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焼け落ちた魔導の森(バーンド・キャラット) C 火/自然文明 (2) 呪文 ■自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。その後、カードを1枚、自分のマナゾーンから墓地に置く。 作者:宇和島 正直、カードの効果よりカードの名前を考える方が楽しいです。 フレーバーテキスト 虹色の侵略者と手を組んだ屍術の魔女。その力を示すために、魔導の森を焼き討つ。多くの魔導師と魔導獣の命が奪われた。 関連 《ジオ・ナスオ》 《ダーク・ライフ》 収録 DMTend-10 「虹魔界物語 第二章 虹色と虚無色の魔導機装」 評価 私は逆ですね(轟破天自分語) -- シザー・ガイ (2020-08-24 09 18 33) 名前 コメント
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落ち着いた感じのパープル系のアウター探してるんだけど。シンプルな服に合わせたくて。 Excellent 例 型紙 型紙名 色 色名 柄 柄名 パーツ パーツ名 評価 ※該当する箇所の「CENTER 」の後に〇を記入。 カワイイ キュート キレイ エレガント ロマンチック ゴージャス セクシー クール カッコイイ 元気 ユニーク シンプル
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連続ガード中のガード方向の切り替えはレバーをガード方向に入れなくてはならない(例えば、しゃがみガード中にただレバーをニュートラルに入れただけでは立ってくれない)のは以前書いた通りだが、では次のような状況ではレバーをどの方向に入れれば着地下段をガードすることができるのだろうか。 裏当て表落ちの代名詞とも言える沙織のJ大。これ自体ガード方向が分かりづらいが…… 着地後はこんなのになる。 答えは1(相手側の斜め下)。 基本的にQOHのコマンドの入力方向は相手の位置関係なく自分の向いている方向であるため、このように相手に背を向けているような状況では相手方向にレバーを入れなくてはならない。 知らない人はこれだけでドツボにハマることだろう。 ガードするには相手方向斜め下に入れなくてはならない。初見じゃ無理やね。 しかし、「レバーを1に入れると着地下段をガードできる」だけでは50点といったところか。 100点の回答は「連続ガードなら1、連続ガードでなければ3」。 まあ、ガード硬直が途切れれば相手側に振り向くのだから当然と言っちゃ当然だろう。 ということで、沙織側は着地下段をガード硬直が途切れるか途切れないか分からない微妙なタイミングで重ねることにより、自分でもどちらか分からない簡単かつ強力な2択を仕掛けることができるというわけだ。 更にこれに中段であるD小や一瞬待っての投げを加えると相手は混乱すること間違いなし。 名前 コメント
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ストーリー ――A.D. 3782 ソル・シエール地表―― 第三塔が消滅してから半年あまりが経過した時期。 難民となったソル・クラスタの人々の多くは、比較的余力のある第一塔のソル・シエールへと身を寄せていた。 塔が無くなった以上は、ソル・クラスタへの帰還は容易ではない。 結果、ソル・シエールへの定住を望む者の数は数万人にも及ぶ。 そのため、開拓プロジェクトを兼ねる形で、 現在地表では新たな都市が急ピッチで建設されていて、すでに一部では人が住み始めている。 しかし、地表も安全な場所ではない。 いまだ安定せぬ気候、発生し続ける地震。 ホルスの翼にもいたような危険な野生動物の姿もしばしば見かける。 加えて、この場所が「かつてのホルス右翼」だからだろうか、 ガーディアンと思しき謎の機械兵器が数百年の時を越えて起動、暴走し襲いかかってくることも、また―― 概要 〈落ちた翼の早天歌〉は、アルトネリコTRPGの「手軽な体験」を目的としたシナリオです。 なので、アルトネリコTRPGに触れてみたい方、あるいはTRPG自体の初心者・初参加でも歓迎します。 内容的には、簡単な探索パートと一回の戦闘を含みます。 経験者には物足りないかもしれません……が、もちろん経験者でも参加OKです。 プレイ時間は8時間程度、一回2~3時間のセッションを4回程度と予想しています。 このほか、TRPG初心者やTekey初体験の方には、(希望すれば)事前に一度インストラクション(解説と練習プレイ)を行います。 なお、このシナリオは2016年夏に3卓行ったものと基本的に同一のものです。 その時に参加している方は、応募は可能ですが、未経験者優先になります。 (経験者も人数調整などで必要になると思いますので、応募は気にせずどうぞ) 募集要項 使用システム アルトネリコTRPGの最新のバージョン(2021/12/11時点ではver.8a) 探索強化サプリメント必須 ダウンロードはこちらから 本体:https //ux.getuploader.com/hymmmetrics/ 探索強化サプリメント:https //docs.google.com/spreadsheets/d/1_5tMivjvtRVqsKqMWxwbtYMvTH11d74BsMvMR0KDbBA/edit?usp=sharing 募集人数 1卓につき2~4人 (1人の場合はGMがNPCを出して支援します。希望者多数の場合は複数卓用意します) 主催twitterのFF外OK、TRPG初心者歓迎 Tekeyの操作説明も対応可能 方式 Tekeyによるテキストオンラインセッション 日時 基本的に夜開催、毎回日程調整をして決めます 場所 Tekeyを利用 https //tekey.jp/ (捨てアカで構わないので)アカウント登録した上での参加を強く推奨します 環境はPC+chromeを推奨 スマホ参加は不可能ではありませんが操作が面倒です また、卓外での相談場所としてdiscordのサーバーを立てる予定です 想定プレイ時間 8~10時間 セッション4回前後 原作知識について 舞台となるのはアルトネリコ本編終了後の世界であるので、原作そのものの知識があってもあまり意味がありません 「レーヴァテイル」や「詩魔法」くらいの用語が分かっていれば十分だと思われます (もちろん、資料集レベルの知識があればより楽しめるかもしれません) 募集締め切り 2021/12/18(土) 24 00予定 集まり具合により前後します キャラクターメイクについて 募集締め切り(と必要に応じて組分けも)を行った後でキャラクターシート提出期間を設けます。 キャラクターシート作成についての相談なども随時受け付けます。 サプリメント 上述の通り、探索強化サプリメントは必須 また、バトル+は任意で使用可能です 他のサプリメントは使用できません 種族 人間またはレーヴァテイル テル族を使いたい場合は、流派プルーネ/ジェミナ以外は可とします 初期キャラクターレベル プレイヤーの所持経験点に関わらず、2で固定とします 初期リーフ 同様に、1800で固定とします 探索用キャラクターシート 探索強化サプリメントに付属しているキャラクターシートです ルールに従い、キャラクターレベル2での探索用能力値とスキルを決定してください なお、「こういう探索用スキルを作ってほしい」という要望があれば対応します その他各種設定 シナリオの舞台は3782年(アルトネリコ1~3終了後、第三塔消滅後)のソル・シエール地表です これに登場できるなら年齢・所属地域などは自由です 継続キャラクターについて 上記条件を全て満たすorリビルドによりそのようにするならば、継続キャラクターでの参加も可能です ただし、このシナリオの経験者に限り、以前このシナリオに出したキャラクターでの参加は不可とします 特記事項 このシナリオでは通常ルールとは別に「持ち込みアイテム」があります 詳細は参加者確定後に説明します 以上、特に記載のない部分については自由です ハンドアウトはありません 応募方法 twiplaページにて「参加する」または「興味あり」を選択 または、主催のtwitterまでリプライをください(連絡先は下にあります) 応募者には主催より参加確認を行います 募集締め切り後、必要なら卓分けや顔合わせの会、インストラクションを行います その後、キャラクターシートを提出して頂きます 全ての準備が整いましたら日程調整→セッション当日という流れになります 質問などありましたら、主催のtwitterアカウント https //twitter.com/yk_lja までお問い合わせください
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dat落ちスレッドについて dat落ちって何? ☆2ちゃんねるでは日々とんでもないスピードで増え続けているスレッドを、古いものから過去ログ倉庫に格納しています。 ☆これを「dat落ち」と呼んでいます。 ☆dat落ちしたスレッドは、通常は読むことができません。 どうすれば読めるの? ☆dat落ちしたスレッドを見るには、専用のブラウザと、「●(2ちゃんねるビューア)」が必要です。 ☆「べっかんこ」はdat落ちを見るための専用ブラウザ機能搭載ですので 「●」を手に入れればdat落ちしたスレッドを見ることができます。 ●(2ちゃんねるビューア)って何?
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dat落ちスレッドについて dat落ちって何? ☆2ちゃんねるでは日々とんでもないスピードで増え続けているスレッドを、古いものから過去ログ倉庫に格納しています。 ☆これを「dat落ち」と呼んでいます。 ☆dat落ちしたスレッドは、通常は読むことができません。 どうすれば読めるの? ☆dat落ちしたスレッドを見るには、専用のブラウザと、「●(2ちゃんねるビューア)」が必要です。 ☆「べっかんこ」はdat落ちを見るための専用ブラウザ機能搭載ですので 「●」を手に入れればdat落ちしたスレッドを見ることができます。 ●(2ちゃんねるビューア)って何?
