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掟破りのユーノ×フェイト(試作版) 作者 early氏 「遂に抜かれちゃったなぁ……。」 「うん? 何だいフェイト?」 検索魔法を展開していたユーノはフェイトの呟きにその手を止めた。不思議そうにこちらを見つめてくる ユーノに、少しはにかみながら何でもないとフェイトは告げた。 ちょっと首を傾げつつも再び検索魔法を展開したユーノの背中を、フェイトは今度は微笑を浮かべながら 見つめていた。 (昔はおんなじくらいの背の高さだったのに……やっぱりユーノも男の子なんだね……。) 女の子と見紛うような端正な顔や、さらさらの髪などは変わらないが、それでも体つきは随分と男らしく なってきたように思う。 それに何より、背丈が随分と伸びた。同じ目線だったのが、自分の視線は少し上に向くようになった。 それはちょうど、ティーンズ小説に載っていた……「キスをするのにちょうど良い背の高さ」という もので……。 そこまで考えた時に、フェイトは一人、顔を赤くした。脳裏には、そっと背伸びをしてユーノにキスを する自分の姿が映し出されていた。眼前のユーノの顔は、やっぱり綺麗で、でも少し男の子っぽくなって いて…… 「……フェイト?」 「うっひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁああああッッッ!!!?」 いつの間にか自分の眼前にやって来ていたユーノの事を知覚した瞬間、フェイトは思わず絶叫してしまった。 「やっぱり今日のフェイトは変だよ、ぼーっとしてるし……。どこか具合でも悪いの?」 心配そうに自分を覗き込むユーノにフェイトは内心嬉しさを感じながらも、しかし先程の自分の妄想…… もとい想像の所為で彼の顔をまともに見ることが出来ず、赤くなった顔を背けるように叫んだ。 「わ、私はだ、大丈夫だよッ!? あ! でも用事を思い出したから今日はこれで失礼するねッ!! それじゃあッ!!」 そう言うが早いかフェイトはあっという間に無限書庫から出て行った。 後に残されたユーノはぽかんとした後、頭を掻きながら呟いた。 「女の子って、良く分からないなぁ……。」 この後、とある出来事でフェイトはユーノと思いがけずキスしてしまう事となるのだが、それはまた 別のお話。 89スレ フェイト ユノフェ ユーノ・スクライア 小ネタ
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タイトル「アリサ・バニングスの場合?」(前編) 作者:80-470 本文 では投下します。 アリサ1人称のユノ×アリ未満の話です 海鳴3人娘中心、年齢は中学生くらい すずかオリジナル設定あり "ユーノの、何処がいいのか分からない――" 自分の迂闊な一言を呪っても、もうすでに遅かった。 なるほど、地雷っていうものは何処に仕掛けられてるか、分からないから地雷なのね… ~~~~アリサ・バニングスの場合?~~~~ 放課後から約二時間、帰り道から寄ったファーストフード店まで、延々となのはの『ユーノくんのイイところ』 つまるところ惚気話を聞かされたあたしは、その砂糖吐くような甘ったるさに、すでにシナモンケーキの味も 分からなくなってしまうくらいのダメージを受けていた。 釈然としないのは、同じ話を聞かされてるはずのすずかで、こっちはあたしのようにダメージを受けた様子も なくにこにこと嬉しそうに聞き、時に合いの手までいれて、益々なのはを調子に乗らせてることだった。 (何で、二人してユーノの話題で盛り上がってるのよ…) 自分の不用意な一言が原因とはいえ、ここまで自分一人ダメージを背負わされるのは流石に納得はいかず、 あたしはささやかながらも反撃を試みることにする。 「ユーノがそれだけ素敵な人なら、なのはがボヤボヤしてる間に、他の誰かが言いよってくるかもね~」 「はうっ!?」 なのはのうろたえた態度に、幾分か溜飲を下げる。 これだけあからさまな態度を取っておきながら、この子はいまだにユーノとの関係を「オトモダチ」どまりに 留めているのだ。 そこであたしは、さらに追い打ちをかけようと―― 「ひょっとしたら、なのはの知らないうちに、向こうで彼女とかいたりしてね~」 「そ、そそそそ…そんなこと無いよ、ユーノくんに限って…ユーノくんに限って…あう…あううううぅ…」 「アリサちゃんってば…」 「ま、でも『オトモダチ』のなのはには関係ないことだけど――」 ここであたしは迂闊にも、自分が2発目の地雷を踏み抜いてしまったことに、気付いていなかった。 この後、なのはから惚気話に弱音と泣き事を交えた最高にウザい愚痴を聞かされることになるとも知らずに… なるほど…確かに、地雷は何処に仕掛けられてるか分からないから地雷だと―― ・ ・ ・ 「はあ…エライ目に遭ったわ…」 「フェイトちゃんに感謝だね」 あの後、さらに数時間の耐久レースを覚悟したあたし達を救ったのは、なのはに入ったフェイトからの呼び出 しの通信で、流石に仕事がらみのときは、惚気話で緩みきった顔も引き締まり、フェイトの迎えと共にようやく、 解放されたのだった。 「まったく、いい迷惑だわ」 「そうかなぁ、私は楽しかったよ、なのはちゃんのユーノ君の話」 確かにすずかはあたしと違って、なのはの話を嬉しそうに聞いていたけど、正直なところ愛想半分、付き合い半分と思っていただけに、それは少々意外とも言える答えだった。 「え゛え゛ぇ~~…そうなの?」 「うん、私は結構好きだよなのはちゃんの話も――ユーノ君のことも…」 「ちょ、ちょっと~やめてよね、すずかまで…」 「私は好きだよ。ユーノ君のこと」 「ちょっと、すずかぁ」 「なのはちゃんに『その気』がないのなら、今すぐ彼女に立候補してもいくらいにね…」 「それって…」 あたしの知ってる月村すずかという少女は、こういうことを冗談で言うタイプじゃないことはわかっている。 それでも、内容が内容だけに流石に、そこまで言い切ってしまえることに違和感を覚えないわけではないし、 なによりすずかが、そこまでユーノに入れ込む理由が分からない…そんなあたしの心の内を読み取ったのか、 すずかはそのまま話を続ける 「――私ね…ちょっと前まで、ある『体質』で悩んでたの」 「すずか…?」 それまでとは違うすずかの口調に、あたしは思わず彼女の顔を覗き込む。普段の穏やかな笑みを絶やさない 表情はそのままだったが、雰囲気はさっきまでとは明らかに違っていて、あたしはそんな彼女を茶化そうとは せず、こちらもすこし気を引き締めて、真剣に話を聞くことにする。 「『私』が『私』でなくなっちゃうような…そんな『体質』。薬もお医者さんも意味がなかったの…藁にもすがる 気持ちで、はやてちゃんに相談したら、ユーノ君に『体質』のことを調べてもらえばいいって紹介して貰ったの」 「そんな――…そう、だったんだ…」 ショックだった。すずかの話の内容もそうだったが、それ以上にすずかが、そんな深刻な状態に陥っていたこ とに、そしてその事に微塵も気付くことの出来なかったことに… 「アリサちゃんが気にする事じゃないよ。それに私、この事はなのはちゃんにだって話してないんだし」 「それは、分かってるけど…」 そしてまた、すずかに気を遣わせてしまう自分に嫌悪。もちろん知ってたところで、自分に何が出来たわけで ないことも十分わかってるつもりではあるけど… あたしはすずかに対して、幼少の頃の過ちもあって、どうにも必要以上に気を遣ってしまう悪い癖がある。 そして情けない事に、すずかにそのことを気付かれてしまっているのが現状だが、この娘はそれを踏まえた上 で、特にあたしとの接し方を変えようとはしない。 つまるところ、あたしはすずかに対して、頭が上がらないのだ。 「…でね、はやてちゃんに私のことを頼まれたユーノ君なんだけど、無限書庫ってところで私の『体質』について お仕事の合間を縫って、睡眠時間まで削って調べ上げてくれて――それだけじゃなく、私の『体質』を抑える術 式を組み込んだ『デバイス』っていう物まで作ってくれて…おかげで、自分でも信じられないくらいに症状が治 まって――今はもう、本当に嘘みたいに平気になったの。