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彼女の幼少期 2017年12月28日 17時06分51秒 テーマ:戦い 「いつ見ても死人みたいな顔色で、今にも倒れそうでね。 最後にご飯を食べたのがいつかわからないって言うもんだから。」 それは私のかかりつけの心療内科の先生によって明かされた 彼女の幼少期。 私がいつものように診察を受けた後、 先生が「うちから一番近い心療内科の…」と口にしたのは、 彼女のお父さんが営む病院でした。 思いがけず登場した彼女に関わる話に動悸がした私を、 先生は驚いた様子ながら支えて座らせてくれました。 病院の先生に不倫相手の名前を話すことになるなんて 思ってもみませんでしたが、 心療内科医同士、少しでも繋がりがあるのであれば…。 そう思い、伝えました。 「夫の不倫相手は…そこの娘さんです…。」 先生は長い沈黙の後、 赤くなった目元を手で覆って、力なくおっしゃいました。 「そう…。ついに助けてやれなかったんだね。」 午前の診療は私が最後だったため、 先生は私の正面に座り直し、 少しずつ思い出すように話してくれました。 https //webcache.googleusercontent.com/search?q=cache X4dQ6EZuKxgJ https //ameblo.jp/snowyroads115/entry-12339895367.html+ cd=2 hl=ja ct=clnk gl=jp
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327 名前:長女の訪問1/5投稿日:2007/04/30(月) 14 48 53 ID ??? ロラン「いやー、今日は特売だからって沢山買い物しちゃいましたね、それにオマケとかして貰ったし。」 シン(付き添い1)「そうだな。(こう見てるとロラン兄さんって主夫って言うより主婦だな)」 キラ(付き添い2)「(まあ、家のお母さんみたいなものだからね・・・遠くから見ると本当に主婦に見えそうで怖いな)」 グエン「ローラは私の主婦となってくれる人だーーーーー!!!!!!」 シン「(無言で殴り飛ばす)ったく、あのホモ野郎は何処にでも出てくるな。」 キラ「まあ、あの人にも色々事情があるんだよ、あんなになったのも理由があるらしいし・・・。」 ロラン「(グエン無視)今晩は和食で行こうかな・・・二人とも何かリクエストとかある?」 シン「え、そうだな・・・俺は鯖の味噌煮が良いな。」 キラ「ええっ、僕は味噌煮より塩焼きの方が良いんだけどな。」 シン「何言ってるんだよ、味噌煮の方が美味いに決まってるだろ。」 ロラン「喧嘩しないで・・・じゃあ間を取って鯖の醤油煮にしましょうか。」 キラ「ええ、それって味噌が醤油に変わっただけだよ兄さん。」 ロラン「文句を言わない、ゴールデンウィークの間に味噌煮も塩焼きも作りますよ。」 シン「まあ、特売で鯖安かったから結構買ったしな。」 「ごめんなさい、ちょっと聞きたい事があるんだけど。」 ロラン「あ、はい、何ですか?(髪の長い綺麗な女性だなぁ・・・何だろ?)」 「この写真の人の家を探してるのだけど何か知らないかしら?」 ロラン「どれどれ・・・ええっ!?」 シン「ロラン兄さん、どうしたんだよ・・・ってええ!?」 キラ「二人ともどうし・・・ああっ!?」 「貴方達、この人・・・アムロ・レイを知っているの?」 328 名前:長女の訪問 2/5投稿日:2007/04/30(月) 14 51 20 ID ??? ジュドー「・・・って事であの女の人を連れてきた訳?(ひそひそ)」 キラ「うん、まあね・・・何かアムロ兄さんに会いたがってたから。(ひそひそ)」 ヒイロ「セレーネ・マクグリフ、28歳女性、コーディネイター、深宇宙探査開発機構・通称DSSD所属・・・。」 ガロード「つまり宇宙探査してる所のお姉さんってわけか・・・全然アムロ兄さんと接点ないじゃん。(ひそひそ)」 ヒイロ「解らないぞ、彼処は宇宙探査・開発用のガンダム・スターゲイザーを開発しているからな。」 シン「なるほど・・・ガンダムって所が共通点だな。(ひそひそ)」 ジュドー「で、肝心のアムロ兄さんは?(ひそひそ)」 キラ「まだ仕事から帰ってないよ、シロー兄さんも・・・ドモン兄さんは修行に行ったし、コウ兄さんは部屋でガンプラ作ってるし。(ひそひそ)」 ヒイロ「セレーネ・マクグリフ・・・兄さんと接点がないか詳しく調べてみる。」 ジュドー「んなの本人に直接聞けば・・・っていっちまったよヒイロの奴。」 カミーユ「いや、相手はアムロ兄さんに用事があるみたいだし下手に関係を聞かない方が良いと思う。(ひそひそ)」 ジュドー「それもそうか・・・兄さん絡みの事でとばっちりは喰いたくないしな。(ひそひそ)」 ウッソ「あんな綺麗な人を放っておくなんて・・・可笑しいですよ、アムロ兄さん。(ひそひそ)」 ガロード「ウッソ・・・お前それしか言う事ないのかよ。(ひそひそ)」 ジュドー「やっぱあの人、アムロ兄さんの昔の女なのか?(ひそひそ)」 ガロード「で、捨てられた恨みで賠償求めてやってきたとか?(ひそひそ)」 シーブック「二人とも止めないか、そんな推測が当てになるもんか。(ひそひそ)」 ガロード「・・・シーブック兄さん、いたのか?」 ジュドー「影が薄くて全然気付かなかったぜ、作者も最後まで書いた時に気が付いたからな。」 シーブック「シクシク・・・どうせ俺は影が薄いさ・・・。」 ロラン「みんな、そんな一カ所で集まってひそひそ話するのは止めましょうよ。」 ガロード「あ、ごめん・・・それあのセレーネって人に出すの?」 ロラン「ええ、訪ねてきた人にお茶を出すのは礼儀でしょ。」 ジュドー「じゃあさ、ついでにアムロ兄さんとの関係も聞いてきてくれない?」 ガロード「兄さんと何処までの関係だったか知りたいし。」 ロラン「馬鹿な事言ってないで静かにしててくださいよ、迷惑を掛けちゃお客さんに失礼だから。」 ロラン「とは言っても一体アムロ兄さんに何の用で来たんだろ・・・気になるな。」 329 名前:長女の訪問 3/5投稿日:2007/04/30(月) 14 52 22 ID ??? ロラン「どうぞ、粗茶ですが・・・。」 セレーネ「ありがとう、頂くわ。」 ロラン「・・・・・・失礼ですがアムロ兄さんには何の用事で会いに来たんですか?」 セレーネ「久しぶりにアムロの顔を見に来たんだけど・・・それじゃ駄目かしら?」 ロラン「え、そ、そうなんですか?(久しぶり・・・まさかアムロ兄さんの昔の恋人!?)」 セレーネ「ええ、もう何年も会ってなかったから・・・寂しくなって会いに来たのよ。」 ロラン「さ、寂しくて!?(や、やっぱりアムロ兄さんの・・・でも、アムロ兄さんの女癖の悪さはいつもの事だし・・・)」 セレーネ「ずっと別れてたから家が解らなくて苦労したわ・・・それでアムロは今何処に?」 ロラン「ええと、その・・・兄さんは今日は残業で夜は遅くなるんです。(取り敢えず今日はお引き取りしてもらおう)」 セレーネ「そう・・・今日しか時間が取れなかったのに・・・残念ね。」 ロラン「(今日しか時間が取れない・・・まさかこの人、アムロ兄さんに振られてやり直しを求めてて駄目なら自殺を・・・。)」 セレーネ「いないのなら私は帰るわ、邪魔しちゃいけないし・・・アムロによろしく言っておいてね。」 ロラン「(駄目だ、アムロ兄さんのせいでこの人を死なせるわけにはいかない。)ま、待って、はやまらないでください!!!」 セレーネ「え?」 ロラン「あんな女癖が悪くてガンダム馬鹿でシャアをミンチにする事が実は好きなサドのアムロ兄さんの為に貴方が死ぬ事はないんです。」 セレーネ「し、死ぬ?」 ロラン「そうです、貴方を惑わせた兄の罪は弟である僕が責任を取って償わさせてもらいます。」 セレーネ「惑わせたって・・・私とアムロは・・・。」 アムロ「(突然扉が開いて)ただいま、今日は早く帰ってこれた・・・ってお客さんか?」 セレーネ「あっ・・・アムロ・・・。」 ロラン「アムロ兄さん!!!!!!」 アムロ「うわっ、どうしたんだロラン!?」 ロラン「貴方という人は・・・ベルトーチカさんやチェーンさんだけに飽きたらず、セレーネさんまで誑し込むなんて!!!!!」 アムロ「セレーネ・・・・・・まさか彼女は・・・ちょっと待てロラン、話を・・・。」 『アムロ兄さん!!!!!!!(こっそり聞いていた兄弟達が雪崩れ込む)』 330 名前:長女の訪問 4/5投稿日:2007/04/30(月) 14 56 05 ID ??? ジュドー「見損なったぜアムロ兄さん、あんたがそこまで女ったらしだとは思わなかったぜ。」 ガロード「そうだ、兄さんは男失格だ。」 シン「アムロ兄さん、あんたって人はーーーーーーーー!!!!!!!」 ウッソ「こんな綺麗な人を見捨てるなんて・・・可笑しいですよ、可笑しいですよぉーーーーーーー!!!!!!!!!」 アムロ「お、お前達まで何を言ってるんだ・・・兎に角話を聞け。」 カミーユ「あんたみたいな大人、修正してやる!!!!」 シーブック「兄さんを殴ることに・・・戸惑いはない!!!!」 キラ「アァムゥロォ兄さーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!!!」 ロラン「兄さんみたいな人は・・・斬ります!!!!!」 アムロ「ええい、人の話を聞かんか!!!!!!!!!!!!!(プレッシャー発動)」 兄弟達『はぐぁ!!??!??!?』 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ アムロ「良いか、セレーネは昔の恋人でもなければやり直しを求めてやってきたんじゃない・・・解ったか!!!」 兄弟達『イエス、マイブラザー・・・・・・。』 アムロ「よし、サイコフレームを応用した方法だが上手くいったな・・・次からはこれで黙らせるか。」 セレーネ「アムロ、この子達に一体何をしたの?」 アムロ「ちょっとした催眠療法だ、気にするな・・・それにしてもセレーネ、久しぶりだな。」 セレーネ「ええ、ドモンが生まれた頃だから・・・もう20年になるかしら。」 アムロ「そんなに経つのか、時が経つのは早いな・・・名前を聞くまで全然解らなかったよ。」 シロー「ただいま、今日は早く帰ってきた・・・あ、アムロ兄さん帰ってたんですか、それにその人は?」 アムロ「おかえりシロー・・・シロー、この人はお前もよく知ってる人だぞ。」 シロー「えっ、どういう・・・・・・・・・ま、まさかセレーネ姉さん!?」 セレーネ「ええ、20年前に養子にだされてそれっきりだったセレーネ・マクグリフよ。」 