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(1) 地方自治体の種別構成 英国の地方自治体の種別構成は以下の通りである(Directgov資料、LGA「Types and Names of Local Authorities in England and Wales」参照)。日本では、全国一律の構成(二層制:都道府県及び市町村)が採用されているが、英国の場合は地域によって異なる。イングランドにおいては二層制と一層制が混在しており、ウェールズ・スコットランド・北アイルランドにおいては一層制に統一されている。 二層制は、カウンティ(County Council)とディストリクト(District Council)で構成される。カウンティは日本の県に相当する広域自治体であり、ディストリクトは日本の市町村に該当する基礎自治体である。 イングランドにおける一層制の自治体としては、大都市圏に存在する「大都市圏ディストリクト(Metropolitan District Council)」、非大都市圏の「ユニタリー(Unitary Council)」が挙げられる。これらは県及び市町村の機能を併せ持った自治体である。ロンドンは、グレーター・ロンドン・オーソリティー(Greater London Authority GLA)と32の「ロンドン区(London Borough Council)」及び「シティ(City of London Cooperation)」から構成されている。また、ウェールズ、スコットランドの一層制自治体はユニタリー、北アイルランドではディストリクトと呼ばれている。 【図表3-1 イングランドの地方自治体構成】 (※)3-2参照。 【図表3-2 スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの地方自治体構成】 スコットランド及びウェールズにおいては、イングランドのパリッシュに相当するコミュニティ・カウンシルが、住民に最も近い自治体機能を担っている。 (2) グレーター・ロンドン・オーソリティー(GLA) 首都ロンドンの広域自治体であるグレーター・ロンドン・オーソリティー(Greater London Authority:GLA)は、2000年に創設された。ロンドン全域をカバーする広域の地方自治体である。首長は直接選挙で選ばれる。 (a) 設立までの経緯 グレーター・ロンドン・カウンシル(Greater London Council:GLC)がサッチャー政権により1986年に廃止された後、GLA創設までの間は、32のロンドン区とシティの計33団体の一層制の地方自治体で構成されていた。1997年の総選挙の結果、政権に返り咲いたブレア労働党政権は、その選挙公約で、ロンドンの広域行政を担当する広域自治体を復活させるとした。 1998年 5月 7日 GLA創設に係る住民投票の実施(賛成72%で承認) 1999年11月11日 「1999年GLA法(Greater London Authority Act 1999)」成立 2000年 5月 4日 市長及び議会議員選挙(投票率:市長選34%、議会議員選挙31%)、市長にケン・リビングストン氏が当選 2000年 7月 3日 GLA発足 2008年 5月 1日 市長にボリス・ジョンソン氏が当選(投票率45%) (b) 構成及び役割 GLAは、直接選挙で選ばれるロンドン市長(Mayor of London)と、同じく直接選挙で選ばれる25人の議員からなるロンドン議会(London Assembly)、双方を補佐する事務部局、さらには市長を補佐する市長室(Mayor’s Office)で構成される、職員数650名ほどの組織である。 その所管業務は、ロンドン全域にわたる(1)公共交通、(2)地域計画、(3)経済開発及び都市開発、(4)環境保全、(5)警察、(6)消防及び緊急計画、(7)文化、メディア及びスポーツ、(8)保健衛生などの分野でのロンドン全域に係る企画・調整を行うことである。 また、GLA本体以外に、4つの実務機関(Functional Body)があり、GLAと4つの実務機関を合わせてGLAグループともいわれる。4つの実務機関とは、首都警察局(Metropolitan Police Authority)、ロンドン消防・緊急時計画局(London Fire and Emergency Planning Authority)、ロンドン交通局(Transport for London)及びロンドン開発公社(London Development Agency)である。なお、住民への行政サービスはロンドンの基礎自治体である32のロンドン区とシティが行う。 