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「回りくどい男と天邪鬼な彼女」 テーマ:シリアスな男女掛け合い 今にも別れそうな冷めたカップル→途中からいい話系に→よりを戻す A(男)、B(女) A「俺達さぁ、もう終わりかな」 B「そうかもね」 A「へぇ…アッサリ納得しちゃうんだ」 B「なによ、何か言ってほしいの?」 A「別に、お前からそんなの今更期待してないし」 B「・・・あっそ」(期待してないってなによ・・・) B「あんたっていつもそうよね。周りくどい手を使って、 こっちの反応を見て…あんたはどうなのよ」 A「俺はただ、お前がいつも退屈そうにしてるなって。 色々我慢して俺とつきあってくれているんじゃないかなって・・・」 B「あっそ。・・・だったらちゃんと聞きなさいよ。聞いてくれなきゃ答えられないじゃない。 あたしはもうお人形に話しかけて遊んでいられるような歳じゃないんだから」 A「お人形…か……お前、小さい頃に親からお揃いで貰った人形…まだ持ってるか?」 B「…さあ。どこにやったのかしらね」(嘘よ。…まだ持ってる) A「お前、俺の人形の右腕ちぎったよな」 B「ちっ、ちぎってない! 止め具のボタンが、ちょうど私が持った時に取れちゃったんでしょ!」 B「あんたが大泣きするからこっちはいい迷惑だったわよ……」 A「でもその翌朝、人形の腕は直ってた。何でだろうな?」 B「知らない。お母さんが直してくれたんじゃないの?」 A「……。なあ、俺達に足りなかったのってお互いの素直さじゃないかな。 俺はいつも回りくどくて、お前はいつも天邪鬼で…」 B「……。それじゃ、どうしろって言うのよ。 今更直そうとしたって、もうずーっと、子供の頃からこうなんだから あんたも私も……」 A「わかってる。でも、もう直そうと思うんだ。本当は俺、 これからもお前と一緒にいたいと思ってるし。 だからこれを受け取って欲しい」スッと指輪を差し出す B「これって」 A「ああ、お前が昔失くしたおもちゃの指輪だ」 B「あの時……知らないって言った癖に……」 A「人形をすり替えたこと、お前も黙ってただろ。おあいこだ。」 B「バカ…!!」エンダーーイヤァァァーーー
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《どこまでも優しい彼女》 イベントカード 使用コスト1/発生コスト2/赤 [アプローチ/自分] 自分の「由比ヶ浜 結衣」1枚は、ターン終了時まで+30/+30を得る。このターン、自分の「由比ヶ浜 結衣」がアプローチでポイントを与えた場合、自分の捨て札置き場にあるキャラを2枚まで手札に戻すことができる。 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。で登場した赤色のイベントカード。 自分の由比ヶ浜 結衣1枚のAP・DPを30上昇させ、このターン自分の由比ヶ浜 結衣がアプローチでポイントを与えた時に自分の捨て札置き場にあるキャラ2枚をサルベージする効果を持つ。 由比ヶ浜 結衣専用のコンバットトリック。 コスト1ではあるが、アプローチ・妨害の両方で使えるので使いやすい。 さらにアプローチに成功すれば、キャラ2枚をサルベージできる。 対象に制限がないため使いやすい。 由比ヶ浜 結衣をメインにするデッキなら採用する価値があるだろう。 カードイラストは第5話「またしても、彼は元来た道へ引き返す。」のワンシーン。 関連項目 コンバットトリック 収録 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 01-108 パラレル 編集
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彼女はオレからはなれない 登場人物 コメント 2012年9月28日に戯画より発売された恋愛アドベンチャーゲーム。 PC版は18禁だが2014年3月27日には全年齢対象のPlayStation Vita版がTGLより発売された。 登場人物 ミミロップorクチート:桜井 柚季 前者は特性ぶきようから、後者はあだ名が鉄の城(はがねタイプ)なので。性格さみしがり推奨 ピジョット:成瀬 茉菜美 夢特性はとむね推奨。ズルズキンは不良と誤解されるので却下 ワカシャモ:深山 遥香 某ヒロインの名前から。個性ちょっぴりみえっぱりorすこしおちょうしもの推奨 ラフレシア:上代 碧 使い手のエリカと雰囲気が似ているので。はなびらのまい(妄想スイッチが入ると暴走)必須。個性かんがえごとがおおい(よく妄想する)推奨 ヘルガーorランクルス:深山 紅葉 前者は某組織の科学者の名前から。わるだくみ(中二病)必須。性格まじめ推奨 ライボルトorゴチルゼル:萬里小路 紫子 紅葉の旧友なので対になるポケモンを選んでみた コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
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前半序盤東は女性?(定期 1年目9月2週コマンド後) 女の子と猫(ランダム) 女の子の名前(ランダム) 命がけの大ボケ(ランダム) 電話番号入手(ランダム) 屋上で待ち合わせ 家の外に クリスマス・1年目(定期 1年目12月4週コマンド後 真央好感度20以上) デートイベント汎用遊園地 公園 繁華街 真央にまかせる 特殊(デート:真央にまかせる)通常時 7月限定 1月限定 後半彼女になるまでバレンタイン・2年目(定期 2年目2月2週コマンド前 真央好感度30以上) 誕生日・2年目(定期 2年目5月4週コマンド前 真央好感度40以上) 黒打とヒーローの話 アルベルトとタッグ 真央に告白 終盤クリスマス・2年目(定期 2年目12月4週コマンド後 真央好感度30以上) 初詣(定期 3年目1月1週コマンド前 真央好感度30以上 ミニゲーム:射的おみくじ) バレンタイン・3年目(定期 3年目2月2週コマンド前 真央好感度30以上) 誕生日・3年目(定期 3年目5月4週コマンド前 真央好感度30以上) ヒーローチーム戦(定期 3年目7月4週コマンド後 反逆ルート) エンディング(甲子園優勝時) 本サクセスにおける隠し彼女で、サクセス開始時に彼女を購入(パワポケポイント10ポイント)しておかないと登場させることすらできない。 攻略の起点がランダムイベントで運の要素が絡むほか、大半のイベントで好感度の変動が表示されないため、調整が困難。 また、エピローグを登録させるには反逆ルートで甲子園に優勝しないといけないため、全体的な難易度はかなり高い。 ちなみにノーマルエンドを登録していると3つ目のエピローグを見れるようになるが、そのためには告白イベントで低確率のフラグを乗り越えなければならない。 