ちょっとばかり、運動能力とかは落ちちゃったけどね」 そう話ながらすずかは、意識してかどうかわからないが、胸元に掛けられた円と星を組み合わせたような模様 のペンダント――多分、ユーノがくれたという『デバイス』とやら――を、指先で愛しげになぞっていた。 「術式が体になじんで、私が大人になる頃には『体質』も改善されて、もうこれをつけなくても大丈夫なんだって」 「そう、良かったじゃない…」 その仕草と表情を見れば、さすがのあたしでも、すずかがユーノの事を本気で想ってることくらい理解できる し、不本意ながらそれに対して冷やかしたり、茶々を入れる気持には、とてもなれないほどの雰囲気だった。 「…それでね、その話にはまだ続きがあって、ユーノ君が私にしてくれた事って、本当は犯罪になるんだって」 「ちょ…ちょっとっ、それってどういう事なのよ!?」 「うん、はやてちゃんから聞いたんだけど、私たちの住んでる世界――向こうだと『管理外世界』って呼んでる らしいんだけど、その世界の人間にユーノ君の世界の知識や技術を教えたり、使ったりするのはダメって事らしいの」 「あっ…」 確かに、言われてみれば分からない事ではない。たとえば剣で戦争してる国に、いきなりミサイルを持ち込ん だらどうなるか――その答えは簡単すぎる… しかし、あのユーノがねぇ…正直、なのはに振り回され、困り顔でオロオロしてるイメージしかないあたしに してみれば、すずかが教えてくれたユーノの行動は、ちょっぴり意外だ。 「その辺ははやてちゃんが、上手く誤魔化してくれたみたいなんだけど、ユーノ君ってばそんな事、ひと言も教 えてくれなくて…はやてちゃんに言わせると、ユーノ君ってそういう男の子だって、ことらしいんだけどね―― それで、その事をお母さんやお姉ちゃんに話したら、『ユーノ君をすずかのお婿さんにする!』とか言い出して、 もう大変だったんだよ~」 クスクスと、嬉しそうにユーノの話をするすずかは、本当に幸せそうで…ある意味、なのは以上に本気で、 ユーノの事を―― 「――これが、私の知ってる…なのはちゃんも知らない、ユーノ君の『いいところ』だよ」 「…ねえ、すずか。すずかって…やっぱり、もしかしなくても本気で、その…ユーノのこと…」 「さっきも言ったけど、本気だよ。でもね…そうしてユーノ君のこと『そういう目』で見てると、ユーノ君の好 きな相手が誰なのか、分かっちゃうのが、ね…」 そう言いながらすずかは、少しばかり困ったような表情で苦笑いを浮かべる。 「聞くまでもないと思うけど…なのはのこと?」 「――ホント、なのはちゃんってば、鈍いんだから…」 そこには、なのはに対する負の感情は感じられない。それどころか、まるでなのはとユーノの仲を応援してる ようにすら聞こえる口調で… 「正直、ワケわかなんないわ…」 だからあたしは、素直にその感想をすずかに述べる。 「ふふふ、そうだよね~私もそう思う。でも、ユーノ君のことが好きなのは間違いないけど、やっぱり、なのは ちゃんのことも同じくらい好きだから、二人の仲が上手くいって欲しいって言うのも、正直なところだよ」 「まあ、すずかがそれでいいのなら、私はどうでもいいけど…」 実際、十年来の親友同士が男を取り合って、修羅場を演じるところなど、誰もすき好んで見たいワケじゃない ので、そんなすずかの気持ちは、あたしにとってはありがたいところだ。でも―― 「でも、なのはには話してないのよね?ユーノに助けてもらったこと…」 「なのはちゃんは、私の知らないユーノ君のことを、いっぱい知ってるから…なのはちゃんとユーノ君の仲を どうこうしようとかは、本当に考えてないのだけど、このデバイスと、ユーノ君が助けてくれた記憶だけは、 なのはちゃんにも話さずに、私だけのものにしておきたいの…」 それはすずかにとって、例え将来の友情に禍根を残す種であったとしても譲れない『女の意地』といった ところか。 もとより、勝ちの目の薄い想いだけに、あたしとしても、そんなすずかの意地に文句をつけるつもりも、その 資格もないのだけど… 「けど、今時はやんないわよ、そんなの…」 「なのはちゃんがもっとイヤな子だったら、良かったんだけど…本当、困っちゃうよね~」 「…っていうかあたし、正直なところ、全然ついていけないんだけど」 ホント、ユーノの何処がそんなにいいのか、あたしにはわからないわよ… ・ ・ ・ ――で、とことんツイてない日って、本当にあるのね―― 朝起きたら寝癖が酷くて、シャワーを浴びようと思ったらボディソープが切れてて、先日の雨でお気に入りの ハイソックスが乾かなくて、出かける時に履けなくってて、気晴らしに、なのは達を誘って遊びに出ようと思っ たら、なのはには『用事があるから』と断られ、すずかからも、急な用事でドタキャンのメールが届いて駅前で 待ち呆け…挙句に、今時流行んない、頭の軽そうな男にしつこく言い寄られる始末―― "ねえ、キミ。さっきから暇そうにしてるでしょ?だったらさぁ――" 「あいにくだけど、先約があるの。悪いけど他、あたって頂戴」 "うそうそwさっきから見てたけど、どう見ても待ちぼうけじゃない。だったら、その先約さんが着くまで相手 してよ~" 正直、ウザイ…殴ってもいいレベルだと思う――が、さすがに中学生ともなるとそうも簡単にはいかないし、 迂闊に手を上げて、ややこしいことになるのも面倒くさい…そう思案に暮れるあたしに、聞き覚えのある声が かかる。 「あれ、アリサ。どうしたの――」 何というグッドタイミング、まさに天恵――"ソイツ"の声を聞いた瞬間、このうっとうしい事態を打開する、 ナイスなアイデアが閃き、そして閃いたと同時に、即座に行動に移す。 「――っ、どうしたのじゃないわよっ!何分待ったと思ってるのよ、このバカ・ユーノ!!!」 「…へっ?―――っぷぉぁ!!」 さっきまでの溜まりに溜まったイライラを、そのまんまぶつけるように、何故かこの場に現れたユーノの顔面 を平手で張り倒す。 普段なのはにあてられている鬱屈もあって、必要以上の威力を発揮したような気もするけどとりあえずは気に しないことにする。 なにしろ、ウザ男が呆気にとられてるいま、ユーノに迂闊なセリフを吐かれて、せっかくのチャンスを無駄に するわけにはいかない。 「このあたしをさんざん待たせたんだから、その代償はしっかり払ってもらうわよ!」 「え、えっ?ちょ、ちょっと…アリサ、何?どうなってるの?」 間髪入れずに、事態を把握していないユーノ腕に自分の腕を絡ませて、そのまま強引にエスコート、って いうかエスケープ強行。 「い・い・か・ら、行くわよ!ホラッ!!」 「ええぇえぇぇぇ~~~~~~~っ!!??」 あまりの事態に、呆気にとられるウザ男とギャラリーを他所に、とりあえずあたしは、ユーノと腕を組んだ まま、その場を離れることに成功――のはずだったのだが… "ねえ、見てみて。あのカップル" "外人の子?でも日本語上手よね…" "二人とも本物のブロンドよね~ハーフかな?" "撮影か何かじゃないの?二人とも可愛いらしいし" "ホント、レベル高いよね~" ・・・・・・ …しまった… ここはニューヨークでもロンドンでもない、日本のいち地方の駅前繁華街だ。 いくら染めてる人間が増えているとはいえ、天然モノの金髪・翠眼はただでさえ目立つうえに、自慢ではない が、自分の容姿もそれなりに目立つ方だと自覚もある。そして余り認めたくはないが、ユーノの容姿もまあ、一 般的に美少年と言っても過言ではないレベルだ。そんな男女が騒ぎを起こせば、イヤでも目立って、注目を浴び ることになってしまう事に今更ながら気付く。 だからといって、ここで引き下がるわけにもいかない。周りの好奇の視線と困惑するユーノをあえて無視して、 そのまま彼の腕を引っ張りながら、ファミレスに飛び込む。とりあえずボックス席に入れば無駄な注目も浴びず に済むだろうと思って… ・ ・ ・ 「――で、当・然・理由は説明して貰えるんだよ、ねっ?」 「う…悪かったわよ。