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危険な関係 第2話に戻る ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 3. 午後のホームルームが終わると、既に西の空は茜色に変わっている。 教室の喧騒を耳にしながら、かがみと一緒にゲマズに行こうかと思っていた時、 入り口に良く知っている下級生が立っていることに気がついた。 「みなみちゃん」 声をかけると、彼女は静かに頭をさげた。 岩崎みなみちゃんは、ゆーちゃんと同じクラスの女の子で、 思わず振り向いてしまうような美人さんだ。 どこか人を寄せ付けないミステリアスな雰囲気を醸し出しているけれど、 ゆーちゃんにはとても慕われている。 「泉先輩。話をしたいことがありますので、少しお時間をいただけますか? 」 「いいけど。何の話? 」 「すみません。ここではちょっと…… 」 みなみちゃんの様子に微かな違和感を覚えたけれど、ゲマズに寄る以外には、 これといった用事はないし、特に断る理由もない。 「じゃあ。食堂にする? 」 「お願いします」 みなみちゃんの声は微かに震えていた。 昼間は殺人的に混みあう食堂だけど、今は数名の生徒が雑談に興じているだけで閑散としている。 「どうぞ。みなみちゃん」 「ありがとうございます」 みなみちゃんに、自販機で買ったホットコーヒーを渡して、隅の方にある椅子に座る。 「ところで話って何かな 」 みなみちゃんは、いきなり本題を切り出した。 「失礼ですが…… 泉先輩は、ゆたかと付き合っているのですか? 」 「え? 」 あまりにも直截的な言い様に、答えることを忘れて、まじまじと整った顔を見つめた。 「ゆたかが泉先輩に向ける目線が明らかに違うんです。話をしていても、すぐに泉先輩の 話題になってしまいますから」 鷹のような鋭い瞳が、私をしっかり捉えて離さない。 「みなみちゃんは…… 」 暫く考えた後―― 私は、大きく息を吸い込んで、最初の銃弾を送り込んだ。 「ゆーちゃんのことが好きなのかな? 」 「…… はい」 みなみちゃんは顔を真っ赤にして頷く。 「それで…… 私は何をすればいいのかな? 」 言葉に棘が含まれることに気がつき、みなみちゃんの表情はにわかに厳しくなる。 「ゆたかをこれ以上惑わせないでください」 「どういうことカナ? 」 「今のままでは、ゆたかが不安定なままです。先輩は分かっていないかもしれませんが、 ゆたかは繊細な硝子細工です。何かあったら壊れてしまいます」 あきらかに焦燥の色を浮かべながら、普段の寡黙さを捨てて早口で捲くし立てる。 「ゆたかをしっかりと支えてくれる人なら、ゆたかの一番になっても仕方がないと思っていました」 みなみちゃんは大きく息を吸い込んで続けた。 「でも、先輩はずっと曖昧なままじゃないですか」 みなみちゃんが振るった言葉の刃に、私の肺腑は深くえぐられる。 でもね。みなみちゃん―― 正論を言われて、ありがたがる人なんて余程の聖人君子か、自分の意見を持たない 葦のような人のどちらかなんだ。 溢れ出しそうになる感情を抑えていた蓋が、完全に外れる音を聞きながら、 私ははっきりと言った。 「私とゆーちゃんのことを、みなみちゃんに言われる筋合いはないよ」 「なっ」 私の返事が予想外だったようで、みなみちゃんの顔色が変わる。 「正直に言うとね。ゆーちゃんとの関係を、みなみちゃんにあれこれ言われるなんて おせっかいもいいところなんだ」 どす黒い感情と一緒に、酷い言葉がどんどん吐き出される。 「泉先輩っ 自分が何を言っているのか、分かっていますか? 」 みなみちゃんは怒りで身体に震わせている。 「十分に理解しているつもりだよ。少なくともみなみちゃんよりはね」 私の言葉と気持ちも、十分に冷え切っている。 実りのない応酬が交わされる度に、みなみちゃんとの間に修復不可能な溝が広がっていく。 「泉先輩…… あなたなんかに、ゆたかを渡すわけにはいきません」 「それはゆーちゃんが決めることだよ」 「違います。ゆたかは先輩に騙されているんです。泉先輩と一緒にいると不幸になってしまいます」 みなみちゃんの言葉は、どんどんエスカレートしていく。 「ゆーちゃんも可哀想に。こんな独占欲の強い子に囚われてしまって」 「どういう…… 事ですか」 「みなみちゃんはゆーちゃんしか見えていない。そんな視野の狭い子に捕まったゆーちゃんが気の毒だよ」 「うぐっ…… 」 言葉を詰まらせたみなみちゃんに、容赦なく追い討ちをかける。 「散々、私に言ってくれたけどさ。みなみちゃんは自分の事しか考えていないよ。 それでよく私と一緒になると不幸になる、なんて言えたものだね」 「いい加減にしてくださいっ! 」 激高して立ち上がった拍子に椅子が倒れ、不協和音を響かせながら床に転がる。 みなみちゃんは私の頬を張ろうと腕を振り上げたけど、動作が大きいために難なく避けることができる。 「甘いよ。みなみちゃん」 安い挑発にのったみなみちゃんが、真っ赤になりながら私の胸倉を掴む。 しかし、既に周囲の生徒の視線が集中しており、みなみちゃんは手を離すしかなかった。 「絶対に許しませんから」 みなみちゃんは擦れた声で言うと、背を向けて遠ざかる。 彼女の姿が消えて暫くしてから、私もゆっくりと立ち上がった。 先程までいた数名のギャラリーは、既に食堂から立ち去っていた。 鞄を取りに教室に戻ると、かがみが私の席に座っていた。 「やあ、かがみん」 軽く手をあげると、かがみは立ち上がって頬を膨らました。 「どこにいってたのよ…… 」 文句を言いかけた、かがみの表情が驚愕を含んだものに変わる。 「あんた…… 顔が真っ青よ」 「え!? 」 心配そうな表情を浮かべながら言葉を続ける。 「そういえば、つかさがみなみちゃんと一緒に出ていったって話していたけど、彼女と何かあったの? 」 異常なほどに鋭い。巫女って特殊能力があるのかな。 「まあ…… ちょっとした擦れ違いというか、衝突というかね」 「何があったの! 」 血相を変えて顔を近づける。 「落ち着いてよ、かがみ。ちゃんと話すからさ」 迫力に耐え切れなくなって、食堂での出来事を話す羽目になってしまった。 「こなた。あんた挑発しすぎよ」 額を指で押さえながら、かがみは深いため息をついた。 「まあ、反省はしているけど、つい…… ね」 私が努めて明るく振舞ったけど、かがみは真剣な口調のままだった。 「後ろから刺されても知らないわよ」 「まさか」 一笑に付そうとしたけど、喉がからからに乾いていて、なかなか声がでない。 大丈夫…… 私は大丈夫だから。 必死で自分を抑え付けて、はりついた笑顔をみせる。 「みなみちゃんが…… そんな事をするなんて思えないよ」 私は自分自身を騙すために敢えて嘘をついた。 「そうかしら。最近の子ってキレやすいわよ」 「かがみさん。あなたお幾つですか? 」 「馬鹿、とにかく不用意に挑発するのはやめなさい」 かがみは、指を伸ばして私の額を小突いた。 「分かったよ。それにしても…… 」 「なによ」 「本当はとても心配してくれるかがみ萌え」 「もうっ、いつも茶化すんだから」 かがみは何度目かのため息をついて、スカートの裾を翻しながら言った。 「ほら、ゲーマーズに寄るんでしょ。早く行かないと真っ暗になっちゃうわよ」 生き生きとした表情が眩しい。 かがみと一緒にいると、泡立つ心が少し落ち着いたような気がした。 辛い事なんか忘れられるような…… 気がした。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 危険な関係 第4話へ続く コメントフォーム 名前 コメント みなみちゃんこわい -- 九重龍太 (2008-03-14 22 38 02)