【図表3-3 GLAの構成】 (c) 市長の権限 市長はGLAの意思決定及び執行の両方の機関を兼ねており、主な権限は、(1)重点的・総合的な計画の策定、(2)予算案の策定及び提案、(3)策定した計画を実施するための調整、(4)実務機関の管轄、(5)実務機関の幹部の任命及び(6)ロンドンの代表としての行動等である。なお、2007年10月に改正GLA法が成立し、新たに健康格差解消、住宅政策や都市計画、職業訓練、文化政策などに関して市長に権限が付与された。 (d) ロンドン議会の権限 ロンドン議会の主な権限は、(1)市長の政策立案の補佐及び実施状況の検証、(2)予算案の修正及び承認(修正には議員の2/3の賛成が必要)、(3)ロンドンの主要課題の調査・検討、(4)GLAの職員の任用等である。 (e) ロンドン議会の選挙 選挙は市長選挙と同時に4年ごとに実施される(5-1参照)。現在、同議会は、小選挙区比例代表制(Additional Member System)が採用されており、小選挙区(各選挙区は2~3のバラから構成される。)によって選出された議員14名と、追加代表(Additional Assembly Member)11名とで構成されている。 (f) 予算 予算案は市長により提出され、議会は予算案を審議し採決を行う。この予算にはGLA本体だけではなく4つの実務機関の予算も含まれている。 2009年度の予算(total expenditure)は総額122億4,230万ポンドである。その内訳はロンドン交通局が75億9,400万ポンド(62.0%)、首都警察局が36億310万ポンド(29.4%)、ロンドン消防・緊急時計画局が4億6,340万ポンド(3.8%)、ロンドン開発公社が4億3,130万ポンド(3.5%)、GLA本体が1億4,180万ポンド(1.2%)、ロンドン議会が870万ポンド(0.1%)である。 【図表3-4 GLA組織図】(GLA organisation structure参照) (参考) GLAの4つの実務機関と市長の関係は次のとおりである。 首都警察局(Metropolitan Police Authority)(MPA) メンバーの一部を市長が任命する。議長はメンバーの互選であり、現在は市長が務めている。なお、MPAは警察の実働部隊ではなく、戦略策定等を行う、最大23名からなる会議体である。 ロンドン消防・緊急時計画局(London Fire and Emergency Planning Authority)(LFEPA) 議長とメンバーを市長が任命する。 議長は現在、Councillor Brian Coleman, AM FRSAが務めている。なお、LFEPAは消防の実働部隊ではなく、戦略策定等を行う、17名からなる会議体である。 ロンドン交通局(Transport for London)(TfL) 理事会の議長とメンバーを市長が任命する。議長は現在は市長が務めている。TfLは戦略策定だけではなく、公共交通サービスも実際に提供している。 ロンドン開発公社(London Development Agency)(LDA) 理事会の議長とメンバーを市長が任命する。議長は現在、Harvey McGrath氏が務めている。LDAは戦略策定だけではなく、経済開発に関するサービスも実際に提供している。 (3) パリッシュ パリッシュは教会の布教のために設けられた教区に起源を持つ、地域共同体的な性格を持つ法律上の準自治体(Sub-principal)である。現在、イングランドとウェールズを合わせて約1万のパリッシュがあるが、都市部には少なく(ロンドンでは設立が禁止されていた。)、主に地方の田園部を中心に存在する。なお、近年その数は増加傾向(特に都市部で増加している)にあり、ロンドンでの設置も検討されている。 パリッシュの機能は、大きく次の3つに分けることができる。 限定的な行政サービスの提供(遊歩道整備、街路照明維持管理、墓地・火葬場管理、コミュニティホールの提供等。但し、一部のサービスについてはカウンティの同意が必要。) カウンティやディストリクトから特定の事項について協議(カウンティによる遊歩道の調査や初等学校の校長の任命等)や通知(当該パリッシュに関係のある開発申請や条例の制定等)を受ける権利 ディストリクトや国の機関などに対して地域の代表となること 2007年地方自治法により、新たなパリッシュの設置権が、中央政府から地方自治体へ移譲された。また、パリッシュの設置が認められていなかったロンドンでも、コミュニティ及び区(borough)にパリッシュの設置権が与えられた。 (4) ユニタリー化の動き 政府は、イングランドにおけるユニタリーの数を増加させることとしており(3-2参照)、コミュニティ・地方自治省は2006年10月の地方自治白書において、イングランドにおいて、一層制の地方自治体であるユニタリーへの自発的再編を望む地方自治体は、その旨を申請するよう呼びかけた。 