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【風の美女】BOSS:風の美女ヨウキヒ心地良い風を感じることの出来る浴室に、突如として厳しい風が巻き起こる。天界<セレスティア>の平和の歪さに気付いた風の美女は、平和の裏に隠された全てを解き明かそうと、都合の良い犠牲を守ろうと、新しい風を、現実の風を起こしていた。 イベントテキスト 水明の佳人! 美浴室ヨウキヒ 一国をも傾けると言われる傾国の美女。彼女の美しさの前には、野に咲く花たちも恥ずかしそうに蕾を閉じる。そんな美しい彼女の顔を曇らせる一つの思い出。たった一つの後悔。 美浴室ヨウキヒで待ち受けるは風の美女「ヨウキヒ」。彼女は、天界<セレスティア>を追放された一人の妖精のことを考えていた。救えなかったかつての親友。大切な人を失って、初めて天界の歪められた平和に気がつく。 2013/12/27~2014/01/03 美浴室ヨウキヒ 2014/01/30~2014/01/31 美浴室ラッシュ/美浴室ヨウキヒ 2014/06/05~2014/06/12 復刻/美浴室ヨウキヒ
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美浴室ヘレネ 美浴室オノノコマチ 美浴室ヨウキヒ 美浴室カタリナ 美浴室クレオパトラ 美浴室エリザベート コメント 美浴室ヘレネ [美浴室ヘレネを編集] 【炎の美女】BOSS:炎の美女ヘレネ火想郷<アルカディア>に位置した燃えたぎる炎に包まれた浴室、閉じたカーテンを開けばそこに、彼女が待っている。炎の美女が求めたのは、これから起きようとしている真実。温かなその手をとり、魔界<ヘリスティア>の新女王連続即位の真意へ。 イベントテキスト 灼熱の炎浴! 美浴室ヘレネ 燃え盛る炎を浴びながら。彼女は一つの疑問を抱く。幼き日に見た新しい赤の女王の炎。その中に見えた正義は嘘だったのか。 美浴室ヘレネで待ち受けるは炎の美女「ヘレネ」。次々と入れ替わる新しい御伽城の主たちに違和感を感じながら。一体何が起こっているのか?赤の女王の真意を確かめようとするヘレネに炎刑者の影が忍び寄る。 2013/12/13~2013/12/20 美浴室ヘレネ 2014/01/28~2014/01/29 美浴室ラッシュ/美浴室ヘレネ 2014/05/22~2014/05/29 復刻/美浴室ヘレネ 美浴室オノノコマチ [美浴室オノノコマチを編集] 【水の美女】BOSS:水の美女オノノコマチ滴り落ちる雫を辿り、招かれたのは水の美女の待つ浴室。火照った身体を落ち着かせる冷ややかな水の調べと、水も滴るいい女のおもてなし。だけどそれは、飛沫舞い踊る戦い。冷ややかな浴室が熱を帯びた時、浴室はただの戦場へと変わる。 イベントテキスト 水明の佳人! 美浴室オノノコマチ 全てを魅了し、どんな男も必ずなびく絶世の美女。水鏡に映る自分の顔を見て、尖らせていた口に笑みを浮かべた。「わっちを袖にする?そんな男がいるもんかい」。たったひとりの少年を除いて。 美浴室オノノコマチで待ち受けるは水の美女「オノノコマチ」。ただ一人、自分を袖にした少年を追いかけて。世の全ての男が望む幸福から迷惑そうな顔で逃げる少年を見て。コマチは少し幸せな気持ちになる。 2013/12/20~2013/12/27 美浴室オノノコマチ 2014/01/29~2014/01/30 美浴室ラッシュ/美浴室オノノコマチ 2014/05/29~2014/06/05 復刻/美浴室オノノコマチ 美浴室ヨウキヒ [美浴室ヨウキヒを編集] 【風の美女】BOSS:風の美女ヨウキヒ心地良い風を感じることの出来る浴室に、突如として厳しい風が巻き起こる。天界<セレスティア>の平和の歪さに気付いた風の美女は、平和の裏に隠された全てを解き明かそうと、都合の良い犠牲を守ろうと、新しい風を、現実の風を起こしていた。 イベントテキスト 水明の佳人! 美浴室ヨウキヒ 一国をも傾けると言われる傾国の美女。彼女の美しさの前には、野に咲く花たちも恥ずかしそうに蕾を閉じる。そんな美しい彼女の顔を曇らせる一つの思い出。たった一つの後悔。 美浴室ヨウキヒで待ち受けるは風の美女「ヨウキヒ」。彼女は、天界<セレスティア>を追放された一人の妖精のことを考えていた。救えなかったかつての親友。大切な人を失って、初めて天界の歪められた平和に気がつく。 2013/12/27~2014/01/03 美浴室ヨウキヒ 2014/01/30~2014/01/31 美浴室ラッシュ/美浴室ヨウキヒ 2014/06/05~2014/06/12 復刻/美浴室ヨウキヒ 美浴室カタリナ [美浴室カタリナを編集] 【光の美女】BOSS:光の美女カタリナ訪れたのは、優しい光に包まれた浴室。待ち構えていた光の美女は、ただのんびりと日向ぼっこをしていた。彼女には何の悪気もなかった。ただ、時として悪気のない行為が、結果として大惨事になることを、彼女は後になって知るのだった。 イベントテキスト 光の祝福! 美浴室カタリナ 聖なる光に祝福されし、光の美女。神に愛される彼女は常に幸せの只中に。そんな彼女を見つめる紫色の薔薇を持つ男。子供だった彼女は無邪気に彼を拒絶する。 美浴室カタリナで待ち受けるは光の美女「カタリナ」。大人として成長した彼女は時々思い出す。一度も話したことは無かった人なのに。彼の事を考えると何故胸が痛いのだろう。 2014/01/03~2014/01/10 美浴室カタリナ 2014/01/31~2014/02/01 美浴室ラッシュ/美浴室カタリナ 2014/06/12~2014/06/19 復刻/美浴室カタリナ 美浴室クレオパトラ [美浴室クレオパトラを編集] 【闇の美女】BOSS:闇の美女クレオパトラしっとりとした闇の中で安らぎを提供していた浴室。