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2010 試合結果 (2010/4/27) VS 淀川精機 勝利 チーム名 1 2 3 4 5 6 7 計 淀川精機 0 0 0 0 0 1 1 2 リトルソルジャーズ 0 1 0 0 0 0 2X 3 Little Soldiers3-2 淀川精機 +詳細 1 2 3 4 5 6 7 黒田 左 空振 右安 三ゴ 三振 小舘稔 投 二失 三失 三ゴ 三失 小舘大 遊 空振 三ゴ 三ゴ 巽 三 三ゴ 一ゴ 中安 佐和田 中 左2 三振 三振 石川 一 左安 三振 三ゴ 寺田 捕 三ゴ 中飛 中2 ボブ 二 三飛 三振 四球 もっくん 右 四球 三振 四球 打点 0 (エラーによるため) 投手成績 名前 投球回 失点 自責点 小舘稔 3 0 0 佐和田 3 1 0? 巽 1 1 0 (2010/10/23) VS 淀川精機 勝利 チーム名 1 2 3 4 5 6 計 淀川精機 0 1 0 0 1 0 2 リトルソルジャーズ 3 1 2 2 0 X 8 Little Soldiers8-2 淀川精機 +詳細 1 2 3 4 5 6 黒田 捕 左安 中安 一失① 死球 神野 中 投飛 四球 中安 空振 巽 三 左安 遊失① 空振 死球 小舘(大) 遊 遊選① 遊失 四球 空振 佐和田 右/左 左2② 投併 四球 空振 石川 一 四球 死球 遊ゴ 三振 真鍋 左 三振 遊失 河渕 走/右 右安 ボブ 二 遊飛 三ゴ 中安① 小舘(稔) 投 空振 空振 空振 投手成績 名前 投球回 失点 自責点 小舘稔 5 2 2 佐和田 1 0 0 (2011/2/26) VS メタルゴッズ 敗北 チーム名 1 2 3 4 5 6 7 計 メタルゴッズ 0 1 0 0 3 0 0 4 リトルソルジャーズ 0 0 1 0 0 0 0 1 Little Soldiers1-4 メタルゴッズ +詳細 1 2 3 4 5 6 7 8 9 神野 中 三安 二失 左安 投ゴ 佐和田 右/投/三 左飛 中飛 遊直 左安 二飛 小舘稔 投/遊 三ゴ 二ゴ 投ゴ 中飛 巽 三/投 一飛 左安① 左飛 遊ゴ 小舘大 左 二飛 左飛 左飛 四球 黒田 捕/右 左安 左飛 投安 中安① 石川 一 中安 三振 右飛 三ゴ 真鍋 遊 左飛 左安 四球 寺田 打/捕 投ゴ 二ゴ 川渕 二 三飛 二ゴ 三安 投ゴ 投手成績 名前 投球回 失点 自責点 小舘稔 4 1 1 佐和田 4 3 3 巽 1 0 0 ※8、9回は時間が余ったための延長戦です。 (2011/8/13) VS 淀川イーグルス 勝利 チーム名 1 2 3 4 5 6 7 計 イーグルス 1 0 0 0 1 0 1 3 リトルソルジャーズ 3 0 0 0 0 0 1X 4 Little Soldiers4X-3 淀川イーグルス +詳細 1 2 3 4 5 6 7 寺田 捕 佐和田 打/投 神野 中 黒田 右 巽 三 小舘大 左 石川 打/左 ホリ 一 真鍋 遊/右 川渕 二 小舘稔 投/遊 投手成績 名前 投球回 失点 自責点 小舘稔 4 1 0 佐和田 3 2 2
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啓「どうする?」 瞬「行く行く♪」 秀介「まあ部員なら強制参加だけどな♪」 瞬「そこ強いんですか?」 秀介「一年生に期待のルーキーがいるっていう話だが会ったことないからな・・・」 瞬「ルーキーか・・・」 秀介「今全国大会中なんだ、その市予選だな」 瞬「え?でも甲賀中の次はしばらく空きますよね」 秀介「この地区には学校が二つしかないから勝ったら県大会なんだよねwwwwww」 啓「まじか・・・」 秀介「帰国子女なら知らないかもしれないけど市大会が市、県大会が県、そしたら地区大会が地方ごと、で全国大会だ」 瞬「ここの成績は?」 秀介「俺も一年だから良く知らないけど毎年市大会落ち安定らしい」 秀介「で、全国大会の準決勝まででは負けたチームから優秀な選手を取って複合チームを作るらしいんだ」 瞬「じゃあこの学校の名前では全国に行かなくても選手だけ行くことがあるってことか・・・」 秀介「そういうこと」 啓「瞬‼いくぞ‼」 瞬「はいよ」 ベルトコンベア‼ 秀介「気をつけろ‼そのDFがルーキーだ‼」 ルーキーの名は松山響 なぜか試合中もヘッドフォンを手放さない変人 響「抜かせねぇ」 瞬「‼?啓‼パスよこせ」 啓「??」 テクニカルパス 響「行くぞ‼」 サウンドパスカット‼ 啓「ヌオ・・・‼」 響「おれの音響は・・・乱れない‼」 サウンド・シュート‼ 瞬「秀介・・・大丈夫か??」 秀介「へへ・・・その距離からのDFのシュートなら止められない訳がない‼」 マーズ・拳‼ 啓「秀也、瞬に回せ、FWが点を取るんだろ?」 秀也「そりゃそうだ」 瞬「へへ」 スピード・リフト‼ 響「ち、抜かれた」 瞬「行くぞ啓‼」 啓「了解‼」 SP×TKクロス・シュート‼ GK「う・・・見えなかった・・・・」 響「堺中に負けるとはな」 瞬「お前やるなぁ・・・一緒に来ないか?いいだろ?監督ーーーー」 顧問「勿論だとも・・・是非協力してくれないか?」 響「まあ・・・そこまでいうなら・・・いいけど・・・」 啓「ヘッドフォンを離さないのは?」 響「俺のポリシーだ、お前こそゴーグル何でつけているんだ?」 啓「これか?これは形見だ・・・」 響「まあ・・・何でもいいや」 秀也「次は県大会、ここ埼玉には全部で4のブロックがあって、その4チームでトーナメントを行うんだ」 響「一応名前は堺中なんだよな?」 啓「そうなんじゃないか?」 秀也「そうだ・・・まあ松山、ゴーグルがMFの啓、お気楽がFWの瞬だ」 響「そうか・・・よろしくなw」 秀也「次の試合は県大会だから・・・まだ一カ月あるな」 瞬「そんなにあるのか・・・」 啓「面倒くさいなぁ・・・」
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_ 1 _ _ 2 _ _ 3 _ _ 4 _ _ 5 _ _ 6 _ _ 7 _ A __ 壁 __ メカ松成美 式織 唯織 金 アキカン 与正 B 彩妃 言葉 楠木 纏 C 神龍院 夜々 女衒・外 葛西希美 柿内 萌華 神龍院 夜々(コピー) 天番姉妹(アコとミコ) 4コマ漫画『コボルトのコボちゃん』ちゃん 涼原 カヤ+絵肌の人魚__ 壁 __ 一 九六 彩×似鳥 朽火“シアー・ハート・アタック”乂恋 D 紅霧 虚 瑠璃原 夢月 鶫 莉緒菜 超紅蓮獅子王 小絵 七号 みさきさん E __ 壁 __ 生徒会・先手DP:3 ★ リーダー 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 1C2 神龍院 夜々 1 0 0 5 14 ??? ??? 死亡 ★ メンバー 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 2C2 女衒・外 0 0 0 4 20 100 100 死亡 3C2 葛西希美 20 0 5 4 0 87 100 4C2 涼原 カヤ+絵肌の人魚 10 0 7 3 10 100 100 壁侵入 5B1 柿内 萌華 7 0 2 3 10 ??? ??? 6B4 彩妃 言葉 0 15 9 5 1 74 100 7D4 瑠璃原 夢月 0 15 12 3 0 90 精神 8C3 4コマ漫画『コボルトのコボちゃん』ちゃん 20 0 4 2 4 88 100 9D3 紅霧 虚 20 0 6 3 1 89 100 10C2 神龍院 夜々 1 0 0 5 14 ??? ??? 死亡 11 天番姉妹(アコとミコ) 0 15 7 3 5 82 100 召喚酔い 12 13 ★ ベンチ 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 14 流血少女サヨコ 6 6 6 6 6 90 100 15 赤子顔 緋入 5 8 10 4 3 50 100 16 朽津忠美 3 0 3 4 20 94 100 17 吉村斜音 20 0 2 5 3 60 100 18 十房ひじり 0 1 14 3 7 ??? ??? 