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原曲・いずみたく 作詞・山川啓介 作曲・いずみたく 編曲・森岡賢一郎 TVドラマ『われら青春!』主題歌。 【登録タグ 1974年の楽曲 J-POP いずみたく ドラマ主題歌】 カバーした声優 鈴木達央 高垣彩陽 野水伊織 早見沙織 福原香織 保志総一朗 美名
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詳細 https //ja.wikipedia.org/wiki/チームA_3rd_Stage「誰かのために」 https //48pedia.org/チームA_3rd_Stage「誰かのために」 Team A:劇場公演 (2006.08.20 初演) M01.月見草 作詞:秋元 康 作編曲:後藤次利 M02.Warning 作詞:秋元 康 作曲:エザキマサル 編曲:近田潔人 M03.誕生日の夜 作詞:秋元 康 作曲:岡田実音 編曲:高島智明 M04.Bird 作詞:秋元 康 作曲:森川直紀 編曲:田口智則・稲留春雄 M05.投げキッスで撃ち落せ! 作詞:秋元 康 作曲:岡田実音 編曲:高島智明 M06.蜃気楼 作詞:秋元 康 作曲:宮島律子 編曲:梅堀 淳 M07.ライダー 作詞:秋元 康 作曲:酒井ミキオ 編曲:Funta M08.制服が邪魔をする 作詞:秋元 康 作編曲:井上ヨシマサ M09.夏が行っちゃった 作詞:秋元 康 作曲:山崎 燿 編曲:梅堀 淳 M10.小池 作詞:秋元 康 作曲:岡田実音 編曲:高島智明 M11.月のかたち 作詞:秋元 康 作編曲:後藤次利 M12.誰かのために ~What can I do for someone?~ 作詞:秋元 康 作編曲:井上ヨシマサ EN1. チームAメドレー 編曲:梅堀 淳 EN2.涙売りの少女 作詞:秋元 康 作編曲:井上ヨシマサ 歌唱 板野友美、浦野一美、大江朝美、大島麻衣、折井あゆみ、川崎 希、小嶋陽菜、 駒谷仁美、佐藤由加理、篠田麻里子、高橋みなみ、戸島 花、中西里菜、成田梨紗、 平嶋夏海、星野みちる、前田敦子、増山加弥乃、峯岸みなみ、渡邊志穂 (ユニット) 「Bird」 大島麻衣、篠田麻里子、高橋みなみ 「投げキッスで撃ち落せ!」 板野友美、成田梨紗、平嶋夏海、前田敦子、増山加弥乃、峯岸みなみ 「蜃気楼」 小嶋陽菜、中西里菜 「ライダー」 浦野一美、大江朝美、折井あゆみ、川崎 希、駒谷仁美、佐藤由加理、戸島 花、星野みちる、渡邊志穂 「制服が邪魔をする」 板野友美、大島麻衣、小嶋陽菜、篠田麻里子、高橋みなみ、中西里菜、前田敦子、峯岸みなみ
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【日本のために】(作詞:@mizutama_0123) どんな時も 守ってくれたね だから 今日は 君を守るよ 日本のために 元気を出して 日本のために 笑顔を見せて 人は誰も 誰かのために 立ち上がって 前へ歩き出す 枝野がいつも そばにいてあげるよ
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Nのために 題名:Nのために 作者:湊かなえ 発行:東京創元社 2010.1.29 初版 価格:\1,400 本が出てからだいぶ経ったよな、と思わせる頃になって、そう、いわば忘れた頃になって、『告白』が本屋大賞を受賞して書店に改めて増刷された同作が積み上げられ、山になったときは、ふうん、そんなものかと思った。でもその頃には二作目が出て、三作目もちょうど本屋大賞の作家だよ、っていう乗りでそこそこいいコーナーに並べられ、ある程度売り上げが見込まれる作家になった、ということなのだろう。 そういうことを言うのも、実は本書4作目がこれまでになく、あまり面白くなかったからなのだ。作品は一つの夫婦殺人事件をめぐる真相追究ものなのだが、現場にいた青年が容疑を認め刑務所送りになるのは冒頭のシーン。実は真相はそれだけじゃないんだと、関係のあった青年を含む若者たち四人の独白が始まる。この作家のスタイルはもはや言わずと知れた口語独白体なので、ここからが真骨頂……となるはずだったのだろう。作者の目論見では。 ところが、狙いであったところの芥川龍之介『藪の中』もどきの各自によって解釈の違う事件というイメージは、あまり切れ味を感じさせず、どちらかと言えばそれぞれのキャラクターの育ちの世界に作者の視点は向けられ、それらは、事件とは別の短篇小説のようなそれぞれの暗い歴史であったりする。貧しさ、放火、虐待、そういった暗い、島での追憶を語りつつ、彼らの事件は真相というよりも、それらの過去がゆえにもたらす複雑な人間観の距離をあらわにしてゆくかのようだ。 最後に救いのようなところに作者がすべてを持って行きたかったのかもしれないが、どうもあまりそのあたりが伝わらないのは、容疑者にされた青年が罪を認めてしまうに至る心理についての説明の少なさのせいかもしれない。独白体は、ある意味主観で表わすがゆえの独特の表現力を持ちはするが、同期しづらいテンポの悪さという方向にもするりと逃げてしまいがちである。 読む側に判断を委ねる意味深い小説であろうとすればするほどそうした罠に陥りがちなのがこの手の決着のつけ方だと思う。個人的にはどこかすっきりとせずに終ってしまった感じが拭えない。書き急ぎのないようこの作者には慎重にもっと鋭い物語を紡いでもらいたいと思うのだが……。 (2010/04/29)
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このページはこちらに移転しました きみのために 作詞/98スレ474 僕が辛い時に 傍に居てくれたのはうぬだったね ボクが辛い時に 支えてくれて本当にありがとう うぬが居るから僕は これからも前に進めるんだ だから 今度はうぬのためにボクが守りたいんだ うぬのために 今度はウヌのためにボクが守りたいんだ うぬのためにさ
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FS/S34-051 カード名:勝利のために 凛 カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:3 コスト:2 トリガー:1 パワー:9500 ソウル:2 特徴:《マスター》?・《宝石》? 【永】 経験 あなたのレベル置場に、「勝利のために 凛」と「二刀使いの弓兵 アーチャー」があるなら、あなたの手札のこのカードのレベルを-1。 【自】 このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたは自分の控え室の、《マスター》?か《サーヴァント》?のキャラを1枚選び、手札に戻してよい。 私は衛宮士郎ほど甘くはないけど、 それでも譲れないものがある。 レアリティ:RR illust. 初出:月刊ニュータイプ2014年11月号 15/04/16 今日のカード 貴族の務め ルイズの調整版。ルイズよりパワーが500低く回復を持たない代わりに、登場時に控え室の《マスター》?か《サーヴァント》?のキャラを1枚回収できる。 このカード自身も《マスター》?を持つ為、上手くいけば同じカードを3体並べることも可能である。 ただ、レベル3早出しが流行っている現環境においてパワーが10000に届いていないのは少し辛いかもしれない。 ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 二刀使いの弓兵 アーチャー 1/0 6000/1/0 赤