そんな場所で待ち構えていた闇の美女は、行方をくらませた友人の捜索に大忙し。見つけた手掛かりが、単なる家出と思われていた事件の裏に潜む大きな闇に通じた時、彼女は既に浴室を離れていた。 イベントテキスト 暗黒の美! 美浴室クレオパトラ 何者にも染まらぬ純粋な闇の美女。彼女の友人がある夜、行方をくらませた。頭は良いが、純粋な心を持つがゆえに愚かな男。彼女はそんな彼を大切に思った。 美浴室クレオパトラで待ち受けるは闇の美女「クレオパトラ」。大切な友人を探して単身魔界へ。魔界で得た手掛かりは、彼女の悪い予感を確信へと変える。彼の持つ純粋な想いが、悪意に染まってしまったのだと。 2014/01/10~2014/01/17 美浴室クレオパトラ 2014/02/01~2014/02/02 美浴室ラッシュ/美浴室クレオパトラ 2014/06/19~2014/06/26 復刻/美浴室クレオパトラ 美浴室エリザベート [美浴室エリザベートを編集] 【無の美女】BOSS:無の美女エリザベート無の浴室で待っていたのは二人の幼馴染の安否ばかりを気にかけていた無の美女。いつか子供の頃の様に全力で喧嘩をして、そしてまた、最後には笑い合うことが出来るのなら。そんな遠い日の思い出を守る為、彼女は戦いへの覚悟を決めたのだった。 イベントテキスト 深窓の麗人! 美浴室エリザベート いつも一緒だった。ずっと一緒だと思ってた。永遠に子供でいられる訳じゃないのはわかっていた。だけど……だけど。 美浴室エリザベートで待ち受けるは無の美女「エリザベート」。幼なじみの王子二人と共に何不自由なく育てられた彼女。二人の王子が世界を守る為に旅だった後、子供の頃の思い出を胸に。世間知らずなお嬢様は、一人常界への道を急ぐ。 2014/01/17~2014/01/24 美浴室エリザベート 2014/02/02~2014/02/03 美浴室ラッシュ/美浴室エリザベート 2014/06/26~2014/07/03 復刻/美浴室エリザベート コメント 名前 コメント
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【闇の美女】BOSS:闇の美女クレオパトラしっとりとした闇の中で安らぎを提供していた浴室。そんな場所で待ち構えていた闇の美女は、行方をくらませた友人の捜索に大忙し。見つけた手掛かりが、単なる家出と思われていた事件の裏に潜む大きな闇に通じた時、彼女は既に浴室を離れていた。 イベントテキスト 暗黒の美! 美浴室クレオパトラ 何者にも染まらぬ純粋な闇の美女。彼女の友人がある夜、行方をくらませた。頭は良いが、純粋な心を持つがゆえに愚かな男。彼女はそんな彼を大切に思った。 美浴室クレオパトラで待ち受けるは闇の美女「クレオパトラ」。大切な友人を探して単身魔界へ。魔界で得た手掛かりは、彼女の悪い予感を確信へと変える。彼の持つ純粋な想いが、悪意に染まってしまったのだと。 2014/01/10~2014/01/17 美浴室クレオパトラ 2014/02/01~2014/02/02 美浴室ラッシュ/美浴室クレオパトラ 2014/06/19~2014/06/26 復刻/美浴室クレオパトラ
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浴室、水周り修理・エスケーケーSKK Ventures(榊原)012-9790785 榊原さんにお願いするとローカルスタッフが水・エヤコン・電気関係をみてくれる。 浴室、水周り修理・Lai Kee Plumbing (投込み広告)019-2229773 水道・トイレなど水周りの修理全般
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探索キー:バスルームの鍵(500キラン) 探索レベル:10 熟練度 消費エネルギー 見つかるもの 報酬:経験値 報酬:キラン 探索時間 探索数 ノービス 40 靴ボンネットドレス海風のポートワインクラインのフラスコ 24 32 5 00 8 トレーニー 45 ルビーのペンダントマーメイドのウォッカプライヤーエメラルドのペンダントシュレーディンガーの箱 28 36 4 40 12 ベテラン 50 歯の妖精ポルターガイスト工具セットクラインの花瓶 32 40 4 20 15 プロフェッショナル 55 サーベルタイガーの牙メビウスのバンド 36 44 4 00 18 エキスパート 60 プテロダクティルスの翼メビウスの弓 40 48 3 40 22 探索アイテム: 01.アイロン 02.アヒルのおもちゃ 03.エンジェル 04.貝がら 05.火災報知器 06.紙の船 07.花瓶 08.ギア 09.香水びん 10.シャンパン 11.洗濯物かご 12.体重計 13.タツノオトシゴ 14.手袋 15.時計 16.ハイヒール 17.ハンドモップ 18.ブリーチ 19.ベル 20.ボール 21.モンキーレンチ 22.ラバーカップ 23.リンゴ 24.ろうそく台 25.ワイングラス
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主な仕掛け、キャラクター 下 →処理 浴槽に入った鋸頭 →テレビになると… 落ちている黒フード →E【.ドレス.】 その他