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- ペンギン村に陽は落ちて ポプラ文庫 高橋 源一郎 ★×0 タイトルと牧歌的な表紙でつい手に取った本。 これはマイブラックリストに載せてもいいレベルの本でした。 なんていうか、趣味に合わないです。 小学生か、ちょっと頭おかしい人が書いたのではと思う脈絡のなさ。 子供が読んだら面白いと思うのかなー。 もしかしたら高度な文学的試みが隠されているのかもしれませんが、理解不能でした。
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172 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/05/23(水) 22 18 59.74 ID ??? アムロ「ロラン醤油取ってくれないか?」 アーミア「はいアムロさん」 アムロ「ああ、ありがとう」 コウ「ご馳走様でした。朝練があるからもう行くよ」 ギンガナム「気をつけてな」 シャギア「今日の味噌汁は何時もと味噌が違うな」 オルバ「それに、いつもより薄味だよ兄さん」 シン「また、あんたは俺の目玉焼きうぉって盗られてない?」 キラ「食事抜きが居るからね。もぐもぐ」 刹那「マリナ、落ち着いて食べたらいい」 マリナ「もぐもぐ、ロラン君のご飯美味しいわ、もぐもぐ」 セレーネ「ロランお茶くれない?」 アーミア「はい、お姉さまお茶です」 シャア「マイ君、試作品のテストは私も立ち会おう」 マイ「判りましたモニクさんにも連絡入れておきます」 アル「今日は珍しい人も多いよね」 スメラギ「アル君と一緒に食事なんて夢の用だわ。」 ティエリア「ミッションを放り出して何をやっているミス スメラギ!」 シュウト「おかわり貰ってきたよ」 劉備「何時もすまない」 とくに落ちも無い朝の風景
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雪の王子 地に落ちる (白眼のイングヤルダー族長に仕える年代記編者のロックハイムによって書き写されたモーズリング戦記である) 彼が何処から訪れたのか我々は知らなかったが、彼は青白く素晴らしい軍馬に跨り、戦場へと乗り込んだ。エルフ、我々は彼をそう呼んだ、確かに彼はエルフだったが、その日まで我々が目にしてきた彼の同種とは異なっていた。彼の槍と鎧は未知のマジカによる明るく恐ろしい輝きを帯びていて、見事に着飾った正体不明の騎手は戦士よりも大きく見えた。 その時我々を最も悩ませ、否、驚かせたのはエルフの隊列から沸き起こった歓声だった。それは恐怖や驚嘆ではなく、呪われた者が人生のやり直しの機会を与えられたときに感じるような、臆面もなく解き放たれた歓びだった。それはソルスセイムにおける数多くの小競り合いの中でも、最もエルフ達の命運尽き、死に瀕しているときであった。モーズリングの戦いは、我らのこの美しい島におけるノルドとエルフの最終戦闘となるはずであった。イスグラモルを旗頭に、忌まわしいエルフたちをスカイリムから追い払い、ソルスセイムからも彼らを駆逐するつもりだった。ノルドの職人たちが鍛造し得る、最高の斧と刀剣で武装した我らの戦士は、敵の隊列に鋭く切り込んだ。モーズリングの丘はエルフの血で赤く染まった。なのに、なぜ我らの敵は歓んでいるのか? 一人の騎手が、絶望した軍にそれほどの希望をもたらせ得るのか? 我が種族の大多数にとって、その喚声の意味は明らかであったが、その言葉はエルフたちによって連呼される、エルフの歌の文句や雄叫びに過ぎなかった。しかしながら、我々の中にはその文句を十分に理解している学者や年代記編者がおり、その重大性に身を震わせた。 「雪の王子は到来せり! 破滅の時迫れり!」 水を打ったような静けさが、いまだ立っているエルフたちを包んだ。まるで船がフィヤルディングの氷海を切り進むように、雪の王子は群集の只中を疾走し、同族の隊列を分け進んだ。堂々たる白馬は駆け足から小走りへと速度を緩め、気味が悪いくらいゆっくりと隊列の先頭へと進んできた。 ノルドの戦士はその流血と戦闘まみれの生涯で様々な体験をするため、武装戦闘の中で何がおきても驚くことは稀である。しかし、あの荒れ狂う戦場が突然静止して静まり返ったことによってもたらされた、畏怖と不安感を想像できた者は極少数であったでろう。雪の王子が我々に与えた効果がそれであった。エルフの喜びに満ちた叫びが終わると、孤独な眠りの中でしか知られていない静けさが漂った。エルフとノルド、お互いの軍団がそれぞれ同じ理解で結びついたのはその時だった── その日のモーズリンク山の丘においての勝利も敗北も、たいして重要ではないということに。