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ウザいオリキャラ注意 善良な固体が酷い目に会います ゆっくりの性描写があります ぺにまむ注意 やぁ、ぼくは実験好きなお兄さん! 何で何の実験するのか、って? そりゃぁ決まってるじゃないか。 ゆっくりを用いたゆっくりの実験だよ。 と言っても何処かの竹林で行なわれてるようなお金のかかった凝った研究はできないけどね。 けどもシンプルだって捨てたもんじゃない。 シンプルイズベストと言う言葉があるように資金や特別な施設、機具がなくてもできるものさ。 …………手間隙は惜しまないけどね! さて、今回する実験は、『ゆっくりの遺伝について』だ! 特に性質に関するものを試そうと思う。 赤ゆっくりは両親の餡子を受け継いで産まれるために親の性質の引継ぎ率が高い。 人間の中ではとんびが鷹を産むなんて言葉もあるけど、ゆっくりではあまり聞かない言葉だね。 まぁ、人間の方も遺伝子学を真面目に語れば、とんびが鷹を産むも遺伝子の中に秘められていたものが発現しただけなんだけどね。 閑話休題。 ゆっくりの性質の遺伝で解りやすいのは、知能の高さ、性格の二つだ。 例えば、ぱちゅりー種から産まれたゆっくりは別種であってもぱちゅりー種の知能の高さに影響されて賢くなることがあるらしい。 尤ももう片方の親の影響を受けて体力が少々上がり知能が下がったぱちゅりーと言う使えないタイプもあるらしいけどね。 一つの性質に着目したのだとゲスの遺伝なんてのがあるね。 親のどっちかがゲスだと子どもはゲスが多いってのは良く聞く。 これは育成家庭でゲスは影響を与えやすいというのもあるだろうけどね。 あと親が何かのきっかけでゲス化するというケースだとゲスの資質を持ってると子にも脈々と因子が引き継がれるのか。 なんて研究テーマもあったりするくらいだ。 さてさて。 今回ぼくが試したいと思うのはレイパーありすに関してだ。 ゲスの遺伝はゆっくりの種類を問わないが、レイパーありす特有のレイプ気質を持った他種のゆっくりと言うのは聞いたことがない。 正確には改造などの人為的な処置を施されてない状態でのかな。 ありす種がレイパーの資質を受け継ぐのは非常に高く、レイパーの親から生まれた赤ありすは高い性欲を持ち、 発情しやすいので、振動でも与えてやると直ぐにレイパー化することが多い。 しかし、自然界であれだけ好き勝手暴れて子どももあちこちに散乱させてるのに 他種の場合でレイパーの性質を受け継いだと言うのは、前述した通り確認されてないのに不思議を覚えないかい? このレイパー遺伝は、ありす種にしか受け継がれない特有のものなのか。 それとも受け継いでも他種では発現しない因子なのか。 まぁ、レイパーありすが産ませた子どもは殆どまともに育てられず死んでしまうからなのかもしれない。 そこで人為的に何度も交配を重ねてみようと思い立った。 これならレイパーが産ませた子どもも育つし、その子どもを更にレイパーありすと掛け合わせ続けるのだ。 果たしてありす種以外のレイパーゆっくりは完成するのか? その問題に挑んでみたい。 まずそこらでレイパーありすを含めて適当にゆっくりを捕まえてくる。 森の中で 「とかいはなであいをさがすのよ!」 とか 「きょうもどこかでわたしのあいをまってるまりさのところにいくのよ!」 とか 「わたしはれいむがいいわ!」 とかありす種にしては変わった好みを持ったのもいた。 レイパーありすは探すのは大変なのだが、一度見つけると芋づる式だから見つけるまでが大変で後は楽だ。 知的な仮面を被ってひっそりとステルスしてるのもいるけど、大半は危険性をゆっくりに危惧され群れなどからあぶれる。 そしてより効率的にすっきるするためにあぶれたレイパーありす同士は徒党を組むことが多いんだよ。 そういった意味で今回直ぐに見つかったのは運がいいね。 頭の中がすっきりでいっぱいなこいつらを有無を言わさず麻袋に放り込もう! 幸先がいいね! 「とかいはなありすになにをするの!」 「いなかものなおじさんね!」 「だしなさい! くいーんありすになるわたしにこんなことしていいとおもってるの!?」 なんて口々に叫んでるが気にしない気にしない。 あとで好きなだけすっきりさせ続けてやるんだから有り難く思ってほしいね。 さて次は普通のゆっくりだ。 こっちは捕まえるのは簡単。 あいつらの巣は体型のせいで入り口が目立ちやすくカモフラージュしても不自然さが直ぐにわかる。 そして木の根元や段差など、そう言った場所に巣を作る。 モグラのように何処だろうが真っ直ぐに下に巣を掘ることはゆっくりはしない。 まぁ、雨で死んじゃうしね。 というわけでその辺にある不自然な草や木の集まりをかき回せば簡単に捕まえれるのだ。 さっそくこの目の前にあるあやしいのをどけてみよう。 ほらほら、異変に気づいて巣の入り口に一匹のゆっくりが顔を出してきたよ。 「ゆ! ここはまりさのゆっくりプレイスだよ! にんげんさんはでていってね!」 ほら、もう見つかった。 しかも成体のまりさ種だ。 どうやら巣の奥行きもここから見える程度、まだ番を見つける前の一人身だね。 実験に使うのに丁度いい。 それにありす種はまりさ種を本能で好む。 抜群だ。 さっきれいむを好むのもいたけど……。 レイパーありすと同じ袋に入れて実験前にすっきり殺されちゃかなわないから別の麻袋に放り込んでおくことにしよう。 「はなして! はなして! まりさはなにもわるいことしてないよ!」 あまり暴言がないね。 性格のいい固体なのかもしれない。 まぁ、気にせずこいつも麻袋へGOだ。 今日のところはこのまりさだけで十分だろう。 レイパーありすを捕まえるのは運に左右されるけど、そこらの野良なら別に何時だって捕まえれる。 いちいちキープしてたら保管場所も管理も必要で面倒だしね。 じゃ、素材も集ったし、さっそく実験に移るためにも家に帰ろうか! 家に着いたらまずレイパーありす達とまりさを麻袋からだし、それぞれをゆっくりご用達の透明な箱に入れて隔離する。 途中五月蝿い声が聞こえるが耳栓をすればOKだ。 では、いよいよ実験の手順に入ろう! まず箱の中から一匹のレイパーありすを取り出す。 「ゆ! なかなかみどころのあるおうちね! ありすのゆっくりぷれいすにしてあげてもよくてよ!」 耳栓をしてるのに何を言ってるか理解できるようになってきたら君も立派なゆっくりの一人者だ。 取り出したレイパーありすを火で熱したフライパンの上に乗せ、底部を焼き付ける。 「ゆ゛ぎゃああ゛ああ゛あがあああ゛あぁあ゛あがあ゛ああぁぁ゛ぁああ゛あぁあ゛!!!!!」 このありすは母体用に使用するつもりだ。 レイパーありすのすっきりにかける力は物凄い。 いちいちすっきるさせるたび、こいつを拘束するのも面倒だしね。 どうせ餌がきっちりあげるんだし、底部を焼き尽くし動き回れないようにすると楽だ。 丹念に丹念にまむまむの部分は焼かないように気をつけながらじっくりと黒焦げにするために炒める。 「あ゛づぃいい゛いい゛いいぃうあぃいいい!!! あ゛あ゛あ゛あああ゛りずのあでぃがあぁぁ゛ぁああ゛ああ゛あ!!!!」 口から舌をだし、すさまじい涎を垂らしながら目からは涙と取れる不気味な液体が溢れ出てる。 身体全体からはなんだか嫌な汁も出てる。 いつやっても底部を焼き付けるのは不快になるね。 あとでフライパンも手も綺麗に洗わなくちゃ。 「ゆぐっ……ゆっ、ゆっ、ゆっ……ゆっ、ゆっ……」 こうして処置が終わる頃には焼かれる激痛で大抵のゆっくりは意識を失ってしまう。 このレイパーありすも例に漏れず気を失ったね。 まぁ、こっちの方が次の作業に都合がいい。 次はこのありすの外見を整えてやる。 なんのためにだって? そりゃ勿論襲わせるゆっくりが一目見て気にいるように綺麗にしてやるのさ。 そのためにも醜い焼け跡である底部の処置をまずしよう。 ありす種は自分の美しさとかを最も気にする種だ。 焼け跡が残ってたら精神状態が悪化するかもしれないしね。 