19 カミーラ=ホイコーロ 5 0 2 3 20 75 100 20 天番姉妹(アコとミコ) 0 15 7 3 5 82 100 21 22 23 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 番長グループ・後手DP:1 ★ リーダー 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 24C7 彩×似鳥 0 0 7 5 18 99 100 ★ メンバー 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 25B5 楠木 纏 0 15 10 5 0 33 100 26C7 金 アキカン 与正 3 3 3 3 18 108 100 能力休み 27D7 七号 みさきさん 0 0 4 5 16 75 100 28A6 メカ松成美 9 12 8 3 0 86 100 29C5 一 九六 0 15 11 4 0 104 精神 30A6 式織 唯織 0 0 2 3 20 ??? ??? 31C7 朽火“シアー・ハート・アタック”乂恋 20 0 2 3 5 78 100 32D6 超紅蓮獅子王 小絵 17 2 4 3 4 83 100 能力休み ZoC隣接1マス 33D5 鶫 莉緒菜 0 15 11 3 1 75 100 34 みさきさん2 0 0 5 5 20 100 100 35 みさきさん3 0 0 5 5 20 120 100 36 ★ ベンチ 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 37 番条 無玲 0 10 5 5 10 94 100 38 湯都 咲実 0 2 6 3 19 102 100 39 白銀鋼 鉄火 0 15 10 0 0 ??? ??? 40 佐々木希未 3 14 7 3 3 85 100 41 鬼姫 殺人 0 0 3 2 20 ??? ??? 42 43 44 45 46 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 ※注釈 ___ 生徒会初期配置ポイント ___ 番長グループ初期配置ポイント
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後半戦第一試合SSその2 夏の夜。 古びた木造校舎。 月はもろくも雨雲に隠れ、電熱の途切れた暗闇の中にいた。薄明るい灯篭のように瞬く度に、瞬間の光と闇を瞼(まぶた)に焼き付ける。白いワンピースの女がハンドバッグを片手にして歩いていた。 ジ、ジィー……、彼女が歩く度に音がする。寿命を終えて落下した蝉の断末魔だろうか。喧しくも、朽ちてしまった木のきしむ音をかき消す程度に敷き詰められているというのだろうか? いいえ、そんな地獄のような光景ではありえない。これは古い映写機が立てる音、からからと回るリール音。白と黒、自然にはあり得ないモノトーンの女性が不自然と歩いてくる。 西洋人らしく鼻梁が通り、手足も長い。けれど、彼女の周囲は古い映画のように白黒だけで構成され、人間部分も時々ノイズらしきものが走っている。この世のモノでないことは明白だ。 「リュドミラ様。現地に到着しましたわ。鮫氷しゃちらしき者は見当たらず……」 「それはそうだろうね。あの気分屋め、ここを隔離したことすら忘れているに違いない」 女が手に持った写真に向けて語り掛けている。誰か――たとえば潜望鏡で観察している誰かとかなら、訝しむと同時に分析を進めていただろうか。けれど、写真からはアルト! 若い女の声がした。 (「おそらく、通信系の能力……?」) 複数立てた仮説を棄却、ひとつに絞る。 先の唐橋弥子のとの戦いでは後の先を取ることで勝利した伊六九だったが、相手の命を取ることまではしなかった。出来なかったというより、したくなかったというのが正しいかもしれない。 合理的に考えれば、必要なものが勝利だけというなら対戦相手を殺す必要は無い。もしかすると彼女は相次ぐ生と死の中で、戦いを倦んでいたのかもしれない。 「対戦相手は伊六九という方だそうですが。缶娘……ってなんなのですの?」 「それは私が聞きたい」 二人は敵地にあって、眼下の伊号缶娘を知る由もないのか呑気にも会話を進める。伊六九も情報を出来る限り拾い上げるべく聴音の精度を上げていた。 ごぽり。 木と肉、アルミとスチールが同化する。伊六九のパーソナルスペースは極端に狭い。小柄な体躯、密室に耐えられる恵まれた精神、潜水缶乗りには丁度いい。 一人と一枚が歩みを進め、一缶がそれを追う。音と音、反響と残響、暗闇の中で時折浮かび上がる真珠の瞳。白黒の女、風月(ヴァントーズ)ペルルが手を振る、足を振る。 歩いていく。朽ちた学舎を舐めたのか、履いてきたサンダルが滑り落ちて足の裏を埃が黒く汚した。 白と黒、鮮やかな世界を知らないのか、ペルルは気に留める素振りも見せずにサンダルを拾い上げると、正しい位置に戻す。 この間、伊六九は付かず離れずで理想的な距離を保っていた。 『暦』、『カランドリエ』、『蓮柄円』、『鮫氷しゃち』、『皐月咲夢』、『卯月言語』、『高二力フィールド』、『転校生』、『口舌院焚書』。 様々なキーワードが漏れ出でては消えていく。これがたゆたう水の中というのなら、魚たちに掻き消されてしまっただろう。吸音タイルを兼ねた黒いスク水は、余計な音を立てず潜航速度を保つ。 2.0kt/h(時速2ノット)。 丁度、女性の歩く速度に合わせ低速で回す。 空中に舞い上がった埃が『ペルルのキネマ』と外界との境界線上を四角く縁取りしては、平行に流れていく。足元の砂利が押し出されて溜まっていった。 解除しようと、瞬時。いや、考え直す。解除し実体なき映画の住人と化してしまえば写真を取り落とすことは確実だ。本来、彼女は物質世界の住人ではないのだから。 夜半の風が生ぬるく感じ、風月ペルルは、自分が壁の中に閉じ込められた女優でないことにほっとする。 渡り廊下を風雪雨から守るトタンの屋根が夏の嵐の予兆に、べコリと音を立てる。幻でしかない我が身を精一杯振るい立てて自己主張するようだった。 ペルルは、現のモノでない校舎と時折姿を見せる霊魂のことを少し哀れに感じたけれど、今は足早に道を急ぐ。 教室棟からグラウンドを横目に大回り、歩むルートから推察するに目指すはプールだった。 (「缶娘を探している……?」) 「缶」は元来水に浮くもの、対戦相手を探す発想としてはごく自然だ。 無論、前提として背後から土遁でニンジャが忍び寄っている事実に目をつぶっての話となるが。 風月は炎天下に晒され続けた名残か、枯れ草を踏みしめて水の香りがするプールへ足を踏み入れる。 重ねて言うが敵に背後を向け、隙だらけだ。 ここに来るまで偏差射撃を駆使すればクリーンヒットは容易いだろう。だが、それを伊六九はしなかった。なぜか? 甘えや迷い、と一言で片づけられれば随分楽になっただろう。 だが、合理的に考えて相手を倒す前に、ローリスクで確度の高い情報が手に入る現状を崩すつもりはなかった。 もうひとつ、街灯、そこから来る光と影に違和感を感じる。白いワンピースの女性「風月ペルル」の周囲の空間が独立しているフシがあった。 さらに、写真がこちらをちらちら見ているそんな気がしたから。いいえ、事実、写真の主は意志を持っている。写真そのものと言うより、そこを小窓にして覗き込んでいる何者か、だったが。 鍵は、壊れていた。 先客がいたから……だろうか? 写真に向けて不安をささやきながらも、そこから勇気をもらったのか歩みを進めていった。 瞬き、明滅を繰り返し、今にも息絶えようとする照明がペルルを照らす。 未だ地に潜ったままの伊六九はここが終着点であることを、実感した。 風月はところどころが罅割れたプールデッキに恐る恐る腰を掛けると、ほっと息をつく。生ぬるい水がパシャリと跳ねて指先を濡らした。 風月ペルルは写真の少女、芽月リュドミラの声を待つ。息をひとつ、ふたつめ。 「いない……か」 「逃げてくださっていると助かるのですが」 「そちらは望み薄だが、我らの目的は別に勝つことじゃあない。さて、鮫氷(さめすが)しゃち召喚の儀式をはじめようか」 風月ペルルはその場に跪くとハンドバッグから何かのパウチを取り出す。 続いて、その中身を盛大にプールサイドにぶちまけると、反応を待った。 なにかの干物と言うべきか、白い破片は水を吸って高級食材の片鱗たるその姿を取り戻す。 「フカヒレで呼び出せなかったら、次はズワイガニ。ズワイガニでダメだったらフォアグラ。フォアグラでダメだったら以下略」 明らかにハンドバッグに収まる量ではないが、これも何らかの魔人能力によるものか。 誰かが誰かを呼び出すために盛大に高級食材を不法投棄している。 接近。地中から水中に。 水中は、銀の帳(とばり)が降りない。空間系能力でも十中八九、光学系の能力原理と推測。 接近。 伊六九はスコープを覗きロックオンを開始する。これ以上の事態の進展が望めないなら。 いつでも撃てる、とりあえず撃ってから考えよう。そう、兵装のロックを解除した瞬間だった。 ソナーに感あり! 何かが私を目がけて浮上してくる! ああ、誰が予想しただろうか、毎度毎度飽きるまで食べ続ける鮫氷しゃちのマイブームがトコブシであったことに。