でも、こっちにもいろいろと事情もあるのよ、いろいろと…」 「悪いと思ったのなら、まず言うべき言葉があると思うんだけど…アリサの世界じゃ、いきなり人の頬を張り 飛ばしても、事情があれば許されるんだね」 「く、…――」 頬に季節外れの紅葉のような手形をくっきりと残したユーノが、憮然とした表情で、イヤミったらしく理由を 聞いてくる。 確かに、どうみても悪いのはあたしだ。それはわかってる、が、モノには言いようってものがあって、ユーノ のやたら棘のある言いまわしに、少しばかりカチンとくるものを覚えてしまう。 もちろん悪いとは思ってる。いきなり頬を張られ、訳の分からないうちに強引にファミレスに連れ込まれたら 普通は誰だって不機嫌になるのは確かだし、もし性別が逆だったら犯罪モノだろう。 それにしたってユーノの態度はないと思う。っていうか、なのはやすずかに比べて、随分とあたしに対する 態度に差別があるんじゃないかと…そんな、沸々とわき起こってきた不条理感に、ついあたしは―― 「う、うるさいわねっ、男だったらそれくらい、笑って受け流しなさいよ!」 しまった…と思うのも後の祭り、私の一言に一瞬唖然としたものの、すぐさま引きつった表情でユーノがやり 返してきた。 「…前から思ってたけど、アリサって結構大雑把だね」 「――なっ!?あ、アンタこそ、いちいち細かいこと気にし過ぎなのよ。だいたいアンタ、なのはやすずかに対 するときと態度が全然違うじゃない。アンタがそんな性格悪いなんて、聞いてないわよっ!」 「…まあ、状況から察するに、しつこく言い寄ってきた男を手っ取り早く追い払うために、僕を利用してひと 芝居うった、てとこかな?」 「~~~~~~~~~~っ!!!」 あたしの頭が沸点に差し掛かったのを、まるで見計らったように、さっきまでの不貞腐れた表情から一変して、 人の悪い笑顔を見せるユーノに、とある疑問が浮かび上がる。 「…もしかして、見てたの?」 「まあ、ね」 「もしかして、あたしが『あーゆう』行動をとることを分かってて近づいた?」 「一応そんなとこ、かな」 「もしかして、驚いてたのも、慌ててたのも、さっきまで不貞腐れてたのも、全部演技だったとか…」 「さあ…」 「…もしかして今、あたし、からかわれてる?」 「ゴソウゾウニオマカセシマス」 1問ごとにぴくぴくとこめかみの辺りが痙攣し、顔が引きつっていくのを実感する。 そして、ユーノが満面の笑みを浮かべた瞬間、あたしは再びその顔に平手打ちを見舞っていた。 今度は、本気で―― …やっぱり、あたしにはユーノの何処がいいのか、さっぱりわからないわ… ・ ・ ・ ―― 幕間 ―― 「あれは…」 「どうかしましたか、主はやて」 「買いモンは中止や、シグナム」 「何か…事件ですか?」 「事件…?そや、事件や。場合によったら、管理局を揺るがすほどの大事件や」 「では、急ぎヴィータ達と連絡を――」 「あー、構へん、構へん。とりあえず、あの二人の後付けるで、シグナム」 「…はい?」 あたしはこの時、背後で出歯亀していたタヌキ女の存在に気付けなかったことに、後日、死ぬほど後悔する 事になるのだった… アリサ ユノアリ ユーノ
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総受け野郎なんて呼ばせないッ 作者:ID d3iqHC7L 草木も眠る丑三つ時 ここ八神家の塀に小さな影が空から舞い降り リビングの窓から中へと侵入すると影は小さくつぶやいた 「僕、参上」 …なにやら妙な具合に地球文化に毒されている気がしないでもないが その影――ユーノ(フェレットver)――は今日とあるものを手に入れるため その小さな身に大きな闘志を燃やしていた それは (今日こそシャマルさんの弱みを握ってやるッ) まあこう思うのにも訳がある 以前からシャマルは自分とクロノをネタに801本を書いていた (最初は当然止めるように言うだけでなく実力行使にも出ていたのだが バインドで簀巻きにされ海に投げ込まれようが 全身を氷付けにされペンギンショーの傍らに放置されようが諦めず 最近では「これは私が神から与えられた使命なのよ!」などと 電波なことをぶっちゃけ始めたので可哀相な人としてこっちが諦めた) しかし、だがしかし 最近無限書庫の整理をしていると、とてつもないことに気付いたのだ 「まさか広大な無限書庫の一区画を占めるほど書いていたなんて…」 (しかも『一般貸し出し可』の扱いになっていた) さすがにここまでくると自分の人格が疑われかねないと痛感したユーノは 独自ルート(休日にヴィータの買い物に付き合う見返り)から シャマルがいままでこっそり書き募った自作ポエム集(爆死モノ)を 自室に隠し持っていることを知りそれを手に入れるため 今日八神家にやってきたのだ 「窓の鍵もシグナムに開けてもらったし(今度遺跡発掘に連れて行く約束をした見返り) あとはシャマルさんの部屋に侵入して見つけ出すだけだ」 ちなみにシャマルははやてから残業を命じられている(業務終了後に夕飯を奢ってあげた見返り) またザフィーラはヴィヴィオに連れられ『ミッドチルダ名犬選手権』に出場しているため この家には誰もいないことになっている 「これでもう総受け野郎なんて呼ばせないッ」 だが使命に燃えるユーノは知らない シャマルの部屋の扉の向こうには飢えた野獣が4匹いることを… そして後日、「本日快晴」の天気予報を無視した 桃色の豪雨と金色の雷に撃たれる己のことを… 15スレ SS ユーノ
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タイトル「貴方のためなら優しくなれる」 作者:66-108 ある日の午後。海鳴にあるとある公園は、家族連れやカップルなど、多くの人で賑わっていた。 その中に、一際目立つカップルがいた。ショートカットの女性が、ハニーブロンドの髪を持った女性と見紛うような男性を膝枕しているので ある。周りの人々は、その様子を微笑ましく思ったり、羨ましく思っていたりしたが、当の本人……男性は眠っているので女性……は、実は 少々困っていた。 (な……何でこんな事になっちゃったのかしら……?) 内心でそう呟きながら、その女性……アリサ・バニングスは、自分の膝枕ですやすやと気持ち良さそうに寝ている男性……ユーノ・スクライア の寝顔を見ながら、軽く溜息をついた。 切欠は、すずかと一緒にユーノと逢う事であった。他の幼馴染達、なのは・フェイト・はやてとアリサ・すずかはちょくちょく一緒に遊んで いたが、それとは別に、ユーノとも親交を深めていた。五人娘にとってみれば、彼も大切な幼馴染なのである。なのは達は仕事等で彼と逢う 事が出来たが、アリサ達はもちろんそんな事は出来なかった。だから、ユーノとまめに連絡をとり、休日が合った時には彼を海鳴に呼んで、 一緒に過ごす事が良くあった。ただ、主に連絡を取るのはすずかで、アリサはしぶしぶといった感じで(少なくとも表面上は)二人にくっつい ている感じであった。 ところがある日の事であった。いつも通りに三人で逢う約束をしており、喫茶店でユーノとすずかを待っていたアリサの元にすずかから連絡が入った。 「? すずかから? 何かあったのかしら?」 そう呟きながら携帯に届いたメールを読んだアリサは、顔を強張らせた。 『アリサちゃんごめん、急な用事が入って、今日はそっちにいけないみたい。ユーノ君によろしくね? 折角二人っきりなんだし、たまには ユーノ君に素直に甘えてみたらどうかな?』 (ちょ……ちょっと! ユ、ユーノと二人っきりで逢うなんて、そんな急に言われても……!!) これにはアリサも慌てた。ユーノと逢う時にはいつもすずかや他の誰かが一緒であったために、ユーノと二人きりで逢う事は無かった。 いつもユーノと逢うのを楽しみにしているすずかが来ない事に、何の疑問も抱かない程にテンパるアリサ。そこに、ちょうどと言うべきか、 タイミング悪くと言うべきか……ユーノがやってきたのである。 「ごめん、アリサ、遅れちゃって! 仕事が長引いちゃってね。……ところですずかは?」 すずかが来ない事に加えて丁度ユーノが来てしまった事に軽くパニックを起こしそうになったアリサであったが、何とか踏みとどまると、 すずかが来ない事をユーノに説明した。 