問だって飲み干すから 沈む有機体の欠片 追いかけて回るみたいだ 無重力の淵で君を浮かばせて 笑ってくれたら それでいいから パラダイムの弊害で ふたりは遠ざかる 普遍の感情なんて関係ない 離れる感覚で教えてくれたら 君の思想ごと抱きしめるから サテライトの矛盾が ふたりを近づける 気圧の低下だって関係ない 壊れる寸前でとどめてくれたら 君の疑問だって飲み干すから 前曲(DesireDrive) コメント 名前 コメント
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前ページ次ページルイズと無重力巫女さん ここは何処だろうか?真っ暗だ… 何にもわからないし、考えたくても頭が痛い。 確かなんだっけ?使い魔がなんたら神聖な儀式がこうだらで呼ばれて… とりあえず一刻も早く幻想郷に帰らないと焦って…なんか一人で暴れてた様な気がするわね。 でも苦労して手に入れたお茶も飲みたいし、なにより私がいなくなった代わりにあの八雲紫が頑張っているだろう。 急いで帰らないと何を要求されるかわからない。 良くて酒宴、悪くて家の食べ物だ… 今家にはあまり食べ物がない、これ以上減らされたらお茶と水で生活しなければならない。 あぁでも、ここは何処だろう。 せめて光があればわかるのに。 「うくっ……ひくっ……………ひくっ……。」 ふと、何処からかすすり泣く声が聞こえてきて、前から光がさした。 私、博麗霊夢がこのハルケギニアで心を落ち着かせて見たものは、顔を埋めて寝ているボロボロの服を着た桃色の髪の女の子だった。 数時間前… 「五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え…我の使い魔となせ。」 あの後、ルイズは自身が召喚した気絶した少女に口づけをした後、少女の左手にルーンが刻まれて儀式は終了した。 これを静かに見届けていたコルベールはルイズを哀れんだ。 彼女は呪文はおろか練金も出来ない生徒であった。しかもあの名門ヴァリエール家の娘である、そこから来る精神的負担は多いだろう。 出来るかわからなかったサモン・サーヴァントで出てきたのは少女、しかもはっきりと契約を断っていた。 本当なら召喚が出来たなら契約をしなくても二年生に進級出来るのだが彼女はそれを断り、あの少女と契約した。 おそらく汚れている家名をさらに汚くしたくなかったのだろう… あぁ始祖ブリミルよ、何故彼女はこうも報われないのか、彼女が何をした? とりあえず後ろにいる生徒達が興味深そうに見ていたため私は彼らの方に向き直り解散の合図を告げた。 「さぁ皆さん!儀式が終わりましたので寮に戻りますよ!」 私がそういうと生徒達は『フライ』を唱え、寮の方へと戻っていった。 皆が行き去ったのを確認すると未だに気絶した少女の傍らで顔を埋めて泣いているルイズの傍へと向かった。 おそらく自分が召喚した少女が詠唱も無しに空を飛んだうえ、契約を断られたのが原因であろう。 先ほど彼女が行った契約は召喚した者の合意無しで契約したのだ、余程それがこたえたのだろう。 (しかし見たこともないルーンが刻まれているな…後で調べてみよう。) 私は少女の左手に刻まれて見たこともないルーンを素早くメモ帳にスケッチするとメモをしまった。 その後私はミス・ヴァリエールに声を掛けようと思ったが、後ろの方にいる生徒達に呼ばれたので私はその場を後にした。 その数時間後、起きあがった霊夢は泣き疲れて寝てしまったルイズを見ることになる。 「寝てるのかしら…?」 やがて日が沈んだ広場には寝ているルイズと先ほど起きあがったばかりの霊夢だけがいた。 (あんまり記憶にないけど、なんかこの子に悪いことしたかも…?) 霊夢はいきなり辺鄙なところに使い魔として呼び出されて混乱してしまい、早く幻想郷に戻りたいが故にあのような脅迫を行ってしまった事を思い出した。 (でもだからってあんな攻撃をしなくていいのに…アイテテ。) 霊夢は軋む体をパキポキ鳴らしながら空を仰ぎ見た。 いつも見ていた星座は見えず、空には二つの月が煌々と輝いていた。 「なんか変な場所に呼び出されたわね、私…。」 月が二つある時点で彼女はここが幻想郷とは全く別の世界であることを確信した。 とりあえずどうしようかと考えながら霊夢がグルグル歩き回っているとうっかり寝ているルイズの体を蹴ってしまった。 「…い、イッタイじゃないのぉぉぉ!………ってアレ?アンタ…」 蹴られたショックで怒鳴りながら起きあがったルイズと霊夢の目線がピッタリと合った。 「あ、こんばんは………。」 とりあえず霊夢は挨拶をした後、ルイズの出方を待った。 「……よ、よ、よ、……良かったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 いきなり目から大粒の涙を出してルイズは霊夢に抱きついた。 「え、えぇ!?」 いきなり抱きつかれて驚いた霊夢はとりあえず離そうするがなかなか離そうとしない。 ルイズは泣きながらも霊夢にしっかりと抱きつきながら叫んだ。 「良かった良かったぁぁぁ!!死んだかと思ったけど生きていたのね!!」 とりあえず霊夢は自分を勝手に死なせたルイズの頭に拳を叩きつけた。 「イッタ!!何するのよ!!!」 頭を押さえながら転んだルイズは起きあがった物凄い剣幕で霊夢に怒鳴った。 「人を勝手に死なせたバツよ。」 霊夢はジト目でルイズの方を見た。 霊夢はもう一度空を見上げると目を瞑り、この世界で結界の力を感じられるか調べてみたが反応はなかった。 (これはもう自分の力でなんとか帰らないといけわね…。) 結界の力を感じられればなんとか帰れるのだがそれがなければ自力で帰る方法を探すしかないのだ。 霊夢は憂鬱になりながらも目を開けるともう一度ルイズの方を見てみた。ピンク色の髪と白い肌がなんとも似合っている。 「アンタの住んでる所は何処よ?そこまで送っていってあげるから。」 霊夢は左手をルイズの方に差し向け、顔を逸らした。 ルイズは頭を左手で押さえて呻きながらも右手で霊夢の手をつかんだ瞬間、二人の体がフワッと宙に浮いた。 「うっ…うわぁっ!わ、私が飛んでる!?」 ルイズは思わず手を離しそうになるが霊夢がその手を掴んだ。 「手を離さないで、離すと落ちるわよ。」 そのままふわふわと上昇し、ついには学院全体の光を眺められる高さにまで上昇した。 綺麗ね、と霊夢は思ったがルイズは歯をガチガチ鳴らしながら必死に霊夢の手を掴んでいた。 「アンタの住んでるところを指さして。」 「と、ととととととととりあえずあそそこに…」 霊夢がそっけなく言った後、ルイズは震える指を女子学生寮の方に向けた。 それを見た霊夢はルイズと一緒にふわふわとそこに降下していった。 とりあえずルイズは自分の部屋の窓の所まで来ると鍵を閉め忘れた窓を開けて自分の部屋に流れ込んだ。 足はガクガクしていて乱れた呼吸を直そうと深く息を吐いた。 ルイズをここまで運んた霊夢は空中をふわふわと浮きながらルイズの事を見ていた。 なんとか呼吸を整えたルイズは部屋に入らずふわふわと浮いている霊夢を入って良いと手招きした。 「部屋に入っても良いの?それじゃあ…」 霊夢は窓からルイズの部屋に入ると部屋をグルリと見回した、部屋の作りは紅魔館とほとんど同じである。 とりあえずルイズはこのボロボロの服を変えようとタンスを開けて替えの服を出した。 ふと霊夢がいるという事に気が付いたルイズは隠れようともせず平然とボロボロの服を脱いだ。 とりあえず霊夢は開けっ放しの窓から二つの月を見ることにした。 あまりにも霊夢が珍しいものを見るような目で月を見ていたため素早く着替えを終えたルイズが声を掛けた。 