331 名前:長女の訪問 5/5投稿日:2007/04/30(月) 14 57 25 ID ??? シロー「久しぶりだな、セレーネ姉さんと会うのも・・・もう20年も経ったのか。」 アムロ「ああ、あの頃は家が経済的に苦しくてセレーネが養子に出されたからな。」 セレーネ「あれからずっと連絡しなくてごめんなさいね、それでこの子達は?」 アムロ「ああ、みんな親父の子で俺達の弟だよ、他にもドモン以外にあと四人いる。」 セレーネ「・・・私がいない間に結構増えたのね、てっきりアムロが此処で下宿してるのかと思ったわ。」 シロー「まあ、確かにこれだけ似てないと弟とは思わないよな。」 アムロ「それにあの絶倫親父に似てる奴等も少しいるしな。」 シロー「(・・・アムロ兄さんが一番お父さんに似たと思うけど。)」 アムロ「それでセレーネ、何でいきなり家に来たんだ?」 セレーネ「仕事でこの辺りに来たから会いに来たのよ・・・家を探している時にロランに会って教えてもらって来たってわけ。」 アムロ「そうか・・・じゃあ今日は家に泊まるか?」 セレーネ「まだ仕事が残ってるから無理ね、今日は挨拶に来ただけだし。」 シロー「じゃあせめて夕食は食べていってくださいよ、積もる話もありますし。」 セレーネ「そうね・・・じゃあそうさせてもらうわ、所でドモンは?」 アムロ「あいつはいつもの通りに修行だ、流派東方不敗に入門してな、今じゃガンダムファイターだ。」 セレーネ「流派東方不敗・・・それって何の格闘技なの?」 シロー「うーん・・・敢えて言うなら格闘技とは言えない格闘技かな。」 セレーネ「?」 アル「ただいまーー・・・あ、アムロ兄ちゃんとシロー兄ちゃん帰ってたんだ。」 シュウト「あれ、その人は?アムロ兄さんのお客さん?」 アムロ「いや、この人はセレーネ・・・お前達のお姉さんだ。」 シュウト・アル「「?」」 その後、セレーネは兄弟達と食事をした後仕事先へと帰っていった。 後日、仕事場所がこの街のDSSD支部に転属になったので一緒に住む事になったのは 後の話である。 因みにサイコフレームで催眠を掛けられた兄弟達はアムロが元に戻したらしい。 332 名前:オチ 忘れられた人達投稿日:2007/04/30(月) 14 59 03 ID ??? ヒイロ「そうか、セレーネ・マクグリフは俺達の姉だったのか・・・任務完了、みんなに伝えに戻る。」 セレーネが姉である事を知って報告するも既にみんなが知った後だった。 ヒイロは「任務失敗・・・。」とだけ告げて自爆したらしい。 コウ「はぁ、やっぱガンダムは良いよなー、次は何作ろうかなーーー。」 セレーネの事ですっかり忘れ去られたコウ。 みんなに呼ばれずにずっとガンプラ作りを続けたらしい。 グエン「何故だ、何故ローラと一緒になってはいけないのだー。」 シャア「ホモだからさ。」 何処かのバーで愚痴を言うグエンとグラスを片手にそう答えるシャア。 この時シャアは何故自分はいつの間に変態キャラになったのかを考えていたらしい。 link_anchor plugin error 画像もしくは文字列を必ずどちらかを入力してください。このページにつけられたタグ ガンダム一家 セレーネ・マクグリフ 初登場回
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人の道と剣の道(前編)から ◆ 声をかけた男、小野忠明は、まさに獲物を求めてさ迷う鬼と化していた。 仏生寺弥助との戦闘の後、川からあがると、城へ向かって歩を進め、ここにたどり着いたのだ。 途中、目立たぬ場所で衣服を脱いでしぼり、水気を切りはしたが、火をおこして温まったりはしなかった。 そんなことをできる状況ではないのはもちろんのこと、今の忠明の身体は、温める必要がないほど昂ぶっていた。 ほんの少し、すれ違いがなければ、途中多くの剣客と刃を交えたかもしれない。 しかし、忠明の通る道には、丁寧に寝かされた老人、無惨にも両手首は離れ、縦に両断された女、頚動脈を噛み千切られた男、心の臓をひとつきにされた若者 など、激戦の跡を伺わせる痕跡のみであった。 当初は城に入るつもりであったが、剣気の残滓を求めて歩き回っていたところ、和やかに談笑している四人の男女と出会ったのである。 ここが通常の街道であれば、舌打ちのひとつもして捨て置くところであっただろう。 しかしここは戦場である。場違いな光景に、忠明は憤慨すると同時に、疑念もわきあがっていた。 ここに来て最初に、恐ろしい化物に出会った。夢想剣で倒した(と思い込んでいる)が、他にも人外の者がいることは十分にありうる。 特に女二人の方は、見たこともない装束である。 さらに男の方も、一方は顔立ちの整った優男。もう一方は実際のところは威丈夫だが、その所作はいかにも軟弱に見える。 彼奴らは人を化かす、狐狸精の類ではないかと考えたのだ。 「皆さん、少し下がっていてください。私がお相手します。」 伊東も一目見て察した。この男は話し合いが通じる者ではない。 まず、格好からして、半首、手甲を身につけている。明らかにここを戦場とみなしているようだ。 そしてその動作。まだ構えてはいなかったが、木刀を右手に持ち、殺気とも狂気ともとれる、禍々しい雰囲気を醸し出している。 油断なく刀の柄に手をかけ、それでもまずは言葉を発したのは、伊東という男の性分であったろう。 「始めまして。私は伊東甲子太郎と申します。殺しあうつもりはありません。少しお話を伺いたいのですが。」 その名乗りに、忠明は予想外の反応を示した。 「イトウ…だと?おぬし、一刀流の縁者か?」 「?…ええ。確かに私は一刀流の一派、北辰一刀流を修めましたが…」 言い終わらぬうちに、忠明は伊東を急襲した。 予想はしていても、ここまで劇的な反応をされると、伊東も反応しきれるものではない。 即座に抜刀するが、構えが不十分なままだったために受け止めきれず、肩口を強かに打ちつけられる。 伊東の左肩には自身の刃峰が食い込み、右肩には木刀・正宗が食い込む。右肩はわずかに服が裂けた。 「――ッッ!!」 木刀にもかかわらず、真剣のような切れ味と頑丈さに、伊東は驚愕した。 鍔迫り合い…というよりは、一方的な押し相撲で押し込まれたが、不意に力が抜け、一旦距離が離れる。 横合いから服部が飛び込んできたため、ひとまず忠明が後退したのだ。 「伊東さん!大丈夫ですか!?」 「ええなんとか。」 「あの木刀、普通のものとは違うみたいです。気をつけて。」 超常現象には慣れている綸花が前に出てささやく。木刀・正宗がこの男の力の一因であることは見抜いたが、あくまで一因のようだ。 この男そのものからもただならぬ力を感じることができる。 本来であれば油断なく身構えなくてはならないところだが、ここへ来て立て続けに剣鬼たちと対峙している伊東は変に冷静になってしまい、ややうんざりとした口調でつぶやいた。 「まったく、天下一を争える剣豪が集っているようですが、皆さん意外と礼儀を知らないものですね。 それでも先程の方は名乗りはしたものですが。」 その言葉に、忠明がわずかに反応する。 イトウという名と、一刀流の縁者ときいて、感情が高ぶっていることもあり、怒りのままに飛びかかったのだが、 天下一を争える剣豪という言葉にプライドをくすぐられたのだ。 そこで、先刻化物――佐々木小次郎へむかってしたのと同様に名乗りを上げる。 「フン、ならば名乗ってやろう。俺は上総の住人にして伊藤一刀斎が一番弟子、 そして公儀の武芸師範を務める男、日下開山、小野次郎右衛門忠明! 俺の知らぬところで一刀流を騙るとは無礼千万。さては貴様ら、妖怪変化の類だな!? ここで叩き斬ってくれる!!」 その名乗りに、伊東も先程話していた人物帖と記憶をたぐりよせ、得心する。 「なるほど、小野派一刀流開祖の次郎右衛門忠明殿ですか。誤解されても無理はありませんね。 私は分派の弟子で、イトウといっても字が異なりますし、一刀斎殿やあなたと縁を連ねる者ではありません。 あなたと敵対するつもりもありません。」 伊東は忠明の表情を見ながら説明していたが、ひとつの結論に達した。 「…と、いっても、刀を納めてくれそうにないですね。」 「当たり前だ!我が流派に分派などない!一刀流を騙る痴れ者めが!俺の目はごまかせんぞ!!」 その言葉をきいて、伊東は説得を諦めた。自分でも理解するのに時間がかかったのだ。 相手は感情が高ぶっているようで、到底理解してもらえないだろうし、理解してもらえたとしても、あらためて襲い掛かってくる可能性が高い。 厳密には、小野忠明自身は存命時、伊藤一刀斎より後継者とされ、将軍家に召抱えられたに過ぎない。 小野派一刀流という流派も子の忠常以降が称したものであるし、ましてや分派の北辰一刀流といわれても、全く意味がわかるものではなかった。 「剣術の開祖の人、やっぱり凶暴な人が多いんですね。」 「自分を強く見せて勝ち続けないと、食べていけないからですよ。 宮本武蔵とかも色々な伝説があるけど、実は仕官するために脚色してたってきいたことがあります。」 「おい、お前たち…。」 服部が、こちらも変に冷静な感想を言いながら前に出た珠姫と綸花を見て、驚いて止めようとする。 先程まで死体に怯え、服部に不審の目を向け、また自分の立場に不安を持っていたはずの二人である。 こんなに積極的に前に出るとは意外であった。 まず振り返った綸花が答える。 「ごめんなさい伊東さん、服部さん。でも私、もう人を置いて逃げ出すなんて嫌なんです。」 「私もです。足手まといかもしれないけど、戦わせてください。」 伊東も二人を止めようとして、その表情を見て考え直した。 剣によって迷いを振り切ろうとしているのは、いつの時代の剣士も同じか。 既に二人とも戦闘にまきこまれ、自らも刀を振るっている。 度重なる剣豪との遭遇、眼前での新見の死、そして情報交換によって、この受け入れ難い現実をそれぞれなりに受け止めつつあるようだ。 先刻は助けてもらったことだし、今後生き残るためにも、この戦場に慣れておかなくてはならない。 ここからどう育っていくかは、彼女たち次第だろう。 だが、いや、だからこそ、重要かつ危険な部分は、伊東か服部が引き受けなくてはならない。 「お二人は気を引くだけで結構です。一対一の試合をするつもりで構えていてください。隙をついて、我々が止めます。服部君、いいですね?」 「承知!」 服部が短く答える。 服部も、迷いがふっきれたかといったら嘘になる。 しかし死んだはずの同志、伊東と会うことができ、また心中わだかまりはあろうが、話をきくこともできた。 この三人を守ること。それだけは今迷うことなき使命である。 四人はじりじりと忠明を囲むように移動した。 忠明の方もざっと獲物を見定め、一番の手練れであろう伊東を正面に構えつつ、血気盛んそうな服部の方にも油断なく気を配る。 