まず水で溶いて練った小麦粉で底部の焦げ跡を覆い尽くす。 そうやって作業を続ければ見た目は何も変わりない状態に戻る。 ま、足が焼かれてるから永遠に動けないけどね。 気絶してる間に体力回復と貼り付けた小麦粉の一体化のために再生を促させるオレンジジュースをかける。 そうしたら次はカスタードクリームを注射して、栄養状態の強化を図る。 ゆっくりにとっての魅力は栄養状態の良さも評価の一つらしいからね。 注射器を後頭部に刺した時、一瞬びくっと震えたけど気にせずぶちゅーっとカスタードクリームを挿入。 「ゆっ! ゆっ! ゆっ! ゆっ!」 挿入に応じて びくっ!! びくっ!! びくっ!! と震えてるけどきちんと計算した分量のカスタードクリームだ。 体内に無理矢理挿入される痛みを無意識下で感じてるだけだろう。 大丈夫、これが終わればお前は美ゆっくりに成れるんだ。 最後はお湯で髪を洗い、飾りを磨き上げて綺麗に光るくらいにしてやり、身体の汚れを拭き落としてやる。 これで母体用のレイパーありすの完成だ。 完成したありすを箱の中に入れると小部屋へと向かい、そこに置いてやる。 さぁ、今度はまりさの出番だ。 透明な箱から震えてるまりさを出してやり耳栓を外す。 「おにいさん、まりさにひどいことするの?」 「いやいや、君に素敵なプレゼントをあげたいんだ」 「ゆっ! おにいさんほんとう?」 「あぁ、そうだとも。君もきっと喜ぶはずだよ」 そう言いながらまりさを抱かかえて、例のありすを置いてきた小部屋へと向かう。 勿論、目的は今からこのまりさを発情させ、ありすをにんっしんっさせるためだ。 「ゆー。とてもひろいおうちだね!」 「ま、まりさぁあ!?」 体力を回復させたのもあって箱の中のありすはもう目が覚めていたみたいだ。 部屋に入ってきたぼくに抱かかえられたまりさを見るとはぁはぁとした息遣いでまりさを凝視してる。 「ゆっ! すごい! まりさこんなきれいなゆっくりみたことないよ!」 「とかいはのみりょくがわかるなんてさすがわたしのまりさね!」 まりさの方もありすに気づいたようだ。 手入れしただけあって美ゆっくりと取ってくれた。 努力した甲斐があったね。 しかし、ありすの方は箱に入れられ底部も焼かれて身動きできないのを忘れてるようだ。 ただひたすらまりさへの性欲だけで意識が支配されてるみたいだね。 「あれがまりさへのプレゼントだよ」 「ゆっ? おにいさんどういうこと?」 発情させるために抱えていたまりさを揺すろう。 「ほーら、ぶるぶるさせるぞー」 「ゆっ、ゆっ、ゆっ!? おにいさんやめて!」 ありす種ならこのくらいの振動で発情するのにしぶといね。 それともこのまりさがそれだけ理知的な個体だったってことかな? まぁ、人間だって望まない状態だと中々無理だしね。 よーし、ならパワーアップだ! ぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶん。 シェイクシェイクシェイクシェイク。 ちょっとノリノリ。 「ゆゆゆゆゆっ、ゆゆゆっ、ゆゆゆゆゆゆゆっ、ゆゆゆゆゆゆっ!!!!!」 いい感じにまりさの顔が紅潮してきた。 アヘ顔で涎を垂らしはじめ、まるでレイパーありすの戦闘状態 ……ちょっとやりすぎたかもしれない。 達しては困るのでここで振動を止めておこう。 「な゛んでやべる゛のおお゛おおお゛おおぉ゛お゛おお゛おぉおおぉおお!!!!! ずっぎりざぜてぇぇ゛ぇぇぇ゛え゛ええ゛えぇ゛ぇぇ゛ぇぇえ゛!!!!」 まさに臨戦態勢! これならいける! 「ほら、まりさ、綺麗なありすがいるぞ!」 戦闘準備OKなまりさの前にありすを箱から出して置いてやる。 「までぃざああぁぁああああぁぁぁぁあ!!!! いっしょにすっきりしましょおおおおおおおお!!!!」 さすがレイパーありす。 まりさの喘ぎ声を聞いていて既にこっちも臨戦態勢だ。 でもすっきりさせられるのはありすの方なんだけどね。 そのために足焼いたんだし。 「あでぃすうう!!! きれいなあでぃすすきだよおお゛おおぉぉお゛おお!!!! までぃさもあでぃすとすっきりしたいよおおぉ゛おおお゛おぉっぉおおぉ!!! んほおおおおぉぉおぉぉおおおぉぉおおおぉおおおおお!!!!!」 まりさがありすに向かって飛びかかった。 動けないありすはまりさに飛び掛られてなすがままだ。 うーん、しかし何時聞いても嫌な音だ。 行為が終わるまで耳栓をしていよう。 「いままり゛ざがすっきりさせてあげるか゛らねええぇぇ゛ぇえ゛えぇ゛ぇぇ゛ぇぇぇえ゛ええ゛え!!!!」 「やめでええ゛え゛ええぇぇええぇええ゛えええ゛ぇえ゛ええぇ゛ぇぇぇ゛ええ!!!!! ありすがまり゛さをすっきりせてあげだいのよぉぉぉ゛ぉぉお゛おお゛ぉぉ゛ぉ!!!!」 「だいじょうぶだよ゛!!! まりさのぺにぺにでちゃんとありすも゛すっきりさせてあげるよおお゛おぉおお゛おぉおお゛おお゛ぉお゛ぉ!!!!」 「いやぁああぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「「んほぉぉぉぉおおおおぉぉぉぉおおおぉおぉぉぉぉ!!!!」」 聞こえないとはいえ、ぐちゃぐちゃなんか飛び散る様子は相変わらずおぞましい行為だなぁとしみじみと思うよ。 「「すっきりー!!」 お。動かしてた体が止まってすっきりした顔つきを上へ向けたね。 同時にありすの方から蔦がにょきにょきと生えてきた。 どうやら終わったみたいだ。 「ありすぅぅう゛う゛!!! もうい゛っかい゛しようう゛うぉおお゛ぉおお゛お゛お!!!!」 「もういやあぁ゛ぁぁぁ゛ああ゛あ゛ああ゛あぁ゛ぁぁぁぁ゛ああ゛あ゛あ!!!!」 うーん、ちょっと揺らしすぎたかな。 なんかまりさの方はまた身体を擦り付け始めてるし。 母体を犯し殺されちゃ困るから、ここらで止めておこう。 「ゆべっ!」 軽く気絶させる程度にまりさを蹴り飛ばす。 壁にぶつかった時に口から少し餡子を出したみたいだけど、まぁあのくらいなら問題ないね。 ありすの方はカスタードクリームをまた注射しておく。 失った分のカスタードを補充させておかないとね。 「ゆぎいい゛ぃい゛いいぃぃい゛いぃ゛いい゛いい゛い!!!!」 なんか顔が物凄い。さっきは気絶させてたから良かったなぁ。 注射し終えたら箱の中にありすを戻しておく。 これで次の実験の間、餌は上げなくても何とかなるだろう。 さて、次はこのまりさに母体になってもらおう。 母体となった方の餡子を多く吸い上げることから、母体となった親の影響を受けやすいときがあるのは前述したね。 ありす母体を続けていく家系とまりさ母体を続けていく家系の二種類を用意してみようと思う。 前者はありすの性質を受け継ぎやすく、後者はまりさの性質を受け継ぎやすい。 果たしてどちらが先にレイパーまりさとなるのか。 前者のような気もするけどね。 実の形が判別つくようになったらありす種は生まれ落ちる前に切除しておく。 欲しいのはまりさ種だけだからね。 そして二匹が産んだまりさ種が育ったら、まりさ母体のまりさ種をレイパーありす一匹と掛け合わせ母体にする。 その後、同じレイパーありすの底部を焼き、今回の実験と同じようにありす母体のまりさ種と掛け合わせ母体となってもらう。 そして産まれたまりさ種が育てば、また別のレイパーありす一匹と掛け合わせる。 一度交配を重ねて子育てをさせた後のゆっくりにはもう用はない。 有り難く、そのゆっくりにとっての孫の餌になって貰おう。 経費節約だね。 あと近親相姦を重ねすぎるとそれによる変り種が生まれてしまうことがあるからね。 それでレイパーまりさができても近親相姦による変り種なのか解らない。 実験の主旨のために近親相姦による奇形もとい変り種は省かせてもらおう。 それと世代交代を早めるためでもあるね。 そうやって次々とサイクルの早い世代を重ねて、理論上レイパーの遺伝子をまりさ種の中で濃くしていくのだ。 レイパーまりさができることを祈って。 無駄にならないといいね! 続くかもしれない。 書いたもの 等価交換 ゲスを愛でる者 このSSに感想を付ける