「何だか急な用事があって来れなくなっちゃったみたい。……っていうかアンタ来るのが遅いわよ!! あたしを待たせるなんていい度胸 してるじゃない!!」 「だからそれは来た時に真っ先にあやまったじゃない! ……でもそうか、すずかは来れないんだ。ちょっと残念だな……。」 そう言うユーノを見ながら、アリサはふと、とある事に気付いた。ユーノが見慣れない服装をしていたのである。 彼はいつも服装には無頓着で、皆と一緒にその事を注意した事もある。だが、今日の服装はそれまでのものと違った。彼の特徴であるハニー ブロンドの髪を引き立てるようにコーディネートされた服は、彼に良く似合っていた。 「それにしてもあんた、今日はいつもに比べて大分ましな格好してるじゃない。やっと私達の忠告を聞いたって訳?」 そのアリサの言葉に、ユーノは苦笑しつつ答えた。 「いや。実はね、この間の休みの時に、なのはやフェイト、はやて達に買い物に付き合わされてね。その時に、皆に見立ててもらったんだ。 僕はいいって言ったんだけど、皆聞かなくってね。でも実際自分でも良く似合っていると思うし、なのは達にはちょっと感謝してるんだ。」 「ふーん。なのは達に……。」 そう呟いたアリサは、自分の胸に、何かもやもやとする想いが渦巻いたのを感じた。どういう理屈かは分からないが、自分は何か面白くないと 感じているようだ。 その想いが何であるのか、アリサは薄々と感づいてはいたが、それを振り払うかのように立ち上がるとユーノの腕を取った。 「ア、アリサ? どうしたの?」 幼馴染の突然の行動に驚くユーノ。そんな彼を真っ直ぐ見据えてアリサは言った。 「決まってんじゃない。これから私もあんたの服を見立ててやろうってのよ。感謝しなさいよ?」 「え、でも、もうなのは達に見立ててもらった服が……。」 「でもそれ一着でしょ? あんたの事だから、それ以外に大した服を持ってないんでしょ。あんたも考古学関係で公演をしたり人前に立つ事が 多いんだから、それなりの服を持ってないとね。」 「で、でも……。」 今一つ煮え切らない態度のユーノ。そんな彼を不機嫌そうに見た後、アリサは一喝した。 「いいから来なさいッ!! 私が選んであげるって言ってるのに、何か不満がある訳!? それとも何、なのはやフェイトやはやてには選んで もらう癖に、私に選んでもらうのは厭って言うんじゃないでしょうね!? ええッ!?」 その迫力に、ユーノも思わず反射的に頷いてしまう。 「め、滅相もございませんッ!! アリサさんに服を選んでもらえるだなんて、光栄ですッ!!」 「よーし、分かればいいのよこのエロフェレット!! さあ、そうと決まれば早速行くわよ!!」 「分かったよアリサ! で、でもその呼び名、いい加減勘弁してよー!!」 「うるさいうるさいうるさーい!! あんたに責任とってもらうまで、この呼び名はやめてやらないんだから!!」 「うう……ひどい……。もう子供の頃の話なのに……。」 がっくりと項垂れるユーノを引きずってずんずんと歩くアリサ。だが口調とは裏腹に、その顔はとても嬉しそうで、楽しそうであった。 一通りの買い物を終え、商品をアリサの家に送る手筈を整えた二人は公園へとやってきた。ユーノは芝生に腰をどかりと落とすと、溜息混じりに 言った。 「は、はぁ~、疲れた……。」 「情けないわねぇ。あれくらいで根を上げるだなんて。」 「そ、そうは言っても……。」 あの後、ユーノはアリサに散々色々な店に連れて行かれた。普段着から、フォーマルな席でも使用できる服までそれはもう色々である。 (なのは達に見立ててもらった時も思ったけど……女の子はどうして買い物が長いんだろう……。) そんな事を思いつつも、しかしユーノは満足していた。確かに疲れはしたが、アリサと二人で過ごせたのは楽しかった。何より、アリサが とても楽しそうであった事が、彼にとっても嬉しかった。 そんな気持ちを抱きながらアリサを優しくユーノは見つめていたが、ふと、彼女と目が合った。 「な、何よ! 私の顔に何かついてる!?」 ちょっと怒ったように言うアリサに笑って首を振ると、ユーノは言った。 「ありがとう、アリサ。今日は楽しかったよ。……いや、今日だけじゃないね。いつもありがとう、アリサ。」 「な、何よ急にそんな……。」 いきなり面と向かって礼を言われて戸惑うアリサ。そんな彼女を見て一つ笑みを浮かべると、ユーノは続けた。 「いつも思ってたんだ。僕は君達に、いつも助けられてるなぁって。仕事で色んな事があって、落ち込んだり辛い時は結構あるけれど、不思議と そういう時に、君達が気晴らしに誘ってくれる。今日だって……そうさ。だから……お礼が言いたかった……んだ……。」 「べ、別にそんなの……いいわよ。そ、それに……わ、私達だって……私だって……あ、あんたと逢えて……ってな、何っ!?」 アリサは心臓が止まるかと思うほどに驚いた。何故ならば、ユーノがいきなり自分に寄りかかってきたからであった。 あまりの出来事に硬直したアリサに構うことなく、ユーノはそのままずるずるともたれかかってきて、最終的に頭をアリサの膝の上にこてんと 移動させた。 「ちょ、ちょっとユーノ! ……って、え……寝てる……?」 そう、ユーノは眠ってしまっていた。実は彼は、海鳴に来る寸前まで仕事をしていたのである。しかも徹夜でだ。何とか今までは頑張っていたが、 アリサに連れ回された事が、精神的には良かった事でも体力的には少しきつかった事、アリサに礼を言った事で気が緩んだ事が原因でこうなって しまったのである。 「ど、どうしよう……。無理に起こす訳にもいかないわよね……。」 衆人環視の状況で膝枕など、アリサにとってはかなり恥ずかしい事ではあったが、疲れきった幼馴染を無下に扱う訳にもいかない。 仕方なくアリサは彼の頭を自分の膝の上に上手く乗っかるように体勢を入れ替えた。 だが、ここでまたしてもアリサにとって予想外の事が起きた。それは……。 「うう……ん……。」 ユーノが寝返りを打った事であった。いや、それだけなら良いのだが、寝返りを打った後の彼の姿勢が問題であった。仰向けになっていた ユーノは、寝返りを打った後、うつぶせになっていた。つまり、アリサの足の付け根……女の子にとって非常にデリケートな部分に顔を埋める 格好になってしまっていたのである。 これにはアリサも思わず頭に血が上ってしまった。 「こ、こここここここここここのバカエロフェレット───────ッッッ!! あんた何してくれてんのよ──────ッッッ!!」 手を振り上げるアリサ。だが、少し見えた彼の安らかそうな寝顔が、彼女にブレーキをかけた。彼女は振り上げた手を暫くぷるぷると震わせて いたが、やがて溜息を一つつくと、その手を下ろし、ユーノを起こさないようにそっと彼の姿勢を仰向けに戻すと、アリサはユーノの髪を優しく 梳き始めた。 「こんなになるまで疲れてたんなら、ちゃんとそう言いなさいよ……バカ……。」 そのまま彼の髪を梳きながらアリサは思った。ユーノは、誰にも頼らない。全て自分一人で抱え込もうとする。かつての自分達もそうであったが、 自分達はお互いのお陰で、それを少しづつでも解消出来た。だからこそアリサは、そしてなのは達も、ユーノを放っておく事など出来なかった。 自分達がお互いを助け、助けられる関係になれたように、ユーノにもそうなって欲しかったのである。 「だけど……少しはあんたの力に、なれていたのかな……? 私達……ううん、私は……。」 先程の言葉と、自分の膝枕で無防備に眠る今の姿。これらは、ユーノが自分達を頼ってくれている証ではないだろうか。 かつて全てを自分一人で抱え込んでいた少年が、今は自分を信頼し、無防備な姿を晒してくれている。自分の膝枕で安らいでくれている。 その事が泣きたくなるほど嬉しくて、アリサはユーノの髪を撫でながら呟いた。 「いつもきつい事ばかり言ってごめんね……? でも私は……あんたの事、大切に想ってるから。あんたのためなら私……もっと優しくなれる から……。」 そう言ったアリサの顔は、その言葉どおり、とても優しく、とても綺麗であった。 