しかし一番手はそのどちらでもなかった。 「いきます!」 忠明から見て右側に陣取った積極的な反応に、伊東はやや驚いてそちらを見たが、止める間もなく綸花が前に出た。 伊東は知らなかったが、綸花は人間以外を相手にした実戦には慣れているし、先程も人に向けて奥義を放っている。 人を斬るのは怖い。しかし目を背けていては、生き残ることもできない。 それに… 「ハアッ!」 気合一閃、綸花は居合いの構えから剣を抜いた。凰爪流奥義、七つ胴おとしである。 先刻の老人は、剣気と、かまいたちに刃を併せるという神業でこの術をしのぎきったが、今度は木刀。 直撃すれば刀ごと輪切りになるはずであった。 「ウオオォォッ!」 しかし忠明は、その技を受けなかった。大きく後ろに跳び、かまいたちをかわしたのだ。 初めて技を見たにもかかわらず、常人ではなしえない判断と身のこなし。しかしそれは、綸花の想定内であった。 「やっぱり!」 相手は幽霊や化物とは違う、一流の剣士である。受けるか避けるかされるのは想定内であり、それゆえにためらいなく奥義を放つことができた。 避けてくれたことに内心ほっとしつつ、刃を逆さにして、大きく飛びのいた忠明に踏み込んだ。 しかしそこで、綸花の思惑ははずれてしまう。 「ヤアアァァッ!!」 「甘いわ!」 体勢を崩したと思っていた忠明は、踏み込む直前には体勢を立て直していた。 ただの打ち合いであれば、技量は忠明の方が上である。綸花の打ち込みはガッチリと防がれた。 「オラァ!」 「アッ!」 鍔迫り合いの最中だというのに忠明は左手を離すと、綸花の髪の毛をひっぱり間合いをとって、右手一本で大きくなぎ払った。 腕力の差をわかった上とはいえ、おそるべき豪腕である。 首を狙ったであろうその一撃はややはずれたものの、側頭部をしたたかに打ち付けられ、綸花の身体は大きく吹き飛ぶ。 正宗は名刀とはいえ木刀である。片手で力の込め方も不十分な一撃だったこともあり、斬られはしなかった。 だが、綸花の側頭部には大きな痣ができ、意識を失って倒れこんだ。 「ハアッ!」 その様子を見ても、伊東はいちいち動揺したりはしなかった。 仮にも新撰組に所属していた者である。集団戦闘において、せっかくつくってくれた隙を逃すほど間抜けではない。 この場で最優先すべきは、まずこの男を無力化すること。だが… 「ダアッ!」 「ガッ!」 避けるどころか忠明は距離を詰め、空いた左手を伊藤の柄に沿える。刀を奪い取りはできなかったが、伊東の斬撃は力を殺され、受け流される。 戦国時代の剣術は特に、柔術を含めた総合格闘術である。相手の腕をとる、足を払う、組討・体術に類する技は多岐に渡る。 伊東もそれは心得ていたはずであったが、その経験と技術は、忠明の方に一日の長があった。 忠明も無理な体勢から間合いを詰めたのでバランスを崩すが、すれ違いざまに刀の柄を頭部に打ちつける。 もろに後頭部を殴られた伊東は、その衝撃に昏倒した。 「伊東さん!」 間髪いれずに服部が踏み込む。この中では唯一、殺意をもった踏み込みであった。 伊東は殺さず止めると言っていたが、なりふりかまっている状況ではない。しかし… 「まだまだぁ!」 服部としては迷いのない刺突を繰り出したつもりだった。 しかしバランスを崩したはずの忠明が、既に正眼に構えている。 その身のこなしに驚愕しながら、服部はとっさに刀身を横にし、相手の剣を受ける構えになっていた。 躊躇ったわけではない。このまま突っ込んだら犬死となることを直感が告げ、防御にまわったのだ 傍目には奇妙に見えたかもしれないが、先程の新見との立合いで身につけた、迷いの中の刹那の護身術といってよい。 それほどまでに忠明の動きが早かった。 「グウッ!」 受けきったはずの唐竹割りを受けきれず、受けた刀と肘が大きく下がる。結果として、木刀・正宗の剣先が服部の脳天をしたたかに打ちつけた。 頭蓋が割れるには至らなかったが、額からは血が流れる。 「打ち込んでおいて防ぐだけとは、無様なものだな青二才!!」 「ガハッ!」 力が弱まったところで、忠明は服部の腹に前蹴りを入れて間合いをとった。 もし立っていたらそのまま袈裟斬りにするところであったが、脳震盪を起こしていたらしく、服部はその場に膝から崩れ落ちた。 「フン!他愛のない。」 忠明は鼻で笑ったが、伊東も服部も、そして綸花も、決して剣術で劣っているわけではない。 それぞれが逡巡や迷いを抱えていることもあるが、それを差し引いても、今の忠明の動きは尋常なものではなかった。 全てが見える。いつも以上に動ける。 木刀・正宗を一流の剣鬼が手にしたとき、恐るべき力を発揮している。 そして激しい動きの中で、もう一人が、怯むことなく立っていることも、もちろん把握している。 忠明は倒した三人には目もくれず、すぐに珠姫に向き直った。 「女、お前独りだ。」 「そうですね。」 珠姫は、手が出せなかったのは、足がすくんでしまったわけではない。 礼に始まり礼に終わる、一対一の剣道を学んできた珠姫は、この中で最も集団戦は苦手であった。 伊東を卜伝から助けた際も、伊東が転倒したところからだった。 今自分がつっこんでも、足手まといになるだけ。 相手がどんな手練れであろうと、一対一で対峙した方が、まだ勝機があると考えたのだ。 その前に三人が斬殺されてしまわないかということだけが心配だったが、どうやら命には別状がなさそうだった。 ほっとすると、むしろ腹立たしさがこみあげてきた。 度重なる荒々しい実戦を見て、恐怖を通り越して憤りを感じてきたのだ。 残念ながら剣豪が正義の味方でないことは、卜伝との戦闘で身をもって知った。 先ほどの新見と服部の戦いでは、新見が「逃げろ」といったのも、服部の主張ではまやかしだという。 本当のところはわからないが、確かに逃げろと言いいながらすぐ服部にむかって反撃し、身を伏せたり振り向きざまに斬ったり突いたりと、泥臭い戦いを目の当たりにした。 戦場の殺し合いは、必ずしも向かい合ってするものではない。 野蛮で、生々しく、手足、口まで使う。なんでもありだ。 そこに善悪も主義主張も何もあったものではない。 さらにこの小野忠明という人物、それらを割り引いても、洗練されているように見えない。 悪人だとしても、もう少し戦い方があるはずなのに。 そう。失ってはならないものを失っている。剣の道に対する心だ。 ――自分の流儀でやろう。 そう考えた珠姫は、やや距離が離れていることもあったので、一旦構えをとき、木刀を脇に持った。 そして忠明にむかって一礼する。 さすがに間合いを詰めて蹲踞まではできるような空気ではなかったので、改めて中段に構えなおす。 形式的でいて無駄のない、その一連の動作に、思わず忠明も問いかけた。 「…おぬし、流派は?」 「剣道。」 「剣道?それが流派の名か?」 「はい。」 短い応えに、忠明が首を傾げる。「剣道」という言葉は、忠明の時代にはまだない。 だが、剣の道そのものを意味していることくらいはわかる。 自らの名を冠するわけでもなく、技の特徴を示すわけでもないその流派は、一体どんなものなのか。 「参ります。」 忠明の思考を中断するように珠姫が言葉を発したので、忠明も正眼に構えた。 「キヤアアァァァァッ!!」 「オオオォォォッッ!!」 気合のかけ声とともに、珠姫から剣気が発せられる。 忠明もつられるかのようにかけ声をあげた。 心地よい剣気だ。その意気やよし。しかし力量はまだ未熟。 倒れている者たちの方が、まだ戦場の機微をわかっていたというもの。 かかってきたところを一刀のもとに…。 「胴ッッ!!」 「グウッ!?」 見事な胴がきまり、忠明が顔をしかめる。 痛みはあるが、骨や臓腑への影響はない。しかし、自らは触れることすらかなわず、胴をきめられてしまった。 ――なぜだ!?俺には見えていたはず! ならばこちらから、と、小手を狙う。しかし… 「面ンッ!!」 「ガッ!?」 今度は珠姫の小手抜き片手面が決まった。半首をつけていたこともあり、昏倒することはなかったが、またしても触れることすらできなかった。 ――馬鹿な!一度ならず二度までも!? 脳天と脇腹に残る痛みに歯を食いしばりながら、忠明は構えなおした。 「真剣なら二度死んでますね。」 珠姫は依然中段の構えを崩さず、つぶやくように言った。 ◆ 今、珠姫が忠明を翻弄できている理由は、三つある。 ひとつは忠明が、いつの間にか珠姫のペースにのせられていたことである。 珠姫の礼を見て対峙した影響か、忠明は先程までのように服や髪をつかんでいない。柄で殴り飛ばしたり、蹴ったりもしていない。 無意識のうちに、戦場でのなりふりかまわぬ戦いから、道場で弟子に対して試合をするかのように、己に枷をつけていたのだった。 ふたつめは、意図したわけではないが、最初に胴を狙ったことである。戦国時代の兵法は、一般的に胴に弱いと言われている。 戦場では胴丸をきりつけても効果がないため、面、小手と併せ、鎧の隙間を狙う組討が中心であった。 当然、胴に対する攻撃も防御も、形としては未熟である。 忠明が生きた当時は、戦場への剣術から道場の剣術へと変遷する過渡期であるが、忠明自身戦場経験が豊富であるが故に、隙ができたことは否めない。 みっつめは、先程までと打って変わって、木刀・正宗の特徴が不利に働いていることである。 新免無二斎が危惧したとおり、感情が高ぶる代わりに自身の身体能力を極限まで引き上げる木刀・正宗は、 乱戦や奇襲の中でのとっさの動きでは大いにその力を発揮できるが、心理戦も含めた一対一の試合となると、実に扱いづらい代物となる。 全てが見え、思う以上に身体が動くが故に、それを制御することに、忠明は戸惑っていた。 しかしそれでもまだ、珠姫の勝ち目は薄い。 剣道であれば、今の二回の打突で二本、試合終了だったかもしれない。 しかしここは実戦。相手が倒れるだけのダメージを与えなければならない。 一方で、もとから忠明の方が力量は勝っているし、当たれば一撃で戦闘力を奪われこと間違いない。 時間がかければかけるほど、忠明も慣れてくる。そうすると勝ち目は遠のくばかりだ。 この状況を打破するためには何かを揺るがさねばならない。揺るがせるとしたら心技体の中では、心。 幸い、今の二撃で動揺してくれている。追い討ちをかけるため、相手のプライドを利用し、それを挫く。 珠姫は静かに口を開いた。 「技量ではわたしの遥か上をいくあなたが何故これほど遅れをとるのか… 答えは私の学んだ剣道です。剣道は、全ての剣術を併せたもの、剣を振るう道を極めたものです。」 嘘である。現代剣道は、武術というよりは心身の鍛錬を目的とした、いわばスポーツである。 剣を振るう術としてはある意味最も洗練され、進化した形へと昇華していったが、人殺しの術というわけではない。 しかし、それを気づかせてはならない。