前半 序盤 東は女性?(定期 1年目9月2週コマンド後) サクセス開始時に「彼女」を購入していると発生。攻略には影響しない。 結果 備考 体力+10 タフ+3 女の子と猫(ランダム) サクセス開始時に「彼女」を購入していると発生。 結果 備考 体力+20 真央好感度+3 女の子の名前(ランダム) 結果 備考 体力+20 真央好感度+3 命がけの大ボケ(ランダム) 条件・選択肢 結果 備考 A:心当たりを探してみよう 体力-20 タフ+6 筋力+6 真央好感度+6 イベント継続 B:見事だ! 真央好感度+4『ムラッ気』(共通)『キレ○』(投手)『ムード×』(野手)のいずれか取得 C:これ以上関わらない方が・・・ 体力+20 タフ+2『逃げ球』『寸前×』(投手)『サヨナラ男』(野手)取得 イベント終了攻略失敗 電話番号入手(ランダム) 結果 備考 体力+5 真央好感度+4 真央の電話番号入手 屋上で待ち合わせ 結果 備考 体力+30 やる気+1 技術+5 真央好感度+6 家の外に 結果 備考 体力+25 やる気+3 技術+5 真央好感度+5 「弱気」「不眠症」除去 クリスマス・1年目(定期 1年目12月4週コマンド後 真央好感度20以上) 必須ではない。真央に電話できないと好感度が足りないため、発生させるのは困難。 結果 備考 体力+20 真央好感度+2「おまもり」「置物」「パワビタD」の順で1つか「スーパーパワビタD」入手 デートイベント 「遊園地」「公園」「繁華街」「真央にまかせる」から行き先を選択する。 どのデートでも低確率で「弱気」と「不眠症」が治ることがある。また、同じく低確率で「恋の病」になることがある。 同じ場所を2回連続で選択した場合、イベントの内容は変わっていないが、効果が下がっているので極力違う場所を選択すること。 「真央にまかせる」を選択すると、ランダムで特殊イベントが発生することがある。 汎用 遊園地 条件・選択肢 結果 備考 通常時 体力-10 やる気+2 真央好感度+4 前のデート時にも選択 体力-10 やる気+1 真央好感度+3 公園 条件・選択肢 結果 備考 通常時 体力+40 真央好感度+3 前のデート時にも選択 体力+30 真央好感度+2 繁華街 条件・選択肢 結果 備考 通常時 体力+30 やる気+1 真央好感度+3 前のデート時にも選択 体力+20 やる気+1 真央好感度+2 真央にまかせる 条件・選択肢 結果 備考 通常時 体力+20 やる気+1 真央好感度+3 前のデート時にも選択 体力+10 やる気+1 真央好感度+2 特殊(デート:真央にまかせる) 真央好感度の変動は基本的に表示されないが、この項目のイベントでは表示される。 通常時 条件・選択肢 結果 備考 パターン1 体力+20 やる気+1 真央好感度+2 屋上でデート パターン2 体力-40 リスク90未満の時リスク+10 筋力+25 技術+10 真央好感度+4 マンガ的特訓 パターン3 体力+30 やる気+1 真央好感度+4『ポーカーフェイス』『持続』(投手)『チャンス○』(野手)取得 フグ怪人に遭遇 7月限定 結果 備考 体力-20 やる気+2 筋力+10 真央好感度+5 水着を想像 1月限定 条件・選択肢 結果 備考 A:真央を起こす 体力+25 やる気+2 真央好感度+5『リリース○』(投手)『ブロック○』(野手)取得 冬山遭難 B:俺も寝る! 体力+40 やる気+2 真央好感度+5『短気』除去(投手) 『体当り』取得(野手) C:カマをかけてみる 体力+10 やる気+1 技術+15 真央好感度+2『けん制○』(投手)『走塁○』(野手)取得 後半 彼女になるまで 2年目12月4週のクリスマスまでには彼女にしておきたい。 バレンタイン・2年目(定期 2年目2月2週コマンド前 真央好感度30以上) 必須ではない。 結果 備考 体力+10 やる気+2 玲奈好感度+5 誕生日・2年目(定期 2年目5月4週コマンド前 真央好感度40以上) 必須ではない。 結果 備考 やる気+10 「おまもり」「置物」「特効薬」の順で1つ入手 黒打とヒーローの話 黒打のランダムイベントが2回目まで終了している時にデートをすると発生。必須ではない。 結果 備考 体力+30 真央好感度+5 アルベルトとタッグ アルベルトのランダムイベントがすべて終了している時にデートをすると発生。必須ではない。 結果 備考 体力-20 やる気-2 タフ+10『ムラッ気』取得(共通) 『チャンス×』除去(野手)『回復○』『短気』か『打たれ強い』取得(投手) 真央に告白 デート終了時に確率で選択肢が発生。真央好感度60以上ないと彼女にできないので、足りなそうな場合は保留にすること。 条件・選択肢 結果 備考 A:まだいいだろう ― イベント終了 B:聞いてみよう 真央好感度60未満 やる気-1 真央好感度-5 真央好感度60以上 次へ ノーマルエンド登録済の場合、Bを選択して彼女にできた場合に確率でグッドエンドフラグが立つ。後のセリフで「さあ、練習、練習!」が「さあ、練習、練習!!」になっていれば成功となる。 確実に彼女にしたいならA、グッドエンドを狙うならBを選ぶといい。 条件・選択肢 結果 備考 A:それなら聞かない 体力+50 やる気+3 筋力+20 技術+20 真央好感度+5 真央が彼女になるプロフィールNo 21登録 B:それでも知りたい パターン1 体力+10 やる気+3 全経験点+10 「胃炎」「不眠症」「弱気」除去 真央が彼女になる確率でグッドエンドフラグ成立プロフィールNo 21登録 パターン2 やる気-1 真央好感度-5 攻略失敗 C:魔法が解けても、好きだ やる気-1 真央好感度-5 終盤 クリスマス・2年目(定期 2年目12月4週コマンド後 真央好感度30以上) 真央が彼女になっているかどうかで内容が変化。彼女になっている場合にもらえる装置はバッドエンドを確実に回避するのに必須なので、このイベント発生までに彼女にしてきたい。 条件・選択肢 結果 備考 真央が彼女 体力-20 やる気+3 真央好感度+5 リスク80未満の時リスク+20 『ムラッ気』取得 謎の装置をもらう 真央が彼女でない 体力+10 やる気+2 真央好感度+4コントロール+10(投手) エラーしにくさ+1(野手)『短気』(投手)『体当り』(野手)除去 『安定感』取得 初詣(定期 3年目1月1週コマンド前 真央好感度30以上 ミニゲーム:射的おみくじ) 条件・選択肢 結果 備考 大吉 体力+30 やる気+3 全経験点+30 真央好感度+3 吉 全経験点+5 末吉 全経験点+1 凶 「弱気」 大凶 リスク80未満の時リスク+20 「弱気」 ほるひすかイタチの的を倒した場合はさらに以下の結果が追加。 