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お前のものは俺のもの、そんな使い古された言葉を持ち出すまでもなく、自分にとって一度関係を持ってしまったが最後 私的財産権が一度に無に帰してしまうような種類の人物と言うのがこの世界には存在する。俺の場合はこの目の前の 黄色いカチューシャの女がそうだ。 「あんたって本っ当にわっかりやすい!いっつも最後は有希を頼るんだから!」 そう高らかに告げるとハルヒは大股で俺に歩みより、当然のように俺のカバンを引ったぐった。 ちなみに、どうしてハルヒが俺より先にこの団室まで来れたのか。それは不穏な動きを見せていた 俺が放課後長門を訪ねると判断したハルヒが、俺が教室から出るや否や即座に後を追い、教室から 団室までのショートカットルート----階段の2階の踊り場の窓から外に出て、校舎と部室棟をつなぐ 渡り廊下の屋根を走り、部室棟の階段の踊り場の窓から入る、と言う----を通って先回りしたからだそうだ。 ハルヒ曰く、「この程度のことも押えておかないようでは団員失格」だそうだが、さして生徒に寛容な教師揃いと 言うわけでもないこの学校では、渡り廊下の屋根を全力疾走するなどという発想は心に抱いたところで苦笑とともに 打ち消してしまわなければいけない類の物だ。 「♪~」 聞こえよがしな鼻歌交じりで、突っ込んだ手で俺の鞄を引っかき回すハルヒ。 「あっ!これね~ きっと!」 2本指でつまみ出したのは、やはりまぎれもない100万入りの白封筒だ。 カバンを床に投げ捨てると、片手で器用に封筒の隅を握って口を開き、大仰な素振りで片目で中身をのぞき込む。 「おおっとぉ!?」 素っ頓狂な声をだして、殊更に驚いてみせる。 「…こ~れは、大事件ねぇ?キョン~?」 整った並びの歯を全て見せ付けんかとばかりの満面の笑みで、首を傾げて腰を折り曲げ俺の顔を下から覗き込むように にじり寄ってくるハルヒ。近づけられた顔から甘い匂いが胸に拡がるが、別にこれからロマンチックな展開など疑うべくもない。 例えて言うなら、期末テストで最低の成績の答案が返ってきた日の、家までの帰り路での買い食いの味とでも言おうか。 そんな刹那の快楽だ。 「で、キョン?」 ほら来た。 「このお金、いぃったいどうやって手に入れたのかしら?」 つややかな瞳が、俺のそれを見つめながら語りかける。「さあ、足掻きなさい」と。 俺は心臓が2cmほど浮き上がった胸郭を抱え、それでもハルヒの瞳から目を逸らす事ができずに、言い繕いの高速演算を始める。 一体どこまで言っていいものか。無論、古泉の機関から貰ったなんてことは絶対に言えない。拾った?切羽詰ると、こんな陳腐な発想が すぐに脳裏の結構な範囲を占拠しようとする。しかし、思い切ってそう言い切ってしまうのも今回の場合はありかもしれない。よし、 これは次善の策に取っておこう。さて、そうと決まれば本命の策を腰を据えて考えるか。古泉に貰った?う~ん、奴も巻き込むな。 それはいいとしても、この後奴が部室に来た時、一瞬のアイコンタクトで因果を含めなくてはいけないのができるかどうか。…次の策だ。 う~ん、浮かばない。クソッ、油壷の中から這い出ようとするみたいな苦痛だ。いったいどうして俺はいっつもいつもこいつのせいで こんな苦労をしなくては…いや、今それを考えても仕方ないな。さて、え~といまいち心細いがやはり古泉に貰った線で行くしかないのか? いや、いっそ拾ったと言い放ってみるか?その場合ハルヒはどう追及してくるか?あ~畜生… 「キョン!?」 ハルヒが真一文字に口を結び、猫のように円らな瞳で俺を見据える。 「言い訳、決まった?」 くっそぅ…もう、八方破れだ。 『その金は 「そのお金は、彼がナンバーズくじで当てたお金。ご両親には内緒にしたいとの事で、独り暮らしの私が預かる約束をした。」 ああ、長門。そう言えば、お前が居たんだよな。お前に任せていいんだよな?いつもいつも本当に… 「ふ~ん、さっすが有希ねえ。あれだけ本を読んでるだけあって、まあ満点の回答って言えるかしら」 多分、同じ回答を俺がした所でそれはその後のハルヒの怒涛の追及によって脆くも押し流されてしまうだろう。ハルヒが長門相手に その追求をしないのは、例えハルヒの矢継ぎ早の詰問であっても、長門は涼しい顔でその全てから言い逃れるであろう展開をハルヒが 見越しているからだ、と思う。 「ふん、まあ何にせよ、なんの後ろ暗さもなく自由にできるお金って訳ね、キョン、」 「そのお金、有希じゃなくってSOS団に預けなさい。投資って事よ。よかったわね~♪こんな話、2度とはないわよ?」 天に向かって吐いた唾は、自分の顔に落ちてくる。 涼宮ハルヒへの隠し事は、奴の手の中に、戻ってくる。
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きーんこーんかーんこーん 律「……結局、ろくに議論が進まないまま下校の時間か」 紬「でも、開け方や中身は、明日になって和ちゃんに聞いてみればいいし」 唯「うんうん。電話先の和ちゃんは、とても死んじゃうみたいには聞こえなかったし」 梓「ですね。きっと色々取り越し苦労だったんですよ」 澪「そうだといいんだけど……」 律「お前はまだ引きずってたのか」 澪「だ、だってぇ」 律「怖い夢見た小学生か! ……まったく、ほら、手繋いでやるから」 澪「えっ、い、いいよ。小学生じゃあるまいし」 律「……私が繋ぎたいから繋ぐんだよ。いいだろ?」 澪「……うん。分かった」 紬「微笑ましいわねぇ」 唯「おっ、じゃあじゃあ! 私は右手にムギちゃんを左手にあずにゃんを」 梓「箱。持って帰らないといけないんじゃないですか」 梓「唯先輩が持ってきたんですから、唯先輩自身の手で持って帰って下さいね」 唯「えええぇ。しょんなぁ。こういう時こそ準備室の物置に……」 梓「私物は持って帰るって決めたじゃないですか! ですが、まあ……」 梓「その代わり、途中まで二人で持って帰ってあげてもいいですけど……」 唯「あ、あずにゃん……」 紬「ほう!」 その次の日 さわ子「今朝は、みなさんにとっても大変辛い報告から伝えなければなりません。 昨日の夕方、クラスメイトの真鍋和さんがトラックに轢かれて、この世を去りました。 真鍋さんは、昨日は体調が悪いと休んでいましたが、その日のうちに回復して、 晩ご飯の買い出しにスーパーに向かっていたそうです。その帰り道でのできごとでした。 葬儀の日程などは、詳しく決まり次第伝えられるかと思います。 今、真鍋さんの親族は、あなたたちと同じくらいか、それ以上に悲しんでいると思うので、 高校生として良識ある行動をお願いしたいです。私から言えることは以上です。 授業は、とりあえずしばらく自習になります」 それから数日して 律「あれから……どのくらいに経った?」 澪「あれからって、なにからだ?」 律「そんなの決まってるだろ。分かってる癖に」 澪「あ、うん……。ごめん」 紬「今頃、和ちゃんは安らかに眠っているんだよね」 梓「天国で、安らかに……そうであって欲しいです」 唯「…………」 律「唯? ゆい? 大丈夫か?」 唯「あ、うん。ごめん。ちょっと思い出してた」 律「しっかりしろよ。まぁ、無理にとはいえないけど」 唯「ううん。違うよ、違うよりっちゃん。私大丈夫だよ」 澪「唯……そんな気張らなくても」 唯「澪ちゃんまで……私大丈夫だからね。今、今一つのことに集中して考えてるんだ」 梓「一つのこと、というと?」 唯「あの封筒」 紬「それって、和ちゃんが事故に遭う二日前に送ったっていう?」 唯「うん。あれは多分、時間から逆算しても、私に箱を渡した和ちゃんが送ったと思うんだ」 梓「それって……つまりどういうことなんですか?」 唯「ちょっと、頑張って説明してみるね」 唯「箱を渡して、私に封筒を送った和ちゃんは別人だった」 唯「つまり11月27日に和ちゃんになんらかの変化が起きた」 唯「いくら大学の説明会で忙してくても、夜まで空いてないなんてことはないはず」 唯「いっとき和ちゃんは別人になった。それで封筒を送って箱を持ってきた」 唯「その後、何故かその時の和ちゃんの記憶が消えて……いや、塗り替えられていたのかも」 唯「だから月曜日に電話をしても、箱についてはなにも覚えていなかった」 梓「……でも、あの、唯先輩?」 唯「うんっ?」 梓「それが、その……和さんが死んでしまったこととの関係は?」 唯「わかんない。でも全くの無関係とは思えないよ」 律「なぁ、唯さ。あれこれ考えるのは自由だけど、行き過ぎると陰謀論に」 唯「きっかけは陰謀でもいいよ。でも仮説から証明への積み重ねで、真実は見えてくるものだと思うから」 澪「唯? なんか、今日はいつも以上にいつもと違うような……」 紬「和ちゃんの死の原因を探りたいのね……」 梓「先輩……かっこゆい……」 唯「あ、それからね、もう一つ有力な仮説があるんだ」 律「もう一つの仮説?」 唯「うん。どちらかというと、こっちの方が確率は高いと思う。それはね……」 唯「あの晩。和ちゃんが二人いたっていう可能性」 封筒に入っていた手紙 『 全ての真相は箱が開いたときに分かるのよ 』 それからとっても時が流れる 唯「ねぇ、あずにゃん」 梓「なんですか。藪から棒に」 唯「あーずーにゃんっ」 梓「やめて下さいよ。もう年なんですから」 唯「あはは……その言い方は酷いって」 梓「酷いもくそもないですよ。サンプルは採取できましたか?」 唯「うん。問題ないよ」 梓「干渉率は原子レベルで抑えられていますか?」 唯「オールグリーン」 梓「……ほう。まっ、なんだかんだ仕事をこなして物を言うのが唯先輩ですからね」 唯「当たり前でしょ。この研究所の所長なんだから」 梓「そうでしたね。しかし、私が「やめて下さい」って言ったら、いつから本当に手を出さなくなったのでしょうね」 唯「……いつからねぇ。いつからだろう?」 梓「思い出せなくなるくらい年をとったってことですかね。それか、ある意味、唯さんが聞き分けが悪くなったのか」 唯「酷い言い方だなぁ」 梓「私はあんまり変わってないって言いたいんですよ」 梓「で、どちらから作動させます?」 