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「あっづー……ぃ……」 じりじりと地面を焼くような日差しが照る中、 カナとハルカは蒸し風呂と化した家の中で倒れこんでいた。 エアコンは昨日から故障。電池が無いのとは訳が違い、翌日電気屋さんが来るまではこの状態だ。 チアキはと言うと、真っ先に暑さに耐えきれず避暑地(内田の家)へ向かっていた。 「くっそぉ~!! チアキの奴め、今頃一人だけ涼しい思いしてるのか!」 「はぁ……そんなに言うならカナもお友達の家に行ってきたら……?」 「いないんだよ! ケイコもリコも! まったく使えない奴らだよ!!」 文句を言いながら手足をドーンと広げ横たわるカナ。 そんなカナを見て、ハルカは更に深いため息をついて口を開く。 「カナ、いくら暑いからって……服くらい着なさい」 「いやだよ。ベタベタするだろ? 汗臭くなっちゃうだろ!」 そう言って手足をジタバタさせるカナの姿は、制服のスカートに上は下着一枚。 とても年頃の女の子の格好では無かった。 「あのねぇ……もしお客さんが来たらどうするのよ?」 「平気だよ。どうせ誰も来やしないよ……来たとしてもせいぜいトウマくら――――」 ――――ピンポーン 玄関からなるインターホンの音にハルカはカナをキッと睨み、無言の注意を促し玄関へ。 しかしカナは懲りた様子も無くその辺りをコロコロと転げ回っていた。 「こんにちわ……って! うわぁ!!」 声に驚いてカナが玄関を覗くと、そこには何かに驚いてのけぞる藤岡の姿が。 「ん? 何やってんだ、藤岡?」 ハルカはその声と同時に後ろを振り向き、慌ててカナの体を隠す様に手でガードをする。 「ちょ、ちょっとカナ! 服! 服!! 藤岡君困ってるでしょ!」 確かに藤岡は困っていた。ただ、この時まだ藤岡の視界にカナの姿は映ってはいなかった。 「いや、ハルカ……多分藤岡はお前の格好を見て驚いたんじゃないのか?」 「えぇ? どうして私の…………?!!」 カナに言われてハルカが自分の服を見てみると、 汗がびっしょりで下着が透けるどころか、胸の谷間までくっきりと透けている。 「それ、多分私よりおかしな事になってるぞ?」 「お、おかしな事って……なっ、なっ……ちょ、ちょっとシャワー浴びてくる……!」 そう言い残し、ハルカは藤岡とカナを残し風呂場へと走り去ってしまった。 「……で、ご覧の通りうちはエアコン壊れてる訳だけど……どうする?」 「どうするって、今日は夕飯ご馳走してくれるって言うから、家には夕飯いらないって言っちゃったし……」 「なんだ? お前夕飯を食べる為に家に来たのか? 意外とがめつい奴だなぁ」 「そんなっ! それは南が御馳走してくれるって言っ……って! 南! どうしたのその格好!?」 この時、ようやくカナの格好に気がついた藤岡の体温は凄い勢いで上昇。 しかしカナ本人は頭を掻きながら、もう片方の手をうちわ代わりにパタパタしてあっけらかんとしている。 「あー……気にするなって。ほら、水着みたいなもんだろ?」 「き、きになるよ! だって、その……それ、下着でしょ……?」 「だから、気にするなって! ほら、もう見ちゃったもんは仕方ないんだしさ」 結局カナに手を引かれ、無理やり家へ上らされた藤岡は、 なるべくカナを見ないように顔を伏せてリビングへ向かった。 リビングに到着すると、冷蔵庫のジュースを飲みながら二人は向かい合って座り話を始める。 「ぷはぁ~! やっぱり冷たいジュースは最高だな! ハルカだって客が来てれば飲んでも文句言わないだろうし!」 「そ……そうだね……」 「? なんだぁ? 藤岡、お前テンション低すぎるだろ? 何か喋りなさいよ」 カナにそう言われ、ゆっくりと顔を上げる藤岡。 しかし、その視線は自然とカナの顔から胸元へいってしまう。 「ほら、何か面白い事言えって!」 カナにせかされ藤岡はとにかく何か言わねばと、急いで口を開いた。 「み、南って……えーっと…………意外と胸が大きいんだね!」 「…………はぁ?」 完全スベッた……いや、むしろ変態と言うべきか…… 藤岡の口から出た言葉は、カナの胸に関する話題だった。 「胸って……お前、そんな所ばっか見てたのか? 思春期か? 思春期真っ盛りなのか?」 「いや、そうじゃなくて……あの、ほら……! えっと……」 焦る藤岡の頬や首筋を、異常なほどの汗が流れおちる。 その半分は暑さによるもの。そしてもう半分は焦りや恥ずかしさによるものだ。 「うわっ、藤岡……お前、汗が凄いぞ? その量……3リットルは固いんじゃないか?」 「そ、そんなわけ無いだろ! 3リットルも出るわけ――――」 「お前も服脱いじゃえよ。涼しいぞ~」 「なっ、な……ッ!!」 二人きりの部屋で、男女が半裸になる……それはいつおかしな事が起こってもおかしくない状態。 もちろんカナにそんな気はないのだが、藤岡はそうもいかない。 