約 343 件
https://w.atwiki.jp/wakan-momomikan/pages/268.html
すあき(素秋) すいうてんのう(水雨天王) ずいあい(瑞靄) ずいか(髄火) すいかい(水塊) すいかいじん(水海神) すいかのたま(水火玉) すいかのばけもの(西瓜の化物) すいかん(水官) すいぎ(水気) すいきょうき(水澆鬼) すいこ(水虎) すいこ(水蠱) ずいこうじゅ(隋侯珠) ずいこうばんじょう(瑞光万丈) すいさいせいてん(水際青靛) すいじ(隋兕) すいしぎょ(水芝魚) すいしゃく(水積) すいじゅう(水獣) ずいしょうげ(瑞聖花) すいじょけつ(水如血) すいじん(水神) すいじんかっぱ すいそ(水鼠) すいぞう(燧象) すいだつかい(水獺怪) すいたん(水淡) ずいちくき(随逐鬼) すいちゅうげんか(水中弦歌) すいちゅうどく(水中毒) すいちゅうなめん(水中儺面) すいちゅうはくぎゅう(水中白牛) すいちゅうようかい(水中妖怪) すいつきふとん(吸付き蒲団) すいつこうすいつこう(吸いつこう吸いつこう) すいつこうすいつこう(吸いつこう吸いつこう) すいどうのむし(粋道虫) すいどくじゃき(水毒邪鬼) すいとくてんのう(粋徳天王) すいふるいじん(粹奮人) すいふろのにゅうどう(据風呂入道) すいまる(西瓜丸) すいらい(水雷) すいらいちょう(水雷蝶) すいろう ずいろく(瑞鹿) ズウェンカ(Dzunukwa) すうし(数斯) すうねんあいようしてさがすとちょうばつされるていおう(数年愛用して探すと懲罰される帝王) すうばこ(雛箱) すえひろのごえんだま(末広の五円玉) すかいさけかい(酢買酒買) すがいのおばけ(酢貝のおばけ) すがおのたきのぬし(菅王の滝の主) ずがたかい(頭が高い) すがたにのうわばみ(菅谷の大蟒) すがたみのい(姿見井) すがのにんぎょ(須賀の人魚) すがまのこども(氷柱の子供) すがめのこへび(酢瓶の小蛇) すかんぴんたまご(素寒貧玉子) すぎおばけ(杉怪) すきがお(鍬顔) すぎしろさま(杉代様) すきのとこ(鍬の床) すきまおんな(隙間女) すぎわらい(寿擬笑) スキンウォーカー(Skin walker) すぐにぬれてるでいりぐち(すぐに濡れてる出入口) すげがさきたこ(菅笠著た子) すげがささがり(菅笠下) すげがさのおどりこ(菅笠の踊子) すけくにのちょう(佐国蝶) すげみのおばけ(菅蓑おばけ) スケルトンツリー(Skeleton tree) すごうがば(子昂画馬) ずこうちゅう(頭行虫) すさまじきあっき(冷敷き悪鬼) すさまじきていのもの(冷き態の者) すさまじきなきごえ(凄泣声) すさまじきわらいごえ(冷笑声) すざらし(寿更司) すじかぶろ(筋禿) すじくろう(筋矩労) すしやまのおに(須志山の鬼) すずかのどくぎょ(周集河の毒魚) すすき(芒鬼) すすきおばけ(芒おばけ) すすきだるま(薄達摩) すずきのせい(鱸の精) すすきほ すすきりん(煤麒麟) すすけたちょうちん(煤けた提灯) すすけちょうちん(煤提灯) すずしろぐも(蘿蜘) すすどし すずめのかみさま(雀の神様) すずめのゆうれい(雀の寃魂) すずめむし(雀圧し) すずりのめ(硯の眼) すずりぶた(鈴里豕) すすをはらうおと(煤を払う音) すだま(魑魅) すだま(反響) スチームチキン(Steam chiken) すっくわさま(鋤鍬様) すってん(すっ天) すっぴょこぴょん すっぽんくび(泥亀首) すててぎてぎよ ストラルドブラグ(Struldbrug) すなあらい(砂洗い) すなのかずほどのむし(砂の数ほどの虫) すなふらし(砂降らし) スネイルキャット(Snail-cat) すねか(脛剥) すねまじろ(臑間白) スノートンネルのじどうしゃ(スノートンネルの自動車) ずばいぼうのひ(豆梅坊の火) すひゃくだいねんぶつ(数百大念仏) スプーク(Spook) ずぶぬれゆうれい(ずぶ濡幽霊) すまぶくろ(麩子袋) すみかけじぞう(墨掛地蔵) すみきち(墨吉) すみしらげどり(炭精米鳥) すみのあねさん(隅の姉さん) すみぼうず(隅坊主) すみよつで(炭四ッ手) すもうだぬき(角力狸) スライドロックボルター(Slide rock bolter) スリーレゲットガール(Three legged girl) すりつきだたみ(搨付畳) スルクイメル するすみさくら(磨墨桜) ずれん(頭連) すわつひめ(須和津姫) スワンフィスク(Swamfisk) スンケトゥス すんばこ ずんべらぼうず ずんべらぼん もどる
https://w.atwiki.jp/half-elufu/pages/16.html
ドラゴン族は驚異的な戦闘力と生命力、知覚力、回復力と魔法能力を併せ持つ大陸最強の生命種だ。 あまりにも強すぎて現在の他の文明圏では対抗手段が見つからず、存在に触れること自体をタブー視している節がある。 味方につけるのは良いが、一度敵に回ってしまったら滅多な手段では止められない。そして現代社会というのは個人同士の敵味方が曖昧になりがちで、個人にとっての味方が大衆の味方であるとは限らない。否、強すぎる力を持つ個人が「大衆」であり得る社会はほとんどない。 ドラゴンは社会システムの埒外の生き物である。個人との友好は結び得るとしても不特定多数を守るという義務感は現在のところドラゴンに芽生えたという記録はない。 個人と社会が対立した場合、ドラゴンは社会を消滅させる。 つまるところ、不用意にドラゴンに触れた社会は、ほぼ間違いなく最後にはドラゴンという力の渦を扱いきれずに滅ぶ。それが力としてドラゴンを迎えた者の、末路だ。 「じゃからの。……我は本来、このように人と交わって暮らすことは出来ぬ。今まではそなたが旅から旅への生活じゃったからの。特に気にせずにおれたのじゃが……聞いておるか、飼い主殿?」 「聞いてる聞いてる」 ポルカの温泉。 夜の闇の中、俺はライラの乳をもにゅもにゅと揉み、耳元を舐めながら生返事をする。その胸元には抜糸を済ませたばかりの傷痕が脇腹まで続いていた。 王都での戦いから二週間。 俺たちクロスボウ隊は、マイア及びミスティ・パレスのドラゴンたちの輸送の手を借り、ポルカにやってきていた。 アイザック隊と、ライラの治療のためだ。何故か急遽王都に来ていたアシュトン大臣の承認を受けたので、今回は半ば大手を振ってのポルカ入りだった。 ドラゴンスレイヤーによる傷はライラの背骨にまで達していた。人間なら普通死んでいる。 さらにドラゴンスレイヤーによる攻撃は、治癒の阻害効果まであるらしい。遺跡文明の殺意には驚くばかりだ。 だがヒルダさんによる適切な処置とポルカの霊泉の治療は、死者以外は必ず治す。 ライラとて例外ではない。こうして自力で温泉に入れるようになるまでには、聖獣戦のダメージを痩せ我慢しきったライラをしてなんと2週間もかかったが、今ではようやくまともに行動できるようになり、俺もひと安心だ。 「じゃから……そ、そなたの同業とはいえ、多くの者に我の存在を知らしめてしまったからには、本当は我は顔でも変えて別人として隠れるか、パレスにでも引っ込まぬと、いずれ、あ、軋轢が」 「大丈夫だよ、お前はそこまでわかってるんだから」 「聞きかじりじゃ、ディアーネやブロールがそう言うから……ひぁんっ」 「第一俺はお前の顔も気に入ってるし、お前を『力』として使う気はないぞ、今のところ」 「むぅ……」 「お前とマイアは主にチンポ穴として飼うって言ったつもりだけどな?」 「そ、そうじゃが……」 「お前は気にしなくていいの。黙ってチンポハメられてよがってろ」 「だ、黙ってよがれとは難しいことを言う」 ライラを抱き寄せて唇を重ね、その手に俺のいきり立ったちんこを握らせる。 なんだかんだと不安なのだろう。 こいつはこう見えて、寂しがり屋で心配性だ。 今までは気にしていなかったであろう社会との絡み方や営み方だが、ドラゴンスレイヤーに撃墜された「無敵でない自分」、ボナパルト卿を説得し、ねじ伏せた「社会と無関係ではいられない俺」に対して、やはり病臥の中で思うところがあったのだろう。 自分はこんなに無造作にここにいてはいけないんじゃないか、とか。 本当に社会と対立して、ドラゴンスレイヤーとやりあったりして自分が倒れてしまったら、俺を取り残してしまったらどうしよう、とか、今までは考えたこともないことを考えてしまい、俺に不安をぶちまけてしまったのだろう。 だけど。 「いいかライラ、俺は、お前のこと好きだ」 「う……わ、我もじゃ」 「お前がこのままドラゴンとして戦いにも何にも役に立たなくていい。お前という雌が好きだ。雄としてお前をいつでも犯して孕ませて産ませたい。この先死ぬまでずっとだ」 「……う、うぅ……そんなに甘いことばかり囁いてどういう魂胆じゃ……」 「どうもこうもない。それでいいだろ。お前は雌で俺は雄。俺はちんこでお前は穴だ。それ以外にならなくていいんだよ」 「……っっ♪」 ……ああ、なんて嬉しそうに微笑むんだ。 普通の女だったら絶対に怒るぞ、そんなこと言われたら。 でも、こいつはドラゴン。しかも、とびっきりのドラゴンだ。 自分がドラゴンであることを酷く気にして、気にしすぎて、自分がむしろとびっきりの「女」で、俺が好きなのがその「女」の部分であることに自信がなくなってしまうのだろう。 もしかしたらマゾなのも、そういう「強い生き物」であることの価値を排除し、自分の「女」である部分の価値を認めて欲しい、という内心の表れなのかもしれないな。勝手な想像だけど。 だから、俺はライラが「ドラゴンであること」の一般論について話し始めたら、ひどく意地悪になる。 「わかったらとっととチンポから精子を絞れ、このマンコ奴隷が」 「はぁっ……そなたはほんに、タチの悪い男じゃのう……♪ 逆らえぬわ♪」 「逆らったらタダじゃ済まさないぞ。子宮の中まで無理矢理チンポ突っ込んで子宮に直接小便流し込んでやる」 「ほ。それは逆らえというサインかの?」 「……嘘。いや俺そこまで鬼畜じゃないんで期待した目で見ないで」 「なんじゃ期待させおって。我はちっとも嫌ではないというに」 ライラは微笑んで俺のチンポをお湯の中で優しくしごく。俺もライラのたっぷりと張りのあるおっぱいを揉みあげ、乳首をピロピロと指先で弾いたり、ギュッと抓ってみたりして楽しむ。 「ふんんっ……♪ のう、そろそろ入れていいかえ? 我も久々に子袋にそなたの精が欲しゅうてのう♪」 「好きなだけ吸え、お前の子袋は俺のチンポ汁の最終処分場だ」 「ほほ♪ そうかそうか、そこまで言うなら遠慮はナシでいくぞえ?」 ライラは俺に熱烈にキスをすると、明かりのない温泉の上2メートルほどにボボボッと火球をいくつも浮かべ、明るく自分の肢体を照らして挑発的に身体をくねらせながら俺の上に跨る。 腹の傷は、赤く太い筋となって刻み付けられている。その線は本来子宮のある位置の上も通過していた。 「これじゃ子供が生めなくなるところだったな」 「ほ。……ヒルダによればな、子宮も裂かれておったらしいぞえ?」 「なっ」 ……おっさん許さねえ!! 「……くくっ、怒ったな。我はその顔だけで嬉しくてイッてしまいそうじゃ」 「だ、だって!」 「大丈夫じゃ、ヒルダが癒してくれおったわ。もっとも、あの女の見識ならこの地の水をもってすれば勝手に治るじゃろうとも言っておったな」 「でも……俺の女の腹だぞ! 俺が孕ませる女の!」 「ほほ、そうじゃな。……ああ、我の胎はそなたの物じゃ、その独占欲は、嬉しい嬉しい……しかし、それよりも我をねっとり孕ませてくれる方が嬉しいぞ?」 「うぅ……」 「さあ、我の胎を今度こそ誰の目にも分かるように膨らかすのじゃ……チンポ汁でな♪ なんなら小便で満たしてもよいが」 「だ、だからそんなのしねえって!」 「むぅ……意外と気持ちが良いかも知れぬのにのう」 「どこまで俺を引き返せない世界に引きずり込むんだこの変態ペット」 「無論どこまででも良いぞ♪ この我を性欲の捌け口としてだけ使い続けるのじゃ、どこまで変態なら足りるかのう」 「……エロドラゴンめ。いつか絶対泣かす」 「ほほほ♪ ……ゆくぞ♪」 そのたわわなおっぱいを俺にぎゅっと歪むほど掴ませたまま、ライラは腰を落とす。 温泉よりなお熱い女の膣に抱き締められる俺のチンポ。 ライラはその亀頭がヒダを一枚押し広げ、抜けていく度に、世にも幸せそうな顔でビクンビクンと震えて味わっている。 「はぁぁっ……我の、我の飼い主のチンポっ……我の愛する、ご主人様のチンポが、来るっ……子宮犯しに来てくれるぅっ……♪」 「だらしない顔しやがって……」 「ほ、これが悦ばずにいられるか……この我をいじめ続けてくれるご主人様のご到着じゃぞ♪」 「そーか、じゃあ遠慮はナシだな」 「ああ、ナシじゃ。どんどん出して孕ませてくれろ♪」 そのままグイグイと腰を動かし始める。俺も応えて腰を跳ね上げる。 まるで演劇の舞台のように火球に照らされながら、俺とライラは夢中で腰をぶつけ合う。 早くも一回目の射精が近づいてきた。 「く……」 「ほほ、そろそろいい顔になってきた……の、ぅ♪」 「お……お前こそなんてツラしてやがる」 「強がるな強がるな、ほれ、我の子宮はここぞ……ここがそなたの汁の的じゃ、よく狙え♪」 「お、押し付けるなっ」 下がってきた子宮口をわざとチンポの先に押し付け、俺の射精を待ち望むライラ。 俺も必死で腰を押し付けつつ、絶頂に向けて少しでも快楽を得ようと練るように腰を動かす。 そこに、クロスボウ隊の隊員が二人、のんきに脱衣所から出てきて俺とライラの交わりにびっくりした。 「う、うおっ」 「ら、ライラさんっ!? ほ、本当にスマイソン十人長と!?」 「ほほ。少し騒いでおる、許せ」 ライラはニヤニヤ笑って腰を振り続ける。 コイツにとっては本当にセックス如き他人に見せるのも大した抵抗はないようだ。 そして、俺はそんなライラに、 「うぐっ……く、ううっ……」 「ほほっ♪ で、出ておるっ……く、くっ……わ、我も、イクっ……!!」 思いっきり、射精。子宮口が喜んで俺の鈴口に吸い付いているような錯覚を受ける。 俺の射精の脈動にワンテンポ遅れつつ、ライラが俺にぎゅーっとしがみ付いてイキまくる。 そのライラのイク様を、明るい火球に照らされつつ見た二人は。 「…………す、スマイソン十人長」 「……マスかけってことですか?」 「ち、違っ!? 見るな見るな!!」 「ほ、ケチくさいことを言わず見せてやればよかろうに。この覗き魔が」 ライラはまだビクビクとイキながらニヤニヤと俺に囁き、キスをして俺の動揺した発言を封じる。 ……ちらっと横目で見ると、駄目って言ったのに暗がりでマスかいていた。 いや、こんなところで油断してやらかした俺たちが悪いっちゃ反論のしようもないですが。 「ほほ♪ マスを掻くのは構わぬが、我にかけようなどとするでないぞ? 流石にちょっと熱い咳払いが出てしまうやもしれん」 『イェスマム! うっ』 ……いや、イキ声まで揃えなくていいから。 しかし自分の女でマスかかれると複雑な気分だ。ディアーネさんでオナニーされても今ならちょっと嫌な気分になってしまうかもしれん。 「くっくっく」 「……なんだよ」 「……いや、何。さすがはそなたの部隊じゃと思うてのう」 「何が」 「確かに我は、雌としか思われておらんらしい」 ……言われてみればウチの隊は、ライラやマイアがドラゴンだからって気にした様子もないな。未だにアンゼロスに告白する奴いるみたいだし。 みんなディアーネさんで変に麻痺してるのかもしれない。 『イェスマム! 我々クロスボウの健全なる青年隊、魅力的な女性には魅力的と感じるしかないであります! うっ!』 ……いやお前らそんなこといいから。口揃えなくていいから。あと速いよ。 「……ま、そうだな。お前はいい女だから」 「……♪」 「こーなったらヤケだ、もう一発やらかしてやる!」 「ほ?」 「いよっ、さすがはスマイソン十人長!」 「ところで明日誤射していいですか!?」 「駄目に決まってるだろうが!」 「わ、おわっ……ま、まったく、暴れん坊な飼い主殿じゃ♪」
https://w.atwiki.jp/miyabi733/pages/322.html