もし、予算がもう少し潤沢であったらアワビを採用し、無反応であったのに。 水泳部兼シンクロ部所属、もうひとりのスク水少女。鮫氷しゃちは猫のように笑った。 浮上する少女、深海から大口を開けて食らいつく気まぐれな女神、転校生を相手にかつてのスペックとは程遠く、死を覚悟する。 死。 (「ちがう」) 遠隔。魚雷手裏剣。投擲。 (「違う」) 起爆。水煙。ソナーON/OFF間に合わず。 身体が軋む。航行に支障なし。聴感が死。 「違う!」 女と目が合う。 驚き、勇んだのか、女が砕かれた足元の陶片を手に取る。 「よせ!」 写真から制止する声も届かずに、鎖分銅を投擲。 地上を航行、走る。 12.0kt/h(時速12ノット)。 並の人間よりは、速い。 足を水面から抜く。飛び出す。瞬間。 背後で爆音が響き、私は意識を手放した。 再び意識を覚醒させてみると、そこは真っ白な空間だった。 空。 からっぽ。 圧倒的になんにもない。無色であって透明でなく。 “ある”けど“ない”。そんな存在感。世界が一枚の紙だとするなら、伊六九はその上にただ一人転がされた人形だった。 「一六九、これは……?」 何もかも見知ったといいたげな“彼女”が戸惑うことに、付き合いの長短を問わずともまずは小気味よさを感じるべきなのだろうが、そのことより伊六九は現状把握に徹することにした。 恐れを抱いていないわけではない。 だから、何気なく歩いていって、ぶつかっただけだった。 パタリ、パタリ、目の前からドミノ倒しのように真っ白な立割が倒れていく。先に、少女は世界の広さを知った。 視界の許す限り、宇宙空間。星が留まり、闇を切り裂き、明滅する。 そんな中をやたら個性的な文字が空気を読まずに自己主張をしていた。 ≪ごきげんよう。≫ 「ごきげんよう」 ≪さわやかな夢の挨拶が、銀河流星雨に木霊する。 ゆらぎ様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。 汚れを知らない心身を包むのは(中略) もちろん、超光速航行で走り去るなどといった、はしたない征途など存在していようはずもない。 ここは宇宙私立妃芽薗女学園、お姫様の園。≫ エピソード4からはじまる壮大なBGMと謎のナレーションコミコミ字幕スーパーで壮大なモノローグが床から地平線の彼方まで駆け上がっていく。 思わず目で追ってしまっていた。 真っ白な少女が底に立っていた。絶世の美貌を有する六九をして伍すると言い切れる美少女。 呆れるほどに長い紙色の髪と肌色と言うしかないきめ細かい肌。小柄で貧乳、高そうな着物を着ていた。 ≪私はこの世とは違う『理系』の宇宙を支配する超銀河日本帝国皇女『口舌院焚書(くぜついん・ふんしょ)』。人は私のことを口舌院家のプリンセス覇王(はおー)と呼ぶ。 ついでに言うと銀河女帝ア・キ・カーンXとは敵対関係にあるわ」 焚書が手を叩く。その瞬間に超プレミア★ティ―セット一式が本体のお嬢様ともどもこの世界に顕現する。 字面はよくわからんが、とにかくすごい自信だった。 ロングストレート黒髪、清楚なお姉様、目を閉じている。 ≪こちらの人間もしくは魔人は安全院ゆらぎさん、あなたの時間軸――いや、あなたたちが今いる時間軸でつい最近、眠りについた人で、安全院綾鷹の娘よ。 ……どう、驚いた?≫ 先から流れているナレーションは彼女の意志だとでもいうのだろうか? 悪戯っぽく虚空に目線を向ける彼女に伊六九はポーカーフェイスのままに、同じところに視線を交差させる。 ≪ここは夢。あなたは夢を見ているの。夢と言っても生きている人は起きたままだし、死んでいる人は眠ったまま。要するに『放課後ウィザード倶楽部』、好き勝手に魔法を使える素敵な空間ね。≫ だから、眠り姫「安全院ゆらぎ」はその瞳を開かず茶話会の主人として振る舞うつもりのようだった。手は震え、危うげにティーカップの中身が注がれる。焚書は逸れて指先にかかる熱い液体に何ら注意を払わず、角砂糖を片手に弄ぶ。十に足りない程度だったが、溶かすべく落とし込む。 花園で繰り広げられたはじまりの流血少女、それからわずかばかりの間を置いて巻き起こった血の饗宴に彼女は何を思うのか、ある歴史ではアキカンの女王を戴いた彼女だったが、今の歴史では皇女にかしずいている。 「要するに、夢オチ……と」 鏡写しの六九が思考を代弁する。 ≪最初から夢と明言したうえでその前提上で振る舞うなら夢オチとは言わないわ。あなたたちは少々戦う理由が薄すぎたようだったから、お節介なようだけど介入させていただいたわ。≫ 「戦闘って前提条件が崩されたようだけど?」 “彼女”の発言に無思考に追随するつもりはなかったが、聴覚と言うより全身に深く染み込んだ共感が否応なしに六九をうなずかせる。 それを見て焚書は少しがっかりしたようだった。 ≪もし一(にのまえ)としての意志があなたを生かすのなら、私もそれに乗っかるまで。戦いの歴史なんてちょっと空間を遡(バックスペース)ってみれば幾らでも読むことが出来るのだから。 歴史などいくつでも分岐するのだけど、勝ち負けなく、前の試合の如く無関係の私がでしゃばる歴史があってもいいとは思わない?≫ 「思わない。そもそもあなたは誰?」 六九のもっともな指摘に対し、焚書はくつくつと笑うと人の悪そうな笑みで言った。 ≪私が誰かなんてどうでもいいじゃない。大事な家族のためと言ったらわかるかしら?≫ 「あなたは口舌院と自分で言った」 「ではあなたのことを何といえばいいの? 一六九(にのまえ・ろっく)。七十二通りも呼び名があるって大変ね。私は精々三つだけど!」 言葉と共に改札が降りた。これが夢の魔法だというのか。 運命を乗り換え、過去と未来を振り捨てる。 ≪1.21ジゴワットに達するまで私の計算では三日間、長めの休暇を楽しむといいわ。 それと、納得がいかないのなら野試合なんてどう? 夢のようじゃない。≫ 文字と共に意識が遠のく。 残り二つの名、わからぬままに。
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練習試合 vs長崎中央
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2006 JFL 試合日程 節 開催日 結果 対戦相手 H A 試合会場 前 1 3月19日(日) ●1-3 YKK AP AWAY 富山県総合運動公園陸上競技場 前 2 3月26日(日) ○1-0 佐川急便大阪SC HOME 県民総合運動公園陸上競技場(KKWING) 前 3 4月 2日(日) ○1-0 ジェフ・クラブ HOME 県民総合運動公園陸上競技場(KKWING) 前 4 4月 8日(土) △1-1 横河武蔵野FC AWAY 江戸川区陸上競技場 前 5 4月16日(日) ○3-1 FC琉球 HOME 水前寺競技場 前 6 4月22日(土) ○2-0 アルテ高崎 AWAY 群馬県立敷島公園サッカー場 前 7 4月30日(日) ○4-0 三菱水島FC HOME 県民総合運動公園陸上競技場(KKWING) 前 8 5月 3日(水) ●1-2 ソニー仙台FC AWAY 七ヶ浜サッカースタジアム 前 9 5月 6日(土) ○2-0 ホンダロック HOME 水前寺競技場 前10 5月14日(日) ○1-0 佐川急便東京SC AWAY 江戸川区陸上競技場 前11 5月21日(日) ○3-1 FC刈谷 HOME 水前寺競技場 前12 5月28日(日) ●1-2 Honda FC AWAY Honda都田サッカー場 前13 6月 4日(日) △0-0 流通経済大学 HOME 大津町運動公園球技場 前14 6月11日(日) ○3-1 栃木SC AWAY 足利市総合運動公園陸上競技場 前15 6月18日(日) △1-1 SC鳥取 HOME 水前寺競技場 前16 6月24日(土) ○2-1 アローズ北陸 AWAY テクノポート福井スタジアム 前17 7月 2日(日) △0-0 佐川印刷SC HOME 水前寺競技場 後 1 7月 9日(日) ○2-1 YKK AP HOME 水前寺競技場 後 2 7月15日(土) ○3-2 アルテ高崎 HOME 県民総合運動公園陸上競技場(KKWING) 後 3 7月23日(日) ○3-0 三菱水島FC AWAY 岡山県笠岡陸上競技場 後 4 7月29日(土) ○3-1 ソニー仙台FC HOME 水前寺競技場 後 5 8月 6日(日) ○5-1 ホンダロック AWAY 宮崎市生目の杜運動公園陸上競技場 後 6 8月12日(土) ●2-3 佐川急便東京SC HOME 水前寺競技場 後 7 8月19日(土) ○3-2 FC刈谷 AWAY 刈谷市総合運動公園多目的グラウンド 後 8 9月 9日(土) ●1-2 Honda FC HOME 県民総合運動公園陸上競技場(KKWING) 後 9 10月15日(日) ○2-1 流通経済大学 AWAY 茨城県立カシマサッカースタジアム 後10 10月21日(土) ●0-1 栃木SC HOME 県営八代運動公園陸上競技場 後11 10月29日(日) △2-2 SC鳥取 AWAY 米子市営東山陸上競技場 後12 11月 5日(日) ○2-1 FC琉球 AWAY 沖縄県総合運動公園陸上競技場 後13 11月12日(日) △2-2 横河武蔵野FC HOME 県民総合運動公園陸上競技場(KKWING) 後14 11月19日(日) ●1-3 ジェフ・クラブ AWAY 市原臨海競技場 後15 11月23日(木) ○4-2 佐川印刷SC AWAY 京都府立山城総合運動公園太陽が丘陸上競技場 後16 11月26日(日) ○2-1 アローズ北陸 HOME 県民総合運動公園陸上競技場(KKWING) 後17 12月 3日(日) ●0-1 佐川急便大阪SC AWAY 鶴見緑地球技場