26の地方自治体がユニタリー化を申請し、政府の審査の結果、2009年4月1日、9つの新たなユニタリーが誕生した。 ユニタリー化を認める権限は政府にあるが、新たなユニタリーを創設するにあたり、次の条件に照らして審査を行った。なお、引き続き審査手続等が進行中のものもあり(デヴォン(Devon)県とノーフォーク(Norfolk)県が申請中である。)、今後さらに新たなユニタリーが誕生する可能性もある。 ユニタリー化が費用面で相応であるか ユニタリー化がリーダーシップの強化に繋がるか ユニタリー化が地域の公共サービス改善に繋がるか ユニタリー化がコミュニティの権限を強化するか ユニタリー化計画が地域の幅広い支持を得ているか 2009年4月1日に新たに誕生した9つのユニタリーは以下の通りである。この結果、該当する区域に存在していたカウンティ(県)が7つ、ディストリクト(市町村)が37、消滅した。なお、地方自治体構造(リーダーと内閣制など)(第2章参照)は、ベッドフォード市についてはユニタリー化前の市の制度が引き継がれ、その他のユニタリーについては県の採用していたものが引き継がれた。 チェシャー(Cheshire)県を2つのユニタリー「チェシャー・ウェスト・アンド・チェスター(Cheshire West and Chester)市」と「チェシャー・イースト市」に ベッドフォードシャー(Bedfordshire)県を2つのユニタリー「ベッドフォード市」と「セントラル・ベッドフォードシャー市」に コーンウォール(Cornwall)県を1つのユニタリー「コーンウォール市」に ノーサンバーランド(Northumberland)県を1つのユニタリー「ノーサンバーランド市」に ダーラム(Durham)県を1つのユニタリー「ダーラム市」に シュロップシャー(Shropshire)県を1つのユニタリー「シュロップシャー市」に ウィルトシャー(Wiltshire)県を1つのユニタリー「ウィルトシャー市」に
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イングランドの地方自治体における事務配分は図表3-5のとおりである。一層制の地方自治体においては消防・警察など広域の事務組合で行う事務以外の全ての事務を行っている。一方、二層制の地方自治体においては、ディストリクトは住宅、ごみ収集、レジャー・レクリエーションなどの限られた事務を行い、カウンティは、教育、社会福祉、道路等の事務を行っている。このため、地方自治体間で所管業務が重複していることはほとんどない。 スコットランドとウェールズの地方自治体は一層制のため、下記項目のほとんどの業務を担当している。 北アイルランドについては、地方自治体の権限が限られているので、レジャー、ごみ処理、ごみ収集、環境のみ担当し、それ以外は北アイルランド自治政府が担当している。 なお、表中の事務組合とは、単独の地方自治体では実施困難な業務を、複数の地方自治体で連携して処理するために設立される共同組織である。 【図表3-5 イングランドにおける各地方自治体の権能】 大都市/ロンドン (注2) 地方/ユニタリー 事務組合 大都市圏ディストリクト ロンドン区 ディストリクト ユニタリー(ウェールズを含む) カウンティ 教育 ● ● ● ● 住宅 ● ● ● ● 計画申請 ● ● ● ● 戦略的計画 ● ● ● ● 交通計画 ● ● ● 公共交通 ● ● ● 道路 ● ● ● ● 消防 ● ●(注1) ● 社会福祉 ● ● ● ● 図書館 ● ● ● ● レジャー・レクリエーション ● ● ● ● ごみ収集 ● ● ● ● ごみ処理 ● ● ● 環境・保健 ● ● ● ● 徴税 ● ● ● ● 選挙人登録 ● ● ● ● (注1) 合同の消防当局である「ジョイント・ファイヤー・オーソリティ」を、カウンティがその範囲内にあるユニタリーとともに運営している。なお、ウェールズには3つの合同の消防当局がある。 (注2) グレーター・ロンドン・オーソリティー(GLA)の役割: 交通 地下鉄、バス、タクシー、DLR及び主要な道路の管理運営 (道路はロンドン区が現在も95%を管理している。) 経済開発 投資の誘致 環境 ロンドン区と協働し公害や廃棄物対策にあたる。 計画 ロンドン全体の開発戦略の策定 (地元の計画はロンドン区が所管). 消防 ロンドン消防・緊急時計画局 文化 ロンドンの観光、文化、スポーツの先導 保健 ロンドン市民の健康の増進 出典:地方自治体協議会(LGA)「Local Government Structure」