プシー「……何これ?」 キルビス「見てわかんねぇか?巷で流行りのイライラ棒ゲームだよ。」 プシー「イライラ棒……って、何?」 キルビス「まぁやってみりゃわかるさ、とりあえずほら、パソコンの前に座って、スタートボタンを押すべし。」 プシー「……う、うん……。」 キルビス「やり方は簡単だ、この点をマウスで動かして、ゴールまで持って行くだけ……ただし、絶対壁に当たるなよ、壁に当たったらゲームオーバーだからな。」 プシー「うん、分かった…………よし、出来た……何だ、すごく簡単じゃん。」 キルビス「いやいや、ここから難しくなるぜ……クリアできるかな?」 プシー「出来るよ、ほら…………このステージも大したことないじゃん……慎重に行けば壁に当たらないよ。」 キルビス「おぉ、なかなかやるじゃん、初めてにしては……でも、次のステージはどうかな?」 プシー「次……えっ!?何これ、ゴール前の道細すぎ!!(;゜Д゜)」 キルビス「ほらな、だから言っただろ……さぁ、頑張りましょう。」 プシー「よし………ここまでは行ける………ここがヤバ………あっ!!」 キルビス「やっちゃったなぁ……ちなみにいっぺんゲームオーバーになったら最初のステージからやり直しね。」 プシー「えぇ~!?」 キルビス「良いだろ別に、1面と2面は大して難しくないんだから。」 プシー「そうだけど、いちいち同じとこやり直す事になったら面倒くさいし……。」 キルビス「嫌なら別にやめても良いんだぜ。」 プシー「………いや、なんか悔しいからやる。」 キルビス「そうこなくちゃ。(゜∀゜)ニヤニヤ」 プシー「………ここは楽勝………ここも………あっ!手が滑った……もぉ~!(#゜Д゜)」 キルビス「落ち着いてやれば出来るって、リラックスリラックス。」 プシー「う、うん…………よし………クリア………ここもクリア…………よし、来たぞ………。」 キルビス「集中して、慎重に行けよ、慎重に………。」 プシー「分かったから、黙ってて…………よし、行くぞ…………。」 キルビス「………(゜∀゜)ニヤニヤニヤ」 プシー「………………よし………行ける………行ける………いk」 _人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_ キャァァァァァァァァァァァァッッ!!!!キャァァァァァァァァァァァァァッ!!!! byリーガン<  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ プシー「(; Д) ゜ ゜あ゛あ゛あぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!あっ!!あっ!がっ………!!!ドテンッ バタッッ(;o。Д。)o 」 キルビス「( ゚∀゚)ギャハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \ドタッo(_ _)ノ彡_☆バンバン やべぇwwwマジ受けるわwwwwwwお前マジで兵器かよwwwww」 プシー「ぐ……はっ……はぁ゛っ……う、うえ゛ぇっ……げっほ……げほっ……!(*1))ガクガクブルブル」 キルビス「ぐはははははwwwwwドッキリだいせいこーうwwwwどうww?ビックリしたでしょwwww(゜∀゜)ヒーヒヒヒーwwww」 アキラ「ガチャヽ(゚ロ゚゜)ちょっと、どうしたの一体?すごい声したんだけど……。」 プシー「……あっ……アキラァァァァァ……キルビスがいじめたぁ~っ。・゚・(ノД`)・゚・。ウァァァン」 アキラ「えっ……ちょっと、兄さん何したのよ!」 キルビス「ん?ドッキリ。(゜∀゜)ニヤニヤ」 アキラ「ドッキ………ちょ、これビックリの奴じゃん!やり過ぎよ兄さん!!(`・д・´)」 キルビス「めんごめんごwwwヒヒヒヒwwww(゜∀゜)」 ~数日後~ キルビス「プシー君、プシー君、これやってみて。(゜∀゜)」 プシー「え……もしかしてまた怖い奴?絶対嫌だよ!!」 キルビス「今度は違うって……ほら、ストレス発散にはうってつけのプチプチ潰しゲームでございますよ。」 プシー「……本当に怖いの出てこないの?(`・-・´)ジー」 キルビス「絶っっっ対出てこないから、大丈夫!ほら、とりあえずやってみろよ、地味に面白いんだぜ、これ……。」 プシー「………分かった、やってみる……。」 キルビス「操作は大体わかると思うけど、プチプチをクリックしていくだけでOKだぜ。」 プシー「はーい。□_ヾ(・_・ )カチカチカチカチ」 キルビス「………(゜∀゜)ニヤニヤニヤ」 プシー「カチカチカチカチ□_ヾ(・_・ )………………あんまりおもしろくないなぁ………。カチカチカチカt」 _人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_ キャァァァァァァァァァァァァッッ!!!!キャァァァァァァァァァァァァァッ!!!! byリーガン パート2<  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ プシー「(; Д) ゜ ゜ひぎゃあぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁっ!!!!あぁぁぁぁあああぁぁああぁぁっ!!!!ε=ε=ε=ε=ヾ(;◎Д◎)ノ」 キルビス「( ゚∀゚)ギャハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \(_ _)ノ彡_☆バンバン 最高すぎるwwwwひひひひwっうぇwwww」 プシー「はぁ……はぁっ………うぐ………キ………キルビスの嘘つきぃっ!!バカァーーーーッ!!!!。・゚(゜´Д`゜)゚・。ビェェェェン」 キルビス「ごめんなちゃいねプシーちゃんwwwヒヒヒヒwwww(゜∀゜)」 ~さらに3日後~ プシー「……………この本、面白いなぁ。 パラパラパラ」 キルビス「おーい、プシー。」 プシー「Σビクッ ……な、何だよ?もうやらないって言ったでしょっ?」 キルビス「ちげーよ、そうじゃなくて………それ、そのテーブルに乗ってる子袋取ってくれ、アキラの忘れ物だから届けねーと。」 プシー「えっ?子袋……… これ? グニッ」 _人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_ ギャハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \/ \/ \/ \/ \ by笑い袋<  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ プシー「(; Д) ゜ ゜あっ!?ぁ……ア゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!フクロガ!!!フクロガァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!ε=ε=ε=ε=ヾ(;◎Д◎)」 キルビス「( ゚∀゚)ギャハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \(_ _)ノ彡_☆バンバン こ、これで、こんなリアクションする奴初めて見たwwwww」 ~それからもいろいろあって、数日後、清空家にて~ プシー「………でね、そうやってキルビスがボクの事いじめるんだ……… グスン」 ブレイス「キルビス様ガ、ソノヨウナ事ヲ……イケマセンネ………(´・д・`)」 ミオリ「あらあら……それは可哀想に、キー君ってば………これはちょっと懲らしめてやらなきゃねぇ。」 プシー「懲らしめるって、どうするの?」 ミオリ「そうねぇ……… あっ、良い事思いついちゃったかもー。(゜∀゜)ニヤニヤ」 プシー「………?(´・-・`;)」 ~次の日~ キルビス「………何だ、このUSBメモリは?」 ミオリ「これね、パパが試験的に作ってみたゲームのデータが入ってるんだよね、面白いからちょっとやってみてよ。」 キルビス「博士が?……いや、良いよ、俺そういうのあんまり………。」 ミオリ「良いから良いから、もう、本当に面白いんだって!そんじゃ早速、キー君のパソコンにずっぽしずっぽしー!!」 キルビス「おいこら、勝手に………てか、その言い方やめろ!!(汗)」 ~データ取出し中~ キルビス「………で、これを押せばいいのか?」 ミオリ「そそ、そしたらゲームの画面が開くから。」 キルビス「………何かなぁ……あの人も親父と似たような感性してるから、いまいち信用が……… カチカチッ」 ―――――パッッ――――――――― キルビス「………!? お、おい、何だこれ、画面が全部暗転しちまったぞ!?」 ミオリ「焦らない焦らない、ここからだから。 グリッッ」 キルビス「ほ、本当に………… ? おい、お前……今スピーカーのとこ思い切り弄らなかったか?」 ミオリ「いやいや、何の事かしらねー?それよりほら―――――――――― 始まるよっ♪」 _人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_ (あんまりにもヤバ過ぎて書けないけど、とりあえず超絶卑猥に喘ぎまくり淫語連発しまくりんこなボイス大音量サービスでござルンルン♪ byミオリ)<  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ キルビス「(lllll Д) ゜ ゜」 ミオリ「………あらいやぁ~ん、キー君ったらぁ~♪(* ゚∀゚)ニヤニヤ」 ~アキラの部屋~ ケント「………( ゚д゚) ……アキラ………何か、隣の部屋から……凄い声聞こえるんだけど………?」 サトミ「………確か、隣って………(; ゚д゚)」 アキラ「………(*_*)カチーン」 ~1階 リビング~ ミーラ「おや、坊っちゃん………とうとう、やりましたのデースね。」 ブレイス「……アア、オ嬢様………コレハ、流石ニヤリスギデゴザイマス………(´・д・`)」 オメガ「Σえっ……えっ?何……… 何、してるの、これ………?(;´・д・`)」 プシー「………(llllll゚Д゚)(……ミオリお姉ちゃん……… 何か、怖い………)」 ~外~ 浦橋龍助「Σおお、あいつ遂にやったか! ……でも、流石にこれはマズイけどなぁ……。」 幸助「……うーむ……お盛んなのは良いが、周りに気を配った方が良いな?」 シグマ「!?……何だ……この声は………一体何が起きている……… まさか、オメガの身に何か………!!」 清空博士「……おっ?この声………ミオリか?つ、遂にここまで………しっかし、何て大きい声なんだ、女の子なのにはしたないぞ……。」 近所のおばさんA「ちょっとちょっと、あそこの家一体何してるのかしら?」 淫所のおばさんB「やぁねぇ、真昼間から………。」 ~そして再びキルビスの部屋~ ミオリ「これに懲りたら、もう意地悪なんかしちゃダメよ?………と言っても、これちょっとやり過ぎたかなぁ………何か外がざわついてる気がするな……(汗)」 キルビス「プルプル……(*2) ミ………ミオリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 大音量の淫らな音声がようやく止まった直後、今度は耳を劈くような怒号が、街に響き渡るのだった――――――――― マスクの少年「以上、マジでガチでマジガチなクソ茶番劇をお送りいたしました…… 終ります、すいません。(・=□=・)」 ~終わリ~
https://w.atwiki.jp/hosyoku/pages/55.html
07 眼を覚ましたとき、先程とおなじ石造りの部屋に寝かされていることを第一に知ったミラだったが、両手両足を拘束していた枷が解かれているのと、 裸にされたからだが外套に包まれているのをみて、夢のなかに現れた人物の存在とその言葉を思い出した。あれは、現実の出来事だったのね。 「よ、っと」 ミラはそそくさと台から降り、部屋の出口へと向かった。体中に倦怠感が積もっていて、足取りは重い。扉は蝶番を軋ませながらひらき、 そのさきには廊下が続いていた。薄暗くて、先まで見通せない。まるでぽっかりと口をあけた闇が、誘い込んでいるみたいだ。静かすぎる廊下を、 裸足の足でひたひたと歩く。石でできた床はひんやりと冷たくて、すぐにつま先がジーンとしてきた。百メートルほど進んだところで、 ミラは耐えがたい異臭を鼻に感じた。汗と糞尿の混じり合った臭い。その他諸々。鼻をひくひくさせながらさらに奥に進むと、 左手にずらりとならぶ錬鉄製の牢獄が現われて、少女は思わず足を止めた。耳を澄ますと、さらにきつくなる悪臭に加わって、 何者かの気配がそこかしこで感じられる。呻き声? 本能的にミラはあとじさったが、退却の先になにもないことぐらい知っている。 意を決して歩を進めた。さいしょの牢獄には何者の姿も確認できなかった。ただ壁は一面赤黒い汚れで覆われていて、 床には異臭を放つ不気味な塊がおかれている。ミラはなるべく牢獄の中を見ないようにした。三つ目の牢獄を通り過ぎようとしたとき、なかから低いくぐもった呻き声が聞こえてきた。 それは神経に直接触るような声で、ミラは恐る恐る、顔をめぐらせた。牢獄のなかになにかいる。そしてそいつはもそもそと蠢いている! ミラは手足の先の温度がすぅっと引いていくのを感じたが、不思議と額は火照ったままで、それから懸命に目を逸らそうと――見てはいけない!――した。 真っ暗な牢獄の奥。逃げ出したい衝動と、ある種の好奇心が少女の小さなからだの中で拮抗している。心臓の鼓動がはやまってきた。体中に血液を送り出す役割をもつその器官は、 いまや早く、しかし確かな鼓動とともに、純粋な恐怖という液体を体中にめぐらせている。だんだんと目が慣れてくるにつれて、ミラはそれをのすがたみようと 眉間にしわを寄せ、眼を細めた――そして次の瞬間、少女の口から出た甲高い悲鳴が地下の空間を切り裂いた。 牢獄のなかには、かつて少女だったものがいた。しかし、ミラはそのすがたから、以前の可憐な美少女の姿を想像することはできないだろう。 なぜならそれは手足を切り取られていたし、舌も耳も根元からなかったからだ。唯一、それを人間たらしめているのは大きく膨らんだ腹と乳房で、 その盛りあがった皮膚の内側は新しい生命を宿し、たえまなく蠢動しているのだった。またそれには両方の目玉もなかった。 だから牢獄の外にいるミラのすがたを確認できたのはある種の勘によってであり、それは黒い眼孔から涙を流し、舌のない口を大きく広げて、 必死に助けを求めた――もっともその行為は、あまつさえ張り詰めたミラの神経の糸を余分に弾いただけだったが。 「きゃあああああああああああああああああああああああ!」 ミラは四肢の筋肉の収縮に任せて、その場から全速力で逃げ出した。やがて長く続いた牢獄が終わると、その先に上階へと続く階段を発見し、 少女は安堵した。膝に手をついて、ぜぇぜぇと呼吸を繰り返す。背後からまだ聞こえてくる呻き声にびくりとした彼女は、あわてて後ろを振り返ったが、 そこに何者の存在もないのを確認すると、足早に階段をのぼり始めた。 08 三人目の女の出現をテラスから見ていたドーリーは、苦々しげに口元をゆがめた。あの弓使い、ただものじゃあない。最愛なる巨人の眼球を神速の矢が立て続けに貫いたのをみて、 ドーリーは形勢の逆転するのも時間の問題かもしれない、と思った。さすがのグーブの回復能力も限界が近づいてきているようで、傷口が塞がるのに倍近い時間を要していた。 ドーリーは顎に手をあてて思案した。ややあって良策が浮かんだのか、不気味に哂うと、さっそく手下のブッカに命令を下した。 「双子だ。いますぐに、やつらを連れて来い」 ****** 巨人の回復能力はあきらかに減衰しているようだった。アッティラとヴァレンティノ、ガラテモアの三人はこれを好機とみて、激しい攻撃で畳み掛ける。 「ほら、こっちこっち、トンマな巨人さん!」 弓使いが俊敏さを生かして、巨人を翻弄する。そして隙を見ては矢を急所に打ち込み、その度に巨人はうめき声を挙げた。 「これで、おしまいっ!」 魔女の魔法によって強化されたアッティラの剣が、ついに巨人の腕を切り落とした。根元から断たれた腕はずしりと地面に落ちて、断面から流れ出す血液はたちまちのうちに池をつくった。 「ぐぅぅぅぅぅぅ、ううううううふゅゅゅゅ・・・」 痛々しい傷口を手で押さえながら、巨人が膝を折った。血走ったふたつの眼は、ゆるぎない自尊心を傷つけられたかのように、女達を睨みつけている。怪物は歯を食いしばりながらも、 懸命に立ち上がろうとした。そのとき、 「もういい。グーブ、よくやったよ。そこまでだ」 巨人に優しく声をかける者があった。巨人はうしろを振り返り、声に従った。すると三人の少女は、自分たちをあれほどてこずらせた相手をこうも簡単に服従させた脅威に身を固めたが、 城の中から一匹の小柄な怪物が現われるのを目にして、それぞれになんともいえない感想をもった。小柄な怪物は巨人に労わりの一瞥をくれると「しばらく休んでおけ」といった。 「取引をしよう」 アッティラ達に視線を投げると、小さな怪物はこう切り出した。彼女達は互いに目を配しあったが、まもなくつれてこられた双子の美少女を目にすると、一同のあいだに緊張が走った。 『お願い、助けて!』『助けてください!』 両手に枷を嵌められた美しい双子は、口々に嘆願した。その表情には悲哀がありありと浮かんでいる。アッティラとヴァレンティノは、ガラテモアの救出したミラの存在をまだ知らなかった。 すると弓使いの少女はその事を詫び、説明し――目的は果たした、もう戦う理由がないだろうとふたりに告げた。 それをみていたドーリーは、大げさな身振りで双子の周囲を歩きはじめた。 「この双子は、ほんとうに可哀想に、運悪く迷い込んできてね。近々喰ってしまう予定だったんだ。でも、どうだいこの有様は」ドーリーは死体の山となった同胞達と、 瓦礫と化した大通りを手で示した。「もう、やめようじゃないか。どうか、見逃してほしい。もちろん、ただとはいってないよ。双子はいますぐ家に帰してあげる。まだ、 どこも欠けちゃいないさ。まぁ、明日になったら、どうなっているかわからんがね」 双子は大粒の涙ながした。それをみてアッティラはあきらめたように剣の構えをとき、怪物の提案を受け入れることにした。ガラテモアはひとり、 いまだ好戦的な瞳を怪物に向けていたが、それもヴァレンティノにひと睨みされるまでのことで、さも残念そうに肩をすくめたあと、しぶしぶ従ったのだった。 『ありがとうございます、勇者様がた!』『このご恩は、一生忘れません!』 双子は厚い謝辞を述べ、涙ながらに何度も頭をさげた。して、その胸中に隠された悪意に、アッティラ達が気づくはずもなかった。 09 大多数の怪物たちが死んだいまとなって、城のなかはひっそりと静まり返っていた。長い階段を昇りきったミラは、用心深く重心を低くたもちながら、 城の入り口を目指した。昨夜案内されたばかりだからか、城の入り口はすぐに見つかった。少女はこの悪夢にも似た現実に終止符を打つため、勢い込んで外に飛び出した。 「ふぅ、やっと外だわ。あれ? どこかで話し声が聞こえる・・・」 久々に浴びる陽光とともにミラを出迎えたのは、瓦礫と化した家並みと山のような死体、通りを挟んで対峙する数人の影だった。そしてそのなかに、 ひときわ大きな体躯を認めると、少女は口をかたく引き結び、手近の瓦礫に身を隠した。 「ほら、行け」 手前にいた小さな人影が、ふたりの少女の両手を拘束していた枷を外したあと、その背中を前に押し出すのをミラはみた。 少女たちはおぼつかない足取りで、ゆっくりと、奥にいる三人の女の方へ歩んでいく。 「あれは・・・」 三人の女のうち、そのなかのひとりにミアは見覚えがあった。大きな弓。彼女を救出した人物と、特徴が符合している。 解放された?ふたりの少女は、弓使いの女たちまであと数歩のところまで来ていた。 「あのふたり、どこかで――あっ!」 そのときミラの脳裏に電撃が走った。あれは、あの二人の少女は――双子、怪物たちの手下じゃない! きっとこれは罠に違いないわ! そうと決まればミラはさっそく危険を知らせるために、 勇気を振り絞って瓦礫の陰から飛び出した。そのとき――双子の片割れが何気ないふうを装って腰に手をやったとき、何かがきらりと光ったのをミラは見て、彼女は自分の突発的な行動の裏づけを得た。 