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トラトラトラ ワレ奇襲ニ成功セリ ワレ奇襲ニ成功セリ 成功するとか言ってるけど実際の処この信号は奇襲に成功したことを表すものではなくて、奇襲によって攻撃を開始するという意味なんですよ? まぁ私は実際に奇襲に成功したわけですが あの子と私の未来的ポジション ・後編 こんにちは 私は望月里美と言います 黒髪ロングの美人です 苦学生です 何が苦しいって人生が苦しいです 明日が見えません 幼き日に一家心中しかけるも持ち前の知恵と生命力で一人生き残り 何やかんやあって今は一人暮らししつつ高校に通っています なんか異世界人との交流を中心としていてテストも兼ねていて学費が安いとかなんとかって学校に入学 変なのいっぱいいるなーとか思いつつ普通に生活していました 見た目違っても慣れればどうでもいいよね たまに明らかに変なのもいるけどね、地面に埋まってる人とか あと食堂の券売機で人間が食べちゃいけないもの売るのやめてほしい。紛らわしいから そして突然ですが私には特殊な超能力が眠っていてさっき目覚めた気がします だって私今美人の女の子とチューしてる 出会いは昨日 異世界人との交流会とか言うやつ。一応授業の一環 その姿を見た瞬間に気付いた 恋に落ちたって すっごい可愛くて見とれちゃって 名前を聞き逃した 何してんの私 でもしょうがないと思う だってあんまりかわいいから 白っぽい毛並みは美しくて ひょこっっと出た丸い獣耳は可愛らしい ちょっと珍しいのは彼女の顔 この学校に通っている獣っぽい人たちは顔もほぼ獣で むしろ人っぽいのは首から下だけくらいな勢いなんだけど 彼女は顔がとても人間っぽかった だから好きになったってわけでもない気がするけど だって人間にはない耳もクリクリしたおっきい目もちょっと突き出た口もみんな可愛いから きっと私が好きになったのはあの子だからこそ 性別だって飛び越えてる 今まで女の子をそういう対象に見たことはなかったのに まぁ今までは生活に余裕が無さ過ぎたのもあるんだけど つまりこれは私の初恋で そしてすぐに気づけた これは相思相愛だって なぜ相思相愛だと思ったのかと言えば、彼女を見ていたからとしかいえない というか見てればわかる 私の方をチラチラとずっと見てきてたし 目があえば顔を赤くするし 長くて真っ白なしっぽはせわしなく動いている これもうそういうことだよね? ワンチャンあると思います でもその日は結局話しかけもせずに帰ってしまった 流石に周りに人がいっぱいいる中で話しかけに行くのはね それにあの子もさっさと帰っちゃったみたいだし そして翌日どうにか会えないかなーなんて思ってた訳だけど その日の最後の授業前でとうとうかったるくなってその授業は受けないことにした 授業をさぼって向かった先は昨日の交流会のあった教室の前 ここに来たのはなんとなく 授業中だし来るはずもないんだろうけど 何か間違いでも起こってあの子こないかなーなんて考えて 後ろから階段を上がる音とともに現れた 愛しの彼女がここに来た これが愛の力か! なんて、冗談交じりに考えていたけど 実際何やら不思議なパワーが私にあって思い通りに事が運んでいるのでは? そう思わなくもない だって私いまチューしてる 今チューしてる! 可愛い子を人気のないところに誘いこんで! もうどういうことなの? なんでホイホイついて来たの? そんなんじゃ物騒なこの世の中を生きていけないよ? よし。保護してあげよう ずっと一緒にいてあげるよ!私が! 流石にまだ口には出さないけどね 「ここは人目につくし授業中だから」とかなんとかいって連れていった先は屋上入口だ 授業中に屋上に行こうとする人なんていないし見つかりづらいハズ でもちょっと寒いのと音が響くのが問題かな まぁずっとくっついているつもりだし平気でしょう 連れてくるときに握った彼女の手はふわふわとした毛とムニッとした肉球があって やっぱり人間とは違うんだなーなんて思ったりもして でもそれはただそう思ったってだけで彼女への気持ちがどうこうってのはない つまり好き ちなみにその問題の子は今私の服に顔をうずめて「いいにおい(はぁと)」とか言ってる 香水とかつけてないし別にいい匂いとかしないと思うんだけど あえて言うなら一昨日洗剤を変えたくらい? 有難う酵素ぱわー!なんか安売りしてたから買っただけだけどこれからは使い続けることにします アンケート出さなきゃ「この洗剤に変えてから大好きな彼女にいい匂いって言ってもらえるようになりました(17歳女性)」って そんなくだらないことを考えるのも楽しいけれど 「ねぇ、」 彼女に話しかける クリッとしたおっきい目にはちょっとゆがんだ私の姿 ちょっとの勇気を込めてまずは最初のお願いを 「名前を教えてもらえる?」 まずはここからだよね? 後日談という名のオチ さて 日本は奇襲によって作戦に成功した 私もいきなり唇を奪うという奇襲によってエミーと親密な仲になったわけだけれど どうやら彼女はかなり離れていても私の匂いがわかるらしい つまりどういうことかというと 最近は奇襲されるのはもっぱら私の方だということだ 優勢なのは最初だけというのはなんともはや ただし戦争と違うところは この奇襲は別に嫌どころかむしろうれしいということだ 何やかんやで思いっきりすっとばす吹いた。女性にしておくのはもったいないのか女性だからセーフなのかこのアグレッシブさ -- (名無しさん) 2015-12-23 00 48 20 奇襲や戦争だと合わせる言葉や文章が面白い。きっと十津那学園は異世界に関する様々なものが集まってくる特異点 -- (名無しさん) 2015-12-23 21 13 37 欲望にストップのきかない若人!肉球! -- (名無しさん) 2015-12-27 16 58 52 名前 コメント すべてのコメントを見る
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次の日の朝、通学路にて。 「おはよーございますっ!! 斗的師匠!!」 「ああ、おはよう」 熱したアスファルトの道を歩く斗的の後ろから、小柄な少年が声をかけてきた。青と緑色をしたチェック地のズボンに、半そでのワイシャツというスタイルから、植物(うえもの)高校の生徒だということがわかる。 斗的のクラスメイトである「成城磨智(せいじょうまとも)」だ。同じ二年生なのに、斗的をロボトルの師匠として尊敬している。 磨智は、早速斗的を労わる。 「いやー、今日は暑いっスねー! 師匠、暑いの苦手だから大変でしょう?」 「ああ、こんなに熱いのは始めてだなぁ。冷凍食品コーナーの冷蔵庫に入り込みたい気分だ」 「あはは! 確かに、あそこ涼しそうっスよね~!」 「でもやめとく。前にやってあそこの店員に目付けられてるんだ」 「実践済み!?」 「だってさ~、暑くて溶けそうなんだよ~……」 斗的の言う通り、この陽気は異常だ。朝だというのに、銀色の光をジリジリ放つ太陽が、オーブントースターのように照り付けている。アスファルトからは陽炎が立ち上り、ジージー鳴き喚く蝉の声すら鬱陶しい。 「そうっスよねー、暑いっスよねー? こんな時に厚着しろって言われたら、死んじゃいますよねー!」 「ああ~、そうだな~」 磨智はピタッと足を止める。 「――なのにどうして、師匠は冬服着てるんスか?」 「へ?」 磨智の言う通り、斗的は長袖のシャツを着て、紺色のブレザーを羽織っている。のみならず、目にはグラサン、口にはマスク、頭には髑髏マーク入りの紺色帽子という完全武装だ。あ、帽子は元からかぶってたか。 夏が嫌いな斗的が、こんな格好をしているなんて考えられない。それに、どことなく声がいつもより高いような……。 斗的は、口をもごもごしながら言う。 「いや、これはその……あれだ。オレ、紫外線浴びると体が溶けちまうんだ」 「どこのドラキュラっスか!? てか、メルヘンやファンタジーじゃないんだし、吸血鬼なんているわけないっスよ!!」 「お前、物知らないにもほどがあるぞ? あいつらにやられると、傷口がかゆくてかゆくて――」 「蚊じゃないっスか!!」 「まぁ、お前のおつむが弱いことはともかくとして、」 「いや、僕の許可無く不名誉な設定つけないで!! 成績だけなら師匠よりいいっスから!!」 「蜜柑の電話番号知らないか?」 「え……蜜柑?」 思ってもみなかった名前が出たので、磨智は少々面食らう。斗的にとって、蜜柑は天敵のような存在であり、避けるべき相手。なのに、その蜜柑の連絡先を斗的から聞くとは……やっぱり、今日の斗的はどこかおかしい。まるで、斗的じゃない別の誰かと話しているよう。 「いや、あいつに用があるんだけどさ、考えてみればあいつの家に電話かけたこと無いから。お前、蜜柑の幼馴染だから知ってるだろ?」 「いや~、無理っスね。あいつの家、電話ないから」 「マジで!?」 「ええ。あいつ、『そんな余計なもの買うくらいならメダロットのパーツ買うね!』って言ってたから」 ちなみに、蜜柑は極度の機械オタの上、超ド級貧乏だったりする。 「いや、研究所なら電話のひとつでも置いとかなきゃまずいだろ!!」 「ところで、蜜柑がどうしたんスか?」 「昨日あいつの家に行った時、メダロッチ忘れてきちまって――」 斗的がそう口に出したのとほぼ同時に、二人は足を止める。目の前に、数人の高校生に取り囲まれている小学生がいたからだ。 「金出せ坊主」 「金出せ坊主」 「金出せ坊主」 小学生からなんて大した額を搾り取れないはずなのに、リーゼントで口ひげを生やした高校生三人組が、金を要求している。 「うわぁ……今時あんなことする連中いるんだ……」 「ああ、そうだな。――さて、」 「ちょっ、斗的師匠!? なに回り道しようとしてるんスか!?」 摩智は、ガッシリと斗的の肩をつかみ、引き止める。 「だって巻き込まれたら嫌だし。覚えてるだろ? オレのモットー」 「『激しい喜びも深い悲しみもない、植物のような人生』っスよね?」 「わかってるじゃねぇか。オレは夜も眠れないといったトラブルや、敵を作るのが大嫌いなんだよ。従って、ここはスルーする。以上」 先程まで摩智の心の中で大きくなっていった疑問が、あっという間に氷解した。というよりも、一瞬にして蒸発した。ここまで自分勝手なのは、この地球上において、自分の師匠たる斗的しかいない。 「で……でもっ! !ここで助けるのが、男ってやつでしょ!! そんなだから自己中心っていわれるんスよ!!」 「お前もいちいちうるせぇやつだな。