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地方自治法(市町村名変更) 第三条 地方公共団体の名称は、従来の名称による。 ○2 都道府県の名称を変更しようとするときは、法律でこれを定める。 ○3 都道府県以外の地方公共団体の名称を変更しようとするときは、この法律に特別の定めのあるものを除くほか、条例でこれを定める。 ○4 地方公共団体の長は、前項の規定により当該地方公共団体の名称を変更しようとするときは、あらかじめ都道府県知事に協議しなければならない。 ○5 地方公共団体は、第三項の規定により条例を制定し又は改廃したときは、直ちに都道府県知事に当該地方公共団体の変更後の名称及び名称を変更する日を報告しなければならない。 ○6 都道府県知事は、前項の規定による報告があつたときは、直ちにその旨を総務大臣に通知しなければならない。 ○7 前項の規定による通知を受けたときは、総務大臣は、直ちにその旨を告示するとともに、これを国の関係行政機関の長に通知しなければならない。 第七条 市町村の廃置分合又は市町村の境界変更は、関係市町村の申請に基き、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。 ○2 前項の規定により市の廃置分合をしようとするときは、都道府県知事は、あらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得なければならない。 ○3 都道府県の境界にわたる市町村の設置を伴う市町村の廃置分合又は市町村の境界の変更は、関係のある普通地方公共団体の申請に基づき、総務大臣がこれを定める。 ○4 前項の規定により都道府県の境界にわたる市町村の設置の処分を行う場合においては、当該市町村の属すべき都道府県について、関係のある普通地方公共団体の申請に基づき、総務大臣が当該処分と併せてこれを定める。 ○5 第一項及び第三項の場合において財産処分を必要とするときは、関係市町村が協議してこれを定める。 ○6 第一項及び前三項の申請又は協議については、関係のある普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。 ○7 第一項の規定による届出を受理したとき、又は第三項若しくは第四項の規定による処分をしたときは、総務大臣は、直ちにその旨を告示するとともに、これを国の関係行政機関の長に通知しなければならない。 ○8 第一項、第三項又は第四項の規定による処分は、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。
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地方自治の基本原則 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。 地方公共団体の議会 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。 2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。 地方公共団体の権能 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。 特別法の住民投票 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。 この項目についての意見 名前 コメント
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2007年度における英国の地方自治体の歳出総額は1,552億ポンドとなっており、国を含めた全公共支出の3割弱(29.0%)を占める 。(*1) 地方自治体の会計は、経常会計(Revenue Account)及び資本会計(Capital Account)に大きく二分される(*2)。このうち経常会計は、一般経常会計(General Fund Revenue Account)、商業会計(Trading Services Revenue Account)、住宅会計(Housing Revenue Account)の3つから構成される。 会計年度は日本と同様、4月1日に始まり、3月31日に終わる。 (1) 経常会計(Revenue Account) (a) 一般経常会計(General Fund Revenue Account) 英国の地方自治体の一般経常会計では、主に利用料及び手数料収入は、対応する歳出と相殺され結果的に歳出から控除した形で計上される。また、英国では一般経常会計と資本会計という区分が導入されていることから、元本償還費は一般経常会計としては計上せず、利払費と減価償却費が資本会計に計上される。 