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お絵かき専用HP 掲示板、交流、盛りだくさん お絵かきするならロックアート! ジン(?)の提案でできたカンマス時代の別館。 そんなサイト作ったか…それとも、消したか…? はっきり言ってそんなの、誰一人覚えていないだろう。
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ミュージカル舞台「ブラットブラザース」に主演する ジャニーズWESTの桐山照史さんと神山智洋さんが 囲み取材が行いました。 正反対の人生を歩んだ双子の兄弟、ミッキーとエディの物語で、 2人は7歳から20代を演じます。 子どもの役を演じるので、すね毛をつるつるにするため、 桐山くんは、 「除毛クリームを買いに行ったら神ちゃんとばったり会って。 めっちゃ恥ずかしかったです。」 って言ってました。 なんなら、2人そろって買いに行ったらよかったのにね。 恥ずかしかったのかな。 神山くんは、 「舞台稽古で自分の出ていないシーンを客席から見た時、 俳優として参加させてもらっていると実感しました。 愛や勇気、希望などお客さんに何かを伝えられたら」 とコメントしてましたよ。 2月14~28日 新橋演舞場、3月4~15日 大阪松竹座で上演。
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十月十六日、午前一時頃。 深夜に相応しい静けさと漆黒の支配する時間帯、炎の神父と最大主教の元に一人の人物が現れた。 「遅れて申し訳在りません。……それで彼女達の戦況は?」 聖ジョージ大聖堂、聖机前。神裂火織は巨大な刀を携え、神妙な面持ちで目の前の神父と主教を見つめる。 「さぁね。僕は実際にクリスタルとか言う奴を見た訳でも、戦った訳でも無い。彼女等がどんな戦場を創り出しているかなんて解るはずがない」 「あら? でもこちらにありけるはローマ正教の誇る二〇〇人強のシスター部隊よ? それでも心配する必要性が無きにしもあらずだと言いける?」 居らしてたんですか、と言うステイル=マグヌスの社交辞令の棒読み文句に少しムッとしながらも、最大主教は話を繋げていく。 「対十字教だか何だか知らぬけれど、『たかが十字教を否定したぐらいで悪役面するような奴等』にあの修道女部隊がやられるようなことは無きに等しい事柄だと思いけるわね」 その言葉に神裂とステイルは沈黙する。確かにアニェーゼ部隊隊長、アニェーゼ=サンクティスは“相当の地獄を生き抜いた天才統括者”という話で有名だ。その並外れた信仰心に十字教を背定するような人物を近づければ、一瞬で消し炭にだってするだろう。 だが、神裂とステイルにとってはそれ以上に気がかりな事柄が存在した。 「ですが、最大主教……」 「『禁竜召式』……オルソラ=アクィナスからしっかりと連絡は承っているわよ。まさか聖ジョージの名を冠するドラゴンなんて詰まらなき物を用意してくるなんて、とことん性根が腐りける連中よね」 その言葉が終わると同時に神裂は一歩前に出て、日本人らしく深く頭を下げた。 「はい。ですから私達も、いえ私だけでも結構ですので彼女達の応援として戦線参加することを許可して頂けないでしょうか?」 ローラ=スチュアートは目線を一度だけ動かしてから、ふぅと息を吐いて首を縦に振った。 「神裂は止めたとしても、どうせ一人で突っ走ってしまう事は目に見えたること。好きにして結構よ」 感謝します、と神裂は短く礼を言い聖机に背を向け、やがて聖堂を後にした。ステイルは、それを煙草を吸いながらゆっくりと目で追う。怪我しないように頑張ってくれ、と心無い言葉を吐きながら。 そんな飄々とした態度のステイルにローラは、 「あら? 何をしているのステイル。貴方も神裂と共に戦線参加したるのよ?」 軽く言った。思わず煙草を吹き出し、ゴホゴホとむせ返るステイルにローラは淡々と、目を全く見ずに言う。 「安心したりて結構よ。ステイルには前線戦闘役として活躍して貰うのでは無くて、『内の監視役』として活躍して貰うのだから」 ステイルは眉を顰める。そして神聖な大聖堂に煙草を吐き捨て、苦々しく口を開いた。 「……どうゆう意味です? 最大主教」 ふむ、とローラは一息吐いて“心底嬉しそうに”質問に答えた。 「思いけるに、本当に厄介な『敵』は修道女部隊の“中”に居たると思うのよ。アニェーゼ部隊という組織の中に“もう一つの組織が出来つつある”という話もよく聞けることだしね。ステイルにはそのような危険因子の監視をお願いしたる訳なのよ。混乱の最中に背中を刺されるような事が、あってはならないでしょう?」 「……分かりました。ですが、二〇〇強の大部隊です。誰をどうように監視すればいいのか全く見当がつかないのですが……」 それなら心配ご無用なのよ、とローラは傍らの聖机の引出しから一枚の画像を取り出し、ステイルへと手渡す。ステイルは目を細めて写真を見た。 「実際、監視しなければならない相手は“何人か”居るけれど……」 そこ写真には一人の少女の写真が載っていた。 「イラーリア=L=ラウレンティス。貴方が『誰よりも最優先』で監視しなければならぬ相手よ」 ザッザッと割と大きな音を立てながら、ソフィア等四人の少女達が林を抜ける為に暗闇の中を何の灯りも灯さずに歩いていた。 「どうソフィア、手ごたえは?」 「カテリナにゃ分かんねぇと思うが……弱すぎるな。本当に魔術に対してだけ反応する操り人形みたいだった」 『対十字教黒魔術』の男は、霊装の施した強化術式を解いたことであっさりと倒すことが出来た。こんなことなら応援は要りませんでしたね、とアガターの緊張感の無い声が響く。 「で、でもシスター・ソフィア。霊装無しの体術だけで敵を倒すなんて、シスター・ソフィア以外に出来る人が居るんでしょうか? 皆、霊装に頼りきりという訳でも無いですけど、さすがに魔術無しで男の人を倒すのはちょっと……」 アンジェレネの弱気な発言に口を尖らせたソフィアだったが、確かにそれは事実だ。皆が皆、ソフィアのように運動神経に恵まれている訳ではない。アニェーゼ部隊お得意の『数』で攻め倒せばどうにかなるかも知れないが、相手が強力な迎撃術式を持っていればそこでお終いだろう。 「確かに……あいつ等(シスター部隊)、弱えしな。前みたいに、たかが部隊長がやられたぐらいで武器を置くような連中だし。