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ランク ゴールド 調教方針 馬優先 得意距離 短距離 Lv 1 10 30 心 なし 技 なし 体 なし スピード 2 スタミナ 1 根性 なし 瞬発 2 パワー 1 タフ 1 気性 1 ゲート 3 早熟性 なし 持続性 2
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通年 春 梅雨 夏 秋 冬コメント 閲覧数: - 載ってない画像があったらコメントにアドレスを貼り付けて貰えれば加工して追加します。 吹き出しが上段にある娘でページを分けています。 画像クリックで大きな画像を表示 通年 春 梅雨 夏 秋 冬 コメント
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143 三つの鎖 10 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2009/12/27(日) 23 51 54 ID m4g4C64d 夏美ちゃんと別れて僕は一人で商店街を歩いた。商店街は多くの人がいて賑やかで活気がある。 しかし僕の心は沈んでいた。 春子は今日の夜に来いと言った。目的は想像がつく。それは夏美ちゃんを裏切る事。 断れば春子は容赦しない。あの夜の僕と夏美ちゃんの映像ばらまくだろう。学校にばれれば僕と夏美ちゃんは恐らく退学。 いや、下手すれば春子は本気であの映像をインターネット上にばらまくかもしれない。春子はインターネットにも詳しい。 そうなれば、不特定多数の者にあの夜の出来事を見られる。永遠に。 気がつけば僕は拳を固く握りしめていた。考えるだけでもおぞましい。 ではどうする。春子の家に侵入してデータを消すのか。不可能だ。春子は僕よりはるかにコンピューターに詳しい。家だけでなく、暗号化してネット上にも隠しているに違いない。 「幸一君」 僕は振り返った。そこには制服姿の春子がいた。 いつもとおり、のんびりとした笑顔で僕を見つめている。 「どうしたの。恐い顔をして」 僕にゆっくり近づく春子。そして耳元に囁く。 「そんな顔だといろんな人に気がつかれちゃうよ」 僕は荒れ狂う感情を必死に抑えた。 「僕に何を望む」 夏美ちゃんと別れろと言うのか。 「勘違いしないで。夏美ちゃんと付き合えばいいよ」 春子の温かい息が吹きかかる。鳥肌が立つ。 「だって幸一君が別れたら、幸一君が我慢する必要がなくなっちゃうもん。幸一君はいい人だから昔の彼女でも見捨てることはできないと思うけど、念のためにね」 春子の話す内容に悪寒が走る。 「安心して。他の人には何も言わない。お姉ちゃんと幸一君だけの秘密。幸一君は今まで通りにすればいい」 頬に熱くて柔らかい感触。 「お姉ちゃん今日の夜を楽しみにしてるよ」 春子は僕から離れた。背を向けて去っていく。振り向き際の流し眼がいつもの春子らしかぬ艶めかしさをはらむ。 歩き去る春子に何も言えなかった。 (お兄さん) 脳裏に夏美ちゃんの声が蘇る。 (私はお兄さんをいつでも信じています) 迷いのない夏美ちゃんの笑顔。 (お兄さんも自分を信じてください) 言葉が胸に突き刺さる。 どうすればいいんだ。一体どうすれば。 答えの出ない悩みに僕の心は沈んだ。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 晩御飯は梓が作った。 季節の魚の刺身。僕の好物なのに、あまり味がしなかった。 それでもいつも通りの量を食べる。 「ごちそうさま」 梓は食器を片づけて僕お茶を淹れてくれた。礼を言って受け取る。熱い緑茶。おいしい。 お茶に口をつけていると、梓は僕の隣に座って体をすりよせて来た。 「ちょっと梓」 「うみゅー。兄さん温かい」 嬉しそうに頬ずりしてくる。 「あのね梓」 言わなくてはいけない。この年になって兄妹でのスキンシップにしては過激すぎる。 「分かってるよ」 梓がぽつんと言う。 「兄さんには夏美がいるって」 先ほどの面影は露ほどなく、ただ寂しそうな梓。胸が締め付けられる。 「でもね、時々でいい。兄妹としてでいい。少しだけでいいから甘えさせてほしいの」 梓は僕の胸に顔をうずめた。数秒そのままで、すぐに顔を離し立ち上がった。 「はい。甘えタイム終了」 梓は笑顔で僕を見た。 「夏美はいい子だから、泣かせちゃだめだよ」 背を向けて歩き出す梓。リビングを出る前に振り向き僕を見る。 「ま、そんな事とは関係なしに私は今まで甘えられなかった分を甘えるけど」 そう言って梓は可愛く舌を出してリビングを出た。 144 三つの鎖 10 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2009/12/27(日) 23 53 53 ID m4g4C64d 梓も前に歩こうとしている。梓の言うとおり夏美ちゃんはいい子だ。絶対に泣かせない。 そして泣かせない方法は一つしかない。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 夜。僕は春子の家を訪れた。すでに夜は遅い。 チャイムを押さずにドアを控えめにノックする。しばらくしてドアが静かに開き春子が出迎えた。シャツに短パンの部屋着姿。 お風呂あがりなのか、シャンプーの匂いが暗闇でも分かった。 「来てくれてありがとう」 どこかほっとしたような表情の春子。 「ついて来て」 僕は春子について二階に上がった。昨日も来た春子の部屋。 「私、ピルを飲んでいるから」 だから生でと春子は続けた。 春子はドアを閉め鍵をかけた。 「幸一君。来てくれたってことはいいんだね」 春子の最後の確認。 脳裏に夏美ちゃんの笑顔が浮かぶ。 温かく僕を包んでくれたあの笑顔。 恥ずかしそうに僕の手を握る小さい手。 嬉しそうに僕に話しかけてくる可愛い声。 迷いなく僕を信じ切った言葉。 (私はお兄さんをいつでも信じています) その気持ちを、僕は裏切ろうとしている。 今ならまだ間に合う。 「迷ってるんだ」 春子が近づき僕に囁く。 「大丈夫だよ。私は何も言わない。幸一君が何も言わなければ、いつも通りだよ」 僕と春子が何も言わなければ、夏美ちゃんは何も知らないまま。 「あれを学校に送りつけることもできるんだよ?そうなれば夏美ちゃんは退学だよ」 きっとそうなる。 「いいの?夏美ちゃんのあられもない姿が世界中に配信されても」 考えるだけでもおぞましい。 「世界中の男が夏美ちゃんが乱れる姿で」 「言わないで」 僕は春子の言葉を遮った。 「それ以上、言わないで」 「じゃあ」 春子が僕の顔を両手で包む。 「分かってるね」 夏美ちゃんを守るために、夏美ちゃんが悲しむ事をする。 その矛盾に胸が張り裂けそうになる。 「幸一君。少しかがんで」 春子の言う通りに僕はかがんだ。 「好きだよ幸一君」 夏美ちゃんごめん。 僕は目を閉じた。春子の唇が僕の唇にふれる。 柔らかくて温かい感触。 夏美ちゃんの笑顔が脳裏に浮かんで消えた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 僕たちはゆっくりと唇を離した。 目を開けた時、春子は泣いていた。 春子は僕に抱きついて体を震わす。 「ひっく、ううっ、ぐすっ」 何で泣くんだろう。僕は春子の背中をなでた。 「春子。何で泣くの」 「ぐすっ、だって、ひっくっ、幸一君にふれるの、うっ、久しぶりなんだもん」 春子は顔をあげた。涙でぬれた顔。嬉しそうに笑う。 145 三つの鎖 10 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2009/12/27(日) 23 56 43 ID m4g4C64d 「仕方ないって分かっていても、お姉ちゃん寂しかったんだよ」 僕にしがみつく腕に力がこもる。ささやかで弱い力。 「幸一君。お姉ちゃんにキスして」 僕は春子のあごに手をあて、上を向かせた。春子が目を閉じる。唇を唇でふさぐ。 「んっ」 春子は震えた。僕は春子の唇に舌を這わす。 「ちゅっ、んっ、んんっ、あむっ、ちゅっ」 春子は一生懸命僕の舌に絡ませてくる。拙い動き。脳裏に夏美ちゃん笑顔が浮かぶ。思わず僕は唇を離した。 「あっ」 春子が切なそうにつぶやき僕を見た。 「幸一君。お願い」 僕の頬をつつむ春子の白い両手。温かい。 「今だけはお姉ちゃんを見て」 そう言って目を閉じて僕に口づけした。 「んっ、ちゅっ、あむっ、ちゅっ、んんっ」 一生懸命で拙いキス。 「ちゅっ、んっ、ぷはっ、幸一君?」 春子が唇を離す。寂しそうに悔しそうに唇をかみ締める。 「幸一君。夏美ちゃんにするみたいにして」 心に強い感情が渦巻き、爆発する。 僕は春子を強く抱きしめた。 「きゃっ!?」 春子が小さな悲鳴を上げる。あごに手を添え上を向かせる。少しおびえた表情。僕は強引にキスした。 「んんっ!?」 苦しそうにもがく春子。僕は歯を割り口腔に舌をねじりこむ。 「んっ!んっ!んんっ!」 舌を絡め歯茎を舐めまわす。春子の口腔を容赦なく蹂躙する。 「んっ!ちゅっ、じゅるっ、んっ!んっ!」 苦しそうにもがく春子を強く抱きしめ、さらに舌を這わす。 「ちゅ、んっ、はむっ、じゅるっ、ふあっ」 春子は口腔を蹂躙する僕の舌に体を震わせる。僕は唾液を流しこんだ。春子の白いのどがこくこく動く。 「んっ、こくっ、ちゅっ、じゅるっ、こくっ、こくっ」 唾液の合計が多いのか、春子は苦しそうに喉を震わす。 「こくっ、こくっ、んんっ、こくっ、ぷはっ、はあ、はあ」 唇を離すと、春子は苦しそうに息をした。唇の端からよだれが垂れる。頬は赤く染まっている。切なそうな眼で僕を見上げる。 「ふふ、幸一君すごいよ。キスだけでお姉ちゃんイっちゃいそう」 そう言って春子は僕に抱きついた。熱い体。上気した体はしっとりしている。 「幸一君。夏美ちゃんと同じように抱いて」 僕は歯を食いしばった。夏美ちゃんとの思い出を穢された気分だった。 「全部脱いで」 僕は春子に言い、自分の服を脱ぎ始めた。脱がす気にはなれなかった。春子は大人しく従った。 春子は上のシャツを脱いだ。白くて滑らかな肌と豊満な胸が露わになる。ブラジャーは白い清楚で可愛らしいレースがついている。 さらに春子は短パンをゆっくりと恥ずかしそうに脱いだ。思ったより細くて白い太ももがゆっくりと露わになる。下着は白くてこちらも可愛らしい飾りがついている。下着は既に濡れている。 春子の体は綺麗だ。白く滑らかな肌、くびれた腰、大きいけど形のいい胸。僕の気持ちと関係なく見とれてしまう。 「あの、幸一君」 春子が恥ずかしそうに身をよじる。太ももが悩ましげに擦り合わされる。 「その、お姉ちゃんを、ベッドの上で、脱がして欲しいの」 きっと春子は僕が夏美ちゃんを脱がせたのを見ているのだろう。耐え難い怒りと暗い衝動が心に渦巻く。僕は春子を乱暴にベッドに押し倒した。 「きゃっ!」 春子に覆いかぶさり、強引にブラジャーを外す。露わになる春子の胸。乳首はすでに立っている。 僕は両手で包み込むようにふれ、強く揉みほぐした。春子の顔がゆがむ。 「んっ、いたっ、幸一君っ、痛いよっ」 身をよじる春子にのしかかり、胸を揉み続ける。大きくて柔らかい。それなのに張りがある。 「んっ……やだっ……あうっ……ひっ…んっ…あっ、いっ」 春子は苦しそうに身をよじる。しかし、声には疑いようのない艶がある。僕は顔を振る春子の首筋に強く吸いついた。 「ああっ!やあっ!」 声を震わす春子。その間も両手は春子の胸を強く揉む。唇を離すと、薄らと痕が付いている。 「ひうっ……こ、幸一君、痕がつくのはだめっ…ああっ、やんっ」 春子の声を無視して首筋を、胸元を、唇をキスし、舐め、吸う。春子は喘ぎ、震える。 「やあっ!こういちくんっ!ひふっ!ああああっ!!」 146 三つの鎖 10 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2009/12/28(月) 00 00 14 ID m4g4C64d 僕は春子の乳首に吸いついた。 「きゃあっ!やだっ!だめっ!んっ!ああああっ!」 僕は舌で春子の乳首を転がす。 「んっ…ああっ……やあっ…いやっ……ひふっ……だめっ……転がさないでっ……ひっ……あんっ、あっ」 身をよじる春子を抑えつけ、舐めつくす。春子は声をあげ震える。僕は春子の乳首を軽く噛んだ。 「ひうっ!!!」 春子の背が大きく反る。僕は胸を揉む片手を、春子の下着に当てる。すでに濡れている。張り付く下着に浮かぶ筋を僕は何度も指でなぞった。 「んっ、ああっ、いやっ、んっ、ひいっ、あうっ、あっ、だめぇっ」 春子は激しく身をよじる。僕を見上げる春子の顔には確かな怯えと隠しきれない悦び。僕は春子の下着をつかみ強引に脱がせた。 「きゃう!」 春子の悲鳴を無視して強引に最後まで脱がせた。春子が怯えたように太ももを閉じる。 「こ、幸一君。怖いよ」 荒い息をつきながら上気した顔で僕を見上げる春子。怯えと悦びが見え隠れする。僕は強引に春子の足を開いた。 「きゃっ!」 春子の膣の入り口は既に愛液でびちょびちょだった。僕は人差し指を入り口に添える。春子は怯えたように目を閉じた。ゆっくり指を挿入する。 「ひっ……んっ……ああっ……やっ……だめっ……いやっ」 春子は体を震わせた。春子の膣は熱くてきつい。それでも愛液で濡れているせいでスムーズに動く。 僕は何度も指を往復した。春子が身をよじり喘ぐ。 「こ、幸一君、ひうっ、そんなっ、ひゃっ、ああっ、乱暴しな、きゃうっ!」 春子の声を無視して何度も指を往復させる。夏美ちゃんと同じように舐める気にはなれなかった。 そして春子は体をびくっと震わせた。膣が指を締め付ける。僕は乱暴に指を抜いた。 「ひうっ!」 春子は体を震わせた。そのまま荒い息をつきながら僕を濡れた視線で見つめる。 「幸一君、お願い、夏美ちゃん、みたいに、シて」 僕は歯を食いしばった。まだ言うのか。 春子の足を開きのしかかる。 「こ、幸一君!?」 上から見た春子の体。白い滑らかな肌は上気し、胸はかすかに震える。春子は怯えたように、期待するように僕を見上げた。 「こ、幸一君、お願い、優しくして」 春子のよわよわしい懇願。蹂躙し、滅茶苦茶にしたい衝動がこみ上げる。 「春子」 僕は春子の顔を見た。上気し赤くなった顔。 「あの映像のデータを全て消してほしい」 春子の目が見開く。しばらく無言の後、春子は僕の固くなった剛直を恐る恐るつかみ、先端を膣の入り口に添えた。 「だめだよ。幸一君が今考える事は、お姉ちゃんを抱くこと。余計な事を考えないで」 余計な事。余計な事だと。 春子の一言に全身の血液が沸騰する。 僕は一気に春子を貫いた。 「ひあっ!あああああああああ!!!!!」 悲鳴をあげ身をよじる春子。僕は容赦なく腰をふる。 「ひっ、いやっ!んはっ、ひぐっ、ああっ!やあっ、いやっ、あああ!」 春子の膣は熱く、大量の愛液で滑りがよい。剛直が膣を擦り上げる度、快感が脳髄に走る。結合部からいやらしい水音がぐちゅぐちゅ聞こえる。 「ひゃうっ、あんっ、やあっ!ああっ、んっ、あんっ!ひうっ!んあっ」 春子は僕の背に細い腕をまわしてしがみついてきた。その非力さが嗜虐心をそそる。僕は腰だけを大きく振った。春子の膣を何度も擦り上げる。 「んっ!あうっ!ああっ、いやっ!ああっ、ひぐっ、ひゃうっ、ああっ!ひっ!」 悲鳴とも嬌声ともつかない春子の声。抱きつく春子の両腕を引きはがし、ベッドに押し付けた。春子の膣を何度も擦り上げる。この体勢だと春子の白くて大きい胸が揺れる。 ベッドに押さえつけられた腕を春子は必死に振りほどこうとするが、僕の腕はびくともしない。驚くほど非力な力。 「ああっ、やあっ、ひぐっ、ひっ、うっ、あんっ、ひゃふっ、んあっ」 やがて押さえつけた春子の腕に力がなくなる。春子はとろんとした顔で僕を見上げる。僕の腰の動きに合わせて、春子の白い胸が大きく揺れる。 「ひゃうっ、こういちくん、ひうっ、あんっ、おねえちゃんっ、いいよっ、んあっ」 春子は恥ずかしそうに顔をそむけた。首筋に僕がつけた口づけの痕。僕はそこにキスし、強く吸い上げた。 「ひあっ!あああ!んっ!あうっ!ひぎっ!ひうっ!」 嬌声を上げる春子。激しく身をよじるが、僕の腕はびくともしない。その間も休まずに膣を擦り上げる。結合部からいやらしい水音が響く。 僕の下で激しく身をよじる春子を何度も責めた。春子の胸が大きく揺れる。 突然、春子の膣が強く締め付けてきた。あまりの強さに腰が止まる。 147 三つの鎖 10 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2009/12/28(月) 00 04 02 ID m4g4C64d 「ひうっ、らめっ、もうらめっ、ひっ、んあ、あああーーーーーーっ!!!」 ひときわ大きな嬌声をあげ身をよじる春子。しかし、僕に押さえつけられた腕のせいでそれもままならない。 「あうっ……ひうっ……んっ……あっ……っ」 目尻に涙を浮かべ、荒い息をつく春子。胸の間には玉のような汗が浮かんでいる。 僕は腰の動きを再開した。 「ひあっ!!!」 春子の体が大きく震える。 「ひうっ!だめっ!まだ、お姉ちゃん、敏感、ひゃうっ!」 春子の悲鳴を無視して何度も膣をこすりつける。白い胸が揺れる。春子の悲鳴がすぐに嬌声に変わる。 「ひゃうっ!んあっ!ひぐっ!んっ、あう!あんっ、あひっ、ふあっ」 だらしなく開いた口から涎が垂れる。夏美ちゃんの姿が脳裏に浮かぶ。夏美ちゃんはキスしながら膣を擦り上げると、膣がキュッと締めあげた。 僕は唇をかみしめ夏美ちゃんの姿を脳裏から追い出す。八つ当たりするかのように腰を奥までズンズンと突き出す。剛直の先端が膣の奥にコツンコツンとぶつかる。 「ひっ、んはっ、ひゃっ、ひぐっ、ひゃうっ、んっ、ああああっ!」 春子が身をよじる。それを抑えつけてさらに責め続けた。お互いの性器がこすれる快楽に身を任せ、春子の膣を何度も突く。 部屋には腰のぶつかる音と、結合部から漏れるいやらしい水音、春子の喘ぎだけが響く。 急速に高まる射精感に、僕は腰の動きをさらに速める。 「ひいっ!ひぐっ!ひゃうっ!んあっ!」 春子の膣の一番奥に剛直を突き出し、精液を吐き出した。快感に頭が真っ白になる。 「ひっ……ああっ……やあっ……ひぐっ……んあっ……」 精液が膣の奥を剛直の先端が叩くたびに春子は身を震わす。 「んっ……あっ……熱いっ」 春子はぐったりとベッドに横たわる。僕は剛直を春子から抜いた。剛直は春子の愛液と精液でぐちゃぐちゃだった。膣の入り口から精液がとろりとこぼれる。 荒い呼吸をする春子。白い胸が大きく揺れる。春子は顔をあげ僕を見た。焦点の定まらない視線が僕の股間に向かう。 「んっ……お姉ちゃんがきれいにしてあげる」 春子は四つん這いになって僕の股間に顔をうずめた。 「はむっ」 剛直の先端に熱い感触。 「ちゅっ、れろっ、んっ、じゅぷっ」 春子の舌が剛直を舐めまわす。ざらざらした舌の感触が心地よい。 僕は春子を見下ろした。白い背中には玉のような汗が浮かぶ。春子の小さい頭が僕の股間で揺れる。黒くて長い髪をなでる。 「んっ、ちゅっ、んぷっ、れろっ」 春子はくすぐったそうに身をよじりながら舐め続ける。ざらざらした刺激に剛直が再び固くなるのを感じる。 「あっ」 春子は驚いたように顔をあげた。そして上目使いに僕を見つめる。 「ふふっ、嬉しいな。お姉ちゃんのそんなに気持いい?」 濡れた視線で僕を見上げる。その姿が夏美ちゃんと重なる。 気がつけば春子を突き飛ばしていた。 「きゃう!」 怯えたように僕を見上げる春子。僕は唇をかみしめた。夏美ちゃんを裏切ったという罪悪感が胸を締め付ける。 「あ、あのね、幸一君」 春子は恐る恐る僕に尋ねた。視線は僕の固くなった剛直に向けられる。 