唯「どちらでも」 梓「……あの、いよいよ大詰めだっていうのにやる気ないんですね」 唯「だって理論上での計算式は完成してるんだもん。失敗しようがないよ?」 梓「まぁ、それはそうなんですけど……。」 梓「箱の秘密がついに明らかになるんですよ。嬉しくないんですか? 和さんにまた会えるんですよ」 唯「だって……これじゃ裏技みたいだもん。ルールに則ってないっていうか」 梓「はいはい。これだから理系頭は……。でも他に方法が無かったじゃないですか」 梓「ドラえもんとキテレツの道具はあらかた作ってみましたけど、箱はどうやっても壊せなかったんですから」 箱「ポツーン」 唯「だからって和ちゃんを生き返らせたり、タイムトンネルを作るのは反則だよ」 梓「その反則に最も熱心に打ち込んでいたのはどこのどなたさんですか?」 唯「はい」 梓「はい、よろしい」 梓「ともかくこれで真実が明らかになるんです。半々世紀かけて科学力を三十倍にした私たちの努力の結晶です」 唯「それはそうなんだけど……」 梓「はぁ。せっかく生き返っても、この反応じゃ和さんがっかりするんじゃないかな……」 梓「んもう、二ついっぺんに作動させちゃいますからね。ぽちい!」 ぷしゅー 和「あ、おはよう」 梓「反応軽っ!」 唯「和ちゃん……」 和「唯、久しぶり。梓ちゃんも。ちゃんなんて似合わない年齢になっちゃったみたいだけど」 唯「……久しぶり」 梓「お久しぶりです。和さん」 梓「あの、唯さん? もっと喜んでもいいんですよ?」 唯「喜ぶって、そんな……」 和「どうしたの唯。素直に喜んでもいいのよ」 唯「今でも割と素直なつもりなんだけど……」 和「まったく……。約束を守れなかったことがそんなに残念?」 梓「約束というと、やっぱり」 唯「生き返らせる方法は五年前くらいから知ってた。でもあえてやらなかったんだ」 和「箱を壊して、それから私に会うんだって決めていたとか」 唯「……まぁ、だいたいそんな感じ」 梓「でもそれじゃ埒があかないだろうと思ったから、私が強く勧めて……」 和「でもね、経緯に些細な違いこそあれど、この展開こそが予定調和だったのよ」 梓「えっ!?」 唯「今、なんて……?」 和「今こそ真実を話してあげましょう。あの箱を開ける方法なんてこの世に一つもないのよ」 唯「…………」 梓「ちょっ、ちょっと待ってください。理解が追いつかな」 和「まぁまぁ聞きなさい。今までの概念をすっぽりと取り去ってね」 和「絶対に到達できないところ、それを象徴しているあの箱は、“向上心”を与える役割を持っているの」 和「届かないから手を伸ばしたくなる。昔の人はよくこんなことを言ったものね」 和「私が死んでる間に、ざっと二十世紀くらい科学力が進んでるみたいだけど……なるほど効果は絶大だったみたいね」 梓「え、あの、ちょっ、ストップ!」 和「……なにかしら?」 梓「まず、まずですね。色々聞きたいことはありますが、どうして和さんがそれを知ってるのですか?」 和「決まってるじゃない。神様仏様に聞いたのよ」 唯「神様……?」 和「そう。死んで天国に行った後で教えてもらったのよ」 梓「天国なんて、そんな非科学的な……」 和「あら。じゃああなたたちのスーパー科学力をもって私の言ってることが間違っているとでも証明できるの?」 梓「それは……どうなんでしょう」 唯「本当のことだよ」 梓「えっ、ちょっ、唯さん……!」 梓「あなた、ノーベル賞を15個も貰った欲張り者が言っちゃいますか?」 唯「和ちゃんは嘘ついてない。機械がそれを証明してるし」 梓「いつの間に嘘発見器を……!?」 唯「それに機械に頼らなくても、和ちゃんが嘘ついてるかついてないかくらいは分かってるつもり」 和「あら。昔に比べて随分と飲み込みが早くて助かるわ」 梓「えっ!? もしかして今の、科学の権威が地におちた瞬間!?」 唯「あずにゃん! シャラップ!」 梓「ぐうっ」 唯「……はぁ。なんていうかさ……」 唯「ねぇ、和ちゃん。どうしてこんなことになったのかな?」 和「どうして、ねぇ。私に聞かれても困るわ。だって全部神様が指図したことなんだもの」 唯「神様……仏様ね……」 唯「でもさ、それを言う言わないは和ちゃんの自由だったんじゃないかな」 和「……確かにそうね。別に私である必要は」 唯「私は、それを和ちゃんの口から聞かされたことが凄い悲しいな」 和「ゆ、唯……」 梓「唯さん……」 唯「箱は確かに変わらずに、今でもここにあるし、科学への向上心は少しも落ちてない」 唯「でも和ちゃんを想う気持ちは確実に落ちていってたんだよ」 唯「残念だと思うけど、これは本当のことだから……」 和「……そう。あなたの気持ちが冷めてることは分かったわ」 和「でも、それならどうして生き返らせてくれる気になったの?」 唯「それは……多分……」 唯「足枷、みたいなものかな」 和「ふぅん。足枷ね」 唯「一度決めた目標ってなかなか崩せないものなんだ。私みたいな、一つのことにしか集中できない人は特に」 和「なるほどね。惰性に似てるわね」 唯「でもね……でも」 唯「その足枷とか惰性みたいなものが、ぷっつり消滅しちゃったわけじゃあないんだ」 梓「え……そうなんですか?」 唯「和ちゃんは天国に行って、人間が変わっちゃった」 唯「私も変わったかもしれないけど、和ちゃんのほうがそれ以上に変わっちゃったんだ」 唯「天国なんて非現実なところにいたから……すっかり神様みたいに達観しちゃって……」 唯「昔の私と昔の和ちゃんは、今はもう測れないけど、きっと同じくらい心が通ってた!」 唯「でも今は、私も冷めちゃったけど、和ちゃんのほうがそれ以上に冷めてる!」 和「唯……。あなたまさか」 唯「つまりこれは! 数十年越しの私の失恋なんだああああああ!」 唯「うわあああああああああああああ!!!!」 梓「ゆ、唯さん、落ち着いて」 唯「梓! タイムトンネルの開閉準備できてるね!」 梓「え、あ、はいっ!」 唯「この、馬鹿みたいにかたい箱と一緒に!」ムンズッ 梓「唯さん、その箱を一体どうする……」 唯「神様に与えられた役目を! さっさと果たしてきなさい! 和ちゃん!」ブンッ 梓「なっ! 唯さんの投げた箱の軌道が、まっすぐ和さんの顔に!」 和「えっ! ちょっ! なにこれ聞いてな……」 和「へぶじッ!」 唯「今だ、梓! タイムトンネルオープン!」 梓「は、はいっ!」 ぶお~ん しゅるるるるるるる…… 唯「今になって、過去の私に会って! 気持ちが変わったなんて言っても遅いんだからね! あっかんべーっだ!」 ひゅー…… 和「あいたァ!」ドサッ 和「ううう。やっと生き返ったと思ったら、今度は死ぬほど痛い思いをするなんて」 和「全く唯ったら……こんなものを思い切り投げつけてよこすなんて……」 和「顎が割れそうに痛いわ……って、腫れてる? しょうがないわね、マフラーで隠せばと」 和「ああ、痛い……涙が出るほどだわ」ウルウル 和「ええと、まずは封筒を買って、それから適当な便箋も」 和「そしたらまずこの箱を届けなきゃいけないのよね。全く、疲れるわ……」 一方そのころ 梓「あの……唯さん?」 唯「なーにー」 梓「タイムトンネルの経過を観察しなくていいんですか?」 唯「いいよ、別に。そーいうのは全部機械にやらせておけばいいの」 梓「……だからって、私にこんなにくっつかなくても」 唯「いーじゃんいーじゃん。もうすぐ過去から戻ってくる和ちゃんを、とびきり嫉妬させてやるんだから」 梓「あはは。うまいこといけばいいですね~」 唯「ほんとにね」 梓「…………」 梓「あの、もしかして、もしかしてなんですが」 唯「ううん?」 梓「和さんに失恋したので、私に乗り換えようとか考えてます?」 唯「そうだけど、何か不都合とかある?」 梓「いえ、別に……」 唯「だって梓は私のことがずっと好きだったんでしょ?」 梓「え? あ、まぁ……。好きじゃなかったら、普通ここまで連れ添ったりしないと思いますけど」 梓「……はぁ。もっとロマンチックに告白し合えればと思ってたんだけどな」 唯「まっ、結果的についに一緒になれるんだから、オーライオーライ」 梓「ですね。随分時間かかっちゃいましたけど、これで良しとしますか」 唯「でもさ、年増のビアンカップルって結構きつくない?」 梓「それは言わないでいいです!」 おわり 戻る
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. 【作品名】 とらドラ! 【名前】 逢坂大河 【属性】 女子高生 【大きさ】145cm 【攻撃力】木刀で殴る。机を教室の端から端までブン投げる力。 【防御力】全力で教室の扉にぶつかり昏倒。 【素早さ】一般男子高校生より速いくらいか。 【特殊能力】触ると幸せになれるらしい。 【長所】「手乗りタイガー」の異名を持つ。 【短所】 ドジ。 好きな人のカバンにラブレターを入れようとして他人のカバンに入れてしまう。 しかも封筒の中身を入れ忘れ。砂糖と塩を間違える。階段から転んで落ちる。 何も無いところで転ぶ。告白場所が男子便所の裏。鳥かごの隙間から指突っ込んで抜けなくなる。 アイスクリームこぼす。ロッカー内にいちご牛乳をぶちまける。ドブにはまる。などなど。 【戦法】 木刀構えて突進。たぶんコケる。 【備考】ごまかし、隠し、素直になれないヒロイン役。 14スレ目 63 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/29(月) 03 24 28 ID Ygnpod8p 前スレ逢坂大河、高須竜児考察。 姉原聡史郎>高須竜児>逢坂大河>主人公(卓ビー) ぐらいか。 133 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/30(火) 12 00 45 ID J9/s3d1F 124へ、まとめご苦労さん 管理人さんの方はやっぱ忙しいんかな? 確かボロンゴが入って、バーサークは飛行砲撃組に負けてるから グリコ>ヴィヴィ=ボロンゴ・ファット>バーサークカデット 63 とらドラ!の逢坂大河はドジとはいえ、木刀持ちで力も強いみたいだし 転んで先手とられても高校生の一撃じゃ戦闘不能にはならないだろうから 逢坂大河>姉原聡史郎>高須竜児>主人公(卓ビー) こんな感じかもしれんがどうだろ? .