付き合ってもいないのに……と、わずかに残る平常心を保ち、立ちあがって南家を後にしようとした。 「あ、あの……やっぱり今日は帰るよ!」 「え? でも家に帰っても夕飯が無いって…………あーっ! 分かったぞ……お前ッ!!」 いったい何に気づいたのか……カナは突然掴みかかり、帰ろうとする藤岡を引き止める。 「お前……一人だけエアコンの効いた自分ちへ帰ろうとか思ってるんだろ!」 「えぇ?! ち、ちがうよ!」 「問答無用! お前一人に快適な思いをさせてたまるか! この裏切り者め!! そら、脱げ!」 「わわっ……! は、離してってば……南! ちょっと、……ほんとにそうじゃなくて…………」 揉み合う二人の体は密着し、藤岡は視覚だけでなく触覚でもカナの胸を確認。 体を引き離そうとするが凄い力でひっつかれ、なおかつ肩に手を置くとカナの素肌に触れ力が入らない。 数分間の揉み合いの末、この状態を打開したのは藤岡の口から出た苦し紛れの一言だった。 「だ、だったら……南がうちに来ればいいじゃない!!」 「へ? ……私が藤岡の家へ?」 「そう! そうすれば南も俺も涼しいでしょ? ね?」 「う~ん…………それもそうだな! よし、そうと決まればすぐに出発しよう!!」 こうして藤岡は服をはぎ取られずにすみ、なおかつ好きな女の子を家へ招く事に成功したのだった。 ――――その後、風呂場では…… 「カナ? ねぇ、カナってば!」 風呂場から誰もいなくなった部屋に聞こえるハルカの悲しい叫び。 「ちょっと、聞いてるの? 着替え持ってくるの忘れちゃったら取ってほしいんだけど……」 何の返事も無い静まり返った南家。ハルカは頭の中で99%家に誰もいない事は分かっていた。 しかし、もし藤岡がいた場合……と考えると、裸でなんて恥ずかしくて出ていけない。 「ねぇ、誰もいないの? いないのね? 出るわよ? 出ちゃうわよ?!」 この後、チアキが帰ってくるまでハルカは一人、風呂場から誰もいないリビングへ声をかけ続けていたと言う…… おしまい 続きは?続きは? -- 名無し (2009-07-25 01 38 48) 続きを…どうか続きを… -- 名無しさん (2009-07-26 10 42 16) 名前 コメント 8スレ目 この野郎氏 保管庫
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おまけ>まっちゃんちは暑い まっちゃんちは暑い。 byもりい 外が寒くなっても、部屋の中はかなり暖かいことが判明。 冬になると「まっちゃんちは温かい」に進化する。 しかし、もりいはあくまでも「暑い」と言う。 ただ春先は寒いとの噂が… まっちゃんちの上の階の住人の騒音がひどく、切れたまっちゃんはたまに天井を殴っている。 →黒まっちゃん
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神経がワレル暑い夜 発売日 2000年9月27日 東芝EMI TOCT-22108 PIERROT are Vo. キリト Gt. アイジ Gt. 潤 Ba. KOHTA Dr. TAKEO 01. 神経がワレル暑い夜作詞:キリト 作曲:キリト 02. 神経がワレタ寒い夜作詞:キリト 作曲:キリト 03. *自主規制 (HAKEN KREUZ)作詞:キリト 作曲:キリト 戻る
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とある暑い日の思い出・前編 とある暑い日の思い出・中編 とある暑い日の思い出・後編 ※他作者さんの別SSへのリンクおよび番外編や後日談も大歓迎です
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マ「ううーっ、あっちー・・・。」 蒼「やれやれ、確かに今日は暑いみたいですが、それにしてもマスターだらしないですよ? そんな風にだれていてはせっかくの休日も台無しにしちゃいますよ。」 暑さを和らげようと襟元をパタパタとさせているマスターと対照的に蒼星石は平然としている。 マ「ごもっともだけどさあ、慣れるまでがきついんだよね。」 蒼「これからまだまだ暑くなっていくと天気予報で言ってましたし、これで音を上げていたら大変ですよ?」 マ「うへえ!聞くだけで気が遠くなりそうだ。」 蒼「仕方ありませんね、僕が団扇で扇ぎますから。少しはマシになると思いますよ。」 マ「わざわざそんな面倒な事をしなくていいよ。冷房があるし。」 蒼「もったいないから駄目です。健康にも良くないですし。それに今からそれじゃこの先どうするんですか?」 蒼星石が一気に駄目出しをした。 マ「うー、どれもこれもごもっとも。まあ冷房は入れないけどさ、手を焼かせるのも悪いし。」 蒼「そんな気遣いは要りませんよ。マスターが喜んでくれればそれが僕の喜びにもなるんですから。」 マ「その気持ちは嬉しいけどさ、蒼星石にばかり悪いし・・・そうだね、蒼星石だって・・・。 