「んっ」 春子は僕に背を向け四つん這いになる。白い足の間の膣の入り口が丸見えだ。壮絶な色気を放つ。 「あのね、お姉ちゃんをね、夏美ちゃんみたいにね、そのっ」 恥ずかしそうに身をくねらす春子。その仕草が艶っぽい。 「幸一君に、後ろから、シて欲しい」 柔らかそうな白いお尻が揺れる。 僕は歯を食いしばった。春子はどこまで僕と夏美ちゃんの記憶を穢すつもりだ。 「夏美ちゃんみたいにシてほしいんだ」 僕の声は驚くほど冷たかった。 「うん」 身をくねらせ答える春子。その声はかすかに震えている。 僕は春子の白いお尻を力いっぱい叩いた。 「きゃんっ!?」 部屋に響く悲鳴。春子の体がびくっと跳ねる。 「盗撮した映像を何度も見たんだろ」 さらに僕は叩く。 「ひっ!」 部屋に響く春子の悲鳴。 「どうなんだ?」 148 三つの鎖 10 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2009/12/28(月) 00 06 36 ID RpgAjafM 春子の体が震える。 「う、うんっ」 「じゃあ夏美ちゃんが何て言ったか覚えてる?」 赤くはれた春子のお尻を僕は両手でつかみ、強く揉む。 「ひうっ!やあっ!んっ!」 身をくねらす春子。僕は手を離し再び叩いた。 「きゃうっ!」 「なんて言った」 春子は四つん這いのまま僕を見た。その視線にはまぎれもない怯え。 「こ、幸一君、お姉ちゃんで気持ち良くなって。お姉ちゃんのアソコに幸一君の」 僕は春子の言葉を遮ってお尻を叩いた。 「ひうっ!?」 「勝手にかえないで。夏美ちゃんはそんな事は言っていない」 春子を見下ろす。 「一言一句同じに言って」 「そ、そんな、いやだよっ」 春子は激しく首を振る。 「いやっ、そんなの絶対いやっ!幸一君、お願い、今だけはお姉ちゃんを見て!」 目に涙を浮かべ懇願する春子。僕はさらにお尻を叩いた。 「ひあっ!」 「言わないならいい。春子は同じように抱かれたいんだろ。違う事は出来ない」 自分でも言っている事が無茶苦茶だと分かっている。子供じみた言い訳。 いやだった。もういやだった。 春子は泣きながら首をふった。 「ひどいっ……ひどいよっ……」 そう言って春子は体を起こし僕の胸に顔をうずめた。 柔らかくて温かい春子の体の感触。それがたまらなく苛立つ。 「幸一君。分かっているでしょ。お姉ちゃんの言う事を聞いて」 春子を突き飛ばそうとした瞬間に春子が囁く。 僕を見上げる春子。自分の優位を確信した表情。 「お姉ちゃんを、夏美ちゃんと同じように抱いて。断ったら、わかっているでしょ」 僕の頭は沸騰した。負の感情が心を激しく渦巻く。 怒りにまかせて春子を突き飛ばした。 「きゃっ!?」 春子の短い悲鳴。脅えるように僕を見上げる視線。 僕は春子の体の向きを変えて腰を強くつかむ。膣の入り口がひくひく動く。 怒りにまかせて僕は春子を貫いた。 「ひゃうううっ!」 春子の背中が弓なりに反る。僕は腰をつかみ激しく腰をふった。 「ひどいだとっ!?なら春子のしたことは何なんだっ!?」 腰と腰がぶつかり合い、春子のお尻を叩いた時よりも大きな音が部屋に響く。剛直が膣を擦り上げる感覚が気持ちいいのに、嫌悪と怒りを感じる。 「ひゃうっ!こうい、ひうっ!ひあっ!はげし、んあっ!」 激しく身をよじり悲鳴を上げる春子。僕は腰を両手でしっかり固定し、激しく責め立てる。結合部からいやらしい水音が響く。 「僕と夏美ちゃんをっ!隠し撮りして!それで僕を脅迫してっ!」 春子の膣の奥に剛直の先端がぶつかる。そのたびに春子の膣がキュ、キュ、と締め付ける。白い体をよじらせる春子は、腹が立つほど美しい。 「やんっ、ひっ、ふあっ、ああっ、ひぐっ、あっ、うあっ、ひゃう!」 春子の白い体がびくりと震える。僕は怒りのままに春子を後ろから何度も貫いた。 「これが春子の望みかっ!?これで春子は満足なのかっ!?」 春子はシーツを握りしめ体を震わす。僕は剛直を挿入したまま腰の動きを止めた。 「んっ、ひうっ、ああっ!」 もどかしげに腰をふる春子。僕は腰を握る両手に力を込めた。 「いつっ、いたいよぉ」 「答えろ」 僕が欲しかった答えはどっちなのか。 「ひっくっ、お姉ちゃんは、ひうっ、幸一君がっ、好きなのっ」 春子の言葉はどっちの問いの答えか。 僕は腰の動きを再開した。春子の悲鳴と、腰のぶつかる音が部屋に響く。 「ひゃうっ、あっ、あんっ、ひっ、あっ、ひゃうっ、ひぐっ」 春子の声が高くなる。僕も射精感を感じた。さらに春子の膣を擦り上げる。怒りと快感に頭が変になりそうだ。 「ああっ、らめっ、おねえひゃんっ、もうらめっ、あぐっ、ひっ、あっ、……あああーーーーーーっっっっ!!」 149 三つの鎖 10 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2009/12/28(月) 00 08 14 ID RpgAjafM 春子の膣が一気に締まる。僕も限界を迎えた。春子の腰をつかみ膣の奥に射精する。 「ひうっ……いっ……んあっ……んんっ……」 震えながら身をよじる春子。その膣の奥に何度も精液を吐き出す。快感に頭が白くなる。 「うっ……しゅきっ……おねえひゃんっ……こうひちくんがっ……しゅきっ」 呂律の回らない舌で僕を好きという春子。 僕は剛直を抜いた。白く濁った液がこぼれる。 春子はぐったりとして僕を向いた。その表情は嬉しいのか泣いているのか分からなかった。そのまま僕に抱きつきキスした。何度も唇を押し付けてくる。拙くて一生懸命な動き。 僕は何もしなかった。春子はそれでも僕に一生懸命キスした。 何も考えたくなかった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ あの後、僕らは一緒にシャワーを浴びた。お互いに何も言わなかった。 春子は玄関まで見送ってくれた。 「あの、幸一君」 何も言わずに出ようとした僕を春子が呼ぶ。 「あのね、お姉ちゃんね、ひとつだけお願いしたいの」 ぎこちない春子。うつむいてそわそわしている。こんな春子は今まで見たこと無かった。 「お姉ちゃんをぎゅって抱きしめて欲しい」 僕は春子を見た。春子はびくりと震える。 「抱き締めなければ脅すのか」 春子の眼が見開かれた。両手で口を押さえて震える。目尻に涙が浮かび、ぽろぽろと涙が落ちた。 僕は何も言わずに村田の家を出た。 自宅にこっそり入る。もう既に全員寝静まっている時間だが、僕は足音を殺して自分の部屋まで戻った。 ベッドに入り布団をかぶる。 脳裏に夏美ちゃんの笑顔が浮かんだ。春子の笑顔も浮かんだ。 (お兄さん) 脳裏に夏美ちゃんの声が蘇る。 (私はお兄さんをいつでも信じています) 僕は夏美ちゃんを裏切った。 (お兄さんも自分を信じてください) 裏切ったんだ。 そんな事を考えていると、携帯が光っているのに気がついた。メールが着信している。僕はため息をついて携帯を開いた。 差出人は夏美ちゃん。 僕は震える手でメールを開いた。 『今日はいろいろありがとうございました。明日会えるのを楽しみにしています。おやすみなさい。』 目の裏が熱くなる。涙が止めど無く溢れた。 「うっ……くっ……ううっ……」 僕は枕に顔を押し付け必死に声を押し殺した。 明日が怖かった。夏美ちゃんにどんな顔で会えばいいのか分からなかった。 戻る 目次へ 次へ
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2009年02月14日20時26分のバトル キャラ名 作者 体力 TYPE LIFE 勝利数 中田 奈央 ケータイ騎手 40 体力重視 1 1 田島 めぐみ ケータイ騎手 20 スピード 1 0 低温戦士ヒク ケータイ騎手 15 攻防強化 1 0 山中 春子 ケータイ騎手 35 体力重視 1 0 第4630回D-BR杯がスタートです! 前回優勝したのは中田 奈央です! 果たしてタイトルを防衛できるでしょうか!? 田島 めぐみの攻撃!(命中率95%/会心率5%) 田島 めぐみ 「山中 春子ちゃんペ!」 山中 春子に3のダメージをあたえた!! 山中 春子 「ん!?まちがったかな…」 残り体力( 中田 奈央 40 , 田島 めぐみ 20 , 低温戦士ヒク 15 , 山中 春子 32 ) 山中 春子の攻撃!(命中率95%/会心率5%) 山中 春子 「 低温戦士ヒク暴力はいいぞ!」 低温戦士ヒクに4のダメージをあたえた!! 低温戦士ヒク 「まだだ、まだやられんよ!」 残り体力( 中田 奈央 40 , 田島 めぐみ 20 , 低温戦士ヒク 11 , 山中 春子 32 ) 中田 奈央の攻撃!(命中率83%/会心率5%) 中田 奈央 「オンドゥルルラギッタンディスカー!!」 山中 春子に2のダメージをあたえた!! 山中 春子 「ん!?まちがったかな…」 残り体力( 中田 奈央 40 , 田島 めぐみ 20 , 低温戦士ヒク 11 , 山中 春子 30 ) 低温戦士ヒクの攻撃!(命中率88%/会心率5%) 低温戦士ヒク 「落としてみせる!」 中田 奈央に20のダメージをあたえた!! 中田 奈央 「ダディアナザアーン!!」 残り体力( 中田 奈央 20 , 田島 めぐみ 20 , 低温戦士ヒク 11 , 山中 春子 30 ) 田島 めぐみの攻撃!(命中率95%/会心率5%) 田島 めぐみ 「山中 春子ちゃんペ!」 山中 春子に5のダメージをあたえた!! 山中 春子 「ん!?まちがったかな…」 残り体力( 中田 奈央 20 , 田島 めぐみ 20 , 低温戦士ヒク 11 , 山中 春子 25 ) 山中 春子の攻撃!(命中率95%/会心率6%) 山中 春子 「 中田 奈央暴力はいいぞ!」 中田 奈央に5のダメージをあたえた!! 中田 奈央 「ダディアナザアーン!!」 残り体力( 中田 奈央 15 , 田島 めぐみ 20 , 低温戦士ヒク 11 , 山中 春子 25 ) 中田 奈央の攻撃!(命中率95%/会心率7%) 中田 奈央 「オンドゥルルラギッタンディスカー!!」 低温戦士ヒクに5のダメージをあたえた!! 低温戦士ヒク 「まだだ、まだやられんよ!」 残り体力( 中田 奈央 15 , 田島 めぐみ 20 , 低温戦士ヒク 6 , 山中 春子 25 ) 低温戦士ヒクの攻撃!(命中率35%/会心率16%) 低温戦士ヒク 「落としてみせる!」 田島 めぐみはゆうゆうとかわした。 田島 めぐみ 「怒っちゃヤーヨ!」 残り体力( 中田 奈央 15 , 田島 めぐみ 20 , 低温戦士ヒク 6 , 山中 春子 25 ) 田島 めぐみの攻撃!(命中率95%/会心率9%) 田島 めぐみ 「低温戦士ヒクちゃんペ!」 低温戦士ヒクに5のダメージをあたえた!! 低温戦士ヒク 「まだだ、まだやられんよ!」 残り体力( 中田 奈央 15 , 田島 めぐみ 20 , 低温戦士ヒク 1 , 山中 春子 25 ) 山中 春子の攻撃!(命中率52%/会心率10%) 山中 春子 「 田島 めぐみ暴力はいいぞ!」 田島 めぐみはギリギリかわした。 田島 めぐみ 「怒っちゃヤーヨ!」 残り体力( 中田 奈央 15 , 田島 めぐみ 20 , 低温戦士ヒク 1 , 山中 春子 25 ) 中田 奈央の攻撃!(命中率44%/会心率11%) 中田 奈央 「オンドゥルルラギッタンディスカー!!」 田島 めぐみはゆうゆうとかわした。 田島 めぐみ 「怒っちゃヤーヨ!」 残り体力( 中田 奈央 15 , 田島 めぐみ 20 , 低温戦士ヒク 1 , 山中 春子 25 ) 低温戦士ヒクの攻撃!(命中率54%/会心率48%) 低温戦士ヒク 「落としてみせる!」 田島 めぐみは素早くかわした。 田島 めぐみ 「怒っちゃヤーヨ!」 残り体力( 中田 奈央 15 , 田島 めぐみ 20 , 低温戦士ヒク 1 , 山中 春子 25 ) 田島 めぐみの攻撃!(命中率95%/会心率13%) 田島 めぐみ、連続攻撃!!! 田島 めぐみ 「低温戦士ヒクちゃんペ!」 低温戦士ヒクに2のダメージをあたえた!! 低温戦士ヒクに2のダメージをあたえた!! 残り体力( 中田 奈央 15 , 田島 めぐみ 20 , 低温戦士ヒク -3 , 山中 春子 25 ) 低温戦士ヒクのLIFEは0になった! 低温戦士ヒクはやられた・・・ 低温戦士ヒク 「これが若さというものか・・・」 山中 春子の攻撃!(命中率56%/会心率14%) 山中 春子 「 田島 めぐみ暴力はいいぞ!」 田島 めぐみに4のダメージをあたえた!! 田島 めぐみ 「山中 春子に♪ああ殴られた♪ああ殴られた♪」 残り体力( 中田 奈央 15 , 田島 めぐみ 16 , 山中 春子 25 ) 中田 奈央の攻撃!(命中率48%/会心率14%) 中田 奈央 「オンドゥルルラギッタンディスカー!!」 田島 めぐみはゆうゆうとかわした。 田島 めぐみ 「怒っちゃヤーヨ!」 残り体力( 中田 奈央 15 , 田島 めぐみ 16 , 山中 春子 25 ) 田島 めぐみの攻撃!(命中率95%/会心率15%) 田島 めぐみ 「山中 春子ちゃんペ!」 山中 春子に2のダメージをあたえた!! 山中 春子 「ん!?まちがったかな…」 残り体力( 中田 奈央 15 , 田島 めぐみ 16 , 山中 春子 23 ) 山中 春子の攻撃!(命中率95%/会心率15%) 山中 春子 「 中田 奈央暴力はいいぞ!」 中田 奈央に5のダメージをあたえた!! 中田 奈央 「ダディアナザアーン!!」 残り体力( 中田 奈央 10 , 田島 めぐみ 16 , 山中 春子 23 ) 中田 奈央の攻撃!(命中率49%/会心率30%) 中田 奈央、会心の一撃!!! 中田 奈央 「ウソダドンドコドーン!!」 田島 めぐみに31のダメージをあたえた!! 残り体力( 中田 奈央 10 , 田島 めぐみ -15 , 山中 春子 23 ) 田島 めぐみのLIFEは0になった! 田島 めぐみはやられた・・・ 田島 めぐみ 「中田 奈央に♪倒された、ああ倒された♪」 山中 春子の攻撃!(命中率95%/会心率15%) 山中 春子 「 中田 奈央暴力はいいぞ!」 中田 奈央に4のダメージをあたえた!! 中田 奈央 「ダディアナザアーン!!」 残り体力( 中田 奈央 6 , 山中 春子 23 ) 中田 奈央の攻撃!(命中率95%/会心率30%) 中田 奈央、会心の一撃!!! 中田 奈央 「ウソダドンドコドーン!!」 山中 春子に31のダメージをあたえた!! 残り体力( 中田 奈央 6 , 山中 春子 -8 ) 山中 春子のLIFEは0になった! 山中 春子はやられた・・・ 山中 春子 「うわらば」 勝ち残ったのは中田 奈央です! 中田 奈央がタイトルを初防衛しました! 中田 奈央 「ウェェェェェェ!!ウェッ!ウェッ!ウェッ!ヘェ!ヘェ!ヘェ!」
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2009年02月13日01時24分のバトル キャラ名 作者 体力 TYPE LIFE 勝利数 つるの さじしん 30 攻防強化 1 1 シェゾ アルル 15 スピード 1 0 蘿蔔 鉋 30 スピード 1 0 野島 春子 ケータイ騎手 10 攻防強化 1 0 第4622回D-BR杯がスタートです! 前回優勝したのはつるのです! 果たしてタイトルを防衛できるでしょうか!? 蘿蔔の攻撃!(命中率95%/会心率5%) 蘿蔔 「そーれぇ、ポチッとな♪」 野島 春子に1のダメージをあたえた!! 野島 春子 「サイコロ1個分の生命点を失ってしまった」 残り体力( つるの 30 , シェゾ 15 , 蘿蔔 30 , 野島 春子 9 ) シェゾの攻撃!(命中率95%/会心率5%) シェゾ 「野島 春子が……欲しい!!」 野島 春子に2のダメージをあたえた!! 野島 春子 「サイコロ1個分の生命点を失ってしまった」 残り体力( つるの 30 , シェゾ 15 , 蘿蔔 30 , 野島 春子 7 ) つるのの攻撃!(命中率19%/会心率5%) シェゾはゆうゆうとかわした。 シェゾ 「俺はつるのになど負けはしない!」 残り体力( つるの 30 , シェゾ 15 , 蘿蔔 30 , 野島 春子 7 ) 野島 春子の攻撃!(命中率20%/会心率8%) 野島 春子 「E.Jでシェゾに切りかかった!」 シェゾはゆうゆうとかわした。 シェゾ 「俺は野島 春子になど負けはしない!」 残り体力( つるの 30 , シェゾ 15 , 蘿蔔 30 , 野島 春子 7 ) 蘿蔔の攻撃!(命中率95%/会心率5%) 蘿蔔、連続攻撃!!! 蘿蔔 「そーれぇ、ポチッとな♪」 野島 春子に1のダメージをあたえた!! 野島 春子に1のダメージをあたえた!! 野島 春子 「サイコロ1個分の生命点を失ってしまった」 残り体力( つるの 30 , シェゾ 15 , 蘿蔔 30 , 野島 春子 5 ) シェゾの攻撃!(命中率94%/会心率6%) シェゾ 「蘿蔔が……欲しい!!」 蘿蔔に3のダメージをあたえた!! 蘿蔔 「なにすんのさこのスカポンタン!」 残り体力( つるの 30 , シェゾ 15 , 蘿蔔 27 , 野島 春子 5 ) つるのの攻撃!(命中率21%/会心率7%) 蘿蔔はギリギリかわした。 蘿蔔 「つるのをぶったおしぃ~♪」 残り体力( つるの 30 , シェゾ 15 , 蘿蔔 27 , 野島 春子 5 ) 野島 春子の攻撃!(命中率95%/会心率16%) 野島 春子 「E.Jでつるのに切りかかった!」 つるのに11のダメージをあたえた!! 残り体力( つるの 19 , シェゾ 15 , 蘿蔔 27 , 野島 春子 5 ) 蘿蔔の攻撃!(命中率95%/会心率9%) 蘿蔔 「そーれぇ、ポチッとな♪」 シェゾに1のダメージをあたえた!! シェゾ 「おのれっ…」 残り体力( つるの 19 , シェゾ 14 , 蘿蔔 27 , 野島 春子 5 ) シェゾの攻撃!(命中率95%/会心率10%) シェゾ 「野島 春子が……欲しい!!」 野島 春子に2のダメージをあたえた!! 野島 春子 「サイコロ1個分の生命点を失ってしまった」 残り体力( つるの 19 , シェゾ 14 , 蘿蔔 27 , 野島 春子 3 ) つるのの攻撃!(命中率25%/会心率11%) 蘿蔔はゆうゆうとかわした。 蘿蔔 「つるのをぶったおしぃ~♪」 残り体力( つるの 19 , シェゾ 14 , 蘿蔔 27 , 野島 春子 3 ) 野島 春子の攻撃!(命中率31%/会心率36%) 野島 春子 「E.Jで蘿蔔に切りかかった!」 蘿蔔はゆうゆうとかわした。 蘿蔔 「野島 春子をぶったおしぃ~♪」 残り体力( つるの 19 , シェゾ 14 , 蘿蔔 27 , 野島 春子 3 ) 蘿蔔の攻撃!(命中率95%/会心率13%) 蘿蔔 「そーれぇ、ポチッとな♪」 シェゾに3のダメージをあたえた!! シェゾ 「おのれっ…」 残り体力( つるの 19 , シェゾ 11 , 蘿蔔 27 , 野島 春子 3 ) シェゾの攻撃!(命中率95%/会心率14%) シェゾ 「蘿蔔が……欲しい!!」 蘿蔔に4のダメージをあたえた!! 蘿蔔 「なにすんのさこのスカポンタン!」 残り体力( つるの 19 , シェゾ 11 , 蘿蔔 23 , 野島 春子 3 ) つるのの攻撃!(命中率95%/会心率14%) 野島 春子に4のダメージをあたえた!! 残り体力( つるの 19 , シェゾ 11 , 蘿蔔 23 , 野島 春子 -1 ) 野島 春子のLIFEは0になった! 野島 春子はやられた・・・ 野島 春子 「残念だが、もう14へ行く時間のようだ」 蘿蔔の攻撃!(命中率95%/会心率15%) 蘿蔔 「そーれぇ、ポチッとな♪」 つるのはギリギリかわした。 残り体力( つるの 19 , シェゾ 11 , 蘿蔔 23 ) シェゾの攻撃!(命中率95%/会心率15%) シェゾ、連続攻撃!!! シェゾ 「つるのが……欲しい!!」 つるのに2のダメージをあたえた!! つるのに1のダメージをあたえた!! 残り体力( つるの 16 , シェゾ 11 , 蘿蔔 23 ) つるのの攻撃!(命中率30%/会心率15%) 蘿蔔はゆうゆうとかわした。 蘿蔔 「つるのをぶったおしぃ~♪」 残り体力( つるの 16 , シェゾ 11 , 蘿蔔 23 ) 蘿蔔の攻撃!(命中率95%/会心率15%) 蘿蔔 「そーれぇ、ポチッとな♪」 つるのに1のダメージをあたえた!! 残り体力( つるの 15 , シェゾ 11 , 蘿蔔 23 ) シェゾの攻撃!(命中率95%/会心率15%) シェゾ、連続攻撃!!! シェゾ 「つるのが……欲しい!!」 つるのに1のダメージをあたえた!! つるのに1のダメージをあたえた!! 残り体力( つるの 13 , シェゾ 11 , 蘿蔔 23 ) つるのの攻撃!(命中率32%/会心率15%) シェゾは素早くかわした。 シェゾ 「俺はつるのになど負けはしない!」 残り体力( つるの 13 , シェゾ 11 , 蘿蔔 23 ) 蘿蔔の攻撃!(命中率95%/会心率15%) 蘿蔔、会心の一撃!!! 蘿蔔 「おしおきだびぃ~~~!!」 シェゾに11のダメージをあたえた!! 残り体力( つるの 13 , シェゾ 0 , 蘿蔔 23 ) シェゾのLIFEは0になった! シェゾはやられた・・・ シェゾ 「蘿蔔に負けるなんて…む、無念だ…」 つるのの攻撃!(命中率30%/会心率15%) 蘿蔔は素早くかわした。 蘿蔔 「つるのをぶったおしぃ~♪」 残り体力( つるの 13 , 蘿蔔 23 ) 蘿蔔の攻撃!(命中率95%/会心率15%) 蘿蔔、会心の一撃!!! 蘿蔔 「おしおきだびぃ~~~!!」 つるのに12のダメージをあたえた!! 残り体力( つるの 1 , 蘿蔔 23 ) つるのの攻撃!(命中率45%/会心率60%) つるの、会心の一撃!!! つるの 「蘿蔔、敗れたり!」 蘿蔔に43のダメージをあたえた!! 残り体力( つるの 1 , 蘿蔔 -20 ) 蘿蔔のLIFEは0になった! 蘿蔔はやられた・・・ 「今度こそ、勝ちましょう。さ~よう~な~ら~あああ~~」 勝ち残ったのはつるのです! つるのがタイトルを初防衛しました! つるの 「やった!」
