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トップページ>韓国>韓国史学報 『韓国史学報』56、2014.8 김영하「新羅の「統一」領域問題:教科書内容の是正のための提言」 呉江原「高麗~朝鮮時代檀君伝承の変形と拡大、そして歴史化過程」 권용철「大元帝国末期政局と高麗忠恵王の即位、復位、廃位」 서금석、김병인「歴史的推移を通じてみた高麗時代「臘日」についての検証」 차미희「高等学校『東アジア』の「17世紀前後東アジア戦争」分析」 서명일「育英公院の教科書と近代知識の伝播」 桝谷祐一「甲午改革期渡日留学生派遣政策の展開と中断過程」 정욱재「20世紀初日程協力儒林の経学院活動:李大栄(1874-1950)を中心に」 史料研究 「『拙藁千百』訳註(8)」 『韓国史学報』55、2014.5 이정란「高麗王家の龍孫意識と王権の変動」 고명수「モンゴルの「服属」認識と蒙麗関係」 이미지「13世紀初高麗の国際環境変化と生涯記録:高麗墓誌を中心に」 이강한「忠烈王代の時代状況と音楽政策」 채미하「新羅の建国神話と国家提議」 김회윤「高麗顕宗代羅城築造過程に関する研究」 김난옥「高麗後期の納贖策」 홍선이「歳幣・方物を通じてみた朝清関係の特徴:仁祖代歳幣・方物の構成と財政負担を中心に」 史料研究 「『拙藁千百』訳註(7)」 『韓国史学報』54、2014.2 白巌朴殷植の上古史・古代史叙述 박준형「白巌朴殷植の古朝鮮認識:申采浩との比較を中心に」 정호섭「白巌朴殷植の高句麗史叙述に対する批判的検討」 김종복「白巌朴殷植の渤海史認識とその叙述典拠」 論壇 임기환「集安高句麗碑と広開土王碑を通じてみた高句麗守墓制の変遷」 박현숙、윤종필「モーリス・クーラン(Maurice Courant)の古代韓日関係史認識とその特徴」 崔聖銀「新羅下代実相寺鉄造如来坐像についての考察」 이욱「順天倭橋城戦闘と朝鮮民衆の動向」 홍웅호「強制移住直後中央アジア高麗人社会のスタハノフ(Stakhanov)運動」 최선웅「韓国民主党の米ソ共同委員会対応方案と活動」 許殷「「戦後」(1954-1965)韓国社会の現代性認識と生活様式の再構成」 批評論文 姜制勲「朝鮮王陵と王陵儀禮の特徴」 史料研究 「『拙藁千百』訳註(6)」 『韓国史学報』53、2013.11 崔徳寿「逝去100周年兪吉濬研究の現況と課題」 朴漢珉「兪吉濬「世界大勢論」(1883)の典拠と著述の性格」 金亨根「兪吉濬作「地制議」の構造と特徴」 劉バダ「兪吉濬の贈貢国独立論についての批判的検討」 우재병「5-6世紀百済の重層的墓制交流とその政治的相互作用」 李炳鎬「日本の渡来系寺院と百済遺民の動向Ⅰ:大阪・大津・東国・吉備の考古学成果を中心に」 윤경진「新羅中代太宗(武烈王)諡号の追上と再解釈」 이정철「『渓巌日録』を通じてみた17世紀前半禮安県の賦税状況」 車美姫「『渓巌日録』を通じてみた17世紀前半文科慶尚道郷試」 宋亮燮「18世紀比総制の適用と斉民政策の推進」 이정주「1901年作成北青戸籍と北青郡民騒擾事件」 樓正豪「高句麗遺民高牟についての考察」 史料研究 「『拙藁千百』訳註(5)」 『韓国史学報』52、2013.8 이정란「『高麗史』と『高麗史節要』の修史方式比較:睿宗代「王言」記録を中心に」 金蘭玉「恭愍王代記事の収録様式と原典資料の記事転換方式:『高麗史』と『高麗史節要』を中心に」 朴胤珍「『高麗史』叛逆伝立伝基準と高麗末朝鮮初「附元」認識」 金昌賢「文集の遊歴記録を通じて見た高麗後期地域社会の様相:李奎報の全州圏域遊歴記録を中心に」 이정호「『益斎集』の史料的価値と詩文制作時期:李斉賢の政治活動との比較検討」 김재홍「新羅王京開発過程と発展段階」 김귀한「朝鮮時代官窯の運営体系再検討:15-17世紀を中心に」 정다함「征伐という戦争/征伐という祭祀:世宗代己亥年「東征」と婆猪江「野人征伐」を中心に」 손병규「四方博の朝鮮時代「人口・家族」研究についての再検討」 史料研究 「『拙藁千百』訳註(4)」 『韓国史学報』51、2013.5 特集:中国の韓国関連歴史工程検討 趙法鍾「中国遼河文明論の展開と意味」 정호섭「中国のPOST東北工程と高句麗史関連動向分析」 윤재운「中国の渤海史歪曲論理と対応方案」 尹輝鐸「中国・南北韓の白頭山研究と帰属権論理」 論壇 朴賛興「中原高句麗碑の建立目的と新羅の位相」 정성권「太祖王建の奉業寺重創と能達:奉業寺址石仏立像と関連して」 양정필「韓末-日帝下錦山人蔘研究」 鄭昞旭「朝鮮殖産銀行と韓国産業銀行の職員採用:連続と差異」 임경석「国民代表会の院内代表院団研究」 윤상원「作られた「神話」:『高等学校韓国史』教科書「大韓独立軍団」叙述の問題点」 曺銘根「日帝時期挑戦銀行改造論争とその含意:帝国の理想と植民地現実の拮抗」 史料研究 「『拙藁千百』訳註(3)」 『韓国史学報』50、2013.2 위가야「百済温祚王代領域拡張についての再検討:沸流集団服属と「馬韓」国邑併合を中心に」 金炳坤「661-662年唐水軍の平壌直攻策の戦略と限界」 박범「朝鮮後期義州府の田政運営と防税給代」 백종오「朝鮮後期北韓山城の築城と運営体系」 이송순、鄭泰憲「韓末政府官僚及び言論の鉄道についての認識と受容」 朴銀淑「分院の最後の磁器業、分院磁器株式会社(1910-1916)の設立と運営陣」 李柱烽「1960年代政治勢力の統一議論展開と性格」 資料 「『拙藁千百』訳註(2)」 『韓国史学報』49、2012.11 特集:壬戌民乱期三政の問題と政局動向 宋亮燮「壬戌民乱期賦税問題認識と三政改革の方向」 宋讃燮「1862年三政釐整庁の構成と三政釐整策」 김경란「壬戌民乱前後全羅道の軍政運営と殖利問題」 임혜련「哲宗代政局と権力集中様相:壬戌民乱の背景と関連して」 論壇 朴宰佑「高麗前期臺諫の組織と機能」 李貞薫「高麗後期僧官の構成と役割」 韓哲昊「独島・鬱陵島「アシカ」についての認識の変化とその意味」 金憲柱「邑住民の視線から見た義兵運動(1894-1909):京畿道楊根郡分院邑で起こった義兵と官軍、日本軍の戦闘と邑の対応」 김종준「日帝時期「歴史の科学化」論争と歴史学界「官学アカデミズム」の問題」 金武勇「制憲国会の戒厳令憲法化と戒厳方案の差別化」 史料研究 李鎮漢、김보광、呉致勲「『拙藁千百』訳註(1)」 『韓国史学報』48、2012.8 特集:高麗時代「伝記類」の記載方式と時代的意味 이정란「『高麗史』「辛禑伝」の編纂方式と資料的性格」 李正浩「高麗後期文人年譜と『高麗史』列伝記事の比較検討」 金蘭玉「『高麗史節要』卒記の記載方式と性格」 金昌賢「高麗時代墓地銘に見える年代と呼称表記方式」 朴胤珍「大覚国師義天「伝記」の類型別記載方式と特徴」 論壇 Andrea De Benedittis「高句麗人の死後観念とその表現:高句麗古墳壁画を中心に」 박진「朝鮮初期王親婚王室妾子孫に対する社会的認識」 任敏赫「朝鮮後期王妃三揀擇の文化心理」 『韓国史学報』47、2012.5 論壇 韓鈴和「韓国古代社会の刑罰権の推移:「律令」頒布以前を中心に」 尹京鎮「『三国史記』地理志収録郡県の三国分属」 車美姫「17-18世紀前半期文科及第者の6品官職陞進」 이정철「丁若鏞の田制改革論の歴史的脈絡」 崔善雄「1910年日本留学前後張徳秀の行跡と民族問題の自覚」 呉美一「近代韓国人大地主層の資本蓄積経路とその様相:尹致昭一家の企業投資と農業経営」 曺銘根「日帝末(1937-45)朝鮮における戦時公債消化実態と性格」 史料研究 校監訳註『破閑集』(10) 『韓国史学報』46、2012.2 特集:朝鮮王朝地方現物財政運営方式と現状 崔妵姫「15-16世紀別進上の上納と運営:江原・慶尚地域の事例を中心に」 문광균「17世紀慶尚道地域供物受取体制と嶺南大同法の実施」 임성수「18世紀平安道鎮堡財政の運営と変化」 文勇植「18世紀後半『穀簿合録』に表れた朝鮮王朝の穀物財政現況」 論壇 呉恒寧「孤山尹善道の政治活動と経世論」 史料研究 校監訳註『破閑集』(9) 『韓国史学報』45、2011.11 論壇 趙胤宰「扶余定林寺寺名の由来と意味についての検討:南朝時期文献及び考古資料についての考察を中心に」 우재병「墓と祭祀遺跡を通じて見た5~6世紀百済と倭」 李康漢「1307年「依上国之制、定軍民」措置の内容と意味:高麗忠宣王代軍役制整備方向についての試論」 韓哲昊「外国の島嶼先占についての日本の承認過程とその論理:日本外務省編纂の『国際法先例彙集(2)』を中心に」 批評論文 劉宝全「中国学界の壬辰倭乱史研究の現況と課題」 芮大烈「ニューライトと脱近代論の矛盾的同居の解体のための提言:『解放前後史の再認識』の反北論理批判を中心に」 史料研究 校監訳註『破閑集』(8) 『韓国史学報』44、2011.8 特集:『高麗史』志の編纂体制と性格 李正浩「『高麗史』五行志の体制と内容」 金昌賢「『高麗史』礼志の構造と性格」 이정란「『高麗史』「選挙志」銓注条の体制と特徴」 金蘭玉「『高麗史』刑法志禁令編目の内容と性格」 朴胤珍「『高麗史』兵志の体制とその特徴」 論壇 주수완「三国時代年号銘金剛仏像の制作年代に関する研究」 최의광「新羅下代遺詔による王位継承研究」 이정철「金堉の改革思想の淵源と性格」 이송순「日帝末戦時体制下「国民生活」の強制とその実態」 유경순「1970年代清渓被服労働組合労働者と知識人の連体関係形成及び相互影響」 史料研究 校監訳註『破閑集』(7) 『韓国史学報』43、2011.5 論壇 백종오「韓国古代瓦当の毀棄様相の検討」 蔡美夏「新羅の賓礼:唐の使臣を中心に」 宋容徳「1107~1109年高麗の葛懶甸地域築城と「尹瓘9城」認識」 朴龍雲「『高麗史』選挙志の構成と内容及び性格」 朴晋勲「麗末鮮初江陵地域における通婚実態:江陵崔氏を中心に」 김만일「雲渓金鍾正の尚書論の特徴」 許殷「冷戦時代南北分断国家の文化アイデンティティの模索と「冷戦民族主義」」 批評論文 이종수「遼東地域燕秦漢長城調査現況及び問題点の検討」 史料研究 校監訳註『破閑集』(6) 『韓国史学報』42、2011.2 論壇 안성진「陶瓷を通じて見た4世紀初百済と東晋の交流」 朴南守「8世紀新羅の東アジア交易と法隆寺白檀香」 金盛祐「忘憂堂郭再祐に関する「不都合な真実」と壬辰義兵活動についての再評価」 권내현「丁卯胡乱義兵長鄭鳳寿の活躍と朝鮮王朝の認識」 李煜「朝鮮英祖代武臣乱と安東地方の「義兵」」 崔鎮旭「丙寅洋擾前後申櫶の対内認識と改革論」 문영주「植民地期伝統都市順天の近代化過程と地域民の対応」 윤효정「「ハルピン事件」についての『大韓毎日申報』の世論形成研究」 윤덕영「宋鎮禹・韓国民主党の過渡政府構想と大韓民国臨時政府支持論」 批評論文 정다함「「事大と交隣」と「小中華」という枠組みの超時間的且つ超空間的脈略」 崔徳寿「「韓国強制併合」100年日本歴史学の動向と展望」 史料研究 校監訳註『破閑集』(5) 『韓国史学報』41、2010.11 論壇 朴賛興「古代韓国と日本の量田制比較考察」 李康来「『三国史記』の三国認識」 박수정「『三国史記』雑志の編纂と職官志の体裁」 윤재운「日本所在渤海遺跡・遺物の総合的検討」 위은숙「高麗時代宋律受容の諸様相」 韓成周「朝鮮前期豆満江流域「女真・藩籬・藩胡」の形成と性格」 盧永九「仁祖初~丙子胡乱時期朝鮮の戦術展開」 한지희「朝鮮後期孝宗代政治論と政局動向:是非明弁論を中心に」 윤상원「シベリア内戦の勃発と沿海州韓人社会の動向」 史料研究 校監訳註『破閑集』(4) 1-20 21-40 41-60
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桃源まで、東へ五分(第1章:待っていたサプライズ) ザッ、ザッ、と枯葉を意味も無く蹴散らしながら、小学生くらいの男の子たちが騒いでいる。サウラーは南瞬の姿で、彼らから少し離れた公園のベンチに座っていた。その右手は、相変わらず本のページに添えられている。 足を組んで本を読むスタイルは、いつもと同じ。が、彼が公園で――占い館以外の場所で読書をしているなんて、非常に珍しいことだ。 ノーザが来てからというもの、館で本を読んでいても、以前ほど集中できなくなってしまった。自分の都合だけで突然現れて、否応なしに命令してくる最高幹部。ウエスターのように真っ向から反発するほど、自分は馬鹿じゃない。が、それを不快に感じていることは、ウエスターと変わらなかった。 (無駄な外出をせず、最も効率的な仕事をしてきたこの僕が、こともあろうに、こんなところで無駄な時間を過ごすなんてね・・・。) 自嘲気味に、ふん、と鼻で笑って、サウラーは本のページをめくる。と、男の子たちの会話が、何となく耳に入ってきた。 「・・・ホントなんだよ!あそこには、すっげえもんが隠されているんだって!」 「え~?すげえもんって?」 「それ、何だよ。」 「聞いて驚くなよ?あのな・・・」 鉄棒に腰掛けて、仲間二人を見下ろしていた大柄な少年は、そこで地面に飛び降り、仲間たちに顔を寄せた。 ひそひそ話というわけだろう。が、サウラーの聴覚の前では、そんなものは意味が無い。 (馬鹿な。ラビリンスですらまだ実現できていない技術だぞ。この世界の科学力で、作れるものか。) 少年の囁き声を聞きとったサウラーが、そう思ったのとほぼ同時に、 「嘘に決まってんだろ?そんなの。」 仲間の一人が、吐き捨てるように言った。 「嘘じゃないって!オレの友達の友達が見たんだ。空中に突然、車みたいな乗り物が現れて、中にはチョンマゲを付けたお侍みたいな格好の人が乗って、きょろきょろ外を見ていたんだって。で、その乗り物は、すーっと塀の向こうに、降りていったって言うんだ。」 ギュッと拳を握る少年の声が、次第に大きくなる。 「なっ?それって、タイムマシンだと思わないかっ?」 自分の声の大きさに、まだ気付いていない少年を横目に見ながら、サウラーは、夏のある日のことを思い出す。 あれはイースがラビリンスを去って、まだひと月も経っていなかった頃。この世界の人間が、思い出をとても大切にしているらしいと知ったサウラーは、写真屋の古いカメラをナケワメーケにして、プリキュアどもを「思い出の世界」という甘美な夢の中に閉じ込めようとした。 計画通り、まずはキュアピーチを眠らせたものの、彼女は仲間たちの願いどおり、思い出の世界から戻ってきた。そして結局ナケワメーケは倒され、サウラーの計画は失敗に終わったのだ。 「絶対に来てくれるって、信じてた!」 舞い戻ったキュアピーチに、そう言って笑いかけたイースの顔。その映像が、眩しく苦く胸の中によみがえってきて、サウラーは慌てて活字に目を戻した。 (思い出の世界なんて不確かな夢でなく、本当の過去の世界にプリキュアを送ってしまうことができたら・・・。) たとえ一人でも時空の彼方へ放り出すことができれば、プリキュアどもの新しい技も封じられる。インフィニティの奪回は、もっと簡単なものになるだろう。ノーザの鼻も、少しはあかせるかもしれない。 サウラーは静かに本を閉じ、立ち上がった。 少年の下らない願望が、本当である可能性は低いだろう。だが。 (どうせこんなところで無駄な時間を過ごすなら、暇つぶしに行ってみてもよさそうだ。) 「ねえ、君たち。少し、話を聞かせてくれないかい?」 サウラーは冷ややかな目で少年たちを見据えながら、彼らにゆっくりと近づいていった。 桃源まで、東へ五分 ( 第1章:待っていたサプライズ ) 「じゃーん。どう?これ。」 目の前に突き付けられたものを見て、せつなは不思議そうに首をかしげた。 「あの・・・これは?」 ラブに宿題を教えていたせつなの元へ、あゆみが嬉しそうにやってきて、見せてくれたもの。それは、せつなの顔くらいはありそうな、大きな真っ赤なリボン。柔らかな布地で作られているのだろう。その形はやさしい丸みを帯びて、表面はつやつやしている。 (きれいなリボンだけど・・・。頭に付けるには大きいし、洋服に付けるんでもなさそうだし・・・。あ、もしかして、夏休みに漫才やったときみたいな蝶ネクタイにするのかしら。) せつなのいぶかしげな視線に、あゆみは柔らかな笑みを返す。 「せっちゃん、修学旅行に持って行くバッグ、お友達と同じになっちゃったって言ってたでしょ?旅先で間違えたら大変だから、これ、目印に付けたらどうかと思って。」 「うわーっ、さっすがお母さん!これ付けたら、きっとすっごく可愛いよ。せつな、バッグ出してみて。」 後ろから覗き込んだラブが歓声を上げる。ようやく事態が飲み込めたせつなは、嬉しさに胸を熱くしながら、自分の部屋へ、いそいそと真新しいバッグを取りに行った。 来週から、ラブと一緒に沖縄へ修学旅行。観光の時に持ち歩くバッグとして、せつなはアイボリーのミニボストンを買った。マネキンが持っているのが可愛かったので選んだのだが、どうやらそれがいけなかったらしい。 昨日、級友とのおしゃべりで、偶然、クラスであと二人も同じバッグを買っていることがわかってしまった。それでせつなは、少しだけがっかりしていたのだ。 「修学旅行かぁ。私もレミさんと同じブラウス持って行って、向こうで喧嘩になっちゃったっけ。せっかくの私服なのに誰かと一緒はイヤだなんて、レミさんが言い出すから。」 せつなのバッグにリボンを縫い付けながら、あゆみが、うふっと思い出し笑いをする。何だか自分の気持ちを言い当てられたような気がして、せつなは頬を赤く染める。同時に、そんなことを考えた自分に、少なからず驚いてもいた。 「おばさまって、美希のお母さんと幼なじみだったんですよね?ブッキーのお母さんとも?」 「尚子さんは、中学の途中で転校してきて、それから仲良くなったの。あの頃は三人、いつも一緒だったわね~。今のあなたたち四人みたいに。」 そう言って微笑むあゆみに、せつなも頬を緩める。 親子二代で友達同士、という関係が、この世界でどれくらい当たり前のことなのか、せつなにはよくわからない。でも、そうやって一人と一人の関係が、家族と家族の関係になっていくのは、とても素敵なことに思える。 「家族」も「友達」も、かつてはただやたらと眩しくて、目にも心にも痛いだけの言葉だった。でも今のせつなには、どちらもキラキラと輝く、愛おしい光に見える。 「幼なじみ」という言葉は、正直少し、せつなには眩しすぎる。でも、その眩しさも含めて大切に思えることが――そう思えるようになったことが、せつなにはとてもありがたく、そして嬉しかった。 「ハイ、できたわ。これなら誰かと間違えることもないわね。」 「ありがとう、おばさま。」 せつなはちょっとはにかみながら、さっそくバッグを肩にかけて、鏡の前に立ってみる。後ろで目を細めているあゆみに、鏡越しに笑いかけたとき、あゆみの後ろにあるドアの陰から、タルトが手招きしているのが見えた。 せつなはもう一度あゆみにお礼を言うと、表情を引き締めて、そっとラブに目配せをする。ラブもすぐに気付いて小さく頷くと、せつなと連れ立って、静かに部屋を出た。 「タルト。ラビリンスが現れたの?」 「それがやなぁ。」 ラブの問いに、タルトは少々困惑した様子で、カチャリとクローバーボックスの蓋を開ける。 「何、これ。」 七色の光の膜に現れた映像を見て、ラブとせつなの声が揃った。 そこに映っていたのは、芝生の上に立っている不気味な姿。後輪だけで立ち上がった車の化け物の頭に、不釣り合いなほど大きなアンテナが付いているような格好だ。三角につり上がった真っ赤な目の少し上、丁度おでこの辺りには、緑色のダイヤ。 「サウラーのしわざね。」 「でも・・・なんで今更、ナケワメーケ?」 シフォンはタルトの隣で、不思議そうにクローバーボックスの映像を眺めている。今日はまだ、インフィニティになりそうな気配はない。 そのうち映像の中で、ナケワメーケがアンテナからレーザーのようなものを発射して、芝生を焼き払い始めた。 「とにかく行かなくちゃ!でもこれ、どこだろう?」 せつなは映像を舐めるように注視する。すると、画面の端に、途切れなく広がる芝生を二重に囲む、並木が映っているのが目にとまった。 「ラブ。これ・・・御子柴家の中庭じゃないかしら。」 「あの、地下特訓場があった?」 せつなが力強く頷いて、もう一度映像に目をやる。 御子柴家。家電製品から宇宙ロケットまで手掛ける、世界でもトップクラスの財閥グループの長の屋敷だ。つい先日、ミユキのツテで、プリキュアたちはここの特訓場を使わせてもらった。広大な中庭の地下に作られた秘密特訓場だったのだが、庭はまだまだ広くて、もっと奥まで続いていたように思う。 「よし、行こう!せつな、ブッキーに電話して。あたし、美希にかけるから。」 「わかった。」 リンクルンを片手に家を飛び出す二人に、タルトとシフォンも続いた。 御子柴財閥に雇われたエンジニアのリーダーは、自分が今見ているものが、信じられなかった。 最先端の――ここに居る者以外、現実とは思わないであろう最先端の技術の粋を集めて、開発したマシン。それがみるみるうちに形を変え、異形の化け物となって立ち上がったのだ。 (こんなこと・・・SFじゃあるまいし!) 自分たちがまさにSFばりの研究をしていることも忘れて、彼はただ呆然と、目の前の怪物の姿を見つめた。 「ナ~ケワメ~ケ!!」 怪物は一声叫ぶと、二重の並木をやすやすと飛び越えた。それを見て、彼の背中を、たらりとイヤな汗が伝う。 「い、いかん!戻ってきてくれ!」 このままでは、怪物がお屋敷の外に出てしまう。今は怪物でも、元は手塩にかけた、我が子同然の発明品だ。 彼は意を決して踵を返すと、遥かに遠い出口を目指して、屋敷の中を一心に走り始める。その耳に、正午を告げる柱時計の音が、やけに大きく響いた。 ラブとせつなが御子柴家の門の前に着いた時、丁度、美希と祈里も向こうから走って来るところだった。屋敷の奥の方からは、時折ドーンという音が響いている。 「こっち!」 ラブを先頭に、四人は屋敷の塀沿いに駆けて行く。ほどなくして、血相を変えた人々が、彼女たちの行く手から走ってくるのが見えた。 地面にずしんと衝撃が走り、コンクリートの塀がびりびりと震える。そしてついに、クローバーボックスの映像で見たのと同じナケワメーケが、その姿を現した。 額に光る緑のダイヤ。胸に取りつけられた様々な計器。網の目のように張り巡らされたコード。そして頭の上には大きすぎるアンテナ。 「みんな、行くよっ!」 凛と響くラブの声に、少女たちはそれぞれのリンクルンを構える。 「チェインジ!プリキュア!ビートアーップ!」 桃色。青。黄色。そして赤。 地面から立ち上るような鮮やかな煌めきの後に、四人の伝説の戦士が現れる。 「ピンクのハートは愛ある印!もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」 「ブルーのハートは希望の印!つみたてフレッシュ、キュアベリー!」 「イエローハートは祈りの印!とれたてフレッシュ、キュアパイン!」 「真っ赤なハートは幸せの証!うれたてフレッシュ、キュアパッション!」 「Let’sプリキュア!」 「よし、始めろ。」 腕組みをして塀の上に立つサウラーは、現れた少女たちを見て、口の端だけでニヤリと笑った。 「ナーケワメーケ!フ、フ、フ、フューチャー!」 車輪のような足をフル回転させて、四人に迫るナケワメーケ。 