ったく、『あんなツンツン頭の高校生なんて』サシでやれば瞬殺だろうに」 それを聞いたカテリナとアガターはグルリッと、一斉にソフィアに視線を向けた。「な、なんだよいきなり」というソフィアの声と、状況を理解できないアンジェレネの?マークが浮ぶ。 「「………(カテリナ&アガター)」」 「だから何だよ!! その意味深な視線は!!」 とりあえず反応を無視したカテリナは、ムッとした顔で、出居る限り低い声でソフィアへと言葉を放つ。 「……ソフィアは文句言えないでしょうが。法の書事件の時に『戦わないで隠れてた』クセに」 「カテリナの言う通りです。確かに『私とカテリナも隠れていた』ことには変わりは有りませんが、それで貴方だけ一生懸命戦っていた他のシスター達に文句を言える立場にあるとは思えませんね」 「な、なんだよアガターまで!! 俺は別にあいつ等を裏切った訳じゃねえだろうが!! ただ単に『戦いたく無かった』だけだっつの!!」 「十分裏切ってんじゃん。そんな個人的な事のために付き合わされた私たちの身にも……」 「ちょ、ちょちょちょちょ、皆さん、落ち着いて!!」 シスター三人の不毛な言い争いに、アンジェレネは付いていけず話を強制的に静止させる。 その瞬間、三人の馬鹿なシスターは思わず「あ……」という表情で固まって、自然に歩くペースが落ちていった。 「シスター・ソフィア、アガター、カテリナ。あの、一体どうゆうことですか? 法の書事件で戦ってないって……」 三人のシスター一斉に目線をそっぽに向かせて曖昧な表現で茶を濁した。 「あー、えっと……(ソフィア)」 「それは……(カテリナ)」 「……(アガター)」 気まずい空間が作り出され、三人の馬鹿なシスター(大事なことなので二回言いました)は今すぐこの場を逃げ出したい衝動に狩られる。 「……通信霊装でシスター・ルチアを呼び出しましょうか?」 「「「ちょ、それは勘弁!!!!!!」」」 「なら、ちゃんと話してください!!」 何時に無くブラックなアンジェレネの気迫に圧され、三人の馬鹿なシスター(大事なry)はその場に正座させられ、尋問が始まった。 ハイドパーク内、林の隅のほうにて、戦闘時の百倍ぐらい(ソフィアから見て)異様な雰囲気を纏ったアンジェレネが修道女達の尋問を行っていた。 「……つまり、わたし達がアマクサ式や『例の少年』達と必死で戦っている間、あなた達は隠れて見物していた、と?」 「「「……返す言葉も御座いません」」」 やべぇよなんだよコレ誰だよこんな怖え女知らねえよこんなアンジェレネ見たことねえよ、と恐怖に怯える三人のシスターに対し、アンジェレネはあくまで冷静に冷た~い言葉を投げる。 「……わたし達がどんな思いで戦いに望んでいたと思うんですか? 確かに結果的には、あの戦いで負けたことで、新しい住みかや仲間を作ることができました。平和ですし昔よりは楽しいです。……でもそれが逃げ隠れた人の言い訳にはなりませんよ?(ニッコリ)」 なるほど仲間思いな良い子だなぁと現実逃避する三人はアンジェレネにギロリと睨みつけられて再び肩を竦めた。やべぇマジ怖え。 その後、俊敏な行動が求められるはずの任務の中、ソフィア、アガター、カテリナはクドクドと冷たい文句を言いつづけられた。その間、約一〇分間。 「「「反省しました……」」」 「よろしい」 やっと終わった……と三人のシスターは肩の力を抜く。長かった。もうそろそろアニェーゼ等の応援が来てもおかしくない時間である。 結局アンジェレネは三人が逃げ隠れた事情は聞こうとはしなかった。 別段、興味が無いというよりは気を使ってくれたように思えるが。 「さ、気を取り直して先に進みましょう。そろそろ合流して集団行動に戻らないと危険ですから」 とりあえず明るくなったアンジェレネの促しで四人は歩を進めることにした。 「そうだな。そろそろ通信霊装だけじゃ戦況報告が難しくなってきた頃だ。『把握報網(MasterNet)』も精密な情報を送れる訳じゃないらしいしな」 「ま、とにかく先に進もーよ。ね? アンジェレネもそんなにカリカリしないで」 「誰のせいですか、全く……。神を信じる者として恥ずべきことですよ」 アンジェレネがカテリナに対し、説教を交えて何気無しにそう言った。 その瞬間、その場の雰囲気が凍りついた。 ……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………、 (……え?) ソフィアは押し黙り、カテリナは反対に口元に笑みを含み、アガターはそっぽを向いて何も喋ろうとしない。 突然過ぎる空気の変わりようにアンジェレネが戸惑う。そんなアンジェレネの反応を楽しむかのようにカテリナはわざとらしくソフィアへと話掛ける。 「……そういえばどのくらい居たっけ? “わたし達と同じような人”」 「……俺たちを合わせて四人じゃなかったか?」 「そうですね。確か私達の他は『彼女だけ』だったと記憶しています」 順に、淡々と言葉を発する三人にアンジェレネは震える声で質問する。 「何の……ことですか……?」 先程の気迫が嘘のように気の小さくなった少女に対し、カテリナが気持ちの悪いほど歪んだ笑顔を向け、ただ直答した。 「もしかしてさぁ、わたし達が戦わなかった理由、まさか本当に『戦いたく無かった』だけとか思ってないよね?」 ドッ、とアンジェレネは得体に知れない嫌悪感に圧され、体中から気持ちの悪い油汗が噴出す。 「ってか、あんなリンチ任務に参加するほうがおかしいんだよ……『神の為』とかフザけたこと言いやがって。だろ? アガター」 「……同感です。少なくとも私達のような“例外”はあのような任務は好みませんね。カテリナもそのような意図で答えたのでしょう?」 そして、アンジェレネは違和感の正体に気がついた。 彼女等、つまりカテリナ、ソフィア、アガターはアンジェレネと少しばかり考え方が違うなどという軽い物では無く、 「……まぁ、それでね、アンジェレネ。わたくしシスター・カテリナが結論を申し上げますと、」 ただ単にアニェーゼ部隊の中で『外れている』だけだった。 「わたし達ね。神なんてこれっぽっちも信じてないんだ。だから戦う理由なんて元から存在してないの」 十月十六日午前一時二〇分頃。 市外地某所にて。 ターン、ターンと相変わらず派手な移動を続けるアニェーゼは、通信の違和感に気が付いた。