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321 三つの鎖 12 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/14(木) 23 11 34 ID MxB+2AeK 三つの鎖 12 夜でも車が走る国道沿いに春子の目的地があった。 「ここだよ」 派手なライトアップ。国道沿いのお店でこの時間に営業しているのはラーメン屋とコンビニとこの類のお店。 「ちょっと待って」 「今日はお父さんもお母さんも家にいるの」 そう言って春子は僕をひっぱる。ラブホテルに向かって。 「待って」 僕の言葉に春子は苛立ったように僕を見上げた。 荒んだ瞳が僕を睨みつける。僕の腕に春子の指が食い込む。 「幸一君。何度も言わせないで。お姉ちゃんはね、命令しているの」 春子の眼が僕に伝える。分かっているでしょ、と? 僕は従うしかなかった。 建物に入る。僕は内心びくびくしていた。知り合いにあったらどう説明するつもりなんだろう。 でも、知り合いはおろか従業員に会う事もなかった。清算や手続きは無人で行える仕組みになっている様だ。 部屋に入って春子は鍵をかけた。そして僕に抱きついた。 僕の背中に春子の腕がまわされる。 「お姉ちゃんをぎゅってして」 僕は春子の背中に腕を回して抱きしめた。春子がくすぐったそうに身をよじる。春子の温かい体温が悲しく感じた。 春子は僕の胸に顔をすりよせてくる。どんな表情をしているのか見えない。 「春子。こんな事はもうやめよう」 「お姉ちゃんの体はそんなにいやなの」 春子は僕を見上げる。悲しくて寂しそうな表情。 僕は首を横に振った。 「こんな事をしても何にもならない」 春子は僕の顔を両手で包み、キスしてきた。僕は唇を離した。 悲しそうに僕を見上げる春子。 「そんなにお姉ちゃんを怒らせたいんだ」 春子の声は震えていた。怒りか、悲しみかは分からない。 「幸一君。今日夏美ちゃんと寝たんでしょ」 囁く春子の声が怖い。 何で分かったのだろう。調べた限りは夏美ちゃんの部屋にビデオの類は無かった。 「昨日お姉ちゃんをあんなに激しく抱いたのに」 春子は僕を見上げながら言った。春子の瞳が暗い光を放ち、僕を射抜く。 僕は歯を食いしばった。 「脅したのは春子だ」 「ねえ幸一君。夏美ちゃんの体に満足できた?」 春子の言葉が胸に突き刺さった。 「昨日の幸一君すごかったもんね。ケダモノみたいだった。あんな風に夏美ちゃんを滅茶苦茶にしたのかな?」 僕の頬に春子の手が触れる。温かい感触に鳥肌が立つ。 春子は顔をゆがめた。笑っているのだと気がつくのに数瞬かかった。 「できないよね。幸一君は優しいもん」 「僕の目的は夏美ちゃんの体じゃない」 嘘偽りのない気持ち。僕は夏美ちゃんの体が好きなのではない。 「ふふっ。やっぱり幸一君は立派だよ」 僕の頬をゆっくりと撫でる春子。 「もしかしたら幸一君は夏美ちゃんと別れるかもしれないって思ったよ。幸一君はおばかなぐらい誠実だもんね。お姉ちゃんを抱いたうえで平然と恋人と話せるほど悪い子になれないと思ってたのに」 春子は唇をかみ締めて僕を見上げた。 「以前の幸一君だったら夏美ちゃんと別れていたよ。何で今は別れないのかな」 「夏美ちゃんを悲しませたくない」 「違うよ」 春子は首を左右に振った。 「それだけじゃないよ。幸一君は気がついていないの。恋は人を盲目にするって言うけど、幸一君も例外じゃないんだね」 分からない。春子が言おうとしていることが。 「夏美ちゃんのためだけじゃないよ。自分自身のためだよ。幸一くんが夏美ちゃんと別れたくないんだよ」 春子の言葉が胸に突き刺さる。 自分のため?自分のために夏美ちゃんと別れたくない? 「もし幸一くんが夏美ちゃんを大切に思っているだけなら、幸一君は何も言わずに夏美ちゃんと別れたと思う。夏美ちゃんは悲しむと思うけど、本当のことを知ったらもっと悲しむもん。本当のことは言えないもんね。 だったら黙って別れるしかないよ。たとえ夏美ちゃんが悲しんでも、本当のことを知って悲しむよりははるかにましだよ。 322 三つの鎖 12 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/14(木) 23 13 58 ID MxB+2AeK でも幸一君は別れなかった。それだけじゃなくて夏美ちゃんを抱いた。幸一君はね、一時的にでも夏美ちゃんを悲しませないためにもっと悪い選択を選んだんだよ。最終的には夏美ちゃんがもっと悲しむ選択だよ。 幸一君はね、それでも夏美ちゃんと離れたくないと思っているんだよ」 春子のつむぐ言葉に強い感情が渦巻く。 屈辱だった。春子にだけは言われたくない。 「僕が夏美ちゃんを大切に思っていないと言いたいのか」 「違うよ。お姉ちゃんの言い方が悪かったかな。幸一君は夏美ちゃんを大切に思っている。お姉ちゃんが嫉妬しちゃうぐらいに大切に思っている。でもね、幸一君はそれ以上に夏美ちゃんが好きなんだよ。離れたくないんだよ」 春子は悲しそうに僕を見上げた。 「大切にしたいって気持ちとそばにいたいって気持ちはまったく別だよ。幸一君は夏美ちゃんを大切にしたいと思っている。それなのに最善の方法を取れなかった。その方法は夏美ちゃんのそばにいられなくなるから」 悔しそうに唇をかみ締める春子。背中に回される腕に力がこもる。 「幸一君はね、夏美ちゃんに恋しているんだよ。甘えているんだよ。おぼれているんだよ。お姉ちゃんね、すごく悔しい。そんな風に女の子に夢中になる幸一君を見た事ないもん」 僕は唇をかみ締めた。春子のいう事は半分当たっている。 確かに僕は夏美ちゃんに夢中になっている。大切に思う気持ち以上に別れたくないという気持ちがあるのは確かだ。 春子の言うとおり、何も言わずに夏美ちゃんと別れるのが一番夏美ちゃんのためになるかもしれない。夏美ちゃんが悲しんでも、本当のことを知るよりいい。 僕がその方法を取れなかったのは、春子の言うとおり夏美ちゃんと別れたくなかったのも確かにある。でも、それだけじゃない。 春子を信じていた。春子を説得できると思っていたから、僕はその方法をとらなかった。夏美ちゃんと別れなかった。 きっと春子は分かってくれると思っていた。今までみたいに優しく見守ってくれると思っていた。 それは僕の勘違いだったのかもしれない。 「春子。お願いだ。もうこんな事は止めよう」 僕は春子の肩をそっと押して距離をとった。 まだ僕は心のどこかで春子を信じている。今までずっと信じていた。ずっと助けてくれた。今、これだけの事をされても、まだ信じている。 「春子だって分かっているだろ。こんな事をしても何にもならない。いつか終わる。僕と梓を見てきたから分かるはずだ。歪な関係は長くは続かない」 僕は春子の目を見た。春子は無表情に僕を見つめる。春子の瞳は僕には理解できない光を放っている。 「お願い。優しい春子に戻って」 春子は何も言わない。僕を悲しそうに見つめる。 僕と春子は無言で向き合った。 しばしの静寂の後、春子は笑った。乾いた笑い。 「幸一君は本当にお人よしさんだね。お姉ちゃんの弟なのに、全然似てないよ」 そう言って春子は僕に抱きついた。 春子は僕の耳に顔を寄せた。 「ねえ。今日お姉ちゃんが授業中に送った手紙を覚えている?」 突然話が変わって僕は戸惑った。僕の頼みの答えを聞かせてと言おうとして、春子と目が合う。春子の瞳は暗い光を放っている。その暗い輝きに押されて僕は答えを促す事ができなかった。 「どの事」 「もう盗撮する気も必要もないって事。理由は分かるかな?」 「もう既に僕を脅す映像を手に入れたからだろう」 「もう一つあるんだよ」 春子の言っている事が咄嗟に理解できなかった。 「幸一君は賢いけどこんな発想はないよね。何で思いつかないのかな」 僕をいたぶるように春子は囁く。僕に無い発想。 「夏美ちゃんの部屋にもうビデオカメラは無かったでしょ?」 確かに無かった。春子に見せられた映像の視点から場所を割り出して調べたけど、無かった。申し訳なく感じたけど、夏美ちゃんが寝ている間に、ビデオカメラを設置できそうな空間は全て調べた。それでも見つからなかった。 「ビデオカメラは回収したよ。けっこう高かったしね」 調べたけど見つからなかったビデオカメラ。 そのビデオカメラは誰が回収したか。 回収した者は、ビデオカメラをどうしたか。 廃棄したか、保管したか。 保管したならどこに。 思いついた可能性に悪寒が走る。 まさか。 「もう気がついているでしょ」 耳にかかる春子の息が熱い。 「春子の部屋に設置したのか」 春子は嬉しそうに僕を見上げた。 「正解だよ」 春子の言葉に戦慄が走る。 設置されたカメラで何を撮影したか。 僕と春子の情事。 323 三つの鎖 12 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/14(木) 23 16 08 ID MxB+2AeK 「あれを夏美ちゃんが見たらどう思うかな」 僕は春子を離し数歩下がった。足が震えてこけそうになった。そんな僕を見て春子は嬉しそうに笑った。 「会話はまずいから音声は消した方がいいかな」 僕を見て微笑む春子。 春子が目の前のいるはずなのに、遠くに感じる。 「特に後ろからしている映像がいいかな。うんうん、幸一くんがお姉ちゃんを突き飛ばしてからが一番かな。どう見ても幸一くんがお姉ちゃんを無理やりしているようにしか見えないよね」 春子は淡々と語る。その内容に足が震える。 「うんうん、幸一くんがお姉ちゃんのおしりを叩いている所も入れたいよ。うまく編集しないとね」 「何で」 僕は精いっぱいの勇気を振り絞って口を開いた。 「何でそんな事を。脅迫するだけなら僕と夏美ちゃんの映像だけで足りるはずだ」 春子の表情が激変する。 「ふざけないで!」 春子の叫びが空気を震わす。 「あんなの欲しくなかったよ!幸一君と夏美ちゃんのエッチなんか見たくもなかったよ!」 体を激しく震わし荒い息をつく春子。 僕は圧倒されるしかなかった。 「あの映像じゃ脅しの材料にならないって事を幸一君は分かってないね」 そう言って春子は笑った。暗い笑顔。 「あの映像をばらまいたら、幸一君まで害が及ぶでしょ。それじゃ駄目だよ。お姉ちゃんの可愛い幸一君まで退学じゃ可哀そうだよ」 僕には春子の言っている内容が分からない。 春子の僕に対する仕打ちは可哀そうのうちに入らないのか。 「それにね、幸一君と夏美ちゃんが一緒に退学になったら、幸一君は夏美ちゃんと一緒にいる事を選ぶでしょ?夏美ちゃんもきっと幸一君と一緒にいる事を選ぶよ。そうなったら意味がないよ」 春子の言葉に背筋が寒くなる。 「本当は今すぐにでもこの映像を夏美ちゃんに見せてあげたいよ。でもまだ許してあげる。幸一君がお姉ちゃんの言う事を聞いてくれるならね。 今幸一君と夏美ちゃんが別れたら、幸一君を脅す材料が夏美ちゃんとのエッチの映像だけになっちゃうもん。そうなったら幸一君を脅す材料としては使えないもんね」 春子が僕に一歩踏み出す。僕は無意識に一歩下がる。 怖い。春子が。 僕の目の前にいるのは本当に春子なのか。いつもそばにいてくれて助けてくれたあの春子なのか。 嬉しそうに笑う春子が悪魔にしか見えない。 「夏美ちゃんね、お姉ちゃんの事を信頼しているよ。今日も女の子にとって恥ずかしい事を相談してくれたし」 春子が近づく。逃れたくても足が動かない。 「信頼する先輩と大好きな恋人が激しく抱き合っているのを見たら、夏美ちゃんなんて思うかな?」 「春子」 「悲しむし、傷つくだろうね。幸一君の事も嫌いになるかな。あの子いい子だから泣くだろうね」 「止めろ!」 僕は思わず叫んでいた。 「お姉ちゃんにそんな口をきくんだ」 春子が僕の目の前で止まる。嬉しそうに僕を見上げる春子。 夏美ちゃんの笑顔が浮かんで、消えた。 逆らえない事を理解した。 「やめて…ください」 春子は僕に抱きついた。背中に回された春子の腕は震えていた。 「お姉ちゃんをぎゅっとして」 言うとおりにした。春子の温かさだけは昔と変わらない。それが悲しい。 春子は僕の胸に顔をうずめた。 「お姉ちゃんの事を好きって言って」 「好きだ」 僕の腕の中の春子は震えたまま。 春子がどんな表情をしているのか見えない。分からない。 「もっと言って」 「好きだ」 「お姉ちゃんの事愛してる?」 思わず僕は躊躇した。 春子の両腕が僕を強く抱きしめる。 「もしかしたら夏美ちゃんにも言った事ないんだ」 僕を抱きしめる春子の腕に力がこもる。 「言って」 春子が僕を見上げる。今にも泣きそうな表情。 「言いなさい」 324 三つの鎖 12 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/14(木) 23 19 00 ID MxB+2AeK そう告げる春子の声は震えていた。 春子の瞳が雄弁に語りかける。夏美ちゃんにばらしてもいいのと。 逆らえない。 「愛してる」 春子の目尻に涙がたまる。春子は悲しそうにうつむき、僕の胸に顔をうずめた。 「もっと言って」 「愛してる」 春子は顔をあげて僕を見た。春子の頬を涙が伝う。 「キスして」 僕は言うとおりにした。悲しいキス。 「お姉ちゃんとしたい?」 夏美ちゃんの笑顔が浮かんで消える。 「答えて」 「したい…です」 「いいよ」 春子の頬が微かに赤い。 「お姉ちゃんを滅茶苦茶にして」 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ どれだけの時間こうしているのか。 「ひうっ、ああっ、ひゃうっ、ひぐっ、んんっ」 部屋に春子の喘ぎと柏手を打つような音が響く。 僕は春子を後ろから激しく突き上げる。剛直の先端が春子の一番奥をつつくたびに、膣が締め付ける。 膣の入り口の周りは、春子の愛液と僕の精液でぐちゃぐちゃだった。それらが混ざり合って春子の白い太ももをつたう。 僕は春子の腰をつかむ手に力を込め、さらに激しく腰をふった。膣をすり上げる度に春子が切ない嬌声を上げる。 快感に腰の動きが早くなる。僕は春子の膣の一番奥に射精した。気持ち良かったけどそれ以上に悲しかった。 「ひうっ……あっ……んっ」 体を震わせる春子。背中には玉のような汗が浮かんでいる。 僕は剛直を抜いた。春子の膣の入り口から白濁した液体がこぼれた。 「んっ…こういちくん」 春子は振り向いて僕を見上げた。淫靡な表情。 「お姉ちゃんがきれいにしてあげる」 春子は僕の股間に顔をうずめて剛直を嬉しそうに舐めた。ざらざらした春子の舌が気持いい。 「んっ、ちゅっ、れろっ、じゅるっ、はむっ」 たどたどしくも一生懸命に舌を使う春子。僕は春子の髪をゆっくりなでた。春子は気持ちよさそうに目を細めた。 「んっ、ねえっ、まだできるでしょ」 春子は僕の剛直を握り擦る。少しだけ剛直が固くなる。 僕を見上げる春子。瞳に浮かぶのは鳥肌が立つほどの劣情。 「あと一回だけ、ね?」 僕は春子を押し倒した。白い体に覆いかぶさり、まだ固くなりきっていない剛直を無理やり挿入した。 「ああああっ!」 春子は嬌声を上げる。僕は激しく腰をふった。膣をこする感触に、剛直が固くなる。 「ひうっ、ああっ、やあっ、ひぐっ、きゃうっ」 僕は春子をはげしく揺さぶった。胸が大きく揺れる。その胸を両手でつかんだ。思いきり力を入れる。春子の顔が苦痛と隠しきれない悦びにゆがむ。 「ひうっ、いやっ、いたいよっ」 春子の言葉を無視してさらに腰をふる。胸をはげしく揉み、首筋を吸う。春子ははしたない喘ぎをあげた。 何度も出したせいか、なかなか達する気がしない。僕はさらに激しく春子を責めた。 「ひいっ!ひぐっ!やあっ!ああっ!」 白い体を苦しそうによじる春子。もがく春子を抑えつけ、ぼくはさらに蹂躙した。徐々に射精感がこみ上げてくる。 春子がひときわ大きい嬌声をあげ背中を反らした。膣が締め付ける。僕も達した。 「ひあっ……ああっ……んっ……あっ」 身をよじる春子。白い胸がかすかに揺れる。僕が余りにも力を入れて握ったせいか、微かに赤い痕がついていた。 剛直を抜く。春子は荒い息をついて僕を見上げた。 「んっ……キスして……」 僕は春子の唇をむさぼった。春子は体を震わせ受け入れた。唇を離すと糸が引く。 肩で息をしながら僕たちはベッドの上で抱き合った。 春子は気だるそうに僕を見た。僕の頬にキスして囁く。 「幸一君。シャワー浴びよ」 春子は僕の手を取って立ち上がった。僕はふらつく春子を支えた。 325 三つの鎖 12 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/14(木) 23 23 29 ID MxB+2AeK 「ありがとう」 春子は顔を赤くして礼を言った。 二人でシャワーを浴びた。お互いの体を洗った。 体をバスタオルで拭いていると、春子が口を開いた。 「幸一君。座って」 僕は黙ってベッドに腰かけた。 春子はバスタオルで僕の頭をわしゃわしゃと拭いた。昔の光景が脳裏に浮かぶ。春子は風呂あがりの僕の頭を拭くのが好きだった。恥ずかしがって嫌がる僕を追いかけまわして頭を拭いた。 「なんだか昔を思い出すね」 春子は懐かしそうに言った。その表情はいつもの春子だった。昔から僕のそばにいてくれた一番身近で親しい女の子。 悲しかったけど、涙は出なかった。 