条件・選択肢 結果 備考 ほるひすを倒した 「ナイスなクラブ」「よくとぶバット」のいずれか入手両方既所持の時「人工精霊」入手 イタチを倒した 「呪いの人形」「野球凡人伝」の順でいずれか入手 バレンタイン・3年目(定期 3年目2月2週コマンド前 真央好感度30以上) 必須ではない。 結果 備考 体力+30 やる気+1 仲間評価+3 誕生日・3年目(定期 3年目5月4週コマンド前 真央好感度30以上) 真央好感度81以上で野球超人伝の前半部分を入手し、超特殊能力取得のフラグが立つ。 条件・選択肢 結果 備考 真央好感度81以上 体力+20 やる気+1 野球超人伝の前半部分入手超特殊能力取得の条件 真央好感度80以下 体力+20 やる気+3 真央好感度+5『打球反応○』『寸前×』(投手)『ブロック○』『チャンス×』(野手)取得 ヒーローチーム戦(定期 3年目7月4週コマンド後 反逆ルート) 開始前 部室でヒーローの弱点を見つけていると下記の選択肢が出現する。 条件・選択肢 結果 備考 A:やる! ― 敵選手全員が絶不調 B:やらない やる気+1 筋力+50 主人公以外の味方選手が好調 真央が彼女になっているとさらに一連の選択肢が出現。 条件・選択肢 結果 備考 A:いや、なんでもない やる気+4 筋力+50 タフ+20『重い球』(投手)『サヨナラ男』『逆境○』取得 イベント終了通常の試合攻略失敗 B:助けに行こう 次へ 特殊な試合 助けに行くと時間制限付選択肢が出現。ピンクを必殺技を使って倒すとバッドエンドが確定してしまう。 2年目のクリスマスイベントで装置をもらっている場合は確実にバッドエンドを回避できるが、入手できていない場合は確率頼みになる。 条件・選択肢 結果 備考 A:ピンクに飛びかかる! 筋力+40『闘志』(投手)『体当り』(野手)取得 必殺技でピンク撃破バッドエンドの条件 B:真央を連れて逃げる 変化球/すばやさ+40『逃げ球』(投手)『ヘッドスライディング』(野手)取得 C:貴様の悪行もここまでだ! パターン1 技術+20 パターン2 筋力+40『ノビ○』『勝ち運』(投手)『パワーヒッター』『ムードメーカー』(野手)のいずれか取得 必殺技を使わずにピンク撃破バッドエンド回避 D:ここは必殺技だ! 技術+40『けん制○』(投手)『粘り打ち』(野手)取得 必殺技でピンク撃破バッドエンドの条件 E:そうだ、例の機械で(装置入手済の時のみ出現) 筋力+40『キレ○』『ピンチ○』(投手)『アベレージヒッター』『ムードメーカー』(野手)のいずれか取得 必殺技を使わずにピンク撃破バッドエンド回避 開始状況 助けに行った場合、試合の開始状況が変化する。 変化した場合、開始時にどれだけ点を入れられるかが重要になる。最低でも2点は欲しいところ。遊撃手がいないので二三塁間が狙い所か。 条件 状況 備考 通常 後攻 7回裏 攻撃 2-1 無死一二塁 1点ビハインド 特殊 後攻 8回裏 攻撃 3-0 無死満塁 3点ビハインド 試合後 勝敗 結果 備考 勝ち やる気+2 全経験点+25 負け ゲームオーバー アルバムNo 2登録 勝利後 野球超人伝の前半部分を入手していれば、ここで「野球超人伝」を入手できる。 結果 備考 体力-30 やる気-6必殺技でピンクを撃破した場合『逃げ球』(投手)『サヨナラ男』(野手)取得「誕生日・3年目」で野球超人伝の前半部分を入手した場合「野球超人伝」入手(『任意の超特殊能力』『センス○』(共通)『ノビ○』(投手)『広角打法』(野手)取得) 上のイベント以降、電話しても下記のイベントしか発生しなくなる。 結果 備考 体力+10 やる気-1 「恋の病」除去 電話がかからない エンディング(甲子園優勝時) 条件・選択肢 結果 備考 「ヒーローチーム戦」でピンクを必殺技を使わずに撃破 「真央の告白」でグッドエンドフラグ成立済 『持続』(共通)『奪三振』(投手)『ハイボールヒッター』(野手)取得 グッドエンドエピローグNo 20に上書き 上記以外 筋力+50『重い球』(投手)『ローボールヒッター』(野手)取得 ノーマルエンドエピローグNo 20登録 「ヒーローチーム戦」でピンクを必殺技を使って撃破 ― バッドエンドエピローグNo 21登録
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彼女たちが盤面に数えるサーティートゥー ◆John.ZZqWo 飛行場から市街へと続く暗い道は、和久井留美にとって幾分か緊張を強いるものだった。 きれいに舗装され整った道路の脇にあるのは等間隔で並ぶ細い街灯くらいなもので、視線を遮るものはないと言っていい。 しかし、もう夜分ゆえに見通せる距離もそうあるわけでなく、もし誰かが向かいから歩いてきたとしても気づくのは寸前になってからだろう。 となれば必然、互いにま近くで相対することになる。 何も身を遮る場所で互いに顔が見える距離から殺しあい――そんなことを想像して、和久井留美は緊張に胸が痛むのを感じた。 「……………………」 少し風が強くなってきたことに気づき振り返れば、すぐ後ろにどんよりとした黒い雲が追うように近づいてきている。 ここで更に雨に降られてはかなわないと、和久井留美は道をゆく足を速めた。 @ ほどなくして和久井留美は市街へと辿りついた。 目の前には今歩いてきた道が更に北――市街への中央へと向かって伸びている。地図が確かであれば、もう少し進めば左側にビーチが見えてくるはずだ。 付近にある施設や視界に映る建物を見ても、この島北東の市街が観光やレジャーを目的としたものというのはよくわかる。 通りに並ぶ店も、手作りの小物やアクセサリを扱ったお店。海のものを扱った土産物屋。そして、水着のまま入れるという飲食店など。 もし、今が昼間で更にもっと夏に近い季節であればこの通りはもっと眩しく魅力的に映ったに違いない。 しかし現実はそうではない。今はもう夜で、どんよりと雲が頭上を覆ってなお暗く、なによりも殺しあいの舞台である。 和久井留美は脇の道へと曲がると、後ろ髪を引かれることなどなくそのまま大通りから離れた。 「さて…………」 どこを寝床にしようか――と、狭い路地を歩きながら和久井留美は考える。 あまり簡単に入れる場所だと万が一誰かと“被る”可能性がある。とはいえ、裏をかけば、また同じように裏をかいた人物と“被る”というのも否定できない。 「これは、ちょうどいいわ」 しばらく歩いた後、和久井留美は足を止めて少し先にある店を見た。少し古いビルの1階にある100円均一のコンビニだ。 これから必要なものを揃えるにはうってつけだと立ち寄ることにする。 勿論、無用心には近づかない。和久井留美は手に入れたばかりの拳銃を片手に、暗闇の中で煌々と明かりを漏らすそこへと慎重に近づいた。 