そのために、精一杯の虚勢で言い放つ。 「あなたのいる場所は、我々は既に四百年前に通過していますッ!!」 「――!!」 忠明は気づいただろうか。思わず怯み、後ろへ下がってしまったことを。しかし次の瞬間、反転して怒りのままに灼熱する。 「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」 隙だらけの八相の構えからの袈裟斬り。 八相の構えは現代剣道では型としてはあるものの、ほとんど使われない。動きとしては無駄が多いからである。 大きく刀を振りかざすその構えは、どちらかというと、相手を威圧するためのものだ。 しかしそれが有効なのは相手が動揺すればのこと。今の珠姫には迷いはなかった。 そして剣道が剣術に上回っていること。それは、切る動きから打ち込む動きへと変化したこと。 踏み込みの早さと無駄な動きの少なさは、一瞬ではあるが、潜在能力を引き出された剣豪の動きすら上回った。 「突きいいいぃぃぃぃぃぃっっっ!!」 室江高校の者がいれば、「アトミックファイヤーブレード」とでも言ったことだろう。 両者の剣が交錯した。 ◆ 「ムッ!?…ゲホゲホゲホ!」 忠明が我にかえったとき、目の前には森がひろがっているだけだった。 胸が疼き、激しくせき込んだが、どうにか深呼吸をする。骨が折れているようだが、肺腑には問題ないようだ。 「夢想剣…か。」 もはや忠明も驚かなかった。 渾身の突きをくらったことまでは覚えている。右胸の痛みが、何よりの証拠だ。 そこで頭が真っ白になり…今こうして立っている。 一人は倒したのだろうか。少なくとも他の三人はまだ生きていたはずだが、いなくなっている。 地面には血溜まりがあるが、抱え上げたのか、途中でなくなっていた。 今となっては彼らが妖怪であったかなどわからない。生死もわからない。 しかし忠明にとっては、もはや妖怪だろうと人間だろうと、どうでもよくなってきていた。 ―――勝てる。俺は勝てる。 忠明は確信した。 とにかく四対一で勝ったのだ。それも、前回は無意識であったが、今回は最初の三人までは確実に自分の腕による大勝利である。 ただ、前回感じた満足感を得られなかったのは、この胸の痛みと、全身の疲労…そして己の未熟さを痛感したせいであろう。 勝てることはわかった。夢想剣を開眼したことも自覚した。しかし、夢想剣に至るまでの最後の立ち合いは、いささか無様であった。 あの娘の言葉…一刀流を四百年前の剣術と揶揄するとは腹立たしいことだが、明らかに技量不足と思えた相手に、 夢想剣を使うまで追い詰められたことも事実である。 妖怪でなければ異国の者か。装束も見たことがないものだったし、どこの国かはわからぬが、確かに洗練された剣術であった。 「剣道」という言葉も、全ての流派を併せたということか。ご大層な物言いだが、分からぬでもない。 言葉も通じるようだし、唐(から)かその近くで、よほど剣術に秀でた国があるのだろうか。 もし技量が互角で、あれほどの剣術を駆使する者がいたら… 「俺は負けんぞ。異国の剣にも!妖怪にも!柳生にも!!」 忠明は自らの想像した脅威を振り払うかのように叫ぶと、先刻まで四人が座っていた倒木に、正宗を打ち下ろした。 まるで斧のように、正宗は深々と食い込み、木片を散らす。負傷はしたが、その腕力はいささかも衰えてはいない。 「少し休まねばな。」 ひとしきり怒りを発散させた後、忠明はそうつぶやくと、周囲を見回した。 いかに自身の強さを確信しようとも、傷の手当はせねばならぬ。 いきなり城に入るつもりであったが、まずはどこかで手当をすべきであろう。 そういえば先ほどは捨て置いたが、多くの死体があった。 薬の入った行李などが近くに打ち捨てられていることもあろう。 はずれであっても、城下町を探れば、痛み止めがどこかにあるかもしれぬ。 もう一度深呼吸をし、わずかに顔をしかめた後、忠明はその場を去って行った。 【ほノ仁/城下町へ向かう街道/一日目/朝】 【小野忠明@史実】 【状態】:右胸肋骨骨折 顎に打撲 疲労大 感情は少し沈静化 【装備】:木刀・正宗、半首、手甲 服は生乾き 【所持品】:なし 【思考】 :十兵衛を斬り、他の剣士も斬り、宗矩を斬る。 一:どこかで休む。 二:俺は勝てる!相手が誰だろうと、恐るるに足らず!! 三:斎藤弥九郎(名前は知らない)は必ず自らの手で殺す。 四:剣道にわずかに興味。使い手に会うようなら必ず殺す。 【備考】 ※木刀・正宗の力で身体能力が上昇し、まだまだ感情が不安定です。ただし、本人はその事を自覚していません。 ※夢想剣開眼を確信しましたが、自在にくり出せるものではありません。 ※会場に妖怪の類もいるのではないかと考えています。 ※木刀・正宗の自律行動能力は封印されています。 ◆ 「行ったか…」 忠明が去った森のやや北、低木の茂みで、安堵の息を漏らす人影があった。 時はわずかに遡る。 坂本龍馬と斎藤一がその場にたどり着いたのは、まさに珠姫と忠明が相対しているところであった。 北の山付近で合流を目指しているときいた斎藤が地図を確認し、森を抜けることを提案した。 途中どこからともなくきこえてきた声に、岡田以蔵や新見錦といった知り合いの名が出たことに驚き、歩きながら人物帖を確認していたのだが、全てを見る間もなく、戦いの気配を察し、駆けつけたのだ。 二人が森を抜けたとき、珠姫が奮闘しているのが見えた。相手は手練れであるようだが、珠姫が圧倒している。 「あれは甲子太郎と一緒にいたキュートガールじゃ!やりおるのう。」 「待て。様子がおかしい。」 すぐにも駆け寄ろうとする龍馬を斎藤が押しとどめた。 お互いの距離はおよそ二十間。声をあげればきこえるかもしれないが、一対一の立ち合いで声をかけることは、時に味方に隙を生むこともある。 そして何よりも、駆け寄ろうとしたその瞬間、即ち珠姫の突きが見事に決まった瞬間、忠明の雰囲気が大きく変わったのだ。 突きが喉に当たっていれば、木刀とはいえ致命傷であったろうが、偶然なのか故意なのか、喉からははずれ、忠明の右胸を強打した。 忠明は大きく後ろに吹き飛ばされる。おそらく肋骨の骨くらいは砕かれたであろう。 忠明は体勢を立て直して構えるが、激しくせき込み、血の混じった唾を吐き出す。 肺腑にいたる重傷かどうかはわからない。しかし、刀剣を振るう際、胸部の痛みは大きく影響するだろう。 そこで珠姫は、小手を狙ったようだった。剣をおとし、戦闘力を削ぐつもりであったようだ。 それに対し、忠明の反応はやや遅れ…いや、ほとんど動いていない。下がりもしなければ、防御もしなかった。 にもかかわらず。 次の瞬間、珠姫は額を割られ、倒れていた。 結果だけ見れば小手抜面。ただそれだけ。 だが、どこをどう動いたのか、龍馬や斎藤から見てもわからなかった。始まりと終わりしか見えてない。 忠明は斬った後も静かに構え、佇んでいる。殺気はなく、意識もないようだ。 しかし隙がない。そして何より、龍馬と斎藤の身体が、本能が、戦ってはならないと警告し続けている。 「夢想剣…」 「だろうな。」 龍馬がごくりと唾を飲み込んでつぶやき、斎藤が短く応じる。 二人とも夢想剣を見たことがあるわけではない。しかし古今東西剣術の心得がある者としては、話くらいはきいたことがある。 伊藤一刀斎のそれが有名であるが、他にも中西一刀流浅利義明が山岡鉄舟に極意を伝えたとか、千葉周作が剣術の心得のない茶坊主に一夜伝授したとか、 真偽は別にしても夢想剣に類する逸話は尽きない。 後ろかなら容易く斬れるように見える。しかし、近付けばおそらく、夢想剣の餌食となるだろう。 珠姫は、立ち合いの途中であったためそのことに気づかず、いわば夢想剣にのみこまれてしまったといってもよい。 改めて周囲を見回すと、伊東、綸花、そしてどこかで合流したのか、服部が倒れている。酷いものであった。 いずれも軽傷ではあったが、頭に一撃を受けており、すぐに起こして逃げ出せるような状況ではない。 「どうする?」 「どうするって…このままにしとくわけにはいかんき。」 相手の意識がないのなら、身を隠すことはできないだろうか。 そう判断し、忠明の意識がないことを祈りながら、手分けしてまず三人を一番近くで身を隠せそうな茂みに隠した。 行李を拾うことも忘れなかった。 その後、忠明の様子をうかがい、こわばった身体を無理やり動かして、血をぬぐいながら珠姫も運んだのは、龍馬のせめてもの意地だった。 このまま珠姫を放っておいたら、どんな惨いことをされるかわからない。腹いせに切り刻まれる可能性も十分あった。 呑気なようにも思われるが、龍馬はなんとなく察していた。 夢想剣は、襲い来る敵を斬る。それが解かれるのは、戦う必要がないと判断された時。 そのため、龍馬たちが隠れてはじめて、忠明が我に返ったのは、必然といっていいだろう。 我に返った忠明も、疲労と痛みと感情の高ぶりのせいか、注意力散漫になっており、こちらを察知はしなかった。 無論これらは龍馬の推測であり、賭けであったが、この判断に限っては、神仏は龍馬たちに味方してくれたようだった。 そして、忠明が完全に見えなくなったところで、安堵の息をついたのである。 「行ったか…」 龍馬のつぶやきに、斎藤がやや苦々しげに尋ねる。 「本当にこれでよかったのか?」 「最初に止めたがは斎藤君じゃろうが。」 「今なら斬れるかもしれん。」 「だめじゃだめじゃ。斬るのも勘弁じゃが、返り討ちになった時の後始末も御免こうむる。」 「チッ」 龍馬の返答に、斎藤が舌打ちをした。 龍馬の考え方に苛立ったわけではない。この男が人を斬るのを嫌がっていることは知っている。 「返り討ちになる」という龍馬の言葉に、反論できない自分に苛立ったのだ。 今の状態なら難なく斬れそうだが、再度夢想剣を放たれては勝ち目がないことを、歴戦の剣士は知っていた。 自分たちは冷静に状況を把握し、適確に行動した。そのはずだ。だが結局のところは… と、その時、傍らで呻き声がきこえた。 「甲子太郎、目が覚めたか。」 「――!龍馬殿!?それに…?」 「斎藤君じゃ。ルックスはチェンジしておるがミステイクはナッシングじゃ。」 「…皆さんは無事ですか?」 「…。」 英語混じりの軽口に戻った龍馬だったが、伊東の質問に、再び沈痛な面持ちに戻って沈黙する。 伊東も、答えを待つ前に周囲を見回して状況を察し、無言のまま首を振った。 ここに、坂本龍馬、斎藤一、伊東甲子太郎、服部武雄と、ほぼ同じ時代の、腕も立ち、知恵も回り、比較的気心の知れた者たちが四人集まったことになる。 また、21世紀育ちで、化物とも戦ったことのある外薗綸花の存在は、腕もさることながら、その知識は貴重なものといえる。 力を合わせ、策を練り、強い決意とゆるぎない志を持てば、他の剣豪たちとも、そして主催者とも、互角以上に戦える勢力となっている。 