「…そんなに月が珍しいの?……えーっと名前なんだっけ?」 「なんでこの世界は月が二つあるのよ…?……確か名前はなんてったっけ?」 二人同時に名前を聞いてしまったためかなり複雑な空気になっていた。 「…………コホン、私の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、ルイズで良いわ。」 「………私の名前は博麗霊夢よ。というかこのトリステイン魔法学院ってどんな所なのよ?」 「あんた、この魔法学院を知らないの!?」 霊夢の言葉を聞いたルイズは目を丸くした。この魔法学院はあちこちに知れ渡ってるほど有名だからである。 「アンタの常識と私の常識を一緒にしないでよ…。」 「まぁいいわ、この際説明しておくわ…ここはハルケギニア大陸にあるトリステイン国立魔法学院というところよ。」 その後ルイズは一気に説明し始めた。 ここは貴族達が一人前のメイジになるための学校の様な所であり、貴族のほぼ全員がメイジだという。 「でもメイジってただの魔法使いのことでしょう?」 「魔法使いじゃないわ、メイジよ。」 どうやらこだわりがあるようだ、と霊夢は思った。 「というかアンタはどこから来たのよ?見たことも無い服装ね…それに黒い髪なんてここでは珍しいわよ?」 この世界の説明を聞き終えた霊夢はルイズに分かり易く自分がいた世界の説明をし始めた。 -=≡☆ -=≡☆ ―=≡★ 「つまり、アンタはこの世界とは違う「ゲンソーキョー」っていう月が一つしかない別の世界から来たって言うの?」 あの後霊夢はルイズに自分が別の世界から来たという事を話し、ルイズはそれを信じられないという目つきで見ていた。 「あたしだって信じられないわよ、こんな異世界。」 霊夢は大きくため息を吐きいた。 その後自分がいないとその世界が大変なことになるのを教えた後、ルイズに送り返して欲しいと言ったがルイズは無理と言った。 「別に良いじゃない。今日からあなたは私の使い魔としてここで生活することに……って痛っ!?」 この日、ルイズは霊夢から二度目の鉄拳制裁を喰らった。 「最初に会ったときに言ったでしょ、あたしは使い魔になる気はないわよ。それにアンタにとってはどうでもいいけど私はそうもいかないの。」 霊夢はそう言って開けっ放しの窓から飛んでいこうとしたのでルイズが足を掴んで止めた。 「ちょっとぉ!何処に行く気よ!?」 「何って?今から帰る方法を探しに行くのよ。」 「馬鹿言わないでよ!それにアンタの左手にルーンが刻まれてるでしょ?それが使い魔の証拠「そんなの何処にも無いけど?」…え?嘘、なんで!?」 ルイズは我が目を疑った。霊夢の左手に刻まれている筈のルーンが消えていたのだ。 おそらく博麗の巫女としての能力を持つ彼女の血が、使い魔のルーンをいつの間にか消してまったのであろう。 「ルーンが無いから私はアンタの使い魔じゃないんでしょ?それじゃあねぇ。」 霊夢は今度こそ飛んでいこうとするがさっきよりも凄い力で足を掴まれた。 「なによ、まだ何かあるの?」 霊夢は呆れた目で鬼気迫る顔で自分の足を掴んでいるルイズに聞いてみた。 「じゃあひとつ聞くわよ、アンタはこの世界の文字を知ってるのかしら!?」 ルイズの言葉に霊夢は今になって気づいた。 この世界には知り合い(正確に言えば妖怪や亡霊だが)が一人もいないうえ、文字もわからない。 それに食べ物だって何があるか分からないと思った時、霊夢のお腹がぐーっと鳴った。 とりあえず霊夢は部屋の中にもう一度はいると後ろ手で窓を閉めた。 「…とりあえず話だけでも聞くから何か食べるものない?あと、出来たらお茶も。」 その後、二人は遅めの夕食と紅茶をたまたま部屋の外を通りかかったメイドに部屋まで持ってこさせて食べていた。 ルイズはビーフシチューを食べながら霊夢に使い魔が何をするか教えていた。 