全員が共有した唯一の真実は、勝者であろうと敗者であろうと、その日は大勢が死ぬということだった。類を見ないエルフ、光り輝く雪の王子はその日、我が種族に死をもたらしに来たのだ。そう、大いなる死を。 旅人の視界を遮り、頑丈な館の土台さえも崩しかねない唐突な激しい吹雪のように、雪の王子は我ら大勢の中に飛び込んできた。確かに、彼の命令に応ずるが如く、氷と雪が彼の周りを乱れ飛んだ。光り輝く槍の回転は、雪の王子の前に立ちはだかった者に葬送歌を奏で、我らの最強の戦士たちはその日、彼の前に倒れた。(アンヴィルハンドの)ウルフギ、(白の)ストロム、(オークワンドの)フレイダ、(激高の)ヘイムダル。彼らは皆、死してモーズリング山麓に横たわっている。 その日初めて、実際に戦いの流れが変わった。雪の王子の行動に刺激されたエルフ達は、我らの隊列に最後の突撃を仕掛けるために集結した。その時、その一瞬でモーズリングの戦いは、突然で予期せぬ幕切れを迎えた。 ジョフリオールの娘、母親の従者でたった12歳の少女フィナは、彼女の唯一の親である母親を雪の王子が切り殺すところを見ていた。フィナは憤怒と悲しみから、ジョフリオールの剣を拾い、母親の仇に向けてどう猛に投げつけた。彼の輝く槍が死の舞いを止めたとき、戦場は静寂に包まれ、皆の視線が雪の王子に向けられた。その日、皆が目にしたその光景で一番驚いたのは彼自身であろう。なぜなら、雪の王子はジョフリオールの剣を胸深く突きたてたまま、馬上に座っていた。そして馬から、戦闘から、この世から、落ちた。雪の王子は一人の子供によって殺され、死に伏せていた。 彼らの救世主が敗れ、残されたエルフ戦士たちの戦意は失われた。多くは逃げ、戦場に残った者は皆、程なくして我らがノルドの大斧で切り倒された。日が暮れたときには、戦場の悲惨さしか残されていなかった。そしてその戦場では、雪の王子の華やかな鎧と槍が今なお輝き、その武勇と手腕をかすかに思い起こさせた。死してなお、この並外れた正体不明のエルフは我々を恐れさせた。 敵の亡骸の火葬はよく行われる。死は疾病や不安をもたらすため、これは習慣であると同時に不可欠なことでもある。我々の族長たちは、生死を問わずソルスセイムからエルフの群集を追い払いたいのだ。しかし、雪の王子はそのような運命にあらずと決められた。戦いでは並外れ、同族に愛されていた彼はもっと良く扱われてもいいはずだ。死していても、たとえ我ら民族の敵であっても。 よって我々は上質の絹で包まれた雪の王子の亡骸を、盛ったばかりの塚へと連れてきた。光り輝く鎧と槍は栄誉の台座に飾られ、貴族の墓にも等しい数々の宝で飾られていた。このエルフにこれ程の敬意を払うことに関して、族長たちは全員賛成した。彼の亡骸は、大地が許す限りその塚に保存されるが、ノルドの死者のみに許された、スタルリムの加護は与えられない。 これにてモーズリング戦記と地に落ちた堂々たる雪の王子の記録を終わる。彼に神の栄誉を、そして我らが生涯二度と彼のような者に会わないことを願う。 歴史・伝記 茶2
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花落ちず水はなし 平和な昼下がりに突如、爆音が鳴り響いた。通行人が驚いたように動きを止めたのは一瞬。次の瞬間には、それぞれの危機管理能力に応じて、建物の中に避難したり、逆に音源方向に走りだしたりと動き始める。あたかもそういうものと決められているかのような動きは、こういう事態への耐性を現していた。 その中を一台の装甲車が疾走する。その後ろで騒いでいるのは銀行員の制服を着た男女。分かりやすい強盗風景に、目撃者全員が治安維持部隊への連絡を入れようとした瞬間、その装甲車の進行方向に人影が飛び出した。 「――――――」 黒い人影は何を呟いた。しかし、それは装甲車の駆動音にかき消される。そのまま、装甲車は飛び出した人影を引き殺そうと突っ込み、その直前で空高く舞い上がった。 「……………………え?」 目を見開いて自体を見守っていた通行人や、助けようと飛び込もうとした人々の口から間の抜けた声がこぼれる。やや遅れて、凄まじい音を立ててひっくりかえった装甲車が道路に落ちる。 「――まったく、馬鹿が馬鹿なのは仕方ないとして、そういう馬鹿は私に関係のないところで生きて死ね」 ふわりと切りそろえられた髪が風になびく。重なり合った黒いレースのスカートが、日光を浴びて複雑な影を落とした。 「ああ、ひょっとしてもう死んでるかな?」 傲慢さの滲むような声と表情で少女は笑う。映画のワンシーンを眺めているような計算しつくされた光景に、その場は静まり返る。 「…………篭森、珠月」 呻くように目撃者の一人がその名を呼ぶ。