「幸一君、お願いしていい」 春子は僕にブラシを差し出した。僕は受けとって春子の髪をといた。長くて艶のある黒い髪。くすぐったそうにする春子。 梓と僕が仲悪かったころ、梓は僕に髪をとくように命令した。当然、僕はそんな経験が無くてうまくできなかった。梓は不機嫌そうに下手くそと罵倒した。 困り果てた僕は春子に教えを請うた。こんな恥ずかしい事を頼める人など他にいなかった。春子は笑って教えてくれた。練習台として髪をとかせてくれた。 あの時とはもう違う。姉のように身近で助けてくれた春子はもういない。 今は脅し、脅される関係でしかない。 「……うっ……ひっく……」 もう我慢できなかった。涙が溢れた。 「幸一君」 春子が振り返り僕の頭を胸に抱きしめた。柔らかくて温かい。春子の温もりだけは変わらない。それが悲しい。 「お姉ちゃんと二人っきりの時はいくらでも泣いていいよ」 分からない。春子の優しさも、酷い脅迫も。何もかもが分からない。何も考えたくなかった。 夏美ちゃんの笑顔が脳裏に浮かんで消えた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 僕たちはラブホテルを出た。春子が清算した。 二人で並んで家まで帰った。もう遅い時間だった。帰り道、僕たちは一言も話さなかった。ふれあうことも無かった。 春子の家の前で僕たちは足を止めた。 「幸一君。好きだよ」 春子の笑顔はいつも通りだった。見ているだけで明るい気持ちになれる優しくて元気な笑顔。ずっと僕と梓を見守ってくれた笑顔。 僕と春子はしばらく見つめ合った。春子は僕を切なそうに見上げる。 しばらくして、春子は悲しそうに眼を逸らした。 「おやすみ」 春子は背を向けて村田の家に入った。僕は何も言えなかった。 携帯電話で時間を確認した。すでに全員寝ている時間だ。ふとメールの着信を示すアイコンが目に入る。差出人は夏美ちゃん。僕は震える指でメールを開いた。 『今日はありがとうございました。お兄さんの肉じゃがおいしかったです。おやすみなさい』 心臓の鼓動を痛いぐらいに感じる。暑くないのに、全身から冷や汗が出る。視界が歪む。 僕は震える指で返信をうった。 『口に合ってよかったです。おやすみなさい』 夏美ちゃんに返信し、僕は自宅の鍵を取り出した。腕が震えてなかなか鍵が鍵穴に刺さらない。なんとか鍵を開け家に入る。全員寝ていると思ったらリビングに電気がついていた。 「兄さん!」 梓が駆け寄ってきて抱きついてきた。僕は梓を受け止めた。梓をびっくりするぐらい小さく感じた。 「よかった!」 僕の胸に顔をすり合わせる梓。僕の背中に回された梓の手が震えている。 「遅くなってごめん」 「心配したよ。兄さんのばか」 梓は笑って僕を見上げた。その笑顔が曇る。 「どうしたの。何かあったの」 いけない。顔に出ているのか。 「ちょっと疲れちゃって」 必死に笑顔を作る。梓に心配をかけたくない。 「晩ご飯残っているかな。お腹がすいたよ」 本当は全く食欲が無かったけど、ごまかすためにそう言った。 「あるよ。待ってね。すぐ用意するから」 梓はパタパタとキッチンに走った。すぐにいい匂いが漂ってくる。 鳥の照り焼きだ。鳥料理が好きな梓のために春子に教えてもらった最初の料理。 「兄さんできたよ」 梓が料理を並べてくれた。湯気の昇る温かそうでおいしそうな料理。 「いただきます」 326 三つの鎖 12 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/14(木) 23 25 03 ID MxB+2AeK 僕は鳥の照り焼きを口にした。おいしい。春子の手料理と似た味。当然だ。梓がこの料理を好きなのは、春子の作ったそれを食べてからだ。味付けが似るのは当然だろう。 家事を始めた頃、自分ひとりで作る料理はどれもひどい出来だった。梓はまずいと僕を罵倒した。 僕は退院したばかりの春子に料理を教えて欲しいと頼んだ。春子は笑って教えてくれた。 何を作りたいと聞く春子に、梓の好きな鳥の料理と僕は答えた。春子が教えてくれたのが鳥の照り焼きだった。 初めて作った鳥の照り焼きはいい出来ではなかった。それでも、その日の梓は何も言わずに黙って食べてくれた。 目頭が熱くなる。僕は涙を必死に堪えた。そんな僕を梓は心配そうに見つめた。 「そんな風に見られると食べにくいよ」 僕は笑ってそう言った。梓もぎこちなく笑った。 「ごちそうさま」 食欲はなかったけど残さず食べた。 「お粗末さま」 梓は食器を重ねた。 「私が洗うよ。兄さんは疲れてるみたいだし」 梓の気遣いが嬉しかった。 「そんな事はないけど、そう言ってくれるならお願いするよ。ありがとう」 ここ数日の変化は確かに疲れた。春子に襲われ、夏美ちゃんと恋人になり、妹と仲直りし、そして今春子に脅迫されている。 日常がたやすく崩れるのは知っていたけど、ここまでとは思いもよらなかった。 「もう寝るよ。おやすみ梓」 明日は僕が食事当番だ。 「兄さん」 背を向けた僕に梓は声をかけた。 「何か困った事があったら何でも言ってね」 言えるはずが無かった。 「ありがとう。その時はお願いするよ」 そう言って僕は二階に上がった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 327 三つの鎖 12 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/14(木) 23 27 10 ID MxB+2AeK リビングから兄さんは出て行った。階段を昇る足音がかすかに聞こえる。 私は洗い物を済ませると、二階に上がった。兄さんの部屋の扉に耳を当てる。微かな寝息が聞こえた。 兄さんはお風呂に入らずに眠った。その意味は分かっている。 私は部屋に戻りため息をついた。暑い。私は短パンを脱いでベッドに転がった。兄さんがくれた扇子で顔をあおぐ。 さっきの兄さんは元気が無かった。ふるまいはいつも通りだけど、ずっと好きだった人だ。見れば何となく分かる。 夏美と何かあったのだろうか。今日、お昼が終って教室に戻ると、夏美はすごく浮かれていた。見ていて腹が立つほどに。 でも兄さんは帰ってきた時、元気が無かった。普通に考えれば夏美と何かあったのだろう。何があったのかは想像もつかないけど。 私はタオルケットをかぶった。兄さんと仲直りしてから、兄さんの服をこっそり持ってくることはしなくなった。そんな事をしなくても兄さんに甘える事が出来るから。今日も帰ってきた兄さんに抱きついた。たくましい兄さんの背中の感触に私は熱い吐息を吐いた。 今の状況に私はおおむね満足している。兄さんに私の気持ちを告げてから気持ちが楽になった。実の兄に恋するなんて本当はおぞましいはずだけど、兄さんは何も言わない。甘えても軽く注意するだけで私の好きにさせてくれる。 もちろん私はそんな兄さんに甘え過ぎはしない。そんな事をすれば兄さんは私と距離を置くだろう。 人目が無ければちょっと抱きついたり手を握ったり腕を組むぐらいは許してくれる。用事が無ければ一緒に登校もできる。ここ数年はそんな事はほとんどできなかった。 それでも寂しく思うときはある。兄さんの恋人は夏美。今日、兄さんの帰りが遅かったのも夏美と一緒にいたからだろう。 でもいい。少なくとも今はまだ兄さんの一番そばにいられる。 私は汗をぬぐった。眠れない。のども渇いた。私は部屋を出た。キッチンに行き牛乳を飲んだ。 自分の部屋に戻るとき、兄さんの部屋の前を通る。扉をそっと開ける。兄さんの寝息がかすかに聞こえる。 ……ちょっとぐらいいいよね。 私は足音を殺して兄さんの部屋に入った。寝ている兄さんの顔を覗き込む。寝顔はかすかに苦しそうだった。汗もかいている。 兄さんの頬に手を伸ばしふれる。汗で冷えている。何か悪い夢でも見ているのだろうか。 そっと頬から手を離す。私はふれた手を見た。兄さんの汗でぬれた手。 いや待て。私は何を考えている。 私は数瞬悩み、結局欲望に従った。自分の指を口に含む。兄さんの味がする。体が熱くなるのを感じる。 兄さんが動く気配。私は思わずびくっと震えた。起きたの。 静かな寝息を立てる兄さんに私は安堵のため息をついた。布団からはみ出た兄さんの手がかすかに震えていた。 私は震える兄さんの手を軽く握り締めた。冷たい兄さんの手。兄さんの顔を近くでのぞく。こころなし安心したように見えた。 シャンプーの匂いが微かにする。夏美のいつもの髪の香りとは違う匂い。夏美の家に兄さん用のでも置いてあるのだろうか。 そのことを考えたとたん、私の心に醜い感情が荒れ狂う。夏美が羨ましい。私も兄さんに抱いて欲しい。 私は深呼吸した。熱い吐息。 いいんだ。家にいる時は兄さんの一番近くにいられる。私はそれで満足なんだ。 私は言い聞かすように何度も心の中でつぶやいた。 兄さんの手の冷たさが心地よかった。私はその手を離せずにいた。 戻る 目次へ 次へ
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5 三つの鎖 13 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/23(土) 00 13 25 ID Avb0HgmG 昼休みの終わる直前に春子と一緒に教室に戻った。 「こーいち」 僕に気がついた耕平が声をかけてきた。 「夏美ちゃんが来て渡しといてやって」 耕平は僕の机を指差した。そこには学校指定の鞄が置いてある。梓の鞄。 夏見ちゃんのことを思い浮かべると胸がざわつく。ついさっきまで僕は夏美ちゃんをほったらかしにして春子といた。春子を抱いた。 「幸一?どないしたんや」 耕平が不審そうに僕を見つめている。 「何が?」 僕は平静を装ってこたえた。 耕平は何か言いたそうな顔をしたけど、チャイムが鳴ったので自分の席に戻った。 春子は少しつらそうに椅子に座っていた。 椅子に座り僕はため息をついた。体が重く感じた。 帰りのホームルームが終わった。 僕は荷物をまとめて立ち上がった。僕の鞄と梓の鞄。帰って梓を看病しないと。体調は大丈夫だろうか。 教室を出ようとしたとき、後ろで大きな音がした。 机や椅子がぶつかり倒れる音。クラスメイトのざわめき。 「村田!大丈夫かいな!」 緊迫した耕平の声。 振り向くと、机と椅子が乱れた中心に春子がいた。痛そうに腰をさすっている。 「大丈夫だよ。ちょっとこけちゃっただけだよ」 春子はそう言って自分で立ち上がった。微かにふらつく足元。 周りのクラスメイトは心配そうに春子に声をかける。春子は笑顔で大丈夫というだけ。 「生徒会があるから行くね」 そう言って春子はクラスの出口に歩いた。僕のいるほうに。 春子と僕の視線が合う。足を止める春子。怯えたように一歩後ろに下がり足がもつれる。姿勢を崩し後ろに倒れる春子。僕は素早く近づき、地面に倒れる寸前の春子を抱きかかえるように支えた。 柔らかくて温かい感触。驚いたように春子は僕を見た。 「大丈夫?」 僕はそっけなく言った。春子は僕の腕の中で微かに震えている。 「おいおい。無茶したらあかんで」 耕平が心配そうに近寄ってくる。 「今日は帰ったほうがええで。生徒会には俺が伝えとくわ。幸一。村田を家まで送ったり」 「分かった」 耕平はお大事にと春子に言って教室を出た。 「春子。立てる?」 僕の腕の中の春子に言うと、春子は微かにうなずいた。桜色に染まった頬。 春子は立ち上がろうとして失敗した。ふらついて床にへたり込む。 僕は無言で春子に手を差し伸べた。春子は視線をそらして僕の手を握った。柔らかくて綺麗な手。白い滑らかな肌。 春子の手を握り、僕は一気に立ち上がらせた。ふらつく春子を支える。 「歩ける?」 「う、うん。大丈夫」 手を離して離れようとする春子。ふらつく春子を僕は腕をつかんで支えた。 「無茶しないで」 僕は春子の腕をつかんでゆっくりと歩き始めた。 「こ、幸一くん」 僕は春子のほうを振り向いた。微かに上気した頬、潤んだ瞳、恥ずかしそうな表情。 「は、恥ずかしいよ。お姉ちゃんは大丈夫だから、腕を離して欲しいよ」 顔をそらして消え入りそうな小さな声で春子は言った。 僕は手を離した。とたんにふらつく春子。僕は腕を差し出した。春子は僕の腕をつかんでふらつく体を支えた。 「ご、ごめん」 離そうとする春子の手を上から押さえた。 「いいよ。僕にも責任はあるし」 お昼休みの事が脳裏に浮かぶ。顔を真っ赤にする春子。僕の腕をつかむ白い手が震える。 僕たちはゆっくりと歩き出した。今度は春子も腕を放さなかった。 多くの生徒でごった返す校門。視線が僕たちに突き刺さる。仕方が無いかもしれない。 春子は学校では有名だ。生徒会の一員で集会やイベントで他の生徒の目に触れる機会は多い。文武両道で美人でお茶目な女の子。学年や性別を問わず人気がある。 悲しい事に僕も比較的有名だ。それもシスコンとして。加えてこの身長。妹は美人で有名。紹介して欲しいと何度頼まれたか。 春子は顔を赤くしてうつむいた。僕の腕をつかむ春子の手が震えているのがよく分かる。 「大丈夫?」 6 三つの鎖 13 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/23(土) 00 16 42 ID Avb0HgmG 「は、恥ずかしいよ」 「何が」 いつも春子はもっと恥ずかしい事をしてきた。人前で抱きついたり頭を撫でたり手を握ったり。これぐらい何ともない。 春子は恨みがましく僕を見た。その顔は面白いぐらいに真っ赤に染まっている。 「幸一君は恥ずかしくないの。お姉ちゃん信じられないよ」 そう言いつつも僕の腕を離さない春子。微かにふらつく足元。 別に恥ずかしがる事はないと思う。体調が悪いなら仕方がないし。 「家まで歩ける?タクシーを呼ぼうか」 春子は首を左右に振った。 二人でゆっくりと道を歩く。時々ふらつく春子を僕は支えた。春子は僕の腕をしっかりと握っていた。 何も言わずに僕は春子の歩けるスピードにあわせた。春子は恥ずかしそうにうつむくばかりで何も言わない。 僕の腕を握る春子の手から春子の体温が伝わってくる。温かいのにどこか頼りない温度。 春子の家について玄関まで春子を支えた。おばさんもおじさんもいない。 「部屋まで戻れる?」 僕は春子に尋ねた。春子の部屋は二階だ。この様子では階段を上がるのは難しそうに見える。 「だ、大丈夫だよ」 春子は小さな声で答えて靴を脱いだ。歩こうとした途端にこけかける。僕は春子を抱きかかえるように支えた。 「無茶しないで」 何も言わずに春子はうつむいた。微かに震えている。 僕は春子の額に触れた。びくっと震える春子。春子は切なそうに僕を見上げた。熱はないようだ。 「立てる?」 春子は立ち上がろうとして床にへたり込んだ。 僕はため息をついて春子を持ち上げた。 「きゃっ!?」 春子の背中と膝に手を差し入れ胸の前で持ち上げる。俗に言うお姫様抱っこ。 「ちょ、ちょっと!?幸一くん!?」 顔を真っ赤にして手足をじたばたする春子。 「暴れないで。危ないよ」 「は、離して」 春子は恥ずかしそうにうつむいた。 「お、お姉ちゃん重たいでしょ。大丈夫だからおろして」 梓を背負った記憶が脳裏に浮かぶ。 「確かに梓より重いかも」 「えっ!?」 春子は目を見開いて僕を見つめた。 しまった。失言した。 でも、春子の身長で梓より軽かったらおかしい。 「でも軽いよ。羽みたいだ」 呆然とする春子を抱えて僕は階段を上った。自分でもびっくりするぐらい春子は軽く感じた。 春子の部屋に入りベッドに春子を横たえた。その上に布団をかける。 「おばさんが帰ってくるまで一人で大丈夫?」 春子はぼんやりとうなずいた。心あらずというように僕を見つめる。 今までに見た事のない春子の様子に胸がざわつく。 風邪をひいた春子をお見舞いに行った事が何度かある。いつも春子は病人とは思えないはしゃぎっぷりだった。 ずっとベッドで寝ているのが暇なのか、風邪にも関わらず春子は僕と話したり、ゲームで遊んだりした。おばさんが春子を叱るまで付き合わされた。 今の春子にそんな面影はない。 不安そうに、びくびくしながらも、僕から視線を逸らさない。 僕は唇を軽くかみしめた。胸がざわつく。 「何かあったら遠慮なく連絡して。じゃあ」 梓の体調も心配だ。僕は春子に背を向けた。歩こうとした瞬間に袖に何かが引っかかる。 振り向くと春子が僕の袖を握っていた。白い手が僕の袖を必死につかんでいる。 「春子?」 春子はベッドで横たわったまま僕を見上げた。目尻に涙が浮かぶ。 目が合うと春子はびくりと震えた。 「どうしたの」 春子の目尻から涙が落ちる。 「お、お姉ちゃん分からないよ」 涙をぽろぽろ流す春子。 「どっちが本当の幸一君なの。ベッドの上でひどい事をする幸一くんが本当なの。優しい幸一くんが本当なの。分からないよ。何であんなにひどい事をした後でこんなに優しくできるの」 涙に濡れた顔で僕を見上げる春子。僕の袖を握る手は微かに震えている。 7 三つの鎖 13 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/23(土) 00 20 12 ID Avb0HgmG 春子の言葉に胸がどうしようもなくざわつく。 「僕も春子のことが分からないよ」 小さいときから僕を助けてくれた春子。梓との仲直りができたのも、夏美ちゃんと恋人になれたのも春子のおかげだ。 それなのに今は僕を脅し、夏美ちゃんを裏切る行為を強要する。 多くを与え、多くを奪った女の子。 「春子。こんな関係はもう止めよう」 春子は首を横に振った。涙が飛び散る。 「やだっ!絶対にやだっ!」 春子の目からとめどなく涙が流れる。 僕の手をつかむ春子の手。僕はそれをゆっくりと離した。 「今日はごめん」 何で僕は春子にあんなひどい事をしたのだろう。 春子は嫌がって泣いていたのに。 小さい時から何度も助けてくれて、そばにいてくれた僕のお姉さん。 どうしてこんな関係になってしまったのだろう。 春子はしゃくりあげながら僕を見つめた。 涙で濡れた頬、子供のように泣きながら僕を見上げる瞳には頼りない光が浮かぶ。 胸がざわつく。いろいろな感情がごちゃ混ぜになって胸の中で暴れる。 「お大事に」 僕は春子に背を向けた。春子の泣き声を振り切って家を出た。 頭がおかしくなりそうだった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 今日の朝、屋上で兄さんと夏美の情事を目撃した私は家に戻って兄さんのベッドの上でずっと横になっていた。夏美から連絡があったけどでる気にはなれなかった。 脳裏によみがえるのは兄さんと夏美の情事。夏美の喘ぎ声と腰をふる兄さん。悪夢のような光景。 兄さんは朝の時間、家で私といるよりも夏美といる方がいいんだ。 脳裏に兄さんが夏美を犯している光景が頭に浮かぶ。気持ちよさそうな嬉しそうな夏美の嬌声。 私はスカートに手を忍ばせ、下着の上から割れ目を触った。そのまま何度もなぞる。兄さんのベッドの上で行う自慰。兄さんに匂いに包まれ頭が熱くなる。 「…あっ…ひうっ…にいさっ…んっ…はっ…すきっ…にいさんっ…んっ…」 頭がぼんやりする。気持いい。私は快楽に耽るけど、同時に満たされない想いも大きくなるのが分かった。 「んっ…なんでっ…なんで夏美なのっ…あっ…んっ…にいさっ…んっ」 夏美といる兄さんの笑顔が脳裏に浮かぶ。私に向ける悲しそうな笑顔とは違う、嬉しそうな笑顔。 みじめだった。あまりにも。 一度は納得したはずだった。兄さんの恋人は夏美。それなのに。 私は下着に指を入れ、膣の入り口を何度もいじった。兄さんを想いながら。 絶頂に体を震わす。快感と悲しみで頭が爆発しそうだ。 私は兄さんの枕に顔を押し付けた。涙がとめどなく溢れ兄さんの枕を濡らした。私は全身汗だくだった。下着だけでなく、制服も汗で濡れている。汗に濡れた制服と下着が体に張り付いて気持悪い。 