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作品別カードリスト カードキャプターさくら 作品別カードリスト カードキャプターさくらストーリーカード キャラクターカード イベントカード ストーリーカード レアリティ No. カード名称 作品名 【N】 01-001 カードキャプター誕生! カードキャプターさくら 【N】 01-002 ふたりは仲良し カードキャプターさくら 【N】 01-003 ほっとけないアイツ カードキャプターさくら 【UR】 01-004 封印解除! カードキャプターさくら 【N】 01-005 封印の獣 カードキャプターさくら 【N】 01-006 はいポーズ! カードキャプターさくら 【N】 01-007 みんなで登校 カードキャプターさくら キャラクターカード レアリティ No. カード名称 作品名 【SR】 01-041 木之本桜 カードキャプターさくら 【N】 01-042 木之本桜 カードキャプターさくら 【N】 01-043 ケロ カードキャプターさくら 【R】 01-044 大道寺知世 カードキャプターさくら 【R】 01-045 木之本桃矢 カードキャプターさくら 【R】 01-046 月城雪兎 カードキャプターさくら 【N】 01-047 木之本藤隆 カードキャプターさくら 【N】 01-048 翔 カードキャプターさくら 【N】 01-049 跳 カードキャプターさくら 【N】 01-050 水 カードキャプターさくら イベントカード レアリティ No. カード名称 作品名 【N】 01-096 クロウカード『風』 カードキャプターさくら 【N】 01-097 クロウカード『樹』 カードキャプターさくら 【N】 01-098 クロウカード『翔』 カードキャプターさくら 【R】 01-099 ビデオ撮影 カードキャプターさくら 【N】 01-100 腹話術 カードキャプターさくら 【R】 01-101 目覚めた封印 カードキャプターさくら 【N】 01-102 頼れる兄貴 カードキャプターさくら
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星空 きらら(ホシゾラ キララ)は、YG~HEAVEN s EDGE~に登場するキャラクターである。
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崩壊ウォッチ ◆EAUCq9p8Q. ☆双葉杏 「一時停戦?」 「はい」 互いに獲物を構えたセイバーとランサーは、お互いの間合いを保ったままそう言った。 ドアが開いた瞬間、報告をしようとしていたランサーと入ってきた少女の傍に現れたセイバーは臨戦態勢を取った。 空気は一気に張り詰め、痛いほどの緊張を周囲に巡らせる。 そんな中で一時停戦を切り出したのはランサーだった。 「都合のいい話ですね、貴女は――」 「私は、大道寺知世について、少しですが知っています」 何事かを言及しようとしたセイバーに対し、先に切り札を切ったのは江ノ島盾子のランサーだ。 杏には『大道寺知世』という少女が誰かはわからない。だが、入ってきた少女たちの反応から、それが彼女たちにとって相当の意味を持つ人物である、というのは容易に想像できた。 「一時停戦を飲んでくれれば、本当に少しですが、貴女のマスターの手助けになれるはずです」 「セイバーさん!」 「……私は、貴女を信用できない」 目の高さに構えられている刀は天井を回るファンを映し、ぐるぐるぐるぐると陰を生む。 そんな中で、杏はただきらりの手を握ってことの成り行きを見守っていた。 事が起こるようであれば自身のランサーを呼び出して、きらりをつれて逃げ出せるように。 「なんで!?」 続く沈黙を破ったのは、ランサーでもセイバーでもなく、江ノ島盾子だった。 震える姿は、震える声は、子羊みたいに頼りなげ。 だが、声を張り上げた彼女は、杏とはまた別の決意に満ちていたはずだ。 「なんで皆、そうやって戦おうとするの!? 誰かを傷つけて、なんともないの!?」 「こちらは先に襲われた。だから――」 「だから、殺すの?」 口にされた『殺す』という単語で張り詰めていた空気が沈む。 沈鬱とした空気は、まるでドライアイスのように床を這い、じわりじわりと足元から熱を奪っていった。 『殺す』力がある。少なくとも、あのセイバーとランサーは、それが出来る。自然ときらりの手を握る力が強くなった。 「そんなの悲しいだけじゃない。せっかく会えたのに、疑って、戦って、そればっかりなんて! ランサーさんだって、なにかあったのかもしれない! きっとそうだよ、だから……だから……そんなに簡単に、戦おうとしないでよ!」 滲んだ化粧を洗い流せるほどの大粒の涙が、江ノ島盾子の頬を伝っていく。 悔しさ、歯がゆさ。何も出来ない自分への無力さ。そういったものが込められた涙だ。不思議なことに、杏にもそう見えた。 涙を拭いた江ノ島盾子は、顔を上げ、セイバーの奥に控えるマスターたちをじっと見つめて答えを待つ。 セイバーはかすかに眉間に皺を寄せただけで、その程度で切っ先をずらしたりはしない。 だが、江ノ島盾子の言葉は確かに届いた。 「セイバーさん」 江ノ島盾子の言葉を受けて一歩踏み出したのは、綺麗な亜麻色の髪を肩口で切りそろえた少女。小学生だろうか、喋り方はややたどたどしく、愛らしい。 名も知らぬその少女はセイバーの横を通り過ぎ、ランサーの構えていた人斬り包丁という呼び方の相応しい『槍』の前に身体を晒す。 「あいちゃん……」 「わたしは、信じられるよ。ランサーさんのこと。きっとわるい人じゃないって」 自身の胸の前に槍の切っ先を当て、柄を握る。 「ほらね?」 『あい』と呼ばれた少女と、ランサーとの間に何があったのかは杏にはわからない。 それでも、あいがランサーの槍から逃げないという覚悟の持つ意味は、セイバーと、もう一人の少女の反応から理解できた。 ◇◇◇ 注文したケーキが運ばれてくる間に、通りに面している大きな箱席に移動し、向かい合うようにして座りなおした。 片方には杏、きらり。もう片方にやってきた小学生二人。お誕生日席と呼ぶべきか、どちらの側でもない通路側に江ノ島盾子。 江ノ島盾子を頼りにこの喫茶店にやってきた二人は、共に小学生ながらこの聖杯戦争のマスターに選ばれたのだという。 聖杯戦争を開いたのが誰かは知らないが、小学生まで巻き込むなんて、そうとう性根の曲がった奴なんだろう。 「盾子ちゃん、いいかな」 あいちゃんと呼ばれていた亜麻色の少女――蜂屋あいが切り出したのは、停戦に関わる三つのことだった。 「わたしはさっき、ランサーさんにおそわれたの。でも、おそった理由を聞くと、またけんかになっちゃうかもしれない。 だからわたしは、なんでそんなことをしたのかは聞かない。だから盾子ちゃんも……セイバーさんたちも、皆、聞かないであげて」 一つは、ランサーの凶行(なんと、杏たちと別れた後にランサーはあい達を襲撃し、あいを殺そうとしたらしい)についてこの場では不問とすること。 「それと、たたかわないって決めたんだから、サーヴァントは出さないで。 でも、ランサーさんにはお話を聞かなきゃいけないし、ランサーさんが居るとセイバーさんは安心できないだろうから、二人はのこったままでもいいかな? もちろん、ぶきは持たないで」 もう一つは、ランサーとセイバー以外のサーヴァントを出さないということ。 交戦が始まってしまえばこんな約束知ったこっちゃないが、確かに、お互いが戦争の参加者でありお互いに命を狙われている不安がないというのが目に見えている方が、精神的にはよろしい。 この申し出は杏としても自身のランサーであるジバニャンを見せなくていいというのは少しだけ気が楽だった。 ただ、隣で少し身体をこわばらせたきらりの反応だけは、気になった。 「それと、桜ちゃんは知世ちゃんを探してるから、わがままかもしれないけど、知世ちゃんのことから聞かせてもらってもいいかな?」 最後の一つは、知世ちゃん(大道寺知世、もうひとりの少女・木之本桜の友人であり聖杯戦争のマスター)についての情報提供を先に行うこと。 江ノ島盾子はそれらを二つ返事で快諾したあと、慌てて杏たちにもそれでいいかと確認を取った。 きらりが頷いたので、杏も不承不承ながら頷きを返す。どうにも流れが早すぎる。『蜂屋あい』と『江ノ島盾子』にこの場の流れを決められて話を進められている気がする。 気にしすぎと言われればそれだけだ。もともと知り合いだったらしい彼女ら二人が善意から場を繋いでくれているのかもしれない。 それでも、杏の中に生まれた疑念もまた、払拭されずに残ったままなのだ。 「……大道寺知世は、アサシンのサーヴァントによって誘拐されました」 「アサシン……」そのクラス名を繰り返したのは知世の友人の桜だ。 「暗殺者のクラス、気配を絶することが出来る者が多いと聞きます」答えるのは彼女のサーヴァント、セイバー。一時停戦となった今もやはり警戒は解いていないらしく、桜の隣に腰をおろしている。 暗殺者という説明を聞いた桜の顔からすっと血の気が引いたのは、傍目にも分かった。 「誘拐されましたが、アサシンの目的は大道寺知世の殺害ではありません。 令呪の回収を目的としているようでした。中等部の方に向かっていたので、そちらにマスターが居たのだと思います」 桜の顔色から彼女の不安を読み取ったのか、ランサーはすぐに『大道寺知世の一応の無事』の根拠を口にした。 それを聞いて、桜の顔色が少し良くなったが、その代わりに少しだけ落ち着きがなくなった。 知世の無事を知り、知世の生存に希望が持てるようになり、早く動き出したいという思いが現れてるようだ。 「ランサーさんは、なんでそんなにアサシンさんにくわしいの?」 「それは……」 当然の問いを蜂屋あいが口にする。そこは杏も聞いていて気になった。 気配遮断で姿を隠せるアサシンのクラス。しかしランサーはその存在だけでなく進路や目的までしっかりと把握していた。 まるで見てきた……いや、本人から直接聞いてきたかのような説明に、卓上を交錯していた幾つもの視線がランサーに向けられる。 ランサーは少し考えた後で、意を決したように、その手品の種を明かした。 「……私のスキルの一つに、『困った人の心の声が聞こえる』というものがあるからです。 相手が内々の策を練っており、それを見抜かれては困ると相手が思っているなら、私はそれを聞き取ることが出来ます」 読心術。その答えも一応は納得の行くものだった。 確かに心の声が聞こえたならばアサシンの動向を筒抜けにすることも出来る。 一番疑って掛かりそうなセイバーが得心言ったように見つめているのを見ると、あい達の襲撃の際にもその読心術を思わせる行動はあったらしい。 一応は本当のことを言っているのだろうと杏も判断し、心の中にとどめておく。 「私から提供できる情報は以上です」 ランサーは語るべきは語り終えたとばかりに席についた。セイバーと違い武器を消している。 それは、『襲撃者』である彼女なりのあいたちへの心配りなのかもしれない。 「じゃあ、次は……普通の情報交換でいいかな?」 ショートケーキ、チョコレートケーキ、ラズベリーケーキ、フルーツタルト、プリンアラモード。 戦争には似合わない、綺麗なものたち。芳しいほどの平和たち。 運ばれてきたケーキと紅茶を配りながら、お誕生日席の江ノ島盾子がきらりの隣にランサーが座ったのを確認して切り出した。 「普通のって、なにするの」これは杏。別に江ノ島盾子に噛み付くわけではなく、何を話せば良いのかがまったくわからないからの質問だ。 「えっと……今日のこと、とか。話したくないならいいけど……駄目かな?」 悪いことではない。 ランサーについては不問と約束したが、他の情報については別だ。 例えば、杏たちが目撃した光の槍。あの場に居た桜やあいならばあれがなんだったかを知っているはずだ。 危険ならば備える必要がある。仲間になれるようならばきらりとともに一考する必要がある。 「いいんじゃない。別に」 「本当!? あ、じゃあ……杏ちゃんから聞いてもいいかな?」 「えー、めんどい」 話の流れで最初を任されそうになり、即座に拒否する。 先陣を切るなんてのはいつもの杏は絶対に嫌だ。 「そんなこと言わずに」なんて江ノ島盾子は言うが、面倒なものは面倒なんだ。 「そうだ。きらり、杏の代わりに説明しといてよ」 「んもう、杏ちゃん! きらりとさっき会ったばっかりでしょ! ちゃんとやろうよぉ!」 ちょっとだけ良くなった空気の中、きらりが笑ってくれるなら悪くないかと思い次は杏の手の内を明かす。 と言っても、聞かれて困ることはなにもない。本当に、きらりを探す以外はなにもやっていないのだから。 