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4 「14枚も……。手紙が付いたのは早くても一昨日くらいで、ここまで送るには丸一日は掛かるから、こんな量1日で書いたのかしら、アナトアは。」 一枚目の“親愛なるレンへ”という文字を目で追いながら、レンは呆れつつ微笑んだ。 「ふむ……。余程重要な事が伯爵の身の上に起きたのかねえ?ま、無駄口叩かず読め、レンよ。」 グレーズの言葉に促され、レンは黙々と手紙を読み始めた。彼女の顔は、手紙を一枚読み終わるごとに、どんどん驚愕の表情に変わっていった。 14枚を尋常ならぬ速度で読んだレンは、たった今自分に驚きを与えた許婚からの手紙をグレーズに差し出した。彼女の表情には驚愕と、恐怖の色が見て取れた。レンが読んでいる間うとうとしていたグレーズは、レンの並々ならぬ様子に、手紙の内容が自分たちにとって驚くべき物であることを知った。 受け取った手紙を読み終わったグレーズは、一度乾いた笑みを漏らした。 「……この手紙に書いてあることが事実だとすると、我が祖国はまた、新たな国に占領されかかっていて、その国がトルエンを所持している可能性が大、と?」 レンは大きく頷いた。 「アナトアは、身分を隠して、現支配者であるトリッサ王の側近として権力をつけ始めている。国勢には詳しいでしょう?その彼が言うんだから間違いないと思う。」 「ふむ、トルエンは我が祖国【フロイア】に在ってこそ、その本来の神秘的な力を発すると伝えられているからな。」 「そしてその力は神のお力をも凌駕すると言われているし。」 グレーズはにっと意味深に笑った。 「これは益々探し出すのは大変になりそうだな。」 レンは手紙の入っていた封筒を強く握り締めた。 小説置き場 戻る 次へ
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陳情書報告まとめ 657 名前:自民党員 ◆ab1A8C50so :2008/12/06(土) 00 56 36 ID whD4wtxk 637さん、陳情書を送ってくださった皆さん 答えになってるか不安なのですが、 陳情書につきましては、責任を持ってお預かりし、西田先生のもとまでお届けしました。 この事は、私とブルさん、そして東京で開封と個人情報の切り抜き及び粉砕まで行っていただいた現地スタッフの方 東京で署名を頂いた署名者の方、60名強の手渡しに参加した方々、 それぞれが時間の無い中「なにができる?」と暗中模索した結果です。 地方分の集配を受けた時、その封書の数には私自身、身震いいたしました。 その封書1封1封が、「なにができる?」の結晶だったからです。 普通の「日常」を生きる私としては、受取りに関り、3人の子供を育てている親として、 先祖から受け継ぎつつある伝統文化と「なにができる?」の想いを成果として現したいと考える次第です。 「なにができる?」と想い感じた方々が「あきらめる」事はこの国の未来にとって非常に不幸な事だろうと思います。 ですから、思いつかれる手立てがあるなら、どんどん意見を書き込んでもらえないでしょうか? それが、今回集まった封書の数の力であろうと思うのです。 「自己責任」でわざわざ発信元をお書きくださった方。 リミットに間に合うようにと金額的に高い「宅配便」で送付いただいた方。 色々な種類の封筒が届きました。 その事は、 637さんの言われる「今後の未来のことを憂い、 人生をかけて」 送っていただいた一つ一つの想いなのだと感じています。 だから、このケンカは「遊びではない。」また「祭りに終わらせない」事を 私なりに明記します。
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果たして、剃り残された陰毛に常に悩まされるのと 無毛となったその頼りなさに悩むのとでは、どちらがマシだったのだろうか。 ただ、歩く度に刺激してきたそれは今は無く 秘めやかな皮膚に直接触れる下着の感触に、僕は小さく吐息を漏らした。 朝早く登校し、教卓を確認するべきかとも思っていたが もしあれを探している自分を誰かに見られたら、どう言い訳するべきか考えが纏まらず 結局いつも通りの時間帯に登校となった。 例えがたい緊張の末に辿り着いた教室は、いつもと何も変わらず 教卓の上には何も無かった。安堵感と共に脱力感が僕を襲う。 昨日の全てが夢だったら良いのに。 頼りなさを訴える自分の恥部が避けられない現実を示しているのに 僕はそんなどうしようも無い事まで考えてしまった。 HRが始まり、時が過ぎていく。メールはまだ来ない。 今日も欠席者は居ない。ならば何故メールは来ない? メールを待っている訳では無い。ただ音沙汰無いのが逆に気味が悪い。 斜め前に座る女生徒が友人と会話をしていた。 その手には小さなリップクリームがある。 唇が荒れ易いから新しく買ったと笑う彼女のそこは、艶やかに濡れて見えた。 一時間目の授業が始まった。 携帯は震えず、授業は何事も無く進んでいく。 足を組むと昨日までと違う、何も触れないそこの異質さを痛感してしまう。 中途半端よりはマシだろうと思ってした事が、一層自分を卑しめたように思えた。 人知れず顔が火照っている。意識が下半身に向かい、熱が集まり始める。 だめだ、気を逸らさなければ。 何故僕はこんな事を考えながら授業を受けなければならないのか。 相手は僕を見ているはずだった。落ち着かなくて教室内に視線を巡らす。 廊下側のその壁を視野に入れた時、僕は息苦しさを覚えた。 大丈夫だと自分に言い聞かせる。昨日下校の際は誰にも会わなかった。 教卓に残された封筒の話なんて誰もしていない。誰も気付いていない。 それなら、あの封筒はあれからどうなった。片付けたのは誰だ。 不安で堪らない僕の携帯が、やがて揺れた。 びくりと身を震わせて鼓動を早め、机の影に隠れながらも急いで確認した僕の行動は まるでメールを待ち望んでいるかのようだった。 そして昨夜の僕の予想通り、相手は剃った証拠を求めてきた。 封筒の行方に関しては全く触れられていなかった。 あれがどうなったのか、こちらから問いたい気持ちはあったが これまでのやり取りを考えても、まともな返信があるとも思えなかった。 短い休み時間の中で、僕は個室でベルトを外し下着を下ろす。 要求された通りに、自分の恥部を携帯のカメラに写した。 そこは茂みを失って性器を隠す物も無く 緩やかに熱を持ち立ち上がった姿を根元まで晒している。 それを視認し送信ボタンを押した時 僕は一切触れる事の無かった性器の先端に うっすらと雫を滲ませてすらいたのだ。 だが、戻ってきたメールはそれを揶揄する事も無く 無機質に昨日何度射精したかを尋ねるものだった。 こうも簡単に勃起している性器を晒したから、問われたのだろうと思いながらも 剃毛した事に興奮した自分を知られているかのようで落ち着かなかった。 一回だけだと返信し、また校内で射精を強要されても困るから。 そんな理由で、僕は羞恥に苛まれながらも正確な回数を送信した。 逸る鼓動を必死に抑え、それだけが理由だと自分で自分に言い聞かせて。 昼休み。 食事を終えて教室に戻った僕は、椅子の上に小さなリップクリームを見つけた。 これは、もしかして今朝の女生徒の物では無いだろうか。 返してあげようと教室内を見渡すが、まだ戻ってきていないようだった。 あとで渡そう、そう思い制服のポケットに入れる。 そんな時、クラスメイトの男子生徒が不思議そうな声を上げたのが耳に入った。 「お、なんだこれ?手紙か?」 彼が手にしていたのは薄っぺらい封筒が一通。 今時机にラブレターか?古泉じゃあるまいし。 そう周囲にからかわれながら、どうせ何かの間違いか悪戯だと彼は笑ってそれを開いた。 細かい何かが封筒から散らばり落ちる。驚く彼を中心に教室にざわめきが広がる。 目の前で床に落ちたそれは、何かの毛のようで。 僕にはそれが何か直ぐに解る。昨日自分で剃った僕の陰毛だった。 僕は居た堪れなさに教室から逃げ出した。 ここ数日でやたらと来る回数の増えた人気の無いトイレに入り鍵を掛けた。 今の僕の顔を誰にも見られたく無い。 蓋をした便座に力無く腰掛け、自分の頭を抱える。触れた頬は熱を持っていた。 なるべくゆっくりと呼吸を繰り返す。 あれが何の毛かは解らないのかも知れない。 仮に察せたとしても誰の物なのかなんて考える物好きも居ないだろう。 クラスに怪しげな話題を提供したあの封筒は 気味悪がられながらも直ぐに綺麗好きな誰かが片付けるはずだ。 だから大丈夫だ。 携帯が揺れる。ほら、逃げるからこうやって追いかけてくる。 暫くして呼吸を落ち着けてから僕はメールを開いた。 陰毛については触れていない。教室から逃げた事にも。 あるのは、何時から見ていたのか、拾ったリップクリームを 乳首に塗り込み、その写真を撮れと言う指示。 性器だけでなく、今度は乳首を弄れという事か。 