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危険な関係 第5話に戻る ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 6. 最初に、ジャンケンで座る位置と、トランプのカードを引く順番を決めることにする。 ゆーちゃん、つかさ、かがみ、私の順で、右回りにカードを引くことがきまる。 私が全てのカードを配り終え、全員が対になったカードを捨てていき、 つかさが7~8枚、残りの3人が10枚前後になった。 ジャンケンの勝者である私のカードを、隣にいるゆーちゃんが引いて静かにゲームは始まり、 途中までは順調にカードが捨てられていく。 しかし、残りのカードが片手で数えられる程度になってからは、急にペースが遅くなった。 ゲームは終盤に突入しており、ジョーカーは私の手元にある。 まわりを見渡すと、かがみはしかめっ面をしてトランプとにらめっこをしており、 ゆーちゃんは真剣にカードを見つめ、つかさはのんびりとした表情で手札を眺めている。 つかさが、ゆーちゃんのカードを引いて、ハートのクイーンが場に捨てられて、残り1枚となる。 ぐるっと回って、ゆーちゃんが私のジョーカーを引いてしまい、あからさまに肩を落とす。 そして再び、ゆーちゃんのカードを引いたつかさが、笑顔をみせて最後の一組を床に置いた。 「えへへ。勝っちゃった」 向日葵のような微笑をみせながら、大きく伸びをする。 しかし、ゆーちゃんとかがみは自分のカードのことで夢中となっており、 張り詰めた雰囲気のまま、ゲームは続いていく。 更に3周程回る。一旦離れていったジョーカーは、私の手元に舞い戻っている。 私は何食わぬ顔を装い、かがみの手元にあるカードを1枚抜き取る。 私は、2枚組になったスペードの8を中央に置いた。ジョーカーを含めて残り2枚となる。 続いてかがみも、ゆーちゃんのカードを引き抜き、クローバーの3を場に置いてラスト1枚となる。 きりきりと胃のあたりが痛むような展開が続く。 そして、ゆーちゃんが、私の手元からカードを引き抜き―― 「あっ、揃った」 ゆーちゃんは私にカードを見せながら微笑んで、かがみは悔しそうに顔を歪めた。 現時点で1位つかさと、2位ゆーちゃんまでが確定する。 今日のルールでは、1位と4位は同じ部屋だから、私とかがみが同じ部屋になる 可能性はこの時点でゼロになってしまう。 しかし、かがみはゲームを投げることはしなかった。 「こなた、負けないわよ」 依然、闘志を燃やしているかがみに違和感を覚えながら、1対1の闘いに移る。 そして、更に2巡後―― かがみは、ババを掴んでしまっている私の手元から、お目当てのカードを引いて 皆に見せてにっこりと微笑む。 私は最下位となり、つかさと同じ部屋で眠ることが決まった。 しかし、ゆーちゃんは明らかに不満そうな表情をみせて言った。 「かがみ先輩、どうして、こなたお姉ちゃんに勝っちゃったんですか? 」 理不尽な怒りを、2年上の先輩にぶつけてしまう。 「ゆたかちゃんだけは、こなたと同室にさせたくなかったからね」 かがみの返答もかなり挑発的だ。 「どうして…… 邪魔をするんですか? 」 ゆーちゃんは涙をためながら、かがみの瞳を見据えて精一杯の抗議を続ける。 「ゆたかちゃんにこなたを渡すことなんか、絶対に許さないから」 露骨に好戦的な答えが返され、二人の間に一触即発という空気が流れる。 「かがみ先輩のいじわるっ! 」 真っ赤になってふくれるゆーちゃんはとても可愛いけれど、美少女ゲームの 三角関係のような展開には、正直言って戸惑いを隠せない。 三角関係の結末は、当然ながら鬱やダークなものが多い。 特にバッドエンドだと、選ばなかった子からグサリとやられたり、屋上から突き落とされたりで、 二股をかけた主人公の末路は悲惨の一言だ。 「お姉ちゃん、ゆたかちゃん。けんかは良くないよ」 しかし、つかさがほんわかした口調で、ヒートアップする二人をたしなめたことによって、 この時点での破局は回避された。 お風呂に入って、部屋に荷物を運んだ後に、ベッドに腰掛けていたつかさが言った。 「こなちゃん。大変だね」 「まったくだよ」 私は大きなため息をつきながら、黄色いリボンをつけた少女の顔を見つめると、 つかさは少しだけ声を落として言った。 「でも、こなちゃんも悪いかな」 つかさの言うとおり、関係を曖昧なままにしている私が、たぶん一番いけない。 しかし、女の子同士の関係にゴールなんてあるのか、という疑問が常に思考に付き纏っていて、 自分がゆーちゃんの想いにきちんと答えられないでいる理由も、まさにそれだった。 私は、つかさに思い切って聞いてみることにする。 「つかさは、同性同士の恋愛ってどう思う? 」 暫く考えた後、私の髪を撫でながら答えた。 「うーん。よく分からないけれど。人を好きになる事って大切だと思うよ。 女の子だから、好きになっちゃダメなんてことはないと思うし」 でもね、つかさ…… 「今は『好き』で済まされるかもしれないけど、ずっと先はどうなのかな? 」 「私には分からないよ、こなちゃん。でも、それは女の子同士だけの話じゃないよ」 「それはそうだけど、学生時代限定のお付き合いをするつもりはないよ」 「それなら、こなちゃんもはっきりさせないといけないよ」 間髪入れずに返された言葉は、鋭い槍となって私の肺腑を直撃した。 「痛いところを突くね」 曖昧なままにしておいて、期間限定の恋愛はダメなんて自分勝手な言い訳にすぎない。 「でもね。こなちゃん」 つかさは、私の傍によって囁く。 「自分勝手な生き方の方が、ずっと楽なのもホントだよ」 「ちょっ…… つかさ」 つかさは、私に抱きついてベッドに倒れ込んだ。 「こなちゃん、あったかいね」 つかさの二の腕や太腿がまともに触れる。 下手に触れば壊れてしまいそうな、ゆーちゃんの華奢な身体つきとは違って、 芯がしっかりしているような感じがする。 「つかさ…… 顔が近いよ」 指呼の距離まで近づいて、私の瞳を覗き込みながらつかさは囁く。 「キスしたいな」 つかさが腕を絡めると同時に、柔らかい唇が迫った。 「つかさ、どうして? 」 瞳を見据えたまま尋ねると、つかさは唇を止めて軽く舌をだした。 「私、こなちゃんの事が好きなんだ」 鈴の音色のように澄んだ声が耳朶を叩く。 ホテルの窓から淡い月光が差し込み、少女の影を薄く伸ばしている。 私はつかさの事を、地上に舞い降りた神の遣いを見るような目で 見つめながら、小さな声をだした。 「今まで気づかなくて…… ごめん」 「ううん。私ね、こなちゃんを困らせるつもりはないの」 つかさはかぶりを振った。 「どういう…… ことかな? 」 不審に思って、つかさの顔を見据えて尋ねる。 覆いかぶさるように抱きついている少女の体温がじんわりと伝わってきて、 気持ちを落ち着かせることができない。 「こなちゃんが、私の方を向いていないことは、よく知っているんだ」 独白めいた言葉が漏れて、鋭い痛みが走る。 「つかさ…… 」 ほんの少し寂しそうな表情を浮かべながら言葉を続ける。 「こなちゃんは迷っているけど、その中には私はいないんだね」 つかさの口調はあくまでも穏やかで優しい。それだけに胸が締め付けられるように苦しい。 「ごめん…… つかさ」 「ううん。いいの」 小春日和のような微笑を浮かべて、つかさは首を横に振った。 「私、こなちゃんの一番になれないことは、ずっと昔から知っていたから」 笑顔を浮かべていたはずの、つかさの瞼から一筋の雫が生まれ落ちて頬に跡をつくる。 「こなちゃんが誰と付き合っても、最後まで応援するよ。みんながこなちゃんの 敵になっても、私は味方だから…… ね」 「つかさ…… 」 つかさは小さな嗚咽を漏らしながら、私の肩口に顔をあてた。 「こなちゃん…… 本当に幸せにならないとダメだよ」 「ありがと」 私の素直な返事に、つかさはようやく微笑を取り戻した。 「こなちゃん、お願いがあるんだ」 「なあに。つかさ」 「今だけ、甘えさせて…… 」 つかさは、私の小さな胸に顔を埋めて瞼を閉じる。 私は何も言わずに、彼女が寝息を立てるまでずっと見つめ続けた。 まだ東の空が白く変わらない時間に目が覚めてしまう。 布団から身体を起こして隣を見ると、つかさが静かな寝息をたてている。 喉に渇きを覚えて、私はロビーにある自販機に向かった。 エレベーターを使って1階までおりると、ロビーの端に小柄な少女が座っていた。 「ゆーちゃん」 「あ、お姉ちゃん」 オレンジジュースを差し出すと、ゆーちゃんは小さく笑った。 「ありがとう」 寝巻きにガウンを羽織ったゆーちゃんは、ジュースを両手で持って唇をつけた。 「ゆーちゃん。眠れないの? 」 私が尋ねると、ゆーちゃんは淡く微笑んだ。 「ちょっと頭が冴えちゃって…… 」 「そっか」 ゆーちゃんの隣に座ってから缶コーヒーに口をつけると、コクと同時に苦味が口に広がり、 少しだけ眉をしかめる。 私は深く息を吸ってから、目の前にいる少女に向かって尋ねた。 「ゆーちゃん。かがみの事キライかな」 「う、ううん。そんな事ないよ…… でも」 ゆーちゃんは言葉を濁した。 私は何も言わず、ゆーちゃんの次の言葉をひたすら待つことにする。 腕時計の秒針がたっぷり3回程回った時、ようやく重い口が開かれた。 「かがみ先輩は、こなたお姉ちゃんが好きだと思う。