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[部分編集] RPGツクールVXで作成されたリアルタイムストラテジー(RTS)『タコ殴り幻想郷』の攻略情報を載せるページです。 作者 だいふく 氏 作者サイト がけっぷち 制作ツール RPGツクールVX ジャンル RTS 最新ver 1.4(2013/01/30更新) 動作環境 Windows 7/Vista/XP メインキャラ 霊夢 価格 無料 同作者の作品に「東方水神翔」があります。 概要 いわゆる作業ゲー・放置ゲーです。戦闘中は基本的に見てるだけです。 ・ゲームジャンルはリアルタイムストラテジー(RTS)。多数VS多数のリアルタイムな乱戦が特徴。 最大で55人まで出撃できますが、PCのスペックが相当高くないとカクつきます。カクつく場合は適宜人数を減らしましょう。 嫁の性能(固有スキル)が弱くても泣かない。 コンテンツ 基本事項 合成・買い物 固有スキル スキル設定 初期ステータス 参考動画 コメント 参考動画 クリックして画面中央の再生ボタンを押すと視聴出来ます。 タコ殴り幻想郷を攻略?part1 見れない場合は広告ブロックなどを無効にしてください(例:Firefoxのadblock plusなど)。 コメント ▼コメント投稿欄へ wikiを隅々まで見て載ってなかった情報や、記述内容の誤りの指摘などを寄せて頂けると助かります。 バグ報告があれば作者のサイトへどうぞ。その際はバージョンを記述しておきましょう。 レスをしたいコメントのトップにあるラジオボタン【◯】をクリックしてから コメントを書き込んで下さい。 そうするとログが流れず、どのコメントへのレスかもすぐに分かるのでやりとりがスムーズに出来ます。 (表示は10件分に設定してますが変更は可能です) ※コメントを書き込む際、以下の点を確認して下さい※ 質問をする場合、一度コメントログやコンテンツに目を通して既に同じ内容が載っていないか確認して下さい。 wikiや攻略情報と関係の無い以下に該当するコメントは、削除対象となります。 雑感・雑談・愚痴 誹謗中傷 プレイ日記 特定キャラでの攻略や低レベル攻略といった縛りプレイ全般 一般常識を逸脱するようなコメント 水翔の主人公であの音が出ない - 名無しさん 2014-09-11 23 15 02 両方PTにいてもちゃんと出るので心配無用(確認済み) - 名無しさん 2014-11-16 13 53 19 ありがとうございます! - 名無しさん 2014-11-16 15 35 06 水翔の主人公の受け答えでうっかり「知らない」のほう選んじゃって以後一切見なくなったでござる - 名無しさん 2014-11-25 23 13 15 ルーミアは何回でも仲間にできます、ただしそのたびに初期化されます。 - 名無しさん 2014-12-23 14 03 56 ヒールやリカバーのみ入れとけば動かずにその場で回復繰り返す。これを利用して後から仲間になったLV低い&射程短いキャラは穣子の近くに置いとくと回復要塞化して安全にレベル上げられる。敵から離れるはうろうろしちゃって結局はぐれちゃうからね。 - 名無しさん 2015-01-06 02 42 44 好きなキャラがなかなかでないって人は魔理沙に話しかけるのを後半にまわすのもありだね、ラスダン行く時点で40人集まって無い場合もある。 - 名無しさん 2015-01-07 10 57 53 Ver1.4のクリア後だけど、茉理出現時はアナウンス鳴らないみたいね。星蓮船即撤退で右上端に茉理の髪の毛が写っているか確認するのが一番簡単だわ - 名無しさん 2015-04-04 02 16 48 2人でクリアー可能なキャラって響子とメディスン? - 名無しさん 2015-09-03 23 02 29 永琳か茉理を含めて5人はいないといくらなんでもキツいと思う。全パラメータカンストだとしても、2人だけだと防御無視超火力の空が出た時点でゴリ押されてあっさり終わる。少人数の特権(?)のヒット&アウェイで行こうにも、その2人の固有スキルは射程が短いから効果が薄いし - 名無しさん 2015-09-04 11 54 52 空はHPカンストすればいけるが、魔理沙でやられる。 - 名無しさん 2015-10-03 23 55 35 ステンレスの服+神回避の腕輪×2で回避ゲーってのも以外とありやで - 名無しさん 2015-10-04 10 11 53 一応、報告。響子とメディスンの2人でラスダンクリアー可能。攻撃最強はメディスンのような気がする(ver1.4) - 名無しさん 2015-11-15 15 43 17 水翔の主人公は幽香とフランを仲間にすれば出現確率が上がり他のキャラで確率が下がると思われ(幽香とフランは単体でも大丈夫) - 名無しさん 2016-03-25 10 49 34 多分最初の確率は0でどちらかを仲間にした場合0パーセント以下にはならないと思います - 名無しさん 2016-03-25 10 51 10 khf - kg 2016-05-14 09 02 19 お金稼ぎにいい場所ってありますかね? - 名無しさん 2017-07-01 21 44 15 名前 全てのコメントを見る ▲ページ上部へジャンプ
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645 名前: VIP足軽s 投稿日: 2006/11/21(火) 00 33 02.32 ID mx/LVJry0 残った戦車3台は1km程後退すると、申し合わせたかのように停車した。 そして突然、ライ機の方向に前進を始める。 「何だ? 戦車で特攻のつもりか!?」 ライがそんな事を呟いたちょうどその時、ライのソナーに新たなる敵影の姿が映った。 それは丁度ライ機の両側から、ライを取り囲むように現れた援軍だった。 左翼、右翼の援軍共に数は10。 「罠かっ!!」 そう叫ぶと同時に目の前に前進してきた3台の戦車を一気にヒートサーベルで破壊する。 そしてとっさに右翼に現れた新手に狙いを変え、その部隊めがけて突撃を始めるライ。 しかし、ライ機の武装はヒートサーベルのみ。 もはやフレンの援護射撃も無い。 回避運動を取りつつ、機体を前進させるが、10台の戦車の射撃を避けきれる筈も無かった。 ライの機体を61式戦車の砲撃が容赦なく襲う。 「グッ! クソッ!!」 そう言いながら、必死にコックピットの揺れを堪える。 そして瞬時に機体の損傷状態の情報を表示させた。 「この損傷度ならまだいける!」 右翼の増援部隊まで残りの距離800m。 これなら、ギリギリ取り付けるはずだ。 だが取り付けたとして、その後はどうする。 左翼の部隊は? そんな考えが一瞬で頭の中を駆け巡るったが、ライは「ええい!」と怒鳴ってそんな不安を吹き飛ばした。 670 名前: VIP足軽s 投稿日: 2006/11/21(火) 00 56 14.06 ID mx/LVJry0 「目の前の敵をぶっ倒す。それだけだ!!」 言うと同時、ライは操縦桿を大きく倒す。 ライ機は更に被弾を受けながらも、機体運動やマニュピレーターによる防御によって致命的なダメージを何とか避ける。 おかげで武装していない方のマニュピレーターは完全に破壊されたが、そんなことにライは構わなかった。 あと100m……50m。 「うおおおおおおおおおおおお!!」 そしてとうとう戦車部隊に辿りつき、前衛の戦車を切りつける。 だが切りつけると同時に、ライ機は脚部に戦車の砲撃を喰らってしまった。 ライのコックピットのモニターに警告音と共に『ホバーユニット損傷』の文字が映し出される。 