慌ててルチアへと駆け寄り、なるべく周りに感づかれないように小声で囁いた。 「(ルチア、おかしいです。ソフィア班からの定期連絡が、二十分程前の『対十字教黒魔術を倒した』という短い連絡以降全く来ていません)」 ルチアは一度舌打ちをして苦い顔で呟いた。 「やられましたか……」 「……とにかく嫌な予感がします。急いでソフィアの元へ向かいましょう」 アニェーゼの跳躍速度が微妙に加速していることはルチア以外気づかなかった。 そして、それより約一〇m程下に位置する歩道にて。 「あの、キヌハタ?」 絹旗が若干寂しく走っていると、金髪が特徴のシスターが声を掛けてきた。無論、奇妙な跳躍を続けながら。 「なんですか? ……えーと、いらーりあ?」 「そうですそうです!! 覚えててくれたんですか?」 「まぁ一応。この『迎撃』とかいうグループ自体人数が少なかったので」 「ま、そうですよね。いやぁ、ほんと日本人は良い人多いですねー。神裂さんにしてもキヌハタにしても」 「はぁ……そうゆうもんですかね」 なんというか、このシスターのニコニコ笑顔を見ていると地味な罪悪感に襲われる。 正直、絹旗は自分が良い人などとは全く思っていない。少なくとも二桁に及ぶほどの人数を葬り去っているのだ。と、言うか一昨日あたりに一人殺した気がするし。ともあれ自分を過剰評価しないのが日本人の性である。 「ところでキヌハタ。ちょっとだけ聞きたいことがあるんだけど」 「? なんですか。忙しいみたいなんで、さっさと済ましてくださいね」 大丈夫です、すぐ終わりますから、と笑顔で返答したイラーリアは今度は神妙な面持ちで絹旗へ質問した。 「キヌハタは……『対十字教黒魔術』をどう思いますか?」 思わぬ質問が飛んできた。 いや、どうって言われても……と絹旗は黙りこんでしまう。アニェーゼ等の仕事を手伝っているのはあくまで宿を提供してくれた恩義であり、敵役である『対十字教黒魔術』については全く考えてなかったのだ。 これは学園都市で仕事をする上の癖というか、『被害者のことは考えるな』という殺し屋稼業の単純な思考かもしれない。まぁ、当たり前のことだろう。標的に感情移入してしまえば、仕事自体こなせなくなってしまうのだから。 だからこそ、絹旗はこう答えた。 「別に。どうも思っていません。確かに私自身が襲われたことは事実ですが、あのヌイグルミさえ取り返せば、あんな奴等死のうが生きようが関係ありませんしね」 正直に返す事にしたのだ。これを聞けば目の前の修道女は多少なりとも食いついてくるだろうと理解した上の言動だった。 しかし、 「実は私もそう言うふうに、キヌハタと同じように考えてるんだよね」 意外な答えが返ってきた。 「私、実はさ、あんまり“神様のこと信じてないの”。信じても助けてくれる訳じゃないしさ。だから、なんていうのかな。他のシスター達とはあんまり考えが合わないんだよね」 他のシスターとは合わない、ということは少なくとも他の修道女達は敵のことも考えてあげてるということか。やはりお人好しが多い集団だ。 「ごめん、いきなり変なこと言って……、じゃ、私は配置し戻るから」 そう言ってイラーリアは絹旗から離れていった。 (神様をあんまり信じてない……か。そうゆう人もいるんですか) そのことに関し、『十字教をあまりよく知らない』絹旗はあまり気に止めなかった。 『あんまり神様のこと信じてないの』 修道女部隊という中での、その言葉の重みも知らずに。 (誰もいない……か。まぁ、あれから結構時間経ってるし、当たり前かな) 静けさが戻りつつある林の一角。クリスタルは適当に辺りを分析しながら「まぁいいか」と適当な結論を出すと、とりあえず儀式上へと戻ることにした。 (発動までは一時間十二分三五秒……長い。もうちょい早めに設定しとけば良かったかもしんないなぁ) 修道女部隊が『把握報網(MasterNet)』まで使ってクリスタルを追い回しているのは知っている。だからこそ、さっさと発動させて面倒臭いことを省きたいと思っているのだ。 「こんなとこで失敗したら『あの娘』五月蝿いだろうしなぁ。ったく『対十字教黒魔術』の統領だからって毎回調子乗りすぎなんだよ、あの小娘」 はぁ……と柄にもなく息を吐いて、満天の星が煌く空を仰ぐクリスタルは、ふと数年前に出会った修道女の顔を思い出した。 (……そういや元気にしてるかな、あの人) その時思い出したのは、行き倒れた自分を何の見返りもなく救ってくれた修道女の顔だった。自分より幾分か年上の彼女は、自分に異様に優しくしてくれた気がする。 「あー、あの時のシスターは優しかったな。多分、私欲だけで私を追いまわしたりはしないんだろうなー」 その言葉の端々にアニェーゼ部隊への皮肉が混じっていたが、誰も指摘する人が居なかった。クリスタルはボーっと星空を眺めながら、何となくその人物のことを思いだす。 (なんて言ったっけなー、あの人。えーと、確か、イ、イザ? えーと……) 考え込むこと一分。クリスタルは頭に電球が浮んだように閃いた。 「そうだ、イザベラ。イザベラ=アクィナスって言ったなあの人」 〈行間〉 欧州のとある場所に純潔で聡明な少女が居たという。 自国を抜け出したその少女は、どこへ行っても救われなかった。どこへ行っても馬鹿しか居ないし、彼女が求める人間には出会えそうになかった。 (つまらない。つまらない。あーつまらない。何コレ、何これ、何之。何にもない。どこへ行ったって下等生物しかいない。なんであんなゴミばっかりが世の中にのさばってるか本当に理解できない) 少女は完全に世の中、いや世界に絶望していた。 (……めんどくさい) 得意の話術で小銭を稼ぎ、各地を点々と旅していた彼女は、終着地点となるヨルダンで、絶望の果てに命を絶とうとしていた。 (どうせこんな世界だし。死んでもなにか変わる訳じゃないだろうけど、生きてても楽しくないし、) 彼女に迷いは無かった。 (さっと死ぬか) 地上三〇mほどの絶壁。ヨルダン川へと真っ直ぐ落ちることの出来るその崖は、彼女にとって絶好の死に場所だった。 ふっと息を止め、一思いに飛び込んでしまおうとした瞬間、 「何をなさっているのですか?」 後ろから、いきなり声を掛けられた。 決意を止められた彼女は舌打ちして、突然現れた女へと忌々しそうに言葉を返した。 「別に。死のうとしてるだけだけど」 「あらあら、そんなことをしたら駄目で御座いましょう」 再び女を睨みつける。