「う……ん……。あれ……僕は……?」 目を醒ましたユーノは、まず己の頭の下にある、とても柔らかく、かつ暖かい感触に気づいた。久しぶりに安心して熟睡出来たが、それはこの枕の おかげかなぁなどとまだ覚醒しきらない頭でそんな事を考えていると、上から声が降ってきた。 「やっと起きたわねこのエロフェレット。私の膝枕で熟睡だなんて、本当に良い御身分よねぇ?」 その言葉を聞いた瞬間、ユーノは一気に覚醒した。飛び起きて周りを確認すると、見事な夕焼けが見えた。この公園についたのが昼食をとってから すぐであったから、かれこれ数時間はアリサの膝枕で熟睡していた事になる。 「ご、ごめんアリサ!! 折角の休みだったのに台無しにしちゃって……!! お詫びに何でもするから!!」 平身低頭、必死に謝るユーノ。それを見ていたアリサはくすっと笑うとユーノに言った。 「そうねぇ。ま、今回はあんたも仕事で疲れていたみたいだから大目に見てあげるわよ。その代わり……。」 そうアリサが前置きしてから言った「命令」にユーノは心底驚き、顔を赤らめたが、男に二言は無いとばかりにその「命令」を実行に移した。 「……とは言ってもねぇ。やっぱりちょっと恥ずかしいなアリサ……。」 「うるさいうるさいうるさい! 私だって恥ずかしいんだから我慢しなさいよ! 第一歩けないんだからしょうがないでしょ!」 燃えるような夕焼けの中、そんなやり取りをしながら二人は歩いていた。正確に言うと、歩いているのはユーノだけで、アリサはその背に乗っかっている。 分かりやすくいうなら、ユーノがアリサをおんぶして歩いているのである。 アリサがユーノに言った命令とは、自分をおぶって家まで連れて行く事であった。長時間ユーノに膝枕をしていた所為で、アリサの足は痺れきって しまっていたのである。 (それにしても……ユーノの背中って意外とおっきくて暖かいなぁ……。) 夕焼けのお陰で顔が赤いのを誤魔化せる事に安堵しながらアリサはそんな事を思った。彼の温もりを一杯に感じ、幸せに浸っていた彼女であった が、ふと、その視界に前に垂らしたユーノの髪を束ねているリボンが目に入った。 (あ……これ……なのはの……。) そう思った彼女の胸に、またもやもやが広がっていく。 今では彼女は、この感情が親友達に対する嫉妬だと認めていた。今までは強がって、それらを無視していたが、今は少し違っていた。 (私も……少し、素直になってみよう。そして、この気持ちを誤魔化さないでいこう。だって、やっぱり私……こいつの事……。) そう思ったアリサは、ユーノに声をかけた。 「ねぇ、ユーノ。もう一つ、命令を追加するわね?」 「えぇ? もう一つ? ……お手柔らかに頼むよ……。」 ユーノの情けない声にくすりと笑ったアリサは、彼の首に回していた腕に僅かに力を込めると言った。 「次にこっちに来る時には……今日買った服を着てきなさいよね? そしたら今度はあんたの……リ、リボンを選んであげるから……。」 「え? リボン? ……僕の?」 「そ、そうよっ! ……そ、それともリボンは……なのはにもらった物があれば……いい?」 なるべく平静を装おうとするが、どうしても声に不安が滲み出てしまう。ユーノが返事をするまでの僅かな間は、アリサにとっては数時間にも 等しく感じられた。 「……そんな事はないさ。折角だから、アリサにも選んでもらおうかな。」 そのユーノの返事を聞いた瞬間、アリサの胸には喜びが広がっていった。 「ま、まぁそうよね! この私が選んであげるんだから、有難く思いなさいよね!!」 「そうだね。この間はフェイトとはやてにも選んでもらったし。後はすずかにも選んでもらおうかなぁ。」 だがそのユーノの言葉を聞いた瞬間、アリサのこめかみに「ぴき」と血管が浮いた。 「……ユーノ? 今何て言ったの?」 「あれ、言ってなかったっけ? この服を選んでもらった時、フェイトとはやてがリボンも一緒に選んでくれてね。君とすずかにも選んでもらえれば 嬉しいなぁって思ってさ。……そういえばあの時のなのは、妙に不機嫌そうだったなぁ。何でだったんだろ?」 首を捻るユーノに、アリサは拳をわなわなと震わせると、ユーノの頭をぽかぽか叩き始めた。 「な、何するのさアリサ! 痛いよ!!」 「黙りなさいよこの鈍感フェレット!! あーもう、何で私はこんなのに……ッ!!」 「ど、鈍感って何さ! というか背中で暴れないでよ危ないから! こんなに元気ならもう歩けるんじゃないの!?」 「うるさいうるさいうるさーいッ!! もう決めたわ!! あんた、あたしがリボンを買ってあげたら以後それしか使わないように!! 決定だからね!!」 「そんな横暴な!! 何怒ってるのさアリサ!!」 そんなやり取りをしながらも二人はどこか、幸せで楽しそうであった。 それから数日後。アリサとすずかは翠屋にてお茶を飲んでいた。 「全く、あんたがいなかったからこっちは散々だったわよ……。」 そう言いながらケーキを食べるアリサ。それを見てくすくす笑いながらすずかは言った。 「そう? でもユーノ君を膝枕してるアリサちゃん、とっても優しそうな顔をしてたよ? 私から見てもとっても魅力的だったよ。」 それを聞いた瞬間、アリサは「ごほぉっ!」と盛大にむせた。紅茶を飲んでひとごこちつくと、猛然とすずかに噛み付いた。 「あ、あんた何でそれを知ってるのよッ!? って、あんたまさか……。」 そう言いながら一つの可能性に思い至ったアリサは目の前の幼馴染を見つめた。 すずかはにこにこと笑いながら、両手を目の前で合わせると言った。 「ごめんねアリサちゃん。あの日予定が入ったというのは嘘なの。本当はずっと、二人を見守ってたんだ♪ あ、ちなみに鮫島さんも一緒にね?」 それを聞いたアリサはショックのあまりに思いっきり脱力した。それを見たすずかが後を続けた。 「だってアリサちゃん、全然素直にならないんだもの。やっぱり自分の気持ちには素直にならなくっちゃ。」 そう言われたアリサはきっとすずかを睨むと彼女に言った。 「あんたは随分余裕ねぇ。……言っておくけど、なのはやフェイトやはやてもかなり動いているのよ?」 「うん、知ってるよ。でもそれで良いと思うよ。変な遠慮なんかしちゃ駄目だよ。想いは精一杯ぶつけないと……ね?」 そう言って笑みを浮かべたすずかを眩しそうに見たアリサは笑みを浮かべて紅茶を飲みながら言った。 「本当、あんたには敵わないわね。……でも、ユーノは渡さないわよ?」 「うーん、というか私はね? みんなユーノ君に面倒みてもらえば良いと思うんだけどなぁ。」 その爆弾発言を聞いたアリサは、盛大に紅茶を噴き出した。 「あ、あんたねぇっ!? い、いくらなんでもそんな……。」 「だって良い考えだと思うよ? みんながお互いの想いをぶつけあった後なら、これで丸く収まると思うんだけどなぁ。」 にこやかにそう言うすずかを見て、アリサは溜息混じりに言った。 「本当、あんたには敵わないわ……。」 ちなみにこの後、結局五人ともユーノとお付き合いする事になったが誰が正妻になるかでまた揉めたりしたのだが、それはまた別のお話。 アリサ ユノアリ ユーノ