よーし、急でなんだけどちょっと出かけてくるね。」 蒼「どこかに涼みに行くんですか?散財しちゃ駄目ですよ?」 マ「違う違う。涼しげな服でも買おうかなって。」 蒼「服ですか。あまり夏服を持ってないしいいかもしれませんね。」 マ「じゃあ行ってくるね。」 蒼「お留守番は僕に任せてごゆっくりどうぞ。どうせなら長く使える物を見極めて下さいね。」 マ「ありがとう、じゃあ行ってくるね。」 蒼「はい、行ってらっしゃい。」 それからだいぶ経って紙袋片手にマスターが帰宅する。 マ「ただいまー!」 蒼「お帰りなさい。遅かったからどうしたのかと思いましたよ。いい物が見つかりましたか?」 マ「うん!可愛らしい白いワンピースを買って来たー!!」 蒼「マスターってそっちの趣味もおありだったんですか?」 マ「そっちって?」 蒼「確かにスカートは風通しがいいですけど、外では着ないで下さいね。 家の中なら僕しか居ないから構いませんが、下手したら捕まっちゃいますよ?」 マ「なんで僕が着なきゃいけないのさ!蒼星石用に決まってるじゃない。」 蒼「なんで僕に?」 マ「最近暑いしさ、夏服もあった方がいいかなって。」 蒼「要りません。」 マ「でもその服だと暑いでしょ。それに洗う時の替えとか気分転換とかにもいいしさ。」 蒼「人形ですから平気ですよ。汗もかきませんし、蒸れもしませんしね。」 マ「でもさ、さっき今日は暑いって言ってたじゃない。遠慮してるなら必要ないよ?」 蒼「違います。温度の感覚自体はあるから話を合わせてああ表現したまでです。 でも人間のようにそれで精神的にどうこうというのは無いんですよ。ただ・・・」 マ「ただ?」 蒼「・・・なんでもありませんよ。それよりもそういう服って結構なお値段じゃないんですか?」 マ「別に。こんなもん。」 マスターがレシートを渡す。 蒼「ゼロがいち、にい・・・しっかり高いじゃないですか。」 マ「そう?女の子の服の相場ってそんなものみたいだよ。」 蒼「着もしない物に出す金額じゃありませんよ。幸いまだ使用前ですし、返品してきて下さい。」 マ「正直やだ。周りは親子連ればっかりだよ?もうあんな場違いで居心地の悪い場所に行きたくないよ。」 蒼「でもお金がもったいないですよ。」 マ「別にいいよ。蒼星石へのプレゼントなら。」 蒼「でも着ないのも・・・翠星石になら似合うんじゃないですかね? どうせなら誰か似合う人に渡した方が服も幸せですよ。」 マ「やだよ馬鹿らしい。他人に上げるために買った訳じゃないもん。」 蒼「マスターも意外に頑固ですね・・・。」 マスターはそれはお互い様だと思った。 蒼星石は基本的に礼儀正しく、『主人』と仰ぐ人間は尊重するようだ。 しかし、自分の気に入らない事には失礼にはならぬ程度にそっけない態度を取って流してしまおうとする。 そのくせ自分が正しいと感じたり、同調した事になるとそうまでしなくていいと言っても一向に譲らない。 時には異様なまでに献身的だと思える事もあり、そうした温度差に困惑する事も未だにある。 そんなところをややとっつきにくいと感じてはいたものの、別に文句や不満は無かった。 ただ、損な性分をしている子だとは思っていたが。 マ「・・・でもね、こういうのは使ってもらいたい人への想いってものがこもってるから代わりは無いんだよ。 貰う相手も、上げる物も、ね。まあ所詮は手作りでもなく、単にお店で選んで買っただけだけどさ。」 蒼「はぁ・・・そうですか。ではありがたく頂いておきますね。 でもいいんですか?お金をどぶに捨てたようなものですよ?」 あまりありがたそうでも無かったが、根負けした蒼星石が袋を受け取った。 マ「蒼星石が貰ってくれるなら無駄じゃないさ。」 蒼「でも家計には支出として残るんですからね。しばらくは緊縮財政ですよ。」 マ「はーい。」 そして午後。いよいよ日差しも強烈になり、暑さも激しさを増してきた。 マ「暑い・・・お昼は素麺と麦茶と西瓜で涼しげだったのに・・・その水分が全て汗になってるような・・・。」 蒼「すごい汗ですね。水でもかぶったみたいになってますから着替えて下さい、風邪を引いても困りますし。」 マ「了解。」 濡れた服を脱ぐと全身にびっしょりの汗を拭いて新しい服を着る。 マ「ふうさっぱり。でもこのままじゃまた汗かきそうだな。」 そう言いながらエアコンを入れようとしたところを蒼星石に止められた。 蒼「駄目です!」 マ「うぇ?でもさ、これじゃまた汗だくになっちゃうよ。洗濯物も無駄に増えるし。」 蒼「緊縮財政です。」 蒼星石が家計簿をつけながら先程のレシートをひらつかせる。 マ「そんなあ、暑さでとろけちゃうよ。」 蒼「じゃあ図書館でお勉強でもしてきたらいかがですか?涼む時の定番ですよね。」 マ「せっかくの休みだしどうせなら一緒に過ごさない?」 蒼「いえ、最近は雨も続きましたし、虫干しとかいろいろやっておきたい事もあるので。」 マ「あ、そうなの。じゃあ行ってくるよ。」 蒼「はい、行ってらっしゃい。」 