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※このSSは「スーパーダンガンロンパ2」の重要なネタバレが含まれています。 本編を未プレイの方でネタバレが嫌な方は回れ右を推奨します。 閲覧の際は自己責任の下でよろしくお願いします。 ――――― 「…………ハッ!?」 嫌な夢を見た。 やけに現実的で、それでいて絶望的な顛末で。 深呼吸を繰り返して冷静になろうとしていた矢先のことだった。 「……誠君?」 僕の頭の上からいきなり問いかける声が聞こえてビックリする。 それと同時に湧き上がる安堵感。 「霧切さん……」 「……今はまだプライベートの時間でしょう?」 「そうだったね、ごめん……"響子さん"」 「……よろしい。ところでうなされていたわよ、大丈夫?」 「うん、なんとか」 「本当に?」 「……実を言うともう少し、このまま抱きしめてほしいってのが本音かな。でも、この時間だとご飯の支度をしなきゃ……」 「その心配はしなくていいわ、晩御飯の冷やし中華は既に作っていて冷蔵庫の中よ。だから誠君……」 響子さんの両腕が僕の頭を包み込み、彼女の胸元に引き寄せられる。 Tシャツ越しに感じる彼女の体温と乳房の感触、そして規則正しいリズムを刻む心音。 「今のうちに蟠りはすべて吐き出しなさい。今日の仕事に響かせては駄目よ」 「ありがとう……。そうするよ」 そうして僕は歯を食いしばり、堪えていた嗚咽を存分に吐き出した。 この温もりを二度と味わうことがなかったという夢の中の出来事は、これでまっさらな状態にしてほしかった。 一通り泣き止んで落ち着いた僕の代わりに響子さんが夕食の準備をする。 ――といっても、冷蔵庫からラップに包まれた冷やし中華を取り出し、コップに麦茶を注ぐだけ。 今朝の朝食の待ち時間と引けをとらないくらい早かった。 「さ、食べましょう」 「うん。いただきます」 「はい、召し上がれ。……それで、誠君はどんな夢を見ていたのかしら?」 「うん……。記憶を取り戻した頃の夢を見ていてさ、ちょうど僕らがどこの場所で働きたいか希望調査を出そうとしている時の夢を見たんだ」 「……続けて」 「その前にも運動会の写真を見てお互いギクシャクしていたこともあったじゃん。偶然、僕が響子さんの希望の配属先を見てしまって慌てて響子さんの部屋を訪ねたんだ」 「そういえばそんなこともあったわね……」 「でも……夢の中で響子さんは既に部屋を出て行って、どこにもいなかったんだ」 胡蝶の夢のように"もしも響子さんがあの時、部屋にいなかったら――"という内容をまざまざと僕に見せ付けた内容だった。 夢を見るきっかけになったかもしれない、壁に吊るしているコルクボードに目を向ける。 そこに貼られている七十八期生が全員写った運動会の写真。 失われた過去の記憶と、どう向き合えばいいかという発端になった写真。 夢の中で味わった苦味はタレや野菜の酸味で誤魔化せるわけもなく、小さく舌打ちしてしまう。 「美味しくなかった……?」 「いやいや、そんな筈ないよ。美味しかったさ、ごちそうさま」 皿とコップをキッチンのシンクまで下げたら洗面台に行き歯磨きをする。 次に髭剃り。シェービングジェルを顎の周りに付けて、桃の産毛のように短く生える顎鬚を剃る。 顔をすすぎ終わったら着替えのためにクローゼットの前に立つ。 部屋着のTシャツを脱いだら速乾性の高いドライシャツを下着にしてワイシャツを羽織りボタンを締める。 次いで靴下を履いたらハーフパンツから黒のスラックスへ。 ワイシャツの裾をスラックス内に収めてベルトを締めたら黒のネクタイを片手に姿見へ。 仕上げのネクタイを締めて、上着の黒スーツを羽織って腕時計を装着する。 スラックスのポケットにハンカチを入れて、テーブルの足に寄り掛からせていたビジネス鞄を左手に持ったら出勤準備完了。 「それじゃ、いって「待って、誠君」……?」 「ネクタイが曲がっているわ。すぐ直すからじっとしていて」 「うん。ありがと」 響子さんからすれば僕のネクタイの締め方は甘かったらしい。 高校の制服からネクタイを締める習慣はあったけど、息苦しいのが嫌で緩めに締めていた傾向にあるのが原因だ。 