だから…… 私、先輩とお姉ちゃんが 一緒にいると嫌って思ってしまうんだ」 言葉が痛い。ゆーちゃんを旅行に誘ったことにより、妬心を招いてしまったことに、 今更ながら気がついて、自分の愚かさに愕然となる。 「ごめんね、ゆーちゃん。私が旅行に誘ったばっかりに」 「ううん。そんなことないよっ」 しかし、ゆーちゃんは強く否定した。 「どうして? かがみと一緒は嫌じゃないのかな? 」 「私、かがみ先輩を嫌ってはいないよ」 ゆーちゃんの言葉が分からない。 「かがみ先輩はとても良い人だと思う。でも、たまたま好きな人が一緒になってしまっただけなんだ」 ゆーちゃんは凄く冷静だった。 視野が広くて思いやりのある、こんな良い子を追い詰めてしまったのは、やはり私の罪なのだろう。 ひどく疲れを感じて、私はゆーちゃんにもたれかかった。 「こなたお姉ちゃん? 」 「ゆーちゃん。わるいけど膝、貸してくれるかな? 」 「う、うん。いいよ」 ソファーに仰向けに寝転がって、ゆーちゃんの太腿を枕にする。 首筋に温かい感触が伝わってくる。 「お姉ちゃん。疲れているんだね」 「そかな」 ゆーちゃんのドアップが近くに見える。相変わらず可愛くて萌える子だ。 「お姉ちゃん。私とかがみ先輩の両方に気を遣っていると疲れちゃうよ」 ゆーちゃんは、私を覗き込みながら言葉を続ける。 「私、お姉ちゃんが言うなら、かがみ先輩と仲良くするよ。だから、そんなに哀しそうな顔しないで」 同学年の友達と集まる時は、かがみやみゆきさんに甘えているポジションが心地良かったけれど、 年下のゆーちゃんに気遣われると、酷く恥ずかしい。 微かに残ったプライドの欠片も粉々になってしまうよ。 ゆーちゃんのあどけない顔と、柔らかい太腿によって瞼が酷く重くなっている。 心配げに見つめるゆーちゃんの顔が、靄に包まれるように輪郭線を喪い始め、 周囲は闇に包まれていき、いつしか深い眠りの井戸に誘われていった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 危険な関係 第7話へ続く コメントフォーム 名前 コメント この作者の作品凄く好き -- 名無しさん (2008-03-21 17 12 05) 三角関係どころか四角関係になってしまうのかどーなんd(ry 続編希望します。 -- 九重龍太 (2008-03-14 23 12 07)
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amazonで探す @楽天で #妻たちの危険な関係 を探す! 水22日テレ 1986.07.02~1986.09.24 前 妻たちの初体験 次 妻たちの課外授業Ⅱ Hulu NETFLIX dTV PrimeVide U-NEXT TVer Paravi GYAO youtube検索 / Pandora検索 / dailymotion検索 / bilibili検索 1 1986/07/02 2 1986/07/09 3 1986/07/16 4 1986/07/23 5 1986/07/30 6 1986/08/06 7 1986/08/13 8 1986/08/20 9 1986/09/03 10 1986/09/10 11 1986/09/17 12 1986/09/24
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おとなのどうわ しらゆきひめ むふふぶんこ【登録タグ お 小説 日野裕太郎 本】 【大人の童話】白雪姫 (ムフフ文庫?) 著者:日野裕太郎 本紹介 コメント 名前 コメント
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危険な関係 第6話に戻る ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 7. 晩秋の長い夜とて永遠には続かない。 私は再び部屋に戻って、ベッドで眠っていたが、目が覚めると午前8時を回っていた。 厚いカーテンを開けると、大きな窓からは眩い程に白い光が、私とつかさを鮮やかに照らしだす。 眠気の残滓を振り払いたくて、あくびを一つしてから視線を落とす。 ショートカットの少女は、微かな寝息を立てていた。 食べてしまいたくなるような、ぷにぷにした柔らかい頬を、人差し指の先で数度つついていると、 有名なギャルゲの攻略キャラに似た少女は、むずがりながら身体を起こした。 「ふわー こなちゃんおはよう」 あいかわらずのんびりした声をあげながら、とても眠たそうに瞼をこすっている。 「おはよー つかさ」 「今日は、こなちゃんの方が早いね」 あくびをした後、ぬくぬくとした毛布の中に、もう一度もぐりこもうとする。 「つかさ、駄目だよ。朝ごはん食べにいこうよ」 「うう…… ねむいよう」 夢の世界に片足を突っ込んでいる少女を、私は、強引に昼の世界に引っ張りあげた。 着替えを済ませてから廊下に出ると、ちょうど同時に隣の部屋から出たかがみとゆーちゃんと鉢合わせる。 「おはよう。かがみ、ゆーちゃん」 「おはよう。お姉ちゃん。ゆたかちゃん」 「おはよ。こなた、つかさ」 「おはようございます。つかさ先輩、こなたお姉ちゃん」 4人の挨拶が重ねられる。 かがみとゆーちゃんの表情は、普段と変わらなかった。 朝食はバイキング形式となっており、各々が、好みの料理をお皿に載せてからテーブルに戻る。 眠気が残っていることもあり、会話は少ない。 ナイフ、フォーク、または箸と、食器に触れた時に生じる乾いた音と、緩く落ち着いた旋律を辿るクラシック、 そして、少し離れて座っている客の談笑がノイズのように耳朶に届いているだけだ。 食事も半ばが終わった頃、隣に座っているツインテールの同級生が口を開いた。 「ねえ。こなた」 「ん、なにかな。かがみ」 「今日の予定、決まっていなかったわよね」 旅行2日目の予定は白紙になっている。 思いつくまま、気の向くまま、自由に行動する為ではなくて、何も考えていなかっただけなのだが。 さて、どうしようかな。 今ひとつ動きの鈍い脳に稼動を命じて、おもむろに思考を開始した時、ゆーちゃんが提案した。 「もしよろしければ、清水寺に行きませんか。あっ、でも、みなさんは修学旅行で既に行かれているから 別のところの方がいいのでしょうか…… 」 「ゆたかちゃん。そんな事、気にしなくていいよ」 つかさは、穏やかに微笑んで、ゆーちゃんの懸念をあっさりと打ち消した。 彼女はひよりんと接している時もそうだけど、下級生と話している時はやけに積極的にみえる。 もしかしたら、教師に向いているのかもしれない。 「私は別にいいわよ。修学旅行の時はバタバタしていたしね。ゆっくりと見て回るのも悪くないわ」 かがみも納得してくれた。二人が賛成ならば断る理由もないのだけど…… 「ゆーちゃん。身体大丈夫? 長い上り坂を登らないといけないよ」 私の懸念に対して、かがみとつかさが答えを示した。 「こなた。ゆっくり歩けば大丈夫じゃない? 」 「そうだよ、こなちゃん。のんびり行こうよ」 ゆーちゃんのペースに皆が合わせてくれるのなら、問題はないだろう。 「気分が悪くなったら、遠慮せずにすぐに教えてね」 「うん。わかったよ。こなたお姉ちゃん」 ゆーちゃんは元気よく答えてから、双子の姉妹に頭を下げた。 「ありがとうございます。先輩方」 「お礼なんていいわよ」 「この時期だと、綺麗な紅葉が見られるんじゃないかな。ゆたかちゃん」 かがみは少しぶっきり棒な、つかさは穏やかな眼差しをゆーちゃんに向けていた。 バスに乗って20分ほど揺られてから、清水道という名のバス停で降りる。 まだ午前中だけど、既に観光客で賑わっており、特に、修学旅行の最中と思われる、学生服姿の中高生が目立つ。 清水寺に向かう坂道をゆっくりと登っていく。狭い道の両側に土産物を売る店が軒を連ねており、 品揃えが珍しいのか、ひっきりなしに歓声が聞こえてくる。 私の隣にはかがみがおり、3メートル程前をゆーちゃんとつかさが談笑しながら歩いている。 前を行く二人はとても楽しそうで、この旅行で距離が縮まったように思える。 「ねえ、かがみ」 「なに? 」 怪訝そうな顔を浮かべている、頭一つ分ほど背が高いクラスメイトに尋ねた。 「やっぱり、ゆーちゃんのこと嫌い…… かな」 かけがえのない親友と、妹みたいに大切にしている従姉妹だから、 かがみとゆーちゃんは仲良くして欲しいと心から思う。 しかし、二人が対立しているという今の状況は、私の心を鉛のように重くしている。 それも私の『存在』が原因だ。