「つまり、使い魔は主人の目となり耳となったりするって言ってるけど、なんか見える?」 霊夢は体を別の方に向けてティーカップに入っている紅茶を飲みながらルイズに聞いてみた。 ルイズは首を横に振ると説明を続けた。 「次に秘薬の材料を集める事……でもそれはいいわ…アンタ材料とかわからないでしょ?」 「そういうのは魔理沙が好んでやりそうね。」 「マリサ?」 ルイズは霊夢の口から出た聞いたことも無い名前(?)に首を傾げた後、使い魔として一番重要な事を話した。 「んで一番重要なのは主人を守る事と雑務……といってもアンタに出来そうなのは雑務くらいね。」 それを聞いた霊夢は一気に紅茶を飲みルイズの方に顔を向けた。 「………う~ん、今から言う私の約束を守ってくれればそれは聞いてあげるけど…。」 ルイズの話しを聞き終わった霊夢はティーカップを置くとルイズの目の前に指を三本出した。 とりあえずルイズは首を縦に振った後、霊夢はルイズに三つの約束事を言った。 一緒に元の世界に帰る方法を探すこと ちゃんとお茶と食事は摂らせて欲しいこと、後ちゃんとした寝床 私の迎えが来るか元の世界に帰る方法を見つけたらすぐに帰らせて欲しいこと 「この三つを守ってくれたらアンタの護衛や雑務くらいはしてあげるけど…どうかしら?」 言い終わった霊夢はポットに入っている紅茶をティーカップに入れると味わいながら飲んでいる。 ルイズはこれを聞いて頭の中で考えた。 一つめはかなり難しいが二つめは認めよう。 身長は私より少し大きいが女の子を床で寝かせたり貧しい食事を取らせる趣味はない。 もしもただの平民の男だったら遠慮無く床で寝かせたり貧しい食事を取らせていたが… 三つ目は…もし彼女がここからいなくなれば再び召喚が可能になる。 二回目のサモン・サーヴァントを行う条件は使い魔や呼び出したものが死ぬ、または行方不明になることである。 彼女はルーンがいつの間にか消えていたから使い魔ではないが私の召喚で呼ばれた為、二度目の召喚は出来ない。 もし彼女が元の世界へ帰ってくれれば、私ルイズ・フランソワーズは二回目のサモン・サーヴァントが正式に出来るという事になる。 「わかったわ。その約束、ヴァリエールの名にかけて守ることを誓うわ。」 そのとき霊夢の左手が薄く光っているのを二人は気づかなかった。 前ページ次ページルイズと無重力巫女さん
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前ページ次ページルイズと無重力巫女さん 一週間後―― 虚無の曜日の朝。 ほんの少し開けられた窓の外から小鳥の声が聞こえてくる。 朝日が窓の側に設置されているベッドを照らし、そこで寝ている少女の自慢であるピンクブロンドを輝かせる。 そして後一人、色々とワケがありこの部屋で一緒に暮らしている黒髪の少女は椅子に座り頭に付けた大きな赤いリボンを両手で弄くっていた。 「うぅーん…これで良いか。」 黒髪の少女――霊夢はリボンの上部を掴んでいた両手を離してそう言った。 綺麗に整えられたソレを見て満足そうに頷くと『この世界』に自分を呼んだピンクブロンドの少女、ルイズの方を見る。 相変わらずルイズは気持ちよさそうに寝ている、多分昨日飲み過ぎたワインが原因だろう。 自分が起きるのはもう少し遅くても良かったかしら? と霊夢がそんな事を考えているとふとルイズが眠りながら何かブツブツと言っている。 「う~ん、私のクックベリーパイがぁ…。」 ルイズの頭の中で何が起こってる全然わからないがどうやら夢の中でパイを食べてるらしい。 「見た目に反して案外大食いなのかしら。」 とりあえずそろそろ起こしてあげようと思い霊夢はルイズの隣に立つと彼女の体を揺すった。 「朝よ、起きなさい。」 軽く揺するが起きない。