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初期配置・✿ゲーム開始時・✿ 配置 _ 1 _ _ 2 _ _ 3 _ _ 4 _ _ 5 _ _ 6 _ _ 7 _ A 4コマ漫画『コボルトのコボちゃん』ちゃん __ 壁 __ 朽火“シアー・ハート・アタック”乂恋 式織 唯織 B 柿内 萌華 彩妃 言葉 楠木 纏 メカ松成美 C 女衒・外、涼原 カヤ+絵肌の人魚、神龍院 夜々(コピー) 葛西希美 __ 壁 __ 彩×似鳥 金 アキカン 与正 D 神龍院 夜々 紅霧 虚 鶫 莉緒菜 超紅蓮獅子王 小絵 E 瑠璃原 夢月 __ 壁 __ 一 九六 七号 みさきさん 生徒会・先手 ★ リーダー 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 1E1 神龍院 夜々 1 0 7 6 14 ??? ??? ★ メンバー 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 2D1 女衒・外 0 0 0 4 20 100 100 死亡 3C1 葛西希美 20 0 5 4 0 87 100 4A2 涼原 カヤ+絵肌の人魚 10 0 7 3 10 100 100 壁侵入、能力休み 5C2 柿内 萌華 7 0 4 3 10 ??? ??? 6B2 彩妃 言葉 0 15 9 5 1 74 100 7D2 瑠璃原 夢月 0 15 12 3 0 90 精神 8A1 4コマ漫画『コボルトのコボちゃん』ちゃん 20 0 4 2 4 88 100 9E2 紅霧 虚 20 0 6 3 1 89 100 10 神龍院 夜々(コピー) 1 0 5 5 14 ??? ??? 召喚酔い 11 12 13 ★ ベンチ 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 14 流血少女サヨコ 6 6 6 6 6 90 100 15 赤子顔 緋入 5 8 10 4 3 50 100 16 朽津忠美 3 0 3 4 20 94 100 17 吉村斜音 20 0 2 5 3 60 100 18 十房ひじり 0 1 14 3 7 ??? ??? 19 カミーラ=ホイコーロ 5 0 2 3 20 75 100 20 天番姉妹(アコとミコ) 0 15 7 3 5 82 100 21 22 23 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 番長グループ・後手DP:1 ★ リーダー 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 24C6 彩×似鳥 0 0 9 6 18 99 100 ★ メンバー 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 25B6 楠木 纏 0 15 10 5 0 33 100 26C7 金 アキカン 与正 3 3 3 3 18 108 100 27E7 七号 みさきさん 0 0 4 10 16 75 100 28B7 メカ松成美 8 11 8 3 0 86 100 29E6 一 九六 0 15 11 4 0 104 精神 30A7 式織 唯織 0 0 2 3 20 ??? ??? 31A6 朽火“シアー・ハート・アタック”乂恋 20 0 2 3 5 78 100 32D7 超紅蓮獅子王 小絵 17 2 4 3 4 83 100 33D6 鶫 莉緒菜 0 15 11 3 1 75 100 34 35 36 ★ ベンチ 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 37 番条 無玲 0 10 5 5 10 94 100 38 湯都 咲実 0 2 6 3 19 102 100 39 白銀鋼 鉄火 0 15 10 0 0 ??? ??? 40 佐々木希未 3 14 7 3 3 85 100 41 鬼姫 殺人 0 0 3 2 20 ??? ??? 42 花咲 もみじ 5 0 0 0 20 ??? ??? 43 44 45 46 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 ※注釈 ___ 生徒会初期配置ポイント ___ 番長グループ初期配置ポイント
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_ 1 _ _ 2 _ _ 3 _ _ 4 _ _ 5 _ _ 6 _ _ 7 _ A __ 壁 __ メカ松成美 式織 唯織 B 柿内 萌華 彩妃 言葉 楠木 纏 朽火“シアー・ハート・アタック”乂恋 C 女衒・外 涼原 カヤ+絵肌の人魚 神龍院 夜々 神龍院 夜々(コピー) 葛西希美 4コマ漫画『コボルトのコボちゃん』ちゃん __ 壁 __ 彩×似鳥 超紅蓮獅子王 小絵 金 アキカン 与正 D 紅霧 虚 瑠璃原 夢月 鶫 莉緒菜 七号 みさきさん みさきさん2 みさきさん3 E __ 壁 __ 一 九六 生徒会・先手 ★ リーダー 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 1D1 神龍院 夜々 1 0 5 5 14 ??? ??? ★ メンバー 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 2C2 女衒・外 0 0 0 4 20 100 100 死亡 3C3 葛西希美 20 0 5 4 0 87 100 4C2 涼原 カヤ+絵肌の人魚 10 0 7 3 10 100 100 壁侵入、能力休み 5B1 柿内 萌華 7 0 3 3 10 ??? ??? 6B4 彩妃 言葉 0 15 9 5 1 74 100 7E3 瑠璃原 夢月 0 15 12 3 0 90 精神 8A3 4コマ漫画『コボルトのコボちゃん』ちゃん 20 0 4 2 4 88 100 9D2 紅霧 虚 20 0 6 3 1 89 100 10C2 神龍院 夜々 1 0 5 5 14 ??? ??? 11 12 13 ★ ベンチ 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 14 流血少女サヨコ 6 6 6 6 6 90 100 15 赤子顔 緋入 5 8 10 4 3 50 100 16 朽津忠美 3 0 3 4 20 94 100 17 吉村斜音 20 0 2 5 3 60 100 18 十房ひじり 0 1 14 3 7 ??? ??? 19 カミーラ=ホイコーロ 5 0 2 3 20 75 100 20 天番姉妹(アコとミコ) 0 15 7 3 5 82 100 21 22 23 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 番長グループ・後手 ★ リーダー 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 24C6 彩×似鳥 0 0 7 5 18 99 100 ★ メンバー 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 25B5 楠木 纏 0 15 10 5 0 33 100 26C7 金 アキカン 与正 3 3 3 3 18 108 100 能力休み 27D7 七号 みさきさん 0 0 4 5 16 75 100 能力休み 28A6 メカ松成美 9 12 8 3 0 86 100 能力休み 29E5 一 九六 0 15 11 4 0 104 精神 30A7 式織 唯織 0 0 2 3 20 ??? ??? 31B6 朽火“シアー・ハート・アタック”乂恋 20 0 2 3 5 78 100 32C6 超紅蓮獅子王 小絵 17 2 4 3 4 83 100 33D5 鶫 莉緒菜 0 15 11 3 1 75 100 34D7 みさきさん2 0 0 5 5 20 100 100 召喚 35D7 みさきさん3 0 0 5 5 20 120 100 召喚 36 ★ ベンチ 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 37 番条 無玲 0 10 5 5 10 94 100 38 湯都 咲実 0 2 6 3 19 102 100 39 白銀鋼 鉄火 0 15 10 0 0 ??? ??? 40 佐々木希未 3 14 7 3 3 85 100 41 鬼姫 殺人 0 0 3 2 20 ??? ??? 42 43 44 45 46 位置 キャラ名 攻 防 体 精 FS 発 成 備考 ※注釈 ___ 生徒会初期配置ポイント ___ 番長グループ初期配置ポイント