マ(相変わらずだなあ、この子・・・) マスターが図書館へお勉強をしに出かけてから蒼星石はテキパキと作業をこなす。 手際も良いもので、思ったよりも早く終わってしまったようだ。 蒼「ふう終わった。」 それ以上は特にやる事も思い浮かばず、どうしたものかと思案しているところに目に入る紙袋。 蒼「ああ、これをしまっておかなきゃだ。それにしてももったいない。」 袋を手に取る。 蒼「一体あんなにお金を出してどんな服を・・・・・・ちょっと見てみようかな。」 ちょっとした気まぐれか、する事も無いための戯れか、紙袋をそっと開ける。 中からはマスターが言っていた通りの白いワンピース。 真新しいからか純白が眩いばかりだ。 蒼「きれい・・・。」 半ば見惚れ、無意識に袋から取り出していた。 小さくたたまれていた服が、はらりと広がった。 蒼「随分と・・・しゃれた服を選んだものだ。」 あくまでも子供向けだし、実際はそんな華美でもないのだが、蒼星石にはそう思えた。 腰周りと裾の部分には花の刺繍が施され、胸元にはフリルと若草色のリボンがあしらわれていた。 こんな物は自分には似合わないな、と内心で思った。 蒼「まあせっかくだし・・・」 しかしそう思いつつも着てみる事にした。 自分でもどうしてなのか分かってはいなかったが、なんとなくその気になったのだ。 蒼「試しに着たが自分には似合わなかったといえばマスターも納得してくれるだろう。」 誰に対してでもなくそんな言い訳めいた言葉をつぶやく。 『お父様』に頂いた服を脱いで丁寧にたたむと白いワンピースに袖を通す。 蒼「・・・これは・・・。」 鏡の前に立った時、思わず驚きで声が漏れた。 自分にぴったりだったのだ。 この可愛らしいデザインが自分にふさわしいかは分からない。うぬぼれる気もない。 しかしどう冷静に判定しても、明らかにサイズはぴったりだった。 まるで自分のためにしつらえられたかのように。 蒼「偶然・・・な筈も無いか。」 試しに身を動かしてみる、とても動きやすい。 その場でくるりと回るとスカートの裾がふわりと舞った。 恐らくはマスターはこの大きさがちょうどいいと分かって選んでくれていたに違いない。 根拠は何も無いのだが何故かそう確信できた。 蒼「でも・・・探すの大変だったろうな、大きさも、きっとデザインも吟味して・・・。 なんだか居辛そうだったのにあんなに長い間・・・。」 蒼星石はその時になってやっと、どれだけの時間をかけてこの服を選んでくれたのかに気付いた。 マスター自身のためでも、他の誰のためでもなく、自分のためにどれだけの労力を注いでくれたのかに。 蒼「・・・そういえば、ちゃんとお礼を言ってなかったな。」 そっと目をつぶり、自分の体を抱くようにする。 蒼「ありがとうございます、マスター。僕は・・・あなたのお人形で幸せです・・・。」 マ「そりゃどういたしまして。気に入ってくれたようで何より。」 蒼「でもやっぱり僕にはこういう服は似つかわしく・・・えっ?」 マ「ちゃーんと似合ってるよ。」 目を開けて振り向くとマスターが立っていた。 蒼「何故ここに?お早いお帰りですね。」 マ「筆記用具忘れてさ、取りに帰って来たんだけどおかげでいいものを見られたよ。」 蒼「ほう、いいものってなんですか?」 マ「蒼星石のお着替えしたところー♪」 蒼「冗談は嫌いですよ。」 マ「冗談じゃないってば、もうカワイイなあ!!」 おどけたマスターが蒼星石をぎゅっと抱き締める。 蒼星石はされるがままになってちょっとの間黙っていたが、やがて真剣な声で言った。 蒼「さっき温度を感じるかといった話をしましたよね? あの時に温度なんて関係ないって言いましたけど、本当は・・・」 マ「あ、ごめん!嫌だった?」 ふざけて軽はずみに抱きつくものではないなと思い、腕を緩めると蒼星石の表情を伺う。 蒼「いえ。・・・大切な人に、こういう風にぎゅっとしてもらうのは、あたたかくって大好きなんですよ。」 そう言ってわずかに見上げた蒼星石の澄んだ、色違いの瞳がマスターを射抜く。 かすかに浮かんだ笑みがやけに眩しい。 マ「・・・え?」 蒼「?どうしたんですかマスター。顔が紅いですけどまさか熱射病とかじゃ・・・。」 マ「あ、紅くなってなんかないよ!!」 再び腕に力をこめて蒼星石を抱き締める。 蒼「わ!どうしたんですか、これじゃ顔が見えませんよ。心配だから見せてください。」 マ「見えなくていいの!!」 改めて確認してもらわなくても、顔が火照っている事も、その原因も分かっていた。 蒼「ふふっ、マスターはおかしな人だ。しばらく・・・このままで居てもらってもいいですか?」 マ(まったくもう、本当にこの娘ときたら・・・!) 相変わらず心臓がバクバクとしている。 今後はおふざけでも、特に他の誰かには、決してこんな真似はすまいとマスターは心から思っていた。
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今日も暑かったですね!