そして、 「か、篭森さんが自主的に仕事したぞ!?」「普段ならめんどいとかいって速攻スルーなのに!!」「その辺の人に泣きつかれてやっと動くのに!」「誰に何か言われる前に動いた!?」「何があった!?」「明日は嵐か!?」 この世の終わりが来たというような顔で口ぐちに喚きはじめる。静寂から一転、周囲は蜂の巣をつついたような喧騒に包まれた。それを聞いて、珠月と呼ばれた少女はうっすらと笑みを浮かべた。 「……いい度胸だ。仕事をしなくて咎められるならともかく、東区統制者の一人として治安維持に協力して怯えられるいわれはないね」 柔らかな笑顔に、失言をした通行人は凍りつく。珠月はにこりと微笑んだ。 * 黄道暦。第三次世界大戦およびその後の非核戦争は、国家の崩壊と企業の台頭、そして飛躍的な人体改造と異能力の技術を生み出した。それからすでに半世紀。人類はかつて夢物語として描いていたような能力を手にしている。例えば身体の一部を機械化したサイボーク。例えば異なる生物の性質を遺伝子に取り込んだトランスジェニック。例えば脳を弄ることで異能を権限させるサイキック。例えば現代の魔術師として不可思議な能力を行使するミスティック。例えば体内外の気を操り、人体の限界をはるかに超える筋力や強度で敵を打ち倒すグラップラー。そうでなくとも度重なる戦争で淘汰され、数々の改良が加えられた現代人は、過去の人類に見ないほどの知力と体力を持つ。 そんな世界でさらに時代を担うべく、組織、能力の方向性、志向、属性、性別、信条、その他問わずに優秀なる人間を集め教育することを目的とした巨大学園都市が存在する。名はトランキライザー。630万人という生徒を抱えるその学園都市では、成績優秀者が独自の行政を敷き、あるいは独自の組織や企業を運営しながら、互いに協力し合い潰し合いを続け、より強く優秀なものが生き残る仕組みを採用している。 * 学園都市、序列24位篭森珠月は、24位という全体からみれば最高峰、ただし最高峰同士から見れば一桁や十番台に比べてやや劣るという微妙な地位にいながら、それを感じさせない高飛車な言動と独特のゴシックロリータ衣装、名門の家柄のためか下手な一桁よりも派手な存在として認識されている。 「…………最近、社長の様子がおかしい」 学園都市トランキライザー東区、綜合警備保障会社ダイナソアオーガン本社ビル。生徒が運営する組織の中でも特に大きな力を持ち、現在東区のトップである狗刀宿彌が会長を務める会社の一室にて、幹部の一人が口を開いた。 「おかしい? 珠月がおかしなことしかしないのはいつものことだろう? 仕事そっちのけで妙なイベント始めたり、区画の整備インフラ開発観光推進、はたまた大枚はたいて作家や企業家に投資したり、どっからともなく人間拾ってきたり、ふらりと行方くらましたり、客に暴言吐いたり――まあ、いつものことだ」 宿彌は顔をあげて平然と答えた。かなり酷いことを言っているが、誰もそれを咎めない。 「なんで会長は社長を社長にしてるんでしょうねぇ」 「まあ、その奇行と問題行動を補ってあまりあるくらい珠月は優秀だよ。彼女が僕の代わりに東王の仕事の半分くらいはしてくれてるし、会社の暗い部分もいつの間にやら片づけてくれる。それを思えば、少々の性格の難点くらい可愛らしいものだろ?」 小さく首を傾げて宿彌は同意を求めた。しかし、誰も首を縦にはふらない。 「会長、これがまた変なことを始めたとか、仕事をさぼって行方をくらませたとか、裏でこそこそ何かをしているというようなことなら、私どもはなにも言いません」 重々しい口調で副社長の翔が口を開いた。他の幹部たちも頷く。 「それは社長のデフォルト機能のようなものですからね。何かたくらんでいるのはいつものことですし、気だるそうでよく仕事をさぼるむしろぎりぎりラインしか仕事をしないのも、仕事をえり好みするのも、客に上から目線なのも社長のいつもです。むしろそうでなくては社長ではありません」 「人としては問題ありますが、その態度が外部には『流石は篭森の血族』とうけてる部分もありますし、そういう売り込み方法なんだからあの人は仕方ないです。が、今回は逆です」 「逆」 オウム返しに宿彌は呟いた。その間も執務の手は止めない。 「毎朝きちんと会社にきて定時前に仕事を片付けて定時で帰ります。妙な厄介事を起こすこともなく、むしろ普段はスルーするようなこともきちんとこなし、街中でも騒ぎを起こしていません」 「……いいことじゃないか」 「いいえ」 はっきりと幹部たちは首を横に振った。 「はっきりいって部下が怯えています。あれは本物の社長なのかと」 「頭を打ったとか、誰かがすり替わってるとか、なんかの暗示にかかってるとか、はたまた何かとても後ろめたいことがあるとかそういうことはありませんか?」 