断れもせずに実行するしかない自分が滑稽で情けなくて、涙に視界が滲んだ。 上着の前を開きネクタイを緩める。胸元を外気に触れさせる。 これから刺激を受ける乳首は、まだ自己主張する事もなく薄い色のままだ。 僕の手には真新しい小さなリップクリーム。 だが、それが新品で無いのは蓋を開けてみれば解った。 やはり彼女の物なのだろうか。 いや、もう誰の物でも良い。これを塗れと言われれば塗るだけだ。 どうせ油分だ。ぬめる程度だろう。 半ば自棄になったように僕は自分の両乳首を摘んだ。 こんな所を自分で弄った事はあまり無い。 それでも適当に刺激を与えれば乳首は充血し硬くなった。より摘み易くなる。 こんな場所で男の癖に乳首を弄る羞恥が僕を苛むが、性器と違い 単純な快楽と言い切れぬそれは、自分を見失わないようで何処か僕を安心させた。 だから早く済ませて、授業が始まる前に教室へ戻ろう。 リップクリームを塗りつけた途端、違う感覚に襲われた。 そのリップクリームにはメンソールが含まれていた。 スッとする感覚が乳首に集中する。しまったと思い 指先で強く拭おうとしたが逆効果だった。背筋を何かが駆け上がる。 これ以上触れるのはやめておいた方が良い。 僕は早々に諦め、写真を撮って送信した。 何時になく赤く色付いた乳首が、まるで自分の胸では無いようで卑猥だった。 教室に戻るべく衣服を直すと、ワイシャツの中で勃起した乳首が擦れるのが解る。 僅かなクリームを塗りつけただけだというのに そこは想像以上に敏感になったようだった。 ワイシャツを小さく押し上げる乳首が気になって上から抑えてみると 布越しに緩く与えられた刺激に思わず腰が揺れた。 釣られるように下腹部にも意識がいってしまう。 写真を見たのだろう、丁度返信が届いた。 乳首を弄り、性器が勃起したかを問うメール。 醜態から目を背ける事を許さないその問いに、僕はズボン越しに指を這わせる。 嘆かわしい事に答えは yes だった。 必死に意識を逸らし芽生え始めていた熱を散らしてから 僕はチャイムギリギリに教室へと戻った。 あの封筒は処分されたようだった。僅かに安堵する。 手にしたままのリップクリームをどうするべきかと迷っていると 女生徒が僕に気付いて声を掛けてきた。 案の定それは彼女の物だった。買ったばかりなのに無くしたのかと思っていたと 彼女は礼を言い、笑みを浮かべて僕の手からそれを受け取る。 そうして僕の乳首に使ったリップクリームを、僕の目の前で彼女は自らの唇に触れさせた。 その光景に顔だけでなく僕の体は急激に熱を持ち、震えた。 教室で赤面する僕を見ていたのか。 次に届いたメールには、自分で同様のリップクリームを買い 朝昼晩と自分の乳首と性器に塗れという旨が書かれてあった。 乳首でさえこんなに刺激的だったのに 更に薄く敏感な皮膚に塗ったらどうなってしまうのだろう。 不安とそして微かな期待に、僕は性器の先端に僅かに湿り気を感じてしまう。 団活の後、帰宅の際に、僕は指示通りそれを手にした。 ただのリップクリーム。男子高校生が買っても違和感などあるはずも無い。 でも僕はこれを唇に塗りはしないのだ。 店員から釣り銭を受け取りながら僕の鼓動は早まった。 メールはこれまで学外での指示はしてこなかった。 それが今回は違った。日中に限らず、朝や夜もつけろと。 僕の私生活に誰かが少しずつ入り込んで来る。 明日は土曜で学校は休みだ。相手が僕を見る事も無い。 塗った証拠写真は要るのだろうか。 いや、指示にない以上そこまでする必要は無いはずだ。 自分から恥を晒してどうするのか。 いっそ月曜の朝まで何もしなくても良いのでは無いか。 だけど、一度くらいは試しておかないと月曜が不安だ。 教室で乱れる訳にもいかない。 だからこれは、僕がやりたいからじゃない。 そんな言い訳をして、僕はベッドに腰掛けて服を乱し 露になった胸元にリップクリームを近付けていく。 まだ平たい乳首にそれを押し付け塗り込むように動かす。 触れた外気にスッとした感覚が乳首を尖らせた。 尖った乳首を自分の指先で触れて確かめる。 触れる刺激と、普通では無い行為をしている自覚が緩い快感となった。 もう片方の乳首にも同様にリップを施して。 下腹部へと視線を落とせば、そこは既に熱を持って下着を押し上げていた。 取り出し見てみれば、うっすらと性器の先を濡らしてすらいて。 その湿った先端に、僕はリップを触れさせた。 離せば透明な糸を僅かに引いて消える。 敏感な尿道口は刺激と熱さを感じ、痛痒に性器が震えた。 僕は再びリップを塗り込み、自ら与えた疼きを癒そうと 亀頭の先を指の腹で擦り上げ、溢れる体液を塗り広げていった。 片手で硬くしこった乳首を弄りながら、やがて僕は果てた。 そして土曜。いつものように僕は SOS団の面々と過ごす為に駅前の喫茶店へと向かう。 だけど、腰まで上着で隠れる服装を選んで。 昨夜の行為では弱い皮膚への刺激は強く、暫く後を引いた。 来週から動揺を表に出さずあれを付けて過ごすには それまでに出来るだけ慣れておく必要がある。 そう考えた末、僕は体の三箇所にリップを塗りこんで出掛けた。 衣服の中で擦られる胸先と性器を意識しながら 僕は彼らと行動を共にする。 表情には出していないはず。誰も気付いていない。 涼宮さんは彼を相手に明るく楽しそうに笑っている。 朝比奈さんもそちらを見て微笑んでいる。だから大丈夫。 そんな中で長門さんが僕を見た。 何も言わず、無表情のまま他所へ移ったその視線に いやらしい自分を見透かされ、軽蔑されたように思えて。 人知れず興奮した。 週が明け月曜日。朝のHR中に届いたメールは 僕の週末の行動を確認するものだった。 だが、リップを要所に塗っていたかどうかは尋ねられる事も無く 例によって何度自慰を行い、何度果てたか。それだけだった。 休みを挟んだからとは言え、いつになく回数の多いそれに 日に日に淫らになっていく自分を突き付けられるようだった。 熱っぽい体を周囲に悟られぬよう気を付けながら 時は静かに過ぎていく。 4時間目も終える頃、小さく携帯が震えた。 昼食も摂らず、僕はリップをポケットに入れ昇降口へ向かう。 下駄箱に紙袋が入っていた。それを持ちメールの指示通りに 離れのトイレの指定された個室へ入る。あまり来ない場所だった。 紙袋の中には、薄く安っぽい女性の下着があった。 ご丁寧にブラジャーまで入っている。 それから、一体何に使えというのか、輪ゴムと絆創膏。 意図が解らぬ輪ゴム類はさておき、届いたメールは リップを恥部に塗り直してから、これらの下着を身に付け 写真を送れと言う指示だった。ただ塗る箇所が一つ増えていて。 その事に関しても、また女性の下着を身に付ける事に関しても 抵抗感はかなり強かったが、早く済ませないと 昼食を摂る時間が無くなりそうな気がした。 制服を脱いで扉のフックに掛けてから、僕はリップを体に滑らせる。 朝から熱を持っている乳首と性器の先端と。 それから緩く足を開いて、陰嚢の更に奥へと手を伸ばした。 今までこういった目的で触れた事の無い箇所に塗り付けると そこが外気にひくつくのが解り、とても不思議な感じがした。 次に下着を身に付けていく。 まずは上から。頼りない生地ながらも、思いの外それは伸縮性があり 男の僕の体でも何とかなってしまった。 勃った乳首に触れるブラジャーが背徳感を上乗せさせた。 背徳感と緊張と羞恥心が興奮を煽る。 勃起した性器が濡れているのがその証拠だった。 はやく撮ってしまおう。そう思い携帯を手にした。 こんな状態で冷静に二枚撮るなんて出来そうになくて 僕は便座に手を付いて前傾姿勢で体だけ写した。 ブラジャーに包まれた平たい胸と腹部 小さな布地にギリギリ包まれ、形を浮かび上がらせた性器が その一枚に収められる。 それを送信した。 撮ったからにはもう脱いで良いのだろう。 そう思いながらも体を持て余した僕は。布越しに恥部へと触れる。 形を辿るように上下に指先を滑らすと 見る見る薄い布は先走りに濡れ色を濃くしていった。 同様に乳首もなぞる。布越しのもどかしい刺激に熱い息が漏れた。 もう脱いで扱いてしまおうと思った時、メールが届いた。 言われた事は既にしたはずだ。これ以上何をしろと言うのか。 おそるおそるメールを開くと、相手は僕の現状を見越しているのか 女性の下着を身に付けた状態で自慰をし、写真に撮れと言ってきた。 どちらにしても今途中で止めるのは無理だと思った。 布に包まれたままの性器を上から何度も擦る。 体に張り付く伸縮性の強い小さな布は、手の動きに合わせて 先程リップを塗った肛門までも擦り、奇妙な感覚を生んだ。 つい行為に没頭してしまいそうになったが このまま果てる訳にはいかない。 震える体を片手で支えながら下腹部を再びカメラに収めた。 先程よりも発情しているそこは、色を濃くした下着から しとどに濡れた先端だけ覗かせていて。 更には引き上げられた狭い布地から陰嚢すらも食み出している。 その淫らがましさに僕は一人乱れた。 下着によりぴったりと上を向きながら吐き出された白濁は 僕の腹や胸元まで汚した。 