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~ フランス某所・アムステラ軍基地 食堂 ~ この日は非番だったザイード。朝食を摂った後「さて何をしようか」と思案しかけた瞬間。背筋に悪寒が走った。 その悪寒の原因はたった今、視界の隅に入って来たカエデの姿。満面の笑みを浮かべてこちらへ向かって来ている。 「おぉ、居た居た。ザイードお主、確か今日は非番じゃろ? つまり暇じゃろ? 暇じゃろ?」 「ンな繰り返し言わんでも暇ですぜ。・・・んで、格納庫と店長のトコ、どっちが先ですかい?」 「心得ておるのぉ! まずは格納庫じゃ。ささっ、早よ早よ」 微苦笑を浮かべたザイードは、カエデに促されるまま徐(おもむろ)に腰を上げた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~ フランス某所・アムステラ軍基地 格納庫 ~ 格納庫には先客が居た。黒毛の犬獣人・ライゴウ。ザイード専用機の脇で何やら首を捻っている。 その乗機の名は『ウルトラ・スクラッチ 斬空一式改・恐沙(きょうしゃ) カエデ・エディション』 くっそ長い名前なので以降は『恐沙』と呼ぶが、作成時点では斬空一式をベースに三式を混ぜて改造した混成試作機であった。 「おー、遅いでござるよ」「いや済まんの。ザイードを見つけるのにチト手間取ったのじゃ」 「ライゴウ? お前さんも呼ばれてたのか?」 何故、ここにライゴウが居るのかと首を傾げたザイードに、その答えを返すライゴウ。 「いや、拙者の『荒光』が入荷したそうだから、後で店長の所へ同道する予定でござるよ」 「それと斥力機動や所作連動式操作の基礎を軽く教える件もあるし」 「・・・はいっ? 何でそんな操作…あ"ーっ。何となく、分ったぜ」 恐沙の腕辺りを眺めてるライゴウと、ニコニコしてるカエデを見てザイードは全てを悟った。 「先の闘いでガラクタになった荒光を廃棄処分にするのも忍びなくてのぉ。恐沙の改良素材に使わせて貰ったのじゃ」 「あの斥力機動と所作連動式操作を用いれば、恐沙の回避性能も格段に向上する事、請け合いじゃからな」 「この恐沙の新機能を使いこなしたら、遠慮なく我に感謝を捧げるが良いぞ。現物、例えばお菓子でもうぇるかむじゃ」 「我が愛機がこういう形で延命するとは想像もしてなかったでござるよ。後はザイード殿に操作法を伝えれば良いでござるな!」 「所作連動は腕だけだから、全身連動よりは楽でござろう。斥力操作には少々コツが要るでござるがな」 「ハ、ハハ・・・お手柔らかに頼むぜオイ」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~ 衛星軌道上・アムステラ軍宇宙基地 補給物資倉庫 ~ 「・・・見ての通り。犬の兄ちゃんの機体を始め、注文の品は一通り揃ったから確認して貰おうかな」 巨躯の蜥蜴男がブフォッと鼻嵐を吹き出しつつ、得意げな口調で三人に語り掛ける。 「それから丁度、カエデ様が目を付けそうな装備が入荷したのでね。幾らかは取り置いてますぞ」 「おっ、気が利くのぉ店長。幸い、未だお小遣い(オーデッド隊の備品購入予算)には余裕があるから心配無用じゃ!」 コモド店長の案内で、倉庫の一角にあるコンテナに向かう一行。 「装備ってのは初期型の雲殻に搭載されてた『護鬼』だが、お前さん方は知ってるかね?」 「はて? 少なくとも、宇宙軍に居た頃に聞いた覚えは無いでござるな」 「そりゃま、主に大気圏内で使う多機能チャフだからなアレ。お前さんが知らネェのはしゃーないだろ」 「アレかぁ・・・いや、性能は認めるのじゃよ。じゃがアレかぁ・・・心臓に悪いから、予め聞いてて良かったのぉ」 コンテナの側壁扉を開いて照明を点けると、中には茶色い塊が所狭しと詰められて居た。 赤ん坊の腕ほどの大きさの、甲虫の様な形状をしたその代物が、多用途チャフ『護鬼』である。 妨害電波の発信から、誘導ミサイルの攪乱、対レーザー兵器防御まで多種多様な用途に対応した万能装備。 「こいつは多機能の割には使い易い。ただ、使い方の関係で消耗品に近いからな。費用対効果が悪いのが欠点だ」 「それと嵩張るから、収納に余裕がある機体じゃなきゃ組み込めんのも難儀だな」 「それとほぼ使い捨て前提なだけに、カスタム機で使うならともかく量産機の標準装備にするには少々お値段が張り過ぎる」 「だから、ただでさえ雷殻や雲殻は少々の攻撃には素で耐えるのに、護鬼なんぞ要らんだろう?って話もあるんだ」 「うむ。事情は分かるぞよ。しかしコレは・・・ま、良いじゃろ。組み込めるのは恐沙ぐらいじゃけどな」 「あ、カエデ様? 先日のアーマードなんちゃら絢雨なら…」「…組まん! あの仕様は暫くお蔵入りにするのじゃ!」 「いや、別に俺は構わんですが。でもそんなに嫌ですかねぇ? たかがゴキ…」「…その名を呼ぶでないっ!」 「見た目があんまり良くないのは、まぁ分からんでも無いでござるがな」 「・・・しっかし皆、何でそんなに嫌うのかねぇ? ちょっと旨そうじゃないか?」 「「「・・・ハァッ?」」」 「いや、見た目が揚げコオロギに似てるからな。アンタらだって干し魚も食ってるんだし、似た様なモンだと思うが?」 「いや~。流石にそれは無いでござる・・・」 「そーいやそうか。種族的にはそういう見方もあるのか・・・」 「店長。悪いがその件に関しては理解出来んし、したくも無いのぉ・・・」 げんなりした顔で護鬼の話題を締め括ったカエデが、フト何かに気付いた顔になって話を変える。 「ところで店長? そういえば他にも雷殻のパーツを結構仕入れておるみたいじゃのぉ?」 「・・・我の見立てでは、あっちのは脚部ユニットじゃな。じゃが、あれはそう多用されておらん筈じゃろ?」 「流石、カエデ様。近々、雷殻をベースにした試作機の戦闘テストが数か所で行われる予定でしてね」 「その基本パーツを仕入れる流れで、護鬼も仕入れてたって訳でさぁ」 「そうそう。そちらの近所でも実戦での戦闘テストを行うそうなんで、それに便乗するなら口入れしますがね?」 「ふむ! うちの隊はしばらく足場固めじゃし、数日くらいは良いじゃろ。試験運用が出来るなら望む処じゃ!」 「ザイード、お主も構わんじゃろう?」 「そりゃま、恐沙の扱いにも慣れとかんと厄介ですからねぇ」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~ 数日後。東欧方面アムステラ軍基地 会議室 ~ 数名ずつの小集団がぞろぞろと会議室に入室し、円卓を囲んで適当な席に座ってゆく。 だが、そこには初対面の集団同士もある様だ。 まずはこの中で最も違和感のある面子。この基地内で最年少であろう少女と、倦怠感を漂わせた中年男のコンビ。 無論、それはオーデッド隊のカエデ・モミジとザイードである。 「・・・オイ? あそこのちびっ子はどっから紛れ込んだ? クレイオ、まさかお前。ニコニコハウスから連れて来たのか?」 「ンな訳が無かろうなのだ! 第一、彼女は軍服を着とるじゃろうが!」 「あぁ。あちらはオーデッド隊の技術士官、カエデ・モミジ殿ですよ」 大柄な若者の囁きに、修道女風な服装の少女が激しくツッコミを入れる。それを取りなす様に解説する柔和な物腰の若者。 彼らはアムステラ国教騎士団・クレイオ隊のシアンとクレイオ。 そして白盾騎士団のアレス・ヘルストロームである。 「テストパイロットがどうとかって話だと聞いたが、どういう取り合わせなんだこりゃあ?」 「その疑問には同感だが、会議室の中にまで食い物を持ち込むな!」 持参した唐揚げを頬張りながら辺りを見回してる肥満体の黒人と、苦々し気な顔をしてそれを咎める眼光鋭い男。 「何でも、実験機は雷殻がベースの機体だとか聞きましたが?」 「その様だな。格闘仕様だそうだから、何かの参考になるかもしれない」 資料を見ながら生真面目な顔で発言する若者と、同じく生真面目に返答する妙齢の女性。 こちらはアムステラ国教騎士団・竜騎兵隊の面々。 