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http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1298520872/760-794 俺、高坂京介には彼女がいる。 妹、高坂桐乃のオタク趣味に巻き込まれたことによって知り合った、桐乃のオタク友達であり喧嘩友達でもある五更瑠璃、通称黒猫。 マスケラというオサレ系厨二病アニメ(桐乃談)をこよなく愛し、そのマスケラの登場人物であるクイーン・オブ・ナイトメアのコスプレのゴスロリファッションをよくしている、ちょっと変わった女の子だ。 付き合い始めたのは、俺が高校3年生だった時の、夏休み終盤。 あの頃はひどくバタバタとしていたものだが、今となってはいい思い出だ。 そんな黒猫と付き合い出してから、今に至るまでの日々は、そりゃあ濃密だった。 それまで言ったこともなかった恥ずかしい言葉を言い合ったり、たくさん抱きしめ合ったり、キスしたりもした。 毎日のように連絡を取り合い、毎日のように会っていた。 それでも足りないと思えるぐらい、俺は黒猫のことを愛している。 それは高校を卒業し、大学に通っている今でも、変わっていない。 しかし、カップルの宿命というのだろうか(黒猫以外の奴と付き合ったことはないが)、今俺達はある窮地に立たされていた。 「だから違うって言ってんだろ!?」 「何が違うと言うの?私が納得する説明をしてみなさい」 「それは…!」 「ほら、出来ない。所詮、あなたもそこら辺の野蛮な男と変わらないのね」 「…ッ!お前なぁ!」 …そう、俺達は遂に 大ゲンカ、をしてしまった。 そもそもの原因は、少し前から行っていた、ある事が関係しているのだが、これは、どうしても黒猫には言えなかった。 詳細はまだ語れる時ではないのだが、何故黒猫がこんなに怒っているのか、それを話そうと思う。 話は、数日前に遡る。 *** 黒猫に呼び出された俺は、集合場所の秋葉の某バーガーショップに来ていた。 腹があまり空いてなかったので、コーヒーだけ買って店の中を散策すると、 隅っこの窓際の席に一人座っていた、いつものゴスロリファッションの黒猫を見つけ、声をかけた。 …が、黒猫は何故かこちらをギラッと睨みつけてきたと思ったら、「フンッ」と言ってそっぽを向いてしまった。 どうやら、ご機嫌ナナメのご様子。 しかも、態度から察するに原因は俺。 いや、集合時間には遅れてないはずだし、何かした覚えもない。 困惑していた俺に、「早く座りなさい」と促してくれた黒猫だったが、相変わらずそっぽを向いている。 何がなんだかわけがわからずとりあえず黒猫の前に座るが、相変わらずこっちを向いてくれない。少し泣きそうになった。 「―――あなた。なぜ今日呼ばれたか、わかっている?」 目だけをこっちに向けて、黒猫はやっと口を開いた。 「いや、全然」 明日何時にここに来てとしか書いてなかったメールから、どうやって目的を知れというのだこいつは。 「まぁ期待してなかったし、いいわ」 と、内心呆れたかのように言う黒猫。 ヒデー言いようだなおい。 黒猫は財布を取り出し、その中に入っていた写真らしき物を数枚俺の前に広げた。 「…!?」 「これは、どういうことかしら…?」 そこに写っていたのは、俺の幼なじみであり同じ大学へ通う田村麻奈美と、その横で親しげに話している ―――俺だった。 「こ、これは…!」 「一緒に帰る、ぐらいならまだ許すわ。だけど…」 俺の前に置いていた写真の内の一枚を手に取り、俺に向ける。 「これは、どう説明するつもり?」 それは、俺と麻奈美がある和菓子屋に入る瞬間の写真。 ただの和菓子屋ならともかく、そこは… 「ここ、たしか田村先輩のお家よね?なぜあなたが一緒に入っていってるの?」 そう、麻奈美の実家は和菓子屋であり、名前も田村屋。写真には見事に『たむらや』と掘られた看板も写っており、もはやごまかしは効かない。 「そ…そりゃあ、和菓子買ってたに決まってんだろ!」 「へぇー…」 黒猫は、別の写真を手に取り、2枚こちらに向ける。 「2日連続で和菓子を買いに行ったの?あなた」 よく見ると、写真には、日付と時間が表示されており、2枚は違う日付を表示していた。 くっそぉ~!まさか一日だけじゃなかったなんて! 「つか誰だよこれ撮ったの!?」 無理矢理話しを変える。 「赤城さんよ。偶然通りかかったところを、持っていたデジタルカメラで撮って、プリントして私にくれたの」 あの腐女子があぁぁぁぁ!! 今度あいつの兄貴に怒ってもらってやる!! …いや、わかってるよ!?無理なことぐらいはさ! 「―――で、もう一度聞くけど、これは何「こ、これは…その…」 ―――マズイ、何と説明すればいいんだ…? 本当のことを言ってしまえば、今までの準備が全てパーになっちまう。それだけは、絶対に避けたい。 どうにかして、この場は誤魔化すしかなかった。 「べ、勉強を一緒にしてたんだよ!!」 「勉強…?」 「ああ、そうさ!!」 正直、黒猫に嘘をつくのは心が痛かったが、こうなればとことん誤魔化すしかなかった。 「なぜ図書館ではなく、わざわざ田村先輩の家で勉強するの?」 「い、今の時期は、図書館は人が多いんだよ!行っても勉強出来ない時もあるし、それなら私の家で勉強しようって麻奈美が誘ってくれたから…」 「ずっと、田村先輩の家で、一緒に勉強しているってこと?」 「ん、まぁ…ほとんど教えてもらっているんだけどな…」 ちなみに、時折一緒に勉強をする時もあるが、本当の目的は、全く違う。 ただ、それを黒猫に言うわけにはいかなかった。 「なぜ、黙っていたの?」 「そりゃあ…彼女じゃない女の家に入り浸ってるなんて、言えねぇだろ…」 「自覚はあるのね」 「まぁ…、そりゃ…な」 「…そう」 黒猫は、黙ってしまった。 ここで、黒猫がまた口を開くのを待つのは、間違いだろう。俺が、言わなきゃいけない。 言うことは、決まっていた。 「黒猫」 「…なに?」 「勉強が必要なくなったら、もう麻奈美の世話になることもなくなる。そうしたら、今までの埋め合わせをするよ。 寂しい思いをさせた分も、それ以上に楽しい思いをさせて、上書きしてやる。だから…今は待っててほしい。それまで寂しい思いをさせると思うけど…」 「あら、私がいつ寂しいと言ったかしら?自惚れるのもいい加減にしなさい」 黒猫はこちらを向いて、いつもの笑みを浮かべていた。 言っていることはヒデーが、どうやら調子を取り戻してくれたようだ。 「―――でも、今言ったことを忘れたら…呪い殺すわよ」 「…おう」 俺の彼女は、やっぱり可愛かった。 「あと、私に内緒で、他の女と会うのもダメ」 「……」 「わかったのかしら」 まるであやせの纏っている黒いオーラを見せて聞いてくる黒猫に、若干の恐怖を感じた。 「ハイ!!わかりました女王様!」 「よろしい」 そう言って、黒猫はスクッと立ち上がった。 「それで?今日は一日中付き合ってくれるのかしら?」 ――そんなこと、 「当たり前だろ?」 ―――その日の夜、俺はとある奴に電話を掛けていた。 その相手とは…、 『はい、もしもし』 「久しぶりだな、赤城」 『お久しぶりです、高坂せんぱい!』 俺が通っていた高校の後輩で、俺の同級生で級友の赤城浩平の妹であり、黒猫の友達でもある、赤城瀬菜だ。 『突然どうしたんですか、高坂せんぱい?』 すっとぼけているわけではないみたいで、電話した理由を、どうやら本気でわかってないらしい。 「お前、黒ね…五更に、俺と麻奈美が一緒に歩いてるのを撮った写真渡しただろ?」 『ああ!そーですよ!!ダメじゃないですかー!!浮気するなんて!』 「うぐっ…!」 説教しようとしたら逆に怒られた…! 「あ、あいつとはそういう関係じゃねぇし、そんな気もさらさらねぇよ!」 『それでも、他の人から見たらそう見えても仕方ないんですよ!?ああいうのは自分で意識して、自制しないとダメですよ?』 「ぐっ…!!」 