体を拭き取ろうと壁に目をやり、備え付けの紙を取ろうとするが そこには何も無かった。だからここを選んだのだろうか。 仕方無しに僕はその薄い下着で体を拭う。 だけど、それは既にぐしょぐしょで あまり拭き取る意味を成さないようだった。 更にメールが届く。今使った女性下着だけでなく 自分の下着までも紙袋に入れて中庭のゴミ箱に捨ててこいと。 先週の羞恥を思い出す。今日体育は無い。 だけど、今の僕は下着を身に付けずに平常を過ごせる自信が無かった。 制服まで汚す訳には行かない。 性へ目覚めてしまった体はとても敏感で 自制心で何とか出来るものでも無いのだ。 悩んだ挙句、それは勘弁して欲しいと返信すると、即理由を問われた。 今までの一方的なメールが信じられない位のスムーズなやりとりに驚く。 しかしその理由は、自分があまりに淫乱だと伝えているようで。 それでも必死に言葉を選んで送信すると 袋に入れた物を使えと返ってきた。眩暈がしそうだった。 結局、拭き切れなかった分は自分の下着を用いた。 自分の体液に塗れたそれらを、僕は出来るだけ平静を装って 人の多い中庭のゴミ箱へと置いてくる。 誰にも会わないうちに早く立ち去りたい。 そう思いながらも、性器の根元を輪ゴムで戒められ 先端を隠すように貼られた絆創膏の引き攣るような違和感に 僕は殊更ゆっくりと歩くしか無かった。 放課後、それでも僕は部室に寄った。 途中で帰るにしても、SOS団の誰かに一声掛けてからでなくては 涼宮さんが心配してしまうだろうから。 扉を開くと、そこには朝比奈さん以外の面々が揃っていた。 着いて早々に、バイトがあるから今日は帰りますと涼宮さんに伝えた。 彼はまた機関絡みなのかと言外に心配したような目で僕を見て。 そんな彼を裏切る行為に僕の鼓動は早まる。 何もかもを知っているだろう長門さんは、本から目を上げる事は無く。 その態度に、ほんの少しの物足りなさと共に安堵を覚える。 それではと、ぺこりと挨拶をして身を起こすと 意図せぬ事態が起きた。 ポケットに忍ばせていたリップクリームが落ちたのだ。 全員の視線がそれに集まる。僕の体に緊張が走った。 「あら、古泉くんの?」 転がったリップを涼宮さんが拾い上げる。 即座に頬が熱を持っていくのを感じた。 「ええ。唇が荒れ易いものでして」 先日の女生徒の台詞を思い出し、即座に嘘をついた。 「ちゃんとお手入れしてるのね。流石古泉くんだわ」 僕を褒める涼宮さんの影で、彼が男の癖にとでも 言いたげな顔をしたのが見えた。 手入れどころでは無く、異常な使い方をしているリップを 早く返して欲しくて、僕は涼宮さんへと近寄る。 「あ、古泉くん。これちょっと借りて良い?今日忘れちゃってね。 みくるちゃんなら持ってるだろうけど、今居ないし」 「え」 驚きに動きを止めた僕の返事を待つ事も無く 涼宮さんはリップの蓋を開け唇へと滑らせた。 僕の汚らわしい場所へ何度も塗ったそれを。 「い、いけません!」 上擦った声で止めるがもう遅い。 思わず叫んだ僕を彼が意外そうな目で見ている。勿論涼宮さんもだ。 「大丈夫よこれくらい。団長と副団長の仲でしょ? ふふ、真っ赤になっちゃって。意外と古泉くんも可愛いのね!」 そう涼宮さんは笑って僕の手にリップを返してくれた。 僕は言うべき言葉が見当たらない。 涼宮さんからすれば、僕はあまり男として見られていないのかも 知れないが、これは間接キスとかいうレベルでは無いのだから。 しかしそれ以上拘って不審に思われても困るから。 その場を何とか誤魔化して、僕は部室を後にした。 扉を背に、大きく息を吐く。 顔だけでなく体も熱を持っていた。 根元を結わえ先端を封じていなければ、僕はまた服を汚していたかも知れない。 それくらい、あのリップに涼宮さんの唇が触れたのは刺激的だった。 帰宅し扉に施錠をして直ぐに、僕はベルトを外して戒めを解いた。 せめて部屋に戻ってからだとか、ここは玄関先だとか気にする余裕も無かった。 輪ゴムで縛られていた性器は鬱血して、触れるだけで強い痺れをもたらす。 陰毛を剃っていなかったら、絡んで外すのが大変だっただろうと思えた。 剥がした絆創膏は既にぐっしょりと濡れている。 膝立ちになり、水音を立てながら僕は性器を扱いた。 いつまでも涼宮さんの唇が脳裏から離れなくて。 リップを取り出し蓋を外して、差し出した舌にそっと触れさせた。 それは無味無臭で。このリップを今まで自分の体の何処に 使ってきたのかを思えば、異常な事だと本気で思う。 それでも僕は今の興奮を止められない。 自分の唾液に塗れたリップをまた体に滑らせる。 涼宮さんの唇が僕の体に触れているような錯覚さえ覚える程で。 まるで覚えたての猿のように僕は自慰に耽った。
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8/5先生と話したこと 行く前に ①那須塩原の現状 ②活性化とはどういう状況をいうのか。(人がたくさん来ている状態?それとも周囲の店なども巻き込んで経済発展すること?) ③現地調査でどのように行動していくべきなのか何をみるのか(五感は大事!) 「観光」がポイント!観光とは宿泊地・お土産屋だけではない。農業体験や、工場見学なども含めることができるのでは。 ツアー会社に聞いてみるのもありかも。(多分、那須塩原に行く観光客は固定化・高齢化してきているんだと思う。だから、わたしたちのような世代をターゲットにして広げていきたいと考えているから、アイディアを聞くためにこの大会ができたのだとと思う。) →自分たちの世代ならどのようなところに行きたい? 観光地をブランディングしていく。 ゼミ夏合宿の時に先輩もいるし、中間発表のような形で見てもらって意見してもらうのもいいかも。 参考 インナー大会。検索すれば出てくる。発表のビデオやパワポなどもある。優勝チームも見れる。 見たら、予選通過したチームと予選通過しなかったチーム、どこに差があるのかわかる。 予選通過したチームは全部原稿見ずに話して、観客の反応を見ながらプレゼン。 先生から借りたもの。 ①ブランドらしさのつくり方 ダイヤモンド社 ②黒磯観光協会が藤崎ゼミに送ってきた封筒一式 ③学生による企業創造プラン イベント 立ちねぶたのようにイベントを作って呼び込む←短期的なものにはならないのか。 空いてる日 8/9(10:00~合宿の話し合いでゼミ室) 8/11(19:00~) 8/12(10:00~合宿の話し合いでゼミ室) 8/14~16現地調査
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ネイルケア予約チケット(ねいるけあよやくちけっと) The distortion moonにて販売中。 使用するとTdmのネイルケアサービスが受けられる。 これをプレゼントした場合、贈られた女性は少し機嫌が良くなる。 L:ネイルケア予約チケット = { t:名称 = ネイルケア予約チケット(アイテム) t:要点 = 招待状のような,淡い色の細かい模様,白い封筒 t:周辺環境 = はにかんだ微笑 t:評価 = なし t:特殊 = { *ネイルケア予約チケットのアイテムカテゴリ = ,,,携帯型アイテム。 *ネイルケア予約チケットの位置づけ = ,,,{消費型アイテム,フラグアイテム,ショップアイテム}。 *ネイルケア予約チケットの取り扱い = ,,,The distortion moon。 *ネイルケア予約チケットの販売価格 = ,,,3マイル。 *ネイルケア予約チケットの特殊能力 = ,,,使用するとTdmのネイルケアサービスが受けられる。 *ネイルケア予約チケットの影響 = ,,,これをプレゼントした場合、贈られた女性は少し機嫌が良くなる。 *ネイルケア予約チケットの使用回数 = ,,,使用回数(1回)。 } t:→次のアイドレス = ブライダルネイル(アイテム),リラックスタイム(イベント) } 保有国一覧 藩国名 入手履歴 保有者 使用履歴 現在所持数 天領 09/10/04:入手 猫野和錆 10/08/19:使用(猫野月子へ譲渡) 0 るしにゃん王国 09/10/04:入手 クレール 1 世界忍者国 09/10/04:入手 久堂尋軌 09/10/06:使用 0 参考資料 The distortion moon アイドレスWiki:ネイルケア予約チケット 上へ 戻る 編集履歴:矢上麗華@天領 (2010/10/12) イラスト製作:松井@FEG (2009/2/1)