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決勝戦:【現代】空港 このページではダンゲロスSS4決勝戦、【現代】空港の試合結果を公開します。 投票結果 試合SS キャラクター名 得票数 決勝戦SS・空港その1 馴染おさな 12票 決勝戦SS・空港その2 潜衣花恋 20票 決勝戦SS・空港その3 綾島聖 31票 サブGK総評 三下の頂点・綾島聖 vs 王道の頂点・潜衣花恋 vs 頂点の幼馴染・馴染おさな ・馴染おさな:SSその1 目まぐるしく攻守優劣が入れ換わる展開が持ち味のその1。 絶対敗者概念の裏返しであるという神父を独自の理論で崩し、その隙間に滑り込む馴染おさなの姿はまさに彼女の本領発揮であろう。 絆の力で闘う花恋に対し、手に入れられなかった/それを選ばなかったおさなの独白はあまりに物悲しい。 そして、そこに舞い降りる熾天使の相である。 綾島を味方に付けた瞬間、自らに同情して手を止めた敵対者を焼き払わせるおさなの姿は、彼女の魅力的な二面性を象徴している。 おさなちゃんの捨て石になりたい。 ・潜衣花恋:SSその2 これまでのスタイルの集約とも言うべき伏線の回収が素晴らしいその2。 それだけ読者を選ぶ面もあるはずだが、そんなことはものともしないオールスターズである。 時ヶ峰健一! 山口祥勝&掃き溜め! 菊池一文字! ウラギール・オン・シラーズ! メリー・ジョエル! シェルロッタ・ロマルティナ! 更にそれらをただ出すだけでなく、決着にもきちんと取りいれている。タロマルの仇打ちは無論のこと、 メリーの存在を起点とし、綾島聖を「迷宮時計の戦いの勝利者」とし笑って死なせるなど、 ダンゲロスらしからぬ救いに満ち溢れたエンドは決勝に相応しいものと言えよう。 女子高生ババアはやっぱり最高だぜ! ・綾島聖:SSその3 能力バトルとしての側面を極めたその1、ストーリーとしての側面を極めたその2に対し、 Dragon ashを極めたその3が来るのは、流石にダイス神糸目の三下説を語らざるをえない(発表順はダイスなのだ)。 オチモノとオレオレ詐欺による幼馴染の攻略(?)、コンポジションフォ~から爆発力奪取を行う花恋の能力応用からは、中の人の高いSS力を窺わせる。 しかしその卓越した構成力を、破壊音波と摩擦奪取からDragon ashに繋げることに費やす――なんて、なんて無駄なことを! SS強者が、強キャラを使い、搦手も厭わず作られたSS。 フィクションでないこの現実では、それは、当たり前のようにめちゃくちゃ強かったのだ。 そして――ダンゲロスSS4、表の優勝者! それは糸目の王、常敗無勝の男! 我らが神父様、綾島聖がその栄光を手に入れました! そして、次が本物の最終決戦ーーここまでただケヒャリ、 ただ暴れ回るだけだった神父様が、 迷宮時計に願う目的とは一体なんなのか? 思わず私自身も……クヒヒ……気になりすぎて首が540度回転してしまいそうですよォーーーッ!! ダンゲロスSS4エキシビジョン! 乞うご期待! 決勝戦:【現代】空港 勝者:綾島聖 馴染おさな 寄せ書きマントがド直球で素敵だった!そして!それを踏みにじる!おさなちゃんマジ天使!神父様の正体もその1が一番好き。 三者の特徴を活かした展開からラストの緊張感、そしてファム・ファタールっぷりが最高でした OMT… 純粋な筆力の差で、僅差ですがその1に投票 ごく個人的な主義として、同じ熱量なら「笑い」よりも「泣き」を重く見ます。SSその1の寄せ書きマントがもう本当にヒットして、全てを背負う花恋の覚悟が全SSでもっとも強く伝わってきました。綾島神父に対する解法も非常に納得いくもので、大変楽しませていただきました。 潜衣花恋 ごみ箱を破壊して飛行機を探す純粋な神父さまがかわいかったです。キャラが多く登場するのに上手いこと話がつながっていて、決勝戦ってかんじがしたのも良かったです。 全体的に死人が少なく、後味もよかったので。 常敗無勝を目指しつつも勝ってしまう糸目に、これほど説得力ある背景をつけるとは! その3の真っ向からの能力攻略もよかったが、連戦に渡って能力応用とは無関係なところで山盛りにしつづけていく気迫を応援したかった。 女子校生のお母さんに頭を撫でられたい! かゆい うま 死ヒャアアアァァァァァァァァ 戦闘描写・キャラの立たせ方・結末の3点を比較した結果、このSSを選ばせていただきました 勝利を目指す糸目、迷宮時計の戦いの連続優勝者としての糸目、ヒップホップの糸目。その中で一番納得できたのがその2の糸目でした。 もはや言葉はいらないでしょう。三人とも本当に素晴らしかった―― 狂人の最後として凄く好きです 泣いても笑っても決勝戦、どれも読み応えタップリの集大成でごじました。さんざに悩んだのですが、これまでの物語をきっちりと踏まえ、残る二人に愛をもって決着を与えたその2に一票を。 一はすごい綺麗で面白かったし、その3は腹抱えて笑ったけど、一番好きなのはここでした。……やまいちって、すげえ……(ぺん) 試合としてだけの決着でなく、決勝と言う区切りとしての決着として、最も同情すべき迷宮時計被害者であるタロマルを持ってきたのにぐっときました(まめ) メリー・・・ここでこんなとは 綾島聖 当然と言えば当然なんだけど一番神父様が好き勝手しておられたので。 突然のDragon Ash 感謝しよう。この国もまだ捨てたもんじゃないな。 最後のーールとーーーーザはまだ解読出来ないけど取り敢えず一番笑えたことを告げておきます。今まで知らなかったDragon かなり迷いましたが、読んで一番「面白い」と感じたssはこれでした。 後味のいい物語が好きなのに…。ダメでした。綾島さん面白すぎます。何度考えても、好みすぎた。き オチモノで既に一線を画していた上に、百合で完全に持ってかれました。圧倒的!センス!戦略や心情に手抜きもない。やはり貴方は最高だ! 楽しさが圧倒的だった……能力バトルとしても「幼馴染」を「オチモノ」で破るというのは最高のアンサーだとおもいました。また、2のウラギールの真実がとてもよかったです。結果がどうなろうともわたしのなかではあれが正史だ 頂点に立つべきは己の『Dragon Ash』を最も深く追求したSS!己の『Dragon Ash』とは何かという問いに真に向き合った者だ! オレオレ詐欺には勝てなかったよ…… すごい笑いましたしすごい嬉しかった。それはそれとして2人の攻略として強靭な精度を誇ってるのがずるすぎる。 決勝戦に相応しくハイレベルな戦いだった。完成度で見るとその1が最も高いかと思ったが、ドラゴンアッシュには勝てなかったよ… 圧倒的暴力による蹂躙……SSの内容ではなく、SSが。もはやひれ伏すことしかできません。何がオチモノだ馬鹿!ヤバいドラッグじゃねえよ何言ってんだよ!! その1,2ともに完璧な出来だったと思います。が、神父様に感傷的な過去や理屈をつけず、勢いで突き抜けたその3は、妙な納得感がありました。ダンゲロスSS4の集大成に相応しい作品だったと思います。3作品とも素晴らしかった!ありがとうございました! 2は今までに出たキャラの使い方が上手く 能力バトルのディテールが細やかで迫力があった。三つ巴戦。全員がそれぞれ勝ち筋に邁進し、糸目がすべてを上回る。読み終わったときの絶望感、感情の動きが投票の決め手となりました。断じてDragon Ashではない。 綾島神父が楽しそうだったので Dragon Ashwwwwwwwwwwww 最高でした。ここでまさかのDragonAsh登場を予想できた人はいたんでしょうか?