ナイフだった。 「それはワナよ! ナイフを隠し持ってるわ、早く、離れて!」 ミラは力の限り叫んだ。そしていったい何事かと、その場にいた全員が少女に視線をからめとられた。彼女の勇気は賞賛に値する。 しかしその行動が最悪の事態を呼び起こしたのをミラは知るよしもなかった。もしも彼女のその働きがなければ、双子の邪悪な試みはあるいは失敗に終わり、 このようなかたちで成功しなかったかもしれないからだ。気がつけば双子の凶器は、アッティラの細い首を安々と貫いていた。 「え・・・嘘――な、ぜ? ひゅう」 双子が勢いよく刃物を引き抜くと、傷口から鮮血の噴水があがった。同時にアッティラの足ががくがくと痙攣し、地面に落ちた。 ヴァレンティノとガラテモアは瞬時に事態を解析し、各々の行動――魔女は蘇生の詠唱を、弓使いは双子に放つ矢の準備――をしようとしたが、 「グーブ、起きろ!」 というドーリーの如才ない命令で即座に躍動した巨人の腕――一度は切り落とされたが、くっついた――に胴体をむんずとつかまれ、その太い指で拘束されてしまった。 「アッティラ!」 高々と持ち上げられた魔女と弓使いは、地面に崩れ落ちた仲間の名前を口々に叫んだが、彼女の急速に血を失ったからだは、 すでにびくんびくんと、死の世界に向けて痙攣をはじめていた。 「おじょうちゃん、こりゃあ、もうたすからねぇな」 アッティラのそばに寄ったドーリーが呟いた。彼はアッティラの髪の毛を掴み、そしてどこから取り出したのだろうか、ワイングラスを彼その首の傷口に押し当てた。 「この、アッティラになにすんだ! やめろ、はなせっ――ぎゃああああああああ」 ガラテモアの罵声が、苦痛にとってかわる。耳を塞ぎたくなるような背骨の軋む音が、あたりに響き渡った。まもなく少女は白目をむき、小便と泡を吹いて気絶した。 その慄然たる光景と、自身の冒した過ちを認識したミラは、子供のように四肢を丸めてうずくまった。巨人が弓使いの少女を放り投げた。 少女の小さなからだは屋敷の壁に鈍い音とともにぶちあたったあと、ずるずると地面に落ちていった。 「うまい!」 なみなみと注がれたワイングラスを飲み干したドーリーが、感嘆の声をあげた。そして自身に向けられている憎憎しげな魔女の視線を仰ぎ返すと、またさらに口角をつりあげるのだった。 「魔女か・・・ふむ」 何かを納得したようにそれだけを呟くと、ドーリーはくるりと背を向けた。立ち去り際、この恐るべき怪物の長は巨人にいった。 「長剣の女は、ぜんぶ喰っていいぞ。あと、魔女は生かしたまま連れてこい。拷問部屋にだ。わかったな、グーブ」 巨人は素直に頷くと、ヴァレンティノの後頭部にかるい指弾きをお見舞いした。魔女はなす術もなく昏倒した。 必死に耳を塞ぎ、この悪夢からの目覚めを祈っていたミラは、とつぜんうしろから強引に抱きかかえられて、びくりと身を震わせた。恐怖に振り向くと、目の前で双子が妖しく哂っていた。 『だめじゃなあい、ミラちゃん』 「い、いや――」 双子の指が、するすると外套のしたに潜りこみ、ミラの恥部と乳首を探しはじめる。「あ、あ、や、やめて、たすけ、痛いっ、痛い痛いっ! イタイ!」 双子の爪が、乳首とクリトリスを容赦なくひねりあげる。『ほんとうに、いけない子。おしおきしましょう。そうしましょう。ほら、さっそく戻りましょう、 地下室に。ねぇ、ミラちゃん、知ってた? あの部屋の名前。調理室っていうのよ――』 双子はミラの脇に手をはさみ、強引に立ち上がらせた。待ち受ける悲運を想像して、少女は涙を溢れさせたが、双子には彼女に同調するだけの情が存在しない。 「いやああああああああああああああああああ、助けて! 助けてよぉおおおおおおおお!」 ミラはあらんかぎり叫んだが、無慈悲にもその声は誰に届けられる事もなく、 やがて少女は地下室の陰気な闇のなかにずるずると引きずりこまれてくのだった。 10 ドーリーと双子達が立ち去ったあと、巨人グーブは耐えがたい空腹感に苛まれていた。弓使いと魔女はまだ生きていて、彼のすぐ傍で気絶しているが、 食ってはいけないと命令されたことを彼の小さな脳は覚えている。すると自身の胃におさめることを許されたのは血を流して倒れている金髪の女だけで、 だから空腹の彼はさっそくその動かない獲物に接近した。 見たところ、獲物は息をしていないようだった。すでに事切れているのだ。グーブは残念に思った。彼は生きている獲物を、恥辱にまみれて噛み潰すことに生きがいを感じているのだ。 「ぐっぅうう・・・」 巨人は鼻をひくひくさせて、アッティラのにおいを存分に嗅いだ。そして濃厚な血のにおいに混じって微かに感じる、雌独特の、あの興奮を促がすような芳香に彼は快感を覚えた。ふと、濡れた鼻先に、 微妙な空気の流れが触れた。女が息をしているのだ。巨人はまだ女が生きていることを知り、狂喜した! どんなかたちであるにせよ、死体を喰う事ほど退屈な話はないのだから! 「ぶぅううう、ふゅっ」 興奮した巨人はアッティラの片腕を掴み取り、宙ぶらりんにした。そして邪魔な鎧と衣服を剥ぎ取った。青白い滑らかな素肌をすべて剥き出しにしてしまうと、巨人は長い舌を伸ばして、 女の肌を濡らしている血を丹念に舐め取った。甘美な味わいだった。 ときおり舌先に触れる乳房の柔らかさや、太股のすべすべとした感触に、グーブの内奥で眠っていた一種の性的欲望が呼び覚まされた。彼はその未知の感覚に戸惑いつつも、 自身の股間で膨らみつつある丸太のような性器の扱い方を本能的に察知していた。もっとも、彼はドーリーのその行為を何度か目にしてはいたのだが。 「ぶひゅうぅぅぅぅぅ、ぐっひゅううううううう!」 巨人は女の股を、自身の怒張のうえにまたがせた。醜悪な形をした性器の頂点に、柔らかな部分が触れたのを感じて、彼は思わず身もだえした。しかしながら、 アッティラの性器に対して、巨人の性器はまるで規格外の大きさであり、すなわちその一方的な性交が叶うことはなかった。 「ふぅううううううううううううっ、ヴううう」 苛立った巨人はアッティラの両方の太股をつかみ、強引にしたに引っ張る。みちみちと、皮膚と肉の張りつめた奇怪な音がひびいた。ごきんという骨の外れる音がして、 彼女の股の間接が外れる。しかし瀕死の彼女はうめき声ひとつあげず、だから巨人はなおも力を加える。限界まで引き伸ばされたアッティラの膣はいまにも裂けそうだった。 「ぐ、ぶぐ・・・・・・グバァァァァァァァァぁぁっっ!!」 巨人が懇親の力を込めた。そしてついに、その巨大な肉の凶器がアッティラの膣を――いや、腹部を、さらに胸部までを一気に貫き、中身の肉を丸ごと抉り取った。 ぼたぼたと音を立てて、鮮血とともに散るアッティラの臓器。肋骨だけを残してすべて吐き出された胸部には、張りを失った豊満な乳房が不規則に揺れている。 すると巨人は残ったアッティラの背骨と腹部の皮膚を肉棒に絡ませて、自慰をはじめた。 「ぶひゅ、ぐるるるる」 ぬるぬるとした血液の感触と、骨の固い突起が巨人にいい知れぬ快感を与える。まもなく巨人は彼女の体内に射精した。 いまやアッティラの美しい体は見るも無惨な姿に変わり果てていた。金髪は血で汚れ、優しげだった碧眼は眼孔から飛び出している。 自慰を終えた巨人は、醜悪な肉の塊となった女に以前のような食欲を感じる事はできなかった。彼は憎憎しげに、彼女の頭部を握り締めると、懇親の力を込めた。 頭骨の軋む音ともに、アッティラの頭部が難なくはじける。巨人は頭部を失ったアッティラの身体を、飽きたように放り棄てると、背中を向けて去っていった。 地面に棄てられたアッティラの肉体だったが、するとどこからともなく小柄な怪物が集まってきて、肉を啄ばみはじめた。彼らの去ったあとには、骨ひとつとして残らなかった。 ****** 「ようこそ、拷問部屋へ」 意識を取り戻した魔女にたいして、ドーリーは大仰な態度をしめした。その背後には、ありとあらゆる拷問器具がびっしりと並べられている。 薄暗い部屋のなか、彼らは新たな獲物に息をひそめているかのようだった。 「・・・・・・」 魔女はなにも答えない。ただドーリーをねめつけるその切れ長の瞳は、彼女の言葉をありありと代弁していた。殺してやる、と。 「お穣ちゃん、ぐへ。その目、そそるよ。勃起しちまった」 ドーリーは魔女の傍らに屈み込み、その端正な顔を覗きこんだ。ヴァレンティノは怪物の生臭い息を耐えながら、後ろ手に縛られている両手をどうにかしようとしたが、むだだった。 「無理さ。人間の力じゃあ、はずれない。さて、と。そろそろはじめようか」 如才なくそういったドーリーは、すっくと立ちあがり、様々な器具の置かれている棚に向かった。 「なめられたものね・・・」 鼻歌を歌いながら器具を漁っているドーリーを尻目に、魔女は呟いた。そして、 「*******」 開錠の詠唱をはじめた。しかし、 「無駄だよ。お穣ちゃん」 ドーリーがその手に鋏ともペンチともとれる珍妙な道具携えて戻ってきた。すでに詠唱を終えていた魔女はにわかに焦りを感じた。これは、一体どういうことだ。 怪物の言うとおり、枷は外れることなく、なおも変わらぬ締め付けで彼女の両手首を拘束したままでいる。「なぜ――?」 魔女は疑問符を打ち出した。怪物はにこりと哂った。そして次の瞬間、誰が予想しただろうか――彼は猛然とした手つきで、魔女の目玉をすばやく抉り取った。 「え――あれ、急に、なにも、見えない・・・あ、あ、あああああああああああ、わたしの目がぁぁぁぁ!?」 ヴァレンティノは屈み込み、顔を手で覆った。そしてその耳に、ぷちゅぷちゅという、ゼリーを食むような音が聞こえてくる。ドーリーはふたつ目の目玉を口に放り込んだ。 「ん、くちゅくちゅ。ごくん。・・・前から、狙ってたんだよ、その目。いや、あんまりにも綺麗だったからね。うん――ぷりっとしてて、味も最高さ」 「くそっ、殺してやる、殺してやる! ************、*****、****************」 怒りに燃えたヴァレンティノは、考えうるすべての呪文を詠唱した。彼女はすでに失われた視力のもと、怪物の断末魔を期待したが、それはいつまでたっても聞こえてこなかった。 「おじょうちゃん。だから、魔法は無理だってば」 いったん遠ざかったドーリーの声が、ふたたび戻ってくるのをヴァレンティノは闇のなかで聞いた。生臭い息が頬にかかる。いきなり外套をめくりあげられて、 彼女はびくりと震えた。ごわごわとした指が、魔女の肉付きのよい太股を撫ではじめる。内腿に生温かい舌の感触。。下着越しに女の核心に迫る、固い指先。 彼女は強引に太股を閉じようとした。できなかった。 皮を被った肉豆をひねりつぶされる。 敏感な粘膜を擦られる。膣のなかに無遠慮な指が侵入しようとしたとき、彼女は悪態を吐いた。怪物は彼女の股から手を引き抜き、匂いを嗅いだ。 「すんすん――臭くて、とてもいい臭いだ――しかし、それにしても、いけない舌だね。お穣ちゃん。もうすこし慎みを持たないといけない。でも、 大丈夫。いまのうちにしゃべっておきな。もうすぐ、なんにもしゃべれなくなる――から、よっっ!」 そのとき、どん、という肉の断ち切れる音がした。もう一度、どん。次いで、ヴァレンティノの悲痛な叫び声。 ドーリーは魔女の太股を付け根から切断した大なたの刃をぺろりと舐めた。 「叫べ、叫べ。良い声だよ。射精しちしまいそうだよ」 ドーリーは苦痛にのたうつヴァレンティノの細い腕を床に固定した。魔女は次に来るだろう、あの、どん、を想像して、空いた眼窩から涙を流した。 冷徹で気高い魔女の姿は、見る影もなかった。 どん。どん。ヴァレンティノは、自身の血が頬に当たるのを感じた。彼女はバランスを失って、ごろんと仰向けに転がった。その股間からは、 断続的に小便と糞が流れ出している。彼女は絶望した。 「殺しなさいよ。・・・・・・もう、殺し、て」 体中を駆け抜ける痛みが、思考を翻弄しているなか、ヴァレンティノは怪物に嘆願した。怪物は彼女の豊満な乳房を指でまさぐりながら、言った。 「だいじょうぶさ、お穣ちゃん。まだまだころさないよ。なんせ、あんたには俺たちの子供を孕むっていう大事な使命があるんだから。死ぬのはそれからでも遅くないよ」 死、という単語に反応した彼女は、そくざに舌を噛んで自害しようとした。が、しかし、まるでそのときを待っていたかのように、怪物に舌をつかまれ、 行為を阻まれてしまった。 「しな、ひて・・・」 魔女は拙い発音で最後にそう呟いたが、舌を切り取られるのと同時に、その望みもまた潰えたのだった。 ******* 石壁に備えつけられた蝋燭が、オレンジ色の光を調理室の隅々に投げかけている。そのなかで先ほどからせわしなく動き回っているのは、美しい双子の姉妹。 彼女らは手に手に妖しい器具を持ちながら、いまやまな板の魚のように、台のうえに横たわっている弓使いの少女――ガラテモアのすらりとした身体を盗み見ては、唇を歪ませる。 囚われの少女ミラは、その様子を部屋の隅からみていた。彼女の両手両足にはふたたび枷が施され、裸に剥かれて、ちょうど大の字のかたちで壁に磔られれている。 愛嬌のあるおおきな瞳は、泣き腫らして真っ赤だった。 着々と、ガラテモアを調理する準備が進められる。弓使いの少女はまだ眠るように目を閉じており、しかし時折、うめき声をあげてみせた。 すると双子は手を休めて、嗜虐心のおもむくままに、弓使いの剥き出しなった胸に――かすかに膨らみはじめた隆起に――そっと手を伸ばすのだった。 準備が終わったようだった。双子は台の左右に位置取り、ガラテモアの身体を舐めるように眺めている。片方の双子が、先の尖った小さな刃物を手に取った。 『ミラちゃん。よぉく見ておきなさいね、次はあなたの番だから』 そう言いながら、片方の双子はガラテモアの乳首を指で摘みあげ、切り取った。突端を失った乳房の頂点から、真っ赤な血が滲んでいる。彼女は切り取ったばかりの乳首を口に持ってゆくと、そっと舌のうえに乗せた。 『ん、くちゅくちゅ・・・・・・おいしぃわぁ。なんて、美味しいのかしら・・・』 『ねぇ、私にも、ちょうだい』 もう片方の双子が、陶酔したような表情を向ける。するとおなじ顔をしたもうひとりは、くちゃくちゃとした咀嚼音をこぼしながら、残ったほうの乳首を迅速に刈り取った。 そしてそれを自身の唇で挟み込み、濃厚な口移しをした。 その残酷な戯れから目を逸らそうとするミラだったが、どうしてか、その瞳は双子の淫靡なキスに釘付けだった。まるで唾液を共有しあう厭らしい音が耳の穴を強引にこじ開け、 理性を溶解させていくようだった。しかしその背徳的な時間も、部屋中の空気を震わせる叫び声で中断させられた。ガラテモアが、ようやく意識を取り戻したのだ。 目覚めた弓使いの少女はまず、胸に鋭い痛みを感じた。乳首がどちらもなかった。あわてて見上げると、双子が何かを咀嚼しながらキスをしていた。 ふと、双子の口角から何かが飛び出して、ガラテモアの胸に落ちた。ずたずたになった小さな肉の塊――自身の乳首だった。『あら、失礼』と双子は間の抜けた声をあげて、 その肉塊を指で摘むと、ふたたび口の中に放り込んだ。 「この、やめろっ! いますぐ、やめないと、ひどい目にあわせるんだからっ!」 ガラテモアは叫んだ。双子は眉間にしわを寄せて、名残惜しそうに唇を放した。かたちのよい唇と唇のあいだに、血の混じって桃色になった唾液の橋がつぅ、とかかった。 『ほんと、うるさいんだから』『もうすこし、おとなしくしててほしいものだわ。ただの食材のクセに』 冷徹な表情で双子は先程よりも一回りおおきな刃物を手に取り、ガラテモアが返す言葉もないうちに、少女のお腹の皮膚を丸く切り取った。ぺろりと剥かれた真っ白な皮膚のしたには、 複雑なうねりを見せる臓器が詰まっている。ガラテモアは声にならない悲鳴をあげたが、双子は臓器を――大腸と小腸を掴み取ると、慣れた手つきで取り出し始めた。 『かなり臭うわね。この娘の糞袋』『ええ、ほんとう。えげつない臭いだわ。それにしても、あの馬鹿どもときたら、どうやったらこんなもの、生で食べられるのかしら』 ガラテモアの悲鳴を無視して、双子はどんどん臓器を取り出してゆく。台の端に積み上げられたそれらは、赤黒く、ぬらぬらと照りひかっていた。 心臓や肺といった主要器官をのぞいて、おおかたを取り尽くされたあとのガラテモアはまさしく空っぽだった。 双子は最後に、腹腔の奥におもむろに手を突っ込むと、薄桃色をした小さな器官を取り出した。 『美味しそう・・・』『ええ。確かこの娘、まだ生娘だったわよね。綺麗・・・食べちゃいたいくらい』 双子は揃って舌なめずりをした。彼女らの手で弄ばれているのは、ガラテモアの生殖器だった。 青白い顔をしたガラテモアはすでに声をあげる気力もなく、自身の大切な部位が陵辱されるのをただ見ているしかなかった。 彼女の四肢は力を失い、壊れた人形のようにだらりとたれている。からだはまだ生きていたが、心はすでに死んでいた。 ミラは部屋に充満する血と糞尿の臭いに、胸に込み上げてくる熱いものを感じた。双子はガラテモアの胸部を開き、心肺を取り除いている。弓使いの少女は静かに事切れていた。 ガラテモアの手足が切断され、次いで、首から頭が切り離されるのをみて、ミラはとうとう床に嘔吐した。 床石を叩くびちびちという音に、双子は振り返った。その手にガラテモアの生首を持ちながら。 『いけないわよ。ミラちゃん、そそうしちゃ、あなたの番は明日なのだから』 双子はさも楽しそうに哂うと、ガラテモアの生首を、その冷たい鼻先がくっつきそうなほどミラに押し出した。 少女は生気を失った弓使いの表情と、すでになにも映さなくなったその瞳をみて、さらに熱い物が込み上げてくるのを感じた。 「うげ、げぇぇっ」 堪え切れなかったミラは、ふたたび、地面に吐しゃ物を盛大に撒き散らかした。胃の中身を全部吐き、 荒い呼吸に身をまかせてうなだれていると、とつぜん、無防備なお腹に強い衝撃が加えられた。双子のブーツを履いた靴が、少女の柔らかいお腹にめり込んでいた。 『この、汚らしい――私たちの靴に、服に、下呂を引っ掛けるなんて、この、この――』 「痛い、痛いっ! ごめ、ごめんなさい――やめてっ、痛い――!」 必死の懇願むなしく、双子の怒りは燃えあがるばかりだった。彼女達はミラの髪を引っ張り、顔を強引に向けさせると、無理矢理に口をひらかせた。 