てか、オレよりずぅっと自分勝手に生きてるやつがいるだろが」 刹那、 「おっはよー、二人とも! 今日も朝からアクセル全開?」 ほがらかな顔で手を振る蜜柑が、斗的と磨智の方に走ってきた。斗的は蜜柑を見た途端、眉間にしわを寄せる。 「よぉ、奇遇だな。たった今お前の話をしてたところだ」 「あっはっはー! いやぁ、あたしを取り合って痴話喧嘩ってか」 「どこの誰が?」 斗的は、冷たい視線をスコールのように蜜柑へと注ぐ。いつもと変わらぬやり取りを目の当たりにし、摩智は苦笑する。 「――てかさ、いいの?」 「あ?」 「道で絡まれてる小学生を見捨ててっ! そーいうのって、道徳に反するんじゃないっ?」 「――ちょッ!? おまっ……!!」 斗的が蜜柑の口を慌ててふさいだ時にはもう遅い。不良三人衆はしっかりとこちらをお睨みになっておられる。 「さっきからいちいちうるせぇんだよダボがッ!!!」 「ちょーどいい、てめぇらも金よこしやがれッ!!!」 「特別に3回払いにしてやるからよぉッ!!! 今なら洗剤も付いてきてお得だコラァッ!!!」 不良三人衆は文句を言いながら、次々と近づいてくる。 「うわぁ~、大変なことになっちゃったね~」 「ほざけっ、このトラブルメーカーが!! お前といると、いっつもロクでもないことが起きやがる!!」 「そういえばさ~、丁度洗剤ほしかったんだよねぇ。この前こぼしたバンバンジーの染みが中々取れなくて」 「それくらいスーパー行って買え!! そっちの方が確実に安いから!!」 「でもさぁ、こういう所で買った洗剤の方が、キレイサッパリ汚れが消えるとあたしは思うな!」 「キレイサッパリ消えるのはオレらの財布の中じゃあッ!!!」 そんな言い争いをしている間に、斗的達は、フルーツバスケットのように囲まれてしまう。こうなってしまっては、セレクト防衛隊(警察のようなもの)のいる派出所にも駆け込めない。どうする斗的? このまま素直に金を渡してしまうのか!? 絶体絶命の斗的は、ため息をひとつ吐くと、 「…………仕方ねぇ」 左腕を振り下ろす。 ――瞬間、 一陣の風が不良三人衆の頭を撫でる。 不良三人衆は何気なく自分の頭を触る。が、返ってくるのはツルツルとした感触だけ。 「「「――ッ?!」」」 刈り上げられ、毛が一本もない地肌の感触だけ。足元には、もっさりとした髪の山が形成されている。 「ぐわァアアアアアアアアッッ!!! おっ、お助けェエエエエエエッッ!!!」 「ママァッ!!! ママァアアアアアアアアッ!!!」 会心の一撃。不良は逃げ出した。斗的は60の疲労感を得た。 「ご苦労さん、ガマン」 斗的は、電柱の陰に隠れている1mくらいのロボットに声をかける。ロボットは、西洋甲冑のような装甲に覆われており、右手に馬のデザインが描かれた盾、左手に光をまとった日本刀を持っている。 西洋騎士型メダロット「ナイトアーマー」だ。あだ名は、ガードマンを略して「ガマン」。ジジくさい喋り方をするやつで、斗的のいる場所ならどこでも駆けつける。 「なぁに、ワシは斗的坊ちゃんに降りかかる火の粉をはらうのが目的じゃからな! 坊ちゃんのためなら、たとえ火の中水の中草の中森の中」 「やめろ。ポケモンはメダロットの敵だ」 「いや、同じゲーム同士歩み合おうよッ!!」 「いやぁ、しかし斗的は相変わらず強いねぇ♪ 助かったよ!」 蜜柑は向日葵のように満面の笑みを浮かべながら、斗的の背中をバシッと叩く。 「ぉわっっ?!!」 斗的は不良を撃退できたことで油断していた。その油断が、帽子を押さえるという行為を忘れさせていたのだろう。 紺色の帽子はくるくると放物線を描き、ポスッと地面に落下する。と同時に、帽子の中に収納されていた「あるもの」が、堰を切ったかのように飛び出す。 ――斗的の背中まである、シルクのように透き通った銀髪が。 …………数秒間、世界が完全に凍りついた。磨智は目を見開いたまま、蜜柑は笑顔のまま、ガマンはギックリ腰になって地面を転がっていたまま。 銀髪の少女は、そそくさ帽子を拾うと、目が見えないほどに深くかぶり直す。 やっと口を動かせるようになった磨智は、銀髪の少女に疑問を投げかける。 「…………師匠……っス、よね?」 「…………」 少女はうつむいたまま、こっくりと頷いた。
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「キャリパー」 固着していて移動のたびにいい汗をかかせてくれたキャリパーから行ってみます 垂直方向にネジ留めされたフェンダーというのもはじめて見ましたが まずは第一関門通過 キャリパーの本体を分解した状態がこれです キッタネー!! 堅く締まった連結ボルトをどうやって外したかと言うと・・・キャリパーを左右逆付けしてボルト頭を外向けにしてからメガネレンチで緩めました(手で持ったままではムリですわ) バンジョーボルトを外すたびに漏れ出るオイルは 意外なほどにサラサラで異物交じりの無いグッドな状態でした こりゃあピストン以外は無理に全バラせずクリーナーとエア吹きする程度でいけるかも知れません さぁて、と いよいよキャリパーのオーバーホールに突入します キャリパー2 リケンの2段締めシールです(笑) 物凄いチ○カスです 不潔は嫌われますからしっかり掃除しましょう 本来なら当然手前のワイパーシールとも取り替えですが なにしろ先立つものが無いので よーく清掃してとりあえずもう一度お仕事してもらうことにします シールはキャブクリなどの刺激の強い物に触れると 面白いように膨張してもとの溝には絶対に戻らなくなります 灯油や中性洗剤などでそーっと拭き吹きして カス取りの終わった溝へ戻します (ここで豆知識) もしシールやOリングなんかの耐油ゴムパーツがビロンビロンに伸びてしまったら 冷凍庫に10分ほど入れておくと結構元に戻ります ・・・と調子の良いことを言っていましたが やはりピストンの動きがシブイです いろいろと検索して調べたら ハードに攻められたパッドの熱はフルードをも変色させるほど凄まじいもので 当然シールゴムも熱で膨張します ピストンがキツくなったら どんなに揉み出ししても本来の状態には戻らないことが判りました やはりやる以上は楽しく安全に走りたいので ゴム系の消耗品はすべて新品に交換することにしました 入荷は連休後なのでそれまでキャリパーの塗装でもしておきます パッド 多分ノーマルのパッドです 染み込んだ油脂を強い溶剤を含む業務用のラッカーシンナーでしっかり脱脂します 見た感じは使えそうですが 峠とかでハードに摺動したら加熱されて再び油脂が出てくるかもしれません ブレーキは命にかかわるものなのでテストランに限定使用ってことで いずれは新品に交換します 岡部のガンマ4へつづく 岡部のガンマ1へ戻る 岡部のガンマ2へ戻る - To be continued -
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ママンネの身体が宙を飛び、壁に叩きつけられる 「ミッ…!ァガ…ッ!?」 目の前の人間に攻撃しようとしたら、次の瞬間何故か自分が倒れている 一体何をされたのか理解できず、困惑しながら呻く 勘の良い人は気づいていると思うが、ママンネは俺に突進仕掛けようとした瞬間 一足早く動いていたルカリオのインファイトを受け、そして吹き飛ばされた 「ミィ…ギギ…」 タイプ一致効果抜群の攻撃を受けたのだ、もはやママンネは瀕死状態となり動くことすらできないだろう 今ではもう叫ぶことすら無くなり、ただ小さな声で泣きながら短い手を伸ばしているだけだ 「ミギッ…!ハーッ…ハーッ…!」 一方のチビンネBに視線を向けると、こちらももはや息も絶え絶えで小さく痙攣している 涙で顔はクシャクシャでもはや舌にすら力が入らないのかベロンと垂らしている状態だ どれ、そろそろ引導を渡してやるか そう思ってBの近くに歩み寄ろうとする、だが… 「ミッ!」「ミィミィ!」「ミギィーッ!」 突然三匹のチビンネ達が俺とBの間に割り込み、立ちはだかった 正確には身体の大きさが違いすぎて障害にすらなっていないが… 俺が立ち止まっていると、チビンネ達は思い思いの方法でBを助けようとしている 震えながらも手を大の字に広げてとおせんぼうをしている(つもり)の者や Bを逃がそうと助け起こそうとしている先程Aと名付けたチビンネ そして俺に向かって可愛らしい声で必死に威嚇しているやつもいる 「ミィミィ…ミィィィ」 ママンネもそれを見て何かをチビンネに向かって鳴いている それが頑張って!と励ましている内容なのか、逃げて!という内容なのかはわからない もっとも前者ならお花畑思考にも程があるが さすがにこんな茶番を見てたらイライラしてきたのた、さっさとBにトドメを刺してやろう とおせんぼうチビンネと威嚇チビンネを素通りしてBに近づこうと再び歩み出す俺 「ミッ!」「ミィ!」 するととおせんぼうチビンネ(これよりC)と威嚇チビンネ(これよりD)がヒシッと俺の足にしがみついてきた 「ミィーッ!ミィーッ!」「ミッミィ!」 そしてAとBに向かって早く逃げて言わんばかりに鳴き始める それを聞いてAはBの肩を抱えてヨロヨロとコータスもビックリの鈍足で俺から離れようと歩き出す どうやらこの2匹が俺をくい止めている間にBを逃がそうという作戦らしい こいつらが大人のタブンネなら多少効果的な作戦だったかもしれないが… 先程も言った通り俺にはとっとはただの茶番にしか見えない むしろチビンネ達の必死で真剣な表情のせいで笑いがこみ上げてくるぐらいだ しかしチビンネ達にBを助けようとする意志があるのがわかったのは収穫だった 自分達が必死になって助けようとしているBの命をその目の前で絶てば きっと俺が期待してる以上の絶望の表情を見せてくれるだろう 俺はその場から動かずぬぅっと手を伸ばすと、Bの肩を抱えたAからBの身体をひったくる 「ミィィィッ!?ミィ!ミィ!」 兄弟の助けで少しでも逃げられるかもしれないという希望を持っていたBは 再び捕らえられたことで今度こそ命を奪われるかもしれないという恐怖に またしても助けを求めるかのように泣き出した 「ミィ…!ピギャア!?」「ミギッ…!」 