「誰かに何か脅されているのかも」 「病院に連れていったほうがいいのではないかと」 部下たちはとても真面目な顔をしていた。宿彌は困る。 「本物であることは僕が保障するけど……そこで疑ったら、流石に失礼だよ」 そう言って、宿彌は書類を置いた。そして小首を傾げる。 「珠月だって、まれにだけど生活態度が真面目になることがあるだろ? 何か大きな企画や投資で忙しいときとかは、仕事を長引かせずにさっさと終わらせて行方をくらますし。たまにあるじゃないか」 「あれこれ半月はその状態が続いているうえに、学園都市から出る気配がないのが気持ち悪いんです。副業が忙しい時期は確かにだらだら仕事をせずに、さっさと片付けて姿を消しますが、それをしてる気配がありません。しかも、やたらと屋敷に人が出入りしていますし」 「それなら、ファミリア……あの子の私兵だろ。何十人といるからね、魔女の使い魔は」 宿彌の言葉に、幹部は首を振った。 「普段学園都市に出入りしない面々までうろうろしています。あと、何だか知りませんが最近四六時中お菓子を作っているようで、こちらにも差し入れが」 「いや、いいことじゃないか」 少なくとも誰も困ったり不幸にはなっていないように見える。 「ダメです。不安なんです。ぶっちゃけ怖いんです」 「奇行になれている社長直属の部下ならともかく、そうでないものに動揺が広がっています。このままだと東区の投資状況にも影響が出かねません。社長は私どもがこういうことで意見しても耳を傾けてはくれませんので、会長から直々に注意をお願いできないでしょうか」 「…………注意するのは簡単だけどね」 宿彌は頬杖をついて直立不動で立つ幹部たちを見やった。 「真面目に仕事をして注意を受けたら、篭じゃなくても怒り狂うと思うんだ」 「だからこそ、会長から言ってください。あの人、会長にはあまり怒りませんから」 「紅や翔にだって怒らないだろ。珠月は頭のいい人間や身内には甘い」 「怒らなくとも右から左に聞き流されます」 きっぱりと翔は言い切った。宿彌は小さく息をはきだす。 「これって僕の仕事なんだろうか」 文句を言いながらも宿彌は立ち上がった。 「まあいいや。ディスクワークもだいたい片付いたし、ちょっと行ってくるよ」「失礼いたします。会長、緋月です」 宿彌が歩き出そうとした瞬間、計ったかのようなタイミングで会長室の扉が叩かれた。返事をすると扉が開いて、珠月直属部下のひとり、戦原緋月が書類を抱えて入ってくる。 「サインをお願いしたい書類です。期限は明後日までです」 「御苦労さま。珠月はまだいる?」 時刻は定時をやや回っている。緋月は首を横に振った。 「つい先ほど、帰られました」 「おや、それは困ったね。緋月、ミヅキは今日なにか用事があるのかな?」 「いいえ」 緋月は答えた。公私とも珠月の忠実な僕である緋月は、慇懃に答える。 「先日、古いご友人に素行をたしなめられたようでそれ以降、至極真面目に生活しております。それだけです」 意外な返事に宿彌はかすかに目を見張ってみせた。 「知人……? 誰?」 「その質問にはお答えしかねます。私的なことですので」 緋月は深々と頭を下げた。口調は丁寧だが、こうなると何があっても言わない。幹部のため息が聞こえた。 「じゃあ、一つだけ」 「答えられることでしたら」 「最近、社長の様子がおかしいのはそれが原因か?」 「様子がおかしい?」 緋月はことんと首を傾げた。可愛らしい仕草だが、男が無表情でやると可愛くない。 「概ねいつも通りかと。むしろいつもより勤勉で大変望ましいと思います」 「概ね!?」「いつも通り!?」 悲鳴に似た叫び声が上がる。しかし、緋月は顔色一つ変えずに頷いた。 「困ったね。彼女がプライベートで何をしていようと僕は気にしないけど、目立つんだからあまり場を混乱させるような行動はしてほしくないなぁ」 「ではそのように伝えておきます。まあ、気にしなくともいずれ飽きるかと存じますが」 「…………飽きる」 「はい。珠月様は元来真面目で几帳面で繊細な御方ですが「それは一体誰だ?」 ぼそりと幹部の一人が呟いた。同意するようにいくつもの首がたてに振られるが、緋月は顔色一つ変えない。 「珠月様は根は真面目で繊細でいらっしゃいますが、日頃の生活態度は皆さまご存知の通りですし、周囲もそれを容認もしくは望んでいる節があります。放っておけば、そのうち元に戻るでしょう」 「うん、まあ、戻られたら戻られたで困るんだけどね。中間くらい維持できないの?」 翔の言葉に緋月は首を傾けた。 「そうなったら、それはもう珠月様ではないかと」 確かにそうかもしれない。 誰も口には出さなかったが、全員がそういう顔をした。 「まあ、一応は私のほうからも言っておきます。が、無駄だと思います。飽きるのを待った方がはるかに早いかと」 「いつ飽きるの?」