「ん―――っっ! ん――」 ミラの頬を涙が伝う。視界の端で双子が、台に積まれた赤黒い内臓を手にして戻ってきたのが見えたからだ。それをどうするつもりなのか。なんにせよ、明るい未来はないに等しい。 『明日にしようと思ったけれど、やめたわ。可愛いミラちゃん。あなたはじっくり、たっぷり虐めてから殺してあげる』 双子は、ミラの口内に生温かい内蔵を押し込んだ。なんとも言い難い感触が、舌を刺激して、内容物のなくなった胃をさらに刺激する。 双子のうち一人が、吐き出してしまわないようにミラの口を手で覆っているあいだ、もう片方の双子は屈み込み、ミラの下腹部を手の平でなではじめた。 空いた手にはさきほどガラテモアの皮膚を裂いたばかりの、血にぬれた小ぶりの包丁が握られている。ミラは双子の指の感触が、 いつその冷たい刃先に変わるのかと思い、恐怖した。そしてその瞬間は早くもやってきた。 『ミラちゃん、絶望を味わわせてあげる』 屈み込んだ片割れはそう言うと、ミラの下腹部の、臍の下あたりににつぷりと刃先を差し込んだ。 「ん、ん――んふっ!」 ミラは脳天を突き上げるような痛みに、首を狂ったように振る。しかしそれはまだまだ最初の試練で、双子は白いお腹にあけた傷口に、手を突っ込んだ。 お腹のなかを掻きまわされ、まさぐられている。それはある意味、性的な陵辱を受けること以上に、ミラの心に衝撃を与えた。 『あたたかいわ・・・ミラちゃんお腹・・・それに柔らかい。よいしょっと、もうちょっと奥――あったあった』 双子は目的のものを見つけると、それを見失わないようにぎゅっと握り締めた。そしてそれは小さな肉の塊のようなもので、彼女はさっそく、それを引き抜いた。 『ほら、かわいいでしょ。ミラちゃんの大事な子袋』 嗜虐心の塊のような双子は、引き抜いた子袋をミラの目の前で振るう。少女は悲鳴をあげたかったが、口のなかで炸裂する内臓の臭いや味が、それを不可能にしていた。 双子はどこまでも残酷だった。彼女らは取り出した子袋を愛しむように舐めまわしたあと、どこからか小箱を取り出して、ミラに掲げてみせた。 小箱は手の平にのる程度の四角い小さな箱で、ミラはその箱の中からかさかさという音がするのを、朦朧とする意識のなかで聞いた。 『よく見ておくのよ。この箱はね、ミラちゃん』 双子が箱の上扉を開いた。ミラは絶句した。箱の中には一面を埋め尽くすほどの蟲が入れられていた。 『すごいでしょ、ミラちゃん。この箱、どう使うか知ってるかしら?』 双子がミラに尋ねる。しかし彼女らはミラがすでに何の反応も示さない事をよく知っている。双子はミラの子袋を摘みあげ、そして、 『こう使うのよっ』 蟲の蠢く小箱に、小さな臓器を投入し、小箱のふたを閉じた。ミラは心のなかで何度も悲鳴をあげた。そして空白になった自身の女の機能を思うと、さらに絶望するのだった。 『ほら見て。ミラちゃん。あなたの大事な子袋が、いっぱいの蟲さんたちにちぎられて、噛み砕かれて、最後には尻の穴から臭い糞となって出てくるのよ。素敵じゃない?』 双子は、ミラの口を塞いでいた手を放した。胃液と唾液と一緒になって、弓使いの少女の内臓が床石にはじけた。ミラはすべてをあきらめたようで、もう声ひとつあげなかった。 『あら、もう壊れちゃったのかしら』『残念、でも、まだまだこれからよ。あぁ、臭い、あなたの下呂の臭い。これは、洗っても落ちないわね』 双子は残念そうに、しかしどこか嬉々とした――ちょうど、壊れた人形の手足をさらにもぎ取るときのような――表情をみせた。 『そうだ』 双子は閃いたように手を打った。 『どおしたの』 片割れが尋ねる。 『あのね――ごにょ、ごにょ』 『それは名案だわ! さすがね!』 双子は刃物を片手に、物言わなくなったミラの乳房を手に取り、乳輪に沿って丸い穴を開けた。 ミラは小さくうめき声をあげただけだった。 『だんまりしてられるのもこれまでよ、ミラちゃん』 双子は妖しい笑みを浮かべていった。そして、先ほどの小箱のふたを開けて、乳輪に丸くあいた穴のなかに、中身を注ぎ込んだ。 「んっ・・・あっ、ん――?」 何をされたのかさえ感知していなかったミラだが、ふと、胸部をくすぐる痛痒に声をあげた。そしてその痒みは、 じょじょに広がっていって――とつぜん、絶対的な激痛が彼女の身体を貫き通った! 「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああっ! 痛い、痛い痛い、いたっ、痛いイタイイタイっっ!!!」 ミラの思考は、からだの内部を食い荒らされる激痛によって息を吹き返した。 『あはははは、ミラちゃん、蟲さんに、おっぱい食べられちゃって、かわいそう! 小さな子供みたいに、ぺったんこなおっぱいになっちゃったわねっ』 胸部の内臓を食い荒らした蟲は、頭へ向かうものと、下腹部へ向かうものとの二派に分かれる。ミラは白目をむいて痙攣し、小便と糞を断続的に垂れ流した。 『きったなーい』 離れたところからこの残虐なショウを見物していた双子は、少女の女らしいお尻や太股がだんだんと痩せ細っていくすがたに満足していた。 もう少し経てば、蟲に食い尽くされて、皮と骨だけになるだろう。楽しみだ。 双子は崩れ落ちてゆくミラを見ながら、お互いの性器や胸に触れ合った。彼女らが濃厚なキスでその行為を終わる頃、ミラだったものは白い残骸を残して、 調理室のすみに横たわっていた。 ***** かつて、ミラが裸足で歩んだ地下の薄暗い廊下。その一角――壁をくりぬいて作られた牢獄に、ひとりの女がいた。 魔女と呼ばれ、その強大な魔術をもって魔王に立ち向かっていた彼女だが、いまとなっては、そのすがたにかつての美貌を見出すことはできなかった。 なぜなら彼女にはもうずいぶん前から手足がなかったし、また耳も目も、舌さえなかった。お腹は大きく不恰好に膨らみ、乳房もそれにともなって、 張り裂けんばかりに膨らんでいた。妊娠しているのだ。しかしその腹に宿っているのは人間の子ではなく、何十匹の怪物たちに陵辱された、その結晶だった。 魔女は声にならないうめき声をあげた。五感はほぼ失われているが、腹のなかで、いつになく動き回っているおぞましい物体の誕生が近いことを知っているのだ。 そのときはすぐにやってきた。ある日、腹のなかの生物が、生まれようとしてついに暴れだしたのだ。けれど彼女にはどうする事もできず、痛みに耐えるほかなかった。 うまれ出ようとしている怪物には、人間の産道はあまりにも狭く、そして窮屈なのだ。 魔女は張り裂けそうな痛みを腹部に感じる。内側で怪物が、肉をえぐっているのだ。そしてまもなく、文字通り彼女の腹は裂けた。 ぱっくりと開いた傷口から、小さな怪物が姿をあらわした。生まれたばかりの彼は空腹で、だからさっそく、母である魔女の豊満な乳房に――喰らいついた。 小さいながらにも生え揃った歯をもつ怪物は、母の乳房を難なく噛み千切った。そしてそれをゆっくりと嚥下すると、湧きあがる食欲を満たすため、さらに大口を開けて、 魔女の柔らかい肉に何度も喰らいつくのだった。 owari 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1620.html
『みんなの幸せのために』 タイポあき 以前投稿したanko299の『ゆっくりの幸せのために』のリメイクです。 と言ってもこれに関しては整合性をとるための細部の変更と、誤植の修正だけですが。 続きを書いたので、ついでにこっちも修正しました。 あとあまりに誤植が多かったので、タイポあきとでも名乗ります。 ※この話の属性 現代、虐待、実験、れいぱー、ユニークキャラクター登場(固有名詞持ち) *** 「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!!」 ケージの中のまりさが、大きな声で叫んでいる。 このまりさは飢えと怪我で死に掛けているところを、数日前に前に拾われた。 何度も生死の境を彷徨ったものの、看病の甲斐もあって今では元気満点だ。 お風呂と栄養満点の食事のおかげで、お肌はつやつやのもちもち。 キレイに洗濯してもらったおかげで、お帽子はピカピカに輝いている。 ケージの底には、冷気と固さから大事なあんよを保護するために、やわらかい布が敷き詰めてある。 ゆっくり風に言えば、なんともゆっくりできる環境である。 元野良のまりさからすれば、天国と言っても言い過ぎではない。 そんなにゆっくりできる条件が整いながら、その声は切羽詰っている。 悲壮感すら漂わせている。 僕がまりさの前で作業を始めてから、ずっとこの調子である。 正直うるさくて仕方がないが、この手の騒音には仕事柄慣れている。 そんなことでは仕事にならないからだ。 まりさを不安にさせている作業が何かといえば、これから使う道具の調整作業である。 電気エネルギーを熱に変換する先のとがった金属棒――簡単に言えば半田ごてである。 といってもただの半田ごてではない。 金属棒の大きさは通常のサイズから、針のようなものまで様々な種類が揃っていおり、その温度は微調節が可能になっている。 個体に応じて使い分けるためだ。 まりさにあわせてそのうちの一本を選び出した僕は、まりさの前に置いてある饅頭に突き刺しては、その加熱具合を指で触って確認する。 そんな作業を、温度メモリをいじりながら繰り返しているのだ。 まあこんなことをしていては、饅頭で構成されるゆっくりが恐怖するのも無理はないかもしれない。 加えて半田ごてを突き刺すたびに「ゆ゛ぎっ」と音がして、その箇所を指でほじくり返すとまた「ゆぐっ」だのといった音が響くのも恐怖を助長するのだろう。 そんなことをしているうちに、望みの温度に設定できたようだ。 半田ごてに加熱された箇所は黒こげに焼かれて硬くなっているが、その付近にはまったく焦げ目がない。 うん、これなら上手くいきそうだ。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ」という爽やかなメロディーを、もう少し楽しみたいところだが、まりさを待たせるのも可愛そうだ。 いらなくなった、黒い水玉模様の饅頭をゴミ箱に投げ捨てると、まりさに向き直って声をかける。 「じゃあ準備もできたし、はじめようか。」 「はじめるっておにーさん、そんなゆっくりできないもので、なっなっなにをするつもりなのぉっ!!!」 実際に作業に移るより前から、既に恐怖の絶頂にあるようだ。 半田ごてそのものだけでなく、ゴミ箱から響いたぐしゃりというやわらかい物がつぶれる音と、その後に続いた「もっとゆ゛っぐりしだがった……」という音も恐怖の対象らしい。 必要以上に不安にさせるのも本位ではないので、何をするか教えて恐怖を取り除いてあげることにしよう。 「大丈夫安心して! まりさにゆっくりできない事はしないよ。 ただ単に、この半田ごてでまりさのまむまむをこんがりー! ってするだけだから。」 「ゆんやー! どおちてそんなことするの! まりさが気にいらないことしたなら、あやまります! あやまりますから、それだけはやめてください、おねがいします! だから元のやさしいお兄さんにもどってー!」 そういってケージの端でゆんゆん泣きながら、ぶるぶると震えている。 どうやらこの処置は、お気に召さないらしい。 ついでにその原因は、僕の機嫌を損ねた制裁だと思っているようで。 元野良にしては、なかなか純粋な個体だ。 だからこそ怪我で死に掛けるなんでことになったのだろうが。 しかし僕には、まりさの意向など取り入れる気はさらさらない。 かまわず手を伸ばしてとりだそうとする。 だがまりさも必死でケージにへばりつくので、まりさ自身の重さとケージの狭さも手伝って簡単には引き出せそうにない。 まあ、まりさが傷つくのを気にしなければどうとでもなるんだけどね。 とは言え、必要以上に傷をつけるのはよろしくない。 なので、押しても駄目なら引いてみることにした。 「じゃあ、何でなのか分かったらやめてあげよう。」 「ゆ!ホントに! ありがどうございまず。」 よっぽど安心したのが、顔をゲージの底にへばりつけて感謝の言葉を述べる。 そのまま、ゆーゆーうなりながら理由を考え始める。 もちろん、本当にやめるわけがない。 まりさが力を抜いた隙に、さっさとケージの外にだすと、用意しておいた剣山の上にまりさのあんよを突きさした。 作業中まりさが暴れて余計な傷をつけないよう、まりさを固定するためである。 「ゆぎゃぁっ! まりさのえれがんとな、あんよさんがぁっ!」 その痛みにのた打ち回る不思議まんじゅう。 僕はそれにかまわずまりさに問う。 「で、答えは出たかな。」 もちろん痛みに耐えるまりさに、答えられるわけがない。 答えないとさらにまずいことになるのは分かっているようで、何か言おうとしているようには見える。 しかし、思考がまとまらないようだ。 もっともそれがなくとも、あの短い間に答えを出すことは不可能なのだが。 いや、どんなに時間があっても無理かな。 「はい、時間切れ。」 僕はそう宣言すると、一片の迷いもなく加熱された金属棒を不思議まんじゅうのまむまむにつっこんだ。 「ゆんぎゃぁああああああっ!!!」 金属棒がまむまむの内壁を焼くと、まんじゅうがひときわ大きな苦痛の声をあげる。 もはや意味のある言葉ではない。 まあ、そりゃ痛いだろう。 人間だったら内臓を焼かれているようなものだしね。 苦痛のためにおめめは裏返り、全身から油汗のようなぬらぬらとした粘液があふれだす。 正直に言ってそのつらは気持ち悪くて仕方がないが、それに反して餡子袋から漂うのは食欲を誘う香ばしい匂いなのが笑いを誘われる。 そのうち、香ばしい匂いは焦げ臭い臭いへと成り果てた。 まむまむの内部も、均一に黒く塗り潰されている。 そろそろ頃合だろう。 僕は目の前の餡子袋から、痛みの根源を引き抜いてあげると、オレンジジュースをかけてあげた。 とくにまむまむ周辺と内部には念入りにだ。 オレンジージュースは即座に吸収され、みるみるうちにお肌は元のもちもちのつやつやに戻る。 あんよにも穴の痕はなく、まむまむ周辺にも焦げ目などは残ってない。 しかし、念入りに焼かれたまむまむの内部だけは真っ黒に炭化している。 オレンジジュースでも駄目なら、もはや自然治癒はしないだろう。 うん、なかなか上手くいったみたいだ。 「まりさのきゅーとなまむまむが……」などと虚空を見つめてつぶやいているが、こちらは問題なし。 すべての最底辺をはいずる糞饅頭どもは、精神的にはとても強いナマモノなのだ。 このまま放置していれば問題ないだろう。 *** ここで僕がいったい何者で、このクソッタレの餡子袋――じゃなくて、きゅーとなまりさが何なのか種明かしをするとしよう。 僕の名前は雄偉(ゆうい)といって、ゆっくりのお医者さんなんだ。 それは外に掲げてある「雄偉(ゆうい)ゆっくりクリニック」の看板を見てもらえば、納得してもらえると思う。 念のために断っておくが、僕は虐待お兄さんではない。 さっきまでの所業はすべて仕事のためであって、暗い愉しみによるものではない。 雄偉という苗字が『憂畏』という「ゆっくりに憂いを与え畏れられる」というゆ虐名に由来しているせいか、よく間違われるんだけど、そんなことはない。 断じて違う。 ホントだよ……。 そりゃあ、ゆっくりの悲鳴を存分に聞いた日は普段よりぐっすり眠れるけど、それはあの悲鳴の中に人間をゆっくりさせてくれる領域の音が含まれているからで、僕自身とは関係ないはずだ。 加工所の研究員であり僕の友人でもある、夕霧(ゆうぎり)という虐待お兄さんが教えてくれたのだから、間違いない。 間違いはないはずだ――たぶん。 ちなみに彼の苗字の『夕霧』もゆ虐名の一つで、『ゆ切り』という「ゆっくりを切り刻み、調べるもの」という意味を持っていたりする。 だからゆっくりを解体して調べつくす加工所の研究員は、彼にとって天職なんだろう。 おおっと、話がそれそうになった。 話を戻そう。 で、まりさの方は死に掛けていたところを、愛でお兄さんに拾われて、治療のついでに去勢を依頼されたとっても幸運なまりさ――かと思いきや、実はそうではない。 その正体は、新しい治療法開発や僕のスキルアップの為の実験台。 世紀末の天才の流に表現すれば、木人形(デク)である。 デクまりさって言ったほうが語呂が良いかもね。 なんかドスまりさみたいでカッコいいし。 こう言うと、そんなこと加工所や研究所にでも任せておけ、という意見もでるかもしれない。 確かに世にあるゆっくり製品を扱う施設・企業では、その管理の為にゆっくりの性質が研究されている。 その一環としてゆっくりの治療法――彼ら流に表現すれば修復法――も研究されている。 しかし、それらはあくまで企業秘密。 外に漏れることはまずない。 加えて、彼らはゆっくりの治療には熱心ではない。 何故なら現時点での彼らの産業は、製品の売り上げによって成り立っており、売り上げにつながらないことなどしたくないからだ。 アフターサービスとして一定期間は簡単な診察をしてくれるが、単に補償期限内に問題が起これば交換してくれるというだけの話でしかない。 なので、ゆっくりの病気が治療されるということはありえない。 そうなると、飼いゆっくりの治療に対するインフラは揺らいでくる。 僕たちゆっくりのお医者さんたちも互いに情報交換をして、なんとかゆっくり医療を充実しようとがんばってはいるが、どうしても質的に不足がちになる。 ゆっくりのお医者さんよりも、普段からゆっくりを解体している虐待お兄さんのほうが治療に詳しい、ないんて笑えない実話すらある。 そんな中、打開策として持ち出されたのが、あのテグまりさというわけだ。 要は普段からゆっくりを解体して詳しくなれるなら、僕たちも虐待お兄さんにならいましょう、という発想なわけ。 このアイデアが提示されて以降、僕自身も沢山の野良ゆっくりを「保護」して、「ゆっくり」させてあげてきた。 ただ最近になって、この近辺の野良がほとんどいなってしまったんだ。 どうしてだろうね? まさか仕事を放り出して山まで遠征に行くわけにいかないので、ストックでやりくりしていたんだけど、とうとう実験に使うためのまりさを切らしてしまったんだ。 ただ渡りに船というものはあるもので、つい先日近所の女の子がまりさを持ってきてくれたんだ。 その子は藍川(あいかわ)さんという、この付近では有名な愛で派の家のお嬢ちゃんで、家の前で死に掛けていたまりさを見つけて運んできたんだ。 