「なっ! ここまで来て!」 機体操作を試みるライ。 しかしドムは彼の思うようには動かなかった。 一斉にライ機に砲撃の照準を合わせようとする61式戦車。 「く、くそおおおおおおおおおおおおおお!!」 ライはそう叫んだ。 死ぬ。 そう思ったときだった。 すんでのところで、フレンのドムが連邦の戦車達を薙ぎ払っていた。 「大丈夫かライ!?」 61式戦車を破壊しながら、フレンはそう声をかける。 「クッ……すまねぇ」 「損傷率は?」 「右足のホバーユニットが完全にイカレちまった」 そう言って悔しそうに歯を食いしばるライ。 674 名前: VIP足軽s 投稿日: 2006/11/21(火) 00 59 05.96 ID mx/LVJry0 それはつまりライはもうここから動けないと言うことだった。 そしてフレンもライ機防衛の為にここを動けなくなったのだ。 右翼の増援部隊はフレンが全滅させたものの、連邦の戦車部隊はまだ最初の部隊が7台残っており、左翼の増援部隊も10台丸まる残っている。 それに対してジオン側のマゼラアタックは完全に沈黙。 連邦の残存戦車部隊の7台は13基地への進撃を再開し、左翼の増援はフレン達に向かって前進してきた。 ライ達の防衛線は突破された。 「畜生!」 悔しさのあまりコックピットの側壁を叩きつけるライ。 「大丈夫だ。まだマグ達がいる。それにのび太君だって」 そう言うフレンだったが、今の状況はかなり厳しかった。 向かってくる戦車10台をヒートサーベル一本で返り撃つ。 それもライ機体を庇いながらである。 フレンは額に汗を垂らしながらモニタに映る敵を見据えた。 704 名前: VIP足軽t 投稿日: 2006/11/21(火) 01 29 36.22 ID mx/LVJry0 ライが敵にホバーユニットをやられ、フレンは一人で10台の戦車を倒さなければならない。 のび太はそんなフレン達の姿をずっと眺めていた。 このままではライもフレンも死んでしまうかもしれない。 そう思うとのび太の体の震えが止まらなかった。 「なんで、なんで戦争なんか」 一人そう呟くのび太。 なぜ皆殺しあう必要がある? フレンやライ、いや、この世で戦う兵士全員が誰かに殺されなきゃいけない理由でもあるのか? 殺さなきゃいけない理由があるのか? そんなことを考える。 だがそんなのび太のコックピットにフレンの声が入ってくる。 『うおおおおおおおおお!』 フレンは確かに戦っているのだ。 戦う理由、その本来の理由なんてのび太には分からない。 でもフレンが戦わなければライが死ぬ。 そしてのび太が戦わなければフレンもライも死ぬかもしれなかった。 のび太の心臓の鼓動が早くなる。 死ぬのが怖い? 人を殺すのが怖い? 707 名前: VIP足軽t 投稿日: 2006/11/21(火) 01 30 24.90 ID mx/LVJry0 そしてフレンの死は、のび太にとって最も恐ろしいものなのだ。 のび太が戦おうと、逃げようと、連邦の戦車部隊は全力でフレン達を殺しにかかる。 いやきっとフレンだけじゃない。 ダディや科学者達、基地の人たちも殺されるに違いない。 それでものび太は敵を殺したくは無い。 でものび太は仲間を守りたかった。 のび太のコックピットにフレンの苦しむ声が聞こえてくる。 頭の中にフレンが優しくしてくれた時の記憶が蘇った。 手遅れになる前に助けなければ。 そう決意するとのび太はフレン達の居る方向に向かって、最大速度でドムを走らせた。 殺す理由を見つけたわけでは無かった。 ただ守る理由だけがそこにあった。 それだけで人は戦えるのだ。 いや、だからこそ人は戦える、なのかも知れない。 少なくとも今は、殺す罪を問うべき時ではなかった。
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友人にこれ読ませたら「厨二病乙」という新しい四字熟語を作ってもらった 最近バッカーノ!見てハマった。 面白いぞ。 LAP29 視点を咲夜に転換してみるとこの物語の世界観が変わったと思うんだが 「これはどういうつもりかしら」 私は精一杯怒っている声を出してリュウに問い詰める。全てを吐き出させるために。 誰だって怒ると思うわ。 まさか、紅魔館の鍵がちゃんとしまっているか確認を取ろうと門まで言ったら、リュウが他のF-FIREパイロットと話をしているのよ。 そして、急に黒いマントを着た男がF-FIREコースを出現させ、リュウがその男の挑戦に乗った。 もし、その男がもうすこし現実味というか、一般的な雰囲気を醸し出していたのなら私もこんなに本気になって止めはしないだろう。 むしろ、彼を歓迎するべきである。リュウの友人となれば、それは警察に関係する肩書を持つ人物か、或いはとく常識を理解している人に限るだろう。 しかし、事態はそこまであまくなどなかった。 男は全身黒ずくめなのだ。おまけに、顔にまで黒いマスクを着けている。 そして、彼から感じられる雰囲気を私は安楽視することができなった。 あの時、門と私には結構な距離があったはず。それにも関らず私は彼の殺気を感じ取ることができたのだ。 それに、リュウが振り返って紅魔館にはいるときの表情には、緊張が走っていた。 もし彼がリュウの知人だとしたらリュウは肩を組むか何かをして一緒に紅魔館にはいり、すぐさまお嬢様に同居の依頼をするだろう。 それなのに、リュウのあの時の表情は、あの周囲だけでなく紅魔館の庭全体の雰囲気さえをも緊張の一色に染め上げてしまうほどにピリピリしていた。誰が見てもリュウの身に何かしらの危険が迫っていることは勘づく。 しかし、リュウは全く引く姿勢を見せない。 「咲夜。これは俺の問題だ。今回だけは譲れない」 その目はかなり真っ直ぐだった。一瞬言葉に詰まるが、ここで引いてしまっては意味がない。私は私なりの意地を忘れずに声を張る。 「許さないわよ。勝手なことをするのなら、私が止める」 私は何としてもリュウを止めようとしていることをアピールする。が、 「なら、俺は強行突破をするまでだ」 私の脅しにもリュウは目を輝かせて動じない。 なんでこんなに燃えているのかしら。私はあなたの命に危険が迫っていることを察知し、あなた案じて忠告しているのに、リュウは全く聞く耳を持たない。 「お嬢様も怒っているわ。リュウに勝手な真似をさせないように私が命じられているの」 あまり言いたくなかったけれども、しかたなくお嬢様のことを口にする。さっき、お嬢様の元に言ってどうするか聞いて来たのだ。 さすがにこれにはリュウも戸惑った様子だ。 「げ…マジかよ」 リュウは腕を組んで唸っている。 「だから、一度お嬢様に…」 私はこのままリュウを止めようとしたが、 「駄目だ。今は時間がない」 リュウは戸惑った様子を見せたものの、やはり態度は変えない。 「どうして…どうして命令を無視するまでレースをすると言い切るの?」 すこしだけいらっと来てしまった私は、リュウに言い寄った。私の言葉にリュウが言い詰る。 「お嬢様も私も、あなたの身を思って言っているの。なんで理解できないの?」 しばらく部屋の中が沈黙に包まれる。私は問いかけた。次はリュウがこたえる番だ。 丁度刻は本格的な夜を迎えようとしていた。 暖房が入っているこの部屋でも、冷気が隙間から押し寄せてくる。 少し肌寒いのは毎年のことだから問題ないが、空気が冷たいと空気はそれだけきれいになるというように、夏よりも無数の星が輝き、月により明るさをもたらしていた。 が、それも西からの風に乗ってきた雲で間もなく覆い尽くされてしまう。 しばらく間が空いたのち、リュウが口を開く。 「俺にとって、F-FIREは俺なんだ。俺からF-FIREを除いたら、何も残らない」 リュウはまるで、人生の大切な決断をしているかのような重い声で言葉を発した。 