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野試合SSその2 聖槍院九鈴は、朝から海老カツだった。 普段は質素な聖槍院家の朝食だが、九鈴の試合がある日は彼女の好物である海老のカツが食卓に上るのが恒例となっていた。先日まで開催されていた「ザ・キングオブトワイライト」という魔人同士の比較的平和な格闘大会に九鈴は参加し、一回戦で敢えなく敗退はしたものの、敗者による裏トーナメントに於いて見事優勝を収めたのだった。 大会は興行的にかなりの成功であったようで、閉会後の特別企画として大会参加者である九鈴と雨竜院雨弓によるエクストラマッチが行われることになった。ゆえに、今朝は海老カツなのである。 九鈴はしゅわしゅわと音を立てる海老カツをトングで挟んで油の中から取り出し、少しのあいだ金網の上に置いて油を切ってから、さくりと包丁で半分に切り断面を見て火の通り具合を確認する。加熱によってタンパク質から遊離した、アスタキサンチンの赤が美しい。そして九鈴は、家族それぞれの皿に海老カツを並べていった。 ただし、実のところ彼女が行っているのは配膳だけであり、調理のほとんどは母親によるものである。もちろん九鈴もそれなりに料理ができないわけではないが、うっかりすると母親に任せっきりになりがちなのは反省すべき点だと思っている。まあ、今日は試合の日なのでこれで良いのだ。 「もぐもぐ。ロブスター=サンはおいしいなぁ」 いつの間にか「いただきます」も言わずに、弟の九郎が海老カツを盗み食いして平らげていた。九郎は10歳。育ち盛りの食べ盛りではあるが、これは少々行儀が悪い。 「ちょっとダメでしょ。いつも言ってるよね? 小型の海老は『シュリンプ』だって」 九鈴は少し厳しい口調で弟をたしなめた。彼女には風変りなところがあり、海老とか蟹については何故かちょっとうるさいのだった。なんでだろうね。 「お、海老カツかー。今日は雨弓君と試合する日だったなー」 朝寝坊な九鈴の父親が、のっそりと現れた。大柄で、武骨で、人類を大雑把に分類するならば雨竜院雨弓と同じジャンルに属する人間である。 「九鈴。試合もいいが、雨弓君とお付き合いする気はないのか?」 「お父さん、ソレはやめなさい。九鈴も困ってるでしょ」 同類だからだろうか、九鈴の父は雨弓のことをやけに気に入っている。そして、いつもの無遠慮な提案をして、母にぴしゃりとたしなめられた。何度も繰り返されてきたおなじみのやり取りだ。九鈴は本当に困った表情で、口の中の海老カツを咀嚼して、飲み込む。母さんの海老カツはとてもおいしい。そして、九鈴はいつもと同じくこう答えるのだ。 「それはムリなの。だって雨弓さんは雨雫のものだから……」 ††††† また、雨雫の夢をみた。雨弓の従妹。この世を去った恋人。雨竜院雨雫の夢をみた。あの日から8年の時が経ったというのに、あの時の記憶は未だ色褪せず生々しい。 雨弓がみる雨雫の夢は、大きくわけて二種類。ひとつは雨雫があの世から帰ってきて結ばれる、幸せで未練がましい夢。もうひとつは、雨雫が死んだあの日の、狂おしく身を裂くようなリフレイン。 昨夜の夢は、悪い方の夢だった。 雨弓は、最愛の人を自らの武傘で殺めた。仕方がなかった。殺さなければ、自分が殺されていた。いや、仕方ないなどということはない。もっと自分に力があれば、あるいは殺さずに済んだかもしれない。力が足りなかったのならば、自分が殺されれば良かっただけかもしれない。 雨雫は運命に呪われていた。可憐なその身の裡に、邪悪な双子の兄が取り憑いていた。邪悪な兄に、名はない。そいつは、雨雫の左肩に宿った人面疽だった。 雨雫の精神が弱った時、邪悪な兄が彼女の肉体を乗っ取り悪行を働く。あの日、奴は、雨竜院家の門下生である女性を陵辱目的で襲い、殺した。 殺人犯を追った雨弓は、邪悪な兄が操る雨雫と戦い、そして、殺害したのだ。兄に支配された雨雫の肉体は男性化し、雨弓を上回る膂力を発揮していた。 もう何百回も夢の中で繰り返した通りに、雨雫の左肩に憑いた悪魔を抉り殺した。雨雫の心臓もろともに。そして、死にゆく雨雫を抱き締め、口付けをした。体温が失われてゆく雨雫の体を、降りしきる雨の中で、抱き締め続けた。 これから雨竜院雨弓が戦う聖槍院九鈴は、雨雫の親友だった女性だ。雨弓と雨雫の仲を取り持ってくれた恩人でもある。だが、そんなことは今は関係ない。 九鈴の修めた武術「トング道」と魔人能力「タフグリップ」が、雨弓の胸を踊らせている。彼女とならば、「あの映画」やふざけたアナウンス改変のような不純物の混じらない、本当の戦いが楽しめるはずだ。 苦い夢を頭の中から押しやり、雨弓はこれから繰り広げられるであろう死闘に思いを馳せた。戦うこと。強くなること。雨弓にとって、それは神聖なことだった。――雨雫を救えなかった弱い自分を、消し去ろうとしているのかもしれない。 ††††† 世界は改変されて平和になった。しかし、すべての不幸が消えてなくなったわけではないのだ。例えばこのビル。日本で最も高いビル、高さ400mの「あしやドミチル」もその一例だ。あまりに高すぎる維持費による経営破綻劇の裏側で多くの者が首を吊り、いずれこのビルも解体される予定となっている。 試合会場である廃ビルのふもとに、雨弓と九鈴が並んで立ち説明を受けている。簡素な野外ステージが設営され、大勢の魔人格闘ファンが、試合開始を待ちわびている。 「試合エリアは解体予定の廃ビル敷地内。電気は一応流れていますが、いつ止まるかわからないのでエレベーター等の使用には御注意ください」 大会本編で司会を務めた佐倉光素が、この試合では審判も兼ねている。あくまでも番外編なので、大規模なマネーは動いていないのだ。ただし、天狂院癒死が医療スタッフとして控えているため、大抵の死に方なら復活できるはずである。存分に殺し合える舞台――それは、雨弓にとっても九鈴にとっても望ましいことだった。 「念のため。空中に居る場合はビルから50m離れるとアウトです。ビルはいくら壊してもOKなので、お二人とも魔人能力の限りを尽くして、全力で死闘を繰り広げてください!」 光素の語調は「魔人能力の限り」の箇所で特に強くなった。光素を突き動かす原動力は善意ではなく好奇心である。魔人能力を観察するためならば、人心を弄ぶ外道なマッチングも辞さない。例えば雨竜院雨雫の――いや、それは別人の所業であったか。 「皆様おまたせしました。それでは試合開始です!」 光素は手に持った鉄板を、退場宣告するサッカー審判のように掲げた。すると、雨弓と九鈴の姿が消え失せる。光素の瞬間移動能力により、廃ビル内に転送されたのだ。なお、光素が瞬間移動能力を使う際に鉄板を掲げる必要は特にない。たぶん、審判っぽいアクションをしたかっただけなのだろうと思われる。 ††††† 雨弓が転送された87階はホテルの客室フロアの廊下だった。そもそも、商業フロアは30階までなので、ランダム転送では客室フロアに出る可能性が最も高い。 