「…………あら、いやね」 幸いなことにコンビニの中に先客はいなかった。なにかがあって荒れているなんてこともなく、物質の調達もスムーズに進みそうだ。 どうして和久井留美が言葉をもらしたのか、それは片手に買い物カゴを持っていることに気づいたからだ。 なにもここではそんなに行儀よくすることもない。なのに、自然とそうしていて、気づけばカゴの中には半分ほど商品が入っていた。 苦笑し、とりたて困ることもないので買い物――ではなく物資の調達を彼女は再開する。 棚の間を巡り、必要だと思ったらとりあえずカゴの中に入れた。あまり荷物が増えても困るが、捨てることはいつだってできる。 まずは食料品。飲み物も邪魔にならない程度に。それから生活小物。絆創膏などの簡単な手当てをするものや、タオルや替えの下着など。 一応と武器になるようなものもないかと探してみるが、拳銃も手に入った今、有用だと目に映るものはこれといってなかった。 「まぁ、こんなものかしら」 一通り回ると和久井留美は買い物カゴをレジまで運ぶ。別に会計をするためではない。ビニール袋を取るためだ。 カゴに集めたものを用途別に袋に分け、それを肩にかけていたバッグへと移す。 手早く終えて、そして彼女は気づいた。 「降りだしたのね」 外を見ればガラス窓に水滴がつきはじめている。とうとう雨が降り出したのだ。 嘆息すると、和久井留美はちょうどレジの脇にあったビニール傘を一本抜いて、しとしとと降る雨の中へと出た。 @ コンビニから出ると和久井留美は傘に雨粒を受けながらそのままビルをぐるりと回り、裏手にあった階段を上った。 このビルの2階から上はどうやら商社が入ってるらしく、ひっそりとした寝床にするには最適だとビルを見かけた時に算段していたのだ。 幸いか、無用心なことに玄関の扉に鍵はかかっておらず、和久井留美は開いたばかりの傘を閉じて中へと滑り込む。 「………………」 入ってすぐのホールとなっている場所は暗かった。明かりはわずかな非常灯と壁際の自販機が発する光くらいだ。 自販機の隣には3階以上に登るための階段とエレベータとがある。 少しだけ考え、和久井留美はそのまま奥へと進むことにした。探しているのは応接間だ。だとしたら客にこれ以上階段を上らせることはないだろう。 廊下を進むと事務机が並んだオフィスに出た。机の上はどれもよく整理整頓されている。彼女の所属する事務所とは大違いだ。 暗い中で目をこらすと更に奥にいくつかの扉が見える。そのひとつにあたりをつけると和久井留美はオフィスを堂々と横切り、そして静かに扉を開いた。 「ゆっくりできそうね」 厚い扉の向こうは予想したとおりに応接間だった。 背の低いテーブルを3人がけのソファが挟んでいて、壁には絵画がかけられ、棚にはトロフィーや表彰盾が並んでいる。 和久井留美は荷物を絨毯の上に下ろし、ソファへと身体を投げ出す。高級そうな革張りのソファはふかふかと柔らかく、やすやすと受け止めてくれた。 気を抜けばそのまま安眠の中に引きずりこまれそうなほどだ。しかし和久井留美はその誘惑をぎりぎり振り切り身体を起こす。 休息が目的で、そしてここでそれが得られることも判明したが、休む前にまだいろいろと終えておかないといけないことがある。 座りなおし、まずはさきほど下のコンビニで集めた物資をテーブルの上に広げていく。 とりあえずは食事だ。 ここまでは動きが鈍らないようにと最低限の量をこまめにとってきたが、1度休むと決めたのなら、今度は後からガス欠することがないようしっかりととる。 「いただきます」 給湯室のレンジを使って用意したのはレトルトの中華丼だった。それに、完熟トマトのスープパスタにペットボトルのレモンティー。 奇妙な組み合わせだが、和久井留美自身は疑問に思っていなかった。ただ好きなものを組み合わせただけだ。そしていつも彼女はこんな感じだ。 元々、頓着のないほうではあったが、アイドルになり家に帰る時間が不定期になるとそれはより悪化(?)してしまった。 「ん、いけるわね」 業務形態が一定でない以上、いつ家に帰るかは定まらない。その上、仕事の中やその延長線上にある打ち上げやつきあいで食事をとることも増えた。 自炊をするにもそういった事情から日持ちしないものは家には置けない。となると、その時その時でコンビニで買って帰るというのが効率的だとなる。 仕事帰りにコンビニにより、マーケティングの成果から生み出された新商品を誘導されるままに買って食べる。 企業が想定する働く独身女性――彼女の食生活はその見本どおりの形だった。 いまや彼女にとって料理とはオフの日のホビー。あるいはなにかしらの目的を持って行われる“戦略活動”にすぎない。 「――ごちそうさま」 ひとりきりだと食事は早く済んでしまう。和久井留美はそれに物足りなさを感じることもなく食べたものを片付け、次の行動へと移った。 @ 荷物を整理しなおし、起きた後に食べるものを用意し、歯磨きをして、身体を拭いて、下着を交換し、そしてようやくソファへと横たわる。 上着は脱いでむかいのソファの上にある。猫耳はテーブルの上に、パンプスは足元に、ストッキングも脱いだ――が、いつのまにかに伝線していた。 新しいストッキングがいるのだが、物資を調達したばかりだというのにその肝心のストッキングを手に入れるのを和久井留美は忘れていた。 「………………」 今から取りに行くというのは億劫だ。それに雨の中ストッキングを取りに行くリスクが、ストッキングをそのものと釣り合う気がしない。 ここから出る時に調達するというのがベターな線だろう。けれど、これからのことも考えるとどこかでスカートからズボンに穿きかえるのがよいとも思う。 「………………ハァ」 どうでもいいことだ。そんなことよりも、意識を手放してしまう前に考えておかないといけないことがある。 これからの行動。 殺しあいというゲームに対し、どう対応し、どういう戦略をとれば有利となるのか。 第1に重要なのは先ほどの放送で呼ばれた死者の数とその内訳だ。 6人。死者の数は放送の度に順当に数を減らしている。このペースを維持するのなら、この殺しあいは後1日かもう半日はかかるように思える。 しかし、それ以上に時間がかかるのでは? という懸念が和久井留美の中にはあった。 ナターリア、南条光、そして五十嵐響子。6人の死者のうち半数が自身の手によるものなのだ。 他のライバルをリードしている――などとは浮かれていられない。 自分が殺した3人の除けば3人しか死んでいないわけで、それは他のライバルが3人しか殺せていない。あるいはライバルが動いてないことを意味する。 「響子ちゃんを殺したのは失敗だったかしら……」 強力なライバルであった五十嵐響子を殺害し、少なくとも彼女といる間は同調してたはずの緒方智絵里も、もうライバルとして動かない公算が強い。 ライバルが減ることはそれだけ取り分が増えるということではある。 