子供なので治療費は期待できなかったけど、子供からお金を取ったり親御さんに請求するのも大人気ないので、大怪我の治療の練習も兼ねて治してあげることにした。 ゆっくりは、物理的には驚くほど脆いので、大怪我なんて日常茶飯事だから練習しすぎということはないからね。 しかも最近では飼いゆ以外にも、怪我の治療の需要は多い。 「家に入り込んできたゆっくりに制裁したのは良いけれど、やりすぎてしまった。 しかしそんな楽に死なせるなど生易しい。」 などといった、新米の虐待お兄さんが主な客層である。 確か「手厚い看護をうけて助かったと思った後で、もう一度地獄を見せてやる」とか言ってたっけ。 まあそういう訳で、あのまりさはきっちり治療してあげた。 ただ直った後が問題で、そのようじ――じゃなくて藍川さんの家では飼えないらしい。 何でも親御さんが小麦アレルギーだとか。 いくら『愛可愛』という「ゆっくりを愛し、可愛がる」という意味の愛で名をもってしても、アレルギーにはかなわないようだ。 そのために、藍川さんの家で飼っているゆっくりは饅頭タイプではなく、大福タイプらしい。 こちらはもち粉だからアレルギーには引っかからない。 もしまりさが饅頭じゃなくて大福だったら、しあわせーな飼いゆ生活が遅れたのにねえ。 残念だったね、まりさ。 で、結局うちで引き取り手を捜すことになったわけだ。 本当は路地裏にでも捨てて――じゃ無くてまりさの故郷に返してあげようとでも思っていたんだけど、その段になってふと思ったんだ。 せっかくお金と時間を掛けたのに、それを回収しないのはなんか癪だと。 なので、ちょうど実験用まりさが足りないこともあって、まりさには新しい治療法の実験台として役に立ってもらうことにした。 お嬢ちゃんはまりさが治って幸せだし、僕は実験用のゆっくりの調達の手間が省ける。 みんなが幸せになる方法があったわけだ。 それで、冒頭のアレにつながるわけなんだけど、あれは外見を損ねずに去勢する方法を試していたんだ。 ちなみに、従来は鉄の棒をつっこんでそれをバーナで加熱していた。 ゆっくりの驚異的な再生能力を駄目にするためなんだけど、それだとどうしてもまわりに焦げ痕が残ってしまう。 それが常識だったんだけど、それが原因でつい最近問題があったんだ。 *** あれは確か、ひと仕事終えた疲れを癒すためのおやつを作ろうと、ハサミを動かしていたときだった。 飛び込みの患者が来たんだ。 僕のクリニックは予約制なので、こういう空いた時間にはおやつをつくったり、新しい治療法の練習をしたりするんだけど、飛び込みも受け付けてはいる。 それは野良のれいむをつれたお兄さんだった。 そのお兄さんの話はこうだった。 家に帰ったところ、野良のれいむが飼いまりさといっしょお昼寝していた。 まりさに事情を聞くと「そろそろ家族が欲しいからこのれいむと番になりたい、だから家にいれてあげた」と言ったそうだ。 薄汚いれいむを勝手に家に上げたことには眉をひそめたものの、勝手にすっきりしなかったことに関心したお兄さんは、れいむを飼ってあげることにしたのだとか。 でも本音を言えば、まりさ以外は飼いたくないし、ぽんぽん増えられてはなお困る。 その一方で一匹で飼うのは、仕事の間にまりさが寂しがってゆんゆん泣くから可哀想だ。 かと言ってすっきり禁止も可哀想だし、そもそも守れるとも思えない。 だかられいむを去勢したいのだとか。 そんなやり取りのあと、僕はいつものようにれいむを剣山の上に固定して、鉄の棒をつっこみそれをバーナにセットした。 お兄さんはそれをだまって見ていたんだけど、焦げ臭い臭いが漂い始め、まむまむ周辺が真っ黒に炭化し始めるのを見ると文句を言ってきた。 焦げ目がついていては困るというのだ。 元野良のれいむに焦げ目がついていては、近所の事情を知らない人に虐待を疑われて困る、というのだ。 なんでもすぐ隣に虐待お兄さんがいて、近所の人から生暖かい目で見られているらしい。 同類に思われてはたまらないとか。 加えて、まりさに「『こんなにすっきりしても全くにんっしんっしない、ゆっくりしてないれいむなんて捨てちゃおうよ』と愛想をつかさせるように誘導して、れいむを捨てることもできないじゃないか」とも言っていた。 それに関しては、何とかしてあげたいとは思ったんだけど、どうしようもないので、その時はお兄さんを説得して妥協してもらうことにした。 最終的には、お兄さんも納得してくれた。 近所の非難の目を避けるために、治療の証明書をそれっぽい形式ででっちあげて、達筆すぎて読めない字でサインしたのも効果があったのだと思う。 もっとも説得の間じゅう、火に掛けた鉄の棒をまむまむにつっこまれっぱなしだったれいむは、ひどい有様だったけど。 体中の餡子という餡子が沸騰したために、おめめやあにゃるといった穴という穴から餡子を噴出して苦悶の表情で絶命していたのである。 ゆっくり特有の「もっとゆっくりしたかった……」の断末魔もなかったから、最後まで気が付かなかったのだ。 餡子を吐かないようにガムテープで口をふさいでいたため、喋れなかったらしい。 まあこっちのほうの解決は、比較的楽だった。 苦悶の表情をうかべる汚物から飾りをとりはずし、すぐ横の机の上においてあるれいむに取り付けたのだ。 このれいむ、僕がさっきまで食べようと思っていたれいむである。 剣山に固定した上で、目の前で飾りをばらばらにして、精神的に苦しめて味にコクを出していたのだ。 その上で、ゆっくりは飾りで個体識別をするのでまりさは気がつかない、ということを説明するとお兄さんはすぐに納得してくれた。 とはいえ、このれいむに同じ処置をしている間中、必死になって助けてくれだのなんのとうるさいのには参った。 「別に殺しはしないよ。あのれいむと同じことをするだけだから。」といっても全然聞きやしない。 やっぱりゆっくりに道理を説くのは無駄なのだろうか。 それでも僕の提案通り、代わりとしてお兄さんが連れて帰ったけど、あんなに聞き分けがないんじゃすぐに潰されてしまうんじゃないかと思う。 とまあ、その時はこんな風に上手く解決したんだけど、それでもお兄さんの望みどおりの結果にならなかったのは僕の心にしこりとなって残った。 加えて、極上の饅頭を食べ損ねたのも残念だった。 とってもコクと甘みがましていて、おいしそうだったのに……。 だから、それを解決する方法の模索に力を入れたわけだ。 *** 「ゆっ、ゆう」 ケージに戻していたまりさが、弱々しい声を上げた。 「ごめんなさい! ごめんなさい! もうこれ以上ひどい事しないでください!! おでがいじまずー!!」 僕が様子を見るために近づくと、別にまりさ自身が悪いことをしたわけでもないのに、許しを請いながらガタガタと震えている。 どうやら、まりさが正気をとり戻したようだ。 さて、あとは上手くいっているかの確認作業を残すのみだ。 僕はまりさの言葉を無視して、他のケージから一匹のありすを取り出した。 このありす、元は飼いゆだったのだが、突然れいぱー化して散歩中の飼いまりさ数匹を犯し殺したらしい。 それが原因で処分を頼まれたのである。 なんでも自分で潰すのは気が引けるとかなんとか。 野良だけではまかないきれないので、こういうゆっくりたちも実験台に使うわけだ。 ありすはケージの中のまりさを見るや否や、ぺにぺにをそそり立てて臨戦態勢である。 お肌はつやつやのもちもちと、見かけだけは美ゆっくりなのだから無理もない。 まむまむが使い物にならないとはいえ、それは見かけではわからないし。 「ゆんやー! やめてね、やめてね! そのありすをはなしてね!!」 それを見たまりさは、必死の叫びを上げている。 そのままでもいいのだが、万全を期すことにしよう。 ありすにマムシドリンクを注射することにした。。 そのとたんありすの目は血走り、全身からぬらぬらとした液体が滴り落ちる。 これだけの量を注射すれば、後はありすの中身が無くなるまでとまらないだろう こんな汚物をいつまでも待っているのも気持ち悪いので、さっさとまりさと同じケージ放り込んだ。 「分かった、分かった。じゃあまりさの言うとおり『放して』あげよう。」 まりさの言った「はなして」が平仮名なのを良い事に、わざと誤読する。 「ゆー! そういう意味じゃないでしょう! やめてね、ありす! こっちこないでね!」 僕への文句もそこそこに逃げ回るまりさだが、狭いケージの中でれいぱーから逃げられるわけがない。 あっという間に組み敷かれ、ぺにぺにを打ち付けられる。 「いだい、いだい、いだい! ありず、やめで! すっぎりはじだぐないー! ばりざじにだぐないーー!!」 焼け焦げたばかりのまむまむでは、痛いばかりのようだ。 れいぱーに犯されることが、死につながることも理解しているようだ。 叫んで許しを請うまりさだが、れいぱーにとってそれはやって下さいという意味だ。 「んほぉおおおっ! そんなにさそうなんて、まりさはつんでれさんねぇ! 言われなくても、ごくじょうの愛をあげるから、安心してねえぇぇっ!!!」 案の定ありすに火をつけてしまった。 さて、後はありすが中身を出し切って事切れるまでの間に、まりさがにんっしんっしなければ成功だ。 結果が気になるところだが、そろそろ診療の予約時間も近い。 最後まで見ているわけにもいかないだろう。 「頑張ってくれよ、まりさ。お前にみんなの幸せが掛かっているんだから。頑張っておくれ。」 もっともその「みんな」にまりさは入っていないが。 まりさが他のケージに転がっている、蔦のまみれの黒ずんだ失敗作の仲間入りをしないことを祈りつつ、僕はその部屋を後にした。 -fin- 冒頭にも書いたけど、投稿したanko299の『ゆっくりの幸せのために』の修正版になります。 無駄な説明が長いとか、色々と為になる指摘もありましたが、ここはあえて誤字や整合性の修正にとどめてあります。 何故ならSS書いた経験が無いせいか、そこ直すだけでもう一本分の時間が掛かりそうだからです。 その辺は続編に反映されている――はず。 指摘をくれた方、ありがとうございます。
https://w.atwiki.jp/h_session/pages/1186.html
【パーソナリティ】 名前:那波 燈奈(なは とうな)/トーナ 年齢:?歳 性別:♀ LV:4 ワークス:人工生命体(1/1/0/1) 肉体的特徴:胸ばかりが成長過剰気味(1/0/0/2) 性格:我が強く、少しわがまま(1/2/0/1) 【能力値】 体力:3(+0) 運動力:3(+0) 知力:1(+1) 魔力:8(+1/+3) 【副能力値】 HP:25 MP:15 IV:6(+2) CP:3(33) SP:20 【アトリビュート】 フィジカル:6 マジカル :7 【魔法】 名称 使用 判定 MP 射程 効果 《マジックインパクト》能動 白射 2 適宜 単体 ダメージ+1D6 《マスターゲット》 能動 白兵 4 なし 範囲 "範囲"への[白兵]攻撃 《シールド》 受動 魔術 3 あり 単体 【魔力】ぶんダメージ減少 《シャインヒット》 補助 白射 2 なし 自身 直後の[白射]武器攻撃のダメージに+1D6 《ガッツ》 特殊 任意 3 なし 自身 判定の直前に宣言。判定に+1D6 《スピードスター》 常時 なし 0 なし 自身 Lv:1/【IV】+2 《アタッカ-》 常時 なし 0 なし 自身 Lv:1/武器ダメージ+1 【クライシスアクト】 名称 CP SP 使用条件 <おねだり> 1 0 なし(SP9以上) <大きすぎる胸> 1 0 胸AP0 <疼く体> 1 1 APないしHPへダメージ(SP8以上) <隷属の喜び> 1 1 なし(SP15以上・非処女) <乳辱> 1 1 HPダメージ <つけられた種> 2 1 HPダメージ <自ずからの動き> 2 1 HPダメージ(SP15以上) <淫らなる緊縛> 2 1 [拘束]状態になった時 【クライシスアビリティ】 名称 使用 判定 CP 射程 対象 効果 《ポテンシャル》 特殊 任意 任 なし 自身 任意のCPを消費する。直後の判定に+(消費したCP)D6 《レゾリューション》 特殊 なし 2 なし 自身 ターン開始時に使用を宣言する。 【HP】が0になり、戦闘不能になった状態から、 【HP】が最大値の半分まで回復した状態で復活できる 《ファイナルストライク》 特殊 白兵 3 なし 自身 攻撃判定前に使用を宣言。判定に+5D6する。 【武器】 名称 必 射程 分類 威力 解説 風切音 2 なし 白兵 2D6+5 衝撃波を起こして相手を斬る術。 相手は風切り音だけを聞き、その存在を知る。(剣) 【防具】 AP 名称 必 胸 腰 他 解説 戦闘服B 1 12 10 - 戦闘用の服。ちょっと装甲が増えたがまだまだ露出が多め。 どことなく、獣を模したものになっている。(バトルコスチューム) ファーブーツ 1 - - 4 毛皮で出来たふわふわのブーツ。靴の先には爪が付いている ねこみみ 1 - - - どうみても猫の耳。しっかりと生えている。 いつもは帽子などで隠しており、 ヒロインとして正体を現す時は尻尾も生える。 【設定】 「ナ?トーナに何か用ナ?」 「ナハハハハッ!トーナ様に敵うわけがなーいのナーっ!」 「・・・・助けて欲しいナ?・・・幾ら払うナ?(にこやか)」 一人称:トーナ、トーナ様、アタシ 三人称:呼び捨て 身長:140cm 体重:45kg 実年齢不詳。金髪碧眼の少女。背はそこそこながらに、かなりの大きさの胸が特徴的。 本人としてはその大きな胸が邪魔だと思っており、コンプレックスになっている。 行動は少し猫っぽく、指を突き出されると軽く鼻を寄せたり、舐めたり。 以前、魔族に襲われ、その身体を弄くられ、猫耳が生えてしまった。時として尻尾まで。 胸もその影響かも知れない。その為、個人的にも魔族自体に対して恨みを持つ。 その魔族の元より逃げ出した後、カルテル「アイアンメイデン」により保護。 魔族の改造体として、監視下に置かれつつも一般生活に戻る。 現在は宛われたボロアパートに一人暮らしをしつつ、博倉学園の中等部に通っている。 頭の猫耳は、ヒロインの認識攪乱能力の為か、 一般生活でも余り気にされたことはない。 それでも、一応隠すように躾られているのか、大抵、帽子を深く被っている。 トラブルに巻き込まれやすい体質な上、好奇心は旺盛で我が強くわがまま。 結構なトラブルメイカーで、悪びれることをほとんど知らない。守銭奴な一面もある。 自信過剰な所があり、唐突な出来事には余り強くない。 初実戦でヒュドラに処女を散らされ、その後も魔族との戦いを重ねるごとに、身体を開発されてしまう。 同じ学園に通う雪に好かれ、身体を重ねることになり、結局雪が転がり込む形で同棲を始める。 魔族との戦いで知り合った、林子も燈奈の家に住むことになり、半ば三角関係状態? サファリでの魔族との戦いでは、開発された身体が仇となったか、戦うこともなく、 魔族と獣の淫欲の宴に屈し、その後暫く、獣たちの子袋としてぐちゃぐちゃの日々を送る。 何とか、完全に堕落はしなかったモノの、復帰には暫く時間が掛かった。 【セッションシート】 >06/03/04(水) GM:兎王 メンバー:燈奈・真智恵・莉央 概略:シエラを追いかけて夜の荒暮徒小学校へ。シエラ・ヒュドラ・ミュータントゲルと相対。 処女を散らしつつも撃破。 報酬:CP9 代償:処女・SP6 >06/04/07(金) ~春風の贈り逸物(もの)~ GM:no_marcy メンバー:燈奈・林子 概略:春一番と共に花粉が舞い散り、街中が発情状態に。 発情した人間の屑を蹴散らしながら、博倉神社にたどり着く。 陣取ったアルラウネとポイズニックヴァインを撃破するも後ろの処女を奪われる。 その後ふたなりにされた林子と番う。 報酬:CP9 代償:後ろの処女・SP5 >06/04/08(金) GM:兎王 メンバー:双菜・燈奈・真沙樹・唯 概略:博倉学園に潜む魔族を退治しに、夜の学園に侵入。 各部屋を周り、敵を倒しつつ、体育館で魔族シエラと遭遇。 全員ぼろぼろになりつつも最終的に勝利する。燈奈が一時的にふたなりにされる。 報酬:CP8 代償:SP5・一時的にふたなり >06/04/15(土) ~がくがく動物ランド4~ BAD END GM:no_marcy メンバー:燈奈・雪 概略:魔が潜むらしいサファリパークに潜入。 獣に襲われながらサファリを逃げ回り、最後には魔族プライムに屈服。 雪と共に、獣たちの繁殖用肉穴として使われることになる。 報酬:CP7 代償:SP4
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/897.html