手近な部屋の扉を開けて中に入ると、雨弓はまずバスルームの水道を確認した。蛇口を捻る。勢い良く水が流れ出し、シンクに積もった埃を洗い流した。 雨弓の幻覚能力「睫毛の虹」を使用するのに必要な空気中の水分は、これで確保できた。どれほどの給水能力が残されているかは不明だが、少なくとも背負ってきたポリタンクよりは多いだろう。 雨弓は窓辺に近付き、山手に広がる瀟洒な住宅街を見下ろして目を細める。こうやって高い所から眺めれば、街の裏側で繰り広げられる犯罪行為は影も見えず、平和そのものの光景だ。 「さて、愛しの姫君をどこでお待ちしたらロマンチックな雰囲気になるかねぇ」 そう言って雨弓はニヤリと笑った。言葉とは裏腹に、勇者を待ち構える魔王のような、凶悪な笑みだった。九鈴との命を懸けた戦いが、心底楽しみだった。雨弓は心の昂ぶりを抑えきれず、武傘を乱暴に振り下ろす。ダブルサイズのベッドが、一撃で真っ二つにへし折れた。 ††††† 九鈴は、地下二階の駐車スペースに転送された。何も見えない暗闇の中、トングで床を叩き、ソナーのように周囲の状況を把握する。 集中力が高まり、感覚が鋭敏になっている。予期せぬ闖入者を見て慌てて逃げ出す小さなダンゴムシたちの可愛らしい様子まで、はっきりと判る。大丈夫だ。これなら存分に殺し合える。 周囲の構造から、自分は地下にいると九鈴は判断した。ならば上に登ってゆくだけだ。シンプルで良かった。 おそらく、雨弓は高層階で待っているだろうと九鈴は予想している。天を奉ずる雨使いの性だろうか、あるいは単に馬鹿だからか、雨弓は高い所が好きだった。授業をサボった雨弓を探して、校舎の屋上へと雨雫が向かう姿を何度みただろうか。 エレベーターの使用は危険と判断し、九鈴は非常用階段を登っていった。多数のトングが詰まったキャリーバックを手に、百階近いビルを階段で登るのは魔人の体力でも大変なことだ。だが、九鈴は楽しくて仕方がなかった。もうすぐ雨弓と殺し合えることを思えば、階段など苦にもならなかった。 ††††† 地上94階、展望レストラン跡。九鈴が到着した時には、既にフロア全体が湿気に包まれていた。散水によって雨弓が能力を発動するための条件が満たされているのだ。頬に当たるひんやりとした空気に、雨弓の本気を感じて九鈴は嬉しかった。 「待ってたぜ。疲れてるなら少し休憩してもいいぞ」 雨弓は逸る気持ちを抑えて言った。策の限りを尽くして殺し合うのが望みだが、それには九鈴の状態がベストでなければ意味がない。 「ごしんぱいなく。――おしてまいります。雨弓先輩……!」 九鈴は二本のトングを両手に構え、トングの先でガリガリ床を掻きながら雨弓との距離を縮めてゆく。九鈴は笑っていた。焦点の定まらない虚ろな瞳。既に戦いの狂気にその身を浸していた。 雨弓は視界を赤外線視に切り替えて九鈴の体表温をスキャンした。光の屈折を操作する「睫毛の虹」の応用技術だ。エロ目的でも使えるため誰にも教えてない秘密の技である。九鈴の足にかなり疲労が蓄積されているのが見て取れたが、戦闘に大きな支障はなさそうだ。 「いくぜェ、九鈴! 悪いが、手加減なしだ!」 臨戦態勢に入った雨弓は、独特の歩法「蛟」によって音もなく滑るように間合いを詰め、長さ2mの番傘、武傘「九頭竜」による突きを放つ。雨竜一傘流の基本技「雨月」。雨弓の巨躯と巨大武傘による長大な間合いが、九鈴の遥か遠くから襲いかかる。 しかし、九鈴は無反応だった。その目はあらぬ方向を向き、歩調に変化はなく、ガリガリとトングを鳴らしながら歩き続けていた。武傘が九鈴の身体を突き抜ける。――血は流れない。「睫毛の虹」による幻影の攻撃だからだ。 次の瞬間、九鈴は左に身をかわし、虚空に向けてトングを伸ばす。ガチン。何もない空間で金属音が鳴り、トングが弾かれる。幻術が解かれ、見えない「雨月」を放った雨弓の姿が現れた。姿を消して時間差攻撃を仕掛けていたのだ。九鈴は幻影に惑わされぬ完璧な対応で、武傘をトングで挟み取ろうとしたが、雨弓は傘を捻って弾き、掴ませなかった。 「シィイイヤアアアァッ!」 叫び声と共に武傘による連続突きを放つ雨弓。雨竜院一傘流の「篠突く雨」に幻術によるフェイントを交えた猛攻。九鈴は冷静に二本のトングで巧みに捌く。しかし、タフグリップ把持には至らない。トングに挟まれる寸前で武傘は素早く逃げてゆく。 「たあっ!」 連撃が僅かに緩んだ隙に、地を這うようなトングが雨弓の左脚を鋭く狙う。体重移動のタイミングを完全に捉えられ、脚を引いて逃げることは不可能であることを悟った雨弓は右下段蹴りでトングを逸らし、そのまま踏み込んで九頭竜を振り下ろす。九鈴は舞うようなステップで打撃を回避する。 お互いに技を知り尽くした仲のせめぎ合い。傍目には達人同士の血も凍るような技の応酬だが、雨弓も九鈴もこの程度の戦いでは満足できない。こんなのは道場稽古の延長線上に過ぎないのだ。二人が望むのは――命を賭した殺し合い。 武傘とトングが激しく交錯する中、雨弓は違和感を感じていた。幻術への九鈴の対応が完璧すぎる。完全に見切られているどころではなかった。幻術を使っていることに、気付いてすらいないような動きだった。雨弓は一旦距離を取り、疑問を口にする。 「九鈴……お前の目、どうなってるんだ?」 「めはやきました。雨竜院の雨は、もはや私には届きません――私の瞳には、太陽が宿っているのです」 双眼鏡で太陽を直視することで、九鈴はあらかじめ視覚を捨てていた。絶対に真似してはいけない完全な幻術対策である。 懐から投擲トングを取り出し、三本連続で投げつける。飛来するトングの先に挟まれた粘土のような物質を見て雨弓は戦慄した。C-4プラスチック爆弾。信管を挟み込んで固定した「タフグリップ」を遠隔解除することによって、任意タイミングで起爆することが可能である。 雨弓は九頭竜を開いて防御する。ガウン。ガウン。二発立て続けに傘面で爆発が起こり、特殊合金製の骨組みが軋む。傘を回転させる防御技「雨流」によって衝撃を受け流さなければ、ダイヤモンド粒子で強化した特殊繊維の布ですら無傷では済まなかったろう。 傘を閉じると、雨弓に背を向けて走る九鈴の姿があった。キャリーバックを手に持ち、階段室へと向かっている。なぜ逃げるのか。足元に転がるもう一本のトングを赤外線視した雨弓は危機を察知する。トングの先端温度が異常に低下していた。急激な気体の膨張による温度低下だ。タフグリップ捕集された何らかの気体が放出されているのだ。 雨弓は全力で跳んだ。武傘の一突きにより、天井を突き破ってビル屋上に退避する。雨弓を追撃するように、穴から酸っぱいアーモンド臭が立ち昇ってきた。この匂いは――青酸ガスだ。 「よいはんだんね。うれしいわ。簡単に死なれちゃ困るもの」 心底うれしそうに、軽い足取りで九鈴も屋上にやってきた。雨弓も、本気すぎる程に本気な九鈴の殺意をうれしく思った。 「ハハハハハハ! そうだ! この感じだ! 戦、俺にはそれが必要だ! ……ったく、真剣勝負ってのは良いモノだぜ、ファントムやポータル・ジツの邪魔が入らなきゃ、尚更だ……!」 