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そういう本にまつわる話C 作者:にっぷし クロノ・ハラオウン提督は困っていた。 愛する妻、エイミィが妊娠して以来、夜の営みがない――。 男の性とはどうしようもないもので、身体に溜まるものをどうにかしないといけない。 しかしクロノは、そういうことに使用する媒体を手に入れることが非常に苦手な人間だった。 自宅にも一切存在せず、発散するためにはどうにかして手に入れなければならない。 こんな時にさりげに手を回してくれる緑髪の友人は、現在新作ケーキの着想を得るために教会に篭っている。 悶々とした気持ちを抱えて過ごしていたクロノは、他の女性に手を出してしまう前に奥の手を使うことにした。 時空管理局データベース「無限書庫」。 管理内世界のありとあらゆる書物が集まるこの場所には、いわゆるそういった書物も保管されている。 それを司書長をしている友人――たぶん、きっと――を通じて密かに借りる、というのが彼の奥の手だった。 壁に耳あり障子に目あり。通信で頼むのは憚られ、スケジュールをやり繰りして無限書庫を訪れる。 クロノは無限書庫に多くの資料調査をしてはいたが、直接足を運ぶことは本当に珍しいことだった。 クロノの登場に、今度はどんな無茶な依頼をされるのかとザワつく司書の面々。 その中を居心地悪そうに進みながら、彼らを取り纏めている司書長の元へと向かう。 特殊な図書を借りる用の特設ブースに行かないのは、誰かに見られて噂が立つことを嫌ったからである。 若くして提督になり、また多くの若手局員からストイックなイメージを抱かれている立場として下手は打てない。 司書長室を訪れると、心底驚いたという表情のユーノに出迎えられた。 「珍しいね、クロノが無限書庫に来るなんて。よっぽど特別な秘匿捜査でも担当したの?」 「いや、そうじゃない。実は折り入って相談、というか協力を求めたいことがあってな……」 来客用のソファーで差し向かいに座り、紅茶を一口飲んだユーノが話を切りだす。 余りに珍しすぎたため、ユーノの口から出たのは皮肉な要素のない純粋な疑問だった。 クロノはユーノの言葉を否定し、出された紅茶から立ち昇る湯気の向こうで沈鬱に押し黙る。 やがて、思い切ったように顔を上げると意を決したように相談を持ちかけた。 「――というわけなんだ。頼めないか、ユーノ」 要約すると『抜きたいからエロ本貸して』というクロノの相談。 緊迫した雰囲気に真面目に話を聞く姿勢をしていたユーノは、へなへなと背もたれに身体を預けた。 「……緊張させないでよ。……まあ、いいよ。そういうことなら、適当に本を――」 「待ってくれ。できればエイミィに知られたくない。所在や内容がバレにくい本はないか?」 「んー……、ああ、そういうことなら、偽装機能と魔力認証プロテクト付きの本があるよ」 難易度の高い要求に、ユーノは少しの間思案し、思いついたようにポンと手を打った。 司書長室に山と積まれた書籍の中から、見たこともない数冊の本を糸状のバインドで釣り上げる。 「これは並列思考の一つに情報を直接投影して、映像や音声や感覚も楽しめるっていう魔導官能小説でね。 低位とはいえロストロギアだから禁帯出だけど、まあ、クロノなら良いでしょ。認証追加……と」 渡された数冊の本のうち、クロノが一つを手にとって開く。 すると並列思考の一つが五感も強制的に並列化して、意識の中だけに書籍の内容を投影した。 赤い瞳、金色の髪をした黒い下着姿の美女が、妖しく笑いながら細い指先をクロノに伸ばす。 義理の妹に良く似た女性に頬を撫でられたクロノは、声を上げながら慌てて本を閉じた。 実際に触れられた感触があることに驚きながらも、本の内容についてユーノを詰問する。 「あれ、別の場所に移したと思ってたんだけど。……使ってないよ。他人に使われないよう隔離してるだけ。 本当だよ。だってもう本人と――と、じゃあこれ。僕のオススメ。知人の誰にも似てないから安心して」 気になる言葉を残しながら、ユーノが魔力認証と偽装内容と装丁を調節して、一冊の本をクロノに渡す。 一見何の変哲もない学術書と化したロストロギアを手に、クロノは無限書庫を後にした。 表面上クールに、内心嬉々として持ち帰ったクロノは、万全の準備を整えると、いざ魅惑の書物を開く。 その瞬間、無数のヌラヌラと艶かしくぬめる触手が提督職にある黒髪の青年の身体を絡め取った。 「ちょ、まっ……!」あわれ提督は動きを封じられ、溜まったモノが枯れるまでぬちゃぬちゃに嬲られ続ける。 後日、笑顔で手を出すユーノに、真っ赤になって目を反らしながら本を返すクロノの姿があったらしい。おしまい。 以上です。ありがとうございましたノシ 62スレ SS そういう本にまつわる話 にっぷし クロノ
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941 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 10 05 20 ID Ai9U3Q74 /} ___ __, -‐ "  ̄ ̄ ̄`丶、 / / 〃´ ̄ ̄ ̄> ヽ/ / ___ / // ∨-―― - 、 / \/ / Y""""ヾ/ /ヘ}<⌒\ \ .  ̄ ̄ ̄ ̄>/ / | l | ∨j ∧ \ ヽ l| /, イ / | | /| j l | ⌒ヽ Y/ 小 | | l| / / |/| | | l|/l⌒ | ハ ノリア斥ハヾ、K/│ \| | l| | l| jl│ l ハl|〃ア斥ハヘ∨ {! ⊂ }シl } | |ノリ | l| Ⅵ /|! l V{ {! ⊂ 弋rク ハノ│ V八 ∨小 \弋rク /{{ l | ヽ{\ │l\{、_> ー イ )) | │l | )) ゝ-―‐- 、_ ,.イ |_((_.八 │l レ{{-く(___ ヾ ̄`ヾブ~ヽ丶 ユーノ君と念話でお話したよ。 「ユーノ君はどんな女の子が好きなの?」って聞いたよ。 そしたら「なのは以外には有り得ないよ」って言ってたよ。 私もなのはママみたいな素敵な女の子になってユーノ君に好かれていっぱいチュチュしたいよ。 ユーノ君に「なのはママみたいな素敵な女の子になるから一杯一杯チューチューしていい?ユーノ君、いい?」 って聞いたんだよ。 そしたら「ハハハ…まあ頑張って…」って念話切られたよ。 ユーノ君は照れてるんだね。 きゃわみゅにゅいドキドキハートのピコピコ天使だよユーノ君は。 あああああああユーノ君ちゅきユーノ君ちゅきユーノ君ちゅきちゅきちゅきたん・・・ チューしてチューしまくりたいユーノ君ちゅきたん(*´ε`*)キッチュキッチュ・・・ミュミュミュ 60スレ ヴィヴィオ 小ネタ
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ケモミミパニック 作者:ID oncuKCtn ユーノ・スクライアは自身がこれほどまでに疲れているというのを改めて認識していた。 いくらなんでも幻覚が見えるようではダメだ。今日は定時に上がって睡眠をとった方が良いかもしれない。 そうだとも、家に帰って風呂に入って眠って、明日の朝になればこんなモノ見えなくなって…… 「どうした? スクライア」 ……そんなユーノの陽炎ような希望を烈火の将の頭にくっついてる獣耳があっさりと斬り捨ててくやがりましたよコンチクショウ。 「シグナムさん」 「ん?」 「どうしたんですか、その……ネコミミ?」 「いや、ライオンの耳だ。ネコミミではリーゼやロッテと被るからな」 そんな事を大まじめに言われても。その、なんだ、困る。 どこぞの少佐のような台詞を飲み込んで、ユーノは盛大にため息を吐く。 「この前、ヴィータに下手に変身しちゃダメだって言ったばかりなのに」 「む、これは下手な変身ではないぞ。これが正しい形の術なのだ」 「……そんな変身魔法、聞いたこともありません」 「当たり前だ。リインのオリジナルだからな」 「なんでしょうか。僕は今、はやてととっくりじっくりみっちりと話し合う必要がある気がしてきましたよ。っていうか、何時の間にそんな新魔法を」 「うむ、じつはな」 先日、ユーノがヴィータの失敗変身を解除した時、はやてとリインの力を借りた。 簡単に言ってしまえば、夜天の書ホストシステムを用いてそこから変身魔法の影響を削除したのだが、そのデータをリインが記録していたらしい。 ウサミミヴィータの可愛さに憧れたリインが、自分も変身してみたいとそのデータを用いて新しい魔法を構築したのだ。 「……経緯は分かりましたが、なんでそれをシグナムさんが」 「いや、なんだ、その……似合わないか?」 「いえ、まぁ似合いますけど」 ふと、ユーノは何か外が騒がしいのに気がつく。 何だろう? とその正体を確かめるよりも早く、ソレは扉を打ち破りかねないほどの勢いでやってきた。 ……その頭に、大きなキツネミミを揺らして。 「なのはー? それは一体ナンデスカー?」 息を切らせている幼馴染みに、すっげぇ投げ槍に問う。 「ユーノ君は獣耳好きって聞いたの! だからキツネミミを生やしてみたの!」 