兄さんが帰ってくる前にシーツをかえて着替えないと。 そんな事を思いながらも、私は眠気に包まれた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 目が覚めたとき私は自分の部屋に寝ていた。 身を起して自分を確認する。制服だったのに私は寝間着になっていた。 今何時だろう。机の上の目ざまし時計を見ると、隣にスポーツドリンクのペットボトルがある。それを見たとたん、強烈なのどの渇きを覚えた。私はペットボトルをつかんで一気飲みした。水分が体中にしみわたる感覚が心地よい。 口を拭い時計を見る。時間はすでに夜だった。 下に降りると、兄さんはリビングでアイロンをかけていた。私の制服だ。 「梓。もう大丈夫なのか?」 私に気がついた兄さんはアイロンを置いた。 「帰ったら僕のベッドの上で制服のまま汗だくだったからびっくりしたよ」 私はあのまま寝てしまったのか。 「もう大丈夫。寝たらすっきりしたわ。お父さんとお母さんは?」 「まだ帰ってきてない。時間もまだ早いでだろ?」 確かに両親が帰ってくる時間はもっと後だ。 「もしかして兄さんが私を運んで着替えさせてくれたの?」 兄さんは恥ずかしそうに目線を反らした。頬が微かに赤い。 「いや、その、すまない」 私は頬が熱くなるのを感じた。 「もしかしたら体を拭いてくれた?」 8 三つの鎖 13 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/23(土) 00 23 20 ID Avb0HgmG 兄さんの顔がさらに赤くなった。気まずそうに頬をぽりぽりとかく兄さんが可愛すぎる。 私は兄さんに抱きついた。背中に腕をまわし思いきり抱き締める。 「ありがとう。すごく嬉しい」 兄さんは驚いたように固まる。 「兄さん。ごめんね。迷惑掛けて」 正直言うと少し恥ずかしい。寝ていたとはいえ兄さんに服を脱がされ体を拭かれたと考えるだけでまた体が熱くなる。 「梓。大丈夫?ちょっと熱いよ。まだ熱があるんじゃないか?」 兄さんの手が私のおでこに添えられる。大きくて柔らかい兄さんの手。ひんやりとして気持いい。 「横になった方がいい。後でお粥を作って部屋に持っていくから」 兄さんが私のおでこから手を離そうとするのを私は上からそっと押さえた。 「お願い…もうちょっとだけ…」 「梓?」 困惑したように私の顔を覗き込む兄さん。可愛い。 「その…手が冷たくて気持ちいい」 我ながら意味不明な言い訳。それでも兄さんは苦笑して私のおでこに手を添えてくれた。 「氷枕も持っていくよ」 兄さんの手が気持いい。おでこに触れているだけなのに。 そうだ。兄さんに恋人がいても、家の中で一番そばにいるのは私なんだ。どこに行っても兄さんは必ず家に帰ってくる。だったら兄さんが家にいる間は思いきり甘えてやる。 そんな事を考えていると誰かの訪問を知らせるチャイムが鳴った。 「僕が出るよ。梓は部屋に戻って横になって」 兄さんの手が離れる。兄さんはリビングを出て行った。 いったい誰なんだ。おかげで兄さんとの触れ合いが減った。 まあいい。私はため息をついてリビングを出た。後で兄さんが手作りのお粥を持ってきてくれるまで部屋でのんびりしておこう。そうだ。ついでに「あーん」てしてもらおう。 想像するだけでテンションが上がる。兄さんの「あーん」。だめだ。わくわくが止まらない。 それなのに。玄関から聞こえてくる楽しそうな会話に私は足を止めた。 「そうなんですか。それを聞いて安心しました」 夏美の声が聞こえる。 私はそっと玄関をのぞいた。夏美と目が合う。 「あずさー!お見舞いにきたよー!」 夏美は明るい笑顔を私に向け、大きく手を振った。元気で幸せに溢れた声。 その姿に胸がざわつく。 「鞄だけ置いてあったから心配したよ。体調は大丈夫?」 梓は靴を脱いで私に駆け寄った。兄さんは苦笑するだけで何も言わない。 何で止めないの。この家は私と兄さんの家なんだよ。なんで夏美が我が物顔で入るのを止めないの。 夏美が心配そうに私を見た。 「梓?大丈夫?」 兄さんも心配そうに私達を見る。私と夏美を。 何でなの。ここは私たちの家なのに。何で私だけじゃなくて夏美も見るの。 「えっと、梓?」 夏美は兄さんの恋人じゃない。私は外にいる時は遠慮しているのに。何で夏美は家まで上がり込むの。私が兄さんと誰にも邪魔されずにいられるのは家だけなのに。 いつまで私と兄さんの家にいるつもりなの。 心配そうに私を見る夏美を私は思いきり突き飛ばした。悲鳴をあげ尻もちをつく夏美を私は見下ろした。 「出て行って」 「え?あ、あずさ?」 「出て行って!ここは私と兄さんの家よ!」 私は感情のままに叫んだ。頭が爆発しそうだ。 夏美は呆然と私を見上げた。早く出て行け。私は夏美をさらに突き飛ばそうとした。 「梓!」 兄さんが私を後ろから羽交い絞めにした。 「なんで出て行かないの!夏美は兄さんの恋人じゃない!外でも学校でも一緒にいるじゃない!」 「梓!落ち着いて!」 「私の気持ちを知っているんでしょ!何で家まで来るの!私が兄さんのそばにいられるのはここだけなのに!」 私は滅茶苦茶に暴れた。兄さんは必死に私を押さえる。 「そんなに私に見せつけたいの!兄さんと一緒にいるのを!抱きしめてもらっているのを!キスされているのを!抱いてもらっているのを!」 足元に滴が落ちる。涙がとめどなく溢れ私の頬を濡らす。 「ずるいよ!私だって兄さんが好きなのに!ずっとそばにいたいのに!キスしてほしいのに!抱いて欲しいのに!」 梓の瞳に理解と後悔の色が浮かぶ。 「あ、あずさ。その、私、そんなつもりじゃ」 「出て行って!これ以上私から兄さんを奪わないで!」 夏美は涙をぽろぽろ落としながら後ずさった。 9 三つの鎖 13 後編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/23(土) 00 24 16 ID Avb0HgmG 「待って夏美ちゃん!」 「失礼します!梓本当にごめん!お兄さん、梓のそばにいてあげてください!」 靴もはかずに夏美は飛び出した。 「夏美ちゃん!」 兄さんは私をはなして靴をはく。私は立ち上がる兄さんの袖をつかんだ。 「いやっ!行かないで!」 兄さんは私を見た。いつもの困った顔ではない。焦った表情。 その表情に胸が締め付けられる。 兄さんは私よりも夏美の方が大切なんだ。 「ひぐっ…兄さん…お願い…家の中では私のそばにいて…私を見て」 私の言葉に兄さんは困ったように微笑んだ。 兄さんは袖をつかむ私の手を優しく引き離した。 「梓。ごめん」 そう言って兄さんは私に背を向けた。 私に対する優しさで満ちた言葉なのに、全然嬉しくなかった。 「温かくして寝るんだよ」 そう言って兄さんは駈け出した。 「いやっ!兄さん!兄さん!」 遠ざかる兄さんの背中に叫んだが、兄さんは振り返ること無く走り去った。 戻る 目次へ 次へ
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409 三つの鎖 13 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/22(金) 00 18 47 ID Psi6wx6u 誰もいない早朝の教室で私はぼんやりしていた。 最近、梓は早朝に登校することはない。いつもお兄さんと登校しているらしい。昔に戻っただけだけど、それでも少し寂しい。 私はため息をついた。霧のように不安がまとわりつく。別に嫌な事があるとか、不安を感じさせる出来事があるわけではない。むしろ逆だ。何もかもが順調なのだ。 お兄さんはすごく優しい。優しいだけではなくて、私の望んでいる事をさりげなく行ってくれる。 最近、私とお兄さんは放課後に一緒にいる事が多い。いつもお兄さんがそれとなく誘ってくれる。本当なら柔道の練習に行ったり家事があったりでお兄さんは忙しいはずだけど、家事は梓と分担するようになり、柔道は頭を強打したのでしばらく休むらしい。 放課後にぶらぶらした後、私の家でエッチするのが最近の日常だった。思い出すと思わず顔が熱くなる。 優しいお兄さんも好きだけど、ベッドで私を求めてくれるお兄さんも好きだ。私の好みに合わせて少し激しくしてくれる。 私は変態なのかもしれない。お兄さんにちょっと乱暴に抱かれるのが好き。必要とされているように感じて嬉しいし気持いい。お兄さんは最初は優しくしてくれたけど、私の好みが分かってくれたのか最近はいつも少し激しくしてくれる。 その後お兄さんは料理を作ってくれる。お兄さんはいつも食べずに帰るので私は一人で食べるけど、寂しいと思ったことは無い。いつも自分で作ったカレーを一人で食べるのに比べたら何とも思わない。 順調なのに不安を感じる。いや、順調すぎるから不安を感じるのだろう。ぜいたくな悩み。 私はため息をついて窓から校門を見た。まだ誰かが登校する時間ではない。早朝の部活に参加する学生だってまだ家にいる時間だ。と思ったら一人歩いている。 誰か一瞬で分かった。お兄さんだ。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「びっくりしましたよ」 夏美ちゃんと僕は屋上のベンチに座って話した。 「こんな早くにお兄さんが来るなんて」 確かに登校には早すぎる時間だ。他に学生は誰もいないだろう。 「今日はどうしたんですか?」 不思議そうに僕に尋ねる夏美ちゃん。まっすぐな視線が突き刺さる。 「教室で本でも読もうと思って」 本当は違う。家にいずらいのだ。最近、梓は何かと僕を心配し気を遣う。何か感づいたのかもしれない。何かと世話を焼き甘えてくる。それがつらい。今は一人でいたい。 あの日以来、僕は春子を幾度となく抱いた。 春子のご両親が留守の時は春子の部屋で、そうでない時はホテルを利用した。いつも春子から誘ってきた。 僕は断らなかった。断われるわけがなかった。脅されているとはいえ、罪の意識は消えない。 春子の誘いに僕は抵抗した。何度も春子にやめるように頼んだ。 それでも春子は聞いてくれなかった。映像の事を持ち出して僕を脅した。そうなると僕は何も言えないし、逆らえない。 夏美ちゃんと一緒にいる今も、強烈な罪悪感が胸を締め付ける。 「夏美ちゃんこそこんな朝早くにどうしたの?」 僕は罪悪感を隠して夏美ちゃんにほほ笑んだ。絶対に知られるわけにはいかない。 夏美ちゃんは何も言わずにじっと僕を見上げた。澄んだ瞳が僕を映す。 瞳に映った僕は何も変わらない穏やかな笑顔だった。笑顔を作るのだけはうまくなった。 突然、夏美ちゃんは僕に抱きついてきた。僕の胸に顔を埋める。 「どうしたの?」 僕は夏美ちゃんの背中に腕をまわし抱きしめた。夏美ちゃんは僕の腕の中で震えている。 「嫌なんです」 夏美ちゃんの言葉に心臓が止まりそうになる。 「あの家にいると、昔を思い出して嫌なんです」 違った。安堵のため息を飲み込む。 「何がだい?」 「私のお母さんとお父さん、今はお仕事で海外に住んでいます。二人とも別の国にです。お父さんもお母さんも一緒に住もうって言ってくれますけど、私選べないんです。だから私一人であのマンションに残ってるんです」 夏美ちゃんの声は震えている。 「お父さんもお母さんも仲はいいです。私、お父さんもお母さんも大好きです。だからどちらか選べって言われたとき、選べませんでした。だから私一人で日本に残ったんです。正直寂しいですし、不安です」 僕にしがみつく夏美ちゃんの腕に力がこもる。とても非力な力。 「今も不安なんです。お兄さんが優しいのが不安なんです。もしかしたら何かあるんじゃないかって。私の事が好きなんじゃなくて他の理由で私に優しくしてくれているんじゃないかって」 胸に渦巻く罪悪感が僕を苛む。今すぐ逃げ出したい衝動を必死で抑えた。 「分かってます。私の被害妄想だって。お兄さんはそんな人じゃないのに」 410 三つの鎖 13 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/22(金) 00 21 21 ID Psi6wx6u 夏美ちゃんの言葉が僕の心に突き刺さる。 「ごめんなさい。私お兄さんの事を愛しています。でも好きになればなるほど不安に思うんです」 「安心して夏美ちゃん」 僕は夏美ちゃんの頬にキスした。 「僕も愛しているよ」 泣き笑いの表情で夏美ちゃんも僕の頬にキスしてくれた。 僕は最低だ。 今すぐに何もかもをぶちまけたい。でもそんな事をしても何になるのか。 「ひっくっ、好きです、ぐすっ、愛しています」 ぐずりながら僕に愛していると囁く夏美ちゃん。罪悪感が胸を締め付ける。 僕はキスしながら夏美ちゃんの太ももを撫でた。夏美ちゃんがびくりと震える。 「あっ……そんなっ……だめですっ……」 かすかに顔を赤くして身をよじる夏美ちゃん。僕はスカートの上から軽くなぞる。 「ひあっ……こんな場所で……あんっ」 恥ずかしそうに抵抗する夏美ちゃん。 「夏美ちゃん」 僕は囁く。 「忘れさせてあげる」 夏美ちゃんは震えた。期待するかのように僕を見上げる。何度も見た綺麗な瞳。 僕は夏美ちゃんのスカートに手を入れ下着に手をかけた。夏美ちゃんは腰を浮かす。脱がした下着はかすかに濡れていた。 スカートの下から手を差し入れ、夏美ちゃんの膣の入り口をなでる。 「ひうっ……ああっ……んっ……」 僕の腕の中で震える夏美ちゃん。吐きだす息が熱い。僕は指を膣に挿入した。 「ひっ!」 硬直する夏美ちゃん。膣はすでに濡れていた。僕は指を何度も出し入れする。 「ひあっ…あっ…んんっ…きゃふっ」 可愛い声を出して震える夏美ちゃん。僕は指を抜いた。 荒い息をつく夏美ちゃんに僕は囁いた。 「どうする」 夏美ちゃんが泣きそうな顔をする。 「ひぐっ…おにいさん…いじわるしないで…」 「ごめん」 僕は夏美ちゃんの頬にキスした。手早くコンドームをつける。ベンチを降り床に座る。 夏美ちゃんの体を引きよせ僕の膝の上に向かい合って座らせた。夏美ちゃんの腰を浮かせ、膣の入り口に剛直の先端を当てる。夏美ちゃんの体がびくりと震える。 「入れるよ」 僕はゆっくりと夏美ちゃんの体を沈めた。剛直がゆっくりと膣に包まれる。 「ひっ…ああっ…入ってますっ…あうっ…」 僕にしがみついて震える夏美ちゃん。声には隠しきれない快感。 やがて剛直の先端が膣の一番奥をつつく。夏美ちゃんがひときわ大きく震えた。 夏美ちゃんにキスして僕はゆっくりと小さい体を揺さぶった。 「ひあっ…んんっ…きゃうっ…ああっ…」 ゴム越しでも夏美ちゃんの膣をこする感覚が気持いい。僕はゆっくりと揺さぶり続けた。夏美ちゃんの体が震える。 「んっ…おにいさんっ…おねがいです…あっ」 夏美ちゃんは僕の腕の中で切なそう僕を見た。この姿勢だと夏美ちゃんの顔がすぐ目の前にある。 「もっとっ…乱暴にっ…」 目の前の夏美ちゃんの顔が羞恥に染まる。 何度も夏美ちゃんを抱いて分かったけど、夏美ちゃんは少し乱暴にされるのが好きだ。もちろん、本気を出して腰を動かすと夏美ちゃんの体力が持たないし、僕ももたないのでで抑えているけど。 僕は夏美ちゃんに少し乱暴にキスすると、腰の動きを少し速めた。 「ひうっ!?」 夏美ちゃんが嬌声を上げる。少し大きめに腰を動かし、膣の奥を何度もつつく。 「ひあっ、きゃんっ、ああっ、ひっ、やあっ」 嬉しそうに夏美ちゃんが体をよじる。僕はその動きを抱きしめて抑え、さらに夏美ちゃんを責める。 「やあっ、らめっ、ひぐっ、ひあっ、いやっ」 夏美ちゃんの言う事とは逆に膣は締まる。僕は動きを抑えつつも執拗に責めた。 「ひあっ、なしゅみっ、もうらめっ、らめっでふっ、あっ、ああっ、あああああああーーーーーっっっっ!!!!!」 強烈な快感。夏美ちゃんの膣が剛直をきつく締める。僕は腰の動きを止めた。背中を反らし震える夏美ちゃんの首筋を舐める。 「ひうっ…あっ…ああっ…」 とろんとした目で僕の顔を見る夏美ちゃん。僕は耳を甘噛みした。 「ひゃう!?」 「まだいける?」 411 三つの鎖 13 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/22(金) 00 24 29 ID Psi6wx6u 僕は硬いままの剛直で夏美ちゃんを突き上げた。 「ひうっ!」 震える夏美ちゃん。夏美ちゃんは僕を見てこくこくと頭を縦に振った。 僕は腰の動きを再開した。夏美ちゃんの甘い声と体に僕はおぼれた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 最近兄さんの様子がおかしい。 見た目こそいつも通りだけど、何となく元気がない。いや、苦しんでいるように見える。聞いても何でもないと微笑む。その笑顔も見た目はいつも通りだけど、何か違う。 今日の兄さんは朝食を食べたらすぐに家を出た。今日は私が食事当番だから私は朝食を片付けていた。 片付けが終わると私はすぐに家を出た。兄さんのそばにいたい。 学校に走る途中、学生は誰もいなかった。まだ早い時間だ。 私はまっすぐに兄さんの教室に向かった。教室には誰もいなかった。いったいどこに行ったのだろう。 ふと夏美の事が脳裏に浮かんだ。夏美はいつも朝早くに登校する。もしかしたら夏美と話しているのかもしれない。 邪魔していいのだろうかと一瞬考えたけど、構うものかと思った。本当ならこの時間は家で兄さんと一緒にいる。一緒に登校している。今の兄さんの時間は私のものだ。 しかし私のクラスにも兄さんはいなかった。夏美もいなかった。 誰もいない教室で私は考えた。どこにいるのか。ふと屋上が浮かんだ。屋上は私もよくいく。もしかしたらそこにいるのかもしれない。 私は階段を駆け上り屋上への扉に手をかけた。そこで私は固まった。 かすかに聞こえる喘ぎ声。 私はゆっくりとドアのノブを回し、微かに扉を開いた。隙間から屋上をのぞく。何も見えない。 屋上の間取りを脳裏に浮かべる。ベンチは入り口から死角にある。私は音をたてないようにドアを開き屋上に足を踏み入れた。はっきりと聞こえる。喘ぎ声。夏美の声。 私は壁からベンチのある方向をこっそりのぞきこんだ。 屋上に座った兄さんにまたがる夏美。夏美は兄さんに揺さぶられて嬌声をあげている。兄さんは何度も夏美にキスした。そのたびに夏美は甘い声をあげて震えていた。 目の前の光景が理解できない。頭が真っ白になって何も考えられなかった。 夏美の喘ぎ声が耳に響く。嬉しそうな気持ちよさそうな声。兄さんは腰を大きく動かして夏美を揺さぶる。 分かっていた。兄さんと夏美は恋人同士だからお互いに体を重ねている事も。時々家に帰ってくる兄さんの髪から知らない香りがする事も。兄さんは私の兄さんでしかない事も。 それでも私はどこか幻想を抱いていた。兄さんが一番大切にしてくれるのは私だと。兄さんの妹は私だけなんだと。 足元にしずくが落ちる。涙がとめどなく溢れた。 私は兄さんの妹でしかないんだ。 兄さんの腰の動きが激しくなる。夏美は必死に兄さんにしがみついてる。そして兄さんの動きが止まった。二人はお互いに体を震わせながら唇をむさぼる。 私は二人に背を向けた。屋上を出て扉を閉める。走って学校を飛び出した。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 一時間目の授業は頭に入らなかった。 早朝の夏美ちゃんとの情事を思い出す。自覚すればするほど自分の行動の最低さを思い知る。 あの時、僕は夏美ちゃんに忘れさせてあげると言った。本当は逆だ。僕が忘れたかったのだ。春子に脅迫され夏美ちゃんを裏切っているという現実を忘れたかったのだ。そのためだけに夏美ちゃんを抱いた。 どこまで堕ちればいいのか。 気がつけば一時間目が終わろうとしている。いけない。僕は気持ちを切り替えた。 一時間目終わった後の休憩時間に夏美ちゃんが訪ねてきた。