あれ~?おかしいな~? なんで俺が説教受けてるんだろ?なんか腑に落ちないんだけどなぁ~? ―――ただ、この後輩の言うことは、一つも間違っていない。悔しいが。 「反省してます…」 『それでいいんです!』 女の後輩から説教される、男の先輩である俺。 威厳もへったくれもありゃしねぇなホント。 『もうダメですよ?お兄ちゃんという人がいながら他の人に手を出すなんて…』 「おぉぉぉぉぉぉぉい!!」 今なんつったこの後輩!? ガンッと壁を叩く音が聞こえる。 恐らく、桐乃の『うるさい』という無言の文句。 だが、スマン桐乃。今は我慢してくれ。 こいつには、叫ばずにはいられない。 『お兄ちゃんに話したら喧嘩になるんじゃないかと思って、代わりに五更さんに先輩を注意してくれるよう、言っておいたんですよ?私の気遣いに少しは感謝してほしいですよホント』 「ホント余計なことしやがって!!」 そのまま赤城だけに伝えてくれてたら、どれだけ良かったことか!! 『余計なこと…?―――ハッ!!も…もしかしてお兄ちゃんに攻められるためにわざと』 「いい加減妄想から帰ってこいや!!」 こいつ、遂に妄想と現実の境界を越えやがったのか? おい、赤城!!病院連れていけ!今すぐ!! そう、赤城瀬菜はいつもは真面目で潔癖症な委員長タイプの女子なのだが、実はBLやガチホモ系統が大好きな腐女子なのだ。 しかも、2次元だけでは飽き足らず、3次元の男と男が絡むシチュエーションを一瞬で妄想できる、(いかれた)頭の持ち主だ。俺も、こいつの妄想の被害にかなりあっていた。(どうやら)現在進行系で。 特に俺が瀬菜の兄である、赤城浩平と仲が良いことを知ってからは、俺と赤城の絡みをよく妄想しているようだ。 てか、ここまで説明しといて何だが、説明している自分が気持ち悪くなってきた。 「とにかく!!俺とお前の兄貴はそういう関係じゃない!つか、俺お前には五更と付き合っているって話してたよな!?」 『あれ?その後別れて、ショックが大きかった高坂先輩を、お兄ちゃんが慰めてそのまま愛を深めたんじゃなかったでしたっけ?』 「なんでお前の中では、俺達別れてることになってんの!?」 ちなみに、俺にはそっちの趣味はない。 断じて、ない。 「別れてねぇよ!そんな修羅場も起きてねぇよ!ずっと愛してるよ!ラブラブだよ!」 『す…凄く愛されてますね、五更さん…』 若干、瀬菜が引いていた。 つか、『俺達バカップルです』って宣言しているもんじゃねぇか。何言ってんだ俺。 『…ま、まぁ冗談はこの辺にしておきます…』 「…」 こいつの『冗談でした』は、ハッキリ言って信用出来ない。 だが、もし本物に冗談だとしたら、俺は瀬菜に乗せられて、一人赤っ恥をかいたことになる。 …ヤバイ、凄く恥ずかしい。 『ともかく、先輩?』 「…なんだよ?」 『なんで、2日連続で田村先輩の家に行ってたんですか?』 あれ?こいつ、麻奈美のこと知ってたの? …まぁ大方、黒猫か赤城の奴が話していたんだろうな。 あまり気になることでも無いので、聞かないことにする。 「ん~…、お前になら、話してもいいかな…?」 『?』 「実はな―――」 『…そうだったんですか。…私、余計なことしちゃいましたね…』 「まぁ、過ぎたことはいいさ。ただ、今話したことは…」 『わかってます。五更さんには絶対に話しません』 「サンキュー、赤城」 『…高坂せんぱい』 「どうした?」 『…あの、できれば私も…』 「もちろんいいぞ。つか、いつか声をかけようと思ってたから、ちょうど良かったわ」 『あ、ありがとうございます!』 「気にすんな。んじゃ、詳細は決まり次第連絡するから」 『わかりました!お願いします!』 「ああ、じゃあまたな」 『はい!お休みなさい、高坂せんぱい!』 ―――パタン、と携帯を閉じる。 電話中に、壁が何度かドンドンいっていた気がするが、聞こえていないことにしておく。 部屋の電気を消し、ベッドの上に寝転ぶ。 今日は久しぶりに黒猫と一日中遊んでいたので、少し疲れた。 ―――明日も早いし、今日はもう寝るか… だんだんと重くなっていく瞼に逆らわず、閉じる。 ――この時、俺は知るよしもなかった。 次の日、俺にとって最大の修羅場が、待っていようとは。 この時の俺には ―――わかるわけが、なかったんだ。 *** 「すまねぇな、沙織。いつも付き合ってもらっちまって」 「なんのこれしき、お安い御用でござる」 次の日、俺は都内の繁華街(渋谷)に来ていた。 もちろん、一人ではない。 俺の隣には、ぐるぐる眼鏡にオタクファッションをした長身(悔しいが、俺よりも身長は高い)の女性がおり、正真正銘俺の知り合いだ。 彼女は自分を沙織・バジーナと名乗る、見た目通りのオタクである。 彼女も、桐乃のオタク趣味に巻き込まれたことによって知り合った、桐乃にとっても、もちろん俺にとっても、大切な友達だ。 いつもは、秋葉か俺の家でみんなで集まって、遊んだり話したりするのだが、今日は渋谷に、沙織と二人で来ている。 俺みたいな見たくれ凡人と、見るからにオタクな女が渋谷の街道を歩いてるんだぜ?もう視線が突き刺さってイタいイタい。 今回、こんな俺にはあまり縁のない、渋谷みたいなオサレ街なんかに来たのには、ちょっとした目的があるのだが…すまん、今は言えねぇ。 とにかく、俺達は渋谷を一通り回り、今一息ついたところである。 「一通り回りもうしたが、どうでござったか、京介氏?」 近くにあった自動販売機で買ったジュースを適当に座って飲みながら、話をする。 「うーん…、たくさん紹介してくれたのは、有り難かったんだけど…」 「最初に見たアレが、一番印象に残っているでござるか?」 「そうだなぁ~…。やっぱりアレを見た時の衝撃は、忘れらんねーなぁ…」 「やはり、そうでござったか。アレを見た時の、京介氏の目は見たこともない輝きを放っておりましたからなぁ~」 「輝きって…、どんな輝きだよ…?」 「それはもう!不思議の国に迷い込んだアリスのような輝きでしたぞ!」 「よくわからんわその例え!」 「あの時の京介氏の目で見つめられていたら…、可愛すぎて抱きしめてしまってたかもしれないでござる!」 「なっ…!」 沙織は、その長身と見事に調和したナイスバディーでもある。出る所は出てるし、引き締まる所は引き締まっている。 こんないい身体をしている女は、他には瀬菜ぐらいしか知らない。 そんな身体に抱きしめられたら、いったいどんな天国が見えるのだろうと考えると、抱かれてみたい気が…。 ―――って待て待て。俺は黒猫一筋だ。黒猫以外には抱きしめさせないし、抱きしめない。 あぶねぇあぶねぇ。危うく煩悩に従って、セクハラに走るところだったぜ…。 「き、京介氏?拙者、今一瞬、身の危機を感じたのでござるが…」 「気のせいだ」 ともかく、だ。 「本当に、助かったぜ沙織。こんなところ、桐乃に無理矢理連れてこられてしか来たことがなかったからよ。沙織が案内してくれたおかげで、今後の参考にもなったぜ」 「いえいえ!この程度のことならば、この沙織・バジーナ、いつでも京介氏の元に駆け付けてくる所属、でござるよ!」 「ハハ、そりゃあ頼もしいな」 沙織は、本当に頼もしい奴だ。 桐乃に黒猫を、そして俺と黒猫を巡り会わせてくれたのは、間違いなく沙織だ。 沙織がいなかったら、今の俺達は、存在しない。 それぐらい、かけがえのない存在なのだ。 「――さて、今日のところはこれでお開きとするでござるか」 「そうだな」 中身が無くなった缶を捨て、立ち上がる。 ふと周りを見渡すと、少し昔の、懐かしい記憶が蘇る。 一昨年前、桐乃に自身が書くケータイ小説の取材に付き合わされ、この街を訪れたことがある。 しかもその日はクリスマスイヴ、街行くカップルが多かったし、クリスマスのイルミネーションが凄かったことも、覚えている。それはもう、場違い感がハンパなかった(今もそうだが)。 あの時のことは、さすがに人に話せる内容ではないが、いい思い出だ。 …いろんな意味で。 あれから2年近い歳月が経った今、本当に変わったなと思う。 この街の景色も、桐乃も、俺も。 「?どうしたでござるか、京介氏?」 「いや、ちょっと昔の事を思い出してさ」 「―――何をやっているの、あなたたち?」 ピシッと、背筋が凍りつく。 気のせいであってほしい。 空耳であってほしい。 確かめたくないが… 確かめないといけない。 どうか、気のせいでありますように。 ―――しかし、運命の悪戯とは、残酷な様で、 振り向いた先にいたのは、紛れも無い、黒猫だった。 「く、黒猫…?どうしてこんなところに…?」 「…私が、『こんな』ところに来てはいけない理由があるのかしら…?」 そう、変わったのは俺と桐乃だけじゃない。 黒猫も、こんな人が多い街に来る様になるぐらい、変わっていたのだ。 ただ、それだけだ。 では、何故今日なのか。 それこそ愚問だろう。 そこに、理由なんて必要ない。 偶然この街に出てきて、偶然俺達に出会った。 それだけだった。 それだけだったのだ。 「…昨日、私言ったわよね?」 「…ああ」 「『私の知らないところで、他の女に会わないで』って」 「…ああ。言われた」 「なのに…」 黒猫は、キッと沙織を睨みつけ 「これは、何?」 と、言った。 この時、俺は愚かにも、黒猫に対して少し腹を立ててしまった。 全部俺のせいだと言うのに。 沙織を、「これ」と言った黒猫に、腹を立ててしまった。 「おい、黒猫」 「何?」 「これって何だよ?沙織がわからないわけじゃないだろうが」 「あら、その女が大事なの?彼女であるはずの私よりも」 「違う!そうじゃねぇ!」 「ホント罪な男ね、彼女がいながら他の女と逢引なんて」 「だから違うって言ってんだろ!?」 「何が違うと言うの?私が納得する説明をしてみなさい」 「それは…!」 言えない。 それを言ってしまったら、今までの苦労が水の泡だ。 だから、言えなかった。 「ほら、出来ない。所詮、あなたもそこら辺の野蛮な男と変わらないのね」 「…ッ!お前なぁ!」 直後、俺が言った一言が、黒猫の感情を爆発させてしまう。 「お前!ずっと俺のことをそんな奴だと思っていたのかよ!?」 「そんなわけないじゃない!!!」 今まで聴いたことのない黒猫の大きな叫びで、周りが一瞬静まった。 「あなたはそこら辺の男とは違う!臆病で、怖がりで、ヘタレだけど!優しくて、勇気があって、頼りになって…!」 「―――大切にしてくれる…!」 ボソッと呟いた黒猫の顔は俯いて、どんな表情をしているのか、わからなかった。 だけど、震わせた身体とギュッと握られた拳で、何となくわかる。 俺は何も言えず、ただ黒猫の言葉を聴くことしか出来なかった。 「そう、信じていたのに…」 「黒猫…」 やっと言葉を絞り出した俺は、少しずつ黒猫に近づいて行く。 「本当に、違うんだ。何をやっていたのかは…今は言えねぇけど、黒猫が考え た様なことじゃない。…信じてほしい」 「―――何を信じろって言うの…?」 「…黒ね」 「約束した次の日から裏切られて、何を信じろって言うのよ!?」 こちらを睨んだ黒猫の目からは、涙が流れていた。 その問いに、答えることが出来ず、俺は再び口を紡ぐ。 言えるわけが、なかった。 ―――俺を、信じろなんて。 そんな何も言えない俺を見て、黒猫は踵を返し、走り出した。 「黒猫!」 「来ないで!」 伸ばした手は、届かず。 足は、びくとも動かない。 俺は、小さくなっていく背中を、見つめることしかできなかった。 「―――ごめんな、沙織」 「いえ、ただ黙って見ていた拙者も、申し訳ない…」 「沙織が、入れるわけないだろ?」 これは、俺と黒猫の問題なのだから。 「フフ」 「沙織?」 「いえ、部外者の入る余地なしと言われている気がしたのでござるよ…フフ」 「え、あ…」 顔が、熱くなっていた。 「―――京介氏は、本当に黒猫氏のことが大切なのですな」 「あったりめーだろ」 今更、何を言っているんだこいつは。 「しかし、黒猫氏のことは、どうするでござるか…?」 「―――俺が、何とかする」 正直、自信はない。 でも、今回のことは、俺じゃないと、何ともならない。いや、俺が何とかしない といけない。 「わかりました。黒猫氏のことは、京介氏にお任せするでござる」 「…サンキュー」 その後、俺は沙織と別れ、真っ直ぐ家に帰り着いた。 「…あ」 「…ただいま」 玄関先でばったり出くわした人物は、桐乃だった。 「あんた、今日どこ行ってたの?せっかく買い物に付き合わせてあげようと思ってたのに」 何がせっかくだ。その言い方じゃ荷物持ちになってたんじゃねぇか俺。 「ちょっとな…」 「あ、まさかアレのこと?」 言葉を濁したのに、相変わらずこいつはずばり言い当てる。 「…そうだよ」 「あんた、どうしたの?リストラされたサラリーマンみたいな顔してんじゃん」 ほっとけ!どうせ幸薄い顔だよ!! 「色々あって、疲れたんだよ」 「…ふーん」 聞いてきたくせに、あまり興味のなさそうに桐乃はその場を立ち去った。 「―――ねぇ」 階段を上がろうとした桐乃が、顔だけをこっちに向けた。 「なんだよ?」 「私はぶっちゃけあんまり乗り気じゃないんだけど、結構楽しみにしてんだからさ。主催のあんたがそんな顔してたら、何か不安になってくんの。だからそんな顔すんなバカ!」 そう吐き捨てて、桐乃は階段を上って行った。 不器用な桐乃なりの励ましだったのだろうか。 どちらにしろ、少し救われた気がした。 「―――ありがとうな、桐乃」 誰もいない玄関で、呟く。 どうにかしないといけないと、わかっているのだが… どうすればいいか、考えてもわからず、 ―――そのまま、3日が経った。 *** その日、学校から帰った俺は、麻奈美の家であり、和菓子屋でもある田村屋の裏手の壁に寄り掛かっていた。 「…ふぅ」 一息つく。ツー…と流れる汗を借りたタオルで拭きながら、空を見る。 見事な、夕焼けだった。 「お疲れ様、きょうちゃん」 いつの間にか側にいた、麻奈美から差し出されたペットボトルを有り難く手に取り、口をつける。 冷たい麦茶が喉を通るのを感じながら、生き返ったとしみじみ思う。 「サンキューな、麻奈美」 「えへへ~」 相変わらず、麻奈美はのほほんとした仕種をする。 その仕種に、心和む俺がいた。 「―――ねぇ、きょうちゃん」 「ん?なんだよ」 「最近、きょうちゃん元気ないけど…どうしたの?」 隣に寄り掛かって、俺の目を見て聞いてきた。 「…そんなこと、ねぇよ」 「きょうちゃん」 ズイッと顔を近づける麻奈美に、少したじたじな俺。 「な、なんだよ…」 「きょうちゃんは私が元気無かったら、どうしたって声を掛けてくれないの?放っておくの?」 「―――いや」 「それと同じだよ?きょうちゃんが私を心配してくれるのと同じで、私もきょうちゃんが心配なんだよ?」 「麻奈美…」 前にも、同じ様なことを言われた気がする。 なんで、こういう時の麻奈美は、押しが強いのだろう。 昔から変わらないな、こいつだけは。 「わかったよ、たく…」 観念した俺がそう言うと、麻奈美の表情は、パアッと明るくなった。 全く、ホント敵わないよ、お前には。 「――てわけだ」 俺は、黒猫に麻奈美の家に通っていたことがばれたこと、その時に内緒で他の女と会わない約束をしたのに、沙織と二人で渋谷に来ていたのを偶然見られてしまい、喧嘩してしまったことを、できるだけ詳細に話した。 話が終わると、麻奈美は「そっかぁ…」と呟いて、うーんと唸りながら、何やら考えているポーズをしている。 「黒猫と付き合って、こんなこと初めてでさ。どうしたらいいのかさっぱりわかんねーんだわ…」 「きょうちゃん不器用だもんねー」 「うっせえ」 お前が器用すぎんだよ。 「―――多分、怖いんじゃないかな?黒猫さん」 「…怖い?」 麻奈美から発された言葉は、意外なものだった。 「きょうちゃん、誰にでも優しいから」 麻奈美はいつもの口調で言っているはずなのに、 なぜか、その一言には棘があるように思えた。 