俺がBを捕まえたことで足に取り付いていたチビ2匹がBを取り戻そうと動く しがみついていた足に突進しようとするが、その前に俺の放った蹴りを受けて吹き飛んだ 「ルカリオ、そいつらを連れてきてくれ」 俺は倒れているママンネとチビンネC、Dをルカリオに任せて 俺自身は右手に掴んでいるBに加えて震えているAも左手掴み、それぞれ両手に掴んで部屋を出た ミィミィ鳴きながらバタバタと暴れているAとBを連れて向かったのは我が家のキッチン ルカリオが後からついてきているのを確認し、一緒にキッチンに入る 冷蔵庫、コンロ、食器などは全て新品でピカピカ…のはずなのだが 現在両手に捕まえている侵入者達に蹂躙されたことで何処か薄汚れて見えてしまう そんなイメージを払うためにもキッチリと一匹残らず断罪してやろうと改めて俺は思った とりあえずAは床に放り投げて再び解放してやる、当然Bは掴んだままだ 心配そうにBを見上げ、次いで俺を見ると、ミィミィとまたあの媚びるような声で鳴き始めた 「そんな風に鳴いたってダメだぞ、お前らは一匹残らず家を荒らした報いを受けるんだ」 そう言ってやるとAは下を向いて黙ってしまった 一方のBはというと… 「ミィィィィィ!ミギィィィィ!!」 またしても何やら叫んでいるが何か違和感を感じた、どうもどこか様子が違う 「ミィィ!ミギィ!ミッミィ!ミ"ィ"ーッ!!」 喚くようなBの鳴き声がキッチンに絶え間なく響く、やっぱりBの様子が変だ 先程までの泣き叫ぶような声とは違い、まるで何かに怒っているような激しい鳴き声に聞こえる 一体Bは何を言っているんだ?早速俺はエーフィにBの声を通訳してもらうとした ”なんでこいつはたすけてくれてぼくはこんなひどいめにあうの?ずるいよ!ぼくもたすけてよ!” なるほど…そういえばさっきからAを掴んだりはしても、結局Aにはなんの危害も加えていないな それを見てBはAが依怙贔屓されてると思ってるのか、何で自分ばっかり…と ある意味子供らしい思考だが…この状況でそんなこと考えるか普通… 「ミ…ミィィ…」 Aが申し訳なさと困惑の混じった声で鳴いている、こいつも戸惑っているようだ 当然か、なにせ間接的にしろ兄弟に卑怯呼ばわりされたんだしな… 「ミィーッ!ミギャーッ!ミッミィ!」 しかしそんなAにもお構いなしと叫び続けているB、なんなんだコイツは…いい加減ウンザリしてきたぞ この期に及んで自分勝手なこのクソガキを絶望の底に叩き落とせないものか…そうだ! 「そうだな~…こいつ(A)のほうがお前より体も小さくて可愛いしな~」 「ミッ!?」 鳴き喚くBにそう言い放ってやると、驚くような声を上げてBはピタリと黙ってしまった すかさず俺はBを壁に向けて思いっ切り投げつけてやる 「ミギュッ!ミ…ミィーッ!!…ミッ!?」 壁に強く叩き付けられ、再び鳴き始めるB…だが次の瞬間Bは大きく目を見開いた なぜならAが俺に抱き上げられ、優しくその頭を撫でられていたのだから 「ミッ…ミミィ?」 「ミ…ミ…」 困惑した顔でAを見上げるBと否定するかのようにフルフルと顔を振っているA そんな2匹を見ながら俺は用意していた次の言葉を言い放った 「おいお前、どうしてお前がこんな風に虐められてるかわかるか? それはな…お前よりこいつのほうが可愛かったからだ、もしお前の方が可愛かったら そんな酷い目には遭わなかっただろうになぁ?」 「ミッ…ミッ…」 プルプルと震えながらこちらを見上げているB 涙を流しながらまるで「そんなの嘘だよね?」とでも言いたげな顔をしながら 「じゃあね、醜い子タブンネちゃん」 「ミィィィィィィ!!ミギャアアアアアアア!!!」 俺の言葉を聞いて逃げ出そうとするB、だが素早く伸びた俺の手に尻尾を捕まえられてしまう そのままキッチンに備え付けてあるオーブンに放り込んでやる 「ミビャアアアアアア!!!ミィーッ!ミィミィ!!」 すかさずオーブンの扉を閉めてやると、内側からBが泣き叫びながらバンバンと扉を叩いていた それを見てAがBを助け出そうとオーブンの扉に手をかけて開けようとしているものの 強力なマグネットで簡単に開かないようにしている扉を非力な子タブンネに開けられるはずがない やがて途方に暮れて中にいるBに向かってミィミィと例の声で鳴き始めるA さて…後はオーブンのスイッチを入れればBの処刑は完りょ… 「ミィィィィィィィィ!!!」 すると突然背後からタブンネの鳴き声が聞こえた、そうか忘れてた 「ミギィィィ!!ミ"ーッ!ミ"ーッ!」 ママンネが必死にこっちに手を伸ばしながら叫んでいた しかしルカリオに背中を踏みつけられ、ベタッと床に這いつくばって身動きが取れずにいる ついでにCとDは首根っこを掴まれ苦しそうにジタバタしている 折角だからママンネにもBの処刑を見せてあげよう ルカリオにママンネを解放してやるように指示を出す するとルカリオは押さえつけていた足を退け、ママンネを解放してやる 身動きが取れるやいなや、脱兎のごとき勢いでオーブンに向かって走り出すママンネ 「ミィィィィ!ミッ!ミィ!」 「ミィ!ミッミィ!」 オーブンの中のBに向かって嬉しそうに鳴くママンネ、それに応えるようにBも鳴く しかし当然だが感動の対面なんてこいつらさせてやるわけがない、すかさずオーブンのスイッチを入れてやる 「ミッ…ミィ?」 オーブンの内部が赤く光り始め、Bもママンネも不思議そうに鳴き始める そうしている内にオーブンの中の温度はドンドン上昇していく 「ミィィィ!!!ミギャアアアアア!!」 Bがそれを感じたのか、悲鳴をあげながら顔色を変えて再び扉をドンドンと叩き出す 「ミィィ!?ミィ!ミィミィ!」 ママンネもBの危機を感じたのか、Bを助け出そうとオーブンの扉の取っ手に手をかけた、そこにすかさずローキック! 「ミギャッ!?ミッ…ミィィィィィ!!!」 腹部を蹴られて怯んだママンネを後ろから羽交い締めにし 手出しできないようにしながらオーブンの内部を見せつけてるようにしてやる 「ミギャアアアアアアアアア!!!!ビャアアアアアアアアアア!!!!」 温度が上昇していくオーブンの中で涙で顔をクシャクシャにし 絶望に顔を歪めながらも以前として扉を叩き続けているB 「ギャッ!?ピギャアアアアアアアアア!!!!?」 だがそうしている内に高すぎるオーブン内の温度によって、いよいよBの耳が焦げ始めた 焼け焦げていく耳に続いて腕に足とドンドン焦げていき、その部分を広げていく 既にその悲鳴にタブンネのあの媚びた声の面影は少しも感じられない 「ミィィィィィィ!!!ミビャアアアアアアア!!!」 少しずつ体を焦がされていく我が子の姿を見てママンネが泣き出した だが泣き叫んだところでBの運命は変わらない 「ミ…ビィ…」 気がつけば身体中を焦がされ、口内の唾液から眼球の水分に至るまで全て蒸発し さながら灼熱地獄のようなオーブンの中でBが力無く動いている 「………」 そして、とうとうその僅かな動きすらも無くなり、悲鳴も聞こえなくなった 食材の調理が終了したためオーブンが止まる、赤い光が消え、温度は少しずつ下がっていく やがて中には全身を黒く焼き尽くされたBの亡骸だけが残った 「ふぅ…」 Bの処刑を終えた俺はソファに座って一息ついた なにせタブンネとはいえ命を奪っていることには変わりはないのだ、それなりに神経を使う 正直ただの空き巣にここまでする必要も無かったんじゃないかとも思っている (これからどうすっかな~…) そう俺は迷い始めていた、パパンネ、ベビンネ、そしてチビンネBの命を奪ったことで満たされてしまったのか 今では空き巣タブンネ達に対する恨みの念が薄れてしまっている ママンネとチビンネ達はあれから今もキッチンでBの黒焦げの遺体を囲んで泣いている 若干その姿に哀れみまで感じてしまった俺はこんなことまで考えた (もう、逃がしてやろうか) タブンネ達に対する恨みが晴れたなら、これ以上痛めつけるのは無意味とも言える 勿論このまま逃がしてやるというのも癪ではあるのだが… 「とりあえずアイツらの様子でも見てみるか…」 そう言ってソファーから立ち上がると、俺はタブンネ達の所に向かった 「ミィ~ン…ミヒヒィ~ン…」 「ミィー…!ミィーン…!」 Bの亡骸を抱きしめてママンネが涙を流して泣いている チビンネ達も同様だ、Aに至っては自分の触覚を引きちぎろうとしているかのような動きをしている 恐らく俺の先程の言葉を気にしているのだろう、それでトレードマークである触覚を千切ろうとしていると… 「ミッ…!?ミミィ!」 タブンネ達の元まで歩いていくと、ママンネが俺の姿に気付いたようだ 少し震えるような声を上げてチビンネ達を自分の後ろに隠した後、手を大の字にして俺の前に立ちはだかった 「ミィーッ!!ミギィーッ!!」 こちらを睨みながら威嚇の声を上げているママンネ (…ん?) 俺は歩を止めて立ち止まりながらもママンネの態度にちょっとした違和感を覚えた それを確かめるために再びママンネ達に近付こうと歩を進める 「ミギィーッ!ミッミィーッ!」 ママンネがさらに激しく鳴き始めた あれ…コイツ…なんでこんなに反抗的なんだ…? (ああ…そうか…) 俺は違和感の正体を理解した、ママンネの態度が余りにもデカすぎるのだ そもそも始めに俺の家で空き巣を働いたのはコイツらのはずなのに、ちっとも悪びれる様子が無い それどころか今もこうして俺に対して怒りを剥き出しにして威嚇している まるで何故自分達があのような仕打ちを受けたのかわかっていないかのように 「ミフーッ!ミガーッ!ミギィ!ミィ!」 なおも威嚇を続けるママンネ、やはりその姿に反省というものは感じられない 「……」 俺の中でまた段々とタブンネに対する憎しみが湧き上がってきた 俺達の家で空き巣を働いたのは誰だ?食料を食い荒らし、我が物顔でベッドを占領していたのはどこのどいつだ? 泣きながら俺に許しを乞うのならともかく威嚇するとは何事だ? (もう許さん…コイツら…) 「ミィーッ!!ミッ…ミギッ!?」 気が付いたら俺はママンネの顔を殴りつけていた、顔面に拳を受けてママンネがよろめく 続けて間髪入れずにヤクザキックを繰り出してママンネの身体を蹴り倒す 「ミッ…ミィーッ!!」 再生力によりルカリオから受けたインファイトのダメージは回復しているらしい 追撃を加えずにいるとすぐにママンネは起き上がってきた そして怒りの声を上げ、こちらに突進を仕掛けてくる あえて追撃を加えず距離を取っていたため、ママンネの突進を難なく避わす しかしキッチンは狭くてアイツが暴れにくいな…場所を変えるか… 「こいよ」 手でママンネを挑発しながら居間に向かって走る、といってもキッチンと居間は繋がってるんだけどね ともかく居間の広い空間に出ると、背後を振り返りママンネを見据える 「ミッミィ!ミィーッ!」 ママンネはしっかりと挑発に乗せられてついてきてくれたようだ こちらに対して怒っているようだがその鳴き声からはどこか余裕のようなものも感じられる 恐らく人間が相手なら自分の方が強いとでも思ってるんだろう 残念だったな お前の相手は俺じゃない 「いけっ!