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『雨の向こう側』 作者:⑨郎(クロウ) ステータス:完結済 タグ:短編、現代 リンク:(別窓) コメント: 企画参加作品(テーマ:世界を変えた人 キーワード:雨の公園・時間・声 での作品) 突然の雨に、公園であまやどりをする私とそこに現れた少女の話。 最後の一文で「ああ」と納得してもらえるような作品を目指しました。 読み返してもらって伏線もろもろに気づいてもらえるとうれしいです。
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#blognavi 建物2Fのテラスから眺めた小雨煙る人影のない日曜日の舞浜運動公園。小さかった樹々もいつの間にか大きく育って、晴れの日には木陰を作ってくれるようになりました。雨に濡れた樹々の美しさといったら! 葉たちに落ちる雨の音が聞こえてきそうな静かな午後でした。 カテゴリ [公園] - trackback- 2010年05月23日 19 24 32 名前 コメント #blognavi
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ザセンタートーキョー 公開空地 224046432_624.v1434280480.jpg 河田町コンフォガーデン 公園
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ある梅雨の日の雨宿りの一幕 ラノで読む おいおい。 おいってば。 ああ、やっと気付いてくれた。 おれだよ、そう、おれ。 …そんな顔しないでくれよ。 確かにあんたはおれのこと知らないだろうし、…実をいうとおれもそうなんだけどさ。 別に取って喰やぁしねえよ。見りゃわかんだろ? はは、話が早くて助かる。さすが双葉学園生ってか、そういう飲み込みの速さは大好きだぜ。 え?何の用かって? まあ、別に大した用じゃないんだけど。 そこ。あんたが今立ってるそこ。 そこは雨脚が強くなると一気に降りこんでくるんだ。 せっかく雨宿りに来たってのにずぶ濡れになるのも可哀想だろ?だからさ。 そうそう、もそっと奥。うん、そこなら大丈夫。 なに、礼はいいってことよ。 あー、なんとなく、かねえ。どうせこれといってすることもないし。 仕事? 失敬な。ちゃんとしてるさ。 あんただって授業中ずっと授業に集中してるわけでもないんだろ? それといっしょ。 仕事しながらでも色々観察したり考えにふけったりする余裕ぐらいあるんだよ。OK? …いや、別に怒ってるわけじゃないんだがね。 だからそんな顔しなくても…ってうおっと。 な。 だからおれの言うとおりにして良かったろ? まあ当のおれはごらんの有様なんだけど。 別にいいさ、濡れ鼠になったところで死ぬわけじゃない。 避けられない運命だと割り切ってしまえば気も楽さ。 …「梅雨が早く終わったらいいのに」かぁ。確かに。まあそうなんだろうねえ。 ん?おれは雨が嫌いじゃないのかって? うーん。難しい質問だなあ。 確かにおれだって雨が好きなわけじゃない。 今のようにずぶ濡れになったら体が重くて鬱陶しいし、雨がざあざあ降りだと負けた気がするし。 それよりなにより、本能的に好きになれない。 そう、おれだってあんたと同じく梅雨が終わってしまえってずっと願ってるんだ。 でもなあ。 そうやって本当に梅雨が終わってしまったら、おれは一体どうなってしまう? おれの宿敵で、ずっと奴のことばかり考え続けてきた、そんな梅雨という存在が無くなるってことはさ。 つまりはおれ自身が無くなってしまうってことなんだ。 それを考えると、もうあの頃のように単純に「早く天気になーれ」なんて言えねえってわけよ。分かる? …分かんねえだろうなあ。 まあいいんだけどさ。最初から分かるだろうとは思ってなかったし。 ? …むう…ふぅむ。 ああ、あんた。 もうじき大降りになるぜ。 おそらくは夜まで続くね、こりゃ。 多少濡れるかもしれないがね、今のうちに帰ったほうがいいな。 なんで分かるのかって? わかるさ。このくらい。 これでもおれは梅雨を終わらせるために生まれてきたようなもんなんだぜ。 雨脚の動向を見る程度はなんとでもなるさ。 …ま、お察しの通りそれが精一杯なんだけどな。 