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bath.gif ●出入口ドアを引違い戸に取替え 引違い戸には、メーカーにより最初から排水溝がついているものがあります。その場合は、ドアだけではなく浴室の床レベルの変更も必然的にともなってきますので高額になります。どのメーカーのどの種の引違い戸を選ぶかの検討も必要です。床レベルの変更の際は、滑りにくい材質の選択もできます。 ●浴槽、洗場の段差解消 浴槽をまたぐのに適した高さは、洗い場と浴槽の縁との高低差が35cm~40cmで、それより高くても低くても、またぐ際には不安定になります。浴室の床をかさ上げして段差の解消をする場合は、それに伴う給排水設置工事なども給付の対象です。すのこの設置で浴室の床をかさ上げすることができますが、すのこの場合は用具購入の支給対象に入ります。 ●手すり取付け トイレの手すりと同じような働きをしますが、耐水性の高い材質を選ぶ必要があります。塩ビ製品を各メーカーが出していますのでよく検討してください。浴室の壁は、下地の違いにより工事の費用が違ってきますので、下地の調査も必要です。タイル仕上げでブロックの場合は取付けられますが、ユニットバスは下地の問題で取付けにくい場合もあります。その場合はユニットバスのメーカーに相談します。 また、浴槽自体に取付ける手すりがあり、用具購入で対応できます。体の角度を変える、立つ、座る、またぐなど、狭い浴室での決まった動作を十分に理解し、適切な取付けが必要です。手すり1本でも間違った取付けをすると、大変危険です。 ●用具の購入 必要に応じて、入浴台や入浴用いすまたは浴槽内いす、移動式の手すりなど、用具購入の給付対象となる介護用品も合わせて検討してみましょう。ただし、カガミ、使いやすい蛇口への変更、収納棚、脱衣所の腰掛台の設置工事は、建築業者が行っても、住宅改修の給付の対象とはなりません。腰掛台については、用具購入の対象のいすを利用するとよいでしょう。 これらは一般的な目安です。身体状態、現在の建築物の状況等で、違いがありますので、必ず専門家とよく相談してください。
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作品名 浴室には誰もいない 書影 原題 Hopjoy Was Here 作者名 コリン・ワトスン 訳者名 直良和美 解説 法月綸太郎 あらすじ 匿名の手紙による告発をきっかけに、ある一軒家の浴室から死体を溶かして流した痕跡が発見される。住人の男性ふたりはともに行方不明。パーブライト警部率いる地元警察と、とある事情によりロンドンから派遣された情報部員たちが、奇妙な事件の解決に向けそれぞれ独自の捜査を始める。二転三転する展開の果てに待つ、「死体なき殺人」の真相とは? バークリーが激賞した、英国推理作家協会ゴールドダガー最終候補作の本格ミステリ。 出版社 東京創元社 形態 創元推理文庫 刊行日 2016/10/20 レビュー 名前 コメント
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浴室の幽霊 一人暮らし初日、シャワーを浴びようと風呂場のドアを開けると、 ────先客が居た さも当然のようにお風呂に浸かり、気持ちよさそうに鼻歌など歌っている。 薄い湯気の向こうの女性。入り口に背を向けていて、顔は見えない。 代わりに目に入るのは、濡れて艶やかに光る黒い髪だったり、 鎖骨のラインが眩しい白く細い肩だったり、お湯を梳く長い指だったり…… ──そのどれもが、あまりに女性的で、 ────そのどれもが、うっすらと透けていた。 侵入者に気が付いたのだろう、あれ、と言うように女性が振り向く。 ばっちりと目が合った。 女性というよりも、少女と描写したくなる顔が、きょとん、とする。 小さな顔に、猫のような黒く大きな瞳。線の通った鼻に、肉の薄い唇。 上気して淡く染まった頬に、濡れた髪の毛が一筋、艶めかしく張り付く。 「……あ、……えっ、と……」 どちらが発した言葉だろう──それ以上続かず、無言で見つめ合う。 時間が止まり、沈黙が流れる。処理量オーバーで脳がシステムダウン。 凍り付いた時間の中、唯一まともに働いているのは視力だけ。 振り向いた少女の細い首筋や、その下の緩やかな膨らみが視える。 その造形は美しくて、ほんのりと染まる肌は、お湯を弾く滑らかさ。 ぱさ、とタオルを取り落とす──それが状況打破の合図となった。 「──き……きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」 入居初日、男一人暮らしのアパートに、乙女の悲鳴が響き渡った。 「イヤぁぁぁぁっ! この痴漢、覗き、変態、出て行ぇぇっっ!!」 叫ぶ少女。風呂場にガンガン響く──いや、近所中に響いているはずだ。 このままではご近所様から通報されかねない。というか、される! 冗談じゃない。まだ敷金礼金を払ったばかりだ。退去させられて堪るか! とにかく黙らせることが先決。口を塞ぐため少女に飛びかかった。 「きゃあぁぁぁぁぁぁっ、来るなぁぁっ! 出て行ぇぇぇっっ!!」 「うるせぇぇぇぇぇっ、出て行くかっ、ここは俺の部屋だ!!」 頭を押さえつけ、右手で彼女の口を────スカッ、 「…………え?」 ──スカッ、スカッ、スカッ 少女をすり抜けて、空を切る両手。何度試してもすり抜ける。 冷静になる──と言うよりも血の気が引いていく。改めて少女を見る。 白い肌は、比喩ではなく透き通っていて、向こうの壁が透けて見える。 ──そもそも何で少女が俺の部屋にいるのか。 鍵を閉めていたこの部屋に、彼女が入ってこれるはずがない。 少女も俺の様子に気付いたのか、叫ぶのを止め、状況を静観している。 脳裏にある単語が過ぎる。いやまさか。でも、そんな。うわ、え、おい…… 「……──ぎゃあ゙あ゙あ゙ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」 絶叫──直後、 「 う る せ ぇ ぇ っ !! 」 ──ドガンッ。隣の部屋から、怒声と壁を殴る音。 驚いた俺はバランスを崩し、湯船に頭から突っ込んだ。