、手練れの古参兵フランチェスコ、副官のマッシーモ、若手のアキナケス、そして隊長のアミ・ナベシマ。 「皆、揃った様だな。それでは今回のテスト戦闘の概要を説明しよう」 静かに響く声でそう告げた男。彼の名を知る者は誰も居ない。 人はただ『影狼隊隊長』という呼称を知るのみである。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~ 会議室・会議進行中 ~ 「要するに、その『雷迅』と『封刃』という大型操兵の稼働・戦闘実験が目的なのだな」 「慣熟訓練の後、地球側の小部隊を対象に実際に戦闘を行って実戦でのデータ収集をする、と」 「それで、我々にその実験機のテストパイロットをやらないか?と持ち掛けた訳か」 まずはアミが今回のテスト概要を確認。 「あ。こっちはこのテストに便乗する形で『恐沙』の実戦運用テストをさせて貰うんで、どーぞ宜しく」 と、ザイードが実戦テスト内容に補足を入れる。 「テストパイロットの件は、アミ隊長は隊長だから論外として。フランチェスコ、お前も駄目だ」 「アァッ? いきなりダメ出しかよ!」 「その雷迅や封刃の機体概要を良く読んでみろ。お前ではダイエットしないと無理だ」 マッシーモは冷ややかな眼で、フランチェスコの肥満した腹を見つめつつ言い放った。 「それなら、私にやらせて下さい!」 アキナケスのこの言葉を聞いて、アミはマッシーモを一瞥。 彼が静かに頷き返したのを見て、アミはアキナケスの志願を了承した。 「ふーん。何だか面白そうな操兵じゃないか。おっ、戦闘相手のデータもあるのか・・・んっ?」 「どうしたのじゃ? シアン」 「いや、こいつらの機体には見覚えがあるな・・・って、やっぱりそうだ。以前、こいつらと軽く戦った事があるぜ」 戦闘対象予定の地球側機体を見ていたシアンが、その機体の肩を指差す。 そこに描かれていたのは『赤い蛇のエンブレム』であり、他の機体にも同様の紋章が入っていた。 主に6型と呼ばれる機動マシンで構成された部隊だが、その武装は多様である。 「彼らは『レッドスネーク隊』という手練れの傭兵部隊だ」 「とはいえ、無理をしなければ交戦から退却までの過程に支障はあるまい。多分、な」 そこに影狼隊隊長の補足説明が入る。 「よし、じゃあ俺…」「私に雷迅を使わせて貰えますか?」 シアンの科白を遮ってアレスが発言する。 それに反駁しようとしたシアンだが、真剣な表情をしたアレスの横顔を見て、肩を竦めて口を閉じる。 「・・・ふむ。アレス君の操縦ならば模範的な戦闘データが取れそうだ」 「シアン君も優秀なのは認めるが、少々癖が強い戦い方だからな」 影狼隊隊長はアレスの発言に賛意を示してから、軽く苦笑いを浮かべて話を続ける。 「いや。他にも数ヶ所の地域でテストを実施してるのだが、中には独自の戦法を使うテストパイロットも居てね」 「彼の戦闘データ自体も参考にはなるが、あの戦法はほぼ彼専用と言わざるを得ないからな・・・」 「ハッ!『ほぼ』か?」「…あぁ。『ほぼ』だ。とはいえアレを汎用化するのには、かなり手間が掛かるだろうな」 間髪入れず放たれたシアンの指摘に、ニヤリと笑って影狼隊隊長は言を返す。 「それではアレス君に雷迅の、アキナケス君には封刃のテストパイロットをお願いしよう」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~ 機体スペック解説 ~ 『雷迅』『封刃』は、いずれも大型砲戦機『雷殻』をベースとした格闘仕様の機体である。 『雷殻』は元から脚部の無い大型の機体なのだが、それに脚部を装備。 (因みに『雷殻』を空戦仕様にしたのが『雲殻』である) それによって汎用操兵の『羅甲』の1.5倍はあろうかという大型操兵と化す。 また、両肩に装備された轟雷砲を撤廃。その代わり背に2基の大型ブースターを背負って機動力を向上させる。 ここまでの時点では、雷迅と封刃に差異は無い。 だが雷迅は、各種内蔵格闘戦武装が組み込まれた、強襲や拠点防衛に長けた機体に仕上げられている。 そして封刃にはその手の武装が無い代わり、先に言及された『護鬼』や行動阻害の用途を持つ『鉄砂塵』を内蔵する。 その運用方法は、封刃を囮&攪乱役として、攻撃力が高い雷迅が暴れる仕様となっている。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~ そして更に数日後。東ヨーロッパ戦線・某所 ~ 「こちらアキナケス。配置に着きました」 「アレス。配置に着きました」 「ザイード。こっちも手筈通りですぜ」 巡回行動を取る機動マシン群を観察しながら、実戦テスト戦闘部隊は襲撃のタイミングを計る。 「6型が三機、四脚戦車が一両、それと少し離れて索敵行動を取ってる偵察機?が一機か」 「その偵察機とやらにも要注意じゃ。充分離れて居るとは思うが、この絢雨が見つかる心配は無いかの?」 「心配無用!この大天才が仕上げたステルス機能を稼働中のこの機体に気付く敵など居ないのじゃ!」 一方、ステルス偵察機仕様で、搭乗スペースを拡幅した『超ハイパースペシャル絢雨カスタム改・隠密指令機仕様』の中で 3名の女性達も成り行きを見守る。 「それにしても『絢雨』を用途に応じてここまで改造するとは恐れ入ったな」 「全くじゃ。サイズ的にシアンやあのデブチンは無理だったとはいえ、3人も搭乗できるスペースを確保するとはのぉ」 「そこが我の大天才たる由縁よ!今回は大人しくサポートに徹する予定じゃったから、ちゃんと快適性も追求しておるのじゃ!」 (※但し、搭乗人員増加や隠密性、及び快適性の代償に、この仕様では戦闘能力が激減している) 「では、まずは私が仕掛けます!」「私もアキナケス殿に連動して攻撃します」「こっちは待機な。ヤバかったら出る」 「よし、行けっ!」 アミの号令と共に、封刃がレッドスネーク隊の右前方から高い軌道のブースター跳躍。一気に間合いを詰めて強襲する。 それと同時に雷迅も、レッドスネーク隊の右後方から低い軌道のブースター跳躍を仕掛けて強襲。 「何じゃあっ!偵察機がもう反応しおった!雷迅を狙っておるわい!」 「アレス殿、危ないのじゃ!」 迫る雷迅に向けて即座に狙撃銃を構えた偵察機を見て、カエデとクレイオが慌てて反応する。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~ 戦闘開始 ~ 「ケッ!ボウズの予感が又、当たったな!右斜前からでかいのが跳んで来やがった!」 「右斜後にも敵だぜっ!」 戦車乗りのグエン老人が、強襲を仕掛けたアキナケスの封刃に反応して叫ぶ。 本隊から離れて索敵していたメイズ機は、それと同時に低い軌道で急速に迫るアレスの雷迅に反応。 すかさず狙撃銃で、その巨大な機体の眼を狙う。 「…ッ!対応が速いっ!」ガイィンッ!! 焦りを帯びたクレイオの警告と、雷迅が眼前に左腕を掲げるのと、雷迅の左前腕に銃弾が命中して弾けるのがほぼ同時。 そのまま体勢を若干を崩しながらも着地しようとした雷迅の足元に滑り込んで来た塊は、携帯型の吸着地雷っ! 「上手いっ!ですが!『蛮・タックル』っ!」ボフゥッ! ガガガガガガガッ!! 雷迅は着地寸前、空中で身体を横倒しにする。そのまま背のブースターと脛のホバーブースターを吹かして空中突進! それと同時に肩から生えた衝角を回転震動させ、手近に居たジーンの6型が構えた盾に目掛けて強烈な痛打を与える! 一方、迎撃を受けているアキナケスの封刃の方も。 襲撃直後、まずはイリヤナとエトゥの6型によるアサルトライフルの迎撃。 しかしそれは、大型で頑丈な封刃の強襲を阻止するには力不足。だが他の武装では斜め上空を攻撃するのは困難。 その時、グエンが駆る改造108式戦車・通称『108ターボ』が彼らの横に滑り込む。 「仰角取って右斜前敵に斉射!エトゥ、着地点にミサイル!」 「ジーン、右斜後敵を迎撃!イリはその援護!」 108ターボに同乗する指揮官イブラヒムから、矢継ぎ早に攻撃指令が下される。 