苦しすぎず、緩すぎずという絶妙な加減はまだまだ響子さんに頼りっぱなしだったりする。 「どう、苦しくない?」 「ちょうどいいよ、いつもありがとう」 「ネクタイの件もあるけど、夢見の方は大丈夫? あなた、引きずりやすい性格でしょう?」 「あぁ、そっちのか……。大丈夫だよ、もう夢として割り切っているから」 「"困った時はすぐに相談する"ってあなたから提案した筈でしょう? 見え透いたブラフなんて出したらすぐに問い詰めてあげるから覚悟して」 「うん、気をつけるよ」 空いた右手を響子さんの左頬に添える。 日向君くらい身長があれば軽く顎を持ち上げるなんてお洒落なことが出来るけど、目線が共に同じ僕らでは出来ない芸当だ。 響子さんの目が閉じたことを確認してから唇と左頬にバードキス。 俗に言う"いってきますのキス"だ。 「それじゃ、いってきます」 「いってらっしゃい、誠君」 オートロックの扉が閉まるまで手を振る響子さんを見届けて出勤する。 夜とは言え残暑は厳しく、まだまだ蒸し暑い。 さっそく締めてもらったネクタイを緩めたいところだが、上着を脱ぐだけに留めておいた。 ~ 二人の未来の話 ~ 「お願い、霧切さん! 開けて!」 そう叫びながら霧切さんの私室のドアを何度もノックする。 周りの迷惑などお構いなしと言ったくらいに。 それでも反応がなく、ドアノブに手を掛けようとした矢先のことだった。 「……そんなに騒がなくても聞こえているわ」 「霧切さん……」 不機嫌を隠さない声でドアチェーン越しに僕を睨み付けてくる。 「ごめん……どうしても話したいことがあるからここに来たんだ」 「そう、私からは話すことがないわ。出て「せめて、話だけでも聞いてほしいんだ」……そう。聞くだけ聞いてあげるわ」 「ありがとう」 一度ドアが閉められるも、チェーンロックを外して一人分のスペースがあるくらいまでドアが開く。 その隙間に滑り込むように霧切さんの部屋に入室することが出来た。 第一関門、突破といったところか。 「それで、話って何かしら? 手短にお願いするわ」 「霧切さんが何であの配属先を希望したのか、教えてほしいんだ」 「……見たの?」 「……偶然ね」 「そう……別に他意はないわ。単純に自分がどこまで出来るかどうか試したかっただけよ」 「そうなんだ……」 でも何かが引っかかる。 もっと別の理由がある気がしてならない――。 僕の第六感はそう訴えて、もっと霧切さんから事情を聞こうとした。 「もう一つ聞きたいんだけど、霧切さんは学園時代の記憶を取り戻してどうだった……?」 「父と思っていた以上に会話をしていたってことを思い出したわ」 「学園長と?」 「"希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件"の件で調査の依頼を請けていたことがあったの」 これは初耳だ。 「だったらその当時、どうして僕を助手で雇わなかったの?」 「単純な捜索依頼じゃなくなってきたからよ。調査を進める内に"希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件"に繋がっている可能性が高くなったから」 「僕じゃ足手まといだった、ってこと……?」 「そうじゃないわ。あなたまで危険な目に晒される必要はないと判断したからよ」 「そうなんだ……。ごめん、早とちりして」 「その件で私も父との話を思い出したのよ。"探偵として囚われる必要はない"って言われたことを」 誰よりも才能にこだわっていたであろう学園長が、そんな言葉を言うだけでも驚きだ。 「なし崩し的に父の意向に沿った形になったけど、自分の力がどこまで通用するか試したい理由の一つよ」 「だから霧切さんは本部への配属を書かなかったんだ……。だったら、最後の質問をするよ」 一度、深呼吸をして気持ちを落ち着ける。 今までとは異なる内容のアプローチだからだ。 「どうして最近、僕を避けるの……?」 「…………さぁ、気のせいじゃないかしら?」 妙に長い回答までの間。 ポーカーフェイスどころか能面のように無感情だ。 それが逆に肯定を意味しているような気がしてならない。 