みんなの幸せのために 17KB 『みんなの幸せのために』 タイポあき 以前投稿したanko299の『ゆっくりの幸せのために』のリメイクです。 と言ってもこれに関しては整合性をとるための細部の変更と、誤植の修正だけですが。 続きを書いたので、ついでにこっちも修正しました。 あとあまりに誤植が多かったので、タイポあきとでも名乗ります。 ※この話の属性 現代、虐待、実験、れいぱー、ユニークキャラクター登場(固有名詞持ち) *** 「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!!」 ケージの中のまりさが、大きな声で叫んでいる。 このまりさは飢えと怪我で死に掛けているところを、数日前に前に拾われた。 何度も生死の境を彷徨ったものの、看病の甲斐もあって今では元気満点だ。 お風呂と栄養満点の食事のおかげで、お肌はつやつやのもちもち。 キレイに洗濯してもらったおかげで、お帽子はピカピカに輝いている。 ケージの底には、冷気と固さから大事なあんよを保護するために、やわらかい布が敷き詰めてある。 ゆっくり風に言えば、なんともゆっくりできる環境である。 元野良のまりさからすれば、天国と言っても言い過ぎではない。 そんなにゆっくりできる条件が整いながら、その声は切羽詰っている。 悲壮感すら漂わせている。 僕がまりさの前で作業を始めてから、ずっとこの調子である。 正直うるさくて仕方がないが、この手の騒音には仕事柄慣れている。 そんなことでは仕事にならないからだ。 まりさを不安にさせている作業が何かといえば、これから使う道具の調整作業である。 電気エネルギーを熱に変換する先のとがった金属棒――簡単に言えば半田ごてである。 といってもただの半田ごてではない。 金属棒の大きさは通常のサイズから、針のようなものまで様々な種類が揃っていおり、その温度は微調節が可能になっている。 個体に応じて使い分けるためだ。 まりさにあわせてそのうちの一本を選び出した僕は、まりさの前に置いてある饅頭に突き刺しては、その加熱具合を指で触って確認する。 そんな作業を、温度メモリをいじりながら繰り返しているのだ。 まあこんなことをしていては、饅頭で構成されるゆっくりが恐怖するのも無理はないかもしれない。 加えて半田ごてを突き刺すたびに「ゆ゛ぎっ」と音がして、その箇所を指でほじくり返すとまた「ゆぐっ」だのといった音が響くのも恐怖を助長するのだろう。 そんなことをしているうちに、望みの温度に設定できたようだ。 半田ごてに加熱された箇所は黒こげに焼かれて硬くなっているが、その付近にはまったく焦げ目がない。 うん、これなら上手くいきそうだ。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ」という爽やかなメロディーを、もう少し楽しみたいところだが、まりさを待たせるのも可愛そうだ。 いらなくなった、黒い水玉模様の饅頭をゴミ箱に投げ捨てると、まりさに向き直って声をかける。 「じゃあ準備もできたし、はじめようか。」 「はじめるっておにーさん、そんなゆっくりできないもので、なっなっなにをするつもりなのぉっ!!!」 実際に作業に移るより前から、既に恐怖の絶頂にあるようだ。 半田ごてそのものだけでなく、ゴミ箱から響いたぐしゃりというやわらかい物がつぶれる音と、その後に続いた「もっとゆ゛っぐりしだがった……」という音も恐怖の対象らしい。 必要以上に不安にさせるのも本位ではないので、何をするか教えて恐怖を取り除いてあげることにしよう。 「大丈夫安心して! まりさにゆっくりできない事はしないよ。 ただ単に、この半田ごてでまりさのまむまむをこんがりー! ってするだけだから。」 「ゆんやー! どおちてそんなことするの! まりさが気にいらないことしたなら、あやまります! あやまりますから、それだけはやめてください、おねがいします! だから元のやさしいお兄さんにもどってー!」 そういってケージの端でゆんゆん泣きながら、ぶるぶると震えている。 どうやらこの処置は、お気に召さないらしい。 ついでにその原因は、僕の機嫌を損ねた制裁だと思っているようで。 元野良にしては、なかなか純粋な個体だ。 だからこそ怪我で死に掛けるなんでことになったのだろうが。 しかし僕には、まりさの意向など取り入れる気はさらさらない。 かまわず手を伸ばしてとりだそうとする。 だがまりさも必死でケージにへばりつくので、まりさ自身の重さとケージの狭さも手伝って簡単には引き出せそうにない。 まあ、まりさが傷つくのを気にしなければどうとでもなるんだけどね。 とは言え、必要以上に傷をつけるのはよろしくない。 なので、押しても駄目なら引いてみることにした。 「じゃあ、何でなのか分かったらやめてあげよう。」 「ゆ!ホントに! ありがどうございまず。」 よっぽど安心したのが、顔をゲージの底にへばりつけて感謝の言葉を述べる。 そのまま、ゆーゆーうなりながら理由を考え始める。 もちろん、本当にやめるわけがない。 まりさが力を抜いた隙に、さっさとケージの外にだすと、用意しておいた剣山の上にまりさのあんよを突きさした。 作業中まりさが暴れて余計な傷をつけないよう、まりさを固定するためである。 「ゆぎゃぁっ! まりさのえれがんとな、あんよさんがぁっ!」 その痛みにのた打ち回る不思議まんじゅう。 僕はそれにかまわずまりさに問う。 「で、答えは出たかな。」 もちろん痛みに耐えるまりさに、答えられるわけがない。 答えないとさらにまずいことになるのは分かっているようで、何か言おうとしているようには見える。 しかし、思考がまとまらないようだ。 もっともそれがなくとも、あの短い間に答えを出すことは不可能なのだが。 いや、どんなに時間があっても無理かな。 「はい、時間切れ。」 僕はそう宣言すると、一片の迷いもなく加熱された金属棒を不思議まんじゅうのまむまむにつっこんだ。 「ゆんぎゃぁああああああっ!!!」 金属棒がまむまむの内壁を焼くと、まんじゅうがひときわ大きな苦痛の声をあげる。 もはや意味のある言葉ではない。 まあ、そりゃ痛いだろう。 人間だったら内臓を焼かれているようなものだしね。 苦痛のためにおめめは裏返り、全身から油汗のようなぬらぬらとした粘液があふれだす。 正直に言ってそのつらは気持ち悪くて仕方がないが、それに反して餡子袋から漂うのは食欲を誘う香ばしい匂いなのが笑いを誘われる。 そのうち、香ばしい匂いは焦げ臭い臭いへと成り果てた。 まむまむの内部も、均一に黒く塗り潰されている。 そろそろ頃合だろう。 僕は目の前の餡子袋から、痛みの根源を引き抜いてあげると、オレンジジュースをかけてあげた。 とくにまむまむ周辺と内部には念入りにだ。 オレンジージュースは即座に吸収され、みるみるうちにお肌は元のもちもちのつやつやに戻る。 あんよにも穴の痕はなく、まむまむ周辺にも焦げ目などは残ってない。 しかし、念入りに焼かれたまむまむの内部だけは真っ黒に炭化している。 オレンジジュースでも駄目なら、もはや自然治癒はしないだろう。 うん、なかなか上手くいったみたいだ。 「まりさのきゅーとなまむまむが……」などと虚空を見つめてつぶやいているが、こちらは問題なし。 すべての最底辺をはいずる糞饅頭どもは、精神的にはとても強いナマモノなのだ。 このまま放置していれば問題ないだろう。 *** ここで僕がいったい何者で、このクソッタレの餡子袋――じゃなくて、きゅーとなまりさが何なのか種明かしをするとしよう。 僕の名前は雄偉(ゆうい)といって、ゆっくりのお医者さんなんだ。 それは外に掲げてある「雄偉(ゆうい)ゆっくりクリニック」の看板を見てもらえば、納得してもらえると思う。 念のために断っておくが、僕は虐待お兄さんではない。 さっきまでの所業はすべて仕事のためであって、暗い愉しみによるものではない。 雄偉という苗字が『憂畏』という「ゆっくりに憂いを与え畏れられる」というゆ虐名に由来しているせいか、よく間違われるんだけど、そんなことはない。 断じて違う。 ホントだよ……。 そりゃあ、ゆっくりの悲鳴を存分に聞いた日は普段よりぐっすり眠れるけど、それはあの悲鳴の中に人間をゆっくりさせてくれる領域の音が含まれているからで、僕自身とは関係ないはずだ。 加工所の研究員であり僕の友人でもある、夕霧(ゆうぎり)という虐待お兄さんが教えてくれたのだから、間違いない。 間違いはないはずだ――たぶん。 ちなみに彼の苗字の『夕霧』もゆ虐名の一つで、『ゆ切り』という「ゆっくりを切り刻み、調べるもの」という意味を持っていたりする。 だからゆっくりを解体して調べつくす加工所の研究員は、彼にとって天職なんだろう。 おおっと、話がそれそうになった。 話を戻そう。 で、まりさの方は死に掛けていたところを、愛でお兄さんに拾われて、治療のついでに去勢を依頼されたとっても幸運なまりさ――かと思いきや、実はそうではない。 その正体は、新しい治療法開発や僕のスキルアップの為の実験台。 世紀末の天才の流に表現すれば、木人形(デク)である。 デクまりさって言ったほうが語呂が良いかもね。 なんかドスまりさみたいでカッコいいし。 こう言うと、そんなこと加工所や研究所にでも任せておけ、という意見もでるかもしれない。 確かに世にあるゆっくり製品を扱う施設・企業では、その管理の為にゆっくりの性質が研究されている。 その一環としてゆっくりの治療法――彼ら流に表現すれば修復法――も研究されている。 しかし、それらはあくまで企業秘密。 外に漏れることはまずない。 加えて、彼らはゆっくりの治療には熱心ではない。 何故なら現時点での彼らの産業は、製品の売り上げによって成り立っており、売り上げにつながらないことなどしたくないからだ。 アフターサービスとして一定期間は簡単な診察をしてくれるが、単に補償期限内に問題が起これば交換してくれるというだけの話でしかない。 なので、ゆっくりの病気が治療されるということはありえない。 そうなると、飼いゆっくりの治療に対するインフラは揺らいでくる。 僕たちゆっくりのお医者さんたちも互いに情報交換をして、なんとかゆっくり医療を充実しようとがんばってはいるが、どうしても質的に不足がちになる。 ゆっくりのお医者さんよりも、普段からゆっくりを解体している虐待お兄さんのほうが治療に詳しい、ないんて笑えない実話すらある。 そんな中、打開策として持ち出されたのが、あのテグまりさというわけだ。 要は普段からゆっくりを解体して詳しくなれるなら、僕たちも虐待お兄さんにならいましょう、という発想なわけ。 このアイデアが提示されて以降、僕自身も沢山の野良ゆっくりを「保護」して、「ゆっくり」させてあげてきた。 ただ最近になって、この近辺の野良がほとんどいなってしまったんだ。 どうしてだろうね? まさか仕事を放り出して山まで遠征に行くわけにいかないので、ストックでやりくりしていたんだけど、とうとう実験に使うためのまりさを切らしてしまったんだ。 ただ渡りに船というものはあるもので、つい先日近所の女の子がまりさを持ってきてくれたんだ。 その子は藍川(あいかわ)さんという、この付近では有名な愛で派の家のお嬢ちゃんで、家の前で死に掛けていたまりさを見つけて運んできたんだ。 子供なので治療費は期待できなかったけど、子供からお金を取ったり親御さんに請求するのも大人気ないので、大怪我の治療の練習も兼ねて治してあげることにした。 ゆっくりは、物理的には驚くほど脆いので、大怪我なんて日常茶飯事だから練習しすぎということはないからね。 しかも最近では飼いゆ以外にも、怪我の治療の需要は多い。 「家に入り込んできたゆっくりに制裁したのは良いけれど、やりすぎてしまった。 しかしそんな楽に死なせるなど生易しい。」 などといった、新米の虐待お兄さんが主な客層である。 確か「手厚い看護をうけて助かったと思った後で、もう一度地獄を見せてやる」とか言ってたっけ。 まあそういう訳で、あのまりさはきっちり治療してあげた。 ただ直った後が問題で、そのようじ――じゃなくて藍川さんの家では飼えないらしい。 何でも親御さんが小麦アレルギーだとか。 いくら『愛可愛』という「ゆっくりを愛し、可愛がる」という意味の愛で名をもってしても、アレルギーにはかなわないようだ。 そのために、藍川さんの家で飼っているゆっくりは饅頭タイプではなく、大福タイプらしい。 こちらはもち粉だからアレルギーには引っかからない。 もしまりさが饅頭じゃなくて大福だったら、しあわせーな飼いゆ生活が遅れたのにねえ。 残念だったね、まりさ。 で、結局うちで引き取り手を捜すことになったわけだ。 本当は路地裏にでも捨てて――じゃ無くてまりさの故郷に返してあげようとでも思っていたんだけど、その段になってふと思ったんだ。 せっかくお金と時間を掛けたのに、それを回収しないのはなんか癪だと。 なので、ちょうど実験用まりさが足りないこともあって、まりさには新しい治療法の実験台として役に立ってもらうことにした。 お嬢ちゃんはまりさが治って幸せだし、僕は実験用のゆっくりの調達の手間が省ける。 みんなが幸せになる方法があったわけだ。 それで、冒頭のアレにつながるわけなんだけど、あれは外見を損ねずに去勢する方法を試していたんだ。 ちなみに、従来は鉄の棒をつっこんでそれをバーナで加熱していた。 ゆっくりの驚異的な再生能力を駄目にするためなんだけど、それだとどうしてもまわりに焦げ痕が残ってしまう。 それが常識だったんだけど、それが原因でつい最近問題があったんだ。 *** あれは確か、ひと仕事終えた疲れを癒すためのおやつを作ろうと、ハサミを動かしていたときだった。 飛び込みの患者が来たんだ。 僕のクリニックは予約制なので、こういう空いた時間にはおやつをつくったり、新しい治療法の練習をしたりするんだけど、飛び込みも受け付けてはいる。 それは野良のれいむをつれたお兄さんだった。 そのお兄さんの話はこうだった。 家に帰ったところ、野良のれいむが飼いまりさといっしょお昼寝していた。 まりさに事情を聞くと「そろそろ家族が欲しいからこのれいむと番になりたい、だから家にいれてあげた」と言ったそうだ。 薄汚いれいむを勝手に家に上げたことには眉をひそめたものの、勝手にすっきりしなかったことに関心したお兄さんは、れいむを飼ってあげることにしたのだとか。 でも本音を言えば、まりさ以外は飼いたくないし、ぽんぽん増えられてはなお困る。 その一方で一匹で飼うのは、仕事の間にまりさが寂しがってゆんゆん泣くから可哀想だ。 かと言ってすっきり禁止も可哀想だし、そもそも守れるとも思えない。 だかられいむを去勢したいのだとか。 そんなやり取りのあと、僕はいつものようにれいむを剣山の上に固定して、鉄の棒をつっこみそれをバーナにセットした。 お兄さんはそれをだまって見ていたんだけど、焦げ臭い臭いが漂い始め、まむまむ周辺が真っ黒に炭化し始めるのを見ると文句を言ってきた。 焦げ目がついていては困るというのだ。 元野良のれいむに焦げ目がついていては、近所の事情を知らない人に虐待を疑われて困る、というのだ。 なんでもすぐ隣に虐待お兄さんがいて、近所の人から生暖かい目で見られているらしい。 同類に思われてはたまらないとか。 加えて、まりさに「『こんなにすっきりしても全くにんっしんっしない、ゆっくりしてないれいむなんて捨てちゃおうよ』と愛想をつかさせるように誘導して、れいむを捨てることもできないじゃないか」とも言っていた。 それに関しては、何とかしてあげたいとは思ったんだけど、どうしようもないので、その時はお兄さんを説得して妥協してもらうことにした。 最終的には、お兄さんも納得してくれた。 近所の非難の目を避けるために、治療の証明書をそれっぽい形式ででっちあげて、達筆すぎて読めない字でサインしたのも効果があったのだと思う。 もっとも説得の間じゅう、火に掛けた鉄の棒をまむまむにつっこまれっぱなしだったれいむは、ひどい有様だったけど。 体中の餡子という餡子が沸騰したために、おめめやあにゃるといった穴という穴から餡子を噴出して苦悶の表情で絶命していたのである。 ゆっくり特有の「もっとゆっくりしたかった……」の断末魔もなかったから、最後まで気が付かなかったのだ。 餡子を吐かないようにガムテープで口をふさいでいたため、喋れなかったらしい。 まあこっちのほうの解決は、比較的楽だった。 苦悶の表情をうかべる汚物から飾りをとりはずし、すぐ横の机の上においてあるれいむに取り付けたのだ。 このれいむ、僕がさっきまで食べようと思っていたれいむである。 剣山に固定した上で、目の前で飾りをばらばらにして、精神的に苦しめて味にコクを出していたのだ。 その上で、ゆっくりは飾りで個体識別をするのでまりさは気がつかない、ということを説明するとお兄さんはすぐに納得してくれた。 とはいえ、このれいむに同じ処置をしている間中、必死になって助けてくれだのなんのとうるさいのには参った。 「別に殺しはしないよ。あのれいむと同じことをするだけだから。」といっても全然聞きやしない。 やっぱりゆっくりに道理を説くのは無駄なのだろうか。 それでも僕の提案通り、代わりとしてお兄さんが連れて帰ったけど、あんなに聞き分けがないんじゃすぐに潰されてしまうんじゃないかと思う。 とまあ、その時はこんな風に上手く解決したんだけど、それでもお兄さんの望みどおりの結果にならなかったのは僕の心にしこりとなって残った。 加えて、極上の饅頭を食べ損ねたのも残念だった。 とってもコクと甘みがましていて、おいしそうだったのに……。 だから、それを解決する方法の模索に力を入れたわけだ。 *** 「ゆっ、ゆう」 ケージに戻していたまりさが、弱々しい声を上げた。 「ごめんなさい! ごめんなさい! もうこれ以上ひどい事しないでください!! おでがいじまずー!!」 僕が様子を見るために近づくと、別にまりさ自身が悪いことをしたわけでもないのに、許しを請いながらガタガタと震えている。 どうやら、まりさが正気をとり戻したようだ。 さて、あとは上手くいっているかの確認作業を残すのみだ。 僕はまりさの言葉を無視して、他のケージから一匹のありすを取り出した。 このありす、元は飼いゆだったのだが、突然れいぱー化して散歩中の飼いまりさ数匹を犯し殺したらしい。 それが原因で処分を頼まれたのである。 なんでも自分で潰すのは気が引けるとかなんとか。 野良だけではまかないきれないので、こういうゆっくりたちも実験台に使うわけだ。 ありすはケージの中のまりさを見るや否や、ぺにぺにをそそり立てて臨戦態勢である。 お肌はつやつやのもちもちと、見かけだけは美ゆっくりなのだから無理もない。 まむまむが使い物にならないとはいえ、それは見かけではわからないし。 「ゆんやー! やめてね、やめてね! そのありすをはなしてね!!」 それを見たまりさは、必死の叫びを上げている。 そのままでもいいのだが、万全を期すことにしよう。 ありすにマムシドリンクを注射することにした。。 そのとたんありすの目は血走り、全身からぬらぬらとした液体が滴り落ちる。 これだけの量を注射すれば、後はありすの中身が無くなるまでとまらないだろう こんな汚物をいつまでも待っているのも気持ち悪いので、さっさとまりさと同じケージ放り込んだ。 「分かった、分かった。じゃあまりさの言うとおり『放して』あげよう。」 まりさの言った「はなして」が平仮名なのを良い事に、わざと誤読する。 「ゆー! そういう意味じゃないでしょう! やめてね、ありす! こっちこないでね!」 僕への文句もそこそこに逃げ回るまりさだが、狭いケージの中でれいぱーから逃げられるわけがない。 あっという間に組み敷かれ、ぺにぺにを打ち付けられる。 「いだい、いだい、いだい! ありず、やめで! すっぎりはじだぐないー! ばりざじにだぐないーー!!」 焼け焦げたばかりのまむまむでは、痛いばかりのようだ。 れいぱーに犯されることが、死につながることも理解しているようだ。 叫んで許しを請うまりさだが、れいぱーにとってそれはやって下さいという意味だ。 「んほぉおおおっ! そんなにさそうなんて、まりさはつんでれさんねぇ! 言われなくても、ごくじょうの愛をあげるから、安心してねえぇぇっ!!!」 案の定ありすに火をつけてしまった。 さて、後はありすが中身を出し切って事切れるまでの間に、まりさがにんっしんっしなければ成功だ。 結果が気になるところだが、そろそろ診療の予約時間も近い。 最後まで見ているわけにもいかないだろう。 「頑張ってくれよ、まりさ。お前にみんなの幸せが掛かっているんだから。頑張っておくれ。」 もっともその「みんな」にまりさは入っていないが。 まりさが他のケージに転がっている、蔦のまみれの黒ずんだ失敗作の仲間入りをしないことを祈りつつ、僕はその部屋を後にした。 -fin- 冒頭にも書いたけど、投稿したanko299の『ゆっくりの幸せのために』の修正版になります。 無駄な説明が長いとか、色々と為になる指摘もありましたが、ここはあえて誤字や整合性の修正にとどめてあります。 何故ならSS書いた経験が無いせいか、そこ直すだけでもう一本分の時間が掛かりそうだからです。 その辺は続編に反映されている――はず。 指摘をくれた方、ありがとうございます。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る サイコパスやら医者に向いてないやら言っているが、 そもそも研究者を端からみれば一般人にはサイコパスに見える場合もあるし、 その研究者が少ないゆっくり治療界で、医者が研究紛いのことをするのは普通じゃないか? コメントの君らは新薬開発で犠牲になるマウスに毎回涙を流すのかい?ww -- 2018-01-10 14 18 56 先生は知らず知らずに笑顔になってそうだねw -- 2016-08-08 21 42 31 オレンジージュースになってますよー -- 2012-05-06 23 26 05 サイコパスはゆっくりできないなあ -- 2012-04-30 20 04 21 やっぱりありすはかわいいなあ -- 2010-12-11 13 07 25 とても面白かったです! ぺに切りとまむ焼きはゆっくりできますね -- 2010-10-30 00 57 43 医者やめろよ -- 2010-10-14 23 42 32 大福タイプ… -- 2010-10-04 01 02 26 先生の頭がおかしいのか、わざとやってるのか…… -- 2010-08-16 18 04 50