それと同時に108ターボは前の二脚を思い切り延伸、後ろ二脚を可動域ギリギリにまで縮める。 これによって仰角を確保。前方上空に向けた砲塔、ミサイルポッドの全てが封刃に照準を合わせた! 「 て ー っ !! 」ガウゥゥンッ! ズドドドドドドッッ!! 「何の!『護鬼』っ!」ぶわぁぁんっっ! 封刃の全身から小さな塊が噴出する。それらは迫るミサイルに取り付き、封刃への有効打となる前にミサイルを誘爆させる。 流石に砲弾の方を止めるには至らず、戦車砲は封刃に命中してその巨体を揺らしたが、それでも致命傷には程遠い! ズウゥゥンッ! キュドドドドドッッ!! 地響きを立てて着地した封刃に向けてエトゥ機はミサイルの誘爆距離ギリギリまで踏み込んで、有線ミサイルを斉射! 「有線っ…通じるか?『鉄砂塵』っ!」 封刃が両腕を前に突き出すと手甲の上から細身のノズルがせり出し、そこから勢い良く砂塵が噴き出す。 そしてその砂塵がミサイルのワイヤーに触れると、妨害電波等の影響を受けぬ筈の有線誘導にすら狂いが生じたのだ! しかしこの距離が詰まった状態では。多少軌道を逸らしたとはいえ、何発かのミサイルが封刃に命中した! 「いかん!支援を頼む!」「了解っと!」 アミの支援要請を受け、ザイードの恐沙は超低空飛行で戦場へと突っ込んで行った。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~ 雷迅サイド ~ 雷迅の必殺突進を真っ向から受けたジーン機の盾には大穴が空き、その裏にある左前腕も半壊している。 しかしこれが本気の突進だったら、体格及び質量の差でジーンの6型は大きく弾き飛ばされて居た筈。 肩衝角のギミックを用いた『蛮・タックル』の威力。アレスは驚きつつもモニターで観察してその効果を収めていた。 だがその観察行動による数瞬の間は、ジーンが立ち直るのに充分な間でもあった。 「まだまだぁっ!」 ジーン機が右前腕に装備した格闘兵器『シザーズ・アーム』を斜め上、雷迅の首を目掛けて繰り出す。 その巨大鋏に首をマトモに挟まれたら、如何に雷迅とて只では済むまい。 「『パワー・断』」 しかしアレスは至極冷静に左手刀を垂直に振り下ろす。 それと同時に手刀を形成した雷迅の小指から前腕部までの手刀の刃に当たる直線部分が白熱化。 さながら炎を纏った鉈の様になり、6型の右拳ごとシザーズ・アームを両断する。 直後、身を沈めながら振り向いた雷迅は、背後からメイスを振り下ろそうとしていたイリヤナ機にアッパーを繰り出す。 その拳は、イリヤナ機のメイスを持った手首を下から殴り抜け、その勢いと背のブースターで垂直に飛び上がる。 「『雷迅… 」 雷迅は振り上げた右拳を空中で引き戻しつつ、帯電した左拳を真下に向けて瓦割パンチを放つ構え。 同時に背のブースターの下部ジョイントが分離、上部ジョイントを軸にブースター本体を半回転させる。 それでブースターの噴射口が上を向き、落下スピードが劇的に高まる! 「 …ナックル』っ!」ギィィンッ! ズガアァァァンッッ!! 大地に叩き付けた左拳から雷撃が迸り、ジーン機、イリヤナ機の電子機器機能を狂わせる。 「…元から直撃は外すつもりでしたが、これは手厳しい。早々に引き上げる理由になりましたね」 ガチッ・・・ガジィン 展開したブースターが畳まれ、下部ジョイントが噛み合う。しかし、片側のブースターが戻る動きはぎこちなかった。 何故なら空中でブースター降下をする瞬間、メイズ機の狙撃が上部ジョイント部に命中していたからである。 「アキナケス殿は…よし。頃合いですね」 封刃の方を一瞥した雷迅はぐっと身を沈めてから大跳躍。戦場から急速に離脱していった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~ 封刃サイド ~ 「くそっ、中々やる!」 アキナケスは悪態を付きながら封刃の状態をチェック。被弾したとはいえ、未だ中破未満で収まるダメージである。 少々骨は折れるが囮としてもう一踏ん張りしようかと思った瞬間、高速接近する機体から通信が入る。 「もうテストは充分だろ、兄ちゃん。今度はこっちのテストも手伝って貰うぜ」 封刃の背後から地を舐める様な軌道で急速に近づいた恐沙が、まるで腕立て伏せをするかの様な体勢で両腕を下に向ける。 その拳から放たれた斥力で、起き上がり小法師の如く上体を跳ね上げた恐沙。 恐沙の下半身は両側から何対もの機体固定用グラップルクローを生やした、蟹の胴体を前後に引き延ばしたかの様な形状。 身体を跳ね上げた勢いで、有無を言わさずグラップルクローで封刃のブースターを挟み込み、そのまま上空へと飛び上がる。 「まー、テスト予算は潤沢なんだし。安全牌は多いに越した事は無いから使っとくかねー。『護鬼』っ!」ぶわぁぁんっっ! 恐沙の太くなった腕や背中の翼状部分の裏から多数の甲虫めいた塊が噴出し、レッドスネーク隊の追撃を阻害する。 そして恐沙と封刃も、そのまま戦場を離脱していった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~ 戦闘後・レッドスネーク隊 ~ 「よぉ。何とか皆、無事だった様だな」 「くそったれ!一番ババ引いたの、俺か!」 「あー。俺の機体も右手首が折れてるし、電子機器も調子悪ぃや」 本隊に合流したメイズと、被害を受けつつも軽口を叩くジーンとイリヤナ。 「・・・どう思う?メイズ」 「ありゃあ多分、新規機体のテストだぜ。しかもあいつらが闘った方は手練れだが、相当の甘ちゃんだと見た」 「ほぉ。何故だ?」 「闘い方が優しかったからな」 イブラヒムの問い掛けにメイズは応えつつ、色々と想いを馳せていた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~ 戦闘後・アムステラ混成部隊 ~ 「皆、ご苦労だった。諸君らが収集したデータは有効に活用させて貰うとしよう」 基地に帰還した面々に、影狼隊隊長は労いの言葉を掛けた。 そして女性陣も『超ハイパースペシャル絢雨カスタム改・隠密指令機仕様』からわらわらと降りて、各々の隊の元へと向かう。 「良い対応だったぞ、アキナケス。戻ったらゆっくり英気を養っておくがいい」 「はいっ、隊長!」 「アミ隊長。帰還準備も出来たので、明日には竜騎兵隊の本隊に戻れますよ」 「何ぃ?まだここの名物を食いに行ってないんだぜ!」 「・・・そうか。じゃあ次に来る機会を楽しみにしておくんだな、フランチェスコ」 「喜べ、ザイード!護鬼の仕入れ分は今回のテスト協力予算で賄ったから、お小遣いを使わずに済んだのじゃ!」 「ほほー。時に、絢雨の改造費と復旧費、それから恐沙の改造費とかも計算に入れたら?」 「・・・うぅっ。それを言われるとのぉ。実は差引きするとプチ赤字なのじゃあぁ~っ・・・トホホー」 「まぁまぁ。成果が認められたら、その分は還元されるんでしょうが?だから前祝いで銘菓をしこたま仕入れときましたぜ」 「おぉっ!弁えておるのぉ、ザイード!そういう心遣いは嬉しいぞよ。では帰ったら皆で頂くとするかの!」 「んじゃま、まずは片付けとしゃれこみますかね」 「お疲れ様なのじゃ、アレス殿」 「おい、アレス。中途半端に優しいのは、残酷じゃあ無いか?」 「・・・」 沈黙したアレスに向かってシアンが言を継ぐ。 「まぁしかし、そいつもお前の判断だ。別に俺が口出しする事じゃ無ぇから、好きにしたら良いさ」 「そう・・・ですね。ですので今は、私に出来る事を。出来るだけの事をするとしましょう」 そう言って、アレスはほろ苦い笑みを浮かべた。 THIS EPISODE END