不安そうに僕を見る。 「お兄さん。梓から連絡来ていませんか」 もちろん無い。 聞くと、梓が学校に来ていないらしい。携帯もつながらない。お弁当の入ったカバンが机にかけたままだから一度学校に来たのは間違いないらしい。 夏美ちゃんが帰った後の授業中も考えた。今日の朝はいつも通りの梓だった。いったい何があったのだろうか。 ある事に思いつき背筋が寒くなる。まさか、朝屋上で夏美ちゃんとの情事を目撃されたのではないだろうか。 深呼吸して息を吐き出す。今は情報が少なくて何とも言えない。 次の休み時間に僕は家に電話した。しばらくして誰かが電話に出た。 「梓?」 無言。誰かの呼吸が聞こえる。そして声が聞こえた。 『兄さん』 梓だ。僕はほっとした。 「今日はどうしたの?」 『ごめん。体調不良みたい』 梓の声は沈んでいた。大丈夫だろうか。 「帰ろうか?」 『いいよ。そこまでひどくはないし。私の鞄だけお願い』 「分かった。無理はしないで」 『うん』 412 三つの鎖 13 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/22(金) 00 26 17 ID Psi6wx6u そう言って梓は電話を切った。 梓が体調不良なのは心配だけど、とりあえず家にいる事は確認できた。 僕はため息をついた。気持ちを切り替え授業に集中した。 梓と春子と夏美ちゃんの顔が浮かんで消えた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 梓どうしているのかな。 私はため息をついた。三時間目は私の苦手な数学だけど、どちらにしても集中できないだろう。 梓の席を見る。鞄だけかかった机。 お兄さんも知らないって言っているし、どうなっているのだろう。 三時間目が終わった後の休み時間に私は携帯を確認した。お兄さんからメールが来ていた。 『梓は家にいる。体調不良らしい。心配をかけてごめん』 私はほっとした。梓は無事だったんだ。でも体調不良か。大丈夫かな。放課後にお邪魔でなければお見舞いに行ってみよう。 ついでに私はお兄さんをお昼に誘ったけど、先約があると断られた。残念。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ お昼休みに春子は僕の手を引いて生徒会準備室に来た。正直、一人でいたかったし、夏美ちゃんにも誘われたけど、春子は強引に僕を連れてきた。 春子は僕にお弁当を差し出した。 「お弁当を交換しよ」 春子のお弁当をずいと突き出して笑顔で言う春子。 僕が答える前に春子は自分のお弁当を開けた。サーモンマリネのあるお弁当。ちょっとおいしそうかも。 春子はお箸でお弁当のおかずをつかみ僕の顔に寄せた。輝くような笑顔を向けてくる。 「あーん」 僕はげんなりした。 「あーん」 笑顔で繰り返す春子。 僕はため息をついて春子に食べさせてもらった。どうせ断っても脅してくるだけだ。 春子のお弁当がとてもおいしいのが腹立たしかった。 最後の一口を食べる。咀嚼する僕を春子は嬉しそうに見つめた。 「今度は幸一君がお願いね」 春子は笑顔で言った。何をお願いなのだろう。 「お姉ちゃんにあーん、ってしてね」 僕は天井を仰いだ。 本気で言っているのか。 「幸一君。分かっているでしょ」 本気だ。 僕はあきらめてお弁当を開いた。梓の作ったお弁当。中身はサーモンの南蛮漬け。といってもタレは染み込む程度でお弁当のおかずとして工夫されている。 「おいしそうだね」 目を輝かせる春子。 僕はサーモンの南蛮漬けを一口サイズに分け春子の口元にお箸で運んだ。 春子は嬉しそうに口を開けて食べた。 もぐもぐと子供のような笑顔で咀嚼する春子。 「うん。おいしいよ。梓ちゃんたら腕を上げたね」 春子は嬉しそうに笑った。その笑顔に複雑な気持ちになる。 「幸一君。もっとあーんしてね」 僕はため息をついてお箸を動かした。春子はもぐもぐと梓のお弁当を食べる。 まるで子供のようにほっぺたを膨らませてもぐもぐ食べる春子。 最後の一口を春子は飲み込んだ。白い喉が小さく動く。 「ご馳走様!」 春子は満足そうに言った。嬉しそうな笑顔。 僕はお弁当を片付けた。 「幸一君。お姉ちゃんのお弁当はどうだった?」 春子は僕にもたれかかった。柔らかい春子の感触。僕を下から見上げる。濡れた視線。 「おいしかったよ」 僕は春子を引き離そうとしたけど、春子は僕の背中に両腕を回して防ぐ。 「幸一君。デザート欲しくない」 春子の吐息が首筋に当たる。熱い吐息。 「いらない」 413 三つの鎖 13 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/22(金) 00 28 30 ID Psi6wx6u 僕は即答した。 本当にいらない。 「幸一君。分かっているでしょ」 背中に回された春子の腕に力がこもる。 「お姉ちゃんを抱いて」 頬を微かに染めて春子は囁いた。 僕は春子の顔を見た。何かを期待するかのような表情。 「春子。お願いだからやめようよ。こんな事をしても何にもならない」 「幸一君。お姉ちゃんに何度も言わせないで」 春子は僕の胸に頬ずりした。 「分かっているでしょ。お姉ちゃんに逆らっちゃだめ」 僕は唇をかみ締めた。それでも動けない。動きたくない。 春子は僕を上目使いに見上げた。ぞっとするほど濡れた視線。 「幸一君だってお姉ちゃんを激しく抱くじゃない。夏美ちゃんにできないような事をお姉ちゃんにしていいんだよ。別に悩まなくていいよ」 僕に囁く春子。 春子の吐息が熱い。 確かに僕は春子を何度も抱いた。それも乱暴に抱いた。 盗撮した映像の事を持ち出されると、怒りを押さえられなかった。 春子の顔が目の前にある。荒い息。白くて滑らかな肌。淫靡に輝く瞳。微かに桜色に染まった頬。形の良い小さい唇。 僕の唇に春子の唇が重なる。唇を割って春子の舌が入り込む。 反射的に春子の肩を押して引き離した。 春子は苛立たしげに僕を見上げた。 「お姉ちゃんを怒らせないで。いいの?」 どす黒い衝動が湧き上がる。 僕は春子を突き飛ばした。小さい悲鳴を上げて春子はベッドに倒れる。 そんな春子に覆いかぶさり僕は制服の上でも存在感を示す胸を強くつかんだ。 「ひうっ!」 顔をゆがめる春子。僕はそのまま乱暴に張るこの胸を揉みほぐす。 春子の胸は大きくて柔らかい。指がどこまでも食い込む。 「ああっ!幸一くんっ!乱暴だよっ!んっ!痛いよっ!」 春子は息を荒くして僕を見上げた。言葉とは裏腹に嬉しそうな顔で僕を見る。 それが腹立たしい。僕はさらに乱暴に春子の胸を揉んだ。 嬌声をあげる春子のスカートの下に手を伸ばし下着をつかむ。一気に脱がす。春子の膝上で黄色い下着が止まる。下着はすでに濡れていた。 春子は恥ずかしそうに顔を背けた。その頬は桜色に染まっている。 「お姉ちゃんねっ、だめなのっ、幸一君に乱暴されるとねっ、いけない気持ちになっちゃうのっ」 春子は震える手でスカートをゆっくりたくし上げた。春子の膣の入り口はすでに見て分かるほどに濡れていた。 「幸一君のせいだよっ、お姉ちゃんを何度も乱暴に抱いてっ、痛くて怖いのにっ、それなのにね、いけない気持ちになっちゃうのっ」 目尻に光るものを湛えて春子は僕を見上げた。背筋が寒くなるほど淫靡な表情。 僕は春子の膣に指を挿入した。体を震わす春子。すでに春子の膣はびしょびしょに濡れていた。 乱暴に春子の膣の中をかき回す。 「ひうっ、お姉ちゃんねっ、ああっ、幸一君にねっ、変態さんにされちゃったよっ、きゃうっ」 春子の膣を乱暴にかき回しているのに、春子が痛がる様子はまったく無い。それどころか僕の指に春子の膣が絡みつくかのようにうごめく。 僕は春子の膣から指を抜いた。息も荒く切なそうに僕を見上げる春子。僕はズボンを脱いだ。すでに僕の剛直は固くなっている。春子はパンツを完全に脱ぎ自ら足を広げた。 「こ、幸一くんっ、お姉ちゃんねっ、幸一君にねっ、乱暴されると嬉しいのっ」 春子は足を広げたまま恥ずかしそうに僕を見上げた。 「だってね、幸一くんが乱暴に抱くのはね、お姉ちゃんだけでしょ?」 息も荒く淫靡な姿勢で体を震わす春子。 春子の目尻から涙がポロリと落ちた。 「いいよっ、お姉ちゃんをねっ、滅茶苦茶にしてっ、幸一くんになら、何をされてもいいっ」 春子の両膝を押さえて足をベッドに押し付けるように広げる。僕は一気に挿入した。 「ひっ!あああああああああっっっっ!!」 体をよじる春子を押さえつけ僕は乱暴に腰を振った。 「ああっ!ひうっ!やんっ!きゃうっ!」 艶のある喘ぎ声をあげる春子。僕は乱暴に春子の膣に剛直を擦り付けた。 体を震わせ身をよじる春子。 「ひぐっ!だめぇっ!こすり付けないでっ!」 濡れた視線で僕を見上げる春子。口調とは裏腹に嫌がっているようにはまったく見えない。それが腹立たしい。 僕は剛直を抜いた。春子はぐったりと僕を見上げる。 「四つんばいになって」 春子はびくっと震えた。期待するかのように僕を見つめる。 414 三つの鎖 13 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/22(金) 00 32 32 ID Psi6wx6u 僕は春子の胸を鷲づかみにした。思い切り力を入れた。 「いたっ!いたいよっ!んっ!」 身をよじる春子。 「僕の言ったことを聞いていた。四つんばいになって」 恐れるように、期待するかのように僕を見上げる春子。恐る恐るといったように体を起こし四つんばいになる。 僕はスカートを上げた。白い太ももがむき出しになる。 膣の入り口が期待するかのようにひくひく動く。僕は指を挿入した。 「ひゃうっ!?」 体を震わす春子。僕はそのまま指を往復させた。 「こ、幸一くんっ、指じゃなくてねっ、んっ、いれて欲しいのっ」 切なげな吐息を漏らす春子。 僕は指を膣から抜いてお尻の穴に指を入れた。 「ひっ!?」 体を硬直させる春子。僕は春子の愛液を塗るように指を前後させる。 「や、やだっ!待ってよっ!ひうっ!そっちじゃないよっ!」 悲鳴を上げて体をよじる春子。僕は開いた腕で春子の腰を思い切りつかんだ。 「つっ!こ、幸一くん?」 僕は春子のお尻の穴から指を抜いた。安堵のため息を漏らす春子。 春子の腰をつかみ、膣の入り口に剛直をあてがう。そのまま一気に挿入した。 「きゃうっ!」 震える春子。僕は腰をゆっくりと前後させた。 「んんっ、幸一くんっ、あっ、もっと乱暴にしてっ」 切なそうに言葉を紡ぐ春子。 背中越しに濡れた視線を僕に向ける。 「お姉ちゃんねっ、幸一君にならねっ、何をされてもいいのっ、お願いっ、もっと乱暴にしてっ」 僕は春子の膣から剛直を抜いた。春子の愛液に濡れた剛直の先端をお尻の穴にそえる。 「こ、幸一くん?」 不安そうな春子。 僕は春子の腰をがっちりつかんだ。 「僕になら何をされてもいいんだろ?乱暴にされるのが好きなんだろ?」 僕は春子のお尻の穴に剛直をねじ込んだ。 「ひっ!ああああああああーーーーーーーーーーーーーーっっっ!」 痛々しい悲鳴を上げる春子。 春子のお尻の穴はあまりにきつい。まだ先っぽしか入らない。僕はさらにねじ込もうと力を入れた。 「痛いっ!痛いよっ!やだっ!やめて!いやぁぁぁぁっ!」 きつい。なかなか入らない。僕は体重を思い切りかけて春子のお尻の穴を突き進む。 春子は悲鳴をあげて体を震わせる。痛々しい悲鳴が生徒会準備室に木霊する。 「いやっ!いやっ!痛いっ!やめてっ!お願いっ!抜いてっ!」 いったん腰を止めて休憩する。春子のお尻の穴は僕の剛直を拒むように締めつける。 「ひっくっ、幸一くんっ、やめてぇ、お姉ちゃん、痛いのっ」 春子は泣きながら懇願する。白い体にはびっしりと汗が浮かぶ。 「こんなのやだよぉっ、ひっくっ、お願いっ、やめてっ、やだよっ、これ以上入れないでっ、抜いてっ」 僕は春子の腰を思い切りつかんで固定し、体重を一気にかけた。 剛直がきつい隙間を押し広げる感触とともに一気に奥に進んだ。 「ひあっ!!!!!あああああああーーーーーーーーっっっ!!!!!」 春子は絶叫した。痛みを我慢するかのように背中を丸める。シーツを握る白い手が震える。 熱病にかかったかのように小さく震える春子。 「ひうっ、ぐすっ、いたい、いたいよっ」 泣きながら痛いと繰り返す春子。僕は腰を引いた。剛直が強く擦られる感触。 「ひああっ!やだっ!いたいっ!動かさないでぇっ!」 「抜いてといったのは春子だろ」 体を震わし悲鳴をあげる春子。 春子のお尻の穴は経験したことの無いきつさで締め付けてくる。力を入れて削り取るように剛直を抜いていく。 「いたいっ!やだっ!やだよ!ひああっ!やだっ!動かさないでっ!」 春子の悲鳴を無視して僕は剛直が抜ける寸前まで腰を引いた。お尻の穴から赤い血がこぼれる。 再び腰を前進させて春子のお尻の穴に剛直を進める。 「いやっ!いたいっ!いたいのっ!やめてぇっ!」 体を震わせて叫ぶ春子。その声には喜びも快感は微塵も無い。ただ痛みと苦しみだけ。 僕は強引に腰を前後させた。 「やだっ!やめてぇっ!やっ!いたいっ!やめてぇぇぇ!」 415 三つの鎖 13 前編 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2010/01/22(金) 00 33 58 ID Psi6wx6u 僕は春子の悲鳴を聞き流して強引に腰を動かした。拒むような強烈な締め付け。 締め付けがきつすぎて腰を前後させるだけでも体力を使う。僕はいったん腰を止めて休憩した。 「ひうっ、ぐすっ、お願いっ、やめてっ、お姉ちゃんっ、痛いよっ、こんなのっ、やだよっ」 春子は体を震わせ泣きながら懇願した。痛みのせいか全身に汗をかいている。すでに春子の上半身は汗で濡れてカッターシャツが透けて見える。 僕は後ろから春子の胸をつかんだ。力をこめて握り締める。悲鳴を上げて身をよじる春子。 「僕に何をされてもいいんだろ。乱暴にされるのが好きなんだろ」 「ひうっ、んっ、でもっ、こんなのやだっ」 春子は背中越しに僕に視線を向けた。涙で濡れた顔。 「お願いっ、いたいのっ、やめてっ、お願いだからっ」 僕は春子の腰をつかんだ。 「あの時、僕は何度も止めてってお願いした」 春子の瞳が絶望に染まる。 僕は腰の動きを再開した。春子の直腸を削り取るかのように剛直を動かす。 「いやっ、いやっ、いやぁぁぁぁぁっっ!!!!」 春子の叫びを無視して僕は何度も腰を前後させた。 必死に体をねじる春子を腰をつかんで固定する。春子がつかんだベッドのシーツの場所が皺になる。 きつい締め付けだけど膣とは全く違う感触になかなか達する気がしない。僕はさらに腰の動きを速めた。 「やだっ!やだっ!やめてっ!お願いっ!やめてぇぇぇっ!」 春子の痛々しい声が響くなか、僕は腰を振る。 徐々に射精感が高まってくる。僕は腰の動きをさらに速めた。それにつられるかのように春子の悲鳴も大きくなる。 「ひっ!うっ!ああっ!ひぎっ!うあっ!」 痛みに必死に耐えるかのように背中を丸めシーツを握り締める春子。 僕はついに達した。春子のお尻の穴に精液を吐き出す。 すべて吐き出してから僕は剛直を乱暴に抜いた。春子の体が震える。 「ひっくっ、ぐすっ、ううっ、ぐすっ」 すすり泣く春子。 痛々しい姿。足の間は血にまみれ、汗のせいでシャツは透けて見え、体にぴったりと張り付いている。白い太ももに流れた赤い血がより一層の痛々しさを誘う。 春子は涙でぐちゃぐちゃになった顔を僕に向けた。涙で濡れた顔。 僕と目が合う。春子の目が見開かれる。脅えるようにベッドの上を後ずさり、体を震わせ春子は泣いた。 分からない。春子は僕の目に何を見たのだろうか。 春子の目尻から涙がぽろぽろ溢れ出す。乱れた服もそのままに春子は体を震わせて泣いた。 その姿に胸がざわつく。そのざわつきの意味が分からないまま僕は泣き続ける春子を黙って見続けた。 戻る 目次へ 次へ
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103 三つの鎖 14 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/29(金) 23 15 54 ID sooJAhF2 三つの鎖 14 チャイムが鳴る。玄関に行ってドアを開けると幸一君がいた。切羽つまった顔をしている。随分と走ったのだろう。春先の涼しい季節なのに汗だくだ。 「春子。急な頼みで悪いけどシロを貸してほしい」 「いいよ。シロ!」 私は即答してシロを呼んだ。シロはしっぽを振って犬小屋から出てきた。 幸一君は学校指定の女子の靴をシロに近づけた。 「シロ、持ち主を追える?」 シロはくんくんと匂いを嗅いだ後、私を見た。 「頑張ってね」 シロはわうと吠えて走り出した。幸一君もシロの後を追い走り去った。 さてと。 「これでいいのかな」 私は後ろに振り返って玄関を見た。奥の居間の入り口から夏美ちゃんは頭だけぴょこっと出して私を見た。 一応自己紹介をしておこうかな。 私の名前は村田春子。 幸一君と梓ちゃんのお隣さんにしてお姉ちゃんだよ。 別に幸一君とあずさちゃんと血のつながりがあるわけじゃないけどね。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 夏美ちゃんが幸一君の家を飛び出した時に私がいたのは偶然じゃない。 私は幸一君の家の数か所に盗聴器を仕掛けている。ちなみに夏美ちゃんの家にも仕掛けてある。初めて幸一君とホテルに行った時、待ち伏せできた理由はこれだったりする。 夏美ちゃんを私は自宅の前で待ち構え連れ込んだ。夏美ちゃんは裸足だった。 別に大した理由があるわけではない。ただ、追いついた幸一君が夏美ちゃんに優しくすると考えると腹が立っただけ。 今の幸一君は私に優しくない。怒りと悲しみの渦巻く瞳を私に向ける。それはベッドの上でも同じ。いつも荒々しく私を抱く。今日は特に乱暴だった。レイプされているみたいで本当に怖かった。 もちろん分かっている。幸一君は何も悪くない。責任は私にある。 「ちょっとは落ち着いた?」 私はソファーの上に体育座りしている夏美ちゃんに声をかけた。夏美ちゃんは泣き腫らして赤くなった眼を私に向けた。 「すいません。もう大丈夫です」 夏美ちゃんの声は小さいけどしっかりしている。 その体勢だとパンツが丸見えだ。白くて柔らかそうな足も。そうやって幸一君を誘惑しているのかと思うと腹が立つ。 「お兄さんとシロちゃんは大丈夫でしょうか。私はここにいるのに」 「大丈夫だよ。シロには適当に走り回るように言ってるから」 夏美ちゃんは驚いたように私を見た。 「シロちゃんって賢いですね」 「幸一君には悪いけど、シロの運動に付き合ってもらうよ」 夏美ちゃんは笑った。元気のない笑顔。 「で、いったい何があったのかな?」 私は夏美ちゃんに尋ねた。むろん、私はリアルタイムで盗聴して聞いていたから全てを知っている。 夏美ちゃんはうつむいて唇をかみしめた。そしてポツリポツリと話した。 「私、梓に無神経なことをしたんです」 無神経な事、か。 「私、梓がお兄さんのこと好きな事を分かっていたのに、梓はその気持ちを我慢しているのに、梓がお兄さんを一緒にいられる場所に踏み込んじゃったのです」 私が幸一君にしている事を知ったら、夏美ちゃんはどう思うのだろう。私は幸一君の気持ちを土足で踏みにじっている。 怒るのだろうか。同情するのだろうか。 「それで梓を怒らせちゃったのです」 そう言って夏美ちゃんはうつむいて膝に顔をうずめた。 本当に夏美ちゃんはいい子だと思う。幸一君に相応しいまっすぐで優しい子。 「夏美ちゃんは悪いことをしたと思っているのかな?」 夏美ちゃんは顔をうずめたままうなずいた。 「じゃあどうするのかな?」 夏美ちゃんは少し黙ってから口を開いた。 「お兄さんの家にはもう行きません。梓の前でお兄さんと親しくするのはやめます」 本当に健気な子。