カイリュー!!」 俺は腰のボールに手をかけ、相棒の一匹を解き放った 「ミッ!?」 ボールからカイリューが現れ、ドスンと音を立てて床に降り立つ そしてすぐにママンネの姿を確認し、目つきを鋭くしてママンネを睨みつけるカイリュー 「ミッ…ミィィィ…」 圧倒的な力を持つドラゴンポケモンの威圧感を受け、既にママンネは先程までの勢いを失っている それを見たカイリューがママンネとの距離を一歩ずつ詰め始めた ドスン!ドスン!とプレッシャーを与えるようにゆっくりとママンネに歩み寄っていく 「ミッ…ミッ…」 するとママンネもカイリューから逃げるよう後ずさりを始めた だがママンネには後退は許されない、なぜなら… 「ミィィ…」「ミィミィ…」 ママンネの後方でキッチンからついてきたチビンネ達が怯えるような弱々しい声で鳴いている 自分達を護ってくれるはずのママンネの姿を見て不安になっているのだろう 「ミッ…ミィィ…ミィ!」 そんな子供達の姿を見てハッとしたような表情になるママンネ 自分が相手の威圧感に押されていては子供達に不安を与えてしまうと思ったのだろう まるで勇気を身体中から振り絞るように唸った後、キッ!とカイリューを睨み返した あくまでもこちらに反抗する気のママンネの姿を見て、俺はフッと笑う いいだろう、これから先どんなにお前がどんなに惨めな姿になろうとも 俺はもうお前を許すつもりはなくなった 「カイリュー、ドラゴンクローだ」 俺の命令を受けてカイリューがママンネに攻撃を繰り出した 鋭い爪を光らせながら腕を振りかぶり、そしてママンネに向けて振り下ろす 「ミィィ!」 悲鳴を上げながらママンネは間一髪それを避けた、だが甘い 「今だカイリュー!チビ共を捕まえろ!」 ママンネが避けたことでカイリューとチビンネ達の間を遮るものは無くなっている コクンと頷いてチビンネ達に近づいていくカイリュー 「ミィィィ!!」「ミャアアアア!!」「ミィミィ!」 カイリューがこちらを捕まえにくると知り、チビンネ達は逃げようとする だがママンネが後退したことで既にチビンネ達の背後には壁が迫っており、追い詰められてしまう 近づいてくるカイリューに恐怖し、助けを求めて鳴いているチビンネ達 「ミギィィィィィ!!」 子供達に手は出させまいと、ママンネがカイリューに向かって突進する 「ミギャア!?ミギッ!ミィィ…」 だがカイリューが尻尾を一振りしただけで、呆気なくママンネは吹き飛ばされた 壁に叩きつけられ、呻くように鳴きながらも床にずり落ちる 邪魔者を排除して再びチビンネ達に向き直るカイリュー 「ミィィィィィ!!」「ミッ…ミーーーッ!!」 ママンネがカイリューにやられるとチビンネ達はより一層恐怖に駆られたように鳴き出した カイリューは意にも介さずチビ共に向かって手を伸ばし、掴み上げる するとチビンネ達はパニックになってガタガタと震えたり、漏らしたりしている それにちょっと不快そうにしているカイリュー、ごめんな…こんなことさせて 「ミッ…ミィィィィィィ!!」 一方それを見たママンネが悲鳴を上げている、子供達が捕まってしまったのだから当然か だがどうやら先程の一撃だけで動けなくなってしまったらしい 必死に子供達に向かって鳴いているが、身体は弱々しく動かすだけだ そんなママンネの傍まで俺が近づいていくと、ママンネは俺の足にすがりついてきた 「ミィ!ミィミィ!ミィ~ン…」 ズボンの裾を引っ張りながら媚びるような声で鳴いてくるママンネ どうやらやっと力の違いがわかったらしい、俺に頼んで子供達を返してもらおうというわけだ 俺はママンネの手を振り払い、全体重をかけてその手を思いっ切り踏みつけた! 「ミギャアアアアアアアアア!!!?」 グチャッ!という音と共にママンネの手が潰れる 痛みのあまりママンネの特大の悲鳴が上がった 「今更遅いんだよクソ豚が!!どうした!?俺が憎いんだろ!? だからさっきまであんなに怒ってたんだよな!?なのにちょっと力の差を示してやったらこれか!? 人を舐めるのも大概にしろ!!」 ママンネの身体をこれでもかというほど蹴りつけてやる 「ミギャッ!!ミゲェ!!ミギィ!!ミブゥエ!!ミィィィ!!」 「ミィィィィィィ!!」「ミッミィィィィ!!」「ミーーーッ!!」 ママンネのリズミカルな声とチビンネ達の悲痛な叫びが重なる 気の済むまでママンネを蹴り続けると、ミィィ…とママンネは弱々しく呻いていた 「カイリュー」 チビンネ達を捕まえていたカイリューを近くまで呼び、チビンネを一体受け取る 「ミッ…ミィミィ」 俺の手の中で恐怖に震えながら鳴いているチビンネ、こいつは…確かAか 俺はチビンネAを放してやり、ママンネの元へ向かわせてやる Aはキョトン、と不思議そうな顔でこちらを見てきたが、すぐにママンネの元へ走り出した 「ミィ!」 「ミィ~!」 それを見たママンネは安心したように鳴いてAに向かって潰れた手を伸ばした Aもママンネの顔の前まで行くと、嬉しそうに鳴きながら手を伸ばす 二匹の伸ばした手が重なろうとした瞬間 カイリューのドラゴンクローがAの身体を貫いた…! 「ミッ…?」 貫かれたAの身体から鮮血が迸り、ママンネの顔を赤く染める カイリューが引き抜くとAはバタリと倒れ、痙攣し始めた ママンネは突然のことで状況が理解できず、わけがわからないという顔をしている 「ミ…ギ…ギィ…」 既に感覚が失われているのか、Aが痛みに泣き叫ぶようなことはなかった 二、三回苦しそうに呻き、その後息絶えて動かなくなる Aの死に顔には恐怖も苦しみもなく、ただ驚愕の表情のみが刻みつけられていた 「ミッ…!?ミィィィィィ!!?ミ"ィーッ!?ミ"ィーーッ!!」 ようやくママンネが状況を理解したのか、急いで既に骸と化したAを抱き起こす Aの身体を揺すったり、呼びかけたりしているがAがそれに応えることはもう無い 「ミッ…ウギャアアアアアァァァァァ!!!ゥバアアアアアアアア!!!!」 やがてAが死んでしまったことを理解してしまったママンネが、悲痛な叫び声を上げる そしてAの身体に顔をうずめ、シクシク泣き出した 「ミヒィィ…!」「ミッミェ~ン…」 残るチビンネC、Dも兄弟の死を理解して涙を流し始めた 目に手を当てて泣きじゃくり、ただAの死を悲しんでいる 呑気なものだ、その兄弟を殺した張本人が目の前にいるというのに 危機感というものがこいつらには可哀想なぐらい欠如しているらしい だからこそ今こうして酷い目に合っているのだが この哀れなタブンネ達にそれを教えてやるか そうして俺は次の行動を起こした まずはカイリューをボールに戻す、ご苦労さんカイリュー…そして 「出てこい!ゾロアーク!」 ゾロアークの入ったボールを手に取り、解き放つ 「ミヒッ…!」 ママンネがゾロアークの姿を見て恐怖に顔を染めた なにしろゾロアークは愛する夫を殺したポケモンなのだから チビンネ達もそれを思い出したのか、ガクガクと震えだした ゾロアークはそんなタブンネ達を見て嬉しそうに笑うと ママンネから強引にAの身体をひったくった 「ミィーッ!!ミィーッ!!」 それに対してママンネがゾロアークに抗議する だがそんなママンネのことなど意に介さないゾロアーク そしてママンネ達に見せつけるようにAの身体を一瞬で噛み砕いた! 「ミヒャア!?ミッ…ミィィィィ!!ミギャアアアアアァァァァァ……!!!」 鋭い牙に砕かれ、見るも無惨な姿になったAの亡骸はママンネの前にペッと吐き出かれた 血まみれでボロボロになったAの姿、そして次はこちらを見て舌なめずりしているゾロアーク それらを見たママンネは悲鳴を上げながら居間を飛び出し、姿を消してしまった 次に殺されるのは自分だと思ったのだろう この家の出入り口はエーフィのエスパーの力で封鎖され、外に逃げることはできない つまりママンネに完全に逃げられることはない…それよりもだ! 「ミヒィィィィ…」「ミキャァァァ…」 取り残されたチビンネ達に向き直るとチビンネ達は再度震え出した そう、ママンネはチビンネ達を置いて逃げていってしまったのだ 自分のことを考えるのに精一杯で忘れていたのか、はたまた囮のつもりか どちらにしても母親失格ですな 『ポッポー!ポッポー!』 こいつらをどうしてやろうと考えていたら、ポッポ時計が鳴き出し、午後2時を知らせた 朝から虐待を始めたので大分時間が経っている、夢中になって時間を忘れてしまっていたらしい とりあえず昼飯にしよう、いいアイデアも浮かばないしな それまでこのチビンネ2匹はケージにでも入れておこう ママンネがこの後どう動くかも気になるしね ・ ・ ・ 「よいしょっ…と…」 物置部屋からケージを引っ張り出し、組み立てる。ついでに『あるもの』も持ってきた 「ミィィ…」「ミッ…ミ…」 チビンネ2匹は居間の隅っこでおびえながらこちらを見ていた ケージを組み立てを終え、俺は2匹の元へと歩いていく 「ミッミィ!」「ミフーッ!」 すると片方のチビンネが威嚇してきた、しかしチビンネ達を見ると目に涙を浮かべて身体は震えている 怒りではなく恐怖による威嚇だろう、それぐらいは寛容な心で受けて入れてやろう だが自分達の粗相は自分で片づけないとな 「ミキャッ!?」 俺はCと名付けた方のチビンネを掴み、物置から持ってきた『あるもの』を取り出した 居間はチビンネやママンネの血や排泄物で汚れてしまっている(これに気づいた時、俺はシートを敷いておくべきだったと後悔した) まずはこれらを綺麗にしなければならないのだが…意外と汚れは酷く少し骨が折れそうなのだ そこで登場するのがこのアイテム…! 「てれれってれー!ミィミィクリーナー~!」 俺は某猫型ロボットのような声で『あるもの』を掲げた、それは特殊な洗剤の入った容器だった タブンネが痛みや苦しみを受けた時にミィドレナリンという物質を分泌するは有名な話だ だがこのミィドレナリンというのは食す際の味が良くなるという効能だけでは無い このミィミィクリーナーはタブンネが分泌した汗に含まれたミィドレナリンとなんやかんやで反応を起こし どんな頑固な汚れも一瞬で落とす洗剤になるという凄い洗剤なのだ 使用方法はタブンネを雑巾代わりに洗剤を付けて拭き取るだけ、早速俺はCの身体につけてみることにする 「ミィー!ミィミ!ミキャア!」 首根っこを掴まれてジタバタ暴れているC、こちらを精一杯睨んでる顔がうざったいのでまず顔面に洗剤を吹きかけてやる 「ミッヒャァァァァァッ!!!」 目にとてつなく滲みたのか、顔を押さえてより激しく暴れ出した。