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(投稿者:ししゃも) 「対G研究所まで残り二キロ。それと、同研究所にエターナルコアの反応が一つあります」 荒地を駆け抜けるジープに、四人のMAIDが乗っていた。運転席にはズィーが座り、助手席にはパニッシャーがMP40を構えている。後部座席には狙撃銃を持ったストレイトとSTG45を抱えているヴィレッタが周囲に異変が無いか見回していた。 パニッシャーは、エターナルコアのエネルギーを利用して「会話」を伝導しているアドネイターの報告に首をかしげる。 「エターナルコアの反応だと」 「はい、そうです。恐らく、研究所を護衛していたMAIDでしょうか。作戦本部からは特務SS所属、エリルスの反応だと」 単なる思い過ごしか、といわんばかりの表情のパニッシャーはMP40のコッキング動作を済ませた。それに倣ってヴィレッタもSTG45のコッキングを行い、初弾をチェンバーに送り込む。彼女の視線の先は、高い塀に囲まれた対G研究所に向けられていた。 「ズィー、ここで止めろ」 対G研究所の正面ゲート手前で、パニッシャーは車両を停止させるようにズィーへ指示を送る。ギニーピッグを乗せた車両は、不気味な静けさを保った対G研究所を前に、誰もが一言も声を発しなかった。 「二組に分かれるぞ。ズィーとヴィレッタは正面から。私とストレイトは裏口から回る。各自、状況はアドネイターに知らせろ。いいな」 真っ先に車両から飛び降りたパニッシャーは部隊に指示を出すと、そのまま早歩きで対G研究所の外周を回りながら、裏口へ向かう。その後ろをストレイトが追いかけた。 「行くよ」 腰に四十五口径マグナムをぶら下げたズィーは両手の関節を鳴らしながら、正面ゲートを潜ろうと歩き出した。 M.A.I.D.ORIGIN s Part II 第一話「実験部隊」 「不気味なぐらいに静かだね」 内部はさほど広くは無かった。ヴィレッタは同施設の縮図を事前に把握しており、ここが何処なのか、そして職員が避難していそうな場所も目星がついている。通路の壁に寄り添うようにして、ズィーとヴィレッタは慎重に進んでいた。 「パニッシャーより、ズィーへ。裏口から進入したが、職員及びGの気配は感じられない。ストレイトによると、瘴気の匂いも感じられないらしい」 「ってことは、Gは早々に撤退したと」 「まだ分からない。アドネイターによると、私たち以外のコア反応を感知している。ズィー、地下を調べてくれ。私たちはこのまま上階を調べる」 「了解」とズィーは応答し、後ろに居るヴィレッタに手合図で「ついてこい」と指示を送った。すぐに地下へと続く階段を見つけ、慎重に降りて行く。地下の中はちゃんと換気をしていないのか、湿気が溜まっていた。なんともいえない不快感がヴィレッタを包む。それは、ズィーも一緒だった。 地下階は一層だけ。もしこの場所に誰かが居なければ、残るは上の階になる。だがパニッシャーからはそのような情報は入らず、ヴィレッタの不安は募るばかりだった。 「荒らされた形跡はあるな。目標は近いかもしれない」 地下階のオフィスに散乱した書類や机を見て、ズィーは持論を述べる。ヴィレッタはそれに異議を唱えなかった。 部屋の隅の個室。もうそこしか残されていなかった。扉の左右にズィーとヴィレッタが各々の得物を構えたまま、待機。ズィーはパニッシャーと連絡を取りながら、突入の時を待ちわびていた。 「そちらの状況は把握した。突入を許可する」 パニッシャーからの返事。ズィーは無言でヴィレッタに「お前が扉を開けろ。私が突入する」と手合図を送る。ヴィレッタはそれを理解し、ドアノブに手をかけた。 勢いよくヴィレッタは扉を開けると同時に、間髪を容れずにズィーの巨体が軽快な動作で部屋に突入。ヴィレッタはズィーを援護するため、すぐに部屋へ入った。 しかし目の前には、ズィーの背中が立ちふさがっていた。勢いづけて飛び出したせいか、ヴィレッタは止まることもできず、そのままズィーの背中へ激突。 「痛っ」 ズィーの背中に鼻を打ちつけたヴィレッタは思わず声を挙げてしまう。そして微動だにしないズィーの背中から顔を出してみると、薄暗い室内の隅に白衣を羽織った集団が縮こまっていた。 「ズィー、ヴィレッタ。何があった」 こちらの異変にパニッシャーは気がつき、報告を求める。 「隊長、職員は無事です」 こちらをGだと思っていたのか、戦慄していた職員たちは安堵の表情を浮かべている。ヴィレッタは現状の報告を聞くために、ズィーの背中から回り込んで集団に向かった。 「了解した。こちらはGと遭遇していない。職員に現状の報告を聞いた後、こちらへ通信をしてくれ。以上だ」 そこでパニッシャーからの通信が終了する。ズィーは職員たちに向かったヴィレッタの後ろに付くと、周囲を警戒する。 「助かりました。MAIDの方ですね」 集団の名から、メガネをかけた女性が一歩前へと出てくると、近づいてきたヴィレッタに話しかける。怯えている職員たちの中で、彼女だけは冷静さを保っているようにヴィレッタは見えた。 「ノイワール野営陣地から救援に参りました、ヴィレッタ軍曹であります。ご無事で何より」 「対G研究所の主任を勤めるメレンスです。助かったわ、ヴィレッタ軍曹」 二人はお互いに自己紹介を済ませる。ズィーは何も言わず、ただ二人の会話を眺めているだけだった。 「それで、今の状況を説明してもらいたいのですが 「Gに襲撃された。それもかなり特殊なGだったわ」 「特殊なGですか」 メレンスの言葉にヴィレッタは復唱してしまう。特殊なGというフレーズに興味を持ったのか、ズィーが近づいた。」 「瘴気を発生しないGと言いましょうか。どういった種族のものか確認できませんが、二足歩行だったから、恐らくウォーリア級だと思う」 ストレイトが瘴気を感じなかったことに、ヴィレッタは合点がいった。その疑問が晴れると、もう一つの疑問が脳裏を過ぎった。 「ちなみに、護衛していたMAIDは」 アドネイターが感知していたエターナルコアの反応――この研究所を護衛していた特務SS所属のMAID、エリルスの安否をヴィレッタは尋ねる。 彼女の問いにメレンスは目を伏せ、首を横に振った。ヴィレッタはそれ以上、エリルスについて言及するのをやめた。恐らく、エリルスたちを助けるために命を賭してGと交戦したのだろう。 (エリルスの死亡。それは、つまり) 研究所に入る手前から反応していたエターナルコアの反応。研究所が襲撃されて約二時間が経過したときのことだ。恐らく一時間かその半分の間、この場所へメレンスたちが退避したと計算して――エリルスは恐らく襲撃されたと同時に、あるいは数十分後に死亡したとヴィレッタは逆算する。 ギニーピッグが研究所に到達したとき、既に彼女は死亡していた。つまり、彼女のコア反応をアドネイターが感知することは絶対に無い。 「パニッシャー隊長、エリルスの死亡を確認。しかし、所属不明のコア反応が一つ」 ヴィレッタとエリルスの会話から事情を察したアドネイターが、切羽詰った声でパニッシャーに連絡する。それに続いて、ズィーとヴィレッタが「最悪な敵」に備えようと、得物に手を伸ばした。 そのとき、出入り口のドアに近い壁が破壊された。圧倒的なパワーによってコンクリートの壁が粉砕され、灰色の粉塵を室内に撒き散らす。 ヴィレッタは踵を返し、メレンスを庇うように前へ立った。 次第に薄れていく煙から緑色に輝く二つの目が垣間見えた。徐々にそのシエルットが露になる。ズィーと同等の身長。左右に分かれ、丸太のように太く長い四つの腕。脚の関節が逆方向に折れ曲がっており、それらの外見的特長は人体の構造を無視していた。 「プロトファスマ」 Gの種類の一つである名前をメレンスは怯える口調で言った。ヴィレッタとズィーは表情こそおくびに出さなかったが、心の内では絶望的な状況に置かれていると確認する。 プロトファスマ。Gがエターナルコアを取り込み、突然変異した種族。個体数は少ないものの、その力は圧倒的で「最強のG」と称されるほど。MAIDといえど、プロトファスマと渡り合える者は少ない。ズィーはともかく、ヴィレッタはプロトファスマと戦って生き残れるという自信は皆無だった。 「ウォオオオオオオオオオオオオオオ」 プロトファスマは首を動かしながら咆哮をあげた。メレンスは尻餅を突くと、そのままヴィレッタから離れる。そして彼女を含めた職員たちはプロトファスマの咆哮に耐え切れず、耳を塞いでしまう。