「はいはい、あーめんど。今日のことねえ……朝はゲームして、昼前にタクシー乗って……って、そんなこと聞きたいわけじゃないよね。 杏はなんもしてないよ。聖杯戦争についてはなーんにも。あーでも、きらりに会うために結構歩き回ったね」 「……ありがとにぃ、杏ちゃん」 「いいって。あーでも、あとで飴買ってよ。ほら、なんだっけ、あの、通知のときに配られたお金でさで」 「ねえ」 かちり。かちん。聞こえた音はなんだったんだろうか。 聞きなれないその音を鳴らしたのは、杏か、きらりか。それとも杏たちの会話に割り込んできた蜂屋あいか。 「ずっと気になってたけど、そっちの子が『諸星きらり』ちゃんなの?」 かちり。かちん。もう一度。脳裏に浮かぶのはぐるぐる回るファンの陰。 きらりの纏っている雰囲気が、明るいものから暗いものへ変わったのが、強く感じられた。 「あいちゃん、知ってるの?」 「つうたつで教えられたけいじばんにね、書いてあったの。 高校でたくさん人が死んだんだって……」 かちり。かちん。 杏としても、きらりとしても、触れてほしくない部分だった。だが、掲示板を読まれていたのならば避けては通れない話題だった。 杏も、いつかきらりが落ち着いたら事の真相を知らなければならないとは思っていたことだ。 当座はきらりのために聞かないでおこうと思っていたが、掲示板の書き込みからきらりに対して不信感を抱いている他参加者がそこを正しておきたいというのもまた当然のことだろう。 「ね、ねえ!! あいちゃんたちはどうだったの!!」 かちり。かちん。 漂いだした不穏な空気を吹き飛ばすように、いつもよりも大きな声で江ノ島盾子が割って入る。 その様子は、きらりのために必死という他ない様子。 あいたちはその様子から触れてはいけないなにかを察したのか、ちょっとだけ息を呑んで、きらりに向けていた目線を申し訳なさそうに伏せた。 きらりもまた、顔を伏せたままだ。 大きくため息をついて、人差し指でぽりぽりと頭を掻く。 「あのさ」 備え付けのソファーにぐでぐでにもたれかかっていた姿勢から、背を起こして姿勢を正し、あいと桜を見つめる。 杏がきらりのために出来ることは何か。 正答かどうかは分からないが、やっておくべきことは分かった。 「掲示板に色々書いてあるみたいだけど……杏の知ってるきらりはあんなことするわけがない優しい子だから。 ……だから安心してよ、なんて言えないけどさ。もう少し――」 それは当たり前の言葉だった。当たり前の返しだった。 長々話すのは面倒だが、百回同じ場面に出くわせば、百回同じことを口にするはずだ。 当たり前過ぎて、見逃してしまった。目の前を揺れている糸についていた小さな蜘蛛を。 「――きらり?」 きらりの大きな瞳は固く瞑られ、目の端には大きな真珠みたいな涙が浮かんでいた。 彼女の触れてはいけない部分に触れてしまったようで、少しバツが悪くなる。 なんてのは、 かちり。 振り返ってみればわかる。 あの時聞こえた音は、撃鉄を上げる音と引き金を絞る音だったのだと。 四人で回していた目には見えないリボルバー。 杏の前に置かれたそれが放つのは、軽い音ではなかった。 友情に火が灯る。優しさの弾丸は、運悪く引き金を引いた少女目掛けて飛び出した。 ◇◇◇ 双葉杏は、最後の最後まで心の何処かで事実に抗っていた。 なぜなら、双葉杏は過去の諸星きらりを知っていたから。 優しい子だった。小さな子とも仲がよく、面倒見がよく、真面目で、見た目に似合わないくらい乙女趣味。 優しさからバチをかぶることはあっても、笑顔を絶やさない。 いつでもおひさまの方を向いてにっこり笑っている、背の高いひまわりみたいな子だった。 だから、双葉杏は考えなかった。考えたくなかった。 まさかあの高校での惨劇を演じた狂気のヒロインが本当に諸星きらりだったなんて思っていなかった。いや、彼女がそんなことをするはずがないと信じていた。 全部が嘘じゃないとしても、一部が本当であったとしても。 いじめのことが本当だったとか、学校内で襲われて逃げ出したとかそれだけで、彼女が『殺人』に関わっている事実だけは別。 心の何処かで、そうあって欲しいと願っていた。 だから、口に出してしまった。「きらりはあんなことをする子ではない」と。 当事者であるきらりがどう感じるのかをまったく考えずに。 その言葉が、遠因的にとは言え『あんなこと』を起こしてしまったきらりをどれだけ傷つけるかを考慮せずに。 信じる心の持つ力は強い。 積み重ねた時間が産んだ正当なる信頼は、『いつもの諸星きらり』という理想は、ねじ曲がってしまった少女の日常を押しつぶしてひびを入れるには十分な圧力だったのだろう。 信じる心が圧を掛け、優しい心が放たれる。 トリガーが引かれた。 トリガーを引いたのは、この聖杯戦争でもっともきらりを思う双葉杏だった。 トリガーを引いたのは、ニートな少女がそのために駆け回ろうと思うほどの強い信頼だった。 放たれる弾丸もまた優しさだった。 狂い乱れる憤怒を媒介とした、少女を守りたいと願った小さな優しさだったものだ。 二人はともに信じていた。 諸星きらりという少女の善性を信じ、諸星きらりを救いたいと願っていた。 信じる心、優しい心。 とっても素敵な二つの願い。 そんな綺麗なものによって、世界は、色を変えていく。 ◇◇◇ 一瞬にして空気がドス黒く染まる。 そのドス黒い空気が殺意だと理解した瞬間、双葉杏は大声で叫んでいた。 「ランサー!!」 「■■■■■■ーーーーー!!!!」 怖気が人の形をしたような異形がそこに現れ、拳を振るう。 一打、目の前に現れた鈍色のメカニカルな猫が天井目掛けて叩き上げられる。 二打、振り下ろされる拳は着撃の寸前に人影に遮られる。轟音と風圧に伏せてしまった目を開いた時、杏の前には輝くような美貌の少女が立っていた。 ☆セイバー 憎悪を身に纏った僧兵風の男――おそらく、バーサーカーが現れるその瞬間、最も早く動いたのは双葉杏だった。 「ランサー!!」 一瞬、使い魔のような存在が宙に現れるが、僧兵のバーサーカーはその存在をアッパーカットで即座に排した。 しかしその存在の稼いだ一瞬のおかげで杏は命を繋いだ。彼女に振るわれるはずの圧倒的暴力の前に、一人の少女が立ちはだかったのだ。 魔法少女のランサーだ。杏の声に答えるように、彼女は立ちふさがり、当然のように不正だ。 そのランサーに釣り出されるようにセイバーもまた乞食清光を手にする。鞘はない。丁度いい。 すべきことの優先順位は定まっていないが、確実にやらなければならないことは判明している。 魔法少女のランサーは、少なくとも現在は停戦しており、敵対しないという約束だ。 こんな場所でバーサーカーを召喚し、戦闘を始める危険人物が潜んでいる。それも、桜たち二人と、襲われた双葉杏以外の二人のうちに。 いや、下手人はわかっている。蜂屋あいが口にしていた。『高校での殺人事件』とその犯人と思わしき人物について。 彼女が何故一時停戦の約定を破ってまで双葉杏と……いや、ここに居る彼女以外と敵対の道を選んだのかはわからない。 分からないが、ここで暴れられれば下手人――諸星きらり以外の全員が死ぬことになりかねない。 「伏せてください、マスター!」 座席の背もたれを足場に一歩踏み出し、きれいなもので彩られているテーブルに二歩目を踏みしめる。 ランサーは、セイバーの動作に一切視線をくべることもなく、まるで『そうくることを当然理解していた』かのように、バーサーカーの拳を往なして一歩退いた。 どこへやったのか、気がつけば、双葉杏も煙のように消えている。 追撃の拳からくるりと身を躱し、薙刀のような武器の柄で喫茶店の窓を叩いてガラスを砕き、喫茶店から退場する。 ランサーを追う・追わないの戸惑いが脳裏をかすめるが、それも一瞬のこと。バーサーカーの憤怒に満ちた瞳がセイバーの方に向いた瞬間に消え失せた。 セイバーの動作には少しの淀みもない。ただ、それまでがそうであり、ただ、これからもそうあるように、自身の魂を刀に乗せた。 化け物じみた身体能力で突き出されようとしているバーサーカーの右腕の内側に潜り込み、左肩に担ぐように構えていた乞食清光を返し、正眼に構える。 切っ先が時間という概念を切り裂き、切り捨てられた因果が捻れて狂う。刹那の間に三撃の突きが重なる。 無明三段突き。残像すら生まぬ、まったくの『同時』で突き出された、突きの極地と呼ぶべき三連攻撃。 交錯の直後に吹き出した鮮血は、当然バーサーカーのものだった。 僧兵のバーサーカーの胸元に突き刺さった乞食清光の切っ先と、自身の手に残る感触がセイバーの脳内に警鐘を鳴らす。 重心をずらすのが間に合ったのは、その警鐘に従えていたからに他ならない。 だが、ずらすのが精一杯。殺意は既に牙を剥こうとしていた。 「■■■■■■■■■■■■――――――――ッ!!!!」 「なっ……!?」 バーサーカーの咆哮とともに手で感じていた感触が一気に軽くなる。その瞬間に警鐘の原因を理解した。 無明三段突きが完全に決まったのであればさしものバーサーカーと言えど胸に風穴を開けるくらいは可能なはずだが、どうやったのか、バーサーカーの身体はまだ形を保っている。 いや、原因はわかっている。百錬の末に体得した無明三段突きに失敗したのだ。セイバーは誰に言われるまでもなく、その事実を認識していた。 ――セイバーの知らぬところではあるが、無明三段突き不発の原因は魔法少女のランサーが初撃を耐えたことにあった。 セイバーはその一撃でバーサーカーの拳撃を通常の打撃と誤認してしまったのだ。 実際には違う。バーサーカーの拳撃は全て『二重の極み』という特殊な技法によって繰り出されている。 二重の極みとは、対象にほぼ同時に打撃を叩き込むことで一打目で反動を出し切らせ、二打目で防御を出し切った部分に渾身の一撃を叩き込むという単純明快な技術が宝具の域まで高められたものである。 魔法少女のランサーの場合、魔法の国によって作成され耐久性において絶対無敵・『絶対に壊れない』という逸話を誇る『華麗なる偉大な女王』で受けたためにその『二打目による必壊必殺』の特性を無効化出来ていたのだが、それが災いした。 だが、乞食清光はただの刀だった。 バーサーカーの拳とセイバーの刀が一瞬だけすれ違った。触れるか触れぬかの交錯。その際、バーサーカーは当然のように拳以外の場所――腕で二重の極みを発し、無防備な刀身に一撃を食らわせていた。 それ以降乞食清光は突きの速さに任せて刀としての形を保っていただけで、すれ違うその瞬間にはすでに刀としての機能を全うできない状態にあった。 結果としてセイバーは砕けかけの無明三段突きを放つことになり、その負荷に耐えきれなかった乞食清光は破砕。必殺の三撃も破片をちらして空を切るのみで終わってしまったのだ。 仮に『二重の極み』のからくりに気づいていたならば、セイバーは決して不覚を取らなかったはずだ。 閉所での戦闘でマスターが危険に晒される可能性の高さ、拳撃を受けきった魔法少女のランサーの姿。どちらかが欠けていればもっと慎重に攻められたはずだ。 彼女はひたすらに間が悪かったと言う他ないだろう。 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!」 店中を揺るがすような咆哮とともに右腕ががむしゃらに振り抜かれる。 その動作は攻撃というにはあまりに直線的。技術ではなく闘争本能から出されたと断じられる、狂戦士らしい一撃。 セイバーはずらした重心に更に足を乗せ、大きく後ろに身を反らしてその闘争本能を回避する。 胸元を掠めたが、先の警鐘が功を奏し直撃は避けた。 瞬時に『誓いの羽織』を身に纏う。ダンダラの裾がはためき、沖田総司としての本来の力へと近づく。 現れた菊一文字を手に、乞食清光を襲った謎の崩壊に知恵を巡らせようとするが。 「かはっ……!?」 刀を振るよりも速く襲ってくる、肺の内側からナイフが突き破ってくるような激痛。引き起こされる喀血。 激痛のあとに胸全体に染み込むように広がっていく鈍痛。 持病のものではない。それは長年付き合い続けてきたセイバー自身がよく理解している。 ならばこの痛みの理由は何か。心当たりは一つしかない。 セイバーが受けた身体接触は一度だけだ。先程の、胸元をかすめた一度だけだ。 もしや、あの拳の一撃で、かすっただけの攻撃とも言えない攻撃で、これだけのダメージが押し付けられたというのか。 菊一文字を床に挿して自身の身体を支え、消えてしまいたくなるほどの痛みに耐えながらなんとか顔を上げれば、既に僧兵のバーサーカーは拳を構えていた。 来ると分かっていても身体は痛みに縛られたように動かない。 「風 ウィンディ !!」 割れた窓から吹き込んできた風が意思を持ってうねり、喫茶店内のものを巻き上げる。