「ダブル・プリキュア・パーンチ!」 炸裂する、ピーチとパッションの拳。 「ダブル・プリキュア・キーック!」 打ちこまれる、ベリーとパインの蹴り。 が、突然、ナケワメーケの短い腕が、ぐんと伸びる。バネの先にタイヤを付けたような腕に、弾き飛ばされる四人。そして。 「ナーケワメーケ!イマイマ、しいわ~!」 頭の上のアンテナから放たれる、強烈なビーム。 「わぁぁっ!」 「何これ・・・。」 「体が・・・痺れる!」 「・・・くっ!」 動けないプリキュアたち。ナケワメーケの胸から、しゅるしゅると伸びる黒い腕。コードのような、ベルトのような長い腕が、彼女たちに迫る。 「はぁっ!」 何とか体を起こし、拳を振るうパッション。その隙にようやく立ち上がる、ピーチ、ベリー、パイン。 「・・・このナケワメーケ、元は何なの?」 ベリーが、誰にともなく問いかける。 「わからないわ。クローバーボックスで見たときは、庭の芝生の上に立ってた。」 パッションは、ムチのようなコードを避け続ける。 「御子柴家の・・・自家用リムジンとか?きゃぁっ!」 ついに一撃を食らい、吹っ飛ぶパイン。駆け付けるピーチに迫る、伸縮自在のナケワメーケの腕。 「ピーチ!」 パッションが横っ跳び。間一髪で腕をはたき落とす。その時。 「パッション、後ろ!」 ベリーの声に振り返る間もなく、高速で伸びたコードが、彼女の体を絡め取った。 「パッション!」 宙吊りにされたパッションに向かって、仲間たちが跳ぶ。が、 「うわぁぁぁ!!」 再びアンテナから放たれるビーム。三人は、またも地面に叩きつけられる。 「みんな!」 必死で拘束を解こうとするパッション。だが、締め付けたコードはびくとも動かない。 「フフフ・・・。もう一人、道連れにしてあげようか。」 再び迫るコードの束。跳んでよける三人。と、目標を失ったコードの先には、クローバーボックスが・・・! 「わっ!こりゃあかん!」 シフォンと一緒に物陰から様子を見ていたタルトが、思わず飛び出した。クローバーボックスの前に立ちはだかるタルト。その小さな体がコードに巻き取られ、宙に舞う。 「タルト!!」 「ふん。プリキュアではなかったか。まあいい。ナケワメーケ、やれ。」 「ナーケワメーケ!カーコカッコー!」 ナケワメーケの体が、ぼうっと光り出す。大きなアンテナにびりびりと稲妻が走り、胸の計器の数字が、くるくると動き出す。 「別れの時が来たようだ。挨拶はしなくていいのかい?プリキュア。」 サウラーの楽しげな声に、凍りつく地上の三人。 「パッション!タルト!」 「どうなってるの!?」 「二人を放しなさいっ!」 ベリーは塀の上のサウラーを睨みつけると、タン、と地面を蹴る。 「たあっ!!」 サウラーに向かって放たれる、ベリー渾身の蹴り技・・・と見せかけて、サウラーが回避しようと飛び上がった瞬間。この瞬間を狙って、ベリーは全身の力を、拳に込める。 「うわぁっ!!」 空中高く飛ばされるサウラー。その体は、ナケワメーケのアンテナに、引っ掛かって止まった。 「な、なにっ!?降ろせ!」 「それは、パッションとタルトを放してからよっ!」 キッとナケワメーケを見据えるピーチ、ベリー、パイン。その目の前に、ポン、とそれぞれの相棒が現れる。 「届け!愛のメロディ。キュアスティック・ピーチロッド!」 「響け!希望のリズム。キュアスティック・ベリーソード!」 「癒せ!祈りのハーモニー。キュアスティック・パインフルート!」 起動される、それぞれのアイテム。その間にも、ナケワメーケの光は、どんどん強くなっていく。 「悪いの悪いの、飛んで行け!!!」 「プリキュア!ラブ・サンシャイン・・・」 「プリキュア!エスポワール・シャワー・・・」 「プリキュア!ヒーリング・プレア・・・」 「フレーーーッシュッ!!!」 ナケワメーケの体の輪郭がぼやけるのと同時に、三つの光弾がその体にぶつかり、溶けあってひとつになる。 「今よ、タルト!」 「はいな。」 拘束から抜け出そうとするパッション。だがそのとき、彼女は自分の体の輪郭までもが、頼りなげにぼやけているのを見て、愕然とした。 「はぁ~!!!」 三人の気合のこもった声。 「シュワ、シュワ~・・・」 既におぼろけな姿となったナケワメーケが、かすかに断末魔の叫びを上げる。 そして、額のダイヤが煙のように消え失せた次の瞬間。 ナケワメーケも、パッションも、タルトも、そしてサウラーも、三人の前から、忽然と姿を消してしまったのだった。 ☆ ☆ ☆ ゴン、と何かに頭をぶつけて、パッションは我に返った。変身は解けていない。どうやら少しの間、ぼうっとしていたらしい。 何やら狭い空間にいる。ナケワメーケに宙吊りにされていたはずの体はソファのようなものに座らされ、腰にはさっきまで彼女を拘束していたものが、ベルトとなって一重だけ巻きついていた。 家族で出かけるときに時々乗せてもらう、圭太郎の車の中によく似ている。ちょうど、後部座席に座っているような感じだ。ぼんやりとそう思ったパッションは、隣で目を回しているタルトに気付いて、ハッとした。 「タルト!しっかりして!」 「あ、パッションはん。わいら、無事やったんか。」 気が付いたタルトが、きょろきょろと辺りを見回す。 「ここ・・・どこや?」 「どうやら、この乗り物がナケワメーケだったみたいね。」 「え!?じゃあ、わいらナケワメーケの中におるんか!?」 「ううん、もう浄化されてるんだと思う。でも、何だか様子が変ね。」 パッションは、右手にある窓から外の様子を窺った。 まず目に飛び込んでくるのは――空。 そして視線を下へやると――真下に見える景色が、ぐんぐんと迫ってくる!? 「タルトっ!これ、落下してるわ!」 パッションは、腰に巻き付いているベルトをむしり取ると、タルトを抱きかかえた。 「脱出するわ。しっかりつかまってて!」 窓の下にあるレバーを動かすと、壁に見えたドアが、カチャリと音を立てる。やっぱり車と同じ仕組みだ。風圧に押し戻されるドアを何とか開けて、パッションはタルトを抱えて跳ぶ。 着地したところは、見覚えのある風景。ここは・・・河原だ。四ツ葉町の外れを流れる川に架かっている、橋の下だ。 (どうして、こんなところに・・・。あれは、ただの車じゃないっていうの?) そのとき、頭の上の方でドーンという衝撃音が聞こえ、わずかに埃が降ってきた。少し離れて橋を見上げると、信号待ちで止まっていたらしいトラックの上に、やたら大きなアンテナをつけた黒い車が、覆いかぶさるように乗っかっているのが見える。 「うわぁ、危なかったなあ。おおきに、パッションはん。」 タルトがそう言って、パッションの腕の中から、ぴょんと地面に降り立った。 「トラックに乗っていた人は、大丈夫かしら。」 パッションは心配そうに眉をひそめる。が、その目はすぐさま、大きく見開かれた。 トラックの上から、黒い車体が発車したのだ。ガツン、とその鼻先が道路にぶつかった音が、河原まで響く。が、ほかに車がいないのを幸い、強引にスピンを決めて、車は態勢を立て直した。 驚く二人が見つめる中、車の窓が開く。そこから顔を出したのは、いつも以上に青白い顔をした、サウラーだった。 「プリキュアどもにしてやられたと思ったが・・・君が甘くて助かったよ、イース。僕が前の座席にいたのに、気付かなかったのかい?」 相変わらず辛辣な口調のサウラーに、パッションは思わず叫ぶ。 「サウラー!一体何をしたの!?」 「すぐにわかるさ。これで君たちは、この過去の世界へ置き去りだ。」 「過去の世界ですって?」 「フフフ・・・さよなら、イース。」 サウラーの笑い声を乗せて、黒い車は風のように走り去る。 「何だぁ?・・・うわっ!何だこれは。積み荷が滅茶苦茶じゃないかっ!!」 物音に気付いたトラックの運転手が騒ぎ始めたのを、パッションとタルトは、ただ呆然と眺めることしかできなかった。 「おねえちゃん!こっち、こっち。」 ふいに後ろから呼びかけられて、パッションはビクリと肩を震わせた。そっと振り向くと、自転車を押した一人の少年が、土手につながる細い道の下に立って、手招きしている。 小学校の高学年くらいだろうか。やけに短いジーパンから突き出した足はひょろりと長く、自転車も、大人用のものらしい。 「そんな格好でそんなところにいたら、目立つだろ?まだ朝早いから人がいないけど、この上の道路は、これから車が増えるんだぜ。」 「え?朝早い、って・・・」 そう言いかけて、パッションはさっきのサウラーの言葉を思い出す。 ――これで君たちは、この過去の世界へ置き去りだ。 ナケワメーケと対峙したのは、もう昼ごろだったはず。だが辺りを見回せば、今は確かに早朝のようだ。ということは、サウラーの言う通り、ここは過去の世界――違う時空の世界なのだろうか。 見渡したところ、河原の景色は特にいつもと変わらない――いや、違う。 季節が違うのだ。朝早くからこんなに力強い太陽には、しばらくお目にかかっていない。ついさっきまで目にしていた、あちこちに枯れ葉が吹き寄せられた街の景色とは違う。河原に勢いよく茂る雑草の緑の、何と生き生きとしていることか。 (ここが過去の世界なんだとしたら・・・一体、どれくらい前の世界なのかしら。) 「とにかく、こっちに来いってば。」 パッションの物想いは、再び少年の声で破られた。 「俺の家、ここからすぐ近くなんだ。俺しかいない家だし、何か食べて着替えるくらいはできるからさ。」 そう言って歩き始める少年の後ろ姿に、パッションは少し考えてから、 「ねえ。」 と呼びかける。 「変なこと訊くけど・・・今日って、何年の何月何日?」 そう質問したときの少年の顔は、パッションには予想外のものだった。 てっきり不思議そうな顔をされるだろうと言い訳まで考えていたのに、彼はパッと顔を輝かせ、キラキラした目をこちらに向けてきたのだ。今までの背伸びした物言いが嘘のような無邪気な笑顔に、パッションは一瞬、呆気にとられる。 「今日?今日はねぇ、昭和・・・あ、西暦・・・」 「昭和でいいわよ。」 こちらの心を見透かしたような少年の言葉に、パッションは警戒を強める。 「そう?今日は昭和××年の、8月・・・」 少年の自転車の後ろを歩きながら、パッションはそっと町の様子を窺う。 「昭和」という年号が、今の前の年号だったことは知っている。自分の計算が正しければ――そして少年の言葉が正しければ、ここは25年ほど前の世界だ。 四ツ葉町の地図は、完全に頭に入っているつもりだったが、さすがに様子が変わっていて、どの辺りなのか分かりにくい。明らかに、町を占める田んぼや畑の面積が広い気がする。同時に、何だかあちこちで、新しい建物を建てている現場に出くわす。 (やっぱり・・・過去の世界なのかしら。) 少年への警戒を緩めたわけではない。が、今はこの機会を利用させてもらおうと、パッションは思っていた。とにかく情報収集しないことには、動くに動けない。 「さあ着いた。ここが俺の家。」 「・・・凄いお屋敷じゃない。」 少年が無造作に自転車を止めた家の前で、パッションは目を丸くした。 「そう?まあ、入って。あ、その、イタチ?ペットも家の中に入れて構わないからさ。」 「イタチて・・・。フェレットより、まだヒドいわ。」 むくれるタルトの口を慌ててふさいで、パッションは少年の後を追った。 重厚な玄関の鍵をカチャリと開けて、少年は黙って家に入る。家の中はシーンとしていて、その静けさが、一層広さを際立たせていた。 「本当に、ここに一人で住んでるの?」 勧められたソファにそっと腰をおろして、パッションは小首をかしげる。 「ああ、正確には、夏休みの間だけね。ここ、父さんの家なんだけど、俺、普段は父さんと別々に暮らしてるんだ。夏休みの間だけ、ここで過ごす決まりなの。でも、父さんは忙しい人で、滅多に家に寄りつかないから。昼間はお手伝いさんも来てくれるし、別に不自由はしてないんだ。」 テキパキと飲み物の支度をしながら、あっけらかんと言ってのける少年に、パッションは心に浮かんだ疑問を飲み込む。 (せっかく子供が訪ねて来ているのに、この子のお父さんは、どうして家に帰ってこないのかしら。) 脳裏に浮かぶのは、父親のことを話す、美希の顔。彼女もまた、父親とは別れて暮らしているが、月に一度、美希が訪ねて行くのを楽しみにしているという。 「それよりさ、おねえちゃん。」 少年は、大人びた表情から一転、さっきのキラキラした目つきに戻る。そして、彼女の心臓の真ん中を射抜くような一言を、無邪気に発した。 「おねえちゃん、未来から来たんだろ?」 「隠さなくてもいいよ。俺、見ちゃったんだ。」 少年は相変わらず瞳を輝かせながら、真っ直ぐにパッションの目を見つめる。 「自転車で土手を走ってたら、いきなり稲妻が光ってさ。いい天気なのに、おかしいなぁって思ってたら、いきなり空に車が現れて。で、橋を目がけて落っこちてくるからびっくりして見てたら、中からおねえちゃんが飛び出して来てさ・・・。ねえ、あれってタイムマシンなんだろ?着陸に失敗したの?それに、なんであんな高いところから飛び下りて、怪我しなかったの?」 「・・・・・。」 パッションが何も言えずにいると、 「ひょっとして、その服のせい?パワードスーツ、って言うんだよね。やっぱり凄いんだなぁ、未来って。ねぇ、今からどれくらい先の未来?」 少年は勝手に納得して、羨望に満ちた眼差しで、パッションの姿を見つめた。 「あなた・・・未来の技術に、ずいぶん興味があるのね。」 「ずいぶんってほどじゃないよ。でも、タイムマシンには興味あるんだ。これでもいろんな本を読んで、研究しているんだぜ。もちろん、本物を見たのは初めてだけど。」 嬉しそうに話す少年の様子をじっと観察して、パッションは少しだけ警戒を解く。 雰囲気から察するに、この子は嘘はついていない。突然現れた未来人を助けて、あわよくば未来のことを教えてもらおう――それくらいの無邪気な気持ちで、ここへ連れて来てくれたのだろう。 それに――さっき父親のことを話したときの、何でもなさそうな話しぶり。その陰に潜むヒヤリと冷たい寂しさを、彼女は我がことのように感じていた。 「そう。助けてもらったんだから、ちゃんと説明するけど・・・その前に、どこかで着替えさせてもらえないかしら。」 もうずいぶん長い間、この姿でいる。が、まさかこの子の前で、変身を解くわけにもいかない。 「本当!?いいよ、こっち。でも、着替えなんて持ってるの?あ、もしかして、未来では荷物なんて、こーんなにミニチュアライズされてるとか?」 少年は、相変わらず嬉しそうに一人で納得しながら、パッションを隣りの小部屋に案内する。 「じゃ、俺こっちにいるから。どうぞごゆっくり。」 少年が閉めかけたドアの隙間から、タルトがするりと部屋の中に入って来た。 「はぁ~。これからどないするつもりなんや?パッションはん。」 「しっ!」 二人になった途端に喋り出すタルトを、パッションが制する。少年が、どこかから部屋の中を窺っているかもしれないと思ったからだ。まだ雨戸が閉まった部屋の中、分厚いカーテンの陰に隠れて、彼女は注意深く、変身を解いた。 「とりあえず、この時代のことを少し知らないと。それから作戦を立てる必要がありそうだわ。サウラーがまだこの時代にいれば、彼を探すのが早道だけど・・・タルト?」 急に反応のなくなったタルトに、せつなは不思議そうな視線を向ける。 「パ・・・パッションはん。あんさん・・・!」 タルトの慌てふためいた様子に、せつなは窓に映った自分の姿を確かめ・・・そして言葉を失った。 窓ガラスの向こうから、呆然とした表情でこちらを見返している顔。それは、かつて鏡の中で見慣れた、銀髪の少女だった。 ~第1章・終~ 第2章:アドリブ勝負の一日へ続く
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1 名前:大学への名無しさん[] 投稿日:2010/10/22(金) 15 50 38 ID f4/VOvLH0受験日本史についていろいろマッタリ話し合うスレです規制されてる人はこのスレを使うとよいかもしれません日本史総合スレ@避難所http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/school/21000/1269747132/前スレ日本史総合スレpart24http //namidame.2ch.net/test/read.cgi/kouri/1261589572/sage推奨・荒らし・煽りにはレス禁止、放置が上策。最近ゴミを連呼する荒らしが沸いているので、見るに耐えない人は「ゴミ」をNG登録する事をお勧めします。具体的には、日本神と名乗る日東駒専レベルの問題も解けないゴミ。次スレは 980を踏んだ人が立てること。立てられない人は踏まないでください。踏み逃げ厳禁。二次試験で日本史がある国公立大学(文系)北海道大学 筑波大学 千葉大学 首都大学東京 東京大学 東京学芸大学 一橋大学新潟大学 福井大学 名古屋大学 京都大学 京都府立大学 大阪大学日本史で有名な大学(文学部スレより) 東大、京大、國學院、京都府立、龍谷、京都産業 阪大(東洋史)、奈良(考古学)、明治(考古学)、成城(民俗)、筑波(民族)2 名前:大学への名無しさん[] 投稿日:2010/10/22(金) 15 51 31 ID f4/VOvLH0~~~~~~【注意!】(ここ重要)~~~~~~このスレで紹介している参考書、暗記の方法、勉強法は受験生にとってオーソドックスでメジャーなものと考えられるものであり、あくまで一例にすぎません。よって、受験生の皆さんは、覚え方やどの参考書を使えばいいのかがまったく分からなかったり、いろいろ試しても自分に合った覚え方がどうしても思いつかない場合、このスレで質問して結構です。ただし、答える人は忙しいので、スルーされても泣かないようにしましょう。答える人は、受験生に合った、あるいは自分がやってきた覚え方をできるだけ誠心誠意やさしく教えてあげましょう。【的確なアドバイスを受けるには、次のことが必要です!】1.高1・高2・高3・浪人・宅浪などの区別を書く。2.今までにやった参考書。今どんな勉強をしているか。3.模試名を添えた偏差値。(偏差値60といっても駿台と進研では価値が違います)4.志望大学・学部を書く。その過去問やったかどうか。【FAQ:よくある質問とその答え】■「学校では○○を貰ったんだけど、××(同じ分野の参考書)を買う必要ありますか? →○○だけで理解できないなら買って下さい。■「○○終わったけど次どうすればいい?」→テンプレor過去ログ■「○○ってどうなんですか?」→本屋池。田舎なら尼orイーエス■「○○をやれば完璧(最短・最強・満点)になりますか?」→世の中に完璧なんてものはありません 。■「○○をやったら偏差値70いきますか?」→これまでの習得度合いなど個人差があるので一概に言えません。■「○○は△△の代わりになる?」→自分で良いと思った物を使いましょう。■「××大には○○は必要?」→合格に必要なのは、その大学の問題が解ける学力。テンプレ議論については必ず目欄かコメント欄に【テンプレ】とか書きましょう。次のスレを立てる人が便利です。スルーされても泣かない。次スレは 980が絶対立てる。立てられないなら踏まない。 980が立てなかったら 990以降は書き込みを控えましょう。スレ立ての際は重複しないように注意。必ずスレタイ検索を!3 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 15 52 59 ID f4/VOvLH0【各参考書について】【詳説日本史Bをメインに使う場合の必須教材】[教科書]詳説日本史B(山川出版)[用語集]日本史B用語集(山川出版)※日本史はこの2冊を完璧に仕上げれば参考書は必要ないと言っても過言ではありません。【詳説日本史Bをメインに使う場合の準必須教材(資料集)】[史料集]日本史重要史料集(浜島書店)[図説集]総合資料日本史(浜島書店)※史料集・図説集は学校で配られたものなどでもいい(買い替える必要はあまりない)(図説集だけでも可)。【基礎知識本】 ※センターだけの人は【センター対策本】の項も参照。[講義本]石川日本史B講義の実況中継①~⑤(語学春秋社) ※⑤は文化史[講義本]結論!日本史―石川晶康の日本史①~②(史料編は別売)(学研)[講義本]ナビゲーター日本史シリーズ(山川出版)[講義本]読むだけ日本史①~②(石黒拡親著)(学研)[問題集]日本史頻出わーど問題集(駿台文庫)[問題集]日本史よくでるテーマ別問題集(駿台文庫)[問題集]はじめる日本史50テーマ(増進会出版)[教科書]高校日本史B(山川出版)[教科書]新日本史B(山川出版)[教科書]日本史B(三省堂)[用語集]日本史用語集ちゃーと&わーど(駿台文庫)4 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 15 54 09 ID f4/VOvLH0【演習~実戦レベル本】[問題集]実力をつける日本史100題(増進会出版)[問題集]入試精選問題集14日本史B(河合出版)【演習~ハイレベル本】[講義本]眠れぬ夜の土屋の日本史 史料と解説(コロナ) ※史料集としても使える[講義本]菅野の日本史B講義録①~④(代々木ライブラリー) ※③は絶版[問題集]日本近現代史問題集(山川出版)[問題集]結論!日本史演習書石川式問題集(学研)[問題集]金谷日本史B問題集完全版(東進ブックス)[問題集]日本史B 標準問題精講(石川晶康著)(旺文社)[問題集]攻める日本史 近現代 実戦演習80(増進会出版)[問題集]攻める日本史 文化史 実戦演習60(増進会出版)[問題集]慶応大日本史(河合出版)[問題集]早稲田大日本史(河合出版)[論述本]“考える”日本史論述(河合出版)[論述本]段階式 日本史論述のトレーニング(増進会出版)[論述本]論考テーマ型 日本史論述明快講義(旺文社)5 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 15 55 18 ID f4/VOvLH0【補充本】○金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本シリーズ(東進ブックス)―正攻法で日本史を学びたい超初心者のための本○超速日本史シリーズ(竹内睦泰著)(ブックマン)―講義本・通史本として使える初心者向けの本○書き込み教科書(山川出版)―穴埋め形式などで教科書の内容を確認できる本○詳説日本史研究(山川出版)―山川教科書「詳説日本史B」を参考書形式にして詳しくしたもの○速攻Z会 日本史年代 10日間(増進会出版)―年代を覚えるならコレ○日本史でるとこ攻略法(文英堂)―重要事項をゴロで覚える○ベック式!日本史ゴロ覚え(学研)―年代のゴロ等が載っている。本の使用頻度自体はかなり低くなりやすい【センター対策本】○野島のセンター攻略 日本史B(東京書籍)…流れがわかりやすく論述対策にも使える○金谷のセンターはこれだけ!