大体、異能とかすげー力を持ってるわけでもないのに日本中を覆い尽くす梅雨をどうにかしろっておれの手には余るっつーの。 ……そっか。 ん、いやさ。 おれってちったああんたの役に立てたかい? …そうかい、ありがとな。 情けないことに今ようやく気付いたんだけどさ。 何でもいいから誰かの役に立ちたかったんだよ。 人様の「梅雨が早く終わってほしい」ってな願いを受けてこそのおれなのに、どうにも果たせる見込みもないし。 このままじゃおれの生きてきた意味ってなんなんだ?ってなことになっちまう。 だから、ありがとな。 悔いが残らないって言やあ嘘にはなるが、何かを成し遂げることができておれは十分に満足できた。 ま、ほんとにちっぽけなことなんだけど、おれには丁度いいってことかね。 「諦めるのはまだ早い」?思ったよりいい奴だねえ、あんた。 でも、ま、もう終わりなんよ。 おめでとう、この最後の一暴れが終わったらいよいよ梅雨明けだ。おれも晴れてお役御免って訳。 だからさ、もう行ってくれよ。 せっかく予報をくれてやったのにあんたがぐずぐずしてて大降りにぶち当たっちゃあこっちも浮かばれない。 ああもう。 だからそんな顔しないでくれって。 さっきも言ったけど、おれはまあ十分満足してんだよ。 …わかったわかった。強いて言うなら…そうだな、時々思い出してくれりゃあ、望外の幸せって奴だねえ。 自分の役目に途方に暮れて伝法な口調だけ達者になった、そんなてるてる坊主の形をしたラルヴァのことを、さ。 それじゃ、元気でな。 風邪引くんじゃねえぞ。 トップに戻る 作品保管庫に戻る
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楽天GORAで予約する 杜の公園ゴルフクラブ
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*登場人物A・B 共に女性、20代 Aが親戚の結婚式に出席して、帰ってきた時の会話 A「新婦さん、綺麗だったなあ。 嬉しそうに笑ってさ、幸せそうだったよ」 B「ふうん」 A「やっぱり結婚するなら6月だよなあ、憧れるなあ」 B「なんで?」 A「なんでって、ジューンブライドだよ」 B「ジューンブライドねえ」 A「6月の花嫁は幸せになれるんだぞ」 B「そっかあ? それ統計取った結果なのか? データあんの?」 A「データなんか無いだろうけど……」 B「それに6月ってヨーロッパなら良い季節なんだろうけどさ、日本じゃ梅雨でジメジメだぞ?」 A「そうだけどさあ」 B「招待される方は天気の心配しなきゃいけないし、着物は汚れるしあんまり嬉しくないだろ」 A「夢がないこと言うなよ……」 B「じゃあお前の結婚式も6月がいいのか?」 A「え?結婚?……私? い、いや急にそんなこと言われても……まだそんな」 B「憧れるって言ってたじゃん」 A「あっ、あっ……でもやっぱり6月がいいかな……」 B「どんな結婚式にしたいんだ?」 A「えっと……そうだな、人が多いと恥ずかしいし自分たちだけでこじんまりしたのがいいかな」 B「あー、お前らしいな」 A「手作りでアットホームな感じで。 そうだ、ドレスもシンプルなのがいい」 B「それスタイルが良いから言えるセリフだぜ。 きっと似合うだろうけどさ」 A「そ、そうかな……えへへ」 B「友達は呼ぶんだろ? あいつらとかさ」 A「そりゃもちろん。 皆に囲まれてブーケトスは欠かせないしな」 B「そっか、よしじゃそのブーケあたしが取ってやる」 A「は? お前が?」 B「おうっ、そういうのは得意だからなっ」 A「……」 ―――――――― 律「とこんな会話があってだな……」 そこまで話すと、律は手に持ったコーヒーカップに視線を落としひと口飲んだ。 律「それからAの奴の機嫌が悪いんだよな、ぶすっとっしやがってわけわかんねえ」 そして律の視線はコーヒーカップを離れ、テーブルの脇に飾られた花から窓の外を経由して また正面に座った梓に戻ってきた。 今まさにジューン・ブライドの季節 梅雨の晴れ間のその日、待ち合わせに使ういつもの喫茶店、窓際の席に二人は居た。 梓「なるほど、それが今日の本題なんですね」 律「なんだよ本題って」 梓「どうでもいい前置きが一時間あったじゃないですか」 律「どうでもいいとか言うなっ! 私は久しぶりに会った後輩と旧交を温めようとだな」 梓「久しぶりじゃないです、先月もここに呼び出されましたよ」 律「あー……そうだったけ」 梓「とぼけないで下さいよ、Bさん」 律「Bさんじゃねえよっ! 