声と魔力から、桜がクロウカードのうちの一枚を使ったというのは想像出来た。 生まれた風が鎖となってバーサーカーの体を絡め取り、その動きを制限する。 が、バーサーカーが一度体を揺すればその風の鎖はすべて霧散した。 バーサーカーの足元の床板が割れて大きくめくれ上がる。テーブルが跳ね上がり、机に並んでいた綺麗だったものはすべて砕け散ってしまった。 バーサーカーは視界を遮るそのテーブルすらも邪魔というように腕を大きく振るってテーブルを殴りつけた。 「盾 シールド !!」 いまだ体勢整わぬセイバーと桜の前に巨大な盾が展開される。だが、その盾も憎悪の一撃によって容易く割られてしまう。 狂気に支配された暴力の化身の前に再び姿が晒されてしまう。砕けた盾の向こうの矛先は、セイバーではなく桜の方を向いていた。 だが、尽きぬと思われた暴力の嵐は突然止む。 振り上げられた拳が止まった理由は、桜とバーサーカーの間に立ちはだかる人物以外にはありえない。 蜂屋あいだ。彼女が、桜を抱きとめるようにして庇ったのだ。 バーサーカーは、まるでその少女の無防備な背中によって思考にエラーが発生したように、振り上げた拳を浮かせたまま立ち止まっている。 まるニ秒は止まっていたか。セイバーが胸の痛みから立ち直れるほどには間が空いたあとで、バーサーカーは桜に向けて放とうとしていた拳をがむしゃらにふるい、セイバーを攻撃した。 今度は刀で受けるような真似はしない。床を蹴って飛び上がり、壁を蹴り、天井を蹴り、三角飛びの要領で上空からバーサーカーを狙う。 攻撃を放った瞬間に分かった。自身が想定していたよりも動きが鈍い。仕留めきれなければ反撃を受けると。 だがセイバーの奇襲もバーサーカーの反撃も不発に終わった。 地面から生えたアイアンメイデンがバーサーカーを閉じ込め、結果的にセイバーの刃も防いだのだ。 これもまた、バーサーカーの身震い一つで粉々に砕かれてしまうが。 「遊びましょう、お兄さん。今だけは貴方がアリス、そしてワタシがウサギさん。おいかけっこの始まりよ」 可愛らしい少女の声。 一人の少女によってばら撒かれた無数のトランプが宙を舞い、幻惑によって喫茶店を埋め尽くし、その場に居た人物全員の姿を一瞬隠す。 紙吹雪にも似たトランプの霧が晴れれば、数人に増えた蜂屋あいのサーヴァント・キャスターが喫茶店を縦横無尽に走り回っていた。 「■■■■■■■■■ーーーー!!!」 バーサーカーの巨体が弓のように反り、天井を突き破るほどの咆哮を上げる。 そして、目の前に居たキャスターの一人を拳の一撃で叩き潰した。彼の拳の下からは、くしゃくしゃに潰されたトランプが一枚落ちているだけ。 「鬼さんこちら、手のなる方へ」 キャスターたちが笑いながら空中を舞っているトランプに触れる。するとたちまち、ギロチンやゼンマイやブリキの馬やコーヒーカップに生まれ変わった。 そしてそれぞれが空中を散歩するように飛び回り、障害物として、あるいは武器としてバーサーカーに迫った。 バーサーカーはその一つ一つを叩き潰し、殴り飛ばし、走り回るキャスターのうちの一つの影を追う。 「わあ、素敵。ワタシが本物だって分かるんだね」 「すっごーい!」「ずるーい!」「まぜて!」「こっちよ!」「わーい!」「たーのしー!」「さあ、遊びましょう」 きゃいきゃい言いながらキャスターたち(おそらく、分身の方だ)がトランプをおもちゃや武器に変えてバーサーカーへと向かわせた。 セイバーは胸の痛みに耐えながらバーサーカーの死角を取る。 ぜいぜいという自身の息遣いが、痛みでブレる切っ先が、死角という優位性になんの意味もないことを何度も何度もセイバーに伝えてきた。 この状態で無明三段突きは放てない。相手の攻撃を見切れず反撃を許せば今度は菊一文字が無残に折られる。セイバー自身も無事で済むとは思えない。 「桜ちゃん、こっち!」 砕かれた残骸が店内を蹂躙するように乱れ飛び、建物が悲鳴を上げるように破砕音が四方八方から起こる。少女たちの笑い声と男の雄叫びが練り混ざりになり世界の空気を染め上げる。 その中で、その少女の声だけは、まるで綺麗なピアノの音のように綺麗に澄み渡って響いた。 「でも、キャスターさんが!」 「キャスターなら大丈夫。だから、行こう!」 蜂屋あい。キャスターのマスター。窮地の桜の命を救った少女。桜を救おうとする声の主は、当然のように彼女だった。 「でも!!」 「桜ちゃん! 知世ちゃんはいいの!?」 その場に残ろうとしていた桜の瞳に影が差す。 それを見逃さず、あいは言葉を続けた。 「……キャスターなら大丈夫。でも、知世ちゃんを助けられるのは桜ちゃんだけなんだよ」 諭すような言葉で、桜の心を誘導していく。 あいの言葉を受けた桜は、答えを求めるようにセイバーを見上げた。 セイバーはこれからどうするか。答えは出ていた。 「退きましょう、マスター」 敗走だ。傷を負い、ほうほうの体で逃げ出すのだからそれ以外に言いようがない。それでもセイバーは退くことを選んだ。 魔法少女のランサー、僧兵のバーサーカー、大道寺知世を融解したアサシン。そして……未だ正体不明と言って差し支えない蜂屋あい。 セイバーがここで消えれば、桜はそのすべてに一人で立ち向かうことになる。 ほんの些細な少女の願いを叶えるには、この地は敵が多すぎる。 だからセイバーは、今は敗者の誹りを受けようとも生き抜くことを選んだ。 「……うん」 気がつけば、お誕生日席の江ノ島盾子の姿も消えていた。 ランサーがぶち破った窓から飛び出し、 背を向けた喫茶店から爆発音と、破砕音と、その他色々な『死んでいく音』が生まれては消え、消えてはまた生まれていく。 走れば走るだけ、その音たちはだんだんだんだん小さくなり、最後には聞こえなくなった。 これが、僅かな休息と一時休戦の顛末だ。 ☆ 「パーティは終わり?」 「そう、終わり。楽しいダンスもこれにて終了。そんじゃ、二次会行っとく?」 舞台を回す二人の獣が、客の帰りを見届けて。 そうしてようやく、幕を引いた。 ぱちんとひとつ。手が打たれる。 すると、夢から覚めたみたいに歪んだ世界はもとに戻って。 一時休戦。 少女たちの休息。 戦争に添えられたささやかながら美しいものたち。 あとに残ったのは。 泣きじゃくる女の子と。 怒りに狂うバーサーカーと。 冗談みたいにボロボロになった喫茶店と。 踏みにじられた美しいものたちだけだった。 ☆双葉杏 後ちょっとのところまで手繰り寄せられたはずの糸は、手をすり抜けて離れていってしまった。 双葉杏には、変わっていく状況をどうにもできなかった。 どこで何を間違ったのか、杏にはわからない。 ただ、わかったのは。バーサーカーが現れたあの瞬間、杏の方を向いたきらりが泣いていたこと。 そして、杏がきらりを泣かせてしまったということ。 最後に、きらりを泣かせてしまった杏に、バーサーカーは激怒していたということだ。 「むっちゃ痛かったニャン……」 アニメみたいなたんこぶをこさえたランサーが、シクシク泣いている。 ランサー曰く、防御面で優れたロボニャンが最初の一撃でぶち壊されたのだという。 そんな状況でランサーが助かったのはせめてもの救いとしか言えないだろう。 気がつけば袋の中にランサーともどもしまい込まれていて、数分くらい経ったあとで袋から出れば、そこは見ず知らずの公園だった。 どうやら助けてくれたらしい魔法少女のランサーは、ノックダウンしていた杏のランサーを腰に下げた袋から出した。 「ねえ……あのサーヴァントってさ」 「……私は、蜂屋あいのサーヴァントを知っています。青い洋服を来た少女でした」 思った通りの答えに、ため息をつく。 そして、ようやく自身の間違いに気づく。 高校での殺人事件の犯人はあのバーサーカー。他ならぬきらりが呼び出した怪物。 きらり自身に罪があるかどうかは分からない。杏は今もきらりの潔白を信じている。 だが、きらりが自身に罪があると感じてしまってもおかしくない。 そこを理解できずに、地雷を踏んでしまったというわけだ。 あまりの悲惨さに自嘲したくなる。 きらりを救うと息巻いて、きらりのために戦うんだと決心して、きらりを傷つけていたんじゃ意味がないじゃないか。 あまりにも無神経で。無知で。そして無力で。 きらりの友達を自称しながら、きらりを追い詰めてしまったのが情けなくなる。もう何もかも投げ出してしまいたい。 それでも杏が自暴自棄にならなかったのは、きらりの涙があったからだ。 きらりを泣かせたまま、自暴自棄になる訳にはいかない。 なによりもまず、謝って。わけを話して、それからだ。 自暴自棄になって、家に引きこもって、自己嫌悪に陥るのはそれからにする。 だから杏は顔を上げた。 眼の前に居る、江ノ島盾子のサーヴァントと向き合った。 「なんで杏を助けたの」 「……」 江ノ島盾子のサーヴァント――魔法少女のランサーと杏は救い救われするような利害関係にはなかった。 あの瞬間に助けてもらえる理由はないはずだ。 「最初に会った時、きらりさんは泣いていました。 ……私は彼女をなんとかして助けてあげたいと思ったんです」 魔法少女のランサーは、ぽつぽつと語りだす。 杏と出会う前のきらりのことと、彼女が杏を助けた理由と。 「だから、きらりさんの知り合いの貴女には死んでほしくなかった。 貴女がきらりさんのサーヴァントに殺されてしまったら、きらりさんはもう笑えなくなるから」 「……そっか」 嬉しい話だった。これが江ノ島盾子のサーヴァントでなければ握手の一つでもしたいくらいに。 杏自身の命を救ってくれたこともそうだし、きらりのためを思ってくれているというのもそうだ。 だが。 息を吸い、魔法少女のランサーの目を見つめて伝える。杏の中のありのままの気持ちを。 「先に言っとくと、杏はアンタのこと、まったく信用してないから。 だってアレのサーヴァントなんでしょ、アンタ」 アレ、が指すのは当然江ノ島盾子だ。 杏を救ってくれた。きらりのために動いてくれた。それはありがたい。 だが、それでも彼女は江ノ島盾子のサーヴァントだ。理由はないが、杏はやはり江ノ島盾子のことを信用できない。 疑ってかかる杏に、魔法少女のランサーは憤慨するでも悲哀するでもなく、驚くべき一言で返した。 「私のことは信用してくれなくて結構です。そして、江ノ島盾子のことは絶対に信用してはいけません。 彼女は、この聖杯戦争を加速させて楽しんでいる。戦火を……絶望を広げて面白がっている」 「え……マジ?」 「信じるかどうかは貴女に任せます。でも、私ではなく、『きらりさんを助けたい』という思いだけは信じてほしい」 唐突に告げられる、自身の仮説の肯定。 『きらりを助けたい』。そう言い切った魔法少女のランサーの目に一点の陰りもない。 これが読心術を用いた演技ならば、杏にはもう太刀打ちできない。 そういう逸話があれば、そういうスキルを持って顕現しているのだろうから。 杏のそんな困った心の声を聞き届けてか、魔法少女のランサーはまた言葉を継いだ。 「信用に足るかはわかりませんが、私の真名を教えておきます。 私の真名は――『魔法少女狩り』スノーホワイト……姫河小雪です」 年相応の少女のように礼をする魔法少女のランサーに、杏のランサーは「オレっちはジバニャンだニャン!」と迷わず返事したのでたんこぶとは別の位置を殴っておいた。 たいした痛みでもないだろうにサッカー選手のように大げさににゃあにゃあと騒ぐランサーの姿に、魔法少女のランサーは呆れたように笑う。 真名が分かれば、逸話を知ることが出来るし、スキルを知ることも容易だろう。 これは本当に、本当のことを言っているのかもしれない。 杏のことを信頼して、きらりを助けるための手助けをしようとしてくれているのかもしれない。 だから杏は大きなため息をついて、いつものように口にした。 「……はあ、面倒くさいなあ」 「いてて……ってかマスター、それ言っちゃうのかニャン」 「面倒なものは面倒じゃん。やんなくていいことばっかり増えて。 杏はさ、ただ単にきらりには笑っててほしいだけなのに」 高等学校での殺人事件の真実とは。 きらりのバーサーカーが杏を襲った理由とは。 江ノ島盾子がきらりを付け狙う意図は。 きらりに感じた違和感の正体は。 それら全部がわかったとして、杏がきらりにできることとは。倒さなければならない本当の敵とは。 やらなきゃいけないことが多すぎる。 世界は、双葉杏にもっと戦えと囁いている。 どれもこれも、小さなニートの小さな手には大きすぎるものばかり。 「……どれから手を付けようかなあ」 それでも、助けたいと思うから。ニートな少女は自発的に面倒事に立ち向かう。 猫の手を借りて。困った人の心の声を聞いて駆けつけた魔法少女の力を借りて。 ☆ランサー 火蓋の切られるあの瞬間、狙いすましたように江ノ島盾子は囁いた。 (ぼーっとしてていいの、ランサー) (何がですか) (杏ちゃんが死ぬよ) 彼女がそう判断した理由は分からない。だが、ランサーは彼女の言葉の信憑性については一考の価値があると思っていた。 与太話は多い。煽りも多い。だが、彼女が本気でそうなると言ったならばそうなる。それは諸星きらりを見つけ出した時の経験則から それを裏付けるように、ランサーが身構えた瞬間殺意を持って憤怒の化身が顕現した。 ランサーが杏の救出に間に合ったのは、江ノ島盾子の一言があったからだ。 その腕力はルーラで受けたにもかかわらず相当なもので、長期戦になればなるだけランサーは不利になるだろう。 どうするか、考えるより早く身体が動いた。 声を聞き取るのも困難な強い憎悪の向こう側で敵意がランサーと双葉杏、そして双葉杏のランサーのみに向いていることを察し、双葉杏と彼女のランサーを回収して離脱する道を選んだ。 どういうきっかけかは知らないが、三人が狙われているというならば、三人が去れば敵は追ってくるか、戦闘を止めるかで被害の拡大は防げる。 木之本桜を蜂屋あいと江ノ島盾子の元に置いてくるのは気が引けた。 だが、木之本桜が蜂屋あいに対して一片の疑心も抱いていない現状ならばまだ安全であると判断し。 また、彼女が強く気にかけていた大道寺知世の情報を渡したので大きく行動を操作されることはないはず。 そして、ずっとランサーから警戒を解かずに居たセイバーならば、桜を本当の意味で救ってくれるはずと、半ば祈りながら脱出した。 (会いたくなったら呼ぶから、それまでせいぜい、楽しんどきな) 喫茶店から離れていく時、最後に聞こえた念話で、江ノ島盾子はそう言っていた。 双葉杏と話しながらも、考えるのは江ノ島盾子のことだった。 これまでの幾つものやりとりで、ランサーはようやく彼女の真意が分かってきた。 彼女はランサーに嫌がらせをしたいわけでも、ランサーを押さえつけて好き勝手に生きたいわけでもない。 いや、そういう一面もあるのだろうが、それは二の次・三の次にすぎない。 きっと、江ノ島盾子は試している。 ランサーの、姫河小雪の正義を……『希望』の強さを試している。 だから、あえてあの場でランサーに杏の死に抗わせた。 だから、杏を連れて逃げたランサーに対してなんのアクションも起こさない。 きっとこの後も、ランサーの正義に対して命題を突きつけ、その答えをランサーの隣で見続ける。 ランサーの『希望』と江ノ島盾子の用意した『絶望』、どちらが強く、正しいのかを比べたがっている。 そしてその上で、ランサーの示した『希望』を叩き潰す。そういう目論見なのだろう。 彼女の手のひらの上で踊るようで不快だが、それでもランサーは戦わなければならない。 何が正しいのか、今のランサーは果たして正しいのか。 正解は見えないが、ランサーは自身の選んだ道を進むことしか出来ない。 だがせめて、この瞬間の選択に悔いを残さぬように。 ランサーはまず、双葉杏と向き合った。 現在彼女が知る中で最も大きな『絶望』の種である諸星きらりを救うために。 (……『絶望』の種) ふと、喫茶店で聞いた心の声を思い出す。 今日の出来事を話題にしようと江ノ島盾子が提案した時、セイバーはある戦闘を思い描いた。 『病弱スキルを知られては困る』『薔薇のアーチャーとの戦闘でも発生した。長期戦に構えられれば苦戦は必至』。 『薔薇のアーチャー』。敵の肝となる部分を的確に聞き取る力が、セイバーの心からついでのように聞き取ったその名前。 その名に彩られた真っ赤な花は、ランサーにとって、決して許してはならない罪を背負い死んでいった少女のシンボル。 ランサーが英雄として祀られたならば、その少女が反英雄として歴史に残されていてもおかしくはない。いや、実際に残っているはずだ。 もしも、その『薔薇のアーチャー』が、彼女の知る人物だったならば…… 「私の真名を教えておきます。私の真名は――」 必ず倒す。 これから危険に晒される多くの人々と。 これまで救えなかった多くの魔法少女と。 選べなかった過去に報いるために。 「『魔法少女狩り』スノーホワイト……姫河小雪です」 【C-4/小さな公園/1日目 夕方】 【双葉杏@アイドルマスターシンデレラガールズ】 [状態]精神的疲労(大)、魔力消費(小) [令呪]残り三画 [装備] [道具]携帯ゲーム機×2 [所持金]高校生にしては大金持ち [思考・状況] 基本行動方針:なるべく聖杯戦争とは関わりたくなかったが 0.きらりの情報を整理。その後、なんとかしてきらりを助ける方法を探る。 1.ランサー(姫河小雪)の話を聞く 2.きらりの奪還と江ノ島盾子の打倒……? 3.CDに対する発言によるきらりへの複雑な感情 [備考] ※木之本桜&セイバー(沖田総司)、江ノ島盾子&姫河小雪、蜂屋あい、諸星きらり&バーサーカー(悠久山安慈)を確認しました。 ※『今からきらりちゃんと一緒に小学校に行きます』と書き込んだのは江ノ島盾子ではないかと考えています ※江ノ島盾子はクロ認定、ランサーは半信半疑です。 ※自身がなんらかの理由からきらりのサーヴァント(悠久山安慈)の標的になっていることを理解しました。 【ランサー(ジバニャン)@妖怪ウォッチ】 [状態]ダメージ(大)、魔力消費(小) [装備]のろい札 [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:なんとなく頑張る 1.めっちゃ痛いニャン! バーサーカー(悠久山安慈)とはもう会いたくない。 2.ランサー(姫河小雪)は味方……? [備考] ※『猫に九生あり』のうち、ロボニャンが『二重の極み』で大破しました。 暫くの間ロボニャン状態への変身が上手く行かない可能性があります。 【ランサー(姫河小雪)@魔法少女育成計画】 [状態]疲労(中)、絶望(小)、ストレス [装備] [令呪] [道具]ルーラ、四次元袋 [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:出来る限り犠牲を出さずに聖杯戦争を終わらせる。 0.江ノ島盾子の思惑を破壊する。 1.…… 2.出来ることなら、諸星きらりに手を貸してあげたい。 3.幸子はことはしばらくそっとしておく [備考] ※木之本桜&セイバー(沖田総司)、フェイト・テスタロッサ&ランサー(綾波レイ)、双葉杏&ジバニャン、 蜂屋あい&キャスター(アリス)、キャスター(木原マサキ)、バーサーカー(チェーンソー男)、輿水幸子を確認しました。ステータスは確認していません。 アサシン(クロメ)の存在も知覚しています。(姿は見ていません) ※江ノ島盾子がスキル『困った人の心のが聞こえるよ』に対応していることに気づきました。蜂屋あいの心の声が聞こえません。 ※諸星きらりの声(『バーサーカーを助けたい』『元いた世界に帰りたい』)を聞きました。 彼女が善人であることを確信しました。 ※セイバーのスキル:病弱を知りました。長時間の戦闘で発生する可能性が高いことも知っています。 ※『薔薇のアーチャー』の存在を知りました。 ☆諸星きらり どうしてこうなってしまったのか、諸星きらりには分かっている。 すべては粉々に砕けてしまった。バーサーカーの手によって、砕かれてしまった。 あとに残ったのは、ぼろぼろのお店とまた一人ぼっちのきらりだけ。 桜ちゃんも、あいちゃんも、いい子だったはずだ。 盾子ちゃんも、杏ちゃんも、きらりの大切な友達だ。 うまくいくはずだった。 それでも、どうにもならないことがあった。 それは過去だ。 いい人が集まって、上手くいくはずでも、きらりの過去は変わらない。 あの日、きらりをいじめていた子たちをバーサーカーが殺した事実は変わらない。 いつかのままの杏ちゃんの笑顔を見るたびに、良心が痛んだ。 サーヴァントという単語が出るたびに、胸が苦しくなった。 学校の三人は、きらりのせいで死んでしまった。 きらりがあの三人を殺したのと一緒なのだ。 そのことを杏ちゃんに知られて、杏ちゃんに嫌われるのが、どうしようもなく怖かった。 だからきらりは願っていた。サーヴァントのことに触れられず、何事もなくお話が終わることに。 杏ちゃんは、そんな駄目駄目なきらりを心の底から信じてくれていた。 その信頼が、きらりにとって申し訳なかった。辛かった。苦しかった。 杏ちゃんがきらりを庇ってくれた時、お腹の奥が刺すように痛み、悲しくないのに涙が出た。 ごめんね、ごめんねと、誰にでもなく、皆に、心の中で謝ることしかできなかった。 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■――――――ッ!!!!」 バーサーカーは一人、紅く染まった空に向かって吠えている。 わかっている。 バーサーカーはきらりを助けようとしてくれただけだ。 あの時と一緒で、きらりを助けるために、きらりの代わりに戦ってくれただけなのだ。 誰も悪くない。杏ちゃんも、バーサーカーも、誰も。 悪いのはきっと、きらり一人だ。 こうなってしまったのはきっと、きらりのせいだ。 「バーサーカーさん」 令呪は切れない。もう残りは二つだけ。 杏ちゃん、杏ちゃんのランサー、盾子ちゃんのランサー、桜ちゃん、セイバー、キャスター。 その怒りは、二つではきっと収まりきれない。 「もういいんだよ。ごめんね、ごめんなさい。もういいの」 バーサーカーを抱きしめる。 逞しい体は、きらりを守ってくれた時のまま。 悲しげな顔も、きらりを守ってくれた時のまま。 涙が彼の修験着を濡らす。赤熱した鉄のような怒りに、少し、また少しと静かな雫が落ちていく。 彼の咆哮は、千切れそうなきらりの心を表すみたいに、かすれて、宵闇の雲のむこうに飛んでいった。 【D-3/崩れた汚い喫茶店/1日目 夕方】 【諸星きらり@アイドルマスターシンデレラガールズ(アニメ版)】 [状態]精神的疲労(大)、絶望(中)、呆然、魔力消費(中) [令呪]残り二画 [装備]なし [道具]なし [所持金]不明 [思考・状況] 基本行動方針:バーサーカーを元に戻し、元の世界へと戻りたい 1.茫然自失 2.双葉杏、江ノ島盾子と合流したい。でも、杏には会えない……? [備考] ※D-4に諸星きらりの家があります。 ※木之本桜&セイバー(沖田総司)、江ノ島盾子&ランサー(姫河小雪)、双葉杏、蜂屋あい&キャスター(アリス)を確認しました。そして、その全員を信用しています。 ※三画以上の令呪による命令によって狂化を解除できる可能性を知りました(真実とは限りません) ※フェイト・テスタロッサの捕獲による聖杯戦争中断の可能性を知りました(真実とは限りません) ※ルーラーの姿を確認しました ※掲示板が自分の話題で賑わっていることをしりました ※バーサーカー(安慈)がルーラーと同じような怒りを杏、ランサー(ジバニャン)、ランサー(姫河小雪)、セイバー(沖田総司)、木之本桜に向けていることを知っています。 令呪二画ではその怒りすべてを鎮めることはできないと理解しています。 【悠久山安慈@るろうに剣心(旧漫画版)】 [状態]魔力消費(小)、強い怒り、憎しみ、胸元に傷(小) [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:??? [備考] ※雪華綺晶の存在を確認しました、再会時には再び襲いに行く可能性があります。 双葉杏、ランサー(ジバニャン)、ランサー(姫河小雪)、木之本桜、セイバー(沖田総司)、キャスター(アリス)を敵と認識しました。 標的が増え、標的が多方に散っているため自分から襲いに行くことはありません。ただしある程度接近した場合は襲撃します。 ※江ノ島盾子&ランサー(姫河小雪)を確認しました。 スキル『こころやさしいひと』の効果できらりの精神の安定に江ノ島盾子が役に立っていると察知しイレギュラーが発生。 狂化中ですが敵意を向けられない限り江ノ島盾子を襲いません。 [地域備考] ※汚い喫茶店が崩壊しました。そのうち警察等の出入りが始まります。 ☆セイバー 走って、走って、もっと走って。 気がつけば夕日は落ち、あたりは薄暗い闇に包まれ始めていた。 喫茶店からだいぶ離れたのを確認し、桜とあいは一息つき、セイバーもまた警戒を少しだけ緩めた。 キャスターの足止めが成功したらしく、バーサーカーが追ってくる気配はない。 「あいちゃん、キャスターさんは……」 「大丈夫だよ」 いつの間に持っていたのか、あいはポケットの中から一枚のカードを取り出した。 桜の持っているクロウカードと同じくらいの大きさのそれは、トランプ――ハートのクイーンのカードだった。 「これ、キャスターが作ってくれたの」 大切な物を見せるように、二人が身を寄せてそのカードを見合う。 サーヴァントが消滅したならば、そのサーヴァントの作り出した物も消滅する。 