ア 経常支出(Revenue Expenditure / Current Expenditure) 経常支出は職員の人件費や、施設維持費、サービス費などの経常的経費に関するもので、主に地方交付金(Revenue Support Grant)等の政府補助金やノン・ドメスティック・レイト、カウンシル・タックス(6-2参照)などを財源としている。経常支出はその性質によって、様々な定義がある。 経常支出(Current Expenditure) すべての経常的経費に係る支出。 純経常支出(Net Current Expenditure) 経常支出から対応する使用料、手数料、その他の諸収入分を相殺し控除したもの。 経常(歳入)支出(Revenue Expenditure) 純経常支出からAEF(*3)外特定補助金を控除し、他会計繰出金を加えたもの。 純経常(歳入)支出(Net Revenue Expenditure) 経常支出からAEF内特定補助金を控除した支出。 2008年度のイングランドにおける純経常支出について見てみると、図表6-1のとおり教育分野(37%)、社会福祉分野(17%)、住宅(14%)及び警察(11%)の分野が大きな割合を占めている。 【図表6-1 2004年度~2008年度 純経常支出(イングランド)/目的別内訳】(*4) (単位:百万ポンド) 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 構成比 教育(Education) 33,290 36,020 37,972 40.135 41,480 37.0% 社会福祉(Socialcare) 16,310 17,359 18,094 18,587 19.478 17.4% 住宅(特別会計を除く)(Housing(excludingHusingRevenueAccount)) 13,288 14,066 14,963 15,844 15,987 14.3% 警察(Police) 10,206 10,957 11,651 11,704 12,229 10.9% 文化・環境・計画(Cultural、environmentandplanning) 8,519 9,162 9,651 10,139 10,361 9.2% 道路・交通(Highwaysandtransport) 4,673 4,843 5,313 5,636 6,101 5.4% 庁舎管理等(Centralservices) 2,953 2,432 3,453 3,541 3,695 3.3% 消防・救急(Fire rescue) 1,925 2,040 2,193 2,233 2,364 2.1% 裁判(Courts) 460 58 62 70 69 0.1% その他(Others) 275 206 159 360 328 0.3% 合計 91,902 97,142 103,513 108,249 112,094 100.0% イ 経常収入 経常収入のうち、地方交付金(Revenue Support Grant)、ノン・ドメスティック・レイト(Non Domestic Rate=NDR)、警察補助金、その他政府補助金(AEF内特定補助金及びGLA補助金)は中央政府から地方自治体に交付される財源であり、それぞれ図表6-2のとおり、3%、20%、4%、41%の割合を占めている。一方、地方自治体の主な自主財源(地方税)であるカウンシル・タックス(Council Tax)は24%にとどまっている。このように、英国の地方自治体は財源の多くを政府からの補助金等に依存しており、財政上の自立性はきわめて限られている。 2006年度から義務教育関係経費の特定財源化が行われ、それに相当する額が地方交付金から削減された。英国の地方自治体の歳出に占める義務教育関係経費の比重は非常に高く40%弱を占めていたため、この制度改正により地方交付金の総額は、2005年度の約267億ポンドから2006年度は約34億ポンドへと約87%減となった。 なお、使用料・手数料等の諸収入は歳出と相殺されているため、計上されていない。 