だが彼らにそんな自覚はなかった。現実はどうだろう。剣鬼たちを殺さずに止めるとなると、結局のところは… 「すまん。隠れるだけで精一杯じゃった…。」 龍馬がうなだれる。伊東の顔もさえなかった。 殺し合いを止めると宣言しておきながら、女子供にまで剣を持たせ、しかもその一人を犠牲にして、挙句に相手を止めることができないとは、なんと無様なことだろう。 「龍馬殿、斎藤君、我々は、とんでもないところに来てしまったのかもしれません。これからどうすればよいでしょうか?」 呆然とつぶやく伊東に、さすがの龍馬も、そして幕末を生き抜いた斎藤も、すぐに答えることはできなかった。 【ほノ弐/森の入口北側/一日目/朝】 【伊東甲子太郎@史実】 【状態】呆然自失 珠姫を守れなかった罪悪感 疲労大 上半身数個所に軽度の打撲 右肩にかすり傷 後頭部にダメージ 【装備】太刀銘則重@史実 【所持品】支給品一式(食糧一食分消費) 【思考】 基本:殺し合いを止める。 一 同士を集めこの殺し合いを止める手段を思案する。次は柳生十兵衛? 二 殺し合いに乗った人物は殺さずに拘束する…が、自分の力でできるだろうか? 【備考】 ※死後からの参戦です。殺された際の傷などは完治しています。 ※人物帖を確認し、基本的に本物と認識しました。 【服部武雄@史実】 【状態】脳震盪、額に傷(流血中)、腹部にダメージ、迷い、気絶中 【装備】オボロの刀@うたわれるもの 【所持品】支給品一式(食糧一食分消費) 【思考】 基本 この殺し合いの脱出 一 伊東に従う。土方歳三と近藤勇をどうするかは会った時次第 二 坂本龍馬を探し出して合流する 三 剣術を磨きなおして己の欠点を補う 四 上泉信綱に対しては複雑な感情 【備考】 ※人物帖を確認し、基本的に本物と認識しました。 ※まだ龍馬たちとの合流、珠姫の死を知りません。 【外薗綸花@Gift-ギフト-】 【状態】左側部頭部打撲・痣 気絶中 【装備】雷切@史実 【所持品】支給品一式(食糧一食分消費) 【思考】 基本 人は斬らない。でももし襲われたら…… 一 伊東さん、珠姫さん、服部さんと共に龍馬さんを探す 二 服部への警戒は解消。しかし過去の人物たちの生死の価値観にわずかな恐怖と迷い。 三 脱出方法を探るため、柳生十兵衛と会ってみる 【備考】 ※登場時期は綸花ルートでナラカを倒した後。 ※人物帖を確認し、基本的に本物と認識ました。 ※まだ龍馬たちとの合流、珠姫の死を知りません。 【坂本龍馬@史実】 【状態】健康 【装備】日本刀(銘柄不明、切先が欠けている) @史実 【所持品】支給品一式 【思考】 基本 殺し合いで得る天下一に興味は無い 一 状況を把握する 二 伊東、斉藤たちと同行する 三 小野忠明(まだ名前を知りません)を強く警戒。 【備考】 ※登場時期は暗殺される数日前。 ※人物帖はまだしっかり見ていません 【斉藤一@史実】 【状態】健康、腹部に打撲 【装備】徳川慶喜のエペ(鞘のみ)、打刀(名匠によるものだが詳細不明、鞘なし) 【所持品】支給品一式 【思考】 基本:主催者を斬る 一 状況を把握する 二 小野忠明(まだ名前を知りません)を強く警戒。隙あらば斬る。 三 伊東さんと合流したが、さてどうするか…。 【備考】 ※この御前試合の主催者がタイムマシンのような超科学の持ち主かもしれないと思っています。 ※晩年からの参戦です。 【川添珠姫@BAMBOOBLADE(バンブーブレード) 死亡】 【残り五十二名】 ※珠姫の支給品(食糧一食分消費)は龍馬が回収し、四人分一緒に茂みに置いてあります。 ※ほの仁の森の入口付近に、新見の死体と支給品、墓標代わりの打刀があります。 時系列順で読む 前話 夢十夜――第三夜『暗夜行路』―― 次話 義士達に更なる試練を 投下順で読む 前話 夢十夜――第三夜『暗夜行路』―― 次話 義士達に更なる試練を 迷いの剣 伊東甲子太郎 [[]] 迷いの剣 服部武雄 [[]] 迷いの剣 川添珠姫 【死亡】 迷いの剣 外薗綸花 [[]] すれ違う師弟 小野忠明 待ち望んだ対決 一人脱落、一人参戦 坂本龍馬 [[]] 一人脱落、一人参戦 斉藤一 [[]]
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狭岐橋憂 幕間 『乙女の旅立ち』 ※第1ラウンド第4試合『高速道路』戦闘後の設定です。不思議なことにその1にもその2にも対応してるよ! その日、狭岐橋憂は学校中からの注目を集めていた。 彼女の通う“素晴らしヶ丘大学”は、魔人学園ではない普通の学園である。 いや、彼女が通っていたのはその“付属高校”だったかもしれない。 出場選手のプロフィールを作るとき、忙しすぎて履歴書を流し読みしかしてなかったので、文字を見落としていた可能性がある。 とにかくその学園では、魔人に対する目は世間一般とも同程度、酷いものだ。 それでもまだ『DSSバトル』への出場が発表されたとき、憂は英雄扱いだった。 彼女が魔人だと隠していたことをからかう者こそいたが、魔人であること自体を疎む者はいなかった。 『DSSバトル』とはそれほどまでに人々を熱狂させるコンテンツなのだ。 だが、昨日第1ラウンドが放送されてからそれは一変する。 淫魔化能力。彼女のような性魔人は、魔人の中でも特に嫌悪されるうちの一種である。 あるいは勝利を収めてさえいれば何らかの賞賛はあったのかもしれない。 しかし結果は相手の男に助けられての無残な敗北。 四方八方からの突き刺さるような視線が痛い。 「お、おはよう……」 彼女の数少ない友人達も、ややよそよそしい感じである。 まあ、開口一番に絶交を宣言されなかっただけマシだろうか。 「昨日は、お疲れ様」 「うん」 「大変だったね」 「まあ、ね」 ぎこちないながらも、会話は回りだした。 「あんなの相手してたら怖かったでしょ?」 「そうそう、なんかされなかった?」 「え? 彼、いい人だよ?」 しかしエンジンが掛かり始めてた空気はすぐに固まる。 憂の瞳がちょっと輝いた気がした。 不吉な予感を振り払うかのように友人達はまくしたてる。 「でも、あれだよ、尻だよ?」 「動きもキモいし」 「んー、格好いいと思うけどなぁ」 友人達は悟った。自分達普通の人間と魔人との間にある大きな感性の壁を。 「ユウと会ってもできるだけフツーにしよう」という盟約は、暗黙のもとに全会一致で破棄された。 「あの……さきばしさん?」 「腕の中ね、ごつごつしてるんだけど、抱えられるとなんか落ち着いて……」 「ユウ! お願いだから目を覚まして!」 憂の目は夢見る乙女の目だった。 思えば運命だったのだ。 エントリー順も隣。予選結果も隣。 対戦希望だってこんな高順位同士で通るなんて思わなかった。 “別の可能性の世界”があったとしてもきっと彼女は彼に恋したであろう。 憂が総合優勝した暁には復活したカナと百合百合ちゅっちゅさせようと思っていたがそんな考えはもう古い。 今は“スパンキング”翔×狭岐橋憂の時代なのだ! 許されるならば、憂ちゃんを、尻手さん家に嫁がせてあげたい! それが24時間掛けて真摯に二人と向き合った私の出した結論である。 とはいえ、憂の前にはまだ大きな障害があった。 現状どう贔屓目に見ても憂の片想いであることはとりあえず置いておくにしても、 彼女は実は彼の連絡先を知らない。 別に意地悪で教えられていないわけではないのだ。 裏世界にも名を轟かせる尻手翔である。 そんな彼に女からの電話でもあればどうなるか。 たちまちその女は翔の人質として攫われてしまうであろう。 翔が連絡先を教えてくれなかったのは、むしろ憂を守るためなのであった。 だからといって、待っているわけにもいかない。 憂は決意を胸に宣言する。 「私、千葉県に行く」 「「へっ?」」 友人達の驚きの声がシンクロするのももっともだ。 千葉県。言わずと知れた暴走半島。 翔の出身地でもある。 そこで生まれ育った彼だからこそムキムキマッスルな体を手に入れたのだ。 か弱い女の子の憂が一人で行って、暴走族相手に無事で済むとは思えない。 だが、憂の決意は固い。 昔からそうだ。 前に出て主張するような性格ではないものの、「やる」と決めたことは必ず「やる」子だった。 今回も、きっと翔のルーツなり何なりを掴んでくるのであろう。 それを知っている友人達はもはや何も言わない。 つーか勝手にしろ、と思って見送った。
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夢への道 5話 輝きを取り戻す星 再び夢への道へ きらら「・・・」 トワ「大丈夫ですか?」 きらら「うん。完全に という訳にはいかないけど トワっちのおかげで少しは元気になれたかも知れない(微笑)」 きららはたくさん泣いてスッキリしているようでした。 トワ「ようやく いつものきららになりましたわね♪」 きらら「本当にご心配おかけしました(笑)」 トワもきららに笑顔が戻って嬉しそうでした。 トワ「やはり あなたには 笑顔が似合っていてよ。」 きらら「トワっちもね♪」 トワ「はるかの言うとおりでしたわね。例え絶望する事があっても きららならきっと負けないと」 きらら「本当 はるはるには敵わないなぁ~>< ってか はるはるははるはるのまんまだよね(笑)」 昔と変わらない友人の強さに きららは改めて関心していました。 トワ「ふふふ♪そうですわね 。でも きららだって 昔と変わらず素敵なモデルさんですわ♪」 今でも私の憧れの友人である事には変わりません。トワは愛しそうに言います。 きらら「トワっちだって変わらないよ 特に胸とか(笑)」 トワ「もう!元気になった途端 なんですの!!」 また 胸の事を言われてトワは膨れっ面になります。 きらら「ごめんごめん(笑) でも 小さい割に 意外と気持ちよかったかも トワっちの胸」 トワ「こんなことなら 抱き締めなければよかった!!」 すっかりトワはご機嫌斜めでした。 きらら「うーん やっぱり変わらないな そういう子供っぽいとことか(笑)」 トワ「あなたもね!! そういうちょっと意地悪なところは相変わらずですわね!!」 きらら「そんなに怒らないでよ~。本当に感謝してるんだからさ。トワっちに会えて 嬉しかったし♪ 本当にいっぱい いっぱい 力を貰ったよ」 きららは笑顔で言います。 トワ「それは お互い様ですわ。私もみんなに きららにまた会うことが出来て とても嬉しかった・・・ また勇気をもらいましたわ」 トワも笑顔で答えます。 トワ「私は プリンセスとして また頑張ろうと思いました。それに、新しい夢に対する決心も付きましたし。」 きらら「新しい・・・夢?」 トワ「私、実はホープキングダムに学校をつくりたいと思ってますの」 きらら「へぇ・・・それはまたどうして?」 