ヴィレッタとズィーはそれを我慢し、銃を構えた。 だがヴィレッタは初めて見るプロトファスマに圧倒され、身じろぎしてしまう。その一瞬の隙をプロトファスマは見逃さなかった。 「えっ」 瞬間移動と言うべきスピードで、プロトファスマがヴィレッタの眼前に接近。移動するときの予備動作を見逃さなければ、ヴィレッタでも対処できた。だが彼女は目の前の敵に対して萎縮し、失態を犯してしまう。 そうこうしているうちにプロトファスマの右腕が横殴りにヴィレッタへ襲い掛かった。彼女はそれをしゃがむことで回避し、お返しとばかりにMP40のトリガーを引いた。 ほぼゼロ距離での射撃。銃弾はプロトファスマの肉体に命中するものの、決定的なダメージを与えているとは思わなかった。その証拠にプロトファスマは痛がる動作をせず、顔をヴィレッタに近づけた。 プロトファスマの不気味な顔がヴィレッタの視界を覆う。しかし、ズィーの掛け声と同時に銃声が鳴り響き、プロトファスマはヴィレッタから離れる。 「ちっ、外したか。無事かい」 「ええ、なんとか」 態勢を立て直したヴィレッタはズィーの隣へ寄り添うと、マグナム弾を回避したプロトファスマにMP40の銃口を構える。プロトファスマは、自身が破壊した壁に近い位置へと立っており、逃走経路は確保している。ヴィレッタにしても、ズィーにしても、ここはプロトファスマに退却してもらうのが好ましいと思っていた。 「メードめ」 犬が唸るような重低音の中、プロトファスマの口から言葉が発せられる。それは明瞭に聞き取りづらいものの、確かにプロトファスマは「メードめ」という言葉を口にした。 「ワタシの邪魔をするな」 プロトファスマは捨て台詞を吐くと、もう一つの出入り口に向かって走り出した。ヴィレッタは瘴気こそ感じないものの、プロトファスマから発せられるプレッシャーが段々遠ざかっているのを確認。それが完全に消えると、深呼吸をして呼吸を整える。 程となくして、パニッシャーとストレイトがヴィレッタたちと合流した。 MAIDは死して尚、その身体にエターナルコアを宿している。死んだMAIDは二度と生き返らない。しかし、エターナルコアは物理的に破壊されない限り、その効力を失わない。 「回収、ですか」 「そうだ。MAIDおよびMALEの死亡が確認された場合、その遺体を回収し所属国へ送還することが義務付けられている」 パニッシャーの背中を追うように歩くヴィレッタの手には、大人一人が収納できるジッパー式バックの取っ手を握っていた。 二人はメレンス博士から事情を聞きだし、エリルスが死亡したとされる場所へ向かっていた。三階のオフィスルーム。そこが、プロトファスマによって殺されたエリルスの遺体がある場所。 ズィーとストレイトは職員たちの護衛のため、待機。パニッシャーとヴィレッタが「回収」の任務に就いた。 「こちら、アドネイター。『リモートホスト』の活動限界になりました」 ヴィレッタの頭の裏側から囁くようにアドネイターからの通信が入る。そのなんともいえない感触に慣れないヴィレッタは口元を歪ませる。 「了解。回復したら伝えてくれ。それまでは上空を視察。何かあったら無線で連絡を」 「分かりました。失礼します」 アドネイターは成層圏に限りなく近い場所で活動しており、瘴炉によって発達した視力によって高高度偵察機の役目を果たしている。彼女の能力「リモートホスト」はエターナルコアを媒体とした対象を捕捉したり、無線機を経由せずに通信が可能であった。しかしその能力は時間制限があり、一定時間以上の行使はアドネイターの崩壊を招く。 ヴィレッタはアドネイターのリモートホストによって囁かれた「自己紹介」を思い出しながら、パニッシャーの後を追った。 「ここだな」 オフィスルームに通じるドアの手前に辿りついたパニッシャーは立ち止まると、そのままドアノブに手をかけた。研究所内の電気供給があのプロトファスマによって破壊されており、室内は暗い。 催促するよりも早くヴィレッタはジッポライターを取り出し、パニッシャーに手渡す。そして暗闇のオフィスルームに僅かながらの灯りが点された。 職員たちの作業机や椅子がそこかしらに散らばっており、パニッシャーたちはそれらを大股で潜り抜けながら歩く。時々、空薬莢が転がる金属音が室内に響いた。 ここでエリルスが戦っていた。ヴィレッタは心の中で、彼女があのプロトファスマと絶望的で孤独な戦闘を繰り広げていたと思い、胸が傷む。 「プロトファスマめ。酷いことしやがる」 ヴィレッタの前を歩いていたパニッシャーは立ち止まるなり、感情に身を任せた言葉を言った。ヴィレッタはそんなパニッシャーの背中越しに、ライターの火で照らされるエリルスの悲惨な死体が数メートル先に見た。 彼女は壁に凭れながら絶命しており、自身の血でメード服が赤黒く染められている。さらに右腕が引き千切られており、血肉がこびり付いた肩の骨が枝葉のように突き出していた。そして腹部には大きな穴がぽっかりと開いている。それは間違いなくプロトファスマの拳が貫通した証拠であり、その一撃でエリルスが絶命したといっても過言ではない。 「ズィー、エリルスの遺体を確認した。が、遺体の損傷が激しい。ストレイトを残してこっちに来てくれないか。後、照明器具を三人分用意してくれ」 青ざめた顔色のヴィレッタを尻目に、パニッシャーは無線機を使ってズィーと連絡を取る。 「隊長、すみません」 何かを堪えているヴィレッタは前屈みの姿勢でパニッシャーに懇願する。何を懇願しているのか瞬時に分かったパニッシャーはヴィレッタの背中を擦りながら、彼女を遺体から離れるように部屋の隅へ引き連れた。 ある程度、遺体から離れたヴィレッタは倒れこむように両手を床に付け、吐瀉物を吐き散らす。その間にパニッシャーは、ズィーに水筒を持って来させるように指示を出した。 「すみません」 吐き出すものを吐き出したヴィレッタは申し訳ない口調で平謝りをする。パニッシャーは何も言わず、そっとヴィレッタの背中を擦っていた。 「へっへへへ。お嬢ちゃん、そんなんじゃこの先思いやられるよぉ」 突如、しゃがれた老婆の声が室内に響いた。ヴィレッタとパニッシャーは声の主に全くの面識がない。パニッシャーはSTG45のセーフティを解除し、素早く身構える。ヴィレッタは口元に付着した吐瀉物の残りを袖で拭き取りながら、腰に帯びている拳銃を抜き取った。 「おやおや。そんな物騒のものを構えないでおくれよ」 「君が敵ではないとしたら、まずはその姿を見せるべきではないのか」 一歩も引き下がらない口調のパニッシャーは左右の腕を交差させながら、STG45と火が点ったジッポライターを構える。だが、パニッシャーには相手が見えなかった。暗闇という空間という単純な理由で見えないからではない。室内に居るという感覚を感じるものの、まるで透明人間かのように相手は姿を消していた。 「私の姿が見えないのかねぇ。そりゃ結構」 こちらの考えていることを見透かしているように老婆の声がけらけらと笑う。 笑い声が納まった後、エリルスの手前。まるで擬態したカメレオンが本来の色に戻ったかのように、何もない空間からフードを被った何かが姿を現した。身長が150センチあるかないかぐらいの、ローブのような一体型の服を着た謎の人物。ヴィレッタをそれを狙い撃とうとすが、パニッシャーはそれを制する。 「ひっひひひ。そう怖い顔しなさんな、お嬢さんがた」 老婆の声は身体を震わせながら笑い、目深に被ったフードから顔を出した。 ライターの火で照らされる、白い包帯で二重三重に巻かれた顔。不気味に大きく見開いた両目が唯一、その人物が人間であることを照明していた。 「あっしの名はスカベンジャー。しがないMAIDでござんす」 けっけけけ、と自分を名乗ったMAID――スカベンジャーは顔と同じように包帯が巻かれ、肌が露出してない右腕をエリルスに突き出した。 「何をするのだ」 「そりゃ見てからのお楽しみですわ」 STG45の照準を自身に合わせたパニッシャーに対し、スカベンジャーは包帯で巻かれた左腕で「待った」のポーズを取る。