ぼっちゃーん。 「こっちを向いたら殺してやるからね!」 とりあえず一時停戦。狭い湯船に、背中合わせで座り込む。 背中合わせと言っても、寄りかかる先には支えがない。すり抜ける彼女。 「まず状況を確認しよう。お前は幽霊」 「まあ、そうね。いわゆる幽霊よ。──で、アンタは変態」 「まあ、そうだ──って、違うっ!!」 とりあえずあれから分かったことをまとめる。 ・彼女は幽霊である ・彼女を触ることは出来ない(彼女からも触ることは出来ない) ・彼女の声は周りには聞こえない(彼女がいくら叫んでも隣人は無反応) ・彼女はすぐ怒る 「って言うか、何で一緒に入ってるのよ! 早く出て行きなさいよ!」 「嫌だ。ガス代、水代が勿体ない」 一人暮らしにあたり、節約のため、風呂はシャワーだけと決めていたのに。 なみなみと張られたお湯を使わないなど勿体ない。金を払うのは俺だ。 補足。彼女は何故か蛇口や湯船、お湯などお風呂関連の物は触れる。 「と言うか、ここは俺の部屋だ。むしろお前こそ出て行け」 「────っっ」 てっきり何かしらの反論が飛んでくると思ったが、息を飲んだまま黙り込む。 気になって後ろを振り向────!? ぶほっ!! 「こっちを見るなって言ったでしょ!!」 浴びせられたお湯に視界を塞がれる。鼻にも少し入ったらしく、つんと痛い。 「てめ、何しやがる!」 「────出られないのよ」 ぽつり、と呟くように。先程までとうって変わり、急にしおらしい声になる。 「──私、自縛霊だから、“お風呂(ここ)”から出られないの」 「…………ふーん」 なるほど大変なことだ。トイレにも行けない──って、行く必要ないのか。 「ふーん、ってアンタ、もっと他にないの?」 「他にって、例えば?」 「え、そりゃ……どうして幽霊になったのか、とか、どうしてお風呂に、とか」 「いや、別に興味ないし」 「────なっ!!」 別にウルサイだけで、実害は無いと分かったので、これ以上は気にしない。 「それとも何? 気にして欲しいわけ?」 「──なっ、ば、バカなこと言うんじゃ無いわよっ!!」 後ろで、ぎゃあぎゃあと叫ぶ少女を無視して、お湯を掬い、顔を洗う。 特に目元を重点的に。強く強く、擦るように、抉るように、掻き毟るように。 一刻も早く、網膜に染みついた“赤色”を洗い落としたい──── 先程、お湯に視界を塞がれる寸前に見えた、彼女の“手首の傷”。 深く裂けたそれは、血こそ流していないものの間違いなく致命傷だ。 ────いや、それが“致命傷”だったのだろう。 「……なんともベタだねぇ」 「ん、何か言った? 「いや──身体洗うから、あっち向いてて。見たいなら別に見てもいいけど」 「だ、誰がアンタの裸なんか──きゃぁっ! か、隠しなさいよ!!」 髪を洗う。剛毛なので、わしゃわしゃと力を込めて洗う。 「そんなにすると、髪を傷めるよ」 湯船の中から言う彼女に、ん、と生返事を送る。 洗髪中で目を閉じているので姿は見えない。気にせずに彼女は続ける。 「ねえアンタ、私のこと怖くないの?」 「どうして? 別に呪い殺したりするんじゃないだろ?」 「まあ、そうだけど……」 先程までの威勢は消え、妙に歯切れが悪い。気にせず洗髪を続ける。 「……私、ここに、いても……いいのかな?」 「いいんじゃねえの? って言うか、ここから出られないんだろ?」 「そうだけど──そうじゃなくて……っ、私、いてもいいの?」 「……何をそんなに気にしてるんだ?」 幽霊ってのは、もっと図々しい物だと思っていたのだが。 「……アンタの前にも、何人か入居者がいたんだけどさ──」 けど何さ。……まあ、妙に安かった家賃がその答えなのだろうけど。 「アンタだって、幽霊と一緒に暮らすだなんて、気味が悪いでしょ?」 シャワーでシャンプーを洗い流す。はぁ、と溜息を一つ。 「よく分かんないけどさ──お前、いろいろ考えすぎなんじゃないか?」 そうでなければ、自殺などするわけがない。 「もっと気楽に生きればいいじゃん──って、もう死んでるのか」 日々もっと楽に考えていければ、彼女だって今の状況にならなかっただろう。 ──などと考えるのは、俺の勝手だろうか。彼女に対する侮辱だろうか。 「お前は自縛霊で、この風呂から出られないんだよな?」 「え、何よ急に改めて……うん……そうだけど?」 「ってことは、裸見放題じゃん。お前、性格はアレでも見栄えは良いし」 「──っっ!! このバカっ! 死ねっ!!」 しゅこーん、と軽やかな音を立てて、シャワーで殴られる。 音は軽いが、勢いの付いたプラスチックのヘッドの衝撃は、かなり痛い。 身体を洗い終え湯船に入る。先程とは違い、二人で横に並ぶ。 本来ならば脚を伸ばせるのに、わざわざ縮こまって座る。 本来ならば肩が触れあう距離なのに、肩に触れる感触はない。 ────でも、彼女は今、俺の隣にいる。 照明を見上げる。居間の白色照明とは違う、柔らかな橙色の照明。 少女は隣で、ちゃぷちゃぷと水を弾いて遊んでいる。 何か言いたそうにしているが、同時に、決定的な言葉を恐れている。 だから、曖昧な先延ばし──その結果が、自縛霊という現状。 ……もう、終わりにしてもいいんじゃないだろうか。 「……いてもいいのか、どうか、って話だけどさ」 あやふやに誤魔化した話を再開する。びくり、と隣で少女が硬くなった。 「いいとかダメとか、そういうの他人がとやかく言える物じゃないだろ」 「────っっ!!」 仮に言える奴がいたら、いったい何様だと思う。 隣で少女が更に硬くなり、俯いているのが視界の端に見える。 まるで何かに怯えているかのような態度を見て、溜息を一つ。 居場所というのは、誰かにもらう物ではなく、自分で作る物だ。 ────などというのは、恵まれた者の意見。 隣の彼女は、決して弱かったわけでも、ましてや悪かったわけでもない。 本当にたまたま、ちょっとしたすれ違いで居場所を見失ってしまった少女。 