「そんなことはないわ。あなたは他のものがあるでしょう」 私は、出来るだけ今回のレースの挑戦をあきらめてもらうためにリュウの言葉をフォローしつつも否定する。 が、いままで足元を見つめていたリュウは突如顔をあげて私を一直線に見た。その目は、本気だった。 そして、リュウはまるで小さな子供にやさしく語りかけるように話しだした。 「俺がF-FIREパイロットをやっている理由が二つあるんだ。一つはもちろんF-FIREで優勝すること。これは、俺だけでなくF-FIREパイロット25人全員に言えたことで、優勝についてくる賞金とか、優勝することで名声があがるとか目的は様々なんだけど、それは全部優勝することで手に入れられるものなんだ。だから皆F-FIREに参加するし、テクニックの向上を日々おこなっているんだ。まあ、当たり前の話だわな。でも、俺には他の連中にはないもうひとつ理由がある」 「え?」 「咲夜、お前は何だと思う?」 急に問いかけられて言葉に詰まる。そんなもの、急に聞かれても思いつかない。 でも、私は考えても答えを導き出すことはできなかった。 レースに出てる限りは皆優勝を狙っている。そのことはさっきリュウが言ったことと重複するが、その目的を持たないでレースに出る人間は一人としていない。 仮に優勝が目的ではなく、誰かのアシスタントとして出たという人間がいても、心の奥底には優勝したいという、レーサーならだれでも持っている欲望があるはずだ。 しかしそれをひっくり返して考えれば、レーサーがレースにエントリーする理由はそれだけであり、それ以上でもそれ以下でもない。 だからレーサー達は日々ドライビングテクニックを磨くし、基礎知識、基礎体力を養うためにも努力している。 そして、レースを見に来る人たちも優勝を狙うレーサー達のデッドヒートを見て歓声をあげる。そうしてレースは初めて娯楽に変わる。 レースというものはそういう目的にあるものじゃないのだろうか? 「思いつかないみたいだな…」 「う…」 言葉に詰まる。 結局答えを出せなかった。私の頭では、そういう固定観念が宿りついていた。 だから、リュウが言った答えがレースとは全然関係がなかったことを理解するのにものすごく膨大な時間を必要とした。 「俺のもう一つの理由、それは皆が安心して暮らせる社会を作るためなんだ」 「え…?」 思わず素っ頓狂な声を上げる。 私には理解できなかった。その答えとレースがどう関係するのかと。それもそうだ。その理由は、私の頭の中ではすでにレース=娯楽という揺るぎないであろう先入観があったからにすぎない。 リュウは天井を見上げながら一つため息をついた。そして、目を閉じて、こう語りだした。 「俺が住んでいたトレイキョウは、銀河一発展した都市だった。町中がビルの塊で、夜も昼のように明るかった。文明もすごく発達していて、住民が不便と思うようなことは何一つとしてなかった。以前はその影響で交通機関の混乱とかもひどかったけど、いまではもう完全に解消された。もし、外の世界から見たらトレイキョウは平和な世界だったと思うだろう」 全くもってその通りである。幻想郷の生活しか覚えていない私は、文明が発達しているトレイキョウを文献で読むたびに羨ましがっている自分の姿を思い出す。 いつかあっちの世界に行って便利なものを扱ってみたいと何度も思った。にとりの発明機具よりもはるかに手際がよく、安全な機械がたくさんあるのだろう。 が、リュウは天井を見詰めたまま言葉をつづけた。 「でも、それでもトレイキョウが平和というには条件が足りなすぎた。いや、その十分すぎる条件を打ち消す恐怖があったというべきか」 「そんな恐ろしいものがあったの?」 私は疑問に思った。そこまで文明が進んでいるのなら、その恐怖を文明と文化の力で無くせばいいのではないか。 「……そっか。まだお前には俺が向こうでどんな生活を送っていたかを話してなかったな」 ようやくリュウは天井から私に視線を戻した。そして、また語りだした。 それはリュウがトレイキョウにいたころのあまりにもひどい話だった。 トレイキョウの文化と文明が持てるすべての力を発揮しても倒せないデスシャドーの存在を、私は知ったのだ。 彼がどれだけトレイキョウで暴挙を働いていたか、彼を封印するために俺達ジャスティスウィングが召集、結成されたこと、そして、リュウがどういういきさつでこの世界に飛ばされたかを。 リュウの話を聞くごとに私はやはり幻想郷にいたいと思い始めた程恐怖を感じていた。 よく物語とかで正義のヒーローと悪の帝王が戦うアクションファンタジーの物があるが、本当に実世界でもそのようなことがあるとは思いもしなかった。 あんなきっぱりと枠組みが決められる様なストーリー程ではないが、少なくともジャスティスウィングは「正義」、グラックタイガーは「悪」であろう。 が、大概そういう小説は正義のヒーローのパワーが悪の帝王のパワーと同じ、またはそれよりも大きいという裏設定が欠かせない。 そうでなければ正義のヒーローは倒され、悪が世界を支配する、いわゆる「バッドエンド」が待ち受けているからである。 しかし、リュウの話を聞いていると、果たしてブラックタイガーとジャスティスウィングのパワーの差は幾倍でどちらの方が上だろうか。 ブラックタイガーの方が3倍近くジャスティスウィングよりも強いことは容易に想像できた。 ほぼ不可能に近い実力差。それを目の前にどんとみせられても、いつか来るはずの勝利の日を待ってジャスティウウィングのメンバーに拍手を送りたい。 しかし、拍手をするにはまだ早かったようだった。 「まあ、そんなこんなで今俺はここに立っていられるんだ」 リュウは最後にそう言って自身の過去の話を締めくくった。 「で、今あなたが対戦しようとしている男は下っ端か幹部なわけ?」 私は当初の予定を思い出す。 そうだ、リュウをこの危険なレースから除外しなければ。そう思った私は話の焦点をレースに戻す。 しかし、リュウに答えはただ私を驚愕させるだけのものだった。 「デスシャドーだ」 私は固まる。 まだ少ししか話してもらってはいないが、文明と文化の塊のようであったトレイキョウをたった一人で恐怖のどん底に落としいれた恐ろしき人間。それが今紅魔館の門の前にいるというのだ。何をしでかすか分からない。 その名前を聞きおどおどする私の肩に、リュウがそっと手を添えてくれた。そのままリュウは私の目を見ながら話す。 「あいつはトレイキョウだけでなく、ブラックタイガーをいう組織をひきつれてさまざまな強盗、殺人などの悪事を働いている。トレイキョウでも毎日の様に被害者がでているのだ。俺が幻想郷に来た理由もあいつの手下に図られたのが理由だ。スーザンだって、ジャスティスウィングの隊長になってから全く笑顔を見せない。あの男一人によって何億もの人が笑えずにおびえて生活しているんだ。俺は、あいつを始末することが使命だと思っているんだ。だからジャスティスウィングに入っている。そして、それこそがF-FIREパイロットになったもう一つ、かつ真の理由なんだよ」 「……」 私は何も言えなかった。 初めてリュウにあった時のことを私は思い出した。 下の履歴、あまりにメンドイから改造させてもらいました LAP30 大切な事って人にはあまり分かってもらえないものだよね。 あの時、私はお嬢様に紅茶を届けていた時だった。 『いつも御苦労さま、咲夜』 お嬢様はあの時ちょうど呼んでいた本を読み終えていたところだった。私は、お嬢様の近くの机に紅茶を置いて、 『失礼ながら、それは何の本ですか?』 と尋ねたのを覚えている。 なんせ本の端が焼け、刷られた当時は綺麗な黒だったと思われる表紙・裏表紙・背表紙は、色がはがれていたり埃が付いていたりなどをして白くなっているのだ。 