このトランプが無事な限りはキャスターは無事と思って過言ではないだろう。 「そっか」 桜の顔色はすぐれない。 知世のこと、きらりのこと、バーサーカーのこと、色々あった。仕方のないことだろう。 色々あった。そしてこれから、もっと色々あるだろう。 当座の目標は出来た。大道寺知世を攫ったというアサシンを探すことだ。 「知世ちゃん、無事だよね」 「……大丈夫。きっと無事だよ」 身を寄せ合って励まし合う桜とあいを見ながら、アサシンについて考える。 中学校の方に走っていったと言うが、相手が中学生かどうかは分からない。 ひょっとしたら令呪を奪われたあとで家に帰されているかもしれないが、可能性は低いだろう。 令呪を奪うということは、マスター同士が姿を見せ合うということ。 脱落したとは言え情報拡散の方法はある、知世が桜のことを思ってアサシンのマスターの情報を拡散する可能性もある。 相手がそれを懸念すれば、口封じのために軟禁か、記憶操作か、あるいは令呪奪取後始末か。 いずれにせよ、五体無事というわけにはいかないかもしれない。 桜にどこまで伝えるべきか迷ったが、一応『中学校に残っている可能性や家に居る可能性は低い』『人目につかない場所に隠されている可能性がある』ということだけ伝える。 隠したつもりだが、どこまで隠せたか。桜の顔は疲れの色を濃く見せたままだ。 桜は少し考えたあとで、頭の中の悩みがそのまま溢れだしたように言葉を溢した。 「これからどうしよう……」 これからどうするか。 小学生のマスター二人に手負いのセイバー一人、襲撃されれば最悪の事態もあり得る。 可能ならば誰かの庇護を受けた状態で夜を越えたいものだが、あいにくこれまで出会ったマスターにろくな者が居ない。 諸星きらりは危険だ。襲撃された以上、体勢を整えるまで近づくわけにはいかない。 双葉杏。彼女も警戒は必要だ。あの魔法少女のランサーがあいの命を狙ったのは事実だ。ランサーが救った杏もその襲撃になにか関与している可能性はある。 ならば、江ノ島盾子を頼るべきか。それもやや決め手に欠ける選択肢だった。彼女は何か不穏な気配を感じた。例えるなら…… 「なあに?」 「いえ、何も」 蜂屋あいと目が合う。江ノ島盾子の身に纏う雰囲気の奥に、蜂屋あいに似たものを感じたのは、セイバーの思い過ごしだろうか。 蜂屋あい。 桜を救い、桜のために戦ってくれている少女。 だが、この少女についてもまた、潔白ではない。 大道寺知世が攫われた時、校舎裏で彼女が見せた表情を、セイバーはまだ覚えている。 懐に入り込まれているこの距離で、蜂屋あいが何かを起こせば、セイバーは対応できるだろうか。 自身への問いの答えの代わりに、セイバーは桜に、今後のことについて進言した。 「今日はもう日も落ちました。これ以上帰宅が遅れれば、ご家族が心配なさります。 それに……恥ずかしながら、私もダメージを負っているため、これから暫くの間、戦闘で十全の成果をあげられるとは限りません」 「……そうだね。一回帰ろうか」 その笑みは弱々しい。 セイバーは、少女の笑顔一つ守れない自分の不甲斐なさに、拳を固く握るしかできなかった。 ☆蜂屋あい 身体が動いたのは、バーサーカーの暴走の直後に江ノ島盾子がこちらを見て微笑んでいたからだ。 バーサーカーの暴力から逃げようともせず「さあどうぞ」というように、あいに向けて微笑んで、ぱちりとウインクを飛ばしたからだ。 少なくとも彼女はあの事態が発生することを知っていたし、その結果がどうなるかを理解していた。 理解した上で、あいに向けて微笑んだ。あいが一番望んでいることの答えがそこにあると見抜いていた。 結果は上々だ。あいはまた、桜の色を楽しむことが出来た。 あの場で見たいくつもの色を反芻する。 少し濁ったけど暖かさは変わらない橙色。 諸星きらりは、誰よりも強い暖かさを持っていたはずの少女だった。 でも、江ノ島盾子が喋るたびに、色は濁り、澄み、また濁りを繰り返していた。 ある程度濁るとバーサーカーが現れたところから、彼女はきっと繊細なんだなあと思った。 誰にも負けないピカピカのピンク。 双葉杏は、一生懸命に光っていた。 それでも、その光は、飲み込まれていくだけの光で、せっかくきれいなのにもったいないなあと思った。 真っ黒。 江ノ島盾子は、真っ黒だった。吸い込まれるほどの綺麗な、今まで見てきた中で一番きれいな真っ黒。 橙色にそっと黒を混ぜ、ピカピカのピンクの光を塗りつぶす。他の人まで黒くしてしまうほどの黒。 でも、真っ黒なのに他の真っ黒な人たちとは違い、元気で、よく笑っていて、他人を拒まず惹きつける。そして皆に少しずつ黒を渡していく。 宇宙の何処かにあると聞いたブラックホールは、ひょっとしたら江ノ島盾子の形をしているのかもしれない。 図工の時間を思い出す。 パレットの上に二つ三つと綺麗な絵の具を選んで混ざっていくと、最後にはどんな色を混ぜても黒になってしまった。 あいにとって黒は人が消える直前の色。なぜ全部を混ぜたら黒になるか不思議だったけど、なんとなく分かった。あれは江ノ島盾子だったんだ。 最後は、氷雨に濡れたような少し寂しげな桜色。 一番見たかった人の色。 隣を歩く桜を見る。 桜色は、やはり迷うように淡い色合いに変わっている。 大道寺知世について、桜が知ってしまったのがいいことか悪いことかは分からない。 大道寺知世と出会われるのはなんだか嫌だけど、大道寺知世について考えている桜はとても素敵な心の色をしている。 桜色は、時に激しく、時に繊細に、色々なパターンを見せてくれていた。 会わせてみるのも面白いかもしれないけれど、それはまたあとで。 そのまま会わせるのは、少しだけ気が引けるから。 具体的な案はないけど、もし会わせるのならば何かとびきりのサプライズを用意してあげたい。 例えば、大道寺知世が固執していた『死神様』で。 あるいは、『死神様』に似た新しい『何か』で。 大道寺知世のクラス皆で大道寺知世『で』遊んでもいい。 大道寺知世諸共キャスターの『オトモダチ』にするのも楽しそうだ。 それらを見た時、あいの隣の桜は、一体どんな色を見せてくれるのだろう。 考えると、とても心が弾んだ。 時計を見る。 江ノ島盾子との再会にはもう少し時間がかかりそうだ。 まずは桜とともに、何か行動を起こすべきだろう。 桜はきっとアサシンについてあいと情報を交わす。 だからあいは、そこで桜に少しだけ知恵を貸してあげる。 あいが望むように桜が動いてくれる、そうなるための知恵を。 桜を家まで送り届けるか、桜に家まで送り届けられるか。 その後に、江ノ島盾子に会って、一度お礼を言おう。 それからは……他の人の前では出来ない内緒のお茶会を開く。 ポケットから取り出したトランプ、キャスターの置き土産に変わりはない。 キャスターは果たして帰ってくるのか、それとも小学校の陣地作成に取り掛かるのか。 覗き込んだハートのクイーンは、ただ静かに笑っている。 【C-3/歩道/夕方】 【木之本桜@カードキャプターさくら(漫画)】 [状態] 疲労(中)、魔力消費(中) [令呪]残り三画 [装備] 封印の杖、 [道具] クロウカード [所持金] お小遣いと5000円分の電子マネー [思考・状況] 基本行動方針:知世ちゃんを探す 0.知世を探す。午後には中学校に居た。 1.一度帰宅……? 2.知世を攫ったアサシンの手がかりを探す。 [備考] ※双葉杏、江ノ島盾子&ランサー(姫河小雪)、諸星きらり&バーサーカー(悠久山安慈)を確認しました。 ランサー(ジバニャン)に関しては現れたのが一瞬であったため「何かが居た」としか把握できていません。 【セイバー(沖田総司)@Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚】 [状態] 疲労(中)、胸部への重大なダメージ [装備] 折れた乞食清光 [道具] なし [思考・状況] 基本行動方針: さくらのために 1.諸星きらり、双葉杏を警戒。江ノ島盾子、蜂屋あいは……? 2.今後どう動く? 3.鞘はもう、必要ないか。 [備考] ※江ノ島盾子、双葉杏、諸星きらり&バーサーカーを確認しました。 ランサー(ジバニャン)の魔力を確認・姿を視認していますが、形態変化した状態であったため正確な情報は掴めていません。 ※二重の極みによる胸部への強いダメージによって喀血が起こりやすくなっています。時間経過で回復します。 ※乞食清光は鍔から先が粉砕しています。宝具ではないので魔力を用いれば復元は可能でしょう。 【蜂屋あい@校舎のうらには天使が埋められている】 [状態]疲労(小)、魔力消費(小) [令呪]残り三画 [装備]なし [道具]ハートのクイーンのカード [所持金] 小学生としてはかなり多めの金額 [思考・状況] 基本行動方針: 色を見る 1.さくらの色をもっと見たい。 2.江ノ島盾子に強い興味。一段落したら小学校で江ノ島盾子と会う。 [備考] ※双葉杏、諸星きらり&バーサーカーを確認しました。 諸星きらりの『色』を見ることで、今後バーサーカーの出て来るタイミングが察知できるかもしれません。 ※アリスが江ノ島盾子についていっているのは知っています。自身に特別危険が及ばない限りはほうっておきます。 ハートのクイーンのカードからアリスの分身を呼び出すことが出来ますが、分身のスペックはアリスより大きく劣ります。 ☆キャスター セイバーと木之本桜を助けた理由なんて特にない。ただ、そうした方がマスターが喜ぶだろうと思ったからだ。 あのバーサーカーと戦ったのだって、特に理由はない。オトモダチにするのは難しいかなと思ったけど、マスターの大好きな桜を連れて行こうとしたし、遊ぶには丁度いい相手だと思ったからだ。 だったら、キャスターが今マスターの側を離れたのは? これには理由がある。マスターがキャスターに念話で「小学校で待ち合わせと伝えておいて」と言ったからだ。 「へえ、あいちゃんがねえ」 あの場に残っていたマスターは二人。そのうち一人は顔見知り。もう一人は誰かも知らない人。 だったら伝えるべきは当然、顔見知りの方だと判断した。 顔見知りの少女はというと、顎に手をやり神妙な顔をしてみたり、両手の人差し指でこめかみをぐりぐりしたりと考えるような動作をひとしきり繰り返した後で胸の前で手を打った。 「多少段取りは狂っちゃったけど、一応あっちも気にしてくれてるってことかな」 ニカニカと笑いながら、ぽっかぽっかと道をゆく。 途中何人かの女性とすれ違ったかと思うと、どこから取り出したのか、少女はすごくたくさんの化粧道具を両手に抱えていた。 それらをちょちょいと動かすと、汚れていた彼女の顔はとても綺麗に作り変えられた。 お化粧が終わると、もう必要ないと言わんばかりに化粧道具を捨てながら歩いて行く。 その様子がなんだか面白かったから、キャスターはあいの元に帰る前に少女の後を追ってみた。 どうせ集合場所は小学校なのだからいいかなあと思ったし、それに、きっと面白いことが起こるならあいはキャスターを呼んでくれるだろうと思った。 少女は常に上機嫌だ。笑顔を絶やさず、携帯端末を弄っている。 「ねえ、何がそんなに楽しいの?」 「知らない? 積み木ってさ、崩すための準備をするのも楽しいけど、やっぱり崩す時がいーっちばん楽しいんだよね」 キャスターが見ていない間に積み木でも遊んでいたらしい。本当に、色々と遊びの多い少女だ。 周囲を見ても積み木が捨てられてないのを不思議に思っていると、少女は突然振り向きキャスターの顔にぐいと顔を寄せて、キャスターの頬に優しく触れた。 ぼんやりと頬に伝わる熱。キャスターのオトモダチにはない、こそばゆい命の灯火の証。初めてか、久しぶりかの生の印。 そっと手に手を重ねてみる。熱はキャスターの手にも伝わってきた。 重ねられた手のひらの向こうで、少女は、今度は優しく微笑んだ。 「それに、いっぺんあんたとも二人きりで話してみたかったんだよね。死神様」 「二人きり? ワタシとお姉ちゃんで?」 「そう、二人きり。現在話題沸騰中のご存知死神様と、そんな死神様とお話できる世界一のラッキーガールとでね」 「お姉ちゃんはだあれ?」 「私が誰かって?」「我輩が誰かと聞いたか?」「そんなことも知らないなんておっくれってる―!」 「あら、もしかして自己紹介がまだでしたかしら」「それともオレっちのこと忘れっちまったかい?」 「うぉれのことか!?うぉれのこと知りたいのか!?助兵衛か!?破廉恥か!?」「せばわもすべな」 「そう、聞かれたからには答えなければなるまい! 業界期待、新進気鋭のニューフェイス!! 絶望、絶望、絶望、すべての絶望の生みの親!! 本年度ノーベル絶望賞最有力候補にして、ビューティーマジハマリ絶望コスメランキング三年連続第一位!! 私様は……そう、私様こそが!!」「あの!」「あの!!」「あの!!!」 