お前に何が分かるんだ、と目で語ったつもりだったが、女はにこにこしながら、なれなれしく話しを繋げた。 「まだ、そんなにお若いじゃありませんか。その歳で命を捨てるなど、勿体無いの一言で片付けることが出来ますよ?」 「……五月蝿いな。こんな世の中潰れちゃえばいい、なんて考えたこと無いだろアンタ。だからそんな身勝手な台詞を吐けるんだよ」 精一杯の皮肉のつもりだったが、女は動じず、淡々と答えた。 「あら。そのくらいわたしにも御座いますよ? というか現在進行形でそう思っている所で御座いますから」 信じられない答えが返ってきた。 まさかこんなに楽しそうに語る女が自分と同じ理念を持っているなどとは思いもしなかったからだ。 「……からかっているなら、そのまま川へ突き落とす」 「からかってなどいませんよ。事実なのですから。……その言い草からして、ひょっとして貴方も同じようなことをお考えで?」 「まぁ、間違ってはいないけど。けど、アンタなんかとは度合いが違うと思うよ。どうせアタシの考えてることなんて……」 「『どこへ行っても下等生物しかいない。なんであんなゴミがのさばっているのか理解できない』……さしづめ、そんなことをお考えでは?」 今度こそ心の底から驚いた。ぴしゃりと、言い当てられた自分の心情は、彼女も持っているということか? 彼女は少しだけ希望を感じた。 「ご紹介遅れました。わたしは、この辺りで『対十字教』をテーマにした慈善団体を創立しようとしている者で御座います」 「へぇ……で、なんで、対十字教?」 「はい。十字教は世界で二〇億人以上の信者を誇る世界最大宗派で御座いますから。『これを潰せば世界の三分の一は消せる計算』なのですよ」 くっ、と。思わず噴き出してしまった。単純すぎる計算式だ。絶対教養ないなこの女。 「アンタ、それ本気?」 「マジのマジで御座いますよ」 こんどこそ本気で大笑いした。馬鹿だ。本物の馬鹿だ。そこらのゴミと比べ物にならないぐらいに。 「で、アンタさぁ、それどうやって行うつもりなの?」 「これから考えるので御座います」 「いや、真面目に言うなよ」 思わずつっこんでしまった。本当に馬鹿だなこの女。 (だけど、) 自分と同じ考えの人間。こんなレアな人種に出会ったのは初めてかもしれない。 慈善団体を創る、と言っていた。つまりは同じ思想の仲間をかき集めるという事。そしてそれはつまり、 (アタシと同じ考えの人間が集まる場所……) 恐らく彼女がこんなに惹かれたのは人生で始めてだったかもしれない。 だからこそ、彼女は迷わなかった。 「ねぇ、アンタ」 「はい?」 「その慈善団体、アタシも仲間に入れてくれない? どうせ人、全然集まってないんでしょ?」 「あら、嬉しい。確かに入ってくれるなら貴方が第一号ですよ」 だろうな、と少女は笑った。 「で、アンタ名前は?」 「イザベラ。イザベラ=アクィナスで御座いますよ」 「へぇ、イタリア人だったのかアンタ。アタシはイラーリア。イラーリア=リビングデッド=ラウレンティス」 「貴方はどこの国の人か分かりませんね」 「アタシもそう思うよ。だってリビングデッドは後付けだからな」 ふふふ、と女がはじめて声を出して笑った。 十字教を徹底的に否定する団体『対十字教黒魔術』の『元』はこうして誕生した。 皮肉にも十字教の聖地であるヨルダン川の辺で。
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登場デュエリスト:神楽坂:蘇る黒魔術デッキ 攻略 ※チェック・編集・50音待ち(確認後、これ削除) 合計40枚+00枚 上級??枚 下級??枚 ブラック・マジシャン×2 ホーリー・エルフ カオス・ソルジャー -開闢の使者- 混沌の黒魔術師 ブラック・マジシャン・ガール×2 異次元の女戦士 王立魔法図書館×2 熟練の黒魔術師×3 魔鏡導士リフレクト・バウンダー×2 魔導戦士 ブレイカー マシュマロン クリボー 聖なる魔術師 ワタポン 魔法14枚 大嵐 黒魔術のカーテン 賢者の宝石 サイクロン 地砕き 死者転生 団結の力 ディメンション・マジック×2 天使の施し 早すぎた埋葬 光と闇の洗礼 光の護封剣 ライトニング・ボルテックス 罠06枚 落とし穴 聖なるバリア-ミラーフォース- マジカルシルクハット マジシャンズ・サークル マジックアーム・シールド リビングデッドの呼び声 エクストラ00枚
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アンチゴーネ アンティゴネの別名。
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No.255 タイプ 属性 レア度 コスト 最大Lv HP 攻撃 回復 進化元 進化先 進化素材 ブラックアーマー 進化素材 - 2 - - - - - なし なし なし 編集 スキル なし リーダースキル なし 説明 闇の力を動力源とする、警備用の自律素体。主に屋内で運用される素体であり、眩しい場所では調子が悪くなる。闇属性の者が装着することで、闇の力を取り出すことが出来る。出現エリア:月曜ダンジョン モンスター図鑑に戻る コメント 名前
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トリックアート 産駒一覧 ステージ 馬名 競争成績 17S ピュラアート 共有入 18S ミールウィナー - 19S ミールトリック - 20S アートプライス -