私がその言葉を発したのは、お嬢様がそんな古い本を呼んでいるのを見て、とても珍しく思ったからであった。 お嬢様は机の上に本を置きながら、 『これは向こうの世界…幻想郷じゃない、現世で書かれた本よ。ここには、向こうの世界の中心地であるトレイキョウという都市とかの説明が書いてあるわ』 と言った。置いた本の下からはわずかながら埃の煙が立っていた。 『なぜ、そのようなものを読んでいるのでしょうか?』 幻想郷の住人ならだれでもこういう質問をしたであろう。私も例外ではない。そんないきなり向こうの世界のことを調べだしたら、だれでも動機は知りたくなる。 その時、確かお嬢様に渡した紅茶は少しだけ砂糖を控えた記憶がある。その日の夕食の終りにいつもより甘いデザートを出したからである。 その紅茶をお嬢様がのんだから顔をしかめたのか、考え事をしてしかめたのかは今でも分からないが、確かに私がそれを言ったあと、お嬢様は顔をしかめた。 そして、何か唸るような声を上げた後、顔を元に戻して、 『実は、気のせいかもしれないけれども誰か向こうの世界から人間がこっちに漂流してくるような予感がするのよ。そういう運命を感じるのよね。その人間は一見普通の人間。だけど、その人間はタダものじゃない。私たちみたいに固有の能力を持っていて、さらに仲間や自分が真にピンチになった時に覚醒するような、とても強い人間だと思うのよ。その人間は向こうの世界で神がかった功績をいくつも立てて、将来の目的も非常に大きくとっている。その人間は、たぶんこの幻想郷に新たな伝説を作るわ。まあ、その人間がもし本当に来たときのために、少し予備知識をつけておこうかと思ったのよ』 と言った。 そして、お嬢様の予言通りトレイキョウからリュウが漂流してきた。そして、これも予言通り、今聞いた話を聞く限りリュウはタダものじゃないことが分かった。 リュウは、語りの締めをこれでくくった。 「だから、俺は誰が何といおうともあいつは倒す。そして、機会を作るためデスシャドーがでるレースには必ず出る。それが俺の使命、義務、そして生き様だと思っている。そして、世界を平和にしてスーザンに笑顔をプレゼントしたい。これで、理由になったと思うが、どうだ」 そして、リュウは腕を組んで壁にもたれかかった。あとは私が何というか待つという意思表示だろう。 でも、いくらタダものじゃないリュウだって、しばらくレースをしていなければ腕が落ちているのは当然のこと。やはりリュウに危険が迫っていることに変わりはない。 私はやはりリュウを止めることを試みることにした。 「でも、お嬢様が制止しているのよ。私にも意地が…」 「咲夜、やめなさい!」 私の言葉は、怒鳴り声に遮られた。とても鋭い声だった。 振り向くと、私やリュウよりももっと真剣な表情のお嬢様が立っていた。 「……」 お嬢様はそれ以上何もいわずに、その赤い瞳でリュウをきつく睨みつけている。が、リュウも引く気はないようで、覚悟を決めた目でお嬢様を見つめ返していた。 やがて、リュウはこの沈黙を破り、 「お嬢様、申し訳ありません」 といいながら深々とお辞儀をした。 「そう、それでも反抗するのね」 リュウが頭をあげると、厳しい表情は崩さずにお嬢様が怒りの感情がこもった声を発すが、 「これだけは譲れません」 再びリュウはお嬢様を見つめ始めた。 リュウとお嬢様の長い長いにらめっこは、当然のごとく辺りを重い雰囲気にしていった。 お嬢様とリュウの睨みあいを止めるわけにもいかず、他の話題を提供することもできず、私はただ二人の睨みあいを見ているしかできなかった。 窓の外は、完全に暗闇になっていた。さっきまで見えていた無数の星は、西から流れてきた雲で覆い隠され、月明かりもなくなった。 外はただ、20分ぐらいまえに浮き出たレースが、レース脇のガードビームが発している青白い光に照らされて不気味に浮いているだけだった。 二人はそのまま3分ほど睨みあっていたが、急にお嬢様が腕を組み、下を向きながら大きくため息をついた。そして、一言こうつぶやいた。 「……レースが終わったら重罰ね」 長い沈黙の末、お嬢様が折れたのだ。私は思わず、 「お嬢様、でも…」 といいかけるが、お嬢様に手で制された。 「分かっているわ、咲夜。でも、リュウは絶対にとまらないわ」 私にそう言うと、厳しい声でリュウに話しかける。 「あなたはこれでペナルティがついたわ、次の命令を聞かなかったらただじゃすませない」 リュウは真顔の表情をぴくりとも動かさずに 「なんでしょう」 と言う。 すると、お嬢様は急に真剣な顔を崩し、いつもお嬢様がみせる微笑に変わった。 そして、とても優しい声(正直言わせてもらうと、ここまでのお嬢様の優しい声はいままで聞いたことがなかった)で、 「必ず……勝って帰りなさい」 と語りかけた。 お嬢様の言葉にリュウも真剣な顔を崩して笑顔を見せた。 「あ……ありがとうございます!」 そして、弾んだ声でお礼を言いながら深深とお辞儀をした。 「礼を言う場面じゃないわ。達成できても命令無視のペナルティはしっかり受けてもらうんだから」 「必ず、勝って見せましょう」 リュウは血気盛んになってきた。 もうどんな人間でリュウを止めに言ったとしても、この熱い漢を止めることはできないだろう リュウが一礼して部屋を走って出ていく。私はその背中を目で追っていたが、 「手のかかる執事だわ…全く」 お嬢様はため息まじりに言って、リュウの走りさっていく背中は全く見ていなかった。 「お嬢様……あれでよかったんですか?」 私は不安になってお嬢様に問いかける。 私の意見は、間違っていなかったとおもう。 リュウに危険が迫っているのは確かなのに、それを知っているお嬢様はなぜリュウにレースを許可したんだろうか。 「リュウはレースの腕が落ちているはず…」 お嬢様は少し黙った後口を開いた。 「私、リュウの運命を見たのよ。彼はこのあとずっと闘い続けるわ。あの男と」 お嬢様はそう言ったあと、視線を私に向けた。 さっき、リュウに優しく語りかけていた時の目とどこかしら似ているように見えたのは気のせいなんだろうか。 「それは…」 「私がなぜリュウにレースを許可したか、あなたにはわかるかしら?」 少し考えてみる。お嬢様はリュウの全てを知っていたのだろうか。それとも、対戦相手であるあの男のことの方を知っていたのだろうか。 いずれにせよ、私に答えを導き出すことはできなかった。 「いえ……」 私は力なく首を振る。と、お嬢様はふふっと微笑し、 「リュウがF-FIREに全力を注いでいたことに何の偽りもないことはまぎれもない事実。リュウがあなたに言ったこともすべて本当だと思うわ。さて、彼がブレイクダークのメンテナンスを怠った日がいくつあったかしら?」 お嬢様のその質問に私はハッとした。 前からそうだった。リュウは執事として一切の仕事を的確にこなしていった。その作業の手際の良さは他の妖精メイドとは比べ物にならないほどであったと思う。 しかし、1パターンだけリュウが執事としての仕事を捨ててまでも、自分の寝る時間を削ってまでも自分のしたいことを貫き通したものがあった。 いうまでもない。ブレイクダークのメンテナンスだ。 私が見ている限り、リュウはブレイクダークのメンテナンスとしてさまざまなことをしている。 マシンの心臓部(エンジン、ハンドルの配線、ボディの傷のチェックなど)の確認をし、試運転をしたのちに、マシンを磨き上げる。 リュウ曰く、白っぽいボディだからすぐ汚れが目立つのだそうだ。 それを入れても、晴れの日のブレイクダークは直視できないほどに太陽の光を反射して光り輝いていた。それだけリュウはブレイクダークを磨き上げていたんだ。 どうしてブレイクダークのボディがそんなにきれいなのか。 