だからどうしていいのか分からない。 ゲームだったら正解があるのに。 私の質問に、かがみは、少し前を歩くゆーちゃんのリュックを眺めていたが、ぽつりと言葉を落とした。 「ゆたかちゃんのこと。嫌いとか好きとか、そういうレベルの話じゃないわ」 「どういうこと、かな? 」 緊張で喉がカラカラに乾いてしまう。次の言葉を聞くのが何故かとても怖い。 「ゆたかちゃんと私は、同じものを求めているに過ぎない」 「そっか…… 」 予想された答えだけど、知ったからと言って何ができるものでもない。 私は無言のまま空を見上げることしかできない。 晩秋を迎えた京都の空は、今日は澄み渡っている。 雲はほとんど浮かんでおらず、ただ蒼い世界が果てしなくひろがっている。 視線を戻す瞬間、一羽の黒い鳥が調和の取れた世界を引き裂くように飛んだ。 ゆるゆると続く長い坂を上りきると、美しい朱色の仁礼門があらわれる。 境内に入って更に少しだけ歩き、あまりにも有名な、清水の舞台に立つ。 舞台から見える、山麓を彩る紅葉は息を呑むほどに美しい。 しばらく景色を堪能した後、4人揃った写真を撮ってもらう為に、通りがかったの女性に声をかけた。 「えっ、写真? ええよ」 どうやら地元の人らしいが、何故か見覚えがある。 「自分、昨日コミケに来てた人やろ」 「そうですけど…… 」 確か、ひよりんの隣に座って売り子をしていた女性だ。 やや伸ばした黒髪と、吸い込まれそうに大きい瞳が印象に残っている。 「即売会は土曜日だけですか? 」 「そやで。おかげさまで完売や! 」 満開のソメイヨシノのような笑顔をみせてから、デジカメを受け取る。 「ほんなら、みんな並んでな。そこのテールの子も、リボンの子も、ちっこい子もな」 ファインダーの一角に納まった私は、女性の合図で頬を緩める。 果たして、私は上手く笑えているだろうか? 写真をとってもらった後、私達は清水の舞台のすぐ傍にある、地主神社を訪れた。 つかさは巫女らしく熱心に手を合わせている。 私は、皆が仲良くなれますようにと心の中で呟いて、数秒だけ瞼を閉じた。 ゆるやかな坂を下りると、山の麓から流れ落ちている、糸のように細い三筋の滝が見えてくる。 まわりには多くの観光客が、並んで順番を待っている。 「こなちゃん、音羽の滝だね。並ぼうよ? 」 ガイドブックをにらめっこしていた、つかさが私の手をひいた。 10分ほど待ってから、ひしゃくを伸ばして、流れ落ちる水を受け止める。 汲んだ水を唇につけようとした時、隣にいたゆーちゃんと至近で視線が交錯した。 「こなた…… おねえちゃん? 」 唐突に鼓動が速まる。 見慣れているはずのゆーちゃんの顔が、急に大人びていたように見えてしまう。 「な、なんでもないよ。ゆーちゃん」 「?」 ゆーちゃんは、不思議そうに首をかしげてから、可愛らしい唇を水にひたした。 私達は、清水寺を出て京都駅まで戻り、14時2分に発車するのぞみ242号に乗車した。 少しずつ加速していく新幹線の、シートに身を沈めて京の街並みに別れを告げる。 (結局、何もおこらなかったな…… ) 隣に座るゆーちゃんと、真正面に座るかがみを交互に眺めながら、誰にも聞こえないような声で囁いた。 私は、二人には仲良くして欲しいと願いつつも、心の奥底では曖昧な状況を壊して欲しいという 矛盾した願望を持っている。 また、旅行という非日常な空間が、淀んだ事態を打開してくれるという根拠のない期待を、 心の何処かに潜ましていたことも否定できない。 しかし、八百万の神々は、私の身勝手な願いは聞いてくれなかったようだ。 細かい振動に身体を預けながら、私は瞼を閉じて、ゆーちゃんとかがみのことを考える。 まずは、ゆーちゃん。 私は、ゆーちゃんとケンカをしたことがない。 ゆーちゃんは自分を強く出張するタイプではないし、そもそも身体が非常に弱かった。 私は、ゆーちゃんをいつも護る立場だった。 高校に入って、かなり元気になったのは喜ばしいことだけど、 私への恋心を打ち明けられた事には戸惑うしかなかった。 確かに、ゆーちゃんは、私にとって非の打ち所のない萌えっ子だ。 ゆーちゃんを嫌う事は絶対にありえない。ケンカすることも今まではなく、おそらく今後もないだろう。 だからこそ、ゆーちゃんに対して恋心を抱きにくいのかもしれない。 『喧嘩するほど仲が良い』という言葉は、一面の真理を付いているように思える。 そして、かがみん。 かがみとは、つかさに便乗して宿題を写させてくれたことが縁になった。 かがみは、絵に描いたようなツンデレだ。 突っ込みが多くて、怒りっぽいところもあるけれど、本当はとても優しい。 また、自分をきちんと持っていて、間違っていることに対しては妥協をしない。 私のような趣味をもっている事にも、本当の意味での偏見をもっていない。 それでも、恋人にするかといえば迷う…… というか困る。 かがみとは大切な親友というポジションが一番似合うような気がする。 じゃれあってかがみに抱きつくことはあるけど、その先の事は想像しにくい。 かがみの身体を抱くなんてことを考えただけで、猛烈に恥ずかしくなる。 私は、どうすればいい? 曖昧な態度をいつまでも取ることは許されない。 しかし、どちらを選べなんて言われても…… 答えを出せそうにない。 迷路のような思考を続けることに、甚だしい疲労を感じて、私は脳の回転をとめる。 まもなく、強い眠気に襲われて視界が暗転した。 …… ………… 暗闇の奥から声が聞こえる。 耳を澄ませてみると、よく知った声だ。 「こなたお姉ちゃんは私のものです」 「なんでアンタがこなたのモノになるのよ! 」 いきなり修羅場に出くわす。訳が分からない。 混乱しながら、それでも争いを止めようとするけど、二人は聞く耳を持たない。 「どうして、私の邪魔をするんですか! 」 「あんた達の関係が異常すぎるからよ! 」 かがみが形の良い眉をしかめながら、激しい口調で責める。 「はっきり言っておかしいわ。女の子同士なのに、いつもベタベタして。こなたがいい迷惑よ」 「どうしてそんな酷い事がいえるんですか。かがみ先輩に何が分かるというのですか? 」 ゆーちゃんも、ひるまずに激しくやり返す。 「甘えきって、こなたが困っていることが分からないの! 」 かがみの針だらけの言葉に、大きな衝撃を受ける。 「かがみ先輩よりずっとマシです」 「どういうことよ! 」 「かがみ先輩って、本当はこなたお姉ちゃんの事が好きで好きでたまらないくせに、 自分の気持ちを外に出せないんですね。いわゆる、ツンデレっていうんですか? とっても可哀想ですね」 ゆーちゃんの口からも信じられないよう言葉が飛び出した。 「なっ…… 」 あまりにも容赦がない攻撃に、かがみは言葉を喪う。 闘争相手がひるんだ隙に、ゆーちゃんが容赦なく追い討ちをかける。 「私は、誰よりもお姉ちゃんが好きなんです。だから、私の身体を捧げました」 うわっ、ゆーちゃん、カミングアウトしちゃ駄目だよ! 「うそ! 嘘に決まっているわ! 」 「本当ですよ。嘘だと思ったら、こなたお姉ちゃんに聞いたらどうですか? 」 優位に立ったゆーちゃんが、小さな胸を張りながら微笑む。 「ね。こなたお姉ちゃん」 いきなり話を振らないで! かがみは信じれらないといった様子で、私の顔をまじまじと見つめてくる。 「ごめん…… かがみ」 しかし、無言の強烈な圧力を感じたのか、『私』はあっさり肯定してしまう。 (ちょっ、待っ) 「う、うそ。こなた…… 」 呆然となったかがみが、半ば上の空で呟く。 ゆーちゃんが、私の腕にぎゅっと抱きついて言い放った。 「好きって言葉も素直に言えないかがみ先輩に、こなたお姉ちゃんを渡せません! 」 あからさまな挑発だ。かがみが爆発するかと震えたが、寸前のところで踏みとどまった。 しかし、失いかけた闘志には火がついたようで、反撃の矢が放たれる。 「『こんな場所』で、身体を捧げたなんて、はしたない事を言う女の子は、こなたにはふさわしくないわ。 どれだけこなたに迷惑をかければ済むのかしらね。この甘えん坊さんは」 歯軋りするゆーちゃんを傲然と見下ろして、冷笑を浮かべてみせる。 ほとんど悪の女幹部そのものだよ。かがみ。 「でも、今更隠しても仕方ないわね」 かがみはため息をついて、急に私を睨む。 「こなた。はっきり決めてもらいましょうか? 私とゆたかちゃんどっちを取るの? 」 ゆーちゃんも私を見上げて、小動物のようなつぶらな瞳を潤ませる。 「お姉ちゃん。私を捨てないで」 「こなた、私よね。私を選ぶわよね」 この状況で、何をいえと? ギャルゲの優柔不断な主人公と全く一緒だ。 傍から見たら羨ましいぞ、このヤロウというところだけど、当事者にとってはひたすら困る。 ゆーちゃんを取れば高校で一番の親友を失うし、かがみを選べば大好きな従姉妹を悲しませてしまう。 背筋に冷や汗がつたう。 前門の虎、校門の狼とはこのことだ。本当にどちらかを選ばなければいけないの? そもそも女同士なんだよ? 物凄い圧力がかかり、恐怖に駆られて後ろに下がるが、すぐにぶつかってしまう。 「いや、やだよ」 何度も首を振って逃れようとするけど、かがみとゆーちゃんは許してくれない。 最終決断を迫って、容赦なく詰め寄ってくる。 「やだ…… 嫌―― 」 私は声を限りに叫び、視界が再び闇に覆われる。 …… ………… 「お姉ちゃん! こなたお姉ちゃん! 」 「しっかりしなさい。こなた! 」 「こなちゃん、起きて! 」 少しずつ暗闇に閉ざされていた視界が回復する。 ゆーちゃんと、かがみと、つかさがとても心配そうに私を見つめていた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 危険な関係 第8話へ続く コメントフォーム 名前 コメント