だが、ライバルでないアイドルにしてもリスクなしに狩れるものでない以上、早々にいなくなられても困るのだ。 飛行場で出会い、そしてもう殺してしまったナターリアや南条光、それに前川みくもまた他のアイドルを殺害したアイドルではあったが、 しかしその実情は殺しあいという状況に押されて偶発的に起きた、いわゆる不幸な事故というものだった。 つまり、最初の放送では「こんなにも殺しあいにのる子がいるのか」と驚いたが、それは半分正しく、半分は正しくないということだったのだ。 あの時想定したよりも、積極的に殺しあいを行おうというライバルの数は少なかった、というのが現実だろう。 「残り30人……、か」 アイドルの数は当初の半分へと減った。まだ1日も経っていないのに29人ものアイドルが死んだと思うと尋常ではない数だ。 実際に何人も手にかけているにも関わらず、それがどういうものなのか和久井留美にも実感はわかなかった。 しかし、これから先、もう30人も殺さないといけないと考えると大きなため息が出る。 「それでも、まだ2人か3人、それ以上も期待していいのかしら……」 飛行場を離れた高垣楓らの中からと、もう2人がこの島のどこかで死んだ。 あの五十嵐響子が手をかけていた可能性はなくはないが、それを考慮してもまだ数人のライバルがこの島にいるのは確実だ。 今回はたまたま標的を見つけられず、あるいは逃げられてしまって殺しそびれたというライバルもいるだろう。 「……なんにしても様子見ね」 次の放送までと言わず、更にその次の放送まで動かないというのもありだと和久井留美は考える。 休息をとるならまとめてとったほうが効率的だというのもあるが、なにより自分が盤面に影響を与えないことで、自分以外の要素を浮き彫りにしたい。 死者の数はどう推移するのか。ライバルはどれくらいいると推定できるのか。そして―― 「(――運営側はどうこの企画を最後まで進めるつもりなのか)」 現実がどういった状況であるにせよ、このままだとこの後に中だるみが発生するのは間違いない。 運営はこれをアイドルたちが休むためのインターバルとするのか、あるいはなんらかのてこ入れを実施してくるのか……? 「(アイドル同士の遭遇を増やすなら禁止エリアを増やす……か、もしくは全員が殺しあいにのるように脅しをかけてくるか……)」 方法はいろいろあるように思える――が、それも運営側の指針を計らなければただ可能性を羅列するだけにすぎない。 「(やはり、ここは様子見ね)」 和久井留美はそう結論付けた。 これまではどうこの状況に馴染みアドバンテージを得るかが問題だった。 振り返ると満点からは程遠いゲーム運びだったが、今の状況は悪くない。前川みくを殺害したことで拳銃も手に入れることができた。 これから目指すべき点は、“最終的に勝つ方法”の想定とそのための行動だ。 そのためには一度様子を見て他のアイドルの、なにより運営側がこのゲームに変化を与えるつもりがあるのかどうかを見極める必要がある。 その結果、例えば禁止エリアの数が急激に増えて島が狭くなるのだとしたら、積極的に先手を打っていくのがいいかもしれないし、 あるいは、運営側が再びプロデューサーの命をちらつかせて全員に殺しあいを強要するなら、リスクを避けて逃げと待ちに徹するという方法もある。 「(まずは、次の放送……ね。ちょうど1日が終わる節目。“揺さぶり”がくるのだとしたらこのタイミングである可能性が高い)」 和久井留美は少しだけ目を開いて壁の時計を見る。 そして、まだ少しだけ眠る時間があることを確認すると重い瞼を閉じて、その身体を柔らかいソファに、そして眠りの中へとゆっくり沈めた。 外では雨足が強まりつつあった。 ざぁざぁと音は大きさを増し、厚い雲に覆われ月明かりさえない暗闇の街にただただ雨音だけが満ちていく…………。 【B-4 市街地/一日目 夜中】 【和久井留美】 【装備:前川みくの猫耳、S WM36レディ・スミス(4/5)】 【所持品:基本支給品一式、ベネリM3(7/7)、予備弾x37、ストロベリーボム×1、ガラス灰皿、なわとび、コンビニの袋(※)】 【状態:健康、】 【思考・行動】 基本方針:和久井留美個人としての夢を叶える。同時に、トップアイドルを目指す夢も諦めずに悪あがきをする。 1:次の放送まで眠る。 2:放送でなんらかの事態が発生すればそれに対応できるよう考える。 3:なにもなければ、更に次の放送まで休むかどうかを検討する。 4:いいわ。私も、欲張りになりましょう 。 ※コンビニの袋の中には和久井留美が100円コンビニで調達した色いろなものが入っています。 前:蒼穹 投下順に読む 次:彼女たちの前に現れる奇跡のサーティスリー 前:彼女たちが辞世に残すサーティワン・リリック 時系列順に読む 次:彷徨い続けるフロンティア 前:愛の懺悔室 和久井留美 次:彼女たちが生きてこそと知るクラッシュフォーティー ▲上へ戻る
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彼女の錬磨道具(かのじょのれんまどうぐ) 概要 グレイセスに登場したサブイベント。 登場作品 + 目次 グレイセス 関連リンク ネタ グレイセス ユ・リベルテで発生するトラベル。No.33。 商業区にいる女性に話しかけると発生。 イベント開始後、ストラタ大砂漠・東に行くと出現しているプリコパル×6を倒すと、練磨道具が手に入り、依頼:練磨道具が達成できるようになる。 依頼を達成するとヒューバートが称号、とぼけメガネを取得し、宝石練磨店が利用できるようになる。 No. 33 発生場所 ユ・リベルテ 発生条件 商業区にいる女性に話しかける 入手 ヒューバートの称号:とぼけメガネ ▲ 関連リンク ▲ ネタ ▲
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▼● Her Memories Grave Resolve ハルヴァーの記憶からも 彼女…… リリゼットに関する記憶は消えていた。 だが、ふと漏らした一言。 「以前話をした者には会えたのか?」 黒き未来では、冥護四衆の一人であるラーゾス。 彼ならひょっとしたら……。 ラジュリーズの墓へ行ってみよう。 ドラギーユ城 Halver 私に何か用か? Halver そういえば以前話をしていた 人物には会えたのか? Halver 何か困った事があるようなら 彼に、もう一度会ってみてはどうだ? Halver ……うむ、 それにしても今回は一人なのだな? Halver あ、いや……、 いつも一人か? Halver すまん。 今のは忘れてくれ。 Halver 以前話していた 人物には会えたか? バタリア丘陵 (Weathered Gravestoneを調べる) 添えられている花が枯れかけている。 新しい花に取り換えてあげよう。 (Weathered Gravestoneにライラックをトレード) ライラック 紫色のライラックの花。 