それこそいうまでもない。リュウが毎日毎日休むことなくボディを磨き上げているからである。 それほど、リュウにとってブレイクダーク、いや、F-FIRE自体が向こうの世界にいた時から密接にかかわっていたのだろう。 まるで、私にとってのお嬢様、またはそれ以上に。 「ない…と思います」 頭の隅から隅まで見まわしたが、そのようなものは一切記憶として残っていない。当然だろう。ない記憶は頭の中に入っていない。 再びお嬢様が話し出す。 「あの子にとってF-FIREは生き様といっていたけど、もっと言葉にできないほど彼とF-FIREは親密な関係だと思うの。だから、あんなにデスシャドーという男に執着だし、F-FIREのことになるだけであんなに情熱的になれると思うの」 「……」 返す言葉がない。真実以外の何物でもないからである。 「それに、まだリュウには死相が見えないしね。大丈夫、生きて帰ってくるわ」 私はその言葉でほっとするが、それでもまだリュウがなぜそこまでしてF-FIREと密接な関係にならざるを得なかったのか、それとも密接にかかわろうとしたのか、理解できなかった。 彼が目指しているものも含めて。 お嬢様がリュウに部屋に置いてあったソファに腰掛けて、 「まあいいわ。私はレースの様子を見守るわ。あなたはどうするのかしら」 と私に問いかけた。 私は、今までこんなにリュウがこんなにかけ離れた存在にしか感じることが出来なかったことがないほどに、リュウが遠く感じた。 何か、私とはスケールが違う願望を抱き、それに向かって羽ばたこうとしている。なら、私がリュウにしてやれることは何なんだろうか。 それにはまず、リュウが何を目指しているのか、知る必要があった。それは、リュウのF-FIREのレースを見ればヒントのカケラぐらいは落ちているだろうかと考えたきっかけというか、理由でもあった。 「お供させていただきます」 私はそのように考えてから、お嬢様に一礼する。 「よろしい」 この疑問は、いつかリュウに聞こう。そう思った私はお嬢様についていくことにした。 wordで完成したところはすべてあげました。 これから更新速度が落ちます。 すいませんね LAP31 男が世間にどう評価されるかってやっぱ生きざまが大切だよね 「待たせたな!」 俺はブレイクダークをレースのスタートピットにつけて、デスシャドーに声をかける。 俺は咲夜とお嬢様に話をした後、人生で一番のスピードでブレイクダークの元へ走った。そして、きっちりマシンのセッティングを終わらせたのち、これまた人生で一番のスピードでブレイクダークをかっ飛ばしたのだ。 さすがのデスシャドーも俺の搭乗時のスピードに唖然としていたようだった。まあ、それでも全く問題はないのだが。 「随分と準備に手間がかかったようだな、リュウサトウ」 不気味に白く光るマシンを横目で見ながら、俺はマグネット越しに聞こえてくるデスシャドーの返答を聞く。 しかし、この緊張感は懐かしいったらありゃしない。なんだ?実に1年ぶりのレースってことになるのか? というか、1年をレースをしていなかったという事実の方に俺はびっくりするね。あんなに毎日向こうにいた時はブレイクダークをかっ飛ばしていたのに、幻想郷に飛ばされて以来は確かに移動手段以外には使っていなかったからなぁ。 「わりぃ」 余裕の笑みを浮かべて俺は返答する。と、それに気が付いたのか、 「ほう、随分とやる気ではないか」 とデスシャドー。 「ひさびさにあんたと対決できるんだ。燃えてくるぜ」 気がつくと、俺の声は向こうの世界でのレース直前のようなはしゃいだ子供のようなはねた感じはなく、冷たく、低く、しかしかすかに余裕と情熱が感じ取れるような感じになっていた。 それに、声だけじゃない。体がすごく慎重になっている。 向こうじゃあとび跳ねたり駆け回ったりして情熱の半端なさを体中でアピールしていたというのに、どうしたんだろう。 まるで、因縁の敵のアジトに潜伏しているかのような感覚だ。 慎重で、落ち着いていて、でもそれでいてある目的を狙う情熱もある感じだ。 なんだろう。この感覚。 向こうの世界でのF-FIREじゃあ控室で雄叫びをあげるほど気合を入れてレースに臨んでいた。 一番最初に叫んだときはF-FIRE運営委員会に近所迷惑になるからやめろと一喝されてしまった、いまでは笑って話せる思い出があるが、そうでもしねぇと俺は体の芯まで気合いがしみこまねぇらしい。 まったく、なんてめんどくさい体質だろうか。 わざわざ気合いを入れるために叫ぶなんて、まるで野生の狼か何かみたいだ。 まあたしかに、F-FIRE優勝という最上の獲物を目の前にして猛スピードで駆けていくその姿は、腹をすかした狼そのものだな。我ながら愚問を考えたものよ。 しかし、今はそんな感じじゃない。 自分でも驚くほど心が冷たい。 でも、心の芯は情熱をやる気でいまだかつてないほどの高熱に達している。自分の皮膚のあたりは落ち着きと慎重で重いが、その下は重力を感じさせないほどに熱く、軽快だ。 そうだ。俺はこういう感情に当てはまる単語を一つ知っている。この言葉はスーザンに言われて、聞いた当初はその言葉の意味がよく分からなかった単語だ。 ―――――「漲る」 と言っただろうか。 「その余裕がいつまで持つか、楽しみだ」 そんないつもと違う俺の様子に期待しているのか嘲笑っているのか、デスシャドーもいつもより随分と高いトーンでお話をされる。 「そのセリフ、そのまま返してやるよ」 まあ、俺もデスシャドーのようにテンションは右肩上がりだがな。 信号が前に降りてくる。滾る気持ちを抑え、信号に集中する。 ああ、懐かしい。この感覚は、向こうでは嫌というほどに感じていたなあ。レースがない日でも、ジャスティスウィングの毎日の訓練で、仲間とレースをしていたからだろう。 しかし、幻想郷に来てからはこういう緊張感に包まれた感覚とはご無沙汰していたからなあ。当然だろう。懐かしいと感じるのも。 おっと、感傷に浸っている暇はない。久々のレースでうれしいっちゃあ嬉しいが、さすがにメンテナンスで走るだけでは俺のレースの腕はキープできないことは重々承知している。 たぶん、俺が一番そのことについて知っているだろう。その状態で、向こうでレース漬けの日々を送っていた時代でもなかなか勝つことのできなかった難敵が相手だ、負ける気はさらさらしないが、勝つ予感はあまりしない(どうか、日本語になってないといった要旨の突っ込みは控えて頂きたい。俺だって必死に考えたんだ)。 それに… 『Three』 あからさまに機械に発音させた無感情な声とともに信号の三つの画面に『3』の字が浮かび上がる。 いよいよなんだな…一年ぶりのレースが、こんな辺鄙な幻想郷に突如現れた不気味なレースで、対戦相手がデスシャドーのみという異様な環境でスタートするんだな。 そういう風に自分に認識させると、いよいよ俺もわくわくしてきた。 楽しませてくれるんだろうな、デスシャドー。俺が向こうの世界でF-FIREのコース上で暴れていた、あの頃の情熱的な気持ちと再会させる懸け橋になってくれるんだろうな? 『Two』 信号の表示が『2』に変わる。 まさか、こんなところで一発レースが出来ると思わなかったぜ。 こんな辺鄙なところじゃあ、コースのレイアウトが全く取れなかったからなあ。見渡す限り怪しい森におおわれているんだから。 それが、この突然の来訪客によって実現したんだぜ?自分の幸運さというか、F-FIREと俺の関係の強さを思い知ったね。 『One』 今、俺は人生で一番自信過剰になっているだろうね。 自分はF-FIREのパイロットとなるために生まれてきた。自分が生まれるためにF-FIREができた。今なら自分こそがF-FIREの神様に選ばれた真のパイロットだという風にも思えてならないね。 