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夜は寒いのに昼間はまだまだ暑いですね^^; でも夜はクーラー付けなくても過ごせるようになってきてかなりありがたいです。 ここ数年、猛暑が続いてクーラーをつけないと熱中症になってしまう、そんな勢いでしたね>< これからの時期は過ごしやすくなるので好きな季節です。 こういう時こそ遊園地に行ってばーっと遊びたいですねー! 私は絶叫系大好きなので、外国の遊園地とか一度は行ってみたいです(・∀・) ちなみに三重県の「スチールドラゴン」! 一時期CMで宣伝していたので行ってきましたが、案外がっちり守られるのでそこまで怖くありませんでしたw でもめっちゃ楽しかったし騒ぎまくりましたよ~。 冬に入る前にまた遊園地にでも行って騒ぎたいなぁ~と思う今日このごろでした。
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ある晴れた昼下がり。 マ:「暑いねぇ~、蒼星石。」 蒼:「うん、暑いね~、マスター。」 ふざけやがって、この蒸し暑さ。 マ:「どうにかならんかね。」 蒼:「ちょっと待ってて。」 蒼星石がキッチンの方へ向かった。 アイスティーでも淹れてくれるんですかな? 少しして蒼星石がおぼんに茶器を乗せて戻ってきた。 なんか、アイスティーではなさそうだな。 いそいそとお茶を淹れる蒼星石。 湯気が立ってるな・・・・ 蒼星石がにこやかに俺の目の前にホカホカと湯気が立つお緑茶を置く。 蒼:「はい。暑いときは汗をかいた方がいいんだよ。」 マ:「・・・・。」 飲むのか、これを。 確かに、暑い時に熱い茶を飲むと汗腺がどうたらこうたらで結果、涼しくなるとかいうが。 マ:「かたじけない・・・。」 あち、あちち・・・。 蒼星石はマメだ。ちゃんと茶器まで温めてある。おかげで茶は高い温度を保っていた。 舌を少し火傷してもうた。 しばし静かに蒼星石と茶を楽しむ。 蒼:「どう、マスター?」 マ:「うん、美味い。それに、いくらか暑さを感じなくなってきたよ。」 ふむ、案外いいな。 蒼:「そう、よかった。」 蒼星石がにこやかに笑う。 俺も釣られて笑う。 そんな時、チャイムが鳴った。 マ:「誰だろ。」 俺はインターフォンに出る。 マ:『はい。』 ?:『草笛ですけど・・・。』 草笛? マ:『あー、みっちゃん?』 み:『うん。』 みっちゃんが来るとは珍しい。なんかいつもより声のトーンが低いな。 マ:『ちょい待ってて。』 俺は玄関に向かい、扉を開けた。 み:「・・・・。」 マ:「こんちわ。あれ、金糸雀は一緒じゃないの?」 金糸雀も金糸雀の鞄も見当たらない。 み:「・・・・。」 マ:「?」 なんだ? 俯いて立ってるばかりで返事しないぞ? み:「う・・・。」 マ:「?」 み:「うわ~~ん!」 いきなり泣き出して俺に抱きついてきた! マ:「ど、どした!?」 み:「わ~~ん!」 マ:「おい。」 みっちゃんはただ泣くばかりだ。 なんだなんだ? 俺何かした? 蒼:「ま、マスター! みっちゃんさんに何してるの!?」 みっちゃんの泣き声を聞きつけて蒼星石が玄関までやってきた。 マ:「ち、ちがう! みっちゃんがいきなり泣き出して俺に・・!」 み:「わ~ん!」 蒸し暑いさなかの修羅場だった。 どうにかみっちゃんをなだめて部屋に上がらせる。 落ち着きを取り戻したみっちゃんは黙って俯くばかりだ。 み:「・・・・。」 まったくこの人は何を考えているのだ。 いきなり泣いて抱きついてくるなんて、蒼星石にあらぬ誤解を与えるところだったぞ。 マ:「蒼星石、みっちゃんに何か飲み物を。」 それはそれは熱~いお茶を出して差しあげるんだ。 蒼:「はい、みっちゃんさん。」 蒼星石が出したのはキンキンに冷えたアイスティーだった。 氷がカランとかいって涼しげな音出してやんの。 マ:「(なんでさっきみたいに熱いお茶ださないの!?)」 蒼:「(だって、暑い時に熱いお茶なんて気心の知れた人じゃないと出せないよ。)」 マ:「(ん、ま、そうか・・・。)」 蒼星石はそういうの心得てるなぁ・・・。 み:「あの・・・。」 お、やっとみっちゃんが重い口を開いてくれそうだぞ。 み:「ごめんなさい。いきなり抱きついたりして。」 マ:「うんうん。」 蒼:「・・何かあったんですか?」 蒼星石が遠慮がちに聞く。 み:「実は、金糸雀と・・・喧嘩したの~うううう~。」 マ:「ほうほう。」 それは珍しいですな。しかしだからってこちらを巻き込まんでもらいたい。 蒼:「みっちゃんさん、泣かないで下さい。」 蒼星石が親身になって応対してる。ふむ。 マ:「で、どうして喧嘩になったの?」 み:「それは・・・あたしはカナをコスプレさせて撮影してただけなのに・・・。」 マ:「はぁ。」 み:「カナが『こんな暑い日に白熊やペンギンの着ぐるみコスプレなんてありえないかしら!』って駄々をこねて・・・」 マ:「・・・・・。」 蒼:「・・・・・。」 み:「あたしとしては、こんな暑い日だからこそ『北極』をテーマに白熊やペンギンの格好させて涼しい気分に させてあげようと思ったのに・・・。カナったら・・・ううう・・・」 マ:「蒼星石、今晩の夕食はなにかな?」 蒼:「ローストチキンだよ、マスター。」 