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登録日:2020/07/01 Wed 22 33 51 更新日:2024/03/13 Wed 10 17 00NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 アンチゴーネ アンチスティッカー グロース星人 ジャンボーグA ツタンカーメン 侵略宇宙人 円谷怪獣 宇宙人 怪獣化光線 戦闘隊長 指揮官 森山周一郎 地球人よ…、我々グロース星人の戦いの合い言葉を教えてやる! 『殺せ!奪え!焼き尽くせ!』 よいか! 『殺せ!奪え!焼き尽くせ!』だ! 地球を我々のものにするのだ! 『ジャンボーグA』の第1話から第13話に登場した宇宙人。 出典:ジャンボーグA/円谷プロ/第1話「エメラルド星からの贈り物」/1973年1月17日放送 出典:ジャンボーグA/円谷プロ/第13話「よみがえれ今!ジャンボーグA-二大サイボーグ怪獣登場-」/1973年4月11日放送 身長:2.5~45m 体重:300kg~2万t 出身地:グロース星 別名:侵略宇宙人 声:森山周一郎 【概要】 地球から約15光年離れた、銀河系24星雲・グロース星から地球侵略にやって来た「グロース星人」の初代戦闘隊長。 後に地球にやって来るマッドゴーネやサタンゴーネと比べて体の装飾が少なく、目が大きく丸い見方によっては幼いようにも見える顔つきをしている。 しかし、性格は極めて残忍かつ悪質で、子どもの存在を激しく憎む。 地球人の子どもを愚かと嘲笑い、少年の連れていた子犬を怪獣に変えるなど通常の破壊活動に加えて精神的にもいたぶろうとする。 同時に、子どもが成長すれば自分たちにとって驚異になるとの考えも持っており、それ故に容赦なく殺そうとする。 後のマッドゴーネやサタンゴーネといった格上の指揮官にもない独自の特徴として、手に持つ杖のような武器「アンチスティッカー」から怪獣化光線を発射し、生物、無機物問わずサイボーグ怪獣に変貌させる事ができる。 この怪獣化光線で生み出された怪獣は、生物と機械の特性を併せ持つ「サイボーグ怪獣」で、元が生物でも無機物でも両方の特性を得るように改造されて誕生する。 怪獣化したものは基本的には元に戻す事は不可能だが、パンダのぬいぐるみが怪獣化したデスコングキングだけは元に戻る事ができたので、何らかの条件によっては可能なのかもしれない。 このアンチスティッカーは、通常の武器としても使用し、接近戦ではもちろん、破壊光線や消化剤を発射する事もできる。 基本的には宇宙船から指示を出しているが、怪獣を造り出す時などに度々外に出たり、病院を占拠して怪獣製造工場を造ろうとした時には、直接現場で指揮を執った。 作戦としては、原子力エネルギーセンターや核兵器庫、超兵器「スーパーロケット」の実験が行われるPAT宇宙航空所などの重要拠点を狙う傾向があるほか、後半はジャンボーグAを直接打倒するための作戦も見られるようになった。 外見や、続いて着任したマッドゴーネがサタンゴーネを自分より格上と言っている事から戦闘隊長の中では一番下っ端なのは確実だが、PATの隊長を二人も葬るという大きな戦果をあげている。 【活躍】 第1話で、宇宙船に乗って地球に襲来すると怪獣化光線でトカゲを怪獣「キングジャイグラス」に変え、ダムを破壊して東京を水浸しにしようとする。 その過程で、立花ナオキの兄でもあるPATの立花信也隊長を殺害。 その後、PATの目がダムに向いていると見て直接東京を襲撃するが、そこにエメラルド星人から贈られた巨大ロボット「ジャンボーグA」が登場し、キングジャイグラスは倒されてしまう。 すると、地底から姿を現して巨大化し、ジャンボーグAに宣戦布告を行い、姿を消す。 その後も、様々な怪獣を造り出しては送り込み地球を窮地に陥れ、PATが開発した超兵器「スーパーロケット」の破壊に成功するなどの戦果をあげるものの、ジャンボーグAやPATの活躍もあってことごとく失敗。 第12話で、大阪を占拠して前進基地にする作戦を立てると、ジャンボーグAの性能や戦闘力を徹底的に分析した上で造り出した怪獣「ゴールデンアーム」を送り込む。 ゴールデンアームは倒されるが、狙い通りジャンボーグAを燃料切れに追い込んで撤退させ、さらに後詰めとして怪獣「デッドファイヤー」を出現させて岸隊長を殺害する。 勝利を確信してデッドファイヤーと共に大阪の街を破壊して行くが、エメラルド星人から再びナオキがジャンボーグAを託されて登場すると、ついに決戦となる。 デッドファイヤーと共に攻撃するが、連携がうまく取れずにうまく攻撃できず、二対一にもかかわらず劣勢になってしまう。 それでも「ジャンサーベル」を落とさせて追い込むが、ジャンボーグAの放った「ハンティングフラッシャー」でデッドファイヤーが倒され、その隙を突かれて「ジャンサーベル」で腹を貫かれて口から緑色の体液を流して絶命した。 【アンチゴーネ配下の怪獣】 巨腕怪獣キングジャイグラス サーベル怪獣ルバンガーキング 毒煙怪獣チタンガー 巨大ロボットジャイアント・ロボット(ゼロ) パンダ怪獣デスコングキング 一つ目サイボーグモンスロボ 再生怪獣キングテットゴン 怪鳥グラスキング 宇宙蠍キングジンジャー サイボーグロボットフライトキング ドクロ怪獣ドクロスキング マント怪獣ゴールデンアーム 火炎怪獣デッドファイヤー 【その他】 デザインモチーフはツタンカーメンの仮面。 これまでの円谷作品に登場したヤプールやインベーダーよりも、さらに分かりやすい悪役としてデザインされている。 後任のマッドゴーネを「兄貴」と呼んでいたが米谷佳晃は自著で実の兄弟ではなく、いわゆる「兄貴分」の関係とのこと。 追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] キング大好きすぎる… -- 名無しさん (2020-07-01 23 55 47) ↑もっと増えるよ。あとチェーンも好きだよグロース星人。 -- 名無しさん (2020-07-02 00 08 08) 8体のキングwww -- 名無しさん (2020-07-02 00 21 47) 大阪決戦でタンクローリー特攻で火達磨になった怪獣を「今消してやる!」と消火してあげる上司の鑑。 -- 名無しさん (2020-07-02 18 28 05) そういえばPATの隊長二人も殺害してるの地味にすごいよねこいつ -- 名無しさん (2020-07-02 23 04 59)