今のは知り合いの話だっつったろ!」 梓「そうでしたね、まあそれこそどうでもいいですけど」 律「……んだよ、言うようになったじゃねえか」 梓「私だってそれなりに社会の荒波に揉まれてますからね」 律「揉まれてる割には相変わらずペタンコな胸ですこと、ホホホ」 梓「なっ……律先輩に言われたくないですよっ!」 律「へへっ怒んなよ、これはお約束みたいなもんだ」 梓「そんなお約束いらないですよっ」 梓「それはともかくですね」 律「ん?」 梓「澪先輩ともめるたびに私を呼び出すのやめてくれませんかね」 律「んなこと言うなよ、お前が一番相談しやすいんだよ。 ほらお前らだって似たような感じだしさ」 梓「まあそれは否定出来ませんが……でも私はAさんポジションですけど」 律「だからこそだよ。 頼りにしてるんだよ、あずにゃん」 梓「あ、あずにゃんはやめて下さいよっ」 律「え? 今でも呼ばれてるんだろ?」 梓「もう呼ばれてませんよ、もう」 律「へえ、いつから?」 梓「いつからでもいいじゃないですかっ わかりましたよ話聞きますから」 律「へへっ、そう来なくっちゃ」 律「そりゃBも悪いところがあったら謝り様もあるんだけどさ、それが判んねえんだよな」 梓「……」 律「何でブーケあたしが取ったらダメなんだよ」 梓「あたしが取ったら?」 律「い、いや間違った。 Bが取ったら」 梓「はあ……」 律「梓?」 梓「ごちそうさまです」 律「え? あ、いやそりゃここは私が払うけど」 梓「そういう意味じゃないんですけどね……なんですかねえもう聞くまでもないっていうか」 梓「ていうか本当にわからないんですか? 本当は判ってるのに私に言わせたいんじゃないですか?」 律「んなこたねーよ。 判らないからきいてんだろーがよ」 梓「言ってもいいんですか?」 律「だから言ってくれよ」 梓「じゃあ言いますけど、馬鹿ですね」 律「は?」 梓「Bさんは馬鹿です、大馬鹿」 律「なんだとーっ!」 梓「あれ? なぜ律先輩が怒るんですか?」 律「うっ……あ、そ、そうだった。 でも馬鹿ってなんだよ」 梓「一緒にいる人の気持ちがわからないからです。 そんな人を馬鹿っていうんです」 律「えー」 梓「立場が違うんですよ」 律「立場?」 梓「AさんはBさんにはブーケを取る立場にいて欲しくなかった、ということです」 律「えっと……AはBの方が先に結婚してて欲しいってこと?」 梓「違いますよ、なんで判らないんですか」 律「そう言われてもなあ……」 梓「だったら聞きますけど」 律「?」 梓「その結婚式、ブーケを投げる澪先輩の横に立っているのは誰なんでしょうね?」 梓「じゃあ私はこれで、今日は時間が無いんです」 考えこむ律の返事も待たず梓は席を立った 時間が無いなんて嘘だ、早く家に帰りたくなっただけ なんだかとても帰りたくなっただけ 家で待っているあの腹ペコ魔人に何か甘いもの、プリンでも買って帰ろう 梓の目に彼女の嬉しそうな笑顔が浮かんでくる プリンを食べながらさっきのブーケの話をしてみよう あの人はなんて答えるだろうか さてどう話を切り出そうか 今日律先輩と会って……いやいや、もっと自分たちに置き換えた方が…… 考えながら梓は口元を隠すように手を当てた 自然と口元がほころぶのを抑えられなかったから 誰かを想って誰かに想われて 泣いて笑って怒って悩んで喜んで そんな彼女たちのなんてことない日常 そんな彼女たちのなんてことないお話 ある梅雨の晴れ間の昼下がりのお話 ――――数日後 とある喫茶店にて 唯「どうしよう、あずにゃんが怒って口きいてくれないんだよ〜」 和「ねえ唯」 和「梓ちゃんともめるたびに私を呼び出すのやめてくれるかしら」 おしまい 戻る
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近くの公園 近くの公園です。 日当たりよくて、気持ちのよい公園です。 近すぎてかえってあまり行ってなかったのですが、行ってみたらとってもさわやかで、見直しました。 上の広場から階段を降りた所です。 ******************************* -