【図表6-2 2004年度~2008年度における経常収入の財源内訳(イングランド)】(*5) (単位:百万ポンド) 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 構成比 地方交付金(Revenue Support Grant) 26,964 26,663 3,378 3,105 2,845 2.8% ノン・ドメスティック・レイト(Redistributed Non Domestic rates) 15,004 18,004 17,506 18,506 20,506 19.9% 警察補助金(Police Grant) 4,168 4,353 3,936 4,028 4,136 4.0% AEF内特定補助金(Specific grants inside AEF) 14,090 14,785 41,771 44,486 42,133 40.8% 自治体一括補助金(Area Based Grant) - - - - 2,731 2.6% GLA補助金(General GreaterLondon Authority Grant) 36 37 38 38 48 0.0% カウンシル・タックス(Council Tax) 20,299 21,315 22,453 23,608 24,759 24.0% その他 3,234 3,847 5,290 4,210 6,001 5.8% 合計 83,795 89,004 94,372 97,981 103,159 100.0% (b) 商業会計(Trading Services Revenue Account) 地方自治体は、様々な商業的なサービスを提供しており、これらは、基本的にはサービスの受け手の支払いによって成り立つ性質を有するものである。 商業会計では、手数料や使用料収入及び売却収入を伴う当該地方自治体を含めた地方自治体向け及びそれ以外の一般に対する行政サービスを対象とする。具体的には、地方自治体向けサービスとしては、建物の清掃や法務、廃棄物処理等があり、地方自治体以外の一般向けサービスとしては空港や劇場、公営市場の運営に関するものがある。 2007年度のイングランドにおける商業会計の歳出は約52億ポンド、歳入は約55億ポンドであった。(*6) (c) 住宅会計(Housing Revenue Account) 住宅会計は、地方自治体が所有する住宅に関する会計であり、地方自治体の納税者に直接賃貸され、賃貸料と中央政府からの補助金でまかなわれる。住宅会計の大きな特徴は、地方自治体がその裁量で一般経常会計との間で資金の移動を行えないことである。すなわち、住宅会計の収入は住宅以外の他の用途に用いることはできず、また、住宅会計外の収入は原則として住宅会計の支出として当てることは認められない。 イングランドにおける2007年度の歳出は約84億38百万ポンドで、歳入は約84億37百万ポンドであった。(*7) (2) 資本会計(Capital Account) (a) 資本支出 資本支出とは、土地の取得、道路及び建物、その他の構造物の取得、建設等に係る支出を指し、2008年度の歳出規模はイングランド全体で約198億ポンドとなっており、目的別では教育(24%)、交通(22%)、住宅(22%)が大きな割合を占めている(図表6-3)。 【図表6-3 2004年度~2008年度資本支出(イングランド)目的別内訳】 (*8) (単位:百万ポンド) 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 構成比 住宅(Housing) 3,987 4,534 4,507 5,008 4,350 21.9% 教育(Education) 3,087 3,492 3,442 3,711 4,733 23.8% 交通(Transport) 2,905 3,461 3,480 5,916 4,386 22.1% 図書館、文化、遺産(Libraries, culture heritage) 227 329 296 321 366 1.8% スポーツ、レクリエーション(Sport recreation) 306 424 415 446 793 4.0% 警察(Police) 561 606 531 550 781 3.9% 社会福祉(Social services) 284 387 364 411 352 1.8% 消防、救急(Fire rescue) 82 96 126 169 193 1.0% 農業・漁業(Agriculture fisheries) 66 93 96 85 97 0.5% 裁判(Magistrates courts) 46 1 0 0 0 0.0% その他(Other) 2,725 3,218 3,052 3,342 3,810 19.2% 合計 14,276 16,641 16,307 19,958 19,861 100.0% (b) 資本収入 資本収入の内訳は図表6-4のとおりで、2007年度において借入金が全体の30%を占めている(*9)。資本補助金は、インフラ整備、地域再生など特定の目的のために中央政府等から交付されるもので、資本収入総額の34%を占めている。なお、経常収入を資本収入に繰入れることは可能だが、資本収入を経常収入に繰入れることはできない。 PFIなど民間資本を活用した社会資本の整備・改良により、地方自治体もこうしたスキームを活用することによって初期投資の負担を軽減するとともに、効率的に社会資本の整備を行っている(8-4参照)。 