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From 戦場ヶ原 ひたぎ To 阿良々木 暦 Subject あけましておめでとう あなたに年収5000万の超高級セレブから、御指名がきています。 いい女と割りきった、不倫の関係で、あなたも高収入! しかも、今だけのムフフな特別ボーナスも! パソコンからの利用も可能となっ ております。もちろん携帯からもOK! るんるん気分で、気軽にアクセス! 「はあ。正月くらい、迷惑メールの転送するのやめてくれないかな……」 戻る
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危険な関係 第3話に戻る ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 4. かがみとゲマズに寄って、二人分のポイントをゲットしてから家に帰ると、 ゆーちゃんが玄関を開けてくれた。 「ただいまー」 「お姉ちゃん。お帰りなさい」 薄い桜色のエプロンがとても似合っている。裸エプロンにしたら萌え転がること必至だ。 脳裏にひよりんこと、田村ひよりちゃんが書いた、18禁の百合同人誌が浮かんでくる。 でもね、ひよりん。ゆーちゃんそっくりの女の子に裸エプロンを着せて、みなみちゃんとしか 思えない子に襲わせるって話は、鬼畜すぎだと思う。 ゆーちゃんが見たら絶対にショックを受けて避けられるよ。 みなみちゃんが知ったらビンタじゃ済まないよ。鬼籍に入る覚悟はできているのかなあ。 「どうしたの? 」 ひよりんの身の安全を案じていたとは、もちろん言わない。 「何でもないよ」 「ふうん。あ、そうだ」 ゆーちゃんは両手を合わせた。 「おじさん。出版社の人達との飲み会があるから夜遅くなるって電話があったよ」 食事当番のゆーちゃんが作ってくれたシチューを二人で食べる。 彼女の料理の腕はめきめきと上達しており、とても美味しかった。 夕食の後にお風呂に入り、さっぱりした気持ちになってから部屋に戻る。 そして、PCの電源を入れた時に、部屋の扉が二度叩かれた。ゆーちゃんだ。 「おねえちゃん。入っていい? 」 「どうぞ」 扉をあけて近づいてきた従姉妹の姿をみて…… 私は完全に固まった。 「ど、どうしたの? 」 ゆーちゃんは水着姿になっていた。 それも、俗にスク水といわれる、スクール水着だ。 幼い顔立ちと身体が、濃紺色の布地とリンクしていて、危険な魅力を放っている。 「こなたお姉ちゃん」 スクール水着を纏ったゆーちゃんが寂しそうな表情を浮かべながら、身体を寄せてくる。 「ゆ、ゆーちゃん。その格好は何を、どうしたいのカナ」 ほとんど反則的な姿に、私は、ひどく動揺してしまう。 「田村さんが、お姉ちゃんはスクール水着が好みって教えてくれたから」 ひよりん。それは誤解だよ。というより根本的に間違っているよ…… 確かに、小学校の時に使っていたスク水は、この夏にも着たけれど、 同性のスク水に欲情するほど、ダメで危ない人じゃないから。 「お姉ちゃん。ダメかな」 私の心の揺れを見透かしたのか、ゆーちゃんは頬を紅く染めて、必殺技の上目遣いを浴びせかける。 前世は、本当に萌えキャラなのかもしれない。 「な、なにがダメなのかな…… 」 私は、涙をためている大きな瞳をまともに見てしまう。 ゆーちゃん。そんな風に見つめられたら、強制イベントに突入しちゃうよ。 「こなたお姉ちゃん…… 」 まずい。まずすぎる。本能が危険を感じて数歩後退するけど、ゆーちゃんはスク水という 最終兵器を装備したまま、じりじりと近づいてくる。 壁に背が当たる。もう逃げられないよ。 「めいわくなの、かな」 「そ、そんなこと…… ないデスよ」 動揺を抑えられないまま、カラカラに渇いた口からなんとか声をひねり出す。 「だったら、いい? 」 私の返事を待たずに、覆いかぶさるように抱きついてきて、四肢を絡めてくる。 スク水の柔らかい布地とゆーちゃんの華奢な足が密着して、煩悩によって頭が沸騰してしまう。 「お願い。キス…… して」 鈴の鳴るような声をあげて瞼を閉じる。柔らかそうな唇が迫ってくる。 駄目だ。もう理性が持ちそうにない。やっぱり最初のスク水姿に悩殺されたのカナ? 私は半ば投げやりになって、ゆーちゃんを受け入れる。 「んんっ」 今日のゆーちゃんはとても積極的だ。唇を少し重ねたと思ったら、すぐに舌をねじ込んでくる。 「くぅ…… ふあっ」 私は喘ぎ声をあげた。 ゆーちゃんの舌によって中をぐちゃぐちゃにかき回され、唾液が唇の端から漏れて頬をつたう。 背中に回わされていた手が、パジャマの中にもぐりこんで、ブラのホックが外される。 「お姉ちゃん。私、不安なんだ」 長いディープキスを終えた後、ゆーちゃんは心の内を漏らした。 「なにが不安なのかな? 」 「しっかりと繋がっていないと、こなたお姉ちゃんが遠くにいってしまいそうで」 私の胸に顔をくっつけていた、ゆーちゃんが震えた。 「だから…… お姉ちゃんの傍で安心したいの」 「ゆーちゃん」 私は、支えを求めて縋りつく少女をぎゅっと抱きしめた。ゆーちゃんはほっとけないよ。 「大丈夫。ゆーちゃんから離れないから」 単なる偽善者なのかもしれない。 でも、ゆーちゃんのこんな思いつめた顔は、もう見たくない。 とびっきりの笑顔の方が絶対に似合っている。 「ほんとうに? 」 涙を頬に流したまま、ゆーちゃんは数歩動いて、ベッドにあおむけに倒れ込んで私を見上げた。 スクール水着から伸びる、白皙の四肢がひどく眩しい。 「こなたおねえちゃん…… 来て」 光に寄せられる夏の虫のように、紺色の水着を来たゆーちゃんに近づき、覆いかぶさる。 身体つきは幼いはずの、ゆーちゃんが発する色気は、あまりにも鮮やかで強烈だ。 「ゆーちゃん。本当に後悔しない? 」 「うん。しないよ」 私は手を伸ばして、ゆーちゃんのスクール水着の肩紐を外した。 「恥ずかしい…… 」 ゆーちゃんは頬を染めて、両手を隠そうとするけど、私は目線だけでダメと伝える。 ゆっくりと水着をめくっていくと、ほんの少しだけふくらんだ乳房と、 薄い桜色をした乳首が視界に入る。 「お姉ちゃん。はずかしいよう」 羞恥に震えて顔を真っ赤にしているゆーちゃんがとても可愛らしくて、 少しいじわるをしたくなってしまう。 「ゆーちゃんが誘ったんだからね」 念を押すように言いながら、ゆーちゃんの突起に唇を近づけて、舌の先端でつつく。 「ひゃうっ」 可愛らしい悲鳴をあげて、少女は身体を震わせた。 「逃げちゃダメ」 私は囁きながら、膨らんだ乳首を舌で押し潰す。 「んっ、あっ…… だめっ」 ゆーちゃんは、苦悶の表情を浮かべながら、両手で私の頭を抑えて必死に耐えている。 「あうっ、おねえちゃん。私、おかしくなっちゃう」 「乱れていいよ。ゆーちゃん」 私は、乳首への愛撫を続けながら、ゆーちゃんの水着を少しずつ脱がしていく。 小さなおへそを通り越して更に下に進むと、女の子にとって、一番大切な部分が外気に晒される。 「お姉ちゃん。恥ずかしいよお」 顔を紅く染めながら、シーツに頬をつけて、目を瞑っているゆーちゃんに欲情しながら、 一気にスク水を太腿のあたりまで下げてしまう。 「ゆーちゃんのアソコ、とても綺麗だよ」 「いわないでっ! 」 ゆーちゃんの口から悲鳴があがる。 みずみずしい反応に満足してから、ゆーちゃんの乳首に口づけをしたまま手を伸ばし、 未開発のアソコに触れる。 