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一昨日も雨。昨日も雨。今日も…天気予報は、一日雨。 トレードマークの向日葵の傘を広げ、裏門を通り抜けながら、キリノは溜息をついた。 ――――別に雨はきらいじゃないけど、これだけ続くとねえ。 洗濯物が干せない。手の平がパサつく。学校に行くにもバス代が嵩む。 勿論、ジメジメとした梅雨の空気は微妙に日本独特の「和」を感じて嫌いではないし、 この時期特有の苔生す防具から薫る香りは中学の頃から何よりの大好物、なのだが。 ――――にしたって、続きすぎでしょお…? そう一人ごちながら、いつもと変わらない道場を一瞥して通り過ぎようとした、その時。 よく見ると、見慣れないみかん箱が道場の植え込みの脇に捨てられている。 「おりょ?」 その中を覗き込めば、白い生き物がぽつん、と中にいる。 猫のような猫でないような、ふてぶてしい面構えのその奇妙な生き物は、 こちらが覗き込むと同時に、開いているのか分からないような目姿をし、しかし強い眼光でこちらを見上げ返してくる。 「…捨て…ネコ?」 「………」 見た所、ぽわぽわの毛は既に随分雨足に晒され、じとじとしている。そもそもみかん箱自体がもう、グショグショだ。 身体も小刻みに震えており、すぐにどうこうという事はなさそうだが、このまま放置しておけば……少々後味の悪い事になりそうだ。 そう考えたキリノがみかん箱の端に手をかけ、まず道場の屋根の下へ運ぼうとした所。 「………!!」 何故かは分からないが、箱の内側から激しい抵抗運動が起こり、爪でがりがりと中の箱を引っ掻く音がする。 どうやらここを移動してはいけないらしい。或いは、ご主人様がお迎えに来るのを、待ってるのだろうか。 キリノは少し眉間に皺を寄せ、そっとみかん箱にかけていた手を離すと。 「ふぅ、まあ、しょうがないか…」 そのまま、みかん箱を覆うように、植え込みに自分の向日葵模様の傘を挿すと、 鞄から取り出したハンドタオルで優しく白い生き物の身体をくるむ。 入れ替わりにキリノ自身の体が雨足に晒され始めると、心配そうに箱から見上げる目線。 「なに?心配してくれてるの?大丈夫大丈夫、あっはっは……よし!拭けたよ」 「………」 そのまま、ブルブルブル、と体を震わせ雫を飛ばすと、多少のぽわぽわ感を取り戻す体毛。 それを見て満足したキリノがタオルを底に敷き、じゃあね、と立ち去ろうとすると。 「…~~~…」 にゃー、でもなければ、なーお、でもない。 およそ一般的な猫の鳴き声からイメージできる響きとは全く異なる人間の言の葉が、 しかも耳を通じてでなく、頭の中に直接聞こえた気がキリノにはした。 数メートル進んだ先でおそるおそる振り返ると、みかん箱はそのまま、傘もそのまま、雨足を凌ぎ続けてくれている。 「……ありがとうね、変な生き物ちゃん」 そのまま、駆け足で雨と戦いながら校舎の方へと翔けて行くキリノ。 道すがら、その心の中には、先程聞こえたような気がする言葉が残響音のように響いていた。 ――――"叶えて、あげるよ。"って……どういう意味だろ? ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ さて、放課後になったというのに、雨は一向に止む気配を見せずに勢いを増している。 ソフト部の友達二人は練習がお休みになって嬉しそうに顔を見合わせると、そそくさに帰ってしまったが… 剣道部ではそうも行かない。雨の日であろうと、たとえ槍が降ろうと、部活は恙無く行われる。 ――――でも。 自分には部活を休みたいと思う理由など何一つも無い。あの貴重な、大切な時間を。 そう思うとキリノには、剣道が屋内競技である事にむしろ感謝したいくらいの気持ちであった。 てきぱきと日直の仕事を仕上げると、片付けを終え、いざ道場へ。――――しかし、心配事がひとつ。 ――――あのみかん箱…大丈夫かな? やっぱり強引にでも屋根の下に運んであげるべきではなかっただろうか。 傘を借りて、お昼に様子を見に行けばよかったという後悔が、道場へ向かうキリノの足を少し急がせた。 なおも雨足を強め、吹き付ける豪雨にめげずに道場に辿り着くと……箱は、ない。 「…もう誰か、持ってっちゃったかな…」 思わず口に出しながら、入口の屋根の下でどうにか雨露を掃うと、いつものように挨拶を―――と。しかし。 今日はどうしたものか、大きなタオルで頭を拭く先生が居るだけだ。 「よぉ、おはようさん。……なんだ、ずぶ濡れだな」 「なんで今日、先生一人なんですか…?」 「ここ、校舎から遠いだろう?流石にこんだけ雨だと、出席率悪いんだ、昔から。