「本当に、自分が特別な存在なのか…恋人として、見られているのか…は言い過ぎかな?とにかく、不安なんだと思うよ?」 「不安…」 「きょうちゃんにとって、黒猫さんはどんな存在?」 「どんなって…」 「私や、きょうちゃんの知り合いの女の子と同じなの?」 「違う」 はっきりと否定する。 だって、当たり前だろう。 「黒猫は、俺にとって最も大切で、最も必要な存在だ」 そう、黒猫と同等の存在なんて、いない。 黒猫は、一人だけだ。 「うん。そうだね」 「わかってて聞いたのかよお前は」 「うん」 何と言うエスパー。今度からはエスパー麻奈美と呼ぼう。 「きょうちゃんのことは、だいたいわかるよ?」 俺限定かよ! 「黒猫のことも、わかってたじゃねぇか」 「黒猫さんのことは、あくまでも予想だよ~」 「予想でも、わかるもんなのか?」 「…私だって、女の子だよ?きょうちゃん」 つまり、こういうことか。 男にはわからない、女の共通の気持ち。 だから、麻奈美にはわかったのか。 「…きょうちゃんにとって、一番は何?」 「…は?」 突然、麻奈美がそんなことを聞いてきた。 「私にとっての一番はね、きょうちゃんなの。―――きょうちゃんと一緒に学校に行って、一緒に喋って、一緒に勉強して…。私はきょうちゃんと一緒にいられれば、それが一番なの」 麻奈美はそこまでで一旦区切って一息つき、もう一度、俺に聞いてきた。 「ねぇ、きょうちゃんにとっての一番は、何?」 ―――そんなの、決まってる。 「―― 」 その答えに納得したのか、麻奈美はうん、と言って頷いた。 「それを、伝えてあげれば、きっと大丈夫だよ」 そっか、悩む必要は無かったんだな。 結局、俺は俺のやり方でいくしかないわけだ。 「サンキュー、麻奈美。なんかスッキリしたわ」 「うん。いい顔してるよ、きょうちゃん」 「カッコイイか?」 「うん!」 さて、やることは決まった。あとは… 「麻奈美、明日大学休むから、すまんが一人で行ってくれ」 「うん」 麻奈美は、ポケットからはみ出ていた封筒を取り、俺に渡した。 「頑張ってね、きょうちゃん」 ―――田村屋からの帰り道、俺はふと麻奈美の言葉を思い出した。 『――私にとっての一番は、きょうちゃんなの』 おいおい麻奈美、これはまるで… 俺が好きだと、告白しているみたいじゃねぇか。 *** 次の日の夕方、俺は懐かしい校門の前にいた。 もう卒業して、来る必要の無くなった高校。 なぜそんなところにいるか?待っていたのさ。 「……!」 俺を見た瞬間、驚いた表情をしているそいつ、黒猫を。 「黒猫」 「…ッ!」 俺に呼ばれてハッとした黒猫は、有無も言うことなく、走り出した。 「ちょ、黒猫!」 走り出した背中を、追いかける。 もう、迷いは無かった。 「待てって…黒猫!」 しばらく走ってやっと追いついた俺は、黒猫の右手を掴む。 「―――ッ離して…!」 「いいや、離さねぇ!」 「あなたと話すことなんてない!」 「俺にはあるんだよ!」 黒猫の力が抜ける。 俺も、掴んでいる手の力を緩めた。 どうやら、逃げ出す様子はない。 「聞いてくれ、黒猫」 「今更、何を…」 「ごめんな。約束、破って」 「……」 「俺は、取り返しのつかないことをしたと思う。お前の信頼を、裏切るようなことをしたと思う」 黒猫はこちらを向かず、ただ黙って聞いていた。 「―――でもな、黒猫」 今こそ、伝えよう。あの時、言えなかったことを。 「俺にとって、一番はお前だから!」 黒猫の身体が、ビクッと震えた。 「一番大切なのも、一番一緒にいたいのも…。―――一番、必要なのも、お前なんだ!だから黒猫…ッ!?」 突然、腹に何かが突っ込んできた。 目を下にやると、俺の胸に顔を埋めて抱きついている黒猫がいた。 「―――遅いわよ、バカ…!」 「え、あ…」 混乱していた俺だったが、少しずつ落ち着きを取り戻し、黒猫の頭に手を置く。 なんか、似たようなことがあったな昔。 「ごめんな…」 ただ、あの時とは状況が全く違うが。 「ずっと、待っていたのよ…!連絡したいけど、会いたいけど、怖くて…!あなたが来てくれるのをずっと待っていたんだから!!」 そこまで言った黒猫は、嗚咽をこぼした。 4日間、会えず、話せずの状態が続いたのだ。黒猫にとっては、とても辛かったのだろう。 たった4日間?ふざけるな。 毎日のように会って、毎日のように連絡を取り合ってたのだ。 それが、4日間も出来なかったのだ。 「―――ごめんな。本当に、ごめんな」 「バカ、バカ…」 ポカポカと、胸を叩く黒猫の背中に、手を回す。 ―――実のところ、4日間黒猫に会えなくて、俺もかなり滅入っていた。 だから、今この状況で俺は、 申し訳ない気持ちと、 とてつもない安堵感が心を占めていた。 ―――その後落ち着いた黒猫から聞いた話なのだが… どうやら、お節介な奴が二人ほどいたらしい。 一人は、赤城瀬菜。 瀬菜は、俺から電話があった後、即座に黒猫に電話を掛けて 『高坂先輩は大丈夫です!信じてあげて下さい!』 とだけ言って、電話を切ったらしい。 瀬菜にとっては、黒猫を安心させるつもりで言ったようだが… 「―――不信感が募ったわ」 「…ですよねー」 そりゃあ、突然の電話で突然そんなことを言われて突然切られたら、疑いたくもなる。 そんなことがあったからこそ、次の日が大変なことになったようで… そして、もう一人は、沙織・バジーナ。 俺と黒猫が喧嘩した後、とにかく誤解だけは解いておこうと、黒猫に会いにきたらしい。 なんとか誤解は解けたようだが、ではなぜあの時俺と二人でいたのかという質問には、沙織も『京介氏を信じてくだされ』とだけ言って、答えなかったらしい。 何をしていたのかも答えてくれないことに、混乱した黒猫は、俺に直接聞こうとしたらしいが、連絡をとるのが怖かったらしく、どうしても聞けなかったようだ。 だから、俺が連絡をしてくれるのを待っていたようだが… 「4日も待たせるなんて…。どうしようもないヘタレねあなた」 「…返す言葉もありません」 まあ、結果がどうあれ、二人のお節介が、俺には有り難かった。 「でも、田村先輩が…」 「ああ。あいつのアドバイスが無かったら、今日お前に会いに来ていたかどうかもわからねえ」 「そう…。――借りでも作ったつもりかしら…」 相変わらず、こいつは麻奈美が嫌いらしい。 「だからあいつはそんな奴じゃないっつーの!いい加減認めてやれよ!」 そう言った俺を、黒猫はじとーとした目で見て、呆れ果てたような溜息をついた。 俺、なんか変なこと言った? 「そうね、田村先輩は本当に優しいわね。―――腹が立つぐらい」 どうやら、黒猫が麻奈美を好きになることは、一生なさそうだ。 「それで?」 「…ん?」 「私、まだ大切なことを聞いてないのだけど」 「え、言わなかったけ?俺にとってお前が一番…」 「そ、それはわかったわよバカ!!」 顔を真っ赤にした黒猫は、相変わらず可愛かった。 「なぜ田村先輩の家に通い詰めていたのか、なぜあの時沙織と二人でいたのか。 理由を、聞いていないわ」 「あー…」 すっかり忘れてた。喧嘩の根本的な理由なのに。 ていうか、麻奈美と勉強していたっていうの、嘘ってばれてたのね。 「…すまん、まだ言えない」 「じゃあ、いつ言えるの?」 「明日」 「!?い、意外と早いのね…」 「ダメか?」 「そんなことはないけど…。それに、明日って…」 「ああ」 よっと立ち上がる。 「明日、学校が終わったら、校門前に待っててくれないか?迎えが行くらしいから」 「???わ、わかったわ…」 さて、準備は整った。 あとは、明日を迎えるだけだ。 *** ―――そして、今日。 俺達は、主役の登場を待っていた。 沙織によれば、既にこちらに着いて、そろそろここに入ってくるらしい。 ギイ、と扉が少し開く。 俺達は、構えた。 扉が完全に開いたのと同時に、 俺達は、手に持っていたクラッカーを鳴らした。 