この世界が俺中心に回っているという言葉を真顔で言えといわれても、俺は二つ返事でこなすだろう。 もう、デスシャドーに負ける気などさらさらなかった。勝つことしか頭の中になかった。 ああ……これが、いままで忘れていた、レース直前の俺なんだろうか。 『Go!!!!』 激しい怒鳴り声と共に、信号機がこれでもかというぐらいに緑色に光った。 「いっくぜえええ!!!!」 俺は我慢していた気持ちを一気に放出する。そして、壊れんばかりにアクセルを踏み込んだ。 久々のレースだ、派手に暴れてやろうじゃないか!!!! え?何?短い? すいませんとしか… LAP32 レースってやはり根性と気合がないと勝てないよね 俺はアクセルから足を離さない。それに従い機体のスピードも上がってくる。時速500km、600km、700km… これだよ、これ!この感覚!実に一年ぶりになるが、この機体が加速していく時のこの感覚にあこがれて俺はF-FIREパイロットになったんだよ。 この感覚を俺は忘れていた。だから、今この感覚が身には過ごす新鮮に感じられた。頭の中の俺も、久しぶりに味わうこの感覚が、今の俺にはたまらなかったようだった。 「さあ、祭りの始まりだ!」 俺にとってはこのレースはとても貴重な体験だった。 F-FIREの腕が相当落ちていると思われる時期にこのような大敵と対戦できること。俺はすごい奴と対戦することが大好きだということを今俺に実感させてくれた。そのたびに心の底から漲る力を感じることができるのだ。 ブレイクダークの調子も非常に良好だった。いや、いつもでは考えられない調子の良さだった。 いくら最高速重視マシンでも開始早々時速1000kmを超えたのは初めてだ。ブレイクダークも相当レースに飢えてきていたのだろう。 しかし、相手も強敵だ。レース直後のカーブでいきなり抜かされる。 相手はF-FIREエントリーマシンで最高重量のマシンを自在に操れる。重いマシンというのは旋回能力が非常に悪い代償に最高速、加速ともに高い能力を誇る。それに、デスシャドーにはグリップEかつ最高重量というハンデを補えるほどのテクニックを持つ。つまり、デスシャドーが乗ったブレイクダークというのは、加速、最高速が非常によく、カーブもきれいに曲がれるという鬼蓄な性質なのだ。 そして、ジャンプ台でも最高速の差は歴然と表れてしまう。さらに差を開かれてしまった。 「くっ…さすがにきついか…」 どんどん差を開かれていく状況に少し焦る。さすがに、今の俺の腕じゃああいつと肩を並べることもできないか… いや、しかし、まだ緩いカーブとジャンプ台しかコースを通っていない。いくら腕が落ちているとはいえ、これくらいなら昔の俺くらいの速さで走れる。 じゃあ、なんだってデスシャドーとこんなに差が開いちまったってんだ。ブレイクダークのせいか?いや、そんなことはない。今日のブレイクダークは怖いぐらいに絶好調だ。さっきも言ったとおり、最高速マシンでもブーストをかけずに時速1000kmだすことは奇跡に近い。 なのに、今日のブレイクダークは出てしまうのだ。じゃあ何が原因だ?やはり、デスシャドーが強いのか。俺と対戦しない間に腕を上げたのだとしたら、相当鍛えたのだろう。 いや、そんなことを考えている暇があるなら、この状況を打開する方法を考えないと。このままだとまずい。 そう、ジャンプ台を超えた後は細かいカーブの連続。ブレイクダークの場合グリップがBなので非常にスラリと通ることができる。 ただ、この程度のカーブならデスシャドーも難なく超えてくるだろう。多少は減速しなければならないとはいえ、ここでまた差を開かれるわけにはいかない。 「さすがにやるな…」 俺は何とか打開策を頭の中で煉る。だが、頭のどこの引き出しを引いてきてもそれはすべて外れに終わってしまう。 デスシャドーがどこかで大きなミスを犯してくれないだろうか。そうでもしない限り、この状況を打開するのは難しい。 いや、敵に期待をかけても意味がないことは分かっている。しかし…じゃなかったら何かいい案があるのか。開始早々窮地に追い込まれた俺は早速焦りまくる。 しかし、それは杞憂に終わった。 理由?俺の願いが、天に瞬いているはずの星に届いたとでも言っておこうか。今は雲で覆われて全く見えないけどな。 細かいカーブが終わった先は直角のカーブが待ち受けていた。コース自体が非常に狭く、細かいドライビングテクニックが要求されるこの場面では、いくらデスシャドーが乗るエンドレスフィアだとしても減速せずに通過することは不可能。 確実に減速して入るか、壁に当たってコース取りを取るかの選択を要求されるだろう。ただ、どちらにせよグリップBのブレイクダークに比べたら不利なはずである。 案の定俺が直角カーブに入りかかるところでブレイクダークが壁に当たって減速しているところも目撃する。 「もらったぁ!」 俺は、しめしめと心の中で思うと、ここで一気に放せると思い、ブーストを仕掛けて一気に抜かそうとする。 が、ここには遠くから見ていたら絶対に分からない罠があった。 道全体がスリップゾーンなのだ。何も知らないでブーストをかけて、時速3000kmあまりで差し掛かった俺は当然ながら焦ってブレーキを踏む。 しかし、スリップゾーンではその指示もむなしくブレイクダークは壁に激突する。 「ぐっ…」 そうか…デスシャドーはこれを知っていてわざとかなり減速してこの曲がり角に差し掛かったのか。そうでもしなければあそこまで減速しないだろう。 じゃあなぜ、デスシャドーは周りから見ても分からない隠れスリップゾーンの存在を知っていたのだろうか。 ふっ、愚問だな。よくよく考えてみろ。このコースを持って来たのは誰だ?誰がこの折り畳みコースを作った?誰がこのコースで勝負しようといった? 全部デスシャドーだ。当然、このコースの全形式があいつの頭の中に入っているのだろう。チキショウ。 俺は力いっぱいハンドルをきる。軌道が不安定になるスリップゾーンでは例え横に滑っていたとしてもコースどおりに通っているならばそのまま突進するのが道理だ。 俺はいつか誰かに聞いた、そんな都合のいい道理を今俺の都合のいいように抗って通り、なんとか直角カーブを抜けた。 が、さすがにボディEのブレイクダークにあのピンボールはきつかったか、少しマシンの損害が大きすぎた。パワーが半分を切ってしまった。確かに、あんなに激しく壁に突進したらこれも当然の結果だろうか。 俺は一応直角カーブで抜かしたエンドレスフィアの様子を確認する。 すると、嬉しいことにエンドレスフィアはまだ直角コースの餌食。どうやら重くてグリップEで、かつスリップゾーンときたら、さすがのデスシャドーも苦戦するようだ。 もしこれからまた抜かれるようなことがあったらあそこが抜けるポイントになるだろう。 とりあえず、今はエンドレスフィアと差を広げられるチャンスだ。いけると思った俺はわずかなパワーを使ってブーストをかける。 ここからは直線コースと緩やかなカーブを組み合わせたコースになる。ここである程度差をつけておかないと、ブレイクダークよりも最高速度が速いエンドレスフィアに追いつかれてしまう。 ただ、やみくもにブーストをかけるとパワーが空になってしまう。少し調節しつつブーストと仕掛けていかないとマシン自体が持たない。そう考えた俺は、ちらほらブーストをかけながら時速2000km以上を保って走行する。 この直線コースの間にはパワーポイントが所々に設置されているようだ。だから、当然のことなのだが、このエリアでは回復することができる。 今の俺の状態から見れば非常に助かるのだが、そうそう安心してもいられない状況が俺に迫ってきていた。まあ、鋭い読者なら何が迫って来たのはお察しだろう。 