……てかお前、タオルは?」 「あ…えっとぉ…」 変な生き物にあげました、ではなんの説明にもならない。 そもそも先に来ていた先生なら、ひょっとしてあの子の事も何か見ているのではないだろうか。 まず何から尋ねるべきか、答えるべきか。キリノが頭の整理をつけていると。 ぽさ。 ずぶずぶのキリノの頭に、かけられる大きなタオル。 そのままコジローがわっしゃわっしゃと両手を動かすと、 髪の乾き具合と反比例するように混乱を極めるキリノの脳内。 「……うそだよ」 「…ほへ?」 「これ、お前のだろ?」 そう言ってコジローが差し出す傘は、 向日葵の模様がぎっしりと描かれている―――紛れもない、キリノの傘。 「タオルの方は今、洗濯機で洗ってるよ。でもこんな悪趣味なの、お前のだってすぐ分かったぞ」 その言葉の端々に見える断片情報から、どうにかあのみかん箱をどけた人物にアタリはつく。 では、その中身はどこへ行ってしまったのだろう。 「あの…変な生き物は……」 「ん、ああ…」 軽く汗をかきながらコジローがちら、と道場の隅に目をやると。 その先にはまるでこの道場の”主”のように居座る白い生き物が一匹。 気のせいか、見つけた時よりもその姿は白く光っているように見える。 「俺がきた時にもう、ドロドロだったから…シャワー浴びるついでにちょっと洗ってやったんだよ」 「……先生、猫とか飼ってた事あったんですか?」 「ああ。…知らないか?酒屋と猫って相性いいんだぜ。ウィスキーキャットつってな…」 コジローの語る薀蓄はともかく、拾ってくれていた事でもう既にキリノの胸は一杯であった。 しかし同時に、引っ掛かる点がひとつ。 「あの子、ダンボールから出そうとした時に…渋りませんでした?すごく」 「…いや?最初から随分人懐っこい奴だなって感じだったけど」 「……あれえ?」 では、あの抵抗は何だったのか。 ふと少しキリノは思い悩んだが、案外考えてみれば簡単な事ではあった。 ――――じゃあ、先生を待ってたんだね、あの子も。 とりあえずそう思ってしまえば、何とはなしに笑みがこぼれる。 「…何がおかしいんだ?」 「…ううん、なんでも!」 そのまま思い切って近付き、抱き上げる。―――今度は、抵抗はない。 嬉しそうにはしゃぐキリノに、コジローはやれやれ、とひとつ嘆息をつくと。 「しかし、どこで飼うかだな…俺んちは下宿でペットNGだし…」 「あたしんちのお店も、衛生面の事で何か言われるかも…」 言葉の上でのやり取りがそう交わされ、しばらく悩んだような素振りを見せると… どちらから、というでもなく、ぷっ、と同時に笑い出す二人。 結論は既に、お互いの胸の内にある。 「じゃあ、やっぱり…」 「ここで飼ってあげるって事で!ですね?」 そういって、キリノがぱあっと笑顔を輝かせると、どこか茫洋とその光景を見ていたコジローははっと我に返り、目を逸らす。 照れ、と言っていいのかも知れないが、それ以上にこうした気持ちは中々態度や言葉に表せるものではない。 ……変な物を愛でるその姿に、一瞬自分の母親を重ねていた、などとは。 堪らずに違う話題を振ろうとするが、それも僅かにキリノの方が早かった。 「この子…なんて名前にしましょうか?」 「ん?うん…そうだな…猫っぽいし猫っぽくない…」 「じゃあ…」 『”ねこ”!』 声が被さり、再びどちらからともなく失笑が漏れる。 一緒に居て、どうしようもなく楽しいこの時間。―――永遠に、なんて…続くはずもないのだけど。 ふと、今朝の不思議な声が脳裏を過ぎる。 ―――"叶えて、あげるよ。" 思わず頬を上気させ、抱き締めたままねこの頭を撫でるキリノ。 「…ありがとうね」 「???」 「…何でもないっすよ、さあ、練習練習!」 しかしその願いが、本当の意味で叶えられるには……更に、もうしばらくの時間を待つ事になる。 【終】