「ひゃうっ」 少女の唇から甲高い悲鳴があがって、背中をのけぞらせる。 「お、お姉ちゃん…… わたし、もうダメだよ」 「とっても可愛いよ。ゆーちゃん」 私は囁きながら、秘められた場所に触れている指先をゆっくりと動かして、 固いつぼみを解きほぐしていく。 「んんっ…… んあっ…… 」 ゆーちゃんは、リズミカルな喘ぎ声を漏らしながら、シーツをぎゅっと掴んでひたすら耐えている。 秘所からは粘性を帯びた液体が漏れ始めており、声も単なる悲鳴から、 どこか色気を含んだものに変わっていった。 「んああっ、ひゃん…… おねえちゃん、きもち…… ううん。なんでもないのっ」 「ゆーちゃん、気持ちイイの? 」 からかいを含んだ声に、ゆでたこのようになってしまう。 「んんっ、おねえちゃんのイジワルっ」 「ごめん。ごめん」 頬を膨らましているゆーちゃんが可愛くて仕方がない。 ゆーちゃんの肌をもっと感じたくて、私は愛撫をしている手を止めてパジャマを脱いだ。 既に外されたブラがベッドに落ちる。 勢いに任せて下の方も脱いで、一糸纏わぬ姿になってから、ゆーちゃんを強く抱きしめた。 少女のぬくもりを感じながら、私は耳元で囁く。 「寒い? 」 「ううん。あったかいよ」 裸で抱き合う私達を、お父さんが見たら出血多量でしんじゃいそうだ。 少し外れたことを考えながら、ゆーちゃんの唇に触れる。 「こなた…… おねえちゃん」 ゆーちゃんの手が私の背中に回る。 ふくらみかけの乳房や太腿が密着して、鼓動が速まる。 全てを吸い込みそうな大きな瞳、ふっくらとした頬、ぷるぷると震える小さな唇―― ゆーちゃんの全てが私を惑わす。 「お姉ちゃん。もっとエッチなことして」 なんですと―― オオカミに向かって、私を食べてくださいと言っているようなものだよ。 もう、自制をすることなんかできないよ。 「遠慮しないからね」 私はキスを続けながら、十分にほぐれたアソコへの愛撫を再開する。 「んん…… ふあっ」 大切な場所から粘性を帯びた愛液がとろりと溢れ出して、ベッドのシーツの上に、 とてもはしたない染みをつくる。 執拗な愛撫によって、ゆーちゃんの形の良い眉が歪んで、快楽と苦痛の混ざった表情に なっているのを確認してから、唇から首筋へと愛撫を行う場所を移していく。 「はあっ…… はあっ」 ゆーちゃんは荒い息をつきながら、必死にしがみついており、 華奢な体のいたるところからは、大量の汗が噴き出している。 少女の限界が近いことに気がついて、アソコを刺激している手の動きを強めていく。 「だめ、お姉ちゃん、いっちゃう、いっちゃうよ」 イクなんて言葉どこで覚えたのかな…… もしかして? 私の美少女ゲームのデータが知らないうちに更新されていたことがあったけど、 あれはお父さんじゃなくて、ゆーちゃんだったのかな。 「ごめんなさいっ…… はあああっ、ひゃん」 愛撫による刺激によって喘ぎながら謝るゆーちゃんは、 おにぎりにして転がしたくなる程、かわいすぎる。 「隠れてえっちな事をしている、ゆーちゃんにはお仕置きが必要だね」 暴走が抑えられないよ。 私は、ねちっこい愛撫によって膨らんでいるお豆を軽く捻る。 「うあああああっ」 強烈すぎる刺激に、ゆーちゃんは髪を振り乱しながら身体を捩った。 「おねえちゃん。ごめんなさいっ、だめっ、もうダメっ」 ゆーちゃんは急激に高みに上っていく。 「いっちゃえ。ゆーちゃん」 私はとどめともいうべき愛撫を、ゆーちゃんの大切な場所に加える。 「いやああっ、だめ、いく、いっちゃうよ」 幼い身体がガクガクと震える。背中が大きくそらされて、胸がぐんと張り出される。 「いや、いやああああっ…… ああああっ」 ひときわ大きな悲鳴をあげると、ゆーちゃんは身体を硬直させて絶頂に達した。 「はあっ、はあっ」 荒い息をつきながら、ゆーちゃんは火照った身体を鎮めている。 私は身体を起こして、タンスに入ったタオルを手に取ると、汗みずくになった ゆーちゃんの身体を丁寧に拭いていく。 濡れた身体のままでは風邪をひいてしまうから。 「あっ、ありがとう。お姉ちゃん」 「どういたしまして」 しっかりと乾くまで身体をふき取ってから、替えの下着とパジャマを渡す。 もちろん、ゆーちゃんの部屋に行けば服はいくらでもあるけど、そこは気分の問題だ。 「ごめんなさい」 「ううん。気にしなくていいよ」 うなだれている少女に微笑んでみせる。 「少し待っててね。飲み物をもってくるから」 ゆーちゃんを部屋に残して台所に行き、冷蔵庫から取り出したミルクを温める。 出来上がったホットミルクをお気に入りのマグカップに注ぎ、 部屋に戻ってゆーちゃんに渡す。 「お待たせ~ 」 「ありがとう。こなたお姉ちゃん」 羞恥に震えるゆーちゃんも魅力的なのだけど、やっぱりゆーちゃんは笑顔が一番だ。 「どういたしまして。それにしても」 私はニヤリとしながら、片目を瞑った。 「ゆーちゃんは、えっちがとても激しいね」 少女の頬が瞬く間に朱色に染まる。 「お姉ちゃんの意地悪! 」 ほっぺたを膨らまして、思いっきり睨みつける。萌え転がりそうな程に本当にかわいい。 「ごめん、ごめん」 私はゆーちゃんの頭をなでる。 「もう、子供扱いしないでよ~ 」 「でも、大人っぽいゆーちゃんって想像できないなあ」 私は伸びをしながら言った。 ゆーちゃんは、ずっと将来におばさんになっても可愛らしいままのような気がするよ。 「ううっ、私には無理なのかなあ」 一転してしゅんとなってしまう、ゆーちゃんを眩しそうに眺めながら、私は少しだけ 真面目な顔つきになって言った。 「ゆーちゃんは自然なままが一番だよ」 「そうかなあ」 「背伸びしたい気持ちは分かるけどね。さて…… 」 私は、一呼吸置いてから言葉を続ける。 「そろそろ寝よう。明日は旅行だしね」 「あっ、そうだね」 ゆーちゃんは、自室に戻ろうとベッドから出ようとしたけれど、私は腕をつかんで言った。 「ゆーちゃん。一緒に寝よ」 「う、うん」 ゆーちゃんは曇りのない笑顔をみせてから、ベッドにもぐりこんだ。 「おやすみなさい。お姉ちゃん」 「おやすみ。ゆーちゃん」 目覚まし時計の秒針が一周もしないうちに、安心しきったゆーちゃんは夢の世界の住人となった。 愛らしい寝顔を眺めながら、私は、小さなため息をついてしまう。 京都に行く前に、ゆーちゃんと一線を越えてしまったのは、良かったのか、それとも、 後悔することになってしまうのか。 暫くの間考えていたけれど、やがて迷宮の出口を見つけることに疲れてしまい、 ふいにおとずれた眠気に身を委ねた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 危険な関係 第5話へ続く コメントフォーム 名前 コメント 「こな×かが」より「こな×ゆた」が好きな俺は異常 -- 名無しさん (2008-03-25 07 15 50) 良い展開になってきましたねぇー(´∀`) -- 九重龍太 (2008-03-14 22 52 40)
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兄弟との危険な関係 初出:エロパロ板「男の娘でエロパロ!」スレッド 189 隣の家には、可愛い男の子が住んでいる。 名前は一瀬凛(いちせ りん)。 小学校4年生らしい。 女の子のように愛らしく、性格も素直でおとなしいので、すぐに仲良くなった。 彼には5歳違いの兄がおり、可愛らしい弟を変質者から守ろうとまとわりつ いてきたが、趣味が似ているのか結局兄とも意気投合した。 彼の兄を信用させた自分は、男の子を一人家に連れてきている。 「君のお兄さんがいると怒っちゃうからね…」 凛は、床に座って熱いココアをふうふうしながら、自分を見上げた。 「お兄ちゃんがいないのに、孝也さんの家にいるの初めてだね」 にっこりと笑う。 くりくりとした目が興奮を誘った。 信頼を裏切るのは、少しかわいそうな気もするが、欲望がもう限界なのだ。 この子一人なら、うまくすればごまかせるかもしれない… 凛の薄茶色の柔らかな髪を、そっと撫でる。
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対立関係 日時 原因 近藤利一×武豊 2007 香港でのアドマイヤムーンの騎乗ぶり 近藤利一×河野通文 2008 所有馬落馬→「騎手はどうでも良い。馬は大丈夫か」→師激怒 近藤利一×三浦皇成 2008 上記の馬に騎乗 佐山優×角田晃一 伊藤雄二×田原成貴 後藤浩輝×吉田豊 田中剛×江田照男