「江ノ島あああああああああああああああああ!!!! 盾子ちゃあああああああああああああんんんんん!!!!! 【絶望 エノシマジュンコが一体出た!】 「ってな感じで、よろしくね」 少女――江ノ島盾子が自身の名前を口にする際、アリスは不意に、自身のいつかの記憶を幻視した。 彼女の記憶に残る悪魔たちと同じような空気を、江ノ島盾子は身に纏っている。 江ノ島盾子は、ひょっとしたらいいオトモダチになれるかもしれない。 そう思うと、なんだかウキウキした。 ◇◇◇ 「にしても、大掛かりにやったねえ」 夕暮れ、逢魔が時に紅く染まる小学校。今まさにオカルトの一部へと変貌を遂げている空間に、幻影の遊園地が重なって見える。 夜が迫ったことで異界と現世が近くなっている。 いや、それだけでは説明できないほどに、遊園地の存在は濃くなってきている。 人がたくさん死んだのか、それとも他の理由からか。 どうあれ、まるで世界全体がキャスターの方に近づいてきてくれているみたいで、とてもうれしくなった。 「『死神様』についてもそうですけどぉー、これってぇー、どう見てもそれだけじゃないじゃないですかぁー?」 「それだけじゃないってなあに? どれだけがあるの?」 「思ってたよりオトモダチが多いんじゃい! あたしゃちょっとビックリしちまったよ!!」 遊園地/小学校でキャスターたちを出迎えてくれたのは、オトモダチとオトモダチ予定の子たち。 オトモダチ。ずっとキャスターと一緒に居てくれる子。『死神様』事件や、そうでない何かで死んでしまった人々。 そして、そのうちオトモダチになってくれる子たち。魅了魔法(マリンカリン)によって一時的にアリスのそばに居てくれている人々。 その人数は、もう教室一クラス分では収まらない。合唱の時は音楽室じゃなくて体育館を使う必要がある。 「そう! オトモダチをいーっぱいに増やすの! すっごく楽しいでしょう?」 「ふーん……ねえ、アンタはなんでそんなことすんの?」 「なんで……って、どうして?」 不明な問い。オトモダチを作るのに理由なんてない。オトモダチが居れば楽しいからだ。 「聞き方が悪かったね。アンタはオトモダチを作って何がしたいの?」 不明な問い。オトモダチを作ってしたいことなんてない。オトモダチが居ればそんなもの後からいくらでも考えられる。 大切なのはオトモダチを作ることだ。今、ひとりぼっちではなくなることだ。 「分かんない」 「分かんないの?」 「だってオトモダチと一緒にいれば、なんだって出来るもの! 何がしたいなんてないわ」 一人じゃダメだ。一緒に遊ぶことも、一緒に踊ることも、一緒にお茶を飲むことも出来ない。 あるいは刹那、あるいは悠久に近い時間の牢獄の中で、キャスターはずっと一人ぼっちだった。 だからオトモダチを作って遊ぶ。だから何よりもまず、オトモダチを作るのだ。 「ワタシ(アリス)はね、オトモダチがほしいの。ずっと一緒にいられるオトモダチが」 「……へえ、そういうこと。いいじゃん、分かりやすくて! じゃあ、作るべきだね。オトモダチ。それももっとたくさん」 江ノ島盾子は笑いながら肯定してくれた。きっといい人だ。 そう、オトモダチは多いほうが楽しいに決まっている。だから―― キャスターが江ノ島盾子に言葉を返すよりも早く、江ノ島盾子はキャスターに一歩歩み寄って、真剣な顔でこう続けた。 「でもさ、それ、足りないものがあるよね」 「足りないもの?」 「そう、決定的に足りてない! 私様は知っている、オトモダチってのは質より量!! ……だが、唯一量を上回るその存在の名を知っている!!!」 オトモダチが増える。とてもうれしい。とても楽しい。仲良しでいられる。 それに足りないものがあるとすれば…… 「親友だよ」 江ノ島盾子はとても楽しそうに笑っていた。だからキャスターは、その『親友』というものがとても素敵なものなんだろうと分かった。 江ノ島盾子はくるりと踵を返し、ツインテールを揺らした。その背中は幻影の遊園地のどんな遊具や拷問器具よりも大きい。 「親友ってなあに?」 「友達の中でも、いちばん大事な友達。 みんな大事なオトモダチ、でもその中でも一番大事。世界で一番大事なオトモダチ」 「世界で一番?」 「そうそう、世界でいっちばん。特別に大事。全部を投げ捨ててでも……命を投げ捨ててでも助けてあげたい人。 つまり、アンタのためにすげー頑張ってくれる、いい感じの友達ってやつ」 友達に優劣がある、というのはあまりにも斬新な概念だった。 少なくともアリスは今までのオトモダチに優劣をつけたことはない。皆仲良し、皆一緒だった。 「分かんない? じゃあ、こう言い換えようか。親友ってのは、深い絆で結ばれてて、心の奥でシンクロしてて、言葉がなくても分かり合える、自分の半身みたいなオトモダチ。 アンタはこの遊園地でいっぱいオトモダチを作った。でも、いっぱいいるオトモダチの中に、そんな素敵なオトモダチがどんだけいる?」 その説明で、ふと思い当たる光景が浮かんだ。遠い昔のような、はるか未来のような、いつ見たかもわからない光景だ。 赤い伯爵と黒い男爵。二人はいつも一緒。そしていつでも、何も言わずにわかり合って、アリスを迎えに来てくれていた。 きっと彼らみたいな関係が親友なのかもしれない。 それに対して、アリスの今のオトモダチはどうだろう。 何も言ってくれない。何も分かってくれない。仲良く遊ぶこと、お茶会を開くことは出来ても、一緒になにをやるかを考えてくれることはない。 いつか消えてしまう。聖杯戦争が終われば彼らもまた今までのオトモダチ同様アリスをおいてまたどこかに消えてしまう。 途端に、なんだか『親友』にとても興味が湧いてきた。 たとえ聖杯戦争が終わっても一緒に居られる『親友』が居れば、きっとこの先アリスがどうなっても、寂しい思いはしなくなる。 「ねえ、死神様。欲しくない? 大事な大事な、大親友」 「それって、きっととっても素敵なことね!」 大親友。 キャスターのためにとても頑張ってくれる、いい感じの友達。 キャスターの脳裏に浮かんだのは、当然、一人の少女の姿だった。 そういえば、考えたことがなかった。何故失念していたのだろう。 あんなに素敵な少女をお友だちにしようとしないなんて、ちょっとおかしくないだろうか。 考えてみる。素敵な話だ。 オトモダチをたくさん増やすのと一緒に、親友の作り方を考えてみたほうがいいかもしれない。 「ねえ、エノシマジュンコチャン。オトモダチって他にもいっぱい種類があるの?」 「いっぱいあるよ。あたしはね、オトモダチにだけは恵まれてきたから。 世界を変えちゃうくらい、素敵なオトモダチをたーっくさん、作ってきたからね。 オトモダチの中には『好敵手』と書いて『とも』と呼ぶようなやつも居た気がするし、『気に食わないアイツ』と書いて『ダーリン』と呼ぶようなやつも居た気がするし」 江ノ島盾子の言葉は止まらない。 そのすべてが、キャスターにとっては初めての知識ばかりだった。 その全てを吸収しながら、キャスターは江ノ島盾子とともに小学校を歩いて行く。 静寂の中夕日に照らされた廊下は、地獄に続く道のように真っ赤に染まっていた。 ☆ 喫茶店での一件、江ノ島盾子は何をしたのか。 何もしていない。他のマスターたちの命懸けの立ち回りに比べれば、彼女は姫河小雪の真似をして場をスムーズに進行させた程度だ。 では、江ノ島盾子は喫茶店での一件に何も関与していなかったのか。 そんな訳はない。 すべては彼女の手のひらの上で踊らされていただけにすぎない。 江ノ島盾子はあの場に至るまでに何をしたのか。 それを説明するには今朝よりもずっと前、予選時点で諸星きらりの事件を知った時まで遡る。 ランサーが危険人物の犯行とだけ断じた高校での一件。江ノ島盾子はすでにそこから彼女についてかなりの可能性を論じていた。 何故三人を殺したのか。諸星きらりの前評判を聞けば、彼女にジェノサイダー翔のような二面性があったとは考えづらい。 隠れて何かをするサイコパスだったとしても江ノ島盾子の情報収集能力を持って尻尾もつかめないなら相当のものだ。 何故『三人だけ』殺したのか。トイレを出れば数十数百という人間が居たのに、被害者は三人だけだったのか。 諸星きらりが犯人ではないとして、諸星きらり自身が被害者にならなかった理由はなにか。意志の統制が取れているのか。 諸星きらりについて考えれば考えるだけ、つまらない積み木は華麗に積み上がっていき、驚くほど容易に結論を導き出せた。 そこから、諸星きらりは結局『被害者』であり、その三人殺しの一件に関しても傍観していたのみであると考察した。 本人が学校に現れなくなったこと。予選期間以降事件が続かなかったこと。その他色々な要素で真実を組み上げていく。 結果、江ノ島盾子はきらりの召喚したサーヴァントがバーサーカーあるいは危険思考を持つサーヴァントであるとまず推論し。 そしてきらりの召喚したサーヴァントの凶行の原因が『諸星きらりへの敵対行動』であると見抜いた。 ここで言う敵対行動が『どのライン』かはわからない。だが最初の現場を何度も頭のなかで検証し直した結果、興味深いことに、『諸星きらりの絶望』が関与しているということは掴んだ。 それが彼女の用意した、この喫茶店での崩壊劇の最初のコマだ。 そこから彼女は当然のように諸星きらりの居場所を割り出し、当然のように諸星きらりの懐に入り込んだ。 そこから江ノ島盾子の方針はまず『諸星きらりの味方になり、安全圏から彼女のバーサーカーを誘導する』ことに焦点を定めた。 相手は誰でも良かった。諸星きらりに敵対させて、諸星きらりの正体をもう少し詳しく把握できるならば、誰でも。 そこで運が味方をした。天から次のコマが降ってきたのだ。 掲示板に現れた諸星きらりの友人を名乗る人物。 彼女を利用すれば、諸星きらりの運用法を知ると同時に、友人と、ついでに江ノ島盾子の不肖のランサーに絶望を味合わせることが出来る。 それは、いかにも素敵で無敵で絶望的なストーリー。 後のことは既に語られている。特に語ることはない。 こと喫茶店に至って彼女が特にやったと言えることは、最後のバランス調整くらいだ。 あいという特級の毒物を受け入れ、話題誘導を行い、杏を使いつつきらりの精神状況を操作する。 とっておきのタイミングまで諸星きらりが壊れてしまわないように、でも立ち直ってしまわないように。 時々彼女の支えとなり、時々他者を利用しながら彼女を傷つけて。表面張力によって溢れないくらいギリギリの『絶望』に保つ。 そして、最も愛すべき隣人・双葉杏に崩壊の引き金を引かせる。 結果はご覧のとおり。 双葉杏の優しさに溢れた心無い一言で諸星きらりの精神は一定レベルを超過。 バーサーカーが現れて、あの場の全てをめちゃくちゃにした。 だが、バーサーカーは江ノ島盾子を狙わない。なぜなら江ノ島盾子はあの瞬間『何もしていない』のだから。 荒れ狂う状況の中で諸星きらりの携帯端末を片手に、鼻歌交じりでキャスターの本体と喫茶店を悠々と出ていけたくらいだ。 バーサーカーは蜂屋あいを狙わない、というのも予測の範疇。蜂屋あいは諸星きらりとほとんど敵対せず、木之本桜を守るためだけに身を晒した。 無辜の被害者を増やさないという特性上、明確に敵対さえしなければ敵にならない。その行動原理のある種の穴をついたわけだ。 きらりの影に隠れ、バーサーカーの影に隠れ、戦闘の煙に紛れ、行った悪事は皆無。 だが、彼女は扇の要だった。あの瞬間のすべては、江ノ島盾子によって操られていた。 演出家・江ノ島盾子はその場で自身の創り上げた物を前に、いつものようにこう呟くのだ。 「ああ、やっぱり世界は絶望的なまでに美しい」と。 ……江ノ島盾子はそんなこと呟いたことがない? そんなこともあるだろうね。私様はとても飽きやすいから。 彼女の立場は明白だ。 諸星きらりの一番の理解者だが、彼女という爆弾を利用して生まれるはずの和平の芽を焼き払った。 バーサーカーが暴走しないように手綱を取れる唯一の人物だが、彼を陰から操り無辜の被害者を増産する。 双葉杏の身の安全を保証するが、その代わり彼女の信頼で諸星きらりをぶち壊した。 ランサーに対して彼女の正義を肯定するが、肯定した上で絶望で叩き潰す。 木之本桜から当座の敵を引き離す代わりに、彼女にとって最大の敵への警戒心を消した。 セイバーの窮地を救う手助けをするも、眼前の情報を捻じ曲げて後の大爆発の布石を討つ。 蜂屋あいの道楽のために助力するが、一方で蜂屋あいに対しても大きな爆弾を背負わせた。 キャスターに最も輝かしい夢を与え、その夢のためという建前で彼女を使い潰す。 諸星きらりとバーサーカーの味方であり敵。 ランサーの味方であり敵。双葉杏の味方であり敵。 木之本桜とセイバーの味方であり敵。 蜂屋あいとキャスターの味方であり敵。 理解不能なスタンス。