俺は構わず次にCの身体全体に洗剤を吹きかける まずはこいつが漏らした排泄物からだ、俺は汚れの近くにかがみ、Cをそれに押しつけて拭き始めた 「ミ"ィ"ーーーーッ!ミ"ビィィィィィッ!!!」 顔面を押しつけてゴシゴシと拭いてやると、Cの濁った鳴き声が居間に響く 手足をジタバタさせて逃れようとするが抜け出せるわけがない 「ミッ…ミブゥエッ!!」 Cが嗚咽のような声を出すと、床に押しつけたCの顔面辺りからゲ○のようなものが広がり出した 「折角掃除してるのに汚すなんていけない子だ」 俺はCに洗剤を付け直すと、より一層強くCを床に押しつけて拭き始めた もはや汚物に溺れたCからはゴボゴボという音しか聞こえなくなったが 手足は微妙に動いているので死んではいないだろう Cの漏らしたモノ+αを拭き取り終えたので、次はAの流した血を拭き始めた 血溜まりに押しつけてもCは抵抗することなく「ミ…ミ…」と僅かに鳴いてるだけとなっている やがてAの血溜まりを拭き終え、あのピンクの毛皮や自慢の尻尾が汚れで見るも無惨な姿にCを持ち上げる 弱々しく動き、屈辱や悲しみで涙に濡れてクシャクシャなCの顔、そして綺麗になった床を見て満足そうに頷いていると 突然背後からドンッと小さい何かがぶつかってきた 「ミ…ミィーーッ!ミッミィ!ミフーッ!」 たいした衝撃も無く後ろを振り向いてみると、Dが威嚇するように鳴きながらこちらを睨みつけていた 唯一残った兄弟が酷い目に合わされてるのを見て、助けようとしてるのだろう 「ミッミッミィ!ミギィー!」 Cを指差してまたしてもなにやら鳴いている、兄弟を放せ!ってところかな 俺は酷く汚れたCの姿をDに見せつけてやった 「ミヒャア!?ミッ…ミガァーッ!」 Cのあまりの姿に驚いて尻餅をつくD だがすぐに立ち上がると兄弟を傷つけられた怒りか、こちらに体当たりを仕掛けてきた だが小さな子タブンネの体当たりだスピードもパワーもたいしたことはない 「ミギャア!!」 Cを握ってない方の手で体当たりしてくるDに合わせてカウンターを入れる Dは悲鳴を上げながら鼻血を出して吹っ飛んでいった 俺はそこら辺の床にCを放り捨て、吹っ飛んだDに向かう 「ミィィ…ミッ…ミィーーッ!!」 吹っ飛ばされたDは痛そうに顔を押さえながら立ち上がるが 俺が近寄ってくるのを見ると今度はおびえたように鳴きだした そんなDを掴み、今度はDにミィミィクリーナーの洗剤を付ける そしてまだ綺麗になってない汚れに押しつけて拭く! 「ピビィィィィィィィ!!!ミビャァァァァァ!!!」 Cに比べて随分と壮絶な悲鳴が上がった、心なしか汚れが取れるのも早い気がする 「フィィ…」 部分一帯を拭き終えDを持ち上げると、弱った声で鳴くD だが情けなどかけない、俺は次の汚れの近くまで歩くと容赦無くDをそれに押しつける 「ミビャィィィィィィィィ!!!」 まだ叫ぶ元気はあるようだ、ならもっと酷使しても大丈夫そうだな 俺はDを使ってより一層激しく拭き出した 「ビャアァァァァァァァ!!!」 それと同時にDの悲鳴も大きくなる、こりゃ面白い やがて居間全体の汚れが綺麗になるころにはDは息も絶え絶えで力無くぐったりとしていた しかし、CもDも雑巾代わりに使われたことで異臭を放っている 部屋は綺麗になったものの、こんなものがいては臭くてたまらない 俺はDに加えて死んだように動かないCもひっつかみ、風呂場へと向かった 続く 空き巣タブンネ一家 2日目その3
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【名前】哀野 雪菜(あいの せつな) 【性別】女 【年齢】17 【職業】学生 【外見】黒髪ショートヘア。ところどころ手足に包帯。 【性格】温和かつ天然。有事には行動力がある。 【異能】 『傷跡(きずあと)』 雪菜の体液は、腐食性の酸と同等の性質を有する。この体液が自身に悪影響を及ぼすことはない。血液が最も腐食性が高く、鉄を溶かすことすらも可能である。 【詳細】 放任的な浮気性の父親と、感情的で暴力的な母親の下に産まれた。全身に虐待の痕を刻み込み、洗剤の味すら覚えてしまった。死にたいと願ったことは数え切れないが、そんな日々の中でも楽しみはある。親友の愛原 叶和との交流はそのひとつだった。出席番号が近くて席が隣だったのと、同じ演劇部に所属しており共通の話題もあったので、自ずと親友と呼べる仲になっていた。 ある日、叶和に不治の病が見つかった。そのことを伝えられた時、頭が真っ白になって、どう声をかけたのか覚えていない。だけど、気が付けば叶和が声を荒らげていたことだけは覚えている。そして次の日、叶和の病院を訪ねると、叶和は余生を田舎で過ごすために退院していた。 その後、まともにお小遣いも貰っていないいち高校生に可能な限りの情報網を駆使すること約一ヶ月、ついに叶和の住んでいる山折村を突き止める。会ってどうしたいのか、何を言いたいのかも定まっていない。だけど、このまま終わるのは嫌だと、その一心で山折村を訪れた。 + 執筆用人称情報 一人称 私 To 父親 お父さん 母親 お母さん 愛原 叶和 叶和 あなた あの娘 スヴィア・リーデンベルグ 先生 あなた スヴィア先生 天原 創 あなた 天原さん 乃木平 天 あなた 日野 珠 珠さん 虎尾 茶子 貴女 虎尾さん アルシェル 魔王ヤマオリ・テスカトリポカ From 母親 あんた ママ 雪菜 愛原 叶和 雪菜 アンタ あの子 あなた 斉藤 拓臣 君 天原 創 お前 哀野さん スヴィア・リーデンベルグ キミ 哀野くん 乃木平 天 哀野さん 碓氷 誠吾 哀野さん 烏宿 ひなた 哀野さん キミ 天宝寺 アニカ Ms.セツナ セツナ 犬山 うさぎ 雪菜さん 犬山 はすみ 雪菜さん 虎尾 茶子 お前 雪菜ちゃん リン ほうたいのおねえちゃん
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プロローグ(物部ミケ) ●物部ミケプロローグ 「モーさーん、グッドモーニング!」 「はい、グッドモーニング」 「モーさーん、グッドモーニング!行ってきまーす」 「はいはい、行ってらっしゃい」 「モーさん、グッドモーニング!今日も輝いてるね!」 「はいはい、口ばっかり達者なんだから」 聖ソレイユシャングリラ学園へと登校する生徒達を見送りながら、モーニングスター三郎は玄関先で愛用のモーニングスターを磨いていた。 彼の自宅の前は聖ソレイユシャングリラ学園の通学路となっており、朝夕には登下校する生徒達が行き交っている。モーニングスターの手入れをしながら生徒たちを見送るのがモーニングスター三郎の20年来の習慣であった。 学生達からモーニングスター三郎に対する対応は千差万別だ。 初日から臆さずに挨拶する者、最初は警戒していたものの時が経つに連れて打ち解け挨拶をしてくれるようになる者、中には彼にモーニングスターを触らせるよう頼んでくる剛毅な者も居たりする。 色々な生徒が居るが、時間をかければほとんどの生徒と打ち解けられるのが彼の自慢だった。 最初は距離を置いていた生徒でも、一年も経つ頃には挨拶を返してくれるようになる。その過程が微笑ましくも楽しく、彼は20年も飽きずにここでモーニングスターを磨きながら生徒たちを見守っているのだ。 だが……どんなことにも、例外はある。 モーニングスターを磨く彼の前を、また1人、新たな生徒が通りがかった。 「おっと、おはようさん」 モーニングスター三郎はその生徒に声をかけた。だが、彼女は一瞥すら返さない。 女生徒は長い銀髪を朝日に輝かせ、脇目もふらず堂々と歩いている。どこか近寄り難い威圧感のにじみ出るその姿は、制服を着て通学カバンと革製の竹刀袋を持っていなければ高校生には見えないかも知れない。 モーニングスター三郎は彼女の名前も詳しい素性も知らない。去年の四月から通るようになったことから最低でも2年生であるとは思われるが、それだけだ。 この一年と少しの間、モーニングスター三郎は朝夕と彼女に挨拶し続けてきた。だが、彼女の態度はまるで鋼鉄のモーニングスターのように頑なで、まったく変わることがなかった。 「うーん……あの子、学校で上手くやれているのかなあ」 背筋を伸ばし堂々と歩く姿は、美しいが孤独だ。 去りゆく彼女の背中を見守りながら、余計なお世話とわかっていてもモーニングスター三郎は心配せずにいられなかった。 モーニングスター三郎の家の前を過ぎてから少しして、銀髪の生徒――物部ミケは背後から何者かに声をかけられた。 《マスター。挨拶されて返事もなし、というのは少々失礼なのでは?》 モーニングスター三郎とは違う、若く張りのある男の声だ。だが、声のする方向には誰もいない。ただ物部ミケの抱えた竹刀袋が揺れているだけだ。 「嫌よ。だってあの人、怪しいじゃない」 マスター、と呼ばれた物部は背後に視線もやらずに小声で答えた。無人の空間から声がしたことに関してはさも当然といった振る舞いである。 《そうですか……私には悪人のようには見えませんでしたが》 「どこがよ」 《ああも丁寧にモーニングスターの手入れを行っている、というのは素晴らしいものです。道具を大事にする方に悪人は居ない》 「根拠がないわね」 鼻で笑いながら答えたところで、ミケの脇を一人の生徒を追い越していった。 追い越した生徒は、一人で喋っているミケに怪訝そうな目を向けた。それに気づいて、ミケは口を閉ざした。 この声は彼女の特殊能力『万物の主(マテリアルスレイブ)』によるものだ。 万物の主(マテリアルスレイブ)は、発動中に手で触った無生物に命を与える能力だ。 命を与えられたものは無生物は常人程度の知性と、ミケにだけ聞こえる声で会話する能力、ある程度の運動能力を得る。 ミケにだけ聞こえる声ということは、今の彼女は客観的には誰も居ないところで独り言を喋っているようにみえるということだ。不審者扱いもされよう。 《まったく……今更のことではありますが、マスターはもう少し愛想を良くしたほうがいいのでは?》 ミケが憮然とした表情でやりすごしていると、若い男の声は呆れたようにつぶやいた。 この声の主は竹刀袋に収められた彼女の愛刀《魔剣『VINCENT』》だ。 通常、彼女の能力による生命は一時的なものだ。だが、何故だかVINCENTだけはいつまでたっても能力が切れない。その上におしゃべりなので、こういうこともしょっちゅうある。 いつもならある程度おしゃべりに付き合ってやってはいるが、流石に不審者を見るような目を向けられてはそんなことをする気にもなれない。 ミケはそれ以上は何もこたえず、通学路を歩いて行った。 