「さあ? それは珠月様にしか分かりません」 淡々と緋月は答えた。宿彌はちらりと幹部に視線を向ける。しぶしぶ翔は頷いて見せた。 「分かりました。様子を見ます。少しは」 「そ」 宿彌は小さく息をはきだした。 * トランキライザーのトップランカーは一部の根無し草たちを除いて、だいたいが豪邸や高級マンションに住んでいる。自分の財力を見せつけるという意味以上に、不在時のセキュリティや色々と人目についてほしくないことを処理するためにはそちらのほうが便利だからだ。そのうち幾人かの自宅はその壮麗さから、まるで観光地のような扱いを受けている。 篭森珠月の自宅もその一つである。数寄屋作りや書院作り、大正風の日本家屋に明治の町家まで様々な建築物が並ぶ東区の高級住宅街の一角にそれはある。物珍しげに家々を見上げる観光客を避けて、宿彌はそれを見上げた。古びた作りに見せかけたその洋館は、今日も来訪者を威圧するようにそびえたっている。 「かごも。いる?」 赤い煉瓦の塀の一角にある門の脇に取り付けられた呼び鈴を鳴らすと、一拍後に門が音もなく開いた。どこかにカメラがあって遠隔操作されているのだろう。宿彌が門をくぐると背後で再び門が閉まる。普通の神経をした人間なら逃げ出したくなるような作りだ。 石畳で舗装された小道はまっすぐに玄関へと続いている。左右に並ぶ奇妙な灯篭を横目に宿彌が足を進めると、丁度雨避けの屋根の真下に着いたあたりで扉が開いた。両開きの扉を半分だけ開けて顔を出したのは、珠月の同居人で使用人のミヒャエルだ。 「宿彌さん、こんにちは」 「やあ、ミヒャ。玄関周りの感じが変わったね」 「先日、ジェイルのくそ馬鹿のせいで台無しになりまして、このさいだからと門と玄関扉を新調し、庭の作りも変えました」 けろりとした顔でミヒャエルは言った。一般家庭ですれば大惨事の出来事も、この学園では日常茶飯事にすぎない。宿彌は「ほどほどにね」と釘をさして上がり込む。 「篭はいるかい?」 「一応在宅中では御座いますが……何をしているやら」 ミヒャエルは心の底からため息をついた。宿彌は小首を傾げる。 「最近は生活態度が真面目だと聞いたんだけど」 「はい。外では」 「…………ああ」 これは来る必要がなかったかもしれない。心の中で思いながら宿彌は歩を進める。 一部の隙もなく整った屋敷は人の気配がほとんどない。それでも敏感な宿彌の耳にはかすかな人の話し声やCDが吐きだす音楽が聞こえている。 「珠月様、宿彌さんがいらっしゃいました」 一つの扉の前で立ち止まると、ミヒャエルは丁寧に扉を叩いた。すぐに中からうめき声のようなやる気のない返事が返ってくる。それでも通じているらしく、ミヒャエルは扉を開いて一歩下がった。軽く会釈をして宿彌は先に中へと入る。珠月は大きな寝椅子に寝そべっていた。しかも男に膝枕させて、足元に少女を一人侍らせている。いずれも見覚えのない顔だ。 「…………………………君の様子がおかしいと部下から不安の声が上がってるんだけど、思いっきりいつも通りだね」 「どいつもこいつも失礼だね。二人ともちょっと下がって。ネイルは後でいい」 よく見ると侍っていたように見えたのは足の指にネイルアートをしていたらしい。男のほうは何をしているのか分からないが。珠月の指示に二人はにっこり笑って宿彌とすれ違いに部屋を出ていく。同時にミヒャエルも退出し、部屋には二人きりになった。 「あれは?」 指示後のみの疑問文に珠月は頷いた。 「うん。私の友達」 「友達ってそういうものだっけ?」 「世の中には色々な友情があるのよ」 「愛情じゃなくて?」 「私は愛人なんて持ったことがないよ。世間では色々言われてるみたいだけど」 「君は独身なんだから、持つなら恋人だろう?」 「そちらもいたためしがないね。私についてこれる男が少なくて困る」 「さっきの膝枕はどうなんだい?」 「外見は好み。でも唯一のパートナーとしては互いに不満があると思うよ」 「君、黒とか銀とか暗い色の髪の男好きだよね」 「明るい髪が嫌いなの」 「よく知ってる。まあ、相手に気を持たせるのはほどほどに」 「ご心配なく。噂は全部デマだから」 「多すぎるんだよ、君は。芸能人みたいだ」 「似たようなものだよ。トップランカーなんて。それに逆のように罪造りじゃないよ、私は」 一通り意味のない応酬をして、二人は口を閉ざした。互いにこの会話に意味がないことはよく知っている。 「で? 本題は?」 「…………半分くらい済んだようなものなんだけど」 「え? 男遊びをするなっていう説教? なら、してないよ? 愛人騒動を四六時中起こすのは、プレイガールと思われたほうが色々と都合がいいからで、痴情のもつれ起こすようなことはしてないし」 「そうじゃなくて、最近真面目に仕事してるだろ?」 