「──でもまあ、今日からこの部屋は俺のモノで、いわば俺が王様だ」 この部屋に関する一切の権利は、大家さんを怒らせない範囲で俺にある。 だから、このくらいのことは、まったく問題ではない。至極簡単なことだ。 「その俺が認めてやる。好きなだけ、ここにいればいい」 少女は初めて見たときの、きょとん、とした顔をすると、 「──ああ、そっか」 大切な宝物を見つけたかのように、嬉しそうに笑い、 ────私、ここにいても、いいんだね? そう言い残して、すっ、と消えてしまった。 まるで初めからそこには、誰もいなかったかのように。 わずかな波紋だけが彼女がそこにいた証。 それもやがて収まり、静かな水面だけが残った。 居場所を認めて欲しかった。いてもよいと認めて欲しかった。 それが彼女の望みだったのだろう。この世に残した未練だったのだろう。 お湯を掬って、顔を洗う。誰もいなくとも、涙を見られたくはなかったから。 翌日 「きゃあっ、前くらい隠しなさいよ、このバカっ!!」 シャワーを浴びようと風呂に入ると、理不尽に怒られた。 一人で風呂に入るのに、わざわざ隠す奴なんているのか? ……って言うか、お前、何でまだいるの? ────いや、まあ、確かに好きなだけいていいと言ったけどさ。 胸を隠し、鼻の辺りまでお湯に浸かって、ぶくぶくとやっている彼女を見る。 思わず苦笑が漏れる。まあ、いいか。 「ほら、もっとそっちに詰めろ。俺が入れないだろ」
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浴室彼女 こんな沈んだ気持ちで帰宅するなんて、自分を可愛がってくれた叔母が家を出た頃以来 だ。 自分の部屋に行く途中リビングの電話に入っていたメッセージで、両親が今夜は帰れな いことを知りホッとする。ふさぎ込むのにはうってつけの状況。 自室に荷物を放り真っ直ぐ風呂場へ行く。穿いていたジーパンと下着だけ脱いで下半身 を、特に性器を洗う。帰りに着替えた多目的トイレの手洗い場でも紙やハンカチで拭いは したが、下腹や陰毛にこびりついた不快感は取り去れなかった。 ここをさんざんいじられた…同級生の男にされた跡を早く洗い流したかった。 シャワーから出る水が湯に変わる頃には、汚れはもちろん気分も幾分か落ち着いてきた。 誰もいないのでタオルを巻いただけで部屋に戻り、下着を替えジャージを穿く。部屋着 のシャツをかぶると、疲れがどっと出た。 ベッドに突っ伏して掛け布団を握りしめる。興奮から醒めれば、後に残るのは罪悪感と …これからどうなるのかという恐怖、そして自分はどうすれば良いのかという不安。 こんなことになるのなら、いっそもっと遠出をするか、せめて化粧をしていけば良かっ た。同じクラスの女子はもっと華やかなメイクをしていたから、通用するか不安で何もで きなかったのだが…していれば、あいつに気付かれなかっただろうか? それなら問題なくあのスーパーで下着を買って、帰宅する。それで済んだはずだ。あん な…恥ずかしい目に、屈辱を受ける羽目にはならなかったはず。 スポーツバッグの中にある、家を出る時には入ってなかったモノを思い、洗ったはずの そこが疼く。 女性下着…直接的に言うと、ブラジャーとショーツ。彼が自分に買い与えたのだ。 そして自分はそれを身に着け彼に良いようになぶられ触られ、目の前で達してしまった。 自分があんなことで興奮する異常者であることを、この身をもって相手に証明してしまっ たのだ。 「……ふ………っく…」 悔しさに涙がにじんでくる。あいつに泣き顔を見られたことも不覚だ。一生ものの不覚 だ。 …これまで聞き流してきた噂通り、たしかに彼は手慣れているようだった。 何のてらいもなく自分を連れて女性の店に入ったり、自分の着ていたセーラーも含め女 物の衣服に手慣れていたり…自分を、「女の子」として対外的には扱っていた。 そして自分の恐れる威圧や罵倒で冷たく打ちのめしたかと思えば、気味が悪いほど甘く 優しい声で自分に接した。恐怖と同じくらい、求めていた異常な被虐の快楽を与えたのだ。 「変態」と断罪するようにささやきながら、その手は自分を焦らし高め、絶頂へと導く。 自らを慰めながら夢見たモノを、たった数時間で彼は自分の想像の及ばない程の恥辱と 悦楽と言う形で叶えてくれたのだ。 気付けば自分の胸をシャツの上から押さえていた。貧相な胸板で未だにヒリヒリとして 存在を主張する乳首。数時間前、彼にここをさんざん責め立てられたからだ。 当然あるべき膨らみはないのだが、彼は自分を写真や動画の中の女性であるかのように 両手で揉みしだき、つまみ扱いた。 本物の「女の子」みたいに……? 女の格好をした自分が彼に甘えている、媚びを売っているところを、そして相手も自分 の胸だの尻だのを撫で回しているところを想像してみて…慌てて首を振った。考えただけ でもゾッとする。 自分は、異性愛者が性愛の対象として見てくれる自分自身が好きなのだ。男と知った上 で女の格好をさせ、あまつさえ同性の身体をいじってくる彼は…絶対に自分とは相容れな い。 それにこのままあいつの言いなりになっていたら自分が、自分の身体がおかしくなる。 初めて他人に与えられた、それまで妄想の中だけで得られるものだった愛撫に、刺激に、 まだ全身の表皮が疼くのだ。 ほっといてくれ。一人にしてくれ。それなら誰も、自分も傷付けずにこの後ろ暗い欲望 を満たすことができるから。 誰にも邪魔はさせない。そのためには、なんとしてでもあいつを阻止しなくては。 決意を固め顔を上げたちょうどその時、くぐもった音がした。 「っ!?………」 何を驚いてるんだ。たかが…たかが携帯のバイブだ。 短く途切れた呼び出しは、おそらくメールだろう。それでもベッドからすぐに起き上が ることができなかった。 