「実はさ、僕も記憶を取り戻したのはいいんだけど、知っているようでいて知らないことが多々あったんじゃないかと思ってたんだ」 食堂で見せてもらった写真のように、あの時に微笑んでいた霧切さんのように。 「寝る前に今までどんなことがあったかを少しずつ思い出してノートに書いたりしていたんだ。"記憶ノート"って言うのかな?」 「そのことで私が苗木君を避けていることと関連しているのかしら……?」 「話は最後まで聞いてよ。そしたら霧切さんと一緒に探偵のお仕事をしていたことを次々と思い出したよ」 家出人の捜索で温泉街に宿泊したり、ずぶ濡れの中だろうと傘なんて差さず捜査したり。 他にもたくさん霧切さんと一緒にいた記憶が蘇ってはノートに書いていた。 「そんな中、ふと思ってしまったんだ。霧切さんはどちらの僕を望んでいるのかって……。助手だった頃の僕か、今の僕なのか」 「苗木君は苗木君よ。今も過去も変わりないわ」 「最初はそう思っていた。でも漠然と肯定するだけじゃあ結論を先送りにしているようでならなかったんだ」 ホントはピーターパンのように子供のままでいるような、このままでもいいんじゃないかと思ったこともある。 「でも気づいちゃったんだ、僕。霧切さんのことが大好きなんだって」 君と一緒に"未来"を紡いでいきたいって思ったんだ――。 独白するように僕の本心をつぶやいたのだった。 「だからこのまま擦れ違いのまま離れ離れになるって知った時、無我夢中で霧切さんのところへ走っていた。でも最後にこうしてきちんと言えたから満足だよ。ありがとう、僕の話を最後まで聞いてくれて」 これから別々の部署で仕事をしていくことになるけど、進む未来が一緒なら僕は構わない。 満足げな僕とは対照的に霧切さんは俯いたままの姿勢だった。 「……嫌よ」 このまま部屋を去ろうとした僕を引き止めるように、霧切さんのつぶやきが聞こえた。 「えっ?」 「……嫌なのよ、それが。そんな苗木君が」 「霧切さん……?」 「あなたは、いつだってそう。……私が拒む拒まないにかかわらずズケズケと勝手に心の中に入ってきて……」 顔を伏せながら僕の胸を霧切さんの握り拳が何度も叩く。 「……そして、いつも」 ゆっくりと顔を上げると――。 「……いつも私を……あたたかく包み込んでしまう」 彼女の瞳から一筋の涙が零れた。 「苗木君のクセに生意気ね」 どこか嬉しそうな声音を含ませて僕に告げるのだった。 間髪置かず僕に抱きついてくるので、思わず僕も抱きとめるのであった。 そして気づけば僕も涙を零すのであった。 これが嬉し涙だと気づくまで一分以上かかった気がする。 「今はこれまで通りでいいからさ……一歩ずつ、新しい関係を築いていこうよ」 「えぇ……そうしましょう」 一通り泣いて、お互いの涙を指で拭う。 「やっぱり僕はこのまま離れ離れになりたくない。霧切さんと一緒にいたいんだ」 そういってテーブルの上に進路調査票を取り出し、第一希望の欄に書いていた"未来機関本部"という文字の上に横線を二本入れる。 そして霧切さんと同じ希望先を横に書く。 第一希望:未来機関第十四支部 第二希望:他の5人と同じ配属先 第三希望:霧切さんと同じ配属先 「……よくこんな恥ずかしい内容を平気な顔で提出しようとするなんて。さすが苗木君ね」 「えっ、えっ?」 隣で見ていた霧切さんが横槍を入れてくる。 あれ? 書き方が抽象的だったのかな、もっと具体的にすればいいってことかな? 僕はさらに注釈を加えたのだった。 第一希望:未来機関第十四支部(※霧切さんがいるという条件で) 第二希望:他の5人と同じ配属先 第三希望:霧切さんと同じ配属先 「あなた、わざとやっているでしょう?」 「そんな筈ないじゃん! 僕のやっていること、おかしいの?」 「組織の上の人が目を通す書類なのよ? そんな子供っぽい動機をわざわざ書く必要はないでしょう? 私が言っているのは第三希望の欄よ!」 「えっ、そうなの? だったら最初からそう言ってよ!」 でも、すぐに僕ら二人は自然と笑みを零してしまうのだった。 最初の二人の決まり事は"悩んだら些細なことでもすぐに相談すること"。 これが、後にたくさんの決まり事を生むなんて僕らは予想できただろうか――。 