シリーズ(文英堂)…金谷らしい編集○センター日本史B/9割GETの攻略法(語学春秋社)…初心者には不向きだが、コンパクトに情報がまとまっている○センター試験 日本史Bの点数が面白いほどとれる本(中経出版)…やや使いづらいが情報量は多い○センター試験のツボ日本史(桐原書店)…センター対策本としては最重量級の本○センター日本史的中講義(代々木ライブラリー)…分厚いが初心者でも読める講義本○30日完成 スピードマスター日本史問題集(文化史は別売)(山川出版)…流れを踏まえて用語を確認できる【サブノート】○詳説日本史ノート 日本史B(山川出版)○流れがわかる日本史Bノート(山川出版)○伊達の速効日本史最勝王Part1,2(代々木ライブラリー)○大学受験菅野の日本史Bノート-知識の整理と演習-(旺文社)○菅野の日本史B立体パネルForever(代々木ライブラリー) ※絶版なのでネットで手に入れよう!6 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 15 56 45 ID f4/VOvLH0【日本史問題集】★入試基礎 ★★センター ★★★中堅・二次私大 ★★★★ 難関・二次私大 ★★★★★ 超難問○日本史頻出わーど問題集(駿台文庫) ★○日本史よくでるテーマ別問題集(駿台文庫) ★~★★○はじめる日本史50テーマ(増進会出版) ★~★★★○センター試験への道 日本史(山川出版) ★★○センター試験短期攻略問題集 日本史B(駿台文庫) ★★○2006マーク式総合問題集日本史B(河合出版) ★★○実力をつける日本史100題(増進会出版) ★★★~★★★★○入試精選問題集14日本史B(河合出版) ★★★~★★★★○日本近現代史問題集(山川出版) ★★★★○結論!日本史演習書石川式問題集(学研) ★★★★○金谷日本史B問題集完全版(東進ブックス)★★~★★★★★○日本史B 標準問題精講(石川晶康著)(旺文社) ★★★~★★★★★○攻める日本史 近現代 実戦演習80(増進会出版) ★★★~★★★★★○攻める日本史 文化史 実戦演習60(増進会出版) ★★★~★★★★★◎一問一答 ※使い方注意○センター試験日本史A・B一問一答-正誤問題征服-(金谷俊一郎著)(文英堂) ★★○一問一答日本史B用語問題集(山川出版) ★★~★★★★○日本史B用語&問題2100(Z会) ★★★~★★★★○日本史そのまま出るパターン一問一答(史料編は別売)(金谷俊一郎著)(三省堂)★★~★★★★★○金谷日本史B一問一答完全版(史料編は別売)(東進ブックス) ★★~★★★★★○菅野の日本史 テーマ別知識の総整理(旺文社)★★~★★★★★○日本史タテヨコ総整理(菅野祐孝著)(旺文社)★★★~★★★★★7 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 15 58 19 ID f4/VOvLH0【通史本】山川教科書「高校日本史B」→詳説日本史Bのイージーバージョン。山川教科書「詳説日本史B」→受験日本史の標準的な教科書なので一読しておきたい。記述ネタにも使える。山川教科書「新日本史B」→詳説日本史Bのハードバージョン。網羅性は詳説日本史Bの方が上。三省堂教科書「日本史B」→早稲田ネタ。石川実況→史料から歴史を読み解くオーソドックスな形式。到達レベルも高め。石川結論→石川実況より冊数が少なくて済む。説明は簡略化されているがレベルは高い。金谷流れ→到達レベルが低いものの、流れを重視して丁寧に書かれている。入門用。超速日本史→楽しんでテンポよく読める。記述の信頼度や網羅性は低い。菅野講義録→知識レベル最高峰。日本史得意な人がさらに知識を磨き他人と差をつけるために使用。最勝王→知識レベルは高い。ノートとしても使える。いきなりこれだと穴もある。問題集・一問一答難易度表Ver6 (あくまで目安)←80←←←←75←←←←70←←←←65←←←←60←←←←55←←←←50←←←←45□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■□□はじめる50(乙会)□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□実力100題(乙会)□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□攻める文化史(乙会)□□■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□□□攻める近代史(乙会)□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□用語2100(乙会)□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□金谷そのまま(三省堂)□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□金谷一問一答完全版(史料編含む)(東進)□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□金谷そのまま(史料編)(三省堂)※現在日本史の参考書はハイレベルなものが絶版になる傾向にあるので上記の参考書は今後手に入らないものが増えてくる可能性があります。8 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 15 59 53 ID f4/VOvLH0【各参考書についての詳しい説明】・石川日本史B講義の実況中継①~⑤ ※⑤は文化史メリット サブノートが充実している。間違えやすい部分などの説明が詳しく書かれている。CDがついている。デメリット 全部揃えるとなると値段が高い。・金谷の一問一答完全版(史料編含む)メリット MARCHレベルの志望者は100題を中途半端にやるなら、これを繰り返したほうが得点がとれると思う。デメリット センターだけの方や東大専願の方にはあまりオススメではない。星を気にして全部の問題をやろうとしないものがいること。赤シートで消えない(史料編除く)・金谷の問題集完全版(東進ブックス)メリット 解説中の重要語句まで赤シートで確認可能。一問一答完全版のアウトプットに最適。デメリット わからない(思いつかない)対象 『一問一答完全版』使用者・Z会はじめる50メリット:基礎的な質の良い問題が上手く選定されている問題集。付録のまとめと一問一答も身につければ、中堅私大までなら要領良く対応できる(つまり、ある程度マニアックな知識もある)。デメリット:問題の設問に対して解説がない。難度的には金谷やZ会一問一答をやれるなら必要はかなり薄い。対象:急いで概要の演習と確認をしたい人(スタートが遅かった受験生)。中堅私大志望者。・Z会実力100題メリット 後ろの解説が詳しく、論述の基礎にもなる。マーチ以上の志望者などはオススメ。国公立2次にも対応可。デメリット 問題が簡単すぎる 。一問一答を疎かにしてこの本をやろうとするものがいたりすること。対象 MARCH以上9 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 16 00 53 ID f4/VOvLH0・山川一問一答メリット 山川らしい問題選定。地図の問題とかついておりその点は、金谷より優れているデメリット 解答冊子の位置がズレてたりするので、間違いに気付けるなら、使用してもよい対象 ニッコマレベル、法政ぐらいまでオススメ・Z会日本史B 用語&問題2100メリット 右側に要点がまとめられている。索引がついている。デメリット 金谷が著している一問一答にレベルが劣る・日本史そのまま出るパターン一問一答(史料編含む)(金谷俊一郎著)(三省堂)メリット 完全版とは違い、解答の語句を赤シートで隠すことが可能。史料編に関しては完全版より充実。また、完全版とは違い、ある時代区分毎に頻度(10段階)の高いものから順に並んでいるのも特徴的。なので、志望するレベルに合わせ取り組む問題を取捨選択することが可能です。デメリット それほど大きな欠陥ではありませんが、『一問一答完全版』に比べ戦後以降の問題数が少ない。対象 志望は問いません。現時点で『一問一答完全版』に対し赤シートに関して不満があるという人は是非とも。10 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 16 01 38 ID f4/VOvLH0・ナビゲーター日本史シリーズメリット:講義物にありがちな茶化した表現や、必要以上に砕けた説明をせずに、学校の授業のような解説で学ぶことができる。表現がシンプルかつ親切でクセがない。デメリット:教科書などで確認が必要なのは他の講義物と変わらない。石川や菅野ほど試験に出るポイントを強調したり派手さはなく、到達点も劣る。対象:石川が合わない歴史が好きな初学者。学校の授業を聞きたい人。・読むだけ日本史①~②(石黒拡親著)メリット:教科書の脚注レベルの語句や教科書の図を相当数掲載。 論述に使えるフレーズで教科書より高校生向けに分かり易く説明されている。超速日本史の良きライバル。デメリット:文化史なし。 ②は全テーマ網羅していない。・菅野の日本史B講義録①~④ ※③は絶版メリット 非常に細かいところまで触れられており、石川実況より知識レベルは断然上。デメリット 詳しすぎて本当にこんなのが出るのか、というものもある。・菅野の日本史 テーマ別知識の総整理メリット タテヨコ総整理と同様に、最後の総チェックとして使える。内容は一問一答式。デメリット 誤植がいくつかある。あとこれは菅野の参考書全てに言えることだけど非常に細かい。対象 早慶以外不要だと思う。11 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 16 02 44 ID f4/VOvLH0・金谷なぜと流れがわかる本シリーズメリット:物事の経過をとても丁寧に解説してくれる。全くの歴史音痴でもスムーズに進められて、石川や菅野や教科書への橋渡しになる。デメリット:事項のまとめが良くない。あくまで受験日本史のスタートラインに立つためのもので、これをメインに使うものではない。・超速日本史シリーズ(竹内睦泰著)メリット エピソードや雑談が多く、読み物感覚で読める。冊数も少なめ。読むだけ日本史の良きライバル。デメリット あちこち漏れがある。その一方で入試に出ないマニアックなエピソードが数多く載っていて無駄が多い。 あくまでも「流れ」だけで細かいところは何もないので、他の本で補充が必要。 歴史小説など史実と違う内容が記載されている例あり。・書き込み教科書(山川出版)メリット 定期テスト向けデメリット 特になし対象 比較的時間があり教科書の確認をしたい人や教科書本文を引用するような高校の定期テストには持ってこいです。・詳説日本史研究(山川出版)メリット 山川教科書「詳説日本史B」を参考書形式にしてさらに詳しくした1冊。用語集並みに詳しい。デメリット 値段が高く、厚さ、重さ的に持ち運びが不便。12 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 16 04 27 ID f4/VOvLH0・金谷のセンターはこれだけ!シリーズメリット かなり絞られてる。資料写真がある。デメリット まとめの表がちょっと微妙。分冊である(といっても二冊だけど)。テーマ史がない。絞りすぎてて、9割狙いというより7割~9割狙い。・センター日本史Bが面白いほどとれる本(中経)メリット 完璧にセンターレベルに適していると言える。難しい用語(難関大向け)はない分、教科書レベルならこの本で9割方マスターできると思う。ツボの良きライバル。デメリット センターに適しすぎているため、難しい用語がない点で実況中継や菅野に劣る 。二次、私立の場合はあまりお勧めできない。近現代が若干甘い。・センター試験のツボ日本史メリット:1冊のみ、なおかつ1400円で済む。5冊で6000円する石川実況がイヤな、センターでしか日本史を使わない人向け。鎌倉仏教、藤原の排斥やらが図になってまとまっている。また、山川教科書「詳説日本史B」と石川実況のイイとこどりって感じで、センター向けの本としては網羅度が非常に高い。面白いほどの良きライバル。デメリット:センター向けの本なので、裏を返せば論述対策や細かい早慶レベルの知識が押さえにくい。流れや背景の理解が押さえにくい。やはり近現代が若干甘い。・スピマス日本史(スピマス文化史含む)(山川出版)メリット:薄い。安い。見開きに時代の整理、次ページにその演習。数行の文中に空欄が数個あるから一問一答よりも、より流れの中で用語を確認できる。文化史も入っている。デメリット:センターレベルを越す用語もあり不安になるかもしれない。対象:センター試験を受験する人の中で通史が早い段階に終わりそうで余裕のある人や、MARCH以下を受験する人。※センター試験を受験する人はスピマス日本史を使う場合、山川教科書通読→スピマス→何らかの並び替え問題集がオススメの勉強法。13 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 16 05 39 ID f4/VOvLH0《論述対策本》・考える日本史論述(河合)メリット 論述チャートが非常にわかりやすい。解答の手順が詳しく書いてあり、問題の要求を考える習慣が身につく。論述を書く際に知っておくべき知識が明示されているデメリット 問題数が少なく、網羅性に欠ける対象 論述を使う全ての受験生・論述トレーニングメリット 作成のポイントがこまかくかかれてるから、明快講義と比べると理解しやすいデメリット 語句に説明がない (難しい語句でないから困らんと思うが)《サブノート》・山川流れメリット:流れが図にまとまっていて、下に語句をまとめて書く。テーマ史用のノートも別売されている。デメリット:自分で編集した最勝王よりページ数が多くなる割には暗記のコストパフォーマンスが悪い。・伊達の日本史最勝王Part1,2メリット:情報量が多い。小さくて持ち運びやすい。早慶まで対応可。まとめる手間が省ける。デメリット:空欄に書き込む場合、解答番号が邪魔になる。いきなりこの本だと穴がある。対象:早慶志望者や独学でまとめるのに苦労している受験生・菅野の日本史Bノートメリット:論述対策、テーマ毎に過去問あり。デメリット:分厚くてデカいため幅を取る。脚注の文字が小さい。左側が書きにくい。14 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 16 06 27 ID f4/VOvLH0【よくある暗記の方法】教科書を通読し、サブノートを自分でまとめ、“暗記のベース”をつくる。(暗記のベースについては【私大の勉強法その2】も参照)次に問題集や志望校の過去問でアウトプット。あやふやなところは何度でも教科書やサブノートに戻って確認する。新しい単元に進んだらまた教科書を通読し…の繰り返し。ゴロのまとめサイトhttp //www.geocities.jp/goro_matome/※年号と年代の違いに注意しましょう。年号 ex.応仁 寛政 明治年代 ex.645 1234 186715 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 16 07 12 ID f4/VOvLH0【センターの勉強法その1】※センター試験受験者は【センター対策本】の項も読んでおくことを勧めます。センター・国立2次受ける人は山川教科書「詳説日本史B」 3が軸になります。できれば先生が大事なところにマークするよう指示してくれたらより学びやすいでしょう。まず、日本史初心者は流れを押さえるために石川実況 8をざっと読みます(この時の読み方はテキトーでよい)。その上で山川教科書に乗り換えて覚えていけば良いでしょう。文化史は資料集が役に立ちます。自分の中で出てきた「なぜ?」という疑問を解決するために、暇な時に調べてみることも日本史という科目においては重要です。調べる用語の関連性も重要となります。また、調べたことをサブノートにメモしておき、自分の中に“暗記のベース”を作成しても良いでしょう(暗記のベースについては【私大の勉強法その2】の項も参照)。資料集・歴史漫画・歴史小説・歴史雑誌などを暇な時にボーッとしながら読んで、流れと背景知識を何となく頭に入れる手もありです(特に近現代は暗記よりこういった作業が大事)。アウトプットとしては、模擬試験や高校の定期テストを活用すると良いでしょう。また、山川教科書で通史の勉強が終わったら、センターの過去問演習やマーク式問題集の演習に移りましょう。※理型には石川実況はオーバーワークかもしれないので、講義本をやるならどちらかというと石川結論がおすすめです。※山川教科書が難解な場合は、自分に合ったセンター通読本をやってみたり、小中学校の教科書に戻ってみましょう。※日本史をやりすぎて他教科をおろそかにすることがないようにしましょう。【センターの勉強法その2】(一問一答を使う場合)山川教科書で学んだら、用語を確認する程度に金谷などの一問一答を使ってみましょう。山川教科書を使わない場合は、石川実況+山川用語集+一問一答+Z会100題というように、参考書やサブノートを組み合わせて勉強していきましょう(一問一答単品では流れを押さえにくいため)。※【センターの勉強法その2】では、定期的にセンター過去問・マーク式問題集・正誤問題集などでアウトプットしたり、傾向を確認したりしておくことが望まれます。16 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 16 08 12 ID f4/VOvLH0【私大の勉強法その1】1、山川の教科書 3を読むor講義系の参考書(石川実況 8とか)を読む2、一通り網羅してる問題集(100題 8とか)をやる3、志望大学志望学部の過去問をやる4、学校別対策(同大他学部の過去問やるとか、早稲田志望なら早稲田の日本史集めた問題集やるとか)・弱点補強(志望校に文化史がたくさん出るor苦手ならZ会のテーマ史文化史やるとか)etcをする※一問一答は2の時期から始めて、受験時までの間確認に使う※日本史の授業を取っていないor授業をうまく活用できない人は1で講義系の参考書をやるべき。それ以外の人は教科書がオススメ。時間が許すなら両方やっても可※日本史苦手な人は1のあとはじめる50とかやるとよい【私大の勉強法その2】①講義本を読みながらまとめノートに語句を書き込むなどして“暗記のベース”を作成※この暗記のベースが一番重要。分からなくなったら常にこれに戻る②頭の中でまとめノートの図面を思い出しつつ講義本を見ないで流れが自分の頭の中に入ってるかを確認※講義本の内容を喋ったりするのが効果的③以上を繰り返してラストまて突き抜ける・演習について問題集をある程度やったら過去問に移りましょう。一般的な問題集は「語句の確認」という観点からあまり難しい問題は入っていません。しかし、上位大学の入試日本史では“類推”“消去法”で解くことが多くなります。また、この能力は一問一答では養いにくいものです。遅くとも夏までには既習範囲のみでいいので第一志望の過去問を解くことを勧めます。17 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 16 09 29 ID f4/VOvLH0【東大2次の勉強法】東大日本史とはいえ基本が第一です。【よくある暗記の方法】、【センターの勉強法その1】も読んでおくことを勧めます。論述問題の解き方を身につけるには、東大の日本史25ヵ年がオススメです。ただし昔のは難しすぎるので最高でも10年分とけば十分でしょう。最初のうちは25ヵ年を進めるのは大変なので、考える日本史論述 13や論述トレーニング 13、日本史論述明快講義(旺文社)を先にやっても良いでしょう。また、できるだけ第三者に添削してもらうことを勧めます(学校の先生や予備校講師、塾講師)。代表的な年代は暗記が必要です。特に江戸時代以降は細かく暗記しましょう。余裕があれば「日本史講義 2 時代の特徴と展開」(著 安藤 達朗)(駿台文庫)や25ヵ年の著者の塚原さんのサイト「つかはらの日本史工房」の日本史のお話を読むのもいいでしょう。18 名前:大学への名無しさん[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 16 10 36 ID f4/VOvLH0【諸注意】 2【各参考書について】 3-7【各参考書についての詳しい説明】 8-13【よくある暗記の方法】 14【センターの勉強法】 15【私大の勉強法】 16【東大2次の勉強法】 17◆大学受験板テンプレ◆■規制されてる人や2ちゃんが落ちた時: 避難所http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/school/21000/へドゾ-■大学生間の馴れ合い:大学生活板http //ex24.2ch.net/campus/もしくは 大学学部・研究板http //changi.2ch.net/student/でドゾー■学歴厨:学歴板http //gimpo.2ch.net/joke/へドゾー■就職厨:就職板http //namidame.2ch.net/recruit/へドゾー--------------------ここまでテンプレ--------------------
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/51278.html