マ:「それは楽しみだなぁ・・・。」 み:「ちょっと聞いてるの!?」 くだらなさ過ぎる・・・。 あ~、どこから突っ込もうか・・・。 ん~、まずは被害者は金糸雀であることを自覚させよう。 マ:「みっちゃんねぇ・・・あんたは着ぐるみのキツさを舐めちょる! こんな暑い日にそれを着さすなんてハッキリ言って拷問だよ!?」」 俺も過去に着ぐるみを着たことがあるが本当に暑くてキツかった。 俺は金糸雀に同情する。 み:「そんな・・・あなたも私が悪いって言うの・・・!?」 マ:「ああ、そうだね。」 み:「そんな!そんな!」 蒼:「ま、まぁまぁ、みっちゃん落ち着いて、マスターも。」 む。俺としたことが少々熱くなってしまったようだな。この蒸し暑さのせいか。 しかしさっきからやたらと『暑い』『熱い』の単語が目に付くなぁ。 蒼:「それで、金糸雀はどうしてるの?」 み:「怒って桜田さんのところに行っちゃったみたい・・・。」 マ:「じゃあさっさと金糸雀迎えにいきましょや。車出してあげるから。」 み:「・・・。」 マ:「どしたの?」 み:「なんであたしから・・・。あたしは・・・悪くないもん・・・。」 なにいい歳して意地張ってんだこの人。しかも『悪くないもん』って・・・ 蒼:「でも早く迎えに行かないと。金糸雀がみっちゃんさんのところに帰ったとき誰もいなかったら淋しいよ。」 喧嘩した後なら尚更そうだろうな。 マ:「ていうかさ。みっちゃん、なんで俺らのとこに来たの?」 み:「それは・・・カナが出て行った後一人で心細かったから・・・。」 はぁ~。 蒼:「マスター。」 蒼星石が俺の顔を覗き込む。 マ:「あ~、わかったわかった。」 nのフィールドを使い、俺と蒼星石、みっちゃんの三人はみっちゃんの部屋に着いた。 マ:「鏡からお邪魔しまーす。」 みっちゃんの自宅は初めてだ。 これまで写してきたものと思われるドール、主に金糸雀のポスターや写真が所狭しと飾られていた。 蒼:「じゃあ僕は金糸雀を連れてくるね。」 マ:「ああ、気をつけてな。」 み:「その、お願いします。」 蒼星石に頭を下げるみっちゃん。 蒼星石はnのフィールドで桜田家に向かった。 マ:「さて、俺は適当にくつろいでるよ。」 み:「うん。」 あ~あ、『一人が心細い』ねぇ~。ふむ。 俺はテレビを付けてそれを眺める。 おや。 俺はある額に入った一枚の写真に気付いた。 マ:「この写ってるの、蒼星石だよね?」 み:「うん、そうよ。」 蒼星石がフリフリのドレスを着て恥ずかしそうにしてる・・・。 俺はその写真をしばらく魅入る。 いったいどういうシチュエーションで撮ったんだ? 蒼星石はスカートとかは嫌いなはずなんだが。 み:「蒼星石ちゃんのならこのアルバムに・・・。」 みっちゃんがアルバムを俺に手渡す。 どれどれ・・・。 マ:「ほう・・・。 ふむ、これは・・・・。 おぉ・・・。」 み:「焼き増しプリントする?」 マ:「お願いします。」 そうこうしてると蒼星石が金糸雀を連れて戻ってきた。 みっちゃんと金糸雀、対面する二人。 俺と蒼星石はその様子を見守る。 み:「カナ!」 金:「みっちゃん!」 抱き合う二人。 み:「ごめんね、カナ。今度から着ぐるみの通気性もちゃんと考慮するからね。」 金:「カナも、今度から多少の無理な注文も一流モデルとしてちゃんと受けきるかしら~!」 なんじゃそりゃ。 蒼:「とにかく・・・よかったね、マスター。」 マ:「あ、ああ。うん。よかったよかった。」 俺は無理やり自分を納得させた。 マ:「あの~、そろそろワタクシらは帰らせてもらいますよ。」 み:「あ、待って。」 マ:「まだ、何か?」 み:「せっかく来たんだし、ちょっと写真撮っていかない?」 マ:「ハイ~~~?」 蒼:「・・・・。」 その後、みっちゃんの粘り強い説得が続き、俺と蒼星石は渋々承諾した。 みっちゃんの写真に対する思い入れは凄まじいものがあるな。 俺はこんなみっちゃんにつき合わされている金糸雀に同情した。 み:「じゃあ、蒼星石ちゃん、あっちでお着替えしましょうね。」 蒼:「え? ちょっと・・・。」 金:「お着替えかしら~♪」 蒼星石が二人に無理やり連れてかれた。 マ:「・・・・。」 俺は金糸雀への同情を少し撤回した。 待つこと十数分・・・・。 マ:「おお・・・!」 ドレスアップした蒼星石が出てきた。 写真で見たのはピンクを基調としたおとなしめのドレスだったが 今、蒼星石が着ているドレスは藍色の、肩と背中が剥き出しになっているかなりセクシーなドレスだった。 みっちゃん曰く『イブニングドレス』という系統らしい。 頭には控えめな花の髪飾りを付けている。 蒼:「マスター、あんまりジロジロ見ないで。恥ずかしいよ・・・。」 俺があまりジロジロ見るからか、蒼星石は剥き出しの肩を自分を抱き締めるように 手で隠して後ろを向いて俯いてしまった。 マ:「あの、蒼星石さん。背中が丸見えですよ。」 背中も剥き出しですから。 蒼:「ひゃ!」 俺の指摘で気付いた蒼星石は情けない声を上げてますます身を縮めさせた。 み:「さぁ! バリバリ撮るわよ~!」 金:「蒼星石、恥ずかしがってちゃ駄目かしら。」 マ:「そうだぞ~、堂々としなさい。」 こりゃ眼福ですな。 蒼:「うう・・・。」 