珠月はあからさまに嫌そうな顔をした。そしてやっと上半身を寝椅子から起こす。怠惰な仕草はとても世界に名をはせる人物には思えない。 「本当に、どいつもこいつも」 ため息交じりに珠月は呟いた。美女がやったら妖艶といえる仕草だが、珠月がやるとどことなく幼い。普段は服と横柄な態度で誤魔化されているが、珠月は案外普通の人だ。平均値とはいかないが、驚くほどはおかしくもない。 「くそっ、やっぱりこの反応か。人がたまには真面目に働いてやってるのに」 「いや、君はそういうこと考えちゃいけない人だと思う」 「私だって好きでやってるんじゃないよ! ただ、お師匠様が『君は本当はいい子なんだから、たまには真面目に仕事してみたら? みんな見直すかもよ』とかいうから、ありえないと思いつつもちょっとだけやってみたのに逆効果だし」 「お師匠様? ってどれ?」 しまったという顔で珠月は黙った。妙な沈黙の幕が下りる。 「…………珠月?」 「まあ、なんていうか沢山いる先生たちの一人?」 目が泳いでいた。感情を隠すのに長けた珠月の、ここまで分かりやすい動揺はとても珍しい。 「珠月」 「ごめん、嘘。ちょっと頭の上がらないひとに説教された。だから真面目にしてみたんだけど、不信感と不安感煽るみたいだからそろそろやめることにするよ。この世で真面目になって怒られる人間なんて私くらいだよ」 素足を投げ出して、珠月は不満そうに頬を膨らませた。普通なら抱きしめたくなる可愛らしい仕草だが、いかんせん、感情というものが根こそぎない宿彌には通用しない。 「さっきの二人も私の態度を不審がって御機嫌とりに来たのよ?」 「それを受け入れる君にも問題あるけどねぇ」 「だって我儘言ったほうが喜ばれるんだもの。みんな何がしたいのかしら?」 「君が好きなんだよ」 珠月は面白くなさそうに眉をひそめた。まるでありえないことを聞いたとでもいうような顔で。 「ふうん。じゃあ、宿彌は私が嫌いなんだね」 「どうしてそうなる?」 「だって我儘言うと咎めにくるし、真面目にしても諌めにくるし」 「君が諌めないといけないようなことするからだよ」 「宿彌も先生も全然私に優しくない。お父様もお母様も私を放置するし、どうしてこう私の好きな人は私に冷たいのかな。差別だ」 「そりゃあ、貴女の人格の問題ですよ、珠月様」 いつの間にやら戻ってきたミヒャエルが机の上に静かにティセットを置いた。そして、珠月の極寒の視線を受け流し、静かに退出する。 「…………何? 全否定されるような人格ってこと?」 たっぷりの沈黙の後、珠月は口を開いた。しかし怒ってる風ではなく、単にいじけてみせているだけだ。面倒な物体を押し付けられる形になった宿彌はあいまいな笑みを浮かべた。 「珠月の良いところは、我儘を言おうと傍若無人だろうと腹が立たない爽快感のある偉そうな態度だよね」 「馬鹿にしてるの?」 「いや、好きだよ」 珠月の血色の瞳が一瞬見開かれた。宿彌は続ける。 「楽しそうだよね。一生懸命生きてる、人生を楽しもうとしてるって感じがして僕からするととても羨ましいよ。僕はしなくてはいけないことは知っているけど、したいことは分からないから。だから君の生き方は好きだよ」 「………………そういう男前なことをさらりというから、気づくと自称彼女ができてるんだよ、馬鹿。あー、もうなんで私たちってこうも何かがすれ違うんだろうね。他のとこはパートナーと仲良くやってるっていうのに」 「北や西は言わずとも、南もそれなりに仲いいよね。落花流水水魚の交わりなんでもいいけど、楽しげだ」 「うちは花も水もありはしないよ」 早口で珠月は言った。そして、再び寝椅子に寝転がる。高そうな服にしわがつくのも気にしない。しかし、すぐにまた起きあがる。 「それだけ? 説教なら聞いた。明日はもう会社いかない。有給で休む」 「うん、珠月だね」 「しみじみ言うな。もう帰れ。帰りたくないならお茶を出す。チーズケーキとチョコレートムースどっちがいい?」 「追い返したいのか、もてなしたいのかどっちだい?」 聞きながら、宿彌はやっと椅子に座った。慣れた様子で珠月がお茶を入れ始める。 「もてなしてほしいならもてなしてやらないこともない。宿彌だし」 「よく分からないけど、ありがとう。いただくよ」 「どっちを?」「両方」 珠月は小さく肩をすくめると、呼び鈴に手を伸ばした。 * 数日後。 「――――って感じで、社長は完全にいつもの社長に戻りました。今日も午後から出社予定です。みな、ほっとしています」 「…………僕は皆がいいならそれでいいんだけどさ、本当にいいの?」 尋ねると不思議そうな顔が返ってきた。理解できないのはこちらのほうだ。 「ま、いいや。皆が満足するならそれで」 世はこともなし。 トランキライザーの日々はこうしてすぎていく。 おわり