初めてこのゲームを見たときどこかのゲーム会社が作ったのかと思ったよ。 -- 名無しさん (2013-10-08 14 12 15) 9歳の少女とオネェの純愛ラブストーリーともいえるな。 -- 名無しさん (2013-10-08 17 39 09) エンディングは7種類って聞いたけど新しく追加されたのかな? -- 名無しさん (2013-10-16 13 56 11) メアリーちゃんはヤンデレってよく言われるけれど、あの子の場合はヤンデレじゃなくて、策士だっただけだよ。 -- KANADE (2013-10-16 14 01 26) 「わるいこ、わるいこメアリー、おまえのこころはつくりもの、さよならメアリー」このセリフは本当に怖かった。 -- 名無しさん (2013-10-16 14 06 15) ↑罪と罰だな・・・。 -- 昇一 (2013-10-16 14 24 41) イケメンオネエにしたのは幼女と行動する時に犯罪臭がせんようにかな -- 名無しさん (2013-10-16 16 49 57) ハンカチがイヴとギャリーの絆を・・・・・・。 -- 名無しさん (2013-10-19 22 48 09) 3人全員が幸せになれるEDは追加されないんでしょうかね? -- 名無しさん (2013-10-19 22 54 27) ↑俺もそれ思った。作者さん、新しくそんなエンドを作って欲しい…。 -- ギナ (2013-10-22 19 59 17) イヴちゃんマジ男前ってタグがキモすぎる -- 名無しさん (2013-10-27 16 05 30) ↑そんなに気になるなら、タグ修正しとけ(やり方知らんけど)。 -- グール (2013-10-29 17 35 35) ニコ動の実況プレイだと、大阪出身の演技派プレイヤーのカマクビさんのが、特に好きだな。 ギャリーさんの声に一番合っている(あと動画編集が神)。 -- ビッグバード (2013-11-09 11 05 36) 「ある絵画の末路」はメアリーがあまりにも気の毒だ。 -- 名無しさん (2013-11-09 13 19 29) ある意味メアリーが救われない(→ハッピーエンドにはならない)からIbは面白いのかもだけどそれにしたってメアリーちゃん可哀想…みんな救われて欲しいよ -- 名無しさん (2013-12-09 02 49 15) 「ひとりぼっちのイヴ」というEDも幸せそうで救われない・・・・。 -- 名無しさん (2013-12-09 09 42 20) 「無個性」という敵が怖い。首なしマネキン怖い。首だけでも嫌だけど。 -- 名無しさん (2013-12-09 11 38 58) メアリーが唯一幸福だったEDはイヴと姉妹になれたことか? -- 名無しさん (2013-12-09 13 49 40) メアリーのセリフが渡辺久美子さんの声で脳内再生されるのは何故だ? -- 名無しさん (2013-12-10 00 32 25) ↑4ごめんなさい、「ひとりぼっちのイヴ」のどのあたりが「幸せそう」なんですか?私は、あれが全く幸せには見えません。 -- 九十九 (2013-12-11 14 10 21) ↑最後にちゃんと救われないと書いてあるが、多分偽者でもギャリーが話しかけてくれたことじゃないのか? -- 名無しさん (2013-12-11 14 13 23) バラの花が「命」の象徴という美しさ。 -- 名無しさん (2013-12-11 14 19 15) ↑×2あれだとイヴちゃん、絶対について行くよね…。残酷すぎるよ…。 -- 九十九 (2013-12-12 14 42 04) 「ようこそゲルテナの世界へ」は・・メアリーはそれで良いのか? -- 名無しさん (2013-12-12 17 05 17) ↑『友達とずっと一緒でいられる』点では……… -- 名無しさん (2013-12-12 17 33 44) グッズ出てるのにはびっくりしたよ -- 名無しさん (2014-02-24 00 47 50) キャラのフィギュアは買いたいとまでは思わんけど、美術品のフィギュアは欲しいな。精神の???とか。あと飲み込める夜のフィギュアマダー? -- 名無しさん (2014-03-06 14 31 45) ギャリーがオネェなのは犯罪臭軽減もあるだろうけど普通の成人男性が9歳の女の子といたら道中気まずいことこの上ないからだと思う。オネェで世話焼きみたいな感じなら幼女と会話弾みそうじゃん? -- 名無しさん (2014-03-06 15 47 12) ↑なかなか素敵なカップリングだとも思える・・・・。 -- 名無しさん (2014-03-06 17 38 36) メアリーが異変を起こした張本人…という記述は間違えじゃないかな?ギャリーと入れ替わろうとたくらんだのは事実だけど。 -- 名無しさん (2014-03-16 13 33 18) メアリーはただ外の世界に出たかっただけなんだ。 -- 名無しさん (2014-03-16 16 54 26) ↑3 それは思う。むしろ全力で賛同する -- 名無しさん (2014-05-10 02 10 32) ギャリーがオネエだったからイブとの絆が伝わりやすかったんじゃないか? -- 名無しさん (2014-05-10 02 28 16) 何かもうギャリーが女キャラにしか見えない… -- 名無しさん (2014-05-10 03 36 28) クッセェなぁ… -- 名無しさん (2014-05-10 06 14 31) メアリー視点を見ると、自分が作品だってこと気づいてなさそうなんだよなあ。でもギャリーに知られたらあの処置だし。口が「秘密or計画を知られた」ってくらいですませてたのかどうなのか。 -- 名無しさん (2014-05-10 07 14 32) ヒロインは3人ってことでいいのか? -- 名無しさん (2014-05-10 10 11 08) 青いバラの花言葉 「希望」ギャリーは魔法使いだったのか…(錯乱) -- 名無しさん (2014-06-07 20 09 46) メアリーは外の世界に憧れただけだったのに「ある絵画の末路」というEDはあんまりだ。 -- 名無しさん (2014-06-07 20 51 04) フリーゲーム史上最も美しい。 -- 名無しさん (2014-06-07 21 53 58) 盛りすぎず少なすぎず、よくまとまってたよね -- 名無しさん (2014-06-07 22 08 04) アニメ化されて欲しい・・・。 -- 鷺打橋 (2014-06-07 23 00 02) 実況プレイではとわこさや味ツ人的に一番好き -- 名無しさん (2014-06-13 20 43 33) 文字化けェ -- 名無しさん (2014-06-13 20 44 17) アニメにするなら三人すべてが幸せになって欲しいし「再開の約束」をドラマチックに盛り上げて欲しい。あとはウテナみたいにOPで三色のバラがクルクルまわる演出をプリーズ。 -- 名無しさん (2014-06-13 21 24 48) ↑メアリは絵の中の世界で幸せになってほしいな。ゲルテナと会えれば「おとうさーん!」「娘よ」って感じにならない…かな…? …うん。 -- 名無しさん (2014-06-13 22 01 52) 演出に気をつければ割と怖く実写いけるんじゃね? -- 名無しさん (2014-07-07 12 03 51) 実写はやめろ -- 名無しさん (2014-07-21 04 54 08) ↑いっそのこと舞台化の方がマシかもしれない。 -- B-P (2014-07-24 17 22 27) メアリー可哀想だなぁ…。幸せになってほしい。 -- 名無しさん (2014-07-30 03 44 19) ルートによってはイヴの姉になって実体化するけどね。ギャリーが・・・。 -- 名無しさん (2014-07-30 20 02 08) メアリー可哀想だけど、いつまでも一緒の結末のメアリーは好きじゃなかったな。あと、薔薇をちぎったところも。 -- 名無しさん (2014-07-30 22 15 03) 登場人物はどこの国籍? -- 名無しさん (2014-08-03 14 52 38) ↑確かフランスじゃなかった? -- 名無しさん (2014-08-03 16 57 01) 思ったんだがイヴが美術品の名前が難しくて読めないって言ってたよね でもこれ絶対日本が舞台じゃないし普通は「難しくて意味がわからない」じゃないの? -- 名無しさん (2014-08-03 17 49 54) ↑細かいことは気にすんな -- 名無しさん (2014-08-11 22 26 37) お似合いだとは思うのだけれどイヴとギャリーって何歳差なんだろう? -- 名無しさん (2014-08-11 22 30 06) ↑ギャリーが二十歳だとしても11歳差、気にすることは無いと思うが。イヴの見た目が幼すぎるので数年待てば大丈夫でしょう。 -- 名無しさん (2014-08-13 11 12 48) ある会話の中でギャリーがイヴを「いいとこのお嬢さん」って含みのある言い方していたあたり、ギャリーの家庭は裕福じゃなかったのかな? -- ラヤ (2014-08-31 08 54 01) 年号からして架空の世界が舞台かと思ってた -- 名無しさん (2014-08-31 08 56 33) 公式サイトのIbギャラリーの最新イラストの四コマ漫画、超微笑ましい。そしてイヴちゃん、マジカワユス。 -- コーテー (2014-10-24 10 46 37) ↑やっぱりイヴちゃんもお腹がすけば腹の虫がなるんですね。(しかしギャリー人気高いな) -- 名無しさん (2014-10-24 12 30 02) ↑↑ギャリーが好きだとギャラリーがギャリーに見える -- 名無しさん (2014-10-24 12 35 07) ↑同士よ。 -- F.E. (2014-10-24 14 58 32) 全員が薔薇がモチーフの世界にいるので「ウテナ」の格好を三人にさせて欲しい。 -- 名無しさん (2014-12-22 20 08 01) この精神面に来る怖さがらジャパニーズホラーか -- 名無しさん (2016-03-14 23 11 46) イヌカレー的な怖さかな?魔法少女ものではないけどまどマギのような要素もあるし今からでも良いからシャフト辺りでアニメ化しないかしら? -- 名無しさん (2016-10-17 00 35 57) ↑少女の純粋さがもたらした狂気 -- 名無しさん (2017-07-23 21 57 22) ホラーというより切ないファンタジーのようなゲーム。作者の感性がいい意味で繊細なんだろうか? -- 名無しさん (2019-03-12 10 11 24) とあるゆっくり実況動画で知りました・・・3人脱出END尊い・・・ -- 名無しさん (2019-05-04 01 20 56) ↑そんなものはない(無慈悲) -- 名無しさん (2020-03-24 09 20 20) マインクラフトでこのダンジョンの数々を再現した人がいたっけなあ。なかなか圧巻だった。 -- 名無しさん (2020-03-24 12 54 24) Old dollといえばこのゲームだよな。ようこそゲルテナの世界へで曲名通り青い人形が出てきたのは面白い。個人的にあの曲は暗い雪道を主人公が一人ぼっちで歩いている、主人公が悲惨な過去(両親惨殺とか)を思い出す、主人公が仲間とはぐれ一人ぼっちになる、精神世界でもう一人の自分と対話するというイメージもある曲だからそういうシチュエーションで流れるゲームも出てほしい。 -- 名無しさん (2020-11-20 08 09 43) トゥルーエンドだとメアリーだけ死亡してるんだよな。敵キャラで自業自得とはいえ悲しい。 -- 名無しさん (2021-07-02 21 22 06) メアリーがいるときってホラー現象が少なかった気がする。特にイヴサイドで。それを考えると、もしメアリーがまともだったら途中からホラゲーではなくなっていたかもしれない。そう考えるとメアリーがあの性格で、途中で裏切るのは仕方がないのかね。 -- 名無しさん (2021-07-17 15 30 21) 海外版にはイヴだけ犠牲になるEDもあるとか。公式じゃないが -- 名無しさん (2021-08-04 11 04 42) 2022年、リメイク版が決定! -- 名無しさん (2021-10-03 22 14 32) 十周年記念リメイク発表! フリーではなく有料となるそうですが、感謝! -- 名無しさん (2021-10-04 18 40 45) コメントのログ化を提案します。 -- 名無しさん (2022-03-06 23 44 41) ログ化しました -- (名無しさん) 2022-06-07 17 06 36 リメイク版switchに移植決定。全人類プレイしろ -- (名無しさん) 2022-09-14 00 14 48 アニメ化希望。イヴは鬼頭さんでギャリーが中村悠一さんでメアリーが種崎さんで -- (名無しさん) 2022-12-14 21 35 59 Switchで売られとるやんけ -- (名無しさん) 2023-03-15 07 37 37 Switch移植につき、Ibを初めてプレイ。凄かった、もう全部が。これから二週目以降を始めます。 -- (名無しさん) 2023-03-16 20 36 07
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ザッ、ザッ、と枯葉を意味も無く蹴散らしながら、小学生くらいの男の子たちが騒いでいる。サウラーは南瞬の姿で、彼らから少し離れた公園のベンチに座っていた。その右手は、相変わらず本のページに添えられている。 足を組んで本を読むスタイルは、いつもと同じ。が、彼が公園で――占い館以外の場所で読書をしているなんて、非常に珍しいことだ。 ノーザが来てからというもの、館で本を読んでいても、以前ほど集中できなくなってしまった。自分の都合だけで突然現れて、否応なしに命令してくる最高幹部。ウエスターのように真っ向から反発するほど、自分は馬鹿じゃない。が、それを不快に感じていることは、ウエスターと変わらなかった。 (無駄な外出をせず、最も効率的な仕事をしてきたこの僕が、こともあろうに、こんなところで無駄な時間を過ごすなんてね・・・。) 自嘲気味に、ふん、と鼻で笑って、サウラーは本のページをめくる。と、男の子たちの会話が、何となく耳に入ってきた。 「・・・ホントなんだよ!あそこには、すっげえもんが隠されているんだって!」 「え~?すげえもんって?」 「それ、何だよ。」 「聞いて驚くなよ?あのな・・・」 鉄棒に腰掛けて、仲間二人を見下ろしていた大柄な少年は、そこで地面に飛び降り、仲間たちに顔を寄せた。 ひそひそ話というわけだろう。が、サウラーの聴覚の前では、そんなものは意味が無い。 (馬鹿な。ラビリンスですらまだ実現できていない技術だぞ。この世界の科学力で、作れるものか。) 少年の囁き声を聞きとったサウラーが、そう思ったのとほぼ同時に、 「嘘に決まってんだろ?そんなの。」 仲間の一人が、吐き捨てるように言った。 「嘘じゃないって!オレの友達の友達が見たんだ。空中に突然、車みたいな乗り物が現れて、中にはチョンマゲを付けたお侍みたいな格好の人が乗って、きょろきょろ外を見ていたんだって。で、その乗り物は、すーっと塀の向こうに、降りていったって言うんだ。」 ギュッと拳を握る少年の声が、次第に大きくなる。 「なっ?それって、タイムマシンだと思わないかっ?」 自分の声の大きさに、まだ気付いていない少年を横目に見ながら、サウラーは、夏のある日のことを思い出す。 あれはイースがラビリンスを去って、まだひと月も経っていなかった頃。この世界の人間が、思い出をとても大切にしているらしいと知ったサウラーは、写真屋の古いカメラをナケワメーケにして、プリキュアどもを「思い出の世界」という甘美な夢の中に閉じ込めようとした。 計画通り、まずはキュアピーチを眠らせたものの、彼女は仲間たちの願いどおり、思い出の世界から戻ってきた。そして結局ナケワメーケは倒され、サウラーの計画は失敗に終わったのだ。 「絶対に来てくれるって、信じてた!」 舞い戻ったキュアピーチに、そう言って笑いかけたイースの顔。その映像が、眩しく苦く胸の中によみがえってきて、サウラーは慌てて活字に目を戻した。 (思い出の世界なんて不確かな夢でなく、本当の過去の世界にプリキュアを送ってしまうことができたら・・・。) たとえ一人でも時空の彼方へ放り出すことができれば、プリキュアどもの新しい技も封じられる。インフィニティの奪回は、もっと簡単なものになるだろう。ノーザの鼻も、少しはあかせるかもしれない。 サウラーは静かに本を閉じ、立ち上がった。 少年の下らない願望が、本当である可能性は低いだろう。だが。 (どうせこんなところで無駄な時間を過ごすなら、暇つぶしに行ってみてもよさそうだ。) 「ねえ、君たち。少し、話を聞かせてくれないかい?」 サウラーは冷ややかな目で少年たちを見据えながら、彼らにゆっくりと近づいていった。 桃源まで、東へ五分 ( 第1章:待っていたサプライズ ) 「じゃーん。どう?これ。」 目の前に突き付けられたものを見て、せつなは不思議そうに首をかしげた。 「あの・・・これは?」 ラブに宿題を教えていたせつなの元へ、あゆみが嬉しそうにやってきて、見せてくれたもの。それは、せつなの顔くらいはありそうな、大きな真っ赤なリボン。柔らかな布地で作られているのだろう。その形はやさしい丸みを帯びて、表面はつやつやしている。 (きれいなリボンだけど・・・。頭に付けるには大きいし、洋服に付けるんでもなさそうだし・・・。あ、もしかして、夏休みに漫才やったときみたいな蝶ネクタイにするのかしら。) せつなのいぶかしげな視線に、あゆみは柔らかな笑みを返す。 「せっちゃん、修学旅行に持って行くバッグ、お友達と同じになっちゃったって言ってたでしょ?旅先で間違えたら大変だから、これ、目印に付けたらどうかと思って。」 「うわーっ、さっすがお母さん!これ付けたら、きっとすっごく可愛いよ。せつな、バッグ出してみて。」 後ろから覗き込んだラブが歓声を上げる。ようやく事態が飲み込めたせつなは、嬉しさに胸を熱くしながら、自分の部屋へ、いそいそと真新しいバッグを取りに行った。 来週から、ラブと一緒に沖縄へ修学旅行。観光の時に持ち歩くバッグとして、せつなはアイボリーのミニボストンを買った。マネキンが持っているのが可愛かったので選んだのだが、どうやらそれがいけなかったらしい。 昨日、級友とのおしゃべりで、偶然、クラスであと二人も同じバッグを買っていることがわかってしまった。それでせつなは、少しだけがっかりしていたのだ。 「修学旅行かぁ。私もレミさんと同じブラウス持って行って、向こうで喧嘩になっちゃったっけ。せっかくの私服なのに誰かと一緒はイヤだなんて、レミさんが言い出すから。」 せつなのバッグにリボンを縫い付けながら、あゆみが、うふっと思い出し笑いをする。何だか自分の気持ちを言い当てられたような気がして、せつなは頬を赤く染める。同時に、そんなことを考えた自分に、少なからず驚いてもいた。 「おばさまって、美希のお母さんと幼なじみだったんですよね?ブッキーのお母さんとも?」 「尚子さんは、中学の途中で転校してきて、それから仲良くなったの。あの頃は三人、いつも一緒だったわね~。今のあなたたち四人みたいに。」 そう言って微笑むあゆみに、せつなも頬を緩める。 親子二代で友達同士、という関係が、この世界でどれくらい当たり前のことなのか、せつなにはよくわからない。でも、そうやって一人と一人の関係が、家族と家族の関係になっていくのは、とても素敵なことに思える。 「家族」も「友達」も、かつてはただやたらと眩しくて、目にも心にも痛いだけの言葉だった。でも今のせつなには、どちらもキラキラと輝く、愛おしい光に見える。 「幼なじみ」という言葉は、正直少し、せつなには眩しすぎる。でも、その眩しさも含めて大切に思えることが――そう思えるようになったことが、せつなにはとてもありがたく、そして嬉しかった。 「ハイ、できたわ。これなら誰かと間違えることもないわね。」 「ありがとう、おばさま。」 せつなはちょっとはにかみながら、さっそくバッグを肩にかけて、鏡の前に立ってみる。後ろで目を細めているあゆみに、鏡越しに笑いかけたとき、あゆみの後ろにあるドアの陰から、タルトが手招きしているのが見えた。 せつなはもう一度あゆみにお礼を言うと、表情を引き締めて、そっとラブに目配せをする。ラブもすぐに気付いて小さく頷くと、せつなと連れ立って、静かに部屋を出た。 「タルト。ラビリンスが現れたの?」 「それがやなぁ。」 ラブの問いに、タルトは少々困惑した様子で、カチャリとクローバーボックスの蓋を開ける。 「何、これ。」 七色の光の膜に現れた映像を見て、ラブとせつなの声が揃った。 そこに映っていたのは、芝生の上に立っている不気味な姿。後輪だけで立ち上がった車の化け物の頭に、不釣り合いなほど大きなアンテナが付いているような格好だ。三角につり上がった真っ赤な目の少し上、丁度おでこの辺りには、緑色のダイヤ。 「サウラーのしわざね。」 「でも・・・なんで今更、ナケワメーケ?」 シフォンはタルトの隣で、不思議そうにクローバーボックスの映像を眺めている。今日はまだ、インフィニティになりそうな気配はない。 そのうち映像の中で、ナケワメーケがアンテナからレーザーのようなものを発射して、芝生を焼き払い始めた。 「とにかく行かなくちゃ!でもこれ、どこだろう?」 せつなは映像を舐めるように注視する。すると、画面の端に、途切れなく広がる芝生を二重に囲む、並木が映っているのが目にとまった。 「ラブ。これ・・・御子柴家の中庭じゃないかしら。」 「あの、地下特訓場があった?」 せつなが力強く頷いて、もう一度映像に目をやる。 御子柴家。家電製品から宇宙ロケットまで手掛ける、世界でもトップクラスの財閥グループの長の屋敷だ。つい先日、ミユキのツテで、プリキュアたちはここの特訓場を使わせてもらった。広大な中庭の地下に作られた秘密特訓場だったのだが、庭はまだまだ広くて、もっと奥まで続いていたように思う。 「よし、行こう!せつな、ブッキーに電話して。あたし、美希にかけるから。」 「わかった。」 リンクルンを片手に家を飛び出す二人に、タルトとシフォンも続いた。 御子柴財閥に雇われたエンジニアのリーダーは、自分が今見ているものが、信じられなかった。 最先端の――ここに居る者以外、現実とは思わないであろう最先端の技術の粋を集めて、開発したマシン。それがみるみるうちに形を変え、異形の化け物となって立ち上がったのだ。 (こんなこと・・・SFじゃあるまいし!) 自分たちがまさにSFばりの研究をしていることも忘れて、彼はただ呆然と、目の前の怪物の姿を見つめた。 「ナ~ケワメ~ケ!!」 怪物は一声叫ぶと、二重の並木をやすやすと飛び越えた。それを見て、彼の背中を、たらりとイヤな汗が伝う。 「い、いかん!戻ってきてくれ!」 このままでは、怪物がお屋敷の外に出てしまう。今は怪物でも、元は手塩にかけた、我が子同然の発明品だ。 彼は意を決して踵を返すと、遥かに遠い出口を目指して、屋敷の中を一心に走り始める。その耳に、正午を告げる柱時計の音が、やけに大きく響いた。 ラブとせつなが御子柴家の門の前に着いた時、丁度、美希と祈里も向こうから走って来るところだった。屋敷の奥の方からは、時折ドーンという音が響いている。 「こっち!」 ラブを先頭に、四人は屋敷の塀沿いに駆けて行く。ほどなくして、血相を変えた人々が、彼女たちの行く手から走ってくるのが見えた。 地面にずしんと衝撃が走り、コンクリートの塀がびりびりと震える。そしてついに、クローバーボックスの映像で見たのと同じナケワメーケが、その姿を現した。 額に光る緑のダイヤ。胸に取りつけられた様々な計器。網の目のように張り巡らされたコード。そして頭の上には大きすぎるアンテナ。 「みんな、行くよっ!」 凛と響くラブの声に、少女たちはそれぞれのリンクルンを構える。 「チェインジ!プリキュア!ビートアーップ!」 桃色。青。黄色。そして赤。 地面から立ち上るような鮮やかな煌めきの後に、四人の伝説の戦士が現れる。 「ピンクのハートは愛ある印!もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」 「ブルーのハートは希望の印!つみたてフレッシュ、キュアベリー!」 「イエローハートは祈りの印!とれたてフレッシュ、キュアパイン!」 「真っ赤なハートは幸せの証!うれたてフレッシュ、キュアパッション!」 「Let’sプリキュア!」 「よし、始めろ。」 腕組みをして塀の上に立つサウラーは、現れた少女たちを見て、口の端だけでニヤリと笑った。 「ナーケワメーケ!フ、フ、フ、フューチャー!」 