「実にわかりやすい説明有難う、でもそれ誤解だから。ものっそい誤解だから」 この人達は、変身魔法の危険性を認識していないのだろうか? どんな術であれ中途半端な術が一番危ないというのは、常識のはずなのに。 「どう? 可愛いでしょ?」 「あーうん、可愛いよ。ヨクト可愛いよ」 「ホント? えへへへ……」 ちなみに、ヨタとは一□の事でギガの百億倍。ヨクトとはその逆で一涅槃寂静分の一の事である。 「まったく、二人とも。そんな軽い気持ちで中途半端な変身魔法を使っちゃだめじゃないか。基に戻れなくなったらどうするつもりなのさ?」 「うん、その事なんだけど」 「……どうしたの?」 「この魔法、ヴォルケンリッター専用みたいで、私が使ったら元に戻らなく成っちゃった」 「……さ、仕事に戻ろう」 「酷い! 冷たい! ウサギって寂しいと死んじゃうんだから!」 何も聞かなかった事にして、書庫に戻ろうとするユーノになのははしがみつく。 「絶滅しちゃいなよそんな軟弱な生き物。っていうか君のそれはウサギじゃなくてキツネじゃないか」 そう言えば、さっきからシグナムはどうしたのだろう? 随分と静かだが。 そんな風に思い、振り返ってみると。 なんというか、笑うという行為は本来攻撃的なモノでありな感じのシグナムさんが居た。 顔が緩みっぱなしで、目は爛々と輝いている。 嗚呼、ヴィータはあんなのに追いかけ回されたんだな。と、友人の身に起きた惨劇を今更ながらに知る。 「高町、安心しろ。私が寂しい想いなどさせん。させるものか、決してさせんぞおぉぉぉ!」 「へ? あの、シグナムさん? ちょっ、ちがうの、そういう意味じゃなくて……ア、アーーーッ!?」 ユーノは弐匹のケダモノの猛る咆吼と悲鳴を扉の向こうにやり、ぽつりと呟く。 「今日は、早引けしちゃおう」 こうして、無限書庫のメタメタな一日は過ぎて行くのであった。 15スレ SS なのは シグナム ユーノ
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514 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 13 59 13 ID qJundaL0 なぜか唐突にネタ電波、某懐古ゲーム風味 『無限書庫』、なぜそんな名前なのかなんて誰も疑問に思わなかった。 安易に無限なんて絶対につけない。 だって、魔法はインフィニティ(∞)じゃないから。 魔法にだってできないことがあるから。 でも、そこは『無限書庫』。 魔法をも超越した空間。 だから、そんなことになるなんて思わなかった―― 「え?」 高町なのはは友人たちとの会話の節々から、ただ一点だけ不自然な箇所をみつけた。 仕事の、プライベートの、様々な話題の中にただひとり入り込まないことを。 「……ところで、ユーノ君と会った?」 「……ユーノ? なのはの彼氏?」 「おー、なのはちゃん私らに隠れてそんな人おったんかいな」 ――違う。 みんな、彼に会ったことも話したこともある。 なのに、彼のことが消しゴムで消されたかのように抜けている。 ――どうして? リンディさんやレティさん、クロノ君に会って、みんなもフェイトちゃんたちと同じだってわかって、 その疑問が張り裂けそうになるくらい大きくなっていく。 「……ゆーの、くん」 「なのはは、まだ僕のこと憶えてくれているんだね」 それは、無限書庫に捕らわれた者にかけられる呪い。 そこに深く浸透した者のみが許される原罪。 名や体といった有限のものをはぎ取られ、すべてを超越した無限の存在に作り直される。 だから、ユーノ君のことをみんな忘れてしまう。 気がつけば公的データその他すべてから名前が消え、書庫の司書たちからも存在を認識されなくなって、 あとは私が忘れれば、ユーノ君は無限書庫の向こう側にいなくなってしまう―― えいえんは、あるよ どこかから、そんな声が私の頭に響き渡る。 「だめっ!」 私は消されそうになるそれを大切に守りながら、精一杯叫ぶ。 「ユーノ君、私は忘れないからっ!」 無限書庫 ~輝く季節へ~ ……ごめん、ウチがみんなの記憶から消えるよ……。 515 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 14 12 42 ID I5AvvAm3 _ 514 いや、あれはユーノが無限をやら永遠を求めているもしくはもう既に過去に求めていた場合に発生するものだからなぁ。 しかも繋がりと思い入れの深い故人がいて初めて成り立つわけで。 端的に言うならば、現実への絶望からくる逃避の極端な変形。 それを現在の絆が共に歩める未来を紡ぐって話だから。 ユーノは前提条件を満たしていない。 無理やり不幸設定属性つけても美しくない。 責任感と知的好奇心に溢れた優しき賢人。 それがユーノきゅん、俺の嫁。 516 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 14 29 07 ID Hqd1f6m2 よくユーノきゅんは大人っぽいとか見なされてるけど クロノの安い挑発に乗ったり無印でなのはに単独先行をさせたりと やっぱり公式通りただ真面目∧優しい∧奥手なだけで大人びているとは言い難い 孤児という過酷な状況や知能の高さが必ずしも人格と比例するわけではないし 責任感に偏執してるような描写もむしろ熱血で頑固、悪く言えば向こう見ずで子供っぽい 奥手だけれど優しさに溢れた真面目な賢人。 それがユーノきゅん、俺の嫁。 517 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 15 02 24 ID qJundaL0 _ 515 わかった上での改編電波だったんだが、不快に思わせたのならすまない。 口直し以下略 「ふぅ、雨か……」 「雨くらいでジタバタするな。だいたい天候不順くらいで今更どうにかなるか」 「そうはいってもね、この状況は歓迎できないよね」 巡察中に発見した、ひとつの遺跡。 情報を集めようと連絡を取るが、無限書庫にも大した資料がなかった。 本局は調査隊を送り込むと決定したが、出迎えたのはたった一人。 そして、今ふたりだけで木陰に逃げながらこうして善後策を練らなければならないとは考えもしなかった。 「それにしても、ここに来ていいのかフェレットもどき」 「事あるごとにそう言って絡むのは人としてどうなんだい、シスコン提督」 ――ユーノ・スクライア、考古学会における若手のホープ。 確かに彼は適任だとクロノも思う。 彼なら知識も、経験も、局の半端な調査隊とは比べ物にならない。 しかし同時に彼は無限書庫の司書長でもある。 二流どころの警備をつけて、彼の身に何かあっては上へ下への大騒ぎになることは間違いない。 だからこそ、クロノ自身が護衛としてついてきたのだ。 この判断がはたしてよかったのか、クロノには自信が持てなくなっていた。 「……それにしてもだ、書庫の仕事はいいのか?」 「よくないに決まってる。でも何かあったら僕らの信用問題にもなる。なら、自分の手で行うのが一番だよ」 クロノはユーノの言い分ももっともだとは理解する。 未だに無限書庫に色目を向ける輩がいることも事実だ。 彼らを黙らせるには、しっかりとした実績が必要なのもわかる。 「それでも、この状況は想像しなかったな」 「自然現象によるAMF発生、まあこれも遺跡の防衛手段のひとつかもしれないね」 目の前の火に薪をくべながら、ユーノは気楽に言葉を紡いだ。 「こんなことなら、もう少し人員なり割いてくれば良かったな」 「そうかもね。でも」 「でも、なんだ?」 「たまには親友と二人で、こういうのも悪くないかなって」 こういうのは無限書庫ではないからね、とユーノはインスタントコーヒーをクロノに差し出しながら言う。 「……ま、なんだ。通信越しじゃないってのも悪くないか」 ――現状を無視すれば、親友同士の気ままな時間潰しとかわらない、か。 砂糖も何も入っていないはずのそれは、苦く、そして少しだけ甘く感じられた―― 60スレ なのは クロノ 小ネタ