こんどはさっきより大きく揺らす。まだ起きない。 「さっさと起きなさいよ…。」 今度は激しく揺すると、ルイズがもそもそと起きた。 「うぅぅん、このかぜっぴきめぇ…。」 ルイズは何かぶつぶつと寝言を言い、棚の上に置いている杖を手に取った。 杖の先は窓の前に立っている霊夢である 「ちょっと、あんた寝ぼけ…」 「よくもこのあたしの服にクリームを…『ファイアー・ボー……」 ルイズが呪文を唱えているのだと知った霊夢は僅か三秒でそれを阻止した。 一秒目、霊夢は針を一本取り出すと杖目掛けて投げた。 二秒目、針が刺さった杖はルイズの手を離れ、物凄い早さで壁に刺さった。 三秒目、刺さった部分から亀裂が生まれ、ポキッと杖の先が二つに分かれた。 その間、わずか三秒。 「んぅ?……ああ、おはよう…。」 杖を壊されたルイズはまるで何事もなかったかのように目を覚ますと霊夢に朝の挨拶をした。 一方の霊夢はそんなルイズにただ呆れることしかできなかった。 コルベールは学院の本塔と火の塔の間に建てられている掘っ立て小屋である箱をいじくっていた。 「うむ、ふいごを踏んで点火すれば…。」 そう言ってコルベールはしゅごっ しゅごっ とふいごを足で踏み。次に箱についている円筒の横に開いた小さな穴に、杖の先端を差し込んだ。 そして呪文を唱えると、断続的な発火音が聞こえた。しかし、ただ発火音が聞こえるだけで何も起こらない。 「………ふぅむ、まだだな。まだなにか足りないぞこれは。」 そういってコルベールは小さな穴に差し込んでいた杖を抜くと窓の外を見た。 既に日が顔を出しており、コルベールの視界を遮る。 コルベールは研究家である。そして彼が行っているのは「魔法をもっと人の役に立たせる」研究である。 水や土などは補助呪文が多く人の役に立っているが火や風はどちらかというと攻撃的な呪文が多い。 そこでコルベールはそんな魔法をさらに人の役に立てようと頑張っているのだ。 たとえば今彼が夢中になっている装置は火の呪文を使ったある種のカラクリである。 小さい穴に杖を差し込み、発火させるとカラクリが作動し箱に付いた扉から小さいヘビが出てくるのである。(さっきは出てこなかったが…) さらにこれが発展すればいずれ風石が無くとも船は飛べ、馬がいなくとも馬車が走るだろうとコルベールは推測している。 しかし、現実は非情である。 今コルベールには研究費が不足している、研究費がなければ満足な研究が出来ないのだ。 オールド・オスマンにも掛け合っているのだが金のことになるといつもドロンと何処かへ行ってしまう。 「外の空気でも吸いに行くとするか…。」 コルベールは一人呟くとドアを開けて外に出て行った。 外に出たコルベールは大きく息を吸い込むとゆっくりと息を吐いた。 「あぁ、朝日と空気が気持ちいい…。」 研究に没頭していて、コルベールは昨日の夕食後から一度も寝ていないし、外にも出ていない。 しかしこれも一度だけではない。もう彼には慣れっこであった。 ふとコルベールは研究材料の残りが少なくなってきたことを思い出した。 「さてと、そろそろ研究材料もなくなってきたし…朝食の後にあの森へ取りに行くとするか。」 本来なら既に加工済みの物が欲しいが材料費を出してくれるオールド・オスマンは渋ってるいるし自費では少々きつい。 (あれが完成したら次に作るのは金貨製造機かな…ハハハ。) コルベールは心の中で冗談をぼやくと外出の準備をしに自分の部屋へと向かった。 ルイズは先が二つに分かれた杖をじっと見ながら霊夢と一緒に廊下を歩いていた。 「まぁ仕方ないじゃない…。正当防衛というものよ。」 「…これの何処が正当防衛よ!過剰防衛だわ!貴族にとって命と誇りの次に大事な杖を壊すなんて!」 大声で霊夢に叫ぶと周りを歩いていた数人かの生徒達が視線を向けた。 「いいじゃないのルイズ。