再び激しく武傘とトングがぶつかり合う。幻術が意味を為さない今、完全に武芸の技を競う勝負である。いや、「タフグリップ」がある分、九鈴に利があるだろうか。一度でもトングが相手を捉えれば、死ぬまで離さず喰らい付くのだから。左右二本の死の咢が、雨弓を喰らわんと踊っている。 「せいやあっ!」 床面に突き立てたトングを軸にした、九鈴の高々度右上段回し蹴りが放たれる。頭部を狙った蹴りを、雨弓は左手でブロックする。その瞬間。九鈴は脛に仕込んでいたトング爆弾を起動した。ガウン。爆音が響き、九鈴の右脚と雨弓の左腕に大きな損傷。だが、そのダメージは重要ではない。重要なのは、爆発によって生じた隙に、九鈴のトングが武傘を捕獲していたことだ。 「しんでください!」 トング道の合気によって雨弓の巨体が宙を舞い、脳天から逆落としでコンクリート床面に叩きつけられる。床面に丸く血の跡が描かれる。激突の衝撃をトングの合気で投げ技のエネルギーに変換。床面でスーパーボールの如く跳ね返った雨弓の巨体が再び宙を舞う。だが、雨弓は冷静にタイミングを見計らっていた。トングに捉えられた武傘を手離し、背後に素早く回り込んで丸太のような腕で九鈴の気道を締め上げる。 「もらったぜェ九鈴。これで終りかなァ……!!」 「うっ、うぐううっ!」 苦しげに呻きながら、九鈴は逆手に持ったトングで雨弓の脇腹を何度も突き刺し抵抗する。脇腹から血が滲むが、分厚い筋肉に阻まれてトングは貫通しない。九鈴の喉を締め付ける腕の力が増してゆく。ガウン。九鈴の左肩に仕込まれたトング爆弾が炸裂した。九鈴の肩が抉れる。間近で起きた爆発に顔面を激しく焼かれ、雨弓の腕の力が緩んだ。腕の隙間にトングを滑り込ませて梃子の原理を利用して引き剥がし、九鈴は絞め技から脱出した。 5mの距離を置き、対峙する二人。左手をだらりと垂らし、右腕一本でトングを構える九鈴。焼けただれた顔面に凶悪な笑みを浮かべ、素早く回収した武傘を構える雨弓。両者とも重傷を負っているが、その全身に殺意が漲っている。しかし、雨弓の心には隙が生じていた。左肩に大きな傷を負った九鈴の姿に、自ら殺めた恋人・雨雫の最後の姿がだぶって見えたからだ。九鈴の痛々しい姿に目を奪われていた雨弓は、自分の背後に九鈴のキャリーバックがあることに気付くのが遅れた。 ガガガガガガガガウゥゥーーーーン! 爆音が鳴り響いた。空気の振動は地上の特設ステージにまで伝わり、上空を一斉に見上げた魔人格闘ファンたちの歓声が上がった。キャリーバック内に満載されたトング爆弾が一斉に起動され、雨弓の至近距離で爆発したのだ。 ††††† 九鈴の身体が、宙を舞っていた。九鈴の腹部に突き刺さる、武傘「九頭竜」先端の突剣によって吹き飛ばされたのだ。鳴り響く爆発音によってトング・エコロケーションが機能しなくなった瞬間に合わせ、雨弓は九頭竜の突剣射出機構を作動し九鈴を狙撃した。視覚を失っている九鈴に、避けるすべはなかった。 ビル屋上の転落防止柵を飛び越え、九鈴は落ちてゆく。(わたしのまけだ……)九鈴は満足していた。雨弓の耐久力ならば、あの爆発でも生き延びられるだろう。九鈴が地上に叩きつけられて死に、それで決着だ。理想的ではないにせよ、九鈴にとっては悪くない結末だった。 ――逞しい左手が、九鈴の足を掴んだ。落下速度が弱まる。至近距離の大爆発で瀕死の重傷を負いながらも、雨弓は九鈴を追って飛び降り、捕まえたのだ。右手には開かれた大きな傘。巨大な傘によって落下速度が削がれ、ゆっくりと二人は落ちてゆく。雨竜一傘流「落下傘」である。雨弓は爽やかな笑顔で言った。 「俺の勝ちだな。楽しかったぜ」 九鈴の顔から血の気が引いた。 「それじゃダメなの!」 トングが鋭く動き、雨弓の右手を捉えて指をへし折った。不可解な九鈴の行動に雨弓は対応できず、その手から傘が離れる。再び自由落下が始まった。 「バカ九鈴!! 何かんがえてやがる!!」 雨弓が叫んだ。九鈴の行動の意味がまったく解らない。 地上まであと8秒。 「うらやましいの! 雨雫のことが!」 地上まであと6秒。 「ころしあいたい! 最後まで! 私も雨弓さんの永遠になりたいの!」 雨弓と九鈴は、お互いに殺し合いを望んでいた。だが、殺し合いに求めるものはまったく違っていた。雨弓は単に、殺し合いの過程を楽しみたかった。九鈴は、殺し合いの結果が欲しかった。殺し合いの結果が、雨弓の心に永遠に刻まれることを望んだ。それだけが、死によって雨弓の中で永遠の存在となった雨雫に追いつける唯一の方法だと信じていた。だから、戦いの結末はいずれかの死である必要があった。 地上まであと3秒。 「すまなかった……」 九鈴が何を考えているのか、雨弓には理解しきれなかった。だが、自分が九鈴を苦しめていたことだけは解った。雨弓は九鈴の体を引き寄せ、護るように強く抱き締めた。この落下速度ではいずれにせよ二人とも死ぬだろう。それでも、落ちる体勢は大事だと考えた。 地上まであと1秒。 ……。 地面に激突する寸前。地上30cm。不意に落下速度がゼロになった。一瞬の停止の後、ごく短距離の落下が再開し、二人はほとんどダメージなくどさりと地に落ちた。 何が起きたのか。ざわつく観客たち。やがて、観客たちの視線は一人の少年に集中していった。 少年は最初、なぜ自分が注目を集めているのか判らなかったが、すぐに状況判断して能力を使い、特殊銃を生成した。能力名「ガンフォール・ガンライズ」。物体の鉛直移動を自在に操るスタームルガーmk2を手に、少年は華麗なガンスピンを披露する。隣席の可憐な少女の視線を意識しながら、少年は言った。 「さあ、光素さん。決着はついたぜ。試合終了の判定を頼むよ」 促されて光素は(何か変だな)と思いつつも鉄板を高く掲げた。 「試合終了です! 二人ほぼ同時に落下しましたので、雨竜院選手と聖槍院選手によるエクストラマッチは引き分けとします!」 死闘を称え、湧き上がる歓声と拍手の中、死を覚悟していた二人はしばらく呆然と抱き合っていたが、やがて我に返ってどちらともなく飛び離れた。蓄積されたダメージは大きく、少し離れるとまた二人とも地面に倒れて横たわる。 「なあ、九鈴」 雨弓が優しい声で話しかけた。 「いきなり永遠を誓うってのは、やっぱり無理な話だと思うんだ。――まずは恋人から、順序よくいかないか?」 そう言って、九鈴に向けて手を差し出した。 九鈴はしばらく逡巡してから、無言でおずおずと手を伸ばす。そして九鈴の手は、雨弓の大きく、荒々しく、暖かい手を強く握り締めた。 ††††† 秋は一夜にやってくる。 二百十日に風が吹き、 二百二十日に雨が降り、 あけの夜あけにあがったら、 その夜にこっそりやって来る。 舟で港へあがるのか、 翅でお空を翔けるのか、 地からむくむく湧き出すか、 それは誰にもわからない、 けれども今朝はもう来てる。 どこにいるのか、わからない、 けれど、どこかに、もう来てる。 ――金子みすゞ『秋は一夜に』 (野試合「雨竜院雨弓 vs 聖槍院九鈴」おわり。「落下停止」につづく) このページのトップに戻る|トップページに戻る