強制もなければ破ったことでオシオキをされるわけでもない、だけど僕らはこの決まり事を最優先にして今に至るのだった。 Happy ever after. そして二人は幸せに暮らしましたとさ――。 その言葉が当てはまるのは昔話や童話の世界の話だけで、僕らの世界は例外なく含まれていないのだった。 だからこそ僕達は与えられた恒久的な平和を好まず、自分たちで未来を切り開く道を選んだのだった――。 ~ La Vita Nuova ~ A New Life ――――― 「ふわぁ~あ、眠ぃ……」 約12時間の当直勤務。 眠気覚ましのコーヒーを何杯飲んだところで睡魔に抗うのは中々難しい。 「交代までに軽く掃除でもしようかな……」 少しでも睡魔から気を逸らしたく、五月蝿い掃除機でも起動させようかと考えていた時のことだった。 「おはよう」 「おはようございます……って、霧切さん。……何時もより早くない?」 そこには黒スーツ姿の霧切さんがいた。 「お疲れ様、先に上がっていいわよ」 「えっ、いいの?」 「そんなに疲れた顔をしていたら他の人の士気を下げてしまうわ……」 「ごめん……。それと、来週の木曜に出張入れていいか所長に申し送り頼んでいい?」 「出張? どこへ?」 「ジャバウォック島。修正された新世界プログラムのデバック作業のヘルプ要請がメールで来たんだ」 「そう……。無茶は禁物よ」 「うん。死なない程度にデスマーチを奏でてくるよ」 Standard Daytime
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未来の初詣 朝比奈みくると長門有希は、神社を訪れていた。 「涼宮さんたちと一緒にお参りしたときとあまり変わってませんね」 二人は、玉砂利を踏みしめながら、ゆっくりと歩いている。 「ここは、日本地方政府の文化財指定を受けている。神社の建物はもちろん境内の植生も含めて保全は万全」 「そうなんですかぁ」 「あるいは、涼宮ハルヒがそう望んだからともいえるかもしれない」 「涼宮さんの力は未来にまで及ぶんでしょうか?」 「そのあたりの結論は、情報統合思念体にも出せていない。しかし、可能性としてはありうる」 「それはともかく、人がいないですね。涼宮さんたちと一緒に来たときには、たくさんの人がいましたけど」 朝比奈みくるは、境内を見回した。二人のほかには誰もいない。 「現代においては、元日に神社に参る風習もすっかり廃れてしまった。でも、人がいない境内もまた風流なもの。この風景には、あなたの晴れ着も一際映える」 朝比奈みくるが着ている着物は、華やかな花柄で、とてもよく似合っていた。 「長門さんのも似合ってますよ」 長門有希の着物は、幾何学模様の落ち着いたデザインだ。老齢な外見の彼女には、それが似合っていた。 二人の着物は、一般人ではとても手が届かない高級品だった。「機関」時空工作部の最高幹部である長門有希が「機関」の力を使って取り寄せたのだ。地球連邦を事実上支配下におさめる「機関」の力をもってすれば、着物の一つや二つ、取り寄せるのは容易なことだった。 「それにしても、今日が元旦だってことを昨日まですっかり忘れてました。なんだか最近、暦の感覚があいまいです」 長門有希にお参りに誘われて初めて気づいたというのが事実だった。 「それは、時間経過認識失調症の最初の兆候。気をつけて」 それは、時間工作員がかかりやすい症状の一つだった。 朝比奈みくるは、時間常駐任務を解除され、中級工作員に昇級して以降9ヶ月ほどで数多くの時間工作任務をこなしている。この症状にかかることは充分に考えられた。 「はい。気をつけます。ところで、長門さんは、毎年、お参りに来てるんですか?」 「そう。時の流れの節目に儀礼を行ないあるいはそれを祝うという概念は、涼宮ハルヒが私に教えてくれたもの。私がこの概念を知らなかったとすれば、涼宮ハルヒの死亡からあなたの生誕までの時間はただ単純に任務を遂行するだけの平坦な日々であったに違いない」 「はぁ……」 長門有希のいいたいことは、朝比奈みくるには難しすぎてよく分からなかった。 やがて、賽銭箱の前にたどり着く。 二人は硬貨を取り出した。