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久々の晴天のうだるような暑さの中、仕事を終えて帰ってきた。 「おかりなさーい。」 いつものように玄関で俺を向かえる蒼星石、 しかし今日は心なしか口調が明るいようだ。 「それじゃあ、ご飯用意するからそっちで待ってて。」 それから程なくしてすぐに夕食が並べられた。 「いただきまぁーす!」 「いただきます、しっかし本当に、暑くて嫌になるよ。」 「そんなことないよ、洗濯物が乾くし、気持ちいいよ!」 どうやらこの晴天で洗濯物を処理できたのがご機嫌の理由らしい。 「確かに、雨でずっと溜まってたからな。」 ここ数日、家の中もジメジメしていた。 「ついでに俺も溜まってるし。」 冗談半分で一言、しかし蒼星石は食事をのどに詰まらせ、 どうにか飲み込んでから本気で反論してきた。 「よ、よく言うよ!一昨日だって・・・おかげで大変なんだよ! 汗とか・・・・汗とかで必要以上にジメジメするんだから!」 「まぁでも必要なことだからしょうがないだろ?」 「そういう事言ってるんじゃないよ!」 そんなやり取りの後、食事を終えて風呂に入る事にした。 「ごちそうさま、風呂入ってくるな。」 「あ、マスター、僕も入っていい?」 「珍しいな、じゃあ先入ってるからな。」 「うん、後で行くから待っててね。」 風呂場にはバスタオルが不自然に高く積まれていて、 それが少し気になったが、素通りして風呂に入り、蒼星石を待った。 「入るよー。」 蒼星石がタオルを巻いて入ってきた。 「背中流すね、そっち向いてて。」 今日はいたずらしようとも思わず、素直にやってもらった。 「よし、終わったよ。」 「おう、サンキュ、じゃあ今度は俺が頭洗ってやるな。」 「いいの?じゃあお願い。」 お互い位置を入れ替え、俺は蒼星石の髪を優しく洗い、 泡を流した後に頭をくしゃくしゃに撫でてやった。 「うわわっ!もう、しょうがないなぁ。」 まんざらでもなさそうな蒼星石、それから二人で湯船に浸かった。 俺は蒼星石と一緒に風呂から出て、積まれていたバスタオルを一枚取った。 そして蒼星石もタオルを取るのかと思ったが、思いっきりそこに飛び込んだ。 「はぁぁ・・・ふかふかだよマスター。」 「一緒に入ったのはそのためか?」 「まぁそれもあるけど、気分がよかったから一緒に入りたくてね。」 風呂から出た後、蒼星石は先に寝ると言って上に行った。 俺もテレビを見て早めに寝ようと思い、寝室へ向かった。 ベッドの毛布をまくると、何とそこには蒼星石が入っていた。 「ふぁ・・・ごめんなさい・・・気持ちよくてつい・・・」 「気にするな、一緒に寝るか?」 「うん、ふかふかの布団とマスターに包まれてたら・・・よく眠れそう・・・」 そう言ってる間にも蒼星石はまどろんでいき、 俺もそんな蒼星石を見ていると徐々に眠くなり、二人してすぐ眠りに付いた。
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「明日も団活あるのか?」 シャワーを浴びてリビングに戻ると、ソファの上から声をかけられた。 「ええ、『失った時間は決して取り戻すことは出来ない』からと。涼宮さんらしいですよね」 「その分じゃ三十一日まで毎日遊び倒しそうだな。いいのか?たった一度の高一の夏休みだろ?」 「どこかで聞いたような言葉ですねえ」 「かわいい女の子と海行ったり、花火見たり、なんかそういうことしなくていいのか?」 そんなこと、おかげさまでたっぷりと経験済みだ。水着ではしゃぐ涼宮さん、花火に目を輝かせる朝比奈さん、望遠鏡をのぞきこむ長門さん。これで足りないと言ったら罰が当たる。と話すと、彼はそうじゃない、とでも言いたげな顔で頭をかく。 「好き勝手遊んでだらだらしたり、あとはデートでもして一夏の思い出作ったり、とかさ」 「デート……ですか。……あなたと?」 聞けば、彼は顔をしかめた。思わず苦笑する。だって、こんな風に寝食を共にしている相手以外に、誰とデートするっていうのか。 「いいですよ。しましょうか、デート。ふふ、記念すべき初デートですね、映画でも見ますか?」 本当はこのまま眠ってしまいたかったけど、彼がそんなつれないことを言い出すから誘いたくなった。 「こんな時間にそれもないだろ。いいよ、その辺ぶらぶらするだけで」 「この辺じゃあコンビニと公園しかないですよ」 「じゃあ公園で。いいじゃないか、夜の公園」 広々とした運動公園は、まだ深夜には早い時間なのに誰もいなかった。かすかに残る花火の匂いに、誰かの夏が終わった気配を感じながらゆっくり歩く。一番奥の四阿(あずまや)を模したベンチに腰を下ろして、二人で遠くの星空を見る。 「先週の方がよく見えました」 「晴れた日のマンションの屋上と、曇りの地上を比べないでくれ」 左側に彼の耳が目に入る。そういえば、もう何日も二人きりでゆっくり過ごしてなんかいない。 ふと、彼が手首に触れてきた。 