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概要 キャプテンマーベルのライバル。 キャプテンマーベルと同じ呪文で変身し、同等の力を持ち、似た姿を持っている。「ヒーローに似た姿、似た能力を持ったライバル」の元祖(信憑性は高いがはっきりとはしない) キャラクター 初登場:Marvel Family#1(1945年12月) クリエイター:オットー・ビンダー、CCベック 中の人:テオ・アダム、テス・アダム シヴァナ子飼いの悪党であるテオ・アダムは魔法のスカラベを手に入れブラックアダムへと初変身するこのスカラベはテオの前世であるテス・アダムが悪に転じた際に導師シャザムが力を奪い封じ込めたもの 純粋に魔法的な力のスカラベなので別にブルービートルは関係ない その後、テオも魔法の呪文SHAZAMにて変身するようになる(初変身はスカラベを奪われると解けてしまった) その後、テオは魔法の呪文チョコレートエッグクリームで変身するようになる 参加チーム ブラックマーベルファミリー シークレットソサエティオブスーパーヴィランズ インジャスティスソサエティ ジャスティスソサエティオブアメリカ エピソード パワーオブザシャザム 妖魔ブレイズの誘惑によってテス・アダムが悪に転じていた事が発覚 テスは正気を取り戻し、キャプテンマーベルと和解した後に宇宙へと旅立つ事になる JSA 52 イシス、オシリス、セベクという家族を得て平和にカーンダクで生活を始めるアダム しかしシヴァナの策略によってセベクは裏切り、イシスとオシリスも奪われてしまう その後、世界を相手に大暴れし、JSAや十豪侠を打ち負かした後に ビリー少年によって変身呪文を強制的にSHAZAMから変化させられ元のアダムに戻される アダムに戻った後は変身呪文を探して様々な単語を呟きながら街中の雑踏へと消えていった ブラックアダム:ダークエイジ イシスを生き返らせる手段を求めてアダムが世界中をさまよう パワー 超人的スタミナ、怪力、頑丈さ、飛行など定番の能力を持つ また雷を自在に呼び出したり、フラッシュ(ジェイ)と同程度の速度で走ることも可能 また、SHAZAMについては Sは大気の神シュのスタミナ Hは天空の神ホルスの俊敏性 Aは太陽神アモンの怪力 Zは知恵と魔術の神ジェフティ(トート)の知識 Aは太陽神アトンの神通力 Mは太陽神の船を守護する神メヘンの勇気 テス・アダムがエジプトの王子だったので守護する神々もエジプトのものになっている 関係者 マーベルファミリー キャプテンマーベル メアリー・マーベル キャプテンマーベルJr Mrタゥキィ・タゥニィ ブラックマーベルファミリー イシス オシリス セベク Drシヴァナ
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十月十六日午前一時頃、ハイドパーク中央広場にて…… (…確か、西方に二二九七枚。東方に四〇〇五枚。南北に一二〇〇枚ずつ、だったか。力源は土。役は短剣。重ねて聖剣の役を複合、エーテルの素材を……えっと、どうするんだっけ? ………あーあ。こんな面倒臭い術式創らなきゃ良かった……) 時刻はすでに午前一時を回っていた。『実行』まで二時間を切り、クリスタル=アークライトは下準備の一環として人払いを刻んでいる。正直、真夜中の広場は人払いなどと言うややこしい術式を使わなくても人が寄ってくることは無いだろうが。 相も変わらずイギリス清教の修道女共(のはずだが、部下の報告ではローマ十字を首架けていたらしい)が自分の部下とドンパチやっているようだ。正直奴らがどんな事をしようと邪魔は出来ないだろうと彼女は確信しているが、それでも念には念を入れて、自身に配属された『人形』を全て足止めに回している。そのため、クリスタルはたった一人で術式の準備に取り掛かっている訳であった。 (実際、『禁竜召式』の××××で××××すれば人払い所じゃ無い大騒ぎになると思うけど、別に関係ないか。どうせ全部『終わる』んだし) そうこう考えている内、広場に施した“魔術師ですら簡単には探知出来ない改良型”の人払いが完成、起動する。見た目には全く変化は無いが、これでこの広場に近づく者が激減、及び居なくなるだろう。使用したカードの枚数は合計で一万枚以上。ほとんどのカードが広場の外周に沿うようにばら撒かれている。 クリスタルは一息吐いて、再び懐から信じられない量のカードを取り出す。 「……さて、と。面倒な下準備も終了した所だし、そろそろ本題に入るとするか。いい加減『把握報網(MasterNet)』にも感づかれた頃だろうし」 彼女は首を振り、真っ黒に轟々とざわめく林へと目を向ける。 「……まずは障害を消す所から始めるかな」 そう言うとクリスタルは人払いを施した広場を人一人残さず離れて、派手な爆発音を散らす部下の元へと歩を進めた。 日が出れば深緑となる林は僅かな星明りに照らされ、漆黒の数段上の不気味さを醸し出している。そして幾分かの人影が感じられるこの林では、 「……『斬』!!!」 ガッキィィィィィィン!! と言う甲高い音が鳴響いた。 ソフィアの持つ霊装と『対十字教黒魔術』の男の“腕“が激突した轟音である。 二回目の渾身の一撃すらもいとも簡単に止められて、ソフィアは後退しながら眉を顰めた。 男は無表情でこちらを見つめている。まるで完全に消えてしまったかのような風貌だが、その挙動には僅かばかりの余裕が感じられた。 「弱いな。邪魔をすると言うのなら、先ずその非力な玩具を如何にかすることだ」 男が初めてまともに言葉を発する。その声感には疲労と言う文字は全く噛み合わなかった。ソフィアは再び巨斧を構え直し、歯噛みする。 「……こっちの体力しか消耗してない……。まさか、対魔術絶対防御は事実だったってのか?」 「……まさかね。でも、ソフィアの断撃でノーダメージなんて尋常じゃないしなぁ。アガターはどう思う?」 カテリナに緊張感の無い口調で話を振られたアガターは表情を変えることなく平淡な声で質問に応えた。 「恐らくはその線で考えて間違いないと思います。防御術式や体硬術式にしては不自然すぎる防御力ですし、キヌハタの攻撃だけが通ったことを考えると、“魔術は”完全に無効化されてしまうようですね」 その発言に、男の眉がピクリと、ほんの少しだけ反応する。 そして、アガターのその意図の有る言葉に、あっ、と言うソフィアの声が鳴った。 それを見たカテリナはニヤリと笑い、企み声でソフィアに囁く。 「(魔術が完全に無効化されちゃうんだって。おっそろしいねぇ。“魔術が”全く効かないなんて)」 その言葉を聞いたソフィアは頷いたように身体を動かしてから、巨斧を構えなおして言葉を発する。 「……なるほどな。それはつまり、」 現在彼女が自身の霊装『バルディッシュ』に施しているのはギガンテスを原型とした一般的な武具強化術式である。霊装に直接魔力を練り込み、武器の強度、切度、軽量を限界まで高め、“やっとソフィアの身体能力に武器が付いて行けるようにしている”のだ。 