「―――え?」 突然の出来事に、何がなんだかわからないというような顔をしている本日の主役に、俺達は告げた。 「「「「「「―――誕生日おめでとう!」」」」」」 そう、今日は俺の彼女、 黒猫の、誕生日だ。 ―――話は1ヶ月ほど前に、俺が沙織に電話したことから始まった。 「どうしたでごさるか?京介氏」 「ああ、ちょっと相談があんだけど…」 「ほう!京介氏が拙者に相談とな!?それは聞かねばなりませんな!」 「なんか嬉しそうだなお前…。―――実はさ、来月あいつの…黒猫の誕生日だろ?」 「ふむ」 「その誕生日を、今年はみんなで祝ってやりたいんだ」 「それはまた、どうして?」 「あー、なんつーかさ…」 「俺達付き合って、一緒にいる時間が確かに増えた。けど…」 「そもそも、俺達が付き合えたのは、お前達がいてくれたおかげだし…そのお礼ってわけじゃないんだけど…」 「黒猫の誕生日を、祝ってあげたいのは俺だけじゃねぇだろ?だから…今年は、 みんなで盛大に祝ってやりてーんだ」 「京介氏…」 「だから、沙織がよければ…」 「もちろんでござる!会場、準備もろもろ用意しますぞ!」 「え?いや、そんなの俺ん家で…」 「いえいえ京介氏!どうせなら、黒猫氏がビックリするような大掛かりなパーティーにしましょう!サプライズならば、感動も倍増ですぞ!?」 「ハハハ、サプライズか…。――よし、沙織。会場とか任せていいか?」 「任せてくだされ!最高のパーティーにしましょうぞ!」 「ああ、もちろんだ」 ―――それから、桐乃達をパーティーに誘い、黒猫には内緒にしておくという共通の約束をして、今日のための準備をしていた。 まあ、会場や食べ物とかの準備はほとんど沙織がしてくれ、実質俺達は何もしてないに等しいのだが…。 つか、タキシードやドレスも用意してたのを知った時、正直たまげたぜ。 とにかく、いろいろあったが、今日という日を迎えることが出来た。 あとは、黒猫の反応がどうかという心配があったのだが… どうやら、サプライズは成功のようだ。 「あ、あなた達…」 「ごめんな、黒猫。ずっと黙ってて」 純白のドレスを着た(沙織マジナイスチョイス)黒猫に内心ドキドキしながら、冷静を装って話しかける。 「今年の黒猫の誕生日は、みんなで祝ってあげたいって思ってさ。サプライズにしたくて隠してたんだ」 桐乃、沙織、瀬菜、ゲーム研究部の面々… ここにいるみんなは、お前をお祝いしたくて集まって来たんだぜ? 初めてあった時とは違う。 お前には、こんなにも仲間が、友達がいる。 お前を、こんなにも祝福してくれる人達がいる。 俺のことじゃないのに、何だか嬉しくなった。 同時に、何だかわからない一抹の淋しさも感じたが。 「―――…ひっ……ひくっ…」 「く、黒猫!?」 え、なんで泣くの!? 「ちょ、ちょっとあんた!何泣かしてんのよ!?」 俺と同じく、動揺している桐乃が、俺を睨んで言った。 「えぇ!?俺か!?」 「あんたしかいないでしょうがバカ!!」 「えぇぇぇぇぇ!?」 んな理不尽な!? 「―――ち、違う…違うの…」 「「え?」」 泣きながら黒猫が言ってきた。 ちゃんと言葉に出来ない黒猫の肩をポンと叩いて、沙織が代わりに答えた。 「嬉しかったのでごさるよ、黒猫氏は。嬉しさのあまり、泣いてしまったのでしょう。…ね、黒猫氏?」 沙織の言葉にコクンと頷く黒猫。 「あり…がとう。…あり、がとう…」 ボロボロ泣きながら、黒猫は必死にそれだけは告げた。 ―――どうやら、サプライズは予想以上に大成功だったようだ。 *** 「誘ってくれて、サンキューな高坂」 「いえいえ、部長には俺も黒猫もお世話になりましたし、むしろこちらがお礼をしたいぐらいですよ」 「なら、お互い様ってことで、チャラにしようぜ。つか、俺はもう部長じゃないだろ?」 「あぁ、そうでした。元部長」 「なんかその呼ばれ方も、微妙だなぁオイ…」 俺は今、高校3年の時に入部していたゲーム研究部の元部長、三浦絃之助(ちなみに結構年上)と、同じくゲーム研究部員の真壁楓、そして瀬菜と談笑をしている。 「しかしあの時は驚きましたよ。『真壁、お前に後は任せた』って言ったと思ったら、いきなり卒業するんですから…」 「フ、寂しかったか真壁」 「いいえ全然。むしろ毎日が静かになって快適ですよ」 そう即答する真壁君の鋭いツッコミは相変わらず生き生きしていた。 「今は、高坂先輩と同じ大学にいるんでしたっけ?」 「高坂先輩と同じ…?―――ハッ!まさか高坂先輩と一緒にいたいから…」 「てめぇ妄想も大概にしとけよ腐女子!!!―――真壁君、こいつの妄想癖は相変わらずなの?」 「ハッハッハ…」 真壁君の微笑から、言いたいことが何となくわかった。 察してくれってところか。 真壁君も大変なんだな。 「ん?まぁ、高坂がいくから同じ大学に行ったってのは、事実だぜ?」 「「「!?」」」 俺と真壁君は後ずさる。瀬菜は目をキラキラさせて、三浦さんを見ていた。 「?なんで離れんだお前ら?」 「部長…彼女が出来ないからって遂にそっちの道へ…」 「お、俺はそっちの趣向はないんで!!ごめんなさい!!!」 「は?…って違う違う!何考えてんだお前ら!?」 「「え?違うの?」」 俺と真壁君は同時に聞き返した。 「違うわ!…ただ、高坂みたいな面白い奴と一緒にいたら、毎日が充実しそうだなと思っただけだ!」 「「……」」 ジト目で三浦さんを見る俺と真壁君。瀬菜はさっきから妄想の世界を堪能しているようで、一人ぶつぶつ言っている。 「そ、それより高坂。お前のお姫様がお待ちのようだぞ?」 クイッと三浦さんが指をさしたところには、桐乃と話しながらこちらをチラチラ見ている黒猫がいる。 気恥ずかしいのか、こちらと目が合ったらすぐにそっぽを向いてしまった。 「ほら、早く行ってやれ」 いつの間にか後ろにいた三浦さんに、ドンッと背中を押される。 「わかりましたよ。…それじゃあ、また」 「おう、またな」 「またいつか、高坂先輩」 そう言って、俺は三浦さん達から離れた。 ふと瀬菜の方を見ると…相変わらずトリップ中のようだ。 ―――そっとしておこう。 黒猫の元へ向かう途中で、ポケットの中を確認する。 探していたものは、すぐに見つかった。 それを取り出そうとした時、ドスンと背中に何かがのしかかってきた。 「京介氏、まだそれは早いでござるよ?」 「さ、沙織?」 俺の背中にベッタリと身体を載せている沙織が、そこにいた。 ―――つか沙織さん、マズイです。 背中に柔らかい何かが当たって気持ちいいんですが、こちらをチラチラ見ていた黒猫と桐乃がこっちをめちゃくちゃ冷たい目で見てますから!! つかニヤけてやがるコイツ!?わざとかコノヤロー!! 「京介氏のために、とっておきの場所を用意しておきましたので、そちらに行ってからでござる」 「はぁ?」 「とにかく!着いてきてくだされ!」 「お、おい!?―――ぐっ!ワイシャツ襟首引っ張るな!!首絞まってんだろうが!!つか着いていくじゃなくて無理矢理連れていかれてんじゃねえか俺!!」 「細かいことは気にしない、気にしない!」 「気にするわ!」 反論も虚しく、俺は沙織に無理矢理連れていかれた。 ああ…黒猫と桐乃の視線が冷たい… 「ここで待っててくだされ!黒猫氏もこちらにきますので!合図をしたらその時ですぞ!?」 そう言って、バタンッと扉を閉めて、去って行った沙織。 俺が置いていかれた場所は、2階のバルコニーだった。 「なんなんだ?たく…」 一人取り残された俺は、することもなく、とりあえずバルコニーの縁側へ行く。 夜風に当たりながら、外の景色を見る。 辺りは一面海で、夜風に乗ってきたかのように波の音が響いていた。 それほど都会ではないこの場所では、星が結構見えており、1階のパーティー会場 とは打って変わって、とても静かだ。 「綺麗だな…」 ボソッと、呟く。 今は誰も見ていないこの景色を一人で見ていることに、ちょっとした淋しさと優越感を感じる。 