Larzos ……ん? よぉ、あんたまた会ったな。 今日はどうしたんだ? Larzos 何やら深刻そうだな。 どうだい? オレに話してみないか? 力になるぜ! 選択肢:どうする? 話さない Larzos そう堅いこと言うなよ。 ラジュリーズ殿の知り合いは オレの知り合いでもあるんだ。 なんでも話してくれ。 話す Larzos そうこなくっちゃな。 で、どうしたんだ? Larzos …………。 Larzos ……すまん。 さっぱりわからん……。 Larzos 過去の未来がどうのと言われても、 いまいちピンと来やしねぇ。 Larzos だが、あんたには救いたい奴がいて、 そいつを出来るのはお前さんだけ……なんだろ? Larzos なら、最後まで諦めるんじゃないぞ。 その志が折れちまったら負けだぜ。 Larzos こ、こいつは一体!? ………………………………………………………………………………………… Lilisette ……わたしね、 正直もうダメかも……、って思ってたんだ。 Lilisette お母さんが連れていかれて……、 お父さんからわたしの記憶が無くなって……。 Lilisette もう何もかも終わりなんだ……って。 Lilisette そんな時ケット・シーと [Your Name]がわたしを 勇気づけてくれてね……。 Lilisette わたしは一人じゃないって、 はじめてそう思えた。 Lilisette リリスなんかに負けるもんかっ! ……皆でこの現代を守ってみせる。 Lilisette だから見ててね……、 わたし、頑張るから……。 ………………………………………………………………………………………… Larzos ……今のは? いったい何だったんだ……? Larzos いやぁ、不思議な事もあるんだな。 長生きはしてみるもんだ。 Larzos それに……、 何となくわかったぜ。 あんたの救おうとしているモノがな……。 Larzos 気の強そうな、 きれいな嬢ちゃんだったな。 Larzos なぜだろうな。 ラジュリーズ殿と面影がかぶっちまった。 Larzos 色々と振り回されそうだが、 大事な人なんだろ? Larzos 無事に救い出してやんな。 応援してるぜ。 小さな想ひ出のかけらを手にいれた! しかし欠片は小さく光も弱い。 これだけでは意味をなさないようだ。 小さな想ひ出のかけら バタリア丘陵で手に入れた、 リリゼットの記憶の欠片。 しかし、欠片は小さく、光も弱い。 今にも消えてしまいそうだ……。 彼女の想ひ出~彼と少女の事情,彼女の想ひ出~涙の豆料理が終わっている場合 +... 散らばっていた小さい欠片が一つに纏まり 想ひ出のかけらに変化した。 だいじなもの 想ひ出のかけらを手にいれた! 想ひ出のかけら 現代に散らばった リリゼットの記憶が集まり、 ひとつの欠片となったもの。 ぽかぽかと温かい。 (Weathered Gravestoneを調べる) 古びた墓碑の1つだ。 ▲ 彼女の想ひ出~帰郷 彼女の想ひ出~彼と少女の事情 揺籃の宙 彼女の想ひ出~涙の豆料理 彼女の想ひ出~墓前の決意 ■関連項目 アルタナミッション , ドラギーユ城 Copyright (C) 2002-2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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彼氏・彼女のはじめの一歩 マスター シナリオ 人 用シナリオ シナリオガイド概要 リアクションあらすじ シナリオ/か
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「シスター、今日までお世話になりました」 早朝、向かい立つ尼のような装束を身に付けた隻眼隻腕の初老の狗人女性に向かって、深く頭を下げて感謝の言葉を言うのはまるで少年のように短い赤毛の交じりの栗毛の髪に赤銅色の肌をした少女。 「大げさだねぇ、もう会えなくなるわけでもなし」 そんな彼女の姿に苦笑いを浮かべつつ、その人生が決して平坦でも安楽なものでもなかったことを物語る深い皺の刻まれた目には、うっすらと涙で滲んでいる。 「いや、でも、なんかケジメが必要かなーって思って」 そう言って顔を上げた少女、その髪型のせいもあってか広く見える額には小さいながらも二本の角、ニシューネンでは珍しい赤鬼族の少女は目尻に小さな涙の玉を浮かべながら、それでも犬牙の発達し頑丈で歯並びの良い白い歯を剥いてニッと笑ってみせた。 新天地のニシューネン市にシィという少女が暮らしている。家名はない、彼女は10年前の冬にどういった理由があってかネア大聖堂の前で母娘そろって行き倒れているのを教会の関係者によって発見され、母親のほうは手遅れだったが娘のシィのほうは命を取り留め、その後はネア大聖堂が運営する孤児院『星の家』で育った。 それから10年、13歳になった彼女はこの日、新しく住み込みで働くことが決まった働き先へと転居することとなり、それは長く暮らした孤児院を巣立つということであった。 ネア大聖堂はニシューネンではシンボルマークとなるほどであり、ニシューネンという街の成り立ちにも深く関わる関係などから街の人々からの寄付などもそれなりに得ている。それらはネア大聖堂が運営する孤児院『星の家』の運営費となっているのだが、新天地の中では比較的治安も経済状況も安定しているニシューネンにおいても孤児の数は多く、それらを一手に引き受けている『星の家』はあまり余裕があるとは言えない、そのため孤児院で暮らせるのは14歳までと定め、それまでに働き先を見つけ、孤児たちは巣立っていくというのが通例となっている。 「でも、本当に良かったのかい? まだ一年ここにいられたんだよ?」 彼女が本来『星の家』で暮らせるのは14歳まで、しかし、彼女はは13歳でここを離れることを決心した。 「いやぁ、だって住み込み三食賄い付きで週の御給金は海賊銅貨10枚ですよ? ここで逃したら次にこんな条件あるかわからないじゃないですか? それに向こうには前に何度か働きに行ったこともあってマスターも女将さんもどんな人か知ってるし、こりゃ行くっきゃないって思うじゃないですか」 そう言って少女はニヒヒと笑う、海賊貨幣はこの世界ではラ・ムールが発行する海運貨幣に次いでメジャーな貨幣であり、住み込み賄い付きで週に銅貨10枚というのは女性、それもまだ成人前の働き手にとっては破格と言ってもいい条件、しかし、それは理由の半分でしかない、もう半分は彼女が早くこの孤児院を離れれば、空いた彼女一人分のベッドに別の誰かが夜の寒さや飢えに震えることなく眠ることができる、そう考えた上でのことだということを、向かいあうシスターはわかっていた。 「まったくマセた子だね。