帰り際に勝手に携帯をいじられた。さらに嬉しくないことに、連絡することを予告まで されてしまったからだ。 「………」 スパムメールであることを祈ったのは、生まれてはじめてだ。スポーツバッグの前に座 り、ポケットから黒い携帯を引っ張り出す。 自分の手が震えているのが許せなかった。取って食われるわけでもなし、何をビビって るんだ。 『初メェル☆ミ』 画面に額をぶつけそうになる。女子中学生か、こいつは! 無駄に改行の多い記号乱舞をかいくぐり、くじけず読み進めていく。 『今日は楽しかったね↑↑記念写真はコチラ♪』 つられてスクロールし、慌てて電源ボタンを押す。表示設定をオフにして、取り込んで しまったデータも削除。真下の『大事にしてネ☆』なんて見えなかった、読んでなんかい ない。 それでも一瞬目に入ってしまった画像に、言い様のない寒気と…その時の興奮がよみが えってしまった。 鏡の前で、紺色のプリーツスカートにピンクのブラジャーだけを身に着けた少女が写っ ていた。しかしそれが「少女」でないことは被写体が証明しているし、自分も…これを撮 り送ってきた相手も知っている。 膨らみのない胸を下着の上から掴まれ、黒い髪の「女の子」の格好をした自分は恥辱に 顔を歪めていた。 しかし、その頬が上気しているのが怒りのせいだけではないことを、他ならぬ自分自身 が(命令ではあったが)めくり上げているスカートの中身が教えている。 あるべき下着に包まれていない股間からは、いきり立った男性器が汁をこぼしてその興 奮を主張していた。 片手で携帯を構え、後ろから自分を抱え込むようになぶる男の顔は隠れてしまって見え ない。高校の制服を着ているのは分かるのだが、茶髪で背の高い男なんていくらでも居る。 脅されているんだ。 改めて姿の見えない相手にゾッとした。直接的な単語は何一つ使うことなく、従わざる を得ない状況に自分を追い詰めている。 もしあいつに盾ついて、これをどうにかされてしまったら…これまで自分が築きあげて きた信用だとか、干渉されないが攻撃も受けないという居心地の良い立場が、すべて駄目 になってしまう。 「真面目な模範生」というレッテルは欲しくて得たものではなく、当然のことをした結 果付いてきたものにすぎないけれど。 嘲笑や侮蔑を与えられるのは、夢想の中だけで良い。社会的には自分はあくまでも「一 男子生徒」として埋没していたい。間違っても「女装趣味の変態」だなんて不名誉な認識 をされるわけにはいかない。 本文はまだ続いている。別れる前に言われた、明日の予定だ。 高校の最寄り駅があるのと同じ路線の駅名と、時刻。自分とは逆方面だが、通学時間は 同じくらいだ。そういえば連絡網では自分の一つ上の行だった気がする。 「……」 どうでも良いことに頭を使ったことすら腹立たしく、行儀が悪いと思いつつも舌打ちし ながら最後までスクロール。 『―――あと、下の毛はツルッツルにしてきてくださいっ↑↑意味わからなかったら返信 するように』 ……見なかったことに、できないだろうか?待ち合わせの時間と場所だけ見て、閉じて しまったという言い訳は… 目を閉じて考え、かぶりを振る。隙は作っちゃいけない。あくまで従順なふりをして、 すべてを終わらせなくては。 それに、あんな男に刃物まで持たせるわけにはいかない。 大きく嘆息してから一言返信し、再び部屋を出た。 яяя 風呂を沸かす間に小さい洗面器を二つ持ち出し、片方に蛇口から湯を注ぐ。 バッグから取り出した、叔母のセーラー服に付かないよう注意して持ち帰った下着のう ちブラジャーは空の方に入れ、ショーツを湯に浸した。自分が吐き出したモノの生臭さが、 少しは和らいだ気がする。 両方とも後で放り込む洗濯機の前に寄せて、鏡に背を向け着たばかりの部屋着を脱ぐ。 いつもなら、あとは下着を脱いで風呂に入るだけだ。しかし今日は…いや、昨日もだっ たけれど、 「…………」 昨晩腕や足の毛を処理した安全剃刀を掴む。この道具の用途は一つだけだ。 …あいつの言いなりになっているわけじゃない。相手を油断させるために、命令に従っ ているだけだ。 ましてや、あんな正気を疑うような内容に劣情を催すなんて… 「…っ……違う…」 首を振り、声に出す。これは…下着の中で再び硬くなってきているモノは、昼間の恥辱 の名残だ。 性器に刺激を与えられれば、正常な男なら誰だって勃起する。それが何に、どんな相手 によるものであっても、反射だから仕方がない。 疼くそれに気付かないふりをして、下着を脱ぎ風呂場へ入った。 すでに湯の満ちた浴槽からの蒸気で、中はすっかり暖かかった。 棚に剃刀を置いてからシャワーを軽く浴び、低い椅子に腰かける。少しためらってから ずっと俯いていた顔を上げ、曇り防止加工のされた姿見を見据えた。 素っ裸で睨みつける自分の…男の顔があらわになる。 入浴時に鏡を見るのは嫌だった。 髪を伸ばし化粧をしても、外で声をかけられるような「女の子」の姿をどんなに装って も、こうして一糸まとわぬ姿で見る自分は当然ながら男性の身体だ。セーラーを着てスカ ートを穿けば華奢な少女に見えるそれも一皮剥けば貧相な男のものだということを、嫌で も思い知ってしまうからだ。 鏡面に映る浮かない表情が、何か思いついたようなものになる。黒い瞳が、ちらりと擦 りガラスの扉を見た。 透けて見えるのは、二つの小さな洗面器。 ゴクン。唾を飲み込む音が、やけに大きく聞こえたのは気のせいだ。下腹が疼くのも気 のせいだ。 …別に、誰が見るわけでもない。自分が何をしようと勝手じゃないか。 言い聞かせながらも震える手で扉を開け、軽い方の器をタイルの上に置いた。 ストラップを両手でそれぞれつまみ中から取り上げ、しげしげと眺める。服の下に着け るモノなのに、なんでこんなにレースだの刺繍だので飾っているのだろう?淡いピンクの 布地に、白や濃いピンクの刺繍糸が花模様を描いている。