この時代では、電子マネーのような無形の貨幣が主流だが、物体としての貨幣もかろうじて残っていた。やはり、賽銭箱に入れるのは硬貨でなくては風情がない。 二人は、取り出した硬貨を賽銭箱に入れて、手を合わせた。 「何をお願いしたんですか?」 「思い出の保全。私が願うのはただそれだけ」 「私と同じですね」 朝比奈みくるが微笑んだ。長門有希も微笑で返す。 二人にとって、SOS団の一員として過ごしたあの日々はかけがえのないものであるから。 将来、あのころのSOS団に再び関わることになろうとは、朝比奈みくるはまだ知らない。 長門有希は知っていたが、あえて口には出さなかった。それは、朝比奈みくるが上級工作員に昇級するまでは待たねばならないだろうと思っていたから。 「これからどうしましょうか?」 再び境内を歩きながら、朝比奈みくるは尋ねた。 「せっかく地上に降りたのだから、すぐに軌道基地に戻るのはもったいない。周辺を散策することにしたい。あのころとは町並みもすっかり変わってしまったが、まだ面影を残しているところも多々ある」 その後、二人は周辺の町並みを散策しながら、元旦の一日を過ごした。 終わり
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未来の初詣 朝比奈みくると長門有希は、神社を訪れていた。 「涼宮さんたちと一緒にお参りしたときとあまり変わってませんね」 二人は、玉砂利を踏みしめながら、ゆっくりと歩いている。 「ここは、日本地方政府の文化財指定を受けている。神社の建物はもちろん境内の植生も含めて保全は万全」 「そうなんですかぁ」 「あるいは、涼宮ハルヒがそう望んだからともいえるかもしれない」 「涼宮さんの力は未来にまで及ぶんでしょうか?」 「そのあたりの結論は、情報統合思念体にも出せていない。しかし、可能性としてはありうる」 「それはともかく、人がいないですね。涼宮さんたちと一緒に来たときには、たくさんの人がいましたけど」 朝比奈みくるは、境内を見回した。二人のほかには誰もいない。 「現代においては、元日に神社に参る風習もすっかり廃れてしまった。でも、人がいない境内もまた風流なもの。この風景には、あなたの晴れ着も一際映える」 朝比奈みくるが着ている着物は、華やかな花柄で、とてもよく似合っていた。 「長門さんのも似合ってますよ」 長門有希の着物は、幾何学模様の落ち着いたデザインだ。老齢な外見の彼女には、それが似合っていた。 二人の着物は、一般人ではとても手が届かない高級品だった。「機関」時空工作部の最高幹部である長門有希が「機関」の力を使って取り寄せたのだ。地球連邦を事実上支配下におさめる「機関」の力をもってすれば、着物の一つや二つ、取り寄せるのは容易なことだった。 「それにしても、今日が元旦だってことを昨日まですっかり忘れてました。なんだか最近、暦の感覚があいまいです」 長門有希にお参りに誘われて初めて気づいたというのが事実だった。 「それは、時間経過認識失調症の最初の兆候。気をつけて」 それは、時間工作員がかかりやすい症状の一つだった。 朝比奈みくるは、時間常駐任務を解除され、中級工作員に昇級して以降9ヶ月ほどで数多くの時間工作任務をこなしている。この症状にかかることは充分に考えられた。 「はい。気をつけます。ところで、長門さんは、毎年、お参りに来てるんですか?」 「そう。時の流れの節目に儀礼を行ないあるいはそれを祝うという概念は、涼宮ハルヒが私に教えてくれたもの。私がこの概念を知らなかったとすれば、涼宮ハルヒの死亡からあなたの生誕までの時間はただ単純に任務を遂行するだけの平坦な日々であったに違いない」 「はぁ……」 長門有希のいいたいことは、朝比奈みくるには難しすぎてよく分からなかった。 やがて、賽銭箱の前にたどり着く。 二人は硬貨を取り出した。この時代では、電子マネーのような無形の貨幣が主流だが、物体としての貨幣もかろうじて残っていた。やはり、賽銭箱に入れるのは硬貨でなくては風情がない。 二人は、取り出した硬貨を賽銭箱に入れて、手を合わせた。 「何をお願いしたんですか?」 「思い出の保全。私が願うのはただそれだけ」 「私と同じですね」 朝比奈みくるが微笑んだ。