「まだ十時か」 僕が出がけにしてきた腕時計を見て、おもむろに外し出す。 「な……に、してるんですか」 「邪魔だったから」 左手首は、普段時計をしている分刺激に敏感な気がする。静脈を触られると、まるで内側を探られているみたいだ。するすると確かめるようにさする指に、あらぬ事を考えてしまう。 「ん……さわらないで、ください」 「なんで、手を繋ぐのは初デートの基本だろ?」 まだその設定(?) を覚えていたのか。世の恋人達は本当にこんな接触をすぐに許しているのだろうか。手首を辿って重ねられた手の甲が熱くて、火傷しそうだ、なんて、僕はこの暑さで頭がおかしくなっているのかもしれない。 「……っ」 彼の手が指を這う。それだけで身体が震えた。気色悪さからだったらまだ救いようもあるのに、伝わる体温がぞっとするほど気持ちいい。 「汗かいてるな」 指先を愛撫していた手はとうとう掌まで行き着いてしまった。絡められた指が子どものように指の股をくすぐる。は、と漏らした息が熱い。気持ちいい。掌だけじゃ足りない。ぜんぶ彼の手中に収められてしまいたい。 「……もう、デートじゃなかったんですか?」 でも、全部明け渡すにはまだ惜しいから、悔し紛れに言ってみる。 「ムードがほしい?じゃあ、キスでもする?」 彼の声が終わる前に唇をふさいだ。重ねたそこは夏なのに乾いていた。僕も彼も、何に緊張してるっていうんだ。そういえば前もこんな事を思った気がする――― 瞬間、破壊衝動に襲われ、強引に歯列を割って舌を絡め取る。彼が驚いたように喉奥を鳴らす。 ぴちゃぴちゃと余裕無く咥内を探れば、どちらのものかしれない唾液が零れ、顎を伝った。それさえも腹立たしく、乱暴に温い液体を啜った。 「ん…っふ」 もう息が続かない、と思った頃合いで、宥めるように舌裏をくすぐられて、喉の奥が痛くなる。この人はいつもそうだ。何も知らないくせに。 「なんだよ、したくなったのか?」 彼が眦をそっと撫でる。呆れてくれればいいのに、べたべたに優しくされて反論できない。全部壊して奪いたいような衝動から角が取れ、だんだんただの性欲だったように思えてくる。……なら、そうしてしまえ。 「したい……です」 「ここで?大胆だな、まあ誰も来ないとは思うけど」 もうどうなったっていい。だって今しかないんだ。 「深夜の公園で青姦なんて、いかにもですね」 「偏見だ……っていうかその顔でアオカンとか言うな」 公共のベンチで下半身を露出させてる人に言われたくない。それを学生に舐めさせてるんだから充分犯罪だ。 カーゴパンツの腰に縋るようにして目の前の「猥褻物」に舌を這わせる。先端にキス。唇でちゅぷちゅぷとカリ裏を辿る。そのまま舌で支えるように裏筋を舐め上げると、見る間に勃ってくる。 「ふっ……う、んむ、」 浅く咥えていた先を思いきって喉奥まで呑み込めば、焦ったように肩を押し返すのがおかしい。今更なのに。 「よくないですか?」 汗で湿った髪が邪魔で、耳にかき上げる。そのまま首を傾げると、手の中のそれから先走りが零れた。思わず笑ってしまう。僕なんかに興奮するなんて、かわいそうな人。かわいそうでかわいい。 「ねえ、そろそろ僕も、してくれません?」 伸び上がって耳元で囁くと、彼が壊れ物でも扱うようにそっと抱きしめてきた。そのまま膝の上に引き上げられて、またキスをする。すでに勃っている股間を撫でられ、声が漏れる。 その間にもう片方の手はハーフパンツの中へ入り、後ろを辿る。 「ん、んん……」 乾いたそこを確認した指はまたするするとTシャツの中に入り、乳首を押しつぶした。鳥肌が立つほど気持ちよくて、水飴のように溶けた声が出る。前を弄っていた方の手が頬に添えられ、親指が唇を割る。何も考えずしゃぶりついた。 「ん、っふ、ぷは」 少し塩辛い指を舐めているだけで、熱が集まっていくのを感じる。口が原始的な性感帯というのは本当かもしれない。 敏感な舌先をくすぐられて涙が浮かぶ。もどかしい。昂ぶった熱が別の場所を強く意識させる。 手首に滴った唾液を舐め取ると、少しだけ苦い味がした。痺れた舌に眉をひそめると、彼が苦笑する。 「虫除け舐めちゃった?」 ああ、そういえば出がけに子どもみたいにスプレーされたのを思い出す。 でも今は、もっと違う苦さが欲しい。 「もう、さわって、ください」 唇と彼の指との間に唾液の糸が引く。たまらずウエストに手を掛けると、彼が首筋に噛みつきながらズボンを降ろし、さっきまで舐めていた手でそこに触れた。 