そいつは、影だけでなく音でも俺に迫ってきていた。 ――――ヴヴヴヴヴヴヴ 不気味なエンジン音が後方から聞こえてくるのに俺は今更ながら気づいた。ましやと思ってバッグモニターに目を落とすと、バッグモニターには不気味に白光るマシンが寄ってきていた。 そう、言うまでもない、エンドレスフィアだ。案外エンドレスフィアは早い段階で直角カーブを超えてきたようだ。まだ俺が直角カーブから抜けて20秒しかたっていないというのに… 「何!もうあそこを抜けてきたのか」 てっきりまだ苦戦していると思っていた俺は完全に度肝を抜かれた。やはりデスシャドーは強敵だ。あそこの難コースをこの短時間で乗り越えてくるとは… 「リュウサトウ。まだ終わりではないぞ」 コックピット越しからデスシャドーの声が聞こえてくる。もはや今の俺にはその声を聞くと恐怖すら感じてしまうほどにデスシャドーに敏感だった。 「くそっ、このままだと抜かされる!」 コックピット内で打開策を頭の中で煉るが、何の変哲もない直線コースに打開策が眠っているわけがなかった。そのままあっさりと抜かされてしまう。 「やばい、このままだと負ける!どうすれば…」 しかし、このコースで奴との差を縮められそうな場所は、今のところ小刻みにカーブが襲う直角コースのみ。レース内にして10%しか占めない範囲だった。 おまけに、走ってみるとスタートラインまでは何の変哲もないコース。もろデスシャドーに有利なコース設計になってんじゃねぇかよ! 「くそっ!」 俺はこの理不尽な勝負に今更ながら気づき、苦虫をかみつぶしたような顔をしていたのだろう、髪を掻きあげて悔しがった。 そして、そんな俺の様子を気にかける様子もなく、リードを広げられたままこの薄情なコースは2週目に突入する。 なかなかきびしいレースになりそうな予感がしてきた。 とりあえずここまで更新 最近短めが続くな… 前(Ⅶ) 次(Ⅸ) to HOME
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見所は独特の雰囲気とシリーズ屈指の画力。東方キャラが可愛いのは勿論、主人公のオッサンが渋くてかっこいい。これは間違いなく名作になる! -- 名無しさん (2008-03-10 21 51 43) 他のシリーズには無い渋さが見える作品、もっと見られるべきだと思う -- 名無しさん (2008-03-15 06 19 10) これは名作になる匂いがプンプンするぜ! -- 名無しさん (2008-03-18 15 45 53) 水の音さんverのDMCopに感動した! -- ヴァイロ (2008-04-10 22 19 33) 幻想入り屈指のクオリティで、この更新速度。そして渋いオッサンと、見所満載です。個人的には黒いAQNも好きだぜw -- 名無しさん (2008-04-19 00 11 36) シュプリームとオリゼーが出てくるとは -- (名無しさん) 2008-06-26 01 08 53 魔人探偵脳噛ネウロシュプリームがでるとは -- (名無しさん) 2008-06-26 01 09 58 ドーピングコンソメスープ DCS 検索用 -- (名無しさん) 2008-06-26 01 12 58 オリゼー コンソメ -- (名無しさん) 2008-06-26 01 13 48 シュプリームS幻想郷支店 -- (名無しさん) 2008-06-26 01 14 35 幻想入りシリーズ百 カリスマ探偵、田中十三 MADE_IN_SUKIMA? 才能の無駄遣い百 ハードボイルド? 渋さはいいぞ!? ×ダンテ○水の音? 幻想郷ストロベリーサンデー? ブラックコーヒーシリアル? シュプリームS幻想郷支店? 【編集】 -- (名無しさん) 2008-06-26 01 15 01 3話出演 -- (名無しさん) 2008-06-26 01 15 58 至郎田 正影(しろた まさかげ) -- (名無しさん) 2008-06-26 01 20 13 名作ですこれは -- (ヤマダ) 2008-07-04 22 28 44 最近とある場所で知ったが、画力、ネタ、ストーリー全部安定してハイクオリティなものを提供し続けられててすごい。 おっさんしぶくて和む、東方キャラもかわいい、この人の画風大好きだわ。 -- (名無しさん) 2008-07-28 03 10 17 主人公の中年探偵と東方キャラの掛け合いが何とも微笑ましい、200番台を代表する名作 -- (名無しさん) 2008-08-04 12 10 37 おっさんの渋さといい、東方キャラのかわいさといい、すばらしい作品。 -- (名無しさん) 2008-08-18 17 27 55 2008年06月30日 07 28 10 投稿 幻想郷求聞帳 その⑨ 6月中うpにギリギリセーフ!204人目の探偵の人でござる。更新期間予告なんてするものではないね、何故か破りたくなるから。その⑨だからといってチルノは出ず!……サーセンOTL あらすじのおまけ絵にはあまり深く突っ込まないように頼みます。■その8へはsm3462939 ■マイリストへはmylist/5225877 ■暑さで脳が茹で上がって気づいたら描いてた、本編進めろっていう。スイカバーはお気に入りアイスのベスト3に入 -- (名無しさん) 2008-09-13 12 28 37 スイカウイルス? ふとまゆ症候群? わふー百 ふとまゆ? 探偵の人? カリスマ大放出? カリスマのバーゲンセール? さよなら貴重なおっさん分? -- (名無しさん) 2008-09-13 12 29 02 これ続きまだかな? -- (名無しさん) 2009-02-17 11 40 26 シロウタのエピソードが気になる -- (名無しさん) 2009-04-13 20 11 26 ちゃんと見てます。頑張ってください。 -- (*1) 2009-07-15 20 35 29
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「む、困ったな。今年も家庭訪問に行こうとして迷ってしまったぞ」 森の中を、一人の女性が歩いている。 三白眼に腰まで伸びた黒髪。首元には勾玉。 ツーピースというより弥生時代と言った方が通じそうな服。 この深い森の中には逆に似合いそうであった。 「強い結界が張られているようだな。こりゃ外に出るのは難しいか」 彼女の名は、木林呪理。趣味は除霊、特技は降霊な中学校教師である。 ――キバヤシ先生と幻想郷―― 「確か、こんな場所を前に何処かで聞いたような……」 「ここは幻想郷だよっ!」 悩む彼女の頭上から、声がかけられる。 そこに浮かんでいたのは、一人の少女だった。 左眼は碧、右眼は赤のオッドアイ。服装も左眼と似た色をしており、 ともすれば一つ目にさえも見えた。 何よりの特徴は、彼女が手にする紫色の傘であろう。 「なんだ小傘じゃないか久しぶりだな」 彼女は、妖怪程度では驚かない。 「久しぶりだねジュリちゃん」 少女も驚かないことに驚かない。 「そうか、ここがお前が言ってた幻想郷か。中々いい感じの所だな」 「まあねー。ただ最近人間がちっとも驚いてくれなくてさー」 「何だ唯物主義者でも増えたのか?」 「そうじゃなくってさー、ここは多すぎるのよ、妖怪が」 ハァ、と小傘と呼ばれた少女――からかさお化け――は溜め息をついた。 「うむ、確かになあ。最近ウチの生徒達も妖怪に慣れてしまって、 反応があんまり面白くなくなってきた」 うんうん、と頷き同意を示すキバヤシ。 妖怪と悩みを共有するのは彼女位のものだろう。 「おおそうだ。困るといえば、道に迷ったんだが帰り道を知らないか?」 「こっからなら、博麗神社の方が近いかな。