そんな中で、ロマンチストになってみたいって思うのは、俺だけじゃないはずだ。 「なに一人でニヤニヤしているの?ハッキリ言って気持ち悪いわよ」 「!?」 バッと声がした方を見る。 いつの間にかすぐ隣に、黒猫がいた。 「おまっ、いつからここに!?」 「ついさっきよ。私が入って来ても、あなたずっと外を眺めていて、全く気づかないんだから」 全く気づかなかったよホント。 どうやら、さっきの一人言は聞かれていないようだ。よかったよかった。 「―――綺麗ね」 「!!!?」 「どうしたの?そんな驚くようなこと言ったかしら?」 「い、いや…なんでもない」 「?変な男ね…」 クスッと笑う黒猫。いつもの人を見下した様な嘲笑とは違う、温かみがある微笑み。 見慣れたつもりだが、未だにドキドキしてしまう。 「…本当にどうしたの?今度は顔が真っ赤になってるわよ?」 「な、なんでもねぇよ!」 恥ずかしさのあまり、プイッとそっぽを向く。乙女か俺は。 こういう時、「お前の方が綺麗だ」って言うのが正解なのだろうが… そんなことを言えるほど、ロマンチストにはなれない。 「どれくらい前から、計画してたの?」 「ん?」 「今日の、私の誕生日パーティー」 「ああ、1ヶ月前ぐらいからかな…?まあ、ほとんど沙織が用意してくれたんだけどな」 「それはそうでしょう。私の迎えにあんな高そうな車をあなたが手配できるとは思えないわ」 「…ですよねー」 「この宴会場も、沙織が借りたの?」 「いや、ここは沙織の…眞島家の別荘らしい」 「!?」 「料理作ってくれてる人も、飲み物とか配ってくれてる人も、全部眞島家の使用人らしい。もちろん、俺達の服を用意させたのは沙織だ」 「―――本当に、でたらめね」 黒猫が驚くのも無理はなかった。 沙織・バジーナ、本名眞島沙織。 俺達が知っているのは、オタクの沙織・バジーナとは違う、眞島沙織という姿があり、マンション一戸建を一人(なのかは知らないが)で住んでいる、正真正銘のお嬢様だってことだけだ。 今日、また新たな一面を見たが… 「―――でも、それも沙織なのね」 「…ああ、そうだな」 まあ、そういうこった。 そのまま、黙ってしまった黒猫に何を言えばいいのかわからず、また外の景色に目をやる。 ちらっと横に目をやると、同じ様に外を見ている黒猫。 何かを考えているように見えるが、その横顔からじゃ何を考えているのかわからない。 「そういえば」 「ん?」 「私、まだ答えてもらってないわよ」 黒猫は、再びこちらを向いた。 「何を?」 「田村先輩のところに通っていた理由と、あの時沙織といた理由よ」 「…あー」 そういや、言ってなかったな。 喧嘩の根本的な理由だったのに、忘れてたってどうよ俺。 しかも二回目だぞ俺。 ―――しかし、それを言う前にしなければいけないことがある。 だけど、沙織は『合図』があるまでダメだって言ってたし… つか、合図ってなんだよ? 「どうしたの?今更言えないなんて言わないわよね?」 「いや、あのな…」 ああもう待てねぇ! ポケットに手を突っ込み、ソレを掴む。 その瞬間 ―――パァンッ… 突然、辺りが明るくなる。 ハッと俺と黒猫は、同時に外に目をやる。 ―――パァンッ… 真っ暗な空を照らしたのは、花火だった。 かなり近くで上げているのか、見たこともない大きさだ。 「すげぇ…」 思わず、呟いてしまう。 黒猫も、花火に目を奪われていた。 ―――ブルル!ブルル! 突然震えた携帯を、ポケットの中から取り出す。 宛先 沙織 件名 気に入っていただけましたか? 本文 私から、黒猫さんと京介お兄様へのプレゼントですわ。 頑張って下さいませ。 ―――どうやら、黒猫にとっても、最高のプレゼントになったみたいだぜ、沙織。 それに、最高の合図だよホント。 「―――ありがとうな」 ここにはいない、最高の友人に、お礼を告げる。 さて、いい加減種明かしをするとしよう。 俺がやってきたことは、全てこの時のためだったのだから。 「黒猫!」 突然呼ばれた黒猫は、一瞬ビクッとし、こちらを向いた。 「な、なに?」 「俺が麻奈美のところに通っていたのも、この前沙織と一緒にいたのも」 ポケットから取り出した小さな箱を、黒猫の前に差し出す。 「全部、コレのためだったんだよ」 差し出された箱をおずおずと受け取った黒猫は、こちらをおそるおそる見た。 「あ、空けていいのかしら?」 「もちろんだ」 丁寧にリボンから少しずつ剥がしていく黒猫。 そして、箱の中に入っていたものを、取り出した。 十字架の形をした宝石をあしらった、指輪。 俺から、黒猫への誕生日プレゼントだ。 「これ…」 「ああ。プレゼントだよ」 黒猫は、まじまじと手の平に載せた指輪を見ている。 「話すとちょっと長くなるんだけどな…」 俺は、黒猫に全て話した。 ―――黒猫への誕生日プレゼントを考えていた俺は、何となく形として残る物にしようとしていた。 そこで、ちょうど電話をかけていた沙織に、相談してみたのだ。 『ふむ、それならアクセサリーとかはどうですかな?』 「アクセサリーか…。ありがちだけど、無難な選択だよな。ただ…」 『ただ?』 「俺自身がそういうのに詳しくないから、どういうところで買えばいいのか、わかんねぇんだよ」 『きりりん氏に紹介して貰えばいいのでは?』 「昔、そういうアクセサリーショップに連れていかれて、無理矢理ピアス買わされたことがあるからなぁ…」 しかもクリスマスイヴに。 何と言う罰ゲームだ。 「そういうこともあって、あいつには相談したくない」 『愛されておりますなぁ、京介氏は』 「今の話からどうしてそう結論着けた!?絶対おかしいだろ!!」 『ハッハッハ。まあともかく、京介氏はきりりん氏にはお願いしたくないのですな?』 「ああ」 『ならば、僭越ながら…拙者が紹介しましょう』 「へ?沙織そういう店、詳しいのか?」 『詳しいというほどではござらんが…ウチが経営しているお店が、何件かあるのでござるよ。そこでよろしければ、紹介いたすが…』 「全然OK!!むしろ頼む!」 『承知したでござる!この沙織・バジーナにどーんと任せてくだされ!』 後日、沙織に連れられ回ったアクセサリーショップでふと目に入ったのが、今黒猫が持っている指輪だ。 何故かわからないけど、俺はそれを見た時に、『これだ』っていう確信を持っていた。 ―――ただ、その指輪を買うにはちょっとした問題があった。 ぶっちゃけ、高かった。親の小遣いで生きてる俺にとっては。 沙織の口添えで少し安くしてもらっても、俺には手を出せないのは変わらなかった。 とりあえず、指輪を一応残して貰って、いろんな店を何件も廻ってみた。 でも、パッと来るものはなく、また後日廻ることにして、その日は解散した。 ―――その後、俺は一人模索していた。あの指輪を買う方法を。 親に交渉…ダメだ、親父が許してくれないだろう。特に、彼女へのプレゼントを買うためなんてなんて不純な理由ならなおさらだ。 あとは… 「バイトするしかないよなぁ…」 「?きょうちゃん、バイトするの?」 ―――ん?今の声は… 気づいたら、麻奈美が俺の顔を覗くように、こっちをじっと見ていた。 「…麻奈美、お前いつからいた?」 「さっきからずっといたよ~。きょうちゃん声かけても、一人ぶつぶつ言ってて気づかないんだもん」 「わりぃわりぃ」 そういや、ここ大学だった。 「それで、きょうちゃんバイト始めるの?」 「いや、まだ決まったわけじゃないんだけどな。…でも、この時期短期バイトなんて募集してないだろうしなぁ…」 「なんで急にバイトしたいなんて言ってるの?」 「別にしたいわけじゃないんだがな…。黒猫への誕生日プレゼントのために、金が欲しいんだよ」 「ああ~、なるほど~」 手を合わせて相変わらずの脱力しそうになる口調で言う麻奈美。 「それなら、ウチで働かない?きょうちゃん」 「へ?お前ん家で?」 「うん!今からちょっと忙しくなるから、ちょうど人手が欲しいって言ってたんだ~。