まぁ、シィならどこでだって一人前になれるさ、だけど、体にだけは気をつけるんだよ」 「はい、お休みもらえたら手伝いに来ます」 「あぁ、うちはいつだって人手不足だからね、来るならお客さん扱いなんてしないよ、ビシバシとコキ使ってやるからね」 「うわぁ、なんだか急に里ごころが萎んじゃうなぁ」 そう言い合って二人は静かに笑い合う、生活の場は違っても同じ街の中で暮らしていくということもあり、湿っぽさのないサバサバとした別れの挨拶。 「それじゃ、もう行きますね、そろそろ他の子が起きてくるだろうし」 そう言ってシィは足元に置いていた私物の入った布袋をヒョイと持ちあげる。 「あ、モニクとジジのことですけど……」 モニクとジジとは孤児院でシィが手を焼いていた悪ガキと、彼女を実の姉のように慕ってベッドでは常に彼女と添い寝するようにしてでしか眠れなかった少女のことだ。孤児院を離れるにあたってこの二人のことがシィの心配事だった。 「モニクは食いしん坊だからシチューが少し多くなるかもと言っておけばいいさ、シィがいなくなってしばらく暴れるだろうけど、まぁタンコブしこたまこさえればおとなしくなるだろ、しかし、ジジはね……」 モニクに関しては男の子ということもあってぞんざいな事を言うシスターもシィが孤児院からいなくなった後のジジのことは心配らしく、少々顔を曇らせる。 「それでなんですけど……これをジジに渡してください。ボクの代わりというにはなんですけど……」 そう言ってシィは布袋の中から小さな人形を取り出し、それをシスターに手渡す。 「余り布で作ったので、あんまり上手く出来てないですけど」 「いやいや、上手に出来てるじゃないか。あぁ、ジジに渡しておくよ」 シスターに手渡されたのは布の切れ端などを再利用してシィが手縫いして作った人形、赤毛と角のような飾りのある女の子の人形、それをシスターは目を細めて少しの間眺め、それを僧衣の袂に大事に仕舞う。 「それじゃあ、本当に、今までお世話になりました」 「あぁ、後のことは心配せず、新しいところでがんばるんだよ」 「はい!」 こうして、まだ薄暗さのある夜明け前、一人の少女が静かに巣立って行った。 ニシューネン市の商業区、入り組んだ路地に中小の商店や飲食店が密集するように軒を連ねる一角、そこにフタバ亭という店がある。 酒場兼宿屋ということになっているが昼前から店を開けている。店のメニューは『本日の酒 本日の定食』としか書かれておらず、それ以外は店主に注文して、その材料があれば提供されるという風変わりな営業スタイル、それほど繁盛しているというわけでもないが、足しげく通う常連客でそれなりに店はうまくいっているという、そんな店だ。 「おはようございます! 今日からお世話になります!」 昼前、フタバ亭の主人であるシメイが『営業中』と絵と文字で書かれた立て看板をもって店の外に出ると、それを待ち構えていたようにハキハキとしたシィの声が辺りに響く。 「……」 この世界ではまだ珍しい地球から持ち込まれたサングラスを掛け、剃りあげたスキンヘッドに口髭、彼の人柄を知らぬ者が見れば十中八九たじろぐオーガとしても並み以上に恵まれた体格と風貌から威圧感に近い存在感を発するシメイは、手に看板を持ったまま、まるで最初からそこに聳えていた巌のように静止し、サングラスの奥から彼女を射抜くような視線だけが向けられる。 「え、あ、あの……?」 思っても見なかった反応にたじろぐシィ。 「あ!もう来てくれたの!?てっきり昼過ぎくらいに来るのかと思ってたのに随分早いのね!」 その重苦しい空気を吹き飛ばすように、シメイの背後から快活そうな声と共にシメイからすれば小柄だが、シィからすれば充分に大きな人影が現れる。 「ちょっとアナタ、いつまでそこに突っ立ってるつもりなの? デカい図体で店の入り口塞がないでよ」 ハスキーな声でそう言いながら、シメイの巨体を押しのけるようにしてシィの前に現れた人物、それは腰まである銀糸のような髪を三つ編みに束ね、左頬から首筋にかけて鉛色の肌に白く海賊紋と呼ばれるドニー・ドニーの海賊が彫り込む独特の刺青をした長身の黒鬼の女性、シメイの伴侶であり風変わりなフタバ亭がそれなりに切り盛りできている理由でもある豪快にして快活なる女将、ナマラその人だった。 「……お前か?」 シメイはシィと自分の妻を交互に顔を向けながら見比べ、そして小さく呟くように自らの妻に向かって問う。 「そうよ。この前ヨンバ婆にお腹の子供のことで診てもらったってのは話したでしょ? そしたら初産なんだからお腹の子供のためにも安静にするようにって口を酸っぱくして言われて、でも私が店に出られなくなったらアナタだけじゃ店が回らないでしょ? これは困ったなって私も考えたわけ、じゃあこの際だし星の家から誰か給仕の仕事が出来る子を住み込みで雇おうって思い付いたの、我ながらなかなかに冴えてるでしょ? 私は子供を産んでもしばらくは子育てで店には思うように出られないだろうし、さっそく星の家のシスターに話しをもちかけたらこの子が来てくれることになったってわけ、ほら、この子は前に何度かウチに手伝いに来てくれたことがあるでしょ? マジメでよく働いてくれたし、仕事の覚えも早いかったし、これはイイ子が来てくれることになったなーって思ってこの子にお願いすることにしたのよ。あぁ、この前アナタに片付けてもらった部屋、あそこに住み込んでもらうから、部屋は私が案内するからアナタは外の掃き掃除でもしててちょうだい」 まるで軽快に風を受け波を割って進む快速船のように、矢継ぎ早に次々と飛び出す言葉にシィが唖然としていると、その肩をポンと掴まれ、何事かとシィが問うよりも早くグィとその体を引き寄せられ、そのまままるで小荷物でも小脇に抱えて運ぶようにしてシィはナマラに抱えられるようにして店の中へと連れ込まれてしまう。 「そうか……わかった」 そんな光景をサングラス越しに追いながら、シメイはすでに二人の姿の無くなった入り口で小さく呟き、手に持ったままだった立て看板を改めてその場に置き、店先の掃除をするべく箒と塵取りを取りに店の中へと再び入っていった。 「さぁ、ここが今日からシィちゃんの部屋よ!狭くて申し訳ないけど許してちょうだいね」 そう言ってシィがナマラに抱えられるようにして連れてこられたのはフタバ亭の二階にある三部屋のうちの一番奥、他の二部屋に比べて間取りが狭く、また日当たりも若干悪いためについ最近まで物置として利用されていた部屋だが、今は机としても利用できる収納家具と二段ベッドの置かれた立派な部屋となっている。 「あの……二段ベッドってことは、私以外にも?」 部屋の入り口で床に下ろされたシィは促されるままに部屋の中へと入り、室内を素早く観察し、まず気になったことを口にする。 「あぁ、違うのよ、あの人が何を勘違いしたのか二段ベッドにしちゃっただけ、まったく気分が乗ったからとか言って余計なことするんだから困るのよね、邪魔なら上のは今度とっぱらってもらうから、それまでは我慢してもらえる?」 