夏美ちゃんにとっては幸一君も梓ちゃんも大切なのだろう。 「そうするとね、夏美ちゃんはずっと幸一君から離れられないと思うよ。だって一緒に住んでいるんだよ?」 夏美ちゃんは顔を上げた。戸惑った顔。 「好きな人と同じ屋根の下にいて我慢できるかな?」 「それは、その」 104 三つの鎖 14 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/29(金) 23 18 25 ID sooJAhF2 それきり言葉が続かない夏美ちゃん。 「どれだけ好きでもね、いつかは別れが来るよ」 そう。どれだけ好きでも、どれだけ身近にいても、どれだけ長く傍にいても。 「私もね、幸一君の事は大好きだよ」 夏美ちゃんはびっくりしたように私を見た。 「ずっと一緒にいたんだもん。梓ちゃんもそうだよ。私にとって二人は可愛くて大切な弟と妹だよ」 この言葉に偽りはない。ただ私の場合、それ以上に傍にいたいという気持ちが強いだけ。 だから、あんな事をして、今も続けている。 「でもね、それでも別れは来るよ。うんうん、この場合は今まで通りの関係ではいられなくなるって言う方が正しいかな」 私は分かっている。例え幸一君を脅迫して従わせても、いつかは終わりが来る。梓ちゃんの鎖が切れたように、私の鎖もいつか切れる。 それでもいい。それまでは傍にいたい。 「私はお兄さんと梓の関係にまで立ち入るつもりはありません」 「あのね、もし私が幸一君にべたべたしたら夏美ちゃんは嫌でしょ?」 夏美ちゃんは絶句した。 「嫌でしょ?」 少なくとも私は我慢できなかった。だから幸一君を襲った。はじめてホテルに行ったあの日もそう。夏美ちゃんと幸一君がしてるのを盗聴器で聞いて我慢できなかった。だから待ち伏せしてホテルに連れ込んだ。 どうなのかな。夏美ちゃんは我慢できるのかな。 夏美ちゃんは意を決したように私を見た。 「わたし、その、ハル先輩なら、お兄さんにべたべたしても」 「やめて」 私は夏美ちゃんの言葉をさえぎった。 「そんな事聞きたくないよ」 私は夏美ちゃんを見た。脅えたように夏美ちゃんは後ずさる。 「私が幸一君にべたべたしても我慢できるの?私が幸一君に抱きついても?私が幸一君とキスしても?幸一君と寝ても?」 私は夏美ちゃんに近づき頬を両手で挟んだ。夏美ちゃんの顔が恐怖に見開く。 「嫌でしょ?」 夏美ちゃんは震えるばかりで何も言わない。私は夏美ちゃんの顔から手を離した。 「そんな事二度と言っちゃだめだよ。夏美ちゃんのその考えは最終的には幸一君が夏美ちゃんのもとに戻ってくるって余裕の表れでしかないよ」 いけない。気持ちが高ぶっている。私は深呼吸した。気持ちを鎮める。 「それにね、その考えは幸一君を侮辱しているよ。幸一君を私物扱いして貸してあげるって言っているのと同じだよ」 幸一君は私のものだ。ずっと一緒だった。ずっと傍にいた。夏美ちゃんに私物扱いされたくない。 夏美ちゃんはうなだれた。 「ごめんなさい。私が間違っていました」 そう言って私に頭を下げる夏美ちゃん。本当に素直でいい子。それが腹立たしい。 「この後どうするの?良かったらお泊まりしていく?」 「いえ。家で頭を冷やします。そうしてから明日お兄さんと話します」 そう言って夏美ちゃんは立ち上がった。 「今日は本当にお世話になりました」 「気をつけて帰ってね」 靴を履いていない夏美ちゃんに私はサンダルを貸した。 外はもう暗い。夏美ちゃんは礼を言って帰って行った。 私はそれを見送って部屋に戻ると、思い切りベッドをたたいた。 夏美ちゃんが憎かった。幸一君に大切にされ、優しくされ、女として愛されているのが悔しかった。 殺してやりたいと思ったけど、私は抑えた。幸一君が私に従うのは、夏美ちゃんの存在があるからだ。夏美ちゃんがいなくなるとどうなるか分からない。 違う。分かっている。夏美ちゃんがいなくなると幸一君が私から離れて行きそうで怖いからだ。 一番許せない相手の存在が幸一君を従わせる事を可能とする。頭がおかしくなりそうな矛盾。 私はため息をついてベッドに転がった。 幸一君に乱暴に扱われたお尻と胸が少し痛んだ。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 私は気持ちを静めてアルバムを開いた。 写真の多くは私と幸一君と梓ちゃんの三人が写っている。明るく笑う私と恥ずかしそうに笑う幸一君と不機嫌そうな梓ちゃん。 あの頃の私は幸一君と梓ちゃんが可愛くて仕方がなかった。それは今でも変わらない。何も知らない人には姉と弟と妹と間違えられるぐらいだった。 腕白だけど女の子に対しては恥ずかしがりやな幸一君といつも不機嫌で面倒くさがり屋な梓ちゃんの世話を焼くのが私の楽しみだった。 次のページを開いた。中学校に入学したばかりの私と幸一君の写真。二人とも購入したばかりの制服を着ている。私が幸一君の腕に抱きついていて、幸一君は居心地悪そうに笑っている。 105 三つの鎖 14 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/29(金) 23 22 50 ID sooJAhF2 このころの幸一君は今と違っておバカさんだった。部活バカで試験はいつも赤点。お勉強を助けてあげた回数は数え切れない。そして今よりはるかに単純だった。 そしてお調子者だった。女の子に対して恥ずかしがりやなのは今と変わらないけど、今とは別人のようにはしゃぐ男の子だった。写真を見ても底抜けに明るい笑顔が多い。 懐かしい。中学に入ってすぐだったと思う。幸一君が私に告白したのは。私は断った。 あの時の幸一君は年頃の男の子だった。恋に恋する年頃。周りにはやし立てられて彼女がほしいと思い、いちばん身近な私に告白しただけ。 本当に私の事を一人の女の子として好きならいいと言った私に、幸一君はすぐに答えられなかった。私は幸一君にめっと怒った。最低だよという私に幸一君は落ち込んでごめんなさいと言った。私は笑って許した。 あの時、断らなかったら今はどうなっていたのだろう。 次のページを開いた。幸一君と梓ちゃんの仲が悪くなってから、幸一君は変わった。いつも少し悲しそうに微笑んでいる。写真を見ても別人にしか見えない。 梓ちゃんの件からだ。幸一君と梓ちゃんと私の間に距離ができたのは。 幸一君は梓ちゃんの事しか考えなくなった。私が傍にいても、話しかけても、抱きついても、頭の中には梓ちゃんの存在があった。私が料理や家事を教えている時も、幸一君は梓ちゃんの事を考えていた。 梓ちゃんは幸一君を傍に置いて嬉しそうだった。私がかまっても昔以上にうっとうしがるだけだった。 あの頃は二重の意味で寂しかった。 すぐそばにいても幸一君も梓ちゃんも私を見ていなかった。成長して私を必要としなくなっていく幸一君をすぐそばで見続けた。 いっぺんに弟と妹が独り立ちした気分だった。 幸一君は優しくて思いやりのある落ち着いた男の子に成長した。でも、その優しさと思いやりを一番向けていたのは梓ちゃんだった。 私は昔の関係に戻りたかった。ちょっと手のかかる情けない弟と、不機嫌で面倒くさがりやな妹の世話を焼く昔に。 何度か幸一君に女の子を紹介した。幸一君に彼女ができたら少しは梓ちゃんから離れると思ったから。でも幸一君は梓ちゃんの事しか考えていなかった。幸一君に彼女を作る意思は無かったし、他の女の子に好意を持つこともなかった。 夏美ちゃんを手伝ったのも深い理由はない。私たちの関係に変化を期待してのことだった。 あの日、幸一君の家にみんなで泊まった日。私は自分の事を分かっていない事に気がついた。 幸一君が夏美ちゃんに好意を持っている事を理解した時、感じたのは弟に好きな人ができた喜びではなく、嫉妬だった。女としてなのか、姉としてなのかは今でも分からない。 自分でも信じられない暗くて醜い感情。幸一君に対する独占欲。 夏美ちゃんが寝ている隣で私は悩んだ。自分自身の醜い独占欲が怖かった。 私は幸一君と話そうと部屋を出た。リビングでぼんやりとしている幸一君を見て私は泣きそうになった。幸一君の表情は恋をした男の子のそれだった。そして恋の対象は私ではない。 もし幸一君が梓ちゃんから離れても、次は夏美ちゃんの事を考えるだけ。 私は声をかける事も出来ずにリビングを出て家を出た。自分の部屋で泣くつもりだった。 自分の部屋に戻って私はベッドにあおむけになった。その時、中古で購入した高性能ビデオカメラと戯れに購入した手錠が目に入った。 私の脳裏に思いついた考えは最低の発想だった。 このビデオで幸一君を脅迫できる映像をとれば全てがうまくいく。 幸一君を苦しめるだけという良心の声はすぐに消えた。指をくわえて幸一君が手の届かない場所に行くのはもう我慢できなかった。 私はビデオカメラを持って幸一君の家に戻りリビングを確認した。幸一君はまだぼんやりとしていた。私は幸一君の家のお風呂場の窓に外から目立たないようにビデオカメラを設置した。風呂場の様子が見えるのを確認し、録画スイッチを押した。 もし幸一君がお風呂に入らなかったらどうしようとハラハラしたけど、幸一君は思惑通りお風呂に入った。 私はお風呂場に入り幸一君を誘惑した。でも幸一君は乗らなかった。 どこかで分かっていたのだと思う。幸一君はそんな男の子じゃないって。そうじゃないと手錠を家から持ってくる理由がない。購入した時はこんな形で使うとは夢にも思わなかった。 私は幸一君を拘束して無理やり犯した。 初めてのセックスだったけど、痛いのは最初だけだった。幸一君とつながっていると思うと身も心も蕩けそうだった。 幸一君が私の体に反応してくれたのが何よりもうれしかった。幸一君は少なくとも私の事を女として見ているのだから。幸一君の悲しそうな表情も可愛かった。 106 三つの鎖 14 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/29(金) 23 25 59 ID sooJAhF2 もちろん残念だったこともある。幸一君が自分から私を抱いてくれなかったのは少し悲しかった。魅力がないのかと思った。 そして撮影した映像もいまいちだった。どう見ても私が無理やりしているようにしか見えない。 最初は私と幸一君の情事を夏美ちゃんに見せてあきらめさせるつもりだったけど、この映像では無理だ。それに幸一君を脅す材料にもならない。 私は考えた。幸一君自身だけに害が及ぶ映像では幸一君を脅す材料にはなりえない。幸一君が脅しに屈するとすれば、幸一君以外の人に害が及ぶ場合。 それにはどうすればいいのか。私には分からなかったけど、とりあえず夏美ちゃんの家にビデオカメラを仕込もうと考えた。考えるのも嫌だけど、将来二人が男と女の関係になった時に脅す映像が撮れるかもしれない。 早速その日から行動した。しかし作業は思った以上に大変だった。 幸一君の家に泊まった次の日に私は夏美ちゃんの家を訪ねた。夏美ちゃんは不在だった。私は躊躇無く鍵をピッキングで開けて侵入した。 もし夏美ちゃんが来たら遊びに来たけど鍵が開いていたと言うつもりだった。しかし、なぜか夏美ちゃんは寝るとき以外は家にいないようで鉢合わせすることはなかった。 ビデオカメラを仕掛けるいい場所はあったけど、問題はビデオカメラの制御だった。まさか録画ボタンを押しっぱなしにして放置するわけにはいかない。 私はその問題をノートパソコンに接続することで解決した。ビデオカメラはパソコンに接続して制御したりデータのやり取りを行うことができるタイプだったのは幸いだった。ノートパソコンを置く空間もあった。 夏美ちゃんの家のパソコンが無線LANなのも助かった。ビデオカメラで取り込んだ画像をノートパソコンに取り込み無線LANでネットにつなぎ家に送るように設定した。 この家のパソコンのセキュリティは無いに等しかったけど、一応夏美ちゃんのパソコンに細工して勝手に無線LANを使用しているのがばれないようにした。 もちろん鮮明な映像をリアルタイムで送るのはノートパソコンの性能的にもネット環境的にも無理だから通常は荒い画像を一定時間ごとに送るようにし設定した。 必要があれば家のパソコンからの制御で鮮明な映像をいったん撮影してから送信できるようにした。 一番不安だったのは電源コードとノートパソコンの騒音だった。もちろん電源コード自体は目立たないように設置した。ノートパソコンの騒音も静かなものを選んだけど、いつばれてもおかしくない。こればかりは仕方がなかった。 ついでに盗聴器を仕込んだ。これは小型だからばれる心配は少ないし、無線LANでリアルタイムに音声を聞く事が出来た。 作業が終わった時、私が感じたのは激しい自己嫌悪と徒労だった。私は何をしているんだろうと思った。達成感など微塵もなかった。いつ役に立つのかもわからないし、役に立つという事は幸一君が夏美ちゃんの部屋に行く時。 幸一君も夏美ちゃんも奥手だ。その二人が夏美ちゃんの部屋でエッチするなどいつの話になるか分からない。 要するに私は冷静でなかった。幸一君とエッチした事と、私自身の考えに興奮して冷静な行動ができなかった。冷静になればなるほど危険な橋を渡っているのを思い知った。 まだ幸一君と夏美ちゃんが付き合うわけじゃないし、私にだってチャンスはある。 そう考え、私は今後の展開を考えた。あの奥手な幸一君と恥ずかしがりやな夏美ちゃんが男女の仲になるには時間がかかるはず。梓ちゃんは徐々に仲が深まる二人に我慢できるだろうか。 できない。私もそうだった。きっと何かのトラブルを起こすはず。そうなれば幸一君と夏美ちゃんの仲は今まで通りにはいかなくなるだろう。今、無理に二人の仲を引き裂く必要は無い。 私はそう考えた。だったら幸一君と夏美ちゃんが徐々に仲が良くなるように仕向ければいい。 幸一君と夏美ちゃんを屋上に呼び出して私が行かなかったのもこの発想に基づく行動だ。あの二人は自分から会いに行く事はないだろうから、会うように仕向ける必要がある。 これを繰り返していけば二人の仲は徐々に深まるはず。そして梓ちゃんはそれに耐えられなくなる日がいずれ来る。 夏美ちゃんに花を持たせるのはしゃくだけど、今だけ幸一君を貸してあげる。後で返してもらうけど。 だけど事態は急展開した。梓ちゃんとの帰り道に公園で幸一君と夏美ちゃんがキスしているのを目撃してしまったのだ。 その時の衝撃は忘れない。私の幸一君が、夏美ちゃんに恥ずかしそうに、そして嬉しそうに口づけしている姿。 その後は私が望んだ事とはいえ、背筋の寒くなる光景だった。梓ちゃんがあそこまで取り乱すとは思わなかった。あそこまで直接的な行動に出る事も。 107 三つの鎖 14 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/29(金) 23 30 00 ID sooJAhF2 走り去る梓ちゃんと立ち尽くす幸一君。私は梓ちゃんを追った。まさか夏美ちゃんに追わせるわけにはいかない。梓ちゃんは問答無用で夏美ちゃんを投げ飛ばすだろう。私が追うのが適任だった。 私はあの時の行動を心底後悔している。あの時、何が何でも幸一君の傍にいるべきだった。 あの後、梓ちゃんは部屋に引きこもって出てこなかった。とりあえず加原の家の家事は私が行った。何もしないとご両親に怪しまれる。ついでに盗聴器を仕込んだ。 いったん家に戻って幸一君にメールを送った。今日は帰ってこない方がいい。耕平君の家にでも泊まるようにと。梓ちゃんは冷静でなかったし、会わせると昔の二の舞になる予感がした。 京子さんが帰宅してから私は事情をかいつまんで話した。京子さんは話の分かる人だ。私に任せてほしいという頼みを二つ返事で承諾してくれた。 私はふと夏美ちゃんが何をしているのか気になった。まさか幸一君を家に連れ込むとは思えないし、幸一君も女の子の家に泊まるような男の子じゃないと思っていた。 それでも正体のわからない不安を感じた私は夏美ちゃんの家の映像を見た。 ディスプレイに映っているのは抱き合う二人の姿だった。荒い画像でも誰かは分かった。 私は頭が真っ白になった。幸一君が夏美ちゃんをベッドに押し倒した姿を見て気が狂うかと思った。 それでも頭は冷静だった。この映像をとればこれ以上ない脅しの材料を手に入れる事が出来る。そうすれば幸一君を想いのままに操る事が出来る。 私は高精度の映像を撮影するように設定した。高精度の映像を撮影している間、画像は届かない。私は盗聴器で幸一君が夏美ちゃんを抱いているのをリアルタイムで聞いた。 幸一君は夏美ちゃんに優しかった。私は泣いた。涙が止まらなかった。幸一君と夏美ちゃんの情事を聞きながら、自分を慰めた。 時間を見計らって私はデータを送信させた。思ったより時間がかかった。 私は映像を確認した。鮮明な映像。幸一君と夏美ちゃんがベッドの上で裸で絡み合う。これ以上ない脅しの材料。 みじめだった。私は幸一君のそばにずっといたのに、幸一君が選んだのは夏美ちゃん。 私は幸一君を梓ちゃんに取られ、次は夏美ちゃんに奪われた。 次の日に梓ちゃんにご飯を持っていた時に二人で話した。 好きな兄を従わせるために罪悪感という幻の鎖で幸一君を縛る梓ちゃん。 好きな弟を従わせるために幸一君と夏美ちゃんの情事を撮影し脅そうとしている私。 私と梓ちゃんは間違いなく姉妹だと思い知った。例え血のつながりがなくても。幸一君を傷つける方法でしか従わせる事が出来ない愚かで哀れな姉妹。 そして梓ちゃんは未来の私の姿だった。幸一君を縛り付ける鎖は、その鎖が何であれいつか必ず解かれる。それでも縛り付けずにはいられない。 梓ちゃんがあれだけ幸一君を傷つけても私は梓ちゃんが好きだ。愛おしい妹。私と同じだから。それは私が入院させられても、幸一君を入院させても変わらない。 幸一君と梓ちゃんの関係はとりあえず決着がついた。とりあえずと言うのは、梓ちゃんが我慢できるはずがないからだ。私が我慢できないのと同じ。 それは今日の出来事で証明された。 私は幸一君を脅してこの家のベッドで体を重ねた。そしてその様子を録画した。幸一君を脅す材料をさらに手に入れた。 それ以来、私は幸一君と何度も寝た。二人きりになるたびに幸一君は私を説得しようとした。それでも私は止めなかった。あの映像を持ち出すと、幸一君は従うしかなかった。 ベッドの上で幸一君は私を荒々しく抱いた。夏美ちゃんを優しく抱くのとは違って獣のようだった。 今日のお昼休みの事を思い出すと、それだけで体が震える。本当にレイプされているみたいで、思い出すだけで恐怖がこみあげてくる。 幸一君は精神的に思いつめているのかもしれない。もともと男女関係に対して真面目な幸一君が、夏美ちゃん以外の女の子と体を重ねるのは苦痛でしかないのだろう。それを強要する私に思い切り負の感情をぶつけたのかもしれない。 私はため息をついてアルバムをめくった。高校生の私と幸一君が写っている。幸一君の腕に抱きつく私に恥ずかしそうに微笑む幸一君。 写真に写る幸一君はもういない。今の幸一君は私の裸を見ても顔色一つ変えない。それどころか軽蔑の眼差しを向ける。 滴がアルバムに落ちる。拭っても拭っても涙はあふれる。 外で犬が吠える声が聞こえた。私は涙をふいて玄関に下りた。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ドアを開けると幸一君がいた。シロの頭を優しく撫でている。シロは気持ちよさそうにしている。 羨ましいな。私も幸一君に優しく頭を撫でてほしい。 幸一君が私を見た。複雑な表情。 108 三つの鎖 14 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/29(金) 23 32 16 ID sooJAhF2 「シロを貸してくれてありがとう」 シロが気にするなというようにワンとないた。 「いいよ。夏美ちゃんには会えた?」 