だが、なんとも江ノ島盾子なスタンス。 全人類の敵であり、あるいは全人類の味方。 広義的な意味で言えば、すべての人間に対して絶望的に平等で、絶望的なまでの中立。 貧富貴賤上下左右老若男女関係なく、分け隔てなく、みんな仲良く破滅へと導く。 江ノ島盾子とは、超高校級の絶望とは、ヒトの形をした災害と言った方がいいのかもしれない。 そして、江ノ島盾子の絶望的に強大で凶悪で狂気じみた絶望は、いつか江ノ島盾子すらも飲み込む。 きっと江ノ島盾子の最大の味方も江ノ島盾子であり、江ノ島盾子の最大の敵も江ノ島盾子なのだ。 「いいねえ、世界がドロドロのグチャグチャになってきた。 もっと過激に、もっと素敵に、キラキラぴかぴかのはっぴはぴに輝かせたいにょわねぇ #65374;!」 だが、それがいい。 理不尽だから、不条理だから、不透明だから、非常識だから、絶望的なまでに混沌であり予測不可能だから、江ノ島盾子は絶望が大好きなのだ。 結末としてその絶望が江ノ島盾子を飲み込んだとしても、それもまた、彼女の願うところに変わりはない。 だって、こんなに世界は絶望に満たされているのだから。 「んで、どうしましょうかねえ。きらりちゃんを回収するのいいかしらねえ」 「確かに諸星きらりを手元に置いておけば鉄砲玉として使えるのは利点ですもの」 「それに、小雪が居ない間僕を必ず守ってくれる人を側に置いておくっていうのはいい話だ」 「でも、あの状態のきらりんを放っておくのもとってもとーっても楽しいことになる気がするよぉ #65374;♪」 再び諸星きらり爆弾を回収するのも手。あれほど使いやすい爆弾はない。しかも江ノ島盾子は安全圏から絶望を操作できる。 諸星きらり爆弾を放置するのも手。今のきらりはニトロと一緒だ。NPC・マスター問わず少しのストレスで大爆発する。放っておけば血の雨が降って戦争を加速させるだろう。 道を探る。最適解は見えそうで見えない。 だがそれでいい。最適解ばかりではなく、時にはびっくりするほどの愚策も織り交ぜる。 きっと双葉杏は諸星きらりのためにこれから幾つもの策を弄することだろう。 その道中で杏は江ノ島盾子を最大の敵と認識するだろうし、ランサーとともに江ノ島盾子を倒すためにあの手この手を考えるだろう。 だが、双葉杏が研ぎ澄まして江ノ島盾子を追えば追うほど、途中に挟まれるなまくらな一撃は彼女の頭の中の江ノ島盾子の姿を隠す。 ◇◇◇ 「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な……うーん、実際どっちもいいんだけど」 キャスターと話しながらの楽しい道中も終わり、一つの部屋の真ん中で椅子に座って足を揺らす。キイキイという背もたれの軋む音は、楽しげなお茶会の声。 入るのにはやや苦労したような気もするし、まったく楽勝だった気もする。 ドアを開けた瞬間、NPCが何かを言っていたが、そんなのすぐに聞こえなくなった。江ノ島盾子には既に彼らよりも大切なものしか見えていない。 だからキャスターにすべてを任せて、江ノ島盾子は自身の目的に邁進した。 「きらりんよりも面白そうなことも起こってんだよねえ」 江ノ島盾子は忘れていない。自身の起こした行動の他に舞台を動かす大きな力があったことを。 喫茶店できらりと杏と三人で見た光る空を。爆発を。 小学校周辺で大規模な戦闘。諸星きらりと同行していたことで参加できなかった本日のメーンイベント。 彼女はその様子を今しがたほぼ全て確認した。小学校中に備え付けてある監視カメラと、それと連動しているレコーダー・モニターを使って、だ。 モニターの向こう側に広がっていたのは、江ノ島盾子とはまた別の絶望の火種たち。 フェイト・テスタロッサによって引かれた引き金に、蜂屋あい・木之本桜と自身のランサーの闘争。 校門前での無防備な少女と不敵な男、助けに入った素敵な素敵な私様のランサーに、襲撃してきたサーヴァント、もう一人増える少女と、乱入してくる未確認飛行物体。 そこで小学校周辺の騒動は終わり。警察や消防が現れて現場を調査するも驚くほどあっさりと捜査を切り上げて帰っていく。 調査が杜撰すぎる。主催者による何らかの情報操作が超常の力で行われた可能性は高い。 例えば……ランサーの記憶の中にあった『感情を伝播する魔法』のような力。江ノ島盾子の暮らしていた世界には存在しなかったそんな力で、主催が介入したと見ることも出来る。 NPCが人間を真似た偽物であるがゆえに本物のような危機意識を持っていない、と言ってしまうのも簡単だが、見ず知らずのことが多いこの世界ではすべての可能性が肯定される。 考えれば考えるだけ、世界の闇は晴れていき、壁のように広がる底に近づいていく。 しばらくすれば録画した映像の再生は終わり、現在の映像が映し出される。 そして、また一つ、重要なものが見える。 「成程、白坂小梅ちゃんね」 その姿には見覚えがある。NPC時代にテレビや雑誌でよく見た顔によく見た姿だ。 情報も頭に入っている。白坂小梅。13歳。中学一年。霊感の強さと電波系に片足を突っ込んだキャラクターで業界の最前線を攻めているアイドルだ。 そんな少女が、何故ここに居るのか。 キャラ付けのためにちょっと爆発現場によってさっと死体を見て帰るというふうではない。忘れ物を取りに来たにしては小学校前に固執している。 どちらかと言えば。 「行ったり来たり、探してるのはどっちだろうね」 左手に握るのは携帯端末。諸星きらりと双葉杏の絆の証の入ったもの。自称アイドルであるきらり・杏と顔見知りという線は捨てがたい。 右手に握るのはリモコン。輿水幸子と星輝子の絆の証を映すもの。仲良し三人組、なんらかの情報を共有している可能性はある。 どちらかか、あるいはどちらもか。 どちらにしろ、そこから広がる未来は見え透いている。再会し、抱き合ってお互いの傷を舐めあい、身体を寄せ合って戦い、幸せな未来に夢をはせる。 反吐が出るほどに陳腐なストーリーだ。予定調和に溢れた『希望』の物語、これほど見ていてつまらないものはない。 江ノ島盾子の中でスイッチが入る。そのスイッチに動機はない。理屈はない。意味はない。 ただ、水が高いところから低いところに流れるみたいに。軽い気体が部屋の上に集まるみたいに。使い続けたコップが汚れるみたいに。 全く自然の道理として。江ノ島盾子の視界に入ってしまったがゆえに、白坂小梅も今、江ノ島盾子の標的になった。 何か理由が必要だったとするならば、白坂小梅が諸星きらりや双葉杏や木之本桜や蜂屋あいと同じく、江ノ島盾子と同じ時代を生きる人間だったというだけで説明はつくだろう。 小梅の存在と江ノ島盾子の気まぐれが、双葉杏が諸星きらりについて最大限の思考を巡らせているであろうこの瞬間に諸星きらりへの対応をひとまず置いておく、という愚策中の愚策を突っ込ませた。 「ねえ、死神様」 「なあに、エノシマジュンコチャン」 「死んでる人と仲良くなれるアイドルに、興味はない?」 キャスターの笑顔は、暗闇の中でもはっきりと分かるくらい、眩しく輝いていた。 【D-2/小学校・警備員室/夕方】 【江ノ島盾子@ダンガンロンパシリーズ】 [状態]健康、絶望的にハイテンション [令呪]残り三画 [装備]諸星きらりの携帯端末 [道具]なし [所持金]大金+5000円分の電子マネー(電子マネーは自分の携帯を取り戻すまで使用できません) [思考・状況] 基本行動方針:絶望を振りまく 1.次なる絶望の仕込み。ここらで一発スペシャルなオシオキとかどっすか? 2.諸星きらりをプロデュース……は、一旦後回しとかどうにょわかねえ。 [備考] ※諸星きらりを確認しました。彼女の自宅の位置・電話番号・性格なども事前確認済みです。 ※自身の最後の書き込み以降のスレは確認できません。 ※数十分、もしくは数時間、あるいは数日、ひょっとしたら数年は同じキャラを演じ続けられるかもしれませんし、続けられないかもしれません。 ※ランサーのスキル『困った人の心の声が聞こえるよ』に対して順応しています。順応に気付いているかいないかは不明です。動揺しない限り尻尾を掴まれることはないかもしれません。あるかもしれません。 ※バーサーカー(悠久山安慈)の敵対のきっかけが『諸星きらりの精神・身体に一定以上の負荷をかけた相手(≒諸星きらりを絶望させた相手)』と見抜きました。 そのラインを超高校級の絶望故に正確に把握しています。彼女自身が地雷を踏むことは(踏もうと思わない限り)ありません。 ※小学校校門前での闘争を確認しました。 その過程で輿水幸子、星輝子がマスターであると確認済みです。現在白坂小梅が小学校前をうろついているのも確認済みです。 【キャスター(アリス)@デビルサマナー葛葉ライドウ対コドクノマレビト(及び、アバドン王の一部)】 [状態] 魔力消費(中)、陣地とオトモダチのMAGにより魔力回復中 [装備] なし [道具] なし [思考・状況] 基本行動方針: オトモダチを探す 0.あいが呼ぶのを待つ。 1.面白そうなのでしばらくエノシマジュンコチャンに同行する。 2.知世をオトモダチにしたい。 3.さくらに興味。 4.サーヴァントのオトモダチが欲しい。 5.親友って素敵なこと? [備考] ※学校には何人か、彼女と視界を共有できる屍鬼が存在します ※学校の至る所に『不思議の国のアリス』への入口が存在しています ※不思議の国のアリス内部では、二人のアリスが遊園地の完成を目指して働いています ※エノシマジュンコチャンとは魔力パスがつながっていないため念話は使用できません。 ※学校に残っていたNPCをオトモダチにしました。 BACK NEXT 040 外へ 投下順 042 遊園地で私と握手 039 ああ、あの愛の喜びに満ちた 時系列順 033 青春にさようなら BACK 登場キャラ NEXT 032 友情に火を点けて - Friendly Fire - 江ノ島盾子 042 遊園地で私と握手 キャスター(アリス) 双葉杏&ランサー(ジバニャン) 047 夜の向こうで待つ人へ ランサー(姫河小雪) 木之本桜&セイバー(沖田総司) 043 帰宅 蜂屋あい 諸星きらり&バーサーカー(悠久山安慈) 053 ヒトリノ夜
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このページはこちらに移転しました きらめき 作詞/253スレ98 作曲/HUG 青い空を見上げ 思い出を呼び起こす 記憶の中の引き出し 手探りで君を探してる キャンパスに描いた 君を忘れないように 色を着けて飾った 空が見える窓際に 君の姿はまるで 無邪気な子供のようで 消えてしまった今も いつも君は僕の隣で 笑ってくれる そんな気がして 音源 きらめき(歌:少女A)
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【呼称】あきらか、akirakarion 【使用デッキ】 紅蓮影霊衣 【デッキ紹介】 音響影霊衣 紋章RR アンデ聖刻HERO 聖刻妖仙獣 sm25065806 魔装EmDD 【デッキレシピ】 sm26215028 【出演動画】学園都市デュエル 【twitter】https //twitter.com/akirakarion 【備考】 【ブログ】あきらかブログ 名前 コメント