トワ「私は この世界に来て ノーブル学園でたくさんの事を学びました。たくさん たくさん 温かいものをもらいました。」 トワ「だから 王国のこども達にも その素晴らしい経験をさせてあげたい! ともに夢に向かい 切磋琢磨する大切さを学んでほしい・・・ そう思い 学校をつくりたいと思いました」 きらら「素敵な夢だね! きっとホープキングダムももっと夢溢れる国になると思うよ♪」 トワ「 絶対もっと素敵な国にしてみせますわ 夢溢れる素晴らしい国に・・・。そうすれば きっとディスピアも安らかに眠れますわ」 きらら「トワっち・・・」 トワは10年前の事件の事を気にしているようでした。 トワ「絶望はなくなりません だけど、絶望に負けない心を持つ事は出来ます。だから みんなが夢に向かう強い心を持てれば 少しでも 絶望を減らせるかも知れません。 そうすれば きっと ディスピアも・・・」 きらら「トワっちの夢 応援してるよ!」 きららはトワの想いに感心していました。 トワ「ありがとう きらら。私、がんばりますわ!!」 トワは決意のこもった目で言います。 きらら「ところでさぁ 学校を作るって事は トワっちは先生になるの?」 トワ「勿論、そのつもりですわ! 他にも先生は何人かいますが 学校の事を王国で知っているのは私だけですから」 きらら「大変だね・・・ プリンセスとしての仕事とかだってあるんでしょ?」 トワ「ええ。それでも 夢の為!精いっぱいがんばりたいと思っていますわ!! それに、はるかとゆいも協力してくれるので 大丈夫ですわ♪」 きらら「はるはるとゆいゆいが先生になるの!?」 きららは少し驚いていました。 トワ「ええ。夢の事を話したら 是非力になりたいと 言ってくれまして。特に はるかはとてもやる気でしたわ(笑) 」 きらら「なるほど・・・ はるはるらしいね(笑)」 きらら「はるはるはエネルギーが有り余っているようだね(笑)はるはる先生かぁ・・・ 案外似合ってるかも♪」 トワ「そう思います?(笑) 」 きらら「トワっちよりよっぽど先生向いてそう(笑)」 ちょっと意地悪に言うきらら。 トワ「私だって 立派に先生をやれますわ!!」 ムッとして反論するトワ きらら「冗談 冗談♪ 後 ゆいゆい先生か・・・ あ、ゆいゆいは既に先生か♪」 トワ「きらら 余りゆいをからかってはいけませんわ!確かに入賞というのは凄いことですけれど」 今日の事を咎められるきらら。ばつが悪そうに言います きらら「もう、ゆいゆいったら チクったなぁ・・・。ちょっと褒めただけだよ。調子に乗りすぎたとは思うけど」 トワ「まったく・・・。」 トワは少し呆れていました。 きらら「みなみんは獣医 ゆいゆいも夢に向かって頑張ってる。はるはるは相変わらずだし」 トワ「きらら?」 きらら「私もトワっちに負けてられないなぁ!って思って。私も世界に輝くトップモデル目指して またがんばろうと思う!!」 トワ「きららなら 絶対なれますわ♪♪」 きらら「もっちろん!私を誰だと思ってるの! 私は・・・天の川きららだよ♪」 立ち上がって 人差し指を上に突き出し いい放つきららは 10年前と同じ 自信に満ちた表情をしていました。 きらら「まあ、この話はこれくらいにして・・・」 トワ「きらら?」 きらら「せっかく取れた休み 久し振りに会えたんだから みんなで思いっきり楽しもうね(笑)」 ニッと笑って言うきらら。 トワ「もちろんですわ!! また たくさん思い出を作りましょう♪♪」 トワもとても嬉しそうでした。二人とも もうすっかり元気です。 これからも大変な事はたくさんあるだろうけど 絶望になんか負けず 夢を追い続けていきたい!! きららは再び夢の道を歩みだす勇気を トワに はるか達にもらいました。 きららはこれからも夢に向かって突き進んで行きます。 夢への道 終わり
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昨日の夜、テレビで天気予報を見たら雨&暴風警報だった。 慌ててタクシー会社に電話して、女の子の予約を取った。 タクシーが迎えに来る前から物凄い雨だ。迎えに来てもらってから移動中も物凄い雨の音が車内に響き渡る。 はじめて話を伺いに行く店には距離があるので、交通状況は大丈夫かな~時間間に合うかな~と結構心配になった。 この前のネットでみた天気予報は急に晴れだして外れだったのだが、テレビの天気予報は見事に的中したな。 天気予報信じてタクシー呼んで本当に良かった。 結構移動時間はかかってしまったが、無事時間通りに間に合い目的の店へ到着! 今日は待ち合い室でたいぶ待ったが、性の悩みをどうしても相談したかったため彼女の話を聞きたかった。 普段、自分が早漏で病院にいくときは少し先生の話を適当に聞いて、薬をもらいそのまま帰るだけなのだが、今日は違った。 こんなに真剣に人の話を聞いたのは何年振りだろうか… ここ半年間の性生活の様子から会話内容などをひたすら喋った。 ベッドで何度もチャレンジしたこと、トイレに入ってから半日出てこなくなったこと、10回以上もしごいたこと。 半年間記憶にあることは全部彼女に話したつもり。 そしたら、その子が診断書を書いてくれて、専門のお店に連絡するように勧められた。 重症なのですぐに連絡してください!と言われた。 EDにも対応しているそうだ。 また彼女の嬉しそうな笑顔がみたいな~ 治療って大変だけどプロに任せることで負担が減ってストレスも減るだろうな~ かかりつけ医の人も大変だろうけど、みんなで力を合わせて頑張りましょう!(笑) ということでさっそく電話してみたが、本日は休みだったのでまた改めて連絡してみよう。 皆さんにいい結果報告ができるといいなぁ。
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中身一覧 公式紹介ページ>乙女の宝箱 提供割合 エターナルソード:9% 熊猫(くまねこ)の指輪:10% モンスターバルーン:10% ウッドドール:11% マジックネックレス:11% バラエティバッグ:11% アウルシールド:12% フラッシュリッパー:26% 入手場所 パペットガーディアンハロウィンイベント かぼちゃの夜会(イベント限定ステージ) ドロップモンスター アーティ・ファクト 開錠価格:1,000s エターナルソード 武器種 ロングソード 特殊 ロングソード型 攻撃力 5 魔力 - 属性 - 攻撃速度 10 備考 - 攻撃範囲 60 状態異常 - 称号 不朽の~ クリティカル 水10% 売買 可 エターナルシルバーソード 攻撃力 6 称号 ? クリティカル 光11% 備考 材質:銀 合成材料 エターナルソード×2 エターナルゴールデンソード 攻撃力 7 称号 ? クリティカル 雷12% 備考 材質:金 合成材料 エターナルシルバーソード×2 熊猫(くまねこ)の指輪 種類 マジックアイテム 魔力 ダイアモンド1ゾイサイト1 耐性 石化50%めまい50% 称号 熊猫の~ 備考 - 売買 不可 熊猫の双指輪 耐性 石化75%めまい75% 魔力 ダイアモンド2ゾイサイト2 備考 - 称号 ? 合成材料 熊猫の指輪×2 熊猫の三連指輪 耐性 石化100%めまい100% 魔力 ダイアモンド4ゾイサイト4 備考 - 称号 ? 合成材料 熊猫の双指輪×2 モンスターバルーン 種類 マジックアイテム 魔力 エメラルド2 状態異常 毒 称号 風船の~ ダメージ状態異常時間 52×2(?秒) 売買 不可 備考 - エフェクト 魔力をこめるとバルーンが飛んでいき割れる ウッドドール 種類 マジックアイテム 魔力 ダイアモンド1サファイア1 状態異常 めまい 称号 ~傀儡師 状態異常時間 ?秒 売買 不可 備考 - エフェクト 魔力をこめると1人の勇者が現れ敵に攻撃する ペアウッドドール 状態異常 めまい睡眠 魔力 ダイアモンド2サファイア2 状態異常時間 ?秒 称号 ? 備考 - エフェクト 魔力をこめるとオルグとユンが現れ敵に攻撃する 合成材料 ウッドドール×2 フレンドウッドドール 状態異常 めまい睡眠凍結 魔力 ダイアモンド4サファイア4 状態異常時間 ?秒 称号 ? 備考 - エフェクト 魔力をこめるとオルグとユンとラシャスが現れ敵に攻撃する 合成材料 ペアウッドドール×2 マジックネックレス 種類 アクセサリー 魔力 ダイアモンド1ゾイサイト1ルビー1サファイア1トルマリン1エメラルド1 備考 - 称号 宝石の~ 反映部位 首元 売買 不可 エフェクト ? バラエティバッグ 種類 アクセサリー 称号 ~長者 備考 - 売買 不可 反映部位 頭 エフェクト 魔法の袋から収納された通常アイテムが飛び出す ハイバラエティバッグ 備考 - 称号 ? 合成材料 バラエティバッグ×2 ゾアバラエティバッグ 備考 - 称号 ? 合成材料 ハイバラエティバッグ×2 アウルシールド 種類 盾(リビングシールド) 回復量 50% ガード可能属性 闇攻撃水攻撃 八つ当たり 20% 備考 ? 称号 暗躍を喰らう~ 売買 不可 ハイアウルシールド 回復量 75% 八つ当たり 15% 備考 ? 称号 ? 合成材料 アウルシールド×2 ゾアアウルシールド 回復量 100% 八つ当たり 10% 備考 ? 称号 ? 合成材料 ハイアウルシールド×2 ハイ以降変化のない部分は記載なし フラッシュリッパー 武器種 リッパー 特殊 リッパー型 攻撃力 2 魔力 - 属性 雷50% 攻撃速度 14 備考 - 攻撃範囲 20 状態異常 麻痺10% 称号 雷の~ クリティカル - 売買 可 ハイフラッシュリッパー 攻撃力 3 称号 雷の~ 状態異常 麻痺15% 備考 - 合成材料 フラッシュリッパー×5 ゾアフラッシュリッパー 攻撃力 4 称号 雷の~暗殺者 状態異常 麻痺20% 備考 - 合成材料 ハイフラッシュリッパー×5 ギガフラッシュリッパー 攻撃力 5 称号 雷の~暗殺者 状態異常 麻痺25% 備考 - 合成材料 ゾアフラッシュリッパー×5 セントフラッシュリッパー 攻撃力 6 称号 雷の~刺客 状態異常 麻痺30% 備考 - 合成材料 ギガフラッシュリッパー×5 アートフラッシュリッパー 攻撃力 7 称号 ? 状態異常 麻痺35% 備考 - 合成材料 セントフラッシュリッパー×5 攻撃速度、攻撃範囲は強化しても変わらない。全て売買可 ハイ以降変化のない部分は記載なし 家具 乙女(おとめ)の宝箱(大)・(小) 材料 盗賊の鍵×1、乙女の宝箱×1 サイズ(大) W?×D?×H? サイズ(小) W?×D?×H? フラッシュリッパー 材料 フラッシュリッパー×1ゴールドリキュール×1 サイズ W?×D?×H? 参照家具カタログ 134