案内したげるよ」 すとん、と地面に降りると彼女を先導しながら、小傘は歩き出した。 キバヤシがその後に続く。 「それにしてもあれだな。お前の傘は相変わらず良い茄子色だな」 「もう少し言葉を選んでよね」 「じゃ、ここの神社の巫女に事情を話せば戻してくれ……あれ、先客だ」 「空飛ぶ巫女さん! たまらん!」 「ああ、あれはウチの校長だな。校長ー、何してんですかー」 「おお、キバヤシ先生!」 「あなたこの人の知り合い? さっきからうるさくて困るんだけど」 うんざりした顔を見せるのは、この神社の巫女博麗霊夢である。 「すまん。校長はオカルトが大好きなんだ」 「あ、そう……」 霊夢がやれやれといった様子で頭を振る。 「校長、宙に浮かぶくらいなら私にも出来ますよ、ヨガで」 バキゴキと、キバヤシの体が嫌な音を立て始める。 小傘と霊夢はドンびきしているが、校長は目を輝かせていた。 「ほら」 一体どうなってるんだというような格好で、キバヤシは宙に浮かぶ。 「「(気持ち悪いーっ)」」 小傘と霊夢が同時に心中で突っ込みを入れた。 本人は何処吹く風。ふわふわと浮いている。 「流石はキバヤシ先生! しかしこちらの巫女さんはもっと凄かったですぞ」 「……何?」 ギロリ、とあまりよくはない目つきでキバヤシが霊夢を睨んだ。 「何か勝手にライバル認定された!?」 「ライバルが居るから強くなれる……」 驚く霊夢の横で小傘がポツリと呟く。 彼女がこういうキャラなのは既に知っていた。ちょっと忘れてたが。 「そ、それよりあなた達帰りに来たんでしょ!」 「おおそうだったな。早く帰らないとプリ……家庭訪問に間に合わない」 「じゃあ、結界を解くからちょっと待っててね」 「ふむ。では校長、我々はお賽銭でも入れてましょうか」 スタスタと賽銭箱に歩みよる。ちゃりん、と小銭の入る音がした。 霊夢がそれを聞き、何とはなしに彼女を見る。 二礼、二手、一礼。 ごく一般的な作法通りのお参りである。 「……そういうとこはしっかりするのね」 意外だとばかりに、霊夢が呟いた。 「当たり前だろう。こういうとこではきちんとしないと、 神様に罰を当てられてしまうからな」 さも当然の如く、キバヤシは返す。 「……しかし何だな。悪霊も一緒に住んでるとは珍しい神社だな。祟り神か?」 「へ?」 キバヤシの視線の先に目をやれば、そこに人影があった。 青いトンガリ帽子に緑色の長髪、妙齢の女性の姿があった。 しかし、彼女には足がなくうっすら透けていた。 整った顔は、とても嬉しそうにキバヤシに向かって手を振っている。 「……たまには構ってやらないといかんぞ」 「……考えるわ」 痛む頭を抱えながらも、霊夢は結界を開く。 「じゃあな、小傘。その内またこっちにも顔を出すんだぞ」 「そうね、ジュリちゃんの周りの人なら驚いてくれそうだし」 小傘が笑って返す。その笑顔を見て安心したような顔をした、キバヤシの姿は ゆらゆらと揺らめいてやがて消えた。 「ああいう奴ばかりだったらねえ」 いつの間にか、その光景を見ていた小鬼が、酒をあおりながら呟く。 「私達もここに来なくてよかったのに」 小鬼――伊吹萃香――の言葉に、霊夢は考える。 外ではもう生きられなくなった妖や、神々が住まう小さな楽園。 けれど、彼女はそこに妖が居ることは当然だと認識している。 神を畏れ敬うことは当然だと認識している。 ああいう人間がもっと居たなら、あるいは妖怪も神々も、 もっと自由に生きられるのではないだろうか。 「ねえ、から傘。あんた、あの人とは知り合いみたいだけど、 あの人は一体何者なの? 修業を積んでるのは間違いないみたいだけど」 霊夢が問う。小傘は答える。 「中学で先生やってるって言ってたよ。 よく降霊とか召喚とかして生徒達に怒られてるみたい」 何処か自慢げに、小傘が笑った。 「先生……か」 彼女が人を教え、導いているというなら。 きっと生徒達は妖を、霊を、神を信じるのだろう。 その存在もその恐ろしさもその身に刻むのだろう。 そうしたら……幻想が幻想で無くなる日が来るのかもしれない。 霊夢は、その光景を想像して、笑みを溢した。 その夜、霊夢は夢を見た。 美少年が猫耳と尻尾を生やした式の式の姿にときめいていた。 神も妖も霊も人も、楽しげだった。 そしてその中心に居るのは、キバヤシだった。
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「迷い人」 迷宮の森に迷い込んでしまった迷子を10分以内に探し出そう! 制限レベル・人数:70-90Lv/2-6人 必要アイテム:ブロンズチケット1枚(1PTに1枚) 迷子の出現ポイントは毎回変化するようだが、 ある一定の3箇所のうちのどこかにいるので 根気よく探してみよう。 どうしても道に迷ってしまう、そんな貴方はちょっとずるいですが ここを参照してください。 以下古い情報。 報酬:30000Zeny 500000Exp 出現モンスター: ベアキング ラビットリーダー? ベア ヘッジホッグ ワイルドボア 解説: 迷子さえ見つければモンスターは無視しても良い。 しかし余裕があればドロップ狙いでラビットリーダーや ベアキングを狩るのもいいかもしれない。
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目が覚めたら幻想郷やった!! 動画リンク コメント・レビュー 目が覚めたら幻想郷やった!! 何人目の幻想入りか 作者 ひとこと 主人公 mylist/12204279 動画リンク 新作 一話 コメント・レビュー よろしくです。 -- (komui) 2009-04-26 00 00 20 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを募集しています。レビューについては、こちらもご覧下さい。
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東方を知らない私が幻想郷入り 動画リンク コメント・レビュー 東方を知らない私が幻想郷入り 何人目の幻想入りか 作者 ひとこと 主人公 mylist/9700939 動画リンク 新作 nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) 一話 コメント・レビュー 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを募集しています。レビューについては、こちらもご覧下さい。
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一重の俺が幻想郷の永夜に散る 動画リンク コメント 一重の俺が幻想郷の永夜に散る 何人目の幻想入りか 作者 ひとこと 主人公 動画リンク 新作 一話 コメント・レビュー 449 -- (名無しさん) 2008-06-10 04 54 11 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを募集しています。レビューについては、こちらをご覧下さい。
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苦学生は幻想郷の夢を見るか? 動画リンク コメント・レビュー 苦学生は幻想郷の夢を見るか? 何人目の幻想入りか 作者 ひとこと 主人公 mylist/10255252 動画リンク 新作 一話 コメント・レビュー 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを募集しています。レビューについては、こちらもご覧下さい。