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アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //www1.atwiki.jp/guide/pages/921.html#id_2d967d6e たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL
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ウサミミヴィータ 作者:ID gk8VyDqI のろいうさぎはギガ可愛い。 それは判りきってる事だが、普通のウサギもメガ可愛いとヴィータは常々思っている。 ふわふわでもこもこでふるふるしているのを見ているだけで、思わず抱きしめたくなってしまう。 だから、ほんの少し。ほんのすこーしだけ、そんなウサギになってみたいなかーと考えるの仕方が無いのだ。 いつもは年齢を誤魔化す為に使う変身魔法を別の形で使う。 彼女の象徴である紅い魔力光と共に、少女の姿は消えて愛くるしいウサギが顕れる。 ……はず、だったのだが 「ヴィータちゃん、何やってるですか?」 「うひゃう!?」 嗚呼、この世は何時だってこんなハズじゃ無かった事ばかりなのだ。 無限書庫司書長室で、ユーノは書類を纏めていた。 作成した資料の受け渡しに関するモノや、解析した情報の報告書等その分類は多岐に渡りそして量は膨大である。 だが、分厚い本を何冊も読んで必要な記述を見つける事に比べればこの程度なんと言うことは無い。 『司書長、シャマル医務官とヴィータ三等空尉がお見えです』 「分かった、こっちまで通して」 『かしこまりました』 丁度その仕事が終わった頃、逢う約束をしていた二人が着たことを告げる通信が入る。 あの二人が揃って無限書庫に来るなど珍しい。何かあったのだろうか? 通信ではヴィータが大騒ぎをしていたようで、詳しい話を聞けなかったのだが…… そうこうしている内に、呼び鈴が鳴る。 「どうぞ」 「失礼します、スクライア司書長」 勤務時間である為に、堅苦しい肩書きでユーノを呼ぶシャマル。 機動六課とは違い、本局の施設である無限書庫では砕けた呼び方は出来ない。 尤も、周りの目がなければすぐに昔馴染み同士の軽い呼び方に戻るのだが。 「いらっしゃい。今日は、どうしたんですか?」 「えぇっと……ちょっと見てもらいたいモノが。ほら、ヴィータちゃん」 今までシャマルの陰に隠れていたヴィータが、いやいやながらもユーノの前に引っ張り出される。 頭がまるごとすっぽり隠れる大きな帽子を被っており、顔を真っ赤にしながらうつむいている。 「ヴィータ、どうしたの?」 「な、なんでもねーです」 「なんでもないじゃないでしょ、ヴィータちゃん。ちゃんと治してもらわないと」 「治す? ヴィータ、どこか調子悪いの?」 心配そうなユーノと、あきれているようなシャマルの二人。 ヴィータはそれに耐えられなくなったのか、もじもじしながらも帽子を取る。 すると、そこには色こそヴィータの赤毛だが、どこからどうみてもウサギの耳にしか見えないそれがあった。 「へ?」 帽子という狭苦しい空間から解放され、ぴょこんという音まで聞こえそうな可愛らしい耳を見てユーノはポカンと間抜けな顔をする。 ヴィータはそれを受けてますます顔を紅くし、大声で怒鳴り始めた。 「な、ななななななななんだよ! 笑えよ! 可笑しかったら笑えよちくしょー!!」 「い、いや。可笑しいけど笑える可笑しさじゃ……って、コレどうしたの?」 「うぅ」 「ヴィータちゃん、ウサギさんに変身しようとしたんです」 「シャマル!!」 ヴィータの悲鳴とも非難ともつかぬソレを無視して、シャマルは状況を説明する。 とどのつまり、ヴィータは好奇心からウサギに変身しようとし、それに失敗してしまったのだ。 しかも術の途中で失敗してしまった為、おかしな風に暴走してウサギの耳だけがヴィータの頭にくっついてしまったのである。 「……なんていうか」 「なんだよ」 「ヴィータ、変身魔法って意外に危ないんだよ? 動物に変身しようなんてしちゃダメじゃないか」 「オメーだって、フェレットに変身するじゃねーか」 「僕はアレが使い慣れてるし」 そこまで言って、ユーノはヴィータのウサミミに手を伸ばす。 指先がそれに触れると、柔らかくもしっかりとした正にウサギの耳そのままの感触があった。 「さ、さわるんじゃねーよ!」 それがこそばゆいのか、ヴィータは慌てて頭を振ってユーノの手から逃れる。 一方のユーノは、そんなヴィータの反応などお構いなしに何かをじっと考え込んでいた。 「感触はあるのか……シャマルさん、ヴィータを検診しましたよね? そのデータってあります?」 「もちろん。はい、これ」 シャマルから渡されたカルテを、ユーノは真剣な表情で捲る。 そして自分の机から分厚い資料を引っ張り出すと、それとカルテの情報の照合を始めた。 最初はたかが変身魔法の失敗とタカを括っていたヴィータだったが、そんなユーノの様子を見て不安がこみ上げてくる。 「な、なぁアタシ。治るよな?」 「……聴覚に異常は無し、その他のプログラムは……ん? これは」 「お、おいユーノ!」 ユーノがぶつぶつと独り言を始めた事で、ヴィータは益々怖くなってくる。 すると、ユーノはヴィータの前まで来て、ヴィータの額に指先を当てた。 「ごめんねヴィータ。少しだけ探査魔法を走らせるけど良い?」 「お、おう」 指先に魔法陣が展開され、そこからユーノの術がヴィータの中を駆けめぐって行く。 自身を構成するプログラムの一つ一つを読まれていく感触に、ヴィータは何かむず痒い感じがしたが、そんな事は言っていられない。 下手をしたら、このままずっとウサミミを付けていかなければならないのかもしれないのだ。 「なるほど……少し面倒だけど、これなら大丈夫。なんとかなるよ」 「ほ、ほんとか?」 「うん。ちょっとはやてとリインの力が必要になるけどね」 「じゃあ、私呼んできますね」 それまで、事態の推移を見守っていたシャマルが主と末っ子を呼ぶために部屋から出て行く。 後に残されたのは、ユーノとヴィータのみ。 「はぁ……助かったぜ」 「これに懲りたら、もう迂闊に動物に変身しようなんてしちゃダメだよ? それで失敗して人間に戻れなくなったってケースも在るんだから」 「お、おう」 ヴィータは自分の頭にあるウサミミに手を伸ばす。 本物のウサミミのようにぴょこぴょこと揺れるそれの感触に、思わず顔が緩みかけてしまう。 少しだけ惜しい気もするが、あんまりにも恥ずかしすぎるし、これがあるとのろいうさぎマークの帽子を被るときに邪魔になってしまう。 はやてや高町やフェイトには黄色い声で玩具にされっぱなしだし、シグナムは何か血走った目でにじりよってくるし。 「はぁ、散々だ」 そんな風に、ため息をくヴィータ。 ふと、苦笑するユーノの方に目がいく。 「な、なぁユーノ」 「何?」 「お前は、そのどうおもう?」 「ん? 何が?」 「アタシが、その……ウサミミあるっての」 言ってしまってから、ヴィータは自分の言葉を激しく後悔した。 何をバカな事を聞いているのだ、こんなあるだけ不便な代物の感想を聞くだなんて! 「ん、そうだね」 そんなヴィータの内情を知ってか知らずか、ユーノは少し考え込む素振りを見せると実に良い笑顔でこういった。 「ヴィータの言葉を借りるなら……ヨタ可愛いってところかな?」 「はぁ? なんだよ、そのヨタって。アタシはそんなの言った事ねーぞ」 「まぁね」 「……けどよ」 「ん?」 「……可愛いのは、間違いねーんだよな?」 「もちろん」 確認してから、ヴィータはウサミミを隠すために被っていた帽子で今度は顔を隠す。 けれども、大きなミミは隠せて無くて何処か嬉しそうに揺れているのが見て取れた。 (そう言えば、冷蔵庫にキャロットケーキがあったっけ) リンディから貰った翠屋特製ケーキの事を思い出す。 はやてとリインとシャマルが来て、解呪が終わったら皆で食べよう。 そんな風に思いながら、ユーノの無限書庫での一日は今日も過ぎて行くのであった。 15スレ SS ユノヴィ ユーノ ヴィータ