車輪のような足をフル回転させて、四人に迫るナケワメーケ。 「ダブル・プリキュア・パーンチ!」 炸裂する、ピーチとパッションの拳。 「ダブル・プリキュア・キーック!」 打ちこまれる、ベリーとパインの蹴り。 が、突然、ナケワメーケの短い腕が、ぐんと伸びる。バネの先にタイヤを付けたような腕に、弾き飛ばされる四人。そして。 「ナーケワメーケ!イマイマ、しいわ~!」 頭の上のアンテナから放たれる、強烈なビーム。 「わぁぁっ!」 「何これ・・・。」 「体が・・・痺れる!」 「・・・くっ!」 動けないプリキュアたち。ナケワメーケの胸から、しゅるしゅると伸びる黒い腕。コードのような、ベルトのような長い腕が、彼女たちに迫る。 「はぁっ!」 何とか体を起こし、拳を振るうパッション。その隙にようやく立ち上がる、ピーチ、ベリー、パイン。 「・・・このナケワメーケ、元は何なの?」 ベリーが、誰にともなく問いかける。 「わからないわ。クローバーボックスで見たときは、庭の芝生の上に立ってた。」 パッションは、ムチのようなコードを避け続ける。 「御子柴家の・・・自家用リムジンとか?きゃぁっ!」 ついに一撃を食らい、吹っ飛ぶパイン。駆け付けるピーチに迫る、伸縮自在のナケワメーケの腕。 「ピーチ!」 パッションが横っ跳び。間一髪で腕をはたき落とす。その時。 「パッション、後ろ!」 ベリーの声に振り返る間もなく、高速で伸びたコードが、彼女の体を絡め取った。 「パッション!」 宙吊りにされたパッションに向かって、仲間たちが跳ぶ。が、 「うわぁぁぁ!!」 再びアンテナから放たれるビーム。三人は、またも地面に叩きつけられる。 「みんな!」 必死で拘束を解こうとするパッション。だが、締め付けたコードはびくとも動かない。 「フフフ・・・。もう一人、道連れにしてあげようか。」 再び迫るコードの束。跳んでよける三人。と、目標を失ったコードの先には、クローバーボックスが・・・! 「わっ!こりゃあかん!」 シフォンと一緒に物陰から様子を見ていたタルトが、思わず飛び出した。クローバーボックスの前に立ちはだかるタルト。その小さな体がコードに巻き取られ、宙に舞う。 「タルト!!」 「ふん。プリキュアではなかったか。まあいい。ナケワメーケ、やれ。」 「ナーケワメーケ!カーコカッコー!」 ナケワメーケの体が、ぼうっと光り出す。大きなアンテナにびりびりと稲妻が走り、胸の計器の数字が、くるくると動き出す。 「別れの時が来たようだ。挨拶はしなくていいのかい?プリキュア。」 サウラーの楽しげな声に、凍りつく地上の三人。 「パッション!タルト!」 「どうなってるの!?」 「二人を放しなさいっ!」 ベリーは塀の上のサウラーを睨みつけると、タン、と地面を蹴る。 「たあっ!!」 サウラーに向かって放たれる、ベリー渾身の蹴り技・・・と見せかけて、サウラーが回避しようと飛び上がった瞬間。この瞬間を狙って、ベリーは全身の力を、拳に込める。 「うわぁっ!!」 空中高く飛ばされるサウラー。その体は、ナケワメーケのアンテナに、引っ掛かって止まった。 「な、なにっ!?降ろせ!」 「それは、パッションとタルトを放してからよっ!」 キッとナケワメーケを見据えるピーチ、ベリー、パイン。その目の前に、ポン、とそれぞれの相棒が現れる。 「届け!愛のメロディ。キュアスティック・ピーチロッド!」 「響け!希望のリズム。キュアスティック・ベリーソード!」 「癒せ!祈りのハーモニー。キュアスティック・パインフルート!」 起動される、それぞれのアイテム。その間にも、ナケワメーケの光は、どんどん強くなっていく。 「悪いの悪いの、飛んで行け!!!」 「プリキュア!ラブ・サンシャイン・・・」 「プリキュア!エスポワール・シャワー・・・」 「プリキュア!ヒーリング・プレア・・・」 「フレーーーッシュッ!!!」 ナケワメーケの体の輪郭がぼやけるのと同時に、三つの光弾がその体にぶつかり、溶けあってひとつになる。 「今よ、タルト!」 「はいな。」 拘束から抜け出そうとするパッション。だがそのとき、彼女は自分の体の輪郭までもが、頼りなげにぼやけているのを見て、愕然とした。 「はぁ~!!!」 三人の気合のこもった声。 「シュワ、シュワ~・・・」 既におぼろけな姿となったナケワメーケが、かすかに断末魔の叫びを上げる。 そして、額のダイヤが煙のように消え失せた次の瞬間。 ナケワメーケも、パッションも、タルトも、そしてサウラーも、三人の前から、忽然と姿を消してしまったのだった。 ☆ ☆ ☆ ゴン、と何かに頭をぶつけて、パッションは我に返った。変身は解けていない。どうやら少しの間、ぼうっとしていたらしい。 何やら狭い空間にいる。ナケワメーケに宙吊りにされていたはずの体はソファのようなものに座らされ、腰にはさっきまで彼女を拘束していたものが、ベルトとなって一重だけ巻きついていた。 家族で出かけるときに時々乗せてもらう、圭太郎の車の中によく似ている。ちょうど、後部座席に座っているような感じだ。ぼんやりとそう思ったパッションは、隣で目を回しているタルトに気付いて、ハッとした。 「タルト!しっかりして!」 「あ、パッションはん。わいら、無事やったんか。」 気が付いたタルトが、きょろきょろと辺りを見回す。 「ここ・・・どこや?」 「どうやら、この乗り物がナケワメーケだったみたいね。」 「え!?じゃあ、わいらナケワメーケの中におるんか!?」 「ううん、もう浄化されてるんだと思う。でも、何だか様子が変ね。」 パッションは、右手にある窓から外の様子を窺った。 まず目に飛び込んでくるのは――空。 そして視線を下へやると――真下に見える景色が、ぐんぐんと迫ってくる!? 「タルトっ!これ、落下してるわ!」 パッションは、腰に巻き付いているベルトをむしり取ると、タルトを抱きかかえた。 「脱出するわ。しっかりつかまってて!」 窓の下にあるレバーを動かすと、壁に見えたドアが、カチャリと音を立てる。やっぱり車と同じ仕組みだ。風圧に押し戻されるドアを何とか開けて、パッションはタルトを抱えて跳ぶ。 着地したところは、見覚えのある風景。ここは・・・河原だ。四ツ葉町の外れを流れる川に架かっている、橋の下だ。 (どうして、こんなところに・・・。あれは、ただの車じゃないっていうの?) そのとき、頭の上の方でドーンという衝撃音が聞こえ、わずかに埃が降ってきた。少し離れて橋を見上げると、信号待ちで止まっていたらしいトラックの上に、やたら大きなアンテナをつけた黒い車が、覆いかぶさるように乗っかっているのが見える。 「うわぁ、危なかったなあ。おおきに、パッションはん。」 タルトがそう言って、パッションの腕の中から、ぴょんと地面に降り立った。 「トラックに乗っていた人は、大丈夫かしら。」 パッションは心配そうに眉をひそめる。が、その目はすぐさま、大きく見開かれた。 トラックの上から、黒い車体が発車したのだ。ガツン、とその鼻先が道路にぶつかった音が、河原まで響く。が、ほかに車がいないのを幸い、強引にスピンを決めて、車は態勢を立て直した。 驚く二人が見つめる中、車の窓が開く。そこから顔を出したのは、いつも以上に青白い顔をした、サウラーだった。 「プリキュアどもにしてやられたと思ったが・・・君が甘くて助かったよ、イース。僕が前の座席にいたのに、気付かなかったのかい?」 相変わらず辛辣な口調のサウラーに、パッションは思わず叫ぶ。 「サウラー!一体何をしたの!?」 「すぐにわかるさ。これで君たちは、この過去の世界へ置き去りだ。」 「過去の世界ですって?」 「フフフ・・・さよなら、イース。」 サウラーの笑い声を乗せて、黒い車は風のように走り去る。 「何だぁ?・・・うわっ!何だこれは。積み荷が滅茶苦茶じゃないかっ!!」 物音に気付いたトラックの運転手が騒ぎ始めたのを、パッションとタルトは、ただ呆然と眺めることしかできなかった。 「おねえちゃん!こっち、こっち。」 ふいに後ろから呼びかけられて、パッションはビクリと肩を震わせた。そっと振り向くと、自転車を押した一人の少年が、土手につながる細い道の下に立って、手招きしている。 小学校の高学年くらいだろうか。やけに短いジーパンから突き出した足はひょろりと長く、自転車も、大人用のものらしい。 「そんな格好でそんなところにいたら、目立つだろ?まだ朝早いから人がいないけど、この上の道路は、これから車が増えるんだぜ。」 「え?朝早い、って・・・」 そう言いかけて、パッションはさっきのサウラーの言葉を思い出す。 ――これで君たちは、この過去の世界へ置き去りだ。 ナケワメーケと対峙したのは、もう昼ごろだったはず。だが辺りを見回せば、今は確かに早朝のようだ。ということは、サウラーの言う通り、ここは過去の世界――違う時空の世界なのだろうか。 見渡したところ、河原の景色は特にいつもと変わらない――いや、違う。 季節が違うのだ。朝早くからこんなに力強い太陽には、しばらくお目にかかっていない。ついさっきまで目にしていた、あちこちに枯れ葉が吹き寄せられた街の景色とは違う。河原に勢いよく茂る雑草の緑の、何と生き生きとしていることか。 (ここが過去の世界なんだとしたら・・・一体、どれくらい前の世界なのかしら。) 「とにかく、こっちに来いってば。」 パッションの物想いは、再び少年の声で破られた。 「俺の家、ここからすぐ近くなんだ。俺しかいない家だし、何か食べて着替えるくらいはできるからさ。」 そう言って歩き始める少年の後ろ姿に、パッションは少し考えてから、 「ねえ。」 と呼びかける。 「変なこと訊くけど・・・今日って、何年の何月何日?」 そう質問したときの少年の顔は、パッションには予想外のものだった。 てっきり不思議そうな顔をされるだろうと言い訳まで考えていたのに、彼はパッと顔を輝かせ、キラキラした目をこちらに向けてきたのだ。今までの背伸びした物言いが嘘のような無邪気な笑顔に、パッションは一瞬、呆気にとられる。 「今日?今日はねぇ、昭和・・・あ、西暦・・・」 「昭和でいいわよ。」 こちらの心を見透かしたような少年の言葉に、パッションは警戒を強める。 「そう?今日は昭和××年の、8月・・・」 少年の自転車の後ろを歩きながら、パッションはそっと町の様子を窺う。 「昭和」という年号が、今の前の年号だったことは知っている。自分の計算が正しければ――そして少年の言葉が正しければ、ここは25年ほど前の世界だ。 四ツ葉町の地図は、完全に頭に入っているつもりだったが、さすがに様子が変わっていて、どの辺りなのか分かりにくい。明らかに、町を占める田んぼや畑の面積が広い気がする。同時に、何だかあちこちで、新しい建物を建てている現場に出くわす。 (やっぱり・・・過去の世界なのかしら。) 少年への警戒を緩めたわけではない。が、今はこの機会を利用させてもらおうと、パッションは思っていた。とにかく情報収集しないことには、動くに動けない。 「さあ着いた。ここが俺の家。」 「・・・凄いお屋敷じゃない。」 少年が無造作に自転車を止めた家の前で、パッションは目を丸くした。 「そう?まあ、入って。あ、その、イタチ?ペットも家の中に入れて構わないからさ。」 「イタチて・・・。フェレットより、まだヒドいわ。」 むくれるタルトの口を慌ててふさいで、パッションは少年の後を追った。 重厚な玄関の鍵をカチャリと開けて、少年は黙って家に入る。家の中はシーンとしていて、その静けさが、一層広さを際立たせていた。 「本当に、ここに一人で住んでるの?」 勧められたソファにそっと腰をおろして、パッションは小首をかしげる。 「ああ、正確には、夏休みの間だけね。ここ、父さんの家なんだけど、俺、普段は父さんと別々に暮らしてるんだ。夏休みの間だけ、ここで過ごす決まりなの。でも、父さんは忙しい人で、滅多に家に寄りつかないから。昼間はお手伝いさんも来てくれるし、別に不自由はしてないんだ。」 テキパキと飲み物の支度をしながら、あっけらかんと言ってのける少年に、パッションは心に浮かんだ疑問を飲み込む。 (せっかく子供が訪ねて来ているのに、この子のお父さんは、どうして家に帰ってこないのかしら。) 脳裏に浮かぶのは、父親のことを話す、美希の顔。彼女もまた、父親とは別れて暮らしているが、月に一度、美希が訪ねて行くのを楽しみにしているという。 「それよりさ、おねえちゃん。」 少年は、大人びた表情から一転、さっきのキラキラした目つきに戻る。そして、彼女の心臓の真ん中を射抜くような一言を、無邪気に発した。 「おねえちゃん、未来から来たんだろ?」 「隠さなくてもいいよ。俺、見ちゃったんだ。」 少年は相変わらず瞳を輝かせながら、真っ直ぐにパッションの目を見つめる。 「自転車で土手を走ってたら、いきなり稲妻が光ってさ。いい天気なのに、おかしいなぁって思ってたら、いきなり空に車が現れて。で、橋を目がけて落っこちてくるからびっくりして見てたら、中からおねえちゃんが飛び出して来てさ・・・。ねえ、あれってタイムマシンなんだろ?着陸に失敗したの?それに、なんであんな高いところから飛び下りて、怪我しなかったの?」 「・・・・・。」 パッションが何も言えずにいると、 「ひょっとして、その服のせい?パワードスーツ、って言うんだよね。やっぱり凄いんだなぁ、未来って。ねぇ、今からどれくらい先の未来?」 少年は勝手に納得して、羨望に満ちた眼差しで、パッションの姿を見つめた。 「あなた・・・未来の技術に、ずいぶん興味があるのね。」 「ずいぶんってほどじゃないよ。でも、タイムマシンには興味あるんだ。これでもいろんな本を読んで、研究しているんだぜ。もちろん、本物を見たのは初めてだけど。」 嬉しそうに話す少年の様子をじっと観察して、パッションは少しだけ警戒を解く。 雰囲気から察するに、この子は嘘はついていない。突然現れた未来人を助けて、あわよくば未来のことを教えてもらおう――それくらいの無邪気な気持ちで、ここへ連れて来てくれたのだろう。 それに――さっき父親のことを話したときの、何でもなさそうな話しぶり。その陰に潜むヒヤリと冷たい寂しさを、彼女は我がことのように感じていた。 「そう。助けてもらったんだから、ちゃんと説明するけど・・・その前に、どこかで着替えさせてもらえないかしら。」 もうずいぶん長い間、この姿でいる。が、まさかこの子の前で、変身を解くわけにもいかない。 「本当!?いいよ、こっち。でも、着替えなんて持ってるの?あ、もしかして、未来では荷物なんて、こーんなにミニチュアライズされてるとか?」 少年は、相変わらず嬉しそうに一人で納得しながら、パッションを隣りの小部屋に案内する。 「じゃ、俺こっちにいるから。どうぞごゆっくり。」 少年が閉めかけたドアの隙間から、タルトがするりと部屋の中に入って来た。 「はぁ~。これからどないするつもりなんや?パッションはん。」 「しっ!」 二人になった途端に喋り出すタルトを、パッションが制する。少年が、どこかから部屋の中を窺っているかもしれないと思ったからだ。まだ雨戸が閉まった部屋の中、分厚いカーテンの陰に隠れて、彼女は注意深く、変身を解いた。 「とりあえず、この時代のことを少し知らないと。それから作戦を立てる必要がありそうだわ。サウラーがまだこの時代にいれば、彼を探すのが早道だけど・・・タルト?」 急に反応のなくなったタルトに、せつなは不思議そうな視線を向ける。 「パ・・・パッションはん。あんさん・・・!」 タルトの慌てふためいた様子に、せつなは窓に映った自分の姿を確かめ・・・そして言葉を失った。 窓ガラスの向こうから、呆然とした表情でこちらを見返している顔。それは、かつて鏡の中で見慣れた、銀髪の少女だった。 ~第1章・終~ 新-549へ
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桃源まで、東へ五分(第1章:待っていたサプライズ) ザッ、ザッ、と枯葉を意味も無く蹴散らしながら、小学生くらいの男の子たちが騒いでいる。サウラーは南瞬の姿で、彼らから少し離れた公園のベンチに座っていた。その右手は、相変わらず本のページに添えられている。 足を組んで本を読むスタイルは、いつもと同じ。が、彼が公園で――占い館以外の場所で読書をしているなんて、非常に珍しいことだ。 ノーザが来てからというもの、館で本を読んでいても、以前ほど集中できなくなってしまった。自分の都合だけで突然現れて、否応なしに命令してくる最高幹部。ウエスターのように真っ向から反発するほど、自分は馬鹿じゃない。が、それを不快に感じていることは、ウエスターと変わらなかった。 (無駄な外出をせず、最も効率的な仕事をしてきたこの僕が、こともあろうに、こんなところで無駄な時間を過ごすなんてね・・・。) 自嘲気味に、ふん、と鼻で笑って、サウラーは本のページをめくる。と、男の子たちの会話が、何となく耳に入ってきた。 「・・・ホントなんだよ!あそこには、すっげえもんが隠されているんだって!」 「え~?すげえもんって?」 「それ、何だよ。」 「聞いて驚くなよ?あのな・・・」 鉄棒に腰掛けて、仲間二人を見下ろしていた大柄な少年は、そこで地面に飛び降り、仲間たちに顔を寄せた。 ひそひそ話というわけだろう。が、サウラーの聴覚の前では、そんなものは意味が無い。 (馬鹿な。ラビリンスですらまだ実現できていない技術だぞ。この世界の科学力で、作れるものか。) 少年の囁き声を聞きとったサウラーが、そう思ったのとほぼ同時に、 「嘘に決まってんだろ?そんなの。」 仲間の一人が、吐き捨てるように言った。 「嘘じゃないって!オレの友達の友達が見たんだ。空中に突然、車みたいな乗り物が現れて、中にはチョンマゲを付けたお侍みたいな格好の人が乗って、きょろきょろ外を見ていたんだって。で、その乗り物は、すーっと塀の向こうに、降りていったって言うんだ。」 ギュッと拳を握る少年の声が、次第に大きくなる。 「なっ?それって、タイムマシンだと思わないかっ?」 自分の声の大きさに、まだ気付いていない少年を横目に見ながら、サウラーは、夏のある日のことを思い出す。 あれはイースがラビリンスを去って、まだひと月も経っていなかった頃。この世界の人間が、思い出をとても大切にしているらしいと知ったサウラーは、写真屋の古いカメラをナケワメーケにして、プリキュアどもを「思い出の世界」という甘美な夢の中に閉じ込めようとした。 計画通り、まずはキュアピーチを眠らせたものの、彼女は仲間たちの願いどおり、思い出の世界から戻ってきた。そして結局ナケワメーケは倒され、サウラーの計画は失敗に終わったのだ。 「絶対に来てくれるって、信じてた!」 舞い戻ったキュアピーチに、そう言って笑いかけたイースの顔。その映像が、眩しく苦く胸の中によみがえってきて、サウラーは慌てて活字に目を戻した。 (思い出の世界なんて不確かな夢でなく、本当の過去の世界にプリキュアを送ってしまうことができたら・・・。) たとえ一人でも時空の彼方へ放り出すことができれば、プリキュアどもの新しい技も封じられる。インフィニティの奪回は、もっと簡単なものになるだろう。ノーザの鼻も、少しはあかせるかもしれない。 サウラーは静かに本を閉じ、立ち上がった。 少年の下らない願望が、本当である可能性は低いだろう。だが。 (どうせこんなところで無駄な時間を過ごすなら、暇つぶしに行ってみてもよさそうだ。) 「ねえ、君たち。少し、話を聞かせてくれないかい?」 サウラーは冷ややかな目で少年たちを見据えながら、彼らにゆっくりと近づいていった。 桃源まで、東へ五分 ( 第1章:待っていたサプライズ ) 「じゃーん。どう?これ。」 目の前に突き付けられたものを見て、せつなは不思議そうに首をかしげた。 「あの・・・これは?」 ラブに宿題を教えていたせつなの元へ、あゆみが嬉しそうにやってきて、見せてくれたもの。それは、せつなの顔くらいはありそうな、大きな真っ赤なリボン。柔らかな布地で作られているのだろう。その形はやさしい丸みを帯びて、表面はつやつやしている。 (きれいなリボンだけど・・・。頭に付けるには大きいし、洋服に付けるんでもなさそうだし・・・。あ、もしかして、夏休みに漫才やったときみたいな蝶ネクタイにするのかしら。) せつなのいぶかしげな視線に、あゆみは柔らかな笑みを返す。 「せっちゃん、修学旅行に持って行くバッグ、お友達と同じになっちゃったって言ってたでしょ?旅先で間違えたら大変だから、これ、目印に付けたらどうかと思って。」 「うわーっ、さっすがお母さん!これ付けたら、きっとすっごく可愛いよ。せつな、バッグ出してみて。」 後ろから覗き込んだラブが歓声を上げる。ようやく事態が飲み込めたせつなは、嬉しさに胸を熱くしながら、自分の部屋へ、いそいそと真新しいバッグを取りに行った。 来週から、ラブと一緒に沖縄へ修学旅行。観光の時に持ち歩くバッグとして、せつなはアイボリーのミニボストンを買った。マネキンが持っているのが可愛かったので選んだのだが、どうやらそれがいけなかったらしい。 昨日、級友とのおしゃべりで、偶然、クラスであと二人も同じバッグを買っていることがわかってしまった。それでせつなは、少しだけがっかりしていたのだ。 「修学旅行かぁ。私もレミさんと同じブラウス持って行って、向こうで喧嘩になっちゃったっけ。せっかくの私服なのに誰かと一緒はイヤだなんて、レミさんが言い出すから。」 せつなのバッグにリボンを縫い付けながら、あゆみが、うふっと思い出し笑いをする。何だか自分の気持ちを言い当てられたような気がして、せつなは頬を赤く染める。同時に、そんなことを考えた自分に、少なからず驚いてもいた。 「おばさまって、美希のお母さんと幼なじみだったんですよね?ブッキーのお母さんとも?」 「尚子さんは、中学の途中で転校してきて、それから仲良くなったの。あの頃は三人、いつも一緒だったわね~。今のあなたたち四人みたいに。」 そう言って微笑むあゆみに、せつなも頬を緩める。 親子二代で友達同士、という関係が、この世界でどれくらい当たり前のことなのか、せつなにはよくわからない。でも、そうやって一人と一人の関係が、家族と家族の関係になっていくのは、とても素敵なことに思える。 「家族」も「友達」も、かつてはただやたらと眩しくて、目にも心にも痛いだけの言葉だった。でも今のせつなには、どちらもキラキラと輝く、愛おしい光に見える。 「幼なじみ」という言葉は、正直少し、せつなには眩しすぎる。でも、その眩しさも含めて大切に思えることが――そう思えるようになったことが、せつなにはとてもありがたく、そして嬉しかった。 「ハイ、できたわ。これなら誰かと間違えることもないわね。」 「ありがとう、おばさま。」 せつなはちょっとはにかみながら、さっそくバッグを肩にかけて、鏡の前に立ってみる。後ろで目を細めているあゆみに、鏡越しに笑いかけたとき、あゆみの後ろにあるドアの陰から、タルトが手招きしているのが見えた。 せつなはもう一度あゆみにお礼を言うと、表情を引き締めて、そっとラブに目配せをする。ラブもすぐに気付いて小さく頷くと、せつなと連れ立って、静かに部屋を出た。 「タルト。ラビリンスが現れたの?」 「それがやなぁ。」 ラブの問いに、タルトは少々困惑した様子で、カチャリとクローバーボックスの蓋を開ける。 「何、これ。」 七色の光の膜に現れた映像を見て、ラブとせつなの声が揃った。 そこに映っていたのは、芝生の上に立っている不気味な姿。