早く力を抜いて解して挿れて欲しいのに、何が不満なのか身体はなかなか緊張を解いてくれなかった。突っ張った皮膚が痛い。 胸、腰、内腿、彼の左手が触れる肌の全てが歓喜に震えて、それだけで達してしまいそうな程気持ちがいいのに、相手に快楽を与えられる箇所だけは硬く閉じていた。 「あっ…は、っかは、っふ」 彼の手が熱い。脇腹を撫で上げられて、ひりつくほどに感じる。もうイキたい。でもイキたくない。 「ゆっくり、な」 「ん……ぁ、…!」 首筋をざらりと舐められて腰が砕けそうになる。まるでスイッチが入ったように一気に内側が弛緩し、その拍子に奥に触れられ今度はきゅうっと収縮した。一度快楽を得てしまえば、さっきまでの硬さが嘘のように熱く熱く疼きだす。 はやく、はやく。 衝動的なセックスに似合わない程時間を掛けて性感を拾い出したそこに、ようやく昂ぶりが入ってくる。 「は、あ…っ…!」 腰を抱えられて声が出る。やっぱり手だけじゃだめだ。彼のものでなければ。 こんな外で、星はまばらで、風は温く、この夏は―――しているっていうのに、身体はそんなこと気にも留めない。 「あっ、ふぅっ…あぁんっ」 ただ気持ちよくて、もっとどろどろになりたくて、腰を動かす。もうぜんぶ忘れたい。いや、忘れたくない。 彼の頭を抱え込むように腕を回す。体中ぴったりとくっついているのに、まだ足りなくてしがみつく。 「…ん、ひぁ、や、もっと…っ」 彼が膝裏を抱え直す。角度が変わって、もうこれ以上はないと思っていた快楽がさらに深くなる。 暴力的なまでの快感に押されてじんわりと目が熱くなった。喉と鼻の奥がツンと痛くなる。 なんだ、気持ちよくても泣けてくるなら、我慢することなかったな。そう気持ちを緩めた途端、堰を切ったように涙が溢れてきた。 「……泣くなよ」 喋るとしゃくりあげてしまいそうで、何も言えない。 「うそうそ、泣けよ、泣いちゃうくらい気持ちいいんだよな?」 彼が眦を舐めてくる。明日瞼が腫れたら彼のせいだ。 「…っふ、」 噛みしめた唇を舐められて歯列を割られ、また甘やかされていることを知る。 「っく、あっやあっ…んっ……ぐす、」 彼が何も知らない人だったらよかったのに。『機関』も、閉鎖空間も、彼女のことも知らなければ、割り切れた。 でも彼は、ぜんぶ知っている。それなのに、彼女に近しくない彼は、この夏のことには気付かない。 きっとこの夏は繰り返す。これから作る思い出はぜんぶ消えてしまう。僕にはそれを、とめることが出来ない。 所詮、僕が世界のために出来ることは、あの閉鎖空間を壊すことだけだからだ。 「古泉」 留守になってた頭を咎めるように、耳元で囁かれる。前も触られて、何も考えられなくなる。 「っ、あっ、んん……っ!!」 「―――何かあったのか?」 あれだけぐちゃぐちゃのべたべたになっていたのに、セックスの跡は、ポケットティッシュ一袋できれいに拭われてしまった。公園には相変わらずひとけがなく、遠くの街灯に集る虫の音だけが聞こえる。 「なぜそう思うんですか」 それでも赤い目と顔が恥ずかしくて顔を伏せる。 「喘ぎ声が投げやりだった」 「はは、AV女優じゃあるまいし、何を期待してるんですか」 たとえばこの三年間で、彼女を揺らがせたもの。この十日あまりで、強く既視感を感じた時。 そんなヒントを追って往生際悪くあがいてみても、やっぱり僕ではだめだ、と思い知る。 だから今夜くらいは、抜け出す努力をちょっと忘れてもいいかな。 「涼宮さんから聞いたんですけど、三十一日は予備日なんですって。やり残しがなければ、その日の団活はお休みの予定です。二人でどこか行きませんか?」 「三十一日?いいけど、宿題終わってるのか?」 「その頃には終わっていますよ」 「せっかくだし、九月の土日の方がゆっくりできて良いんじゃないか」 「夏休み明け……ですか」 「そのくらい待てるだろ?たった十日かそこらじゃないか」 「……そうですね」 僕らはあと何回繰り返せば九月を迎えられるのだろう。先週長門さんから聞いた数字は、もう少しで桁を増やしそうだった。 もしも僕が三百年もの夏を記憶していたら、間違いなく気が狂ってしまうだろう。 だから僕らがこの数千回の夏を忘れてしまえることは、きっと彼女の慈悲なんだ。 「楽しみだな」 彼は笑う。僕は願ってしまう。あなたはどうか知らないでいてください。この世界がこんなにも不安定であることを。僕もあなたも、今の記憶を忘れてしまうだろうことを。 どうか、どうか。