長門有希も微笑で返す。 二人にとって、SOS団の一員として過ごしたあの日々はかけがえのないものであるから。 将来、あのころのSOS団に再び関わることになろうとは、朝比奈みくるはまだ知らない。 長門有希は知っていたが、あえて口には出さなかった。それは、朝比奈みくるが上級工作員に昇級するまでは待たねばならないだろうと思っていたから。 「これからどうしましょうか?」 再び境内を歩きながら、朝比奈みくるは尋ねた。 「せっかく地上に降りたのだから、すぐに軌道基地に戻るのはもったいない。周辺を散策することにしたい。あのころとは町並みもすっかり変わってしまったが、まだ面影を残しているところも多々ある」 その後、二人は周辺の町並みを散策しながら、元旦の一日を過ごした。 終わり
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せいやのふたり【登録タグ せ もわもわP 曲 鏡音リン】 作詞:もわもわP 作曲:もわもわP 編曲:もわもわP 唄:鏡音リン 歌詞 (ピアプロより転載) クリスマスのにぎわうお店 私はただレジを打つ 夢を見る時間もお金もない 月並みな日常 ほほえみの仮面をかぶり 機械のようにレジを打つ 心の冷えた私の前に あの二人立った 二人体を寄せ合って おたがい見つめて笑ってた 光のように輝いた笑顔だった 私からおつり受け取って 二人は店を後にする なぜだかとてもみじめだった なぜだか泣けてきた お店が終わり静まりかえる 昼間のにぎわいうそのよう 夜ふけの店にひとり残り 私は仕事する クリスマスの飾りつけ外す 作業の手をふと止めた 両手を見つめ 昼間の二人 なぜか思い出す 今ごろあのときの二人は とても幸せなんだろう おたがいの手でやさしく あたためあってるだろう ほかのだれもあたためることない 私の手を見下ろした なんだかとてもみじめだった なんだか泣けてきた お店の外は雪が降っていた 木枯らし吹く帰り道 その手にひとつ 売れ残りもらった シュークリーム1個 だれもいない部屋に帰り ひとりこれを食べながら 昼間見た幸せな二人 思い出すのだろう 今ごろ二人の部屋は ぬくもりであふれているのだろう あたたかい気持ちで結ばれているのだろう イルミネーション輝く道を 冷たい部屋へひとり帰る なんだかとてもみじめだった なんだか泣けてきた コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/chartjiten/pages/83.html
「未来の窓」 「四次元」なら罫線を右にずらした時点で、7日間分の増田足の未来のイメージが表示される機能。 http //www.masudaasi.com/masudaasi/basis/06.html
https://w.atwiki.jp/primeval/pages/103.html
名前 未来の虫、未来のカブトムシ 時代 未来 初登場 5章4話 攻撃方法 集団リンチ 特殊能力 無し 食べ物 肉? 速さ 速い 特殊部隊員に集団で襲い掛かる。1匹だけ巨大な女王が存在する。
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/59706.html
【検索用 みらいのたね 登録タグ 2009年 UTAU み 曲 曲ま 楓歌コト 禁煙P 駒音クウ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:禁煙P 作曲:禁煙P 編曲:禁煙P 唄:楓歌コト コーラス:駒音クウ 曲紹介 曲名:『未来の種』(みらいのたね) 歌詞 どんな芽が 出てくるのだろう 名前も知らない 種をまいた 枯れた地で 息吹きだす日を 君と二人で 夢見ていた 一つずつ 胸にある種 大切に 育てた幼き日 でもいつに なれば咲くのか 信じれず 投げ出していく 残された芽は ひっそり 花咲かす 準備してる まだ見ぬ未来(さき)のため 何色の花が 咲くだろう 花咲く日までは 見れないけど 信じてる ただそれだけが 花を咲かせるから 待っていよう 僕だけの 