「あ、いえ、そういうつもりじゃ……」 そんなつもりで言ったわけではなかったが、図々しいと思われたのではないかとシィは内心冷や汗をかくが、ソロリと表情を伺ってみても別に気分を害した様子はないことに密かに胸をなで下ろす。 「掃除は3日くらい前にしてるんだけど、気になるなら言ってちょうだいね」 「はい、何から何までありがとうございます」 「いいのよ、こっちとしては本当に来てくれて感謝してるんだから、それにさっきのあの人の顔見たでしょ?もぉ傑作、久々にあんな顔してるの見たわ、あの顔が見れただけでも今週分の御給金あげちゃいたいくらい、もちろん冗談よ? さすがにこんな小さな店だからちゃんと働いてもららないと困るから、これからがんばってちょうだいね、それじゃ、私は店の仕事があるから下に降りてるわね、今日はゆっくり荷ほどきに使ってちょうだい、仕事は明日からでいいから!」 「え!?」 またしてもナマラの矢継ぎ早な喋りに面喰っていたところでの今日はお休みという言葉にシィが戸惑い声を上げた時にはすでに遅く、階下へと駆け下りて行く音と「おい!?」というシメイの慌てるような声、そして「大丈夫よ、これくらいで鬼の子が流れたりなんてしないわよ」という声が聞こえてくる。 「ハァ……、ゆっくり荷ほどきって言われても、荷物なんてこれだけしかないしなぁ……」 改めて布袋に入った荷物を取り出して確認してみる、下着が二枚、替えの服が上下一着ずつ、それ以外は細かな生活用品がいくつか、本当に必要最低限のものだけ、一度ベッドの上に広げ、それを収納家具の中に仕舞う、所要時間は微々たるものだ。 「掃除は、する必要なさそうだし……」 あらためて部屋を見回してみる、床もベッドも几帳面に清掃され、わざわざもう一度掃除をする必要はなさそうだ。 「引っ越し完了。女将さんは今日はお休みだって言ってたけど……逆に居心地悪いんだよね……」 階下からは酒場としてのフタバ亭が営業開始し、昼時も近くなってきたということもあってか来店した客とナマラが会話している声が聞こえてくる。 「よし!手伝おう!」 そうと決まれば善は急げ、シィは腕まくりをして騒がしくなりはじめた階下へと駆け下りていく。 「私、手伝いますね!」 「あら、休んでていいのよ?」 「それはこっちのセリフですよ!女将さんがそんなだと、私が雇われた意味がないじゃないですか!」 「お?なんだいなんだい?そこのカワイイ子は新人さんかい?」 「はい!今日から働かせてもらうことになったシィと言います!」 「ちょっとヨルハさん、シィちゃんがカワイイからってお触りしたら許しませんよ?」 「おぉ怖い怖い、女将さんが怖いからエールもう一杯!」 「はい、毎度~。それじゃシィちゃん給仕お願いできる?」 「はい!がんばります!」 こうしてフタバ亭でのシィの新しい生活が始まった。そして、この店にさらにもう一人、新たな仲間が加わるのだが、それはまだちょっとだけ先の話である。 フタバ亭の面々を1から見るというのはありそうで中々出てこなかっただけに新鮮。以前に出ているSSやスレネタなども合わせていて感慨深い。一生懸命で温かい楽しいフタバ亭のはじまりを感じさせる一本だった -- (名無しさん) 2014-11-20 23 31 01 ネーミングセンスいいね。スレ語りは多くてもSSになるネタって限られてるから時系列追うように話ができあがると想像しやすい。シィちゃん元気っ子 -- (名無しさん) 2014-11-21 21 04 36 キャラと背景がしっかりしてる。ハウス食品の世界童話シリーズみたいなあたたかい空気だ -- (名無しさん) 2014-11-26 19 52 06 名前 コメント すべてのコメントを見る
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342 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/08/12(火) 23 47 19.83 ID vWbKcbFo0 某オンリーコンでの話。 主催が新しい彼女が出来たらしく、コンベに連れてきた。 ここまではよくある話だが、その彼女さんは否TRPGユーザーでコンベの間中、一人ひたすらPSP。 ぶちキレたのは会場手配とか一番面倒なことをしていたスタッフで、彼女さんに説教した挙げ句主催共々出禁にしたそうな。 343 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/08/12(火) 23 48 43.52 ID s0TdtVg60 [3/3] 主催が出禁って……w 344 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/08/12(火) 23 49 49.78 ID yswUJ2/T0 [2/2] 会場の端っこで一人ピコピコやってたのか 「そんな奴つれてくんなああああ」ってこと? 345 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/08/12(火) 23 53 44.38 ID PxWsSdDl0 [2/2] 彼女視点で見れば自分を訳分からん所へ連れてきて放置して遊び呆けてるわけだからなぁ その時点で愛想つかしそうなもんだが 347 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/08/12(火) 23 57 26.06 ID 5TdVWyCK0 [5/5] 「だから、デートがしたいってなら、彼女が興味ない場所に連れて着て放置とかスンナと、あれほどっ!!」 さておき、「どっちも取ろうとしてどっちもおろそか」の類似パターンだよなぁ…… 彼女からしたら印象が良いわきゃないし(彼氏に対してか、あるいは彼氏が夢中になってる遊びに対してかはともかく) コンベ参加側からしても完全な部外者、かつ連れてこられて実質放置されてる人間とか完全に気にしないとか無理な話で、 結局誰も得しない 348 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/08/13(水) 00 00 34.27 ID tM3nUjHn0 [3/3] 342 そのスタッフの心情は分かるが 説教するのは彼女じゃなくて主催のほうだろうに…… 彼女はアホの被害者じゃないか 349 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/08/13(水) 00 36 56.06 ID a9hu3FbP0 遊びの邪魔にならないよう隅っこで暇つぶしてたら説教食らったとか 彼女の視点だと理不尽だよな スレ392