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岸辺露伴は動かない-雛見沢- その⑳ 前へ 戻る 裏お茶会へ 117 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/03/29(土) 23 00 51.39 ID RGGpyKaB0 2008年(平成20年) 6月22日(日) 北海道札幌市北区北海道大学病院---- 1人の男が、病室の部屋番号をキョロキョロと探しながら歩いていた。 その男は、ひとつの病室を見つける。 入口の横にあったホワイトボードに彼が見舞う人物の名前があることを確認する。 その名前は、"大石蔵人"。男は間違いがないことを確認すると、病室のドアを開けた。 赤坂「失礼します。」 大石「おんやぁ、その声は・・・。」 赤坂「お久しぶりです、お体は大丈夫ですか?」 大石「なっはっは、心配には及びません。 大学病院だと、若い学生さんがいっぱいいましてねぇ。 それが楽しみで退院を伸ばしちゃってるんですよぉ。」 大石の性格からすると、半分本気で言っているとも思えるような発言。 だが、以前会ったときと比べて目に見えてやつれた様子を見ると、 赤坂にはそれはただの強がりにしか聞こえなかった。 118 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/03/29(土) 23 01 39.96 ID RGGpyKaB0 赤坂「はやく退院してください。 私に社交ダンスを教えてくださるのではなかったですか?」 大石「んっふっふっふ。どうしましょうかぁ。 若い女の子にダンスを教えるほうが楽しいですからねぇ。」 赤坂「それだけ言えるなら、本当にお元気なようですね。」 大石「なっはっはっは。若い子達と遊ぶようになってから、最近は調子がいいんですよ。 生き甲斐がないと、だめですねぇ、人間ってやつはぁ。」 赤坂「生き甲斐・・・ですか。」 大石「えぇ・・・。」 赤坂「まさか、あんなに早く真相を暴くとは・・・。」 大石「本題に入りましょうか。岸辺さんの件なんでしょう?」 赤坂「えぇ。裏が・・・、取れました。」 大石「・・・そうですか。では、あの漫画に描いてあることが事実なんですね?」 赤坂「私の捜査では、確認できない部分もありましたが・・・。 概ねは、あの漫画が事実です・・・。決め手は・・・。 知人の紹介でなんとか巡りあえた、山狗の1人です。」 大石「そりゃぁ・・・確定ですねぇ。」 赤坂「えぇ、公にはしないという約束でなんとか話して頂きました。」 大石「そうですか・・・。」 120 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/03/29(土) 23 02 52.67 ID RGGpyKaB0 赤坂と大石には、数ヶ月前に露伴から1冊の漫画本が届いた。 いや、漫画本というより、同人誌という表現のほうが近いかもしれない。 赤坂と大石の為だけに用意され、公の場には発表されていない露伴手作りの本だったからだ。 そしてその漫画の内容は、雛見沢大災害の真実を描いたものだった。 彼らははじめ、それを信じられなかった。 だが偶然、赤坂は過去に、当時の自衛隊関連の資金の流れを調査したことを思い出す。 その調査結果を露伴の漫画と照らし合わせると、漫画の内容を笑って誤魔化すこともできなくなった。 そして今日まで、赤坂は独自に調査を進め、その報告を大石に伝えに来たところだったのだ。 赤坂「漫画の裏については、これくらいなんですが、もうひとつ。 裏をとっているうちに知ったことがあります。」 大石「ほぅ、なんですかな?」 赤坂「竜宮礼奈が、病院を退院したそうです。」 大石「そ、それはまた・・・彼女、治ったんですか?」 赤坂「えぇ、看護婦に詳しい話を聞いたところ、 岸辺露伴を名乗る男が面会に来た直後、心身喪失状態から回復したそうです。」 大石「それも超能力の仕業ですかねぇ。」 赤坂「さぁ・・・。」 大石と赤坂は、もう言葉を口にできなかった。 岸辺露伴。彼は、大石達の望みどおりに真相を暴いた。 だが、真相は、大石や赤坂にとって、受け止めるには重過ぎるものだった。 122 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/03/29(土) 23 04 31.97 ID RGGpyKaB0 ××県鹿骨市雛見沢---- 1台の外車が荒れた野原に入ってくる。 いや、ここは本当は野原ではない。グラウンドなのだ。 小学校のグラウンド。もう25年も誰にも使われていないが。 ここはグラウンドなのだ。 車はそのまま、グラウンドの端にある、崩れかけた建物に近づいていく。 建物の横に車が停車したとき、どこから現れたのか1人の女性が、車に近づいてきた。 ??「遅かったですね。」 露伴「すまないね。ちょっと高速が混んでたんだ。」 車からは露伴が降りたった。 そして、この露伴に話しかけた女性は、 そう、竜宮礼奈だった。 露伴「だいぶ前から着いてたのかい?レナちゃん。」 礼奈「いえ、私も遅れてきたんです。」 露伴「そうか、それならよかった。」 124 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/03/29(土) 23 05 36.05 ID RGGpyKaB0 露伴は車の助手席を開けて荷物を取り出す。 花束と、封筒をひとつ。それからコンビニの袋をひとつ取り出した。 礼奈「あ、持ちましょうか?」 露伴「いや、自分で供えさせてくれ。」 露伴は既に花束がひとつ置かれている場所へと近づいていく。 露伴「あぁ、君らの教室はここだったね。」 礼奈「はい。だから、ここにお供えすることにしました。」 露伴も花束を供える。 そしてコンビニの袋をゴソゴソといじり始めた。 礼奈「どうしたんですか・・・あれ?」 礼奈は露伴が持つものに疑問の声をあげる。 露伴の手には、ジッポライター用のオイルの缶が握られていた。 125 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/03/29(土) 23 06 54.33 ID RGGpyKaB0 礼奈「それ、どうするんですか・・・? お線香なら、余ってますよ?」 露伴「ははは、これはこうするんだよ。」 露伴は、そう言うと、持っていた封筒にオイルをかける。 そしてそれを花束の前に置き、火を点けた。 封筒が燃え始めると、中身が少し覗かれる。 封筒の中には、紙がぎっしりと入っていた。 だが、その紙も炎に炙られ、黒くなり。 元がどんな紙だったのかすらわからなくなっていった。 礼奈「何が入ってたんですか?封筒の中。」 露伴「今の時代は便利になっててね。 漫画の原稿っていうのは、手書きで書いてもすぐにデータに取り込めちまうんだよ。」 礼奈「それじゃあ、漫画の原稿だったんですか?」 露伴「あぁ、データは出版社にもう渡してあるけどね。 いま燃えているのは、オリジナルの原稿さ。」 礼奈「いいん・・・ですか?」 露伴「あぁ。もう、沼が埋め立てられて沢はないからね。 綿流しの代わりだよ。」 礼奈「それで、今日を選んだんですね。」 露伴「あぁ、6月の第三か第四日曜日。それが綿流しの日。 毎年、来る約束をしたんだ。」 礼奈「そうですか・・・。」 127 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/03/29(土) 23 08 06.57 ID RGGpyKaB0 原稿が燃え終わるのを見届けると、露伴は立ち上がる。 露伴「さて、これで終わりかな。」 礼奈「あれ、帰っちゃうんですか?」 露伴「まぁ、用事は済んだからね。」 礼奈「よかったら、少しお散歩しませんか?雛見沢を。 タクシーの人が迎えに来てくれるまで、まだ時間があるんです。」 露伴「・・・まぁ、特に予定があるわけじゃないが。」 礼奈「一緒に歩きたいんです。雛見沢を知ってる人と。」 露伴「・・・。 僕でよければ、ご一緒しよう。」 露伴と礼奈はグラウンドを抜けようと歩き出す。 「ありがとう。」 そう、声が聞こえた気がして露伴は振り返った。 露伴「今の声は・・・。」 礼奈「どうかしたんですか?」 露伴「あぁ、いや、なんでもない。」 露伴は少しだけ嬉しそうな顔をして、再び歩き始めた。 128 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/03/29(土) 23 09 02.48 ID RGGpyKaB0 岸辺露伴はこの後に短期連載の漫画を雑誌に連載する。 その漫画は、今までの露伴の作風とはまったく異なるものだった。 田舎の色を強く残すとある村。 そこで生きる8人の少年少女の友情を描いた作品。 従来の露伴のファンからは否定の声も出たが、 連載直後から話題を呼び、一大ブームを巻き起こす。 短期連載ということもあり、今でも続編の執筆が望まれる声が絶えない。 その、作品の名前は、 ――――――――――――「ひぐらしのなく頃に」 138 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/03/29(土) 23 12 49.97 ID RGGpyKaB0 ■TIPS もうひとつの2008年6月22日---- 岸辺露伴は、戸惑っていた。 