直後、エリルスに向けられているスカベンジャーの右手から赤黒い炎が発光し、暗闇の室内に禍々しい光を与えた。圧倒されたヴィレッタは両手を使って、光を遮る。 パニッシャーは目を細くし、スカベンジャーを睨みつける。 「あっしは死んだMAIDのコアを回収することが仕事なんでね」 息絶えたエリルスの胸から十字の形をした宝石――エターナルコアが抽出される。MAIDが、MAIDたる由縁の結晶。 眩い光を放つエターナルコアはスカベンジャーの右手へ吸い寄せられ、彼女はそれを握り締める。すると赤黒い光が弱まり、室内は元の暗闇へ戻った。 「そこを動くな」 パニッシャーの怒号。それに続いてヴィレッタもスカベンジャーに拳銃の銃口を再度、向ける。 エリルスのコアを抜き取ったスカベンジャーに、パニッシャーは怒りを堪え切れなかった。ヴィレッタも同様に歯軋りをしながら拳銃のトリガーを引こうとしている。なぜエターナルコアを抜き取ったことでパニッシャーたちは怒りを抑えられないか理解できない。上手く表現できないが、スカベンジャーの行動は墓荒らしであり、死者を冒涜していた。 「穏やかじゃないねぇ」 「エリルスのコアを床に置け。その後、両手を上げて跪くんだ」 明確な敵意がこもったパニッシャーはスカベンジャーに命令を促す。 「もし命令に従わなかった場合、発砲を辞さない」 トリガーに指をかけ、威圧感を与えるパニッシャーに対しスカベンジャーはタチの悪い冗談を聞いたかのようにしゃがれた声で笑うだけだった。それに見かねたヴィレッタが威嚇発砲をしようとする。 「スカベンジャー、お遊びも程々にしておかないとな」 パニッシャー、ヴィレッタ、スカベンジャー。この三人ではない、別の女性の声が聞こえた。それはスカベンジャーの右側、部屋の隅から。靴底が床に当たる音が静まり返った室内に響き、パニッシャーたちに向かっているのが分かった。 パニッシャーはその方向にライターの火を向ける。 「私のMAIDが粗相をしたようだね。すまない」 暗闇から姿を現したのは、白衣を着た長身の女性。腰まで届く長い茶髪。そして、感情を失ったかのように気力のない表情をしていた。 出入り口が一つしかないオフィスルームで、スカベンジャーと同じように突然現れた女性にパニッシャーとヴィレッタは強い警戒心を抱く。しかし女性は二人のプレッシャーを感じていないのか、身じろぎをしない。 「自己紹介をしよう。私の名はアドルフ・ガブリエーレ。EARTH直属のMAID技師だ」 長身の女性、アドルフ・ガブリエーレは淡々と自己紹介を済ませた。 NEXT SCENARIO→「鬼才と呼ばれた女性」 SCENARIO LIST
https://w.atwiki.jp/heidedee/pages/5.html
統制群では実験について視覚実験と言った方が良いのではないだろうか。 そして質問紙に回答してもらい、実験をしてもらう。 統制群は上手くいきそうである。実験の装置について勉強する必要があると思う。 自分でプログラムが書けるようにならないといけない。 そのためには勉強する必要がある。実際に実験には何分くらいかかるのだろうか。 そこもちゃんとわかっておかないといけないと思う。 HSPについて授業で勉強するのだろうか。独学も大変だなぁと思う。 勉強しないと問題点もわからないもんなぁ。プログラムを書くのは大変な仕事みたいだ。 自分で作れるようにならないといけない。 学会で発表をすることも大切だと思う。 あたしにできるだろうか。
https://w.atwiki.jp/hyakukami/pages/248.html
依頼主 ギルガメッシュ 出現条件 親密度7 クリア条件 以下のモンスターを討伐するハーピー:討伐数15 ダークメイジ:討伐数15 成功報酬 神技強化 貢物値60 依頼時 戦の秘薬を開発しているんだが、研究モンスターがまた足りなくなったんだ。お前、ちょっとモンスターを捕まえてきてくれないか。 クリア時 ん。助かった。秘薬ができたらお前にも分けてやろう。
https://w.atwiki.jp/justgoodsalt/pages/617.html
https://w.atwiki.jp/fumafuma/pages/20.html
【方法】 被験者 札幌市、下関市在住の学生、社会人120名(Table4参照) 手続き 被験者を30名ずつ4群にわけ、Fig,3の各条件に振り分けた。各条件に従い、先発企業の比較広告を提示し、その時点での広告提供企業と比較対象企業の企業/商品イメージ(実験1と同様の3項目)を評定させ、その直後に後発企業の比較広告を提示し、もう一度同様の評定を行わせた。なお、A,Bの両ブランドについてメリット型、デメリット型の比較広告をそれぞれ作成し、各実験条件群の被験者の半数には先発広告としてAを、他の半数の被験者には、Bを提示し、後発広告にはそれぞれ他ブランドを提示してブランド(広告コピー)の違いによる効果をコントロールした。 【結果】 ◆後発企業・商品イメージにおよぼす影響 先発広告の提示後と後発広告の提示後で、被験者の後発企業に対する商品・企業イメージがどのように変化するのかを検討するために、後発広告提示後の後発企業・商品イメージの評定値から先発広告提示後の評定値を引いた値をイメージ変化値とし、これに基づき2×2の分散分析を行った。その結果、商品イメージについては、好感度においてのみ先発広告の主効果が有意であり、先発広告がデメリット型比較広告であった方が、後発企業の商品に好感をもたれやすいことが明らかとなった。企業イメージについては、良さ、信頼度、好感度において後発広告の主効果が有意であったが、良さと好感度に関しては交互作用にも有意な傾向が認められた。 ◆先発企業・商品イメージにおよぼす影響 先発広告の提示後と後発広告の提示後で、被験者の先発企業に対する商品・企業イメージがどのように変化するのかを検討するために、後発広告提示後の先発企業・商品イメージの評定値から先発広告提示後の評定値を引いた値をイメージ変化値とし、これに基づき2×2の分散分析を行った。その結果、商品イメージについては、良さにおいてのみ後発広告の主効果が認められた。また、企業イメージについては、信頼度においてのみ後発広告の主効果が有意な傾向を示した。 【考察】 後発企業・商品イメージにおよぼす影響 先発広告がデメリット型比較広告であった方が、後発企業の商品に好感をもたれやすいことが明らかとなった。企業イメージについては、先発のメリット型比較広告にメリット型比較広告で応酬した場合だけ、後発企業の企業イメージはぷ時ティ部に変化する傾向が認められる。これは、メリット型比較広告の対象とされた場合には、デメリット、メリットどちらのタイプの比較広告で応戦しても差はないが、デメリット型比較広告に対してはデメリット方で応戦せずメリット型比較広告で応戦した方が企業イメージを向上させることができることを示唆している。痛烈な攻撃を受けたとしてもそれに対して同等の手段で応戦する行為に対して第三者の目は寛容でなく、泥試合に陥った場合は、先に手を出したかどうかということにかかわらずその企業のイメージが低下するのである。このことから仮説は検証され、消費者は比較広告による泥試合的傾向に陥る戦略選択に対して批判的であるという知見を得たと考える。 先発企業・商品イメージにおよぼす影響 後発にデメリット型比較広告を提示することにより、先発企業の商品・企業イメージに対してダメージを与えることができるというこの結果は、実験1で検証したデメリット型広告の攻撃効果が先制攻撃時のみならず、応戦場面でも有効であることを示している。
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実験具類(副道具)
https://w.atwiki.jp/crazy_night/pages/24.html
https://w.atwiki.jp/1510/pages/232.html