ミケが登校すると、朝の教室のざわめきが一瞬だけ静かになった。会話をしていた生徒のうち数人が、ミケの姿に気づいたのだ。 だが、それもつかの間のこと。すぐに生徒達はそれぞれの会話を再開し、ミケは誰にも声をかけずに自分の席についた。 ミケの隣の席に座っているおとなしそうな女子生徒が、チラチラとミケの様子を伺っていた。だが、ミケはそれに見向きもしない。 《マスター、挨拶ぐらいしてもいいのでは?》 「うるさい」 VINCENTの小言にぼそっと答えると、隣の席の女子生徒は慌てて目を逸らした。 《ほら。彼女、自分が言われたと勘違いしてますよ?謝ったほうがいいですよ》 「……別に、いいわよ」 VINCENTはまだ何かを言おうとしていたが、始業のチャイムがなったのでそれ以上は何も言わなかった。 ガラっと、教室の扉が開き、若い男性教師が入ってきた。 一時間目は倫理、担当はモーニングスター四郎先生だ。若く、熱意があり、常に巨大なモーニングスターを携えていながらも誠実でユーモアもある彼は生徒に人気のある教師だ。 モーニングスター四郎は無言で教壇に立った。そのまま、ニヤニヤと笑みを浮かべたまま黙っている。 生徒たちの間にざわめきが起こった、教師が何も言わないので、誰もがどのように反応していいものか把握できていないのだ。 普段のモーニングスター四郎なら教室に入ってくるときも明るく挨拶をするし、授業を始める前に軽いジョークで場を和ませることもある。 今日のように何も言わずニヤニヤとしていることなどありえない。 「く……くヒヒ……くヒヒヒ………」 モーニングスター四郎の口から、彼らしくない下卑た笑いが漏れた。 あまりにも不自然な行いに生徒たちの動揺は次第に増していった。 ついに耐えられなくなったのか、一人の生徒が手を上げてモーニングスター四郎に質問を投げかけた。ミケの隣の席の女子生徒だ。 「あの、先生……どうしたんですか……?」 「どうした、どうしただと………くヒヒヒヒヒヒ……」 モーニングスター四郎はこらえきれない、というように笑いを漏らし、右手をあげた。握られていたモーニングスターの鎖が、じゃらじゃらと音を立てながら持ち上がった。 「200億だぞ?これが笑わずに居られるか……?200億もあれば……」 「あの、先生?……先生?」 「こんなクソみてーな仕事ともおさらばだァー!!」 モーニングスター四郎は掲げた右手を思いっきり振り下ろした。鎖は勢い良く引っ張られ、モーニングスター先端の鉄球がミケの隣の生徒へと飛んで行く。 「えっ」 生徒たちは、誰一人としてその行動にまともな反応をすることができなかった。 モーニングスター四郎は生徒指導を任せられることもあった。だが、決して生徒に手を出したり声を荒げたりすることのない、まさに聖職者の武器であるモーニングスターを携えるに相応しい人物と言えた。 そのモーニングスター四郎が、まさか生徒に向けてモーニングスターを振り下ろすことがあるなどと想像していた生徒は居なかった。 ――ただ一人。否、一人と一本を除いて。 鉄球を向けられた生徒の姿が、不意に消えた。否、床に倒されたのだ。 彼女の足元には竹刀袋が転がっていた。それが足に引っかかってバランスを崩したところ、隣から伸びてきたミケの手が彼女の腕を掴み、地面に引き倒したのだ。 《まったく、マスターは素直でない》 「別に。隣でモーニングスターとか当たられたら血で汚れるじゃない。そもそもモーニングスターを持った教師って何よ。馬鹿じゃないの?」 彼女の言葉をきっかけに、生徒たちは目の前の現実を認識し一目散に教室から逃げ出した。ミケに引き倒された女生徒も、ミケのことをチラチラと見ながら教室の出口へと向かっていった。 《マスターは逃げなくてよろしいので?》 「そうしたいのはやまやまだけど……」 教室の床に食い込んでいたモーニングスターが、勢い良く引き戻された。 モーニングスター四郎は引き戻したモーニングスターを自らの頭上でぐるぐると旋回させながら、殺意のこもった目をミケに向けていた。 「お前かぁ、物部ぇ……お前はそうやっていつもいつも、協調性もなく先生の邪魔をしやがってェ……一度、物の道理って奴を思い知らせてやらなきゃならねえと思っていたんだよォ……ヒヒヒヒ」 「あっちは、逃がしてくれる気がないみたい」 《普段の行いが悪いせいですね》 「うるさい」 「うるさいのはお前だァ!物部ェ!!」 ミケがVINCENTの小言に反論していると、モーニングスター四郎は唾液を撒き散らしながら再びモーニングスターを振り下ろした。 飛来する鉄球をミケは床を転がりながら避けた。回転しながら床に落ちていた竹刀袋を拾い、口を開く。 「先生は私の魔人能力をご存知でしたっけ?気をつけた方がいいですよ」 「何ぃ?」 ……ゴゴゴゴゴ 開いた竹刀袋の口からは、まるで地鳴りのような重低音が響いていた。 あの中身が抜かれれば、何か良くない事が起こる。生徒指導として不良とも渡り合ってきたモーニングスター四郎の直感が、激しく警告していた。 「加減は、できませんから。怪我しても知りませんよ」 ゴゴゴゴ…………ズガーン……!! 竹刀袋からミケが抜刀と同時、轟音が鳴り響いた。 かなりの威力を感じさせる音に、モーニングスター四郎は思わず両腕で防御姿勢を取った。机を吹き飛ばしたか、あるいは衝撃波か。どちらにせよ、まともに受ければ無傷では済まないだろう。 ズガーン!ズガーン!ドンガラガッシャーン! 音は連続して、しかもだんだん近づいてくる。だというのに、一向に衝撃はやってこない。 不審に思ったモーニングスター四郎が僅かに防御姿勢を解くと、視界には物部が居ないこと以外は先程と変わらない教室があった。 ズガーン!ズガガガガガ……うぇ、ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!………ドカーン! 「あ……この、馬鹿ッ!」 四郎の背後から音と声が聞こえてきた。振り返ると、そこには片手に木刀を持った物部ミケが立っていた。 木刀は刀身に『ヴィンセント』と記されていた。ちなみに四郎からは見えないが反対側には『Made in GUAM』と記されている。 木刀からは、ズガーンだのどんがらがっしゃーんだのと音が聞こえている。よく聞くと、成人男性っぽいバリトンボイスだった。どうやら、木刀から音が出ていただけのこけおどしであったようだ。生徒指導としての直感はまったく当てにならなかった。 これこそが魔剣『VINCENT』。四年前、修学旅行先のグアムで買ったミケの愛刀である。 VINCENTは何故かやたら彼女の能力と相性が良かったため、いつまで経っても能力が切れないのだ。その上、何故か他人にも聞こえるように音をだすことが出来るようになっていた。魔剣とは言うものの、基本的にただの喋る木刀であった。 「大人を舐めやがって……手品の種はバレたぞ物部ェ!!」 モーニングスター四郎は逆上した。まんまと騙されたのがそんなに屈辱だったのか、口の端に泡を飛ばしながら叫んでいた。 片手で木刀を構えたミケは、黒板にもう片方の手をつきながら四郎を睨んでいた。 「あら、ごめんなさい」 「ごめんなさいだとォ~~~?」 「ええ、2つ謝ることがありまして。まず、私の愛刀がやたらうるさいこと……そして、能力について嘘をついていたことです」 ミケは黒板を叩き、見下すような笑みを浮かべた。 「私の能力は、無生物に命を与え命令を下すことができる。命を与えられた物はある程度動くことができます……例えば、こういうふうにね!」 ミケは黒板から手を離し、後ろへと跳躍する。 背後にあった黒板消しクリーナーの置いてある机に手をついて、体を止め、叫んだ。 「万物は我が傀儡!やりなさい……《万物の主(マテリアルスレイブ)》!!」 ミケの言葉に合わせて、黒板からガタガタと揺れるような音がした。まるで、今まさに倒れて来ようとするかのように。 教室用の黒板は通常仕様のもので50kg程度、魔人生徒も通学する学校に卸されている特別仕様なら150kg近い重量がある。それが壁から外れ、頭上に倒れてきたらどうなるか。屈強な魔人教師であるモーニングスター四郎であっても昏倒は免れないだろう。 ミケがペラペラと解説しているのに気を取られていて四郎は今まさに落ちようとする黒板に反応が間に合わない。黒板はガタガタと揺れ。 「……やりなさい!」 ガタガタと揺れ。 「………」 「………」 揺れがとまった。別に黒板は落ちてこなかった。 「……どういうことだ?」 「……ちょっと、どういうことよ!」 四郎とミケは同じ言葉を口に出していた。その言葉に、黒板はミケにだけ聞こえる声で返答した。 《いやその最初はOKしましたけど……よく考えたらそんな人にぶつかったらヒビとか入りそうですし、嫌だなって……》 「…………なるほどね」 《そりゃ黒板掃除していただけるっていうのはありがたいですけど……その、割に合わないかなーって……すいません、なんか優柔不断で》 「……わかった。わかったわ!修繕費もちゃんと出すし、毎日磨いてあげる。だから言うことを……」 額に青筋を立てながら黒板に詰め寄るミケの横合いからモーニングスターが飛来した。 ミケは体をのけぞらせ、間一髪かわした。ミケはモーニングスターを回避した。黒板は避けられなかった。そもそもそこまで急な動きは出来なかった。 《ぐああああああ!》 「黒板!?……ちっ、私のいうことに従わないから!」 「よくわからねえが……どうやら失敗みてぇだなあ?」 バカバカしいやり取りから立ち直ったモーニングスター四郎は、血走った目でミケを睨んでいる。黒板はモーニングスターに叩き割られた。修理しないと再起不能だ。これ以上は頼れないだろう。 ぽたり、と地面に汗が落ちた。VINCENT握るミケの手が、冷や汗でびっしょりと濡れていた。 《それで、マスター。ここからどうするんですか?》 「ふ……ふふふ………どうするのか、ですって?」 ミケは木刀を持っていない腕を黒板にめり込んだモーニングスターめがけて叩きつけようとした。 だが、掌が鉄球に触れる前に、四郎が鉄球を手元に引き戻していた。 「おっとぉ、俺のモーニングスターを操ろうったってそうはさせねえぞ……てめえがこいつに触れるのは死ぬ時だけだァ!」 《マスター。モーニングスターに能力を使うのも失敗したようですが、次の策は……》 VINCENTとミケの間に気まずい沈黙がおりた。何とかして開いたミケの口から出てきた言葉は 「………ないわよ」 の一言だけだった。 《マスター………短いお付き合いでした》 「見切りが早いわよ、このクソ野郎!」 