彼が、初めてそれを体験したからだ。 露伴「これが・・・デジャヴってやつか・・・?」 露伴はとある村に来ていた。××県鹿骨市雛見沢村。 この村で過去に4年連続で起きた連続怪死事件を漫画の題材にするため、彼はこの地を訪れた。 また、明日はこの村の名物になっている綿流しの祭りの日でもある。 そちらを取材するという目的もあった。 だが、彼は初めて来たはずのこの村で、既視感を感じていた。 露伴「たしか・・・こっちに行くと、園崎家が・・・。 園崎家・・・?なんだ?そりゃあ。」 自分でもわけがわからなくなりながら、足を進める。 すると、自分の予想通りの大きな門構えの家が見えてきた。 140 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/03/29(土) 23 13 54.80 ID RGGpyKaB0 その門の前には二人の男女が立っている。 男のほうが近づいていく露伴に声をかけてきた。 ??「こんにちわー。初めてお会いしますね。 他所の方ですか?」 露伴「あ、あぁ、仙台から来たんだ・・・。 (馴れ馴れしいやつだな。いや、田舎の連中ならこんなもんか?)」 ??「へぇ、仙台からわざわざ。 私はこの村に住んでる前原圭一と言います。 それで、こっちが妻の、」 ??「礼奈です。はじめまして。」 露伴「あぁ、僕は露伴だ、岸辺露伴という。」 圭一「露伴・・・どこかで・・・。 あッ、も、ももももしかしてーッ!」 露伴「あぁ、多分その、もしか、だ。 漫画家の岸辺露伴だよ。」 圭一「うおぉおおーーー、まじかよぉ!! 偶然露伴先生に会えるなんてぇぇええええーーーッ!!」 141 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/03/29(土) 23 14 35.99 ID RGGpyKaB0 圭一が年に似合わず、おおはしゃぎする。 もう40近いであろうおっさんが大はしゃぎするのを露伴は冷ややかな目で見ていた。 ゴトリ 扉の閂が抜かれる音がする。 そして扉の中から、礼奈よりも背の高い女性が顔を覗かせた。 ??「お待たせー。今、沙都子と梨花が来ててねー。 って、あれ、お客様?」 圭一「おい、魅音、聞けよ!この人があの漫画家の岸辺露伴先生だぞ!!」 魅音「え・・・え・・・ぇぇぇえええーーーーッ!!」 露伴は彼らに歓迎され、家へと上がらされる。 取材をしたかった露伴にとっても好都合だった。 146 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/03/29(土) 23 20 16.57 ID RGGpyKaB0 圭一「それじゃあ、露伴先生。来年も来てくださいね!! 連載のほうも期待してますよ!」 魅音「露伴先生!新連載も単行本買うから、ガンガン連載しちゃってよ!」 詩音「おねぇ、そろそろ漫画本は卒業してください。」 礼奈「あはは。先生、すみません、主人が子供で・・・。 でも、色々お話が聞けて楽しかったです。また雛見沢に来てくださいね。」 梨花「来年も来ないと、オヤシロさまに祟られるわよ。」 沙都子「・・・また来てくださいませ。露伴さん。」 露伴は取材も終え、綿流しの祭りを堪能した後に圭一たちに見送られる。 取材の成果もばっちりだし、彼らはとても露伴によくしてくれた。 露伴は来年もまた来ようかな、なんてことを思いながら、手を振って別れる。 沙都子「・・・ありがとう。 ・・・私達を幸せにしてくれて。」 沙都子が、露伴の姿が見えなくなる直前に、誰にも聞こえないようにボソリと呟く。 だが、隣にいた梨花にはそれが聞こえてしまっていた。 147 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/03/29(土) 23 21 07.75 ID RGGpyKaB0 梨花「うん?どうしたの?沙都子。 なにかあったの?」 梨花が沙都子のほうを見ると、沙都子の瞳からは一筋の雫がこぼれ落ちていた。 梨花「沙都子・・・?」 沙都子「昔、梨花は、圭一さんやレナさんに、 別の世界を覚えているか?と聞いていましたわね。」 梨花「・・・?」 沙都子「別の世界のことを覚えているのは、 圭一さんやレナさんだけではないということですわ。」 沙都子は涙を手でぬぐい、露伴の方向を見る。 すでに露伴の姿は見えなかった。 ― 完 ― 前へ 戻る 裏お茶会へ
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△▼ その日の午前中、僕とマスターは買出しに出ていた。 いつもは近所のスーパーで済ましていたけど、 「たまには遠くの方にも行ってみようか」 とマスターが言うから、それに従うことにした。 比較的人通りの多い道の歩道を手を繋いで歩いていく。 マスターの家に来て結構経つけど、こっちの道を歩くのは初めてだった。 「ね、マスター。その遠くのお店ってどんなとこなの?」 向かってきた自転車を避けながら尋ねる。 「そーだな」 マスターはちょっと考える顔をすると、 「まあ着いてからのお楽しみ、ってな」 含みのある笑みを浮かべて僕を見た。 「もぅ、イジワルだなぁ」 僕もそれに微笑み返す。 と、 「っ」 不意にマスターの歩みが止まり、手が離れる。 「マスター?」 「・・いや、ごめん」 マスターがまた手を差し出す。 「ちょっとね、蒼の可愛さに戸惑っただけだから」 「・・・・」 顔を伏せて、黙ってその手をとる僕。 「ああん!照れる蒼の可愛さもたまんねー!」 「マスターの・・・イジワル」 汗ばんだその手を僕は握りかえした。 そう経たない内に、 無難に僕達は目的地に着いた。 入り口前で、 「うわぁ・・大きいなぁ」 その建物を見上げる。 テレビとかではよく見るけど、 「これがデパートっていうの?」 「ああ。街に出るともっと大きいのもあるんだぜ?」 ここは三階建てで小さい方だ、とマスターが付け加えた。 中に入ると、そこには通りよりもずっと沢山の人間がいた。 大分賑わっている様に見える。 「一階が食料品売り場、だけど」 「けど?」 「その前にこれを見てくれ。こいつをどう思う?」 スッ、と携帯の時計を見せてきた。 デジタル表示で、十二時過ぎを指していた。 「ああ、もう昼時だね。帰ってからじゃご飯遅くなっちゃう」 「だから、」 マスターが僕の手を引く。 「まず飯を食おう。話はそれからだ」 △▼ 『れすとらん』という所に入ると、僕達は二人席に通された。 一通り『めにゅー』に目を通して注文を終える。 「マスター、本当に家でご飯食べるの?」 「まあね。家での雑炊の方が今の性にあってるし、」 何も頼まなかったマスターがちびちびとお冷やに口をつけ、 ゴクリ、と音をたてて飲んだ。 「というか、可愛い蒼にひもじい思いはさせたくはない」 「・・・・・・(///)」 「うぇwww蒼可愛いよ蒼。ヤバいよ。恥ずかしがる蒼の可愛さは凄いよ。異常だよ」 「・・本当、変な事ばっかり言って」 あんまり頻繁に言うから慣れてきたけどね。 「で、雑炊の話に戻すが」 唐突にマスターが指を高く上げた。 「お医者センセーが言っていた・・・。 日常健康とは其れ即ち食生活と心生活。 つまり!人(俺)は常に蒼・粗食・腹八分目を心掛けてこそ、長生きが望める!!」 周りの人間の目線が集中した。 「まままマスター?声大きすぎだよ?」 小声で諌める僕。 けどあんまり聞いてないようだ。 「それからとある人がこうも言っていた・・・。 病は飯から。食b『鯖味噌定食お持ちしましたー』く」 計った様にウエイターがマスターを遮る形で食事を運んでくる。 慣れた手つきでテキパキと皿をテーブルに並べると、さっさと引っ込んでいった。 「ジーザス!」 流石にフォローはできなかった。 「ま、いいや。俺は蒼が可愛く麗しく食べる様子を見ていよう」 「・・・・・」 ちょいちょいと箸で鯖を一口大に切る僕。 そして、 「はい、マスター」 それをつまんでマスターに差し出す。 「へ?」 「食べて?」 「い、いや俺は、家で」 「ヤだヤだ。マスターが食べてくれなかったら僕も食べない」 「さいですか・・・」 ちら、と時計に目をやるマスター。 「せめて、後十五分ぐらい待てない?」 「・・そんなに焦らされたら汁が垂れちゃうよ・・・」 マスターが迷ったような顔をして箸の先と時計に目を動かす。 さっきのマスターの言動のお陰で周りの目もこっちを気にしがち。 その目線の中で、僕みたいな見た目小さい子からあーんされるのは、 「ひょっとしてマスター・・・恥ずかしいとか?」 途端、マスターの顔が紅潮する。 僕に芽生えたささやかな復讐心が大きくなった。 「クスクス・・今更照れても、僕はマスターの恥ずかしい姿は沢山、知ってるんだから・・ね?」 自分でも口の端が笑みにつりあがるのが分かる。 「ちぇ・・」 意を決したのか、マスターが軽く口を開けた。 