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1703.html
危険な関係 第4話に戻る ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 5. 連休初日の朝、私とゆーちゃんは、かがみ達と待ち合わせの場所になっている、 東京駅の、東海道新幹線の改札口に到着した。 「おっす、こなた」 「おはよう、こなちゃん。ゆたかちゃん」 既に待ち合わせ場所で待っている、二人が同時に声をかけてくる。 「おはよー。かがみ、つかさ」 「おはようございます。柊先輩」 ゆーちゃんがぺこりと頭を下げた。 「やっぱり、ゆたかちゃんがいると時間通りにくるわね」 かがみは腕を組みながら、少しだけイジワルそうな表情をみせる。 「信用ないなー 」 「あんた、遅刻の常連じゃない」 まったくもってその通りなのだけど、遅刻をしていない日に言われるのは不本意だよ。 「そろそろ行かないと…… 」 つかさが困ったような顔をして時計を指した。見上げるとちょうど10時を指し示している。 「では、いきますか」 「そうね」 改札口を通り抜けてホームに入る。私達が乗る列車は16番線に停まっていた。 電光掲示板には、10時13分発、のぞみ19号、博多行き、と表示されている。 「こなちゃん。カモノハシみたいだねえ」 つかさが列車の先端を指差しながら素直な感想を述べる。 確かにそう見えるけど、やっぱり空気抵抗を考えているのかな。 「こなた、11号車だったわよね」 「そうだよ」 長い新幹線のホームを歩いて11号車に乗り込み、予約した指定席を見つけて、 座席の向きを対面に変える。 二人分の荷物をかがみに置いてもらった時、ベルが鳴って扉が閉まり、滑るように車輌は動き出した。 品川、新横浜と短い区間で停車してから、本格的に加速していく。 「ねえ、こなた」 熱海駅を通過した頃、かがみが、缶コーヒーを片手に持ちながら尋ねてきた。 「今日は、何処を回るつもりなの? 」 「そうだねえ。一応プランはあるんだ」 私は、京都のガイドブックを広げながら答える。 「こなちゃん。もう決めてあるの? 」 「あんたにしては計画的ね」 「そうだよ。つかさやかがみがOKといったら、私の計画通りになるのだよ」 「ふうん。で、どこに行きたいの? 」 「まずはスタンダードに鹿苑寺へ行こうと思うんだ 」 「ろくおんじ? 」 つかさの頭に、大きなクエスチョンマークが浮かんだ。 「つかさ。金閣寺のことよ」 「うん。金閣寺は通称で、正式名は鹿苑寺だよ」 私の言葉につかさは肩を落とす。 「こなちゃんに負けた…… 」 つかさ、そんなに落ち込まないでよ。流石に傷つくよ。 「まあ、こなたが知っていたというのは驚きだけどね」 「う…… かがみまでひどい」 私がほっぺたを膨らますと、かがみは、からからと笑った。 「で、その後はどうするの? 」 「ひとつ寄りたいところがあるんだけど」 私が、同人誌の即売会のパンフレットを見せた。 「こなた。やっぱりあんたらしいわね」 やれやれと肩を竦めながら、それでも頷いてくれた。 「つかさはOKかな」 「そんなに…… 人、多くないよね」 不安そうな顔色に変わる。冬コミのトラウマが未だに残っているらしい。 「大丈夫だよ。有明のコミケは特別だからね」 「それならいいよ。こなちゃん」 「さてと、ご承認をいただいたことだし、少し遊びますか…… 」 私はおもむろに鞄からトランプを取り出した。 小刻みに揺れる、列車の振動に閉口しながらも、『大富豪』というゲームで時間を潰した。 正午近くに名古屋に停車した時、やや疲れたこともあって、私はトランプをバッグに仕舞ったが、 名古屋を発車してすぐに、つかさは眠りに落ちてしまっていた。 「つかさ、夜更かしでもしていたかな? 」 「ううん。9時には寝ていたはずよ」 「よく寝る子だねえ」 私とかがみは顔を見合わせて苦笑した。 名古屋を出てからは、しばらくは田園地帯を走る。 岐阜羽島駅の前後にある、大きな河川を何度か越えると単調だった景色が急に変わる。 「ここが関ヶ原なんだね。お姉ちゃん」 ゆーちゃんが窓の外を眺めながら口を開いた。 「ずいぶん、狭いのね」 かがみも、林と段差の多い耕作地をみながら感想を漏らす。 確かに、東西合わせて16万という大軍が、合戦を繰り広げたとは思えない狭さであり、 山あいの細長い窪地という感じだ。 「まあ、交通の要衝だからね」 私は、関ヶ原と、その奥にそびえ立つ伊吹山を眺めながら呟いた。 「ところで、ゆたかちゃん」 「えっ」 ゆーちゃんが、びくんと震える。 「身体の方は大丈夫かしら」 「はい。おかげさまで、今日は調子がいいみたいです」 ゆーちゃんは両手をわざわざ前に持ってきて、握りこぶしをつくってみせた。 こんな何気ない仕草も、萌え要素の一つになってしまう。なんて恐ろしい子。 「そう…… でも、気分が悪くなったら遠慮なく言いなさいよ」 「ありがとうございます。かがみ先輩」 二人のやり取りをみて、私はほっと息を吐き出した。 先日のような冷たい空気は、今のところは流れておらず、私はほっとする。 米原を通過するあたりから、再び田園風景がひろがってくる。 湖西の山並みを遠くに望みながら、列車は高速で駆け抜けて、12時35分、定刻通りに 京都駅に滑り込んだ。 車輌から降りると、どこか空気の味が違っていた。 「ふわあ…… 」 京都に到着する直前まですやすやと眠っていたつかさは、大きく伸びをする。 「よく眠れましたか? 」 ゆーちゃんが声をかけると、つかさは眠そうな瞼を擦りながら、 「もうちょっと寝たいよお」 と、大きなあくびをみせた。 新幹線のホームから階段を降りて、中央改札口を抜けて右に曲がって再び昇ると、 周囲が黒っぽく変わる。京都の駅ビルの色調が、黒で統一されている為だ。 「うわあ。人がいっぱい」 つかさが物珍しそうに周囲を見渡すと、かがみは呆れたように言った。 「いや。東京の方が確実に人多いから」 「でも、鷺宮よりは多いよ? 」 「当たり前だ」 巫女姉妹のコントを聞きながら、京都駅の上を横断して、バスターミナルの手前に降りる。 私はガイドブックを広げて確認してから、3人に向かって伝えた。 「金閣寺は、B3乗り場だって」 B3と書かれた場所で待つと、間もなく金閣寺方面に行くバスがやってくる。 「ゆーちゃん。酔い止めの薬は飲んだかな? 」 「う、うん。飲んだけど。でも、大丈夫だよ」 ゆーちゃんは、心配性の私に向けて微笑んだ。 車内は予想通り、金閣寺に向かう観光客で混雑していた。 なんとか空いている席にゆーちゃんに座らせたけれど、残る3人は立ちっぱなしだ。 「こなた…… 金閣寺までどのくらいかかるのよ」 ジト目で睨みつけてくるかがみから、視線を逸らす。 「40分くらいだよ。うん、すぐについちゃうよ」 かがみは、がくっと肩を落としながらぼやいた。 「そうね…… 40分なんてすぐね。確か、名古屋から京都の間もそのくらいかかったわよね」 新幹線と、市バスを比べる方がどうかと思うけど、不必要に刺激することもないから反論はしない。 バスは西大路通りをひたすら上り、(ちなみに京都では北に行くことを上る、 南に行くことを下るというらしい)金閣寺道という名の停留所でとまる。 「ゆーちゃん。平気? 」 「う、うん。大丈夫だよ。お姉ちゃん」 ゆーちゃんは健気に笑顔をみせてくれる。やっぱりかわいいな。 バスを降りてから周囲を見渡すと、観光客でごった返している。 外国人の姿もかなり多い。さすが国際的な観光名所だ。 人の流れに沿って歩くと、すぐに入り口が見つかり、拝観料を支払って中に入る。そして…… 「金閣寺だね」 「ちょっと、こなた」 何故か、かがみはむくれている。みさきちが言うとおり、最近ちょっとヒスチックな気がする。 「なにかな。かがみん」 「どうして入った途端、最終目的地があるのよ。ナジミの塔で、いきなりゾーマじゃない」 「昔のRPGの事、言われてもね」 「でも世界遺産なんだよ。お姉ちゃん」 「いや、それって関係ないし」 金閣寺を選んだ訳は、京都駅からは距離はあるものの、あまり歩かなくても済み、 ゆーちゃんの負担が軽いというのが大きな理由だった。 もっとも、清水寺は修学旅行で既に行ったということもあるけれど。 「とりあえず、みんなの写真をとろうよ」 つかさの一言で立ち止まり、通りすがりのカップルにデジカメを渡して撮ってもらう。 Say Cheese ―― パシャ! 3層の金閣寺を後にして、順路に従って歩いていくと、右手にお茶屋さんが見えてくる。 「ちょっと休憩しよっか」 茶店特有の赤い敷物の上に座ると、なんだか気分が落ち着いてくる。 