どうせあなた魔法は全部失敗するんだし、杖が無くても同じじゃない?」 ふと後ろから『微熱』のキュルケがそんな事を言いながらルイズの右肩に手を置いた。 「同じじゃないわよ!!杖がなければ貴族じゃないわ!」 ルイズは物凄い剣幕で怒鳴るとキュルケの手を振り払った。 「うふふ、怒ると美容に悪いわよルイズ。じゃあね♪」 その様子に薄い笑みを浮かべたキュルケはそう言うと手を振って使い魔のフレイムと共に食堂へと進んでいった。 ルイズはその場で地団駄を踏むと後ろにいる霊夢に愚痴の一つでもこぼしてやろうと振り返ったがそこにあの紅白娘はいない。 「なにしてんのよ?置いていくわよ。」 前から声がしたので見てみると霊夢がいつの間にか自分の前方にいたのだ。 ルイズはムッとしながらも先に進む霊夢に食堂に着いたら愚痴を思いっきりこぼしてやろうと思った。 朝食の時ルイズが積もった愚痴を床で紅茶を飲んでいる相方にこぼしながらクックベリーパイを食べていた。 愚痴を言うときはちゃんと口に入れている物を胃に流し込んでから言うのは流石貴族と言ったところだ。 霊夢はそんな愚痴を素っ気なく答えながら左手の甲をボーッと見つめていた。 あの時ギーシュとか言う奴に内心腹を立てたら、微かに左手が暖かくなった。 そして次にあいつを挑発した。今になって思い返せば不思議である。 今霊夢の左手の甲には何も刻まれていない。至って普通である。 今日は虚無の曜日で授業が無く、生徒達の休日である。 学院の近くにある森に探検と洒落込む男子生徒達がいれば、街へアクセサリーや秘薬の材料を買いに行く女子生徒達がいる。 そんな中自室で本を静かに読んでいる青い髪の女子生徒がいた。 彼女にとっての休日は読書に利用するのに限る。 本は良い。様々なことを文字で教えてくれる。 タバサはずれた眼鏡を指で元の位置に戻すと読み終わったページを捲りあたらしいページを読む。これの繰り返しである。 やがて読み始めた本が終盤になりかけた頃、誰かがノックもせずに入ってきた。 チラッとだけ見て、相手がキュルケだと分かるとすぐに手元に置いていた杖を取り、『サイレント』の呪文を唱える。 「――――――…、――――!?」 部屋に入ってきたキュルケが魔法に気づいたのかタバサの肩を掴んで捲し立てている。 このままだと安心して読書が出来ないため、仕方なしにもう一度杖を振り、呪文を解除した。 「―――ゃんと私の話を聞いてよタバサ!」 キュルケが耳元で叫んだため、驚いたタバサの目が少しだけ丸くなった。 「今解除した。」 素っ気なくタバサはそう言うとキュルケは安心したような顔になり肩を離す。 今日の彼女はいつにも増してウキウキとしている。多分これが青春というものだろう。 「どうしたの?」 タバサは顔を向けずキュルケに用件を尋ねた。 大抵こういう時は無理矢理何処かへ連れて行かされることが多い。 以前はこういう事は一度もなかったが、最近多くなってきた。 「あのねタバサ……あなた今新しい本とかいる?」 キュルケが少し嬉しそうになりながら彼女に聞いてきた。 彼女がそんな事を言ってくる時は、絶対に何か面倒ごとに巻き込まれるのだ。 しかし、陰では「本の虫」とか呼ばれている程の本好きなタバサ。 「……いる。」 思わずそう言ってしまい、それを聞いたキュルケは自分の両手を叩いた。 「良かったわ!実は今日街に行きたいんだけど買いたい物をリストに書いたら予想外の数になって…。」 キュルケはそう良いながら懐に入れていたメモ帳を取り出しタバサに差し出す。 タバサはソレを手に取り、ペラペラと捲っていく。そこには約5ページ分に渡るほどの書物や日用品の名前が書かれていた。 一体これだけ買って何に使うのだろうか?唯一の友人の考えはあまり理解できない。 と、タバサがそんな事を考えていると。キュルケが再び口を開いた。 「だからね、あなたを誘う事にしたのよ!