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/1612.html
魂が澱んだ黒い泥に沈んだ後に、一度だけ“夢”を見た 蒼い炎を噴き出す巨槍に貫き焼かれ、飛ばされる己に向かってくる凶馬の次弾よりも 一瞬の内に視界を覆ったのは 青と黒、空の狭間 翼を広げ白い炎を噴く巨体 閃光と共に鱗を貫いた鋼の塊 ─── 俺の目指す場所は、夢の向こうにある ─── 新天地東部 “砂と岩の黄床(シィマ・ネーダヨ)” 乾いた風が吹くと砂の舞う硬い地面に散らばる獣荷車の破片。 横倒しにした荷車の背後より槍を突き出し弓を構える狗人の傭兵達。 その一団と向かい合う、如何にもな野盗の群れの間には、種族多様な蛮兵と数人の狗人が倒れている。 「オフォウ!こっから先の駄賃代わりだァ!頼むぞ!」 岩鱗肌の蜥蜴人。無駄に棘棘しい鎧と派手な羽飾りの兜。群れの最前列。恐らくは野盗の頭領。 何本か抜けた歯のせいでところ妙な間抜けさのある大声の後に、頭領の背丈より倍はある熊人が現れる。 気だるそうに回す首は茶色の毛と隆々とした筋肉で覆われており、対峙する者の目を引く。 ─ が、それよりも目を引くのが首の上。頭部を覆う鉄兜だった。 鉄であるのにはちきれんばかりに膨らんだ、現実、兜の部位部位の間に隙間が出来ている部分もある。 ─── まるでそれは、“龍の頭” 『あんたらにゃ何の恨みも無いが、あの蜥蜴の“夢”に乗っかっている以上は仕方なくてな。 すまん、獄世から幾らでも恨んでくれ』 濁った重く響く声が構え並ぶ傭兵に向かって発せられて直ぐ、兜被る熊人が諸手をまるで大鷹の様に広げた。 連続する岩地を砕く轟音。 山の斜面を岩が跳ねて転げ落ちるに例えれば直ぐだが、ここは平地。 茶毛岩が跳ね跳び翻る。 間を置かず刺し飛んでくる矢を、回転の勢いに巻き込み折り千切る。 大翼が風を薙ぐ様に、突き出す槍と荷車諸共傭兵達を吹き飛ばす。 「商隊長さん!あれ絶対無理ですって! ほら!また列がやられた! 早く逃げましょうって!」 ズタボロの布服を重ね着した青年、人間が脂汗を滝の様に吹き出す三毛猫商人をゆすってゆすって訴える。 新天地の東部開拓地への輸送と商会の拠点作りという大任と、自身の命の間で揺れる猫人。 そんな事情はお構い無しに、熊は荷幌を突き破り車を砕き眼前に降り立つ。 『あんたが頭か? 素直に降伏してくれりゃ話はここで終わるんだがな?』 ぬっと龍兜の鼻先が三毛猫の眉を揺らす。 「でも命は助からないんでしょう!?」 兜の目穴に子袋が直撃。 赤い粉が舞い散る。 「ヴぉぉオオオオおっっ!!」 突如兜を押さえ頭を激しく振り乱す熊人が発する吠え声は、明らかに濁った重い声ではなかった。 「エリスタリアのエルフ戦士御用達、“狩りエルフの鏃”の粉末だ! 痺れるだろ?何せ高級護身用品だからな!」 『くそ!体が馴染まんせいで痛みに自我を引き戻したか!』 「そしてッ!!」 「ぶォもぉおォオオオっっ!?」 熊と人との体格差。熊の背後でひょいと青年がしゃがむと丁度足の関節部の膝の裏側。 思いっきり両手で皮をつねると熊は悶絶して転げ回る。 「ほら!商隊長、早く逃げっ ── 地に伏す熊の腕が高速で青年の足を掴む。持上げる。 『体の意識が遠のいたおかげで、しっかり再支配できた。礼を言う』 「そりゃどうも。 お礼に逃がしてくれませんかね?」 これでもかという作り笑いの逆さ顔だが、何故か悲壮感が全く無い。 逆さ吊りになった青年の体からぼろ布がはだけ落ちる。 『おいおい。何だこの奴隷紋の数は?』 青年の胸から腕周りにかけて纏わり付く様々な刺青は全て“奴隷の証”。 「何なら背中の鞭打ち焼き鏝針刺しの跡も見ますかい?」 『…どれだけ逃げてきたというのだ』 「へへっ。奴隷である限りは、とっ捕まっても奴隷として再利用されるでしょう? どれだけ打たれても命までは取られませんからね」 青年の目は一向に曇らず、その眼差しは明らかに直面する龍の目の向こうを見ていた。 『何故そうまでして生きる? 逃げずに大人しく奴隷として生きればよかろう?』 「…“夢”だよ」 『“夢”?』 「俺は人間、地球ってとこからやってきた。 勤めていた会社が倒産、再就職はままならず貯金はゼロ。もう日本じゃ生きていけないと悟った俺は 全てを売って作った金でこの世界にやってきた!今度は倒産しない会社を作って安心して暮らすという夢を叶えに やってきた!」 『それで何故新天地にやってきた? ここは法もままならぬ地だぞ』 「何かをやるなら、何もやっていない場所でやるのが一番デカく当たるだろ!? 危険な地でも構やしない。何も無い人生よりも窮地まみれの方が生きてんだよ!」 『で、お前はこの状態からどうするというんだ?』 「そりゃ逃げるに決まってるでしょ。 折角商人の仲間入りまで夢が進んだんだ、 ここからもここから先も逃げて逃げて逃げまくってでも“夢”まで走るさ!」 土煙の向こうが静寂に包まれてから暫く、野盗の痺れは切れかけていた。 「頭領!あっしらも攻め込みやすかい?」 「ばくァやろう!狗人傭兵なんざまともに相手でくィっか! 兜野郎が片ァつけるまで待ってりゃいひィんだよ!」 「おっ?頭領!何かこっちに来ますぜ?」 砂色のベールに浮かぶ影が、何か大きなものを引き摺って来る。 ── と、見えた瞬間 「おゥわっ!?」 放物線を描いて飛んで来たのは完全にノびた熊人。 群れの中に放り込まれたそれを全員が注目し、すぐに飛んできた方へ全員が向き直る。 「…何だ?」 『おう、すまねぇな。 お前らの“夢”よりも、こいつの“夢”の方がデカそうなんでな、乗り換えさせてもらった。 ここまでの駄賃代わりだ、見逃してやるから全員失せな?』 現れたのは青年。 ニまわり程小さくなった龍の兜を被り、体の随所に鉄甲を纏う青年。 獣荷車は揺れる。 東に遠く見えた緑の平野を目指して。 「痛つつつ…まだ体のあちこちが…」 『ちょいと溜まってた鬱憤も晴らすついでに大立ち回りしちまったからな。 無理に体をブン回し過ぎたツケってヤツだ。 許せよ!ガハハハ!』 青年がリュックの様にして紐かけて背負う兜がガチャガチャと笑い鳴る。 「いやホント。加減とか覚えた方が良いですよ。 俺も意識だけは残ってるんですから」 『体の小さいお前だからこれくらいで済んだんだぞ? 頭を覆った余りの部位で体を保護してやったろう』 「それで四肢脱臼とか洒落にならないんですけどっ?!」 幌の外で商隊長が笛を吹く。 夢に向かう新たな道が、香る緑風と共に開いた。 夢は大きい方が良い 大きければ大きいほど 俺の夢に届くだろう こいつの夢は 俺をあの景色に届かせてくれそうな気がした スレで出た龍の屍鎧とゴーストの話に感化され、思わず ゴーストスラヴィアンの見る夢は、どんな意味を持つ? 兜の見た夢の景色がどこなのか気になった。兜になる前は龍人だったのか龍だったのか -- (名無しさん) 2013-09-20 00 00 05 夢が大きければ善人悪人関係なしなんだ -- (名無しさん) 2013-09-20 20 51 25 夢は持ってるだけじゃだめだろ?といわんばかりの折れないスピリッツが響いた -- (としあき) 2013-09-27 21 56 24 なるほどこれがあの賞金首か!読んだ順番が逆だったんで最初分からんかった。 -- (名無しさん) 2013-10-09 00 59 01 境遇に納得できないので逃げるというのは戦いというよりも根競べに近いなと思った。しかし前向きだと強いな -- (としあき) 2014-01-10 21 27 54 あきらめを乗り越えて一皮むけた人間になったというような前向きさを失わない青年が印象に残りました。竜兜の夢がどんなものか気になりますね -- (名無しさん) 2017-05-14 18 34 38 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/teammoon/pages/46.html
四月 十八日 月曜日 ガラ、と教室の扉を開ける。だが教室の中には誰も居なかった。 「えっ? 」 慌てて日付を確認して、今日は休日じゃない事を確認する。 じゃあ、授業はあるはずだ。 電車がおくれてるのかもしれない。電車通学者少ないけど。 もしかしたらみんな風邪なのかもしれない。ありえないけど。 席につき、かばんを自分の机の上に放り投げた。 数十分後。 「何で来ねぇんだよ……」 黒板の上の時計が、チクタクと時間を刻む。 その時、黒板の隅の『お知らせスペース』に、なにか書かれてあるのが見えた。『18、19は学校記念日で休みです』 「……はぁ」 かばんを持ち上げて帰ろうとしたとき、ガラ、と教室の扉が開いた。 「遅刻してすみません! ……ってあれ? 」 おっと二人目。 「おはよう侑。風邪はもういいの? 」 「あ、おはよう。うん、おかげさまで元気になったよ。三井君も、昨日休んでたけど大丈夫? 」 「うん、大丈夫。僕もただの風邪だったから」 「うつしちゃった、かな……? ごめんなさい」 「いや、季節の替わり目だからね、それで風邪ひいたんだと思う。僕も侑も」 「そっか……。ねぇ、どうして皆居ないの?……もしかして先生ごとみんな遅刻? 」 キョロキョロと辺りを見回しながら訊いた。当然の質問だろう。 黒板を指差しながら僕は答えた。 「学校記念日で今日は休みなんだって」 そういえば、校舎を案内されてなかったな、と思い、校内をあちこち歩き回った。 化学室、資料室、職員室、和室、生物室、音楽室、と回ってみたが、どれも年季が入っている。でも、どこもよく手入れされていて綺麗だった。 一階から順に見て回って、最後に、屋上のドアを開けた。 その瞬間、強い風が外から吹き込んで、視界を一瞬奪われた。風が弱まったあと、女生徒が屋上の手すりに手をかけてこちらに背を向けて立っているのが見えた。 風に揺れる、黒い長髪。侑だった。 「侑」 呼びかけると、侑はゆっくりと振り向いた。 「三井君……」 「何してるんだ、こんな所で」 「何って……。三井君こそ、何してるの? 」 「校内を見て回ってたらここに来ちゃって」 「そっか、まだ案内されてなかったんだっけ。……言ってくれたら、案内したのに」 ひゅうひゅうと涼やかな風がまた吹き始めた。 振り向いた侑は、にこやかに笑うとこっち、こっちと手招きした。 侑の隣に立ち、手すりに手をかける。 「いい風が吹いてるね」 「いい風……?」 「そう、いい風」 「どんな風が『いい風』?」 「んーと、……優しい風かな」 侑は目を細めて笑った。笑顔を見る人も楽しくさせてしまう、そんな笑顔。 「……気持ちいい風だね」 遠くの山で桜が咲いているのが微かに見えた。 「そう。だから『いい風』」 「もう、春なんだね」 「…………」 返事が無いので、どうしたのかと横を見ると、侑は胸を押さえてうずくまっていた。 「侑?! 」 「……なんでも、ない、なんでも、ごほっ、ない…ごほっ」 顔を真っ赤にした侑の額に手を当てる。 「熱があるじゃないか! 」 侑は何か言いたげに笑うと、ぐったりと気を失った。 「おい、大丈夫か、おい! 」 侑を自分の部屋に運び、予備の布団を敷いて寝かせた。 侑の家に運ばなかったのは、自分の部屋の方が近いからだ。 「……う、うん…」 布団の中で侑は目を覚ました。キョロキョロとあたりを見回して、僕を見つけると、ここはどこか聞いた。 「僕の部屋だよ。アパートの」 「……運んで、くれたんですか…。ありがとう、ございます」 「いいよ、無理しなくて。……寝てたほうがいいよ」 起き上がろうとした侑を制した。顔を真っ赤に染めて、息遣いが荒い。 「でも、このままだと、迷惑するでしょうから。すぐ、帰ります」 「いや、一人暮らしだから、泊っていっても何してもいいけど。……飯はあまりおいしくないけど」 「……でも、迷惑はかけられません」 「僕にとっては、迷惑より、侑の方が大事だよ? 」 「…………」 「それに風邪はぶり返したら怖いし」 「……お世話になります、ごめんなさい」 「いいや、病気だもの、仕方ないよ。……家に電話する? 」 侑は少し考えて、ふるふると首を横に振った。 洗濯物の取り入れも終わって、日がだいぶ傾きかけてきた頃。 「夕飯は何がいい? 」 「何でもいいですよ」 少し回復してきた侑がそう答えた。未だに布団の中だが、解熱剤と咳薬を飲ませたら、だいぶ楽になったようだった。 「じゃあ、お粥でも炊くか」 「私、手伝います」 「いいよ、お粥くらいつくれるから」 「…………」 お願いだからそんな疑いの目で見ないで。 「それに、病人は安静にしておかないと」 「…………」 それでもなお、僕を見つめる侑の視線を振り切って、台所に立った。 病人は絶対安静、うん。 「さて」 お粥って、どうやって作るっけ。 その時、侑を寝かせた部屋から声が聞こえた。 「お粥なら、炊いたご飯でも作れますよ。本当は生米から作るんですけど」 えーと、たしか、昨日炊いた残りが冷蔵庫に入っていたはずだ。 「……あった」 「鍋にご飯と同量くらいの水をいれて煮込みます。それで、できあがりです」 「なんだ、簡単じゃないか。……って、え? 」 気がつくと、侑が真後ろまで来ていた。 「寝てないと危ないって」 「料理できないのに、無理しないで下さい。危ないですよ」 そう僕に注意して、手際よく調理を進めた。 そして、侑がいくつかありあわせの食材で料理をこしらえて、二人で食べた。 侑の薬はまだ効いているらしく、食欲があった。 食後、侑の病気の体に風呂はきついと思い、シャワーにした。 僕が脱衣所で脱いだ服は、シャワーから上がると綺麗にまとめられていて、すこし気恥ずかしかった。 逆に、侑の脱いだ服をたたもうと脱衣所の扉に手をかけた時、冷静になって考えたら、傍から見るととてつもなく性的なことをしようとしているのではないかということに気がついて、伸ばした手を引っ込めた。 居間の窓を開けて、涼しい風を浴びながらTVを見ているとき、侑がゆっくりと口を開いた。 「……前の学校の話聞きたいな」 「いいけど、とくにこれといって面白いものは無いよ」 「それでもいい。聞きたい」 「そう、じゃあ……」 僕は、引っ越す前にあったことを、思い出せる限り話した。 先生のこと、友人のこと、両親のこと、ここに引っ越してきた経緯。飼っていた犬、高校受験のため塾にずっと居させられた事。よく塾を抜け出して、友達と遊んだ事。 思い出してみると、けっこう出てくるものだ。 話し終わる頃は、十一時を少し回っていた。 「ふぅ。……お酒でも飲む? 」 言ってから、何いってるんだろうと思った。 「いいですね、明日休みだし、飲みたいです」 侑が結構乗り気だったことに驚いた。 押入れからカップ酒とビール缶を数本ずつ取り出して、居間のちゃぶ台の上に置いた。ついでに柿ピーも持ってきた。 「いただきます」「いただきます」 カポ、と缶のフタをあける小気味良い音が響いて、お互いに缶を煽った。 数秒後、ふぅ、という軽いため息が二人から洩れた。 「お酒飲むの、実は初めてなんです。でも三井君は、飲みなれてそうだね」 「……前の学校に居た頃は、よく塾を抜け出して、川原で花火をしたりお酒を飲んだりしてた事もあったから。……だから、初めてじゃない」 肴に柿ピーの子袋を開け、適当につまむように侑に促した。 「でもこれ、立派な触法行為ですね」 「そうだね」 そう僕は言って、缶の残りを一気に煽った。 そこから先は覚えていない。けれど、変なことはしていない……はず。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/81.html