そして、彼女はその武具を使用する近接戦闘に置いては、必要不可欠とされる基本的な強化術式を、 “解いた”。 術式を解いた際に『バルディッシュ』の纏っていた僅かな蒼光は蝋燭を吹き消すように消える。それを見た瞬間、男の表情に焦りと言う大きな変化が現れた。ソフィアは凶悪に微笑しながら、次言を紡いだ。 「つまり、魔術じゃなければ通じるって訳だな」 そしてそのまま、敵である男へと勢い良く突撃していく。巨斧を振り上げ、男を心底切断する気で殺しに掛る。そして、それに対して男は、 「ぐっ!!」 身体を捻り、振り上げられた『バルディッシュ』の斬撃を辛うじて避けきる。同時に“この男が初めて見せた回避行動”でもあった。 ザザザッ、と土を滑らせる音を立てながら、男は体勢を立て直したが、その額には気分を害した様な脂汗が滲んでいる。それを眺めながら、ソフィアはにやにやと奇妙な表情を浮かべながら、言い張るように叫んだ。 「なんだよ。お前、滅茶苦茶強いのかと思ってたのに、」 ソフィアは『バルディッシュ』を一直線に男へと向ける。「ここからだ」と言わんばかりに。 「喧嘩はすっげぇ弱いんだな」 ターン、ターンと、地面を叩く音が、幾つかの灯火の浮ぶ通りに鳴り響く。 ソフィアが反撃(?)を開始した頃、絹旗を加えた約七十人程の修道女達がハイドパークへ向けて歩を進めている最中だった。いや、それは歩を進めるというよりは『跳躍で進む』と言った方が正しい表現かもしれない。実際、彼女達は其々バラバラに、もとい“出来る限り密集しないように”地面を蹴りながら跳躍移動を続けている。 アニェーゼも多少の身体強化魔術によってそれを行っている状態だ。右手にしっかりと『蓮の杖』を握りながら、彼女は隣接して並走するルチアへ言葉を投げかける。 「ルチア、神裂さんとは連絡の取れる状態ですか?」 「先程、日本より音速の数倍でイギリスへ向かっているとの通信が有りました。正直、その真意は判りかねますが」 報告、ご苦労様です。とアニェーゼがルチアから視線を外した。『神の右席』云々で日本に飛んでいた神裂火織は『例の少年』に襲い掛かる『神の右席』を退け(むしろ助けられたらしいが)、現地に滞在する天草式の面々の回復魔術ですぐさま傷を完治して英国へ向かっているらしい。ここで聖人の協力を仰げれば、と期待はしたがそれはもう少し時間が掛りそうだ。 アニェーゼは何となく前方へ目をやった。道は相変わらず暗い。アニェーゼ他シスター達の発光魔術で夜道はどうにかしている物の、ここで攻められたら多少の被害は覚悟しなければと意気込む程“隠れ場所の多い”裏通りであった。 (もう少し速度を上げたほうが良いですかね?) 思ったが、ここで無闇に体力を消耗する必要は無い。急がば回れ、という諺を日本語を勉強していた時に聞いた気がする。 そんな中、前線より一歩下がった位置で『一人だけ走移動をしている』絹旗が目の前の光景を凝視しながら、首を傾げて考えていた。 (……今更ですけど、超目立つ集団ですね。只でさえ大人数で目に付く集団なのに、それを更に超横広がりに移動しながら灯りまで灯すなんて……) 絹旗が疑問を持つのも無理は無い。今現在、ごく普通の一般人がこの光景を目撃すれば「薄暗い通りで無数の人影と幾つもの灯火が移動している」と言う、日本で言えば百鬼夜行並のシュールな場面である。冷静に考えれば、その正体不明の団体に自然と混じってしまっている自分は凄く恥ずかしいのでは、と不安も湧き出てくる。 (こうゆう所が『科学』と全く違う法則の超表す事なんでしょうかね……) そもそも学園都市の『裏』では“六人以上の集団行動は死亡フラグ”とまで言われていた。学園都市自体が英国等に比べて面積が圧倒的に小さい事も有るのだが、物陰からの不意打ちは勿論、狭い町の割に射程の長い兵器や能力、挙句の果てには仲間に背中を刺される事もしばしばという学園都市と『外』とでは根本的な戦い方が違っているのだ。 (やっぱり、こっちの世界は超慣れる気がしませんね) 絹旗自身、そう簡単にこんなイレギュラーに慣れてしまうのもどうかとは思うが。 英国図書館内、重要書庫。その一角にて。 ズルッ、ドテ。というコントみたいな音が聞こえた。 「……何してんだ、アンタ」 シェリー=クロムウェルは心底呆れた表情で、眼前にすっ転んだオルソラをジト目で見つめた。そして、その行き成り何も無い所で行き倒れたオルソラは、頭を抱えながら「?」と言う表情で身体を起こし、転倒した際に落下した書物の束をかき集め始めた。。 「はぁ…。疲れが溜まっているせいでしょうか。さっきから足元が覚束ないのでございます」 シェリーは小さく溜息を吐いた。オルソラから「手伝って欲しいことがあります」という簡潔なメールを置け取ったシェリーは「暇だから手伝ってやるか」ぐらいの軽い気持ちで英国図書館へやって来た筈だった。だが、現実は“いつもの如く”ボケボケしたほんわかシスターの付き添い(及びお守)を行っている状態である。くそ、来なけりゃ良かった。 確かにオルソラはかれこれ五時間以上も調べ物に没頭している為、疲れを見せてもおかしくは無いのだが、シェリーはそれよりも気に掛ることがある。 「アンタの心配は兎も角としてだ……アンタの持ってるそれ、貴族の家系図じゃねえのか? すっ転んで床にバラ撒いていい物じゃ無いと思うわよ」 シェリーの言葉に、割と散らばっている重要書類の数々を拾い集めるオルソラの手がピタリと止まる。シェリーは「ま、いいならいいわよ」と自身の持つ書物の束を抱えなおした。 オルソラは半分硬直したような顔で、ギギギ、という効果音が似合いそうな仕草でシェリー=クロムウェルへと振り返った。 「い、今のは不可抗力の一環でございますから、わたくしは悪くありませ……い、いえ別にわたくしが責任転嫁している訳ではなく、あくまで事故ですからわたくしに集中的なお咎めが来ることは……」 「誰に弁解してんのよ。別に、その家系書自体には目立った損傷は無いみたいだし、そのまま黙ってりゃ特に何も言われないんじゃねえのか?」 「は、はぁ……そうでしょう……か?」 ほんと馬鹿だな、という本音を飲み込んで、シェリーは近場の木机に書物を降ろして、その机へ向かうように椅子を引き、座る。 シェリーはパラパラと運んできた書を捲りながら、未だに床に落した本束の回収に勤しむオルソラへと何気無しに質問した。 「で、私をこんな陰気臭い書物庫に呼び出しといて、何を調べればいいのよ。