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同名アイドル 諸星きらり(特訓前)データ プロフィール セリフ集 諸星きらり+(特訓後)データ プロフィール セリフ集 セリフ集(誕生日アイドル紹介) 同名アイドル [ラブリープリンセス]諸星きらり [CDデビュー]諸星きらり [キューティーメイド]諸星きらり [京町乙女]諸星きらり [ゴシックプリンセス]諸星きらり [ニューイヤープリンセス]諸星きらり 諸星きらり(特訓前) データ 諸星きらり 属性 パッション レア度 レア Lv上限 40 親愛上限 30 Lv1攻撃値 2120(1コスト比192.7) Lv1守備値 1400(1コスト比127.3) 最大攻撃値 5565(1コスト比505.9) 最大守備値 3675(1コスト比334.1) コスト 11 移籍金 3,050マニー 特技 なし 入手 プラチナオーディションガチャローカルオーディションガチャ プロフィール アイドル名 諸星きらり フリガナ もろぼしきらり 年齢 17 身長 182cm 体重 60kg B-W-H 91-64-86 誕生日 9月1日 星座 乙女座 血液型 O型 利き手 右 出身地 東京 趣味 かわいい物集め CV 松嵜麗 セリフ集 セリフ 内容 プロフィールコメント 「にゃっほーい! きらりだよ☆あれあれ? お仕事でお疲れなのかなぁ? きらりんのきゅんきゅんぱわーで心も体もスッキリさせちゃうよ! せーの、きらりん☆」 親愛度UPコメント 表示 「うぇへへへ! きらりと○○ちゃんはバッチシよね☆」 親愛度MAXコメント 表示 「きらり、こんな感じだけど○○ちゃんとだったら頑張れる気がしてるの、ほんとだよ? うきゃーマジメうきゃー!」 リーダーコメント 「きらりんぱわー☆」 あいさつ 「はっぴーですかー☆」 あいさつ 「きらりん☆」 あいさつ 「にょわー!」 あいさつ 「○○ちゃんもきらりとハピハピしよ!」 あいさつ 表示 「○○ちゃん、きらりと一緒に…にゃは☆」 仕事終了時 「おっすおっすばっちし!」 仕事終了時 「がんばるにぃ!」 仕事終了時 「おにゃーしゃー☆」 仕事終了時 「○○ちゃんも一緒にきらりんの練習すぅう!」 仕事終了時 表示 「○○ちゃんとお仕事してるとニヤける! ヤバーい!」 諸星きらり+(特訓後) データ 諸星きらり+ 属性 パッション レア度 レア+ Lv上限 50 親愛上限 150 Lv1攻撃値 2544(1コスト比231.3) Lv1守備値 1680(1コスト比152.7) Lv1攻撃値(MAX特訓時) 3658(1コスト比332.5) Lv1守備値(MAX特訓時) 2416(1コスト比219.6) 最大攻撃値 8428(1コスト比766.2) 最大守備値 5566(1コスト比506) コスト 11 移籍金 4,575マニー 特技 なし プロフィール アイドル名 諸星きらり+ フリガナ もろぼしきらり 年齢 17 身長 184cm 体重 61kg B-W-H 91-65-87 誕生日 9月1日 星座 乙女座 血液型 O型 利き手 右 出身地 東京 趣味 かわいい物集め CV 松嵜麗 セリフ集 セリフ 内容 プロフィールコメント 「やっほー☆きらりといっしょにみんなをきゅんきゅんさせちゃうよー☆でも、イチバンはPちゃんをきゅんきゅんさせちゃおうと思ってるとこなのは秘密ーっ! 言っちゃったけどー☆」 親愛度UPコメント 表示 「にゃは☆きらりと○○ちゃんは…ずっきゅん☆」 親愛度MAXコメント 表示 「きらりと○○ちゃんならこのままなんだって出来るよ☆もういっそ世界征服とか狙う? 狙っちゃう? やっちゃう?」 リーダーコメント 「きらりんあたーっく☆」 あいさつ 「にょわー!」 あいさつ 「たのしいでしょー☆」 あいさつ 「きらりん☆」 あいさつ 「○○ちゃんー! にょわーっ☆遊んでーっ!」 あいさつ 表示 「○○ちゃん、きらりの秘密…知りたい? にゃははー☆」 仕事終了時 「がんばるにぃ!」 仕事終了時 「おにゃーしゃー☆」 仕事終了時 「はいはいはいすたんばーっ☆」 仕事終了時 「○○ちゃんうっぴょー! このお仕事たのすぃ!」 仕事終了時 表示 「○○ちゃんの仕事姿見てるとニヤける! ヤバーい!」 セリフ集(誕生日アイドル紹介) セリフ 内容 通常コメント 「うきゃー☆ きらりのお誕生日、お祝いしてくれてうれすぃ♪ はぐはぐ☆ とーってもはぴはぴなバースデー、いっぱいありがと☆」 レベルMAXコメント 表示 「○○ちゃんも、きらりと一緒にあまーいケーキ食べゆー☆ 一緒にもぐもぐって…あーんてしちゃったり…うぇへへ☆」 親愛度MAXコメント 表示 「きらり、これからももーっと大きくなるからね、○○ちゃん☆ ありがとの…ちゅっ! うきゃーハズイうきゃー☆」
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清原(きよはら)は、 熊本アイドルプロジェクトのマネージャー。 声は、岩男潤子。つまり清原マネージャーの声は、『カードキャプターさくら』の主人公、大道寺知世ちゃんばりに可愛く落ち着いている。 概要 塚本プロデューサーの元恋人であり、マネージャー。 マネージャーとしての力量は確かだが、トロくてドジな所が玉に瑕で、塚本プロデューサーによく怒鳴られている。 軽い近視(?)なので、眼鏡をかけている。 大谷菜美と同様、自分が女である事に悔しさを感じている節が垣間見える。 落ち着いた性格で、塚本プロデューサーへの恋愛感情は完全に封印し、 陰となり日向となり熊本アイドルプロジェクトを、塚本プロデューサーを支える健気な女性。 備考 やる気無し 熊本アイドルプロジェクトはお遊びである、の象徴のような存在。プロ意識が欠如しており、してはいけない、信じられない失敗を悪びれず行っていた 名言 「塚本プロデューサーに逆らう者は、皆殺し・・・」 成分結果 清原の32%は大人の都合で出来ています。清原の21%は記憶で出来ています。清原の20%は海水で出来ています。清原の13%は努力で出来ています。清原の8%は世の無常さで出来ています。清原の6%は税金で出来ています。 おみくじ 清原の今日の運勢は・・・、 カスがwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 名前 コメント すべてのコメントを見る 『SENSEメンバー』一覧
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初等部・大学生のPC一覧 双葉学園の初等部、また大学に通うPCの一覧です 初等部 大学生 教員 その他 初等部 2-A 倉持 祈 3-A 天上院 佑斗 辻 宗司狼 3-B 朝倉 太陽 森田 虹子 4-E 工 克次 5-D 相島 陸 6-A 立浪 みく 6-X 熊田みみみ クラス未分類 暗闇坂 めぐる(2年) 大学生 1年 遠藤 雅(19歳) 川又 ふみ(18歳) 星崎美沙(19歳) 龍河 弾(19歳) 園部 奈津子(19歳) 志木 義春(19歳) ペルセフォネ(不明) 2年 草壁 藤乃(19歳) 討状 之威(20歳) 夏目 雪緒(20歳) 鳴海 麗一(20歳) 3年 鷹津 尚吾 田中 敦 八十神九十九 椿幻司郎 4年 院生 教員 木津曜子(アンダンテ)(高等部1-Z担任) 歳之瀬 師走(35歳・大学部教員) 春奈・C・クラウディウス(27歳・高等部1-B担任) 西川 千晶(28歳・高等部現代文担当) 羽里由宇 (29歳・保健教師) 大道寺 功武(35歳・高等部一年D組担任/社会科地理担当) 喜多川 博夢(20歳・大学部教授) 退田 裕穂(39歳・「異能習熟基礎」担当) その他 安達 凛(30代後半、未亡人、元永劫機開発者) アダムス(不明・成宮金太郎の秘書) ヴェイパー・ノック(十歳・聖痕の構成員) 語来 灰児(25歳・ラルヴァ研究者) 小松 ゆうな(19歳・駅員) スピンドル(17歳・聖痕構成員) 天道 ユリカ(2009年) 難波 那美(2010年) 難波 那美(2019)(27歳・研究者) 博打番長(自称異能番長) 真崎 春人(享年18歳・2009年死亡) 六谷 純子(29歳・駅員) メフィストフェレス(17歳?) レイダーマン (27歳・聖痕の構成員) 上に戻る 【リンク】 トップページ 作品保管庫さくいん 「双葉学園」PC一覧 高等部のPC一覧 中等部のPC一覧 PC資料集
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絵置き場 小松 いただきますbyトリコ 孔明リ・ガズィ 恋姫装 孔明リ・ガズィ 孔明と知世と 司馬懿 「い、妹……?」 どうしてこうなった、な2人の再会 司馬懿、恋姫コスプレをす 堕悪魔刃頑駄無 違いの分かる男の嗜み 刹那・F・セイエイ 刹那、頑駄無になる ディー・トリエル シスプリ……? 木之元桜 ほぇぇぇ、シスプリコスプレー?!? 大道寺知世 シスプリコスプレ、ですわ☆ 星空みゆき だいすきなえほんのなかにとじこめられた。 シスプリコスプレでウルトラハッピー! 日野あかね ケロ、てつを、あかね!3人合わせてチーム太陽!! ロボットなん? え、人間?……え? なんやて、シスプリコスプレ!? 黄瀬やよい ギャレンキングフォーム、爆誕 ピカピカぴかりん、シスプリコスプレ! 緑川なお 「いぎゃァァァァァァァァァッツツツァァァアアアァァァァァァアアアァ!!!!」 再会。 シスプリコスプレだよっ 青木れいか 「妹、ですか?」 M(モモタロス)れいか シスプリコスプレです。 スマプリ組全員 戻らない記憶、戻らない思い出 相田マナ 「そんなことで、六花を嫌いにはならないよ」 シスプリコスプレでキュンキュン! 菱川六花 「マナ、マナ、マナ、マナ……」 シスプリコスプレらしいけど…… 剣崎真琴 Wけんざき! 「一真さん……見てて下さい! 私の、変身!!」 シスプリコスプレ、か チェインバー 「……犬?」 チーム杉田、結成!……ならず 山岡士郎 山岡、ワインについて語る 山岡、マヨラーを批判する 海原雄山 我ら、美食倶楽部! 至高の心、キュアユウザン!
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少女性、少女製、少女聖杯戦争 女の子の世界は砂糖とスパイスと地獄で出来ている 俺ロワトキワ荘にて進行中の亜種聖杯戦争企画。 企画者は◆PatdvIjTFg。 2015/03/17に登場話SSの募集が開始され、2015/05/03にOPが投下、2015/05/05より企画開始となった。 企画の特徴としてマスターとして登場するキャラクターが少女のみに限られたことが挙げられ、 作品全体から漂う陰鬱さから、同時期に立った二つの聖杯スレと並び、暗黒三聖杯の一角と称される。 参加者 No. マスター サーヴァント 名前 出展作 クラス 真名 出展作 No.01 木之本桜 カードキャプターさくら セイバー 沖田総司 Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚 No.02 中原岬 NHKにようこそ! セイバー レイ ドラゴンクエストIV 導かれし者たち No.03 大井 艦隊これくしょん -艦これ- アーチャー 我望光明 仮面ライダーフォーゼ No.04 海野藻屑 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない アーチャー 森の音楽家クラムベリー 魔法少女育成計画 No.05 シルクちゃん 四月馬鹿達の宴 ランサー 本多・忠勝 境界線上のホライゾン No.06 フェイト・テスタロッサ 魔法少女リリカルなのは ランサー。 綾波レイ 新世紀エヴァンゲリオン No.07 江ノ島盾子 ダンガンロンパシリーズ ランサー 姫河小雪(スノーホワイト) 魔法少女育成計画 No.08 双葉杏 アイドルマスターシンデレラガールズ ランサー ジバニャン 妖怪ウォッチ No.09 星輝子 アイドルマスターシンデレラガールズ ライダー ばいきんまん 劇場版それいけ!アンパンマン No.10 蜂屋あい 校舎のうらには天使が埋められている キャスター アリス デビルサマナー 葛葉ライドウ対コドクノマレビト No.11 高町なのは 魔法少女リリカルなのは キャスター 木原マサキ 冥王計画ゼオライマー No.12 桂たま 天国に涙はいらない アサシン ゾーマ ドラゴンクエストIII そして伝説へ… No.13 大道寺知世 カードキャプターさくら アサシン プライド(セリム・ブラッドレイ) 鋼の錬金術師 No.14 山田なぎさ 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない アサシン クロメ アカメが斬る! No.15 ララ D.Gray-man アサシン ウォルター・デ・ラ・ボア・ストレイド(バネ足ジャック) 黒博物館スプリンガルド No.16 白坂小梅 アイドルマスターシンデレラガールズ バーサーカー ジェノサイド ニンジャスレイヤー No.17 雪崎絵理 ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ バーサーカー チェーンソー男 ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ No.18 諸星きらり アイドルマスターシンデレラガールズ バーサーカー 悠久山安慈 るろうに剣心 No.19 輿水幸子 アイドルマスターシンデレラガールズ クリエーター クリシュナ 夜明けの口笛吹き No.20 玲 ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス エンブリオ ある少女 さいはてHOSPITAL 外部リンク 支援サイト 少女性、少女製、少女聖杯戦争@wiki スレッド 少女性、少女製、少女聖杯戦争 少女性、少女製、少女聖杯戦争 二章