後輪だけで立ち上がった車の化け物の頭に、不釣り合いなほど大きなアンテナが付いているような格好だ。三角につり上がった真っ赤な目の少し上、丁度おでこの辺りには、緑色のダイヤ。 「サウラーのしわざね。」 「でも・・・なんで今更、ナケワメーケ?」 シフォンはタルトの隣で、不思議そうにクローバーボックスの映像を眺めている。今日はまだ、インフィニティになりそうな気配はない。 そのうち映像の中で、ナケワメーケがアンテナからレーザーのようなものを発射して、芝生を焼き払い始めた。 「とにかく行かなくちゃ!でもこれ、どこだろう?」 せつなは映像を舐めるように注視する。すると、画面の端に、途切れなく広がる芝生を二重に囲む、並木が映っているのが目にとまった。 「ラブ。これ・・・御子柴家の中庭じゃないかしら。」 「あの、地下特訓場があった?」 せつなが力強く頷いて、もう一度映像に目をやる。 御子柴家。家電製品から宇宙ロケットまで手掛ける、世界でもトップクラスの財閥グループの長の屋敷だ。つい先日、ミユキのツテで、プリキュアたちはここの特訓場を使わせてもらった。広大な中庭の地下に作られた秘密特訓場だったのだが、庭はまだまだ広くて、もっと奥まで続いていたように思う。 「よし、行こう!せつな、ブッキーに電話して。あたし、美希にかけるから。」 「わかった。」 リンクルンを片手に家を飛び出す二人に、タルトとシフォンも続いた。 御子柴財閥に雇われたエンジニアのリーダーは、自分が今見ているものが、信じられなかった。 最先端の――ここに居る者以外、現実とは思わないであろう最先端の技術の粋を集めて、開発したマシン。それがみるみるうちに形を変え、異形の化け物となって立ち上がったのだ。 (こんなこと・・・SFじゃあるまいし!) 自分たちがまさにSFばりの研究をしていることも忘れて、彼はただ呆然と、目の前の怪物の姿を見つめた。 「ナ~ケワメ~ケ!!」 怪物は一声叫ぶと、二重の並木をやすやすと飛び越えた。それを見て、彼の背中を、たらりとイヤな汗が伝う。 「い、いかん!戻ってきてくれ!」 このままでは、怪物がお屋敷の外に出てしまう。今は怪物でも、元は手塩にかけた、我が子同然の発明品だ。 彼は意を決して踵を返すと、遥かに遠い出口を目指して、屋敷の中を一心に走り始める。その耳に、正午を告げる柱時計の音が、やけに大きく響いた。 ラブとせつなが御子柴家の門の前に着いた時、丁度、美希と祈里も向こうから走って来るところだった。屋敷の奥の方からは、時折ドーンという音が響いている。 「こっち!」 ラブを先頭に、四人は屋敷の塀沿いに駆けて行く。ほどなくして、血相を変えた人々が、彼女たちの行く手から走ってくるのが見えた。 地面にずしんと衝撃が走り、コンクリートの塀がびりびりと震える。そしてついに、クローバーボックスの映像で見たのと同じナケワメーケが、その姿を現した。 額に光る緑のダイヤ。胸に取りつけられた様々な計器。網の目のように張り巡らされたコード。そして頭の上には大きすぎるアンテナ。 「みんな、行くよっ!」 凛と響くラブの声に、少女たちはそれぞれのリンクルンを構える。 「チェインジ!プリキュア!ビートアーップ!」 桃色。青。黄色。そして赤。 地面から立ち上るような鮮やかな煌めきの後に、四人の伝説の戦士が現れる。 「ピンクのハートは愛ある印!もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」 「ブルーのハートは希望の印!つみたてフレッシュ、キュアベリー!」 「イエローハートは祈りの印!とれたてフレッシュ、キュアパイン!」 「真っ赤なハートは幸せの証!うれたてフレッシュ、キュアパッション!」 「Let’sプリキュア!」 「よし、始めろ。」 腕組みをして塀の上に立つサウラーは、現れた少女たちを見て、口の端だけでニヤリと笑った。 「ナーケワメーケ!フ、フ、フ、フューチャー!」 車輪のような足をフル回転させて、四人に迫るナケワメーケ。 「ダブル・プリキュア・パーンチ!」 炸裂する、ピーチとパッションの拳。 「ダブル・プリキュア・キーック!」 打ちこまれる、ベリーとパインの蹴り。 が、突然、ナケワメーケの短い腕が、ぐんと伸びる。バネの先にタイヤを付けたような腕に、弾き飛ばされる四人。そして。 「ナーケワメーケ!イマイマ、しいわ~!」 頭の上のアンテナから放たれる、強烈なビーム。 「わぁぁっ!」 「何これ・・・。」 「体が・・・痺れる!」 「・・・くっ!」 動けないプリキュアたち。ナケワメーケの胸から、しゅるしゅると伸びる黒い腕。コードのような、ベルトのような長い腕が、彼女たちに迫る。 「はぁっ!」 何とか体を起こし、拳を振るうパッション。その隙にようやく立ち上がる、ピーチ、ベリー、パイン。 「・・・このナケワメーケ、元は何なの?」 ベリーが、誰にともなく問いかける。 「わからないわ。クローバーボックスで見たときは、庭の芝生の上に立ってた。」 パッションは、ムチのようなコードを避け続ける。 「御子柴家の・・・自家用リムジンとか?きゃぁっ!」 ついに一撃を食らい、吹っ飛ぶパイン。駆け付けるピーチに迫る、伸縮自在のナケワメーケの腕。 「ピーチ!」 パッションが横っ跳び。間一髪で腕をはたき落とす。その時。 「パッション、後ろ!」 ベリーの声に振り返る間もなく、高速で伸びたコードが、彼女の体を絡め取った。 「パッション!」 宙吊りにされたパッションに向かって、仲間たちが跳ぶ。が、 「うわぁぁぁ!!」 再びアンテナから放たれるビーム。三人は、またも地面に叩きつけられる。 「みんな!」 必死で拘束を解こうとするパッション。だが、締め付けたコードはびくとも動かない。 「フフフ・・・。もう一人、道連れにしてあげようか。」 再び迫るコードの束。跳んでよける三人。と、目標を失ったコードの先には、クローバーボックスが・・・! 「わっ!こりゃあかん!」 シフォンと一緒に物陰から様子を見ていたタルトが、思わず飛び出した。クローバーボックスの前に立ちはだかるタルト。その小さな体がコードに巻き取られ、宙に舞う。 「タルト!!」 「ふん。プリキュアではなかったか。まあいい。ナケワメーケ、やれ。」 「ナーケワメーケ!カーコカッコー!」 ナケワメーケの体が、ぼうっと光り出す。大きなアンテナにびりびりと稲妻が走り、胸の計器の数字が、くるくると動き出す。 「別れの時が来たようだ。挨拶はしなくていいのかい?プリキュア。」 サウラーの楽しげな声に、凍りつく地上の三人。 「パッション!タルト!」 「どうなってるの!?」 「二人を放しなさいっ!」 ベリーは塀の上のサウラーを睨みつけると、タン、と地面を蹴る。 「たあっ!!」 サウラーに向かって放たれる、ベリー渾身の蹴り技・・・と見せかけて、サウラーが回避しようと飛び上がった瞬間。この瞬間を狙って、ベリーは全身の力を、拳に込める。 「うわぁっ!!」 空中高く飛ばされるサウラー。その体は、ナケワメーケのアンテナに、引っ掛かって止まった。 「な、なにっ!?降ろせ!」 「それは、パッションとタルトを放してからよっ!」 キッとナケワメーケを見据えるピーチ、ベリー、パイン。その目の前に、ポン、とそれぞれの相棒が現れる。 「届け!愛のメロディ。キュアスティック・ピーチロッド!」 「響け!希望のリズム。キュアスティック・ベリーソード!」 「癒せ!祈りのハーモニー。キュアスティック・パインフルート!」 起動される、それぞれのアイテム。その間にも、ナケワメーケの光は、どんどん強くなっていく。 「悪いの悪いの、飛んで行け!!!」 「プリキュア!ラブ・サンシャイン・・・」 「プリキュア!エスポワール・シャワー・・・」 「プリキュア!ヒーリング・プレア・・・」 「フレーーーッシュッ!!!」 ナケワメーケの体の輪郭がぼやけるのと同時に、三つの光弾がその体にぶつかり、溶けあってひとつになる。 「今よ、タルト!」 「はいな。」 拘束から抜け出そうとするパッション。だがそのとき、彼女は自分の体の輪郭までもが、頼りなげにぼやけているのを見て、愕然とした。 「はぁ~!!!」 三人の気合のこもった声。 「シュワ、シュワ~・・・」 既におぼろけな姿となったナケワメーケが、かすかに断末魔の叫びを上げる。 そして、額のダイヤが煙のように消え失せた次の瞬間。 ナケワメーケも、パッションも、タルトも、そしてサウラーも、三人の前から、忽然と姿を消してしまったのだった。 ☆ ☆ ☆ ゴン、と何かに頭をぶつけて、パッションは我に返った。変身は解けていない。どうやら少しの間、ぼうっとしていたらしい。 何やら狭い空間にいる。ナケワメーケに宙吊りにされていたはずの体はソファのようなものに座らされ、腰にはさっきまで彼女を拘束していたものが、ベルトとなって一重だけ巻きついていた。 家族で出かけるときに時々乗せてもらう、圭太郎の車の中によく似ている。ちょうど、後部座席に座っているような感じだ。ぼんやりとそう思ったパッションは、隣で目を回しているタルトに気付いて、ハッとした。 「タルト!しっかりして!」 「あ、パッションはん。わいら、無事やったんか。」 気が付いたタルトが、きょろきょろと辺りを見回す。 「ここ・・・どこや?」 「どうやら、この乗り物がナケワメーケだったみたいね。」 「え!?じゃあ、わいらナケワメーケの中におるんか!?」 「ううん、もう浄化されてるんだと思う。でも、何だか様子が変ね。」 パッションは、右手にある窓から外の様子を窺った。 まず目に飛び込んでくるのは――空。 そして視線を下へやると――真下に見える景色が、ぐんぐんと迫ってくる!? 「タルトっ!これ、落下してるわ!」 パッションは、腰に巻き付いているベルトをむしり取ると、タルトを抱きかかえた。 「脱出するわ。しっかりつかまってて!」 窓の下にあるレバーを動かすと、壁に見えたドアが、カチャリと音を立てる。やっぱり車と同じ仕組みだ。風圧に押し戻されるドアを何とか開けて、パッションはタルトを抱えて跳ぶ。 着地したところは、見覚えのある風景。ここは・・・河原だ。四ツ葉町の外れを流れる川に架かっている、橋の下だ。 (どうして、こんなところに・・・。あれは、ただの車じゃないっていうの?) そのとき、頭の上の方でドーンという衝撃音が聞こえ、わずかに埃が降ってきた。少し離れて橋を見上げると、信号待ちで止まっていたらしいトラックの上に、やたら大きなアンテナをつけた黒い車が、覆いかぶさるように乗っかっているのが見える。 「うわぁ、危なかったなあ。おおきに、パッションはん。」 タルトがそう言って、パッションの腕の中から、ぴょんと地面に降り立った。 「トラックに乗っていた人は、大丈夫かしら。」 パッションは心配そうに眉をひそめる。が、その目はすぐさま、大きく見開かれた。 トラックの上から、黒い車体が発車したのだ。ガツン、とその鼻先が道路にぶつかった音が、河原まで響く。が、ほかに車がいないのを幸い、強引にスピンを決めて、車は態勢を立て直した。 驚く二人が見つめる中、車の窓が開く。そこから顔を出したのは、いつも以上に青白い顔をした、サウラーだった。 「プリキュアどもにしてやられたと思ったが・・・君が甘くて助かったよ、イース。僕が前の座席にいたのに、気付かなかったのかい?」 相変わらず辛辣な口調のサウラーに、パッションは思わず叫ぶ。 「サウラー!一体何をしたの!?」 「すぐにわかるさ。これで君たちは、この過去の世界へ置き去りだ。」 「過去の世界ですって?」 「フフフ・・・さよなら、イース。」 サウラーの笑い声を乗せて、黒い車は風のように走り去る。 「何だぁ?・・・うわっ!何だこれは。積み荷が滅茶苦茶じゃないかっ!!」 物音に気付いたトラックの運転手が騒ぎ始めたのを、パッションとタルトは、ただ呆然と眺めることしかできなかった。 「おねえちゃん!こっち、こっち。」 ふいに後ろから呼びかけられて、パッションはビクリと肩を震わせた。そっと振り向くと、自転車を押した一人の少年が、土手につながる細い道の下に立って、手招きしている。 小学校の高学年くらいだろうか。やけに短いジーパンから突き出した足はひょろりと長く、自転車も、大人用のものらしい。 「そんな格好でそんなところにいたら、目立つだろ?まだ朝早いから人がいないけど、この上の道路は、これから車が増えるんだぜ。」 「え?朝早い、って・・・」 そう言いかけて、パッションはさっきのサウラーの言葉を思い出す。 ――これで君たちは、この過去の世界へ置き去りだ。 ナケワメーケと対峙したのは、もう昼ごろだったはず。だが辺りを見回せば、今は確かに早朝のようだ。ということは、サウラーの言う通り、ここは過去の世界――違う時空の世界なのだろうか。 見渡したところ、河原の景色は特にいつもと変わらない――いや、違う。 季節が違うのだ。朝早くからこんなに力強い太陽には、しばらくお目にかかっていない。ついさっきまで目にしていた、あちこちに枯れ葉が吹き寄せられた街の景色とは違う。河原に勢いよく茂る雑草の緑の、何と生き生きとしていることか。 (ここが過去の世界なんだとしたら・・・一体、どれくらい前の世界なのかしら。) 「とにかく、こっちに来いってば。」 パッションの物想いは、再び少年の声で破られた。 「俺の家、ここからすぐ近くなんだ。俺しかいない家だし、何か食べて着替えるくらいはできるからさ。」 そう言って歩き始める少年の後ろ姿に、パッションは少し考えてから、 「ねえ。」 と呼びかける。 「変なこと訊くけど・・・今日って、何年の何月何日?」 そう質問したときの少年の顔は、パッションには予想外のものだった。 てっきり不思議そうな顔をされるだろうと言い訳まで考えていたのに、彼はパッと顔を輝かせ、キラキラした目をこちらに向けてきたのだ。今までの背伸びした物言いが嘘のような無邪気な笑顔に、パッションは一瞬、呆気にとられる。 「今日?今日はねぇ、昭和・・・あ、西暦・・・」 「昭和でいいわよ。」 こちらの心を見透かしたような少年の言葉に、パッションは警戒を強める。 「そう?今日は昭和××年の、8月・・・」 少年の自転車の後ろを歩きながら、パッションはそっと町の様子を窺う。 「昭和」という年号が、今の前の年号だったことは知っている。自分の計算が正しければ――そして少年の言葉が正しければ、ここは25年ほど前の世界だ。 四ツ葉町の地図は、完全に頭に入っているつもりだったが、さすがに様子が変わっていて、どの辺りなのか分かりにくい。明らかに、町を占める田んぼや畑の面積が広い気がする。同時に、何だかあちこちで、新しい建物を建てている現場に出くわす。 (やっぱり・・・過去の世界なのかしら。) 少年への警戒を緩めたわけではない。が、今はこの機会を利用させてもらおうと、パッションは思っていた。とにかく情報収集しないことには、動くに動けない。 「さあ着いた。ここが俺の家。」 「・・・凄いお屋敷じゃない。」 少年が無造作に自転車を止めた家の前で、パッションは目を丸くした。 「そう?まあ、入って。あ、その、イタチ?ペットも家の中に入れて構わないからさ。」 「イタチて・・・。フェレットより、まだヒドいわ。」 むくれるタルトの口を慌ててふさいで、パッションは少年の後を追った。 重厚な玄関の鍵をカチャリと開けて、少年は黙って家に入る。家の中はシーンとしていて、その静けさが、一層広さを際立たせていた。 「本当に、ここに一人で住んでるの?」 勧められたソファにそっと腰をおろして、パッションは小首をかしげる。 「ああ、正確には、夏休みの間だけね。ここ、父さんの家なんだけど、俺、普段は父さんと別々に暮らしてるんだ。夏休みの間だけ、ここで過ごす決まりなの。でも、父さんは忙しい人で、滅多に家に寄りつかないから。昼間はお手伝いさんも来てくれるし、別に不自由はしてないんだ。」 テキパキと飲み物の支度をしながら、あっけらかんと言ってのける少年に、パッションは心に浮かんだ疑問を飲み込む。 (せっかく子供が訪ねて来ているのに、この子のお父さんは、どうして家に帰ってこないのかしら。) 脳裏に浮かぶのは、父親のことを話す、美希の顔。彼女もまた、父親とは別れて暮らしているが、月に一度、美希が訪ねて行くのを楽しみにしているという。 「それよりさ、おねえちゃん。」 少年は、大人びた表情から一転、さっきのキラキラした目つきに戻る。そして、彼女の心臓の真ん中を射抜くような一言を、無邪気に発した。 「おねえちゃん、未来から来たんだろ?」 「隠さなくてもいいよ。俺、見ちゃったんだ。」 少年は相変わらず瞳を輝かせながら、真っ直ぐにパッションの目を見つめる。 「自転車で土手を走ってたら、いきなり稲妻が光ってさ。いい天気なのに、おかしいなぁって思ってたら、いきなり空に車が現れて。で、橋を目がけて落っこちてくるからびっくりして見てたら、中からおねえちゃんが飛び出して来てさ・・・。ねえ、あれってタイムマシンなんだろ?着陸に失敗したの?それに、なんであんな高いところから飛び下りて、怪我しなかったの?」 「・・・・・。」 パッションが何も言えずにいると、 「ひょっとして、その服のせい?パワードスーツ、って言うんだよね。やっぱり凄いんだなぁ、未来って。ねぇ、今からどれくらい先の未来?」 少年は勝手に納得して、羨望に満ちた眼差しで、パッションの姿を見つめた。 「あなた・・・未来の技術に、ずいぶん興味があるのね。」 「ずいぶんってほどじゃないよ。でも、タイムマシンには興味あるんだ。これでもいろんな本を読んで、研究しているんだぜ。もちろん、本物を見たのは初めてだけど。」 嬉しそうに話す少年の様子をじっと観察して、パッションは少しだけ警戒を解く。 雰囲気から察するに、この子は嘘はついていない。突然現れた未来人を助けて、あわよくば未来のことを教えてもらおう――それくらいの無邪気な気持ちで、ここへ連れて来てくれたのだろう。 それに――さっき父親のことを話したときの、何でもなさそうな話しぶり。その陰に潜むヒヤリと冷たい寂しさを、彼女は我がことのように感じていた。 「そう。助けてもらったんだから、ちゃんと説明するけど・・・その前に、どこかで着替えさせてもらえないかしら。」 もうずいぶん長い間、この姿でいる。が、まさかこの子の前で、変身を解くわけにもいかない。 「本当!?いいよ、こっち。でも、着替えなんて持ってるの?あ、もしかして、未来では荷物なんて、こーんなにミニチュアライズされてるとか?」 少年は、相変わらず嬉しそうに一人で納得しながら、パッションを隣りの小部屋に案内する。 「じゃ、俺こっちにいるから。どうぞごゆっくり。」 少年が閉めかけたドアの隙間から、タルトがするりと部屋の中に入って来た。 「はぁ~。これからどないするつもりなんや?パッションはん。」 「しっ!」 二人になった途端に喋り出すタルトを、パッションが制する。少年が、どこかから部屋の中を窺っているかもしれないと思ったからだ。まだ雨戸が閉まった部屋の中、分厚いカーテンの陰に隠れて、彼女は注意深く、変身を解いた。 「とりあえず、この時代のことを少し知らないと。それから作戦を立てる必要がありそうだわ。サウラーがまだこの時代にいれば、彼を探すのが早道だけど・・・タルト?」 急に反応のなくなったタルトに、せつなは不思議そうな視線を向ける。 「パ・・・パッションはん。あんさん・・・!」 タルトの慌てふためいた様子に、せつなは窓に映った自分の姿を確かめ・・・そして言葉を失った。 窓ガラスの向こうから、呆然とした表情でこちらを見返している顔。それは、かつて鏡の中で見慣れた、銀髪の少女だった。 ~第1章・終~ 一六2へ続く
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現在地:トップページ>漢詩大会の漢詩全文>今ココ 「秋風辞」漢武帝訳 秋風辞 「別歌」李陵訳 別歌 「董嬌饒」宋子侯てけ訳 董嬌饒 「四愁詩」張衡訳 四愁詩 「飲馬長城窟行」蔡邕?訳 飲馬長城窟行 「秋風辞」漢武帝 原文引用元(近デジ) 秋風起兮白雲飛,草木黄兮雁南歸。 蘭有秀兮菊有芳,懷佳人兮不能忘。 泛樓船兮濟汾河,橫中流兮揚素波, 簫鼓鳴兮發棹歌,歡樂極兮哀情多, 少壯幾時兮奈老何。 訳 秋風辞 秋風が起き、白雲が飛ぶ。草木は黄色く枯れ、雁は南へ帰る。 蘭は秀でて有り、菊に芳ばしさ有り。佳人懐かしく、忘れ難し。 楼船を泛(う)かべ、汾河を済(わた)り。中流に横たわり、素波を揚げる。 簫鼓が鳴り、棹歌が発せられ。歓楽極まりて、哀情多し。 少壯は幾時か、老いをいかんせん。 【蘭・菊】後の「佳人」を擬している可能性あり。 【汾河】wiki老師の解説 【済】渡る。 「別歌」李陵 径萬里兮度沙幕,為君將兮奮匈奴。 路窮絶兮矢刃摧,士衆滅兮名已聵。 老母已死,雖欲報恩將安歸! 訳 別歌 万里をへて、砂漠をわたり。君が将と為りて、匈奴と戦う。 路に窮絶し、矢刃はくだけ。兵士衆は滅び、名も忘れられた。 老いた母は既に亡く。恩に報いんと欲しても、帰るべき故郷は存在しない。 漢書/巻054 李廣蘇建傳 第二十四、古詩源巻二などとあるが、ここでは漢書から。 「董嬌饒」宋子侯 出典:《古詩源(国デジ)》 洛陽城東路、桃李生路傍。花花自相對、葉葉自相當。 春風東北起、花葉正低昂。不知誰家子、提籠行采桑。 纎手折其枝、花落何飄颺。請謝彼姝子、何為見損傷。 高秋八九月、白露變為霜。終年會飄墮、安得久馨香。 秋時自零落、春月復芬芳。何時盛年去、懽愛永相忘。 吾欲竟此曲、此曲愁人腸。歸来酌美酒、挾瑟上高堂。 てけ訳 董嬌饒 洛陽城の東路では、桃李が路傍に生えている。花々は自ずと相対し、葉と葉は自ずと相当たる。 春風が東北に起き、花葉はまさに低昂する。誰の家子か知らねども、(娘さんが)籠を提げ桑を採りに行く。 纎手が桃李の枝を折れば、ああ、花がはらりと舞い落ちた。これ娘よ謝りなさい、なぜ花を損傷したのかね。 「秋空高き八九月。露は白霜と為りかわる。年の終わりには舞い落ちて。永久の芳香など得られやしないわ」 「花は秋になれば零れ落ちるけれど。春の月にまたよい香りを放つ。いつ桃李の盛りが去り。歓愛が永く忘れられるというのか」 ……もう終わりにしよう、この曲は人の心に沁みわたる。帰って美酒を酌み、瑟を脇に挟んで高堂に上ろう。 「四愁詩」張衡 出典:《古詩源(国デジ)》 序:張衡久しく機密に處ることを楽しまず。陽嘉中に、出でて河間の相と為る。 時に国王驕奢にして、法度に従わず。又豪右幷兼の家多し。 衡車を下りて治するに威厳あり、能く属県の姦猾にして巧劫を行う者を内察し、 皆ひそかに名を知り、吏に下して収捕し、盡(ことごとく)く諸豪侠を服擒す。 遊客悉(ことごと)く惶懼し、逃れて境を出で、郡中大いに治まる。争訟息(や)み、獄に繋囚無し。 時に天下漸く弊え、鬱々として志を得ず。四愁詩を為(つく)る。 屈原に倣い、美人を以て君子と為し、珍宝を以て仁義と為し、水深雪雰を以て小人と為し、 道術を以て相報じ、時君に貽(おく)らんことを思えど、而(しか)も讒邪の以て通ずるを得ざるを恐れき。 其の辞に曰く、 +単語解説 【機密に處る】《古詩源(国デジ)》太史令となり文書を司っていたこと 【陽嘉】《古詩源(国デジ)》漢代順帝の年号 【河間の相】《古詩源(国デジ)》河間恵王の相 【豪右幷兼】《古詩源(国デジ)》権勢ある豪家なのに、小民の利を奪う者 【属県の姦猾にして巧劫を行う者を内察~】《古詩源(国デジ)》所属県内に満ちる悪を調べ考察して 【屈原】《古詩源(国デジ)》屈原の離騒賦に倣うという 【時君】《古詩源(国デジ)》河間恵王を指す 一思曰:我所思兮在太山,欲往從之梁父艱,側身東望涕霑翰,美人贈我金錯刀,何以報之英瓊瑤,路遠莫致倚逍遙,何為懷憂心煩勞。 