これ、古の召喚術の目次みてえな物だし、私には何の事だかサッパリなんだけど」 「……わたくしが今現在欲しているのは何てことない単なる『魔術の情報』でございますよ」 「だから、それが何だって聞いてるのよ」 書物を拾う手を止め、オルソラは少し黙ってから、ゆっくりと質問に答えた。 「『特士召喚術』……と言えば解って頂けると思います。それも『土と風の混合』術でございますよ」 その言葉を聞いた瞬間、シェリー=クロムウェルは押し黙った。そして、観覧していた書物をゆっくりと閉じてから、オルソラ=アクィナスを睨みつける。 「……アンタ、正気か?」 その尖った声に対し、オルソラはどこか寂しそうに、いつものひょうきんな印象とは丸で別人のように、俯き加減で呟くように言った。 「別にわたくしが使用するという訳ではございません。ルーンなどは使用した経験すら皆無ですし、加えてわたくしは『必要悪の教会』の神父様のような天才的なセンスは持ち合わせておりませんから、無闇に発動させた所で自身にダメージがいってしまうだけでございます」 「……『必要悪の教会』の神父……か。『魔女狩りの王(イノケンティウス)』ね。ハッ、確かにアレは一環の魔術師が使用すれば身体に壊滅的なダメージが及ぶ物だしね」 「ええ、ですからわたくしはそんな馬鹿な行いをする積もりはございません」 シェリーは再び鼻で笑って、再び同じようにオルソラを睨みつける。 「……なるほど。じゃあ、なんで態々『土を風の混合特士召喚』なんて調べる必要があるのよ。そもそも、“特士召喚に混合魔術は存在しない筈だが”」 「……そうですね。あまり知られてはいないと思われますから」 オルソラは薄汚れた天井を見上げ、何かを悟るように呟いた。 「そう、誰も覚えてなどいないでしょう。クリスタルという一人の少女のことなど」 オルソラはアニェーゼへ言った言葉を思い出す。 『彼女の情報はこの程度しか発見できませんでした』と、そう言った気がする。 仲間に嘘を吐いた反動は思った以上に苦しいものですね、とオルソラは独り思った。 情報なんて、本当は腐るほど持っているのに。 ≪行間≫ 母は優しかった。 父は厳しかった。 兄は面倒臭がりだった。 妹は明るい娘だった。 クリスタル=アークライトにとってその家族が人生の全てと言っても良かった。自分が騎士の家系だと言うことを踏まえても、だ。 八歳ぐらいの頃から、一家で一番才能の在った彼女は父や使用人から魔術を教わるようになった。その頃のクリスタルには原理や方程式も全く理解できない物ばかりだったが、教わった通りにやったら思った以上に簡単で出来た事を覚えている。 緑色のカードをばら撒いたら、土が盛り上がって巨人が生まれた。 黄色のカードをばら撒いたら、空気が圧縮されるように集まって見えない鳥が生まれた。 そしてその二つを同時にばら撒いたら…… 彼女は沢山の魔術を習った。その主はルーンを使った召喚術や遠距離魔術だったが、それを教える度に父がこんな事を言っていた。 『魔術は人に向ける物では無い。向けられた人を庇う物だ』、と。 彼女はそれを忠実に守り通し、学校などの野外では一切、魔術の行使をしなかった。と言うよりは、学校では友達も少なくなかったし、特に危ない目に遭う事も無かった為、“使う機会が無い”と言ったほうが正しいかも知れないが。 とりあえず、彼女は幸せだった。もちろん嫌なことも有ったが、家族や友人のお陰でひねくれることも無く、彼女はあっという間に一五歳の誕生日を迎えた。 毎年のように行われるアークライト家伝統の盛大な誕生会。その楽しい時間はいつもの様に変わらず進んでいくと思っていたが、 その日、アークライト家は壊滅した。 それは騎士派の仕業だと後から聞いた。その昔、『魔女狩り』を否定したアークライト家の人間を発端に自分の家系が鬱陶しく思われているのは知っていたが、まさか誕生会の夜に奇襲を掛けてくるなど、当主である父でも予想は出来なかっただろう。 騎士派の連中は一家で一番才のあるクリスタルを狙っていたようだが、彼女が終始隠れていたこともあり、騎士達は勝手に逃亡したと勘違いして焼き払われた屋敷を後にして走り去っていった。 母は背中をメッタ刺しにされていた。 父は首を落とされていた。 兄は心の臓を貫かれていた。 妹は年齢のこともあり命は助かったようだが、その姿は無かった。 そして、自分はただ震えていた。 周囲から天才とまで言われ、実質的には父よりも魔術の腕では勝っていたと思う。それでも父は反撃して倒れ、自分は逃げ隠れて助かった。 家族がなんで殺されなければならないのかは知らない。解らない。でもどう見ても死んでいた。なんど見ても。 それをしっかりと目に焼き付けて確認してから彼女は汚く焼かれた屋敷の一角から上を向いた。光を失った目で、腹が立つ程綺麗な星空を見上げて、ただ呆然と呟いた。 『ナンデ ワタシダケ コンナ目ニ 遭ワナクチャ イケナイノ?』 その問いに応える人間など居るはずがない。 九月一三日、金曜日。彼女の人生を強引に捻じ曲げる出来事だった。 〔十月十六日午前一時二四分現在。戦況報告。〕記入者=ルチア 題;『対十字教黒魔術(アンチゴットブラックアート)』討伐任務。 目的(ターゲット);英国支部の首謀者と思われる女性。 名;クリスタル=アークライト(真偽不明) 重要度;SS ======================================== 「戦況報告」 『迎撃』、第一班。アニェーゼ班は『能力者』絹旗最愛の援助により戦闘を終了。『遠爆』と合流、のちソフィア班とも合流予定。 『迎撃』、第二班。ソフィア班は現在『対十字教黒魔術』との戦闘を継続中。 『遠爆』、第一班。アニェーゼ班と合流。 『遠爆』、第二班。単独移動中。 『遠爆』、第三班。ソフィア班との合流を果たすため、現在移動中。 『術発』、第一班。ソフィア班との合流を果たすため、現在移動中。 『術発』、第二班。アニェーゼ班との合流を果たすため、現在移動中。 『術発』、第三班。単独移動中。 『通信』、第一班。『把握報網(MasterNet)』の管理及び監視継続中。 『通信』、第二班。『把握報網(MasterNet)』の管理及び監視継続中。 『雑補』、全班。待機中。 尚、上記の行動は外部諜報として協力を仰いだオルソラ=アクィナスによる英国図書館からの情報を元に行うものとする。 ========================================