「誰がクソ野郎だァ!」 ミケは薄情なVINCENTを罵倒したが、モーニンスター四郎はそれを自分への罵倒だと誤解した。 四郎が逆上し、怒りに任せてモーニンスターを振り回す。勢いがどんどん増していく、あの速度では回避も防御も難しいだろう。 「ああもう!あんたのせいで!」 《失礼ながら、今のはマスターが不用心であったかと》 「くそっ、どいつもこいつも口ばっかり達者で……!私が何したっていうのよ……」 悪態をつきながら、ジリジリとミケが後ずさる。 モーニングスターの射程から逃さないように、四郎は同じだけ近づいていく。 モーニングスターはもう黒い輪のようにしか見えない速度で旋回している。アレをぶつけられれば一瞬で粉々になってしまうだろう。 「ヒ……ヒヒヒ……死になァ~~~!」 四郎は下卑た笑いをあげながら、高速旋回するモーニングスターをミケめがけて飛ばそうとした。 腕が振り下ろされ、鉄球が飛んで来る。まさにその瞬間であった。 ブウウン、と低い音を立て、黒板の横に置いてあった黒板消しクリーナーが突然動き出した。 通常の吸い込むのとは逆の動作をし始めた黒板消しクリーナーは、内部に溜まったチョークの粉を激しく噴出し始めた。 「ぐあああ!」 チョークの粉は四郎の顔面を直撃し、そのままどんどん教室に粉煙を充満させていく。視界を失った四郎のモーニングスターは、あらぬ方向へと飛んでいった。 「ゲホッ、ゲホッ、なにこれ!?」 ミケが困惑していると、しわがれた声が話しかけてきた。 《いやあその、嬢ちゃん。話は聞かせてもらったがの……その、ちょっと哀れでのう》 「え、誰!?」 《儂は黒板消しクリーナーじゃよ。嬢ちゃんが能力発動中の手で触れたからこうなったんじゃが……気づいていなかったんかい?》 確かに、思い返してみると確かにミケは黒板消しクリーナーに触ったような気もする。 だが、能力を使うつもりは全く無かった。おそらく単純に切り忘れていただけだろう。現に声をかけられるまでまったく認識していなかった。 《マスター。ラッキーですね》 「うっさい馬鹿!クリーナーのあんたは助かったわ!あとで掃除してやるから!」 《おお、そいつはありがたいの。期待しとるよ》 ミケは木刀を構え、目の見えない四郎に攻撃をしようとした。 だが、四郎はめちゃくちゃにモーニングスターを振り回しておりなかなか近づくことができない。 そうこうしているうちに教室のスプリンクラーがチョーク煙に反応し、水を撒き散らし始めた。スプリンクラーの水はミケも四郎もビシャビシャに濡らし、チョークの粉を洗い流していく。 「おお!こいつはいいぞォ!目が見えるようになったらお前なんぞミンチだ、物部ェ!」 《あーあー、マスターがグズグズしてるから》 「うっさい!一旦逃げるわよ!」 チョークの粉が洗い流され、四郎の目を開けられるようになったころには、教室に物部ミケの姿がなかった。 獲物から逃げられた形になったモーニングスター四郎だが、廊下に目を向けた途端、彼は満面の邪悪な笑顔になった。 そこには、スプリンクラーでびしょ濡れになったであろう生徒が残していった足跡が、はっきりと残っていた。 「はぁ……もう、何よこれ……」 《災難でしたねえ、マスター》 家庭科室に逃げ込んだ物部ミケは、一息つくと手近なタオルで顔についた水を拭った。 チョークの混じった水がタオルにつき、まだら模様になった。ミケは少し嫌そうな表情でそれを見た後、続けて制服とスカートを絞った。 「ビチャビチャじゃない。チョークで汚れてるし、体に張り付いて不快だし、最悪」 《まあ、今回ばかりは同情しますよ、マスター》 「同情って何よ。それに今回ばかりはってどういうことよ」 《しっ……静かに、マスター。この金属音、恐らく奴のモーニングスターです》 VINCENTに言われて耳を澄ますと、確かにミケにもじゃらじゃらと鎖を引きずるような音が聞こえた。 この音は聞き慣れている。モーニングスター四郎が教室に来る前には、いつもこの音が響いていた。 「改めて、なんで教師がモーニングスターをいつも持ってるのよ……」 《モーニングスターは元々聖職者の武器ですからねえ。教師も聖職者、適切かと》 ミケがぼやくのと、家庭科室の扉が開かれるのはほぼ同時だった。 「物部ェ!ここだなァ!ヒヒヒぃ、ちょうどいい。てめえのミンチをここでハンバーグにしてやるぜェ!」 「……聖職者?適切?」 《聖職者と言っても人それぞれですので》 ミケの言葉に注意も払わず、モーニングスター四郎はよだれを撒き散らし、モーニングスターを振り回しながら家庭科室の中に入っていった。 ミケは家庭科室の中心から動かない、片手にタオル。片手に魔剣『VINCENT』を構え、四郎をまっすぐに見据えている。 「ヒヒヒ……!問題児めェ……ミンチにしてその性根をこねくりまわしてやるァァァ!!」 「生憎と、今度こそ倒れるのは貴方ですよ……《万物の主(マテリアルスレイブ)》!!!」 ミケの声に応じるように、生命を与えられた家庭科室の蛇口が一斉に上を向き、水を吹き始めた。 「なんだこれはァ?今更水で何が出来るァ」 蛇口から勢い良くあふれだす水は四郎とミケの体を濡らしていった。だが、それだけだ。 四郎は水をまったく意に介さず、ミケのことを睨み向けて走っていこうとした。 一歩、二歩、三歩。距離は確実に詰まり、後数歩でモーニングスターの射程内に入る。期待によって、全身に力がみなぎっていく。その瞬間を想像しながら彼は力強く次の一歩を踏み出し。 ずるっと、足を滑らせた。 濡れたリノリウムの床は確かに滑りやすい、だが、それだけではここまでバランスを崩す理由を説明できない。 倒れながら、四郎の視界の端に家庭科室の流しが目に入った。流しに置かれた洗剤の容器は全て倒れ、床に向けて洗剤を流している。家庭科室に入った時は倒れていなかったはずだ。おそらくこれも、ミケの能力によるものだろう。 洗剤の混ざった水が撒き散らされた床。これでは踏ん張ることが出来なくて当然だ。 どすん、と大きな音をたててモーニングスター四郎は床に倒れ込んだ。起き上がろうとしても、洗剤でつるつると滑って上手く立ち上がることができない。 だが、と四郎は考える。上手く動けないのはお互い同条件だ。だったら、ここで彼が倒されることはないだろう、奴が打つのは逃げの一手に違いない、と。 その考えは、正面から走りこんでくるミケの姿に打ち消された。 「馬鹿なァ!?貴様はなぜ転ばない!」 「さあ、考えてみれば?」 ニヤリ、とミケが笑うと、彼女だけに聞こえる声が足元から響いた。 《あー!そういうこと言っちゃうんだー!僕達の見せ場説明してくれないんだー!やる気なくすなー!》 《横暴だー!》《傲慢だー!》《雑巾差別だー!》《ストライキすっぞー!》 「ストはやめて!?わかったわよ!私の能力で雑巾を動かして足元だけ綺麗にしてるの!これでOK!?」 《綺麗にしてる?し・て・るぅ~~~?》 「……綺麗にしていただいているの!感謝してます!」 叫ぶ彼女の足元には、確かに何枚かの雑巾が這っていた。雑巾達は床にぶちまけられた洗剤を拭い、ミケのために道を作っていた。 《わかればいいんですよ、わかればねー!》 雑巾達は結構調子に乗りがちで、足元を見てくる性格だった。 こんな奴にやられたくないと思いながら、モーニングスター四郎はモーニングスターを持ち上げようとする。だが、洗剤で鎖がつるつる滑ってつかむことができない。 《あ、雑巾だけに感謝っすか?役目を果たせば蛇口には用なしっすか》 《いいんですよ……身を絞って洗剤をだした私達なんて……所詮使われるだけの存在……》 「うるさい!後で掃除も詰め替えもしてやるっつってるでしょ!」 ああ、こんな奴にやられるのか…… 木刀をたたきつけられ意識を失いながら、モーニングスター四郎が最後に思ったのはそんなことだった。 「はぁ……疲れた……」 スプリンクラーとチョークで汚れた教室の掃除、黒板消しクリーナーの詰替え、家庭科室の流しの掃除や洗剤の詰め替えに雑巾の洗濯。 ミケがそれら全てを一通りこなし終わったのは、既に日が暮れた最終下校時刻寸前だった。 《まったく、あちこちに手を借りるからそんなことになるんですよ》 「うっさい、役立たず……」 疲労で、VINCENTにまともに反論する気力も湧いてこない。 さっさと帰ろう、と校門から出ようとすると、そこに一つ、人影があった。 人影の正体はミケの隣の席の女生徒だ。彼女はミケの姿を認めると、深く呼吸をして声をかけてきた。 「あ、あの、今日は、ありがとう……」 「別に。何か用?」 「えっと…………その…………えっと……」 女生徒は、ためらいながらも、胸の内から自分の気持ちを拾うように、ゆっくりと、言葉を紡いでいく。 そんな姿をみてミケは。 「……急いでるから」 そう告げて、足早に去っていった。 女生徒はミケを止めるように手を伸ばした。だが、手はそのまま空を切り、ミケの姿は消えていった。 《……マスター、僭越ながら》 「何よ」 ミケが下校していると、耐えかねた、とでも言うようにVINCENTが喋り始めた。 《先ほどの彼女。あれはマスターと親交を持ちたかったのでは?》 「親交?」 《早く言えば、助けてくれてありがとう!友達になって!みたいな》 VINCENTの言葉を聞くと、ミケはふん、と鼻で笑った。 「ヴィンセント、いい?友達って、そんな簡単になれるものじゃないのよ」 《……そうでしょうか》 「だって、物のあんた達に言うことを利かすのだってギブアンドテイクの取引と、アフターケアが欠かせないのよ?人間となんてもっと面倒くさいにきまっているじゃない」 《友達居ないくせに言いますね》 「居ないからわかるのよ。簡単なら友達できるはずだもの」 VINCENTは応えなかった。 「でもね!今日はちょっとチャンスがやってきたの!」 《……さっきのではなく?》 「違うに決まってるじゃない。これよ」 ミケが懐から何かを取り出した。それは、1枚のカードだった。 《ああ……なんかモーニングスター四郎先生がもってたカードですか。それが一体?》 「なんかね!これをもってる奴に勝ちまくると200億もらえるらしいのよ!」 《はあ……凄いと思いますが、それが友達と何の関係が?》 馬鹿ね、とミケは鼻を鳴らした。 「あんたは知らないかもしれないけど、友達を作るには友達料ってのが要るらしいの。こないだ読んだ本に書いてあったわ!」 《……はあ》 「相場は月5万らしいの。で、私が80で死ぬと考えるとあと寿命が60年ぐらい。生涯の一人あたり12×5×60で3600万円でしょ?500人友達つくってもお釣りが来るわ!」 《それはその……良かったですね……》 「ええ。ふふふ……先生は仕事を辞めるとかいってたけど、そんな使い方は馬鹿げてるわ。先生の犠牲は私の友達王国の礎となるのよ……!」 VINCENTはそれ以上何も応えなかった。愛刀の気持ちを知ってか知らずか、ミケは上機嫌に鼻歌をうたいながら歩いていた。 その時、誰かが彼女に声をかけてきた。VINCENTではない。中年男性のちょっといがらっぽい声だ。 「おや、こんばんは」 モーニングスター三郎は、モーニングスターを磨きながらミケに声をかけた。彼が彼女の姿を見かけるようになってから、これほどまでに上機嫌そうな様子を見るのははじめてだった。 ミケの鼻歌が止まり、ギギギ、と軋む音が聞こえそうなほどぎこちない姿でモーニングスター三郎の方に首を向けた。 「今日は上機嫌だね。何かいいことでもあったのかい?」 ミケは数秒間、静止していた。そして、薄暗がりでもわかるほど顔を真っ赤にし、 「べ、別にあんたには関係ないでしょ!」 そう叫んで、あっという間に走り去っていった。 「なんだ。あの子、何を考えているのか良くわからないと思っていたけど、あんな顔もできるんじゃないか。うむ、良いことだ」 モーニングスター三郎は、微笑みながらその姿を見送った。彼が磨いているモーニングスターが、ミケの進む道を照らすかのようにキラキラと輝いていた。 了 このページのトップに戻る|トップページに戻る