二思曰:我所思兮在桂林,欲往從之湘水深,側身南望涕沾襟,美人贈我金琅玕,何以報之雙玉盤,路遠莫致倚惆悵,何為懷憂心煩傷。 三思曰:我所思兮在漢陽,欲往從之隴阪長,側身西望涕沾裳,美人贈我貂襜褕,何以報之明月珠,路遠莫致倚踟躕,何為懷憂心煩紆。 四思曰:我所思兮在雁門,欲往從之雪雰雰,側身北望涕霑巾,美人贈我錦繡段,何以報之青玉案,路遠莫致倚増歎,何為懷憂心煩惋。 +単語解説。左の「+」をクリックすれば展開します 【太山】《古詩源(国デジ)》泰山。王に例える 【梁父艱】《古詩源(国デジ)》泰山下の小山。小人に例える うp主注:梁父艱を思わせるほど険しい。梁父は梁父山のこと。泰山とセットで語られる名山。 各段落で梁父艱に該当する節(湘水深、隴阪長、雪雰雰)は、いずれも厳しさを表したもの。 【金錯刀】《古詩源(国デジ)》金メッキの柄ある刀。貴い位の意味。 うp主注:または、中国漢代の貨幣の一つ。黄金の地金、刀の形。 【英瓊瑤】《古詩源(国デジ)》美玉の一種 【倚逍遥】《古詩源(国デジ)》物にもたれて中心に憂傷する。 うp主注:要は「orz」? 【湘水】《古詩源(国デジ)》揚子江の支流 【金琅玕】《古詩源(国デジ)》黄色の美石、厚録?の例え うp主注:最高級の翡翠 【雙玉盤】《古詩源(国デジ)》ひろく衆言を(兼ね?)聴くを五盤に例える うp主注:玉で作った皿? 【漢陽】《古詩源(国デジ)》古の岐周の地。 うp主注:明君の地になぞらえる? 【隴坂】《古詩源(国デジ)》天水郡中の坂の名 【貂襜褕】《古詩源(国デジ)》貂の皮で作った着物(google先生に聞いてみる) 【名月珠】《古詩源(国デジ)》海中より採れる夜光の明珠 【鴈門】《古詩源(国デジ)》幷州にある郡名。 【雪雰雰】《古詩源(国デジ) 》雪の乱れ降るさま 【錦繡段】《古詩源(国デジ) 》錦で飾った履物。 うp主注:錦と刺繍をした織物と着物? 書籍ではないと思う。 【青玉案】《古詩源(国デジ) 》青玉で飾った机 訳 四愁詩 一思曰:我が思う所は泰山に在り。往きて之に従わんと欲すれば梁父は嘆し。身を向け東を望めば涙が筆を濡らす。 美人が我に贈る、金錯刀。何をもって之に酬(むく)いん、良き宝玉。道の遠さは果てしなく。どうして憂いを抱くのか、心は疲れにわずらう。 二思曰:我が思う所は桂林に在り。往きて之に従わんと欲すれば湘水は深し。身を向け南を望めば涙が襟に浸みこむ。 美人が我に贈る、金琅玕。何をもって之に酬いん、雙玉盤。道の遠さに恨み嘆く。どうして憂いを抱くのか、心は痛みをわずらう。 三思曰:我が思う所は漢陽に在り。往きて之に従わんと欲すれば隴阪は長し。身を向け西を望めば涙が裳に浸みこむ。 美人が我に贈る、貂襜褕。何をもってこれに酬いん、明月珠。道の遠さにためらって、どうして憂いを抱くのか、心は左右にふらふら。 四思曰:我が思う所は雁門に在り。往きて之に従わんと欲すれば雪は雰雰し。身を向け北を望めば涙が巾にこぼれる。 美人が我に贈る、錦繡段。何をもってこれに酬いん、青玉案。道の遠さに嘆きは増して、どうして憂いを抱くのか、心は嘆き悲しむ。 コメント 《古詩源》では、張衡が河間の統治に成功したものの、天下はまだ疲弊しており、鬱々として作ったのがこの四愁詩という。 屈原にならって、君子を作中で言う「美女」になぞらえ、仁義を珍宝になぞらえ、臣下を梁父艱に該当する部分(湘水深、隴阪長、雪雰雰)になぞらえ、道術を以て(主君と?)相報じ伝えたいと思い、しかし周囲の臣下による悪口によって、自分の意見が主君に通じないことを恐れたとする。 東の太山、南の桂林、西の漢陽、北の雁門と四方を詠んでおり、リズミカル。あと少しで完璧な七言詩。韻も踏んでるかな? 「飲馬長城窟行」蔡邕? 「玉台新詠」は、蔡文姫の父、蔡邕の作とする。昭明文選では無名氏。 青青河畔草、綿綿思遠道 遠道不可思、宿昔夢見之 夢見在我旁、忽覺在他郷 他郷各異縣、展轉不相見 枯桑知天風、海水知天寒 入門各自媚、誰肯相為言 客従遠方来、遺我雙鯉魚 呼兒烹鯉魚、中有尺素書 長跪読素書、書中竟何如 上言加飱食、下言長相憶。 +単語注釈 【展轉】つまころぶ。まろぶ。 【双鯉魚】手紙。二匹の鯉の腹に入っていた、雌雄一対の鯉を折り紙で作った、2つの木板を合わせて作った木鯉などの説がある。 「鯉魚を烹る」は、分解して書簡を取り出すこと。 使用例) 「遠方の友吾に双鯉魚を贈る、童を呼び鯉魚を烹る、中に尺素の書あり、長跪して素書を読む」昔、双魚と書いて之を手紙と読ませたといふ話(牧野信一、素書(青空文庫)) 【長跪】ひざを地面につけ、尻をかかとから離して半立ちした状態。 この姿勢から夫人の心理を描写している。古代中国では尻を地面につけた「座」が主流。 【何如】いかにあるか、どのようであるか 【上言加飱食、下言長相憶】 手紙の書き始めが「互いのオカズに加えよう」、手紙の末尾が「長く相覚えよう」。 夫と同じ戦場での同僚から、送られたか。 或いは夫から「万里の長城で別の妻を見つけた」、「李陵のように匈奴の地で生きる」という、別れの手紙かもしれない。 もしくは上を向いて「オカズに加えよう」。下を向いて「長く相覚えよう」。 誰に言ったかは不明。児? 妊娠していて、胎内の子供? 想像に任せる。 いずれにせよ、夫が帰ってくるといった良い知らせなら、言うはずのない言葉。 訳 飲馬長城窟行 青青とした河畔の草に、綿綿と遠き道を思う 道の遠さに思いもつかぬ、それは夕べの夢ものがたり 夢見れば我が傍にあり、ふと目覚めれば他郷に在り 他郷は各々の(住む)県を異とし、つまころびて相見えることもない 枯桑に空ゆく風を知り、海水に天の寒さを知る 家に帰れば各々が媚びるよう、誰があえて互いのために言い合うのか 遠方より来たる客あり、我に双鯉魚を遺す 兒(児)を呼びて鯉魚を烹ると、中に尺素書が有るではないか 長跪して素書を読めば、書の末尾やいかに 上に言わく「飯食に加えよう」、下に言わく「長く相憶えよう」。 コメント 秦・漢代に築かれた長城の麓に、泉窟があり、唯一馬に水を飲ませることができたという。 このことから、長城に出征した夫を想う妻の詩は、飲馬長城窟行と名づけられることが多い。 古詩十九首の影響が大きいというか、一見無造作に、各首の節々を繋ぎ合わせたような雰囲気。 そのために、蔡邕の作品ではなく、古詩十九首の作者と同じく無名氏が作成したということも考えられる。 対比だけでなく、前の一文を使って次の一文を作成する「しりとり」に似た技巧を使っている。 この作品における「青青河畔草」の描写も、日本の《枕草子》に影響したという説がある(参考)。
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登録日:2011/08/04(木) 10 17 47 更新日:2020/12/31 Thu 13 07 52 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 KADOKAWA TCG カードゲーム グループSNE ドラゴンブック ブシロード ブロッコリー ホーリィの手記 モバゲー モンコレ モンスターコレクション 六門世界 六門天外モンコレナイト 召喚術師 富士見ファンタジア文庫 富士見書房 平原の悪魔 魔獣使いの少女 カードに封じた神秘の魔獣 魔剣に魔術に大魔法 魔境の力を解き放ち 召喚術の頂点を極めろ モンスターコレクションは1997年に富士見書房から発売されたトレーディングカードゲーム。 開発:グループSNE メインゲームデザイナー:加藤ヒロノリ(グループSNE) メインディベロッパー:杉浦武夫(グループSNE) 通称モンコレ。 2000年にはモンスターコレクション2としてルール改正が行われており、2009年にはブロッコリーで新展開開始(Gレギュレーション 但し序盤はアニバーサリーシリーズ)。 2011年からはブシロードに販売が移行、カードデザインもリニューアルされ2014年まで続いた。 それ以降は2017年に20周年記念として記念商品「20th Anniversary」シリーズがKADOKAWAより発売され、 2019年5月には同社から対戦型TCGとして大幅にルール変更された新作「モンスター・コレクションDeus」が登場している。 【背景設定】 舞台は六つの属性とそれらの源である「門」に囲まれた「六門世界」。 プレイヤーはモンスターを「真の名」によって召喚使役する召喚術師(サモナー)として活躍していく。 基本召喚術師は人間限定の職業で、人間のみ他者から召喚されることがない(=召喚術師カード以外の人間ユニットが富士見書房版の一部セット以外では存在しない)。これは人間の「真の名」を解読出来ないため。ちなみに人間は他生物と違い属性を2つ保有している。 またブロッコリー版の「六芒世界」では人間からも「真の名」を知る力が失われたため、その能力を保持する先祖の霊を降霊させ召喚を行う「前世召喚」が発明されていた。 公式小説内の様子を見るに、召喚時に用いる召喚符は基本『妖怪ウォッチ』の妖怪メダルの様な仲介道具にあたるもので、いつも故郷で暮らしているモンスターに有事のみ呼び出しを掛けている。 なので一部作品ではモンスター種族が召喚術への抵抗手段を得て反攻に出たり、召喚術師へ物理攻撃して召喚中止・強制送還を狙うケースもあった。 なお設定的には富士見書房版の未来がブロッコリー版(世界名が「六芒世界」)で、ブシロード版はブロッコリー版のドラマCD「暗黒卿の秘儀」で生まれたパラレル歴史の世界。 『20th Anniversary』は富士見書房版のテキスト『シルクの手記』・『ミルクの手記』(『ホーリィの手記』後日談)のリブート版で、ブシロード版の世界観やブロッコリー版のキャラとコラボしている。『Deus』の位置づけは今の所不明。 【ゲームの流れ】 注:富士見書房・ブロッコリー版基準での説明となっております。 他のTCGと大きく違うのはライフを削ったりダメージを比べたりするのではなく、互いの本陣から地形を配置して進軍し、戦闘を繰り広げながら相手の本陣を先に落とした方が勝ちという陣取りゲームの要素を持ち合わせていることである。 □■□ □□□ □□□ □■□ 互いのプレーヤーは50枚からなる山札(デック)の一番上のカードを裏側表示で上記のような戦場の■の場所に本陣として配置してゲームを開始する。 また先攻後攻などは全てダイスによって決定するため戦略だけでなく運の要素も必要となる。 ①第1手札調整フェイズ手札を破棄したり山札から補充したりして手札を上限枚数に調整する。ただし、先攻第1ターンには存在しない。 ②メインフェイズ 地形配置、進軍、儀式スペル使用、装備品持ち替えの4つの行動を可能な限り好きな順番で実行出来る。 ③普通召喚フェイズ 手札のユニットカードを自軍本陣に召喚する。 ④第2手札調整フェイズ第1手札調整フェイズと同様に手札を調整する。 ⑤終了宣言フェイズ 自分のターンの終了を相手に宣言する。 【戦闘の流れ】 ユニットのいる領土に進軍するor進軍されると戦闘となる。 ①即時召喚タイミング 手札から特定のユニットを召喚したり、装備品を装備・破棄させることが出来る。 ②隊列変更タイミング 戦闘に参加しているユニットの隊列を変更出来る。 ③イニシアチブ決定タイミング ダイスを振って先攻、後攻を決める。 ④先攻普通タイミング 先攻側が攻撃などの行動を実行する。 ⑤後攻普通タイミング 後攻側が攻撃などの行動を実行する。 ⑥同時攻撃タイミング イニシアチブ決定タイミングの結果が同じ場合は同時攻撃タイミングとなる。この際、特殊能力、アイテム、戦闘スペル、地形などのあらゆる効果が失われる。 ⑦戦闘終了タイミング 戦闘が終了したことを確認する。戦闘終了時に相手のユニットを全滅させていれば進軍は成功となり、逆に一体でも残っていると進軍は失敗となる。 これらの行動を繰り返し、最終的に敵軍本陣への進軍に成功すれば勝利となる。 【カードの種類】 ◆ユニット いわゆるモンスターカード。このカードを本陣に召喚して相手の本陣目指して進軍させる。 ユニットにはレベル、攻撃力、防御力の他、属性、進軍タイプ、種族等が表記されている。またアイテム、スペル、特殊能力を使用出来るユニットも多い。 なお属性は火、水、土、風、聖、魔の六種類。 進軍タイプは歩行、飛行、長距離飛行の三種類。 種族はドラゴンやエルフ、デーモンなどのメジャーなものからハイランダーやスポーンといったマイナーなものまで多々存在する。 また、ユニットの中には英雄と呼ばれる強力なものも存在しており、英雄は召喚時に記載された英雄点だけ山札からカードを破棄しないと召喚することが出来ない。 ◆アイテム ユニットが使用できる道具。大別して消耗品と装備品の二つが存在する。使用するにはアイテム枠が必要。 消耗品は文字通り使いきりのアイテムで一度しか使えない。また戦闘中のみ使用することが出来る。 装備品は装備している間はずっと効果を発揮する。主に攻撃力や防御力をアップする他、装備者に特殊能力を与えるものなど様々な種類が存在する。また戦闘中以外でも効果を発揮するものもある。 ◆戦闘スペル ユニットが使用できる魔法。 召喚するにはスペル枠が必要。スペル枠はそれぞれの属性しか使えないもの(●●●●●●)と全ての属性が使用できるマルチスペル(●…真ん中に白抜き文字の*が書かれる)がある。 中にはスペル枠を二つ以上消費する戦闘スペルも存在する。 ◆地形 地形カード。地形にはリミットというものが存在し、ユニットの合計レベルはそのリミットの数字以下で無ければならない。また特殊な効果を持つ地形も多い。 進軍するためには必要不可欠であるが、地形カードが手札に無い場合、山札の一番上のカードを裏側表示で配置することで代理地形とすることも出来る。なお代理地形のリミットは8である。 ◆儀式スペル 戦闘スペルと違い、プレーヤー自身が使う魔法。使用条件としてストーンサークルなどの特殊な地形を支配していなければならないが、強力な効果を持つ魔法を使うことが出来る。 かつては重儀式デックが猛威を奮ったが、モンコレ2でルール改正の煽りを受けて弱体化。ブロッコリー版では儀式スペルの能力を持った儀式地形に取って変わられている。 そして儀式スペルの復活は、モンスター・コレクションDeusを待つことになる。 ◆召喚術師 富士見書房版後半と『20th Anniversary』・『モンスター・コレクションDeus』のみに登場するカード。 本来はモンスター達を操るプレイヤーを指すが、このカードが登場するセットでは「世界における主役級キャラ」を示し、カードごとに異なる継続効果を自軍に与える。 同時にフレーバーテキスト・小説登場キャラのカード化でもあり、一部サモナーでないキャラやモンスターユニットがいるのはご愛敬。 ちなみに『20th Anniversary』・『モンスター・コレクションDeus』でカードに書かれている「クラス」は、TRPG版で設定されたものをベースにしている。 【メディアミックス】 複数パターンがあるが、基本公式サイドでは媒体によって多少パラレル設定はあれど小説版・TRPG版・『魔獣使いの少女』・『ドラゴン使いのアーニャ』・ドラマCDを「正史」準拠扱いとしている。 ちなみに同じ制作元でブロッコリー版の前一時期展開されていたTCG『マグナ・スペクトラ』は、本作の遠未来を描いたものという裏設定があったり(「六芒世界」やブシロード版以降との関係は不明)。 ◆公式メディアミックス関係の時系列 『魔法帝国の興亡』(北沢慶、同名カードセットの背景小説) ↓ 『ホーリィの手記』(加藤ヒロノリ、フレーバーテキストの小説化) ↓ 『アーヴィン英雄伝』(北沢慶、フレーバーテキストの小説化) ↓ イエル編→エルリク編→『召喚師マリア』(北沢慶、左から父→長男→長女の順で主人公となる。イエル編の題は初期のカードセットから来ており、『召喚師マリア』のみTRPG版よりの演出) ↓ 『六門世界』(安田均、主人公の名前から「リコル編」とも。TRPG版リプレイ『追え!悪魔天使の野望』はこの小説の後日談で、TRPG版ではこの小説時期を基準に「BR(ビフォアーリコル)」・「AR(アフターリコル)」と年号表記している。) ↓ 『仮面の魔道士』(高山浩、同名PS版ゲームのノベライズ) ↓ 『魔獣使いの少女』(漫画作品、『仮面の魔道士』から数十年後。TRPG版の時代、AR50年頃。) ↓ 『灼熱の百年戦争』(高山浩、同名カードセットの背景小説) ↓ (TRPG版サプリメント『エレメンタルストーム』での事件を機とした災厄で文明崩壊) ↓ 『烙印ゼミナール』(大井雄紀 ブロッコリー版と同時代を描いた小説) ↓ (フレーバーテキスト原作のドラマCD『魔剣の姫君と暗黒卿の秘儀』の結果歴史改変が発生、歴史の細部が異なるパラレル世界が誕生) ↓ 『モンスター・コレクション・サモナーズ』(加藤ヒロノリ、ブシロード版フレーバーテキスト「ある召喚術師の回想」前半のノベライズで、改変前の歴史では『エレメンタルストーム』の少し前の時期) ↓ (『20th Anniversary』版フレーバーテキスト「シルクの手記」・「ミルクの手記」) ●小説版 制作元であるグループSNEの所属者が手掛けたシェアード・ワールド作品群。富士見ファンタジア文庫で展開された(『モンスター・コレクション・サモナーズ』のみ富士見ドラゴンブック)。 ブースターの内容をベースに六門世界の語られざる歴史を綴っており、特に「ホーリィの手記」は展開初期に掲載されたフレーバーテキストのリブート版にあたる(*1)。 TCG版メインデザイナー加藤ヒロノリが手掛ける作品は小説・リプレイ共に濃い変態キャラが定番となっている ●TRPG版 『六門世界RPG』として発売(1版と2版「六門世界RPGセカンド」がある)。サモナーだけではなく他の職業も選ぶことが出来、カード版の一部フレーバーは第1弾リプレイと連動していた。 但し媒体の違いから同時召喚数は高レベルでも1桁代に留まっており、代わりにモンスターにもレベル制が導入されている。 標準時代設定は漫画『魔獣使いの少女』と同時期とされているが、2版ラストのサプリメント『エレメンタルストーム』とそのリプレイ『羽根のないアリス』では『灼熱の百年戦争』以降の時代を舞台に、ブロッコリー版への橋渡しが行われた。 なおTRPGリプレイシリーズの内1版・2版を跨いで展開された「スカーレット」シリーズは同じ作者の『ホーリィの手記』と繋がっており、ラスボスが小説キャラの「娘」となっていた(但し変態キャラが多いので読む人を選ぶ作風)。 ●漫画版 モンスターコレクション~魔獣使いの少女~(伊藤勢) TRPG版は一部作品を除いてこれと同じ時代(安田版『六門世界』から約50年後)を標準背景にしている。 モンコレモンスターズ(金澤尚子) モンスターコレクション デーモン・ハート(西川秀明) 地球人の少年が六門世界へと飛ばされ、召喚術師となるダークファンタジー。 カードの設定が「封印具」扱い等パラレル設定が多数あるが、比較的背景世界の描写に寄せている。 モンコレキッズ モンスター・コレクション~ドラゴン使いのアーニャ(こゆき) ブシロード版の前日譚的内容。 ●アニメ版 六門天外モンコレナイト ●ドラマCD 召喚士マリア 出会いには花束を、小さき恋に別れの涙を。 同名小説のCD版。 モンスターコレクションTCG ドラマCD 七星魔導史マフィン伝「魔剣の姫君と花園の歌姫」「魔剣の姫君と女神候補生」「魔剣の姫君と暗黒卿の秘儀」 ブロッコリー版のフレーバーテキストを原作としたもので、魔剣使いのアンデッド姫ドリブラ(水橋かおり)と変態ハイエルフ錬金術師マフィン(杉田智和)の冒険を描いている。 ●ボードゲーム版 モンスター・コレクション・ボードゲーム 六門戦記 モンスター・コレクション・ボードゲーム 中原の征服者 六門世界の召喚術師は追記・修正お願いします ―――アニヲタの手記 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 小説から入って、最初に買ったスターターに黒天が入ってた時運命を感じた -- 名無しさん (2016-10-17 21 16 58) ブシ版以降と以前ではルールもカードデザインもかなり違うので、モンコレの話をしているつもりが全然話が噛み合わないなんてことも -- 名無しさん (2017-04-05 19 17 10) おはB-ASH -- 名無しさん (2017-11-25 12 38 30) 名前 コメント