間もなく、桜色の着物を着た店員さんが抹茶と和菓子を運んでくれる。 「いただきま~す」 中にあんが入った小さな和菓子を口に含むと、ほんわかとした甘さがひろがる。 次に抹茶を飲むと、渋さと甘さがほどよく混じりあう。 「こなたお姉ちゃん。お抹茶、美味しいね」 「うん。そうだね」 ゆるゆると歩く人の流れを眺めながら、私達4人は落ち着いた時間を過ごした。 金閣寺を出てから、四条河原町方面のバスに乗り、四条河原町からはタクシーを使う。 「こなた、こんなところで即売会なんてやっているの? 」 「うん。そうだよ」 「あたりには、平安神宮と、美術館しかないわけだけど…… 」 きょろきょろと、かがみは周囲を見渡しながら聞いてくる。 「美術館の隣の建物だよ。かがみん」 「『京都会館』って書いてあるところよね」 かがみは、ガイドブックと周囲を交互にみながら言葉を続ける。 「そだよ」 みんなを案内して、少しだけ歩くと、どっしりとした構えを見せている、 灰色系統の建物が迫ってくる。 私達は、2階にある会議場の扉を開き、会場に入った。 今回は40ほどのサークルが参加している、ごくありふれた規模の即売会であり、 建物の中にいる限りは、つかさが迷うことはない。 「先輩。ここっスよ」 会場に到着すると、早速、良く知っている女の子が声をかけてくる。 田村ひよりちゃんだ。 丸いめがねと、流れるような長い黒髪が特徴的な一年生で、ゆーちゃんのクラスメイトだ。 「ひよりん、お疲れ様だねえ」 「わざわざ来てくれてありがとうございます。今日は関西のサークルと合同で 販売させてもらっているっス」 ひよりんの隣には、セミロングの女性が売り子さんをしている。 「わざわざ埼玉から来てくれたん? ありがとうなー 」 私の顔をみると、穏やかな微笑を浮かべて、サークルの新刊を渡してくれた。 「田村さんと、こんな遠いところで会えるなんて」 つかさはとても嬉しそうに駆け寄ってくる。 彼女は、同人誌のことをほとんど知らないのに、何故かひよりんの同人活動を熱心に応援している。 みかんのネタが日の目を浴びることが果たしてあるのだろうか? 「柊先輩。こんにちはっス」 「一冊、500円なんだね 」 いきなりお財布をとりだすつかさに、ひよりんは慌てて言った。 「つかさ先輩、お代はいらないっス。関係者には差し上げていますから」 「えっ、あっ、ありがとう。ひよりちゃん」 つかさは初夏の木漏れ日のような、思わずどきりとしてしまうくらいに無垢な笑顔を浮かべた。 「えへへ。田村さん、覗きにきちゃった」 つかさの脇から、ゆーちゃんも顔をのぞかせる。 「えっ、小早川さん!? 」 小柄なゆーちゃんが、ひよりんの目の前にあらわれた直後―― 「自分、そっくりさんやなあ」 隣の売り子さんが、ゆーちゃんの顔をみて驚いている。 「えっ? えっ? 」 目を白黒させているゆーちゃんに、売り子さんは後ろの箱から、別の同人誌を取り出して渡した。 「なあ、なあ、この本のモデルさんやろ」 「ちょ、まずいっす。それはダメっす」 ひよりんは黒髪を振り乱して、ひどく慌てている。 「え、ほんでも、モデルさんやし…… 」 ゆーちゃんと、ひよりんを交互に眺めながら、売り子さんは戸惑っている。 「あ、あの、拝見してもいいですか? 」 自分の姿が書かれた表紙を見て、顔を赤らめたゆーちゃんが口を開いた。 「あ、それあげるで。もちろんお代はいらへんよ」 「ありがとうございます」 「だめっ、本当にダメっす」 本気で泣き叫びながらひよりんは、ゆーちゃんの手から同人誌を奪おうとするけど、 残念ながら長机が邪魔をして届かない。 「あきらめよう…… ひよりん」 私は、絶望に打ちひしがれる少女の肩をぽんと叩いた。 気持ちは痛いほど分かるけど、ゆーちゃんの承諾はやっぱり要るよ。 許可がおりるとはとても思わないけどね。 「あ、あの…… 」 裸エプロンを着たゆーちゃんが、狼さんと化したみなみちゃんに陵辱されるという、 18禁ガチ百合本を読み終えて、当然ながらゆーちゃんは顔を真っ赤にしている。 「小早川さん、嫌っていいよ。友達を汚した私は地獄の業火に焼かれて死ぬべきっス。 豆腐の角に頭をぶつけて逝ってしまうべきっス。もう十字架に貼り付けになっても、 釜茹でになってもイイッス。ああ、カムバック、どきどき百合観賞らいふはもうゼロっス」 ゆーちゃんは、涙を流してうずくまっている、迷えるふじょしの頭にゆっくりと掌を置いた。 「ごめんなさい。生まれてきてごめんなさい」 すっかりと脅えて泣き叫ぶひよりんが、あまりにも哀れでたまらない。 「田村さん、あのね…… 」 「もう、一思いに殺してくださいっス」 「私、嬉しかったんだ」 「へ? 」 涙で濡れた顔をあげたひよりんは、呆然としている。 彼女の予想とは異なり、ゆーちゃんは微笑んでいた。 「恥ずかしかったけど、とても綺麗に描いてくれて嬉しかったよ」 「小早川さん…… 」 天使を見つめるような眼差しを、ゆーちゃんに向けている。 「本当に許してくれるんスか…… 」 「許すも、許さないもないよ。田村さんの絵、温かくて好きだから」 ゆーちゃんの慈愛にみちた言葉に、田村さんは感極まっている。 「小早川さん。一生ついていくっス。小早川さんの道を邪魔する者は 僭越ながら排除させていただくっスよ」 おーい。ひよりん。方向性が間違っているよ。 「ありがとう。田村さん」 そこは否定しないのか。ゆーちゃん。 どこかゆーちゃんの微笑みに打算じみたものを感じてしまうのは、本当に気のせいだろうか。 最近いろいろな事があって素直になれない自分が恨めしい。 でもね、ひよりん。決して深入りしてはいけないよ。 私は、ゆーちゃんの笑顔の虜になってしまった一人だから、とても良く分かるんだ。 暫く雑談とサークル巡りを楽しんだ後、BL本に夢中になっていたかがみを回収して会場を後にする。 「かがみん。全部立ち読みするのはマナーとしてどうかな」 「わ、悪かったわよ」 顔を赤らめてそっぽを向くかがみの仕草が、ツンデレの様式美なのだろうな、なんて思いながら、 予約をしたホテルに向かって歩く。 鴨川の上に架けられている橋を渡っている時に、西の空が茜色に染まっていることに気がついた。 ホテルに荷物を置いて、寺町通と呼ばれるアーケード街まで繰り出して夕食をとり、 再び部屋に戻ると、既に9時を回っている。 「ふー 食べた」 私は、苦しそうにおなかを押さえているかがみに向かって言った。 「かがみん。限定リミット解除しすぎだよ」 「う、うるさいわね」 数日後に体重計に乗って真っ青になっている少女の姿を想像してニヤニヤしてから、一同を見渡した。 「さて、そろそろ部屋の割り振りを決めないといけない訳だけど」 私の一言によって、ゆるゆるとした空気は消え去り、にわかに黒い雷雲がわき上がる。 「普通に考えると、私とゆーちゃん、かがみとつかさだけどね」 「そんなありきたりな事は許さないわ」 かがみは、躊躇いなく言い切った。 「少なくとも、機会は平等に与えられるべきよ」 かがみさん。もしかして酔っていませんか? 一方、ゆーちゃんは危機感をあらわにしており、森の中で天敵に出くわした 小動物のような瞳で、かがみを睨みつける。 「えへへ。私も参加したいなあ」 一方、つかさはのんびりと微笑を浮かべている。緊張感がないのは毎度のことだけど、とても楽しそうだ。 「トランプで決めようか? 」 私は、新幹線で遊んだトランプを取り出し、シャッフルをする。 「いいけど、何をするのよ」 「そだね。ここは単純にババ抜きでいいんじゃない? 」 「でも、どういう風に部屋を分けるの? 」 つかさが唇に人差し指をあてながら、質問をしてくる。 「うーん。1位と4位、2位と3位が同じ部屋でどうかな」 私の提案に、3人はあっさりと頷いた。 「いいわよ。こなた」 「いいよ。こなちゃん」 「分かったよ。こなたお姉ちゃん」 ゆーちゃんとかがみの間に激しい火花が散る。 どちらと一緒でも眠れそうにないな、なんて思いながら、私はカードを配り始めた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 危険な関係 第6話へ続く コメントフォーム 名前 コメント 修正しようと思いましたが、適切な単語が見当たらないので、とりあえずこのままにしました。 -- 23-251 (2008-03-29 10 08 19) 「閉口」の使い方に疑問符 -- 名無しさん (2008-03-29 03 37 41) いよいよかがみんとゆーちゃんの前面衝突(ry -- 九重龍太 (2008-03-14 23 08 31)