観念したのか、蒼星石は渋々正面を向いてくれたが、顔は俯いたままだ。 頬もほんのり紅い。 み:「いいわ~、その憂いを秘めた表情、グーよ、グー。」 パシャパシャ! パシャ、パシャシャ! 蒼:「・・・・。」 みっちゃんの容赦ない撮影会が続いた。 蒼星石は恥ずかしさを堪えてるようだ。 俺はしばらくその様子を眺める。 み:「さて、次は・・・。」 みっちゃんが俺の方を見た。 ん? 俺? テーブルの上にジュースが一つ、ストローが二本・・・ み:「カップルのシチュエーションを撮るわよ~。」 金:「みっちゃんは最近、場面にも凝るのかしら~!」 俺と蒼星石はジュースを中心に対面に座らされた。 み:「さ、二人とも見つめあいながらジュースを飲んで。」 飲んでって・・・。 マ:「あのう、さすがに恥ずかしいんですが。」 蒼:「・・・・。」 蒼星石に至っては恥ずかしすぎて声も出ないようだ。 み:「二人とも恋人同士なんでしょう?」 マ:「いや、だけどこうヒトサマに注目されながらそれをやるのは・・・。しかもカメラまで構えられて・・・。」 蒼星石もコクンと頷いた。 蒼星石、ドレスを着てからまるで『借りてきた猫』状態だな。 金:「カナとみっちゃんは全然平気だったかしら。」 女同士でやるなよ・・・。 み:「好きあってるならできるはずだわ・・・。」 みっちゃんがカメラを構えた。 マ:「どうする、蒼星石?」 蒼:「・・・恥ずかしいけど、マスターとだから・・・。」 蒼星石はストローを咥えた。 えぇ~? う、うむむ。 俺も片方のストローを咥える。 み:「二人とも、ちゃんと見つめあって。」 俺と蒼星石はそのまま見つめ合う。 は、恥ずかしい・・・。でもそれは蒼星石も同じだ。俺も我慢しなければ。 み:「はい、ここでジュース飲んで。」 マ:「ちゅー。」 蒼:「ちゅー。」 パシャパシャ! パシャ、パシャシャ! み:「ああ~、いい画が撮れたわぁ~。」 蒼星石が真っ赤っかだ。 おそらく俺も顔が赤くなってるだろう・・・。 み:「はい、次は二人が抱き合うシーン。」 マ:「えぇ~?」 蒼:「まだやるの・・・?」 み:「撮って撮ってとりまくるわよ~!」 金:「かしら~♪」 うひー。 夕方近くなってやっと自宅に帰れた俺と蒼星石。 マ:「疲れたな~・・・、蒼星石。」 蒼:「うん、疲れたね、マスター・・・。」 マ:「でも、蒼星石のドレス姿、可愛かったなぁ。」 蒼:「やめて、恥ずかしいよ・・・。」 マ:「いやいや、マジで。」 蒼:「もうっ、夕飯の支度してくる!」 蒼星石はそそくさとキッチンの方へ向かってしまった。 ふむ、今日は俺も手伝うか。 俺は腕を捲くり上げながらキッチンに向かう。 ん? 俺はあることに気付き慌てて身を隠し、キッチンを覗き見る。 マ:「・・・・!」 蒼星石が一生懸命ポージングの練習をしている・・・! 終わり
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元スレURL 善子「夏は暑い」 概要 暑い日だらだらトーク タグ ^よしまるびぃ ^鹿角理亞 ^短編 ^ほのぼの 名前 コメント
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嫌になるくらい暑いとある夏の日の放課後、 「今日はHRが早めに終わったし、あたし達が一番乗りかしら。」 「かもな。」 あたしとキョンはそんな他愛も無い会話をしながら暑さに耐えつついつもどおり部室へ向かっていた。 「部室前に到着。さて、中に誰かいるかしら?」 そう言いつつあたしはドアノブに手をかけ回してみる。 結果、扉は開かずただガチャガチャと無機質な音を奏でるだけだった。 「鍵が閉まってるってことはあたし達が一番乗りね。」 「みたいだな。」 別に何の特になるわけでもないけど一番乗りって何か気分がいいわよね。 「一番乗りが確定して悦に浸るのは結構だが、何時までもここでぼさっとしてる わけにもいかんだろ。さっさと鍵を開けてくれ。」 「…言われなくても開けるわよ。」 せっかくいい気分だったのにあんたの台詞のせいで台無しじゃない。バカキョン。 そう内心で愚痴りつつ、あたしは鍵を開けた。 キョンがあたしの気分に水をさしたのは腹が立つけど、こいつの言うとおり ここでぼさっとしててもしょうがないもんね。 「ほら、開けたわよ。」 これ以上こいつにぐちぐち言われるのも鬱陶しいしさっさと入っちゃおっと。 あたしはドアノブを回し扉を開けた。 「暑っ!」 開いた扉の隙間からむしっとした暑い空気が流れ込んできたので思わず叫んでしまう。 廊下の気温も相当なものだから部室の中はもっと暑いとは思ってたけどまさかここまでとはね…。 「天気予報によると今日は今夏一番の猛暑らしいからな。そんな中ずっと締め切ってれば 部屋もそりゃ暑くなるだろうな。どれどれ。」 そう言いつつキョンは扉の隙間から漏れる熱風を確かめるためかあたしに近づいてきた。 「…確かに暑いな。」 「でしょ。」 それはいいけど、ちょっと近づきすぎじゃない?体が引っ付きそうなんだけど。 …そりゃ、あたしからこれくらい距離を詰めることはよくあるけどさ。でも、逆は なれてないというか、その…な、何か調子が狂うじゃない、バカキョン。 「こりゃ中はサウナ状態だな、こんなところにずっといたら茹蛸にでもなりそうだ。」 