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あらすじ 次元境界線崩壊の原因は何者かによって操られたネオブラックドラゴン(暴竜カイザーワイバーン)が発動させた 24世界から奪取した時空振動弾による物がスペリオルドラゴン達の旅によって解き明かされ、そしてスダ・ドアカを含む スペリオルドラゴン達の旅した世界は一つとなり「多元世界」として再誕したのである。 そして多元世界におけるスペリオルドラゴンとネオブラックドラゴンの決闘で両者は黄金色の光に包まれたまま相打ちとなり、 その姿を消した。更にその直後多元世界の上空に突如、SRXゲートが出現してこの世界の空は大いなる門によって覆い隠されてしまった。 それから10ヶ月後・・・多元世界の情勢は混迷を極めていた。 各世界に存在していた敵勢力が突如、一致団結して「Dimension Chaos」(通称DC)なる秘密結社を結成し、多元世界の統一に乗り出した。 「Dimension Chaos」のメンバーによってこの多元世界が統一されれば、どのような未来が到来するかはかつてスペリオルと共に 旅してきたメンバーにとってそれがどのようなものであるかは予測することは難しくは無かった。 かつてスペリオルの旅をナビゲートしてきたハロは各世界でスペリオルと共闘してきた仲間達・・・そうSRX達に対して、 「Dimension Chaos」に対抗する為に「Plan ZEUTH」の実現に向けて動き出したのである。 しかし、そうしていく内に驚愕の事実が判明する・・・何と「Dimension Chaos」の総帥を務める男の名は、 「デスペリオルドラゴン」・・・しかも姿は違えど、その声に実力、そして敵対して逝った者たちに告げていく『希望するな、息絶えるまで絶望しろ』 言葉からして、それはスペリオル本人にしか思えないのだ・・・ そして多元世界上空からのSRXゲートから出現する新たな機体、「鎧闘天使ダブルオーガンダム」を味方にしたハロ達は、 多元世界を舞台に始まった一大大戦を繰り広げていくことになる。 だが、この物語の為に集められたキャスト達は誰も知らなかった・・・そう、裏で大いなる存在が蠢いていた事を・・・ そしてこの物語が次元銀河そのものを破滅に導いていく壮大な黙示録という名の脚本のページが開かれた事さえも・・・ 第一章「鎧闘天使降臨と特務部隊オリュンポス篇」 ある日、多元世界上空に位置するSRXゲートから一機の機体が降臨した・・・ その名はダブルオーガンダム・・・謎の声によってこの世界に導かれ、多元世界で与えられた目的を果たさんがために、 この地にやって来たのだという。偶然、遭遇したDCの部隊を瞬く間に一掃したダブルオーは、かつてスペリオル達と旅した ハロ、ゼロ、ガンク―アと邂逅を果たし、激突するも、自分の与えられた目的を達成する為には 彼等と共に行動することがベストではないのか、と悟ったダブルオーは彼等一行が為そうとする 対DC対抗プラン「Plan ZEUTH」の実現に力を貸す事にするのであった。 そして、「Plan ZEUTH」を実現させる為には、かつてハロ達が共に戦った八人の戦士達を探し出す事である。 しかし、その動きをDC側は既に察知していたのであった。DCの幹部「八部衆」はそれを阻止せんが為に、特務部隊「オリュンポス」を結成 オリュンポスの総責任者に任命されたOOアバランシュや復讐鬼としてヴォーダの闇から復活したエピオンらを中心とした メンバーがその妨害に当たるが、ダブルオー達はそれらをかわしながらも順調に8人の戦士たちを探し出していく・・・ 第二章「暗黒破壊神と八部衆篇」 オリュンポスを打倒し、多元世界に「Plan ZEUTH」の全貌を宣言したハロ・・・その全容は、 Dimention Chaosを打倒する為にその対抗組織「ゼウス機関」を結成し、彼等と全面抗戦を構えるというものであった。 かくして様々な要素が一つに融合して混沌を極める多元世界「ゼウス機関VSDimention Chaos」の構図が誕生した。 そんな折、今まで暗黒のベールにその正体を隠してきたDCの総帥がその姿を現す事となる・・・ 彼の名は「デスペリオル」・・・なんと、姿はやや違えど、その声に実力、そして敵対して逝った者たちに告げていく 『希望するな、息絶えるまで絶望しろ』・・・それらは何とかつて、ハロ達と共に旅し、8人の戦士とそれぞれの世界で共闘した スペリオルドラゴン本人としか思えなかったのであった・・・ZEUTHのメンバーはただ、驚愕し、かつて時空の友と呼びあった 仲間に裏切られた事に対する事に絶望し絶句するほかに術は無かった・・・ 第三章 「黙示録、解禁篇」 Dimention Chaos壊滅から二カ月経過した、多元世紀二年二月・・・ その時、「終わりの始まり」と呼べる出来事の発端が発生した。 多元世界上空を覆い尽くすSRXゲートから、突如、無数の機械生命体のスパークらしきものが、 この多元世界に瞬く間に降り注ぐ・・・そして、そのスパークの正体は、かつてスペリオルを始めとした 過去にZEUTHメンバーが倒した筈の敵のスパークであった・・・・!! それらと戦闘を重ねるうちに驚愕の事実までもが判明する・・・なんと、それらはいわば「あの世」とも言える「ヴォーダの闇」から 送られて来たものであり、SRXゲートを通じて、ヴォーダの闇からこの多元世界に大量の死霊達が流れ込んできているのだという。 更にそれらの原因を作ってしまったのは、アナザーゼロを多元世界に呼び戻す際にSRXゲートによって封じられていた 次元を無理やりこじ開けたスぺリオルの行動がこの大惨事を招いてしまった事までもが明らかとなってしまう・・・ それらに追い討ちをかけるかのごとく、ZEUTHメンバーの前に姿を現すアサルトバスターは語り続ける。 「SRXゲートと言う媒介を通じて多元世界とヴォーダの闇の融合・・・云わば、あの世とこの世が一つになろうとしている事。」 「次元銀河に内包されている世界は破滅の雨によって多元世界以外全て滅びているので、他の世界へ逃げる等この世界の住人に逃げのびる手段はは無いという事」 「結果的に世界を滅びの危機へと招いてしまったスペリオルは世界の破壊者そのものである」と。 そしてアサルトバスター自身は、嘲笑うかのように姿を消し、その様子を傍観者として立ち会う意思を告げたのだった。 破滅の危機はこれだけで終わっているわけでは無かった。 この状況に乗じるかのごとく、あれから姿を晦ましていたドーベンウルフもまた、己自身の本懐を遂げるべく独自に行動を開始する。 最早、機械生命体に逃げ場なし。 次元銀河そのものを破滅に導いていく壮大な黙示録が、今、解禁されたのであった・・・ 「ゼウス機関」(味方組織) 「Dimension Chaos」の多元世界統一を阻止する為に元スペリオルドラゴン一行の一人であった、ハロが発起人として 「Plan ZEUTH」の元、結成されていったそれぞれの世界の平和を守る為に戦っていた戦士達が中心となって組織された存在。 主なメンバーは各々の世界でスペリオルと共闘したSRX等8人の戦士を中心に元スペリオル一行として旅をしていた ゼロガンダム達も加勢し、SRXゲートから出現した新メンバーダブルオーも加入している。。 8人の戦士はそれぞれ八武衆のメンバーに対して因縁めいたものを感じており、彼等と決着を付ける目的もあってこの組織に参加した。 通称として「ZEUTH」という名称が使われる場合もある。 「Dimension Chaos」(敵組織) これまでスペリオルが旅してきたあらゆる世界の敵勢力が世界の融合により誕生した、 混沌とした多元世界を統一される為に結成された秘密結社で通称「DC」。 それぞれの独立した敵勢力が一つに融合した形ではあるが、そこに総帥であり「デスペリオルドラゴン」が降臨し 絶対的指導者として組織の行く末を決めている そして「八武衆」と呼ばれる八人の各世界出身の幹部らがデスペリオルの元に控えており、それぞれの軍団が形成されているようだ。 しかし、八武衆の中にもDimension Chaosによる多元世界統一が為された際の支配者の座を裏で虎視眈々と狙っている者も少なくは無い。 以下は八武衆のメンバーについて挙げるものである 第一部枠:グルンガスト終式 第二部枠:ズフィルード 第三部枠:ツヴァイザーゲイン NEO枠 ラフトクランズ COMPACT枠:コンパチカイザーロア X END枠:呂布トールギス 24枠:ソルリアス VS枠:ストライクフリーダム 原則、八武衆のメンバーは歴代SRXシリーズに登場した敵キャラを一作品ずつ選任する者とする。 それぞれ八武衆と対決することになるメンバー 第一部枠:SRX 第二部枠:アナザーゼロ 第三部枠:ヤルダバオト NEO枠:凱皇 COMPACT枠:コンパチカイザー Χ END枠:ダンクーガ 24枠:エクスカイザー VS枠:ガンクーア 「多元要塞ゼウステーション」 ハロ達が来るべきゼウス機関発足に備えて建造したZEUTHの拠点となる要塞。 ハロがアストラナガンのデータベース内に存在するそれぞれの世界に存在する基地のデータを 寄せ集めた上で設計図を作成したことにより様々な世界が融合して誕生した多元世界に相応しく様々な世界の テクノロジーが一つに融合したことにより、どのような重傷を負った者でもわずか三分で完全に修復してしまう 再生カプセル等といったこれまでに類を見ない様々な画期的ツールが大量に配備してある事が最大の特徴である。 「特務部隊オリュンポス」 Dimention Chaosが多元世界統一に当たっての反乱分子を鎮圧するために結成した特務部隊。 スペリオルが旅した第一の世界~第八の世界の出身者がこの部隊のメンバーとして占めており、 それぞれ価値観の異なる様々な世界の出身者が所属しているにも関わらずあまり指揮系統は乱れる事は無い。 (エピオンのように所属しているにも拘らず指揮系統を無視する無法者が僅かながらも居るが) これは一重に部隊の総司令官を務めるOOアバランシュの手腕とも過言ではないだろう。 「多元世界」 この物語の舞台となる世界。 かつてスペリオルドラゴンが旅してきた9つの世界とスタ・ドアカが次元振動弾によって一つの世界に融合した存在。 年号は「多元世紀元年」という全く新しい物が使用されており、多元世界の統治機関として「多元連合政府」が発足はしているが 各世界に存在していた軍事力を保持していたあらゆる勢力は敵味方問わずそれぞれ、 「ゼウス機関」と「Dimension Chaos」に統合されて両陣営に二分化されたと言っても過言ではない状況である。 また、地球と宇宙を往復する事は上空に巨大なSRXゲートが出現したことで遮られてしまった為に、行き来することが不可能となっている。 「アストラナガンのデータベース」 次元銀河全体を見守りし「アストラナガン・マギ・デウス」に内包されている膨大という言葉を優に超越するほどの 次元銀河に内包されている全ての世界の情報が集約されているアストラナガンの巨大頭脳とも言える虚構空間。 どうやって各世界の情報がこのデータベース内に集約されているのかと言うと、それぞれの世界に派遣されている 「マギ・デウス」及び「マギカ・マギウス」を通じて、彼らが目にした情報は全てこのデータベース内に保存されて行く。 アストラナガンが全ての次元銀河に内包されている世界に何故上記の者たちを送りこんでいたのか、と言う理由についてだが、 このデータベース内の情報をその都度、瞬時にリアルタイムに更新させていくで情報の正確性を常に高めておくと言う意味もあるのだ。 そしてハロを始めとした、このデータベースへのアクセス権を有する一部の者達は、自分が置かれている状況を元に それにまつわるKEYWORDでデータベース内の情報の絞りこみ検索を行い、そこから有益な情報を得て行くことで、 その危機を乗り越えて行くこととなる。 云わば、このデータベースは無限に広がりつつある次元銀河全土を完全にフォローした巨大な検索エンジンなのだ。 「Dimension Chaos-X」 ダブルオーを始めとしたZEUTHメンバーによって壊滅させられたDimention Chaosが、 ドーベンウルフの手によって新たに結成されたDC残党が結集した新組織。 前身となった組織同様、多元世界へ融合して行った様々な世界の出身者が参加していることは確かだが、 戦力的には旧DCの1/3程度しか揃っていないので小規模・弱体化しか印象は否めない。 が、しかし、組織の中心的存在であるドーベンウルフが所持しているアルティメットセルを始めとした、 歴代SRXタイムに登場したテクノロジーの産物やアイテムを戦力として有しているので、 デスペリオルが直接的な武力で率いていた時よりも、また異なった組織像が与えられている。 過去に「世界の統一」の興味は無いと断言したドーベンウルフ・・・ならば、この組織を結成した真の狙いは一体・・・? 「ディメンジョン・イーター」 ドーベンウルフが己の野望を果たす為の手段として、時空振動弾のテクノロジーを利用して創り上げた大量殺戮兵器。 時空振動弾が各世界の次元境界線を破壊して、様々な世界が融合した多元世界を作り上げたように このディメンジョン・イーターは発動と同時に空間の重粒子崩壊を引き起こすことで、 次元の歪みとも過言でも無い、云わばブラックホールの様な物を発生させて最終的にはそれが ディメンジョン・イーター(次元を喰らうもの)の名が指し示す通りにその世界は次元の歪みによる ブラックホールによって完全に蝕まれてしまい破滅する運命を辿るのだ。
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【昼休み、図書室】 小「さ、今日も始めるわよ!」 主「はいはい…」 今日も今日とて拉致られて図書室。 まあ手伝うと言ったのは俺だし、仕方のないことなんだが……… 主「はあ……」 小「こら!ため息ついてないで!今日はこの棚お願いね!」 主「分かった分かった…」 こうして今日も作業は始まった。 主「よし。完璧かな……」 一通り、完了した。 簡単な作業ながら、案外、神経を使う。 一字一字を丁寧に確認するのも、楽ではない。 とはいうものの、五十音で表記されてあるものが意外と多く、ほとんど抜き取るだけの作業だった。 おかげで、手元には本が山積みであるが。 「さてと……」 有栖川のほうを見る。 有栖川は、既にこの棚の分は終わって、3個先の棚に移動していた。 慣れた手つきで、本を抜き差ししている。 しかしながら、こんな面倒な仕事を毎日しているのか…… 投げ出したくはならないのだろうか。 と、そんな些細な疑問が浮かぶ。 小「そっち、終わった?」 主「とりあえずな。‥で、これは五十音の本」 小「そ!じゃあ、そこにあるコンテナの中に入れておいて」 主「OK」 脚立の下に置かれたコンテナに、抱えたそれを詰める。 主「………………」 静寂する中で唯一、有栖川の作業する音だけが響いている。 見上げると、いかにも軽そうな有栖川の身体がある。 脚立のてっぺんにまたがるようにして、腰を落ち着けている。 ラベル確認に没頭していて、自分がスカートでいることさえ、すっかり忘れているようである。 見えるようで、見えない。‥‥あと一歩というところなのだが。 しかし相手が相手なので、覗き込むようなものなら、確実に殺される。 ということで、あまりそっちに気がいかないようなるべく距離をとる。 主「…………」 小「…………」 主「…なあ」 小「ん?」 主「その作業、毎日やってて飽きないか」 小「そりゃ飽きるわよ」 主「だよな」 小「でも、気の持ちようで、感じ方も結構変わるものよ」 「まあ、決して楽じゃあないけどね」 主「ふむ…」 地味な仕事ではあるが、やりがいはありそうである。 ‥‥そういえば。 主「図書委員って、お前一人なのか?」 小「ううん、そんなことはないわよ」 主「でも、お前以外に見当たらないぞ。みんなサボりか」 小「ええ。そうらしいわね」 主「そうらしいわねって……かなり人ごとだな」 小「だって、私がどうこうできるような問題じゃないもの」 主「怒ればいいじゃん、いつもみたいに」 小「怒ったところで、どうにもならないわよ」 主「頭にこないか。こんな、仕事押し付けられて」 小「別に、押し付けられてやっているわけじゃないわよ。私は、望んでやってるの」 主「よっぽど好きなんだな」 小「えッ‥?」 主「本」 小「ああ、なんだ……ちょっと、ビックリさせないでよ」 主「は?」 小「…なんでもない」 主「なんなんだよ」 小「ちょっと勘違いしただけよ」 主「…………」 小「そうね、本は嫌いじゃないわ。どっちかといえば、好きよ」 主「そうか」 小「……ま、所詮、委員の仕事なんて、真面目にやるほうが馬鹿げてるのよ」 「サボるのも無理ないわ」 主「馬鹿げてなんかないだろう」 小「馬鹿げてるわよ」 「こんな地味なことやったって、気付く人なんか誰もいやしないんだから」 主「なんでお前は、真面目にやってんの?」 小「……さあ。なんでかしらね」 主「………………」 有栖川にしては珍しいことだ。 自分にとって無意味なことに、積極的になるなんて。 ボランティア精神など、こいつには皆無だと思っていた。 主「偉いじゃん。みんなのために頑張っててさ」 小「別に、人のためにやってるわけじゃないわよ」 主「ふーん?」 小「ホントよッ。私は、私がやりたいからやってるだけよ!」 主「意味もないのに?」 小「……意味は……あるわよ」 主「どんな?」 小「それは……」 突然口ごもる。 まるで、言ってはいけない言葉を呑み込んだかのようである。 主「意味って、どんな意味だよ」 小「ど、どうだっていいでしょ……そんなの」 主「なんだよ、教えてくれてもいいじゃん」 小「フン……別に、話すようなことでもないわ」 「それよりアンタ、暇ならそのコンテナ、カウンターまで持って行ってちょうだい」 話題を無理やり突き放し、俺への指令を投げかける。 俺が聞いたら不味いことなのだろうか。 だが、無理に問いただすことは、なぜか出来なかった。 主「はぁ……わかったよ」 俺はコンテナを持ち上げ、カウンターへと足を運びだす。 小「……あ、〇〇」 主「ん?」 小「カウンター横のドアは、絶対に開けちゃダメよ!」 主「なんで?」 小「あそこには、古くなった本が貯蔵してあるの」 「むやみに出入りすると、警報が鳴るような仕組みになってるのよ」 主「へえ」 小「ま、普通にしてれば問題ないけどね」 主「わかった」 小「‥あッ、それと!」 「カウンター内にある物も、むやみに見たり触ったりしないでよ」 「アンタのことだから、探求心の赴くままに行動しそうで恐いのよね」 主「大丈夫、大丈夫。何もしない、何もしない」 小「本当ね?」 主「うん」 小「………ならいいけど。じゃ、よろしく」 主「よし‥‥ここでいいかな」 カウンター下にコンテナを置き、一息つく。 主「ふぅ………」 有栖川のいる位置からはちょうど死角になっている。 よって向こうからは、こちらの行動を見ることはできない。 ここなら、休んでもバレなそうだ。 カウンター前の椅子に腰掛け、それとなくあたりに視線を送った。 主「…………………」 昼休みという時間帯のせいか、利用者は少数だ。 図書室という場所の性質上、音は小さな物音のみに留まっている。 大して面白い風景でもないので、カウンター上へと視線を移した。 図書カードやらハンコやらが、それぞれの定位置にきちんと収められている。 主「‥ん?」 ちょうど膝のあたりに、何かがあたっているような感覚を覚えた。 カウンター下を覗き込むと、奥に引き出しを見つける。 その中から、ノートくらいの大きさのボードが、半分だけ顔を出しているのを確認する。 見たところ、何かの表のようだが‥‥ 暗くて、何の表かはわからない。 さらによく確認しようと、手を伸ばしかける。 主「‥‥待て」 有栖川に、たった今釘を刺されたばかりだ。 ここで見つかれば、アイツからの信用を失う可能性がある。 でもちょっとだけなら、バレずに済みそうだ。 見るか、見まいか………… ①ちょっとくらいなら…(正解) ②‥いや、やめておこう ①ちょっとくらいなら…(正解) ちょっとくらいなら、バレない、バレない。 手を伸ばし、取って確認する。 主「これは…………」 クリップでプリントが何枚かまとめてあり、めくると、どれも同じ印刷がされてあった。 プリントの一番上に図書委員一覧とあり、横に年号が記されてある。 そしてその下に、表が載っている。 表には、個人名とされる文字がズラリと並んでいた。 ……見る限り、名簿表である。 主「あ、あり」 試しに、有栖川の名前を探してみる。 主「お」 すぐに見つかった。 予想はしていたので、驚きはしない。 だがトップに書かれたその名前以外は、当然ながら見覚えのない名前しかない。 めくると、前年、その前の年の名簿が出てくる。 めくるたびに、プリントが色褪せていく。 無意識のうちに、自分と同じ名前を探すようになる。 ひとまず見当たらない。 有栖川はどうだろう。 まあ、有栖川なんて珍しい名前、おそらくアイツ一人だろうが。 そう思い、全体に目を通していく。 「…………………………………」 ……いた。 ないと思っていただけに、さすがに驚いた。 それは例のごとく、トップに記されていた。 二人目の有栖川が、そこにいたのだ。 4枚目のプリントであるからして、おそらく3年前の名簿である。 主「有栖川、瑞貴………」 名前を見ると同時に、何かモヤモヤとしたものが沸き起こる。 それが何を意味しているのか、はっきりとはわからない。 ただ、凄く、疑っていた。 有栖川と、何か関係しているのではないか、と。 主「…………………」 心当たりがないわけではなかった。 だからこそ、というべきなのかもしれない。 この瑞貴という名の人物を、見過ごすわけにはいかなかった。 ―――先日打ち明けられた有栖川の過去…… ”兄貴” 有栖川が、そう呼んでいた人物――― それがもしも、この名簿に載っている人物なのだとしたら。 この瑞貴という人物が、有栖川の兄貴ならば…… 有栖川は、この事実を知ってて、図書委員に……―――― 小「ちょっと〇〇~ッ!」 主「あ」 と、突然、声が振りかかった。 有栖川が、向こうからツカツカと歩いてやって来るのが見える。 俺は名簿を急いで引き出しに仕舞い、椅子から即座に立ち上がった。 小「ちょっと、なにのんびりとしてんのよッ!」 主「悪い、ちょっとな」 小「ちょっと、なに?」 主「いや」 小「なんっか怪しいわね。その顔」 主「どこが?」 小「そのいかにも、俺は何もしてね~ぞって顔よ!」 主「そりゃお前、過敏になりすぎてんだよ」 小「アンタね、嘘はつくんじゃないわよ」 主「ついてないってば」 小「まさか、勝手になにか覗いたりなんか……してないでしょうね」 主「…してないって」 小「……………」 「フン……まあいいわ。今日のところは大目に見てあげるけど」 「今度は、タダじゃおかないわよ」 「いかなる理由があっても、私より先に休むのは、絶対に認めないから」 ‥‥今度、ということは、やはり次もあるということか。 小「さてと、そろそろ昼休みの時間が終わっちゃうわ。…○○、教室に戻るわよ」 主「なあ、有栖川」 小「なによ」 主「なんで、図書委員になったんだ?」 小「は?いきなり、何?」 主「いや、ふと気になって」 小「……………………」 主「なにか理由があって、入ったんじゃないのか?」 小「そんなの、べつに………」 主「…………………」 小「……理由なんかないわよ」 主「ない?」 小「‥‥ええ」 主「本当に?」 小「な、なによ………大体、そんなの知ってどうするワケ?」 主「べつに、どうもしないけどさ」 小「‥‥ふ、フン、まったく、なんなのよ?」 「そんなくだらない質問してないで、さっさと行くわよッ!」 ……………………… あの動揺っぷりは………なんか引っかかる。 ②いや、やめておこう いや、やめておこう。 見つかれば、一溜まりもないもんな。 そう思い、再びカウンター上へと意識を戻した。 ……そういや図書カード、まだ作ってなかったな。 といっても、本を借りる機会が早々ないので、なくても困りやしないのだが。 でも作っておいて損はないだろう。 有栖川にでも作ってもらうか‥‥ と、そんなことを考えつつ、まったりと椅子でくつろぎだす。 小「ちょっと〇〇~ッ!」 やがて有栖川のおっかない声が、こちらに振りかかった。 俺は瞬時に立ち上がる。 小「ちょっと、なにのんびりと座ってんのッ!」 主「悪い悪い。ちょっと休憩」 小「ッたくもう!しゃんとしなさいよね、しゃんと!」 主「あいあい」 小「もう。アンタがグズグズしてるから、時間なくなっちゃったわよ」 主「すんません」 小「ったく‥‥‥」 主「それよりさ、ちょっと頼みがあるんだが、いいか」 小「私に頼みですって?補佐の分際で、いい度胸ね」 主「ほんのささやかな頼みだ」 小「フン。まあ、聞くだけ聞いてあげてもいいわ。で、なに?」 主「図書カード作って」 小「〇〇の?」 主「うん、そう」 小「アンタ、本読まないんじゃないの」 主「まあな。でも作っておくだけ損はないかと」 小「仕方ないわね。じゃあ、ちゃちゃっと作ってあげる」 主「お、サンキュ」 小「あ、でも今は時間がないから、また今度ね」 主「そっか。わかった」 小「さてと。それじゃあ、そろそろ教室に行きましょうか」 主「おう、そうだな」 小「あ、そうそう」 「アンタ、図書委員になりたいのなら、今日中に届けを出しなさいよ」 主「は?届け?」 小「私に。証明となるようなものをね」 主「めんどくせ」 小「なに?文句でもあるっていうの?」 主「‥‥いや。べつに」 小「そ。……なら、そういうことだから。よろしく」 主「‥‥‥‥‥」 有栖川の女王っぷりには参るな。ホント……