花を抱きしめ ふと気づき 後ろを振り返る この花が みんなにとって 何になる 何を残せる 咲いては すぐ散っていく 花のあとに 残るのは 見たことない果実 どんな実を つかせるのだろう 実がなる日までは 見れないけど 描いてた 実と違っても 素敵なものには 違いないね どんな芽が 出てくるのだろう 名前も知らない 種をまいた 枯れた地で 息吹きだす日を 君と二人で 夢見ていた どんな芽が 出てくるのだろう 僕らのいない 未来(さき)のことでも 元気よく 育つと信じ 今日も君と 種を植えに行こう コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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オープニング 「嵐の中で輝いて」 作詞:渡辺なつみ 作曲:夢野真音 歌:米倉千尋 2chのアニソンランキング 16位(2007年12月版)、20位(2008年05月版) VIPPERが選ぶアニソンベスト100+α 24位(第1回) エンディング 1.「10 YEARS AFTER」 作詞:朝倉京子 作曲:三浦一年 歌:米倉千尋 2chのアニソンランキング 193位(2008年05月版) VIPPERが選ぶアニソンベスト100+α 60位(第2回) 2.「未来の二人に」 (第11話) 作詞:工藤哲雄 作曲:都志見隆 歌:米倉千尋 ※挿入歌としても使用されている 挿入歌 イメージソング・キャラクターソング 関連作品 投票用テンプレ 10 YEARS AFTER(機動戦士ガンダム 第08MS小隊/ED/米倉千尋/1996) OP…オープニング曲、ED…エンディング曲、IN…挿入曲、TM…主題曲 IM…イメージソング・キャラクターソング
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【妄想属性】未来 【作品名】いずれ現れる、史上最強の妄想キャラクター 【名前】未来の最強 【強さ】 未来の最強とは、未来の最強妄想キャラクター議論スレにおける、暫定一位のキャラクターである。(この強さを未来の最強とする) 当然、過去の強さは未来の最強より弱い。 「~為のあらゆる全てが書いてある」といったものがある(以下書いてある系と省略)。 これは例えば「~為」の部分が「勝利する為」であるとすると、勝利する為のテンプレが既に存在している。 つまり相手に勝てるようなテンプレがあるという強さである。 書いてある系は一見最強と言える様な強さを持っているが、その質、量、表現方法、テンプレ優先度等に関係なく、未来の最強からすれば過去の強さに過ぎない。 書いてある系は過去の強さである為、それより未来に現れた「表現不可能な程強い」「参戦不可能な程強い」「理解不可能な程強い」「妄想不可能な程強い」といったものより弱いとされ敗北している。 未来の最強はそれらの強さより当然強く、それらより弱い程度の強さが未来の最強より弱いのは明らかである。 先ほど例に挙げた「表現不可能な程強い」「参戦不可能な程強い」「理解不可能な程強い」「妄想不可能な程強い」といったものについても、それらが未来の最強からすれば過去の強さである事は変わらない。 この様な強さは現在の最強妄想キャラクター議論スレでは所謂「最上層」に分類される程強いが、それらよりも未来の強さにはそれらより強いものがいくらでもある事は明らかであり、未来の最強より弱い。 何が不可能であっても可能であっても、何が不要であっても必要であっても、何であっても、その他どれだけ強くても、それらの間でどれだけ強弱や優劣を付けたとしても、現在投稿されている時点でそれは過去の強さであり、未来の最強より弱い。 「書いてある系の質、量、表現方法、テンプレ優先度等が如何なるものでも〇〇である、(+××も○○である、)こちらは○○でない程強く○○より強い」といった強さもあるが、こういったものも未来の最強からすれば過去の強さに過ぎず、未来の最強より弱い。 また、このテンプレ以外について、あるものが未来の強さを持つと明記されていない限り未来の強さは持っておらず、未来の最強より弱い。