幸一君は首を振った。 「メールが来た。落ち着いてから明日に会いたいって」 そうなんだ。 幸一君は汗だくだった。 「上がって。飲み物とタオルを持ってくるから」 「いいよ」 「いいから」 私は渋る幸一君の手をつかみ強引に家に連れ込んだ。お尻の痛みに足元がふらつく。こけそうになったのを幸一君は支えてくれた。私の部屋に行くように告げ、飲み物とタオルを持って部屋に入った。 幸一君は部屋でぼんやりと立っていた。 私は幸一君にタオルを渡した。汗を拭き終わると、冷たいお茶を幸一君に渡した。 「ありがとう」 幸一君はぶっきらぼうに言って立ったままお茶を一気に飲んだ。 「あの、幸一君」 私は幸一君に声をかけた。幸一君は荒んだ目を私に向ける。その瞳に体がすくむ。 「その、ベッドに座ってくれないかな」 心底嫌そうな顔をする幸一君。胸が痛む。 「お願い」 幸一君はベッドに座った。私はその隣にちょこんと座った。 私は幸一君にもたれかかった。幸一君の太ももの上に頭を載せる。俗に言う膝枕。 「春子?」 上から怪訝そうな幸一君の声。幸一君の太ももは温かい。 「あのね、そのね」 駄目だ。恥ずかしすぎる。だけど言わなくちゃ。 「その、お、お姉ちゃんのね、あ、あ、頭を撫でてほしい」 幸一君が戸惑っている気配が伝わる。 しばらくして幸一君は私の頭を撫でてくれた。優しい動きだった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 訳が分からなかった。 春子が自分の部屋に僕を呼ぶ時は何時もエッチのときだけだ。それなのに今僕は春子に膝枕をして頭を撫でている。 この変化は吉か凶か。 春子の髪はサラサラしている。 そういえば何時から春子は髪を伸ばすようになったんだろう。活動的な春子は、動きやすい格好や髪形を好んだ。昔は今ほど長くなかったのに、気がつけば伸ばすようになった。 春子は何も言わない。 「春子。一体どうした」 びくっと震える春子。この姿勢だと春子の顔が見えない。 「えっとね、そのね」 それでも春子が恥ずかしがっているのは容易に分かる。春子が恥ずかしがるのは珍しい。春子の頭を撫でる僕の手に春子の温かい体温が伝わる。 「その、お姉ちゃんの事変に思わない?」 「思わないよ」 今さら何を言っているのだろう。僕を脅して何度も体を重ねたのに。 「笑わないでね」 そう言って春子は黙った。僕はせかさなかった。 しばらくして春子は口を開いた。 「さっき幸一君がシロの頭を撫でていたでしょ」 確かにそうだ。それがなんだと言うのか。 「そのね、お姉ちゃんね、シロが羨ましかったの」 春子の頭を撫でる手を僕は思わず止めてしまった。背中を曲げて春子の顔を覗き込むと、春子は真っ赤な顔で恥ずかしがっていた。 不覚にも可愛いと思ってしまった。春子がいつも僕を恥ずかしがらせようとする気持ちが初めて分かってしまった。 「春子の馬鹿」 僕はそう言って笑った。春子と一緒にいて笑ったのは久しぶりだった。 本当に久しぶりに感じる。泣きたくなるほど懐かしい。 「え!?だ、だれが馬鹿だよ!?」 春子はぷりぷり怒った。 「春子が」 「もー!お姉ちゃんを馬鹿にしないの」 109 三つの鎖 14 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/29(金) 23 34 16 ID sooJAhF2 そう言って春子は体を起こし僕を胸に抱きしめた。大きくて柔らかい春子の胸が顔に当たる。 「ふふーん。お姉ちゃんの胸の中はどう?恥ずかしいでしょ」 僕はため息をついた。 「今さら何を言っているんだ」 何度も体を重ねたのに。今さらこれぐらい何とも思わない。 「むー。幸一君が生意気だよ」 春子は僕の胸に顔をうめ頬ずりしてきた。 「あのね、そのね」 頬ずりする春子。僕の顔をちらちら見る。 「頭を撫でてほしいのか?」 僕の言葉に春子は恥ずかしそうにうなずいた。僕は春子の頭をそっと撫でた。 春子は嬉しそうに頬ずりする。そこまで嬉しそうだと僕も恥ずかしい。 「春子」 僕の呼び声に春子は顔をあげて上目使いに僕を見た。 恥ずかしそうな表情に頬が熱くなる。 「その、えっと、お尻は、大丈夫?」 春子はびくっと震えて僕の胸に顔をうずめた。 僕の背中に春子の腕がまわされる。 春子は何も言わずに震えた。 「うっく、ひっくっ、ぐすっ」 春子は震えながら嗚咽を漏らした。 僕は春子の背中と後頭部に手を添えてそっと抱きしめた。 「ごめん」 罪悪感を感じてしまった。 春子の背中と頭を撫でながら不思議に思った。春子の背中は何時からこんなに小さくなったんだろう。春子の肩は何時からこんなに華奢になったんだろう。 「お、お姉ちゃんねっ、分かっているよ。ぐすっ、お姉ちゃんが悪いってっ。ひっくっ。で、でもね、怖かったよっ」 春子は顔を上げた。涙でぬれた春子の表情。 その悲しそうな表情に胸が痛む。 「い、痛くてねっ、怖かったんだよっ。お姉ちゃんが止めてってお願いしても、幸一君、ケダモノみたいにお姉ちゃんにひどい事して、本当に怖かったんだよっ」 春子目尻から涙がぽろぽろ落ちる。 僕は春子を抱きしめた。 「本当にごめん」 春子は泣きながら僕にしがみついた。僕は震える春子の背中と後頭部をゆっくりと撫で続けた。 自分でも自分の気持ちが分からない。春子には本当に感謝している。それと同じぐらい憎しみと怒りを感じている。 でも、今のこの瞬間は、春子には申し訳なさと哀れみしか感じない。 「春子。ごめん。もう泣かないで」 僕の言葉に春子は鼻をぐすぐすしながら顔を上げた。 春子がびっくりするぐらい頼りなくて幼く見えた。 何も言わずに春子は僕の胸に顔をうずめた。震える春子を僕は抱きしめた。 どれぐらい時間が過ぎただろう。春子は泣きやんで顔を上げた。恥ずかしそうに僕の胸に顔をうずめる。 そのまま甘えように頬ずりしてくる。 「幸一君。そのね、あの、えっと」 もじもじしながら春子は上目使いに僕を見た。 春子はすぐに恥ずかしそうに視線を逸らす。 「お、お姉ちゃんをね、も、もうちょっとだけ、だ、抱きしめて」 僕はそっと春子を抱きしめた。背中と後頭部に手をまわし、ゆっくりと撫でる。 恥ずかしそうに僕の胸に顔を埋める春子。 気恥ずかしくて静かな時間が流れる。 今なら春子も分かってくれるかもしれない。 「春子。お願いがある」 春子はびくっと震えた。 「もうやめよう」 春子は頭を振った。まるで子供がいやいやと駄々をこねるような幼い仕草。 「お願い。昔の僕たちの関係に戻ろう」 「やっ!絶対にやっ!」 僕を見上げる春子。涙がぽろぽろ頬を伝う。 こんなに頼りない姿の春子は初めて見た。僕の中で春子はお姉さんだった。いつも年上ぶって世話を焼いてくれる頼もしい人。 それなのに今の春子は幼い子供みたいだ。 春子は両手で僕の頬を挟み、顔を近づけてきた。僕は拒めなかった。唇に柔らかい感触。春子は拙い動きで僕に口づけをする。 「……んっ……ちゅっ……あふっ……んっ……」 110 三つの鎖 14 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/29(金) 23 35 48 ID sooJAhF2 拙い動きだけど一生懸命な口づけ。春子は唇を離し僕の顔を見た。泣きそうな顔だった。 「お姉ちゃんを抱いてっ」 「ねえ春子」 「いやっ!幸一君はお姉ちゃんの言う事を聞けばいいのっ!」 そう言って春子は僕をベッドに押し倒した。僕に覆いかぶさり何度もキスしてくる。拙いキス。滴る涙が僕の頬に落ちる。 そんな春子が哀れで可哀そうだった。 僕は春子と体を入れ替えた。押し倒された形の春子を見下ろす。そして春子にそっとキスした。 春子の服の上からそっと胸をもむ。くすぐったそうに身じろぎする春子の耳を優しく甘噛みする。 「ひゃうっ!?」 春子は驚いたように体を震わせた。 僕は春子の服を一枚一枚脱がした。春子の白い肌が徐々に露わになる。 一糸まとわぬ春子。恥ずかしそうに顔をそむけるあごに手を添え僕の方を向かせる。そしてキスした。 最初はついばむようなキス。続いて春子の口に舌を入れた。びくっと震える春子を無視して、ゆっくりと春子の口腔を舐める。春子も一生懸命に舌をからませてくる。 「……ちゅっ……じゅるっ……んっ……はふっ……ちゅっ……んんっ……」 僕は唇を離した。糸が僕と春子の唇の間に垂れる。 手早く服を脱ぐ。春子が恥ずかしそうに僕から視線をそらす。僕は春子の胸をゆっくりと愛撫した。 「……ひうっ……ああっ……ひゃっ……あああっ……やあっ……」 顔を真っ赤にしてそむける春子。 「春子。こっちを向いて」 「やだよっ…恥ずかしいよっ…」 僕は春子の耳を甘噛みした。体を震わせる春子。切なそうな吐息。 耳だけでなく全身にキスし舐め吸う。春子は恥ずかしそうに体をくねらせる。 僕は春子の膝を割って足を開いた。春子の恥ずかしい場所が丸見えになる。 「きゃあっ!?やあっ!だめだよっ!」 恥ずかしそうに暴れる春子をしっかり押さえつける。春子の膣の入り口はすでに濡れていた。 「ううっ…だめぇ…見ないで…恥ずかしいよ…」 顔を真っ赤にして弱弱しくつぶやく春子。 「春子。ここは大丈夫」 今日のお昼休みのことが脳裏に浮かぶ。痛めつけるように抱いたのは僕だけど、妙に責任を感じてしまう。 「んっ、まだ痛いけど、それほどでもないよ」 恥ずかしそうに顔を背ける春子。僕は春子の足の間に顔をうずめ舐めた。 「ひあああっ!?」 体を震わす春子。僕は膣の入り口に舌を這わせた。 「やあっ…だめっ…ひっ…きゃふっ…いやっ…ひうっ…んんっ…きゃっ…」 羞恥に体を震わす春子。愛液がとどめなくあふれる。 僕は顔を上げ春子の顔を覗き込んだ。春子は恥ずかしそうに顔をそむける。その顔は真っ赤だ。 「どうした?いつもとは違う反応だけど」 僕の言葉に春子は僕をちらりと見てすぐに視線をそらした。 「だって、こんなに優しくしてくれた事、無いもん」 僕は春子の頬にキスした。そしてすでに硬くなった剛直の先端をあてがう。クチュリと水音がした。 春子は僕の顔を見て恥ずかしそうに頭を縦に振った。 僕はゆっくりと腰を押しだした。剛直が徐々に春子に入っていく。 「ひあっ…あああっ…入っているっ…ひっ…あっ、ああっ、あっ」 体を震わせる春子。春子の膣は熱くて心地よい締め付け。膣の一番奥に触れると春子はびくっと震えた。 春子は顔を赤くして恥ずかしそうにそっぽを向いた。かすかに肩で息をしている。白い胸が震える。僕は春子の頬に軽くキスした。 「んっ…動いてっ…」 蚊の鳴くような小さい声で春子は言った。僕はゆっくりと腰を振った。 「ひうっ…あっ…んっ…ふあっ…んんっ…」 恥ずかしそうに身をよじらせる春子。子宮の入り口をつつくたびに膣がキュッと締め付ける。 僕は何度も春子の膣を擦りあげた。春子の嬌声が部屋に響く。 「んっ…いいよっ…もっとっ…はげしくっ…」 春子が恥ずかしそうに言った。僕は動きを大きくした。 「ひあっ…ああっ…ひうっ…きゃふっ…」 大きくて白い胸が揺れる。僕はその胸を両手でつかみ揉んだ。結合部からいやらしい水音がする。 「ひうっ…やあっ…あっ…きゃふっ…ひっ…」 自然と腰の動きが速くなる。恥ずかしそうに乱れる春子。僕は何度も春子を責めた。 部屋に春子の喘ぎ声と腰のぶつかる音、結合部のくちゅくちゅという水音だけが響く。 春子は恥ずかしそうに顔を背けた。視線だけを僕に向けるけど、すぐに恥ずかしそうにそらす。 「んっ…ああっ…ひうっ…はあっ…んあっ」 僕の下で春子は恥ずかしそうに体をよじる。 111 三つの鎖 14 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/29(金) 23 38 08 ID sooJAhF2 白い肌は微かに桜色に染まっている。 「ひぐっ…やあっ…やめっ…ひぎっ…きゃうっ…もうらめっ…んんんっ!」 春子の膣が締め付けた。余りの締め付けに僕も我慢できなかった。頭が真っ白になるような快感。春子の膣に精液をはきだす。 「ひっ…んっ…あうっ…でてるよっ…はあっ…んっ…」 体を震わす春子。僕は春子を抱きしめキスした。泣きそうな顔で春子は僕を見上げた。すぐに恥ずかしそうに顔をそらす。目尻から涙が流れる。 その泣き顔が夏美ちゃんとかぶる。 春子は泣きながら僕を見上げた。僕にキスする。 「んっ…おねがいだよっ…今はね…お姉ちゃんを見てっ…」 春子は四つん這いになって僕にお尻を向けた。膣の入り口からは愛液と精液が混ざり合って垂れる。 僕は硬いままの剛直を一気に押し込んだ。 「ひあっ!!」 春子は嬌声を上げる。膣の中は精液でぐちゃぐちゃでスムーズに動く。僕は春子の腰をつかみ少し速めに腰を振った。 「きゃふっ!ああっ!ひぐっ!やあっ!」 夏美ちゃんの笑顔が脳裏に浮かぶ。それを振り払うように僕は何度も腰を振った。腰と腰がぶつかる柏手のような音が響く。 「ひぎっ!やあっ!ひっ!きゃあっ!んあっ!」 子宮の奥をつつくたびに膣がキュッと締め付ける。それがたまらなく気持ちいい。春子の背中に玉のような汗が浮かぶ。僕は激しく春子を責めた。悲鳴のような嬌声を上げる春子。 僕は春子に覆いかぶさり、耳を甘噛みした。膣がキュッと締め付ける。獣のような体勢で僕は春子を犯し続けた。 「ひぐっ!すひっ!ひああっ!すひだよっ!ひぎっ!きゃふっ!」 春子は涙を流しながら体を震わせた。呂律の回らない下で僕を何度も好きだと叫ぶ。 徐々に射精感が高まる。子宮の入り口を何度もつつく。そのたびに春子は嬌声を上げて体を震わす。 もうだめだ。僕は限界まで腰を振った。抜かずに春子の一番奥に射精した。 「あああっ…あつひよっ…んんっ…ひゃひっ…」 体をよじる春子を押さえつつ僕は何度も精液をはきだした。剛直を抜くと春子の太ももに精液が垂れる。 僕と春子は絶頂の余韻に肩を震わせた。 そのままの姿勢で僕たちは荒い息を繰り返した。 「ねえ…こういちくん…おねえちゃんのこと…好き…?」 夏美ちゃんの泣いた顔が脳裏に浮かぶ。僕は何も言わなかった。 春子は体を起して僕を見た。 「今日は何で優しかったの」 シロが羨ましいと恥ずかしそうに言う春子の姿が脳裏に浮かぶ。 「春子が可哀そうだったから」 春子は寂しそうに笑った。 「やっぱりお姉ちゃんと幸一君は姉と弟だね」 そう言って春子は僕にキスした。 「二人とも馬鹿なとこはそっくりだもん」 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 春子は玄関まで送ってくれた。 僕は春子を見た。寂しそうで泣きそうな表情。 不思議な気持ちだった。春子を許せないという気持ちは確かにある。それと同じぐらい哀れに感じてしまう。 「春子」 僕は春子に声をかけた。春子はびくっと震えた。 「もうやめようよ。お願いだ」 春子の目から涙がぽろぽろ落ちる。春子は耳をふさぎ首を横に振った。 「やだよっ。やだっ」 頬を伝う涙が地面に落ちる。 「もう幸一君が私を見てくれないのはやだっ。あんなに寂しい思いをするのはもうやだよっ」 春子は僕に抱きついた。僕の背中に腕をまわして精いっぱい抱きついてくる。その非力さに悲しくなった。 「お願い。もうこんな事はやめよう」 「ひっくっ、いやっ、ぐすっ、いやだよっ」 僕は春子の背中に腕をまわして抱きしめた。春子の背中はいつの間にこんなに小さくなったのだろう。それとも僕が大きくなっただけなのだろうか。 「姉さん」 春子は驚いたように顔を上げた。涙でぬれた顔。 昔、春子の事をお姉ちゃんと呼んでいた。いや、春子が呼ばせていた。恥ずかしくなってそう呼ばなくなったのは何歳の時だろう。 「姉さんはずっと僕を助けてくれた。苦しいときも、寂しいときも、嬉しいときも、いつも傍にいてくれた」 両親が家にいなくて心細いときも、勉強が分からない時も、梓の事で悩んでいる時も春子は助けてくれた。いつも明るい笑顔を向けてくれた。 涙があふれた。何でこんな事になったのだろう。僕は春子が好きで、春子も僕が好き。その好きの意味が違うだけで、どうしてこんな事になってしまったのだろう。 「姉さんを嫌う事は出来ないよ。嫌いになってしまうなんて僕は嫌だよ」 春子は僕の目元にふれてた。白い指が僕の涙をぬぐう。 112 三つの鎖 14 ◆tgTIsAaCTij7 sage 2010/01/29(金) 23 42 50 ID sooJAhF2 「幸一君はおバカさんだよ。お姉ちゃんね、幸一君に嫌われたと思ったのに」 泣きながら春子は僕の涙を拭く。 「どうしてこんなお人よしに育っちゃったのかな。お姉ちゃん分からないよ」 僕は笑った。 「ずっと姉さんを見て育ったから」 優しい春子がずっとそばにいてくれたから僕はそう育った。そういう男になった。 春子の言うとおり僕がお人よしの馬鹿ならば、それは春子も同じ。 「姉さん。僕たちは血がつながっていなくても姉と弟だよ」 春子は涙を流しながら僕を見上げた。悲哀に満ちた瞳が僕を見つめる。 「ずっと姉さんを見て育った。だから分かるよ。姉さんは、本当はこんな事を平気で出来る人じゃないって。姉さんは本当は優しい人だって」 春子は顔をくしゃくしゃにして涙を流す。 僕の胸に顔をうずめて春子は声をあげて泣いた。 「ごめんねっ、こんなお姉ちゃんでごめんねっ、お姉ちゃんねっ、それでもだめなのっ」 春子は顔を上げ僕にキスした。ふれ合うだけの悲しいキス。 「幸一君のそばにいたいのっ、幸一君が他の女の子のものになるのがいやなのっ、幸一君を私だけのものにしたいのっ」 泣き叫びながら春子は僕にしがみついた。僕はその腕を振り払う事は出来なかった。 この後、僕は涙を流す春子が落ち着くまで傍にいた。 家に入った時、もうみんな寝ている時間だった。 僕は梓の部屋の前で立ち尽くした。泣きながら夏美ちゃんにつかみかかる梓の姿が脳裏に浮かんで消える。 部屋に入ろうとしてやめた。 夜も遅い。梓はもう寝ているだろう。話は明日にしよう。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 次の日の朝、僕は目覚ましではなく誰かに揺らされて目を覚ました。 「兄さん。おはよう」 起したのは梓だった。呆然とする僕に梓はにっこりと笑いかけた。 今日は僕が料理担当だったけど、梓は手伝ってくれた。昨日の事を感じさせない不自然なほど明るさだった。 京子さんが出勤する時、僕に声をかけた。 「梓ちゃんと仲良くね」 そう言って京子さんは笑った。意味が分からなかった。 二人で登校する時も梓は明るかった。人目もはばからずに僕の腕に抱きつく。たしなめても笑ってすますだけだった。少し早めに出たおかげで登校している人が少ないのが幸いだった。 今日は曇っていた。今にも雨が降りそうなどんより雲。 学校について僕は夏美ちゃんの教室に向かったけど、夏美ちゃんはいなかった。教室で梓と別れ屋上も行ったけどいなかった。 僕は屋上で立ち尽くし空を見上げた。曇っていて青い空は見えなかった。夏美ちゃんはどこにいるのだろうか。携帯を取り出して電話した。 『もしもし?』 電話に出た声は知らない女の人だった。不安に胸がざわめく。 「加原幸一と申します。失礼ですがどちら様でしょうか」 『私は夏美の母の中村洋子と申します』 夏美ちゃんのお母さん。一緒に暮らしていないはず。 「夏美さんはいらっしゃいますか?」 『夏美は昨日の夜に救急車で運ばれて今は病院にいます』 夏美ちゃんのお母さんの声は微かに震えていた。その言葉が意味をもつのに数秒かかった。 「兄さん」 突然耳元で囁かれ僕は驚いて振り返った。 そこには梓が笑って立っていた。 全く気がつかなかった。 「どうしたの?」 梓は不思議そうに僕を見上げて笑った。 本当に不思議そうに僕を見上げて笑っていた。 遠くで雷が鳴った。 雨が降りそうだった。 [[戻る 三つの鎖 13 後編]] [[目次へ 三つの鎖]] [[次へ 三つの鎖 15]]