これを自分は昼間身に着けて、 そして… 慌てて首を横に振り、ブラジャーを下ろした。 鼓動が早まっている。自分が緊張していることを、興奮していることをやかましく知ら せてくる。うるさい、そんなの分かってる。 自分はこれが欲しかったのだ。下に穿くモノなら、多少形が違えど男も女も変わらない 。男にはないモノを包むこれは、自分にとっては性的興奮よりもむしろ憧憬を誘ってきて いた。 端に持ち替えて、頼りない腰にブラジャーを回す。一番短いところで慎重にホックを留 め、180度回すと先程観察した可愛らしい刺繍が目に入る。ワイヤーで腹を引っかかない よう注意しながら、少しずつ胸へと引き上げていった。 「……ふ………」 胸板をくすぐる裏地の柔らかな感触に、思わず声がもれる。別に構わない。こんな声は 自分しか聞いてない。こんなことをしてるのは自分しか知らない。 長さは試着室で調節したから、ストラップにそのまま腕を通し肩にかける。 目を閉じて深呼吸してから、おそるおそる瞼を持ち上げた。 「あ………」 昼間見た少女が、さっきの画像の中の少女が、目の前で呆然としていた。 湯気で少し湿り気を帯びた黒髪は細い首筋や肩に流れ、濃い睫毛の奥の黒瞳はまばたき も忘れたかのように大きく見開かれている。赤い唇は薄く開かれ、高ぶる感情を押さえる かのようにわなないていた。 少女めいた自分の顔は、ぺたんこの胸を覆う薄桃色の下着によって「女の子」のものに なっていた。鏡の下方に映るモノを除いて… 「っ………」 つき動かされたかのように浴槽から湯を掬い、ボディソープを手に取る。たっぷりと泡 立ててから下腹に落とすという作業を黙々と続け、下半身を泡まみれにする。 しばらくしてから鏡を見れば、なぜかブラジャーを着けたまま風呂場に来てしまった、 腰から下が泡だらけの少女の姿。 柑橘系のボディソープの香りに頭は冴えるはずなのだが、自分の異常な行動に我に変え るどころか、胸を締めつける下着の感触や内股を伝う泡に、覆い隠した性器が反応しかけ るほどに敏感になってきていた。 そうだ、これなら… これなら、あいつの命令に従ったって全然おかしくなんかない。「女の子」だったら、 水着を着る時にはみ出ないよう処理するって言うじゃないか。 剃刀を手に取り、片手を添えた下腹に当てる。肌を切らないよう注意しながら、股間で 熱をもつモノの根元から上にそろりと動かす。 チリ…チリチリ…… 陰毛が表皮ぎりぎりで切断され、泡に巻込まれていく。小さな手応えがなくなりその跡 を見れば、今まで隠れていた肌色がそこにはあった。 「………ぁ……」 剃刀に付いたモノを泡ごと掬い、今まで見下ろす位置にあったそれを目の高さまで持ち 上げる。初めて剃ったせいか、たかが陰毛なのに感慨深く見入ってしまった。 「……馬鹿みたい」 我に返って指を振り、シャワーで流す。水気の付いた手でまた同じようにボディソープ を泡立て、腿や椅子に流れた分をそこに足す。 一度壁を乗り越えてしまえば、あとは機械的に作業にとりかかれた。チリチリチリと言 うかすかな抵抗を覚える度に鏡の中の少女が、自分が「女の子」になっていくのだと、そ んな錯覚にすら囚われる。 性器のこちら側があらかた終わったところで確認しようと、泡を拭うように下腹を撫で た。 「ぅひゃっ!?」 思いの外つるんとした感触と、背筋を這い上がった甘い痺れに「女の子」らしからぬ小 さな悲鳴をあげてしまう。姿見の中で顔を真っ赤にしてしまう少女は、後ろめたい遊びを 覚えたばかりのような、罪悪感と快感の入り交じったまなざしで、うかがうように鏡面を 見上げた。 大丈夫。剃り残しはないみたいだ。 目の前の少女がうんうんとうなずくが、すぐにまた困ったように眉をひそめてしまう。 ここまではできて当然…問題は性器の後ろだった。 そこの毛を処理するには、どうしても充血してしまったそれを手にして剃刀の邪魔にな らないようずらさなければならない。それでも、体の硬い自分はうまくその箇所を見るこ とができるだろうか? 「……」 鏡を見ながら椅子の位置を調節する。剃刀と性器を手にしたまま上体を引き、両足を大 きく開いた。 半ばまで黒々とした、長じてからは誰にも見せたことのないそこが泡まみれとはいえ露 わになる。 鏡の前で股間を広げて見せるだなんて… 「はずかしい……」 鏡の中の少女は頬を染め、唇を噛んだ。それでも自身の男性器を持ち上げる方の手はそ のまま、剃刀を慎重に当てていく。 失敗するわけにはいかない。こんなとこ怪我するなんておかしいし、第一処理してしま ったここを他人に見られるなんて…考えただけでも恥ずかしくて死にそうだ。 その「恥ずかしくて死にそう」な思いを今日たくさん味わわせた相手を思い出し、手の 中の性器がピクリと反応した。 「ぁ、ん……っく!」 カラオケボックスの個室で、スカートを押し上げるこれをからかってきた。狭い試着室 で必死に声を殺す自分に笑いかけながら、下着越しにこれを責め立ててきた。 嫌悪と屈辱と……それらに自分が、自分の身体が悦んでいたことに耐えがたい羞恥を覚 えた。辱められて興奮するだなんて、あいつにだけは絶対に知られるわけにはいかない。 ましてや、「女の子」扱いされたいだなんて… 下らない考えを振り払うように、しかし下腹よりさらに丁寧に剃っていく。ピンクのブ ラジャーを身に着けた少女は鏡に向かって足を開き、性器や周りに生える毛を少しずつ払 っていく。 ヌルリ、と性器を支えた指が滑るのは気のせい…いや、泡のせいだ。切らないよう注意 しなければ。 しばらくしてから剃刀をゆすぎ棚に置き、シャワーで下半身の泡を流す。陰毛のすっか り剃り落とされたそこを、自分の手は再び泡で覆っていった。 目の前の少女は、泡の間から屹立した自身の性器を食い入るように見つめている。 