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ミニゲームか、オリオンの部屋でORIONポイントを使って入手したミニイベントをプレイする。 いずれか5回プレイするとED。合間に攻略キャラ5人から1人選んで会話するBreak Time!が入る。 なお、途中に選択肢が発生することがあるがスチルの入手には関係しない。 ミニゲームの結果によって入手するORIONポイントとゲーム後の台詞に変化あり。 ORIONポイント入手:EXCELLENT=2ポイント、GOOD=1ポイント Break Time!とミニゲームの結果にはED分岐へ影響する好感度がある模様。(未検証) ミニゲーム シンと一緒にお皿を洗う洗い終わってシンの台詞が流れている間と、洗剤が切れそうなときのみ補充(連打)すればいい。アナログパッドは大きく動かした方が汚れが落ちやすい? イッキさんにパフェの作り方を教わる視線は完成図に向けていた方がやりやすいかもしれない。食材はいくつも投げ込まれるので1回くらいは見逃しても問題ない。 キッチンでケントさんのお手伝い暗記ゲーム。一度に使用する食材は2~5種。どうしても出来ない人向け:「 10種の食材を紙に書いておき、出題順に数字を振る。 画面をスタートボタンで一時停止し、一つずつ入力しては一時停止を繰り返す 」(反転) トーマとお会計を担当する計算ゲーム。どうしても出来ない人向け:「 十の位だけを見る。それでも回答を絞りきれない場合は適当に押していい。 多少間違ってでもほかの回答をスムーズにすることで高評価が獲得できる 」(反転) 接客を一人で頑張ってみるウキョウとのミニゲーム。客を入口に近い席から順に案内し、注文より案内を優先するといい。 ED分岐 同じ攻略キャラとのミニゲーム3回以上 攻略キャラED(ミニキャラスチルあり) ミニゲーム5種すべてEXCELLENT ワカさんED(スチルあり) その他 焼肉ED ミニイベント オリオンの部屋で入手出来るミニイベント。全11種で、いずれもミニキャラでのスチルあり。 内、以下の5シナリオはミニキャラではなく等身スチルで、ギャラリーでも個別ページに保存される。 途中いくつか選択肢が出るが、スチル入手には関係しない。 ・「好きなものにチョコレートをかけて」(シン) ・「眼鏡執事の給仕」(イッキ) ・「オリオン座を見上げて」(ケント) ・「ケージに入れて連れ帰ろう」(トーマ) ・「プロのお仕事」(ウキョウ)
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冷媒の大気への流出に伴う弊害・対処 冷媒の大気放出に因る弊害特定フロンオゾン層破壊の要因CFC HCFC 代替フロンHFC温暖化の要因 非フッ素系冷媒アンモニア異臭・毒性に因り濃度上昇に対し危険症状を誘引 炭化水素冷媒メタンを除き、光化学反応に因り光化学スモッグを誘引 冷媒の大気放出への対処原則、回収に因り対処 設置・運用遷移における対処下記に対し冷媒の大気放出を極力抑制機器の製造 据付 運転 補修 廃棄下記への連携に因り大気放出を防止機器の関連業界 自治体 機器の使用者 冷媒への不純物の混入に伴う弊害 アンモニア冷媒への水分混入に伴う弊害高溶解特性に因りアンモニア水を生成 凝縮器系統における空気の排出に対し水分の排出は不可能 アンモニア水の生成に伴う沸点温度の上昇に因り下記性能が低下蒸発圧力 冷凍能力 フルオロカーボン冷媒への水分混入に伴う弊害混入に因り下記を誘引腐食 潤滑油の劣化 冷媒の温度低下に因る析出・凍結下記に対し流路抵抗が上昇キャピラリチューブ 膨張弁 下記に対し性能が低下冷媒供給不良に因る冷却不良 吐出しガスの異常上昇 冷媒共通の弊害高湿空気の流入空気に因り不凝縮ガスの混入を誘引 水分は冷媒に溶解、冷凍サイクルを循環 冷媒への不純物の混入対策 配管等への水分混入対策雨中の据付工事に対し下記を閉鎖圧力容器開口部 配管の端部 真空ポンプに因る乾燥・施工要項真空ポンプに因る乾燥冷媒充填前の施工にて減圧・蒸発に因り吸湿空気を排出 施工要項冷凍装置別に相違具体例として0.67[kPa]以下となる高真空の継続に因り乾燥 高真空に伴う排気量の減少に対し窒素の注入・排気に因り装置内の乾燥状態を向上 用途固有の施工下記に対し氷結が容易な特性に因り厳格に施工冷凍 冷蔵 潤滑油への水分混入対策吸湿特性に因り必要時以外は密閉に因り貯蔵 HFC冷媒の合成油への対策吸湿が容易な特性に因り厳重に密閉 伝熱性能 フルオロカーボン冷媒の性能アンモニア冷媒に対し低伝熱性能 構造に因り性能を改善 漏洩の検知方法 アンモニア冷媒下記に因り検出固有の臭気 硫黄の燃焼に伴う硫化アンモニウム白煙の生成 電気的な濃度の測定 フルオロカーボン冷媒洗剤の塗布に因る発泡 検知器選定要因無臭に因り多用 種類ハライドトーチ式ガス検知器 電気式検知器 選定要項フロン分類に伴う分子量の相違に因り採択冷媒別に選定
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591 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (スッップ Sdba-n1GC)[sage] 投稿日:2017/08/10(木) 21 25 49.57 ID jMcGV6Nyd [1/2] アライさん、お宝の宝庫を発見したのだ。 このどらっぐすとあという所には、おいしそうなものがたくさんあるのだ。 アライさんが見つけたからアライさんのものなのだ、泥棒じゃないのだ。 まず持ってきたこれは、果物みたいないい匂いがするのだ。 ちょっと固いけど、アライさんのアゴなら噛み砕くのはたやすいのだ。 店員「あれ?石鹸がひとつ足りないぞ」 アライさん、ようやくお腹痛いのが治ったのだ。 次は飲み物を持ってきたのだ、よく人間が口をつけてうまそうにゴクゴク飲んでるやつなのだ。 店員「こら待て!この万引きアライグマが!」 店員が追いかけてきたから走って逃げたのだ。 走ったから喉が渇いたのだ。このてっぺんのフタはねじると取れるのだ。人間がやってるのを観察していたのだ。ほら開いたのだ。アライさんは聡明なのだ。ゴクゴクゴクゴク... 店員「畜生逃げやがったか。しかしあのアライグマ、洗剤なんか盗んでどうするんだ?」 アライさん、ようやく口から泡が出るのが止まったのだ。 今度こそちゃんと食べ物を選ぶのだ。 この袋なのだ。 ひっつかんで寝ぐらまで持ってきたけど、袋の開け方が分からないのだ。さんざんかじって引っかいて、ようやく開けたのだ。 中身はウンコだったのだ。ウンコ?! 驚いたのだ。アライさんは寝ぐらに溜めグソするけど、人間は袋の中に溜めグソするのだ。聡明なアライさんも初めて知ったのだ。 とにかく人間のウンコなんて食べられないのだ。ポイしてやったのだ。 まったく今日はロクでもない日だったのだ。お腹がグーグー鳴って仕方ないけれど、もう寝るのだ! 店員「あれ、今度はかりんとうが一袋無くなってる」 アライさんのssへ戻る
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Last update 2007年10月07日 Mystery circle vol.6 ◎「何だよ、その、ビタミン剤と間違えて下剤を呑んでしまったことに唐突に気付いたかのような、よじれきった顔は」 幸坂かゆり ◎「先にイッちゃった者勝ち、とゆーことで」 ホクト ◎「もろ、ステーキを見る目」 kazumi ◎「その泥棒というのはね、ビール専門の泥棒なんですね、これが」 ろくでなしブルース ◎「英語的発音をすれば、トローマね」 李 九龍 ◎「この建物が本来的にラヴホテルではなくても、誰かがそういう目的で勝手に使用している、というのはあり得ることじゃないかと思って」 癒月ハルナ ◎「さっき、そこで見つけたんだけど、トイレットペーパーで……」 亜季 ◎「えらく遠大な計画だな、おい」 おりえ ◎「じゃあ、しりとりでもする?」 シーメル ◎「問題は冷蔵庫よ」 絵空ひろ ◎「数が違ってたじゃないか」 仁野 ◎「俺が考えてるのは、誘拐事件なんだな」 カラス ◎「その証拠に、ちゃんとビールジョッキまで冷やして、用意してあるじゃないか」 松永 夏馬 ◎「あんなのどうせ、ビールの泡みたいなものだったんだから」 GURA ◎「誰かが飲んだんですよ、一本だけ」 一茶 ◎「誰が中性洗剤だ」 知 ◎「またそんなシュールな冗談を」 塵子 ◎「――牛が見たい」 Clown ◎「女性にぶたれるなんて、男冥利に尽きるとおもうけどなあ、俺」 おデブちゃん ◎「サングラス男だからサンちゃん」 なずな ◎「何しろ、自分が殺したとしか思えないような状況だからね」 七夜実 ◎「何だよ、その、ビタミン剤と間違えて下剤を呑んでしまったことに唐突に気付いたかのような、よじれきった顔は」 出題者:松永 夏馬 作品名:「麦酒の家の冒険」 著:西澤保彦 正解者:仁野、知、七夜実 Router コメント 名前 コメント