あたしの動揺を他所にキョンはいたっていつも道理ね。 「バカなこと言ってないでさっさと窓を開けるわよ。」 たく、人の気も知らないで…。 「へいへい。」 「……暑い。」 部室の窓を全開にした後、いつもどおりにパソコンでネットサーフィンを始めたんだけどこの暑さのせいでどうも調子が出ない。 「キョン、どうにかしなさい」 暑さのせいで声がいつもより弱々しいものになる。 「むちゃ言うな。自然現象は人間の力じゃどうにもならん。」 そして、キョンも暑さに堪えているのか返答が何時も以上に覇気がない。 「ここに神様でもいたらどうにかなるかもしれんがな。」 何でそこであたしを見るのよ。 「バカじゃないの?」 神様にしろ何にしろそういう不思議なものがそこらへんにころがってるわけないじゃない。 「…かもな。」 そう言いながら何故かキョンはあたしに微苦笑を向けた。 何よ、言いたいことがあるなら言えばいいじゃない。黙って溜め込むのは精神に悪いわよ。それと、 そういう表情は古泉くんとかがやれば様になるけどあんたがやっても全然ダメダメなだけだからよしたほうがいいわ。 ……と言おうと思ったけど、ただ体力を無駄に使うだけなので言わなかった。 そのかわり溜息を一つ吐いてそれをキョンへの返答としてやった。 暑さに辟易しているあたしたちを他所に太陽は核融合全開で何時も以上に眩しく輝き熱をこれでもかと提供してくる。 …もう、我慢の限界。 「あー、もう!暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い、ア、ツ、イ!!」 「…暑いのはわかったから少し落ち着け。叫んでも余計に暑く感じるだけだぞ。…そうだ、 自販機で冷たいジュースを買って来たらどうだ?少しはマシになると思うぞ。」 冷たいジュースか…いいわね。でも…。 「…そんな気力残ってない。」 「叫ぶ気力はあるのにか?」 「…うるさいわね。」 「…やれやれ」 毎度お馴染みの仕草でそう呟いたかと思うと急に何かを思いついたような顔つきになった。 これが漫画とかアニメだったらキョンの額十数センチ上空で電球が瞬くんでしょうね。 「どうしたのよ?」 「いや、ちょっといいことを思いついてな。」 「いいこと?」 「部屋の温度を下げるのは無理だがお前の体感温度を少しマシにすることはできるかもしれん。」 「何する気?」 もったいぶらないで教えなさいよ。 「直ぐにわかる。」 そう言いながらキョンはあたしの後ろにまわる。 「ちょっと。」 「少しの間前を向いててくれ。直ぐに終わるから。」 …何だってのよ。 「もし何にも効果がなかったら罰ゲームだからね。」 「どうだ?これで少しはマシになっただろ」 キョンの言うとおり少しだけ感じる熱さがマシになった。 「ほんの少しだけど、確かにマシにはなったわ」 あたしはキョンが作った馬の尻尾をいじりつつ答える。 確かにこの髪型なら首もとに風が通るから体感温度が下がるわね。 「そりゃ何よりだ。」 あたしとしたことがこんな初歩的なことを見落とすなんて…迂闊だったわ。 「しかし、よく思いついたわね。」 「妹が前に言ってたんだよ、この方が涼しいってな。」 「ふーん、成る程」 伊達に妹がいるわけじゃないのね。 キョンのおかげというか専らキョンの妹ちゃんのおかげで暑さがマシになったのはいいんだけど、 今度は喉が渇いてきたわ。ジュースでも買いに行こうかしら。 「ねえ、キョン。」 「何だ?」 「ジュース買いに行かない?」 「いいぞ。」 珍しくあたしの提案を快く受け入れてる所をみるとこいつも喉が渇いてるみたいね。まあ、この暑さだし誰でも喉が渇くわよね。 「それじゃ行きましょ!」 あたしはキョンの手を掴んで部室の外へと向かった。 ジュースを買いに行く途中、あたしはある疑問をいだいた。 「ん?」 「どうした?」 「いや、ちょっと引っ掛かることがね」 「引っ掛かるって何が?」 キョンは当然の疑問を口にする 「聞きたい?」 なので、あたしは不本意ながらもこの状況に即したポピュラーな応答を返してやる。 「別に無理して聞きたいわけじゃないが、お前がどうしても話したいんだったら 聞いてやるのもやぶさかではないくらいには聞きたいといえないこともない。」 「何よそれ。」 結局は聞きたいってことじゃない。だったら素直に聞きたいって言いなさいよ。たく、回りくどい言い方ばっかするんだから…。 「…はぁ。まあ、いいわ。話してあげる」 どうせ、あたしの疑問を解消できるのはこいつだけだし。 「そうかい。じゃあ、聞かせてもらおう。」 「さっき部室であんたがあたしの髪をポニーテールにしたじゃない?」 「ああ。」 「何で髪留めのゴムなんて持ってたの?」 普通男子高校生はそんなもの日ごろから持ち歩いたりしないわよね。 「!!」 予想外の質問だったのかキョンの奴あたしの質問に対してわかりやすく動揺している。 「な、何でって…」 ふふ、焦ってる、焦ってる。思ったとおりこれは何か裏がありそうね。 「まさか、あんたが自分で使うために持ち歩いてた…なんてことはないでしょ?」 そんなことあるあけないわよね。あんた、こんなの使うほど髪長くないもの。 「いや、それはだな…」 「それは?」 さーて、吐いてもらいましょうか。SOS団の風紀を守るためにもね。