昼間さんざんなぶられたそこを自分で触るのは、カラオケボックスの女子トイレを入れて、今日二度目だ。 片手でその必要はなさそうだが竿を支え、もう片方の手のひらで先端を包み込む。 「…ぅ、あ……」 露出した亀頭に泡が触れ涙がでそうになったが、もはやそのヒリヒリした感覚すら自分を駆り立てた。 「っ…いたい……」 鏡の中から、少女が潤んだ瞳で訴えてくる。 『本当に痛いだけ?気持ち良すぎてわけわかんないだけじゃね?』 畳みかけるように頭に響く声に、びっくりして両手を離した。あいかわらず勃起したままの、はしたない自分の性器。今までずっと欲しがっていた責め立てに、先走りを溢れさせ先をねだっている。 欲しい…? そうか、自分はずっと「女の子」扱いされると同時に誰かに罵倒されることを、倒錯した欲情を抱く身体を辱められることを望んでいたのだ。だから、あんなところであんなことをされて、あんな…女好きのする男に良いようにされて達してしまったのだ。 泡の付いたまま、片手をゆっくりと胸元にあげる。ブラジャーの上から薄い胸板を押さえると、ぷにゅりとパッドの不自然な柔らかさがその下の肌にも、指先にも伝わる。 大きく開いたカップの隙間に手を突っ込んで、直接胸を撫でてみた。くすぐったい。 試着室ではここから、それまで感じていた以上に快感を引き出されたのだが、何が違うのだろう? 自分で慰める時にしていたような、単に乳首だけをいじるのではなかった。もっと…「女の子」の乳房を揉むみたいな、そんな手つきをしていた。 相手の硬い指先の、手のひらの感触に、憎らしいほど自分は感じてしまっていた。何が違ったんだ?こうして、下からないモノを揉みあげるようにして… 「っあ…ぁ、んっ!?」 口からこぼれた高い声に、思わず目をしばたく。なんだ、今の声?そんな、演技でもないのに「女の子」みたいな… 「ぁ……あ…だ、だめ…っ!」 ブラジャーや上半身に泡が付くのも構わず、夢中で乳房があるかのように下着を揉む。裏地に乳頭が擦れるのと…胸板をくすぐられる感触に、自分の頭と性器は貪欲に快感を見出だした。 『信じらんない。これだけで勃っちゃうなんて』 違う…何かが違う。あいつは胸だけでは済ませてくれなかった。 「ん……ぁ、んんっ…」 十分すぎるほどに溢れていた先走りを塗り広げ、手のひらで扱く。わざと音をたてるようにすると、胸を…ブラジャーを掴む手にも力が入った。 『イっちゃうわけ?ない乳いじくられてチンコ擦られてイっちゃうわけ?』 ああ、そうだ。これ以上ないほどの快楽を与えながら、それに反応してしまう自分をあざ笑うのだ。お前は恥ずかしい、淫らな男性器を持つ「女の子」なのだと。 「んぁ、あ……い、いく………でちゃ、う…っ」 『出しちまえよ。命令に従っただけで興奮する変態』 聞こえてくる声は、気のせいだ。軽薄そうな声色があいつに似てるのは、昼間に嫌と言うほど聞いたからだ。 『ほら、コレを着けたかったんだろ?着たままイっちまえよ。この変態…変態』 …なんか違う気もする。もっと淫らな、はしたない言葉で、いやらしい手の動きで自分は責められたはずなのだが。 それでも今まで一人きりで耽っていた妄想よりは、ずっと刺激的なものだった。 「あ…き、きたかった、の………ひゃうっ!」 泡にぬめる指が、直接乳首を擦る。焦らすように周りを下着越しに揉んでいたことで、思った以上の刺激となった。 『俺はただツルツルにしろって言っただけなのに…我慢できなかったんだ?触っちゃったら、もう我慢できないんだ?』 「そ…な、こと……でも…ぁ、あ、あ………むり、無理……いきたい…っ!」 いきたい、いきたい、いきたい!腹の奥から熱いモノを噴き上げたい。そしてそれについてまた辱められて、また気持ち良くなって、また…また触られる。恥ずかしいことを言われる。言って、いって、いって。もっといっぱい、もっと………! だらしなく開けていた唇から、言葉にならない声がもれた。それでも両手は、ヒクつく身体は止まらない。 胸と性器を泡まみれにされなぶられているのは自分なのか、少女なのか…… 「!?………あ……あっ、ぁ……」 目の前が真っ白になるような絶頂。鏡の中の少女は泡の間に覗く男性器から劣情を放った。 …はあ、はあっ……はあ… 荒い息遣いが自分のものであることに気付き、ようやく握りしめていた性器から、下着から手を離す。 何をしていた…いや、何を考えていた? 「………っ!」 むしり取るようにしてピンク色のそれを外し、すっかり湯でいっぱいになっていた洗面器に放り込み、扉の外に押しやった。 高鳴る鼓動を隠すように乱暴にシャワーを頭からかぶり、髪を洗う。ボディソープにきしまないよう頭にタオルを巻き、身体に泡を滑らせ流す。 触られた時のことを思い出してしまうのを誤魔化すようにゴシゴシと肌を洗い、顔を洗った。元から体毛の薄い手足は、続けて剃る必要はなさそうだ。 熱い湯船に十秒だけつかり、すぐにシャワーで流して脱衣所へ出てしまう。達した後だというのに身体は火照ったままで、じっとしているとまた変な気持ちになりそうだからだ。 身体を拭い、いつも通り保湿ローションを塗る。少し迷ったが、下腹にも濡れた手を滑らせた。 「……ぁ………」 処理されたばかりのそこは、思ったよりつるんとしている。子供のような股間に似つかわしくない、手の刺激に反応を見せるほぼ大人の性器。 命令通りにしたここを、何と言われるのだろうか?からかわれるのか馬鹿にされるのか、それとも黙って触れてくるのか… そろりと逆撫でした手を、慌てて離す。背筋を這い上がるこれは寒気だ。感じてなんかいない。ましてや自分の手に誰かの手を重ねるだなんて…考えてない。 いけない、これではいけない。早く元通りの、今までの生活に戻らなくては…自分がおかしくなってしまう。 「ダメだ…」 弱々しくつぶやく鏡の中の自分は、まだ少女の面影を残していた。 (おしまい)