「よしよし、よくできました」 箸の先をその口に運ぶ僕。 すると、二つ隣の席の客が笑っているのが横目に入る。 マスターもそれに気づいているのか、目を伏せた。 「照れちゃって・・今度は口移しであげようか・・・?」 また、小声でささやく。 マスターは顔を逸らして、少し頬に紅を残したまま噛んでいる。 ま、お店でこれ以上は可哀想だから許してあげよう。 「それじゃ、いただきます」 ごくん、とマスターの喉から音が聞こえた。 「あー、噛みすぎて顎が疲れた」 「?」 さっきマスターにあげた時から十分は経っていた。 まさか、あれからずっと口に含んだままだったのかな? 「念のため、が良かった。このスープ貰うぞ」 ひょい、とセットのスープを取るマスター。 スプーンで少しづつ汁を掬うその様子は、 「嬉しい、マスターの調子が良くなったみたいで」 「?」 久々に見た気がした。 「こないだまで落ち込んでたし、体調も悪そうだったから心配してたよ」 「・・・ん、何だ。気づいていたのか」 マスターの手が止まる。 「もちろん。僕とマスターは繋がってるんだから、そんなことぐらいわかるさ」 ちょん、マスターの薬指をつつく。 「ここでね?」 「御見逸れしました」 ふぅ、と息をつくマスター。 「ま、ちょっと吹っ切れたのさ」 手を伸ばすと、 「君の居ない天国より君の居る地獄を選ぶ、ってことかも」 くしゃくしゃと僕の頭を撫ぜるマスター。 「どういうことなの?」 「へへっ」 あどけなくマスターが笑う。 「蒼のことが好きなだけ、さ」 そう言って、再びマスターはスープを食べ始めた。 「さて!帰るとするか!」 ヒョイ、と僕を持ち上げ、 「うわぁ!」 「・・っしょっと」 おんぶするマスター。 「は、恥ずかしいよぅ・・・」 「大丈夫大丈夫。傍からでも変には見えないって」 そう言って来た道をゆっくり歩き始める。 まだ夕方とは言えないけど、日は西に傾きかけていた。 「どうだった?初めてのデパートは?」 「うん、中々面白かったよ」 「そっか、そいつぁ良かった」 満足気に返事をするマスター。 「またいつか来たいな。今度は二階も覗いてみたい」 「・・そうだな。まあずっと一緒にいてあげるし、何回でも連れて行ってあげるさ」 「えへへ・・・一緒かぁ・・」 頬をマスターの背中にくっつける。 「暖かいや、マスターの背中・・・寝ちゃいそう・・・」 「おおう。涎は垂らさないでくれよwww」 「冗談だよ・・・」 ・・何だか、本当に眠くなってきちゃった・・・。 「僕も、」 「うん?」 マスターにだけ届く様に、 「ずっと、マスターの横に居るから」 呟いた。 「僕、もっと美味しいご飯も作る様にがんばるし、お洗濯だって・・・」 「・・・・蒼、」 がくん。 不意に、マスターの体が揺れる。 「っとっとっと」 ヨロヨロと二三歩進んで、地面に膝をつくマスター。 「だ、大丈夫?」 「OKOK。平気だ」 少し時間を掛けてマスターが立ち上がる。 「・・・まだあると思ったけど、もうそろそろか」 「?」 顔を上げると、もう家が見える所だった。 「蒼」 急に真面目な声で、 「今日、何かしたいことはある?何でも良いぞ?」 マスターが尋ねてきた。 「じゃあ・・・僕、マスターと一緒に寝たい・・な。最近はご無沙汰だから」 「プッ」 「あっ?今笑ったでしょ」 「いやね、あんまり蒼らしくて。・・っさ!」 ぐっ、とマスターの歩みが速くなった。 というか走ってる? 「わっわっ!危ないよマスター!?」 「ちょっ・・・きついけど、捕まっとけよ!」 △▼ 「ただいまー」 マスターが鍵を開けて家の中に入る。 戸締りをしてきた所為か、むわっとした温い空気が僕達を撫ぜた。 肩で息をつくマスターが僕を玄関に降ろす。 「もう、マスター、わざわざ走らなくても・・」 「・・・・」 ぎゅっ。 「え・・・?」 ドサドサと音を立てて荷物が床に落ちた。 その力を少しづつ強くしながら、 「・・・痛いよ、マスター。痛い」 「・・・・」 膝立ちで、マスターが僕を抱きしめる。 「駄目・・そんなに強かったら僕、壊れちゃうよ・・・!」 「・・・わかってる・・わかってるけどさぁ・・・!」 マスターは力を緩めはしなかった。 「俺の部屋の、」 突然、ふっ、と力が抜ける。 「机の一番上の引き出しに、大きな封筒が入ってる」 体を離して僕の顔を見るマスター。 「俺のこと話したいから、取ってきて」 それだけ言って、マスターは居間へ消えた。 「待ってマスター」 その後を追う僕。 マスターは、 「っふぅーっ」 と大きな息をついて、ソファに寄りかかっていた。 「なるべく急いで頼むよ、蒼」 その目を閉じて、 「待ってるから」 「んもぅ・・・横着なんだから」 ぼやきながらマスターの引き出しを開ける僕。 案の定、中は雑然としているけど、 「あ、これかな?」 底の方に大きな封筒が納まったいた。 持ってみると意外に重いものがある。 「・・・・・」 好奇心、 僕その中から紙の束を一掴み取り出した。 どうやら、封筒にはパンフレットやB5サイズの紙とかが入っているようだ。 取り出したパンフの表紙には、 「『医食同源』・・・」 その中に、健康に良いと謳った食物の摂取法が載っていた。 ひょっとしたら、最近のマスターが健康に気を遣っているのもこの所為かもしれない。 ふっ、と笑みが零れた。 △▼ 「マスター、取ってきたよー」 居間に戻る僕。 ソファには、マスターが座っていた。 背もたれに頭を乗せ、天井を仰ぐ形で目を瞑っている。 「・・・寝ちゃったのかな?」 音を立てない様にその横を通ってテーブルに封筒を置く。 少しづつ中身を出しながら、 「マスターも人が悪いなぁ。話してくれたら僕もちゃんと考えるのに」 さっきのパンフを探す僕。 出てくるプリントにはジェムザールとかノイトロジンとか、聞き覚えのない単語ばかりだ。 「最近卵とか小麦粉を避けていたのも、そのせ」 出てきたのは、小さな紙の束。 「二月十日の支払い34000円・・」 どうやらそれ全ては、マスター宛の病院の領収書らしかった。 「二月十八日23760円、二月二十五日33270円・・・」 ・・・おかしい。 只の医療費にしては異様に値段が高い。 「七月からは大分安くなってる・・?」 その二月十日の値段内訳を見ると、 「診察代、が一番高いんだ」 診察代の注には『諸検査、投与薬剤分、抗がん剤分を含む』とある。 七月分が安いのはこの『診察代』が殆どなくなったから、の様だけど、 少なくとも六月分までは『抗がん剤』の欄に丸が付けられていて、それ以降はなかった。 妙な胸騒ぎがする。 「確か、」 さっきのプリントの中に、 「抗がん剤がどうとか」 ガサガサと、広げられた紙を漁る。 「・・・あった」 ―非小細胞肺癌、膵臓癌適応抗癌剤『ジェムザール』― と、その説明がなされたプリントがあった。 「何でこんなのが封筒に・・・?」 寒々しい考えが頭を過ぎる。 それを振り払うつもりで、 僕は更に紙の束を漁り始めた。 △▼ 分かったことが何個かある。 マスターが毎日一日六回の薬を飲んでいたこと。 それが痛み止め、病気の進行を抑える為だけの薬であること。 その病気は一度進行したらどんな治療でも治る見込みが殆どないこと。 その病気には酷い痛みが伴っていたこと。 分からないことが何個かある。 何故、『七月から診察代が安くなったか』ということ。 マスターが何故、今日まで僕に自身のことを言おうとしなかったこと。 だけど、 『ま、ちょっと吹っ切れたのさ』 『君の居ない天国より君の居る地獄を選ぶ、ってことかも』 あの何気ない言葉。 それが分からないことと相俟って、予想が確信へと昇華される。 そして、 「・・・違う」 先程から露とも変わらない形で、マスターは目を瞑ったままだ。 『眠っている』筈なんかない。 「『ずっと一緒にいてあげる』って言ったくれたもん」 手を伸ばすのが怖い。 その体に触れるのが怖い。 『マスター』と呼びかけるのが怖い。 手を伸ばしてしまったら、 ずるり。 △▼ ゆっくりと、 力なく床に落ちた体に手を寄せる。 「――」 貴方の名を呼ぶ。 「――。――。――」 届けども、戻りはしないのに。 計らずも、『器』がその役割を終えたのだから、還りはしないのに。 なのに。 愚かだった。 僕はローゼンメイデン。 悠久という運命の中で、幾度と無く繰り返してきた出会いと別れ。 その一つで、 僕は、 貴方に永遠を願ってしまった。 「――」 絶え間なく滴る涙が服に染みを作り続けている。 持ち上げると、だらり、と垂れ下がる貴方の腕の下に、 僕は体を滑り込ませた。 目の前には『眠る』貴方の横顔。 できるだけそっと、唇を重ねて、 僕は目を閉じる。 やがて。 ぎしり、という自分の体の音で目を開けた。 さっきまで僕を呼んでいた口から顔を引いて、更に腕の中に潜り込む。 媒体を失った僕は、 「ますたぁ・・」 再び永い眠りに就くだろう。 「忘れないで」 せめて、 『ずっと、マスターの横に居るから』 貴方の隣で。 「忘れないで」 僕はここにいる。 THE END