【図表6-4 2004年度~2007年度 資本収入(イングランド)内訳】(*10) 財源の内訳(単位:百万ポンド) 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 構成比 資本補助金(Central government grants) 3,196 3,909 4,083 7,007 34.4% 資本売却収入(Use of usable capital receipts) 2,647 2,812 2,628 2,665 13.1% 経常収入繰入金(Revenue financing of capital expenditure) 2,757 2,568 2,763 2,593 12.7% 借入金 4,724 6,130 5,655 6,110 30.0% その他 1,080 1,378 1,343 2,018 9.9% 合計 14,404 16,797 16,472 20,395 100.0%
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第92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。 第93条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。 第94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。 第95条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。
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(1) 背景 英国は、イングランド、ウェールズ、スコットランド及び北アイルランドから構成される連合王国である。しかし、各王国がイングランドにより力で併合されたという歴史的背景から、一部地域で独立あるいは地域内での自治を要求する民族主義政党が誕生し、国会にも議員を送り込む等、その勢力は1970年代から拡大してきた。このため、こうした勢力にどのように対処し、連合王国としての統制を維持していくかということが、政権政党にとって大きな政治課題となっていた。 (2) 労働党政権の地方分権政策 1997年5月の総選挙で、18年ぶりに政権を奪回した当時のブレア労働党政権は、それまでの保守党政権が「地域議会の設立は連合王国の基盤を揺るがす」として頑なに地方分権を拒んだのとは逆に、地方分権政策を重要政策の一つとして掲げて推進してきた。これまで実施した政策には、スコットランド、ウェールズ及び北アイルランドにおける地域議会の設立、ロンドン全域を管轄するグレーター・ロンドン・オーソリティの設立、イングランドにおける地域審議会(Regional Assemblies)、地域開発公社(Regional Development Agencies)の設立などがある。 (3) 地方自治白書 コミュニティ・地方自治省は、2006年10月26日に、地方自治白書「コミュニティの強化と繁栄のために(Strong and Prosperous Communities)を発表し、この白書を受け、2007年10月30日に「2007年地方自治法」が成立した。これに続き、2008年7月9日、新たな地方自治白書「主導権握るコミュニティ:住民に真の権限を(Communities in control Real people, real power)」を発表した。 この白書では、自治体における市民とコミュニティの影響力を強化していくことを基本方針としており、次のような提案を行った。 自治体に対して、請願書を受理する責務及び全住民の5%の署名によって審議会を開催する責務の追加 自治体の政策が間違っていた場合の救済措置の設定 地域住民が用途を決定できる7千万ポンドに上る「コミュニティ構築基金(Communitybuilders Fund)」(*1)の設置 ストリートマーケットや公共プール等の公共資産をコミュニティに譲渡するパイロット事業 直接公選首長の設置に必要とされる住民投票での得票率を従来の5%から引き下げる計画 特定の自治体職員が政治活動を行うことを禁ずる法令の撤廃など
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基礎情報 中央政府の構造 英国議会の現状 サッチャー政権からブラウン政権までの経緯 EU憲法 ・ユーロ参加動向 地方自治体の法律上の位置づけ パートナーシップを活用した中央政府と地方自治体の新たな関係