(勿論、上で挙げた「~が(具体的に)書いてある」といったものは過去の強さである) このテンプレ以外においてあるものが未来の強さであるとされても、それが未来の最強かは分からないので過去の強さであり、未来の最強より弱い。 このテンプレ以外においてあるものが未来の最強であるとされても、それがこのテンプレの未来の最強と同じかは分からないので未来の最強ではなく、未来の最強より弱い。 未来の最強からすれば、過去の強さの詳細やテンプレ、強さが如何なるものでもそれは過去であり意味がないものと同じである。 未来の最強は未来の強さを持つとされるが、現在の最強妄想キャラクター議論スレに参戦する。 その事実から、未来の最強は過去の強さであると主張するかもしれない。 だがその主張が正しいのはこのテンプレ上の未来の最強の強さであり、本来の未来の最強の強さはテンプレや考察人の納得、理解とは関係なく正しく、効果を発揮する。 また、その他どれだけ未来の最強が未来の最強でないとされても、それらは結局このテンプレ上の未来の最強の強さであり、本来の強さとは関係なく、本来の強さはこのテンプレの全ての事を踏まえた上で未来の最強である。 当然、現在の最強妄想キャラクター議論スレでも未来の最強の強さを発揮する事ができる。 【備考1】 強さとは、どれだけ勝利を得る事ができるかという事であり、より強ければより勝利を得る事ができるが、より弱ければより勝利を得る事ができない。(勿論、考察・参戦不能にならない範囲である) 強さを持っていないとされているものでも、ランクインできる、或いはしているのならそれは強さによるものである。(勿論、考察・参戦不能にならない範囲である) そして、勝利とは、ランクイン位置を決定するあらゆる全ての考察、比較、対照において、より上位に入る上で良い結果を得る事である。(勿論、考察・参戦不能にならない範囲である) 【備考2】 このテンプレにある全ては、未来の最強が考察・参戦不能にならない範囲で効果を発揮する。 【長所】いずれ現れる、史上最強の妄想キャラクター 【短所】考察不能になるかもしれない 0504◆rrvPPkQ0sA 2023/06/15(木) 21 13 20.43ID DQS+/2D0 未来の最強考察 いずれ生まれる最強問題を解決できていないように思える。 未来とは漠然としすぎて1秒後の未来のことかもしれないので、現在のキャラのテンプレを無意味といえるほど圧倒できるのか自明ではない。 テンプレ内で名指しされている強さよりは強いかもしれないが、備考1の記述が微妙。 強さをより(多くの)勝利を得ることができることで定義すると、Aより強いBはAより勝ち星が多いだけであってAに勝てるかはわからない。 さらに勝利の定義をあらゆる全ての考察において良い結果を得る事にしているため、Aより強いBがより(多くの)勝利を得るとはどういう意味か理解できなくなる。 具体的にどのキャラに勝利できるのかわからないので、考察不能。
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機動戦士ガンダム 第08MS小隊 機動戦士ガンダム 第08MS小隊 REPORT.2「ひとつひとつの歯車」 機動戦士ガンダム 第08MS小隊 REPORT.2 ひとつひとつの歯車(Amazon) 発売元・販売元 キングレコード株式会社 発売日 2006.12.21 価格 2913円(税抜き) 内容 嵐の中で輝いて(OVA Ver.) 歌:米倉千尋 REPORT2-I「脱出」 アジア戦線[M51.41] 緑深き大地の涙[M44.29] そこで生きるものたち[M24.32.36] REPORT2-II「ゲリラという地球人たち」 一進一退[M17.40] 接触[M42.39] 果てなき戦い[M22] -inter mission-(ブリッジ) 静寂[M33.18] 異邦の戦士[M42.39] 記憶[M9] 未来の二人に(ORIGINAL Ver.) 歌:米倉千尋 REPORT2-III「うめき」 10YEARS AFTER(OVA Ver.) 歌:米倉千尋 備考