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或女の死 徳田秋声 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)受持《うけもち》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)員|総《すべ》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)※[#「目+爭」、第3水準1-88-85] /\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号) (例)抜かう/\ 濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」 お芳が急病だといふ電話がかゝつて来たとき、種吉はその傭はれてゐるデパートメントストアの自分の受持《うけもち》の西洋家具の販売部に何時《いつ》ものやうに店番をしてゐたのであつたか、その大きな雑貨店の雇員|総《すべ》てのなかでも、彼は主人の女婿である支配人の下《した》と言《い》つた格の一人であつたところから、ちよつと店を離れる訳に行かなかつた。 「今少し前に裏《うら》で洗濯をしてゐたんださうですがね、内へ入つて来ると、何だか急に体が大儀で何うすることも出来ないんださうです。どこが悪いんだか能く判りませんが、胸元か苦しくて、口も利けないてつた始末でね、何《ど》うも可笑しいから、お気の毒ですが、一つ急いでお帰んなすつていたゞきたいんですが………」と、さう言つて電話で知らしてくれたのは、二階に間借りをしてゐる、田中といふ或商店の通い番頭であつた。 種吉はちよつとどきりとしたが、折わるく昨日《きのふ》も少し飲みすぎて一|日《にち》休《やす》んだところであつたので、それではお芳《よし》の母へ直ぐ出向くやうに電話をかけておくから、至急に医者《いしや》を呼《よ》んで診てもらふやうにと頼《たの》んでおいて、電話を切つたのであつた。母はお芳がまだ此のデパートメントストアの横手にある絵葉書と煙草とを商つてゐる床店に、お芳が坐つてゐた頃から、主人の家で奥向《おくむき》のことに働いてゐた。 種吉は店が忙《いそが》しかつたので、つひ紛《まぎ》れがちではあつたが、何となく気が落着かなかつた。こゝへ入つてからは、厳しく言渡されてゐたので、飲仲間《のみなかま》とも悉皆《すつかり》交渉《かうしやう》を絶《た》つて、滅多にお茶屋《ちやや》なぞへ足踏《あしふみ》はしないことに謹慎してゐたが、以前の生活を考へると、いくら贔負目に見ても、お芳に好く仕向けたとは決《けつ》して言へなかつた。 勿論彼の十年程前に矢張りこのデパートメントストアにゐたこともあつて、そこで床店の番をしてゐたお芳の嫻《しと》やかな、しかし場所柄だけに何処か渋皮のむけた、意気な下町の娘らしい姿に惹着けられたのであつた。お芳は幼少のをりに脳を患つたとかで、どこか疳のわるいところのある娘だつたが、煙草や絵葉書の売行の好いのは、場所も場所だつたけれど、一つは彼女の様子が人□を惹《ひ》いたからであつた。 軍隊を出たばかりの種吉は、その店へ入つてから商売上のことにかけては、可也|呑込《のみこみ》が速《はや》くて、何彼に抜目《ぬけめ》のないことが、直《ぢ》きに上役《うはやく》の人達の目に著いたところから、時々店先へ来て、商売の話などして行く度びに何となく彼をお芳に頼《たの》もしく思はせてゐた。 「商売なら私何の商売でも好きですわ。何うしても商売がやつて見たいんですけれど……」お芳は言ふのであつた。 「私《あつし》も商売は大好《だいす》きですね。女が店へ坐るには、化粧品が一等でせうね。」種吉は言ふのであつた。 「化粧品も可ござんすね。ローズの出るのは化粧品が一等ですけれど、場所さへよかつたら、急度《きつと》売れるんです。」 それから間もなく、或日二人は甘《うま》く諜《しめ》しあはせておいて、一|日《にち》浅草へ遊びに行つた。そして其《そ》の帰りに一緒に御飯を食《た》べた。ちやうど花の咲きかけた三|月《ぐわつ》頃のことで、春の熱病に人は浮されてゐる時であつた。お芳はまだ二十二になつたばかりであつた。肩つきや頸脚などが素直で、手足もすんなりしてゐた。脳病の痕迹として、目が少しどろんとしてゐたけれど、それが又た種吉には一|層《さう》好《す》いたらしく思はれた。そして其《そ》の時お芳は総てを種吉の腕に投げかけたのであつた。 「商売の資本《もと》なら私も少しはもつてゐます。」お芳はさう言つて、一日も早く長いあひだ其処の看板娘として曝されて来たあの床店から足を洗ふことを希つた。 種吉が素捷《すばし》こくお芳を引こぬいたことは、しかし幼い時分目をかけて来た、年取つた主人を脅《おび》やかしたばかりか、お芳を張つてゐた多くの若いものを「あつ」と言はせずにはおかなかつた。 「兵隊あがりの青二才に遣られるなんて、さすがの乃公も気がつかなかつた。」老主人はさう言つて舌打ちをした。 彼は露天商人から成りあがつて、今は幾百万円の富を作つてゐた。 けれど種吉が強ち素捷《すばし》こいばかりではなかつた。お芳の母から主人の細君へ、細君から又主人へ詫《わ》び願つて二人で店をもつてから、後《のち》に詳しいことが知れたことであつたが、お芳はその頃もう処女ではなかつた。浅草の帰りに、種吉が彼女を誘《いざな》つた秘密《ひみつ》な場所でもお芳自身が正直にちよつと告白したとほりに、彼女は心にもなく或男に弄ばれてゐた。それはその店《みせ》へ煙草をおろして行く専売局の役人で、ある日お芳が品切れになつた煙草の注文に、遠《とほ》くもない彼の築地の家《うち》を訪ねたとき、ふとそんな係蹄《わな》に彼女はかゝつたのであつた。寒《さむ》い朝がまだ早《はや》かつた。そのうへ彼は夫婦間に葛藤《かつとう》が醸《かも》されて、その頃独り残《のこ》されてゐた。 種吉はそれを聞《き》いたとき、ちよつとうんざりさせられたが、しかしそれが一層彼の興味を唆りもした。お芳はさして深い羞恥を感ずることもなしに、然《しか》しいくらかの不正直な修飾をもつて、可也安易な気持で、それを告白したのであつた。種吉はその不検束《ルーズ》な態度に不快を抱いたが、決して厭にはならなかつた。 とにかく二人は望みのとほり新しい一つの店を持つことができた。そして楽しい幸福な日が二年ばかり続いた。お芳は初め種吉が予期したほど、商売が上手ではなかつた。総てが型にはまつた遣方で、種吉がゐないとなると、品物を卸しに問屋《とんや》から飛んだものをうんと背負込《せほひこ》ませられたりしてゐた。でもそんな点では、種吉も気を悪くするやうなことはなかつた。それよりも総ての点で彼女が思つたほど聢《しつ》かりしてゐないことであつた。懇意な問屋の男がいつも奥へ上り込んで話しこんでゐることなどが、殊にも種吉の期待を裏切つたが、何かしら金の無駄使《むだづか》ひをすることなども、厭であつた。それに先の専売局の男との関係も、種吉自身の智識以上に、何かを知つてゐる男があつたりして、一緒に酒を飲んだりする折に、時々《とき/″\》気を悪くさせられた。 お芳の出産が又た、種吉に取つて苦悩の一つであつた。勿論月を繰つてみたところで、明白にそれを証拠だてる何等の根拠もないことではあつたが、しかし疑問の目を※[#「目+爭」、第3水準1-88-85]ればいくらも※[#「目+爭」、第3水準1-88-85]れるのであつた。商売の資本と云ふのも、多分そんな処から出てゐるのだらうから、無意識《むいしき》にさうした打算《ださん》が自分にあつたことも拒《こば》めなかつたが、しかし考へてみると総てがお芳に取つては好い商売であつたのかも知れないのであつた。 種吉はその子供を愛せずにはゐられなかつた。酒に酔ふと持前の感傷癖が出《で》て、彼はそれを口へ出して、お芳を窘《くる》しめるのであつたが、子供自身には不思議な愛着が加はつた。 今迄堅気の商人の娘らしい慎みと、士分の血統らしいお上品さとをもつてゐたお芳が、厳重な主人の手から解放されてから、次第に型が崩れて行つたと同時に、気持も不検束に流れがちであつたとほりに、種吉の心も次第に荒んで行つた。彼は以前の男のことを言出して、彼女を虐げたが、反撥力も意気張もないお芳には、酒のうへで演ぜられる彼の狂態《きやうたい》も何の手答へもなかつた。彼女は全くの唖であつた。哀れな種吉はいつも外へ弾き出されるより外なかつた。時とすると彼は問屋の品物をこかしたりして、三日も四日も家を明けた。お芳が子供を負《おぶ》つて、彼を救《すく》ひに出かけることも度々であつた。 店が段々寂れて行つた。終ひに持ち切れなくなつた。種吉は厚《あつ》しを著るやうな身分にまで成下がつて行つた。それでも彼は酒を飲むことを止めることが出来なかつた。そして其の間にも、仲間の若い男に、お芳は唆《そゝ》のかされたりした。酔つて狂態を演ずる種吉が、どこまで沈んで行くかゞ可恐しくなつて来た。何処まで従いて行つても、際限がないやうに思はれた。お芳はその男と、或時家を出奔しようとさへしたのであつた。 切端つまつた或年の暮に、彼はふと大きい実業家の誰かの立志伝に感奮して、大道へ露店を張つて、思ひがけない利益に味を占めて以来、彼はいつかその仲間の顔利きになつて行つた。彼はぼろい金を儲けて荒い金を使ふことに慣れた。そして足を抜かう/\と思ひながら、つひ/\引摺られて行つた。何うかすると、彼はお芳と二人で、遠く離れて二箇所に店を張つたりした。お芳は次ぎに産れた子供を負つて、姿振《なりふり》かまはず寒い風のなかに立つてゐた。別に苦痛も感じなかつた。次第に恥も忘れがちであつた。そしてそんな仲間のうちの上方弁の若い一人の苦学生と、いつも持場を隣合せにしてゐたところから、何時かさうした関係に陥つて行つたのであつた。雨も降らないのに、二人は早く店をしまつて、家へ帰つて行つた。 間もなく種吉は其を感づいた。是までにさへなかつた葛藤が、長いあひだ三人の間に続いた。今迄ぐうたらに見えたお芳にも、青年の刺戟は利目はあつた。狂人のやうに種吉に打たれた彼女は、奮然としてその※[#「車+(而/大)」、第3水準1-92-46]《しなや》かな手をあげて彼の頭を打《ぶ》ちかへした。 「あなたも男なら、未錬らしく打《ぶ》つたり殴《は》つたりしないで下さい。そして綺麗に話をつけて私に暇を下さい。」お芳は蒼くなつて言ふのであつた。 種吉は一層狂ひ立つた。しかし散々毒づいたり暴れたり、畳に※[#「てへん+毟」、第4水準2-78-12]《むし》りついて口惜しがつたりした果には、其がいつもの彼の病癖であるやうに、めそ/\と鳴咽の声を立てるのであつた。