おばあちゃん達には事情を説明しておくから、どうかな?」 俺には思ってもいない、最高の提案だった。 麻奈美ん家なら、親同士仲が良いし、家から近い。 「んじゃ、頼んでいいか?麻奈美」 「うん!」 どうやら俺は、最高の人達に恵まれているらしい。 「―――それから、沙織と何回か店を回ったり、麻奈美ん家で働いてたりしたんだよ」 「それじゃあ、あの写真も、あの時沙織と一緒にいたのも…」 「そういうこった」 これで、全てだ。 黒猫に対して、言わなきゃいけないことは。 「―――黒猫、許してくれないか?今まで隠してたことも、そのせいで傷付けてしまったことも…」 「許さないわ」 全部言う前に、却下された。 「ど、どうすれば許してくれんだ?」 「―――覚悟を、見せて貰うわ」 「覚悟?」 「ええ、そうよ」 何故か顔を真っ赤にさせている黒猫。 一呼吸置いて、俺に言った。 「私に、つけなさい」 左の手の平に置いている指輪を俺に差し出して、黒猫が言った。 「指輪を、お前に?」 「ええ、そうよ」 どういうことだ?指輪をつけてやることが、覚悟を見せることになるのか? ん?待てよ?指輪…? ―――ああ、そういうことか。 俺は、黒猫の左の手の平から指輪を取り、そのまま黒猫の左手を軽く握る。 そして、指輪をそっと左手の薬指につけてあげる。 「これで、いいか?」 「……」 「黒猫…?」 何も言わない黒猫をじっと見ていると、ツー…と黒猫の頬をつたう、一筋の雫が流れる。 「黒猫…!?」 あれ!?指輪つける場所間違えた!? 「―――本当に、私なんかでいいの…?」 「え?」 「私なんかを、選んでいいの…?」 増えていく雫を拭うこともせず、黒猫は言った。 俺は黒猫の肩を持ち、黒猫の顔を正面に立つ。 しっかり目を合わせて、言う。 「当たり前だろ、瑠璃。俺は、お前とずっと一緒にいるって決めたんだ」 「これから先も、ずっと一緒にいる。何があっても、全部乗り越えて、お前のところに帰ってくるよ」 「―――だから、瑠璃。お願いします、俺とこれからも一緒に歩んでくれませんか?」 「当たり前でしょう…!?」 そのまま俺の胸に飛び込んできた瑠璃を、ギュッと抱きしめる。 パァンッ…となる花火の音が、心地好かった。 「―――京介」 「ん?」 「その…ね?」 スッと瑠璃を正面に戻し、じっと瑠璃を見る。 頬を赤らめ、もじもじしている瑠璃がとても可愛く見える。 「瑠璃」 ゆっくり顔を近づける。 それに合わせて、瑠璃もゆっくり目を閉じる。 花火をバックに、俺達は誓いのキスをした。 *** 「―――ここへ来るのも、何度目かしらね」 「さぁ…数え切れないぐらい、来てるからなぁ…」 誕生日パーティー終了後、俺と黒猫は、送ってくれていた運転手さんに断って、 途中で降ろして貰った。 そこから少し歩いた先に、目的の場所はある。 俺が通っていた高校であり、今黒猫が通っている高校の校舎裏。 既に着替えた黒猫は制服姿で、この場所にしっくりきていた。 事あるごとにここで黒猫と一緒にいる気がする。 今も、何となく来てしまっただけで、特に理由はない。 つか、来るだけでいいのだ。 黒猫と二人で来ることに、意味があるのだ。 「―――ねえ、先輩」 「ん?どうした?」 「もう、今日みたいなサプライズはやめて」 「えっと…。もしかして、お気に召しませんでしたか…?」 「当たり前でしょう?私以外みんな知っていたなんて、私がこっそり嘲笑われているようなものよ?そんな屈辱、もう二度と味わいたくないわ」 「屈辱て…」 相変わらずの負けず嫌い。 「それに…」 「?」 「嬉しすぎて、死にそうになるから…」 そして、相変わらず可愛い。 「わかったよ、黒猫」 ポンッと黒猫の頭に手を置き、撫でてやる。 黙って撫でられている黒猫は、まるで本物の猫の様だ。 「お前が悲しむなんて、二度と嫌だからな」 「フフ…」 「ヘヘ…」 俺の答えに満足したのか、黒猫が微笑む。 釣られて、俺も笑う。 こうして、俺達の一日は終わりを告げた。 この一日を迎えるために、たくさんの出来事があったが… それも、今日得た物と比べたら、対価にしても足りないぐらい、最高の一日だった。 今日が終わり、明日、明後日と続き、同じ日は二度と来ないけど、俺と瑠璃の日々はこれからも、ずっと続く。 その日々一日一日を、思い出に出来なくても、大切にしよう。 今更離れることなんてないさ。 誓ったからな。 「さて、もう遅いし帰ろうぜ?送るからさ」 黒猫の手を取り、その場を後にしようとした。 ―――が、何故か黒猫に手を引っ張られ、歩みを止められる。 「く、黒猫?」 「あの…その…」 何故か俯いて、俺の手を握ったままもじもじしている黒猫。 「どうかしたのか?」 「あの…ね、えっとね…」 「―――今日はその…、帰りたくない…気分なの」 ―――どうやら、俺達の一日は、まだ終わりそうにない。 Fin.
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amazonで探す @楽天で #Nのために を探す! 金22TBS 2014.10.17~2014.12.19 8.9% 公式HP wikipedia 前 家族狩り 次 ウロボロス ~この愛こそ正義 Hulu NETFLIX dTV PrimeVide U-NEXT TVer Paravi GYAO youtube検索 / Pandora検索 / dailymotion検索 / bilibili検索 1 セレブ夫婦殺人事件…15年前に隠された秘密 2014/10/17 11.8% 2 放火事件の謎…許されない罪の共有 2014/10/24 9.3% 3 反撃開始舞台は東京へ! 運命の出会い 2014/10/31 9.9% 4 被害者Nと出会った日…すれ違う2人 2014/11/07 8.4% 5 沖縄の夜新たな恋から歯車が狂い出す 2014/11/14 10.0% 6 許されぬ愛…罪人たちの悲しい告白 2014/11/21 5.8% 7 語られる事件の悲劇…歪んだ愛の代償 2014/11/28 8.3% 8 エリート夫の嘘と罠…炎に消えた真実 2014/12/05 9.0% 9 最終章?前編?今夜事件の幕が開く! 2014/12/12 8.2% 10 明かされる事件の真実…N達の未来 2014/12/19 8.7%
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このページはこちらに移転しました 自分のために 作詞/ものぐさ大臣 俺は誰かのために 何かを出来るほど 器用で 寛容で 素晴らしい 人間じゃない だけど 自分のためになら 頑張れるかもな 何かを捨てて 何かを得て 何かを失い 絶望を得る 全て失う前に 何かを得られればいい 間に合うように 必死に走るよ 僕は素晴らしい 人間じゃないから それでも自分は 自分らしく 生きていけるように 祈り続ける ごめんよ… 何もできなくて 自分の事で 手一杯で こんな俺を 許してくれない それでいい それで気が楽になるから 許されてしまうなら 間違った人間になる それを 止めて くれて 本当に ありがとう…
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このページはこちらに移転しました 仲間のために 作詞/にんぢん 作曲/( A`)モヲトコ 白と黒の盤上で 僕は何を手に入れた 気付けば回りに友は居ぬ 気付けばこの手も穢れてた 白のナイトは前に出た 愛しい友らを守るため 歓び命を散らしてく 白と黒の盤上に 幾つの戦がやられてた? 気付けば勝つためそれだけに 気付けば痛さも分からぬままに ナイトはキングを守るため ポーンはクイーンを守るため 歓び戦へ向かってく 白のナイトは前に出た 愛しい友らを守るため 歓び命を散らしてく 音源 仲間のために コード譜