雨が降りしきる夜、家路をひたひたと急いでいると、街路樹の根元に丸く大きな影が転がっているのを見つけた。 何だぁ、と屈んで顔を近付けると、果たしてそれはゆっくり霊夢であった。 こんな人の多い所に居るなんて珍しい。青年は話しかけてみることにした。 「おい、お前何してんだ」 「…ゆ……ゆっ…くり……」 返ってきたのは弱々しい声。 ゆっくり饅頭たち特有の、少しインフレ気味なくらい元気な挨拶はどうしたのだろう。 「何だお前、大丈夫か? 具合でも悪いのか?」 傘をホッと横に放り、思わずゆっくり霊夢を抱き上げる。 じっとり湿っていて、接地面に擦過傷が多々見られた。 「おにーさん……ゆっくりできる…ひと……?」 え? ゆ、『ゆっくり出来る人』だと……? 今一意味は分からなかったが、 「あ、あぁ! 出来るぞ、俺はゆっくり出来る人だ!」 ゆっくり霊夢が息も絶え絶えに訊いてくるので、思わず肯定の答えをしてしまった。 恐らくは、敵意の有無を確かめているのだろう。 青年のゆっくり宣言を聞いたゆっくり霊夢は、安心したように軽く口の端を持ち上げた。 そして、 「おにーさん……ゆっくり……れいむのおねがいを…きいて…ね……」 ゆっくり霊夢はあるお願いをしてきたのだった。 「……れいむは…おかあさんで……れいむのいえにはこどもが……いっぱいいるの……」 話をまとめるとこうだ。 今、この目の前でしょぼくれているゆっくり霊夢には子どもが居て、毎日毎日一緒にゆっくりしていたらしい。 近くの林の中に穴を掘って住み処とし、お母さんであるゆっくり霊夢が子ども達のために餌を獲ってくる。 食べ盛りな子ども達は餌を見ると「ゆっ、ゆっ、ゆっ、」とご機嫌になり、美味しそうに口いっぱい頬張った。 決して楽ではないけれど、そんないとおしい子ども達の為ならばいくらでも頑張れたそうだ。 ――しかし、幸せな暮らしを送っていたゆっくり霊夢に重大な事件が起こってしまった。 三日前に餌を獲りに出たら急な雨に降られ、体が湿って帰れなくなってしまったのだ。 ずぶ濡れになりながらも体を引きずって何とか家に向かおうとしたが、ゆっくり霊夢はやはりただのお饅頭。 命からがら逃げ込んだこの街路樹の元で体力の回復を待ったが、雨はあれからずっと降り続いている――……。 「おにーさん……れいむのかわりに…こども…を……」 さぞや辛かったのだろう、ゆっくり霊夢は青年の腕の中で涙を流している。 「…こども……を……」 「わ、分かった! 分かったからもう喋るな!!」 これ以上無理をさせると、こいつ自身の命が危ない。 子ども達が助かったって、肝心の母親が居ないんじゃ悲しいじゃないか。 「おに、おに゛ーさん゛……」 冷たく降り注ぐ雨の中、こいつは気が気じゃなかったハズだ。 ずっと空を見上げながら、今か今かと雨が止むのを待ち続け、 頭に浮かぶのは親が居らずお腹を空かせて泣きわめく我が子達……。 絶対に助けてやる。 「子ども達は絶対に助ける。俺が迎えに行ってやる」 ゆっくり霊夢は目を瞑り、うん、うんと青年の言葉を噛み締める。 「だから……だから、まずはお前を助ける! 今から俺のアパートに連れていくぞ!!」 「ゆっ…ゆゆうっ……」 青年は傘を拾い上げると、ゆっくり霊夢を抱いたまますぐさま自宅へと走っていった。 ■ ■ ■ ぴしゃっ、ぴしゃっ、ぴしゃっとはね上がる水滴。 青年はまた、冷たい雨の中を走っていた。 全身雨ガッパの完全武装に身を包み、目的地へと急ぐ。 片手には道具が入った大きなカバン、反対側にはこれまた大きなポリ袋。 両方ともゆっくり霊夢チルドレンを輸送する為の秘密兵器である。 『じゃあ、今から行ってくるぞ。お前はしっかり体を休めておけ』 『ゆうっ……おにーさんゆっくりたすけてね……』 『あぁ、任せろ』 あれだけ萎んでいたゆっくり霊夢であったが、丁寧に体を拭いてやるとある程度元気になった。 傷には水で溶いた餅粉を塗り込み、たっぷりのホットミルクを飲ませてあげた。 今ごろは毛布にくるまって寝ているだろう。 ゆっくり霊夢一家の住み処である、林の中に入る。 あいつが言うには、入ってから少し奥の、切り開いた所にほら穴があるらしい。 ぬかるんだ土を蹴って進み、大きな岩を避けて、あぁ、これだ。 大股で駆けていくと、木の枝で入り口をバリケードした穴が広がっていた。 ゆっくり饅頭の家だから、かなり小さめの物を想像していたが、軽く屈めば問題なく入れそうである。 「よし、」 青年は意を決して侵入した。 独特の、鼻について離れない湿った土の匂いが漂っている。 カバンに入れておいた懐中電灯で足元を照らしながら、慎重に慎重に進んだ。 こつ、こつ、こつ、こつと地面を踏みしめ、周囲に注意を向けながら、 「……ん?」 奥の方で、何やら聞こえてくるような。 「………ゆ……し……」 「……ゆっ……ん……」 間違いない。 子ゆっくり達の声だ。 懐中電灯をさっと前に突きだし、暗順応を済ませた目を最大限に凝らす。 右へ、左へ……真ん中、右……左へ、右へ……あ、 右になにかある。 明るい楕円が、大きな一塊の影を捉えた。 表面がぐにぐにと蠢いており、ぱっと見では何だか分からず少し不気味だ。 「お、おい。お前ら……ゆっくり霊夢の子どもか?」 恐る恐る、青年は声を掛けてみた。 「お母さん霊夢の子どもか?」 反応は二度目で返ってきた。 「ゆっ、」「ゆっ、」「ゆっ、」「ゆっ、」「ゆっ、」「ゆっ、」 少し高めのゆっくりボイスと共に、塊は瓦解していく。 保護したお母さん霊夢よりも一回り、二回りは小さいだろうか。 個体差はあるものの、正しく子どもゆっくり霊夢が一列に並んだ。 全部で……ひーふーみー……っと、全部で九匹居るな。 「おにーさんだれ?」 「おにーさんはゆっくりできるひと?」 「れいむたちになんのよう?」 「ようがないならゆっくりでていってね!!」 あ、あれ? 何だ、別に元気じゃねえか……。 「いや……お前らのお母さんに頼まれて助けに来たんだけど……」 お母さん霊夢のしょぼくれ具合から考えて、正直白目むいてるのも居るんじゃないかと思っていた。 思っていたんだけど……。 「ゆっ!」 「おかーさん!? おかーさんはどこにいるの!?」 「おかーさんとゆっくりしたいよ!!」 「おかーさんのところにつれていってね!!!」 うーん、拍子抜けだ。 まぁ、元気なのは良いことだから問題はないだろう。 「よ、よし! じゃあ今からお前らをお母さんの所に連れていくからな!」 「ゆっ!」 「ゆっくりできる!」 「おかーさんとまたゆっくりできるね!!」 「はやくおかーさんとゆっくりさせてね!!」 ぴょんぴょこぴょんぴょこ跳ね回り、お母さん霊夢と再会できる事を喜ぶ子ゆっくり達。 青年は、早速その場にポリ袋を広げた。 外に出てから家に着くまで雨に濡れないように、自分なりに頭を使ったつもりだった。 「さぁ、この袋に入って! 今外は雨がざぁざぁ降りなんだよ」 「ゆうっ!」 「ぬれたくないよぉ!!」 「だから、ほら。この袋に入れば大丈夫!」 「ゆゆっ!」 「おにーさんあたまいい! ゆっくりふくろにはいるよ!!」 分かってくれたみたいだ。 一匹ずつ、手で広げた袋に飛び込んでくる。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、」と声をあげ、その度腕にボスッという感触が伝わってきた。 「よし、全員入ったかぁ?」 「ゆーっ!」「ゆーっ!」「ゆーっ!」「ゆーっ!」 袋越しに、合唱で答えるゆっくり霊夢チルドレン。 一応辺りを見回して、残りが居ないか確かめてから、 「じゃあ、口を縛るからな!」 きゅきゅっと捻り、片結びにポリ袋を閉じた。 あとは、もう走って戻るだけ。 お母さん霊夢に見せて、早く安心させてやろう。 「オッケー! 早くお母さんの所に行こうな!」 「ゆっくり!」 「ゆっくりしたいね!!」 「はやくみんなでゆっくりしようね!!!」 「あはは、それじゃあ出発!」 荷物をまとめて、青年はゆっくり霊夢一家のほら穴を飛び出した。 雨はまた一層激しさを増している。 青年は走った。 木々を縫って林を抜け、人の居ない裏道を通り、表の大通りに出る。 「ゆー! はやいはやい!!」 お母さん霊夢と出会った街路樹の脇を走り抜け、コンビニの前をぶっちぎり、角を曲がる。 あとはもう真っ直ぐ行くだけ。 ラストスパートとばかりにダッシュする。 早く家のドアを開けて、 『おーい! ほら、お前の子どもだぞ!!』 なんて一刻も言ってやりたくて、 足を思いっきり踏ん張って、 たまたまそこにあったマンホールで滑って、 青年が倒れ込んで地面にぶつかるまでのその間。 右手を離れて宙を舞うゆっくり袋の中、計十八個の目が青年を見上げていた。 ■ ■ ■ 静かに、玄関のドアを開ける。 「……ただいま」 流石に、両手に荷物を抱えた状態で全力疾走はかなり疲れた。 しかも、雨で滑って転んでしまったのだ。 うつ伏せに地面に突っ込む形になってしまい、血こそ出なかったものの顔やら膝やらが少し痛む。 ……胸とお腹は打たなかったから平気だけど。 「ゆっくり!! おにーさんおかえりなさい!!!」 下駄箱の上に荷物を起き、ごそごそと靴を脱いでいると背中越しにゆっくり霊夢の声が聞こえた。 「何だ、もう起きて良いのか?」 振り返り、ゆっくり霊夢の姿を確認する。 「ちがうよ! おにーさんをまってずっとおきてたよ!!」 少し仰け反って、誇らしげにするゆっくり霊夢。 なるほど、顔色が断然良くなっている。 毛布にくるまって、体温が上がったのだろう。 「ははっ、そうか。良かった良かった。今、またホットミルク持ってきてやるからな」 微笑ましい様子に、思わず声のトーンが増してしまう。 台所で急ぎ準備をしなくては。 「おにーさん、れいむのこどもは?」 体に、電撃が走った。 「……な、なに? き、聞こえなかったよ………」 背中を雨水ではない嫌な水滴が垂れていく。 「もう! だぁかぁらぁ、れいむのこどもたちはどこ!?」 頬をぷっくり膨らませ、まったく他人の話はちゃんと聞いてよね、そう言いたげな表情だ。 ヤバい、 どうしよう、 どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう、 よし、これしかない、 「……落ち着いて聞いてくれ――」 「ゆ? れいむはいつもゆっくりおちついてるよ?」 「あのな……お前の子どもはな……」 「ゆっ?」 「野良犬に襲われて……全滅していたんだ……」 青年とゆっくり霊夢の居る空間が凍りついた。 しばらくは見つめあったままで、辺りを静寂が支配する。 「ゆっくりうそはやめてね! そんなわるいうそはつまらないよ!!」 突然に響く怒鳴り声。 ゆっくり霊夢は子どもの死を信じていないようだった。 当然だろう……。 「嘘じゃない。お前の子どもは野良犬に食いちぎられて、それは集めるがたいへ――」 「このままじゃおにーさんとはゆっくりできないよ!! はやくこどもたちをみせてね!!!」 ぼすっ、ぼすっと俺の腹に体当たりを食らわすゆっくり霊夢。 本気で怒っているらしい。 胃が痛む。 「分かった、分かったよ……」 やはり亡骸を見せるしかないようだ。 玄関に戻り、下駄箱に載せた荷物の内の一つポリ袋を掴む。 そんな青年の行動を、ゆっくり霊夢は赤く膨れながらもじっと見つめていた。 「気を確かに持てよ……」 諦めたようにそう言ってから、ゆっくり霊夢の前に袋をボスッと落とす。 重量感のある音にビクッとして「ゆゆっ!」と驚いていたが、眼前の袋の中身に気付いたのだろう、 「………………ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 ゆっくり霊夢は、低く、ぶるぶると震えた唸り声に近い叫びをあげた。 ポリ袋の中は濃い紫色の餡子で満ち満ちており、所々に肌色と赤い布の切れ端が覗いている。 そう。 この塊は子ゆっくり達の成れの果て。潰れてしまった饅頭達である。 もはや、個体の判別が出来ないまでにぐしゃぐしゃになっていて、一つのどでかいおはぎのように見える。 ゆっくり霊夢は、ゆっくりらしからぬ速さでそのおはぎの傍によった。 「どおじでぇ゛ぇ゛ぇ゛!? どおじでこんなごどぉお゛お゛ぉぉぉぉっ!!」 「だから、野良犬が――」 「ゆ゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛! ゆ゛がああ゛ぁ゛あ゛ぁああっ!!」 駄目だ。 大量の涙を垂れ流し、ゆっくり霊夢は錯乱状態になっている。 「おっ、落ち着け! 落ち着くんだ!!」 「れい゛む゛のぉぉお゛お゛!! れい゛む゛のかわ゛い゛いかわ゛い゛いこどもがみんなしんじゃっだあ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ゛ぁ!!!」 ポリ袋にすがり付くように寄りかかり、愛しい子ども達だったものに訴えかける。 「ゆっぐり゛じでだのにいぃ! まいにぢゆっぐりじでたのにい゛い゛い゛ぃ!! ぢいざなれいむだぢどながよぐみんなでゆっぐりじでだのにい゛い゛い゛ぁ゛あ゛あ゛!!!」 顔をぐいぐいと押し付け、子ども達の温度を感じようとした。 しかし、ほかほかの餡子とは程遠く、とても冷たい感触がゆっくり霊夢を更にどん底に突き落とす。 ふと、楽しかった日々がゆっくり霊夢の頭の中にぐるぐると回り始めた。 行きずりのゆっくり霊夢と交尾した事、 見事に受精し、自分の体を痛めながらも小さな命を産み落とした事、 その結果十二体のも可愛い家族が出来た事、 幼いゆっくりを巣に残して餌を探しに出て寂しくはないだろうかと心配した事、 子どもを守るため天敵と対峙した事、 初めて「ゆっくりちていってね!」と子どもが言葉を発して思わず泣いた事、 姉妹喧嘩をする子どもを叱った事、 子どもの寝言に思わず微笑んだ事、 今、それらが全てめちゃくちゃにされてしまった。 「ゆゅあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! れい゛む゛のぜいだ!! れい゛む゛がい゛え゛にいだら、れい゛む゛がかえ゛って゛た゛らあ゛あ゛あぁ!!!」 とうとう、ゆっくり霊夢は自分を責め始めた。 無理をしてでも帰宅して、家に居たら野良犬の餌食になんてさせなかった。 この身を犠牲にしてでも子ども達を守るつもりだった。 しかし、自分は遠くでガクガク震えていただけ。 寒さとかすり傷に震えていただけ。 ――子ども達はその頃、野良犬の牙に引き裂かれていたのに。 「ごめ゛ん゛ね゛ぇ!! おか゛あ゛さん゛のせいでごべんね゛え゛え゛ぇ!!!」 その後ろ姿は、どこまでも痛々しかった。 ■ ■ ■ 青年が倒れ込んで地面にぶつかるまでのその間。 右手を離れて宙を舞うゆっくり袋の中、計十八個の目が青年を見上げていた。 そして、ブブリリュッという感触。 「ゆぐぐりゃあ゛あ゛あ゛あ゛ああああっ!!!」 その悲鳴で全てを理解した。 青年は足を滑らせて転んでそのまま前に倒れこみ、胴体でゆっくり霊夢チルドレンが入った袋を潰してしまったのだ。 体はあちこち痛んだが、子ゆっくりの安否を確かめるべく急いで袋を引きずり出す。 「うわっ……」 思わずそう口にしてしまった。 考えうる最悪の状況だった。 突然の圧迫に小さな子ゆっくり達の体は裂けてしまい、中から大量の餡子が噴出していた。 赤くて可愛いリボンも解け、子ゆっくり達の「ひゅーっ、ひゅーっ」という呼吸音が耳にまとわり付いて来る。 「ゆっ……ゆぐぐ……ぐ……ゆぐ……ゆぐり……ゆぐりした……い゛、い゛、い゛、い゛、…………」 左のほうには、明らかに死を目前にした痙攣をしている子ゆっくりが居た。 反対側には、口の皮が吹き飛んでいて白目を剥いている子ゆっくり。もう死んでる。 真ん中には何も居なかった。餡子とちぎれた皮とがごちゃまぜになっているものしか目に入らない。 手で袋を揉みしだき、何とか生きている子ゆっくりを探す。 ぐにょり、ぐにょり、ぐにょりと中のものを動かして、何とか生きているゆっくりが居まいかと泣きながら探す。 あ、頭だ。 ゆっくりの頭だ。 急いで、急いでにゅるりと餡子を掻き分ける。 生きていてくれ、生きていてくれ、生きていてくれ、生きていてくれ、生きていてく、 顔の、下半分がなかった。 「うわああああああああああ!!!!」 青年は地面にゆっくり袋をぶん投げ、両足でどこどこ踏み潰した。 もうぐちゃぐちゃで分からなくなってしまえ。 もう只の餡子袋になってしまえ。 ――俺は知らない、俺は悪くない。 無駄に丈夫なポリ袋が悲しかった。 落ち着くと青年は餡子袋をそのまま抱え、とぼとぼと家を目指した。 ■ ■ ■ ゆっくり霊夢は長時間泣き喚いていたが、突然振り向いてここをもう出る旨を伝えてきた。 「大丈夫か、もう平気なのか? 良いんだぞ、もう少しゆっくりしていっても」 自殺でもしやしないか心配で思わずそう問い掛けたが、ゆっくり霊夢は良いんだと言う。 「れいむはもういくよ。このこたちのためにももっとゆっくりしなくちゃ」 「そうか……」 ゆっくり饅頭って意外にも強いんだな。 青年はゆっくり霊夢の赤く腫れた目を見ながらそう思った。 「これは……お前の子どもの亡骸はどうする?」 床に転がった、色々な意味で重いポリ袋。 「いらない。もっていってもそのこたちはいきかえらない」 「………………」 「だから、おにーさんにたべてもらいたい」 何かを決意したような、力強い声だった。 「れいむたちのなかみはあまいあんこだよ。おいしくたべてね」 皮もおいしいよ、食べられないところはないんだよ、わざとらしくゆっくり霊夢は笑った。 「……分かった、ちゃんと食べる。おいしく全部食べるよ」 「おにーさん、ありがとう」 今度は、安心したような笑みだった。 その後、すぐにゆっくり霊夢は青年のアパートから出て行った。 雨は降り続いていると思ったが、玄関のドアを開けた時には止んでいて雲が切れ始めていた。 「水溜りには気をつけろよ」 「うん、おにーさんもゆっくりしていってね」 「……ああ」 のそのそと、ゆっくりゆっくり日常にもどっていくゆっくり霊夢。 その後ろ姿は、青年の心に焼き付いていつまでもはなれなかった――。 ※実際はゆっくり饅頭たちが大好きです。 子ゆっくりが母親の持ってくる餌なしに元気だった理由 → 母の思い出 『十二体のも可愛い家族が出来た』 → 青年の確認した子ゆっくりの数 『全部で九匹居るな』 母親が居なかったのが三日だから、一日に一体ずつ……という事ですね。 見苦しい補足をしてごめんなさい。