ホラ、あなたが呼び出した風龍の名前、だっけ?し…シェフィールド…だったかしら?」 「シルフィード。それにこれなら馬車で事足りるはず。」 タバサは自身の使い魔の名前を教えるのと同時にその提案を出した。 「イヤよ!だって私馬を扱うのは結構上手いけど、馬車は苦手なのよ!御願いタバサ!」 キュルケはそう叫び、タバサに抱きついてきた。 息苦しい感じと、何やら胸の柔らかい感触が同時にタバサに襲いかかってきた。 多分自分が頷くまで彼女はずっとこうしているだろう。 「…わかった。」 それは流石に困るので、少し嫌々ながらも了承した。 一方のルイズも霊夢に壊された杖を直しに行くため、街に行こうと考えていた。 ルイズは読んでいた本にしおりを入れテーブルに置くとベッドに腰掛けていた霊夢に話しかける。 「レイム、今から街に行くわよ。」 突然のことに霊夢がキョトンとした顔で口を開いた。 「…別にいいけど、どうしたのよいきなり?」 まるで朝の出来事は自分が悪くないかのような言い方である。 「どうしたもこうしたも…今からアンタに壊された杖の修理に行くからよ。」 ルイズはそう言いながら小さな鞄を取り出し、財布やら壊れた杖を鞄の中に入れていく。 「はぁ、だからアレは正当防衛だって言ってるでしょ?まだそれを根に持ってるわけ?」 霊夢はため息を吐くと呆れた目でルイズを見ながらそう言った。 ルイズはそんな彼女の悪気が一切ない態度にイラッと来てしまい、声を荒げて叫ぶ。 「大体なんで杖を壊すのよ!他のやり方があったでしょう!?」 「他のやり方を見つけるほどの時間なんてなかったのよ。」 やがて準備をし終えたルイズは霊夢と共に街へと続く街道を移動していた。 ルイズは馬に乗っており、霊夢はいつものようにスイスイと空を飛んでルイズの前を先行している。 それどころか段々と距離が開き始めているのにルイズは気が付いた。 「ちょ、ちょっと…もう少しスピードをあわせてよ!」 「むしろ馬の方が遅いんじゃないの?」 前を飛んでいる霊夢に向けて、ルイズはそう言ったが霊夢にそう言い返されてしまった。 だったらとルイズは鞭を叩き馬の速度上げて追いつこうとするがただただ霊夢の後ろを付いていくだけである。 おかげで街には割と早く着くことが出来たのだが。 乗ってきた馬を街の門の側に設けられた駅に預けると、ある事に気が付いた。 「あれ…?レイムの奴は何処へ行ったのかしら?」 先程まで自分の先頭を飛んでいて、一足先に街の入り口で待っていた筈の霊夢の姿が見えなかったのだ。 自分が馬を駅に預けている間に何処かへ行ってしまったのだろうか? ふとそんな事ほ考えていると鼻に嗅いだことのない匂いが入り込んできた。 「これって…。」 それは何処かお茶の匂いに似てはいるが似て非なるモノだった。 ルイズはその匂いに頭を傾げながらながら街の中にはいると、すぐ目の前に広がる露天市場の中でかなりの人だかりが出来ているのに気が付いた。 同時に、漂ってくる匂いもそこから出てくるのと言うのに気づいた。 (これは何かしら…紅茶とはまた違って独特ね…。) そのときルイズは、見覚えがある人物一が番後ろに立っていた事に気が付いた。 それは列の一番後ろに立っており、黒い髪に付けられた紅い大きなリボンがよく目立つ少女であった。 服もまた特徴的で袖がない紅白の服であり、通りゆく人々からは珍しそうな目で見られている。 つぶらな瞳からは『喜』の感情が出ており、顔は年齢に似合った笑顔である。 (れ、霊夢じゃないの…一体どうしたのかしら?……笑顔も結構似合ってるじゃない。) ルイズはそんなこと考えながら霊夢に声を掛けようとしたが彼女の横にある看板にふと目をとめた。 『東方の地。ロバ・アル・カリイエから持ってきた『緑茶』。『紅茶』とはまた違った味と香りは斬新!』 前ページ次ページルイズと無重力巫女さん