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(1) 議員と事務職員との関係 事務職員の多くは、議員との直接の接触など政治的行為に日常的に関わりを持つことは稀であるが、事務総長等の上級幹部職員は公式・非公式に様々な形で政治的意思決定過程に参加している。しかし、議員と事務職員の関係を規定した法令は存在せず、政府は各地方自治体でその慣習や現状を考慮した上で独自に議員と事務職員との関係に関する取り決めを策定することを勧めている。 (2) 事務職員の政治的中立性 地方自治体においては、最終的に政権を担当することとなる多数党の意見や立場に関わりなく、政治的に偏りのない一定の政策及び行政サービスが維持・確保される必要があり、このため職員の中立性が求められる。そこで以下の事項が「1989年地方自治・住宅法」により定められている。 地方公務員は、自らが所属する地方自治体の議員となることはできない。 以下のいずれかの条件を満たす地方公務員は、他の地方自治体の議員となることもできない。また政党の職員となること、選挙活動を行うこと、政治的問題について公の場で発言することも禁止されている。加えて国会議員となること、欧州議会議員となること、またその選挙に立候補することも禁止されている。但し、政党に所属することはできる。年間給与が高額な者(2008年で36,730ポンド以上の給与を受給している者)(*1) 管理職(Head, Chief)又は準管理職(Deputy Chief)の職責にある事務職員、監督官、選挙に関する事務を行う者、又は地方議員に対して定期的に助言を行う立場にある者 マスコミと定期的に接触する機会を有する者(広報職員(Press Officer)など) (3) 政務補助員(Political Assistant) 事務部局には、「1989年地方自治・住宅法」に基づき、政治からの一定距離を保ちつつ議員に対する政治的アドバイス等の支援を行うため、政務補助員を設置することができる。しかし採用数(1つの地方自治体につき3人まで)や契約期間、給与等について国務大臣の定める制限があり、採用はあまり進んでいない。 (4) 議会による事務職員の解雇 議会は違法行為等を行った事務職員を解雇することができるが、その場合、事務総長若しくは各部局長により提出される報告書を必ず考慮しなければならない。 また、事務総長については「1989年地方自治・住宅法」に基づき、議会は解雇を行う場合には、独立した評価人を任命し、その者の同意を得なければならないこととされている。 さらに、「2000年地方自治法(Local Government Act 2000)」に基づき財務部長もその対象とされている。
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「1972年地方自治法」に基づき、国務大臣が特別の定めをする場合以外は、原則として5月の第1木曜日が投票日とされている。なお、「2000年国民代表法(Representation of the People Act 2000)」により、地方自治体は郵便投票、週末投票、投票日の複数化等各種の投票方法を導入できるようになった。 ただし、「2000年地方自治法」により、地方選挙の実施方式について、以下の3つの選択肢が与えられた(国務大臣が特定の地方自治体に対してその選挙制度や日程を指示することができるものとされている)。 4年毎に実施し、全議員を一斉に改選する方式 2年毎に実施し、議員の2分の1を改選する方式 4年に3度実施し、議員の3分の1を改選する方式 なお、2007年10月30日に成立した「2007年地方自治法」において、政府は投票率の向上と議員の説明責任を明確にするため、地方自治体の選挙サイクルを4年に1度に統一する方針が示され、選挙委員会による選挙システムの見直しや中央政府の許可なしに、地方議会選挙の選挙サイクルを「4年ごとに全議員を一斉に改選する」方式に変更できる権限が地方自治体に与えられることとなった。 【図表5-2 英国の地方自治体の選挙サイクル(2009年8月現在)】(*1) 地域 地方自治体 選挙サイクル 改選数 イングランド カウンティ(県) 4年に1回 全議員改選 ディストリクト(122) 4年に1回 全議員改選 ディストリクト(72) 4年に3回 1/3ずつ改選 ディストリクト(7) 2年に1回 1/2ずつ改選 大都市圏ディストリクト 4年に3回 1/3ずつ改選 ユニタリー(30)(*2) 4年に1回 全議員改選 ユニタリー(19)(*3) 4年に3回 1/3ずつ改選 ロンドン区 4年に1回 全議員改選 シティ 4年に1回 全議員改選 ウェールズ ユニタリー 4年に1回 全議員改選 スコットランド ユニタリー 5年に1回 全議員改選 北アイルランド ディストリクト 4年に1回 全議員改選