そして今までの荒い仕向を泣きながら妻に詫《わ》びたり、何事をも子供に免じて赦さうとさへ思ふのであつた。 結局人が間へ入つて、彼女をしばらく預かることになつたところで、彼は六つになる子供の健一の遣場に困つて、方々酒場を連れあるいたり、不相応なお茶屋へあがつて、彼を慰《なぐさ》めたりして、その日/\を紛らせてゐた。 種吉が少し早目に用事を片づけて、家へ帰つて来たのは、五時頃であつた。 今は彼も三人の子持で、しかも其の外に一人亡くしたりなどして、現在の店へ入つてから可也好い待遇を受けてゐたので、悉皆醒めてゐた。 「二三年みつちり働いてごらん。今はつまらないけれど、そのうちには何うにかなるだらう。決して悪いやうにはしないから。」主人夫婦は言ふのであつた。 彼は殆んどぴつたり酒を罷《や》めてゐた。お芳の総てが解つて来たと同時に、彼女を受容れるだけの余裕も出来て来た。子供の学校の成績の優れてゐることも、彼に取つては救ひの一つであつた。 彼が帰つて行つた時には、しかしお芳はもう口も利けないくらゐ情ない体になつて了つてゐた。 「何うだ、お芳しつかりしろ」と、種吉が驚いて傍へ寄つて行くと、お芳は両手を延べて、彼の胸倉に武者振りついて、何か言ひたげに口をもが/\させたが舌が利かなかつた。 二階の男や近所の人の話によると、お芳は裏の水道端から内へあがつて来ると、遽かにぐつたりとなつて、無性《むしやう》に体を慵《だる》がつてゐたが、終ひに胸を掻き※[#「てへん+毟」、第4水準2-78-12]《むし》つたり、障子につかまつて悶え苦しんだりしてゐた。午后のことで医者は漸くのことで一人呼んで来たけれど、その時には、あはてゝ駈けつけてくれた母に手足や脊《せな》を撫《なで》さすつてもらつたりして、苦痛が去つてゐた。 「苦しくて為様がないから、早く寝かして下さい。」さう言ふのも漸《やつ》とであつた。 母のお律は急いで蒲団を延べてやつた。そして胸を撫《な》でさすつて遣つた。熱も高いので、氷嚢もつけてやつた。 医者は胃病だと言つてゐた。それに感冒もあると言ふのであつた。 種吉はひどく可哀さうになつて来た。何を言ひかけても答《こた》へることが出来なかつた。彼は狼狽《らうばい》した。そして夜になつてから、少し遠方にある或る病院から、漸と博士に来てもらふことが出来た。前に診てもらつた医者が余りにおつちよこちよいで、其上|家《うち》が汚なかつたり、お芳が裏店《うらだな》の女房じみた風《ふう》をしてゐたので、甚く冷淡で高慢であつたが、年取つた博士はさすがに人の命の貴《たうと》いことを知つてゐた。 「誠にお気の毒のことだが、もう恁《か》うなつては手のつけやうがない。それあ胃もあるでせうがね、心臓がすつかり弱つてしまつてゐる。何とも致方がない。」博士は言ふのであつた。 種吉は今更のやうに狼狽した。さつき自分の胸倉を取つて、何か訴へようとして、そのまゝどたりと横《よこ》になつたまゝ手も足も全く蠢くことすら出来なかつた。もう耳も聞えないらしかつた。勿論視力も失はれてゐた。 種吉は夢のやうな気がした。狼狽と絶望は感《かん》じながらも、何かまた一と皮、そこに遊びがあるやうな気がした。ほんとうに狼狽と絶望を感じてゐるのではないと思はれた。彼は自分の頭脳が麻痺《まひ》してゐるのではないかと疑つた。 「注射駄目ですか。」種吉は笑顔で訊いた。 「それも御希望なら為《し》てあげても可いが、却つて苦しむ。無論《むろん》反応《はんなう》のある筈もないのだから、やるだけ無駄《むだ》ですよ。それよりか酸素吸入でもやつた方が、病人は楽だ。其の方におしなさい。」 種吉は初めて可哀さうな彼女の運命を、はつきり見せつけられたのを感じた。このまゝ死んで行く。つひ今朝まで死の影さへ想像しなかつた若い彼女が、永久にこの世のなかから消されて行く。毎日平気で見《み》てゐた姿も一生見られなくなる。声も聞かれなくなる。種吉はさう思ふと、ひどく悲しくなつて来た。 「酷《ひど》いことになるもんですね。」種吉はお芳の手を握りながら、さも辛《つら》さうに母のお律に言ふのであつた。 余り晴やかではないが、いつもおつとりしてゐて、物静かでお上品なお律は、口数も利かずに、目に涙をためてゐた。 「ほんとに短かい生命ですね。可哀さうに苦労の為通《しどほ》しで……。」お律は独語つて咽喉《のど》を塞《つま》らせてゐた。 「何とかできないもんですかね。」種吉は腹立しさうに言つた。 酸素吸入の音と、ぜい/\言ふお芳の息使《いきづか》ひとが、しん/\と更けて行く夜の静けさのうちに、先きへ/\と時を縮《ちぢ》めて行くやうに思はれた。 周囲には色々の人が集つてゐた。医科器械屋の叔母さんの痛ましい顔も見えたし、種吉の兄夫婦の顔も見えた。主人の夫人も来てゐたし、その人の先妻の娘も来てゐた。彼等は時々しめやかな声で、何か私語《さゝや》いてゐた。 「可哀相だね。これでづつと息を引取つて行くのか知ら。」 「さう言へば、こないだ私のところへ来て、裏口から顔を出して、何だか息切れがして困ると言つてゐましたよ。かうと知つたら、あの時早く診てもらへば可かつたのに。」 「私んとこへも来ましたよ。つひ四五日前に。ちやうど御飯時でしたから、何にもないけれど、御飯を食べておいでと言つたの。何だか此の頃|窶《やつ》れてゐるなと思つたけれど、それでも御飯はいつものことで、どつちり坐り込んで、お鉢の底の出るほど食べて行つたぢやありませんか。」 皆んなはそんな話をして、笑つたり涙を拭いたりしてゐた。 お芳は何を言はれても、むつつともしなかつた。冷《つめた》い脂汗が、皮膚《ひふ》に汚点の出たやうな其の額に入染んでゐた。爪が蒼くなつてゐた。指が硬ばりかけて来た。 「保険金を取りぞくねないやうにしなくちや可けないぜ。」種吉の兄が言ふのであつた。 「あツ然うだ。」種吉は初めて気づいたやうに言ふのであつた。 「証書はあるか。」 「いや証書はまだ取つてない。」種吉は不安さうに言ふのであつた。 実際取る権利があるか何うかゞ疑はれた。それは種吉が、或る会社の勧誘員をしてゐる友の都合で、強ひて附けさせられたものであつた。 「あれも木村さんが、自分の其の月の収入上、何うしても入れなくちやならないので、お芳が厭だと言ふのを、自分で掛金の立替へまでして、無理に入れたんですかね、それもつひ一週間ほど前のことだ。」 「その受取は此方へ取つてあるかい。」 「それあ取つてあります。」 「ぢや大丈夫だ、甘《うま》いことをしたな。」 「けど厭ですね。子供三人残して死なれたんぢや私が遣り切れませんからね。」種吉は笑つてゐたが、この能なしの、しかし罪も科《とが》もない善良な女の短い一生が、さうした犠牲を払ふために生きられてゐたのだといふ気がして、自然《ひとりで》に頭が下るやうに感じた。 お芳の息が次第に微弱になつて行つた。長い貧しい暮しに窶れた顔から、生の色が看《み》る/\失せてしまつた。そして変《かは》つた何の前触れもなしに呼吸が絶えてしまつた。今まで喘ぎ/\してゐた口から泡を吹《ふ》いてゐた。 種吉はごぽんといふ音がして、自分の胸元に大きな空虚ができたやうな寂しさに襲はれた。 コレから保険金を受取る前後が、興味があるので、それを書くはづで死の前後は省略して書いたが、どうもこれだけの方が纏つてゐるやうだからこれで擱筆。[#地付き](大正11[#「11」は縦中横]年1月「中央公論」) 底本:「徳田秋聲全集第14巻」八木書店 2000(平成12)年7月18日初版発行 底本の親本:「中央公論」 1922(大正11)年1月 初出:「中央公論」 1922(大正11)年1月 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
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魔女の旅々 登場人物 その他 コメント タイプ1:エスパー 白石定規による日本のライトノベル。イラストはあずーるが担当している。連作短編集としてGAノベル(SBクリエイティブ)より2016年4月から刊行されている。 登場人物 ゾロアーク:イレイナ 特性:イリュージョン(服装または動物を変える) 個性:ぬけめがない推奨 テールナーorトロッゴン:サヤ 後者は『炭の魔女』から アーマルドorスターミー:フラン 前者は師匠繋がり、後者は『星屑の魔女』 カモネギ(ガラルのすがた):アムネシア ルナアーラ:シーラ 『夜闇の魔女』から その他 カイリキー:筋肉の人 ネギガナイト:アヴィリア アリアドス:アリアドネ 名前が似ているので ウーラオス(れんげきのかた):フランの師匠 使い手のマスタードは師匠繋がり ピカチュウorサザンドラ:パペット探偵 前者は「名探偵ピカチュウ」ネタ オンバーン:オロネラ ハクリュー:ウルスラ 天候を操るので ハッサム:リエラ コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 草案 ムウマージorブリムオン:イレイナ -- (アールマジロ) 2022-09-03 18 41 33 登場人物とだけ書かれた荒らしコメントを削除 -- (名無しさん) 2019-10-26 17 22 34
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簡易な自己催眠法 別名 エリクソン夫人の自己催眠 用途 用例 リラクゼーション 自己暗示による行動変化 不随意的な悩みの解消 使用法 エリクソン夫人の自己催眠(最も簡易な自己催眠法) (1)自分が見ているもの(視覚体験)について、3つの文章をつくり自分に話しかける。 (2)自分が聞いているもの(聴覚体験)について、3つの文章をつくり自分に話しかける。 (3)自分が触っているもの(触覚体験)について、3つの文章をつくり自分に話しかける。 (4)こんどは(1)〜(3)を2つづつの文章でやってみる。 (5)さいごは(1)〜(3)を1つづつの文章でやってみる。 ………どこかの段階で目を閉じたくなるが、その場合は内部的な視覚イメージについて文章をつくること。 (6)最初の数日はトランスに入る感覚をたしかめるのに使う。 (7)その後は、自分がうまくやりたいと思っている体験、改善したいとおもっていることを選び、それがうまくいった経験をトランス中に思い出すように、トランスに入る前に指示を出しておく。自信がつくばかりでなく、自分の忘れている経験(無意識)から、必要なリソースが掘り出されるようになる。 る。 解説 参考文献 ジョン グリンダー (著), リチャード バンドラー (著)『催眠誘導—エリクソン・メソード決定版』出版社 アニマ2001